JP2002518994A - 実質的にrnaを含まない細胞成分の精製 - Google Patents

実質的にrnaを含まない細胞成分の精製

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JP2002518994A
JP2002518994A JP2000543566A JP2000543566A JP2002518994A JP 2002518994 A JP2002518994 A JP 2002518994A JP 2000543566 A JP2000543566 A JP 2000543566A JP 2000543566 A JP2000543566 A JP 2000543566A JP 2002518994 A JP2002518994 A JP 2002518994A
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ハナック,ジュリアン・アレクシス・ジョン
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、宿主細胞と細胞成分を産生している細胞とを培地中で培養し、該細胞を溶解して細胞溶解液を産生することを含む、実質的にRNAを含まない細胞成分の調製方法に関し、ここで、該細胞溶解液は、該細胞成分並びに該細胞溶解液に存在する実質的に全てのRNA分子を分解するのに十分なRNase活性を含む。本発明はまた、実質的にRNAを含まない細胞成分にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、RNAを含まない細胞成分の産生、並びに、細胞成分の調製物から
RNAを除去する方法に関する。
【0002】 (発明の背景) リボヌクレアーゼ酵素ファミリー(以後RNaseと呼ぶ)は広範に研究され
てきた。数多くのRNaseが特徴づけられ、これらのタンパク質のいくつかを
コードしている遺伝子がクローニングされた。
【0003】 RNaseは、一本鎖および二本鎖RNA並びにRNA:DNAハイブリッド
のRNAにおける1つ以上のホスホジエステル結合を加水分解する。RNase
は、特定のRNA基質の形(例えば、一本鎖、二本鎖またはDNA:RNAハイ
ブリッド中)へのその特異性またはその特異的なRNA切断の点において異なる
【0004】 RNase酵素の1つの生物活性は、前駆体の形態からのRNAの成熟体分子
のプロセシングである(Genes、Benjamin Lewin編、Joh
n Wiley & Sons、第2版、p.395、1985)。あるRNa
seは、内因性抗腫瘍活性により哺乳動物細胞の増殖および分化に影響を与え得
る(Riboら、Prot.Express.and Purif.7:253
−261、1996内の参考文献)。
【0005】 RNAは細胞溶解液の調製物の主要な汚染物である。例えば、プラスミドDN
A調製物は、サイズ(SECマトリックスによる排除に関して)および荷電がD
NAに類似しているために、アニオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィー
により除去し難いRNAを含む。RNaseAは、ピリミジンリボヌクレオチド
の3’−リン酸基と隣のヌクレオチドの5’−ヒドロキシル間を切断することに
より、CおよびU残基の後でRNAを加水分解する。この酵素を使用して、RN
Aを、プラスミドまたはゲノムDNAともはや同時精製しない低分子量種に分解
する。RNaseIを使用しても、プラスミドまたはゲノムDNAの調製物から
RNAを除去できる。RNaseAも、一般的に、大腸菌からの組換えタンパク
質の産生中の、宿主由来RNAの酵素的消化に使用される。
【0006】 サンプルからRNAを除去する先行技術の方法は、大量の外因産生RNase
を加えることである。例えば、プラスミドDNAからRNAを除去するために、
ウシRNaseAを最終濃度が100μg/mlとなるまで加える(Qiage
nプラスミドハンドブック、1995年2月、Qiagen Ltd. Uni
t 1 Tillingbourne Court、Dorking Busi
nessPark, Dorking, Surrey RH4 1HJ,UK
)。ウシRNaseAは、一般的に、約10〜100μg/mlの最終濃度で、
大腸菌からの組換えタンパク質の産生の間、宿主由来RNAの酵素的消化に使用
されている。先行技術の方法の主な不都合は、これらの方法に従って処理した細
胞成分が、動物起源の残余RNaseをしばしば含むことである。
【0007】 外因産生RNaseの使用には限界がある。第一に、大量のRNaseを起源
の組織から精製することは困難である。これは、おそらく、高濃度の活性RNa
seは、宿主細胞のRNAを分解し、正常細胞の機能を、細胞に毒性となり得る
レベルまで障害するためであろう。それ故、高濃度の活性RNaseは細胞に毒
性であるので、細胞中での発現により大量の活性RNaseを産生することは困
難である。また、RNaseは合成される宿主のプロテアーゼに感受性であり得
るため、並びに、過剰産生され例えば大腸菌封入体中に蓄積されるRNaseは
必ずしも常に正しく折り畳まれ得ないため、細胞中での発現により大量の活性R
Naseを産生することは困難である。外因産生RNase使用の最も有意な制
限は、外因的に加えたRNaseが動物起源である場合、RNase処理後に残
余酵素の存在がDNA調製物を汚染し得、よって、遺伝子療法を含むある適用に
は許容不可能となる。第三に、大量のRNaseの産生は費用が高い。
【0008】 当分野で、実質的に汚染RNAを含まないプラスミドDNAおよびタンパク質
調製物が必要である。
【0009】 当分野で、ヒト被検者の投与に適切な、RNAを含まない細胞成分を産生する
方法が必要である。
【0010】 当分野で、細胞溶解液または精製成分を、外因の産生されたRNaseを加え
てインキュベートすることに依拠しない、細胞成分からRNAを除去する方法が
必要である。
【0011】 (発明の概要) 本発明は、細胞成分を産生している細胞を培地中で培養し、該細胞を溶解して
細胞溶解液を産生することを含む、実質的にRNAを含まない細胞成分の調製方
法を特徴とし、ここで、該細胞溶解液は、該細胞成分と、該細胞溶解液に存在す
る実質的に全てのRNA分子を分解するに十分なRNase活性とを含む。
【0012】 好ましい実施形態において、RNaseは、細胞成分を産生している細胞によ
り産生される。
【0013】 別法として、RNaseは、細胞成分を産生している細胞以外の細胞により培
地中で産生される。
【0014】 本発明はまた、細胞成分を産生している細胞、並びに、調製物に存在する実質
的に全てのRNAを分解するに十分な量のRNaseを産生している細胞を培養
および溶解することを含む、実質的にRNAを含まない細胞成分の調製法を特徴
とする。
【0015】 好ましくは、細胞成分を産生している細胞はRNaseも産生し、培養液およ
び溶解液は、細胞成分を産生している細胞並びに調製物に存在する実質的に全て
のRNAを分解するに十分な量のRNaseを含む。好ましくは、細胞成分およ
びRNaseは同細胞により産生される。
【0016】 両方の上記の本発明の方法の好ましい実施形態において、細胞成分は、DNA
、タンパク質、および炭水化物の1つである。好ましくは、細胞成分は、組換え
DNA、組換えタンパク質および組換え炭水化物の1つである。好ましくは、R
Naseは、プラスミド上にコードされ、細胞成分は、同プラスミド、別のプラ
スミドまたは細胞の染色体上にコードされている。
【0017】 両方の上記の本発明の方法の好ましい実施形態において、該RNaseをコー
ドしている遺伝子は、RNaseを産生している細胞のゲノムに組込まれている
【0018】 本発明のいくつかの方法において、RNaseは非特異的であることが好まし
い。かかる非特異的RNaseは、RNaseA、RNaseM、またはRNa
seIであり得る。
【0019】 両方の上記の本発明の方法の好ましい実施形態において、RNaseを産生し
ている細胞は、調節された様式でRNaseを産生する。
【0020】 好ましくは、宿主細胞により産生されたRNaseは、誘導的産生または構成
的産生のいずれかにより過剰産生される。宿主細胞により過剰産生されたRNa
seはまた、宿主細胞細胞質から分泌され得、例えば、宿主細胞ペリプラズムに
分泌され得るか、または宿主細胞から培地に分泌され得る。
【0021】 いくつかの方法で、RNaseは非特異的RNaseであることが好ましい。
【0022】 本発明はまた、組換えDNA、組換えタンパク質、または組換え炭水化物を産
生し、並びに、調節された様式でRNaseも産生する宿主細胞を含む組成物を
特徴とする。
【0023】 上記の調節された様式で産生されたRNaseは、過剰産生されるか、または
誘導的に過剰産生されるか、または構成的に過剰産生される。宿主細胞により産
生されたRNaseはまた、宿主細胞細胞質から分泌され得、例えば、宿主細胞
ペリプラズムに分泌され得るか、または宿主細胞から培地に分泌され得る。
【0024】 いくつかの方法で、RNaseは非特異的RNaseであることが好ましい。
【0025】 本発明はまた、組換えDNA、組換えタンパク質、または組換え炭水化物を産
生し、調節された様式でRNaseをも産生する宿主細胞を含む組成物を特徴と
する。
【0026】 上記の調節された様式で産生されたRNaseは、過剰産生されるか、または
誘導的に過剰産生されるか、または構成的に過剰産生される。宿主細胞により産
生されたRNaseはまた、宿主細胞細胞質から分泌することができ、例えば、
宿主細胞ペリプラズムに分泌され得るか、または宿主細胞から培地に分泌され得
る。
【0027】 本発明はまた、医薬的に許容される担体中に、実質的にRNAを含まない細胞
成分を含む医薬組成物を特徴とする。本発明はまた、医薬的に許容される担体中
に、本発明の方法により得られ得る実質的にRNAを含まない細胞成分を含む医
薬組成物を提供する。
【0028】 好ましくは、実質的にRNAを含まない細胞成分は、本明細書に記載の方法に
従って製造される。
【0029】 本明細書で使用した「実質的にRNAを含まない」および「実質的に全てのR
NA分子」は、ヒトへの投与に有用な細胞成分の調製に許容された、極めて少量
のRNAを意味する。許容可能な極めて低いレベルのRNAは以下の通りである
【0030】 「実質的にRNAを含まないDNA」は、1%以下、好ましくは0.2%以下
、最も好ましくは0.1%〜0.01%以下(サンプル中のRNA/DNAのw
/w)の細胞成分を含む、サンプル中の存在を意味する。
【0031】 「実質的にRNAを含まないタンパク質」は、1%以下、好ましくは0.2%
以下、最も好ましくは0.1%〜0.01%以下(w/w)のRNA/タンパク
質を含む、タンパク質調製物を意味する。タンパク質が治療用タンパク質である
場合、「実質的にRNAを含まないタンパク質」は、10ng以下のRNA/投
与量、好ましくは500pg以下のRNA/投与量、より好ましくは100pg
以下のRNA/投与量、最も好ましくは5〜10pg以下のRNA/投与量を含
む、治療用タンパク質調製物を意味する。
【0032】 「実質的にRNAを含まない炭水化物」は、1%以下、好ましくは0.2%以
下、最も好ましくは0.1%〜0.01%以下(w/w)のRNA/炭水化物を
含む、炭水化物調製物を意味する。
【0033】 「細胞溶解液」は、細胞溶解時に産生される組成物を意味し、ここで、該組成
物は外因産生RNaseを含まない。プロテアーゼまたはプロテアーゼ阻害剤な
どの他の外因産生成分を細胞溶解液に加えてもよい。
【0034】 好ましくは、細胞溶解液は、外因RNaseを細胞溶解液に加える先行技術の
方法よりも有意に少ないRNaseタンパク質を含む。この脈絡での「有意に少
ない」は、10μg〜50μg以下のRNase/溶解液のml、好ましくは1
0μg以下のRNase/溶解液のml、より好ましくは1μg以下のRNas
e/mlを意味する。
【0035】 本明細書で使用した「細胞成分」は、プラスミドDNA、コスミドDNA、y
acDNA、エピソームDNA、またはゲノムDNAを含むがこれらに限定され
ないDNAのいずれか1つや、組換えタンパク質、および組換え炭水化物を意味
する。
【0036】 本明細書で使用した「組換え」は、細胞に天然に存在しないか、または細胞に
より通常産生されない量で産生される、DNA、タンパク質または炭水化物を意
味する。
【0037】 本明細書で使用した「細胞」は、任意の真核細胞または原核細胞を意味する。
好ましい真核細胞は、HeLa細胞、CHO細胞、NSOなどの骨髄腫細胞系、
Sf21およびSf9細胞などの昆虫細胞、植物細胞並びに酵母を含む下等真核
細胞を含む。最も好ましくは、「細胞」なる語は、大腸菌(E.coli)、ネ
ズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、バシラス属
(Bacillus spp)、ストレプトミセス属(Streptomyce
s spp.)、およびシュードモナス・アエルギノーザ(Pheudomon
as aeruginosa)を含むがこれに限定されない、グラム陰性または
グラム陽性細菌を意味する。
【0038】 「調節された様式」は、例えば、構成的または誘導的に転写調節されている宿
主細胞における、例えば、RNase遺伝子の遺伝子発現を意味する。それはま
た、タンパク質産生レベルでの調節、例えば、タンパク質を宿主細胞ペリプラズ
ムに、または宿主細胞から宿主細胞を囲む培地へと指示する、シグナル配列また
は融合タンパク質の使用を意味する。
【0039】 「誘導的」または「誘導」は、転写活性化または抑制を意味し、「構成的」は
、しばしば一定レベルでの連続的な転写を意味し、「シグナル配列」は、タンパ
ク質をペリプラズムへのまたは細胞からの分泌を指示するアミノ酸配列を意味し
、「分泌」は、分泌タンパク質の宿主細胞細胞質からの、ペリプラズムまたは宿
主細胞培養培地への移動を意味し、「ペリプラズム」は、例えば大腸菌の内ない
し外細胞膜の間の宿主細胞区画を意味する。
【0040】 「過剰発現」または「過剰産生」は、宿主細胞で通常発現されるレベルよりも
高いレベルの遺伝子発現を意味し、「過剰産生」は、細胞により通常産生される
よりも高い量の産生を意味する。従って、ある遺伝子の過剰発現または遺伝子産
物若しくは組換えDNAの過剰産生は、過剰発現遺伝子の非存在下で細胞が通常
産生するよりも、10%以上、50%以上、100%以上またはさらには200
〜500%以上の遺伝子産物の産生を包含する。本発明は、実質的に汚染RNA
を含まない、DNA、タンパク質または炭水化物調製物を提供する。本発明は、
ヒトへの投与に関与する調製物の提供に特に有用であるが、また、260nm(
この波長ではRNAも吸収する)での吸光度によるDNA濃度の正確な決定、D
NA/RNAおよびDNA/タンパク質相互作用の両方の調査を含む、他の使用
にも有用である。実質的にRNAを含まないタンパク質が、治療適用、280n
mでの吸光度によるタンパク質濃度の推定、タンパク質結晶構造の解析、タンパ
ク質/DNAおよびタンパク質/RNA相互作用の研究、およびあるタンパク質
精製プロトコル(ここで、核酸結合は、タンパク質のイオン交換体への親和性を
減少させるか、またはイオン交換体のタンパク質の容量を減少させる)に必要と
される。
【0041】 本発明は、実質的に汚染RNAを含まない、DNA、タンパク質、炭水化物な
どの細胞成分の調製を必要とする任意の使用に、例えば、ヒトでの治療使用に適
切な、DNAまたはタンパク質または炭水化物などの細胞成分の調製に適用可能
である。
【0042】 本発明のさらなる特徴および利点は、以下の実施形態の説明並びにその図面、
並びに特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【0043】 (記載) 本発明は、細胞(群)の溶解時に、溶解液中の実質的に全てのRNA分子を分
解するに十分なRNase活性が存在するように共培養される、同宿主細胞また
は異なる宿主細胞中で、選択された細胞成分およびRNaseを産生することを
含む、実質的にRNAを含まない細胞成分を産生する方法を提供する。
【0044】 細胞成分は、本発明に従って実質的にRNAを含まずに産生される、DNA、
タンパク質または炭水化物であり得る。これは、例えば、RNaseタンパク質
を発現するように操作された宿主細胞に導入される細胞成分をコードしている遺
伝子を使用して、または、個々に細胞成分およびRNaseを産生する2つの異
なる宿主細胞を培養および溶解することにより、達成され得る。
【0045】本発明で有用なRNase遺伝子およびRNase 様々なRNaseタンパク質をコードしている遺伝子がクローニングされた。
理想的には、本発明のRNaseは非特異的であり(例えば、高濃度で使用する
ウシRNaseAおよび大腸菌RNaseM)、それ故、全種類のRNA分子を
分解する。非特異的RNaseは、一本鎖または二本鎖RNAまたはRNA/D
NA分子のホスホジエステル結合を、RNA分子長のどの箇所でも加水分解する
【0046】 ウシRNaseAのタンパク質産物および遺伝子(Terragona−Fi
olら、Gene、118:239−245、1992、Scheinら、Bi
ochem.J.、283:137−144、1992、Laityら、PNA
S 90:615−619、1993、delCardayre、Prot.E
ngineer.8:261−273、1995、Okorokovら、Pro
t.Express.Purif.6:472−480)、並びに、ネズミおよ
びラットRNaseAホモログ(Scheinら、上記)がクローニングされ、
特徴付けられた。
【0047】 RNaseHは、相補的DNA鎖にハイブリッドするRNA分子を加水分解し
、分子生物学において、二本鎖cDNAの産生の第一鎖合成後にRNA鎖を分解
するのに使用される。RNaseHはまた、オリゴ−dT12-18にハイブリッド
したmRNAからポリA尾を除去するのにも使用される(米国特許第5,459
,055号に記載)。
【0048】 RNaseIは、任意のリボヌクレオシドの一本鎖RNA3’のホスホジエス
テル結合を切断し、RNase保護アッセイ、RNAのマッピングおよび定量並
びにミスマッチ検出に使用される。大腸菌RNaseIおよびRNaseM(M
eadorおよびKennell、1990、Riboら、Prot.Expr
ess.Purif.7:253−261、1996)がクローニングされ、単
離され、特徴付けられた。
【0049】 RNaseT1は、優先的に、G残基の3’を切断し、RNA配列解析および
RNAフィンガープリントに使用される。コウジカビ(Aspergillus
oryzae)RNaseT1およびT2(Fujimuraら、FEBS、
265:71−74、1990、Quassら、Eur.J.Biochem.
173:617−622、1988)がクローニングされ、単離され、特徴付け
られた。
【0050】 RNase4(Senoら、Biochim.Et Biophys.Act
a、1261:424−426、1995)がクローニングされ、単離され、特
徴付けられた。
【0051】 ヒト膵臓RNase(Russoら、FEBS 333:233−237、1
993)がクローニングされ、単離され、特徴付けられた。
【0052】 バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliq
uefaciens)BaRNase(Hartley、J.Mol.Biol
.202:913−915、1988)が合成およびプロセシングに関して特徴
付けられた。
【0053】宿主細胞における選択されたRNase遺伝子の発現 本発明に従って、RNase遺伝子を、RNaseタンパク質が細胞膜ペリプ
ラズム空間または細胞上清のいずれかに局在するように、例えば、シグナル配列
を使用してRNaseの位置を指示することにより、または、分泌された融合タ
ンパク質を創製することにより、修飾できる。
【0054】 別法として、RNaseの発現は、誘導プロモーターの制御下にRNase遺
伝子を配置することにより選択的に制御され得る。
【0055】 別法として、RNase遺伝子は、宿主細胞に導入され、宿主細胞の染色体に
組込まれ得る。
【0056】 RNaseの過剰産生に使用するベクターを修飾して、RNaseが産生され
る宿主細胞に対する不適切に折り畳まれたRNaseの毒性作用、宿主細胞に存
在するプロテアーゼに対する折り畳まれていないRNaseの感度、および封入
体中に産生されたいくつかのRNaseの不適切な再折り畳みに起因する問題を
最小限とした。
【0057】大腸菌宿主株の染色体へのRNase遺伝子の組込み 以下の方法を使用して、宿主細胞染色体に組み込まれたRNase遺伝子を含
む宿主細胞が提供され得る。
【0058】1.pN1へのRNaseAのクローニング RNaseA遺伝子が、プライマー、 5’−CTCGAATTCAATGTTCTTGGAGGATGATTG−3’
5’−TACGAATTCGGCCTTAGGTAGAGACCTAC−3’ を使用して、PCRにより(分子生物学の現在のプロトコル、Ausubel,
F.M.ら編、John Wiley & Sons Inc.)発現ベクター
pQR163(Terragona−Fiolら、上記)から単離した。
【0059】 単離されたRNase遺伝子を、pUC18のEcoRI部位に挿入し、la
cZ遺伝子ないしRNaseA遺伝子の5’に位置するヘキサペプチドの間にイ
ンフレーム融合を創製した。RNaseA遺伝子およびヘキサペプチドの発現は
、lacZプロモーターにより制御された。次いで、LacZ−RNaseA構
築物を、HaeII消化により切断し、平滑末端とし、StyIで前に消化した
pN1(図1)に挿入し、平滑末端とした。 得られた構築物はpN1RNaseAと呼ぶ。
【0060】2.大腸菌へのpN1RNaseの導入 得られた構築物(pN1RNaseAと呼ぶ)は、染色体DNA相同性を含む
大腸菌dif座位により両側上でフランキングされたRNase発現カセットか
らなる。dif座位は、XerCおよびXerDリコンビナーゼの認識部位を含
む、28塩基対領域である(HayesおよびSherratt、J.Mol.
