JPH0645553B2 - 乳房炎およびその他のブドウ球菌感染症の治療法並びに同治療用組成物 - Google Patents

乳房炎およびその他のブドウ球菌感染症の治療法並びに同治療用組成物

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JPH0645553B2
JPH0645553B2 JP63234685A JP23468588A JPH0645553B2 JP H0645553 B2 JPH0645553 B2 JP H0645553B2 JP 63234685 A JP63234685 A JP 63234685A JP 23468588 A JP23468588 A JP 23468588A JP H0645553 B2 JPH0645553 B2 JP H0645553B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本出願はブドウ球菌感染の治療および予防へのリゾスタ
フインの使用、特に、ブドウ球菌によるウジ乳房炎の治
療および予防に関する。
リゾスタフインは、元来Schindler およびSchuhartによ
り分離され、スタフイロコツカス・スタフイロリテイカ
ス(Staphylococcus staphylolyticus)と命名された
一既知株スタフイロコツカス・シミユランス((Staphy
lococcus simulans)により分泌されるバクテリオシン
である。リゾスタフインのS.staphylolyticusによる
製造は1966年10月11日に発行の米国特許No.
3,278,378およびProceedings of the Nationa
l Academy of Sciences、51巻、414−421頁
(1964年)に記載されている。リゾスタフインを生
産した一菌株S. staphylolyticus (NRRL B−2
628)は最近Sloan ら、J. System. Bacteriol、32
巻、170−174頁(1982年)によりS. simulan
sの生物変異株と同定された。S. staphylolyticusはApp
roved List of Bacterial Names(細菌名の承認リス
ト)にないので、リゾスタフイン生産菌もS. simulans
と再命名された。
バクテリアシンはバクテリアが分泌し、近縁バクテリア
を殺したり溶菌したりするたん白質である。例えば、リ
ゾスタフインは実質的に全ての既知ブドウ球菌種を溶菌
し殺すが、他の属のバクテリアに対しては活性がない。
S. simulans(NRRL B−2628)を報告文献に
従つて増殖させた倍養瀘液から単離されるリゾスタフイ
ンはブドウ球菌の細胞壁に存在するペプチドクリカンの
ポリグリシン架橋結合を切断するエンドペプチダーゼで
ある。さらに、リゾスタフインを生産する培養菌はその
活性に耐性であるが、リゾスタフイン非生産条件下で増
殖させた培養菌は感受性である。
リゾスタフインはS.simulansを液体培養で増殖させる発
酵法により生産できることがわかつている。そのような
発酵法は1966年10月11日発行の米国特許No.
3,278,378およびProceedings of the Nationa
l Academy of Sciences、51巻、414−421頁
(1964年)に記載されている。発酵法によるリゾス
タフインの生産の種々の改良は1968年8月20日発
行の米国特許No.3,398,056および1971年
7月20日発行No.3,594,284に記されてい
る。後ろの2つの文献では発酵によるリゾスタフインの
生産を促進し、改良するための培養培地および植菌方法
の改良が開示されている。リゾスタフインはS.simulans
の対数増殖期に不活性な前駆体として生産される。プロ
酵素はS.simulansの休止期の培養菌が生産するプロテア
ーゼにより活性な成熟たん白質に変換される。
さらにリゾスタフインはリゾスタフイン遺伝子を発現す
るE. coli, Bacillus subtilisおよびBacillus sphaeri
cusなどの組換え微生物によつても生産される。通常の
生産とは違つて、組換えのリゾスタフイン生産菌株での
培養培地ではリゾスタフインは対数増殖期に完全にプロ
セスされた成熟活性酵素として、ブドウ球菌の免疫原性
汚染物の存在なく蓄積する。
ウシ乳房炎は酪農業にとつて非経済的な問題であり、ア
メリカ合衆国のみで年間20億ドル以上かかる。この疾
患はアメリカ酪農牛の50パーセントにある程度は影響
していると考えられ、その結果、使用できない牛乳が出
て牛乳の生産量が低下し、感染がひどいとウシの死につ
ながる。
乳房炎は乳腺の感染、主にStaphylococcus aureus 或
いはStaphylococcus agalactiae により、また頻度は低
いがE. coliおよびその他のグラム陰性細菌或いはそれ
らの合併感染により起る。ブドウ球菌感染のほとんどは
従来の抗生物質療法により効果的に治療できることがわ
かつている。しかしながら、ブドウ球菌によるい房炎は
治癒するのが難しいことがわかつている。
