JP2002525263A - アエロトリシン類似体、その製造及び用途 - Google Patents

アエロトリシン類似体、その製造及び用途

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、式(I)(式中、R1、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z、およびmは請求項1に定義したとおりである)で表される新規なアエロトリシン、および薬学的に許容されるそれらの塩に関する。さらに、本発明は、式(I)のアエロトリシンおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物にも関する。その上、本発明は、薬剤を調製するためのそのようなアエロトリシンの使用に加え、式(I)のアエロトリシンを調製するための方法および中間体に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、抗真菌活性を有する新規環状化合物(以下、アエロトリシンと称す
る)、医学治療におけるアエロトリシンの使用、アエロトリシンを含有する医薬
組成物、並びにアエロトリシンを製造するための方法及び中間体に関する。
【0002】 アゾール抗真菌剤は、現在、全身性真菌症の処置に広く用いられている。しか
し、アゾール抗真菌剤の長期の予防的使用は、その静真菌作用のために、アゾー
ル耐性であるCandida spp.の発生を招く。そのため、殺真菌剤は、重い全身性真
菌症の処置には特に重要である。更に、現在入手できる抗真菌剤は、免疫低下の
患者間に出現する病原体の一つである、Fusarium spp. に対して有効ではない。
アムホテリシンBは、現在臨床的に用いられている、非常に有効な殺真菌剤であ
るが、その治療指数(有効用量対毒性用量)は、かなり狭い。LY303366
(EP 736541)、WF11243(EP 584360)のようなある種の環状化合物は、
β−1,3−グルカンシンターゼの阻害により、殺真菌活性を示すことが知られ
ている。しかし、それらは、依然として、抗真菌スペクトル及び/又は安全性プ
ロフィールに関して何らかの短所を有する。したがって、より優れた安全性プロ
フィールと、新たに出現する Fusarium spp. のような病原体を包含する、主要
な全身性病原体に対する有効性とを有する、新規な殺真菌剤の開発が、緊急に要
請されている。
【0003】 詳しくは、本発明は、式(I):
【0004】
【化15】
【0005】 〔式中、R1は、グアニジノ、トリ低級アルキルアンモニオ、
【0006】
【化16】
【0007】 であり; R10及びR11は、それぞれ独立に、水素;1又は2個のアミノで置換されたヘ
テロアリール;1個又はそれ以上、好ましくは1又は2個のアミノ、アミノ低級
アルキル、シアノ、グアニジノ、含窒素複素環、又はアミノ、アミジノ若しくは
グアニジノ基を有するフェニル基で場合により置換された低級アルキルから選ば
れ;
【0008】 R13は、天然又は非天然アミノ酸から誘導される残基であり;
【0009】 R14は、1個又はそれ以上、好ましくは1又は2個のアミノ、グアニジノ、含
窒素複素環、又はアミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で
置換された低級アルキルであり;
【0010】 R15は、水素、1個又はそれ以上、好ましくは1又は2個のアミノ、グアニジ
ノ、含窒素複素環、又はアミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニ
ル基で場合により置換された低級アルキルであり;
【0011】 R2は、水素、ヒドロキシスルホニル、低級アルキル又は低級アルケニル(こ
こで、低級アルキル及び低級アルケニルは、アシル、カルバモイル、アミノ、モ
ノ低級アルキルアミノ若しくはジ低級アルキルアミノで場合により置換されてい
てよい)であり;
【0012】 R3は、水素、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、(低級アルキ
ルカルバモイル)アミノ、カルボキシル、低級アルコキシ、低級アルコキシカル
ボニル、低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニル(ここで、低級ア
ルキル、低級アルケニル及び低級アルキニルは、場合により、ヒドロキシル、ア
ミノ、モノ低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシカルボ
ニル若しくはカルバモイルで置換されていてもよい)であり;
【0013】 R4は、低級アルキル、アリール、シクロアルキル若しくはフッ素原子で場合
により置換されていてよい、アルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルケニル
オキシ基を表し;
【0014】 R5は、−CONH2、−CN又は−CH2NH2であり;
【0015】 Xは、単結合、或いは1個若しくはそれ以上のヘテロ原子を場合により含み、
及び/又はハロゲン原子若しくは低級アルキルで場合により置換された、アリー
ル、ビフェニル又はテルフェニル基であり;
【0016】 Yは、単結合、−CH2−、−CH(低級アルキル)−、−CONH−又は−
CON(低級アルキル)−であり;
【0017】 Zは、−O−、−NH−又は−N(低級アルキル)−であり;
【0018】 mは、0〜4の整数であり;そして
【0019】 nは、2〜5の整数であるが;
【0020】 −Y−(CH2)m−X−R4が非置換アルキル又はアラルキルであるとき、同時
には、R1は、アミノではなく、R2及びR3は、水素ではなく、R5は、−CON
2ではなく、Zは、−O−又は−NH−ではない〕 で示される新規アエロトリシン、及び薬学的に許容され得るその塩に関する。
【0021】 本発明は、式(I)のアエロトリシン、及び薬学的に許容され得る単体を含む
医薬組成物にも関する。更に、本発明は、医薬の製造のためのそのようなアエロ
トリシンの使用はもとより、式(I)のアエロトリシンの製造のための方法及び
中間体にも関する。加えて、本発明は、病原性微生物によって生じる感染症の予
防及び/又は治療処置の方法に関する。
【0022】 本明細書中、用語「低級」は、別途指示されない限り、1〜6個、好ましくは
1〜4個の炭素原子よりなる基を意味するのに用いられる。
【0023】 用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜16個の炭素原
子の分枝鎖又は直鎖状の一価の飽和脂肪族炭化水素の基を意味する。用語「低級
アルキル」は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子の分枝鎖又
は直鎖状の一価アルキル基を意味する。この用語は、メチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチルなどのような基に
よって更に例示される。
【0024】 用語「アルケニル」は、1つ又はそれ以上の二重結合をアルキレン鎖中に有す
るアルキル基を意味する。
【0025】 用語「アルキニル」は、1つ又はそれ以上の三重結合をアルキレン鎖中に有す
るアルキル基を意味する。
【0026】 用語「アルコキシ」は、基−O−R′(R′はアルキル)を意味する。用語「
低級アルコキシ」は、R′が低級アルキルである、基−O−R′を意味する。
【0027】 用語「アルケニルオキシ」は、1つ又はそれ以上の二重結合をアルキレン鎖中
に有するアルコキシ基を意味する。
【0028】 用語「アシル」は、基−C(O)−R′(R′は低級アルキル)を意味する。
用語「アシルアミノ」は、イミノ基、すなわち−NH−に結合したアシル基を意
味する。
【0029】 用語「モノ低級アルキルアミノ」は、イミノ基、すなわち−NH−に結合した
低級アルキル基を意味する。用語「ジ低級アルキルアミノ」は、窒素原子に結合
した、二つの独立に選ばれる低級アルキル基、すなわち−N(−低級アルキル)
−低級アルキルを意味する。用語「トリ低級アルキルアンモニオ」は、3個の独
立に選ばれる(C1〜C3)アルキル基を有する、トリ低級アルキルアンモニオを
意味する。
【0030】 用語「低級アルコキシカルボニル」は、基−C(O)OR′(R′は低級アル
キル)を意味する。
【0031】 用語「(低級アルキルカルバモイル)アミノ」は、基−NHCONH−R′(
R′は低級アルキル)を意味する。
【0032】 用語「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0033】 用語「アリール」は、場合により、低級アルキル、トリフルオロメチル、ハロ
ゲンなどで独立にモノ−、ジ−若しくはトリ−置換された、1つの一価炭素環式
芳香族基(例えばフェニル)、又は二つの融合炭素環式環(例えばナフチル)を
意味する。
【0034】 用語「含窒素複素環」は、少なくとも1個の窒素原子を含む、飽和、不飽和若
しくは芳香族の一価の環状基を意味する。
【0035】 用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個のヘテロ原子、すなわち窒素、硫
黄若しくは酸素を含む、芳香属の一価モノ−又はポリ−炭素環基を意味する。1
個又はそれ以上の窒素原子を有するヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピラジ
ニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル及びイミダゾイルである。
【0036】 用語「シクロアルキル」は、3〜10個の炭素原子、好ましくは3〜6個の炭
素原子の一価炭素環基を意味する。
【0037】 用語「薬学的に許容され得る塩」は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸
、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、酒石酸、
メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのような、生命体に無害である
無機又は有機酸との式(I)のアエロトリシンの塩を包含する。
【0038】 以下、上記の式(I)の各置換基を、より詳しく説明する。
【0039】 R1の定義中、用語「トリ低級アルキルアンモニオ」は、好ましくは、トリメ
チルアンモニオ及びトリエチルアンモニオを意味する。
【0040】 R10及びR11の定義中、用語「ヘテロアリール」は、好ましくは、2−ピリジ
ル、2−ピラジニル、2−ピリミジニル、2−ピリダジニル、2−トリアジニル
、2−イミダゾイルなど、より好ましくは2−ピリジル及び2−イミダゾリル、
最も好ましくは2−ピリジルを意味する。用語「低級アルキル」は、好ましくは
、1〜6個の炭素原子よりなるアルキル鎖、例えばメチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、ネ
オペンチル、tert−ペンチル及びn−ヘキシル;好ましくはメチル、エチル、n
−プロピル又はn−ブチル、最も好ましくはメチル、エチルまたはn−プロピル
を意味する。用語「含窒素複素環」は、好ましくは、モルホリノ、ピペラジニル
、N−メチルピペラジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、イミダゾリジニル、
ピラゾリジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピラ
ジニルなど、より好ましくはピペラジニル及びモルホリノ、最も好ましくはピペ
ラジニルを意味する。用語「アミノ、アミジノ又はグアニジノ基を有するフェニ
ル基」は、好ましくは、4−アミノフェニル、4−アミジノフェニル、4−グア
ニジノフェニルなどを意味する。
【0041】 R13の定義中、用度「天然又は非天然アミノ酸から誘導される残基」は、好ま
しくは、水素、又はヒドロキシル、アミノ、グアニジノ、メチルチオ、メルカプ
ト、カルバモイル、カルボキシル、フェニル、ヒドロキシフェニル、アミノフェ
ニル、イミダゾリル若しくはインドリルなどで置換されていてよい低級アルキル
を意味する。R13の好ましい実施態様は、アミノ又はグアニジノで置換された低
級アルキル、例えばアミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4
−アミノブチル、4−グアニジノブチルである。
【0042】 R14の定義中、用語「低級アルキル」は、R10及びR11について定義されたの
と同じものを意味する。好ましくは、2〜5個の炭素原子よりなるアルキル鎖、
例えばエチル、プロピル、ブチル及びペンチルを意味する。用語「含窒素複素環
」は、R10及びR11について定義されたのと同じものを意味する。好ましくは、
モルホリノ、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、ピロリジニル、ピペリジ
ニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリア
ゾリル、ピリジニル、ピラジニルなど、より好ましくはピペラジニル及びモルホ
リノを意味する。用語「アミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニ
ル基」は、好ましくは、4−アミノフェニル、4−アミジノフェニル、4−グア
ニジノフェニルなどを意味する。R14の好ましい実施態様は、2−アミノエチル
、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、2−グアニジノエチル、3−グアニ
ジノプロピル、2−ピペラジノエチル、2−モルホリノエチル、4−アミノフェ
ネチルなどである。
【0043】 R15の定義中、用語「低級アルキル」、「含窒素複素環」及び「アミノ、アミ
ジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基」は、R14について定義されたの
と同じである。R15の好ましい実施態様は、2−アミノエチル、3−アミノプロ
ピル、4−アミノブチル、2−グアニジノエチル、3−グアニジノプロピル、2
−ピペラジノエチル、2−モルホリノエチル、4−アミノフェネチルなどである
【0044】 −N(R10)−R11〔式中、R10及びR11は、上記に定義されたとおりである
〕の好ましい実施態様は、アミノ、5−アミノピリド−2−イルアミノ、メチル
アミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、(2−アミノエチル)アミノ、(3−
アミノプロピル)アミノ、〔3−〔(3−アミノプロピル)アミノ〕プロピル〕
アミノ、(2−ピペラジニルエチル)アミノ、(2−モルホリノエチル)アミノ
、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミ
ノ、N,N−エチルメチルアミノ、N,N−ビス(2−アミノエチル)アミノ、
N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミノ、N,N−ビス(4−アミノブチル
)アミノ、N,N−ビス(2−ピペラジニルエチル)アミノ、N,N−ビス(モ
ルホリノエチル)アミノ、N,N−ビス(2−グアニジノエチル)アミノ、N,
N−ビス(3−グアニジノプロピル)アミノ、N,N−ビス(2−ピリジン−2
−イルエチル)アミノ、N,N−ビス(イミダゾール−2−イルメチル)アミノ
、N−(2−アミノエチル)−N−(3−アミノプロピル)アミノ、N−(3−
アミノプロピル)−N−(2−ピペラジニルエチル)アミノ、N−(3−アミノ
プロピル)−N−(2−ピリジン−2−イルエチル)アミノなどである。より好
ましい実施態様は、アミノ、5−アミノピリド−2−イルアミノ、N,N−ジメ
チルアミノ、(2−アミノエチル)アミノ、(3−アミノプロピル)アミノ、〔
3−〔(3−アミノプロピル)アミノ〕プロピル〕アミノ、(2−ピペラジニル
エチル)アミノ、N,N−ビス(2−アミノエチル)アミノ、N,N−ビス(3
−アミノプロピル)アミノ、N,N−ビス(4−アミノブチル)アミノ、N,N
−ビス(2−ピペラジニルエチル)アミノ、N,N−ビス(2−グアニジノエチ
ル)アミノ、N,N−ビス(3−グアニジノプロピル)アミノ、N−(2−アミ
ノエチル)−N−(3−アミノプロピル)アミノ、N−(3−アミノプロピル)
−N−(2−ピペラジニルエチル)アミノなどである。最も好ましい実施態様は
、(3−アミノプロピル)アミノ、N,N−ビス(2−アミノエチル)アミノ、
N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミノ及びN,N−ビス(2−ピペラジニ
ルエチル)アミノである。
【0045】 −N(R15)−CO−CH〔N(R10)R11〕−R13の定義中、基−CO−C
H〔N(R10)R11〕−R13〔式中、R10及びR11は、水素であり;R13は、天
然又は非天然アミノ酸から誘導される残基である〕は、好ましくは、サルコシル
、グリシル、アラニル、オルニチニル、リシル、バリル、ロイシル、イソロイシ
ル、トリプトフィル、フェニルアラニル、メチオニル、セリル、チロシル、トレ
オニル、システイニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルチル、グルタ
ミル、アルギニル、ヒスチジル、2,3−ジアミノプロピオニル、2,4−ジア
ミノブチリル、2−アミノ−4−トリアゾール−1−イルブチリルなどを意味す
る。
【0046】 −N(R15)−CO−CH〔N(R10)R11〕−R13の好ましい実施態様は、
塩基性アミノ酸から誘導されるアシルアミノ基である。そのようなアシルアミノ
基の例は、オルニチニルアミノ、リシルアミノ、アルギニルアミノ、ヒスチジル
アミノ、3−アミノプロリルアミノ、2,3−ジアミノプロピオニルアミノ、2
,4−ジアミノブチリルアミノ、2−アミノ−4−トリアゾール−1−イルブチ
リルアミノ、〔3−アミノ−2−〔ビス(2−アミノエチル)アミノ〕プロピオ
ニル〕アミノ、〔4−アミノ−2−〔ビス(2−アミノエチル)アミノ〕ブチリ
ル〕アミノ、〔5−アミノ−2−〔ビス(2−アミノエチル)アミノ〕バレリル
〕アミノ、N−(3−アミノプロピル)−N−(2,3−ジアミノプロピオニル
)アミノ、N−(3−アミノプロピル)−N−(2,4−ジアミノブチリル)ア
ミノ、N−(3−アミノプロピル)−N−(2,5−ジアミノバレリル)アミノ
、N−(3−アミノプロピル)−N−(2,6−ジアミノヘキサノイル)アミノ
などであり;より好ましくは、オルニチニルアミノ、リシルアミノ、アルギニル
アミノ、ヒスチジルアミノ、2,3−ジアミノプロピオニルアミノ、2,4−ジ
アミノブチリルアミノ、〔3−アミノ−2−〔ビス(2−アミノエチル)アミノ
〕プロピオニル〕アミノ、〔4−アミノ−2−〔ビス(2−アミノエチル)アミ
ノ〕ブチリル〕アミノ、〔5−アミノ−2−〔ビス(2−アミノエチル)アミノ
〕バレリル〕アミノ、N−(3−アミノプロピル)−N−(2,3−ジアミノプ
ロピオニル)アミノ、N−(3−アミノプロピル)−N−(2,4−ジアミノブ
チリル)アミノ、N−(3−アミノプロピル)−N−(2,5−ジアミノバレリ
ル)アミノ及びN−(3−アミノプロピル)−N−(2,6−ジアミノヘキサノ
イル)アミノであり;最も好ましくはオルニチニルアミノ、リシルアミノ、2,
4−ジアミノブチリルアミノ、〔4−アミノ−2−〔ビス(2−アミノエチル)
アミノ〕ブチリル〕アミノ、〔5−アミノ−2−〔ビス(2−アミノエチル)ア
ミノ〕バレリル〕アミノ、N−(3−アミノプロピル)−N−(2,4−ジアミ
ノブチリル)アミノ、N−(3−アミノプロピル)−N−(2,5−ジアミノバ
レリル)アミノ及びN−(3−アミノプロピル)−N−(2,6−ジアミノヘキ
サノイル)アミノである。
【0047】 R1の定義中、
【0048】
【化17】
【0049】 の好ましい実施態様は、ビス〔2−(オルニチルアミノ)エチル〕アミノ、ビス
〔3−(オルニチルアミノ)プロピル〕アミノ、〔2−(リシルアミノ)エチル
〕アミノ、ビス〔3−(リシルアミノ)プロピル〕アミノなどである。
【0050】 R1の定義中、
【0051】
【化18】
【0052】 の好ましい実施態様は、N−オルニチル−N−〔2−(オルニチルアミノ)エチ
ル〕アミノ、N−オルニチル−N−〔3−(オルニチルアミノ)プロピル〕アミ
ノ、N−オルニチル−N−〔3−(リシルアミノ)プロピル〕アミノ、N−オル
ニチル−N−〔3−(リシルアミノ)プロピル〕アミノ、N−リシル−N−〔2
−(オルニチルアミノ)エチル〕アミノ、N−リシル−N−〔3−(オルニチル
アミノ)プロピル〕アミノ、N−リシル−N−〔2−(リシルアミノ)エチル〕
アミノ、N−リシル−N−〔3−(リシルアミノ)プロピル〕アミノなどである
【0053】 R1の定義中、
【0054】
【化19】
【0055】 の好ましい実施態様は、プロリルアミノ、3−アミノプロリルアミノ、4−アミ
ノプロリルアミノ、N−(3−アミノプロピル)−N−プロリルアミノ、(2−
アミノエチル)プロリルアミノなどである。
【0056】 用語「−NHCOCH(R13)−NHCOCH(NH2)−R13」〔式中、R1 3 は、上記に定義されたとおりである〕は、好ましくは、オルニチル−オルニチ
ルアミノ、リシル−オルニチルアミノ、オルニチル−リシルアミノ、リシル−リ
シルアミノなどを意味する。
【0057】 用語「−N(R15)−CO−R14」〔式中、R14及びR15は、上記に定義され
たとおりである〕中、用語「含窒素複素環」及び用語「アミノ、アミジノ又はグ
アニジノ基を有するフェニル基」は、上記に定義されたとおりである。
【0058】 −N(R15)−CO−R14の好ましい実施態様は、3−アミノプロピオニルア
ミノ、3−グアニジノプロピオニルアミノ、3−ピペラジニルプロピオニルアミ
ノ、(3−ピリジン−3−イルプロピオニル)アミノ、〔3−(4−アミノフェ
ニル)プロピオニル〕アミノ、N−(3−アミノプロピオニル)−N−(3−ア
ミノプロピル)アミノなどである。
【0059】 好適な態様では、R1は、R10及びR11が上記に定義されたとおりである、−
N(R10)−R11である。もう1つの好適な態様では、R1は、R10、R11、R1 3 及びR15が上記に定義されたとおりである、−N(R15)−CO−CH〔N(
10)R11〕−R13である。もう1つの好適な態様では、R1は、R14及びR15
が上記に定義されたとおりである、−N(R15)−CO−R14である。もう1つ
の好適な態様では、R1は、R10及びR15が上記に定義されたとおりである、
【0060】
【化20】
【0061】 である。もう1つの好適な態様では、R1は、R13が上記に定義されたとおりで
ある、−NHCOCH(R13)−NHCOCH(NH2)−R13である。もう1
つの好適な態様では、R1は、トリ低級アルキルアンモニオである。更にもう1
つの好適な態様では、R1は、アミノ又はグアニジノである。
【0062】 R2の定義中、用語「アシル、カルボキシル、カルバモイル、アミノ、モノ低
級アルキルアミノ若しくはジ低級アルキルアミノで場合により置換された低級ア
ルキル」は、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、オキソ低級アルキル、カルボキシ低級アルキル、カルバモイル低級アルキル
、アミノ低級アルキルなど、より好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、
n−ブチル、2−オキソプロピル、カルボキシメチル、カルバモイルメチル、3
−アミノプロピルなどを意味する。
【0063】 用語「アシル、カルボキシル、カルバモイル、アミノ、モノ低級アルキルアミ
ノ若しくはジ低級アルキルアミノで場合により置換された低級アルケニル」は、
好ましくは、アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなど、より好ましくはアリル
を意味する。
【0064】 好適な態様では、R2は、水素、ヒドロキシスルホニル、又はメチル若しくは
エチルのような低級アルキルである。
【0065】 R3の定義中、用語「アシルアミノ」は、好ましくは、低級アルキルカルボニ
ルアミノ、例えばアセチルアミノ、プロピオニルアミノ若しくはイソブチリルア
ミノ、又は天然若しくは非天然アミノ酸から誘導されるアシルアミノ基、例えば
サルコシルアミノ、グリシルアミノ、アラニルアミノ、オルニチルアミノ、リシ
ルアミノ、プロリルアミノ、バリルアミノ、ロイシルアミノ、イソロイシルアミ
ノ、トリプトフィルアミノ、フェニルアラニルアミノ、メチオニルアミノ、セリ
ルアミノ、チロシルアミノ、トレオニルアミノ、システイニルアミノ、アスパラ
ギニルアミノ、グルタミルアミノ、アスパルチルアミノ、グルタミルアミノ、ア
ルギニルアミノ、ヒスチジルアミノなど;好ましくはサルコシルアミノ、グリシ
ルアミノ、アラニルアミノ、リシルアミノ、プロリルアミノなどを意味する。
【0066】 用語「(低級アルキルカルバモイル)アミノ」は、好ましくは、メチルカルバ
モイルアミノ、エチルカルバモイルアミノ、プロピルカルバモイルアミノ、ブチ
ルカルバモイルアミノなど、より好ましくは、メチルカルバモイルアミノ又はエ
チルカルバモイルアミノを意味する。
【0067】 用語「低級アルコキシ」は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、
ブトキシなど、より好ましくはメトキシ及びエトキシを意味する。
【0068】 用語「低級アルコキシカルボニル」は、好ましくは、メトキシカルボニル、エ
トキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルなど、より好ま
しくはメトキシカルボニル及びエトキシカルボニルを意味する。
【0069】 用語「場合によりヒドロキシル、アミノ、モノ低級アルキルアミノ、ジ低級ア
ルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル若しくはカルバモイルで置換されてい
