JP2002520070A - 変異体及び分子の同定法 - Google Patents

変異体及び分子の同定法

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ウィリアム エフ ドーブ
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    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
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Abstract

(57)【要約】 公知の指標表現型を変更することができる遺伝子座の検出を可能にする変異誘発されたマウスを繁殖する方法は、変異誘発された創始者系、及び、該指標表現型を付与することがわかっている遺伝子座に対立遺伝子を保有する第二の系統を交雑することに関連している。検定世代において、個体のクラスターは、典型的表現型から逸脱することが認められる。これによりコードされた遺伝物質及び分子は、利用可能な方法を用いることで得ることができる。改善されかつ簡略な方法も説明している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願のクロスリファレンス 本出願は、1996年11月18日に出願され、その全体が本願明細書に参照として組入
れられている、米国特許出願第08/751,292号の一部継続出願である。政府の支援を受けた研究・開発に関する声明 なし
【0002】発明の背景 ヒト及び他の動物のゲノムDNA配列を決定しようとする試みが、世界中で続けら
れている。このような試みは典型的には、様々な組織のRNAから作製したライブ
ラリー中のcDNAから配列情報を得ることに焦点を当てている。従って「発現配列
タグ」(EST)の収集は、ほとんどのヒト遺伝子由来のコード領域の部分を含んで
いる。
【0003】 ESTは有用な構造情報を提供するが、これらは遺伝子間の機能的関係についての
洞察はほとんど供さない。機能的関係は、生物学的プロセスに関与した遺伝子の
セットを決定し、かつ続いてこの生物学的プロセスの1個以上の構成要素に作用
する医薬品を開発するために特に重要である。例えば、Friedrich, G. A.の論文
「ゲノムプロジェクトの動向:ゲノムベースの医薬品開発の未来はマウスと共に
あるか?(Moving Beyond the Genome Projects: Does the Future of Genomics-
Based Drug Discovery Lie With the Mouse?)」、Nature Biotechnology、14:12
34-1237 (1996)を参照のこと。
【0004】 Friedrichは、どの遺伝子が生物学的プロセスに関与しているかを決定する際の
ヒトの生理を映し出すモデルシステムを使用することに賛成を唱え、かつマウス
が、哺乳類の生理の最も顕著な態様をヒトと共有している点で、ヒト生物学にと
って優れたモデル生物であることを示唆している。マウスゲノム及びヒトゲノム
は、サイズ、機構及び構造がほぼ同じである。 Friedrichは、マウスを医薬品開発のための有効な道具として開発することがで
きることを提唱している。Friedrichは、マウスを使用する大規模な表現型スク
リーニングを妨げる論理的障壁は存在しないという「急進的な」提案を発表して
いる。 Friedrichは、胚性幹細胞において挿入性変異原物質を用い、マウスゲノムにお
いてランダム突然変異を作出し、その後様々な予め定めた表現型についてスクリ
ーニングし、かつ影響を受けた遺伝子をクローニングすることを提唱している。
【0005】 特に、大腸癌の生理及び治療が特別な生物医学的関心点である。大腸癌は、西側
社会において最高の有病率を持つ悪性疾患のひとつであり、米国だけでも毎年14
5,000件の新規症例及び60,000名の死亡者があると推定されている。遺伝因子は
、本疾患において重要な役割を果たしている。ヒト大腸腺腫様ポリポーシス症(A
PC)遺伝子の突然変異は、一連の家族性大腸癌症候群を惹起している。対応する
遺伝子(Apc)に突然変異を有するマウスも、同じく多くの腸管腺腫を発症してい
る。マウスApc遺伝子のMin(多発性腸管新生物)対立遺伝子のヘテロ接合体は、多
くの小腸及び大腸腺腫 [平均29 Å 10、C57BL/6J (又は等価誘導体)について]
を発症していて、これは家族性腺腫様ポリポーシス症及びガードナー症候群のよ
うな、ヒトの遺伝性大腸ポリポーシス症候群において認められる腺腫に形態学的
に類似している。Min/Minホモ接合体は、子宮内で死亡する。Min突然変異は、マ
ウス染色体18番に位置付けられた。Apc遺伝子の配列は公知でありかつ公表され
ている。Minマウスは、マウスApc遺伝子のエクソン15においてナンセンス突然変
異を保有する(この分類の突然変異はヒト大腸癌家系において典型的に認められ
る)。従ってMinを保有するマウスは、ヒトの家系性腺腫様ポリポーシス症を研究
するためのモデルシステムを提供する。
【0006】 ヘテロ接合型Min/+マウスの腫瘍数を強力に変更する遺伝子座(Mom-1)は、4番染
色体遠位に位置付けられた。Dietrich, W.F.らの論文、「マウスにおけるMinで
発症された腸管新生物に作用する主要な変更遺伝子座であるMom-1の遺伝的同定(
Genetic Identification of Mom-1, a major modifier locus affecting Min-in
duced intestinal neoplasia in the mouse)」、Cell、75:631-639 (1993)。Mom
-1は、ヒト染色体1p35-36とのシンテニー保存領域で、大腸腫瘍を含む様々なヒ
ト腫瘍におけるヘテロ接合性を頻繁に体細胞が喪失している領域に存在する。Mo
m-1は、遺伝性の癌症候群の発現を修飾する未知数の遺伝子座の単にひとつのも
のであり、かつこれは同一種内の戻し交雑における腫瘍数の遺伝的変動の全てを
説明するものではない。
【0007】 強調又は抑圧により、公知の表現型の変更に関連した遺伝子座の位置を正確に示
すための系統的方法が不足している。ヒト及び動物における大腸癌の特定の症例
において、腸管腺腫の出現に関連したゲノム内の配列(及びこれらの配列により
コードされた分子)を位置決定することが望まれる。このような系統的方法の欠
如は、癌遺伝子に関する知識を制限し、かつそれ自体、発癌プロセスを修飾する
医薬品の開発を妨げるであろう。系統的方法は、多数の変異体の対立遺伝子がホ
モ接合型のマウス近交系間で認められるような必須でない遺伝子座のみならず、
ヘテロ接合型の変異体の対立遺伝子がその表現型に影響を及ぼすことがあるよう
な必須の遺伝子座も含むはずである。必須の遺伝子を失活する突然変異は、ホモ
接合型の場合通常致死的であり、かつそれはマウス近交系間では認められないで
あろう。
【0008】発明の簡単な概要 本発明は、選択された優性対立遺伝子によって付与された選択された公知の表現
型を変更することができるひとつの遺伝子座又は複数の遺伝子座の検出を可能に
する。この方法は、選択された表現型を変更することができる分子、更には表現
型が変更する分子それ自身をコードしている遺伝的配列の同定及び単離を促進す
る突然変異誘発法を含む。
【0009】 この方法は、ヒト以外の動物、好ましくは哺乳類、及びより好ましくはげっ歯類
の近交系を用いて実践することができる。マウス、ラット及びウサギの近交系が
利用可能である。本発明の方法において、マウスは特に優れたヒト以外の哺乳類
動物であり、その理由は、ヒトとマウスの間にシンテニーがあり、並びにマウス
の遺伝及び繁殖が高度に開発されているからである。更にマウスは、実施態様に
例示するように、ヒトの表現型に非常に類似している疾患表現型を示すことがで
