JP2002514909A - ハイブリダイゼーション特異性を増強するための組成物および方法 - Google Patents

ハイブリダイゼーション特異性を増強するための組成物および方法

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Abstract

(57)【要約】 ハイブリダイゼーション溶液中の標的核酸に対する、プローブ核酸の特異性を増加するための組成物および方法が提供される。非塩基残基、デオキシネブラリン残基、またはハイボトロープが、特異性を増加するために使用される。エンタルピーの考慮に基づいて、塩、水混和性の有機溶媒、非プロトン性溶媒、および有機溶媒を含む、有用なハイボトロープを同定するための方法が提供される。ハイボトロープ性ハイブリダイゼーションおよび改変されたオリゴヌクレオチドは、PCRのような増幅反応、配列解析法、およびゲノムスクリーニング法において使用され得る。

Description

【発明の詳細な説明】 ハイブリダイゼーション特異性を増強するための組成物および方法 技術分野 本発明は、概して、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションのための組 成物および方法に関し、そしてより具体的にはハイブリダイゼーション特異性を 増加し得る、所定の溶液および/またはオリゴヌクレオチドアナログに関する。 発明の背景 疾患の検出は、予防および処置において、益々重要である。多因性の疾患は遺 伝子試験を考案することが困難であるが、200を超える公知のヒトの障害は、単 一の遺伝子における欠損、しばしば、単一のアミノ酸の変化によって引き起こさ れる(Olsen,Biotechnology:An industry comes of age.National Academic Press,1986)。これらの変異の多くは、疾患状態を引き起こす変化されたアミ ノ酸を生じる。 感度の高い変異検出技術が、変異のスクリーニングについて並はずれた可能性 を提供する。例えば、分析は、受精卵の着床の前であっても行われ得る(Holdin gおよびMonk,Lancet 3:532,1989)。益々有効な遺伝子試験はまた、健康診断 に関連して、呼吸管または膀胱から剥離された細胞における、ガン遺伝子変異に ついてのスクリーニングを可能にし得る(Sidranskyら、Science 252:706,199 1)。また、未知の遺伝子が遺伝子疾患を引き起こす場合、DNA配列変異体をモニ ターする方法は、遺伝子連鎖解析を介して疾患の遺伝を研究するために有用であ る。しかし、個体の遺伝子における変異を検出および診断することは、技術的お よび経済的挑戦を提起する。いくつかの異なるアプローチが進められてきたが、 いずれも真の広範な適用に十分に効果的でも安価でもない。 単一のヌクレオチドを含む変異は、物理的、化学的、または酵素的手段によっ て、サンプルにおいて同定され得る。一般に、変異検出のための方法は、走査技 術(これは、以前に知られていない変異を同定するために適切である)、および 公知の配列変異体を検出、差別化、または定量するために設計される技術に分割 され得る。 変異の検出のためのいくつかの走査技術は、ミスマッチした相補的DNA鎖のヘ テロ二重鎖が、特に変性された場合に、異常な挙動を示すという観察に関して開 発されてきた。この現象は、変性ゲル勾配電気泳動および温度勾配ゲル電気泳動 (それぞれ、DGGEおよびTGGE)において活用される。単一のヌクレオチドの位置 においてでさえミスマッチされる二重鎖は、部分的に変性し得、漸増的な変性勾 配ゲルにおいて電気泳動される場合、遅い移動を生じる(Myersら、Nature 313: 495,1985;Abramsら、Genomics 7:463,1990;Hencoら、Nucl.Acids.Res.18 :6733,1990)。変異は検出され得るが、変異の正確な位置に関する情報は何も 得られない。変異体形態は、さらに単離され、そしてDNA配列解析に供されなく てはならない。 あるいは、RNAプローブと標的鎖とのヘテロ二重鎖が、2つの鎖が正しく対合 されない位置で、RNアーゼAによって切断され得る。次いで、切断の部位は、変 性されたプローブの電気泳動によって決定され得る。しかし、全てのミスマッチ が、RNアーゼAによって効果的に切断されるわけではないので、いくつかの変異 は、検出を免れ得る。 二重鎖におけるミスマッチの塩基はまた、化学修飾に感受性である。このよう な修飾はミスマッチの部位で鎖を切断に対して感受性にし得るか、またはポリメ ラーゼのその後の伸長反応の停止を引き起こし得る。化学切断技術は、最大2kb までの標的配列における変異の同定を可能にし、そしてこれはミスマッチのヌク レオチドのおよその位置に関する情報を提供する(Cottonら、PNAS USA 85:4397 ,1988;Gangulyら、Nuc.Acids Res.18:3933,1991)。しかし、この技術は、 労力集約的であり、そして変異の正確な位置を同定しないかもしれない。 DNA鎖における変異を検出するための代替のストラテジーは、正常なヌクレオ チドの1つを、修飾されたヌクレオチドで(合成の間に)置換し、そうして産物 の分子量または他の物理的パラメーターを変化させることによる。野生型配列に 対して増加されたまたは減少された数のこの修飾されたヌクレオチドを有する鎖 は、変化された電気泳動移動度を示す(Naylorら、Lancet 337:635,1991)。こ の技術は、変異の存在を検出するが、位置を提供しない。 2つの他のストラテジーは、変化されたゲル移動によってDNAセグメントにお ける変異を可視化する。1本鎖配座多型技術(SSCP)において、変異は変性され た鎖を生じて、異なる二次構造をとり、それによってネイティブゲル電気泳動の 間の移動度に影響を及ぼす。内部ミスマッチを含むヘテロ二重鎖DNA分子はまた 、電気泳動によって、正確にマッチした分子から分離され得る(Orita,Genomic s 5:874,1989;Keen,Trends Genet.7:5,1991)。上記の技術のように、変異 の存在が決定され得るが、位置は決定されない。さらに、これらの多くの技術は 、単一の変異および複数の変異を差別化しない。 上記の技術の全ては、制限されたセグメントのDNAにおける変異の存在を示し 、このいくつかはセグメント内のおよその局在化を可能にする。しかし、セグメ ントのコード化潜在性に対する変異の影響を解明するために、配列解析がなお必 要とされる。配列解析は、強力な道具であり、例えば、罹患した家族の個体にお ける同じ変異についてスクリーニングすること、悪性疾患の症例における疾患の 進行をモニターすること、または自己移植の前に骨髄における残余の悪性細胞を 検出することを可能にする。これらの利点にもかかわらず、関与する高額な費用 のために、手順は、日常の診断方法として採用される見込みがない。 多数の他の技術が、公知の配列変異体を解析するために開発されてきた。自動 化および経済性は、これらのタイプの解析の実行のための非常に重要な考慮すべ きことがらである。この点に関して、経済性および自動化と、要求される特異性 とを組合わせた、以下で考察される代替の技術はない。 ヌクレオチド配列の差別化についての多くのストラテジーは全て、配列の差異 を同定するために、酵素(いくつかは非常に高価である)に依存する(Saiki,P NAS USA 86:6230,1989;Zhang,Nucl.Aclds Res.19:3929,1991)。 例えば、制限酵素は、約4〜8ヌクレオチドの配列を認識する。平均G+C含量 に基づいて、DNAセグメントにおける約半分のヌクレオチドの位置が、100個の制 限酵素のパネルを用いてモニターされ得る。代替として、人為的な制限酵素認識 配列が、部分的にミスマッチされるPCRプライマーを用いることによって可変位 置の周りに作製され得る。この技術を用いて、変異体配列または野生型配列のい ずれか単独が認識され得、そして増幅後、制限酵素によって切断され得る(Chen ら、Anal.Biochem.195:51,1991;Leviら、Cancer Res.51:3497,1991)。 別の方法は、3'の末端から2番目の位置にて標的配列にミスマッチされるオ リゴヌクレオチドプライマーが、PCRにおけるプライマーとして作用するための 減少された能力を示すという特性を活用する。しかし、いくつかの3'ミスマッ チ、特にG-Tは、他のミスマッチよりも阻害性が低く、従ってこの有用性を制限 する。この技術を改良する試みにおいて、3'末端から3番目の位置でプライマ ーにさらなるミスマッチが組込まれる。これによって、一方の対立遺伝子変異体 とハイブリダイズするプライマーの3つの3'ヌクレオチドにおいて2つのミス マッチの位置を生じ、そしてプライマーが他方の対立遺伝子変異体にハイブリダ イズする場合、3'末端から3番目の位置における1つのミスマッチを生じる(N ewtonら、Nucl.Acids Res.17:2503,1989)。この技術を成功させるために、1b pのミスマッチの増幅に有意に有利である増幅条件を規定することが必要である 。 DNAポリメラーゼはまた、標的鎖における可変位置のすぐ上流のオリゴヌクレ オチドプライマーに、どのヌクレオチドが添加されるかを決定することによって 、対立遺伝子配列変異体を差別化するために使用されてきた。このアプローチに 基づいて、ライゲーションアッセイが開発されてきた。この方法において、標的 鎖上のすぐ近い位置においてハイブリダイズする2つのオリゴヌクレオチドプロ ーブが、DNAリガーゼによって結合される。2つのオリゴヌクレオチドプローブ が接するところでミスマッチが存在する場合、ライゲーションは阻害される。 変異は、標的配列に対する短いオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼ ーションに対するそれらの不安定化効果を介して、同定され得る(Wetmur,Crit .Rev.Biochem.Mol.Biol.26:227,1991を参照のこと)。一般に、この技術 、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションは、標的配列の 増幅、およびその後の短いオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーシ ョンを包含する。増幅された産物は、固定されたオリゴヌクレオチドプローブの アレイに対するそのハイブリダイゼーションパターンを決定することによって、 多くの可能な配列変異体について走査され得る。これらの技術の多く、特に対立 遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションは、ミスマッチに対し て、 正確なマッチのハイブリダイゼーションに有利である条件を確立することを必要 とする。周知であるように、このような条件は、達成するのが困難である。ハイ ブリダイゼーションを改善するための1つのアプローチは、カオトロープ(chao trope)の添加である。 カオトロープは、オリゴヌクレオチド二重鎖の融解温度を低減する(Van Ness およびChen、Nucleic.Acids Research 19:5143,1991を参照のこと)。オリゴヌ クレオチドプローブ(12〜50マー)は、長いDNAプローブによって共有されない いくつかの機能的特性を保有する。これらのパラメーターとしては、(a)ハイ ブリダイゼーション温度とTmとの間の差異の関数としての、(b)ハイブリダイ ゼーションの最大の選択性/特異性についてのストリンジェンシー要件の関数と しての、および(c)配列特異的な変則的な挙動の関数としての、二重鎖形成の 異なる速度が挙げられる。 カオトロープは、これが同時に目的の生物の細胞を溶解し、ヌクレアーゼおよ びプロテアーゼを阻害し、そして標的分析物を化学的に変化することなく、十分 なハイブリダイゼーションストリンジエンシーを提供し得るので、DNAプローブ ベースの診断アッセイにおいて有用である。カオトロピック溶解およびハイブリ ダイゼーション溶液は、DNAプローブアッセイを行う前に核酸を単離する必要性 を排除し、そして迅速なおよび単純なアッセイ形式の開発を容易にする(概説の ために、Van NessおよびChen、Nucleic.Acids Research 19:5143,1991を参照 のこと)。しかし、一般に使用されるカオトロープは、マッチされた/ミスマッ チされた配列の示差的なハイブリダイゼーションを実質的に増加しない。 さらに、異なる塩基配列およびG+C含量を有するオリゴヌクレオチドプローブ (12〜50マー)の、混合されたプールの使用を包含するハイブリダイゼーション 法が使用される場合、特別な問題が生じる。多くの適用は、オリゴヌクレオチド の混合されるプールを利用し、そして問題の宿主によって失敗させられる。例え ば、多くの遺伝子単離ストラテジーは、公知のポリペプチド配列の、そのタンパ ク質をコードし得る全ての可能なDNA配列のセットへの逆翻訳を包含する(Jaye ら、Nucl.Aclds Res.11.2325-2335,1983)。次いで、DNA配列をコードする可 能なタンパク質のセットに相同である、オリゴヌクレオチドプローブのプールは 、 所望の遺伝子配列を同定するために、関連の生物または細胞タイプからのゲノム ライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用される。 全てのオリゴヌクレオチドプローブの長さは同じであるが、各プローブのG+C含 量は優位に異なり得、問題の各オリゴヌクレオチドに適切および特異的であるハ イブリダイゼーション条件の選択がなされる。その結果、低頻度の遺伝子につい て非常に複雑なライブラリーをスクリーニングする場合、しばしば多くの擬陽性 クローンが選択される。 異なるG+C含量の多くの異なるオリゴヌクレオチドを同時におよび正確にハイ ブリダイズするこの問題は、DNAの特定の領域の配列解析について、または固定 された表面に結合されるオリゴヌクレオチドの大きなアレイ(これは、100% A+ Tから100% G+Cに変化し得る)を用いて単一の塩基変化変異を同定することにつ いて、さらにより大きい(Southernら、Genomics 13:1008-1017,1992;Maskos およびSouthernら、Nucl.Acids Res.20:1675-1678,1992)。これらの方法は、 理論的には強力であるが、正確なハイブリダイゼーション(すなわち、ミスマッ チなハイブリッド二重鎖が形成されない)を容易にし、そして全ての可能性のあ る完全なハイブリッドが安定に形成されることを可能にする、ハイブリダイゼー ション条件を同定し得ないことにより、非常に制限されてきた。 1つの試みられた解決は、DNA融解に対する塩基組成物の影響を非常に減少し 得る、小さなアルキルアンモニウムイオン(最も一般には、テトラメチルアンモ ニウム(TMA+)およびテトラエチルアンモニウム(TEA+))からなる塩のクラス を使用することであった(Markyら、Biochemistry 20:1427-1431,1981;De Mur ciaら、Biophys.Chem.8:377-383,1978;MelchiorおよびVon Hippel、Proc.N at.Acad.Sci.USA 70:298-302,1973)。テトラアルキルアンモニウム塩のう ち、TMA+およびTEA+のみが、B-形態のDNA二重ヘリックスの主要な溝に適合する のに十分小さい(ここで、これらはDNAのA+T塩基対に(おそらく、チミンの0-2 に)結合する)(De Murciaら、Biophysical Chemistry 8:377 1978を参照のこ と)。安定性に対する全体の効果は、テトラアルキルアンモニウム塩が、天然の DNAにおける塩基のスタッキング相互作用を不安定にする溶媒の非極性特性を増 加する第1の効果を伴って、2倍である(Reesら、Biochemistry 32:137,1993 を参照のこと)。第2の効果は、A+T塩基対が安定化されることである。具体的 には、TMAClは、塩基対間の一時的な開放を減少することにより、DNAの前融解( premelting)が、融解温度よりも下で生じることを防止する(De Murciaら、Bio physical Chemistry 8:3771978;Markyら、Biochemistry 20:1427,1981を参照 のこと)。TEACl安定化の正確な性質は知られていない。全体に、A+T対合が安定 化され、A+T対についての融解温度の上昇が生じる(Markyら、Biochemistry 20: 1427,1981;De Murciaら、Biophysical Chemistry 8:3771978を参照のこと)。 100%のA+Tオリゴヌクレオチド二重鎖について、TMAClにおけるTmは、ナトリウ ム溶液において見出されるTmよりも、実際に6℃高い(Markyら、Biochemistry 20:1427,1981を参照のこと)。 ゲノムDNAが、TMAClまたはTEAClにおいて、それぞれ3Mおよび2.4Mの特定の濃 度で溶解される場合、A+T対およびG+C対について同一の融解温度が示される(Me lchiorら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 70:298,1973)。通常、合成DNA二重鎖 の安定性が、濃縮されたTMAClにおいて観察され、そしてTEAClの安定性はいくら か減少され、そして塩基組成の依存性をほとんど有しない(Woodら、Proc.Natl .Acad.Sci.USA 82:1585 1985;Markyら、Biochemistry 20:1427 1981;Jacob sら、Nucleic.Acids Res.16:4637,1988を参照のこと)。例えば、26% G+C〜7 9% G+C含量の範囲の一連の19マーは、2×SSCにおいて18℃の範囲にわたる融解 温度を有したが、3M TMAClにおいて、範囲は5℃に狭まり、そして2.4M TEACl において、G+C含量からの全ての影響を打ち消して、温度は、事実上変化しなか った(Jacobsら、Nucleic.Acids Res.16:4637,1988を参照のこと)。TEAClは 、TMAClおよびSSCに対して、融解温度を約22℃減少させる更なる利点を有する( Jacobsら、Nucleic.Acids Res.16:4637,1988を参照のこと)。種々の長さのハ イブリダイゼーションプローブが測定され、そして対応する融解温度が長さに対 してプロットされる場合、G+C含量が31〜66%に変化しても、プロットはなだら かな曲線である(Woodら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:1585,1985を参照の こと)。さらに、天然のDNAフラグメントについての融解曲線の幅、すなわちHCT は、ナトリウム溶液における幅(5〜10℃)よりも、TMAClにおいて有意に減少 される(1℃)(Woodら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:1585,1985を参照の こ と)。HCTが狭まることは、A+T対が、通常、幅広の融解曲線を作るG+C対よりも 低い温度で融解するので、A+T対合の安定化の指標である。 複雑なライブラリーからの遺伝子単離の情況において、17マーの混合されたオ リゴプール(47%〜71%のG+C範囲)を用いて単離される擬陽性クローンの数は 、3M TMAClにおいて行われる場合、NaClハイブリダイゼーション溶液を用いる よりも100倍減少される(Woodら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:1585-1588, 1985)。しかし、Tmに対する塩基組成物の影響を排除するためにTMAClを用いる 場合でさえ、有意な数の擬陽性クローンが、ミスマッチしたハイブリッドの形成 に起因してなお単離される。 逆翻訳されたタンパク質配列からの高度に縮重されたオリゴヌクレオチドプー ルの3番目のコドン位置でデオキシイノシンを使用すること(Honoreら、J.Bio chem.Biophys.Methods 27:39-48,1993)は、オリゴヌクレオチドプールのサ イズが有意に減少されることを可能にする。しかし、クローンについてより複雑 なゲノムライブラリーをスクリーニングする場合、擬陽性クローンの単離はなお 、重大な問題であり得る(Jacobsら、Nucl.Acids Res.16:4637-4650,1988を参 照のこと)。テトラメチルアンモニウムおよびテトラエチルアンモニウム塩の存 在は、オリゴヌクレオチド融解を塩基組成物に非依存的にさせるが、オリゴヌク レオチドの熱融解に対するミスマッチの影響は、全くまたはほとんど存在しない 。すなわち、ミスマッチを含む二重鎖は、完全に塩基対合された二重鎖に類似の Tmを有した。 ハイブリダイゼーション反応における特異性を増強するために使用される別の 方法は、任意のA、G、C、またはTヌクレオチドを置換するための塩基アナロ グを使用して、塩基のミスマッチを作製する。研究は、ミスマッチが正確な位置 に配置される場合、塩基対ミスマッチを含有するいくつかのプライマーが増加さ れた特異性を有することを示した(Wenhamら、Clinical Chemistry 37:241,199 1;Newtonら、Nucleic.Acids Research 17:2503,1989;Ishikawaら、Human Im munology 42:315,1995を参照のこと)。しかし、融解温度におけるわずか0.5℃ の差異は、完全にマッチされたハイブリッドと単一の塩基ミスマッチの導入を有 する同じハイブリッドとの間で等しく一般的である(Tibanyendaら、European J ournal of Biochemistry 139:19,1984;Werntgesら、Nucleic.Acids Research 14:3773,1986を参照のこと)。完全にマッチされた二重鎖と単一のミスマッチ を有する同じ二重鎖との間で観察されたよりもさらに良好な特異性が、1個の塩 基がミスマッチされた二重鎖と2個の塩基がミスマッチされた二重鎖との間で観 察された(Guoら、Nature Biotechnology 15:331,1997を参照のこと)。Guoら は、20マーの二重鎖について0個のミスマッチと1個のミスマッチとの間で4℃ のTmおよび13℃の△Tmを見出した。しかし、2つのミスマッチを用いてでさえ、 しばしば、二重鎖のわずかな不安定化がなお存在する。ミスマッチを一貫して差 別化できないこの不安定性は、PCRにおける特異性の欠如を導く。 少なくとも1つのヌクレオチドアナログを用いる、ハイブリダイゼーションあ たり1よりも多くの塩基対ミスマッチの使用が評価された(Guoら、Nature Biot echnology 15:331,1997を参照のこと)。この場合において、アナログ化合物は 、プリン塩基またはピリミジン塩基の3-ニトロピロール置換からなる。3-ニトロ ピロールは、4つの全ての塩基と最低限度で水素結合する能力を有する(Nichols ら、Nature 369:492,1994;Bergstromら、Journal of the American Chemical Society 117:1201,1995を参照のこと)。人為的なミスマッチを導入することに よって、二重鎖の融解温度において、約5℃〜15℃の範囲の大きな差異が生じ、 最も大きな差異は、ミスマッチが15マーのハイブリダイズするオリゴの中心に位 置する場合に生じる。△Tmにおける有意な差異は、人為的なヌクレオチドが、既 に1塩基のミスマッチを含む二重鎖へ導入されて、2つのミスマッチの二重鎖を 形成する場合に生じる。不安定化の程度は、塩基ミスマッチのタイプ(例えば、 G/T)および2つのミスマッチ間の分離に依存する。実験的な試験において、塩 基アナログヌクレオチドは、塩基ミスマッチの3'側に、1〜7塩基の範囲であ り、ミスマッチは15マーの中央に保持された。3つの異なる塩基ミスマッチの15 マーについての△Tmにおける差異は、2℃の安定化(C/Tミスマッチの場合のみ 、およびミスマッチが近接する場合)から7℃のさらなる不安定化に及び、最大 の不安定化は、3または4塩基のミスマッチ分離で一貫して生じた(Guoら、Nat ure Biotechnology 15:331,1997を参照のこと)。 2つの人為的なミスマッチが導入される場合、人為的な塩基の近さは、不安定 化の程度に大きく影響する。2つの人為的なミスマッチは、6bpの分離から開始 する、21マーの2本鎖の中央におかれた。不安定化、あるいは△Tmは、完全にマ ッチされた二重鎖に比較された場合、最小で12℃である。2つの人為的なミスマ ッチが10塩基対異なる場合、20℃を超える最も大きな差異が生じる。この差異は 、1ヘリックスターンに相当し、そして2つの人為的な塩基の間で、何らかの種 類の相互作用が生じて、二重鎖の安定性を減少することを示す。 実験的に、利用されるPCRプライマーが、プライマーとDNAサンプルとの間で1 つまたは2つの人為的なミスマッチを含んだ場合、PCRは、完全にマッチされた プライマーについて予測されるような結果を与えた(Guoら、Nature Biotechnol ogy 15:331,1997を参照のこと)。しかし、プライマーが、真性のミスマッチお よび人為的なミスマッチの両方を含んだ場合、PCRは、任意の測定可能な結果を 生成し得なかった;一方、完全なマッチおよび真性のミスマッチを伴うPCRは全 て、測定可能な量のPCR産物を生成した。同じ研究によって、ハイブリダイゼー ションプローブを使用する場合、類似の結果が見出された:完全なマッチ、真性 のミスマッチ、および人為的なミスマッチを伴うプローブはアニールし、一方人 為的なミスマッチおよび真性のミスマッチを含むプローブはアニールしなかった 。これらの結果は、天然のミスマッチが生じる場合に、完全にマッチされるハイ ブリダイゼーション反応よりも熱力学的に安定性が低く、従ってアッセイまたは PCRにおいて擬陽性をほとんど生じそうもないように、人為的な塩基ミスマッチ がハイブリダイゼーション反応に組込まれる場合、より優れた特性が作製される ことを示唆する。しかし、興味深いことに、人為的ミスマッチのみを含む二重鎖 について上記される熱力学的安定性における差異は、実験的状況において現れな い。 ハイブリダイゼーションの差別化を達成するさらなる手段は、ニックおよびギ ャップを含むハイブリダイゼーション二重鎖間の安定性における差異を介する。 これらの反応において、二重鎖は、より長い鎖にハイブリダイズされる直列して スタックされる短いオリゴマーから形成され、この短いオリゴマーは、隣接して または数塩基対のギャプを離れて隣接しないでのいずれかで配列される。ニック を生じるハイブリダイゼーションは、別のDNA鎖がニック部位を横切る「スタッ キングハイブリダイゼーション」に供される。ギャップが隣接しないオリゴマー に存在する場合、スタッキングハイブリダイゼーションは生じない。スタッキン グは、減少される解離速度、および隣接しない対応物よりも優れた熱力学的安定 性によって明らかにされるように、増加した差別化の効果を有する(Laneら、Nu cleic.Acids Res.25:611,1997を参照のこと)。熱力学的測定は、ハイブリダイ ゼーションスタック化二重鎖とギャップ化二重鎖との間で差異を示し、そして標 準遊離エネルギー変化(△G)は、1.4〜2.4kcal/molであった。それゆえ、ハイ ブリダイゼーションにおける差別化は、複数の短いプローブの使用を介して提供 され得る。 現在使用されるほとんどの塩基模倣物は、普遍的塩基についての研究の結果で ある。多くは、ニトロアゾール塩基アナログを利用し、そして塩基対合において 減少された差別化を実証した。一連のニトロアゾールヌクレオ塩基アナログが、 より効果的な普遍的塩基の開発のために、塩基対合における電子構造およびヘテ ロ環式の大きさの重要性へのさらなる識見を得るための試みにおいて研究されて いる(Bergstromら、Nucleic Acids Res.25:1935,1997を参照のこと)。この研 究において、3-ニトロピロール、4-ニトロピラゾール、4-ニトロイミダゾールお よび5-ニトロインドールのデオキシリボヌクレオシドの熱力学的特性が測定され た。比較のために、熱力学的測定がまた、ヒポキサンチンおよびピラゾールのデ オキシリボヌクレオシド、さらに非塩基スペーサー、1,2-ジデオキシリボースに 対してなされた。4つの天然の塩基のそれぞれが塩基模倣物の反対側に配置され る二重鎖を得るために、各々の修飾されたヌクレオシドについて4つのオリゴヌ クレオチドが合成された。分析された全ての塩基模倣物は、5-ニトロインドール についての35〜46℃から、分析された他のニトロアゾール塩基についての18〜29 ℃の範囲のTmを伴い、天然の塩基対合(A+T:Tm=65.7℃、C+G:Tm=70.5℃)よ りもはるかに安定ではないことを証明した。唯一の例外は、dGTPと対合された4- ニトロイミダゾールであり、ここでは、Tmは40.9℃であった。二重鎖融解につい ての遊離エネルギーを分析するにおいて、3-ニトロピロール塩基模倣物は、任意 の4つの天然の塩基と対合する場合、0.4kcal/molの全体の△Gを伴って、最も少 ない差別化を有することが見出された。次に少ない差別化は、0.8kcal/molの△G を伴う5-ニトロインドールであった。これらの値の両方は、A+TおよびG+Cの 天然の塩基対合の間で見出される1.1kcal/molの△Gよりも小さかった。4-ニトロ ピラゾールは、Aとの対合について、C、G、およびTの遊離エネルギーよりも 安定な1kcal/nolの△Gを伴い、わずかな優先を示した。最後に、4-ニトロイミ ダゾールは、イミダゾールN3がデオキシグアノシンN1と水素結合する能力に起因 して、Gへの対合について高い選択性を示した(その高いTm値によって証拠づけ られるように)。しかし、上述の値は、模倣物に対する最も近い隣接塩基に依存 することが注意されるべきである。さらなる研究は、最も近い隣接塩基を変化さ せ、そして3-ニトロピロールおよび5-ニトロインドールがそれほど差別化されな い塩基対合パートナーであることを見出した。 興味深いことに、利用される塩基模倣物は、△Sと△Hとの間の相関が、塩基の 会合の態様から独立することを暗示するにもかかわらず、エンタルピーおよびエ ントロピーの変化が互いを追跡する(すなわち、大きなエンタルピー変化は大き なエントロピー変化に対応する)ことが見出された。水素結合しない塩基模倣物 において、エンタルピーおよびエントロピーの小さな変化が見出されたことが観 察された。エントロピー変化についての低い値は、水素結合相互作用によって二 重鎖へ固定されない塩基についての可能な移動の自由のより大きな程度を反映す る。エンタルピーの小さな変化は、塩基模倣物の反対側の塩基についての水素結 合相互作用の欠損の結果として、水素結合相互作用における変化を反映する。天 然の塩基が、反対側の水素結合対応物を有しないでヘリックスにおいてスタック されたままである場合、新規のドナー/アクセプター対応物を回復することなく 、水との水素結合相互作用を損失する。 類似の研究は、カルボキサミド置換またはニトロ置換されたヘテロ環式塩基を 有する非環式ヌクレオシドアナログを試験することを包含する(Aerschotら、Nu cleic Acids Res.23:4363,1995を参照のこと)。非環式ヌクレオシドの利用は、 良好な塩基スタッキングを可能にし、ならびに塩基模倣物が、対応する塩基との 最も良好な塩基対に対する配向を得ることを可能にするのに十分な可撓性を有す る構築物を与える。