JP2002534084A - C型肝炎ウイルスns3プロテアーゼの修飾形 - Google Patents

C型肝炎ウイルスns3プロテアーゼの修飾形

Info

Publication number
JP2002534084A
JP2002534084A JP2000592405A JP2000592405A JP2002534084A JP 2002534084 A JP2002534084 A JP 2002534084A JP 2000592405 A JP2000592405 A JP 2000592405A JP 2000592405 A JP2000592405 A JP 2000592405A JP 2002534084 A JP2002534084 A JP 2002534084A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protease
hcv
modified
ns4a
substitution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000592405A
Other languages
English (en)
Inventor
マイケル・ウィットカインド
スティーブン・ウェインハイマー
ヤクン・ジャン
バレンティナ・ゴールドファーブ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bristol Myers Squibb Co
Original Assignee
Bristol Myers Squibb Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bristol Myers Squibb Co filed Critical Bristol Myers Squibb Co
Publication of JP2002534084A publication Critical patent/JP2002534084A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
    • C12N9/503Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from viruses
    • C12N9/506Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from viruses derived from RNA viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、修飾C型肝炎NS3プロテアーゼおよび修飾C型肝炎NS4a−NS3融合プロテアーゼに関する。これらタンパク質は高度に可溶性であり、NMR分光分析、X線結晶学、およびインヒビタースクリーニングに有用である。DNA構築物もまた提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼの修飾形に関する。このプロ
テアーゼの野生型はC型肝炎ウイルスの複製のためにインビボで必須である。本
発明の新規なタンパク質は、該プロテアーゼのインヒビターのスクリーニング、
および該プロテアーゼやプロテアーゼ:インヒビター複合体の構造解析に有用で
ある。
【0002】 (背景技術) C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、非A非B肝炎のすべての症例のうちの9
0%の原因であると考えられている(Chooら、1989、Kuoら、1989)。HCV感
染は世界中で2〜15%の発症率であり、HIV感染よりも一般的である。米国
だけでも400万以上の人々がHCVに感染している。HCVの一次感染はしば
しば無症候性であるが、殆どすべてのHCV感染は慢性の状態に進行し、この状
態が何十年も持続する。HCV感染の20〜50%もが最終的に慢性の肝臓疾患
(たとえば、肝硬変)を発症すると思われ、これら症例の20〜30%は肝不全
または肝臓癌に導かれるであろう。米国の12,000人に達する人々が本年、
HCV感染に伴う続発症で死亡するであろう。現在の人口は来る20年間に年老
いるので、HCVに伴う罹患率および死亡率は3倍になると予測されている。H
CV感染のための安全で有効な治療を開発することは、主たる未克服の医学的必
要性である。
【0003】 抗ウイルス的介入のための確立された原則は、本質的なウイルスによりコード
された酵素の直接阻害である。HCV感染に対する唯一の承認された処置はイン
ターフェロンであるが、これは宿主の免疫応答を変えることにより間接的にHC
V感染に影響を及ぼすものである。インターフェロン療法は、処置した患者の3
0%以上で持続した(sustained)抗ウイルス応答が生じるため、たいてい、効
力を有しない。ウイルスの複製を直接阻止する安全で有効な抗ウイルス処置は、
インターフェロン療法に比べてHCV感染に対する公衆衛生に対し一層有利な影
響を及ぼすに違いない。これまで、そのようなHCVの複製のインヒビターは開
示されていない。HCV疾患を防ぐための予防接種は、HCVのワクチン候補の
有効性の欠如のために展望が示されていない。
【0004】 C型肝炎ウイルスは、Flaviviridae科のプラス鎖RNAウイルスである。HC
Vゲノムは3033アミノ酸からなる単一のポリプロテインをコードし、そのう
ち残基1026〜1657(631アミノ酸)はNS3タンパク質を表す(Choo
ら、1991)。HCVのNS3タンパク質は、その一次アミノ酸配列が関連してい
る4つの部位で選択的にHCVポリプロテインを開裂する部位特異的なプロテア
ーゼである(Grakouiら、1993a)。これらの開裂は、NS3、NS4A、NS4
B、NS5AおよびNS5Bを含むHCVの成熟非構造(複製性)タンパク質を
生じる(Bartenschlagerら、1993;Grakouiら、1993b;Hijikataら、1993a,b;T
omeiら、1993;Bartenschlagerら、1994;Eckartら、1994;Linら、1994;Manab
eら、1994)。遺伝学的な研究は、関連するウイルス(たとえば、黄熱ウイルス
およびウシ下痢ウイルス)の相同なNS3プロテアーゼがウイルスの複製に絶対
に必須であることを示している(Chambersら、1990;Xuら、1997)。それゆえ、
NS3プロテアーゼのインヒビターはHCVの複製を阻害し、HCV感染に対す
る有効な抗ウイルス処置の発見および開発に有用であるに違いない。
【0005】 NS3によるHCVポリプロテインの有効なプロセシングにはまた、HCVポ
リプロテインのアミノ酸1658〜1712(58アミノ酸)であるNS4Aタ
ンパク質も必要である(Bartenschlagerら、1994;Overtonら、1994;Bartensch
lagerら、1995;Bouffardら、1995;Tanjiら、1995)。NS4Aは、NS3との
ヘテロマー複合体を形成することによりプロテアーゼ活性を刺激する(Bartensc
hlagerら、1995;Linら、1995;Satohら、1995)。NS4Aはまた、ウイルス複
製の起りやすい部位であるER膜へのNS3プロテアーゼの局在化をターゲティ
ングすると考えられている(Hijikataら、1993b;LinおよびRice、1995;Tanji
ら、1995)。NS3およびNS4Aの機能性ドメインをマッピングする研究は、
NS3のプロテアーゼ触媒ドメインがアミノ酸1〜181内に存在すること(Ba
rtenschlagerら、1994;Tanjiら、1994;Faillaら、1995;Shojiら、1995)、お
よび該触媒ドメインがNS4Aと相互作用し、NS4Aにより刺激されること(
Hijikataら、1993a;Linら、1994;Bartenschlagerら、1995;Faillaら、1995;
Satohら、1995;Tanjiら、1995)を示している。NS3の残りの450アミノ酸
はヘリカーゼ活性およびATPアーゼ活性を有する機能性ドメインを含み、これ
らはウイルスゲノムの複製に関与していると思われる(JinおよびPeterson、199
5)。NS4Aの機能性研究は、プロテアーゼ刺激活性がNS4Aのアミノ酸2
1〜34にマッピングされることをインビトロで示した(Linら、1995;Tomeiら
、1995;Shimizuら、1996)。一方、NS4AのN末端側20アミノ酸は天然で
はほとんど疎水性であり、膜貫通アンカードメインとして機能しているのかもし
れない(LinおよびRice、1995)。
【0006】 NS3のプロテアーゼ触媒ドメインの三次元構造は、X線結晶学により、NS
4Aからの補因子とともに、および補因子なしで決定されている(Kimら、1996
;Loveら、1996;Yanら、1998)。これら構造は、Ser−139、His−5
7およびAsp−81を含むカノニカル触媒三つ組(triad)を有するキモトリ
プシン様セリンプロテアーゼドメインとの非常に強い構造的ホモロジーを明らか
にした。しかしながら、NS3のN末端側28アミノ酸は、NS4Aの不在下で
は構造化されないがNS4Aペプチドの存在下ではこの領域はβ鎖(β-strand
)およびαヘリックス二次構造を取るため、独特であった。共結晶(co-crystal
)構造は、NS4AペプチドがNS3の隣接するβ鎖中に挿入され、該β鎖によ
って部分的に埋没されることを明らかにした。NS4A結合の結果としてプロテ
アーゼ活性部位の近傍で局所的な再配置も起り、これら再配置はプロテアーゼを
触媒として一層活性にすると考えられている。それゆえ、NS4AはHCVプロ
テアーゼの活性なコンホメーションを安定化すると予測される。
【0007】 NS3のN末端の近傍には残基13〜21にまたがるαヘリックス(αヘリッ
クス0)があり、これはNS4Aペプチドにより安定化されるようである。この
ヘリックスの外部面は非常に疎水性であり、分枝脂肪族残基のみからなる。その
疎水性の性質のため、この表面はNS3:NS4A複合体を細胞質膜にアンカー
リングするためにさらなる膜相互作用に関与しているかもしれないと考えられて
いる(Yanら、1998)。
【0008】 (発明の開示) (発明が解決しようとする技術的課題) 組換えNS3プロテアーゼの発現のためのルーチンな方法(たとえば、大腸菌
、バキュロウイルス)は広く用いられている。野生型のNS3プロテアーゼ(完
全長かまたは末端切断したドメイン)を発現するに際して直面する一般的な問題
は、とりわけ大腸菌ベクター系を用いた場合に不溶性または溶解しにくいタンパ
ク質が産生することであった。これまでに記載された最良の系は低レベルの組換
え野生型プロテアーゼを産生しており、該プロテアーゼは溶解しにくい傾向があ
る(Shojiら、1995;Suzukiら、1995;Hongら、1996;Steinkuhlerら、1996)。
これら調製物の多くは酵素的に活性であるため、この方法は活性分析およびイン
ヒビターのスクリーニングのために活性な酵素を生成するには充分であった。し
かしながら、構造研究を行うには、酵素的活性に加えて高溶解度と低凝集性によ
り特徴付けられる高発現酵素が必要である。
【0009】 天然のNS3プロテアーゼドメインの遺伝的に操作した融合誘導体を構築する
ことにより、HCVプロテアーゼの低発現および/または低溶解度に伴う問題を
解決するための努力がなされてきた。最も注目すべきものは、X線結晶学による
構造決定に適した、ゆっくりと成長する結晶を形成するNS3プロテアーゼ触媒
ドメインの生成である(Loveら、1996;Kimら、1996;Yanら、1998)。これらは
、発現タンパク質の安定な発現および/または溶解度を促進するポリペプチドタ
グ(たとえば、塩基性アミノ酸、ポリヒスチジン)をN末端および/またはC末
端に融合させることによりNS3の遺伝的に操作した誘導体を構築することを含
む。該プロテアーゼ活性ドメインのC末端へのNS4Aタンパク質の融合(Inou
eら、1998)を含む、大腸菌で発現させたときに部分的に可溶な他のタイプのプ
ロテアーゼ融合物(たとえば、ユビキチン、グルタチオンSトランスフェラーゼ
、マルトース結合タンパク質との)が記載されているが、全体としての低い溶解
度の臨界限界を克服するものはこれらのうちのわずか(もしあったとしても)で
ある。ごく最近、NS4aセグメントがNS3プロテアーゼのN末端側に融合し
た構築物の細菌発現が報告されたが(Taremiら、1998;Pasquoら、1998)、最終
的な調製物の全体としての溶解度は報告されていない。
【0010】 NMR研究には一般に、高レベルで発現され、非常に高度に可溶性で(>1m
M)、精製したときに可溶性の凝集物を生成しないタンパク質調製物を必要とす
るので、NS3調製物の報告は刊行されていない。さらに、酵素インヒビターと
の複合体を形成したHCVプロテアーゼのX線構造もこれまで報告されていない
【0011】 (その解決方法) 現在のところ、HCV感染の予防または治療に利用できる医薬は知られていな
い。HCVの複製は、ウイルスによりコードされたNS3プロテアーゼの活性に
依存する。それゆえ、このプロテアーゼ活性に対する特異的なインヒビターの解
明は、HCVの複製を阻止する医薬の発見に有用であろう。このことは、医化学
のためのリード化合物(leads)として利用できる小分子インヒビターのスクリ
ーニング;およびHCVのNS3プロテアーゼに結合する化合物がいかに化学的
に修飾されて該ウイルスプロテアーゼの強力なインヒビターを生成するかを見出
すべく、該プロテアーゼと該プロテアーゼに結合する該化合物との複合体の(X
線結晶学またはNMRによる)三次元構造の分析を含む(これらに限られるもの
ではない)、方法の一つまたは組み合せを用いて達成できる。
【0012】 本発明は、HCV感染を予防または治療する医薬の発見を可能にする。本発明
は、新規な、高度に可溶性で修飾された形態のHCV NS3プロテアーゼを包
含する。さらに詳しくは、本発明は、新規な、高度に可溶性で修飾された形態の
HCV NS3プロテアーゼ、および新規な、高度に可溶性で修飾されたHCV
NS3−NS4a融合プロテアーゼを包含する。これら新規なタンパク質は、小