てよい低級アルキル」は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、アミノメチ
ル、アミノエチル、アミノプロピル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、メ
チレンアミノメチル、2−(メチルアミノ)エチル、3−(メチルアミノ)プロ
ピル、ジメチルアミノメチル、2−(ジメチルアミノ)エチル、3−(ジメチル
アミノ)プロピル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(カルバモイル)
エチルなどを意味する。
【0070】 用語「場合によりヒドロキシル、アミノ、モノ低級アルキルアミノ、ジ低級ア
ルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル若しくはカルバモイルで置換されてい
てよい、低級アルケニル」は、好ましくは、ビニル、2−(メトキシカルボニル
)ビニル、2−(カルバモイル)ビニルなどを意味する。
【0071】 用語「場合によりヒドロキシル、アミノ、モノ低級アルキルアミノ、ジ低級ア
ルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル若しくはカルバモイルで置換されてい
てよい、低級アルキニル」は、好ましくは、エチニル、プロピニル、ヒドロキシ
プロピニル、アミノプロピニル、ジエチルアミノプロピニルなどを意味する。
【0072】 好適な態様では、R3は、水素、ヒドロキシル、ニトロ、アミノまたはアシル
アミノである。もう1つの好適な態様では、R3は、(低級アルキルカルバモイ
ル)アミノ、カルボキシル、低級アルコキシ又は低級アルコキシカルボニルであ
る。
【0073】 R4の定義中、用語「アルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルケニルオキ
シ」は、好ましくは、3〜16個の炭素原子を有する、アルキル、アルケニル、
アルコキシ又はアルケニルオキシ基、例えば、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘ
キシル、ヘプチル、オクチル、オクト−4−エニル、オクト−6−エニル、ノナ
ニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシ
ル、ヘキサデシル、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、
ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、オクト−4−エニルオキシ、オクト−6−エ
ニルオキシ、ノナニルオキシ、ノナ−5−エニルオキシ、デシルオキシなどを意
味する。
【0074】 用語「低級アルキル」は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、
ペンチル、より好ましくはメチル又はエチルを意味する。
【0075】 用語「アリール」は、低級アルキル、トリフルオロメチル又はハロゲン原子で
場合により置換されていてよいアリール基、例えば、フェニル、ナフチル、3−
フルオロフェニル、3−ブロモフェニル、3−クロロフェニル、4−フルオロフ
ェニル、4−ブロモフェニル、4−クロロフェニル、3−メチルフェニル、4−
メチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニルを意味する。
【0076】 用語「シクロアルキル」は、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シ
クロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどを意味する。
【0077】 用語「低級アルキル、アリール、シクロアルキル若しくはフッ素原子で場合に
より置換されていてよい、アルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルケニルオ
キシ」は、好ましくは、5−メチルへキシル、1−メチルトリデシル、2−エチ
ルブトキシ、4−メチルペンチルオキシ、2−プロピルペンチルオキシ、2−エ
チルヘキシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、2−フェニルエトキシ
、2−(4−フルオロフェニル)エトキシ、2−(4−クロロフェニル)エトキ
シ、2−(3−フルオロフェニル)エトキシ、2−(4−トリフルオロフェニル
)エトキシ、3−フェニルプロポキシ、2−ナフチルエトキシ、3−ナフチルプ
ロポキシ、2−シクロプロピルエトキシ、2−シクロブチルエトキシ、2−シク
ロペンチルエトキシ、3−シクロペンチルプロポキシ、2−シクロヘキシルエト
キシ、3−シクロヘキシルプロポキシ、3,3−ジフェニルプロポキシ、3,3
,3−トリフルオロプロポキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシ、5,5,
5−トリフルオロペンチルオキシなどを意味する。
【0078】 好適な態様では、R4は、低級アルキル、アリール、シクロアルキル若しくは
フッ素原子で場合により置換されていてよい、アルキル又はアルコキシである。
【0079】 R5の好ましい実施態様は、−CONH2又は−CH2NH2である。
【0080】 Xの定義中、用語「ヘテロ原子」は、好ましくは、窒素、硫黄及び酸素を意味
する。
【0081】 用語「1個若しくはそれ以上のヘテロ原子を場合により含む、アリール、ビフ
ェニル若しくはテルフェニル」は、好ましくは、
【0082】
【化21】
【0083】 などを意味し、これらは、ハロゲン原子又は低級アルキルでさらに置換されてい
てよい。上式中、開放端の線は、対応する位置での好適な結合を示す。
【0084】 Xの最も好ましい実施態様は、単結合、又はハロゲン原子若しくは低級アルキ
ル、好ましくはメチルで更に置換されていてよい、
【0085】
【化22】
【0086】 である。
【0087】 Yの定義中、用語「低級アルキル」は、好ましくは、1〜3個の炭素原子より
なるアルキル基、例えば、メチル、エチル又はプロピルを意味する。Yの好まし
い実施態様は、単結合、−CH2−、−CH(CH3)−、−CONH−又は−C
ON(CH3)−、より好ましくは単結合、−CH(CH3)−、又は−CONH
−である。
【0088】 Zの定義中、用語「−N(低級アルキル)−」は、好ましくは、1〜3個の炭
素原子よりなるN−アルキル基、例えば、N−メチル、N−エチル又はN−プロ
ピルを意味する。Zの好ましい実施態様は、−O−であり;Zのもう1つの好ま
しい実施態様は、−NH−である。
【0089】 mは、0〜4、好ましくは0〜2の整数である。
【0090】 本発明による好適なアエロトリシンは、下記の表1に例示されるアエロトリシ
ン2及び4〜131である。
【0091】
【化23】
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
【表4】
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
【0098】 特に好ましいのは、アエロトリシン2、4〜32、63、96〜99、101
〜131よりなる群から選ばれるアエロトリシンである。やはり特に好ましいの
は、アエロトリシン14、15、21、26〜29、63、98、99、及び1
01〜131よりなる群から選ばれるアエロトリシンである。
【0099】 式(I)で示されるアエロトリシンは、下記の方法に従って製造することがで
きる。
【0100】 方法A 式(II)のアエロトリシンは、アエロトリシン1、2及び3〔アエロトリシン
3(=WF11243)は、参考実施例1に記載されている〕を生産できる不完
全菌類Deuteromycotinaに属する微生物を、好気的条件下、水性又は固体培地中
で培養し、アエロトリシン1、2及び3を培養体から単離することにより製造す
ることができる。
【0101】
【化24】
【0102】 〔式中、R3は、水素又はヒドロキシルであり、Yは、−CH(CH3)−又は−
CH2−である〕
【0103】 方法B 式(I)のアエロトリシン〔式中、R1は、アミノであり;Yは、−CONH
−、−CON(低級アルキル)−、−CH2−又は単結合であり;Zは、−NH
−又は−N(低級アルキル)−であり;R2、R3、R4、R5、X及びmは、上記
に定義されたとおりである〕は、式(III):
【0104】
【化25】
【0105】 〔式中、R6は、アミノ保護基であり;R2、R3及びR5は、上記に定義されたと
おりである〕 で示される化合物と、式(IV):
【0106】
【化26】
【0107】 〔式中、R7は、アミノ保護基であり、R8は、水素又は低級アルキルであり、R 4 、X、Y及びmは、上記に定義されたとおりである〕 で示される化合物とを、ペプチド合成用のカルボキシル活性化剤を用いて縮合さ
せた後、得られた線状ペプチドのアミノ保護基R7を選択的に除去し、ペプチド
合成用のカルボキシル活性化剤で逐次環化し、そしてアミノ保護基R6を除去す
ることによって製造することができる。
【0108】 方法C 式(I)〔式中、R3は、ニトロ基であり;R1、R2、R4、R5、X、Y、Z
及びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンは、式(I)〔式
中、R3は、水素であり;R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定
義されたとおりである〕のアエロトリシンのニトロ化によって製造することがで
きる。
【0109】 方法D 式(I)〔式中、R3は、アミノ基であり;R1、R2、R4、R5、X、Y、Z
及びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンは、式(I)〔式
中、R3は、ニトロ基であり;R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記
に定義されたとおりである〕のアエロトリシンのニトロ基の還元によって製造す
ることができる。
【0110】 方法E 式(I)〔式中、R3は、アシルアミノ又は(低級アルキルカルバモイル)ア
ミノであり;R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとお
りである〕のアエロトリシンは、式(I)〔式中、R3は、アミノ基であり;R1 、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとおりである〕のア
エロトリシンのアミノ基を、酸塩化物、酸無水物、カルボン酸/縮合剤、又は低
級アルキルカルバモイル=クロリドでアシル化した後、必要ならば、アミノ保護
基を除去することによって製造することができる。
【0111】 方法F 式(I)〔式中、R1は、(3−アミノプロピル)アミノ、(2−シアノエチ
ル)アミノ、3−アミノ−2−(アミノメチル)プロピル〕アミノ、又は−N(
15)−COCH〔NH(CH2)3NH2〕−R13〔式中、R13及びR15は、上記
に定義されたとおり〕である〕のアエロトリシンは、式(I)〔式中、R1は、
アミノ基又は−N(R15)−COCH(NH2)−R13〔式中、R13及びR15
、上記に定義されたとおりである〕であり;R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及
びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンのアミノ基をアクリ
ロニトリル、エトキシメチレンマロノニトリル、又は(1−エトキシエチリデン
)マロノニトリルと反応させた後、得られたニトリル基をアミノ基へと還元し、
必要ならば、保護基を除去することによって製造することができる。
【0112】 方法G 式(I)〔式中、R1は、−N(R10)R11〔式中、R10及びR11は、それぞ
れ独立に、水素、1個又はそれ以上のアミノ、グアニジノ、含窒素複素環、若し
くはアミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で場合により置
換された低級アルキルから選ばれる〕、又は−N(R15)−CO−CH〔N(R 10 )R11〕−R13〔式中、R10及びR11は、それぞれ、1個又はそれ以上のアミ
ノ、アミノ低級アルキル、グアニジノ、含窒素複素環、若しくはアミノ、アミジ
ノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で場合により置換された低級アルキ
ルであり;R13及びR15は、上記に定義されたとおりである〕であり;R2、R3 、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロト
リシンは、式(I)〔式中、R1は、アミノ、(2−シアノエチル)アミノ、又
は−N(R15)−CO−CH〔N(R10)R11〕−R13〔式中、R10及びR11
、それぞれ独立に、水素原子又は(2−シアノエチル)アミノであり;R13及び
15は、上記に定義されたとおりである〕であり;R2、R3、R4、R5、X、Y
、Z及びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンのアミノ基を
、式(V):
【0113】
【化27】
【0114】 〔式中、R9は、水素、1個又はそれ以上の保護されたアミノ、含窒素複素環、
若しくは保護されたアミノを含むフェニル基で更に置換されていてよい低級アル
キルである〕 で示されるアルデヒドで還元的アルキル化した後、必要ならば、アミノ保護基を
除去するか、又はシアノ基を還元することによって製造することができる。
【0115】 方法H 式(I)〔式中、R1は、−N(R10)R11〔式中、R10及びR11は、それぞ
れ独立に、水素、又は1若しくは2個のアミノ基で置換されたヘテロアリールか
ら選ばれる〕であり;R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義さ
れたとおりである〕のアエロトリシンは、式(I)〔式中、R1は、アミノ基で
あり、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとおりであ
る〕のアエロトリシンのアミノ基を、式(VI):
【0116】
【化28】
【0117】 〔式中、R12は、保護されたアミノ若しくはニトロ基で更に置換されていてよい
含窒素へテロアリールであり、Qは、クロロ若しくはブロモのようなハロゲン原
子である〕 で示される化合物と反応させた後、必要ならば、アミノ保護基を除去するか、又
はニトロ基を還元することによって製造することができる。
【0118】 方法I−1 式(I)〔式中、R1は、
【0119】
【化29】
【0120】 、−NHCO−CH(NH2)−R13〔式中、R13は、天然又は非天然アミノ酸
から誘導される残基である〕、又は−NHCO−R14〔式中、R14は、上記に定
義されたとおりである〕であり;R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上
記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンは、式(I)〔式中、R1は、
アミノ基であり;R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義された
とおりである〕のアエロトリシンを、式(VII)又は(VII′):
【0121】
【化30】
【0122】 〔式中、R13は、その官能基が適切に保護された、天然又は非天然アミノ酸から
誘導される残基であり、R7は、アミノ保護基である〕 で示される酸、又は式(VIII):
【0123】
【化31】
【0124】 〔式中、R14は、1個又はそれ以上の保護されたアミノ基、含窒素複素環、若し
くは保護されたアミノ基を有するフェニル基を有する低級アルキル基である〕 で示される酸でアシル化した後、必要ならば、保護基を除去することによって製
造することができる。
【0125】 方法I−2 R1が、
【0126】
【化32】
【0127】 〔式中、R10、R11、R13、R15及びmは、上記に定義されたとおりである〕、
又は
【0128】
【化33】
【0129】 〔式中、R10、R11、R13、R15及びmは、上記に定義されたとおりである〕 である式(I)のアエロトリシンは、R1が−N(R10)−R11〔式中、R10
及びR11は、両者とも、アミノ基で置換された低級アルキルである〕、又は−N
(R15)−CO−CH〔N(R10)R11〕−R13〔式中、R15は、アミノ基で置
換された低級アルキルであり;R10、R11及びR13は、請求項1に定義されたと
おりであるが、R10、R11及びR13中に存在するアミノ基は、保護されている〕
である式(I)のアエロトリシンのアミノ基を式(VII):
【0130】
【化34】
【0131】 〔式中、R13は、その官能基が適切に保護された、天然又は非天然アミノ酸から
誘導される残基であり、R7は、アミノ保護基である〕 で示される酸でアシル化した後、保護基を除去することによって製造することが
できる。
【0132】 方法J 式(I)〔式中、R1は、−N(R15)−CO−CH〔N(R10)R11〕−R1 3 〔式中、R10及びR11は、水素であり、R13は、上記に定義されたとおりであ
り、R15は、1個又はそれ以上のアミノ、グアニジノ、含窒素複素環、若しくは
アミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で場合により置換さ
れた低級アルキルである〕、
【0133】
【化35】
【0134】 〔式中、R10は、水素であり、R15は、1個又はそれ以上のアミノ、グアニジノ
、含窒素複素環、若しくはアミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェ
ニル基で場合により置換された低級アルキルである〕、又は−N(R15)−CO
−R14〔式中、R15は、1個又はそれ以上のアミノ、グアニジノ、含窒素複素環
、若しくはアミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で場合に
より置換された低級アルキルであり、R14は、上記に定義されたとおりである〕
であり;R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとおりで
ある〕のアエロトリシンは、方法Fに記載の式(I)〔式中、R1は、アミノ基
であり;R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとおりで
ある〕のアエロトリシンのアミノ基をモノN−アルキル化した後、方法Iに記載
の式(VII)、(VII′)又は(VIII)の対応する化合物でアシル化した後、必要
ならば、保護基を除去することによって製造することができる。
【0135】 方法K 式(I)〔式中、R1は、グアニジノ基、−N(R10)−R11〔式中、R10
びR11は、それぞれ独立にグアニジノ、又はグアニジノ基を有するフェニル基で
置換された低級アルキルから選ばれる〕、−N(R15)−CO−CH〔N(R10 )R11〕−R13〔式中、R10、R11及びR13は、上記に定義されたとおりであり
、R15は、1個又はそれ以上のグアニジノ基、含窒素複素環、若しくはグアニジ
ノ基を有するフェニル基で場合により置換された低級アルキルである〕、又は−
N(R15)−CO−R14〔式中、R14は、1個又はそれ以上のグアニジノ、含窒
素複素環、若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で置換された低級アルキル
である〕であり;R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義された
とおりである〕のアエロトリシンは、式(I)〔式中、R1は、アミノ基;−N
(R10)−R11〔式中、R10及びR11は、それぞれ独立に、アミノ基、又はアミ
ノ基を有するフェニル基で置換された低級アルキルから選ばれる〕、−N(R15 )−CO−CH〔N(R10)R11〕−R13〔式中、R10、R11及びR13は、上記
に定義されたとおりであり、R15は、1個又はそれ以上のアミノ基、含窒素複素
環、又はアミノ基を有するフェニル基で場合により置換された低級アルキルであ
る〕、又は−NHCO−R14〔式中、R14は、1個又はそれ以上のアミノ基、含
窒素複素環、若しくはアミノ基を有するフェニル基で置換された低級アルキルで
ある〕であり;R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたと
おりである〕のアエロトリシンを、活性化されたアミジン誘導体と反応させるこ
とによって製造することができる。
【0136】 方法L 式(I)〔式中、R2は、低級アルキル、又はアシル、カルボキシル、カルバ
モイル、ヒドロキシル、アミノ、モノ低級アルキルアミノ若しくはジ低級アルキ
ルアミノで場合により置換された低級アルケニルであり、R1、R3、R4、R5
X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンは、式
(I)〔式中、R2は、水素であり、R1、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmは
、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンのフェノール性ヒドロキシ
ル基を、アルキル化剤でO−アルキル化することによって製造することができる
【0137】 方法M 式(I)〔式中、R3は、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、低級ア
ルキル、アルケニル、又はヒドロキシル、アミノ、モノ低級アルキルアミノ、ジ
低級アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル若しくはカルバモイルで場合に
より置換されていてよいアルキニルであり;R2は、水素であり;R1、R4、R5 、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンは、
式(I)〔式中、R2及びR3は、水素であり;R1、R4、R5、X、Y、Z及び
mは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンを、ヨウ素化剤でヨウ
素化した後、得られた式(I)〔式中、R3は、ヨードであり、R1、R2、R4
5、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとおりである〕のヨード誘導体を
、一酸化炭素、アクリル酸メチルなどとパラジウム(0)触媒でカップリングさ
せた後、必要ならば、保護基を除去することによって製造することができる。
【0138】 方法N 式(I)〔式中、R5は、−CNであり;R1、R2、R3、R4、X、Y、Z及
びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンは、式(I)〔式中
、R5は、−CONH2であり;R1、R2、R3、R4、X、Y、Z及びmは、上記
に定義されたとおりである〕のアエロトリシンのカルバモイル基を、脱水剤で脱
水し、必要ならば、アミノ保護基を除去することによって製造することができる
【0139】 方法O 式(I)〔式中、R5は、−CH2NH2であり;R1、R2、R3、R4、X、Y
、Z及びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンは、式(I)
〔式中、R5は、−CONH2又は−CNであり;R1、R2、R3、R4、X、Y、
Z及びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンのカルバモイル
基又はシアノ基を、還元剤で還元し、必要ならば、アミノ保護基を除去すること
によって製造することができる。
【0140】 方法P 式(I)〔式中、R2は、ヒドロキシスルホニルであり;R1、R3、R4、R5
、X、Y、Z及びmは、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンは、
式(I)〔式中、R2は、水素であり;R1、R3、R4、R5、X、Y、Z及びm
は、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンのチロシン残基を、ヒド
ロキシスルホン化した後、保護基を除去することによって製造することができる
【0141】 方法Q 式(I)〔式中、−Y−(CH2m−X−R4は、n−トリデカニル又は1−
メチルトリデカニルであり;R5は、−CONH2であり;Zは、酸素原子であり
;R1、R2及びR3は、上記に定義されたとおりである〕のアエロトリシンは、
スキーム1に概要を示した方法によって、式(IX)の線状ペプチドから製造する
ことができる。
【0142】 R2、R3及びR5が、上記に定義されたとおりであり、R6が、アミノ保護基で
あるが、R5が−CONH2であるとき、R2又はR3は、水素以外である、上記の
式(III)の化合物、及びその塩は、新規であり、やはり本発明の主題である。
更に、スキーム1に示した式(IX)、(X)及び(XII)の線状ペプチド及び場
合によりその塩も、新規であり、やはり本発明の主題である。
【0143】
【化36】
【0144】 方法A〜Qは、下記のとおり、より詳しく説明することができる。
【0145】 方法A 本発明に用いられる微生物は、アエロトリシン1、2及び3を生産できる、不
完全菌類に属する、突然変異株及び変異株を包含する、いかなる菌株であること
もできる。特に好ましいのは、日本の鹿児島県で採集された落葉から単離され、
不完全菌類に属する菌株として同定された、NR7379株である。 NR7379株の培養及び形態学的特性は、下記のとおりである。
【0146】 1.培養特性 コーンミール寒天(CMA):増殖は、伸展性ではなかった。コロニーは、2
