JP2002517188A - 海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物由来の単離細胞から、プライムモルフと称される細胞塊を調製および培養する方法、ならびにその使用 - Google Patents

海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物由来の単離細胞から、プライムモルフと称される細胞塊を調製および培養する方法、ならびにその使用

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JP2002517188A JP2000552256A JP2000552256A JP2002517188A JP 2002517188 A JP2002517188 A JP 2002517188A JP 2000552256 A JP2000552256 A JP 2000552256A JP 2000552256 A JP2000552256 A JP 2000552256A JP 2002517188 A JP2002517188 A JP 2002517188A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、海綿動物細胞、サンゴ細胞、および他の無脊椎動物由来細胞をin vitroで培養する新規な方法の確立に関する。細胞塊に類似する一群として培養し得るin vitroで培養している細胞をプライムモルフと称する。本方法は、初めて、海綿動物、サンゴおよび他の無脊椎動物由来の細胞/細胞塊/プライムモルフを用いて、以下の方法:(i) 増殖およびDNA合成を調節する物質を調製する方法;(ii) 環境有害物質を同定し/検出する方法;(iii) 細菌および他の微生物を培養する方法;(iv) 対応する生物を育てるために水産養殖において用い得る無性生殖体を調製する方法;(v) 細胞ライブラリーを調製する方法;(vi) 細胞/細胞塊/プライムモルフの栄養必要量を最適化する方法;および(vii) 細胞/細胞塊/プライムモルフにおけるテロメラーゼ活性を調節する物質を同定する方法:の実施を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】1. 序文 本発明は、海綿動物細胞、サンゴ細胞、および他の無脊椎動物由来の細胞をin
vitroで培養する、初めての、かつ従って新規な方法の確立に関する。細胞塊に
類似する一群として培養し得るin vitroで培養している細胞をプライムモルフ(p
rimmorph)と称する。従って、海面動物、サンゴ、および他の無脊椎動物由来の
細胞/細胞塊/プライムモルフを用いて、以下の方法:(i)増殖およびDNA合成を
調節する基質を調製する方法;(ii)環境有害物質を同定し/検出する方法;(iii
)細菌および他の微生物を培養する方法;(iv)対応する生物を育てるために水産
養殖において用い得る無性生殖体を調製する方法;(v)細胞ライブラリーを調製
する方法;(vi) 細胞/細胞塊/プライムモルフの栄養必要量を最適化する方法
;および(vii) 細胞/細胞塊/プライムモルフにおけるテロメラーゼ活性を調節
する物質を同定する方法:の実施を初めて可能とする方法を利用できる。
【0002】 海綿動物門(海綿動物)は、他の後生動物門と共に、単一門を起源とする[Mulle
r W. E. G. (1995) Naturwissenschaften 82, 321-329]。海綿動物を含む後生
動物の基本的な子孫形質的(autapomorphic)特徴は、例えば、後生動物において
唯一見出されるチロシンキナーゼ受容体が存在することである[Muller W. E. G
. Schacke H. (1996) Prog. Molec. Subcell. Biol.17, 183-208]。
【0003】 後生動物の中で、海綿動物は、後生動物の他のより高度な門;全て(またはほ
とんど全て)のそれら細胞は高いレベルのテロメラーゼ活性を有する;のいずれ
においても認められない近接形質的(plesiomorphic)特徴を示す[Koziol C., Bo
rojevic R., Steffen R., Muller W. E. G. (1998) Mech. Ageing Develop. 100
, 107-120]。原理的にこのことは、海綿動物細胞が生殖体または体細胞に再分
裂し得ないことを示唆するものである[Muller W.E.G. (1998a) Prog. Molec. S
ubcell. Biol. 19, 98-132;Muller W. E. G. (1998b) Naturwiss, 85: 11-25]
。腫瘍になっていない高度な後生動物において、実質的に生殖体のみが常にテロ
メラーゼ陽性であり、体細胞はテロメアーゼ陰性である[Lange T.v. (1998) Sc
ience 279, 334-335]。
【0004】 全ての(またはほとんど全ての)海綿動物細胞がテロメラーゼ陽性であるとい
うその特性のため、海綿動物細胞は不死であると推定されるであろう。しかしな
がら、これまでに、海綿動物において、腫瘍性疾患の報告はまだ成されていない
[De-Flora S., Bagnasco M., Bennicelli C., Camoirano A., Bojnemirski A.,
Kurelec B. (1995), Mutagenesis 10, 357-364]。海綿動物における高いテロ
メラーゼ活性に関する全く初めての報告において、結合した組織から細胞を取り
出して、解離した状態に変えると、その細胞はテロメラーゼ陰性になることが我
々のグループによって示されている[Koziol C., Borojevic R., Steffen R., M
uller W. E. G. (1998) Mech. Ageing Develop. 100, 107-120]。単一細胞浮遊
培養液中の細胞は、ほとんどの場合アポトーシスにより全滅する[Wagner C., S
teffen R., Koziol C., Batel R., Lacorn M., Steinhart H., Simat T., Mulle
r W. E. G. (1998) Marine Biol. 131, 411-421]。さらに、海綿動物が種特異
的な設計図(blueprint)を有するという事実により、我々は、海綿動物が特定の
時期にある群の細胞を置き換えるためにアポトーシス機構を備えていると仮定す
る。この仮定は、海綿動物組織中の細胞が内因性因子(例えば、熱処理細菌の添
加)および外因性因子(カドミウム)に応答してアポトーシスをもたらすように
誘導されることの発見により支持された[Wagner C., Steffen R., Koziol C.,
Batel R., Lacorn M., Steinhart H., Simat T., Muller W.E.G. (1998) Marine
Biol. 131, 411-421]。
【0005】 我々のグループが、海綿動物細胞が高いテロメラーゼ活性を有することを示し
た後[Koziol C., Borojevic R., Steffen R., Muller W. E. G. (1998) Mech.
