JP2002520068A - 骨形態形成タンパク質 - Google Patents

骨形態形成タンパク質

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JP2002520068A JP2000560280A JP2000560280A JP2002520068A JP 2002520068 A JP2002520068 A JP 2002520068A JP 2000560280 A JP2000560280 A JP 2000560280A JP 2000560280 A JP2000560280 A JP 2000560280A JP 2002520068 A JP2002520068 A JP 2002520068A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規ヒトBMPポリペプチドおよびそのようなポリペプチドをコードする遺伝子のコード領域を含む単離された核酸に関する。ヒトBMPポリペプチドを産生するためのベクター、宿主細胞、抗体、および組換え方法もまた提供される。本発明はさらに、これらの新規ヒトBMPポリペプチドに関する障害を診断および処置するために有用な診断方法および治療方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
(発明の分野) 本発明は、新規の骨形成因子タンパク質(BMP)遺伝子のスプライス改変体
に関する。より詳細には、BMPポリペプチドをコードする単離された核酸分子
が提供される。BMPポリペプチドを含むアミノ酸配列もまた提供される。本発
明はさらに、骨、軟骨、および軟骨組織に対する損傷を修復、減少または防御す
るための、ならびに新脈管形成を刺激するための方法および組成物に関する。こ
の方法および組成物はさらに、骨および軟骨組織の形成、創傷治癒の誘導および
維持、ならびに内皮細胞(特に血管内皮細胞)の刺激および増殖に有用であり得
る。これらの方法および組成物はまた、同じように有用な他の組成物の活性を増
強するために有用であり得る。
【0001】 (発明の背景) 本発明は、骨、軟骨、腱および骨に存在する他の組織の形成および修復を担う
骨形成因子タンパク質(BMP)に関する。骨形成因子タンパク質ファミリーの
メンバーは、軟骨および骨の形成の誘導に有用である。例えば、BMP−2は、
ラット異所性インプラントモデル(例えば、米国特許第5,013,649号を
参照のこと)、イヌの下顎骨欠損(例えば、Toriumiら、Arch.Ot
olaryngol Head Neck Surg.、117:1101〜1
112(1991));ヒツジの大腿分節欠損(Gerhartら、Trans
Orthop Res Soc、16:172(1991))において、新し
い軟骨および/または骨組織のインビボでの形成を誘導し得る。BMPファミリ
ーの他のメンバーはまた、BMP−4、BMP−6およびBMP−7を含む骨形
成活性を有する(例えば、Wozney,Bone Morphogeneti
c Proteins and Their Gene Expression
,in Cellular and Molecular Biology o
f Bone、131〜167頁(Academic Press,Inc.1
993)を参照のこと)。BMPタンパク質はさらに、軟骨、腱、靭帯、神経組
織を含む種々の他の組織における誘導性および/または分化増強活性を実証する
【0002】 BMPは、TGF−β(トランスフォーミング増殖因子−β)の大きなスーパ
ーファミリーの一部を形成する。このファミリーは、胚形成、内分泌機能調節因
子、広範な調節因子、および細胞の増殖および分化に特異的な調節因子を含む。
TGF−βは、このファミリーの基本型である。TGF−βは、ジスルフィド架
橋によりともに保持される2つの同一の112アミノ酸の鎖の二量体である。各
鎖は、分泌ポリペプチドの特徴を有する約390のアミノ酸のより長い前駆体か
ら開始され合成され、分子の分泌のために分泌ペプチドとして機能するべきであ
るN末端領域における疎水性配列を示す。次いで、この前駆体は、特定のペプチ
ダーゼによる切断によりその成熟形態へとプロセシングされる。このペプチダー
ゼは、生物学的活性ドメインの直ぐ前の4つの塩基性アミノ酸を切断する。前駆
体領域は、今日までに未成熟の生物学的活性ペプチドが組換えDNA技術により
Escherichia coliにおいて産生されることが公知である程度ま
で、インビボでの成熟部分の正確な折り畳みにおいて必須の役割を果たす。
【0003】 BMPは、Drosophilaからヒトまでの種々の動物種において公知で
ある。それらの配列は、進化を通して広い範囲で維持されている。種々のポリペ
プチド間での配列相同性は、通常、特にC末端領域において高い。配列の同一性
の程度は、種々のファミリーメンバー間において25〜90%の間で変動する。
相同領域において、7〜9の間のシステインは、通常、メンバー間に保存される
。これらは、アミノ酸の鎖間のジスルフィド結合の形成に関与する。BMPは、
これらは、軟骨の一過性形成、続いて造血骨髄との骨の蓄積を達成する走化性、
増殖応答および分化応答を誘導する。
【0004】 BMPの活性は、脱塩した骨マトリクスと連結され、そして変性剤で抽出可能
である。BMPは、種々の種(ヒト、サル、ウシ、ラットおよびマウスを含む)
から抽出されている(Sampath,T.K.、Reddi,A.H.198
3、PNAS 80、6591〜6595;Urist,M.D.ら、1979
、PNAS 76、1828〜1832)。大部分の研究は、豊富でかつ入手が
容易な供給源であるウシの骨由来のBMPにおいて実施された。1988年に、
Wozneyら(Wozney,J.M.ら、1988、Science 24
2、1528〜1534)は、非還元条件下のポリアクリルアミドゲル電気泳動
により検出され得たウシの骨から約30kDの生物学的活性タンパク質画分を回
収した。化学方法によるジスルフィド架橋の還元後、30kD、18kDおよび
16kDのポリペプチドが得られた(Wang,E.A.ら、1988、PNA
S 85、9484〜9488)。このタンパク質画分をトリプシンで消化し、
そして得られたペプチドをHPLCにより分離し、そして配列決定した。この情
報は、種々の因子をコードするウシゲノム配列を同定するために使用するDNA
プローブの合成において使用した。プローブとしてのこれらの配列の一部を使用
して、相同因子をコードするヒト配列を得た。現在これらの因子について多くが
公知である(Wozney,J.M.ら、1990、J.Cell.Sci.S
uppl.13、149〜156;Wozney,J.M.、1989、Pro
gress in Growth Factor Research,1,26
7〜280)。いくつかは、組換えDNA技術を介して得られた。組換えDNA
技術によって得られた上記のクラスに属する増殖因子に対する参考文献のいくつ
かの例としては、EP409472、WO9011366、WO8800205
、EP212474、WO9105863、および米国特許第4,743,67
9号が挙げられる。
【0005】 (発明の要旨) 本発明は、BMPポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む単離され
た核酸分子を含む。本発明はさらに、そのポリヌクレオチドによりコードされる
BMPポリペプチドを含む。本発明は、BMPポリペプチドをコードする単離さ
れた核酸分子を提供する。配列表に開示され、そして表1中に記載のヒトcDN
Aクローンによりコードされ、そして1998年5月22日にアメリカンタイプ
カルチャーコレクション(ATCC)に寄託されて受託番号第209889号(
HSYAE36)を与えられ、そして1999年7月13日に受託番号_(HE
TAB62)を与えられたBMPポリペプチドを含むアミノ酸配列が、さらに提
供される。ATCCは、10801 University Boulevar
d.Manassas、Virginia 20110−2209に位置する。
【0006】 従って、本発明の1つの局面は、以下の群から選択されるヌクレオチド配列を
有するポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子を提供する:(a)配列表に
示されかつ表1中に記載されるようなアミノ酸配列を有するBMPポリペプチド
をコードするヌクレオチド配列;(b)配列表に示されかつ表1中に記載される
ようなアミノ酸配列を有する成熟BMPポリペプチドをコードするヌクレオチド
配列;(c)配列表に示されかつ表1中に記載されるアミノ酸配列を有するBM
Pポリペプチドの生物学的活性フラグメントをコードするヌクレオチド配列;(
d)配列表に示されかつ表1中に記載されるアミノ酸配列を有するBMPポリペ
プチドの抗原性フラグメントをコードするヌクレオチド配列;(e)ATCC寄
託物中に含まれるヒトcDNAクローンによりコードされ、かつ表1に記載され
る完全アミノ酸配列を含むBMPポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(f)ATCC寄託物中に含まれかつヒトcDNAクローンによりコードされ、
かつ表1に記載されるアミノ酸配列を有する成熟BMPポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列;(g)ATCC寄託物中に含まれるヒトcDNAクローン
によりコードされ、かつ表1に記載されるアミノ酸配列を有するBMPポリペプ
チドの生物学的活性フラグメントをコードするヌクレオチド配列;(h)ATC
C寄託物中に含まれるヒトcDNAクローンによりコードされ、かつ表1に記載
されるアミノ酸配列を有するBMPポリペプチドの抗原性フラグメントをコード
するヌクレオチド配列;ならびに(i)上記の(a)、(b)、(c)、(d)
、(e)、(f)、(g)、または(h)の任意のヌクレオチド配列に相補的な
ヌクレオチド配列。
【0007】 本発明のさらなる実施態様は、上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e
)、(f)、(g)、(h)、または(i)の任意のヌクレオチド配列に対して
少なくとも90%同一、およびより好ましくは少なくとも95%、97%、98
%または99%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、あるい
は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で上記の(a)、(b)
、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、または(i)のポリヌク
レオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子を
含む。このハイブリダイズするポリヌクレオチドは、ストリンジェントなハイブ
リダイゼーション条件下で、A残基のみまたはT残基のみからなるヌクレオチド
配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズしない。本発明のさらなる核酸
の実施態様は、上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g
)、または(h)のアミノ酸配列を有するBMPポリペプチドのエピトープ保有
部分のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子
に関する。
【0008】 本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含む組換えベクター、およびそ
の組換えベクターを含む宿主細胞、ならびにそのようなベクターおよび宿主細胞
を作製する方法、および組換え技術によるBMPポリペプチドまたはペプチドの
産生のためにそれらを使用する方法に関する。そのような方法により産生される
ポリペプチドもまた提供される。
【0009】 別の局面において、本発明は、上記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e
)、(f)、(g)、または(h)に記載されるアミノ酸配列を有するポリペプ
チドを含む単離されたポリペプチドを提供する。そのようなBMPポリペプチド
のポリペプチド改変体もまた提供される。
【0010】 本発明のこの局面のさらなる実施態様は、本明細書中に記載されるアミノ酸配
列を有するBMPポリペプチドのエピトープ保有部分のアミノ酸配列を有するペ
プチドまたはポリペプチドに関する。本発明のBMPポリペプチドのエピトープ
保有部分のアミノ酸配列を有するペプチドまたはポリペプチドは、そのようなポ
リペプチドの一部を含む。別の実施態様において、本発明は、上記のアミノ酸配
列を有するBMPポリペプチドを特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0011】 多くの適用について、BMP発現のレベルは、組織または体液のサンプル中で
検出され得る。BMP発現の存在またはBMP発現の増大もしくは減少が測定さ
れ得る。従って、本発明は、BMPの検出および適用可能な障害の診断に有用な
方法を提供する。障害の診断には、個体由来の組織または体液中のBMPタンパ
ク質をコードする遺伝子の発現レベルをアッセイし、そしてその遺伝子発現レベ
ルを標準のBMP発現レベルと比較し、それによって、標準に対する遺伝子発現
レベルの増加または減少が、関節炎のような病的障害の指標である、工程が包含
される。
【0012】 本発明はさらに、骨および軟骨組織の形成を、これを必要とする患者において
誘導するのに有用な組成物に関し、そしてこの組成物は、本発明の1つ以上のタ
ンパク質メンバーを含む。
【0013】 別の実施態様において、本発明は、患者(例えば、関節炎、特に変形性関節症
に罹患している患者、あるいは関節骨もしくは関節軟骨の欠損または他の骨もし
くは軟骨組織の欠損を有する患者)において、骨および軟骨の形成ならびに維持
を誘導するための方法に関し、そしてこの方法は、この患者に有効量のBMP含
有組成物を投与する工程を包含する。特定の実施態様において、本発明の方法は
、関節軟骨の欠損または損傷を処置する必要のある患者においてそれらを処置す
る方法に関し、そしてこの方法は、その患者に有効量のBMP含有組成物を投与
する工程を包含する。本発明はさらに、骨、軟骨ならびに骨組織および軟骨組織
の形成を誘導するための方法に関し、この方法は、患者にBMP含有組成物を投
与する工程を包含する。
【0014】 さらなる実施態様において、本発明は、内皮細胞の増殖、そしてより特定的に
は血管内皮細胞の増殖、そしてなおより特定的には新脈管形成への刺激を促進す
るための方法に関し、そしてこの方法は、その患者に有効量のBMP含有組成物
を投与する工程を包含する。特定の実施態様において、本発明の方法は、種々の
疾患状態(例えば、血栓症、動脈硬化および他の心臓血管状態)に起因する虚血
性組織の再血管新生を刺激するための方法、ならびに新脈管形成および肢節再生
を刺激するための方法に関する。この方法は、その患者に有効量のBMP含有組
成物を投与する工程を包含する。
【0015】 従って、本発明の方法および組成物は、骨、軟骨、骨および軟骨の組織、なら
びに内皮組織の損傷を修復、減少、または保護するのに有用である。この方法お
よび組成物はさらに、骨、軟骨、および内皮の組織、創傷治癒および他の組織の
修復の誘導ならびに維持、骨、軟骨および内皮組織(例えば、関節軟骨、半月板
、発生中の骨の関節表面、および血管組織)の誘導、ならびに骨、軟骨および内
皮組織の疾患または欠損(例えば、関節炎、特に変形性関節症、および血管組織
の疾患)の処置に有用であり得る。
【0016】 (発明の詳細な説明) (定義) 以下の定義は、本明細書を通して使用される特定の用語の理解を容易にするた
めに提供される。
【0017】 本発明において、「単離された」とは、その本来の環境(例えば、それが天然
に存在する場合は天然の環境)から取り出された物質をいい、したがって、その
天然の状態から「人間の手によって」変更されている。例えば、単離されたポリ
ヌクレオチドは、ベクターまたは合成物の一部であり得るか、あるいは細胞中に
含まれ得、そしてなお「単離されている」。なぜなら、そのベクター、合成物、
または特定の細胞は、ポリヌクレオチドの本来の環境ではないからである。用語
「単離された」は、ゲノムライブラリーもしくはcDNAライブラリー、全細胞
総調製物もしくはmRNA調製物、ゲノムDNA調製物(電気泳動により分離さ
れた、およびブロット上に移されたものを含む)、共有する全細胞ゲノムDNA
調製物、またはこの技術が本発明のポリヌクレオチド/配列の特徴を識別できな
いことを実証する他の組成物には言わない。
【0018】 本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」とは、配列番号X(ここで
Xは、配列表中に開示される任意のポリヌクレオチド配列であり得る)に含まれ
る核酸配列を有する分子、またはATCCに寄託されたクローン内に含まれるヒ
トcDNAおよび/または表1に記載されるヒトcDNAをいう。例えば、ポリ
ヌクレオチドは、5’および3’非翻訳配列、天然または人工のシグナル配列を
含むかもしくは含まないコード領域、タンパク質コード領域を含む全長cDNA
配列のヌクレオチド配列、ならびにこの核酸配列のフラグメント、エピトープ、
ドメイン、および改変体を含み得る。さらに、本明細書で使用される場合、「ポ
リペプチド」とは、広く定義される場合、ポリヌクレオチドから生じた翻訳され
たアミノ酸配列を有する分子をいう。
【0019】 本発明では、配列番号Xとして同定された配列は、しばしば、複数のクローン
に含まれる配列を重複させることによって生成された(コンティグ分析)。配列
番号Xについての全配列を含む代表的クローンを、アメリカンタイプカルチャー
コレクション(「ATCC」)に寄託し、そして/または表1に記載した。表1
に示すように、各クローンは、cDNAクローンID(識別子)およびATCC
寄託番号によって同定される。ATCCは、10801 University
Boulevard,Manassas,Virginia 20110−2
209,USAに位置する。ATCC寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際
的承認に関するブダペスト条約の条項に拠って行われた。
【0020】 本発明の「ポリヌクレオチド」はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼー
ション条件下で、配列番号Xに含まれる配列、その相補体、またはATCCに寄
託されたクローン内のcDNAにハイブリダイズし得るポリヌクレオチドを含む
。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、50%ホルムアミ
ド、5×SSC(750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウム)、50
mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキス
トラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中での42℃
での一晩インキュベーション、次いで0.1×SSC中で約65℃にてフィルタ
ーを洗浄することをいう。
【0021】 特定の実施態様において、本発明のポリヌクレオチドは、長さが300kb、
200kb、100kb、50kb、15kb、10kb、7.5kb、5kb
、2.5kb、2.0kb、および1kb未満である。さらなる実施態様におい
て、本発明のポリヌクレオチドは、本明細書中に開示されるようなコード配列の
一部を含むが、任意のイントロンの全てまたは一部を含まない。別の実施態様に
おいて、コード配列を含むポリヌクレオチドは、ゲノム隣接遺伝子のコード配列
(すなわち、ゲノムにおけるBMP遺伝子に対して5’または3’)を含まない
【0022】 より低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件で本発明のポリヌ
クレオチドにハイブリダイズする核酸分子もまた意図される。ハイブリダイゼー
ションのストリンジェンシーおよびシグナル検出の変化は、主として、ホルムア
ミド濃度(ホルムアミドの百分率がより低い程、より低下したストリンジェンシ
ーを生じる);塩条件、または温度の操作を通じて達成される。例えば、より低
いストリンジェンシー条件は、6×SSPE(20×SSPE=3M NaCl
;0.2M NaH2PO4;0.02M EDTA、pH7.4)、0.5%
SDS、30%ホルムアミド、100μg/mlサケ精子ブロッキングDNAを
含む溶液中、37℃で一晩のインキュベーション;次いで1×SSPE、0.1
% SDSを用いた50℃での洗浄を含む。さらに、さらにより低いストリンジ
ェンシーを達成するために、ストリンジェントなハイブリダイゼーション後に行
われる洗浄は、より高い塩濃度(例えば、5×SSC)で行われ得る。
【0023】 上記の条件における変化が、ハイブリダイゼーション実験においてバックグラ
ウンドを抑制するために使用される代替的なブロッキング試薬の含有および/ま
たは置換によって達成され得ることに留意すること。代表的なブロッキング試薬
としては、デンハルト試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サケ精子DNA、お
よび市販の製品処方物が挙げられる。特異的ブロッキング試薬の含有は、適合性
の問題に起因して、上記のハイブリダイゼーション条件の改変を必要とし得る。
【0024】 もちろん、ポリA+配列(例えば、配列表に示されるcDNAの任意の3’末
端ポリA+領域(tract))に、またはT(もしくはU)残基の相補的スト
レッチにのみハイブリダイズするポリヌクレオチドは、このようなポリヌクレオ
チドが、ポリ(A)ストレッチまたはその相補体を含む任意の核酸分子(例えば
、事実上任意の二本鎖cDNAクローン)にハイブリダイズするので、「ポリヌ
クレオチド」の定義に包含されない。
【0025】 本発明のポリヌクレオチドは、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキ
シリボヌクレオチドから構成され得、これは、非改変RNAもしくは非改変DN
Aまたは改変RNAもしくは改変DNAであり得る。例えば、ポリヌクレオチド
は、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA
、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物である
RNA、ハイブリッド分子(一本鎖、もしくはより代表的には二本鎖、または一
本鎖および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含む)から構成
され得る。さらに、これらのポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNA、また
はRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域から構成され得る。ポリヌクレオ
チドはまた、安定性のために、または他の理由のために改変された1つ以上の改
変された塩基またはDNAもしくはRNA骨格を含み得る。「改変された」塩基
としては、例えば、トリチル化された塩基、およびイノシンのような普通でない
塩基が挙げられる。種々の改変が、DNAおよびRNAに対して行われ得;した
がって、「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的、または代謝的に改変された
形態を含む。
【0026】 本発明のポリペプチドは、ペプチド結合または改変されたペプチド結合、すな
わち、ペプチドアイソスター(isostere)によって互いに連結したアミ
ノ酸から構成され得、そして遺伝子がコードする20個のアミノ酸以外のアミノ
酸を含み得る。これらのポリペプチドは、翻訳後プロセシングのような天然のプ
ロセスによって、または当該技術分野で周知の化学的改変技術によってのいずれ
かで、改変され得る。このような改変は、基本テキスト、およびより詳細な研究
論文、ならびに多くの研究文献に十分記載される。改変は、ペプチド骨格、アミ
ノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含むポリペプチドのどこ
にでも生じ得る。同じ型の改変が、所定のポリペプチド中のいくつかの部位で同
じまたは種々の程度で存在し得ることが理解される。また、所定のポリペプチド
は多くの型の改変を含み得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果と
して分枝状であり得、そしてポリペプチドは、分枝を含むかまたは含まない、環
状であり得る。環状、分枝状および分枝した環状のポリペプチドは、天然の翻訳
後プロセスから生じ得るか、または合成方法によって作製され得る。改変として
は、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結
合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、
脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosph
otidylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形
成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の
形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、
水酸化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化(pegylat
ion)、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セ
レノイル化、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸のトランスファーRNA媒介付加
(例えば、アルギニル化)、およびユビキチン化が挙げられる。(例えば、PR
OTEINS−STRUCTURE AND MOLECULAR PROPE
RTIES、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman
and Company、New York(1993);POSTTRANS
LATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PR
OTEINS、B.C.Johnson編、Academic Press、N
ew York、1−12頁(1983);Seifterら、Meth En
zymol 182:626−646(1990);Rattanら、Ann
NY,Acad Sci 663:48−62(1992)を参照のこと)。
【0027】 「配列番号X」とは、ポリヌクレオチド配列をいうが、「配列番号Y」とはポ
リペプチド配列をいい(ここでYは、配列表に開示された任意のポリペプチド配
列であり得る)、両方の配列は、表1で特定される整数により同定される。
【0028】 「生物学的活性を有するポリペプチド」とは、特定の生物学的アッセイで測定
した場合、用量依存性を伴なっても伴なわなくても、本発明のBMPポリペプチ
ド(成熟形態を含む)の活性と類似であるが、必ずしも同一ではない活性を示す
ポリペプチドをいう。用量依存性が存在する場合、それは、このポリペプチドの
用量依存性に同一である必要はないが、本発明のポリペプチドと比較した場合に
、所定の活性における用量依存性に実質的に類似する(すなわち、候補ポリペプ
チドは、本発明のポリペプチドと比較して、より大きな活性を示すか、またはせ
いぜい約1/25、そして好ましくはせいぜい約1/10の活性、そして最も好
ましくはせいぜい約1/3の活性を示す)。
【0029】 (本発明のポリヌクレオチドならびにポリペプチド) (遺伝子番号1によりコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、ニワトリ(Genbank登録番号gi|2852
121を参照のこと)およびヒト(国際公開番号WO8800205−Aを参照
のこと)両方からの骨形態形成タンパク質(BMP)と配列相同性を共有し、こ
れらは、骨、軟骨、および連結組織形成において、ならびに異所性の骨形成を誘
導すること、および脊椎動物マトリクス沈着を調節することにおいて機能すると
考えられている。従って、このクローンの翻訳産物は、上記に列挙されたBMP
タンパク質といくつかの生物学的機能を共有することが期待される。クローンH
ETAB62に含まれる遺伝子番号1のcDNAは、クローンHSYAE36に
含まれるcDNAのスプライス改変体である。開示されたcDNAをコードする
遺伝子は、第4染色体上にあると考えられている。従って、本発明に関連するポ
リヌクレオチドは、第4染色体の連鎖分析におけるマーカーとして有用である。
【0030】 この遺伝子は、主に破骨細胞腫、そしてより少ない程度で上皮小体腫瘍組織中
で発現される。
【0031】 従って、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、生物学的試料中に
存在する組織または細胞型の差次的同定のため、および以下を含むがそれらに限
定されない疾患および症状の診断のための試薬として有用である:骨格組織、血
管組織および連結組織の障害、および上皮小体腫瘍。同様に、ポリペプチドおよ
びこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織または細胞型の差次的同定のため
の免疫学的プローブを提供することに有用である。上記組織または細胞、特に骨
格系および血管系の多くの障害について、標準的な遺伝子発現レベル、すなわち
,障害を有さない個体からの健常組織または体液中の発現レベルに対して、この
ような障害を有する個体から採取された、特定の組織または細胞型(例えば、骨
格組織、血管組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血
清、血漿、尿、滑液および髄液)または別の組織または試料中で、有意により高
いまたはより低いレベルのこの遺伝子の発現が慣用的に検出され得る。
【0032】 本発明の好適なポリペプチドは、配列番号4において残基:Gly−15〜L
eu−26、Ser−33〜His−46、Gln−133〜Asn−138、
Asp−214〜Trp−220、Ser−249〜Phe−255、Glu−
261〜Asp−267として示される免疫原性エピトープを含む。さらに好ま
しいポリペプチドは、アミノ酸残基:Met−1〜Phe−30、Ser−2〜
Phe−30、Gly−40〜Glu−261を含む。これらのポリペプチドを
コードするポリヌクレオチドもまた提供される。
【0033】 破骨細胞腫中の組織分布、およびニワトリおよびヒトの両方からの骨形態形成
タンパク質(BMP)に対する相同性は、この遺伝子に対応するポリヌクレオチ
ドおよびポリペプチドが、骨障害の診断および/または処置に有用であることを
示す。破骨細胞腫中のこの遺伝子産物の発現の高まったレベルは、それが、破骨
細胞の生存、増殖、および/または成長において役割を演じ得ることを示唆する
。従って、それは、骨粗しょう症のような症状において骨塊に影響することにお
いて有用であり得る。他のBMPに対する相同性を基に、この遺伝子の翻訳産物
はまた、骨、軟骨、および連結組織形成の適正な形成、異所性骨形成の誘導,お
よび脊椎動物マトリクス沈着の調節に関する障害の検出および/または処置のた
めに有用であり、そして内皮細胞機能;分泌;増殖;または血管形成の調節に重
要な役割を演じる。本発明のポリペプチドの特に好適な使用は、血管形成の刺激
にある。さらに、この遺伝子は、連結組織(例えば、関節炎、外傷、腱炎、軟骨
軟化症(chrondomalacia)および炎症)に影響する障害および症
状の検出および/または処置、例えば、種々の自己免疫障害(例えば、慢性関節
リウマチ、狼瘡、強皮症、および皮膚筋炎、ならびに小人症、脊椎変形、および
特定の関節異常、ならびに軟骨形成不全(すなわち、先天性脊椎骨端形成異常、
家族性変形性関節症、II型骨形成不全(Atelosteogenesis
type II)、シュミット型骨幹端軟骨形成不全))の診断および/または
処置のために有用である。あるいは、上皮小体腫瘍組織中の組織分布は、この遺
伝子の翻訳産物が、上皮小体の腫瘍、ならびにこの遺伝子の発現が観察された他
組織の癌の検出、診断、および/または処置に有用であることを示唆する。タン
パク質、およびこのタンパク質に対する抗体は、上記に列挙された組織に対する
腫瘍マーカーおよび/または免疫治療標的としての有用性を示し得る。
【0034】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号2に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であったか
もしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範
囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、好
ましくは、本発明からは、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(こ
こで、aは配列番号2の1〜2844の任意の整数であり、bは15〜2858
の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号2に示されるヌクレオチド残
基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポ
リヌクレオチドが除外される。
【0035】 (遺伝子番号2によりコードされるタンパク質の特徴) この遺伝子の翻訳産物は、ニワトリ(Genbank登録番号gi|2852
121を参照のこと)およびヒト(国際公開番号WO8800205−Aを参照
のこと)両方からの骨形態形成タンパク質(BMP)と配列相同性を共有し、こ
れらは、骨、軟骨、および連結組織形成において、ならびに異所性の骨形成を誘
導すること、および脊椎動物マトリクス沈着を調節することにおいて機能すると
考えられている。従って、このクローンの翻訳産物は、上記に列挙されたBMP
タンパク質といくつかの生物学的機能を共有することが期待される。cDNAク
ローンHSYAE36に含まれる遺伝子番号2のcDNAは、クローンHETA
B62に含まれるcDNAのスプライス改変体である。開示されたcDNAをコ
ードする遺伝子は、第4染色体上にあると考えられている。従って、本発明に関
連するポリヌクレオチドは、第4染色体の連鎖分析におけるマーカーとして有用
である。
【0036】 この遺伝子は、主に骨髄および破骨細胞腫中で、そしてより少ない程度で上皮
小体腫瘍組織、前立腺組織および肺組織中で発現される。
【0037】 従って、本発明の核酸は、生物学的試料中に存在する組織または細胞型の差次
的同定のため、および以下の疾患および症状の診断のための試薬として有用であ
る:骨格組織、連結組織、および骨肉腫を含む血管系および造血に影響する障害
。同様に、ポリペプチドおよびこれらのポリペプチドに対する抗体は、組織また
は細胞型の差次的同定のための免疫学的プローブを提供することに有用である。
上記組織または細胞の多くの障害、特に骨格系、血管系、免疫系、および造血系
の多くの障害について、標準的な遺伝子発現レベル、すなわち,障害を有さない
個体からの健常組織中の発現レベルに対して、このような障害を有する個体から
採取された、特定の組織または細胞型(例えば、骨格組織、免疫組織、血管組織
、造血組織、癌性組織および創傷組織)または体液(例えば、リンパ、血清、血
漿、尿、滑液および髄液)中で、有意により高いまたはより低いレベルのこの遺
伝子の発現が検出され得る。
【0038】 本発明の好適なポリペプチドは、配列番号5において残基:Gly−15〜G
lu−23、Ala−34〜Thr−39、Arg−51〜His−57、Gl
y−60〜His−66、Gln−153〜Asn−158、Asp−234〜
Trp−240、Ser−269〜Asn−274、Glu−281〜Phe−
290として示される免疫原性エピトープを含む。さらに好ましいポリペプチド
は、アミノ酸残基:Met−1〜Phe−32、Ser−2〜Phe−32、G
ly−41〜Glu−281を含む。これらのポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドもまた提供される。
【0039】 組織分布、およびBMPに対する相同性は、このクローンのタンパク質産物が
、骨肉腫を含む、骨格系および造血に影響する障害の診断および/または処置に
有用であることを示唆する。破骨細胞腫中のこの遺伝子産物の発現の高まったレ
ベルは、それが、破骨細胞の生存、増殖、および/または成長において役割を演
じ得ることを示唆する。従って、それは、骨粗しょう症のような症状において骨
塊に影響することにおいて有用であり得る。他のBMPに対する相同性およびそ
の他の科学的データを基に、この遺伝子の翻訳産物はまた、骨、軟骨、および連
結組織形成の適正な形成、異所性骨形成の誘導,および脊椎動物マトリクス沈着
の調節に関する障害の検出および/または処置のために有用であり、あるいは内
皮細胞機能;分泌;増殖;または血管形成の調節に重要な役割を演じ得る。本発
明のポリペプチドの特に好適な使用は、血管形成の刺激にある。さらに、この遺
伝子は、連結組織(例えば、関節炎、外傷、腱炎、軟骨軟化症(chrondo
malacia)および炎症)に影響する障害および症状の検出および/または
処置、例えば、種々の自己免疫障害(例えば、慢性関節リウマチ、狼瘡、強皮症
、および皮膚筋炎、ならびに小人症、脊椎変形、および特定の関節異常、ならび
に軟骨形成不全(すなわち、先天性脊椎骨端形成異常、家族性変形性関節症、I
I型骨形成不全(Atelosteogenesis type II)、シュ
ミット型骨幹端軟骨形成不全))の診断および/または処置のために有用である
。あるいは、上皮小体腫瘍組織中の組織分布は、この遺伝子の翻訳産物が、上皮
小体の腫瘍、ならびにこの遺伝子の発現が観察された他組織の癌の検出、診断、
および/または処置に有用であることを示唆する。タンパク質、およびこのタン
パク質に対する抗体は、上記に列挙された組織に対する腫瘍マーカーおよび/ま
たは免疫治療標的としての有用性を示し得る。
【0040】 多くのポリヌクレオチド配列(例えば、EST配列)は、公に利用可能であり
、そして配列データベースを通してアクセス可能である。これらの配列のいくつ
かは、配列番号3に関連し、そして本発明の着想の前に公に利用可能であったか
もしれない。好ましくは、このような関連するポリヌクレオチドは、本発明の範
囲から特に除外される。全ての関連配列を列挙することは煩わしい。従って、好
ましくは、本発明からは、一般式a−bにより記載されるヌクレオチド配列(こ
こで、aは配列番号3の1〜2780の任意の整数であり、bは15〜2794
の整数であり、ここでaおよびbの両方は配列番号3に示されるヌクレオチド残
基の位置に対応し、そしてここでbはa+14以上である)を含む1つ以上のポ
リヌクレオチドが除外される。
【0041】
【表1】
【0042】 表1は、上記の各「配列番号」に対応する情報を要約する。「NT配列番号X」
として同定されるヌクレオチド配列は、表1で同定される「cDNAクローン番
号」から得られる部分的相同(「重複」)配列から、そしていくつかの場合には
、さらなる関連DNAクローンからアセンブルされた。この重複配列は、高い重
複性の(通常各ヌクレオチド位置で3〜5の重複配列)単一の連続配列にアセン
ブルされ、配列番号Xとして同定される最終配列を生じた。
【0043】 cDNAクローン番号は、その日付に寄託され、そして「ATCC受託番号Z
および日付」に列挙された対応する受託番号を得た。いくつかの寄託物は、同じ
遺伝子に対応する複数の異なるクローンを含む。「ベクター」は、cDNAクロ
ーン番号に含まれるベクターの型について言及する。
【0044】 「総NT配列」は、「遺伝子番号」により同定されるコンティグ中のヌクレオ
チドの総数をいう。寄託されたクローンは、配列番号Xの「クローン配列の5’
NT」および「クローン配列の3’NT」として示されるヌクレオチド位置によ
り反映される、これらの配列のすべてを含む。推定のメチオニン開始コドン(存
在する場合)の配列番号Xのヌクレオチド位置は、「開始コドンの5’NT」と
して同定される。同様に、推定されるシグナル配列の配列番号Xのヌクレオチド
位置(存在する場合)は、「シグナルペプチドの最初のAAの5’NT」として
同定される。
【0045】 ポリヌクレオチド配列の最初の翻訳されたコドンで始まる、翻訳されたアミノ
酸配列は、「AA配列番号Y」として同定されるが、その他の読み取り枠もまた
、公知の分子生物学技法を用いて容易に翻訳され得る。これらの代替のオープン
リーディングフレームにより産生されるポリペプチドは、本発明によって特に意
図される。
【0046】 配列番号X(ここでXは、配列表に開示される任意のポリヌクレオチド配列で
あり得る)、および翻訳された配列番号Y(ここでYは、配列表に開示された任
意のポリペプチド配列であり得る)は、十分に正確であり、そして他に当該分野
で周知であり、かつさらに以下に記載の種々の使用に適切である。例えば、配列
番号Xは、配列番号Xに含まれる核酸配列または寄託されたクローン中に含まれ
るcDNAを検出する、核酸ハイブリダイゼーションプローブを設計するために
有用である。これらのプローブはまた、生物学的試料中の核酸分子にハイブリダ
イズし、それによって、本発明の種々の法医学的方法および診断方法を可能にす
る。同様に、配列番号Yから同定されるポリペプチドは、表1で同定されるcD
NAクローンによりコードされる分泌タンパク質に特異的に結合する抗体を生成
するために用いられる得る。
【0047】 それにもかかわらず、配列決定反応により生成されるDNA配列は、配列決定
誤りを含み得る。これらの誤りは、生成されたDNA配列において、誤同定され
たヌクレオチドとして、またはヌクレオチドの挿入もしくは欠失として存在する
。誤って挿入または欠失されたヌクレオチドは、推定されたアミノ酸配列の読み
取り枠においてフレームシフトを生じる。これらの場合、推定されるアミノ酸配
列は、たとえ生成されたDNA配列が実際のDNA配列と99.9%の同一性よ
りも大きくあり得ても(例えば、1000塩基を超えるオープンリーディングフ
レーム中の1塩基の塩基挿入または欠失)、実際のアミノ酸配列とは異なる。
【0048】 従って、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列中の正確さを必要とする適用に
は、本発明は、配列番号Xとして同定される生成されたヌクレオチド配列および
配列番号Yとして同定される推定の翻訳アミノ酸配列のみならず、表1に提示さ
れるようなATCCに寄託された本発明のヒトcDNAを含むプラスミドDNA
の試料もまた提供する。各寄託されたクローンのヌクレオチド配列はまた、公知
の方法に従って寄託されたクローンを配列決定することにより容易に決定され得
る。次いで、推定されたアミノ酸配列は、このような寄託物から確認され得る。
さらに、特定のクローンによりコードされるタンパク質のアミノ酸配列は、ペプ
チド配列決定によるか、または寄託されたヒトcDNAを含む適切な宿主細胞中
でこのタンパク質を発現すること、このタンパク質を回収すること、およびその
配列を決定することにより直接決定され得る。
【0049】 本発明はまた、配列番号X、配列番号Y、または寄託されたクローンに対応す
る遺伝子に関連する。この対応する遺伝子は、本明細書中に開示された配列情報
を用いて公知の方法に従って単離され得る。このような方法は、開示された配列
からプローブまたはプライマーを調製すること、および遺伝子材料の適切な供給
源から対応する遺伝子を同定すること、または増幅することを包含する。
【0050】 本発明において、対立遺伝子および種ホモログもまた提供される。対立遺伝子
および種ホモログは、本明細書中に提供される配列から適切なプローブまたはプ
ライマーを作製すること、および所望のホモログについて適切な核酸供給源をス
クリーニングすることによって、単離および同定され得る。
【0051】 本発明のポリペプチドは、任意の適切な様式で調製され得る。そのようなポリ
ペプチドとしては、単離された天然に存在するポリペプチド、組換え的に生成さ
れたポリペプチド、合成的に生成されたポリペプチド、またはこれらの方法の組
み合わせによって生成されたポリペプチドが挙げられる。このようなポリペプチ
ドを調製するための手段は、当該分野において周知である。
【0052】 これらのポリペプチドは、分泌タンパク質の形態(成熟形態を含む)であり得
るか、またはより大きなタンパク質(例えば、融合タンパク質)の一部であり得
る(下記を参照のこと)。分泌配列またはリーダー配列、プロ配列、精製におい
て補助する配列(例えば、複数のヒスチジン残基)、または組換え生成の間の安
定性のためのさらなる配列を含むさらなるアミノ酸配列を含むことは、しばしば
有利である。
【0053】 本発明のポリペプチドは、好ましくは単離された形態で提供され、そして好ま
しくは実質的に精製される。ポリペプチドの組換え的に生成されたバージョン(
分泌ポリペプチドを含む)は、SmithおよびJohnson、Gene 6
7:31−40(1988)に記載される一工程方法によって、実質的に精製さ
れ得る。本発明のポリペプチドはまた、当該分野における周知の方法において、
この分泌タンパク質に対して惹起された本発明の抗体を使用することによって、
天然の供給源または組換え供給源から精製され得る。
【0054】 以下の手順が使用されて、本明細書中に開示される配列またはATCCに寄託
されたクローンからの情報を使用して、BMPの全長遺伝子または全長コード部
分が得られ得る。
【0055】 (全長遺伝子を回収するためのRACEプロトコル) 部分的cDNAクローンが、Frohman,M.A.、Dush,M.K.
およびMartin,G.R.(1988)Proc.Nat’l.Acad.
Sci.USA、85:8998〜9002に記載される、cDNA末端の迅速
増幅(RACE)手順を使用することにより、全長になされ得る。5’末端また
は3’末端のいずれかを欠くcDNAは、再構築されて、それぞれ、翻訳開始コ
ドンまたは終止コドンまで延びる、存在しない塩基対を含み得る。いくつかの場
合において、cDNAは、それについての翻訳の開始を欠いている。以下は、こ
の元来の5’RACE手順の改変を簡略に記載する。ポリA+RNAまたは総R
NAを、Superscript II(Gibco/BRL)、ならびにその
cDNAに特異的なアンチセンスプライマーまたは相補的プライマーを用いて逆
転写する。このプライマーは、Microcon Concentrator(
Amicon)を用いる反応から除去する。次いで、第1鎖cDNAを、dAT
Pおよび末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼ(Gibco/BRL)
を用いてテール化する。このようにPCR増幅に必要とされるアンカー配列が生
成される。第2鎖を、PCR緩衝液中のdAテール、Taq DNAポリメラー
ゼ(Perkin−Elmer Cetus)、5’末端に3つの隣接する制限
部位(XhoI、SalIおよびClaI)を含むオリゴdTプライマー、およ
びちょうどこれらの制限部位を含むプライマー中で、dA−テールから合成する
。この二本鎖cDNAを、同じプライマーならびにネスティッドcDNA特異的
アンチセンスプライマーを用いて、40サイクルの間PCR増幅する。このPC
R産物を、臭化エチジウム−アガロースゲル上でサイズ分離し、そして欠失した
タンパク質をコードするDNAの推定サイズのcDNA産物を含むゲルの領域を
取り出す。cDNAを、Magic PCR Prepキット(Promega
)を用いてこのアガロースから精製し、XhoIまたはSalIを用いて制限消
化し、そしてpBluescript SKII(Stratagene)のよ
うなプラスミドにXhoIおよびEcoRV部位で連結する。このDNAを、細
菌に形質転換し、そしてこのプラスミドクローンを配列決定して、正しいタンパ
ク質をコードする挿入物を同定する。正しい5’末端を、この配列を推定により
同定されるホモログおよびこの部分的cDNAクローンとの重複と比較すること
により確認する。当該分野で公知である同様の方法および/または市販のキット
を使用して、3’末端を増幅および回収する。
【0056】 いくつかの品質が管理されたキットが、購入のために利用可能である。上記の
ものと類似の試薬および方法が、全長遺伝子の回収のための5’および3’両方
のRACE用に、Gibco/BRLからキットの形態で供給されている。第2
のキットがClontechから利用可能であり、これは、Dumasら(Du
mas,J.B.、Edwards,M.、Delort,J.およびMall
et,J.、1991、Nucleic Acids Res.19:5227
〜5232)により開発された関連技術、SLIC(一本鎖cDNAとの一本鎖
連結)の改変形である。手順における主な相違は、RNAを逆転写後にアルカリ
加水分解し、そしてRNAリガーゼを使用して制限部位を含むアンカープライマ
ーを第1鎖cDNAに結合することである。これは、これまでの、配列決定して
通過することが困難なポリTストレッチを生じるdAテール化反応の必要性を回
避する。
【0057】 RNAから5’または3’cDNAを生成することの代替法は、cDNAライ
ブラリー二本鎖DNAを使用することである。非対称的PCR増幅されたアンチ
センスcDNA鎖を、アンチセンスcDNA特異的プライマーおよびプラスミド
固定化(anchored)プライマーを用いて合成する。これらのプライマー
を除去し、そして、ネスティッドcDNA特異的アンチセンスプライマーおよび
このプラスミド固定化プライマーを用いて、対称的PCR反応を実行する。
【0058】 (全長遺伝子を得るために5’または3’末端配列を作製するRNAリガーゼ
プロトコル) 一旦、目的の遺伝子を同定すると、もとのcDNAクローンに存在しないかも
しれない遺伝子の5’部分または3’部分の同定のために、いくつかの方法が利
用可能である。これらの方法は、以下を含むがこれらに限定されない:フィルタ
ープローブ探索、特異的プローブを使用するクローン濃縮、および5’および3
’RACEプロトコルと類似のプロトコルおよび同一のプロトコル。全長遺伝子
がこのライブラリー中に存在し得、そして探索により同定され得るが、5’また
は3’末端を生成するのに有用な方法は、もとのcDNAからの既存の配列情報
を使用して欠失する情報を生成することである。5’RACEに類似する方法は
、所望の全長遺伝子の欠失する5’末端を生成するために利用可能である(この
方法は、Fromont−Racineら、Nuclic Acids Res
.21(7):1683−1684(1993))。簡潔には、特定のRNAオ
リゴヌクレオチドを、全長遺伝子RNA転写物をおそらく含むRNAの集団の5
’末端に連結する。連結されたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマー
および目的の遺伝子の既知の配列に特異的なプライマーを含む、プライマーセッ
トを使用して、所望の全長遺伝子の5’部分をPCR増幅する。次いで、この増
幅した産物を配列決定し得、そしてこれを使用して全長遺伝子を生成し得る。こ
の方法は、所望の供給源から単離された総RNAを用いて開始する。ポリA R
NAを使用し得るが、これは、この手順の必須要件ではない。次いで、RNA調
製物を、必要ならばホスファターゼで処理して、後のRNAリガーゼ工程を妨害
し得る分解RNAまたは損傷RNA上の5’リン酸基を排除し得る。次いで、使
用した場合は、このホスファターゼを不活化し、そしてこのRNAを、メッセン
ジャーRNAの5’末端に存在するキャップ構造を除去するために、タバコ酸ピ
ロホスファターゼを用いて処理する。この反応は、次いでT4 RNAリガーゼ
を用いてRNAオリゴヌクレオチドに連結され得る、キャップ切断RNAの5’
末端に5’リン酸基を残す。次いで、この改変型RNA調製物を、遺伝子特異的
なオリゴヌクレオチドを用いる、第一鎖cDNA合成のためのテンプレートとし
て使用し得る。次いで、第一鎖合成反応物を、連結されたRNAオリゴヌクレオ
チドに特異的なプライマーおよび目的のBMPの既知の配列に特異的なプライマ
ーを用いる、所望の5’末端のPCR増幅のためのテンプレートとして使用し得
る。次いで、得られた産物を配列決定し、そして分析してその5’末端配列がこ
のBMPに属することを確認する。
【0059】 (ポリヌクレオチドおよびポリぺプチドの改変体) 「改変体」とは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリぺプチドとは異なるが
、それらの本質的な特性を保持するポリヌクレオチドまたはポリぺプチドをいう
。一般に、改変体は、全体的に密接に類似し、そして、多くの領域において、本
発明のポリヌクレオチドまたはポリぺプチドに同一である。
【0060】 本発明の参照ヌクレオチド配列に、例えば、少なくとも95%「同一」である
ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとは、そのポリヌクレオチド配列が
本発明のポリぺプチドをコードする参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチ
ドあたり5つまでの点変異を含み得ることを除いて、そのポリヌクレオチドのヌ
クレオチド配列が参照配列に対して同一であることを意図する。換言すれば、参
照ヌクレオチド配列に対して少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有する
ポリヌクレオチドを得るために、その参照配列のヌクレオチドの5%までが、欠
失、または別のヌクレオチドで置換され得るか、あるいは、その参照配列中の総
ヌクレオチドの5%までの数のヌクレオチドが、その参照配列に挿入され得る。
問い合わせ(query)配列は、表1に示される全体配列、ORF(オープン
リーディングフレーム)、または本明細書中で記載されるように特定される任意
のフラグメントであり得る。
【0061】 任意の特定の核酸分子またはポリぺプチドが、本発明のヌクレオチド配列に対
して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一で
あるか否かを決定および規定する他の方法は、公知のコンピュータープログラム
を使用して従来的に決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象配列
との間の最も良好な全体的な適合性(全体的な配列整列ともいわれる)を決定す
るための好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App.Biosci
.(1990)6:237−245)のアルゴリズムに基づくFASTDBコン
ピュータープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い合わせ
配列および対象配列は、両方ともにDNA配列である。RNA配列は、UをTに
変換することによって比較され得る。この全体的な配列整列の結果は、同一性パ
ーセントで表される。同一性パーセントを算定するためにDNA配列のFAST
DB整列において使用される好ましいパラメーターは:Matrix=Unit
ary、k−tuple=4、Mismatch Penalty=1、Joi
ning Penalty=30、Randomization Group
Length=0、Cutoff Score=1、Gap Penalty=
5、Gap Size Penalty 0.05、Window Size=
500または対象ヌクレオチド配列の長さ(どちらかより短い方)である。
【0062】 対象配列が、5’または3’欠失が理由で(内部欠失が理由ではなく)、問い
合わせ配列より短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばならない。
これは、同一性パーセントを計算する場合に、FASTDBアルゴリズムが対象
配列の5’および3’短縮を考慮しないからである。問い合わせ配列に対して、
5’末端または3’末端で短縮化された対象配列については、同一性パーセント
は、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして、整合/整列されない対象配列
の5’および3’である問い合わせ配列の塩基の数を計算することによって補正
される。ヌクレオチドが整合/整列されるか否かは、FASTDB配列整列の結
果によって決定される。次いで、このパーセントは、特定のパラメーターを用い
て上記のFASTDBプログラムによって算定された同一性パーセントから差し
引かれ、最終的な同一性パーセントのスコアに到達する。この補正されたスコア
が、本発明の目的に使用されるものである。FASTDB整列によって示される
場合、問い合わせ配列と整合/整列されいていない、対象配列の5’および3’
塩基の外側の塩基のみが、同一性パーセントのスコアを手動で調整する目的で算
定される。
【0063】 例えば、90塩基の対象配列は、同一性パーセントを決定するために100塩
基の問い合わせ配列に対して整列される。その欠失は対象配列の5’末端で生じ
、従って、FASTDB整列は、5’末端で最初の10塩基の整合/整列を示さ
ない。10個の不対合塩基は、この配列の10%((整合していない5’および
3’末端の塩基の数)/(問い合わせ配列の塩基の総数))を表し、そのため1
0%が、FASTDBプログラムによって算定される同一性パーセントのスコア
から差し引かれる。残りの90塩基が完全に整合する場合は、最終的な同一性パ
ーセントは90%である。別の例において、90塩基の対象配列が、100塩基
の問い合わせ配列と比較される。この場合、この欠失は内部欠失であり、その結
果、問い合わせ配列と整合/整列しない対象配列の5’または3’に塩基が存在
しない。この場合、FASTDBによって算定される同一性パーセントは手動で
補正されない。再度、問い合わせ配列と整合/整列しない対象配列の5’または
3’の塩基のみが手動で補正される。他の手動の補正は、本発明の目的ではなさ
れない。
【0064】 本発明の問い合わせアミノ酸配列に、例えば、少なくとも95%「同一」であ
るアミノ酸配列を有するポリぺプチドとは、対象ポリぺプチド配列が問い合わせ
アミノ酸配列の各100個のアミノ酸あたり5つまでのアミノ酸の変更を含み得
ることを除いて、対象ポリペプチドのアミノ酸配列が問い合わせ配列に同一であ
ることを意図する。換言すれば、問い合わせアミノ酸配列に少なくとも95%同
一であるアミノ酸配列を有するポリぺプチドを得るために、対象配列におけるア
ミノ酸残基の5%までが、挿入、欠失、(挿入−欠失(indels))され得
るか、または別のアミノ酸で置換され得る。参照配列のこれらの変化は、参照ア
ミノ酸配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端部位で生じ得るか、またはそれ
らの末端位置の間のどの場所においても生じ得、参照配列中の残基間で個々に、
または参照配列内の1つ以上の隣接群としてのいずれかで散在される。
【0065】 任意の特定のポリぺプチドが、例えば、配列表に示されるアミノ酸配列に対し
て、または寄託されたDNAクローンによってコードされるアミノ酸配列に対し
て、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一で
あるか否かを、決定および規定する他の方法は、従来的に、公知のコンピュータ
ープログラムを使用して決定され得る。問い合わせ配列(本発明の配列)と対象
配列との間での最良の全体的な整合(全体的配列整列ともいわれる)を決定する
ための好ましい方法は、Brutlagら(Comp.App.Biosci.
