JP2002510554A - 触媒の発見および最適化のための並行コンビナトリアル方法およびその使用 - Google Patents

触媒の発見および最適化のための並行コンビナトリアル方法およびその使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は化学変換少なくとも1種を触媒する化合物の発見および旨適化において有用な候補化合物の合成ライブラリである、方法および組成物を提供する。ある例においては、対象となる化合物は化学選択的、領域選択的、立体選択的またはエナンチオマー選択的な変換を触媒する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 化学反応の過程において、反応体は生成物が形成されるまで遷移状態(局所エ
ネルギー最大値)および中間体(局所エネルギー最小値)の通過を含む一連の変
換を起こす。分子のレベルではこれらの変換は結合の長さ、角度などの変化を反
映する。何れの中間体も通過しない反応における反応体から生成物への進化は、
分解して生成物を与える遷移常態の形成の関与として単にとらえても良い。この
単なる反応の全体的な速度は、反応体、反応状態および生成物の間の平衡状態を
特徴付ける平衡定数として表すことができる。
【0002】 これらの状況下、触媒反応は反応のための遷移常態の安定化とみなすことがで
きる。触媒は遷移常態のエネルギーを低下させることにより反応速度を増大させ
る物質であり、反応終了時に実質的に未変化で回収される。触媒は消費されない
が、触媒が反応に関与していることは確実である。触媒の商業的重要性にもかか
わらず、酵素的および非酵素的な触媒の双方に大きい制限がある。経済的に実用
的であり、効率的で信頼性の高い遷移金属触媒工程は比較的少ない。このような
工程の産業上の利用性は、運転コストが高いこと、必要な試薬と環境上または毒
性学的な要件との適合性がないこと、または、所望の生成物の単離および精製に
伴う困難のために減じられている。更にまた、多くの重要な化学反応のための非
酵素的な触媒は知られていない。酵素的触媒は特定の反応を行うための適切な特
異性と触媒機能を有する天然の酵素の存在と発見に依らなければならない。化学
変換のための酵素は殆ど知られていない。
【0003】 免疫系は種々の新しい抗体触媒を精製する能力を有することがわかっている。
簡単に述べれば、目的の反応の遷移状態を模倣するように考案されたハプテンに
抗体を照会し、得られた抗体をスクリーニングして触媒活性があるものを得る。
遷移常態の摸倣型の考案およびこれらの摸倣型に対する抗体の生成とスクリーニ
ングの方法が進歩したことにより、広範な化学変換のための触媒抗体が得られて
いる(例えばRomesberg等, Science 1998, 279,
1929−1933;Heine等, Science 1998, 279
, 1934−1940;およびこれらの参考文献を参照)。当然ながら、触媒
抗体に基づく触媒反応の方法は限られている。第1に、この方法は変換のための
遷移状態が解かっていること前提としている。第2に、所望の遷移常態の摸倣型
を合成することは困難であるか、不可能である場合がある。最後に、抗体は蛋白
であり、ポリペプチドに関わる制約点、例えば、蛋白分解に対する感受性、高分
子量および低い溶解特性を伴っている。
【0004】 本発明は新しい触媒の発見と旨適化のための新しい方法を提供することにより
上記した制約点を克服している。本発明は高度な特異性と効率性を有する好都合
で、容易に入手できる安価な触媒としての有機分子の調製、評価および旨適化の
ための並行複合化方法を提供する。ある実施態様においては、活性が遷移金属イ
オンに依らない触媒が提供される。別の実施態様においては、本発明はオキシド
レダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドラロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ
およびリガーゼのような酵素により触媒されることもできる化学反応の速度を増
加させる際に有用である。ある実施態様においては、本発明はそのための酵素的
および非酵素的な触媒が現在知られていない化学反応の速度を増加させる際に有
用である。このような反応には特に酸化、還元、付加、縮合、脱離、置換、切断
、転位および速度的分割が含まれる。
【0005】 本発明によれば、対象となる触媒は100を超えるファクターで、好ましくは
1000を超えるファクターで、最も好ましくは10000を超えるファクター
で化学反応の速度を増大させる。
【0006】 更にまた、触媒の構造と触媒特性との間の関係の検討は、不斉合成、医薬品化
学、工程化学、選択的触媒、生物学的治療、センサーの発見と開発、生物有機化
学および生物無機化学のような活動的で本質的に異なる分野における中心的なテ
ーマである。これらの分野における最近の多くの進歩は十分に明らかにされた構
造的、電気的および/または立体化学的特性を有する触媒の利用性を過小評価し
ている。しかしながら、このような触媒の新しい合理的な設計は、現在は到達不
可能であるとしても、特に新しい物理化学的特性を探索する際には極めて挑戦的
である。この点において、新しいクラスの触媒の好都合な生成の為の合成方法は
、大きな価値がある。
【0007】 触媒の半透膜内部の固定化または単離は時間のかかる単離精製法を必要とする
ことなく触媒の再使用を可能にし、更に、この方法は触媒の経時的分解および/
または劣化の共通した問題点を回避するためにも有効である。この点に関し、K
obayashiおよびNagayamaは再回収および再使用可能な固定化マ
イクロカプセル化ルイス酸触媒の開発を最近開示している(J.Am.Chem
.Soc.1998, 120, 2985)。更に、これらの研究者等は場合
によりカプセル化された触媒の活性が非カプセル化触媒の活性よりもむしろ高い
ことを発見した。半透膜内に封入された酵素の活性と再使用の例は、White
sides, Bednarski等により報告されている。本発明の触媒は半
透膜内に固定化および/または単離され、その状態で使用できる。
【0008】 (発明の開示) 本発明は化学変換少なくとも1種を触媒する新しい化合物の発見のための、化
合物の合成ライブラリである、方法および組成物を提供する。要件となる方法は
、(a)候補酵素の多様なライブラリを化学合成すること、および、(b)候補
触媒のライブラリをスクリーニングして所望の反応を触媒する構成員を単離/同
定すること、を包含する。複合化学の方法、例えば直接の特性化、コード化、空
間的位置決定および/または脱回旋(deconvolution)を利用する
ことにより、候補触媒のライブラリの個々の構成員の分子的な同定をスクリーニ
ングフォーマット上で行なうことができる。本発明の別の特徴は本発明の方法を
実施するためのキットに関する。本発明の更に別の特徴は本発明の方法により同
定される触媒1種以上を含む組成物を提供する。
【0009】 (本発明の詳細な説明) 複合ライブラリの合成およびスクリーニングはリガンド受容体相互作用の同定
および研究のための有効化された方法である。小型分子ライブラリの合成のため
の方法に関する最近の研究としては、Thompson等, (1996) C
hem. Rev. 96:555; Armstrong等, (1996)
Acc. Chem. Res. 29:123 Gordon等, (19
94) J. Med. Chem. 37:1385が挙げられる。リガンド
受容体相互作用の研究のための複合方法については、Still等, (199
6) Acc. Chem. Res. 29:155およびその参考文献;Y
u等, (1994) Cell 76:933; Combs等, (199
6) J. Am. Chem. Soc. 118:287; Zucker
mann等, (1994) J. Med. Chem. 37:2678;
Wang等, (1995) J.Med.Chem. 38:2995;
Champbell等, (1995) J. Am. Chem. Soc.
