JP2002517171A - 電気透析回収法 - Google Patents

電気透析回収法

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JP2002517171A JP50158592A JP50158592A JP2002517171A JP 2002517171 A JP2002517171 A JP 2002517171A JP 50158592 A JP50158592 A JP 50158592A JP 50158592 A JP50158592 A JP 50158592A JP 2002517171 A JP2002517171 A JP 2002517171A
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Abstract

(57)【要約】 電気透析セルにおいて、多価金属水酸化物を、アルカリ水酸化物から又は別の多価金属水酸化物から固形物の形態として分離する。この分離法は、供給原料区画室電解液のpH又はアルカリ水酸化物濃度を、アルカリカチオンを供給しそしてその電解液から取り出す速度を釣り合わせることにより変えて調節される。結果として、一つの多価金属カチオンが供給原料電解液中で固形物として分離し、あるいは一つの多価カチオンが固形物として分離しそして一つの多価カチオンがイオン移動可能で且つ電解液から電気輸送可能になる。この電気透析法は、エッチング剤から溶解アルミニウムを固形物として除去しそして水酸化ナトリウムをエッチングのための溶液として戻す場合に、溶解アルミニウムを含有している水酸化ナトリウムエッチング剤を連続的に再生するのに使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 電気透析回収法 発明の分野 この出願は、1988年4月19日出願の米国出願第183,040号の一部継続出願であ る。 この発明は、概括的に言えば、水酸化物のゾル、ゲル、コロイド分散系又は溶 液中のアルカリ水酸化物から多価金属水酸化物を分離するための方法に関する。 より具体的には、この発明は、ゾル、ゲル、分散系又は溶液からのアルカリカチ オンの電気輸送(electro-transport)により、多価金属水酸化物とアルカリ水酸 化物のゾル、ゲル、分散系又は溶液を分離するための電気透析法に関する。 具体的に言えば、この発明は、多価金属水酸化物の分離のため及び電解液中の アルカリ水酸化物から多価金属水酸化物を分離するために電気透析セルを使用す る電気透析法に関し、この方法では上記の電解液のpH又はアルカリ水酸化物の濃 度を、アルカリカチオンが当該電解液に入る速度で当該電解液からアルカリカチ オンを電気輸送することによって制御して、それによりゾル、ゲル、分散系又は 溶液の供給原料中の多価金属水酸化物を電解液中で固形物として分離し、あるい は一つの多価金属水酸化物を固形物として分離しそして一つの多価金属水酸化物 をイオン移動可能なカチオンを有する塩に変える。このイオン移動可能なカチオ ンは、カチオン透過性の膜を通して陰極溶液へ電気輸送され、その電気輸送され たアルカリカチオンは陰極溶液中でアルカリ水酸化物に変えられる。結果は、多 価金属水酸化物を分離するための電気透析法であり、そしてアルミニウムのアル カリ水酸化物エッチング剤及び多価水酸化物とアルカ リ水酸化物とを含有してなる他のゾル、ゲル、分散系又は溶液を回復及び再構成 するための効率的な方法である。 本発明の方法の一つの態様は、カチオン透過性膜により分離された陽極液の区 画室と陰極液の区画室とを有する電気透析セルを含む電気透析法に関する。陽極 液の区画室には、陽極(アノード)と、酸の可溶性アニオンを含みあるいは含ま ず、アルカリ水酸化物を含んでなる水溶液の陽極液とが入っている。陰極液区画 室には、陰極(カソード)と、アルカリ水酸化物の水溶液とが入っている。 アルカリ水酸化物と多価水酸化物を含んでなるゾル、ゲル、分散系又は溶液は 、セルの陽極液区画室へ連続的に供給される。アルカリカチオンは、陽極液中の アルカリ水酸化物の濃度又はpHを制御して、陽極液から固形物として除去可能な 陽極液中の多価金属水酸化物の分離を引き起こす速度で、陽極液からカチオン透 過性膜を通して陰極液へ連続的に電気輸送される。 この態様は、陽極液から水酸化アルミニウムと他の水酸化物を分離してアルカ リ水酸化物と添加剤をエッチング剤溶液に戻すことによりアルミニウム及びアル ミニウム合金のアルカリ水酸化物エッチング剤を回復するのに特に有効である。 本発明の電気透析法のもう一つの態様は、カチオン透過性膜で分離された少な くとも三つの区画室を有する電気透析セルを含む電気透析法に関する。このセル は、陽極と水性陽極液が入っている陽極液区画室と、酸の可溶性アニオンを含み あるいは含まずにアルカリ水酸化物を含む供給原料区画室と、陰極とアルカリ水 酸化物の水溶液の陰極液とが入っている陰極液区画室を有する。アルカリ水酸化 物と多価金属水酸化物を含んでなるゾル、ゲル、分散系又は溶液は供給原料区画 室へ連続的に供給され、そしてアルカリカチオンは、供給原料区画室の電解液中 のアルカリ水酸化物の濃度又はpHを制御 する速度で供給原料区画室の電解液から陰極液へ連続的に電気輸送され、それに より多価金属水酸化物が供給原料区画室の電解液中で除去可能な固形物として分 離される。この態様は、電気透析プロセスへの供給原料が陽極を覆って汚す酸素 に敏感な有機物あるいは物質を含有している場合に特に有効である。 本発明の方法のもう一つの態様は、カチオン透過性膜で分離された少なくとも 三つの区画室を有する電気透析セル含む電気透析法に関する。