JP2002531384A - BクラスephrinとPDZ領域との相互作用を変調するペプチド - Google Patents

BクラスephrinとPDZ領域との相互作用を変調するペプチド

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JP2002531384A
JP2002531384A JP2000583951A JP2000583951A JP2002531384A JP 2002531384 A JP2002531384 A JP 2002531384A JP 2000583951 A JP2000583951 A JP 2000583951A JP 2000583951 A JP2000583951 A JP 2000583951A JP 2002531384 A JP2002531384 A JP 2002531384A
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リン ダニー
ポーソン アントニー
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マウント サイナイ ホスピタル
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、Bクラスephrin及びPDZ領域含有蛋白質を包含する複合体;PDZ領域結合部位を有するBクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用に干渉するペプチド;及びペプチドと複合体の使用に関する。BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用を変調する方法、並びに化合物について、相互作用を変調する能力を評価する方法も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、PDZ領域結合部位を有するBクラスephrin及びPDZ領域
含有蛋白質を包含する複合体;PDZ領域結合部位を有するBクラスephri
nとPDZ領域含有蛋白質との相互作用に干渉するペプチド;及びそのペプチド
と複合体の使用に関する。
【0002】発明の背景 後生生物中に同定される多数の受容体チロシンキナーゼ(RTK)のうち、E
ph族は幾つかの点で特殊である。Caenorhabditis elegansゲノムによってコー
ドされるEph RTKのみ(vab−1遺伝子産物(2))が知られているが
、脊椎動物は一般に14個のEph受容体遺伝子を有する。このことは、これら
のチロシンキナーゼが複雑な細胞相互作用を制御するのに重要であることを示唆
している(3、4)。この可能性と一致して、C. elegansVAB−1は、腹側閉
鎖時に形態形成上の細胞移動を調整する(2)一方で、脊椎動物のEph受容体
は、軸索の誘導及び繊維束形成の制御;中枢神経系内の配置の指定;発達におけ
る神経冠細胞の移動の組織化;口蓋閉鎖時における上皮組織膜の直接的融合;及
び血管形成に関与している(5−15)。
【0003】 EphB2(かつてはNukと呼ばれた)の、発現パタ−ンに関する初期の研
究は、この受容体がマウス中脳の発達における細胞−細胞接合部位に密集してい
ることを示唆しており、Eph受容体が、直接的な細胞−細胞間相互作用によっ
て誘導されたシグナルを媒介している可能性を挙げている(5)。Eph受容体
は通常、隣接する細胞表面に物理的に関連するリガンドによって活性化される、
ということを支持する証拠が幾つも挙がっている。Eph受容体に対する公知の
リガンド(ephrinと称される)は全て、配列上の関連があるが、C末端モ
チーフに基づいて2つのグループに分けることができる。Aクラスephrin
リガンドは、C末端グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)基によっ
て改変され、その基を通じてリガンドはリガンドを発現した細胞表面上に固着す
る(7、9、16)。これに対してB型ephrinは、膜貫通要素、及びC末
端82−88残基を包含する高度に保存された細胞質内テールを有する(17−
22)。次にEph受容体は、配列の類似性、並びに溶解性のA型又はB型ep
hrinに結合する傾向に基づいて、それぞれA群及びB群に分けることができ
る(4、23、24)。しかし、可溶性ephrinが対応する受容体にしっか
り結合しても、Ephチロシンキナーゼ活性を確実に活性化させるには、リガン
ドを人工的にオリゴマー内に密集させるか、受容体を発現する細胞を、膜関連e
phrinを発現する細胞と共に培養することが必要である(18)。これらの
データは、ephrinが集合し、それによりEph受容体を活性化させる能力
が細胞表面への固着に依存していることを示唆しており、Eph受容体シグナリ
ングが細胞−細胞相互作用に関与しているという見解に一致する。マウスの胚発
生において、Eph受容体及びそのリガンドは、機能的なしかし相補的なパター
ンで発現されるが、このことはEph受容体が、Ephとephrin発現細胞
が隣接する境界において、活性化されている可能性を示している(23、25)
【0004】 C. elegans及びマウスにおけるEph受容体機能の遺伝子分析は、Eph受容
体がキナ−ゼ依存性及びキナーゼ非依存性両方のシグナリング形態を有すること
を示しており、B型Eph受容体及びephrinが双方向性の細胞−細胞シグ
ナリングを媒介する可能性を示している(2、6)。興味深いことに、Eph受
容体の膜貫通ephrinB1又はB2への結合、並びに血小板由来成長因子(
PDGF)によるephrinB発現細胞の処理はいずれも、高度に保存された
細胞質テール内のチロシン残基上でephrinをリン酸化する(26、27)
。更に、繊維芽細胞成長因子で処理して抑制して、XenopusephrinB分子
が細胞質内で発現すると、Xenopus胚における固着性が著しく失われる(28)
【0005】発明の概要 Bクラスephrinは、BクラスEph受容体チロシンキナーゼのリガンド
として機能し、固有のシグナリング機能を有する。B型ephrinのカルボキ
シル末端の配列は、PDZ結合部位を含んでおり、その部位を通じて膜貫通ep
hrinが細胞質蛋白質と相互作用する。10.5日マウス胚発現ライブラリー
を、ephrinB3のC末端に相当するビオチン化ペプチドでスクリ−ンした
。分子GRIPの断片、蛋白質syntenin及びPHIP(Caenorhabditis
elegans PAR−3に関連した新規なPDZ領域含有蛋白質)の、3個の正の
cDNAが、複数のPDZ領域を有するポリペプチドをコードした。更に、定方
向(oriented)ライブラリー法(1)によって予想されたPDZ領域の結合特異
性は、チロシンホスファターゼFAP−1をB型ephrinの潜在的な結合相
手として同定した。生体外の研究によって、FAP−1の第5のPDZ領域及び
全長synteninが、C末端モチーフを通じてephrinB1と結合する
ことが示された。最後に、syntenin及びephrinB1は、トランス
フェクトされたCos−1細胞から共免疫沈降できるが、このことは細胞内でB
型ephrinがPDZ領域に結合することを意味する。これらの結果は、B型
ephrinのC末端モチーフが、特異的なPDZ領域含有蛋白質に対する結合
部位を有しており、これにより潜在的に、Eph受容体に対する相互作用のため
の膜貫通リガンドが局在化され、ephrinB発現細胞内でのシグナリングに
関与していることを示唆している。
【0006】 該して、本発明は、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との複合体
に関する。本発明は更に、BクラスephrinのPDZ結合領域に由来するペ
プチドに関する。本発明は更に、本発明の複合体及びペプチドに特異的な抗体を
企図する。
【0007】 本発明は更に、有効量の下記から選ばれる1個以上を投与することを包含する
、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用に干渉する方法を
提供する。(a)Bクラスephrin及びPDZ領域含有蛋白質を包含する複
合体;(b)BクラスephrinのPDZ結合領域に由来するペプチド;又は
(c)BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用のエンハンサ
ー又は抑制剤。
【0008】 本発明は更に、(a)複合体を、複合体に結合する可能性のある少なくとも1
個の物質に、物質と複合体との結合を可能にする条件下で反応させ、そして(b
)結合を検出する(ここで結合の検出は、物質が複合体に結合することを意味す
る)ことを包含する、BクラスephrinB及びPDZ領域含有蛋白質を包含
する複合体に結合する物質を同定する方法を提供する。結合は、物質−複合体共
役体、あるいはBクラスephrinB又はPDZ含有蛋白質の活性化を検定す
ることによって検出することができる。本発明は又、本発明の複合体に相互作用
する他の細胞内蛋白質に結合する物質を同定する方法を企図する。
【0009】 更に本発明は、ある化合物が、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質
との相互作用を変調する能力を有するかどうかを評価する方法を提供する。例え
ば、本発明の複合体内で分子間の相互作用を阻害する又は増加させる物質、ある
いは本発明の複合体内の分子に結合する物質を、評価することができる。ある態
様においては、本発明の複合体を複合体に結合する物質、及び試料化合物と共に
、物質と複合体との共役体を形成することが可能な条件に提供し;共役体を除去
及び/又は検出することを本方法は包含する。他の態様においては、Bクラスe
phrin、PDZ領域含有蛋白質、及び試験化合物を、Bクラスephrin
とPDZ領域含有蛋白質との結合を可能にする条件に提供し;(b)結合を検出
する(ここで試験化合物の非存在下における結合に比較して、増加した又は減少
した結合が検出されたとき、試験化合物がBクラスephrinとPDZ領域含
有蛋白質との相互作用を変調することを意味する)ことを包含する。
【0010】 本発明は更に、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用に
干渉する、式Iで表わされるペプチドを企図する。 X−X−X−K−V I ここでXは0〜70、好ましくは0〜50、より好ましくは2〜20個のアミノ
酸であり、X及びXはそれぞれチロシン又はホスホチロシンを表わす。本発
明は更に、本発明のペプチドの類似体に関する。
【0011】 更に本発明は、Bクラスephrinの末端アミノ酸Valを変化させること
を包含する、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用を変調
する方法に関する。
【0012】 本発明の、複合体、ペプチド及び抗体、並びに本発明の方法を用いて同定した
物質及び化合物を、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用
の変調に用いることができ、Bクラスephrin及び/又はPDZ領域含有蛋
白質に関連する細胞の細胞作用(特に軸索形成、神経細胞相互作用及び再生にお
ける、例えば増殖、成長及び/又は分化)の変調に用いることができる。
【0013】 従って、複合体、抗体、ペプチド、物質及び化合物を調合して、中枢神経系の
疾患(例えば神経変性や神経損傷)などのBクラスephrinに関連した疾患
を有する患者に投与するための組成物とすることができる。従って本発明は、本
発明の複合体、ペプチド又は抗体、あるいは本発明の方法を用いて同定した物質
又は化合物1以上、並びに薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤を包含す
る組成物に関する。Bクラスephrin及び/又はPDZ領域含有蛋白質に関
連した細胞の増殖、成長及び/又は分化を変調する方法としては又、本発明の複
合体、ペプチド又は抗体、あるいは本発明の方法によって同定した化合物又は物
質、あるいはそれらを含む組成物を細胞に導入することを包含するものが提供さ
れる。本発明の組成物を用いて、Bクラスephrin及び/又はPDZ領域含
有蛋白質に関連した、増殖及び/又は分化の疾患を処理する方法も、提供される
【0014】 本発明のその他の目的、特徴及び利点は、下記の詳細な説明から明らかになる
であろう。しかし、詳細な説明及び特異な例は本発明の好ましい態様を示すため
に例証として記載したものであり、本発明の精神及び範囲内で様々な改変を行う
ことが詳細な説明から当業者には自明である、ということが理解されて然るべき
である。
【0015】発明の詳細な説明 定義 特に記さない限りは、本明細書で用いた全ての用語は、本発明の分野で通常の
知識を有する者が用いるのと同じ意味で用いられる。実施者は特に、Current Pr
otocols in Molecular Biology(Ausubel)の定義及び技術用語を参照さ
れたい。
【0016】 アミノ酸残基の省略形は、当分野において20の一般的なLアミノ酸のそれぞ
れに用いられている、標準的な三文字及び/又は一文字のものである。同様に、
核酸の省略形も、当分野で用いられている標準的なコードである。
【0017】 「抗体」とは、未反応の、モノクローナル又はポリクローナル分子、免疫学的
に活性を有する断片(例えばFab又は(Fab)断片)、抗体H鎖及び抗体
L鎖、遺伝子工学的に作成した単鎖Fv分子(Ladner他、米国特許第4,
946,778号)、又はキメラ抗体(例えばネズミ抗体に特異的に結合する部
位を有するが、残りの部分がヒト由来である抗体)を意味する。モノクローナル
及びポリクローナル抗体、断片並びにキメラ等の抗体は、当業者に公知の方法で
調製することができる。本発明の複合体又はペプチドに結合する抗体は、目的と
する免疫化抗原を含む未反応のペプチド又は断片を用いて調製することができる