Biol.266:525−537、1997、Kuempelら、The N
ew Biologist 3:799−811、1991)。
【0061】 得られたpN1RNaseA構築物を使用して、RNaseA遺伝子カセット
を、大腸菌株JC7623に、次いで、DH1に以下の方法により運搬した。
【0062】 pN1RNaseAは、SalI(または別の適切な制限酵素)を用いて鎖状
化するか、またはSalIを用いて部分的消化反応をかけた。得られた断片(切
断されたが、無傷のRNase発現カセットを含む)を使用して、カルシウムコ
ンピテントJC7623細胞(recB21、sbcC201、recC22、
sbcB15;HoriiおよびClark、J.Mol.Biol.80:3
27−344、1973、LloydおよびBuckman、J.Bacter
iol.164:836−844、1985)を、Winansら、J.Bac
teriol.161:1291−1221、1985およびJasinおよび
Schimmel、J.Bacteriol.159:783−786、198
4に記載の線形形質転換により形質転換した。
【0063】 その後、P1ファージ形質導入を使用してこの染色体構築物を、大腸菌DH1
のdif座位(Hanahan、Mol.Biol.166:557−580、
1983、およびBachmann、Escherishia coli an
d Salmonella typhimurium, Cellular a
nd Molecular Biology,Neidhardt,F.C.ら
編、ASM、p.1190−1219、1987に記載の、F−、supE44
、recA1、endA1、gyrA96、thi−、hsdr17、relA
1)、または図2に詳述した別の適切なDNAベクター宿主株に移動した。RN
ase遺伝子の宿主細胞染色体への組込みを容易にするために、標的宿主株を、
不安定なrecA含有プラスミドpPE13(Hicksonら、Escher
ichia coli、Mol.Gen.Genet、184:68−72、1
981)で形質転換することにより、最初に一時的にRecA+とした。宿主株
のpPE13を用いた形質転換は、Short Protocols in M
olecular Biology、Ausubelら、Wiley編、第3版
、1993に記載のコンピテント細胞を調製するリン酸カルシウム法を使用して
実施した。
【0064】3.pN1RNaseIのPCR増幅 RNaseI遺伝子は、プライマー、 5’GGTCCTGGGGTGATTATTTACGGCTGTGGC−3’、
および 5’−GTTTAACTCACATGATGATACTGACTGTTG−3’
を使用したPCRにより、大腸菌株DH1から増幅し、TAクローニングベクタ
ーpCR3.1(インビトロゲン)にクローニングして、pCR3.1RNas
eIを作成した。
【0065】 次いで、RNaseI遺伝子を、プライマー、 5’−TCCAGAATTCCATGAAAGCATTCTGGGG−3’ および 5’−GTTGAATTCACATGATGATACTGACTGTTG−3’
を使用してPCRによりpCR3.1RNaseIから(Ausubelら、現
在のプロトコル、上記に従って)増幅し、pUC18のEcoRI部位にクロー
ニングして、RNaseI遺伝子を、lacZ遺伝子の残りの配列にインフレー
ム融合した。
【0066】 得られたプラスミドは、lacZプロモーターの制御下のRNaseI遺伝子
を含み、ここで、RNaseI遺伝子の発現は、0.5mM IPTGの存在下
で増加した。次いで、LacZ−RNaseI構築物を、HaeII消化により
切断し、平滑末端とし、StyIで消化したpN1に挿入し、平滑末端とした。
得られたpN1RNaseI構築物を上記のように使用して、RNaseI遺伝
子カセットを大腸菌株JC7623、次いでDH1に上記のように運んだ。
【0067】他の細胞型の染色体へのRNase遺伝子の組込み 1.他の細胞型における細胞成分の産生 1.1.ネズミチフス菌 RNase遺伝子は、Bachmannら、1977、大腸菌およびネズミチ
フス菌、細胞および分子生物学、Neidhardtら編、ASM、またはNa
kayamaら、Bio/Technology、6:693−697、198
8に記載のように、ネズミチフス菌の染色体に挿入し得る。
【0068】 2.他の細胞型における組換えタンパク質の産生 2.1.バシラス属 RNase遺伝子は、Solmaら、J.Bact、173:6889−68
95に記載のように、バシラス属の染色体に挿入し得る。
【0069】 2.2.ストレプトミセス属 RNase遺伝子は、K.G.Hardyにより編集されたプラスミド実践的
なアプローチ(第2版)の第6章に記載のように、またはMotamediら、
Gene、160:25−31、1995に記載のようにストレプトミセス属の
染色体に挿入し得る。
【0070】 ストレプトミセスの遺伝子の異種発現の組込み発現ベクターが開発された。該
ベクターは、強力な構成プロモーター、PE、合成リボソーム結合部位、ATG
開始コドン、マルチクローニングサイト、転写終結因子およびヒグロマイシン耐
性をコードする遺伝子(HyR)からなる。該ベクターはまた、大腸菌中での増
殖のためのColE1レプリコン、並びに小円付着部位でのストレプトミセスゲ
ノムへのベクターの挿入を指示する広い宿主範囲のストレプトミセス組込みエレ
メントである小円を含む。HyR形質転換体は、薬物選択がなければ安定である
。接合性誘導体は、IncPプラスミドRK2の伝達の起源である、oriTを
これらのベクターに組込むことにより作成でき、適切な大腸菌ドナーからのスト
レプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans)(
SI)への接合性伝達が実施できる。遺伝子破損並びに補完に有用な可能性のあ
るこれらのベクターの誘導体も記載した。Slにおける作成された小円を基にし
たベクターの複製形は、目立った不安定性問題など全くなく、組込まれたベクタ
ーのコピーと共に存在できることが実証された。これらのベクターの有用性は、
Slの免疫抑制薬FK506の31位のメチル化に関与している、31−O−メ
チルトランスフェラーゼをコードしている遺伝子の発現により実証された。
【0071】 2.3.シュードモナス属 RNase遺伝子は、酵素学の方法におけるシュードモナス・アエルギノーザ
の遺伝子置換、235:466−474、1994、Molecular Mi
crobiology、6:1195−1204、1992に記載のように、ま
たはSchweizerおよびHoang、Gene、158:15−22、1
995に記載のように、シュードモナス属の染色体に挿入し得る。
【0072】 新規なpUC19を基にした遺伝子置換ベクターが開発された。このベクター
は、(i)対抗選択sacBマーカー、(ii)青−白スクリーニング用のla
cZα対立遺伝子、(iii)接合媒介プラスミド伝達用のoriTおよび(i
v)SmaIの独特なクローニング部位、および稀な切断のメガヌクレアーゼの
I−SceIを取り込む。これらの稀な制限部位はまた、ヘルパープラスミドp
UC19Sce上にも存在する。置換ベクターは、クローニングされたDNA断
片内の制限部位により近づけるように、僅かな制限部位を含むように操作され、
従って、その遺伝子操作は容易になる。系の有用性は、新規に作成されたxyl
E::GmR融合カセットの、シュードモナス・アエルギノーザのglpD遺伝
子への染色体組込みにより実証された(SchweizerおよびHoang、
上記)。
【0073】RNaseおよび組換えDNAまたはタンパク質を発現している細胞の調製 RNase遺伝子並びに目的のDNAまたはタンパク質を発現する細胞を、以
下の通り調製する。
【0074】 大腸菌宿主株DH1、DH5α、DH10B、JM109、DL795、XL
1−Blue、およびTG1を、組換えプラスミドDNAの産生に使用でき、大
腸菌株BL21(DE3)、JM109(DE3)およびHB101は、組換え
タンパク質の産生に使用できる。
【0075】1.RecA含有プラスミドによる大腸菌の治癒 pN1RNaseの大腸菌への導入と題した章に記載したように、DNAベク
ター宿主株の染色体へ異種RNase発現カセットを組込んだ後、宿主細胞を、
以下の方法の1つにより、recA含有プラスミドpPE13で治癒する:プラ
スミドによりコードされる選択マーカー薬物の非存在下での連続継代培養(例え
ば、アンピシリンの非存在下での選択)、臭化エチジウムなどのDNA挿入剤で
の滴定、または10%SDS中での増殖(Tolmaskyら、ウイルス性プラ
スミド、プラスミド:実践的なアプローチ、K.G.Hardy編、IRLプレ
スオックスフォード、英国、1993)。プラスミドを含まない分離個体を、レ
プリカプレーティング(プラスおよびマイナス選択)により選択し、「治癒」は
、迅速な組換えプラスミドDNAのスクリーニング手順により確認する(Bir
nboimおよびDoly、Nucleic Acids Res.7:151
3−1523、1979)。
【0076】2.組換えプラスミドを用いた大腸菌の形質転換 一旦治癒されると、宿主細胞は、DNA形質転換にコンピテントになり、組換
えプラスミドで形質転換し(Sheen、p.1.8.5.、Ausubel、
現在のプロトコル、上記)、適切な条件下で選択する。
【0077】3.組変えDNAまたはタンパク質の精製 組換えプラスミドDNA 組換えプラスミドDNAの産生のために、形質転換したクローンを、プラスミ
ドDNAの増殖に直接使用する。プラスミドDNAは、当分野で公知の手順に従
って調製する。例えば、BirnboimおよびDoly、上記、Tolmas
kyら、上記およびAusubel、現在のプロトコル、上記参照。
【0078】 プラスミドDNAは、外因RNaseを加える段階を省略する以外は、WO9
7/29190に記載の通りに調製できる。別法として、プラスミドDNAは、
Hornら(Human Gene Therapy、6:565−573、1
995)の方法に従って調製できる。
【0079】細菌培養物の産生 選択用に適切な濃度の抗生物質を含む(例えば、kan選択プラスミドには5
0μg/mlのカナマイシン)完全TB培地における発酵は、10リットルのブ
ラウン・バイオスタットED発酵槽で実施する。発酵条件は、以下の通りに維持
する:温度は30℃に、撹拌は600rpmに、空気流は10リットル/分、お
よびpHは7.0に制御する。細菌は、後期log期(接種の10−11時間後
)で、約30の最終OD600で、ジョウアン遠心機中、3,000×gで30分
間で収集し、−20℃で貯蔵する。0.75mlのアリコートを、収集時に取り
出し、ミニ調製分析用に処理する(プロメガウィザード、マジソン、ウィスコン
シン)。この方法に従って、平均的発酵により、4mgのプラスミドDNA/l
が得られる(Hornら、上記)。
【0080】溶解およびプラスミド回収 新鮮または凍結細菌を、標準的なアルカリ法の修飾形を使用して溶解する。収
率は、新鮮および凍結細胞ペーストで等しい。約180gの細菌を、前以て4−
10℃に凍らせた、1.4リットルの61mMグルコース、10mMトリス、5
0nM EDTA pH8.0緩衝液に再度懸濁する。溶解は、前以て4〜10
℃に凍らせた、2.8リットルの0.2NのNaOH、1%SDS緩衝液を添加
し、続いて氷上で10分間インキュベートした後に起こる。細胞破片は、予め4
〜10℃に凍らせた2.1リットルの3M酢酸カリウム(pH5.0)を添加し
、続いて氷上で10分間インキュベートした後に沈殿する。溶解液中の細胞破片
は、ミラクロス(Calbiochem、サンディエゴ、カリフォルニア)を通
した濾過により除去する。一旦細胞破片が除去されると、溶解液を、各通過につ
いて最少で16層のミラクロスを通して2回注ぐ。プラスミドDNAは、0.6
容量の−20℃の2−プロパノールを添加し、続いて、1〜2時間室温でインキ
ュベートすることにより、透明な溶解液から沈殿する。濃縮プラスミド沈殿物の
上の約4.6リットルの透明な液体層をデカントする。容器の底の濃縮プラスミ
ドDNA沈殿物を、250mlの遠心ボトルに移し、10,000×gで30分
間GSAローターおよびソーバルRC5B遠心機で遠心する。遠心分離の上清を
廃棄し、ペレットを流し、約200mlの10mMトリス、1mMのEDTA(
pH8.0)(TE緩衝液)中に再度懸濁する。固体酢酸アンモニウムを、撹拌
しながら、プラスミドDNA溶液に溶解し、最終濃度を2.5Mとする。次いで
、プラスミドDNAを含む酢酸アンモニウム溶液を、氷上で15分間インキュベ
ートする。得られた沈殿物を、上記のように10,000×gで20分間遠心す
ることにより除去した。上清を0.8μmのニトロセルロース使い捨て膜フィル
ターボトルユニット(Nalge社、ロチェスター、ニューヨーク)を通して濾
過し、十分な1.6M NaCl中30%PEG−8000を加えて、10%P
EG−8000の最終濃度を達成する(LisおよびSchleif、1975
;Lis、1980)。プラスミドDNAを、4℃で8〜24時間この溶液から
沈殿させる。プラスミドDNAを、上記のように10,000×gで30分間遠
心することにより集める。プラスミドを含むペレットを、10mlのカラム緩衝
液(10mMトリス、1mM EDTA、150mM NaCl、pH8.0)
に再度懸濁する。次いで、プラスミドを濾過し、下記のようにカラムに直接適用
する。
【0081】ファルマシアセファクリルS−1000スーパーファインゲル濾過クロマトグラ
フィー 2つのファルマシアXK26/199カラムを、この製造業者の指示に従って
、ファルマシアFPLC系を使用して、加圧充填し、最終床高さを各約85cm
とし、約900mlの総カラム容積が得られる。流す緩衝液は、10mMのトリ
ス、1mMのEDTA、150mMのNaCl(pH8.0)である。流速は、
0.75ml/分である。上記のPEG−8000沈殿物由来の部分精製プラス
ミドDNAを、0.1〜0.22μm滅菌セルロースアセテートアクロディスク
シリンジフィルター(ゲルマン、アナーバー、ミシガン)を通過させ、カラムに
のせる。カラム操作および画分捕集は、ファルマシアFPLCと共に自動化する
。5ml画分を、15mlの使い捨てコニカルチューブに集める。クロマトグラ
フィー後、カラムおよびFPLCは、0.2MのNaOHの2カラム容量で衛生
化する。画分は、0.8%アガロースゲル電気泳動で分析し、主にスーパーコイ
ルプラスミドDNAを含む画分を、滅菌使い捨て遠心ボトルにプールし、プール
を2容量の冷エタノールで沈殿させる。
【0082】滅菌大量プラスミドDNAの産生 エタノール沈殿カラム精製プラスミドDNAは、10,000×gで30分間
遠心分離することにより集める。プラスミドペレットを出し、層流フード中無菌
条件下で、空気乾燥する。乾燥したペレットは、乳酸加リンガー溶液(バクスタ
ー、ディアフィールド、イリノイ)に再度懸濁し、目的の投与量に適切な濃度に
希釈する。得られた溶液を、発熱物質非含有0.2μmアクロディスクフィルタ
ー(ゲルマン、アナーバー、ミシガン)を通した滅菌濾過にかける。滅菌大量プ
ラスミドDNAを分取し、−70℃で凍結貯蔵する(Hornら、上記)。
【0083】組換えタンパク質 組換えタンパク質の産生のために、形質転換したプラスミドは、組換え(通常
異種)タンパク質の産生(過剰発現)用の発現カセットを含む。より好ましくな
いタンパク質産生法は、RNaseおよび組換えタンパク質を同時発現している
単一のプラスミドで非修飾宿主株を形質転換することを含む。
【0084】 RNAは、以下のようにタンパク質調製物から除去され得る。核酸に強力に結
合し、沈殿物を形成するポリカチオンであるポリエチレンイミンを、4℃で、0
.1Mトリス−HCl(pH8)中10mg/mlのタンパク質を含む透明な細
胞溶解液に加えることができる。沈殿物は、遠心により除去する(Brewer
,S.J.およびSassenfeld,H.M.、精製のためのタンパク質工
学、タンパク質精製適用:実践的なアプローチ、E.HarrisおよびS.A
ngal編、IRLプレスオックスフォード、英国、1990)。透明化溶解液
および透明な溶解液なる語は、本明細書を通じて同義語として使用され、透明お
よび透明化溶解液(CL)と呼ぶ。
【0085】 RNAは、Hornら(米国特許第5,576,196号)により記載のよう
に、珪藻土を使用して、タンパク質などの細胞成分から除去され得る。
【0086】 タンパク質は、宿主細胞調製物から、目的のタンパク質に特異的なタンパク質
精製法に従っておよび当分野で公知のように精製する。タンパク質精製法は、タ
ンパク質精製:原理と実践、R.Scopes編、C.R.Cantor、Sp
ringer−Verlag、1985に記載されている。一般に、かかるタン
パク質精製手順は、タンパク質発現ベクターを含む宿主細胞を培養し、タンパク
質発現を誘導し、目的のタンパク質を抽出および精製する段階を含む。例えば、
金属キレートクロマトグラフィーを使用して、ヒスチジン残基で標識したインフ
ルエンザ核タンパク質を精製できる(実施例Vに記載)。
【0087】 大腸菌以外の宿主細胞は、ストレプトミセスのPEG形質転換:Wohlle
ben&Mothプラスミド;実践的なアプローチの第6章(上記)に記載の、
PEG形質転換法により、RNase遺伝子および目的の遺伝子を用いて形質転
換できる。
【0088】 大腸菌以外の宿主細胞はまた、グラム陽性細菌の電気穿孔形質転換、Alon
so&Espinosa、プラスミド;実践的なアプローチの第2章(上記)に
記載の電気穿孔形質転換法により、RNase遺伝子および目的の遺伝子を用い
て形質転換できる。
【0089】調節されたRNase遺伝子発現 宿主細胞に対するRNaseの毒性作用を減少させるために、RNase遺伝
子は、誘導プロモーターの制御下で発現できる。
【0090】 大腸菌中のRNase活性の調節に使用された誘導プロモーターは、trp、
T7、Ptac並びにλファージのPRおよびPLプロモーターを含む。
【0091】細胞質でRNase発現を誘導する方法 RNase遺伝子の発現は、非誘導増殖期間中のRNaseの毒性作用を防ぐ
ために、非誘導条件下でのRNase遺伝子の最小限の発現のみを可能とする誘
導プロモーターにより調節され得る。
【0092】 様々な誘導プロモーター系を使用して、特許請求された本発明の方法に従って
RNaseを調節できる。多くのプロモーター(上記)を、RNase遺伝子の
発現が増加または減少するように操作できる。
【0093】 細胞質においてRNaseを誘導的に発現するために、RNase発現は、細
胞内RNA分解を生じさせるために、目的の細胞成分を産生している細胞を収集
する1〜3時間前に誘導される。
【0094】 誘導期間並びにRNaseが発現される期間は、産物の質または細胞完全性に
悪影響を及ぼすことなく、最大限のRNA分解が生じるように最適化する。これ
は、RNaseを発現している細胞を5分間から2時間、温度による誘導が使用
される場合、4℃から37℃で、または42℃で、pH5〜8で、またはRNa
seAの場合、pH5〜10でインキュベートすることによりなされる。例えば
、産生される細胞成分が組換えプラスミドである場合、条件を修飾して、細胞内
RNaseの過剰発現の結果しての細胞の溶解を回避する。
【0095】 RNA分解の完了時に(下記の通り決定する)、細胞を溶解し、細胞成分を精
製する(下記)。
【0096】誘導プロモーター制御下のRNase遺伝子 RNaseの毒性作用は、誘導プロモーターの制御下でRNase遺伝子を発
現することにより減少した。RNase遺伝子活性の調節に使用された誘導プロ
モーターは、trp、T7、trc、lac、Ptac、並びに大腸菌のλファー
ジのPRおよびPLプロモーターを含む(Fujimuraら、上記、Schei
nら、上記、Laityら、上記、Quaasら、上記、Riboら、上記、D
elCardayreら、上記、Okorokovら、上記、McGeehan
およびBrennerら、上記、Tarragona−Fiolら、上記)。R
Nase遺伝子の発現を調節する誘導プロモーターを使用することにより、RN
aseタンパク質のレベルを、非誘導条件下で低レベルに維持できる。
【0097】 1.Trpプロモーター trpプロモーターの制御下のRNase遺伝子を含むベクターは、Fuji
muraら、上記およびScheinら、上記の方法に従って作成できる。簡潔
には、trpプロモーターおよびhGH(ヒト成長ホルモン)遺伝子を含むpG
H−L9ベクターを、ClaIおよびSalIで消化する。trpプロモーター
を含む線形ベクターを、電気泳動後に1%アガロースゲルから単離する。RNa
se遺伝子は、ClaIおよびSalIでの消化によりベクターから切出すか、
または5’末端にClaIまたはSalI部位を含む5’および3’RNase
特異的プライマーをそれぞれ使用してPCRにより増幅する。RNase遺伝子
を含むDNA断片を、電気泳動後に、5%ポリアクリルアミドゲルから単離する
。trpプロモーター含有ベクターおよびRNase遺伝子を混合し、T4DN
Aリガーゼと共にインキュベートし、所望のプラスミドを、標準的な手順により
大腸菌HB101形質転換体から得る(Fujimuraら、上記)。
【0098】 2.T7プロモーター RNase遺伝子は、T7プロモーター(φ10由来)の下流にクローニング
