本発明の実施は、別途記載のない限り、当業者の技能の範囲内の化学、生化学、DNA組み換え技術、及び免疫学の従来の方法を利用するだろう。そのような技術は、文献内で完全に説明されている。例えば、Fundamental Virology,2nd Edition,vol.I & II(B.N.Fields and D.M.Knipe,eds.);Handbook of Experimental Immunology,Vols.I−IV(D.M.Weir and C.C.Blackwell eds.,Blackwell Scientific Publications);T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)を参照されたい。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、上記であろうと下記であろうと、本明細書の全体にわたり参照により組み込まれる。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別途明らかに示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意される必要がある。したがって、例えば、「抗原」への言及は、2つ又はそれ以上の抗原の混合物などを含む。
以下のアミノ酸の略語を、本文全体を通して使用する:
I.定義
本発明の記述において、以下の用語を利用し、それらは以下のように定義されることを意図している。
用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指し、生産物の最小長に制限されない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などがこの定義内に含まれる。全長タンパク質及びそのフラグメントの両方は、この定義により包含されている。用語はまた、ポリペプチドの発現後の改変、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化なども含む。更に、本発明の目的に関して、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然配列に対する欠失、付加、及び置換などの改変を含むタンパク質を指す(通常は本質的に保存的)。これらの改変は、部位特異的突然変異誘発を通じて意図的であってもよいか、又はタンパク質を産生する宿主の突然変異若しくはPCR増幅による誤差などを通じて偶発的であってもよい。
HCVポリペプチドは、上記で定義されたようなHCVポリタンパク質由来のポリペプチドである。ポリペプチドは、物理的にHCV由来である必要はないが、合成的に又は組み換え的に産生されてもよい。更に、ポリペプチドは、例えばHCVの1、2、3、4、5又は6の株からの単離株のいずれかであるがこれらに限定されない、様々なHCVの株及び単離株のいずれかに由来してもよい。多数の保存領域及び可変領域は、これらの株間で既知であり、一般的には、これらの領域由来のエピトープのアミノ酸配列は、高い配列相同性、例えば、2つの配列を整列させたとき30%超、好ましくは40%超のアミノ酸配列相同性を有するだろう。したがって、例えば、用語「NS4a/3」ポリペプチドは、様々なHCV株、並びに更に以下に定義されるようにNS4a/3類似体、突然変異タンパク質、及び免疫原性フラグメントのいずれかから得たNS3と組み合わせたNS4を指す。これらの株の多くの完全な遺伝子型は既知である。例えば、米国特許第6,150,087号並びにGenBankアクセッション番号AJ238800及びAJ238799を参照されたい。
HCVポリタンパク質「由来の」ポリペプチドは、参照HCVポリタンパク質の1つ又は2つ以上の領域若しくは領域の部分の配列を含むポリペプチドを意味する。典型的には、ポリペプチドは、エピトープを含む領域又は領域の部分からなり、通常以下に定義されるような、参照ポリペプチドに実質的に相同のアミノ酸配列を有する。したがって、用語「由来の」は、分子の本来の供給源を同定するために使用されるが、例えば、化学合成手段又は組み換え手段であってもよい分子を作製する方法を制限することを意味するものではない。
用語「類似体」及び「突然変異タンパク質」は、本明細書に記載のアッセイにおいて免疫反応性など所望の活性を保持する参照分子の、生物学的に活性の誘導体又はそのような誘導体のフラグメントを指す。一般的に、用語「類似体」は、改変が免疫原性活性を破壊しない限り、天然の分子に対して1つ又は2つ以上のアミノ酸の付加、置換(通常は本質的に保存的であるか、又は改変されたNS3の様々な実施形態の場合、活性なタンパク質分解部位において本質的に非保存的である)及び/又は欠失のある天然のポリペプチド配列及び構造を有する化合物を指す。用語「突然変異タンパク質」は、アミノ及び/又はイミノ分子だけを含む化合物、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1つ又は2つ以上の類似体を含むポリペプチド、置換された結合を有するポリペプチド、並びに当該技術分野において周知の他の改変、つまり天然型及び非天然型(例えば、合成)両方の、環化された、分枝状分子などが挙げられるがこれらに限定されない、1つ又は2つ以上のアミノ酸様分子を有するポリペプチドを指す。この用語はまた、1つ又は2つ以上のN置換グリシン残基(「ペプトイド」)及び他の合成アミノ酸若しくはペプチドを含有する分子も含む。(ペプトイドの説明については、例えば、米国特許第5,831,005号、同第5,877,278号、及び同第5,977,301号;Nguyen et al.,Chem Biol.(2000)7:463〜473;並びにSimon et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:9367〜9371を参照されたい)。好ましくは、類似体又は突然変異タンパク質は、少なくとも天然の分子と同じ免疫反応性を有する。ポリペプチド類似体及びポリペプチド突然変異タンパク質を作製する方法は、当該技術分野において周知であり、更に後述される。
上述のように、類似体は、通常、本質的に保存的である置換、すなわち、アミノ酸のファミリー内で生じる、それらの側鎖に関連する置換を含む。具体的には、アミノ酸は、一般に4つのファミリーに分類される:(1)酸性−−アスパルテート及びグルタメート;(2)塩基性−−リシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;並びに(4)非電荷極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリンスレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンは、時として芳香族アミノ酸に分類される。例えば、ロイシンからイソロイシン若しくはバリン、アスパルテートからグルタメート、スレオニンからセリンへの孤立置換、又はアミノ酸から構造的に関連するアミノ酸への類似の保存的置換は、生物活性に大きな影響を与えないであろうことは、合理的に予想可能である。例えば、目的のポリペプチドは、分子の所望の機能がそのまま残される限り、最大約5〜10個の保存的若しくは非保存的なアミノ酸置換、又は更には最大約15〜25個の保存的若しくは非保存的なアミノ酸置換、又は5〜25の任意の整数の保存的若しくは非保存的なアミノ酸置換を含み得る。当業者は、当該技術分野において周知であるHopp/Woodsプロット及びKyte−Doolittleプロットを参考として、目的の分子の変化を許容できる領域を容易に決定することができる。
「改変されたNS3」によって、配列番号4においてアミノ酸残基15及び16がイソロイシン(I)の代わりにリシン(K)であるという点において天然のHCV NS3ドメインに対して改変されたNS3ポリペプチドを意味し、配列番号4の1つ又は2つ以上のアミノ酸残基は、改変のない配列番号4を有するC型肝炎ウイルスNS3ドメインのプロテアーゼ活性と比較して、改変されたC型肝炎ウイルスNS3ドメインのプロテアーゼ活性を阻害するように、改変されている。好ましくは、プロテアーゼ活性を阻害するための改変は、配列番号4のアミノ酸残基55、79、及び137のうち1つ又は2つ以上の置換、好ましくはアラニン又はグリシンの置換を含む。好ましい実施形態では、プロテアーゼ活性を阻害するための改変は、アラニンによる配列番号4のアミノ酸残基137の置換を含む。
「フラグメント」によって、無傷の全長ポリペプチド配列及び構造の一部だけからなるポリペプチドを意図する。フラグメントは、天然のポリペプチドのC末端欠失及び/又はN末端欠失を含み得る。特定のHCVタンパク質の「免疫原性フラグメント」は、一般的に、エピトープを定義する全長分子の少なくとも約5〜10個の隣接するアミノ酸残基、好ましくは、全長分子の少なくとも約15〜25個の隣接するアミノ酸残基、及び最も好ましくは、全長分子の少なくとも約20〜50個以上の隣接するアミノ酸残基、又は5個のアミノ酸と全長配列との間の任意の整数の隣接するアミノ酸残基を含むが、ただし問題のフラグメントが本明細書に記載のアッセイにおいて免疫反応性を保持することを条件とする。
用語「エピトープ」は、本明細書で使用するとき、少なくとも約3〜5、好ましくは、約5〜10又は15、及び約1,000以下(又はその間の任意の整数)のアミノ酸であって、それ自体で又はより大きな配列の一部として、そのような配列に対応して生成された抗体に結合する配列を定義するアミノ酸の配列を指す。フラグメントの長さに対する重要な上限はなく、フラグメントは、タンパク質配列のほぼ全長、又は更にはHCVポリタンパク質から2つ以上のエピトープを含む融合タンパク質を含んでもよい。本発明で用いるエピトープは、由来する親タンパク質の部分の正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。実際には、ウイルスゲノムは、常に変化している状態であり、単離株間で比較的高い可変性を呈するいくつかの可変ドメインを含む。したがって、用語「エピトープ」は、天然配列と同一である配列、並びに欠失、付加、及び置換など(通常、本質的に保存的である)の天然配列に対する改変を包含する。
エピトープを含む所与のポリペプチドの領域は、当該技術分野において周知である任意の数のエピトープマッピング技術を用いて同定することができる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66(Glenn E.Morris,Ed.,1996)Humana Press,Totowa,N.J.を参照されたい。例えば、線形エピトープは、例えば、タンパク質分子の部分に対応している多数のペプチドを固体担体上に同時に合成すること、及びペプチドが担体に結合されているうちにペプチドと抗体を反応させることによって、決定され得る。そのような技術は、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第4,708,871号;Geysen et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998〜4002;Geysen et al.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:178〜182;Geysen et al.(1986)Molec.Immunol.23:709〜715に記載されており、それら全てを本明細書に全体にわたり参照により組み込む。そのような技術を使用して、多数のHCVのエピトープが同定されている。例えば、Chien et al.,Viral Hepatitis and Liver Disease(1994)pp.320〜324、及び更に以下を参照されたい。同様に、立体構造エピトープは、例えば、X線結晶学及び2次元核磁気共鳴によってなど、アミノ酸の空間立体構造を決定することによって容易に同定される。例えば、上記Epitope Mapping Protocolsを参照されたい。タンパク質の抗原性領域はまた、例えば、Oxford Molecular Groupから入手可能なOmiga version 1.0ソフトウェアプログラムを使用して計算されるものなど標準の抗原性プロット及び疎水性プロットを用いて同定され得る。このコンピュータプログラムは、抗原性プロファイルを決定するためにHopp/Woods法(Hopp et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA(1981)78:3824〜3828)、及び疎水性プロット用にKyte−Doolittle技術(Kyte et al.,J.Mol.Biol.(1982)157:105〜132)を使用する。