このセルは、陽極 と酸の可溶性アニオンを含む水性陽極液が入っている陽極液区画室と、(a)1 規定溶液中でpHが3以下であり且つ多価金属カチオンの水溶性の塩を形成する酸 の水溶性の塩、及び(b)多価金属カチオンと反応して、多価金属カチオンの沈 殿物、錯体及びキレートから選ばれたイオン移動のできない物質を形成する薬剤 を含有する反応区画室と、そして陰極とアルカリ水酸化物の水溶液とが入ってい る陰極液区画室を有する。アルカリ水酸化物と少なくとも2種の多価金属水酸化 物とを含むゾル、ゲル、分散系又は溶液は陽極液へ連続的に供給され、そしてア ルカリカチオンは、陽極液のpHを制御する速度で陽極液から連続的に電気輸送さ れて、それにより一つの多価金属水酸化物は陽極液中で除去可能な固形物として 分離され、そして一つの多価金属カチオンは陽極液から反応区画室へ電気輸送さ れてイオン移動不能にされ、またアルカリカチオンは陰極液へ電気輸送される。 この態様は、多価金属水酸化物を分離し、且つモリブデン、タングステン及び他 の金属の酸性酸化物の塩を、多価金属カチオンの塩又は水酸化物でカチオン透過 性膜のイオン輸送を詰まらせず且つ実質的に純粋なアルカリ水酸化物の回収を妨 げずに酸に変えるのに、特に有効である。 本発明の電気透析法は、アルミニウムやアルミニウム合金のアルカリ水酸化物 エッチング剤を回復し且つ浄化するのに、多価金属水 酸化物の選択的な分離に、そしてゾル、ゲル、分散系又は溶液中のアルカリ水酸 化物から金属の酸性酸化物を回収するのに特に有効である。 発明の背景 電気透析はよく知られている技術である(米国特許第4325792号、第4439293号 、第4636288号、第3394068号、第4080270号、第4111772号、第4203822号、第451 9881号各明細書参照。これらの開示は参照して組み入れられる)。電気透析は、 電気的な推進力の結果によるイオンのイオン透過性膜を通しての電気輸送である 。このプロセスは、一般に、陰極と陰極液が入った陰極液区画室及び陽極と陽極 液が入った陽極液区画室を有する電気化学セルで行われ、陰極液区画室と陽極液 区画室はイオン透過性膜で分離されている。 ナトリウム及び他のアルカリ金属のカチオンのカチオン透過性膜を通しての電 気輸送は、よく知られている技術である。多価金属カチオンを不溶化する、ヒド ロキシルイオンを含む薬剤を含む電解液へカチオン透過性膜を通して多価金属カ チオンを電気輸送することは、米国特許第4636288号明細書に開示されている。 これらの多価金属カチオンは酸性水溶液に可溶性であり、そしてカチオンはカチ オン透過性膜を通しての電気輸送のために十分移動可能であった。第4636288号 明細書の電気透析法は、バッチプロセスとして、あるいは連続プロセスとして、 結果にほとんど違いなしに運転することができた。多価金属カチオン塩の転化は 、塩アニオンの酸と塩カチオンの塩基を生成する結果になった。多価金属塩を含 む溶液の導電性と酸性度は、転化を増加させるにつれて増大した。多価金属塩の 酸性溶液とは対照的に、アルカリ性溶液中の多価金属カチオンは実質的に不溶性 の水酸化物であり、これらの多価金属カチオンは一般 にイオン移動可能でなく、ヒドロキシルイオンはイオン導電性の酸を形成せず、 そして溶液はアルカリ水酸化物が消費されると本質的に非導電性になる。 アルミニウム、鉛、スズ、亜鉛、ガリウム及びタングステンといったような重 金属類の水酸化物の多くは、水酸化ナトリウム又はカリウムが過剰であれば可溶 性であり、あるいは可溶性であるようにみえる。これは塩が生成するせいであっ て、水酸化物は両性の物質として挙動し、そして実験の条件に応じてOH-イオ ンかあるいはH+イオンを与えていた。例えば、水酸化アルミニウムを水酸化ナ トリウムに溶解させると、アルミン酸ナトリウムが生成されると思われる。しか しながら、アルミニウムの溶液は化合物を生成するものではなくむしろ水酸化物 を解膠してゾル、ゲル又はコロイド分散系を生じさせるものである可能性がある 。もちろん、アルカリ水酸化物のゲル、ゾル、溶液あるいはコロイド分散系から 多価金属水酸化物を機械的に分離するのは困難である。 金属にいくつかの酸化物がある場合、水酸化物の塩基的性質はその金属の原子 価が増すにつれてよりはっきりしなくなる。原子価のある一定の限界に達すると 、塩基的性質はほとんど完全に消失し、塩の生成は目に見える程度には起こらな い。酸性酸化物は、大きな原子価を使用していくつかの酸素原子と結合すること ができる金属によってのみ生成される。酸性の傾向は、金属の当量でなく且つよ り大きな原子価ではほとんど変化しない。従って、周期表の右半分の金属は、ア ルカリ金属カチオンと塩を形成する酸性酸化物を与える。これらの酸又は多価金 属水酸化物、モリブデン、タングステン、ウラン、バナジウム、ニオブ及びタン タルといったような金属の酸性酸化物は常に、それらかしばしば過剰の中和用酸 のもとで無水物に変えられあるいは重合されもしくは溶解されるので、塩を中和 す ることにより純粋な形で単離することができない。これらの酸は、金属の低級酸 化物(lower oxide)から、その酸化物を、通常は酸化剤の存在下で、アルカリ とともに加熱して製造される。過剰のアルカリは酸で中和して可溶性のアルカリ 塩を生じさせて取り除かれる。 アルカリ水酸化物の多くの用途では、過剰のアルカリ水酸化物が使用されて、 その結果ゲル、ゾル、分散系又は溶液が生じる。これは特に、アルミニウムやア ルミニウムの合金類の水酸化ナトリウムエッチング剤に当てはまることである。 通常、アルミニウムは、水酸化ナトリウムの15〜30%溶液で、80℃より高い温度 で、エッチング剤1リットル当たり約20〜30gのアルミニウムがエッチングされ るまでエッチングされる。