117:5381が参照される。この点において、複合系は多くの構造的変化
の同時検索を可能とし、これにより、例えば認識事象における相乗作用の評価を
可能にする。遷移状態の触媒複合体の安定性も同様に、例えば触媒および基質の
立体的および電子的な特性のような多くの相互に関連した変数に依存しているが
、複合化学はまた触媒の新しいクラスおよび/または触媒の既知クラスの新しい
構成員を発見するための強力な方法を提供する。例えば、空間的位置決定された
合成ライブラリは選択的触媒の同定のために良好に利用されている(Burge
ss等, (1996) Angew. Chem. Int. Ed. En
gl. 35:220;およびReetz等, (1997) Angew.
Chem. Int. Ed. Engl. 36:2830)。
【0010】 I.概要 本発明の方法は化学的変換のための触媒を発見し、旨適化するための並行複合
化合成法に基づいた基本的に異なる方法である。予めわかっている触媒構造から
始めるよりはむしろ、本方法は官能基とコンホーメーションの条件と多様なセッ
トから潜在的な触媒のライブラリを発生させることを含んでおり、この方法は広
範な潜在的触媒環境をもたらす。以下に記載する通り、我々は、本複合ライブラ
リが例えば(結合への親核物質の付加のための新しい触媒の同定および旨適化に 良好に適用できることを明らかにした。更にまた、触媒につながる構造的特徴、
および、場合により存在する選択性は予測不能のものであり、触媒の構造エレメ
ントの間の非直感的な相乗作用を含んでいる。
【0011】 最も一般的な実施態様において、本発明の方法は、(a)種々の官能基および
ターンエレメントを含む構造エレメントの分類からの潜在的触媒の多様なライブ
ラリの化学合成;および(b)触媒のライブラリをスクリーニングして所望の反
応を触媒する構成員を単離/同定することを包含する。複合化学の方法、例えば
、コード化、空間的位置決定、質量スペクトル分析および/または脱回旋(de
convolution)の適用を介して、バッチ工程により潜在的触媒のライ
ブラリを合成でき、そして恐らくより重要な点は、ライブラリの個々の構成員の
分子の同定をスクリーニングフォーマット上で行える。潜在的酵素のライブラリ
が一端構築された後は、当然ながら、ライブラリをスクリーニングして化学変換
の何れかの要員に触媒活性があるかどうか調べることができる。
【0012】 更にまた容易に理解できるように明細書では潜在的触媒のスクリーニングの対
象となる好ましい変換として主に合成有機反応を挙げているが、当業者の知ると
おり本方法およびライブラリは他の種の変換、例えば光化学エネルギー変換、無
機酸化還元反応、合成無機反応および重合に作用する触媒のスクリーニングにも
用いて良い。
【0013】 後に詳述する通り、本方法により同定される新しい触媒の用途は広範である。
例えば、1つの実施態様においては、本触媒ライブラリは特定の反応のための触
媒の発見および旨適化を目的として本方法により発生させてよい。潜在的触媒の
選択性は単一の成分、例えば分子、または立体異性体、または複合体混合物の成
分のサブセットを変換するために利用することができる。例えば、このような選
択性はエナンチオマーのラセミ混合物の速度論的分割において、または、メソ反
応体のエナンチオマー選択的変換において利用することができる。更にまた、本
方法の触媒により触媒される変換が検出可能な事象、例えば沈殿の形成、ガスの
発生、または、光子の放出を伴っている場合、触媒と検出可能な事象の組合せは
試料または複合体混合物中の触媒基質の存在を調べる際の根拠となる。好ましい
実施態様においては、触媒された反応が検出可能な事象を伴っている本方法の触
媒は、試料中の基質の存在、より好ましくは定量のためのセンサーの根拠となる
。ある実施態様においては、本発明の触媒は半透膜内に固定化および/または単
離され、そのまま使用され、この状態で与えられる触媒はそれらが連結される固
体支持体の反応混合物から除去するか、または、それらが封入されている半透膜
を除去し、その後、単なる洗浄等および反応体の別の溶液への浸積を行なうこと
により簡単に再使用され得る。
【0014】 一般的に、本方法で使用するモジュール成分は基質1種以上からの生成物の形
成速度を増加させる、例えば、触媒の非存在下の速度と比較して分子内、または
、分子間の反応の速度を増加させることのできる潜在的触媒を与えるように選択
される。この速度の増加には例えば一般的な塩基または一般的な酸の触媒、静電
気的触媒、または親核触媒または他の種の共有結合触媒としての触媒の役割が関
与している。1つの実施態様においては、本発明の触媒は結合して選択された変
換の遷移状態を安定化させることによるなどして、目的の反応のための遷移状態
のエネルギーを低くすることにより、反応を触媒する。本方法において利用する
モジュール成分の選択は、化学的安定性、利用性、触媒すべき反応において求め
られる選択性の程度、不斉中心の存在、有効な触媒部位の創生に寄与することが
解かっているか期待される構造エレメントの存在、および、最終的な触媒の溶解
度の問題等の要因により決定される。
【0015】 触媒ライブラリを与えるモジュール成分の組み合わせ法は、部分的には、酵素
的および非酵素的な触媒を含む確立された触媒の構造機能分析において重要とさ
れている種々の要因に基づいて構成される。例えば、好ましい実施態様において
は、ライブラリは、所望の反応の基質、遷移状態および/または生成物と共有結
合的または非共有結合的に相互作用を示すことのできる官能基を有する潜在的触
媒を含むように誘導される。このような官能基は窒素、酸素、イオウおよびリン
のようなヘテロ原子を含む場合が多い。当然ながら、モジュール成分は基質との
相互作用を示すことのできる側鎖基または懸垂基を含む。
【0016】 有効な触媒は典型的には触媒との接点を1箇所以上有し、これにより潜在的触
媒のライブラリを合成する。例えば、本発明の触媒は好ましくは、例えば水素結
合、静電気的相互作用、疎水的相互作用および/または共結合的相互作用により
、接点少なくとも2箇所により基質と会合することができる。空間的認識、例え
ばジアステレオマーまたはエナンチオマーの識別が可能な触媒のためには、触媒
と基質との間に少なくとも2ヶ所の接点が一般的に必要である。
【0017】 好ましい実施態様において、触媒される変換において予め決まった選択性が得
られるように触媒を合成する。即ち、例えば、ある実施態様においては、触媒は
エナンチオマーの速度論的分割、例えば基質の第1のエナンチオマーの反応を第
2のエナンチオマーよりも優先的に触媒することができる。高度な化学−、領域
および/または立体選択性は触媒のライブラリの構築のためのモジュール成分の
適切な選択により得られる。即ち、潜在的な基質またはその立体異性体の混合物
中の単一の基質またはその立体異性体のみに対して高い選択性を示す触媒を合成
することができる。
【0018】 好ましい実施態様においては、潜在的触媒のあるライブラリは少なくとも10 、より好ましくは10、10、10、10また更には10個の異な
る潜在的触媒を含んでいる。ライブラリは適宜、潜在的な2座、3座、4座およ
び/またはより多座の金属キレートリガンドを含み得る。好ましくは、各潜在的
触媒は固体支持体から遊離した後には7500amu未満、好ましくは5000
、2500また更には1000amu未満、更に好ましくは500amu未満の
分子量を有する。
【0019】 II.定義 便宜上、明細書および請求項中に用いる特定の用語を以下にまとめた。
【0020】 「ルイス塩基」および「ルイス酸」は当該分野で知られており、特定の反応条