分子インヒビターのスクリーニング、およびX線結晶学およびNMR分光分析に
よるHCV NS3プロテアーゼと該プロテアーゼに結合する化合物との複合体
の三次元構造の分析を極めて容易にする。
【0013】 本発明は、野生型のHCVプロテアーゼ配列に施した多数の有意な修飾の結果
得られたものである。 本発明の一つの側面は、HCV NS3プロテアーゼ中の疎水性のαヘリック
ス0アミノ酸残基の親水性アミノ酸残基への少なくとも一つの置換を含むHCV NS3プロテアーゼを含む、修飾HCV NS3プロテアーゼである。 本発明の他の側面は、HCV NS4aもしくは修飾HCV NS4aに融合し
た修飾HCV NS3プロテアーゼを含む修飾HCV NS4a−NS3融合プロ
テアーゼである。 本発明のさらなる側面は、本発明のタンパク質をコードする核酸分子、ベクタ
ーおよび宿主細胞である。 本発明のさらなる側面は、本発明のタンパク質の製造方法である。
【0014】 定義 本発明において意図するものを一層明確に記載するため、以下の定義が規定さ
れる。 「HCV」とはC型肝炎ウイルスをいう。 「HCV NS3」とは、HCVポリプロテインの残基1026〜1657に
対応するHCVの野生型株からのHCVポリプロテインのタンパク質断片をいう
(Chooら、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 88, 2451-2
455 [1991]において定義されるように)。本明細書を通じてHCV N53の番
号付けの慣習は、HCVポリプロテインの残基1026に対応する残基1(プロ
セシングを受けた成熟NS3タンパク質断片の最初のアミノ酸残基である)から
開始する。HCV NS3は、プロテアーゼ活性を付与する部分、ヘリカーゼ活
性を付与する部分、およびATPアーゼ活性を付与する部分を有する。
【0015】 「HCV NS3プロテアーゼ」とは、これに限られるものではないが、一般
にHCV NS3プロテアーゼドメインに付随する、プロテアーゼ活性を有する
野生型HCV NS3の部分;またはHCV NS3に付随するプロテアーゼ活性
を示す野生型ペプチドをいう。 「HCV NS3プロテアーゼドメイン」とは、通常、HCV NS3の残基1
〜181を包含するが、時々、N末端かまたはC末端のいずれかの残基の包含ま
たは欠失によって異なっている、プロテアーゼ活性を付与する野生型HCV N
S3の部分をいう。
【0016】 「修飾HCV NS3プロテアーゼ」とは、その配列が野生型HCV NS3プ
ロテアーゼの配列から変化しており、HCV NS3プロテアーゼのプロテアー
ゼ活性を示すペプチドまたはタンパク質をいう。そのような修飾としては、これ
らに限られるものではないが、天然に存在するアミノ酸による置換、天然に存在
しないアミノ酸による置換、保存的なアミノ酸置換、アミノ酸の挿入、アミノ酸
の欠失、およびアミノ酸の付加が挙げられる。アセチル化、メチル化、リン酸化
、カルボキシル化、またはグリコシル化を含む非配列修飾もまた修飾の定義に包
含される。
【0017】 「HCV NS4a」とは、HCVポリプロテインの残基1658〜1712
に対応するHCVの野生型株からのHCVポリプロテインのプロテアーゼ刺激性
タンパク質断片(Chooら、Proceedings of the National Academy of Sciences
USA 88, 2451-2455 [1991]において定義されるように)、プロテアーゼ刺激活性
を示すその断片、またはHCVポリプロテインの残基1658〜1712に付随
するプロテアーゼ刺激活性を示す野生型ペプチドをいう。完全長のHCV NS
4aは特に残基1〜58をいい、これは該ポリプロテインの残基1658〜17
12に対応する。本明細書を通じてHCV NS4aの番号付けの慣習は、HC
Vポリプロテインの残基1658に対応する残基1(プロセシングを受けた成熟
HCV NS4a断片の最初の残基と同じである)から開始する。
【0018】 「修飾HCV NS4a」とは、その配列が野生型HCV NS4aの配列から
変化しており、HCV NS4aのプロテアーゼ刺激活性を示すペプチドまたは
タンパク質をいう。そのような修飾としては、これらに限られるものではないが
、天然に存在するアミノ酸による置換、天然に存在しないアミノ酸による置換、
保存的なアミノ酸置換、アミノ酸の挿入、アミノ酸の欠失、およびアミノ酸の付
加が挙げられる。アセチル化、メチル化、リン酸化、カルボキシル化、またはグ
リコシル化を含む非配列修飾もまた修飾の定義に包含される。
【0019】 「修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ」とは、HCV NS4aも
しくは修飾HCV NS4aに融合した修飾HCV NS3プロテアーゼをいう。
修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼは最適化リンカー配列を含んで
いてよい。 「HCV NS3プロテアーゼの修飾形」とは、本明細書に記載した本発明の
全体をいい、修飾HCV NS3プロテアーゼ、修飾HCV NS4a−NS3融
合プロテアーゼ、またはその両者を包含する。
【0020】 「天然に存在するアミノ酸」とは、野生型のHCV NS3プロテアーゼまた
は野生型のHCV NS4a中の関連部位(referred-to)に存在する20の標準
L−アミノ酸のいずれかをいう。 「天然に存在しないアミノ酸」とは、野生型のHCV NS3プロテアーゼま
たは野生型のHCV NS4a中の関連部位に存在しない20の標準L−アミノ
酸のいずれか、D−アミノ酸、およびβアミノ酸やγアミノ酸などの合成アミノ
酸をいう。 「保存的なアミノ酸置換」とは、一つのアミノ酸を類似の特性を有する他のア
ミノ酸で置換することをいい、たとえば以下のグループ内の置換をいう:バリン
およびグリシン;グリシンおよびアラニン;バリンおよびイソロイシンおよびロ
イシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;
セリンおよびトレオニン;リジンおよびアルギニン;およびフェニルアラニンお
よびチロシン。他の保存的なアミノ酸置換は下記表から採用することができる。
【0021】 表1 保存的なアミノ酸置換
【表1】
【0022】 「疎水性アミノ酸」とは、側鎖が比較的に非極性であるアミノ酸残基をいい、
アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン
、バリンおよびトリプトファンを含むが、これらに限られるものではない。 「親水性アミノ酸」とは、側鎖が比較的に極性であるアミノ酸残基をいい、ア
スパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン
、セリン、トレオニン、ヒスチジンおよびチロシンを含むが、これらに限られる
ものではない。 「αヘリックス0」とは、HCV NS3プロテアーゼがHCV NS4aセグ
メントと複合体を形成したときにαヘリックス構造を取る、HCV NS3の残
基Leu13〜Leu21からなる配列をいう(Kimら、Cell 87, 343-355 [199
6]またはYanら、Protein Science 7, 837-847 [1998]に規定されているように)
【0023】 「リンカー」とは、修飾NS4a−NS3融合プロテアーゼまたは修飾NS3
−NS4a融合プロテアーゼにおいて、HCV NS4a配列をHCV NS3配
列と連結させているポリペプチド配列をいう。 「最適化リンカー」とは、修飾NS4a−NS3融合プロテアーゼにおいて、
その結果得られる融合タンパク質が非最適化リンカーに比べて向上した安定性お
よび溶解度特性を有するように、NS4a配列とNS3配列とを連結させるリン
カー配列をいう。 「亜鉛結合性システイン残基」とは、HCV NS3において天然に存在する
システイン残基Cys97、Cys99およびCys145をいう。 「非亜鉛結合性システイン残基」とは、HCV NS3において天然に存在す
るシステイン残基Cys47、Cys52およびCys159をいう。
【0024】 (従来技術より有効な効果) 本発明の有利さは、HCV NS3プロテアーゼの修飾形が活性を完全に保持
しながら、しかも界面活性剤不含条件下での高度に可溶性で(>30mg/ml
)非凝集性の性質のために生化学実験に充分に供することができることである。
対照的に、野生型のHCV NS3プロテアーゼ(ドメイン)は可溶化するには
界面活性剤が必要である。本発明のHCV NS3プロテアーゼの修飾形は界面
活性剤の不在下でも非常に高程度の溶解度を示すので、インヒビターと複合体を
形成したHCV NS3プロテアーゼのNMRおよびX線結晶学的構造決定に充
分に適しており、この薬理学的に重要な酵素を用いた構造ベースの繰返しドラッ
グデザインの努力を容易にする。
【0025】 上記に記載したように、本発明の一つの側面は、HCV NS3プロテアーゼ
中に疎水性のαヘリックス0アミノ酸残基の親水性アミノ酸残基への少なくとも
一つの置換を含む修飾HCV NS3プロテアーゼである。 本発明の他の側面は、HCV NS4aもしくは修飾HCV NS4aに融合し
た修飾HCV NS3プロテアーゼを含む修飾HCV NS4a−NS3融合プロ
テアーゼである。
【0026】 (発明を実施するための最良の形態) αヘリックス0において疎水性アミノ酸を親水性アミノ酸に置換する種々の組
み合せは、本明細書および特許請求の範囲に記載してある。好ましい態様におい
て疎水性αヘリックス0アミノ酸残基は、Leu13、Leu14、Ile17 、Ile18、およびLeu21よりなる群から選ばれる。さらに好ましい態様
において、Leu13はグルタミン酸で置換され、Leu14グルタミン酸で置
換され、Ile17はグルタミンで置換され、Ile18はグルタミン酸で置換
され、Leu21はグルタミンで置換される(これは図11中のヘリックス0−
1、配列番号6である)。他のさらに好ましい態様において、Leu13はグル
タミン酸で置換され、Leu14はグルタミンで置換され、Ile17はグルタ
ミンで置換され、Ile18はリジンで置換され、Leu21はヒスチジンで置
換される(これは図11中のヘリックス0−7、配列番号9である)。
【0027】 本発明の他の好ましい態様において、修飾HCV NS3プロテアーゼはさら
にαヘリックス0中以外で疎水性アミノ酸残基の親水性アミノ酸残基への少なく
とも1つの置換を含む。 他の好ましい態様において、修飾HCV NS3プロテアーゼはさらに非亜鉛
結合性システイン残基の非システイン残基への少なくとも1つの置換を含む。 好ましい態様において、変化したHCV NS3プロテアーゼはHCV NS3
のおよそ残基1〜181を含む。
【0028】 修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼである本発明の側面の好まし
い態様において、変化したまたは変化していないHCV NS4aは完全長HC
V NS4aのおよそ残基21〜31を含む。 修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼである本発明の側面において
、好ましい態様はさらに最適化リンカー配列を含むリンカーを含む。さらに好ま
しい態様において、NS4aはNS3のアミノ末端に結合される。最も好ましい
態様において、最適化ターン配列はSer−Gly−Asp−Thr(ここで、
SerはNS4aの残基Ser32に対応し、ThrはNS3の残基Thr
対応する)である。
【0029】 修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼである本発明の側面の好まし
い態様において、修飾HCV NS4aはさらに疎水性アミノ酸残基の親水性ア
ミノ酸残基への少なくとも1つの置換を含む。最も好ましい態様において、残基
30はアスパラギンに置換される。 本発明はまた、本発明のタンパク質をコードする単離核酸分子、該核酸分子を
含むベクター、および該ベクターを含む宿主細胞を包含する。本発明のある種の
核酸分子を含有するプラスミドを有する大腸菌細胞は、アメリカン・タイプ・カ
ルチャー・コレクション(ATCC)、10801ユニバーシティー・ブールバ
ール、マナサス、バージニア、200110米国に寄託してあり、ATCC受託
番号は204070および204071である。
【0030】 本発明はまた、本発明の宿主細胞を用いた本発明のタンパク質の製造方法をも
包含する。 本発明は従来技術とは明瞭な差異および改良を示す。刊行された研究は可溶化
タグまたはタンパク質融合パートナーのプロテアーゼへの融合のみに依存するこ
とによりHCV NS3プロテアーゼを可溶化する試みを記載している(すなわ
ち、Kimら、1996;Yanら、1998;Taremiら、1998)のとは対照的に、本発明では
HCV NS3プロテアーゼのコード領域自体の中でアミノ酸残基を変化させる
のであり、その結果、本明細書においてHCV NS3プロテアーゼの修飾形と
して好ましいとされるものが得られるのである。
【0031】 本発明は30mg/mlよりも高い溶解度を提供するが、これはあらゆる種類
のHCV NS3プロテアーゼ(野生型または何らかの操作をした)に関して報
告された界面活性剤不含での最も高いレベルである。 出願人は本発明を用いて高品質NMRスペクトルを回収した。本明細書にはH
CV NS3プロテアーゼの修飾形およびHCV NS3プロテアーゼの修飾形:
インヒビター複合体の高品質NMRスペクトルを示してある。これらは、HCV
プロテアーゼ(野生型または何らかの操作をした)単独または該プロテアーゼと
インヒビターとの複合体の高品質NMRスペクトルの最初に報告された例である
【0032】 出願人は本明細書においてX線結晶学により決定したHCV NS3プロテア
ーゼの修飾形:インヒビター複合体を提示し、本発明のタンパク質がプロテアー
ゼインヒビターとの高品質共結晶を速やかに生成しうることを示している。これ
は、インヒビターとの複合体を形成したHCVプロテアーゼ(野生型または何ら
かの操作をした)を示すX線結晶学の最初に報告された例である。本発明のタン
パク質は、プロテアーゼインヒビターとの高品質共結晶を生成することができる