。動物を免疫化するのに用いるポリペプチド又はオリゴペプチドは、RNAの翻
訳によって、又は化学的に合成して得ることができ、望ましい場合には担体蛋白
質に結合させることができる。ペプチドに化学的に結合させることのできる好ま
しい担体の例としては、ウシ血清アルブミン及びチログロブリン、スカシガイ科
ヘモシアニンが挙げられる。このようにして結合されたペプチドを、動物(例え
ばマウス、ラット、ウサギなど)の免疫化に用いることができる。
【0018】 「Bクラスephrin」とは、Eph受容体に結合し、膜貫通要素と、C末
端82−88残基を包含する、高度に保存された細胞質テールを有する蛋白質族
である(17−22)。Bクラスephrinの例としては、ephrinB1
(LERK−2Elk−L、EFL−3、Cek−L及びSTRA1としても知
られる)、ephrinB2(Htk−L、ELF−2、LERK−5及びNL
ERK−1としても知られる)及びephrinB3(NLERK−2、Elk
−L3、EFL−6、ELF−3及びLERK−8)が挙げられる。この族には
、実質的に配列同一性を有する蛋白質(すなわち同族体)、蛋白質の断片(例え
ば配列番号15、16及び17参照)も含まれる。本発明の複合体及び方法に用
いられるBクラスephrinは、PDZ領域含有蛋白質に結合する結合領域を
有する。結合領域は、コンセンサス配列YYKVを有する。
【0019】 本明細書において「単離された」とは、天然の環境から取り出されあるいは単
離され、天然において関連のある他の構成要素を少なくとも60%、好ましくは
75%、最も好ましくは90%含んでいない、核酸又はアミノ酸配列のことをい
う。
【0020】 本明細書において「変調する」とは、蛋白質の生物学的活性における変化又は
変性のことをいう。変調は蛋白質活性の増加又は減少であってもよいし、結合特
性における変化であってもよいし、蛋白質のその他の生物学的、機能的又は免疫
学的特性における変化であってもよい。
【0021】 本明細書において「アゴニスト」とは、本発明の複合体又は複合体中の分子に
結合した時に、Bクラスephrin又はPDZ領域含有蛋白質の活性量を増加
させる又は活性期間を延長させる、あるいは複合体形成を増加させる分子のこと
をいう。アゴニストには、蛋白質、核酸、炭水化物、あるいは複合体又は複合体
分子に結合する他の分子などが含まれる。さらにアゴニストには、Bクラスep
hrinのPDZ結合領域に由来するペプチド又はペプチド断片が含まれるが、
野生型分子の全長配列は含まれない。ペプチド模倣体(mimetics)、特定のペプ
チドの構造特徴を模倣するように企図した物理的構造を有する合成分子も、アゴ
ニストとして用いることができる。刺激は直接的であっても間接的であってもよ
いし、その機構は拮抗的であっても非拮抗的であってもよい。
【0022】 本明細書において「アンタゴニスト」とは、本発明の複合体又は複合体中の分
子に結合した時に、Bクラスephrin又はPDZ領域含有蛋白質の活性量を
減少させる又は活性期間を短縮させる、あるいは複合体形成を減少させる分子の
ことをいう。アンタゴニストには、蛋白質、核酸、炭水化物、あるいはBクラス
ephrin又はPDZ領域含有蛋白質に結合する他の分子などが含まれる。さ
らにアゴニストには、BクラスephrinのPDZ結合領域に由来するペプチ
ド又はペプチド断片が含まれるが、野生型分子の全長配列は含まれない。ペプチ
ド模倣体、特定のペプチドの構造特徴を模倣するように企図した物理的構造を有
する合成分子も、アンタゴニストとして用いることができる。抑制は直接的であ
っても間接的であってもよいし、その機構は拮抗的であっても非拮抗的であって
もよい。
【0023】 「PDZ領域含有蛋白質」とは、PDZ領域として知られる特徴的な構造モチ
ーフを包含する又は構造モチーフからなる蛋白質、ペプチド又はその断片のこと
をいう(領域の特徴については、Structural Classification of Proteins(S
COP)データベース参照)。このような蛋白質の例としては、GRIP、sy
ntenin、FAP−1及びその同族体あるいはその部分が挙げられる。他の
PDZ領域含有蛋白質は、GENPEPTやENTREZ等の公共のデータベー
スを用いて選択することもできる。本発明者らは、本明細書に詳述する、新規な
PDZ領域含有蛋白質(「PHIP」と称する)を単離した。PDZ領域含有蛋
白質の例としては、GRIP、GRIP PDZ6及びPDZ7(配列番号22
及び23)、FAP−1 PDZ5(配列番号21)、synteninのアミ
ノ酸残基1〜299、syntenin PDZ1及びPDZ2(配列番号26
及び27)、PHIP PDZ2(配列番号24)並びにPHIP PDZ3(
配列番号25)が挙げられる。
【0024】 「結合領域」とは、直接的又は間接的に本発明の複合体の他の分子と相互作用
する、本発明の複合体の分子部分のことをいう。結合領域は分子の連続した部位
すなわち隣接するアミノ酸配列であってもよいし、配座的、すなわち天然の状態
で本発明の複合体分子と相互作用する構造を形成する、非隣接のアミノ酸配列の
組み合わせであってであってもよい。
【0025】 結合領域から「由来する」とは、本発明の複合体中の分子の、天然の結合領域
と同一であるか、実質的に同等である、あらゆる分子のことをいう。特異的な結
合領域に由来するペプチドには、天然に存在する結合部位のアミノ酸配列、その
結合部位のあらゆる部分、又は関連する分子に結合するように機能する他の分子
が含まれる。そのような結合部位に由来するペプチドは、天然の結合領域を模倣
するような方法で、関連分子と直接的又は間接的に相互作用する。そのようなペ
プチドには、競合阻害剤、ペプチド模倣体などが挙げられる。
【0026】 「相互作用する」とは、例えば生理学的条件下における、静電気の、疎水性の
、イオン性の及び/又は水素結合の相互作用による、2分子間の安定した関係の
ことをいう。ある相互作用性分子は、1個以上が刺激を受けた時にのみ、相互作
用する。例えば、PDZ領域含有蛋白質は、基質がリン酸化されている場合には
、基質のみと結合する。
【0027】 「ペプチド模倣体」とは、分子間の相互作用においてペプチドの代替となる構
造物のことをいう(Morgan他(1989)、Ann.Reports Med.Chem.24
:243−252参照)。ペプチド模倣体としては、アミノ酸及び/又はペプチ
ド結合を有しても有さなくてもよいが、本発明のペプチド又はアゴニスト又はア
ンタゴニストの構造及び機能的特性を保持する合成構造体が挙げられる。ペプチ
ド模倣体としては更に、ペプトイド、オリゴペプトイド(Simon他(1972)P
roc.Natl.Acad.Sci.USA89:9367);及び本発明のペプチド又はアゴニス
ト又はアンタゴニストに相当するアミノ酸の可能な配列を表す、企図された長さ
のペプチドを含むペプチドライブラリーが挙げられる。
【0028】 「基準配列」及び「実質的な配列同一性」の用語は、2個以上の核酸分子又は
蛋白質間の配列関係を述べるために用いている。「基準配列」とは、配列を比較
する基準として用いられるある確定した配列である。基準配列は大きな配列のサ
ブセット(例えば配列リストにある全長cDNA又は遺伝子配列のセグメント)
であってもよいし、完全なcDNA又は遺伝子配列を包含するものであってもよ
い。比較用ウインドウの整列に最適な、配列の整列方法としては、Smith及
びWatermanの局所的相同性アルゴリズムに基づくもの((1981)A
dv.Appl.Math.2:482)、Needleman及びWunsc
hの相同性整列アルゴリズムに基づくもの((1970)J.Mol.Biol.48:4
43)、Pearson及びLipmanの類似性検索法によるもの((198
8)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)85:2444)又はこれらのアルゴリズ
ムをコンピューター処理したインプリメンテーションによるもの(GAP、BESTFIT
、FASTA及びTFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package Release7.
0、Genetics Computer Group、575Science Dr., Madison、Wis;Clustal W
program(55);及びGenestream Align Program)が挙げられる。ポリペプチ
ドについて用いられる、「実質的な配列同一性」とは、例えばGAP又はBES
TFITプログラムによって、デフォールトギャップを用いたとき、2個のペプ
チド配列が、少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配
列同一性、より好ましくは99%以上の配列同一性を有することを意味する。好
ましくは、同一でない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なるもので
ある。例えば、類似した荷電又は極性等の化学的特性を有するアミノ酸の置換は
、蛋白質の特性に影響を与えない。そのようなアミノ酸の組み合わせの例として
は、グルタミンとアスパラギン;グルタミン酸とアスパラギン酸が挙げられる。
【0029】 本発明の複合体 本発明の複合体は、Bクラスephrin蛋白質及びPDZ領域含有蛋白質を
包含する。複合体は、相互作用性分子の結合領域及び(複合体の活性を保持する
のに必要な)その両脇の配列のみを包含するものであってもよいことは、理解さ
れよう。
【0030】 本発明の一つの態様においては、複合体中のPDZ領域含有蛋白質としては、
GRIP、GRIP PDZ6及びPDZ7(配列番号22及び23)、FAP
−1 PDZ(配列番号21)、synteninのアミノ酸残基1〜299、
syntenin PDZ1およびPDZ2(配列番号26及び27)、PHI
P PDZ2(配列番号24)並びにPHIP PDZ3(配列番号25)が挙
げられる。本発明の複合体の例としては、ephrin B3/GRIP;ep
hrin B3/GRIP PDZ6及びPDZ7(配列番号22及び23);
ephrin B1/FAP−1 PDZ(配列番号21);ephrin B
1又はB3/synteninのアミノ酸残基1〜299;ephrin B1
又はB3/syntenin PDZ1およびPDZ2(配列番号26及び27
);ephrin B1又はB3/PHIP PDZ2(配列番号24);並び
にephrin B1又はB3/PHIP PDZ3(配列番号25)が挙げら
れる。複合体はBクラスephrin又は本発明のペプチドを包含することがで
きる。例えば、複合体はYYKV(配列番号5)、GPPQSPPNIpYYK
V(配列番号6)、NIpYpYKV(配列番号7)、NIpYYKV(配列番
号8)、NIYpYKV(配列番号9)、NIYYKV(配列番号10)、GN
IYYKV(配列番号28)、GNIpYpYKV(配列番号29)、GNIp
YYKV(配列番号30)及びGNIYpYKV(配列番号31)を包含するこ
とができる。そのような複合体の例としては、FAP−1 PDZ/NIYYK
V、syntenin/NIYYKV、synteninPDZ1及びPDZ2
/NIYYKV、PHIP PDZ3/GNIYYKV、並びにPHIP PD
Z2/GNIYYKVが挙げられる。
【0031】 本発明で例証するように、本発明の複合体中のBクラスephrin又はその
部分、又は本発明のペプチドは、リン酸化することができる。従って、PDZ領
域含有蛋白質を1構成要素として包含する本発明の複合体は、リン酸化Bクラス
ephrin又はその部分、又は本発明のペプチドをリン酸化したものを他の構
成要素として包含してもよい。例えば、複合体は、FAP−1 PDZ/NIp
YYKV、FAP−1 PDZ/NIpYpYKV、syntenin/NIY
YKV、syntenin/NIpYYKV、syntenin PDZ1及び
PDZ2/NIYYKV、syntenin PDZ1及びPDZ2/ NIp
YYKV、PHIP PDZ3/GNIpYpYKV及びPHIP PDZ3/
GNIpYYKVを包含してもよい。
【0032】 本発明は更に、本発明の複合体に特異な抗体を企図する。抗体は未反応の、モ
ノクローナル又はポリクローナル抗体、免疫学的に活性を有する断片(例えばF
ab又は(Fab)断片)、抗体H鎖及び抗体L鎖、遺伝子工学的に作成した
単鎖Fv分子(Ladner他、米国特許第4,946,778号)、又はキメ
ラ抗体(例えばネズミ抗体に特異的に結合する部位を有するが、残りの部分がヒ
ト由来である抗体)を意味する。モノクローナル及びポリクローナル抗体、断片
並びにキメラ等の抗体は、当業者に公知の方法で調製することができる。
【0033】 本発明の複合体に特異な抗体を用いて、組織中の複合体を検出し、組織内の分
布を調べることができる。本発明の抗体を用いるインヴィトロ及びインシトゥー
の検出法によって、Bクラスephrinに関連した増殖及び/又は分化の疾患
(例えば神経系の疾患)を、予後及び/又は診断評価を行うことができる。ある
遺伝疾病には本発明の複合体中の相互作用性分子の結合領域における突然変異が
ある。従って、本発明の複合体が遺伝疾病に関連している場合、結合領域のDN
AをPCRによって増幅し、その領域の1つに突然変異が含まれているかどうか
を迅速に調べることができる。その領域の両脇の領域に相当するプライマーを作
成し、配列決定法を用いて突然変異が存在するかどうかを調べることができる。
この方法では、変質遺伝子の染色体地図を予め作る必要がなく、欠陥蛋白質をコ
ードする遺伝子全体の配列決定を行う必要がなく、時間を節約できる。
【0034】 PHIP蛋白質 概して、本発明は図2D及び配列番号1に示すアミノ酸配列を包含する単離蛋
白質を企図する。本発明は、本発明の蛋白質の末端切断体(即ち部分)、類似体
、対立遺伝子又は種上の変異体、又は本発明の蛋白質と実質的に同一の配列を有
する蛋白質(すなわち同族体)、又はその末端を切断したものを企図する。(こ
こでは、末端切断体、類似体、対立遺伝子又は種上の変異体、及び同族体を「P