きる。本方法から得られたマウスの遺伝的配列及び分子を用いて、ヒト由来の対
応する配列及び分子を獲得することができる。その後ヒトの配列及び分子を公知
の方法で用いて、医薬品が開発される。
【0010】 基本的繁殖法は、下記の工程を含む。創始者のマウス近交系の一連のマウスを各
々変異誘発し、その後同じ近交系と繁殖し、同系交配したホールディング(holdi
ng)世代(「世代1」又は「Gen1」)を作出した。このGen1創始者マウス系の動物は
、その系統の野生型マウスに対するランダム点突然変異を保有する。Gen1マウス
は、指標となる(index)のマウス近交系と異系交配し、Gen1F1子孫を得る。指標
マウス近交系は、選択された表現型を付与することが公知の遺伝子座に、優性対
立遺伝子を保有する。この選択された表現型は、「指標表現型」と称される。指
標表現型は、問題の表現型のスクリーニング法に焦点を当てるものであるが、こ
れは指標系統において特徴付けられ、かつそれに対して可能性のある変異体を比
較することができるような参照表現型を提供する。優性の指標対立遺伝子は、生
物学的プロセスを本発明において同定された分類のヘテロ接合型の強調遺伝子又
は抑圧遺伝子の変異に呼応する範囲にもたらすようないずれかの状態を含むこと
ができる。この状態は、認知可能な遺伝的状態であることができるか、もしくは
、非遺伝的環境の状態であることさえできる。少なくとも一部のGen1 F1子孫は
、優性対立遺伝子及び優性対立遺伝子により付与された指標表現型を変更し得る
少なくとも1個のランダム突然変異の両方を有する。創始動物は、そのGen1F1
孫のサブセットが指標表現型について高度に変更されているならば、問題のもの
であると判定される。
【0011】 創始者マウスが、対照動物に対して変更された表現型を発揮するような少なくと
も1種のGen1F1子で有するならば、この創始者(Gen1)動物は、創始者系統の変異
誘発していないマウスと交雑し、第二世代(Gen2)子を作出する。これらの子は、
再度指標系統と異系交配され、Gen2F1子孫を得る。その後、Gen2F1子孫のサブセ
ットが更に指標表現型について変更されているかどうかが、表現型を変更してい
る突然変異の存在により立証される。重ねて、変更された指標表現型を伴う動物
のクラスターは、Gen1創始者が問題の突然変異を保有していることの信頼性の増
大をもたらす。
【0012】 次に表現型を変更する突然変異を含む遺伝物質を、当該技術分野において公知の
方法を用いて得ることができる。この遺伝物質によってコードされた分子も得る
ことができる。得られた遺伝物質及び分子(又は対応するヒト等価物)を当該技術
分野において公知の方法で用い、問題の生物学的プロセスにおいて影響を受けた
ヒト又はヒト以外の患者において注目された表現型を改善することができる医薬
品を作製する。
【0013】 本発明の目的は、生物医学的に関連のある表現型に影響を及ぼすことができるモ
デル哺乳類生物において遺伝子を得る、迅速で、狙いを定めた方法を提供するこ
とである。 本発明の利点は、前記方法が、指標表現型を変更することができるいくつかの
遺伝子の全体的調和(ensemble)を同時に同定することができることである。 本発明の別の利点は、前記方法が、他の公知の表現型を有さない遺伝子には及ば
ないことである。
【0014】 本発明は、本発明の方法で獲得された遺伝子が生物学的表現型に必ず関連がある
点で、ESTの分析のような、現存の遺伝子獲得法に勝る利点を提供する。対照的
に、ゲノム-配列決定法は、多くの遺伝子に関して多量の配列情報を提供するこ
とができるが、配列決定された遺伝子間の機能的関係についてはほとんどもしく
は全く指標を提供しない。
【0015】発明の詳細な説明 本発明の目標は、公知の表現型を変更することができる遺伝子座及び遺伝的配列
を同定することである。このような変異誘発を用いる分析は、倫理的理由により
ヒトにおいては実施することができないが、ヒトとマウスのゲノム間のシンテニ
ー及び配列保存は、ヒトにおけるこのような遺伝子座及び配列を同定するための
手軽な掛け橋を提供する。恐らくこのような配列は、現存するヒトの遺伝的配列
情報と相関しているであろう。従って、同等の遺伝子座及び遺伝的配列を、常法
の利用できるハイブリダイゼーション及びPCR技法を用いてヒトゲノムにおいて
検索することができる。
【0016】 本方法は、指標で示しクラスターで強調した変更遺伝子の遺伝子座及び分子の同
定法(Index-directed, Cluster-enhanced, Modifier loci and Molecule identi
fication 方法)であり、「ICMM法」と称することができる。
【0017】 ヒトの症候群、疾患及び他の状態をモデル化している、良く定義された遺伝的組
成及びよく研究された表現型を有する同系交配されたマウスの利用可能性は、マ
ウスを本方法を実践するための好ましい哺乳類種としている。好ましいマウス種
は、Mus musculusである。
【0018】 本願明細書に記された繁殖システムは、選択された指標表現型を付与する対立遺
伝子についてヘテロ接合性であるマウスにおいて明らかであるような表現型の存
在を前提としている。ヘテロ接合型状態で指標表現型をもたらす対立遺伝子を保
有する指標系統を使用することが、常に好ましい。この指標表現型は、目視、生
化学的又はその他の検出手段により、「明らか」にすることができる。表現型を
制御する対立遺伝子がホモ接合型状態で存在することは、致死的である。癌に関
して、この表現型は、活性化された癌を発症する対立遺伝子の存在に起因する作
用、さもなければ、該遺伝子のある正常なコピーが存在しない場合に腫瘍形成を
惹起するがん抑制遺伝子の失活に起因する作用のいずれかに関連し得る。表現型
は、性染色体又は常染色体上の対立遺伝子により左右され得る。この対立遺伝子
が性染色体上にあるならば、本願明細書に記された繁殖は、当該技術分野におい
て公知の方法で修飾され、繁殖プールにおいて該対立遺伝子が維持されているこ
とを確実にする。
【0019】 指標表現型は、単一の優性対立遺伝子によって付与されることが好ましいが、適
当な創始動物を作出するように取り計らうことで、2個以上の遺伝子座の制御下
にある表現型を本方法で研究することができる。表現型を付与する対立遺伝子は
、定義された遺伝的配列である必要はなく、むしろ対立遺伝子は、古典的遺伝学
的方法により定義することができる。本願明細書の他の箇所に記したように、対
立遺伝子が遺伝子型分析のための遺伝的マーカーに密に連結していることは利点
である。現時点で利用できるマウスゲノムの密マイクロサテライト(dense micro
satellite)マッピングに、この条件は常に合致している。
【0020】 表現型を変更する遺伝子座は、本発明において得られる。「変更」とは、表現型
を変更する対立遺伝子を有さない対照動物に対する指標表現型の何らかの論証で
きる変化であり、これは、動物の寿命又は概日行動の延長又は短縮のような、表
現型の強調又は抑圧を含むが、これらに限定されるものではない。動物全体が変
更の影響を受ける必要はない。例えば、変更された表現型は、本発明の方法にお
いて表現型を変更している変異体対立遺伝子の導入後の、特定の行動の変化、又
は例えば血液タンパク質のような特定の生体分子レベルの変化であることができ
る。Gen1F1のスクリーニングの第一段階における変更された外れ値(outlier)に
関する検定は、通常比較的大雑把なものである。外れ値が表現型分布の下位又は
上位10パーセンタイル以内の範囲にあるかどうかを判定しなければならない。例
えば、単一の優性突然変異(Clock)によって支配されたはっきり説明された走行
活動(running activity)を有するマウス系統において、本願明細書に記した方法
を用いて、その走行活動のタイミングが変更された動物を得ることができる。こ