ウシ乳房炎の従来からの予防法は乳頭を消毒液に毎日浸
ける複雑な養生法により(J. S. McDonald,6 Veteri
nary Clinics of North American Large Animal Practi
ce 269〔[984年]参照)、また時には抗生物質
含有の乳頭浸漬による。しかし、日常の抗生物質療法は
抗生物質耐性菌株の出願を最小限とするように注意して
行なわねばならない。感染が起つたら、抗生物質の乳腺
注入を必要とする。このような抗生物質療法は感染を抑
え、生産される牛乳は販売できるが、通常、原因微生物
を完全に消失させることはない。
過去にはブドウ球菌による乳房炎は抗生物質治療に対し
ての応答が悪く、感染の再発と慢性化の傾向があつた。
乳房炎の研究の結果、乳房炎の治療に於ける問題の一部
はブドウ球菌のかなりの数が乳腺中で食細胞の多形核好
中球(PMN)の内部に生存して残ることによることが
明かとなつた。ブドウ球菌はPMN内では抗生物質の作
用から防御され、好中球の溶解が起ると食細胞内ブドウ
球菌が乳房炎を起すブドウ球菌の再増殖源となると考え
られている。
乳房炎治療に於ける食細胞内ブドウ球菌の抗生物質攻撃
の機構研究の結果、リゾスタフインは食細胞内ブドウ球
菌を殺菌する候補物質からは外されていた。Cravenら、
29Research in Veterinary science 57(198
0年);Cravenら、21 Antimicrobial Agents and Ch
emotherapy 618頁(1982年);Cravenら、5
Comp. Immun, Microbial,Infect,Dis.447頁(19
82年)、Cravenら、51 Journal of Dairy Resear
ch 513(1984年)。これらの実験ではリゾスタ
フインを食細胞内のブドウ球菌をクロキサシリン、ゲン
タマイシン或いはリゾスタフインで処理する前に細胞外
ブドウ球菌を殺菌するための前処理としてインビトロで
使用している。Cravenらの実験ははつきりと、リゾスタ
フイン含有の溶液中で20時間インキユベートした後も
細胞内ブドウ球菌は生存しているため、リゾスタフイン
は乳房炎には効果がないことを示している。51 Journ
al of Dairy Research 515−516頁および第2
表。
リゾスタフインはヒト単核細胞を透過することも報告さ
れている。単核細胞はPMNとは異なるタイプの細胞で
あるから、このヒトのモデルがウシ乳房炎の治療に応用
できるとは思われない(Van den Broekら、21、Scan
d,J. Immunol、189頁[1985年])。
リゾスタフインはまたマウスのブドウ球菌性腎腫瘍の治
療に、特にメチシリン投与と連続して使用すると有効で
あることがわかつている。Dixon ら、41 Yale J.Bio
l. Med、62(1968年)。
ヒトではリゾスタフインは慢性の鼻ブドウ球菌感染の治
療薬としても使用されてきた。
(Quickel,Jr.ら、22 Applied Microbiology446
頁[1971年])。耐性ブドウ球菌感染の一例ではリ
ゾスタフインが全身投与された(Starkら、291 Medi
cal Intelligence 239頁[1974年])。しかし
一般には、リゾスタフインの全身投与については臨床医
療分野でも動物医療分野でも強い疑問および躊躇があ
る。リゾスタフインは局所投与以外に一般的に使用する
には免疫原性が強すぎると考えられている。
発明の要約 今回、リゾスタフインが驚くべき効力でブドウ球菌乳房
炎を、たとえ慢性型であつても、免疫原性の悪影響なし
に予防し、治癒するのに使用できることを発見した。予
防には、リゾスタフインを日常の乳頭洗滌液の中に入れ
ればよい。リゾスタフインは単独でも使用できるが、乳
頭洗滌液はリゾスタフインの他にStaphylococcus globi
sporusにより生産されてブドウ球菌に対して有効なバク
テリオシンであるムタノリシン;およびグラム陽性菌お
よびグラム陰性菌の細胞壁に含まれるペプチドグリカン
の多糖類骨格を加水分解するムラミン酸溶解酵素である
リゾチームのような溶菌剤を含有する。製剤はまた、エ
チレシジアミンテトラ酢酸(EDTA)のようなキレー
ト剤;およびバクテリアの殺菌を高めることの知られて
いる弱性界面活性剤なども含有できる。適当な弱性界面
活性剤としては特に、ポリオキシエチレンソルビタンと
脂肪酸のエステル類(Tween 系統)、オクチルフエノキ
シポリエトキシエタノール(Triton−X系統)、n−オ
クチル−β−D−グルコピラノシド、n−オクチル−β
−D−チオグルコピラノシド、n−デシル−β−D−グ
ルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノ
シドおよび生物に存在する界面活性剤、例えば、脂肪
酸、グリセリド、モノグリセリド、デオキシコレートお
よびデオキシコレートのエステル類などがある。
広範囲スペクトルの乳頭洗滌液の予防への使用に加え、
洗滌液の種々の成分を菌を除去し、乳房炎を治癒するた
めに乳房へ注入でき、例えばリゾスタフインを単独で、
