JP2002524685A - 内燃機関のための燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 内燃機関のための燃料噴射弁であって、弁本体（５）の袋孔（３）内で閉鎖力に抗して軸方向摺動可能にガイドされている弁部材（１）が設けられており、該弁部材は燃焼室側の端部に円錐状の弁シール面（７）を有しており、前記弁部材は前記弁シール面（７）で、袋孔（３）の、内側に向かって張り出して閉鎖された端部に設けられた円錐状の弁座面（９）と協働し、下流側で前記円錐状の弁座面（９）に続く袋孔領域が設けられており、この袋孔領域から噴射開口（１７）が内燃機関の燃焼室内へと導出されている。この場合、前記噴射開口（１７）を収容する袋孔壁領域（１３）が円錐状に形成されており、噴射開口（１７）が、この円錐状の袋孔壁領域（１３）の上端部（２４）及び下端部（２３）に対して所定の最低間隔を有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 先行技術 本発明は、請求項１の上位概念に記載の特徴を有する内燃機関のための燃料噴
射弁から出発している。ドイツ連邦共和国特許出願公開第４２０２７５２号明細
書により公知のこのような形式の燃料噴射弁では、弁部材が閉鎖力に抗して軸方
向摺動可能に、弁本体に設けられた袋孔内に案内されている。弁部材はこの場合
、燃焼室側の下端部に円錐状の弁シール面を有しており、弁部材はこの弁シール
面で、袋孔の、内側に向かって張り出すように閉鎖された端部に設けられた円錐
状の弁座面と協働する。この場合、弁座面と弁シール面との間には開口横断面が
形成されており、この開口横断面において、燃料高圧室から袋孔の閉じられた端
部への燃料流が制御可能である。公知の燃料噴射弁の円錐状の弁座面には下流側
で別の袋孔壁領域が続いており、この袋孔壁領域からは複数の噴射開口が、供給
したい内燃機関の燃焼室へと導出されている。

【０００２】 この場合、公知の燃料噴射弁が有する欠点は、袋孔の、弁座面に続いている壁
領域が円筒状にかつさらに所定の曲率半径を描くように形成されているので、噴
射開口の軸方向の配置が製造条件的に僅かにずれているだけで、噴射開口におい
て、流入特性、噴射開口内での流れ、流出開口における噴射噴流特性を変えてし
まうような異なる流入角度が生ぜしめられることにある。しかしながら全ての噴
射開口における噴流特性は、内燃機関の燃焼室における最適な噴流調整と燃料燃
焼に関して極めて重要な意味を有しているので、公知の燃料噴射弁では、内燃機
関内でのエミッション的に最良の噴流調整と燃焼とに関する昨今の燃料噴射弁へ
の高い要求を満たすことはもはや不可能である。

【０００３】 発明の効果 これに対して、請求項１の特徴を有する、本発明による内燃機関のための燃料
噴射弁は利点を有している。即ち、噴射開口がその位置配置に関して高い製造許
容誤差を有しているので、噴射弁の軸方向での特別な位置誤差は、噴射開口にお
ける流れ特性には差し当たり何の影響も与えない。この場合、噴射開口の軸方向
の位置許容誤差にこのように比較的無関係であることは、本発明によれば、袋孔
の、噴射開口を収容する袋孔壁領域が円錐状に形成されていることにより得られ
る。噴射開口はこの場合、流入開口で、円錐状の袋孔壁領域の上端部及び下端部
に対して所定の最小間隔を有しており、噴射開口の流入縁部の上端部と、円錐状
の袋孔壁領域の、上流側に位置する上方の制限縁部との間の間隔は、少なくとも
噴射開口の半径の寸法を有している。噴射開口の流入縁部の下端部と、円錐状の
袋孔壁領域の、下流側に位置する下方の制限縁部との間の間隔は、有利には少な
くとも噴射開口の直径の１／４である。従って、個々の噴射孔が、燃料噴射弁の
軸方向で互いに僅かにずれていたとしても、全ての噴射開口における流入角度は
常に一定に同じ値を有するので、噴射噴流は均一に形成され得ることが保証され
る。この場合有利には、弁座面と、該弁座面に下流方向で後置された袋孔壁領域
とが異なる円錐角度を有している。円錐状の袋孔壁領域と弁座面とはこの場合直
接的に互いに隣接することもできるが、選択的には実施例に示すように、これら
両面の間に円筒状の壁ウエブ領域が設けられていてもよい。この壁ウエブ面から
、噴射開口を収容する円錐状の袋孔壁領域への移行部はこの場合、有利には良好
に流れるように所定の曲率半径で丸く面取りされている。この場合、噴射開口全
てが、唯１つの円錐面における共通の噴射孔列内に配置されていてよいが、複数
の相前後する円錐面を有する円錐状の袋孔壁面が形成されてもよい。この場合は
各円錐面に１つの噴射孔列を配置することができる。この場合、噴射開口の流入
開口から円錐状の面の端部までの所定の最低間隔を新たに設定するのが望ましい
。

