JP2002519385A - 内毒素中和タンパク質またはその誘導体を含む組成物およびその使用 - Google Patents

内毒素中和タンパク質またはその誘導体を含む組成物およびその使用

Info

Publication number
JP2002519385A
JP2002519385A JP2000557846A JP2000557846A JP2002519385A JP 2002519385 A JP2002519385 A JP 2002519385A JP 2000557846 A JP2000557846 A JP 2000557846A JP 2000557846 A JP2000557846 A JP 2000557846A JP 2002519385 A JP2002519385 A JP 2002519385A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
enp
endotoxin
gram
horseshoe crab
pharmaceutical composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000557846A
Other languages
English (en)
Inventor
パウス、エリック、ジェイ.
ウェインライト、ノーマン、アール.
Original Assignee
アソシエーツ オブ ケープ コッド,インコーポレーテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アソシエーツ オブ ケープ コッド,インコーポレーテッド filed Critical アソシエーツ オブ ケープ コッド,インコーポレーテッド
Publication of JP2002519385A publication Critical patent/JP2002519385A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、内毒素中和タンパク質(ENP)およびその誘導体を、単独使用の微生物阻止剤として、または抗生物質や防腐剤の相乗的促進剤として、使用することに関する。ENPを単独でまたは抗生物質との組合せで含む組成物は、グラム陰性細菌感染症、内毒素血症、敗血症性ショック、グラム陽性細菌感染症、酵母感染症、および真菌感染症の治療または予防に用いることができる。ENPを単独でまたは慣用防腐剤との組合せで含む組成物は、化粧品やパーソナルケア製品の抗菌性防腐剤として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 1.発明の分野 本発明は一般に、カブトガニ(horseshoe crab)の内毒素中和タンパク質(ENP
)に関する。さらに具体的には、本発明は、内毒素中和タンパク質(ENP)もし
くはENP誘導体を単独で、または抗生物質と組合わせて、投与することによって
、微生物感染を予防または治療するための治療方法に関する。本発明はまた、そ
のような方法との関連で使用可能なENPもしくはENP誘導体を含む医薬組成物に関
する。本発明はさらに、ENPもしくはENP誘導体を単独で、または防腐剤と組合わ
せて、含む組成物、並びに化粧品および身体ケア製剤の抗微生物防腐剤としての
該組成物の使用にも関する。
【0002】 2.発明の背景 2.1. 内毒素 内毒素は、脂質、炭水化物およびタンパク質からなる高分子量のリポ多糖(LP
S)複合体であり、全体として陰性の電荷と熱安定性によって特徴付けられる。
内毒素はグラム陰性細菌の外側細胞壁の構成成分である。LPSは、3つの異なる
化学ドメイン、すなわち最も内部のリン脂質(リピドA)部分、中央コアの多糖
、および最も外側のO−特異的多糖側鎖、からなっている。
【0003】 内毒素は、グラム陰性細菌が破壊されるとき(例えば抗生物質療法の間に)、
あるいは細菌が宿主生物内で増殖するかまたは溶菌されるときに、放出される。
哺乳類では内毒素は炎症応答の強力な誘導物質である。内毒素のLPSは宿主の炎
症細胞からサイトカインのようなメディエータの放出を誘導する。内毒素に全身
的に晒されると、非抑制性の有害な炎症応答、たとえば敗血性ショック(内毒素
症)に関連した炎症応答、を引き起こし、最終的に血管内血液凝固や種々の生命
器官の不全に導く。
【0004】 2.2 内毒素中和タンパク質 内毒素中和タンパク質(ENP;抗LPS因子としても知られる)は、カブトガニの
アメーバ様細胞(amebocyte)の細胞溶解物中に認められる。ENPは内毒素に結合
し中和する。すなわち、ENP結合によって、内毒素が動物において炎症応答を誘
導する能力が有意に低減されるか、あるいは該能力が壊滅される。ENPは全4つ
のカブトガニ株、すなわちLimulus polyphemus、Tachypleus gigas、Tachypleus
tridentatusおよび Carcinoscropius rotundicaudaのアメーバ様細胞中に存在
している。
【0005】 ENPの遺伝学は依然としてはっきりしない。ENPは、ヌクレオチドおよびアミノ
酸レベルで微小異質性(microheterogeneity)を示すメンバーを含む小遺伝子ファ
ミリーによってコードされる場合もある。種々のカブトガニ種由来のENPは進化
的に関連しており、アミノ酸配列レベルで約70%の相同性を示す。
【0006】 ENPはカブトガニの抗感染経路において重要な役割を果たしている。グラム陰
性細菌由来の内毒素に晒されると、血リンパ中に存在するENPが感染細菌のLPSに
結合して凝血(clot)を形成し、侵入する細菌をトラップし、血管内血液凝固を
防止する。
【0007】 ENPの中和活性は内毒素のリピドA部分に結合するその高い親和性による。ENP
はアミノ末端に疎水性アミノ酸のクラスタリングと、中央のジスルフィド結合さ
れたループ領域中に塩基性アミノ酸のアレイとをもつ両親媒性の単一鎖のタンパ
ク質である。内毒素のENP結合の完全様式は依然としてはっきりしないが、ENPの
疎水性およびカチオン性アミノ酸がそれぞれリピドAの脂肪酸鎖およびリン酸基
と相互作用するようである。
【0008】 国際公開第WO92/20715号は、ENPが内毒素結合および中和に必須であるコアド
メインをもつことを開示している。Limulus polyphemusのENP(カブトガニ抗LPS
因子またはカブトガニENPとしても知られる)では、このドメインはアミノ酸残
基30〜56の疎水性ループを含んでいる(Kloczewiak et al., 1994, J. Infe
ctious Diseases 170:1490-1497)。
【0009】 研究によって、ENPは、広範囲のグラム陰性細菌、たとえば肺炎菌(Klebsiella
pneumonias)、Serratia marcescens、Salmonella enteritidis、大腸菌O113野
生型、大腸菌ラフ変異体(J-5)、Salmonella abortus equi由来の内毒素、およ
びSalmonella minnesota Re595由来のリピドAに結合し不活性化することが示さ
れている(国際公開第WO92/20715号)。これらの研究では、ENPは種々の比率で
内毒素またはリピドAと混合され、混合物中の内毒素活性が測定された。ENPが過
剰に加えられる場合、内毒素活性は大きく減少した。
【0010】 ENPは、マウス脾臓細胞の有糸分裂生起のような種々の細胞過程および事象(W
arren, 1992, Infect. Immun. 60:2506-2513)、ヒト内皮細胞の活性化(Desch
et al., 1992, Infect. Immun. 57:1612-1614)およびヒトマクロファージによ
る腫瘍壊死因子の放出(Kuppermann et al., 1994, J. Infect. Dis. 170:630-63
5)、の内毒素誘導を阻止することが示されている。
【0011】 ENPはまた、ラフグラム陰性細菌の増殖を阻止する(Morita et al., 1985, J.
Biochem. 97:1611-1620)。ENPはin vivoで強力な内毒素中和活性をもつ。ENP
はラットにおいて致死性大腸菌内毒素チャレンジに対し保護性であるし(Wainwr
ight et al., Cellular and Molecular Aspects of Endotoxin Reactions. Nowo
tny et al. eds., Amsterdam: Elsevier Science, pp.315-325 (1990))、また
ウサギにおいて致死性の髄膜炎菌チャレンジに対して保護性である(Alpert et a
l., 1992, J. Infect. Dis. 165:494-500)。ENP処置はまた、大腸菌肺血症をも
つウサギやラットの生存率を改善する(Saladino et al., 1994, Circ. Shock 42
:104-110; Kuppermann et al., 1992, Pediatr. Res. 31:32A)。
【0012】 ENPはin vivoで非常に強力な内毒素中和活性を示す。これはラットモデル系(
ラットはヒトに有害な大腸菌被包性株に感染されたもの)で実証されている。EN
Pは50mg/kgの用量で、内毒素が動物体内を循環した後でENPが投与されたときで
さえ、感染性大腸菌により放出された内毒素の致死性作用を阻止し、標的細胞に
結合したようである。抗内毒素抗体HA-1Aで処置された動物と比較されたときに
は、ENPで処置された動物は相当低い循環内毒素濃度を示し、生存率を改善した
(Kuppermann et al., 1994, J. Infect. Dis. 170:630-635)。
【0013】 ENPによる同様の保護効果はまた、ウサギにおいて実証されている。致死性内
毒素チャレンジ前に2.5もしくは5mg/kgの用量で投与されたENPは生理機能と生存
率を有意に改善した。ENP処置はまた、内毒素チャレンジの30分後に投与され
た場合でさえ、大腸菌内毒素の毒性作用を弱毒化し、生存率を改善した。この例
では、ENPの保護作用は、内毒素チャレンジ前にENPで前もって処置された動物で
認められたものよりも弱かった(Gacia et al., 1994, Care Med. 22:1211-1218
)。
【0014】 本明細書中のいかなる参考文献の引用または識別も、かような参考文献が本発
明に対する従来技術として入手可能であることを承認するものであると解釈され
るべきでない。
【0015】 3.発明の概要 本発明は一般に、カブトガニの内毒素中和タンパク質(ENP)およびENP誘導体
の使用、並びに、それらを含有する組成物に関する。本発明は、微生物感染を予
防または治療するための新規の治療方法を提供し、該方法は、有効量の1種もし
くは数種のENPまたはENP誘導体を単独で、あるいは有効量の1種もしくは数種の
抗生物質と組合わせて、投与することを含む。本発明はまた、1種以上のENPまた
はENP誘導体を単独で、または1種以上の抗生物質と組合わせて、含む医薬組成物
を提供し、該組成物は本発明の方法で使用可能である。本発明の方法および組成
物はグラム陰性細菌spp.、グラム陽性細菌spp.、酵母spp.、および真菌spp.によ
って引き起こされる感染を予防または治療するために使用できる。
【0016】 本発明はさらに、抗微生物性防腐剤としてのENPおよびENP誘導体の新規
の使用を提供し、該ENPおよびENP誘導体は、細菌、酵母および菌類の増殖
を防止または阻止するために化粧品や身体ケア製品中に単独でか、あるいは慣用
の防腐剤と組合わせて使用される。
【0017】 本発明はまた、ENPおよびENP誘導体の組換え生産に関する。本発明は、
SaccharomycesおよびPichia細胞内でENPおよびENP誘導体を発現し、EN
PおよびENP誘導体を該細胞から単離するための方法を提供する。
【0018】 3.1. 定義 明細書および特許請求の範囲(用語に対して提供される範囲を含む。)を明瞭
にかつ矛盾なく理解してもらうために、以下の定義が本明細書で使用される種々
の用語および略語に対して与えられる。
【0019】 「抗生物質」とは、たとえば細菌、酵母および菌類などの微生物の増殖を低濃
度で阻止したり死滅させたりすることができる、微生物によって産生および/ま
たは合成的に製造される薬剤を意味する。
【0020】 「有効量」とは、標的微生物を死滅させたり、微生物による感染の蔓延を抑制
もしくは予防したり、微生物の増殖を防止、阻止もしくは遅延させるのに十分な