アルミニウムは溶解するように思われ、そして種を加 え且つ冷却するとエッチング剤のろ過によるアルミン酸ナトリウム又は水酸化ア ルミニウムの除去が非常に限られたものになる。アルミニウムがエッチングされ 次いで水酸化ナトリウム溶液中に蓄積されるにつれてエッチング速度は低下する ので、エッチング剤を取り替えて比較的低いアルミニウム濃度を維持することが 必要である。アルミニウムの合金は、水酸化ナトリウムエッチング剤にエッチン グされてかたまり又は粘性液又は溶液を形成する銅、ケイ素あるいは他の金属を 含有している。エッチング工程を容易にするために、硫黄、アミン及び湿潤剤の 添加剤が水酸化ナトリウムエッチング剤で使用される。エッチング剤は、所望の ミル加工(milling)速度とミル加工された合金の品質を維持するために連続的 に回復されるのが望ましかろう。本発明の目的は、アルミニウム及びアルミニウ ム合金をエッチングするために使用されるアルカリ水酸化物エッチング剤の浄化 と回復のための連続法を提供することである。 アルカリ水酸化物エッチング剤を硫酸のような酸で中和あるいは酸性化して、 水酸化アルミニウムをろ過により分離することができることは知られている。結 果として得られた塩溶液は、米国特許第4636288号明細書に開示されているよう に、電気透析により塩アニオンの酸とアルカリカチオンの水酸化物に変えること ができる。この酸は、エッチング剤を中和するのに再び使用することができ、ア ルカリ水酸化物はエッチング剤に戻すことができた。この二工程のプロセスは、 アルカリカチオンの全てを塩に変え、次いでこの塩を電気透析によりエッチング 剤へ戻すためにアルカリ水酸化物に変えることと、その電気透析で塩を転化する 工程において全部の添加剤を回収しなくてはならないことを必要とする。水酸化 アルミニウムを除去する際に得られたろ液、塩、溶液は、ろ液を電気透析で処理 する際にカチオン透過性の膜を汚すのを防ぐためろ液から除去しなくてはならな い、あるいは三つ以上の区画室を有する電気透析ウェルを使用しなくてはならな い、カルシウム、マグネシウム及びこのほかの多価金属のカチオンを含有してい る。アルカリ水酸化物エッチング剤を一工程で回復して、必要とされないアルミ ニウムと他の金属の水酸化物をエッチング剤から連続的に分離し、アルカリ水酸 化物と添加剤をエッチング剤へ戻すことは好ましいことであろう。本発明の目的 は、アルミニウムのアルカリ水酸化物エッチング剤を浄化及び回復するための連 続の電気透析法を提供することである。 一価金属カチオンの塩と混合し又は混合されていない水溶液中の多価金属カチ オンの塩を電気透析で転化することは、多価金属カチオンをカチオン透過性膜を 通して電気輸送して、多価の塩を塩アニオンの酸と、多価金属カチオンの不溶性 の水酸化物、塩、物質に変えることを含む。多価金属カチオンの電気輸送は、多 価金属カチオンがそこへ電気輸送される電解液で酸の塩を使用することによって 促進される。 アルカリ金属と多価金属の塩の混合物を電気透析で転化させる場合には、多価 金属カチオンを電解液から多価金属カチオンがイオン移動できなくされる反応電 解液へ電気輸送し、且つアルカリカチオンをその反応区画室からアルカリ水酸化 物の水溶液の陰極液へ電気輸送する。米国特許第4636288号明細書に開示された 方法は多価金属カチオンとアルカリカチオンを分離するための手段を提供すると は言うものの、それらは、供給原料がアルカリ水酸化物を含む場合に供給原料区 画室の電解液から多価金属水酸化物又は金属酸性酸化物を除去可能な固形物とし て電気透析で分離するための手段、あるいは多価金属水酸化物を電気透析で分離 するための方法を提供しない。 本発明の特徴は、アルカリ水酸化物から多価金属水酸化物を除去し、また多価 金属水酸化物を電気透析により分離して、それにより一つの多価金属水酸化物を 電解液中の除去可能な固形物として分離し、そして一つの多価金属カチオンを電 解液から電気輸送するための電気透析法を提供することである。 発明の概要 この発明は、多価金属水酸化物を分離するため、及びアルカリ水酸化物から多 価金属水酸化物を分離するための方法を提供する。この分離は、カチオン透過性 膜で区画化された電気透析セルを通して電気を流し、この電気透析セルの区画室 内の電解液へアルカリ水酸化物及び多価水酸化物のゾル、ゲル、分散系又は溶液 を供給し、当該電解液のアルカリ水酸化物濃度又はpHを制御するための速度で当 該電解液からアルカリカチオンを電気輸送して、それにより供給原料中の多価水 酸化物が電解液中で固形物として分離し、また一つの 多価金属水酸化物を当該電解液から電気輸送されるイオン移動可能な多価カチオ ンを有する塩に変えて複数の多価金属水酸化物を分離し、且つ一つの多価金属水 酸化物が当該電解液中で固形物として分離し、そしてアルカリカチオン又はを当 該電解液から電気輸送して多価水酸化物とアルカリ水酸化物を分離することを含 む。本発明の方法は、アルミニウムとアルミニウム合金のアルカリ水酸化物エッ チング剤を再構成及び回復するのに特に有効である。 発明の詳しい説明 カチオンがカチオン透過性膜を通して電気輸送されるためには、それらは溶液 に可溶性(イオン的に且つ移動可能)であり、溶液と膜との界面で膜に入り、こ の膜の構造体を通ってイオン移動可能であり、そして膜を出て陰極液の水溶液中 に入らなくてはならない。これらの要件の全ては、アルカリカチオンの電気透析 について容易に満たされる。電気輸送されたアルカリカチオンはカチオン透過性 膜を汚さない水溶性の塩と水酸化物を生成し、そして電解液中にイオン移動可能 な多価金属カチオンがなければ、アルカリカチオンをカチオン透過性膜を汚さず に電解液から除去することができる。あいにく、大抵の水溶液は、電気透析の一 部の条件下で膜の汚れを引き起こすのに十分な濃度のカルシウム、マグネシウム 及び他の多価金属カチオンを含有する。