JP2002528427A - ジエンの選択的吸着方法 - Google Patents

ジエンの選択的吸着方法

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JP2002528427A JP2000578267A JP2000578267A JP2002528427A JP 2002528427 A JP2002528427 A JP 2002528427A JP 2000578267 A JP2000578267 A JP 2000578267A JP 2000578267 A JP2000578267 A JP 2000578267A JP 2002528427 A JP2002528427 A JP 2002528427A
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パディン,ジョエル
マンソン,カーティス,エル.
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C7/00Purification; Separation; Use of additives
    • C07C7/12Purification; Separation; Use of additives by adsorption, i.e. purification or separation of hydrocarbons with the aid of solids, e.g. with ion-exchangers
    • C07C7/13Purification; Separation; Use of additives by adsorption, i.e. purification or separation of hydrocarbons with the aid of solids, e.g. with ion-exchangers by molecular-sieve technique

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、不飽和炭化水素を、このような炭化水素を含有する混合物から分離するための特異的吸着媒および方法を提供する。吸着媒および方法は、モノオレフィンからジエンを分離するのに有用である。吸着媒は、a)ゼオライトX、ゼオライトY、およびゼオライトLSXからなる群から選択されるイオン交換ゼオライトであって、前記ゼオライトが交換可能な陽イオン部位を有し、複数の前記部位が存在する銀陽イオンまたは銅陽イオンを有しているゼオライト、b)交換可能な陽イオン部位を有するA型ゼオライトであって、複数の前記Aゼオライト部位が存在するアルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオンを有するゼオライトから選択される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、混合物、具体的にはモノオレフィンを含有する混合物からジエンを
分離するための選択的吸着方法、および具体的に選択された吸着媒に関する。
【0002】 (発明の背景) 市販の炭化水素製品の調製においては、類似の沸点を有する他の炭化水素から
所望の製品を分離する必要のあることが多い。例えば、ブテンは、1−ブテンと
混ざったブタジエンをもたらす方法によって商業的に合成される。逆に、ブタジ
エン製品にもブテンが混入することもある。用いる方法に応じて、混合物には、
2−ブテン、他のn−ブテン、n−ブタン、イソブタン、およびイソブチレンを
含むが、それらに限定されないC3およびC4炭化水素成分が含まれることがある
【0003】 モノオレフィンである1−ブテンの精製は、その沸点が1,3−ブタジエンと
近いために特に面倒である。1−ブテンの純度を上げるためには、それを他の炭
化水素から分離することが必要である。通常、分留単独では、1,3−ブタジエ
ンを完全に分離し、これらの混合物から所望の純度の1−ブテンを得ることは不
可能である。現在、ブタジエンは主に、選択的溶媒との蒸留および吸収剤の溶液
を用いる吸収によってオレフィンおよびパラフィンから分離される。抽出蒸留は
比較的エネルギー集約的であり、複雑であって経済的ではない。金属塩溶液によ
る選択的吸収には、段階間の流れの再利用を伴う多数の段階が含まれる。この方
法は、エネルギー集約的であり、それ自体が汚染物質を含有するか分解を受けや
すい溶媒流を取り扱い再循環することを必要とするという欠点を有している。オ
レフィン/パラフィン分離のための現行方法は、不飽和炭化水素の混合物を精製
するために所望の結果を経済的に達成するのに十分選択的ではない。したがって
、不飽和炭化水素を効果的かつ経済的に精製するための方法で用いるための改良
された方法および改良された吸着媒の必要性が残っている。
【0004】 (発明の概要) 本発明は、不飽和炭化水素を含む混合物から不飽和炭化水素を分離する新たな
方法を提供する。本発明は、この分離を行うために具体的に選択された吸着媒を
提供する。この吸収剤および分離方法は、ジエンを含有する混合物からジエンを
選択的に吸着するのに特に有用であり、モノオレフィンからジエンを分離するの
に極めて有効である。一態様では、本発明は、炭化水素混合物からブタジエン、
ヘキサジエンおよび/またはオクタジエンを、特に炭化水素混合物がブテン、ヘ
キセンおよび/またはオクテンなどのモノオレフィンを含有する場合にそれらを
分離する方法および吸着媒を提供する。
【0005】 ジエンおよびモノオレフィン化合物は、工業的処理の結果として一緒に見いだ
されることが多い。モノオレフィンからジエンを分離することは、それぞれの沸
点が近接しているために達成が困難である。この困難さは、1,3−ブタジエン
が−4.4℃の沸点を有し、1−ブテンが−6.3℃の沸点を有していることを
考えても明らかである。
【0006】 本発明の一態様は、このような分離を行うことに特に適している。他の重要な
ジエン/モノオレフィン分離には、ヘキセンからのヘキサジエンの分離およびオ
クテンからのオクタジエンの分離が含まれる。本発明の方法では、ジエンを優先
的に吸着する吸着媒に混合物を接触させることによりジエンを含む混合物からジ
エンを分離する。このことは、非吸着成分およびジエンに富んだ吸着成分を生み
出す。
【0007】 一態様では、吸着媒には、イオン交換ゼオライトX、ゼオライトY、および/
またはゼオライトLSXが含まれる。選択されたゼオライトは交換可能な陽イオ
ン部位を有しており、交換可能な陽イオン部位の一部またはすべてに銀陽イオン
または銅陽イオンが存在する。実質的な陽イオン交換は、イオン交換ゼオライト
の陽イオン部位の少なくとも半分が銅または銀陽イオンを含有することが好まし
い。イオン交換は実質的または本質的に完了し、交換可能イオン含量の銀または
銅イオン交換レベルが吸着特性を変えるのに実質的に十分であることが好ましい
。銀イオン交換ゼオライトの場合には、交換可能イオン含量の銀イオン交換レベ
ルは少なくとも70%であることが望ましく、より望ましくは少なくとも80%
、最も望ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好まし
くは少なくとも95%である。実質的にすべての(すなわち、99%)交換可能
イオン部位が銀陽イオンで占有されていることが最も好ましい。あるいは、X−
ゼオライト、Y−ゼオライトまたはゼオライトLSXは、銅イオン交換ゼオライ
トである。銀陽イオンに関して直前に記載したように、イオン交換は完了してい
ることが好ましい。すなわち、銅イオン交換ゼオライトの陽イオン部位の少なく
とも半分は銅によって占有される。銅イオン交換ゼオライトの場合には、銀につ
いて前述した進んだレベルに従って、同じレベルの高度交換含量を適用する。本
質的に完全なイオン交換が生じ、それによって実質的にすべての(すなわち、9
9%)交換可能陽イオン部位が銅陽イオンで占有されていることが好ましい。
【0008】 銅および銀イオン交換ゼオライトは、ジエン/モノオレフィン分離が、π−錯
化結合の形成によって容易になるという独特の利点を提供する。したがって、銀
イオン交換ゼオライトを吸着媒として使用すると、π−錯化結合を形成し、選択
的に除去の望まれる標的不飽和炭化水素を遊離可能に保持するという独特の能力
を有する。π−錯化結合の形成により、銀または銅イオン交換ゼオライトは、選
択された温度および圧力で標的不飽和炭化水素を保持することができる。その後
で、銀または銅イオン交換ゼオライトは、温度および圧力のいずれかまたは両方
が変化して脱着(遊離)を引き起こすと、吸着した標的炭化水素を遊離する。
【0009】 別の態様では、標的化合物を含有する混合物を、A型ゼオライトを含む吸収剤
と接触させることにより標的不飽和炭化水素化合物の分離を行う。A型ゼオライ
トは、カルシウム形で使用できる。A型ゼオライトはまた、アルカリ金属陽イオ
ンおよびアルカリ土類金属陽イオンの群から選択される金属陽イオンが存在する
場合に、選択的吸着に用いることができる。したがって、A型ゼオライトは、見
掛けの一般式M+1 x+2 y+3 b[(AlO212(SiO212]で表され、M+1
はアルカリ陽イオンであり、Z+2はアルカリ土類陽イオンであり、A+3は三価の
陽イオンであり、xの値は0から12であり、yの値は0から6であり、bの値
は少なくとも0で多くてもxとyの和未満であり、ただし、x+2y+3bは1
2である。電荷のバランスから、bの最大値は4である。bは4未満であること
が好ましい。アルカリ金属陽イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビ
ジウム、およびセシウムおよびそれらの混合物から選択され、アルカリ土類金属
陽イオンは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウ
ムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。三価陽イオンは、三価原子
価条件の可能な金属化合物であることが好ましい。例には、アルミニウムおよび
ホウ素が含まれる。
【0010】 別の態様では、本発明の吸着媒は、混合物から不飽和炭化水素を分離する方法
であって、第一に選択された圧力および温度で吸着を行い、次いで、圧力および
温度の少なくとも1つを変えることによって遊離または脱着を行うことによる方
法で使用する。優先的吸収は、脱着(遊離)圧力より高い圧力で行う。優先的吸
収圧力は約35気圧以上と高く、脱着圧力は、大気圧以下の有意な真空で0.0
1気圧以下と低くできる。優先的吸着の圧力は約1気圧から約35気圧の範囲に
あることが望ましく、約1から2気圧が最も望ましい。脱着の圧力は約0.1気
圧から約5気圧の範囲にあることが望ましく、約0.1気圧から0.5気圧の範
囲が最も望ましい。優先的吸着の温度は約0℃から約150℃の範囲にあること
が望ましく、約120℃までがより望ましく、約25℃から約80℃の範囲が最
も望ましい。遊離の温度は約70℃から約250℃の範囲にあることが望ましく
、約100℃から約120℃が最も望ましい。
【0011】 本発明は、本発明によって提供される有効かつ経済的な方法および吸着媒によ
り、混合物からジエンを分離するための従来の方法を実質的に上回る利点を提供
する。
【0012】 本発明の目的、特徴および利点には、混合物中のモノオレフィンからのジエン
、具体的には、対応するC4〜C8のモノオレフィンを含む混合物からC4〜C
8のジエンを分離するための改良方法が含まれる。別の目的は、このような新規
分離方法で用いる新規吸着媒を提供することである。
【0013】 これらおよび他の目的、特徴、および利点は、好ましい実施形態、請求の範囲
、および添付の図面についての以下の説明から明らかとなるであろう。
【0014】 (好ましい実施形態の説明) 本発明は、ジエンを、このようなジエンを含む混合物から分離するための改良
方法および吸着媒を提供する。本発明は特に、4から8個の炭素を有するジエン
を、4から8個の炭素を有する対応するモノオレフィンから分離するのに有用で
ある。C4からC8ジエンおよびそれらに対応するC4からC8モノオレフィンの近
い沸点により、改良された分離方法が必要である。選択された例は以下の通りで
あり、数値は摂氏度の沸点である。1,2−および1,3−ブタジエンはそれぞ
れ10.8および−4.4;1−ブテン、2−ブテンシスおよびトランスはそれ
ぞれ、−6.3、3.7および0.9;1,3−、1,4−、1,5−および2
,4−ヘキサジエンはそれぞれ、73、65、59.5、および80;1−ヘキ
セン、2−ヘキセンシスおよびトランスおよび3−ヘキセンシスおよびトランス
はそれぞれ、63.3、68.8、68、66,4、および67.1;および1
,7−および2,6−オクタジエンは113〜8および118〜20;および1
−、2−、3−、および4−オクテンは121.3〜125.6の範囲にある;
すべてCRC Handbookの第62版に従った。
【0015】 一実施形態では、ジエンおよび少なくとも1つの他の不飽和炭化水素化合物を
含むフィード混合物からジエンを分離する方法であって、混合物をイオン交換ゼ
オライトであるジエン選択的吸着媒と接触させることを含む方法を提供する。イ
オン交換ゼオライトは、Yゼオライト、Xゼオライト、および/または低シリカ
Xゼオライト、(LSX)であることが望ましい。ゼオライトの交換可能陽イオ
ン部位は、銀陽イオンまたは銅陽イオンでイオン交換されていることが最も望ま
しい。ゼオライトは、銀ゼオライト(Agゼオライト)であることが最も好まし
い。以下に、これらのゼオライトの特性をより具体的に述べる。LSX型ゼオラ
イトの場合には、ケイ素とアルミニウムの原子比が1.2未満であることが好ま
しい。Si/Alの比は、約1であることが最も好ましい。
【0016】 Agゼオライトの場合には、ゼオライトのイオン交換部位の半分以上が銀陽イ
オンを含有していることが望ましい。Agゼオライトの場合には、実質的にすべ
ての陽イオン部位が+1の酸化状態(+1原子価状態)の銀によって占有されて
いることが好ましい。Cu−ゼオライトの場合にも、イオン交換部位の半分以上
が銅イオンを含有していることが望ましい。銅交換ゼオライトの場合にも、実質
的にすべての部位が銅でイオン交換され、銅は+1原子価または酸化状態にある
ことが好ましい。
【0017】 別の実施形態では、1つまたは複数の他の不飽和炭化水素、特に前述のモノオ
レフィンから、A型ゼオライトを用いてジエンの分離を引き起こすための方法を
提供する。この方法では、アルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオ
ンをそれぞれの交換可能陽イオン部位に有するA型ゼオライトを利用し、ジエン
の選択的吸着を引き起こしてフィード混合物からジエンを分離する。
【0018】 市販の5Aゼオライトを用いることが望ましい。5Aゼオライトは、主な陽イ
オンとしてカルシウム(Ca)を含有する。このことは、A−ゼオライトの利用
可能なすべての陽イオン部位について、このような部位の半分以上にCaが見い
だされることを意味する。微量の陽イオンはナトリウムである。したがって、5
Aゼオライトは、その実質的および本質的にすべての陽イオン部位がCaおよび
Na、主にCaによって占有されている。この5Aゼオライトはまた、本明細書
中でCaAゼオライトとも呼ぶ。
【0019】 一実施形態では、A型ゼオライトは任意選択で、アルカリ金属およびアルカリ
土類金属の他に陽イオンの混合物を含有する。したがって、ゼオライトの一部の
陽イオン交換部位では、+1および+2以外の陽イオンが存在する。ゼオライト
の見掛けの一般式はM+1 x+2 y+3 b[(AlO212(SiO212]であり、
xの値は0から12であり、yの値は0から6であり、bの値は少なくとも0で
多くてもxとyの和未満であり、ただし、x+2y+3bは12である。このこ
とは、このA型ゼオライト中に釣り合いのとれた陽イオンの混合物を提供してい
ると考えられる。Aゼオライトが三価(+3)陽イオンを含有する場合には、こ
のような三価の原子量は、アルカリおよびアルカリ金属陽イオンの合わせた量よ
り少ないことが好ましい。前記の見掛けの一般式では、アルカリ土類金属が主に
Caで、Ca−A(5A)ゼオライトを提供することが最も好ましい。
【0020】 本発明の方法および吸着媒(収着媒)は、温度スイング吸着(TSA)および
圧力スイング吸着(PSA)に特に適合している。この方法は、1つまたは複数
の他の不飽和炭化水素および特にモノオレフィン化合物を含有する混合物からジ
エンを分離するのに効果的である。本発明ならびにTSAおよびPSAプロセス
における本発明のゼオライトの使用法をさらに説明する前に、本発明のゼオライ
トの物理特性のより具体的な説明を、好ましいイオン交換法と一緒に示す。
【0021】 歴史的に見ると、ゼオライトはその選択性から吸着媒として用いられてきた。
ゼオライトは、吸着質分子の大きさおよび形に基づいて分子を選択的に吸着する
ことから、分子ふるいと呼ばれている。ゼオライトは、一酸化炭素および炭化水
素の選択的吸着での使用方法で知られてきた。結晶ゼオライトY、ゼオライトA
およびゼオライトXは、USPN3,130,007、2,882,243、3
,992,471および2,882,244に記載されており、それぞれの全体
を参照により本明細書に組み込む。5A型ゼオライトおよび13X型ゼオライト
は、USPN5,551,257中に窒素吸着について記載されている。4A(
Na−A)および5A(Ca−A)型ゼオライトは、USPN3,785,12
2に記載されている。Si/Al比が1.25以下、望ましくは1.2以下、好
ましくは約1である低シリカXゼオライト(LSX)は、USPN5,268,
023に記載されている。前述の特許のそれぞれ全体を、参照により本明細書に
組み込む。これらの特許に記載の特徴と合わせ、ゼオライトの特性を、R.T.