薬剤の量を意味する。方法が数種の薬剤を投与することを含む場合、有効量の特
定薬剤は、微生物を死滅させたり、微生物による感染の蔓延を抑制もしくは予防
したり、微生物の増殖を防止、阻止もしくは遅延させるのに十分な、他の薬剤と
組合わせた、前記薬剤の量をいう。
【0021】 「内毒素」とは、グラム陰性細菌のLPSを含む発熱性毒素を意味する。
【0022】 「内毒素不活性化タンパク質またはEIP」は、内毒素に結合して中和するタ
ンパク質またはペプチドを意味する。EIPは天然の内毒素中和タンパク質(E
NP)、たとえばカブトガニENP、であってもよく、このタンパク質はカブトガ
ニの任意の種のアメーバ様細胞溶解物中に認められる。EIPはまた天然ENP
から誘導されてもよい。かようなENP誘導体は、(a)内毒素に結合して中和す
る天然ENPコア配列(たとえばカブトガニENPの残基30〜50からの配列)
、あるいは(b)天然ENPの完全配列、を含むタンパク質またはペプチドを包含
する。ENP誘導体は2種以上のタンパク質またはペプチドのアミノ酸配列を含
む融合またはキメラタンパク質であってもよい。
【0023】 「内毒素中和タンパク質またはENP」は、抗LPS因子や内毒素結合/中和
タンパク質としても知られ、内毒素の生物学的活性に結合し中和するカブトガニ
のアメーバ様細胞溶解物中に見出されるタンパク質である。ENP種はカブトガ
ニ抗LPS因子もしくはLALFまたはカブトガニENP(LENP)である。
【0024】 「真菌」とは、非線維状真菌または線維状真菌を意味する。
【0025】 「阻止する」とは、抑制、休止、防止、低減、または遅延することを意味する
【0026】 「LB」とはルリアブロス(Luria broth)を意味する。
【0027】 「カブトガニENPまたは抗LPS因子」とは、カブトガニ(Limulus polyphemus
)由来の11.8kDaのENPを意味する。
【0028】 「LPS」とは、グラム陰性細菌由来のリポ多糖を意味し、内毒素構成成分で
ある。
【0029】 「微生物」とは、細菌、酵母または真菌の任意の種を意味する。
【0030】 「PMB」とは、ポリミキシンBを意味する。
【0031】 「患者」とは、微生物感染を受けやすいまたは該感染をもつ温血動物を意味す
る。
【0032】 「パーソナルケア製品」とは、皮膚クリームもしくはローション、シャンプー
、コンタクトレンズ溶液、ヘアコンディショナー、クレンジングローションなど
の香粧品を意味する。
【0033】 「sp.」とは単一種を意味する。
【0034】 「spp.」とは複数の種を意味する。
【0035】 4.図面の簡単な説明 (下記参照) 5.発明の説明 本発明は、ENPおよびENP誘導体の抗微生物剤および防腐剤、並びに抗生物質お
よび防腐剤の相乗的促進剤あるいは増強剤としての新規な使用に関する。本発明
の一態様は、細菌、酵母および真菌等の微生物によって引き起こされる感染症を
予防若しくは治療するための新規でより強力な医薬組成物の調製における、ENP
およびENP誘導体の使用に関する。本発明は、1種以上のENPまたはENP誘導体を
、グラム陰性細菌を阻止する1種以上の抗生物質と組み合わせた新規な医薬組成
物を提供する。本発明はまた、1種以上のENPまたはENP誘導体を、グラム陽性細
菌を阻止する1種以上の抗生物質と組み合わせて含有する新規な医薬組成物をも
提供する。本発明は更に、1種以上のENPまたはENP誘導体を、酵母または真菌を
阻止する1種以上の抗生物質と組み合わせて含有する新規な医薬組成物を提供す
る。本発明は更に、有効量の1種以上のENPまたはENP誘導体を単独で、あるいは
細菌、酵母および/若しくは真菌を阻止する有効量の1種以上の抗生物質と組み
合わせて投与することを含む、微生物感染症の予防または治療のための治療方法
を提供する。
【0036】 本発明の別の態様は、化粧品およびパーソナルケア製品における細菌、酵母お
よび真菌の増殖を阻止または抑制するために使用する新規でより活性の高い防腐
剤組成物の調製における、ENPおよびENP誘導体の使用に関する。
【0037】 本発明の更なる態様は、サッカロミセス属の種(Saccharomyces spp.)および
ピチア属の種(Pichia spp.)等の異種のシステムでENPおよびENP誘導体を産生
させることに関する。本発明は、ENPまたはENP誘導体の配列に連結した酵母のα
接合因子プレプロリーダー配列を含む融合タンパク質の形態で、サッカロマイセ
スおよびピチア中でENPおよびENP誘導体の構成的または誘導性発現をさせる方法
を提供する。本発明の方法において、融合タンパク質は宿主細胞によってプロセ
スされ、分泌されてENPまたはENP誘導体を産生する。本発明はまた、組み換え生
産したENPおよびENP誘導体の精製方法、並びにENPまたはENP誘導体を含む融合タ
ンパク質をコードする配列に機能的に連結した構成的または誘導性プロモーター
を含有する酵母形質転換および組込みベクターを提供する。
【0038】 本発明は、いくつかの驚くべき発見に基づいている。ある予想外の発見は、EN
Pがグラム陰性細菌の阻止において抗生物質と相乗的に作用するということであ
る。すなわち、ENPおよび抗生物質の同時投与による阻止能は、これらの薬剤を
同量で別々に投与したよりも数オーダー高くなる。この効果から、有効投与量に
必要な抗生物質の最小生育阻止濃度が低下し、新規でより強力な抗微生物組成物
が提供される。こうした組成物を使用して、低用量の抗生物質のみを使用してグ
ラム陰性細菌感染症を効果的に治療することができる。この新規な抗微生物組成
物はまた、ある種の抗生物質耐性細菌株に対してより有効である可能性も有して
いる。このような組成物で可能となる低用量の抗生物質の使用によって、臨床的
に重要な細菌性病原体で抗生物質耐性株が出現することを効果的に阻止したり、
または遅らせたりすることもできる。
【0039】 もう一つの驚くべき発見は、ENP+抗生物質の組成物によるグラム陰性細菌の
阻止によって、抗生物質単独による阻止で検出されるよりも、産生される内毒素
の量が数オーダー低いことである。抗生物質を含むある種の抗微生物薬によるグ
ラム陰性細菌の阻止は、阻止されたまたは死んだ細菌から放出される内毒素によ
る望ましくない副作用としばしば関連する。こうした放出を有意に抑制するENP
の能力によって、ENPなしで抗生物質または抗微生物薬を含有する従来の組成物
と比較して、グラム陰性細菌感染症の治療あるいはグラム陰性細菌の増殖阻止に
ENPと抗生物質の双方を使用するENP+抗生物質の組成物および方法の有用性が増
大する。従って、本発明の治療方法および医薬組成物は、グラム陰性細菌誘導性
の敗血症またはショック等の、内毒素が関与する疾患または状態を予防または治
療するために特に有利である。
【0040】 さらに意外な発見は、ENP含有組成物がグラム陽性細菌に対して阻止活性を有
するということである。このことは、従来のENPがグラム陰性細菌のLPSとだけ相
互作用すると知られ、これらの他の微生物がそのような構成成分を全く有してい
ないため、驚くべきことである。したがって、ENPはグラム陽性細菌、酵母また
は真菌と相互作用するとは予想されず、さらにそれらを阻止するとはほとんど予
想されなかった。本発明を特定のいずれの機構にも限定することを意図しないが
、ENP結合によりグラム陽性細菌種、酵母種および真菌種の細胞膜透過性が改変
され、そしてこの特性がこれらの微生物に対するENPの阻止活性についての理由
になると考えられる。
【0041】 まとめると、本発明の治療方法および医薬組成物は、従来の抗生物質療法およ
び組成物を超えるいくつかの利点を有する。そのような利点の一つには、本発明
の方法が同じレベルの治療効果を達成するために抗生物質を全くまたはほとんど
必要としないことである。この利点は、抗菌薬療法のための従来の抗生物質への
依存を減らし、それにより抗生物質耐性株の発生の条件を低減させる利点を提供
する。他の利点は、本発明の方法により阻止または殺傷されたグラム陰性細菌に
より産生される遊離内毒素レベルが低減されることである。この利点は、グラム
陰性細菌感染症の抑制の間にしばしば生じる発熱性応答の重篤度を防止または低
減させる有益な効果を有する。
【0042】 5.1 内毒素不活性化タンパク質 本発明は、種々の微生物(限定するものではないが、グラム陰性細菌種、グラ
ム陽性細菌種、酵母種、および真菌種)により引き起こされる感染症を予防また
は治療するための、1以上のENPもしくはENP誘導体の単独での使用、または1以上
の抗生物質と組み合わせた使用を意図する。また本発明は、化粧品およびパーソ
ナルケア製品の防腐剤としての、ENPもしくはENP誘導体の単独での使用または慣
用防腐剤と組み合わせた使用を意図する。
【0043】 本発明の目的のために使用し得るENPおよびENP誘導体は、本明細書では全体と
して内毒素不活性化タンパク質(EIP)と呼ぶ。本発明によると、EIPはカブトガ
ニの変形細胞溶解物から単離された天然ENPでありうる。特定の実施形態におい
ては、有用なENPは、カブトガニの任意の種、すなわちLimulus polyphemus、Tac
hypleus gigas、Tachypleus tridentatus、およびCarcinoscropius rotundicaud
aなどの由来のものでよい。好ましい実施形態においては、ENPはLimulus polyph
emus由来のENP(カブトガニENP)であり、これはLALFとしても知られている。カ
ブトガニENPは、約11.8kDaの分子量を有する(Wainwrightら、Cellular and Mol
ecular Aspects of Endotoxin Reactions, Nowotnyら編、Amsterdam: Elsevier
Science, pp. 315-325 (1990))。カブトガニENPは高度に相同であり、そして保
存された内毒素結合および中和ドメイン(すなわち配列番号3の配列)を有する
が、それらはそのドメインの外にある程度のアミノ酸配列の異種性を示し得る。
カブトガニENPのアミノ酸配列は、配列番号2の残基5〜105の配列(図14に示
す)、または配列番号5の配列(図16に示す)である。
【0044】 ENPは当技術分野で公知の方法を使用してカブトガニから単離かつ精製し得る
。米国特許第5,614,369号、第5,627,266号、第5,594,113号、第5,747,113号、WO
92/20715、WO89/12644、およびKloczewiakら、1994、J. Infect. Diseases. 170
: 1490-1497を参照のこと。好ましい実施形態においては、組換え発現系から産
生されたENPまたはENP誘導体を本発明の実施のために使用する。
【0045】 ENPまたはENP誘導体を、限定するものではないが、酵母発現系、昆虫細胞発現
系、動物および植物細胞発現系、ならびにトランスジェニック植物およびトラン
スジェニック動物発現系を含む、公知の任意の組換え発現系から発現させ、単離
することができる。好ましい実施形態においては、Kuppermannら、1994、J. Inf
ect. Dis., Vol. 170, pp. 630-635により示されるサッカロミセス・セレビシエ
(S. cerevisiae)などの酵母発現系、または以下の実施例1に記載のピチア(P
ichia)発現系を使用してENPまたはENP誘導体を製造しうる。
【0046】 本発明によると、EIPはENPの特定の誘導体であってもよい。有用なENP誘導体
には、ENPの内毒素結合および中和(EBN)ドメインを含むタンパク質およびペプ
チドが含まれる。かかるドメインを決定するための方法および該ドメインを有す
るペプチドもしくはタンパク質を検出するための方法は公知である。例えば、WO
92/20715およびKloczewiakら、1994、J. Infect. Diseases. 170: 1490-1497を
参照のこと。好ましい実施形態においては、ENP誘導体はLALFのEBNドメイン(す
なわち配列番号3)を含む。EBNドメインを含むENP誘導体は、ENPのタンパク質
分解性消化、続いてEBNドメインを含むタンパク質断片の単離および精製を行う
ことにより調製することができる。あるいは、かかるENP誘導体をENPの既知アミ
ノ酸配列およびその中にあるEBNドメインの位置に基づいて化学的に合成しても
よい。好ましくは、該ENP誘導体は上述および以下に例示した発現系を使用して
組換え技術により製造する。化学合成および組換え発現をさらに使用して、シグ
ナル配列、プロセシング配列ならびに抗菌配列などの非ENP配列を追加的に含有