件下で電子対を供与できる化学的部分を指す。ルイス塩基部分の例としては、ア
ルコール、チオールおよびアミンのような未荷電の化合物およびアルコキシド、
チオレート、炭素アニオンおよび種々の他の有機アニオンのような荷電部分が包
含される。
【0021】 「ルイス酸」および「ルイス酸の」という用語は当該分野で知られており、上
記したルイス塩基から電子対を受容できる化学的部分を指す。
【0022】 「電子求引性基」という用語は当該分野で知られており、隣接する原子から価
電子を吸引する置換基の傾向を意味し、即ち、置換基が隣接する原子に対して電
子的に負であることを意味する。電子求引性の数値化はHammettのシグマ
(()定数により与えられる。この良く知られた定数は多くの文献、例えばJ. MarchのAdvanced Organic Chemistry, M
cGraw Hill Book Company, New York, (
1977版)pp.251−259に記載されている。Hammett定数の値
は一般的には電子供与基では負であり(NHの場合([p]= ‐0.66) 、電子求引性基では正であり(ニトロ基の場合([p]=0.78)、ここで([
p]はパラ置換を指す。電子求引性基の例としてはニトロ、ケトン、アルデヒド
、スルホニル、トリフルオロメチル、−CN、クロリド等が挙げられる。電子供
与基の例としてはアミノ、メトキシ等が挙げられる。
【0023】 「触媒」という用語はその存在下では化学反応速度が増加するが、それ自体は
消費されたり恒久的な化学的変化を起こさない物質を指す。
【0024】 「2座の触媒」、「3座の触媒」および「4座の触媒」とはそれぞれ触媒の基
質と2、3および4箇所の接点を有する触媒を指す。
【0025】 「複合体」とは本明細書では独立して存在できる富電子および貧電子の分子ま
たは原子1つ以上と、各々がやはり独立して存在できる貧電子の分子または原子
1つ以上との結合により形成される配位化合物を指す。
【0026】 「アルキル」という用語は飽和の脂肪族基を指し、例えば直鎖アルキル基、分
枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環族)基、アルキル置換シクロアルキル基
、および、シクロアルキル置換アルキル基が含まれる。好ましい実施態様におい
ては直鎖または分枝鎖のアルキルはその骨格に30以下(例えば直鎖の場合はC −C30、分枝鎖の場合はC−C30)、より好ましくは20以下の炭素原
子を有する。同様に好ましいシクロアルキルはその環構造内に3〜10個の炭素
原子を有し、より好ましくは環構造内に5、6または7個の炭素原子を有する。
【0027】 更にまた、「アルキル」(または「低級アルキル」)という用語は本明細書を
通じて「未置換のアルキル」および「置換されたアルキル」の双方を包含するも
のとし、この後者は炭化水素骨格の炭素原子1つ以上上の水素を置き換える置換
基を有するアルキル部分を指すものとする。このような置換基の例としては、ハ
ロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えばカルボキシル、エステル、ホルミル
またはケトン)、チオカルボニル(例えばチオエステル、チオアセテートまたは
チオホルメート)、アルコキシ、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、
アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフィドリル
、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミ
ド、スルホニル、ヘテロサイクル、アラルキルまたは芳香族またはヘテロ芳香族
の部分が包含される。当業者の知るとおり炭化水素鎖上で置換された部分はそれ
自体が適宜置換されることができる。例えば、置換されたアルキルの置換基には
、置換された、または、未置換の形態のアミノ、アジド、イミノ、アミド、ホス
ホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェー
ト、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホネートを含む)およびシリル
基、並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボ
キシレートおよびエステルを含む)、−CF、‐CN等が包含される。置換さ
れたアルキルの例を以下に記載する。シクロアルキルは更にアルキル、アルケニ
ル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−
CF、‐CN等により置換されることができる。
【0028】 「アラルキル」という用語はアリール基(例えば芳香族またはヘテロ芳香族基
)で置換されたアルキル基を指す。
【0029】 「アルケニル」および「アルキニル」という用語はそれぞれ二重結合または3
重結合を少なくとも1個含む以外は上記アルキルと鎖長および可能な置換が同様
な不飽和の脂肪族基を指す。
【0030】 炭素原子数を特段記載しない限り、「低級アルキル」とは本明細書においては
1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子をその骨格に有する
以外は上記定義したアルキル基と同様とする。「低級アルケニル」および「低級
アルキニル」も同様の鎖長を有するものとする。好ましいアルキル基は低級アル
キルである。好ましい実施態様においては、アルキルとして本明細書に記載した
置換基は低級アルキルである。
【0031】 本明細書において使用する「アリール」という用語は0〜4個のヘテロ原子を
含んでいてよい5、6または7員の単環の芳香族基を包含し、例えば、ベンゼン
、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、
トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジン
等が挙げられる。環構造内にヘテロ原子を有するアリール基は「アリールヘテロ
環」または「ヘテロ芳香族」とも称される。芳香族環は上記した置換基、例えば
ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロア
ルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフィドリル、イミノ、アミド、ホ
スホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、
アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、
ヘテロ環基、芳香族環基、または、ヘテロ芳香族部分、−CF、−CN等によ
り、環上1箇所以上で置換されることができる。「アリール」という用語はまた
炭素原子2個以上が隣接する2つの環で共有されており(このような環を「縮合
環」という)、環の少なくとも1つが芳香族であり、例えば、別の環がシクロア
ルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロ
環であるような、環2つ以上を有する多環系も包含する。
【0032】 オルト、メタおよびパラという用語はそれぞれ1,2−、1,3−および1,
4−ジ置換されたベンゼンに適用される。例えば、1,2−ジオメチルベンゼン
とオルト−ジオメチルベンゼンは同義語である。