【０００４】 本発明による燃料噴射弁のさらなる利点は、噴射孔として形成された噴射開口
が、噴射孔の上流側で、円錐状の袋孔壁の壁面に対して鋭い角度βを成して配置
されていることにある。噴射孔の長手方向軸線と噴射孔の上流側に位置する円錐
状の袋孔壁面との間のこの傾斜角βはこの場合、常に＜９０°であるように形成
されるのが望ましい。この角度範囲により、噴射孔の流入開口の上側において燃
料流の変向・流入角度は鋭くされ、この場合燃料流には渦流が与えられ、キャビ
テーションが生ぜしめられるので、噴射孔内側に噴射噴流が形成される。この噴
射噴流の流れのプロフィールは、この噴射噴流が噴射孔の流出部でできるだけ迅
速に噴霧されるように形成されており、このことにより、内燃機関の燃焼室内で
は良好な噴流調整が行われ、続いて最良の燃料の燃焼が行われる。

【０００５】 燃料噴射弁の長手方向軸線と噴射孔の長手方向軸線との間に形成された円錐角
度Ψと、上記の流入角度βと、燃料噴射弁の長手方向軸線と円錐状の袋孔壁との
間に形成される角度αとの総和が１８０°であることを前提として、燃料噴射弁
の設計において次のようなことが可能である。即ち、噴射孔の噴射開口における
所定の流入角度βと設計された流入面とが設けられており、かつ、所望の噴流位
置により規定された円錐角度Ψが設けられている場合、噴射開口の円錐状の袋孔
壁面の円錐角度αを、噴射噴流の最適な速度プロフィールもしくは噴射開口の出
口における噴射噴流の最良の噴流特性が得られるように算出することができる。
従って公知の燃料噴射弁とは異なり、所定の円錐角度Ψでは、円錐状の袋孔壁の
円錐角度αの円錐状の設計を介して流入角度β＜９０°が調節される。このよう
にして、例えばポンプ・ライン・ノズル、ポンプ・ノズル・ユニット、コモン・
レール・システムのような最新の燃料噴射システムによる高い要求も満たすこと
ができる、全ての噴射開口のための極めて安定した流入条件が得られる。さらに
噴射孔の流入縁部が丸くされているもとのとは異なり、高い製造許容誤差も得ら
れるので、噴射開口全体において安定した燃料噴射噴流ジオメトリが得られる。