する有用なENP誘導体を製造しうる。
【0047】 本発明にしたがって、開示の方法および組成物を実施するために、任意の純度
のENPまたはENP誘導体を使用しうる。好ましい実施形態においては、ENPまたはE
NP誘導体は重量で少なくとも50%の純度である。より好ましい実施形態において
は、ENPまたはENP誘導体は重量で少なくとも80%の純度である。最も好ましい実
施形態においては、ENPまたはENP誘導体は重量で少なくとも95%の純度である。
【0048】 5.2 グラム陰性細菌に対して有効な抗生物質 本発明によると、ENPおよびENP誘導体を、グラム陰性細菌種を阻止する抗生物
質と組み合わせて有効に使用して、かかる細菌の殺傷もしくは抑制を相乗的に高
めるか、またはかかる殺傷もしくは抑制により生じる内毒素放出を劇的に減少さ
せることができる。本発明の方法および組成物に使用し得るグラム陰性に有効な
抗生物質には、限定するものではないが、ポリミキシンB、アンピシリン、アモ
キシリン、ペニシリンG、テトラサイクリン、エリスロマイシン、スペクチノマ
イシン、セフォキシチン、トリメトプリムスルファメトキサゾール、クロラムフ
ェニコール、リファンピン、ミノサイクリン、スルフォンアミド、ニトロフラン
トイン、ゲンタマイシン、セファマンドール、カルベニシリン、チカルシリン、
トブラマイシン、アミカシン、セファロスポリン、セフォキシチン、ストレプロ
マイシンおよびクリンダマイシンが含まれる。さらに本発明は、ENPまたはその
誘導体と組み合わせて1以上のグラム陰性抗生物質を使用することを意図する。
【0049】 ENPまたはENP誘導体とグラム陰性に有効な抗生物質との間の相乗作用とは、ど
ちらかの種の薬物を単独で投与する場合に必要なレベルよりも低レベルのそれぞ
れの種の薬物を使用して新規抗生物質組成物および療法を調製または開発しうる
ことを意味している。一例としてポリミキシンB(PMB)は、内毒素のリピドA成
分に結合し、かつそれを破壊する環状の塩基性ポリペプチドである。PMBは、内
毒素の特定の生物学的活性を阻止し、温血動物におけるグラム陰性細菌の感染症
を治療するのに可能性のある薬物である。例えば、PMBによる前処置が、有効量
の大腸菌内毒素を用いてチャレンジを行ったウサギのショックおよび死亡を防ぐ
のに有効であることが示されている(Baldwinら、1991、J. Infect. Dis. 164:
542-549)。しかしながらその相乗的な毒性のために、PMBは局所的薬剤を除いて
細菌感染症の治療における使用を制限されてきた(WO92/03535およびWO94/25476
)。本発明によると、ENPおよびPMBを含む組成物は、低レベルのPMBを使用して
製剤化し、それでもなおENPを含有することにより生じる相乗作用のために所望
の治療効果を達成することができる。
【0050】 さらなる例においては、ENPまたはENP誘導体をPMBと組み合わせて使用して、
髄膜炎菌血症により引き起こされる敗血症性ショックを治療することができる。
髄膜炎菌血症のウサギモデルにおいて、PMB単独による前処置では髄膜炎菌内毒
素を用いたチャレンジで引き起こされた生理的機能または死亡率を改善すること
ができなかった(Baldwinら、1991、J. Infect. Dis. 164: 542-549)。対照的
に、ENP処置によって、髄膜炎菌内毒素チャレンジの30分後にENPを投与した場合
でも種々の生理的機能および生存率が有意に改善された(Alpertら、1992、J. I
nfect. Dis. 165: 494-500)。
【0051】 意外なことに、ENPが皮膚のニキビの原因因子であるグラム陽性細菌の挫瘡プ
ロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)の増殖を有効に阻止しうる
ことも発見された。本発明によると、ENPまたはENP誘導体を単独で、またはテト
ラサイクリンなどの抗生物質、もしくは過酸化ベンゾイルなどの医薬品と組み合
わせて使用して、挫瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)感
染症を予防または治療することもできる。ニキビの治療には、ENPまたはENP誘導
体を、全身的、局所的投与で使用するか、または全身および局所同時投与により
使用し得る。
【0052】 5.3 グラム陰性細菌感染症の治療または予防 治療のためのENPもしくはENP誘導体の単独投与、またはグラム陰性抗生物質と
組み合わせた投与は、局所、静脈内、筋肉内または経皮経路、注入による感染し
た体腔への直接送達、および経口もしくは直腸投与を含む、当業者に公知の方法
を用いて達成することができる。ENPまたはENP誘導体と抗生物質組成物の治療用
量は、(a)少なくとも細菌感染症の広がりを制御または阻止するのに有効な量
、あるいは(b)その感染症により引き起こされる好中球および単核細胞のLPSが
媒介する刺激作用(例えば発熱性応答)を防止または低減するのに有効な量であ
る。
【0053】 好ましい実施形態においては、ENPもしくはその誘導体の有効量は、患者の体
重1kg当り約0.1〜100mgのENPもしくはENP誘導体の濃度である。本明細書で使用
するように、患者は、家畜および農業用動物ならびにヒトを含む温血動物である
。他の有効な範囲は、体重1kg当り0.1〜1mg、1〜10mg、および10〜100mgのENPも
しくはENP誘導体を含む。典型的なENPもしくはENP誘導体の量は、体重1kg当り約
10〜50mgのENPもしくはENP誘導体である。
【0054】 ENPもしくはENP誘導体と組み合わせて使用するグラム陰性抗生物質の用量は、
既知の治療用量および当業者による慣例の実験に基づいて上下に調整することが
できる。本発明のENPもしくはENP誘導体と抗生物質組成物の治療上有効な量も、
既知の方法を使用し、かつ上述の有効投与量を考慮して慣例の実験により決定す
ることができる。
【0055】 5.4 グラム陽性細菌による感染症の治療または予防 本発明はまた、グラム陽性細菌による感染症の治療または予防のためのENPま
たはENP誘導体の単独の使用を提供する。ENPまたはENP誘導体の治療用量は、グ
ラム陽性細菌を死滅させるため、または感染症の伝染を抑制もしくは阻止するた
めに有効な量である。有効用量は、当業者であれば日常的な実験を用いて決定で
きる。
【0056】 好ましい実施形態において、ENPまたは誘導体の有効量は、患者体重1kgあたり
ENPまたはENP誘導体が約0.1〜100 mgの間となる濃度である。その他の有用な範
囲として、体重1kgあたりENPまたはENP誘導体が0.1〜1 mgの間、1〜10 mgの間
、および10〜100 mgの間となるものが挙げられる。ENPまたはENP誘導体の典型的
な量は、体重1kgあたりENPまたはENP誘導体が約10〜50 mgの間となるものである
【0057】 本発明はまた、グラム陽性細菌による感染症の予防または治療のための、グラ
ム陽性細菌を阻止する抗生物質と組み合わせたENPまたはENP誘導体の使用を提供
する。本発明の方法および組成物において使用しうるグラム陽性細菌に有効な抗
生物質としては、限定するものではないが、エリスロマイシン、セファロスポリ
ン、クロラムフェニコール、リファンピン、アミノグリコシド、バンコマイシン
、アモキシシリン、アンピシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、クロキサシリ
ン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリン
、メジオシリン、セファレキシン、セフラジン、セファクロル、セファドロキシ
ル、セフィキシム、セフロキシム、セフプロジル、セファロチン、セフラゾリン
、セファピリン、セホペラゾン、セフトリキソン、ゲンタマイシン、テトラサイ
クリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリオン、デメクロサイク
リン、ミノサイクリン、メタサイクリン、クリンダマイシン、リンコマイシン、
クラリスロマイシン、アジトロマイシン、メトロニダゾールおよびポリミキシン
Bが挙げられる。さらにグラム陽性細菌を阻止する数種の抗生物質を、ENPまたは
ENP誘導体とともに本発明の治療方法および組成物において使用しうる。
【0058】 本発明のENPまたはENP誘導体と抗生物質との組成物の治療用量は、グラム陽性
細菌を死滅させるために、またはグラム陽性細菌による感染症の伝染を抑制およ
び阻止するために有効な量である。ENPまたはENP誘導体と組み合わせて使用する
グラム陽性抗生物質の濃度は、当業者であれば既知の治療用量および日常的な実
験に基づいて上下に調節しうる。抗生物質と組み合わせて使用するENPまたはENP
誘導体の有効量は、グラム陽性細菌による感染症の予防または治療のためにENP
またはENP誘導体を単独で使用するための上記の量でよい。
【0059】 5.5 酵母または真菌による感染症の治療または予防 本発明はまた、カンジダパラピロシス(Candida parapilosis)およびカンジダ
アルビカンズ(C.Albicans)によるものなど、酵母または真菌による感染症を予防
または治療するための、ENPまたはENP誘導体の単独の使用、または酵母および真
菌を阻止する抗生物質と組み合わせた使用を提供する。このような目的でENPま
たはENP誘導体と組み合わせうる有用な抗生物質として、限定するものではない
が、アンホテリシンB、クロトリマゾ−ル、フルシトシン、グリセオフルビン、
ハロプロジン、ヒドロキシスチルバミジン(hydroxyslilbamidine)、ミコナゾー
ル、ナイスタチンおよびトルナフテートが挙げられる。酵母または真菌による感
染症の治療または予防において、これらの抗生物質の1種以上を、ENPまたはENP
誘導体の一種以上と組み合わせて使用しうる。
【0060】 本発明によると、ENPもしくはENP誘導体の組成物、またはENPもしくはENP誘導
体と抗生物質との組成物の治療用量は、酵母もしくは真菌の病原体を死滅させる
ため、または酵母もしくは真菌による感染症の伝染を抑制もしくは阻止するため
に有効な量である。好ましい実施形態において、ENPまたはENP誘導体の有効量は
、体重1kgあたりENPまたはENP誘導体が約0.1〜100 mgの間となる濃度である。そ
の他の有用な範囲として、体重1kgあたりENPまたはENP誘導体が0.1〜1 mgの間、
1〜10 mgの間、および10〜100 mgの間となるもの挙げられる。ENPまたはENP誘
導体の典型的な量は、体重1kgあたりENPまたはENP誘導体が約10〜50 mgの間とな
るものである。
【0061】 ENPまたはENP誘導体と組み合わせて使用する抗生物質の濃度は、当業者であれ
ば既知の治療用量および日常的な実験に基づいて調節しうる。本発明のENPまた
はENP誘導体と抗生物質との組成物の有効量は、公知の方法を用い上述の有効用
量を考慮することにより、日常的な実験によって決定しうる。
【0062】 5.6 治療方法および医薬組成物 本発明は、微生物感染症の予防方法または治療方法に関する。本発明の方法に
よって治療される患者または被験体は、温血動物、好ましくは哺乳動物、より好
ましくはヒトである。一実施形態において本発明は、ヒトの微生物感染症の治療
または予防に関する。別の実施形態において本発明は、マウス、ネズミ、ネコま
たはイヌなどの家畜の被検体、ならびに限定するものではないがウシ、ウマおよ
びブタなどの農耕動物の被検体の微生物感染症の治療および予防に関する。
【0063】 本発明の方法または組成物によって治療しうる特定の適応症または疾患として
、限定するものではないが、にきび、敗血症、中毒性ショック、グラム陰性細菌
による感染症、内毒素関連関節炎、淋病、歯周疾患、脊髄膜炎、羊水による感染
症、グラム陽性細菌による感染症、酵母感染症および真菌感染症が挙げられる。
【0064】 本発明はENPまたはENP誘導体を含んでなる医薬組成物を提供する。この医薬組
成物は単独で、または製薬上許容しうる担体もしくは獣医学的に許容しうる担体
中にてその他公知の薬物とin vivoで組み合わせて投与しうる。必要であれば、
吸収を促進するためのアジュバントを該製剤中に含有させてもよい。
【0065】 用語「担体」は本明細書で使用される場合、活性成分がそれにより治療される
べき位置に到達するのを補助するため、または活性成分の貯蔵、輸送および処理
を促進するためにENPまたはENP誘導体に添加する、合成または天然の、無機物質
または有機物質を意味する。