Ageing Develop. 100, 107-120]、海綿動物細胞の培養を樹立することが、容易
に達成できる目的であるように思われた。しかしながら、今まで、ヒメニアシド
ン・ヘリオフィラ(Hymeniacidon heliophila)[Pomponi S.A., Willoughby R. (
1994) In: R. van Soest, A. A. Balkema (Eds.) Sponges in Time and Space,
Rotterdam, Brookfield, pp. 385-400]、ラトランキュリア・マグニフィカ(Lat
runculia Magnifica)[Ilan M., Contini H., Carmeli S., Rinkevich B. (1996)
J. Mar. Biotechnol. 4, 145-149]、およびスベリテス・ドムンキュラ(Suberit
es domuncula)[Muller W. E. G., Steffen R., Rinkevich B., Matranga V., Ku
relec B. (1996) Marine Biol. 125, 165-170]の種の場合のように、海綿動物細
胞を生きた状態で維持できるのみであった。しかしながら、これらの細胞は増殖
しない[Ilan M., Contini H., Carmeli D., Rinkevich B. (1996) J. Mar. Bio
technol. 4, 145-149]。
【0006】 in vitroで維持した場合に、これまで、細胞が静止状態に留まってのみいる1つ
の理由は、例えば、単一細胞培養を樹立する方法が不適切であり、すなわち適切
な培養条件および培地が使用されていないためである[Pomponi S.A., Willough
by R. (1994) In: R. van Soest, A. A. Balkema (Eds.) Sponges in Time and
Space, Rotterdam, Brookfield, pp. 395-400;Ilan M., Contini H., Carmeli
S., Rinkevich B. (1996) J. Mar. Biotechnol. 4, 145-149]。用いられる培地
は、ウシ胎仔血清を補足している[ Pomponi S.A., Willoughby R. (1994) In:
R. van Soest, A. A. Balkema (Eds.) Sponges in Time and Space, Rotterdam,
Brookfield, pp. 395-400;Ilan M., Contini H., Carmeli S., Rinkevich B.
(1996) J. Mar. Biotechnol. 4, 145-149]。これまで、脊椎動物の血清中に認
められる成長因子も海綿動物および他の無脊椎動物の細胞成長を促進させると仮
定されてきた。しかしながら、その仮定は適切とは思われない;その理由として
、海綿動物細胞が、一般的に哺乳類の受容体、特にヒト受容体のリガンドと異な
るリガンドによって活性化される受容体をその細胞表面上に有することを我々が
発見していることが挙げられる。従って、ウシ胎仔血清中に存在する成長因子が
、一般的に無脊椎動物、特に海綿動物の受容体に作用するとは考え難い。さらに
は、血清を多く含む培地は、原生動物による汚染の危険を伴う[Psinga R., Tra
mper J., Wijffels R. H. (1998) Trends Biotechnol. 16, 130-134]。
【0007】 驚くべきことであり、かつ新規なこととして、本特許出願の主題である、解離
した単一細胞から、海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物の多細胞塊(multi
cellulara aggregates)の形成をもたらすようなin vitroでの条件を特定し得る
ことを我々は見出した。細胞塊は組織に類似した外観を有しており、5ヶ月以上
、培養液中で維持できる。それら細胞塊は、プライムモルフと称される。さらに
、結合してプライムモルフになった細胞がどのようにしてテロメラーゼ陽性とな
り、かつDNA合成/細胞増殖が可能となるのかを説明する。
【0008】 海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物由来細胞のin vitroでの培養の樹立
に成功することにより、本明細書の冒頭で明記した種類の方法を行うための新た
な経路が開かれた。
【0009】2. 方法の説明 2.1.材料 天然の海水(S9148)、ペニシリンおよびストレプトマイシンはSigmaから購入し
(Deisenhofen; Germany)、RNAguard(24,000units/ml)は、Pharmacia (Freiburg;
Germany)から、“テロメラーゼ検出キット”(TRAPeze)はOncor(Gaithersburg,
MD; USA)から、“BrdU-標識および検出キット”はBoehringer Mannheim(Mannhei
m; Germany)から、さらにSYBR Green 1はMolecular Probes (Leiden; Netherlan
ds)から購入した。
【0010】 Ca2+およびMg2+を含まない人工海水[CMFSW]の組成、およびCMFSWにエチレンジ
アミンテトラ酢酸(EDTA)を添加した[CMFSW-E]は以前記述されている[Rottmann M
., Schroder H.C., Gramzow M., Renneisen K., Kurelec B., Dorn A., Friese
U., Muller W.E.G. (1987) EMBO J6, 3939-3944]。
【0011】 2.2. 海綿動物および他の無脊椎動物の維持 海の海綿動物スベリテス・ドムンキュラ(Porifera, Demospongiae, Hadromeri
da)をロビニ(クロアチア)近くの北アドリア海で採取し、さらにマインツ(ドイツ
)にある水槽中において、16℃で維持した。
【0012】 別の無脊椎動物の代表として、軟質サンゴデンドロネフチア・ヘムプリチ(Den
dronephthya hemprichi)(Cnidaria, Anthozoa, Alcyonaria)をペットショップか
ら購入し、さらに温度(22℃)を除いて海綿動物と同様に維持した。
【0013】 海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物の例として、海綿動物スベリテス・
ドムンキュラ、および軟質サンゴデンドロネフチア・ヘムプリチを用いた研究を
ここに例によって示す。 2.3. 細胞の解離およびプライムモルフの形成 全ての材料および溶液/培地は、滅菌状態で使用する。海綿細胞/サンゴ由来
の組織試料[通常4から5 cm3の大きさ]を海水中、外科用メスを用いてより小さな
組織片[0.5−1 mm3]に切断する。その後、CMFSW-E [組織と培地の比は通常1:10
] を満たした50mlのコニカルチューブ[例えば、Falcon, カタログ番号2070]中に
その組織片を入れる。例えば回転シェーカー上16℃で30分間、穏やかに振とうし
た後、上清を採って捨てる。残った組織片を、もう一度同じ割合で新しいCMFSW-
Eと混合し、かつ回転によって再度穏やかに振とうする。上清を採って捨てる。
【0014】 ここで、組織片を新しいCMFSW-Eと混合し、かつ再度シェーカー上において、通
常40分間動かす。例えば40μmのメッシュを有するナイロン網(nylon net)を介し
て細胞を含有する上清を濾過する。組織片をCMFSW-E中で振とうし、かつナイロ
ン網を介して上清を濾過するこのステップを数回繰り返す。細胞浮遊液を合わせ
て混合し、さらに細胞を回収するために穏やかに遠心する[通常500xgで5分間]。
細胞浮遊液を海水/抗生物質溶液中に入れる[抗生物質:通常100IUペニシリンお
よび100μg/mlストレプトマイシン]。本ステップは、通常1回または数回繰り返
す。集めた細胞を遠心によって回収する。細胞浮遊液を107細胞/mlに調整し、
さらに、通常、例えば60mmのペトリ皿[例えばFalcon,カタログ番号3004]中にお
いて、その1mlを5mlの海水/抗生物質溶液中に入れる。
【0015】 細胞は、通常16℃でインキュベートし、さらに通常、海水/抗生物質溶液を用
いて慎重に再浮遊させることにより、4回新しいペトリ皿に移す。このことは、
細胞がディッシュに接着しないことを確実にすることを意図している。細胞塊が
形成された後、ピペットでコニカルチューブ [例えば15mlチューブ(Falcon, カ
タログ番号2096)] に細胞を採取することにより、現在用いているもとのペトリ
皿(parent Petri dish)から毎日細胞を移す。チューブにおいて、細胞塊はより
速く安定する。約10秒後、上清を除き、さらに細胞塊浮遊液を新しいペトリ皿に
移す。細胞塊は、ピペットを用いて吸い込み、さらに記載の比重法を用いて再度
1回または数回洗浄し、続いて海水/抗生物質溶液中に再浮遊させる。数回、通