(1990)6:237−245)のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピ
ュータープログラムを使用して決定され得る。配列整列において、問い合わせお
よび対象配列は、両方ともヌクレオチド配列であるかまたは両方ともアミノ酸配
列であるかのいずれかである。上記の全体的配列整列の結果は、同一性パーセン
トで表される。FASTDBアミノ酸整列に用いられる好ましいパラメーターは
:Matrix=PAM 0、k−tuple=2、Mismatch Pen
alty=1、Joining Penalty=20、Randomizat
ion Group Length=0、Cutoff Score=1、Wi
ndow Size=配列の長さ、Gap Penalty=5、Gap Si
ze Penalty=0.05、Window Size=500または対象
アミノ酸配列の長さ(どちらかより短い方)である。
【0066】 対象配列が、N末端またはC末端欠失に起因して(内部の欠失が理由ではなく
)問い合わせ配列よりも短い場合、手動の補正が結果に対してなされなけらばな
らない。これは、FASTDBプログラムが、全体的な同一性パーセントを算定
する場合に、対象配列のN末端およびC末端の短縮を考慮しないからである。問
い合わせ配列と比較して、N末端およびC末端で短縮された対象配列について、
その同一性パーセントは、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして、対応す
る対象残基と整合/整列しない対象配列のN末端およびC末端である問い合わせ
配列の残基の数を計算することによって補正される。残基が整合/整列されてい
るか否かは、FASTDB配列整列の結果によって決定される。次いで、このパ
ーセントが、特定のパラメーターを使用する上記のFASTDBプログラムによ
って計算された同一性パーセントから差し引かれ、最終的な同一性パーセントス
コアに到達する。この最終的な同一性パーセントのスコアが、本発明の目的で使
用されるものである。問い合わせ配列と整合/整列していない対象配列のN末端
およびC末端側の残基のみが、同一性パーセントスコアを手動で調整する目的で
考慮される。すなわち、対象配列の最も遠いN末端およびC末端残基の外側の問
い合わせ残基位置のみである。
【0067】 例えば、90個のアミノ酸残基の対象配列が、同一性パーセントを決定するた
めに100残基の問い合わせ配列と整列される。その欠失は、対象配列のN末端
で生じ、従ってFASTDB整列は、N末端の最初の10残基の整合/整列を示
さない。10個の不対合残基は、配列の10%(整合していないN末端およびC
末端での残基の数/問い合わせ配列中の残基の総数)を表し、そのため10%が
、FASTDBプログラムによって計算される同一性パーセントのスコアから差
し引かれる。残りの90残基が完全に整合する場合、最終的な同一性パーセント
は90%である。別の例において、90残基の対象配列が、100残基の問い合
わせ配列と比較される。この場合、その欠失は内部欠失であり、そのため問い合
わせ配列と整合/整列しない対象配列のN末端またはC末端の残基は存在しない
。この場合、FASTDBによって算定される同一性パーセントは、手動で補正
されない。再度、FASTDB整列において示される、問い合わせ配列と整合/
整列しない対象配列のN末端およびC末端の外側の残基部位のみが手動で補正さ
れる。他の手動の補正は、本発明の目的のためにはなされない。
【0068】 改変体は、コード領域、非コード領域、またはその両方における変化を含み得
る。特に好ましいものは、サイレントな置換、付加、または欠失を生成するが、
コードされるポリぺプチドの特性または活性を変化しない変化を含むポリヌクレ
オチド改変体である。遺伝コードの縮重に起因するサイレントな置換によって生
成されるヌクレオチド改変体が、好ましい。さらに、任意の組合せで5〜10、
1〜5、もしくは1〜2アミノ酸が置換、欠失、または付加された改変体もまた
、好ましい。ポリヌクレオチド改変体は、種々の理由(例えば、特定の宿主につ
いてのコドン発現を至適化する(ヒトmRNAにおけるコドンを、E.coli
のような細菌宿主によって好まれるコドンに変化する))のために、生成され得
る。
【0069】 天然に存在する改変体は、「対立遺伝子改変体」と呼ばれ、そして生物の染色
体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のいくつかの代替の形態のうちの1つを
いう(Genes II、Lewin,B.編、John Wiley&Son
s,New York(1985))。これらの対立遺伝子改変体は、ポリヌク
レオチドレベルおよび/またはポリぺプチドレベルのいずれかで変動し得、そし
て本発明に含まれる。あるいは、天然に存在しない改変体が、変異誘発技術によ
ってか、または直接合成によって生成され得る。
【0070】 タンパク質工学および組換えDNA技術の公知の方法を使用して、改変体が、
本発明のポリぺプチドの特性を改善または変化させるように作製され得る。例え
ば、1つ以上のアミノ酸が、生物学的機能の実質的な損失を伴わずに、分泌タン
パク質のN末端またはC末端から欠失され得る。Ronら、J.Biol.Ch
em.268:2984−2988(1993)の著者は、3個、8個、または
27個のアミノ末端のアミノ酸残基を欠失した後であってさえもヘパリン結合活
性を有する改変体KGFタンパク質を報告した。同様に、インターフェロンγは
、このタンパク質のカルボキシ末端から8〜10個のアミノ酸残基を欠失した後
、10倍までのより高い活性を示した(Dobeliら、J.Biotechn
ol.7:199−216(1988))。
【0071】 さらに、十分な証拠が、改変体がしばしば、天然に存在するタンパク質と同様
の生物学的活性を保持することを示す。例えば、Gayleおよび共同研究者ら
(J.Biol.Chem 268:22105〜22111(1993))は
、ヒトサイトカインIL−1aの広範な変異解析を行った。彼らは、ランダム変
異誘発を使用して、その分子の全長にわたり改変体1つあたり平均2.5個のア
ミノ酸変化である、3,500個を超える個別のIL−1a変異体を生成した。
複数の変異が、すべての可能なアミノ酸位置で調べられた。この研究者らは、「
その分子のほとんどが、結合または生物学的活性のいずれかに対してほとんど影
響を伴わずに変化され得た」ことを見出した。(要旨を参照のこと)。事実、調
べられた3,500個を超えるヌクレオチド配列のうち、23個の独特のアミノ
酸配列のみが、野生型と活性が有意に異なるタンパク質を生じた。
【0072】 さらに、ポリペプチドのN末端またはC末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失
が、1つ以上の生物学的機能の改変または損失を生じるとしても、他の生物学的
活性はなお保持され得る。例えば、欠失改変体が、その分泌形態を認識する抗体
を誘導および/またはそれと結合する能力は、その分泌形態の大多数より少ない
残基がN末端またはC末端から除去された場合でも、おそらく保持される。タン
パク質のN末端またはC末端残基を欠く特定のポリペプチドが、このような免疫
原性活性を保持するかどうかは、本明細書中に記載され、そして当該分野におい
て他の方法で公知の慣用的な方法によって、容易に決定され得る。
【0073】 従って、本発明は、さらに、実質的な生物学的活性を示す、ポリペプチド改変
体を含む。このような改変体は、当該分野において公知の一般的な規則にしたが
って、活性に対してほとんど効果を有さないように選択された、欠失、挿入、逆
位、反復、および置換を含む。例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換の
作製方法に関する手引きは、Bowie,J.U.ら、Science 247
:1306−1310(1990)によって提供される。この手引きにおいて、
筆者らは、変化に対するアミノ酸配列の寛容性の研究については、2つの主な戦
略があることを示している。
【0074】 第一の戦略は、進化の過程の間の自然淘汰によるアミノ酸置換の寛容性を利用
する。異なる種のアミノ酸配列を比較することによって、保存されたアミノ酸が
同定され得る。これらの保存されたアミノ酸は、タンパク質機能にとって重要で
あると考えられる。対照的に、自然淘汰による置換が容認されるアミノ酸の位置
は、これらの位置がタンパク質機能にとって重要ではないことを示す。したがっ
て、アミノ酸置換を容認する位置が、そのタンパク質の生物学的活性をなお維持
しながら改変され得る。
【0075】 第二の戦略は、タンパク質機能にとって重要な部位を同定するために、遺伝子
操作を使用して、クローン化した遺伝子の特定の位置でアミノ酸の変更を導入す
る。例えば、部位特異的変異誘発またはアラニンスキャンニング変異誘発(al
anine−scanning mutagenesis)(分子内の全ての残
基に単一のアラニン変異を導入する)が使用され得る(Cunninghamお
よびWells,Science 244:1081−1085(1989))
。次いで、得られた変異分子を生物学的活性について試験し得る。
【0076】 その筆者らが述べているように、これらの2つの戦略により、タンパク質が驚
くほどにアミノ酸置換に対して寛容性を示すことが明らかにされた。この著者ら
はさらに、どのアミノ酸変更が、タンパク質の特定のアミノ酸部位で許容される
ようであるかを示す。例えば、(タンパク質の三次構造において)最も埋没され
たアミノ酸残基は非極性側鎖を必要とするが、表面側鎖の特徴は一般的に保存さ
れない。さらに、寛容性を示す保存的アミノ酸置換は、脂肪族アミノ酸または疎
水性アミノ酸(Ala、Val、LeuおよびIle)の置換;ヒドロキシル残
基(例えば、SerおよびThr)の置換;酸性残基(AspおよびGlu)の
置換;アミド残基(AsnおよびGln)の置換、塩基性残基(Lys、Arg
、およびHis)の置換;芳香族残基(Phe、Tyr、およびTrp)の置換
、ならびに小さなサイズのアミノ酸の、他の小さなサイズのアミノ酸(Ala、
Ser、Thr、Met、およびGly)の置換を含む。
【0077】 保存的アミノ酸置換に加えて、本発明の改変体は、(i)1つ以上の非保存的
なアミノ酸残基での置換、ここでは置換されるアミノ酸残基は、遺伝コードによ
ってコードされるアミノ酸残基でもよく、そうでなくてもよい、または(ii)
置換基を有する1つ以上のアミノ酸残基との置換、または(iii)成熟ポリぺ
プチドの、別の化合物(例えば、ポリぺプチドの安定性および/もしくは可溶性
を増大させるための化合物(例えば、ポリエチレングリコール))との融合、ま
たは(iv)ポリぺプチドの、さらなるアミノ酸(例えば、IgG Fc融合領
域ペプチド、またはリーダー配列もしくは分泌配列、または精製を容易にする配
列)との融合、を含む。このような改変体ポリぺプチドは、本明細書の教示から
、当業者の範囲内にあると考えられる。
【0078】 例えば、荷電されたアミノ酸の、他の荷電されたアミノ酸または中性のアミノ
酸とのアミノ酸置換を含む、ポリぺプチド改変体は、より少ない凝集性といった
改善された特性を有するタンパク質を生成し得る。薬学的処方物の凝集は、その
凝集体の免疫原活性に起因して活性を減少させ、かつ、クリアランスを増加させ
る(Pinckardら,Clin.Exp.Immunol.2:331−3
40(1967);Robbinsら,Diabetes 36:838−84
5(1987);Clelandら,Crit.Rev.Therapeuti
c Drug Carrier Systems 10:307−377(19
93))。
【0079】 本発明のさらなる実施態様は、少なくとも1つのアミノ酸置換で、ただし50
アミノ酸以下の置換で、なおより好ましくは40アミノ酸以下の置換で、さらに
より好ましくは、30アミノ酸以下の置換で、そしてなおよりさらに好ましくは
、20アミノ酸以下の置換を含むアミノ酸配列を有するBMPポリペプチドのア
ミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。当然ながら、好適度の増す順に、少な
くとも1つの、ただし10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4
以下、3以下、2以下、または1以下のアミノ酸置換を含む、BMPポリペプチ
ドのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を有することがペプチドまたはポリペプチ
ドに非常に好ましい。特定の実施態様において、図1のアミノ酸配列またはそれ
らのフラグメント(例えば、本明細書に記載される成熟形態および/または他の
フラグメント)における付加、置換、および/または欠失の数が、1〜5、5〜
10、5〜25、5〜50、10〜50、または50〜150であり、保存的ア
ミノ酸置換が好ましい。
【0080】 (ポリヌクレオチドフラグメントおよびポリぺプチドフラグメント) 本発明はさらに、本明細書に記載される(例えば、配列表に示されるか、また
は寄託されたクローンに含まれる)ポリヌクレオチド配列の部分またはフラグメ
ントをコードする核酸分子に関する。本発明のポリヌクレオチドフラグメントの
用途としては、プローブ、プライマー、分子量マーカー、および本発明のポリペ
プチドフラグメント発現のためのマーカーが挙げられる。フラグメントは、ポリ
ヌクレオチド配列の部分を含む。これは、任意の2つの整数(この一方は、5’
ヌクレオチド位を示し、そしてもう一方は3’ヌクレオチド位を示し、ここで、
開示されたそれぞれのポリヌクレオチド配列の第1ヌクレオチドまたはほぼ5’
ヌクレオチドが1位である)から選択される、少なくとも10の連続ヌクレオチ
ド長である。すなわち、少なくとも10の連続ヌクレオチド長のフラグメントが
占有し得る5’ヌクレオチド位および3’ヌクレオチド位のあらゆる組み合わせ
は、個々の種として本発明に含まれる。「少なくとも(at least)」は、
10連続するヌクレオチド塩基長であり得るフラグメント、または10と全ヌク
レオチド配列から1を引いた長さとの間の任意の整数であり得るフラグメントを
意味する。従って、ポリヌクレオチド配列の任意の5’および3’ヌクレオチド
塩基位置で特定される連続フラグメントが本発明に含まれる。ここでこの連続す
るフラグメントは、10と全ヌクレオチド配列の長さから1を引いた長さとの間
の任意の整数である。5’位置および3’位置により特定されるポリヌクレオチ
ドフラグメントは、クローンディスクリプションを用いて直ちに認識され得、従
って、単に、本明細書を不必要に長くする目的で、個々に列挙することはしない
。しかし、上記の種のそれぞれが本発明に含まれ得るかまたは除外され得るとい
うことは特に示される。本発明のポリヌクレオチドフラグメントの上記の種は、
代わりに式「a〜b」により記載され得る;ここで「a」は、ポリヌクレオチド
フラグメントの5’ヌクレオチド位であり、そして「b」は、ポリヌクレオチド
フラグメントの3’ヌクレオチド位であり、ここで「a」は、1と本発明のポリ
ヌクレオチド配列のヌクレオチド数から10を引いた数との間の整数とし、ここ
で「b」は、10と本発明のポリヌクレオチド配列のヌクレオチド数との間の整
数であり;そして「a」は、「b」より少なくとも10小さい整数である。
【0081】 ここでも、上記の式のそれぞれの種が本発明に具体的に含まれ得るかまたは除
外され得るということは特に示される。
【0082】 さらに、本発明は、ヌクレオチド位置よりもむしろ、ヌクレオチドの大きさに
より特定されるフラグメントの亜属(sub−genus)を含むポリヌクレオ
チドを含む。本発明は、10と全ヌクレオチド配列から1を引いた長さとの間の
整数から選択された、連続ヌクレオチドで、任意のフラグメントサイズを含む。
連続ヌクレオチドフラグメントの好ましいサイズとしては、20ヌクレオチド、
30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、60ヌクレオチド、
70ヌクレオチド、80ヌクレオチド、90ヌクレオチド、100ヌクレオチド
、125ヌクレオチド、150ヌクレオチド、175ヌクレオチド、200ヌク
レオチド、250ヌクレオチド、300ヌクレオチド、350ヌクレオチド、4
00ヌクレオチド、450ヌクレオチド、500ヌクレオチド、550ヌクレオ
チド、600ヌクレオチド、650ヌクレオチド、700ヌクレオチド、750
ヌクレオチド、800ヌクレオチド、850ヌクレオチド、900ヌクレオチド
、950ヌクレオチド、1000ヌクレオチドが挙げられる。診断プローブおよ
びプライマーとして有用であり得る連続するポリヌクレオチドフラグメントの他
の好ましいサイズとしては、50〜300ヌクレオチド長のフラグメントが挙げ
られる。これは、上記で論じたように、50〜300の間のそれぞれの整数を示
すフラグメントサイズを含む。より大きいフラグメントもまた、本発明に従って
有用である。これは、配列表または寄託されたクローンのポリヌクレオチド配列
のほとんど(全てではないが)に対応する。好ましいサイズは、当然ながら、全
てのサイズのフラグメントとして本発明を例証し、限定しないことを意味する。
このことは、10と、配列表または寄託クローンの全ヌクレオチド配列から1を
引いた長さとの間の任意の整数が、詳細には本発明に含まれ得るか、または本発
明から除外され得ることを示す。本発明のさらに好ましい核酸フラグメントは、
ポリペプチドのエピトープ保有部位をコードする核酸分子を含む。
【0083】 連続ヌクレオチドで特定されるポリヌクレオチドフラグメントは、上記の記述
を用いて直ちに認識され得、従って単に明細書を不必要に長くするために個々に
列挙されることはない。
【0084】 上記のように、本発明はまた、配列表または寄託されたクローンの任意のヌク
レオチド配列について上記されたように、ヌクレオチド塩基における5’および
3’塩基位置、またはサイズで特定された任意のフラグメントの排除のために提
供される。上記のように、ヌクレオチドにおける5’および3’塩基位置、また
はサイズで特定されたヌクレオチド配列の任意の数のフラグメントが、詳細には
、本発明から除外され得る。
【0085】 本発明において、「ポリぺプチドフラグメント」とは、配列番号Yに含まれる
か、または寄託されたクローンに含まれるcDNAによってコードされる、短い
アミノ酸配列をいう。タンパク質フラグメントは、「自立構造(free−st
anding)」であり得るか、あるいはより大きなポリぺプチド内(このフラ
グメントが、部分または領域を(最も好ましくは単一の連続した領域として)形
成する)に含まれ得る。
【0086】 フラグメントは、配列表のアミノ酸配列の部分、および寄託されたcDNAク
ローンによってコードされたアミノ酸配列の部分を含む。これは、任意の2つの
整数(この一方は、N末端位を示し、そしてもう一方はC末端位を示す)から選
択される、少なくとも7連続アミノ酸長である。本発明に開示されるそれぞれの
ポリペプチドの最初のコドン、または最もN末端側のコドンが1位である。少な
くとも7連続アミノ酸残基長フラグメントが、任意の所定のアミノ酸配列上で、
占有し得る、N末端位およびC末端位のあらゆる組み合わせは、個々の種として
本発明に含まれる。「少なくとも」は、7連続するアミノ酸残基長であり得るか、
または7と本発明の全長アミノ酸配列から1を引いた残基数との間の任意の整数
であり得るフラグメントを意味する。従って、配列表に記載されるか、または寄
託されたcDNAクローンによりコードされるアミノ酸配列の任意のN末端位置
およびC末端位置で特定される連続フラグメントの種が本発明に含まれる。ここ
でこの連続するフラグメントは、7と全長配列から1を引いた残基数との間の任
意の整数である。N末端位置およびC末端位置により特定されるポリペプチドフ
ラグメントは、上記の記載を用いて直ちに認識され得、従って、単に、本明細書
を不必要に長くする目的で、個々に列挙することはしない。しかし、上記の種の
それぞれが具体的に本発明に含まれ得るか、または本発明から除外され得るとい
うことは特に示される。
【0087】 本発明のポリペプチドフラグメントの上記の種は、代わりに式「n〜c」によ
り記載され得る;ここで「n」は、ポリペプチドフラグメントのN末端位であり
、そして「c」の配列は、ポリヌクレオチドフラグメントのC末端位であり、こ
こで「n」は、1と本発明のポリペプチド配列のアミノ酸残基数から7を引いた
数との間の整数であり、ここで「c」は、7と本発明のポリペプチド配列のアミ
ノ酸残基の総数との間の整数であり;そして「n」は、「c」より少なくとも7
小さい整数である。
【0088】 ここでも、上記の式のそれぞれの種が本発明に具体的に含まれ得るか、または
本発明から除外され得るということは特に示される。
【0089】 さらに、本発明は、N末端位置およびC末端位置よりもむしろ、アミノ酸残基
の大きさにより特定されるフラグメントの亜種(sub−genus)を含むポ
リペプチドを含む。本発明は、7と全長配列から1を引いた残基の数との間の整
数から選択された、連続アミノ酸残基で、任意のフラグメントサイズを含む。連
続ポリペプチドフラグメントの好ましいサイズとしては、少なくとも7アミノ酸
残基、少なくとも10アミノ酸残基、少なくとも20アミノ酸残基、少なくとも
30アミノ酸残基、少なくとも40アミノ酸残基、少なくとも50アミノ酸残基
、少なくとも75アミノ酸残基、少なくとも100アミノ酸残基、少なくとも1
25アミノ酸残基、少なくとも150アミノ酸残基、少なくとも175アミノ酸
残基、少なくとも200アミノ酸残基、少なくとも225アミノ酸残基、少なく
とも250アミノ酸残基、少なくとも275アミノ酸残基、少なくとも300ア
ミノ酸残基、少なくとも350アミノ酸残基、少なくとも400アミノ酸残基、
少なくとも450アミノ酸残基、500アミノ酸残基、および少なくとも550
アミノ酸残基が挙げられる。当然、好ましいサイズとは、全てのサイズのフラグ
メントであり、本発明を例示するが制限しないことを意味する。このことは、7
と、本発明の全長アミノ酸配列から1を引いた残基数との間の任意の整数が、本
発明に含まれることを示す。
【0090】 本発明のアミノ酸残基においてサイズにより特定される連続ポリペプチドフラ
グメントは、上記の記述を用いて直ちに認識され得、従って単に明細書を不必要
に長くするために個々に列挙されることはない。
【0091】 本発明はまた、上記のように、アミノ酸残基において、N末端位置およびC末
端位置により、または大きさにより特定された任意のフラグメントの排除のため
に提供される。上記のように、どんなフラグメントの数もN末端位置およびC末
端位置、またはサイズで特定される。
【0092】 上記フラグメントが活性である必要はない(なぜならそれらのフラグメントは
、例えばイムノアッセイにおいて、エピトープマッピングにおいて、エピトープ
タグ化、ポリペプチドの特定の一部に対する抗体を生成するため、ワクチンとし
て、活性な生物学的ドメインを同定する際の分子量マーカーとして、およびドメ
インに結合するリガンド/レセプターを同定する際に、有用であるからである)
ということが特に指摘される。
【0093】 構造的または機能的ドメインによって特徴付けられるポリペプチドおよびポリ
ヌクレオチドのフラグメント(例えば、α−へリックスおよびα−へリックス形
成領域、β−シートおよびβ−シート形成領域、ターンおよびターン形成領域、
コイルおよびコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、α両親媒性領域、β両
親媒性領域、可撓性領域、表面形成領域、基質結合領域、および高い抗原性指標
領域を含むフラグメント)もまた、好ましい。保存性ドメインの中に含まれる配
列番号Yのポリペプチドフラグメントは、本発明によって特に意図される。さら
に、これらのドメインをコードするポリヌクレオチドフラグメントもまた、意図
される。
【0094】 他の好ましいフラグメントは、生物学的に活性なフラグメントである。生物学
的に活性なフラグメントは、類似の活性を示すが本発明のポリペプチドの活性と
は必ずしも同一ではないフラグメントである。このフラグメントの生物学的活性
は、改善された所望の活性または減少した所望でない活性を含み得る。
【0095】 (エピトープおよび抗体) (エピトープ保有部分) 別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドのエピトープ保有部分を
含むペプチドおよびポリペプチドを提供する。これらのエピトープは、本発明の
ポリペプチドの免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープである。「免疫原性
エピトープ」は、本発明のポリペプチド全体またはそれらのフラグメントが免疫
原である場合、インビボにおいて抗体応答を誘発するタンパク質の一部と定義さ
れる。一方で、抗体が結合し得るポリペプチドの領域は、「抗原決定基」または
「抗原性エピトープ」として規定される。タンパク質のインビボでの免疫原性エ
ピトープの数は、一般に抗原性エピトープの数より少ない。例えば、Geyse
nら(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:39
98〜4002を参照のこと。しかし、抗体が免疫原性エピトープであるか否か
にかかわらず、ファージディスプレイのような方法を用いることにより、任意の
抗原性エピトープに対して、抗体は作製され得る。例えば、Petersen
G.ら(1995)Mol.Gen.Genet.249:425〜431を参
照のこと。従って、免疫原性エピトープおよび抗原性エピトープの両方が本発明
に含まれる。
【0096】 本発明の免疫原性エピトープを含むアミノ酸配列の例の列挙を本明細書に記載
している。これらの記述は、JamesonおよびWolf,Comp.App
l.Biosci.,4:181〜186(1988)(この引用文献はその全
体が参考として援用されている)のアルゴリズムを用いて最高の抗原性を有する
ことが予想されたエピトープを含むアミノ酸残基のみを列挙することが指摘され
ている。Jameson−Wolf抗原性分析を、デフォルトパラメーターを用
いるコンピュータープログラムPROTEAN(Power MacIntos
h用,DNASTAR,Inc.,1228 South Park Stre
et Madison,WI、Version 3.11)を用いて実行した。
他の免疫原性エピトープを含むアミノ酸残基は、Jameson−Wolf分析
に類似のアルゴリズムを用いて、または当該分野で公知の方法を用いる抗原性反
応についてのインビボ試験により慣用的に決定され得る。例えば、Geysen
ら、前出;米国特許第4,708,781号;同第5,194,392号;同第
4,433,092号;および同第5,480,971号(これらの参考資料は
その全体が参考として援用される)を参照のこと。
【0097】 記載されたエピトープ性アミノ酸配列が免疫原性エピトープを含むことが特に
示されている。「特徴(Feature)」の章の好ましい免疫学的エピトープ
は、Jameson−Wolf分析により決定される免疫原性エピトープの重要
な残基のみを列挙している。このように、N末端、C末端、またはN末端および
C末端の両方のいずれかの末端におけるさらなる隣接する残基を配列に付加し、
本発明のエピトープ保有ポリペプチドを生成し得る。従って、免疫原性エピトー
プは、さらなるN末端アミノ酸残基またはC末端アミノ酸残基を含み得る。さら
なる隣接するアミノ酸残基は、本発明のポリペプチド、異種ポリペプチド配列か
らの連続した隣接するN末端配列および/またはC末端配列であってもよいし、
あるいは本発明のポリペプチドおよび異種ポリペプチド配列からの連続した隣接
する配列の両方を含み得る。
【0098】 免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを含む本発明のポリペプチドは、
少なくとも7アミノ酸残基長である。「少なくとも」は、免疫原性エピトープまた
は抗原性エピトープを含む本発明のポリペプチドが、7アミノ酸残基長であり得
るか、7アミノ酸と本発明の全長ポリペプチドのアミノ酸残基数との間の任意の
整数であり得ることを意味する。免疫原性エピトープまたは抗原性エピトープを
含む好ましいポリペプチドは、少なくとも10、15、20、25、30、35
、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95
または100アミノ酸残基長である。しかし、7と全長ポリペプチドのアミノ酸
残基数との間のそれぞれの整数およびあらゆる整数が本発明に含まれることが示
される。
【0099】 免疫原性エピトープ保有フラグメントおよび抗原性エピトープ保有フラグメン
トは、連続したアミノ酸残基の数、または上記のようにこれらのフラグメントの
N末端位置およびC末端位置のいずれかによりさらに特定され得る。少なくとも
7の連続したアミノ酸残基長のフラグメントが本発明のアミノ酸配列上で占有し
得る、N末端位置およびC末端位置のあらゆる組み合わせは、本発明に含まれる
。再度、「少なくとも7の連続したアミノ酸残基長」は、7アミノ酸残基長、ま
たは7アミノ酸と本発明の全長ポリペプチドのアミノ酸残基数との間の任意の整
数を意味する。詳細には、7と完全長ポリペプチドのアミノ酸残基数との間のそ
れぞれの整数およびあらゆる整数が、詳細には本発明に含まれ得るかまたは本発
明から除外され得る。
【0100】 本発明の免疫原性エピトープ保有ポリペプチドおよび抗原性エピトープ保有ポ
リペプチドは、例えば、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体を生成す
るため、および本発明のポリペプチドを検出するためのイムノアッセイにおいて
有用である。この抗体は、例えば、本発明のポリペプチドのアフニティー精製に
有用である。この抗体はまた、種々の定性的イムノアッセイまたは定量的イムノ
アッセイにおいて、特に当該分野で公知の方法を用いる本発明のポリペプチドの
ために、慣用的に用いられ得る。例えば、Harlowら、Antibodie
s:A Laboratory Manual,(Cold Spring H
arbor Laboratory Press;第2版、1988)を参照の
こと。
【0101】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、当該分野で公知の合成方法および組
換え方法を含むポリペプチド作製のための任意の従来の手段により産生され得る
。例えば、エピトープ保有ペプチドは、化学合成の公知の方法を用いて合成され
得る。例えば、エピトープ保有ペプチドは、化学合成の公知の方法を用いて合成
され得る。例えば、Houghtenは、多数のペプチド、例えば、10〜20
mgの248の個々のペプチドおよび別の13残基ペプチド(HA1ポリペプチ
ドのセグメントの単一アミノ酸改変体を示す)(これら全ては、4週未満で調製
されそして特徴付けされた(ELISA型結合研究により))の合成のための簡
易な方法を記載している(Houghten,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA,82:5131〜5135(1985))。この「同時複数ペ
プチド合成(Simultaneous Multiple Peptide
Synthesis)(SMPS)」プロセスは、Houghtenおよび共働
研究者(1986)の米国特許第4,631,211号にさらに記載されている
。この手順において、種々のペプチドの固相合成のための個別の樹脂が、別の溶
媒透過性パケットに含まれる。これは固相方法に関与する多数の同一の反復性工
程の最適の使用を可能にする。完全なマニュアル手順は、同時に実行される50
0〜1000以上の合成を可能にする(Houghtenら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.,82:5131〜5135、5134(1985))
【0102】 本発明のエピトープ保有ポリペプチドは、インビボ免疫、インビトロ免疫、お
よびファージディスプレイ方法が挙げられるがこれらに限定されない、当該分野
で周知の方法に従って抗体を誘導するために用いられる。例えば、Sutcli
ffeら、前出;Wilsonら、前出およびBittleら.,J.Gen.
Virol.,66:2347〜2354(1985)を参照のこと。インビボ
免疫を用いる場合、動物は、遊離のペプチドで免疫され得る;しかし、抗ペプチ
ド抗体の力価は、高分子キャリア(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン
(KLH)または破傷風毒素)に対するペプチドの結合により追加免疫され得る
。例えば、ペプチド含有システイン残基は、リンカー(例えば、−マレイミドベ
ンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS))を用いてキャリ
アに結合され得るが、一方、他のペプチドは、より一般的な結合剤(例えば、グ
ルタルアルデヒド)を用いてキャリアに結合され得る。ウサギ、ラット、および
マウスのような動物は、遊離のペプチドまたはキャリア結合ペプチドのいずれか
を用いて、例えば、エマルジョン(約100μgのペプチドまたはキャリアタン
パク質およびフロイントアジュバントを含む)の腹腔内注射および/または皮内
注射により免疫される。いくつかのブースター注射が、抗ペプチド抗体の有用な
力価を提供するために、例えば、約2週間の間隔で、必要とされ得る。この力価
は、例えば、固相表面に吸着した遊離のペプチドを用いるELISAアッセイに
より検出され得る。免疫した動物由来の血清中の抗ペプチド抗体の力価は、抗ペ
プチド抗体の選択(例えば、当該分野で周知の方法に従い選択された抗体の固体
支持体および溶出物へのペプチドの吸着による)により上昇し得る。
【0103】 当業者に理解されるように、そして上記で考察されるように、免疫原性エピト
ープまたは抗原性エピトープを含む本発明のポリペプチドは、異種ポリペプチド
配列に融合され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン(Ig
A、IgE、IgG、IgM)の定常ドメインまたはそれらの部分(CH1、C
H2、CH3、それらの任意の組み合わせ(全ドメインおよびそれらの部分の両
方を含む))と融合し得、これがキメラポリペプチドを生じる。これらの融合タ
ンパク質は、精製を容易にし、そしてインビボにおいて増加した半減期を示す。
これは、例えば、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメインからなるキメ
ラタンパク質、および哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の
種々のドメインを示す。例えば、EPA 0,394,827;Traunec
kerら、Nature,331:84〜86(1988)を参照のこと。Ig
G部分に起因してジスルフィド架橋二量体構造を有する融合タンパク質はまた、
単量体ポリペプチドまたはそれらの単独のフラグメントよりも、他の分子の結合
および中和においてより効果的であり得る。例えば、Fountoulakis
ら.,J.Biochem.,270:3958〜3964(1988)を参照
のこと。上記のエピトープをコードする核酸はまた、エピトープタグとして目的
の遺伝子と組換えられ、発現されたポリペプチドの検出および精製を補助し得る
【0104】 (抗体) 本発明はさらに、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体およびT細胞
抗原レセプター(TCR)に関する。本発明の抗体は、IgG(IgG1、Ig
G2、IgG3およびIgG4を含む)、IgA(IgA1およびIgA2を含
む)、IgD、IgEまたはIgMおよびIgYを含む。本明細書中で使用され
る場合、用語「抗体」(Ab)は、単鎖全抗体およびその抗原結合フラグメント
を含む全抗体を含むことが意味される。最も好ましくは、この抗体は、本発明の
ヒト抗原結合抗体フラグメントであり、これには、Fab、Fab’およびF(
ab’)2、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs
(sdFv)および単鎖抗原結合VLまたはVHドメインのいずれかを含むフラグ
メントが挙げられるがこれらに限定されない。この抗体は、鳥類および哺乳動物
を含む任意の動物起源であり得る。好ましくは、この抗体は、ヒト、マウス、ウ
サギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。
【0105】 単鎖抗体を含む抗原結合抗体フラグメントは、可変領域を単独で、または以下
の全体もしくは部分と組み合わせて含み得る:ヒンジ領域、CH1、CH2およ
びCH3ドメイン。また、可変領域ならびにヒンジ領域、CH1、CH2および
CH3ドメインの任意の組み合わせがまた本発明に含まれる。本発明はさらに、
本発明のポリペプチドと特異的に結合するキメラ抗体、ヒト化抗体、ならびにヒ
トモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を含む。本発明はさらに、本発
明の抗体に対して抗イディオタイプである抗体を含む。
【0106】 本発明の抗体は、一重特異的、二重特異的、三重特異的またはより多くの多特
異的であり得る。複数特異的な抗体は、本発明のポリペプチドの異なるエピトー
プについて特異的であり得るか、または本発明のポリペプチドの両方および異種
の組成物(例えば、異種ポリペプチド)、低分子、もしくは固体支持体物質に特
異的であり得る。例えば、WO 93/17715;WO92/08802;W
O 91/00360;WO 92/05793;Tutt Aら、J.Imm
unol.147:60〜69(1991);米国特許第5,573,920号
、同第4,474,893号、同第5,601,819号、同第4,714,6
81号、同第4,925,648号;Kostelnyら、J.Imunol.
148:1547〜1553(1992)を参照のこと。
【0107】 本発明の抗体は、抗体により認識されるかまたは特異的に結合される本発明の
ポリペプチドのエピトープまたは部分の点で記載されるかまたは特定化され得る
。この免疫反応性および抗原性のエピトープまたはポリペプチドの部分は、本明
細書において、例えば、N末端およびC末端位置により、近接するアミノ酸残基
におけるサイズにより、記載される様に、または表および図に列挙されるように
、特定化され得る。本発明の任意のエピトープまたはポリペプチドに特異的に結
合する抗体はまた排除され得る。従って、本発明は、本発明のポリペプチドの免
疫原性および抗原性エピトープに特異的に結合し、これの排除を可能にする抗体
を含む。
【0108】 本発明の抗体はまた、その交差反応性について記載されるか、または特定化さ
れ得る(すなわち、本発明に特に含まれるか、または除外される)。本発明のポ
リペプチドの任意の他のアナログ、オルソログまたはホモログを結合しない抗体
が、本発明に特に含まれ得るか、またはそれから除外され得る。本発明のポリペ
プチドに対して95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満
、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満および50%未満の同一性
(当該分野で公知の方法および本明細書において記載された方法を用いて計算さ
れるように)を有するポリペプチドを結合しない抗体もまた、本発明に特に含ま
れ得るか、またはそれから除外され得る。さらに本発明には、ストリンジェント
なハイブリダイゼーション条件下(本明細書において記載のような)で本発明の
ポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされるポ
リペプチドのみ結合する抗体が含まれる。本発明の抗体はまた、その結合親和性
について記載または特定化され得る(すなわち、本発明に特別に含まれるか、ま
たはそれから除外される)。好ましい結合親和性としては、5×10-6M、10 -6 M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10 -9 M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12
、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×1
-15M、および10-15M未満の解離定数すなわちKdの親和性が挙げられる。
【0109】 本発明の抗体は、インビトロおよびインビボの両方における診断方法ならびに
治療方法を含む、本発明のポリペプチドを精製、検出および標的化するのための
当該分野で公知の方法を含むがこれに限定されない用途を有する。例えば、この
抗体は、生物学的サンプルにおいて本発明のポリペプチドのレベルを質的および
量的に測定するためのイムノアッセイにおいて用途を有する。例えば、Harl
owら,ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL,(
Cold Spring Harbor Laboratory Press,
第2版,1988)(全体が参考として援用されている)を参照のこと。
【0110】 本発明の抗体は、単独、または他の組成物との組み合わせのいずれかで用いら
れ得る。この抗体は、さらに、N末端またはC末端で異種のポリペプチドに組換
え的に融合され得るか、またはポリペプチドもしくは他の組成物に化学的に結合
(共有結合的結合および非共有結合的結合を含む)され得る。例えば、本発明の
抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子およびエフェクター分子(
例えば、異種のポリペプチド、薬物または毒素)に組換え的に融合または結合さ
れ得る。例えば、WO92/08495;WO91/14438;WO89/1
2624;米国特許第5,314,995号;および欧州特許第0396387
号を参照のこと。
【0111】 本発明の抗体は、当該分野で公知の任意の適切な方法によって調製され得る。
例えば、本発明のポリペプチドまたはその抗原性フラグメントは、ポリクローナ
ル抗体を含有する血清を産生することを誘導するために動物に投与され得る。モ
ノクローナル抗体は、ハイブリドーマの使用および組換え技術を含む当該分野で
公知の広範な技術を使用して調製され得る。例えば、Harlowら、ANTI
BODIES:A LABORATORY MANUAL(Cold Spri
ng Harbor Laboratory Press,第二版、1988)
;Hammerlingら、MONOCLONAL ANTOBODIES A
ND T−CELL HYBRIDOMAS 563−681(Elsevie
r,N.Y.1981)(該参考文献は、その全体が参考として援用される)。
FabおよびF(ab)’2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを
産生するため)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを産生するため)
のような酵素を使用して、タンパク質分解切断によって産生され得る。
【0112】 あるいは、本発明の抗体は、当該分野で公知の方法を使用して、組換えDNA
技術を適用して、または合成化学を通して作製され得る。例えば、本発明の抗体
は、当該分野で公知の種々のファージディスプレイ方法を用いて調製され得る。
ファージディスプレイ方法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードす
るポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面に提示される。所望の結
合特性を有するファージは、抗原(代表的には、固体表面またはビーズに結合ま
たは捕捉された抗原)を用いて直接的に選択することにより、レパートリー抗体
ライブラリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマ
ウス)から選択される。これらの方法において用いられるファージは、代表的に
は、ファージ遺伝子IIIタンパク質またはファージ遺伝子VIIIタンパク質
のいずれかに組換え的に融合されたFab、Fvまたはジスルフィド安定化され
たFvの抗体ドメインを有するfdおよびM13を含む繊維状ファージである。
本発明の抗体を作製するために用いられ得るファージディスプレイ方法の例とし
ては、以下に開示される方法が挙げられる:BrinkmanらJ.Immun
ol.Methods 182:41〜50(1995);Amesら、J.I
mmunol.Methods 184:177〜186(1995);Ket
tleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952〜958
(1994);Persicら、Gene 187 9〜18(1997);B
urtonらAdvances in Immunology 57:191〜
280(1994);PCT/GB91/01134;WO 90/02809
;WO 91/10737;WO 92/01047;WO 92/18619
;WO 93/11236;WO 95/15982;WO 95/20401
;ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第
5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号
、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,6
98号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,78
0,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、および
同第5,885,793号(これらの参考文献は、その全体が参考として援用さ
れる)。
【0113】 上記参考文献に記載されているように、ファージ選択後、ファージ由来の領域
をコードする抗体は、ヒト抗体を含む抗体の全体または任意の他の所望の抗原結
合フラグメントを作製するために単離されそして用いられ得、そして哺乳動物細
胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌を含む任意の所望の宿主において発現
され得る。例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを組換
え的に作製するための技術はまた、当該分野で公知の方法を用いて使用され得る
。この方法は、例えば、以下に開示される方法である:WO 92/22324
;Mullinaxら、BioTechniques 12(6):864〜8
69(1992);およびSawaiら、AJRI 34:26〜34(199
5);およびBetterら、Science 240:1041〜1043(
1998)(これらの参考文献は、その全体が参考として援用される)。
【0114】 単鎖のFvおよび抗体を作製するために用いられ得る技術の例としては、米国
特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Hustonら
、Methods in Enzymology 203:46〜88(199
1);Shuら、PNAS 90:7995〜7999(1993);およびS
kerraら、Science 240:1038〜1040(1988)に記
載される技術が挙げられる。ヒトにおける抗体のインビボ使用およびインビトロ
検出アッセイを含むいくつかの用途のために、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒ
ト抗体の使用が好ましくあり得る。キメラ抗体を作製するための方法は、当該分
野において公知である。例えば、Morrison,Science 229:
1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1
986);Gilliesら、J.Immunol.Methods 125:
191〜202(1989);および米国特許第5,807,715号を参照の
こと。抗体は、以下含む種々の技術を用いてヒト化され得る:CDR−移植術(
欧州特許第0 239 400号;WO 91/09967;米国特許第5,5
30,101号および同第5,585,089号)、ベニヤリング(venee
ring)またはリサーフェイシング(resurfacing)(欧州特許第
0 592 106号;欧州特許第0 519 596号;Padlan E.
A.、Molecular Immunology 28(4/5):489〜
498(1991); Studnickaら、Protein Engine
ering 7(6):805〜814(1994);Roguskaら、PN
AS 91:969〜973(1994))、およびチェーンシャッフリング(
chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)。ヒト
抗体は、上記のファージディスプレイ方法を含む当該分野で公知の種々の方法に
より作製され得る。また、米国特許第4,444,887号、同第4,716,
111号、同第5,545,806号および同第5,814,318号;ならび
にWO 98/46645、WO98/50433、WO98/24893、W
O98/16654、WO96/34096、WO96/33735、およびW
O91/10741(これらの参考文献はその全体が参考として援用される)を
参照のこと。
【0115】 さらに、本発明には、本発明のポリペプチドに組換え的に融合または化学的に
結合(共有結合的結合および非共有結合的結合の両方を含む)した抗体が含まれ
る。この抗体は、本発明のポリペプチド以外の抗原に特異的であり得る。例えば
、抗体は、本発明のポリペプチドを特定の細胞表面レセプターに特異的な抗体に
融合または結合することにより、インビトロまたはインビボのいずれかで本発明
のポリペプチドを特定の細胞型へ標的化するために用いられ得る。本発明のポリ
ペプチドに対して融合または結合された抗体はまた、当該分野で公知の方法を用
いてインビトロイムノアッセイおよび精製方法において用いられ得る。例えば、
Harborら、前出、およびWO 93/21232;欧州特許第0 439
095号;Naramuraら、Immunol.Lett.39:91〜9
9(1994);米国特許第5,474,981号;Gilliesら、PNA
S 89:1428〜1432(1992);Fellら、J.Immunol
.146:2446〜2452(1991)(これらの参考文献は、その全体が
参考として援用される)を参照のこと。
【0116】 本発明は、可変領域以外の抗体ドメインと融合されたか、または結合体化され
た本発明のポリペプチドを含む組成物をさらに含む。例えば、本発明のポリペプ
チドは、抗体のFc領域またはその一部分と融合され得るか、またはそれに結合
体化され得る。本発明のポリペプチドに融合した抗体部分は、ヒンジ領域、CH
1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメインまたはドメイン全体かまた
はその一部の任意の組み合わせを含み得る。本発明のポリペプチドは、当該分野
で公知の方法を用いて、ポリペプチドのインビボでの半減期を増大するか、また
はイムノアッセイにおける使用のために上記の抗体部分に融合され得るか、また
はそれに結合体化され得る。このポリペプチドはまた、上記の抗体部分に融合さ
れるか、またはそこに結合体化されて、マルチマーを形成し得る。例えば、本発
明のポリペプチドに融合されたFc部分は、Fc部分の間のジスルフィド結合に
よってダイマーを形成し得る。より高次のマルチマー形態は、IgAおよびIg
Mの部分にそのポリペプチドを融合することにより作製され得る。本発明のポリ
ペプチドを抗体部分に融合または結合体化するための方法は、当該分野で公知で
ある。例えば、米国特許第5,336,603号、同第5,622,929号、
同第5,359,046号、同第5,349,053号、同第5,447,85
1号、同第5,112,946号;EP 0 307 434号、EP 0 3
67 166号;WO96/04388号、WO91/06570号;Ashk
enaziら、PNAS 88:10535−10539(1991);Zhe
ngら、J.Immunol.154:5590−5600(1995);なら
びにVilら、PNAS 89:11337−11341(1992)(上記の
参考文献は、その全体が参考として援用される)を参照のこと。
【0117】 本発明はさらに、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストと
して作用する抗体に関する。例えば、本発明は、部分的または完全にかのいずれ
かで本発明のポリペプチドとのレセプター/リガンド相互作用を破壊する抗体を
含む。レセプター特異的抗体およびリガンド特異的抗体の両方が含まれる。リガ
ンド結合を妨害しないが、レセプター活性化を妨害するレセプター特異的抗体が
含まれる。レセプター活性化(すなわち、シグナル伝達)は、本明細書中に記載
の技術、そうでなければ、当該分野で公知の技術により決定され得る。リガンド
結合およびレセプター活性化を両方とも妨害するレセプター特異的抗体もまた含
まれる。同様に、リガンドに結合し、そしてリガンドのレセプターへの結合を妨
害する中和抗体、ならびにリガンドに結合し、それによってレセプター活性化を
妨害するが、リガンドがレセプターに結合することを妨害しない抗体が含まれる
。レセプターを活性化する抗体がさらに含まれる。これらの抗体は、リガンド媒
介レセプター活性化により影響を及ぼされる生物学的活性の全てまたは全て未満
のいずれかについてのアゴニストとして作用し得る。この抗体は、本明細書中に
開示された特定の活性を含む生物学的活性についてのアゴニストまたはアンタゴ
ニストとして特定され得る。上記の抗体アゴニストは、当該分野で公知の方法を
使用して作製され得る。例えば、WO96/40281;米国特許第5,811
,097号;Dengら、Blood 92(6):1981−1988(19
98);Chenら、Cancer Res.58(16):3668−367
8(1998);Harropら、J.Immunol.161(4):178
6−1794(1998);Zhuら、Cancer Res:58(15):
3209−3214(1998);Yoonら、J.Immunol.160(
7):3170−3179(1998);Pratら、J.Cell.Sci.