試験されたヘテロ環式塩基は以下を含んだ:4,5-イミダゾー ルジカルボキサミド、4-ニトロイミダゾール、および5-ニトロインダゾール。こ れらの複合体は、非環式ヒポキサンチン、1-(2(-デオキシ-(-D-リボフラノシル) -3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、および2-デオキシイノシンに対して 参照された。全ての新規な非環式複合体は、天然の塩基について観察される融解 温度よりも7〜20℃低い融解温度を有した。5-ニトロインダゾールは、4つの天 然の塩基のそれぞれに対して対合された場合、わずか2.2℃の△Tmの最も小さな 広がりを有したのに対し、4-ニトロイミダゾールは、8.0℃の広がりを有し、上 述で同様に観察されたように、dGは他の3つの塩基と有意に調和しなかった。参 照化合物のうち、デオキシイノシンは、5.6℃の△Tmを有し、5-ニトロインドー ル類の△Tmは1.0℃であり、1-(2(-デオキシ-(-D-リボフラノシル)-3-ニトロピロ ールは、5.1℃の△Tmを有し、および非環式ヒポキサンチンの△Tmは4.8℃であっ た。しかし、全ての塩基模倣物は、ほとんど独占的にアデノシンからなるオリゴ 中におかれた場合、4-ニトロイミダゾールおよび非環式デオキシイノシンを除い て(これらは、それぞれ、7.0℃および8.9℃の△Tmを有した)、同じ不安定化( 4〜5℃の△Tm)を示した。 Aerschotおよび共同研究者らはまた、オリゴへの複数の塩基模倣物の取り込み の効果を試験した(Aerschotら、Nucleic Acids Res.23:4363,1995を参照のこ と)。全体的に、溶解温度は低下されたが、3つの塩基模倣物の取り込みで最も 顕著であった。しかし、ニトロインドール類は、最も少ない量の温度差を示した 。 別の塩基模倣物の、1-(2(-デオキシ-(-D-リボフラノシル)-イミダゾール-4-カ ルボキサミド(ヌクレオシド1)は、dAおよびdCヌクレオシドを優先的に模倣し た(Johnsonら、Nucleic.Acids Res.25:559,1997を参照のこと)。dAおよびdC の両方を置換する能力は、カルボキサミド/イミダゾール結合およびイミダゾー ルとフラノース環との間の結合についての回転の結果である。イミダゾールがフ ラノースにantiであり、およびカルボキサミド基がイミダゾールに対してantiで ある場合、酸素およびアミドNHの水素の1つにおける孤立した対は、アデノシン のNH2およびN-1を模倣する位置にある。グリコシド結合についてのsyn配向に対 するイミダゾールの回転は、シトシンのNH2およびN-3の位置にほぼ適合する位置 に、アミド基を配置する。 ヌクレオシド1が任意の天然のヌクレオシドを置換する場合、エンタルピーは 増加し、1-C対合についてのdG置換について最も大きく増加する(G/C対合につ いて△H=74.7(kcal/mol)/△G=-16.5(kcal/mol)から、△H=-45.5(kcal/mol) /△G=-5.8(kcal/mol))。最も小さなエンタルピーの変化は、dA置換について 生じる(A/T対合について△H=-72.9(kcal/mol)/△G=-15.4(kcal/mol)から、1 -T対合について△H=-66.7(kcal/mol)/△G=-11.7(kcal/mol))。相応して、Tm は、A-TおよびC-G結合について、それぞれ、65.7℃および70.5℃から1-T対合に ついて46.6℃、1-Gについて43.4℃、1-Aについて27.6℃、および1-Cについて14. 6℃に有意に減少した。 PCR反応において使用される場合、ヌクレオシド1およびそのN-プロピル誘導 体は、dATPアナログとして優先的に組込まれる(Salaら、Nucleic Acids Res.24 :3302,1996を参照のこと)。しかし、一旦DNA鋳型に組込まれると、それらのあ いまいな水素結合能により、増幅当たりの塩基当たり3×10-2の頻度で、任意の 天然の塩基の間違った組み込みが生じた。ほとんどの置換(主にGからなる)は 、鋳型の一部の場合、カルボキサミド結合についての回転の結果であった。11〜 15%の間の置換は、グリコシド結合についてのイミダゾール部分の回転に起因し た。DNA鋳型の部分として、N-プロピル誘導体は、そのプロピル部分にもかかわ らず、ヌクレオシド1と同じ方法で挙動した。この研究は、ヌクレオシド1はdA TPとして優先的に挙動するが、これはPCRタイプの環境において全ての4つの天 然のヌクレオチドと同様に挙動する能力を有することを示す。この研究および上 述の研究から、広範囲の二重鎖安定性が、塩基模倣物およびオリゴヌクレオチド 内のそれらの配置における変異を介して得られ得ることが明らかである。 Petrruskaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6252-6256,1988は、ミスマッ チのプライマーの熱力学的安定性とDNAポリメラーゼの忠実性との間の相関につ いて報告した。不正確な塩基対G/T、C/T、またはT/Tのいずれかを有したプライ マーと比較して、優先的に塩基対合された、A/Tの正確なマッチを3'末端で有す るプライマーの融解プロフィールの分析により、G/T、C/T、またはT/Tミスマッ チと比較して末端A/Tについて、0.2、0.3、および0.4kcal/molの、解離に対する 遊離エネルギー変化(△△G0)におけるシフトがあったことが注目された。興味 深いことに、A/Tミスマッチは、G/Tミスマッチよりも約200倍速く、ならびにC/T およびT/Tミスマッチよりも、それぞれ、約1400倍および約2500倍速く伸長され た(ショウジョウバエDNAポリメラーゼ)。この著者らは、ポリマーの結合の割 れ目は、水を排除し、そしてミスマッチの対におけるエンタルピーの差異を増加 することにより遊離エネルギーの差異を増幅することによって、増幅するという 仮説を立てた。 Livshitsら、J.Bimolecular Structure and Dynamics 11:783-795、Adenine Press,ISSN 0739-1102は、ゲルベースのアレイに固定化されたオリゴヌクレオ チドの解離曲線の興味深いデータおよび理論的考察を提示した。ゲルは、解離プ ロセスに対する拡散の効果を説明する複雑な因子を導入する。しかし、エンタル ピー/エントロピー補償に一部起因する、算定された解離温度と実験上の解離温 度との間に一致が生じた。 多くのDNAハイブリダイゼーションベースの診断試験が、特定の遺伝子疾患に 罹患し得る(もしくはその素因があり得る)人間を同定するために(例えば、No rariら、Gene 43:23-28,1986)、または遺伝子の組織適合性プロフィール(こ れは、ドナーと患者との間の組織適合について(例えば、骨髄移植について)有 用である)を決定するために(Sorgら、Eur.J.Immunogen 19:391-401,1992) 、開発されつつある。しかし、1つのヌクレオチドの位置で配列が異なる対立遺 伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いて、簡単な、および信頼性のある ハイブリダイゼーション法を開発しようと試みる場合、重大な問題に遭遇する。 Noraiらは、ミスマッチの標識化オリゴヌクレオチドよりも10倍多い、未標識の 相補的オリゴヌクレオチドを添加することによって、ミスマッチハイブリダイゼ ーション問題を解決した。しかしこれは、複合的なハイブリダイゼーション法が 使用される場合、実行不可能な解決である。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術に頼る診断試験はまた、オリゴヌクレオチ ドのハイブリダイゼーションに関連する問題を経験する。Rychlik(Bio Techniq ues 18:84-90,1995)は、プライムするオリゴヌクレオチドの5'または3'末端 のいずれかでのプライマーのG+C含量の変化が、PCRに与える効果を試験した。標 準PCR緩衝液および条件を用いて、3'末端(PCRの間、DNA合成を伸長するために 使用される末端)で高いG+C含量を有するオリゴヌクレオチドは、高いプライム 効果を生じるが、5'末端でのミスマッチについてのより大きな寛容に起因して 偽プライムもまた促進する。さらに、PCRにおけるミスマッチの影響は多様であ る:プライマー−鋳型二重鎖の中央に位置するミスマッチは、PCR増幅の効率に は有意に影響しないが、3'-末端塩基のミスマッチは、PCR産物の収量にはしば しば強力に影響する。さらなる複雑化の要因として、種々の塩基対ミスマッチが PCR増幅に対して有する、影響の強さは、オリゴヌクレオチドハイブリッド形成 および安定性について観察される強さと同じではない(Ikutaら、Nucl.Acids R es.15:797-811,1987;Jacobsら、Nucl.Acids Res.164637-4650,1988)。 本発明は、オリゴヌクレオチドと標的DNA配列とのハイブリダイゼーションの 特異性および正確性を改良することにより、塩基の変化を検出するための方法お よび組成物を提供し、そしてさらに他の関連する利点を提供する。 発明の要旨 本発明は、概して、核酸のハイブリダイゼーションの特異性を増加する組成物 および方法を提供する。 1つの局面において、本発明は、核酸および塩を含む組成物を提供し、塩は、 アニオンおよびカチオンを含有し、アニオンは、ハロゲン化酢酸塩、プロピオン 酸塩、およびハロゲン化プロピオン酸塩から選択され、カチオンは、1〜36個の 炭素原子を含有する一級、二級、および三級アンモニウム、ならびに4〜48個の 炭素原子を含有する四級アンモニウムから選択される。 別の局面において、本発明は、非流動である組成物を提供し、これは6〜100 ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドおよび塩を含み、塩は、アニオンおよびカチ オンを含有し、アニオンは、酢酸塩、ハロゲン化酢酸塩、プロピオン酸塩、およ びハロゲン化プロピオン酸塩から選択され、カチオンは、1〜36個の炭素原子を 含有する一級、二級、および三級アンモニウム、ならびに4〜48個の炭素原子を 含有する四級アンモニウムから選択される。クロマトグラフィーの間、溶液が流 動するようには、「非流動の」組成物は流動しない。 別の局面において、本発明は、有機溶媒が存在しない組成物を提供し、この組 成物は、6〜100ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドおよび塩を含み、塩は、ア ニオンおよびカチオンを含有し、アニオンは、酢酸塩、ハロゲン化酢酸塩、プロ ピオン酸塩、およびハロゲン化プロピオン酸塩から選択され、カチオンは、1〜 36個の炭素原子を含有する一級、二級、および三級アンモニウム、ならびに4〜 48個の炭素原子を含有する四級アンモニウムから選択される。 別の局面において、本発明は、核酸および塩を含有する組成物を提供し、核酸 は、固体支持体上で固定化され、ならびに塩は、アニオンおよびカチオンから形 成され、アニオンは、酢酸塩、ハロゲン化酢酸塩、プロピオン酸塩、およびハロ ゲン化プロピオン酸塩から選択され、カチオンは、1〜36個の炭素原子を含有す る一級、二級、および三級アンモニウム、ならびに4〜48個の炭素原子を含有す る四級アンモニウムから選択される。 別の局面において、本発明は、以下からなる群より選択される塩を提供する: (a)式HN(CH3)2Raのカチオンの酢酸塩、ここでRaは、C4〜C7のヒドロカルビル である; (b)式HN(CH3)2Rbのカチオンのハロゲン化酢酸塩、ここでRbは、C7〜C12のヒ ドロカルビルである; (c)式H2N(C5〜C7シクロアルキル)Rcのカチオンの酢酸塩およびハロゲン化酢 酸塩、ここでRcは、C1〜C12のヒドロカルビルである;および (d)N-置換されたピペリジンの酢酸塩およびハロゲン化酢酸塩、ここでピペリ ジンの窒素原子は、C1〜C12のヒドロカルビル基で置換される。このような塩は それぞれの酸および塩を組合わせることによって調製され得る。 別の局面において、本発明は、溶液中のオリゴヌクレオチドを提供し、ここで 、少なくとも部分的に、複数のフラグメントからオリゴヌクレオチドが形成され る場合、各フラグメントは構造(1) によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し; よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 特異性スペーサーは、 (a)特異性スペーサーが、構造(1)のフラグメントと、構造(2) として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げないような、立体特性および 化学特性を有する。 さらに、特異性スペーサーは、以下の特性の少なくとも1つを有する:特異性 スペーサーが、構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配列においてその 反対側に配置される塩基との水素結合に関与し得ない;特異性スペーサーが、構 造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配列においてその反対側に配置され る塩基との水素結合に関与し得るが、特異性スペーサーが、標準的なWatson-Cri ck水素結合に従って、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、またはウラシル のいずれを介しても水素結合しない。 別の局面において、本発明はアレイを提供し、ここでアレイは、アレイ形式に おいて固体支持体に固定化された複数のオリゴヌクレオチドを含む。複数のオリ ゴヌクレオチドのそれぞれは、少なくとも部分的に、複数のフラグメントから形 成され、各フラグメントは構造(1) によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し; よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 特異性スペーサーは、 (a)特異性スペーサーが、構造(1)のフラグメントと、構造(2) として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げないような立体特性および化 学特性を有する さらに、特異性スペーサーは、以下の特性の少なくとも1つを有する:特異性 スペーサーが、構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配列においてその 反対側に配置される塩基との水素結合に関与し得ない;特異性スペーサーが、構 造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配列においてその反対側に配置され る塩基との水素結合に関与し得るが、特異性スペーサーが、標準的なWatson-Cri ck水素結合に従って、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、またはウラシル 、のいずれを介しても水素結合しない。 別の局面において、本発明は、溶液中のオリゴヌクレオチドおよび塩を含む組 成物を提供し、オリゴヌクレオチドは、少なくとも部分的に、複数のフラグメン トから形成され、各フラグメントは構造(1) によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し; よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 特異性スペーサーは、 (a)特異性スペーサーが、構造(1)のフラグメントと、構造(2)として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げないような、ならびに 少なくとも(b)および(c): (b)特異性スペーサーが、構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配 列においてその反対側に配置される塩基との水素結合に関与し得ない; (c)特異性スペーサーが、構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配 列においてその反対側に配置される塩基との水素結合に関与し得るが、特異性ス ペーサーが、水素結合のためにアデニン、グアニン、チミン、ウラシル、または シトシンから選択される塩基のいずれをも提供しない、 のうちの1つのような、立体特性および化学特性を有し; そして塩はハイボトープである。 別の局面において、本発明は、アレイ形式において固体支持体に固定化された 複数のオリゴヌクレオチドから少なくとも部分的に形成されるアレイ組成物を提 供し、複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、少なくとも部分的に複数のフラ グメントから形成され、各フラグメントは構造(1) によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し;よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 特異性スペーサーは、 (a)特異性スペーサーが、構造(1)のフラグメントと、構造(2) として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げないような、ならびに少なく とも(b)および(c): (b)特異性スペーサーが、構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配 列においてその反対側に配置される塩基との水素結合に関与し得ない; (c)特異性スペーサーが、構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配 列においてその反対側に配置される塩基との水素結合に関与し得るが、特異性ス ペーサーが、水素結合のためにアデニン、グアニン、チミン、ウラシル、または シトシンから選択される塩基のいずれをも提供しない、 のうちの1つのような立体特性および化学特性を有し;そして式(1)の核酸は ハイボトープと接触する。 さらに他の局面において、相補的核酸標的と核酸プローブとの間のハイブリダ イゼーションを見分けるための方法が提供され、ここで、プローブおよび標的は 完全に相補的であるか、または1つ以上の塩基ミスマッチを有するかのいずれか であり、以下の工程:(a)ハイボトープを含有する溶液中で、標的とプローブ とを混合する工程;および(b)差別化される温度でハイブリダイズする工程; および標的にハイブリダイズしたプローブを検出し、それによって二重鎖が、完 全に相補的であるかまたはミスマッチであるかを決定する工程、を包含する。好 ましい実施態様において、プローブまたは標的は6〜40塩基である。別の好まし い実施態様において、プローブは標識される。関連する局面において、プローブ は1つ以上の非塩基残基を有し、そして溶液はハイボトープを含まない。好まし い実施態様において、ハイブリダイゼーション反応混合物はハイボトープを含有 する。 さらに別の実施態様において、ポリメラーゼ連鎖反応のような核酸合成手順に おいて差別化を増強するための方法が提供される。これらの方法において、1本 鎖の核酸標的は、オリゴヌクレオチドプライマーと、またはハイボトープおよび ポリメラーゼを含有する溶液と混合され、プライマーは差別化する温度で標的に アニールされ、そして標的に対して相補的な鎖が合成される。ミスマッチのプラ イマーおよび標的について形成される二重鎖の量は、完全にマッチしたプライマ ーおよび標的についての量よりも少ない。 本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の詳細な記載および添付の図面を参 照する際、明らかになる。さらに、種々の参考文献が以下に同定され、そしてそ れらの全体が参考として援用される。 図面の簡単な説明 図1は、オリゴヌクレオチド二重鎖の熱融解プロフィールを示すグラフである 。1本鎖DNAのパーセント(α、y軸)が温度(x軸)に対してプロットされる。 二重鎖のTdは、鎖の50%が1本鎖形態である温度として規定される。ヘリックス コ イル転移(HCT)は、αの0.2(または20%)と0.8(または80%)との間の温度 差として規定される。四角によって示される融解曲線は、ハイボトープ(例えば 、LITCA)と接触する二重鎖の挙動を表し、そしてひし形によって示される融解 曲線は、NaClベースのハイブリダイゼーション溶液におけるオリゴヌクレオチド 二重鎖の挙動を表す。 図2は、ハイブリダイゼーション溶液(LiTCA、GuSCN、NaSCN、NaClO4、KI、N aCl、GuCl、CsTFA)におけるオリゴ二重鎖および塩濃度のTdの関係を示すグラフ である。Tdは度(℃)で、塩の重量モル濃度に対してプロットされる。 図3は、2つの二重鎖(一方は、完全に塩基対合され、および他方は単一のミ スマッチを含む)の間のTdにおける差異を示すグラフである。α=0.5での任意 の2つのTdの間の温度差は、△Tdとして規定される。1本鎖DNAのパーセント(y 軸)は、温度(℃;x軸)に対してプロットされる。 図4は、完全に塩基対合される18マーのオリゴヌクレオチド二重鎖(ひし形) および中央のミスマッチを含む同じオリゴヌクレオチド二重鎖(四角A/A、9位 )についての融解プロフィールを示すグラフである。△Tdは6℃である。融解プ ロフィールは、2.0M LiTCAにおいて測定された。1本鎖のパーセント(y軸)は 、温度(℃;x軸)に対してプロットされる。 図5は、完全に塩基対合される18マーのオリゴヌクレオチド二重鎖(ひし形) および中央のミスマッチを含む同じオリゴヌクレオチド二重鎖(四角;A/A、9 位)についての融解プロフィールを示すグラフである。融解曲線は、QY低ストリ ンジェンシーハイブリダイゼーション緩衝液(Promega、Madison,WI)において 測定される。1本鎖のパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対してプロット される。 図6は、26%〜73%にG+C組成が変化する、19マーのオリゴヌクレオチド二重鎖 のセットについての融解プロフィールを示すグラフである。全ての二重鎖は、完 全に塩基対合される。全体のG+C範囲にわたって、△Tdは5℃である。融解プロ フィールは、3M TMATCAにおいて測定される。1本鎖の%(y軸)は、温度(℃; x軸)に対してプロットされる。 図7は、26%〜73%にGfC組成が変化する、19マーのオリゴヌクレオチド二重鎖 のセットについての融解プロフィールを示すグラフである。全ての二重鎖は、完 全に塩基対合される。全体のG+C範囲にわたって、△Tdは4℃である。融解プロ フィールは、3M TEATCAにおいて測定される。1本鎖の%(y軸)は、温度(℃; x軸)に対してプロットされる。 図8は、26%〜73%にG+C組成が変化する、19マーのオリゴヌクレオチド二重鎖 のセットについての融解プロフィールを示すグラフである。全ての二重鎖は、完 全に塩基対合される。全体のG+C範囲にわたって、△-Tmは16℃である。融解プロ フィールは、0.165M NaClにおいて測定される。1本鎖の%(y軸)は、温度(℃ ;x軸)に対してプロットされる。 図9は、完全に塩基対合される18マーのオリゴヌクレオチド二重鎖および9位 に中央のミスマッチ(A/A)または非塩基置換のいずれかを含む同じオリゴヌク レオチド二重鎖についての融解プロフィールを示すグラフである。融解プロフィ ールは、GuSCNにおいて測定される。1本鎖の%(y軸)は、温度(℃;x軸)に対 してプロットされる。 図10は、モル濃度と図9に記載される融解曲線から得られたTdのデータとの間 の関係を示すグラフである。y軸におけるTdは、x軸におけるGuSCNのモル濃度に 対してプロットされる。 図11は、1×PCR緩衝液または0.05M〜0.4Mの濃度範囲にわたるLiTCAにおいて完 全に塩基対合される18マーのオリゴヌクレオチド二重鎖についての融解プロフィ ールを示すグラフである。1本鎖の%(y軸)は、温度(x軸)に対してプロット される。 図12は、381bpの長さのアンプリコンの存在または不在を示す2%アガロースゲ ルの写真である。「m」、マーカー;およびH17、H14、H11、AB1、dN1、dN2、dN3 、およびdN6は、増幅において使用された5'プライマーである。 図13は、プローブと二重鎖化される場合、最上列に示されるミスマッチを含む 整列されたオリゴヌクレオチドのセットのテキスト走査(text scan)である。 「C」はコントロールプローブを示し、「6S」は6S非塩基置換されたプローブを 示し、そして「8S」は8S非塩基置換されたプローブを示す。図は、3つの別個の フィルターの編集である。 図14は、27%〜83%にG+C含量が変化する、3つの二重鎖間のTdにおける差異を 示すグラフである。1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対し てプロットされる。融解溶液は、100mM 2-メトキシエチルアミントリフルオロ酢 酸塩であった。 図15は、27%〜83%にG+C含量が変化する、3つの二重鎖間のTdにおける差異を 示すグラフである。1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対し てプロットされる。融解溶液は、100mMジイソブチルアミンア酢酸塩であった。 図16は、27%〜83%にG+C含量が変化する、3つの二重鎖間のTdにおける差異を 示すグラフである。1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対し てプロットされる。融解溶液は、100mMチオシアン酸グアニジンであった。 図17は、27%〜83%にG+C含量が変化する、3つの二重鎖間のTdにおける差異を 示すグラフである。1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対し てプロットされる。融解溶液は、1×PCR緩衝液であった。 図18は、27%〜83%にG+C含量が変化する、3つの二重鎖間のTdにおける差異を 示すグラフである。1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対し てプロットされる。融解溶液は、1×SSCであった。 図19は、27%〜83%にG+C含量が変化する、3つの二重鎖間のTdにおける差異を 示すグラフである。1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対し てプロットされる。融解溶液は、20%ホルムアミド、10mM Tris pH7.6、および0. 1%サルコシルを含有する5mM EDTAであった。 図20は、27%〜83%にG+C含量が変化する、3つの二重鎖間のTdにおける差異を 示すグラフである。1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対し てプロットされる。融解溶液は、1M ジシクロヘキシル酢酸塩アンモニウムであ った。 図21は、27%〜83%にG+C含量が変化する、3つの二重鎖間のTdにおける差異を 示すグラフである。1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対し てプロットされる。融解溶液は、500mM n-エチルブチル酢酸塩アンモニウムであ った。 図22は、3つの二重鎖(1つは完全に塩基対合され、および他の2つはミスマ ッチまたはデオキシネブラリン置換を含む)の間のTdにおける差異を示すグラフ である。1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対してプロット される。DMO-2060:5'-ヘキシルアミン-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT /CTG-3'(ナイロンビーズに固定化されるオリゴヌクレオチド);DMO-2055:5 '-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GCA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(完全な相補体);DM O-2058;5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GGA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(ミスマッ チ相補体);およびDMO-2058-dN:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/G(デオキシ ネブラリン)A/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(デオキシネブラリンミスマッチ相補体)。 融解溶液は1Mジイソプロピルアミン酢酸塩であった。3つの融解曲線間の、Td またはTmにおける最大の差異は6Cである。真性ミスマッチのヘリックスコイル 転移(HCT)は14Cであった;デオキシネブラリンミスマッチ二重鎖についてのHCT は14Cであり、および完全に塩基対合された二重鎖についてのHCTは16Cであった 。 図23は、3つの二重鎖(1つは完全に塩基対合され、および他の2つはミスマ ッチまたはデオキシネブラリン置換を含む)の間のTdにおける差異を示すグラフ である。α=0.5での任意の2つのTdの間の温度差は、△Tdとして規定される。 1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対してプロットされる。D MO-2060:5'-ヘキシルアミン-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTG-3' (ナイロンビーズに固定化されるオリゴヌクレオチド);DMO-2055:5'-テキサ スレッド-TGT/GGA/TCA/GCA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(完全な相補体);DMO-2058; 5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GGA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(ミスマッチ相補体 );およびDMO-2058-dN:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/G(デオキシネブラリ ン)A/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(デオキシネブラリンミスマッチ相補体)。融解溶液 は1M n,n-ジシクロヘキシルアミン酢酸塩であった。3つの融解曲線の間の、Td における最大の差異は、4Cであった。真性ミスマッチのヘリックスコイル転移 (HCT)は15Cであった;デオキシネブラリンミスマッチ二重鎖についてのHCTは1 5Cであり、および完全に塩基対合された2二重鎖についてのHCTは15Cであった。 図24は、3つの二重鎖(1つは完全に塩基対合され、および他の2つはミスマ ッチまたはデオキシネブラリン置換を含む)の間のTdにおける差異を示すグラフ である。α=0.5での任意の2つのTdの間の温度差は、△Tdとして規定される。