常2回から5回、もとのペトリ皿から新しい細胞塊を回収することが可能である。
洗浄した細胞塊は、平坦な表面(smooth surface)を形成するまでペトリ皿中に入
れておく。通常、海水/抗生物質溶液は毎日交換する;溶液の2/3を新鮮な海水
/抗体溶液で取り換える。
【0016】 加圧下で培養すると細胞の増殖を促進させるのに適していることも分かってい
る。
【0017】 その後、今形成された細胞塊(プライムモルフ)(直径が約1−3mm)を24穴プレー
ト[例えばNunclonTM(Nunc), カタログ番号143982]に移し、さらに1mlの海水/抗
生物質溶液を添加する。ウェルあたり1から2プライムモルフとなるようにインキ
ュベートする。
【0018】 もし培養液が滅菌条件下で保存される場合には、海水に抗生物質を添加するの
を省略できる。
【0019】 2.4. BrdUとのプライムモルフのインキュベーション 細胞増殖を特定するために、“BrdU−標識および検出キット”を用いて、取扱
説明書に従って、BrdU[5−ブロモ−2'−デオキシ−ウリジン]の細胞DNAへの取込
みを測定した。
【0020】 本目的のために、BrdU標識溶液[最終希釈:通常1:1,000(10μM BrdU)]を含有
する通常1mlの海水/抗生物質溶液中において、プライムモルフをインキュベー
トする。インキュベーション時間は、通常12時間である;インキュベーション自
体は、培養槽(culture chamber)[例えば“培養槽スライド(Nunc)”, カタログ
番号177453]中で実施する。続いて細胞をCFMSW-E中で解離させ、CFMSW-Eで3回
洗浄し、さらに70%エタノール[pH2.0]中において固定/変性させる。その後、細
胞を抗BrdUマウスモノクロナール抗体と共にインキュベートし、さらに、アルカ
リホスファターゼに結合させた抗マウスIgおよび染色基質であるニトロ−ブルー
テトラゾリウム塩を用いて、その免疫複合体を可視化する。光学顕微鏡下におい
て細胞を分析する。
【0021】 2.5. 組織学的検討 プライムモルフを4%パラホルムアルデヒド/リン酸緩衝生理食塩水中において
固定する[Romeis, B. (1989) Mikroskopische Technik. Munich; Urban und Sch
warzenberg]。エタノールを用いて脱水後、プライムモルフをテクノビット(Tech
novit)8100中に包埋する[Beckstead J. H. (1985) J. Histochem. Cytochem. 9,
954-958]。2μmの厚さの切片を作成して、チールフクシン液で染色する[Martoj
a R., Martoja M. (1967) Initiation aux Techniques de l'Histologie Animal
e. Prem. Ed. Masson et Cie., Paris]。
【0022】 2.6. テロメラーゼ研究方法 テロメラーゼ活性は、“テロメラーゼ検出キット(TRAPeze)”を用いたポリメラ
ーゼ連鎖反応[PCR]により検出する;詳細は既に記述されている[Kim N. W., Pia
tyszek M. A., Prowse K. R., Harley C. B., West M. D., Ho P. L. C., Covie
llo G. M., Weight W. E., Weinrich S. L., Shay J. W. (1994) Science 266:
2011-2014;Koziol C., Borojevic R., Steffen R., Muller W. E. G. (1998) M
ech. Ageing Develop. 100, 107-120]。添加する細胞抽出物は5x103細胞当量に
相当する。0.5xTBE緩衝液中、12.5%の非変性ポリアクリルアミドゲルを用いた
電気泳動によって増幅産物を定量化する[使用説明書に従って実施する]。DNA断
片を検出するため、SYBRグリーンIでゲルを染色する[Molecular Probes (1996)
MP 7567 07/16/96]。GS−525モレキュラーイメージャー(Molecular Imager(Bio
-Rad))を用いて信号を定量化する。テロメラーゼ活性の程度は、TPG(産生され
た全生成物;total product generated)で示され、かつ記述のように計算する[O
ncor (1996) TRAPeze telomerase detection kit; catalogue No. S7700-Kit;s
econd edition. Oncor, Gaitherburg, MD; USA]。
【0023】 2.7. 解析 結果は、両側Student's t-testにより有意差検定を行った。[Sachs L., Angew
andte Statistik (Springer, Berlin) (1984)]。
【0024】3. プライムモルフの生化学的および細胞生物学的特性の特定 3.1. スベリテス・ドムンキュラ細胞由来のプライムモルフの形成 細胞を単離するために、海の海綿動物スベリテス・ドムンキュラの試料を用い
た(図1A)。単一細胞は、上述のように解離させることによって得た。指定の洗
浄ステップ後、プラスチック培養容器の表面に接着する傾向がある原生動物細胞
を除去する。細胞を海水/抗生物質溶液に移す。全ての処理/通常5日間のイン
キュベーション期間後、細胞塊からプライムモルフ(図1D)が形成される(図1B
およびC)。2日間のインキュベーション時間後の細胞塊の直径は、約100μm(図
1B)であり、次第に大きさにおいて成長し続ける;4日後、通常300μmの直径に
達する(図1C)。この間に、細胞塊は丸くなる。通常、さらに3から5日後、約1
から2mmの範囲の大きさのプライムモルフが形成される(図1D)。
【0025】 顕微鏡下において分析したプライムモルフの横断面は、内部における細胞が数
層の厚さの上皮様細胞の被層によって囲まれていることを示す(図1EおよびF)
。プライムモルフの扁平上皮を形成する細胞は、はっきりとした核を有する平た
くなった紡錐状先端から察することができるように、扁平細胞である[survey: S
impson T. L. (1984) The Cell Biology of Sponges. Springer-Verkag, New Yo
rk]。細胞の大きさは、20から30μmの範囲を変動する。プライムモルフ内の細胞
は主に小球状(spherulous)細胞である。それら細胞は、約30から40μmの直径を
有し、さらに、細胞の多くの部分を占める大きな丸い小胞によって特徴付けられ
る。他の細胞は、移動細胞および原始細胞として称され、約40μmの大きさであ
る。
【0026】 プライムモルフの外側の外観は、平滑で、ほとんど球状である(図1D);組織
切片は、プライムモルフ中の細胞が組織様集団(tissue-like body)にうまく組織
化されていることを示している(図1EおよびF)。扁平上皮が、通常扁平細胞か
ら成る数細胞の厚さの層によって形成されていることが印象的であり(図1F)、そ
れは天然の海綿動物においては認められない;その層は、単一細胞の上皮によっ
て区切られている。プライムモルフ内の組織化された細胞の配列は、相同凝集因
子の存在下において単離細胞から形成された細胞塊から、それら細胞を区別する
[Muller W.E.G. (1982) Intern. Rev. Cytol. 77, 129-181]。
【0027】 in vivoで形成される無生殖体、芽、減数体(reduction bodies)および芽球と
対照的に [survey: Simpton T. L. (1984) The Cell Biology of Sponges. Spri
nger-Verlag, New York]、ここに記載されているプライムモルフはin vitroで単
一細胞の浮遊液から形成される。ここに示したように、単離細胞は、組織様集団
を形成する。単一細胞の浮遊液から形成された機能的プライムモルフの構造は、
そのプライムモルフの形成が死細胞および細胞断片を排出することを含む能動的
プロセスであることを示す;そのことは、プライムモルフを取り囲む“でこぼこ
の”縁("regged" edges)として顕微鏡下において見ることができる。また、扁平
細胞からの扁平上皮の形成は、海綿動物細胞が脱分化し、さらに続いて再分化し
て、すなわちプライムモルフの形成に必要な細胞になることを示唆する。
【0028】 プライムモルフに変形される間の細胞の再編成は、細胞移動のための構造およ
び関連タンパク質の存在を前提とする;細胞移動のための重要な構造要素として
、海綿動物において、コラーゲンが詳細に記載されている。異種抗体を用いた免
疫交差反応および海綿動物ゲオディア・シドニウム(Geodia cydonium)由来ポリ
ペプチドの推定のcDNAの単離により、より高度な無脊椎動物および脊椎動物にお
いて細胞移動を含む細胞外マトリックスとの細胞相互作用を促進するような接着
性糖タンパク質フィブロネクチンが、海綿動物においても存在することがこれま
でに示されている[Pahler S., Blumbach B., Muller I., M., Muller W. E. G.