ために特に有用である。タンパク質を用いた構造ベースのドラッグデザインは、
インヒビターとの回折グレードの(diffraction-grade)共結晶を時宜を得た仕
方で生成する能力によってしばしば制限される。本発明のタンパク質のように速
やかに共結晶を生成できるタンパク質は、構造ベースのデザインの仕事の繰返し
プロセスを容易にする。
【0033】 本発明のHCV NS3プロテアーゼの修飾形はまた、HCV NS3の小分子
インヒビターのスクリーニングにも有用である。本発明のタンパク質は界面活性
剤の不在下で調製できるため、界面活性剤の存在下でスクリーニングした場合に
は検出できないであろう化合物インヒビターの同定が可能になる。非融合形態の
修飾HCV NS3プロテアーゼはまた、ある化合物がNS3へのNS4aの結
合を妨害するか否かを調べるのにも用いることができる。
【0034】 これら可溶性の修飾HCV NS3プロテアーゼ変異体を得るために使用する
一般的な戦略は、タンパク質の溶解度にとって重要と思われるタンパク質の重要
領域を連続的にターゲティングし、これらターゲティング領域を半無作為な仕方
で変異誘発させ、ついで高度の溶解度を示すタンパク質変異体を発現する細菌ク
ローンを選択もしくはスクリーニングすることであった。本発明の好ましい態様
の幾つかを行うのに使用する手順の概略を実施例に示してある。実施例の過程に
おいて、段々に高程度のアミノ酸残基置換(最初の野生型配列と比して)を、低
レベルの凝集と高レベルの溶解度を示すHCV NS3プロテアーゼの修飾形の
産生が達成されるまで生成させた。多くの様々な疎水性から親水性へのHCV
NS3プロテアーゼ表面残基置換(天然に存在するものおよび天然に存在しない
もの)を、種々のNS4a−NS3融合リンカー配列と組み合せ、これらプロテ
アーゼ変異体を選択もしくはスクリーニングして所望の溶解度特性を示す修飾タ
ンパク質を見出した。αヘリックス0中の幾つかの完全に保存された疎水性残基
の位置を変異誘発のためにターゲティングした。というのは、これら位置はHC
V NS3プロテアーゼの表面上で特に広範な疎水性部分(patch)を構成してい
たからであった。他のHCV NS3プロテアーゼ疎水性表面残基もまた変異誘
発した;特に好適な候補は、その位置が他の野生型HCV単離物からのHCV
NS3配列の間で変化している残基であった。これら置換および他の置換を記載
し、特許請求の範囲に含めてある。
【0035】 以下に、特許請求した本発明およびその製造方法を詳細に記載する。記載の順
序は使用した実験プロセスに従っているが、当業者であれば異なる順序で工程を
行ったりおよび/または工程を省いたりして特許請求した本発明を行う仕方を見
出すことができるであろう。
【0036】 いかなるHCV NS3プロテアーゼおよびHCV NS4aをも修飾の開始点
として用いることができる。本明細書ではクローニングしたHCV単離物配列を
変異誘発実験のための開始点として用いた(実施例1、図9、配列番号2)。使
用した発現系は、すべてのコドンを大腸菌中での高レベル発現のために最適化し
てある合成遺伝子を特徴とする。このことは、得られた構築物について観察され
る高レベルの発現を説明するものではあるが、それは本発明にとって本質的なこ
とではなく、HCV NS3プロテアーゼをコードするいかなるヌクレオチド配
列も(標準遺伝子コードを用いて)これらタンパク質を発現するために用いるこ
とができる。HCV NS3プロテアーゼは、プロテアーゼ活性を示す野生型H
CV NS3のあらゆる断片または野生型HCV NS3に付随するプロテアーゼ
活性を示すあらゆる野生型ペプチドを包含する(定義セクションにおいて定義さ
れるように)。また、本明細書に記載するHCV NS3プロテアーゼの修飾形
が大腸菌中で発現されることも必須ではない。これらHCV NS3プロテアー
ゼの修飾形を発現するために、あらゆるインビボの発現宿主(細菌、昆虫、植物
、哺乳動物、その他)を用いることができる。また、これら変異体のインビトロ
での産生も可能である。本発明は、あらゆる手段により産生されたHCV NS
3プロテアーゼの修飾形を包含するものである。
【0037】 本発明は、HCV NS4aの使用を包含する。HCV NS4aの定義につい
ては定義のセクションを参照。実施例2では、完全長のHCV NS4a(配列
番号26)の残基21〜31(G21222324252627 28293031)を含むNS4a配列をHCV NS3プロテアーゼの
N末端に融合させた。この実験でのリンカー配列は、簡単なジペプチド配列アス
パラギン−グリシンであった。様々な他のリンカーを用いることができ、当業者
は他の適当なリンカーを選択することができるであろう。NS4aはまたNS3
のC末端に融合させることもできる。以前に示されているように(Linら、1995
;Tomeiら、1995;Shimizuら、1996)、残基21〜31を含むNS4aペプチド
は、HCV NS3プロテアーゼの活性をインビボで増大させる。実施例2に記
載したリンカーを最初に用いた。しかしながら、実施例5に記載した実験から得
られた最適化リンカー構築物から一層良好な結果(発現および溶解度の点で)が
得られた。他の研究者はごく最近に他のNS4a−NS3リンカーを刊行してい
るが(Taremiら、1998;Pasquoら、1998)、本発明において記載した最適化リン
カーは(本明細書に記載した他の変異と組み合せて)前例のないレベルのプロテ
アーゼ溶解度を付与するものである。
【0038】 αヘリックス0として知られるHCV NS3の第1のαヘリックスは、極め
て疎水性の溶媒に露出された表面を有しており(Yanら、1998)、出願人はこれ
が野生型HCV NS3プロテアーゼ(図9中の配列番号1など)および修飾し
ていないHCV NS4a−NS3融合タンパク質(図10中の配列番号3など
)の調製物の不溶性の特性に貢献していると考えた。それゆえ、αヘリックス0
の疎水性の溶媒露出残基をより親水性の残基の種類に変えるために、ターゲティ
ング/半無作為変異誘発法を適用した(実施例3および4を参照)。現在のとこ
ろ、知られているHCVのすべての株はαヘリックス0中に5つの疎水性の溶媒
露出残基(L13、L14、I17、I18、L21)を有しており、本発明に
従ってこれらを単独でまたは組み合せて変化させた。出願人は、5つのすべてを
直列で変異させることを選択した。現在まだ知られていないαヘリックス0中の
他の溶媒露出した疎水性残基を変えることもまた、溶媒に露出されていないαヘ
リックス0中の疎水性残基を変えるのと同様に、本発明に包含される。出願人は
、HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼのαヘリックス0に対する変化を
示すが、非融合HCV NS3プロテアーゼもまたそのような変化を担うことが
できるため、かくして修飾したHCV NS3プロテアーゼもまた本発明に包含
される。
【0039】 候補変異体の大きなライブラリーからHCV NS3プロテアーゼの可溶性修
飾形を単離する簡単な方法は、図4に示した分析と同様に、SDS−PAGE分
析により誘導された形質転換体の透明な上澄み液中で修飾HCV NS4a−N
S3融合タンパク質変異体の存在について単にスクリーニングすることである。
この方法は面倒であり、本質的に低処理量である。他の遥かに強力な高処理量法
は、HCV NS3プロテアーゼの最も可溶性の修飾形をライブラリー中の他の
すべてのクローンの中から選択する系を築くことである。出願人は、そのような
選択スキームを用いてHCV NS3プロテアーゼのより可溶な修飾形を選択し
た(実施例4および図3を参照)。出願人が記載したのは、プロテアーゼの可溶
性の(または活性な)変異体を選択する一般法の特定の応用である。このスキー
ムは、本発明によって包含されるHCV NS3プロテアーゼのあらゆる修飾形
の溶解度または活性をスクリーニングするのに用いることができる。
【0040】 αヘリックス0の変異のみを有する修飾HCV NS4a−NS3融合プロテ
アーゼ(実施例4に記載)は完全な酵素活性を保持しており、変異させていない
HCV NS4a−NS3融合物に比べて相当に可溶性であった(図4を参照、
レーン3と5を比較せよ)。これら変異体は、酵素アッセイなどのようにタンパ
ク質濃度を比較的低く保持できる実験には有用である。また、これら変異体は、
細菌選択系(図3)をHCVプロテアーゼインヒビターのスクリーニング系とし
て使用するのを可能にする(インヒビターは、これら誘導した細菌のクロラムフ
ェニコール培地中での増殖の低下をきたすであろう)。同様に、融合していない
修飾HCV NS3プロテアーゼを酵素アッセイに用いることができ、インヒビ
ターのスクリーニングに用いることができる。しかしながら、αヘリックス0の
変異のみを有する修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼは、タンパク
質NMRに必要な高タンパク質濃度では依然として凝集する傾向があった(図5
、パネルAを参照)。一つの懸念は、NS4aセグメントとNS3セグメントと
が最適に融合しないことであった。それゆえ、NS4aセグメントとNS3セグ
メントとを連結するリンカー配列を最適化することを行った。
【0041】 リンカー配列を最適化するために多くの異なる方法を用いることができる。一
般に、目標は、2つのタンパク質セグメントの相対的な空間位置が最小の応力と
構造への最小の動揺で保持されるように、ポリペプチドリンカーを用いてこれら
2つのセグメントを首尾よく連結することである。他の重要な観点は、リンカー
が理想的にはそれほどひどくフレキシブルであってはならないことであるが、こ
れはタンパク質を不安定化する傾向があるからである。本発明の場合はNS4a
セグメントとNS3セグメントとの所望の相対的な構造位置は知られているので
、構造ベースのアプローチを用いて最適の連結配列を見出した。実施例5に記載
するように、ブルックヘブンプロテインデータベース(Brookhaven Protein Dat
a Base)(PDB)中の構造に関する情報を調べ、HCV NS3プロテアーゼ
/NS4aペプチド複合体の刊行されたX線構造に認められるようにNS4a(
残基)セグメントおよびNS3(残基)セグメントと構造が類似の2つのβ鎖を
首尾よく連結させる短いターン配列を見出した。この目的のため、プロテインデ
ータベースファイル1JXP.pdb(Yanら、Protein Science 7, 837-847 [19
98])からの座標(coordinates)を用いた。さらに、NS4aセグメント内での
表面露出疎水性残基の配列の近接(sequential proximity)(Val30)は、
異なるリンカー配列を試みながら、この残基の変異の効果を試験する機会を与え
た。
【0042】 これら試験したもののうちで1つの最適のリンカー配列は、高レベルの発現お
よび溶解度を付与した。この最適のリンカー配列を野生型のαヘリックス0(図
18中の配列番号24)と組み合せるとプロテアーゼに溶解度を付与しないが、
この最適化したターンを修飾αヘリックス0(図13中の配列番号14)と組み
合せるとプロテアーゼに溶解度を付与する(図4、レーン7と9を比較せよ)。
全体として、プロテアーゼの修飾αヘリックス0/最適化リンカー形態で得られ
るNMRスペクトル(配列番号14−図5、パネルB)は、プロテアーゼの修飾
αヘリックス0/非最適化リンカー形態で得られるもの(配列番号12−図5、
パネルA)よりも優れており、より可溶性で凝集しにくい形態のプロテアーゼを
示していた。
【0043】 溶媒露出した疎水性アミノ酸の親水性アミノ酸へのさらなる置換の効果を、配
列番号14中のある種の表面残基を変えて配列番号16とすることにより調べた
(実施例6参照)。これら残基の選択は、野生型HCV単離物の刊行された配列
からのHCV NS3プロテアーゼ配列を並べ、刊行されたNS3プロテアーゼ
構造中の溶媒露出された残基位置で天然に生じている疎水性アミノ酸から親水性
アミノ酸への置換を探すことにより行った。これら天然に生じている置換のうち
3つの組み合せ(A40T、I72T、P86Q)が、溶解度を高める効果を有
することがわかった(図14中の配列番号16)。さらに、4つの非亜鉛結合性
システイン残基のうちの3つをアミノ酸置換のためにターゲティングした(図1
5中の配列番号18)。このプロセスによって得られた他の配列もまた、有用な
結果を生じ得る。ヘリックス0−7配列変異体(図11−配列番号9を参照)の
2つの変異体をヘリックス0−1配列(図11−配列番号6を参照)で置換して
配列番号20および22を生成した。これら修飾HCV NS4a−NS3融合
プロテアーゼ変異体もまた高度に可溶性であった。 プロテアーゼおよびプロテアーゼ:インヒビター複合体の構造研究のための上
記で得られたプロテアーゼ変異体の有用性を示すため、配列番号18によってコ
ードされる修飾HCV NS3プロテアーゼを多次元NMRスペクトル(実施例
8および9)およびX線結晶学(実施例10)により特徴付けた。
【0044】 実施例8において、プロテアーゼのアポ形のNMRスペクトルを用いて連続的
な骨格アサインメント(assignments)および側鎖NMRアサインメントを得た
。これらアサインメントは触媒性三つ組残基His57、Asp81およびSe
139およびこれらに空間的に近接した残基を含んでおり、該タンパク質のア
ポ形のスペクトルが化学シフト摂動(perturbation)マッピングを用いて潜在的
なNS3プロテアーゼインヒビターの付加の効果を分析するための有用な手段で
あることを示している。実施例9に示すように、刊行されたペプチド性HCVプ
ロテアーゼインヒビターの付加は、活性部位残基を含む残基についてプロテアー
ゼのH−15N HSQC NMRスペクトルにおいて多くの化学シフト摂動を
引き起こす。このことは、HCV NS3プロテアーゼおよびHCV NS3プロ
テアーゼ:インヒビター複合体の高品質NMRスペクトルの最初の刊行である。
本明細書において示すように、修飾プロテアーゼは、該プロテアーゼに結合する
化合物を同定するのに用いることができる高品質のNMRスペクトルを生成する
。この化学シフトマッピング法を用いれば、種々の化合物を該プロテアーゼと混
