JP2002532407A - 多薬物耐性細胞に対する化合物の投与方法 - Google Patents

多薬物耐性細胞に対する化合物の投与方法

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Abstract

(57)【要約】 薬剤耐性ガンを患うヒトの多薬物耐性細胞へ治療用化合物を投与する際の組成物。当該組成物は担体分子と担体に共有結合で付着したフォレート標的の配位子及び治療用化合物からなる。1つの好ましい態様では、担体は親水性高分子鎖の表面被膜を有するリポソームで、フォレート配位子は親水性高分子鎖の少なくとも一部の末端に付着し、治療用作用物質はリポソームに包含されている。組成物は細胞内に、細胞毒になるのに充分な量の治療用化合物の蓄積を達成させるのに効果がある。更に治療用化合物を多薬物耐性状態に悩むヒトに投与する際の方法も記載する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
本発明は多薬物耐性ガン細胞へ治療用化合物を投与する方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
米国では、ガンは心臓疾患に次ぐ死亡の主要な原因である。治療に関する現在
の方法として、治療の時点で腫瘍が転移していない場合に効果的であるのは外科
手術または放射線療法のような局部的方法で、約3分の1の患者が治癒している
。残りの症例では、早期の微小転移が新生物の特徴で、化学療法などの全身的方
法がしばしば外科療法又は放射線と共に必要とされることを示している。
【0003】 ガンの化学療法における1つの問題は薬剤耐性である。幾つかの腫瘍型、例え
ば非小細胞性肺ガン及び結腸ガンは一次性耐性を示す。即ちよく使用されている
従来型化学療法作用物質への最初の曝露では応答を示さない。他の腫瘍型では後
天的耐性を示し、数多くの薬剤感受性腫瘍型に現れる。薬剤耐性腫瘍細胞は2種
の後天的薬剤耐性を表す;単一薬剤耐性又は作用が同一機構である抗ガン剤の単
一部類への耐性を示す細胞。第二型は、作用が異なる機構である数種又は多くの
化学的に異なる抗ガン剤に対する広い耐性を伴う。後天的耐性であるこの第二型
が多薬物耐性として知られているものである。
【0004】 多薬物耐性もまた腎臓及び結腸腫瘍などの一次性耐性を示す幾つかの腫瘍細胞
型でも見出される。それは後天性多薬剤耐性と対照的に、ある腫瘍型では多くの
化学療法作用物質での最初の処置には非応答である。
【0005】 多薬物耐性はしばしば細胞表面糖タンパク質のP−糖タンパク質に対する通常
の遺伝子であるMRD1遺伝子の過剰発現に付随していて、薬の排出を伴う。P
−糖タンパク質発現は細胞内薬物の蓄積の減少と関連する;即ちP−糖タンパク
質は細胞から薬を除去するエネルギー依存ポンプまたは輸送分子として働いて、
細胞内に薬を蓄積するのを防ぐ。
【0006】 P−糖タンパク質は通常は主として上皮及び内皮表面に発現し、吸収及び/又
は分泌の役割りを果たしているようである。それは活性輸送体で、細胞外に疎水
性薬物を排出し、細胞質濃度を減少させ毒性を減少させる。正常な細胞では、P
−糖タンパク質は体から毒性代謝物または生体異物化合物を消滅させるように働
く(Endicott,J.and Ling,V.,Annu.Rev.Bi
ochem.,58:137−171,(1989))。
【0007】 P−糖タンパク質を発現するガンには、通常MDR1遺伝子を発現する組織か
ら由来するガン、即ち肝臓、結腸、腎臓、膵臓および副腎のガンが含まれる。当
該遺伝子の発現は、白血病、リンパ腫、肺と卵巣ガン及び他の多くのガンに対す
る多薬物耐性薬物による化学療法の最中にも見られる。これらのガンは当初化学
療法に応答するが、ガンが再発するとガン細胞は頻繁により多くのP−糖タンパ
ク質を発現する。通常はP−糖タンパク質を発現しないがガンの進行と共にP−
糖タンパク質発現が増加する組織から由来するガンもある。1つの例は慢性骨髄
性白血病で、それが芽球化発症するとそれ以前の治療履歴に関係なくより多くの
P−糖タンパク質を発現する(Gottesman,M.M.Cancer R
esearch,53:747−754(1993))。
【0008】 MDR1がコード化しているP−糖タンパク質ポンプは、ドキソルビシン、ダ
ウノルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、アクチノマイシンD、パクリ
タキセル、テニポシド及びエトポシドなど多くの天然産生抗ガン薬を含む多くの
異なる物質を認識し、輸送する(Gottesman,M.et al.,Cu
rrent Opinion in Genetics and Develo
pment,6:610−617(1996))。更に一般的には、しばしば多
薬物耐性に係わる薬物は、植物又はカビを源としたアルカロイド又は抗生物質で
、それらにはビンカアルカロイド、アンスラサイクリン、エピポドフィロトキシ
ン及びダクチノマイシンを含んでいる。メルファラン、ナイトロジェンマスター
ド及びマイトマイシンCのようなアルキル化剤との交差耐性もときとして観測さ
れる(Endicott,J.and Ling,V.,Annu.Rev.B
iochem.,58:137−171(1989))。
【0009】 明らかに、ガン細胞における多薬物耐性は良好な化学療法を制限し、芳しから
ぬ患者の予後を示唆する。多薬物耐性を克服するとして記述された1つの方法に
は、化学療法作用物質につきP−糖タンパク質の薬物輸送作用を阻害するベラパ
ミルなどのカルシウムチャンネル遮断剤の同時投与が含まれる。この方法はヒト
については未だ確認されておらず、多薬物耐性を克服する他の方策が必要とされ
ている。
【0010】
【発明の要旨】
従って、本発明の1つの目的は、ガンを患っている患者に抗ガン治療作用物質
を投与するための組成物を提供することである。
【0011】 本発明のもう1つの目的は、多薬物耐性細胞に抗ガン治療作用物質を投与する
ための組成物を提供することである。 1つの側面において、本発明にはガンを患うヒトの多薬物耐性細胞に治療剤を
投与するための組成物が含まれる。組成物は担体分子、担体に共有結合で付着し
ているフォレート(folate)(葉酸エステル又は葉酸塩)配位子及び担体
と会合している治療作用物質から構成されている。
【0012】 1つの態様において、担体は天然又は合成高分子である。 好ましい例として
は、高分子はポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールである。他
の態様では、担体はペプチド又はタンパク質などの巨大分子である。
【0013】 好ましい態様では、担体はフォレート配位子が付着した親水性高分子鎖の表面
被膜を有するリポソームである。治療用作用物質はリポソームに含有されている
【0014】 もう1つの側面では、本発明にはガンを患うヒトの多薬物耐性細胞に治療用化
合物を投与する際のリポソーム組成物が含まれる。当該組成物には、遊離末端を
持つ親水性高分子で誘導体化された小胞形成脂質を含む小胞形成脂質で構成され
たリポソーム;親水性高分子鎖の少なくとも一部である遊離末端に付着したフォ
レート配位子及びリポソームに包含された治療用作用物質が含まれる。この組成
物は、細胞中に細胞毒性になる充分な量まで治療用化合物を蓄積させるのに効果
的である。
【0015】 1つの態様では、治療用作用物質は小胞形成脂質で形成したリポソーム脂質二
重層の中に分配できる疎水性作用物質である。もう1つの態様では、治療用作用
物質は生理的pHでは中性な薬で、リポソームの内部の水相に包含される。
【0016】 他の態様では、治療用作用物質はドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビ
シン、イダルビシンなどのアンスラサイクリン抗生物質である。他の態様では、
薬はミトキサントロン又はアントラキノン薬である。
【0017】 1つの態様におけるリポソーム組成物中の親水性高分子は、ポリビニルピロリ
ドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサ
ゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシ−プロピルメタ
クリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリメタ
クリル酸ヒドロキシプロピル、ポリアクリル酸ヒドロキシエチル、ヒドロキシメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール及びポ
リアスパルトアミドから選択する。好ましい態様では、親水性高分子は少なくと
も約3,500ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールである。もう
1つの好ましい態様では、親水性高分子は3,500〜10,000の間の分子
量を有するポリエチレングリコールである。
【0018】 なおもう1つの側面においては、本発明にはMDR1遺伝子の増加発現で特徴
ある細胞の細胞質へ治療用化合物を投与する際のリポソーム組成物が含まれる。
リポソームは、遊離末端を有する親水性高分子鎖で誘導体化された小胞形成脂質