111(Pt2):237−247(1998);Pitardら、J.Imm
unol.Methods 205(2):177−190;Liautard
,J.ら、Cytokinde 9(4):233−241 1997);Ca
rlsonら、J.Biol.Chem.272(17):11295−113
01(1997);Tarymanら、Neuron 14(4):755−7
62(1995);Mullerら、Structure 6(9):1153
−1167(1998);Bartunekら、Cytokine 8(1):
14−20(1996)(上記の文献は、その全体が参考として援用される)を
参照のこと。
【0118】 (融合タンパク質) 本発明の任意のポリペプチドを使用して、融合タンパク質を生成し得る。例え
ば、本発明のポリペプチドは、第2のタンパク質に融合された場合、抗原性タグ
として使用され得る。本発明のポリペプチドに対して惹起された抗体を使用して
、そのポリペプチドに結合させることにより第2のタンパク質を間接的に検出し
得る。さらに、分泌タンパク質が輸送シグナルに基づいて細胞位置を標的化する
ので、本発明のポリペプチドは、一旦他のタンパク質に融合されると、標的化分
子として使用され得る。
【0119】 本発明のポリペプチドに融合され得るドメインの例は、異種シグナル配列だけ
でなく他の異種機能領域もまた含む。融合は、必ずしも直接的である必要はない
が、リンカー配列を介して起こり得る。
【0120】 さらに、融合タンパク質はまた、本発明のポリペプチドの特徴を改善するため
に操作され得る。例えば、さらなるアミノ酸領域(特に、荷電したアミノ酸)は
、そのポリペプチドのN末端に付加されて、宿主細胞からの精製の間または引き
続く取り扱いおよび貯蔵の間に安定性および持続性を改善し得る。また、ペプチ
ド部分は、精製を容易にするために本発明のポリペプチドに付加され得る。この
ような領域は、本発明のポリペプチドの最終的な調製の前に取り除かれ得る。ポ
リペプチドの取り扱いを容易にするペプチド部分の付加は、当該分野で周知かつ
慣用的な技術である。
【0121】 さらに、本発明のポリペプチド(フラグメントを含む)および詳細には、エピ
トープは、上記のように、免疫グロブリン(IgG)の定常ドメインの一部と組
み合わせられ、キメラポリペプチドを生じ得る。これらの融合タンパク質は、精
製を容易にし、そしてインビボでの半減期の増大を示す。1つの報告された例は
、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物免疫グロブリ
ンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質を記
載する(EP A 394,827;Trauneckerら、Nature
331:84−86(1988))。ジスルフィド結合したダイマー構造(Ig
Gに起因する)を有する融合タンパク質はまた、モノマーの分泌タンパク質また
はタンパク質フラグメント単独より、他の分子を結合し、そして中和するにより
効率的であり得る(Fountoulakisら、J.Biochem.270
:3958−3964(1995))。
【0122】 同様に、EP−A−O 464 533(カナダ対応出願第2045869号
)は、別のヒトタンパク質、またはその一部とともに免疫グロブリン分子の定常
領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク
質中のFc部分は、治療および診断において有利であり、従って、例えば改善さ
れた薬物動態学的特性を生じ得る(EP−A 0232 262)。あるいは、
融合タンパク質が、発現され、検出され、そして精製された後に、Fc部分を欠
失することが望ましい。例えば、Fc部分は、融合タンパク質が免疫のための抗
原として使用される場合、治療および診断を妨げ得る。薬物探索において、例え
ば、hIL−5のようなヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定
するための高処理能力スクリーニングアッセイの目的で、Fc部分と融合されて
いる(Bennettら, J. Molecular Recognitio
n,8:52−58(1995);Johansonら, J. Biol.
Chem. 270:9459−9471(1995)を参照のこと)。
【0123】 さらに、本発明のポリペプチドは、例えば、その融合タンパク質の精製を容易
にするペプチドのようなマーカー配列に融合され得る。好ましい実施態様におい
て、このマーカーアミノ酸配列は、とりわけ、ヘキサヒスチジンペプチド、例え
ば、pQEベクター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Aven
ue,Chatsworth,CA,91311)に提供されるタグであり、多
くのものは市販されている。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 86:821−824(1989)に記述されるように
、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製に有用な別
のペプチドタグである「HA」タグは、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に
由来するエピトープと対応する(Wilsonら、Cell 37:767(1
984))。
【0124】 従って、これらの上記の融合体のいずれも、本発明のポリヌクレオチドまたは
ポリペプチドを使用して操作され得る。
【0125】 (ベクター、宿主細胞、およびタンパク質生成) 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、宿主細胞、および
組換え技術によるポリペプチドの生成に関する。ベクターは、例えば、ファージ
ベクター、プラスミドベクター、ウイルスベクター、またはレトロウイルスベク
ターであり得る。レトロウイルスベクターは、複製能があるかまたは複製欠損で
あり得る。後者の場合、ウイルス増殖は、一般に、相補的な宿主細胞においての
み起こる。
【0126】 そのポリヌクレオチドは、宿主における増殖のために、選択マーカーを含むベ
クターに結合され得る。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈澱
のような沈澱、または荷電した脂質との複合体において導入される。このベクタ
ーがウイルスである場合、適切なパッケージング細胞株を使用してインビトロで
パッケージングされ得、次いで宿主細胞に形質導入され得る。
【0127】 そのポリヌクレオチドインサートは、例えば、いくつかの名前を挙げると、フ
ァージλPLプロモーター、E.coli lac、trp、phoA、および
tacプロモーター、SV40初期および後期プロモーター、ならびにレトロウ
イルスLTRのプロモーターなどのような、適切なプロモーターに作動可能に結
合されるべきである。他の適切なプロモーターは、当業者に公知である。発現構
築物は、転写開始のための部位、転写、終結のための部位、および転写された領
域において翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含む。構築物によって発現
される転写物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるポリペプチドの始めの翻
訳開始コドンおよび翻訳されるポリペプチドの最後に適切に位置する終結コドン
(UAA、UGAまたはUAG)を含む。
【0128】 示されたように、発現ベクターは、好ましくは、少なくとも1つの選択マーカ
ーを含む。このようなマーカーとしては、真核生物細胞培養についてはジヒドロ
葉酸レダクターゼ、G418、またはネオマイシン耐性、ならびにE.coli
および他の細菌における培養についてはテトラサイクリン耐性遺伝子、カナマイ
シン耐性遺伝子、またはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。適切な宿主の代
表的な例としては、細菌細胞(例えば、E.coli細胞、Streptomy
ces細胞、およびSalmonella typhimurium細胞);真
菌細胞(例えば酵母細胞);昆虫細胞(例えば、Drosophila S2細
胞およびSpodoptera Sf9細胞);動物細胞(例えば、CHO細胞
、COS細胞、293細胞、およびBowesメラノーマ細胞);ならびに植物
細胞が挙げられるが、これらに限定されない。上記の宿主細胞のための適切な培
養培地および条件は当該分野で公知である。
【0129】 細菌における使用に好ましいベクターには、pQE70、pQE60、および
pQE−9(QIAGEN,Inc.から入手可能);pBluescript
ベクター、Phagescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pN
H18A、pNH46A(Stratagene Cloning Syste
ms,Inc.から入手可能);ならびにptrc99a、pKK223−3、
pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia Biot
ech,Inc.から入手可能)が含まれる。好ましい真核生物ベクターの中に
は、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、およびpSG(S
tratageneから入手可能)が含まれる。好ましい真核生物ベクターの中
には、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、p
OG44、pXT1およびpSG;およびPharmaciaから入手可能なp
SVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLがある。他の適切なベクターは
、当業者に容易に明らかである。
【0130】 宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DE
AE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフ
ェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の方法によって
もたらされ得る。このような方法は、多くの標準的研究室マニュアルに記載され
ている(例えば、Davisら、Basic Methods In Mole
cular Biology(1986))。本発明のポリペプチドは、組換え
ベクターを欠如する宿主細胞により実際に発現され得ることが具体的に意図され
る。
【0131】 本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウム沈澱またはエタノール沈澱、酸抽
出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマ
トグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグ
ラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマト
グラフィーを含む周知の方法によって組換え細胞培養物から回収され、そして精
製され得る。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が
精製のために用いられる。
【0132】 本発明のポリペプチドはまた、以下から収集され得る:天然の供給源からの精
製産物(直接的に単離されたか、または培養されたかのいずれにせよ、体液、組
織、および細胞を含む);化学合成手順の産物;および原核生物宿主または真核
生物宿主(例えば、細菌細胞、酵母細胞、高等植物細胞、昆虫細胞、および哺乳
動物細胞を含む)から組換え技術によって産生された産物。組換え産生手順にお
いて用いられる宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されて
いてもよく、またはグリコシル化されていなくてもよい。さらに、本発明のポリ
ペプチドはまた、いくつかの場合、宿主媒介プロセスの結果として、改変された
開始メチオニン残基を含み得る。従って、翻訳開始コドンによってコードされて
いるN末端メチオニンは、一般的に、すべての真核生物細胞において翻訳後に任
意のタンパク質から高い効率で除去されることが当該分野において周知である。
大部分の原核生物においても、大部分のタンパク質上のN末端メチオニンは効率
的に除去されるが、いくつかのタンパク質では、この原核生物の除去プロセスは
、N末端メチオニンが共有結合しているアミノ酸の性質に依存して、非効率的で
ある。さらに、メチオニンコドンは、N末端メチオニンを欠く本発明のポリペプ
チドの適切な翻訳のために本発明のベクターに適切に付加され得る。
【0133】 本明細書中で議論されるベクター構築物を含有する宿主細胞を含むことに加え
て、本発明はまた、脊椎動物起源、特に哺乳動物起源の、一次、二次、および三
次不死化宿主細胞を含み、これらは、内在性の遺伝物質(例えば、BMPコード
配列)を欠失または置換するように、そして/または遺伝物質(例えば、異種ポ
リヌクレオチド配列)を含むように操作されており、この遺伝物質は、本発明の
BMPポリヌクレオチドと作動可能に結合されており、そして内在性のBMPポ
リヌクレオチドを活性化、変化、および/または増幅させる。例えば、当該分野
で公知の技術が使用されて、相同組換えを介して、異種制御領域(例えば、プロ
モーターおよび/またはエンハンサー)および内在性BMPポリヌクレオチド配
列に作動可能に結合し得る(例えば、1997年6月24日に発行された米国特
許第5,641,670号;1996年9月26日に公開された国際公開番号:
WO96/29411;1994年8月4日に公開された国際公開番号:WO9
4/12650;Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA,86:8932−8935(1989);およびZijlstraら、N
ature,342:435−438(1989)を参照のこと、これらの各々
の開示はその全体が参考として援用される)。
【0134】 さらに、本発明のポリペプチドは、当該分野で公知の技術を使用して化学的に
合成され得る(例えば、Creighton,1983,Proteins:S
tructures and Molecular Principles,W
.H.Freeman&Co.,N.Y.およびHunkapillerら、N
ature,310:105−111(1984)を参照のこと)。例えば、本
発明のBMPポリペプチドのフラグメントに対応するペプチドは、ペプチドシン
セサイザーの使用によって合成され得る。さらに、所望される場合、非古典的ア
ミノ酸または化学的アミノ酸アナログが、BMPポリヌクレオチド配列に置換ま
たは付加として導入され得る。非古典的アミノ酸としては、一般的なアミノ酸の
D−異性体、2,4−ジアミノ酪酸、a−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、A
bu、2−アミノ酪酸、g−Abu、e−Ahx、6−アミノヘキサン酸、Ai
b、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン
、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン
、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン
、シクロヘキシルアラニン、b−アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミ
ノ酸(例えば、b−メチルアミノ酸)、Ca−メチルアミノ酸、Na−メチルア
ミノ酸、および一般的なアミノ酸アナログが挙げられるがこれらに限定されない
。さらに、アミノ酸は、D(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
【0135】 さらに、本発明のポリペプチドを作製する際に有用である、TGF−βスーパ
ーファミリーの多数のメンバーの産生のための方法は、公知であり、そして/ま
たは文献に記載される。例えば、多くのBMP(BMP−2、BMP−3、BM
P−4、BMP−5、BMP−6、およびBMP−7を含む)の構造および産生
のための方法が、例えば、米国特許第5,108,922号;同第5,013,
649号;同第5,116,738号;同第5,106,748号;同第5,1
87,076号;および同第5,141,905号に開示され;BMP−8は、
PCT公開WO91/18098に開示され;BMP−9は、PCT公開WO9
3/00432に開示され;BMP−10は、PCT出願WO94/26893
に開示され;BMP−11は、PCT出願WO94/26892に開示され;B
MP−12およびBMP−13は、PCT出願WO95/16035に開示され
る。Vgr−2ならびに増殖および分化因子(GDF)の構造(PCT出願WO
94/15965;WO94/15949;WO95/01801;WO95/
01802;WO94/21681;WO94/15966に記載されるものを
含む)などもまた、公知である。本発明において有用であり得る他のTGF−β
タンパク質は、WO94/01557に開示されるBIP;およびPCT出願W
O93/16099に開示されるMP52を含む。2つの異なるモノマー単位を
含むヘテロダイマータンパク質(各々は、上記のTGF−βタンパク質の1つの
アミノ酸配列を含む)の産生方法は、WO93/09229に記載される。上記
の出願のすべての開示は、本明細書によって参考として援用される。
【0136】 本発明は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の
保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解的切断、抗体分子また
は他の細胞リガンドとの結合などによって、翻訳の間または翻訳後に差示的に修
飾されるBMPポリペプチドを含む。任意の多数の化学修飾が公知の技術(臭化
シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH 4 による特異的化学的切断;アセチル化、ホルミル化、酸化、還元;ツニカマイ
シンの存在下での代謝的合成などが含まれるがこれらに限定されない)によって
実行され得る。
【0137】 本発明によって含まれるさらなる翻訳後修飾としては、例えば、N結合型また
はO結合型の炭水化物鎖、N末端またはC末端のプロセシング、アミノ酸骨格へ
の化学部分の結合、N結合型またはO結合型の炭水化物鎖の化学修飾、および原
核生物宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加または欠失が挙
げられる。このポリペプチドはまた、例えば、酵素標識、蛍光標識、放射性同位
元素標識、またはアフィニティー標識のような検出可能な標識で修飾され、タン
パク質の検出および単離を可能にし得る。
【0138】 さらなる利点(例えば、ポリペプチドの溶解度の増加、ポリペプチドの安定性
、およびポリペプチドの循環時間、または免疫原性の減少)を提供し得るBMP
の化学的に改変された誘導体もまた、本発明によって提供される(米国特許第4
,179,337号を参照のこと)。誘導体化のための化学的部分は、水溶性ポ
リマー(例えば、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレング
リコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニル
アルコールなど)から選択され得る。そのポリペプチドは、分子内の無作為な位
置で、または分子内のあらかじめ決定された位置で修飾され得、そして1、2、
3以上の結合した化学部分を含み得る。
【0139】 そのポリマーは、任意の分子量のポリマーであり得、そして分枝していてもよ
いし、または分枝していなくてもよい。ポリエチレングリコールについては、好
ましい分子量は、取り扱いおよび製造における容易さのために、約1kDaと約
100kDaとの間である(用語「約」は、ポリエチレングリコールの調製物中
において、いくらかの分子は、明言された分子量よりも大きな分子量であり、い
くらかの分子は、明言された分子量よりもより小さな分子量であることを示す)
。他のサイズは、所望される治療プロフィール(例えば、所望される持続性放出
の持続期間、効果(生物学的活性に対して、もしあれば)、取り扱いの容易さ、
抗原性の程度または欠如、および治療用タンパク質またはアナログに対するポリ
エチレングリコールの他の公知の効果)に依存して使用され得る。
【0140】 ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、タンパク質の機能
的ドメインまたは抗原性ドメインに対する効果を考慮してタンパク質に結合され
るべきである。当業者に利用可能な多数の結合方法(例えば、本明細書中で参考
として援用される、EP0 401 384(PEGのG−CSFへのカップリ
ング)、Malikら、Exp.Hematol.20:1028−1035(
1992)(トレシルクロライドを使用するGM−CSFのPEG化(pegy
lation)を報告する)もまた参照のこと)が存在する。例えば、ポリエチ
レングリコールは、反応基を介して、アミノ酸残基(例えば、遊離のアミノ基ま
たはカルボキシル基)を通して共有結合され得る。反応基は、活性化されたポリ
エチレングリコール分子が結合し得るものである。遊離のアミノ基を有するアミ
ノ酸残基は、リジン残基およびN末端アミノ酸残基を含み得る;遊離のカルボキ
シル基を有するアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、およ
びC末端アミノ酸残基を含み得る。スルフヒドリル基もまた、ポリエチレングリ
コール分子を結合させるための反応基として使用され得る。アミノ基における付
着(例えば、N末端またはリジン基における付着)が、治療目的のために好まし
い。
【0141】 N末端において化学修飾されたタンパク質を特に所望し得る。本発明の組成物
の例示としてポリエチレングリコールを使用して、種々のポリエチレングリコー
ル分子(分子量、分枝などによって)、反応混合物中におけるタンパク質(また
はペプチド)分子に対するポリエチレングリコール分子の比率、実行されるPE
G化反応の型、および選択されたN末端PEG化タンパク質を得る方法から選択
し得る。N末端PEG化調製物を得る方法(すなわち、必要であれば、この部分
を他のモノPEG化部分から分離すること)は、PEG化タンパク質分子の集団
からのN末端PEG化物質の精製によってであり得る。N末端修飾で化学的に改
変される選択的タンパク質は、特定のタンパク質における誘導体化のために利用
可能な、第1アミノ基の異なる型(N末端に対してリジン)の差示的な反応性を
利用する還元的アルカリ化によって達成され得る。適切な反応条件下で、カルボ
ニル基を含むポリマーを用いた、N末端において実質的に選択的なタンパク質の
誘導体化が達成される。
【0142】 本発明のBMPポリペプチドは、モノマーまたはマルチマー(すなわち、ダイ
マー、トリマー、テトラマー、およびより高度なマルチマー)であり得る。従っ
て、本発明は、本発明のBMPポリペプチドのモノマーおよびマルチマー、それ
らの調製、およびそれらを含む組成物(好ましくは、薬学的組成物)に関する。
特定の実施態様において、本発明のポリペプチドは、モノマー、ダイマー、トリ
マー、またはテトラマーである。さらなる実施態様において、本発明のマルチマ
ーは、少なくともダイマー、少なくともトリマー、または少なくともテトラマー
である。
【0143】 本発明によって含まれるマルチマーは、ホモマーまたはテトラマーであり得る
。本明細書中で使用される場合、用語ホモマーは、本発明のBMPポリペプチド
(本明細書中に記載されるように、BMPフラグメント、改変体、スプライシン
グ改変体、および融合タンパク質を含む)のみを含むマルチマーをいう。これら
のホモマーは、同一のまたは異なるアミノ酸配列を有するBMPポリペプチドを
含み得る。特定の実施態様において、本発明のホモマーは、同一のアミノ酸配列
を有するBMPポリペプチドのみを含むマルチマーである。別の特定の実施態様
において、本発明のホモマーは、異なるアミノ酸配列を有するBMPポリペプチ
ドを含むマルチマーである。特定の実施態様において、本発明のマルチマーは、
ホモダイマー(例えば、同一のまたは異なるアミノ酸配列を有するBMPポリペ
プチドを含む)またはホモトリマー(例えば、同一のおよび/または異なるアミ
ノ酸配列を有するBMPポリペプチドを含む)である。さらなる実施態様におい
て、本発明のホモマー性マルチマーは、少なくともホモダイマー、少なくともホ
モトリマー、または少なくともホモテトラマーである。
【0144】 本明細書中で使用される場合、用語ヘテロマーは、本発明のBMPポリペプチ
ドに加えて、1つ以上の異種ポリペプチド(すなわち、異なるタンパク質のポリ
ペプチド)を含むマルチマーをいう。特定の実施態様において、本発明のマルチ
マーは、ヘテロダイマー、ヘテロトリマー、またはヘテロテトラマーである。さ
らなる実施態様において、本発明のホモマー性マルチマーは、少なくともホモダ
イマー、少なくともホモトリマー、または少なくともホモテトラマーである。
【0145】 本発明のマルチマーは、疎水性相互作用、親水性相互作用、イオン結合、およ
び/または共有結合の結果であり得、そして/または間接的に結合され得る(例
えば、リポソーム形成によって)。従って、1つの実施態様において、例えば、
ホモダイマーまたはホモトリマーのような本発明のマルチマーは、本発明のポリ
ペプチドが、溶液中で互いに接触する場合に形成される。別の実施態様において
、例えば、ヘテロトリマーまたはヘテロテトラマーのような本発明のヘテロマル
チマーは、本発明のポリペプチドが、溶液中で本発明のポリペプチドに対する抗
体(本発明の融合タンパク質における異種ポリペプチド配列に対する抗体を含む
)と接触する場合に形成される。他の実施態様において、本発明のマルチマーは
、本発明のBMPポリペプチドとの共有結合、および/または本発明のBMPポ
リペプチドの間の共有結合によって形成される。このような共有結合は、ポリペ
プチド配列(例えば、配列表に列挙されるか、またはクローンBMPによってコ
ードされるポリペプチド中に含まれる配列)中に含まれる1つ以上のアミノ酸残
基を含み得る。1つの例において、共有結合は、ネイティブな(すなわち、天然
に存在する)ポリペプチドにおいて相互作用するポリペプチド配列中に位置する
システイン残基間の架橋である。別の例において、共有結合は、化学的または組
換え操作の結果である。あるいは、このような共有結合は、BMP融合タンパク
質中の異種ポリペプチド配列に含まれる1つ以上のアミノ酸残基を含み得る。1
つの例において、共有結合は、本発明の融合タンパク質に含まれる異種配列間に
あり得る(例えば、米国特許第5,478,925号を参照のこと)。特定の例
において、共有結合は、(本明細書中に記載されるように)本発明のBMP−F
c融合タンパク質中に含まれる異種配列間にある。別の特定の例において、本発
明の融合タンパク質の共有結合は、例えば、オステオプロテゲリン(osteo
protegerin)のような共有結合マルチマーを形成し得る別のTNFフ
ァミリーリガンド/レセプターメンバー由来の異種ポリペプチド配列間にある(
例えば、国際公開番号:WO98/49305を参照のこと、この内容は、本明
細書中でその全体が参考として援用される)。
【0146】 本発明のマルチマーは、当該分野で公知の化学技術を用いて生成され得る。例
えば、本発明のマルチマー中に含まれることが所望されるポリペプチドは、当該
分野で公知のリンカー分子およびリンカー分子長最適化技術を用いて化学的に架
橋され得る(例えば、米国特許第5,478,925号を参照のこと、これは、
本明細書中でその全体が参考として援用される)。さらに、本発明のマルチマー
は、マルチマー中に含まれることが所望されるポリペプチドの配列中に位置する
システイン残基間の1つ以上の分子間架橋を形成するために、当該分野で公知の
技術を用いて生成され得る(例えば、米国特許第5,478,925号を参照の
こと、これは、本明細書中でその全体が参考として援用される)。さらに、本発
明のポリペプチドは、そのポリペプチドのC末端またはN末端へのシステインま
たはビオチンの付加によって慣用的に修飾され得、そして当該分野で公知の技術
は、1つ以上のこれらの修飾したポリペプチドを含むマルチマーを生成するよう
に適用され得る(例えば、米国特許第5,478,925号を参照のこと、これ
は、本明細書中でその全体が参考として援用される)。さらに、当該分野で公知
の技術は、本発明のマルチマーに含まれることが所望されるポリペプチド成分を
含むリポソームを生成するように適用され得る(例えば、米国特許第5,478
,925号を参照のこと、これは、本明細書中でその全体が参考として援用され
る)。
【0147】 あるいは、本発明のマルチマーは、当該分野で公知の遺伝子工学技術を用いて
生成され得る。1つの実施態様において、本発明のマルチマー中に含まれるポリ
ペプチドは、本明細書中に記載されるかまたはさもなくば当該分野で公知の融合
タンパク質技術を用いて組換え的に産生される(例えば、米国特許第5,478
,925号を参照のこと、これは、本明細書中でその全体が参考として援用され
る)。特定の実施態様において、本発明のホモダイマーをコードするポリヌクレ
オチドは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、リンカ
ーポリペプチドをコードする配列に連結し、次いで、さらにもともとのC末端か
らN末端(リーダー配列を欠く)へと逆方向でポリペプチドの翻訳産物をコード
する合成ポリヌクレオチドに連結することによって生成される(例えば、米国特
許第5,478,925号を参照のこと、これは、本明細書中でその全体が参考
として援用される)。別の実施態様において、本明細書中に記載されるかまたは
さもなくば当該分野で公知の組換え技術が適用されて、膜貫通ドメイン(または
疎水性ペプチドもしくはシグナルペプチド)を含む本発明の組換えポリペプチド
を生成する。これは、膜再構成技術によってリポソームに取り込まれ得る(例え
ば、米国特許第5,478,925号を参照のこと、これは、本明細書中でその
全体が参考として援用される)。
【0148】 (ポリヌクレオチドの使用) 本明細書中で同定された各ポリヌクレオチドは、試薬として多数の方法におい
て使用され得る。以下の説明は、例示とみなされるべきであり、公知の技術を利
用する。
【0149】 本発明のポリヌクレオチドは、染色体の同定のために有用である。新たな染色
体マーカーを同定する必要性が継続して存在する。なぜなら、実際の配列データ
(反復多型性)に基づく染色体マーキング試薬は現在、ほとんど利用可能ではな
いからである。本発明の各々のポリヌクレオチドは、染色体のマーカーとして使
用され得る。
【0150】 簡潔には、配列は、配列番号Xに示された配列からPCRプライマー(好まし
くは、15〜25bp)を調製することにより、染色体にマッピングされ得る。
プライマーがゲノムDNAにおいて1より多い推定のエキソンにまたがらないよ
うに、コンピューター分析を用いてプライマーを選択し得る。次いで、これらの
プライマーは、個々のヒト染色体を含有する体細胞ハイブリッドのPCRスクリ
ーニングのために用いられる。それぞれ、配列番号Xに対応するヒト遺伝子を含
むハイブリッドのみが、増幅されたフラグメントを産生する。
【0151】 同様に、体細胞ハイブリッドは、特定の染色体にポリヌクレオチドをPCRマ
ッピングする迅速な方法を提供する。単一のサーマルサイクラーを使用して、1
日あたり3つ以上のクローンが割り当てられ得る。さらに、ポリヌクレオチドの
下位の位置決め(sublocalization)は、特定の染色体フラグメ
ントのパネルを用いて達成され得る。使用され得る他の遺伝子マッピングストラ
テジーとしては、インサイチュハイブリダイゼーション、標識されたフロー選別
した染色体での予備スクリーニング、および染色体特異的cDNAライブラリー
を構築するためのハイブリダイゼーションによる予備選択が挙げられる。
【0152】 ポリヌクレオチドの正確な染色体位置はまた、中期染色体スプレッドの蛍光イ
ンサイチュハイブリダイゼーション(「FISH」)を用いて、達成され得る。
この技術は、500または600塩基程度の短いポリヌクレオチドを使用する;
しかし、2,000〜4,000bpのポリヌクレオチドが好ましい。この技術
の概説については、Vermaら、「Human Chromosomes:A
Manual of Basic Techniques」、Pergamo
n Press, New York(1988)を参照のこと。
【0153】 染色体マッピングについて、本発明のポリヌクレオチドは個々に(単一の染色
体またはその染色体上の単一部位をマークするために)またはパネルで(複数部
位および/または複数染色体をマークするために)使用され得る。好ましいポリ
ヌクレオチドは、cDNAの非コード領域に対応する。なぜなら、コード配列は
、遺伝子ファミリー内に保存されている可能性が大きく、従って染色体マッピン
グの間に交叉ハイブリダイゼーションの機会が増大するからである。
【0154】 一旦、ポリヌクレオチドが正確な染色体位置にマッピングされると、そのポリ
ヌクレオチドの物理的な位置は、連鎖分析において使用され得る。連鎖分析は、
染色体位置と特定の疾患の提示との間の同時遺伝(coinheritance
)を確立する(疾患マッピングデータは、例えば、V.McKusick,Me
ndelian Inheritance in Man(Johns Hop
kins University Welch Medical Librar
yからオンラインで入手可能である)に見出される)。1メガ塩基のマッピング
分解能および20kbにつき1遺伝子と仮定すると、疾患と関連づけられた染色
体領域に正確に位置決めされたcDNAは、50〜500の潜在的な原因遺伝子
のうちの1つであり得る。
【0155】 従って、一旦同時遺伝が確立されると、罹患個体と非罹患個体との間のポリヌ
クレオチドおよび対応遺伝子における差異が試験され得る。第1に、染色体にお
ける目に見える構造変化(例えば、欠失または転座)が染色体スプレッドにおい
てまたはPCRにより試験される。構造的変化が存在しない場合は、点変異の存
在を確認する。幾人かまたは全ての罹患個体で観察されるが、正常個体では観察
されない変異は、この変異がこの疾患を引き起こし得ることを示す。しかし、幾
人かの正常個体由来の本発明のポリペプチドおよび対応する遺伝子の完全な配列
決定は、この変異を多型と区別するために必要である。新たな多型が同定される
と、この多型ポリペプチドは、さらなる連鎖分析のために使用され得る。
【0156】 さらに、非罹患個体と比較した罹患個体の遺伝子の増加または減少した発現が
、本発明のポリヌクレオチドを使用して評価され得る。任意のこれらの変化(変
化した発現、染色体再配置、または変異)は、診断マーカーまたは予後マーカー
として使用され得る。
【0157】 前記に加えて、ポリヌクレオチドは、三重らせん形成またはアンチセンスDN
AもしくはRNAによって遺伝子発現を制御するために使用され得る。両方の方
法は、DNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に依存する。これらの技
術に関して、好ましいポリヌクレオチドは通常、20〜40塩基長であり、そし
て転写に関与する遺伝子領域(三重らせん−Leeら、Nucl.Acids
Res.6:3073(1979);Cooneyら、Science 241
:456(1988);およびDervanら、Science 251:13
60(1991)を参照のこと)またはmRNA自体(アンチセンス−Okan
o,J.Neurochem.56:560(1991);Oligodeox
y−nucleotides as Antisense Inhibitor
s of Gene Expression,CRC Press,Boca
Raton,FL(1988))のいずれかに相補的である。三重らせん形成は
、最適にはDNAからのRNA転写を遮断するが、アンチセンスRNAハイブリ
ダイゼーションは、ポリペプチドへのmRNA分子の翻訳を阻止する。両方の技
術は、モデル系において効果的であり、そして本明細書に開示される情報は、疾
患を処置するための試みにおいて、アンチセンスまたは三重らせんポリヌクレオ
チドを設計するために使用され得る。
【0158】 本発明のポリヌクレオチドはまた、遺伝子治療において有用である。遺伝子治
療の1つの目標は、遺伝子欠損を修正する試みにおいて、欠損遺伝子を有する生
物へ正常遺伝子を挿入することである。本発明に開示されるポリヌクレオチドは
、高度に正確な様式でこのような遺伝子欠損を標的とする手段を提供する。別の
目標は、宿主ゲノム中には存在しなかった新しい遺伝子を挿入することであり、
それによって宿主細胞中に新しい形質を生成する。
【0159】 ポリヌクレオチドはまた、微小な生物学的サンプルから個体を同定するために
有用である。例えば、米国軍は、その職員を同定するために制限フラグメント長
の多型性(RFLP)の使用を考慮している。この技術において、個体のゲノム
DNAは1つ以上の制限酵素で消化され、そして職員を同定するための固有なバ
ンドを生じるためのサザンブロットについてプローブされる。この方法は、「認
識票(Dog tag)」(これは、失われたり、交換されたり、または盗まれ
たりすることにより、ポジティブな同定を困難にし得る)の現在の限界を受けな
い。本発明のポリヌクレオチドは、RFLPのためのさらなるDNAマーカーと
して使用され得る。
【0160】 本発明のポリヌクレオチドはまた、個体のゲノムの選択された部分の実際の塩
基ごとのDNA配列を決定することによって、RFLPのための代替として使用
され得る。これらの配列は、このような選択されたDNA(これは、次いで配列
決定され得る)を増幅しそして単離するためのPCRプライマーを調製するため
に使用され得る。各々の個体が独特のセットのDNA配列を有するので、この技
術を使用して、個体が同定され得る。一旦、独特のIDデータベースが個体につ
いて確立されると、個体が生存していようとまたは死亡していようと、その個体
のポジティブ同定が、極めて小さな組織サンプルから行われ得る。
【0161】 法医学生物学もまた、本明細書に開示されるようなDNAに基づく同定技術を
使用して利益を得る。組織(例えば、髪または皮膚)、または体液(例えば、血
液、唾液、精液など)のような非常にわずかな生物学的サンプルから得られたD
NA配列は、PCRを使用して増幅され得る。ある先行技術において、DQaク
ラスII HLA遺伝子のような多型性遺伝子座から増幅された遺伝子配列は、
個体を同定するための法医学生物学において使用される。(Erlich, H
., PCR Technology, Freeman and Co. (
1992))。一旦、これらの特異的多型性遺伝子座が増幅されると、これらは
1つ以上の制限酵素で消化される。これは、DQaクラスII HLA遺伝子に
対応するDNAでプローブされたサザンブロットについてのバンドのセットの同
定を生じる。同様に、本発明のポリヌクレオチドは、法医学的目的のための多型
性マーカーとして使用され得る。
【0162】 また、特定の組織の供給源を同定し得る試薬についての必要性が存在する。例
えば、未知の起源の組織が提供される場合、法医学においてこのような必要性が
生じる。適切な試薬は、例えば、本発明の配列から調製される特定の組織に特異
的なDNAプローブまたはプライマーを含み得る。このような試薬のパネルは、
種および/または器官型によって組織を同定し得る。同様の様式で、これらの試
薬は、夾雑物について組織培養物をスクリーニングするために使用され得る。
【0163】 少なくとも、本発明のポリヌクレオチドは、サザンゲルでの分子量マーカーと
して、特定の細胞型における特定のmRNAの存在に関する検出プローブおよび
診断用プローブとして、新規なポリヌクレオチドを発見するプロセスでの公知の
配列を「差し引き」するためのプローブとして、「遺伝子チップ」または他の支
持体に付着させるためのオリゴマーを選択および作製するため、DNA免疫技術
を用いて抗DNA抗体を惹起させるため、および免疫応答を誘発する抗原として
、使用され得る。
【0164】 (ポリペプチドの使用) 本明細書中に同定される各ポリペプチドは、多くの方法に使用され得る。以下
の説明は、例示としてみなされるべきであり、そして公知の技術を使用する。
【0165】 本発明のポリペプチドは、抗体に基づいた技術を使用して生物学的サンプル中
のタンパク質レベルをアッセイするために使用され得る。例えば、組織における
タンパク質発現は、古典的な免疫組織学的方法を用いて研究され得る(Jalk
anenら、J.Cell.Biol.101:976−985(1985);
Jalkanenら、J.Cell.Biol.105:3087−3096(
1987))。タンパク質遺伝子発現を検出するのに有用である、抗体に基づい
た他の方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノ
アッセイ(RIA)のような免疫アッセイが含まれる。適切な抗体アッセイの標
識は、当該分野で公知であり、そして例えば、グルコースオキシダーゼのような
酵素標識、ならびにヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(3
5S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム
(99mTc)のような放射性同位体、ならびにフルオレセインおよびローダミ
ンのような蛍光標識、ならびにビオチンが挙げられる。
【0166】 生物学的サンプル中の分泌タンパク質レベルをアッセイすることに加えて、タ
ンパク質はまた、画像化によりインビボで検出され得る。タンパク質をインビボ
で画像化するための抗体の標識またはマーカーとしては、X線ラジオグラフィー
、NMRまたはESRにより検出可能なものが挙げられる。X線ラジオグラフィ
ーについては、適切な標識は、検出可能な放射線を発するが、被験体に対して明
白に有害ではないバリウムまたはセシウムのような放射性同位体を含む。NMR
およびESRに適切なマーカーには、例えば重水素のような検出可能な特徴的な
スピンを有するものが含まれ、これは、関連したハイブリドーマのための栄養素
を標識することにより抗体に取り込まれ得る。
【0167】 放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc)、放射線不透過
性物質、または核磁気共鳴により検出可能な物質のような適切な検出可能な画像
化部分で標識された、タンパク質特異的抗体または抗体フラグメントは、哺乳動
物に(例えば、非経口的、皮下、または腹腔内に)導入される。被験体のサイズ
および用いられる画像化システムは、診断画像を生成するために必要な画像化部
分の量を決定することが当該分野で理解される。放射性同位体部分の場合には、
ヒト被験体について、注射される放射能の量は、通常、99mTcの約5〜20
ミリキュリーの範囲である。次いで、標識された抗体または抗体フラグメントは
、特定のタンパク質を含む細胞の位置に優先的に蓄積される。インビボ腫瘍画像
化は、S.W.Burchielら、「Immunopharmacokine
tics of Radiolabeled Antibodies and
Their Fragments」(Tumor Imaging:The R
adiochemical Detection of Cancerの第13
章、S.W.BurchielおよびB.A.Rhodes編、Masson
Publishing Inc.(1982)に記載される。
【0168】 従って、本発明は、障害の検出方法または診断方法を提供し、この方法は、(
a)個体の細胞または体液中の本発明のポリペプチドの発現をアッセイする工程
;(b)この遺伝子発現レベルを標準の遺伝子発現レベルと比較する工程を包含
し、これによって、標準的な発現レベルと比較して、アッセイされたポリペプチ
ドの遺伝子発現レベルの増加または減少が、細胞型、細胞状態、または障害につ
いてのマーカーの指標になる。
【0169】 さらに、本発明のポリペプチドを用いて疾患を処置し得る。例えば、患者は、
ポリペプチド(例えば、インスリン)の非存在またはレベルの減少を元に戻すこ
と、異なるポリペプチド(例えば、ヘモグロビンBに対するヘモグロビンS)の
非存在またはレベルの減少を補充すること、ポリペプチド(例えば、ガン遺伝子
)の活性を阻害すること、ポリペプチドの活性を(例えば、レセプターに結合す
ることによって)活性化すること、遊離リガンド(例えば、炎症を低減させる際
に用いられる可溶性TNFレセプター)を吸着することにより膜結合レセプター
の活性を減少させること、または所望の応答(例えば、血管の増殖)をもたらす
ことに取り組む際に、本発明のポリペプチドが投与され得る。
【0170】 同様に、本発明のポリペプチドに対する抗体もまた使用されて疾患を処置し得
る。例えば、本発明のポリペプチドに対する抗体の投与によって、ポリペプチド
に結合して、そしてポリペプチドのレベルを低減し得る。同様に、抗体の投与に
よって、例えば、膜に結合したポリペプチド(レセプター)へ結合することによ
り、ポリペプチドを活性化し得る。
【0171】 少なくとも本発明のポリペプチドは、当業者に周知の方法を用いるSDS−P
AGEゲルまたは分子ふるいゲル濾過カラムの分子量マーカーとして使用され得
る。ポリペプチドを用いてもまた、抗体を惹起し得、次いで、この抗体を使用し
て、宿主細胞の形質転換を評価する方法として、組換え細胞からのタンパク質発
現を測定する。さらに、本発明のポリペプチドを使用して、以下の生物学的活性
を試験し得る。
【0172】 (変形性関節症、軟骨(cartilege)欠損、および組織修復の処置) 本発明の方法および組成物は、軟骨の修復、形成または維持を必要とする患者
または部位へのBMPの投与を含み得る。連続投与のために、活性な薬剤は、カ
プセル化され得るか、さもなければこの薬剤の徐放(slow release
)を提供するキャリアとの接触を維持され得る。
【0173】 本発明の組成物は、BMPに加えて、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、上皮増
殖因子(EGF)、トランスホーミング増殖因子α、アクチビン、インヒビン、
血小板誘導増殖因子(PDGF)、繊維芽細胞増殖因子−1〜17(好ましくは
、FGFは、bFGFおよびFGF−4)、および繊維芽細胞成長因子−4(F
GF−4)、副甲状腺ホルモン(PTH)、白血病抑制因子(LIF/HILD
A/DIA)、およびインシュリン様成長因子(IGF−IおよびIGF−II
)のような成長因子を含む他の治療上有効な薬剤を含み得る。これらの薬剤の一
部はまた、本発明の組成物に用いられ得る。この組成物はまた、例えば、組成物
を支持するため、および軟骨または他の結合組織の成長のための表面を提供する
ために適切なマトリクスを含み得る。このマトリクスは、タンパク質の徐放およ
び/またはその提示のために適切な環境を提供し得る。
【0174】 本発明の方法および組成物は、軟骨組織、骨、または他の組織が、通常形成さ
れず、そして軟骨の治癒(例えば、ヒトおよび他の動物における関節軟骨の断裂
、変形、および他の軟骨欠損)における適用を有する環境においてこのような組
織形成を誘導し得るタンパク質を用いる。タンパク質を含む軟骨組織を用いるこ
のような方法および組成物は、軟骨組織への損傷を予防することにおいて予防的
使用、ならびに骨または他の組織への軟骨の改善された固定、および軟骨組織に
対する修復欠損における使用を有し得る。本発明の組成物によって誘導される新
たな軟骨組織の形成は、先天的軟骨欠損、外傷誘導軟骨欠損、または他の起源の
他の軟骨欠損の修復に寄与し、そしてまた、軟骨の付着または修復のための手術
において有用である。本発明の方法および組成物はまた、関節炎および他の軟骨
欠損の処置に有用であり得る。本発明の方法および組成物はまた、他の徴候に用
いられ得、ここで、軟骨組織および骨組織を再生するか治癒することが望ましい
。このような徴候は、関節軟骨に対する障害の再生または修復を、制限なく含む
。本発明の方法および組成物は、軟骨形成細胞を誘引するためか、軟骨形成細胞
の増殖を刺激するためか、または軟骨形成細胞の前駆体および軟骨細胞の分化を
誘導するための環境を提供し得る。
【0175】 本発明の方法および組成物はまた、軟骨細胞または他の細胞型への細胞の増殖
、生存、および/または分化を増強または富化するために、細胞集団(例えば、
胚細胞または幹細胞集団)を処理するために有用であり得る。別の実施態様にお
いて、本発明の組成物および方法は、軟骨細胞の表現型および細胞の生存を維持
する目的で、軟骨細胞株(例えば、関節軟骨細胞)を処理するために用いられ得
る。これらの処理される細胞集団は、遺伝子治療の適用のために有用であり得る
。(下記を参照のこと)。
【0176】 本発明の方法において有用なタンパク質は、軟骨細胞および/または軟骨組織
もしくは骨組織の形成、維持、生存を誘導するために有用である。これらのタン
パク質は、同様に他の型の組織(例えば、腱および靭帯)の形成を誘導する能力
を有し得ることが意図される。本明細書中で提供される軟骨組織を誘導する方法
および組成物はまた、天然に存在するBMPの配列に類似する配列によってコー
ドされる因子を含み得る。ここで、修飾は、天然で提供される(例えば、ポリペ
プチドにおいてアミノ酸変化を生じ得るヌクレオチド配列中の対立遺伝子変化)
か、または故意に操作される。例えば、合成ポリペプチドは、BMPのアミノ酸
残基の連続的な配列を完全にまたは部分的に複製され得る。天然に存在するBM
Pの軟骨組織成長因子ポリペプチドについての一次構造、二次構造、または三次
構造の特性、および立体配座の特性を共有することによって、これらの配列は、
軟骨、骨、または他の組織増殖因子のそれらと共通の生物学的特性を所有し得る
。従って、これらは、治療方法および治療用組成物においてポリペプチドを誘導
する天然に存在する軟骨組織の生物学的に活性な代用物として用いられ得る。
【0177】 この治療方法は、組成物を注射液および/またはインプラントもしくはデバイ
スとして、局所的(topically)に、全身性に、または局所的(loc
ally)に投与することを含む。投与される場合、本発明における使用のため
の治療用組成物は、当然、発熱物質のない、生理学的に受容可能な形態である。
さらに、この組成物は、組織損傷の部位に送達するために粘稠性形態で、望まし
くはカプセル化または注射され得る。局所投与は、創傷治癒および組織修復に適
切であり得る。必要に応じて、上記のような組成物において含まれ得るタンパク
質以外の治療上有用な薬剤は、本発明の方法において組成物と同時かまたは経時
的に、代替的にもしくは付加的に投与され得る。さらに、本発明の組成物は、軟
骨損傷および骨損傷について現在利用可能な処置(例えば、縫合糸(例えば、ビ
クリル縫合糸(vicryl suture)または外科用腸縫合糸(surg
ical gut suture)、Ethicon Inc.,Somerv
ille,N.J.)あるいは軟骨または骨の同種移植片もしくは自家移植片)
と共に用いられて、縫合糸または移植片の治癒の可能性を増強もしくは促進し得
る。例えば、この縫合糸、同種移植片、または自家移植片は、移植の前に本発明