(1998) J. Exp. Zool.; in print]。プライムモルフ中の増殖する細胞の正確な
配列を説明するためには、プライムモルフ中にモルフォゲンが存在することを前
提としなければならない。最近、我々は、可能なモルフォゲン、すなわち、“内
皮−単球−活性化ポリペプチドモルフォゲン”を海綿動物ゲオディア・シドニウ
ムから単離した[Pahler et al., 1998a]。
【0029】 3.2. プライムモルフの経過 スベリテス・ドムンキュラから調製したプライムモルフは、今までに、5ヶ月
以上の間培養し続けている。
【0030】 第一プライムモルフをCMFSW-E中において単一細胞に再度解離させることがで
きる。その方法で形成された単一細胞の浮遊液は、まだ細胞塊を形成し、さらに
続いてプライムモルフを再度形成することができ、ここでそれを第二プライムモ
ルフと称する。そのプロセスは、細胞が海水/抗生物質溶液に移される時に生じ
る。プライムモルフ形成の動力学的パラメーターは、通常、第一プライムモルフ
で得られた動力学的パラメーターに一致する。例えばCMFSW-E培地のようにCa2+
を含まない場合、第一プライムモルフ由来の細胞は、解離後、培養容器[例えばF
alcon, カタログ番号3004]の表面に弱く接着する。最適の接着をもたらすために
、容器はカバーガラスまたはゴム製のヘラ(rubber scraper)を用いて軽く傷つけ
ておく必要がある。
【0031】 3.3. 培養条件に関連する細胞中のテロメラーゼ活性のレベル 以前、我々が記述したように[Koziol et al., 1998(s.o.)]、海綿動物細胞は
、単一細胞に解離した後、テロメラーゼ陽性の状態からテロメラーゼ陰性の状態
への転換期を通過する。
【0032】 テロメラーゼ活性のレベルは、プライムモルフが単一細胞浮遊液から形成され
る間に細胞中において測定した。結果は、自然に細胞結合した状態の細胞は高い
レベルのテロメラーゼ活性を有することを示す;定量的分析は、8.9TBG units/5
x103細胞当量の活性を示した(図2;レーンa)。解離した単一細胞状態に14時間
置かれた細胞においてテロメラーゼ活性を測定した場合、酵素レベルは0.9TBG u
nits/5x103細胞当量に低下した(図2;レーンb)。しかしながら、プライムモル
フからの細胞を分析のために用いた場合には、得られたテロメラーゼ活性は、4.
7TBG units/5x103細胞当量であった(図2;レーンc)。
【0033】 これら結果は、組織集合から放出された場合に細胞がテロメラーゼ活性を失う
ことを示す。ここで示されているように、単一細胞は、組織様集団の形成後、再
度プライムモルフを再構築し、再びテロメラーゼ陽性となる。
【0034】 3.4. プライムモルフの細胞におけるBrdU取込みの免疫細胞化学的検出 プライムモルフに組織化した細胞が増殖能を回復することを示すために、BrdU
標識および検出の方法を用いた。増殖の測定として、細胞をBrdUと共に12時間イ
ンキュベートした。その後、前述した抗BrdUモノクロナール抗体を用いた方法に
より、DNAへのBrdUの取込みを検出し、かつ定量化した。BrdUをDNAに取り込んだ
細胞は、黒っぽく(暗褐色に)染色された細胞核により特徴づけられる(図3B−
D)。BrdUに対する一次抗体と共にインキュベートしなかった対照は、染色され
なかった(図3A)。
【0035】 CMFSW-E中で1日維持した単一細胞浮遊液は、DNA合成を経た細胞を全く含まな
かった(表1)。単一細胞の浮遊液を培養して1日後に形成された細胞塊から得ら
れたBrdU陽性細胞の割合(%)は低い(6.5%)。一方、プライムモルフ中においてDNA
合成/増殖している細胞数は多い。表1に総括するように、第一プライムモルフ
におけるBrdU陽性細胞の割合(%)は33.8%であり、第二プライムモルフでは22.3%
である。これらの数字は、プライムモルフに組織化された細胞がDNA合成を経て
、その後細胞分裂能を回復することを支持するものである。
【0036】 3.5. プライムモルフの細胞における増殖の免疫細胞化学的検出 細胞がDNA合成後、実際に分裂しているか否かを確かめるために、スベリテス
・ドムンキュラのプライムモルフ由来細胞へのBrdUの取込みを検出するのに用い
たのと同じ細胞集団(batch)を用いて分析した。BrdU陽性であり、かつ、まだ有
糸分裂を受けた後の二核細胞である細胞を計数した。
【0037】 結果は、単一細胞の浮遊液または細胞塊において二核細胞は生じないが、第一
プライムモルフでは19.4%の細胞が二核細胞であり、第二プライムモルフでは13.