できる。T7RNAポリメラーゼの発現は、大腸菌BL21由来のlacUV5
プロモーター(NeubauerおよびHofmann、上記)、または、λP
Lプロモーターなどの誘導プロモーターによりcI857温度感受性リプレッサ
ーと協同して制御される(TaborおよびRichardson、上記)。
【0099】 lacUV5系は、T7−RNAポリメラーゼのlacUV5制御発現に基づ
く。RNase遺伝子は、T7特異的RNAポリメラーゼによってのみ転写され
る、T7ファージの強力なφ10プロモーターの後でクローニングできる(Ne
ubauerおよびHofmann、上記)。この系を使用して、Neubau
erら、Appl.Microbiol.Biotechnol.36:739
−744、1992の以下の方法に従って、T7プロモーターによりRNase
遺伝子の発現を調節できる。
【0100】 染色体DNAにλ誘導体DE3を有する大腸菌BL21(F−hsdS ga
l omp TrB− mB−)上に、Plac制御下のT7RNAポリメラーゼ遺
伝子およびプラスミドplysSがクローニングされた。RNase遺伝子を含
むBamHI−Alu1断片を、T7ファージのφ10プロモーター後の、Ba
mHI−AluI消化プラスミドpET3にクローニングできる。
【0101】 このプロモーターは、T7RNAポリメラーゼの認識部位のみを有する。それ
故、RNase遺伝子の発現は、拘束条件下で非常に低い。しかし、IPTG(
シグマ、セントルイス、ミズーリ、米国)によるT7RNAポリメラーゼ合成の
誘導後、RNase遺伝子は非常に強力に発現される(Neubauerら、上
記)。
【0102】 RNase遺伝子は、TaborおよびRichardson、上記に記載の
方法に従って、cI857温度感受性リプレッサーと協同してλPLプロモータ
ーにより調節され得る。
【0103】 RNase遺伝子の発現は、クローン化T7遺伝子IおよびT7RNAポリメ
ラーゼプロモーターを利用する系で調節できる。発現系は、2つの適合性プラス
ミド、pGP1−2およびpT7−1からなる。pACYC177の誘導体であ
るPGP1−2は、T7RNAポリメラーゼの発現を提供する。PGP1−2は
、誘導λPLプロモーターの制御下のファージT7の遺伝子I、および熱感受性
λリプレッサー遺伝子のcI857からなる。
【0104】 ある遺伝子を発現するために、遺伝子を、第二プラスミドpT7−1に挿入す
る。PT7−1は、40bpのT7断片から単離された、T7RNAポリメラー
ゼプロモーターのφ10を含む。8つの異なる制限部位を含むポリリンカーは、
DNA断片の挿入を容易にするようにプロモーターの隣に存在する。φ10プロ
モーターからの転写により、クローニングされた遺伝子およびβ−ラクタマーゼ
遺伝子が発現される。これらの遺伝子の排他的発現が、T7RNAポリメラーゼ
の熱誘導後に、大腸菌RNAポリメラーゼ転写を遮断するリファンピシンの添加
により達成される(TaborおよびRichardson、上記)。
【0105】 T7プロモーターの制御下のRNase遺伝子を含むベクターはまた、Oko
rokovら、上記、Laityら、上記、delCardayreら、上記お
よびRiboら、上記の方法に従って作成できる。
【0106】 簡潔には、発現ベクターpET21d(+)は、染色体に挿入されたlacU
V5プロモーターの制御下のT7RNAポリメラーゼ遺伝子を有する、バクテリ
オファージDE3溶原株BL21(DE3)大腸菌と組合せて、RNaseA遺
伝子の挿入に使用できる。pUCBFRAのBamHI−HindIII断片は
、RNaseAコード配列と共に、pET21d(+)ベクターに再度クローニ
ングできる。オープンリーディングフレームを維持するために、pTZ19RJ
L1のマルチクローニングサイト由来の19bpのNcoI−BamHI断片を
、対応する独特な部位に挿入する。この方法は、プラスミドpETFRAの作成
にOkorokovらにより使用されている(Okorokovら、上記)。こ
の方法はまた、T7プロモーターの制御下の他のRNase遺伝子を含むベクタ
ーの産生に使用できる。
【0107】 3.tacプロモーター ptacプロモーターの制御下のRNase遺伝子を含むベクターを、Tar
ragona−Fiolら、上記の以下の方法に従って作成する。
【0108】 RNase前駆体のコード配列の5’および3’末端に相補的なプライマーを
合成でき、PCR増幅に使用できる。5’プライマー(プライマー10)は、R
Nase前駆体の前に短いORF並びにEcoRI制限部位を、正しい切断を確
かにする4つの追加のntと共に取り込む、追加の配列情報を含む。3’プライ
マー(プライマー11)は、RNaseの終結コドン、EcoRI部位、および
正しい切断を確かにする追加の4ntを含む。
【0109】 これらのプライマーを使用してPCR増幅から得られた2シストロン断片は、
2セットのコード配列を含み:1つはヘキサペプチドであり、他方はRNase
前駆体である。この断片の転写は、翻訳時にヘキサペプチドおよびプレRNas
eを産生する2シストロンmRNAを産生する。
【0110】 PCR反応は、pQR138を、全容量50または100μl中に、鋳型(1
00ng)/プライマー10および11(50pmol/各)/全4つのdNT
P(各0.2mM)/20mMトリス−HCl pH8.0/15mM(NH4
2SO4/2mM Mg2Cl/0.05%NP40/0.05%Tween2
0として含む。反応成分は、迅速に混合し、次いで、10,000×g(平均)
で2秒間室温で遠心分離する。等量のパラフィン油を反応中の蒸発を避けるため
に加える。鋳型DNAは、5分間インキュベート、92℃で1.5分間により完
全に変性し、55℃で1分間アニーリングし、72℃で1.5分間伸長する。
【0111】 プラスミドpQR163(図7参照)は、2つのリボソーム結合部位を含み、
1つは、ベクターのtacプロモーターにより提供され、他方は、第二シストロ
ンの翻訳のために、第一シストロンのコード配列内に含まれる。pQR163を
有する大腸菌細胞のIPTG誘導時に産生されるmRNAは、2シストロン性で
あり、tacプロモーターから開始する。第一シストロンは、6アミノ酸ペプチ
ド(Met−Phe−Leu−Glu−Asp−Asp)をコードする。第一シ
ストロンの停止コドンおよび第二シストロンの開始コドンは、リボソームがmR
NAの翻訳を継続し、プレRNaseを産生するように重複する(Tarrag
ona−Fiolら、上記)。
【0112】 Tarragona−Fiolの方法に従って、内因性RNaseシグナル配
列は、RNase発現ベクターに存在する。しかし、他のシグナル配列は、下記
したように、RNase遺伝子上にクローニングできる。
【0113】 内因性シグナル配列が存在する場合、RNaseの合成前駆体は、ペリプラズ
ムに転座する。N末端シークエンスを使用して、シグナル配列が正しく切断され
たことを示す。ペリプラズムの酸化環境により、RNaseの正しい折り畳みが
可能となり、完全に活性な酵素の回復により証明されるように天然酵素が形成さ
れる(Tarragona−Fiolら、上記)。
【0114】 4.λファージのPRおよびPLプロモーター λファージのPRプロモーターの制御下のRNase遺伝子を含むベクターを
、Okorokovら、上記の以下の方法に従って作成する。
【0115】 PR発現カセットは、cIリプレッサー調節下の大腸菌λファージのPRプロモ
ーターを含むベクターpCQV2から単離できる。カセットは、cIコードフレ
ームの下流のEcoRI制限部位およびPRプロモーターの下流のBamHI部
位により囲まれる。
【0116】 RNase遺伝子は、pCQV2と適合性の適切な制限酵素を使用することに
よりベクターから単離できる。RNase遺伝子は、シグナル配列の非存在下で
、PRプロモーターの制御下でクローニングできる。RNase遺伝子はまた、
RNase遺伝子を含み、末端に適切な制限部位を有する、増幅断片を産生する
プライマーを使用してPCRによりベクターから単離できる。
【0117】 RNaseA遺伝子を含む発現カセット断片をクローニングするのに使用でき
るベクターは、pUC19である。phoAシグナルペプチド−RNaseA融
合フレームを含む、pCQV2からの断片EcoRI−BamHIおよびpUC
BFRAからのBamHI−HindIIIを、3次元連結反応で、EcoRI
/HindIIIで制限したpUC19と連合できる。この方法は、プラスミド
pEXFRAの作成のためにOkorokovら、上記により使用されている。
【0118】 λファージのPLプロモーターの制御下のRNase遺伝子を含むベクターは
、McGeehanおよびBreener、上記の以下の方法に従って作成する
【0119】 RNaseの遺伝子は、ベクターpN1にクローニングでき、プラスミドpA
L181に、メチオニン開始コドンを含むリンカーと共に移すことができる。こ
のプラスミドにおいて、RNase遺伝子は、pAL181のシャインダルガー
ノ配列直後に始まる。
【0120】 5.Lacプロモーター lacリプレッサーと協同してlacオペレーター/プロモーターにより調節
される遺伝子を含むベクターは、RNaseのpN1へのクローニングと題した
章に記載の通り、またはNeubauerおよびHofmann、上記に従って
、作成し得る。
【0121】 lacオペレーター/プロモーターの制御下のRNase遺伝子を含むベクタ
ーは、Quassら、上記の以下の方法に従って作成する。
【0122】 pIN−III−ompA2は、HindIIIおよびEcoRIで消化する
。同酵素で消化したRNase遺伝子は、pIN−III−ompA2に挿入で
きる。全遺伝子がlppプロモーターおよびlacプロモーター−オペレーター
の制御下にあるので、遺伝子発現は、lacリプレッサーにより調節され、すな
わち、イソプロピル−β−D−チオガラクトシドの添加により誘導できる。
【0123】 この方法は、Quassらにより使用され、RNaseT1遺伝子がompA
シグナルペプチド遺伝子にインフレーム融合されている、プラスミドpA2T1
−1を産生する。しかし、またlacプロモーターを使用して、様々なシグナル
配列(下記)にインフレーム融合したRNase遺伝子の発現を調節できる。
【0124】 6.Trcプロモーター trcプロモーターの制御下のRNase遺伝子を含むベクターは、Okor
okovら、上記の方法に従って作成する。
【0125】 強力な誘導trcプロモーターを提供する発現ベクターは、pKK233−2
である。PKK233−2は、lacZリボソーム結合部位およびATG開始コ
ドンを特徴とし、これは、独特なNcoI制限部位での切断により到達できる。
マルチクローニングサイトに、5SrRNAをコードしている遺伝子およびrr
nB 大腸菌の強力な転写シグナルT1およびT2が続く(Okorokovら
、上記)。RNase遺伝子は、pKK233−2のマルチクローニングサイト
と適合性の酵素での消化によりベクターから単離できる。別に、RNase遺伝
子は、pKK233−2のマルチクローニングサイトと適合性の制限酵素部位を
有する断片の合成を指示するプライマーを使用してPCRにより増幅できる。
【0126】誘導プロモーター系 1.温度誘導プロモーター PLプロモーターは、cI8571と組合せて使用して、RNase遺伝子の
発現を調節することができる。
【0127】 PLプロモーターの制御下のRNase遺伝子を発現しているベクターは、誘
導プロモーターの制御下のRNase遺伝子と題した章に記載の通りに産生でき
る。
【0128】誘導 cI8571リプレッサーは、温度感受性であり、30℃で遺伝子発現を抑制
する。温度を42℃に増加すると、リプレッサーは不活性化され、発現が起こる
(TaborおよびRichardson、上記)。
【0129】 誘導は、McGeehanら、上記の以下の方法に従って実施できる。アンピ
シリン(125μg/ml)を含むLB培地(50ml)に、PLプロモーター
の制御下のRNase遺伝子を含むベクターで形質転換した大腸菌の増殖から形
成された新鮮なコロニーを接種し、次いで、一晩増殖して濃くする。この培養物
を使用して、各1リットルのLB/amp(100mg/ml)培地を含む4つ
の5Lエーレンマイヤーフラスコに接種する。これらの培養物を、振盪機中で3
0℃で増殖して、A550値を1.2とする。フラスコを42℃に加温した振盪機
に移し、72℃に前以て加熱したLB培地(400ml)を、各フラスコに加え
、温度を各々迅速に42℃にする。振盪を25分間続け、細胞を遠心分離(40
00×gで10分間)により回収する。細菌ペーストを、10×(v/w)変性
緩衝液(8M尿素、40mMサクロシン、20mMトリス、30mMメルカプト
エタノール、1mM EDTA、pH7.8)に再度懸濁する。懸濁液を、フレ
ンチプレス(4000Ib/インチ2)を通過させ、不溶性物質を、15000
×gで10分間遠心分離して除去する。透明化物質を、再折り畳み緩衝液(10
0mM NaCl、50mMトリス、4mM酸化グルタチオン、4mM還元グル
タチオン、1mM EDTA、0.4mMフェニルメチルスルホニルフルオリド
(PMSF)、0.02%NaN3、pH7.6)を2回交換して透析(Mr>3
500カットオフ)する。透析物を、セファデックスG50分粒カラムにのせ、
溶出緩衝液(100mM NaCl、50mMトリス、0.4mM PMSF、
0.02%NaN3)を使用して線形流速2.5〜3mlh-1cm-2で溶出する
。RNaseを含む画分を、合成RNA(UpA)に対する触媒活性により同定
する。これらの画分をプールし、YM5フィルター(Mr>5000カットオフ
)を有するアミコンウルトラフィルター装置を使用して4倍濃縮する。この溶液
を、新規な緩衝液(100mM NH4OAc、0.02%NaN3、pH6.1
)に透析し、次いで、アフィニティーレジン(4ml、pUpセファロース、フ
ァルマシア)のカラムに重量により適用する。これらの条件下の溶出液は、実質
的にRNase活性を含まない。カラムを、10〜20容量の緩衝液で洗浄し、
RNaseは、新規な緩衝液(200mM NH4OAc、300mMシチジル酸
、pH6.1)を使用して溶出する。小画分(1.5ml)を集める。RNas
e活性を含む画分をプールし、緩衝液(100mM NH4OAc pH6.1)
を2回交換して透析して、シチジル酸を除去する。溶液は、滅菌チューブに入れ
、4℃で貯蔵する(McGeehanおよびBenner、上記)。
【0130】 PRプロモーターの制御下のRNase遺伝子を発現しているベクターは、誘
導プロモーターの制御下のRNase遺伝子と題した章に記載の通りに産生でき
る。
【0131】誘導 誘導は、Okorokovら、上記の以下の方法に従って実施できる。PR
ロモーターの制御下のRNase遺伝子を含む発現ベクター、例えばpEXFR
Aを有する大腸菌株の6時間培養物を、アンピシリン(125μg/ml)を補
充したLB培地中で30℃で220rpmで増殖させる。この培養物は、24g
/lの酵母抽出物、12g/lのトリプトン、12.54g/l、12.54g
/lのK2HPO4、KH2PO4、4ml/lのグリセロール、および125mg
/lのアンピシリンを含みpH7.1に調整したリッチ培地の接種に使用する。
【0132】 28℃および220rpmでリッチ培地中OD600〜0.6まで増殖した後、
培養物を熱ショックにより誘導する。以下の熱ショックプロトコルを使用できる
。培養物の温度は、前以て加温(85℃)した半容量のリッチ培地を添加するこ
とにより42℃に変化できる。次いで、培養物を42℃、120rpmで30分
間撹拌する。次いで、温度を37℃に減少させ、振盪(220rpm)をさらに
10〜12時間続ける。
【0133】 別に、培養物の温度を、前以て加温(37℃)したリッチ培地に直接接種する
ことにより37℃に変化できる。次いで、培養物をさらに16〜18時間37℃
で220rpmで増殖する。
【0134】 2.インデューサー制御プロモーター lacリプレッサーと組合わせたlacオペレーター/プロモーターを使用し
て、RNase遺伝子の発現を調節できる。
【0135】 lacオペレーター/プロモーターの制御下のRNase遺伝子を発現してい
るベクターを、誘導プロモーターの制御下のRNase遺伝子と題した章に記載
の通り産生できる。
【0136】誘導 発酵は、lacオペレーターが抑制される培地、例えば、ラクトースまたはイ
ソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)を含まないLB培地で実施
される。
【0137】 発現は、最終濃度0.5mMのIPTGまたはラクトースを添加することによ
り誘導される(NeubauerおよびHofmann、FEMS Micro
.Reviews:14、99−102、1994、Quassら、上記、およ
びDonovanら、J.Industrial Mirobiology、1
6:145−154、1996)。IPTGでの誘導は、下記の実施例3に記載
の通りに、およびQuassら、上記の方法に従って実施できる。
【0138】 lacプロモーターの制御下のRNase遺伝子の転写を誘導するために、I
PTGを、600nmで0.5の吸光度まで増殖させた液体培養物に、最終濃度
0.1から0.5mMまで加える。細胞を、一晩増殖させ、遠心分離(8500
×g、15分間、4℃)により収集する。RNaseは、Koshlandおよ
びBotsteinの修飾プロトコルに従って浸透圧ショックにより細胞から放
出される。1リットル培養物のペレットを、15%スクロースを含む40ml氷
冷トリス/HCl/EDTA緩衝液(50mMトリス/HCl、pH7.5、1
0mM EDTA)に再度懸濁し、30分間氷上に維持する。遠心分離後、細胞
を、氷冷トリス/HCl/EDTA緩衝液に再度懸濁し、さらに30分間氷上で
インキュベートし、再度遠心分離する。2つの洗浄段階由来の上清を合わせ、p
Hを15%HClを用いて4℃でpHを2.5に調整し、沈殿タンパク質を遠心
分離(12000×g、25分間、4℃)により分離する。上清のpHは、10
M NaOHで7.5に調整し、トリス/HCl EDTA緩衝液で200ml
に希釈し、トリス/HCl/EDTA緩衝液で平衡化したDEAE−セファロー
スCL−6Bカラム(12mlのカラム容量)に適用する。回収は、勾配溶出(
トリス/HCl/EDTA緩衝液中、100〜700mM NaCl)により達
成する。RNase活性を含む画分を合わせ、流す緩衝液として50mM酢酸ア
ンモニウムを使用して、バイオ−ゲルP−30カラム(1.5×50cm)を通
過させる。
【0139】 lacプロモーターの強度を操作して、lacプロモーターの上流のtrpプ
ロモーターをクローニングすることにより発現を増加させ、tacプロモーター
を創製できる。
【0140】 lacリプレッサーのそのオペレーターへの親和性は、lacプロモーターの
制御下の遺伝子の結合および続く発現を増加または減少させるように操作できる
(Mullerら、J.Mol.Biol.、257:21−29、1996)
【0141】 3.飢餓誘導プロモーター 宿主細胞中で産生されるRNaseの量を制御するために、RNase遺伝子
を、trpリプレッサーと組合せてtrpオペレーターの制御下に配置すること
ができる。
【0142】 trpリプレッサーと組合せたtrpオペレーターの制御下のRNase遺伝
子を発現しているベクターを、誘導プロモーターの制御下のRNase遺伝子と
題した章に記載の通りに産生できる。
【0143】誘導 トリプトファンの存在下で増殖中、制御された遺伝子の発現は抑制され(Sc
hein&Noteborn、Biotechnology、6:291−29
4、1988)、トリプトファン飢餓時に遺伝子の発現が誘導される。trpプ
ロモーターはまた、Fujimuraら、上記の方法に従って、IAA(3−イ
ンドールアクリル酸)の導入によっても誘導できる。
【0144】 trpプロモーターの制御下のRNase遺伝子を含むプラスミド、例えばp
TPW1を有する大腸菌を、37℃で、アンピシリン(20μg/ml)を含む
4リットルのM9−カサミノ酸培地中で増殖する。1.5時間インキュベートし
た後(660nmでの培養物の光学密度、0.05〜0.1)、3−インドール
アクリル酸(IAA、40μg/ml)を培地に加え、融合遺伝子の発現を誘導
する。細胞をさらに8時間増殖させ、遠心分離(3500×g、10分間、4℃
)により収集し、等張食塩水中で洗浄する(Fujimuraら、上記)。
【0145】 以下の精製段階を使用して、細胞膜周辺腔に分泌されたRNaseタンパク質
を精製できる。細胞膜周辺腔のタンパク質は、Cornelisらのプロトコル
の修飾形により浸透圧ショック処理により放出される。食塩水洗浄細胞を、1m
M EDTAおよび30mMトリス−HCl(pH8.0)を含む1リットルの
25%スクロースに懸濁し、懸濁液を37℃で30分間振盪する。次いで、細胞
を、遠心分離(14000×g、1時間、20℃)により沈降させ、1リットル
の氷冷20mMトリス−HCl(pH7.5)に再度懸濁し、0℃で30分間振
盪する。懸濁液を遠心分離(10000×g、15分間、4℃)し、得られた上
清をペリプラズム画分として使用する。細胞質画分を、SDSの存在下でリソソ
ームで破壊することにより沈降細胞から調製する。RNaseは、2段階のカラ
ムクロマトグラフィー:第一に、20mMトリス−HCl(pH7.5)中0.