塩化ナトリウムブライン中にわすか1〜 3ppmのカルシウムイオンが存在することは、塩素−アルカリ製造においてカチ オン透過性膜の汚れを引き起こすのに十分であった。水とアルカリ水酸化物溶液 への水酸化カルシウムの溶解度は約1.85〜0.75g/Iの範囲である。アルカリカチ オンとは対照的に、多価金属カチオンは一部の酸のアニオンと実質的に不水溶性 の水酸化物及び塩を形成し、そしてまたアルカリ水酸化物溶液中でイオン移動で きなくなる傾向がある。多価金属水酸化物がカチオン透過性膜を汚すのに十分な 濃度のイオン移動可能な多価カチオンに変えられるpHは、それぞれの多価金属水 酸化物ごとに異なる。多価金属カチオンがその多価金属カチオンの塩の0.03モル 液中で水酸化物を生成し始めるpHは、良好な近似値であるように思える。多価金 属カチオンと一緒になった酸アニオンは、多価金属カチオンの溶解度と水酸化物 の生成が始まるpHとに影響を及ぼす。水酸化物が塩の0.03モル液から沈殿し始め るおおよそのpHは、Mgが10.5、Mn++が8.8、Ndが7.0、Zn++が7.1、Co++が6.8、Ni++ が6.7、Pb++が6.7、Fe++が5.7、Cu++が5.5、Cr+++が5.3、Al+++が4.1、Sn++が 2.0、Fe+++が2、Ti++++が2である。電解質溶液のpHが塩から水酸化物が沈殿す るpHに等しいか又はそれより低い場合には、塩の多価金属カチオンはイオン移動 可能になり、そして条件が許すなら、カチオン透過性膜を汚すか又はそれを通し て電気輸送される。 溶液中に酸の可溶性アニオンがないアルカリ水酸化物溶液の電気透析では、溶 液のpHは7未満であることができない。電解液の導電率は、アルカリ水酸化物濃 度が14のpHより低くなるにつれて低下し、そして全てのアルカリ水酸化物が電解 液から電気透析により取り除かれると非導電性になる。アルカリ水酸化物溶液が 酸の可溶性アニオンを含む場合には、電解液のpHは電気透析により14のpHからそ のアニオンの酸のpHまで変化することができ、そして溶液の導電率は酸の可溶性 アニオンの濃度により変動する。 多価金属カチオンが電解液中でイオン移動可能になる場合には、それはカチオ ン透過性膜のスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン及び他の移動不能アニオ ンと反応して塩を生成しかねず、そして多価金属カチオンかヒドロキシルアニオ ン又は酸アニオンと反応して膜中にあるいはセル陰極と電気的に連絡している電 解液に面する 膜の表面に不溶性の塩を生成しないならば、セル陰極に電気的に連絡している電 解液中へ電気輸送することができる。固体のカチオン透過性膜と電解液との間に は、多価金属カチオンが膜を通って電解液へ溶解するのを可能にするため、液絡 がなければならない。この液絡は、多価金属カチオンとともに可溶性の塩を生成 する酸により、あるいは多価金属カチオンの電気輸送を容易にする酸の塩により 提供される。本発明の方法においては、必要なら、液絡を、供給電解液のpHが約 3より高い場合には酸を用いて、またpHが3より低いときには酸の塩を用いて提 供するのが好ましい。液絡が必要とされない場合には、陰極と連絡する電解液は アルカリ水酸化物の溶液でよい。 本発明の電気透析法は、電解液のアルカリ水酸化物濃度又はpHを制御して多価 金属水酸化物を供給電解液中で除去可能な固形物として分離させる速度で、アル カリカチオンを電解液から連続的に除去する連続プロセスである。当業者には、 アルカリカチオンの電気輸送の速度は供給原料区画室電解液に入ってくる供給原 料の組成と、供給電解液のアルカリ水酸化物の濃度又はpHとに依存する、という ことは明らかなことであろう。アルカリ水酸化物のゾル、ゲル又は分散系は、供 給電解液のアルカリ水酸化物濃度又はpHで除去可能になる多価金属水酸化物又は 金属酸性酸化物を含有していなくてはならない。例えば、アルカリ水酸化物ゾル が水酸化アルミニウムだけを含有している場合には、供給電解液はpHが14の水酸 化ナトリウムの希釈溶液でよく、あるいは電解液は酸の可溶性アニオン、すなわ ち硫酸アニオンを含有し、そしてpHは5.0より高くてよかろうし、また電気透析 は、陽極液区画室が供給原料区画室でありそして陰極液区画室にアルカリ水酸化 物水溶液が入っている二つの区画室の電気透析セルで行うことができよう。アル カリ水酸化物ゾルが、例え ば、Zn、Ni、Pb及びFeを含有している場合には、供給電解液はアルカリ水酸化物 の希釈溶液又は約8より高いpHで酸のアニオンを含む溶液であって、金属水酸化 物の全てを固形物として除去することができようし、あるいは供給電解液は2よ りも高くて約5よりも低いpHであって、Feを固形物として除去し、このほかの金 属カチオンはカチオン透過性膜を通して電気輸送することができよう。好ましく は、電気輸送される多価金属カチオンは、三つ以上に区画化された電気透析セル の反応区画室で不溶化され、そしてアルカリカチオンは陰極液区画室で実質的に 純粋なアルカリ水酸化物に変えられる。金属酸性酸化物の塩は、通常、希釈アル カリ水溶液中で固形物として分離することができ、これらの塩は7未満のpHで酸 に変えることができる。約9以下のpHでは、供給電解液は、多価金属カチオンの 選択された又は完全な除去のために要望されるpHで作用することができる酸の可 溶性アニオンを含むことが好ましいい。 本発明の方法は、供給電解液に供給された全てのアルカリカチオンを電解液か ら電気輸送しないで実施することができる。例えば、電解液の一部をろ過して固 形物を除去し、ろ液を利用するためプロセスへ戻すことができよう。