を含む小胞形成脂質から構成されている。フォレート配位子は親水性高分子鎖の
少なくとも一部をなす遊離末端に付着し、治療剤はリポソーム内に包含されてい
る。
【0019】 他の側面では、本発明にはP−糖タンパク質を発現する細胞に治療用化合物を
投与する際のリポソーム組成物が含まれるが、リポソーム組成物は遊離末端を有
する親水性高分子鎖で誘導体化された小胞形成脂質を含む小胞形成脂質及び親水
性高分子鎖の少なくとも一部の遊離末端に付着したフォレート配位子を含有する
リポソームを含んでいる。治療用作用物質はリポソームに包含されている。
【0020】 更にもう1つの側面においては、本発明には多薬物耐性細胞に治療用化合物を
投与する際のリポソーム組成物が含まれる。当該リポソームは、遊離末端を有す
る親水性高分子鎖で誘導体化した小胞形成脂質を含む小胞形成脂質;親水性高分
子鎖の少なくとも一部の遊離末端に付着したフォレート配位子及びリポソーム内
に包含されている治療剤からなる。
【0021】 更にもう1つの側面においては、本発明には、(i)遊離末端を有する親水性
高分子鎖で誘導体化された小胞形成脂質を含む小胞形成脂質類、(ii)親水性
高分子鎖の少なくとも一部の遊離末端に付着した葉酸の配位子及び(iii)リ
ポソーム内に包含された治療用作用物質からなるリポソームを調製して、P−糖
タンパク質を過剰発現する細胞に治療剤を投与する方法が含まれている。当該リ
ポソームは、多薬物耐性のP−糖タンパク質発現細胞を保因する被験者に投与さ
れる。
【0022】 なおもう1つの側面においては、本発明には遊離型では細胞に蓄積しない治療
用化合物を細胞に投与する方法が含まれる。その方法には、担体分子、担体に共
有結合したフォレート配位子及び担体に会合した治療剤からなる包合体を調製す
ることが含まれている。
【0023】 なおもう1つの側面においては、本発明には遊離型では細胞に蓄積しない治療
用化合物を細胞に投与する方法が含まれる。その方法には、(i)遊離末端を有
する親水性高分子鎖で誘導体化された小胞形成脂質を含む小胞形成脂質類、(i
i)親水性高分子鎖の少なくとも一部の遊離末端に付着したフォレートの配位子
、及び(iii)リポソーム内に包含された治療用作用物質からなるリポソーム
の調製を含んでいる。当該リポソームは、細胞毒性に充分な量の化合物を細胞内
に蓄積させるために被験者へ投与する。
【0024】 本発明のもう1つの側面において、多薬物耐性新生物状況に悩んでいるヒトに
治療用化合物を投与する方法を意図している。この方法には、(i)遊離末端を
有する親水性高分子鎖で誘導体化された小胞形成脂質を含む小胞形成脂質類、(
ii)親水性高分子鎖の少なくとも一部の遊離末端に付着したフォレートの配位
子、及び(iii)リポソーム内に包含された治療用作用物質からなるリポソー
ムの調製を含んでいる。そのリポソームを、被験者に投与して細胞毒性に充分な
量の化合物の蓄積を細胞内で達成させる。
【0025】 本発明のこれら及び他の目的や特徴については、添付図面と関連させて本発明
の詳細な説明を読めばより充分に理解できる。
【0026】
【本発明の具体的な説明】
本発明は、一側面では多薬物耐性細胞に治療用作用物質を投与する際の組成物
を目的とする。実際、当該組成物はガン及び特にガン細胞表面にP−糖タンパク
質を発現するガンを患うヒトへの治療用作用物質の投与を提供する。上記のとお
り、腎臓ガン及び結腸ガンなどのある種のガンは二次的又は難治性耐性ではなく
、一次的耐性を多くの化学療法用作用物質に示す。本発明の組成物及び方法は、
これらのガンと同時に、例えば当初は1つの治療剤又は1群の薬剤に応答するが
、応答しなくなるか作用物質で治療に成功しない状態まで進んで多薬物耐性にな
ったガンのような難治性ガンの治療法も提供する。
【0027】 1つの側面では、本発明には、担体、葉酸標的化配位子及び投与する薬からな
る組成物が含まれる。フォレート配位子は担体に共有結合で付着し、薬は担体と
会合している。会合するとは、薬が共有結合的又は静電気的に付着するか、担体
により包含又はカプセル化されることを意味する。下記するように、当該組成物
は多薬物耐性細胞、即ち細胞に薬の蓄積を防ぐ流出ポンプとして働くP−糖タン
パク質を発現する細胞中に薬を蓄積させるのに効果的である。“細胞毒”は、細
胞中に蓄積した薬の量が正常な細胞機能発揮を起こさないようにするのに充分で
あり、好ましくは細胞死を起こさせることを意味する。
【0028】 本発明の1つの態様では、担体は天然又は合成高分子である。この態様におけ
る高分子はいかなる生体適合性高分子でも、毒性がなく、生物的に不活性で、非
アレルギー性で生体組織に刺激性のない高分子であり、望ましい生体分布性を達
成するのに充分な時間は物理的及び化学的に完全な状態を維持できるものであれ
ば成り得る。 例示的な合成高分子にはポリグリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びセル
ロース類が含まれる。フォレート配位子は、端末又は担体自体に沿って担体に付
着、又は担体から調製した微粒子表面に付着しているが、これについては下に記
述する。投与する薬は同じように担体に付着するか、なんらかの方法で担体と会
合して担体及び標的化フォレート配位子と共に移動する。下に記述するように、
葉酸は当該抱合体を効果的に目標として多薬物耐性細胞に送達し、細胞内に薬を
蓄積する。
【0029】 もう1つの態様では、担体は薬物配位子と会合できる部分を有するタンパク質
又はペプチドである。タンパク質又はペプチドである担体は、組成物を投与して
望ましい生体分布を達成するのに充分な化学的及び物理的な全体性を有するもの
である。例示的な材料には、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリサッカライド、ア
ルブミン及びゼラチンが含まれる。
【0030】 本発明の好ましい態様では、担体はリポソームである。本発明により実施する
試験では、フォレート標的化リポソームを調製し、担体リポソームを用いて一般
的な考えを示した。しかしながら、このリポソームでの試験による有益な教訓は
、下記に記載した試験から明らかなように数多くの担体にも適用可能である。 I.フォレート受容体標的化リポソームの調製 A.mPEG−葉酸及び葉酸−PEG−DSPEの合成と特徴づけ フォレート、ポリエチレングリコール(PEG)及びジステアロイルホスファ
チジルエタノールアミン(DSPE)からなる抱合体は、図1に示したように葉
酸をH2N−PEG−DSPEにジシクロヘキシルカルボジイミドの介在で結合
して調製した。実施例1Aに記載したように、出発成分のアミノ−PEG脂質は
分子量2000ダルトン及び3000ダルトンのPEGから既報の方法により合
成した(Zalipsky,S.et al.,FEBS Lett.353:
71−74(1994))。葉酸とメトキシ−PEGの抱合体、例えばホスホリ
ピッド部分なしの抱合体は同様な結合法で調製した。精製した抱合体の構造を1
H−NMR、MALDI−TOFMS及びUV分光学で確認し、実施例1B〜1
Cで説明した。カルボジイミドで活性化した葉酸は、H2N−PEG−DSPE
とそのグルタミン酸残基のα又はγ−カルボキシル基で結合できる。フォレート
受容体とγ−抱合体は結合するが、α−抱合体は結合しないので各抱合体の量比
はカルボキシペプチダーゼG(CPG)で定量した。実施例1Eで記述したよう
に、α−抱合体は酵素では反応しないが、γ−抱合体では容易に感知できる速度
でプテロイン酸−グルタミン酸結合が分裂されることが知られているので、カル
ボキシペプチダーゼG(CPG)を使った方法を用いた(Wang,S.et
al.,Bioconjugate Chem.,7:56−62(1996)
;Fan,J.,et al.,Biochemistry,30;4573−
4580(1991);Levy C.and Goldman P.,Bio
l Chem.,242:2933−2938(1967))。酵素的分裂はH
PLCにより抱合体の消滅で追跡した。この反応は、反応時間の延長や酵素の何
回もの追加が必要であるが80%転換まで進行したので、葉酸−PEG−DSP
Eは80%がγ−カルボキシ結合で残り20%がα−結合抱合体であることを示
している。同様な方法を用いてmPEG−葉酸の90%はγ−カルボキシル基に
て結合していることを確認した。
【0031】 抱合体はここで記述する結合試験で特性評価をした。実施例2で説明するよう
に、3種の細胞系であるマウス肺ガン(M109),M109の多薬物耐性サブ
系統(M109R)及びヒト鼻咽頭表皮ガン(KB)を、葉酸を減少させた基質
(3nM葉酸)中で連続継代してそれらのフォレート受容体を上昇するようにし
た。当該処理の結果から3種の細胞サブ系統を“高フォレート受容体”(HiF
R)と称することにし、本明細書で“低フォレート受容体”(LoFR)と称す
る親細胞系より葉酸結合能が20〜80倍に増加した。
【0032】 これらの細胞系及びそれらの葉酸結合能については実施例2Bで説明するよう
に、細胞を葉酸と37℃で30分間インキュベートして測定した。 細胞系の2
種、M109−LoFRとKB−LoFR細胞は葉酸を減少させた基質中で24
時間インキュベートした後、同様に葉酸との結合につき定量した。継代早期での
正常ヒト腺維芽細胞及びヒトメラノーマ系統A375へのフォレートの結合も測