【0033】 「ヘテロ環」または「ヘテロ環基」という用語は3〜12員の環構造、より好
ましくは3〜7員の環を指し、その環構造には1〜4個のヘテロ原子が含まれる
。ヘテロ環基には例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベ
ンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサンチン、ピロール、イミダゾー
ル、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリ
ミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾー
ル、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン
、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボ
リン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントリン、フェナジ
ン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン
、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン
、ラクトン、ラクタム例えばアゼチジノンおよびピロリジノン、スルタム、スル
トン等が包含される。ヘテロ環は上記した置換基、例えば、ハロゲン、アルキル
、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミ
ノ、ニトロ、スルフィドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート
、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、
ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−
CF、−CN等により、1箇所以上において置換されることができる。
【0034】 「多環」または「多環基」という用語は炭素原子2個以上が隣接する2つの環
で共有されている、即ち、「縮合環」となっている1つ以上の環(例えばシクロ
アルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテ
ロ環)を指す。非隣接原子を介して会合している環は「架橋」環と称する。多環
の環の各々は上記した置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アル
ケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフ
ィドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カル
ボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド
、エステル、ヘテロ環、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF、‐CN等に
より置換されることができる。
【0035】 本明細書においては「炭素環」という用語は環の各原子が炭素原子である芳香
族または非芳香族の環を指す。
【0036】 本明細書においては「ヘテロ原子」という用語は炭素原子または水素原子以外
の何れかの元素の原子を指すものとする。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、イ
オウおよびリンである。
【0037】 本明細書においては、「ニトロ」とは‐NOを意味し、「ハロゲン」という
用語は−F,−Cl,−Brまたは‐Iを意味し、「スルフィドリル」という用
語は−SHを意味し、「ヒドロキシル」という用語は−OHを意味し、そして、
「スルホニル」という用語は−SO−を意味する。
【0038】 「アミン」および「アミノ」という用語は当該分野で知られており、未置換お
よび置換されたアミンの双方、例えば、以下の式:
【化6】 [式中R,R10およびR’10は相互に独立して水素、アルキル、アルケニ
ル、−(CH−Rを指すか、またはRおよびR10はそれらが結合し
ているN原子と一緒になって環構造内に原子4〜8個を有するヘテロ環を形成し
;Rはアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環または多環を
表し;そして、mは0または1〜8の整数である]により表される部分を指す。
好ましい実施態様においてはRまたはR10の一方のみがカルボニルであり、
例えば、R、R10および窒素が一緒になってイミドを形成することはない。
更に好ましい実施態様においては、RおよびR10(および場合によりR’ )は相互に独立して水素、アルキル、アルケニル、または−(CH−R を指す。即ち、「アルキルアミン」という用語は本明細書ではそれに連結した
置換または未置換のアルキルを有する、即ち、RおよびR10の少なくとも1
つがアルキル基である上記したアミン基を意味する。
【0039】 「アシルアミノ」という用語は当該分野で知られており、下記式:
【化7】 [式中Rは前述したとおりであり、R’11は水素、アルキル、アルケニルま
たは−(CH−Rを指し、ここでRは前述したとおりである]で示さ
れる部分を指す。
【0040】 「アミド」 という用語はアミド置換カルボニルとして当該分野で知られてお
り、下記式:
【化8】 [式中R,R10は前述した通りである]で表される部分を含む。アミドの好
ましい実施態様は不安定なイミドを包含しない。
【0041】 「アルキルチオ」という用語はそれに結合したイオウラジカルを有する上記し
たアルキル基である。好ましい実施態様において「アルキルチオ」部分は−S−
アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニルおよび−S−(CH−R の1つにより表され、ここでmおよびRは上記した通りである。代表的なア
ルキルチオ基はメチルチオ、エチルチオ基等を包含する。
【0042】 「カルボニル」という用語は当該分野で知られており、下記式: 下記式:
【化9】 [式中Xは結合であるか酸素またはイオウを表し、そしてR11は水素、アルキ
ル、アルケニル、−(CH−Rであるかまたは製薬上許容しうる塩であ
り、R’11は水素、アルキル、アルケニルまたは−(CH−Rであり
、Rは前述した通りである]で表される部分を含む。Xが酸素でありR11
たはR’11が水素ではない場合は、式は「エステル」を表す。Xが酸素であり
11が前述の通り定義される場合は、この部分は本明細書ではカルボキシル基
と称し、そして特にR11が水素である場合は、式は「カルボン酸」を表す。X
が酸素でありR’11が水素である場合は、式は「ホルミル基」を表す。一般的
に、上記式の酸素原子がイオウで置きかえられている場合は、式は「チオカルボ
ニル」基を表す。XがイオウでありR11またはR’11が水素ではない場合は
、式は「チオエステル」を表す。XがイオウでありR11が水素である場合は、
式は「チオカルボン酸」を表す。XがイオウでありR’11が水素である場合は
、式は「チオホルメート」を表す。一方、Xが結合であり、R11が水素ではな
い場合は、上記式は「ケトン」基を表す。Xが結合でありR11が水素である場
合は上記式は「アルデヒド」基を表す。