8%の細胞が二核細胞であった(表1)。
【0038】 このことは、プライムモルフ中の細胞がDNA合成に加えて細胞分裂も受けるこ
とを証明する。
【0039】 3.6. プライムモルフ中の細胞と細菌の結合 ほとんど全ての種の海綿動物が、微生物と共生様関係において生活している[M
uller W. E. G., Zahn R. K., Kurelec B., Lucu C., Muller I., Uhlenbruck G
. (1981) J. Bacteriol. 145, 548-558]。原核生物のみでなく、宿主(海綿動物
、サンゴ、または他の無脊椎動物)と関連して生活する真核生物も見出されてい
る。海綿動物に存在する生物は、PCR分析によって [Althoff K., Schutt C., St
effen R., Batel R., Muller W. E. G. (1998) Marine Biol. 130, 529-536]、
および/またはアガロースゲルにおけるrRNA分析によって検出できる。原核生物
のrRNAは二つの主な種類23Sおよび16S rRNAを含むが、真核細胞のrRNAにおいて
見出される主な種類は28Sおよび18S rRNAである。
【0040】 rRNAの抽出および続くアガロースゲルにおける分離後の組織試料の分析により
、スベリテス・ドムンキュラにおいて、2つの宿主rRNAである28Sおよび18S rRNA
の他に原核生物のrRNAである23Sおよび16S rRNAも発見される(図4;レーンa)
。解離し、さらに続いて培養してプライムモルフを作成した後も、原核細胞のrR
NAである23Sおよび16S rRNAは通常検出される(図4;レーンb)。
【0041】 このことは、培養液の汚染を生じさせること無しに、プライムモルフが微生物を
含有し得ることを示す。
【0042】 3.7. 軟質サンゴ デンドロネフチア・ヘムプリチ由来細胞から調製したプライム
モルフにおけるDNA合成および細胞増殖の検出 海綿動物スベリテス・ドムンキュラ由来プライムモルフのために記述された詳
細に従って、軟質サンゴ デンドロネフチア・ヘムプリチ由来のプライムモルフ
も培養して育てた。
【0043】 結果は、単一細胞の浮遊液または細胞塊において、BrdU取込み陽性細胞は無く
、またはわずかな細胞のみがBrdU取込み陽性であったが、第一プライムモルフお
よび第二プライムモルフの両方において、多数の細胞がBrdU陽性であり、すなわ
ちDNA合成を受けていることを示す(表1)。
【0044】 さらには、単一細胞浮遊液または細胞塊において二核細胞は生じないが、第一
プライムモルフでは12.9%が二核細胞であり、第二プライムモルフでは8.2%が二
核細胞である。従って、デンドロネフチア・ヘムプリチでも、プライムモルフの
細胞がDNA合成に加えて細胞分裂を受けることが示されている(表1)。
【0045】表1. BrdU標識および“検出キット”による、細胞のDNA合成分析。
【0046】 海綿動物スベリテス・ドムンキュラおよび軟質サンゴ デンドロネフチア・ヘム
プリチをモデルとして用いた。単一細胞の浮遊液をBrdUと共にインキュベートし
た;取り込まれたヌクレオチドを抗BrdUモノクロナール抗体によって免疫学的に
可視化した。BrdU陽性細胞および二核細胞の割合が、それぞれ一連の細胞集団の
ために示されている。分析は:(i)CMFSW-Eにおいて1日維持した単離細胞;(ii)
海水中1日培養した後に単一細胞浮遊液から得た細胞塊;(iii)第一プライムモル
フ[10日後の形態]および(iv)第二プライムモルフ[1ヶ月経過した第一プライムモ
ルフから単一細胞に解離し、さらに続いて第二プライムモルフを形成]:におい
て実施した。細胞集団あたり、300細胞を計数した。
【0047】
【表1】 4. 本方法の用途の説明 プライムモルフ培養を調製する方法の用途を、スベリテス・ドムンキュラの例
に関して記載する。ここに示されている効果は、デンドロネフチア・ヘムプリチ
由来のプライムモルフにおいても認められており、従って、特にこの種および海
綿動物[海綿動物門]およびサンゴ[および刺胞動物全般]、さらには無脊椎動物全
般にも適用できる。
【0048】 第一プライムモルフは、スベリテス・ドムンキュラ由来の単一細胞から調製し
、21日後に実験に用いた。
【0049】 4.1. DNA合成および増殖を調節する物質を同定するためのプライムモルフの使用 DNA合成および細胞増殖に対するホルボールエステルの効果が脊椎動物におい
てよく記載されている[Parker P. J., Dekker L. V. (1997) Protein Kinase C.
Springer-Verlag, New York]。これら物質のターゲット酵素はプロテインキナ
ーゼCである。予備的研究において、我々は、海綿動物も同様に本酵素を有する
ことを示すことができた[Kruse M., Gamulin V., Cetkovic H., Pancer Z., Mul
ler I. M., Muller W. E. G. (1996) J. Molec. Evol. 43, 374-383]。
【0050】 そのため、スベリテス・ドムンキュラ由来のプライムモルフ中のBrdU陽性細胞
の割合(%)に対するホルボールエステルであるホルボール12−ミリステート13−
アセテート(PMA)の影響を確認した。プライムモルフを異なる濃度のPMAと共に2
日間インキュベートした。その後、前述したように、BrdU標識によりDNA合成を
評価した。対照である、試験物質を含まないプライムモルフにおけるBrdU陽性細
胞の割合(%)を100%に設定した。図5にまとめた結果は、0.01−1μg PMA/mlの濃
度範囲において、プライムモルフ中のBrdU陽性細胞数の割合(%)が顕著に増加す
ることを示す(図5)。
【0051】 そのデータに基づき、プライムモルフが、無脊椎動物において、DNA合成に影響
を及ぼすような生物活性物質を検出するのに優れた系であると推論できる。
【0052】 また、上記意見に基づき、ここで用いられる薬剤と共にインキュベートした後
に、何らかの増殖の変化が生じるか否かも並行した細胞集団 (parallel batches
)において検討した。0.01−1μg PMA/mlの範囲において、プライムモルフ中の細
胞増殖が増加することを示すことができた。
【0053】 4.2. 環境有害物質を分析するためのプライムモルフの使用 カドミウムは、環境において、特に水中環境において頻繁に見出される環境毒
素である[Clark R. B. (1997) Marine pollution. Clarendon Press, Oxford]。
プライムモルフに対するカドミウムの影響の結果としてDNA合成能が低下するこ
とを示すために、本重金属を選択した。
【0054】 選択した濃度は、例えば北アドリア海のような、自然環境において含まれてい
る濃度である。公開データに基づき、0.1ng/ml(ロビニの南[イストリア])と0.