【0066】 好適な液体担体としては、限定するものではないが、ベンゼン、トルエンおよ
びキシレンなどの芳香族炭化水素;鉱油などのパラフィン系炭化水素;四塩化炭
素、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;アセトン、メチ
ルエチルケトンなどのケトン;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル
;メタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール;またはジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水などが挙げられる。また、任意
のいくつかの液体担体の混合物も考えられる。凍結乾燥したENPまたはENP誘導体
の、緩衝化されていない発熱性物質を含まない水もしくは食塩水、またはリン酸
緩衝化食塩水への溶解は、該溶液が無色透明になるまでpHを調整することによっ
て達成しうる。このため、好ましい液体担体は、ENPまたはENP誘導体の溶解を促
進するために適当なpHに調整された、発熱物質を含まない蒸留水または食塩水で
ある。
【0067】 本発明の化合物の有効性を増すために、その各適用の目的に従って、その製剤
の形態および適用する分野を考慮することにより、以下に示すようなアジュバン
トを単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0068】 典型的なアジュバントとしては、硫酸アルキル、スルホン酸アリール、スクシ
ネート、ポリエチレングリコール、硫酸アルキルエーテルなどのアニオン界面活
性剤;アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどのカチオン界面
活性剤、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレングリコー
ルエステル、ポリオールエステルなどの非イオン性界面活性剤、および両性界面
活性剤が挙げられる。活性成分のリポソームビヒクル中への封入またはマイクロ
カプセル化もまた、本発明の範囲に包含される。
【0069】 安定剤、増粘剤、潤滑剤などの例には、リン酸水素イソプロピル、ステアリン
酸カルシウム、ろう、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、血清アルブミン、その
他の血液タンパク質、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビ
アゴムなどがある。これらの成分は列挙された例に限定されないことが留意され
なければならない。
【0070】 ENPまたはENP誘導体を含有する溶液または懸濁液はまた、以下の成分を含む:
注入水、食塩水、油剤、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリ
コールまたはその他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメ
チルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または硫酸水素ナトリウムなどの酸
化防止剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩ま
たはリン酸塩などのバッファーおよび塩化ナトリウムまたはデキストロースなど
の弾力性を調節するための薬剤。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製の
、アンプル、使い捨てのシリンジまたは複数のベースバイアル中に封入しうる。
【0071】 本発明の組成物は経口投与できる。経口投与のために医薬組成物は、液体状(
例えば溶液、シロップまたは懸濁液)であってもよいし、または使用する前に水
もしくはその他好適なビヒクルで再構成するための医薬製品として提供してもよ
い。このような液体状の製剤は従来の方法によって、懸濁化剤(ソルビトールシ
ロップ、セルロース誘導体または水素化した食用脂肪もしくは食用油など);乳
化剤(レシチンまたはアカシアなど);非水性ビヒクル(アーモンド油、油性エス
テルまたは分画化した植物油など);および保存剤(メチルもしくはプロピル-p-
ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸など)などの製薬上許容しうる添加物
を用いて調製しうる。医薬組成物は、製薬上許容しうる賦形剤を用いて従来の方
法によって調製され、例えば錠剤、カプセルまたはペレット剤の形態をとりうる
。該賦形剤は例えば、結合剤(ゼラチン化する前のトウモロコシデンプン、ポリ
ビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);増量剤(ラ
クトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウムなど);潤滑剤(ス
テアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカなど);崩壊剤(ジャガイモデンプ
ンまたはデンプングリコール酸ナトリウムなど);または湿潤剤(ラウリル硫酸ナ
トリウム)などがある。該錠剤は当業界で公知の方法によって被覆しうる。
【0072】 頬からの投与のためには、組成物は、慣用の方法で製剤化された錠剤、トロー
チ、ロゼンジの剤形を取り得る。
【0073】 組成物(経口または頬からの投与用など)を好適に製剤化し、活性化合物の制
御された放出を供し得る。そのような製剤は、モノステアリルグリセロール、ジ
ステアリルグリセロールおよび蝋などの公知の1以上の持続放出性物質を含んで
もよい。
【0074】 本発明の組成物はまた、鼻からまたは吸入により投与され得る。鼻からのまた
は吸入による投与のためには、組成物を、加圧パックまたはネブライザからのエ
アロゾルスプレーで、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、
ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適な気体などの、好
適な圧縮不活性ガスを用いて提供することが好都合である。加圧エアロゾルの場
合には、投薬単位は、計量された量を送達するためのバルブを供することにより
決定し得る。吸入器または注入器における使用のためのゼラチンなどのカプセル
およびカートリッジは、組成物およびラクトースまたはデンプンなどの好適な粉
末ベースの粉末混合物を含めて製剤化してもよい。
【0075】 本発明の組成物は、蓄積調製物としても製剤化され得る。このような長期間作
用する製剤は、移植(皮下または筋内など)により、または筋内注入により投与
され得る。このように、例えば本組成物は、好適なポリマー性または疎水性物質
(例えば許容し得る油中の乳化物として、など)またはイオン交換樹脂と共に、
あるいは難溶性塩などの難溶性誘導体として製剤化し得る。リポソームおよび乳
化物は、親水性薬物用の送達ビヒクルまたは担体のよく知られた例である。
【0076】 全身的投与に加え、ENPまたはENP誘導体を、局所的使用に好適な医薬組成物中
に製剤化し、創傷治癒の促進または膣酵母感染症の治療を行うこともまた、本発
明の範囲内にある。単独または他の抗菌剤と組み合わせて局所的に塗布されたEN
PまたはENP誘導体は、グラム陰性およびグラム陽性細菌感染症、酵母感染症、お
よび真菌の増殖を防止または制御する。
【0077】 好ましい実施形態には、ENPまたはENP誘導体単独の、または公知の抗生物質と
組み合わせた製剤を含む。その製剤は、細菌、酵母または真菌の感染症の治療ま
たは防止により創傷治癒を促進するために、外科的創または露出された組織へ塗
布するのに好適である。別の実施形態においては、ENPまたはENP誘導体は、膣酵
母感染症の治療用の坐剤中に製剤化される。
【0078】 治療できる創傷または他の損傷のタイプに制限はなく、I度、II度、III度熱傷
(特にII度およびIII度熱傷)、表皮および内部外科的創(美容外科のものを含
む)、創傷(裂傷、外科的創および穿通を含む)、ならびに表皮潰瘍(圧迫潰瘍
(褥瘡)、糖尿病性、歯、出血性、および静脈瘤を含む)が含まれる。
【0079】 ENPまたはENP誘導体組成物は、滅菌溶液またはローションの(好ましくは生理
的塩溶液との組合せでの)剤形で、あるいは軟膏または懸濁液の(好ましくは精
製コラーゲンとの組合せでの)剤形で熱傷へ塗布する。組成物はまた、経皮性パ
ッチ、硬膏剤、包帯または滅菌移植片中へ、好ましくは液体または半液体(semi-
liquid)状態で浸透させ得る。
【0080】 局所的投与において使用する組成物には、例えば、クリーム、リニメント、ロ
ーション、軟膏またはペーストなどの皮膚を通した穿通に適した液体またはゲル
調製物、あるいは目、耳または鼻への送達に適したドロップが含まれる。
【0081】 本発明によれば、クリーム、ドロップ、リニメント、ローション、軟膏および
ペーストは、外用塗布のための液体または半液体組成物である。このような組成
物は、粉末状態にある活性成分を、単独で、あるいは、脂肪性または非脂肪性ベ
ースとともに水性または非水性液体中の溶液または懸濁液中で、混合することに
より調製し得る。ベースは、グリセロール、多様な状態のパラフィン、蜜ろう、
粘滑薬、鉱物油もしくは食用油もしくは脂肪酸、またはマクロゲル(macrogel)な
どの複合炭化水素を含有し得る。このような組成物はさらに、界面活性剤などの
好適な表面活性化剤、および寒天、植物ゴム(vegetable gum)、セルロース誘導
体、および他の成分(防腐剤および抗酸化剤など)を含んでもよい。
【0082】 上記の組成物の投与のための、技術および製剤化はRemington’s Pharmaceuti
cal Sciences, Meade Publishing Col., Easton, PA.最新版、において見出され
るであろう。
【0083】 ENPまたはENP誘導体の治療上有効な量とは、局所的に塗布された場合に細菌、
酵母または真菌の増殖を阻止する量である。ENPまたはENP誘導体の局所的投与の
ための許容し得る量の範囲とは、約0.01〜10重量%の間である。公知の抗生物質
をENPまたはENP誘導体と組み合わせた場合には、それらの濃度は、これらの薬物
の公知の臨床上許容し得る濃度範囲に基づいて上下に変動し得る。
【0084】 ENPまたはENP誘導体の、単独または他の物質との組み合わせでの初回量は、治
療部位へ約0.5重量%の濃度で局所的に送達されなければならない。この量はその
後、臨床試験と調和させて上下に調整できる。本組成物の、連続的な塗布または
周期的な再塗布が指示される。臨床家には、臨床試験に応じて用量を変更するこ
とが求められるであろう。
【0085】 好ましい実施形態においては、ENPまたはENP誘導体を、製薬上許容し得る担体
中で約0.01〜10重量%の間の濃度で局所的に塗布する。他の好ましい実施形態に
は、約0.1〜1、1〜2、2〜5.5〜7、および7〜10重量%の間、最も好ましくは約1
〜2重量%の間の濃度で塗布することが含まれる。
【0086】 5.7. ENPを含む防腐剤組成物 内毒素は生存している細菌から放出され、細菌が死んで分解された場合には環
境中にも放出される。グラム陰性細菌は、空気、水および土壌中に多数見出され
るので、細菌性内毒素は一般に、化粧品およびパーソナルケア製品を製造する際
に使用する原料および加工装置を汚染する。グラム陽性細菌、酵母およびカビに
よる汚染もまた一般的である。
【0087】 本発明はまた、局所的に塗布される化粧品および皮膚用または髪用調製物にお
いて使用するための、幅広い微生物汚染生物の増殖を阻止し制御する新規防腐剤
組成物に関する。
【0088】 防腐剤は典型的には、化粧品およびパーソナルケア製品において使用される。
なぜなら、それらは通常は、清浄ではあるが滅菌的ではない条件下で製造される
からである。防腐剤は、細菌、酵母およびカビを含む微生物の増殖を阻止するた
めに使用する。典型的には、1種以上の防腐剤を有効量で添加して、化粧品また
は製品を、実験での接種に由来する微生物の増殖に対して長期間にわたり抵抗性
とするものとする。
【0089】 化粧品産業においては、新規で効果的な防腐剤に対する需要がある。多くの使
用者が、現在使用される防腐剤によって感作され、アレルギー反応を発症してい
る。比較的少量のENPおよびENP誘導体が、幅広い範囲のグラム陰性およびグラム