合した一連のスペクトルを回収することにより、該プロテアーゼに結合する新規
な化合物を同定することができる。
【0045】 実施例10は、配列番号18によってコードされる修飾HCV NS3プロテ
アーゼが刊行されたHCVプロテアーゼインヒビターとともに一夜で共結晶する
ことができ、その結果、2オングストロームまで回折する高品質結晶が得られる
ことを示す。このことはX線結晶学によって解析したHCV NS3プロテアー
ゼ:インヒビター複合体の最初の刊行であり、本発明の適用によって得られるタ
ンパク質がプロテアーゼインヒビターとの高品質共結晶を速やかに生成しうるこ
とを示している。さらに、高分解能構造は、NS4a−NS3融合構築物がデザ
インしたNS4a−NS3ポリペプチドセグメントの相対的な構造的位置付けを
与えることを証明している。
【0046】 本発明の核酸分子はコドンの使用および分子生物学的方法に関する標準的な知
見、たとえば“Molecular Cloning, A Laboratory Manual”(第2版、Sambrook
, FritchおよびManiatis 1989、コールド・スプリング・ハーバー・プレス)に
記載されたものを用いて当業者が作製できる。
【0047】 本発明の核酸を含む本発明のベクターは、当業者が決定した適当なベクターを
用いて作製できる。そのようなベクターとしては、これらに限られるものではな
いが、pBR322のようなベクター、およびpET系列(Novagen)などの発
現ベクターが挙げられる。本発明のベクターは、たとえば“Molecular Cloning,
A Laboratory Manual”(第2版、Sambrook, FritchおよびManiatis 1989、コ
ールド・スプリング・ハーバー・プレス)に記載されているような標準的な分子
生物学的方法を用いて調製できる。
【0048】 細菌、昆虫、植物、哺乳動物その他のようなあらゆる適当な宿主細胞を用いる
ことができる。タンパク質の発現および回収の条件は、たとえば、Methods in E nzymology , Vol. 306 (1999), p.19-42中のProtein Expression in Mammalian a
nd Insect Cell Systems, S. GeisseおよびH. P. Kocherに記載されている方法
を用いて当業者が決定できる。 本明細書中に引用したすべての文献を参照のため本明細書中に引用する。
【0049】 実施例 以下の実施例は、本発明のある種の態様の製造および使用の仕方を説明するも
のである。これら実施例、発明の詳細な説明、および本明細書中に引用した文献
から、当業者は本発明のこれらの態様および他の態様の製造の仕方を容易に認識
することができる。これら実施例は本発明の範囲を制限するものではなく、本発
明の範囲は特許請求の範囲によって記載される。
【0050】 以下の実施例ではHCV NS3プロテアーゼの標準的な残基番号付け(定義
において概略を示したように)を用いている。そのN末端に配列を付加する場合
もNS3の番号付けはそのままであり、付加するN末端残基はしばしばマイナス
の番号付けとなる。示したすべてのタンパク質配列を図6に並べてある。
【0051】実施例1 −親のHCVプロテアーゼDNA配列 その後のすべての修飾の基礎として用いたHCV NS3コードDNAは、配
列番号2(図9)に示すHCVプロテアーゼ(残基1〜181)をコードする合
成遺伝子である。残基1〜181は、HCV NS3遺伝子産物のプロテアーゼ
活性を示す部分を含む。HCV NS3タンパク質のより長い断片を用いること
もできた。この合成遺伝子は、すべてのコドンが大腸菌中での高レベル発現のた
めに最適化されるように構築した。この構築物のタンパク質コード配列を配列番
号1(図9)に示す。このHCVプロテアーゼタンパク質は大腸菌株BL21(
DE3)(Novagen)中でベクターpET24a(Novagen)から発現させたとき
に高レベルで産生されるが、抽出物を分画した場合には該プロテアーゼは不溶性
の画分に存在する(データは示していない)。
【0052】実施例2 −野生型NS4aの親NS3へのリンカーを用いた融合 完全長HCV NS4a配列の以下の部分をコードするプラスミドを構築した
:NS4a残基21〜31;G21222324252627 293031(配列番号26)。NS4a配列のこの部分をHCV N
S3プロテアーゼ配列(NS3 HCVプロテアーゼ配列5〜183)のアミノ
末端に融合した。NS4aセグメントがNS3セグメントにリンカー(Asn
Gly、aka NG)により融合するように融合物を構築し、NS4a−NS
3融合部位にタンパク質配列...GSVVIVGRIVLNGAYAQQ...を生
成した(図10中の配列番号3を参照)。
【0053】 NS4a−リンカー−NS3融合プロテアーゼのための発現プラスミドを、以
下の3つのDNA調製物の3方向(three-way)ライゲーションにより構築した
: (1)発現プラスミドのためのベクターはpET28a(Novagen)を改変した
ものであり、pET28aプラスミドDNAをXhoIおよびSalIで二重消
化し、ついでライゲートして該ベクター中の両部位を破壊したものであった。得
られた改変ベクター(mpET28a)をNdeIおよびEcoRIで二重消化
した。
【0054】 (2)2つの合成5'リン酸化オリゴヌクレオチド(NS4aセグメントおよび
リンカーセグメントをコード)をアニールしてNdeIおよびXhoIの粘着末
端を生成させた。
【化1】
【0055】 (3)配列番号1からのNS3コードDNAを、XhoI部位をコードするサイ
レント変異を生成する下記オリゴヌクレオチドを用いてPCR増幅した。得られ
たPCR断片をXhoIおよびEcoRIで消化した。
【化2】
【0056】 この3方向ライゲーションのプラスミド生成物はNS4a−NS3融合タンパ
ク質をコードする(図10中の配列番号3;配列番号3を参照)。この融合タン
パク質は大腸菌中で発現させたときに高レベルで産生されるが、抽出物を分画し
た場合には該融合タンパク質は不溶性の画分に存在する(図4、レーン2&3を
参照)。
【0057】実施例3 −αヘリックス0の疎水性の溶媒露出残基を親水性の残基で置換した修
飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼの大きなライブラリーの生成 実施例2で得たHCV NS3プロテアーゼ配列(配列番号3)をPCR増幅
し、NcoI−SalI断片として他の発現ベクター中に移した。この改変した
発現ベクター(図3に示す)はpET21(Novagen)に由来するものであり、
HCV NS3プロテアーゼ部位を挿入した改変Tetリプレッサーを含む。こ
のベクターをNcoIおよびXhoIで切断し、上記NcoI−SalI断片と
ライゲーションすると該プラスミドベクター中のpET21由来マルチプルクロ
ーニングサイト内のXhoI部位が破壊された。
【0058】 αヘリックス0中の5つの疎水性の溶媒露出残基(L13、L14、I17
18、およびL21)を、偏(biased)コドン法を用いたターゲティング半無
作為突然変異誘発のために選抜した(Kamtekarら、Science 262, p1680-1685 [1
993])。この方法において、「VAV」コドン(V=G、CまたはA)はすべて
親水性残基タイプ(His、Glu、Gln、Asp、Asn、またはLys)
をコードする6つの可能なコドンの混合物をコードする。
【0059】 ターゲティング半無作為突然変異誘発を、このオリゴヌクレオチド配列をHC
V NS3プロテアーゼ配列のPCR増幅のための5'プライマーとして用いて行
った:
【化3】 上記においてV=(GまたはCまたはA)である。 3'プライマーは、NS3プロテアーゼ終止コドンおよびEcoRI部位の下
流の部位で開始する(prime)ように用いた。PCR生成物をXhoIおよびE
coRIで消化し、本実施例の最初に記載したXhoI−EcoRI開裂HCV
NS4a−NS3融合プロテアーゼ発現ベクター中にライゲートした。
【0060】 このようにして、変異した異なる親水性αヘリックス0配列を有する7776
(=6)の可能な独特の修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼのラ
イブラリーが得られた。ライゲーション混合物の一部を大腸菌株MC1061(
ATCC5338)中にエレクトロポレーションした。50,000を超える形
質転換体をプールし、プラスミドDNAを単離した。 このライブラリーの構築のためのベクターとして用いたプラスミドは図3に図
解で表してあり、実施例4に記載する変異体選択実験と関連している。他の選択
もしくはスクリーニング法(誘導した形質転換体のホモジネートのSDS PA
GE分析によるスクリーニング[図4に記載したような]など)を用いる場合に
は、他のプラスミドベクターが適しているであろう。
【0061】実施例4 −可溶性の修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼの細菌選択 細菌の選択系は図3に図解で表してある。この系は、変異誘発したHCVプロ
テアーゼ遺伝子をコードするプラスミド(この場合、αヘリックス0変異を有す
る修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ)並びに修飾したTetリプ
レッサーをコードする遺伝子を特徴とする。Tetリプレッサーの修飾は、Te
tリプレッサータンパク質の溶媒露出ループ内へのHCV NS3プロテアーゼ
開裂部位導入である。このプラスミドを有する株はまた、染色体上にコードされ
たTetプロモーターの制御下のクロラムフェニコールアセチラーゼトランスフ
ェラーゼ遺伝子(CAT−クロラムフェニコール耐性を付与する)をも有してい
る。IPTGによる修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼの(lac
−T7制御下での)誘導後、該株は、該プロテアーゼ活性が存在する場合にはク
ロラムフェニコール耐性(Cm)となり(修飾Tetリプレッサーの開裂はC
ATの発現を可能にする)、または融合プロテアーゼ活性が存在しない場合には
クロラムフェニコール感受性(Cm)のままである(修飾Tetリプレッサー
の開裂はなく、それゆえCATの抑制が存在する)。
【0062】 この場合、発現された野生型HCVプロテアーゼは本来的に活性であるが、発
現されたプロテアーゼの不溶性の特性によって該活性がマスキングされ、その結
果、Cmの表現型となる。もしも変異誘発した形質転換体のプールの中でより
可溶性の活性な変異プロテアーゼが発現されたら、プロテアーゼの本来的な活性
は該変異体酵素の可溶性の性質によってマスキングされることはなく、この変異
体プロテアーゼを有する菌体はCmとなる。
【0063】 この選択系での親のHCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ(配列番号3
)の発現は、1μg/mlのクロラムフェニコールを含む寒天プレート上で非常
にゆっくりとしか増殖しない大腸菌細胞を生成した。αヘリックス0変異体のラ
イブラリー(実施例3に記載)を大腸菌選択株に形質転換した。αヘリックス0
変異誘発した修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼをコードする多く
のプラスミドは、誘導した形質転換大腸菌細胞に対し、低レベルのクロラムフェ
ニコール(1〜3μg/mlのクロラムフェニコール)を含むプレート上での向
上した増殖能を付与した。しかしながら、12の形質転換体は非常に高レベルの
クロラムフェニコール(30μg/ml)を含むプレート上で増殖した。これら
高度にCmの形質転換体をコロニー精製し、発現された変異体HCV NS4
a−NS3融合プロテアーゼの溶解度をSDS−PAGE分析により評価した(
図4に記載のものと同様)。これら形質転換体のうちの6つは他のものよりも可
溶性のプロテアーゼを示したので、プラスミドDNAを調製し、シークエンシン
グした。これら単離物からの配列の関連する部分(NS3αヘリックス0セグメ
ントにより)を配列番号6〜11(図11を参照)に列記してある。
【0064】 図4に示すように(レーン4&5)、ヘリックス0−1配列を有する修飾HC
V NS4a−NS3融合プロテアーゼ(配列番号6および配列番号12を参照
)の発現は可溶性画分に存在するタンパク質を生成したが、野生型のαヘリック
ス0配列を有する融合タンパク質は不溶性であった(レーン2&3)。同様の溶
解度の向上は、他の5つのシークエンシングした変異体でも得られた。
【0065】 同様の発現系を含む大腸菌細胞はATCCに寄託してあり、ATCC受託番号
207047を得ている。ATCCに提出した細胞と本発明で使用した細胞とは
、ATCC細胞がCMVプロテアーゼおよびTetリプレッサー内のCMVプロ
テアーゼ開裂部位を含むプラスミドを有する点、およびCAT遺伝子が染色体上
ではなく第二のプラスミド上に存在する点が異なる。当業者であればATCCに
寄託した細胞のCMVプロテアーゼ配列をHCVプロテアーゼ配列で置換し、T
etリプレッサー遺伝子内にコードされたCMV開裂部位をHCVプロテアーゼ
開裂部位に変えることにより、ATCCに寄託した該細胞から本発明に有用な細
胞を作製することができるであろう。本発明に有用な細胞は、CAT遺伝子を染
色体上ではなく第二の適合性のプラスミド上に有していてよい。
【0066】 ATCC受託番号207047を有する細胞および本明細書で言及した細菌選
択系は、1999年1月8日に出願した米国特許出願第60/115,270号
および本願と同日付けにて出願した米国特許出願第 (両出願を参照の
ため本明細書中に引用する)に一層詳細に記載されている。
【0067】実施例5 −NS4a中の変化を含む修飾HCV NS4a−NS3融合プロテア
ーゼにおけるリンカーの最適化 プロテインデータバンクからの構造上の情報を用い、堅固な(tight)ターン
により連結された2つのβ鎖(残基NS4a残基G27−R28−I29−V −L31およびNS3残基A−Y−A−Q−Qに構造的に相同)を
有する構造上で特徴のあるタンパク質を同定した(Insight IIプログラム、Mole