15M NaClで平衡化し、20mMトリス−HCl(pH7.5)中線形N
aCl勾配(0.15〜0.45M)で溶出する、Q−セファロースカラムのア
ニオン交換クロマトグラフィー;次いで、酵素を20mM重炭酸アンモニウムで
溶出したセファデックスG−50カラムのゲルクロマトグラフィーによりペリプ
ラズム画分から精製する。各精製段階の酵素は、SDS−PAGEにより解析す
る(Fujimuraら、上記)。
【0146】 4.バクテリオファージプロモーター T7RNAポリメラーゼ/プロモーター系は、上記のプロモーター系よりも強
力なプロモーターを含む。
【0147】 T7RNAポリメラーゼ/プロモーター系の制御下のRNase遺伝子を発現
しているベクターは、誘導プロモーターの制御下のRNase遺伝子と題した章
で記載の通りに産生できる。
【0148】 RNase遺伝子は、T7プロモーター(φ10)の下流にクローニングする
。T7RNAポリメラーゼの発現は、大腸菌BL21に見られるようなlacU
V5プロモーターなどの誘導プロモーターにより、または、cI857温度感受
性リプレッサーを有するλPLプロモーターにより制御される(Taborおよ
びRichardson、82:1074−1078、1985)。
【0149】 RNase遺伝子の発現は、バクテリオファージRNAポリメラーゼの発現に
依存する。T7プロモーターからのRNaseの発現が非誘導条件下で漏出して
いる場合、大腸菌RNAポリメラーゼの転写終結因子を、ポリメラーゼの発現が
転写通読に依存するようにT7DNAポリメラーゼの所望のプロモーターに挿入
できる(TaborおよびRichardson、上記)。
【0150】 T7プロモーター制御下のRNase遺伝子の発現は、Okorokovら、
上記の以下の方法により得ることができる。
【0151】 T7プロモーターの制御下のRNase遺伝子を含む発現ベクター、例えばp
ETFRAを有する大腸菌株の6時間培養物を、30℃、220rpmで、アン
ピシリン(125μg/ml)を補充したLB培地中で増殖させる。この培養物
は、24g/lの酵母抽出物、12g/lのトリプトン、12.54g/l、1
2.54g/lのK2HPO4、KH2PO4、4ml/lのグリセロール、および
125mg/lのアンピシリンを含みpH7.1に調整したリッチ培地の接種に
使用する。28℃および220rpmでリッチ培地中OD600〜0.6の密度ま
で増殖した後、発現を、IPTGを最終濃度が1mMとなるまで加え、さらに1
0時間インキュベートすることにより誘導する(Okorokovら、上記)。
【0152】 5.阻害剤誘導 バシラスRNase、BaRNaseは、その特異的な細胞内阻害剤バースタ
ーの存在下で不活性である(Hartley、上記)。baRNaseを発現す
る、宿主細胞でのバースター遺伝子の存在は、両方の遺伝子が等しく発現される
場合には、baRNase活性の致死的作用を抑制する。抑制プロモーターの制
御下のバースター遺伝子の存在を使用して、発酵の終結時にbaRNase活性
を発現できる。
【0153】 単独では致死的である、野生型baRNaseの遺伝子が、pUC19−pC
194シャトルベクター上のバースター遺伝子として同プラスミド上に会合する
場合、baRNaseは正しく処理され、枯草菌により分泌されるが、大腸菌中
では細胞に結合したままである。成熟baRNaseのN末端に大腸菌シグナル
ペプチダーゼ部位を有する、バースターおよびphoAプロモーター−シグナル
配列構築物では、低リン酸による誘導後、真正baRNaseが、20mg/l
のレベルで大腸菌により分泌される。可変量のこのbaRNase、一般的に約
半分が、培養培地に出現し、残りは細胞膜周辺腔に残存する。しかし、酢酸を5
%まで添加すると、全てのbaRNaseが培地に放出され、これから、ホスホ
セルロースに直接吸収され得る。高塩中ホスホセルロースから溶出しているタン
パク質の90%以上が、baRNaseである。次いで、実質的に純粋なbaR
Naseが、SP−トリスアクリル(ファルマシア)などの強力なアニオン交換
体上での塩勾配クロマトグラフィーにより得られ得る(Hartley、上記)
【0154】2.細胞膜周辺腔または細胞性細胞質における誘導性RNase発現 ペリプラズムまたは細胞上清に分泌されたRNase遺伝子 宿主細胞に対する過剰産生RNaseの毒性作用、並びに宿主細胞プロテアー
ゼによる外因性RNaseのタンパク質分解を防ぐために、RNase遺伝子を
、宿主細胞の細胞質に分泌されないタンパク質をコードするように修飾する。R
Naseは、酵素の、細胞質周辺腔または培養上清への分泌を支持するシグナル
ペプチドをもつ融合タンパク質として産生され得る。RNaseを細胞質外に指
示するために成功裡に使用されるシグナルペプチドは、内因性RNase分泌シ
グナル(Scheinら、上記、Tarragona−Fiolら、上記、Ru
ssoら、上記)、大腸菌アルカリホスファターゼシグナルペプチド(phoA
)(Fujimuraら、上記、Okorokovら、上記)、pelB配列(
Riboら、上記、DelCardayreら、上記)、および大腸菌外膜のo
mpAタンパク質のシグナルペプチド(Quaasら、上記)を含む。RNas
e遺伝子もまた融合タンパク質として発現され得る。例えば、RNaseA遺伝
子10融合タンパク質は、封入体として発現される(Laityら、上記、Na
mbierら、Eur.J.Biochem.163:67−71、1987)
【0155】 宿主細胞においてバクテリオシン放出タンパク質(BRP)をコードしている
遺伝子の存在により、過剰発現RNaseが、ペリプラズムよりも培養上清に分
泌されることが可能となる。BRP遺伝子が中程度に誘導されている場合、宿主
細胞の溶解は回避され、連続培養における大量タンパク質産生が可能となる(v
an der Walら、FEMS Microbiol.Rev.17:38
1−399、1995)。この系は、RNaseの分泌に使用され得る。
【0156】 RNase酵素の、宿主細胞質外の位置への搬出を指示することにより、RN
ase毒性およびタンパク質分解によるRNase分解の問題は最小限となる。
【0157】 RNase発現の誘導は、細胞質での誘導性RNase発現と題した章で定義
されたパラメーターに従って調節される。しかし、RNaseは、細胞質周辺腔
に分泌され、細胞が溶解するまで細胞内産物とは接触しない。
【0158】 新規に作成されたRNaseAを細胞質外に標的するために、タンパク質が培
養上清または細胞質周辺腔に分泌されるように、リーダー配列をRNase遺伝
子上にクローニングできる。
【0159】 1.内因性RNase分泌シグナル 大腸菌RNaseI遺伝子は、遺伝子産物をペリプラズムに指示する内因性リ
ーダー配列を有し、高コピー数プラスミドで過剰発現された場合に細胞増殖に影
響を及ぼさない(MeadorおよびKennell、Gene、95:1−7
、1990)。
【0160】 内因性RNaseリーダー配列は、ペリプラズムまたは細胞上清へ分泌される
RNase遺伝子と題した章で記載のようにRNase遺伝子上にクローニング
できる。
【0161】 多くのシグナルペプチドが、細胞周辺腔または細胞上清へのRNaseタンパ
ク質の分泌を指示するのに成功裡に使用されてきた。これらは、内因性RNas
e分泌シグナル、大腸菌アルカリホスファターゼシグナルペプチド(phoA)
およびpelB配列を含む(Fujimuraら、上記、Scheinら、上記
、DelCardayreら、上記、Okorokovら、上記、Tarrag
ona−Fiolら、上記)。
【0162】 2.PhoA tacプロモーターの制御下のbaRNase遺伝子上へのphoAリーダー
配列の誘導により、1g/lまでのBaRNaseの収率が得られた(Hart
ley、上記)。この配列は、効率的なプロセシングおよびRNaseの、大腸
菌宿主の培養上清および細胞質周辺腔への分泌を可能とする。
【0163】 PhoA配列は、Fujimuraら、上記の方法に従って、RNase遺伝
子上にクローニングできる。
【0164】 trpプロモーターの制御下のRNase遺伝子を含むベクターを、記載した
ようにFujimuraらの方法に従って作成する。trpプロモーター含有ベ
クター、RNase遺伝子、およびAPアーゼシグナルペプチドの合成遺伝子を
混合し、T4DNAリガーゼと共にインキュベートし、所望のプラスミドが標準
的な手順により大腸菌HB101形質転換体から得られる(Fujimuraら
、上記)。Fujimuraらは、この方法を使用して、trpプロモーターの
制御下のRNaseT1遺伝子を含むベクターである、pTPW1を作成した。
この方法を修飾して、APアーゼシグナルペプチドの合成遺伝子が、構成プロモ
ーターまたは上記の誘導プロモーターの1つの制御下の他のRNase遺伝子(
記載したものを含む)上にクローニングできる。
【0165】 3.PelB PelB配列を、可溶化段階後に活性な形でペリプラズムへのRNaseの分
泌を指示するために使用した(Riboら、上記、delCardayreら、
上記)。
【0166】 PelB配列は、delCardayreらに記載の以下の方法によりRNa
se遺伝子上にクローニングできる。プラスミドpBXR(ここで、BXRは、
RNaseAの細菌発現を意味する)を以下の通りに作成する。pET22B(
+)のMscIとSalI部位の間に挿入できるRNaseAのcDNAを有す
る断片は、PCRにより作成する。増幅した断片はバンド精製し、T4DNAポ
リメラーゼで処理し、taqポリメラーゼにより残された任意のオーバーハング
塩基を除去し、SalIで消化する。得られた断片は、その5’末端に、2つの
CG塩基対(これは平滑末端を形成)により、およびその3’末端に、SalI
粘着末端によりフランキングされたRNaseAcDNAを有する。次いで、こ
の断片は、大腸菌発現プラスミドpET22B(+)のバンド精製MscI−S
alI断片にT4DNAリガーゼにより連結する。次いで、Amp遺伝子のPs
tI部位は、オリゴヌクレオチドJHH16を使用して部位突然変異により除去
され、RNaseAcDNAのPstI部位を、プラスミド中の唯一のかかる部
位にしている。この構築物の完全性は、制限および配列解析により評価される。
【0167】 他のRNase遺伝子上にクローニングされたpelB配列を含むプラスミド
もまた作成できる。RNase遺伝子および適切な制限酵素(例えば、線形pE
T22B(+)と適合性の部位)を含む断片を記載の通りに連結できる。
【0168】 4.バクテリオシン放出タンパク質 宿主細胞においてバクテリオシン放出タンパク質(BRP)をコードしている
遺伝子の存在により、過剰発現RNaseが、ペリプラズムよりも培養上清に分
泌されることが可能となる。BRP遺伝子が中程度に誘導されている場合、宿主
細胞の溶解は回避され、連続培養における大量タンパク質産生が可能となる(v
an der Walら、FEMS Microbiol.Reviews.1
7、1995、381−399)。
【0169】 RNaseタンパク質およびBRPの両方を発現している細胞は、RNase
遺伝子を含むプラスミドを、BRP遺伝子を含む適合性プラスミドと同時形質転
換することにより製造できる。別に両方の遺伝子は、同プラスミド上にコードさ
れ得る。
【0170】 BRP遺伝子の発現は、マイトマイシンC(プラスミドpSW1 MoBiT
ec GmbH)またはIPTG(プラスミドpJL3、MoBiTec Gm
bH)の添加により誘導できる(プロトコルMoBiTec GmbH、Wag
enstief、5:D−37077またはVan der Walら、上記)
【0171】 分泌されたRNaseは、RNaseAについてTarragona−Fio
lら(上記)により記載のように、またはRNaseをチオレドキシン融合物(
インビトロゲン)として標識する場合にはチオボンド(登録商標)レジンを使用
して、またはRNaseをHis標識(インビトロゲン)する場合にはプロボン
ド(登録商標)金属結合レジンを使用して、上清から精製できる。
【0172】 次いで、精製RNaseは、細胞溶解液/上清(所望の産物、例えば細胞内プ
ラスミド/タンパク質または細胞外タンパク質の位置に応じて)に加えることが
でき、RNA消化が完了するまでインキュベートできる。次いで、プラスミド/
タンパク質を、組換えDNAまたはタンパク質の産生と題した章で記載した通り
に精製する(Hornら、上記)。
【0173】 5.融合タンパク質 RNase遺伝子はまた、RNaseタンパク質を可溶形または封入体として
発現することを可能とする遺伝子と融合できる。例えば、RNase遺伝子は、
チオレドキシン遺伝子と融合でき(R&Dシステムズ、La Vallieら、
BIO/Technology 11、1993、187−193)、トリプト
ファン誘導後、細菌ペレットの凍結/解凍時に選択的に放出できる。チオレドキ
シン−RNase融合タンパク質が活性である場合、プロテアーゼ切断によりチ
オレドキシンを放出する必要は全くない。
【0174】 選択したRNase遺伝子がpTRXFUS(インビトロゲン)のポリリンカ
ーのチオレドキシン遺伝子とインフレームでクローニングできる(La Val
lieら、上記)。次いで、このベクターを使用して、産生宿主大腸菌G172
4を形質転換する。大腸菌細胞は、OD550が0.5になるまで培養し、トリ
プトファンを最終濃度が0.1mg/mlとなるまで加え、融合タンパク質合成
を誘導する。
【0175】 上記の産生宿主が、異種遺伝子発現またはプラスミドの産生の宿主である場合
、細胞を、RNAが十分に消化されるまでインキュベートする。次いで、タンパ
ク質またはプラスミド精製を記載の通り進行できる。
【0176】 上記の産物宿主が、異種遺伝子発現または異種プラスミドの産生に使用された
宿主ではない場合、RNase融合タンパク質は、La Vallieら、上記
により記載の細胞溶解(フレンチプレス)または浸透圧ショックにより、または
、Johnson&Hecht、M.H.Bio/Technology 12
:1357−1359、1994に記載の凍結解凍により放出できる。次いで、
放出されたタンパク質は、インビトロゲンにより記載のように、またはTarr
agona−Fiolら、上記に記載のように、チオボンドレジンを使用して精
製できる。
【0177】 精製RNaseは、記載のように、異種遺伝子またはプラスミドを産生する宿
主細胞の細胞溶解液に加えることができる(BirnboimおよびDoly、
上記およびAusubel、現在のプロトコル、上記参照)。
【0178】構成プロモーターの制御下のRNase遺伝子 本発明に記載のいくつかの方法および宿主細胞において、RNase遺伝子を
構成的に発現することが好ましい。従って、RNase遺伝子は、選択宿主細胞
で操作可能な構成プロモーターの転写制御下に配置する。構成プロモーターは、
多くの異なる種類の細菌について当分野で公知である。例えば、大腸菌では、か
かるプロモーターは、6−ホスホグルコネートデヒドロゲナーゼプロモーターの
グルコキナーゼプロモーターを含む(Neidhardt、ネズミチフス菌およ
び大腸菌細胞および分子生物学ASM、Fraenkel,D.、第12章、0
−142、1987)。
【0179】RNaseの構成的ペリプラズム発現 RNase遺伝子は、構成プロモーターの制御下のRNase遺伝子と題した
章に記載のように、構成的に発現およびペリプラズムに局在するタンパク質を産
生するように工学できる。
【0180】 ペリプラズムで構成的なRNase発現を達成するために、誘導期間は必要な
い。RNaseは、細胞が増殖するとペリプラズムに蓄積する(Tarrago
na−Fiolら、上記)。
【0181】RNaseを培養上清に分泌している宿主細胞におけるRNase消化 目的の細胞成分およびRNaseの両方が、同一細胞または異なる細胞により
、上清に分泌される場合、目的の産物が、破裂/死滅細胞から放出された成分に
より汚染されるので細胞溶解を回避する。例えば、ウシRNaseAは非常に安
定であり、pH6.8−7.4で発酵ブロス中で依然として活性である。
【0182】 細胞成分は、細胞を溶解することによる他の細胞由来汚染物を放出することな
く、培養上清から直接に集めることができる。細胞は、10,000gで25分
間遠心分離することにより、上清から除去される。細胞成分およびRNaseの
両方を含む、細胞非含有上清を、実質的に全てのRNAが分解されるまでインキ
ュベートする。
【0183】 最適のインキュベート期間は、タンパク質、DNAまたはCHOである細胞成
分から実質的に全てのRNAを分解するに必要な時間である(上記で定義した通
り)。細胞成分から実質的に全てのRNAを分解するに必要な最適なインキュベ
ート期間は、以下の段階により決定する。適切な時間点(5分間間隔から1時間
または未分解RNAが依然として存在する場合にはそれ以上まで、下記の方法に
より決定)で、アリコートを取り出し、下記の方法によりRNAの存在について
アッセイする。
【0184】 RNAを除去した後、細胞成分を、下記の通り精製できる。別法として、膨張
床クロマトグラフィーカラムに培養培地を適用することにより産物を直接捕獲す
ることが可能である。このプロトコルでは、細胞およびRNaseは、カラムを
直接に通過し、一方、産物は、下記のHanssonら、Bio/Techno
logy、12:285−288、1994の方法に従って、クロマトグラフィ
ー培地に結合する。
【0185】 膨張床吸収の設備。カラムの底に、特定の目的に応じるように設計された液体
分配器を具備した、ストリームライン(登録商標)50(内直径50mm)ホウ
ケイ酸ガラスカラム(ファルマシア・バイオテック、ウプサラ、スウェーデン)
を、膨張床手順のイオン交換吸着用のストリームライン(登録商標)DEAE吸
着剤(ファルマシア・バイオテック、ウプサラ、スウェーデン)と共に使用でき
る。吸着剤マトリックスは、ビーズ密度(平均粒子密度=1.2g/ml)を増
加させるために結晶石英を含む、球状マクロ多孔性架橋アガロース粒子からなる
。ジエチルアミノエチル(DEAE)吸着剤のイオン容量は、0.13〜0.2
1mmol/mlである。粒子サイズ分布は、約100〜300μmの範囲であ
り、平均粒子サイズは200μmである。吸着剤はオートクレーブにかけること
ができ、3〜9の操作上のpH安定性を有し、1M NaOHに抵抗する。沈降
配置の床高さは、10cmである。適切な床膨張を与える推奨される線形流速は
、200〜400cm/時間である。吸着剤が標的タンパク質に結合する容量は
、プロセスを設定する前に、充填床カラム実験で調査する。
【0186】 膨張床吸着。発酵の終了時に、pH制御NH3調節またはNaOH調節のため
に、塩基追加の除去により、pHを5.5に下降させる。さらに、グリセロール
供給を終了し、温度を20分間60℃に上げ、ペリプラズムタンパク質の培養培
地への漏出を増加させる。その後、培養物を室温まで冷却する。添加する前に、
床を、線形流速200cm/時間で、添加緩衝液(50mM NaCl)を用い
て2から3回予備膨張させる。次いで、粗培養発酵ブロスを、底から上端まで、
膨張床に添加緩衝液との1:1混合物として、同じ全流速(200cm/時間)
で、ライン混合を可能とする2つのポンプ配列を使用して適用する。全発酵内容
物が添加されると、膨張床を、添加緩衝液流速を200cm/時間に増加するこ
とにより膨張状態に維持する。約1/4容量の添加緩衝液およびその後1/2の
容量の洗浄緩衝液(100mM NaCl)を、膨張床を通過させて、残りの細
胞および緩く吸着したタンパク質を洗い流す。次いで、アニオン性吸着剤を、流
れを逆転させ、洗浄緩衝液で洗浄しておいた充填床の上端までアダプターを下げ
ることにより沈降させる。次いで、充填床は、上端から底まで、0.5M Na
Cl(流速100cm/時間)を使用して溶出し、50ml画分を集める。
【0187】 膨張床の細胞除去効率の生細胞数計測およびOD測定による分析。床出口から
のサンプルを、洗浄手順中に集める。生細胞数計測分析のために、サンプルを、
2つの別々の希釈(100倍異なる)に希釈する。100μlの容量の各サンプ
ルを、アンピシリン(0.1g/l)を補充したトリピアス血液寒天ベースプレ
ートにプレーティングする。プレートを、37℃で一晩インキュベートし、コロ
ニーの数を計測する。OD測定のために、サンプルを、A600nm値が0.2
〜0.8になるまで希釈する。A600nm=0.01よりも低い細胞含量につ
いては、生細胞数計測のみを実施する。106cfu/mlまでの細胞含量は、
OD測定の検出レベル以下であり、これは、視覚的に明らかな培養培地は1ml
あたり100,000細胞を含み得ることを示唆する(Hanssonら、上記
)。
【0188】ペリプラズムまたは細胞質におけるRNaseを発現している細胞における溶解
およびRNase消化 RNaseが、培養上清中に細胞外に蓄積し、細胞成分が細胞内(細胞質また
はペリプラズム)に蓄積する場合、産物および汚染RNAが、細胞外RNase
と接触するために細胞溶解が必要とされる。 ペリプラズムまたは細胞質でRNaseを発現している細胞は、Scopes
、上記またはLa Vallieら、上記に記載の方法に従って溶解できる。
【0189】残余RNAの決定 本発明は、実質的にRNAを含まない、細胞成分を産生する方法を考える。本
発明の方法に従って調製した細胞成分が実質的にRNAを含まないかを決定する
ために、以下のプロトコルを使用し得る。
【0190】DNAサンプル中のRNA 1.RNA検出のためのアガロースゲル電気泳動を基にした方法サンプル調製 各DNAサンプルは、最初に、約0.2μg/μlの濃度に希釈する。次いで
、サンプルを、2×添加緩衝液を用いて1:1比に混合し、最終濃度を約0.1
μg/μlとする。10×保存添加緩衝液は、0.1M Na2EDTA(pH
8.0)中、20%w/vグリセロール、1%w/vSDS、0.25%w/v
ブロモフェノールブルーである。RNA対照標準液は、DNAのサンプルを複製
するために、50μlのサンプル毎に、1μlの約1mg/mlのRNA保存溶
液を添加することにより調製する。10μlの各サンプルを、1kbラダーマー
カー(ライフテクノロジーリミテッド)のアリコートと共に、1%アガロースゲ
ル上で分析する。アガロースゲルを、50×保存溶液から作成した、1×TAE
緩衝液(40mMトリスアセテート、2mM EDTA)中で操作する。
【0191】電気泳動の標準液 電気泳動標準液を、以下の方法により調製できる。脱イオン水中1mg/ml
の濃度で、III型RNA(ベーカー酵母(シグマ))の溶液を調製する。次い
で、この溶液を、1:5に希釈し、0.2μg/μlの濃度にし、次いで、2×
添加緩衝液(上記のレシピ参照)で1:1に希釈し、〜0.1μg/μlの濃度
にする。10μlのこの溶液を、1μgのRNA標準液に対しゲル上に添加する
。以下の方法に従って調製したこの溶液の連続希釈液10μlをさらに添加する
【0192】 100μlの0.1μg/μlの上記保存溶液(添加緩衝液中)をチューブ1
に加える。チューブ1から50μlを取り出し、このサンプルを50μlの1×
添加緩衝液(チューブ2)に加える。ピペッティングにより十分に混合する。チ
ューブ2から50μlを取り出し、このサンプルを、50μkの1×添加緩衝液
(チューブ3)に加える。12個のチューブが調製されるまで標準溶液を希釈し
続ける。10μlの各標準溶液をアガロースゲル上に添加する。
【0193】 電気泳動条件 電圧:100V(制御) 電流:400mA(最大) 電力:100W(最大) 時間:30分間
【0194】結果の分析 ゲルを染色して、核酸を可視化し、254nmでUVトランスイルミネーター
上で写真を撮影した。
【0195】 RNAを検出するために、アガロース電気泳動後に、ゲルを臭化エチジウムま
たはsybrグリーンIIで染色する。RNAを、UV照明下で可視化する。臭
化エチジウムおよびsybrグリーンII染色の検出限界は、それぞれ、約3.