陽性細菌、ならびに数種の酵母および真菌の増殖を防止または抑制することによ
り、長期間にわたり防腐剤として作用することが見出された。
【0090】 本発明によれば、ENPまたはENP誘導体を、局所的に塗布される化粧品またはパ
ーソナルケア製品において、単独でまたは公知の防腐剤との組合せで使用し得る
。化粧品およびパーソナルケア製品は、粉末、クリーム、ローション、溶液また
はゲルであり得る。典型的に使用される防腐剤の例には、イミダゾリジニル尿素
(imidazolidinyl urea)、水酸化メチルグリシン酸ナトリウム、ジアゾリジニル
尿素(diazodinyl urea)、グリオキシルジウレイド、クロロフェネシン(chloroph
enesin)、メチルパラベン、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、クロロ-メチル-チ
アゾリンメチル-イソチアゾリン、フェノキシエタノール、ヘキセチジン、クロ
ロ-ヘキシジングルコネート(hexydingluconate)、およびブチルパラベン、イソ
ブチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびイソプロピルパラ
ベンが含まれる。ENPまたはENP誘導体と組み合わせて使用し得る別の市販の防腐
剤は、PHENONIP(商標)として知られているものである。この防腐剤は、実質的
に無色で粘性である、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン
、プロピルパラベンおよびブチルパラベンの液体混合物であり、Nipa Laborator
ies, Inc., Wilmington. Delより入手できる。
【0091】 ENPおよびENP誘導体は、化粧品およびパーソナルケア製品において使用される
防腐剤の促進剤として作用するものと思われる。ENPまたはENP誘導体を化粧品ま
たはパーソナルケア製品において防腐剤として使用することにより、既知の防腐
剤の濃度が減少するか、またはそれらの防腐剤が排除される。このように、ENP
およびENP誘導体は防腐剤として機能するのみならず、一般に用いられる、感作
性の防腐剤の代わりとなることにより、化粧品またはローションの抗原性を最小
限に抑えるものでもある。ENPおよびENP誘導体はまた、別の抗原性の源である内
毒素を中和する。
【0092】 防腐剤として使用し得るENPまたはENP誘導体の量は、化粧品またはパーソナル
ケア製品の約0.005〜5重量%の間で変動する。好ましくは、ENPまたはENP誘導体
に対する使用者の感作を防ぐために、ENPまたはENP誘導体の最少有効量を使用す
る。この量は、日常的な手順での実験により決定でき、ENPまたはENP誘導体が単
独で使用されるかまたは他の防腐剤との組合せで使用されるかに応じて変化し得
る。使用される量はまた、化粧品またはパーソナルケア調製物の製剤化および貯
蔵条件にも依存するであろう。好ましい実施形態においては、ENPまたはENP誘導
体は防腐剤として、約0.005〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜1、1〜2、または2〜5重量
%の間、最も好ましくは約0.01〜1重量%の間の濃度で存在する。
【0093】 本発明は、本発明の実証のみのために提供され、本発明を限定するものではな
い以下の実施例を参照することにより、より適切に理解される。
【0094】 6. 実施例 6.1 酵母発現系におけるENP産生 ENPは数種の酵母発現系において発現されている。これらの系におけるENP発現
は、カブトガニENPのN末端に融合された酵母α型接合因子プレプロリーダーペプ
チドからなる融合タンパク質をコードする配列に機能し得る形で連結された酵母
プロモーターを含んでなる発現構築物で宿主細胞を形質転換するか、または該発
現構築物を宿主細胞に組み込むことにより達成される。2つの融合タンパク質コ
ード配列を構築した。これらの一方は融合タンパク質Iをコードし、図14に示
すヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を有する(それぞれ配列番号1およ
び2とする)。図14に示すように、前記リーダーペプチドはアミノ酸残基1〜
4に由来するものであり、前記カブトガニENP配列はアミノ酸残基5〜105に
由来するものである。
【0095】 他方の融合タンパク質である融合タンパク質IIは、カブトガニENPのN末端に融
合された酵母α型接合因子プレプロリーダーペプチド N-Asp-Gly-Ile-Trp-Thr
を含み、そのアミノ酸配列を図16に示す。融合タンパク質IIはKex2様プロテア
ーゼ開裂部位を含有する。融合タンパク質IIをコードする前記発現構築物は配列
番号4を含んでいた。
【0096】 前記の2つの融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、該配列が公知
のカブトガニENPアミノ酸配列(すなわち配列番号5)をコードするように設計
し、S.cerevisiaeのコドン選択性(codon preference)を使用した。
【0097】 ある酵母発現系では、前記融合タンパク質Iをコードする発現構築物を自律的
複製プラスミドに挿入してpCGS965(図9)を得た。次いで、このプラスミドを使
用してS.cerevisiae株2470を形質転換した。pCGS965はウラシル産生のための遺
伝子を担持しており、該遺伝子が宿主株の該塩基に対する独立栄養を補う。組換
えカブトガニENPを発現させて、精製し、500リットルスケールで増殖させたpCGS
965形質転換細胞から特性付けした。融合タンパク質Iは発現されて正確にプロセ
シングを受け、前記カブトガニENPが培地中に分泌された。組換え法により産生
されたカブトガニENPは、カブトガニのアメーバ様細胞から単離されたENPのもの
と同一の生物学的活性を有する。
【0098】 別の酵母発現系では、融合タンパク質IまたはIIをコードする発現構築物をメ
チロトローフ(methylotrophic)酵母Pichia pastorisのゲノムに組み込んだ。融
合タンパク質IIコード配列(すなわち配列番号4)およびAOX1ターミネーター配列
を含む発現構築物を含有するプラスミドベクターpPIC9Kを構築した。プラスミド
ベクターpPICZ(図10)、pHIL-D2(図11)、pAO815(図12)、および新規ハイブ
リッドプラスミドpGAPAO(図13)を構築したが、これら全てに融合タンパク質I
コード配列(すなわち配列番号1)およびAOX1ターミネーター配列を含む発現構築
物を含有させた。pPCIZ、pHIL-D2、およびpAO815は全て、厳密に制御された、メ
タノール調節性AOX1プロモーターを使用して前記融合タンパク質の誘導的発現を
駆動した。pGAPAOは新規発現ベクターであり、該ベクターは、炭素源としてメタ
ノールの代わりにグルコースを供給する条件下で増殖させた宿主細胞においてカ
ブトガニENPの構成的産生をもたらす。このpGAPAO系は、炭素源としてグルコー
スが供給された場合、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼプロモー
ターを利用して前記組換えタンパク質の構成的発現を駆動する。
【0099】 Pichia宿主株GS115his-、SMD1168、およびX-33his+を前記プラスミドを用いて
形質転換した。この形質転換により、前記宿主の染色体に組み込まれた前記発現
構築物を有するPichia細胞を製造した。
【0100】 前記形質転換体の解析により、幾つかの場合において、前記発現構築物の多数
のコピーが、前記宿主細胞に何ら明白な有害作用を示すこと無しに前記宿主のゲ
ノムに挿入されたことが示された。融合タンパク質Iをコードする発現構築物を
6コピーまで含有する株を、サザンブロット解析で実証したように、単離して特
性付けた。メタノールを使用して、AOX1プロモーター(Scorer. 1993. Gene. 136
:11-119:C.Scorer. 1994. Bio/technology 12:181-184)により駆動されるカブト
ガニENP発現構築物の発現を誘導した。それぞれの場合において、Pichia形質転
換体は生物学的に活性なカブトガニENP(例えば、内毒素結合および中和活性を有
するカブトガニENP)を産生した。
【0101】 表1には、融合タンパク質Iをコードする発現構築物を含有するS.cerevisiae
および種々のPichia株の馴化培地において見出されたカブトガニENPのレベルを
示す。前記発現構築物の多数の組み込まれたコピーを含有するPichia株は、幾つ
かの場合において、400 mg/リットルより高いレベルでカブトガニENPを産生し
た。
【0102】
【表1】
【0103】 カブトガニENP発現構築物を含有するPichiaは、タンパク質加水分解物サプリ
メントを何ら含有しない完全合成培地において酸性pHで増殖し得る。アミノ酸
サプリメントの回避によりコストを低下させ、またより重要なことには、これら
の粗タンパク質消化物に関連する内毒素の混入を減少させる。ENPはLPSに結合す
るため、発酵または精製工程に取り込まれたいずれの外因性内毒素の混入も、分
泌された組換えENPの生物活性を低減させ得る。そのため、前記工程へのLPSの取
り込みを最小限に抑えることが重要である。発現構築物を含有する酵母細胞を酸
性pH条件で最少培地において増殖させると、細菌汚染およびENP産生の損失の見
込みがかなり減少した。また、これらの発酵条件により、ENPまたはENP誘導体を
精製するための、清澄化発酵ブロスのクロマトグラフィーカラムへの直接的で連
続的な適用が容易となった。
【0104】 6.2. 組換え法により生産されたENPの単離および精製 上記の発現系において、カブトガニENPはα型接合因子経路を介して培地中に
分泌された。分泌されたカブトガニENPの精製は次の通りにして進めた。最初の
精製ステップは細胞の除去および馴化ブロスの清澄化であった。このステップは
遠心、微小濾過、または動的膜濾過により行った。バッチまたは連続様式の操作
のための標準的な遠心装置を評価して、これが分泌されたカブトガニENPを細胞
および細胞破片から単離するのに適当であることを見出した。収穫時に前記発酵
ブロスにNaClを約0.2Mの濃度まで添加することにより、増大した量のカブトガニ
ENPが回収された。収穫ブロスの塩濃度を増大させることにより、馴化ブロス中
に存在する負に帯電した分子からのカブトガニENPの解離が促進されたと考えら
れる。
【0105】 標準的な微小濾過技術および装置を、馴化発酵ブロスの清澄化についても評価
した。0.1〜0.45ミクロンの多孔性からなる接線流(tangential flow)微小濾過膜
を使用して上手く細胞を除去した一方で、カブトガニENPは該膜濾過液を通過さ
せることができた。再生させて誘導体化したニトロセルロース、ポリエーテルス
ルフォン、ナイロン等から作られた膜は全て、50%細胞湿潤重量までの固体を多
く含む負荷物を事実上清澄化した。また、0.1または0.45ミクロンのカットオフ(
cut-off)を有する中空繊維フィルターも、清澄化工程に上手く利用することがで
きた。0.45ミクロンの中空繊維のダイアフィルトレーションを早い流速(1〜5リ
ットル/分)および低い背圧(5〜10psi)で実行した。
【0106】 磁気的に連結された回転ナイロン微小濾過膜を含む動的膜濾過を連続発酵サイ
クルに組み入れたが、その際、栄養分を発酵槽に供給するのと同じ速度で、分泌
されたカブトガニENPを含む発酵ブロスを該容器から取り出した。この方法は組
換えリゾチームの生産に関してすでに記載されている(Diganら, Bio/Technology
Vol.7, 160-164, 1989)。この方法では、組換えカブトガニENPがケモスタット
として運転中の発酵槽容器から連続的に取り出された。この方法には、分泌され
たカブトガニENPが馴化ブロス中に存在する損傷性プロテアーゼ類にさらされる
時間を短縮できるという固有の利点がある。
【0107】 清浄化ステップ後、細胞を捨てて、清浄化ブロスを、カブトガニENPと結合す
る捕捉クロマトグラフィーカラムに直接加えた。この方法では、発酵槽内の細胞
密度を比較的低く維持し(すなわち、150〜350g/l)、培養物を中期対数増殖期
に維持することにより高生産性の状態に保持した。
【0108】 清浄化ブロスをサイズ分画化し、濃縮し、ダイアフィルターするために、限外
濾過膜も採用した。この場合も、らせんに巻いた接線シート中のセルロースおよ