【0043】 「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、本明細書では、それに
結合した酸素ラジカルを有する上記アルキル基を指す。代表的なアルコキシル基
にはメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、t−ブチルオキシ等が包含される。
「エーテル」とは酸素により共有結合した炭化水素2個である。従って、そのア
ルキルをエーテルとするアルキルの置換基はアルコキシまたはその類似物、例え
ば−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH −Rで表すことができるものであり、ここでRは前述した通りである。
【0044】 トリフリル、トシル、メシルおよびノナフリルという用語は当該分野で知られ
ており、それぞれトリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メ
タンスルホニルおよびノナフルオロブタンスルホニル基を指す。トリフレート、
トシレート、メシレートおよびノナフレートは当該分野で知られており、それぞ
れトリフルオロメタンスルホネートエステル、p−トルエンスルホネートエステ
ル、メタンスルホネートエステルおよびノナフルオロブタンスルホネートエステ
ルの官能基およびこのような基を有する分子を指す。
【0045】 Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Meという略記法はそれぞれ、メチル
、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスル
ホニル、p−トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルを表す。当該技術分野
の有機化学で用いられる略記法のより包括的な一覧はJournal of O
rganic Chemistryの各巻の第一版に掲載されており、この一覧
は典型的にはStandard List of Abbreviationと
題された表に記載されている。上記一覧に含まれる略記法および当該分野の有機
化学で用いられる全ての略記法は参考として本明細書に組み込まれる。
【0046】 「スルホネート」という用語は当該分野で知られており、下記式:
【化10】 [式中R41は電子対、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである
]で示される部分を包含する。
【0047】 「スルフェート」という用語は当該分野で知られており、下記式:
【化11】 [式中R41は前述の通りである]で示される部分を包含する。
【0048】 「スルホンアミド」という用語は当該分野で知られており、下記式:
【化12】 [式中RおよびR’11は前述の通りである]で示される部分を包含する。
【0049】 「スルファモイル」という用語は当該分野で知られており、下記式:
【化13】 [式中RおよびR10は前述の通りである]で示される部分を包含する。
【0050】 「スルホニル」という用語は本明細書においては、下記式:
【化14】 [式中R44は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘ
テロ環、アリールまたはヘテロアリールよりなる群から選択される]で示される
部分を指す。
【0051】 「スルホキシド」という用語は本明細書においては、下記式:
【化15】 [式中R44は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘ
テロ環、アラルキルまたはアリールよりなる群から選択される]で示される部分
を指す。
【0052】 「ホスホリル」とは一般的に下記式:
【化16】 [式中QはSまたはOを表し、R46は水素、低級アルキルまたはアリールを
表す]で示される。例えばアルキルを置換するために用いられる場合は、ホスホ
リルアルキルのホスホリル基は下記式:
【化17】 [式中QはSまたはOを表し、R46は相互に独立して水素、低級アルキルま
たはアリールを表し、QはO、SまたはNを表す]で示される。QがSであ
る場合は、ホスホリル部分は「ホスホロチオエート」となる。
【0053】 「ホスホロアミダイト」は下記式:
【化18】 [式中RおよびR10は前述の通り定義され、QはO、SまたはNを表す]
で示される。
【0054】 「ホスホンアミダイト」は下記式:
【化19】 [式中RおよびR10は前述の通り定義され、QはO、SまたはNを表し、
そしてR48は低級アルキルまたはアリールを表し、QはO、SまたはNを表
す]で示される。
【0055】 「セレノアルキル」とはそれに結合した置換セレノ基を有するアルキル基を指
す。アルキル上で置換されていてよい「セレノエーテル」の例は−Se−アルキ
ル、−Se−アルケニル、−Se−アルキニルおよび−Se−(CH−R アルキルよりなる群から選択され、ここでmおよびRは前述の通り定義され
る。
【0056】 同様の置換はアルケニルおよびアルキニルキにおいて可能であり、これにより
、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドア
ルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキ
ニル、カルボニル置換アルケニルまたはアルキニルが得られる。
【0057】 「カルボキシ保護基」という表現は本明細書ではアミノ酸またはペプチドまた
は酸性またはヒドロキシアゼピンの環置換基のC末端のようなカルボン酸基を合
成過程中の望ましくない反応から保護することを意図した基を指す。
【0058】 「アミノブロッキング基」という用語は、何か別の官能基に対して行なう反応
にアミノ基が関与しないようにするが所望によりアミンから除去することのでき
る基を指すために合成有機化学において頻繁に使用される通り、本明細書におい
ても使用する。
【0059】 「保護基」という表現は本明細書では望ましくない化学変化から潜在的に反応
性の官能基を保護する一次的な置換基を意味する。このような保護基の例として
は、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、および、アルデヒド
およびケトンのそれぞれアセタールおよびケタールが包含される。保護基の化学
の分野を参照できる(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M.
Protective Groups in Organic Synthe
sis, 第2版;Wiley: New York, 1991)。
【0060】 「アミノ酸残基」および「ペプチド残基」という用語はそのカルボキシル基の
−OHを持たないアミノ酸またはペプチドの分子を意味する。一般的に、アミノ
酸および保護基を示すために本明細書で使用されている略記法はIUPAC−I
UBのCommission on Biochemical Nomencl
atureの勧告に基づいている(Biochemistry (1972)
11:1726−1732参照)。例えば、Met, Ilc, Leu, A
laおよびGlyはそれぞれメチオニン、イソロイシン、ロイシン、アラニンお
よびグリシンの「残基」を指す。残基とはカルボキシル基のOH部および(アミ ノ基のH部を除去することにより相当する(アミノ酸から誘導されるラジカルを 指す。「アミノ酸側鎖」という用語はK.D.Koppleの「Peptide
and Amino Acids」, W.A.Benjamin Inc.