或いは弱性界面活性剤と一緒に注入でき、界面活性剤を
併用することにより驚くことにリゾスタフインのブドウ
球菌殺菌効果は1000倍以上上昇する。さらに、リゾ
スタフインとペニシリンを併用することにより試験管内
で1000倍のブドウ球菌殺菌作用を示すような相乗作
用が認められた。従つて、治療用の注入液はペニシリ
ン、または弱性界面活性剤と任意にキレート剤とをさら
に含有できる。
界面活性剤、EDTA、ペニシリンまたは他の増強剤を
含有する、或いは含有しないリゾスタフインを治療有効
量注入することによりブドウ球菌感染を除去することが
できる。好ましくはそのような注入液は他の薬剤を併用
しない場合には2から400mgのリゾスタフインを含有
する。増強剤を含有する併用の場合にはリゾスタフイン
の必要量は(相乗的に活性が高められるため)1000
倍も低くできる。
リゾスタフインとペニシリンの相乗的な殺菌活性はペニ
シリナーゼ陽性のS. aureusおよびメチシリン耐性S. au
reus(“MRSA”)に投与した場合にも観察された。
MRSAは通常多くの抗生物質に耐性であつて特にヒト
で問題が多く、殺菌が困難である。リゾスタフイン/ペ
ニシリンの併用は難しいMRSA感染が従来の抗生物質
(例えばペニシリン)治療により制御できないような特
殊な状況での使用に適用されよう。さらにペニシリンお
よび他の同じような作用をする物質はリゾスタフインと
併用してブドウ球菌感染および汚染に対する薬剤として
有用であろう。
本発明によるリゾスタフイン含有製剤は乳剤炎治療への
利用として示すが、これらの製剤でのリゾスタフインの
増強効果はブドウ球菌による感染および汚染が関与する
他の多くの利用にも適当である。従つて、本製剤は外傷
保護および治療、消毒液、洗液やローシヨン、或いは外
科用挿入などに加えることによつてブドウ球菌感染を制
御することに使用できる。さらに本製剤は医療用機器の
洗滌および環境の消毒が好ましいような時に床、壁およ
びベツド等の清掃にも使用できる。他の利用法として
は、ブドウ球菌の鼻腔感染を低下するための鼻腔注入、
および肉、卵、チーズおよび魚類の処理、或いは包装お
よび取り扱い器具などの食品関連の利用などがある。
本発明の第一の側面は、リゾスタフインおよびリゾスタ
フインの殺菌活性を相乗的に高めうる、ペニシリン、合
成ペニシリン、バシトラシン、メチシリン、セファロス
ポリンおよびポリミキシンなどのその他の細胞壁一活性
抗生物質(以下その他の抗生物質と称することもある)
キレート剤、弱い界面活性剤およびその他の膜活性物質
よりなる群より選ばれる少なくとも一つの薬剤とをブド
ウ球菌を殺す有効量含有する抗ブドウ球菌組成物に関す
る。
リゾスタフインが少なくとも0.01μg/mlの濃度で
存在することが好ましい。
また、ペニシリンはリゾスタフインの殺菌効果を高める
有効量で含有することが望ましい。
その量としては、0.1μg/mlから10.0μg/ml
の範囲内の量が例示される。
リゾスタフインの殺菌効果を高めるのに有効量の弱界面
活性剤が含有されていてもよい。
その量としては0.1%から1.0%の範囲内である。
更に好ましくは、リゾスタフインの殺菌効果を高める有
効量のペニシリンおよび弱界面活性剤が含有される。
弱界面活性剤は0.1%から1.0%でペニシリンとし
ては0.1μg/mlから10.0μg/mlの量から好ま
しくは選択される。
さらにムタノリシンおよびリゾチームを含有していても
よい。
リゾスタフインとしてはリゾスタフインをコードする組
換えプラスミドを保有する形質転換微生物に由来するも
のが好適に使用される。
形質転換微生物としてはプラスミドpBC16−1Lを
保有するものが好適に利用される。
本発明の第2の側面は、許容担体に含有されるリゾスタ
フインより成る治療薬をブドウ球菌性乳房炎を治癒する
有効量、感染腺に乳腺内注入により投与することにより
成るブドウ球菌性乳房炎の治療法に間する。
その場合2mgから400mgのリゾスタフインをウシ乳腺
に適用すればよい。
リゾスタフインとしてはリゾスタフインをコードする組
換えプラスミドを保有する Bacillus sphaericus形質
転換株により生産されるものが好適に使用される。
かかる生産菌としてはプラスミドpBC16−1Lを保
有する形質転換微生物が挙げられる。
治療薬に更にリゾスタフインの治療効果を高めるのに有
効量の弱界面活性剤を含有しているものを使用してもよ
い。
さらに、リゾスタフインの殺菌活性を高めうる、ペニシ
リン、合成ペニシリン類、バシトラシン、メチシリン、
セファロスポリンおよびポリミキシンなどの細胞壁一活
性抗生物質、キレート剤および弱界面活性剤より成る群
より選ばれる少なくとも一つの薬剤を、リゾスタフイン
の治療効果を相乗的に高める量で含有していることが好
ましい。
治療薬としてはさらに少なくとも一つの追加の細菌溶菌
剤を含有しているものでもよい。
かかる追加の細菌溶菌剤としてはムタノリシンおよびリ
ゾチームより成る群から選ばれるものが挙げられる。
第3の側面は、適当な担体中におよそ0.01μg/ml
から10.0μg/mlのリゾスタフインを含有して成る