HIP関連蛋白質」と総称する。)
【0035】 末端切断蛋白質は、トリペプチドから70merポリペプチドの範囲に渡る、
3〜70のアミノ酸残基のペプチドを包含していてもよく、12〜20アミノ酸
が好ましい。本発明の一つの態様にあっては、図2D及び配列番号1からの少な
くとも5個連続するアミノ酸の配列を有するPHIP蛋白質の断片が提供される
。ここでは、断片中に存在する5個以上、6個以上、7個以上、又は8個以上の
連続するアミノ酸配列は、PHIP蛋白質以外の蛋白質には存在しない。本発明
の一つの態様においては、断片は特定の配列(例えば図2Dで下線を引いた配列
)からの少なくとも12〜20個の連続する一連のアミノ酸残基である。断片は
、免疫原性であってもよく、好ましくはPHIP蛋白質以外の蛋白質に対して免
疫反応性である抗体に、免疫反応性を示さないものである。
【0036】 本発明の一つの特徴において、PHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質をコー
ドする配列を包含する単離核酸(例えば配列番号33、その断片、相補性及び相
同性を有する配列)が提供される。
【0037】 本発明の核酸は、適当なベクターに挿入することができる。ベクターは挿入し
たコード配列の転写及び翻訳に必要な要素を含むことができる。従って、ベクタ
ーは本発明の核酸を包含し、1個以上の転写及び翻訳要素を核酸分子に連結する
ように作成することができる。
【0038】 本発明のベクターを用いて、PHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質を発現す
る形質転換宿主細胞を調製することができる。従って、本発明によって更に本発
明のベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0039】 本発明は更に、生殖細胞及び体細胞が、本発明の核酸分子(特にPHIP蛋白
質の類似体、又はPHIP蛋白質の末端切断体をコードする核酸分子)を包含す
る組換え分子を含む、トランスジェニック非ヒト哺乳類を企図する。
【0040】 PHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質は、天然細胞源から単離することが出
きるが、好ましくは組換え法によって作成する。本発明の一つの特徴においては
、本発明の単離核酸分子をもちいた、PHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質を
調製する方法が提供される。一つの態様において、PHIP蛋白質又はPHIP
関連蛋白質を調製する方法は、下記を包含する。 (a)PHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質をコードするヌクレオチド配列を
有する、本発明のベクターを宿主細胞内に移転し; (b)非形質転換宿主細胞から形質転換宿主細胞を選択し; (c)選択した形質転換宿主細胞を、PHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質の
発現が可能な条件下で培養し;そして (d)PHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質を単離する。
【0041】 本発明は更に、本発明の方法により得た組換えPHIP蛋白質又はPHIP関
連蛋白質を企図する。
【0042】 本発明のPHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質を、蛋白質などの他の分子と
連結させ、融合蛋白質又はキメラ蛋白質を調製することができる。これは例えば
N末端又はC末端融合蛋白質を合成することによって達成することができる。
【0043】 本発明は更に、本発明のPHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質のエピトープ
に対して特異的な抗体を企図する。抗体は検出可能な物質で標識付けし、組織又
は細胞内にある本発明の蛋白質の検出に用いることができる。
【0044】 本発明は更に、本発明の核酸及従って本発明の蛋白質に特異なヌクレオチドプ
ローブの作成を可能にする。従って、本発明は更に本発明の蛋白質又はその部分
をコードする核酸配列を包含するプローブに関する。プローブは、例えば検出可
能な物質で標識付けすることができ、ヌクレオチド配列の混合物から、本発明の
蛋白質の1個以上の特性を呈示する蛋白質をコードする核酸分子を含む、本発明
の核酸分子を選択するのに用いることができる。
【0045】 本発明は更に、蛋白質を、その蛋白質に結合する可能性のある少なくとも1個
の物質に、物質と蛋白質との結合を可能にする条件下で反応させ;そして結合を
検出する(ここで結合の検出は、物質が蛋白質に結合することを示す)ことを包
含する、本発明の蛋白質に結合する物質を同定する方法を提供する。結合は、蛋
白質−物質複合体、又は蛋白質の活性化を検定することによって検出することが
できる。本発明は更に、PHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質と相互作用する
他の細胞内蛋白質に結合する物質を同定する方法を企図する。方法は、遺伝子調
節配列(例えばプロモーター配列)に結合する化合物を同定するのに用いること
もできる。
【0046】 本発明は更に、化合物に、本発明のPHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質の
生物学的活性を変調する能力があるかどうかを評価する方法を提供する。例えば
、化合物は、蛋白質に結合する物質であってもよいし、蛋白質(例えばBクラス
ephrin)と蛋白質に結合する物質との相互作用を阻害又は促進する物質で
あってもよい。ある態様においては、本方法は、PHIP蛋白質又はPHIP関
連蛋白質、蛋白質の結合する物質及び試験化合物を、物質と蛋白質との結合が可
能な条件下で提供し;結合を検出することを包含する(ここで、試験化合物の非
存在下で検出した結合に比較して、増加した又は減少した結合が検出されたとき
、試験化合物がPHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質の活性を変調したことを
意味する)。結合は、物質−蛋白質複合体、未結合の物質、及び/又は未結合の
蛋白質、あるいは蛋白質の活性化を検定することによって検出することができる
【0047】 PHIP又はPHIP関連蛋白質の活性化は、蛋白質のリン酸化、蛋白質の細
胞蛋白質への結合を測定することによって、又は細胞に与える生物学的影響(例
えば増殖、分化又は移動の阻害又は誘導など)を検定することによって、調べる
ことができる。
【0048】 本発明の蛋白質の生物学的活性を変調する化合物は、本発明の方法を用いて同
定することができる。組織内又は細胞内における本発明のPHIP蛋白質又はP
HIP関連蛋白質の発現パターン及びレベルを、化合物の存在下と非存在下で比
較して同定する。
【0049】 本発明の方法を用いて同定した物質及び化合物は、本発明のPHIP蛋白質又
はPHIP関連蛋白質の生物学的活性を変調するのに用いることができる。また
、PHIP蛋白質又はPHIP関連蛋白質(例えばBクラスephrin)に結
合する蛋白質又は他の分子の変調を必要とする状態の治療に用いることができる
【0050】 ペプチド 本発明は、本発明の複合体中の分子に結合し、分子の相互作用を阻害するペプ
チド分子を提供する。分子は、PDZ領域含有蛋白質に結合するBクラスeph
rinの結合領域に由来する。例えば、本発明のペプチドには、PDZ領域含有
蛋白質に結合するephrinB1、B2又はB3のアミノ酸YYKVが含まれ
る。これらの結合領域配列を含む他の蛋白質は、例えばGenBank又はSwissProt等
の利用可能なデータベースで、蛋白質相同性を検索して同定することができる。
また、FASTA、BLAST(GCG配列分析パッケージの一部として入手可
能。ウィスコンシン大学、ウィスコンシン州マディソン)、又はENTREZ(
National Center for Biotechnology information、National Library of Medic
ine、National Institutes of Health、メリーランド州ベセズダ)等の様々な検
索アルゴリズム及び/又はプログラムを用いることができる。
【0051】 本発明の態様に従って、Bクラスephrin及びPDZ領域含有蛋白質への
結合を媒介する特異なペプチドが企図される。特に、Bクラスephrin及び
PDZ領域含有蛋白質に干渉する、式Iのペプチドが提供される。 X−X−X−K−V I ここでXは0〜70、好ましくは0〜50、より好ましくは2〜20個のアミノ
酸であり、X及びXはそれぞれチロシン又はホスホチロシンを表わす。特異
な態様にあっては、Xはチロシンであり、Xはホスホチロシンであるか;X はホスホチロシンで、Xはチロシンであるか;又はX及びXはホスホチ
ロシンである。
【0052】 本発明の一つの態様において、式IのペプチドにおいてXはNI、GNI、C
PHYEKVSGDYGHPVYIVQ(E,D)(M,G)PPQSP(A,
P)A(配列番号2)、GDYGHPVYIVQ(E,D)(M,G)PPQS
P(A,P)A(配列番号3)、PPQSP(A,P)A(配列番号4)、GP
PQSPPNI(配列番号32)を表わす。
【0053】 本発明の好ましいペプチドとしては、YYKV(配列番号5)、GPPQSP
PNIpYYKV(配列番号6)、NIpYpYKV(配列番号7)、NIpY
YKV(配列番号8)、NIYpYKV(配列番号9)、NIYYKV(配列番
号10)、GNIYYKV(配列番号28)、GNIpYpYKV(配列番号2
9)、GNIpYYKV(配列番号30)、及びGNIYpYKV(配列番号3
1)が挙げられる。
【0054】 本発明の全てのペプチド、並びにこれらのペプチドに実質的に相同性を有する
、相補性を有する、あるいは機能的又は構造的に同等である分子を、本発明の目
的に用いることができる。本発明の全長ペプチドに加えて、本発明はペプチドの
末端切断体を企図する。末端を切断されたペプチドは、約7〜10アミノ残基の
ペプチドを包含してもよい。
【0055】 末端を切断されたペプチドは、そのアミノ末端に、アミノ基(−NH)、疎
水基(例えばカルボベンゾイル、ダンシル又はT−ブチルオキシカルボニル)、
アセチル基、9−フルオレニルメトキシ−カルボニル(PMOC)基、又は高分
子(例えば脂質−脂肪酸結合体、ポリエチレングリコール又は炭水化物など。但
しこれらに限定されるものではない)を有していてもよい。末端を切断されたペ
プチドは、そのカルボキシル末端に、カルボキシル基、アミノ基、T−ブチルオ
キシカルボニル基、又は高分子(例えば脂質−脂肪酸結合体、ポリエチレングリ
コール又は炭水化物など。但しこれらに限定されるものではない)を有していて
もよい。
【0056】 本発明のペプチドは、本発明のペプチドの類似体及び/又はそのペプチドの末
端切断体も含む。ここでペプチド類似体には、1個以上のアミノ酸の挿入、付加
、又は欠失、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるもので
はない。本発明のペプチドの類似体は、例えばBクラスephrinとPDZ領
域含有蛋白質との相互作用への干渉といった、本発明のペプチドに特徴的な活性
を示し、さらには生物学的利用能、安定性の増加、宿主免疫認識の低下といった
、追加の利点を有することができる。1個以上のアミノ酸挿入を、本発明のペプ
チドの導入することができる。アミノ酸挿入は、1個のアミノ酸残基であっても
よいし、連続したアミノ酸であってもよい。
【0057】 1個以上のアミノ酸、好ましくは1〜5個のアミノ酸を、本発明の右又は左末
端に付加することができる。欠失においては、ペプチド配列から1個以上のアミ
ノ酸、又は不連続の部分を除去される。欠失したアミノ酸は、隣接しているもの
であってもしていないものであってもよい。その結果得られる、欠失突然変異を
有する類似体の長さの下限は、約7アミノ酸である。
【0058】 NIXKV配列外の配列においてアミノ酸の挿入又は欠失があった場合
には、得られるペプチド類似体は本発明のペプチドの活性を示すことが予想され
る。
【0059】 本発明は更に、選択された蛋白質と又は選択可能なマーカー(下記参照)と結
合して、融合蛋白質を形成するペプチドを含む。
【0060】 本発明のペプチドは組換えDNA法を用いて調製することができる。従って、
本発明のペプチドをコードする核酸分子は、公知の方法で、ペプチドの十分な発
現を確実にする適当な発現ベクター内に挿入することができる。発現ベクターと
しては、用いられる宿主細胞に適合性のあるものであれば、どのようなコスミド
、プラスミド又は改変したウィルスを用いてもよいが、これらに限定されるもの
ではない。発現ベクターは、本発明のペプチドをコードする核酸分子、並びに挿
入された蛋白質配列を転写及び翻訳するのに必要な調節配列を含む。好ましい調
節配列は、バクテリア、菌類、ウィルス、哺乳類、昆虫等の様々な遺伝子等から
得ることができる(例えば、Goeddel、Gene Expression Technology:Methods i
n Enzymology185、Academic Press、カリフォルニア州サンディエゴ(199
0)に記載の調節配列参照)。適当な調節配列は、選択された宿主細胞に応じて
選択されるが、当業者には自明のことであろう。例えば複製の母体、更なるDN
A制限酵素部位、エンハンサー及び転写を誘導する配列といった他の配列も、発
現ベクターに組み込むことができる。
【0061】 組換え発現ベクターは、形質転換した又はトランスフェクトした宿主細胞の選
択を可能にする、選択可能なマーカー遺伝子を更に含んでもよい。好適な選択可
能マーカー遺伝子としては、ある種の薬剤に耐性を与えるG418、ハイグロマ