5℃で14日後に、接種物(寒天栓で直径4.5mm)から直径11mmに達し、平
坦で淡黄白色であった。裏側は、淡黄白色であった。無色で粘質性の滲出物が存
在した。
【0147】 三浦培地(LCA):増殖は、伸展性ではなかった。コロニーは、25℃で1
4日後に、接種物から直径11mmに達し、平坦で淡黄白色であった。裏側は、淡
黄白色であった。滲出物は、不在であった。
【0148】 麦芽エキス寒天(MEA):増殖は、伸展性ではなかった。コロニーは、膿状
であり、25℃で14日後に、接種物から直径18mmに達した。コロニーの色は
、明るい帯黄褐色であった。裏側は、同じ色であった。滲出物は、無色かつ粘質
性であった。
【0149】 馬鈴薯−デキストロース寒天(PDA):増殖は、伸展性ではなかった。コロ
ニーは、膿状であり、25℃で14日後に、接種物から直径14mmに達した。コ
ロニーの色及びきめは、MEAでのそれに似ていた。滲出物は、無色かつ粘質性
であった。
【0150】 発芽は、CMA、LCA、MEA及びPDAで5〜30℃の間で観察された。
【0151】 2.形態学的特性 菌糸体は、部分的に埋没し、部分的に表在し、分枝し、有隔であり、淡褐色な
いし黄白色であった。分生子柄は、埋没した菌糸体から形成され、無紋、有隔で
あり、分枝し、不規則であった。分生子形成細胞は、明確な分生子柄か、又は不
規則な菌糸に存在した。それらは、内生出芽型、フィアロ型、頂性又は亜頂性で
あった。頂性又は亜頂性フィアライドは、長さ及び形状が可変であり、円筒形な
いし壺形(lageniform)で、長さ及び幅は、それぞれ、5.5〜10μm及び2
.5〜5.5μmに及んだ。隔壁直下に側生の分生子形成細胞を有する、不規則
な糸状の分生子柄がしばしば形成された。分生子は、一細胞型、無色透明、平滑
、球形ないし亜球形であり、長さが2.0〜5.5μm、幅が2.0〜5.0μm
であった。
【0152】 これらの明確な培養及び形態学的特性に基づき、本菌株は、不完全菌類NR7
379株と呼ばれる不完全菌類に属した。
【0153】 不完全菌類NR7379と呼ばれる菌株は、ブダペスト条約の下、下記:不完
全菌類NR7379株(FERM第BP−6391号)のとおり、日本ロシュ株
式会社(105,東京都港区芝2−6−1)から1998年6月16日に工業技
術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。
【0154】 本発明が提供する方法による培養は、培養しようとする微生物によって利用さ
れ得る、慣用の栄養素を含有する培地で実施することができる。炭素源としては
、例えば、グルコース、ショ糖、澱粉、グリセリン、糖蜜、デキストリン、及び
それらの混合物を挙げることができる。窒素源は、例えば、大豆ミール、綿実ミ
ール、肉エキス、ペプトン、乾燥酵母、酵母エキス、コーンスティープリカー、
硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、及びそれらの混合物である。その上、微生
物の増殖を促進し、アエロトリシン1の生産を増強するために、その他の有機又
は無機物質を培地に加えてもよい。そのような物質の例は、無機塩類、例えば炭
酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸塩などである。
【0155】 培養は、好気的条件下、好ましくは液体培地で液内発酵によってか、又は固体
培地で静的発酵によって実施する。20〜30℃の温度(最適温度27℃)が、
培養に適する。培養は、好ましくは、3〜9のpHで実施する。培養時間は、培養
を実施する条件に依存する。一般的には、20〜360時間培養を実施するのが
充分である。
【0156】 目的のアエロトリシン1、2及び3を培養体から採集するには、微生物が生産
した代謝物をその培養体から単離するのに常用される、分離方法を適正に用いる
ことができる。例えば、アエロトリシン1は、メタノール抽出できる両性物質で
あって、好都合には、下記の手順で回収する。
【0157】 すなわち、固相発酵によって得られる全培養固型分を、適切な溶媒で抽出して
、企図される産物を回収する。目的の化合物を全培養固型分から抽出するのに用
い得る溶媒は、水溶性有機溶媒、又は水溶性有機溶媒の水溶液、例えばメタノー
ル、エタノール、水性アルコールを包含する。
【0158】 得られた抽出物から塩類、水溶性物質等々を除去するには、水と水混和性有機
溶媒、例えばn−ブタノール、酢酸エチル等々との間の溶媒分配を用いるのが好
都合である。抽出物から着色物質、脂溶性物質などを除去するには、メタノール
、エタノール、アセトニトリル−0.1%水性トリフルオロ酢酸の混合物等々に
よる溶媒精製を実施するのが好都合である。
【0159】 アエロトリシンを完全に精製するには、カラムクロマトグラフィーを用いるの
が好都合である。そのようなカラムクロマトグラフィーに用い得る担体は、YM
C−GEL ODS(山村化学研究所)又は分取用C18(Waters Millipore C
orporation)のようなものである。溶離液としては、水性トリフルオロ酢酸と、
メタノール、エタノール、アセトニトリル等々のような、適切な水溶性有機溶媒
との混合物で構成される溶媒系を用いる。こうして精製された溶出液画分は、各
成分を含有していて、濃縮又は凍結乾燥に付して、アエロトリシン1、2及び3
を微粉化する。
【0160】 アエロトリシン1、2及び3は、トリフルオロ酢酸塩として単離したが、遊離
アエロトリシン1、2及び3は、下記の手順によって製造することができる。す
なわち、アエロトリシン1、2及び3のトリフルオロ酢酸塩を、水に溶解し、こ
れに、1当量の水酸化ナトリウムを加え、混合物を、セファデックスLH−20
のカラムクロマトグラフィーに付した後、水性アルコール、例えばメタノール−
水等々で溶出させて、それによって、それぞれ、アエロトリシン1、2及び3(
遊離形態)を得る。
【0161】 方法B 式(III)の出発化合物は、式(I)のアエロトリシン〔アエロトリシン1〜
3はもとより、方法C〜Qから選ばれる方法の使用によって、アエロトリシン1
〜3から変換されたものを含む〕から、WO96/30399に記載されたのと
類似の方法によって製造することができる。この方法は、ラクトン環のアルカリ
加水分解とそれに続く脂肪酸鎖の酵素切断を含む。式(III)のR6、及び式(IV
)のR8のための好ましいアミノ保護基は、それぞれtert−ブトキシカルボニル
(Boc)及び9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)である。
【0162】 式(III)の出発化合物は、不完全菌類の発酵によって得られる式(IX)の線
状ペプチドからも、以下に述べる慣用のペプチド合成によって製造することがで
きる。
【0163】 式(IV)〔式中、Yは、−CONH−であり;R4、R8及びXは、上記に定義
されたとおりである〕の出発化合物は、式(XIV):
【0164】
【化37】
【0165】 〔式中、R7は、アミノ保護基、例えばFmoc基であり、R8は、上記に定義さ
れたとおりである〕 で示される化合物を、式(XV):
【0166】
【化38】
【0167】 〔式中、R4、R8及びXは、上記に定義されたとおりである〕 で示される化合物と縮合させた後、tert−ブチル基を除去することによって製造
することができる。式(XIV)の化合物は、商業的に入手できる。
【0168】 式(XV)〔式中、Xは、単結合、場合により1個又はそれ以上のヘテロ原子を
含むか、及び/又は場合によりハロゲン原子若しくは低級アルキルで置換された
アリール、ビフェニル、又はテルフェニル基である〕の出発化合物は、商業的に
入手できるか、又はEP 736,541、及びスキーム2に記載されたのと類似の方法、
例えば、以下に述べるスキーム2のカルボン酸中間体から製造されるカルボキシ
アミドのLiAlH4還元後とそれに続く、塩化Fmocなどによるアミノ基の
保護によって製造することができる。
【0169】 式(IV)〔式中、Yは、−CONH−又は−CON(低級アルキル)−であり
;R4、R7、R8及びXは、上記に定義されたとおりである〕の代表的な化合物
は、下記のとおりである:
【0170】
【化39】
【0171】 式(IV)〔式中、Yは、単結合又は−CH2−であり;R4、R8及びXは、上
記に定義されたとおりである〕の出発化合物は、(R)−(+)−N−ベンジル
−1−フェニルエチルアミンから式(XVI):
【0172】
【化40】
【0173】 〔式中、R4、X及びmは、上記に定義されたとおりである〕 で示される化合物への、LDAのような強塩基の存在下でのマイケル付加〔Tetr
ahedron Asymmetry, 2(3), 183 (1991)を参照されたい〕とそれに続く、(i)
接触水素化によるN−脱ベンジル、(ii)得られた第一級アミンの塩化Fmoc
などによる保護、及び(iii)tert−ブチル基の除去によって製造することがで
きる。
【0174】 式(XVI)の出発化合物は、下記のスキーム2に概要を示した方法によって製
造することができる。
【0175】
【化41】
【0176】 mが4である式(XVI)の化合物は、スキーム2の工程1〜3を反復してから
の、最後のウィッティッヒ反応によって製造することができる。
【0177】 式(IV)〔式中、Yは、単結合又は−CH2−であり;R4、R7及びXは、上
記に定義されたとおりである〕の代表的な化合物は、下記のとおりである:
【0178】
【化42】
【0179】
【化43】
【0180】 最初のペプチド結合の形成反応はもとより、得られる線状ペプチドの環化も、
ペプチド化学の当業者に公知の方法によって実施することができる〔The Practi
ce of Peptide Synthesis, M. Bodansky and A. Bodansky /2nd ed., 1994 (Spr
inger-Verlag)を参照されたい〕。好ましい縮合剤は、BOP−HOBt、Py
BOP(登録商標)−HOBt、PyBroP(登録商標)−HOBtなどであ
る〔カップリング剤:商業的に入手できる(The Combinatorial Chemistry Cata
log, Feb., 1997; Novabiochem.を参照されたい)〕。
【0181】 反応は、メタノール、エタノール、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド
、N−メチルピロリドンなどのような溶媒中で、トリエチルアミン、ジイソプロ
ピルエチルアミン、ピリジンなどのような塩基の存在又は不在下で、−20〜+
50℃の温度、好ましくは0〜+25℃で実施することができる。
【0182】 方法C 式(I)のアエロトリシンのニトロ化は、当業者に公知の方法によって;代表
的には、亜硝酸ナトリウム/酢酸、テトラニトロメタン/ピリジンなどによって
実施することができる。
【0183】 反応は、−20〜0℃の温度、好ましくは0℃で実施することができる。
【0184】 方法D ニトロ基の還元は、当業者に公知の方法によって;代表的には、パラジウム−
C、酸化白金などのような触媒を用いた、接触水素化によって実施することがで
きる。
【0185】 反応は、メタノール、エタノール、酢酸などの溶媒中で、室温で実施すること
ができる。
【0186】 方法E及びI 式(I)のR1又はR3中に存在するアミノ基のN−アシル化は、当業者に公知
の方法によって、酸無水物若しくは塩化カルバモイルによるか、又はジシクロヘ
キシルカルボジイミド、BOP、HBTU、TNTU、PyBroP(登録商標
)、PyBOP(登録商標)、TBTU、TSTU、HOBtなどのような縮合
剤を用いて、カルボン酸によるか、或いはこれらの二つの組合せにより、実施す
ることができる。
【0187】 反応は、メタノール、エタノール、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド
、N−メチルピロリドンなどのような溶媒中で、トリエチルアミン、ジイソプロ
ピルエチルアミン、ピリジンなどのような塩基の存在又は不在下で、−20〜+
50℃の温度、好ましくは0〜+25℃で実施することができる。
【0188】 アミノ保護基の除去は、縮合反応にN−保護アミノ酸を用いたときは、当業者
に公知の方法によって、例えば、Boc基に対するトリフルオロ酢酸、又はFm
oc基に対するピペリジンによる処理によって実施することができる。
【0189】 方法F 式(I)のR1中に存在するアミノ基のN−モノアルキル化は、Organic Synth
esis col. Vol. III, p.93に記載の方法に従って、アクリロニトリル、エトキシ
メチレンマロノニトリル又は(1−エトキシエチリデン)マロノニトリルを用い
、次いで、得られたニトリル基の接触水素化による還元、又はホウ水素化ナトリ
ウム/塩化コバルト、ボラン−硫化メチル錯体などによる還元によって実施する
ことができる〔J. Med. Chem., 37, 222 (1994)を参照されたい〕。
【0190】 方法G 式(I)のR1中に存在する第一級又は第二級アミノ基のN−アルキル化は、
酢酸のような弱酸の存在又は不在下で、シアノホウ水素化ナトリウムのような還
元剤を用いた、式(V)のアルデヒド誘導体による慣用の還元的アルキル化によ
って実施することができる。
【0191】 反応は、メタノール、エタノール、酢酸などのような溶媒中で、室温で実施す
ることができる。
【0192】 方法H 置換反応のための式(VI)の化合物(R12−Q)の例は、2−ブロモ−5−ニ
トロピリジン、2−クロロピリミジン、クロロピラジンなどである。
【0193】 置換反応は、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドのような溶媒中
で、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのよう
な酸捕獲剤の存在又は不在下で、−20〜+50℃、好ましくは0〜+25℃の
間の温度で実施することができる。
【0194】 方法J 式(I)のR1中に存在するアミノ基の最初のモノ−N−アルキル化は、方法
Fに記載した方法によって、実施することができる。続くN−アシル化は、方法
E及びIに記載した方法によって実施することができる。
【0195】 方法K 式(I)のR1中に存在するアミノ基のグアニジノ基への変換は、3,5−ジ
メチル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン、ホルムアミジンスルホン酸
、ベンゾトリアゾール−1−カルボキサミジニウム=トシラートなどのような、
活性化されたアミジン誘導体によって実施することができる。
【0196】 反応は、メタノール、エタノール、水、N,N−ジメチルホルムアミドなどの
ような溶媒中で、0〜50℃の間の温度、好ましくは20〜30℃で実施するこ
とができる。
【0197】 方法L 式(I)中のチロシン残基のヒドロキシル基のO−アルキル化は、当業者に公
知の方法によって、炭酸ナトリウム、ジイソプロピルエチルアミンなどのような
酸捕獲剤の存在下で実施することができる〔Can. J. Chem., 36, 1521 (1958)〕
【0198】 反応は、メタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド
などのような溶媒中で、0〜+50℃の間の温度、好ましくは0〜+25℃で実
施することができる。
【0199】 方法M チロシン残基中のフェノール基のオルト位でのヨウ素化は、メタノール、エタ
ノールなどのような溶媒中で、室温での、一塩化ヨウ素又はヨウ化ナトリウム/
水性次亜塩素酸ナトリウムによる、R2が水素である式(I)のアエロトリシン
の処理によって実施することができる。
【0200】 一酸化炭素、アクリル酸メチルなどとのパラジウム(0)触媒カップリング反
応は、Pd(OAc)2、Pd(OAc)2(dppp)2のようなパラジウム(0)
触媒を用いて、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、アセ
トニトリルなどのような溶媒中で、トリエチルアミンのような塩基の存在下、2
0〜+100℃の間の温度、好ましくは20〜+70℃で実施することができる
〔Bioorg. Med. Chem. Lett., 7 (22), 2879 (1997)〕。
【0201】 方法N 式(I)のカルバモイル基(R5)の脱水は、バージェス試薬〔Aldrichから入
手可能〕、塩化シアヌル、塩化オキサリルなどによって実施することができる〔
J. Med. Chem., 37, 222 (1994)〕。
【0202】 反応は、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのような
溶媒中で、室温で実施することができる。
【0203】 方法O 式(I)のカルバモイル基又はシアノ基(R5)の還元は、ホウ水素化ナトリ
ウム/塩化コバルト、ボラン−硫化メチル錯体などによる還元によって実施する
ことができる〔J. Med. Chem., 37, 222 (1994)を参照されたい〕。
【0204】 反応は、メタノール、エタノールなどのような溶媒中で、室温で実施すること
ができる。
【0205】 方法P 式(I)のチロシン残基のヒドロキシスルホン化は、N,N−ジメチルホルム
アミド、N−メチルピロリドン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなど
のような溶媒中、−30〜+70℃の間の温度、好ましくは室温で、三酸化硫黄
−DMF錯体、三酸化硫黄−ピリジン錯体又は三酸化硫黄−トリエチルアミン錯
体によって実施することができる〔J. Chem. Soc. Perkin Trans., (6) 1739 (1
990)を参照されたい〕。
【0206】 方法Q この方法に関与する反応は、方法B〜Oに記載されたのと類似の方法によって
実施することができる。
【0207】 出発材料、すなわち式(IX)の線状ペプチドは、不完全菌類に属する微生物を
、好気的条件下、水性又は固体培地で培養し、培養体から式(IX)の線状ペプチ
ドを単離することによって得ることができる。
【0208】 本発明に用いられる微生物は、式(IX)の線状ペプチドを生産できる、不完全
菌類に属する、突然変異株及び変異株を包含する、いかなる菌株であることもで
きる。特に好ましいのは、鹿児島県で採集された落葉から単離され、不完全菌類
に属する菌株として同定された、NR7379株である。
【0209】 不完全菌類NR7379と呼ばれる菌株は、ブダペスト条約の下、下記:不完
全菌類NR7379株(FERM第BP−6391号)のとおり、1998年6
月16日に工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。
【0210】 本発明が提供する方法による培養は、培養しようとする微生物によって利用さ
れ得る、慣用の栄養素を含有する培地で実施することができる。炭素源としては
、例えば、グルコース、ショ糖、澱粉、グリセリン、糖蜜、デキストリン、及び
それらの混合物を挙げることができる。窒素源は、例えば、大豆ミール、綿実ミ
ール、肉エキス、ペプトン、乾燥酵母、酵母エキス、コーンスティープリカー、
硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、及びそれらの混合物である。その上、微生
物の増殖を促進し、式(IX)の線状ペプチドの生産を増強するために、その他の
有機又は無機物質を培地に加えてもよい。そのような物質の例は、無機塩類、例
えば炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸塩などである。
【0211】 培養は、好気的条件下、好ましくは液体培地で液内発酵によってか、又は固体
培地で静的発酵によって実施する。20〜30℃の温度(最適温度27℃)が、
培養に適する。培養は、好ましくは、3〜9のpHで実施する。培養時間は、培養
を実施する条件に依存する。一般的には、120〜672時間培養を実施するの
が充分である。
【0212】 式(IX)の目的の線状ペプチドを培養体から採集するには、微生物が生産した
代謝物をその培養体から単離するのに常用される、分離方法を適正に用いること
ができる。例えば、式(IX)の線状ペプチドは、メタノール抽出できる両性物質
であって、好都合には、下記の手順で回収する。
【0213】 すなわち、液体発酵によって得られた培養ブロスを、適切な溶媒で抽出して、
企図された産物を回収する。目的の化合物を培養されたブロスから抽出するのに
用い得る溶媒は、水溶性有機溶媒、又は水溶性有機溶媒の水溶液、例えばメタノ
ール、エタノール、水性アルコール、n−BuOHのような水混和性有機溶媒を
包含する。
【0214】 得られた抽出物から塩類、水溶性物質等々を除去するには、水と水混和性有機
溶媒、例えばn−ブタノール、酢酸エチル等々との間の溶媒分配を用いるのが好
都合である。抽出物から着色物質、脂溶性物質などを除去するには、メタノール
、エタノール、アセトニトリル−0.1%水性トリフルオロ酢酸の混合物等々に
よる溶媒精製を実施するのが好都合である。
【0215】 式(IX)の線状ペプチドを完全に精製するには、カラムクロマトグラフィーを
用いるのが好都合である。そのようなカラムクロマトグラフィーに用い得る担体
は、Capcel Pak C18 UG80(資生堂株式会社)のようなものである。溶離液とし
ては、水性トリフルオロ酢酸と、メタノール、エタノール、アセトニトリル等々
のような、適切な水溶性有機溶媒との混合物よりなる溶媒系を用いる。こうして
精製された溶出液画分は、式(IX)の線状ペプチドを含有していて、濃縮又は凍
結乾燥に付して、式(IX)の線状ペプチドを微粉化する。
【0216】 式(IX)の線状ペプチドは、トリフルオロ酢酸塩として単離したが、式(IX)
の遊離線状ペプチドは、下記の手順によって製造することができる。すなわち、
式(IX)の線状ペプチドのトリフルオロ酢酸塩を、水に溶解し、これに、1当量
の水酸化ナトリウムを加え、混合物を、セファデックスLH−20のカラムクロ
マトグラフィーに付した後、水性アルコール、例えばメタノール−水等々で溶出
させて、それによって、式(IX)の線状ペプチドを得る。
【0217】 本発明が提供する式(IX)の線状ペプチドは、様々な真菌に対してはいかなる
殺真菌活性も示さないが、アエロトリシンのような強力な抗真菌剤を製造するた
めの重要な中間体となることができる。
【0218】 本発明は、アエロトリシンの酸付加塩にも関する。該酸付加塩は、単離の正常
な過程の後に、トリフルオロ酢酸塩として得ることができる。こうして得られた
塩は、水に溶解し、望みの陰イオンを有する陰イオン交換カラムを通過させてよ
い。望みの塩を含有する溶出液は、濃縮して、塩を固体生成物として回収してよ
い。
【0219】 式(I)のアエロトリシンは、第三級窒素原子の存在の力で、対応する塩へと
変換してよい。
【0220】 式(I)のアエロトリシンの酸付加塩は、少なくとも化学量論量の適切な酸、
例えば、鉱酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、及び有機酸
、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸
、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、
ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸、サリチル酸などによる、アエロトリシンの遊離塩基の処理によって得
ることができる。代表的には、遊離塩基は、エタノール、メタノールなどのよう
な不活性有機溶媒に溶解し、類似の溶媒中で酸付加する。温度は、約40℃に保
つ。得られた塩は、自発的に沈澱するか、又はより低い極性の溶媒で溶液にさせ
てよい。
【0221】 式(I)のアエロトリシンの酸付加塩は、少なくとも化学量論量の、水酸化ナ
トリウム又はカリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニアなどのよ
うな適切な塩基で処理することによって、対応する遊離塩基に変換してよい。
【0222】 本発明が提供するアエロトリシンは、様々な真菌に対して幅広い殺真菌活性を
示し、真菌感染症の治療及び予防のための薬剤として用いることができる。式(
I)の代表的なアエロトリシンのin vitro及びin vivo抗真菌活性(表2及び3
を参照されたい)、並びに肝細胞に対する毒性を、下記に示す:
【0223】 1.in vitro抗真菌活性 本研究の代表的なアエロトリシンのin vitro抗真菌活性を、50%阻害濃度(
IC50)を決定することによって評価したが、これは、分光測光によって、真菌
の増殖を薬物を含まない対照の増殖と比較して、20%の濁度まで阻害するため
の抗真菌剤の最低濃度として算出した。
【0224】 IC50値は、下記の僅かな変更を加えたNCCLS認可規格(臨床的研究室規
格のための米国国家委員会(1997)、酵母に対するブロス希釈抗真菌剤感受
性試験のための基準方法、認可規格、文書第M27-A号)に基づき、ブロス微量希
釈手順によって決定した。1%グルコース及び0.25%K2HPO2を補強したY
east Nitrogen Base(YNB;Difco Lab.)を、酵母用試験培地として用い、0
.2%低融点アガロース(BRL)で固化した同じ培地を、糸状真菌に用いた。
接種量は、1〜3×104細胞/mlであり、インキュベーションは、35℃で1
〜2日間実施した。
【0225】
【表7】
【0226】 2.In vivo抗真菌有効性 本発明のアエロトリシンのin vivo抗真菌有効性を、下記の表3に示す。慣用
の免疫適格マウス系統であるCrj:CD−1(ICR)系マウスを、全身性カ
ンジダ症の実験的感染モデルに用いた。4週齢のCrj:CD−1(ICR)系
マウスを、1個体あたり分生子5×106個のカンジダ・アルビカンスCandida a
lbicansを尾静脈から注射することによって全身性カンジダ症に用いた。投与は
、第1日に2回(感染後0、4時間)、その後2日間は毎日1回静脈内に(i.v.