Yangによる「Gas Separation Processes」(Bu
tterworth Publisheres、1987年)から以下に引用す
る。
【0022】 ゼオライトは、ナトリウム、カリウム、およびカルシウムなどのアルカリまた
はアルカリ土類元素の結晶性アルミノケイ酸塩であり、化学量論では Mx/n[(AlO2x(SiO2y]zH2O で表され、xおよびyは整数でy/xは1以上であり、nは陽イオンMの原子価
であり、zはそれぞれの単位セル中の水分子数である。図1(b)および(c)
に単位セルを示す。陽イオンは、アルミニウム原子の電荷と釣り合いをとる必要
があり、それぞれが−1の実効電荷を有する。水分子は、加熱および真空排気に
よって容易に除去され、0.2と0.5の間の空隙率を有するほぼ変化していな
いアルミノケイ酸塩骨格を残すことができる。この骨格は規則的なかご構造を有
し、通常それぞれのかご中の6個の窓によって相互に連結される。このかごは、
水の代わりに大量のゲスト分子を吸収または吸蔵することができる。窓開口部の
サイズは、陽イオンのタイプおよび数を固定することによって制御できるが、3
Åから10Åにわたる。収着は、開口部サイズによって(多少はかご内の表面特
性によって)極めて選択的に生じ、分子ふるいと称される。
【0023】 天然に存在する少なくとも40種類のゼオライトが見いだされている。主なも
のは、菱沸石、(Ca,Na2)Al2Si412(6H2O);グメリナイト、(
Na2,Ca)Al2Si412(6H2O);モルデン沸石、(Ca,K2,Na2 )Al2Si1024(6.66H2O);レビナイト(levynite)、Ca
Al2Si310(5H2O);およびホージャサイト、(Na2,Ca,Mg,K 2 )OAl2Si4.512(7H2O)である。150タイプ以上のゼオライトが合
成されており、A型、X型、Y型、ZSM型などの文字または文字群によって表
示される。合成ゼオライトの商業的生産は、新たな共沈ゲルまたは無定形固体な
どの極めて反応性の材料を用い、低温(25〜100℃)合成法の開発が成功す
ることから始まった。
【0024】 ゼオライトの一次構造単位は、ケイ素およびアルミニウムの四面体、SiO4
およびAlO4である。これらの単位は、立方体、六方柱、八面体、および切頭
八面体などの二次多面体構築単位に組み立てられる。ケイ素およびアルミニウム
原子は、多面体の隅に位置し、共有酸素によって結合する。最終的なゼオライト
構造は、規則的な三次元結晶骨格中の二次単位の集合からなる。Si/Al比は
通常、1から5である。一部のゼオライトでは、アルミニウム原子を除去し、ケ
イ素で置き換え、それによって陽イオンの数を減らし、陽イオンを交換すること
ができる。窓内の内部原子は酸素である。したがって、窓のサイズは、4、5、
6、8、10、または12といった環内の酸素原子数によって異なる。開口部サ
イズ、ならびに吸収特性は、交換される陽イオンの数およびタイプによってさら
に修正することができる。気体分離に重要なゼオライトであるA型およびXおよ
びY型についてのみ構造の説明を行う(表1を参照のこと)。
【0025】 A型。A型ゼオライト、ならびにXおよびY型内の構造単位は、図1(a)に
示す切頭八面体である。この単位はまた、方ソーダ石かごと呼ばれるが、それは
方ソーダ石がこの単位の4員環が直接縮合することによって生成するからである
。方ソーダ石の4員環はまた、図1(b)に示すように、A型ゼオライトである
4員柱に結合することができる。この図に示すように、A型ゼオライトの単位セ
ルは、24個の四面体、すなわち12個のAlO4および12個のSiO4を含む
。完全に水和すると、単位セルの中央のかごすなわち空洞、および8個のより小
さな方ソーダ石かご中に27個の水分子が含まれる。中央空洞内の自由直径は1
1.4Åであり、最小直径4.4Åの6個の8員酸素環開口部を通って入る。そ
れぞれの単位セル内には、陽イオンによって釣り合いがとられた12個の負電荷
がある。陽イオンに関して最も可能性のある配置を図1(d)に示す。I型は6
員環の中央で、空洞の8個の隅の一カ所にある。II型は8員開口部にあり、入
口を直接妨害する。III型は空洞内部の4員環の近くにある。A型ゼオライト
はナトリウム形で合成され、12個のナトリウム陽イオンは、Iの8個の部位す
べて、IIの3個の部位、さらにIIIの1個の部位を占有する。これが市販の
4A型ゼオライトで、有効開口部サイズは3.8Åである。ナトリウム形は、様
々な他の陽イオンまたは水素イオンによって置換することができる。市販の3A
型ゼオライトは、Na+をK+と交換することによって生成し、より大きなK+
より、より小さな有効開口部サイズがもたらされる。ナトリウム形の開口部サイ
ズはまた、Na+をCa+またはMg+2と交換することによって増やすことができ
るが、それは2個のNa+が1つの二価陽イオンと置換されるからである。交換
したCa2+またはMg+2の形は、やや妨害のないより大きな開口部を有する5A
型である。
【0026】 XおよびY型。XおよびY型ゼオライトの骨格構造は、天然に存在するホージ
ャサイトの構造と同一である。図1(c)の単位セルに示すように、方ソーダ石
単位は、6員柱によって結合する。それぞれの単位セルは、192個の(Si,
Al)O4四面体を含む。単位セル当たりのアルミニウムイオン数は、X型ゼオ
ライトの場合に96から77まで、Y型ゼオライトの場合に76から48まで変
化する。この骨格は、知られているゼオライトのうちで最大の中央空洞体積を有
し、脱水形の空隙率は約50%になる。完全に水和すると、単位セルは約235
個の水分子を、大部分を中央空洞に含む。開口部は、自由直径7.4Åの12員
酸素環によって形成される。陽イオンに関する3つの主要な位置を図1(e)に
示す。その位置は、6員柱の中央(I)で方ソーダ石かご(I’)内のIの反対
側;IおよびI’と同様であるが中央空洞(IIおよびII’)からさらに遠く
;12員開口部(IIIおよびIII’)である。市販の10Xゼオライトは主
な陽イオンとしてCa+2を含み、13Xゼオライトの場合にはNa+が主な陽イ
オンである。Na+、K-、Ca+2、他の陽イオン、およびH2OのXおよびYゼ
オライト中の分布。ゼオライトについてN2で測定したBET表面積は、500
と800m2/gの範囲内である。
【0027】 一態様では、以下に述べるように、本発明の吸着媒は、π−錯化機構によって
選択的吸着を行う。π−錯化による分離は、錯化剤を含む第二の相と混合物を接
触させる化学的錯化の下位群である。化学的錯化の利点は、形成する結合がファ
ンデルワールス力単独に比べて強固であり、それによって成分を極めて選択的に
かつ極めて大量に結合できることである。同時に、この結合は、温度上昇または
圧力低下などの簡単な工学操作を用いることによって切断できる程の弱さである
【0028】 π−錯化は一般に、遷移金属の主要な群(またはd−ブロック)、すなわち、
周期律表のScからCu、YからAg、およびLaからAuと関係している。こ
れらの金属またはそのイオンは、炭素と通常のσ結合を形成し、さらに、これら
の金属またはイオン中のd軌道の独特の特性は、非古典的に不飽和炭化水素(オ
レフィン)と結合を形成することができる。このタイプの結合は、広くπ−錯化
と呼ばれ、扱いにくい液体溶液を用いる気体炭化水素の分離および精製のために
考えられてきた。
【0029】 多くのオレフィン分離の場合、従来のπ−錯化収着媒は、標的オレフィンに大
きな作業容量を提供しないことが知られている。以下の実施例は、本発明の収着
媒が1,3−ブタジエン吸着に優れた選択性を有することを示している。この実
施例は、極めて有効なジエン分離に好ましいPSAおよびTSAプロセスで使用
できる新規な吸着媒(収着媒)を示している。
【0030】 PSAプロセスは、本発明の新規な収着媒と共に効果的に使用できる。この場
合、周期的定常状態の多重度は、周期的な吸着プロセスの重要な側面である。圧
力スイング吸着(PSA)の場合、固定した一連の操作条件に対し、1つまたは
複数のこれらの操作変数(すなわち、分岐変数)の具体的範囲を超えて複数の定
常状態が存在する。最終的な安定状態は、初期条件(すなわち、摂動変数)のみ
によって決まる。
【0031】 圧力スイング吸着(PSA)および温度スイング吸着(TSA)によって成分
分離を行う様々な商業的応用例がある。その他の余り広く用いられない方法は、
体積スイング吸着および濃度スイング吸着である。最も一般に記載されるのはP
SAおよびTSA系である。
【0032】 PSA処理では、容易に吸着できる成分および余り容易に吸着できない成分を
含有するフィード混合物を、より高い吸着圧力でより容易に吸着される成分を選
択的に吸着できる吸着媒ベッドを通過させる。容易に吸着されない成分は、ベッ
ドを通過し、ベッドの排出端から回収される。次いで、容易に吸着される成分を
脱着させベッドから取り除くために、より低い脱着圧力までベッドの圧力を解放
する。その後、周期的な操作を続行する。
【0033】 温度スイング吸着処理では、より容易に吸着される成分が吸着される間、フィ
ード混合物に吸着媒を曝露する。その後、フィードの流れを吸着媒ベッドから遮
断し、吸着媒をパージ流体、通常は気体に曝露し、吸着した成分をベッドから放
散し、次の使用のためにベッドを再生する。TSAでは、吸着した成分は、再生
状態の吸着媒を加熱することによってベッドから追い出す。したがって、脱着の
温度は周期の吸着部分の温度よりも高い。PSAおよびTSA吸着の詳細はここ
では繰り返さないが、以下の米国特許に見いだすことができ、それぞれの全体を
参照により本明細書に組み込む。5,268,023、5,551,257、5
,554,208、5,672,196、5,672,196。
【0034】 ゼオライトのイオン交換は、金属イオンの水溶液中でゼオライトを混ぜること
によって容易に行える。塩の金属は、陽イオン部位に交換される金属である。溶
液の濃度は、所望のイオン交換レベルによって変わる。次いで、イオン交換され
たゼオライトをろ過によって水溶液から取り除き、可溶の塩がなくなるまで洗浄
する。このバッチイオン交換は、その簡便性から広く使用される。本質的に完全
なイオン交換は、同一手順を数回繰り返すことによって行うことができる。この
ような繰り返し処理によって、交換可能陽イオン部位の90%以上がAg+でイ
オン交換される。このような部位の95%以上がイオン交換されることが好まし
い。同じ高レベルの交換は、銅イオン交換でも得られる。本発明のAgゼオライ
トは、ゼオライトの陽イオン交換容量の5倍を含むAgNO3の溶液でイオン交
換することによって調製した。これを行って、完全イオン交換を保証した。本発
明のCu−ゼオライトは、CuCl2またはCu(NO32の溶液とイオン交換
し、続いてCu+2からCu+1への還元によって調製した。
【0035】 以下の実施例は、通常のアルファオレフィン(NAO)流れから微量のジエン
(50PPM)を除去する分離に挑戦するための新規な収着媒を示す。以下の実
施例の収着媒は、圧力スイング吸着(PSA)または温度スイング吸着(TSA
)法に関する操作性を証明する。
【0036】 実施例の収着媒は、2つのタイプの相互作用、速度論的および弱い化学的錯化
に基づいて予め選択した。第一のタイプの相互作用は、ゼオライトまたは炭素分
子ふるい(CMS)などのある種の基体の分子ふるい作用に由来する。しかしな
がら、ゼオライトは、その高いヘンリーの法則領域吸着によりこの応用例として
考えられる。この技法の場合、モノオレフィンの速度論的直径の小さな差が利用
される。これは、様々なサイズの陽イオンをA型ゼオライトの細孔開口部に交換
することによって行う。
【0037】 実施例に関連する成分のオレフィン的性質により、パラフィンよりもオレフィ
ンを吸着する能力を証明した弱い化学的および錯化に基づく収着媒は、必ずしも
モノオレフィンからのジエン分離に適合しているとはいえない。モノオレフィン
からのジエンの分離では、両方の吸着質がオレフィン性の性質である。ジエンは
、二重結合の3種の配置が知られている。単結合と交互になった二重結合は、共
役していると言われ、2つ以上の単結合で分離された二重結合は、孤立している
と言われる。第三の、余り重要ではないジエンの種類では累積二重結合、すなわ
ち互いに隣接した二重結合を含み、アレンとして知られている。最も一般的なジ