2%w/w(RNA/全核酸)および1.6%w/w(RNA/全核酸)である
【0196】臭化エチジウム ゲルを臭化エチジウム染色により可視化する場合、臭化エチジウムを最終濃度
0.5μg/mlでアガロースゲル、および0.5μg/mlの濃度で流す緩衝
液に加える。臭化エチジウムを、4℃で貯蔵した1mg/mlの保存溶液(10
0mlの滅菌水あたり1錠剤の臭化エチジウム−シグマロット35H0868)
から加える。
【0197】 検出限界は、どの標準希釈液がRNAの可視化が不可能であるかを観察するこ
とにより決定できる。次いで、先行標準液添加は、保存標準液添加(1μg)の
比率として表現する。RNAがサンプルトラックに全く観察されない場合、「X
%w/w以下」として結果を引用し、ここで、Xは、計算された感度である。バ
ンドが観察されれば、その強度を、標準液の強度と比較し、サンプルの結果が存
する2つの標準液の量の間の量として量を推定する。結果を、基準以下/以上で
引用する。この方法による、実質的にRNAを含まないサンプルは、3.2%w
/v以下であり、すなわちRNAは全く検出されない。
【0198】sybrグリーンII SYBRグリーンII溶液を調製するために、SYBRグリーンIIダイ(モ
レキュラープローブから)の保存溶液を、TBE緩衝液(89mMトリス塩基、
89mMホウ酸、1mM EDTA、pH8.0)で1:10,000で希釈す
る。この溶液を、アルミニウムホイルに包んだポリプロピレンチューブに4℃で
貯蔵できる。
【0199】 電気泳動後、ゲルを、上記のように調製したSYBRグリーンIIダイで30
分間4℃で暗闇中で染色する。
【0200】 どの標準希釈液がRNAが全く観察されないことに等しいかを観察することに
より、ゲルの感度を決定する。次いで、先行の標準液添加は、保存標準液添加(
1μg)の比率として表現する。RNAがサンプルトラックに全く観察されない
場合、「X%w/w以下」として結果を引用し、ここで、Xは、計算された感度
である。バンドが観察されれば、その強度を、標準液の強度と比較し、サンプル
の結果が存する2つの標準液の間を推定する。結果を、基準以下/以上で引用す
る。この方法による、実質的にRNAを含まないサンプルは、3.2%w/v以
下であり、好ましくは1.6%w/w以下である(すなわちRNAは全く検出さ
れない)。
【0201】臭化エチジウムまたはSybrグリーンで染色するための材料および方法 設備:ファルマシアバイオテック電気電力供給(または類似)アナケム電気泳
動単位(16サンプルウェル/2列最少)および254nmの照明を有するUV
トランスイルミネーター。
【0202】 2.ノザンブロット解析 電気泳動(RNA検出のためのアガロースゲル電気泳動を基にした方法と題し
た章に記載)の実験サンプルおよび標準液のノザンブロット解析を、現在のプロ
トコルに、上記に記載の方法に従って実施できる。残余RNAを検出するために
、臭化エチジウムをホルムアルデヒド/アガロースゲルに、最終濃度0.5μg
/mlで、および0.5μg/mlの濃度でMOPSの流す緩衝液に加える。ア
ガロース/ホルムアルデヒド電気泳動後、ゲルを、30分間、蒸留H2Oで濯ぐ
。次いで、RNAをUV照明下で可視化する。
【0203】 検出限界は、どの標準希釈液がRNAの可視化が不可能であるかを観察するこ
とにより決定できる。次いで、先行標準液添加は、保存標準液添加(1μg)の
比率として表現する。RNAがサンプルトラックに全く観察されない場合、「X
%w/w以下」として結果を引用し、ここで、Xは、計算された感度である。バ
ンドが観察されれば、その強度を、標準液の強度と比較し、サンプルの結果が存
する2つの標準液の量の間の量として量を推定する。結果を、基準以下/以上で
引用する。この方法による、実質的にRNAを含まないサンプルは、3.2%w
/v以下であり、すなわちRNAは全く検出されない。
【0204】 2.HPLCアッセイによるRNA検出 この方法に従って、残余RNAを、穏やかな塩基性条件下でその構成リボヌク
レオチドに加水分解する。リボヌクレオチドを、アルカリホスファターゼ酵素で
処理して、リボヌクレオシドを産生し、これは、逆相高速液体クロマトグラフィ
ー(RPHPLC)下で分解し得る。サンプル中に存在するDNAがアッセイを
妨害しないことを確かにするために、スピン濾過段階を実施して、分析前にサン
プルからDNAを除去する。
【0205】 RPHPLC条件を、この方法がピコモル領域、またはDNAまたはタンパク
質の全濃度の比率として表現する場合に約0.1%の検出限界を有するように感
度を最適化する。
【0206】 RPHPLC条件; 機器:ヒューレットパッカード1100HPLC系。または勾配溶出およびUV
領域での検出が可能な等価な系。 カラム:Supelcosil LC−18S 25cm* 2.1mm 5μ
m(または類似) 移動相:A=10mM NaH2PO4pH6.0(97.5%);メタノール(
2.5%) B=メタノール 勾配:30分間かけて0〜20%のB 操作時間:全部で45分間 流速:0.21ml/分 添加:5μl 検出:260nmのUV RPHPLC標準液調製
【0207】 標準液を調製するために、約15mgの各リボヌクレオシドを、50mlのメ
スフラスコに移す。リボヌクレオシドを溶かし、移動相Aの容量にもってくる。
200μlの各リボヌクレオシドを1.5mlエッペンドルフに合わせ、連続的
な2倍希釈を7回実施する。得られた溶液を、上記の条件を使用して直接クロマ
トグラフィーにかけることができる。グアノシン標準液は、溶解を補助するため
に加温および超音波処理を必要とし得る。以下のように各リボヌクレオシドの標
準液添加を計算する(リボヌクレオシドのRMMを使用し、結果はピコモルで引
用する)。
【0208】 (Wt(g)×0.2×1000×5×1)/(RMM×0.8×50×100
0000×27
【0209】 RPHPLCサンプル調製: 5μlの3M水酸化カリウム溶液を50μlのプラスミドDNAに添加するこ
とによりサンプルを調製する。例えば、サンプルは、注射用水(WFI)中2〜
3mg/mlのプラスミドDNAであり得る。溶液を簡潔にボルテックスで混合
し、次いで、37℃で最低16時間インキュベートする。次いで、等量の3M酢
酸および1Mトリス緩衝液(pH8)を加え;次いで、10μlの100U/m
lの細菌アルカリホスファターゼ(BAP)懸濁液を加える。次いで、得られた
溶液を簡潔にボルテックスで混合し、37℃でさらに2時間インキュベートする
。分析する直前に、サンプルを、10,000ダルトン(または適宜)で操作す
る分子量カットオフ膜を有するスピンフィルターに配置し、10分間13,00
0で遠心分離する。濾液を、上記の条件に従ってさらに処理することなくクロマ
トグラフィーにかける。
【0210】 結果: 結果を解釈するために、サンプルおよび標準クロマトグラムの、シチジン、ウ
リジン、グアノシンおよびアデノシン(ピークはこの順に溶出する)に対応する
ピークを積分する。次いで、サンプル中の各リボヌクレオチドの量を以下のよう
に計算する(ここで使用したRMMは、一リン酸リボヌクレオチドのものであり
、標準添加がピコモルで引用される場合、結果はナノグラムで与える)。この方
法の検出限界は約0.1%w/wである。この検出法に従って実質的にRNAを
含まないサンプルは、1.6%以下であり、好ましくは0.1〜0.5%w/w
以下である。
【0211】 (A×C×D×75)/(B×5) ここで、 A=ピコモルでの標準リボヌクレオシドの添加 B=標準リボヌクレオシドによるピーク下の面積 C=サンプルリボヌクレオシドによるピーク下の面積 D=リボヌクレオチド一リン酸のRMM
【0212】 各リボヌクレオチドで得られた結果を合計すると、全RNA含量が得られる。
最終結果は、質量として引用し、DNAまたはタンパク質含量(%w/w)の、
または溶液容量(%w/v)の比率として結果を引用するために使用され得る。
【0213】 2.タンパク質サンプル中のRNA 残余RNAは、アガロースゲル染色法(記載)または記載のHPLCアッセイ
によりタンパク質サンプル中で検出できる。この方法の検出限界は約0.1%w
/wである。この検出法により実質的にRNAを含まないサンプルは、3.2%
w/w以下、好ましくは1.6%以下、好ましくは0.1〜0.5%w/w以下
である。
【0214】 治療プラスミドDNAのRNA汚染の許容可能なレベルは、<1%w/wであ
る。治療タンパク質のRNA汚染の許容可能なレベルは<10ng/投与量であ
る。
【0215】細胞溶解液中のRNaseの量の決定 本発明の利点は、有意に少ないRNaseタンパク質が細胞溶解液中の実質的
に全てのRNA分子を除去するのに必要であり、従って、有意に少ないRNas
eタンパク質が溶解液中に存在する。
【0216】 細胞溶解液中に存在するRNaseタンパク質の量は、以下の方法により決定
され得る。
【0217】 RNaseIアッセイ RNaseIの3つの異なるアッセイを使用して、細胞抽出物中の酵素を推定
できる。アッセイAは、RNAから放出された酸可溶性紫外線吸収物質を測定す
る。アッセイBは、アッセイAよりも感度が高く、より特異的な修飾形である。 32 P標識RNAが基質であり、酸可溶性放射活性物質を測定する。アッセイCは
、リボソーム調製物においてRNaseIをアッセイする感度の高い方法である
。これは、尿素含有緩衝液に対して透析されたリボソームからの紫外線吸収物質
の放出を測定することからなる。全3つのアッセイにより、潜伏RNaseIが
判明する。なぜなら、AおよびBでは、EDTAは酵素の活性化をもたらし、C
では、尿素は活性化を引き起こすからである。ポリヌクレオチドホスホリラーゼ
およびRNaseIIは、EDTAおよび尿素により阻害され、RNAに対して
比較的不活性である。
【0218】 (i)アッセイA 0.1mlの反応混合物は、10μmolのリン酸カリウム緩衝液、および1
.0μmolのEDTA(これらは全てpH7.0に調整する)および酵素画分
を含む。37℃で40分間インキュベートした後、0.3mlの冷3%HClO 4 を加え、混合物を氷中で15分間冷却する。2000gで15分間冷やしなが
ら遠心分離した後、0.1mlの上清溶液を1.0mlの蒸留水に希釈し、OD 260 を決定する。全アッセイを二重に実施し、数値を酵素画分中の任意の酸可溶
性紫外線吸収物質について修正する。活性は、μμmolの酸可溶性ヌクレオチ
ド/反応混合物/時間として表現され、ヌクレオチドについてのモル吸光係数を
10,000と想定する(Gesteland、J.Mol.Biol.16:
67−84)。
【0219】 (ii)アッセイB 32P標識RNAを、アッセイAで反応混合物に加え、全基質濃度を一定に保つ
。RNAの最終比活性は、2000〜5000cts/分/0.1mgである。
Aと同様にインキュベート、沈殿および遠心分離後、0.2mlの上清溶液を取
り出し、5cmアルミニウムプランシェットに配置し、計測のために乾燥させる
。アッセイAと同様に、活性は、反応混合物のRNAの比活性に基づいたμμm
ol/時間として表現する(Gesteland、上記)。
【0220】 (iii)アッセイC ヴィスキング透析チュービング(8/22)を、20分間希Na3CO2中で煮
沸し、十分に蒸留水で洗浄し、0.1ml mM EDTAに貯蔵する。使用直
前に、チュービングを、再度蒸留水で洗浄する。全てのガラス容器を滅菌し、使
い捨てプラスチックグローブを、RNase汚染を最小限にするために、透析チ
ュービングの取扱に使用する。0.01M酢酸マグネシウム、0.005Mトリ
ス(pH7.5)中で3回洗浄した、1.0ml(30μmolのヌクレオチド
を含む)のリボソーム溶液を、100mlの4M尿素、0.005Mトリス(p
H7.5)、0.05M−KClに対して4℃で透析する。様々な時間に、透析
緩衝液のサンプルを取り出し、OD280を測定する。結果は、放出ヌクレオチド
のmμmol/分/元のリボソーム中のヌクレオチドのμmolとして表現する
(Gesteland、上記)。
【0221】 RNaseAアッセイ(全ての非特異的RNaseに適切) RNA寒天プレートに対する組換えRNase活性 2%(w/v)寒天(バクト−寒天)/100mM MES pH6.5 0.
3%(w/v)酵母RNAを含む溶液をオートクレーブにかけ、ペトリ皿に注ぐ
。丸い穴を滅菌コルク穴開け機を使用してRNA寒天中に作り、150μlの容
量の組換えまたは市販のRNase(0.1〜25μg)を適用する。プレート
を2〜4時間37℃でインキュベートする。RNase活性を可視化するために
、2M HClをプレート上に注ぐ。活性なRNaseが導入された場合には透
明なゾーンが穴の周辺にでき、加水分解されていないRNAは濁った沈殿物を形
成する(Tarragona−Fiolら、上記)。
【0222】 細胞溶解液中のRNaseの量はまた、RNaseによるシチジルイル−3’
,5’−アデノシンの加水分解速度を決定することにより測定できる。RNas
eによるCpAの加水分解は、室温で、1mlで1cm経路のキュベット(He
llma)中で実施できる。反応容量は1mlである。0.1トリスアセテート
pH6.5中0.1mM CpAを含む反応物は、RNaseを含む溶解液を添
加することにより開始される。CpAの加水分解を、A265nmの増加により、
0.1MトリスアセテートpH6.5および0.1mM CpAを含むブランク
に対して測定する(Tarragona−Fiolら、上記)。
【0223】 (実施例1)RNaseA処理なしの大腸菌DH5aからのpUC18基本大腸菌RNase
I発現プラスミドの小規模精製 RNaseI遺伝子を、プライマー 5’−GGTCCTGGGGTGATTATTTACGGCTGTGGC−3’
および 5’−GTTTAACTCACATGATGATACTGACTGTTG−3’
を用いたPCRによって大腸菌菌株DH1から増幅させ、そして記述されるとお
り、TAクローニングベクターpCR3.1(インビトロゲン・インク(Inv
itrogen Inc.))にクローニングさせた。
【0224】 RNaseIプレートアッセイでは、生じたベクターが、大腸菌TOP10F
(図3)およびDH5α(データは示されず)中にRNaseI遺伝子を過剰発
現することが示された。RNaseプレートアッセイを、以下の方法によって行
った。LB寒天(カナマイシンで30μg/mlに補足された)を、1.(頂部
左)TOP10Fクローン1(pCR3.1)、2.(頂部右)TOP10Fク
ローン2(pCR3.1RNaseI)、3.(中央左)TOP10Fクローン
3(pCR3.1RNaseI)、4.(中央右)TOP10Fクローン4(p
CR3.1)、5.(底部左)TOP10Fクローン5(pCR3.1RNas
eI)および6.(底部右)TOP10Fクローン6(pCR3.1RNase
I)の10μlの一夜培養物でスポット付けし、そして37℃で一夜インキュベ
ートした。以下の日数、プレートを、パン酵母RNA(11mMのEDTA中0
.3%)を含む6mlの軟質寒天で覆った。37℃で、4時間のインキュベーシ
ョン後、プレートを、10mlの1M HClを添加することによって展開させ
、そして写真を撮った。
【0225】 その後、RNaseI遺伝子を、その発現が、0.5mMの最終濃度までIP
TGを添加して増大されるようにIacZプロモーターの下流でpUC18にク
ローニングさせた。プレートアッセイでは、pUC18構築物から得られる発現
が、誘導に続くDH5α中のpCR3.1構築物からのものよりほんの僅かに高
いことが示された(図4)。LB寒天(50μg/mlでアンピシリンおよびI
PTG0.5mMで補足された)を、1.(頂部)DH5α(pCR3.1RN
aseI)および2.(底部)DH5α(pUC18RNaseI)培養物の一
夜培養物50μlでスポットをつけ、そして37℃で一夜インキュベートした。
以下の日数、プレートを、EDTA(11mM)中にパン酵母RNA(0.3%
)を含む軟質寒天6mlで被覆した。37℃で、4時間インキュベートした後、
1MのHCl 10mlを添加することによってプレートを展開させ、そして写
真を撮った。
【0226】 これらの構築物を含む菌株からアルカリ性溶解によってプラスミドを単離した
とき、過剰発現RNaseIは、これらのサンプルからRNAを除去することが
不可能である一方で、外因性ウシRNaseAを添加すると、複製サンプルから
RNAを除去できたことは明らかであった。プレートアッセイでは、RNase
Iが、十分な量で合成されないか、またはアルカリ性溶解手段(図5)に、そし
て特に、SDSおよび水酸化ナトリウムの存在下での変性化段階に敏感であるか
のいずれかであることが示唆された。
【0227】 パン酵母RNA(0.3%)、トリス緩衝液(10mM)およびEDTA(1
1mM)を含むLB寒天(1%)プレートを、以下のサンプルにかけた。
【0228】 1.(頂部左)DH5α(pUC18RNaseI)細胞を、TE緩衝液で再
懸濁させ、0.2MのNaOHおよび1%SDSを添加することによって溶解さ
せ、そして3M酢酸カリウムで中和させた。これらの細胞から得られる上清を、
遠心分離によって透明にし、そして60μlを、プレート中のウエルにかけた。
【0229】 2.(頂部右)DH5α(pUC18RNaseI)細胞を、TE緩衝液で再
懸濁させ、凍結および迅速な解凍の3回のサイクルによって溶解させた。これら
の細胞から得られる上清を、遠心分離によって透明にし、そして20μlを、プ
レート中のウエルにかけた。
【0230】 3.(底部左)DH5α(pUC18RNaseI)細胞を、TE緩衝液で再
懸濁させ、超音波処理で溶解させた。これらの細胞から得られる上清を、遠心分
離によって透明にし、そして20μlを、プレート中のウエルにかけた、そして
【0231】 4.(底部右)20μlのTE緩衝液中のウシRNaseA2μgを、プレー
ト中のウエルにかけた。そのプレートを、37℃で、4時間インキュベートし、
そしてその後、10mlの1M HClを添加することによって展開させ、その
後写真を撮った。
【0232】 RNaseI発現菌株から得られる組換えプラスミドDNAの小規模精製のた
めのプロトコールは、延長したインキュベーション期間(Birnboimおよ
びDoly、1979年)を含むように修正した場合、過剰発現したRNase
Iは、プラスミドDNAの調製から得られるRNAが混入している部分を取除い
た(図6)。
【0233】 特に、アルカリ性溶解手段は、インキュベーション、続いて中和段階、または
続いて超音波処理/凍結解凍による、そして水酸化ナトリウムおよびSDSでの
変性の前のRNaseIの放出を含めて修正された。このインキュベーション期
間じゅう、RNAを、発現RNaseによって消化させた。
【0234】 図6は、記述されるとおり調製された5μlの以下のサンプルにかけた臭化エ
チジウムで染色した0.8%アガロースゲルである。
【0235】 レーン1.DNA断片サイズマーカー1BstEII; レーン2.DH5α(pUC18)細胞を、TE緩衝液で再懸濁させ、0.2
MのNaOHおよび1%SDSを添加することによって溶解させ、3M酢酸カリ
ウムで中和し、そして氷上で2時間インキュベートさせた。上清を、遠心分離に
よって透明にし、エタノール沈降させ、そして20μlのTE緩衝液で再懸濁さ
せる。
【0236】 レーン3.DH5α(pUC18)細胞を、TE緩衝液で再懸濁させ、凍結お
よび迅速な解凍の3回のサイクルにより溶解させ、そして氷上で2時間インキュ
ベートさせた。その後、サンプルを、0.2MのNaOHおよび1%SDSで処
理し、3M酢酸カリウムにより中和し、そして遠心分離によって透明にした。D
NAを、エタノール沈降させ、そして20μlのTE緩衝液で再懸濁させ、 レーン4.DH5α(pUC18)細胞を、TE緩衝液で再懸濁させ、そして
超音波処理によって溶解させた。氷上で2時間インキュベートさせた後、サンプ
ルを、0.2MのNaOHおよび1%SDSで処理し、3M酢酸カリウムにより
中和し、そして遠心分離によって透明にした。DNAを、エタノール沈降させ、