1 本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対してプロットされる。DMO -2060:5'-ヘキシルアミン-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTG-3'( ナイロンビーズに固定化されるオリゴヌクレオチド);DMO-2055:5'-テキサス レッド-TGT/GGA/TCA/GCA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(完全な相補体);DMO-2058;5 '-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GGA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(ミスマッチ相補体) ;およびDMO-2058-dN:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/G(デオキシネブラリン) A/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(デオキシネブラリンミスマッチ相補体)。融解溶液は 1M n,n-ジシクロヘキシルアミン酢酸塩であった。3つの融解曲線の間の、Tdに おける最大の差異は、4Cであった。真性ミスマッチのヘリックスコイル転移(H CT)は17Cであった;デオキシネブラリンミスマッチ二重鎖についてのHCTは17C であり、および完全に塩基対合された二重鎖についてのHCTは15Cであった。 図25は、3つの二重鎖(1つは完全に塩基対合され、および他の2つはミスマ ッチまたはデオキシネブラリン置換を含む)の間のTdにおける差異を示すグラフ である。α=0.5での任意の2つのTdの間の温度差は、△-Tdとして規定される。 1本鎖DNAのパーセント(y軸)は、温度(℃;x軸)に対してプロットされる。D MO-2060:5'-ヘキシルアミン-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTG-3' (ナイロンビーズに固定化されるオリゴヌクレオチド);DMO-2055:5'-テキサ スレッド-TGT/GGA/TCA/GCA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(完全な相補体);DMO-2058; 5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GGA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(ミスマッチ相補体 );およびDMO-2058-dN:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/G(デオキシネブラリ ン)A/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(デオキシネブラリンミスマッチ相補体)。融解溶液 は100mM n,n-ジシクロヘキシルアミン酢酸塩であった。3つの融解曲線の間の、 Tdにおける最大の差異は、9Cであった。真性ミスマッチのヘリックスコイル転 移(HCT)は15Cであった;デオキシネブラリンミスマッチ二重鎖についてのHCT は15Cであり、および完全に塩基対合された二重鎖についてのHCTは15Cであった 。 図26は、特異性スペーサーを有するオリゴヌクレオチドを示すために本明細書 中で使用される取り決めを説明する。 発明の詳細な説明 本発明の開示に先じて、本明細書中で使用される特定の用語を定義することは 、本発明の理解に有益であり得る。 本明細書中で使用される「ハイボトロープ(hybotrope)」とは、標準的な塩 溶液(0.165M NaCl、0.01M Tris pH7.2、5mM EDTAおよび0.1% SDS)を参照する 場合、少なくとも20%核酸二重鎖のエンタルピーを変化させる、緩衝液、キレー ト剤、塩および/または界面活性剤をともなう水性または有機環境における任意 の化学薬品もしくは、化学薬品の任意の混合物をいう。すなわち、核酸二重鎖の エネルギー含量が減少する。参照オリゴヌクレオチドは、固定化オリゴヌクレオ チドとしての5'-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTG-3'であり、そして 溶液ヌクレオチドとしての5'-TGT/GGA/TCA/GCA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(これは、 代表的に、テキサスレッドのような蛍光色素で5'-末端を標識する)である。オ リゴヌクレオチド二重鎖(24ヌクレオチド長)は、25℃以下のヘリックス→コイ ル転移(HCT)を有する。HCTは、二重鎖の80%が一本鎖である温度と二重鎖の20 %が一本鎖である温度との間の差異である。ハイボトロープとして規定される溶 液についての平均最低傾きは、HCTの第一の誘導体であり、そして2.4ユニット/ 温度(℃)((80%一本鎖−20%一本鎖)/25℃)に等しい。 本明細書中で用いられる「ストリンジェンシー」とは、所定の条件下でハイブ リダイゼーションについて寛容であるミスマッチ塩基対の百分率をいう。 本明細書中で用いられる「差別化」とは、完全塩基対二重鎖とミスマッチを含 む二重鎖との間のTdにおける差をいう。 本明細書中で用いられる「差別化温度」とは、ミスマッチ二重鎖と完全マッチ 二重鎖との間の検出可能な差別化を可能にするハイブリダイゼーション反応を実 施する温度をいう。本明細書中で示されるように、温度範囲は、差別化温度の規 準を満たす。 本明細書中で用いられるオリゴヌクレオチドにおける「非塩基性」残基とは、 リボフラノース糖の長さに近似する化合物をいい、近隣の塩基に共有結合し(例 えば、ホスホジエステル結合または等価の結合を介する)、そして二重鎖の反対 側の鎖の塩基とは相互作用しない基とβアノマー位置で置換されている化合物を いう、非塩基性残基は、非プリン構造もしくは非ピリミジン構造、非ヌクレオチ ド構造、またはリン酸バックボーンのアナログであり得る。非塩基性置換はまた 、N-(2-アミノエチル)-グリシン結合のバックボーンからなり得る。 本明細書中で用いられるオリゴヌクレオチドにおける「塩基アナログ」とは、 リポフラナーゼ糖を有する化合物をいい、そしてこれは、A,C,G,T,またはU塩基 のような類似の三次元形状を有する基でβアノマーの位置で置換されているが、 二重鎖の反対側の鎖上の塩基に水素結合していない。 本明細書中で用いられる「デオキシネブラリン」とは、9-(β-D-2'デオキシ リボフラノシル)プリン(Eritjaら、Nucl.Acids Res.14:8135,1986)である、 2'-デオキシヌブラリンをいう。分子式は、C10H12N4O4である。 本明細書中で用いられる「核酸」または「核酸分子」とは、デオキシリボ核酸 (DNA)、リボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応によっ て生成するフラグメント、ならびに連結、切断、エンドヌクレアーゼ作用、およ びエキソヌクレアーゼ作用のいずれかにより生成するフラグメントのいずれかを いう。核酸は、天然に存在する塩基および天然に生じる塩基のアナログまたは両 方の組合せからなり得る。核酸は、一本鎖または二重鎖のいずれかであり得る。 本明細書中において「Tm」とは、核酸二重鎖の分子の半分が一本鎖である温度 をいう。Tmは、溶液中で測定される一方、Tdは、固体支持体に結合する二重鎖に ついて測定され、両方の用語は、二重鎖の半分が一本鎖である温度を示す。 A.ハイボトロープ 上記のように、本発明は、核酸二重鎖のエンタルピーを変化させ得る(すなわ ち、以下により詳細に議論されるように、融点プロセスの協同性を増加するため に、オリゴヌクレオチド二重鎖のエネルギー含量を減少させ得る)ハイボトロー プを含む組成物を提供する。一般に、ハイボトロープを含む溶液中の二重鎖のエ ンタルピーは、少なくとも20%増加し、そして好ましくは、0.165M NaClを含む 参照溶液中の二重鎖に対して30〜100%増加する。 増加したエンタルピーから、いくつかの結果が流れる。重要なことに、二重鎖 が融解する温度範囲が、融解の協同性の増加に起因して減少する。ハイボトロピ ックな溶液とほとんどの分子生物学プロトコルにおいて使用されるハイブリダイ ゼーション溶液との間の差異は、図4および図5において例示される。図4にお いて、ミスマッチを含む二重鎖と、完全に塩基対合する二重鎖とのTdにおける差 異は、約5℃であり、そして明らかに差別化される。図4におけるハイボトロー プは、LiTCAである。図5において、ミスマッチを含む二重鎖と、完全に塩基対 合する二重鎖とのTdにおける差異は、約2℃未満であり、そして異なっていない 。また、図4におけるハイボトロープのHCTは、25℃より低く、そしてSSCベース の溶液のHCTは、25℃を超える。 融解の温度範囲は、ハイボトロープな溶液においてより小さいので、完全に相 補的な二重鎖のTmと1つ以上のミスマッチ塩基対を含む二重鎖とのTmにおいて、 より大きな差異が存在する(例えば、A:T、G:C、A:U以外の塩基対合)。この特 性は、完全に相補的な、または1bpのミスマッチを含む18マー二重鎖がハイボト ロープを含む溶液で融解することが図3において示される。示されるように、二 つの二重鎖の間のTdにおける差異は、かなりある。一般に、ハイボトロープは、 参照溶液(例えば、0.18M Na+)におけるマッチ二重鎖とミスマッチ二重鎖との ΔTdに対して、Tdにおいて≧2℃(例えば、≧2℃、≧2.5℃、≧3℃、≧3.5℃ 、≧4℃)の増加を生じる。6〜18塩基対二重鎖(50%G+C)について、ハイボ トロープは、≧2℃(例えば、≧2℃、≧2.5℃、≧3℃、≧3.5℃、≧4℃、≧ 4.5℃、≧5℃)のΔTdを誘発し、19〜24塩基対二重鎖について、ハイボトロー プは、≧1℃(例えば、≧1℃、≧1.5℃、≧2℃、≧2.5℃、≧3℃、≧3.5℃ 、≧4℃、≧4.5℃、≧5℃)のΔTdを誘発し、そして25〜36塩基対二重鎖につ いて、ハイボトロープは、≧0.5℃(例えば、≧0.5℃、≧1℃、≧1.5℃、≧2 ℃、≧2.5℃、≧3℃、≧3.5℃、≧4℃、≧4.5℃、≧5℃)のΔTdを誘発する 。 二重鎖の融解は、ヘリックス状態(二重鎖)からコイル状態(一本鎖)の転移 を生じる。HCT(ヘリックスからコイルへの転移)と呼ばれる転移状態は、容易 に測定され、そして温度の単位で表現される。本明細書中において用いられるHC Tは、二重鎖の80%(α=0.8)が一本鎖である温度と二重鎖の20%(α=0.2) が一本鎖である温度との間の差異である。 ハイボトロープは、標準の塩溶液(0.165M NaCl、0.01M Tris pH7.2、5mM E DTAおよび0.1%SDS)と対照した場合、核酸二重鎖のエンタルピーを20%低減さ せる緩衝剤、キレート剤、塩および/または界面活性剤を含む水性もしくは有機 性環境における化学薬品または化学薬品の任意の混合物として同定され得る。参 照オリゴヌクレオチドは、不動化オリゴヌクレオチドとしての5'GTC/ATA/CTC/CT G/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTC-3'であり、そして溶液ヌクレオチドとしての5'-TGT /GGA/TCA/GCA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(これは、代表的に、テキサスレッドのよう な蛍光色素で5'-末端が標識される)である。オリゴヌクレオチド二重鎖(24ヌ クレオチド長)は、25℃以下のヘリックスからコイルへの転移(HCT)を有する 。HCTは、二重鎖の80%が一本鎖である温度と二重鎖の20%が一本鎖である温度 との間の差異である。 1.ハイボトロープのHCTに対する関係 図1において、2つの異なるハイブリダイゼーション溶液中のオリゴヌクレオ チド二重鎖の熱融解プロフィール(ヘリックスコイル転移)の特徴的パラメータ ーが示される。■はNaClベースのハイブリダイゼーション溶液(例えば、SSPE、 SSC)中のオリゴヌクレオチド二重鎖の融解プロフィールを表す。20×SSPEは、 水1L中173.5g NaCl、27.6g NaHPO4、および7.4g EDTA,pH7.4である。20×SSC は、水1L中173.5g NaCl、88.2gクエン酸Na、pH7である。◆は、ハイボトロー プベースのハイブリダイゼーション溶液(この場合はLiTCA(トリクロロ酢酸リ チウム))中の同一のオリゴヌクレオチド二重鎖の融解プロフィールを表す。Td は、集団における分子の半分が一本鎖であり、そして分子の半分が二重鎖である 温度(℃)である。HCT(ヘリックスコイル転移)は、20%一本鎖の値から80% 一本鎖への値の融解曲線の幅であり、そして温度の単位を有する(例えば、℃、 °K)。ストリンジェンシー係数は、Tdにおけるヘリックスコイル転移の傾きの 値(部分導関数)である。ストリンジェンシー係数またはHCTのいずれかがハイ ボトロープを同定するために使用され得る。 表1において、溶解物の濃度をTdに関連づける一次方程式の傾き(k)、ヘリ ックスコイル転移、および9つの異なるハイボトロープ溶液およびハイブリダイ ゼーション溶液についてのΔTdが示される。18bpオリゴヌクレオチド二重鎖は、 それぞれの溶液中で融解し、そしてその値を実施例に示されるように得る。 従って、これらのデータから、HCTが所定のハイブリダイゼーション溶液の型 についてのストリンジェンシー係数に反比例する;HCTの値が低ければ低いほど 、ストリンジェンシー係数は、高くなる。HCTは、Tdの減少に対する塩濃度に関 する一次関数の傾きとして増加する(Td[塩]=Td[0]−k[Cx-])(ここで、Td[0] は、0塩濃度における推定Tdであり、kは、塩特異的定数、そしてCx-は塩または ハイボトロープの濃度である;図2を参照のこと)。 ハイボトロープは、標準の塩溶液(0.165M NaCl、0.01M Tris pH7.2、5mM EDT Aおよび0.1%SDS)を参照した場合、核酸二重鎖のエンタルピーを20%低減させ る緩衝剤、キレート剤、塩および/または界面活性剤を含む水性もしくは有機性 環境における化学薬品または化学薬品の任意の混合物であり得る。参照オリゴヌ クレオチドは、不動化オリゴヌクレオチドとしての5'GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/ GAT/CCA/CAT/CTC-3'であり、そして溶液ヌクレオチドとしての5'-TGT/GGA/TCA/G CA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(これは、代表的に、テキサスレッドのような蛍光色素 で5'-末端を標識する)である。オリゴヌクレオチド二重鎖(24ヌクレオチド長 )は、25℃以下のヘリックス→コイル転移(HCT)を有する。 2.差別化に対するHCTの関係 ストリンジェンシー係数またはHCTのいずれかは、オリゴヌクレオチド二重鎖 の別の容易に測定可能なパラメーターに直接関連する。このパラメーターΔTdは 、完全に塩基対合しているオリゴヌクレオチド二重鎖のTdと二重鎖のどこかの位 置にミスマッチを含む同一のオリゴヌクレオチド二重鎖のTdとの間の温度差であ る(図3を参照のこと)。本明細書中で示されるように、完全な塩基対合二重鎖 とミスマッチを含む二重鎖との間の温度差は、所定のハイブリダイゼーション溶 液またはハイボトロープのストリンジェンシー係数(またはHCT)の関数である 。この関係は、「ΔTdは、溶液のストリンジェンシー係数が増加するに従い増加 する」として表現される。表2において、この関係を、18bpオリゴヌクレオチド 二重鎖について表す。二重鎖は、それぞれのハイブリダイゼーション溶液におい て融解し、そしてHCTおよびΔTdが、本明細書中に記載のように決定される。 表2において示されるデータは、HCTが完全塩基対合二重鎖とミスマッチを含 む二重鎖との間のΔTdに反比例することを示す。すなわち、ストリンジ係数また はHCTのいずれかは、ミスマッチ二重鎖を差別化するために所定のハイ ブリダイゼーション溶液の能力を予測する。ハイボトロープベースのハイブリダ イゼーションのこの局面を、図4および図5にさらに示す。図4は、完全に塩基 対合する(◆)18マーオリゴヌクレオチド二重鎖および中心のミスマッチ(A/A 、9位)を含む同一のオリゴヌクレオチド二重鎖についての2.0M LiTCAにおける 融解プロフィールを示すグラフである。ΔTdは6℃である。図5は、QY低ストリ ンジェンシーハイブリダイゼーション緩衝液(Promega,Madison,WI)における 、完全に塩基対合する(■)18マーオリゴヌクレオチド二重鎖および中心のミスマ ッチ(A/A、9位)を含む同一のオリゴヌクレオチド二重鎖についての融解プロ フィールを示すグラフである。ΔTdは0℃である。従って、ΔTd値は、完全塩基 対合二重鎖とミスマッチを含む二重鎖との間を差別化する化学薬品の能力に関連 する。この結果の実際の利用を以下に考察する。 さらに、完全に塩基対合した二重鎖ヘリックスと塩基スタックした二重鎖ヘリ ックスとの間の、2つの対合しない一本鎖とスタックしていない一本鎖との間ヘ の転移エンタルピーが計算され得る。(Breslauer,K.J.15章、「Methods for Obtaining Thermodynamic Data on Oligonucleotide Transitions」、Thermodyn amic Data for Biochemistry and Biotechnology、H.Hinz編、Academic Press, New York,NY,1986)。非協同性転移と協同性転移との差異は、ΔHvH(ファント ホフエンタルピー)で表現される。協同性転移において、(dα/dT)Tdの値は高 く、従ってΔHvHもまた高い。非協同性転移において、(dα/dT)Tdの値は低く 、従ってΔHvHもまた低い。(用語(dα/dT)Tdは、Tdにおける融解曲線の傾き の導関数であり、αは%一本鎖として正規直交系上で定義される。) この点に関して、3つの型のハイブリダイゼーション溶液中の2つの異なるセ ットのオリゴヌクレオチド(42℃ G+C;63%G+C)についての熱力学的パラメー ターを図3に示す。このデータは、エンタルピー値が、二重鎖の熱コイル転移の 温度範囲について得られた値に逆に関連していることを示す。 3.ハイボトロープの特徴付け a.ハイボトロープの特徴付け 本明細書中に留意されるように、ハイボトロープは、それが溶液であるか、ま たは水;タンパク質のプロトン性溶媒、もしくは非プロトン性溶媒中の約0.05M 〜約10Mで混和性である場合に、本発明の状況において有用である。特定の好ま しい実施態様において、ハイボトロープは、ポリメラーゼを不活化させない。他 の好ましい実施態様において、ハイボトロープのアニオン部は、2.2未満のpK1を 有する。 カオトロープ(chaotrope)は、標準的な塩溶液(すなわち、0.165M NaCl)を 参照する場合、少なくとも20%オリゴヌクレオチドまたは核酸二重鎖のエンタル ピーを増加させる化学薬品である。エンタルピーは、熱転移であるα対温度(図 1を参照のこと)の傾きをプロットし、そして以下を適用することにより測定さ れる。 ファントホフエンタルピーは、dα対温度をプロットすることにより平衡融解 曲線の微分から得られ得る(MarkyおよびBreslauer、1987)。手短には、熱力学 的データは、二重鎖における塩基の一次配列からの安定性(ΔG')および温度依 存性融解挙動(これはまた、本明細書中でヘリックスコイル転移(HCT)、(ΔH 0 )として記載される)を予測する基礎を提供する。本発明者らは、熱的に誘導 したヘリックスコイル転移(二重鎖から一本鎖)を使用して、ΔHvHについての 値を得る。ヘリックスコイル転移の形状の分析を使用して、ファントホフ転移エ ンタルピーを計算する。MarkyおよびBreslauerにより記載されるように(1987) 、αは二重鎖状態における一本鎖の割合に等しい。αが温度に対してプロットさ れる場合、αが0.5の値をとる温度をTdとして定義する。任意の転移についての 平衡定数Kは、αという形で表現され得、ファントホフエンタルピーは、次のよ うに表現され得る: Δ-HvH=RT2[dlnK/dT]またはΔ-HvH=-R[dlnK/d(1/T)] αに関してαが0.5の値を取る場合、この一般式を解くために、上記の方程式 を微分し、そしてTdにおけるαを解く。 Δ-HvH=(2+2H)RT2(δα/δT)T-Td、これは次のようにも書ける。 Δ-HvH=(2+2n)R(δα/δ(1/T))T-Td。 この一連の実験において、二分子性が存在し(ここで上の方程式についてn=2 )、それゆえ対応する係数は、6に等しいと仮定される。使用される別の仮定は 、各温度の増分において一本鎖の濃度が0であるので濃度へのTdの従属が存在し ないことである(融解プロセス前にすべてのハイブリダイズしていない物質を固 体支持体から洗い流し、そして5℃毎の温度増分で固体支持体が新鮮な溶液に入 れられることを想起されたい)。平衡状態ΔG=-RT(lnKeq)およびΔG=ΔH-TΔS における任意のプロセスについて、-RT(1nK)=ΔH-TΔSと書くことが可能である 。 二分子転移についてGrallaおよびCrothersにより示される(Gralla,J.およびC rothers,D.M.,J.Mol.Biol.73:497-511,1973)ように、融解曲線の微分の高さの 半分における全幅または半幅は、ファシトホフ転移エンタルピーに反比例してい る。示唆されるように、形態nA←→Anの平衡状態について、ファントホフの一般 式は、 Δ-HvH=B/((1/T1)-(1/T2))(半分の高さにおける全幅) Δ-HvH=B'/((1/Tmax)-(1/T2))(半分の高さにおける上半分の半幅)である。 ここで、Tmaxは、最大における温度であり、T1およびT2は、プロットされた温度 に おける値変化が(δα/δ(1/T))maxの半分に等しい上側の温度および下側の温 度に対応する。2の分子性について、-B=10.14および-B'=4.38。詳細な導関数 は、MarkyおよびBreslauer(1987)に与えられる。このファントホフエンタルピ ーを測定するアプローチは、特に、固体支持体を離れた融解二重鎖に、すべての 基底および背景に関連する問題が完全に排除されるので、受け入れられる。 2の分子状のヘリックス転移の平衡定数Kは、α範囲(二重鎖における一本鎖 分子の一部)として表現され得る。K値は通常ヘリックスコイル転移のTmとして 決定され、ここでα=0.5である。次いで、このTm値を、経験的に決定したTm( またはTd)および計算したvan't Hoffエンタルピー(温度に独立であると仮定す る)およびvan't Hoff式: In[K(Tm)/K(Tref)]=ΔH0/R(1/T-1/Tm) の積分形態を用いていくつかの参照温度(例えば、298K)に外挿する。 経験的に決定したK(Tref)値から、ΔG0=ΔH0-TΔS0を用いて、ヘリックスコイ ル転移のΔG0を決定することが可能である。本明細書中に記載の溶解曲線が濃度 非依存性であるので、In(KTm)=0(そのTmでK=1なので)。それゆえ、van't H off方程式は以下のように短縮される: -InK(T)=ΔH0/R(1/T-1/Tm)、 ここで、RTによる両側の乗算により、 -RTInK(T)=ΔH0(1-T/Tm)=ΔG0 この表現は、TmおよびΔHvHの経験的に測定した値から、目的の(T)の任意の温 度で転移自由エネルギーΔG0を計算するために使用され得る。対応するΔS0は、 ΔG0=ΔH0-TΔS0の関係から計算され得る。 HCTの短縮の結果として、ハイボトロープは、ハイブリダイゼーション溶液ま たは溶媒のストリンジェンシー係数を増加させる。ここで、ストリンジェンシー 係数は、そのTm値でのクイリックスコイル転移の傾斜(部分導関数)の値である 。上記のように、ストリンジェンシー係数は、ハイボトロープの同定のために使 用され得る。 ハイボトロープは、一般的には、約0.05〜10Mで、水、極性、非極性、または 有機溶媒中で溶解性もしくは混和性であるか、またはハイブロトープは単独で極 性、非極性、もしくは有機溶媒であり得る。 b.ハイボトロープの構造。 用語「ハイボトロープ」は、標準塩溶液(0.165M NaCl、0.01M Tris pH7.2、5 mM EDTA、および0.1%SDS)を参照した場合、核酸二重鎖のエンタルピーを少な くとも20%変化させる緩衝液、キレーター、塩、および/または界面活性剤を伴 う、水性または有機性輿境における任意の化学薬品または化学薬品の任意の混合 物をいう。すなわち、核酸二重鎖のエネルギー含量は減少する。参照オリゴヌク レオチドは、固定化オリゴヌクレオチドとしての5'-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/G AT/CCA/CAT/CTG-3'であり、そして溶液ヌクレオチドとしての5'-TGT/GGA/TCA/GC A/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(これは、テキサスレッドのようなフッ化クロムで5'末端 を代表的に標識される)である。オリゴヌクレオチド二重鎖(24ヌクレオチド長 )は、25℃以下の、コイルへのヘリックス転移(HCT)を有する。HCTは、二重鎖 の80%〜20%が一本鎖である温度の間での差異である。ハイボトロープとして規 定される溶液についての平均最小傾斜は、HCTの第1の誘導体であり、そして℃ における1/温度の2.4単位に等しい((80%一本鎖-20%一本鎖)/25℃)。 ハイボトロープは、LiTCA、RbTCA、GuSCN、NaSCN、NaClO4、KI、TMATCA、TEAT CA、TMATBA、TMTCA、TMTBA、TBATCA、またはTBATBAから選択される塩であり得る 。 好ましいハイボトロープは、アニオンおよびカチオンから形成される塩である 。ここで、アニオンは、それらの酢酸塩、プロピオン酸塩、およびハロゲン化バ ージョンから選択される。ハロゲン化されたアニオンのハロゲンは、フッ素、塩 素、臭素、およびヨウ素から選択されるが、好ましくはフッ素および/または塩 素である。ハロゲン化されたアニオンは、ハロゲン化された酢酸塩のために1つ 程の少ないハロゲン原子、そして3つ程の多いハロゲン原子を含み得る。ハロゲ ン化されたプロピオン酸塩は、1程少ないハロゲン原子、または5ほど多くのハ ロゲン原子を含み得る。トリクロロ酢酸塩およびトリフルオロ酢酸塩は、2つの 好ましいアニオンである。 カチオンは、好ましくは、NH4を含まないアンモニウムイオンである。従って 、カチオンは、1〜36炭素原子を含む一級、二級、もしくは三級アンモニウム、 ま たは4〜48炭素原子を含む四級アンモニウムである。好ましくは、カチオンは2 〜20の炭素原子、0〜5の酸素原子、および1〜5の窒素原子から選択される原 子から形成される。従って、カチオン置換体(アンモニウムイオンの中心窒素に 結合した基を「カチオン置換体」と呼ぶ)は、エステル、エーテル、ヒドロキシ ル、アミン、およびアミド官能性を含み得る。好ましくは、カチオン置換体は、 ヒドロカルビル基(すなわち、全体的に炭素および水素から形成された基)であ り、ここで、ヒドロカルビル基は飽和または不飽和であり得、そしてヒドロカル ビル基の炭素原子は、線状、分枝状、または円形様式に配列され得る。 好ましいアンモニウムイオンは、構造N(R)4の四級イオンであり、ここでRはC1 〜C12ヒドロカルビル基であり、そして任意の2つのR基は窒素原子と一緒になっ て環状構造を形成し得る。句「任意の2つのR基は、窒素原子と一緒になって環 状構造を形成し得る」は、アンモニウムイオンが、中心窒素原子が環状構造の一 部であるヘテロ環式であり得ることをいう。例えば、中心窒素原子はピペリジン の窒素原子であり得、この窒素原子もまた他のR基と結合する。四級アンモニウ ムイオンについて好ましいR基は、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、 およびC7〜C12アリールアルキルから個々に選択される。 別の好ましいアンモニウムイオンは、構造HN(R)3の三級イオンであり、ここで 、RはC1〜C12のヒドロカルビルであり、そして任意の2つのRは窒素原子と一緒 になって環状構造を形成し得る。再度、三級アンモニウムについて好ましいR基 は、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、およびC7〜C12アリールアルキ ルから個々に選択される。 なお別の好ましいアンモニウムイオンは、構造N(H)2(R)2の二級イオンであり 、ここで、RはC1〜C12のヒドロカルビルであり、そして2つのRは窒素原子と一 緒になって環状構造を形成し得る。再度、三級アンモニウムについて好ましいR 基は、C1〜C12アルキル、C3〜C12シクロアルキル、およびC7〜C12アリールアル キルから個々に選択される。 適切な塩には、エチルブチルアンモニウム、1-メチルイミジゾール、1-メチル ピペリジン、1-メチルピロリジン、3-メトキシプロピルアミン、トリエチルアミ ン、ビス(2-メトキシエチル)アミン、ジアリルアミン、ジブチルアミン、ジイ ソブチルアミン、N,N-ジメチルアミノブタン、N,N-ジメチルシクロ(clyclo)ヘ キシルアミン、N,N-ジメチルヘプチルアミン、N,N-ジメチルヘキシルアミン、ト リエタノールアミン、1-エチルピペリジン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソプ ロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N-エチル ブチルアミン、テトラエチルアンモニウム、トリプロプルアミン、2-メトキシエ チルアミン、およびN,N-ジメチルオクチルアミンから選択されるアンモニウムカ チオンを含む塩が挙げられるが、これらに限定されず、そしてアニオンは酢酸塩 、トリクロロ酢酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩から選択される。 本明細書中で使用される場合、以下の用語は、示された意味を有する。 アルキルは、脂肪族ヒドロカルビルラジカル-(CH2)nCH3をいい、メチル、エチ ル、N-プロピル、iso-プロピル、N-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブ チル、ドデシルなどのような分枝状または非分枝状のいずれかである。 アリールは、フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、ビフェニル、アントリル などのような1つの水素原子の除去により芳香族ヒドロカルビル由来のラジカル をいう。 アリールアルキル、-(CN2)n-Arは、アリールラジカルに結合した上記のような アルキルラジカルをいう。 ヒドロキシアルキルは、ラジカル-(CH2)nOHをいう。 シクロアルカンまたはシクロアルキルは、シクロプロリル、シクロブチル、シ クロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルなどのような環 状構造における飽和ヒドロカルビルのラジカルをいう。 他に記載しなければ、範囲の全ての数字は、記載した範囲の数字(例えば、1 〜5炭素、5炭素までおよび5炭素を含む)を含む。 ハロゲンは、塩素、臭素、ヨウ素、またはフッ素をいう。 