本明細書において使用するとき、用語「立体構造エピトープ」は、全長天然タンパク質内のエピトープをコードするアミノ酸配列特有の構造的特徴を有する、全長タンパク質、又はその類似体若しくは突然変異タンパク質の一部を指す。天然の構造的特徴としては、グリコシル化及び三次元構造が挙げられるが、これらに限定されない。これらのエピトープが抗原の三次元形状(例えば、折り畳み)によって形成されると考えられるので、エピトープ定義配列の長さには、大きなばらつきが生じやすい場合がある。したがって、エピトープを定義するアミノ酸は、比較的少ない数であり得るが、分子の長さに沿って広く分散され、折り畳みを介して正しいエピトープの立体構造がもたらされる。エピトープを定義する残基の間の抗原の部分は、エピトープの立体構造に対して重要でない場合がある。例えば、これらの介在配列の欠失又は置換は、エピトープの立体構造に重要な配列が維持されている場合(例えば、ジスルフィド結合に関するシステイン、グリコシル化部位など)、立体構造エピトープに影響を及ぼさない場合がある。
NS4a/3領域内に存在する立体構造エピトープは、上述の方法を使用して容易に同定される。更に、所与のポリペプチドにおける立体構造エピトープの有無は、抗体(立体構造エピトープに対するポリクローナル血清又はモノクローナル抗体)を用いて目的の抗原をスクリーニングすること、及びその反応性を、線形エピトープ(該当する場合)だけを保持する抗原の変性した変形例のものと比較することによって容易に判定することができる。ポリクローナル抗体を使用したそのようなスクリーニングにおいて、ポリクローナル血清をまず変性した抗原で吸収し、目的の抗原に対する抗体を保持するかどうかを調べることが有利な場合がある。
好ましくは、立体構造エピトープは、組み換えによって産生され、所望の構造的特徴、(例えば、エピトープの変性がないなど)を保存する条件下で抽出可能である細胞内で発現する。そのような細胞は、細菌、酵母、昆虫、及び哺乳類の細胞を含む。HCVポリタンパク質からの組み換え立体構造エピトープの発現及び単離は、例えば、国際公開第96/04301号、同第94/01778号、同第95/33053号、同第92/08734号に記載され、その出願は、本明細書に全体にわたり参照により組み込まれる。あるいは、抗原を発現し、回収後タンパク質を更に復元することが可能である。化学合成はまた、天然の抗原の立体構造エピトープと交差反応する、立体構造抗原のミモトープを提供し得ることも理解される。
「抗体」(「Ab」)は、抗原内に存在する目的のエピトープに特異的に結合する分子を意図する。「特異的に結合する」ことによって、抗体と、例えば試験基質との間に生じ得る非特異的な結合ではなく、抗体がエピトープを認識し、相互作用の「鍵と鍵穴」型でエピトープと相互作用して、抗原と抗体との間に複合体を形成することが意味される。したがって、例えば、HCVコア抗体は、HCVコアタンパク質に特異的に結合する分子である。用語「抗体」は、本明細書で使用するとき、ポリクローナル及びモノクローナル調製物の両方、並びに以下から得られた抗体を含む。ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winter et al.(1991)Nature 349:293〜299;及び米国特許第4,816,567号を参照されたい);F(ab’)2及びF(ab)フラグメント;Fv分子(共有結合性のヘテロ二量体、例えば、Inbar et al.(1972)Proc Natl Acad Sci USA 69:2659〜2662;及びEhrlich et al.(1980)Biochem 19:4091〜4096を参照されたい);単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Huston et al.(1988)Proc Natl Acad Sci USA 85:5879〜5883を参照されたい);二量体及び三量体の抗体フラグメント構築物;ミニボディ(例えば、Pack et al.(1992)Biochem 31:1579〜1584;Cumber et al.(1992)J Immunology 149B:120〜126を参照されたい);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmann et al.(1988)Nature 332:323〜327;Verhoeyan et al.(1988)Science 239:1534〜1536;及び1994年9月21日に公開された英国特許出願公開第2,276,169号を参照されたい);並びに、そのような分子から得られた任意の機能性フラグメントであって、親抗体分子の免疫学的結合特性を保持するフラグメント。
本明細書において使用するとき、用語「モノクローナル抗体」は、均質の抗体集団を有する抗体組成物を指す。この用語は、抗体の種又は起源に関して限定されず、それが作製される方法によって限定されることも意図しない。したがって、この用語は、マウスハイブリドーマから得られた抗体、並びにマウスではなくヒトのハイブリドーマを使用して得られたヒトモノクローナル抗体を包含する。例えば、Cote,et al.Monclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,1985,p.77を参照されたい。
ポリペプチドを指す場合、「単離された」ことによって、指示された分子が、その分子が自然界で見出される生物全体とは分離した別個のものである又は同じタイプの他の生体高分子の実質的非存在下で存在することが、意味される。
「等価の抗原決定基」によって、HCVの株1、2、又は3からのようなHCVの異なる亜種又は株からの抗原決定基が意味される。より具体的には、エピトープは、例えば、HCV−1ポリタンパク質配列(配列番号1を参照)に対して番号が付された、大体1694〜1735位で生じる、「5−1−1」のように周知であり、そのようなエピトープは株1と、2と、3との間で変化する。したがって、3つの異なる株からのエピトープ5−1−1は、等価の抗原決定基であり、したがってそれらの配列が同一でなくても「コピー」である。一般的には、等価の抗原決定基のアミノ酸配列は、高い配列相同性、例えば、2つの配列を整列させたとき30%超、好ましくは40%超のアミノ酸配列相同性を有するだろう。
「相同性」は、2つのポリヌクレオチド部分又は2つのポリペプチド部分の間の類似性パーセントを指す。2つのDNA又は2つのポリペプチド配列は、その配列が、分子の所定の長さにわたり少なくとも約50%、好ましくは、少なくとも約75%、より好ましくは、少なくとも約80%〜85%、好ましくは、少なくとも約90%、及び最も好ましくは、少なくとも約95%〜98%の配列類似性を呈するとき、互いに「実質的に相同」である。本明細書において使用するとき、実質的に相同はまた、指定のDNA又はポリペプチド配列に対する完全同一性を示す配列も指す。
一般に「同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列の、それぞれ正確なヌクレオチド対ヌクレオチド、又はアミノ酸対アミノ酸対応を指す。同一性パーセントは、配列の位置を合わせることによって2つの分子(参照配列と、その参照配列に対する未知の%同一性を有する配列と)の間の配列情報を直接比較すること、2つの整列した配列の間の一致の正確な数を集計すること、参照配列の長さで割ること、及びその結果に100を掛けることによって、決定することができる。
ペプチド解析用の、Smith and Waterman Advances in Appl.Math.2:482〜489,1981の局所的相同性アルゴリズムに適合する、例えば、ALIGN,Dayhoff,M.O.in Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff ed.,5 Suppl.3:353〜358,National biomedical Research Foundation(Washington,D.C.)などの直ぐに利用できるコンピュータプログラムを使用して、相同性及び同一性の解析の助けとすることができる。ヌクレオチド配列の相同性を決定するためのプログラムは、Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8(Genetics Computer Group(Madison,Wis.)より入手可能)において利用可能であり(例えば、BESTFIT、FASTA、及びGAPプログラムなど)、これらもまた、Smith and Watermanアルゴリズムを利用している。これらのプログラムは、メーカーによって推奨され、上で参照されたWisconsin Sequence Analysis Packageに記載されるデフォルトのパラメーターで容易に利用される。例えば、参照配列に対する特定のヌクレオチド配列の相同性パーセントは、6個のヌクレオチド位置のデフォルトのスコアリングテーブル及びギャップペナルティを用いて、Smith and Watermanの相同性アルゴリズムを使用して決定することができる。
本発明の文脈において相同性パーセントを確率する別の方法は、University of Edinburghに著作権があり、John F.Collins及びShane S.Sturrokが開発し、IntelliGenetics,Inc.(Mountain View,Calif.)により流通されているMPSRCHプログラムパッケージを使用することである。このパッケージ一式から、デフォルトパラメーターをスコアリングテーブルに使用すると、Smith−Watermanアルゴリズムを使用することができる(例えば、ギャップオープンペナルティが12、ギャップ伸長ペナルティが1、及びギャップが6)。生成されたデータから、「一致」値は、「配列相同性」を示す。配列間の同一性パーセント又は類似性パーセントを計算するための他の好適なプログラムは、当該技術分野において概ね周知である。例えば、別の整合プログラムは、デフォルトパラメーターと共に使用されるBLASTである。例えば、BLASTN及びBLASTPは、次のデフォルトパラメーターを用いて使用され得る:genetic code=standard;filter=none;strand=both;cutoff=60;expect=10;Matrix=BLOSUM62;Descriptions=50 sequences;sort by=HIGH SCORE;Databases=non−redundant,GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+Swiss protein+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、容易に入手可能である。
あるいは、相同性は、相同領域間に安定した二本鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、続いて一本鎖特異的ヌクレアーゼ(複数可)消化、及び消化されたフラグメントのサイズ決定によって、決定することができる。実質的に相同であるDNA配列は、例えば、その特定のシステムについて規定されるストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション試験で同定することができる。適切なハイブリダイゼーション条件を規定することは、当業者の技能の範囲内である。例えば、上記Sambrookら;上記DNAクローニング;上記核酸ハイブリダイゼーションを参照されたい。
「コード配列」又は選択されたポリペプチドを「コードする」配列は、適切な調節配列の制御下に置かれたときインビトロ又はインビボで転写され(DNAの場合)、ポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)、核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドン及び3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。転写終結配列は、コード配列に対して3’に位置され得る。