そして20μlのTE緩衝液で再懸濁させ、 レーン5.空、 レーン6.DH5α(pUC18RNaseI)細胞を、TE緩衝液で再懸濁
させ、そして0.2MのNaOHおよび1%SDSを添加することによって溶解
させ、そして3M酢酸カリウムにより中和し、氷上で2時間インキュベートさせ
た。上清を、遠心分離によって透明にし、エタノール沈降させ、そして20μl
のTE緩衝液で再懸濁させた。
【0237】 レーン7.DH5α(pUC18RNaseI)細胞を、TE緩衝液で再懸濁
させ、凍結および迅速な解凍の3回のサイクルにより溶解させ、氷上で2時間イ
ンキュベートさせた。その後、サンプルを、0.2MのNaOHおよび1%SD
Sで処理し、3M酢酸カリウムにより中和し、そして遠心分離によって透明にし
た。DNAをエタノール沈降させ、そして20μlのTE緩衝液で再懸濁させた
【0238】 レーン8.DH5α(pUC18RNaseI)細胞を、TE緩衝液で再懸濁
させ、超音波処理により溶解させた。氷上で2時間インキュベートさせた後、サ
ンプルを、0.2MのNaOHおよび1%SDSで処理し、3M酢酸カリウムに
より中和し、そして遠心分離によって透明にした。DNAをエタノール沈降させ
、そして20μlのTE緩衝液で再懸濁させた。
【0239】 (実施例II)プラスミドpUC19tetおよびタンパク質の産生についての大腸菌DH1R
NaseA(構築的に発現するRNaseA)の使用 RNaseA遺伝子を、構築的に活性なグリコキナーゼ・プロモーターの制御
下でクローニングさせ、そして中間体プラスミド(RNaseA遺伝子の染色体
への組込みと題されるセクションで記載されるとおり)としてpN1を使用して
、大腸菌宿主菌株DH1の染色体に挿入することができる。RNaseAタンパ
ク質は、その内在性リーダー配列によって周辺に向けられる。
【0240】 組換えDNAまたはタンパク質の精製と題されるセクションで上で記述される
とおり、目的のプラスミド(例えば、国際公開番号第97/29190号に記述
されるpUC19tetΔAmpまたはpTX0161)で形質転換された、構
築的に発現されたグリコキナーゼ・プロモーターの制御下で染色体RNaseA
遺伝子も発現し、育成し、そしてアルカリ性溶解により溶解させた、DH1RN
aseA大腸菌細胞中でのプラスミド産生を、国際公開番号第第97/2919
0号に記述される方法によって行う。溶解プロトコールを修正し、その結果、そ
の方法は、サンプルが、外因で付加したRNaseAと一緒にインキュベートさ
れるが、しかしその代わりに、その同一生物で産生される組換えRNaseAと
インキュベートする段階を含まない。
【0241】 DH1RNaseA大腸菌細胞を、発現ベクターpTRCHis(インビトロ
ゲン)内に枠内でクローニングされたインフルエンザ核内タンパク質(NP)の
ための遺伝子を含むプラスミドで形質転換させる。Hornら、上記文献の方法
によって、組換えDNAまたはタンパク質の精製と題されるセクションで上に記
述されるとおり、細胞を培養できる。細胞を、インフルエンザウイルス核内タン
パク質(NP)を構築的に合成する。本発明によって、細胞は、細胞ホモジナイ
ザーを使用して溶解させ、そして実質的にRNA不含の組換えタンパク質を産生
するのに十分な長さの時間、インキュベートする。残余RNAの存在は、残余R
NAの検出と題されるセクションで記述される方法によって検出される。NPタ
ンパク質を、以下の方法によって精製する。
【0242】抽出および精製 遠心分離によって細胞を回収し、1%溶解緩衝液(50mM NaPO4、1
M NaCl、0.5%サルコシル)に再懸濁させ、そして−80℃で凍結させ
る。細胞を、プロテアーゼ阻害剤(ベーリンガー・マンハイム社の完全EDTA
不含プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤、1錠/50mlの細胞再懸濁液)の存在
下で氷上で凍解させる。DNエースIを5mg/mlの最終濃度まで添加する。
コンスタント・システムズ・リミテッドのホモジナイザーでの単回通過を用いて
、30Kpsiで均質化させることによって細胞ペレットを溶解させた。選択的
均質化方法は、上記文献の範囲で見ることができる。溶解液を、10,000g
で遠心分離にかけて、細胞破砕物を除去する。サルコシルを最終濃度0.5%ま
で添加して、タンパク質安定性および内毒素除去を助ける。50%Ni−NTA
アガロース(キアゲン・インク)60mlを添加することに続いて、溶解液を、
4℃で、1時間インキュベートして、タンパク質のバッチ結合を起させうる。
【0243】 塊状の溶解液を、200gで遠心分離することによって樹脂から除去する。樹
脂を、残りの溶解液中で再懸濁させ、そしてファルマシアXK26カラムを注ぐ
のに使用する。カラムを400ml洗浄用緩衝液(50mM NaPO4、1M
NaCl、0.5%サルコシル、20mM イミダゾール、10%グリセロー
ル)で洗浄する。洗浄用緩衝液中の0%から22%の0.5Mイミダゾールの勾
配を用いて、混入物を溶出させる。フラクションコレクターを用いて、洗浄用緩
衝液中の100%から0.5%イミダゾールの段階勾配で組換えNP(rNP)
を溶出させる。
【0244】 SDS−PAGEによって適切な分画を分析して、rNPの存在を確認する。
最高濃度のrNPを含む分画を貯蔵する(プール1)。さらに、最小濃度のrN
Pを含む分画を貯蔵する(プール2)。
【0245】 貯蔵されたrNPを、25mMヘペス、0.5%サルコシル中で透析する。バ
イオラッド(BIORAD)のタンパク質アッセイを用いて、タンパク質濃度を
測定する。KQCLアッセイ(バイオホワイトテイカー(Biowhittak
er))によって、残余内毒素の存在を測定する。残余RNAの測定と題される
セクションに記述される方法によって、残余RNAの存在を測定する。
【0246】 (実施例III)プラスミドpUC18およびタンパク質の生成のための大腸菌DH1RNase
A(誘導性および周辺性)の使用 上に記述される方法によって、RNaseA遺伝子を、誘導性lacプロモー
ターの制御下でクローニングさせ、そして中間体プラスミドとしてpN1を使用
して、DH1の染色体に安定に組込むことができる。RNaseは、その内在性
リーダー配列によって周辺に向けられる。
【0247】 その後、国際公開番号第97/29190号に記述される方法にしたがって、
組換えDNAまたはタンパク質の精製と題されるセクションで上に記述される方
法にしたがって、育成された、精製されるべきプラスミドベクター(例えば、p
UC19tetΔAmpまたはpTX0161)で大腸菌細胞を形質転換させる
。発酵の終了前に、0.5mMのIPTGを添加することによって、RNase
A産生を誘導する。実施例IIで記述される修正アルカリ溶解手段、および国際
公開番号第97/29190号に記述される手段によって精製されたプラスミド
によって、細胞を溶解させる。
【0248】 大腸菌細胞を、発現ベクターpTRCHis(インビトロゲン)に枠内でクロ
ーニングされたNP遺伝子を含むベクターで形質転換させ、そして国際公開番号
第97/29190号に記述される方法にしたがって、組換えDNAまたはタン
パク質の精製と題されるセクションで上に記述されるとおり培養することができ
る。細胞を誘導して、上に記述されるとおり0.5mMのIPTGを添加するこ
とによってRNaseおよびNPタンパク質を同時に合成し、細胞ホモジナイザ
ーを用いて溶解させ、そして10から60分間インキュベートして、RNAを除
去することができる。上に記述される方法(実施例IIおよび上記文献、スコー
プス)によって、NPタンパク質を精製する。
【0249】 (実施例IV)プラスミドおよびタンパク質の産生のための大腸菌BL21(DE3)RNas
eA(誘導性および周辺性)の使用 上に記述の方法にしたがって、RNaseA遺伝子を、誘導性T7プロモータ
ーの制御下でクローニングし、中間体プラスミドとしてpN1を使用して、BL
21(DE3)の染色体に安定に組込ませることができる。RNaseAタンパ
ク質は、その内在性リーダー配列によって周辺に向けられる。
【0250】 目的の、そしてT7プロモーターの制御下でRNaseA遺伝子を含む染色体
発現カセットBL21(DE3)RNaseAを担持するプラスミド(例えば、
pUC19tetΔAmpまたはpTX0161)で形質転換させた大腸菌細胞
を、LB培地中で振蘯フラスコ内で育成させることができる。RNaseA産生
は、以下の実施例Vで記述されるとおり、または誘導性プロモーターシステムと
題されるセクションに記述される方法にしたがって誘導される。実施例IIに記
述される修正アルカリ溶解手段、および国際公開番号第97/29190号に記
述されるとおり精製されたプラスミドによって、細胞を溶解させる。
【0251】 大腸菌細胞BL21(DE3)RNaseAを、発現ベクターpET(T7プ
ロモーターの制御下で)中に枠内でクローニングされたNP−遺伝子を含むベク
ターで形質転換させることができる。このベクターを、pTX030と呼ばれ、
そして下に実施例Vで記述される。そのベクターは、下に記述のとおり培養させ
る。細胞を誘導して、下に記述のとおりNPを合成し、細胞ホモジナイザーを使
用して溶解させ、そして10から60分間インキュベートして、RNAを除去で
きる。NPタンパク質を、上に記述される方法(実施例IIおよび上記文献、ス
コープス)にしたがって精製する。
【0252】 (実施例V)大腸菌BL21(DE3)RNaseAでのRNA不含インフルエンザウイルス
核内タンパク質産生 P1形質導入段階でBL21(DE3)RNaseAを生成する標的株BL2
1(DE3)を使用して、大腸菌BL2(DE3)RNaseAを、DH1RN
aseAの産生について記述される方法にしたがって産生できる。
【0253】 ベクターBL21(DE3)RNaseAを含有する大腸菌細胞を、pTX0
330で形質転換させ、そしてカナマイシン(LBkan)(30mg/L)で
補足したLB寒天に被せる。pTX0330は、NPコーディング配列をpET
−28a(+)(ノブゲン・インク.(Novgen Inc.))にクローニ
ングすることによって生成される、6個のN−末端ヒスチジン残基でタグ付けさ
れた「流感」NPタンパク質のT7ポリメラーゼ・プロモーターで駆動される発
現についてのベクターである。N末端タグは、金属キレートクロマトグラフィー
によってNPの精製を可能にする。PTX0330は、カナマイシン耐性遺伝子
kanを担持する。
【0254】 単独コロニーを使用して、30μg/mlカナマイシン(LB kan)で補
足された25mlのLBに接種し、そして生じた培養物を、200rpmで37
℃で一夜育成する。この培養物のアリコート量を使用して、200mlのLBK
anを接種する。この予備培養物を、1単位のOD600nmまで生育させる。
6つの1.5Lアリコート量のLBKanに、この200ml予備培養物の内の
30mlを接種する。5時間、0.5mMのIPTG(最終濃度)を添加するこ
とによって、タンパク質発現を誘導する。その後、遠心分離によって細胞を回収
し、1%溶解緩衝液(50mMのNaPO4、1MのNaCl、0.5%サルコ
シル)で再懸濁させ、そして−80℃で凍結させる。
【0255】抽出および精製 細胞を、プロテアーゼ阻害剤(ベーリンガー・マンハイム社の完全EDTA不
含プロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤、1錠/50mlの細胞再懸濁液)の存在下
、氷上で解凍させる。DNエースIを5mg/mlの最終濃度まで添加する。コ
ンスタント・システムズ・リミテッドのホモジナイザーでの単回通過を使用した
30Kpsiでの均質化によって細胞ペレットを溶解させる。代替的均質化法は
、上記文献のスコープスに見ることができる。溶解液を、10,000gで遠心
分離にかけて、細胞破砕物を除去する。サルコシルを0.5%の最終濃度まで添
加して、タンパク質安定性および内毒素除去を助ける。60mlの50%Ni−
NTAアガロース(キアゲン・インク.)を添加することに続いて、溶解液を、
1時間、4℃でインキュベートして、タンパク質のバッチ結合を起させる。
【0256】 塊状の溶解液を、200gでの遠心分離により樹脂から取除く。樹脂を、残余
溶解液に再懸濁させ、そしてファルマシアXK26カラムに注ぐのに使用する。
そのカラムを、400ml洗浄用緩衝液(50mM NaPO4、1M NaC
l、0.5%サルコシル、20mM イミダゾール、10%グリセロール)で洗
浄する。洗浄用緩衝液中の0%から22%の0.5Mイミダゾールの勾配を用い
て、混入物を溶出させる。フラクションコレクターを用いて、洗浄用緩衝液中の
100%から0.5%イミダゾールの段階勾配で組換えNP(rNP)を溶出さ
せる。
【0257】 SDS−PAGEによって適切な分画を分析して、rNPの存在を確認する。
最高濃度のrNPを含む分画を貯蔵する(プール1)。さらに、最小濃度のrN
Pを含む分画を貯蔵する(プール2)。
【0258】 貯蔵したrNPを、25mMヘペス、0.5%サルコシル中で透析する。バイ
オラッドのタンパク質アッセイを用いて、タンパク質濃度を測定する。KQCL
アッセイ(バイオホワイトテイカー)によって、残余内毒素の存在を測定する。
残余RNAの測定と題されるセクションに記述される方法によって、残余RNA
の存在を測定する。
【0259】 (実施例VI)大腸菌から得られるpQR163の産生および単離 (a)細菌、プラスミドおよび培地 エッシェリキア・コリ株JM107を、ウシ脾臓RNase発現の研究用のプ
ラスミド宿主として使用した。対照ベクターとしては、pUC18、pBR32
2、pKK223.3(ベクターは、RNase遺伝子を含有しない)およびp
QR162(2つのシストロン断片を含むが、誤った方向である)が挙げられる
【0260】 栄養寒天(2%(w/v)細菌学上の寒天で固化させたオキソイド栄養ブロス
)または栄養ブロス(オキソイド)のいずれかで一夜、育成を行った。プラスミ
ドレベルを維持するために、毎週、プレートを予備培養し、それによりグリセロ
ール・ストックから最初に培養した。新たなプレートから得られる単独コロニー
を使用して、出発培地に接種した。30℃で、RNaseを産生する細胞の育成
を行い、そして対照を37℃で育成した。
【0261】 (b)IPTGを用いたpQR163細胞の誘導 プラスミドpQR163で形質転換された大腸菌株JM107細胞(図7)を
、4〜5時間、28℃で100μgAp/mlを含有する200mlの栄養ブロ
スで育成した。1mlのアリコート量を取り、そして550nmでの吸光度読取
によって成長を評価した。いったん、指数的段階(およそ0.600OD550
にあると決定されると、IPTGを、0.5mMの最終濃度まで添加した。一夜
成長を継続し、そしてその後、細胞を回収した。
【0262】 (c)プラスミド単離 BirnboimおよびDoly法(1979年)に基づいてキアゲン・キッ
トを使用して、小規模プラスミド単離を行った。サンプルを2つの群に等量に分
割した。1つの群の回転沈降ペレットを、RNaseを含有する緩衝液に再懸濁
させ、そして他方は、RNaseを含まない緩衝液に再懸濁させた。調製段階の
サンプルを取り、そして未消化およびEcoRI消化したDNAサンプルと一緒
に、1%アガロースゲル(1MのTE緩衝液、EtBr0.5μgml-1)にか
けた。
【0263】 (d)pQR163およびpKK223.3RNA濃度の定量 コンピューター・ソフトウエアー・パッケージを用いて、中程度の規模の調製
用ゲルを分析した。λPstIおよびλHindIIIマーカーの相対的強度お
よび濃度を使用して、pKK223.3(対照)およびpQR163の透明溶解
液およびフロー段階でのRNAの相対的強度および濃度を測定した。
【0264】結果 (a)ミニ調製 プラスミドpKK223.3、pQR163、pQR162、pUC18およ
びpBR322を、全て精製し、そしてフロー、2回の洗浄および溶出段階を維
持した。その後、精製プラスミドDNAを、EcoRIで消化し、そして図8に
見られるとおり1%アガロースゲルに掛けた。DNAサンプルに見られる2つの
バンドの最も遠くまで移動するのは、スーパーコイルプラスミドであり、そして
他方は、プラスミドの開放環状形態である。EcoRIでの消化で、線状バンド
が見られ、それにより、プラスミドが、制限酵素のための部位を含むことが示さ
れている。pQR162およびpKK223.3は、追加のバンドを示す。pQ
R162は、二量体形態のプラスミドを含むのに対して、pKK223.3の場
合には、染色体DNAを、その方法の溶解段階で共有するため、カラムに掛ける
ことができた。pQR162で消化したレーンでの汚れは、おそらく、外来DN
A流入か、またはゲルに組込まれるためである。その後、ミニ・プラスミド調製
の段階も、ゲルにかけた(図9参照)。比較では、再懸濁緩衝液中のRNase
の存在または不在は、pKK223.3のためのゲル上に見られるRNAの量に
明確な影響を及ぼすことが明らかに分かることができる。しかし、pQR163
における影響は、緩衝液中のRNaseなしのサンプルに存在するRNAの量で
僅かな増加をしながらも、ただほんのわずかである。両方のプラスミド調製では
、RNAの主要部は、カラムの第一の洗浄段階によって除去される。
【0265】 (b)ミニ調製 その後、対照プラスミドpKK223.3およびpQR16 3を使用してミ
ニ調製を行った。接種後、4〜5時間、振蘯フラスコ内にある200mlの培地
中で細胞を育成した。Abs550nmで分光光度計を用いて成長を監視した(図
10)。
【0266】 pKK223.3およびpQR163の両方を、tacプロモーターによって
制御し、それで、IPTGで誘導することができる。この成長曲線は、2つのプ
ラスミド中での密接に相互に関連した成長を示し、そして成長が指数期に近づい
ているときを示す。これが、大量死が起こる前に最大細胞容量がある所である場
合、それは、培養物が指数期で誘導されるのに有益である。
【0267】 誘導に続いて、培養物を一夜育成し、そしてその後、ミニ調製法(キノゲン)
を使用して、プラスミドを単離した。さらに、サンプルを、再懸濁緩衝液中にR
Naseを有するもの、および有しないものに分割し、そして消化および未消化
DNAを、1%アガロースゲルに掛けた(図11)。
【0268】 pKK223.3およびpQR163の両方は、スーパーコイル化および開放
環状プラスミドバンドを示している。他のバンドの存在は、レーン3、5、7お
よび9に見られるとおりモノマーおよびダイマー形態のプラスミドの存在を示す
。さらに、染色体DNAの存在を示す多くのバンドがあり、そしてそれは、溶解
の時間を超過することによるか、または溶解段階の間荒っぽく混合することによ
り引起され得た。DNAのこれらの形態全ては、EcoRIで消化させたときに
直線状になるように見える。RNAが、カラムによって除去されたときに、RN
aseを用いるか、またはなしの調製のこの段階で、見られるRNAはない。し
かし、それは、他の混入物除去のためのカラムの効力に影響を及ぼす。その後、
透明にした溶解液、洗浄、フローおよび溶出段階のDNAを、1%アガロースゲ
ルに掛けた(図12)。
【0269】 pQR163が、pKK223.3のものよりわずかに少ない程度のRNAを
有しながら、RNA濃度は、透明にした溶解およびフロー段階でRNaseを含
む緩衝液を有する両方のプラスミドでほんのわずかに高いことが分かる。しかし
、なんらRNAが、再懸濁緩衝液に添加されていないサンプルでは、pKK22
3.3が、RNase産生プラスミドpQR163のものよりいっそう多い量の
RNAを有することが明らかに分かる。実際は、pQR163は、別のRNas
eが存在するサンプルのものよりほんのわずかに多いRNAを含む。RNAは、
最初の2つのプラスミド単離段階に存在し、透明化溶解液およびフローサンプル
のものであることのみが分かった。
【0270】 c)コンピューター分析 コンピューター・ソフトウエアーは、第二の三重線λPstIバンド(14.