電解液に供 給されたアルカリ水酸化物の部分的な再循環は、電気透析プロセスのエネルギー 効率を高め、そしてアルミニウムやアルミニウム合金をエッチングするのに用い られる添加剤、特にアミン及び硫黄添加剤の再循環を可能にする。 酸の可溶性アニオンを本発明の電気透析法で使用して、電解質のpHを電気透析 で変動させること及び維持することができ、また非常に希薄なアルカリ水酸化物 溶液を含む電解液の導電率を増大させることができる。酸あるいは塩の任意の可 溶性アニオンを使用することができる。好ましくは、このアニオンは、1規定溶 液が3以下のpHを有し且つ多価金属カチオンと可溶性の塩を形成する酸のアニオ ンである。好ましい酸は、0.1規定溶液のpHが3未満である、硫黄、ハロゲン、 窒素、リン及び炭素の酸である。可溶性アニオン又はアニオン混合物の濃度は、 当業者には明らかなように変えることができる。塩の濃度は、供給電解液におけ る所望のpHと導電率に作用するのに十分でなくてはならない。アニオンは、酸、 可溶性の塩、又は電解液に加えられると可溶性のイオン移動可能なアニオンを生 じる塩として加えることができる。 本発明の電気透析セルは、二つ以上の区画室を持つことができる。区画室が二 つのセルは、カチオン透過性膜で分離された陽極液区画室と陰極液区画室を有す る。陽極液区画室には、陽極があり、酸の可溶性アニオンを含みあるいは含まな いアルカリ水酸化物の溶液を含む水性陽極液が入り、アルカリ水酸化物と多価金 属水酸化物を含むゾル、ゲル、分散系又は溶液が加えられる。陰極液区画室には 、陰極があり、アルカリ水酸化物の水溶液が入る。 本発明の区画室が三つのセルは、カチオン透過性膜で分離された陽極液区画室 、供給原料又は反応区画室及び陰極液区画室を有する。陽極液区画室には、陽極 があり、水性陽極液が入る。供給原料又は反応区画室には、酸の可溶性アニオン を含みあるいは含まず、且つ多価金属カチオンをイオン移動不能にする薬剤を含 みあるいは含まない、電解液が入る。陰極液区画室には、陰極があり、アルカリ 水酸化物の水溶液が入る。アルカリ水酸化物と多価金属水酸化物とを含んでなる ゾル、ゲル、分散系又は溶液は、陽極液区画室又は供給原料区画室に供給される 。本発明のセルは、全部カチオン透過性膜で分離された、あるいは供給原料区画 室と陰極液区画室の間の膜はカチオン透過性膜であることを条件に、アクション 、アニオン、バイポーラ膜と多孔質セパレータを組み合わせたもので分離された 四つ以上の区画室を有することができる。 本発明の電気透析セルの区画室を分離するのに、任意のカチオン透過性膜を使 用することができる。カチオン透過性膜はポリマーマトリックスに分配された固 定された負の電荷を持っており、正に荷電したイオンを透過させる。これらの膜 は、好ましくは、酸及び酸誘導体を含有している炭化水素及びハロカーボンポリ マーの膜である。特に適している酸ポリマーは、ペンダントのスルホン酸、スル ホンアミド及びカルボン酸基を含有しているペルハロカーボンポリマーである。 膜は、異なるポリマーの多層構造体でもよく、充填剤、強化材及び化学改質剤を 含有してもよい。好ましい膜は、処理条件に対して実質的に化学的に安定であり 、且つ電気透析プロセスの設計と経済的運転に機械的に適合している。好ましい 膜は導電率が高く、且つアルカリ金属カチオンの電気輸送が良好である。最も好 ましい膜は、スルホン酸基、カルボン酸基及びスルホアミド基を含有する、E.I .duPont社製のNAFIIONのような、ペルフルオロカーボン膜である。好ましくは 、陰極液区画室を他のセル区画室から分離する膜は、アルカリ金属カチオンの電 気輸送が良好であって、いろいろな濃度のアルカリ水酸化物水溶液を作るのに適 している。水の輸送(water transport)が良好な膜は希釈アルカリ水酸化物溶 液にとって好ましく、水の輸送が少ない膜は濃厚アルカリ水酸化物溶液を作るの に好ましい。 本発明のアルカリ水酸化物は、アルカリ金属又はアンモニアの水酸化物でよい 。好ましくは、アルカリ水酸化物は水酸化ナトリウム又はカリウムである。 本発明の多価金属水酸化物は、水あるいは希釈アルカリ水酸化物溶液に実質的 に不溶性である多価金属の任意の水酸化物又は金属酸性酸化物である。 本発明の方法の一つの態様は、電気透析セルでアルミニウムやア ルミニウム合金を化学的切削加工(chemical milling)するためのアルカリ水酸 化物エッチング剤、特に水酸化ナトリウムエッチング剤の回復である。本発明の この側面の実際を説明するため、陽極と水性陽極液が入った陽極液区画室、及び 陰極と陰極液、水酸化ナトリウムの水溶液が入った陰極液区画室を有する電気透 析セルを組み立てた。これらの区画室はカチオン透過性膜で分離した。このセル の電解面積は9平方インチであり、またこのセルは、陽極液に供給原料を連続的 に加えて陽極液から固形物をろ過し、そしてろ過された陽極液を陽極液区画室へ 戻すように装備した。陰極液区画室は、陰極液を、必要な場合には水を加えて、 制御された濃度で連続的に取り出すようにした。陽極は、Electrode Corporatio nから得られる酸化イリジウムコーティングを有するチタンの網で製作した。カ チオン透過性膜は、duPont社から得られるNAFI0N 417であった。陰極は、ニッケ ルを電気被覆した銅の網であった。陽極と陰極との全体の間隙は0.3インチ、セ ル温度は80〜90℃、電流密度は2A/in2であった。セル電圧は陽極から陰極まで の総計の電圧であった。電源は特注品であり、一定の電流と可変電圧で運転する ようにされていた。貯蔵設備へオーバーフローするところで、陽極液区画室の容 積は3000ml、陰極液区画室は500mlであった。例1 陽極液区画室に水酸化ナトリウムの5重量%溶液を満たし、また陰極液区画室 に水酸化ナトリウムの5重量%溶液を満たした。