「操作可能に連結された」ことは、そのように記載される構成要素が、所望の機能を実行するように構成されるエレメントの配置を指す。したがって、コード配列に操作可能に連結された所与のプロモーターは、適切な転写因子などが存在するときコード配列の発現をもたらすことができる。プロモーターは、その発現を導くように機能する限り、コード配列に隣接している必要はない。したがって、例えば、介在する、翻訳されないが転写される配列は、転写されるイントロンが存在し得るようにプロモーター配列とコード配列との間に存在し得、プロモーター配列は、なおコード配列に対し「操作可能に連結される」と考えられる。
核酸分子を説明するために本明細書で使用される場合、「組み換え」は、その由来又は処置のせいで、天然で結び付けられるポリヌクレオチドの全部又は一部と結び付けられないゲノム由来、cDNA由来、ウイルス由来、半合成由来、又は合成由来のポリヌクレオチドを意味する。用語「組み換え」は、タンパク質又はポリペプチドに関して使用される場合、組み換えポリヌクレオチドの発現によって産生されたポリペプチドを意味する。一般に、目的の遺伝子は、更に後述されるように、クローン化され、次に形質転換された生物内で発現する。宿主生物は、発現条件下で外来遺伝子を発現してタンパク質を産生する。
「制御エレメント」は、それが結合されるコード配列の発現を助けるポリヌクレオチド配列を指す。この用語は、プロモーター、転写終結配列、上流制御ドメイン、ポリアデニル化シグナル、非翻訳領域(5’−UTR及び3’−UTR、並びに適切な場合、リーダー配列及びエンハンサーを含む)を含み、宿主細胞内のコード配列の転写及び翻訳を共同して提供する。
本明細書で使用するとき、「プロモーター」は、宿主細胞内でRNAポリメラーゼを結合すること、及びそこに操作可能に連結された下流(3’方向)コード配列の転写を開始することが可能なDNA制御領域である。本発明の目的のために、プロモーター配列は、バックグラウンドより上の検出可能なレベルで目的の遺伝子の転写を開始するのに必要な最小数の塩基又はエレメントを含む。プロモーター配列内にあるのは、転写開始部位、並びに、RNAポリメラーゼの結合に関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)である。真核細胞プロモーターは、多くの場合、ただし常にではないが、「TATA」ボックス及び「CAT」ボックスを含む。
RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、コード配列をmRNAに転写するとき、コントロール配列は、細胞内のコード配列の「転写を指向し」、次にこのmRNAは、コード配列によってコードされたポリペプチドに翻訳される。
「発現カセット」又は「発現構築物」は、目的の配列(複数可)又は遺伝子(複数可)の発現を指向することができる集団を指す。発現カセットは、上述のような、目的の配列(複数可)又は遺伝子(複数可)に(それらの転写を指向するように)操作可能に連結されたプロモーターなどの制御エレメントを含み、多くの場合、同様にポリアデニル化配列を含む。本発明の特定の実施形態において、本明細書に記載された発現カセットは、プラスミド構築物内に含まれ得る。発現カセットの構成要素に加えて、プラスミド構築物はまた、1つ又は2つ以上の選択可能なマーカー、プラスミド構築物を一本鎖DNAとして存在させるシグナル(例えば、M13複製起点)、少なくとも1つの多重クローニング部位、及び「哺乳類」複製起点(例えば、SV40又はアデノウイルス複製起点)も含み得る。
本明細書で使用するとき、「形質転換」は、挿入に使用される方法に関係なく宿主細胞への外因性ポリヌクレオチドの挿入を指す:例えば、直接取り込み、トランスフェクション、感染などによる形質転換。トランスフェクションの特定の方法については、以下を更に参照されたい。外因性ポリヌクレオチドは、非組込型ベクター(例えば、エピソーム)として維持され得るか、又はあるいは宿主ゲノムの中へ組み込まれ得る。
「宿主細胞」は、外因性DNA配列によって、変換された細胞、又は形質転換できる細胞である。
本明細書で使用するとき、「生体サンプル」は、被験体から単離された組織又は流体のサンプルを指し、一般的に被験体又は被験体内に存在する抗原によって産生された抗体を含む。このような抗体及び/又は抗原を含む典型的なサンプルは、当該技術分野において周知であり、血液、血漿、血清、排泄物、尿、骨髄、胆汁、脊髄液、リンパ液、皮膚のサンプル、皮膚、呼吸器、腸、及び尿生殖路の分泌物、涙、唾液、母乳、血液細胞、臓器、生検、並びにまたインビトロ細胞培養構成成分(培地内の細胞及び組織の増殖から得られる条件培地が挙げられるがこれに限定されない)のサンプル(例えば、組み換え細胞及び細胞構成要素)が挙げられるがこれらに限定されない。
「固体担体」は、目的のイムノアッセイで用いられるHCVポリペプチド(及び/又は本発明の組み合わせアッセイにおけるHCV抗原)が共有結合される、又は疎水性吸着などの非共有結合的手段により結合される固体マトリックスを意図する。
「免疫学的に反応性である」又は「免疫反応性」は、問題の抗原が、HCV感染した固体からの生体サンプル内に存在する抗HCV抗体に特異的に反応すること、及び/又は問題の抗HCV抗体が、HCV感染した固体からの生体サンプル内に存在するHCV抗原に特異的に反応することを意味する。
「免疫原性」は、問題の抗原が固体に投与されたとき、免疫反応を誘発することを意図する。
「免疫複合体」は、抗体が抗原上のエピトープに結合するときに形成される結合体を意図する。
本明細書で使用するとき、用語「標識」及び「検出可能な標識」は、検出することができる分子を指し、放射性同位元素、蛍光剤、化学発光剤、発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、発色団、染料、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、又はハプテン)などが挙げられるが、これらに限定されない。用語「蛍光剤」は、検出可能な範囲の蛍光を呈することができる物質又はその一部を指す。本発明のもとで使用され得る標識の特定の実施例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、フルオレセイン、FITC、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、ジメチルアクリジニウムエステル(DMAE)、Texas red、ルミノール、NADPH及びα−、β−ガラクトシダーゼが挙げられるがこれらに限定されない。
II.発明を実施する形態
本発明を詳細に説明する前に、本発明が特定の処方又は処理パラメーターに限定されないこと、したがって当然ながら変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で用いられる専門用語が、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
本明細書で説明されたものと同様又は同等の多数の組成物及び方法が本発明の実施に使用され得るが、好ましい材料及び方法が本明細書に記載される。
上述したように、本発明は、NS4a/改変されたNS3のHCVポリペプチドの使用が、HCV感染を検出するための優れた試薬を提供するという発見に基づいている。NS4a/改変されたNS3ポリペプチドは、立体構造エピトープ、したがって免疫反応性を保持するので、HCV感染の存在を正確かつ効率的に検出するため、単独又は他のHCV試薬との組み合わせで使用することができる。本明細書に記載されたアッセイを使用して、HCVの6個の既知の遺伝子型のいずれかによって生じたHCV感染を検出することができる。NS4a/改変されたNS3ポリペプチドは、早期HCV感染を正確に検出するための診断方法で特に有用である。この方法を使用して、HCVセロコンバージョンの初期の間にHCV感染を検出することができ、これにより検出精度を向上させ、誤った結果の発生率を低減する。
NS4a/改変されたNS3ポリペプチドを、イムノアッセイにおいて単独で、又は同じ若しくは異なるHCV遺伝子型及び単離株(例えば、HCVコア、E1、E2、NS3、5−1−1、c100−3、及びNS5配列の主要エピトープ)からの他のHCV抗原と組み合わせて使用することができる。この方法は、限定するものではないが、例えば、HCV抗原(及び/又は抗HCV抗体)が結合される固体担体を利用するアッセイ形式など後述のいくつかのアッセイ形式のいずれかを用いる単一のアッセイで簡便に実施され得る。
発明の更なる理解のために、より詳細な議論が、NS4a/改変されたNS3ポリペプチド、並びにタンパク質の産生、及びタンパク質を使用する方法に関して以下に提供される。
HCVタンパク質
HCV株のゲノムは、約9,000〜12,000ヌクレオチドの単一のオープンリーディングフレームを含み、これは、ポリタンパク質に転写される。図1及び表1に示されるように、HCVポリタンパク質は、開裂時、次の順序で少なくとも10個の異なる生成物を産生する:NH2−コア−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOH。コアポリペプチドは、HCV−1に対して番号が付された、配列番号1の1〜191位で生じる(HCV−1ゲノムについては、Choo et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451〜2455を参照されたい)。このポリペプチドは、更にプロセシングされて、ほぼ配列番号1のアミノ酸1〜173を有するHCVポリペプチドを産生する。エンベロープポリペプチド、E1及びE2は、大体、配列番号1の192〜383位及び配列番号1の384〜746位でそれぞれ発生する。P7ドメインは、大体、配列番号1の747〜809位で見出される。NS2は、タンパク質分解活性を有する内在性膜タンパク質であり、大体、ポリタンパク質の配列番号1の810〜1026位で見出される。NS2は、NS3(大体、配列番号1の1027〜1657位で見出される)との組み合わせで、NS2−NS3の切断しやすい結合を開裂し、次にNS3のN末端を生成し、セリンプロテアーゼ活性及びRNAヘリカーゼ活性の両方を含む大きなポリタンパク質を放出する。NS3プロテアーゼ(大体、配列番号1の1027〜1207位で見出される)は、残りのポリタンパク質をプロセシングするために役立つ。ヘリカーゼ活性は、大体、配列番号1の1193〜1657位で見出される。NS3は、NS3補因子(大体、配列番号1の1658〜1711位で見出されるNS4a)、2つのタンパク質(大体、配列番号1の1712〜1972位で見出されるNS4b、及び大体、配列番号1の1973〜2420位で見出されるNS5a)、及びRNA依存性RNAポリメラーゼ(大体、配列番号1の2421〜3011位で見出されるNS5b)を遊離させる。ポリタンパク質成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒されたNS3−NS4a接合部での自己触媒的開裂によって開始される。
本発明の改変されたNS3ポリペプチドは、配列番号4においてアミノ酸残基15及び16がイソロイシン(I)の代わりにリシン(K)であるという点において、天然のHCV NS3ドメインに対して変異されている。この親水性アミノ酸残基による疎水性アミノ酸残基の置換は、本発明に従い、より可溶性かつ安定した形態のイムノアッセイ試薬を生成する。
本発明の改変されたNS3ポリペプチドはまた、プロテアーゼ活性を阻害するように変異されていて、その結果、改変されたNS3ドメインを含むポリペプチド(例えば、NS4a/3ポリペプチド)の更なる開裂、並びに改変されたNS3ポリペプチドとの組み合わせで使用される追加のHCVタンパク質の触媒的開裂が阻害される。NS3ポリペプチドは、NS3プロテアーゼドメインの全て又は一部の欠失によって改変され得る。あるいは、タンパク質分解活性は、プロテアーゼドメインの活性領域内でのアミノ酸の置換によって阻害され得る。最終的に、触媒部位が改変されるようなドメインの活性領域へのアミノ酸の付加も、タンパク質分解活性の阻害を助けるだろう。好ましくは、プロテアーゼ活性を低減又は除去するようになされた改変は、天然のNS3又はNS4a/3タンパク質において立体構造エピトープを破壊しない。