, New Yorkおよび Amsterdam, 1966, p2および
33により定義されているとおり、−CH(NH)COOH部を除いたアミノ
酸の部分であり、一般的なアミノ酸のこのような側鎖の例としては、−CH
SCH(メチオニンの側鎖)、−CH(CH)−CHCH(イソ
ロイシンの側鎖)、−CHCH(CH(ロイシンの側鎖)またはH−(
グリシンの側鎖)が挙げられる。
【0061】 「アミノ酸」という用語はアミノ酸類縁体および誘導体を含むアミノ官能基と
酸官能基の双方を含む天然または合成の全ての化合物を含むものとする。「アミ
ノ酸」という用語に包含されるものとしては更に、(−シアノアラニン、ノルロ イシン、3−ホスホセリン、ホモセリン、ジヒドロキシフェニルアラニン、5−
ヒドロキシトリプトファン等が挙げられる。
【0062】 ある実施態様においては、本出願で使用するアミノ酸は蛋白内に存在する天然
のアミノ酸、または、このようなアミノ酸のアミノおよびカルボキシルキを有す
る天然の同化または異化産物である。特に適するアミノ酸側鎖には、グリシン、
アラニン、バリン、システイン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン
、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リ
ジン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシンおよび
トリプトファン、および、ペプチジルグリカン細菌細胞壁の成分として認められ
るアミノ酸およびアミノ酸類縁体より選択される側鎖が含まれる。
【0063】 「アミノ酸残基」という用語は更に本明細書に記載した何れかの特定のアミノ
酸の類縁体、誘導体および同属体、並びに、C末端またはN末端が保護されたア
ミノ酸誘導体(例えばN末端またはC末端保護基で修飾されたもの)も包含する
。例えば、本発明は側鎖が長鎖化または短鎖化されているがなおカルボキシル、
アミノまたは環化のための他の反応性の前駆体官能基を与えるようなアミノ酸類
縁体、並びに、適切な官能基を有する変異した側鎖を有するアミノ酸類縁体も含
むものとする。例えば対象となる化合物はアミノ酸類縁体、例えばシアノアラニ
ン、カナバニン、ジェンコール酸、ノルロイシン、3−ホスホセリン、ホモセリ
ン、ジヒドロキシフェニルアラニン、5−ヒドロキシトリプトファン、1−メチ
ルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、ジアミノピメリン酸、オルニチンまたは
ジアミノ酪酸を包含する。本発明に適する側鎖を有する他の天然のアミノ酸の代
謝産物または前駆体は当業者の知るとおりであり、本発明の範囲に包含されるも
のとする。
【0064】 更にまた上記したアミノ酸のD型およびL型の立体異性体は、アミノ酸の構造
に立体異性体の型があり得る場合にはそれらも包含するものとする。本明細書に
記載するアミノ酸およびアミノ酸残基の立体配置は適切な記号D、LまたはDL
により指定し、更に立体配置が指定されていない場合は、アミノ酸または残基は
D、LまたはDLの立体は位置をとり得るものとする。当然ながら、本発明の化
合物の一部のものの構造は不斉炭素原子を含んでいる。従ってこのような不斉中
心より生じる異性体は本発明の範囲に包含されるものとする。このような異性体
は伝統的な分離方法により、そして、立体的に制御された合成により、実質的に
純粋な形態で得ることができる。本出願の目的のためには特段の指定がない限り
、あるアミノ酸はD体またはL体の何れの立体異性体も包含するものとする。
【0065】 本発明のある化合物は特に幾何異性体または立体異性体として存在し得る。本
発明は本発明の範囲内に属するシス−およびトランス−異性体、R−およびS−
エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、そのラ
セミ混合物、および他の混合物を含む、上記化合物の全てを意図している。アル
キル基のような置換基内に別の不斉炭素原子が存在する場合がある。このような
異性体全て、並びにその混合物も本発明に包含されるものとする。
【0066】 例えば本発明の化合物の特定のエナンチオマーが所望である場合は、これは不
斉合成により、または、キラル補助剤による誘導により調製して良く、その場合
、得られたジアステレオマー混合物を分離し、補助剤の基を脱離させて純粋な所
望のエナンチオマーを得ることができる。あるいは、分子が塩基性の官能基、例
えばアミノ、または酸性の官能基、例えばカルボキシルを含んでいる場合は、ジ
アステレオマー塩を適切な光学活性の酸または塩基を用いて形成し、その後形成
されたジアステレオマーを当該分野でよく知られた分別結晶またはクロマトグラ
フィーにより分割し、その後純粋なエナンチオマーを回収する。
【0067】 本発明の内容において、「糖類」とは単糖類またはオリゴ糖類の何れかを指す
。「単糖類」とは加水分解されてより小型の糖単位になることのない糖類である
。単糖類には未置換の非加水分解性の糖類、例えばグルコース、並びにヒドロキ
シル基1つ以上が置換部を有するか水素原子で置きかえられている変性糖類(即
ちデオキシ、ジデオキシおよびトリデオキシ糖)が含まれる。アザ糖類は変性糖
類の別の例である。あるいは、単糖類はオリゴ糖内に存在してもよい。「オリゴ
糖」は直鎖または分枝鎖状態で相互に連結した単糖類2つ以上を含む加水分解性
の糖類である。本発明におけるターンエレメントとして使用する際に好ましいオ
リゴ糖は2糖類および3糖類である。
【0068】 「置換」または「置換された」とはこのような置換が置換された原子と置換基
の原子価の許容範囲であり、そして、置換により安定な化合物、例えば転位、環
化、脱離等により自発的な変換を起こすことのない化合物が形成されるという当
然な条件が加味されているものとする。
【0069】 本明細書においては、「置換された」という用語は有機化合物のすべての可能
な置換基を包含するものとする。広範な意味において、可能な置換基とは、有機
化合物の非環状、環状、分枝鎖および未分枝鎖の炭素環およびヘテロ環の、芳香
族または非芳香族の置換基を包含する。代表的な置換基には例えば上記したもの
が包含される。可能な置換基は該当有機化合物に対して1つ以上であることがで
き、同じかまたは異なっていることができる。本発明の目的のためには窒素のよ
うなヘテロ原子は水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満足する上記
した有機化合物の何れかの可能な置換基を有してよい。本発明は有機化合物の可
能な置換基による如何なる制限も受けない。
【0070】 本発明の目的のためには元素は周期律表、CAS版、Handbook of
Chemistry and Physics, 67版, 1986−87
, 表紙見開部に従って定義される。更に本発明の目的のためには、「炭化水素
」という用語は少なくとも1つの水素および1つの炭素原子を有する全ての可能
な化合物を包含するものとする。広範な意味において、可能な炭化水素には置換
または未置換であることができる非環状および環状、分枝鎖および未分枝鎖、炭
素環およびヘテロ環、芳香族および非芳香族の有機化合物が包含される。