定し、受容体発現レベルの広範囲につき異なる細胞系のスペクトルを得た。
【0033】 結果は表1にまとめた。
【0034】
【表1】
【0035】 レセプター量が最も低い(M109−LoFR)及び最も高い(KB−HiF
R)受容体の系統を比較すると、葉酸結合能の違いは最大485倍まで観察され
た。また表1で見られるように、葉酸を減少させた基質で24時間インキュベー
トした細胞系についてM109−LoFRは葉酸結合の量を上昇させない。対照
的にKB−LoFRは葉酸結合で15倍の増加を示し、受容体発現の迅速な上昇
を示した。
【0036】 葉酸の受容体過剰発現M109−HiFR細胞系について葉酸結合を特性評価
を行なう試験では、以下の観察が見られた: i)結合は、プレート当たり103〜1.5×106の範囲の細胞数に直接比例
する。
【0037】 ii)ホスファチジルイノシトール−ホスホリパーゼC(PI−PLC)で前
処理したM109R−HiFR細胞の単層培養(実施例2Bを参照)では、葉酸
による結合アッセイで示すようにそれらの葉酸受容体の99%が失われており、
過剰発現したフォレート受容体はグリコホスホリピッド固着で細胞膜に結合して
いることを示した。対照的に、トリプシン処理では、(a)放射性標識葉酸はト
リプシン処理後でもプレートの細胞及び懸濁細胞に同程度結合し、(b)細胞結
合した放射性標識葉酸はトリプシン処理後に殆ど全部回収(91±11%)され
ることからフォレートの受容体を破壊しないことが示唆された。そして、 iii)酸洗浄(pH3)後では、2±1%の葉酸だけがM109R−HiF
R細胞単層に結合して残存するので、過剰発現受容体への葉酸の結合はpH感受
性であることを示した。内部移行を防ぐため、葉酸結合アッセイは約1℃で30
分行なった。M109R−HiFR細胞は37℃で4時間放射性標識葉酸とイン
キュベートし、酸洗浄すると、配位子の30〜40%は細胞に保持されている。
これはおそらく細胞により葉酸配位子の一部が内部移行化し、pHが起こす受容
体からの解離を回避したものと思われる。
【0038】 実施例2Bに記述したように、葉酸、mPEG−葉酸及び遊離PEGにつき競
争的結合試験を実施した。この試験では、M109R−HiFR細胞を0.1μ
Mの放射性標識葉酸の一定量に曝露した。“コールド(非放射性)”葉酸、mP
EG−葉酸及び遊離PEGを0.1〜100μMの間に変化させた濃度でM10
9R−HiFR細胞に添加した。PEG2000及びmPEG2000−葉酸抱合体は自
由に水溶解する非脂質結合化合物である。後者誘導体は、下記の如く葉酸−PE
2000−リポソームの一価型とみなすことができる。
【0039】 競争的結合アッセイの結果は図2に、各競争相手である遊離葉酸(白丸)、P
EG−葉酸(黒三角)及びPEG(黒四角)のμm濃度に対する結合のパーセン
トで示した。図で分かるようにmPEG−葉酸は、放射性標識葉酸の受容体への
結合の競争において遊離葉酸より効果が低く、ビタミン分子へのPEG付着が葉
酸の受容体への結合能を5〜10倍低下させていることを示している。遊離PE
Gは細胞結合を示さず、葉酸結合では競合しない。
【0040】 B.リポソームの調製 6種のリポソーム処方を、実施例3に説明した手順に従って調製した。6種の
リポソーム組成物は表2にまとめた。
【0041】
【表2】
【0042】 表2で見られるように、全ての処方がHSPC,Chol及びDSPEを含有
しており、表の右手の欄に記したように本明細書では葉酸−PEG/mPEG含
量に従って呼ぶこととする。 図3A〜3Aにはリポソーム処方を図式的に示し
た。4種のフォレート標的化リポソーム処方を調製した(図3B,3C,3E,
3F);2つの処方は、分子量2000ダルトン(図3B;葉酸−PEG2000
又は3500ダルトン(図3C;葉酸−PEG3350)のPEG分子で調製した葉
酸−PEG抱合体を含み、2つの処方には分子量2000ダルトン(図3E,葉
酸−PEG2000/mPEG及び図3F,葉酸−PEG3350/mPEG)のmPE
Gで調製したmPEG−DSPE抱合体に加えて葉酸−PEG抱合体が含まれる
。全ての4つの処方には、分子量2000又は3350ダルトンのPEG由来の
葉酸−PEG抱合体が、全リポソームリン脂質に対して0.5%のモル分率で含
まれている。2つの対照処方にはフォレートは含まれておらず(図3A及び3D
)、含まれているmPEG2000−DSPEのモル分率が異なる(それぞれ0.5
%及び7.5%)。
【0043】 下記で検討する本発明による試験において、非標的高mPEG及び低mPEG
処方である対照リポソーム処方のin vitroでの挙動は同様なのでデータ
は高mPEGリポソームについてだけ提示した。
【0044】 C.In vitroでの結合試験 放射性標識葉酸標的化リポソーム及び対照の非標的リポソームの結合性を、高
及び低フォレート受容体レベルの多薬物耐性細胞系であるM109R−HiFR
及びM109R−LoFR細胞の単層培養物につき37℃、24時間でアッセイ
した。結果は図4Aに示すが、トリプシン放出細胞に結合したリポソームの量を
百万の細胞当たりのホスホリピッドをピコモルで表し、各リポソーム処方につき
示した。 図で分かるように、非標的化の従来型mPEGリポソームの多薬物耐性細胞への
結合は、高及び低葉酸受容体レベルの両方で相当低い。高結合効率を持つ標的化
処方は、葉酸−PEG3350抱合体を有するリポソームで、結合において非標的化
リポソームより26倍の増加を達成した。従って、本発明の1つの態様では、組
成物は少なくとも約3,500ダルトン、好ましい範囲は2500〜10,00
0ダルトンで、更に好ましくは3,500〜10.000ダルトンの分子量のP
EG鎖を有するリポソーム担体を含んでいる。当該態様では当該組成物は結合に
おいて、約2,500ダルトン未満及び具体的には2000ダルトンの分子量の
PEG鎖を有する組成物と比較して少なくとも10倍、より好ましくは20倍及
び更に好ましくは25倍の増加を達成するのに効果的である。
【0045】 図4Aにつき引き続き参照すると、mPEGを処方へ添加した場合又はPEG
のつなぎを3350から2000に短くすると結合がかなり減少する。結合はリ
ポソームの全てにおいてM109R−HiFR細胞の方がM109R−LoFR
細胞より強い。興味あることに、最も親和性の高いリポソーム処方、例えば葉酸
−PEG3500を有するリポソームでは、LoFRとHiFR細胞との比較で結合
の相対増加が最も低かった(約30%)。
【0046】 図4Bは、試験をKB細胞系について行なった点を除いては図4Aと同様なプ
ロットである。図で分かるように、mPEGのリポソームへの添加は結合の効率
を減少させる。mPEGが存在しない場合、より長いPEGスペーサ(3350
ダルトン)はKB細胞への結合効率をわずかに増加させるだけである。KB−H
iFRとKB−LoFRの相違は幾つかのリポソーム組成物についてM109R
細胞間で見られるより小さい。このことは、表1について上で検討したように2
4時間のインキュベーション期間におけるKB細胞のフォレート受容体について
の急速な上方制御に関連すると思われる。
【0047】 細胞に会合したリポソームが細胞表面結合又は細胞内に内在化するかどうかを
検討するのに、結合アッセイの終了時にpH3の酸性塩水による洗浄を実施した
。表3の最終欄で示した結果は、葉酸−PEG3350の約22%及び葉酸−PEG 3350 /mPEGリポソームの32%は酸洗浄で除去され、細胞に会合したリポソ
ームの2/3より多い部分がM109R−HiFR細胞により内部移行されてい
ることを示している。同様に表3で、1mM葉酸(リポソーム結合葉酸の濃度の
約700倍過剰)を、リポソームと細胞のインキュベーションの最初又は最後の
時点でリポソーム/細胞混合物に加えた競争試験につき示す。表で見られるよう
に、標的化葉酸−PEG3350リポソームとM109R−HiFR細胞のインキュ
ベーション期間の開始時に葉酸を添加してもリポソームの結合を部分的(46%
)に阻害するだけであった。リポソーム/細胞の24時間インキュベーションの
終了時に葉酸を加えても、酸洗浄実験によればリポソームの最大約20〜30%
が依然として細胞表面に結合している事実に関わらず、葉酸担持リポソームの細
胞からの顕著な置換は生じない。これらの試験により、葉酸−PEGリポソーム
の細胞性フォレート受容体への結合親和力は遊離葉酸より強いことを示している
が、これは一価類似体であるmPEG−葉酸が結合力で5〜10倍劣っているの
とは対照的である(表1)。葉酸標的化リポソームのより強い結合性は、リポソ
ームプラットホーム上における葉酸残基の多価提示状態に関係している。
【0048】
【表3】
【0049】 上記したように、これらの試験は付着したフォレート配位子を有するPEG鎖
に加えてmPEG−DSPEを含むリポソーム処方、例えば葉酸−PEG2000
mPEG及び葉酸−PEG3350/mPEGの処方は標的細胞への結合を妨害する
ことを示す。この示唆につき更に、実施例4の記載により調製したローダミン標
識リポソームヘ細胞を曝露し、共焦点顕微鏡で細胞を観察する試験を行なった。
M109−HiFR細胞を、ローダミン−葉酸−PEG2000リポソーム(HSP
C/Chol/DSPE−PEG−フォレート/DPPE−ローダミン(98.