の変更に寄与する遺伝物質(及びタンパク質分子)は、変更する突然変異のマッピ
ング及びポジショナルクローニングによって得ることができる。
【0021】 このシステムは、遺伝的構成要素を有することが分かっている癌における遺伝的
相互関係の研究に特に適応できる。特に、異常なAPC遺伝子を保有するヒトは、
腸管に多数の腫瘍を発症する素因がある。ヒトAPCのマウス相同体であるApcのMi
n対立遺伝子についてヘテロ接合性であるマウスも同様に、ヒトの遺伝性大腸ポ
リポーシス症候群に類似した多くの腫瘍を腸管に発症する。本願明細書において
、Apc座以外のゲノムのどこかで誘発された突然変異は、その座にMin対立遺伝子
を保有するマウスの生存率及び腸管の腫瘍負荷(tumor load)を変更し得ることが
示されている。
【0022】 いくつかの繁殖に関する重要な考察は、本方法において使用される近交系マウス
の選択を指示している。マウスの繁殖に携わる業者は、利用できるマウス系の繁
殖の要件を熟知していて、かつそのような要件をここで改めて記す必要はないと
理解される。 全ての変更がゲノム多様性よりもむしろ導入された変異誘発の結果であるように
、ランダム突然変異が導入される系統は近交系でなければならない。この系統は
、効率的な生殖細胞系の変異誘発作用を受けやすいものであるはずである。本出
願人らは、「作用を受けやすい」とは、系統に特有な正突然変異率が、少なくと
も1/500/配偶子/遺伝子座であることを意図している。加えてこの系統は、短
くとも1年の長い繁殖期間を有さなければならない。更にこの系統は、多数の同
腹子、1腹子につき平均8匹以上の仔を孕むことが好ましい。これらの要件に合致
する系統は、近交系BTBRであり、これはJackson Laboratory(バーハーバー、メ
イン州)から入手できる。
【0023】 突然変異が誘発される近交系を、例えば制限断片長多型(RFLP)又は単純配列長多
型(SSLP)などにより、表現型を付与する対立遺伝子を含む系統から区別できるこ
とは重要である。これら2種の系統間の標準の遺伝的マーカーの情報に富む差異
の高度の発生は、問題の突然変異をマッピングしかつクローニングする上で重要
である。本発明のある実施態様において、指標表現型(Min)が、C57BL/6J (又は
等価誘導体)のバックグラウンドで提供された(以後「B6-Min」と記す)。「等価
誘導体」は、純血C57BL/6Jバックグラウンド上のB6-Minのものと同等の指標表現
型を有する。本実施態様の変異誘発において使用したBTBR系は、B6 近交系と比
較して、SSLPマーカー遺伝子座のおよそ半分において多型である。BTBRは、ヘテ
ロ接合型ではMin表現型に対して強力な作用を有さない。
【0024】 本方法で使用した2系統が、選択された指標表現型の多型の優性変更遺伝子を相
対的に含まないことも重要である。本出願人らは、「相対的に含まない」とは、
Gen1F1動物と指標系統の間の指標表現型の差異が、新たに誘発された突然変異の
影響を隠さないように十分に小さいことを意図している。当業者は、いずれか所
定の指標表現型についての許容できる変動を決定することができるであろう。例
えば、Min指標表現型の場合、Gen1F1動物は、B6-Minと比べて約1.5-倍を越えな
い腫瘍多重度(tumor multiplicity)の変化を示さなければならない。Clockの場
合、概日周期のシフトは30分を越えてはならない。
【0025】 本方法において、変異誘発されるべき系統は、生殖細胞系列に突然変異を誘発す
る変異原物質で処置される。後の問題の変異体の検出及び単離に関連した理由に
より、この変異原物質は、創始動物系統において少なくとも1個の突然変異/遺
伝子座/500配偶子を誘発することができるのに十分な点突然変異原物質である
ことが重要である。エチルニトロソ尿素(ENU)が、マウスの生殖細胞系列にほぼ
独占的に点突然変異を導入する適当かつ好ましい変異原物質である。適当なマウ
スのENU変異誘発プロトコールは、Shedlovskyらの論文、Genet. Res. Camb.、47
:l35-l42 (l986)に記されており、これは本願明細書に参照として組入れられて
いる。1匹の変異誘発された雄から多くの子を得ることが可能であるという理由
で、変異誘発は雄のマウスにおいて行われることが好ましいが、これは必須では
ない。その後、このマウスは、同系の未変異誘発マウスと交雑され、該突然変異
誘発によって誘発された様々な変異についてのみヘテロ接合性である、同種同系
動物を作出する。
【0026】 Gen1動物のセットの各メンバーは、指標表現型を付与する変異についてヘテロ接
合性であるマウスと交雑される。マウスゲノムにおいておよそ1x105遺伝子の各
々が、少なくとも1回は検査される統計学上の尤度を最大にするために、このよ
うなGen1動物を最大1000匹作出することが望ましい。変異頻度が1/遺伝子座/5
00配偶子であるならば、メンバーがGen1動物1000匹のライブラリーは、指標表現
型を変更することができる各遺伝子座につき平均2回のヒットを含むであろう。
従って突出した遺伝子座が注目(attention)から逃れる確率は、e-2又はe10%で
あろう。この交雑は、指標表現型が一方の性の良好な繁殖を損なわない限り、雌
雄いずれかのGen1動物を用いて行うことができる。時に雌親が損なわれた場合に
は、子を養母が養育する(foster)ことは可能である。
【0027】 家系は下記のように評価される。Gen1F1動物の完全なセットの表現型としての行
動を、個々の家系の表現型としてスコア化する。変更が存在しない場合、その家
系の個体の行動は、完全なセットの平均行動の範囲であろう。しかし、変更する
ような突然変異が誘発された場合は、創始者親が変更する変異についてヘテロ接
合性であるので、その家系のメンバーの平均50%が範囲外の表現型を示すであろ
う。
【0028】 変更された表現型が純血である統計上の尤度を改善するためには、変更が、4匹
以上のメンバーを有する2種以上の動物家系で認められることが好ましい。この
方法の更なる圧縮(condensation)は、これらの条件下で可能である。前記参照の
こと。最も好ましいのは、家系が少なくとも6匹のメンバーを有し、かつ3匹以上
のメンバーが影響を受けていることである。しかし、単独の極端な外れ値を含む
より小さい家系を研究することは有益であろう。
【0029】 前述の基準による可能性のある変更の証拠を示している家系の雌親は、その後同
じ創始者系の未突然変異マウスと交雑され、固定されたバックグラウンドについ
ての変異を維持する(「コピー世代」)。コピー世代の子は、選択された表現型に
ついてヘテロ接合性のマウスと再度交雑され、それらの子のいずれが真に変更し
ている突然変異を保有するかどうかについて評価される。遺伝子型の分析を行い
、これらの子のいずれが、指標表現型を付与する遺伝子を保有しているかを決定
することができる。該表現型が創始動物Gen1の寿命に影響するものであるかどう
かについて迅速に子を特徴決定することは、特に重要である。
【0030】 該指標決定基を保有することが遺伝子型分析により示されたマウスは、できる限
り早期に、いずれの変更が明白であるかを決定するよう評価される。このような
変更された表現型が認められたならば、その変更に寄与する特異的遺伝的配列が
、当該技術分野において現在使用できる技術を用いて、系統的に同定される。例
えばZhang, Y.らの論文、「マウスobese遺伝子及びそのヒト相同体のポジショナ
ルクローニング(Positional cloning of the mouse obese gene and its human
homologue)」、Nature、372:425-432 (1994);Kusumi, K.らの論文、「マウスの
肥満突然変異のδ相同体D113及び早期体節境界の開始の妨害(The mouse pudgy m