上述のように、プロテアーゼ活性は、全長のHCV−1ポリタンパク質に対して番号が付された、大体、配列番号1のアミノ酸1027〜1207位で見出される(Choo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451〜2455を参照されたい)。NS3プロテアーゼ及び活性部位の構造は、周知である。例えば、Lin,「Hepatitis C Viruses:Genomes and Molecular Biology」,Ed.S.L.Tan,Horizon Bioscience(2006)の「HCV NS3−4A Serine Proteases」;Kim et al.,Cell(1996)87:343〜355;Tomei et al.,J Virology(1993)67(7):4017〜4026;De Francesco et al.,Antivir.Ther.(1998)3:99〜109;Koch et al.,Biochemistry(2001)40:631〜640を参照されたい。したがって、天然配列に対する欠失又は改変は、典型的にはその分子の活性部位で、又はその近くで生じるだろう。好ましい改変は、プロテアーゼの活性部位での触媒トライアド、すなわちH、D及び/又はS残基に対するプロテアーゼ不活性化のためのものである。これらの残基は、全長のHCVポリタンパク質に対して番号が付された、配列番号1の触媒トライアドのHis1083、Asp1107、及びSer1165位でそれぞれ生じる(配列番号4のそれぞれ55、79、及び137位)。そのような改変は、免疫反応性を維持しながら、NS3プロテアーゼのタンパク質分解性の開裂活性を抑制する。特に好ましい置換は、本質的に保存的でなく、かつ中性であり、例えば、Ala又はグリシンによる、プロテアーゼドメインの配列番号1の1083、1107、及び1165位(配列番号4のそれぞれ55、79、及び137位)で通常見出されるアミノ酸残基の1つ又は2つ以上の置換などである。当業者は、NS3プロテアーゼの部分を容易に判定して、活性を妨害するために除去することができる。
更に、これらの部位における他の適切なアミノ酸改変は、当業者によって、例えば、De Francesco et al.,Antivir.Ther.(1998)3(Suppl 3):99〜109;及びSchechter and Berger,Biochim.Biophys.Res.Commun.(1967)27:157〜162に記載されるように、周知のHCV NS3プロテアーゼの構造及び機能に基づき容易に判定することができる。特に、NS3プロテアーゼがセリンプロテアーゼであり、タンパク質分解機構が、セリンにより標的されたペプチド結合の求核攻撃に基づいていることは、周知である。多くの場合において、基の求核的性質は、アスパルテートによって「プロトンアクセプター状態」に保持されたヒスチジンの存在によって改善される。整列したセリン、ヒスチジン及びアスパルテートの側鎖は、ほとんどのセリンプロテアーゼに共通の触媒トライアドを構築する。セリンプロテアーゼの活性部位は、ポリペプチド基質が結合する裂溝として形成される。Schechter and Berger,Biochim.Biophys.Res.Commun.(1967)27:157〜162では、ポリペプチド基質(Pi,...,P3,P2,P1,P1’,P2’,P3’,...,Pj)及びそれらの対応する結合サブ部位(Si,...,S3,S2,S1,S1’,S2’,S3’,...,Sj)のN末端からC末端までアミノ酸残基に標識が付けられ、開裂がP1とP1’との間で触媒されることが見出された。NS3プロテアーゼは、キモトリプシン様の折り目を示し、非常に長いペプチド基質(P6〜P4’)の必要条件と一致する非常に長い溶媒曝露の基質結合部位を含む。NS3プロテアーゼは、基質P1位におけるシステイン残基の優先傾向を有する。したがって、上述のような、及び当該技術分野において既知の構造及び機能に基づいて、当業者は、NS3プロテアーゼのタンパク質分解活性を妨害する働きをする他のアミノ酸の置換、付加、及び欠失を容易に決定することができる。
NS3タンパク質分解活性の有無は、当業者らに周知の方法を用いて判定することができる。例えば、プロテアーゼ活性又はその欠如は、実施例に後述された手順を使用して、並びに当該技術分野において周知のアッセイを使用して、決定され得る。例えば、Takeshita et al.,Anal.Biochem.(1997)247:242〜246;Kakiuchi et al.,J.Biochem.(1997)122:749〜755;Sali et al.,Biochemistry(1998)37:3392〜3401;Cho et al.,J.Virol.Meth.(1998)72:109〜115;Cerretani et al.,Anal.Biochem.(1999)266:192〜197;Zhang et al.,Anal.Biochem.(1999)270:268〜275;Kakiuchi et al.,J.Virol.Meth.(1999)80:77〜84;Fowler et al.,J.Biomol.Screen.(2000)5:153〜158;及びKim et al.,Anal.Biochem.(2000)284:42〜48を参照されたい。
HCVポリタンパク質の様々な領域の核酸及びアミノ酸配列を含み、コア、NS2、p7、E1、E2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、NS5b遺伝子及びポリペプチドを含む、多数のHCV株及び単離株の核酸並びにアミノ酸配列が判定されている。例えば、単離株HCV J1.1は、Kubo et al.(1989)Japan.Nucl.Acids Res.17:10367〜10372;Takeuchi et al.(1990)Gene 91:287〜291;Takeuchi et al.(1990)J.Gen.Virol.71:3027〜3033;及びTakeuchi et al.(1990)Nucl.Acids Res.18:4626に記載される。2つの独立した単離株、HCV−J及びBKの完全なコード配列は、Kato et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9524〜9528及びTakamizawa et al.,(1991)J.Virol.65:1105〜1113によってそれぞれ記載される。
HCV−1単離株を記載する刊行物としては、Choo et al.(1990)Brit.Med.Bull.46:423〜441;Choo et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451〜2455、及びHan et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1711〜1715が挙げられる。HCV単離株HC−J1及びHC−J4は、Okamoto et al.(1991)Japan J.Exp.Med.60:167〜177に記載される。HCV単離株HCT 18(およそ)、HCT 23、Th、HCT 27、EC1及びEC10は、Weiner et al.(1991)Virol.180:842〜848に記載される。HCV単離株Pt−1、HCV−K1、及びHCV−K2は、Enomoto et al.(1990)Biochem.Biophys.Res.Commun.170:1021〜1025に記載される。HCV単離株A、C、D、及びEは、Tsukiyama−Kohara et al.(1991)Virus Genes 5:243〜254に記載される。
本発明に従いNS4a/改変されたNS3ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2に示される。配列は、N末端からC末端の方向で、N末端Metを含み、アミノ酸2〜14は、NS4aであり、介在するアミノ酸SGSが続き、改変されたNS3であるアミノ酸18〜646が続く(アミノ酸32及び33はリシンであり、アミノ酸154はアラニンである)。
抗HCV抗体
抗HCV抗体(同じ又は異なるHCVドメインエピトープに対して指向される)は、例えば、HCV抗コア抗体を含み得る。本発明において有用な特定の抗コア抗体の実施例は、抗体分子、例えば、配列番号1のアミノ酸10〜53、配列番号1のアミノ酸10〜45、配列番号1のアミノ酸67〜88、配列番号1のアミノ酸120〜130の間で見出されるコア領域内のエピトープに対して指向されるモノクローナル抗体、又は、例えば、米国特許第6,630,298号;米国特許第6,150,087号;米国特許第6,346,375号;Houghtonら、米国特許第5,350,671号;Chien et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011〜10015;Chien et al.,J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33〜39;Chienら、国際公開第93/00365号;及びChien,D.Y.、国際公開第94/01778号(これらの開示は、本明細書に全体にわたり参照により組み込まれる)で同定されるコアエピトープのいずれかに対して指向される抗体などが挙げられるが、これらに限定されない。
図6に示される本発明の一実施形態では、迅速な捕捉リガンドイムノアッセイが、NS4a/改変されたNS3ポリペプチドを使用して実行される。サンプルは、抗原と混ぜ合わされ、この抗原は、更に後述されるように固体担体上に存在し得る。サンプルがHCVに感染している場合、固体担体上に存在するそれらのエピトープに対するHCV抗体は、固体担体成分に結合する。検出は、検出可能なマーカー(図6に示されるように西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)など)の抗原/抗体複合体のメンバーへの接着による。接着は、共有結合的手段によってもよく、若しくはその後の標準サンドイッチアッセイにおけるような検出可能に標識された抗体の結合によってもよく、又は酵素反応によってもよく、この反応の生産物は検出可能である。検出可能なマーカーとして、発色団、抗体、抗原、酵素、その開裂生成物が検出可能である酵素反応性化合物、ローダミン若しくはローダミン誘導体、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、蛍光剤化合物、化学発光化合物(ジメチルアクリジニウムエステル(DMAE)など)、これらのマーカーの誘導体及び/又は組み合わせを挙げることができるがこれらに限定されない。ヒトIgG分子の存在を検出することができる、検出可能に標識された抗ヒト抗体は、都合よく使用することができる。
図7に示される本発明の更なる実施形態では、迅速な捕捉リガンドイムノアッセイが、NS4a/改変されたNS3ポリペプチド及び抗HCV抗体を使用して実行される。サンプルは、ポリペプチド及び抗HCV抗体と混ぜ合わされ、これらは、更に後述されるように固体担体上に存在し得る。サンプルがHCVに感染している場合、固体担体上に存在するそれらのエピトープに対するHCV抗体は、固体担体成分に結合し、固体担体上の抗体エピトープに免疫学的に反応性であるHCV抗原もまた固体担体成分に結合する。検出は、検出可能なマーカー(図7に示されるように西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)など)の抗原/抗体複合体のメンバーへの接着による。接着は、共有結合的手段によってもよく、若しくはその後の標準サンドイッチアッセイにおけるような検出可能に標識された抗体の結合によってもよく、又は酵素反応によってもよく、この反応の生産物は検出可能である。検出可能なマーカーとして、発色団、抗体、抗原、酵素、その開裂生成物が検出可能である酵素反応性化合物、ローダミン若しくはローダミン誘導体、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、蛍光剤化合物、化学発光化合物(ジメチルクリジニウムエステル(DMAE)など)、これらのマーカーの誘導体及び/又は組み合わせを挙げることができるがこれらに限定されない。ヒトIgG分子の存在を検出することができる、検出可能に標識された抗ヒト抗体は、都合よく使用することができる。