イシン、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラ
ーゼ、ホタルルシフェラーゼ、あるいは免疫グロブリン又はその部分(例えば免
疫グロブリン、好ましくはIgGのFc部分)といった蛋白質をコードする遺伝
子が挙げられる。選択可能なマーカーは、目的とする核酸とは異なるベクター内
に導入してもよい。
【0062】 組換え発現ベクターは、組換えペプチドの発現を増加させ;組換えペプチドの
溶解性を増加させ;及び/又は親和性精製においてリガンドとして作用すること
により組換えペプチドの精製を助ける、融合蛋白質をコードする遺伝子を含むこ
ともできる。例えば、蛋白質分解性の切断部位を組換えペプチドに挿入すること
で、融合蛋白質の精製後に、融合部分から組換えペプチドを分離することが可能
になる。融合発現ベクターの例としては、pGEX(Amrad Corp.、オーストラ
リア国メルボルン)、pMAL(New England Biolabs、マサチューセッツ州ベ
ヴァリー)及びpRIT5(Pharmacia、ニュージャージー州ピスカタウェイ)
が挙げられる。これらはそれぞれグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GS
T)、マルト−スE結合蛋白質、又は蛋白質Aを組換え蛋白質に融合させる。
【0063】 組換え発現ベクターを宿主細胞に導入して、形質転換宿主細胞を作成すること
ができる。形質転換宿主細胞には、本発明の組換え発現ベクターによって形質転
換又はトランスフェクトした原核細胞又は真核細胞が含まれる。ここでいう「形
質転換した」「トランスフェクトした」及び「形質転換」とは、多数存在する公
知の技術の1つを用いて、核酸(例えばベクター)を、細胞内に導入することを
含む。例えば、原核細胞を、電気穿孔法又は塩化カルシウム媒介形質転換によっ
て核酸で形質転換することができる。核酸を、リン酸カルシウム又は塩化カルシ
ウム共沈降、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクチ
ン、電気穿孔又はミクロ注入等の従来法によって哺乳動物細胞に導入することが
できる。宿主細胞を形質転換及びトランスフェクトする好適な方法は、Sambrook
他(Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 第二版、Cold Spring Harbor L
aboratory press(1989))及び他の実験テキストを参照されたい。
【0064】 好適な宿主細胞には、様々な原核及び真核宿主細胞が含まれる。例えば、本発
明のペプチドは、大腸菌等のバクテリア細胞、昆虫細胞(バキュロウィルスを用
いる)、酵母菌又は哺乳動物細胞内で発現してもよい。他の好適な宿主細胞は、
Goeddel、Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Acad
emic Press、カリフォルニア州サンディエゴ(1991)を参照されたい。
【0065】 本発明のペプチドは、Reedijk他.(The EMBO Journal 11(4):1365
、1992)に記載の方法で、チロシンをリン酸化してもよい。例えば、チロシ
ンリン酸化は、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むプラスミ
ドを有するバクテリアを、Elkチロシンキナ−ゼの細胞質領域をコードするλ
gt11バクテリオファージで感染させることによって、LacZ−Elk融合
として誘導することができる。リソゲンとしてプラスミド及びバクテリオファー
ジを含むバクテリアを単離する。リソゲンの誘導に続いて、発現されたペプチド
はElkチロシンキナーゼによってリン酸化される。
【0066】 本発明のペプチドは、従来法によって合成してもよい。例えばペプチドは、固
相ペプチド合成を用いた化学合成によって合成してもよい。従来方法では、固相
又は液相合成法のいずれかを用いている(例えば固相合成法についてはJ. M. St
ewart及びJ.D. Young、Solid Phase Peptide Synthesis、第2版、Pierce Ch
emical Co.、イリノイ州ロックフォード(1984);G. Barany及びR.B. Merr
ifield、The Peptides:Analysis Synthesis、Biology editors E. Gross and J
. Meienhofer Vol.2 Academic Press、ニューヨーク、1980、pp. 3−25
4;古典的な液体合成については and M Bodansky, Principles for Peptide Sy
nthesis, Springer−Verlag、ベルリン1984;E. Gross及びJ. Meienhofer編
、The Peptides:Analysis, Synthesis, Biologu,、上述、Vol.1参照)。
例えば、ペプチドは9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)固相化学
によって、ホスホチロシンをN−フルオレニルメトキシ−カルボニル−O−ジメ
チルホスホノ−L−チロシン誘導体として直接導入して合成してもよい。
【0067】 他の分子に結合させた本発明のペプチドを包含するN末端又はC末端融合蛋白
質は、組換え法によってペプチドのN末端又はC末端と、望ましい生物学的機能
を有する選択した蛋白質又はマーカー蛋白質とを融合させることによって、調製
してもよい。得られる融合蛋白質は、本明細書に記載するように、選択した蛋白
質又はマーカー蛋白質に融合したペプチドを含んでいる。融合蛋白質の調製に用
いることのできる蛋白質の例としては、免疫グロブリン、グルタチオン−S−ト
ランスフェラーゼ(GST)、血球凝集素(HA)及び末端切断mycが挙げら
れる。
【0068】 本発明のペプチドの環化誘導体も、本発明に含まれる。環化によって、ペプチ
ドが、本発明の複合体中の分子に関連した配座としてより好ましい形態をとるこ
とが可能になる。環状は、当分野で公知の方法を用いて行うことができる。例え
ば、結合していないスルフヒドリル基を有する2個の適当に離れた構成部分の間
に、ジスルフィド結合を形成してもよいし、1個の構成部分のアミノ基と他の構
成部分のカルボキシル基との間にアミド結合を形成してもよい。環化は、アゾベ
ンゼン含有アミノ酸を用いて行うこともできる(Ulysse, L., 他., J. Am. Chem
. Soc. 1995, 117, 8466−8467参照)。Tyrの側鎖及びAs
nの側鎖を連結して環状ペプチドを形成してもよい。結合を形成する構成要素と
しては、アミノ酸の側鎖、、非アミノ酸構成要素、またはそれらの組み合わせが
挙げられる。本発明の態様にあっては、環状ペプチドは、右位置にβ回転を有す
るものを企図する。β回転は、右位置にアミノ酸Pro−Glyを付加すること
によって本発明のペプチドに導入することができる。
【0069】 上記した、ペプチド結合を含む環状ペプチドと比較して、より柔軟な環状ペプ
チドを作成するのが望ましい。より柔軟なペプチドは、ペプチドの右位置及び左
位置にシステインを導入し、2個のシステイン間にジスルフィド架橋を形成する
ことによって、調製することができる。2個のシステインは、βシート及び回転
を変形しないような配置にする。ジスルフィド結合が長く、βシート部分の水素
結合の数が少ないので、ペプチドはより柔軟なものになる。環状ペプチドの相対
的柔軟性は、分子動力学シミュレーションによって調べることができる。Lアミ
ノ酸によるDアミノ酸の系統的置換、異なる電気的特性を有する基による側鎖の
置換、アミノ結合によるペプチド結合の系統的置換によって得られるデータに基
づいて、ペプチド模倣体を設計することができる。局所的な配座の制約を、ペプ
チド模倣体の候補の活性に必要な配座条件を調べるのに用いることもできる。模
倣体には、逆回転を安定又は促進させ、分子の安定化を助ける等配電子のアミノ
結合、又はDアミノ酸が含まれる。環状アミノ酸類似体を用いて、アミノ酸残基
を特定の配座状態に制限することができる。模倣体には、阻害蛋白質の二次構造
を有する模倣体も含まれる。これらの構造は、3次元方向のアミノ酸残基を蛋白
質の公知の二次配座に変えることができる。N置換アミノ酸のオリゴマーである
ペプトイドを用いて、化学的に多様な新規な分子のライブラリーを作成するモチ
ーフとすることができる。
【0070】 本発明の複合体分子と相互作用するペプチドは、生物学的発現系を用いて作成
することができる。これらの系を用いることによって、ランダムペプチド配列の
大型のライブラリーの作成と、特定の蛋白質に結合するペプチド配列についての
これらのライブラリーのスクリーニングが可能になる。ライブラリーは、ランダ
ムペプチド配列をコードする合成DNAを適当な発現ベクター内にクローンする
ことによって作成することができる(Christian他、1992、J.Mol.Biol.22
7:711;Devlin他、1990 Science249:404;Cwirla他、1990
, Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6378参照)。ライブラリーは、オーバー
ラッピングペプチドの並行合成によって作成することもできる(米国特許第4,
708,871号参照)。
【0071】 本発明のペプチドを用いて、薬剤作成のための導入化合物を同定することがで
きる。ここに記載したペプチドの構造は、NMR及びX線結晶学等の多くの方法
によって容易に調べることができる。配列が類似するが、標的分子に対して引き
起こす生物学的活性が異なるペプチドの構造を比較することによって、標的の構
造−活性関係についての情報を得ることができる。構造−活性関係を調べること
によって得られる情報は、改変したペプチドの作成に用いることもできるし、標
的分子に関連して予想される特性について試験することのできる、他の小分子又
は導入化合物の作成に用いることもできる。導入化合物の活性は、ここに記載し
たものと類似のアッセイによって評価することができる。
【0072】 構造−活性関係に着いての情報は、共結晶化研究からも得ることができる。こ
れらの研究において、望まれる活性を有するペプチドを、標的分子に関連して結
晶化し、複合体のX線構造を調べる。得られる構造を、天然状態の標的分子の構
造と比較する。比較によって得られた情報を、望まれる活性を有することが期待
される化合物の作成に用いることができる。
【0073】 本発明のペプチドは、塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸等の無機酸、あるいは
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、グリコ−ル酸、乳酸、ピルビン酸、蓚酸、コハク酸
、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、
トルエンスルホン酸等の有機酸と反応させることによって、薬学的な塩に変換さ
せることができる。
【0074】 本発明のペプチドを用いて、抗体を調製することもできる。抗体の調製には従
来法を用いることができる。
【0075】 本発明のペプチド及びペプチドに特異な抗体は、様々な酵素、蛍光物質、発光
物質及び放射性物質を用いて標識付けすることができる。好ましい酵素、蛍光物
質、発光物質及び放射性物質は、当業者に公知のものである。本発明のペプチド
に特異な抗体及び標識付けた抗体を用いて、PDZ領域結合部位を含む蛋白質を
スクリーンすることができる。
【0076】 当分野で公知のコンピューターモデル技術(例えばHomology Ins
ight II及びDiscovery、BioSym/Molecular
Simulations、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴ製)を
用いて、本発明のペプチド、末端切断体及びその類似体と、本発明の複合体中の
分子(例えばPDZ領域含有蛋白質)との相互作用を観察することもできる。コ
ンピューターモデルが強い相互作用を示す場合には、ペプチドを合成して、ここ
で議論した複合体の分子に対する結合を干渉する能力があるかどうかについて、
試験することができる。
【0077】物質/化合物の同定及び評価方法 ここに記載した方法は、本発明の複合体の活性を変調する、従ってBクラスe
phrin及び/又はPDZ領域含有蛋白質に関連した細胞の活動に潜在的に影
響を与える、物質及び化合物を同定することを企図している。従って、複合体中
の分子に結合する、あるいは分子と相互作用する他の蛋白質、あるいは複合体中
の分子又は分子と相互作用する他の蛋白質の相互作用を阻害するか促進する化合
物に結合する、新規な物質を企図している。
【0078】 本発明の方法を用いて同定される物質及び化合物には、可溶性ペプチド(Ig
テールを有する融合ペプチド等)、ランダムペプチドライブラリーやD及び/又
はL配置アミノ酸の組み合わせ化学由来分子ライブラリーからのペプチド、ホス
ホペプチド(ランダム又は部分的縮重の、定方向ホスホペプチドライブラリーか
らのペプチド等)などのペプチド;抗体[ポリクローナル、モノクローナル、ヒ
ト化、抗イディオタイプ、キメラ性、単鎖抗体、断片(Fab、F(ab)
びFab発現ライブラリーの断片、そのエピトープ結合断片等)]、有機又は無
機の小分子等が含まれるが、これらに限定されるものではない。物質及び化合物
は、内因性の生理的化合物であってもよいし、天然に存在する又は合成した化合
物であってもよい。
【0079】 本発明の複合体の活性を変調する物質は、複合体中の分子に結合する能力に基
づいて同定することができる。従って、本発明は更に、複合体中の分子に結合す
る新規な物質を同定する方法を提供する。本発明の方法を用いて同定した物質は
、従来法を用いて単離、クローニング及び配列決定することができる。
【0080】 本発明の複合体中の分子に結合することのできる新規な物質は、1個以上の分
子を、分子に結合すると思われる試験物質と、両者の結合を可能にする条件下で