utation disrupts Delta homologue D113 and initiation of early somite bou
ndaries)」、Nature Genetics、19:274 (1998);及びKing, D. P.らの論文、「
マウスの概日Clock遺伝子のポジショナルクローニング(Positional Cloning in
the Mouse Circadian Clock Gene)」、Cell、89:641 (1997)を参照し、これらは
全てその全体が本願明細書に参照として組入れられている。各々は、変異が導い
たポジショナルクローニングの確固たる例を示している。後者の例において、突
然変異はENUにより誘発された。この方法において、マウスのコード配列は、突
然変異に連結されたマーカー領域において構築されたコンティグ(重複成分の核
酸配列セットの分析により決定された、染色体の一部の連続する核酸配列)上で
同定された。マウスのコード配列は、エキソン捕捉(Church, D.M.らの論文、Nat
ure Genet.、6:98-105 (1994)、これは本願明細書に参照として組入れられてい
る)、捕捉されたエキソンの配列決定、捕捉されたエキソン配列とGenbankの全配
列との比較、様々な組織における対応するRNAの存在に関する推定されるエキソ
ンの、ノーザンブロット又は逆転写PCRによるスクリーニングによって同定され
た。その後、ヒト遺伝物質へのハイブリダイゼーションという公知の方法により
、対応するヒト遺伝子が得られた。あるいは、マウスの遺伝的配列から調製され
たPCR プライマーを用いて、ヒト遺伝物質から対応するヒト配列を増幅すること
ができる。当業者は、PCR法において、マウス由来のプライマーとヒトの標的配
列の間で必要な類似性を容易に決定することができる。
【0031】 前述の方法は、指標表現型を変更する分離突然変異の発見には有効であるが、更
にこの方法は、指標表現型に対する厳密かつ突出したヘテロ接合性の強調又は抑
圧効果を有する変更遺伝子をより迅速に同定する第一の改善された方法を提供す
ることによって、又は遺伝的背景ノイズを低減することによって変更遺伝子の同
定及びマッピングを促進する第二の改善された方法を提供することによって、改
善される。これらの改善された方法を以下に示す。
【0032】 雄性配偶子は、現時点で有利なことに性的に成熟した時点で(マウスについては
およそ6週齢)収集され、かつ無限に保存されるか、又は例えばその全体が本願明
細書に参照として組入れられている、Sztein, J.M.、J.S. Farley J.S.、A.F. Y
oung及びL.E. Mobraatenの論文、「採取温度及び解凍速度の影響を受けた凍結保
存したマウス精子の運動性(Motility of cryopreserved mouse spermatozoa aff
ected by temperature of collection and rate of thawing)」、Cryobiology
35(1):46-52 (1998)に示された方法に従い、体外受精法において使用されること
も注目される。冷凍保存法を用いることによって、変更する変異を含むことが分
かっている生殖質は、例え給源の動物がその時点で繁殖するには余りにも高齢で
あるか又は罹病している場合であっても、レスキューされかつ本願明細書におい
て説明されたいずれかの交雑に使用され得る。各雄は、少なくとも500匹の子孫
を生み出すのに十分な精液を生じる。説明された各交雑において、更に母性効果
が指標表現型に関りがない限りは、交雑に変更遺伝子が寄与する可能性のある変
更動物(又はより広範には配偶子)は、雄性動物(又は配偶子)であることが好まし
く、その理由は、雌よりも雄を用いて、多くの配偶子をスクリーニングすること
ができるからである。使用した系統に応じて、養母が必要なことがある。
【0033】 先行する方法よりもより簡略かつより効率的である第一の改善された方法は、よ
り少ない交雑工程を必要とし、ホールディング世代を排除し、かつ変更された指
標表現型が死を加速するか又は繁殖能を低下するような場合に有用であり得る。
この改善された方法は、生存曲線の外れ値のクラスターを基にした候補を提示し
ない点、及び第一世代以降は厳密な同種同系性を失っている点で、第2世代の優
性変更遺伝子スクリーニングの強度を一部犠牲にしている。しかしこれは、記述
のようにそのクローニングが追跡され得る生体遺伝子(vital gene)中の変更遺伝
子を効率良く目的としている。この改善された方法において、F1世代の極端な強
調遺伝子及び抑圧遺伝子の外れ値の両方について、新たな変更遺伝子の対立遺伝
子を検出することができるか、あるいは代わりに、戻し交雑(N2)世代においてよ
り微妙に変更された動物のクラスターのスクリーニングにより、微妙なF1外れ値
を確認するための基本的方法のクラスター原理を使用することができる。「極端
な」外れ値の表現型は、指標表現型の性質に応じて、個々別々に定義することが
できる。限定的でない例は、10パーセンタイル以下又は90パーセンタイル以上の
レベルに、各々、強調又は抑圧された表現型であろう。別の場合には、例えば「
極端な」レベルは、2パーセンタイル及び98パーセンタイルで確立される。「微
妙な」変化とは、F1動物については統計学的ノイズ内であるが、戻し交雑世代又
はその後の交雑において初めて統計学的有意性が認められるような変化である。
【0034】 第一の改善された方法において、適当な系統の変異誘発された同系交配された動
物は、直接指標系統の動物と交配され、変更された指標表現型についてのスクリ
ーニングとなるF1子孫を作出する。
【0035】 F1動物が変更遺伝子の突然変異を保有するように見える場合は、指標系統(指標
対立遺伝子を伴う又は伴わない)と戻し交雑され、N2子孫を生じる。この世代で
は、複数の動物がスクリーニングされ、変更された表現型を有する子孫のクラス
ターが見つけられる。変更された表現型を示す動物のクラスターは、該変更遺伝
子の突然変異を保有する一方で、変更を示さないものは、突然変異を保有するこ
とがうまくできない。キャリヤは、該遺伝子座に遺伝的に連結した対立遺伝子に
ついてヘテロ接合性でなければならず、他方非キャリヤは、これらの同じ遺伝子
座で指標系統についてホモ接合性でなければならない。従ってこれらの動物は、
周知のPCR-ベースのマッピング法(SSLP及びSNP)を用いる、新規突然変異のマッ
ピングのための材料を提供する。単独のヌクレオチドの多型については、Krugly
ak, L.の論文「連関研究における二対立遺伝子マーカーの遺伝地図の使用(The U
se of a Genetic Map of Biallelic Markers in Linkage Studies)」、Nature G
enetics、17:21 (1997)に記されており、これはその全体が本願明細書に参照と
して組入れられている。
【0036】 第二の改善された方法は、遺伝的背景ノイズを減少することによって、変更する
変異の同定及びマッピングを促進する。この方法は、優性対立遺伝子に寄与する
動物と、ランダム点突然変異を保有する創始者同系交配した動物が、同系交配し
た遺伝的背景を共有するような、同種同系の変更遺伝子のスクリーニング法であ
る。この優性指標対立遺伝子とは別に、指標動物は、変異を保有する創始者同系
交配動物と密に合致している。
【0037】 この第二の改善された方法のふたつの実施態様が考察されている。第一の実施態
様において、強調遺伝子及び抑圧遺伝子の変更遺伝子は、遺伝的背景が、指標動
物により共有され、かつ創始動物が指標表現型に対して明らかな作用を有さない
場合に、両方共検出され得る。この実施態様の例において、指標マウス系は、C5
7BL/6J (BE)バックグラウンド上のApc座にMin対立遺伝子を含むことができると