)実施して、全身性カンジダ症を発症させた(b.i.d.×1日、その後q.d.×2日
)。14日目の各用量での生存数から、50%有効用量(ED50)値を算出した
【0227】
【表8】
【0228】 3.in vitro肝毒性試験 マウス肝細胞を、コラゲナーゼ消化によって単離し、微量試験プレートで培養
した。肝細胞の単細胞層を、培養系内で試験アエロトリシンと1日間接触させた
。培養期間の後、肝細胞を顕微鏡下で観察し、形態学的に評価した。試験アエロ
トリシンによる肝細胞の形態学的変化(変性)の程度を、WF11243及びL
Y303366と比較した。
【0229】
【表9】
【0230】 5mg/kg及び30mg/kgのアエロトリシン1の、マウスに対する4週間の投与は
、急性毒性を全く示さなかった。
【0231】 上記により、式(I)の新規アエロトリシンはもとより、薬学的に許容され得
るその塩も、マウスにおいて、アスペルギルス症を包含する様々な真菌感染に対
して強力な抗真菌活性を、広範囲の用量にわたって示し、抗真菌剤として有用で
ある。その上、本発明が提供するアエロトリシンは、肝細胞に対し、公知の環状
ペプチド誘導体(WF11243及びLY303366)よりはるかに弱い細胞
毒性を示す。
【0232】 本発明のアエロトリシンは、免疫低下の患者におけるニューモシスティス・カ
リニPneumocystis cariniiの感染を阻害又は緩和するのにも有用である。
【0233】 本発明は、更に、式(I)の新規アエロトリシン、及び薬学的に許容され得る
その塩を含有する医薬組成物に関する。
【0234】 式(I)の新規アエロトリシン、及び薬学的に許容され得るその塩は、極めて
活性な抗真菌剤である。それらは、Candida spp., Aspergillus spp., Fusarium
spp., Mucor spp.及びAbsidia spp. を包含する、様々な真菌種に対して活性を
有する。
【0235】 したがって、本発明のアエロトリシンは、動物はもとより、ヒトの真菌症の局
所的及び全身的治療に役立つ。例えば、それらは、Candida spp., Trichophyton
spp. 及びMicrosporum spp.によって生じる局所性及び粘膜性真菌感染を治療す
るのに役立つ。例えば Candida spp., Aspergillus spp., 又はFusarium spp.に
よって生じる全身性真菌感染の治療にも用いてよい。
【0236】 臨床的用途には、式(I)の新規アエロトリシン及び薬学的に許容され得るそ
の塩は、単独で投与することができるが、一般的には、特定の用途、及び望みの
目的に適切であるように、賦形剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、コーティング材料
、乳化剤、懸濁化剤、溶剤、安定剤、吸収強化剤及び/又は軟膏基剤を混合する
ことによって配合された、医薬混合物として投与される。該混合物は、経口、注
射用、経鼻、経直腸又は局所投与に用いることができる。
【0237】 経口投与のためのアエロトリシンの医薬配合物は、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプ
セル剤、丸剤、懸濁剤又はエマルションであってよい。例えば静脈内、筋内、又
は皮下の、非経口注射のためには、式(I)のアエロトリシンを、溶液を等張に
するためのその他の物質、例えば塩類又はグルコースを含有してよい、無菌水溶
液の形態で用いてよい。これらの組成物は、好ましくは防腐剤を加えた、アンプ
ルでの単位剤型、又は複数投与量容器中に存在してもよい。これに代えて、活性
成分は、投与の前に適切な担体で再構成するための粉末形態であってもよい。ア
エロトリシンは、坐薬又はペッサリーの形態で投与することもでき、又はローシ
ョン剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤又はダスティングパウダーの形態で、局所的
に適用してもよい。
【0238】 式(I)のアエロトリシンの1日当たりの投与量は、経口又は非経口いずれか
の経路によって投与するときは、0.1〜50mg/kg(分割用量として)である
。したがって、アエロトリシンの錠剤又はカプセル剤は、適切である限りで、一
時に1回、又は2回若しくはそれ以上の投与のために、活性化合物5mg〜0.5
gを含有することを期待することができる。いずれにしても、実際の投与量は、
医師が決定することができ、個々の患者の年齢、体重及び応答に応じて変化し得
る。
【0239】 アエロトリシンが抗真菌剤として使用されるときは、いかなる投与方法を用い
てもよい。真菌感染の治療には、経口又は静脈内投与を用いるのを常とする。
【0240】 ニューモシスティス感染の制御にアエロトリシンを用いようとするときは、肺
及び気管支に直接投与するのが望ましい。そのためには、吸入法が好適である。
吸入又は経鼻での投与には、本発明のアエロトリシンを、好都合には、加圧パッ
ク又はネビュライザーからのエアゾルスプレーの形態で送達する。吸入又は経鼻
の好適な送達系は、計量された用量の吸入エアゾルであって、適切な噴射剤、例
えばフルオロカーボン又は炭化水素中の、式(I)の化合物の粉末、懸濁液又は
溶液として配合してよい。
【0241】 本発明のアエロトリシンは、錠剤、カプセル剤、局所用組成物、吸入用粉末、
坐剤などとして用いてよいが、本発明のアエロトリシンの水及び水性媒体中の溶
解度のため、注射用配合物、及びエアゾルスプレーに適した液体組成物での用途
に適合している。
【0242】 下記の実施例は、本発明のアエロトリシンの好適な製造法を例示するが、本発
明の対象範囲をそれらに限定するものではない。
【0243】 下記の実施例中、生成物は、下記に列挙したものから選ばれる逆相カラムを用
いたHPLCによって、分析かつ精製した。混合溶媒は、各実施例に記載された
適切な比率での、0.05%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢
酸−アセトニトリルで構成した。
【0244】 HPLCカラム: カラムA: CAPCELL PAK C18, UG-120、4.6×250mm カラムB: CAPCELL PAK C18, UG-120、10×250mm カラムC: CAPCELL PAK C18, UG-80、20×250mm カラムD: CAPCELL PAK C18, SG-120、4.6×250mm カラムE: CAPCELL PAK C18, SG-120、10×250mm カラムF: TSK GEL ODS-80Ts、20×250mm
【0245】 次の実施例においてアエロトリシンは、他に指示がない限りトリフルオロ酢酸塩
として得た。
【0246】 参考実施例1 (R)−3−(9−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ)−5−(4′−ヘ
プチルオキシビフェニル−4−イル)−ペンタン酸の調製
【0247】 a)4−ブロモ−4′−ヘプチルオキシビフェニルの調製
【0248】 DMF(100ml)中の4−ブロモ−4′−ヒドロキシビフェニル(5.05
g、20.2mmol)の攪拌した溶液に、K2CO3(4.20g、30.4mmol)
および1−ブロモヘプタン(4.14ml、26.4mmol)を添加し、その後混合
物を80℃に加熱した。80℃で20時間攪拌した後、混合物を室温に冷却した
。混合物をEt2O(250ml)で希釈し、その後溶液を飽和ブライン(150m
l)で2回洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥して、真空下で濃縮した。
CH2Cl2−石油エーテルから残渣を再結晶化して、4−ブロモ−4′−ヘプチ
ルオキシビフェニル(6.21g、88%)を白色固体として与えた;FAB−
MS:m/z347〔MH+〕。
【0249】 b)4−ホルミル−4′−ヘプチルオキシビフェニルの調製 THF(120ml)中の4−ブロモ−4′−ヘプチルオキシビフェニル(6.
21g、17.9mmol)の低温(0℃)の攪拌した溶液に、n−BuLi(ヘキ
サン中の1.66M溶液を32.3ml、53.6mmol)を添加した。混合物を0
℃で20分間攪拌した後、DMF(4.85ml、62.6mmol)を−78℃で添
加した。混合物を−78℃でさらに20分間攪拌し、その後飽和水性NH4Cl
で反応停止させた。混合物をEtOAc(220ml)で希釈し、その後飽和水性
NH4Cl(125ml)および飽和ブライン(100ml)で順次洗浄した。有機
相を無水Na2SO4で乾燥して、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラム
クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:20)で精製して、4−ホル
ミル−4′−ヘプチルオキシビフェニル(2.21g、42%)を白色非晶質粉
末として得た。
【0250】 c)3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)アクリル酸エチルエス
テルの調製 ベンゼン(40ml)中の4−ホルミル−4′−ヘプチルオキシビフェニル(2
.21g、7.46mmol)の攪拌した溶液に、Ph3P=CHCOOEt(5.
19g、14.9mmol)を添加し、その後混合物を60℃に加熱した。60℃で
3時間攪拌した後、混合物を室温に冷却して真空下で濃縮した。残渣をシリカゲ
ルのカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/ヘキサン、1:2)で精製して、
3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)アクリル酸エチルエステル
(2.66g、97%)を白色非晶質粉末として得た。
【0251】 FAB-MS: m/z 367〔MH+〕, 1 H NMR: δ 0.90 (t, J=6.8Hz, 3H), 1.25-1.55 (m, 8H), 1.35 (t, J=7.1Hz, 3
H), 1.81 (quint, J=6.6Hz, 2H), 4.00 (t, J=6.4Hz, 2H), 4.28 (q, J=7.1Hz,
2H), 6.46 (d, J=16.0Hz, 1H), 6.94-7.00 (m, 2H), 7.50-7.60 (m, 6H), 7.72
(d, J=16.0Hz, 1H).
【0252】 d)3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)プロピオン酸エチルエ
ステルの調製 CH2Cl2(60ml)中の3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル
)アクリル酸エチルエステル(2.65g、7.23mmol)の攪拌した溶液に、
パラジウム−活性炭(Pdが約10重量%、1.07g)を添加し、その後混合
物を水素雰囲気下に置いた。2時間攪拌した後、混合物をセライトのパッドで濾
過し、CH2Cl2で洗浄した。濾液および洗液を混合して真空下で濃縮し、3−
(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)プロピオン酸エチルエステル(
粗製、2.74g)を得、さらに精製せずに次の段階で使用した。
【0253】1 H NMR:δ 0.90 (t, J=6.6Hz, 3H), 1.25 (t, J=7.3Hz, 3H), 1.29-1.56 (m, 8H
), 1.75-1.86 (m, 2H), 2.65 (t, J=7.8Hz, 2H), 2.98 (t, J=7.8Hz, 2H), 3.99
(t, J=6.6Hz, 2H), 4.14 (q, J=7.3Hz, 2H), 6.93-6.98 (m, 2H), 7.25 (d, J=
8.6Hz, 2H), 7.43-7.52 (m, 4H).
【0254】 e)3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)プロパン−1−オール
の調製 THF(20ml)中のLiAlH4(0.47g、12.4mmol)の低温(0
℃)の攪拌した懸濁液に、THF(30ml)中の3−(4′−ヘプチルオキシビ
フェニル−4−イル)プロピオン酸エチルエステル(粗製、2.74g)の溶液
を添加した。室温で30分間攪拌した後、混合物を0℃のH2Oで反応停止させ
た。混合物をセライトのパッドで濾過して、CH2Cl2で洗浄した。濾液および
洗液を混合して、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフ
ィー(EtOAc/ヘキサン、2:3)で精製して、3−(4′−ヘプチルオキ
シ−ビフェニル−4−イル)プロパン−1−オール(2.27g、2段階で96
%)を白色非晶質粉末として得た。
【0255】 EI-MS: m/z 326〔M+〕, 1 H NMR: δ 0.90 (t, J=6.8Hz, 3H), 1.21-1.55 (m, 8H), 1.81 (quint, J=6.6H
z, 2H), 1.86-2.00 (m, 2H), 2.75 (t, J=7.3Hz, 2H), 3.71 (t, J=6.6Hz, 2H),
3.99 (t, J=6.6Hz, 2H), 6.92-7.00 (m, 2H), 7.25 (d, J=7.9Hz, 2H), 7.44-7
.55 (m, 4H).
【0256】 f)3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)プロピオンアルデヒド
の調製 CH2Cl2(60ml)中の3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル
)プロパン−1−オール(2.26g、6.92mmol)の低温(0℃)の攪拌し
た溶液に、分子ふるい4A粉末(5.17g)およびPCC(5.25g、24
.4mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後、Et2O(20ml)を混合物
に添加した。反応混合物をショートシリカゲルカラムに移して、CH2Cl2で溶
出した。溶出液を真空下で濃縮して、3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−
4−イル)プロピオンアルデヒド(粗製、2.45g)を得、さらに精製せずに
次の段階で使用した。
【0257】 g)3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)ペント−2−エン酸te
rt−ブチルエステルの調製 ベンゼン(150ml)中の3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル
)プロピオンアルデヒド(粗製、2.45g)の攪拌した溶液に、Ph3P=C
HCOOt−Bu(5.21g、13.8mmol)を添加し、その後混合物を60
℃に加熱した。60℃で30分間攪拌した後、混合物を室温に冷却して真空下で
濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサ
ン、1:30)で精製して、3−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル
)ペント−2−エン酸tert−ブチルエステル(1.95g、2段階で67%)を
白色非晶質粉末として与えた。
【0258】 EI-MS: m/z 422〔M+〕, 1 H NMR: δ 0.90 (t, J=6.6Hz, 3H), 1.21-1.51 (m, 8H), 1.49 (s, 9H), 1.74-
1.87 (m, 2H), 2.47-2.58 (m, 2H), 2.79 (t, J=7.3Hz, 2H), 3.99 (t, J=6.6Hz
, 2H), 5.81 (d.t., J=1.5Hz, 15.5Hz, 1H), 6.87-7.01 (m, 3H), 7.23 (d, J=7
.9Hz, 2H), 7.44-7.53 (m, 4H).
【0259】 h)(R)−3−〔ベンジル((R)−1−フェニルエチル)アミノ〕−5−(
4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)ペンタン酸tert−ブチルエステル
の調製 THF(40ml)中の(R)−N−ベンジル−1−フェニルエチルアミン塩酸
塩(3.28g、13.2mmol)の低温(0℃)の攪拌した懸濁液に、n−Bu
Li(ヘキサン中の1.61M溶液を15.0ml、24.2mmol)を添加した。
混合物を0℃で25分間攪拌した後、THF(30ml)中の3−(4′−ヘプチ
ルオキシビフェニル−4−イル)ペント−2−エン酸tert−ブチルエステル(1
.94g、4.38mmol)の溶液を−78℃で添加した。混合物を−78℃でさ
らに20分間攪拌した後、反応混合物を飽和水性NH4Clで反応停止させて、
真空下で濃縮した。残渣を飽和水性NH4Cl(200ml)で希釈し、その後C
2Cl2(200ml)で2回抽出した。混合した抽出物を無水Na2SO4で乾燥
して、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(Et
OAc/ヘキサン、1:40)で精製して、(R)−3−〔ベンジル((R)−
1−フェニルエチル)アミノ〕−5−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−
イル)ペンタン酸tert−ブチルエステル(2.83g、定量(quant.))を無色
油状物として与えた。
【0260】 EI-MS: m/z 633〔M+〕, 1 H NMR: δ 0.91 (t, J=6.6Hz, 3H), 1.24-1.55 (m, 13H), 1.38 (s, 9H), 1.57
-2.04 (m, 6H), 2.52-2.69 (m, 1H), 2.97-3.1O (m, 1H), 3.37-3.49 (m, 1H),
3.55 (ABq, J=15.0 Hz, 1H), 3.85 (ABq, J=15.0Hz, 1H), 3.88 (q, J=6.9Hz, 1
H), 4.00 (t, J=6.6Hz, 1H), 6.96 (d, J=8.6Hz, 2H), 7.16 (d, J=8.2Hz, 2H),
7.21-7.53 (m, 16H).