溶液に乳頭を、各搾乳時の前後に浸すことから成るウシ
乳房炎の予防方法に関する。
その際に溶液がさらにムタノリシンおよびリゾチームを
含有するものを用いてもよい。
リゾスタフインとしてはリゾスタフインをコードする組
換えプラスミドを保有する Bacillus Spharicusの形質
転換株により生産されたものが好適に使用される。
かかる Bacillus Sphaericusの形質転換株としてはプラ
スミドpBC16−1Lを保有しているものが挙げられ
る。
また、溶液にさらにメタノリシンおよびリゾチームを含
有するものも好適に使用される。
本発明により使明するリゾスタフインは天然または組換
え体より得られる。好ましくはリゾスタフインはリゾス
タフインの合成を指示する組換えプラスミドを保有する
Bacillus Sphaericus00株から得られ、その結果リゾ
スタフインが生育培地中に直接蓄積するので高収量にか
つブドウ球菌由来の免疫原性汚染がなく、また面倒なリ
ゾスタフイン精製の必要もなく調整できる。プラスミド
pBC16−1Lを保有する Bacillus Sphaericus形質
転換株がこの目的に最も適していることがわかつている
が、他の菌株もリゾスタフイン源として使用できる。リ
ゾスタフインをコードする遺伝子を含む組換えプラスミ
ドにより形質転換した微生物からリゾスタフインを得る
一つの方法は1987年8月10日に出願され、米国特
許出願852,407の一部継続出願である米国特許出
願034,464に詳細に開示されている。両出願共本
発明の文献として採用する。
<治療方法> 本発明によるウシ乳房炎の予防処理にはリゾスタフイン
含有の乳頭洗滌液を使用する。リゾスタフイン含有の乳
頭洗滌液を搾乳の前後に毎回使用するとウシ乳房炎の有
効な予防が出来る。好ましくは本予防法を群の全てのウ
シに使用するのがよい。乳頭洗滌液はおよそ1.0μg
/mlのリゾスタフインを許容担体中に含んで成る。さら
に、本発明により使用する乳頭洗滌液はおよそ1.0μ
g/mlのムタリシン、および10μg/mlのリゾチーム
および弱性界面活性剤を含有する。許容担体としてはpH
およそ8.0の緩衝液となるもので、水性緩衝液または
親水性の軟こうベースなどがある。例えば、非イオン性
界面活性剤、脂肪酸または弱性界面活性剤、アルブミン
やゼラチンのようなたん白担体、粉末セルロースおよび
カルメルなどが担体として使用できる。本発明による乳
頭洗滌液はまた、EDTAのようなキレート剤、着色剤
およびグリセロール或いはソルビトールのような湿潤剤
を含有するのが有利である。
ムタノリシンはStreptomyces globisporusから得られ
る。リゾチームはトリ卵白より得られる。予防処理を施
しても発生する慢性或いは急性のブドウ球菌によるウシ
乳房炎に感染した動物は、リゾスタフインを乳腺内注入
することにより有効に治療することができる。乳腺当り
2から400mgのリゾスタフインの一回投与により多く
の場合ブドウ球菌乳房炎の感染を除去して治癒できる。
感染が持続する場合にはさらにリゾスタフインの投与を
行なう。400mgより高い投与量は好ましくない副作
用、例えば一時的膨潤、柔軟および搾乳量の低下など、
を起すので推奨できない。しかし、このような影響は治
療した腺にのみ見られ、従つて重篤な生命を左右するよ
うな場合にはその腺のみ高い投与量で処理することも良
い。命に係わる場合には投与経路も全身分布が可能なよ
うに、感染箇所以外の場所も含み、リゾスタフインが腸
内で失活しないように防御した適当な被覆製剤の静注、
皮下注射、或いは筋注および直腸または経口投与などを
行なう。
リゾスタフインおよびペニシリンの組合せの注入はこの
併用による抗菌活性の見かけ上の相乗作用のため、リゾ
スタフイン単独よりも驚くほど効力が高まることも明か
となつた。その上、治療用のリゾスタフイン製剤はリゾ
スタフインの抗菌活性を高めるような他の薬剤、例えば
合成ペニシリンやその他の抗生物質、キレート剤、弱い
界面活性剤(例えばデオキシコール酸)、および感染部
位へのリゾスタフインの透過を高めるような膜に活性の
ある他の薬剤を含有できると考えられている。例えばペ
ニシリンを含有する製剤では、リゾスタフインの抗菌活
性が高められるのでリゾスタフイン投与量を低くでき
る。リゾスタフインの投与量が多いと好ましくない副作
用を誘発する可能性があるため、このような相乗効果は
効力の点からだけでなく、副作用を回避できる点でも有
意義である。
実施例1−4 リゾスタフイン、ムタノリシンおよびリゾチーム組成物
のS. aureus およびその他の乳房炎病原菌に対する殺菌
活性を調べるために試験管内実験を行なつた。手順は以
下のとおりである: <生菌数測定> 1. 一晩インキユベート(37℃)した平板からのバ
クテリア細胞(通常10個/ml)をトリス緩衝液(2
0mMトリス、pH8)にけん濁する。
2. 10μlのバクテリア細胞けん濁液と1mlの対照
および洗滌試験処方(即ち、リゾスタフイン組成物を含
有する牛乳、緩衝液、或いは緩衝界面活性剤等)を合わ
せる。
3. 細胞を37℃にて種々の時間インキユベートす
る。
4. 細胞液を卓上遠心分離を用いて2分間遠心分離し