初期のセルのボルト数は3.8で あった。21重量%の水酸化ナトリウムと38g/lの溶解アルミニウムを含有してい る水酸化ナトリウムエッチング剤を陽極液区画室へ、陽極液中に3重量%の水酸 化ナトリウム溶液を保持する速度で連続的に供給し、そして水酸化アルミニウム を連続的に沈殿させ、ろ過して陽極液から除去し、乾燥させて秤量 した。セル電圧は1時間の運転を通して3.9ボルトのままであった。本質的に、 供給エッチング剤中のナトリウムカチオンの100%が陰極液中で水酸化ナトリウ ムとして回収され、またエッチング剤に溶解したアルミニウムの99%が水酸化ア ルミニウムとして回収された。約1時間の電気透析後に、陽極液を硫酸ナトリウ ムの10重量%溶液に変え、そしてエッチング剤の供給を陽極液のpHを13に維持す る速度で継続した。セルのボルト数は4.1であり、一定であった。水酸化アルミ ニウムを連続的に沈殿させ、ろ過して、陽極液から除去した。供給エッチング剤 中の本質的に全部のナトリウムカチオンとアルミニウムを水酸化アルミニウム及 び水酸化ナトリウムとして回収した。1時間後、反応区画室への供給エッチング 剤の添加速度を調整(わずかに減少させる)して、陽極液のpHを10に低下させた 。セルのボルト数は4.1であって、本質的に一定であった。水酸化アルミニウム を連続的に沈殿させ、ろ過して、陽極液から取り除いた。溶解アルミニウムと水 酸化ナトリウムの回収は本質的に100%であった。1時間の運転後、陽極液を水 酸化ナトリウムの5重量%溶液に変え、また供給エッチング剤を、銅6重量%の 溶解アルミニウム合金を50g、そしてトリエタノールアミンとアルカリ硫化物を 含有しているDapco溶液を6.5容量%含有してなる28重量%水酸化ナトリウム溶液 のエッチング剤に変えた。このエッチング剤を、陽極液中に約3重量%の水酸化 ナトリウムを維持する速度で陽極液へ連続的に供給した。銅を含有している水酸 化アルミニウムを陽極液中で連続的に沈澱させた。陽極液から沈殿物をろ過し、 洗浄してアミン及び硫黄添加剤を除去し、乾燥させて秤量した。溶解アルミニウ ムと、酸化第二銅として計算した銅の、本質的に100%が回収された。陽極液を 取り出して陽極液中のアミン添加剤、硫黄添加剤及び他の添加剤の濃度を制御す る準備をするため、陽極液に水を連続的に加 えた。取り出した陽極液は、エッチング溶液に戻し、エッチング剤濃度まで濃縮 することができた。物質収支から、供給原料中の水酸化ナトリウムの約20%が陽 極液として回収され、約80%が陰極液に回収されたことが示された。添加剤を用 いた電気透析に問題は認められなかった。陽極液と陰極液との間での水酸化物の 除去を最適化することは試みなかった。 これらの例は、アルミニウム及びアルミニウム合金の、添加剤を含みあるいは 含まない水酸化ナトリウムエッチング剤は、水酸化アルミニウムが除去可能な固 形物として沈澱する水酸化ナトリウム濃度又はpHを有する供給電解液(陽極液) に使用済みエッチング剤を供給することにより電気透析で回復することができる こと、また陽極液の濃度又はpHは、陽極液から陰極液へのナトリウムカチオンの 電気輸送により電気透析で制御されることを示している。例2 本発明の方法の一つの態様は、アルカリのゾル、ゲル、分散系又は溶液中の2 種以上の多価金属水酸化物を分離して、一つの多価金属水酸化物を供給電解液中 で可溶化し、その結果得られた多価金属カチオンを供給電解液から電気輸送する ことである。本発明のこの側面の実際を説明するために、四つの区画室を有する 電気透析セルを組み立てた。陽極液区画室には陽極と、酸又は酸のゾルを構成す る水性陽極液が入り、二つの反応区画室には電解液が含まれるが電極はなく、そ して陰極液区画室には陰極と、アルカリ水酸化物の水溶液が入る。これらの区画 室はカチオン透過性膜で分離された。区画室が四つのこのセルは、例1の区画室 が二つのセルに二つの反応区画室を追加して組み立てた。陽極液区画室と陰極液 区画室は、陽極液を除いて同じであった。各反応区画室は、pHを制御し、固形物 を除去し、化学薬品を加えて多価金属カチオンをイオン移動可能に するように装備された。おのおのの区画室の電解液容量は200mlであった。電極 間の間隔は0.65インチであった。これらの区画室は、duPont社から得られるNAFI ON 324膜で分離された。電解液は、陽極液が硫酸ナトリウムの10重量%溶液、反 応区画室1が3重量%硫酸、陰極液が10重量%硫酸ナトリウム、1重量%水酸化 ナトリウム及び0.1重量%水酸化ナトリウムであった。25重量%の水酸化ナトリ ウム、20g/lの溶解アルミニウム、1.2g.lの銅、2.4g/lの亜鉛、1.5g/lのカルシ ウム及び2.4g/lのマグネシウムを含有している溶液を、pHが3.5の陽極液へ連続 的に供給し、そして反応区画室2の水酸化ナトリウム濃度を陰極液から水酸化ナ トリウムを追加して制御した。陽極液では水酸化アルミニウムが連続的に沈澱し 、これをろ過により取り除き、反応区画室2では亜鉛、マグネシウム、銅及びカ ルシウムの水酸化物とそして多分いくらかのシュウ酸塩が沈澱し、また陰極液中 には水酸化ナトリウムが生成された。2時間の電気透析後、アルミニウムの約98 %が水酸化アルミニウムとして回収され、また銅、亜鉛及びマグネシウムの約95 %が反応区画室2で回収され、そして水酸化ナトリウムの97%が陰極液として回 収された。 運転を中断し、そして供給原料を、5重量%の水酸化ナトリウム、20g/lの水 酸化第二鉄及び10g/lの水酸化第二銅を含有している溶液に変えた。反応区画室 の電解液と陰極液は同じであった。水酸化ナトリウム溶液を、陽極液のpHを2.4 〜2.6に維持する速度で陽極液に連続的に供給した。