同時に、変異誘発された創始動物はBEマウスであることができる。
【0038】 この方法の第二の実施態様において、遺伝的背景は指標表現型に影響し、指標表
現型を付与する優性対立遺伝子が特定の遺伝的背景で提供される場合には、この
指標表現型は、動物において強調又は抑圧され、各々、強調変更遺伝子又は抑圧
変更遺伝子の選択的検出を促進する。この指標系統は、指標表現型を強調又は抑
圧するような遺伝的背景を有する系統のコンジェニック誘導体であることができ
、ここで該コンジェニック系統は、指標表現型を付与する優性対立遺伝子を保有
している。例えば、同系交配したBTBP系の遺伝的背景に関して、Apc座にMin対立
遺伝子を有するコンジェニック系統において、このMin表現型は有意に強調され
る。
【0039】 指標対立遺伝子を保有するコンジェニックな同系交配した動物は、本願明細書の
別の部分において説明されたように変異誘発されている動物と交雑され、Gen1動
物を作出する。指標表現型の抑圧及び/又は強調は、説明に従い評価することが
できる。この交雑における指標親が、強調された指標表現型を有する場合、その
指標表現型の推定される抑圧変更遺伝子は、指標表現型が強調されたレベルから
野生型レベルへとシフトするので、一部のGen1動物において明らかであることが
できる。Gen1動物における推定変更遺伝子は、Gen1動物を遺伝的に識別可能な近
交系と交雑することによってマッピングすることができる。
【0040】 各々の例において、推定変更遺伝子のマッピング及びクローニングを促進するた
めには、マッピング法が推定変更遺伝子を含む動物とマッピングに使用される系
統の間の差異を必要とするので、推定変更遺伝子を含む動物は、遺伝的に識別可
能な生殖質と交雑される。しかし、これらの系統の遺伝的背景における多型性の
差異は、誘発された強調遺伝子又は抑圧遺伝子の変異によって発揮された表現型
の変更を曖昧にする。この問題点は、創始者系統とはそのゲノムについてもたら
された(pepped)単独のヌクレオチド多型(SNP)のみが異なる指標系統を作成する
ことにより、克服することができる。簡単に述べると、同種同系指標系統が、例
えばENUのような単独のヌクレオチドの変化を誘発する異原物質を用いる指標系
統の変異誘発によって作製される。このSNPでマークした指標系統は、指標突然
変異を保有する動物と交配された変異誘発された動物の息子及び娘から始まる、
系統的兄妹交雑により作製される。この逐次的兄妹同胞交配のプロセスは、次第
に有害かつ致死的な突然変異を排除する。導入されたSNPマーカーが表現型的に
中立(neutral)であることを立証するために、SNPでマークした系統の指標表現型
を評価することができる。例として、BTBR又はB6マウス系のENU変異誘発は、こ
のようなマーカー多型を密度1/cMの範囲で形成すると予想される。このような指
標系統を調製する方法は、想定することができるものにできるだけ密に同種同系
であるような遺伝的スクリーニングを可能にする。
【0041】 指標表現型の強調遺伝子及び抑圧遺伝子のヘテロ接合性キャリヤを同定する方法
は、候補家系における表現型のデータ(例えばMinの場合は腫瘍数)に適当な統計
解析を適用することによって効果的に導くことができる。アルゴリズムを用いて
、候補のヘテロ接合性変更遺伝子のキャリヤ及び非キャリヤの可能性を確定する
効率を増大することが可能である。
【0042】 適当な2パート統計解析の第一のパートは、表現型を修飾している遺伝子は分離
されないという帰無仮説の尤度比検定の適用により、候補家系において分離され
る変更遺伝子の存在を確認する。尤度比検定は、ある変更遺伝子が分離している
という別の仮説を考察し、かつこの検定は、モンテカルロにより厳密にキャリブ
レートされており;すなわち、p-値は、亜家系間の動物のランダムな並び換え(p
ermutation)について統計的に繰り返して尤度比を算出することにより得られる
。腫瘍数のような個別の表現型については、バックグラウンド及び変更された表
現型の分布は、負の二項分布としてモデル化される。連続する表現型については
、ガウス分布が適しているであろう。p-値が>0.05であるならば、変更遺伝子に
関する証拠はない。更なる解析のためには、より多くのデータが必要であるか、
もしくは、異なる家系を考察しなければならないかのいずれかである。
【0043】 p-値が<0.05であるならば、解析の第二パートにおいて、変更遺伝子の存在に関
するLODスコアが、表現型情報を伴う子を有する可能性のあるキャリヤの各々に
ついて算出される。このLODスコアとは、動物が変更遺伝子を保有する場合の子
の表現型データの確率を、動物が変更遺伝子を保有しない場合の表現型データの
確率と比較した場合の比の常用対数である。確率は、分母は推定された背景分布
から、並びに分子は推定背景分布及び推定変更分布の混合から、算出される。推
定分布は、最尤法により得られる。負の二項分布を腫瘍数の表現型について用い
ることができ、かつガウス分布を連続する表現型について用いることができる。
その後可能性のあるキャリヤが、それらのLODスコアに従いランク付けされる。
最高の正のLODスコアを有する動物(恐らくキャリヤ)及び最高の負のLODスコアを
有する動物(恐らく非キャリヤ)を最初に解析することにより、マッピングが進め
られる。
【0044】 ENUで誘発した変更遺伝子の変異は、先に概説したように、それらのヘテロ接合
性表現型を基に低い分解能(resolution)でマッピングすることができる。下記実
施例の末尾近辺に説明したように、比較的高分解能のマッピングは、ENUで誘発
した変更遺伝子の変異のホモ接合体が定量的に区別される表現型、例えば致死率
などを有する場合に利用できる。 本発明は、下記の限定的でない実施例を考察することにより、より良く理解され
るであろう。
【0045】実施例 本願明細書に参照として組入れられているMoserらの論文「マウスにおける多発
性腸管新生物の素因である優性突然変異(A Dominant Mutation that Predispose
s to Multiple Intestinal Neoplasia in the Mouse)」、Science、247:322-324
(1990)に記されたMin 突然変異は、ヒト遺伝性大腸ポリポーシス症候群に非常
に類似している、ヘテロ接合体の表現型を生じる、優性で遺伝された完全に浸透
型のマウスの突然変異である。この例において、Min対立遺伝子を保有するC57BL
/6マウスを、変異誘発された父親から遺伝したランダム点突然変異を保有する遺
伝的に識別可能なBTBRマウスと繁殖した。
【0046】 およそ1ヶ月間隔で、6〜12匹の雄のBTBRマウスを、前記Shedlovskyのプロトコー
ルに従いENUで処理し、かつその後変異誘発していないBTBRマウスの雌と交雑し
た。この交雑のGen1子は、Min突然変異を含むマウスの腫瘍負荷に影響を及ぼす
可能性のある突然変異についてヘテロ接合性である同種同系BTBR動物であった。
時間をかけて、およそ900匹の雌Gen1子を得た。
【0047】 295匹の雌のGen1マウスを、B6-Min雄マウスと交雑した。これとは別に、誕生か
ら数日以内に同腹子が養母(例えば市販のICRマウス)によって育てられた場合に
は、複数のGen1雄を、B6-Min雌と交雑したことを注記しておく。このような仔の
生存率は、90%以上である。この戦略は、複数のB6-Min雌を提供することによっ
て、十分な数のGen1F1動物の作製が加速される点で有利であろう。
【0048】 交雑を行うために、2匹の雌及び1匹の雄を、ひとつの檻に入れた。2週間後、こ
れらの雌を隔離し、2匹の新たな雌と交換した。妊娠は、隔離した雌を毎週触診
することにより検出した。隔離の2週間後に妊娠が確認されなかった場合は、そ
の雌は交配に再使用した。各雌からのGen1F1子孫を、Minについて遺伝子型決定