5ng/ml(プーラ−シポレックス[イストリア])の間のカドミウム濃度を選択し[M
ikulic M. (ed.)(1994) Monitoring programme of the Eastern Adriatic Coast
al Area (1983-1991), United Nations Environmental Programme, MAP Technic
al Reports Ser. 86, p.275];さらに、より高い濃度も用いた。
【0055】 結果は、1ng/mlおよびそれ以上の濃度のカドミウムで効果が生じる時間の経過
後、BrdU陽性細胞の割合(%)の低下が観測できたことを示す(図6)。(i)この発
見は独自のものであり、かつ(ii)環境において、本重金属が動物に蓄積する;そ
の蓄積は17,500倍の要因になり得る:ことを重要視しなければならない[Muller
W. E. G., Batel R., Lacorn M., Steinhart H., Simat T., Lauenroth S., Has
sanein H., Schroder H. C. (1998) Marine Ecol. Progr. Ser., in print]。
【0056】 ここに記載された実験データ、および水生生物における重金属の蓄積に関する
文献の実験データに基づき、プライムモルフの系が環境汚染の感度の良い指標で
あるとみなすべきである。
【0057】 4.3. プライムモルフにおける毒性タンパク質スベリチン(suberitine)の産生 スベリチンがスベリテス・ドムンキュラ試料において形成されることの証拠が
文献においてもたらされている[Cariello L., Zanetti L., (1979) Comp. Bioch
em. Physiol. 64C: 15-19]。それら海綿動物試料は、自然において捕らえた。ス
ベリチンは、溶血性を有する毒性タンパク質である[Cariello L., Zanetti L. (
1979)]。
【0058】 本明細書において初めて、海綿動物細胞がin vitroで生物活性物質を産生し得
ることをここに示している。スベリテス・ドムンキュラ由来のプライムモルフを
培養した。0から20日後[24穴プレートにプライムモルフを移してから]のプライ
ムモルフの抽出物において、生物活性を測定した。パラメーターとして溶血活性
を選択した。CarielloおよびZanetti(1979)により提供された詳細に基づき、プ
ライムモルフから生の抽出物(raw extract)を調製し、さらに分光光度分析によ
り溶血活性を特定した。0.1光学単位をここで、独断的な単位である1HU(溶血単
位)として定義した。図7に記載のように、プライムモルフは、24穴プレートに
移したその日に3.5±0.4HU/mgタンパク質のわずかな生物活性物質を有する。プ
ライムモルフを3日以上培養した後、6.9±0.7HU/mgである生物活性において有意
な増加(p<0.001)があり;10日間インキュベートした後、生物活性は最大に達す
る。
【0059】 ここに記載した実験データに基づき、プライムモルフがin vitroにおける生物
活性物質の優れた産生体(producer)であると仮定すべきである。
【0060】 生物活性物質は、小規模(1ml)または大規模(20L)においてプライムモルフによ
って産生され;さらには、その産生は、大きなバイオリアクターおよび同様に水
産養殖においても生じる。
【0061】表2. 熱ショックによりアポトーシス的(apoptotically)に殺された同種細胞(
スベリテス・ドムンキュラ由来)および異種細胞(ゲオディア・シドニウム)を
添加した後のプライムモルフの大きさおよびBrdU陽性細胞の割合(%)における増
加。殺された細胞(1x103/well)を3日間培養液に添加し、その後、結果を評価し
た。各場合において10プライムモルフを測定した(平均値および標準偏差を示す
);BrdU陽性細胞の評価のために細胞集団あたり300細胞を計数した。細胞を添
加する前およびインキュベート後の大きさを測定した(同じプライムモルフを評
価した)。
【0062】
【表2】 4.4. プライムモルフにおけるDNA合成および/または細胞増殖を増加させること
を可能とする栄養物の同定 血清のような標準の栄養培地を添加していない海水/抗生物質溶液中において
、プライムモルフがDNA合成および細胞増殖を受けることが上記において説明さ
れている。
【0063】 ここで、熱ショックによりアポトーシス的に殺された同種細胞(スベリテス・
ドムンキュラ由来)および異種細胞(ゲオディア・シドニウム)のいずれを添加
しても、プライムモルフの大きさおよびBrdU陽性細胞が占める割合(%)の両方が
有意に(p<0.001)増加し得ることを示すであろう(表2)。
【0064】 さらには、驚くことに、ホスファチジルセリンおよびホスファチジルイノシト
ールもプライムモルフの大きさを増加させ、かつBrdU陽性細胞の占める割合(%)
も増加させることが発見された。以下の解釈は、そのことを説明するために見出
された。熱ショックによってアポトーシス的に殺された細胞(栄養源として働く
)はホスファチジルセリンおよびホスファチジルイノシトール、ならびに他の脂
質をもその細胞表面上に露出する。これらアポトーシス的に修飾された細胞/膜
は、プライムモルフによって食される。
【0065】 このことは、両方の殺された細胞、および純粋な組成物、脂質またはコラーゲ
ン、あるいは他の細胞外分子のような純粋な組成物が、細胞の大きさおよびBrdU
陽性細胞の占める割合(%)にプラス効果を有することを示す。
【0066】 4.5. テロメラーゼ活性を調節する物質を見つけるためのモデルとしてのプライ
ムモルフ 癌細胞が高いテロメラーゼ活性を有することが知られている[Hastie N. D., D
empster M., Dunlop A. G., Thompson A. M., Green D. K., Allshire R. C. (1
990) Nature346, 866-868]。医学研究の1つの目的は、癌細胞における本酵素の
活性を低下させることである。海綿動物細胞はテロメラーゼ陽性であるため、従
って、プライムモルフモデルは本酵素活性を低下させる物質を評価するのに理想
的であり、適している。
【0067】 以下の表において、プライムモルフの細胞中のテロメラーゼ活性は、確かに調
節可能である。薬剤として、我々がスベリテス・ドムンキュラからクローン化し
、かつ組換え的に調製したインテグリンタンパク質に対する抗体を用いた。表3
に示すように、これら抗体は、単に2日培養しただけで、プライムモルフ中のテ
ロメラーゼ活性を低下させる。
【0068】 このことは、プライムモルフがテロメラーゼ活性を調節する物質を見つけるた
めの優れたモデルであることを示す。
【0069】表3. プライムモルフに抗体(ウサギ−ポリクロナール)を添加した後の、スベリ
テス・ドムンキュラ由来細胞におけるテロメラーゼ活性。
【0070】 ウェルあたり50μlの抗体を細胞に添加した。テロメラーゼ活性は、TPG(産生さ
れた全生成物)で表し、さらに5x103細胞当量に標準化した。
【0071】
【表3】 4.6. 水産養殖において養殖するためのプライムモルフの使用 プライムモルフは、より大きな組織を培養し、かつ対応する完全な生物を養殖
するために用いることができる。本目的のための用途は水産養殖である。培養槽
スライド[(Nunc)−カタログ番号177453]における通常2ヶ月のインキュベーショ
ン期間の後、例えば、プライムモルフをより大きな人工容器(タンクのような)