陽極液から水酸化第二鉄を 連続的にろ過し、また反応区画室2では水酸化銅が生成された。この水酸化第二 鉄は、pH 2.5の硫酸溶液で沈殿物を洗浄することで除去される微量の銅を含有し ていた。水酸化第二鉄の98%以上が回収され、銅の94%(一部は反応区画室1で )と水酸化ナトリウムの本質的に全てが回収された。例3 例2の電気透析セルを、一つの反応区画室を取り除いて区画室が三つのセルに 変えた。陽極液は硫酸の3重量%溶液であり、反応区画室電解液は水酸化ナトリ ウムの5重量%溶液であり、陰極液は水酸化ナトリウムの10重量%溶液であった 。水酸化ナトリウムエッチング剤は、銅6重量%の溶解アルミニウム合金を30g 、そしてトリエタノールアミンとアルカリ硫化物を含有しているDapco溶液を6.5 容量%含んでいた。このエッチング剤を、5重量%水酸化ナトリウム溶液を保持 する速度で反応区画室へ連続的に供給した。反応区画室でアルミニウムと銅及び 他の金属の水酸化物を連続的に沈澱させてろ過により回収し、また陰極室では水 酸化ナトリウムを回収した。このろ液、反応区画室の溶液は、エッチング剤中の トリエタノールアミンの約90%と、硫化物及びいくらかの硫黄を含有していた。 トリエタノールと硫化物の添加剤の濃度が初期の濃度の約3倍に上昇したら、ろ 液の一部を取り出して水酸化ナトリウムの5重量%溶液と取り替えた。これらの 添加剤の明らかな劣化は認められず、そしてろ液は金属水酸化物を本質的に含ん でおらず、エッチング剤へ戻すことができた。陽極あるいは膜の汚れはなかった 。セル電圧は2時間の運転を通して5.5ボルトのままであった。 エッチング剤供給の完了後、反応区画室の溶液を9重量%の硫酸ナトリウムと 1重量%のシュウ酸ナトリウムの溶液に変え、pHを水酸化ナトリウムで9に調整 した。30g/lのモリブデン酸ナトリウムと180g/lの水酸化ナトリウムを含有して いる供給溶液を陽極液区画室に供給し、そして陽極液のpHを4に調整した。陽極 液で黄白色の沈澱が分離し、そしてゆっくりと、デカンテーションで取り除かれ る固形物になった。陽極あるいは膜が汚れるという運転上の明らかな問題はなか った。反応区画室溶液は、カルシウム及び他の多価金 属カチオンの存在を指示するいくらかの沈殿物を含有していた。モリブデン酸酸 化物及び塩の分子構造の複雑さは完全な化合物及び物質の収支を不可能にするが 、しかしナトリウムカチオンの約95%は陰極液で水酸化物として回収され、反応 区画室でのモリブデン化合物の損失はなかった。黄白色の固形物を乾燥させて、 約80%がモリブデン酸であることが分かった。 供給モリブデン酸塩の残留物を除去するため陽極液を変えて、硫酸ナトリウム の8重量%溶液と取り替え、pHを2に調整した。ゲルを得るため、Mallinckrodt から得られたタングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)を水酸化ナトリウムと ともに溶かして、約80g/lのタングステン酸ナトリウムと210g/lの水酸化ナトリ ウムになるまで希釈された溶液を調製した。この溶液を陽極液へ供給し、陽極液 のpHを2〜3に維持した。白色ないし黄色の物質が分離して、デカンテーション で取り除くことができる固形物をゆっくりと形成し、このデカント液は陽極液へ 戻した。電気透析は明らかな問題なく行われた。黄色の固形物を水で洗浄し、乾 燥し、分析して、ナトリウムは実質に含まれていなかった。この固形物はオルト タングステン酸のようであった。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.導電性と電気輸送特性を有するカチオン膜により分離された陽極液区画室 と陰極液区画室とを有する電気透析セルにおいて多価金属水酸化物及びアルカリ 水酸化物の水性供給原料を電気透析で分離して固形物の多価金属水酸化物とアル カリ水酸化物の溶液とにするための方法であって、 a)アルカリ水酸化物電解質溶液を陽極液区画室と陰極液区画室に入れる工程 、 b)それぞれの陽極液区画室と陰極液区画室の陽極と陰極を電源に接続し、連 続の直流を供給して、アルカリ水酸化物のアルカリ金属カチオンを陽極液区画室 から陰極液区画室へ電気輸送する工程、 c)多価金属水酸化物とアルカリ水酸化物の混合物の連続の水性供給原料を、 陽極液中の所望のアルカリ水酸化物重量百分率を維持する速度で陽極液区画室へ 供給する工程、 d)陽極液区画室から多価金属水酸化物の沈澱を除去する工程、 e)陰極液区画室からアルカリ水酸化物溶液を取り出す工程、 を含む方法。 2.前記水性供給原料が、アルカリ水酸化物と、水とアルカリ水酸化物の希釈 溶液とに実質的に不溶性の多価金属の水酸化物から選ばれた多価金属水酸化物と の、ゾル、ゲル、コロイド分散系又は溶液である、請求の範囲第1項記載の方法 。 3.前記電解液がアルカリ金属の水酸化物から選ばれたアルカリ水酸化物を含 有している水溶液であり、そして前記陽極液が、pHを前記多価金属水酸化物を沈 澱させるのに必要とされるpHより低い値に維持するため酸の可溶性アニオンを含 有している、請求の範囲第1項記載の方法。 4.電気透析セルにおいて酸のアニオンを含む電解液中で、少なくとも2種の 多価金属水酸化物とアルカリ水酸化物とを含む水性供給原料を電気透析で分離し て、固形物の多価金属水酸化物及びイオン移動可能なカチオンを有する多価金属 の塩と、アルカリ水酸化物の溶液とにするため方法であって、当該電解液のpHを この電解液からアルカリカチオンを電気輸送することで連続的に制御して、一つ の多価金属水酸化物を当該電解液中で固形物として分離し、且つ一つの多価金属 水酸化物を当該電解液中で、当該電解液から電気輸送することができるイオン移 動可能な多価金属カチオンを有する塩に変え、そして前記アルカリカチオンをア ルカリ水酸化物に変える方法。 