エンの1つは1,3−ブタジエンである。その沸点は−4.4℃であり、1−ブ
テン(−6.3℃)と極めて近い。この近い沸点のためにこれら2つの化合物の
分離は極めて困難である。2つの間の主な差は、1,3−ブタジエンの共役ジエ
ンの性質である。1,3−ブタジエンは低濃度で存在するため、このような低い
分圧で有意な量のブタジエンを吸着するためには収着質と吸着媒の間の結合は極
めて強固でなければならない。
【0038】 実施例では、収着媒の特性が、特異的陽イオンおよび基体を選択することによ
って調整できることが示された。バルク分離を扱う場合には、低圧で吸着される
量が多いことは望ましくなく、通常はこれを避けるが、それは吸着媒の作業容量
を限定するからである。しかしながら、この特定の応用例の場合には、高度のヘ
ンリーの法則定数が必要である。したがって、ゼオライトベースの収着媒は基体
として良好な候補である。Ag+交換Yゼオライトは、極めて低圧でオレフィン
に対する高度の親和性を有している。したがって、実施例は、Cu+またはAg+ 陽イオンでイオン交換したA、X、またはY型などのゼオライト材料を用い、1
−ブテンからの1,3−ブタジエンの分離を行うことを中心に扱う。ブテンから
の共役ブタジエンの分離は単に例示的なものであることに留意されたい。以下に
記載する方法はまた、ヘキセンおよびオクテンを含有する混合物からヘキサジエ
ンおよびオクタジエンなどの他のジエンを分離するのにも応用できる。以下に示
す温度および圧力はまた、例示的なものである。
【0039】 選択された条件に応じて、気相、液相または、例えば飽和気体を含むそれらの
組合せで分離を行う。実施例のブタジエンおよびブテンは、前述の他のジエン/
モノオレフィンの組合せと共通の化学特性を共有していることに留意されたい。
したがって、このように述べたすべての組合せを分離することにおける本発明の
有効性は明白である。
【0040】 以下の実施例に記載の収着媒は、高度の表面積基体に含まれる様々な陽イオン
を含むこととした。陽イオンの分散はイオン交換を用いて行った。ゼオライトに
おけるイオン交換の化学は、よく調べられている。USPN2,882,243
、2,882,244および5,268,023を参照されたい。それぞれの全
体を参照により本明細書に組み込む。すべての交換は同様に行った。それらは、
真空ろ過および脱イオン水によるゼオライトの洗浄であった。始めの陽イオン交
換容量(CEC)に比較すると、それぞれの溶液は10倍の陽イオン当量を含ん
でいた。この手順は100%交換を保証した。A(Linde)、LSX(低シ
リカX、UOP)、およびY(Strem Chemicals)ゼオライトの
場合、出発の形はNa+を含む。用いるゼオライトは、粉末形とした(結合剤非
含有)。使用する前には試料を真空中350℃で焼成した。
【0041】 以下の実施例では、吸着質として用いた炭化水素は、1,3ブタジエン(CP
級、Matheson)、1−ブテン(CP級)であり、ヘリウム(予備精製級
、Metro Welding 99.995%)をキャリアーガスおよび再生
ガスとして用いた。気体はさらに精製することなく用いた。等温式および取り込
み速度は、よく知られた手順に従い、島津TGA−50微量天秤システムを利用
して測定した。低圧データ(0.05気圧未満)の場合、Micrometri
cs ASAP2010孔径分布分析装置を利用した。このシステムは、1×1
-7〜1.25気圧の範囲で圧力を正確に測定することができる。Microm
etrics ASAP2010により極めて低圧でデータが得られるものの極
めて時間がかかる。島津TGA−50熱重量分析計を用い、潜在的な収着媒を選
択する。また、吸着の等比体積熱を得るために2つの温度(25℃、70℃)で
測定を行った。全拡散時間定数、D/R2は、よく知られた方法および前提によ
り0.から0.6までの段階的圧力増加から測定された取り込み曲線から算出し
た。
【0042】 実施例1 1,3−ブタジエン選択性に関するY型ゼオライトの予備スクリーニング LSXおよびY型ゼオライトの骨格構造は、天然に存在するホージャサイトの
構造と似ていた(図1を参照のこと)。これらのゼオライトの細孔は、12員酸
素環で作られている。約8.1Åの開口部サイズを有している。Si/Zlの比
が異なるに過ぎない。この比は単位セル当たりの陽イオン数を決め、したがって
吸着特性に著しい影響を持つ。Y型ゼオライトはそれぞれ、56と76の間の陽
イオン部位を含む。これらのゼオライトを基体として選択したのは前述の特性の
ためである。大きなサイズの開口部は、1,3−ブタジエンおよび1−ブテンな
どの大きな分子の拡散を容易にする。また、Cu1+またはAg1+との交換に利用
可能な多数の陽イオン部位は、吸着容量の増加を助ける。
【0043】 70℃におけるNaYおよびNaLSX型ゼオライト上の1,3−C46およ
び1−C48の純成分平衡等温式を図2に示す。分圧は.06から1気圧にわた
った。これらの圧力は、1,3−C46の関心ある範囲の外であるが潜在的基体
のスクリーニングおよび1−C48に関する容量を測定するのには有用である。
平衡データは、ラングミュア等温モデルに適合した。NaYゼオライト上に1気
圧70℃で吸着した1,3−C46および1−C48の平衡量はそれぞれ、2.
80および2.69mmol/gであった。これは、NaY型ゼオライトの単位
セル当たり約36分子の1,3−C46および34分子の1−C48に等しい。
NaY型ゼオライト上の1,3−C46および1−C48に関する取り込み曲線
を図3に示す。これは、0〜0.06気圧に圧力を段階的に変化させて得られた
。両成分とも極めて速く拡散した。完全な取り込みは50秒以内に行われた。こ
れは、約7.4ÅというNaYゼオライトの極めて大きな細孔開口部サイズによ
るものであった。拡散時間定数、D/R2は、1992年にKargerおよび
Ruthvenによって記載されているように、実験データを球状粒子に関する
拡散式の解に適合させることによって算出した。70℃において1,3−C46 および1−C48について得られたD/R2の値はそれぞれ、7.85×103
よび5.76×1031/sであった。拡散率の比は、速度論的分離応用例の場
合にむしろ小さい(約1.3)。しかしながら、Y型ゼオライトの好ましい1つ
の特性は、比較的高いヘンリーの法則定数である。このことは、Y型ゼオライト
がC4’に対して良好な親和性を有し、C6’およびC8’に対しても良好な候
補であることを示している。
【0044】 実施例2 1,3−ブタジエンに関するイオン交換Y−ゼオライトの選択性 実施例1によれば、Y型ゼオライトは低圧でC4’に対して極めて高い親和性
を有する。したがって、この材料は、1−ブテン精製のため、およびヘキセンお
よびオクテン精製のための良好な基体である。1,3ブタジエンに対するNaY
ゼオライトの親和性を増すために、オレフィン性化合物をπ−錯化できるAg1+ によってNa1+を完全に交換した。70℃および25℃におけるAgYゼオライ
ト上の1,3−C46および1−C48の純成分平衡等温式を図4に示す。この
等温式における分圧は、1×10-5気圧から1気圧にわたった。尺度の低い方の
端は、10PPMに等しい濃度に対応する。1気圧70℃における1,3−C4
6および1−C48の平衡量は、2.8および2.3mmol/gと測定され
た。これらの結果は極めて興味深く、それは高い負荷においては、AgによるN
aの交換が、吸着される1,3−C46の量にあまり影響しないように見えるか
らである。
【0045】 70℃におけるAgY型ゼオライト上の低圧1,3−C46および1−C48 吸着データを図4に示す。この図では、70℃において吸着された1,3−C4
6の量は50PPMで0.5mmol/gであることが観察できる。この量は
若干少ない。1,3−C46の量は、吸着温度を上げるか圧力を下げることによ
って改善される。AgY型ゼオライト上の1,3−C46についての平衡吸着等
温式も図4に示す。1,3−C46吸着は重要な1×10-5から5×10-5(1
0〜50PPM)の領域で改善しなかったが、より高負荷では吸着の増加があっ
た。
【0046】 温度の上昇を伴う低圧法において吸着された1,3−C46の欠損は、装置の
エラーによると思われる。Micrometrics ASAP2010は、シ
ステムが余りに低い拡散の場合には特定の圧力点で取り込みが完結する前に吸着
を中断することがある。この可能なエラーは補正し、AgYゼオライト上の1,
3−C46に関する新たな平衡等温式が以下に続く実施例に従って含まれた。
【0047】 実施例3 選択性の確認 収着媒のπ−錯化活性を確認するために、70℃でC24について試験した。
70℃におけるNaYおよびAgY型ゼオライト上のC24の平衡等温式を図5
に示す。この図では、π−錯化の効果が低圧で明確に観察できる。しかしながら
、高圧ではこの効果は若干減少する。この現象は、Y型ゼオライトの細孔空洞の
充満によるものと考えられる。しかしながら、この特定の応用例の場合、高負荷
における収着媒の挙動は重要ではない。この特定の精製型応用例にとって重要な
のは収着媒の低圧挙動である。
【0048】 実施例4 1,3−ブタジエンに関するA型ゼオライトの選択性 A型ゼオライトの構造単位は、方ソーダ石かごである。A型ゼオライトの単位
セルは、12個のAlO4および12個のSiO4を含む(図1を参照のこと)。
それぞれのセル単位中の陽イオンによって釣り合いのとられる12個の負電荷が
ある。中央空洞の自由直径は11.4Åである(Yang、1987年)。細孔
への接近は、妨害のないCa2+(5A)形における4.3Åの自由開口部を有す
る8員酸素環によって制限される。これは、Na+との交換によって3.8Åま
で、K+との交換によって3.0Åまで縮小することができる。A型ゼオライト
をブタジエン分離にとって望ましいものにしているのはこの孔径の多様さとより
小さな空洞サイズである。
【0049】 Lindeから市販されている(5A)ゼオライトを試験した。25℃におけ
る5A上の1,3−C46および1−C48の低圧平衡等温式を図6に示す。1
気圧における1,3−C46および1−C48の平衡量はそれぞれ、3.8およ
び3.3mmol/gと測定された。この材料の定圧吸着は優れていた。50P
PMの濃度では、この材料は1,3C460.8mmol/gを吸着した。50
と10PPMの間のこの収着媒の作業容量も優れている。これは約0.7mmo
l/gと測定された。
【0050】 実施例5 5Aゼオライトおよび5Aイオン交換ゼオライトの選択性 この実施例は、極めて低い負荷で1,3−C46を吸着する際の5A型ゼオラ
イトの成功をふまえたものである。この場合、焦点は1−C48吸着を減らすこ
とであった。前述のように、この応用例のための収着媒を合成する戦略の1つは
、速度論的または立体的効果を用いて1−C48(ブテン)から1,3−C46 (ブタジエン)を分離することであった。したがって、1−C48の取り込みを
妨害するか、細孔構造から完全に排除することによって1−C48吸着を制限す
ることが可能である。これを、A型ゼオライトの細孔内Ca+陽イオンを様々な
サイズのいくつかの陽イオンと交換することによって行った。25℃におけるS
r交換5A上の1,3−C46および1−C48の純成分平衡等温式を図7に示
す。この等温式における圧力は1×10-5から1気圧にわたった。25℃1気圧
におけるSr交換5A上の1,3−C46の平衡吸着量は、3.1mmol/g
と測定された。この収着媒は、高負荷(約1気圧)で優れた能力を示したが、1
0〜50PPM体制では有意な量の1,3−C46を吸着しなかった。Sr交換
5Aおよび5A上の1,3−C46および1−C48の取り込み曲線は70℃で
測定し、図7に示す。CaA上の1,3−C46および1−C48についてのD
/R2の値はそれぞれ、1.07×102および7.30×10-3l/sと算出さ
れた。Sr交換5A上では拡散時間定数も測定し、それぞれ8.55×10-3
よび4.06×10-3l/sと算出された。Ca2+より大きなSr2+の半径(1
.12対0.99Å)により、1−C48取り込み速度に小さな低下が観察され
る。しかしながら、1−C48取り込みの減少は、速度論的分離スキームにとっ