の組成物に浸され得る。それはまた、縫合糸の材料上に本発明のタンパク質また
は組成物を取込む(例えば、凍結乾燥によって)ことが可能であり得る。
【0178】 本発明の組成物は、キャリアとして適切なマトリクスおよび/または封鎖剤(
sequestering agent)を含み得る。例えば、このマトリクス
は、組成物を支持し得るか、あるいは軟骨もしくは骨の組織形成および/または
他の組織の形成のための表面を提供し得る。このマトリクスは、タンパク質の徐
放および/またはそれらの提示ために適切な環境を提供し得る。封鎖剤は、注射
または他の手段を通じた容易な投与を援助する物質であり得るか、あるいは適切
な部位からのタンパク質の移動を遅くし得る。
【0179】 徐放性キャリアの例としては、坐剤またはカプセルのような成形品の形態の半
透性ポリマーマトリクスが挙げられる。インプラント可能マトリクスまたはマイ
クロカプセル徐放性マトリクスとしては、ポリラクチド(米国特許第3,773
,919号、EP58,481)、L−グルタミン酸およびエチル−L−グルタ
メートのコポリマー(Sidmanら、Biopolymers 22:547
−556(1985));、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)また
はエチレンビニルアセテート(Langerら、J.Biomed.Mater
.Res.15:167−277(1981);Langer,Chem.Te
ch.12:98−105(1982))(上記の参考文献は、それらの全てが
本明細書中で参考として援用される)が挙げられる。キャリア材料の選択は、生
体適合性、生分解性、機械的性質、見かけ上の外観(cosmetic app
earance)および界面特性に基づく。この組成物の特定の適用により、適
切な処方が規定される。この組成物について潜在的なマトリクスは、生分解性で
あり得、そして化学的に規定され得る。さらなるマトリクスは、純粋なタンパク
質または細胞外マトリクス成分から構成される。他の潜在的なマトリクスは、非
生分解性であり、そして化学的に規定される。好ましいマトリクスとしては、コ
ラーゲンに基づく材料(海綿質を含む、例えば、Helistat’(Inte
gra,LifeSciences,Plainsboro,N.J.))、ま
たは注射可能な形態のコラーゲン、ならびに封鎖剤が挙げられる。これらは、生
分解性(例えば、ヒアルロン酸誘導体化)であり得る。生分解性材料(例えば、
セルロースフィルム、または外科用メッシュもまた、マトリクスの役割をする。
このような材料は、損傷部位中に縫合され得るか、または軟骨に包み込まれ得る
【0180】 キャリアの別の好ましい分類は、ポリ乳酸のポリマー、ポリグリコール酸のポ
リマー、ならびに乳酸およびポリグリコール酸のコポリマーを含む、ポリマーマ
トリクスである。これらのマトリクスは、海綿の形態、または多孔性粒子の形態
であり得、そしてまた、封鎖剤を含み得る。適切なポリマーマトリクスは、例え
ば、WO 93/00050に記載される(この開示は、本明細書中で参考とし
て援用される)。粒子または多孔性材料から構成される生体適合性マトリクスを
含む形態形成デバイスについて、これらの細孔は、前駆体細胞移動、次いで分化
および増殖を可能にする寸法が好ましい。当該分野で公知の種々のマトリクスが
用いられ得る(例えば、米国特許第4.975,526号、同第5,162,1
14号;同第5,171,574号およびWO 91/18558(これらは、
本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0181】 粒子サイズは、70μm〜850μm、好ましくは、70μm〜420μm、
より好ましくは、150μm〜420μmの範囲内にすべきである。このマトリ
クスは、粒子状材料を、処理されるべき特定の組織欠損を橋かけする形状へと密
に充填することによって作製され得る。あるいは、生体適合性、および好ましく
は、インビボで生分解性である材料は、一時的な足場、および移動性の前駆体細
胞の漸増のための基層として、ならびにこれらの引き続く固定化(anchor
ing)そして増殖のための基部としての役割をするために構造化され得る。
【0182】 有用なマトリクス材料は、例えばコラーゲン;グリコール酸、乳酸、および酪
酸のホモポリマーまたはコポリマー(それらの誘導体を含む);ならびにセラミ
ック(例えば、ヒドロキシアパタイト、リン酸トリカルシウムおよびリン酸カル
シウム)を含む。これらまたは他の適切なマトリクス材料の種々の組み合わせは
また、本明細書中に示すアッセイによって決定されるように有用であり得る。
【0183】 封鎖剤の好ましいファミリーは、血液、フィブリン血餅および/またはセルロ
ース材料(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロ
ース、およびカルボキシメチルセルロース(最も好ましくは、カルボキシメチル
セルロース(CMC)のカチオン性塩である)を含む、アルキルセルロース(ヒ
ドロキシアルキルセルロースを含む)を含む。他の好ましい封鎖剤としては、ヒ
アルロン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリエチルグリコール、ポリエチレンオキ
シド、カルボキシビニルポリマーおよびポリビニルアルコールが挙げられる。本
明細書中で有用な封鎖剤の量は、総処方物重量に基づいて、0.5〜20重量%
、好ましくは1〜10重量%である。これらは、ポリマーマトリクスからタンパ
ク質の分散を防ぐために、および組成物の適切な取り扱いを提供するために必要
な量を示す。さらに前駆体細胞は、マトリクスを浸潤することを妨げられるので
はなく、それによってタンパク質に前駆体細胞の活性を補助する機会を提供する
【0184】 現在好ましいキャリアとしては、粒子状の、脱塩し、グアニジン抽出した種特
異的(同種)骨、および特定の処理をした粒子状の、タンパク質抽出し、脱塩し
た異種骨が挙げられる。必要に応じて、このような異種骨粉マトリクスはまた、
トリプシンのようなプロテアーゼで処理され得る。好ましくは、異種マトリクス
は、1以上の原繊維変性剤で処理して、粒子内侵入量(空隙率)および表面積を
増加させる。有用な変性剤としては、ジクロロメタン、トリクロロ酢酸、アセト
ニトリルおよび酸(例えば、トリフルオロ酢酸およびフッ化水素)のような溶媒
が挙げられる。本発明のマトリクスの処方に有用な現在好ましい原繊維変性剤は
、加熱した水性培地、好ましくは約pH4.5未満のpHを有する、最も好まし
くは約pH2−pH4の範囲内のpHを有する酸性水性培地である。現在好まし
い加熱した酸性水性培地は、約3のpHを有する0.1%酢酸である。脱塩し、
脱脂し、グアニジン抽出した骨コラーゲンを上昇した温度(例えば、約37℃〜
65℃の範囲で、好ましくは約45℃〜60℃の範囲で)で水性培地中で約1時
間加熱することは、一般に、所望の表面形態に達するのに十分である。メカニズ
ムは明らかではないが、熱処理は、コラーゲン原繊維を変化させて、粒子表面積
の増加を生じることが推測される。
【0185】 脱塩し、グアニジン抽出した異種ウシ骨は、標準的な生体分子精製技術を用い
てさらに分画され得るさらなる物質の混合物を含む。例えば、抽出成分のクロマ
トグラフィー分離に次いで、クロマトグラムのピークに対応する種々の抽出画分
の、活性マトリクスへ添加し戻すことは、骨誘導活性または組織誘導活性のイン
ヒビターを取り除いて分画することによって、マトリクス特性を改良するために
用いられ得る。
【0186】 このマトリクスはまた、残余の重金属を実質的に枯渇され得る。本明細書中に
開示されるように処置すると、マトリクス中の個々の重金属濃度は、約1ppm
未満に低下され得る。
【0187】 現在好ましいキャリア材料は、本明細書中に記載されるように処理された異種
骨誘導粒子マトリクスである。このキャリアは、生分解性合成マトリクスまたは
合成無機マトリクス(例えば、ヒドロキシアパタイト(HAP)、コラーゲン、
カルボキシメチルセルロース、リン酸トリカルシウムまたはポリ乳酸、ポリグリ
コール酸、ポリ酪酸、およびこれらの種々のコポリマー)のいずれかによって置
換され得る。
【0188】 マトリクス形状、粒子サイズ、表面電荷の存在、ならびに粒子内および粒子間
隙率の両方の程度は、首尾良いマトリクス性能のために全て重要である。研究は
、表面電荷、粒子サイズ、無機物質の存在、ならびにマトリクスおよび形態形成
タンパク質の組み合わせに関する方法論が、全て、首尾良い組織誘導を達成する
ことにおいて役割を果たすことを示している。
【0189】 BMPのための首尾良いキャリアは、いくつかの重要な機能を果たす。BMP
の徐放送達系として作用し、BMPを非特異的タンパク質分解から保護し、そし
て組織発達の間の前駆体細胞の誘導に関与する細胞応答の各工程に適応する。
【0190】 さらに、選択された材料は、インビボにおいて生体適合性、好ましくは生分解
性でなければならず;キャリアは、好ましくは、新しい骨または組織によって完
全に置換されるまで一過性の足場として作用する。ポリ乳酸(PLA)、ポリグ
リコール酸(PGA)および種々の組合せは、インビボにて種々の溶解速度を有
する。骨において、この溶解速度は、移植片が皮質骨に置かれるか海綿質に置か
れるかによって変化し得る。
【0191】 好ましい骨原性デバイスマトリクス材料(本明細書中に開示されるように外因
性骨から調製され、そして処理される)は、種々の臨床的な状況において有用な
移植可能材料を生じる。種々の整形外科手順、歯周手順および再構築手順におけ
る骨形成のためのマトリクスとしての使用に加えて、このマトリクスはまた、徐
放性キャリアとして、または整形外科もしくは一般的なプロテーゼ移植片のため
の膠原性コーティングとして使用され得る。
【0192】 マトリクスは、手術を見越して所望されるように形作られ得るか、または手術
中に医師または技師によって形作られ得る。組織の欠陥に及び、そして新しい組
織の所望の形態を取るようにマトリクスを形作ることが好ましい。例えば、非癒
合欠陥の骨修復の場合において、非癒合に及ぶ大きさを使用することが望ましい
。ラット研究によって、移植されたデバイスの大きさを本質的に有する新しい骨
が形成されることが示される。従って、材料は、局所移植、皮下移植、腹腔内移
植または筋肉内移植のために使用され得る。骨形成手順において、材料は身体に
よってゆっくりと吸収され、そして移植片の形状または移植片の形状に非常に近
い形状の骨に置換される。
【0193】 マトリクスは、ゆるやかな粘着性(loosely−adhered)の特定
の材料(例えば、コラーゲン)から作製される形状保持固体を含み得る。マトリ
クスはまた、成形された多孔性固体、または単に、周囲の組織によって適切な位
置に保持された密接に充填された粒子の凝集を含み得る。粉砕された(mast
icated)筋肉または他の組織もまた使用され得る。それらの骨髄腔が空に
され、そして分散型BMPを含む粒子を充填される場合に、大きな同種異系骨移
植片がマトリクスのためのキャリアとして作用し得る。マトリクスはまた、ペー
ストまたはヒドロゲルの形態を取り得る。
【0194】 キャリア材料がヒドロゲルマトリクスを含む場合、そのキャリア材料は、水か
ら実質的に構成されるゲル(好ましくは、水分が90%よりも多いゲルであるが
、これに限定されない)の形態の架橋された親水性ポリマーの三次元網をいう。
ヒドロゲルマトリクスは、正味正電荷もしくは正味負電荷を有し得るか、または
中性であり得る。代表的な正味負荷電マトリクスはアルギネートである。正味正
電荷を有するヒドロゲルは、細胞外マトリクス成分(例えば、コラーゲンおよび
ラミニン)によって代表され得る。市販の細胞外マトリクス成分の例には、Ma
trigelTMおよびVitrogenTMが挙げられる。正味中性ヒドロゲルの
例は、高度に架橋されたポリエチレンオキシド、またはポリビニルアルコールで
ある。
【0195】 種々の増殖因子、サイトカイン、ホルモン、栄養剤および治療用組成物(抗生
物質および化学療法剤を含む)、酵素、酵素インヒビターならびに他の生物活性
剤もまた、BMPを含むキャリア材料上に吸着され得るか、またはその中に分散
され得、そしてそれらはまた、マトリクス材料がゆっくりと吸収されるにつれて
、移植部位にて経時的に放出される。
【0196】 上記の天然に由来する骨マトリクスに加えて、有用なマトリクスはまた、適切
に改変された試薬をともに加えることによって合成処方され得る。そのようなマ
トリクスの1つの例は、WO91/18558(その開示は、本明細書によって
参考として援用される)において開示される、多孔性の生体適合性のインビボ生
分解性合成マトリクスである。
【0197】 要するに、マトリクスは、生体適合性、生分解性コラーゲン、最も好ましくは
組織特異的コラーゲン、および組織特異的細胞付着因子としての適切な組織特異
的グリコサミノグリカンの多孔性架橋構造ポリマーを含む。多くの供給源由来の
骨組織特異的コラーゲン(例えば、I型コラーゲン)は、これらの合成マトリク
スにおける使用に適切であり得、このコラーゲンには、可溶性コラーゲン、酸可
溶性コラーゲン、中性水溶液または塩基性水溶液中で可溶性のコラーゲン、なら
びに市販のコラーゲンが挙げられる。さらに、軟骨において見出されるようなI
I型コラーゲンもまた、I型コラーゲンと組み合わせて使用され得る。
【0198】 グリコサミノグリカン(GAG)すなわちムコ多糖は、グリコシル化によって
結合され、そしてヘキソウロン酸またはヘキソース部分のいずれかと多かれ少な
かれ規則的な様式で交互に現れるヘキソサミン(hexoamine)の残基か
ら構成されるポリサッカライドである。GAGは、動物起源であり、そして組織
特異的分布を有する(例えば、Dodgsonら、、Carbohydrate
Metabolism and its Disorders,Dicken
sら編、第1巻、Academic Press(1968)を参照のこと)。
GAGとの反応はまた、別の価値のある特性(すなわち、動物宿主から免疫応答
(異物反応)を惹起し得ないこと)を有するコラーゲンを提供する。
【0199】 有用なGAGには、以下のような硫酸基を含むGAGが挙げられる:ヒアルロ
ン酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン6−硫酸、コンドロイチン4−
硫酸、デルマタン硫酸、およびケラチン硫酸。骨原性デバイスについて、コンド
ロイチン6−硫酸が現在のところ好ましい。他のGAGもまた、本明細書中に記
載されるマトリクスを形成するために適切であり得、そして当業者は、慣用的実
験のみを使用して他の適切なGAGを知るか、または確認し得る。ムコ多糖のよ
り詳細な説明について、Aspinall,Polysaccharides,
Pergamon Press,Oxford(1970)を参照のこと。コラ
ーゲンは、酸性水溶液中、好ましくは希酢酸液中でGAGと反応され得る。GA
Gを、コラーゲン分散水溶液に滴下することによって、GAGでコートされたも
つれたコラーゲン原線維の共沈物が生じる。次いで、この線維のもつれた固まり
をホモジナイズして、細かな線維の均質な分散液を形成し得、次いでこれを濾過
し、そして乾燥する。
【0200】 コラーゲン−GAG産物の不溶性は、これらの材料を共有結合架橋することに
よって所望の程度にまで上昇され得、このことはまた、これらの材料の吸収に対
する耐性を上昇させるように作用する。一般に、コラーゲンの架橋に適切な任意
の共有結合的G60架橋方法もまた、これらの混合材料の架橋に適切であるが、
デヒドロサーマルプロセス(dehydrothermal process)
による架橋が好ましい。
【0201】 乾燥している場合、架橋された粒子は、本質的に、約500μmの直径を有す
る球状である。走査電子顕微鏡は、表面上に約20μmおよび内側に40μmの
孔を示す。内側は、繊維様構造およびシート様構造の両方から構成され、細胞付
着のための表面を提供する。間隙は、相互に連結し、そして粒子の内側を通づる
細胞への通路を提供する。この材料は、ほぼ99.59%の間隙容量であるよう
であり、このことは、この材料を、1グラムのマイクロキャリアあたり増殖され
得る可能な細胞塊の点から非常に効率的にする。
【0202】 別の有用な合成マトリクスは、生体適合性のインビボ生分解性合成ポリマーか
ら処方されるマトリクスであり、このポリマーは、例えば、グリコール酸、乳酸
および/または酪酸から構成されるポリマー(そのコポリマーおよび誘導体を含
む)である。これらのポリマーは、当該分野において十分に記載されており、そ
して市販されている。例えば、ポリ乳酸から構成されるポリマー(例えば、MW
100kDa)、80%ポリラクチド/20%グリコシドまたはポリ3−ヒド
ロキシ酪酸(例えば、MW 30kDa)すべては、PolySciences
,Inc.から購入され得る。ポリマー組成物は、一般に特定の形態で得られ、
そして形態形成デバイスは、好ましくは非水性条件下で(例えば、エタノール−
トリフルオロ酢酸溶液、EtOH/TFA下で)組み立てられ、ポリマーの加水
分解を回避する。さらに、特定のポリマー組成物の形態は、例えば、当該分野に
おいて公知の多くの特定の溶媒処理のいずれかを用いて多孔度を増加するように
変化させられ得る。
【0203】 本発明の別の実施態様において、BMPを含む移植可能なプロテーゼデバイス
が提供される。当業者による特定の処置のために選択される任意のプロテーゼ移
植片が、本発明による少なくとも1つのBMPを含む組成物と組み合わせて使用
され得る。プロテーゼは、金属またはセラミックを含む材料から作製され得る。
好ましいプロテーゼデバイスは、脊椎固定(spine fusion)につい
て、腰(hip)デバイス、ねじ、ロッド、およびチタンケージからなる群から
選択される。
【0204】 BMP組成物は、哺乳動物における標的組織に隣接して移植可能な表面領域上
のプロテーゼ移植片に沈着される。好ましくは、哺乳動物は、ヒト患者である。
この組成物は、移植片の表面上に、その表面への組織増殖の増強を促進するに十
分な量で沈着される。組織増殖の増強を促進するに十分な組成物の量は、本明細
書中およびRuegerら、米国特許第5,344,654号(これは、本明細
書中に参考として援用される)に記載されるようなバイオアッセイを用いて当業
者によって経験的に決定され得る。好ましくは、類似のプロテーゼデバイスをヒ
ト患者に使用する前に、組成物成分の濃度を至適化するために、動物研究が行わ
れる。そのようなプロテーゼデバイスは、処置される哺乳動物における整形外科
的欠陥、障害または異常を修復するために有用である。
【0205】 従って、本発明はまた、移植可能なプロテーゼデバイスの哺乳動物の標的組織
へのインビボ組込みを促進するための方法であって、少なくとも1つのBMPを
含む組成物をそのプロテーゼデバイスの表面上に提供する工程、および哺乳動物
において、その標的組織とそのデバイスとの間で組織成長の増強を可能にするに
十分な時間、標的組織とプロテーゼデバイスの表面とが少なくとも部分的に接触
した状態に維持される位置にそのデバイスを移植する工程を含む方法を提供する
【0206】 本願の応用の実施において有用なさらなる任意の成分には、例えば以下が挙げ
られる:マンニトール、スクロース、ラクトース、グルコースまたはグリシンの
ような凍結保護剤(凍結乾燥の間の分解からタンパク質を保護する)、メチルお
よびプロピルパラベンならびにベンジルアルコールのような抗菌性防腐剤;ED
TA、クエン酸塩およびBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)のような抗酸化
剤;ならびにポリ(ソルベート)およびポリ(オキシエチレン)のような界面活
性剤など。
【0207】 上記のように、本発明の組成物は、多くの軟骨および骨欠陥を処置(例えば、
軟骨および骨損傷の領域における軟骨組織または骨組織の再生)し、軟骨組織の
断裂および種々の他の型の組織欠陥または創傷の修復を補助する方法において使
用され得る。本発明によるこれらの方法は、そのような軟骨組織、骨組織または
他の組織の修復を必要とする患者に、有効量のBMPを、単独またはさらなる治
療剤と組み合わせて含む組成物を投与することを含む。
【0208】 本発明のさらなる局面は、軟骨細胞または軟骨組織を誘導または維持するため
、軟骨組織および骨を修復するため、軟骨および骨を修復するため、そして関節
炎、ならびに関節炎、軟骨および骨欠陥に関連する他の状態を処置するための治
療方法および組成物である。そのような組成物は、治療的に有効な量の本発明の
1つ以上のBMPを、薬学的に受容可能なビヒクル、キャリアまたはマトリクス
と組み合わせて含む。
【0209】 従って、本明細書中に開示されるBMPを含む形態形成組成物およびデバイス
は、医師が、種々の組織傷害、局在化され刺激された組織再生または修復によっ
て改善または治療され得る組織変性または疾患状態および障害を処置するのを可
能にする。
【0210】 本発明の形態形成デバイスを用いて、哺乳動物における前駆細胞からの局所的
組織形成を誘導し得、これは、そのデバイスを、その哺乳動物の少なくとも1つ
の前駆細胞に接近可能な位置に移植することによる。本発明の形態形成デバイス
は、単独、または組織修復および再生のための他の治療剤と組み合わせて使用さ
れ得る。
【0211】 骨原性であることが既知の特定のBMPはまた、ニューロン細胞分化を誘導し
得る。BMP−2またはOP−1(BMP−7)で処理されたマウス胚細胞は、
アストロサイト様(グリア)細胞に分化し、そしてBMP−2を使用する末梢神
経再生が近年に報告されている(Wangら、WO95/05846)。さらに
、BMP−4、BMP−5およびOP−1(BMP−7)は、神経板に隣接する
表皮性外胚葉(epidermal ectoderm)において発現される。
異所性組換えBMP−4およびOP−1(BMP−7)タンパク質は、神経板細
胞が背面神経細胞発生運命(fate)分化を開始するのを誘導し得る(Lie
mら、Cell、82:969〜79(1995))。脊髄レベルでは、OP−
1および他のBMP(これは、本発明のBMP含むべきである)は、神経堤細胞
分化を誘導し得る。OP−1およびこれらのBMPが、局在化した位置の手がか
りに依存して、多くまたはすべての背面神経細胞型(上衣板細胞、神経堤細胞お
よび交連ニューロンを含む)を誘導し得ることが示唆される。従って、さらに、
本発明の形態形成デバイスはまた、軟骨および軟組織の修復における使用につい
て関節中もしくはその周囲に、または神経の再生および修復における使用につい
て神経系関連組織中もしくはその周囲に移植され得る。
【0212】 特定の形態形成タンパク質または他の生物学的因子との形態形成タンパク質の
組合せの組織特異性は、そのような処置を受けやすい細胞型または組織を決定し
、そして当業者によって選択され得る。従って、本発明によるBMPを同時投与
することによって他の形態形成タンパク質誘導組織再生を増強する能力は、いず
れの特定の細胞型または組織にも限定されないと考えられる。本明細書中に開示
される本発明は、新しい形態形成タンパク質の活性を増強するために、および将
来に発見されるような新しい組織誘導性機能を増強するために実施され得ること
が考察される。
【0213】 BMPを含むBMP組成物およびデバイスは、医師が、予測可能な骨形成およ
び/または軟骨形成を得るのを可能にする。本発明のBMP組成物およびデバイ
スは、骨原性デバイスの先行技術において記載された傷害、異常および障害のす
べてをより効率的および/または効果的に処置するために使用され得る。これら
には、例えば、骨折、非癒合骨折、融合(fusion)および骨性間隙におい
て局所的骨を形成すること(腫瘍切除において作製されるようなもの、または嚢
腫から生じるもの);後天性および先天性の頭蓋顔面および他の骨格の異常また
は歯の異常(例えば、Glowackiら、Lancet、1:959−63(
1981)を参照のこと)を処置すること;失われた骨の置換または骨の増強が
必要とされる場合(例えば、顎骨において)に歯の再構築および歯周再構築を実
施すること;ならびに歯周疾患から生じる歯槽骨損失を補充し、歯損失を遅延ま
たは予防すること(例えば、Sigurdssonら、J.Periodont
ol.、66:511〜21(1995)を参照のこと)を含む。
【0214】 同種異系骨およびBMPを含むマトリクスを含む本発明の骨原性デバイスもま
た、哺乳動物における同種移植片修復および取り込みを加速するために、骨置換
の必要な部位に移植され得る。
【0215】 本発明の改善された骨原性デバイスの別の可能性のある臨床的応用は、例えば
関節傷害の後の軟骨修復において、または変形性関節症においてである。BMP
を同時投与することによって他の形態形成タンパク質の軟骨誘導活性を増強する
能力は、同じまたはより低いレベルの形態形成タンパク質を使用して、より速い
またはより大規模な組織の修復および置換を可能にし得る。
【0216】 本発明のBMP組成物およびデバイスは、軟骨、骨および他の組織の特定の先
天性疾患および発達異常を処置する際に有用である。例えば、ホモ接合性OP−
1(BMP−7)欠損マウスは、誕生後24時間以内に、腎不全に起因して致死
する(Luoら、J.Bone.Min.Res.10(補遺1):S163(
1995))。これらのマウスにおける腎不全は、間葉組織凝縮(conden
sation)の欠失に起因して腎臓糸球体を形成し得ないことと関連する。O
P−1欠損マウスはまた、それらの、後肢、胸郭および頭蓋と関連する種々の骨
格異常を有し、多指であり、そして異常な網膜発達を示す。これらの結果は、背
側神経細胞発生運命への分化を誘導するOP−1の能力に関する先に議論された
結果と組み合わせて、OP−1が、発生中に間葉上皮相互作用において重要な役
割を果たすことを示す。本発明の組成物、デバイスおよび方法は、これらの発生
異常および他の発生異常を改善するために将来に有用であり得ることが理解され
る。
【0217】 骨の発生異常は、骨格または特定の支持組織型もしくは結合組織型の隔離され
たまたは複数の領域に影響を及ぼし得る。これらの異常は、頻繁に、複雑な骨移
植手順および整形外科用デバイスを必要とする。そのような手順の後に必要とさ
れる組織の修復および再生は、本発明のBMPの使用で、または本発明のBMP
と組み合わせて使用される他の形態形成タンパク質の使用で、より迅速かつ完全
に生じ得る。
【0218】 本発明の形態形成組成物およびデバイスの使用が有用である遺伝性状態(先天
性骨疾患を含む)の例には、骨形成不全、HurlerおよびMarfan症候
群、ならびに低ホスファターゼ血症において提示されるような骨端および骨幹端
増殖中心のいくつかの障害、アルカリホスファターゼ酵素活性における欠損が挙
げられる。
【0219】 炎症性関節疾患もまた、本発明の改善されたBMP組成物およびデバイスから
利益を受け得る。これらには以下が挙げられるがそれらに限定されない:感染性
関節炎、非感染性関節炎、慢性関節リウマチおよび乾癬性関節炎、滑液包炎、潰
瘍性大腸炎、限局性腸炎、ホウィップル病および強直性脊椎炎(Marie S
trumpell病またはBechterew病とも呼ばれる);いわゆる「コ
ラーゲン病」(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、進行性全身性硬化
症(強皮症)、多発性筋炎(皮膚筋炎)、壊死性血管炎(necrotizin
g vasculitides)、Sjogren症候群(乾燥症候群)、リウ
マチ熱、アミロイドーシス、血栓性血小板減少性紫斑病および再発性多発性軟骨
炎。結合組織の遺伝性障害には、Marfan症候群、ホモシスチン尿症、Eh
lers−Danlos症候群、骨形成不全症、アルカプトン尿症、弾性線維性
仮性黄色腫、弛緩性皮膚、Hurler症候群および進行性骨化性筋炎が挙げら
れる。投与レジメンは、組成物の作用を改変する種々の因子(例えば、軟骨組織
損傷の部位で形成されることが望ましい軟骨組織の量、損傷を受けた軟骨組織の
状態、創傷のサイズ、損傷を受けた組織の型、患者の年齢、性別および常食、任
意の感染の重篤度、投与時間ならびに他の臨床的因子)を考慮して、担当医によ
って決定される。投与量は、再構成において使用されるマトリクスの型、および
組成物中のさらなるタンパク質の型で変化し得る。他の既知の増殖因子(例えば
、上記で議論される増殖因子)を最終組成物に添加することもまた、その投与量
に影響を及ぼし得る。
【0220】 進行は、軟骨細胞の生存、軟骨組織の形成、または軟骨組織の増殖および/ま
たは修復の周期的評価によって、モニターされ得る。進行は、当該分野において
公知の方法(例えば、X線、関節鏡検査、組織形態計測の測定、およびテトラサ
イクリン標識)によって、モニターされ得る。
【0221】 (遺伝子治療方法) 本発明の別の局面は、障害、疾患および状態を処置するための遺伝子治療方法
に関する。遺伝子治療において本発明のBMPを使用する、内皮細胞およびより
詳細には血管内皮細胞の増殖を促進するための方法、ならびにさらにより詳細に
は新脈管形成を刺激するための方法が、特に好ましい。この方法は、種々の疾患
状態(例えば、血栓症、動脈硬化症、および他の心臓血管状態)に起因する虚血
組織の脈管再生を刺激するための処置において使用され得る。これはまた、新脈
管形成および肢再生を刺激するために使用され得る。
【0222】 この方法はまた、傷害、熱傷、手術後組織修復、および潰瘍に起因する創傷を
処置するために使用され得る。なぜなら、これは、異なる起源の種々の細胞(例
えば、線維芽細胞、および骨格筋細胞)に対してマイトジェン性であり、従って
、損傷組織または疾患組織の修復または置換を促進する能力を有するからである
【0223】 この方法はまた、ニューロン増殖を刺激するため、および特定のニューロンの
障害または神経変性状態(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、および
エイズ関連複合体)で起こるニューロン損傷を処置および予防するために使用さ
れ得る。さらに、この方法は、軟骨細胞の増殖を刺激する能力を有し得、従って
、骨および歯周再生を増強するため、ならびに組織移植または骨移植において補
助するために使用され得る。
【0224】 遺伝子治療方法は、本発明のBMPポリペプチドの発現を達成するために動物
中に核酸(DNA、RNA、およびアンチセンスDNAまたはアンチセンスRN
A)配列を導入することに関する。この方法は、プロモーターおよび標的組織付
近でのポリペプチドの発現に必要とされる任意の他の遺伝因子に作動可能に連結
された、BMPポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを必要とする。この
ような遺伝子治療および送達技術は、当該分野において公知である。例えば、W
O90/11092(これは、本明細書中で参考として援用される)を参照のこ
と。
【0225】 従って、例えば、患者由来の細胞は、エキソビボでBMPポリヌクレオチドに
作動可能に連結されたプロモーターを含むポリヌクレオチド(DNAまたはRN
A)で操作され得、次いで、この操作された細胞が、このポリヌクレオチドで処
置されるべき患者に提供される。このような方法は、当該分野において周知であ
る。例えば、Belldegrunら、J.Natl.Cancer Inst
.85:207−216(1993);Ferrantiniら、Cancer
Research 53:107−1112(1993);Ferranti
niら、J.Immunology 153:4604−4615(1994)
;Kaido,T.ら、Int.J.Cancer 60:221−229(1
995);Ogura,H.ら、Cancer Research 50:51
02−5106(1990);Santodonato,L.ら、Human
Gene Therapy 7:1−10(1996);Santodonat
o,L.ら、Gene Therapy 4:1246−1255(1997)
;およびZhang,J.−F.ら、Cancer Gene Therapy
3:31−38(1996))(これらは、本明細書中で参考として援用され
る)を参照のこと。1つの実施態様において、操作される細胞は動脈細胞である
。動脈細胞は、動脈、動脈周辺の組織への直接注射によって、またはカテーテル
注入によって、患者に再導入され得る。
【0226】 以下により詳細に議論されるように、BMPポリヌクレオチド構築物は、動物
の細胞に注射可能物質を送達する任意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚
、肺、肝臓など)の間隙空間への注射)によって送達され得る。BMPポリヌク
レオチド構築物は、薬学的に受容可能な液体または水性キャリア中で送達され得
る。
【0227】 1つの実施態様において、BMPポリヌクレオチドは、裸のポリヌクレオチド
として送達される。用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAとは、
細胞内への進入を補助するか、促進するか、または容易にするように作用する任
意の送達ビヒクル(ウイルス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェ
クチン、または沈殿剤などを含む)を含まない配列をいう。しかし、BMPポリ
ヌクレオチドはまた、リポソーム処方物およびリポフェクチン処方物などの中で
送達され得、そして当業者に周知の方法によって調製され得る。このような方法
は、例えば、米国特許第5,593,972号、同第5,589,466号、お
よび同第5,580,859号(これらは、本明細書中で参考として援用される
)に記載される。
【0228】 遺伝子治療方法において使用されるBMPポリヌクレオチドベクター構築物は
、好ましくは、宿主ゲノム中に組込まれず、またそれらが複製を可能にする配列
を含むこともない構築物である。適切なベクターとしては、pWLNEO、pS
V2CAT、pOG44、pXT1およびpSG(Stratageneから入
手可能);pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL(Pharmac
iaから入手可能);ならびにpEF1/V5、pcDNA3.1およびpRc
/CMV2(Invitrogenから入手可能)が挙げられる。他の適切なベ
クターは、当業者に容易に明らかである。
【0229】 当業者に公知の任意の強力なプロモーターが、BMP DNAの発現を駆動す
るために使用され得る。適切なプロモーターとしては、以下が挙げられる:アデ
ノウイルスプロモーター(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター);ま
たは異種プロモーター(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター
);RSウイルス(RSV)プロモーター;誘導性プロモーター(例えば、MM
Tプロモーター、メタロチオネインプロモーター);熱ショックプロモーター;
アルブミンプロモーター;ApoAIプロモーター;ヒトグロビンプロモーター
;ウイルスチミジンキナーゼプロモーター(例えば、単純ヘルペスウイルスチミ
ジンキナーゼプロモーター);レトロウイルスLTR;b−アクチンプロモータ
ー;およびヒト成長ホルモンプロモーター。プロモーターはまた、BMPの天然
のプロモーターであり得る。
【0230】 他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸配列を標的細胞中に導入することの
1つの主要な利点は、細胞内でのポリヌクレオチド合成の一過的性質である。非
複製性DNA配列が細胞内に導入されて、6ヶ月までの期間、所望のポリペプチ
ドの産生を提供し得ることが、研究によって示されている。
【0231】 BMPポリヌクレオチド構築物は、動物内組織(筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、
脾臓、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃、腸
、精巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を含む)の間隙空
間に送達され得る。組織の間隙空間としては、器官組織の細網線維、管壁もしく
は室壁の弾性線維、線維組織のコラーゲン繊維の間の細胞間、体液、ムコ多糖類
マトリクス、または結合組織鞘性(ensheathing)筋肉細胞内もしく
は骨の間隙内の同じマトリクスが挙げられる。これは同様に、リンパチャネルの
循環液およびリンパ液の血漿によって占められる空間である。以下に議論される
理由のため、筋肉組織の間隙空間への送達が好ましい。これらは、これらの細胞
を含む組織中への注射によって簡便に送達され得る。これらは、好ましくは、分
化した持続性の非分裂細胞に送達されそしてそこで発現されるが、送達および発
現は、未分化細胞または完全には分化されていない細胞(例えば、血液または皮
膚の繊維芽細胞の幹細胞のような)において達成され得る。インビボで筋肉細胞
は、ポリヌクレオチドを取込み、そしてそれを発現するそれらの能力において、
特に有能である。
【0232】 裸の核酸配列注射について、DNAまたはRNAの有効投薬量は、約0.05
mg/kg体重〜約50mg/kg体重の範囲内である。好ましくは、投薬量は
、約0.005mg/kg〜約20mg/kg、そしてより好ましくは約0.0
5mg/kg〜約5mg/kgである。当然、当業者が理解するように、この投
薬量は、注射の組織部位に従って変動する。核酸配列の適切かつ有効な投薬量は
、当業者によって容易に決定され得、そしてこれは処置される状態および投与経
路に依存し得る。
【0233】 好ましい投与経路は、組織の間隙空間内への注射の非経口経路による経路であ
る。しかし、他の非経口経路(例えば、特に肺もしくは気管支組織、咽喉または
鼻の粘膜への送達のためのエアロゾル処方物の吸入)もまた、使用され得る、さ
らに、裸のBMP DNA構築物は、血管形成術の間に、この手順において使用
されるカテーテルによって動脈に送達され得る。
【0234】 裸のポリヌクレオチドは、当該分野において公知の任意の方法(送達部位での
直接針注射、静脈注射、局所的投与、カテーテル注入、およびいわゆる「遺伝子
銃」が挙げられるが、これらに限定されない)によって送達される。これらの送
達方法は、当該分野において公知である。
【0235】 実施例において証明されるように、裸のBMP核酸配列はインビボで投与され
得、ウサギの大腿動脈においてBMPポリペプチドの首尾良い発現を生じる。
【0236】 この構築物はまた、以下のような送達ビヒクルを伴って送達され得る:ウイル
ス配列、ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチン、沈殿剤など。この
ような送達方法は、当該分野において公知である。
【0237】 特定の実施態様において、BMPポリヌクレオチド構築物は、リポソーム調製
物中に複合体化される。本発明における用途のためのリポソーム調製物としては
、カチオン性(正に荷電した)、アニオン性(負に荷電した)、および中性の調
製物が挙げられる。しかし、カチオン性リポソームが特に好ましい。なぜなら、
堅固な荷電複合体が、カチオン性リポソームとポリアニオン性核酸との間に形成
され得るからである。カチオン性リポソームは、機能的な形態で、以下の細胞内
送達を媒介することが示されている:プラスミドDNA(Felgnerら、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7416(1
987);これは、本明細書中で参考として援用される);mRNA(Malo
neら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6077−6
081(1989);これは、本明細書中で参考として援用される);および精
製された転写因子(Debsら、J.Biol.Chem.265:10189
−10192(1990);これは、本明細書中で参考として援用される)。
【0238】 カチオン性リポソームは容易に入手可能である。例えば、N[1−2,3−ジ
オレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTM
A)リポソームは特に有用であり、そしてGIBCO BRL、Grand I
sland、N.Y.から登録商標リポフェクチン(Lipofectin)の
もとで入手可能である(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 84:7413−7416(1987)もまた参照のこと;これ
は、本明細書中で参考として援用される)。他の市販されているリポソームとし
ては、トランスフェクテース(transfectace)(DDAB/DOP
E)およびDOTAP/DOPE(Boehringer)が挙げられる。
【0239】 他のカチオン性リポソームは、当該分野で周知の技術を使用して、容易に利用
可能な物質から調製され得る。例えば、DOTAP(1,2−ビス(オレオイル
オキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の説明に
ついては、PCT公開番号WO90/11092(これは、本明細書中で参考と
して援用される)を参照のこと。DOTMAリポソームの調製は、文献において
説明されている。例えば、P.Felgnerら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 84:7413−7417(これは、本明細書中で参考と
して援用される)を参照のこと。類似の方法が、他のカチオン性脂質物質からリ
ポソームを調製するために使用され得る。
【0240】 同様に、アニオン性リポソームおよび中性リポソームは、例えば、Avant
i Polar Lipids(Birmingham,Ala.)から容易に
入手可能であるか、または容易に入手可能な物質を使用して容易に調製され得る
。このような物質としては、とりわけ、ホスファチジルコリン、コレステロール
、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DO
PC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジオレオイル
ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる。これらの物質はま
た、適切な比率でDOTMAおよびDOTAP出発物質と混合され得る。これら
の物質を使用してリポソームを作製する方法は、当該分野で周知である。
【0241】 例えば、商業的に、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレ
オイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、およびジオレオイルホスファ
チジルエタノールアミン(DOPE)は、コレステロールの添加を伴ってかまた
は伴わずに、従来リポソームを作製するために種々の組み合わせで使用され得る
。従って、例えば、DOPG/DOPC小胞は、窒素ガス流の下で各々50mg
のDOPGおよびDOPCを乾燥させることによって超音波処理バイアル内へ調
製され得る。サンプルを、減圧ポンプの下に一晩置き、そして翌日に脱イオン水
で水和する。次いで、サンプルを、インバート型カップ(inverted c
up)(浴槽型)探針を備えたHeat Systems model 350
超音波処理器を、浴槽を15ECにて循環させながら最大設定で用いて、蓋をし
たバイアル中で2時間超音波処理する。あるいは、負に荷電した小胞は、多重膜
小胞を生成するために超音波処理なしで調製され得るか、または個別の大きさの
単一膜小胞を生成するために核孔(nucleopore)膜を通して押し出す
ことによって調製され得る。他の方法は当業者に公知であり、そして利用可能で
ある。
【0242】 このリポソームは、多重膜の小胞(MLV)、小さな単一膜小胞(SUV)、
または大きな単一膜の小胞(LUV)を含み得る。SUVが好ましい。種々のリ
ポソーム−核酸複合体は、当該分野で周知の方法を使用して調製される。例えば
、Straubingerら、Methods of Immunology
101:512−527(1983)(これは、本明細書中で参考として援用さ
れる)を参照のこと。例えば、核酸を含有するMLVは、ガラス管壁上にリン脂
質の薄膜を沈着させ、引き続いてカプセル化される物質の溶液と水和させること
によって調製され得る。SUVは、均質な単一膜リポソームの集団を生成するた
めにMLVの超音波処理を延長することによって調製される。捕捉されるべき物
質を、予め形成されたMLVの懸濁液に添加し、次いで超音波処理する。カチオ
ン性脂質を含有するリポソームを使用する場合、乾燥脂質膜を適切な溶液(例え
ば、滅菌水または等張緩衝溶液(例えば、10mMのTris/NaCl))中
に再懸濁し、超音波処理し、次いで予め形成されたリポソームをDNAと直接混
合する。リポソームおよびDNAは、正に荷電したリポソームのカチオン性DN
Aへの結合に起因して、非常に安定な複合体を形成する。SUVは、小さな核酸
フラグメントを用いる用途が見出される。LUVは、当該分野において周知の多
くの方法によって調製される。一般に使用される方法としては、Ca2+−EDT
Aキレート化(Papahadjopoulosら、Biochim.Biop
hys.Acta 394:483(1975);Wilsonら、Cell
17:77(1979);エーテル注射(Deamerら、Biochim.B
iophys.Acta 443:629(1976);Ostroら、Bio
chem.Biophys.Res.Commun.76:836(1977)
;Fraleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:3
348(1979));界面活性剤透析(Enochら、Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 76:145(1979);および逆相エバポレー
ション(REV)(Fraleyら、J.Biol.Chem.255:104
31(1980);Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 75:145(1978);Schaefer−Ridderら、Sci
ence 215:166(1982))(これらは、本明細書中で参考として
援用される)が挙げられる。
【0243】 一般的に、DNA対リポソームの比率は約10:1〜約1:10である。好ま
しくはこの比率は約5:1〜約1:5である。より好ましくは、この比率は約3
:1〜約1:3である。さらにより好ましくは、この比率は約1:1である。
【0244】 米国特許第5,676,954号(これは、本明細書中で参考として援用され
る)は、カチオン性リポソームキャリアと複合体化された遺伝物質のマウス中へ
の注射を報告する。米国特許第4,897,355号;同第4,946,787
号;同第5,049,386号;同第5,459,127号;同第5,589,
466号;同第5,693,622号;同第5,580,859号;同第5,7
03,055号、および国際公開番号:WO94/9469(これらは、本明細
書中で参考として援用される)は、細胞および哺乳動物中にDNAをトランスフ
ェクトする際の使用のためのカチオン性脂質を提供する。米国特許第5,589
,466号;同第5,693,622号;同第5,580,859号;同第5,
703,055号および国際公開番号第WO94/9469(これらは、本明細
書中で参考として援用される)は、哺乳動物へDNA−カチオン性脂質複合体を
送達するための方法を提供する。
【0245】 特定の実施態様において、細胞は、エキソビボまたはインビボで、BMPをコ
ードする配列を含むRNAを含有するレトロウイルス粒子を用いて操作される。
レトロウイルスプラスミドベクターが由来し得るレトロウイルスとしては、以下
が挙げられるが、これらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス;脾壊
死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、ニワトリ白血病ウイ
ルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウ
イルス(Myeloproliferative Sarcoma Virus
)、および乳癌ウイルス。
【0246】 レトロウイルスプラスミドベクターが使用されて、プロデューサー細胞株を形
成するためにパッケージング細胞株を形質導入する。トランスフェクトされ得る
パッケージング細胞の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない;
Miller、Human Gene Therapy 1:5−14(199
0)(これは、その全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されるよ
うな、PE501、PA317、R−2、R−AM、PA12、T19−14X
、VT−19−17−H2、RCRE、RCRIP、GP+E−86、GP+e
nvAm12、およびDAN細胞株。ベクターは、当該分野において公知の任意
の手段を通してパッケージング細胞を形質導入し得る。このような方法としては
以下が挙げられるが、これらに限定されない:エレクトロポレーション、リポソ
ームの使用、およびCaPO4沈降。1つの実施態様において、レトロウイルス
プラスミドベクターは、リポソーム内にカプセル化され得るか、または脂質とカ
ップリングされ得、次いで宿主に投与され得る。
【0247】 プロデューサー細胞株は、BMPをコードするポリヌクレオチドを含む感染性
レトロウイルスベクター粒子を産生する。次いで、このようなレトロウイルスベ
クター粒子が使用されて、インビトロまたはインビボのいずれかで真核生物細胞
を形質導入し得る。形質導入された真核生物細胞は、BMPを発現する。
【0248】 特定の他の実施態様において、細胞は、アデノウイルスベクター中に含まれた
BMPポリヌクレオチドを用いて、エキソビボまたはインビボで操作される。ア
デノウイルスは、BMPをコードし、そしてそれを発現するように操作され得、
同時に、正常な溶菌性ウイルス生活環において複製するその能力に関して不活化
される。アデノウイルスの発現は、ウイルスDNAを宿主細胞染色体中に組みこ
むことなく達成され、それによって挿入性変異誘発に関する懸念を軽減させる。
さらに、アデノウイルスは、優れて安全なプロフィールと共に長い間、生腸溶性
ワクチンとして使用されてきた(Schwartzら、Am.Rev.Resp
ir.Dis.109:233−238(1974)。最終的に、アデノウイル
ス媒介性遺伝子移入は、コトンラットの肺へのα−1−抗トリプシンおよびCF
TRの移入を含む多くの例において実証されている(Rosenfeldら、S
cience 252:431−434(1991);Rosenfeldら、
Cell 68:143−155(1992))。さらに、ヒト癌における原因
因子としてアデノウイルスを確立しようと試みる広範な研究は、一様に否定的で
あった(Greenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76
:6606(1979))。
【0249】 本発明において有用な適切なアデノウイルスベクターは、例えば、Kozar
skyおよびWilson、Curr.Opin.Genet.Devel 3
:499−503(1993);Rosenfeldら、Cell 68:14
3−155(1992);Engelfardtら、Human Genet.