cular Simulations Inc.におけるサーチループ(Searchloop)機能)。3つの異
なるターンタイプが同定され(ブルックヘブンプロテインデータベース(PDB
)により、ファイル1OPB[残基45〜48]、1LID残基109〜112
]、および1EUR[残基177〜184]と例示)、これら3つのターンタイ
プの各々の8〜12変異体をコードする3セットの縮重二本鎖オリゴヌクレオチ
ドを合成した。
【0068】 ターンオリゴ#1:
【化4】 ターンオリゴ#2:
【化5】 ターンオリゴ#3:
【化6】 上記において、W=(A,T);K=(G,T);M=(A,C);R=(A,G)
;Y=(C,T)
【0069】 これら変異体(全部で20の可能な配列の可能性)を、配列番号13中のEa
gIおよびXhoI部位を用いて上記3つのオリゴを別個にサブクローニングす
ることにより実施例4からの最適化構築物中に導入した。 リンカー配列に加えて、NS4a配列内の単一の溶媒露出残基(Val30
を、このリンカー変異体の系列でイソロイシンかまたはアスパラギンのいずれか
とした。この残基位置は、HCVの野生型単離物では常に疎水性残基(通常、V
alまたはIle)である。それゆえ、この位置でのAsn置換は天然に存在し
ない置換である。対照的に、NS3残基7(Ala)に対応する残基をアラニ
ンかまたはセリンのいずれかとしたが、これら残基タイプはともにHCVの種々
の野生型単離物の該位置に存在する。セリンはアラニンよりも親水性であるので
、この溶媒露出位置のセリンはさらに溶解性を付与するであろう。
【0070】 無作為に選んだ(picked)変異体修飾HCV NS4a−NS3融合プロテア
ーゼのプロテアーゼ発現レベルおよび溶解度を、誘導した細胞溶解液の可溶性画
分のSDS−PAGE分析によりモニターした(図4の凡例で概略を示したのと
同じ手順)。1つのリンカー変異体(ターンオリゴ#1の変異体の導入により得
られたもの)が、タンパク質発現レベルおよび溶解度の両者に関して残りのリン
カー変異体よりも明らかに良好であった。このリンカー配列(...G−4−3
−2−110...)およびそ
れから得られる修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼを配列番号14
に示す。これはNS4aセグメント内にアスパラギン変異を導入しており(この
融合構築物では−1の番号、NS4a配列では30の番号)、NS3位置7にア
ラニンを保持している。
【0071】 図6は、配列番号1、3、12、14、16、18、20、22および24の
タンパク質配列のアラインメントを示す。図6からわかるように、配列番号14
のリンカーセグメントは配列番号3および12に用いた最初のリンカーに比べて
2残基だけ長い。 最適化ターン配列だけではNS4a−NS3融合物に溶解性を付与するのに充
分ではない。このことは図4のレーン6&7において認めることができ、野生型
のαヘリックス0と組み合せた最適化ターン(配列番号24)は高い溶解性を付
与していない。αヘリックス0変異体の存在のみが、最適化ターン配列を伴って
または伴わずに(それぞれ、図4のレーン4&5および8&9を参照)、上澄み
液画分中の高レベルの融合プロテアーゼを可能とする。
【0072】 しかしながら、図4に示す実験は発現されたタンパク質が可溶性画分に分画さ
れるか否かを示すのみである。構造研究のための構築物の安定性のより詳細な分
析をNMR(タンパク質の凝集状態を評価できる)を用いて行った。配列番号1
2および配列番号14の15N−標識タンパク質についてH−15N HSQ
C NMRスペクトルを回収した。図5に示すように、配列番号14のタンパク
質(パネルB−最適化リンカーと組み合せた変異体αヘリックス0)は配列番号
12から製造したタンパク質(パネルA−非最適化リンカーと組み合せた変異体
αヘリックス0)に比べて高品質のHSQCスペクトルを生じる(NMRの線幅
および2Dピークの解析により判断されるように)。この分析は、実験5からの
最適化リンカーが修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼの全体の溶解
度および非凝集性に有利に寄与することを示している。
【0073】実施例6 −修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ中への天然に存在す
る疎水性残基の親水性残基への置換および非亜鉛結合性残基の非システインアミ
ノ酸への変化の導入 刊行された種々のHCV単離物(示していない)のHCV NS3部分のタン
パク質配列のアラインメントを検討したところ、これら種々の単離物で多くの残
基位置が変わっていることが示された。とりわけ、多数の溶媒露出表面残基位置
が、疎水性−親水性の特性において異なる多数の異なる天然に存在するアミノ酸
残基タイプを取ることができる。これら残基には、Ala39(時にはSer)
、Ala40(時にはThr)、Pro67(時にはSer)、Ile72(時
にはThr)、およびPro86(時にはGln)が含まれる。
【0074】 非必須システイン残基の置換は、タンパク質が酸化によってジスルフィド結合
した多量体を形成する傾向を低減することにより該タンパク質の生化学的特性を
改善する試みにおいて時に利用される方法である(たとえば、Yamazakiら、Prot
ein Science [1996] 5, 495-506)。予備実験は、HCV NS3プロテアーゼ内
の4つの非亜鉛結合性システインの各々の置換が酵素活性に対して最小の影響し
か及ぼさないことを示した(データは示していない)。タンパク質配列アライン
メントを検討したところ、所定の配列内で非亜鉛結合性システイン残基のうちの
2つ(Cys47およびCys52)が、システインのペアとして一緒に現れる
か、またはともに非システイン残基タイプに変化している(HCV NS3プロ
テアーゼ配列内でのそれらの空間的な配置と考え合わせると、この事実はこのペ
アがジスルフィド結合を形成しやすいことを示している)ことが示された。第3
の非亜鉛結合性システイン残基(Cys159)もまた、変異誘発のためにター
ゲティングした(この位置は検討した種々のHCV単離物で変異していないけれ
ども)。
【0075】 この情報を用い、疎水性残基タイプの代わりに親水性残基タイプを置換する傾
向にて、選択した溶媒露出残基位置で代わりの残基タイプをコードする6つのオ
リゴヌクレオチドをデザインした。さらに、4つの非亜鉛結合性システイン残基
のうちの3つ(Cys47、Cys52およびCys159)を非システイン残
基に変えた。表面オリゴ#1(P86Q)
【化7】 表面オリゴ#2(P67P/S;I72Q)
【化8】 表面オリゴ#3(A39A/S;A40T)
【化9】 Cysオリゴ#1(C159S/T)
【化10】 Cysオリゴ#2(C47S/T;C52L/M)
【化11】 Cysオリゴ#3(A39A/S;A40T;C47S/T;C52L/M)
【化12】 上記において、W=(A,T);K=(G,T);M=(A,C);R=(A,G)
【0076】 Muta-Gene Phagemidキット(BioRad)を用い、dutung法(Kunkle, 1985)によ
り部位特異的変異を配列番号13中に導入した。上記6つのオリゴヌクレオチド
を種々の組み合せで用いることにより変異体を生成させ、異なる変異の組み合せ
を有する別個のクローンセットを作製した。無作為に選んだ変異NS4a−NS
3融合プロテアーゼ変異体の発現レベルおよび溶解度を、誘導した細胞溶解液の
可溶性画分のSDS−PAGE分析によりモニターし(図4に示した分析と同様
)、上昇したプロテアーゼ溶解度を示したクローンの幾つかをシークエンシング
した。A40T、I72T、P86Q変異体が溶解度に対して最も顕著な陽性効
果を有することがわかった。
【0077】 これら変異を実施例5で生成した最適化リンカー配列と組み合せるため、A4
0T、I72T、P86Q表面変異体をコードするDNA配列を、C47S、C
52L、およびC159Sシステイン変異体を伴わずにおよび伴って配列番号1
5中にサブクローニングし、それぞれ配列番号16(図14)および配列番号1
8(図15を参照)に示すタンパク質を作製した。図5のパネルCに示した配列
番号18から作製したタンパク質の2D H−15N HSQC NMRスペク
トルは、このプロテアーゼ変異体が高度に非凝集性であり、高分解能NMR構造
分析に適していることを明らかに示している。配列番号19(これは配列番号1
8をコードするDNA配列である)を含むプラスミドを有する大腸菌細胞はAT
CCに寄託してあり、ATCC受託番号207040が付与されている。
【0078】 配列番号18に示したものと同様にして、実施例4で同定した他のαヘリック
ス0変異体配列を置換したさらなる修飾HCV NS4a−NS3融合プロテア
ーゼを構築した。変異体αヘリックス0−7(図11において配列番号9として
同定)を置換し、配列番号20(図16を参照)および配列番号22(図17を
参照)を得た。配列番号22は、さらに天然に起るアミノ酸置換(C16T)を
含む他は配列番号20と同じである。発現させたとき、これら修飾HCV NS
4a−NS3融合プロテアーゼはともに配列番号18に匹敵する溶解度を有し、
予測されるように、配列番号18ホモログとは若干ことなるイオン交換媒体上で
のクロマトグラフィー特性を示した。2D H−15N HSQC NMRスペ
クトルは、これらタンパク質変異体が配列番号18のプロテアーゼと同様に折り
畳まれることを確認した(データは示していない)。配列番号23(これは配列
番号22をコードするDNA配列である)を含むプラスミドを有する大腸菌細胞
はATCCに寄託してあり、ATCC受託番号207041が付与されている。
【0079】実施例7 −大腸菌での発現および精製 すべての構築物を、pETプラスミドベクター(Novogen)の一つを用いて大
腸菌株BL21(DE3)(Novagen)中で発現させた。タンパク質の発現は、
pET28aベクターを用いてポリヒスチジンタッグを付したタンパク質として
行うか、またはpET29aベクターを用いてタッグなしのタンパク質として行
った。おそらく最適化した細菌コードの使用および大量の過剰産生のため、これ
ら構築物の発現は、予測された完全長のタンパク質産物の他に翻訳のリードスル
ー(readthrough)タンパク質産物という結果となった(〜10−20%)。3
つの終止コドンのセット(TAA TAA TGA)を含むように発現ベクターを
修飾するとリードスルー産物が排除される結果となる(データは示していない)
。 pET29aベクター系(タグなし)での配列番号19の発現から産生される
修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼについて、以下の2つの精製法
の概略を示す。しかしながら、当業者であれば容易に、本発明のHCV NS3
プロテアーゼの修飾形を精製するためにこれら手順を改変することができるであ
ろう。
【0080】方法1 配列番号19からのタグなし変異体の発現を、最小細菌増殖培地中、菌体密度
がOD600=1.0に達したときに0.3mM IPTGで誘導させて行った。
培養液の誘導と同時にZnClを最終濃度30μMで加え、菌体を20℃に2
0時間移した。 遠心分離後、菌体のペレットを25mMリン酸Na緩衝液pH7.5、0.5M
NaCl、2mM DTT、10μM ZnCl中に再浮遊させ、菌体を高圧
ホモジナイザー(RANNIモデル8.30H)に通して破砕した。ホモジネー
トを15,000(SorvallモデルSS34ローター)rpmにて30分間清澄化
し、10mM MgCl2、および20μg/mlのDNアーゼ/RNアーゼ(
)を上澄み液に加えた。
【0081】 室温で10分間インキュベートした後、上澄み液を25mMリン酸Na緩衝液
、2mM DTT、10μM ZnClで2回希釈し、25mMリン酸Na p
H7.5、0.2M NaCl,2mM DTT、10μM ZnClで平衡化し
たMacro-Prep Sカラム(Bio-Rad、樹脂1kg)に適用した。OD280〜0.1
までカラムを洗浄した後、結合したタンパク質を0.5M NaClの同緩衝液で
溶出した。 溶出液をAmicon YM5膜上で濃縮し、25mMリン酸Na pH7.5、0.2M
NaCl、2mM DTT、10μM ZnClで平衡化したSuperdex 30 26/6
0カラムに適用した。NS3ピークのフラクションをSP Sepharose 26/10に適
用した。緩衝液AはSuperdex 30カラムと同じ緩衝液であった。緩衝液Bは1M
NaClの同緩衝液である。タンパク質のピークは0.5〜0.6M NaClで
溶出される。
【0082】 結晶化のため、精製したタンパク質を0.5M NaCl、25mM MES(
2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、pH6.5,10%(v/v)グリ
セリン、2mMジチオトレイトール(DTT)中に交換し、5mM(〜100m
g/ml)に濃縮できた。NMR分光分析のため、このタンパク質を25mMリ
ン酸ナトリウムpH6.5、50mM硫酸ナトリウム、2mM重水素化DTT、
および10%DO中に交換し、少なくとも3mMに濃縮できた。 調製物の完全さ(integrity)は質量分析法により確認された。この精製法を
用いると、最終的な収量は一般に培養液1リットル当たり50〜65mgの純粋
なタンパク質である。
【0083】方法2 結晶学のためのタンパク質のため、以下の改変プロトコールが容易に結晶化す
る(一夜)調製物を産生することがわかった。 ホモジナイザーで菌体を破砕した後(方法1と同様)、ホモジネートを16,
000rpmで30分間遠心分離にかけた(SorvallモデルSS34)。上澄み
液をPEI(ポリエチレンイミン−0.2%最終)で20分間、室温にて攪拌し
ながら処理した。得られた白色溶液を16,000rpmで20分間遠心分離に
かけ、上澄み液を硫酸アンモニウム(40%)を用いて4℃で30分間沈殿させ
た。この溶液を10,000rpmで30分間遠心分離にかけた。得られたペレ
ットを25mMリン酸Na、pH7.5、2mM DTT、10:M ZnCl