9:70:1.0:0.1))又はローダミン−葉酸−PEG2000/mPEG20 00 リポソーム(HSPC/Chol/mPEG−DSPE/DSPE−PEG−
フォレート/DPPE−ローダミン(91.9:70:7:1.0:0.1))
と7時間インキュベートし、共焦点顕微鏡で試験をした。結果は図5A〜5B及
び図5C〜5Dにローダミン−葉酸−PEG2000リポソーム及びローダミン−葉
酸−PEG2000/mPEG2000をそれぞれ示した。図5A〜5Bに見られるよう
に、付加的PEG鎖のない葉酸標的化リポソームに対して曝露したM109−H
iFR細胞の細胞質にローダミン標識リポソームが詰め込まれていた。対照的に
図5C〜5Dに見られるように、付加的mPEGを備えたリポソームは、細胞表
面に会合したローダミンの弱い信号やリポソームの細胞中への内部移行の不足が
立証するように細胞に対する結合力が乏しい。これらの結果は、フォレート配位
子がフォレート標的化リポソームにつき、過剰発現したフォレートの受容体を持
つ細胞への結合及び内部移行を仲介できること及び付加的PEG鎖はこれらの工
程を妨害するようであることを立証する。
【0050】 本発明による他の試験では、M109−HiFR細胞をフォレート非存在培地
中でローダミン−葉酸−PEG2000リポソーム(HSPC/Chol/DSPE
−PEG−フォレート/DPPE−ローダミン(98.9:70:1.0:.1
))とインキュベートした。インキュベーションの30分後及び50分後に、細
胞を共焦点顕微鏡で視覚化し、画像を図6A〜6Bに示した。図6Aで見るよう
に、インキュベーションの30分後、 フォレート標的化リポソームをM109
−HiFR細胞と会合し、50分後には図6Bで見るように幾らかのリポソーム
は内部移行し、細胞の細胞質ゾル中に蓄積する。同じ試験で、幾らかの細胞を同
様にリポソーム結合葉酸濃度の約1000倍に相当する2mM濃度の遊離葉酸に
曝露した。この競争的結合試験は、フォレート配位子とフォレートの受容体間の
相互作用を証明するために行なった。インキュベーションの30分と50分後、
細胞は視覚化したがリポソーム結合は観測されず(図6)、遊離フォレートはフ
ォレート標的化リポソームの細胞性フォレート受容体への結合を競争的に妨害で
きることを示唆した。4時間とか19時間の長時間曝露の後では、M109−H
iFR細胞へのフォレート標的化リポソームの結合を遊離で溶解性フォレートで
はもはや妨害できず、溶解性フォレート及び細胞の細胞質は図7A〜7Bで見る
ことができるようにローダミン蛍光で染色される。
【0051】 いかなる特別な理論に結び付けるまでもなく競争的結合試験の結果は、結合親
和性はリポソームのフォレートがリポソームの多結合価のために遊離フォレート
より高いことによると思われる。しかし、特に相当過剰な(1000倍)遊離フ
ォレート及び小さな分子のより早い移動度をナノ粒子(リポソーム)と比較して
考慮すると、フォレートリポソームについての平衡は長時間の後に達する。
【0052】 M109−HiFR細胞におけるフォレート標的化リポソームとフォレート受
容体の係わり合いの証拠は、ホスファチジルイノシトール−ホスホリラーゼC(
PI−PLC)(実施例2B)による前処理によりフォレート受容体を破壊した
細胞で行なわれた試験で提供する。PI−PLC前処理M109−HiFR細胞
をローダミン標識化のフォレート標識化リポソームに4℃で1時間曝露すると、
図8Aの画像で見るように検出される結合がなくなった。しかしながら、図8B
の画像で分かるように、同じリポソームが非Pi−PLC−処理細胞とは結合し
た。4℃では受容体との結合は生じるが、内部移行や受容体の細胞表面への再循
環は起こらない(Kamen B.A.and Capdevila A.,P
roc.Natl.Acad,Sci.USA.,83:5983−5987(
1986))。フォレート標的化リポソームが酵素処理M109−HiFR細胞
へ会合する能力がないことで、グリコホスホリピッド固着フォレート受容体がリ
ポソーム−細胞会合に係わることの証明が得られた。 1.ドキソルビシン担持リポソームを用いたIn vitro結合試験 実施例5に記述した如く、ドキソルビシンを含有するフォレート標的化リポソ
ームを調製し、M109R−HiFR細胞とインキュベートした。比較のため、
M109R−HiFR細胞を同様に遊離ドキソルビシン又はドキソルビシンを含
むがフォレート標的化配位子がないリポソームとインキュベートした。ドキソル
ビシン分子の動きにつき蛍光を用いて追跡し、結果を図9A〜9Fに示した。
【0053】 図9A〜9Bは遊離ドキソルビシンに7分間(図9A)と30分間(図9B)
曝露した細胞の画像である。遊離ドキソルビシンの細胞膜を通しての流れ込みは
非常に迅速であことが図9Aにおける光る細胞質染色で示される。図9Bで見る
ように、遊離薬物は早くも30分以内に核に存在していた。
【0054】 細胞のドキソルビシン担持フォレート標的化リポソームとの相互作用の機構は
、遊離ドキソルビシンとの機構とはかなり異なったものであった。図9C〜9E
で分かるように、リポソームの細胞膜への付着は約20分以内で観測された(図
9C)。60分では内部移行が起こり、リポソームのドキソルビシンは細胞質ゾ
ルで検出され、幾らかの細胞では薬物は核の中に出現し始めた(図9D)。90
分後、フォレート標的化リポソームから出てきたドキソルビシンが多くの細胞の
核に達し、細胞質の薬物の蛍光は消失した(図9E).フォレート標的化リポソ
ームとは対照的に、mPEG−DSPEで被覆された非標的化リポソーム(DO
XILとして市販で既知)の処方は4時間インキュベーションしても、図9Fで
見るようにM109R−HiFR細胞とは会合を示さない。この試験を新鮮な固
定細胞で繰り返しても本質的に同様な結果であった。
【0055】 他の試験では、遊離ドキソルビシン又はドキソルビシン担持フォレート標的リ
ポソームと1時間処理した後、薬物非存在培地で24時間インキュベーションし
て、M109−HiFR細胞のドキソルビシン保持能力を検討した。図10A〜
10Dで見るように、遊離薬物(図10A)及びリポソーム包含薬剤(図10B
)で1時間インキュベーションした後、細胞核はドキシルビシン蛍光で染色した
。しかしながら、図10Cで見るように遊離薬物で処理した細胞では24時間後
には蛍光は殆ど完全に消滅した。リポソームで処理した細胞での蛍光は図10D
で見るように依然はっきりと検出できる。これらの結果はリポソームの薬物は遊
離薬物より薬剤耐性細胞の中に保有されることを示す。 2.MDR細胞における薬剤蓄積の更なる証拠 実施例6に記述したように、フォレート標的化ドキソルビシン担持リポソーム
の形でフォレート受容体経路を経由した細胞内送達はP−170糖タンパク質流
出ポンプに打ち勝つことを示す為に試験を実施した。1つの試験では、M109
R−HiFR細胞中のP−170糖タンパク質ポンプの活性につきローダミン流
出アッセイを用いたフローサイトメトリーにより検討し、ベラパミル障害に対し
感受性があることを見出した(データは示していない)。この手法を用い、遊離
及びフォレート標的化リポソーム包括形で細胞内を送達されたドキソルビシン流
出の試験を行なった。M109R−HiFR細胞の単層を遊離及びリポソーム包
含形のドキソルビシンに1時間、ベラパミル存在下で曝露した。細胞を洗浄し、
更に2時間10μモルのベラパミル中でインキュベートした。細胞はそれから細
胞のドキソルビシン含有量につき蛍光とフローサイトメトリーにより分析した。
【0056】 フローサイトメトリーからの結果は図11A〜11Bに遊離ドキソルビシン処
理(図11A)及びリポソーム包含ドキソルビシン処理(図11B)につき示し
た。図11Aで分かるように、曲線変化はベラパミル存在下で遊離ドキソルビシ
ンに曝露した後にM109R−HiFR細胞における細胞蛍光が明らかに増加す
ることを示している。対照的に、フォレート標的化リポソーム薬物へ曝露したM
109R−HiFR細胞での細胞の蛍光レベルはベラパミルが存在しても存在し
なくても変化しないように見える(図11B)。これらの観測は細胞抽出物から
のドキシルビシンの定量的蛍光法で確認し、表4にまとめた。
【0057】
【表4】
【0058】 表で分かるように、フォレート標的化リポソームで送達したとき、ベラパミル
の存在は薬剤耐性細胞中での薬物蓄積量について何も効果を有さない。対照的に
遊離型で投与するとき、ドキソルビシンの細胞保持はベラパミルが存在すると約
4.5倍高い。薬剤保持は、フォレート標識化リポソームから投与すると約4〜
6倍高い。これらの結果は、細胞内に拡散した遊離ドキソルビシンはP−170
糖タンパク質ポンプ作用で汲み出されるが、フォレート受容体経路で進入したド
キソルビシンはP−糖タンパク質流出機械を回避することを示している。 フォレート標的のリポソームを介しての細胞への薬物送達の増強を確認する追加
の試験では、薬剤耐性(M109R)細胞及び薬剤感受性(M109)細胞をそ
れぞれ0.2×10-5M及び0.2×10-6Mドキソルビシンに曝露した。細胞
会合薬物については、ドキソルビシンへ1時間及び4時間の曝露した後に測定し
た。結果は表5に示す。
【0059】
【表5】
【0060】 表5のデータは、薬物に浸した細胞外培地には過剰な薬剤が存在していても、遊
離ドキソルビシンに曝露された薬剤耐性細胞は薬物を排出することを示す。対照
的に、フォレート標的化リポソームの形のドキソルビシンに曝露すると薬剤耐性
細胞は細胞内にドキソルビシンを蓄積する。予想したように、薬剤感受性細胞は
遊離形でもリポソーム包含形であってもドキソルビシンを蓄積する。これらのデ
ータは、遊離ドキソルビシンに曝露した薬剤耐性細胞は効率よく薬物を排出する
が、フォレート経路により送達されると細胞内への薬物送達と蓄積が生じる。
【0061】 薬剤耐性細胞での取り込み及び蓄積がフォレート経路に依存することは図12