し、かつ疾患徴候に関するスクリーニングを、100日齢目に開始し、以後1週間に
2回行った。動物が青ざめたように見え始めた時点で、スクリーニングを毎日行
い、まるで死んだように見えるまで続けた。全て本願明細書に参照として組入れ
られている、前掲のDietrichらの論文の637頁及びそれに引用された文献に記載
されたような、対立遺伝子-特異的PCR又は対立遺伝子-特異的ハイブリダイゼー
ションを使用し、Dietrichらの使用したものと同じPCRプライマー及び条件を使
用し、遺伝子型の解析を行った。
【0049】 前述の子孫の中で、92家系は6匹以上のメンバーを有した。これらの92家系中の5
家系が、Min表現型の強調の可能性を伴う少なくとも2種のMin/+メンバーを示し
た(すなわち、生存期間が、Gen1F1マウスの総集団の生存の90パーセンタイルよ
りも短い)。7家系は、Min表現型の抑圧を伴う少なくとも2種のMin/+メンバーを
示した(すなわち、10パーセンタイルよりも長い生存)。予想されるように、表現
型の強調又は抑圧は家系内で分離され、その理由は、家系のGen1F1世代のMinマ
ウスはあらゆる新たに誘発された突然変異についてヘテロ接合性であるためであ
る。
【0050】 下記表は、分離候補の強調遺伝子座又は抑圧遺伝子座を含む4家系の生存を示し
ている:
【0051】
【0052】 正常遺伝子型のマウスが特定の年齢よりもより長く生存する確率が10%であるな
らば、同じ家系の2匹のマウスがその年齢より長く生存するランダム確率は、わ
ずかに1%であった。次にある家系の3匹のマウスがより長く生存するランダム確
率(random probability)は、わずかに0.1%であった。従って、範囲外の短い又
は長い生存を有する家系のメンバーの数は増大するので、この逸脱の尤度は、変
異誘発されたBTBR創始動物から遺伝された真実の突然変異の結果であるという見
込みがある。これは、本方法のクラスター原理である。クラスター化の所望のレ
ベルを予め定めることによって、変異体の検出能の限界を定めることができ、か
つ得られた変異体の精製レベルを向上することができ、これにより、変異体に関
するスクリーニングの価値を高めることができる。
【0053】 図1は、Gen1 BTBR雌とB6-Min雄の間の交雑のGen1F1世代における生存確率対年齢
を示している。曲線の下及び左側の印は、Min表現型を強調する突然変異を含む
と思われる2家系(En333及びEn425)の個体を反映している。曲線の上及び右側の
印は、Min表現型が抑圧されたように見える2家系(Su248及びSu258)のメンバーを
反映している。後者の範疇のマウスの多くは、365日齢以上生存し続けた。統計
学的に低い又は高い生存を示したマウスは、その変異を維持するための標準の方
法を用いて繁殖した。一部の例において、Gen1動物は繁殖に失敗し、かつ問題の
変異をレスキューするための代替法として、長期間生存するGen1F1マウスを、代
わりの野生型創始者系統と繁殖した。例えば以下に説明する家系Su258の創始者
親は、候補変異がその子孫において同定された後は、繁殖することはできなかっ
た。従って、長期生存した子孫動物番号2及び4は、BTBRマウスと繁殖した。
【0054】 これらの家系の範囲外メンバーは実際に、強調又は抑圧する変異を含むことを証
明するために、第2世代の家系を試験した。これは、強力な強調遺伝子の変異の
キャリヤを回収し、かつ抑圧遺伝子又は強調遺伝子のいずれかのクラスのより微
妙な優性作用を検出するために有用である。一般に遺伝子機能の喪失に関するヘ
テロ接合体は、微妙なヘテロ接合性用のみを示す。
【0055】 第2世代家系を作出するために、強調又は抑圧のいずれかの機能が証明された家
系を生じる創始動物を、正常なBTBR動物と交雑した。平均して、この交雑の子の
50%が、抑圧又は強調する変異を含むと予想されるであろう。Gen2と称するこの
交雑の子は、B6-Minマウスと交雑した。
【0056】 90日後、遺伝子型分析によりMin突然変異を保有することが分かった子孫を屠殺
し、かつ腫瘍容積及び数の平均を決定するための常法を用いて、腫瘍負荷を評価
した。腫瘍負荷は、1匹のマウス当たりの腫瘍容積と腫瘍数の積の平均と定義さ
れる。
【0057】 抑圧する変異が家系258において得られることの更なる証明として、Gen1F1世代
の長期生存した2匹を繁殖し、かつ子孫は非常に少ない腫瘍数を有することが分
かった(約10個以下の腫瘍)。このことは、Min表現型を抑圧する作用を有する真
の突然変異が、子に継代時に分離されたという強力な証拠を提供した。抑圧遺伝
子家系258の699匹の動物を基に、統計学的に推定された+/+動物の腫瘍多重度は
平均18.8であり、一方Su/+動物のそれは5.9と推定された。強調遺伝子家系333に
ついては、+/+動物の推定腫瘍多重度は20.5である一方で、この家系のEn/+メン
バーは、推定された腫瘍多重度36を有した。
【0058】 公知のB6及びBTBRのDNA間のSSLP多型のために、BTBR DNAを含む子孫ゲノムの一
部を単離し、かつその後現在熟練した分子遺伝学者が利用可能な標準技法を用い
て、表現型の変更に寄与する点突然変異を局在化することは可能であろう。ENU-
誘発した突然変異は1個の塩基対の置換であるという事実は、この工程を特に強
力なものとする。これが、ICMM法の「変更分子(Modifying Molecule)」の名称の
基である。点突然変異を含むゲノムの一部は、公知のESTに対して比較すること
ができるか、もしくは、表現型を変更する分子をコードすることに関与している
遺伝的配列を決定するために新たに配列決定することができる。常法を用いて、
遺伝的配列を、原核又は真核宿主細胞における産生のための転写プロモーターを
含む適当な遺伝的構築物に導入することができる。ペットマウス系(companion m
ouse strain)のこの遺伝子において他の変異を形成するためにクローン化された
遺伝子を使用することもできるであろう。
【0059】 前述の遺伝的配列は、公知のヒト由来の配列と容易に比較され、対応するヒト遺
伝子の同一性が決定される。このヒト遺伝子は、ハイブリダイゼーション、PCR
又は発現クローニングのような常法により単離することができる。ヒトタンパク
質は恐らく、ヒト組織からの単離によるか、又は組換えDNA法を用いる本来のも
のでない宿主内での産生によるかのいずれかの標準技法を用いて得ることができ
る。
【0060】 感度は低いが、より簡略な方法で、指標Min表現型を抑圧する突然変異を単離す
ることは可能であろう。この方法において、B6-Min(ヘテロ接合型)雌マウスは、
ENU-変異誘発されたBTBR雄マウスと直接交雑された。対照として、変異誘発され
ないBTBR雄マウスも、同じ方法で処理した。このF1子はICRマウスで養育した。M
in表現型を有する雄のF1マウスを維持した。 170日目に、体重が対照体重の95%以上のApc Min/+ F1雄を、Min表現型の優性抑
圧遺伝子のキャリヤ候補、Su/+とみなした。
【0061】 このようなキャリヤ候補を、170日齢目に、野生型B6雌マウスと繁殖した。この
交雑の雌子(Apc Min/+ 及びApc +/+)は、その時点でわずかに約230日齢である候
補の雄に戻し交雑した。 次に後者の交雑の子孫を、90日齢で、表現型決定した。この時点までに、候補の
雄は、少なくとも340日齢であった。この子孫の中で、いずれかの有害又は致死
的な表現型は、抑圧遺伝子のマップ上の位置についての情報に富み、かつその雄
の候補が抑圧遺伝子変異を保有するかどうかを示すであろう。
【0062】 Apc Min/+ 子孫: +/+ 正常Min表現型 Su/+ 90日目に低い腫瘍負荷? Su/Su 90日目に非常に低い腫瘍負荷? もしくは有害又は致死的 Apc +/+ 子孫: +/+ 正常 Su/+ 正常? Su/Su 有害又は致死的?