て集菌する。
5. 沈でん物を1.0mlのフアージ緩衝液で2回洗滌
する。
6. 細胞を1.0mlのフアージ緩衝液に再けん濁し、
フアージ緩衝液を用いて適当に段階希釈した後、100
μlをGL寒天(S. aureus,E.coli,Klebsiella pneu
moniae )またはトリプトケース大豆寒天(S. agalacti
ae )にまく。
7. 平板を37℃で一晩インキユベートし対照平板お
よび試験平板上のコロニー形成単位(以後CFUとい
う)を計測して生存パーセントを決定する。
<フアージ緩衝液の組成> 50mMトリス、pH7.8;1mM MgSO;4mM C
aCl;100mM NACl;ゼラチン、1.0g/
(フアージ緩衝液は処理により溶菌しなかつたプロト
プラストやスフエロプラストを安定化するのに役立
つ)。
<GL寒天の1リツトル当たりの組成> Difco 製カザミノ酸、3.0g;Difco 製酵母エキス、
3.0g:NaCl、5.9g;乳酸ナトリウム(60
%、w/v)、3.3ml;25%(v/v)グリセロー
ル、4.0ml;寒天、15g;pHを7.8に調整。
<トリプトケース大豆寒天培地の1リツトル当たりの組
成> バクトトリプトン、15g;バクトソイトーン、5g;
NaCl、5g;寒天、15g;pHは7.3に調整。
各種リゾスタフイン治療製剤の殺菌効果を示す試験管内
実験の結果は第IA表から第IC表に示す。結果はS. a
ureusの Newbould 305株、RN451株、ペニシリ
ン耐性株RN1753(ペニシリナーゼ生産株)および
Col株(メチシリン耐性)に対する生存パーセントで
表わした。
第IA表はリゾスタフインを1μg/ml、0.1μg/
ml、0.01μg/mlおよび0.00μg/ml(対照)
含有する製剤の結果を示す。これらの結果から明かなよ
うに、試験した全ての濃度のリゾスタフインで緩衝液中
の菌を殺す効果があることがわかる。牛乳を担体とした
場合には1μg/mlおよび0.1μg/mlのみで生存菌
の低下が認められた。
第IB表はリゾスタフイン製剤にに弱非イオン性界面活
性剤活性剤、オクチルフエノキシルポリエトキシ(1
0)エタノール、(Triton×−100)、の添加効果を
示す。例えば、0.1μg/mlのリゾスタフインと0.
1% Triton×−100で処理すると0.001%以下
の細胞しか生存しないが、それぞれの薬剤での単独処理
ではそれぞれ2.2%および7.7%が生存した。さら
に驚くことに、0.01μg/mlのリゾスタフインと
0.1% Triton×−100でも0.001%以下の生
存が観察された。
第IC表はブドウ球菌の3株に対してのリゾスタフイン
/ペニシリン併用の相乗効果を示す。各薬剤の濃度によ
つてリゾスタフインにペニシリンを添加した併用は3株
全てでリゾスタフインまたはペニシリンの単独よりも1
00倍から1000倍有効である。
第ID表はS. aureusに対するリゾスタフインとペニシ
リンの順次投与に比較して併用の効果を示す。S. aureu
sを牛乳中に10個/mlの細胞数でけん濁し、リゾス
タフインとペニシリンと同時に、或いは順次に記載の時
間インキユベートした。インキユベシヨン後、試料を遠
心分離して細胞を集め、2回洗滌後1.0mlのフアージ
緩衝液に再けん濁し、希釈して100μlをGL寒天に
まく。コロニー形成単位(CFU)を37℃に一晩イン
キユベーシヨンしてから計測し、対照に対する生存率を
パーセントで測定した。リゾスタフイン/ペニシリン併
用はS. aureusに対してこれらを順次添加したものより
少なくとも3桁高い殺菌活性の相乗効果を示す。
同様にして、本願発明の組成物についての速効性、メシ
チリン耐性菌に対する相乗効果及び対照組成物との効果
上の差異についてのデータの第IE表〜第IH表に示
す。
さらに、S. aureus,S. agalactiae および E. coliま
たは klebsiella pneumoniae生菌けん濁液の600nmに
於ける濁度を測定するリゾスタフイン、ムタノリシンお
よびリゾチームの活性測定でキレート剤(例えばEDT
A)がこれら3薬剤のそれぞれの活性を高めることがわ
かつた。
これらのデータは、リゾスタフインは速効性で高活性の
ブドウ球菌殺菌剤であり、その殺菌活性はペニシリンま
たは弱い界面活性剤、TritonX−100により1000
倍以上高められることを示す。さらにキレート剤を添加
するとリゾスタフインの殺菌活性は高まる。また合成ペ
ニシリンや細胞壁に活性のある抗生物質もリゾスタフイ
ンの活性を高めると考えられている。リゾスタフインは
牛乳中でもブドウ球菌に対する殺菌剤であるが、緩衝液
中では牛乳中で見られるおよそ10倍の殺菌活性を示
す。
実施例5 実施例1から4までに記載した一般手順に従い、溶菌酵
素、非イオン性界面活性剤および緩衝キレート剤を含有
するリゾスタフイン組成物を殺菌活性を評価するために
試験管内実験を行なつた。第II表に示すように、1% T
riton X−100、0.1μg/mlリゾスタフイン、1
0μg/mlリゾチームおよび20mMトリス、pH8.0中
の5mMEDTAを含む製剤(AMBI乳頭洗滌液−0.