Ther.4:759−769(1993);Yangら、Nature Ge
net.7:362−369(1994);Wilsonら、Nature 3
65:691−692(1993);および米国特許第5,652,224号(
これらは、本明細書中で参考として援用される)に記載される。例えば、アデノ
ウイルスベクターAd2が有用であり、そしてヒト293細胞において増殖され
得る。これらの細胞は、アデノウイルスのE1領域を含み、そしてE1aおよび
E1b(これらは、このベクターから欠失された遺伝子の産物を提供することに
よって、欠損アデノウイルスを補完する)を構成的に発現する。Ad2に加えて
、他の種々のアデノウイルス(例えば、Ad3、Ad5、およびAd7)もまた
、本発明において有用である。
【0250】 好ましくは、本発明において使用されるアデノウイルスは、複製欠損である。
複製欠損アデノウイルスは、感染粒子を形成するために、ヘルパーウイルスおよ
び/またはパッケージング細胞株の補助を必要とする。得られるウイルスは細胞
に感染し得、そしてプロモーター(本発明のHARPプロモーター)に作動可能
に連結されている目的のポリヌクレオチドを発現し得るが、大部分の細胞で複製
することができない。複製欠損アデノウイルスは、1つ以上の以下の遺伝子の全
てまたは一部分を欠失し得る:E1a、E1b、E3、E4、E2a、またはL
1〜L5。
【0251】 特定の他の実施態様において、アデノ随伴ウイルス(AAV)を使用してエキ
ソビボまたはインビボで細胞が操作される。AAVは、感染粒子を生成するため
にヘルパーウイルスを必要とする天然に存在する欠損ウイルスである(Muzy
czka,Curr.Topics in Microbiol.Immuno
l.,158:97(1992))。これはまた、非分裂細胞にそのDNAを組
み込み得る少数のウイルスのうちの1つである。AAVの300程度の少ない塩
基対を含むベクターが、パッケージングされて組み込まれ得るが、外因性DNA
のための空間は、約4.5kbに制限される。このようなAAVを生成し、そし
て使用する方法は、当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,139,9
41号、同第5,173,414号、同第5,354,678号、同第5,43
6,146号、同第5,474,935号、同第5,478,745号、ならび
に同第5,589,377号を参照のこと。
【0252】 例えば、本発明における使用のために適切なAAVベクターは、DNA複製、
キャプシド化、および宿主細胞組み込みに必要な配列の全てを含む。BMPポリ
ヌクレオチド構築物は、標準的なクローニング方法(例えば、Sambrook
ら、Molecular Cloning:A Laboratory Man
ual、Cold Spring Harbor Press(1989)に見
出される方法)を使用してAAVベクターに挿入される。次いで、組換えAAV
ベクターは、任意の標準的技術(リポフェクション、エレクトロポレーション、
リン酸カルシウム沈澱などを含む)を用いて、ヘルパーウイルスに感染されるパ
ッケージング細胞にトランスフェクトされる。適切なヘルパーウイルスとしては
、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ワクシニアウイルス、またはヘルペ
スウイルスが挙げられる。一旦パッケージング細胞がトランスフェクトされ、そ
して感染されると、それらは、BMPポリヌクレオチド構築物を含む感染AAV
ウイルス粒子を生成する。次いで、これらのウイルス粒子を使用して、エキソビ
ボまたはインビトロのいずれかで真核生物細胞を形質導入する。形質導入された
細胞は、そのゲノムに組み込まれたBMPポリヌクレオチド構築物を含み、そし
てBMPを発現する。
【0253】 遺伝子治療の別の方法は、相同組換え(例えば、米国特許第5,641,67
0号(1997年6月24日発行);国際公開WO96/29411(1996
年9月26日公開);国際公開WO94/12650(1994年8月4日公開
);Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:
8932−8935(1989);およびZijlstraら、Nature
342:435−438(1989))を介して異種制御領域および内因性ポリ
ヌクレオチド配列(例えば、BMPをコードする)を作動可能に連結することを
含む。この方法は、標的細胞に存在するが、細胞において通常は発現されないか
、または所望されるよりも低いレベルで発現される遺伝子の活性化を含む。
【0254】 プロモーターに隣接する標的化配列とともにプロモーターを含むポリヌクレオ
チド構築物は、当該分野で公知の標準的な技術を用いて作製される。適切なプロ
モーターは、本明細書中に記載される。標的配列は、プロモーター−標的化配列
と内因性配列との相同組換えを可能にするために内因性配列に十分相同である。
標的化配列は、所望の内因性ポリヌクレオチド配列であるBMPの5’末端に十
分近いので、このプロモーターは、相同組換えの際に内因性配列に作動可能に連
結する。
【0255】 プロモーターおよび標的化配列は、PCRを用いて増幅され得る。好ましくは
、増幅プロモーターは、5’末端および3’末端において異なる制限酵素部位を
含む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、増幅されたプロモーターの
5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の5’末端は、増
幅されたプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。増幅されたプロモータ
ーおよび標的化配列は、消化され、そしてともに連結される。
【0256】 プロモーター−標的化配列の構築物は、裸のポリヌクレオチドとして、または
上記に詳述されたトランスフェクション促進剤(例えば、リポソーム、ウイルス
配列、ウイルス粒子、ウイルス全体、リポフェクション、沈殿剤など)とともに
のいずれかで、細胞に送達される。Pプロモーター−標的化配列は、任意の方法
により送達され得、この方法としては、直接針注射、静脈内注射、局所的投与、
カテーテル注入、粒子加速器などが挙げられ得る。この方法は、以下にさらに詳
述される。
【0257】 プロモーター標的化配列構築物は、細胞により取り込まれる。構築物と内因性
配列との間の相同組換えが生じ、その結果、内因性BMP配列は、プロモーター
の制御下に配置される。次いで、このプロモーターは、内因性BMP配列の発現
を駆動する。
【0258】 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、他の脈管形成タンパ
ク質をコードする他のポリヌクレオチドとともに投与され得る。脈管形成タンパ
ク質としては、酸性および塩基性の線維芽細胞増殖因子、VEGF−1、上皮細
胞増殖因子αおよびβ、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、腫
瘍壊死因子α、肝細胞増殖因子、インスリン様増殖因子、コロニー刺激因子、マ
クロファージコロニー刺激因子、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子、な
らびに一酸化窒素シンターゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0259】 好ましくは、BMPをコードするポリヌクレオチドは、タンパク質の分泌を容
易にする分泌シグナル配列を含む。代表的には、このシグナル配列は、ポリヌク
レオチドのコード領域に配置されて、このコード領域の5’末端に対して、また
は5’末端に発現される。このシグナル配列は、目的のポリヌクレオチドに対し
て同種でも異種でもよく、そしてトランスフェクトされる細胞に対して同種でも
異種でもよい。さらにシグナル配列は、当該分野で公知の方法を用いて化学的に
合成され得る。
【0260】 上記の任意のポリヌクレオチド構築物の投与の任意の態様は、この態様が治療
的効果を提供するに十分な量で1つ以上の分子の発現を生じる限り、使用され得
る。これには、直接針注射、全身注射、カテーテル注入、微粒子注射器(bio
listic injector)、粒子加速器(すなわち、「遺伝子銃」)、
ゲルフォームスポンジデポー、他の市販のデポー物質、浸透圧ポンプ(例えば、
Alzaミニポンプ)、経口または坐剤固体(錠剤または丸剤)薬学的処方物、
および手術中の傾瀉適用または局所的適用が挙げられる。例えば、裸のリン酸カ
ルシウム沈澱したプラスミドをラット肝臓およびラット脾臓へ、またはタンパク
質コーティングしたプラスミドを門脈へ直接注射することにより、ラット肝臓で
の外来遺伝子の遺伝子発現が生じた(Kanedaら、Science、243
:375(1989))。
【0261】 局所的投与の好ましい方法は、直接注射によるものである。好ましくは、送達
ビヒクルと複合体化された本発明の組換え分子は、動脈の領域へ直接注射される
か、またはその領域内に局所的に投与される。動脈の領域内に組成物を局所的投
与することは、動脈内の数センチメートルおよび好ましくは数ミリメートルで組
成物を注射することをいう。
【0262】 局所的投与の別の方法は、外科的創傷にまたはその周辺に、本発明のポリヌク
レオチド構築物を接触させることである。例えば、患者は、手術を受け得、そし
てこのポリヌクレオチド構築物が、創傷内部の組織の表面にコーティングされ得
るか、またはこの構築物が創傷内部の組織の内部の領域に注射され得る。
【0263】 全身投与において有用な治療的組成物は、本発明の標的化された送達ビヒクル
に複合体化された、本発明の組換え分子を含む。全身的投与での使用のために適
切な送達ビヒクルは、特定の部位にこのビヒクルを標的化するためのリガンドを
含むリポソームを含む。
【0264】 全身的投与の好ましい方法としては、静脈内注射、エアロゾル、経口送達およ
び経皮(局所的)送達が挙げられる。静脈内注射は、当該分野で標準的な方法を
用いて行われ得る。エアロゾル送達もまた、当該分野で標準的な方法を用いて行
われ得る(例えば、Striblingら、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 189:11277−11281(1992)(これは、本明細
書中に参考として援用される)を参照のこと)。経口送達は、動物の消化管中の
消化酵素による消化に抵抗し得るキャリアに、本発明のポリヌクレオチド構築物
を複合体化することにより行われ得る。このようなキャリアの例としては、可塑
性のカプセル剤または錠剤(例えば、当該分野で公知のもの)が挙げられる。局
所的送達は、皮膚内へ透過し得る親油性試薬(例えば、DMSO)と、本発明の
ポリヌクレオチド構築物とを混合することにより行われ得る。
【0265】 送達される物質の有効量を決定することは、多くの因子に依存し得、これらの
因子としては、例えば、物質の化学的構造および生物学的活性、動物の年齢およ
び重量、処置を必要とする正確な状態およびその重篤度、ならびに投与経路が挙
げられる。処置の頻度は、多くの因子(例えば、用量あたりで投与されるポリヌ
クレオチド構築物の量、ならびに被験体の健康状態および病歴)に依存し得る。
用量の正確な数量、回数および投薬のタイミングは、主治医または獣医師により
決定される。本発明の治療的組成物は、任意の動物に(好ましくは、哺乳動物お
よびトリに)投与され得る。好ましい哺乳動物としては、ヒト、イヌ、ネコ、マ
ウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマおよびブタが挙げられるが、特にヒ
トが好ましい。
【0266】 (治療的用途) 本発明のBMPタンパク質は、脈管およびリンパ管内皮細胞についてのマイト
ジェンとして使用され得る。従って、BMPポリペプチドまたはその生物学的に
活性な部分を使用して、脈管形成を促進することにより脈管の外傷を処置し得る
。例えば、冠状動脈バイパス手術が行われた場合に、移植された組織の増殖を刺
激するため。創傷治癒を促進するため、特に、損傷組織を脈管再生するためまた
は虚血の間および新たな毛細管形成が所望される場合に側副枝の血流を刺激する
ために、BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分がやはり使用され
得る。かなり厚みのある(full−thickness)創傷(例えば、褥瘡
、静脈性潰瘍、および糖尿病性潰瘍を含む皮膚潰瘍)を処置するために、BMP
ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分が使用され得る。さらに、BMP
ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を使用して、かなり厚みのある火
傷および傷害が修復され得、ここでは、皮膚移植片または組織弁を使用して、こ
のような火傷および傷害が処置される。BMPポリペプチドまたはその生物学的
に活性な部分はまた、形成外科における使用のために(例えば、裂傷、火傷、ま
たは他の外傷の修復のために)使用され得る。さらにBMPポリペプチドまたは
その生物学的に活性な部分を使用して、眼に対する創傷および傷害の治癒を促進
し得、そして眼の疾患を処置し得る。
【0267】 これらの同じ系に沿って、BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部
分をやはり使用して、損傷した骨組織、歯周組織または靱帯組織の増殖を誘導し
得る。BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分はまた、例えば、歯
周病または外傷により損傷した歯の支持組織(セメント質および歯周靱帯を含む
)を再生するために使用され得る。
【0268】 新脈管形成は、創傷を清潔かつ感染しないように維持するにおいて重要である
ので、BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分は、手術と関連づけ
て、ならびに切開および切断の修復後に使用され得る。BMPポリペプチドまた
はその生物学的に活性な部分はまた、感染の危険性が高い腹部創傷を処置するた
めに使用され得る。
【0269】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分は、脈管移植手術におけ
る内皮化(endothelialization)促進のために使用され得る
。移植材料または合成材料のいずれかを用いる脈管移植片の場合には、BMPポ
リペプチドまたはその生物学的に活性な部分は、移植片の表面に、または接合部
に適用されて、脈管内皮細胞の増殖を促進し得る。BMPポリペプチドまたはそ
の生物学的に活性な部分をやはり使用して、心筋梗塞の結果として生じた心筋組
織の損傷を修復し得る。BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を
やはり使用して、虚血後の心血管系を修復し得る。BMPポリペプチドまたはそ
の生物学的に活性な部分をやはり使用して、冠動脈疾患ならびに末梢脈管疾患お
よびCNS脈管疾患の結果として損傷した脈管組織を処置し得る。
【0270】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をやはり使用して、体内
に移植される人工プロテーゼまたは天然の器官をコーティングして、移植材料の
拒絶を最小化し、そして移植された材料の脈管形成を刺激し得る。
【0271】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分はまた、例えば、アテロ
ーム硬化症の間に生じる外傷からもたらされる傷害の脈管組織修復のために使用
され得、そして脈管組織が損傷されるバルーン血管形成術後に必要とされ得る。
【0272】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をやはり使用して、末梢
動脈疾患を処置し得る。従って、さらなる局面において、BMPポリペプチドま
たはその生物学的に活性な部分を利用して、末梢動脈疾患を処置するためのプロ
セスが提供される。好ましくは、BMPポリペプチドは、末梢動脈疾患を緩和ま
たは処置する目的で、個体に投与される。適切な用量、処方、および投与経路は
、以下に記載される。
【0273】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をまた使用して、リンパ
組織およびリンパ管の内皮機能(例えば、リンパ管の損失、リンパ管の閉塞およ
びリンパ管腫を処置するために)を促進し得る。BMPポリペプチドをまた使用
して、リンパ球産生を刺激し得る。
【0274】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を使用して、新生児にお
ける血管腫を処置し得る。従って、さらなる局面において、新生児において血管
腫を処置するためにBMPポリペプチドを利用するためのプロセスが提供される
。好ましくは、BMPポリペプチドは、新生児における血管腫を軽減または処置
するために個体に投与される。適切な用量、処方物および投与経路は以下に記載
される。
【0275】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をまた使用して、未成熟
な新生児における異常な網膜の発達を予防または処置し得る。従って、さらなる
局面において、未成熟な新生児において異常な網膜の発達を処置するためにBM
Pポリペプチドを利用するためのプロセスを提供する。好ましくは、BMPポリ
ペプチドは、未成熟な新生児において異常な網膜の発達を軽減または処置するた
めに個体に投与される。適切な用量、処方物および投与経路は以下に記載される
【0276】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をまた使用して、ミルロ
イ病および早発性リンパ水腫を含む原発性(特発性)リンパ水腫を処置し得る。
従って、さらなる局面において、ミルロイ病および早発性リンパ水腫を含む原発
性(特発性)リンパ水腫を処置するためにBMPポリペプチドを使用するための
プロセスを提供する。好ましくは、BMPポリペプチドは、ミルロイ病および早
発性リンパ水腫を含む原発性(特発性)リンパ水腫を軽減または処置するために
個体に投与される。BMPポリペプチドをまた使用して、動物において、水腫を
処置し得、そして血圧に作用し得る。適切な用量、処方物および投与経路は以下
に記載される。
【0277】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をまた使用して、(I)
リンパ節およびリンパ管の除去、(ii)癌の処置における放射線療法および手
術、ならびに(iii)外傷および感染から生じる寿命(lifetime)を
含む2次的な(閉鎖性の)寿命を処置し得る。従って、さらなる局面において、
(I)リンパ節およびリンパ管の除去、(ii)癌の処置における放射線療法お
よび手術、ならびに(iii)外傷および感染から生じる寿命(lifetim
e)を含む2次的な(閉鎖性の)寿命を処置するためにBMPポリペプチドを使
用するためのプロセスを提供する。好ましくは、BMPポリペプチドは、(I)
リンパ節およびリンパ管の除去、(ii)癌の処置における放射線療法および手
術、ならびに(iii)外傷および感染から生じる寿命(lifetime)を
含む2次的な(閉鎖性の)寿命のために個体に投与される。適切な用量、処方物
および投与経路は以下に記載される。
【0278】 BMPポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をまた使用して、カポー
ジ肉腫を処置し得る。従って、さらなる局面において、カポージ肉腫を処置する
ためにBMPポリペプチドを利用するためのプロセスを提供する。好ましくは、
BMPポリペプチドは、カポージ肉腫を軽減または処置するために個体に投与さ
れる。適切な用量、処方物および投与経路は以下に記載される。
【0279】 (生物学的活性) 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドをアッセイにおいて使用して、
BMP活性の一つ以上の生物学的活性について試験し得る。これらのポリヌクレ
オチドおよびポリペプチドが特定のアッセイにおいて活性を示した場合、これら
の分子は、その生物学的活性と関連する疾患と関連し得る。従って、ポリヌクレ
オチドおよびポリペプチドを使用して、関連する疾患を処置し得る。
【0280】 (免疫活性) 本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、免疫細胞の増殖、分化また
は動員(走化性)を活性化または阻害することにより、免疫系の不全または障害
の処置において有用であり得る。免疫細胞は、造血と呼ばれるプロセスを通して
発達し、これは、多能性幹細胞由来の骨髄細胞(血小板、赤血球、好中球および
マクロファージ)およびリンパ系細胞(Bリンパ球およびTリンパ球)を産生す
る。これらの免疫不全または障害の病因論は、遺伝的、体細胞性(例えば、癌ま
たはいくつかの自己免疫障害)、後天性(化学療法または毒素)または感染性で
あり得る。さらに、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、特定の免
疫系疾患または障害のマーカーもしくは検出因子として使用され得る。
【0281】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、造血細胞の不全または障害
を処置または検出するのに有用であり得る。本発明のポリペプチドまたはポリヌ
クレオチドを使用して、特定の(または多くの)型の造血細胞の減少に関連する
障害を処置するための取り組みにおいて、多能性幹細胞を含む造血細胞の分化お
よび増殖を増加させ得る。免疫学的な不全症候群の例には、以下が挙げられるが
それらに限定されない:血液タンパク質障害(例えば、無ガンマグロブリン血症
、低ガンマグロブリン血症)、毛細血管拡張性運動失調、分類不能型免疫不全、
ディ・ジョージ症候群、HIV感染、HTLV−BLV感染、白血球接着不全症
候群、リンパ球減少症、食細胞殺菌機能不全、重症複合型免疫不全(SCID)
、ヴィスコット−オールドリッチ障害、貧血、血小板減少症、または血色素尿。
【0282】 さらに、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドはまた、止血活性(出
血を停止する)または血栓崩壊活性(血餅の形成)を調節するために使用され得
る。例えば、止血または血栓崩壊活性を増加させることによって、本発明のポリ
ヌクレオチドまたはポリペプチドは、血液凝固障害(例えば、無フィブリノーゲ
ン血症、因子欠乏)、血液血小板障害(例えば、血小板減少症)、または外傷、
手術もしくは他の原因から生じる創傷を処置するために使用され得る。あるいは
、止血活性または血栓崩壊活性を減少させ得る、本発明のポリヌクレオチドまた
はポリペプチドを用いて、凝固を阻害または溶解し得る。これらの分子は、心臓
発作(梗塞)、発作、または瘢痕の処置に重要であり得る。
【0283】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドはまた、自己免疫障害を処置ま
たは検出するのに有用であり得る。多くの自己免疫障害は、免疫細胞によって、
自己を外来物質として不適切に認識することからもたらされる。この不適切な認
識は、宿主組織の破壊を導く免疫応答を生じる。それゆえ、免疫応答、特にT細
胞の増殖、分化、または走化性を阻害する本発明のポリペプチドまたはポリヌク
レオチドの投与は、自己免疫障害を予防するのに有効な治療であり得る。例えば
、本発明のポリヌクレオチドの可溶性形態は、吸収によるサイトカイン活性の阻
害において有用であり得る。
【0284】 本発明によって処置または検出され得る自己免疫障害の例としては、以下が挙
げられるが、それらに限定されない:アディソン病、溶血性貧血、抗リン脂質症
候群、慢性関節リウマチ、皮膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、グッド
パスチャー症候群、グレーヴズ病、多発性硬化症、重症筋無力症、神経炎、眼結
膜炎、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、多発性内分泌腺症、紫斑、ライター病、スティ
ッフマン症候群、自己免疫性甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、自己免疫性肺
炎症、ギヤンバレー症候群、インスリン依存性糖尿病、および自己免疫炎症性眼
病。
【0285】 同様に、例えば、喘息(特にアレルギー性喘息)または他の呼吸問題のような
アレルギー性反応および状態はまた、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオ
チドにより処置され得る。さらに、これらの分子を用いて、アナフィラキシー、
抗原性分子に対する過敏症、または血液型不適合を処置し得る。
【0286】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドはまた、器官拒絶もしくは対宿
主性移植片病(GVHD)を処置および/または予防するために用いられ得る。
器官拒絶は、宿主免疫細胞が免疫応答を介して移植された組織を破壊することに
より生じる。同様に、免疫応答はまた、GVHDに関与しているが、この場合、
外来の移植された免疫細胞は宿主組織を破壊する。免疫応答、特にT細胞の増殖
、分化、または走化性を阻害する本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド
の投与は、器官拒絶またはGVHDを予防するのに有効な治療であり得る。
【0287】 同様に、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドはまた、炎症を調節す
るために用いられ得る。例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド
は、炎症性応答に関与する細胞の増殖および分化を阻害し得る。これらの分子は
、以下を含む炎症状態(慢性および急性の両方の状態)を処置するために使用さ
れ得る:感染に関連した炎症(例えば、敗血症性ショック、敗血症、または全身
性炎症応答症候群(SIRS))、虚血性再灌流障害、内毒素死亡、関節炎、補
体媒介性超急性拒絶、腎炎、サイトカインまたはケモカイン誘導性肺傷害、炎症
性腸疾患、クローン病、またはサイトカイン(例えば、TNFまたはIL−1)
の過剰産生からもたらされる状態。
【0288】 (心臓血管障害) BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドを使用して、末梢動脈疾患(例え
ば、足の虚血)を含む心臓血管障害を処置し得る。
【0289】 心臓血管障害には、心臓血管の異常(例えば、動脈−動脈フィステル(art
erio−arterial fistula))、大脳動静脈奇形、先天性心
臓欠陥、肺動脈弁閉鎖症、およびシミター症候群が挙げられる。先天性心臓疾患
には、大動脈縮窄症、三房心、冠状管奇形(coronary vessel
anomary)、交差心、右胸心、動脈管、エブスタイン奇形、アイゼンメン
ガー複合体、左心室発育不全症候群、左胸心、ファロー四徴症、大血管転位症、
両大血管右室起始症、三尖弁閉鎖症、動脈管遺残および心臓中隔欠損(hear
t septal defect)(例えば、大動脈肺動脈中隔欠損、心内膜床
欠損症、リュタンバッシェ症候群、ファロー三徴症、心室中隔欠損(ventr
icular septal defect))が挙げられる。
【0290】 心臓欠陥障害にはまた、例えば、以下の心臓疾患が挙げられる:不整脈、カル
チノイド心疾患、高心拍出量、低心拍出量、心臓タンポナーデ、心内膜炎(細菌
を含む)、心動脈瘤、心停止、うっ血性心不全、うっ血性心筋症、発作性呼吸困
難、心臓性水腫、心肥大、うっ血性心不全、左心室肥大、右心室肥大、梗塞形成
後破裂(post−infarction heart rupture)、心
室中隔破裂(ventricular septal rupture)、心臓
弁疾患、心筋疾患、心筋虚血、心内膜液浸出、心外膜炎(梗塞性心外膜炎および
結核性心外膜炎を含む)、気心膜症、心膜切開後症候群、右心疾患、リウマチ性
心疾患、心室不全、充血、心臓血管妊娠合併症(cardiovascular
pregnancy complication)、シミター症候群、心血管
梅毒および心臓血管結核。
【0291】 不整脈には、以下が挙げられる:洞性不整脈、心房性細動、心房粗動、徐脈、
期外収縮、アダムス−ストークス症候群、脚ブロック、洞房ブロック、QT延長
症候群(long QT syndrome)、副収縮、ローン−ギャノング−
レヴァイン症候群、マハイム型早期興奮症候群、ウォルフ−パーキンソン−ホワ
イト症候群、洞不全症候群、頻脈および心室性細動。頻脈には以下が挙げられる
:発作性頻脈、上室性頻拍症、加速性心室固有調律、房室接合部性再入頻拍症、
異所性心房性頻脈、異所性接合部性頻拍症、洞房結節再入頻拍症、洞性頻脈、ト
ルサード ド ポアント(Torsades de Pointes)および心
室性頻脈。
【0292】 心臓弁疾患には以下が挙げられる:大動脈弁不全、大動脈弁狭窄症、心雑音(
heart murmurs)、大動脈弁逸脱症、僧帽弁逸脱症、三尖弁逸脱症
、僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖症、肺動脈弁閉鎖不全症、肺
動脈弁狭窄症、三尖弁閉鎖症、三尖弁閉鎖不全症および三尖弁狭窄症。
【0293】 心筋疾患には以下が挙げられる:アルコール性心筋症、先天性心筋症、肥大型
心筋症、弁下部性大動脈狭搾症、弁下部性肺動脈狭搾症、拘束型心筋症、シャー
ガス心筋症、心内膜線維弾性症、心内膜心筋線維症、キーンズ症候群、心筋再灌
流障害および心筋炎。
【0294】 心筋虚血には以下が挙げられる:例えば、狭心症、冠動脈瘤、冠動脈硬化、冠
動脈血栓症、冠動脈血管痙攣、心筋梗塞および気絶心筋(myocardial
stunning)のような冠動脈疾患。
【0295】 心臓血管疾患には例えば、以下のような血管疾患もまた挙げられる:動脈瘤、
血管形成異常、血管腫症、細菌性血管腫症状、ヒッペル−リンダウ疾患(病)、
クリペル−トルノネー−ウェーバー症候群、スタージ−ウェーバー症候群、血管
運動神経性水腫、大動脈疾患、高安動脈炎、大動脈炎、ルリーシュ症候群、動脈
閉塞疾患、動脈炎、動脈内膜炎(enarteritis)、結節性多発性動脈
炎、脳血管障害、糖尿病性血管障害、塞栓症、血栓症、先端紅痛症、痔、肝静脈
閉塞病(hepatic veno−occlusive disease)、
高血圧、低血圧、虚血、末梢血管疾患、静脈炎、肺静脈閉塞病(pulmona
ry veno−occlusive disease)、レーノー病、CRE
ST症候群、網膜血管閉塞、上大静脈症候群、毛細血管拡張症、毛細血管拡張失
調症(atacia telangiectasia)、遺伝性出血性毛細管拡
張症、精索静脈瘤、拡張蛇行静脈、静脈瘤性潰瘍、脈管炎および静脈不全。
【0296】 動脈瘤には以下が挙げられる:解離性動脈瘤、偽性動脈瘤、感染性動脈瘤(i
nfected aneurysm)、破裂性大動脈瘤、大動脈瘤、大脳動脈瘤
、冠動脈瘤、心臓動脈瘤(heart aneurysm)および腸骨動脈瘤。
【0297】 動脈閉塞疾患には以下が挙げられる:動脈硬化、間欠性跛行、頸動脈狭窄、線
維筋性形成異常、腸間膜血管閉塞、モヤモヤ病、腎動脈閉塞、網膜動脈閉塞およ
び閉塞性血栓性血管炎。
【0298】 脳血管障害には以下が挙げられる:頸動脈疾患、脳のアミロイドアンギオパチ
ー、大脳動脈瘤、大脳無酸素症、大脳動脈硬化症、大脳動静脈奇形、大脳動脈疾
患、大脳塞栓症、および大脳血栓症、頸動脈血栓症、洞血栓症、ヴァレンベルク
症候群、脳出血、硬膜上血腫、硬膜下血腫、クモ膜下出血(subaraxhn
oid hemorrhage)、大脳梗塞形成、脳虚血(一過性脳虚血を含む
)、鎖骨下動脈盗血症候群、脳室白軟化症(periventricular
leukomalacia)、血管性頭痛、群発性頭痛、片頭痛および椎骨脳底
動脈循環不全症(vertebrobasilar insufciency)
【0299】 塞栓症には以下が挙げられる:空気塞栓症、羊水塞栓症、コレステロール塞栓
症、爪先チアノーゼ(blue toe)塞栓症、脂肪塞栓症、肺動脈塞栓症お
よび血栓閉塞症。血栓症には以下が挙げられる:冠状動脈血栓症、肝動脈血栓症
、網膜血管閉塞、頸動脈血栓症、洞血栓症、ヴァレンベルク症候群および血栓性
静脈炎。
【0300】 虚血には以下が挙げられる:大脳虚血、臨界肢(critical limb
)虚血、虚血性大腸炎、仕切り症候群、前仕切り症候群、心筋虚血、再灌流障害
および末梢肢虚血。脈管炎には以下が挙げられる:大動脈炎、動脈炎、ベーチェ
ット(Behcets)症候群、チャーグ−ストラウス症候群、皮膚粘膜リンパ
節症候群、閉塞性血栓性血管炎、過敏性血管炎、シェーンライン−ヘノッホ紫斑
病、アレルギー性皮膚血管炎およびヴェーゲナー肉芽腫症。
【0301】 BMPポリペプチドは、以下を含むがそれらに限定されない当該分野で公知の
任意の方法を用いて投与され得る:送達部位での直接的な針での注入、静脈内注
入、局所投与、カテーテル注入、微粒子銃ち注射器(biolistic in
jector)、粒子促進剤、ゲル状スポンジ貯蔵、他の商業的に利用可能な貯
蔵物質、浸透ポンプ、経口または坐剤用固体薬学的処方物、傾しゃまたは局所適
用薬物手術、エアロゾル送達。このような方法は当該分野で公知である。BMP
ポリペプチドはまた、以下により詳細に記載される、薬学的処方物の部分として
投与され得る。BMPポリペプチドを送達する方法が以下により詳細に記載され
る。
【0302】 (創傷治癒および上皮細胞増殖) 本発明のさらなる局面に従って、治療目的の本発明のBMPポリヌクレオチド
またはポリペプチドを、例えば、上皮細胞増殖および創傷治癒のために基底ケラ
チノサイトを刺激するために、そして毛包産生および皮膚創傷の治癒を刺激する
ために利用するプロセスを提供する。BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ドは、以下を含む創傷治癒を刺激する際に臨床的に有用であり得る:外科的創傷
、切除術的創傷、皮膚および上皮の損傷を含む深い創傷、眼性組織創傷、歯性組
織損傷、口腔創傷、糖尿病性潰瘍、皮膚潰瘍、肘潰瘍、動脈性潰瘍、静脈うっ滞
潰瘍、熱への曝露または化学薬品により生じるやけど、ならびにステロイド、放
射線療法、および抗新形成薬物および抗代謝薬での全身処置と関連した尿毒症、
栄養失調、ビタミンの欠乏および合併症のような他の異常な創傷治癒状態。BM
Pポリヌクレオチドおよびポリペプチドを使用して、皮膚の損失に続く皮膚の再
構築を促進し得る。
【0303】 BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドを使用して、創傷床(wound
bed)への皮膚移植の接着を増加し得、そして創傷床からの再上皮形成を刺
激し得る。以下は、BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドを使用して創傷
床への接着を増加し得る移植の型である:自己移植片、人工皮膚、同種移植片(
allograft)、自家皮膚移植、自己表皮移植、無血管(avacula
r)移植、ブレア−ブラウン移植片、骨移植片、胚胎組織移植片、真皮移植片、
遅延移植、皮膚移植片、表皮移植片、筋膜移植片、全層皮膚移植片、異種移植片
(heterologous graft)、異種移植片(xenograft
)、同種移植片(homologous graft)、増殖性移植片、層板(
lamellar)移植、網状移植片、粘膜移植片、オリエ−ティールシュ移植
片、大網移植片(omenpal graft)、パッチ移植、茎状移植片、浸
透(penetrating)移植、分層植皮片(split skin gr
aft)、全層植皮片(thick split graft)。BMPポリヌ
クレオチドまたはポリペプチドを使用して、皮膚強度を促進し得、そして外見皮
膚年齢を改善し得る。
【0304】 BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドはまた、肺、乳房、膵臓、胃、小
腸および大腸における、実質細胞の増殖および上皮細胞の増殖における変化を産
生する。BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、皮脂細胞(seboc
yte)、毛包、実質細胞、II型肺胞上皮細胞、ムチン産生杯細胞、および他
の上皮細胞のような上皮細胞、ならびに皮膚、肺、肝臓および胃腸管中に含まれ
るそれらの前駆体の増殖を促進し得る。BMPポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドは、内皮細胞、ケラチノサイト、および基底ケラチノサイトの増殖を促進し
得る。
【0305】 BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドをまた使用して、放射線処置、化
学療法処置またはウイルス感染により生じる腸毒素の副作用を減少し得る。BM
Pポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、小腸粘膜に対する細胞保護効果を有
し得る。BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドはまた、化学療法およびウ
イルス感染により生じる粘膜性(mucositis)(口の潰瘍)の治癒を刺
激し得る。
【0306】 BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、やけど(すなわち、毛包、汗
腺および皮脂腺の再密集(repopulation))を含む全層皮膚および
部分層皮膚の欠損の完全再生、乾癬のようなその他の皮膚欠損症の処置において
さらに使用され得る。BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドを使用して、
これらの病巣の再上皮形成の加速により頻繁な、口のあいた、そして痛みのある
水疱を生じる下にある真皮への表皮の接着における欠損である、表皮水疱症を処
置し得る。BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドをまた使用して、胃潰瘍
および十二指腸(doudenal)潰瘍を処置し得、そして粘膜内層の瘢痕形
成、ならびに腺粘膜および十二指腸粘膜内層のより急速な再生により治癒を補助
し得る。クローン病および潰瘍性大腸(結腸)炎のような炎症性腸疾患は、小腸
および大腸のそれぞれの粘膜表面の破壊を生じる疾患である。従って、BMPポ
リヌクレオチドまたはポリペプチドを使用して、より急速な治癒を助けそして炎
症性腸疾患の進行を阻止するために、粘膜表面の再表面形成を促進し得る。BM
Pポリヌクレオチドまたはポリペプチドでの処置は、胃腸管全体の粘膜の産生に
有意な効果を有することが予想され、そしてこれらを使用して、摂取されるかま
たは手術後の外傷性物質から腸粘膜を保護し得る。BMPポリヌクレオチドまた
はポリヌクレオチドは、脈管形成ポリヌクレオチドの発現下と関連した疾患を処
置するために使用され得る。
【0307】 さらに、BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、種々の病理学的段階
に起因する肺に対する損傷を予防および治癒するために使用され得る。増殖因子
(例えば、BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチド)は、増殖および分化を
刺激し得、そして急性または慢性の肺損傷を予防または処置するために、肺胞お
よび気管支の上皮の修復を促進し得る。例えば、気管支上皮および肺胞の壊死を
引き起こす(すなわち、喫煙および熱傷から生じる)、肺胞の進行性損失、およ
び吸入傷害を生じる気腫は、BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドを使用
して効果的に処置され得る。また、BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチド
は、II型肺胞細胞の増殖および分化を刺激するために使用され得、これは、早
熟の新生児におけるヒアリン膜疾患(新生児呼吸窮迫症候群および気管支肺形成
異常)のような疾患を処置または予防することを補助し得る。
【0308】 BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、肝細胞の増殖および分化を刺
激し得、それによって肝臓の疾患および病理(例えば、肝硬変により引き起こさ
れる劇症肝不全)、ウイルス性肝炎および毒性物質(すなわち、アセトアミノフ
ェン、四塩化炭素および当該分野において公知の他の肝臓毒素)により引き起こ
される肝臓の損傷を軽減または処置するために使用され得る。
【0309】 さらに、BMPポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、糖尿病の発症を処置
または予防するために使用され得る。I型およびII型糖尿病と新規に診断され
た患者において、いくらかの島細胞機能が残っている場合、BMPポリヌクレオ
チドまたはポリペプチドは、この疾患の永続的な悪化を軽減、遅延または予防す
るように、島機能を維持するために使用され得る。また、BMPポリヌクレオチ
ドまたはポリペプチドは、島細胞の機能を改善または促進するために、島細胞の
移植において補助として使用され得る。
【0310】 (過剰増殖性障害) ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、新生物を含む過剰増殖性障害を処置
または検出するために使用され得る。本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオ
チドは、直接的相互作用または間接的相互作用を介して障害の増殖を阻害し得る
。あるいは、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、過剰増殖性障害
を阻害し得る他の細胞を増殖させ得る。
【0311】 例えば、免疫応答を増加させることによって、特に過剰増殖性障害の抗原性の
質を上げることによって、またはT細胞の増殖、分化、もしくは移動によって、
過剰増殖性障害は処置され得る。この免疫応答は、既存の免疫応答を増強させる
かまたは新たな免疫応答を開始させるかのいずれかによって上昇され得る。ある
いは、免疫応答の減少はまた、化学療法剤のような過剰増殖性障害を処置する方
法であり得る。
【0312】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドにより処置され得るかまたは検
出され得る過剰増殖性障害の例には、以下に位置する新生物が含まれるがこれら
に限定されない:腹部、骨、乳房、消化器系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副
腎、上皮小体、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭部および頸部、神
経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤、皮膚、軟組織、脾臓、胸部、ならびに
泌尿生殖器。
【0313】 同様に、他の過剰増殖性障害もまた、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペ
プチドにより処置または検出され得る。このような過剰増殖性障害の例としては
、以下が挙げられるがこれらに限定されない:高ガンマグロブリン血症、リンパ
球増殖性障害、パラプロテイン血症、紫斑、サルコイドーシス、セザリー症候群
、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ゴーシェ病、組織球増殖症、お
よび任意の他の過剰増殖性疾患、加えて上記に列挙した器官系に位置する新生物
【0314】 (感染性疾患) 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、感染因子を処置または検出
するために用いられ得る。例えば、免疫応答を上昇させることによって、特にB
細胞および/またはT細胞の増殖および分化を増加させることによって、感染性
疾患が処置され得る。免疫応答は、既存の免疫応答を上昇させるか、または新た
な免疫応答を開始させるかのいずれかにより上昇され得る。あるいは、本発明の
ポリペプチドまたはポリヌクレオチドはまた、必ずしも免疫応答を誘発すること
なく、感染因子を直接阻害し得る。
【0315】 ウイルスは、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドにより処置または
検出され得る疾患あるいは症状を引き起こし得る感染因子の一例である。ウイル
スの例としては、以下のDNAおよびRNAウイルス科が挙げられるがこれらに
限定されない:アルボウイルス、アデノウイルス科、アレナウイルス科、アルテ
リウイルス、ビルナウイルス科、ブンヤウイルス科、カリチウイルス科、サルコ
ウイルス科(Circoviridae)、コロナウイルス科、フラビウイルス
科、ヘパドナウイルス科(肝炎)、ヘルペスウイルス科(例えば、サイトメガロ
ウイルス、単純ヘルペス、帯状ヘルペス)、モノネガウイルス(Mononeg
avirus)(例えば、パラミクソウイルス科、モルビリウイルス、ラブドウ
イルス科)、オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザ)、パポバウイ
ルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科(例えば
、痘瘡またはワクシニア)、レオウイルス科(例えば、ロタウイルス)、レトロ
ウイルス科(HTLV−I、HTLV−II、レンチウイルス)、およびトガウ
イルス科(例えば、ルビウイルス属)。これらの科内に入るウイルスは、以下を
含むがこれらに限定されない種々の疾患または症状を引き起こし得る:関節炎、
細気管支炎(bronchiollitis)、脳炎、眼性感染症(例えば、結
膜炎、角膜炎)、慢性疲労症候群、肝炎(A型、B型、C型、E型、慢性活動性
、デルタ)、髄膜炎、日和見感染症(例えば、AIDS)、肺炎、バーキットリ
ンパ腫、水痘、出血熱、麻疹、流行性耳下腺炎、パラインフルエンザ、狂犬病、
感冒、ポリオ、白血病、風疹、性感染症、皮膚病(例えば、カポージ、いぼ)、
およびウイルス血症。本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを用いて、
任意のこれらの症状もしくは疾患が処置または検出され得る。
【0316】 同様に、疾患または症状を引き起こし得、かつ本発明のポリヌクレオチドもし
くはポリペプチドによって処置または検出され得る細菌性因子あるいは真菌性因
子は、以下のグラム陰性およびグラム陽性細菌ファミリーおよび真菌類を含むが
これらに限定されない:Actinomycetales(例えば、Coryn
ebacterium、Mycobacterium、Norcardia)、
Aspergillosis、Bacillaceae(例えば、Anthra
x、Clostridium)、Bacteroidaceae、Blasto
mycosis、Bordetella、Borrelia、Brucello
sis、Candidiasis、Campylobacter、Coccid
ioidomycosis、Cryptococcosis、Dermatoc
ycoses、Enterobacteriaceae(Klebsiella
、Salmonella、Serratia、Yersinia)、Erysi
pelothrix、Helicobacter、Legionellosis
、Leptospirosis、Listeria、Mycoplasmata
les、Neisseriaceae(例えば、Acinetobacter、
Gonorrhea、Menigococcal)、Pasteurellac
eaの感染症(例えば、Actinobacillus、Heamophilu
s、Pasteurella)、Pseudomonas、Rickettsi
aceae、Chlamydiaceac、Syphilis、およびStap
hylococcal。これらの細菌または真菌のファミリーは、以下を含むが
これらに限定されない疾患または症状を引き起こし得る:菌血症、心内膜炎、眼
感染症(結膜炎、結核、ブドウ膜炎)、歯肉炎、日和見感染症(例えば、AID
Sに関連した感染症)、爪周囲炎、プロテーゼ関連感染症、ライター病、気道感
染症(例えば、百日咳または蓄膿症)、敗血症、ライム病、ネコ引っ掻き病、赤
痢、パラチフス熱、食中毒、腸チフス、肺炎、淋病、髄膜炎、クラミジア、梅毒
、ジフテリア、ライ病、パラ結核、結核、狼瘡、ボツリヌス中毒、壊疽、破傷風
、膿痂疹、リウマチ熱、猩紅熱、性感染病、皮膚病(例えば、蜂巣炎、皮膚真菌
症(dermatocycoses))、毒血症、尿路感染症、創傷感染症。本
発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを用いて、任意のこれらの症状もし
くは疾患を処置または検出し得る。
【0317】 さらに、本発明のポリヌクレオチドもしくはポリペプチドにより処置または検
出され得る疾患あるいは症状を引き起こす寄生生物性因子としては以下のファミ
リーが挙げられるがこれらに限定されない:アメーバ、バベシア、コクシジウム
、クリプトスポリジウム、二核アメーバ(Dientamoebiasis)、
交疫、外部寄生生物、ジアルジア鞭毛虫、蠕虫、リーシュマニア、タイレリア、
トキソプラスマ、トリパノソーマ、およびトリコモナス。これらの寄生生物は、
以下を含むがこれらに限定されない種々の疾患または症状を引き起こし得る:疥
癬、ツツガムシ病、眼性感染症、腸疾患(例えば、赤痢、ジアルジア鞭毛虫症)
、肝臓疾患、肺疾患、日和見感染症(例えば、AIDS関連)、マラリア、妊娠
合併症、およびトキソプラスマ。本発明のポリペプチドもしくはポリヌクレオチ
ドを用いて、任意のこれらの症状または疾患を処置あるいは検出し得る。
【0318】 好ましくは、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを用いる処置は、
患者に有効量のポリペプチドを投与するか、または患者から細胞を取り出して、
本発明のポリヌクレオチドをこの細胞に供給し、そして患者に操作した細胞を戻
す(エキソビボ治療)かのいずれかによるものであり得る。さらに、本発明のポ
リペプチドまたはポリヌクレオチドはワクチン中の抗原として用いられて、感染
性疾患に対する免疫応答を惹起し得る。
【0319】 (再生) 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを用いて、細胞を分化させ、増
殖させ、そして誘引して、組織の再生を導き得る(Science 276:5
9−87(1997)を参照のこと)。組織の再生を用いて、先天性欠損、外傷
(創傷、熱傷、切開、または潰瘍)、加齢、疾患(例えば、骨粗鬆症、変形性関
節炎(osteocarthritis)、歯周病、肝不全)、美容形成手術を
含む手術、線維症、再灌流傷害、もしくは全身性サイトカイン損傷により損傷を
受けた組織を修復、置換、または保護し得る。
【0320】 本発明を用いて再生し得る組織としては、以下が挙げられる:器官(例えば、
膵臓、肝臓、腸、腎臓、皮膚、内皮)、筋肉(平滑筋、骨格筋、または心筋)、
血管系(血管およびリンパ管を含む)、神経、造血、および骨格(骨、軟骨、腱
、および靭帯)の組織。好ましくは、再生は、瘢痕なく、または瘢痕が低減され
て生じる。再生はまた、新脈管形成を含み得る。
【0321】 さらに、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、治癒するのが困難
な組織の再生を増加し得る。例えば、腱/靭帯再生を増大させることによって、
損傷後の回復時間が早まる。本発明の本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドはまた、損傷を回避する試みにおいて予防的に使用され得る。処置され得る
特定の疾患は、腱炎、手根管症候群、および他の腱欠損または靭帯欠損を含む。
非治癒創傷の組織再生のさらなる例は、褥瘡性潰瘍、ならびに脈管不全、外科的
創傷、および外傷性創傷に関連する潰瘍を含む。
【0322】 同様に、神経および脳組織はまた、神経細胞を増殖および分化させるために本
発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを使用することによって再生され得
る。本方法を用いて処置され得る疾患は、中枢神経系疾患および末梢神経系疾患
、神経障害、または機械的および外傷性障害(例えば、脊髄障害、頭部外傷、脳
血管疾患、および発作(stoke))を含む。詳細には、末梢神経傷害と関連
する疾患、末梢神経障害(例えば、化学療法または他の医学的療法から生じる)
、局在神経障害、および中枢神経系疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキン
ソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、およびシャイ−ドレーガー症候
群)はすべて、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを用いて処置され
得る。
【0323】 (走化性) 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、走化性活性を有し得る。走
化性分子は、細胞(例えば、単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、肥満細胞、好
酸球、上皮細胞、および/または内皮細胞)を、身体中の特定の部位(例えば、
炎症、感染、または過剰増殖の部位)に誘引または駆動する。次いで、駆動した
細胞は、特定の外傷または異常性を撃退および/または治癒し得る。
【0324】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、特定の細胞の走化性活性を
増大し得る。次いで、これらの走化性分子を使用して、身体中の特定の位置に標
的化した細胞の数を増加させることによって、炎症、感染、過剰増殖性障害、ま
たは任意の免疫系障害を処置し得る。例えば、走化性分子を使用して、傷害を受
けた位置に免疫細胞を誘引することによって、組織に対する創傷および他の外傷
を処置し得る。本発明の走化性分子はまた、線維芽細胞を誘引し得、これは創傷
を処置するために使用され得る。
【0325】 本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドが走化性活性を阻害し得ること
もまた意図される。これらの分子はまた、障害を処置するために使用され得る。
従って、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、走化性のインヒビタ
ーとして使用され得る。
【0326】 (結合活性) 本発明のポリペプチドは、このポリヌクレオチドに結合する分子、またはこの
ポリヌクレオチドが結合する分子をスクリーニングするために使用され得る。こ
のポリペプチドおよび分子の結合は、結合したポリペプチドまたは分子の活性を
活性化(アゴニスト)、増大、阻害(アンタゴニスト)、または減少させ得る。
そのような分子の例としては、抗体、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えば
、リガンドおよびレセプター)、または低分子が挙げられる。
【0327】 好ましくは、この分子は、このポリペプチドの天然のリガンド(例えば、リガ
ンドのフラグメント)、または天然の基質、リガンド、構造的模倣物、もしくは
機能的模倣物に密接に関連する(Coliganら、Current Prot
ocols in Immunology 1(2):第5章(1991)を参
照のこと)。同様に、この分子は、このポリペプチドが結合する天然のレセプタ
ー、または少なくともこのポリペプチドによって結合され得るレセプターのフラ
グメント(例えば、活性部位)に密接に関連し得る。いずれの場合においても、
この分子は、公知の技術を用いて合理的に設計され得る。
【0328】 好ましくは、これらの分子についてのスクリーニングは、このポリペプチドを
、分泌タンパク質としてまたは細胞膜上でのいずれかで発現する適切な細胞を産
生する工程を包含する。好ましい細胞としては、哺乳動物、酵母、Drosop
hila、またはE.coli由来の細胞が挙げられる。次いで、このポリペプ
チドを発現する細胞(または、発現されたポリペプチドを含む細胞膜)は、好ま
しくは、このポリペプチドまたはこの分子のいずれかの結合、刺激、または活性
の阻害を観察するための分子を潜在的に含む試験化合物と接触される。
【0329】 アッセイは、このポリペプチドへの候補化合物の結合を単純に試験し得、ここ
で、結合は、標識によって、または標識された競合物との競合に関するアッセイ
において検出される。さらに、アッセイは、候補化合物がこのポリペプチドへの
結合によって生成されるシグナルを生じるか否かを試験し得る。
【0330】 あるいは、アッセイは、細胞を含まない調製物、固体支持体に接着されたポリ
ペプチド/分子、化学ライブラリー、または天然産物の混合物を用いて実施され
得る。アッセイはまた、ポリペプチドを含む溶液を候補化合物と混合する工程、
ポリペプチド/分子の活性または結合を測定する工程、およびこのポリペプチド
/分子の活性または結合を、標準物と比較する工程を単純に包含し得る。
【0331】 好ましくは、ELISAアッセイは、モノクローナル抗体またはポリクローナ
ル抗体を用いて、サンプル(例えば、生物学的サンプル)におけるポリペプチド
のレベルまたは活性を測定し得る。この抗体は、ポリペプチドへの直接的もしく
は間接的な結合のいずれか、または基質に対するこのポリペプチドとの競合によ
って、このポリペプチドのレベルまたは活性を測定し得る。
【0332】 これらの上記のアッセイの全ては、診断マーカーまたは予後マーカーとして使
用され得る。これらのアッセイを用いて発見される分子は、このポリペプチド/
分子を活性化または阻害することによって、疾患を処置するか、または患者にお
ける特定の結果(例えば、血管増殖)をもたらすために使用され得る。さらに、
アッセイは、適切に操作された細胞または組織からのこのポリペプチドの産生を
阻害または増強し得る因子を発見し得る。
【0333】 従って、本発明は、以下の工程を含む本発明のポリペプチドに結合する化合物
を同定する方法を包含する:(a)候補結合化合物を本発明のポリペプチドとと
もにインキュベートする工程;および(b)結合が生じたか否かを決定する工程
。さらに、本発明は、以下の工程を含むアゴニスト/アンタゴニストを同定する
方法を包含する:(a)候補化合物を本発明のポリペプチドとともにインキュベ
ートする工程、(b)生物学的活性をアッセイする工程、および(b)このポリ
ペプチドの生物学的活性がそれぞれ改変されているか否かを決定する工程。
【0334】 (アンチセンスおよびリボザイム(アンタゴニスト)) 特定の実施態様において、本発明に従うアンタゴニストは、配列番号1に含ま
れる配列またはその相補鎖に、ならびに/あるいは寄託されたクローンBMPに
含まれるヌクレオチド配列に対応する核酸である。1つの実施態様において、ア
ンチセンス配列は、生物によって内部的に作製され、別の実施態様において、こ
のアンチセンス配列は、別に投与される(例えば、O’Connor、Neur
ochem.56:560(1991).Oligodeocynucleot
ides as Antisense Inhibitors of Gene
Expression、CRC Press、Boca Raton、FL(
1988)を参照のこと)。アンチセンス技術は、アンチセンスDNAまたはR
NAを通じてか、または三重ヘリックス形成を通じて、遺伝子発現を制御するた
めに使用され得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano、Neuroch
em.56:560(1991);Oligodeocynucleotide
s as Antisense Inhibitors of Gene Ex
pression、CRC Press、Boca Raton、FL(198
8)に記載される。三重ヘリックス形成は、例えば、Leeら、Nucleic
Acids Research、6:3073(1979);Cooneyら
、Science、241:456(1988);およびDervanら、Sc
ience、251:1300(1991)に記載される。これらの方法は、相
補的なDNAまたはRNAへのポリヌクレオチドの結合に基づく。
【0335】 例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コー
ド領域は、約10〜40塩基対の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチド
を設計するために使用され得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する
遺伝子の領域に相補的であるように設計され、それによってこのレセプターの転
写および産生を妨げる。このアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビ
ボでmRNAにハイブリダイズし、そしてこのmRNA分子のレセプターポリペ
プチドへの翻訳をブロックする。
【0336】 1つの実施態様において、本発明のBMPアンチセンス核酸は、外因性配列か
らの転写によって細胞内で産生される。例えば、ベクターまたはその部分は、転
写され、このことは、本発明のアンチセンス核酸(RNA)を生じる。このよう
なベクターは、BMPアンチセンス核酸をコードする配列を含む。このようなベ
クターは、所望のアンチセンスRNAを産生するように転写され得る限り、エピ
ソーム性のままであるか、または染色体に組み込まれる。このようなベクターは
、当該分野で標準的な組換えDNA技術方法によって構築され得る。ベクターは
、脊椎動物細胞における複製および発現に使用される、プラスミド、ウイルスま
たは当該分野において公知の他の物であり得る。BMPをコードする配列、また
はそのフラグメントの発現は、脊椎動物細胞(好ましくは、ヒト細胞)において
作用する、当該分野において公知の任意のプロモーターによってであり得る。こ
のようなプロモーターは、誘導性または構成的であり得る。このようなプロモー
ターには、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChamb
on、Nature、29:304〜310(1981)、ラウス肉腫ウイルス
の3’長末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら、Cell、2
2:787〜797(1980)、ヘルペスチミジンプロモーター(Wagne
rら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、78:1441〜1
445(1981)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら
、Nature、296:39〜42(1982))などが挙げられるがこれら
に限定されない。
【0337】 本発明のアンチセンス核酸は、アポトーシス関連遺伝子のRNA転写物うちの
少なくとも一部に相補的な配列を含む。しかし、完全な相補性が好まれるが、必
要とされない。本明細書中でいわれる、「RNAの少なくとも一部に相補的な」
配列は、RNAとハイブリダイズし、安定な二重鎖を形成し得るに十分な相補性
を有する配列を意味する;二本鎖BMPアンチセンス核酸の場合、従って、二重
鎖DNAの一本鎖が、試験され得るか、または三重鎖形成がアッセイされ得る。
ハイブリダイズする能力は、アンチセンス核酸の相補性および長さの両方の程度
に依存する。一般に、ハイブリダイズする核酸が長いほど、BMP RNAとの