ては十分大きいものではない。イオン交換を半径1.34Åの次に大きなBa2+ で行えば、両吸着媒の取り込みはひどく妨害される。したがって、単純なイオン
交換手法を用いA型ゼオライトの細孔構造への1−C48の接近を妨害すること
が、1,3−C46も妨害することなく可能であるかどうかは疑問である。この
2つの分子間では速度論的直径の差が小さいことが問題である。
【0051】 脱着実験は、70℃において5Aゼオライト上の1,3−C46について行っ
た。しかしながら、これらの実験は島津TG−50 TGA中で行った。したが
って、0.06気圧以下のデータは含まれない。70℃1気圧における5Aゼオ
ライト上の1,3−C46の平衡量は、2.81mmol/gと測定された。脱
着後、1気圧70℃でヘリウム流に曝露し再生した。しかしながら、この手順は
、1.23mmol/gを除去したに過ぎず、1,3−C46の1.58mmo
l/gは残ったままである。この最後の量は、ヘリウムの存在下、180℃まで
試料を加熱することによって除去した。脱着曲線を図8に示す。上記実施例によ
り、5Aゼオライトによる1,3−ブタジエン分離の成功が勝ち取られた。5A
の成功および性能の低いSr交換5Aが構造的に極めて類似している理由はまだ
明らかではない。このゼオライトの孔径は、C6およびC8分離に対する有効性
を決定する。
【0052】 実施例6 1,3ブタジエン/1−ブテン分離:π−錯化効果 これまでの実施例では、様々な温度におけるAgYゼオライト上の1,3−ブ
タジエン(C46)吸着を示している。これらの実施例には、C46吸着に対す
るπ−錯化の効果を直接比較するデータが含まれたいなかった。この実施例には
、ナトリウム交換Y型ゼオライト(NaY)上のC46吸着を測定することによ
る直接比較が含まれる。ナトリウム陽イオンは、オレフィンとπ−錯化できない
ことが知られている。AgAおよびCaA(5A)を含む比較を用いなかったの
は、AgA系では速度論的効果が主であるからである。AgAの孔径は、3Aと
4A型ゼオライトの間の範囲にある。
【0053】 120℃におけるAgYおよびNaY上のC46の平衡吸着等温式を図9に示
す。1気圧においてAgYおよびNaY上に吸着されたC46の平衡量にπ−錯
化に対する効果が観察され、それぞれ3.3および2.6mmol/gと測定さ
れた。しかしながら、120℃(1.1×101-3気圧)における1−ブテン(
48)の飽和圧力50PPMでのC46の吸着はより意味のあるパラメータで
ある。このパラメータを用いると、π−錯化の効果はより顕著である。AgYお
よびNaY上の50PPMでのC46の吸着量はそれぞれ、2.7および0.3
mmol/gと測定された。50から10PPM(1.1×10-3〜2.2×1
-4気圧)の範囲における収着媒の作業容量はそれぞれ、2.35および0.2
mmol/gと算出された。収着媒の作業容量を算出すると、π−錯化収着媒の
優れた性能が明らかとなる。
【0054】 実施例7 ブタジエン−ブテン分離 これまでの実施例では、25℃における5Aゼオライト上の1−ブテンおよび
ブタジエンの等温式を示した。さらに70℃で等温式を測定した。この等温式を
図10に示す。吸着量は70℃では少ない。より著しいのは、ブタジエンの等温
式のヒールがより高い分圧に向かってシフトしていることである。しかしながら
、幸いにも吸着量は10気圧のブタジエン分圧50ppmで十分に高い(すなわ
ち、70℃におけるブテンの飽和圧力。量は約1mmol/gである。10気圧
の10ppmでの吸着量はゼロに近い。したがって、5Aゼオライトは、70℃
における(全圧力10気圧における)ジエンの選択的除去にとって魅力的な収着
媒である。ゼオライト表面の極性は分離に寄与することである。
【0055】 表I LSX、YおよびAゼオライトの見掛けの化学式 AgLSX Ag96[(AlO2)96(SiO2)96] AgY Ag54[(AlO2)54(SiO2)138] CaA Ca6[(AlO2)12(SiO2)12] CuLSX Cu96[(AlO2)96(SiO2)96] CuY Cu54[(AlO2)54(SiO2)136] 混合金属A M+1 x+2 y+3 b[(AlO2)12(SiO2)12] (x+2y+3b=12) 注:X型ゼオライトでは、AlO2/SiO2比は54/138以上であり、陽イ
オンの原子価の合計は、AlO2単位の数に等しい。
【0056】 本発明は、混合物からジエンを分離するための従来の方法を上回る実質的利点
を提供する。本発明の吸着媒および方法は、モノオレフィンおよびジエンを含む
混合物からモノオレフィンを精製するのに有用である。この吸着媒および方法を
用い、ジエンを精製するかモノオレフィンを精製することができる。実施例に例
示した吸着媒および方法は、ジエンおよび1つまたは複数のモノオレフィンを含
む混合物からジエンを除去するのに特に有効であることを証明する。実施例は、
実施例中に述べた圧力および温度において気相分離を用いる有効な分離結果を示
す。この吸着媒および方法は、通常1重量パーセント以下の1,3−ブタジエン
(ジエン)が混入する1−ブテン(オレフィン)飽和流れで証明される。この場
合の分離には、1−ブテンオレフィン流れの飽和した性質による気相および液相
の選択的吸着が含まれる。本明細書に記載の方法は、C4〜C8モノオレフィン
からC4〜C8ジエンの分離について記載される。吸着媒の物理特性により、実
施例で明らかなように、極めて有効な分離がもたらされる。選択された条件に応
じて、気相、液相または、例えば、飽和された気体を含むそれらの組合せで分離
を行う。前述の理由から、吸着媒はまた、他のジエン、すなわちC4〜C10モ
ノオレフィンからのC4〜C10ジエンの分離にも有用であると考えられる。C
10を超えてもこの方法は応用できると考えられ、例えば、C12ジエン/C1
2モノオレフィン分離にも応用できると考えられる。しかしながら、選択性およ
び経済的恩恵はより高級な炭化水素モノオレフィン/ジエン分離では低下するこ
とが予想される。
【0057】 本発明は、極端ではない操作温度および圧力で良好な結果を与える。圧力スイ
ング吸着法では、大気圧以下の程度(すなわち、0.01から0.1気圧)から
中程度に高い(すなわち、20から30気圧)圧力で良好な結果が得られる。温
度スイング吸着法では、周囲温度または所望の供給温度(すなわち、0から25
℃)および中程度に高い(すなわち、250℃)温度で良好な結果が得られる。
本発明の吸着媒により、温度スイングまたは圧力スイング吸着法は、ジエンとモ
ノオレフィンの間の効果的分離に用いることができる。このことは、20ppm
以上の濃度の1,3−ブタジエンを10ppm以下の最終濃度まで除去すること
によるブテンの極めて効果的な精製によって証明される。したがって、本発明は
、微量のジエンの選択的吸着によって混合物からジエンを分離するという問題の
極めて魅力的な解答を提供する。
【0058】 本発明をその実施形態に関して説明してきたが、前記説明に限定されることを
意図しておらず、むしろ以下の請求の範囲に記載によることを意図している。
【0059】 排他的特性または恩恵を主張する本発明の実施形態は、以下の請求の範囲で定
義される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ゼオライト構造、(1A)方ソーダ石かご(cage)、すなわち切頭(tr
uncated)八面体、(1B)A型ゼオライト「単位セル」、(1C)X型
およびY型、またはホージャサイトの「単位セル」、(1D)A型の陽イオン部
位(単位セル当たり8個のI、3個のII、および12個のIII部位がある)
、(1E)X型およびY型の陽イオン部位(単位セル当たり16個のI、32個
のI’、32個のII、32個のII’、48個のIII、および32個のII
I’)の線表現を示す図である。
【図2】 70℃におけるNaYおよびNaLSX型ゼオライト上の1,3−C46およ
び1−C48の純成分平衡等温式を示す図である。
【図3】 NaY型ゼオライト上の1,3−C46および1−C48の取り込み曲線を示
す図である。
【図4】 70℃および25℃におけるAgYゼオライト上の1,3−C46および1−
48の純成分平衡等温式を示す図である。
【図5】 70℃におけるNaYおよびAgY型ゼオライト上のC24の平衡等温式を示
す図である。
【図6】 25℃における5Aゼオライト上の1,3−C46および1−C48の低圧平
衡等温式を示す図である。
【図7】 70℃におけるSr交換5Aおよび5Aゼオライト上の1,3−C46および
1−C48の取り込み曲線を示す図である。
【図8】 5Aゼオライトからの1,3−C46の遊離を推進する温度についての脱着曲
線を示す図である。
【図9】 120℃におけるAgYおよびNaY上のC46の平衡吸着等温式を示す図で
ある。
【図10】 70℃における5A上の1,3−C46および1−C48の低圧平衡等温式を
示す図である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年8月9日(2000.8.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、混合物、具体的にはモノオレフィンを含有する混合物からジエンを
分離するための選択的吸着方法、および具体的に選択された吸着媒に関する。
【0002】 (発明の背景) 市販の炭化水素製品の調製においては、類似の沸点を有する他の炭化水素から
所望の製品を分離する必要のあることが多い。例えば、ブテンは、1−ブテンと
混ざったブタジエンをもたらす方法によって商業的に合成される。逆に、ブタジ
エン製品にもブテンが混入することもある。用いる方法に応じて、混合物には、
2−ブテン、他のn−ブテン、n−ブタン、イソブタン、およびイソブチレンを
含むが、それらに限定されないC3およびC4炭化水素成分が含まれることがある
【0003】 モノオレフィンである1−ブテンの精製は、その沸点が1,3−ブタジエンと
近いために特に面倒である。1−ブテンの純度を上げるためには、それを他の炭
化水素から分離することが必要である。通常、分留単独では、1,3−ブタジエ
ンを完全に分離し、これらの混合物から所望の純度の1−ブテンを得ることは不
可能である。現在、ブタジエンは主に、選択的溶媒との蒸留および吸収剤の溶液
を用いる吸収によってオレフィンおよびパラフィンから分離される。抽出蒸留は
比較的エネルギー集約的であり、複雑であって経済的ではない。金属塩溶液によ
る選択的吸収には、段階間の流れの再利用を伴う多数の段階が含まれる。この方
法は、エネルギー集約的であり、それ自体が汚染物質を含有するか分解を受けや
すい溶媒流を取り扱い再循環することを必要とするという欠点を有している。オ
レフィン/パラフィン分離のための現行方法は、不飽和炭化水素の混合物を精製
するために所望の結果を経済的に達成するのに十分選択的ではない。したがって
、不飽和炭化水素を効果的かつ経済的に精製するための方法で用いるための改良
された方法および改良された吸着媒の必要性が残っている。
【0004】 US−A−3,311,671は、Linde Molecular Sie
vesタイプ10Xおよび13Xなどの分子ふるいでモノオレフィンからジオレ
フィンを分離する方法を開示している。
【0005】 US−A−3,350,472は、アンモニア処理ホージャサイトで共役ジオ
レフィンからアルファモノオレフィンを分離する方法を開示している。
【0006】 (発明の概要) 本発明は、不飽和炭化水素を含む混合物から不飽和炭化水素を分離する新たな
方法を提供する。本発明は、この分離を行うために具体的に選択された吸着媒を
提供する。この吸着媒および分離方法は、ジエンを含有する混合物からジエンを
選択的に吸着するのに特に有用であり、モノオレフィンからジエンを分離するの
に極めて有効である。一態様では、本発明は、炭化水素混合物からブタジエン、
ヘキサジエンおよび/またはオクタジエンを、特に炭化水素混合物がブテン、ヘ
キセンおよび/またはオクテンなどのモノオレフィンを含有する場合にそれらを
分離する方法および吸着媒を提供する。
【0007】 ジエンおよびモノオレフィン化合物は、工業的処理の結果として一緒に見いだ
されることが多い。モノオレフィンからジエンを分離することは、それぞれの沸
点が近接しているために達成が困難である。この困難さは、1,3−ブタジエン