5.前記供給原料が、アルカリ水酸化物と、水溶液中において異なるpHでイオ ン移動可能なカチオンを有する塩を生成する多価金属の水酸化物から選ばれた少 なくとも2種の多価金属水酸化物とを含む、ゾル、ゲル、コロイド分散系又は溶 液である、請求の範囲第4項記載の方法。 6.前記電解液が、1規定溶液のpHが1以下であり且つ多価カチオンとともに 水溶性の塩を形成する、硫黄、ハロゲン、窒素、リン及び炭素の酸から選ばれた 酸のアニオンを含む水溶液である、請求の範囲第4項記載の方法。 7.電気透析セルの第一の区画室中の陽極液への第一の水溶液のアルカリ水酸 化物及び多価金属水酸化物の水性供給原料を電気透析で分離して、固形物の多価 金属水酸化物とアルカリ水酸化物の溶液とにするために電気透析セルを使用する 方法であって、 a)電気透析セルに電流を流し、アルカリカチオンをこの電気透析セルの第一 の陽極液区画室中の前記第一の水溶液からカチオン透過性膜を通して第二の水溶 液が入っている第二の陰極液の区画室へ 電気輸送する工程、 b)前記第一の水性陽極液のアルカリ水酸化物の濃度又はpHを制御する速度で 当該陽極液に酸の可溶性アニオンを投入して、それにより前記多価金属水酸化物 が当該第一の水溶液中で固形物として分離し、且つ、当該電気透析セルの陰極と 電気的に連絡している前記第二の水溶液中にアルカリ水酸化物を生成させる工程 、 を含む方法。 8.前記水性供給原料が、アルカリ水酸化物と、水又はアルカリ水酸化物の希 釈溶液に実質的に不溶性の多価金属水酸化物とを含む、ゾル、ゲル、コロイド分 散系又は溶液から選ばれる、請求の範囲第7項記載の方法。 9.前記第一の水溶液がアルカリ水酸化物と固形物の多価金属水酸化物を含む 、請求の範囲第7項記載の方法。 10.前記第一の水溶液のpHが9より高い、請求の範囲第7項記載の方法。 11.前記供給原料が、エッチングされたアルミニウムを含有している、アルミ ニウム又はアルミニウム合金のアルカリ水酸化物エッチング剤である、請求の範 囲第7項記載の方法。 12.前記第二の水溶液がアルカリ水酸化物の水溶液である、請求の範囲第7項 記載の方法。 13.前記固形物の多価水酸化物が水酸化アルミニウムである、請求の範囲第11 項記載の方法。 14.前記アルカリ水酸化物が水酸化ナトリウムである、請求の範囲第11項記載 の方法。 15.アルカリ水酸化物と多価水酸化物を含む供給原料を電気透析で分離して固 形物の多価水酸化物とアルカリ水酸化物の溶液とにするため電気透析セルを使用 する方法であって、陰極と前記アルカリ 水酸化物の水溶液の陰極液とが入っている陰極液区画室からカチオン透過性膜に より分離された第二の水溶液の入った第二の区画室からカチオン透過性膜により 分離された陽極と陽極液としての第一の水溶液とが入っている陽極液区画室を少 なくとも有する電気透析セルを通して電流を流し、第二の水溶液に前記水性供給 原料を供給し、そしてこの第二の水溶液のアルカリ水酸化物濃度又はpHを制御す る速度で第二の区画室中の第二の水溶液からアルカリカチオンを電気輸送して、 それにより前記供給原料中の多価金属水酸化物を第二の水溶液で固形物として分 離し、且つ第二の水溶液から電気輸送されるアルカリカチオンを前記陰極液へ電 気輸送して前記アルカリ水酸化物に変えることを含む方法。 16.前記第一の水溶液が、1規定溶液のpHが3以下である、硫黄、ハロゲン、 窒素、リン及び炭素の酸から選ばれた酸のアニオンを含有する、請求の範囲第15 項記載の方法。 17.前記第二の水溶液への供給原料が、アルカリ水酸化物と、水又はアルカリ 水酸化物の希釈溶液に実質的に不溶性の多価金属水酸化物とを含む、ゾル、ゲル 、分散系又は溶液から選ばれる、請求の範囲第15項記載の方法。 18.2種以上の多価金属水酸化物とアルカリ水酸化物とを含む水性供給原料を 電気透析で分離して固形物の多価金属水酸化物と多価金属カチオンの塩及びアル カリ水酸化物の溶液にするために電気透析セルを使用する方法であって、陰極と 前記アルカリ水酸化物の水溶液の陰極液とが入っている陰極液区画室からカチオ ン透過性膜により分離された第二の水溶液の入った第二の区画室からカチオン透 過性膜により分離された陽極と陽極液としての第一の水溶液とが入っている陽極 液区画室を少なくとも有する電気透析セルを通して電流を流し、第一の水溶液に 前記供給原料を加え、そしてこの第一の 水溶液のpHを制御する速度で第一の水溶液から前記カチオン透過性膜を通して第 二の水溶液へアルカリカチオンを電気輸送して、それにより多価金属水酸化物を 第一の水溶液で固形物として分離し、且つ多価金属水酸化物を第一の水溶液中で イオン移動可能な多価金属カチオンを有する塩に変え、第一の水溶液からカチオ ン膜を通して第二の水溶液へ電気輸送してイオン移動不能にし、前記アルカリカ チオンを第一の水溶液から前記陰極液へ電気輸送してアルカリ水酸化物に変える ことを含む方法。 19.前記水性供給原料が、アルカリ水酸化物と、異なるpHでイオン移動可能な カチオンを有する塩を生成する水酸化物から選ばれた少なくとも2種の多価金属 水酸化物とを含む、ゾル、ゲル、分散系又は溶液である、請求の範囲第18項記載 の方法。 20.前記第一の水溶液が、1規定溶液のpHが3以下であり且つ当該第一の水溶 液中でイオン移動可能な多価金属カチオンを有する塩を形成する、硫黄、ハロゲ ン、窒素、リン及び炭素の酸から選ばれた酸のアニオンを含む、請求の範囲第18 項記載の方法。 21.前記多価金属水酸化物が第二鉄と銅の水酸化物である、請求の範囲第18項 記載の方法。
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