より多くの塩基のミスマッチが許容され、それは、安定な二重鎖(または場合に
よっては三重鎖)を含み得、なおそれを形成し得る。当業者は、ハイブリダイズ
した複合体の融点を決定するための標準的な手順の使用によって、ミスマッチの
耐容可能な程度を確認し得る。
【0338】 メッセージの5’末端(例えば、AUG開始コドンまでの、およびこれを含む
5’非翻訳配列)に相補的なオリゴヌクレオチドは、翻訳を阻害する際に最も効
率的に作用する。しかし、mRNAの3’非翻訳配列に相補的な配列も同様に、
mRNAの翻訳を阻害する際に効果的であることが示されている。一般的には、
Wagner,R.、Nature、372:333〜335(1994)を参
照のこと)。従って、図1に示されるBMPの5’または3’の翻訳されない非
コード領域のいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドは、アンチセンスアプロー
チにおいて内因性BMP mRNAの翻訳を阻害するために使用され得る。この
mRNAの5’非翻訳領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、AUG開始コドン
の相補物を含む。mRNAコード領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチ
ドは、翻訳のより非効率的なインヒビターであるが、本発明に従って使用され得
る。BMP mRNAの5’領域、3’領域またはコード領域にハイブリダイズ
するように設計される場合、アンチセンス核酸は、少なくとも6個のヌクレオチ
ドの長さであり、そして好ましくは、6〜約50個のヌクレオチドの長さの範囲
のオリゴヌクレオチドである。特定の局面において、このオリゴヌクレオチドは
、少なくとも10個のヌクレオチド、少なくとも17個のヌクレオチド、少なく
とも25個のヌクレオチドまたは少なくとも50個のヌクレオチドである。
【0339】 本発明のポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAあるいはそれらのキメラ混
合物または誘導体または改変バージョンの一本鎖または二本鎖であり得る。この
オリゴヌクレオチドは、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションなどを
改善するために、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格にて改変され得る。この
オリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付加された基(例えば、インビボ
で宿主細胞のレセプターを標的とするため)、または細胞膜(例えば、Lets
ingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86、6
553〜6556(1989);Lemaitreら、Proc.Natl.A
cad.Sci.84:648〜652(1987);PCT公開番号:WO8
8/09810(1988年12月15日に公開)を参照のこと)もしくは血液
脳関門(例えば、PCT公開番号:WO89/10134(1988年4月25
日に公開)を参照のこと)を横切る輸送を容易にする薬剤、ハイブリダイゼーシ
ョン誘発切断剤(例えば、Krolら、BioTechniques、6:95
8〜976(1988)を参照のこと)またはインターカレート剤(例えば、Z
on、Pharm.Res.5:539〜549(1988)を参照のこと)を
含み得る。この目的のために、このオリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、
ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーショ
ン誘発(triggered)切断剤など)に結合体化され得る。
【0340】 このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下を含むがこれらに限定されない
郡から選択される、少なくとも1つの改変された塩基部分を含み得る:5−フル
オロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル
、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒド
ロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリ
ジン、5−カルボキシメチルウアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−
D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−
メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチル
アデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N
6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウウラシル、5−
メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5
φ−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチ
オ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブ
トキシン、シュードウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−
2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル
、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)
、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシ
プロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。
【0341】 このアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、少なくとも1つの改変糖部分を
含み得る。この糖部分は、アラビノース、2−フルオロアラビノース、キシルロ
ース、およびヘキソースを含むが、これらに限定されない群から選択される。
【0342】 なお別の実施態様では、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも
1つの改変リン酸骨格を含む。この改変リン酸骨格は、ホスホロチオエート、ホ
スホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホ
ルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、およびホ
ルムアセタール、またはそれらのアナログを含むが、これらに限定されない群か
ら選択される。
【0343】 なお別の実施態様では、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、a−アノマ
ーオリゴヌクレオチドである。a−アノマーオリゴヌクレオチドは、相補的なR
NAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、ここでは、通常のb−単位とは反
対に、鎖は、互いに対して平行に進行する(Gautierら、Nucl.Ac
ids Res.15:6625−6641(1987))。このオリゴヌクレ
オチドは、2¢−O−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、Nucl.Ac
ids Res.、15:6131−6148(1987))、またはキメラR
NA−DNAアナログ(Inoueら、FEBS Lett.、215:327
−330(1987))である。
【0344】 本発明のポリヌクレオチドは、当該分野で公知の標準的な方法(例えば、自動
化DNA合成器(例えば、Biosearch、Applied Biosys
temsなどから市販される自動化DNA合成器)の使用による)によって合成
され得る。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドがSteinらの方
法によって合成され得(Nucl.Acids Res.、16:3209(1
988))、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドが制御孔ガラスポリマー支
持体の使用によって調製され得る(Sarinら、Proc.Natl.Aca
d.Sci.U.S.A.、85:7448−7451(1988))などする
【0345】 BMPコード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが使用され得るが
、転写された非翻訳領域に対して相補的なアンチセンスヌクレオチドが最も好ま
しい。
【0346】 本発明による可能なアンタゴニストはまた、触媒性RNA、またはリボザイム
を含む(例えば、PCT国際公開WO90/11364(1990年10月4日
公開;Sarverら、Science、247:1222−1225(199
0)を参照のこと)。部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイムがB
MP mRNAを破壊するために使用され得るが、ハンマーヘッドリボザイムの
使用が好ましい。ハンマーへッドリボザイムは、標的mRNAと相補的塩基対を
形成する隣接領域によって決定される位置でmRNAを切断する。ただ1つの要
件は、標的mRNAが以下の2塩基配列5’−UG−3’を有することである。
ハンマーヘッドリボザイムの構築および生成は、当該分野で周知であり、そして
HaseloffおよびGerlach、Nature、334:585−59
1(1988)においてより十分に記載されている。BMPのヌクレオチド配列
内には、多数の可能なハンマーヘッドリボザイム切断部位が存在する(図1)。
好ましくは、このリボザイムは、切断認識部位がBMP mRNAの5’末端近
傍に位置するように、すなわち、効率を増大させ、そして非機能的mRNA転写
物の細胞内蓄積を最少化するように、操作される。
【0347】 アンチセンスアプローチにおけるように、本発明のリボザイムは、改変オリゴ
ヌクレオチド(例えば、安定性の改善、標的化などのため)で構成され得、そし
てインビボでBMPを発現する細胞に送達されるはずである。このリボザイムを
コードするDNA構築物は、DNAをコードするアンチセンスの導入について上
述したのと同じ様式で、細胞に導入され得る。好ましい送達方法は、強い構成性
プロモーター(例えば、pol IIIプロモーターまたはpol IIプロモ
ーターのような)の制御下で、このリボザイムを「コードする」DNA構築物を
使用し、トランスフェクト細胞が、内因性のBMPメッセージを破壊し、そして
翻訳を阻害するのに十分な量のリボザイムを生成することを包含する。リボザイ
ムは、アンチセンス分子とは異なって触媒性であるので、より低い細胞内濃度が
効率化のために必要とされる。
【0348】 (他の活性) 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドはまた、先に議論されるように
造血系統に加えて、胚性幹細胞の分化もしくは増殖を増加または減少し得る。
【0349】 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドはまた、哺乳動物の特徴(例え
ば、身長、体重、毛の色、眼の色、皮膚、脂肪組織の割合、色素沈着、大きさ、
および形(例えば、美容外科)、を調節するために使用され得る。同様に、本発
明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、異化作用、同化作用、プロセシン
グ、利用、およびエネルギーの貯蔵に影響を及ぼす哺乳動物の代謝を調節するた
めに使用され得る。
【0350】 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、バイオリズム、カリカディ
ック(caricadic)リズム、うつ病(抑うつ性障害を含む)、暴力の傾
向、痛みへの耐性、生殖能力(好ましくは、アクチビンまたはインヒビン様活性
によって)、ホルモンレベルもしくは内分泌レベル、食欲、性欲、記憶、ストレ
ス、または他の認知の質に影響を及ぼすことによって、哺乳動物の精神状態また
は身体状態を変更するために使用され得る。
【0351】 本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドはまた、例えば、貯蔵能力、脂
肪含有量、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、補因子、または
他の栄養成分を増加または減少させるような食品添加物または保存剤として使用
され得る。
【0352】 (他の好ましい実施態様) 本願発明の他の好ましい実施態様は、配列番号Xのヌクレオチド配列中の少な
くとも約50の連続したヌクレオチドの配列に、少なくとも95%同一であるヌ
クレオチド配列を含む、単離された核酸分子を含み、ここで、Xは表1に規定さ
れるような任意の整数である。
【0353】 上記連続したヌクレオチドの配列が、表1中の配列番号Xについて規定される
ような、ほぼクローン配列の5’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで始まり、
そしてほぼクローン配列の3’ヌクレオチドの位置のヌクレオチドで終わる位置
の範囲で、配列番号Xのヌクレオチド配列に含まれる、核酸分子もまた好ましい
【0354】 配列番号Xのヌクレオチド配列中の少なくとも約150の連続したヌクレオチ
ドの配列に、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された
核酸分子もまた好ましい。
【0355】 配列番号Xのヌクレオチド配列中の少なくとも約500の連続したヌクレオチ
ドの配列に、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された
核酸分子はさらに好ましい。
【0356】 さらに好ましい実施態様は、配列番号Xの完全なヌクレオチド配列に、少なく
とも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0357】 ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で核酸分子にハイブリダイ
ズする単離された核酸分子もまた好ましく、ここで上記のハイブリダイズする核
酸分子は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、A残基のみま
たはT残基のみからなるヌクレオチド配列を有する核酸分子にハイブリダイズし
ない。
【0358】 表1におけるcDNAクローンIDによって同定されるヒトcDNAクローン
を含むDNA分子を含む物質の組成物もまた好ましく、このDNA分子は、アメ
リカンタイプカルチャーコレクションに寄託された物質中に含まれ、そして上記
のcDNAクローンIDについて表1中に示される所定のATCC受託番号を与
えられている。
【0359】 表1中のcDNAクローンIDによって同定されるヒトcDNAクローンのヌ
クレオチド配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも
95%同一であるヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子もまた好ましく、
このDNA分子は表1において示されるATCC受託番号を付与された寄託物中
に含まれる。
【0360】 上記の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列が、上記ヒトcDNAク
ローンによってコードされる完全なオープンリーディングフレームの配列のヌク
レオチド配列中に含まれる、単離された核酸分子もまた好ましい。
【0361】 配列番号Xの配列を含む上記ヒトcDNAによってコードされるかまたはAT
CCに受託されたクローンに含まれるヌクレオチド配列中の少なくとも150の
連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を
含む、単離された核酸分子もまた好ましい。
【0362】 さらに好ましい実施態様は、上記ヒトcDNAクローンによってコードされる
ヌクレオチド配列中の少なくとも500の連続したヌクレオチドの配列に少なく
とも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子である。
【0363】 さらに好ましい実施態様は、上記ヒトcDNAクローンによってコードされる
完全なヌクレオチド配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む
、単離された核酸分子である。
【0364】 さらに好ましい実施態様は、以下からなる群から選択される配列中の少なくと
も50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチ
ド配列を含む核酸分子を、生物学的サンプルにおいて検出するための方法である
:配列番号Xのヌクレオチド配列であって、ここでXは表1において規定される
ような任意の整数である;および表1中のcDNAクローンIDによって同定さ
れ、そして表1において上記cDNAクローンについて示されるATCC受託番
号を有する寄託物中に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされるヌク
レオチド配列;上記の方法は、上記の群から選択される配列と、上記のサンプル
中の少なくとも1つの核酸分子のヌクレオチド配列とを比較する工程、および上
記サンプル中の上記核酸分子の配列が、上記の選択された配列に対して少なくと
も95%同一であるか否かを決定する工程を包含する。
【0365】 上記の配列を比較する工程が、上記サンプル中の核酸分子と、上記群から選択
された上記の配列を含む核酸分子との間の核酸ハイブリダイゼーションの程度を
決定する工程を包含する、上記方法もまた好ましい。同様に、上記の配列を比較
する工程が、上記サンプル中の核酸分子から決定されるヌクレオチド配列と、上
記群から選択された配列とを比較する工程によって実施される、上記方法もまた
好ましい。核酸分子は、DNA分子またはRNA分子を含み得る。
【0366】 さらに好ましい実施態様は、生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同
定するための方法であって、この方法は、以下からなる群から選択される配列中
の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一である
ヌクレオチド配列を含む上記サンプル中の核酸分子を(もしあれば)検出する工
程を包含する:配列番号Xのヌクレオチド配列であって、ここでXは表1におい
て規定されるような任意の整数である;および表1中のcDNAクローンIDに
よって同定され、そして表1において上記cDNAクローンについて示されるA
TCC受託番号を有する寄託物中に含まれるヒトcDNAクローンによってコー
ドされるヌクレオチド配列。
【0367】 生物学的サンプルの種、組織、または細胞型を同定するための方法は、少なく
とも2つのヌクレオチド配列のパネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検
出する工程を包含し得、ここで上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記群
から選択される配列中の少なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なく
とも95%同一である。
【0368】 表1において同定される分泌タンパク質をコードする遺伝子の異常な構造また
は発現と関連する病理学的状態を、被験体において診断するための方法もまた好
ましく、この方法は、以下からなる群から選択される配列中の少なくとも50の
連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を
含む、核酸分子を、(もしあれば)上記被験体から得られる生物学的サンプルに
おいて検出する工程を包含する:配列番号Xのヌクレオチド配列、ここでXは表
1において規定されるような任意の整数である;および表1中のcDNAクロー
ンIDによって同定され、かつ表1中の上記のcDNAクローンについて示され
るATCC受託番号を有する寄託物に含まれるヒトcDNAクローンによってコ
ードされるヌクレオチド配列。
【0369】 病理学的状態を診断するための方法は、少なくとも2つのヌクレオチド配列の
パネル中のヌクレオチド配列を含む核酸分子を検出する工程を包含し得、ここで
、上記パネル中の少なくとも1つの配列は、上記群から選択される配列中の少な
くとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一である。
【0370】 上記の核酸分子のヌクレオチド配列が、少なくとも2つのヌクレオチド配列の
パネルを含む、単離された核酸分子を含む組成物もまた好ましく、ここで上記の
パネル中の少なくとも1つの配列は、以下からなる群から選択される配列中の少
なくとも50の連続したヌクレオチドの配列に少なくとも95%同一である:配
列番号Xのヌクレオチド配列、ここでXは表1において規定されるような任意の
整数である;および表1中のcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1
中の上記のcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物
に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされるヌクレオチド配列。核酸
分子は、DNA分子またはRNA分子を含み得る。
【0371】 配列番号Yのアミノ酸配列中の少なくとも約10の連続したアミノ酸の配列に
、少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた
好ましく、ここでYは、表1において規定されるような任意の整数である。
【0372】 配列番号Yのアミノ酸配列中の少なくとも約30の連続したアミノ酸の配列に
少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた好
ましい。
【0373】 配列番号Yのアミノ酸配列中の少なくとも約100の連続したアミノ酸の配列
に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドはさら
に好ましい。
【0374】 配列番号Yの完全なアミノ酸配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含
む、単離されたポリペプチドはさらに好ましい。
【0375】 表1中のcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1中の上記のcDN
Aクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれるヒトc
DNAクローンによってコードされるタンパク質の完全なアミノ酸配列において
、少なくとも約7の連続したアミノ酸の配列に少なくとも90%同一のアミノ酸
配列を含む、単離されたポリペプチドはさらに好ましい。
【0376】 表1におけるcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1のこのcDN
Aクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒト
cDNAクローンによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列中の少なくと
も約30の連続的なアミノ酸の配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列
を含む、単離されたポリペプチドもまた、好ましい。
【0377】 表1におけるcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1のこのcDN
Aクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒト
cDNAクローンによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列中の少なくと
も約100の連続的なアミノ酸の配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配
列を含む、単離されたポリペプチドもまた、好ましい。
【0378】 表1におけるcDNAクローンIDによって同定され、かつ表1のこのcDN
Aクローンについて示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれるヒトc
DNAクローンによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列に少なくとも9
5%同一であるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドもまた、好ましい
【0379】 以下からなる群から選択される配列中の、少なくとも7の連続的なアミノ酸の
配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対して特
異的に結合する単離された抗体は、さらに好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列
(ここで、Yは表1で規定される任意の整数である);および表1におけるcD
NAクローンIDによって同定され、かつ表1のこのcDNAクローンについて
示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンに
よってコードされるタンパク質の完全アミノ酸配列。
【0380】 以下からなる群から選択された配列中の、少なくとも7の連続的なアミノ酸の
配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを、生物学
的サンプルにおいて検出する方法はさらに好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列
(ここで、Yは表1で規定される任意の整数である);および表1におけるcD
NAクローンIDによって同定され、かつ表1のこのcDNAクローンについて
示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンに
よってコードされるタンパク質の完全アミノ酸配列;この方法は、このサンプル
中における少なくとも1つのポリペプチド分子のアミノ酸配列をこの群から選択
された配列と比較する工程およびこのサンプル中におけるこのポリペプチド分子
の配列が、少なくとも7の連続的なアミノ酸のこの配列と少なくとも90%同一
であるかどうかを決定する工程を含む。
【0381】 このサンプル中における少なくとも1つのポリペプチド分子のアミノ酸配列を
、この群から選択された配列と比較するこの工程は、このサンプル中のポリペプ
チドの、以下からなる群から選択された配列中の少なくとも7の連続的なアミノ
酸の配列に対して、少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドと特異的に結合する抗体に対する特異的な結合の程度を決定する工程を含む、
上記の方法もまた、好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1に
規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによ
って同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番
号を有する寄託物に含まれるヒトcDNAクローンによってコードされるタンパ
ク質の完全アミノ酸配列。
【0382】 配列を比較する工程が、このサンプル中のポリペプチド分子から決定されたア
ミノ酸配列を、この群から選択された配列と比較することによって行われる、上
記の方法もまた好ましい。
【0383】 生物学的サンプルの種、組織または細胞型を同定する方法もまた好ましく、こ
こでこの方法は、このサンプル中のポリペプチド分子(このポリペプチドは、も
し存在するならば、以下からなる群から選択される配列における少なくとも7の
連続的なアミノ酸の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む)を
検出する工程を含む:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1に規定され
る任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによって同定
されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番号を有す
る寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされる、分泌タンパ
ク質の完全アミノ酸配列。
【0384】 生物学的サンプルの種、組織または細胞型を同定する上記の方法もまた好まし
く、ここでこの方法は、少なくとも2つのアミノ酸配列のパネルにおけるアミノ
酸配列を含むポリペプチド分子を検出する工程を含み、ここでこのパネル中の少
なくとも1つの配列は、上記の群から選択された配列における少なくとも7の連
続的なアミノ酸の配列と少なくとも90%同一である。
【0385】 被験体において、表1において同定された分泌タンパク質をコードする遺伝子
の異常な構造または発現に関連する病理学的状態を診断する方法もまた、好まし
い。ここで、この方法は、この被験体から得られた生物学的サンプルにおいて、
少なくとも2つのアミノ酸配列のパネルにおけるアミノ酸配列を含むポリペプチ
ド分子を検出する工程を含み、ここでこのパネル中の少なくとも1つの配列は、
以下からなる群から選択される配列における少なくとも7の連続的なアミノ酸の
配列と少なくとも90%同一である:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは
表1に規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンI
Dによって同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC
受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされ
るタンパク質の完全アミノ酸配列。
【0386】 これらの方法のいずれかにおいて、このポリペプチド分子を検出する工程は、
抗体を使用することを包含する。
【0387】 以下からなる群から選択された配列中の、少なくとも7の連続的なアミノ酸の
配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列と、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含む、
単離された核酸分子もまた、好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Y
は表1に規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローン
IDによって同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATC
C受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードさ
れるタンパク質の完全アミノ酸配列。
【0388】 ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、原核生物宿主でのこのポリペ
プチドの発現について最適化されている、単離された核酸分子もまた、好ましい
【0389】 ポリペプチドが以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離され
た核酸分子もまた、好ましい:配列番号Yのアミノ酸配列(ここで、Yは表1に
規定される任意の整数である);および表1におけるcDNAクローンIDによ
って同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて示されるATCC受託番
号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンによってコードされるタン
パク質の完全アミノ酸配列。
【0390】 上記の単離された核酸分子のいずれかをベクター中に挿入する工程を含む、組
換えベクターの作製方法はさらに好ましい。この方法によって生成された組換え
ベクターも、好ましい。宿主細胞中にベクターを導入する工程を含む、組換え宿
主細胞を作製する方法、ならびにこの方法によって生成された組換え宿主細胞も
また、好ましい。
【0391】 単離されたポリペプチドを作製する方法であって、このポリペプチドが発現さ
れるような条件下でこの組換え宿主細胞を培養する工程、およびこのポリペプチ
ドを回収する工程を包含する、方法もまた、好ましい。単離されたポリペプチド
を作製するこの方法もまた好ましく、ここでこの組換え宿主細胞は真核生物細胞
であり、そしてこのポリペプチドは、以下からなる群から選択されたアミノ酸配
列を含む、ヒトタンパク質:配列番号Yのアミノ酸配列;および表1におけるc
DNAクローンIDによって同定されかつ表1のこのcDNAクローンについて
示されるATCC受託番号を有する寄託物に含まれる、ヒトcDNAクローンに
よってコードされるタンパク質のアミノ酸配列。この方法によって生成された単
離されたポリペプチドもまた、好ましい。
【0392】 増加したレベルのタンパク質活性を必要とする個体を処置する方法もまた、好
ましい。ここで、この方法は、このような個体に、この個体においてこのタンパ
ク質の活性のレベルを増加させるのに有効な本願発明の単離されたポリペプチド
、ポリヌクレオチド、または抗体の量を含む薬学的組成物を投与する工程を包含
する。
【0393】 概して、本発明を記載してきたが、本発明は、例示の目的のために提供され、
そして限定を意図しない、以下の実施例を参照することによってより容易に理解
される。
【0394】 (実施例) (実施例1:選択されたcDNAクローンの寄託されたサンプルからの単離) 引用されるATCC寄託物中の各cDNAクローンは、プラスミドベクター中
に含まれる。表1は、各クローンが単離されたcDNAライブラリーを構築する
ために用いられたベクターを示す。多くの場合において、ライブラリーを構築す
るために使用されたベクターは、プラスミドが切り出されたファージベクターで
ある。直下の表は、cDNAライブラリーを構築する際に使用される各ファージ
ベクターについて関連するプラスミドを相関づける。例えば、特定のクローンが
ベクター「Lambda Zap」中に単離されていると表1に示される場合、
対応する寄託クローンは、「pBluescript」である。
【0395】
【表2】
【0396】 ベクターLambda Zap(米国特許第5,128,256号および同第
5,286,636号)、Uni−Zap XR(米国特許第5,128,25
6号および同第5,286,636号)、Zap Express(米国特許第
5,128,256号および同第5,286,636号)、pBluescri
pt(pBS)(Shortら、Nucleic Acids Res. 16
:7583−7600(1988);Alting−Meesら、Nuclei
c Acids Res. 17:9494(1989))ならびにpBK(A
lting−Mees、Strategies、5:58−61(1992))
は、Stratagene Cloning Systems,Inc.、11
011 N.Torrey Pines Road、La Jolla,CA,
92037から市販されている。pBSは、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そ
してpBKはネオマイシン耐性遺伝子を含む。両方とも、E.coli株XL−
1 Blue(これもまた、Stratageneから入手可能である)に形質
転換され得る。pBSは、SK+、SK−、KS+およびKSの4形態で入荷す
る。SおよびKとは、ポリリンカー領域(「S」とはSacIであり、そして「
K」とは、KpnIのことであり、これらは、それぞれのリンカーの各末端での
最初の部位である)に隣接するT7およびT3プライマー配列に対するポリリン
カーの配向をいう。「+」または「−」とは、ある方向においてf1 oriか
ら開始される一本鎖レスキューがセンス鎖DNAを生成し、そして他方において
アンチセンスであるようなf1複製起点「ori」の配向をいう。
【0397】 ベクターpSport1、pCMVSport2.0およびpCMVSpor
t3.0は、Life Technologies,Inc.,P.O.Box
6009,Gaithersburg,MD20897から入手した。全てのS
portベクターは、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株D
H10B(これもまた、Life Technologiesから入手可能)中
に形質転換され得る(例えば、Gruber,C.E.ら、Focus 15:
59(1993)を参照のこと)。ベクターラフミド(lafmid)BA(B
ento Soares,Coloumbia University,NY)
は、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli株XL−1 Blue
に形質転換され得る。ベクターpCR(登録商標)2.1(Invitroge
n,1600 Faraday Avenue,Carlsbad,CA 92
008から入手可能)は、アンピシリン耐性遺伝子を含み、そしてE.coli
株DH10B(Life Technologiesから入手可能)中に形質転
換され得る(例えば、Clark,Nuc.Acids Res.,16:96
77−9686(1988)およびMeadら、Bio/Technology
,9(1991)を参照のこと)。好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、
表1中の特定のクローンについて同定されるファージベクター配列、ならびに上
記の対応するプラスミドベクター配列を含まない。
【0398】 任意の所定のcDNAクローンについて表1に列挙されるATCC受託番号を
寄与されたサンプルにおける寄託された材料はまた、各々がこの所定のクローン
とは異なるcDNAクローンを含む、1以上のさらなるプラスミドを含み得る。
従って、同じATCC受託番号を共有する寄託物は、表1に同定される各cDN
Aクローンに対する少なくとも1つのプラスミドを含む。代表的に、表1に列挙
される各ATCC寄託サンプルは、各々が異なるcDNAクローンを含む、ほぼ
等量(重量で)の約50のプラスミドDNAの混合物を含むが;このような寄託
サンプルは、多かれ少なかれ50のcDNAクローン、最大約500のcDNA
クローンについてのプラスミドを含み得る。
【0399】 表1のクローンに引用されたプラスミドDNAの寄託サンプルから特定のクロ
ーンを単離するために2つのアプローチを使用し得る。第一に、プラスミドを、
配列番号Xに対応するポリヌクレオチドプローブを使用してクローンをスクリー
ニングすることによって、直接的に単離する。
【0400】 特に、30〜40ヌクレオチドを有する特定のポリヌクレオチドを、報告され
ている配列に従って、Applied BiosystemsのDNA合成装置
を使用して合成する。オリゴヌクレオチドを、例えば、32P−γ−ATPで、T
4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて標識し、そして慣用の方法に従って精製す
る。(例えば、Maniatisら、Molecular Cloning:A
Laboratory Manual、Cold Spring Harbo
r Press、Cold Spring、NY(1982))。プラスミド混
合物を、当業者に公知の技術(例えば、ベクター供給者によって提供される技術
または上記に引用される関連の刊行物もしくは特許において提供される技術)を
用いて、上記のような適切な宿主(例えば、XL−1 Blue(Strata
gene))に形質転換する。形質転換体を、1.5%寒天プレート(適切な選
択薬剤、例えば、アンピシリンを含む)に1プレートあたり約150の形質転換
体(コロニー)の密度でプレートする。これらのプレートを、細菌コロニースク
リーニングについての慣用の方法(例えば、Sambrookら、Molecu
lar Cloning:A Laboratory Manual、第2版、
(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory
Press、1.93〜1.104頁)または当業者に公知の他の技術に従っ
て、ナイロンメンブレンを使用してスクリーニングする。
【0401】 あるいは、配列番号Xの両端(すなわち、表1に定義されるクローンの5’ヌ
クレオチドおよび3’ヌクレオチドによって囲まれる配列番号Xの領域内)に由
来する、17〜20ヌクレオチドの2つのプライマーを合成し、そしてこれらを
使用して、寄託されたcDNAプラスミドをテンプレートとして使用して、所望
のcDNAを増幅する。ポリメラーゼ連鎖反応を、慣用の条件下で、例えば、0
.5μgの上記cDNAテンプレートとを含む25μlの反応混合物中で実施す
る。慣用の反応混合物は、1.5〜5mM MgCl2、0.01%(w/v)
ゼラチン、それぞれ20μMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP、25
pmolの各プライマーおよび0.25ユニットのTaqポリメラーゼである。
35サイクルのPCR(94℃での変性を1分間;55℃でのアニーリングを1
分間;72℃での伸長を1分間)を、Perkin−Elmer Cetus自
動化サーマルサイクラーを用いて実施する。増幅産物をアガロースゲル電気泳動
により分析し、そして予想される分子量のDNAバンドを切り出し、そして精製
する。PCR産物を、DNA産物をサブクローニングおよび配列決定することに
よって選択された配列であることを確認する。
【0402】 寄託されたクローンに存在しないかもしれない遺伝子の5’非コード部分また
は3’非コード部分の同定のために、いくつかの方法が利用可能である。これら
の方法は、以下を含むがこれらに限定されない:フィルタープローブ探索、特異
的プローブを使用するクローン富化、および当該分野で周知である5’および3
’「RACE」プロトコルと類似するかまたは同一のプロトコル。例えば、5’
RACEに類似する方法は、所望の全長転写物の失われた5’末端を生成するた
めに利用可能である(Fromont−Racineら、Nucl. Acid
s Res.21(7):1683−1684(1993))。
【0403】 簡潔には、特定のRNAオリゴヌクレオチドを、全長遺伝子RNA転写物をお
そらく含むRNAの集団の5’末端に連結する。連結されたRNAオリゴヌクレ
オチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子の公知の配列に特異的なプライ
マーを含む、プライマーセットを使用して、所望の全長遺伝子の5’部分をPC
R増幅する。次いで、この増幅した産物を配列決定し得、そしてこれを使用して
全長遺伝子を生成し得る。
【0404】 この上記の方法は、所望の供給源から単離された総RNAを用いて開始するが
、ポリA+RNAをも使用し得る。次いで、RNA調製物を、必要ならばホスフ
ァターゼで処理して、後のRNAリガーゼ工程を妨害し得る分解RNAまたは損
傷RNA上の5’リン酸基を排除し得る。次いで、このホスファターゼを不活化
するべきであり、そしてこのRNAを、メッセンジャーRNAの5’末端に存在
するキャップ構造を除去するために、タバコ酸性ピロホスファターゼを用いて処
理するべきである。この反応は、次いでT4 RNAリガーゼを用いてRNAオ
リゴヌクレオチドに連結され得る、キャップ切断RNAの5’末端に5’リン酸
基を残す。
【0405】 この改変型RNA調製物を、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドを用いる、第
一鎖cDNA合成のためのテンプレートとして使用する。第一鎖合成反応物を、
連結されたRNAオリゴヌクレオチドに特異的なプライマーおよび目的の遺伝子
の公知の配列に特異的なプライマーを用いる、所望の5’末端のPCR増幅のた
めのテンプレートとして使用する。次いで、得られた産物を配列決定し、そして
分析してその5’末端配列が所望の遺伝子に属することを確認する。
【0406】 (実施例2:ポリヌクレオチドに対応するゲノムクローンの単離) ヒトゲノムP1ライブラリー(Genomic Systems、Inc.)
を、実施例1に記載される方法に従って、配列番号Xに対応するcDNA配列に
ついて選択されたプライマーを用いるPCRによってスクリーニングする(Sa
mbrookら(前出)もまた参照のこと)。
【0407】 (実施例3:ポリペプチドの組織分布) 本発明のポリヌクレオチドのmRNA発現の組織分布を、とりわけ、Samb
rookらによって記載されたノーザンブロット分析についてのプロトコルを用
いて決定する。例えば、実施例1に記載される方法によって生成されるcDNA
プローブを、rediprimeTM DNA標識システム(Amersham
Life Science)を用いて、製造者の指示に従って、32Pで標識する
。標識後、このプローブを、CHROMA SPIN−100TMカラム(Clo
ntech Laboratories、Inc.)を使用して、製造者のプロ
トコル番号PT1200−1に従って精製する。次いで、精製した標識プローブ
を使用して、種々のヒト組織をmRNA発現について試験する。
【0408】 種々のヒト組織(H)またはヒト免疫系組織(IM)(Clontech)を
含む多重組織ノーザン(MTN)ブロットを、ExpressHybTMハイブリ
ダイゼーション溶液(Clontech)を用いて、製造者のプロトコル番号P
T1190−1に従って、標識プローブで試験する。ハイブリダイゼーションお
よび洗浄後、このブロットをマウントして、そして−70℃で一晩フィルムに曝
露し、そしてこのフィルムを標準的な手順に従って現像する。
【0409】 (実施例4:ポリヌクレオチドの染色体マッピング) オリゴヌクレオチドプライマーのセットを、配列番号Xの5’末端の配列に従
って設計する。このプライマーは、好ましくは約100ヌクレオチドにわたる。
次いで、このプライマーセットを、以下のセットの条件下でポリメラーゼ連鎖反
応に使用する:95℃で30秒;56℃で1分;70℃で1分。このサイクルを
32回反復し、次いで1回、70℃で5分間のサイクルを行う。個々の染色体ま
たは染色体フラグメントを含む体細胞ハイブリッドパネル(Bios,Inc)
に加えて、ヒト、マウス、およびハムスターのDNAを鋳型として使用する。反
応物を、8%ポリアクリルアミドゲルまたは3.5%アガロースゲルのいずれか
で分析する。染色体マッピングを、特定の体細胞ハイブリッドにおける約100
bpのPCRフラグメントの存在によって決定する。
【0410】 (実施例5:ポリペプチドの細菌性発現) 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、実施例1に概説する
ように、DNA配列の5’末端および3’末端に対応するPCRオリゴヌクレオ
チドプライマーを使用して増幅して、挿入フラグメントを合成する。cDNA挿
入物を増幅するために使用されるプライマーは、必要に応じて、発現ベクターに
増幅産物をクローニングするために、好ましくは制限部位(例えば、BamHI
およびXbaI)および開始/終止コドンを含むべきである。例えば、BamH
IおよびXbaIは、細菌性発現ベクターpQE−9(Qiagen Inc.
,Chatsworth,CA)の制限酵素部位に対応する。このプラスミドベ
クターは、抗生物質耐性(Ampr)、細菌の複製起点(ori)、IPTGで
調節可能なプロモーター/オペレーター(P/O)、リボソーム結合部位(RB
S)、6−ヒスチジンタグ(6−His)、および制限酵素クローニング部位を
コードする。
【0411】 pQE−9ベクターをBamHIおよびXbaIで消化し、そして、増幅され
たフラグメントを細菌性RBSにおいて開始されるリーディングフレームを維持
しながら、pQE−9ベクターに連結する。次いで連結混合物を、lacIリプ
レッサーを発現し、またカナマイシン耐性(Kanr)を与えるプラスミドpR
EP4の多重コピーを含む、E.coli株M15/rep4(Qiagen,
Inc.)を形質転換するために使用する。形質転換体を、それらがLBプレー
ト上で増殖できる能力によって同定し、そしてアンピシリン/カナマイシン耐性
コロニーを選択する。プラスミドDNAを単離し、そして制限分析によって確認
する。
【0412】 所望の構築物を含むクローンを、Amp(100μg/ml)およびKan(
25μg/ml)の両方を補充したLB培地における液体培養で一晩(O/N)
増殖させる。O/N培養物を、1:100〜1:250の比で大量培養に接種す
るために使用する。この細胞を、0.4と0.6との間の光学密度600(O.
D.600)まで増殖させる。次いで、IPTG(イソプロピル−B−D−チオガ
ラクトピラノシド)を最終濃度1mMになるように加える。IPTGは、lac
Iリプレッサーの不活化によりプロモーター/オペレーターの障害物除去(cl
earing)を誘導し、遺伝子発現の増加を導く。
【0413】 細胞を、さらに3〜4時間増殖させる。次いで、細胞を遠心分離(6000×
gで20分間)によって収集する。細胞ペレットを、カオトロピック剤である6
M 塩酸グアニジン中に、4℃で3〜4時間攪拌することによって可溶化させる
。細胞細片を遠心分離によって取り除き、そしてポリペプチドを含む上清を、ニ
ッケル−ニトリロ−三酢酸(「Ni−NTA」)アフィニティー樹脂カラム(Q
IAGEN,Inc.前出より入手可能)にロードする。6×Hisタグを有す
るタンパク質は、Ni−NTA樹脂に高い親和性で結合し、そして単純な1工程
手順で精製され得る(詳細には、The QIAexpressionist(
1995)QIAGEN,Inc.,前出を参照のこと)。
【0414】 手短に言えば、上清を、6M 塩酸グアニジン(pH8)のカラムにロードし
、このカラムを、最初に10容量の6M 塩酸グアニジン(pH8)で洗浄し、
次いで10容量の6M 塩酸グアニジン(pH6)で洗浄し、最後にポリペプチ
ドを、6M 塩酸グアニジン(pH5)で溶出する。
【0415】 次いで、精製タンパク質を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)または50m
M 酢酸ナトリウム(pH6)の緩衝液+200mM NaClに対して透析す
ることにより再生させる。あるいは、このタンパク質はNi−NTAカラムに固
定化されている間に、首尾よく再折畳みされ得る。推奨条件は以下の通りである
:プロテアーゼインヒビターを含む、500mM NaCl、20%グリセロー
ル、20mM Tris/HCl(pH7.4)中の6M〜1Mの尿素の直線勾
配を使用する再生。再生は1.5時間以上の時間をかけて行うべきである。再生
後、タンパク質を250mM イミダゾールの添加によって溶出させる。イミダ
ゾールを、PBSまたは50mM 酢酸ナトリウム(pH6)の緩衝液+200
mM NaClに対する最終の透析工程によって除去する。この精製タンパク質
を、4℃で保存するか、または−80℃で冷凍する。
【0416】 上記の発現ベクターに加えて、本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドに
作動可能に連結された、ファージのオペレーターエレメントおよびプロモーター
エレメントを含む、pHE4aと呼ばれる発現ベクター(ATCC受託番号20
9645、1998年2月25日に寄託)を含む。このベクターは以下を含む:
1)選択マーカーとしてのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、2)
E.coli複製起点、3)T5ファージプロモーター配列、4)2つのlac
オペレーター配列、5)シャイン−ダルガーノ配列、および6)ラクトースオペ
ロンリプレッサー遺伝子(lacIq)。複製起点(oriC)は、pUC19
(LTI,Gaithersburg,MD)に由来する。プロモーター配列お
よびオペレーター配列は合成的に作製される。
【0417】 NdeIおよびXbaI、BamHI、XhoI、またはAsp718によっ
てベクターを制限処理し、制限産物をゲル上で泳動し、そして大きな方のフラグ
メント(スタッファー(stuffer)フラグメントは約310塩基対である
はずである)を単離することによって、DNAをpHEaに挿入し得る。このD
NA挿入物を、NdeI(5’プライマー)およびXbaI、BamHI、Xh
oI、またはAsp718(3’プライマー)についての制限部位を有するPC
Rプライマーを使用して、実施例1に記載のPCRプロトコールに従って生成す
る。このPCR挿入物を、ゲル精製し、そして適合する酵素で制限処理する。挿
入物およびベクターを標準的なプロトコールに従って連結する。
【0418】 操作されたベクターは、上記のプロトコールにおいて、細菌系でタンパク質を
発現させるために容易に置換され得る。
【0419】 (実施例6:封入体からのポリペプチドの精製) 以下の代替法は、E.coli中で発現されたポリペプチドが封入体の形態で
存在する場合に、このポリペプチドを精製するために使用され得る。他に指定さ
れない場合には、以下のすべての工程は4〜10℃で行われる。
【0420】 E.coli発酵の生産期の完了後、細胞培養物を4〜10℃に冷却し、そし
て15,000rpmの連続遠心分離(Heraeus Sepatech)に
よって細胞を採集する。細胞ペーストの単位重量あたりのタンパク質の予想され
る収量および必要とされる精製タンパク質の量に基づいて、細胞ペーストの適切
な量(重量による)を、100mM Tris、50mM EDTA(pH7.
4)を含む緩衝溶液に懸濁させる。細胞を、高剪断ミキサーを使用して均質な懸
濁液へと分散させる。
【0421】 次いで、細胞をマイクロフルイダイザー(microfluidizer)(
Microfluidics,Corp.またはAPV Gaulin,Inc
.)に2回、4000〜6000psiでこの溶液を通すことによって溶解させ
る。次いで、このホモジネートを、最終濃度0.5M NaClになるようにN
aCl溶液と混合し、続いて7000×gで15分間遠心分離を行う。得られた
ペレットを、0.5M NaCl、100mM Tris、50mM EDTA
(pH7.4)を使用して再度洗浄する。
【0422】 得られた洗浄した封入体を、1.5M 塩酸グアニジン(GuHCl)で2〜
4時間可溶化させる。7000×gで15分間の遠心分離の後、ペレットを廃棄
し、そしてポリペプチドを含む上清を4℃で一晩インキュベートしてさらなるG
uHCl抽出を可能にする。
【0423】 不溶性粒子を除去するための高速遠心分離(30,000×g)に続き、この
GuHCl抽出物と、50mM ナトリウム(pH4.5)、150mM Na
Cl、2mM EDTAを含む20容量の緩衝液とを、激しく攪拌して迅速に混
合することによって、GuHCl可溶化タンパク質を再折り畳みさせる。この再
折り畳みした希釈タンパク質溶液を、さらなる精製工程の前の12時間、混合し
ないで4℃で保つ。
【0424】 再折り畳みされたポリペプチド溶液を清澄化にするために、40mM 酢酸ナ
トリウム(pH6.0)で平衡化した、適切な表面積を有する0.16μmメン
ブレンフィルターを備える、あらかじめ準備した接線濾過ユニット(例えば、F
iltron)を使用する。濾過したサンプルを、カチオン交換樹脂(例えば、
Poros HS−50,Perseptive Biosystems)上に
ロードする。カラムを40mM 酢酸ナトリウム(pH6.0)で洗浄し、そし
て同じ緩衝液中の250mM、500mM、1000mM、および1500mM
NaClで、段階的な様式で溶出する。溶出液の280nmにおける吸光度を
継続的にモニターする。画分を収集し、そしてSDS−PAGEによってさらに
分析する。
【0425】 次いで、このポリペプチドを含む画分をプールし、そして4容量の水と混合す
る。次いで希釈されたサンプルを、あらかじめ準備した強アニオン交換樹脂(P
oros HQ−50,Perseptive Biosystems)および
弱アニオン交換樹脂(Poros CM−20,Perseptive Bio
systems)の直列カラムのセットにロードする。このカラムを40mM
酢酸ナトリウム(pH6.0)で平衡化する。両方のカラムを、40mM 酢酸
ナトリウム(pH6.0)、200mM NaClで洗浄する。次いでCM−2
0カラムを10カラム容量の直線勾配(0.2M NaCl、50mM 酢酸ナ
トリウム(pH6.0)から1.0M NaCl、50mM 酢酸ナトリウム(
pH6.5)の範囲)を用いて溶出させる。画分を、溶出液の定常A280モニタ
リング下で収集する。次いで、(例えば、16% SDS−PAGEによって判
明した)ポリペプチドを含む画分をプールする。
【0426】 この得られたポリペプチドは、上記の再折り畳み工程および精製工程の後で9
5%より高い純度を示すはずである。5μgの精製タンパク質がロードされる場
合、いかなる主な夾雑バンドも、クマシーブルー染色した16% SDS−PA
GEゲルから観察されないはずである。この精製タンパク質はまた、エンドトキ
シン/LPS混入について試験され得、そして代表的には、LPS含量はLAL
アッセイによって、0.1ng/ml未満である。
【0427】 (実施例7:バキュロウイルス発現系におけるポリペプチドのクローニング
および発現) この実施例では、プラスミドシャトルベクターpA2を使用して、ポリヌクレ
オチドをバキュロウイルスに挿入し、ポリペプチドを発現する。この発現ベクタ
ーは、Autographa californica核多核体ウイルス(Ac
MNPV)の強力なポリヘドリンプロモーター、続いてBamHI、XbaI、
およびAsp718のような簡便な制限部位を含む。シミアンウイルス40(「
SV40」)のポリアデニル化部位を、効率的なポリアデニル化のために使用す
る。組換えウイルスの容易な選択のために、このプラスミドは、同方向の弱いD
rosophilaプロモーターの制御下のE.coli由来のβ−ガラクトシ
ダーゼ遺伝子、続いてポリヘドリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを含む。挿
入された遺伝子は、クローン化したポリヌクレオチドを発現する生存可能なウイ
ルスを生成する、野生型ウイルスDNAとの細胞媒介性の相同組換えのためのウ
イルス配列と両方の側で隣接する。
【0428】 他の多くのバキュロウイルスベクター(例えば、pAc373、pVL941
、およびpAcIM1)は、当業者が容易に理解するように、構築物が転写、翻
訳、分泌などのために適切に配置されたシグナル(必要とされる場合、シグナル
ペプチドおよびインフレームなAUGを含む)を提供する限りにおいて、上記の
ベクターの代わりに使用され得る。このようなベクターは、例えば、Lucko
wら、Virology 170:31−39(1989)に記載される。
【0429】 具体的には、寄託されたクローンに含まれるcDNA配列を、適切な制限部位
および開始/終止コドンを含むプライマーを用いて、実施例1に記載されるPC
Rプロトコルを使用して増幅させる。天然に存在するシグナル配列を使用して分
泌タンパク質を産生する場合、pA2ベクターは第2のシグナルペプチドを必要
としない。あるいは、Summersら、「A Manual of Meth
ods for Baculovirus Vectors and Inse
ct Cell Culture Procedures」、Texas Ag
ricultural Experimental Station Bull
etin No. 1555(1987)により記載される標準的な方法を用い
て、このベクターをバキュロウイルスリーダー配列を含むよう改変し得る(pA
2GP)。
【0430】 増幅されたフラグメントを、市販のキット(「Geneclean」、BIO
101 Inc.,La Jolla,CA)を使用して、1%アガロースゲ
ルから単離する。次いで、フラグメントを適切な制限酵素で消化し、そして再び
1%アガロースゲルで精製する。
【0431】 プラスミドを対応する制限酵素で消化し、そして必要に応じて、当該分野で公
知の慣用の手順を用いて、仔ウシ腸ホスファターゼを用いて脱リン酸し得る。次
いで、このDNAを、市販のキット(「Geneclean」BIO 101
Inc.,La Jolla,CA)を使用して、1%アガロースゲルから単離
する。
【0432】 このフラグメントおよび脱リン酸したプラスミドを、T4 DNAリガーゼを
用いて互いに連結する。E.coli HB101またはXL−1 Blue(
Stratagene Cloning Systems,La Jolla,
CA)細胞のような他の適切なE.coli宿主細胞を、連結混合液で形質転換
し、そして培養プレート上に拡げる。プラスミドを含む細菌を、個々のコロニー
由来のDNAを消化し、そして消化産物をゲル電気泳動によって分析することに
より同定する。クローニングしたフラグメントの配列をDNA配列決定によって
確認する。
【0433】 このポリヌクレオチドを含む5μgのプラスミドを、Felgnerら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417(19
87)によって記載されたリポフェクション法を使用して、1.0μgの市販の
線状化バキュロウイルスDNA(「BaculoGoldTM baculovi
rus DNA」,Pharmingen,San Diego,CA)ととも
に同時トランスフェクトする。1μgのBaculoGoldTMウイルスDNA
および5μgのプラスミドを、50μlの無血清グレース培地(Life Te
chnologies Inc.,Gaithersburg,MD)を含む、
マイクロタイタープレートの滅菌したウェル中で混合する。その後、10μlの
リポフェクチンおよび90μlグレース培地を加え、混合し、そして室温で15
分間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合液を、無血清グレ
ース培地1mlを加えた35mm組織培養プレートに播種したSf9昆虫細胞(
ATCC CRL 1711)に滴下して加える。次いでプレートを27℃で5
時間インキュベートする。次いで、トランスフェクション溶液をプレートから除
去し、そして10%ウシ胎仔血清を補充した1mlのグレース昆虫培地を添加す
る。次いで培養を27℃で4日間継続する。
【0434】 4日後上清を収集し、SummersおよびSmith(前出)によって記載
されたようにプラークアッセイを行う。「Blue Gal」(Life Te
chnologies Inc.,Gaithersburg)を含むアガロー
スゲルを、galが発現しているクローン(青色に着色したプラークを生ずる)
の容易な同定および単離を可能にするために使用する。(この型の「プラークア
ッセイ」の詳細な説明はまた、Life Technologies Inc.