が−4.4℃の沸点を有し、1−ブテンが−6.3℃の沸点を有していることを
考えても明らかである。
【0008】 本発明の一態様は、このような分離を行うことに特に適している。他の重要な
ジエン/モノオレフィン分離には、ヘキセンからのヘキサジエンの分離およびオ
クテンからのオクタジエンの分離が含まれる。本発明の方法では、ジエンを優先
的に吸着する吸着媒に混合物を接触させることによりジエンを含む混合物からジ
エンを分離する。このことは、非吸着成分およびジエンに富んだ吸着成分を生み
出す。
【0009】 一態様では、吸着媒には、イオン交換ゼオライトX、ゼオライトY、および/
またはゼオライトLSXが含まれる。選択されたゼオライトは交換可能な陽イオ
ン部位を有しており、交換可能な陽イオン部位の一部またはすべてに銀陽イオン
または銅陽イオンが存在する。実質的な陽イオン交換は、イオン交換ゼオライト
の陽イオン部位の少なくとも半分が銅または銀陽イオンを含有することが好まし
い。イオン交換は実質的または本質的に完了し、交換可能イオン含量の銀または
銅イオン交換レベルが吸着特性を変えるのに実質的に十分であることが好ましい
。銀イオン交換ゼオライトの場合には、交換可能イオン含量の銀イオン交換レベ
ルは少なくとも70%であることが望ましく、より望ましくは少なくとも80%
、最も望ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好まし
くは少なくとも95%である。実質的にすべての(すなわち、99%)交換可能
イオン部位が銀陽イオンで占有されていることが最も好ましい。あるいは、X−
ゼオライト、Y−ゼオライトまたはゼオライトLSXは、銅イオン交換ゼオライ
トである。銀陽イオンに関して直前に記載したように、イオン交換は完了してい
ることが好ましい。すなわち、銅イオン交換ゼオライトの陽イオン部位の少なく
とも半分は銅によって占有される。銅イオン交換ゼオライトの場合には、銀につ
いて前述した進んだレベルに従って、同じレベルの高度交換含量を適用する。本
質的に完全なイオン交換が生じ、それによって実質的にすべての(すなわち、9
9%)交換可能陽イオン部位が銅陽イオンで占有されていることが好ましい。
【0010】 銅および銀イオン交換ゼオライトは、ジエン/モノオレフィン分離が、π−錯
化結合の形成によって容易になるという独特の利点を提供する。したがって、銀
イオン交換ゼオライトを吸着媒として使用すると、π−錯化結合を形成し、選択
的に除去の望まれる標的不飽和炭化水素を遊離可能に保持するという独特の能力
を有する。π−錯化結合の形成により、銀または銅イオン交換ゼオライトは、選
択された温度および圧力で標的不飽和炭化水素を保持することができる。その後
で、銀または銅イオン交換ゼオライトは、温度および圧力のいずれかまたは両方
が変化して脱着(遊離)を引き起こすと、吸着した標的炭化水素を遊離する。
【0011】 別の態様では、標的化合物を含有する混合物をA型ゼオライトを含む吸着媒と
接触させることにより標的不飽和炭化水素化合物の分離を行う。A型ゼオライト
は、カルシウム形で使用できる。A型ゼオライトはまた、アルカリ金属陽イオン
およびアルカリ土類金属陽イオンの群から選択される金属陽イオンが存在する場
合に、選択的吸着に用いることができる。したがって、A型ゼオライトは、見掛
けの一般式M+1 x+2 y+3 b[(AlO212(SiO212]で表され、M+1
アルカリ陽イオンであり、Z+2はアルカリ土類陽イオンであり、A+3は三価の陽
イオンであり、xの値は0から12であり、yの値は0から6であり、bの値は
少なくとも0で多くてもxとyの和未満であり、ただし、x+2y+3bは12
である。電荷のバランスから、bの最大値は4である。bは4未満であることが
好ましい。アルカリ金属陽イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジ
ウム、およびセシウムおよびそれらの混合物から選択され、アルカリ土類金属陽
イオンは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム
およびそれらの混合物からなる群から選択される。三価陽イオンは、三価原子価
条件の可能な金属化合物であることが好ましい。例には、アルミニウムおよびホ
ウ素が含まれる。
【0012】 別の態様では、本発明の吸着媒は、混合物から不飽和炭化水素を分離する方法
であって、第一に選択された圧力および温度で吸着を行い、次いで、圧力および
温度の少なくとも1つを変えることによって遊離または脱着を行うことによる方
法で使用する。優先的吸着は、脱着(遊離)圧力より高い圧力で行う。優先的吸
収圧力は約3.54MPa(35気圧)以上と高く、脱着圧力は、大気圧以下の
有意な真空で1.01kPa(0.01気圧)以下と低くできる。優先的吸着の
圧力は約0.10MPa(1気圧)から約3.54MPa(35気圧)の範囲に
あることが望ましく、約0.10から0.2MPa(1から2気圧)が最も望ま
しい。脱着の圧力は約0.01MPa(0.1気圧)から約0.5MPa(5気
圧)の範囲にあることが望ましく、約0.01MPa(0.1気圧)から0.0
5MPa(0.5気圧)の範囲が最も望ましい。優先的吸着の温度は約0℃から
約150℃の範囲にあることが望ましく、約120℃までがより望ましく、約2
5℃から約80℃の範囲が最も望ましい。遊離の温度は約70℃から約250℃
の範囲にあることが望ましく、約100℃から約120℃が最も望ましい。
【0013】 本発明は、本発明によって提供される有効かつ経済的な方法および吸着媒によ
り、混合物からジエンを分離するための従来の方法を実質的に上回る利点を提供
する。
【0014】 本発明の目的、特徴および利点には、混合物中のモノオレフィンからのジエン
、具体的には、対応するC4〜C8のモノオレフィンを含む混合物からC4〜C
8のジエンを分離するための改良方法が含まれる。別の目的は、このような新規
分離方法で用いる新規吸着媒を提供することである。
【0015】 これらおよび他の目的、特徴、および利点は、好ましい実施形態、請求の範囲
、および添付の図面についての以下の説明から明らかとなるであろう。
【0016】 (好ましい実施形態の説明) 本発明は、ジエンを、このようなジエンを含む混合物から分離するための改良
方法および吸着媒を提供する。本発明は特に、4から8個の炭素を有するジエン
を、4から8個の炭素を有する対応するモノオレフィンから分離するのに有用で
ある。C4からC8ジエンおよびそれらに対応するC4からC8モノオレフィンの近
い沸点により、改良された分離方法が必要である。選択された例は以下の通りで
あり、数値は摂氏度の沸点である。1,2−および1,3−ブタジエンはそれぞ
れ10.8および−4.4;1−ブテン、2−ブテンシスおよびトランスはそれ
ぞれ、−6.3、3.7および0.9;1,3−、1,4−、1,5−および2
,4−ヘキサジエンはそれぞれ、73、65、59.5、および80;1−ヘキ
セン、2−ヘキセンシスおよびトランスおよび3−ヘキセンシスおよびトランス
はそれぞれ、63.3、68.8、68、66,4、および67.1;および1
,7−および2,6−オクタジエンは113〜8および118〜20;および1
−、2−、3−、および4−オクテンは121.3〜125.6の範囲にある;
すべてCRC Handbookの第62版に従った。
【0017】 一実施形態では、ジエンおよび少なくとも1つの他の不飽和炭化水素化合物を
含むフィード混合物からジエンを分離する方法であって、混合物をイオン交換ゼ
オライトであるジエン選択的吸着媒と接触させることを含む方法を提供する。イ
オン交換ゼオライトは、Yゼオライト、Xゼオライト、および/または低シリカ
Xゼオライト、(LSX)であることが望ましい。ゼオライトの交換可能陽イオ
ン部位は、銀陽イオンまたは銅陽イオンでイオン交換されていることが最も望ま
しい。ゼオライトは、銀ゼオライト(Agゼオライト)であることが最も好まし
い。以下に、これらのゼオライトの特性をより具体的に述べる。LSX型ゼオラ
イトの場合には、ケイ素とアルミニウムの原子比が1.2未満であることが好ま
しい。Si/Alの比は、約1であることが最も好ましい。
【0018】 Agゼオライトの場合には、ゼオライトのイオン交換部位の半分以上が銀陽イ
オンを含有していることが望ましい。Agゼオライトの場合には、実質的にすべ
ての陽イオン部位が+1の酸化状態(+1原子価状態)の銀によって占有されて
いることが好ましい。Cu−ゼオライトの場合にも、イオン交換部位の半分以上
が銅イオンを含有していることが望ましい。銅交換ゼオライトの場合にも、実質
的にすべての部位が銅でイオン交換され、銅は+1原子価または酸化状態にある
ことが好ましい。
【0019】 別の実施形態では、1つまたは複数の他の不飽和炭化水素、特に前述のモノオ
レフィンから、A型ゼオライトを用いてジエンの分離を引き起こすための方法を
提供する。この方法では、アルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イオ
ンをそれぞれの交換可能陽イオン部位に有するA型ゼオライトを利用し、ジエン
の選択的吸着を引き起こしてフィード混合物からジエンを分離する。
【0020】 市販の5Aゼオライトを用いることが望ましい。5Aゼオライトは、主な陽イ
オンとしてカルシウム(Ca)を含有する。このことは、A−ゼオライトの利用
可能なすべての陽イオン部位について、このような部位の半分以上にCaが見い
だされることを意味する。微量の陽イオンはナトリウムである。したがって、5
Aゼオライトは、その実質的および本質的にすべての陽イオン部位がCaおよび
Na、主にCaによって占有されている。この5Aゼオライトはまた、本明細書
中でCaAゼオライトとも呼ぶ。
【0021】 一実施形態では、A型ゼオライトは任意選択で、アルカリ金属およびアルカリ
土類金属の他に陽イオンの混合物を含有する。したがって、ゼオライトの一部の
陽イオン交換部位では、+1および+2以外の陽イオンが存在する。ゼオライト
の見掛けの一般式はM+1 x+2 y+3 b[(AlO212(SiO212]であり、
xの値は0から12であり、yの値は0から6であり、bの値は少なくとも0で
多くてもxとyの和未満であり、ただし、x+2y+3bは12である。このこ
とは、このA型ゼオライト中に釣り合いのとれた陽イオンの混合物を提供してい
ると考えられる。Aゼオライトが三価(+3)陽イオンを含有する場合には、こ
のような三価の原子量は、アルカリおよびアルカリ金属陽イオンの合わせた量よ
り少ないことが好ましい。前記の見掛けの一般式では、アルカリ土類金属が主に
Caで、Ca−A(5A)ゼオライトを提供することが最も好ましい。
【0022】 本発明の方法および吸着媒(収着媒)は、温度スイング吸着(TSA)および
圧力スイング吸着(PSA)に特に適合している。この方法は、1つまたは複数
の他の不飽和炭化水素および特にモノオレフィン化合物を含有する混合物からジ
エンを分離するのに効果的である。本発明ならびにTSAおよびPSAプロセス
における本発明のゼオライトの使用法をさらに説明する前に、本発明のゼオライ
トの物理特性のより具体的な説明を、好ましいイオン交換法と一緒に示す。
【0023】 歴史的に見ると、ゼオライトはその選択性から吸着媒として用いられてきた。
ゼオライトは、吸着質分子の大きさおよび形に基づいて分子を選択的に吸着する
ことから、分子ふるいと呼ばれている。ゼオライトは、一酸化炭素および炭化水
素の選択的吸着での使用方法で知られてきた。結晶ゼオライトY、ゼオライトA
およびゼオライトXは、USPN3,130,007、2,882,243、3
,992,471および2,882,244に記載されており、それぞれの全体
を参照により本明細書に組み込む。5A型ゼオライトおよび13X型ゼオライト
は、USPN5,551,257中に窒素吸着について記載されている。4A(
Na−A)および5A(Ca−A)型ゼオライトは、USPN3,785,12
2に記載されている。Si/Al比が1.25以下、望ましくは1.2以下、好
ましくは約1である低シリカXゼオライト(LSX)は、USPN5,268,
023に記載されている。前述の特許のそれぞれ全体を、参照により本明細書に
組み込む。これらの特許に記載の特徴と合わせ、ゼオライトの特性を、R.T.