に移してから自然(水生環境)に移し、または直接自然(水生環境)に移す。
【0072】 もしより大きな人工容器(タンクのような)を用いる場合には、その容器は、
スベリテス・ドムンキュラの場合のように、人工海水で満たし、かつ微量のミネ
ラルを混ぜる。通常、一週間に1回、例えばツナのような少しの有機物質を培養
液に添加する。平均1ヶ月後、プライムモルフは、5mmの大きさの生物様構造に成
長する。より長いインキュベーション時間により、さらに完全な生物体に成長す
る。
【0073】 従って、このことは、複雑な生物体が、水産養殖されたプライムモルフから再
形成され得ることを示す。このやり方で、人工容器(タンクのような)または天
然のいずれかにおいて、海綿動物、サンゴおよび他の無脊椎動物の養殖を樹立す
ることができる。
【0074】 4.7. 細胞ライブラリーの調製 細胞ライブラリーを樹立する前に、例えばスベリテス・ドムンキュラ由来細胞
のどの細胞が、凍結および続く解凍に耐えて生存し、さらに再度機能することが
できるかを確認する必要がある。
【0075】 この理由のために、例えば海綿動物スベリテス・ドムンキュラのような開始生
物から解離させた後直接、またはプライムモルフからのいずれかにおいて、細胞
を回収して凍結させた。この目的のために、適切なチューブを用いて、通常ジメ
チルスルホキシド(通常10%/海水)またはグリセリン(通常20%/海水)中において
、細胞をゆっくりと(通常1℃/分)凍結させる。細胞数は、約5x106細胞/mlに
調整する。温度が約-70℃に達するとすぐに、続いて液体窒素に細胞を移し、6ヶ
月以上その状態で保存できる。
【0076】 細胞を再度解凍する場合に、段階的に+0℃以上の温度まで上昇させることがで
きる。さらに、通常少しずつ、細胞を海水に移す。通常細胞を培養するのに必要
な温度まで達した時に、細胞塊およびプライムモルフを再度樹立することができ
る。凍結および解凍プロセスの結果として、生存率に大きな損失は認められなか
った。さらには、細胞塊/プライムモルフの形成後、細胞は、DNA合成および増
殖の両方を示す。
【0077】 従って、このことは、海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物由来細胞が、
急速冷凍可能であることを示す。従って、従来のやり方(例えばドライアイス中
)において細胞を出荷して生存させることが可能である。細胞は一括して培養で
き、すなわち細胞ライブラリーの樹立が可能である。
【0078】 図面の説明図1. 海綿動物スベリテス・ドムンキュラの細胞からのプライムモルフの形成。
A:スベリテス・ドムンキュラの試料;倍率x1 細胞はCMFSW-E中で処理すること
により解離させた。培養して2日後、細胞塊を形成[培地:海水/抗生物質]。B
:大きくなっている[3から4日後の写真]。C:x10 通常5日後にプライムモル
フを形成する。D:x10 EおよびFはプライムモルフの横断面であり、内側部分を
囲む扁平細胞の多細胞上皮様部分を示し、それは、小球状細胞、変形細胞、およ
び原始細胞から成る;E:x20;F:x45。
【0079】図2. スベリテス・ドムンキュラ由来細胞中におけるテロメラーゼ活性。テロ
メラーゼ活性は、(i)組織からの細胞(レーンa)、(ii)単一細胞浮遊液[14時間
の間細胞を分析した](レーンb)、(iii)プライムモルフ(レーンc)において測
定した。5x103細胞当量に対応する決められた量の材料をTRAPバッチ中において
インキュベートした。PCR増幅させた後、非変性ポリアクリルアミドゲル中にお
いて分離した;DNA断片を可視化するため、SYBR Green Iでゲルを染色した。
【0080】図3. DNA合成を検出する目的のプライムモルフの細胞。本目的のために、プラ
イムモルフをBrdU中においてインキュベートした(本文中においてさらに詳述)
;そのプロセスにおいて、もしいくらかのDNA合成が生じていればBrdUがDNAに取
り込まれる。取り込まれたBrdU単位は、“BrdU標識および検出キット”を用いて
抗体反応により検出する。これらは、細胞の核に印をつける黒っぽい斑として現
れる。B−D:BrdUと共にインキュベートし、さらに続いて、BrdUを検出するため
に、検出試薬で処理したプライムモルフの細胞。図3Dにおいて、1つのBrdU陽性
細胞が示されており、矢印によって指示されている;BrdU陰性細胞は、矢印の先
端部分で印を付けている。
【0081】図4. 組織試料およびプライムモルフのrRNA分析。材料を抽出し、さらに続い
て、アガロースゲルにおいてRNAを単離した。真核宿主の2つのrRNA[euc]である
28Sおよび16S rRNAに加えて、原核生物のrRNA[proc]である23Sおよび16S rRNAを
臭化エチジウムにより可視化する。
【0082】図5. スベリテス・ドムンキュラ由来プライムモルフ中のBrdU陽性細胞の占め
る割合(%)に対するホルボールエステルであるホルボール12−ミリステート13−
アセテート(PMA)の影響。プライムモルフを異なる濃度のPMAと共に2日間インキ
ュベートした。その後、BrdU標識によってDNA合成を特定した。対照である試験
物質を含まないプライムモルフ中のBrdU陽性細胞の占める割合(%)を100%に設定
した。細胞集団あたり300細胞を計数した。
【0083】図6. プライムモルフ中のBrdU陽性細胞の占める割合(%)に対する0.1ng/mlから
100ng/mlの範囲の濃度のカドミウムの影響図7. スベリテス・ドムンキュラ由来プライムモルフ中における、毒性タンパ
ク質スベリチンの産生。0から20日後[24穴プレートにプライムモルフを移してか
ら]、プライムモルフを採取し、生物活性を評価した。各インキュベーション時
間において、5つの並行した細胞集団のプライムモルフを採取し、生の抽出物を
調製し、さらに溶血活性を評価した。HU(溶血単位)で示される力価は、1mgの
タンパク抽出物に対応する。平均値を標準偏差と共に示す。*(p<0.001)
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は海綿動物スベリテス・ドムンキュラの細胞由来のプライムモルフの形成を
示す。
【図2】 図2はスベリテス・ドムンキュラ由来細胞中におけるテロメラーゼ活性を示す。
【図3】 図3はDNA合成を検出する目的のプライムモルフの細胞を示す。
【図4】 図4は組織試料およびプライムモルフのrRNA分析を示す。
【図5】 図5はスベリテス・ドムンキュラ由来プライムモルフ中のBrdU陽性細胞の占める
割合(%)に対するホルボールエステルであるホルボール12−ミリステート13−ア
セテート(PMA)の影響を示す。
【図6】 図6はプライムモルフ中のBrdU陽性細胞の占める割合(%)に対する0.1ng/mlから1
00ng/mlの範囲の濃度のカドミウムの影響を示す。
【図7】 図7はスベリテス・ドムンキュラ由来プライムモルフ中における、毒性タンパク
質スベリチンの産生を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成13年10月29日(2001.10.29)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一細胞が結合して生じ、かつ組織様構造を有することを特
    徴とする海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物由来の細胞塊であるプライム
    モルフ。