,Gaithersburg,9−10頁によって頒布される、昆虫細胞培養お
よびバキュロウイルス学のための使用者ガイドの中に見出され得る)。適切なイ
ンキュベーションの後、青色に着色したプラークをマイクロピペッターのチップ
(例えば、Eppendorf)で拾う。次いで、組換えウイルスを含む寒天を
、200μlのグレース培地を含む微小遠心分離チューブ中で再懸濁させ、そし
て組換えバキュロウイルスを含む懸濁液を使用して、35mmディッシュに播種
したSf9細胞を感染させる。4日後、これらの培養ディッシュの上清を採集し
、次いで4℃に貯蔵する。
【0435】 ポリペプチドの発現を確認するために、10%熱非働化FBSを補充したグレ
ース培地中でSf9細胞を増殖させる。この細胞を、約2の感染多重度(「MO
I」)で、このポリヌクレオチドを含む組換えバキュロウイルスに感染させる。
放射性標識したタンパク質を所望する場合には、6時間後に培地を除去し、そし
てメチオニンおよびシステインを含まないSF900 II培地(Life T
echnologies Inc., Rockville, MDから入手可
能)に置き換える。42時間後、5μCiの35S−メチオニンおよび5μCiの 35 S−システイン(Amershamから入手可能)を添加する。細胞をさらに
16時間インキュベートし、次いで遠心分離によって採集する。上清中のタンパ
ク質ならびに細胞内タンパク質を、SDS−PAGEによって、次いでオートラ
ジオグラフィーによって(放射性標識した場合)分析する。
【0436】 精製タンパク質のアミノ末端のアミノ酸配列の微量配列決定法を使用して、産
生されたタンパク質のアミノ末端配列を決定し得る。
【0437】 (実施例8:哺乳動物細胞におけるポリペプチドの発現) 本発明のポリペプチドを、哺乳動物細胞中で発現させ得る。代表的な哺乳動物
発現ベクターは、mRNAの転写の開始を媒介するプロモーターエレメント、タ
ンパク質コード配列、および転写の終結および転写物のポリアデニル化に必要な
シグナルを含む。さらなるエレメントは、エンハンサー、コザック(Kozak
)配列、および、RNAスプライシングのドナーおよびアクセプター部位に隣接
する介在配列を含む。非常に効率的な転写は、SV40由来の初期および後期プ
ロモーター、レトロウイルス(例えばRSV、HTLV−I、HIV−I)由来
の長末端反復(LTR)、およびサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモ
ーターを用いて達成される。しかし、細胞内エレメント(例えば、ヒトアクチン
プロモーター)もまた、使用され得る。
【0438】 本発明を実施する際の使用に適切な発現ベクターは、例えば、pSVLおよび
pMSG(Pharmacia, Uppsala, Sweden)、pRS
Vcat(ATCC 37152)、pSV2dhfr(ATCC 37146
)、pBC12MI(ATCC 67109)、pCMVSport2.0、な
らびにpCMVSport3.0のようなベクターを含む。使用され得る哺乳動
物宿主細胞としては、ヒトのHela細胞、293細胞、H9細胞およびJur
kat細胞、マウスのNIH3T3細胞およびC127細胞、Cos 1細胞、
Cos 7細胞およびCV1細胞、ウズラのQC1−3細胞、マウスのL細胞、
ならびにチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が挙げられる。
【0439】 あるいは、ポリペプチドは、染色体に組み込まれたポリヌクレオチドを含む、
安定な細胞株中で発現され得る。dhfr、gpt、ネオマイシンまたはハイグ
ロマイシンのような選択可能なマーカーを用いる同時トランスフェクションは、
トランスフェクトされた細胞の同定および単離を可能にする。
【0440】 トランスフェクトされた遺伝子はまた、大量のコードされたタンパク質を発現
するために増幅され得る。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)マーカーは、
目的の遺伝子の数百または数千さえものコピーを有する細胞株の開発に有用であ
る(例えば、Altら、J.Biol.Chem.253:1357−1370
(1978);Hamlinら、Biochem.et Biophys.Ac
ta、1097:107−143(1990);Pageら、Biotechn
ology、9:64−68(1991)を参照のこと)。別の有用な選択マー
カーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(Murphyら、Bioc
hem J.227:277−279(1991);Bebbingtonら、
Bio/Technology 10:169−175(1992))。これら
のマーカーを使用して、哺乳動物細胞を選択培地中で増殖させ、そしてもっとも
高い耐性を有する細胞を選択する。これらの細胞株は、染色体に組み込まれた、
増幅した遺伝子を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)およびNSO細
胞は、タンパク質の産生のためにしばしば使用される。
【0441】 プラスミドpSV2−dhfr(ATCC受託番号37146)の誘導体であ
る、発現ベクターpC4(ATCC受託番号209646)およびpC6(AT
CC受託番号209647)は、ラウス肉腫ウイルス(Cullenら、Mol
ecular and Cellular Biology、438−447(
1985年3月))の強力なプロモーター(LTR)、およびCMV−エンハン
サー(Boshartら、Cell 41:521−530 (1985))の
フラグメントを含む。例えば、BamHI、XbaI、およびAsp718の制
限酵素切断部位を有するマルチプルクローニングサイトは、目的の遺伝子のクロ
ーニングを容易にする。ベクターはまた、3’イントロン、ラットプレプロイン
スリン遺伝子のポリアデニル化および終結シグナル、ならびに、SV40初期プ
ロモーターの制御下にあるマウスDHFR遺伝子を含む。
【0442】 具体的には、例えば、プラスミドpC6は、適切な制限酵素によって消化され
、次いで当該分野で公知の手順に従って、仔ウシ腸ホスファターゼ(phosp
hate)を使用して脱リン酸する。次いで、ベクターを1%アガロースゲルか
ら単離する。
【0443】 本発明のポリヌクレオチドは、必要であれば、適切な制限部位および開始/終
止コドンを有するプライマーを使用して、実施例1に概説するプロトコルに従っ
て増幅される。分泌のために必要であれば、ベクターは異種シグナル配列を含む
ように改変され得る(例えば、WO96/34891を参照のこと)。
【0444】 増幅フラグメントを、市販のキット(「Geneclean」、BIO 10
1 Inc.、La Jolla,Ca.)を使用して1%アガロースゲルから
単離する。次いで、フラグメントを、適切な制限酵素で消化し、そして再び1%
アガロースゲル上で精製する。
【0445】 次いで、増幅フラグメントを同じ制限酵素で消化し、そして1%アガロースゲ
ルで精製する。次いで、単離されたフラグメントおよび脱リン酸したベクターを
、T4 DNAリガーゼで連結する。次いで、E.coli HB101または
XL−1 Blue細胞を形質転換し、そしてプラスミドpC6に挿入されたフ
ラグメントを含む細菌を、例えば、制限酵素分析を用いて同定する。
【0446】 活性なDHFR遺伝子を欠損するチャイニーズハムスター卵巣細胞を、トラン
スフェクションに使用する。5μgの発現プラスミドpC6を、リポフェクチン
を用いて、0.5μgのプラスミドpSVneoとともに同時トランスフェクト
する(Felgnerら、前出)。プラスミドpSV2−neoは、優性選択マ
ーカーであるところの、G418を含む抗生物質の群に対する耐性を付与する酵
素をコードするTn5由来のneo遺伝子を含む。細胞を、1mg/mlのG4
18を補充したαマイナスMEMに播種する。2日後、細胞をトリプシン処理し
、そして10、25、または50ng/mlのメトトレキサートおよび1mg/
mlのG418を補充したαマイナスMEM中のハイブリドーマクローニングプ
レート(Greiner,Germany)中に播種する。約10〜14日後、
単一のクローンをトリプシン処理し、次いで異なる濃度のメトトレキサート(5
0nM、100nM、200nM、400nM、800nM)を使用して、6ウ
ェルのペトリ皿または10mlのフラスコに播種する。次いで、最高濃度のメト
トレキサートで増殖するクローンを、さらに高い濃度のメトトレキサート(1μ
M、2μM、5μM、10mM、20mM)を含む新たな6ウェルプレートに移
す。同じ手順を、100〜200μMの濃度で増殖するクローンが得られるまで
繰り返す。所望の遺伝子産物の発現を、例えば、SDS−PAGEおよびウエス
タンブロットによって、または逆相HPLC分析によって分析する。
【0447】 (実施例9:タンパク質融合物) 本発明のポリぺプチドは、好ましくは、他のタンパク質に融合される。これら
の融合タンパク質は、種々の適用について使用され得る。例えば、本発明のポリ
ぺプチドの、Hisタグ、HAタグ、プロテインA、IgGドメイン、およびマ
ルトース結合タンパク質への融合は、精製を容易にする(実施例5を参照のこと
;EP A 394,827もまた参照のこと;Trauneckerら、Na
ture 331:84−86(1988))。このポリペプチドはまた、分泌
および細胞内輸送を容易にするために、異種ポリペプチド配列(例えば、KDE
L)に融合され得る。さらに、IgG−1、IgG−3、およびアルブミンへの
融合は、インビボでの半減期を増大させる。本発明のポリぺプチドに融合した核
局在化シグナルは、タンパク質を特定の細胞下局在に標的化し得る。一方、共有
結合ヘテロダイマーまたはホモダイマーは、融合タンパク質の活性を増大または
減少させ得る。融合タンパク質はまた、1つより多い機能を有するキメラ分子を
作製し得る。最後に、融合タンパク質は、非融合タンパク質と比較して、融合タ
ンパク質の可溶性および/または安定性を増大させ得る。上記の融合タンパク質
の全ての型は、ポリぺプチドのIgG分子への融合を概説する以下のプロトコル
、または実施例5に記載されるプロトコルを改変することによって作製され得る
【0448】 簡単には、IgG分子のヒトFc部分は、以下に記載の配列の5’および3’
末端にわたるプライマーを使用してPCR増幅され得る。これらのプライマーは
また、発現ベクター(好ましくは、哺乳動物発現ベクター)、および必要であれ
ば、開始/終止コドンへのクローニングを容易にする都合の良い制限酵素部位を
有するべきである。
【0449】 例えば、pC4(受託番号第209646号)が使用される場合、ヒトFc部
分は、BamHIクローニング部位に連結され得る。3’BamHI部位が破壊
されるべきであることに注意のこと。次に、ヒトFc部分を含有するベクターが
、BamHIによって再び制限され、ベクターを線状化し、そして実施例1に記
載するPCRプロトコルによって単離された本発明のポリヌクレオチドが、この
BamHI部位に連結される。ポリヌクレオチドは、終止コドンなしにクローニ
ングされ、そうでなければ、融合タンパク質は産生されないことに注意すること
【0450】 天然に存在するシグナル配列が分泌タンパク質を産生するために使用される場
合、pC4は、第2のシグナルペプチドを必要としない。あるいは、天然に存在
するシグナル配列が使用されない場合、ベクターは、異種シグナル配列を含むよ
うに改変され得る(例えば、WO 96/34891を参照のこと)。
【0451】
【化1】
【0452】 (実施例10:ポリペプチドの処方) ポリペプチド組成物を、個々の患者の臨床状態(特に、分泌形態ポリペプチド
単独処置の副作用)、送達部位、投与方法、投与計画および当業者に公知の他の
因子を考慮に入れ、医療実施基準(good medical practic
e)を遵守する方式で処方および投薬する。従って、本明細書において目的とす
る「有効量」は、このような考慮を行って決定される。
【0453】 一般的提案として、用量当り、非経口的に投与されるポリペプチドの合計薬学
的有効量は、患者体重の、約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲にあ
るが、上記のようにこれは治療的裁量に委ねられる。より好ましくは、このホル
モンについて、この用量は、少なくとも0.01mg/kg/日、そして最も好
ましくはヒトに対して約0.01mg/kg/日と約1mg/kg/日との間で
ある。連続投与する場合、代表的には、ポリペプチドを約1μg/kg/時間〜
約50μg/kg/時間の投薬速度で1日に1〜4回の注射かまたは連続皮下注
入(例えばミニポンプを用いる)のいずれかにより投与する。静脈内用バッグ溶
液もまた使用し得る。変化を観察するために必要な処置期間および応答が生じる
処置後の間隔は、所望の効果に応じて変化するようである。
【0454】 本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物を、経口的、直腸内、非経口的、槽
内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所的(粉剤、軟膏、
ゲル、点滴剤、または経皮パッチによるなど)、口内あるいは経口または鼻腔ス
プレーとして投与する。「薬学的に受容可能なキャリア」とは、非毒性の固体、
半固体または液体の充填剤、希釈剤、被包材または任意の型の製剤補助剤をいう
。本明細書で用いる場合、用語「非経口的」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸
骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与の様式をいう。
【0455】 このポリペプチドはまた、徐放性システムにより適切に投与される。徐放性組
成物の適切な例は、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの成形品の形態の
半透過性ポリマーマトリクスを包含する。徐放性マトリクスとしては、ポリラク
チド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミン
酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら、Bio
polymers 22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.
Res.15:167−277(1981)およびLanger、Chem.T
ech.12:98−105(1982))、エチレンビニルアセテート(R.
Langerら)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,
988)が挙げられる。徐放性組成物はまた、リポソームに封入されたポリペプ
チドを包含する。分泌ポリペプチドを含有するリポソームは、それ自体が公知で
ある方法により調製される(DE3,218,121;Epsteinら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−3692(19
85);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77
:4030−4034(1980);EP52,322;EP36,676;E
P88,046;EP143,949;EP142,641;日本国特許出願第
83−118008号;米国特許第4,485,045号および同第4,544
,545号;ならびにEP第102,324号)。通常、リポソームは、小さな
(約200〜800Å)ユニラメラ型であり、そこでは、脂質含有量は、約30
モル%コレステロールよりも多く、選択された比率が、最適分泌ポリペプチド治
療のために調整される。
【0456】 非経口投与のために、1つの実施態様において、一般的に、このポリペプチド
は、それを所望の程度の純度で、薬学的に受容可能なキャリア、すなわち用いる
投薬量および濃度でレシピエントに対して毒性がなく、かつ処方物の他の成分と
適合するものと、単位投薬量の注射可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で
混合することにより処方される。例えば、この処方物は、好ましくは、酸化剤、
およびポリペプチドに対して有害であることが公知である他の化合物を含まない
【0457】 一般的に、このポリペプチドを液体キャリアまたは微細分割固体キャリアある
いはその両方と均一および緊密に接触させて処方物を調製する。次いで、必要で
あれば、生成物を所望の処方物に成形する。好ましくは、キャリアは、非経口的
キャリア、より好ましくはレシピエントの血液と等張である溶液である。このよ
うなキャリアビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキ
ストロース溶液が挙げられる。不揮発性油およびオレイン酸エチルのような非水
性ビヒクルもまた、リポソームと同様に本明細書において有用である。
【0458】 キャリアは、等張性および化学安定性を高める物質のような微量の添加剤を適
切に含有する。このような物質は、用いる投薬量および濃度でレシピエントに対
して毒性がなく、このような物質としては、ホスフェート、シトレート、サクシ
ネート、酢酸および他の有機酸またはそれらの塩類のような緩衝剤;アスコルビ
ン酸のような抗酸化剤;低分子量(約10残基より少ない)ポリペプチド(例え
ば、ポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチンまたは免
疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマ
ー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンのようなアミノ
酸;セルロースまたはその誘導体、ブドウ糖、マンノースまたはデキストリンを
含む、単糖類、二糖類、および他の糖類;EDTAのようなキレート剤;マンニ
トールまたはソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオン
;および/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGのような非イオ
ン性界面活性剤が挙げられる。
【0459】 このポリペプチドは、代表的には約0.1mg/ml〜100mg/ml、好
ましくは1〜10mg/mlの濃度で、約3〜8のpHで、このようなビヒクル
中に処方される。前述の特定の賦形剤、キャリアまたは安定化剤を使用すること
により、ポリペプチド塩が形成されることが理解される。
【0460】 治療的投与に用いられる任意のポリペプチドは無菌状態であり得る。滅菌濾過
膜(例えば0.2ミクロン膜)を通して濾過することにより無菌状態は容易に達
成される。一般に、治療用ポリペプチド組成物は、滅菌アクセスポートを有する
容器、例えば、皮下用注射針で穿刺可能なストッパー付の静脈内用溶液バッグま
たはバイアルに配置される。
【0461】 ポリペプチドは、通常、単位用量容器または複数用量容器、例えば、密封アン
プルまたはバイアルに、水溶液または再構成するための凍結乾燥処方物として貯
蔵される。凍結乾燥処方物の例として、10mlのバイアルに、滅菌濾過した1
%(w/v)ポリペプチド水溶液5mlを充填し、そして得られる混合物を凍結
乾燥する。凍結乾燥したポリペプチドを注射用静菌水を用いて再構成して注入溶
液を調製する。
【0462】 本発明はまた、本発明の薬学的組成物の1つ以上の成分を満たした一つ以上の
容器を備える薬学的パックまたはキットを提供する。医薬品または生物学的製品
の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知が、このような
容器に付属し得、この通知は、ヒトへの投与のための製造、使用または販売に関
する政府機関による承認を反映する。さらに、本発明のポリペプチドを他の治療
用化合物と組み合わせて使用し得る。
【0463】 (実施例11:ポリペプチドのレベル低下を処置する方法) 個体におけるポリペプチドの標準または正常の発現レベルの低下により引き起
こされる状態は、本発明のポリペプチドを、好ましくは分泌形態および/または
可溶性形態で投与することにより処置され得ることが理解される。従って、本発
明はまた、ポリペプチドのレベルの上昇が必要な個体の処置方法を提供し、この
方法は、このような個体に、このような個体でこのポリペプチドの活性レベルを
上昇させる量のポリペプチドを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0464】 例えば、ポリペプチドのレベルが低下した患者は、このポリペプチドを、1日
用量0.1〜100μg/kgで6日続けて服用する。好ましくは、このポリペ
プチドは分泌形態である。投与および処方物に基づく投薬計画の正確な詳細は、
実施例10に提供されている。
【0465】 (実施例12:ポリペプチドのレベル上昇を処置する方法) アンチセンス技術を使用して本発明のポリペプチドの産生を阻害する。この技
術は、ガンのような様々な病因に起因するポリペプチド、好ましくは分泌形態の
ポリペプチドのレべルを低下させる方法の1つの例である。
【0466】 例えば、ポリペプチドのレベルが異常に上昇したと診断された患者に、アンチ
センスポリヌクレオチドを、0.5、1.0、1.5、2.0および3.0mg
/kg日で静脈内に21日間投与する。この処置に対して十分な耐性があれば、
7日間の休薬期間後に、この処置を繰り返す。アンチセンスポリヌクレオチド処
方物は、実施例10に提供されている。
【0467】 (実施例13:遺伝子治療を使用する処置方法−エキソビボ) 遺伝子治療の1つの方法は、ポリペプチドを発現し得る線維芽細胞を患者に移
植する方法である。一般的に、線維芽細胞は、皮膚生検により被験体から得られ
る。得られた組織を組織培養培地中に配置し、そして小片に分割する。この組織
の小塊を組織培養フラスコの湿潤表面に置き、ほぼ10片を各フラスコに置く。
このフラスコを倒置し、密封し、そして室温で一晩放置する。室温で24時間後
、フラスコを反転させ、そして組織塊をフラスコの底に固定させたままにし、そ
して新鮮培地(例えば、10%FBS、ペニシリンおよびストレプトマイシンを
含有するHamのF12培地)を添加する。次いで、フラスコを37℃で約1週
間インキュベートする。
【0468】 この時点で、新鮮培地を添加し、次いで数日ごとに取り換える。さらに二週間
培養した後に単層の線維芽細胞が出現する。この単層をトリプシン処理し、さら
に大きなフラスコにスケールアップする。
【0469】 Moloneyマウス肉腫ウイルスの長末端反復が隣接するpMV−7(Ki
rschmeier,P.T.ら、DNA,7:219−25(1988))を
EcoRIおよびHindIIIで消化し、続いて仔ウシ腸ホスファターゼで処
理する。線状ベクターをアガロースゲルで分画し、そしてガラスビーズを使用し
て精製する。
【0470】 本発明のポリペプチドをコードするcDNAを、実施例1に記載のそれぞれ5
’末端配列および3’末端配列に対応するPCRプライマーを使用して、必要で
あれば、適切な制限酵素部位および開始/終止コドンを有するプライマーを使用
して増幅し得る。好ましくは、5’プライマーはEcoRI部位を含み、そして
3’プライマーはHindIII部位を含む。等量の、Moloneyマウス肉
腫ウイルス線状骨格および増幅したEcoRIおよびHindIIIフラグメン
トを、T4 DNAリガーゼの存在下で一緒に加える。得られた混合物を二つの
フラグメントを連結するのに適した条件下で維持する。次いで、連結混合物を使
用し、細菌HB101を形質転換する。次いで、それを、ベクターが目的の遺伝
子を正確に挿入していることを確認する目的のために、カナマイシンを含む寒天
上にプレーティングする。
【0471】 アンフォトロピックpA317またはGP+am12パッケージング細胞を、
10%仔ウシ血清(CS)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含むDul
becco改変Eagles培地(DMEM)中、組織培養でコンフルエントな
密度まで増殖させる。次いで、この遺伝子を含むMSVベクターを培地に加え、
そしてパッケージング細胞にベクターを形質導入する。このとき、パッケージン
グ細胞はこの遺伝子を含む感染性ウイルス粒子を産生する(ここで、パッケージ
ング細胞をプロデューサー細胞という)。
【0472】 形質導入されたプロデューサー細胞に新鮮培地を添加し、続いて培地を10c
mプレートのコンフルエントなプロデューサー細胞から採取する。感染性ウイル
ス粒子を含む使用済み培地をミリポアーフィルターを通して濾過し、はがれたプ
ロデューサー細胞を除去し、次いで、この培地を使用して、線維芽細胞を感染さ
せる。線維芽細胞のサブコンフルエントなプレートから培地を除去し、そしてプ
ロデューサー細胞からの培地で速やかに置き換える。この培地を除去し、そして
新鮮培地と置き換える。ウイルスの力価が高ければ、実質的にすべての線維芽細
胞が感染され、そして選択は必要ではない。力価が非常に低い場合、neoまた
はhisのような選択マーカーを有するレトロウイルスベクターを使用すること
が必要である。一旦、線維芽細胞が効率的に感染したなら、線維芽細胞を分析し
、タンパク質が産生されているか否かを決定する。
【0473】 次いで、操作された線維芽細胞を、単独で、またはサイトデックス3マイクロ
キャリアビーズ上でコンフルエントに増殖させた後のいずれかで宿主に移植する
【0474】 (実施例14:内因性BMP遺伝子を用いる遺伝子治療) 本発明に従う遺伝子治療の別の方法は、例えば、米国特許第5,641,67
0号(1997年6月24日発行);国際公開番号WO96/29411(19
96年9月26日公開);国際公開番号WO94/12650(1994年8月
4日公開);Kollerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
、86:8932−8935(1989);およびZijlstraら、Nat
ure,342:435−438(1989)に記載されるように、異種組換え
を介して内因性BMP配列とプロモーターとを作動可能に結合させることを包含
する。この方法は、標的細胞中に存在するがこの細胞中に発現されないかまたは
所望されるよりも低いレベルで発現される、遺伝子の活性化を含む。
【0475】 ポリヌクレオチド構築物を、プロモーターおよび標的化配列を含むように作製
する。これは、このプロモーターに隣接する内因性BMPの5’非コード配列に
相同である。この標的化配列は、BMPの5’末端に十分に近いので、このプロ
モーターは、相同組換えに際して内因性配列に作動可能に連結される。このプロ
モーターおよび標的化配列を、PCRを使用して増幅し得る。好ましくは、この
増幅したプロモーターは、5’末端および3’末端上に別個の制限酵素部位を含
む。好ましくは、第1の標的化配列の3’末端は、この増幅したプロモーターの
5’末端と同じ制限酵素部位を含み、そして第2の標的化配列の5’末端は、こ
の増幅したプロモーターの3’末端と同じ制限部位を含む。
【0476】 増幅したプロモーターおよび増幅した標的化配列を、適切な制限酵素で消化し
、続いて、仔ウシ腸ホスファターゼで処理する。消化したプロモーターおよび消
化した標的化配列を、T4 DNAリガーゼの存在下で共に添加する。得られた
混合物を、2つのフラグメントを連結するのに適した条件下で維持する。この構
築物を、アガロースゲル上でサイズ分画し、次いで、フェノール抽出およびエタ
ノール沈殿によって精製する。
【0477】 この実施例において、ポリヌクレオチド構築物を、エレクトロポレーションを
介して、裸のポリヌクレオチドとして投与する。しかし、このポリヌクレオチド
構築物をまた、トランスフェクション促進剤(例えば、リポソーム、ウイルス配
列、ウイルス粒子、沈殿剤など)と共に投与し得る。このような送達方法は、当
該分野で公知である。
【0478】 一旦、細胞をトランスフェクトすると、プロモーターが内因性BMP配列に作
動可能に連結されることを生じる相同組換えが起こる。これは、細胞中のBMP
の発現を生じる。発現を、免疫学的染色によって、または当該分野で公知の任意
の他の方法によって検出し得る。
【0479】 線維芽細胞を、皮膚生検により被験体から得る。得られた組織を、DMEM+
10%仔ウシ血清中に配置する。指数関数的に増殖しているかまたは初期定常相
の線維芽細胞を、トリプシン処理し、そして栄養培地を有するプラスチック表面
からリンスする。細胞懸濁液のアリコートを計数のために取り出し、そして残り
の細胞を遠心分離に供する。この上清を吸引し、そしてペレットを5mlのエレ
クトロポレーション緩衝液(20mM HEPES(pH7.3)、137mM
NaCl、5mM KCl、0.7mM Na2HPO4、6mM デキストロ
ース)中に再懸濁する。細胞を再遠心分離し、上清を吸引し、そして細胞を1m
g/mlのアセチル化ウシ血清アルブミンを含有するエレクトロポレーション緩
衝液中に再懸濁する。最終細胞懸濁液は、約3×106細胞/mlを含む。エレ
クトロポレーションは、再懸濁の直後に実施するべきである。
【0480】 プラスミドDNAを、標準的技術に従って調製する。例えば、BMP遺伝子座
に標的化するプラスミドを構築するために、プラスミドpUC18(MBI F
ermentas,Amherst,NY)を、HindIIIで消化する。C
MVプロモーターを、5’末端上にXbaI部位および3’末端上にBamHI
部位を用いて、PCRによって増幅する。2つのBMP非コード配列を、PCR
を介して増幅する:一方のBMP非コード配列(BMPフラグメント1)を、5
’末端でHindIII部位、および3’末端でXba部位を用いて増幅する;
他方のBMP非コード配列(BMPフラグメント2)を、5’末端でBamHI
部位、および3’末端でHindIII部位を用いて増幅する。このCMVプロ
モーターおよびBMPフラグメントを、適切な酵素(CMVプロモーター−Xb
aIおよびBamHI;BMPフラグメント1−XbaI;BMPフラグメント
2−BamHI)で消化し、共に連結する。得られた連結産物を、HindII
Iで消化し、そしてHindIIIで消化したpUC18プラスミドと連結する
【0481】 プラスミドDNAを、0.4cmの電極キャップ(Bio−Rad)を備える
滅菌キュベットに添加する。最終DNA濃度は、一般に、少なくとも120μg
/mlである。次いで、0.5mlの細胞懸濁液(約1.5×106細胞を含む
)を、このキュベットに添加し、そしてこの細胞懸濁液およびDNA溶液を穏や
かに混合する。エレクトロポレーションを、Gene−Pulser装置(Bi
o−Rad)を用いて実施する。静電容量および電圧量を、それぞれ、960μ
Fおよび250〜300Vに設定する。電圧量を増加させるにつれて細胞の生存
は減少するが、導入したDNAをこれらのゲノムへ安定に組み込んた細胞の生存
する割合は、劇的に増加する。これらのパラメーター与えると、約14〜20m
Secのパルス時間を観察するはずである。
【0482】 エレクトロポレーションした細胞を、室温にて約5分間保持し、ついでキュベ
ットの内容物を、無菌の移動用ピペットを用いて穏やかに取り出す。この細胞を
、10cmディッシュ中の10mlの予め温めた栄養培地(15%仔ウシ血清を
有するDMEM)に直接添加し、そして37℃にてインキュベートする。翌日、
この培地を吸引し、そして10mlの新鮮な培地で置き換え、そしてさらに16
〜24時間インキュベートする。
【0483】 次いで、操作された線維芽細胞を、単独で、またはサイトデックス(cyto
dex)3マイクロキャリアビーズ上でコンフルエントに増殖させた後のいずれ
かで宿主に注射する。ここでこの線維芽細胞はタンパク質産物を生成する。次い
で、この線維芽細胞は、上記のように患者へと導入され得る。
【0484】 (実施例15:遺伝子治療を使用する処置方法−インビボ) 本発明の別の局面は、障害、疾患、および状態を処置するためにインビボ遺伝
子治療方法を使用することである。遺伝子治療方法は、BMPポリペプチドの発
現を増大または減少させるための、裸の核酸(DNA、RNA、およびアンチセ
ンスDNAまたはRNA)BMP配列の動物への導入に関する。BMPポリヌク
レオチドは、標的組織によるBMPポリペプチドの発現に必要な、プロモーター
または任意の他の遺伝子エレメントに作動可能に連結され得る。このような遺伝
子治療および送達の技術および方法は、当該分野で公知であり、例えば、WO9
0/11092、WO98/11779;米国特許第5693622号、同第5
705151号、同第5580859号;Tabataら、Cardiovas
c.Res.35(3):470−479(1997)、Chao Jら、Ph
armacol.Res.35(6):517−522(1997)、Wolf
f,Neuromuscul.Disord.7(5):314−318(19
97)、Schwartzら,Gene Ther.,3(5):405−41
1(1996)、Tsurumi Y.ら、Circulation,94(1
2):3281−3290(1996)(本明細書中に参考として援用される)
を参照のこと。
【0485】 BMPポリヌクレオチド構築物は、注射可能な物質を動物の細胞に送達する任
意の方法(例えば、組織(心臓、筋肉、皮膚、肺、肝臓、腸など)の間隙空間へ
の注射)によって送達され得る。BMPポリヌクレオチド構築物は、薬学的に受
容可能な液体または水性のキャリア中で送達され得る。
【0486】 用語「裸の」ポリヌクレオチド、DNAまたはRNAは、細胞への侵入を補助
、促進または容易にするように作用するいかなる送達ビヒクル(ウイルス配列、
ウイルス粒子、リポソーム処方物、リポフェクチン、または沈澱剤などを含む)
も含まない配列をいう。しかし、BMPポリヌクレオチドはまた、当業者に周知
の方法によって調製され得るリポソーム処方物(例えば、Felgnerら,A
nn.NY Acad.Sci.,772:126−139(1995)および
Abdallahら,Biol.Cell,85(1):1−7(1995)で
教示されたもの)中で送達され得る。
【0487】 遺伝子治療方法において使用されるBMPポリヌクレオチドベクター構築物は
、好ましくは、宿主ゲノムに組み込まれず、複製を可能にする配列を含みもしな
い構築物である。当業者に公知の任意の強力なプロモーターは、DNAの発現を
駆動するために用いられ得る。他の遺伝子治療技術とは異なり、裸の核酸配列を
標的細胞に導入する1つの主要な利点は、その細胞におけるポリヌクレオチド合
成の一過性の性質である。研究によって、非複製DNA配列が細胞に導入されて
、6ヶ月までの期間、所望のポリペプチドの産生を提供し得ることが示された。
【0488】 ポリヌクレオチド構築物は、動物内の組織(筋肉、皮膚、脳、肺、肝臓、脾臓
、骨髄、胸腺、心臓、リンパ、血液、骨、軟骨、膵臓、腎臓、胆嚢、胃、腸、精
巣、卵巣、子宮、直腸、神経系、眼、腺、および結合組織を包含する)の間隙空
間に送達され得る。組織の間隙空間は、細胞間液、器官組織の細網線維間のムコ
多糖マトリクス、血管または室の壁における弾性線維、線維性組織のコラーゲン
線維、結合組織鞘性筋肉細胞内または骨の裂孔中の同じマトリクスを含む。これ
は、同様に、循環の血漿およびリンパチャンネルのリンパ液により占められた空
間である。筋肉組織の間隙空間への送達は、以下に記載の理由のために好ましい
。それらは、これらの細胞を含む組織への注射によって、好都合に送達され得る
。それらは、好ましくは、持続性の分化した非分裂細胞に送達され、その細胞に
おいて発現されるが、送達および発現は、非分化細胞または完全には分化してい
ない細胞(例えば、血液の幹細胞または皮膚線維芽細胞)において達成され得る
。インビボ筋肉細胞は、ポリヌクレオチドを取り込み、そしてこのポリヌクレオ
チドを発現する能力において、特に適格である。
【0489】 裸のBMPポリヌクレオチド注射のために、DNAまたはRNAの有効投薬量
は、約0.05g/kg体重〜約50mg/kg体重の範囲にある。好ましくは
、投薬量は、約0.005mg/kg〜約20mg/kgであり、そしてより好
ましくは、約0.05mg/kg〜約5mg/kgである。もちろん、当業者が
認識するように、この投薬量は、注射の組織部位に従って変動する。核酸配列の
適切かつ有効な投薬量は、当業者によって容易に決定され得、そして処置される
状態および投与経路に依存し得る。好ましい投与経路は、組織の間隙空間への非
経口注射経路によってである。しかし、他の非経口経路もまた用いられ得、これ
には、例えば、特に肺または気管支組織、咽喉または鼻の粘膜への送達のための
エアロゾル処方物の吸入が挙げられる。さらに、裸のBMPポリヌクレオチド構
築物が、血管形成術の間にこの手順において用いられるカテーテルによって動脈
に送達され得る。
【0490】 インビボでの筋肉における注射されたBMPポリヌクレオチドの用量応答効果
を、以下のようにして決定する。BMPポリペプチドをコードするmRNAの生
成のために適切なBMP鋳型DNAを、標準的な組換えDNA方法論に従って調
製する。鋳型DNA(これは環状または直鎖状のいずれかであり得る)を裸のD
NAとして使用するか、またはリポソームと複合体化するかのいずれかを行う。
次いで、マウスの四頭筋に、多様な量の鋳型DNAを注射する。
【0491】 5〜6週齢の雌性および雄性のBalb/Cマウスに、0.3mlの2.5%
Avertinを腹腔内注射することにより麻酔する。1.5cmの切開を大腿
前部で行い、そして四頭筋を直接可視化する。BMP鋳型DNAを、0.1ml
のキャリアに入れて、1cc注射器で27ゲージ針を通して1分間にわたって、
この筋肉の遠位挿入部位から約0.5cmの位置で膝に、約0.2cmの深さで
注射する。縫合を、将来の位置確認のために注射部位にわたって行い、そして皮
膚をステンレス鋼クリップで閉じる。
【0492】 適切なインキュベーション時間(例えば、7日)後、筋肉抽出物を、四頭全体
を切り出すことによって調製する。個々の四頭筋の5枚目毎の15μm切片を、
BMPタンパク質発現について組織化学的に染色する。BMPタンパク質発現に
ついての時間経過は、異なるマウスからの四頭を異なる時間で採取すること以外
は、同様な様式で行い得る。注射後の筋肉中のBMPのDNAの持続性を、注射
したマウスおよびコントロールマウスからの総細胞性DNAおよびHIRT上清
を調製した後、サザンブロット分析によって決定し得る。マウスにおける上記実
験の結果は、裸のBMP DNAを用いて、ヒトおよび他の動物において適切な
投薬量および他の処置パラメーターを推定するために使用され得る。
【0493】 (実施例16:全層関節軟骨修復モデル) 成体ウサギの大腿膝蓋骨関節における全層関節軟骨欠損モデルを用いて、BM
Pの組み合わせが、軟骨および骨の修復に影響を与える能力を評価する。成体ニ
ュージーランド白色ウサギに麻酔をし、そして無菌的手術のために準備をした。
関節軟骨を通り、そしてその下の肋軟骨下骨に達する3.3mmの欠損を、膝関
節の膝蓋骨溝にドリルで開ける。この欠損を空のままにしておくか、またはコラ
ーゲンスポンジ(コントロール)もしくは10μg BMPに浸漬したコラーゲン
スポンジを充填する。切開を閉じ、そして動物を、ケージの中で4週間にわたっ
て自由に運動させる。4週間後、これらの動物を慈悲深く安楽死させ、そして関
節軟骨/肋軟骨下骨の欠損を、修復組織の組織の構造、量および質について組織
学的に評価する。ノーザン分析を、さらなる表現型分類のために行う。
【0494】 (実施例17:腱/靭帯様組織形成についてのラットモデルバイオアッセイ
) SampathおよびReddi,Proc.Natl.Acad.Sci.
USA,80:6591−6595(1983)に記載される改変版のラット異
所性インプラントアッセイは、BMPの活性を評価するために用いられる別の方
法である。この改変されたアッセイは、本明細書中では、Rosen改変Sam
path−Reddiアッセイと呼ぶ。このアッセイは、BMPの骨および軟骨
誘導活性を評価するために広範に用いられている。Sampath−Reddi
手順のエタノール沈殿工程は、アッセイされるべき画分を水に対して透析(組成
物が溶液である場合)またはダイアフィルトレーション(組成物が懸濁物である
場合)をすることによって置換される。次いで、この溶液または懸濁液は、0.
1% TFAに平衡化される。得られる溶液は、20mgのラットマトリクスに
添加される。このタンパク質で処理していない偽ラットマトリクスサンプルは、
コントロールとして役立つ。この物質を凍結および凍結乾燥し、そして得られる
粉末を#5ゼラチンカプセル中に封入する。このカプセルを、21〜49日齢の
雄性Long Evansラットの腹部胸郭領域において皮下に移植する。イン
プラントを10日後に取り出す。各インプラントの切片を固定し、そして組織学
的分析のために処理する。1μmグリコールメタクリレート切片を、フォン・コ
ッサ染色および酸性フクシン(fuschin)染色して、各インプラント中に
存在する誘導された腱/靭帯様組織形成の量を評価する。
【0495】 (実施例18:骨誘導についてのラットモデルバイオアッセイ) このアッセイは、同種異系試験サンプルまたは異種試験サンプルを、エーテル
麻酔下のレシピエントラットの皮下部位に移植することからなる。28日齢〜3
2日齢の雄性Long−Evansラットを用い得る。垂直な切開(1cm)を
、無菌条件下で、胸郭領域の上の皮膚において行い、そして平滑(blunt)
解剖によってポケットを調製する。約25mgのBMP試験サンプルを、このポ
ケットの中に深く移植し、そしてこの切開を金属皮膚クリップで閉じる。移植の
日を実験1日目と表す。インプラントを12日目に取り出す。異所性(hete
rotropic)部位は、垂直向性部位の使用から生じる、あり得る曖昧さを
伴わない、骨誘導の研究を可能にする。
【0496】 骨誘導活性を、移植12日目のアルカリホスファターゼの比活性およびカルシ
ウム含量によって生化学的に決定する。アルカリホスファターゼの比活性の増加
は、骨形成の開始を示す。一方、カルシウム含量は、インプラントにおいて形成
される骨の量に比例する。それゆえ、骨形成を、ラットにおいて12日目のイン
プラントのカルシウム含量を決定することにより算出し、そして「骨形成単位」
として表す。ここで、1骨形成単位は、12日目のインプラントの最大骨形成活
性の半分に必要であるタンパク質量を表す。このアッセイでは比較の目的で、イ
ンタクトな鉱物質除去ラット骨マトリクスによって示される骨誘導は、最大骨分
化活性であるとみなされる。
【0497】 好結果のインプラントは、以下を含むタンパク質誘導軟骨性骨発生の段階を経
る制御された進行を示す:(1)1日目のにおける、多形核白血球による一時的
な浸潤;(2)2日目および3日目における、間葉細胞の移動および増殖;(3
)5日目および6日目における軟骨細胞の出現;(4)7日目における軟骨マト
リクス形成;(5)8日目における軟骨カルシウム沈着;(6)9日目および1
0日目における脈管浸潤、骨芽細胞の出現、および新骨の形成;(7)12日目
〜18日目における破骨細胞の出現、骨再造形および移植されたマトリクスの溶
解;ならびに21日目における小骨における造血骨髄分化。1以上のBMPの量
を増加させることがこの時間経過を加速し得ることが可能である。新骨の形状は
、移植されたマトリクスの形状と同様になる。
【0498】 組織学的切片化および染色は、インプラントにおける骨形成の程度を決定する
ために好ましい。インプラントをブワン溶液中で固定し、パラフィンに包埋し、
そして6μm〜8μmの切片になるように切断する。トルイジンブルーまたはヘ
マトキシリン(hemptoxylin)/エオシンでの染色は、軟骨内性骨の
最終的な発生を明確に実証する。12日目のインプラントは、通常、このインプ
ラントが新たに誘導された骨を含むか否かを決定するために十分である。
【0499】 アルカリホスファターゼ(AP)活性は、骨形成のマーカーとして用いられ得
る。この酵素活性は、インプラントのホモジナイゼーション後に分光測光法によ
って決定され得る。この活性は、インビボで9日目〜10日目にピークを迎え、
その後徐々に低下する。組織学によって骨発生が示されなかったインプラントは
、これらのアッセイ条件下ではアルカリホスファターゼ活性をほとんどまたは全
く有さない。このアッセイは、ラットからインプラントが取り出されたすぐ後で
の骨形成の定量および評価の獲得のために有用である。さらに、アルカリホスフ
ァターゼ活性を、本明細書中にその全体が参考として援用される国際公開番号W
O99/29718に開示されるW−20 Alkaline Phospha
tase Assay Protocolを用いて決定し得る。あるいは、骨形
成の量を、インプラントのカルシウム含量を測定することにより決定し得る。
【0500】 軟骨内性骨または他の型の組織形成に関連する遺伝子発現パターンもまた、ノ
ーザンブロット分析のような当業者に公知の手順を用いてmRNAレベルを定量
することによりモニタリングされ得る。このような発生的遺伝子発現マーカーを
用いて、BMP処理後に組織分化経路を経る進行を決定し得る。これらのマーカ
ーとしては、骨再生についての骨芽細胞関連マトリクスタンパク質(例えば、プ
ロコラーゲンα2(I)、プロコラーゲンα1(I)、プロコラーゲンα1(II
I)、オステオネクチン、オステオポンチン、ビグリカンおよびアルカリホスフ
ァターゼ)が挙げられる(例えば、Suvaら,J.Bone Miner.R
es.,8:379−88(1993);Benayahuら、J。Cell.
Biochem.,56:62−73(1994)を参照のこと)。
【0501】 (実施例19:骨修復についてのネコモデルバイオアッセイ) 大腿骨切術欠損を、外科的に調製する。さらなる介入を伴わずにシミュレーシ
ョンされる骨折欠損は、一貫して進行して、仮関節となる。作製された骨欠損中
に移植されるBMPの組成物およびデバイスの効果を、以下の研究プロトコルに
従って評価する。
【0502】 1cmおよび2cmの大腿欠損ネコの研究は、BMPを含むマトリクスを含む
デバイスが以下を行い得ることを実証する:(1)大型動物における重量を保持
する骨欠損を修復すること;(2)移植のすぐ後(2週間より短い)に骨形成を
一貫して誘導すること;および(3)容量/容量を基礎として正常骨と等しい強
さを有する骨を、軟骨内骨化によって誘導すること。さらに、全ての動物は、こ
の研究の間健常なままであり、そして移植されたデバイスに対する臨床的または
組織的実験室反応の証拠を示さない。この骨欠損モデルでは、コントロールの骨
インプラント部位ではほとんどまたは全く治癒が存在しない。この結果は、大き
な仮関節骨欠損を修復するための、本発明のBMPの組成物およびデバイスの好
結果の使用についての証拠を提供する。
【0503】 手短には、この手順は、以下の通りである:各々10lbよりも少ない体重の
16匹の成体のネコは、外側の外科的アプローチを用いて右大腿における1cm
骨欠損の片側調製を受ける。他の実験では、2cmの骨欠損が作製され得る。こ
の大腿は、8穴プレートの側方配置により直ちに内固定されて、この欠損の正確
な寸法が保存される。
【0504】 3つの異なる型の材料を、外科的に作製したネコ大腿欠損に移植し得る:I群
は、4Mグアニジン−HClで処理した(不活化した)ネコの鉱物質除去骨マト
リクス粉末(GuHCl−DBM)(360mg)のインプラントと同じプレー
ト固定を受けるネガティブコントロール群である;II群は、生物学的に活性な
鉱物質除去骨マトリクス粉末(DBM)(360mg)を移植したポジティブコ
ントロール群である;そしてIII群およびIV群は、GuHCl−DBMキャ
リアサンプルの各々へのBMP単独(III群)、ならびに1より多くのBMP
またはBMPおよび別の適切な因子の組み合わせ(IV群)を添加して、I群〜
II群と同じ手順を受ける。
【0505】 全ての動物を、手術後、それらのケージの中で自由に歩かせる。全てのネコに
、骨標識のためにテトラサイクリン(各週25mg/kg皮下(SQ)を4週間
にわたって)を注射する。4匹のIII群の動物および4匹のIV群の動物以外
の全ての動物を、大腿骨切り術の4ヵ月後に屠殺する。
【0506】 インビボでの放射性体型測定(radiomorphometric)研究を
、大腿および骨切り術部位の真の前方−後方図を一貫して生成するために設計さ
れたクッションX線ジグ(cushioned X−ray jig)に配置し
た、軽く麻酔した動物の標準化したX線を撮ることにより手術後4、8、12お
よび16週間後に直ちに行う。全てのX線を正確に同じ様式で、かつ正確に同じ
位置で同じ動物について撮る。骨修復を、ランダムな点分析による鉱化作用の関
数として算出する。切り出した骨の最終標本のX線撮影研究を、屠殺後2つの平
面で行う。
【0507】 16週目に、III群およびIV群の結合した大腿のパーセントと、I群〜I
V群における平均骨欠損再生パーセントを比較する。I群GuHCl−DMBネ
ガティブコントロールインプラントは、一般に、4週間で骨成長を示さないはず
であり、8週間および12週間で10%未満、そして16週間で約16%(±1
0)の骨成長を示すはずである。II群DMBポジティブコントロールインプラ
ントは、一般に、4週間で約15〜20%の修復、8週間で35%、12週間で
50%(±10%)および16週間までに70%(±12%)の修復を示すはず
である。
【0508】 切り出した試験大腿および正常大腿は、骨デンシトメトリーによって直ちに研
究され得るか、または2層の生理食塩水浸漬タオルに包まれ、シールしたプラス
チック袋中に配置され、そして−20℃でさらなる研究まで保存され得る。骨修
復強度、荷重欠損(load−to−failure)および作業欠損(wor
k−to−failure)を、Instron試験機械に取り付けられた、特
別に設計したスチールの4点が曲がったジグ上の欠損に荷重をかけることにより
試験して、骨強度、剛性、吸収されるエネルギーおよび欠損の変形を定量する。
試験大腿および正常大腿の研究は、ポンドでの骨強度(荷重)およびジュールで
の作業欠損を生じる。正常な大腿は、96(±12)ポンドの強度を示す。BMP
デバイスを移植した大腿の強度は、骨折の部位での表面積について補正すべきで
ある(骨欠損修復の「砂時計」形状に起因する)。この補正を用いれば、この結
果は、正常な骨強度と密接に関連すはずである。
【0509】 生化学的試験の後、この骨を、2つの長軸方向切片へと欠損部位で直ちにスラ
イスし、計量し、そして容積を測定する。一方の半分を、蛍光染色取り込み評価
を用いる標準的な石灰化骨組織形態計測のために固定し、そして残り半分を脱石
灰されたヘマトキシリン/エオシン染色組織学調製のために固定する。
【0510】 骨修復部位からの選択された標本を、冷0.15M NaCl、3mM Na
HCO3、pH9.0中でSpexフリーザーミルによってホモジナイズする。
次いで、上清のアルカリホスファターゼ活性および沈渣の酸可溶性画分の総カル
シウム含量を決定する。
【0511】 (実施例20:骨修復についてのイヌ尺骨欠損バイオアッセイ) このアッセイを、本質的にCookら,Clinical Orthopae
dics and Related Research,301:302−11
2(1994)(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載される通
りに行う。手短には、尺骨の分節欠損モデルを用いて、35〜45kgの成体雄
性イヌにおける骨治癒を評価する。500mgの不溶性ウシ骨コラーゲンを含む
実験用コンポジットは、0、625、1200または2500μgのいずれかの
BMPを漸増濃度の1以上のさらなる本発明のBMPまたは他の因子の非存在下
または存在下で用いて再構成される。欠損部位での移植は、1つのキャリアコン
トロールおよび試験される一連の実験的BMP濃度で行われる。機械的試験が、
移植の12週間後に、コンポジットを受けた動物の尺骨について行われる。前肢
のX線写真を、この動物を手術の12週後または16週後のいずれかで屠殺する
までは毎週撮る。欠損部位および隣接する正常な骨からの組織学的切片を分析す
る。
【0512】 (実施例21:骨修復についてのサル尺骨および脛骨欠損バイオアッセイ) アフリカミドリザルにおけるこの骨治癒アッセイを、本質的にCookら,J
.Bone and Joint Surgery,77A:734−50(1
995)(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載される通りに行
う。手短には、2.0cmの骨骨膜欠損を尺骨長幹の真ん中に作製し、そして漸
増濃度の1以上の本発明のBMPまたは他の因子の非存在下または存在下で10
00μgのBMPを含む種々のマトリクスを含むインプラントを充填する。0、
250、500もしくは1000または2000μgのいずれかのBMPで再構
成した種々のマトリクスを含む実験的コンポジットを用いて、脛骨の骨幹におい
て作製した2.0cmのBMP欠損に充填する。欠損部位での移植は、1つのキ
ャリアコントロールおよび試験される一連の実験的BMP濃度で行われる。機械
的試験が、コンポジットを受けた動物の尺骨および脛骨について行われる。欠損
部位および隣接する正常な骨からのX線写真および組織学的切片を、Cookら
に記載される通りに分析する。
【0513】 (実施例22:神経再生および修復についてのラットモデルバイオアッセイ
) マトリクスキャリアを調製する。Wangら(WO95/05846)は、C
ollastat.RTM.,コラーゲンスポンジ(Vitaphore Wo
und Healing,Inc.)を用いたが、任意の他の所望のキャリア(
例えば、本明細書中に記載されるキャリア)が適用性について試験され得る。コ
ラーゲンキャリアは、洗浄、凍結乾燥、滅菌および脱気することにより調製され
、次いで以下のいずれかが充填される:BMPなし(ネガティブコントロール群
)、BMP単独(I群)、BMPの特定の組み合わせまたはBMPと他の因子と
の特定の組み合わせ(II群)。実験的設計についてのバリエーションは、種々
の条件下で種々の異なるBMPの組み合わせを当業者が試験することを可能にす
る。
【0514】 全ての操作を、無菌条件下で行う。充填されるマトリクスを、約1.6×20
mmの長さの無菌排気型シラスチックチュービングまたは生体分解性チュービン
グ(ステント(stent))(これは、過剰のチュービングを手術前に切り取
って除去し得る)の内側に配置する。マトリクスを含む、排気型シラスティック
または生体分解性ステントを顕微鏡的に適用し、そして切断された神経末端に吻
合(anastomize)し、次いでこの神経末端を各末端から約1mmとな
るようにステント中に挿入し、15mmの「神経欠損」ギャップを残す。ラット
を、移植後、週間単位の時間経過で、機能の電気的回復について試験する。複合
筋肉作用ポテンシャル(CMAP)は、機能の回復程度を評価するための再現性
のある経皮測定を提供する。CMAPの振幅および潜伏時間は、再神経支配され
た軸索/運動終末板の数に比例し、それゆえ、ニューロン再生の有用な指標とし
て役立つ。
【0515】 動物を移植後種々の時点で組織病理学的試験のために屠殺し得る。皮下組織内
に移植されたコントロールのステントは、組織化学的コントロールとして作用す
る。
【0516】 本発明が上記の記載および実施例に特に記載されるものとは異なる方法で実施
され得ることは明白である。本発明の多くの改変および変更が、上記教示に鑑み
て可能であり、それゆえ、添付の請求の範囲の範囲内である。
【0517】 発明の背景、詳細な説明および実施例において引用される各々の文書(特許、
特許出願、学術誌論文、要約、研究室マニュアル、書籍または他の開示物)の開
示全体が、本明細書において参考として援用される。さらに、本明細書とともに
提出される配列表のハードコピーおよび対応するコンピュータ読み出し可能な形
態の両方は、その全体が、本明細書において参考として援用される。
【0518】 (実施例23:BMPポリペプチドの生物学的効果) (線維芽細胞および内皮細胞のアッセイ) ヒト肺線維芽細胞を、Clonetics(San Diego,CA)か
ら得、そしてCloneticsからの増殖培地中で維持する。皮膚の微小血管
内皮細胞を、Cell Applications(San Diego,CA
)から入手する。増殖アッセイについて、ヒト肺線維芽細胞および皮膚の微小血
管内皮細胞を、5,000細胞/ウェルで、96ウェルプレート中で、増殖培地
中で1日間培養し得る。次いで、この細胞を、1日間、0.1%BSA基本培地
中でインキュベートする。その培地を、新鮮な0.1%のBSA培地と交換した
後、その細胞を、3日間試験タンパク質とともにインキュベートする。Alam
ar Blue(Alamar Biosciences、Sacrament
o,CA)を、各ウェルに最終濃度10%で添加する。この細胞を4時間でイン
キュベートする。細胞生存度を、CytoFluor蛍光読み取り機中で読み取
ることにより測定する。PGE2アッセイについて、ヒト肺線維芽細胞を、5,
000細胞/ウェルで、96ウェルプレート中で1日間培養する。0.1% B
SA基本培地への培養交換の後、その細胞を、FGF−2またはBMPのポリペ
プチドとともに、IL−1αとともにかまたは伴わないで、24時間インキュベ
ートする。上清を集め、そしてPGE2についてEIAキット(Cayman,
Ann Arbor、MI)によりアッセイする。IL−6アッセイについて、
ヒト肺線維芽細胞を、5,000細胞/ウェルで、96ウェルプレート中で1日
間培養する。0.1%のBSA基本培地への培地交換の後、その細胞を、FGF
−2またはBMPポリペプチドとともに、IL−1αとtもにかまたは伴わない
で、24時間、インキュベートする。上清を集め、IL−6について、ELIS
Aキットによってアッセイする(Endogen,Cambridge,MA)
【0519】 ヒト肺線維芽細胞を、Alamar Blueの添加の前にFGF−2または
BMP−2ポリペプチドとともに、3日間基本培地中で、培養して、線維芽細胞
の増殖に対する効果を評価する。FGF−2は10〜2500ng/mlの刺激
を示し、これを使用してBMPポリペプチドでの刺激と比較し得る。
【0520】 (実施例24:血管内皮細胞の増殖に対するBMPポリペプチドの効果) 1日目に、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、2〜5×104細胞/35
mmディッシュ密度で、4%ウシ胎児血清(FBS)、16ユニット/mlヘパ
リン、および50ユニット/ml内皮細胞増殖補充物(ECGS,Biotec
hniques,Inc)を含むM199培地中に播種する。2日目に、その培
地を、10%FBS、8ユニット/mlヘパリンを含むM199に置換し、BM
Pタンパク質および陽性コントロール(例えば、塩基性FGF(bFGF))を
種々の濃度で添加する。4日目および6日目に、その培地を置換する。8日目に
、細胞数を、Coulter Counterを用いて決定する。
【0521】 HUVEC細胞の数の増加は、BMPポリペプチドが、血管内皮細胞を増殖し
得ることを示す。
【0522】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0523】 (実施例25:血管内皮細胞の増殖に対するBMPポリペプチドの刺激効果
) 増殖因子の有糸分裂活性の評価について、比色MTS(3−(4,5−ジメチ
ルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(
4−スルホフェニル)2H−テトラゾリウム)アッセイを、電子共役試薬PMS
(フェナジンメトスルフェート)を用いて行った(CellTiter 96A
Q,Promega)。細胞を、96ウェルプレート中に、0.1mLの血清補
充培地中で(5,000細胞/ウェル)で播種し、そして一晩付着させる。0.