1)はS. aureus Newbould 305株、S. epidermidi
s, Streptococcus agalactiae McDonald株およびC4
8株を含む広範囲の乳房炎起因の病原菌および Strepto
coccus uberis, E. coli並びに Klebsiella pneumonia
eの臨床分離株に対して非常に有効であつた。
実施例6 リゾスタフイン乳頭洗滌液組成物の生体内での効力を示
すためウシでの試験を行なつた。試験は一般には Natio
nal Mastitis Council(国立乳房炎評議会)のプロトコ
ールAに従つて行なつた。一般的には、乳頭を1%ヨー
ド洗液で洗浄してペーパータオルで乾かす。次に乳頭を
アルコールで洗つて自然乾燥する。次に一頭当たり4個
全ての乳頭をS. aureus Newbould 305株の10
/mlのけん濁液に乳頭の1/2が浸かるように浸漬し、3
0分間自然乾燥する。2個の乳頭(前の右と後ろの左)
をリゾスタフインの試験用乳頭洗滌液製剤(0.85%
食塩水中に10μg/mlのリゾスタフイン)の中に2/3
が浸かるように浸漬し、30分間自然乾燥する。残りの
2個の乳頭は非処理対照とする。それぞれの乳頭を先ず
湿つた綿でふき、10mlの0.85%滅菌食塩水で洗
う。洗液は30mlの滅菌管に集める。洗液の0.2mlお
よびその適当な希釈液を血液寒天平板上に二連でまき、
37℃で24−48時間インキユベートした。コロニー
形成単位を計測し、S. aureus の対照に対する生存率を
計算する。
0.85%塩溶液中の10μg/mlのリゾスタフイン溶
液はウシ乳頭表面に感染したS. aureusを完全に消毒し
た。さらに乳頭をS. aureusの細胞液で処理する前にリ
ゾスタフインを乳頭表面に投与しても乳頭表層に十分な
活性が残存して乳頭での増殖を防いだ。残存活性はリゾ
スタフインが除去されるのを軽減するために重合体吸着
剤および/または不活性担体たん白を添加することで高
めることができる。
実施例7 実施例6の結果および試験管内実験で得られた結果に従
つて、1.0μg/mlリゾスタフイン、10μg/mlリ
ゾチーム、1.0% TritonX−100および5mMED
TAを20mMトリス緩衝液、pH8.0、に溶解した強力
乳頭洗滌液製剤(AMBI乳頭洗滌液1.0)について
S. auieus Newbould 305株に対する消毒効果を調べ
た。乳頭をS. aureus Newbould 305株細胞10
/mlに浸け、30分間自然乾燥した。次に乳頭をAMB
I試験用乳頭洗滌液−1.0(1.0μg/mlリゾスタ
フイン、10μg/mlリゾチーム、1.0% TritonX
−100、5mM EDTA、20mMトリス緩衝液、pH
8.0)に浸けて30分間自然乾燥した。乳頭を湿つた
綿でふき、10mlの滅菌0.85%塩溶液ですすいだ。
綿と洗液とを別々に血液寒天平板にまき、24−48時
間インキユベートした後CFUを測定した。第IIIA表
に示す結果は明かに本調製物の有効性を示す。処理乳頭
では少なくとも3桁低い数のS. aureus細胞が見られ、
50%の乳頭で、 S. aureusの感染が全く見られなかつ
た。
同様の実験を Streptococcus agalactiae McDonald株の
2×10/mlの細胞液に乳頭を浸け、30分間自然乾
燥して行なつた。この実験結果を第IIIB表に示す。処
理した乳頭は全て S. agalactiaeが検出されなかつた。
実施例6 モルモツトの乳腺に200−300CFUの S. aureus
Newbould 305株を感染させた。感染3日後に200
μlの0.85%滅菌塩溶液に溶解したリゾスタフイン
を一回注入した。処理後6時間目およびそれ以後12時
間毎に少なくとも5日間、乳を採取した。処理および非
処理の乳腺からの乳試料100μlを血液寒天平板上に
まいた。24−48時間インキユベート後、CFUを決
定するために計測した。感染を防止できる十分量のリゾ
スタフインを単回投与しても副作用は見られず、リゾス
タフインの乳腺内への注入はブドウ球菌性乳房炎に対し
て有効であることを示した。125μg/kgの処理で6
時間までに乳腺は感染から回復し、実験中感染は見られ
なかつた。
以上の実施例からリゾスタフインがブドウ球菌乳房炎の
治療に有効であり、その効果はペニシリンまたは弱性界
面活性剤やキレート剤などの物質と併用して使用するこ
とにより大きく高められることがわかる。
リゾスタフインの Bacillus を用いた生産 本発明により使用するリゾスタフインは天然源または組
換え体から得ることが出来る。好ましくは、リゾスタフ
インはリゾスタフイン合成を指示する組換えプラスミド
により形質転換した Bacillus sphaericus 00株に由来する培養物より得
られ、これに関しては1986年4月16日に出願され
た米国特許No.852,407号の一部継続出願であ
り、1987年4月10日に出願された同時係続出願で
あるNo.034,464号に記載されている。本法によ
ると高レベルでブドウ球菌由来の免疫原性汚染のないリ
ゾスタフインの生産が出来る。活性型リゾスタフインが
生育培地中に直接蓄積するのでリゾスタフインの精製も