Yangによる「Gas Separation Processes」(Bu
tterworth Publisheres、1987年)から以下に引用す
る。
【0024】 ゼオライトは、ナトリウム、カリウム、およびカルシウムなどのアルカリまた
はアルカリ土類元素の結晶性アルミノケイ酸塩であり、化学量論では Mx/n[(AlO2x(SiO2y]zH2O で表され、xおよびyは整数でy/xは1以上であり、nは陽イオンMの原子価
であり、zはそれぞれの単位セル中の水分子数である。図1(b)および(c)
に単位セルを示す。陽イオンは、アルミニウム原子の電荷と釣り合いをとる必要
があり、それぞれが−1の実効電荷を有する。水分子は、加熱および真空排気に
よって容易に除去され、0.2と0.5の間の空隙率を有するほぼ変化していな
いアルミノケイ酸塩骨格を残すことができる。この骨格は規則的なかご構造を有
し、通常それぞれのかご中の6個の窓によって相互に連結される。このかごは、
水の代わりに大量のゲスト分子を吸収または吸蔵することができる。窓開口部の
サイズは、陽イオンのタイプおよび数を固定することによって制御できるが、3
Åから10Åにわたる。収着は、開口部サイズによって(多少はかご内の表面特
性によって)極めて選択的に生じ、分子ふるいと称される。
【0025】 天然に存在する少なくとも40種類のゼオライトが見いだされている。主なも
のは、菱沸石、(Ca,Na2)Al2Si412(6H2O);グメリナイト、(
Na2,Ca)Al2Si412(6H2O);モルデン沸石、(Ca,K2,Na2 )Al2Si1024(6.66H2O);レビナイト(levynite)、Ca
Al2Si310(5H2O);およびホージャサイト、(Na2,Ca,Mg,K 2 )OAl2Si4.512(7H2O)である。150タイプ以上のゼオライトが合
成されており、A型、X型、Y型、ZSM型などの文字または文字群によって表
示される。合成ゼオライトの商業的生産は、新たな共沈ゲルまたは無定形固体な
どの極めて反応性の材料を用い、低温(25〜100℃)合成法の開発が成功す
ることから始まった。
【0026】 ゼオライトの一次構造単位は、ケイ素およびアルミニウムの四面体、SiO4
およびAlO4である。これらの単位は、立方体、六方柱、八面体、および切頭
八面体などの二次多面体構築単位に組み立てられる。ケイ素およびアルミニウム
原子は、多面体の隅に位置し、共有酸素によって結合する。最終的なゼオライト
構造は、規則的な三次元結晶骨格中の二次単位の集合からなる。Si/Al比は
通常、1から5である。一部のゼオライトでは、アルミニウム原子を除去し、ケ
イ素で置き換え、それによって陽イオンの数を減らし、陽イオンを交換すること
ができる。窓内の内部原子は酸素である。したがって、窓のサイズは、4、5、
6、8、10、または12といった環内の酸素原子数によって異なる。開口部サ
イズ、ならびに吸収特性は、交換される陽イオンの数およびタイプによってさら
に修正することができる。気体分離に重要なゼオライトであるA型およびXおよ
びY型についてのみ構造の説明を行う(表1を参照のこと)。
【0027】 A型。A型ゼオライト、ならびにXおよびY型内の構造単位は、図1(a)に
示す切頭八面体である。この単位はまた、方ソーダ石かごと呼ばれるが、それは
方ソーダ石がこの単位の4員環が直接縮合することによって生成するからである
。方ソーダ石の4員環はまた、図1(b)に示すように、A型ゼオライトである
4員柱に結合することができる。この図に示すように、A型ゼオライトの単位セ
ルは、24個の四面体、すなわち12個のAlO4および12個のSiO4を含む
。完全に水和すると、単位セルの中央のかごすなわち空洞、および8個のより小
さな方ソーダ石かご中に27個の水分子が含まれる。中央空洞内の自由直径は1
1.4Åであり、最小直径4.4Åの6個の8員酸素環開口部を通って入る。そ
れぞれの単位セル内には、陽イオンによって釣り合いがとられた12個の負電荷
がある。陽イオンに関して最も可能性のある配置を図1(d)に示す。I型は6
員環の中央で、空洞の8個の隅の一カ所にある。II型は8員開口部にあり、入
口を直接妨害する。III型は空洞内部の4員環の近くにある。A型ゼオライト
はナトリウム形で合成され、12個のナトリウム陽イオンは、Iの8個の部位す
べて、IIの3個の部位、さらにIIIの1個の部位を占有する。これが市販の
4A型ゼオライトで、有効開口部サイズは3.8Åである。ナトリウム形は、様
々な他の陽イオンまたは水素イオンによって置換することができる。市販の3A
型ゼオライトは、Na+をK+と交換することによって生成し、より大きなK+
より、より小さな有効開口部サイズがもたらされる。ナトリウム形の開口部サイ
ズはまた、Na+をCa+またはMg+2と交換することによって増やすことができ
るが、それは2個のNa+が1つの二価陽イオンと置換されるからである。交換
したCa2+またはMg+2の形は、やや妨害のないより大きな開口部を有する5A
型である。
【0028】 XおよびY型。XおよびY型ゼオライトの骨格構造は、天然に存在するホージ
ャサイトの構造と同一である。図1(c)の単位セルに示すように、方ソーダ石
単位は、6員柱によって結合する。それぞれの単位セルは、192個の(Si,
Al)O4四面体を含む。単位セル当たりのアルミニウムイオン数は、X型ゼオ
ライトの場合に96から77まで、Y型ゼオライトの場合に76から48まで変
化する。この骨格は、知られているゼオライトのうちで最大の中央空洞体積を有
し、脱水形の空隙率は約50%になる。完全に水和すると、単位セルは約235
個の水分子を、大部分を中央空洞に含む。開口部は、自由直径7.4Åの12員
酸素環によって形成される。陽イオンに関する3つの主要な位置を図1(e)に
示す。その位置は、6員柱の中央(I)で方ソーダ石かご(I’)内のIの反対
側;IおよびI’と同様であるが中央空洞(IIおよびII’)からさらに遠く
;12員開口部(IIIおよびIII’)である。市販の10Xゼオライトは主
な陽イオンとしてCa+2を含み、13Xゼオライトの場合にはNa+が主な陽イ
オンである。Na+、K-、Ca+2、他の陽イオン、およびH2OのXおよびYゼ
オライト中の分布。ゼオライトについてN2で測定したBET表面積は、500
と800m2/gの範囲内である。
【0029】 一態様では、以下に述べるように、本発明の吸着媒は、π−錯化機構によって
選択的吸着を行う。π−錯化による分離は、錯化剤を含む第二の相と混合物を接
触させる化学的錯化の下位群である。化学的錯化の利点は、形成する結合がファ
ンデルワールス力単独に比べて強固であり、それによって成分を極めて選択的に
かつ極めて大量に結合できることである。同時に、この結合は、温度上昇または
圧力低下などの簡単な工学操作を用いることによって切断できる程の弱さである
【0030】 π−錯化は一般に、遷移金属の主要な群(またはd−ブロック)、すなわち、
周期律表のScからCu、YからAg、およびLaからAuと関係している。こ
れらの金属またはそのイオンは、炭素と通常のσ結合を形成し、さらに、これら
の金属またはイオン中のd軌道の独特の特性は、非古典的に不飽和炭化水素(オ
レフィン)と結合を形成することができる。このタイプの結合は、広くπ−錯化
と呼ばれ、扱いにくい液体溶液を用いる気体炭化水素の分離および精製のために
考えられてきた。
【0031】 多くのオレフィン分離の場合、従来のπ−錯化収着媒は、標的オレフィンに大
きな作業容量を提供しないことが知られている。以下の実施例は、本発明の収着
媒が1,3−ブタジエン吸着に優れた選択性を有することを示している。この実
施例は、極めて有効なジエン分離に好ましいPSAおよびTSAプロセスで使用
できる新規な吸着媒(収着媒)を示している。
【0032】 PSAプロセスは、本発明の新規な収着媒と共に効果的に使用できる。この場
合、周期的定常状態の多重度は、周期的な吸着プロセスの重要な側面である。圧
力スイング吸着(PSA)の場合、固定した一連の操作条件に対し、1つまたは
複数のこれらの操作変数(すなわち、分岐変数)の具体的範囲を超えて複数の定
常状態が存在する。最終的な安定状態は、初期条件(すなわち、摂動変数)のみ
によって決まる。
【0033】 圧力スイング吸着(PSA)および温度スイング吸着(TSA)によって成分
分離を行う様々な商業的応用例がある。その他の余り広く用いられない方法は、
体積スイング吸着および濃度スイング吸着である。最も一般に記載されるのはP
SAおよびTSA系である。
【0034】 PSA処理では、容易に吸着できる成分および余り容易に吸着できない成分を
含有するフィード混合物を、より高い吸着圧力でより容易に吸着される成分を選
択的に吸着できる吸着媒ベッドを通過させる。容易に吸着されない成分は、ベッ
ドを通過し、ベッドの排出端から回収される。次いで、容易に吸着される成分を
脱着させベッドから取り除くために、より低い脱着圧力までベッドの圧力を解放
する。その後、周期的な操作を続行する。
【0035】 温度スイング吸着処理では、より容易に吸着される成分が吸着される間、フィ
ード混合物に吸着媒を曝露する。その後、フィードの流れを吸着媒ベッドから遮
断し、吸着媒をパージ流体、通常は気体に曝露し、吸着した成分をベッドから放
散し、次の使用のためにベッドを再生する。TSAでは、吸着した成分は、再生
状態の吸着媒を加熱することによってベッドから追い出す。したがって、脱着の
温度は周期の吸着部分の温度よりも高い。PSAおよびTSA吸着の詳細はここ
では繰り返さないが、以下の米国特許に見いだすことができ、それぞれの全体を
参照により本明細書に組み込む。5,268,023、5,551,257、5
,554,208、5,672,196、5,672,196。
【0036】 ゼオライトのイオン交換は、金属イオンの水溶液中でゼオライトを混ぜること
によって容易に行える。塩の金属は、陽イオン部位に交換される金属である。溶
液の濃度は、所望のイオン交換レベルによって変わる。次いで、イオン交換され
たゼオライトをろ過によって水溶液から取り除き、可溶の塩がなくなるまで洗浄
する。このバッチイオン交換は、その簡便性から広く使用される。本質的に完全
なイオン交換は、同一手順を数回繰り返すことによって行うことができる。この
ような繰り返し処理によって、交換可能陽イオン部位の90%以上がAg+でイ
オン交換される。このような部位の95%以上がイオン交換されることが好まし
い。同じ高レベルの交換は、銅イオン交換でも得られる。本発明のAgゼオライ
トは、ゼオライトの陽イオン交換容量の5倍を含むAgNO3の溶液でイオン交
換することによって調製した。これを行って、完全イオン交換を保証した。本発
明のCu−ゼオライトは、CuCl2またはCu(NO32の溶液とイオン交換
し、続いてCu+2からCu+1への還元によって調製した。
【0037】 以下の実施例は、通常のアルファオレフィン(NAO)流れから微量のジエン
(50PPM)を除去する分離に挑戦するための新規な収着媒を示す。以下の実
施例の収着媒は、圧力スイング吸着(PSA)または温度スイング吸着(TSA
)法に関する操作性を証明する。
【0038】 実施例の収着媒は、2つのタイプの相互作用、速度論的および弱い化学的錯化
に基づいて予め選択した。第一のタイプの相互作用は、ゼオライトまたは炭素分
子ふるい(CMS)などのある種の基体の分子ふるい作用に由来する。しかしな
がら、ゼオライトは、その高いヘンリーの法則領域吸着によりこの応用例として
考えられる。この技法の場合、モノオレフィンの速度論的直径の小さな差が利用
される。これは、様々なサイズの陽イオンをA型ゼオライトの細孔開口部に交換
することによって行う。
【0039】 実施例に関連する成分のオレフィン的性質により、パラフィンよりもオレフィ
ンを吸着する能力を証明した弱い化学的および錯化に基づく収着媒は、必ずしも
モノオレフィンからのジエン分離に適合しているとはいえない。モノオレフィン
からのジエンの分離では、両方の吸着質がオレフィン性の性質である。ジエンは
、二重結合の3種の配置が知られている。単結合と交互になった二重結合は、共
役していると言われ、2つ以上の単結合で分離された二重結合は、孤立している
と言われる。第三の、余り重要ではないジエンの種類では累積二重結合、すなわ
ち互いに隣接した二重結合を含み、アレンとして知られている。最も一般的なジ
エンの1つは1,3−ブタジエンである。その沸点は−4.4℃であり、1−ブ
テン(−6.3℃)と極めて近い。この近い沸点のためにこれら2つの化合物の
分離は極めて困難である。2つの間の主な差は、1,3−ブタジエンの共役ジエ
ンの性質である。1,3−ブタジエンは低濃度で存在するため、このような低い
分圧で有意な量のブタジエンを吸着するためには収着質と吸着媒の間の結合は極
めて強固でなければならない。
【0040】 実施例では、収着媒の特性が、特異的陽イオンおよび基体を選択することによ
って調整できることが示された。バルク分離を扱う場合には、低圧で吸着される
量が多いことは望ましくなく、通常はこれを避けるが、それは吸着媒の作業容量
を限定するからである。しかしながら、この特定の応用例の場合には、高度のヘ
ンリーの法則定数が必要である。したがって、ゼオライトベースの収着媒は基体
として良好な候補である。Ag+交換Yゼオライトは、極めて低圧でオレフィン
に対する高度の親和性を有している。したがって、実施例は、Cu+またはAg+ 陽イオンでイオン交換したA、X、またはY型などのゼオライト材料を用い、1
−ブテンからの1,3−ブタジエンの分離を行うことを中心に扱う。ブテンから
の共役ブタジエンの分離は単に例示的なものであることに留意されたい。以下に
記載する方法はまた、ヘキセンおよびオクテンを含有する混合物からヘキサジエ
ンおよびオクタジエンなどの他のジエンを分離するのにも応用できる。以下に示
す温度および圧力はまた、例示的なものである。
【0041】 選択された条件に応じて、気相、液相または、例えば飽和気体を含むそれらの
組合せで分離を行う。実施例のブタジエンおよびブテンは、前述の他のジエン/
モノオレフィンの組合せと共通の化学特性を共有していることに留意されたい。
したがって、このように述べたすべての組合せを分離することにおける本発明の
有効性は明白である。
【0042】 以下の実施例に記載の収着媒は、高度の表面積基体に含まれる様々な陽イオン
を含むこととした。陽イオンの分散はイオン交換を用いて行った。ゼオライトに
おけるイオン交換の化学は、よく調べられている。USPN2,882,243
、2,882,244および5,268,023を参照されたい。それぞれの全
体を参照により本明細書に組み込む。すべての交換は同様に行った。それらは、
真空ろ過および脱イオン水によるゼオライトの洗浄であった。始めの陽イオン交
換容量(CEC)に比較すると、それぞれの溶液は10倍の陽イオン当量を含ん
でいた。この手順は100%交換を保証した。A(Linde)、LSX(低シ
リカX、UOP)、およびY(Strem Chemicals)ゼオライトの
場合、出発の形はNa+を含む。用いるゼオライトは、粉末形とした(結合剤非
含有)。使用する前には試料を真空中350℃で焼成した。
【0043】 以下の実施例では、吸着質として用いた炭化水素は、1,3ブタジエン(CP
級、Matheson)、1−ブテン(CP級)であり、ヘリウム(予備精製級
、Metro Welding 99.995%)をキャリアーガスおよび再生
ガスとして用いた。気体はさらに精製することなく用いた。等温式および取り込
み速度は、よく知られた手順に従い、島津TGA−50微量天秤システムを利用
して測定した。低圧データ(0.05気圧未満)の場合、Micrometri
cs ASAP2010孔径分布分析装置を利用した。このシステムは、1×1
-7〜1.25気圧の範囲で圧力を正確に測定することができる。Microm
etrics ASAP2010により極めて低圧でデータが得られるものの極
めて時間がかかる。島津TGA−50熱重量分析計を用い、潜在的な収着媒を選
択する。また、吸着の等比体積熱を得るために2つの温度(25℃、70℃)で
測定を行った。全拡散時間定数、D/R2は、よく知られた方法および前提によ
り0.から0.6までの段階的圧力増加から測定された取り込み曲線から算出し
た。
【0044】 実施例1 1,3−ブタジエン選択性に関するY型ゼオライトの予備スクリーニング LSXおよびY型ゼオライトの骨格構造は、天然に存在するホージャサイトの
構造と似ていた(図1を参照のこと)。これらのゼオライトの細孔は、12員酸
素環で作られている。約8.1Åの開口部サイズを有している。Si/Zlの比
が異なるに過ぎない。この比は単位セル当たりの陽イオン数を決め、したがって
吸着特性に著しい影響を持つ。Y型ゼオライトはそれぞれ、56と76の間の陽
イオン部位を含む。これらのゼオライトを基体として選択したのは前述の特性の
ためである。大きなサイズの開口部は、1,3−ブタジエンおよび1−ブテンな
どの大きな分子の拡散を容易にする。また、Cu1+またはAg1+との交換に利用
可能な多数の陽イオン部位は、吸着容量の増加を助ける。
【0045】 70℃におけるNaYおよびNaLSX型ゼオライト上の1,3−C46およ
び1−C48の純成分平衡等温式を図2に示す。分圧は.06から1気圧にわた
った。これらの圧力は、1,3−C46の関心ある範囲の外であるが潜在的基体
のスクリーニングおよび1−C48に関する容量を測定するのには有用である。
平衡データは、ラングミュア等温モデルに適合した。NaYゼオライト上に1気
圧70℃で吸着した1,3−C46および1−C48の平衡量はそれぞれ、2.