(培養液1リットル当たり10ml)中に再懸濁し、再び16,000rpmで
10分間遠心分離にかけた。上澄み液を最初に、25mMリン酸Na緩衝液、p
H7.5、0.2M NaCl、2mM DTT、10:M ZnClで平衡化し
たSuperdex 75 26/60カラムに適用した。ついでピークのフラクションをSP Se
pharose 26/10カラムに適用した。緩衝液AおよびBは方法1と同じである。
【0084】 ピークのフラクションをAmicon膜上で濃縮した後、25mMリン酸Na、pH
7.5、2mM DTT、10:M ZnCl、無塩で平衡化したSuperdex 30 1
6/60にタンパク質を適用した。HCV NS3プロテアーゼの最も純粋な側のフ
ラクションのみを回収し、プールした。 濃縮後(Millipore Ultrafree-5Kカットオフ)、タンパク質を25mM ME
S緩衝液、pH6.5、0.5M NaCl、2mM DTT、10:M ZnCl
中に交換した。このタンパク質調製物は容易に濃縮でき、4℃で4ヶ月貯蔵後
でさえも容易に結晶を産生した(実施例10に概要を記載するように)。
【0085】実施例8 −修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼのNMR分光分析 精製したタンパク質(方法1、実施例7を参照)をNMR緩衝液(25mMリ
ン酸ナトリウムpH6.5、50mM硫酸ナトリウム、2mM重水素化DTT、
および10%D2O)中に交換することにより、修飾HCV NS4a−NS3
融合プロテアーゼをNMR分析のために調製した。リードスルー産物を含むプロ
テアーゼ試料もリードスルー産物を含まないプロテアーゼ試料もともに(実施例
7を参照)、実施例8および9の両者でNMR分光分析のために首尾よく用いる
ことができた。試料濃度は0.2mM〜3mMの範囲であった。
【0086】 Varian UNITY PLUS 600 MHz NMR分光分析計でWATERGATE HSQCパルス配列(Mor
iら、(1995), J. Magn. Reson. B108, 94-98; Sklenar, (1995) J. Magn. Res.
A114, 132-135)を用い、二次元H−15N HSQC NMRスペクトルを得
た。データの回収は、30℃でFID当たり4遷移(transients)および128
かまたは256の増分、FH)およびF15N)についてそれぞれ1
0.0および2.4kHzのスペクトル幅にて行った。
【0087】 アポHCVプロテアーゼ(配列番号18)の二重標識(13C−15N)調製
物の1.5mM溶液を調製した。全セットのNMRスペクトルを回収し、アポH
CVプロテアーゼの骨格NMR共鳴を決定するのに用いた。3D NMR実験に
は、HNCO、HNCACO、HNCACB、CBCACONH、HBHACO
NH、HNCAHA、HCCH−TOCSY、15N−編集(edited)NOES
Yおよび13C−編集NOESYが含まれていた(これら実験の参照文献として
はCloreおよびGronenborn, Meth. Enzymol. 239, 349-363 (1994)を参照)。
【0088】 187の非プロリン残基のうちの155および11のプロリン残基のうちの8
について、骨格NMR共鳴が殆どの側鎖割り当て(assignments)とともに得ら
れた。これら割り当てには、触媒三つ組残基His57、Asp81、およびS
er139およびこれら残基に空間的に近接した残基が含まれており、該タンパ
ク質のアポ形態がプロテアーゼ:インヒビター複合体のNMR分析のための良好
な試薬であることを示している。
【0089】実施例9 −修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼとインヒビターとの
複合体のNMR 15N−標識HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ(配列番号18)と
インヒビターペプチド(Ac-Asp-D-Glu-Leu-Ile-Cha-Cys-OH)(Ingallinellaら
、Biochemistry 37, 8906-8914 (1998))との間の複合体を、これら2つの成分
(各200μMの濃度にて)の1:1複合体を実施例8に記載したNMR緩衝液
中で生成させることにより生成した。2D HSQCスペクトルを回収した。ア
ポ形態およびペプチドと複合体を形成した可溶性の修飾HCV NS4a−NS
3融合プロテアーゼ(配列番号18)のHSQCスペクトルを図7で重ね合わせ
た。活性部位残基を含む多くの残基が、インヒビターの付加により化学シフト摂
動を蒙った。
【0090】実施例10 −修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼとインヒビターと
の複合体の結晶構造 実施例7の方法2により産生した修飾HCV NS4a−NS3融合プロテア
ーゼは、X線結晶学的研究を支えるのによく適している。この実施例では、タン
パク質調製物には10〜20%の翻訳リードスルー産物(実施例7を参照)が含
まれていた。これら調製物は、インヒビターとの複合体の結晶を一夜で生成し、
2.1オングストローム分解能までのインヒビターとの該複合体の構造を生成し
た。
【0091】 ペプチドインヒビターAc-Asp-D-Glu-Leu-Ile-Cha-Cys-OH[IC50=15n
M、Ingallinellaら、Biochemistry 37, 8906-8914 (1998))]と複合体を形成し
た可溶性の修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼの結晶を、標準hangi
ng-drop蒸気拡散法により室温で成長させた。タンパク質溶液:室温で2時間イ
ンキュベートした0.5M NaCl、25mM MES、pH6.5、10%(v
/v)グリセリン、2mM DTT、および5.64mMのインヒビター(6×モ
ル過剰)中の21.6mg/mlタンパク質。リザーバー溶液:2M硫酸アンモ
ニウム、0.1M酢酸ナトリウム、pH4.6、1%(v/v)PEGモノエチル
エステル350、5mM塩化亜鉛。小滴はタンパク質とリザーバー溶液との等容
量のアリコートからなっていた。結晶はこれら条件下で一夜で得られた。
【0092】 結晶をその小滴から取り、グリセリン中で20%(v/v)としておいた少量
のリザーバー溶液に入れた。これをHamptonピン中にマウントした標準Hamptonフ
ァイバーループ(fiber loop)で抜き取り、直ちにOxford Cryosystems低温装置
からの100K窒素流中に導入した。 この結晶から、2オングストローム分解能までのデータをR−AXISII検
出器を備えた回転陽極源(CuK()上で回収した。完全性(completeness)は
20−2オングストローム分解能からは94%、外殻(2.07−2.00オング
ストローム)では64%であり、R(symm)は全体および外殻でそれぞれ9.1
%および39.7%であった。 この結晶からのX線回折は空間群P42を示し、単位格子パラメータは
a=b=67.1、c=81.2オングストロームであり、非対称格子当たり1つ
の分子である。
【0093】 構造の解析は、その座標がプロテインデータバンクに登録されている[1JX
P.pdb、Protein Sci. 7, 837-847 (1998)に記載]、以前に報告されたHC
Vプロテアーゼ:NS4a複合体の構造に基づき、標準分子置換法をNS4a−
NS3融合サーチモデルに適用して行った。20.0−2.1オングストロームの
分解能およびF/((F)>1.0からのデータを用いたXPLORによる構造の精
密化は、19.7%のR因子および27.6%のRフリーで停止した。本モデルは
、(1)約120の水分子を含み、そのうち約2/3は自動ルーチンによって付
加されたものであり、電子密度マップではチェックされていなかった、(2)密
度が鮮明でない0−4および87−89のループについてはモデル化残基が欠如
している、そして(3)側鎖のコンホメーションは、幾つかのものが見出された
が、代わりのコンホメーションを含んでいない。
【0094】 全体のインヒビターの電子密度は明確に判明でき、そのコンホメーションおよ
び該タンパク質上の結合サイトのコンホメーションも明確に定められ、それゆえ
該構造はドラッグデザインの目的に直ちに有用なものになっている。インヒビタ
ーマップの優良性は図8に見てとることができる。該インヒビターは専ら活性部
位のP部位に結合し、そのC末端側のカルボン酸は古典的セリンプロテアーゼ活
性部位のオキシアニオンホール(oxyanion hole)に対応するポケットに結合す
る。活性部位以外では、亜鉛イオンは97、99および145のシステインの側
鎖により、および水分子により配位されているが、後者のリガンドについては疑
問である。この水のB因子は2オングストロームまで精密化され、この位置で
の差(difference)マップに大きな残留ピークが存在するので、結晶液の他の成
分が存在すると思われ、本発明者らはそれをクロライドイオンとして精密化した
。 上記実施例は例示のためのものであって、特許請求の範囲を限定するものでは
ない。
【0095】引用文献
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】 HCVプロテアーゼのαヘリックス0(残基13〜21)のらせ
ん回転(helical wheel)表示。太字の残基は溶媒に露出される。(上)野生型
αヘリックス0のアミノ酸配列;(左)野生型αヘリックス0;(右)αヘリッ
クス0変異体におけるアミノ酸置換(X=His、Lys、Glu、Gln、A
sp、またはAsn)(実験3および4を参照)。
【図2】 修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼの構築の図解。
これら図解では、NS4a(残基21〜31)をNS3のN末端にリンカーを介
して融合させている。「X」は配列番号3と比しての配列変化を示す。「N」お
よび「C」は、それぞれ構築物のN末端およびC末端を示す。
【図3】 可溶性のHCVプロテアーゼ変異体を得るための細菌選択スキー
ムの図解。この系の詳細な記載は実施例4を参照。(中央)発現プラスミド(H
CV NS4a−NS3融合プロテアーゼおよび修飾したTetリプレッサーを
発現)および染色体によりコードされたTetプロモーター−CAT(クロラム
フェニコールアセチルトランスフェラーゼ)遺伝子融合物;(右)NS3プロテ
アーゼが不溶性の場合(該プロテアーゼの不溶性のために活性はマスキングされ
、クロラムフェニコール感受性の細菌という結果となる);(左)NS3プロテ
アーゼが可溶性の場合(プロテアーゼは活性であり、その結果、クロラムフェニ
コール耐性細菌となる)。
【図4】 種々のHCV NS4a−NS3融合タンパク質構築物の発現の
SDS−PAGE分析。プラスミド含有菌体をOD600−0.7まで増殖させ
、10mlの培養液を0.25mM IPTGで20℃にて20時間誘導した。卓
上遠心管(microfuge)中での遠心分離(1500rfc)により菌体を回収し
、菌体ペレットを1mlの25mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5;0.5
M NaCl、2mM DTT、10:M ZnCl、10mM MgCl、10:
g/ml DNアーゼ中に浮遊させ、パルスモード、パワー5にて1分間、2回
、超音波処理した。ホモジネートを卓上遠心管中、最大速度(20800rfc
)にて20分間、回転沈降させた(spun down)。ホモジネートおよび上澄み液
を10〜20%SDS−PAGEプレキャスト(pre-cast)ゲル(Bio-Rad)上
で分析した。レーン1、分子量標準。以下の試料が、それぞれホモジネートと上
澄み液とのペアとしてある:レーン2&3、親の融合(配列番号3);レーン4
&5、ヘリックス0−1変異のみ(配列番号12);レーン6&7、最適化リン
カーのみ(配列番号24);レーン8&9、最適化リンカーとヘリックス0−1
変異(配列番号14)。
【図5】 修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ±最適化リンカ
ーのNMR分析。15N標識した変異体HCV NS4a−NS3融合プロテア
ーゼ(すべてヘリックス0−1配列を有し[図11、配列番号6を参照]、実施
例7に概略を示したようにして精製した)について2D H−15N HSQC
スペクトルが得られた。パネルA−非最適化リンカーを有する(実施例4、配列
番号12を参照);パネルB−最適化リンカーを有する(実施例5、配列番号1
4を参照);パネルC−最適化リンカーと、A40T、I72T、P86Q、C
47S、C52L、C159S変異とを有する(実施例6、配列番号18を参照
)。
【図6】 配列番号1、3、12、14、16、18、20、22および2
4のアミノ酸配列のアラインメントを示す。点刻を施した太字は、配列番号1に
比して変異した残基の位置を示す。
【図7】 アポ形およびペプチドインヒビターとの複合体を形成した、最適
化リンカーを有する修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ(配列番号
18)の重ね合わせたNMR H−15N NHSQCスペクトル(実施例9参
照)。アポ−プロテアーゼ(薄い灰色の線)、ペプチドと複合体を形成したプロ
テアーゼ(濃い黒色の線)。
【図8】 ペプチドインヒビターと複合体を形成した修飾HCV NS4a
−NS3融合プロテアーゼ(配列番号18)の電子密度マップの一部(実施例1
0参照)。ペプチドインヒビターの2つの残基を示してある:CysおよびC
ha
【図9】 親の非融合野生型HCV NS3プロテアーゼ配列のアミノ酸配
列(配列番号1)および該アミノ酸配列をコードする核酸配列(配列番号2)。
【図10】 最初のHCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ配列のアミ
ノ酸配列(配列番号3)および該アミノ酸配列をコードする核酸配列(配列番号
4)。