容易である。この方法を用いる際、プラスミドpBC1
6−1Lを保有する Bacillus aphaericus 00形質
転換株( B. sphaericus00/pBC16/lL)が目
的に特に適していることがわかつているが、他の Bacil
lus の形質転換株も有用なリゾスタフイン源となる。
リゾスタフイン生産微生物をリゾスタフイン生産に適し
た条件下で生育させる。至適条件は菌株により変わる
が、ある種の生育培地および発酵条件がリゾスタフイン
生産を高めることが知られている。 Bacillus sphaeric
us00/pBC16/1L形質転換株では、好ましい生
育培地はVY液体培地(25g子牛肉浸出液+5g酵母
エキス/リツトル)で十分に通気した条件がよい(第V
表参照)。
300mlのクレツトフラスコに容れた培地(40ml)に
4mlの一晩前培養物を植菌した。生育培地:5μg/ml
のエリスロマイシン含有VYブロス。
増殖過程で試料を採取した。上澄液についてリゾスタフ
インの活性を S. aureusの死菌けん濁液の清澄の濁度に
より測定した。結果は1ml当たりのリゾスタフインのμ
gで表わしてある。
B. sphaericus 00/pBC16/1L形質転換株は
VY培地で増殖させると培養液1リツトル当たりおよそ
130mgのリゾスタフインを生産し、分泌した。これは
現在可能な最適の発酵条件下で S. simulansが生産する
値の4倍以上の量である。リゾスタフインは培養液中で
長くインキユベーシヨンを続けてもほとんど分解せずに
培地中に蓄積され、菌体外の全たん白の80%以上を占
める。
リゾスタフインは培養液より公知の分画沈でん(塩析)
法により単離される。別法として、特に効果的な精製は
リゾスタフイン生産性 B. Sphaericus 00/pBC
16−1L形質転換株の培養物の発酵液を沈でん法とク
ロマトグラフイーによる分離とを組合せてできる。
菌体は発酵液より、例えば遠心分離または限界濾過によ
つて、除去し、固型硫酸アンモニウムも40−60%飽
和、好ましくは50%飽和で上澄液に添加する。4℃に
て1時間後にリゾスタフインを含有する沈でん遠心分離
により回収する。この段階での回収は80%以上であ
る。
沈でんは最小量のりん酸ナトリウム緩衝液(pH7.0
0、50mM NaCl)に再溶解し、100培容の同じ緩衝
液に対して透析する。特別の物質を除去した後、透析液
を陽イオン交換カラム(好ましくは Pharmacia FPL
CモノS)でクロマトグラフイーにかけ、塩濃度0.0
5から0.25M NaClの緩衝勾配を用いて溶出す
る。一回のクロマトグラフイーでのリゾスタフインの回
収は90%以上であつた。リゾスタフイン活性は二つの
主要ピーク(第1図)に存在した。後ろに溶出するリゾ
スタフインのピークはたん白の非共有凝集物より成る。
この凝集物は緩衝液での希釈およびドデシル硫酸ナトリ
ウムがポリアクリルアミドゲル電気泳動下で遊離する。
リゾスタフインをコードする遺伝子を含むプラスミドベ
クターpBC16−1Lの構築 Bacillus sphaericusのリゾスタフイン生産株は組換え
DNA技術を用いて、好ましくは同時係属出願852,
407号および034,464に記載される方法により
調整できる。具体的には、S. simulansの全DNAを適
当な制限エンドヌクレアーゼで部分消化し、得られるD
NA断片を適合する末端を有し、抗生物質耐性マーカー
および lac Z′遺伝子(即ち、β−ガラクトシダーゼ遺
伝子)を保有する線状化した既知ベクター(pUC8)
と結合する。ライゲーシヨン反応液を形質転換により
E. coli(JM105)に移す。リゾスタフイン遺伝子
がプラスミド中にうまく挿入したものは先ず適当な抗生
物質に生育する形質転換株を選択し、続いて lac Z′陰
性の表現型を見つけることにより検出できる。リゾスタ
フインの生産は S. aureusのけん濁の濁度清澄を液体ま
たは寒天平板での重層で検出する。
種々のリゾスタチン生産 E. coli JM105形質負転
換株を用いてそのプラスミドDNAの制限酵素解析およ
びサブクローニングをした結果、リゾスタフインをコー
ドするDNA配列は1.5kbp のHpaII−HindII
IDNA断片に特定された。断片は電気泳動後臭化エチ
ジウム染色により検出し、ニトロセルロースフイルター
に移した。フイルターをNET緩衝液(0.15M N
aCl、0.1mEDTA、0.02Mトリス、pH8.
0)で洗い、移したDNAを1M NaCl含有のNE
T緩衝液中で65℃、1時間インキユベーシヨンして溶
出した。n−ブタノールによる抽出で臭化エチジウムを
DNAから除去する。水溶液に2培容の冷95%エタノ
ールを添加してDNAを沈でんし、遠心分離によつて集
めた後80%エタノールで洗つてTE緩衝液(10mMト
リス、1mM EDTA、pH8.0)に溶解する。 B. su
btilisおよび B. sphaericusを形質転換してリゾスタフ
イン発現の出来る組換えプラスミドはプラスミドpBC
16の誘導体(pBC16−1)をクローニングベクタ
ーとして使用して構築した。pBC16は元来、 B. ce
reusから単離され(K. Bernhard,H. schrempおよびW.