32kb)と比較する上でRNAの濃度を定量するために、追加のRNaseな
しのRNAバンドの強度に関連して使用された。しかし、pQR163バンドは
、厳密に正確な分析が行われ得た前に、拡散した。したがって、pQR163バ
ンドのバンド強度は、写真の使用による強度に関連した。取られた透明化溶解液
段階は、マーカー強度の3分の2であり、そしてフロー段階は、3分の1である
。強度において莫大な差異のため、明確な写真記録を生じるために、強度を記録
した(図13)。
【0271】 RNAバンドは、フロー段階より透明化溶解液で両方のプラスミドに強度が高
いことを示した。pKK223.3は、RNAが、RNase遺伝子を含有する
プラスミドによって分解されるべきであることを示すpQR163に見られるも
のより平均64倍(CL=58、F=70)大きいRNA結合の強度を示すこと
が分かった。
【0272】 その後、マーカーのバンド濃度を、測定し、そしてRNAバンド濃度を分析す
るのに使用した(図14)。
【0273】 RNAバンド濃度は、pKK223.3については224.0ng・μl-1
CL)および147.40ng・μl-1(F)であり、そしてpQR163につ
いては4.21ng・μl-1(CL)および2.11ng・μl-1(F)である
ことが決定された。これは、pQR163でのRNase遺伝子は、RNase
を十分に発現していることを示す。
【0274】検討 プラスミド単離物は、スーパーコイル化し、そして開放環状種のプラスミドD
NAを一定して産生し(図8、9、10、11および12)、それにより、技術
の効力が示された。移動したスーパーコイル化形態は、さらに、分子の極度の小
型化のためであるのに対して、開放環状形態は、プラスミドを複製するときに見
られる。しかし、ある種の場合では、プラスミドおよび染色体DNAの単量体お
よび二量体のような他のバンド化パターンが見られた(図8および12)。制限
消化を使用して染色体DNAから多量体形態を区別できる。多くの形態を示すプ
ラスミドは、1つの定義されたバンドへの消化で線状になる(図8)。ゲノムD
NAは、消化に続いて線状にならず、そしてゲルに汚れが観察される(図12)
。染色体DNAは、荷電により溶解および中和段階の間に産生されうる。
【0275】 追加のRNaseの不在下でのRNAバンド強度の分析(図13および14)
は、pKK233.3が、pQR163で見られるものより、透明な溶解および
フロー段階についておよそ58および70倍大きな強度のバンドを示すことを表
した。これは、それぞれ、透明な溶液およびフロー段階についておよそ220n
gμl-1および145ngμl-1のバンド濃度における差異であると計算される
。しかし、pQR163バンドのRNAの強度を測定する視覚的指針を使用する
ことは、不確実である可能性があり、したがって、適切な値を重要視する。しか
し、一般のバンド差異が明らかに見られ(図12)、したがって、pQR163
が、有効な濃度のRNaseを産生していることが示される。実際に、RNas
eを有するか、または有しないpQR163サンプルの間にバンド差異はほとん
ど見られないのに対して、RNase遺伝子を有しないベクターpKK223.
3は、際立ったRNA差異を示す(図9および12)。将来、コンピューターバ
ンド分析の別の定量法を使用し、そしてバンド強度は、マーカーバンドよりむし
ろ市販のRNAサンプルの既知濃度に関連する。
【0276】 ここで使用される小規模プラスミド単離は、3つの基本的段階から構成される
。すなわち、(i)細菌溶解液の調製および透明化、(ii)カラム膜上へのD
NAの吸着、および(iii)プラスミドDNAの洗浄および溶出である。カラ
ムでは、高塩緩衝液条件下でプラスミドDNAを選択的に吸着し、そして低塩緩
衝液で溶出するシリカゲル膜(キアゲン)が使用される。RNAは、プラスミド
単離手段の透明な溶解液およびフロー段階に存在することが分かった(図9およ
び12)。継続段階には、選択的に吸着されない場合、RNA、細胞タンパク質
および代謝物のような混入物を除去する、カラムの洗浄のため、RNAは現れな
かった。しかし、そのカラムは、「最適化緩衝液」(キアゲン)、すなわち、R
NaseAを含有するものを使用するときに使いやすいとのみ記述される。した
がって、再懸濁緩衝液中にRNaseの添加をしないサンプルが、pKK223
.3サンプル中で高い濃度のRNAを産生したが、さらに、結合部位についてD
NAと競合することによって、クロマトグラフィー段階の有効性を減少させる可
能性もある。
【0277】 したがって、RNase産生のための遺伝子を含むプラスミドを使用すること
は、別々のRNase添加の必要性を回避し、なお、カラム分離の有効性は、さ
らに維持される。したがって、安全な医薬グレードの純粋なプラスミド産物は、
本発明の方法を使用して単離することができる。
【0278】 (実施例VII)RNaseAの染色体挿入物のための攻略法 この攻略法は、RNase遺伝子を、宿主株の染色体に挿入するための選択的
攻略法であり、そして、大腸菌宿主株の染色体へのRNase遺伝子の組込みと
題される先のセクションに記述されるものに加えてである。
【0279】 pQR163から得られるtrc−RNaseA融合物を、BamHI断片(
775bp)として削り、そしてDNAポリメラーゼIのクレノー断片で満たし
た5‘’オーバーハングによって平滑末端にした。プラスミドpN1D274E
kanIを、BbsIで切断し、そして8651bp線状プラスミドを残してl
aclqsコーディング配列のほとんどを含む領域を除去した。これを、5‘’オ
ーバーハング充填によって平滑末端にさせ、そして仔ウシ腸アルカリホスファタ
ーゼ(CIAP)を使用して脱リン酸化されて、挿入物の不在下で再循環(リサ
ークラリゼーション)を予防した。3’を充填することは、クレノーポリメラー
ゼでDNA断片末端を凹ませ、そしてCIAPでの脱リン酸化を、米国マサチュ
ーセッツ州ビバリー、トーザー・ロード32のニュー・イングランド・バイオラ
ボズ・インク.のザ・ニューイングランド・バイオラボズのカタログ(1998
/1999)に記述されるとおり行った。trc−RNaseA融合体を含む平
滑BamHI断片を、pN1D274Ekanlにライゲートさせて、挿入プラ
スミドpRNaseAを形成する。pRNaseAの構築は、図15に例示され
る。
【0280】 カルシウム競合株JM107細胞(endA1、thi、gyrA96、hs
dR17(rk -、mk +)、relA1、supE44、Δ(lac−proAB
)、[F‘’traD36、proAB、lacI9ZΔM15])を、プラス
ミドpTP223で形質転換させて、それにより12μg μl-1テトラサイク
リン(Tet)を含有するLB寒天プレート上で形質転換体が選択された。pT
P223は、tetおよびλred組換え機能betおよびexo、およびRe
cBCD阻害λgam(Murphy,J.Bacteriol.180巻、2
063−2071頁、1997年)を含む。RecA+株は、このシステムを使
用すると組換え効率が高いので選択される。カルシウム競合株細胞を調製し、そ
して形質転換は、Ausubelら(分子生物学における最近のプロトコール、
上記文献)に記述のとおりに行われた。
【0281】 AatII、NdeI、SacIおよびXmnIのような、pUC18骨格で
のみ切断する酵素を使用して、pRNaseAを線状にさせる。カルシウム競合
株JM107(pTP223)を調製し、そして線状pRNaseAで形質転換
させて、それにより50μg μl-1カナマイシンを含むLB寒天プレート上で
組換え体が選択される。生じる株は、JMRNaseAと称される。
【0282】 プレートアッセイおよびアガロースゲル電気泳動によってRNaseA活性に
ついて試験するために、JMRNaseA(pTP223)およびJM107(
pTP223)(陰性対照)を、Tetを有するLBブロス中で中期指数期まで
育成し、そして回収の前に2時間、0.5mM IPTGを添加することによっ
て誘導する。対照は、IPTGの添加なしに行う。RNaseプレートアッセイ
を、以下のとおり行う。Tetを有するLB寒天プレート上で、10μlのH2
O中の0.1μgの市販のRNaseAと一緒に10μlの各培養液をそこにス
ポット付けする。これを、一夜37℃でインキュベートし、その後、11.0m
MのEDTA中の0.3%(w/v)パン酵母を含む6.0ml軟質寒天を被せ
、そしてさらに4時間インキュベートする。その後、10mlの1.0M HC
lを添加することによってプレートを展開させ、そして写真を撮った。予測され
る結果は、表1に示される。アガロースゲル電気泳動については、キアゲンのミ
ニ調製を、細胞再懸濁緩衝液(100μg ml-1)にRNaseAを添加する
ことを伴うか、または伴わない、培養基(製造者のプロトコールにしたがって)
で行う。その後、5μlの各プラスミド調製品を、0.8%アガロースゲルにか
け、そして電気泳動を、5V cm-1で行う。そのゲルを、Sybr緑染料で後
染色し、そして545nmでのモレキュラー・ダイナミックス・フルオイメージ
ャーで可視化させて、RNAを検出する。予測される結果は、表2に要約される
【0283】
【表1】
【0284】
【表2】
【0285】 (実施例VIII)周辺に配置されたRNaseAの活性を示す2つのプラスミド・システムの使用
治療用プラスミドpTX0161を、癌の化学療法、遺伝子特異的酵素プロド
ラッグ療法の形態として使用して、影響された細胞中のDNAの架橋を促進する
。これは、プロドラッグCB1954(Drabek,D.、Guy,J.、C
raig,R.およびGrosveld,F.、トランスジェニックマウスでの
細菌性ニトロリダクターゼの発現は、プロドラッグCB1954による特異的細
胞死滅を起す、Gene Therapy、4巻、93−100頁、1997年
)による大腸菌Bニトロリダクターゼ酵素の活性化によって達成される。pTX
0161(ColEI ori)を担持する菌株でRNase活性を試験するた
めに、低コピー数のプラスミドpQR163から得られるRNaseA遺伝子(
ColEI oriも)を、適合性のある起点を有する別のプラスミドに主にp
MMB66EHをクローニングする。PMMB66EHは、アンピシリン耐性を
供与する8.8kb低コピー数プラスミドである。このベクターから生じるRN
aseA活性の発現は、宿主細胞のゲノムへの組込み前に、コピー数を減らせる
効果の決定を可能にする。RNaseA遺伝子をpMMB66EHにクローニン
グさせるための攻略法は、図19に示され、そして以下のとおり記述される。
【0286】 1.EcoRIでの消化を介してpQR163から生じる、生来のシグナル配列
を含めたRNaseA ORFを得て、<500bpの断片を得る。 2.分離用1%アガロースゲルを介してRNaseA断片を単離する。 3.PMMB66EHを、EcoRIで消化し、そして続いて、仔ウシ腸のアル
カリ性ホスファターゼで処理することによって5’ホスフェートを除去する。 4.EcoRI断片のRNaseA遺伝子の、EcoRIで線状にしたpMMB
66EHへのライゲーション。 5.構築物での競合体大腸菌JM107の形質転換、およびアンピシリンを含む
栄養寒天プレート上で形質転換体の選択。 6.EcoRIで消化された形質転換体コロニーから育成される培養物からDN
Aをミニ調製することによって、正しいクローンをスクリーニングして、挿入物
およびPstIの存在を確認して、配向性を決定する。 7.酵母RNAを含む平衡栄養寒天(0.1MトリスCl、pH7.0)上に形
質転換体を再度載せることによって、挿入物の正しい配向性および発現を確認す
る。RNase活性は、2M HClをそのプレートに添加し、続いて一夜育成
することによって検出することができる。RNase活性を発現するコロニーを
囲んで透明な領域が存在する一方で、RNAの領域は、HClを添加した後、白
色沈殿物を産生する。
【0287】 しかし、pQR163およびpTX0161の両方が、異なる抗生物質耐性遺
伝子(pQR163は、ampを有し、pTX0161は、tetを有する)を
担持したときに、両方が、複製の起点から由来するColEIを含有するという
事実の代わりに、培地が、アンピシリンおよびテトラサイクリンで補足された場
合に同じ細胞中のpQR163およびpTX0161を維持することが可能であ
った。
【0288】 pQR163を、カルシウム競合体DH1(pTX0161)に形質転換させ
た。二重抗生物質選択プレート上でコロニーを得た。これらの内12個を単離し
、そしてDNAを、キアゲンのミニ調製によって抽出させた。結果では、不適合
なプラスミドであるにもかかわらず、pQR163およびpTX0161が、宿
主細胞中で同時に存在していることが示された(図16)。
【0289】 RNaseA遺伝子がまだ機能性があるかどうかを決定するために、DH1(
pTX0161)(pQR163)のクローンを、RNase遺伝子を含まない
DH1(pTX0340)の対照と一緒に分析した。これらを、中期指数期まで
それらの対応の抗生物質を有するLBブロス中で培養し、その後、IPTGを加
えて、RNaseA遺伝子を誘導し、そしてさらに1.5時間、インキュベーシ
ョンを継続した。ミニ調製溶液(先に記述されるように)中にRNaseAを有
するか、または有しないプラスミドDNA抽出物を、アガロースゲル電気泳動に
掛け、臭化エチジウムで染色し、そしてUV遷移照明装置で可視化させた。DH
1(pTX0340)対照に存在するより小さな、DH1(pTX0161)(
pQR163)中のRNAバンドの形態でRNase活性の証拠がある(図17
)。
【0290】 DH1(pTX0161)(pQR163)中のRNaseAの活性を例示す
るために、先に記述されるとおりプレートアッセイを行った。試験コロニーおよ
びウシのRNaseA陽性対照を囲むRNA消化のゾーンがあったが、DH1(
pMMB66EH)の陰性対照を囲むものはなかった(図18)。
【0291】本発明に有用な細胞成分 本発明に有用なタンパク質 本発明の方法に有用なタンパク質は、本発明に有用であるとされるタンパク質
に限定されないが、レセプター、酵素、リガンド、制御因子、および構造タンパ
ク質のようなものが挙げられる。治療用タンパク質としても、核内タンパク質、
細胞質タンパク質、ミトコンドリアタンパク質、分泌タンパク質、原形質膜結合
タンパク質、血清タンパク質、ウイルス性抗原、細菌性抗原、原生動物抗原およ
び寄生生物抗原が挙げられる。
【0292】 本発明に有用な治療用タンパク質として、脂質タンパク質、糖タンパク質およ
びリン酸タンパク質も挙げられる。本発明の方法を用いて発現させることができ
るタンパク質またはポリペプチドとしては、ホルモン、成長因子、神経伝達物質
、酵素、凝固因子、アポ脂質タンパク質、レセプター、医薬品、癌遺伝子、腫瘍
抗原、腫瘍サプレッサー、構造タンパク質、ウイルス性抗原、寄生生物抗原およ
び細菌性抗原が挙げられる。これらの化合物の特定の例としては、プロインシュ
リン、成長ホルモン、ダイストロフィン、アンドロゲンレセプター、インシュリ
ン様成長因子I、インシュリン様成長因子II、インシュリン様成長因子結合タ
ンパク質、表皮成長因子TGF−α、TGF−β、PDGF、血管新生因子(酸
性線維芽成長因子、塩基性線維芽成長因子およびアンギオゲニン)、マトリック
スタンパク質(IV型コラーゲン、VII型コラーゲン、ラミニン)、フェニル
アラニン・ヒドロキシラーゼ、トリプシン・ヒドロキシラーゼ、癌遺伝子(ra
s、fos、myc、erb、src、sis、jun)、E6またはE7形質
転換配列p53タンパク質、Rb遺伝子産物、サイトカイン・レセプターIl−
1、IL−6、IL−8、ウイルス性カプシドタンパク質、および免疫応答を誘
導するのに使用できるウイルス、細菌および寄生生物から得られるタンパク質、
および体内で有用な重大さのある他のタンパク質が挙げられる。組込むことがで
きる化合物は、組込むべきタンパク質またはポリペプチドのための核酸配列の利
用可能性によってのみ制限される。当業者は、さらに多くのタンパク質およびポ
リペプチドが確認できる場合に、それらを、選択の非ウイルス性ベクターに組込
まさせ、本発明の方法によって形質導入させ、そしてヒトの組織を含めて哺乳類
組織で発現させることができることを容易に認識する。
【0293】本発明に有用なDNA配列 1.毒素をコードする遺伝子 本発明に有用な遺伝子の例としては、限定されないが、以下のとおりジフテリ
ア毒素、シュードモナス属内毒素、コレラ毒素、百日咳毒素などをコードする遺
伝子が含まれるこのような薬剤をコードするものが挙げられる。すなわち、HI
V−1感染を阻害するためのジフテリア毒素−IL2融合体(Zhangら、1
92、Jour.Acqired Immune Deficiency Sy
ndrome 5巻;1181頁)、HIVウイスル産生を阻害するためのジフ
テリア毒素A鎖(Harrisonら、AIDS Res.Hum.Retro
.8巻:39頁、1992年およびCurelら、Hum.Gene Ther
.4巻:71頁、1993年);ウシ白血病ウイルス感染の抑制用のジフテリア
毒素A鎖・リポソーム複合体(Kakidaniら、Microbiol.Im
munol.37巻、713頁、1993年);B細胞毒性についての免疫グロ
ブリン・エンハンサーおよびプロモーターと結合したジフテリア毒素A鎖遺伝子
(Maxwellら、Cancer Res.51巻、4299頁、1991年
);Tat−およびRev−活性化発現のジフテリア毒素A遺伝子(Hrris
on、Hum.Gene Ther.2巻、53頁、1991年); HIV感
染細胞を死滅させるためのジフテリア毒素−CD4融合体(Auiloら、Eu
r.Mol.Biol.Org.Jour.、11巻、575頁、1992年)
である。
【0294】 本発明に有用である他の毒素としては、限定されないが、以下のものが挙げら
れる。調製した毒性レトロウイルスは、Bradyら、Proc.Nat.Ac
a.Sci. 91巻、365頁、1994年およびCarusoら、Bone
Marrow Transplant、9巻、187頁、1992年で開示さ
れる。EBV感染に対する毒素は、Harrisら、Cell.Immunol
. 134巻、85頁、1991年に開示され、そしてポリオウイスルに対して
は、Rodriguezら、Jour.Virol. 66巻、1971頁、1
992年に開示される。インフルエンザウイルスに対する毒素は、Bronら、
Biochemistry 33巻、9110頁、1994年に開示される。
【0295】 2.免疫活性剤をコードする遺伝子 本発明に有用である別の剤としては、免疫活性剤、すなわち、ウイルスに対す
る免疫応答を活性化させることによってウイルス感染または産生と戦う剤が挙げ
られる。このような剤としては、限定されないが、一般にウイルスに対するサイ
トカイン(Biron、Curr.Opin.Immunol.、6巻、530
頁、1994年);SIVに対して可溶性のCD4(Watanabeら、Pr
oc.Nat.Aca.Sci. 88巻、126頁、1991年);HIV−
1およびSIVに対するCD4−免疫グロブリン融合体(Langnerら、A
rch.Virol. 130巻、157頁、1993年);HIV感染に対す
るCD4(81−92)基本のペプチド誘導体(Rauschら、Bioche
m.Parmacol. 43巻、1785頁、1992年);HIV感染に対
するリンパ細胞内毒性抗体(Szaboら、Acta.Virol. 38巻、
392頁、1992年);HIV感染に対するIL−2(Bellら、Clin
.Exp.Immunol. 90巻、6頁、1992年);および一般にウイ
ルスに対する抗T細胞レセプター(Newellら、Ann.N.Y.Aca.
Sci. 636巻、279頁、1991年)が挙げられる。
【0296】 3.抗ウイルス薬をコードする遺伝子 本発明に有用な別の抗ウイルス剤としては、抗ウイルス活性を示し、そして遺
伝子の直接産物であるか、または薬剤の前駆体をコードする遺伝子の産物である
薬剤が挙げられ、それにより、その薬剤は、細胞中での生合成経路によって合成
される。例えばレトロウイルスについての複製サイクルでの薬剤組込みの標的と
しては、(1)結合および進入、(2)逆転写酵素、(3)転写および翻訳、お
よび(4)ウイルス突然変異および出芽が挙げられる。HIVについてのウイル
スの結合および進入の代表的阻害剤としては、組換え体可溶性CD4、免疫接着
物、ペプチドTおよびハイペリシンが挙げられる。ヌクレオシド逆転写酵素阻害
剤としては、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビンおよびスタルジンが挙げら
れる。ホスカルネット、テトラヒドロイミダゾベンゾジアゼピンエチオン化合物
、およびネビラピンは、ある種の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤である。転写
および翻訳の阻害剤としては、TAT遺伝子およびGLQ223のアンタゴニス
トが挙げられる。カスタノスペルミンおよびプロテアーゼ阻害剤は、ウイルスの
発芽および成熟に干渉する。このような薬剤としては、それに限定されないが、
ヌクレオシドまたはヌクレオチド類縁体、およびHarrellら、Drug
Metab.Dispos.22巻、124頁、1994年(デオキシ−グアニ
ン);Fillonら、Clin.Invest.Med.16巻、339頁、
1993年(ダイモ−ルビシン);Ohrviら、Nucleic Acids
Symp.26巻、93頁、1990年(抗ウイルス性ヌクレオシド);Hu
dsonら、Photochem.Photobiol.57巻、675頁、1
993年(チアルビン);Salhanyら、Jour.Biol.Chem.