そのようなアッセイは、HCVに感染した個体の生体サンプルに存在し得る、HCV抗原及びHCV抗体の両方を検出することができるHCV組み合わせアッセイである。
HCV抗原の産生
上述のように、本発明の分子は、一般に、組み換え的に産生される。したがって、本発明で使用するHCV抗原をコードするポリヌクレオチドは、分子生物学の標準技術を使用して作製され得る。例えば、上述の分子をコードするポリヌクレオチド配列は、例えば、その遺伝子を発現する細胞からcDNAライブラリー及びゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって、又はその遺伝子を含むことが知られているベクターからその遺伝子を誘導することによってなど、組み換え法を使用して得ることができる。更に、所望の遺伝子は、Houghtonら、米国特許第5,350,671号などで、当該技術分野において記載される技術を使用してウイルス核酸分子から直接単離することができる。目的の遺伝子はまた、クローン化されるのではなく合成的にも産生され得る。この分子を、特定の配列用に適切なコドンで設計することができる。次に完全な配列は、標準手法によって調製された重複オリゴヌクレオチドからアセンブリされ、完全なコード配列にアセンブリされる。例えば、Edge(1981)Nature 292:756;Nambair et al.(1984)Science 223:1299;及びJay et al.(1984)J.Biol.Chem.259:6311を参照されたい。
したがって、特定のヌクレオチド配列は、所望の配列を有するベクターから得ることができる、又は適切な場合、例えば、部位特異的突然変異誘発及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術などの当該技術分野において周知の様々なオリゴヌクレオチド合成技術を使用して完全に若しくは部分的に合成することができる。例えば、上記Sambrookを参照されたい。特に、所望の配列をコードするヌクレオチド配列を得る1つの方法は、従来の核酸自動合成装置で産生された重複合成オリゴヌクレオチドの補集合をアニールし、続けて適切なDNAリガーゼによるライゲーション、及びPVRを介してライゲーションされたヌクレオチド配列の増幅を行うことによるものである。例えば、Jayaraman et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4084〜4088を参照されたい。加えて、オリゴヌクレオチド指向性合成(Jones et al.(1986)Nature 54:75〜82)、既存のヌクレオチド領域のオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発(Riechmann et al.(1988)Nature 332:323〜327及びVerhoeyen et al.(1988)Science 239:1534〜1536)、及びT.sub.4 DNAポリメラーゼを用いるギャップの付いたオリゴヌクレオチドの酵素的充填(Queen et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029〜10033)を本発明の下で使用して、変化した若しくは強化された抗原結合能力及び/又は低減した免疫原性を有する分子を提供することができる。
NS3、又は他のHCV抗原などの所望のヌクレオチド配列の突然変異体又は類似体を産生する方法は、周知である。例えば、Dasmahapatraら、米国特許番号第5,843,752号、及びZhangら、同第5,990,276号を参照されたい。イムノアッセイで用いる改変されたNS3及び他のHCVタンパク質は、目的のポリペプチドをコードする配列の一部の欠失により、配列の挿入により、及び/又は配列内の1つ又は2つ以上のヌクレオチドの置換により、調製され得る。ヌクレオチド配列を改変するための技術(例えば、部位特異的突然変異誘発など)は、当業者に周知である。例えば、上記Sambrookら;Kunkel,T.A.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:448;Geisselsoder et al.(1987)BioTechniques 5:786;Zoller and Smith(1983)Methods Enzymol.100:468;Dalbie−McFarland et al.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci USA 79:6409を参照されたい。
ひとたびコード配列が調製されるか又は単離されると、そのような配列を、任意の好適なベクター又はレプリコンの中にクローン化することができる。多くのクローニングベクターは、当業者らに周知であり、適切なクローニングベクターの選択は、選択できる問題である。好適なベクターとしては、適切な制御エレメントと関連付けられたときに複製することができるプラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、又はウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
次にコード配列を、発現に使用される系に依存して好適な制御エレメントの制御下に置く。したがって、目的のDNA配列が好適な形質転換体によってRNAに転写されるように、コード配列を、プロモーター、リボソーム結合部位(細菌発現のため)、及び所望により作動因子、の制御下に置くことができる。コード配列は、翻訳後プロセシングにおいて、後で宿主によって除去することができるシグナルペプチド又はリーダー配列を含んでも含まなくてもよい。例えば、米国特許第4,431,739号;同第4,425,437号;同第4,338,397号を参照されたい。
コントロール配列に加えて、宿主細胞の増殖に対して配列の発現の調整を可能にする調節配列を追加することが望ましい場合がある。調節配列は、当業者らに周知であり、例として、制御化合物の存在を含む化学的又は物理的刺激に応答して遺伝子の発現をオンオフさせる調節配列が挙げられる。他のタイプの制御エレメントもまたベクター内に存在してもよい。例えば、エンハンサーエレメントは、構築物の発現レベルを向上させるために本明細書で使用され得る。例として、SV40初期遺伝子エンハンサー(Dijkema et al.(1985)EMBO J.4:761)、Rous Sarcoma Virusの長端末反復(LTR)由来のエンハンサー/プロモーター(Gorman et al.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777)及びヒトCMV由来のエレメント(Boshart et al.(1985)Cell 41:521)(例えば、CMVイントロンA配列に含まれるエレメントなど(米国特許第5,688,688号))が挙げられる。発現カセットは、好適な宿主細胞における自律複製のための複製起点、1つ又は2つ以上の選択可能マーカー、1つ又は2つ以上の制限部位、高いコピー数の潜在能力、及び強力なプロモーターを更に含み得る。
発現ベクターは、特定のコード配列が適切な調節配列と共にベクター内に位置するように構築され、コード配列の位置及び向きは、コード配列がコントロール配列の「制御」下で転写されるようなものである(すなわち、コントロール配列でDNA分子に結合するRNAポリメラーゼは、コード配列を転写する)。目的の分子をコードする配列の改変が、この結果を得るために望ましい場合がある。例えば、場合によっては、適切な向きでコントロール配列に接着することができるように(すなわち、読み枠を維持するために)、配列を改変することが必要な場合がある。コントロール配列及び他の調節配列は、ベクターへの挿入の前にコード配列にライゲーションされてもよい。あるいは、コード配列は、コントロール配列及び適切な制限部位を既に含む発現ベクター内に直接クローン化することができる。
分子は、昆虫、哺乳類、細菌、ウイルス、及び酵母の発現系を含む、広範な種類の系で発現することができ、これらは全て当該技術分野において周知である。例えば、バキュロウイルス系などの昆虫細胞発現系は、当業者らに周知であり、例えば、Summers and Smith,Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)に記載されている。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系の材料及び方法は、キット形式で、とりわけ、Invitrogen(San Diego,Calif.)から市販されている(「MaxBac」キット)。同様に、細菌及び哺乳類の細胞発現系は、当該技術分野において周知であり、例えば、上記Sambrookらに記載されている。酵母発現系もまた、当該技術分野において周知であり、例えば、Yeast Genetic Engineering(Barr et al.,eds.,1989)Butterworths,Londonに記載されている。
上記の系で使用するための多数の適切な宿主細胞もまた周知である。例えば、哺乳類細胞株は、当該技術分野において周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株を含む(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎培養細胞(COS)、ヒト胎児由来腎臓細胞、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、メイディンダービーウシ腎臓(「MDBK」)細胞、並びにその他であるが、これらに限定されない)。同様に、細菌宿主(例えば、E.coli、Bacillus subtilis、及びStreptococcus spp)は、本発現構築物との使用を見出すだろう。本発明における有用な酵母宿主としては、とりわけ、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、Candida maltosa、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Pichia guillerimondii、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombe、及びYarrowia lipolyticaが挙げられる。バキュロウイルス発現ベクターと共に使用する昆虫細胞としては、とりわけ、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperda、及びTrichoplusia niが挙げられる。
目的のヌクレオチド配列を含む核酸分子は、当該技術分野において周知の様々な遺伝子送達技術を用いて、宿主細胞ゲノムの中に安定的に組み込むことができ、又は好適な宿主細胞内で安定したエピソームエレメント上に維持することができる。例えば、米国特許第5,399,346号を参照されたい。
選択された発現系及び宿主に応じて、分子は、上述の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を成長させることによってタンパク質が発現する条件下で産生される。発現したタンパク質を次に宿主細胞から単離し、精製する。発現系が、増殖培地中にタンパク質を分泌する場合、生産物を培地から直接精製することができる。分泌しない場合、これを細胞可溶化物から単離することができる。適切な増殖条件及び回収方法の選択は、当業者の技能の範囲内である。
様々なHCV抗原の組み換え産生が、説明されている。例えば、国際公開第94/01778号、同第93/00365号、同第04/00547号、及び同第01/38360号;米国特許第5,350,671号、同第5,683,864号、同第6,346,375号、同第6,150,087号、同第6,514,731号、同第6,428,792号、及び同第6,632,601号;Chien et al.,J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33〜39;Chien,D.Y.,国際公開第94/01778号;Chien et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011〜10015;(それらの全ての開示を全体にわたり参考として引用し、本明細書に組み込む)を参照されたい。NS4a/改変されたNS3ポリペプチドを産生する好ましい方法を以下に説明する。