【図11】 野生型HCV NS3プロテアーゼのαヘリックス0領域のア
ミノ酸配列(配列番号5)、および細菌選択スキームにおいて高レベルのクロラ
ムフェニコールに対して耐性の種々の可溶性修飾HCV NS4a−NS3融合
プロテアーゼのαヘリックス0領域(それぞれ、ヘリックス0−1、ヘリックス
0−3、ヘリックス0−7、ヘリックス0−8、およびヘリックス0−10)の
アミノ酸配列(配列番号6〜11)(実施例4参照)。
【図12】 αヘリックス0変異体配列ヘリックス0−1を有する修飾HC
V NS4a−NS3融合プロテアーゼのアミノ酸配列(配列番号12)および
該アミノ酸配列をコードする核酸配列(配列番号13)。
【図13】 αヘリックス0変異体配列ヘリックス0−1および最適化リン
カー配列を有する修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼのアミノ酸配
列(配列番号14)および該アミノ酸配列をコードする核酸配列(配列番号15
)。
【図14】 αヘリックス0変異体配列ヘリックス0−1、最適化リンカー
配列および表面変異を有する修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼの
アミノ酸配列(配列番号16)および該アミノ酸配列をコードする核酸配列(配
列番号17)。
【図15】 αヘリックス0変異体配列ヘリックス0−1、最適化リンカー
配列、表面変異およびシステイン変異を有する修飾HCV NS4a−NS3融
合プロテアーゼのアミノ酸配列(配列番号18)および該アミノ酸配列をコード
する核酸配列(配列番号19)。
【図16】 αヘリックス0変異体配列ヘリックス0−7、最適化リンカー
配列、表面変異およびシステイン変異を有する修飾HCV NS4a−NS3融
合プロテアーゼのアミノ酸配列(配列番号20)および該アミノ酸配列をコード
する核酸配列(配列番号21)。
【図17】 αヘリックス0変異体配列ヘリックス0−7、最適化リンカー
配列、表面変異、システイン変異およびC16T変異を有する修飾HCV NS
4a−NS3融合プロテアーゼのアミノ酸配列(配列番号22)および該アミノ
酸配列をコードする核酸配列(配列番号23)。
【図18】 野生型αヘリックス0配列および最適化リンカー配列を有する
修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼのアミノ酸配列(配列番号24
)および該アミノ酸配列をコードする核酸配列(配列番号25)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/50 C12R 1:93 //(C12N 9/50 C12N 15/00 A C12R 1:19) 5/00 A (C12N 9/50 C12R 1:93) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 スティーブン・ウェインハイマー アメリカ合衆国06472コネチカット州ノー スフォード、フット・ヒル・ロード30番 (72)発明者 ヤクン・ジャン アメリカ合衆国18966ペンシルベニア州ホ ランド、パドック・ウェイ29番 (72)発明者 バレンティナ・ゴールドファーブ アメリカ合衆国08823ニュージャージー州 フランクリン・パーク、エドワード・ドラ イブ26番 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA14 CA05 DA06 EA04 GA11 GA19 HA01 4B050 CC04 DD01 FF09 FF12 FF17 LL01 4B065 AA26X AA96Y AB01 AC14 BA02 CA33 CA44

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 HCV NS3プロテアーゼ中の疎水性αヘリックス0アミ
    ノ酸残基の親水性アミノ酸残基への少なくとも1つの置換を含む修飾HCV N
    S3プロテアーゼ。
  2. 【請求項2】 該疎水性αヘリックス0アミノ酸残基が、Leu13、Le
    14、Ile17、Ile18、およびLeu21よりなる群から選ばれたも
    のである、請求項1に記載の修飾HCV NS3プロテアーゼ。
  3. 【請求項3】 該HCV NS3プロテアーゼが配列番号1に示すHCV N
    S3のアミノ酸配列のおよそ残基1〜181を含む、請求項1に記載の修飾HC
    V NS3プロテアーゼ。
  4. 【請求項4】 αヘリックス0中のものでない疎水性アミノ酸残基の親水性
    アミノ酸残基への少なくとも1つの置換をさらに含む、請求項1に記載の修飾H
    CV NS3プロテアーゼ。
  5. 【請求項5】 非亜鉛結合性システイン残基の非システインアミノ酸残基へ
    の少なくとも1つの置換をさらに含む、請求項1に記載の修飾HCV NS3プ
    ロテアーゼ。
  6. 【請求項6】 Leu13のGluへの置換、Leu14のGluへの置換
    、Ile17のGlnへの置換、Ile18のGluへの置換、およびLeu のGlnへの置換よりなる群から選ばれた少なくとも1つの置換を含む、請求
    項2に記載の修飾HCV NS3プロテアーゼ。
  7. 【請求項7】 Leu13のGluへの置換、Leu14のGlnへの置換
    、Ile17のGlnへの置換、Ile18のLysへの置換、およびLeu のHisへの置換よりなる群から選ばれた少なくとも1つの置換を含む、請求
    項2に記載の修飾HCV NS3プロテアーゼ。
  8. 【請求項8】 Leu13のGluへの置換、Leu14のGluへの置換
    、Ile17のGlnへの置換、Ile18のGlnへの置換、およびLeu のGluへの置換よりなる群から選ばれた少なくとも1つの置換を含む、請求
    項2に記載の修飾HCV NS3プロテアーゼ。
  9. 【請求項9】 Leu13のAsnへの置換、Leu14のGlnへの置換
    、Ile17のGluへの置換、Ile18のLysへの置換、およびLeu のGluへの置換よりなる群から選ばれた少なくとも1つの置換を含む、請求
    項2に記載の修飾HCV NS3プロテアーゼ。
  10. 【請求項10】 Leu13のGluへの置換、Leu14のGlnへの置
    換、Ile17のAspへの置換、Ile18のGluへの置換、およびLeu 21 のGluへの置換よりなる群から選ばれた少なくとも1つの置換を含む、請
    求項2に記載の修飾HCV NS3プロテアーゼ。
  11. 【請求項11】 Leu13のGluへの置換、Leu14のGluへの置
    換、Ile17のGluへの置換、Ile18のGlnへの置換、およびLeu 21 のGluへの置換よりなる群から選ばれた少なくとも1つの置換を含む、請
    求項2に記載の修飾HCV NS3プロテアーゼ。
  12. 【請求項12】 Leu13、Leu14、Ile17、Ile18、およ
    びLeu21が親水性アミノ酸残基に置換されている、請求項2に記載の修飾H
    CV NS3プロテアーゼ。
  13. 【請求項13】 HCV NS4aもしくは修飾HCV NS4aに融合した
    請求項1に記載の修飾HCV NS3プロテアーゼを含む、修飾HCV NS4a
    −NS3融合プロテアーゼ。
  14. 【請求項14】 該HCV NS4aが配列番号26に示す完全長HCV N
    S4aのおよそ残基21〜31を含む、請求項13に記載の修飾HCV NS4
    a−NS3融合プロテアーゼ。
  15. 【請求項15】 該修飾HCV NS4aを形成すべく変化させたHCV N
    S4aが配列番号26に示す完全長HCV NS4aのおよそ残基21〜31を
    含む、請求項13に記載の修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
  16. 【請求項16】 さらにリンカーを含む、請求項13に記載の修飾HCV
    NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
  17. 【請求項17】 該リンカーが最適化リンカー配列を含む、請求項16に記
    載の修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
  18. 【請求項18】 該HCV NS4aまたは修飾HCV NS4aが該修飾H
    CV NS3プロテアーゼのアミノ末端に連結している、請求項13に記載の修
    飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
  19. 【請求項19】 該最適化リンカー配列がSer−Gly−Asp−Thr
    であり、該配列中のSerはHCV NS4aの残基Ser32に対応し、Th
    rはHCV NS3の残基Thrに対応するものである、請求項17に記載の
    修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
  20. 【請求項20】 該修飾HCV NS4aが疎水性アミノ酸残基の親水性ア
    ミノ酸残基への少なくとも1つの置換を含む、請求項13に記載の修飾HCV
    NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
  21. 【請求項21】 NS4aの残基30が親水性アミノ酸残基に置換されてい
    る、請求項20に記載の修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
  22. 【請求項22】 該親水性アミノ酸残基がAsnである、請求項21に記載
    の修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
  23. 【請求項23】 配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号1
    8、配列番号20、および配列番号22よりなる群から選ばれたアミノ酸配列を
    含む、請求項13に記載の修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
  24. 【請求項24】 請求項1に記載の修飾HCV NS3プロテアーゼをコー
    ドするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
  25. 【請求項25】 請求項13に記載の修飾HCV NS4a−NS3プロテ
    アーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
  26. 【請求項26】 配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号1
    9、配列番号21、および配列番号23よりなる群から選ばれたアミノ酸配列を
    含む、請求項25に記載の核酸分子。
  27. 【請求項27】 該核酸分子がATCC培養受託番号207040の細胞に
    含まれるプラスミドの全部または一部を含む、請求項25に記載の核酸分子。
  28. 【請求項28】 該核酸分子がATCC培養受託番号207041の細胞に
    含まれるプラスミドの全部または一部を含む、請求項25に記載の核酸分子。
  29. 【請求項29】 請求項24、25または26に記載のヌクレオチド配列に
    相補的なヌクレオチド配列を含む核酸分子。
  30. 【請求項30】 請求項24、25、26または29に記載の核酸分子を含
    むベクター。
  31. 【請求項31】 請求項30に記載のベクターを含む宿主細胞。
  32. 【請求項32】 ATCC培養受託番号207040によって定められる細
    胞。
  33. 【請求項33】 ATCC培養受託番号207041によって定められる細
    胞。
  34. 【請求項34】 (a)修飾NS3プロテアーゼが産生されるように適当な
    条件下で請求項1に記載の宿主細胞を培養し、ついで (b)かくして産生された修飾NS3プロテアーゼを回収する ことを含む、修飾NS3プロテアーゼの製造方法。
  35. 【請求項35】 (a)修飾NS4a−NS3プロテアーゼが産生されるよ
    うに適当な条件下で請求項13に記載の宿主細胞を培養し、ついで (b)かくして産生された修飾NS4a−NS3プロテアーゼを回収する ことを含む、修飾NS4a−NS3プロテアーゼの製造方法。
  36. 【請求項36】 界面活性剤の不在下で30mg/mlを超える溶解度を有
    する、修飾HCV NS3プロテアーゼまたは修飾HCV NS4a−NS3融合
    プロテアーゼ。
  37. 【請求項37】 NMR分光分析に使用できる修飾HCV NS3プロテア
    ーゼまたは修飾HCV NS4a−NS3融合プロテアーゼ。
JP2000592405A 1999-01-08 2000-01-06 C型肝炎ウイルスns3プロテアーゼの修飾形 Pending JP2002534084A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US11527199P 1999-01-08 1999-01-08
US60/115,271 1999-01-08
PCT/US2000/000345 WO2000040707A1 (en) 1999-01-08 2000-01-06 Modified forms of hepatitis c virus ns3 protease

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002534084A true JP2002534084A (ja) 2002-10-15

Family

ID=22360293

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000592405A Pending JP2002534084A (ja) 1999-01-08 2000-01-06 C型肝炎ウイルスns3プロテアーゼの修飾形

Country Status (7)