【0063】 有害な影響を受けた動物は、抑圧遺伝子の座に連結したBTBR マーカーについて
ホモ接合型であろう。対照的に、Su/Suが胚で致死的突然変異であるならば、生
存状態で誕生した子孫のセットは、抑圧遺伝子の座に連結したBTBR マーカーに
ついてホモ接合型である動物を欠くであろう。
【0064】 体外受精を用いて、Min表現型を強調又は抑圧する変更遺伝子変異、特に強調す
る変更遺伝子変異を保有する生殖質をレスキューすることも重要であろう。例え
ば、繁殖するには重く罹病しているようなキャリヤ候補の雄は屠殺することがで
きる。屠殺した雄から得た精液を用いて、適当な雌(例えばBTBR又は問題の突然
変異を保有するマウス)から得た卵を受精することができる。使用することがで
きる技術は、Hogan, B.らの論文「マウス胚の操作法(Manipulation of the Mous
e Embryo)」、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス、第2版(1994)に
記されており、これは本願明細書に参照として組入れられている。
【0065】 前記実施例は、本発明を限定するものではなく、むしろ本発明は、上記「特許請
求の範囲」に収まる修飾及び変更の全てを包含していることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の方法に従って繁殖したGen1F1マウスの生存確率を示している
。更に図1は、指標Min対立遺伝子を保有するGen1F1マウスの平均生存期間に対し
てより長い又は短い生存期間を有する子孫を示した4家系の個体の生存期間も示
している。比較的長期間生存する抑圧遺伝子(Su)候補家系である248及び258は、
□で示した。比較的短期間生存する強調遺伝子(En)候補家系である333及び425は
、○で示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 シェドロブスキ アレクサンドラ アメリカ合衆国 ウィスコンシン州 53711 マディソン マンダン クレセン ト 4130 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA20 CA01 DA02 GA18 HA19 4B063 QA01 QA17 QA19 QQ02 QQ58 QR56 QR72 QR80 QS24 QS28 QS36 QS38 QX01

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 指標近交系において指標表現型を変更する遺伝子座の分離突
    然変異を同定する方法であって、該分離突然変異が、指標表現型に対して範囲外
    の表現型を引き起こす、下記の工程を含む方法: 創始者近交系を指標近交系と異系交配し、F1子孫を得る工程であって、該創始者
    近交系が、創始者近交系の野生型動物に対するランダム点突然変異を保有し、該
    指標近交系が、指標表現型を付与することがわかっている遺伝子座に優性対立遺
    伝子を保有し、かつ創始者近交系から遺伝的に識別可能であり、前記優性対立遺
    伝子を保有するF1子孫の一部が少なくとも1個のランダム突然変異も保有する工
    程; 前記F1子孫を、指標対立遺伝子を伴う又は伴わない指標近交系に戻し交雑し、N2
    戻し交雑子孫を得る工程であって、前記優性対立遺伝子を保有するN2戻し交雑子
    孫の少なくとも一部が、前記範囲外表現型も示す工程;及び 前記範囲外表現型が分離突然変異によって引き起こされたことを証明する工程。
  2. 【請求項2】 前記交雑に保存された配偶子を使用する、請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記F1子孫及びN2子孫の一部が、極端な範囲外表現型を示す
    、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記分離突然変異が、強調性変更遺伝子及び抑圧性変更遺伝
    子からなる群より選択された指標表現型のヘテロ接合型の変更遺伝子である、請
    求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記優性対立遺伝子が、Apc座のMin対立遺伝子である、請求
    項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記指標近交系が、単独のヌクレオチド多型を保有する同種
    同系指標系統である、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記同種同系指標系統が、下記の工程を含む方法によって作
    出される、請求項6記載の方法: 指標系統の動物を変異原物質で処理し、その処理された動物において点突然変異
    を誘発する工程; 前述の処理された動物を、指標系統動物と交雑し、F1子孫を作出する工程;及び
    F1及びそれに続く世代の子孫を、有害かつ致死的突然変異が排除されるまで同胞
    交雑する工程。
  8. 【請求項8】 前記創始者近交系マウスが、野生型同系交配されたマウスを
    変異原物質で処理し、点突然変異を誘発する工程を含む方法により作出される、
    請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記変異原物質がエチルニトロソ尿素である、請求項8記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 ヒト以外の動物の遺伝子座での分離突然変異に対応するヒ
    ト遺伝子配列を同定する方法であって、該分離突然変異が、指標近交系マウスの
    指標表現型に対して、範囲外表現型を引き起こす、下記の工程を含む方法: ヒト以外の創始者近交系をヒト以外の指標近交系と異系交配し、F1子孫を得る工
    程であって、該創始者近交系が、創始者近交系の野生型動物に対するランダム点
    突然変異を保有し、該指標近交系が指標表現型を付与することがわかっている遺
    伝子座に優性対立遺伝子を保有しかつ創始者近交系から遺伝的に識別可能であり
    、前記優性対立遺伝子を保有するF1子孫の一部が少なくとも1個のランダム突然
    変異も保有する工程; 前記F1子孫を、指標対立遺伝子を伴う又は伴わない指標近交系に戻し交雑し、N2
    戻し交雑子孫を得る工程であって、前記優性対立遺伝子を保有するN2戻し交雑子
    孫の少なくとも一部は、範囲外表現型も示す工程; 前記範囲外表現型が、分離突然変異によって引き起こされたことを証明する工程
    ; 前記分離突然変異に連結した遺伝的マーカーを同定する工程; 前記分離突然変異をコードしているコンティグ上の遺伝子を同定する工程;及び
    前記突然変異をコードしている遺伝子に相当するヒトの遺伝的配列を回収する工
    程。
  11. 【請求項11】 指標近交系において指標表現型を変更する遺伝子座の分離
    突然変異を同定する方法であって、該分離突然変異が指標表現型に対する範囲外
    の表現型を引き起こす、下記の工程を含む方法: 創始者近交系を指標近交系と交雑し、Gen1子孫を得る工程であって、ここで該創
    始者近交系は創始者近交系の野生型動物に対するランダム点突然変異を保有し、