c.新規のハイボトロープ 本明細書中に開示されるいくつかのハイボトロープは、オリゴヌクレオチドプ ローブの特異性を改良する新規のハイブリダイゼーション溶液を形成する。例え ば、テトラメチルアンモニウムトリクロロ酢酸塩(TMATCA)およびテトラエチル アンモニウムトリクロロ酢酸塩(TEATCA)は、高レベルのハイブリダイゼーショ ンストリンジェンシーを付与する。さらに、これらのハイボトロープは、G+C含 量に影響するTdを中和する。実施例において、25%〜73%のG+C含量で異なるラ ンダムなオリゴヌクレオチドプローブ(全て19マー)は、互いにTMATCAの存在下 で5℃以内のTdを有することを示す(図6を参照のこと);3MのTMATCAにおける Tdの平均は、45℃であった。同様の結果が、TEATCAにより得られる(図7を参照 のこと)。コントロールとして、これら19マーのTdを、3MのTEACl中で決定した 。得られたTdの差異は6℃であり、そして6オリゴヌクレオチドの平均Tdは、約 62℃であった。さらに、30%のホルムアミドにおいて、6オリゴヌクレオチドプ ローブは、Tdにおいて15℃異なった;0.165M NaClにおいて、Td値の範囲は15℃ であった(図8を参照のこと);そして2M LiTCAにおいて、Tdの差異は約10℃ であった。しかし、最も顕著には、TMATCAにおけるHCTの範囲は、25%のG+C含量 オリゴについての8℃から、73%のG+Cオリゴヌクレオチドについての14℃まで の範囲である。対照的に、TMAClにおけるHCTは、25%のG+C含量オリゴについて の12.5℃から、73%のG+Cオリゴヌクレオチドについての17.5℃までの範囲であ る。TMATCAの存在下でのオリゴのHCTにおけるこの4℃〜5℃のシフトは、TMACl に比較して、TMATCAのストリンジェンシー係数において顕著な改良を生じる。従 って、TMATCAは、オリゴヌクレオチドベースアッセイを行うために以前に記載さ れたいかなる溶液よりも、顕著に良い塩である。 新規のハイブリダイゼーション溶液はまた、核酸二重鎖の溶解挙動におけるG+ C含量の効果を中和することが同定されている。これらの溶液は、いくつかの場 合においてハイボトロープであり、そして他の場合においてPCR緩衝液またはハ イブリダイゼーション溶液(これは、核酸二重鎖におけるG+C含量の効果を最小 化する)として使用され得る。これらの新しいハイブリダイゼーション溶液、そ れらの特性、およびそれらの調製物は、実施例12に記載される。図14は、27%〜 83%のG+C含量で変化する3つの二重鎖間で、Tdにおける差異を示すグラフであ る。捕獲オリゴヌクレオチドは36マー(DMO-GC36cap;5'-ヘキシルアミン-GCA/G CC/TCG/CGG/AGG/CGG/ATG/ATC/GTC/ATT/AGT/ATT-3')であり、そしてフルオロク ロムで標識される3つの相補的なオリゴは、DMO-83GC:5'-テキサスレッド-CCG/ CCT/CCG/CGA/GGC/TGC-3';DMO-50GC:5'-テキサスレッド-AAT/GAC/GAT/CAT/CCG/ CCT-3';DMO-27GC:−テキサスレッド-AAT/ACT/AAT/GAC/GAT/CAT-3'である。α =0.5での任意の2つのTds間の温度差を、ΔTdと定義する。一本鎖DNA(y軸)の 割合を、温度(℃;x軸)に対してプロットする。溶解溶液は、100mM 2-メトキ シエチルアミントリフルオロ酢酸塩であった。Tdにおける3つの溶解曲線間の最 大の差異は、6Cであった。27%G+C含量のヘリックスコイル転移は21Cであり、5 0%G+Cは33Cであり、そして83%G+C二重鎖については29Cであった。3つの異な るG+C含量オリゴヌクレオチドのヘリックスコイル転移(HCT)は。異なることに 留意すること。これは、図15に示されるジイソブチルアミンの場合とは対照的で ある。図15は3つの二重鎖間のTdにおける差異を示すグラフであり、これは27% 〜83%のG+C含量において変化する(図14に記載されるのと同じ系)。α=0.5で の任意の2つのTd間での温度差を、ΔTdと定義する。一本鎖DNAの割合(y軸)を 、温度(℃;x軸)に対してプロットする。溶解溶液は、100mMジイソブチルアミ ン酢酸塩であった。Tdにおける3つの溶解曲線間の最大の差異は、5Cであった。 27%G+C含量のヘリックスコイル転移は22Cであり、50%G+Cは26Cであり、そして 83%G+C二重鎖については25Cであった。3つのオリゴヌクレオチド二重鎖のヘリ ックスコイル転移は非常に類似する。これは、アレイハイブリダイゼーションま たはポリメラーゼ鎖反応における使用に好ましい挙動である。 図16に、G+C含量を中和するためのGuSCNの能力を示す。図16は、3つの二重鎖 間のTdにおける差異を示すグラフであり、これは27%〜83%のG+C含量において 変化する(図14に記載されるのと同じ捕獲およびプローブオリゴヌクレオチド) 。α=0.5での任意の2つのTd間での温度差を、ΔTdと定義する。一本鎖DNAの割 合(y軸)を、温度(℃;x軸)に対してプロットする。溶解溶液は、2Mグアニジ ニウムチオシアネートであった。Tdにおける3つの溶解曲線間の最大の差異は、 16Cであった。27%G+C含量のヘリックスコイル転移は28Cであり、50%G+C二重鎖 は30Cであり、そして83%G+C二重鎖については32Cであった。同様の結果が、1 ×PCR緩衝液(図17)および1×SSC緩衝液(図18)で得られた。20%ホルムアミ ドもまたG+C含量を中和しなかった(図19)。 図17、18、および19における状況とは対照的に、図20は、1Mジシクロヘキシ ルアミン酢酸塩中の3つの異なるG+C含量オリゴヌクレオチド二重鎖の溶解挙動 を示す。図20は、3つの二重鎖間のTdにおける差異を示すグラフであり、これは 27%〜83%のG+C含量において変化する(図14に記載されるのと同じ二重鎖)。 α=0.5での任意の2つのTd間での温度差を、ΔTdと定義する。一本鎖DNAの割合 (y軸)を、温度(℃;x軸)に対してプロットする。溶解溶液は、1Mジシクロヘ キシルアミン酢酸塩であった。TdまたはTmにおける3つの溶解曲線間の最大の差 異は、3Cである。27%G+C含量のヘリックスコイル転移は13Cであり、50%G+C二 重鎖は17Cであり、そして83%G+C二重鎖については19Cであった。これはハイボ トロープについての理想的なプロフィールである。図20に観察される狭いヘリッ クスコイル転移とは対照的に、非常に広いHCTが、500mM n-エチルブチルアミン 酢酸塩で観察される。図21は、3つの二重鎖間のTdの差異を示すグラフであり、 これは27%〜83%のG+C含量において変化する(図14に記載されるように理想的 な二重鎖系)。α=0.5での任意の2つのTd間での温度差を、ΔTdと定義する。一 本鎖DNAの割合(y軸)を、温度(℃;x軸)に対してプロットする。溶解溶液は 、500mM n-エチルブチルアミン酢酸塩であった。Tdにおける3つの溶解曲線間の 最大の差異は、1Cである。27%G+C含量のヘリックスコイル転移は22Cであり、50 %G+C二重鎖は22Cであり、そして83%G+C二重鎖については26Cであった。 いくつかのG+C中和緩衝液のハイボトロープとして作用する能力を、図22に示 す。図22は、3つの二重鎖間のTdの差異を示すグラフであり、1つは完全な塩基 対であり、他の2つはミスマッチまたはデオキシネブラリン置換を含む。α=0.5 での任意の2つのTd間での温度差を、ΔTdと定義する。一本鎖DNAの割合(y軸) を、温度(℃;x軸)に対してプロットする。DMO-2060:5'-ヘキシルアミン-GTC /ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTG-3'(ナイロンビーズ上に固定されたオ リゴヌクレオチド);DMO-2055:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GCA/AGC/AGG/ AGT/ATG-3'(完全な相補体);DMO-2058;5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GGA/ AGC/AGG/AGT/ATG-3'(ミスマッチ相補体);およびDMO-2058-dN:5'-テキサスレ ッド-TGT/GGA/TCA/G(デオキシネブラリン)A/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(デオキシネ ブラリンミスマッチ相補体)。溶解溶液は、1Mジイソプロピルアミン酢酸塩であ った。Tdにおける3つの溶解曲線間の最大の差異は、6Cである。真のミスマッ チのヘリックスコイル転移(HCT)は14Cであった;デオキシネブラリンミスマッ チ二重鎖のHCTは14Cであり、そして完全な塩基対二重鎖のHCTは16Cであった。同 様の状況が、1Mジイソプロピルアミン酢酸塩(図22)、1M n,n-ジメチルシクロ ヘキシルアミン酢酸塩(図23)、および1Mジシクロヘキシルアミン酢酸塩(図24 )、ならびにN,N-ジメチルヘキシルアミン酢酸塩(図25)について観察された。 本発明の好ましいハイボトロープには、ビス(2-メトキシエチル)アミン酢酸 塩、1-エチルピペリジン酢酸塩、1-エチルピペリジントリクロロ酢酸塩、1-エチ ルピペリジントリフルオロ酢酸塩、1-メチルイミジゾール酢酸塩、1-メチルピペ リジン酢酸塩、1-メチルピペリジントリクロロ酢酸塩、1-メチルピロリジン酢酸 塩、1-メチルピロリジントリクロロ酢酸塩、1-メチルプロリジントリフルオロ酢 酸塩、2-メトキシエチルアミン酢酸塩、N,N-ジスチルシクロヘキシルアミン酢酸 塩、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミントリフルオロ酢酸塩、N,N-ジメチルシク ロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘプチルアミン酢酸塩、N,N-ジメチルヘプチル アミン酢酸塩、N,N-ジメチルヘキシルアミン酢酸塩、N,N-ジメチルヘキシルアミ ン酢酸塩、N,N-ジメチルイソプロピルアミン酢酸塩、N-エチルブチルアミン酢酸 塩、N-エチルブチルアミントリフルオロ酢酸塩、N,N-ジメチルアミノブタントリ クロロ酢酸塩、N,N-ジメチルイソプロピルアミントリクロロ酢酸塩、トリエタノ ールアミン酢酸塩、トリエチルアミン酢酸塩、トリエチルアミントリクロロ酢酸 塩、トリプロピルアミン酢酸塩、テトラエチルアンモニウム酢酸塩が挙げられる が、これらに限定されない。これらの化合物または化学薬品は、緩衝液、キレー ト剤、および/または界面活性剤と組み合わされ得る。 d.差別化におけるハイボトロープ濃度の効果 本明細書中に示す場合、ミスマッチしたオリゴヌクレオチド(変異体、「mt」 と略す)と完全な塩基対オリゴヌクレオチド(「wt」と略す)との間の差別化は 、特定のハイボトロープの濃度の関数ではないが、ハイボトロープ型の関数であ る。驚いたことに、ハイボトロープLiTCA、GuSCN、GuHCl、およびNaClO4のHCTは 、約0.5M〜約6.0Mの大体の範囲にわたって変化しない。さらに、mt二重鎖の傾斜 は、wt二重鎖よりも大きいことが常に観察される(図9を参照のこと)。さらに 、wt 二重鎖と変異二重鎖のTm間の差異(ΔTd)は、ハイボトロープの濃度により影響 されない。しかし、Tdは直接濃度に比例する(図10を参照のこと)。ΔTdがハイ ボトロープの溶液の広い濃度範囲にわたって変化しないので、オリゴヌクレオチ ドに基づくアッセイを行うために広い温度範囲が使用され得る(例えば、20℃〜 80℃)。第2に、比較的低い濃度(例えば、0.5M)のハイボトロープは、ポリメ ラーゼ触媒反応を含むハイブリダイゼーションアッセイに使用され得る。 ハイボトロープ溶液の特徴を示す化合物(例えば、LiTCA)の溶液でのおよそ の濃度範囲は、約0.2〜0.4Mである(図11;実施例)。 e.二重鎖の影響 オリゴヌクレオチドプローブ(すなわち、二重鎖)の長さは、長さが増加する ほどTmを増加する効果を有する。この関係のために、ハイボトロープを使用する ことの差別化は、6〜40塩基、そして好ましくは6〜30塩基のハイブリダイゼー ション長に有効に限定される。 f.化合物がハイボトロープ性であるかどうかを決定するアッセイ 上記のように、ハイボトロープは、標準的な塩溶液と比較した場合、核酸二重 鎖のエンタルピーを20%以上増大し得る化学薬品である。この増大したエンタル ピーを測定するための簡便なアッセイは、熱転移アッセイである。ハイボトロー プは、標準的な塩溶液(0.165M NaCl、0.01M Tris pH7.2、5mM EDTAおよび0.1 % SDS)と比較した場合、核酸二重鎖のエンタルピーを20%減少する、任意の化 学薬品、または水性もしくは有機性環境下の化学薬品と緩衝液、キレート剤、塩 および/または界面活性剤との任意の混合物として同定され得る。参照オリゴヌ クレオチドは、テキサスレッドのような蛍光色素により5'-末端で代表的に標識 されている、固定化オリゴヌクレオチドとしての5'-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/G AT/CCA/CAT/CTG-3'および溶液ヌクレオチドとしての5'-TGT/GGA/TCA/GCA/AGC/AG G/AGT/ATG-3'である。オリゴヌクレオチド二重鎖(24ヌクレオチド長)は、25℃ 以下のヘリックスコイル転移(HCT)を有する。さらに、適切なハイボトロープ は、水、他のプロトン性溶媒または非プロトン性溶媒に可溶である。必要とは されないが、ハイボトロープは、それらが、PCR反応(など)においてポリメラ ーゼなどと共に存在する場合、好ましくはポリメラーゼを不活化しない。これら の特性についてのアッセイは、以下に手短に考察される。 50%のG+C含量を有する18〜24マーのHCTが、所定の溶液について容易に測定さ れる。手短には、50%のG+Cを有する18〜24マーのオリゴヌクレオチドおよびそ の相補体が合成される。オリゴヌクレオチドは、候補ハイボトロープ溶液中に2 μMに溶解される。混合物を85℃に(0.5℃/分で)熱し、次いで10〜15℃に冷却 してハイブリダイゼーションさせる。吸光度対時間をサーマルプログラマーを備 えたUV-VIS分光光度計によって260nmで記録する。HCTを、規格化した吸光度値( 完全にアニール=0%一本鎖;完全に変性=100%一本鎖)対温度のプロットから 決定する。80%一本鎖と20%一本鎖との間の温度差(HCT)が25℃以下である溶 液は、本発明の範囲内の適切なハイボトロープ性溶液である。 溶解度は、それぞれの塩で飽和した溶液を作製し、溶解していない塩を濾過し て除き、液状または水性材料を除去し、次いで残る塩の重量を決定することによ って測定され得る。 pK値は、標準的な滴定法を用いて測定される。 ハイボトロープ性溶液中のポリメラーゼ活性は、ポリメラーゼの使用にしたが って測定され得る。例えば、増幅反応において、ハイボトロープを用いる反応、 および用いない反応の二連の反応を実行する。ハイボトロープは、10%の活性が 保持される場合、この酵素を不活化しない。 B.非塩基性アナログ、非ヌクレオシド性アナログ、およびデオキシネブラリン 残基 本明細書中に記載されるように、合成オリゴヌクレオチドを用いた場合のプラ イミングまたはプロービングの特異性の増大は、それぞれのプライマー二重鎖の ヘリックスコイル転移を最小化し、それによってそれぞれの配列のストリンジェ ンシー係数を増大させることによって達成される。オリゴヌクレオチドの増大し たストリンジェンシー係数は、ミスマッチの安定性を減少させ、それゆえ高い忠 実度のハイブリダイゼーションを促進する。さらに、ストリンジエンシー係数を 増大させることまたはHCTを減少させることはまた、プライミングの特異性の増 大を生じ得る。ストリンジェンシーを増大させる1つの方法は、二重鎖の一方の 鎖に1以上の非塩基性残基、非ヌクレオシド性残基、またはデオキシネブラリン 残基を導入することである。従って、これらの残基の内の1つを導入することは 、水素結合しない「塩基対」を導く。事実上、これはミスマッチと同様であり、 同じ配列を有する完全に塩基対合したオリゴヌクレオチドと比較して、それぞれ の由来するオリゴヌクレオチドのTdおよびHCTを減少させる。単純を目的として 、下記の例のオリゴヌクレオチドは、一度にはこれらの残基の内の1つの型だけ を取り込んでいるが、非塩基性残基と非ヌクレオシド性残基とのような組み合わ せが利用され得る。 上記のように、非塩基性残基は、リボフラノース糖の長さに近く、隣接する塩 基に共有結合し、そして二重鎖の反対側の鎖上の塩基と相互作用(すなわち、水 素結合)しない基でβアノマーにおいて置換されている化合物である。オリゴヌ クレオチド中の非塩基性残基は、グリコシド結合の化学的または酵素的加水分解 によって導入され得る。得られる構造は、非プリンまたは非ピリミジンであり、 コード情報を欠き、そして塩基対合しない。1つの非塩基性残基、テトラヒドロ フラン誘導体のCEホスホルアミダイトは、他の「スペーサー」ホスホルアミダイ ト(Glenn Research,Sterling,Virginia)とともに市販されている(dSPACER ,Glenn Research,Sterling,Virginia)。あるいは、非塩基性置換体は、アミ ド結合により連結したN-(2-アミノエチル)グリシンの骨格を含み得る。ネイティ ブなDNAまたはRNA骨格とは異なり、この構造は、デオキシリボースもリン酸基も 有さない。 非塩基性部位の代表的な配置は、オリゴヌクレオチドのおおよそ中央にある。 代表的なプライマーは以下の形状を有する:5'-N10-スペーサー-N10-3'。しかし 、複数の非塩基性部位が、規則的または不規則的間隔で、オリゴヌクレオチド中 に配置され得、これは達成されるべきHCTの値に依存する。一般に、プライマー は、6〜40ntまたは16〜30ntの長さの範囲にあり、そして1〜5の非塩基性部位 を含む。従って、非塩基性部位は、3、4、5、6、または8ヌクレオチドの間 隔で取り込まれ得るか、または非塩基性部位と塩基対合するヌクレオチド(また はア ナログ)の任意の組み合わせで取り込まれ得る。例えば、6マーは、1つの非塩 基性部位を有し、18マーは2つの非塩基性部位を、24マーは3つの非塩基性部位 を有し得るといった具合である。一般的なガイドラインとして、オリゴヌクレオ チドが変異を検出するために使用される場合、非塩基性部位は、好ましくは、そ の変異の部位に位置しない。しかし、非塩基性部位は、目的としない変異(例え ば、表現型を生じない多型)の部位に位置してもよい。 下記の表に示されるように、非塩基性残基の5'-ヘキシルアミン-TGTGGATCAGCA -スペーサー-GCAGGAGTATG-3'への導入(ここで、スペーサーは、Glenn Research (Sterling,VA)のC3-スペーサーまたはdSPACERのいずれかである(ここで、こ れらの2つの化学薬品は同じ効果を有するが、化学的には異なる)は、通常のオ リゴヌクレオチドと比較して、使用される溶液に応じて2.5℃〜6℃だけHCTを低 下させる。 デオキシネブラリン(dN)はまた、オリゴヌクレオチド二重鎖のエンタルピー を増大させるために使用され得る。好ましくは、デオキシネブラリンは、プロー ブまたはプライマー中のG、C、またはT塩基と置換される。複数のデオキシネ ブラリン部位が、達成されるべきHCTの値に応じて、規則的または不規則的間隔 で、オリゴヌクレオチド中に配置され得る。一般に、プライマーは、6〜40塩基 長、好ましくは16〜30塩基長の範囲であり、そして1〜5のデオキシネブラリン 部位を含む。代表的なプライマーは以下の配置を有する:5'-N10-デオキシネブ ラリン-N10-3'。下記の表に示されるように、デオキシネブラリン残基の5'-ヘキ シルアミン-TGTGGATCAGCA-dN-GCAGGAGTATG-3'への導入は、使用されるハイブリ ダイゼーション溶液またはハイボトロープに応じて2.5℃〜6℃だけHCTを低下さ せる。 従って、本発明は、複数のフラグメントを含むオリゴヌクレオチドを提供する 。各々のフラグメントは構造(1)により模式的に示される。 ここで、 は、野生型DNAに見出されるような、少なくとも3つのヌクレオチド(好ましく は、4〜12)の配列を表す。ここで、「B」は各々の位置で独立して選択される 塩基を表す; し、これは、2つの塩基B3およびB5を分離し、そして接続する。 構造(1)の意味は、図26を参照することにより理解され得る。ここで、構造 (1)は、ヌクレオチドの少なくとも塩基そしておそらくより多くの部分が「特 異性スペーサー」と呼ばれる領域で失われているヌクレオチドの配列に対応する ことが理解され得る。各々の特異性スペーサーは、わずかに1つのヌクレオチド 部位を占める。 特異性スペーサーは、構造(1)のフラグメントと、以下の構造(2)として 模式的に示されるような相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフラグメン トとの間のハイブリダイゼーションを妨げないような立体的および化学的特性を 有する。 従って、上記の構造において、特異性スペーサーは、単一のヌクレオチド部位 を占め、そして「野生型」ヌクレオチド(すなわち、天然に存在するヌクレオチ ド(例えば、DNA、cDNA、RNA)において見出される標準的なリン酸-糖-塩基を有 するヌクレオチド)が塩基対合することを妨げないことが理解される。野生型ヌ クレオチドは、「B」で終わる直線で表される。ここで、「B」は、アデニン、 グアニン、シトシン、ウラシルおよびチミンから選択される標準的な塩基を表す 。 特異性スペーサーは、相補鎖(2)(これと構造(1)を有する鎖が二重鎖を 形成する)中のヌクレオチドと水素結合してもよいし、しなくてもよい。好まし くは、特異性スペーサーは、何ものとも水素結合し得ない。しかし、別の好まし い実施態様において、特異性スペーサーは、反対側の塩基((1)と(2)との二重 鎖において「B4」として示される)と水素結合し得るが、従来のWatson-Crick様 式では結合しない。実際、特異性スペーサーが相補鎖の塩基と水素結合し得る場 合、その水素結合は、好ましくは、特性スペーサーが標準的なWatson-Crick塩基 対合によって反対側の塩基と結合した場合に生じるであろう水素結合よりもはる かに弱い。 好ましい特異性スペーサーは下記の式を有する:ここで、 Xが酸素である場合、Yは酸素、硫黄、メチルおよびアミノから選択され、ま たはXが硫黄である場合、Yは酸素および硫黄から選択される;そして SSCは、下記の式で示される2〜5の炭素原子の鎖を有する特異性スペーサー 成分を表す: ここで、nは0、1、2、または3である。SSCは、2以上の炭素原子を有する べきである。なぜなら、そうでないと、特異性スペーサーに隣接するヌクレオチ ドが、互いに接近しすぎて、相補性オリゴヌクレオチドと効果的に水素結合でき ないからである。同様に、SSCは、5以下の炭素を有するべきである。なぜなら 、そうでないと、同様に、特異性スペーサーを含有する配列中のヌクレオチドが 相補性配列と水素結合する能力が破壊されるからである。好ましくは、特異性ス ペーサー成分は、2つの隣接する-O-P基を直接分離する合計3または4の炭素を 有する。 SSCの2〜5の炭素原子は、特異性スペーサーが、相補性オリゴヌクレオチド 鎖と特異性スペーサー含有オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを完 全に妨げる原子配置でない限りは、本質的に任意の原子によって置換され得る。 好ましいSSCは、置換されていない(すなわち、アルキレン鎖である)か、また は、立体的に過度に要求的でない(sterically non-demanding)置換基(例えば、 ハロゲン、C1-C10ヒドロカルボキシルオキシ(エーテル酸素原子を介して「2〜 5の炭素原子」に連結されたヒドロカルビル(hydocarbyl)基)、ヒドロキシル、 C1〜C5ヒドロカルビルおよび同様のサイズのまたはより小さな基)で置換された アルキレン鎖のいずれかである。 特異性スペーサー成分は、5または6員の炭素環または複素環を含み得る。例 えば、SSCは、標準的なヌクレオチドに見出されるリボースまたはデオキシリボ ース基であり得るが、このリボースまたはデオキシリボースは、プリンまたはピ リミジン塩基が存在せず、そして好ましくは水素で置換されている点で「非塩基 」である。この構造の特異性スペーサー成分は、式(2)によって表され得る: ここで、nは1であり、Xは、式(2)に示される任意の炭素(Xが炭素である 場合にはXを含む)が、水素、C1〜C5ヒドロカルビル、C1〜C5ヒドロカルビルオ キシ、非水素結合プリン塩基アナログまたは非水素結合ピリミジン塩基で置換さ れ得るように、炭素、酸素および硫酸から選択される。 本発明は、溶液中に存在してもよいし、固体支持体に結合されていてもよい、 特異性スペーサーを有するオリゴヌクレオチドを提供する。特に固体支持体に結 合される場合、本発明は、各々が特異性スペーサーを有する、複数のオリゴヌク レオチド配列を有する、アレイ形態で組成物を提供する。 特異性スペーサーを含有する各々のオリゴヌクレオチドは、複数のこのような スペーサーを含む。従って、特異性スペーサーは、好ましくは、オリゴヌクレオ チド中の15〜60%のヌクレオチド位置を構成する。しかし、特異性スペーサーは 、互いに隣接しない。すなわち、任意の2つの特異性スペーサーの間に位置する 少なくとも1つの「野生型」ヌクレオチドが存在する。実際、オリゴヌクレオチ ド中の特異性スペーサーの全てが、4〜12の「野生型」ヌクレオチドによって分 離され、そしてより好ましくは5〜8または8〜12の野生型ヌクレオチドによっ て分離される。特異性スペーサーは、5つの野生型ヌクレオチド、続いて特異性 スペーサー、続いてさらに5つの野生型ヌクレオチド、続いて特異性スペーサー 、続いてさらに5つの野生型ヌクレオチドといった具合に、好ましくは繰り返し パターンで配置される。各々の発生において、特異性スペーサーの化学構造は独 立して選択される。 オリゴヌクレオチドを合成する方法は当業者に公知である。特に、天然ヌクレ オチドモノマーおよび非ヌクレオチドモノマーを用いてオリゴヌクレオチドを合 成する方法は、Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,Gait編、IR L Press,Oxford(1984)に見出される。標準的なオリゴヌクレオチドの合成のた めの5'-ジメトキシトリチル-2'-デオキシヌクレオシド-3'-(N,N-ジイソプロピル -2-シアノエチル)ホスホルアミダイトは、Glen Research(Herndon,VA);Beckman Instruments(Brea,CA)またはApplied Biosystems(Foster City,CA)から入手 可能である。 本発明において使用するためのオリゴヌクレオチドへの直接取り込みに適切な 特異性スペーサーは、Glen Research、Midland Certified Reagents(Midland, TX)、およびClonetech(Palo Alto,CA)のような製造業者からシアノエチルホス ホルアミダイト(cynanoethyl phosphoramidite)として市販されている。ある いは、他の特異性スペーサーは、当業者がなじみ深く、そしてGaitに記載された 3段階プロセスによって、必要とされるジオールを含む化合物から調製され得る 。段階1は、ベンズアミドまたは他の適切な保護基として任意のアミンを保護す る工程を含む。段階2は、ピリジン中でジメトキシトリチルクロライドを用いて 、ヒドロキシルのうちの1つ、好ましくは一級ヒドロキシルをジメトキシトリチ ルエーテルとして保護する工程を含む。第3の工程において、第2のヒドロキシ ルは、N,N,N,N-テトライソプロピルホスホルアミダイトおよびジイソプロピル アンモニウムテトラゾリドでのホスフィチレーション(phosphitylation)によっ てN,N-ジイソプロピル-2-シアノエチル)ホスホルアミダイトに変換される。これ らのホスホルアミダイトは、Beckman、ABIまたはPerseptive Biosystemsから入 手可能な自動化DNA合成機で使用され得る。 C.ハイボトロープ、および非塩基性残基または非ヌクレオシド性残基を含有す るオリゴヌクレオチドを使用する方法 本明細書中に記載されるように、ハイボトロープは、アニールされる領域が約 6〜約40塩基対の長さである二重鎖のハイブリダイゼーションを含む本質的に任 意の反応において使用され得る。このような反応は、1または数個の塩基変化に ついてのスクリーニング(例えば、遺伝子スクリーニング)、ランダムオリゴヌ クレオチドハイブリダイゼーションによるDNA分析、増幅反応、cDNAの合成のよ うなRTアーゼ重合化、ディファレンシャル増幅を含む。 本明細書中で使用される場合、「差別化温度」は、ミスマッチの二重鎖と完全 にマッチした二重鎖との間の差別化を可能にするハイブリダイゼーション反応が 実行される温度である。本明細書中に示されるような所定の範囲の温度は、差別 化温度の基準を満たす。差別化温度は、α値(一本鎖核酸の割合)が、二重鎖の 任意の位置にミスマッチを含む所定のオリゴヌクレオチド二重鎖(または核酸二 重鎖)について0.2である温度から、二重鎖のいかなる位置にもミスマッチを含 まない同じ所定のオリゴヌクレオチド二重鎖(または核酸二重鎖)についてα値 が0.8に等しい温度までの範囲である。α値は、二重鎖形態から一本鎖形態へのD NA鎖の熱転移の間に産生される、任意の所定の温度での一本鎖核酸の割合である 。αを決定することにおいて、ミスマッチは、修飾ヌクレオチド、ヌクレオシド 、またはそれらの誘導体の任意の型に起因し得る。差別化温度は、6nt〜250nt の長さの、任意の所定のG+C含量の、修飾または置換されたヌクレオチドもしく はヌクレオシドを含有し、その二重鎖がデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレ オチド、または異なる型の鎖の混合物から構成される、任意の所定の二重鎖に適 用可能である。例として、18ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド二重鎖につい て、決定的な差別化温度(範囲)は、10〜15℃である。差別化温度範囲の最も低 い温 度は、使用されるハイボトロープの濃度および型に依存し、そして0〜80℃、好 ましくは20〜50℃の範囲であり得る。 1.変異の検出 変異は、ゲノムDNAにおける単一塩基対変化である。本発明の状況において、 このような変化のほとんどは、問題の配列に相補的なオリゴヌクレオチドでのハ イブリダイゼーションによって容易に検出される。本明細書中に記載される系に おいて、2つのオリゴヌクレオチドは、変異を検出するために利用される。一方 のオリゴヌクレオチドは、野生型配列を有し、そして他方のオリゴヌクレオチド は、変異配列を有する。2つのオリゴヌクレオチドが、野生型標的ゲノム配列に おいてプローブとして使用される場合、野生型オリゴヌクレオチドは、完全に塩 基対合した構造を形成し、そして変異オリゴヌクレオチドは、単一の塩基対ミス マッチを有する二重鎖を形成する。本明細書中に示されるように、得られる2つ の型(野生型および変異体)の二重鎖は、二重鎖の1つにおける単一の塩基対ミ スマッチの結果として、異なるTdを有する。例えば、野生型(wt)二重鎖(完全 に塩基対合した)とミスマッチを含む二重鎖との間のTdにおける6〜7℃の差異 (上記でΔTdと記載される)は、ハイボトロープ(LiTCA)において得られるが 、標準的な塩ベースのハイブリダイゼーション溶液(例えば、SSC)においては 得られない。