Country Link
US (2) US6333186B1 (ja)
EP (1) EP1141255A4 (ja)
JP (1) JP2002534084A (ja)
AU (1) AU2494100A (ja)
CA (1) CA2359971A1 (ja)
IL (1) IL143798A0 (ja)
WO (1) WO2000040707A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016199898A1 (ja) * 2015-06-10 2016-12-15 公立大学法人 富山県立大学 活性型変異酵素の製造方法および新規活性型変異酵素、並びに可溶性化変異タンパク質の製造方法
JP2018513390A (ja) * 2015-03-27 2018-05-24 オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッドOrtho−Clinical Diagnostics, Inc. Hcv ns4a/改変されたns3ポリペプチド及びその使用

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20050074465A1 (en) * 1999-11-24 2005-04-07 Michael Houghton HCV fusion proteins with modified NS3 domains
US6986892B1 (en) 1999-11-24 2006-01-17 Chiron Corporation Immunogenic Hepatitis C virus non-structural polypeptides
US7491808B2 (en) * 2000-06-15 2009-02-17 Novartis Vaccines And Diagnostics, Inc. HCV non-structural protein mutants and uses thereof
WO2003064406A1 (en) * 2002-01-07 2003-08-07 Sequoia Pharmaceuticals Resistance-repellent retroviral protease inhibitors
KR20050086843A (ko) * 2002-11-26 2005-08-30 트리펩 아베 증강인자 성분으로서의 c형 간염 바이러스 비구조 단백질4a(ns4a)
US7871625B2 (en) * 2004-08-27 2011-01-18 Novartis Vaccines And Diagnostics, Inc. HCV multiple epitope fusion antigens with modified proteolytic cleavage sites and uses thereof
US7625724B2 (en) * 2005-08-25 2009-12-01 Board Of Regents, The University Of Texas System MAVS in the prevention and treatment of viral diseases
CN113330520A (zh) 2018-12-04 2021-08-31 华盛顿大学 用于控制蛋白质功能和相互作用的试剂和方法
EP3947432A4 (en) 2019-03-29 2023-01-18 Trustees of Boston University CHIMERIC ANTIGEN RECEPTOR (CAR) MODULATION
WO2021009692A1 (en) 2019-07-15 2021-01-21 Medimmune Limited Tripartite systems for protein dimerization and methods of use
US11572565B2 (en) 2020-07-21 2023-02-07 Trustees Of Boston University Inducible control of gene expression

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE270326T1 (de) 1990-04-04 2004-07-15 Chiron Corp Protease von hepatitis-c-virus
IT1272179B (it) 1994-02-23 1997-06-16 Angeletti P Ist Richerche Bio Metodologia per riprodurre in vitro l'attivita' proteolitica della proteasi ns3 del virus hcv.
US5843752A (en) 1995-05-12 1998-12-01 Schering Corporation Soluble active hepatitis C virus protease
IT1277914B1 (it) 1995-08-22 1997-11-12 Angeletti P Ist Richerche Bio Procedimento per produrre - in forma pura e in quantita' elevate - polipeptidi con l'attivita' proteolitica della proteasi ns3 di hcv, e
US6153579A (en) 1996-09-12 2000-11-28 Vertex Pharmaceuticals, Incorporated Crystallizable compositions comprising a hepatitis C virus NS3 protease domain/NS4A complex
IT1285158B1 (it) 1996-09-17 1998-06-03 Angeletti P Ist Richerche Bio Polipeptidi solubili con l'attivita' di serino-proteasi di ns3 del virus dell'epatite c, e procedimento per la loro preparazione e il

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018513390A (ja) * 2015-03-27 2018-05-24 オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッドOrtho−Clinical Diagnostics, Inc. Hcv ns4a/改変されたns3ポリペプチド及びその使用
JP2020129001A (ja) * 2015-03-27 2020-08-27 オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッドOrtho−Clinical Diagnostics, Inc. Hcv ns4a/改変されたns3ポリペプチド及びその使用
WO2016199898A1 (ja) * 2015-06-10 2016-12-15 公立大学法人 富山県立大学 活性型変異酵素の製造方法および新規活性型変異酵素、並びに可溶性化変異タンパク質の製造方法
US10730909B2 (en) 2015-06-10 2020-08-04 Toyama Prefectual University Method of producing an active-form mutant enzyme
JP2020188807A (ja) * 2015-06-10 2020-11-26 公立大学法人 富山県立大学 活性型変異酵素の製造方法および新規活性型変異酵素、並びに可溶性化変異タンパク質の製造方法
US11312747B2 (en) 2015-06-10 2022-04-26 Toyama Prefectural University Method of producing an active-form mutant enzyme
JP7076150B2 (ja) 2015-06-10 2022-05-27 公立大学法人 富山県立大学 活性型変異酵素の製造方法および新規活性型変異酵素、並びに可溶性化変異タンパク質の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US6333186B1 (en) 2001-12-25
WO2000040707A1 (en) 2000-07-13
CA2359971A1 (en) 2000-07-13
EP1141255A1 (en) 2001-10-10
US6800456B2 (en) 2004-10-05
US20020106642A1 (en) 2002-08-08
AU2494100A (en) 2000-07-24
EP1141255A4 (en) 2002-09-11
IL143798A0 (en) 2002-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10527609B2 (en) Peptide tag systems that spontaneously form an irreversible link to protein partners via isopeptide bonds
Nunn et al. Crystal structure of tobacco etch virus protease shows the protein C terminus bound within the active site
Kim et al. Hepatitis C virus NS3 RNA helicase domain with a bound oligonucleotide: the crystal structure provides insights into the mode of unwinding
JP4907542B2 (ja) 治療、診断およびクロマトグラフィーに使用するためのタンパク質複合体
JP2016028604A (ja) IL−4Rαに結合する涙液リポカリンムテイン
US20020086331A1 (en) Crystal structure of worm NitFhit reveals that a Nit tetramer binds two Fhit dimers
JP2002534084A (ja) C型肝炎ウイルスns3プロテアーゼの修飾形
JP2001501093A (ja) シャペロン断片
Sun et al. Structural determinants of tobacco vein mottling virus protease substrate specificity
Fázio et al. Biological and structural characterization of new linear gomesin analogues with improved therapeutic indices
Chen et al. Expression, purification, and micelle reconstitution of antimicrobial piscidin 1 and piscidin 3 for NMR studies
Begley et al. Inhibitor-bound complexes of dihydrofolate reductase-thymidylate synthase from Babesia bovis
Jedrzejczak et al. Human Suv3 protein reveals unique features among SF2 helicases
Eryilmaz et al. Structural insights into the cryptic DNA-dependent ATPase activity of UvrB
US10738092B2 (en) Muteins of a1m lipocalin and method of production therefor
US7335758B2 (en) Catalytic domain of ADAM33 and methods of use thereof
Ahlqvist et al. Crystal structure and initial characterization of a novel archaeal-like Holliday junction-resolving enzyme from Thermus thermophilus phage Tth15-6
Ndjonka et al. Structure of a hyper-cleavable monomeric fragment of phage λ repressor containing the cleavage site region
WO2010088857A1 (zh) 流感病毒聚合酶pa亚基的氨基端部分的晶体结构及其应用
JP2001513823A (ja) パピローマウイルス感染を阻止する化合物の構造に基づく合理的デザイン
US7285408B2 (en) Crystalline form of an n231 mutant catalytic domain of ADAM33 and methods of use thereof
MXPA01006885A (en) Modified forms of hepatitis c virus ns3 protease
JP2000506395A (ja) 界面活性剤を含まないc型肝炎プロテアーゼ
KR20100070253A (ko) 인간 유래의 재조합 라스프5 (노어1)의 사라 도메인단백질의 결정화 방법
Boeshans et al. Purification, crystallization and preliminary X-ray diffraction analysis of the phage T4 vertex protein gp24 and its mutant forms