びポリマー膜、ならびに中空繊維配置を評価し、下流回収ステップでの単位操作
として使用した。この精製ステップを行なうため、30,000ダルトンカットオフ接
線流限外濾過膜カセットから濾液を回収した。この濾液を8,000ダルトンカット
オフ膜により濃縮し、高速サイズ排除を行なった。
【0109】 細胞フリーで、かつ/また、限外濾過した発酵ブロスをカチオン交換カラムに
かけた。この初期イオン交換ステップのために、数種の支持体マトリックスおよ
び数種の化学基を、S、SPおよびCMを含めて評価した。架橋アガロース、セラミ
ック、ポリマー、およびシリカをベースとしたクロマトグラフィー固相支持体を
この方法ステップのための捕捉カラムとして評価した。この捕捉ステップに好適
なバッファー系およびpHは、pH 3.0の10mMリン酸バッファーであった。粗製サン
プルをアプライするために、カラムをリン酸バッファー中の200mM NaClで予め平
衡化した。これにより、内因性のPichiaカチオン性タンパク質による結合が防止
され、カブトガニENPに対して特異的に樹脂能力を高めることができた。次いで
、カラムを平衡化バッファーで洗った後、1Mおよび2M NaCl-リン酸バッファー溶
液で段階的に溶出した。カブトガニENPは2M塩画分中に溶出された。この画分をC
4、C8、C18、およびシアノをベースとしたカラムのような逆相樹脂でさらに精製
した。あるいはまた、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)に基づく樹脂を
採用した。逆相の場合、バッファー系は発熱物質フリーの水と0.2%トリフルオロ
酢酸からなり、イソプロパノール、メタノールおよびアセトニトリルなどの移動
相溶媒もイオン結合試薬TFAを0.2%含んでいた。0〜100%有機相の直線勾配を用い
て、固相支持体からカブトガニENPを溶出した。あるいは、有機溶媒の段階的溶
出を用いてこの方法を単純化した。カブトガニENP画分は典型的にはC4結合カラ
ムから約35%イソプロパノールで溶出された。また、カチオン交換カラムからの2
M NaCl画分を直接HICカラムにかけた。硫酸アンモニウムの存在なしに高塩でカ
ブトガニENPと結合することができる官能性リガンド化学基はブチルとフェニル
であった。カブトガニENPを高塩で捕捉し、PFWで段階的に溶出した。次に、カブ
トガニENP含有画分を限外濾過にかけ、濃縮し、先に記載した処方バッファーに
ダイアフィルターするか、直接凍結乾燥した。凍結乾燥した最終的なカブトガニ
ENP製品は-20℃で保存した。
【0110】 6.3. グラム陰性細菌の阻止におけるENPと抗生物質の相乗作用 以下で述べる増殖阻止実験を下記の手順で行った。滅菌ルリア肉汁(LB)中で細
菌を増殖させた際に、LAL5000分光光度計(Associates of Cape Cod)を用いて光
学密度の経時変化をモニターした。このLAL5000には、10×75mmのガラス試験管3
2本を環状に設置することができる。これらの実験では自動温度制御を37℃に維
持した。滅菌し、オーブンで発熱物質を除去したガラス試験管にLBを入れた。次
いで試験管に対数期の大腸菌株25303培養物の細胞を接種した。別のグラム陰性
菌(大腸菌株Rosenbergii種、K12、X10、HB101、Shewanella種、Bortadella種)お
よびグラム陽性菌(例えばS.aureus種およびBacillus種)をこの様式で増殖させ、
光学密度の経時変化をモニターした。LAL5000に接続されたコンピュータで光学
密度のデータを集め、格納し、解析した。
【0111】 6.3.1. ENPとポリミキシンBの相乗作用 6.3.1.1. 実験1 図1に、大腸菌の阻止においてカブトガニ ENPとポリミキシンB(PMB)とを併用
した場合の相乗活性を示す。PMBは、LB中に5μg/mlから0.0005μg/mlまで10倍刻
みで連続希釈した。次いで試験管に対数期の大腸菌培養物の細胞を接種した。各
試験管の光学密度を上記の方法でモニターした。抗生物質をLBで希釈するにつれ
て、それに対応して細胞増殖および光学密度の増大が観察された。PMB単独で大
腸菌の増殖を完全に阻止するための最低有効濃度は5μg/mlであった。カブトガ
ニ ENPをLB中にPMBと同濃度の10μg/mlで加えた場合、阻止の相乗作用が観察さ
れた。図1から、0.005μg/mlのPMBおよび10μg/mlのカブトガニ ENPによる処理
によって大腸菌の増殖が5μg/mlのPMBのみによる処理で得られるレベルと同レベ
ルまで阻止されたということがわかる。これは、大腸菌の同一レベルの阻止を得
るのに必要なPMBの濃度が1000分の1に減少したことを表している。
【0112】 6.3.1.2. 実験2 大腸菌細胞をLB中で37℃にて一晩培養した。アリコートを新鮮なLBで1:100に
希釈した(対照)。LB+PMBを0.25μg/mlから0.001μg/mlまで連続希釈した。LB+
カブトガニENPを20〜0.07μg/mlの濃度で調製した。PMBとカブトガニENPとを組
み合わせたものを図2Bに示したように調製した。実験中、細胞培養物の光学密
度を410nmで記録した。
【0113】 図2Aに0.001〜0.25μg/mlの濃度範囲でのPMB単独の大腸菌の阻止作用を示す。
抗生物質の濃度が減少するにつれて、光学密度で測定した場合、大腸菌の増殖が
増大した。図2Bに示したその後のカブトガニENPとの併用実験のために0.06μg/
mlのPMB濃度を選択した。というのは、0.06μg/mlのPMBは大腸菌に対してほんの
わずかに有効だからである(すなわち、増殖をわずか約20%阻止する)。
【0114】 図2Bから、カブトガニENPをPMBに加えると大腸菌の増殖阻止における相乗作用
が生じたということがわかる。PMBの濃度は実験を通して0.06μg/mlに保持され
た。PMBのみを0.06μg/mlで用いた場合に得られる大腸菌の増殖レベルを点線で
示す。LALFのみを20〜0.07μg/mlの濃度範囲で用いた場合の阻止作用は黒く塗り
つぶしたバーで示す。
【0115】 PMBの阻止作用におけるENPの相乗作用を試験するために、0.06μg/mlのPMBお
よび種々の濃度のカブトガニENP(20〜0.07μg/ml)を組み合わせたものを調製し
た。カブトガニENPおよびPMBで処理したサンプル中で観察された増殖のレベルを
網掛けしたバーで示す。これらの結果から、カブトガニ ENPは、広範囲の濃度に
わたって、0.06μg/mlのPMBと併用した場合に相乗阻止作用を生じさせるという
ことが分かる。
【0116】 6.3.2. ENPとゲンタマイシンの相乗作用 6.3.2.1. 大腸菌の阻止 図3に、大腸菌阻止においてカブトガニENPと硫酸ゲンタマイシンとを併用し
た場合の相乗活性を示す。GMSをLB中で0.5μg/mlから0.0625μg/mlまで2倍刻み
で連続希釈した。次いで、試験管に対数期の大腸菌培養物の細胞を接種した。各
試験管の光学密度を上記の方法でモニターした。抗生物質の濃度が減少するにつ
れて、それに対応して細胞増殖および光学密度の増大が観察された。大腸菌の増
殖を実質的に阻止するGMS単独の有効濃度は0.5μg/mlであった。カブトガニENP
を抗生物質含有培養物に20μg/mlで加えた場合、GMS阻止活性の相乗作用が0.25
μg/mlのGMS濃度にて観察された。
【0117】 6.3.2.2. Bortadella種の阻止 図4に、Bortadella種阻止においてカブトガニENPとGMSとを併用した場合の相
乗活性を示す。GMSをLB中で10μg/mlから0.156μg/mlまで2倍刻みで連続希釈し
た。次いで、試験管に対数期のBortadella種培養物の細胞を接種した。各試験管
の光学密度を上記の方法でモニターした。抗生物質の濃度が減少するにつれて、
それに対応して細胞増殖および光学密度の増大が観察された。Bortadella種の増
殖をほぼ完全に阻止するGMS単独の最低有効濃度は10μg/mlであった。カブトガ
ニENPを20μg/mlで加えた場合、阻止作用の相乗作用が0.156μg/mlと0.312μg/m
lのGMSにて観察された。
【0118】 6.3.3. ENPとテトラサイクリンの相乗作用 図5に、大腸菌阻止においてカブトガニENPとテトラサイクリン(TET)とを併用
した場合の相乗活性を示す。TETをLBで10μg/mlから0.0001μg/mlまで10倍刻み
で連続希釈した。次いで、試験管に対数期の大腸菌培養物の細胞を接種した。各
試験管の光学密度を上記の方法でモニターした。TET濃度が減少するにつれて、
細胞増殖が増大した。カブトガニENPをTET含有培養物に10μg/mlで加えた場合、
阻止活性の相乗作用が0.001、0.01および0.1μg/mlのTET濃度で観察された。図
5から、0.1μg/mlのTET+10μg/mlのカブトガニENPが、TETのみを1〜10μg/ml
で用いた場合とほぼ同程度で大腸菌を阻止したことがわかる。
【0119】 6.3.4. ENPとアンピシリンの相乗作用 図6に大腸菌阻止においてカブトガニENPとアンピシリン(AMP)とを併用した場
合の相乗活性を示す。アンピシリンは、ペニシリンの、周知の半合成耐酸性形態
である。
【0120】 大腸菌細胞をLB中で37℃にて一晩培養した。対照として、培養物のアリコート
を新鮮なLBで1:100に希釈した。試験サンプルは、細胞を、LB+AMP 2.5μg/ml;
LB+カブトガニ ENP 25および5μg/ml;ならびにAMP 2.5μg/mlとカブトガニENP
2.5または5.0μg/mlの組み合わせに加えたものからなる。細胞サンプルの光学密
度を実験中、410nmで記録した。
【0121】 図6に示したように、2.5μg/mlのカブトガニENPと2.5μg/mlのAMPの組み合わ
せにより大腸菌の相乗阻止が生じた。
【0122】 6.4. ENP単独での挫瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)の阻
挫瘡プロピオンバクテリウム(挫瘡を生じさせる細菌)に対する組換えカブトガ
ニENPの阻止作用(すなわち、上記の融合タンパク質II構築物から発現されたもの
)を、ゾーン阻止アッセイ(zone inhibition assay)を用いて試験した。ペトリ皿
を、標準的な微生物学的手順後に滅菌普通寒天で満たした。試験細菌を接種する
前に普通寒天を満たした皿を冷却し、固化させた。滅菌スワブを用いてペトリ皿
の表面に挫瘡プロピオンバクテリウムATCC No.11827の培養物(37℃で一晩増殖さ
せたもの)を接種した。
【0123】 滅菌ろ紙ディスク(4mm、Whatman)を、(1)1mg/ml濃度の組換えカブトガニ ENP
(試験サンプル);(2)0.05%濃度の過酸化ベンゾイル(陽性対照);または(3)滅菌
生理食塩水(陰性対照)の水溶液10μlで処理した。過酸化ベンゾイルは陽性対照
として作用する。というのは、過酸化ベンゾイルは挫瘡プロピオンバクテリウム
の増殖を阻止することが知られているからである。
【0124】 処理したろ紙ディスクを接種プレート上に置き、該プレートを37℃で一晩イン
キュベートした。カブトガニ ENPディスクには直径4〜5mmの阻止ゾーンが生じ
た。過酸化ベンゾイルディスクには直径10〜11mmの阻止ゾーンが生じた。陰性対
照ディスクには阻止ゾーンは生じなかった。これらの結果から、カブトガニENP
は挫瘡プロピオンバクテリウムを阻止するということが分かる。
【0125】 6.5. グラム陽性細菌阻止におけるENPと抗生物質の相乗作用 またENPは、S.アウレウス(S.aureus)およびバチルス種などのグラム陽性細菌
に対する抗生物質の阻止活性を相乗的に増強する。グラム陽性細菌の細胞壁はEN
Pが結合することが示されているリピドA部分を含まないので、この相乗作用の機
構は不明である。ENPは細胞膜を崩壊させると仮定されている。ENPの作用様式は
、CAP-18およびBPIといったその他の陽イオン性およびLPS結合性の抗菌タンパク
質と類似しているであろう。また、これらのタンパク質のペプチド断片はin vit
roで内毒素を中和することが示されている(Ogataら, Infection and Immunity,
June 1997, p.2160-2167)。細胞膜の透過化は、抗生物質の侵入促進またはグ
ラム陽性細菌の弱体化を通じた、ENPの相乗作用の原因となり得る。
【0126】 図7はS.アウレウス阻止のためにPMBを併用した場合のカブトガニENPの相乗活
性を示している。PMBをLB中に10倍に連続希釈した。次にその希釈チューブをS.