30マーのΔTd値は、6℃であり、24マーについては24℃、そして18 マーについては7℃であった。 従って、「長い」オリゴヌクレオチドプローブ(>18nt)は、長いポリヌクレ オチド標的核酸における変異の検出に使用され得る。本願については、ヒトゲノ ムの単一コピー部分にのみハイブリダイズするプローブが好ましい。30マーは、 1.15×1018個の30マーのコレクション(複雑性=3.45×1019ヌクレオチド)を検索 するために使用され得、24マーは、2.81×1024個の24マーのコレクション(複雑 性=6.75×1015ヌクレオチド)を検索するために使用され得、そして18マーは、 6.87×1010個の10マーのコレクション(複雑性=1.23×1012ヌクレオチド)を検 索するために使用され得る。さらに、経験的な視点から、オリゴヌクレオチドは 、23nt長より大きい場合には、真核生物のDNAまたはRNAのプローブまたはプライ マ ーとして最も良く作用する。 上記のように、ミスマッチ二重鎖に対する野生型のTdにおける6〜7℃の差異 は、2つの型の二重鎖の容易な同定または差別化を可能にする。この差別化をも たらすために、ハイブリダイゼーションは、それぞれのハイボトロープ性溶液に おいてミスマッチした二重鎖のTdで行われる。次いで、ハイブリダイゼーション の程度が、オリゴヌクレオチドプローブのセットについて測定される。野生型プ ローブのミスマッチプローブに対するハイブリダイゼーションの程度の比が測定 される場合、10/1の値から20/1より大きい値が得られる。これらのタイプの結果 は、変異検出のための強力なアッセイの開発を可能にする。 例示的な目的のために、変異の検出のための1つのアッセイ形式は、標的核酸 (例えば、ゲノムDNA)および目的の領域にわたるオリゴヌクレオチドプローブ を利用する。オリゴヌクレオチドプローブは、24nt長(最大約36nt)より大きい かまたはそれに等しく、オリゴヌクレオチドプローブの3'末端または5'末端で蛍 光色素で標識される。標的核酸は、それぞれのハイブリダイゼーション溶液中で 組織培養細胞、組織、生物などの溶解を介して得られる。次いで、溶解された溶 液は、標的核酸(標的核酸二重鎖のTdより15〜25℃上)を変性する温度に加熱さ れる。オリゴヌクレオチドプローブは、変性温度で添加され、そしてハイブリダ イゼーションは、ミスマッチした二重鎖のTdで0.5〜24時間行われる。次いで、 ゲノムDNAをGF/C(GF/Bなど)グラスファイバーフィルターを通して回収する。 次いで、フィルターを、それぞれのハイブリダイゼーション溶液で洗浄して、ハ イブリダイズしなかった任意のオリゴヌクレオチドプローブ(RNA、短いオリゴ および核酸は、これらの条件下でグラスファイバーフィルターに結合しない)を 除去する。次いで、ハイブリダイゼーションオリゴプローブを、標的DNAから熱 溶出し、そして(例えば、蛍光によって)測定し得る。非常に高レベルの感度を 要求するアッセイについては、プローブを濃縮し、そして測定する。 他の高感度ハイブリダイゼーションプロトコルを使用し得る。本発明の方法に より、細胞、サンプルなどに存在することが予想される変異を含有する核酸(す なわち、標的核酸)について容易にアッセイすることが可能になる。「標的核酸 」は、その存在が興味深く、そしてその存在または非存在がハイブリダイゼー ションアッセイにおいて検出されるデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(R NA)のヌクレオチド配列を含有する。本発明のハイブリダイゼーション法はまた 、核酸(RNAおよび/またはDNA)の複雑な生物学的混合物に適用され得る。この ような複雑な生物学的混合物には、広範な種々の真核生物細胞および原核生物細 胞(プロトプラストを含む);ならびに/またはポリヌクレオチド核酸を有する 他の生物学的材料が含まれる。従って、方法は、組織培養細胞、動物細胞、動物 組織、血球(例えば、網状赤血球、リンパ球)、植物細胞、細菌、酵母、ウイル ス、マイコプラズマ、原生動物類、真菌類などに適用され得る。公知の供給源の 核酸プローブ間の特定のハイブリダイゼーションを検出することによって、標的 核酸の特定の存在が確立され得る。 核酸の複雑な集団中の標的核酸を検出するための代表的なハイブリダイゼーシ ョンアッセイプロトコルは、以下のように記載される:標的核酸を、ゲルマトリ ックス上のサイズによって分離し(電気泳動)、クローン化および単離し、プー ルに小分割するか、または複雑な集団としておく。標的核酸を、ナイロン膜また はニトロセルロース膜のような固体支持体上に移すか、スポットするか、または 固定化する(この「固定化」はまた、「アレイ化」ともいわれる)。次いで、固 定化した核酸を加熱工程またはUV照射に供する。これは、核酸を不可逆的に固定 化する。次いで、膜を、Dendhart試薬(Dendhart,Biochem.Biophys.Res.Comm .23:641,1966)、ヘパリン(SinghおよびJones,Nucleic Acids Res.12:5627, 1984)、および脱脂粉乳(Jonesら、Gene Anal.Tech.1:3,1984)を含む「ブロ ッキング剤」に浸す。ブロッキング剤は、一般に、ニトロセルロースが使用され る場合には、プレハイブリダイゼーション工程およびハイブリダイゼーション工 程の両方で含まれる。次いで、標的核酸を、上記の条件下でハイボトロープベー スの溶液中で標識したオリゴヌクレオチドプローブでプローブする。プローブを 、結合した酵素により検出し得る。次いで、未結合の酵素を、洗浄除去し、そし て膜を基質溶液に浸す。次いで、シグナルを、基質のタイプに依存して、比色定 量手段によって、蛍光によって、または化学発光によって検出する。あるいは、 プローブを直接標識する(例えば、放射性アイソトープ、蛍光分子、質量分析タ グ;例えば、米国特許出願第08/589,250号、1996年1月23日出願を参照のこと、 化学発光タグなど)。 2.DNA 配列分析 DNA配列分析を、従来のように、プライマーを標的DNAにハイブリダイズし、そ してポリメラーゼを使用して鎖伸長を行うことによって行う。特異的停止を、ジ デオキシヌクレオチドを含ませることによって制御する。このタイプの分析にお けるプライミングの特異性は、ハイボトロープをアニーリング緩衝液に含ませる ことによって、および/またはプライマーに非塩基性残基を組み込むことによっ て、そして差別化温度でアニーリングすることによって増大させ得る。 他の配列分析法には、一団のランダムな短いオリゴヌクレオチドとの標的のハ イブリダイゼーションが包含される。配列は、オーバーラップハイブリダイゼー ション分析により構築される。この技術において、正確なハイブリダイゼーショ ンは必須である。ハイボトロープまたは非塩基性残基の使用および差別化温度で のアニーリングは、ミスマッチしたハイブリダイゼーションを低減または排除す るために、この技術にとって有益である。目的は、オリゴヌクレオチドプローブ の大きなアレイまたは核酸サンプルの大きなアレイをプローブするために、自動 化ハイブリダイゼーション法を開発することである。このような技術の適用には 、遺伝子マッピング、クローンの特徴付け、遺伝医学および遺伝子の発見、ハイ ブリダイゼーションによるDNA配列分析、ならびに最後に配列決定照合が含まれ る。 多くのパラメーターは、オリゴヌクレオチドプローブを自動化または多重化す るために、制御されなければならない。それぞれのプローブの安定性は、類似で なければならず、標的核酸とのミスマッチの程度、温度、イオン強度、プローブ (または標的)のA+T含有量、および他のパラメーターは、プローブが短い(す なわち、6〜50ヌクレオチド)場合には、類似であるべきである。通常、実験の 条件およびプローブの配列は、完全に塩基対合したプローブの形成が、ミスマッ チを含有する任意の二重鎖に対して熱力学的に有利になるまで調整される。ハイ ブリダイゼーションによる配列決定(SBH)のようなプローブの非常に大規模の 適用、または嚢胞性線維症膜貫通タンパク質遺伝子座のような高度に多型性の遺 伝子座の試験は、多重化したプローブの、よりストリンジェントなレベルの制御 を必要とする。William Bains(GATA 11:49,1994)は、多重化オリゴヌクレオチ ドプローブを使用する能力は、一般に、実施するのが理論によって示唆されるよ りも非常に困難であることを確認している。ハイボトロープおよび非塩基性残基 は、Bainsによって示された多重化プローブの使用における限界を本質的に克服 する。 任意の天然の核酸標的を独特にプライムするためのオリゴヌクレオチドプロー ブの実際の長さは、理論によって予想されるよりもずっと長い。一般に、所定の プローブが独特である確率は、長さに関連する。理論的に、標的が、520キロベ ース長である場合、長さは12〜15ヌクレオチドである。しかし、プローブは、独 特である90%の確率を有するためには、24ヌクレオチドであることが必要である ことが示される。従って、特異的である必要のあるハイブリダイゼーションアッ セイにおいて、より長い「短い」プローブ(すなわち、24〜36ヌクレオチド長) を用いることは、高度に望ましい。本明細書中に示される方法および組成物は、 差別化に関して長いオリゴヌクレオチドプローブ(すなわち、24〜36ヌクレオチ ド長)の使用において実質的に補助する。 3.増幅反応 ΔTdがハイボトロープの濃度の関数として変化しないという観察は、ポリメラ ーゼによるプライマー伸長(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、米国特許第4,683, 195号;同第4,683,202号;および同第4,800,159号を参照のこと、サイクリング プローブ技術、NASBA)に基づくDNA、RNA、または核酸増幅、連結(LCR、連結鎖 反応)、およびRNA増幅(Lizardiら、Bio/Technology 6:1197,1988;Kramerら、 Nature 339:401,1989;Lomeliら、Clin.Chem.35:1826,1989;米国特許第3,786 ,600号を参照のこと)における使用についての実質的な有用性を有する。wtおよ びmtの30マーオリゴヌクレオチドが、0.5M LiTCA中での熱融解に基づいて差別化 され得るという観察は、PCRのプライミング効率における実質的な改善の可能性 を可能にする。その現在の構成において、PCR緩衝液は、特定のプライミングに ついてでなく、ポリメラーゼについて最適化されている。すなわち、オリゴヌク レオチドでのプライミングの特異性の性能を超えるポリメラーゼの性能に有 利な技術の導入以来、条件は進歩した。従って、現在市販されているPCR緩衝液 は、PCRプライマーの高レベルのストリンジェンシーを提供も支持もしない。 市販されているPCR緩衝液を、野生型(wt)および変異体(mt)形態の両方に おける24マーオリゴヌクレオチドの融解性質に関して試験する。表5に、低モル 濃度のハイボトロープに対する、PCR緩衝液において達成された差別化のレベル を示す。 示すように、標準的なPCR緩衝液のHCTは、約15℃であるのに対し、0.1M LiTCA についてのHCTは、約12℃である。1×PCR緩衝液のΔTdは、24マーについてわず か1℃であるのに対し、0.1M LiTCAのΔTdは4℃である。それゆえ、プライミン グ特異性は、1×PCR緩衝液に対して、0.1M LiTCAにおいて有意に改善される。 より高い濃度のハイブリダイゼーション溶液(0.1M LiTCA〜3.0M LiTCA、または 0.1〜3.0 TMATCA)がまた使用され得る。 あるいは、プライミングをハイボトロープ溶液において行い、そして鎖伸長を ポリメラーゼを支持する別の緩衝液において行う。例えば、固相が2つの溶液を 通して移動する固相PCRを利用し得る。プライミングは、いくつかの適切な濃度 のLiTCAまたはTMATCAにおいて起こり、次いでポリメラーゼ連鎖反応は、ポリメ ラーゼを含有する異なるPCR緩衝液において起こる。増幅における最初の数ラウ ンドを、ハイボトロープベースのハイブリダイゼーション溶液にて行い、そして 残りのラウンドを、通常のPCR緩衝液において行うことが可能である(一般には 、最初の数ラウンドのみが特異性のために重要である)。 デオキシネブラリン改変オリゴヌクレオチドの使用はまた、PCRにおけるプラ イミングの特異性を増加させる。オリゴヌクレオチドに組み込まれた1つのデオ キシネブラリン置換は、HCTを2.5℃減少させる。24マーあたり3つのデオキシネ ブラリン部位を含有する2つのオリゴヌクレオチドプローブは、非置換コントロ ールと比較して、HCTを8℃減少させる。HCTにおけるこの減少は、増幅反応(例 えば、ポリメラーゼ連鎖反応)におけるプライミングの特異性のレベルを劇的に 増加させる。これは、最初の数サイクル(例えば、10サイクル)のPCRの間の偽 またはミスプライミングの減少に起因するようである。すなわち、デオキシネブ ラリン置換オリゴヌクレオチドのエンタルピーは、非置換プライマーに対して増 加し、従ってプライミングの特異性を増大させる。本発明の状況において、プラ イマーは、好ましくは6〜36塩基長であり、そして1〜6のデオキシネブラリン 部位を含有する。部位は、好ましくは4、5、6、7、または8つのヌクレオチ ドにより隔てられ、そして12〜24までのヌクレオチドにより隔てられ得る。置換 はまた、好ましくはプライマーの3'末端でクラスター形成し、核酸ポリメラーゼ によるプライマー伸長の特異性を確実にする(これは、例えば、DNA、RNAプライ マーであり得る)。さらに、プライミングが起こる温度範囲は、デオキシネブラ リン置換プライマーが使用される場合、劇的に縮小する。 実施例において示されるように(実施例8を参照のこと)、増幅が観察される 温度範囲は、約25℃〜65℃から約25℃〜35℃に減少する。さらに、この減少は、 2つの異なるDNAポリメラーゼについて観察される。 結果はまた、dSpacer置換が、ポリメラーゼが非塩基性部位を「リードスルー 」することを妨げることを示す。すなわち、ポリメラーゼが非塩基性残基に出会 ったときに、鎖伸長は終結する。しかし、非塩基性残基とは異なり、デオキシネ ブラリン残基は鎖伸長を終結しない。上記のように、増幅範囲をこえる温度範囲 は、非置換オリゴヌクレオチドと比較してかなり減少される。従って、デオキシ ネブラリン置換プライマーは、DNAポリメラーゼ連鎖反応の特異性を実施的に増 加させ得る。 さらに、プライマー二重鎖の高エンタルピー値を促進する、増幅PCRプライマ ー中のデオキシネブラリン部位とハイボトロープ塩溶液との組み合わせは、プラ イマー二重鎖のHCTを顕著に低減する。先に考察されるように、HCTが減少すると 、ストリンジェンシー要因は増加し、そしてポリメラーゼ連鎖反応の高度な差別 的プライミングが起こり得る。これらは、好ましい多重性(multiplexing)PCRに 必要とされる条件である。用語、多重性は、PCR反応における1つより多いプラ イマーのセットを使用し、そして多重性生成物を生成する能力、またはPCRプラ イマーの1セット当たり1つより多い標的核酸を使用する能力をいう。 ハイボトロープテトラメチルアンモニウムトリクロロ酢酸塩の使用は、Td(安 定性)におけるG+C含量の依存度が中和されるため、特に有用である。しかし、 ポリメラーゼ連鎖反応において使用され得る本発明の他のハイボトロープは、ビ ス(2-メトキシエチル)アミン酢酸塩、1-エチルピペリジン酢酸塩、1-エチルピペ リジントリクロロ酢酸塩、1-エチルピペリジントリフルオロ酢酸塩、1-メチルイ ミジゾール酢酸塩、1-メチルピペリジン酢酸塩、1-メチルピペリジントリクロロ 酢酸塩、1-メチルピロリジン酢酸塩、1-メチルピロリジントリクロロ酢酸塩、1- メチルピロリジントリフルオロ酢酸塩、2-メトキシエチルアミン酢酸塩、N,N-ジ メチルシクロヘキシルアミン酢酸塩、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミントリフ ルオロ酢酸塩、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘプチルアミ ン酢酸塩、N,N-ジメチルヘプチルアミン酢酸塩、N,N-ジメチルヘキシルアミン酢 酸塩、N,N-ジメチルヘキシルアミン酢酸塩、N,N-ジメチルイソプロピルアミン酢 酸塩、N-エチルブチルアミン酢酸塩、N-エチルブチルアミントリフルオロ酢酸塩 、N,N-ジメチルアミノブタントリクロロ酢酸塩、N,N-ジメチルイソプロピルアミ ントリクロロ酢酸塩、トリエタノールアミン酢酸塩、トリエチルアミン酢酸塩、 トリエチルアミントリクロロ酢酸塩、トリプロピルアミン酢酸塩、テトラエチル アンモニウム酢酸塩を含むが、これらに限定されない。これらの化合物または化 学薬品は、Mg++のような二価カチオン、緩衝液、界面活性剤、補因子、ヌクレオ チド、およびそれらのアナログ、ポリメラーゼ、および/またはリガーゼと、増 幅反応物中であわせられ得る。先に列挙した化合物は、5mM〜6M、好ましくは100 mM〜2.5Mの濃度範囲で使用され得る。 D.アレイにおけるハイボトロープおよび非塩基性核酸 分子生物学および微生物学の分野において、支持体上に固定化された生体分子 を有する固体支持体を使用することは、長い間一般的であった。固定化は、種々 の利点(例えば、サンプルの多重化、および大多数のシグナル系において使用さ れるタグの容易な測定を可能にすること)を提供する。 最近、強烈な注目が、生体分子(特にポリヌクレオチド)のアレイを平らな固 体支持体上に作製することに集中している。以下の刊行物(および本明細書中に 引用される参考文献)は、例示のみであり、これらの生体分子アレイについての 種々の有用性ならびにそのようなアレイを調製する方法の一般的な概観および特 定の概観を提供する:M.D.Eggersら、Advances in DNA Sequencing Technology ,SPIE 1891:113-126,1993;A.B.Chetverinら、Bio/Technology 12:1093-1099 ,1994;E.M.Souther,n Nucleic Acids Research 22:1368-1373,1994;R.J.Lip shutzら、BioTechniques 19:442-447,1995;M.Schena,BioEssays 18:427-431 ,1996;A.P.Blanchardら、Biosensors & Bioelectronics 11:687-690,1996;M. J.O'Donnell-Maloneyら、Genetic Analysis:Biomolecular Engineering 13:151 -157,1996;A.Regalado,Start-Up24-30,1996年10月;およびD.Stipp,Fortun e 30-41,1997年3月31日。 大規模なゲノムプロジェクトの到来および分子診断の増大する医療的使用は、 全ゲノムを表す組換えDNAライブラリーをスクリーニングするための大容量処理 方法の開発、大規模DNA配列決定プロジェクトの実施、および反復性の免疫学的 アッセイ、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、またはポリメラーゼ連鎖反応 アッセイの実行を促した。以下の刊行物(および本明細書中に引用される参考文 献)は、例示のみであり、生体分子アレイに頼る大容量処理方法、ならびにその ようなアレイを調製する方法の一般的および特定の概観を提供する:M.D.Eggers ら、Advances in DNA Sequencing Technology,SPIE 1891:113-126,1993;A.B. Chetverinら、Bio/Technology 12:1093-1099,1994;E.M.Southern,Nucleic Ac ids Research 22:1368-1373,1994;R.J.Lipshutzら、BioTechniques 19:442-44 7,1995;M.Schena,BioEssays 18:427-431,1996;A.P.Blanchardら、Biosenso rs & Bioelectronics 11:687-690,1996;M.J.O'Donnell-Maloneyら、Genetic A nalysis:Biomolecular Engineering 13:151-157,1996;A.R egalado,Start-Up 24-30,1996年10月;およびD.Stipp,Fortune 30-41,1997 年3月31日。 高容量処理方法論の必要性は、いくつかの場合において、96ウェルマイクロタ イターディッシュ形式から、384ウェル(Maierら、J.Biotechnology 35:191,19 94)または864ウェル(Drmanacら、Electrophoresis 13:120,1992)形式への変 化を導き、それはまた、ロボット装置と組み合わせて使用され得る(例えば、Bel graderら、BioTechniques 19:426,1995;Wilkeら、Diagnostic Microbiology an d Infect.Disease 21.181;1995を参照のこと)。しかし、これらの自動化技術 のすべては、等量の液体を、1つの整列された配置(すわなち、96ウェルマイク ロタイタープレート)から別の配置(すなわち、ハイブリダイゼーションフィル ター膜上の96スポットアレイ)へ再現的に移動させ得るロボットピン道具デバイ スの使用を必要とする。 最近、すべて(すなわち、すべてのサブセット)の、可能なヌクレオチド配列 を表すガラス表面に結合した短いオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の大きなア レイを合成する方法もまた、開発されている(MaskosおよびSouthern,Nucl.Ac ids Res.20:1675,1922)。以前に、ハイブリダイゼーションによるDNA配列決 定を実施するために使用され得るそのようなODNアレイが作製されている(southe rnら、Genomics 13:1008,1992;Drmanacら、Science 260:1649,1993)。ハイブ リダイズし得る表面に結合する大きなセットのODNの合成のために必要とされる 正確な量の生化学試薬の移行および整列のためのより良好な方法が存在するなら ば、このDNA配列決定法の利用性は非常に改善されるだろう。このことは、アレ イ内の各位置で生成されるODNのより良い等量性を可能にし、そしてまた、合成 が可能なヌクレオチド鎖の長さを増大させる。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、多くの異なる生物学的問題への広範な適用を 見出した。PCRの商業的利用に対する2つの主要な限界は、試薬のコストが高い こと、およびプロセスの実施を自動化することが不可能なことである。試薬のコ ストは、各反応の総量が減少され、DNAポリメラーゼおよびヌクレオチドにおけ る同時の減少を可能である場合に低下され得る。ロボット的に制御されたピン道 具を用いる小容量の試薬を整列するための正確かつ信頼性のある手段は、これら の両方のPCR問題を解決するのに役立ち得る。 本出願において記載のハイボトロープと改変したオリゴヌクレオチドプローブ との組み合わせは、プローブの有用な多重化を可能にし、そしてアレイ形式中で オリゴヌクレオチドを「捕獲」する。TmまたはTdに影響するG+C含量を中和する ハイボトロープは、本出願およびアレイ技術の使用において特に有用である。伝 統的なハイブリダイゼーション溶液において、G+C含量を20%から80%に変化さ せる場合、TmまたはTdの差異は一般に12〜16℃である。従って、理想のハイブリ ダイゼーション温度(G+C含量を変化させる場合、それぞれのオリゴヌクレオチ ド二重鎖のTmより1〜8℃下である)を維持することは不可能である。Tmまたは TdにおけるG+Cの効果を中和する溶液(ハイボトロープ)は、プローブの有用な 多重化を可能にする。以下のようなハイボトロープがアレイ形式において有用で ある:ビス(2-メトキシエチル)アミン酢酸塩、1-エチルピペリジン酢酸塩、1-エ チルピペリジントリクロロ酢酸塩、1-エチルピペリジントリフルオロ酢酸塩、1- メチルイミジゾール酢酸塩、1-メチルピペリジン酢酸塩、1-メチルピペリジント リクロロ酢酸塩、1-メチルピロリジン酢酸塩、1-メチルピロリジントリクロロ酢 酸塩、1-メチルピロリジントリフルオロ酢酸塩、2-メトキシエチルアミン酢酸塩 、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン酢酸塩、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミ ントリフルオロ酢酸塩、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘプ チルアミン酢酸塩、N,N-ジメチルヘプチルアミン酢酸塩、N,N-ジメチルヘキシル アミン酢酸塩、N,N-ジメチルヘキシルアミン酢酸塩、N,N-ジメチルイソプロピル アミン酢酸塩、N-エチルブチルアミン酢酸塩、N-エチルブチルアミントリフルオ ロ酢酸塩、N,N-ジメチルアミノブタントリクロロ酢酸塩、N,N-ジメチルイソプロ ピルアミントリクロロ酢酸塩、トリエタノールアミン酢酸塩、トリエチルアミン 酢酸塩、トリエチルアミントリクロロ酢酸塩、トリプロピルアミン酢酸塩、テト ラエチルアンモニウム酢酸塩。 多くの遺伝子疾患は、ヘテロ接合性キャリアへの創始者効果または利点に起因 する単一または限定されたセットの変異によって引き起こされる。例えば、改変 した薬物代謝または法医学的医薬における遺伝子マーカーとしての作用、と関連 した配列変異のモニタリングにおける臨床目的が増大し、そして感染性疾患の診 断において、薬物耐性変異株の同定は同様の配列変異間の差別化を必要とし得る 。 本明細書中で記載される溶液を使用して、PCRにおけるプライミングの特異性 を増加させる。メカニズムの点でいくつかの意見があり、ここでプライミング工 程の特異性が改善され得る。第1は、PCRプライマーの1つが(共有結合的に) 結合する固体支持体の使用を介する。固体支持体は、多くの形態(例えば、ビー ズ、膜など)を取り得る。プライミング工程はハイボトロープにおいて起こり得 、次いで固体支持体は、洗浄され得、そしてポリメラーゼ鎖伸長を支持する溶液 中に移動され得る。次いで、固体支持体はプライミング反応のためにネストロー プ(nesstrope)中に戻され、そしてサイクルが繰り返される。2つの異なる溶液 間の固体支持体のサイクルは、限定した回数(1〜15サイクル)で起こりさえす ればよく、その後、標準化PCR緩衝液における伝統的な増幅サイクルが進行可能 に行われ得る。あるいは、目的の標的核酸は、電界(すなわち、電気泳動)を用 いて、プライミング溶液とポリメラーゼ伸長反応溶液との間を移動される。 ハイボトロープおよび/または非塩基性もしくは非ヌクレオチド性オリゴヌク レオチドプローブの使用を用いて、ポリメラーゼの等温適用の、核酸配列の増幅 に対する特異性および効率性を増加し得る。核酸ポリメラーゼを使用するための 等温条件の適用は、核酸配列決定、遺伝子型決定、変異検出、オリゴヌクレオチ ド連結アッセイ、変異検出などを含む。 以下の実施例は、例示の目的で提供され、そして限定の目的ではない。 実施例 実施例1 新規なハイボトロープの調製、特性、および用途 塩溶液に対して、これまで述べられなかった特性を示す新規なハイボトロープ を合成する。トリクロロ酢酸テトラメチルアンモニウムおよびトリクロロ酢酸テ トラエチルアンモニウムを、適用に応じて、トリクロロ酢酸により水酸化テトラ メチルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウムをpH7.0〜8.5に中和 して合成する。次に、得られた塩溶液を真空乾燥して完全乾固し、その質量を測 定する。次に、この塩を水に溶解し、最終濃度0.5〜3.0Mにする。得られた塩溶 液をTris-HCl、pH7.0〜8.5などの緩衝液で緩衝化し、サルコシルなどの界面活性 剤を加えて約0.1%にし、任意にEDTAを加えて0.5〜5mMにする。 これらのハイボトロープは、G+CおよびA+T塩基対合強度の差を中和し同時に、 Tdおよび△Tdを低下させ、△Tdを増加させる性質を有する。次の表に、新規なTE ATCAおよびTMATCAハイボトロープの特徴を示す。 次のTdは、下述のハイブリダイゼーションで得られる。 表6のデータは、TMACLである対照溶液と比較して、3M TMATCAまたは3M TEACl を含有する溶液におけるヘリックスコイルトランジションが減少すること明らか にを示す。平均3.5℃の低下が、TMACLの対照溶液と比較して、3M TMATCAまたは3 M TEAClを含有する溶液において認められる。また、ホルムアミドは、ヘリック スコイルトランジションについての意外に高い値を示し、G+C値に応じて20〜23 ℃の範囲である。また、G+C含有量を中和するTMATCA溶液の能力の濃度依存性を 示す。2Mでは、TMATCAは、G+C含有量を中和できず、そしてHCT特性の減少もで きない。この特性は、他のハイボトロープが濃度依存性を示さないので、独特で ある。 実施例2 種々のハイボトロープおよび非ハイボトロープに基づくハイブリダイゼーション 溶液におけるオリゴヌクレオチド二重鎖の融解温度の決定 この実施例では、標的核酸にハイブリダイズした場合の野生型および変異体オ リゴヌクレオチドのTd決定について述べる。ハイボトロープによるハイブリダイ ゼーション溶液は、長さ30ヌクレオチドまでのプローブにより、核酸標的の単一 塩基対変異を検出し得ることが示される。溶液および試薬 フィルター洗浄液(FW)は、0.09M NaCl、540mM Tris pH7.6、25mM EDTAであ る。SDS/FWは、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含むFWである。ハイブリ ダイゼーション溶液は、本文に明記する濃度のハイボトロープ、2%N-ラウロイ ルサルコシン(サルコシル)、50mM Tris pH7.6および25mM EDTAを含有する。ホル ムアミドハイブリダイゼーション溶液は、30%ホルムアミド、0.09M NaCl、40mM Tris-HCl pH7.6、5mM EDTAおよび0.1%SDSを含有する。GuSCNは、Kodak(Roche ster、NY)から購入する。GuCl、水酸化リチウム、トリクロロ酢酸、NaSCN、NaC lO4およびKIをSigma(St.Louis、MO)から購入する。水酸化ルビジウムは、CFS Chemicals(Columbus、OH)から購入する。CsTFAは、Pharmacia(Piscataway、N J)から購入する。LiTCA 、TMATCAおよびTEATCAの調製 それぞれ3N溶液のLiOH、TEAOHおよびTMAOHを氷上で常時撹拌しながらトリクロ ロ酢酸(100%w/v、6.1N)でpH7.0に滴定して、LiTCA、TMATCAおよびTEATCAを調 製する。この塩を真空下で蒸発乾固し、エーテルにより一回洗浄した後、乾燥す る。オリゴヌクレオチド合成 オリゴヌクレオチドを標準シアノエチル-N,N-ジイソルプロピルアミノ-ホスホ ルアミダイト(CED-ホスホルアミダイト)化学を使用して、市販合成装置で合成 する。アミンテールを市販のN-モノメトキシトリチルアミノヘックス-6-イルオ キシ-CED-ホスホルアミダイトを使用して5'-末端に組み込む。