80および2.69mmol/gであった。これは、NaY型ゼオライトの単位
セル当たり約36分子の1,3−C46および34分子の1−C48に等しい。
NaY型ゼオライト上の1,3−C46および1−C48に関する取り込み曲線
を図3に示す。これは、0〜0.06気圧に圧力を段階的に変化させて得られた
。両成分とも極めて速く拡散した。完全な取り込みは50秒以内に行われた。こ
れは、約7.4ÅというNaYゼオライトの極めて大きな細孔開口部サイズによ
るものであった。拡散時間定数、D/R2は、1992年にKargerおよび
Ruthvenによって記載されているように、実験データを球状粒子に関する
拡散式の解に適合させることによって算出した。70℃において1,3−C46 および1−C48について得られたD/R2の値はそれぞれ、7.85×103
よび5.76×1031/sであった。拡散率の比は、速度論的分離応用例の場
合にむしろ小さい(約1.3)。しかしながら、Y型ゼオライトの好ましい1つ
の特性は、比較的高いヘンリーの法則定数である。このことは、Y型ゼオライト
がC4’に対して良好な親和性を有し、C6’およびC8’に対しても良好な候
補であることを示している。
【0046】 実施例2 1,3−ブタジエンに関するイオン交換Y−ゼオライトの選択性 実施例1によれば、Y型ゼオライトは低圧でC4’に対して極めて高い親和性
を有する。したがって、この材料は、1−ブテン精製のため、およびヘキセンお
よびオクテン精製のための良好な基体である。1,3ブタジエンに対するNaY
ゼオライトの親和性を増すために、オレフィン性化合物をπ−錯化できるAg1+ によってNa1+を完全に交換した。70℃および25℃におけるAgYゼオライ
ト上の1,3−C46および1−C48の純成分平衡等温式を図4に示す。この
等温式における分圧は、1×10-5気圧から1気圧にわたった。尺度の低い方の
端は、10PPMに等しい濃度に対応する。1気圧70℃における1,3−C4
6および1−C48の平衡量は、2.8および2.3mmol/gと測定され
た。これらの結果は極めて興味深く、それは高い負荷においては、AgによるN
aの交換が、吸着される1,3−C46の量にあまり影響しないように見えるか
らである。
【0047】 70℃におけるAgY型ゼオライト上の低圧1,3−C46および1−C48 吸着データを図4に示す。この図では、70℃において吸着された1,3−C4
6の量は50PPMで0.5mmol/gであることが観察できる。この量は
若干少ない。1,3−C46の量は、吸着温度を上げるか圧力を下げることによ
って改善される。AgY型ゼオライト上の1,3−C46についての平衡吸着等
温式も図4に示す。1,3−C46吸着は重要な1×10-5から5×10-5(1
0〜50PPM)の領域で改善しなかったが、より高負荷では吸着の増加があっ
た。
【0048】 温度の上昇を伴う低圧法において吸着された1,3−C46の欠損は、装置の
エラーによると思われる。Micrometrics ASAP2010は、シ
ステムが余りに低い拡散の場合には特定の圧力点で取り込みが完結する前に吸着
を中断することがある。この可能なエラーは補正し、AgYゼオライト上の1,
3−C46に関する新たな平衡等温式が以下に続く実施例に従って含まれた。
【0049】 実施例3 選択性の確認 収着媒のπ−錯化活性を確認するために、70℃でC24について試験した。
70℃におけるNaYおよびAgY型ゼオライト上のC24の平衡等温式を図5
に示す。この図では、π−錯化の効果が低圧で明確に観察できる。しかしながら
、高圧ではこの効果は若干減少する。この現象は、Y型ゼオライトの細孔空洞の
充満によるものと考えられる。しかしながら、この特定の応用例の場合、高負荷
における収着媒の挙動は重要ではない。この特定の精製型応用例にとって重要な
のは収着媒の低圧挙動である。
【0050】 実施例4 1,3−ブタジエンに関するA型ゼオライトの選択性 A型ゼオライトの構造単位は、方ソーダ石かごである。A型ゼオライトの単位
セルは、12個のAlO4および12個のSiO4を含む(図1を参照のこと)。
それぞれのセル単位中の陽イオンによって釣り合いのとられる12個の負電荷が
ある。中央空洞の自由直径は11.4Åである(Yang、1987年)。細孔
への接近は、妨害のないCa2+(5A)形における4.3Åの自由開口部を有す
る8員酸素環によって制限される。これは、Na+との交換によって3.8Åま
で、K+との交換によって3.0Åまで縮小することができる。A型ゼオライト
をブタジエン分離にとって望ましいものにしているのはこの孔径の多様さとより
小さな空洞サイズである。
【0051】 Lindeから市販されている(5A)ゼオライトを試験した。25℃におけ
る5A上の1,3−C46および1−C48の低圧平衡等温式を図6に示す。1
気圧における1,3−C46および1−C48の平衡量はそれぞれ、3.8およ
び3.3mmol/gと測定された。この材料の定圧吸着は優れていた。50P
PMの濃度では、この材料は1,3C460.8mmol/gを吸着した。50
と10PPMの間のこの収着媒の作業容量も優れている。これは約0.7mmo
l/gと測定された。
【0052】 実施例5 5Aゼオライトおよび5Aイオン交換ゼオライトの選択性 この実施例は、極めて低い負荷で1,3−C46を吸着する際の5A型ゼオラ
イトの成功をふまえたものである。この場合、焦点は1−C48吸着を減らすこ
とであった。前述のように、この応用例のための収着媒を合成する戦略の1つは
、速度論的または立体的効果を用いて1−C48(ブテン)から1,3−C46 (ブタジエン)を分離することであった。したがって、1−C48の取り込みを
妨害するか、細孔構造から完全に排除することによって1−C48吸着を制限す
ることが可能である。これを、A型ゼオライトの細孔内Ca+陽イオンを様々な
サイズのいくつかの陽イオンと交換することによって行った。25℃におけるS
r交換5A上の1,3−C46および1−C48の純成分平衡等温式を図7に示
す。この等温式における圧力は1×10-5から1気圧にわたった。25℃1気圧
におけるSr交換5A上の1,3−C46の平衡吸着量は、3.1mmol/g
と測定された。この収着媒は、高負荷(約1気圧)で優れた能力を示したが、1
0〜50PPM体制では有意な量の1,3−C46を吸着しなかった。Sr交換
5Aおよび5A上の1,3−C46および1−C48の取り込み曲線は70℃で
測定し、図7に示す。CaA上の1,3−C46および1−C48についてのD
/R2の値はそれぞれ、1.07×102および7.30×10-3l/sと算出さ
れた。Sr交換5A上では拡散時間定数も測定し、それぞれ8.55×10-3
よび4.06×10-3l/sと算出された。Ca2+より大きなSr2+の半径(1
.12対0.99Å)により、1−C48取り込み速度に小さな低下が観察され
る。しかしながら、1−C48取り込みの減少は、速度論的分離スキームにとっ
ては十分大きいものではない。イオン交換を半径1.34Åの次に大きなBa2+ で行えば、両吸着媒の取り込みはひどく妨害される。したがって、単純なイオン
交換手法を用いA型ゼオライトの細孔構造への1−C48の接近を妨害すること
が、1,3−C46も妨害することなく可能であるかどうかは疑問である。この
2つの分子間では速度論的直径の差が小さいことが問題である。
【0053】 脱着実験は、70℃において5Aゼオライト上の1,3−C46について行っ
た。しかしながら、これらの実験は島津TG−50 TGA中で行った。したが
って、0.06気圧以下のデータは含まれない。70℃1気圧における5Aゼオ
ライト上の1,3−C46の平衡量は、2.81mmol/gと測定された。脱
着後、1気圧70℃でヘリウム流に曝露し再生した。しかしながら、この手順は
、1.23mmol/gを除去したに過ぎず、1,3−C46の1.58mmo
l/gは残ったままである。この最後の量は、ヘリウムの存在下、180℃まで
試料を加熱することによって除去した。脱着曲線を図8に示す。上記実施例によ
り、5Aゼオライトによる1,3−ブタジエン分離の成功が勝ち取られた。5A
の成功および性能の低いSr交換5Aが構造的に極めて類似している理由はまだ
明らかではない。このゼオライトの孔径は、C6およびC8分離に対する有効性
を決定する。
【0054】 実施例6 1,3ブタジエン/1−ブテン分離:π−錯化効果 これまでの実施例では、様々な温度におけるAgYゼオライト上の1,3−ブ
タジエン(C46)吸着を示している。これらの実施例には、C46吸着に対す
るπ−錯化の効果を直接比較するデータが含まれたいなかった。この実施例には
、ナトリウム交換Y型ゼオライト(NaY)上のC46吸着を測定することによ
る直接比較が含まれる。ナトリウム陽イオンは、オレフィンとπ−錯化できない
ことが知られている。AgAおよびCaA(5A)を含む比較を用いなかったの
は、AgA系では速度論的効果が主であるからである。AgAの孔径は、3Aと
4A型ゼオライトの間の範囲にある。
【0055】 120℃におけるAgYおよびNaY上のC46の平衡吸着等温式を図9に示
す。1気圧においてAgYおよびNaY上に吸着されたC46の平衡量にπ−錯
化に対する効果が観察され、それぞれ3.3および2.6mmol/gと測定さ
れた。しかしながら、120℃(1.1×101-3気圧)における1−ブテン(
48)の飽和圧力50PPMでのC46の吸着はより意味のあるパラメータで
ある。このパラメータを用いると、π−錯化の効果はより顕著である。AgYお
よびNaY上の50PPMでのC46の吸着量はそれぞれ、2.7および0.3
mmol/gと測定された。50から10PPM(1.1×10-3〜2.2×1
-4気圧)の範囲における収着媒の作業容量はそれぞれ、2.35および0.2
mmol/gと算出された。収着媒の作業容量を算出すると、π−錯化収着媒の
優れた性能が明らかとなる。
【0056】 実施例7 ブタジエン−ブテン分離 これまでの実施例では、25℃における5Aゼオライト上の1−ブテンおよび
ブタジエンの等温式を示した。さらに70℃で等温式を測定した。この等温式を
図10に示す。吸着量は70℃では少ない。より著しいのは、ブタジエンの等温
式のヒールがより高い分圧に向かってシフトしていることである。しかしながら
、幸いにも吸着量は10気圧のブタジエン分圧50ppmで十分に高い(すなわ
ち、70℃におけるブテンの飽和圧力。量は約1mmol/gである。10気圧
の10ppmでの吸着量はゼロに近い。したがって、5Aゼオライトは、70℃
における(全圧力10気圧における)ジエンの選択的除去にとって魅力的な収着
媒である。ゼオライト表面の極性は分離に寄与することである。
【0057】 表I LSX、YおよびAゼオライトの見掛けの化学式 AgLSX Ag96[(AlO2)96(SiO2)96] AgY Ag54[(AlO2)54(SiO2)138] CaA Ca6[(AlO2)12(SiO2)12] CuLSX Cu96[(AlO2)96(SiO2)96] CuY Cu54[(AlO2)54(SiO2)136] 混合金属A M+1 x+2 y+3 b[(AlO2)12(SiO2)12] (x+2y+3b=12) 注:X型ゼオライトでは、AlO2/SiO2比は54/138以上であり、陽イ
オンの原子価の合計は、AlO2単位の数に等しい。
【0058】 本発明は、混合物からジエンを分離するための従来の方法を上回る実質的利点
を提供する。本発明の吸着媒および方法は、モノオレフィンおよびジエンを含む
混合物からモノオレフィンを精製するのに有用である。この吸着媒および方法を
用い、ジエンを精製するかモノオレフィンを精製することができる。実施例に例
示した吸着媒および方法は、ジエンおよび1つまたは複数のモノオレフィンを含
む混合物からジエンを除去するのに特に有効であることを証明する。実施例は、
実施例中に述べた圧力および温度において気相分離を用いる有効な分離結果を示
す。この吸着媒および方法は、通常1重量パーセント以下の1,3−ブタジエン
(ジエン)が混入する1−ブテン(オレフィン)飽和流れで証明される。この場
合の分離には、1−ブテンオレフィン流れの飽和した性質による気相および液相
の選択的吸着が含まれる。本明細書に記載の方法は、C4〜C8モノオレフィン
からC4〜C8ジエンの分離について記載される。吸着媒の物理特性により、実
施例で明らかなように、極めて有効な分離がもたらされる。選択された条件に応
じて、気相、液相または、例えば、飽和された気体を含むそれらの組合せで分離
を行う。前述の理由から、吸着媒はまた、他のジエン、すなわちC4〜C10モ
ノオレフィンからのC4〜C10ジエンの分離にも有用であると考えられる。C
10を超えてもこの方法は応用できると考えられ、例えば、C12ジエン/C1
2モノオレフィン分離にも応用できると考えられる。しかしながら、選択性およ
び経済的恩恵はより高級な炭化水素モノオレフィン/ジエン分離では低下するこ
とが予想される。
【0059】 本発明は、極端ではない操作温度および圧力で良好な結果を与える。圧力スイ
ング吸着法では、大気圧以下の程度(すなわち、0.01から0.1気圧)から
中程度に高い(すなわち、20から30気圧)圧力で良好な結果が得られる。温
度スイング吸着法では、周囲温度または所望の供給温度(すなわち、0から25
℃)および中程度に高い(すなわち、250℃)温度で良好な結果が得られる。
本発明の吸着媒により、温度スイングまたは圧力スイング吸着法は、ジエンとモ
ノオレフィンの間の効果的分離に用いることができる。このことは、20ppm
以上の濃度の1,3−ブタジエンを10ppm以下の最終濃度まで除去すること
によるブテンの極めて効果的な精製によって証明される。したがって、本発明は