アウレウスの対数増殖期培養物由来の細胞と共に接種した。PMBの同一の第2の
希釈系列チューブを同様の方法で調製し、最終濃度10μg/mlとなるようにカブト
ガニENPを加えた。各チューブの光学密度を以下の方法によりモニターする。図
7は2組の希釈チューブに対する接種90分後の光学密度の値を示している。この
結果は、PMB濃度が減少するにつれて細胞培養物の光学密度が増大することを示
している。さらに、カブトガニENPを10μg/mlにてPMBと共に含有させると、全て
のPMB濃度においてそれ以後増殖が低減する。重大なことに、PMB 1μg/ml+LALF
10μg/mlはPMBを単独で100μg/ml用いる場合とおよそ同程度の阻止活性を有す
る。このことは、カブトガニENPの相乗作用によって、この細菌に対するPMBの阻
止活性が2桁のオーダーで増強されることを示している。
【0127】 6.6. ENPは単独でグラム陽性細菌を抑制する 海洋生物から単離された特徴付けされていないグラム陽性細菌を、LB中で37℃
にて一晩培養した。その培養物のアリコートを新たに作製したLBに1:100に希釈
して対照とした。試験サンプルは、LB+カブトガニENP(2.5または5.0μg/ml)中
の細胞からなる。前記対照とカブトガニENP処理した培養物とを37℃で培養した
。この培養物の光学密度をこの実験の過程を通じて410nmで記録し、グラム陽性
細菌の増殖をモニターした。
【0128】 図8は、2.5または5μg/mlのカブトガニENPがグラム陽性細菌の増殖を効果的
に阻止したことを示している。
【0129】 6.7. ENPは阻止される細菌からの内毒素の放出を抑制する 抗生物質で阻止されたグラム陰性細菌は培地中に内毒素を放出する。ENPはこ
の放出を抑制する。このことは、PMBまたはGMSにより阻止された大腸菌(E.coli)
培養物において示された。抗生物質を単独で、またはカブトガニENPと共に用い
て処理した大腸菌培養物を調製し、上記6.3.1.節および6.3.2.節に記載のように
培養した。培養物中の内毒素レベルを標準的なカブトガニ変形細胞溶解(LAL)ア
ッセイを用いて測定した。PMB単独で処理した培養物とPMB+カブトガニENPで処
理した培養物との間で、LPSの測定レベルに劇的な差違が観察された。PMBをカブ
トガニENPと組合せたチューブでは内毒素レベルが大きく減少し、PMB単独で処理
したチューブと比べて非常に低くなった。この結果を表2に示す。
【0130】 同様の作用が、カブトガニENPと共に用いるかあるいは共に用いずにGMSにより
処理した培養物について観察された。それらの結果は表3に示す。
【0131】
【表2】 PMBにより阻止された培養物中の内毒素レベルのENP抑制
【0132】
【表3】
【0133】 カブトガニENP+抗生物質組成物で処理した培養物中の検出可能な内毒素レベ
ルは、抗生物質のみの組成物で処理した培養物の場合と比べて数桁のオーダーで
低かった。また、同様の実験を血清含有培地について行った。血清タンパク質の
存在は、カブトガニENPの生物活性、抗菌特性、または内毒素結合活性に対し不
利な影響を及ぼさなかった。特に、血清タンパク質は、カブトガニENPの、抗生
物質の阻止活性を強化する能力、阻止された細菌から放出される内毒素のレベル
を減少させる能力を変化させなかった。
【0134】 6.8. 化粧品およびパーソナルケア製品における、広範囲な細菌スペクトルに対
する抗菌防腐剤としてのENP 化粧品およびパーソナル製品において広範囲な細菌抑制剤として使用するため
のENPの有効性を、以下のように示した。問題とする微生物を適切な培地で増殖
させ、下に記載の表4に示す近縁生物のプールとして調製した。該プールの細胞
数を連続希釈により測定した。すなわち、サンプルからアリコートを取得し、そ
れを希釈し、それを培養して個々の細胞から生ずるコロニーが計数可能になるよ
うにすることにより、生存細胞数を決定した。
【0135】
【表4】
【0136】 以下の成分を含む水中油型乳液を調製した。: セチルアルコール(脂肪アルコール) 1.65g グリセリンステアラート 1.65g Ariacel 165(界面活性剤) 6.60g Dehydagワックス(界面活性剤) 1.10g Softisan 378(トリグリセリド/油) 0.50g シリコーン 200/100 0.40g Cetiol LC 3.60g Tween 40(乳化剤) 0.66g Ariacel 40 0.44g DI Water(蒸留済) 74g 1.3 Btgly 6g EDTA(キレート剤) 0.1g
【0137】 その抗菌活性を試験するために、カブトガニENPを上記乳液に加え、蒸留水で
適切に調整して約0.01重量%濃度とした。対照およびカブトガニENP含有乳液を
、5種の微生物プールの各々に由来する108の生存細胞と共に接種した。生存微
生物細胞数は、接種初期時にプレート計数により測定し、その後8週まで1週間
隔で測定した。3週目の細胞計数用のアリコートを取得した後、微生物を最初の
レベルになるように再接種した。この週毎の細胞計数については、細胞数の対数
として表5に示す。
【0138】
【表5】
【0139】 この結果は、カブトガニENPが局所適用化粧品およびローションにおいて有効
な抗菌防腐剤であることを示している。カブトガニENPは、0.01%(重量/体積
)という比較的低濃度で、広範囲の微生物を殺すことができ、さらに3週目に微
生物により前記乳液を再度スパイクしても8週間にわたりそれらの再増殖を妨げ
ることができた。LALFは酵母カンジダ・パラピローシス(Candida parapilosis)
およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を殺し、再増殖を妨げるのに
有効であった。カブトガニENPは、細菌および酵母と比較すると、菌類アスペル
ギルス・ニゲア(Aspergiltus niger)に対してはあまり有効ではなかったが、そ
れでもやはり菌類の増殖を制限した。したがってカブトガニENPは、菌類に関し
ては静真菌性作用物質として作用するが、細菌および酵母についてはその増殖を
より強力に抑制する。
【0140】 本明細書では様々な刊行物を引用しているが、その開示内容は全体を参照によ
り組み入れるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 グラム陰性細菌E.coliの阻止におけるENPのポリミキシンBとの相乗作用を示
す。図面は、下に示す濃度のポリミキシンB単独使用(黒棒)または10μg/mlの
カブトガニENPとの併用(陰影をつけた棒)のルリアブロスにおけるE.coli 2530
3の増殖に対する阻止効果を示す。
【図2】 図2Aおよび2Bは、グラム陰性細菌E.coliの阻止におけるポリミキシンBと
ENPの相互作用効果を示す。図2Aは、下に示す濃度のポリミキシンBのE.coli
の増殖に対する阻止効果を示す。図2Bは、下に示す濃度のカブトガニENP単独
使用(黒棒)または0.06μg/mlのポリミキシンBとの併用(斑点入りの棒)のE.
coliの増殖に対する阻止効果の比較を示す。
【図3】 グラム陰性細菌E.coliの阻止におけるENPの硫酸ゲンタマイシンとの相乗作用
を示す。図面は、下に示す濃度の硫酸ゲンタマイシン単独使用(黒棒)または20
μg/mlのカブトガニENPとの併用(陰影をつけた棒)のルリアブロスにおけるE.c
oli 25303の増殖に対する阻止効果を示す。
【図4】 グラム陰性細菌ボルタデラ種の阻止におけるENPの硫酸ゲンタマイシンとの相
乗作用を示す。図面は、下に示す濃度の硫酸ゲンタマイシン単独使用(黒棒)ま
たは20μg/mlのカブトガニENPとの併用(陰影をつけた棒)のFBSにおけるボルタ
デラ種の増殖に対する阻止効果を示す。
【図5】 グラム陰性細菌E.coliの阻止におけるENPのテトラサイクリンとの相乗作用を
示す。図面は、下に示す濃度のテトラサイクリン単独使用(黒棒)または10μg/
mlのカブトガニENPとの併用(陰影をつけた棒)のルリアブロスにおけるE.coli
25303の増殖に対する阻止効果を示す。
【図6】 グラム陰性細菌E.coliの阻止におけるENPのアンピシリンとの相乗作用を示す
。図面は、2.5μg/mlアンピシリン(▲)、2.5μg/ml カブトガニENP(□)、5.
0μg/ml カブトガニENP(×)、2.5μg/mlアンピシリン+2.5μg/ml カブトガニ
ENP(○)、および2.5μg/mlアンピシリン+5.0μg/ml カブトガニENP(◆)の
、ルリアブロスにおけるE.coli 25303の増殖に対する阻止効果を示す。対照培養
(●)。
【図7】 グラム陽性細菌S.aureusの阻止におけるENPのポリミキシンBとの相乗作用を
示す。図面は、下に示す濃度のポリミキシンB単独使用(黒棒)または10μg/ml
のカブトガニENPとの併用(陰影をつけた棒)のルリアブロスにおけるS.aureus
の増殖に対する阻止効果を示す。
【図8】 グラム陽性細菌のENPによる阻止を示す。図面は、2.5μg/ml カブトガニENP(
▲)および5.0μg/ml カブトガニENP(◇)の、海洋生物から単離された特性決
定されていないグラム陽性細菌の増殖に対する阻止効果を示す。対照培養(■)
【図9】 酵母のα接合因子プレプロリーダー配列/カブトガニENP融合タンパク質をコ
ードする発現構築物を含むサッカロマイセス・セレビシアの発現ベクターpCGS96
5の制限酵素地図を示す。
【図10】 酵母のα接合因子プレプロリーダー配列/カブトガニENP融合タンパク質をコ
ードする発現構築物を含むピチア・パストリアの組込みベクターpPICZの制限酵
素地図を示す。
【図11】 酵母のα接合因子プレプロリーダー配列/カブトガニENP融合タンパク質をコ
ードする発現構築物を含むピチア・パストリアの組込みベクターpHIL-D2の制限
酵素地図を示す。
【図12】 酵母のα接合因子プレプロリーダー配列/カブトガニENP融合タンパク質をコ
ードする発現構築物を含むピチア・パストリアの組込みベクターpAO815の制限酵
素地図を示す。
【図13】 酵母のα接合因子プレプロリーダー配列/カブトガニENP融合タンパク質をコ
ードする発現構築物を含むピチア・パストリア組込みベクターpAOGAPの制限酵素
地図を示す。
【図14】 酵母のα接合因子プレプロリーダー配列/カブトガニENP融合タンパク質のヌ
クレオチド配列(配列番号1)およびアミノ酸配列(配列番号2)を示す。プレ
プロリーダー配列はアミノ酸残基1〜4である。カブトガニENPはアミノ酸残基
5〜105である。
【図15】 カブトガニENPの内毒素結合および中和ドメインのアミノ酸配列(配列番号3
)を示す。
【図16】 カブトガニENPのヌクレオチド配列(配列番号4)およびアミノ酸配列(配列
番号5)を示す。このカブトガニENPのアミノ酸残基14、81および90は、
図14に示すカブトガニENPの対応する残基と異なる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 ウェインライト、ノーマン、アール. アメリカ合衆国 02540 マサチューセッ ツ州、ファルマウス、ツー ポンズ ロー ド 152 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA20 BA01 BA21 CA51 DC50 MA02 NA05 ZA891 ZB351 ZB352

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 1種以上の内毒素不活性化タンパク質、および(b) 1種
    以上の抗生物質、を含有する医薬組成物であって、該内毒素不活性化タンパク質
    がカブトガニの内毒素中和タンパク質(ENP)またはENPの内毒素結合および中和ド
    メインを含むENPの誘導体であることを特徴とする、上記医薬組成物。
  2. 【請求項2】 カブトガニがLimulus polyphemus、Tachypleus gigas、Tach
    ypleus tridentatusまたはCarcinoscropius rotundicaudaである、請求項1記載
    の医薬組成物。
  3. 【請求項3】 カブトガニがLimulus polyphemusである、請求項2記載の医
    薬組成物。
  4. 【請求項4】 内毒素不活性化タンパク質が配列番号3の配列を含む、請求
    項3記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 内毒素不活性化タンパク質が配列番号5の配列を含む、請求
    項4記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 内毒素不活性化タンパク質が配列番号2の配列を含む、請求
    項4記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】 抗生物質が細菌種を阻止する、請求項1記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】 抗生物質がグラム陰性細菌種を阻止する、請求項7記載の医
    薬組成物。
  9. 【請求項9】 抗生物質がグラム陽性細菌種を阻止する、請求項7記載の医
    薬組成物。
  10. 【請求項10】 抗生物質がポリミキシンB、アンピシリン、アモキシリン
    、ペニシリンG、ペニシリンA、ペニシリンV、テトラサイクリン、エリスロマ
    イシン、スペクチノマイシン、セフォキシチン、トリメトプリムスルファメトキ
    サゾール、クロラムフェニコール、リファンピン、ミノサイクリン、スルフォン
    アミド類、ニトロフラントイン、ゲンタマイシン、セファマンドール、カルベニ
    シリン、チカルシリン、トブラマイシン、アミカシン、セファロスポリン、セフ
    ォキシチン、ストレプトマイシン、クリンダマイシン、バンコマイシン、クロキ
    サシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラ
    シリン、メジオシリン、セファレキシン、セフラジン、セファクロール、セファ
    ドロキシル、セフィキシム、セフロキシム、セフプロジル、セファロチン、セフ
    ラゾリン、セファピリン、セフォペラゾン、セフトリキソン、テトラサイクリン
    、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリオン、デメクロサイクリン、
    ミノサイクリン、メタサイクリン、リンコマイシン、クラリトロマイシン、アジ
    トロマイシン、およびメトロニダゾールからなる群より選択される、請求項7記
    載の医薬組成物。
  11. 【請求項11】 製薬上許容される担体をさらに含む、請求項8または9記
    載の医薬組成物。
  12. 【請求項12】 (a) 1種以上の内毒素不活性化タンパク質、(b) 1種以上
    の抗生物質、および(c) 製薬上許容される担体、を含有する医薬組成物であって
    、該内毒素不活性化タンパク質がカブトガニの内毒素中和タンパク質(ENP)また
    はENPの内毒素結合および中和ドメインを含むENPの誘導体であることを特徴とす
    る、上記医薬組成物。
  13. 【請求項13】 抗生物質がグラム陰性細菌による感染症に有効である、請
    求項12記載の医薬組成物。
  14. 【請求項14】 抗生物質がグラム陽性細菌による感染症に有効である、請
    求項12記載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】 患者に、有効量の1種以上の内毒素不活性化タンパク質、