あるいは、オリゴ ヌクレオチドの市販品を購入する。ナイロンビーズ支持体(ODN-ビーズ)の調製 ODN(オリゴヌクレオチド)−ビーズ(直径3/32インチ)を前述(Van Nessら 、Nucl.Acids Res.19:3345、1991)のように調製する。ODN-ビーズは、共有結 合により固定化したODNを0.01〜1.2mg/ビーズ含有する。ハイボトロープ塩を含有する種々のハイブリダイゼーション溶液におけるODN-ビ ーズを使用するTdおよびTop1値の決定 プローブのオリグヌクレオチドを標識するため、アミンODNをアミン反応性蛍 光色素と反応させる。誘導されたODN調製物を三つに分け、各部分を(a)20倍モ ル過剰のテキサスレッド塩化スルホニル(Molecular Probes、Eugene、OR)、(b )20倍モル過剰のLissamine塩化スルホニル(Molecular Probes、Eugene、OR)、 または(c)20倍モル過剰のイソチオシアン酸フルオレセインのいずれかと反応 させる。最終反応条件は、室温で1時間のpH8.3の0.15Mホウ酸ナトリウムからな る。未反応の蛍光色素をG-50 Sephadexカラムでのサイズ排除クロマトグラフィ ーにより除去する。 ODN-ビーズから曲N/ODN Tdを決定するため、蛍光標識ODNをODN-ビーズに固定 化した相補的ODNと、種々のハイブリダイゼーション溶液中でインキュベートす る。5〜5000ngのODNを、容量300〜400μl中、種々温度(19〜65℃)で5〜30分 間常時撹拌しながらハイブリダイズする。ビーズを3×1mlの各ハイブリダイゼ ーション溶液で洗浄した後、融解過程の開始温度で各融解溶液により一回洗浄す る。次に、各融解溶液300〜400μl中のビーズを0〜15℃の水浴中に置く。5分ご とに温度を5℃上昇させ、溶液をマイクロタイタープレートのウェルにデカント し、新鮮溶液(次の増分より5℃以下の)をビーズに加える。「融解」または二 重鎖解離を15〜95℃の温度範囲で行う。市販の蛍光プレートリーダーにより蛍光 を測定する。 Tdを算出するため、各温度で溶出した累積計数値を温度に対してプロットする 。ビーズから物質が50%解離する温度をTdとする。 ナイロン膜(Schleicher & Schuell、Keene、N.H.)からのRNA/ODNまたはDNA/ ODN Td値を決定するため、32P-標識ODN(ターミナルトランスフェラーゼによる3 '-標識)を0.5cm2の膜片と本文で明記するハイブリダイゼーション溶液中でイン キュベートする。ナイロン膜上にゲノムDNAを(非共有結合性)固定化するため 、精製DNAを0.3M NaOH中、20℃で10分間変性させる。等容量の2M酢酸アンモニウ ムを加え、試料をスロットブロット装置に取り付けたNytran膜に適用した。RNA を4.6Mホルムアルデヒド-6×SSC(0.9M NaCl、90mMクエン酸ナトリウム)中、60 ℃で15分間変性させ、上記のように膜に適用した。核酸の固定化後、フィルター を80℃で2時間焼き、周辺温度で乾燥保存した。次に、ハイブリダイセーション および解離をナイロンビーズ固体支持体に対して、上述のように行った。 Top1ODN(ほぼストリンジェンシーからストリンジェンシーの条件下、ODNへの 標的核酸が最大率のハイブリダイゼーションが起こる温度(Tdより-20℃〜-5℃低 い))を決定するため、相補的32P-標識ODNを、上述のようにODN-ビーズに共有結 合により固定化したODN配列にか、またはRNAを標的核酸として使用する場合、サ ンドイッチアッセイフォーマットのいずれかでハイブリダイズする(C0t1/3に)。 40℃の範囲(5℃増分の各二重鎖のTdの+20℃〜-20℃)にかけてハイブリダイゼ ーションを行う。次に、ハイブリダイゼーションの程度を各ハイブリダイゼ ーションのC0t1/3での温度関数として測定する。分光的熱変性 溶液(Tm)中の温度転移をGilford 2527 Thermo-programmerを装備したGilfor d System 2600 UV-VIS分光光度計を使用して260nmで記録する。ODN(2mM/鎖)を 各ハイブリダイゼーション溶液または融解溶液に溶解する。このODN混合液を85 ℃に加熱した後、10〜15℃に冷却してハイブリッダイズさせた。試料の温度を0. 5℃/分の温度上昇を用いてゆっくりと85℃まで加熱した。吸光度対時間を記録 し、第一次導関数を自動的に計算する。第一次導関数の最大値を使用してTm値を 決定する。オリゴヌクレオチド 次のオリゴヌクレオチドを使用して、野生型オリゴヌクレオチドと変異体オリ ゴヌクレオチドとの間のTdの差を測定する。野生型オリゴヌクレオチドは、十分 かつ完全に塩基対合した二重鎖を示し、変異体オリゴヌクレオチドは、単一塩基 対のミスマッチ(一般的には、オリゴヌクレオチドの中央)を示す。 「捕獲」オリゴヌクレオチドの配列は、5'-GTCATACTCCTGCTTGCTGATCCACATCTG- 3'である。野生型30マーの配列は、5'-CAGATGGGTATCAGCAAGCAGGAGTATGAC-3'、野 生型24マーの配列は、5'-ATGGGTATCAGCAAGCAGGAGTAT-3'、野生型18マーの配列は 、5'-GGTATCAGCAAGCAGGAG-3'である。変異体30マーの配列は、5'-CAGATGGGTATCA GGAAGCAGGAGTATGAC-3'、変異体24マーの配列は、5'-ATGGGTATCAGGAAGCAGGAGTAT- 3'、変異体18マーの配列は、5'-GGTATCAGGAAGCAGGAG-3'である。 オリゴヌクレオチドまたは核酸二重鎖のヘリックスコイルトランジションは、 ヒドロキシルアパタイトからのDNAもしくはRNAの二重鎖、またはハイブリッドの 熱溶出について、本質的にMartinson(Biochemistry 12:145-165、1973)による 前述の方法を改変して測定し得る。固体支持体からのヘリックスコイルトランジ ションの決定については、蛍光標識オリゴヌクレオチド(ODN)を種々のハイブ リダイゼーション溶液中で、ODN-ビーズに固定化した相補的ODNとインキュベー トした。容量300〜400μl中のODN 5〜5000ngを種々の温度(19〜65℃)で常時撹 拌しながら5〜30分間ハイブリダイズさせた。ビーズを3×1mlの各ハイブリダイ ゼーション溶液で洗浄した後、次いで融解過程の開始温度で各融解溶液により一 回洗浄した。次に、各融解溶液300〜400μl中のビーズを0〜15℃の水浴中に置い た。5分ごとに温度を5℃上昇させ、溶液をマイクロタイタープレートのウエル にデカントし、新鮮溶液(次の増分より5℃下の)をビーズに添加した。「融解 」または二重鎖解離を15℃〜95℃の温度範囲で行った。蛍光を市販の蛍光プレー トリーダーで測定した。Td値を算出するため、各温度で溶出した累積計数値を温 度に対してプロットした。物質がビーズから50%解離した温度をTdとした。ヘリ ックスコイルトランジションを、所定のオリゴヌクレオチド二重鎖(または核酸 二重鎖)のa値が0.8に相当する温度に対する同じ所定のオリゴヌクレオチド二重 鎖(または、核酸二重鎖、二重鎖のいずれかの部位にミスマッチを含むか、また は含まない)のa値が0.2に相当する温度として定義する。 次のTdは、下述のハイブリダイゼーションで得られる。 データは、ハイボトロープ溶液(LiTCA,GuSCNおよびGuHCl)により、24マー および30マープローブの単一塩基対のミスマッチを検出し得るが、標準ハイブリ ッド溶液(Rapid Hybe、Promega QYまたは5×SSC)の単一塩基対のミスマッチを 検出できないことを示す。 類似の実験を一連のハイブリダイゼーション溶液で上述の24マーで実施する。 Td(Wt)は、完全塩基対合したオリゴヌクレオチド二重鎖のTdであり、Td(mt)は 、単一のミスマッチを含むオリゴヌクレオチド二重鎖のTdである。値は、実施例 1に記載の配列の24マー二重鎖に対するものである。上の表のデータから、スト リンジェンシー係数は、完全塩基対合二重鎖とミスマッチを含む二重鎖との間 の差に直接比例する。すなわち、ストリンジェンシー係数により、所定のハイブ リダイゼーション溶液のミスマッチ二重鎖を差別化する能力が推定される。 実施例3 HCTおよびTdに及ぼす塩またはハイボトロープ濃度の影響 ミスマッチオリゴヌクレオチド(「mt」と略す変異体)と完全塩基対合オリゴ ヌクレオチド(「wt」と略す)との間の差別化は、特定ハイボトロープの濃度の 関数ではなく、むしろハイボトロープ型の関数である。HCTは、二重鎖が規定の 条件下の融解過程中に融解する温度範囲として定義される。HCTを算出するため 、二重鎖の80%が融解する温度を20%の融解が認められる温度から引き算する。 意外にも、ハイボトロープのLiTCA、GuSCN、GuHCl、NaClO4に対して、HCTは0.5M 〜約6.0Mの濃度範囲にかけて変化しない。mt二重鎖の傾斜は、常にwt二重鎖より も大きいことが観察される(表8参照)。濃度の関数として変化しない、もう一つ のパラメーターは、wt二重鎖とmt二重鎖とのTd間の差(△Td)である。mtおよび wt二重鎖のTdは、濃度に厳密に依存し、正確な直線関係にあることが認められる 。表9において、mtおよびwt 30マー二重鎖ならびにmtおよびwt 18マー二重鎖の HCTおよびTdを示す。 HCT、△TdおよびTdに及ぼす濃度およびハイボトロープ型の影響 表9のデータを、図9にグラフに示す。 △Tdは、上述のハイボトロープ溶液の広い濃度範囲にかけて変化しないため、 オリゴヌクレオチドに基づくアッセイを実施する上で、広い温度範囲を使用し得 る(すなわち、20〜80℃)。さらに、比較的低いオリゴヌクレオチド濃度(例えば 、0.5M)が、アッセイまたはポリメラーゼに基づくアッセイで使用され得る。 実施例4 固相上の単一塩基対ミスマッチの検出 この実施例では、相補的蛍光標識オリゴヌクレオチドを使用する固定化プロー ブにおける単一塩基対ミスマッチの検出について述べる。プローブオリゴヌクレ オチドのセットは、完全塩基対合を形成する1つのプローブとハイブリダイズし たとき、ミスマッチを含む1つのオリゴヌクレオチドからなる。二つのオリゴヌ クレオチドを異なる蛍光色素で標識し、ハイブリダイゼーションをミスマッチの Tdで生じさせた後、ハイブリダイズした蛍光色素の比率を決定する。 「標的」オリゴヌクレオチド(DMO501:5'-TTGATTCCCAATTATGCGAAGGAG-3')を 一連の固体支持体に固定化した。ODN-ビーズ(直径3/32インチ)を前述(Van Ne ssら、Nucl.Acids Res、19:3345、1991)のように調製した。ODN-ビーズは、共 有結合で固定化したODNの0.01〜1.2mg/ビーズを含んだ。DMO578は、DMO501の相 補体である(完全相補体)。DMO1969は、11位がG→T変化した、DMO501の相補体で ある。DMO1971は、12位がA→T変化した、DMO501の相補体である。各プローブオ リゴヌクレオチドをBODIPY、TAMRAまたはテキサスレッドで標識した。ハイブリ ダイゼーション反応を各プローブ50ng/mlで、3M GuSCN、0.01M Tris pH7.6、5mM EDTA中で行った。等モル比の各プローブ型を各ハイブリダイゼーションにおい て、管当り3個の固体支持体の存在下で使用した。ハイブリダイゼーションを常 時攪拌しながら42℃で30分間行う。ビーズを42℃で3M GuSCNにより二回洗浄した 後、SDS/FWで五回洗浄した。 プローブオリゴヌクレオチドを変性させるため、固体支持体を200μl TE(TE は、0.01M Tris、pH7.0、5mM EDTAである)中に置く。この混合物を100℃で10分 間インキュベートする。蛍光をブラックマイクロタイタープレートで測定する。 溶液をインキュベーション管(200μl)から除き、ブラックマイクロタイタープ レート(Dynatek Laboratories、Chantilly,VA)に入れる。次に、Fluoroskan II蛍光計(Flow Laboratories、McLean、VA)を使用してプレートを直接読み取 る。フルオレセインに対しては、励起波長495nmを使用し、520nmの発光をモニタ ーし、テキサスレッドに対しては、励起波長591nmを使用し、612nmの発光をモニ ターし、さらにリサミンまたはTAMRAに対しては、励起波長570nmを使用し、590n mの発光をモニターする。 結果は、次の通りである。 結果は、標識の比率がハイブリダイゼーション後も変化しないため、テキサス レッド(TR)578オリゴヌクレオチドおよび578-BD(BODIPY)が固定化標的への ハイブリダイゼーションに対して一様に競合したことが1行目に示されるように 、ハイブリダイゼーションに蛍光色素が影響を及ぼさないことを示す。GuSCNに おいてミスマッチプローブより完全塩基プローブが平均20倍豊富になることから 、特定の塩基対ミスマッチを検出できるようになる。 実施例5 PCRおよび低モル濃度ハイボトロープ溶液における ヘリックスコイルトランジションの決定 △Tdがハイボトロープ濃度の関数として変化しないという所見は、ポリメラー ゼによるプライマー伸長に基づくDNA、RNAまたは核酸増幅(すなわち、ポリメラ ーゼ連鎖反応)において使用するための実質的な有用性がある。30マーオリゴヌ クレオチド程度の長さのミスマッチプローブが0.5M LiTCAにおける熱融解に基づ いて差別化され得るという所見は、PCRでのプライミング効率における実質的な 改善を許容する。現行の構成において、PCR緩衝液は、やや特異的プライミング のポリメラーゼに対して最適化される。 市販のPCR緩衝液を野生型(wt)および変異体(mt)型の両方の18マー、24マ ーおよび30マーの融解挙動に関して検討した。表11に、PCR緩衝液対低モル濃度 ハイボトロープで得られた差別化レベルを示す。 標準PCR緩衝液のHCTが約15℃で、0.1M LiTCAのHCTが約12℃であることに留意 のこと。1×PCR緩衝液の△Tdは、24マーで1℃であるが、0.1M LiTCA中の△Td は4℃である。このように、プライミング特異性は、1×PCR緩衝液に対して0.1 M LiTCAで著明に改善される。 実施例6 オリゴヌクレオチドのHCTを増加し、プライミング特異性を改善する オリゴヌクレオチドへの非塩基部位の導入 実施例3において、オリゴヌクレオチドプライマーへ非塩基部位またはミスマ ッチ部位を導入することにより、それぞれの誘導プライマーのTdおよびHCTは、 完全塩基対「シスター」プライマーと比較して減少することが示されている。オ リゴヌクレオチドのポリヌクレオチド中の非塩基部位は、グリコシド結合の化学 的または酵素的加水分解により導入され得る。得られた構造は、非プリン性また は非ピリミジン性であり、これは、コード情報を欠如し、塩基対合できない。テ トラヒドロフラン(tetrahydroduran)誘導体のCEホスホルアミダイトは、他のス ペーサーホスホルアミダイト(Glenn Research、Sterling、Virginia)と同様に 市販されている(dSPACER、Glenn Research、Sterling.Virginia)。 一連のオリゴヌクレオチドのHCTに対する非塩基性置換の影響を下の表に示す 。 このオリゴヌクレオチドは、24マーで、次の配列をもつ:5'-ヘキシルアミン- TGTGGATCAGCA-スペーサー-GCAGGAGTATG-3'で、スペーサーは、C3-スペーサーま たは、Glenn Research(Sterling、VA)からのdSPACERのいずれかである。 実施例7 非塩基性置換オリゴヌクレオチドを使用する 固相上の単一塩基対ミスマッチの検出 この実施例では、蛍光タグを使用する固定化オリゴヌクレオチドへの非塩基部 位を含むオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを述べる。プローブオリ ゴヌクレオチドのセットは、完全塩基対合を形成する1つのプローブと、ハイブ リダイズしたとき、非塩基部位を含む1つのオリゴヌクレオチドとからなる。2 つのオリゴヌクレオチドを異なる蛍光色素で標識し、ミスマッチのTdでハイブリ ダイズした後、ハイブリダイズした蛍光色素の比率を決定する。 「標的」オリゴヌクレオチド(DMO501:5'-TTGATTCCCAATTATGCGAAGGAG-3')を 一連の固体支持体上に固定化した。ODN-ビーズ(直径3/32インチ)を前述(Van Nessら、Nuc.Acids Res.19:3345,1991)のように調製した。ODNビーズは、共有 結合により固定化したODNを0.01〜1.2mg/ビーズ含有した。DMO578は、DMO501の 相補体である(完全相補体)。DMO1969は、11位が非塩基部位のDMO501の相補体で ある。DMO1971は、12位が非塩基部位のDMO501の相補体である。各プローブオリ ゴヌクレオチドをBODIPY、TAMRAまたはテキサスレッドのいずれかで標識する。 ハイブリダイゼーション反応を各プローブ50ng/mlにおいて、3M GuSCN、0.01M T ris pH7.6、5mM EDTA中で組み立てる。等モル比の各プローブ型を各ハイブリダ イゼーションにおいて、チューブ当り3個の固体支持体の存在下で使用した。ハ イブリダイゼーションは、常時撹拌しながら42℃で30分間行った。ビーズを42℃ で3M GuSCNにより二回洗浄した後、SDS/FWで五回洗浄した。 プローブオリゴヌクレオチドを変性させるため、固体支持体を200μl TE(TE は、0.01M Tris、pH7.0、5mM EDTAである)中に置いた。この混合物を100℃で10 分間インキュベートする。蛍光をブラックマイクロタイタープレートで測定する 。溶液をインキュベーション管(200μl)から除去し、ブラックマイクロタイタ ープレート(Dynatek Laboratories、Chantilly、VA)に入れる。次に、プレー トをFluoroskan II蛍光計(Flow Laboratories、McLeann、VA)を使用して直接 読み取る。フルオレセインに対しては、励起波長495nmを使用し、520nmの発光を モニターし、テキサスレッドに対しては、励起波長591nmを使用し、612nmの発光 をモニターし、さらにリサミンまたはTAMRAに対しては、励起波長570nmを使用し 、590nmの発光をモニターする。 結果は、次の通りである。 結果は、標識の比率がハイブリダイゼーション後も変化しなかったため、テキ サスレッド(TR)578オリゴヌクレオチドおよび578-BD(BODIPY)が固定化標的 へのハイブリダイゼーションについて一様に競合したことが1行目に示されるよ うに、ハイブリダイゼーションに蛍光色素が影響しないことを示す。GuSCNにお いて非塩基修飾プローブより完全塩基対のプローブが平均20倍豊富なことから、 ハイブリダイゼーション反応において非常により高いレベルの差別化が可能にな る。 実施例8 増殖において使用されたオリゴヌクレオチドプライマーへの デオキシネブラリン残基の導入の効果 この実施例では、非塩基残基またはデオキシネブラリン残基の一方と置換した オリゴヌクレオチドプライマーの使用を増幅反応におけるプライミングの特異性 の増加について述べる。 この実験で使用するプライマーは、Rychlik(Rychlik、Biotechniques、18:84 -90、1995)により記載されている。プライマーを合成またはMidland Certified Reagent Company(Midland Texas)のゲルろ過グレードのプライマーとして入 手し得る。 増幅反応は、Taq DNAポリメラーゼ(10mM Tris-HCl pH8.3、1.5mM MgCl2、50m MKCl)またはPfu DNAポリメラーゼ(20mM Tris-HCl pH8.75、2.0mM MgCl2、10mM KCl、10mM(NH4)2SO4、0.1% Triton X-100、0.1mg/mlウシ血清アルブミン(BSA) )によるものである。反応中の全デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)濃度 は0.8mM、プライマー濃度は、200nM(特に明記しない限り)およびテンプレート 量は、0.25ngバクテリオファージλDNA/25μl反応液である。増幅周期は、94℃ で5分間の変性工程の後、94℃で45秒間、52℃で45秒間および72℃で30秒間の30 サイクル、その後の72℃で5分間の1回のサイクルからなる。増幅したDNAフラ グメントをDNA標準と共に、0.5×TBE緩衝液(45mM Tris-ホウ酸塩、pH8.0、0.1m M EDTA)中、2%アガロースゲルにより電気泳動を行い、臭化エチジウムによる 染色後に可視化する。DNAを濃度計により定量する。各実験を二回行う。 バクテリオファージλDNA配列(GenBank Accession #J02459)における2つの 領域を増幅のプライミング部位として選択する。この5'プライマーは、安定なGC リッチな3'末端を有し、3'プライマーを、増幅により381bp生成物が生じるよう に選択する。この実施例で使用するプライマーは、次の通りである。 順向(5')プライマー: 逆向(3')プライマー: (dS)は、「dSPACER」残基を示し、(dN)は、デオキシネブラリン残基を示す 。 順向プライマーは、その5'-末端が標的DNAと可変的にミスマッチするよう設計 されている。H17プライマーは、予定の標的に完全マッチであるが、プライマーH 14は、3'末端の14ヌクレオチドとのみ相補的である(5'末端の3ヌクレオチドは ミスマッチである)。全プライマー対を個別の増幅反応で使用し、アニーリング 温度は25℃〜65℃である。一連の代表的結果を以下の表に示す。TaqおよびPfuの 両ポリメラーゼについては、類似する結果が得られる。 これらの結果は、dスペーサー置換が、TaqまたはPfu DNAポリメラーゼが非塩 基部位を「読み通し」するのを防止することを示す。すなわち、ポリメラーゼが 非塩基残基に出会うと、鎖の伸長は停止する。それゆえ、プライミング部位は、 第二鎖の合成の間には保存されず、標的核酸の増幅は達成されない。しかし、ポ リメラーゼは、オリゴヌクレオチドプライマー中に存在するデオキシネブラリン 残基を読み通し得る。確認されてはいないが、最もおそらくは、デオキシチミジ ンはデオキシネブラリンに相補的な塩基として挿入される。しかし、増幅が達成 される温度範囲は、H17プリマーを用いた増幅の温度範囲に比較して減少される (25℃〜65℃から、25℃〜約35℃に)。それゆえ、デオキシネブラリン置換プラ マーは、PCR反応の特異性を実質的に増大し得るように見える。プライミングが 改善され、これは特異的アンプリコンを増幅を導いた。 第二の一連の実験では、プライマー対を、42℃のアニーリング温度を利用して 、別の増幅反応に用いる。結果を図12に示す。TaqおよびPfuポリメラーゼの両方 について、同様の結果を得る。予想したように、H17、H14、およびH11プライマ ーは全て、H14プライマーの5'末端に3塩基のミスマッチ、H11プライマーの5' 末端に6塩基のミスマッチを有するにも関わらず、381bpアンプリコンを生じる 。上記のように、非塩基残基を含有するAB1プライマーを用いては、増幅は認め られない。対照的にDN1、DN2、およびDN3プライマーは全て、DN6プライマーを使 用しては増幅は観察されないが、381-bpのアンプリコンを生じる。おそらく、プ ライマーの5'末端での3塩基のミスマッチ、およびプライマーの3'末端でのデオ キシネブラリン置換に起因する。従って、デオキシネブラリン置換プライマーは 、ポリメラーゼ連鎖反応において、プライミングの特異性を非常に増加し得る。 実施例9 オリゴヌクレオチドのHCTに対する オリゴヌクレオチドへのデオキシネブラリン残基の導入の効果 実施例3では、オリゴヌクレオチドプライマーへの非塩基部位またはミスマッ チ部位の導入により、完全に塩基対合した「シスター(sister)」プライマーと比 較して、改変プライマーのTdおよびHCTが減少する。デオキシネブラリン置換のH CTに対する効果もまた調査する。 デオキシネブラリン改変オリゴヌクレオチドは、ホスホラミダイトを利用して 標準的方法により合成し得る。テトラヒドロデュラン誘導体であるCEホスホラミ ダイトは、他のスペーサーホスホラミダイトと同様に市販されている(デオキシ ネブラリン、Glenn Research、Sterling、Virginia)。以下の実験のためのオリ ゴヌクレオチドは、以下の配列を有する24マーとして合成される: 5'-ヘキシルアミン-TGTGGATCAGCA(dN)GCAGGAGTATG-3'。 1セットのオリゴヌクレオチドのHCTに対するデオキシネブラリン(dN)置換の 効果を以下の表に示す。 デオキシネブラリン置換されたオリゴヌクレオチドは、非塩基置換オリゴヌク レオチドと同程度のHCTの減少を示した。 実施例10 デオキシネブラリン置換オリゴヌクレオチドを 用いる固相上での単一塩基対ミスマッチの検出 本実施例は、固定化オリゴヌクレオチド(標的)への、デオキシネブラリン部 位を含有するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを記載する。プロー ブオリゴヌクレオチドのセットは、標的に対して完全に相補的な一つのプローブ とデオキシネブラリン部位を含む第二のオリゴヌクレオチドから構成されている 。プローブオリゴヌクレオチドを、ハイブリダイゼーションの検出を補助するた めに蛍光タグで標識する。このデータでは、2個のオリゴヌクレオチドを、それ ぞれ異なる蛍光色素で標識し、ミスマッチのTdでのハイブリダイゼーション後に 、 ハイブリダイズされた蛍光色素の比を測定する。 標的のオリゴヌクレオチド、5'-TTGATTCCCAATTATGCGAAGGAG-3'(DMO501)を 固体支持体に固定化する。直径32分の3インチのビーズ(ODN-ビーズ)を含有す るオリゴヌクレオチドを、以前に記載されたように調製する(Van Nessら、Nuc .Acids Res,19:3345,1991)。ODN-ビーズは、共有結合で固定化されたODNの0 .01〜1.2mg/ビーズを含む。プローブオリゴヌクレオチドはDMO578を含み、これ はDM0501に対して完全な補体である。DMO1969は、DMO501の相補体であるが、11 位にデオキシネブラリン残基を有し、DMOl971は、DMO501の相補体であるが、12 位のデオキシネブラリン部位を有する。プローブオリゴヌクレオチドを、それぞ れBODIPY、TAMRA、またはテキサスレッドのいずれかで標識する。ハイブリダイ ゼーション反応は、3M GuSCN、0.01M Tris(pH7.6)と5mM EDTAを含む溶液中に 、50ng/mlの各プローブを含む。各プローブの等モル比を、チューブに含まれた 3つの固体支持体への各ハイブリダイゼーションに用いる。ハイブリダイゼーシ ョンは、一定の速度で攪拌しながら42℃で30分間で行う。このビーズを、42℃で 3M GuSCNで2回洗浄し、その後SDS/FWで5回洗浄する。 プローブ/標的の二重鎖を変性するには、固体支持体を200μlのTE(0.01M Tr is(pH7.0)、5mM EDTA)中に置き、そして100℃で10分間インキュベートする 。その溶液(200μl)をインキュベーションチューブから取り出し、そして蛍光 測定用のブラックマイクロタイタープレート(Dynatek Laboratories、Chantill y、VA)に置く。次いで、Fluoroskan II蛍光光度計(Flow Laboratories、McLea n、VA)において、フルオレセインについては、495nmの励起波長を用いて、520n mでの発光をモニターし、テキサスレッドについては、591nmの励起波長を用いて 、612nmでの発光をモニターし、そしてリサミンまたはTAMRAについてはそれぞれ 570nmの励起波長を用いて、590nmでの発光をモニターして、プレートを直接読む 。 以下の表に結果を示す。 結果は、GuSCNにおけるデオキシネブラリン改変プローブに対する、完全に塩 基対合したプローブの平均20倍の富化を示す;ハイブリダイゼーション反応にお けるより高いレベルの差別化を可能にする。この富化は、蛍光色素の存在に起因 しない。なぜなら、蛍光色素は、ハイブリダイゼーションに対して測定可能な効 果を有しなかったからである。1行目に示すように、テキサスレッド(TR)578オ リゴヌクレオチドおよび578-BD(BODIPY)は、ハイブリダイゼーションの前と後 での標識の同じ比によって示されるように、固定化標的へのハイブリダイゼーシ ョンについて同等に競合した。 実施例11 非塩基性置換オリゴヌクレオチドを用いる 固相での単一塩基対ミスマッチの検出 本実施例は、単一塩基対のミスマッチを検出するための、非塩基性置換オリゴ ヌクレオチドプローブの使用を記載する。以下に示すように、標準的なプローブ に比較して、非塩基性置換オリゴヌクレオチドプローブを用いて、単一塩基対ミ スマッチの検出において効率が増加することが観察された。 標的オリゴヌクレオチドは膜フィルター(Magna Graphナイロン膜フィルター 、Micron Separations、Westboro、MA)に共有的に吸着する(Van Nessら、Nuc, Acids Res.19:3345,1991)。標的オリゴヌクレオチドは以下の配列:5'-TGTG GATCAGCAAGCAGGAGTATC-3'に基づき、そして標的オリゴヌクレオチドの13と14位 にG→A、T→C、T→T、G→TまたはT→Gのミスマッチを含む。オリゴヌクレオチド が膜に吸着した後、そのシートを無水コハク酸溶液(125mlの0.1Mホウ酸ナトリ ウム緩衝液(pH8.5)に混合した25mlのm-ピロールに2.5gの無水コハク酸を溶解 )中で穏やかに混合することにより10分間ブロックする。次いで、そのシートを 10mM Tris、5mM EDTA(TE)の溶液で5回洗浄する。さらに、そのシートを、100 μg/mlのフラグメント化1本鎖のニシン精子DNAを含有する1%ウシ血清アルブ ミン(フラクション5、Sigma)溶液で穏やかに混合しながら、30分間ブロック する。次いで、そのシートをTEで5回洗浄する。 以下のビオチン化プローブ を1mlの3M GuSCN中に最終濃度10ng/mlでシートに添加し、そしてそのシート を28℃で30分間インキュベートする。次いで、シートを、1×SSC/0.1%SDSで各 1分間ずつ4回リンスし、その後洗浄溶液(0.01M Tris pH7.2,0.1M NaCl、0.0 05M EDTA、0.1% Tween 20)で2回リンスする。 ストレプトアビジン-アルカリフォスファターゼ結合体(ベクター、Burlingam e、CA)を洗浄溶液で1:10,000に希釈する。次いで、このシートをこの溶液中 で室温で振盪しながら1時間インキュベートする。次いで、このシートを洗浄液 で4回、検出緩衝液(0.1M NaCl、0.01M Tris pH8.5、0.05M MgCl2)で5分間リ ンスを1回行う。アルカリホスファターゼの基質は、BCIP/NBT錠(Schleicher a nd Schuell、製品番号78349、Keene、NH)を、30mlの重水に溶解することにより 調製する。室温で0.5から4時間反応させる。次いで、シートを水でリンスし、 そして乾燥する。シグナルの検出には付属のスキャナーを用いる。 図13に示すように、コントロールプローブへのハイブリダイゼーションを各標 的のオリゴヌクレオチドについて観察し、ミスマッチしたものについても観察す る。しかし、6Sの非塩基修飾プローブは、完全に標的とマッチしたオリゴヌクレ オチドにほぼ完全にハイブリダイゼーションされる。