268巻、7643頁、1993年(5’−リン酸ピリドキサル);Damas
oら、Arch.Viral.134巻、303頁、1994年(シクロスポリ
ンA);Gallicchioら、Int.Jour.Immunol.15巻
、263頁、1993年(ジデオキシヌクレオシド薬剤);およびFioreら
、Biol.Soc.Ital.Biol.Sper.66巻:601頁、19
90年(AZT)に記述されるような細胞の生合成経路の産物が挙げられる。
【0297】 4.遺伝子療法による患者の治療のために有用なタンパク質または酵素をコード
する遺伝子 遺伝子療法による患者の治療のために有用なタンパク質または酵素をコードす
る遺伝子としては、ゴーシェ病用のβ−グルコセルブロシダーゼをコードする遺
伝子、血友病のためのXIIIおよびIX因子、およびプロドラッグ治療に使用
するための酵素を活性化するプロドラッグ(例えば、遺伝子特異的酵素のプロド
ラッグ療法に使用するための細菌のニトロリダクターゼ(GDEPT))が挙げ
られる。
【0298】本発明に有用なベクター 本発明に有用なベクターとしては、以下の特徴を保有するベクターが挙げられ
る。
【0299】i)高コピー数の複製のための細菌の起点 比較的高いコピー数を、すなわち、20〜40コピー/細胞から1000〜2
000コピー/細胞の範囲で有するベクターは、本発明に特に有用である。例え
ば、複製のpUC起点を含むベクターは、本発明の方法に好ましい。複製のpU
C起点は、プラスミドDNAのさらに有効な複製を可能にし、そして例えば、p
BR322起点よりプラスミドコピー数/細胞で10倍増大を生じる。生じる高
いコピー数は、染色体DNA、RNA、細胞タンパク質およびコファクターに対
するプラスミドDNAの比を大いに増大させ、プラスミド収量を改善し、そして
より簡単な下流精製を促進する。
【0300】ii)小さな、そして安定なベクター骨格 ここに記述される方法により使用されるベクターの骨格が、小さい、すなわち
、5kb未満、そして好ましくは1〜3kbであることが本発明に好ましい。語
句「ベクター骨格」は、細菌宿主中のベクターを維持しそして増殖させるのに必
要な細菌のDNAに該当する。骨格および挿入物の両方を含めて本発明のベクタ
ーは、寸法で15〜50kbの桁にあるか、またはいっそう大きい。したがって
、本発明に有用なベクター骨格は、およそ10〜50kbの、またはそれ以上の
挿入物を担持する能力がある。挿入物としては、任意の生物から得られるDNA
を挙げることができるが、好ましくは、哺乳類起源のものであり、そして治療用
タンパク質をコードする遺伝子に加えて、プロモーター、ポリアルデヒド化配列
、エンハンサー、遺伝子座制御領域のような制御配列を挙げることが可能である
。治療用タンパク質をコードする遺伝子は、ゲノム起源のものであってよく、そ
してしたがって、そのゲノム組織に反映されるときにエキソンおよびイントロン
を含有するか、または相補的DNAに由来しうる。
【0301】 ベクターは、安定的に受継がれ、すなわち、ベクター骨格は、好ましくは、ト
ランスポゾンのように、再配列、失欠などをしやすい不安定な構成要素を含まず
、そして選択的剤の存在下で安定に受継がれる。
【0302】 本発明による有用なベクターとしては、pEAβGlu、pUC18/19t
etΔAmp、pTX0161、pUC19tet、pGL2RSV、pGL2
RSVluc、pAI6tetおよびpCD2tatRZfullが挙げられる
【0303】iii)治療用遺伝子および制御配列の挿入について安定なポリリンカー 本発明による有用なベクターとしては、ベクターを切断すること、および治療
用遺伝子を組込むことにおいて有用である多様な制御部位を含むポリリンカーが
挙げられる。
【0304】iv)他の細菌のタンパク質遺伝子の不在 別の細菌遺伝子で、ベクター骨格に担持されるものはないことが本発明に好ま
しい。遺伝子が、治療用ベクターに標的にされた患者の細胞内に存在する、およ
び/または発現する場合、他の細菌遺伝子の不在は、患者が、外来遺伝子または
そのコードされた産物に対する免疫応答を発生する可能性を最小にする。発酵の
間に宿主菌株によって発現される他の細菌遺伝子は、宿主内の代謝負担を生じ、
そしてバイオマスおよびプラスミド収量を減少させる。
【0305】v)選択的マーカー遺伝子 本発明により有用なベクターとしては、選択可能なマーカー、例えば、細菌テ
トラサイクリン耐性遺伝子のような抗生物質耐性遺伝子を挙げることができる。
テトラサイクリン耐性遺伝子を組込むと、本発明によるプラスミド調製手段での
選択性剤としてテトラサイクリンを使用することを可能にする。テトラサイクリ
ン耐性遺伝子を使用する1つの利点は、テトラサイクリンが、大腸菌で分解され
ず、したがって、いっそう多くのテトラサイクリンを、発酵の間に添加する必要
がないことである。さらに、テトラサイクリンが、医療設定で抗生物質としてよ
り少ない頻度で処方され、そしてtetに対する有害な応答が、ampおよび他
のβ−ラクタム抗生物質についてより少ない頻度であるので、テトラサイクリン
耐性遺伝子が、アンピシリン耐性をコードする遺伝子より好ましい。
【0306】用量、投与の形態および医薬処方 本発明は、RNAを、細胞成分の調製物から除去する方法を包含する。 RNaseも産生する宿主細胞から産生される細胞成分から構成される医薬組
成物は、好ましくは105〜108宿主細胞、そしてさらに好ましくは106〜1
7宿主細胞から調製することが可能である。RNaseを産生する様々の宿主
細胞と同時培養された宿主細胞から産生される細胞の成分から構成される医薬組
成物は、好ましくは、105〜108の各々それぞれの宿主細胞、そしてさらに好
ましくは106〜107の各々それぞれの宿主細胞から調製されうる。後者の具体
例では、2つの宿主細胞は、1:1比にある培養液に存在するか、または1:1
比にある溶解の点で混合されるのが好ましい。
【0307】 ここに記述される細胞の成分は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして注射
可能物として調製しうる。感染前に、液体中の溶液または懸濁液として適切な固
形形態も、調製できる。調製物を、乳化することもできるか、または細胞の成分
を、リポソームに被包させることができる。語句「医薬上許容しうる担体」は、
それが投与される対象においてエレルギー性反応または他の不利な影響を生じな
い担体に該当する。適切な医薬上許容しうる担体としては、例えば、水、生理食
塩水、リン酸緩衝された生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノー
ルなどの内の1つまたはそれ以上、およびそれらの組合せが挙げられる。さらに
、所望の場合、組成物は、湿潤または乳化剤、pH緩衝剤、および/またはアジ
ュバントのような、少量の助剤物質を含むことができ、そしてそれは、ワクチン
の効力を増強する。有効でありうるアジュバントの例としては、それに限定され
ないが、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−
イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラ
ニル−D−イソグルタミン(CGP11637、nor−MDPと呼ぶ)、N−
アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−
(1’−2’−ジパルミトイル−s n−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリル
オキシ)−エチルアミン(COP 19835A、MTP−PEと呼ぶ)、およ
び2%スクアレン/ツイーン80乳液中の細菌、モノホスホリル脂質A、トレハ
ロース・ジマイコレートおよび細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)から抽出
される3つの成分を含有するRIBIが挙げられる。アジュバントの他の例とし
ては、DDA(臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム)、フロイントの完全
および不完全アジュバントおよびキルA(QuilA)が挙げられる。
【0308】 本発明の細胞の成分は、注射、例えば、皮膚内または筋肉内のいずれかによっ
て、非経口に投与することができる。投与の他の形態に適する別の処方としては
、座剤、そしてある種の場合には、経口処方またはエアロゾルとして分布に適切
な処方が挙げられる。座剤としては、従来のバインダーおよび担体は、例えば、
ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを挙げうる。このような座剤は
、0.5%から10%まで、好ましくは1%〜2%の範囲で活性成分を含む混合
物から形成しうる。経口処方としては、例えば、医薬グレードのマンニトール、
ラクトース、スターチ・ステアリン酸マグネシウム、サッカリン・ナトリウム、
セルロース、マグネシウムカルボネートなどのように正常に使用される助剤が挙
げられる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続性
放出処方または粉末の形態を取り、そして10%〜95%、好ましくは25〜7
0%の活性成分を含む。
【0309】他の具体例 他の具体例は、以下の請求項の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、プラスミドpN1を示す。
【図2】 図2は、プラスミドDNAを大腸菌染色体に導入および欠失するための、並び
に、挿入的突然変異誘発および相同的組換えによる大腸菌染色体からの染色体D
NAの欠失のための、戦略の概略図である。
【図3】 図3は、pCR3.1RNaseIで形質転換したTOP10F細胞からのR
NaseIの発現を実証している、LB寒天プレートアッセイである。
【図4】 図4は、pUC18RNaseIで形質転換したDH5α細胞からのIPTG
誘導発現を実証している、LB寒天プレートアッセイである。
【図5】 図5は、精製pUC18RNaseIのアルカリ溶解に対する感度を実証して
いる、LB寒天プレートアッセイである。
【図6】 図6は、pUC18RNaseIの活性に対する溶解条件の影響を実証してい
る、臭化エチジウムで染色したアガロースゲルである。
【図7】 図7は、発現ベクターpKK223.3を基にした、ヘキサペプチドおよびR
Nase前駆体をtacプロモーターの制御下でコードし、アンピシリンとテト
ラサイクリンに耐性を示す、2シストロン組換えプラスミドpQR163を示す
【図8】 図8は、ミニ調製法を使用して単離した、RNaseを含む懸濁緩衝液による
、単離プラスミドDNAの非消化および消化サンプルを示す。レーン1&16、
2&15は、それぞれ、λPstIおよびλHindIIIマーカーである。各
サンプルのレーンの最初は、非消化サンプルであり、第二のレーンは、消化サン
プルである。非消化サンプルは、5μl DNAおよび5μl添加緩衝液であっ
た。消化サンプルは、5μl DNA、1μl制限緩衝液、1μl EcoRI
を含み、3μlの添加緩衝液を加える前に、2時間消化した。レーン3&4はp
QR162。レーン5&6はpQR163。レーン7&8はpKK223.3。
レーン9&10はpUC18。レーン11&12はpBR322。レーン13&
14は、非消化および消化対照pUC19である。5μlのマーカーを添加し、
1μlの市販のpUC19を使用した。
【図9】 図9は、RNase含有/非含有再懸濁緩衝液を使用した、(a)RNase
遺伝子を含まないベクターpKK223.3、(b)pQR163、(c)pQ
R162、(d)pUC18および(e)pBR322の、流動、洗浄および溶
出段階のプラスミドのミニ調製物を示す。ウェルは、5μlの段階/DNAサン
プル、5μlの滅菌蒸留水、および3μlの添加緩衝液を含んだ。レーン1&2
および15&16は、それぞれ、λPstIおよびλHindIII(5μl添
加)に対応する。レーン3〜7は、RNaseを含む緩衝液に対応し、8〜12
は、RNaseを含まない緩衝液に対応する。レーン3&8は、フロースルーサ
ンプルであり、レーン4&9は、第一のカラム洗浄であり、レーン5&10は、
第二のカラム洗浄であり、レーン6&7および11&12は、非消化溶出DNA
である。レーン13&14は、非消化の市販pUC18対照(1μl添加)であ
る。
【図10】 図10は、IPTGを用いて誘導する前の、光学密度の読みにより決定した、
pKK223.3およびpQR163の増殖曲線を示す。1mlのサンプルを1
時間毎に集め、550nmでの読みを、1mlの滅菌栄養ブロスのブランクに対
して測定した。読みは、室温で1mlで1cmの経路のキュベット中で測定した
。指数関数的増殖は0.600の吸光度であると決定され、その後、サンプルを
IPTGで誘導して最終濃度を0.5mMとした。
【図11】 図11は、中単離法を使用して単離したRNaseの存在下/非存在下での消
化および非消化プラスミドDNAを示す。レーン1&12および2&11は、そ
れぞれ、λPstIおよびλHindIII(5μl添加)である。各DNAレ
ーンの最初は、非消化サンプルであり、第二は消化サンプルである。非消化サン
プルは、5μl DNAおよび5μl添加緩衝液であった。消化サンプルは、5
μl DNA、1μl制限緩衝液、1μl EcoRIを含み、3μlの添加緩
衝液を加える前に、2時間消化した。レーン3&4はRNaseを含むpKK2
23.3。レーン5&6はRNaseを含まないpKK223.3。レーン7&
8はRNaseを含むpQR163。レーン9&10はRNaseを含まない。
【図12】 図12は、RNase含有/非含有再懸濁緩衝液を使用した、pKK223.
3およびpQR163の、透明溶解液、流動、洗浄および溶出段階のプラスミド
の中調製を示す。ウェルは、3μlのサンプル、4μlの滅菌蒸留水、および5
μlの添加緩衝液を含んだ。レーン1&2および19&20は、それぞれ、λP
stIおよびλHindIII(5μl添加)に対応する。レーン3〜6および
11〜14は、RNaseを含む緩衝液を有する、サンプルpKK223.3お
よびpQR163に対応する。レーン7〜10および15〜18は、RNase
を含まない緩衝液を有する、pKK23.3およびpQR163に対応する。レ
ーン3、7、11&15は、透明な溶解液の段階である。レーン4、8、12&
16は、フロースルー段階である。レーン5、9、13&17は、洗浄段階であ
る。レーン6、10、14&18は、溶出DNAである。
【図13】 図13は、λPstIマーカーの第二の三重バンドと比較した場合の、中調製
法(Qiagen)の透明溶解液(CL)および流動段階(F)のpKK223
.3およびpQR163のRNAバンドの相対強度を示す。
【図14】 図14は、λPstIマーカーの第二の三重バンドのバンド濃度により決定し
た、pKK223.3およびpQR163を使用した、中調製プロセスの透明溶
解液(CL)および流動段階(F)のRNAのバンド濃度を示す。
【図15】 図15は、A)挿入断片としてdif座位をフランキングしている5.2kb
領域を有するpUC18である、プラスミドpN1D274Ekan1を示す。
kan遺伝子はNsiI部位に、laclqsは2つのStyI部位の間に挿入さ
れた。B)BbsIを用いた切断により、ほとんどのlaclqsが除去され、t
rc−RNaseAにより置換される。このプラスミド(pRNaseA)を線
形化し、相同的組換えによる大腸菌染色体へのtrc−RNaseAの挿入に使
用する。
【図16】 図16は、pQR163のDH1(pTX0161)への形質転換から得られ
たクローンのプラスミドミニ調製物のアガロースゲル電気泳動を示す:レーン1
&16:1kbマーカー、レーン2:pMMB66EH;レーン3:pQR16
3対照;レーン4〜15:DH1(pTX0161)(pQR163)のクロー
ン1〜12。
【図17】 図17は、DH1(pTX0161)(pQR163)およびDH1(pTX
0340)からのプラスミドミニ調製のアガロースゲル電気泳動を示す:レーン
1および6:1kbマーカー;レーン2:DH1(pTX0161)(pQR1
63)+RNaseA;レーン3:DH1(pTX0340)+RNaseA;
レーン4:DH1(PTX0161)(pQR163);レーン5:DH1(p
TX0340)。
【図18】 図18は、RNaseA活性を検出するためのRNAプレートアッセイを示す
;1:pMMB66EH(陰性対照);2〜4:DH1(pTX0161)(p
QR163)クローン1〜3;5:10μgのRNaseA(陽性対照)。
【図19】 図19は、RNaseAをpMMB66EHにクローニングする戦略を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 9817151.5 (32)優先日 平成10年8月6日(1998.8.6) (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 ウィリアムズ,スティーヴン・ジェレイン ト イギリス国、エスティー5 5エスピー スタッフォードシャー、キール、ユニヴァ ーシティ・オヴ・キール、ザ・サイエン ス・パーク、コブラ・セラピューティク ス・リミテッド内 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA11 CA04 DA06 EA04 GA11 GA19 HA01 HA12 HA15 4B050 CC03 DD02 DD03 DD11 LL01 LL02 4B065 AA15X AA15Y AA26X AA26Y AA42X AA50X AA63Y AA93Y AB01 AC14 BA02 BA25 CA31 CA41 CA44

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞成分を産生している細胞を培地中で培養し、該細胞を溶
    解して細胞溶解液を生成することを含む、実質的にRNAを含まない細胞成分を
    調製する方法であって、該細胞溶解液が、該細胞成分と、該細胞溶解液に存在す
    る実質的に全てのRNA分子を分解するのに十分なRNase活性とを含む上記
    方法。
  2. 【請求項2】 RNaseが、細胞成分を産生している上記細胞により産生
    される請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 RNaseが、細胞成分を産生している上記細胞以外の培地
    中の上記細胞により産生される請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 細胞成分を産生している細胞と、調製物に存在する実質的に
    全てのRNAを分解するのに十分な量のRNaseを産生している細胞とを培養
    し、溶解することを含む実質的にRNAを含まない細胞成分を調製する方法。
  5. 【請求項5】 細胞成分を産生している細胞が、RNaseをも産生する請
    求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 細胞成分およびRNaseが、同じ細胞により産生されるこ
    とがない請求項4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 上記細胞成分が、組換えDNA、組換えタンパク質、および
    組換え炭水化物の1つである請求項1または4に記載の方法。
  8. 【請求項8】 上記RNaseをコードしている遺伝子が、RNaseを産
    生している細胞のゲノムに組込まれている請求項1または4に記載の方法。
  9. 【請求項9】 上記RNaseが、非特異的である請求項1または4に記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 上記非特異的RNaseが、RNaseA、RNaseM
    またはRNaseIである請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 上記RNaseを産生している上記細胞が、調節された様
    式で上記RNaseを産生する請求項1または4に記載の方法。
  12. 【請求項12】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、上
    記RNaseを産生している上記細胞により過剰産生される請求項11に記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、上
    記RNaseを産生している上記細胞により誘導的に産生される請求項11に記
    載の方法。
  14. 【請求項14】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、上
    記RNaseを産生している上記細胞により構成的に産生される請求項11に記
    載の方法。
  15. 【請求項15】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、上
    記RNaseを産生している細胞の細胞質から分泌される請求項11に記載の方
    法。
  16. 【請求項16】 上記RNaseが、RNaseを産生している細胞のペリ
    プラズムに分泌される請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 細胞が培地に含まれ、上記RNaseが細胞から該培地に
    分泌される請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 上記RNaseが、非特異的RNaseである請求項11
    に記載の方法。
  19. 【請求項19】 組換えDNA、組換えタンパク質、または組換え炭水化物
    を産生し、調節された様式でRNaseをも産生する宿主細胞。
  20. 【請求項20】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、過
    剰産生される請求項19の宿主細胞。
  21. 【請求項21】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、誘
    導的に産生される請求項19に記載の宿主細胞。
  22. 【請求項22】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、構
    成的に産生される請求項19に記載の宿主細胞。
  23. 【請求項23】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、宿
    主細胞細胞質から分泌される請求項19に記載の宿主細胞。
  24. 【請求項24】 上記RNaseが、宿主細胞ペリプラズムに分泌される請
    求項23に記載の宿主細胞。
  25. 【請求項25】 宿主細胞が培地に含まれるとき、上記RNaseが宿主細
    胞から上記培地に分泌される請求項23に記載の宿主細胞。
  26. 【請求項26】 上記RNaseが、非特異的RNaseである請求項19
    の宿主細胞。
  27. 【請求項27】 組換えDNA、組換えタンパク質、または組換え炭水化物
    を産生する宿主細胞と、調節された様式でRNaseを産生する宿主細胞とを含
    む組成物。
  28. 【請求項28】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、過
    剰産生される請求項27に記載の組成物。
  29. 【請求項29】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、誘
    導的に産生される請求項27に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、構
    成的に産生される請求項27に記載の組成物。
  31. 【請求項31】 上記の調節された様式で産生された上記RNaseが、宿
    主細胞細胞質から分泌される請求項27に記載の組成物。
  32. 【請求項32】 上記RNaseが、宿主細胞ペリプラズムに分泌される請
    求項31に記載の組成物。
  33. 【請求項33】 宿主細胞が培地に含まれるとき、上記RNaseが宿主細
    胞から上記培地に分泌される請求項31に記載の組成物。
  34. 【請求項34】 医薬的に許容される担体中に、実質的にRNAを含まない
    細胞成分を含む医薬組成物。
  35. 【請求項35】 医薬的に許容される担体中に、請求項1または請求項4に
    記載の方法により得ることのできる実質的にRNAを含まない細胞成分を含む医
    薬組成物。
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