【0071】 「固定化された」という用語は化学種について記載する場合は、化学種が、表
面の使用の意図する環境中に存在し、かつ、化学種に対して作用する誘引力より
も、更に強力な誘引力で表面に結合している状態を指す。例えば液体培地から生
体分子を捕獲するために使用される表面に固定化されたキレート剤を、液体培地
中のキレート剤に対して作用する力、例えば溶媒和力および乱流力よりも、更に
強力な力で表面に結合させる。
【0072】 「固体支持体」という用語は負用性のマトリックスであり、(場合により)剛
性または半剛性の表面を有する物質を指す。このような物質は好ましくは小型ビ
ーズ、ペレット、ディスク、チップ、ディッシュ、マルチウェルプレート、ウエ
ハ等の形態を取るが他の形態も使用してよい。一部の実施態様においては、基盤
の表面の少なくとも一部は実質的に平坦である。「表面」という用語は固体基盤
上の一般的には二次元の構造を指し、面を終了させることなく、階段状、隆起状
、捻転状、テラス状の形態等を有する。
【0073】 「重合体支持体」という用語は本明細書においては、重合体支持体の官能基と
の反応によりアミノ酸または他の化学的部分が共有結合することのできる可溶性
または不溶性の重合体を指す。多くの適当な重合体支持体が知られており、それ
にはポリエチレングリコールまたはポリビニルアルコールのような可溶性重合体
、並びに、ポリスチレン樹脂のような不溶性重合体が包含される。適当な重合体
支持体には以下に記載するもののような官能基が含まれる。重合体支持体は、重
合体または重合体支持化合物が使用条件下で可溶性である場合は「可溶性」とさ
れる。しかしながら、一般的に、可溶性重合体は所定の条件下では不溶化するこ
とができる。従って、重合体支持体はある条件下では可溶性であり、別の条件下
では不溶性であることができる。
【0074】 「重合体支持体の官能基」という用語は本明細書においては、化学的部分と反
応して重合体支持アミノエステルを形成できる重合体支持体の化学的部分を指す
。重合体支持体の官能基の例としてはヒドロキシルおよびスルフィドリル等が包
含される。重合体支持体の好ましい官能基は、重合体またはアミノエステルに望
ましくない影響を与えないような穏やかな条件下で重合体支持体に共有結合でき
、かつ、単離に耐えうる十分な安定性を有する重合体支持アミノエステルを形成
する。
【0075】 「合成」という用語はin vitroの化学的または酵素的合成による生成
を指す。
【0076】 潜在的触媒の関与する認識事象に関する「個別に選択される状態」および「個
別に選択される結合」という表現は、潜在的触媒の分子的固有性に特異的であり
、これに依存している認識事象を指す。
【0077】 「メソ化合物」という用語は当該分野で知られており、キラル中心少なくとも
2箇所を有するが、内部平面または対称中心のためにアキラルである化合物を意
味する。
【0078】 「キラル」という用語は鏡像と重ね合わせられない特性を有する分子を指し、
「アキラル」という用語は鏡像と重ね合わせられる分子を指す。「プロキラル分
子」とは特定の工程中でキラル分子に変換される可能性のある分子を指す。
【0079】 「立体異性体」という用語は同じ化学組成を有するが原子または基の空間的配
置が異なる化合物を指す。特に「エナンチオマー」とは相互に重ね合わせられな
い鏡像である化合物の立体異性体2つを指す。一方「ジアステレオマー」とは不
斉中心2個以上を有し、その分子がお互いの鏡像ではない立体異性体を指す。
【0080】 更にまた、「立体選択的工程」とは、反応生成物の特定の立体異性体を、その
生成物の別の可能な立体異性体よりも優先して生成する工程を指す。「エナンチ
オ選択的工程」とは反応生成物の2つの可能なエナンチオマーのうちの一方を主
に生成する工程を指す。
【0081】 「領域異性体」という用語は同じ分子式を有するが原子の連結性が異なる化合
物を指す。従って、「領域選択的工程」とは特定の領域異性体を他のものより優
先的に生成する工程、例えば、反応により特定の領域異性体の収量が統計学的に
有意に増大する場合を指す。
【0082】 「エピマー」という用語は同じ化学組成を有し複数の立体中心を含むがこれら
の立体中心の僅か1箇所においてのみ立体配置が異なる例えば糖類のような分子
を指す。
【0083】 「アノマー」という用語はアノマー炭素においてのみ立体配置が異なる糖類を
指す。
【0084】 III.触媒ライブラリの説明 一般的に、本発明は、例えば産業上意味のある有機または無機の変換を触媒す
る潜在的触媒のライブラリを構築するための、ここでは「サブユニット」とも称
するモジュール成分の使用を意図している。モジュール成分は好ましくは、同時
または逐次的なカップリング段階を経るなどして複合化することにより、所定の
変換の遷移状態を安定化させることのできるより複雑な化合物を構築することの
できる分子単位である。このようなモジュール成分は非共有結合的に会合してい
るが、好ましくは、例えばアミド、エステル、チオエステル、カーバメート、カ
ーボネート、ジスルフィド、ヒドラジド、ホスホジエステル結合等を介して相互
に共有結合している。好都合には、モジュール成分は触媒の組み立てを容易にす
るように選択することができ、例えば、モジュール成分は個々の成分のカップリ
ングが効率的で信頼性のある方法、例えばアミノ酸カップリング、エステル結合
形成等で行なえるように選択する。
【0085】 図5に示す1つの実施態様においては、本方法のモジュール成分は単量体の化
学的部分の異なるクラス少なくとも2種を包含する。単量体(またはサブユニッ
ト)の第1の基は本明細書においては「触媒官能性基」即ち「CFG」と称し、
基質への結合および/またはその共有結合的修飾が可能な官能基1つ以上を有す
る化合物を包含する。単量体の第2の基は「ターンエレメント基」即ち「TEG
」である。これらの単位はCFG2つ以上を空間内に位置付けるための分岐点と
して機能する。一般的にターンエレメントは、明らかにされている相対的または
絶対的な立体化学を有する化合物であり、このような立体配置的な制限により、
CFGの官能基1つ以上が基質と相互作用を示す潜在的結合部位の形成を促進す
るという考えと共に導入されている。即ちターンエレメントは、生成する分子が
基質の変換と相互作用を示しこれを触媒することができるような潜在的コンホー
メーションに整合させて空間内の連結CFGの官能基を配置させる。
【0086】 第3の、ただし任意である単量体置換基ユニットの基は「スペーサーエレメン
ト」である(図5には図示せず)。これらの化合物は基質との相互作用はどの程
度でもあってよい何れかの官能基を含むことを意図しており、むしろそれらはC
FGにより与えられる官能基の空間的配置を変化させるためにのみ潜在的触媒に
組み込まれるものである。即ち、スペーサーエレメントは潜在的触媒ライブラリ
により大きい立体的および/または立体化学的な多様性をもたらす。
【0087】 ライブラリはまた「エンドキャップ」エレメントおよびリンカーを含むことが
でき、これらは、触媒部位を与えるCFGの官能基の能力を発揮させてもさせな
くてもよい。ある実施態様においては、エンドキャップエレメントの選択は、少
なくとも部分的には、CFG換基を保護し、特定の条件下の溶解度を増大させ、