に提示した試験で支持されている。この試験では包含されたドキソルビシンを有
するフォレート標的化リポソームの2つの処方を調製した。1つの処方は薬物対
脂質比137.6μg/μモル(図12の黒丸)であり、他は薬剤対脂質比11
.3μg/μモル(白丸)を有する。M109R−HiFR細胞をリポソーム処
方とインキュベートし、薬剤の細胞への取り込みを時間の関数として観測した。
図12で分かるように、ドキソルビシンの細胞の蓄積は、薬剤−脂質比が約10
倍高いリポソームの方が常に約10の係数にて高い。24時間のインキュベーシ
ョン期間で、流出の証拠や停滞レベルもなしに腫瘍細胞による標的化リポソーム
薬物が絶え間なく蓄積するのが図12の曲線から明らかである。
【0062】 他の1つの試験では、細胞核及び細胞の細胞質ゾルへのドキソルビシンの蓄積
量を細胞分別により測定した。M109R−HiFR細胞を遊離ドキソルビシン
又はフォレート標的化リポソームに包含されたドキソルビシンと1時間及び4時
間インキュベートした。細胞核及び細胞質ゾル中のドキソルビシンの蓄積は実施
例7で説明するように細胞ゾルから細胞核を分離して蛍光分析的に測定した。結
果は図13に示したが、そこで分かるように1時間のインキュベーションでは遊
離ドキソルビシン(DOX)及び標的化リポソームのドキソルビシンの両方で薬
物の多くが核画分で見出される。4時間のインキュベーションの後では、標的化
リポソームのドキソルビシンで得られた核の薬物濃度は遊離ドキソルビシンで得
られた濃度を超えている。フォレート標的リポソームに曝露し、細胞に蓄積した
薬物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析では、蓄積した薬物はその
ままの薬物で(データは示さない)、この経路での送達は薬物の分解を導かない
ことを示している。また腫瘍細胞を遊離ドキソルビシン又はフォレート標的化リ
ポソームのドキソルビシンに4時間曝露した後でも、検出された代謝物は顕著な
量ではなかった。 3.細胞毒性 遊離形及びフォレート標的化リポソーム包含形でM109−HiFR細胞に送
達されたドキソルビシンの細胞毒性を実施例8に記述したように比較した。簡単
に述べると、M109−HiFR細胞を遊離又はリポソームのドキソルビシンに
1時間曝露した後、洗浄し更に新鮮な培地中で5日間(120時間)インキュベ
ートした。図14Aで分かるように、フォレート標的化リポソーム(黒三角)中
のドキソルビシンの成長阻害曲線は遊離形(黒丸)で投与されたドキソルビシン
と類似しており、従来の非標的化リポソーム(黒四角)の形で投与したドキソル
ビシンより相当高い。
【0063】 類似な細胞毒性アッセイを多薬物耐性サブ系統であるM109R−HiFRを
用いて行ない、結果を図14Bで示す。薬物をフォレート標的化リポソーム(黒
三角)を通じて細胞に投与すると、従来の非標的化リポソーム(黒四角)から投
与した薬剤に比べて毒性での明らかな亢進が得られた。 II.組成物のin vivoにおける特性評価 他のモデルにおいて、フォレート標的化リポソームからフォレート経路にて送
達された薬物の生物的活性を検討するため、M109R−HiFR細胞をin
vitroで試験薬物に曝露した。これらの細胞をマウス肉趾に接種した。この
ようにして、細胞の成長をin vitro実験により相当長期にわたり追跡し
、in vivoのミクロ環境因子群を活動させた。しかしながら、治療的実験
とは異なりin vivoの養子的アッセイであるこの型は、結果の解釈を複雑
にする薬学動態学的や生物分布因子には影響されない。
【0064】 従って、in vitroで腫瘍細胞を遊離ドキソルビシン又はリポソーム包
含で非フォレート標的化ドキソルビシン(DOXIL?)又はフォレート標的化
でリポソーム包含ドキソルビシンと、本発明のようにインキュベートした。実施
例9に記述した如く、腫瘍細胞を選択した処方の存在下で1時間インキュベート
し、1×106個の細胞をマウス肉趾に注入したが、各処理処方は8匹のマウス
に注入した。 各処理群につきそれぞれのマウスの肉趾厚さを測定し、図15Aに
示した。
【0065】 図で分かるように、ドキソルビシンで処理しない腫瘍細胞を注入した対照マウ
ス(白丸)は、腫瘍細胞注入後において肉趾の厚さは増加しつづける。遊離ドキ
ソルビシン(黒丸)で処理した細胞を受けたマウス及びリポソーム包含ドキソル
ビシン(白四角)で処理した腫瘍細胞を受けたマウスは同じく肉趾厚みの増加が
起こった。フォレート標的化リポソーム(黒三角)の処理した細胞を注入したマ
ウスのみが肉趾厚さの増加を示さなかった。
【0066】 処理腫瘍細胞の注入後34日目の試験終了時、各腫瘍保有マウスの肉趾の重量
を測定し、マウス肉趾の平均重量から差引いて各マウス肉趾の腫瘍重量を決定し
た。図15Bは、処置状況毎に肉趾腫瘍重量をグラムで示した。見たように、フ
ォレート標的化ドキソルビシン包含リポソーム(黒三角)で処理した細胞を受け
たマウスにおける腫瘍は最も低い平均腫瘍重量を有した。
【0067】 表5には腫瘍の発生率及び処理群の各々につき腫瘍重量中央値をまとめた。
【0068】
【表6】
【0069】 表5の結果では、フォレート標的化リポソームのドキソルビシンに曝露した腫瘍
細胞を注射したマウスに生じる腫瘍の数が、遊離ドキソルビシン、DOXIL及
び対照と比べて5週間の追跡後で統計的に極度に減少することを示す。腫瘍重量
もフォレート標的化リポソームの群についてはより少ない。 同様な試験で、各々の処方で処理した腫瘍細胞をマウスに皮下注射し、注射後の
時間の関数として触診可能な腫瘍の数を測定した。結果を図16に示すが、対照
マウス(白丸)が最も多い数を有した。遊離ドキソルビシン処理細胞を受けたマ
ウス(黒丸)もゆっくりした初期腫瘍成長期の後、約20日目の後には顕著な腫
瘍数を有した。リポソーム処方を受けたマウス(白丸は非標的化リポソームで、
黒三角はフォレート標的化リポソーム)は最も少ない腫瘍を有し、フォレート標
的化リポソームドキソルビシンについては腫瘍の数が最も少ない結果となった。
【0070】
【実施例】 III.実施例 以下の例は本発明のリポソーム組成の調製法及び特性評価を例証するものであ
り、制限を意図するものではない。
【0071】 実施例1 葉酸−PEG−DSPE抱合体の調製と特性評価 A.抱合体の合成 葉酸(Fluka,100mg,0.244mmol)をDMSO(4mL)に
溶解する。アミノ−PEG2000−DSPE(Zalipsky,S.et al
.,FEBS Lett.353:71−74(1994)に説明があるように
調製した)及びピリジン(2mL)を葉酸−DMSO溶液に加え、次いでジシク
ロヘキシルカルボジイミド(130mg、0.63mmol)を加えた。反応は
室温で4時間連続した。シリカゲルGF(クロロホルム/メタノール/水 75
:36:6)でのTLCは生成物が生じたことによる新しいスポット(R1=0
.57)を示した。反応混合物からアミノ−PEG−DSPE(R1=0.76
)の消滅をニンヒドリン噴霧で確認した。ピリジンをロータリーエバポレーショ
ンで除去した。水(50mL)を反応混合物に加えた。溶液を遠心分離して痕跡
の不溶物を除いた。上澄液をSpectra/Por CE(Spectrum
,Houston,TX)管(MWCO 300,000)にて塩水(50mM
,2×2000mL及び水(3×2000mL)に対して透析した。得られた生
成物(TLCで1スポット)のみを含んでいる溶液を凍結乾燥し、残渣をP25 上で減圧にて乾燥した。収量:400mg、90%。当該合成を図1に例証する
【0072】 同じプロトコールを用いてH2N−PEG3350−DSPEから葉酸−PEG−
DSPEを調製した。同様な手順で葉酸をmPEG2000−NH2(Zalips
ky,S.,et al.,Eur.Polym.J.,19:1177−11
83(1983))に付着させた。生成物であるmPEG−葉酸はシリカゲル(
70−200メッシュ、60Å)カラムで、メタノール(10−80%)のクロ
ロホルム溶液の段階的傾斜法、次いで純生成物を溶出するのにクロロホルム/メ
タノール/水(65:30:5)を用いて精製した。 B.UV分析による抱合体の特性評価 フォレート含量値は、葉酸の吸光係数λmax=285nmにおけるε=27,
500M-1cm-1を用い、メタノール中(0.05mg/mL)の抱合体を定量
的UV分光測光法で定量した。以下の葉酸含量値を計算した:葉酸−PEG2000 −DSPEにつき0.29mmol/g(理論値の94%、0.31mmol/
g);葉酸−PEG3350−DSPEにつき0.21mmol/g(理論値の97
%、0.22mmol/g)及びmPEG2000−葉酸につき0.40mmol/
g0.40mmol/g(理論値の98%、0.41mmol/g)。 C. 1H−NMR(360MHz,DMSO−D6/CF3CO2D約10/1v
/v)による抱合体の特性評価 葉酸−PEG−DSPEについて:
【0073】
【化1】
【0074】 D.質量スペクトル(MALDI−TOFMS)による抱合体の特性評価 PHI−EVANS MALDI三重静電アナライザー飛行時間型質量分析計
(デソープションレーザー:337nm,600ピコ秒パルス幅)により、マト
リックス材としてゲントリンシン酸を用いてCharles Evans &
Associates(Redwood City,CA)がスペクトルを得た
。当該スペクトルは、葉酸−PEG2000−DSPE(分子量計算値3200
Da)については3284を中心とした44DA間隔の列でベル型分布を示した
;葉酸−PEG3350−DSPE(分子量計算値4540Da)については4
501;及びmPEG−葉酸(分子量計算値2423Da)については2400
Daであった。 E.カルボキシペプチダーゼG介在分裂のHPLCモニタリング HPLCシステムには、Phenomenex Prodigy C8(4.