反応させ、結合を検出することによって同定することができる。結合は、物質−
分子結合体、未反応の物質、未結合の分子、又は分子の活性を検定することによ
って検出することができる。物質−分子結合体の形成を可能にする条件は、物質
及び分子の性質及び量などの要素を考慮に入れた上で選択することができる。
【0081】 物質−分子結合体、未反応の物質、又は未結合の分子は、塩析、クロマトグラ
フィー、電気泳動、ゲル濾過、分別、吸収、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、
凝集又はそれらの組み合わせといった、従来の単離法によって単離することがで
きる。構成要素の検定を促進するために、分子又は物質に対する抗体、標識付け
した分子、又は標識付けした物質を利用することができる。抗体、蛋白質又は物
質は、上記したように検出可能な物質で標識付けすることができる。
【0082】 活性は、分子のリン酸化、受容体又は細胞蛋白質による分子への結合を測定す
ることによって、あるいは細胞アッセイにおいては、細胞に与えられる生物学的
影響(増殖、分化、移動等の阻害又は誘導等)を検定することによって、調べる
ことができる。
【0083】 本発明の分子又は複合体、あるいは本発明の方法に用いられる物質は、不溶化
することができる。例えば、分子又は物質を、アガロース、セルロース、デキス
トラン、セファデックス、セファロース、カルボキシメチルセルロースポリスチ
レン、濾紙、イオン交換樹脂、プラスチック膜、プラスチック管、ガラスビーズ
、ポリアミン−メチルビニル−エーテル−マレイン酸共重合体、アミノ酸共重合
体、エチレン−マレイン酸共重合体、ナイロン、シルク等の好適な担体に結合さ
せることができる。担体は、例えば管、試験プレート、ビーズ、円盤、球体等の
形状をとることができる。不溶化した蛋白質又は物質は、公知の化学又は物理法
(例えばブロモシアンカップリング)を用いて、材料を好適な不溶性担体に反応
させることによって調製することができる。
【0084】 本発明は更に、ある化合物が、本発明の複合体の生物学的活性を変調する能力
があるかどうかを評価する方法を企図している。複合体中の分子の結合における
アゴニスト又はアンタゴニストを検定することによって評価を行う。化合物が、
本発明の複合体に含まれる分子の結合のアゴニストであるかアンタゴニストであ
るかの基本的な評価方法は、分子及び試験化合物を含む反応混合物を、分子が結
合して複合体が形成できる条件で調製することである。試験化合物は予め混合物
に添加してもよいし、分子の添加に続いて添加してもよい。試験化合物を含まな
い又はプラシーボを含む対照反応混合物も調製することができる。複合体の形成
を検出した結果、対照反応において複合体の形成が検出されたが、反応混合物に
検出されなかったということは、試験化合物が分子の相互作用に干渉するという
ことを意味する。対照反応に比較して複合体の形成が増加したということは、試
験化合物が分子の相互作用を促進したことを意味する。反応は、液相又は分子内
で行ってもよいし、本明細書に記載したように試験化合物を固定してもよい。
【0085】 本発明の方法を用いて検定することのできるアゴニスト及びアンタゴニストは
、複合体内で相互作用する分子の1個以上の結合部位(例えばアゴニスト結合部
位、競合アンタゴニスト結合部位、非競合アンタゴニスト結合部位、又はアロス
テリック部位)に作用する可能性があることは理解されよう。
【0086】 更に本発明は、本発明の複合体に含まれる分子の相互作用に対するアゴニスト
の効果を阻害するアンタゴニストをスクリーンすることを可能にする。従って本
発明を用いて、本発明の複合体に含まれる分子の同じ結合部位に対して競合する
化合物を検定することができる。
【0087】 本発明は更に、本発明の複合体の分子に相互作用する蛋白質に結合する新規な
化合物を同定する方法を企図している。蛋白質−蛋白質相互作用は、勾配又はク
ロマトグラフィーカラムを通じた共免疫沈降、架橋及び共精製等の従来法を用い
て同定することができる。分子に相互作用する蛋白質をコードする遺伝子を、同
時に同定することのできる方法も用いることができる。これらの方法には、標識
付けした分子を用いる探索(probing)発現ライブラリーがある。更に、X線結
晶学研究を、物質及び分子の相互作用を評価する方法として用いることができる
。例えば、本発明の複合体中の組換え分子を精製したものは、好適な形状に結晶
化した時、X線結晶学による細胞内相互作用の検出に用いることができる。分光
分析法を用いて、相互作用を検出することもできるが、特に四重極/飛行時間ハ
イブリッド装置(QqTOF)を用いることができる。
【0088】 2ハイブリッド系を用いて、生体内の蛋白質相互作用を検出することができる
。一般に、2ハイブリッド蛋白質をコードするプラスミドを作成する。第一のハ
イブリッド蛋白質は、本発明の複合体中の分子に融合する転写活性蛋白質のDN
A結合領域からなり、第二のハイブリッド蛋白質は、cDNAライブラリーの一
部としてプラスミド内に組み換えたcDNAによってコードされる未知の蛋白質
に融合する、転写活性蛋白質の活性領域からなる。プラスミドを、調節領域が転
写活性結合部位を含む、レポーター遺伝子(例えばlacZ、ルシフェラーゼ、
アルカリホスファタ−ゼ、セイヨウワサビペルオキシダ−ゼ)を有する酵母菌株
(例えばS. cerevisiae)内に形質転換する。ハイブリッド蛋白質単独ではレポ
ーター遺伝子の転写を活性化することができない。しかし、2ハイブリッド蛋白
質の相互作用は、機能活性蛋白質を再構成し、レポーター遺伝子が発現される。
これはレポーター遺伝子産物のアッセイによって検出される。
【0089】 融合蛋白質及び組換え融合蛋白質を、上記の方法に用いることができることは
理解されよう。本発明の複合体は組換え分子を用いて生体外で再構成することが
でき、試験物質の効果を再構成した系内で評価できることも理解されよう。
【0090】 物質及び化合物を評価する本発明の方法に好適に用いることのできる試薬は、
必要な材料を好適な容器内に梱包した便利なキットにすることができる。キット
は更に、本発明の方法の実施に有用な、好適な補助を含んでいてもよい。
【0091】組成物及び治療法 本発明の複合体、ペプチド及び抗体、本発明の方法を用いて同定した物質及び
化合物を用いて、Bクラスephrins及び/又はPDZ領域含有蛋白質に関
連した細胞の増殖、成長及び/又は分化の過程(特に軸索形成、神経細胞相互作
用及び神経系再構成)を変調することができる。従って、化合物や物質を導入し
て被験者の治療を行うことができる。従って物質は、例えば神経系の疾患(神経
変性、神経損傷)といった、Bクラスephrinに関連した疾患の治療に用い
ることができる。
【0092】 従って、被験者への投与を目的として、複合体、ペプチド、物質、抗体及び化
合物を、生体内投与に適した生物学的に適合性のある形態の薬学的な組成物に調
合することができる。「生体内投与に適した生物学的に適合性のある形態」とは
、治療効果よりも毒性を重視した、物質の投与形態のことをいう。物質は、ヒト
、動物を含む生物体に投与することができる。本発明の薬剤組成物の「治療上の
活性量」とは、望ましい結果が得られるのに必要な用量及び期間での、有効量と
定義される。例えば、物質の治療上の活性量は、個人の疾病の状態、年齢、性別
及び体重といった要因、並びに個人に望ましい応答を引き起こす抗体の能力に応
じて変化する。投与様式は、最適な治療応答が得られるように調整される。例え
ば、数回に分割した用量を毎日投与してもよいし、治療状況の緊急性に応じて比
例的に用量を減少させてもよい。
【0093】 活性物質は、注射(皮下、静脈内等)、経口投与、吸入法、経皮塗布又は直腸
投与といった、便利な方法で投与することができる。投与経路に応じて、活性物
質を、酵素、酸又は化合物を不活化する他の天然条件から保護する材料に被覆す
ることができる。
【0094】 ここに記載した組成物は、本質が知られる従来方法によって調製することがで
きる。被験者に投与することのできる薬学的に許容可能な組成物を調製し、有効
量の活性物質を薬学的に許容可能な賦形剤と合わせて混合物とする。好ましい賦
形剤については、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences(Remington's P
harmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、アメリカ合衆国ペンシル
バニア州イーストン、1985)に記載がある。これに基づくと、組成物の例と
して、1個以上の薬学的に許容可能な賦形剤、又は希釈液に関連した;及び、好
ましいpHにあり、生理液と等浸透性の緩衝液中に含まれる、物質又は化合物の
溶液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】 本発明の複合体、物質、化合物、抗体及び組成物の活性は、動物実験モデル系
において確認することができる。
【0096】 本発明は更に、本発明の複合体の機能を研究する方法を提供する。分子中に特
異な欠失又は挿入突然変異を有する、本発明の組換え発現ベクターを用いて、複
合体又は複合体中分子を部分的に欠損する細胞、組織、非ヒト動物を作成するこ
とができる。組換え発現ベクターを用いて、相同的組換えによって内因性遺伝子
を不活化又は変性することができ、よって複合体欠損細胞、組織又は動物を作成
することができる。零対立遺伝子を、細胞中に作成することができ、トランスジ
ェニック非ヒト動物の作成に用いることができる。
【0097】 下記実施例によって本発明を例証するが、本発明を制限するものではない。 実施例 実験手順 ペプチド合成 ビオチン−Aca−GPPQSPPNIpYYKV(配列番号6)の配列を有するB型ephr
in C末端ペプチドプロ−ブ、関連ペプチドNIpYpYKV(配列番号7)、NIpYYK
V(配列番号8)、NIYpYKV(配列番号9)、NIYYKV(配列番号10)及びDHQpYp
YND(配列番号11)を、文献(29)の記述に従って合成した。
【0098】 PDZ領域をコードするcDNAクローンの単離 λEXlox10.5日マウス胚発現ライブラリー(Novagen)を、10,0
00プラーク形成単位/15cmぺトリプレートの初期濃度で植えた。Spar
ks他(30)に記載のものと同様の手順で、ストレプトアビジン−アルカリホ
スファタ−ゼに結合したビオチン化ペプチドプロ−ブを用いてライブラリースク
リーニングを行った。PHIPをコードする配列をさらに単離するために、PH
IPcDNAのEcoRI/Pst1断片(アミノ酸残基462−602をコー
ドする)を[α−32P]dCTPで放射性同位元素標識付けし、λEXlox
10.5日マウス胚発現ライブラリーをスクリーンするのに用いた。正のクロー
ンのDNA配列決定は、ALF自動DNAシーケンサー(Amersham Pharmacia B
iotech)を用いて行った。
【0099】 抗体、構造体及び突然変異誘発 抗リガンド抗体(Santa Cruz)を、hephrin B1の残基3
29−346に対して作成した。抗FLAG M2モノクローナル抗体は、East
man Kodak Company製のものを用いた。ベクターpJFE14中のephrin
B1 cDNAの発現構造体については、文献(18)に記載がある。標準的
なクローン法を用いて、全長syntenin cDNAを、哺乳動物発現ベク
ターpFLAG CMV2(Eastman Kodak)内の枠にサブクローンした。GS
T融合構造体については、synteninのcDNA配列(全長:残基1−2
99;PDZ1+2:残基101−299;PDZ1:残基101−211;P
DZ2:残基172−299)を、pGEX4T2(Amersham Pharmacia Biote
ch)内にクローンした。FAP−1(Fas関連ホスファタ−ゼ)PDZ3及び
FAP−1 PDZ5構造体については、文献(1)に記載がある。PCR媒介
プロトコルを用いて、C末端V346をコードするヌクレオチドを除去すること
によって、ephrinB1 Val欠失突然変異体を作成した。突然変異した
領域を有するPpuMI/EcoRIPCR断片を、pJFE14内の全長ep
hrinB1cDNA内にサブクローンした。この突然変異及び全ての融合構造
体を、影響を受けた領域の両鎖の配列決定によって確認した。
【0100】 免疫沈降及びウエスタンブロット分析 10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM内に、Cos−1細胞を保
持した。一時的なトランスフェクションを、リポフェクチン試薬及びOpti−
MEM培養基(Life Technologies Inc.)を用いて、説明書に従って行った。生
体内で発現したEphB受容体の結合による、又は血清成長因子の誘導による、
ephrin B1のリン酸化を減少させるため、トランスフェクションの24
時間後に、トランスフェクトした細胞を10〜15cmのプレートに移し、細胞
溶解まで12時間、DMEM0.5%FBS内で血清を飢餓させた。トランスフ
ェクト細胞をPBSAで1回洗浄し、10μg/mlのアプロトニン(aprotoni
n)、10μg/mlのロイペプチン、1mMのバナジン酸ナトリウム及び1m
Mのフッ化フェニルメチルスルホニルを添加したPLC溶解緩衝液(5)で溶解
した。1μgの抗ephrinB1抗体又は1μgの抗IL−3受容体α抗体を
蛋白質A−セファロースと用いて、免疫沈降を4℃にて1時間行った。グルタチ
オンセファロース上に固定した5〜10μgの融合蛋白質と共に、溶解物を4℃
で1時間培養して、GST混合実験を行った。ペプチド競合実験として、GST
融合蛋白質とともにペプチドを保温した(最終濃度を100μMとした)。免疫
沈降及びGST混合実験の両方で得られた顆粒をHNTG緩衝液で2、3回洗浄
した(5)。蛋白質を10%SDS−PAGEによって分離し、イモビロン−P
膜(Millipore)上に移転させ、適当な抗体で免疫ブロットを行った。ブロット