5%FBSにおける12時間の血清飢餓の後、ヘパリン(8U/ml)を伴うか
または伴わない条件(0.5% FBS中のbFGF、VEGF165またはBM
Pポリペプチド)を、ウェルに48時間添加する。20mgのMTS/PMS混
合物(1:0.05)を、1ウェルあたりに添加し、そしてELISAプレート
リーダーにおいて490nmで吸光度を測定する前に、37℃で1時間インキュ
ベートさせる。コントロールウェル(同じ培地、細胞なし)からのバックグラウ
ンド吸光度を減じ、そして7つのウェルを、並行して各条件について行う。Le
akら、In Vitro Cell.Dev.Biol.30A:512−5
18(1994)。
【0524】 本実施例において記載される試験は、BMPタンパク質における活性を試験し
た。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0525】 (実施例26:PDGF誘導された血管平滑筋細胞増殖刺激効果の阻害) HAoSMC増殖は、例えば、BrdUrd取り込みによって測定され得る。
簡潔には、4チャンバスライド上で増殖されたサブコンフルエントな、静止細胞
を、CRPまたはFITCで標識したAT2−3LPでトランスフェクトする。
次いで、この細胞を、10%ウシ血清および6mg/ml BrdUrdでパル
ス刺激する。24時間後、免疫細胞化学を、BrdUrd染色キット(Zyme
d Laboratories)を用いることによって行う。簡潔には、この細
胞を、変性溶液に曝露後にビオチン化マウス抗BrdUrd抗体とともに、4℃
で2時間インキュベートし、次いで、ストレプトアビジンペルオキシダーゼおよ
びジアミノベンジジンとともにインキュベートする。
【0526】 ヘマトキシリンでの対比染色の後、この細胞を、顕微鏡検査のためにマウント
し、そしてBrdUrd陽性細胞を計数する。BrdUrd指数を、細胞数の合
計に対するBrdUrd陽性細胞の割合として算出する。さらに、BrdUrd
染色(核)およびFITC取り込み(細胞質)の同時検出を、個々の細胞につい
て、明野照明および暗野UV蛍光照明の同時使用によって行う。Hayashi
daら、J.Biol.Chem.6:271(36)21985−21992
(1996)を参照のこと。
【0527】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0528】 (実施例27:内皮移動の刺激) 本実施例を用いて、BMPポリペプチドが、リンパ球内皮細胞移動を刺激し得
る可能性を探索する。
【0529】 内皮細胞移動アッセイを、48ウェル微小化学遊走性チャンバ(Neurop
robe Inc.、Cabin John、MD;Falk,W.ら、J.I
mmunological Methods 1980;33−239−247
)。8μmの孔サイズを有するポリビニルピロリドンを含まないポリカーボネー
トフィルター(Nucleopore Corp.Cambridge、MA)
を、0.1%ゼラチンを用いて、少なくとも6時間室温でコーティングし、そし
て滅菌空気下で乾燥する。試験物質を、0.25%のウシ血清アルブミン(BS
A)を補充したM199中で適切な濃度に希釈し、そして25μlの最終希釈物
を、改変したBoyden装置のより低いチャンバに配置する。サブコンフルエ
ントの初期継代(2−6)HUVECまたはBMECの培養物を洗浄し、細胞剥
離を達成するに必要な最小限の時間トリプシン処理する。より低いチャンバとよ
り高いチャンバとの間のフィルターを配置した後、1% FBSを含む50μl
のM199に懸濁した2.5×105細胞を、より高いチャンバ中に播種する。
次いで、この装置を、5時間、37℃で5% CO2を伴う加湿チャンバ中で細
胞移動をさせる。インキュベーション時間後、このフィルターを取り除き、そし
て非移動性の細胞を有するフィルターの上側を、ラバーポリスマンを用いて掻き
取る。このフィルターを、メタノールを用いて固定し、そしてギムザ溶液(Di
ff−Quick、Baxter、McGraw Park IL)を用いて染
色する。移動を、各々のウェル中の3つのランダムな高電力野(40×)の細胞
を計数することによって定量し、そして全ての群を、四連で行う。
【0530】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0531】 (実施例28:内皮細胞による一酸化窒素産生の刺激) 血管内皮によって放出された一酸化窒素は、血管内皮弛緩のメディエーターで
あると考えられる。従って、BMPポリペプチド活性は、BMPポリペプチドに
対する内皮細胞による一酸化窒素の産生の決定によってアッセイされ得る。
【0532】 一酸化窒素を、24時間の飢餓、および種々のレベルの陽性コントロールおよ
びBMPポリペプチドに対する続いての4時間の曝露の後のコンフルエントの微
小血管内皮細胞の96ウェルのプレート中で測定する。その培地中の一酸化窒素
を、Griess試薬の使用によって決定してニトレートレダクターゼによる一
酸化窒素由来のニトレートの減少の後の亜硝酸塩の合計を測定する。一酸化窒素
放出に対するBMPの効果をHUVECに対して試験する。
【0533】 簡潔には、培養されたHUVECの単層からのNO放出を、NOメーター(I
so−NO,World Precisions Instruments I
nc.)(1049)に接続されたNO特異的なポーラログラフ電極を用いて測
定する。NO要素の較正を、以下の等式に従って行う。
【0534】 2KNO2+2KI+2H2SO4=NO+I2+2H2O+2K2SO4 標準的な較正曲線を、等級付けした濃度のKNO2(0、5、10、25、5
0、100、250および500nmol/L)をKIおよびH2SO4を含む較
正溶液中に加えることによって得る。Iso−NO電極のNOに対する特異性は
、以前に、真正のNOガス(1050)からのNOの測定によって決定されてい
る。この培養培地を除き、そしてHUVECを2回Dulbeccoのリン酸緩
衝化生理食塩水で2回洗浄する。次いで、この細胞を、濾過した5mlのKre
bs−Henseleit溶液を6ウェルのプレート中にバッチし、そしてこの
細胞プレートを、スライドウォーマー(Lab Line Instrumen
ts Inc.)上で維持する。温度を37℃に維持する。NOセンサープロー
ブを、そのウェル中に垂直に挿入し、その異なる条件の添加の前に、電極の尖端
を、溶液の表面の下2mmに維持する。S−ニトロソアセチルペニシラミン(S
NAP)を陽性コントロールとして用いる。放出されたNOの量を、1×106
内皮細胞あたりのピコモルで表す。報告されたすべての値は、各群における4〜
6の測定値の平均である(細胞培養ウェル数)。Leakら、Biochem.
and Biophys.Res.Comm.217:96−105(1995
)を参照のこと。
【0535】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0536】 (実施例29:血管形成における臍形成に対するBMPポリペプチドの効果
) 血管形成における別の工程は、臍形成である。これは、内皮細胞の分化によっ
て特徴付けられる。このバイオアッセイは、微小血管内皮細胞がインビトロで培
養される場合に、毛細管様の構造(中空構造)を形成する能力を測定する。
【0537】 CADMEC(微小血管内皮細胞)を、Cell Applications
,Inc.から増殖性(継代2)細胞として購入し、そしてCEll APpl
ications、CADMEC増殖培地中で培養し、そして継代5で使用する
。インビトロ血管形成アッセイについて、48ウェル細胞培養プレートのウェル
をCell ApplicationsのAttachment Factor
Medium(200ml/ウェル)で30分間、37℃でコーティングする
。CADMECを、7,500細胞/ウェルでコーティングしたウェルに播種し
、そして一晩増殖培地で増殖する。次いで、この増殖培地を、300mg Ce
ll ApplicationsのChord Formation Medi
um(コントロール緩衝液またはBMPポリペプチド(0.1〜100ng/m
l)を含む)に置き換え、そしてその細胞を、さらに48時間培養する。毛細管
様の臍の数および長さを、Boeckeler VIA−170のビデオ画像分
析機の使用を通じて定量する。全てのアッセイを三連で行う。
【0538】 市販(R&D)のVEGF(50ng/ml)を、陽性コントロールとして用
いる。b−エストラジオール(1ng/ml)を、陰性コントロールとして用い
る。適切な緩衝液(タンパク質なし)もまた、コントロールとして利用する。本
実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験する。
しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプチド
のアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0539】 (実施例30:ニワトリ漿尿膜に対する血管形成効果) ニワトリ漿尿膜(CAM)は、血管形成を試験するための充分に確立された系
である。CAMにおける血管形成は、容易に可視性であり、そして定量可能であ
る。BMPポリペプチドがCAMにおける血管形成を刺激する能力は、試験され
得る。White Leghorn chick(Gallus gallus
)の受精卵および日本ウズラ(Coturnix coturnix)を、37
.8℃および80℃の湿度で孵化する。16日齢のニワトリおよび13日齢のウ
ズラの胚の分化したCAMを、以下の方法を用いて研究する。発生4日目に、ウ
インドウを、ニワトリ卵の卵の殻の上に作製する。この胚を、正常な発生につい
てチェックし、そしてこの卵をセロテープで封着する。これらを、さらに、13
日目まで孵化する。Thermanoxカバースリップ(Nunc,Naper
ville,IL)を、約5mmの直径のディクスに切り分ける。滅菌で塩を含
まない増殖因子を、蒸留水中に溶解し、そして約3.3mg/5mlをディスク
上にピペットする。風乾後、反転したディスクを、CAMに添加する。3日後、
検体を3%グルタルアルデヒドおよび2%ホルムアルデヒド中で固定し、そして
0.12Mのカコジル酸ナトリウム緩衝液中でリンスする。これら検体の写真を
、実体顕微鏡(Wild M8)を用いて撮影し、そして上記のような半切片化
および超薄切片化のために包埋する。コントロールを、キャリアディスクのみを
用いて行う。
【0540】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0541】 (実施例31:マウスにおけるマトリゲルイインプラントを用いた血管形成
アッセイ) BMPポリペプチドのインビボ血管形成アッセイは、既存の毛細管ネットワー
クがマウス細胞外マトリクス材料(Matrigel)の移植された莢膜中に新
たな血管を形成する能力を測定する。このタンパク質を、液体Matrigel
とともに、4℃で混合し、次いでこの混合物を、マウスに皮下注射し、そこで、
固化させる。7日後、Matrigelの固体の「プラグ」を取り出し、そして
新たな血管の存在について検査する。Matrigelを、Becton Di
ckinson Labware/Collaborative Biomed
ical Productsから購入する。
【0542】 4℃で解凍される場合、Matrigel材料は液体である。Matrige
lを、BMPポリペプチドと150ng/mlで、4℃で混合し、そして冷3m
lのシリンジに入れる。雌性C57B1/6マウス(約8週齢)に、Matri
gelと実験タンパク質の混合物を、腹の中腹局面での2部位に注射する(0.
5ml/部位)。7日後、このマウスを頚部脱臼によって屠殺し、Matrig
elプラグを取り出し、そして洗浄(すなわち、すべての粘着膜および繊維性組
織を取り除く)。複製の全体プラグを、中性緩衝化10%ホルムアルデヒド中に
固定し、パラフィン包埋し、そしてこれを用いてMassonのTrichro
meでの染色後の組織検査のための切片を作製した。各プラグの3つの異なる領
域からの切片を処理する。選択した切片を、vWFの存在について染色する。こ
のアッセイについての陽性コントロールは、ウシ塩基性FGF(150ng/m
l)である。Matrigel単独を用いて、血管形成の基底レベルを決定する
【0543】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0544】 (実施例32:ウサギ下肢モデルにおける虚血の救出) 虚血に対するBMPポリペプチドのインビボ効果を研究するために、ウサギの
後肢虚血モデルを、以前に記載される(Takeshita、S.ら、Am J
.Pathol 147:1649−1660(1995))ように1つの大腿
動脈の手術除去により作製する。大腿動脈の切除は、血栓の逆行性性増殖および
外来の腸骨動脈の閉塞を生じる。結果として、虚血性肢への血流は、腸骨動脈か
ら生じる副行血管に依存する(Takeshita、S.ら、Am J.Pat
hol 147:1649−1660(1995))。10日の間隔は、ウサギ
の術後の回復および内皮製の副行血管の発生を可能にする。10日の術後(0日
目)にて、基底線の血管造影を行った後、虚血性の肢の腸骨動脈を、500mg
の、BMPポリペプチドをコードする裸の発現プラスミドで、記載される(Ri
essen、R.ら、Hum Gene Ther.4:749−758(19
93);Leclerc,G.ら、J.Clin.Invest.90:936
−944(1992))ようなヒドロゲルコーティングしたバルーンカテーテル
を用いた動脈遺伝子移入技術によってトランスフェクトする。BMPポリペプチ
ドをコードするDNAを処置において使用する場合、500mgのBMPタンパ
ク質またはコントロールの単回ボーラスを、虚血性肢の腸骨動脈のへと1分間で
、注入カテーテルを通じて送達する。30日目に、種々のパラメータを、これら
のウサギにおいて測定する:(a)BP比率−正常な肢の収縮期圧に対する、虚
血性肢の収縮期圧の血圧比率;(b)血流および流保存−静止FL:拡張してい
ない状態の間の血流および最大FL:完全に拡張した状態の間の血流(また、血
管量の間接的な縮尺である)、そして流保存は最大FL:静止FLの比に反映さ
れる;(c)血管造影値−これは、副行血管の血管造影によって測定される。値
は、ウサギの腿における合計数によって割った交叉する不透明化動脈を伴う重複
グリッドにおける丸の割合によって決定される;(d)毛細管密度−後肢からと
った光顕微鏡切片において決定した副行毛細管の数。
【0545】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0546】 (実施例33:血管拡張に対するBMPタンパク質の効果) 血管内皮の拡張が血圧降下に重要であることから、高血圧自然発症ラット(S
HR)における血圧にBMPポリペプチドが影響を与える能力を試験する。漸増
用量(0、10、30、100、300および900mg/kg)のBMPポリ
ペプチドを、13〜14週齢の高血圧自然発症ラット(SHR)に投与する。デ
ータを、平均±SEMで表現する。統計学的分析を、両側t検定で行い、そして
統計的有意を、緩衝液単独に対する応答に対するp<0.05として規定する。
【0547】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0548】 (実施例34:ラット虚血皮膚皮弁モデル) 評価パラメータとしては、皮膚血流、皮膚温度および第VIII因子免疫組織
化学もしくは内皮アルカリホスファターゼ反応が挙げられる。皮膚虚血の間のB
MPタンパク質発現を、インサイチュハイブリダイゼーションを用いて研究する
。このモデルにおける研究を、以下の3つの部分に分割する: a)虚血性皮膚 b)虚血性皮膚創傷 c)正常創傷。
【0549】 実験プロトコルは以下を包含する: a)3×4cmの単一の茎完全厚のランダム皮弁(動物の腰にわたる筋皮弁) b)虚血性皮膚(皮弁)における切除創傷(4−6mm直径) c)以下の種々の投薬量範囲をでの切除創傷のBMPポリペプチドを用いた局
所処置(創傷後0日目、1日目、2日目、3日目、4日目):1mg〜100m
g d)創傷後3日目、5日目、7日目、10日目、14日目および21日目での
創傷組織を、組織学的研究、免疫組織化学的研究およびインサイチュ研究のため
の採取。
【0550】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0551】 (実施例35:末梢動脈疾患モデル) BMPポリペプチドを用いた血管形成治療は、末端動脈疾患の場合における虚
血の周りの血流の回復を得るための新たな治療戦略である。この実験プロトコル
は以下を包含する: a)大腿動脈の一方の側を結紮して、後肢の虚血性筋肉を作製し、後肢の他方
の側をコントロールとして作用させる b)20mg−500mgの投薬量範囲のBMPタンパク質を、1週間に3回
(おそらくそれより多い)を2〜3週間静脈内送達および/または筋肉内送達す
る c)この虚血性筋肉組織を、大腿動脈の結紮後、1週間、2週間および3週間
にて、BMPタンパク質発現および組織学の分析のために収集する。生検を、対
側の後肢の正常筋肉の他方の側においてもまた行う。
【0552】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0553】 (実施例36:虚血性心筋疾患モデル) BMPポリペプチドを、副行血管の発生を刺激し得、そして冠状動脈閉塞後の
新たな血管の再構成をし得る強力なマイトジェンとして評価する。BMPタンパ
ク質発現の変化を、インサイチュで調査する。この実験プラスミドは以下を包含
する: a)心臓を、ラットにおける左側の開胸を通じて露出させる。直ぐに、左の冠
状動脈を、薄い縫合(6−0)で閉塞させ、そして胸郭を閉塞させる b)20mg−500mgの投薬量範囲のBMPタンパク質を、静脈内および
/または筋肉内で、1週間に3回(おそらくそれより多い)2から4週間送達す
る c)術後30日にて、心臓を取り出し、そして形態測定のために切片化し、そ
してインサイチュで分析する。
【0554】 本実施例において記載された研究は、BMPタンパク質における活性を試験す
る。しかし、当業者は、例示された研究を容易に改変して、BMPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド(例えば、遺伝子治療)の活性、BMPポリペプ
チドのアゴニストおよび/またはアンタゴニストを試験し得る。
【0555】 (実施例37:ラット角膜創傷治癒モデル) この動物モデルは、新生血管形成に対するBMPポリペプチドの効果を示す。
この実験プロトコルは、以下を包含する: a)間質層へ角膜の中心からの1〜1.5mm長の切込みを入れる b)スパーテルを、目の外側の角に面する切込みのリップの下に挿入する c)ポケットを作製する(そのベースは、目の端から1〜1.5mmに存在す
る) d)50ngから5ugのBMPポリペプチドを含有するペレットを、ポケッ
ト内に配置する e)BMPポリペプチド処置もまた、20mg〜500mgの範囲の投薬量(
5日間毎日処置する)で角膜損傷に局所的に適用し得る。
【0556】 この実施例に記載される研究は、BMPタンパク質における活性を試験した。
しかし、当業者は、BMPポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの活性を
試験するための例示的な研究(例えば、遺伝子治療)、BMPポリペプチドのア
ゴニストおよび/またはアンタゴニストの活性を試験するための例示的な研究を
容易に改変し得る。
【0557】 (実施例38:糖尿病マウスおよび糖質コルチコイド障害性創傷治癒モデル
) (A.糖尿病db+/db+マウスモデル) BMPポリペプチドが治癒プロセスを加速し得ることを実証するために、創傷
治癒の遺伝的糖尿病マウスモデルを使用する。db+/db+マウスにおける全
厚創傷治癒モデルは、十分特徴付けられ、臨床的に関連し、そして再現可能な、
障害性創傷治癒のモデルである。糖尿病性創傷の治癒は、収縮よりもむしろ、肉
芽組織の形成および再上皮形成に依存する(Gartner,M.H.ら、J.
Surg.Res.52:389(1992);Greenhalgh,D.G
.ら、Am.J.Pathol.136:1235(1990))。
【0558】 糖尿病動物は、II型糖尿病において観察される多くの特有の特徴を有する。
ホモ接合性(db+/db+)マウスは、それらの正常なヘテロ接合性(db+
/+m)同腹仔と比較して肥満体である。変異体糖尿病(db+/db+)マウ
スは、第4染色体上に単一の常染色体劣性変異(db+)を有する(Colem
anら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:283−29
3(1982))。動物は、多食症、多渇症および多尿症を示す。変異体糖尿病
マウス(db+/db+)は、上昇した血中グルコース、増加したかまたは正常
なインスリンレベル、および抑制された細胞媒介性免疫性を有する(Mande
lら、J.Immunol.120:1375(1978);Debray−S
achs,M.ら、Clin.Exp.Immunol.51(1):1−7(
1983);Leiterら、Am.J.of Pathol.114:46:
46−55(1985))。末梢ニューロパシー、心筋合併症、ならびに微小血
管損傷、基底膜肥厚化(thickning)および糸球体濾過異常は、これら
の動物において記載されている(Norido,F.ら、Exp.Neurol
.83(2):221−232(1984);Robertsonら、Diab
etes 29(1):60−67(1980);Giacomelliら、L
ab Invest.40(4):460−473(1979);Colema
n,D.L.,Diabetes 31(補遺):1−6(1982))。これ
らのホモ接合性糖尿病マウスは、ヒトII型糖尿病に類似してインスリンに対し
て抵抗性である高血糖症を発症する(Mandelら、J.Immunol.1
20:1375−1377(1978))。
【0559】 これらの動物において観察される特徴は、このモデルにおける治癒がヒト糖尿
病において観察される治癒と類似し得ることを示唆する(Greenhalgh
ら、Am.J.of Pathol.136:1235−1246(1990)
)。
【0560】 遺伝的糖尿病の雌C57BL/KsJ(db+/db+)マウスおよびそれら
の非糖尿病(db+/+m)へテロ接合性同腹仔を、この研究において使用する
(Jackson Laboratories)。これらの動物を、研究の開始
時に6週齢および8週齢にて購入する。動物は個々に収容し、そして食物および
水を適宜与える。全ての操作を、無菌技術を使用して行う。この実験を、Hum
an Genome Sciences,Inc.Institutional
Animal Care and Use Committee and t
he Guidelines for the Care and Use o
f Laboratory Animalsの規則およびガイドラインに従って
行う。
【0561】 創傷プロトコルを、以前に報告された方法(Tsuboi,R.およびRif
kin,D.B.,J.Exp.Med.172:245−251(1990)
)に従って行う。簡単に述べると、創傷作製の日に、動物を、脱イオン水に溶解
したAvertin(0.01mg/mL)、2,2,2−トリブロモエタノー
ルおよび2−メチル−2−ブタノールの腹腔内注射で麻酔する。この動物の背側
の領域を剃毛し、そしてその皮膚を、70%エタノール溶液およびヨウ素で洗浄
する。この外科領域を、創傷作製の前に滅菌ガーゼで乾燥させる。8ミリの全厚
の創傷を、次いで、Keyes組織パンチを使用して作製する。創傷作製直後に
、取り囲む皮膚が穏やかに伸張し、創傷の拡大を排除する。これらの創傷は、実
験の期間の間、開いたままである。この処置の適用を、局所的に、創傷作製の日
を開始として5日間連続して与える。処置の前に、創傷を、滅菌生理食塩水およ
びガーゼスポンジで穏やかに洗浄する。
【0562】 創傷を視覚的に検査し、そして手術の日に固定した距離にて写真撮影し、以後
2日間隔で行う。創傷閉鎖を、1〜5日目および8日目の日々の測定によって決
定する。創傷を、較正したJamesonカリパスを使用して水平方向および垂
直方向に測定する。肉芽組織がもはや可視ではなく、そして創傷が連続する上皮
によって覆われる場合に、この創傷を治癒したとみなす。
【0563】 BMPポリペプチドを、ビヒクル中に、1日に創傷あたり4mgから500m
gまでのBMPポリペプチドの、異なる範囲の用量を使用して、8日間投与する
。ビヒクルコントロール群には、50mLのビヒクル溶液を与えた。
【0564】 動物を、ペントバルビタールナトリウム(300mg/kg)の腹腔内注射を
用いて8日目に安楽死させる。次いで、この創傷および周囲の皮膚を、組織学お
よび免疫組織化学のために採取する。組織標本を、さらなる処理のための生検ス
ポンジの間の組織カセットにおいて、10%中性緩衝化ホルマリン中におく。各
10匹の動物(5匹の糖尿病および5匹の非糖尿病コントロール)の3つの群を
評価する: 1)ビヒクルプラシーボコントロール 2)BMPポリペプチド。
【0565】 創傷閉鎖を、垂直軸および水平軸における面積を測定し、そしてこの創傷の全
面積を得ることによって分析する。次いで、収縮(contraction)を
、最初の創傷面積(0日目)と処置後の創傷面積(8日目)との間の差異を確立
することによって評価する。1日目における創傷面積は64mm2の皮膚パンチ
の対応する大きさである。以下の式を使用して計算を行う: (8日目の開口面積)−(1日目の開口面積)/(1日目の開口面積)。 標本を、10%緩衝化ホルマリン中で固定し、そしてパラフィン包埋ブロックを
、創傷表面に対して垂直に区切り(5mm)、そしてReichert−Jun
gマイクロトームを使用して切断する。慣用的なヘマトキシリン−エオシン(H
&E)染色を、二等分した創傷の断面で行う。この創傷の組織学的検査を使用し
て、治癒プロセスおよび修復された皮膚の形態学的外観がBMPポリペプチドを
用いる処置によって変更されるか否かを評価する。この評価は、細胞蓄積、炎症
生細胞、毛細管、線維芽細胞、再上皮形成および上皮成熟の存在の確認を含んだ
(Greenhalgh,D.G.ら、Am.J.Phathol.136:1
235(1990))。較正したレンズマイクロメーターを、盲目観察者(bl
inded observer)によって使用する。
【0566】 組織切片もまた、ポリクローナルウサギ抗ヒトケラチン抗体を用いて、ABC Elite検出システムを使用して、免疫組織化学的に染色する。ヒトの皮膚
を、ポジティブ組織コントロールとして使用し、一方、非免疫IgGを、ネガテ
ィブコントロールとして使用する。ケラチノサイトの増殖を、創傷の再上皮形成
の程度を、較正したレンズマイクロメーターを使用して評価することによって決
定する。
【0567】 皮膚標本における増殖する細胞核抗原/サイクリン(PCNA)を、抗PCN
A抗体(1:50)をABC Elite検出システムを用いて使用することに
よって実証する。ヒト結腸癌をポジティブ組織コントロールとして提供し、そし
てヒト脳組織を、ネガティブ組織コントロールとして使用する。各標本は、一次
抗体の省略および非免疫マウスIgGとの置換を有する切片を含んだ。これらの
切片の順位付けは、0〜8のスケールにおける増殖の程度に基づき、このスケー
ルのより低い側は、わずかな増殖を反映し、より高い側は、激しい増殖を反映す
る。実験データを、片側t検定を使用して分析する。0.05未満のp値を有意
であるとみなす。
【0568】 (B.ステロイド障害性ラットモデル) ステロイドによる創傷治癒の阻害は、様々なインビトロおよびインビボ系にお
いて十分検証されてきた(Wahl,S.M.Glucocorticoids
and Wound healing.Anti−Inflammatory
Steroid Action:Basic and Clinical A
spects.280−302(1989);Wahl,S.M.ら、J.Im
munol.115:476−481(1975);Werb,Z.ら、J.E
xp.Med.147:1684−1694(1978))。糖質コルチコイド
は、新脈管形成を阻害して、血管浸透性(Ebert,R.H.ら、An.In
tern.Med.37:701−705(1952)、線維芽細胞増殖、およ
びコラーゲン合成(Beck,L.S.ら、Growth Factors.5
:295−304(1991);Haynes,B.F.ら、J.Clin.I
nvest.61:703−797(1978))を減少させることによって、
および循環する単球の一過性減少を生成することによって(Haynes,B.
F.ら、J.Clin.Invest.61:703−797(1978);W
ahl,S.M.,「Glucocorticoids and wound
healing」、Antiinflammatory Steroid Ac
tion:Basic and Clinical Aspects,Acad
emic Press,New York,280〜302頁(1989))、
創傷治癒を遅延させる。障害性創傷治癒へのステロイドの全身投与は、ラットに
おいて十分に確立された現象である(Beck,L.S.ら、Growth F
actors.5:295−304(1991);Haynes,B.F.ら、
J.Clin.Invest.61:703−797(1978);Wahl,
S.M.,「Glucocorticoids and wound heal
ing」、Antiinflammatory Steroid Action
:Basic and Clinical Aspects,Academic
Press,New York,280〜302頁(1989);Pierc
e,G.F.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:22
29−2233(1989))。
【0569】 BMPポリペプチドが治癒プロセスを加速し得ることを実証するために、ラッ
ト(このラットにおいて、治癒は、メチルプレドニゾロンの全身投与によって障
害されている)における全厚切除皮膚創傷(full thickness e
xcisional skin wound)に対するBMPポリペプチドの複
数の局所適用の効果を評価する。
【0570】 体重250〜300gの若年成体雄Sprague Dawleyラット(C
harles River Laboratories)を、この実施例におい
て使用する。この動物を8週齢にて購入し、そしてこの研究の開始時には9週齢
である。ラットの治癒応答を、創傷時にメチルプレドニゾロンの全身投与(17
mg/kg/ラット、筋肉内)によって、障害させる。動物を個々に収容し、そ
して食物および水を適宜与える。全ての操作を、無菌技術を使用して行う。この
研究を、Human Genome Sciences,Inc.Instit
utional Animal Care and Use Committe
e and the Guidelines for the Care an
d Use of Laboratory Animalsの規則およびガイド
ラインに従って行う。
【0571】 創傷プロトコルを、上記のA節に従って続けて行う。創傷作製の日に、動物を
、ケタミン(50mg/kg)およびキシラジン(5mg/kg)の筋肉内注射
で麻酔する。この動物の背側の領域を剃毛し、そしてその皮膚を、70%エタノ
ール溶液およびヨウ素溶液で洗浄する。この外科領域を、創傷作製の前に滅菌ガ
ーゼで乾燥させる。8ミリの全厚の創傷を、Keyes組織パンチを使用して作
製する。これらの創傷は、実験の期間の間、開いたままである。この試験材料の
適用を、局所的に、創傷の日を開始として7日間連続して、1日1回与え、続い
てメチルプレドニゾロンを投与する。処置の前に、創傷を、滅菌生理食塩水およ
びガーゼスポンジで穏やかに洗浄する。
【0572】 創傷を視覚的に検査し、そして創傷の日および手術の日の最後に固定した距離
にて写真撮影する。創傷閉鎖を、1〜5日目および8日目の日々の測定によって
決定する。創傷を、較正したJamesonカリパスを使用して水平方向および
垂直方向に測定する。肉芽組織がもはや可視ではなく、そして創傷が連続する上
皮によって覆われる場合に、この創傷を治癒したとみなす。
【0573】 BMPポリペプチドを、ビヒクル中に、1日に創傷あたり4mgから500m
gまでのBMPポリペプチドの、異なる範囲の用量を使用して、8日間投与する
。ビヒクルコントロール群には、50mLのビヒクル溶液を与えた。動物を、ペ
ントバルビタールナトリウム(300mg/kg)の腹腔内注射を用いて8日目
に安楽死させる。次いで、この創傷および周囲の皮膚を、組織学のために採取す
る。組織標本を、さらなる処理のための生検スポンジの間の組織カセットにおい
て、10%中性緩衝化ホルマリン中におく。
【0574】 各10匹の動物(5匹はメチルプレドニゾロンあり、および5匹は糖質コルチ
コイドなし)の4つの群を評価する: 1)未処理の群 2)ビヒクルプラシーボコントロール 3)BMPポリペプチド処置群。
【0575】 創傷閉鎖を、垂直軸および水平軸における面積を測定し、そしてこの創傷の全
面積を得ることによって分析する。次いで、閉鎖を、最初の創傷面積(0日目)
と処置後の創傷面積(8日目)との間の差異を確立することによって評価する。
1日目における創傷面積は64mm2の皮膚パンチの対応する大きさである。以
下の式を使用して計算を行う: (8日目の開口面積)−(1日目の開口面積)/(1日目の開口面積)。
【0576】 標本を、10%緩衝化ホルマリン中で固定し、そしてパラフィン包埋ブロック
を、創傷表面に対して垂直に区切り(5mm)、そしてOlympusマイクロ
トームを使用して切断する。慣用的なヘマトキシリン−エオシン(H&E)染色
を、二等分した創傷の断面で行う。この創傷の組織学的検査は、治癒プロセスお
よび修復された皮膚の形態学的外観がBMPポリペプチドを用いる処置によって
改善されるか否かの評価を可能にする。較正したレンズマイクロメーターを、盲
目観察者によって使用されて、創傷ギャップの距離を決定する。
【0577】 実験データを、片側t検定を使用して分析する。0.05未満のp値を有意で
あるとみなす。
【0578】 この実施例に記載される研究は、BMPタンパク質における活性を試験した。
しかし、当業者は、BMPポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの活性を
試験するための例示的な研究(例えば、遺伝子治療)、BMPポリペプチドのア
ゴニストおよび/またはアンタゴニストの活性を試験するための例示的な研究を
容易に改変し得る。
【0579】 (実施例39:リンパ水腫動物モデル) この実験的アプローチの目的は、ラット後肢におけるリンパ循環系のリンパ管
形成(lymphangiogenesis)および再樹立において、BMPポ
リペプチドの治療効果を試験するための、適切かつ一致したリンパ水腫モデルを
作製することである。有効性を、罹患した肢の腫脹体積、リンパ血管系の量の定
量、全血血漿タンパク質、および組織病理学によって測定する。急性リンパ水腫
を、7〜10日間観察する。おそらく、より重要なことには、水腫の慢性的な進
行は、3〜4種間まで続く。手術の開始前に血液サンプルを、タンパク質濃度分
析のために引き出す。約350gの体重の雄ラットに、ペントバルビタールを投
薬する。続いて、その右肢を、膝から臀部まで剃毛する。剃毛した領域を、70
%EtOHに浸漬したガーゼで拭く。血清全タンパク質試験のために血液を引き
出す。周径および体積測定を、足に染料を注入する前に、2つの測定レベルを作
製した後に、行う(背側の足の中央部分にて、かかとの0.5cm上)。右足お
よび左足の両方の皮内の背側に、1% Evan’s Blue 0.05ml
を注射する。次いで、周径および体積測定を、足への染料の注射の後に行う。
【0580】 目印として膝関節を使用して、脚の中央部の鼡径の切開を外周的に行って、大
腿管を配置させる。鉗子および止血物質を使用して、皮膚弁を切り出して分離さ
せる。大腿管を配置した後、管を沿ってかつ下部に流れるリンパ管を配置する。
次いで、この領域の主なリンパ管を、電気的に凝固させるか、または縫合結紮す
る。
【0581】 顕微鏡を使用して、脚の後ろの筋肉(半腱状態(semitendinosi
s)および内転筋付近)を、ざっと切り出す。次いで、膝窩リンパ節を配置する
。次いで、膝窩節の2つの近位リンパ管および2つの遠位リンパ管ならびに遠位
血液供給を、縫合によって連結する。次いで、膝窩リンパ節および任意の付随す
る脂肪組織を、結合組織を切断することによって除去する。
【0582】 コントロールおよびこの手順から得られた軽度の出血に対して、手当てを施す
。リンパ管を閉塞した後、皮膚弁を、液体皮膚(Vetbond)(AJ Bu
ck)を使用することによって密封する。別々の皮膚エッジを、その下の筋肉組
織に、脚の周囲に約0.5cmのギャップを残しながら密封する。皮膚もまた、
必要なときにその下の筋肉に縫合することによって係留し得る。
【0583】 感染を回避するために、動物を、メッシュを用いて個別に収容する(床敷きな
し)。回収した動物を、最適な水腫ピークを通して毎日チェックする。このピー
クは、代表的には5〜7日まで生じる。次いで、プラトーの水腫ピークを観察す
る。リンパ水腫の強度を評価するために、各肢上の2つの指定した場所の周径お
よび体積を、操作の前および7日間毎日測定する。リンパ水腫に対する血漿タン
パク質の効果を決定し、そしてタンパク質分析が有用な試験周界であるか否かも
また調査する。コントロールおよび水腫肢の両方の重量を、2箇所で評価する。
分析を盲目様式(blind manner)で行う。
【0584】 周径測定:肢の動きを防止するための短期気体麻酔のもとで、布巻尺を使用し
て、肢の周径を測定する。測定を、足首の骨および背面の足にて、2人の異なる
人物によって行い、次いで、これらの2つの読み取りを平均する。読み取りを、
コントロールおよび水腫肢の両方から得る。
【0585】 体積測定:手術の日に、動物をペントバルビタールで麻酔し、そして手術の前
に試験する。毎日の体積測定のために、動物を短期ハロタン麻酔(迅速な固定お
よびすばやい回数)のもとにおき、両方の脚を剃毛し、そして耐水性マーカーを
用いて脚に等しくしるしをつける。脚を、最初に水に漬け、次いで各々顕著なレ
ベルまで装置に漬け、次いでBuxco水腫ソフトウェア(Chen/Vict
or)によって測定する。データを1人の人物によって記録し、一方他者は、脚
をしるしを付けた領域まで漬ける。
【0586】 血液−血漿タンパク質測定:手術の前に血液を取り出し、遠心分離し、そして
血清を分離し、次いで、全タンパク質およびCa2+比較について結論付ける。
【0587】 肢重量比較:血液を取り出した後、この動物を、組織収集のために調製する。
この肢を、キリチン(quillitine)を用いて切断し、次いで、実験用
脚とコントロール脚の両方を、結紮して切断し、そして秤量する。2回目の秤量
を、脛踵(tibio−cacaneal)関節を外し、そして足を秤量して行
う。
【0588】 組織学的調製:膝(膝窩)領域の後ろに位置する横筋を切り出し、そして金属
型に配置し、freezeGelで満たし、冷メチルブタンに漬け、標識したサ
ンプルバッグに切断するまで−80ECにて配置する。切断の際に、筋肉を、蛍
光顕微鏡のもとで、リンパ管について観察する。この実施例に記載される研究は
、BMPタンパク質における活性を試験した。しかし、当業者は、BMPポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドの活性を試験するための例示的な研究(例
えば、遺伝子治療)、BMPポリペプチドのアゴニストおよび/またはアンタゴ
ニストの活性を試験するための例示的な研究を容易に改変し得る。
【0589】 (実施例40:TNFα誘導性接着分子発現のBMPポリペプチドによる抑制
) 炎症および新脈管形成の領域に対するリンパ球の漸増は、リンパ球上の細胞表
面接着分子(CAM)と血管内皮との間の特定のレセプター−リガンド相互作用
に関する。この接着プロセスは、通常の設定および病理学的設定の両方において
、細胞間接着分子−1(ICAM−1)、血管細胞接着分子−1(VCAM−1
)、内皮細胞(EC)におけるおよび内皮白血球接着分子−1(E−セレクチン
)発現を含む、他段階カスケードに続く。これらの分子および他の分子の血管内
皮における発現は、白血球が局所血管系に接着し得、そして炎症応答の発生の間
に局所組織に溢出し得る効率を決定する。サイトカインおよび増殖因子の局所濃
度は、これらのCAMの発現の調節に関与する。
【0590】 腫瘍壊死因子α(TNF−α)(強力なプロ炎症性サイトカイン)は、内皮細
胞における3つ全てのCMAの刺激因子であり、そして広範な種々の炎症応答に
関与し得、しばしば病理学的結果をもたらす。
【0591】 TNF−α誘導性CAM発現の抑制を媒介するBMPポリペプチドの潜在能力
を試験し得る。改変型ELISAアッセイ(これは、固相吸着剤としてECを使
用する)を使用して、多数のBMPファミリーのタンパク質を用いて同時刺激し
た場合に、TNF−α処理タンパク質ECにおけるCAM発現の量を測定する。
この実験を行うために、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)培養物を、プールし
た索採取物から得、そして10%FCSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイ
シンを補充した増殖培地(EGM−2;Clonetics,San Dieg
o,CA)中で、5%CO2を含む37℃の加湿インキュベーターにおいて維持
する。HUVECを、EGM培地中1×104細胞/ウェルの濃度で、96ウェ
ルプレート中に、37℃で18〜24時間またはコンフルエントになるまで播種
する。続いて、単層を、100U/mlペニシリンおよび100mg/mlスト
レプトマイシンを補充したRPMI−1640の無血清溶液で3回洗浄し、そし
て所定のサイトカインおよび/または増殖因子を用いて、24時間37℃にて処
理した。インキュベーション後、次いで、この細胞を、CAM発現について評価
する。
【0592】 ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、標準的な96ウェルプレートにおいて
コンフルエントになるまで増殖させる。増殖培地を、細胞から取り除き、そして
90μlの199培地(10%FBS)に置き換える。試験のためのサンプルお
よびポジティブまたはネガティブコントロールを、このプレートに三連で添加す
る(10μl容量)。プレートを、37℃にて、5時間(セレクチンおよびイン
テグリン発現)または24時間(インテグリン発現のみ)のいずれかでインキュ
ベートする。プレートを吸引して、培地を除去し、そして100μlの0.1%
パラホルムアルデヒド−PBS(Ca++およびMg++を有する)を各ウェル
に添加する。プレートを、4℃にて30分間保持する。次いで、固定液をウェル
から除去し、そしてウェルをPBS(+Ca、Mg)+0.5%BSAを用いて
1回洗浄し、そして排水する。このウェルを乾燥させないこと。10μlの希釈
した一次抗体を、試験ウェルおよびコントロールウェルに添加する。抗ICAM
−1−Biotin、抗VACM−1−Biotinおよび抗E−セレクチン−
Biotinを、10μg/mlの濃度(0.1mg/mlストック抗体の1:
10希釈)で使用する。細胞を、加湿した環境において、37℃にて30分間イ
ンキュベートする。ウェルを、PBS(+Ca、Mg)+0.5%BSAを用い
て3回洗浄する。
【0593】 次いで、20μlの希釈したExtrAvidin−Alkaline Ph
osphotase(1:5,000希釈)を各ウェルに添加し、そして37℃
にて30分間インキュベートする。ウェルを、PBS(+Ca、Mg)+0.5
%BSAを用いて3回洗浄する。1錠のp−ニトロフェノールホスフェート(p
NPP)を、5mlのグリシン緩衝液(pH10.4)に溶解させる。グリシン
緩衝液中のpNPP基質100μlを、各試験ウェルに添加する。三連の標準ウ
ェルを、グリシン緩衝液中のExtrAvidin−Alkaline Pho
sphotaseの操作希釈(working dilution)(1:5,
000(100)>10-0.5>10-1>10-1.5)から調製する。5μlの各希
釈物を、三連のウェルに添加し、そして各ウェル中の得られたAP含量は、5.
50ng、1.74ng、0.55ng、0.18ngである。次いで、100
μlのpNPP試薬を、標準ウェルの各々に添加しなければならない。このプレ
ートを、37℃にて4時間インキューベートしなければならない。3M NaO
Hの50μlの容量を全てのウェルに添加する。この結果を、プレートリーダー
において405nmにて定量する。バックグラウンド減算オプションを、グリシ
ン緩衝液のみで満たしたブランクウェルにおいて使用する。このテンプレートを
、各々の標準ウェルにおけるAP結合体の濃度を示すように設定する(5.50
ng;1.74ng;0.55ng;0.18ng)。結果を、各サンプル中の
結合したAP結合体の量として示す。
【0594】 この実施例に記載される研究は、BMPタンパク質における活性を試験した。
しかし、当業者は、BMPポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの活性を
試験するための例示的な研究(例えば、遺伝子治療)、BMPポリペプチドのア
ゴニストおよび/またはアンタゴニストの活性を試験するための例示的な研究を
容易に改変し得る。
【0595】
【表3】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 107 C07K 14/46 C07H 21/04 16/18 C07K 14/46 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 15/00 ZNAA 1/21 A61K 37/24 5/10 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (71)出願人 9410 Key West Avenue, Rockville, Marylan d 20850, United State s of America (72)発明者 ヤング, ポール イー. アメリカ合衆国 メリーランド 20878, ゲイザーズバーグ, ベックウィズ ス トリート 122 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 CA04 CA06 CA11 DA06 EA02 EA04 GA11 GA14 HA11 HA12 HA17 4B065 AA26X AA90X AA90Y AA95X AB01 BA02 BA03 CA24 CA44 CA46 4C057 MM04 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 DB60 NA14 ZA361 ZA362 ZA452 ZA512 ZA542 ZA892 ZA942 ZA962 ZB212 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 DA30 EA20 FA74

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離された核酸分子であって、以下: (a)配列番号Xとして示されるポリヌクレオチド、またはATCC寄託番号
    Zに含まれるcDNA配列によりコードされるポリヌクレオチド; (b)配列番号Yの生物学的に活性なポリペプチドフラグメント、またはAT
    CC寄託番号Zに含まれるcDNA配列によってコードされる生物学的に活性な
    ポリペプチドフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド; (c)配列番号Yのポリペプチドエピトープ、ATCC寄託番号Zに含まれる
    cDNA配列によってコードされるポリペプチドエピトープをコードする、ポリ
    ヌクレオチド; (d)(a)〜(c)において特定されるポリヌクレオチドのいずれか1つに
    ストリンジェント条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチドであって、こ
    こで、該ポリヌクレオチドは、A残基のみまたはT残基のみのヌクレオチド配列
    を有する核酸分子に、ストリンジェント条件下でハイブリダイズしない、ポリヌ
    クレオチド、 からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含む、単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 前記ポリヌクレオチドが、可溶性ポリペプチドをコードする
    ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号Yとして同定される配列
    、またはATCC寄託番号Zに含まれるcDNA配列によってコードされるポリ
    ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された核
    酸分子。
  4. 【請求項4】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号Xのヌクレオチド配列全
    体、またはATCC寄託番号Zに含まれるcDNAを含む、請求項1に記載の単
    離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 前記ポリヌクレオチドが、DNAである、請求項2に記載の
    単離された核酸分子。
  6. 【請求項6】 前記ポリヌクレオチドが、RNAである、請求項3に記載の
    単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の単離された核酸分子を含む、ベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  9. 【請求項9】 遺伝子発現を制御する異種調節エレメントに作動可能に連結
    されている、請求項1に記載の核酸分子を含む、組換え宿主細胞。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の宿主細胞からコードされたポリペプチド
    を発現させる工程および該ポリペプチドを回収する工程を包含する、ポリペプチ
    ドを生成する方法。
  11. 【請求項11】 単離されたポリペプチドであって、以下: (a)配列番号Yとして示されるポリペプチド、または前記cDNAによりコ
    ードされるポリペプチド; (b)配列番号Y、または前記cDNAによりコードされたポリペプチドのポ
    リペプチドフラグメント; (c)配列番号Y、または前記cDNAによりコードされたポリペプチドのポ
    リペプチドエピトープ;および (d)配列番号Yの改変体、 からなる群から選択される配列に少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む、
    単離されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 配列番号Yを有するポリペプチドを含む、請求項11に記
    載の単離されたポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載の単離されたポリペプチドに特異的に結
    合する、単離された抗体。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載の単離されたポリペプチドを発現する、
    組換え宿主細胞。
  15. 【請求項15】 単離されたポリペプチドを作製する方法であって、 (a)該ポリペプチドが発現されるような条件下で、請求項14に記載の組換
    え宿主細胞を培養する工程;および (b)該ポリペプチドを回収する工程、 を包含する、方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の方法によって産生される、ポリペプチ
    ド。
  17. 【請求項17】 医学的状態を予防、処置、または改善する方法であって、
    請求項11に記載のポリペプチドまたは請求項1に記載のポリヌクレオチドの治
    療有効量を、哺乳動物被験体に投与する工程を包含する、方法。
  18. 【請求項18】 被験体における病理学的状態、または病理学的状態に対す
    る罹患しやすさを診断する方法であって、 (a)請求項1に記載のポリヌクレオチドにおいて変異の存在または非存在を
    決定する工程;および (b)該変異の存在または非存在に基づいて病理学的状態、または病理学的状
    態に対する罹患しやすさを診断する工程、 を包含する、方法。
  19. 【請求項19】 被験体における病理学的状態、または病理学的状態に対す
    る罹患しやすさを診断する方法であって、 (a)生物学的サンプルにおいて請求項11に記載のポリペプチドの発現の存
    在または量を決定する工程、および (b)該ポリペプチドの発現の存在または量に基づいて病理学的状態、または
    病理学的状態に対する罹患しやすさを診断する工程、 を包含する、方法。
  20. 【請求項20】 請求項11に記載のポリペプチドに対する結合パートナー
    を同定する方法であって、 (a)請求項11に記載のポリペプチドを結合パートナーと接触させる工程;
    および (b)該結合パートナーが該ポリペプチドの活性をもたらすかどうかを決定す
    る工程、 を包含する、方法。
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