6.50mm)カラムを備えたShimazu 10Aを1mL/分、モニタリ
ングはλ=285nmを用いた。葉酸−PEG−DSPEの分析には、システム
をメタノール/10mMりん酸ナトリウム、pH7.0(92:8、v/v)の
同一組成法で用いた。抱合体は保持時間5.7分の単一ピークで溶離した。mP
EG−葉酸の分析は、10mMりん酸ナトリウム、pH7.0とメタノール(2
5分で0〜35%)の傾斜溶離法で行なった。抱合体は保持時間19.6分の単
一ピークで溶離した。両方の場合において、全抱合体ピーク面積の減少により抱
合体の葉酸部分からプテロイン酸の酵素的分裂を追跡することができた。葉酸−
PEG−DSPE(0.1mg/ml)の溶液を150mM Tris緩衝液、
pH7.3で調製した。この溶液の一部(10μL)をHPLCに注入して時間
ゼロピーク積分を得た。酵素カルボキシペプチダーゼG(CPG,Sigma,
1単位)を葉酸−PEG−DSPE溶液に添加した。得られた溶液を30℃の水
浴でインキュベートし、一部(10μL)を異なる時間間隔でHPLCに注入し
た。酵素的加水分解の速度は当初速いが、インキュベーションが4時間過ぎると
ゆるやかになる。追加的にCPGの1単位を反応混合物へ4時間と20時間に加
えた。データは27時間まで集めた。インキュベーション時間の延長及び複数回
の酵素添加にも係わらず、抱合体の消滅は当初積分値の20%を越えないので、
葉酸−PEG−DSPEの80%はγ−カルボキシル結合であることを示してい
る。mPEG−葉酸を基質として試験を行なうと、この抱合体はγ−カルボキシ
ル結合の葉酸残基を約90%含有していた。実施例2 細胞培養及び結合試験 A.細胞培養 細胞は、10%ウシ胎児血清、グルタミン2mM,ペニシリン50単位/mL及
びストレプトマイシン50μg/mLを加えた通常又は葉酸非存在RPMI培地
、で培養した。血清含有葉酸非存在培地中の葉酸濃度は、通常の培養条件では2
.26μM(1mg/L)であるのに対し、僅かに3nMである。細胞は日常I
ndustries(Beyt Haernek,Israel)においてトリ
プシン(0.05%)−EDTA(0.02%)溶液の処理により流通しており
、ウシ胎児血清はGIBCO(Grand Island,NY)から得た。
【0075】 (i)細胞系:M109は、BALB/cマウスのマウス肺ガン系統(Mar
ks,T.A.et al.,Cancer Treat.Rep.,61:1
459−1470(1997)),及びこれらの細胞のサブ系統で多薬物耐性を
示すM109R(ドキソルビシンに対する耐性が約100倍増加)を多くの試験
で使用した。両方の細胞系はin vitroで葉酸受容体を少量発現し、それ
ゆえにM109− LoFR及びM109R−LoFRと称する。これらの細胞
を葉酸非存在培地中で数回継代すると、大量の葉酸受容体を発現する2種のサブ
系統が得られた。これらのサブ系統は低濃度葉酸条件でも原系と同様な世代時間
で成長するように適応していた。これらのサブ系統を、葉酸受容体の過剰発現を
強調するためにM109−HiFR及びM109R−HiFRと称する。
【0076】 KB細胞であるヒト鼻咽頭表皮ガン(Saikawa,Y.,Biochem
istry,34:9951−9961(1995))を同じように葉酸低濃度
培地で成長させて葉酸受容体を過剰発現する細胞、KB−HiFR細胞を得た。
本研究における他の細胞系はヒトメラノーマ系統のA375及びGenetiv
s Department of Hadassah Hebrew Hosp
italが親切に提供してくれた正常ヒト線維芽細胞である。 B.遊離フォレート、葉酸−PEG抱合体及びリポソームの細胞結合 結合は細胞会合リポソームの3H−Chol又は3H−葉酸の測定によりアッセ
イした。アッセイの48時間前、5×105細胞を35mm皿に播種して約106 細胞/プレートを得た。細胞なしの培地及び血清で2日間プレインキュベートし
たプレートを対照として使用した。アッセイの際にはプレートを2回葉酸非存在
のRPMI培地で洗浄し、0.1μM放射標識葉酸又は30〜300ナノモル量
のリン脂質のリポソームを含んだ葉酸非存在RPMI培地1mLにおいて、37
℃でインキュベートした。インキュベーション後、プレートは3回2mL氷冷P
BSで洗浄し、放射標識物を0.5NNaOH1mLで一夜抽出し、0.5NH
Cl1mLで中和した。細胞と会合した放射能を分析する際には、細胞はトリプ
シン−EDTA処理してプレートから放出し、PBSで3回洗浄し、それから同
様な手順に従って抽出した。放射能は液体シンチレーションカウンターで計数し
て測定した。各リポソーム処方についてcpm/リン脂質の特定比に基づき、結
果を細胞百万個当たりのリン脂質ピコモルに転換した。
【0077】 酸洗浄処理したものを合わせる際は、各皿は酸性にした塩水(pH=3)で2
回洗浄し、次いでPBSで洗浄してから上記のように抽出した。 細胞をホスファチジルイノシトール−ホスホリパーゼC(PI−PLC)で細
胞を処理する際は、M109HiFR細胞は葉酸非存在RPMI培地で2回洗浄
して葉酸非存在RPMI培地中の0.1単位/mLホスホイノシトールホスホリ
パーゼ−C(PI−PLC)(Boeringer,Mannheim)に37
℃で60分間曝露した。それから、細胞は葉酸非存在培地で2回洗浄し、フォレ
ート標的化リポソームに4℃で1時間曝露した。固定した細胞試料につき顕微鏡
観察を行なった。
【0078】 懸濁した細胞で行なった試験で、単層から得た細胞をトリプシン−EDTA処
理で放出し、次いで葉酸非存在培地で3回洗浄した(7分間、500g遠心分離
)。懸濁細胞(1〜10×106細胞/mL)を放射標識遊離葉酸又はリポソー
ム(濃度は各試験で記した通り)と5mLのプラスチック管中で30分インキュ
ベートした。結合しない物質はPBSで4回洗浄して除去した。実施例3 リポソームの調製 水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)(Avanti Polar L
ipids,Birmingham,AL)、コレステロール(Chol)(S
igma,St.Louis,MO)及びメトキシPEG2000−DSPE(mP
EG−DSPE)からなるリポソームを、以前記載されたように(Zalips
ky,S.,et al.,Bioconjugate Chem.,4:29
6−299(1993))調製した。リポソーム組成は上記表2で説明したが、
検討した如く全ての処方にHSPC,Chol及びDSPEは含有しているので
、ここでは葉酸−PEG/mPEGの内容に従って呼ぶことにする。図3は図式
で処方を例証する。
【0079】 全てのリポソーム処方には微量の3H−コルヘキサデシルエーテル(NEN,
Boston,MA)を添加した。リポソームは、クロロホルム:メタノール(
1:1)脂質溶液のロータリーエバポレーション又はt−ブタノール脂質溶液の
凍結乾燥で得た凍結乾燥“ケーキ”により得られた薄層乾燥脂質膜を55〜60
℃で水和させて作成した。使用した緩衝液は、50〜100μモルホスホリピッ
ド/mLにおいて、5%デキストロース/15mM Hepes、pH7.4で
ある。水和の後に、Lipex Biomembranes(Vancouve
r,BC)から得たステンレス鋼装置を用いて1.0〜0.05μmの孔を持つ
二重積層ポリカーボネート膜を通過させる高圧押出しを行なった。リポソームは
0.22μmのセルロース膜をろ過させて滅菌した。リポソームの特性評価は:
リン含量に基づくホスホリピッド濃度、ドデシル硫酸ナトリウム溶液(10%)
でリポソーム破裂した後に285nmの葉酸UV吸収に基づく葉酸濃度、動的レ
ーザ分散法で測定した小胞の大きさ、幾つかの処方における遊離脂肪酸含量で検
査したホスホリピッドの加水分解を含んでいる。全てのリポソーム調製は平均し
た小胞の大きさは70〜90nmで標準偏差は<25%であり、単峰形の径分布
であった。ホスホリピッドの加水分解は、ここで試験を行なった調製物では検出
されなかった。実施例4 フォレート標的のリポソームとM109HiFR細胞の結合及び内部移行 A.リポソームの調製 リポソームは実施例3の手順に従って調製したが、DPPE−ローダミン(A
vanti Polar Lipids,Birmingham,AL)を次の
ように含む:
【0080】
【表7】
【0081】 B.共焦点顕微鏡法 M109HiFR細胞は、各試験に先立つ24時間前に、35mmの培養皿に
挿入した24mmのカバースガラスの上に蒔いた。細胞のリポソーム組成物又は
遊離ドキソルビシンに曝露する時間は各試験につき示した。細胞を緩衝化した4
%ホルマリン/1.5%メタノール(Bio−Lab,Israel)を含有す
るPBS溶液により4℃で15分間固定した後、PBS(Gibco,Gran