は強化化学ルミネセンス(Pierce)によって顕出させた。
【0101】 蛍光偏光分析 結合定数の決定と、ペプチド競合の研究を、100μl試料室を備えたBea
con2000Fluorescence Polarization Sys
tem(Pan Vera、ウィスコンシン州)上で蛍光偏光を用いて行った。
フルオレセイン標識化プローブは、B型ephrin C末端ペプチドと5−(
及び6−)カルボキシフルオレセイン、スクシンイミジルエステル(分子プロー
ブ、OR)との反応によって調製し、逆相PHLCによって精製した。フルオレ
セイン標識化ペプチドプローブの忠実性は、質量分析法によって確認した。結合
の研究において、フルオレセイン標識化ペプチドプローブを、20mMリン酸塩
(pH7.0)、100mM NaCl及び2mM DTTに25nMの濃度で
溶解し、公知の量のGST融合蛋白質を添加した。各測定の前に、反応混合物を
室温にて10分静置した。フルオレセイン偏光の測定は、全て22℃で行った。
【0102】結果 B型ephrinの推定PDZ結合部位に対する潜在的結合相手の同定 B型ephrinの細胞質テールに相互作用する蛋白質を同定する一つの方法
として、細胞内シグナリング蛋白質のモジュラー領域に結合するであろう保存ペ
プチドモチーフに関して、膜貫通ephrinのC末端領域をまず調べるものが
ある。公知の3個のB型ephrinのカルボキシル末端の最末端部分は、PD
Z領域の公知の又は予想されている結合部位を思わせる、保存配列を有している
(図1)。B型ephrinを認識する能力があるPDZ領域含有蛋白質を同定
するのに、2つの方法を用いた。第一に、PDZ領域に対する公知の結合特異性
を、定方向ペプチドライブラリー方法を用いて予測したものと比較した結果、細
胞質チロシンホスファタ−ゼFAP−1(Fas関連ホスファターゼ)の第5の
PDZ領域がephrinBの潜在的結合相手であることが判明した(図2A)
。FAP−1(PTP−bas及びPTP−L1としても知られる)は、少なく
とも6個のPDZ領域、Band4.1細胞骨格ペプチド、C末端チロシンホス
ファターゼ領域を有している(31−33)。第5のPDZ領域は、コンセンサ
スE−(I/Y/V)−Y−(Y/K)−(V/K/I)を有するペプチドと生
体外で結合する。この配列は、B型ephrinの保存されたC末端(YYKV
)とほぼ一致している(1)。
【0103】 10.5日マウス胚からのcDNA発現ライブラリーを、ephrinB3の
推定PDZ領域結合部位に基づくペプチドプローブを用いてスクリーニングし、
ephrinB結合蛋白質をより直接的に単離した。プローブはビオチン化ペプ
チドである、ビオチン−Aca−GPPQSPPNIpYYKV (配列番号6)で、ストレプ
トアビジン−アルカリホスファタ−ゼに結合している。個のペプチドは、C末端
バリンから−3位置にホスホチロシン残基を含んでいたが、スクリーニングに用
いられたアルカリホスファターゼは、少なくとも部分的にプローブを脱リン酸化
し、チロシンリン酸化依存性及び非依存性結合の両方の検出を可能にすることが
予想される。約500,000cDNAクローンのスクリーニングによって、e
phrinB3のC末端ペプチドに結合する、4個の異なるcDNA産物が得ら
れる。そのうちの3個は、配列分析によって、PDZ領域を含んでいることが分
かった(図2B及び2C)。これらのcDNAの1個は、6番目のPDZ領域か
らカルボキシル末端(アミノ酸残基642−1112)の、アダプター蛋白質G
RIPの部分をコードする。GRIPは、7個のPDZ領域からなる約180k
Daの蛋白質であり、もともとは、PDZ領域4及び5を通じてAMPA受容体
のC末端に結合する能力によって、同定されていた(34)。この方法によって
単離された第二のcDNAは、PDZ領域含有蛋白質synteninのコード
配列全体を含んでいた。synteninは、黒色腫分化中にダウンレギュレー
トされた転写(Mda−9と称される)として報告されたのが最初であり、のち
に2個のPDZ領域を通じて膜貫通シンデカン蛋白質のC末端と相互作用するこ
とが示されている(35、36)。このスクリーニングによって同定された第3
のクローンは、新規なPDZ領域含有蛋白質(ephrin nteract
ing roteinから、PHIPと称する)のカルボキシル末端断片をコ
ードする部分cDNAであった。PHIP cDNA断片の配列分析によって、
2個の隣接するPDZ領域と、それに続くC末端の50アミノ酸の存在が明らか
になった。PHIP cDNA断片を、次いでプローブとして用い、10.5日
マウス胚ライブラリーからの転写を単離した。予想されたPHIPの配列は、合
計3個のPDZ領域をコードし、PAR−3(初期胚の極性調節に関与するC. e
legans蛋白質)に密接に関係していることを示している(図2D)(37)。こ
れらの候補のうち、FAP−1 PDZ5及びsynteninについて、B型
ephrinへの結合を更に調べた。
【0104】 Syntenin及びFAP−1 PDZ5は生体外でephrinB1へ結合
する syntenin又はFAP−1がephrinB1と生体外で相互作用する
かどうかを調べるために、5番目のPDZ領域又は全長synteninを含む
GST−融合を、ephrinB1でトランスフェクトしたCos−1細胞の溶
解物と共に培養した。固定化GST融合蛋白質を回収し、抗ephrinB1抗
体を用いて関連蛋白質の免疫ブロットを得たところ、FAP−1 PDZ5及び
全長synteninの両方が、未反応のephrinB1に結合できることが
わかった(図3A及び3C)。ehprinB1との結合に必要なsynten
inの領域について、syntenin蛋白質の確定している断片を含むGST
融合を用いてマップを作成した。強力な相互作用に必要な最小の配列は、syn
teninのPDZ領域を両方とも含んでいたが、蛋白質アミノ末端の3番目は
含んでいなかった(図3D)。興味深いことに、synteninのPDZ領域
は両方とも、シンデカンのC末端配列の結合に必要であり、2個のPDZ領域が
1個の標的部位の結合に関与しているということは、syntenin相互作用
に共通の特徴であることを示唆している(36)。synteninのPDZ1
領域のみではephrinB1に関与できない一方で、synteninの第二
のPDZ領域のみでは、非常に弱い相互作用を示した。
【0105】 これらの実験から、GSTのみ又はGSTとFAP−1 PDZ領域の融合の
いずれについても、ephrinB1への結合がほとんど検出できないことが示
された。GST−FAP−1 PDZ3によって認識される約50kDのバンド
は解明されていないが、その大きさから、3つの公知のB型ephrinとは関
係がないことは明らかである。この知見に一致して、FAP−1 PDZ3の結
合特異性は、定方向ペプチドライブラリーで調べたように、FAP−1 PDZ
5についての結果と有意に異なり、Fas抗原中のQSLV−COOHモチーフ
等を標的配列にする傾向が見られる(1、33)。FAP−1 PDZ3領域が
ephrinB1に結合できないということは、PDZ領域によるephrin
B1の認識に特異性の程度の差があることを示している。
【0106】 多くのPDZ領域結合部位に顕著な特徴は、側鎖及びC末端カルボン酸塩基を
通じてPDZ領域に接触する、C末端疎水性残基を必要とすることである(1、
38、39)。かつては、ephrinB1のC末端Valがsyntenin
及びFAP−1 PDZ5との特異的結合に関与しているということは、末端V
al残基を欠損するephrinB1の欠失突然変異体をCos−1細胞内で発
現することによって調べられていた。全長ephrinB1からC末端Valを
除去したところ、syntenin及びFAP−1 PDZ5 GST融合蛋白
質の両方への結合が阻害された(図3B及び3C)。
【0107】 PDZ領域蛋白質と相互作用するephrinB1の特異性を調べる別の方法
として、B型ephrinのC末端上に形成された特異なペプチドを、競合実験
に用いた。そのために、ephrinB1にトランスフェクトした細胞の溶解物
を、B型ephrinのC末端6残基配列に相当するペプチドの存在下又は非存
在下で、GST−syntenin又はGST−FAP−1 PDZ5のいずれ
かと培養した。100μMのペプチド濃度で、ペプチドはsyntenin及び
FAP1 PDZ5の結合を阻害した(図4A及び4B)。関係のないペプチド
DHQpYpYND(配列番号11)を添加したところ、結合は減少しなかった(図4A
)。このことは、ペプチド競合の特異性を意味している。
【0108】 FAP−1 PDZ5及びsynteninはホスホペプチドに対して異なる(d
ifferential)結合を呈示する B型ephrinが同源EphB受容体へ結合する、活性化Srcチロシンキナ−
ゼが発現する、又はPDGFによりリガンド発現細胞を処理する結果、ephr
in細胞質領域中の残基のチロシンリン酸化が起こる(26、27)。ephr
inB1テール中のTyr残基が特異的に置換されるという予備的な事実は、P
DZ領域結合部位内の−2及び−3位置にある2個のチロシンは、リン酸化部位
のひとつであるということを示している。これら残基のチロシンリン酸化がPD
Z領域結合に影響を与えているかどうかを調べるために、上記したペプチド競合
に用いたC末端ペプチドを、2及び3チロシン残基の片方又は両方がリン酸化さ
れるように合成した。リン酸化及び非リン酸化ペプチドをフルオレセインで標識
付けし、蛍光偏光実験に用いてFAP−1及びsynteninPDZ領域に対
する親和性の定量的測定値を得た。
【0109】 GST−FAP−1 PDZ5は、フルオレセイン標識化NIYYKV(配列番号1
0) ペプチドに9.9±1.0μMの親和性で結合した一方、GST−FAP−
1 PDZ3の結合はかなり低かった(65.0±9.6μM)(図5A)。この
結果は、FAP−1 PDZ3がephrinB1と安定的に相互作用しないこ
とを示したGST混合実験と一致する。3個の異なるリン酸化ペプチドへの結合
を調べたところ、同様の結果が得られた。このことは、B型ephrinC末端
配列の別のチロシンリン酸化状態が、GST−FAP−1 PDZ5への結合に
ほとんど影響を与えないことを示している。NIpYYKV、NIYpYKV及びNIpYpYKV(そ
れぞれ配列番号8、9及び7)ペプチドについて、それぞれ6.8±0.8μM、
15.4±3.4μM及び8.4±2.5μMと、同じような結合親和性が得られた
【0110】 フルオレセイン標識化NIYYKV(配列番号10)及びNIpYYKV(配列番号
8)ペプチドに結合するGST−syntenin融合蛋白質を蛍光偏光実験で
測定した結果、同一の曲線が得られた(図5B)。17.7±1.2μM及び15
.4±0.5μMの親和性が得られたが、このことは−3位置のチロシンのリン酸
化が、PDZ領域相互作用に有意な影響を与えないことを示している。しかしG
ST−syntenin融合蛋白質はかなり低い親和性(151.0±20.9μ
M)でpYpYKV(配列番号12)ペプチドに結合しており、このことは−2Tyrに
おけるリン酸化がsynteninへの結合に有害な影響を与えうるということ
を示している。同様に低い親和性相互作用が、YpYKVペプチドについても観察さ
れた。
【0111】 ephrinB1及びsynteninは細胞内で関連しうる B型ephrinは、PDZ領域蛋白質と生体内で相互作用しうるということ
を、ephrinB1及びsynteninがCos−1細胞内で共発現した時
に関連しあっているかを検定することによって調べた。ephrinB1及びs
yntenin(N末端をFLAGエピトープで標識付けした)で共トランスフ
ェクトした細胞中で、ephrinB1の免疫沈降は特異的にsyntenin
と共沈降した(図6)。蛋白質Aセファロースのみ又は任意に選択した抗体によ
る沈降では、検出可能なsynteninは得られなかった。このことは相互作
用が特異的であることを示している。さらに、ephrinB1 Val欠失突
然変異体を用いた共免疫沈降実験では、生体外でのPDZ領域との相互作用が得
られなかったが、このことはC末端のValを欠失するephrinB1が、検
出可能な程度にはsynteninとは関連していないことを示している(図6
)。ephrinB1に対する抗体によって、末端切断した蛋白質が免疫沈降し
た一方で、突然変異蛋白質によってsynteninは共免疫沈降しなかった。
これらの結果は、ephrinB1及びsynteninが細胞内で関連してい
ることを実証しており、生体内でのsynteninとの相互作用には、eph
rinB1内の未反応のPDZ領域結合部位が必要であることを示している。
【0112】 考察 ephrinB機能に寄与しうる細胞質領域の構成要素を同定する過程におい
て、B型ephrinのC末端残基が、特異的な蛋白質−蛋白質相互作用を媒介
することが知られる蛋白質モジュールの一種である、PDZ領域の結合部位を構
成することが実証された。公知の3種のB型ephrin全てに保存されるC末
端YYKV配列が、PDZ領域結合部位をあらわすことを幾つかの証拠が示している
。第一に、ephrinB3のC末端残基に相当する配列を有するビオチン化ペ
プチドプロ−ブは、公知のPDZ領域含有蛋白質syntenin及びGRIP
をコードするcDNAを同定しただけでなく、新規なPDZ領域含有蛋白質、P
HIPのcDNAを同定した。更に、第四のPDZ含有蛋白質FAP−1が、予
想された第5のPDZ領域の結合特異性に基づいて、結合候補と同定された。
【0113】 第二に、syntenin及びFAP−1についての生体外研究は、これらの
蛋白質のPDZ領域がephrinB1のC末端と特異的に相互作用することを
実証している。ephrinB1のC末端Val残基が、これらの相互作用に絶
対的に必要であるという知見は、結合が、他のPDZ領域によるC末端標的配列
との相互作用に特徴的な方法で起こることを示している。同様の結果がephr
inB2を用いた生体外結合実験によっても得られたが、このことはPDZ領域