8S非塩基修飾プローブも また完全に標的とマッチしたオリゴヌクレオチドに優先的にハイブリダイゼーシ ョンされる。各標的の濃度は、相対的濃度単位で以下の表に示した。 対照の濃度に対するミスマッチした濃度比を以下の表に示した。 実施例12 オリゴヌクレオチドのヘリックスコイル転移の高効率的分析 捕捉オリゴヌクレオチド(36マー)を、以前に記載したように(Van Nessら、 Nuc.Acids Res.19;3345,1991)、C6アミンテールを介してナイロンビーズと 共役的に結合した。オリゴヌクレオチド(テキストで記載したように種々の長さ の)を、テキサスレッド(フルオレセイン、リザミン、またはTAMRAも使用し得 る)でC6アミンスペーサーを介して標識し、1.5Mグアニジンチオシアネート溶液 (テキストで記載したその他のハイブリダイゼーション溶液も使用し得る)中で 、捕捉オリゴヌクレオチドにハイブリダイズした。 「シグナル」オリゴヌクレオチドを、1μMスケールでMidland Certified Rea gent Company(Midland、Texas)により特異的に合成した。オリゴを、保存溶液と して用いたTE緩衝液中で250μLに希釈した。シグナルオリゴは、さらに25μLの 保存溶液を除去し、そして1.5Mグアニジンチオシアネート溶液(テキストで記 載したその他のハイブリダイゼーション溶液も使用し得る)の975μLにそれを混 合することによってハイブリダイゼーション用に希釈した。この実験用保存溶液 を、Cetus試験管(100μL/試験管)に分注した。シグナルオリゴヌクレオチドを 固定化捕捉オリゴにハイブリダイズできるように、ナイロンピンを室温で15分間 この溶液に浸けた。次いで、ハイブリダイズされていないシグナルオリゴヌクレ オチドを除去するためにビーズを洗浄した。その洗浄には、0.01Mトリス緩衝液 (pH7.0)、0.5mM EDTAと0.1M NaClで1回、0.5mM EDTA、0.01Mトリス緩衝液(p H7.0)、0.1M NaClと0.1%SDSで2回、0.01Mトリス緩衝液(pH7.0)、5mM EDTA 、0.1M NaClで1回(TEN:0.01Mトリス緩衝液(pH7.5)、1mM EDTAと100mM NaCl;T ENS:0.01M Tris(pH7.5),1mM EDTA、100mM NaClと0.1% SDS)を用いた。 試験溶液は、ポリカーボネートのサーモウエルプレートのウェル(Corning Co star Corp.,Cambridge,MA)に分注し、プレートはMJサーマルサイクラー(MJ Research Company,Watertown,MA)に置いた。ビーズは、プレートのウェルの 間で連続的に移した。温度を、10℃から開始して、2.5分〜5分毎に5℃刻みで上 昇させ、最終時点で85〜100℃に達した。溶解プロセスが完了した後、ポリカー ボネートのサーモウェルプレート中の液体を、ブラック96ウェルマイクロタイタ ープレート(Dynatek Laboratories、Chantilly、VA)に移した。次いで、Fluor oskan II蛍光光度計(Flow Laboratories、McLean、VA)を使用して、プレート を直接読んだ。フルオレセインについては、495nmの励起波長を用いて、520nmで の発光をモニターし、テキサスレッドについては、591nmの励起波長を用いて、6 12nmでの発光をモニターし、そしてリサミンまたはTAMRAについては、570nmの励 起波長を用いて、590nmでの発光をそれぞれモニターした。蛍光のレベルは、捕 捉オリゴヌクレオチドから溶融したシグナルオリゴヌクレオチドの量と相関する 。 Tdを計算するために、各温度で溶出した累積カウントを温度に対してプロット した。ビーズから50%の物質が解離する温度をTdとする。そのデータを表計算ソ フトに入力し、溶融曲線を各溶液について作成した。これらの溶融曲線から、Td 、ΔHCT、ΔTdを計算した。 実施例13 核酸二重鎖のG+C含量を効果的に中和するハイブリダイゼーション溶液の同定 本実施例では、核酸二重鎖の融解性質へのG+C含量の効果を減少または排除す る新規化合物の同定および使用を記載する。また、本明細書中に示したように、 標準プローブと比較して、修飾オリゴヌクレオチドプローブを用いた1塩基対の ミスマッチを検出する際の効率の増加が観察される。溶液および試薬 フィルターの洗浄液(FW)は、0.09M NaCl、540mM Tris(pH7.6)、25mM EDTAで ある。SDS/FWは、0.1% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を有するFWである。ハ イブリダイゼーション溶液には、テキストに明記した濃度のG+C中和化合物のハ イボトローブ、0.1〜2%N-ラウロイルサルコシン(サルコシル)、50mMのTris (pH7.6)(ある場合には)、および0.5〜25mM EDTAが含まれる。ホルムアミド ハイブリダイゼーション溶液には、30% ホルムアミド、0.09M NaCl、40mM Tris -HCl(pH7.6)、5mM EDTAおよび0.1% SDSが含まれる。GuSCNをKodak(Rochest er、NY)から購入する。GuCl、水酸化リチウム、トリクロロ酢酸、NaSCN、NaClO4 、およびKIを、Sigma(St.Louis、MO)から購入する。CsTFAを、Pharmacia(Pi scataway、NJ)から購入する。アミンベース化合物を、Sigma(St.Louis、MO) 、Aldrich(Milwaukee、WI)、またはFluka(Ronkonkoma、NY)から購入した。LiTCA 、TMATCAおよびTEATCAならびに他のアミンベースTCA、TFAおよび酢酸塩の 調製 LiTCAおよびTMATCAならびにTEATCAを、氷上で一定速度で攪拌しながらトリク ロロ酢酸(100%w/v、6.1N)とともにそれぞれLiOH、TEAOHおよびTMAOHの3N溶 液を滴下滴定することによりpH7.0に調製する。その塩を減圧下で乾燥するまで エバポレートし、エーテルで一回洗浄し、そして乾燥した。アミン含有化合物の 酢酸塩、トリクロロ酢酸塩またはトリフルオロ酢酸塩を、それぞれのアミンを、 適用に応じて、酢酸、トリクロロ酢酸、またはトリフルオロ酢酸を用いてpH6.0 〜pH8.5に中和することにより合成した。その後、得られた塩溶液を、本実施例 の図または表に記載された所望の濃度に希釈した。場合によっては、その後、塩 を0.1〜3.0Mの最終濃度になるように水に溶解した。得られた塩溶液を、場合に よっては、その後、Tris-HCl緩衝液(pH7.0〜8.5)で緩衝化した。そしてサルコ シルのような界面活性剤を、約0.1%まで添加し、そして必要に応じてEDTAを0.5 〜5mMまで添加する。ビーズに係留したオリゴヌクレオチドはDMO-2060であった :5'-ヘキシルアミン-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTG-3'(ナイロ ンビーズ上に固定化されたオリゴヌクレオチド);そしてプローブオリゴヌクレ オチドは、以下の通りであった:DMO-2055.5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/G CA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(完全相補体);DMSO-2058;5'-テキサスレッド-TGT/GGA /TCA/GGA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(ミスマッチ相補体);およびDMO-2058-dN;5'-テ キサスレッド-TGT/GGA/TCA/G(デオキシネブラリン)A/AGC/AGG/AGT/ATG-3'( デオキシネブラリンのミスマッチ相補体)。 表19に示したように、27%〜83%のG+C含量のオリゴヌクレオチド二重鎖間で 9℃以下のΔTdを生じる多くのアミンベースハイブリダイゼーション溶液(100m M濃度範囲、500mM濃度範囲および1000mM濃度範囲)が同定された。今までハイブ リダイゼーション溶液として記載されていない特性を示す新規のハイブリダイゼ ーション溶液を調製した。 これらのハイブリダイゼーション溶液は、G+CおよびA+T塩基対合強度における 差異を中和する性質を有する。この溶液のいくつか(100mMでは、ほとんどのト リプロピルアミン酢酸塩、ビス(2-メトキシエチル)アミントリフルオロ酢酸塩、 ジソプロピルアミントリフルオロ酢酸塩、n,nジメチルアミノブタントリフルオ ロ酢酸塩;500mMでは、トリエタノールアミン酢酸塩、特に、n,nジメチルシクロ ヘキシルアミントリフルオロ酢酸塩、n,nジメチルヘプチルアミン酢酸塩;1000m Mでは、特に、n,nジメチルシクロヘキシルアミントリフルオロ酢酸塩、トリプロ ピルアミン酢酸塩、ジブチルアミン酢酸塩、n,nジメシルヘプチルアミン酢酸塩 、ジメチルヘキシルアミン酢酸塩、ジシクロヘキシルアミン酢酸塩)は、同時に 、TdおよびΔTdを低下させ、他の溶液は、例えば、ΔTdを増加させる(1-エチル ピペリジン酢酸塩など)。以下の表では、新規のハイブリダイゼーション溶液お よびハイボトロープの特徴を記載する。G+C含量の関数としての以下のΔTdを、 以下に記載した融解曲線から得た:核酸二重鎖のG+C含量の融解作用への影響を 中和する新規のハイブリダイゼーション溶液もまた同定された。これらの溶液は 、ある場合にはハイボトロープであり、そして他の場合には、PCR緩衝液または 核酸二重鎖に対するG+C含量の影響を最小化するハイブリダイゼーション溶 液として用いられ得る。これらの新規のハイブリダイゼーション溶液、その特性 、およびその調製を、実施例12に記載する。図14は、3個の二重鎖間でのTdの差 異を示すグラフであり、G+C含量は27%〜83%で変化する。捕捉オリゴヌクレオ チドは36マー(DMO-GC36cap:5'-ヘキシルアミン-GCA/GCC/TCG/CGG/AGG/CGG/ATG/ ATC/GTC/ATT/AGT/ATT-3')であり、そして蛍光色素で標識した3個の補足的オ リゴは、DMO-83GC:5'-テキサスレッド-CCG/CCT/CCG/CGA/GGC/TGC-3';DMO-50GC :5'-テキサスレッド-AAT/GAC/GAT/CAT/CCG/CCT-3';DMO-27GC:-テキサスレッ ド-AAT/ACT/AAT/GAC/GAT/CAT−3')である。α=0.5での任意の2個のTd間の温度 差をΔTdと定義する。1本鎖DNAの%(y軸)を温度に対してプロットした(℃; x軸)。融解溶液は100mMの2-メトキシエチルアミントリフルオロ酢酸塩であっ た。3個の融解曲線間のTdの最大差異は6Cであった。27%G+C含量のヘリック スコイル転移は21Cであり、50% G+Cでは33Cであり、そして83% G+C二重鎖では 29Cであった。3個の異なったG+C含量を有するオリゴヌクレオチドのヘリックス コイル転移(HCTs)が異なることに留意されたい。これは、図15に示したような ジイソブチルアミンの場合とは対照的である。図15は3個の二重鎖間でのTdの差 異を示すグラフであり、G+C含量は27%〜83%で変化する(図14に示したものと 同様の系である)。α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdと定義する。1 本鎖DNAの%(y軸)を温度に対してプロットする(℃;x軸)。融解溶液は100mM ジイソブチリルアミン酢酸塩であった。3個の融解曲線間のTdの最大差異は5C であった。27% G+C含量のヘリックスコイル転移は22Cであり、50% G+Cでは26 Cであり、そして83% G+C二重鎖では25Cであった。3個のオリゴヌクレオチド 二重鎖のヘリックスコイル転移(HCTs)は、非常に類似している。これは、アレ イハイブリダイゼーションまたはポリメラーゼ連鎖反応に使用するのに適した挙 動である。 図16には、GuSCNがG+C含量を中和できないことが示される。図16は3個の二重 鎖間でのTdの差異を示すグラフであり、G+C含量は27%〜83%で変化する(図14 に示したと同様の捕捉オリゴヌクレオチドおよびプローブオリゴヌクレオチド) 。α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdと定義する。1本鎖DNAの%(y軸 )を温度に対してプロットする(℃;x軸)。融解溶液は2Mチオシアン酸グアニ ジンであった。3つの融解曲線間のTdまたはTmの最大差異は16Cである。27% G +C含量のヘリックスコイル転移は28Cであり、50% G+C二重鎖では30Cであり、 そして83% G+C二重鎖では32Cであった。同様の結果が、1×PCR緩衝液(図17 )および1×SSC緩衝液(図18)で得られた。20%ホルムアミドでもG+C含量の中 和は存在しなかった(図19)。図17は3個の二重鎖間でのTdの差異を示すグラフ であり、G+C含量は27%〜83%で変化する(図14に示したものと同様の二重鎖系 )。α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdと定義する。1本鎖DNAの%(y 軸)を温度に対してプロットする(℃;x軸)。融解溶液は1×PCR緩衝液であっ た。3個の融解曲線間のTdの最大差異は14Cであった。27% G+C含量のヘリック スコイル転移は17Cであり、50% G+C二重鎖では22Cであり、そして83% G+C二重 鎖では23Cであった。図18は3個の二重鎖間でのTdの差異を示すグラフであり、G +C含量は27%〜83%で変化する。α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdと 定義する。1本鎖DNAの%(y軸)を温度に対してプロットする(℃;x軸)。融 解溶液は1×SSCであった。3個の融解曲線間のTdの最大差異は13Cである。27 % G+C含量のヘリックスコイル転移は20Cであり、50% G+C二重鎖では22Cであり 、そして83% G+C二重鎖は23Cであった。図19は3個の二重鎖間でのTdの差異を 示すグラフであり、G+C含量は27%〜83%で変化する。α=0.5での任意の2個のTd 間の温度差をΔTdと定義する。1本鎖DNAの%(y軸)を温度に対してプロット する(℃;x軸)。融解溶液は、0.1%サルコシルを有して、20%ホルムアミド、 10mM Tris(pH7.6)、および5mM EDTAであった。3個の融解曲線間のTdの最大 差異は14Cであった。27% G+C含量のヘリックスコイル転移は15Cであり、50% G+C二重鎖では16Cであり、そして83% G+C二重鎖では20Cであった。 図17、18および19の状況とは対照的に、図20には、1Mジシクロヘキシルアミン 酢酸塩中での3個の異なったG+Cオリゴヌクレオチド二重鎖の融解性質を示す。 図20は3個の二重鎖間でのTdの差異を示すグラフであり、G+C含量は27%〜83% で変化する。α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdと定義する。1本鎖DN Aの%(y軸)を温度に対してプロットする(℃;x軸)。融解溶液は1Mジシクロ ヘキシルアミン酢酸塩であった。3個の融解曲線間のTdの最大差異は3Cであっ た。27% G+C含量のヘリックスコイル転移は13Cであり、50% G+C二重鎖では17C であり、そして83% G+C二重鎖では19Cであった。これはハイボトロープとして 理想的なプロファイルである。対照的に、幅の狭いへリックスコイル転移が図21 で観察され、500mM n-エチルブチルアミン酢酸塩ではずっと幅広いHCTが観察さ れる。図21は3個の二重鎖間でのTdの差異を示すグラフであり、G+C含量は27% 〜83%で変化する。捕捉オリゴヌクレオチドは36マー(DMO-GC36cap):5'-ヘキ シルアミン-GCA/GCC/TCG/CGG/AGG/CGG/ATG/ATC/GTC/ATT/AGT/ATT-3')であり、 蛍光色素で標識した3個の相補的オリゴは、DMO-83GC:5'-テキサスレッド-CCG/ CCT/CCG/CGA/GGC/TGC-3';DMO-50GC:5'-テキサスレッド-AAT/GAC/GAT/CAT/CCG /CCT-3';DMO-27-GC:-テキサスレッド-AAT/ACT/AAT/GAC/GAT/CAT-3'である。 α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdと定義する。1本鎖DNAの%(y軸) を温度に対してプロットする(℃;x軸)。融解溶液は500mM n-エチルブチルア ミン酢酸塩であった。3個の融解曲線間のTdの最大差異は1Cであった。27% G +C含量のヘリックスコイル転移は22Cであり、50% G+C二重鎖では22Cであり、そ して83% G+C二重鎖では26Cであった。 ハイボトロープとして作用する数種のG+C中和緩衝液の能力を図22に図示する 。図22は、3個の二重鎖間でのTdの差異を示すグラフであり、そのうちの1個は 完全に塩基対合しており、他の2個はミスマッチまたはデオキシネブラリン置換 を含む。α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdとして定義する。1本鎖DN Aの%(y軸)を温度に対してプロットする(℃;x軸)。DMO-2060:5'-ヘキシル アミン-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTG-3'(ナイロンビーズに固定 化されたオリゴヌクレオチド);DMO-2055:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GCA /AGC/AGG/AGT/ATG-3'(完全相補体);DMO-2058:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/ TCA/GGA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(ミスマッチ相補体);およびDMO-2058-dN:5'- テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/G(デオキシネブラリン)A/AGC/AGG/AGT/ATG-3' (デオキネブラリンミスマッチ相補体)。融解溶液は1Mのジイソプロピルアミン 酢酸塩であった。3個の融解曲線間のTdの最大差異は6Cであった。真のミスマ ッチのヘリックスコイル転移(HCT)は14Cであり;デオキシネブラリンミスマ ッチ二重鎖のHCTは14Cであり;そして完全に塩基対合した二重鎖のHCTは16Cで あった。 同様の状況が1Mジイソプロピルアミン酢酸塩(図22)、1M n,n-ジメチルシク ロヘキシルアミン酢酸塩(図23)、および1Mジシクロヘキシルアミン酢酸塩(図 24)、およびn,n-ジメチルヘキシルアミン酢酸塩(図25)について観察された。 図23は、3個の二重鎖間でのTdの差違を示すグラフであり、そのうちの1個は完 全に塩基対合しており、他の2個はミスマッチまたはデオキシネブラリン置換を 含む。α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdと定義する。1本鎖DNAの% (y軸)を温度に対してプロットする(℃;x軸)。DMO-2060:5'-ヘキシルアミ ン-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTG-3'(ナイロンビーズに固定化さ れたオリゴヌクレオチド);DMO-2055:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GCA/AGC /AGG/AGT/ATG-3'(完全相補体);DMO-2058:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/G GA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(ミスマッチ相補体);およびDMO-2058-dN:5'-テキ サスレッド-TGT/GGA/TCA/G(デオキシネブラリン)A/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(デ オキネブラリンミスマッチ相補体)。融解溶液は1M n,n-ジシクロヘキシルアミ ン酢酸塩であった。3個の融解曲線間のTdまたはTmの最大差異は4Cである。真 のミスマッチのヘリックスコイル転移(HCT)は15Cであり;デオキシネブラリ ンミスマッチ二重鎖のHCTは15Cであり;そして完全に塩基対合した二重鎖のHCT は15Cであった。 図24は、3個の二重鎖間でのTdの相違を示すグラフであり、そのうちの1個は 完全に塩基対合しており、他の2個はミスマッチまたはデオキシネブラリン置換 を含む。α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdと定義する。1本鎖DNAの %(y軸)を温度に対してプロットする(℃;x軸)。DMO-2060:5'-ヘキシルア ミン-GTC/ATA/CTC/CTG/CTT/GCT/GAT/CCA/CAT/CTG-3'(ナイロンビーズに固定化 されたオリゴヌクレオチド);DMO-2055:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TCA/GCA/A GC/AGG/AGT/ATG-3'(完全相補体);DMSO-2058:5'-テキサスレッド-TGT/GGA/TC A/GGA/AGC/AGG/AGT/ATG-3'(ミスマッチ相補体);およびDMO-2058-dN:5'-テ キサスレッド-TGT/GGA/TCA/G(デオキシネブラリン)A/AGC/AGG/AGT/ATG-3'( デオキネブラリンミスマッチ相補体)。融解溶液は1Mのn,n-ジシクロヘキシルア ミン酢酸塩であった。3個の融解曲線間のTdの最大差異は4Cであった。真のミ スマッチのヘリックスコイル転移(HCT)は17Cであり;デオキシネブラリン ミスマッチ二重鎖のHCTは17Cであり;そして完全に塩基対合した二重鎖のHCTは1 5Cであった。 図25は、3個の二重鎖間でのTdの差違を示すグラフであり、そのうちの1個は 完全に塩基対合しており、他の2個はミスマッチまたはデオキシネブラリン置換 を含む。α=0.5での任意の2個のTd間の温度差をΔTdとして定義する。1本鎖DN A(y軸)の%を温度に対してプロットした(℃;x軸)。融解溶液は100mM n,n- ジメチルヘシルアミン酢酸塩であった。3個の融解曲線間のTdの最大差異は9C であった。真のミスマッチのヘリックスコイル転移(HCT)は15Cであり;デオキ シネブラリンミスマッチ二重鎖のHCTは15Cであり;そして完全に塩基対合した二 重鎖のHCTは15Cであった。 本発明の特定の実施態様を例示の目的で本明細書中に記載してきたが、本発明 の精神および範囲から逸脱せずに種々の改変が行われ得ることが理解される。従 って、本発明は、添付の請求の範囲によって以外は制限されない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/50 G01N 33/50 Z 33/566 33/566 37/00 102 37/00 102 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ガリソン,ロリ ケイ. アメリカ合衆国 ワシントン 98103,シ アトル,エバンストン アベニュー エ ヌ.4515

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.核酸および塩を含む組成物であって、該塩は、アニオンおよびカチオンを含 有し、該アニオンは、ハロゲン化酢酸塩、プロピオン酸塩、およびハロゲン化プ ロピオン酸塩から選択され、該カチオンは、1〜36個の炭素原子を含有する一級 、二級、および三級アンモニウムから選択される、組成物。 2.前記アニオンがトリクロロ酢酸塩である、請求項1に記載の組成物。 3.前記アニオンがトリフルオロ酢酸塩である、請求項1に記載の組成物。 4.前記カチオンが2〜20個の炭素原子、0〜5個の酸素原子、および1〜5個 の窒素原子から選択される原子から形成される、請求項1に記載の組成物。 5.請求項1に記載の組成物であって、前記カチオンが構造HN(R)3を有し、ここ で、RがC1〜C12のヒドロカルビル基であり、そして2つのR基が、一緒に連結 されて、該窒素原子を有する環式構造を形成し得る、組成物。 6.請求項5に記載の組成物であって、RがC1〜C12アルキル基、C3〜C12シクロ アルキル基、およびC7〜C12アリールアルキル基からなる群より独立して選択さ れる、組成物。 7.請求項1に記載の組成物であって、前記カチオンが構造N(H)2(R)2を有し、 ここでRは、C1〜C12のヒドロカルビル基であり、そして2つのR基が一緒に連 結されて、該窒素原子を有する環式構造を形成し得る、組成物。 8.請求項7に記載の組成物であって、RがC1〜C12アルキル基、C3〜C12シクロ アルキル基、およびC7〜C12アリールアルキル基からなる群より独立して選択さ れる、組成物。 9.請求項1に記載の組成物であって、前記カチオンが、エチルブチルアンモニ ウム、1-メチルイミジゾール(methylimidizole)、1-メチルピペリジン、1-メチ ルピロリジン、3-メトキシプロピルアミン、トリエチルアミン、ビス(2-メトキ シエチル)アミン、ジアリルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N -ジメチルアミノブタン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘ プチルアミン、N,N-ジメチルヘキシルアミン、トリエタノールアミン、1-エチル ピペリジン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミ ン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N-エチルブチルアミン、トリプロピルア ミン、2-メトキシエチルアミン、およびN,N-ジメチルオクチルアミンからなる群 より選択され、そして前記アニオンがトリクロロ酢酸塩およびトリフルオロ酢酸 塩からなる群より選択される、組成物。 10.請求項1に記載の組成物であって、前記核酸が6〜100ヌクレオチドの鎖 を含む、組成物。 11.請求項1に記載の組成物であって、前記核酸がDNAである、組成物。 12.請求項1に記載の組成物であって、前記核酸が固体支持体上に固定化され る、組成物。 13.請求項1に記載の組成物であって、前記核酸が固体支持体上でアレイを形 成する、組成物。 14.請求項1〜13または15〜39のいずれかに記載の組成物であって、ポ リメラーゼおよびリガーゼから選択される酵素をさらに含む、組成物。 15.請求項1に記載の組成物であって、水をさらに含む、組成物。 16.請求項15に記載の組成物であって、前記塩が、室温にて、50mM〜6Mの 濃度で完全に水に溶解される、組成物。 17.請求項15に記載の組成物であって、前記核酸が、10-6〜10-18g/mLの濃 度で存在する、組成物。 18.請求項15に記載の組成物であって、緩衝液、界面活性剤、およびキレー ト剤の少なくとも1つをさらに含む、組成物。 19.非流動である組成物であって、6〜100ヌクレオチドのオリゴヌクレオチ ドおよび塩を含み、該塩は、アニオンおよびカチオンを含有し、該アニオンは、 酢酸塩、ハロゲン化酢酸塩、プロピオン酸塩、およびハロゲン化プロピオン酸塩 から選択され、該カチオンは、1〜36個の炭素原子を含有する一級、二級、およ び三級アンモニウムから選択される、組成物。 20.有機溶媒を含まない組成物であって、6〜100ヌクレオチドのオリゴヌク レオチドおよび塩を含み、該塩は、アニオンおよびカチオンを含有し、該アニオ ンは、酢酸塩、ハロゲン化酢酸塩、プロピオン酸塩、およびハロゲン化プロピオ ン酸塩から選択され、該カチオンは、1〜36個の炭素原子を含有する一級、二級 、および三級アンモニウムから選択される、組成物。 21.請求項19または20のいずれかに記載の組成物であって、前記アニオン が酢酸塩である、組成物。 22.請求項19に記載の組成物であって、前記カチオンが2〜20個の炭素原子 、0〜5個の酸素原子、および1〜5個の窒素原子から選択される原子から形成 される、組成物。 23.請求項19に記載の組成物であって、前記カチオンが構造HN(R)3を有し、 ここで、RがC1〜C12のヒドロカルビル基であり、そして任意の2つのR基が、 一緒に連結されて、該窒素原子を有する環式構造を形成し得る、組成物。 24.請求項19に記載の組成物であって、前記カチオンが構造N(H)2(R)2を有 し、ここで、RがC1〜C12のヒドロカルビル基であり、そして2つのR基が一緒 に連結されて、該窒素原子を有する環式構造を形成し得る、組成物。 25.請求項19に記載の組成物であって、前記核酸がDNAである、組成物。 26.請求項19に記載の組成物であって、前記核酸が固体支持体上でアレイを 形成する、組成物。 27.請求項19に記載の組成物であって、水をさらに含む、組成物。 28.請求項27に記載の組成物であって、前記塩が、室温にて、50mM〜6Mの 濃度で完全に水に溶解される、組成物。 29.核酸および塩を含む組成物であって、該核酸は、固体支持体上で固定化さ れ、該塩は、アニオンおよびカチオンを含有し、該アニオンは、酢酸塩、ハロゲ ン化酢酸塩、プロピオン酸塩、およびハロゲン化プロピオン酸塩から選択され、 該カチオンは、1〜36個の炭素原子を含有する一級、二級、および三級アンモニ ウム、ならびに4〜48個の炭素原子を含有する四級アンモニウムから選択される 、組成物。 30.請求項29に記載の組成物であって、前記アニオンが、酢酸塩、トリフル オロ酢酸塩、およびトリクロロ酢酸塩から選択される、組成物。 31.請求項29に記載の組成物であって、前記カチオンが2〜20個の炭素原子 、0〜5個の酸素原子、および1〜5個の窒素原子から選択される原子から形成 さ れる、組成物。 32.請求項29に記載の組成物であって、前記カチオンが構造HN(R)3を有し、 ここで、RがC1〜C12のヒドロカルビル基であり、そして任意の2つのR基が、 一緒に連結されて、該窒素原子を有する環式構造を形成し得る、組成物。 33.請求項29に記載の組成物であって、前記カチオンが構造N(H)2(R)2を有 し、ここで、RがC1〜C12のヒドロカルビル基であり、そして2つのR基が一緒 に連結されて、該窒素原子を有する項式構造を形成し得る、組成物。 34.請求項29に記載の組成物であって、前記カチオンがエチルブチルアンモ ニウム、1-メチルイミジゾール、1-メチルピペリジン、1-メチルピロリジン、3- メトキシプロピルアミン、トリエチルアミン、ビス(2-メトキシエチル)アミン、 ジアリルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N-ジメチルアミノブ タン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘプチルアミン、N,N- ジメチルヘキシルアミン、トリエタノールアミン、1-エチルピペリジン、ジシク ロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N-ジメチルイ ソプロピルアミン、N-エチルブチルアミン、テトラエチルアンモニウム、トリプ ロピルアミン、2-メトキシエチルアミン、およびN,N-ジメチルオクチルアミンか らなる群より選択され、そして前記アニオンがトリクロロ酢酸塩およびトリフル オロ酢酸塩からなる群より選択される、組成物。 