    および有効量の1種以上の抗生物質を投与することからなる微生物感染症の治療
    または予防方法であって、該内毒素不活性化タンパク質がカブトガニの内毒素中
    和タンパク質(ENP)またはENPの内毒素結合および中和ドメインを含むENPの誘導
    体であることを特徴とする、上記方法。
  16. 【請求項16】 カブトガニがLimulus polyphemus、Tachypleus gigas、Ta
    chypleus tridentatusまたはCarcinoscropius rotundicaudaである、請求項15
    記載の方法。
  17. 【請求項17】 カブトガニがLimulus polyphemusである、請求項16記載
    の方法。
  18. 【請求項18】 内毒素不活性化タンパク質が配列番号3の配列を含む、請
    求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 内毒素不活性化タンパク質が配列番号5の配列を含む、請
    求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 内毒素不活性化タンパク質が配列番号2の配列を含む、請
    求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 微生物感染症が細菌感染症であり、前記方法が細菌感染症
    に有効な抗生物質を投与することを含む、請求項15記載の方法。
  22. 【請求項22】 微生物感染症がグラム陰性細菌感染症であり、前記方法が
    グラム陰性細菌感染症に有効な抗生物質を投与することを含む、請求項21記載
    の方法。
  23. 【請求項23】 微生物感染症がグラム陽性細菌感染症であり、前記方法が
    グラム陽性細菌感染症に有効な抗生物質を投与することを含む、請求項21記載
    の方法。
  24. 【請求項24】 抗生物質がポリミキシンB、アンピシリン、アモキシリン
    、ペニシリンG、ペニシリンA、ペニシリンV、テトラサイクリン、エリスロマ
    イシン、スペクチノマイシン、セフォキシチン、トリメトプリムスルファメトキ
    サゾール、クロラムフェニコール、リファンピン、ミノサイクリン、スルフォン
    アミド類、ニトロフラントイン、ゲンタマイシン、セファマンドール、カルベニ
    シリン、チカルシリン、トブラマイシン、アミカシン、セファロスポリン、セフ
    ォキシチン、ストレプトマイシン、クリンダマイシン、バンコマイシン、クロキ
    サシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラ
    シリン、メジオシリン、セファレキシン、セフラジン、セファクロール、セファ
    ドロキシル、セフィキシム、セフロキシム、セフプロジル、セファロチン、セフ
    ラゾリン、セファピリン、セフォペラゾン、セフトリキソン、テトラサイクリン
    、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリオン、デメクロサイクリン、
    ミノサイクリン、メタサイクリン、リンコマイシン、クラリトロマイシン、アジ
    トロマイシン、およびメトロニダゾールからなる群より選択される、請求項21
    記載の方法。
  25. 【請求項25】 患者が温血動物である、請求項15記載の方法。
  26. 【請求項26】 患者がヒトである、請求項25記載の方法。
  27. 【請求項27】 患者に、有効量の1種以上の内毒素不活性化タンパク質、
    および有効量の1種以上のグラム陰性細菌感染症に有効な抗生物質を投与するこ
    とからなるグラム陰性細菌感染症の治療方法であって、該内毒素不活性化タンパ
    ク質がカブトガニの内毒素中和タンパク質(ENP)またはENPの内毒素結合および中
    和ドメインを含むENPの誘導体であることを特徴とする、上記方法。
  28. 【請求項28】 患者に、有効量の1種以上の内毒素不活性化タンパク質、
    および有効量の1種以上のグラム陽性細菌感染症に有効な抗生物質を投与するこ
    とからなるグラム陽性細菌感染症の治療方法であって、該内毒素不活性化タンパ
    ク質がカブトガニの内毒素中和タンパク質(ENP)またはENPの内毒素結合および中
    和ドメインを含むENPの誘導体であることを特徴とする、上記方法。
JP2000557846A 1998-07-02 1999-06-28 内毒素中和タンパク質またはその誘導体を含む組成物およびその使用 Pending JP2002519385A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/109,175 US20020107174A1 (en) 1998-07-02 1998-07-02 Composition comprising endotoxin neutralizing protein and derivatives and uses thereof
US09/109,175 1998-07-02
PCT/US1999/014594 WO2000001400A1 (en) 1998-07-02 1999-06-28 Compositions comprising endotoxin neutralizing protein and derivatives and uses thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002519385A true JP2002519385A (ja) 2002-07-02

Family

ID=22326212

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000557846A Pending JP2002519385A (ja) 1998-07-02 1999-06-28 内毒素中和タンパク質またはその誘導体を含む組成物およびその使用

Country Status (5)

Country Link
US (2) US20020107174A1 (ja)
EP (1) EP1091752A4 (ja)
JP (1) JP2002519385A (ja)
AU (1) AU4724799A (ja)
WO (1) WO2000001400A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018529689A (ja) * 2015-09-17 2018-10-11 ソウル大学校産学協力団Seoul National University R&Db Foundation グラム陰性菌に対する抗菌活性を示す切断または折り畳まれたヘリックスペプチドまたはペプチド類似体およびその用途

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6696078B1 (en) * 1999-07-21 2004-02-24 Edwin J. Masters System and methods for local intradermal treatment
MXPA02009587A (es) * 2000-03-28 2003-05-14 Biochemie Gmbh Particulas granuladas con sabor enmascarado.
EP1501935B1 (en) * 2002-04-22 2009-09-23 Dow Global Technologies Inc. Low-cost production of peptides
US20090186079A1 (en) * 2008-01-17 2009-07-23 Nichols Frank C Oral and overall health by negating the biological effects of bacterial lipids
CN104872067A (zh) * 2015-05-04 2015-09-02 钦州学院 一种提高产卵雌中国鲎产卵量的方法
CN113563427B (zh) * 2021-06-02 2022-02-01 北京师范大学珠海校区 抗菌短肽lbd-s及其应用和药物
CN113666997B (zh) * 2021-06-03 2023-05-26 中国人民解放军海军特色医学中心 一种平颏海蛇来源内毒素中和肽及其编码序列与应用

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5594113A (en) * 1988-06-23 1997-01-14 Associates Of Cape Cod, Inc. Endotoxin binding and neutralizing protein and uses thereof
US5834430A (en) * 1995-05-31 1998-11-10 Biosynth S.R.L. Potentiation of antibiotics
US5780429A (en) * 1995-12-22 1998-07-14 Marine Biological Laboratory Anti-LPS factor from horseshoe crabs and methods of use
US5747113A (en) * 1996-07-29 1998-05-05 Tsai; Charles Su-Chang Method of chemical vapor deposition for producing layer variation by planetary susceptor rotation

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018529689A (ja) * 2015-09-17 2018-10-11 ソウル大学校産学協力団Seoul National University R&Db Foundation グラム陰性菌に対する抗菌活性を示す切断または折り畳まれたヘリックスペプチドまたはペプチド類似体およびその用途
JP2020128386A (ja) * 2015-09-17 2020-08-27 ソウル大学校産学協力団Seoul National University R&Db Foundation グラム陰性菌に対する抗菌活性を示す切断または折り畳まれたヘリックスペプチドまたはペプチド類似体およびその用途
US11123400B2 (en) 2015-09-17 2021-09-21 Seoul National University R&Db Foundation Broken or folded helical peptide or peptide analog exhibiting antimicrobial activity against gram-negative bacteria, and use thereof
JP6990268B2 (ja) 2015-09-17 2022-01-12 ソウル大学校産学協力団 グラム陰性菌に対する抗菌活性を示す切断または折り畳まれたヘリックスペプチドまたはペプチド類似体およびその用途

Also Published As

Publication number Publication date
US20020107174A1 (en) 2002-08-08
US20030087823A1 (en) 2003-05-08
EP1091752A1 (en) 2001-04-18
EP1091752A4 (en) 2004-10-27
AU4724799A (en) 2000-01-24
WO2000001400A1 (en) 2000-01-13
WO2000001400A9 (en) 2000-04-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5234912A (en) Pharmaceutical compositions comprising recombinant BPI proteins and a lipid carrier and uses thereof
RU2671110C2 (ru) Бактериофаги, белки бактериофагов и способы их применения
EP0375724B1 (en) Biologically active bactericidal/permeability-increasing protein fragments
EP0629347B1 (en) Antibacterial agent and treatment of article therewith
JP2002544759A (ja) カチオン性ペプチド単独、または抗生物質と組み合わせて用いて感染を処置するための組成物および方法
JP2002541066A (ja) 抗微生物薬/エンドトキシンを中和するポリペプチド
KR102555177B1 (ko) 항균 펩타이드 및 이의 사용 방법
Balch Resistance to infection in burned patients
EP2344189B1 (en) Protective vaccine against staphylococcus aureus biofilms comprising cell wall-associated immunogens
KR101341210B1 (ko) 신규한 항균 펩타이드 및 이의 용도
SE454403B (sv) Anvendning av ett cellyteprotein med fibronektin-, fibrinogen-, kollagen-, och/eller lamininbindande egenskaper vid framstellning av sarbehandlingsmedel
EP0629213B1 (en) Use of an immunostimulatory agent
JP2002519385A (ja) 内毒素中和タンパク質またはその誘導体を含む組成物およびその使用
KR102415734B1 (ko) 신규한 항균 펩타이드 및 이의 용도
CN101448851B (zh) 改进的抗微生物肽
US5780429A (en) Anti-LPS factor from horseshoe crabs and methods of use
CN1280497A (zh) 用于治疗微生物感染的哺乳动物肽
KR102506674B1 (ko) 항생제 내성균에 대한 항균 활성을 가지는 항균 펩타이드 h103b 및 이의 용도
WO1997023235A9 (en) Anti-lps factor from horseshoe crabs and methods of use
US5969098A (en) Yeast-toxin-related protein for antimicrobial vaccine and sterilizing preservative use
JP2002530083A (ja) 感染におけるリゾチーム融合タンパク質
JPH0645553B2 (ja) 乳房炎およびその他のブドウ球菌感染症の治療法並びに同治療用組成物
WO2021087415A1 (en) Method of treating infections by bacteriolytic enzymes and manufacture thereof
CN117024525B (zh) 一种白细胞提取物的制备以及在化妆品和药品中的应用
RU2783957C2 (ru) Антимикробные пептиды и способы их использования