相互作用が全てのB型ephrinに共通である可能性を示唆している。別のG
RIP PDZ6及びGRIP PDZ7のGST融合を用いて、生体外実験を
行った。ephrin B1又は蛍光GNIYYKV(配列番号13)ペプチドとの相互
作用は、GST混合及び蛍光偏光実験では検出されなかった。両方のsynte
ninPDZ領域が結合に必要であるのと同様に、ephrinB1との結合は
、GRIPのPDZ6及びPDZ7両方を必要とするであろう。最後に、syn
teninは全長ephrinB1と共に共免疫沈降するが、PDZ領域標的部
位内を末端切断したephrinB1とは沈降しないので、B型ephrin−
PDZ領域相互作用が生体内で起こりうることが実証されている。
【0114】 PDZ領域標的配列のC末端Valに対して−2及び−3位置にある2個の隣
接するチロシンをリン酸化して得られる影響を、蛍光偏光アッセイを用いて調べ
た。PDZ領域の構造研究の結果は、PDZ領域とC末端標的部位の−2及び−
3位置の残基との相互作用が結合特異性を与えていることを示唆している(38
−40)。これらの位置の残基をセリンリン酸化した場合、PDZ領域結合を調
節することが報告されている。PSD−95の第二のPDZ領域と、内向整流のカ
リウム(K)チャンネルKir2.3との特異的な関連は、Kir2.3のC末端
から−2位置のkeyセリン残基を、蛋白質キナ−ゼAを媒介したリン酸化する
ことによって分断される(41)。Bクラスephrin、PDZ領域蛋白質で
あるFAP−1及びsynteninについて得られた結果は、PDZ領域結合
部位内での残基のリン酸化が、異なるPDZ領域に異なる効果を与えることを示
唆している。FAP−1 PDZ5について得られた結果は、B型ephrin
の結合部位中のチロシンに接触するPDZ領域残基は、2個の追加のリン酸基を
受容できることを示唆している。これは、AF−6の1個のPDZ領域が、コンセ
ンサス標的配列AYYV(配列番号14)を有する非リン酸化ペプチド、および2Ty
r残基においてリン酸化した対応するペプチドに、およそ同等の親和性で結合す
ることと一致する。これに対して、GST−synteninは、PDZ領域結
合部位の−2残基においてリン酸化したペプチドへの結合量は有意に少ないこと
を示した。これらのデータは、ephrinB1のチロシンリン酸化が、モジュ
ラー細胞質蛋白質との相互作用を調節する一つの機構を示している。PDZ領域
−ephrinBの関連が果たす役割は、PDZ領域の公知の機能に基づいて予
想できる。幾つかの例で、膜貫通蛋白質の適当な局在化及び密集における、PD
Z領域の相互作用の重要性が明らかにされている(42、43)。例えば、シナ
プス後末端におけるNMDA受容体及びKチャンネルの位置決定は、これらの
受容体とPDZ領域含有蛋白質との特異な相互作用に依存する傾向にある(34
、44−47)。Drosophilaの幼生において、PDZ蛋白質discs−largeをコー
ドする遺伝子に無発現変異がある場合、ShakerKチャンネルの誤局在化
(mislocalization)が起こる(48)。PDZ領域相互作用を介したShak
erKチャンネルの密集は、PSD−95又はchapsyn110のいずれか
の結合相手と共にチャンネルを発現するCOS7細胞においても実証されている
(49)。
【0115】 正しい局在化及び密集に必要な条件は、Bクラスephrinの提案された機
能において顕著に現われている。ephrinB−EphBの相互作用は直接的
な細胞−細胞間接触に関与しているため、受容体発現細胞の接触部位においてe
phrinが存在する必要がある。この局在化は、PDZ領域とB型ephri
nのC末端との関連性によって媒介されうる。これに関して、PHIPは、初期
胚中の非対称性、及び極性を調節するC. elegans蛋白質であるPAR−3に密接し
た系統であるという興味深い事実がある。PDZ領域結合モチーフを有する蛋白
質の非対称的な分散の調節において、PHIPが哺乳動物細胞と同じ機能を有し
うる。ephrinの細胞外領域の可溶性形態に関する研究によって、受容体の
活性化におけるリガンドの密集に必要な条件があきらかになっている。受容体発
現細胞を可溶性リガンドで処理しても、受容体の活性化及びそれに続く自己リン
酸化は起こらないが、抗体を密集させて可溶性のephrinを人工的に凝集さ
せることによって、受容体の活性化が可能になる(18)。ephrin発現細
胞をEph受容体発現細胞と共に培養することで受容体が活性化されるので、膜
固着リガンドもある方法で密集状態になっているはずである。更に、腎臓内皮細
胞系における近年の研究により、ephrinB1のオリゴマー化状態が、選択
的(alternative)受容体シグナリング複合体の決定、並びに受容体産生細胞に
おける固着及び集合応答に重要であることが示されている(50)。リガンド二
量体及び高次のオリゴマーが受容体の自己リン酸化を起こすが、リガンドが四量
体の形状をしているときのみ、固着応答を誘導し、低分子量ホスホチロシンホス
ファターゼの活性化受容体への集合を誘導することができる。膜貫通蛋白質の密
集におけるPDZ領域に公知の役割があるとすると、ephrinB1とのPD
Z領域の相互作用は、正しいオリゴマー形態のリガンドを呈示して受容体発現細
胞内で特異的な応答を引き起こす、という役割を果たしているかもしれない。
【0116】 PDZ領域含有蛋白質にあるとされる他の役割は、骨格として作用してシグナ
リング複合体を形成することである。このことは、Drosophila複眼の光伝達経路
における蛋白質InaDの機能によって詳しく例証されている。過渡的受容体電
位(TRP)カルシウムチャンネルを含む、このカスケードの鍵となる構成要素
である、眼型(eye form)蛋白質キナーゼC及びホスホリパーゼC−βは、In
aDのPDZ領域に結合して、区画化されたシグナリング複合体を形成する(5
1、52)。結合を破壊する、特異なInaD PDZ領域における突然変異がある
と、光伝達カスケードの動力学に欠点が生じる。B型ephrinの場合、生化
学の研究の結果得られた遺伝子上の証拠は、細胞内領域におけるチロシン残基が
受容体結合によってリン酸化されることを示しており、PDGF処理によって、
B型ephrinの細胞質テールは固有のシグナリング機能を有するという仮説
が導き出されている(2、6、26、27)。リン酸化されたチロシン残基は、
SH2やPTB領域などのホスホチロシン認識モジュールを有する蛋白質用の、
潜在的な結合部位に相当する。この潜在的なホスホチロシン依存性シグナリング
経路の下流構成要素は、InaD複合体と同様の方法でPDZ領域含有蛋白質に
結合し(assembled around)うる。さらに、グルタミン酸受容体及びKチャン
ネルに関連するPDZ領域含有蛋白質PSD−95も又、そのPDZ領域を通じて
、ニューロンの酸化窒素シンターゼ及びRas GTPアーゼ活性蛋白質(p1
35SynGAP)に相互作用する(53、54)。従って、PDZ領域含有蛋白質を
アダプターとして用い、直接的にシグナリング回路を活性化することができる。
これに関連して、synteninを用いた結果が示唆するのと同様に、C末端
ephrinB1モチーフのTyr残基のリン酸化が、PDZ領域との相互作用
を調節しうるということは興味深いことである。
【0117】 本発明の原理を好ましい態様において例証し説明したが、本発明がその組み合
わせ、詳細に関して、原理から外れることなく改変できることは当業者には自明
であろう。付属の請求項の範囲に含まれるあらゆる改変を、請求の対象とする。 本明細書に記載した全ての出版物、特許及び特許出願は、参照して説明に代え
る。
【0118】 図の詳細な説明 図1:ヒトB型ephrinの細胞質領域のアミノ酸配列。3個のB型eph
rinにおいて、保存残基を強調してある。星印は潜在的なリン酸化部位である
チロシンを表す。潜在的なPDZ領域結合部位に下線を記した。
【0119】 図2A−D:ephrinBに結合するPDZ領域含有候補の同定。図2A:
全長FAP−1蛋白質チロシンホスファターゼを表わす概略図と、その下にFA
P−1 PDZ5の好ましい結合配列を示す。FAP−1 PDZ5領域の特異
性は、定方向ペプチドライブラリー法から演繹した(1)。B型ephrinの
C末端配列に適合する、最適な結合配列内の残基を、太字で記した。この図にお
いて示されるFAP−1のPDZ領域の構成は、Sato他(33)に記載の番号付
けに従っている。図2B:ephrinB3 C末端配列のビオチン化ペプチド
プローブによる発現スクリーニングを通じて同定したPDZ領域含有蛋白質の略
図である。括弧は、スクリーニングによって単離されたcDNAによってコード
される蛋白質の部分を示す。PDZ領域は灰色の箱で表わす。図2C:発現スク
リーン中で単離されたFAP−1 PDZ5及びPDZ領域のアミノ酸配列を整
列させたものである。PDZ領域の数字は、図2Bに示したものである。保存残
基にハイライトを入れてある。整列はClustal Wプログラムを用いて行った(5
5)。図2D:PHIP及びPAR−3のアミノ酸配列を整列させたものである
。保存残基にハイライトを入れ、PDZ領域に下線を引いてある。整列はGenest
ream整列プログラムを用いて行った。
【0120】 図3A−D:GST混合において、FAP−1 PDZ5及びsynteni
nはephrinB1へ特異的に結合する。Cos−1細胞を野生型ephri
nB1(W.T.)又はephrinB1 Val欠失(ValΔ)のいずれかで一時的に
トランスフェクトした。トランスフェクトしないものも用意した。細胞溶解を上
記したようにGST融合蛋白質と培養し、抗ephrinB1抗体を用いた免疫
ブロットによって分析した。正の対照として、免疫沈降したephrinB1又
はephrinB1 ValΔを含有させた。図3A及び3B:FAP−1の融合蛋
白質とのGST混合。図3C及び3D:synteninの融合蛋白質とのGS
T混合。
【0121】 図4A及び4B:ephrinB1へのFAP−1 PDZ5及びsynte
ninの結合は、B型ephrinのC末端配列に相当するペプチドを添加する
ことで阻害が可能である。配列を示したペプチドを、100μNの濃度で、GS
T融合蛋白質とephrinB1でトランスフェクトしたCos−1細胞の溶解
と共に培養した。関連する蛋白質を10% ポリアクリルアミド/SDSゲル上
で分離し、ephrinB1に対する抗体を用いた免疫ブロットによって分析し
た。図4A:配列を示したペプチドを用いた、ephrinB1へのFAP−1
PDZ5の結合の競合。配列DHQpYpYNDを有するペプチドを負の対照として1
00μMの濃度で添加した。ephrinB1の免疫沈降は、正の対照として含
有させた。図4B:ephrinB1への全長synteninの結合の競合。
【0122】 図5A及び5B:ephrinB1のC末端に相当するフルオレセイン標識化
ペプチドに結合するGST−FAP−1 PDZ3、GST−FAP−1 PD
Z5及びGST−synteninの蛍光偏光分析。図5A:25nMフルオレ
セイン標識化NIYYKVペプチドプロ−ブ、20mMリン酸塩(pH7.0)、10
0mM NaCl及び2mMジチオトレイトール(DTT)を含む混合物中で、
示した最終濃度のGST−FAP−1 PDZ3(○)又はGST−FAP−1
PDZ5(●)融合蛋白質を含む溶液を、22℃の蛍光偏光にてモニターした
。GST−FAP−1 PDZ5融合蛋白質に関しては、リン酸化ペプチドNIpY
YKV(▼)、NiYpYKV(▲)及びNIpYpYKV(■)への結合についても調べた。GS
T−融合蛋白質の存在しないペプチドについて得られた蛍光偏光の値を、表示さ
れた蛍光偏光の値から引いた。図5B:蛍光偏光によって測定した、全長syn
teninのGST融合によるNIYYKV(●)、NIpYYKV(▼)及びNIpYpYKV(■
)ペプチドへの結合。
【0123】 図6:syntenin−FLAGと、ephrinB1との共免疫沈降。上に記
載したように、Cos−1細胞をephrinB1及びsyntenin−FLAG
、あるいはephrinB1 Val 欠失及びsynteninFLAGのいずれかと
共に、トランスフェクトした。細胞溶解は、ephrinB1又はIL−3受容
体αに対する抗体で免疫沈降したか、あるいは蛋白質Aセファロースのみで処理
した。免疫複合体をSDS−PAGE(10%)にかけ、抗FLAG抗体でブロット
した。
【0124】 図7:ephrinB1のC末端に相当するフルオレセイン標識化ペプチドに
結合するGST−PHIP PDZ3の蛍光偏光分析。25nMフルオレセイン標
識化ペプチドプロ−ブ、20mMリン酸塩(pH7.0)、100mM NaCl及び2mM
DTTを含む混合物中で、示した最終濃度のGST−PHIP PDZ3融合蛋白質
を含む溶液を、22℃の蛍光偏光にてモニターした。GST−PHIP PDZ
3融合蛋白質に関して、リン酸化ペプチドNIpYYKV(▼)、NiYpYKV(▲)及びNI
pYpYKV(■)並びに非リン酸化NIYYKVペプチド(●)への結合について調べた。
GST−融合蛋白質の存在しないペプチドについて得られた蛍光偏光の値を、表
示された蛍光偏光の値から引いた。
【0125】 図8:GST混合において、PHIP PDZ3はV−Srcリン酸化ephri
nB1に特異的に結合する。COS−1細胞をV−Src及び、野生型ephrinB
1又はephrinB1 Val欠失(VA)のいずれかと共に一時的にトランスフェ
クトした。あるいは、野生型ephrinB1又はephrinB1 Val 欠失
のいずれかのみとトランスフェクトした。細胞溶解を上記したようにGST融合
蛋白質と培養し、抗ホスホチロシン抗体を用いた免疫ブロットによって分析した
。正の対照として、免疫沈降したephrinB1を含有させた。
【0126】本明細書における参考文献の一覧 1. Songyang, Z., Fanning, A.S., Fu, C., Xu, J., Marfatia, S.M., Chisht