【０００６】 本発明のさらなる利点および有利な構成は、発明の明細書、図面、請求の範囲
により明らかである。

【０００７】 次に図面につき本発明の実施の形態を詳しく説明する。

【０００８】 図１に本発明において本質的な燃焼室側の部分の実施例だけを示した本発明に
よる内燃機関のための燃料噴射弁は、ピストン状の弁部材１を有しており、この
弁部材１は弁本体５に設けられた袋孔３内で軸方向摺動可能に案内されている。
弁部材１はこの場合、下方の燃焼室に近い側の端部に円錐状の弁シール面７を有
している。弁部材１はこの弁シール面７で、袋孔３の、内側に向かって張り出し
て閉鎖された端部に設けられた弁座面９と協働する。この円錐状の弁座面９には
、下流側の袋孔３の閉鎖された端部の方向で円筒状の壁ウエブ１１が続いている
。この壁ウエブ１１には、弁座面９と反対側の下流側で、円錐状に形成された別
の袋孔壁領域１３が続いている。この袋孔壁領域は袋孔３の孔基部１５に直接的
に移行している。この場合、円錐状の袋孔壁面１３から円筒状の壁ウエブ１１へ
の横断面移行部と、円錐状の袋孔壁面１３から孔基部１５への横断面移行部は曲
率半径Ｒで丸く面取りされている。さらに円錐状の袋孔壁面１３からは噴射開口
１７が導出されており、この噴射開口１７は弁本体５の周面で、供給したい内燃
機関の燃焼室へと開口している。噴射開口１７の流入開口１９はこの場合、燃料
噴射弁が閉鎖されている状態で、即ち弁部材１の弁シール面７が弁座面９に接触
している状態（図示せず）で、閉鎖ばね（図示せず）が弁部材１を弁座９に接触
するよう保持している場合に、弁部材１の弁シール面７によってシールされるよ
うにカバーされてはおらず、本発明による燃料噴射弁はいわゆる袋孔ノズル(Sac
klochduese）として形成されている。この場合、流入開口１９は、円錐状の袋孔
壁領域１３の、上流側に向けられた上方の端部と、下流側に向けられた下方の端
部とに対して所定の最低間隔を有している。流入開口１９の、上流側に向けられ
た上方に位置する制限縁部と、円錐状の袋孔壁領域１３の、上流側に位置する上
方の制限縁部２１との間の間隔は、この場合少なくとも噴射開口１７の半径の寸
法を有しているのが望ましい。噴射開口１７の流入開口１９の、下流側に向けら
れた下方の縁部と、円錐状の袋孔壁領域１３の、下流側に位置する下方の制限縁
部２３との間の間隔はこの場合少なくとも、噴射開口１７の直径の１／４である
のが望ましい。さらに、弁座面９の円錐角度と、円錐状の袋孔壁面１３の円錐角
度とは異なる円錐角度を有しているのが望ましい。

【０００９】 噴射開口１７の流入開口１９への流入部においてできるだけ鋭い噴流の変向を
得るために、噴射開口１７の孔軸線と、円錐状の袋孔壁面１３との間の、噴射開
口１７の流入開口１９の上側における流入角度βは９０°よりも小さく形成され
ているのが望ましい。このようにして燃料が袋孔３から噴射開口１７へと溢流す
る際に、流入開口１９の上側で逆流渦流、さらにはキャビテーションが形成され
、これらの渦流やキャビテーションは極めて著しい噴流渦流化を可能にするので
、噴射開口１７の流出部ではできるだけノズルに近いところで噴射噴流を噴霧す
ることができる。燃料噴射弁の長手方向軸線と噴射開口１７の軸線との間に形成
される円錐角度Ψと、燃料噴射弁の長手方向軸線と円錐状の袋孔壁１３との間に
形成される円錐角度αと前記流入角度βとの和が１８０°であるという公知の関
連事実から、次のような新しい構造規則を推論することができる。この場合、流
れ的に最適な流入角度βを予め設定し、所定の円錐角度Ψに応じて、円錐角度α
のために所要の角度を規定する。円錐角度Ψの値はこの場合同様に、内燃機関の
燃焼室における噴射される燃料の所望の噴流位置によって設定される。このよう
にして正確に規定された袋孔のジオメトリを介して、内燃機関の燃焼室における
良好な噴流形成と特性とが得られる。