、微量のジエンの選択的吸着によって混合物からジエンを分離するという問題の
極めて魅力的な解答を提供する。
【0060】 本発明をその実施形態に関して説明してきたが、前記説明に限定されることを
意図しておらず、むしろ以下の請求の範囲に記載によることを意図している。
【0061】 排他的特性または恩恵を主張する本発明の実施形態は、以下の請求の範囲で定
義される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA, BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,C Z,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE ,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS, JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,L R,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN ,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU, SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,T R,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW (71)出願人 シェブロン ユー.エス.エイ.インコー ポレイテッド CHEVRON U.S.A.,INC. アメリカ合衆国,カリフォルニア州 94105,サン フランシスコ,マーケット ストリート 555 (72)発明者 パディン,ジョエル アメリカ合衆国,ミシガン州 48105,ア ン アーバー,ランカシャー レーン 2361,アパートメント 1A (72)発明者 マンソン,カーティス,エル. アメリカ合衆国,カリフォルニア州 94602,オークランド,クレイン ウェイ 3370 (72)発明者 ヤング,ラルフ,ティー. アメリカ合衆国,ミシガン州 48103,ア ン アーバー,ピン オーク ドライブ 2627 Fターム(参考) 4G066 AA61B AA62B CA21 CA51 DA05 FA37 GA14 GA16 4H006 AA02 AB46 AD17 BC51 BC52 BD60 DA15 DA20 DA25 DA35

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジエンを、前記ジエンを含む混合物から分離する方法であっ
    て、前記方法が、 前記混合物を、前記ジエンを優先的に吸着する吸着媒と接触させ、それによっ
    て非吸着成分およびジエンに富む吸着成分を生成するステップを含み、前記吸着
    媒が、 (a)ゼオライトX、ゼオライトY、およびゼオライトLSXからなる群から
    選択されるイオン交換ゼオライトであって、前記ゼオライトが交換可能陽イオン
    部位を有し、複数の前記部位が存在する銀陽イオンまたは銅陽イオンを有するゼ
    オライト、および (b)交換可能陽イオン部位を有するA型ゼオライトであって、複数の前記A
    ゼオライト部位が、存在するアルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イ
    オンを有するゼオライトの少なくとも1つを含むことを特徴とする、ジエンを分
    離する方法。
  2. 【請求項2】 前記混合物が、前記ジエンと同数の炭素原子を有する少なく
    とも1つのモノオレフィンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のジエンを
    分離する方法。
  3. 【請求項3】 前記ジエンが、ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエンお
    よびそれらの混合物からなる群から選択され、前記モノオレフィンが、ブテン、
    ヘキセン、オクテンおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴
    とする、請求項2に記載のジエンを分離する方法。
  4. 【請求項4】 前記モノオレフィンがブテンであり、前記ジエンがブタジエ
    ンであることを特徴とする、請求項2に記載のジエンを分離する方法。
  5. 【請求項5】 前記モノオレフィンがヘキセンであり、前記ジエンがヘキサ
    ジエンであることを特徴とする、請求項2に記載のジエンを分離する方法。
  6. 【請求項6】 前記モノオレフィンがオクテンであり、前記ジエンがオクタ
    ジエンであることを特徴とする、請求項2に記載のジエンを分離する方法。
  7. 【請求項7】 前記混合物が、気体状態かつ前記ジエンで飽和された前記モ
    ノオレフィンを含むことを特徴とする、請求項2に記載のジエンを分離する方法
  8. 【請求項8】 前記LSX型ゼオライトが、1.2以下のケイ素とアルミニ
    ウム(Si/Al)原子比を有することを特徴とする、請求項1に記載のジエン
    を分離する方法。
  9. 【請求項9】 前記比が1であることを特徴とする、請求項8に記載のジエ
    ンを分離する方法。
  10. 【請求項10】 前記XおよびYゼオライトがそれぞれ、1:1および10
    00:1のケイ素とアルミニウム比を有することを特徴とする、請求項1に記載
    のジエンを分離する方法。
  11. 【請求項11】 前記イオン交換ゼオライトの少なくとも半分の陽イオン部
    位が前記銀陽イオンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のジエンを分離す
    る方法。
  12. 【請求項12】 前記イオン交換ゼオライトの本質的にすべての陽イオン部
    位が前記銀陽イオンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のジエンを分離す
    る方法。
  13. 【請求項13】 前記イオン交換ゼオライトの少なくとも半分の陽イオン部
    位が前記銅陽イオンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のジエンを分離す
    る方法。
  14. 【請求項14】 前記イオン交換ゼオライトの本質的にすべての陽イオン部
    位が前記銅陽イオンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のジエンを分離す
    る方法。
  15. 【請求項15】 前記A型ゼオライトが見掛けの一般式M+1 x+2 y+3 b
    (AlO212(SiO212]を有し、M+1がアルカリ金属陽イオンであり、Z +2 がアルカリ土類金属陽イオンであり、A+3が三価の陽イオンであり、0≦x≦
    12、0≦y≦6、および0≦bの<4であり、ただし、x+2y+3bは12
    であることを特徴とする、請求項1に記載のジエンを分離する方法。
  16. 【請求項16】 前記A+3が金属陽イオンであり、前記ゼオライトが、前記
    アルカリ金属陽イオンおよび前記アルカリ土類金属陽イオンを合わせた原子量未
    満の原子量で前記A+3を含むことを特徴とする、請求項15に記載のジエンを分
    離する方法。
  17. 【請求項17】 アルカリ土類金属陽イオンがカルシウム(Ca)であり、
    少なくとも半分の陽イオン部位がカルシウムを含むことを特徴とする、請求項1
    5に記載のジエンを分離する方法。
  18. 【請求項18】 ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエンおよびそれらの
    混合物からなる群から選択されるジエンを、前記ジエンを含む混合物から分離す
    る方法であって、前記方法が、 前記混合物を、選択された温度および圧力で前記ジエンを優先的に吸着し遊離
    可能に保持する吸着媒と接触させ、それによって非吸着成分およびジエンに富む
    吸着成分を生成するステップであって、前記吸着媒が、 (a)ゼオライトX、ゼオライトY、およびゼオライトLSXからなる群から
    選択されるイオン交換ゼオライトであって、前記ゼオライトが交換可能陽イオン
    部位を有し、複数の前記部位が存在する銀陽イオンまたは銅陽イオンを有するゼ
    オライト、および (b)交換可能陽イオン部位を有するA型ゼオライトであって、複数の前記A
    ゼオライト部位が、存在するアルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽イ
    オンを有するゼオライトの少なくとも1つを含むステップと、 次いで、前記圧力および温度の少なくとも一方を変化させることにより前記吸
    着媒から前記のジエンに富む成分を遊離させるステップとを含むことを特徴とす
    る、ジエンを分離する方法。
  19. 【請求項19】 優先吸着の選択圧力が第一圧力であり、遊離の圧力が前記
    第一圧力未満の第二圧力であることを特徴とする、請求項18に記載のジエンを
    分離する方法。
  20. 【請求項20】 前記第一圧力が約1気圧から約35気圧の範囲にあること
    を特徴とする、請求項19に記載のジエンを分離する方法。
  21. 【請求項21】 前記第一圧力が約1気圧から約2気圧の範囲にあることを
    特徴とする、請求項19に記載のジエンを分離する方法。
  22. 【請求項22】 前記第二圧力が約0.01気圧から約5気圧の範囲にある
    ことを特徴とする、請求項19に記載のジエンを分離する方法。
  23. 【請求項23】 前記第二圧力が約0.1気圧から約0.5気圧の範囲にあ
    ることを特徴とする、請求項19に記載のジエンを分離する方法。
  24. 【請求項24】 優先吸着の選択温度が第一温度であり、遊離の温度が前記
    第一温度以上の第二温度であることを特徴とする、請求項18に記載のジエンを
    分離する方法。
  25. 【請求項25】 前記第一温度が約0℃から約150℃の範囲にあることを
    特徴とする、請求項24に記載のジエンを分離する方法。
  26. 【請求項26】 前記第一温度が約25℃から約80℃の範囲にあることを
    特徴とする、請求項24に記載のジエンを分離する方法。
  27. 【請求項27】 前記第二温度が約70℃から約250℃の範囲にあること
    を特徴とする、請求項24に記載のジエンを分離する方法。
  28. 【請求項28】 前記第二温度が約100℃から約120℃の範囲にあるこ
    とを特徴とする、請求項24に記載のジエンを分離する方法。
  29. 【請求項29】 1,3−ブタジエンおよび少なくとも1つの他のC4不飽
    和化合物を含む混合物から1,3−ブタジエンを分離する方法であって、前記方
    法が、前記混合物を、前記1,3−ブタジエンを優先的に吸着する吸着媒と接触
    させるステップを含み、前記吸着媒がYゼオライト、Xゼオライト、低シリカX
    ゼオライト(LSX)、およびそれらの組合せからなる群から選択される銀また
    は銅イオン交換ゼオライトを含むことを特徴とする、1,3−ブタジエンを分離
    する方法。
  30. 【請求項30】 前記ゼオライトが、複数の陽イオン交換可能部位を含み、
    少なくとも半分の前記部位が銀陽イオンを含むことを特徴とする、請求項29に
    記載の1,3−ブタジエンを分離する方法。
  31. 【請求項31】 本質的にすべての前記陽イオン部位が銀陽イオンを含むこ
    とを特徴とする、請求項30に記載の1,3−ブタジエンを分離する方法。
  32. 【請求項32】 前記ゼオライトが、複数の陽イオン交換可能部位を含み、
    少なくとも半分の前記部位が銅陽イオンを含むことを特徴とする、請求項29に
    記載の1,3−ブタジエンを分離する方法。
  33. 【請求項33】 本質的にすべての前記陽イオン部位が前記銅陽イオンを含
    むことを特徴とする、請求項32に記載の1,3−ブタジエンを分離する方法。
  34. 【請求項34】 1,3−ブタジエンおよび少なくとも1つの他のC4不飽
    和化合物を含む混合物から1,3−ブタジエンを分離する方法であって、前記方
    法が、前記混合物を、前記1,3−ブタジエンを優先的に吸着する吸着媒と接触
    させるステップを含み、前記吸着媒が、陽イオン交換部位を有するA型ゼオライ
    トを含み、複数の前記部位が、アルカリ金属陽イオンまたはアルカリ土類金属陽
    イオンを有することを特徴とする1,3−ブタジエンを分離する方法。
  35. 【請求項35】 前記ゼオライトの見掛けの一般式がM+1 x+2 y+3 b[(
    AlO212(SiO212]であり、M+1がアルカリ金属陽イオンであり、Z+2 がアルカリ土類陽イオンであり、A+3が三価の陽イオンであり、xの値が0から
    12であり、yの値が0から6であり、bの値が少なくとも0で多くてもxとy
    の和未満であり、ただし、x+2y+3bが12であることを特徴とする、請求
    項34に記載の1,3−ブタジエンを分離する方法。
  36. 【請求項36】 前記アルカリ土類陽イオンがカルシウム(Ca)であり、
    半分以上の陽イオン交換部位がカルシウムを含むことを特徴とする、請求項34
    に記載の1,3−ブタジエンを分離する方法。
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