免疫診断アッセイ
ひとたび産生されると、そのHCV抗原を、周知の抗原を使用する実質的に任意のアッセイ形式で使用して、抗体を検出することができる。これらのアッセイ全ての共通の特徴は、サンプル中に存在する任意のそのような抗体に、抗原が結合することを可能にする条件下で、抗原を、HCV抗体を含むと疑われる生体サンプルと接触させることである。そのような条件は、典型的には、過剰の抗原を使用した、生理的な温度、pH、及びイオン強度であろう。抗原の検体によるインキュベーションの後に、抗原からなる免疫複合体の検出が続く。
イムノアッセイの設計は、大きな変動の対象であり、多くの形式が当該技術分野において周知である。プロトコルは、例えば、固体担体、又は免疫沈降を使用してもよい。ほとんどのアッセイは、標識された抗体又はポリペプチドの使用を伴う;この標識は、詳細に上述されたように例えば、酵素分子、蛍光分子、化学発光分子、放射能分子、又は色素分子であってもよい。免疫複合体からのシグナルを増幅するアッセイも周知である;その例は、ビオチン及びアビジンを利用するアッセイ、並びに酵素標識及び酵素媒介イムノアッセイ(例えば、ELISAアッセイなど)である。
イムノアッセイは、制限なしに、不均一形式若しくは均一形式で、かつ標準型又は競合型のものであってもよい。不均一形式では、ポリペプチドは、典型的に固体マトリックス又は固体担体に結合されて、インキュベーション後のポリペプチドからのサンプルの分離を促進する。固体担体は、この発明の目的のために、不溶性マトリックスである任意の材料であり得、剛体面又は半剛体面を有し得る。代表的な固体担体として、ニトロセルロースのような基質(例えば、膜又はマイクロタイターウェル形態で);ポリ塩化ビニル(例えば、シート又はマイクロタイターウェル);ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズ又はマイクロタイタープレート);ポリビニリデンフルオリド;ジアゾ化紙;ナイロン膜;活性化ビーズ、磁気応答性ビーズなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の担体としては、プレート、ペレット、ディスク、毛管、中空繊維、針、ピン、中実繊維、セルロースビーズ、細孔ガラスビーズ、シリカゲル、必要に応じてジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンビーズ、グラフトコポリビーズ、ポリアクリルアミドビーズ、ラテックスビーズ、必要に応じてN−N’−ビス−アクリロイルエチレンジアミンで架橋されたジメチルアクリルアミドビーズ、及び疎水性ポリマーでコーティングされたガラス粒子が挙げられる。
必要に応じて、固体担体に追加されるべき分子を、容易に官能化して、スチレン部分又はアクリレート部分を作製することができ、このようにしてポリスチレン、ポリアクリレート若しくは他のポリマー、例えばポリイミド、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリビニル、ポリジアセチレン、ポリフェニレン−ビニレン、ポリペプチド、多糖類、ポリスルホン、ポリピロール、ポリイミダゾール、ポリチオフェン、ポリエーテル、エポキシ、シリカガラスシリカゲル、シロキサン、ポリホスフェート、ハイドロゲル、アガロース、セルロースなどへのこの分子の取り込みを可能にする。
アッセイにおいて、例えば、NS4a/改変されたNS3ポリペプチド及び別のHCV抗原など1種より多いHCV抗原が使用される場合、抗原を、同じ固体基質又はアッセイで組み合わされる異なる固体基質上に提供することができる。したがって、例えば、抗原は、別個の実体として、例えばプレート上に存在し得、又は、例えば目的のアッセイで使用するために共に追加される個々のマイクロビーズ上に存在し得る。
1つの状況では、図6に示されるように、固体担体は、分子が担体に十分に固定されるような好適な結合条件下で最初にNS4a/改変されたNS3ポリペプチド(本明細書では集合的に「固相成分」と呼ばれる)などのHCV抗原と反応する。時として、担体への固定は、抗原のより良好な固相結合特性を有するタンパク質への最初のカップリングによって強化することができる。好適なカップリングタンパク質として、マクロ分子、例えばウシ血清アルブミン(BSA)を含む血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシニアン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミン、及び当業者に周知である他のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。分子を担体に結合するために使用され得る他の試薬は、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸コポリマーなどが挙げられる。そのような分子及びこれらの分子を抗原にカップリングする方法は、当業者に周知である。例えば、Brinkley,M.A.(1992)Bioconjugate Chem.3:2〜13;Hashida et al.(1984)J.Appl.Biochem.6:56〜63;及びAnjaneyulu and Staros(1987)International J.of Peptide and Protein Res.30:117〜124を参照されたい。
固体担体を固相成分と反応させた後、任意の非固定化固相成分は、洗浄によって担体から除去され、担体に結合した成分を、次に好適な結合条件下で、HCV抗体を含むと疑われる生体サンプル(本明細書では集合的に「リガンド分子」と呼ばれる)と接触させる。HCV抗体がサンプル中に存在する場合、これらは、HCV抗原と共に複合体を形成するだろう。任意の非結合リガンド分子を除去するために洗浄した後、抗HCV抗体上のエピトープを認識する抗異種(例えば、抗ヒト)抗体など、検出可能に標識された抗体を追加する。これらの抗体は、複合体形成によって結合する。
当該技術分野において周知である、更なるアッセイ形式では、ストレプトアビジンでコーティングされた固体担体は、改変されたNS3に結合するビオチン標識抗体と反応する。生体サンプルを、好適な結合条件下で追加する。HCV抗体がサンプル中に存在する場合、これらは、HCV抗原と共に複合体を形成するだろう。任意の非結合リガンド分子を除去するために洗浄した後、検出可能に標識された抗体を上述のように添加する。
均一形式では、テストサンプルを、溶液中の抗原の組み合わせと共にインキュベートする。例えば、形成される任意の抗原抗体複合体を沈降させる条件下にあってもよい。均一アッセイに関する標準形式及び競合形式の両方が、当該技術分野において周知である。
標準形式では、抗体抗原複合体を形成するHCV抗体の量を直接監視する。これは、抗HCV抗体上のエピトープを認識する標識された抗異種(例えば、抗ヒト)抗体が、複合体形成が原因で結合するかどうかを決定することによって達成され得る。競合形式では、サンプル内のHCV抗体の量が、複合体における既知の量の標識抗体(又は他の競合するリガンド)の結合で競合効果を監視することによって推定される。
より具体的には、抗HCV抗体(又は、競合アッセイの場合、競合する抗体の量)を含んで形成される複合体は、形式に依存して、多数の周知の技術のいずれかによって検出される。例えば、複合体における未標識HCV抗体は、標識(例えば、酵素標識)と複合された抗異種Igの抱合体を使用して検出することができる。免疫沈降又は凝集アッセイの形式において、HCV抗原と抗体との間の反応は、溶液又は懸濁液から沈降するネットワークを形成し、沈降物の可視層又は薄膜を形成する。生体サンプル中に抗HCV抗体が存在しない場合は、可視の沈降物は形成されない。結合された抗体及び抗原を有するイムノアッセイ固体担体、並びに捕捉したサンプルと反応することになる抗体及び抗原を含む上述のアッセイ試薬は、上述のようにイムノアッセイを行うために好適な指示書及び他の必要な試薬と共にキットで提供され得る。そのキットは、通常、抗原及び/又は抗体の組み合わせ(固体担体に結合されていても、固体担体に結合するための試薬と別でもよい)、コントロール抗体及び/又は抗原の処方物(陽性及び/又は陰性)、アッセイ形式が標識抗体及び/又は抗原を要求する場合の標識抗体及び/又は抗原、並びに標識がシグナルを直接生成しない場合のシグナル生成試薬(例えば、酵素基質)を別個の容器で含む。アッセイを実行するための指示書(例えば、文書、テープ、VCR、CD−ROMなど)は、通常キットの中に含まれるであろう。キットは、使用される特定のイムノアッセイに応じて、他のパッケージ試薬及び材料(すなわち洗浄緩衝液など)も含む場合がある。上述されたような標準イムノアッセイは、これらのキットを使用して実行することができる。
同様に、抗HCV抗体はまた、抗体を検出するための周知の抗原と組み合わせて、抗原を検出するための周知の抗体を使用する実質上任意のアッセイ形式で使用され得る。図7に示されるように、固体担体は、HCV抗原(NS4a/改変されたNS3ポリペプチドとして示される)と反応し、また抗HCVコア抗体とも反応する。
III.実験
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の実施例である。実施例は、例示の目的のみで提供され、いかなるようにも本発明の範囲を限定することを意図しない。
使用された数字(例えば、量、温度など)に対する精度を確保する努力がなされたが、ある程度の実験誤差及び偏差は、当然ながら許容されるべきである。
C型肝炎ウイルス特異抗体の早期発見のためにイムノアッセイの感度を向上させるためのNS4a/改変されたNS3ポリペプチド立体構造抗原のクローニング、発現、及び精製。
S.cerevisiae(AD3株)における直接発現のためにHCV NS4a/NS3.KK変異体セリンプロテアーゼの遺伝子組み換えを行った。発現カセットを、pBS24.1酵母発現ベクター内にクローン化した(図2)。pBS24.1酵母シャトルベクターは、酵母における自律複製のための2μ配列、並びに選択可能マーカーとして酵母遺伝子leu2−d及びURA−3を含む。βラクタマーゼ遺伝子及びColE1複製起点は、細菌におけるプラスミド複製に必要である。抗原/タンパク質は、ハイブリッドADH2/GAPDHプロモーターの制御下で発現する。NS4a/NS3.KK変異体抗原(図3参照)は、可撓性SGS(Ser−Gly−Ser)配列を通してNS3のN末端に接着されるNS4aタンパク質の13aaセグメント(最小ドメインと呼ばれる)を利用する。この配列は、NS4aを、プロテアーゼ内部のポケットの中に折り畳み、酵素的に活性な分子を作製することができるようにする。NS3プロテアーゼ活性による自己加水分解を回避するために、プロテアーゼの触媒トライアドの(配列番号1の)Ser1165を、米国特許第7,491,808B2で以前に説明されたように、Alaに変異させた。加えて、1組の帯電したLys残基を、プロテアーゼのN末端上に導入し(配列番号1のHCV aa1043及び1044)、Ile残基を置換して、精製されたNS4a/NS3分子の可溶性を向上させた。米国特許第7,491,808B2号に記載されるNS3ドメインは、Tyr1428Pro及びSer1429Ile(配列番号1を基準として)に突然変異を有する(PI突然変異と省略され、プロテアーゼ開裂部位を除去するために導入された)。これらのPI突然変異は、セリンプロテアーゼの活性が除去されているので、本明細書では、NS4a/NS3.KK変異体内で除去され、天然のHCV1a配列、Tyr1428及びSer1429に戻される。配列番号1の1428位でのPro置換は、NS4a/NS3分子の立体構造の不安定化効果を及ぼした恐れがある。
図4は、発現プラスミドpd.4a.t.ns3.1165.KK(配列番号2)の環状マップを示す。
クローニング。
3つの突然変異(Ile1043Lys、Ile1044Lys、Ser1165Ala)を有するNS4a−ターン−NS3をコードするプラスミドpd.4a.t.ns3.1165.KKを以下のように4工程の手順で生成した。