    該指標近交系は指標表現型を付与することがわかっている遺伝子座に優性対立遺
    伝子を保有し、該対立遺伝子は野生型創始者近交系の遺伝的背景において提供さ
    れ、ここで優性対立遺伝子を保有するGen1子孫の一部が、変更された指標表現型
    も示す工程;及び 前記優性対立遺伝子を保有しかつ変更された指標表現型を示すGen1子孫が、分離
    突然変異を保有することを証明する工程。
  12. 【請求項12】 前記遺伝的背景が、指標表現型に対する変更作用を有さな
    い、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記遺伝的背景が、指標表現型に対する変更作用を有する
    、請求項11記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記遺伝的背景が、指標表現型に対する強調作用を有し、
    かつここでGen1動物は指標近交系に対して抑圧された表現型を示す、請求項13記
    載の方法。
  15. 【請求項15】 更に下記の工程を含む、請求項11記載の方法: 前記優性対立遺伝子及び変更された指標表現型を有するGen1動物を、遺伝的に識
    別可能な近交系と交雑することによって、分離突然変異をマッピングする工程;
    及び マッピングした交雑の子孫を評価する工程。
  16. 【請求項16】 前記遺伝的に識別可能な近交系が、野生型創始者近交系の
    遺伝的背景を有し、かつ更に野生型創始者近交系に対する単独のヌクレオチド多
    型を含むような近交系である、請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 第一の近交系マウスに特有な遺伝的背景を有する遺伝的に
    変更されたマウスであって、該マウスのゲノムに、下記: 前記特徴的遺伝的背景を有するマウスに指標表現型を付与する優性ヘテロ接合型
    の対立遺伝子;及び 前記指標表現型の分離変更遺伝子であって、この変更遺伝子が、第二の近交系
    マウスに特有な遺伝的マーカーに遺伝的に連結されている分離変更遺伝子; を含み、遺伝的に変更されたマウスの指標表現型が、第一の近交系マウスに特有
    の遺伝的背景について優性対立遺伝子を含むが、分離変更遺伝子を欠いているマ
    ウスの指標表現型に対して、変更されていることを特徴とするマウス。
  18. 【請求項18】 前記優性対立遺伝子が、Apc座のMin対立遺伝子である、請
    求項17記載のマウス。
  19. 【請求項19】 指標表現型を変更する分離突然変異を含むヒト以外の動物
    であって、下記の工程を含む方法に従って調製された動物。 ヒト以外の創始者近交系を、ヒト以外の指標近交系と異系交配し、F1子孫を得る
    工程であり、該創始者近交系が、創始者近交系の野生型動物に対するランダム点
    突然変異を保有し、該指標近交系が、指標表現型を付与することがわかっている
    遺伝子座に優性対立遺伝子を保有しかつ創始者近交系から遺伝的に識別可能であ
    り、前記優性対立遺伝子を保有する F1子孫の一部が、少なくとも1個のランダム
    突然変異も保有する工程; 前記F1子孫を、指標対立遺伝子を伴う又は伴わない指標近交系に戻し交雑し、N2
    戻し交雑子孫を得る工程であって、前記優性対立遺伝子を保有するN2戻し交雑子
    孫の少なくとも一部が、範囲外表現型も示す工程; 前記範囲外表現型が分離突然変異によって引き起こされたことを証明する工程;
    及び 前記範囲外表現型を示す動物を選択する工程。
  20. 【請求項20】 前記ヒト以外の動物がマウスである、請求項19記載のヒト
    以外の動物。
  21. 【請求項21】 前記指標表現型を変更する分離突然変異を含むヒト以外の
    動物であって、下記の工程を含む方法により調製される動物。 創始者近交系を、指標近交系と交雑し、Gen1子孫を得る工程であり、該創始者近
    交系が、創始者近交系の野生型動物に対するランダム点突然変異を保有し、該指
    標近交系は指標表現型を付与することがわかっている遺伝子座に優性対立遺伝子
    を保有し、該対立遺伝子は野生型創始者近交系の遺伝的背景において提供され、
    前記優性対立遺伝子を保有するGen1子孫の一部が、変更された指標表現型も示す
    工程; 前記優性対立遺伝子を保有しかつ変更された指標表現型を示すGen1子孫が、分離
    突然変異を保有することを証明する工程;及び 前記範囲外表現型を示す動物を選択する工程。
  22. 【請求項22】 前記ヒト以外の動物がマウスである、請求項21記載のヒト
    以外の動物。
  23. 【請求項23】 指標表現型を変更する分離突然変異を含むヒト以外の動物
    であって、下記の工程を含む方法により調製される動物。 創始者同種同系近交系を、指標近交系と異系交配し、Gen1F1子孫を得る工程であ
    り、該創始者同種同系近交系が、創始者近交系の野生型動物に対しランダム点突
    然変異についてのみヘテロ接合性であり、該指標近交系は、指標表現型を付与す
    ることがわかっている遺伝子座に優性対立遺伝子を保有し、少なくとも一部のGe
    n1F1子孫が該優性対立遺伝子及び少なくとも1個のランダム突然変異の両方を保
    有する工程; 前記創始者同種同系近交系の創始動物を、該突然変異を欠いている創始者系の動
    物と交雑し、同系交配したGen2子を得る工程であり、該創始動物は、指標表現型
    に対し範囲外表現型を示す異系交配されたF1子孫を少なくとも1個有し; 前記Gen2子を、指標系と異系交配し、Gen2F1戻し交雑子孫を得、平均してその
    半分が、指標表現型を付与する優性対立遺伝子を保有する工程;及び 前記Gen2F1子孫のサブセットが、範囲外表現型を示すことを証明する工程;及び
    前記範囲外表現型を示す動物を選択する工程。
  24. 【請求項24】 前記ヒト以外の動物がマウスである、請求項23記載のヒト
    以外の動物。
  25. 【請求項25】 指標近交系において指標表現型を変更する遺伝子座の分離
    突然変異を同定する方法であって、該分離突然変異が、該指標表現型に対して範
    囲外の表現型を引き起こす、下記の工程を含む方法。 創始者同種同系近交系を指標近交系と異系交配し、Gen1F1子孫を得る工程であり
    、該創始者同種同系近交系が、創始者近交系の野生型動物に対しランダム点突然
    変異についてのみヘテロ接合性であり、該指標近交系が、指標表現型を付与する
    ことがわかっている遺伝子座に優性対立遺伝子を保有し、少なくとも一部のGen1
    F1子孫が該優性対立遺伝子及び少なくとも1個のランダム突然変異の両方を有す
    る工程; 前記創始者同種同系近交系の創始動物を、該突然変異を欠いている創始者系動物
    と交雑し、同系交配したGen2子を得る工程であり、該創始動物が、指標表現型に
    対し範囲外の表現型を示す異系交配されたF1子孫を少なくとも1種有し;及び 前記Gen2子孫を、指標近交系と異系交配し、Gen2F1戻し交雑子孫を得、平均して
    その半分が、指標表現型を付与する優性対立遺伝子を保有する工程;及び 前記Gen2F1のサブセットが、範囲外の表現型を示すことを証明する工程。
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