【0261】 i)(R)−3−アミノ−5−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)
ペンタン酸tert−ブチルエステルの調製 EtOAc(50ml)中の(R)−3−〔ベンジル((R)−1−フェニルエ
チル)アミノ〕−5−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)ペンタン
酸tert−ブチルエステル(2.82g、4.45mmol)の攪拌した溶液に、Ac
OH(2.5ml)およびPd(OH)2−炭素(Pd(OH)2が約20重量%、1
.07g)を添加して、その後混合物をH2雰囲気下に置いた。15時間攪拌し
た後、混合物をセライトのパッドで濾過して、MeOHで洗浄した。濾液および
洗液を混合して真空下で濃縮し、(R)−3−アミノ−5−(4′−ヘプチルオ
キシビフェニル−4−イル)ペンタン酸tert−ブチルエステル(粗製、3.14
g)を得、さらに精製せずに次の段階で使用した。
【0262】 j)(R)−3−(9−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ)−5−(4′
−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)ペンタン酸tert−ブチルエステルの調
製 50%水性1,4−ジオキサン(40ml)中の(R)−3−アミノ−5−(4
′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)ペンタン酸tert−ブチルエステル(
粗製、3.14g)の攪拌した懸濁液に、Na2CO3(1.19g、11.2mm
ol)およびFmocCl(1.28g、4.95mmol)を添加した。1時間攪拌
した後、混合物を飽和ブライン(100ml)で希釈して、CH2Cl2(100ml
)で3回抽出した。混合した抽出物を無水Na2SO4で乾燥して真空下で濃縮し
、(R)−3−(9−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ)−5−(4′−
ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)ペンタン酸tert−ブチルエステルを得(
粗製、3.34g)、さらに精製せずに次の段階で使用した。
【0263】 FAB-MS: m/z 668〔M++Li〕, 1 H NMR: δ 0.81 (t, J=6.6Hz, 3H), 1.15-1.44 (m, 8H), 1.35 (s, 9H), 1.62-
1.93 (m, 4H), 2.29-2.68 (m, 4H), 3.84-4.02 (m, 1H), 3.88 (t, J=6.6Hz, 2H
), 4.13 (t, J=6.8Hz, 1H), 4.25-4.41 (m, 2H), 5.27 (d, J=9.2Hz, 1H), 6.85
(d, J=8.6Hz, 2H), 7.06-7.42 (m, 10H), 7.51 (d, J=7.3Hz, 2H), 7.66 (d, J
=7.6Hz, 2H).
【0264】 k)(R)−3−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニルアミノ)−5−(
4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)ペンタン酸の調製 CH2Cl2(20ml)中の(R)−3−(9−フルオレニルメトキシカルボニ
ル−アミノ)−5−(4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)ペンタン酸
tert−ブチルエステル(粗製、3.34g)の攪拌した溶液に、TFA(20ml
)を滴下した。室温で1時間攪拌した後、混合物を真空下で濃縮した。残渣をシ
リカゲルのカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2、1:20)で精
製して、(R)−3−(9−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ)−5−(
4′−ヘプチルオキシビフェニル−4−イル)ペンタン酸(2.07g、3段階
で77%)を白色非晶質粉末として与えた。
【0265】 FAB-MS: m/z 606〔MH+〕, 1 H NMR: δ 0.88 (t, J=6.6Hz, 3H), 1.21-1.51 (m, 8H), 1.64-2.04 (m, 2H),
1.78 (q, J=6.6Hz, 2H), 2.27-2.78 (m, 4H), 3.91-4.07 (m, 1H), 3.96 (t, J=
6.6Hz, 2H), 4.20 (t, J=6.6Hz, 1H), 4.34-4.56 (m, 2H), 5.09-5.28 (m, 1H),
6.92 (d, J=8.9Hz, 2H), 7.10-7.49 (m, 10H), 7.57 (d, J=7.3Hz, 2H), 7.73
(d, J=7.3Hz, 2H).
【0266】 工程Bで用いられた式(IV)(式中、Yは単結合または−CH2−)の出発
化合物は、上述のものと同様の方法に従って調製した。
【0267】 参考実施例2 (S)−3−(9H−フルオレニルメトキシカルボニルアミノ)−N−ウンデシ
ルスクシンアミド酸の調製 a)N,N−ジメチルホルムアミド(0.2ml)中の、(S)−2−(9H−
フルオレン−9−イルメトキシカルボニル−アミノ)コハク酸(150mg、0.
36mmol)、BOP試薬(162mg、0.36mmol)、およびHOBT水和物(
56mg、0.36mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(64
μl、0.36mmol)を添加した。室温で30分間攪拌した後、1−アミノウン
デカン(79μl、0.37mmol)を添加した。混合物を室温で3時間攪拌した
。反応混合物を水で希釈して、Et2Oで抽出した。混合した抽出物を水で洗浄
して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(溶離剤としてn−ヘキサン:酢酸エチル=3:1を用いた)によ
る残渣の精製により、(S)−3−(9H−フルオレン―9−イルメトキシカル
ボニルアミノ)−N−ウンデシルスクシンアミド酸tert−ブチルエステル(16
9mg、収率82%)を無色非晶質固体として与えた。
【0268】 FAB-MS (m/z): 565〔MH+〕, 1 H-NMR(CDCl3) δ: 0.88 (3H, t, J=7Hz), 1.24 (16H, m), 1.45 (11H, m), 2.5
8 (1H, dd, J1=17Hz, J2=7Hz), 2.91 (1H, dd, J1=17Hz, J2=4Hz), 3.23 (2H, q
, J=7Hz), 4.22 (1H, t, J=7Hz), 4.42〜4.45 (3H, m), 5.94 (1H, broad d, J=
8Hz), 6.43 (1H, broad s), 7.31 (2H, t, J=7Hz), 7.41 (2H, t, J=7Hz), 7.58
(2H, d, J=7Hz), 7.77 (2H, d, J=7Hz).
【0269】 b)TFA(2ml)中の(S)−3−(9H−フルオレン―9−イルメトキシカ
ルボニルアミノ)−N−ウンデシルスクシンアミド酸tert−ブチルエステル(1
13mg、0.2mmol)の溶液を、室温で30分間攪拌した。反応の終了後、TF
Aを真空下での蒸発により除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶
離剤としてジクロロメタン:メタノール=9:1を用いた)による残渣の精製に
より、(S)−3−(9H−フルオレン―9−イルメトキシカルボニルアミノ)
−N−ウンデシルスクシンアミド酸(101mg、収率99%)を無色非晶質固体
として与えた。
【0270】 FAB-MS (m/z): 507〔MH+〕, 1 H-NMR(CDCl3) δ: 0.87 (3H, t, J=7Hz), 1.23 (16H, m), 1.46 (2H, m), 2.62
〜2.80 (1H, m), 2.90〜3.05 (1H, m), 3.21 (2H, m), 4.20 (1H, t, J=7Hz), 4
.44 (2H, d, J=6Hz), 4.53 (1H, broad s), 5.98 (1H, m), 6.52 (1H, broad s)
, 7.30 (2H, t, J=7Hz), 7.40 (2H, t, J=7Hz), 7.56 (2H, d, J=7Hz), 7.76 (2
H, d, J=7Hz).
【0271】 工程Bで用いられた一般式(IV)(式中、Yは−CONH−または−CON
(CH3)−)の出発化合物は、上述の方法に従って調製した。
【0272】 参考実施例3 N−Boc−アエロトリシン3(化合物A)の調製 MeOH(1500ml)中のアエロトリシン3(10.0g、6.07mmol)
の溶液に、トリエチルアミン(2.54ml、18.2mmol)、ジ−tert−ブチル
ジカルボネート(13.9ml、60.7mmol)を順次添加した。混合物を室温で
18時間攪拌した後、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をMeOH(約10ml)
に溶解して、溶液をジエチルエーテル(1500ml)に添加した。得られた沈殿
を濾過してジエチルエーテルで洗浄し、N−Boc−アエロトリシン3(化合物
A、9.9g)を薄黄色非晶質固体として得、さらに精製せずに以下の作業実施
例での更なる構造修飾に使用した。
【0273】 実施例4 アエロトリシン1、2、および3の調製 a)固体発酵 10容量%グリセロール溶液中の不完全菌類 Deuteromycotina NR7379
(FERM BP−6391)の凍結した培養液の一部0.1mlを解凍して、2
%グルコース、1%バレイショデンプン、1.5%グリセロール、1%焼き大豆
粉末(toast soya)(Nissin Seiyu)、0.35%酵母抽出物(Nippon Seiyaku
)、0.25%ポリペプトン(Nihon Seiyaku)、0.3%NaCl、0.5%
CaCO3、0.005%ZnSO4・7H2O、0.0005%CuSO4・5H 2 O、および0.0005%MnSO4・4H2Oからなる培地100mlを含有す
る500ml容三角フラスコに接種した。培地のpHは調整しなかった。種培養液を
220rpmのロータリーシェーカーにて27℃で7日間インキュベートした。種
培養液2mlを、押麦200g、酵母抽出物0.12g(Difco)、酒石酸ナトリ
ウム0.06g、KH2PO40.06g、および水120mlからなる固体培地を
含有する3L容三角フラスコに移した。静的条件下、27℃で発酵を実施した。
発酵の約240時間目に生成が最大量に達し、培養液をアエロトリシン1、2、
および3の単離手順に供した。 得られた培養固体(10kg)にメタノール(40L)を添加して、混合物を攪
拌した後、濾過による除去でメタノール抽出物(39L)を得た。こうして得ら
れたメタノール抽出物を減圧下で濃縮乾固し、残渣(64.8g)に酢酸エチル
(1L)および水(1L)を添加した。さらに混合物を攪拌した後、酢酸エチル
層を除去した。 その上、水層を同様に酢酸エチル(1L)で2回洗浄した。残った水層をn−
ブタノール(1L)で3回抽出した。こうして得られた抽出物を混合して減圧下
で濃縮乾固し、残渣(28.5g)をアセトニトリル−0.1%水性トリフルオ
ロ酢酸(1:1)の混合物(250ml)に溶解した。遠心分離で不溶性物質を除
去した後、こうして得られた溶液を減圧下で蒸発乾固して、残渣にメタノール(
300ml)を添加し、混合物を攪拌した後、濾過により除去してメタノール溶液
(280ml)を得た。こうして得られたメタノール可溶性物質(9.3g)を、
その後逆相シリカゲルC18(1L)のカラムクロマトグラフィーに供した。メ
タノール−0.1%水性トリフルオロ酢酸(2:8、4:6、5:5、6:4、
7:3、および8:2)の混合物を用いて、カラムを段階的に溶出した。アエロ
トリシン1、2、および3をメタノール−0.1%水性トリフルオロ酢酸(7:
3)でこの順序に溶出させ、真空下で濃縮乾固して、白色粉末状のアエロトリシ
ン3トリフルオロ酢酸塩(731mg)およびアエロトリシン1トリフルオロ酢酸
塩(747mg)をそれぞれ得た。アエロトリシン2を含有する画分を減圧下で濃
縮して、以下の条件下のHPLCでさらに精製した:カラム: Capcell Pak C
18(内径30×250mm、Shiseido Co., LTD.);移動相:アセトニトリル−
0.1%水性トリフルオロ酢酸(45:55);流速:40ml/分;検出:UV
220nm。上記条件下で得られた適当な溶出液を真空下で濃縮乾固して、白色粉
末状のアエロトリシン2のトリフルオロ酢酸塩(42mg)を得た。
【0274】 b)フラスコ発酵 10容量%グリセロール溶液中のDeuteromycotinaNR7379(FERM
BP−6391)の凍結した培養液の一部2mlを解凍して、1%グルコース、1
%えん麦粉、4%トマトペースト、0.5%コーンスティープリカー、(Ando K
asei)、0.001%FeSO4・7H2O、0.001%MnSO4・4H2O、
0.0001%CaCl2、0.0002%ZnSO4・7H2O、0.0000
2%(NH4)6MoO2・4H2O、および0.00006%H3BO3からなる
培地100mlを含有する500ml容三角フラスコに接種した。滅菌前に培地のpH
を6.8に調整した。種培養液を220rpmのロータリーシェーカーにて27℃
で3日間インキュベートした。最初の種培養液2mlを、同様の培地100mlを含
有する500ml容三角フラスコに移し、ロータリーシェーカーにて同条件下で3
日間インキュベートした。第二の種培養液2mlを、8.5%グリセロール、1%
カンキツ由来ペクチン、0.4%ピーナッツ粉、0.4%ミルクカゼイン(ビタ
ミン不含)、0.4%トマトペースト、0.4%コーンスティープリカー(Ando
Kasei)、0.2%グリシン、および0.2%KH2PO4からなる培地100ml
を含有する500ml容三角フラスコに接種した。滅菌前に培地のpHを7.0に調
整した。220rpmで攪拌しながら、27℃で発酵を実施した。10日間培養し
た後に生成が最大量に達し、全ての培養液をアエロトリシン1、2、および3の
単離手順に供した。
【0275】 c)ジャー発酵 10容量%グリセロール溶液中のDeuteromycotina NR7379(FERM
BP−6391)の凍結した培養液の一部2mlを解凍して、上述のものと同様の
種培地100mlを含有する500ml容三角フラスコに接種した。フラスコを27
℃で3日間220rpmで振とうした。最初の種培養液2mlを同様の種培地100m
lを含有する500ml容三角フラスコに移し、ロータリーシェーカーにて同条件
下で3日間インキュベートした。第二の種培養液600mlを、上述のものと同様
の生成培地30リットル、および0.4%ディスフォーム(0.4% disfoam)(Nis
san Disfoam CA-123)を含有する50リットル容ジャーファーメンタに接種した
。30リットル/分での通気および400rpmでの攪拌を行いながら、27℃で
発酵を実施した。発酵の約168時間後に生成が最大量に達し、全ての培養液を
アエロトリシン1、2、および3の単離工程に供した。
【0276】 アエロトリシン1 1)外観: 白色固体 2)分子量(FAB−MS法): m/z1547(M+H)+ 3)分子式: C721181423 4)高分解能質量分析((M+H)+として): 実測値:1547.8568 計算値(C721191423として):1547.8572 5)UVスペクトル(図1):メタノール中: λ(ε)max(メタノール中):225±5(10600sh)、270±5(
2000)、278±5(2100) λ(ε)max(N/10NaOH−MeOH中):240±5(7700)、2
68±5(1800)、298±5(1800) 6)IRスペクトル(KBr)(図2): 主な吸収波数(cm-1)は以下の通り: 3379、2927、2855、1740、1660、1535、1453、1
203、1139、837 7)1H−NMRスペクトル(図3): CD3OD中で400MHz 8)13C−NMRスペクトル(図4): CD3OD中で100MHz 9)溶解度: 水、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶 10)呈色反応: 陽性:ニンヒドリン、アニスアルデヒド−硫酸、ヨウ素蒸気、バニリン−硫酸、
リュードン−スミス試薬(Rydon-Smith reagent)、モリブドリン酸 陰性:サカグチ試薬(Sakaguchi reagent)、ブロモクレゾールグリーン、2,
4−ジニトロフェニルヒドラジン−硫酸 11)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体 溶媒 Rfシリカケ゛ル F254*1 n-BuOH: アセトン: AcOH:H2O (4:5:1:1) 0.74 MeOH:H2O(95:5) 0.12*1 E. Merck AG., Germany 12)高速液体クロマトグラフィー: 担体:Capcell Pak C18gelS120A、4.6×250mm(Shiseido, Co.,
LTD) 移動相:アセトニトリル:0.05%水性トリフルオロ酢酸=1:1 流速:1ml/分 Rt=12.1±0.5 13)アミノ酸分析: アエロトリシン1を6NHCl中で120℃で24時間加熱した後、アミノ酸
分析に供して、トレオニン、3単位のアロトレオニン、グリシン、アラニン、バ
リン、チロシン、オルニチン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリ
ン、3−ヒドロキシグルタミンを検出した。
【0277】 アエロトリシン2 1)外観: 白色固体 2)分子量(FAB−MS法): m/z1549(M+H)+ 3)分子式: C711161424 4)高分解能質量分析((M+H)+として): 実測値:1549.8384 計算値(C711171424として):1549.8365 5)UVスペクトル(図5):メタノール中: λ(ε)max(MeOH中):225±5(10200sh)、275±5(1
900)、278±5(2000) λ(ε)max(N/10NaOH−MeOH中):240±5(7700)、2
93±5(2000) 6)IRスペクトル(KBr)(図6): 主な吸収波数(cm-1)は以下の通り: 3323、2928、2856、1740、1670、1531、1450、1
203、1137、837 7)1H−NMRスペクトル(図7): CD3OD中で400MHz 8)13C−NMRスペクトル(図8): CD3OD中で100MHz 9)溶解度: 水、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶 10)呈色反応: 陽性:ニンヒドリン、アニスアルデヒド−硫酸、ヨウ素蒸気、バニリン−硫酸、
リュードン−スミス試薬、モリブドリン酸 陰性:サカグチ試薬、ブロモクレゾールグリーン、2,4−ジニトロフェニルヒ
ドラジン−硫酸 11)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体 溶媒 Rfシリカケ゛ル F254*1 n-BuOH: アセトン: AcOH: H2O (4:5:1:1) 0.29 MeOH: H2O(95:5) 0.15*1 E. Merck AG., Germany 12)高速液体クロマトグラフィー: 担体:Capcell PakC18gel S120A、4.6×250mm(Shiseido, Co.,
LTD.製) 移動相:アセトニトリル:0.05%水性トリフルオロ酢酸=1:1 流速:1ml/分 Rt=9.9±0.5 13)アミノ酸分析: アエロトリシン2を6NHCl中で120℃で24時間加熱した後、アミノ酸
分析に供して、トレオニン、3単位のアロトレオニン、グリシン、アラニン、バ
リン、3-hydroxytyrosml(DOPA)、オルニチン、3−ヒドロキシプロリン、
4−ヒドロキシプロリン、3−ヒドロキシグルタミンを検出した。
【0278】 アエロトリシン3 1)外観: 白色固体 2)分子量(FAB−MS法): m/z1533(M+H)+ 3)分子式: C711161423 4)UVスペクトル:メタノール中: λ(ε)max(MeOH中):225±5(11000sh)、275±5(2
000)、280±5(1900) λ(ε)max(N/10NaOH−MeOH中):243±5(7800)、2
95±5(1800) 5)IRスペクトル(KBr): 主な吸収波数(cm-1)は以下の通り: 3334、2928、2852、1742、1662、1520、1449、1
202、1136、836 6)溶解度: 水、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶 7)呈色反応: 陽性:ニンヒドリン、アニスアルデヒド−硫酸、ヨウ素蒸気、バニリン−硫酸、
リュードン−スミス試薬、モリブドリン酸 陰性:サカグチ試薬、ブロモクレゾールグリーン、2,4−ジニトロフェニルヒ
ドラジン−硫酸 8)薄層クロマトグラフィー(TLC): 担体 溶媒 Rfシリカケ゛ル F254*1 n-BuOH: アセトン: AcOH: H2O (4:5:1:1) 0.26 MeOH: H2O(95:5) 0.09*1 E. Merck AG., Germany 9)高速液体クロマトグラフィー: 担体:Capcell PakC18gel S120A、4.6×250mm(Shiseido, Co.,
LTD.製) 移動相:アセトニトリル:0.05%水性トリフルオロ酢酸=1:1 流速:1ml/分 Rt=9.1±0.5 10)アミノ酸分析: アエロトリシン3を6NHCl中で120℃で24時間加熱した後、アミノ酸
分析に供して、トレオニン、3単位のアロトレオニン、グリシン、アラニン、バ
リン、チロシン、オルニチン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリ
ン、3−ヒドロキシグルタミンを検出した。
【0279】 実施例5 化合物(IX)の調製 1)フラスコ発酵 10容量%グリセロール溶液中の Deuteromycotina NR7379(FERM
BP−6391)の凍結した培養液の一部2mlを解凍して、1%グルコース、
1%えん麦粉、4%トマトペースト、0.5%コーンスティープリカー(Ando K
asei)、0.001%FeSO4・7H2O、0.001%MnSO4・4H2O、