  2. 【請求項2】 海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物由来の細胞塊であ
    るプライムモルフを調製および培養する方法において、単一細胞が、生きた動物
    の組織形態から−またはその組織から−解離した後に修復し、さらに適切なイン
    キュベーション条件下においてin vitroで増殖し、かつ細胞塊を形成するように
    なることを特徴とする請求項1記載の海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物
    由来の細胞塊であるプライムモルフを調製および培養する方法。
  3. 【請求項3】 以下の通常のインキュベーションステップおよび条件:(1
    )組織の小片に切断する;(2)エチレンジアミンテトラ酢酸を含有するC2+および
    M2+を含まない海水に移す;(3)例えば16℃で30分間穏やかに回転させる;(4)例
    えばナイロン網を介して細胞含有浮遊液を濾過し、さらに浮遊液中の細胞を培養
    チューブにトラップする;(5)ステップ(4)を繰り返す;(6)細胞浮遊液を合わせ
    る;(7)海水/抗生物質溶液中において細胞浮遊液をインキュベートする;(8)細
    胞浮遊液を通常107細胞/mlに調整する;(9)さらに、通常1mlの細胞浮遊液を例
    えば60mmのペトリ皿中の5mlの海水/抗生物質溶液に移す;(10)適切な栄養因子
    (成長因子、細胞小器官、小片等)を添加する;(11)環境因子(圧力のような)
    を調整する;さらに(12)細胞接触を確認する:によって、(a)プライムモルフに
    おいて結合している細胞がDNA合成および/または細胞増殖する能力を維持して
    おり、かつ(b)増殖している細胞の確定したin vitro 培養が可能であることを確
    認することを特徴とする請求項2記載の調製および培養する方法。
  4. 【請求項4】 in vitro で修復された細胞塊がテロメラーゼ活性および増殖
    性を維持し、または回復し得ることを特徴とする請求項1から3記載の調製およ
    び培養する方法。
  5. 【請求項5】 増殖調節物質を同定するための細胞塊の使用において、プラ
    イムモルフを増殖調節物質(例えば成長因子ならびに他の合成および天然の物質
    )と共にインキュベートし、さらに細胞計数のような従来法を用いて細胞増殖を
    特定することを特徴とする増殖調節物質を同定するための請求項1から4に基づ
    き作成した細胞塊の使用。
  6. 【請求項6】 DNA合成調節物質を同定するための細胞塊の使用において、
    プライムモルフをDNA合成調節物質(例えば代謝拮抗剤および他の合成および天
    然の物質)と共にインキュベートし、さらに例えばDNAへの前駆体の取込みのよ
    うな従来法を用いて、または例えば細胞へのBrdUの取込みを特定する免疫細胞化
    学的手段により、DNA合成を測定することを特徴とするDNA合成調節物質を同定す
    るための請求項1から4に基づき作成した細胞塊の使用。
  7. 【請求項7】 環境有害物質を同定し、かつ検出するための細胞塊の使用に
    おいて、プライムモルフを環境物質と共にインキュベートし、さらに続いて増殖
    (請求項5)、DNA合成(請求項6)または生命力(例えば生存日数により)を
    測定することを特徴とする環境有害物質を同定し、かつ検出するための請求項1
    から4に基づき作成した細胞塊の使用。
  8. 【請求項8】 バイオリアクターにおいてin vitroで生物活性物質を合成す
    るための細胞塊の使用において、プライムモルフを適切な培養容器中に維持し、
    さらに培養上清またはプライムモルフ自体の何れかから生物活性物質を抽出する
    ことを特徴とするバイオリアクターにおいてin vitroで生物活性物質を合成する
    ための請求項1から4に基づき作成した細胞塊の使用。
  9. 【請求項9】 細菌および他の微生物を培養するための細胞塊の使用におい
    て、プライムモルフをプライムモルフ中で増殖する細菌および他の微生物と共に
    インキュベートすることを特徴とする細菌および他の微生物を培養するための請
    求項1から4に基づき作成した細胞塊の使用。
  10. 【請求項10】 組織様材料を調製するための細胞塊の使用において、永久
    的に利用できる対応する生物の大量の組織様材料を作成するために、成長因子を
    添加する等の適切な培養およびインキュベーション条件下において、in vitroで
    プライムモルフを培養することを特徴とする組織様材料を調製するための請求項
    1から4に基づき作成した細胞塊の使用。
  11. 【請求項11】 水産養殖において完全な生物を養殖するための細胞塊の使
    用において、対応する生物に成長するまでプライムモルフを人工容器中において
    培養し、かつ適切な栄養因子(成長因子、細胞小器官、小片等)を添加しながら
    維持することを特徴とする水産養殖において完全な生物を養殖するための請求項
    1から4に基づき作成した細胞塊の使用。
  12. 【請求項12】 水産養殖において完全な生物を養殖するための細胞塊の使
    用において、プライムモルフを自然の条件下に放ち、さらにプライムモルフがそ
    こで成長し続けることを特徴とする水産養殖において完全な生物を養殖するため
    の請求項1から4に基づき作成した細胞塊の使用。
  13. 【請求項13】 穏やかな条件下(例えばジメチルスルホキシドまたはグリ
    セリン添加後のような)において凍結することを特徴とする海綿動物、サンゴ、
    および他の無脊椎動物由来の細胞、細胞塊、およびプライムモルフを保存/凍結
    する方法。
  14. 【請求項14】 バイオリアクターにおいてin vitroで生物活性物質を合成
    するための細胞塊の使用において、プライムモルフを適切な培養容器中に維持し
    、さらに生物活性物質を培養上清またはプライムモルフ自体のいずれかから抽出
    することを特徴とするバイオリアクターにおいてin vitroで生物活性物質を合成
    するための請求項1から4および9に基づき作成した細菌および微生物を含有す
    る細胞塊の使用。
  15. 【請求項15】 テロメラーゼ活性を調節する物質を同定するための細胞塊
    の使用において、プライムモルフを例えばインテグリンリガンドのような物質と
    共にインキュベートし、さらに続いて従来法を用いてテロメラーゼ活性を評価す
    ることを特徴とするテロメラーゼ活性を調節する物質を同定するための請求項1
    から4に基づき作成した細胞塊の使用。
  16. 【請求項16】 細胞塊から培養した組織様材料の使用において、請求項5
    、6、7、8、9、11、12、13、14および15の適切な請求項に基づき
    使用されることを特徴とする請求項1から4による細胞塊を起源とする細胞塊か
    ら請求項10に基づき培養した組織様材料の使用。
JP2000552256A 1998-05-30 1999-05-06 海綿動物、サンゴ、および他の無脊椎動物由来の単離細胞から、プライムモルフと称される細胞塊を調製および培養する方法、ならびにその使用 Pending JP2002517188A (ja)

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