最初に、次のDNA断片を共にライゲーションした:(a)米国特許第7,491,808号に記載されるように、pSP72.HindIII−Cla.4a.t.ns3.1165#14から調製されたAvr2−ClaI脱リン酸化ベクター、(803bpのHindIII−ClaI挿入は、配列番号5:ACAAAACAAAの配列、イニシエーターATG、引き続きNS4のaa 1678〜1690のためのコドン、Ser−Gly−Serターン配列及びNS3 aa 1029〜1274(配列番号1を基準として)を提供する。アミノ酸1165を、SerからAlaに変異させた。pSP72は、Promega(Madison,WI),GenBank/EMBLアクセッション番号X65332から入手される市販のベクターである);(b)Avr2−BglI制限末端を有し、HCV aa 1040〜1046をコードする、かつ所望のIle1043Lys及びIle1044Lys突然変異を導入する合成オリゴヌクレオチド、AB−1及びAB−2;(c)pSP72.HindIII−Cla.4a.t.ns3.1165#14からゲル精製した683bpのBglI−ClaI DNAフラグメント;BglI−ClaIフラグメントは、HCV NS3 aa 1046〜1274をコードする。
AB−1
配列番号6:CTAGGGTGCAAGAAGACCAGCCTAAC
AB−2
配列番号7:AGGCTGGTCTTCTTGCACC
ライゲーション混合物をHB101コンピテントセルに形質転換し、100ug/mLアンピシリンを含むLuria寒天プレート上に平板培養した。個々のクローンのMiniprep解析は、推定される陽性の同定を導き、それらは増幅され、配列決定された。正しい配列を有するクローンは、pSP72.HindIII−Cla.4a.t.ns3.1165.KK#1と命名された。プラスミドのアリコートを、続いてE.coli株SCS110に形質転換して、後続のクローニング工程で必要とされるClaI制限部位をブロックするdamメチル化を回避した。(pT7HCVは、ChooらのHCVの配列番号1とは、アミノ酸残基9が、Kの代わりにRであり、アミノ酸残基11が、Nの代わりにTであるという点だけが異なる。)
2番目に、天然のHCV1a配列(配列番号1)のNS3 aa 1274〜1657のためのコドンを提供するClaI−SalIフラグメントをクローニングする目的のために次のDNA断片を共にライゲーションした:(a)pSP72から調製されたHindIII−SalI脱リン酸化ベクター;(b)pSP72.HindIII−Cla.4a.t.ns3.1165#14から調製された803bpのHindIII−ClaI制限フラグメント;(c)米国特許第7,449,566(B2)号に記載されるように、NS3 aa 1274〜aa 1647をコードする、pT7HCVから調製された、HCV1aゲノム全体(配列番号1を参照)を包含するpUC18構築物である、1121bpのClaI−AvaIII制限フラグメント(以下もまた参照されたい:Michael Vajdy et al.,J of General Virology,2006:87,p.2253〜2262;(d)aa 1657までのNS3配列を完成させ、また2つの終止コドンをコードする、2つのAvaIII−SalIオリゴヌクレオチド、avsal−1及びavsal−2)。
avsal−1
配列番号8:TGTCGGCCGACCTGGAGGTCGTCACGTGATAAG
avsal−2
配列番号9:TCGACTTATCACGTGACGACCTCCAGGTCGGCCGACATGCA
ライゲーション混合物をHB101コンピテントセルに形質転換し、100ug/mLアンピシリンを含むLuria寒天プレート上に平板培養した。個々のクローンのMiniprep解析は、推定される陽性の同定を導き、それらは増幅され、配列決定された。正しい配列を有するクローンは、pSP72.4a.t.ns3.1165#2と命名された。プラスミドのアリコートを、続いてE.coli株SCS110に形質転換して、ClaI制限部位をブロックするdamメチル化を回避した。
3番目に、酵母発現ベクターの中に直接クローニングする試みが失敗したので、サブクローニングベクターの中に4a.t.ns3.1165.KKコード配列全体をクローニングする目的のために次のDNA断片を共にライゲーションした:(a)pSP72から調製されたHindIII−SalI脱リン酸化ベクター;(b)pSP72.HindIII−Cla.4a t.ns3.1165.KK#1からの803bpのHindIII−ClaIフラグメント;(c)pSP72.4a.t.ns3.1165#2からの1158bpのClaI−SalIフラグメント。ライゲーション混合物をHB101コンピテントセルに形質転換し、100ug/mLアンピシリンを含むLuria寒天プレート上に平板培養した。個々のクローンのMiniprep解析は、pSP72.4a.t.ns3.1165.KK#3と命名された陽性クローンの同定を導いた。
最後に、酵母発現プラスミドを作製するために次のDNA断片を共にライゲーションした:(a)BamHI−SalI脱リン酸化pBS24.1酵母発現ベクター;(b)酵母ハイブリッドプロモーターADH2/GAPDHのための1366bpのBamHI−HindIIIフラグメント;(c)pSP72.4a.t.ns3.1165.KK#3からの1961bpのHindIII−SalIフラグメント。ライゲーション混合物を、HB101コンピテントセルに形質転換した。ミニスクリーン解析後、予想される3325bpのBamHI−SalI制限フラグメントを有するクローンは、pd.4a.t.ns3.1165.KK#7として同定された(図4)。
酵母形質転換。
S.cerevisiae株AD3(MATa,leu2,ura3−52,prb1−1122,pep4−3,prc1−407,gal2,[cir0],:pDM15(pGAP/ADR1:G418R),:Yip5ΔleuAD)を、S.c.EasyComp Transformation Kit(Invitrogen,(Carlsbad,CA)より入手される)を使用して、pd.4a.t.ns3.1165.KK #7によって形質転換した。ウラシルを含まない寒天プレートで増殖された形質転換体(8%グルコースを用いたUra−寒天プレート)を、単一のコロニーについて画線し、Leu−8%グルコース寒天プレート上にパッチして、プラスミドコピー数を増加させた。7.1%グルコースを含有するLeu−液体スターター培養物を30℃で24時間にわたり増殖させ、次に、YEPD(1%酵母抽出物、2%バクトペプトン、2%グルコース)培地に1:20に希釈した。細胞を30℃で48時間及び25℃で増殖させた。発現をテストするために、細胞のアリコートを、溶解緩衝液中でガラスビーズを用いて溶解した。組み換えタンパク質は、クマシーブルー染色によって検出され、モノクローナル抗体の抗C33C 4D−1を使用した免疫ブロット解析によって確認されたように酵母において高レベルで発現した。(この抗体は、Sansan Lin et.al,Journal of Clinical Microbiology,Aug.2005,p.3917〜3924に記載されている。)
組み換えHCV 4a.t.NS3.1165.KKタンパク質の精製(ターン変異体KKを「TMKK」とする)。
TMKKタンパク質(NS4a/改変されたNS3ポリペプチド)を次のように精製した:NS4a.t.NS3.1165KKターン変異体を発現するS.cerevisiae細胞を、回収し、溶解緩衝液中(50mM Tris−Cl pH8.0、10mM EDTA、Roche Completeプロテアーゼ阻害剤錠剤)に懸濁させ、Dyno−Mill(Wab Willy A.Bachofon(Basel,Switzerland))又は同等の装置内で、ガラスビーズを、細胞:緩衝液:0.5mmガラスビーズを1:1:1の比で使用して溶解した。35分間の溶解後、可溶化物のサンプルを顕微鏡法によって視覚的に検査して、細胞破損が少なくとも95%完了したことを確認した。可溶化物を採取して、17,700×gで30分間4℃にて遠心分離し、可溶性タンパク質を含むペレットを、抽出緩衝液(50mM Tris−Cl pH8.0、1M NaCl、10mM EDTA;2mL/初期細胞ペレットの重量g)に追加し、ビーカー内で30分間室温にて撹拌した。この懸濁液を、30,100×gで30分間4℃にて遠心分離し、可溶化されたTMKKを含む上澄を、更なる精製のために採取した。
固体硫酸アンモニウムをこの上澄に30%の濃度まで追加して、氷上で3時間撹拌した。沈降物を、30,100×gで30分間4℃での遠心分離によって採取した。ペレットを1×PBS(0.5mL/gm開始ペレット重量)に再懸濁し、30分間室温で撹拌し、次に希釈緩衝液#1(50mM Tris−Cl pH7.5、50mM NaCl、5mM DTT、10%グリセロール)で4倍に希釈した。希釈された懸濁液を静かに一晩4℃にて撹拌した。
一晩の撹拌後、この懸濁液を、30,100×gで4℃にて遠心分離した。上澄を採取し、希釈緩衝液#2(50mM MES pH6.0、5mM DTT、0.02% Tween−20、10%グリセロール)で2倍に希釈し、SP Sepharose Fast Flow ion exchange column(GE Healthcare)に適用した。ローディングが完了すると、カラムをSPカラム緩衝液(50mM MES pH6.0、37.5mM NaCl、5mM DTT、0.02% Tween−20、10%グリセロール)で洗浄し、カラム緩衝液中で最大0.7Mまで増加するNaCl勾配を用いてTMKKをカラムから溶出した。画分を、クマシー染色されたSDS PAGEゲルの目視検査に基づきプールした。
SP Sepharose精製したTMKKを含むプールを、希釈緩衝液#3(50mM Tris−Cl pH8.0、5mM DTT、10%グリセロール)で2倍に希釈し、pHを8.0に調節した。サンプルを、カラム緩衝液(50mM Tris−Cl pH8.0、150mM NaCl、5mM DTT、0.02% Tween−20、10%グリセロール)中で平衡化されたhydroxyapatite type II column(Bio−Rad)に適用した。ローディングが完了すると、カラムを200mM NaClを含むカラム緩衝液で洗浄した。280nmで測定された吸光度が基準に戻るまでロード及び洗浄の画分を採取した。カラムは、再生緩衝液(500mM NaPO4 pH7.0、150mM NaCl、5mM DTT、0.02% Tween−20、10%グリセロール)で剥離された。画分を、SDS−PAGEによって解析し、精製されたTMKKタンパク質を含む流れる画分及び洗浄の画分をプールした。30kDのカットオフコンセントレーターを使用してプールを1〜2mg/mLに濃縮し、−80℃で保存した。
試薬の調製(1)
精製水に、リン酸水素二ナトリウムを1.627g/L、リン酸二水素二ナトリウムを1.162g/L、塩化ナトリウムを29.22g/L、エデト酸二ナトリウムを0.336g/L、カゼインナトリウムを1.0g/L、及びProClinを0.5mL/L添加して、pHを約7.3に調節することによって、ベース緩衝液を調製した。好適な量の上記ベース緩衝液に、TWEEN20(商標)を5mL/L、SDS溶液(1%)を20mL/L、酵母抽出物を0.5g/L、及びBSA溶液(30%)を10g/L添加して、pHを6.4に調節し、結果として得られた溶液を、0.22μmのメンブランフィルタを通過させることによって、サンプル希釈剤を調製した。
同じ方法で、精製水に、リン酸二水素ナトリウムを3.28g/L、リン酸カリウムを13.28g/L、塩化ナトリウムを17.56g/L、エデト酸二ナトリウムを0.372g/L、Dextran T2000を10g/L、スクロースを10g/L、PVP(k=30)を10g/L、ProClinを0.5mL/L、BSAを20g/L、カゼインナトリウムを3g/L、不活性化ウマ血清を20mL/L、不活性化マウス血清を10mL/L、TRITON X−100(商標)を10mL/L、C14APSを3g/L、及びC16TABを2g/L添加して、pHを約7.2に調節し、結果として得られた溶液を、0.22μmのメンブランフィルタを通過させることによって、マーカー緩衝液を調製した。
精製水に、無水クエン酸を4.936g/L、及びリン酸水素二ナトリウムを6.895g/L溶解して、pHを約4.9に調節し、結果として得られた溶液を、0.22μmのメンブランフィルタを通過させることによって、基質緩衝液を調製した。13mg錠剤のo−フェニレンジアミン二塩酸塩を、6mLの基質緩衝液に溶解することによって、基質試薬を調製した。