0.0001%CaCl2、0.0002%ZnSO4・7H2O、0.0000
2%(NH46MoO2・4H2O、および0.00006%H3BO3からなる培
地100mlを含有する500ml容三角フラスコに接種した。滅菌前に培地のpHを
6.8に調整した。種培養液を220rpmのロータリーシェーカーにて27℃で
4日間インキュベートした。種培養液2mlを、8.5%グリセロール、1%カン
キツ由来ペクチン、2%ピーナッツ粉、0.4%ミルクカゼイン(ビタミン不含
)、0.4%トマトペースト、0.4%グリシン、および0.2%KH2PO4
らなる培地100mlを含有する500ml容三角フラスコに接種した。滅菌前に培
地のpHを7.0に調整した。220rpmで攪拌しながら、27℃で発酵を実施し
た。14日間培養した後に生成が最大量に達し、全ての培養液を分離作業に供し
た。 得られた全ての培養ブロス(1.9L)にn−ブタノール(2L)を添加して
、混合物を攪拌した。こうして得られた抽出物を減圧下で濃縮乾固した。さらに
、残渣にヘキサン(500ml)およびメタノール(500ml)を添加して、こう
して得られた混合物を攪拌した後、ヘキサン層を除去した。減圧下でメタノール
を除去した後、こうして得られた残渣をヘキサンおよび酢酸エチル(1:1;2
00ml)の混合物で2回洗浄して、減圧下で乾燥した。 残渣(3.9g)に水(20ml)を添加して、混合物を攪拌した後遠心分離し
て水溶液を得た。こうして得られた溶液を、その後逆相シリカゲルC18(20
0L)のカラムクロマトグラフィーに供した。最初に、カラムを0.1%水性ト
リフルオロ酢酸で溶出し、その後メタノール−0.1%水性トリフルオロ酢酸(
1:9、3:7、5:5、6:4、7:3、および8:2)の混合物を用いて、
段階的に溶出した。メタノール−0.1%水性トリフルオロ酢酸の混合物(7:
3)で溶出された化合物(IX)を混合して、その溶液を1N水性水酸化ナトリウ
ムで中和した後、真空下で濃縮乾固した。こうして得られた残渣に水(10ml)
およびn−ブタノール(10ml)を添加して、混合物を攪拌した。こうして得ら
れた抽出物を減圧下で濃縮して、化合物(IX)(96.9mg)を白色粉末として
得た。分光分析法で化合物(IX)を得るためのさらなる精製を、次の条件下でH
PLCにより達成した:カラム:Capcell PakC18 UG80(内径20×2
50mm、Shiseido co., LTD.);移動相:0.05%トリフルオロ酢酸/アセト
ニトリル−0.05%トリフルオロ酢酸/水(38:62);流速:22.86
ml/分;検出:UV210nm。上記条件下で得られた適当な溶出液を真空下で濃
縮乾固し、白色粉末状の化合物(IX)のトリフルオロ酢酸塩を得た。
【0280】 c)ジャー発酵 10容量%グリセロール溶液中の Deuteromycotina NR7379(FERM
BP−6391)の凍結した培養液の一部2mlを解凍して、上述のものと同様
の種培地100mlを含有する500ml容三角フラスコに接種した。フラスコを2
7℃で4日間220rpmで振とうした。最初の種培養液2mlを同様の種培地10
0mlを含有する500ml容三角フラスコに移し、ロータリーシェーカーにて同条
件下で3日間インキュベートした。第二の種培養液600mlを、上述のものと同
様の生成培地30リットルおよび0.4%ディスフォーム(Nissan Disfoam C
A−123)を含有する50リットル容ジャーファーメンタに接種した。30リ
ットル/分での通気および400rpmでの攪拌を行いながら、27℃で発酵を実
施した。発酵の約278時間後に生成が最大量に達し、全ての培養液を化合物(
IX)の単離手順に供した。
【0281】 化合物(IX) 1)外観: 白色固体 2)分子量(FAB−MS法): m/z1317(M+H)+ 3)分子式: C591041221 4)高分解能質量分析((M+H)+として): 実測値:1317.7555 計算値(C591051221として):1317.7517 5)UVスペクトル:メタノール中: λ(ε)max(MeOH中):末端吸収 6)IRスペクトル(KBr)(図9): 主な吸収波数(cm-1)は以下の通り: 3450、2928、1665、1520、1450、1225、1135 7)1H−NMRスペクトル(図10): DMSO−d6中で500MHz 8)13C−NMRスペクトル(図11): DMSO−d6中で125MHz 9)溶解度: 水、メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶 10)呈色反応: 陽性:ニンヒドリン、アニスアルデヒド−硫酸、ヨウ素蒸気、バニリン−硫酸、
リュードン−スミス試薬、モリブドリン酸 陰性:サカグチ試薬、ブロモクレゾールグリーン、2,4−ジニトロフェニルヒ
ドラジン−硫酸 11)高速液体クロマトグラフィー: 担体:Capcell PakC18 UG80A、4.6×250mm(Shiseido, Co., LT
D.製) 移動相:0.05%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル:0.05%トリフルオ
ロ酢酸/水=38:62 流速:1ml/分 Rt=7.7±0.5
【0282】 実施例6 化合物(IX)のオルニチン残基のN−Boc誘導体(N(orn)−Boc−IX
)(つまり式(XII:R6=Boc)の化合物)の調製 ジオキサン−H2O(0.43ml−0.5ml)中の実施例5で得られた化合物
(IX)(10.4mg、0.0073mmol)の溶液に、トリエチルアミン(3μl
)とジオキサン中のtert−ブチルN−スクシンイミジルカルボネート(0.00
73μl、0.0073mmol)の0.1M溶液とを室温で添加した。1.5時間攪
拌した後、混合物を酢酸で酸化して減圧下で蒸発させた。HPLCによる残渣の
精製により、N(orn)−Boc−IX(4.8mg、収率45%)を無色非晶質
として得た; HPLC(Rt)18.0分(カラム:Soken−ODS、20×250mm、流
速:9ml/分、溶離剤:H2O:CH3CN=グラジエント1%酢酸);FAB−
MS〔M+Na〕+1440。
【0283】 実施例7 化合物(IX)のバリン残基のN−Boc誘導体(N(val)−Boc−IX)(
つまり式(X:R7=Boc)の化合物)の調製 MeOH中(3ml)の、実施例5で得られた化合物(IX)(15.0mg、0.
0105mol)、ジ−tert−ブチル−ジカルボネート(0.073Mメタノール溶
液、0.20ml、0.015mmol)、およびトリエチルアミン(7.8μl)の
混合物を、0℃で24時間攪拌した。混合物をn−ヘキサンで洗浄して、減圧下
で蒸発させた。逆相HPLCによる残渣の精製により、N(val)−Boc−
IX(1.0mg、収率6%)を無色非晶質として得た; HPLC(Rt)16.0分(カラム:Soken−ODS、20×250mm、流
速:9ml/分、溶離剤:H2O:CH3CN=グラジエント1%酢酸);FAB−
MS〔M+H〕+1418。
【0284】 実施例8 アエロトリシン33の調製 DMF(0.5ml)中の(R)−3−(9−フルオレニルメトキシカルボニル
アミノ)−7−(4−ペンチルオキシフェニル)ヘプタン酸(25.5mg、0.
048mmol)の攪拌した溶液に、BOP試薬(21.3mg、0.048mmol)、
HOBT水和物(7.5mg、0.049mmol)、およびN,N−ジイソプロピル
エチルアミン(0.0095ml、0.055mmol)を添加した。混合物を室温で
1時間攪拌した後、DMF(0.6ml)中の、化合物B〔WO96/30399
に記載の手順に従ってアエロトリシン1または3から調製される式(III)(式
中、R2およびR3は水素であり、R5はカルバモイル基であり、R7はtert−ブト
キシカルボニルである)の線状ペプチド〕(50.7mg、0.036mmol)およ
びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.0095ml、0.055mmol)の
溶液を、反応混合物に添加した。混合物を室温で2.5時間攪拌した後、ピペリ
ジン(0.20ml)を添加して、混合物を室温でさらに2時間攪拌した。溶媒を
真空下で蒸発させた。残渣を分取逆相HPLC(カラムC、流速:9ml/分、グ
ラジエント:溶離剤:1%AcOH−H2O:1%AcOH−CH3CN=80:
20→2:98)により精製した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、線
状ペプチドC(環化の前駆体)(49.5mg)を白色非晶質固体として得た。 DMF(27ml)中の上記綿状ペプチドC(49.5mg、0.029mmol)の
攪拌した溶液に、HOBT水和物(11.3mg、0.074mmol)、N,N−ジ
イソプロピルエチルアミン(0.018ml、0.105mmol)、およびDMF(
4ml)中のBOP試薬(33.1mg、0.075mmol)の溶液を添加した。混合
物を室温で3時間攪拌した後、溶媒を真空下で蒸発させた。 上述のように得られた残渣をTFA(6ml)に溶解して、0℃で30分間攪拌
した。その後TFAを真空下で蒸発させた。残渣を分取逆相HPLC(詳細な条
件は以下に示す)で精製した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、アエロ
トリシン33(19.4mg)を白色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)12.4分(カラムC、流速:9ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=61
:39);FAB−MS(m/z):1568〔MH+〕。 以下のアエロトリシン34〜38、40〜53、64〜73、89〜95、9
7〜99、および123は、式(IV)で表される対応する構成単位を用いて、
この実施例8での記載と同様の方法に従って調製した。
【0285】
【表10】
【0286】 実施例9 アエロトリシン16の調製 (a)ピリジン(2.5ml)中の化合物A(参考実施例3に記載、1g、0.
61mmol)の攪拌した溶液に、テトラニトロメタン(0.365ml、3.05mm
ol)を添加した。室温で4時間攪拌した後、反応混合物を真空下で濃縮した。暗
褐色の残渣を、逆相HPLC(Lobar RP18、10ml/分、0.05%トリフルオ
ロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=50:50→33
:66、0.05%TFA)で精製した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥し
て、化合物Aの粗製ニトロ誘導体(711mg)を薄黄色非晶質固体として得た。 (b)上述のように得られた粗生成物(12mg、0.0071mmol)およびT
FA(0.5ml)の混合物を、0℃で30分間攪拌した。TFAを乾燥窒素気流
下で蒸発させた。黄色の残渣を分取逆相HPLCで精製した。適当な分画を混合
、凍結、凍結乾燥して、アエロトリシン16のTFA塩(8mg)を薄黄色非晶質
固体として得た。 HPLC(Rt)15.5分(カラムB、流速:4ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=55
:45);FAB−MS(m/z):1578〔MH+〕。 以下のアエロトリシン39、54、55、および77は、出発物質として実施
例8で得られたアエロトリシンを用い、実施例9での記載と同様の方法に従って
調製した。
【0287】
【表11】
【0288】 実施例10 アエロトリシン17の調製 (a)MeOH(5ml)中の、実施例9(a)で得られた化合物Aの粗製ニト
ロ誘導体(55mg、0.033mmol)の溶液に、10%パラジウム−木炭(20
mg)を添加して、反応器に水素を充填した。室温で13.5時間攪拌した後、混
合物をメンブランフィルター(孔径:0.2μm)で濾過し、溶媒を蒸発させて
、アエロトリシン3の粗製アミノ誘導体(52mg)を褐色非晶質物として得、さ
らに精製せずに次の段階で使用した。 (b)上述のように得られた化合物A(参考実施例3に記載)の粗製アミノ誘
導体(3.4mg、0.0021mmol)およびTFA(0.2ml)の混合物を、0
℃で30分間攪拌した。TFAを乾燥窒素気流下で蒸発させた。褐色の残渣を分
取逆相HPLCで精製した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、アエロト
リシン17(1.3mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)12.8分(カラムA、流速:1ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=59
:41);FAB−MS(m/z):1548〔MH+〕。 以下のアエロトリシン29、56、および78は、出発物質として実施例9で
得られたアエロトリシンを用い、実施例10での記載と同様の方法に従って調製
した。
【0289】
【表12】
【0290】 実施例11 アエロトリシン18の調製 (a)メタノール(0.05ml)およびピリジン(0.025ml)中の実施例
10(a)で得られた化合物Aの粗製アミノ誘導体の溶液に、Boc−Gly−
OH(18mg、0.10mmol)、WSCI(30mg、0.15mmol)、およびH
OBT水和物(24mg、0.15mmol)を順次添加した。混合物を室温で15時
間攪拌した後、溶媒を乾燥窒素気流で除去した。 (b)上述のように得られた粗製の残渣をTFA(0.1ml)に溶解して、0
℃で30分間攪拌した。TFAを乾燥窒素気流で除去した。残渣を分取逆相HP
LCで精製した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、アエロトリシン18
(0.54mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)8.9分(カラムB、流速:4ml/分、溶離剤:0.05%
トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=57:
43);FAB−MS(m/z):1605〔MH+〕。 以下のアエロトリシン19〜23、30、57〜62、79および81は、対
応するアシル化剤および出発物質として実施例10で得られたアエロトリシンを
用い、実施例11での記載と同様の方法に従って調製した。
【0291】
【表13】
【0292】 実施例12 アエロトリシン12の調製 MeOH(1.0ml)中の、アエロトリシン5(7.5mg、0.0048mmol
)、37%ホルマリン(150μl)、および酢酸(50μl)の溶液に、MeO
H(100μl)中のナトリウムシアノボロヒドリド(7.5mg、0.119mmo
l)を室温で添加し、混合物を室温で7時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ
た後残渣をn−ブタノールに溶解して、希塩酸および水で順次洗浄した。有機層
を真空下で蒸発させた。残渣を分取逆相HPLC(詳細な条件は以下に示す)で
精製した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、アエロトリシン12(5.
4mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)7.1分(カラムB、流速:4ml/分、溶離剤:0.05%
トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=50:
50);FAB−MS(m/z):1575〔MH+〕。 以下のアエロトリシン13、25、30、および75は、実施例12での記載
と同様の方法に従って調製した。
【0293】
【表14】
【0294】 実施例13 アエロトリシン111の調製 (a)MeOH(45ml)中の、アエロトリシン3(500mg、0.326mm
ol)、(2−オキソエチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル*(1.66
g、10.4mmol)、および酢酸(5ml)の溶液に、MeOH(5ml)中のナト
リウムシアノボロヒドリド(410mg、6.52mmol)を室温で添加した。混合
物を室温で18時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、残渣をn−ブタノ
ールに溶解して、希塩酸および水で順次洗浄した。有機層を真空下で蒸発させた
。 粗製の残渣をさらに精製せずに次の段階で使用した。 *CAS番号89711−08−0 (b)TFA(20ml)中の上述のように得られた粗製の残渣の溶液を、0℃
で30分間攪拌した。TFAを真空下で蒸発させた。残渣を分取逆相HPLC(
詳細な条件は以下に示す)で精製した。適当な画分を混合し、凍結し、凍結乾燥
して、アエロトリシン111(253mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)18.6分(カラムF、流速:10ml/分、溶離剤:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=5
7:43);FAB−MS(m/z):1619〔M+H〕+。 以下のアエロトリシン100、112、114、および115は、実施例13
での記載と同様の方法に従って調製した。
【0295】
【表15】
【0296】 実施例14 アエロトリシン120の調製 MeOH(10ml)中の、アエロトリシン3(500mg、0.326mmol)、
およびトリエチルアミン(682μl、4.89mmol)の混合物に、アクリロニ
トリル(214μl、3.27mmol)を室温で添加した。混合物を室温で20時
間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させた後、残渣をn−ブタノールに溶解して、
希塩酸および水で順次洗浄した。有機層を真空下で蒸発させた。粗製の残渣を分
取逆相HPLC(詳細な条件は以下に示す)で精製した。適当な画分を混合、凍
結、凍結乾燥して、アエロトリシン120(207mg)を無色非晶質固体として
得た。 HPLC(Rt)27.5分(カラムF、流速:10ml/分、溶離剤:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=5
3:47);FAB−MS(m/z):1586〔M+H〕+
【0297】 実施例15 アエロトリシン113の調製 MeOH(5ml)中のアエロトリシン120(100mg、0.063mmol)の
混合物に、10%パラジウム−木炭(20mg)を添加して、反応器に水素を充填
した。室温で20時間攪拌した後、混合物をメンブランフィルター(孔径:0.
2μm)で濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。粗製の残渣を分取逆相HPLC
(詳細な条件は以下に示す)で精製した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥し
て、アエロトリシン113(87.2mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)23.0分(カラムF、流速:10ml/分、移動相:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=5
7:43);FAB−MS(m/z):1590〔M+H〕+。 アエロトリシン129を、実施例14〜15での記載と同様の方法に従って調
製した後、オルニチン残基のBoc基をトリフルオロ酢酸で除去した。この場合
の出発物質は、実施例16と同様の工程で得られたアエロトリシン106の(D
)−オルニチン部分のNδ−Boc誘導体であった。
【0298】
【表16】
【0299】 実施例16 アエロトリシン14の調製 CH3CN(10ml)中の、N−Boc−サルコシン(123mg、0.65mmo
l)、WSC・HCl(240mg、1.25mmol)、およびDMAP(150mg
、1.23mmol)の溶液に、CH3OH(3ml)中のアエロトリシン3(100m
g、0.065mmol)の溶液を添加した。混合物を室温で15時間攪拌し、その
後真空下で濃縮した。残渣をn−BuOH(10ml)に溶解して、H2O(5ml
、1NHClでpH3〜4に調整したもの)で2回洗浄した。n−BuOH層を真
空下で濃縮して、残渣を0℃でTFA(5ml)に溶解した。溶液を室温で1時間
攪拌した後、TFAを真空下で蒸発させた。残渣を分取逆相HPLCで精製して
、アエロトリシン14(40.8mg、収率39%)を白色非晶質粉末として得た
。 HPLC(Rt)23.1分(カラムC、流速:9ml/分、0.05%トリフ
ルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=60:40)
;FAB−MS(m/z):1605〔MH+〕。 以下のアエロトリシン15、21、26〜29、101〜107、109、1
10、118、130、および131は、構成単位として対応する酸を用い、実
施例16での記載と同様の方法に従って調製した。
【0300】
【表17】
【0301】 実施例17 アエロトリシン74の調製 MeOH(1ml)中の、アエロトリシン66(20mg、0.012mmol)、3
,5−ジメチルピラゾール−1−カルボキシアミジン硝酸塩(13mg、0.06
4mmol)、およびトリエチルアミン(18ml、0.13mmol)の混合物を、室温
で15時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、粗製の残渣を分取逆相HPLC(詳
細な条件は以下に示す)で精製した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、
アエロトリシン74(10.2mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)21.2分(カラムC、流速:9ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=54
:46);FAB−MS(m/z):1645〔MH+〕。 以下のアエロトリシン4および116は、それぞれ出発物質としてアエロトリ
シン3および111を用い、実施例17での記載と同様の方法に従って調製した
【0302】
【表18】
【0303】 実施例18 アエロトリシン5の調製 (a)DMF(1ml)中の、参考実施例3で得られた化合物A(10mg、0.