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【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトB型ephrinの細胞質領域のアミノ酸配列(配列番号15、16及び
17)を示す。
【図2A】 FAP−1蛋白質チロシンホスファターゼ全体の概略図と、その下にFAP−
1 PDZ5の好ましい結合配列(配列番号18、19及び20)を示す。
【図2B】 ephrinB3 C末端配列のビオチン化ペプチドプローブによる発現スク
リーンによって同定したPDZ領域含有蛋白質の略図である。
【図2C】 発現スクリーン中で単離されたFAP−1 PDZ5及びPDZ領域のアミノ
酸配列を整列させたものである(配列番号21−27)。
【図2D】 PHIP及びPAR−3のアミノ酸配列(それぞれ配列番号1及び34)を整
列させたものである。
【図3A】 FAP−1 PDZ5 GST融合蛋白質によるephrinB1への結合を
示すブロットである。
【図3B】 FAP−1 PDZ5融合蛋白質によるephrinB1への結合を示すブロ
ットである。
【図3C】 synteninGST蛋白質によるephrinB1への結合を示すブロッ
トである。
【図3D】 synteninGST蛋白質によるephrinB1への結合を示すブロッ
トである。
【図4A】 B型ephrinのC末端配列に相当するペプチドを付加することによって、
FAP−1 PDZ5によるephrinB1への結合が阻害されたことを示す
ブロットである。
【図4B】 B型ephrinのC末端配列に相当するペプチドを付加することによって、
synteninによるephrinB1への結合が阻害されたことを示すブロ
ットである。
【図5A】 ephrinB1のC末端に相当するペプチドをフルオレセイン標識化したも
のに対する、GST−FAP−1 PDZ3及びGST−FAP−1 PDZ5
による結合の蛍光偏光分析を示すグラフである。
【図5B】 ephrinB1のC末端に相当するペプチドをフルオレセイン標識化したも
のに対する、GST−synteninによる結合の蛍光偏光分析を示すグラフ
である。
【図6】 syntenin−FLAGとephrinB1との共免疫沈降を示すブロッ
トである。
【図7】 ephrinB1のC末端に相当するペプチドをフルオレセイン標識化したも
のに対する、GST−PHIP PDZ3による結合の蛍光偏光分析を示すグラ
フである。
【図8】 GST混合物中でPHIP PDZ3がV−Srcリン酸化ephrinB1
に特異的に結合することを示す免疫ブロットである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 111 C07K 7/06 C07K 5/10 7/08 7/06 14/00 7/08 19/00 14/00 G01N 33/53 D 19/00 Z C12N 5/06 33/566 G01N 33/53 C12N 5/00 E A61K 37/02 33/566 37/64 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 アントニー ポーソン カナダ国 エム6ピー 3シー6 オンタ リオ、トロント、グレンウッド アベニュ ー 34 Fターム(参考) 4B065 AB10 AC20 BA30 CA44 CA46 4C084 AA01 AA07 BA01 BA09 BA10 BA17 BA18 BA22 BA23 BA41 BA44 BA50 CA17 CA23 CA53 CA56 CA59 DC01 DC29 DC32 MA02 MA13 MA52 MA57 MA60 MA63 MA66 NA14 ZA011 ZA201 ZB211 ZC011 ZC021 ZC201 ZC421 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 BA40 BA41 CA40 DA75 DA89 EA20 EA50 EA65 FA20 FA74

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Bクラスephrin及びPDZ領域含有蛋白質を包含する
    単離複合体。
  2. 【請求項2】 該BクラスephrinがephrinB1又はephri
    nB3であることを特徴とする、請求項1に記載の複合体。
  3. 【請求項3】 該PDZ領域含有蛋白質が、GRIP、GRIP PDZ6
    及びPDZ7(配列番号22及び23)、FAP−1 PDZ(配列番号21)
    、synteninのアミノ酸残基1−299、syntenin PDZ1及
    びPDZ2(配列番号26及び27)、PHIP PDZ2(配列番号24)又
    はPHIP PDZ3(配列番号25)であることを特徴とする、請求項1又は
    2に記載の複合体。
  4. 【請求項4】 ephrin B3/GRIP;ephrin B3/GRI
    P PDZ6及びPDZ 7(配列番号22及び23);ephrin B1/F
    AP−1 PDZ(配列番号21);ephrin B1又はB3/synte
    nin PDZ1及びPDZ2(配列番号26及び27);ephrin B1又
    はB3/synteninの残基1−299;ephrin B1又はB3/P
    HIP PDZ2(配列番号24);又はephrin B1又はB3/PHIP
    PDZ3(配列番号25)である、請求項3に記載の複合体。
  5. 【請求項5】 BクラスephrinのPDZ結合領域に由来するペプチド
  6. 【請求項6】 BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用
    に干渉する、式Iの合成ペプチド。 X−X−X−K−V I (ここでXは0〜70個のアミノ酸であり、X及びXはそれぞれチロシン又
    はホスホチロシンを表わす。)
  7. 【請求項7】 Xが2〜20個のアミノ酸であることを特徴とする、請求項
    6に記載のペプチド。
  8. 【請求項8】 XがNI、GNI、CPHYEKVSGDYGHPVYIV
    Q(E,D)(M,G)PPQSP(A,P)A(配列番号2)、GDYGHP
    VYIVQ(E,D)(M,G)PPQSP(A,P)A(配列番号3)、PP
    QSP(A,P)A(配列番号4)、又はGPPQSPPNI(配列番号32)
    であることを特徴とする、請求項7に記載のペプチド。
  9. 【請求項9】 YYKV(配列番号5)、GPPQSPPNIpYYKV(
    配列番号6)、NIpYpYKV(配列番号7)、NIpYYKV(配列番号8
    )、NIYpYKV(配列番号9)、NIYYKV(配列番号10)、GNIY
    YKV(配列番号28)、GNIpYpYKV(配列番号29)、GNIpYY
    KV(配列番号30)、又はGNIYpYKV(配列番号31)である、請求項
    7に記載のペプチド。
  10. 【請求項10】 請求項6、7、8又は9に記載のペプチド及びPDZ領域
    含有蛋白質を包含する複合体。
  11. 【請求項11】 該PDZ領域含有蛋白質が、GRIP、GRIP PDZ
    6及びPDZ7(配列番号22及び23)、FAP−1 PDZ(配列番号21
    )、synteninのアミノ酸残基1−299、syntenin PDZ1
    及びPDZ2(配列番号26及び27)、PHIP PDZ2(配列番号24)
    ;又はPHIP PDZ3(配列番号25)であることを特徴とする、請求項1
    0に記載の複合体。
  12. 【請求項12】 FAP−1 PDZ(配列番号21)/NIpYYKV、
    FAP−1 PDZ(配列番号21)/NIpYpYKV、syntenin/
    NIYYKV、syntenin/NIpYYKV、syntenin PDZ
    1及びPDZ2(配列番号26及び27)/NIYYKV、syntenin
    PDZ1及びPDZ2(配列番号26及び27)/NIpYYKV、又はPHI
    P PDZ3(配列番号25)/GNIpYpYKV又はPHIP PDZ3(配
    列番号25)/GNIpYYKVである、請求項10に記載の複合体。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載の複合体を有効量投与することを包含する
    、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用を変調する方法。
  14. 【請求項14】 請求項6に記載のペプチドを有効量投与することを包含す
    る、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用を変調する方法
  15. 【請求項15】 (a)複合体を、該複合体に結合する可能性のある少なく
    とも1個の物質に、該物質と該複合体との結合を可能にする条件下で反応させ、
    そして(b)結合を検出する(ここで結合の検出は、該物質が該複合体に結合す
    ることを意味する)ことを包含する、請求項1に記載の複合体に結合する物質を
    同定する方法。
  16. 【請求項16】 物質−複合体連結、あるいはBクラスephrinB又は
    PDZ領域含有蛋白質の活性を検定することによって結合を検出することを特徴
    とする、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 請求項1、2又は3に記載の複合体を、該複合体に結合す
    る物質ならびに試験化合物と共に、該物質と該複合体との連結体の形成を可能に
    する条件下に提供し;そして連結体を除去し及び/又は検出することを包含する
    、化合物について、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用
    を変調する能力を評価する方法。
  18. 【請求項18】 (a)Bクラスephrin、PDZ領域含有蛋白質、及
    び試験化合物を、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との結合を可能
    にする条件下に提供し;そして(b)結合を検出する(ここで試験化合物の非存
    在下における結合に比較して、増加した又は減少した結合が検出されたとき、試
    験化合物がBクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用を変調す
    ることを意味する)ことを包含する、化合物について、Bクラスephrinと
    PDZ領域含有蛋白質との相互作用を変調する能力を評価する方法。
  19. 【請求項19】 Bクラスephrinの末端アアミノ酸Valを変えるこ
    とを包含する、BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作用を変
    調する方法。
  20. 【請求項20】 BクラスephrinとPDZ領域含有蛋白質との相互作
    用を変調する薬剤の調製における、請求項1に記載の複合体又は請求項6に記載
    のペプチドの使用。
  21. 【請求項21】 Bクラスephrin又はPDZ領域含有蛋白質に関連す
    る細胞の、細胞過程を変調する薬剤の調製における、請求項1に記載の複合体又
    は請求項6に記載のペプチドの使用。
  22. 【請求項22】 該細胞過程が、軸索形成、神経細胞相互作用、及び神経細
    胞の再生である請求項21に記載の使用。
  23. 【請求項23】 請求項1に記載の複合体又は請求項6に記載のペプチド、
    及び薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈液を包含する、Bクラスephr
    inに関連した疾患を有する個人への投与に効果的な組成物。
  24. 【請求項24】 請求項1に記載の複合体又は請求項6に記載のペプチドを
    細胞に導入することを包含する、Bクラスephrin又はPDZ領域含有蛋白
    質に関連した細胞の増殖、成長又は分化を変調する方法。
  25. 【請求項25】 請求項23に記載の組成物を用いて、Bクラスephri
    n又はPDZ領域含有蛋白質に関連した増殖又は分化の疾患を治療する方法。
  26. 【請求項26】 配列番号1のアミノ酸配列を包含する単離蛋白質。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載の蛋白質の末端切断体、類似体、対立遺
    伝子又は種上の変異体、又は請求項26に記載の蛋白質と実質的に同一の配列を
    有する蛋白質。
  28. 【請求項28】 蛋白質に連結した、請求項26に記載の単離蛋白質を包含
    する、融合蛋白質。
  29. 【請求項29】 請求項26に記載の蛋白質のエピトープに対して特異性を
    有する抗体。
  30. 【請求項30】 蛋白質を、該蛋白質に結合する可能性のある少なくとも1
    個の物質に、該物質と該蛋白質との結合を可能にする条件下で反応させ、結合を
    検出する(ここで結合の検出は、該物質が該蛋白質に結合することを意味する)
    ことを包含する、請求項26に記載の蛋白質に結合する物質を同定する方法。
  31. 【請求項31】 請求項26に記載の蛋白質、該蛋白質に結合する物質なら
    びに試験化合物を、該物質と該蛋白質との結合を可能にする条件下に提供し、結
    合を検出する(ここで試験化合物の非存在下における結合に比較して、増加した
    又は減少した結合が検出されたとき、試験化合物が蛋白質の活性を変調すること
    を意味する)ことを包含する、化合物について、該蛋白質の生物学的活性を変調
    する能力を評価する方法。
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