【００１０】 従って本発明の燃料噴射弁によれば、正確に規定された袋孔ジオメトリを介し
て、弁本体５における個々の噴射開口の配置の高い許容製造誤差性が得られ、こ
の場合、僅かな位置誤差が生じた場合でも、全噴射開口の流出開口における均一
な噴流形成が保証されている。

【図面の簡単な説明】

【図１】 燃料噴射弁の噴射側の端部の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 弁部材、 ３ 袋孔、 ５ 弁本体、 ７ 弁シール面、 ９ 弁座面、
１１ 壁ウエブ、 １３ 袋孔壁領域、 １５ 孔基部、 １７ 噴射開口、
１９ 弁座面、 ２１ 上方の制限縁部、 ２３ 下方の制限縁部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ラルフ ヴィルト ドイツ連邦共和国 レオンベルク ゲルリ ンガー シュトラーセ 132 (72)発明者 ラルフ マイアー ドイツ連邦共和国 シュヴェービッシュ− グミュント オーベレ ツァイゼルベルク シュトラーセ 16 (72)発明者 バルバラ ハイネ ドイツ連邦共和国 シユツツトガルト ホ ーフフェルトシュトラーセ 63 (72)発明者 シュテファン ハウク ドイツ連邦共和国 ヴァルデンブーフ リ ーベネッカーヴェーク 24 Ｆターム(参考） 3G066 AA02 AB02 AD12 BA00 CC05T CC10 CC14 CC48 CD28 CE13

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関のための燃料噴射弁であって、弁本体（５）の袋孔
   （３）内で閉鎖力に抗して軸方向摺動可能にガイドされている弁部材が設けられ
   ており、該弁部材は燃焼室側の端部に円錐状の弁シール面（７）を有しており、
   前記弁部材は前記弁シール面（７）で、袋孔（３）の、内側に向かって張り出し
   て閉鎖された端部に設けられた円錐状の弁座面（９）と協働し、下流側で前記円
   錐状の弁座面（９）に続く袋孔領域が設けられており、この袋孔領域から噴射開
   口（１７）が内燃機関の燃焼室内へと導出されている形式のものにおいて、 前記噴射開口（１７）を収容する袋孔壁領域（１３）が円錐状に形成されてお
   り、噴射開口（１７）が、この円錐状の袋孔壁領域（１３）の上端部（２４）及
   び下端部（２３）に対して所定の最低間隔を有していることを特徴とする、内燃
   機関のための燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 噴射開口（１７）の流入開口（１９）の上端部と、円錐状の
   袋孔壁領域（１３）の、上流側に位置する上方の制限縁部（２１）との間の間隔
   が、少なくとも噴射開口（１７）の半径の寸法を有している、請求項１記載の燃
   料噴射弁。
3. 【請求項３】 噴射開口（１７）の流入開口（１９）の下端部と、円錐状の
   袋孔壁領域（１３）の、下流側に位置する下方の制限縁部（２３）との間の間隔
   が、少なくとも噴射開口（１７）の直径の１／４である、請求項１記載の燃料噴
   射弁。
4. 【請求項４】 円錐状の弁座面（９）と、該弁座面（９）に下流方向で後置
   された袋孔壁領域（１３）とが異なる円錐角度を有している、請求項１記載の燃
   料噴射弁。
5. 【請求項５】 円錐状の弁座面（９）と、噴射開口（１７）を収容する円錐
   状の袋孔壁領域（１３）との間に、円筒状の壁ウエブ（１１）が設けられていて
   、円筒状の壁ウエブ（１１）から円錐状の袋孔壁領域（１３）への移行面が曲率
   半径（Ｒ）で丸く面取りされている、請求項１記載の燃料噴射弁。
6. 【請求項６】 噴射開口（１７）が噴射孔として形成されており、該噴射孔
   の長手方向軸線が、噴射開口（１７）の上流側の、円錐状の袋孔壁領域（１３）
   の壁面に対して流入角度β＜９０°を有している、請求項１記載の燃料噴射弁。