0061mmol)および炭酸カリウム(10mg、0.072mmol)の溶液に、ヨウ
化メチル(8μl、0.129mmol)を室温で添加し、混合物を室温で43時間
攪拌した。混合物をセライト・パッドで濾過して、濾液を真空下で蒸発させた。
残渣をn−ブタノールに溶解して、希塩酸および水で順次洗浄した。有機層を真
空下で蒸発させた。粗製の残渣をさらに精製せずに次の段階で使用した。 (b)TFA(1.0ml)中の、上述のように得られた粗製の残渣の溶液を、
0℃で30分間攪拌した。TFAを真空下で蒸発させた。残渣を分取逆相HPL
C(詳細な条件は以下に示す)で精製した。適当な画分を混合し、凍結し、凍結
乾燥して、アエロトリシン5(3.8mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)14.5分(カラムB、流速:4ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=55
:45);FAB−MS(m/z):1547〔MH+〕。 以下のアエロトリシン6〜10および76は、対応するアルキル化剤を用い、
実施例18での記載と同様の方法に従って調製した。
【0304】
【表19】
【0305】 実施例19 アエロトリシン24の調製 (a)メタノール(2ml)中の、参考実施例3で得られた化合物A(100mg
)、ヨウ化ナトリウム(29.5mg、0.197mmol)、および次亜塩素酸ナト
リウム溶液(250μl)の低温混合物を、0℃で2時間攪拌した。反応混合物
を飽和水性チオ硫酸ナトリウムで反応停止させ、1NHClで酸性化して、n−
ブタノールで抽出した。混合した有機抽出物を真空下で蒸発させた。この時点で
は、出発物質はまだ残存した。ヨウ素化反応を終了させるために、同様の実験手
順を反復した。同様に処理した後、残渣を分取HPLCで精製して、化合物Aの
ヨウ素化誘導体(54mg、収率50%)を無色固体として得た。 (b)アセトニトリル(250μl)およびN,N−ジメチルホルムアミド(
750μl)中の、上述のように得られた化合物Aのヨウ素化誘導体(23.8m
g)、アクリル酸メチル(16μl)、トリエチルアミン(40μl)、および酢
酸パラジウム(2.1mg)の混合物を、70℃で28時間加熱した。得られた混
合物をC−18ショートカラムに通し、残渣をトリフルオロ酢酸(1ml)で0℃
で1時間処理した。得られた混合物を真空下で蒸発させた。分取逆相HPLCに
よる残渣の精製により、アエロトリシン24(8.8mg、収率40%)を無色固
体として得た。 HPLC(Rt)86.3分(カラムF、流速:9ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=58
:42);FAB−MS(m/z):1617〔MH+〕。
【0306】 実施例20 アエロトリシン96の調製 脱気したジメチルスルホキシド(2ml)中の、実施例19(a)で得られた化
合物Aのヨウ素化誘導体(30mg)、酢酸カリウム(6.9mg)、およびテトラ
キス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.6mg)の混合物を、一酸化炭
素雰囲気下、60℃で20時間加熱した。得られた混合物をC−18逆相ショー
トカラムに通し、残渣をトリフルオロ酢酸で0℃で1時間処理した。得られた混
合物を減圧下で蒸発させた。分取逆相HPLCによる残渣の精製により、アエロ
トリシン96(2.3mg、収率8%)を無色固体として得た。 HPLC(Rt)23.2分(カラムF、流速:10ml/分、溶離剤:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=5
2.2:47.8);FAB−MS(m/z):1677〔MH+〕。
【0307】 実施例21 アエロトリシン32の調製 (a)アセトニトリル(3ml)中の、参考実施例3で得られた化合物A(20
mg)および(メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウム水酸
化物(26.5mg、0.108mmol)の混合物を、室温で8時間攪拌した。反応
混合物を1NHClで酸性化して、真空下で蒸発させた。残渣をn−ブタノール
で抽出して、抽出物を真空下で蒸発させた。 (b)粗生成物をトリフルオロ酢酸で0℃で1時間処理した。TFAを真空下
で蒸発させた。分取逆相HPLCによる残渣の精製により、アエロトリシン32
(2.0mg、収率10%)を無色固体として得た。 HPLC(Rt)42.9分(カラムB、流速:4ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=55
:45);FAB−MS(m/z):1516〔MH+〕。
【0308】 実施例22 アエロトリシン31の調製 (a)テトラヒドロフラン(5ml)中の参考実施例3で得られた化合物A(2
5.7mg)の低温溶液に、ボラン−ジメチルスルフィド錯体(25ml)を−10
℃で添加した。−10℃で5時間攪拌した後、反応混合物を2NHClで反応停
止させて、n−ブタノールで抽出した。混合した抽出物を真空下で蒸発させた。 (b)粗生成物をトリフルオロ酢酸で0℃で1時間処理した。THFを減圧下
で蒸発させた。分取逆相HPLCによる残渣の精製により、アエロトリシン31
(3.7mg、収率15%)を無色固体として得た。 HPLC(Rt)25.1分(カラムB、流速:4ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=62
:38);FAB−MS(m/z):1519〔MH+〕。
【0309】 実施例23 アエロトリシン121の調製 DMF(1ml)中のアエロトリシン3(50mg)およびトリエチルアミン(0
.025ml)の溶液に、ヨウ化メチル(0.010ml)を添加した。室温で16
時間攪拌した後、混合物にトリエチルアミン(0.025ml)およびヨウ化メチ
ル(0.05ml)をさらに添加して、室温で24時間攪拌した。混合物のLCM
S分析で、所望の化合物への変換率が>90%であることが示された。溶媒を窒
素気流で除去して、残渣を分取逆相HPLC(詳細な条件は以下に示す)で精製
した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、アエロトリシン121(23mg
)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)20.5分(カラムB、流速:4ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=52
:48);FAB−MS(m/z):1576〔M+〕。
【0310】 実施例24 アエロトリシン122の調製 ピリジン(1ml)中のアエロトリシン3(50mg)の溶液に、三酸化硫黄−N
,N−ジメチルホルムアミド錯体(23mg)を添加した。室温で2時間攪拌した
後、溶媒を乾燥窒素気流で除去した。 TFA(1ml)中の上述のように得られた粗製の残渣の溶液を、0℃で30分
間攪拌した。TFAを乾燥窒素気流で除去して、残渣を分取逆相HPLC(詳細
な条件は以下に示す)で精製した。純粋な画分を混合し、凍結して、凍結乾燥し
て、アエロトリシン122(5mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)24.6分(カラムF、流速:10ml/分、溶離剤:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=5
2:48);FAB−MS(m/z):1613〔MH+〕。
【0311】 実施例25 アエロトリシン63の調製 (a)DMF(10ml)中のNα−Fmoc−Nβ−Boc−(S)−2,3
−ジアミノプロピオン酸(343mg、0.80mmol)の攪拌した溶液に、BOP
試薬(355mg、0.80mmol)、HOBT水和物(124mg、0.81mmol)
、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.174ml、1.00mmol)
を添加した。混合物を室温で1.5時間攪拌した後、DMF(9.5ml)中の、
アエロトリシン3(1.10g、0.67mmol)およびN,N−ジイソプロピル
エチルアミン(0.174ml、1.00mmol)の溶液を、混合物に添加した。室
温でさらに1時間攪拌した後、混合物を真空下で濃縮した。 (b)DMF(20ml)中の上述のように得られた残渣の攪拌した溶液に、ピ
ぺリジン−4−カルボン酸ポリアミン樹脂(200〜400メッシュ)、HL(
1.50mmol/g、2.66g)を添加して、反応混合物に超音波音を6時間照
射した。樹脂をセライト・パッドで濾過して除去し、MeOHで洗浄して、混合
した濾液および洗液を凍結、凍結乾燥して、アエロトリシン3の粗製誘導体(1
.08g)を白色非晶質固体として得、さらに精製せずに次の段階で利用した。 (c)MeOH中(1ml)中の、上述のように得られたアエロトリシン3の粗
製誘導体(25.6mg、0.015mmol)の攪拌した溶液に、(2−オキソ−エ
チル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(粗製、207mg)、AcOH(0.
1ml)、およびNaBH3CN(19.1mg)を添加した。混合物を室温で2時
間攪拌した後、反応混合物を真空下で濃縮した。残渣をn−BuOH(4ml)で
希釈して、H2O(1ml、0.1NHClでpH3〜4に調整したもの)で2回洗浄
した。n−BuOH層を真空下で濃縮した。粗製の残渣をさらに精製せずに次の
段階で使用した。 (d)TFA(2ml)中の上述のように得られた粗製の残渣の溶液を、0℃で
2時間攪拌した。TFAを真空下で蒸発して、残渣を分取逆相HPLC(詳細な
条件は以下に示す)で精製した。純粋な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、アエ
ロトリシン63(8.8mg)を白色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)24.8分(カラムF、流速:9ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=54
:36);FAB−MS(m/z):1706〔MH+〕。
【0312】 実施例26 アエロトリシン127の調製 アエロトリシン127は、Nα−Fmoc−Nδ−Boc−(D)−オルニチ
ンを使用し、アエロトリシン63での記載と同様の方法により調製した。アエロ
トリシン127は、白色非晶質固体として得られた。 HPLC(Rt)23.9分(カラムF、流速:9ml/分、溶離剤:0.05
%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=54
:36);FAB−MS(m/z):1734〔MH+〕。
【0313】 実施例27 アエロトリシン124の調製 (a)DMF(2ml)中のBoc−D−Orn(Boc)−OH(46mg、0
.138mmol)の攪拌した溶液に、BOP試薬(62mg、0.14mmol)、HO
BT水和物(22mg、0.144mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチル
アミン(24μl、0.138mmol)を添加した。室温で30分間攪拌した後、
DMF(2ml)中のアエロトリシン120(100mg、0.063mmol)および
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(24μl、0.138mmol)の溶液を、
反応混合物に添加した。室温で18時間攪拌した後、溶媒を真空下で蒸発させた
。 残渣をTFA(4ml)に溶解して、溶液を0℃で30分間攪拌した。TFAを
乾燥窒素気流で除去した後、残渣を分取逆相HPLC(詳細な条件は以下に示す
)で精製した。純粋な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、ニトリル誘導体(48
.6mg)を白色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)20.2分(カラムF、流速:10ml/分、溶離剤:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=5
7:43);FAB−MS(m/z):1700〔M+H〕+。 (b)ジオキサン(1ml)および水(1ml)中の上述のように得られたニトリ
ル誘導体(48.6mg、0.0286mmol)の混合物に、10%パラジウム−木
炭(10mg)を添加し、混合物を水素雰囲気下、室温で14時間攪拌した。その
後、混合物をメンブランフィルター(孔径:0.2μm)で濾過し、溶媒を真空
下で蒸発させた。粗製の残渣を分取逆相HPLC(詳細な条件は以下に示す)で
精製した。純粋な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、アエロトリシン124(2
6.5mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)18.2分(カラムF、流速:10ml/分、溶離剤:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=6
0:40);FAB−MS(m/z):1704〔M+H〕+
【0314】 実施例28 アエロトリシン125の調製 (a)DMF(1ml)およびトリエチルアミン(0.126ml)中のアエロト
リシン3のモノTFA塩(天然生成物:50mg)の溶液に、2−ブロモ−5−ニ
トロピリジン(185mg)を添加した。室温で25時間攪拌した後、溶媒を乾燥
窒素気流で除去した。残渣を分取逆相HPLCで精製した。適当な画分を混合、
凍結、凍結乾燥して、アエロトリシン3の5−ニトロピリド−2−イル誘導体(
25mg)を淡黄色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)29.9分(カラムF、流速:10ml/分、溶離剤:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=4
7:53);FAB−MS(m/z):1655〔M+H〕+。 (b)上述のように得られたアエロトリシン3の5−ニトロピリド−2−イル
誘導体(10mg)を、ジオキサン−H2O(1ml−5ml)に溶解した。5%パラ
ジウム−木炭(20mg)を添加し、反応器に水素を充填した。室温で3時間攪拌
した後、メンブランフィルター(孔径:0.2μm)による濾過および溶媒の蒸
発により粗生成物(14mg)を得、分取逆相HPLCにより精製した(詳細な条
件は以下に示す)。純粋な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、アエロトリシン1
25(2.5mg)を無色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)18.7分(カラムF、流速:10ml/分、溶離剤:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=5
2:48);FAB−MS(m/z):1625〔M+H〕+
【0315】 実施例29 アエロトリシン128の調製 (a)DMF(10ml)中のFmoc−D−Orn(Boc)−OH(389
mg、0.86mmol)の攪拌した溶液に、BOP試薬(378mg、0.85mmol)
、HOBT水和物(131mg、0.86mmol)、およびN,N−ジイソプロピル
エチルアミン(171μl、0.98mmol)を添加した。混合物を室温で40分
間攪拌した後、DMF(10ml)中のアエロトリシン3(1.08g、0.66m
mol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(171μl、0.98mmol)
の溶液を、混合物に添加した。室温で2.5時間攪拌した後、ピペリジン(4ml
)を添加して、混合物を室温でさらに1時間攪拌した。混合物を真空下で濃縮し
た。残渣をn−BuOH(50ml)で希釈して、H2O(25ml、1NHClでpH
3に調整したもの)で2回洗浄した。n−BuOH層を真空下で濃縮した。 (b)DMF(1ml)中のBoc−D−Orn(Boc)−OH(9.6mg、
0.029mmol)の攪拌した溶液に、BOP試薬(13.3mg、0.030mmol
)、HOBT水和物(4.6mg、0.030mmol)、およびN,N−ジイソプロ
ピルエチルアミン(4.8μl、0.028mmol)を添加した。混合物を室温で
30分間攪拌した後、DMF(1ml)中の、上述のように得られた粗製の残渣(
31.9mg)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.8μl、0.0
28mmol)の溶液を、混合物に添加した。室温で4時間攪拌した後、反応混合物
を真空下で濃縮した。 (c)上述のように得られた粗製の残渣をTFA(1.5ml)に溶解して、0℃
で1時間攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮して、残渣を分取逆相HPLCで
精製した。適当な画分を混合、凍結、凍結乾燥して、アエロトリシン128(1
6.6mg)を白色非晶質固体として得た。 HPLC(Rt)27.23分(カラムF、流速:9ml/分、溶離剤:0.0
5%トリフルオロ酢酸−水:0.05%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル=5
5:35);FAB−MS(m/z):1762〔MH+〕。
【0316】 実施例30 化合物(IX)からのアエロトリシン106の調製 (a)DMF(0.5ml)中の、Fmoc−Tyr(But)(21mg、0.
0457mmol)、HOBt一水和物(6.6mg、0.0431mmol)、BOP試
薬(18.8mg、0.0424mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(D
IEA、20μl)の混合物を、室温で1時間攪拌し、その後DMF(1ml)中
の実施例6で得られたN(orn)−Boc−IX(19.3mg、0.0131mm
ol)およびDIEA(10μl)の混合物に添加した。室温で3時間攪拌した後
、得られた混合物をピペリジン(0.375ml)で1時間処理し、その後真空下
で濃縮した。残渣をジクロロメタンおよびジエチルエーテルで洗浄して、試薬を
除去した。残渣をHPLCにより精製して、所望の線状ペプチドA(16.6mg
)を白色固体として得た。 HPLC(Rt)19分(カラム:Soken−ODS/20×250mm、流速:
9ml/分、溶離剤:H2O:CH3CN=グラジエント、1%AcOH) (b)DMF(0.5ml)中の、Fmoc−D−Ala一水和物(1.2mg、0
.034mmol)、HOBt一水和物(4.7mg、0.031mmol)、BOP試薬
(13.6mg、0.031mmol)、およびDIEA(8μl)の混合物を、室温
で1時間攪拌し、その後DMF(1ml)中の上述のように得られた線状ペプチド
A(16.6mg、0.0098mmol)およびDIEA(6μl)の混合物に添加
した。反応混合物を室温で攪拌して、出発物質がほとんど消費されるまでその活
性化エステルを添加した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残渣をジクロロ
メタンおよびジエチルエーテルで洗浄して、試薬を除去した。粗生成物をトリフ
ルオロ酢酸で0℃で1時間処理した。混合物を減圧下で濃縮した。残渣をHPL
Cで精製して、所望の線状ペプチドB(6.1mg)を白色固体として得た。 HPLC(Rt)19分(カラム:Soken−ODS/20×250mm、流速:
9ml/分、溶離剤:H2O:CH3CN=グラジエント、1%AcOH) (c)DMF(0.5ml)中の、Boc−D−Orn(But)(5.7mg、
0.017mmol)、HOBt一水和物(2.3mg、0.015mmol)、BOP試
薬(5.4mg、0.012mmol)、およびDIEA(6μl)の混合物を、室温
で1時間攪拌し、その後DMF(1ml)中の、線状ペプチドB(6.1mg、0.