Goevel,J. Bact、133巻、897頁、1978年)
たテラサイクリン耐性(Tetr)のBacillusのプラス
ミドである。制限酵素分析およびサザンハイブリダイゼ
ーシヨンでpBC16と区別のつかないプラスミドが
B. subtilisおよびB.sphae-ricusの土壌分離株からも三
つかつている(J. Polakおよび R.N. Novick,Plasmid
7巻、152頁、1982年)。
クローニングベクターとしては使用したpBC16の誘
導体(pBC16−1)は S. aureus由来のエリスロマ
イシン耐性(erm)プラスミドであるプラスミドp
E194(B. Weisblum, M.Y. Graham,T. Gryczan お
よび D. Dubnau,J. Bact 、137巻、635頁、19
79年)のTaqIA断片とプラスミドpBC16のT
aqI部分消化物とをT4リガーゼでライゲーシヨンし
て構築した。ライゲーシヨン液をプロトプラス形質転換
(S. Chang および S. N. Cohen,molec,Gen.Genet、1
68巻、111頁、1979年)によつて B.subtilis
に移し、テトラサイクリンとエリスロマイシンの両剤に
耐性のクローンを選択した。その一つをpBC16−1
と命名した。
制限酵素分析の結果、pBC16−1はpBC16のT
aqI断片の全てとpE194のエリスロマイシン耐性
を含有するTaqIA断片とを含有していることがわか
つた。次にpBC16−1を制限エンドヌクレアーゼP
vuIIで消化してテトラサイクリン耐性因子の大部分を
含むプラスミドDNAの25%を除去した。PvuII消
化したベクターpBC16−1は仔ウアルカリフオスフ
アターゼで処理した。リゾスタフインをコードする1.
5kbp のDNA断片をDNAポリメラーゼのクレナウ断
片で処理した。1.5kbp のDNA断片とプラスミドD
NAを混合してT4リガーゼを用いてライゲーシヨン
し、ライゲーシヨン液をプロトプラスト形質転換により
B. aubtilisに移した。形質転換株はエリスロマイシン
耐性、テトラサイクリン感受性で S. aureusの死菌を含
む寒天で培養した時透明ゾーンで示されるように、リゾ
スタフインを生産した。一つのそのようなリゾスタフイ
ン生産クローンを選択して B. subtilis/pBC16−
1Lと命名した。
B. subtilis/pBC16−1L形質転換株から抽出し
たプラスミドpBC16−1L DNAを臭化エチジウ
ム−塩化セシウム密度勾配超遠心分離の後単離した。プ
ラスミドpBC16−1L DNAをプロトプラスト形
質転換により、 B. sphaericus 00株を含む各種 Ba
cillus 種に移した。形質転換株はエリスロマイシン耐
性でリゾスタフインを生産した。 B. sphaericus 00
1pBC16−1L形質転換株が最大量のリゾスタフイ
ン生産を示し、天然の酵素的に活性のある生成物を蓄積
した。 B. sphaericus 00株は元は土壌より分離さ
れ、ニユーヨーク州、ニユーヨークの Public Health R
esearch Institute(公衆衛生研究所)の保存菌株で
(RN3106)維持されている。 B. sphaericus 0
0/pBC16−1Lもニユーヨーク州、ニユーヨーク
の Public Health Research Instituteの保存菌株中で
維持され、American Type Culture Collectionに受理番
号ATCC No.67398として寄託されている。
【図面の簡単な説明】
第1図はリゾスタフインをコードする組換えプラスミド
pBC16−1Lを保有する B. sphaericus 00株の
形質転換株が生産するリゾスタフインのクロマトグラム
を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブドウ球菌を殺滅させるに有効な量のリゾ
    スタフィンと許容担体よりなるブドウ球菌性乳房炎の予
    防または治療用組成物。
  2. 【請求項2】更にリゾスタフィンの殺菌活性を相乗的に
    高めうるペニシリン、合成ペニシリン類、バシトラシ
    ン、メチシリン、セファロスポリン、ポリミキシン、キ
    レート剤及び弱界面活性剤よりなる群より選ばれる少な
    くとも一つ薬剤を含む請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】更に追加の細菌溶菌剤としてムタノリシン
    又はリゾチームが含有されてなる請求項2に記載の組成
    物。
  4. 【請求項4】リゾスタフィンと許容担体よりなる組成物
    をブドウ球菌性乳房炎を排除するに充分な量家畜に投与
    することよりなる家畜におけるブドウ球菌性乳房炎を予
    防又は治療する方法。
  5. 【請求項5】組成物が更にリゾスタフィンの殺菌活性を
    相乗的に高めうるペニシリン、合成ペニシリン類、バシ
    トラシン、メチシリン、セファロスポリン、ポリミキシ
    ン、キレート剤及び弱界面活性剤よりなる群より選ばれ
    る少なくとも一つの薬剤を含むものである請求項4に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】治療用組成物を感染腺に乳腺内注入により
    投与することよりなる請求項4又は5に記載の方法。
  7. 【請求項7】上記組成物が更に追加の細菌溶菌剤として
    ムタノリシン又はリゾチームを含有してなる組成物であ
    る請求項6に記載の方法。
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