d Island,NY)で4回洗浄した。次にカバーガラスを、90%グリセ
ロール/10%PBS/0.1%NaN3及び抗フェーディング剤の3%DAB
CO(Sigma)からなる緩衝化封入剤で被覆したスライドの上にのせた。
【0082】 生きたままの(固定していない)細胞の顕微鏡的視覚化は、2mM MgSO4 /1mM HEPES(Sigma),pH7.0を含有するPBSの中で行な
った。
【0083】 細胞の試験は反転Zeiss共焦点レーザ走査顕微鏡(LSM410)(Ca
rl Zeiss,Jena,Germany)で行なった。最大励起は、内部
He−ネオンレーザの543nm線でおこなった;蛍光発光はローダミン用の長
路透過防御フィルターLP−570により570nm以上を観測した。ドキソル
ビシンについては最大励起として内部アルゴンレーザの488nm線により行な
った:蛍光発光は長路透過防御フィルターLP−515により515nm以上で
観測した。水浸液対物レンズにC−Apochromat 63×1.2 Wc
orr.(Zeiss)を用いた。画像はTIFファイル形式に変換し、画像の
コントラストレベル及び明るさはZeiss LSM410プログラムを用いて
調整した。画像はQMSマジカラー2プリンターから1200dpiで印刷した
実施例5 ドキソルビシンリポソームの調製及びin vitroでの結合 A.リポソームの調製 リポソームの調製はGabizon(J.Drug Targeting,3
:391−398,(1996))が記述した通りに行ない、水素化大豆ホスフ
ァチジルコリン(HSPC,Avanti Polar Lipids,Bir
mingham LA,USA),コレステロール(Sigma),DSPE−
PEG−フォレートから構成されていた。ドキソルビシンのホスホリピッドとの
比率は110〜150μg/μgであった。フォレート標的配位子を欠いている
がPEGの表面被覆を有するドキソルビシン担持リポソームはCabanes,
A.,Clinical Cancer Res.4:499−505,(19
98)に記述されており、商品名DOXIL(Sequus Pharmace
uticals,Inc.)で販売されている。 B.In vitroでの結合 M109R−HiFr細胞を遊離ドキソルビシン又はフォレート標的化リポソ
ーム中に包含されたドキソルビシンと、ドキソルビシン濃度4×10-5Mでイン
キュベートした。ドキソルビシン分子は蛍光を用いて追跡した。実施例6 流出ポンプのベラパミル障害及びドキソルビシンの送達 35mm培養皿中のM109R HiFR細胞の単層を、遊離薬物又はフォレ
ート標的化リポソームの形である0.5×10-5Mドキソルビシンに37℃で1
時間、10μモルのベラパミル(Teva,Israel)の存在又は非存在下
で曝露した後、PBS洗浄(7分、500g遠心分離)した。そして、洗浄した
細胞を洗浄し、更にベラパミルと2時間インキュベートした。細胞は0.05%
トリプシン/0.02%EDTA(Gibco,Grand Island,N
Y)により単層からはずして2つの画分に分け、1つは蛍光を用いて細胞のドキ
ソルビシンを定量し、他の1つはフローサイトメトリーアッセイに供した。細胞
のドキソルビシン定量は、0.075NHCl/90%イソプロピルアルコール
により一夜4℃で抽出し、遠心分離した後の上澄液につきドキソルビシンを蛍光
光度計(Kontron,Lumitron,Israel)により励起波長4
70nm、発光波長590nmで測定して行った。
【0084】 フローサイトメトリーは次のように行なった。上述した懸濁M109R−Hi
FR細胞を、FACS−Star Plus(Becton−Dickinso
n,Immunofluorometry System、Mountain
View,CA)フローサイトメーターを用いたフローサイトメトリーで分析し
た。細胞はシース液体として塩水を用い70μmノズルを通して約1000細胞
/秒の速度で通過させた。488nmのアルゴンレーザビームを250mWで励
起用の光源とした。赤色(ドキソルビシン由来)蛍光につき575nmDF26
帯透過フィルターを用いて測定した。
【0085】 結果を図11A〜11B及び表4に示した。実施例7 細胞及び核のドキソルビシン定量 M109−HiFR及びM109R−HiFR細胞を遊離ドキソルビシン又は
ドキソルビシン包括リポソームに1時間及び4時間曝露した。細胞での薬物蓄積
についての定量は、実施例6で上述したようなトリプシン処理細胞につき蛍光分
析を行なった。トリプシン処理し、PBS洗浄したドキソルビシン曝露M109
R−HiFR細胞を、次に示す溶液:100mM NaCl/1mM EDTA
/1%TritonX−100(Sigma)/10mM Tris(Sigm
a),pH7.4に4℃で10分間懸濁して遠心分離(15分、800g)した
。細胞核沈殿物を細胞の細胞質ゾルから分離し、ドキソルビシンを両画分から実
施例6に記載したように抽出した。結果は図13に示す。実施例8 細胞毒試験 96穴プレート(6回反復)に103細胞/穴の濃度で播種したフォレート非
存在RPMI培地中のM109HiFR及びM109R−HiFR細胞を遊離形
、非標的化リポソーム包括形及びフォレート標的化リポソーム包括形のドキソル
ビシンに1時間曝露した。曝露後、細胞は2回洗浄し、上記の培地で更に120
時間インキュベートした。細胞成育アッセイについては、2.5%グルタルアル
デヒド(Merck)を固定剤として用い、メチレンブルー(Merck)染色
を行ない、自動プレートリーダーにより620nmの吸光度測定で行なった。結
果を図14A〜14Bに示した。実施例9 in vivoでの養子腫瘍成長アッセイ 10週令雌BALB/cマウスを特定の病原菌非存在施設で飼育した。in
vitro懸濁のM109R−HiFR細胞(107細胞/ml)を遊離、リポ
ソーム包括形(Doxil?)又はフォレート標的化リポソーム包括形のドキソ
ルビシン10-5Mに2時間曝露し、PBSで洗浄し、そして2×107細胞を再
懸濁した。健常で、同質遺伝的なBALB/cマウスの右後部足趾に50μl(
106細胞)を注入した。足趾の厚さをカリパスで週に一度か二度で5週間測定
した。35日後、マウスはと殺し、腫瘍の最終数を記録し、対照と腫瘍接種した
足趾を踝で切断して重量を測定した。腫瘍重量を、正常と腫瘍を有する足趾の重
量差として判断した。群当たりの最終発生率における差の統計的有意差を、分割
表及びフィッシャーの直接法により分析した。結果は図15A〜15B及び表5
に示した。
【0086】
【発明の効果】
本発明につき特定の態様につき記述してきたが、当事者であれば本発明から逸
脱することなく種々の変更及び修正をすることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はγ−カルボキシル−結合の抱合体の構造を示している葉酸−
PEG−DSPE抱合体を調製する際の合成反応スキームである;
【図2】 図2は放射標識葉酸0.1μモルの濃度にて,フォレートの受容体
(M109R−HiFR)が高密度であるネズミ肺ガン細胞にある細胞フォレー
ト受容体への放射性葉酸の結合を測定するために、以下の競合剤:遊離フォレー
ト(白丸)、遊離PEG2000(黒四角)又はPEG−フォレート抱合体(黒三角
)が異なる濃度で存在している状態における競争的結合試験の結果を示す;
【図3】 図3A−3Fは、本発明のもとで調製したリポソーム組成物の概要
図解である;
【図4】 図4A−4Bは、種々な葉酸担持リポソーム及び対照リポソーム(葉
酸配位子なし)について、フォレート受容体が高密度(M109−HiFR)と
低密度(M109−LoFR)のマウス肺ガン細胞(図4A)及びフォレート受
容体が高密度(KB−HiFR)と低密度なヒト表皮ガン細胞(KB−LoFR
)への結合を示している(図4B);
【図5】 図5A−5Dは、ローダミン標識、フォレート標的化リポソーム(
図5A−5B)及び付加的PEG鎖を有するローダミン標識したフォレート標的
化リポソーム(図5C−5D)とインキュベートしたM109−HiFR細胞の
共焦点顕微鏡像である;
【図6】 図6A−6Bは、ローダミン−葉酸−PEG2000リポソーム(HS
PC/Chol/DSPE−PEG−フォレート/DPPE−ローダミン(98
.9:70:1.0:0.1))と30分間(図6A)及び50分間(図6B)
インキュベートしたM109−HiFR細胞の共焦点顕微鏡像である;
【図7】 図7A−7Bは、ローダミン−葉酸−PEG2000リポソーム及び2
mMの遊離フォレートと4時間(図7A)及び19時間(図7B)インキュベート
したM109−HiFR細胞の共焦点顕微鏡像である;
【図8】 図8A−8Bは、ホスファチジルイノシトール−ホスホリパーゼC
で処理し、ローダミン−葉酸−PEG2000リポソームで1時間インキュベートし