0033mmol)およびDIEA(3μl)の混合物に添加した。室温で2時間攪
拌した後、得られた混合物をピペリジン(0.375ml)で1時間処理して、真
空下で濃縮した。残渣をHPLCで精製して、線状ペプチドC(4.1mg)を白
色固体として得た。 HPLC(Rt)16.7分(カラム:Soken−ODS/20×250mm、流
速:9ml/分、溶離剤:H2O:CH3CN=グラジエント、1%AcOH) (d)線状ペプチドCを0.01N塩酸塩で酸性化して、n−ブタノールで抽
出した。ブタノール抽出物を真空下で濃縮した。抽出物をDMF(2ml)に溶解
した。その後、HOBt一水和物(DMF中0.1M、60μl)、BOP試薬(
DMF中0.1M、60μl)およびDIEA(2μl)を、混合物に添加した。
室温で1時間攪拌した後、得られた混合物を真空下で濃縮した。残渣をトリフル
オロ酢酸で0℃で1時間処理した。混合物を減圧下で濃縮した。残渣をHPLC
で精製して、アエロトリシン106(2.2mg、N(orn)−Boc−IXから
9%)を白色固体として得た。 分析データを、実施例16の表に記載した。
【0317】 実施例A 以下の成分それぞれを含有する注射液は、それ自体慣用の方法で製造した: アエロトリシン45 20mg 無水リン酸水素二ナトリウム 7.6mg 二リン酸ナトリウム二水和物 2.0mg エチルアルコール 150mg 蒸留水(脱イオン化および滅菌済み) 850mg 総量 1029.6mg
【図面の簡単な説明】
【図1】 アエロトリシン1のUVスペクトルを示す。
【図2】 アエロトリシン1のIRスペクトルを示す。
【図3】 アエロトリシン1の1H−NMRスペクトルを示す。
【図4】 アエロトリシン1の13C−NMRスペクトルを示す。
【図5】 アエロトリシン2のUVスペクトルを示す。
【図6】 アエロトリシン2のIRスペクトルを示す。
【図7】 アエロトリシン2の1H−NMRスペクトルを示す。
【図8】 アエロトリシン2の13C−NMRスペクトルを示す。
【図9】 化合物(IX)のIRスペクトルを示す。
【図10】 化合物(IX)の1H−NMRスペクトルを示す。
【図11】 化合物(IX)の13C−NMRスペクトルを示す。
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月31日(2001.1.31)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 〔式中、R1は、グアニジノ、トリ低級アルキルアンモニオ、
【化2】 であり; R10及びR11は、それぞれ独立に、水素;1又は2個のアミノで置換されたヘ
テロアリール;1個又はそれ以上のアミノ、アミノ低級アルキル、シアノ、グア
ニジノ、含窒素複素環、又はアミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフ
ェニル基で場合により置換された低級アルキルから選ばれ; R13は、天然又は非天然アミノ酸から誘導される残基であり; R14は、1個又はそれ以上のアミノ、グアニジノ、含窒素複素環、又はアミノ
、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で置換された低級アルキル
であり; R15は、水素、1個又はそれ以上のアミノ、グアニジノ、含窒素複素環、又は
アミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で場合により置換さ
れた低級アルキルであり; R2は、水素、ヒドロキシスルホニル、低級アルキル又は低級アルケニル(こ
こで、低級アルキル及び低級アルケニルは、アシル、カルバモイル、アミノ、モ
ノ低級アルキルアミノ若しくはジ低級アルキルアミノで場合により置換されてい
てよい)であり; R3は、水素、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、(低級アルキ
ルカルバモイル)アミノ、カルボキシル、低級アルコキシ、低級アルコキシカル
ボニル、低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニル(ここで、低級ア
ルキル、低級アルケニル及び低級アルキニルは、場合により、ヒドロキシル、ア
ミノ、モノ低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシカルボ
ニル若しくはカルバモイルで置換されていてもよい)であり; R4は、低級アルキル、アリール、シクロアルキル若しくはフッ素原子で場合
により置換されていてよい、アルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルケニル
オキシ基であり; R5は、−CONH2、−CN又は−CH2NH2であり; Xは、単結合、或いは1個若しくはそれ以上のヘテロ原子を場合により含み、
及び/又はハロゲン原子若しくは低級アルキルで場合により置換された、アリー
ル、ビフェニル又はテルフェニル基であり; Yは、単結合、−CH2−、−CH(低級アルキル)−、−CONH−又は−
CON(低級アルキル)−であり; Zは、−O−、−NH−又は−N(低級アルキル)−であり; mは、0〜4の整数であり;そして nは、2〜5の整数であるが; −Y−(CH2)m−X−R4が非置換アルキル又はアラルキルであるとき、同時
には、R1は、アミノではなく、R2及びR3は、水素ではなく、R5は、−CON
2ではなく、Zは、−O−又は−NH−ではない〕 で示されるアエロトリシン、及び薬学的に許容され得るその塩。
【化3】 であって、R10、R11、R13、R15及びnが、請求項1に定義されたとおりであ
る、請求項1記載のアエロトリシン。
【化4】 であって、R10、R11、R13、R15及びnが、請求項1に定義されたとおりであ
る、請求項1記載のアエロトリシン。
【化5】 であって、R10及びR15が、請求項1に定義されたとおりである、請求項1記載
のアエロトリシン。
【化6】 のうち一つである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のアエロトリシン。
【化7】 〔式中、R2、R3及びR5は、請求項1に定義されたとおりであり、R6は、アミ
ノ保護基であるが、R5が−CONH2のとき、R2又はR3は、水素以外である〕
で示される化合物、及びその塩。
【化8】 で示される化合物、及びその塩。
【化9】 〔式中、R7は、アミノ保護基である〕 で示される化合物、及びその塩。
【化10】 〔式中、R6は、アミノ保護基である〕 で示される化合物、及びその塩。
【化11】 〔式中、R2、R3及びR5は、請求項1に定義されたとおりであり、R6は、アミ
ノ保護基である〕 で示される化合物と、式(IV):
【化44】 〔式中、R7は、アミノ保護基であり、R8は、水素又は低級アルキルであり、R 4 、X、Y及びmは、請求項1に定義されたとおりである〕 で示される化合物とを縮合させた後、アミノ保護基R7を除去し、逐次環化し、
アミノ保護基R6を除去する工程;或いは (c)式(I):
【化12】 〔式中、R3は、水素原子であり、R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmは、
請求項1に定義されたとおりである〕 で示されるアエロトリシンをニトロ化する工程、或いは (d)R3がニトロ基であり、R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請
求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのニトロ基を
還元する工程、或いは (e)R3がアミノ基であり、R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請
求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのアミノ基を
アシル化した後、必要ならば、アミノ保護基を除去する工程、或いは (f)R1がアミノ基又は−N(R15)−COCH(NH2)−R13であり、R 13 、R15、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項1に定義されたと
おりである式(I)のアエロトリシンのアミノ基をシアノエチル化若しくは2,
2−ジシアノエチレン化した後、シアノ基を還元し、必要ならば、保護基を除去
する工程、或いは (g)R1がアミノ、(2−シアノエチル)アミノ又は−N(R15)−CO−
CH〔N(R10)R11〕−R13であって、R10及びR11が、それぞれ独立に、水
素又は(2−シアノエチル)アミノから選ばれ、R13、R15、R2、R3、R4
5、X、Y、Z及びmが、上記に定義されたとおりである上記の式(I)のア
エロトリシンのアミノ基を、式(V):
【化13】 〔式中、R9は、水素、1個又はそれ以上の保護されたアミノ、含窒素複素環、
若しくは保護されたアミノを含むフェニル基で更に置換されていてよい低級アル
キルである〕 で示されるアルデヒドで還元的アルキル化した後、必要ならば、アミノ保護基を
除去するか、又はシアノ基を還元する工程、或いは (h)R1がアミノ基であり、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請
求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのアミノ基を
、式(VI):
【化14】 〔式中、R12は、保護されたアミノ若しくはニトロ基で更に置換されていてよい
含窒素へテロアリールであり、Qは、クロロ若しくはブロモのようなハロゲン原
子である〕 で示される化合物でアリール化した後、必要ならば、アミノ保護基を除去するか
、又はニトロ基を還元する工程、或いは (i−1)R1がアミノであり、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、
請求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのアミノ基
をアシル化した後、必要ならば、アミノ保護基を除去する工程、或いは (i−2)R1が−N(R10)−R11〔式中、R10、及びR11は、両者とも、
アミノ基で置換された低級アルキルである〕、又は−N(R15)−CO−CH〔
N(R10)R11〕−R13〔式中、R15は、アミノ基で置換された低級アルキルで
あり;R10、R11及びR13は、請求項1に定義されたとおりであるが、R10、R 11 及びR13中に存在するアミノ基は、保護されている〕である上記の式(I)の
アエロトリシンのアミノ基をアシル化した後、アミノ保護基を除去する工程、或
いは (j)R1がアミノであり、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求
項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンを、モノN−ア
ルキル化し、続いてN−アシル化した後、必要ならば、アミノ保護基を除去する
工程、或いは、 (k)R1がアミノ基;−N(R10)−R11〔式中、R10及びR11は、それぞ
れ独立に、1個又はそれ以上のアミノ基、又はアミノ基を有するフェニル基で場
合により置換された低級アルキルから選択される〕;−N(R15)−CO−CH
〔N(R10)R11〕−R13〔式中、R10、R11及びR13は、請求項1に定義され
たとおりであり、R15は、1個又はそれ以上のアミノ基、含窒素複素環基、又は
アミノ基を有するフェニル基で場合により置換された低級アルキルである〕;又
は−NHCO−R14〔式中、R14は、1個又はそれ以上のアミノ基、含窒素複素
環基、又はアミノ基を有するフェニル基で置換された低級アルキルである〕であ
り、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項1に定義されたとおりで
ある上記の式(I)のアエロトリシンのアミノ基を、活性化されたアミジン誘導
体による処理によってグアニジノ基へと変換する工程、或いは (l)R2が水素であり、R1、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項
1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのフェノール性ヒ
ドロキシル基をO−アルキル化する工程、或いは、 (m)R2及びR3が水素であり、R1、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求
項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンをヨウ素化した
後、R3がヨードであり、R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項1
に定義されたとおりである、得られた式(I)のヨード誘導体を、パラジウム(
0)触媒でカップリングさせ、必要ならば、アミノ保護基を除去する工程、或い
は、 (n)R5が−CONH2であり、R1、R2、R3、R4、X、Y、Z及びmが、
請求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのカルバモ
イル基を脱水した後、必要ならば、アミノ保護基を除去する工程、或いは (o)R5が−CONH2又は−CNであり、R1、R2、R3、R4、X、Y、Z
及びmが、請求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシン
のカルバモイル基又はシアノ基を還元した後、必要ならば、アミノ保護基を除去
する工程、或いは (p)R2が水素であり、R1、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項
1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのチロシン残基を
ヒドロキシスルホン化した後、保護基を除去する工程、或いは (q)上記の式(IX)の線状ペプチドを、上記の式(I)のアエロトリシンへ
と、ペプチド合成によって変換した後、上記の工程(c)〜(o)から選ばれる
方法に従って修飾する工程 を含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【化16】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】
【化19】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】
【化20】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正内容】
【0082】
【化21】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0119
【補正方法】変更
【補正内容】
【0119】
【化29】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正内容】
【0121】
【化30】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0133
【補正方法】変更
【補正内容】
【0133】
【化35】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0175
【補正方法】変更
【補正内容】
【0175】
【化41】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 7/02 C07K 7/52 7/52 C12N 1/14 A C12N 1/14 C12P 21/02 A C12P 21/02 (C12N 1/14 A //(C12N 1/14 C12R 1:645) C12R 1:645) (C12P 21/02 A (C12P 21/02 C12R 1:645) C12R 1:645) A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 水口 栄作 神奈川県鎌倉市城廻690−203 (72)発明者 村田 毅 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南6−6−17−I −106 (72)発明者 大熊 廣明 東京都板橋区稲荷台3−19 (72)発明者 岡田 剛宏 神奈川県藤沢市鵠沼藤ケ谷4−17−17− 102 (72)発明者 堺谷 政弘 神奈川県茅ヶ崎市小和田3−8−12−1002 (72)発明者 新間 信夫 神奈川県茅ヶ崎市東海岸南2−11−19 (72)発明者 渡辺 公英 神奈川県鎌倉市今泉台6−26−3 (72)発明者 柳沢 美恵子 神奈川県横浜市泉区和泉町5626−2 スプ リングスプラザいずみ野206 (72)発明者 安田 有理 神奈川県茅ヶ崎市松林2−12−35 メゾン ピーチII201 Fターム(参考) 4B064 AG01 BA10 BG01 BG09 BH02 BH05 BH06 BH07 BH08 BH20 CA05 DA03 4B065 AA58X AC14 BA22 CA24 CA44 4C084 AA01 AA06 AA07 BA04 BA07 BA18 BA24 BA32 CA04 DC50 ZB35 4H045 BA15 BA16 CA15 EA29 FA71

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): 【化1】 〔式中、R1は、グアニジノ、トリ低級アルキルアンモニオ、 【化2】 であり; R10及びR11は、それぞれ独立に、水素;1又は2個のアミノで置換されたヘ
    テロアリール;1個又はそれ以上のアミノ、アミノ低級アルキル、シアノ、グア
    ニジノ、含窒素複素環、又はアミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフ
    ェニル基で場合により置換された低級アルキルから選ばれ; R13は、天然又は非天然アミノ酸から誘導される残基であり; R14は、1個又はそれ以上のアミノ、グアニジノ、含窒素複素環、又はアミノ
    、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で置換された低級アルキル
    であり; R15は、水素、1個又はそれ以上のアミノ、グアニジノ、含窒素複素環、又は
    アミノ、アミジノ若しくはグアニジノ基を有するフェニル基で場合により置換さ
    れた低級アルキルであり; R2は、水素、ヒドロキシスルホニル、低級アルキル又は低級アルケニル(こ
    こで、低級アルキル及び低級アルケニルは、アシル、カルバモイル、アミノ、モ
    ノ低級アルキルアミノ若しくはジ低級アルキルアミノで場合により置換されてい
    てよい)であり; R3は、水素、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、(低級アルキ
    ルカルバモイル)アミノ、カルボキシル、低級アルコキシ、低級アルコキシカル
    ボニル、低級アルキル、低級アルケニル、又は低級アルキニル(ここで、低級ア
    ルキル、低級アルケニル及び低級アルキニルは、場合により、ヒドロキシル、ア
    ミノ、モノ低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシカルボ
    ニル若しくはカルバモイルで置換されていてもよい)であり; R4は、低級アルキル、アリール、シクロアルキル若しくはフッ素原子で場合
    により置換されていてよい、アルキル、アルケニル、アルコキシ又はアルケニル
    オキシ基であり; R5は、−CONH2、−CN又は−CH2NH2であり; Xは、単結合、或いは1個若しくはそれ以上のヘテロ原子を場合により含み、
    及び/又はハロゲン原子若しくは低級アルキルで場合により置換された、アリー
    ル、ビフェニル又はテルフェニル基であり; Yは、単結合、−CH2−、−CH(低級アルキル)−、−CONH−又は−
    CON(低級アルキル)−であり; Zは、−O−、−NH−又は−N(低級アルキル)−であり; mは、0〜4の整数であり;そして nは、2〜5の整数であるが; −Y−(CH2)m−X−R4が非置換アルキル又はアラルキルであるとき、同時
    には、R1は、アミノではなく、R2及びR3は、水素ではなく、R5は、−CON
    2ではなく、Zは、−O−又は−NH−ではない〕 で示されるアエロトリシン、及び薬学的に許容され得るその塩。
  2. 【請求項2】 R1が、−N(R10)−R11であって、R10及びR11が、請
    求項1に定義されたとおりである、請求項1記載のアエロトリシン。
  3. 【請求項3】 R1が、−N(R15)−CO−CH〔N(R10)R11〕−R1 3 であって、R10、R11、R13及びR15が、請求項1に定義されたとおりである
    、請求項1記載のアエロトリシン。
  4. 【請求項4】 R1が、−NHCOCH(R13)−NHCOCH(NH2)−
    13であって、R13が、請求項1に定義されたとおりである、請求項1記載のア
    エロトリシン。
  5. 【請求項5】 R1が、 【化3】 であって、R10、R11、R13、R15及びnが、請求項1に定義されたとおりであ
    る、請求項1記載のアエロトリシン。
  6. 【請求項6】 R1が、 【化4】 であって、R10、R11、R13、R15及びnが、請求項1に定義されたとおりであ
    る、請求項1記載のアエロトリシン。
  7. 【請求項7】 R1が、−N(R15)−CO−R14であって、R14及びR15
    が、請求項1に定義されたとおりである、請求項1記載のアエロトリシン。
  8. 【請求項8】 R1が、 【化5】 であって、R10及びR15が、請求項1に定義されたとおりである、請求項1記載
    のアエロトリシン。
  9. 【請求項9】 R1が、アミノ又はグアニジノである、請求項1記載のアエ
    ロトリシン。
  10. 【請求項10】 R2が、水素、ヒドロキシスルホニル又は低級アルキルで
    ある、請求項1〜9のいずれか1項に記載のアエロトリシン。
  11. 【請求項11】 R3が、水素、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ又はアシル
    アミノである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアエロトリシン。
  12. 【請求項12】 R3が、(低級アルキルカルバモイル)アミノ、カルボキ
    シル、低級アルコキシ又は低級アルコキシカルボニルである、請求項1〜10の
    いずれか1項に記載のアエロトリシン。
  13. 【請求項13】 R5が、−CONH2又は−CH2NH2である、請求項1〜
    12のいずれか1項に記載のアエロトリシン。
  14. 【請求項14】 Xが、単結合、又はハロゲン原子若しくは低級アルキルで
    更に置換されていてよい下記の基: 【化6】 のうち一つである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のアエロトリシン。
  15. 【請求項15】 Xが、単結合、ハロゲン原子若しくは低級アルキルで更に
    置換されていてよい、フェニル、ビフェニル、又はナフチルである、請求項1〜
    13のいずれか1項に記載のアエロトリシン。
  16. 【請求項16】 R4が、低級アルキル、アリール、シクロアルキル若しく
    はフッ素原子で場合により置換されていてよい、アルキル又はアルコキシである
    、請求項1〜15のいずれか1項に記載のアエロトリシン。
  17. 【請求項17】 mが、0〜2の整数である、請求項1〜16のいずれか1
    項に記載のアエロトリシン。
  18. 【請求項18】 Yが、−CH(CH3)−、−CON(CH3)−、−CO
    NH−、−CH2−又は単結合である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の
    アエロトリシン。
  19. 【請求項19】 Zが、−NH−である、請求項1〜18のいずれか1項に
    記載のアエロトリシン。
  20. 【請求項20】 Zが、−O−である、請求項1〜18のいずれか1項に記
    載のアエロトリシン。
  21. 【請求項21】 アエロトリシン2、4〜32、63、96〜99、101
    〜131よりなる群から選ばれる、請求項1〜20のいずれか1項に記載のアエ
    ロトリシン。
  22. 【請求項22】 アエロトリシン14、15、21、26〜29、63、9
    8、99、及び101〜131よりなる群から選ばれる、請求項1〜20のいず
    れか1項に記載のアエロトリシン。
  23. 【請求項23】 医学治療に用いるための、請求項1〜22のいずれか1項
    に記載のアエロトリシン。
  24. 【請求項24】 式(III): 【化7】 〔式中、R2、R3及びR5は、請求項1に定義されたとおりであり、R6は、アミ
    ノ保護基であるが、R5が−CONH2のとき、R2又はR3は、水素以外である〕
    で示される化合物、及びその塩。
  25. 【請求項25】 式(IX): 【化8】 で示される化合物、及びその塩。
  26. 【請求項26】 式(X): 【化9】 〔式中、R7は、アミノ保護基である〕 で示される化合物、及びその塩。
  27. 【請求項27】 式(XII): 【化10】 〔式中、R6は、アミノ保護基である〕 で示される化合物、及びその塩。
  28. 【請求項28】 請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物、及び薬学
    的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
  29. 【請求項29】 真菌症の治療又は予防用医薬の製造のための、請求項1〜
    22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  30. 【請求項30】 DeuteromycotinaNR7379株(FERM第BP−63
    91号)の生物学的に純粋な培養体。
  31. 【請求項31】 病原性微生物によって生じる感染症の予防及び/又は治療
    処置の方法であって、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物をヒト又は
    動物に投与することを含む方法。
  32. 【請求項32】 請求項1〜22のいずれか1項に記載のアエロトリシンを
    製造する方法であって、 (a)Deuteromycotina属に属する微生物を培養し、アエロトリシン1、2、
    及び/又は請求項25に記載の式(IX)の線状ペプチドを培養ブロスから単離す
    る工程;或いは (b)式(III): 【化11】 〔式中、R2、R3及びR5は、請求項1に定義されたとおりであり、R6は、アミ
    ノ保護基である〕 で示される化合物と、式(IV): 〔式中、R7は、アミノ保護基であり、R8は、水素又は低級アルキルであり、R 4 、X、Y及びmは、請求項1に定義されたとおりである〕 で示される化合物とを縮合させた後、アミノ保護基R7を除去し、逐次環化し、
    アミノ保護基R6を除去する工程;或いは (c)式(I): 【化12】 〔式中、R3は、水素原子であり、R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmは、
    請求項1に定義されたとおりである〕 で示されるアエロトリシンをニトロ化する工程、或いは (d)R3がニトロ基であり、R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請
    求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのニトロ基を
    還元する工程、或いは (e)R3がアミノ基であり、R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請
    求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのアミノ基を
    アシル化した後、必要ならば、アミノ保護基を除去する工程、或いは (f)R1がアミノ基又は−N(R15)−COCH(NH2)−R13であり、R 13 、R15、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項1に定義されたと
    おりである式(I)のアエロトリシンのアミノ基をシアノエチル化若しくは2,
    2−ジシアノエチレン化した後、シアノ基を還元し、必要ならば、保護基を除去
    する工程、或いは (g)R1がアミノ、(2−シアノエチル)アミノ又は−N(R15)−CO−
    CH〔N(R10)R11〕−R13であって、R10及びR11が、それぞれ独立に、水
    素又は(2−シアノエチル)アミノから選ばれ、R13、R15、R2、R3、R4
    5、X、Y、Z及びmが、上記に定義されたとおりである上記の式(I)のア
    エロトリシンのアミノ基を、式(V): 【化13】 〔式中、R9は、水素、1個又はそれ以上の保護されたアミノ、含窒素複素環、
    若しくは保護されたアミノを含むフェニル基で更に置換されていてよい低級アル
    キルである〕 で示されるアルデヒドで還元的アルキル化した後、必要ならば、アミノ保護基を
    除去するか、又はシアノ基を還元する工程、或いは (h)R1がアミノ基であり、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請
    求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのアミノ基を
    、式(VI): 【化14】 〔式中、R12は、保護されたアミノ若しくはニトロ基で更に置換されていてよい
    含窒素へテロアリールであり、Qは、クロロ若しくはブロモのようなハロゲン原
    子である〕 で示される化合物でアリール化した後、必要ならば、アミノ保護基を除去するか
    、又はニトロ基を還元する工程、或いは (i−1)R1がアミノであり、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、
    請求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのアミノ基
    をアシル化した後、必要ならば、アミノ保護基を除去する工程、或いは (i−2)R1が−N(R10)−R11〔式中、R10、及びR11は、両者とも、
    アミノ基で置換された低級アルキルである〕、又は−N(R15)−CO−CH〔
    N(R10)R11〕−R13〔式中、R15は、アミノ基で置換された低級アルキルで
    あり;R10、R11及びR13は、請求項1に定義されたとおりであるが、R10、R 11 及びR13中に存在するアミノ基は、保護されている〕である上記の式(I)の
    アエロトリシンのアミノ基をアシル化した後、アミノ保護基を除去する工程、或
    いは (j)R1がアミノであり、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求
    項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンを、モノN−ア
    ルキル化し、続いてN−アシル化した後、必要ならば、アミノ保護基を除去する
    工程、或いは、 (k)R1がアミノ基;−N(R10)−R11〔式中、R10及びR11は、それぞ
    れ独立に、1個又はそれ以上のアミノ基、又はアミノ基を有するフェニル基で場
    合により置換された低級アルキルから選択される〕;−N(R15)−CO−CH
    〔N(R10)R11〕−R13〔式中、R10、R11及びR13は、請求項1に定義され
    たとおりであり、R15は、1個又はそれ以上のアミノ基、含窒素複素環基、又は
    アミノ基を有するフェニル基で場合により置換された低級アルキルである〕;又
    は−NHCO−R14〔式中、R14は、1個又はそれ以上のアミノ基、含窒素複素
    環基、又はアミノ基を有するフェニル基で置換された低級アルキルである〕であ
    り、R2、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項1に定義されたとおりで
    ある上記の式(I)のアエロトリシンのアミノ基を、活性化されたアミジン誘導
    体による処理によってグアニジノ基へと変換する工程、或いは (l)R2が水素であり、R1、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項
    1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのフェノール性ヒ
    ドロキシル基をO−アルキル化する工程、或いは、 (m)R2及びR3が水素であり、R1、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求
    項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンをヨウ素化した
    後、R3がヨードであり、R1、R2、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項1
    に定義されたとおりである、得られた式(I)のヨード誘導体を、パラジウム(
    0)触媒でカップリングさせ、必要ならば、アミノ保護基を除去する工程、或い
    は、 (n)R5が−CONH2であり、R1、R2、R3、R4、X、Y、Z及びmが、
    請求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのカルバモ
    イル基を脱水した後、必要ならば、アミノ保護基を除去する工程、或いは (o)R5が−CONH2又は−CNであり、R1、R2、R3、R4、X、Y、Z
    及びmが、請求項1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシン
    のカルバモイル基又はシアノ基を還元した後、必要ならば、アミノ保護基を除去
    する工程、或いは (p)R2が水素であり、R1、R3、R4、R5、X、Y、Z及びmが、請求項
    1に定義されたとおりである上記の式(I)のアエロトリシンのチロシン残基を
    ヒドロキシスルホン化した後、保護基を除去する工程、或いは (q)上記の式(IX)の線状ペプチドを、上記の式(I)のアエロトリシンへ
    と、ペプチド合成によって変換した後、上記の工程(c)〜(o)から選ばれる
    方法に従って修飾する工程 を含む方法。
  33. 【請求項33】 以上に記載された限りでの発明。
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