反応停止試薬として、4N硫酸を使用した。
精製水に、リン酸二水素ナトリウムを1.09g/L、リン酸水素カリウムを0.31g/L、塩化ナトリウムを8.2g/L、Tween20を1mL/L、及びProClinを0.5mL/L添加して、結果として得られた溶液を、0.22μmのメンブランフィルタを通過させることによって、洗浄緩衝液を調製した。
精製水に、リン酸二水素ナトリウムを5.45g/L、リン酸水素カリウムを1.55g、及びエデト酸二ナトリウムを0.744g/L添加することによって、抗原の固相化のためのコーティング緩衝液を調製した。このコーティング緩衝液を、HCV TMKK組み換え抗原又はc200組み換え抗原別に添加した(それぞれ2.0μg/mL)。
精製水に、リン酸緩衝液を好適な量、カゼインナトリウムを10g/L、及びスクロースを30g/L添加することによって、ブロッキング緩衝液を調製した。
マーカーとして、「(LK11)Peroxidase Labeling Kit NH2(Dojin Kagaku Kenkyusho)」を使用してHRPでマークされた、Institute of Immunology(Tokushu Meneki Kenkyusho)から購入されたマウス抗ヒトIgGモノクローナル抗体(2AHIGG2)を使用した。
(実施例1)
HCV TMKK組み換え抗原を含む抗原の固相化のためのコーティング緩衝液を200μL/ウェルの量で分注し、一晩4℃で静置した。ウェル内の液体を除去した後、リン酸緩衝液で1回ウェルを洗浄した。次に、ブロッキング緩衝液を300μL/ウェルの量で分注し、4時間超室温で静置した。ウェル内の液体を除去した後、洗浄緩衝液で1回ウェルを洗浄して、その後固相プレートを作製するために乾燥させた。
サンプル希釈剤を175μL/ウェル、及び各サンプルを25μL(U.S.ProMedDxの市販のヒト血清)を固相プレート内にそれぞれ分注し、それらをプレートミキサーで撹拌し、37℃で1時間インキュベートした。ウェル内の液体を除去した後、洗浄緩衝液で5回ウェルを洗浄した。次に、マーカー希釈緩衝液で5,000倍に希釈されたマーカーを有する液体(すなわち、HRP有識マウス抗ヒトIgGモノクローナル抗体)を200μL/ウェルの量で分注し、それを37℃で30分間インキュベートした。ウェル内の液体を除去した後、洗浄緩衝液で5回ウェルを洗浄した。次いで、基質緩衝液中に0.1%の量で過酸化水素(30%)を添加することによって調製された基質液体を、200μL/ウェルの量で分注し、30分間室温で反応させた。50μL/ウェルの量で反応停止溶液を分注した後、プレートリーダー(Molecular DevicesのSpectraMax 340PC)を用いた主波長490nm及び副波長650nmの二波長測光を使用して吸光度を測定した。測定された値を表2に示す。
比較実施例1
抗原の固相化のためのコーティング緩衝液としてHCV TMKK組み換え抗原を使用する代わりにc200組み換え抗原を含む液体を用いることを除き、実施例1と同じ手順で光度計測を実行する。測定された値を表2に示す。
比較実施例2
指示書に従い、上記サンプルから抗体を検出するためにRIBA3(Ortho Diagnostic Systems)を使用した。結果を表2に示す。表中、丸かっこ内のサンプル番号は、ProMedDxによって割り当てられたサンプル番号である。「NHS」は、正常なヒト血清であり、陰性対照として使用された。
表2に示されるように、実施例1におけるTMKKを使用するC型肝炎ウイルスの検出又は定量は、比較実施例1におけるc200の使用よりも高い感度を示した。具体的には、比較実施例2のサンプル4〜23によってC型肝炎ウイルス抗体の検出を確認した。しかしながら、比較実施例1におけるc200を用いた定量は、特にサンプル4、5、及び14に関して不合理に低い感度を示したが、一方で実施例1におけるTMKKを用いた定量は、高い検出感度を示した。サンプル1〜3のようなC型肝炎ウイルス抗体が存在しないサンプルは、実施例1においてさえもより低い定量値を呈した。検出又は定量の精度に問題はない。サンプル10に関するRIBAのc33c陽性結果が、恐らく交差反応のためであったことに留意されたい。
(実施例2)
C型肝炎ウイルス感染が遺伝子スクリーニングによって確認されているセロコンバージョンパネル(ZeptoMetrix)のパネル「6212」、「6215」、及び「9058」内のサンプルを使用することを除き、実施例1と同じ手順で光度計測を実行した。測定された値を表3〜5に示す。サンプルの枝番(例えば、「−1」、「−2」)が増加するにつれて、サンプルの血液採取日の遅いことを意味する、すなわちC型肝炎ウイルス感染がより進行したことを示す。各サンプルに対するRIBA3測定値の周知の結果もまた、表3〜5に示す。
比較実施例2
セロコンバージョンパネル(ZeptoMetrix)のパネル「6212」、「6215」、及び「9058」内のサンプルを使用することを除き、比較実施例1と同じ手順で光度計測を実行した。測定された値を表3〜5に示す。
感染の初期におけるサンプルに関して、表3に示されるパネル6212−02及び6212−03の場合、抗体の検出は、実施例2においてTMKKを使用して成功したが、比較実施例2においてc200を使用して、及びRIBA3を用いて失敗した。加えて、パネル6212−04及び6212−05での抗体の検出は、実施例2においてTMKKを、及び比較実施例2においてc200を使用して成功したが、検出感度は、実施例2においてTMKKでより高かった。
表4に示されるように、パネル6215−04での抗体の検出は、実施例2においてTMKKを使用して成功したが、比較実施例2においてc200を使用して失敗した。本発明の試薬の感度は、比較的高い検出感度を有することが周知であるコア抗原(C22)以上であったので、本発明の試薬を使用する場合は、コア抗原と組み合わせた使用が必ずしも必要ではないことが確認された。
表5に示されるように、パネル9058−04のような感染の初期のサンプルでの抗体の検出は、実施例2においてTMKKを使用して、及びRIBA3を用いて成功したが、比較実施例2においてc200を使用して失敗した。サンプルは、RIBA3結果によって示されるようにコア抗体セロコンバーターであり、比較的高い検出感度を有することが周知であるコア抗原(C22)との組み合わせの使用の適切性を示唆している。加えて、パネル9058−05での抗体の検出は、実施例2におけるTMKKの使用及び比較実施例2におけるc200の使用の両方で成功した。しかしながら、その感度は、実施例2におけるTMKKの使用でより高かった。
試薬の調製(2)
上述した「試薬の調製(1)」で調製された試薬を、後述の試薬を除き、使用する。
適切な量の上述のベース緩衝液に、TWEEN20(商標)を5mL/L、SDS溶液(1%)を20mL/L、酵母抽出物を0.5g/L、BSA溶液(30%)を10g/L、LDAOを5g/L、及びDTT 1mMを添加して、pHを7.3に調節し、結果として得られた溶液を、0.22μmのメンブランフィルタを通過させることによって、サンプル希釈剤を調製した。
精製水に、塩化ナトリウムを5.85g/L、無水酢酸ナトリウムを5.18g/L、酢酸を2.2mL/L、及び硫酸アンモニウムを114g/L、添加し、pHを約4.8に調節することによって、抗体の固相化のためのコーティング緩衝液を調製した。このコーティング溶液を、c11−3モノクローナル抗体及びc11−7モノクローナル抗体別に添加した(それぞれ1.8μg/mL)。
マーカーとして、「HCV core Ag ELISA Kit(Ortho Diagnostic Systems)に含まれる標識抗体を、抗原検出のために使用したが、一方「(LK11)Peroxidase Labeling Kit NH2(Dojin Kagaku Kenkyusho)を使用することによってHRPでマークされたHCV TMKK組み換え抗原を、抗体検出のために使用した。
実施例3
抗原の固相化のための上記コーティング緩衝液を200μL/ウェルの量で、96ウェルマイクロプレート(Corning high−bind type)に分注し、6時間室温で静置した。ウェル内の液体を除去した後、リン酸緩衝液で3回ウェルを洗浄した。次に、抗原の固相化のための上記コーティング緩衝液を200μL/ウェルの量で分注し、一晩4℃で置いた。ウェル内の液体を除去した後、リン酸緩衝液で1回ウェルを洗浄した。次に、ブロッキング緩衝液を300μL/ウェルの量で分注し、4時間超室温で静置した。ウェル内の液体を除去した後、洗浄緩衝液で1回ウェルを洗浄して、その後固相プレートを作製するために乾燥させた。
150μL/ウェルの量でサンプル希釈剤、並びに50μLの量でサンプルとしてセロコンバージョンパネル(ZeproMetrix)の「6212」及び「6224」を、固相プレート内にそれぞれ分注し、それらをプレートミキサーで撹拌し、37℃で1時間インキュベートした。ウェル内の液体を除去した後、洗浄緩衝液で5回ウェルを洗浄した。次に、マーカー(すなわち、HRP有識HCV TMKK組み換え抗原)がマーカー希釈緩衝液で40,000倍に希釈された液体、及びマーカー(すなわち、HRP有識抗HCVコア抗体)がマーカー希釈緩衝液で100倍に希釈された液体、を200μL/ウェルの量で分注し、それを37℃で30分間インキュベートした。ウェル内の液体を除去した後、洗浄緩衝液で5回ウェルを洗浄した。次いで、基質緩衝液中に0.1%の量で過酸化水素(30%)を添加することによって調製された基質液体を、200μL/ウェルの量で分注し、30分間室温で反応させた。50μL/ウェルの量で反応停止溶液を分注した後、プレートリーダー(Molecular DevicesのSpectraMax 340PC)を用いた主波長490nm及び副波長650nmの二波長測光を使用して吸光度を測定することによって、光度計測を実行した。結果を表6及び7に示す。各サンプルに対するRIBA3測定値の周知の結果もまた、表6及び7に示す。表中のCOIは、OD平均値が10SDずつ追加されるカットオフ値を適用して、10単位のHCV抗体陰性サンプルを測定することによって計算された値である。
比較実施例3として、以下の点を除き、実施例3と同じ手順で光度計測を実行した:本発明の定量試薬の代わりに市販のHCV抗原−抗体検出キットである「Monolisa HCV Ag−Ab(Bio−Rad)」を使用すること;キットの指示書に従いテストを実施すること;及びOD及びCOIを決定すること。比較実施例4として、各サンプルに対する「HCV Ag/Ab Combo(ABBOTT)の既知のCOIを、表6及び7に示す。更に、比較実施例5として、指示書に従い「LUMIPULSE(商標)Ortho HCV antigen(Ortho Diagnostic Systems)を使用した各サンプルにおける抗体量の測定の結果を、表6及び7に示す。各サンプルに対するRIBA3測定値の周知の結果もまた、表6及び7に示す。
表6に示されるように、パネル6212−01及び6212−02のような感染の初期でのサンプルについて、HCVの検出は、実施例3において抗HCVコアAbs及びTMKKを使用して成功し、比較実施例4で失敗し、比較実施例3に比べて比較実施例4では成功したが低い感度であった。加えて、パネル6212−05及び6212−06に示されるように、抗原量が減少する段階でのサンプルにおけるHCV検出は、比較実施例5で失敗であったが、HCV検出は、実施例3における抗HCVコアAbs及びTMKKを使用して可能であった。
表7に示されるように、パネル6224−01〜6224−03のような感染の初期でのサンプルについて、HCVの検出は、実施例3において抗HCVコアAbs及びTMKKを使用して、比較実施例3におけるより高い感度で成功した。加えて、パネル6224−04に示されるように、抗原量が減少する段階でのサンプルにおけるHCV検出は、比較実施例4で失敗であったが、HCV検出は、実施例3における抗HCVコアAbs及びTMKKを使用して成功であった。
本発明の特定の実施形態が示されてきたが、当然ながら、特に前述の技術を考慮すれば、当業者により改変がなされ得るため、本発明がそれらに限定されないことは理解されるであろう。合理的な変形及び修正が、本発明の趣旨から逸脱することなく本発明の前述の開示の範囲内で可能である。
*HCV−1に対して番号が付されている。Choo et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451〜2455参照。