たM109−HiFR(図8A)及びM109−HiFR細胞(図8B)の共焦点
顕微鏡像である;
【図9】 図9A〜9Fは、M109R−HiFR細胞(M109のサブ系統
で多薬物耐性として選択した)を、遊離ドキソルビシンと7分間(図9A)と3
0分間インキュベート(図9B);ドキソルビシン担持フォレート標的化リポソ
ームと20分(図9C),60分間(図9D)及び90分間(図9E)インキュ
ベート;mPEG−DSPE被覆の非フォレート標的化リポソーム(市販ではD
OXILとして既知)と4時間(図9F)インキュベートしたときの画像である
【図10】 図10A〜10DはM109−HiFR細胞を、遊離ドキソルビ
シン(図10A)又はドキソルビシン含有フォレート標的化リポソーム(図10
B)と1時間インキュベート及び1時間遊離ドキソルビシンとのインキュベーシ
ョン後に24時間薬物不存在培地にインキュベート(図10C)又は1時間ドキ
ソルビシン含有フォレート標的化リポソームとのインキュベーション後に24時
間薬剤不存在培地にインキュベート(図10D)したときの画像である。
【図11】 図11A〜11Bは、P−糖タンパク質遮断剤であるベラパミル
の存在又は非存在下、遊離ドキソルビシン(図11A)及びドキソルビシンを伴
うフォレート標的化リポソーム(図11B)に曝露したM109R−HiFR細
胞のフローサイトメトリーアッセイの結果である;
【図12】 図12は、フォレート標的化リポソームの中に包括されたドキソ
ルビシンに、薬剤と脂質の比が137.6μg/μモル(黒丸)及び11.3μg
/μモル(白丸)においてM109R−HiFR細胞を曝露したときのドキソル
ビシン取り込みの速度をプロットしたものである;
【図13】 図13は、遊離ドキソルビシン及びドキソルビシンを包含したフ
ォレート標的化リポソームとM109R−HiFR細胞を1時間及び4時間曝露
した後のドキソルビシンの蓄積を示した棒グラフであるが、蓄積量を細胞核と細
胞質ゾルにおいて定量した;
【図14】 図14A〜14Bは、M109−HiFR(図14A)及びM1
09R−HiFR(図14B)を遊離型のドキソルビシン(黒丸)又はフォレー
トの標的化リポソーム包含型(黒三角)又は非フォレート標的化リポソーム包含
型(黒四角)に曝露したときの細胞毒の結果を示す。
【図15】 図15Aは、マウスの肉趾(足裏のふくらみ)に腫瘍細胞を注射
した後、平均の肉趾のmmで表した厚さの時間的経過を示すが、腫瘍細胞は注射
前にin vitroで遊離ドキソルビシン(黒丸)、リポソーム包含ドキソル
ビシン(白四角□)又はフォレート標的化リポソーム(黒三角)で処理してある
。対照マウスは無処置腫瘍細胞(白丸○)を受けた; 図15Bは、図15Aの試験動物の34日目における平均の肉趾腫瘍のグラ
ム重量を示すが、肉趾腫瘍重量は34日目における肉趾重量から健康マウスの平
均肉趾重量を差引いたものとした。そして、
【図16】 図16は、未処理(対照、白丸)又は遊離ドキソルビシンのin
vitro処理腫瘍細胞(黒丸)、非標的リポソームに包括したドキソルビシ
ン(白四角)及びフォレート標的化リポソーム中に包含したドキソルビシン(黒
三角)を皮下注射した後の触診可能腫瘍の数をプロットで示したものである。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年1月12日(2001.1.12)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項14】 多薬物耐性被験者のガンを治療する薬剤を製造する際に、請
求項11〜13のいずれかに記載の組成物の使用。
【手続補正書】
【提出日】平成13年6月28日(2001.6.28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正内容】
【0067】 表5には腫瘍の発生率及び処理群の各々につき腫瘍重量中央値をまとめた。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正内容】
【0068】
【表6】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 35/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ガビゾン,アルバート・エイ イスラエル国96920 エルサレム,ペレ ズ・バーンステイン・ストリート 56 (72)発明者 ザリプスキー,サミュエル アメリカ合衆国カリフォルニア州94061, レッドウッド・シティ,トルーマン・スト リート 1202 (72)発明者 ゴレン−ルベル,ドリト イスラエル国93389 エルサレム,ベイ ト・アラバ・ストリート 22 (72)発明者 ホロウィッツ,アヴィヴァ・ティー イスラエル国92548 エルサレム,ニリ・ ストリート 8 Fターム(参考) 4C076 AA19 AA95 CC27 CC32 CC41 EE23 EE41 EE59 FF15 FF36 GG46 4C086 AA01 AA02 EA02 EA10 FA02 MA02 MA03 MA04 MA05 MA10 NA02 NA05 NA10 NA14 ZB26 4C206 AA01 AA02 FA31 KA05 MA02 MA03 MA04 MA05 MA10 NA02 NA05 NA10 NA14 ZB26

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多薬物耐性細胞に対して治療用化合物を投与する際の組成物
    で、 担体分子; 担体分子に付着した少なくとも1つのフォレート(folate)配位子;及び
    担体と会合した治療用化合物を含み、 そのとき前記組成物は、細胞内に細胞毒となるのに充分な量の治療用化合物の蓄
    積を達成させるのに効果がある。
  2. 【請求項2】 担体が天然又は合成の高分子である、請求項1に記載の組成物
  3. 【請求項3】 担体がタンパク質又はペプチドの巨大分子である、請求項1に
    記載の組成物。
  4. 【請求項4】 担体は親水性高分子鎖の表面被膜を有するリポソームで、高分
    子鎖の末端にフォレート配位子が付着している、請求項1に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 高分子が少なくとも約3,500ダルトンの分子量を有するポ
    リエチレングリコールである、請求項4に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 治療用作用物質が化学療法薬である、請求項2〜5のいずれか
    に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 治療用作用物質がアンスラサイクリン抗生物質である、請求項
    2〜5のいずれかに記載の組成物。
  8. 【請求項8】 アンスラサイクリン抗生物質がドキソルビシン、ダウノルビシ
    ン、エピルビシン イダルビシン、ミトキサントロン及びアントラキノン薬から
    なる群から選択したものである、請求項7記載の組成物。
  9. 【請求項9】 多薬物耐性細胞に対して治療化合物を投与する際に使用する薬
    剤として、先行する請求項のいずれかに記載の組成物。
  10. 【請求項10】 多薬物耐性の被験者のガンを治療する薬剤を製造する際の、
    請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の使用。
  11. 【請求項11】 遊離型では細胞に蓄積しない治療用化合物を、細胞に投与す
    る際に薬剤として使用する組成物で、(i)遊離末端を有する親水性高分子で誘
    導体化した小胞形成脂質を含む小胞形成脂質からなるリポソーム、(ii)少な
    くとも当該親水性高分子鎖の部分の遊離末端に付着したフォレート配位子、及び
    (iii)リポソームの中に包含された治療用作用物質を含む;そのとき前記組
    成物は細胞に投与すると、細胞の中に細胞毒性となるのに充分な量の化合物の蓄
    積を達成するのに効果的である。
  12. 【請求項12】 前記の親水性高分子が、少なくとも約3,500ダルトンの
    分子量を有するポリエチレングリコールである、請求項11記載の組成物。
  13. 【請求項13】 治療用作用物質が化学療法作用物質である、請求項11又は
    請求項12記載の組成物。
  14. 【請求項14】 多薬物耐性被験者のガンを治療する薬剤を製造する際に、請
    求項11〜13のいずれかに記載の組成物の使用。
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