35.請求項29に記載の組成物であって、前記固体支持体が、平面表面を有し 、そして石英、金、ナイロン-6,6、ナイロン、ポリスチレン、ガラス、またはケ イ素を含む物質から選択される、組成物。 36.請求項35に記載の組成物であって、前記固体支持体が、ガラスプレート およびケイ素ウエハから選択される、組成物。 37.請求項29に記載の組成物であって、前記核酸が分離されたドメインのア レイにおける分離されたドメインに存在し、ここでアレイに存在するドメインの 数は、10〜50、50〜400、および400〜800の範囲から選択される、組成物。 38.請求項37に記載の組成物であって、前記ドメインが実質的に環状であり 、ここで該環が約10ミクロン〜200ミクロンの平均直径を有する、組成物。 39.請求項29に記載の組成物であって、複数の核酸配列を含む、組成物。 40.以下からなる群より選択される塩: (a)式HN(CH3)2Raのカチオンの酢酸塩であって、ここでRaは、C4〜C7のヒドロ カルビル基である、塩; (b)式HN(CH3)2Rbのカチオンのハロゲン化酢酸塩であって、ここでRbは、C7〜 C12のヒドロカルビル基である、塩; (c)式H2N(C5〜C7シクロアルキル)Rcのカチオンの酢酸塩およびハロゲン化酢 酸塩であって、ここでRcは、C1〜C12のヒドロカルビル基である、塩;および (d)N-置換されたピペリジンの酢酸塩およびハロゲン化酢酸塩であって、ここ でピペリジンの窒素原子は、C1〜C12のヒドロカルビル基で置換される、塩。 41.請求項40に記載の塩であって、前記ヒドロカルビル基が、アルキル基、 アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリー ル基、アラルキル基、およびアルキルアリール基から選択される、塩。 42.複数のフラグメントを含む溶液中のオリゴヌクレオチドであって、各フラ グメントは構造(1) によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し; よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 該特異性スペーサーは、 (a)構造(1)のフラグメントと、構造(2) として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げず、そして (b)構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配列においてその反対側に 配置される塩基との水素結合に参加し得ない、立体特性および化学特性を有する 、オリゴヌクレオチド。 43.請求項42に記載のオリゴヌクレオチドであって、前記特異性スペーサー が以下の式を有し、 ここで、Yは、Xが酸素である場合、酸素、硫黄、メチル基、およびアミノ基 から選択されるか、またはYは、Xが硫黄である場合、酸素および硫黄から選択 され;そして SSCは、以下の式において表される、2〜5個の炭素原子の鎖を有する特異性 スペーサー成分を表し、 ここで、nは0、1、2、または3であり、そして特異性スペーサー成分の示 される2〜5個の炭素原子のそれぞれは、C1〜C10のヒドロカルビル基、またはC1 〜C10のヒドロカルビルオキシ基で独立して置換され得、そして互いに直接的に 結合される、示される2〜5個の炭素原子の任意の2つは、炭素環式のまたはヘ テロ環式の5〜6員環を形成し得る、オリゴヌクレオチド。 44.請求項43に記載のオリゴヌクレオチドであって、前記特異性スペーサー 成分のnが1であり、そして該特異性スペーサー成分が以下の式(2)を有し、 ここで、nは1であり、およびXは炭素、酸素、および硫黄から選択され、それ によって式(2)に示される、Xが炭素である場合Xを含む任意の炭素が、水素 、C1〜C5のヒドロカルビル基、またはC1〜C5のヒドロカルビルオキシ基、水素結 合しないプリン塩基アナログ、または水素結合しないピリミジン塩基で置換され 得る、オリゴヌクレオチド。 45.請求項43に記載のオリゴヌクレオチドであって、前記特異性スペーサー 成分が以下の式(3)を有し、 ここで、示される3つの炭素原子のそれぞれは、水素、C1〜C10のヒドロカル ビル基、またはC1〜C10のヒドロカルビルオキシ基で置換され得る、オリゴヌク レオ チド。 46.請求項43に記載のオリゴヌクレオチドであって、複数の特異性スペーサ ーを有し、ここで2つの特異性スペーサーが互いに隣接することはなく、全ての 最も近い特異性スペーサーは、4〜14個の野生型ヌクレオチドによって分離され 、そして特異性スペーサーは、特異性スペーサーおよび野生型ヌクレオチドによ って占有される位置の15〜60%を構成する、オリゴヌクレオチド。 47.請求項46に記載のオリゴヌクレオチドであって、全ての最も近い特異性 スペーサーが、5〜6個の野生型ヌクレオチドによって分離される、オリゴヌク レオチド。 48.請求項46に記載のオリゴヌクレオチドであって、全ての最も近い特異性 スペーサーが、8〜12個の野生型ヌクレオチドによって分離される、オリゴヌク レオチド。 49.アレイ形式において固体支持体に固定化された複数のオリゴヌクレオチド を含むアレイであって、複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、複数のフラグ メントを含み、各フラグメントは構造(1) によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し; よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 該特異性スペーサーは、 (a)構造(1)のフラグメントと、構造(2) として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げず、そして (b)構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配列においてその反対側に 配置される塩基との水素結合に参加し得ない、立体特性および化学特性を有する 、オリゴヌクレオチド。 50.請求項49に記載のアレイであって、前記特異性スペーサーが以下の式を 有し、 ここで Yは、Xが酸素である場合、酸素、硫黄、メチル基、およびアミノ基から選択 されるか、またはYは、Xが硫黄である場合、酸素および硫黄から選択され;そ して SSCは、以下の式において表される、2〜5個の炭素原子の鎖を有する特異性 スペーサー成分を表し、 ここで、nは0、1、2、または3であり、特異性スペーサー成分の示される 2〜5個の炭素原子のそれぞれは、C1〜C10のヒドロカルビル基、またはC1〜C10 のヒドロカルビルオキシ基で独立して置換され得、そして互いに直接的に結合さ れる、示される2〜5個の炭素原子の任意の2つは、炭素環式のまたはヘテロ環 式の5〜6員環を形成し得る、アレイ。 51.請求項49に記載のアレイであって、前記特異性スペーサー成分のnが1 であり、および該特異性スペーサー成分が以下の式(2)を有し、 ここで、nは1であり、およびXは炭素、酸素、および硫黄から選択され、そ れによって式(2)に示される、Xが炭素である場合Xを含む任意の炭素が、水 素、C1〜C5のヒドロカルビル基、またはC1〜C5のヒドロカルビルオキシ基、水素 結合しないプリン塩基アナログ、または水素結合しないピリミジン塩基アナログ で置換され得る、アレイ。 52.請求項49に記載のアレイであって、前記特異性スペーサー成分が以下の 式(3)を有し、 ここで、示される3つの炭素原子のそれぞれは、水素、C1〜C10のヒドロカルビ ル基、またはC1〜C10のヒドロカルビルオキシ基で置換され得る、アレイ。 53.請求項49に記載のアレイであって、前記複数のオリゴヌクレオチドのそ れぞれは、複数の特異性スペーサーを有し、ここで2つの特異性スペーサーが互 いに隣接することはなく、全ての最も近い特異性スペーサーは、4〜14個の野生 型ヌクレオチドによって分離され、そして特異性スペーサーは、特異性スペーサ ーおよび野生型ヌクレオチドによって占有される位置の15〜60%を構成する、ア レイ。 54.請求項49に記載のオリゴヌクレオチドであって、全ての最も近い特異性 スペーサーが、5〜6個の野生型ヌクレオチドによって分離される、オリゴヌク レオチド。 55.請求項49に記載のオリゴヌクレオチドであって、全ての最も近い特異性 スペーサーが、8〜12個の野生型ヌクレオチドによって分離される、オリゴヌク レオチド。 56.複数のフラグメントを含有する溶液中のオリゴヌクレオチドであって、各 フラグメントは構造(1) によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し; よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 該特異性スペーサーは、 (a)構造(1)のフラグメントと、構造(2) として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げず、そして (b)構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配列においてその反対側に 配置される塩基との水素結合に参加し得ず; (c)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、またはウラシルのいずれをも介 して水素結合しない、立体特性および化学特性を有する、オリゴヌクレオチド。 57.請求項56に記載のオリゴヌクレオチドであって、前記特異性スペーサー が以下の式を有し、 ここで、Yは、Xが酸素である場合、酸素、硫黄、メチル基、およびアミノ基 から選択されるか、またはYは、Xが硫黄である場合、酸素および硫黄から選択 され;そして SSCは、以下の式において表される、2〜5個の炭素原子の鎖を有する特異性 スペーサー成分を表し、 ここで、nは0、1、2、または3であり、特異性スペーサー成分の示される 2〜5個の炭素原子のそれぞれは、C1〜C10のヒドロカルビル基、またはC1〜C10 のヒドロカルビルオキシ基で独立して置換され得、および互いに直接的に結合さ れる、示される2〜5個の炭素原子の任意の2つは、炭素環式のまたはヘテロ環 式の5〜6員環を形成し得る、オリゴヌクレオチド。 58.請求項57に記載のオリゴヌクレオチドであって、前記特異性スペーサー 成分のnが1であり、および該特異性スペーサー成分が以下の式(2)を有し、 ここで、nは1であり、およびXは炭素、酸素、および硫黄から選択され、それ によって式(2)に示される、Xが炭素である場合Xを含む任意の炭素が、水素 、C1〜C5のヒドロカルビル基、C1〜C5のヒドロカルビルオキシ基、プリン塩基ア ナログ、またはピリミジン塩基アナログで置換され得、該プリン塩基アナログお よび該ピリミジン塩基アナログは、相補的な鎖に水素結合し得る、オリゴヌクレ オチド。 59.請求項57に記載のオリゴヌクレオチドであって、前記特異性スペーサー 成分が以下の式(3)を有し、 ここで、3つの示される炭素原子のそれぞれは、水素、C1〜C10のヒドロカルビ ル基、またはC1〜C10のヒドロカルビルオキシ基で置換され得る、オリゴヌクレ オチド。 60.請求項56に記載のオリゴヌクレオチドであって、複数の特異性スペーサ ーを有し、ここで2つの特異性スペーサーが互いに隣接することはなく、全ての 最も近い特異性スペーサーは、4〜14個の野生型ヌクレオチドによって分離され 、そして特異性スペーサーは、特異性スペーサーおよび野生型ヌクレオチドによ って占有される位置の15〜60%を構成する、オリゴヌクレオチド。 61.請求項60に記載のオリゴヌクレオチドであって、全ての最も近い特異性 スペーサーが、5〜6個の野生型ヌクレオチドによって分離される、オリゴヌク レオチド。 62.請求項60に記載のオリゴヌクレオチドであって、全ての最も近い特異性 スペーサーが、8〜12個の野生型ヌクレオチドによって分離される、オリゴヌク レオチド。 63.アレイ形式において固体支持体に固定化された複数のオリゴヌクレオチド を含むアレイであって、複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、複数のフラグ メントを含み、各フラグメントは構造(1) によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し; よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 該特異性スペーサーは、 (a)構造(1)のフラグメントと、構造(2) として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げず、そして (b)構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配列においてその反対側に 配置される塩基との水素結合に関与する; (c)アデニン、グアニン、シトシン、チミン、またはウラシルのいずれをも介 して水素結合しない、立体特性および化学特性を有する、アレイ。 64.請求項63に記載のアレイであって、前記特異性スペーサーが以下の式を 有し、 ここで、Yは、Xが酸素である場合、酸素、硫黄、メチル基、およびアミノ基 から選択されるか、またはYは、Xが硫黄である場合、酸素および硫黄から選択 され;そして SSCは、以下の式において表される、2〜5個の炭素原子の鎖を有する特異性 スペーサー成分を表し、 ここでnは0、1、2、または3であり、特異性スペーサー成分の示される2 〜5個の炭素原子のそれぞれは、C1〜C10のヒドロカルビル基、またはC1〜C10の ヒドロカルビルオキシ基で独立して置換され得、そして互いに直接的に結合され る、示される2〜5個の炭素原子の任意の2つは、炭素環式のまたはヘテロ環式 の5〜6員環を形成し得る、アレイ。 65.請求項64に記載のアレイであって、前記特異性スペーサー成分のnが1 であり、そして該特異性スペーサー成分が以下の式(2)を有し、 ここで、nは1であり、そしてXは炭素、酸素、および硫黄から選択され、そ れによって式(2)に示される、Xが炭素である場合Xを含む任意の炭素が、水 素、C1〜C5のヒドロカルビル基、C1〜C5のヒドロカルビルオキシ基、プリン塩基 、ピリミジン塩基、水素結合しないプリン塩基アナログ、または水素結合しない ピリミジン塩基で置換され得る、アレイ。 66.請求項64に記載のアレイであって、前記特異性スペーサー成分が以下の 式(3)を有し、 ここで、示される3つの炭素原子のそれぞれは、水素、C1〜C10のヒドロカル ビル基、またはC1〜C10のヒドロカルビルオキシ基で置換され得る、アレイ。 67.請求項63に記載のアレイであって、前記複数のオリゴヌクレオチドのそ れぞれは、複数の特異性スペーサーを有し、ここで2つの特異性スペーサーが互 いに隣接することはなく、全ての最も近い特異性スペーサーは、4〜14個の野生 型ヌクレオチドによって分離され、そして特異性スペーサーは、特異性スペーサ ーおよび野生型ヌクレオチドによって占有される位置の15〜60%を構成する、ア レイ。 68.請求項67に記載のアレイであって、全ての最も近い特異性スペーサーが 、 5〜6個の野生型ヌクレオチドによって分離される、アレイ。 69.請求項67に記載のアレイであって、全ての最も近い特異性スペーサーが 、8〜12個の野生型ヌクレオチドによって分離される、アレイ。 70.溶液中のオリゴヌクレオチドおよび塩を含む組成物であって、該オリゴヌ クレオチドは複数のフラグメントを含み、各フラグメントは構造(1)によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し; よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 該特異性スペーサーは、 (a)構造(1)のフラグメントと、構造(2) として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げず、そして 少なくとも以下の(b)および(c)のうちの1つ: (b)該特異性スペーサーが、構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配 列においてその反対側に配置される塩基との水素結合に参加し得ない; (c)該特異性スペーサーが、構造(2)のハイブリダイズされた相補的配列に おいてその反対側に配置される塩基との水素結合に参加し得るが、水素結合につ いて該特異性スペーサーがアデニン、グアニン、チミン、ウラシル、またはシト シンから選択される塩基のいずれをも提供しない、 であるような、立体特性および化学特性を有し; そして該塩はハイボトロープであり、ここでハイボトロープとは、標準塩溶液 (0.165M NaCl、0.01M Tris pH7.2、5mM EDTA、および0.1% SDS)に参照され た場合、核酸二重鎖のエンタルピーを少なくとも20%変化させる、緩衝液、キレ ート剤、塩、および/または界面活性剤を有する水性環境または有機環境におけ る任意の化学薬品または化学薬品の任意の混合物である、組成物。 71.アレイ形式において固体支持体に固定化された複数のオリゴヌクレオチド を含むアレイ組成物であって、複数のオリゴヌクレオチドのそれぞれは、複数の フラグメントを含み、各フラグメントは構造(1) によって模式的に示され、 ここで は、野生型DNAにおいて見出されるような少なくとも3つのヌクレオチドの配列 を表し、「B」は、各位置で独立して選択される塩基を表し; よび連結する、一連の共有化学結合を表し; 該特異性スペーサーは、 (a)構造(1)のフラグメントと、構造(2) として模式的に示されるような、相補的塩基配列を有するオリゴヌクレオチドフ ラグメントとの間のハイブリダイゼーションを妨げず、そして 少なくとも以下の(b)および(c)のうちの1つ: (b)該特異性スペーサーが構造(2)のハイブリダイズされた相補的塩基配列 においてその反対側に配置される塩基との水素結合に参加し得ない; (c)該特異性スペーサーが構造(2)のハイブリダイズされた相補的配列にお いてその反対側に配置される塩基との水素結合に参加し得るが、水素結合につい て該特異性スペーサーがアデニン、グアニン、チミン、ウラシル、またはシトシ ンから選択される塩基のいずれをも提供しない、 であるような、立体特性および化学特性を有し; 該式(1)の核酸はハイボトロープと接触し、ここでハイボトロープとは、標 準塩溶液(0.165M NaCl、0.01M Tris pH7.2、5mM EDTA、および0.1% SDS)に 参照された場合、核酸二重鎖のエンタルピーを少なくとも20%変化する、緩衝液 、キレート剤、塩、および/または界面活性剤を有する水性環境または有機環境 における任意の化学薬品または化学薬品の任意の混合物である、アレイ組成物。 72.請求項70または71のいずれかに記載の組成物であって、前記特異性ス ペーサーが以下の式を有し、 ここで、Yは、Xが酸素である場合、酸素、硫黄、メチル基、およびアミノ基 から選択されるか、またはYは、Xが硫黄である場合、酸素および硫黄から選択 され;そして SSCは、以下の式において表される、2〜5個の炭素原子の鎖を含む特異性ス ペーサー成分を表し、 ここでnは0、1、2、または3であり、特異性スペーサー成分の示される2 〜5個の炭素原子のそれぞれは、独立して置換され得る、組成物。 73.請求項72に記載の組成物であって、該特異性スペーサー成分が以下の式 (2)を有し、 ここでnは1であり、そしてXは炭素、酸素、および硫黄から選択され、それ によって式(2)に示される、Xが炭素である場合Xを含む任意の炭素が、水素 、C1〜C5のヒドロカルビル基、C1〜C5のヒドロカルビルオキシ基、水素結合しな いプリン塩基アナログ、または水素結合しないピリミジン塩基で置換され得る、 組成物。 74.請求項72に記載の組成物であって、前記特異性スペーサー成分が以下の 式(3)を有し、 ここで、示される3つの炭素原子のそれぞれは、水素、C1〜C10のヒドロカル ビ ル基、またはC1〜C10のヒドロカルビルオキシ基で置換され得る、組成物。 75.請求項70または71のいずれかに記載の組成物であって、前記オリゴヌ クレオチドは、複数の特異性スペーサーを有し、ここで2つの特異性スペーサー が互いに隣接することはなく、全ての最も近い特異性スペーサーは、4〜14個の 野生型ヌクレオチドによって分離され、そして特異性スペーサーは、特異性スペ ーサーおよび野生型ヌクレオチドによって占有される位置の15〜60%を構成する 、組成物。 76.請求項75に記載の組成物であって、全ての最も近い特異性スペーサーが 、5〜6個の野生型ヌクレオチドによって分離される、組成物。 77.請求項75に記載の組成物であって、全ての最も近い特異性スペーサーが 、8〜12個の野生型ヌクレオチドによって分離される、組成物。 78.請求項70または71のいずれかに記載の組成物であって、前記塩は、ア ニオンおよびカチオンを含有し、該アニオンは、酢酸塩、ハロゲン化酢酸塩、プ ロピオン酸塩、およびハロゲン化プロピオン酸塩から選択され、該カチオンは、 1〜36個の炭素原子を含有する一級、二級、および三級アンモニウム、ならびに 4〜48個の炭素原子を含有する四級アンモニウムから選択される、組成物。 79.請求項78に記載の組成物であって、前記アニオンがトリクロロ酢酸塩で ある、組成物。 80.請求項78に記載の組成物であって、前記アニオンがトリフルオロ酢酸塩 である、組成物。 81.請求項78に記載の組成物であって、前記カチオンが2〜20個の炭素原子 、0〜5個の酸素原子、および1〜5個の窒素原子から選択される原子から形成 さ れる、組成物。 82.請求項78に記載の組成物であって、前記カチオンが構造N(R)4を有し、 ここで、RがC1〜C12のヒドロカルビル基であり、そして任意の2つのR基が一 緒に連結されて、該窒素原子を有する環式構造を形成し得る、組成物。 83.請求項82に記載の組成物であって、RがC1〜C12アルキル基、C3〜C12シ クロアルキル基、およびC7〜C12アリールアルキル基からなる群より独立して選 択される、組成物。 84.請求項78に記載の組成物であって、前記カチオンが構造HN(R)3を有し、 ここで、RがC1〜C12のヒドロカルビル基であり、および2つのR基が一緒に連 結されて、該窒素原子を有する環式構造を形成し得る、組成物。 85.請求項84に記載の組成物であって、RがC1〜C12アルキル基、C3〜C12シ クロアルキル基、およびC7〜C12アリールアルキル基からなる群より独立して選 択される、組成物。 86.請求項78に記載の組成物であって、前記カチオンが構造N(H)2(R)2を有 し、ここで、RがC1〜C12のヒドロカルビル基であり、そして2つのR基が一緒 に連結されて、該窒素原子を有する環式構造を形成し得る、組成物。 87.請求項86に記載の組成物であって、RがC1〜C12アルキル基、C3〜C12シ クロアルキル基、およびC7〜C12アリールアルキル基からなる群より独立して選 択される、組成物。 88.請求項78に記載の組成物であって、前記カチオンが、エチルブチルアン モニウム、1-メチルイミジゾール、1-メチルピペリジン、1-メチルピロリジン、 3-メトキシプロピルアミン、トリエチルアミン、ビス(2-メトキシエチル)アミン 、 ジアリルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N-ジメチルアミノブ タン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘプチルアミン、N,N- ジメチルヘキシルアミン、トリエタノールアミン、1-エチルピペリジン、ジシク ロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N-ジメチルイ ソプロピルアミン、N-エチルブチルアミン、テトラエチルアンモニウム、トリプ ロピルアミン、2-メトキシエチルアミン、およびN,N-ジメチルオクチルアミンか らなる群より選択され、そして前記アニオンが酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、そし てトリフルオロ酢酸塩からなる群より選択される、組成物。 89.請求項70または71のいずれかに記載の組成物であって、前記オリゴヌ クレオチドが6〜100ヌクレオチドの鎖を含有する、組成物。 90.請求項70または71のいずれかに記載の組成物であって、前記オリゴヌ クレオチドがDNAである、組成物。 91.請求項70または71のいずれかに記載の組成物であって、ポリメラーゼ およびリガーゼから選択される酵素をさらに含む、組成物。 92.請求項70または71のいずれかに記載の組成物であって、水をさらに含 む、組成物。 93.請求項92に記載の組成物であって、前記塩が、室温にて、50mM〜6mMの 濃度で完全に水に溶解される、組成物。 94.請求項93に記載の組成物であって、前記塩が、室温にて、100mM〜1mM の濃度で完全に水に溶解される、組成物。 95.相補的核酸標的と核酸プローブとのハイブリダイゼーションを見分ける方 法であって、ここで、該プローブと標的は完全に相補的であり、そして該プロー ブと標的は1つ以上の塩基ミスマッチを有し、以下の工程: (a)ハイボトロープを含有する溶液中で、該核酸標的と該核酸プローブとを混 合する工程; (b)差別化する温度でハイブリダイズする工程;および (c)標的にハイブリダイズされたプローブを検出し、それによって該核酸プロ ーブと標的とが、完全に相補的であるかまたはミスマッチであるか否かを決定す る、工程、 を包含する、方法。 96.請求項95に記載の方法であって、前記核酸プローブが放射性分子、蛍光 分子、質量分析タグ、または酵素で標識される、方法。 97.請求項95に記載の方法であって、前記核酸プローブは6〜40塩基である 、方法。 98.請求項95に記載の方法であって、前記標的核酸プローブは6〜40塩基で ある、方法。 99.請求項95に記載の方法であって、前記ハイボトロープが、LiTCA、RbTCA 、GuSCN、NaSCN、NaClO4、KI、TMATCA、TEATCA、TMATBA、TMTCA、TMTBA、TBATCA 、またはTBATBAからなる群より選択される、方法。 100.請求項95に記載の方法であって、前記ハイボトロープが、アニオンお よびカチオシを含有する塩であり、該アニオンは、酢酸塩、ハロゲン化酢酸塩、 プロピオン酸塩、およびハロゲン化プロピオン酸塩から選択され、該カチオンは 、1〜36個の炭素原子を含有する一級、二級、および三級アンモニウム、ならび に4〜48個の炭素原子を含有する四級アンモニウムから選択される、方法。 101.請求項95に記載の方法であって、前記ハイボトロープが、約0.5M〜約 6Mの重量モル濃度で存在する、方法。 102.請求項95に記載の方法であって、前記プローブ核酸がDNAである、方 法。 103.請求項95に記載の方法であって、前記プローブ核酸がRNAである、方 法。 104.請求項95に記載の方法であって、前記標的核酸がDNAである、方法。 105.請求項95に記載の方法であって、前記標的核酸がRNAである、方法。 106.請求項95に記載の方法であって、前記標的核酸が固体基質に付着され る、方法。 107.請求項95に記載の方法であって、前記核酸標的がポリメラーゼ連鎖反 応を介して産生される、方法。 108.相補的核酸標的と、核酸プローブとのハイブリダイゼーションを見分け る方法であって、ここで、該プローブと標的は完全に相補的であり、そして該プ ローブと標的は1つ以上の塩基ミスマッチを有し、以下の工程: (a)核酸標的と、少なくとも1つの非塩基置換またはデオキシネブラリン置換 を含む核酸プローブとを混合する工程; (b)差別化する温度でハイブリダイズする工程;および (c)該標的に結合されたプローブを検出し、それによって該核酸プローブと標 的とが、完全に相補的であるかまたはミスマッチであるか否かを決定する、工程 、を包含する、方法。 109.請求項108に記載の方法であって、前記核酸プローブが放射性分子、 蛍光分子、質量分析タグ、または酵素で標識される、方法。 110.請求項108に記載の方法であって、前記核酸プローブは6〜40塩基で ある、方法。 111.請求項108に記載の方法であって、前記標的核酸プローブは6〜40塩 基である、方法。 112.請求項108に記載の方法であって、ハイボトロープをさらに含む、方 法。 113.請求項116に記載の方法であって、前記ハイボトロープが、LiTCA、R bTCA、GuSCN、NaSCN、NaClO4、KI、TMATCA、TEATCA、TMATBA、TMTCA、TMTBA、TB ATCA,またはTBATBAからなる群より選択される、方法。 114.請求項112に記載の方法であって、前記ハイボトロープが、アニオン およびカチオンを含有する塩であり、該アニオンは、酢酸塩、ハロゲン化酢酸塩 、プロピオン酸塩、およびハロゲン化プロピオン酸塩から選択され、そして該カ チオンは、1〜36個の炭素原子を含有する一級、二級、および三級アンモニウム 、ならびに4〜48個の炭素原子を含有する四級アンモニウムから選択される、方 法。 115.請求項112に記載の方法であって、前記ハイボトロープが、約0.5M〜 約6Mの重量モル濃度で存在する、方法。 116.請求項108に記載の方法であって、前記プローブ核酸がDNAである、 方法。 117.請求項108に記載の方法であって、前記プローブ核酸がRNAである、 方法。 118.請求項108に記載の方法であって、前記標的核酸がDNAである、方法 。 119.請求項108に記載の方法であって、前記標的核酸がRNAである、方法 。 120.請求項108に記載の方法であって、前記標的核酸が固体基質に付着さ れる、方法。 121.核酸合成手順において、差別化を増加する方法であって、以下の工程: (a)ハイボトロープおよびポリメラーゼを含有する溶液中で、1本鎖核酸標的 とオリゴヌクレオチドプライマーとを混合する工程; (b)差別化される温度で該プライマーを該標的にアニーリングする工程;およ び (c)該標的に相補的な鎖を合成して、二重鎖を形成する工程、 を包含する、方法。 122.請求項121に記載の方法であって、前記核酸プライマーが放射性分子 、蛍光分子、質量分析タグ、または酵素で標識される、方法。 123.請求項121に記載の方法であって、前記核酸プライマーは6〜40塩基 である、方法。 124.請求項121に記載の方法であって、前記ハイボトロープが、LiTCA、R bTCA、GuSCN、NaSCN、NaClO4、KI、TMATCA、TEATCA、TMATBA、TMTCA、TMTBA、TB ATCA,またはTBATBAからなる群より選択される、方法。 125.請求項121に記載の方法であって、前記ハイボトロープが、アニオン およびカチオンを含有する塩であり、該アニオンは、酢酸塩、ハロゲン化酢酸塩 、プロピオン酸塩、およびハロゲン化プロピオン酸塩から選択され、そして該カ チ オンは、1〜36個の炭素原子を含有する一級、二級、および三級アンモニウム、 ならびに4〜48個の炭素原子を含有する四級アンモニウムから選択される、方法 。 126.請求項121に記載の方法であって、前記ハイボトロープが、約0.5M〜 約6Mの重量モル濃度で存在する、方法。 127.請求項121に記載の方法であって、前記工程(a)、(b)、および (c)が複数回反復される、方法。
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