そして/または、CFGにより形成される潜在的触媒部位周囲に特定の立体的環
境を与えるエレメントの能力のような要因に基づいている。
【0088】 スキーム1に示す1つの実施態様において、ライブラリは5つのエレメント、
即ち1)固体支持体、2)第1のリンカードメイン(リンカー)、3)アミノ
酸、4)第2のリンカードメイン(リンカー)、および、5)触媒部分を有す
る潜在的触媒よりなる。固体支持体は、穏やかな反応条件下で固体支持体からの
潜在的酵素の脱着が可能であるような入手可能な触媒から選択する。リンカーの
双方は、側鎖および/または立体中心の有無に関わらず、十分特性化された連結
官能基を介したそれぞれ固体支持体とアミノ酸またはアミノ酸と触媒部分の双方
への結合を可能にする2官能性の化合物のセットから選択してよい。
【0089】 スキーム1
【化20】 図5およびスキーム1に示すとおり、潜在的触媒のライブラリはリンカー1つ
以上および/またはターンエレメントと触媒部分(CFG)1つ以上との複合カ
ップリングにより発生させる。多くの方法でライブラリに多様性をもたらすこと
ができる。潜在的触媒ライブラリは種々多様な集団のCFGに基づいて発生させ
ることができる。例えばCFGは、これらの化合物における異なる官能基の存在
、並びに、CFG構造内のこれらの官能基の位置(連結部位)および性質の差、
例えばCFGの化学的および立体的特徴および/または立体化学から生じる差に
より、ライブラリに多様性を導入できる。即ち、ライブラリの潜在的触媒のCF
Gがアミノ酸を含む場合は、ライブラリは種々のアミノ酸、例えば、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、システイン、メチオニンまたはチロシン等に
より、また、あるアミノ酸の種々の異性体、例えば、LおよびD異性体を用いて
発生させることができる。
【0090】 潜在的触媒ライブラリの異種性(Heterogeneity)はまた種々多
様な集団のターンエレメントを使用することにより導入することができる。以下
に詳述する通り、ライブラリの発生を構成する複合合成において用いられるター
ンエレメントは、種々の化学的性質および/または種々の立体化学の化合物であ
ることができる。例えば潜在的酵素のライブラリはターンエレメントとしての種
々の環状ジオールおよびジアミンの混合物から発生することができる。
【0091】 ターンエレメントの立体化学はまた、同じ化合物の種々の立体異性体を含める
ことにより、例えば、ライブラリにジアステレオマー、エナンチオマー、および
/または、領域異性体の多様性をもたらすことによるなどして、潜在的触媒ライ
ブラリを多様化するために用いることができる。
【0092】 潜在的触媒ライブラリに多様性をもたらすための更に別の方法は、スペーサー
エレメントの使用によるものである。ライブラリのこれらのエレメントはCFG
の官能基の相対的距離および/または方向に関してライブラリに多様性をもたら
す。例えば、あるスペーサーエレメントは種々の長さのアルキル鎖であってよい
。当然ながら、個々のスペーサーエレメントの役割はCFGまたはターンエレメ
ント内の基を含めることにより、効果的に重複させることができる。
【0093】 潜在的触媒ライブラリの所定の位置における多様体(diversomer)
の数はその位置に存在できる種々の化学的部分またはまた立体異性体の合計であ
る。即ち、所定のライブラリの潜在的触媒が1つのターンエレメント位置を有す
る説明のための実施態様においては、ライブラリの構成員は一般式T−(−R) で表すことができ、ここでTはターンエレメントであり、nはターンエレメン
ト上の置換分岐位置の数(例えば2以上の整数)であり、そして、Rはそのn個
の存在に付き相互に独立してCFG1つ以上を有する側鎖である。このようなラ
イブラリ中に与えることのできる種々の潜在的触媒の数は式TE x [Z
x Z x ...Zx [Z x Z x ...Z x... [Z x Z x ...Zで与えられ、ここでTEはターンエレ
メント基の数であり、そして、Zは各々、ターンエレメントから分岐するn個の
リガンド側鎖の各々におけるm個の複合位置の各々におけるCFG(または他の
多様体)の数である。ライブラリの何れかの所定の位置における多様体の数は、
それがターンエレメントであるか、目的側鎖内に与えられた部分であるかに関わ
らず、その位置に存在することのできる種々の化学的部分および/または立体異
性体の総数である。好ましい実施態様においては、潜在的触媒ライブラリは少な
くとも100種の分子種、より好ましくは少なくとも10、10または10 種の潜在的触媒種を含むが、従来の複合合成法の範囲内のライブラリでは例え
ば10を超える異なる構成員と推定される。
【0094】 a)触媒官能基 CFG部分の役割は基質への結合および/またはその共有結合的修飾が可能な
触媒構造中の官能性部分を与えることである。上記した通りこのような基は、基
質に選択的に結合し、遷移状態を安定化させ、そして/または共有結合触媒とし
て参加する能力を触媒にもたらすことができる。即ち、CFG単量体からの触媒
ライブラリの複合合成は多官能性化合物を提供することを意図している。一般的
に、本発明の触媒は有機の電子供与部分または電子受容部分を含む。従って、好
ましい実施態様においては、該当するライブラリは、触媒すべき反応によって適
宜、親核物質として作用することのできる電子対供与体(ルイス塩基)および/
または親電子物質として作用することのできる電子対受容体(ルイス酸)を有す
る官能基1つ以上を含むCFGにより発生させる。前者の場合、官能基は好まし
くは例えば約7未満、より好ましくは5未満のpKaを有する強酸性基であり、
これは反応条件下で電子対を供与できるために十分強力であるルイス塩基となる
共役塩基を生成することができる。後者の場合、官能基は好ましくは水素結合供
与体、空の軌道を有する原子、または、1つの結合ルイス塩基を別のものに交換
することのできる原子である。
【0095】 上記した通り、「ルイス塩基」という用語は電子対供与対である何れかの化学
種を指す。意図する触媒において有用なルイス塩基の官能基の種類は分類できな
いほど多数あるが、好ましい実施態様においては、これらの化合物は周期律表の
15および16族の原子を担持する塩基を包含する。
【0096】 15族のルイス塩基は窒素、リン、ヒ素、アンチモンまたはビスマス原子を電
子対供与体として含む。15族の好ましいルイス塩基は窒素、リンおよびアンチ
モン、より好ましくは、窒素またはリンを含む。
【0097】 16族のルイス塩基は、酸素、イオウまたはセレン原子を電子対供与体として
含む。16族の好ましい塩基は酸素またはイオウを含む。
【0098】 CFGに使用できるルイス塩基部分の例は、アミン(第1、第2および第3)
および芳香族アミン、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノアル
コール、ニトリル、イミノ基、イソニトリル、シアネート、イソシアネート、ホ
スフェート、ホスホネート、ホスファイト、(置換)ホスフィン、ホスフィンオ
キシド、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、ホスホンアミダイト、ヒド
ロキシル、カルボニル(例えばカルボキシル、エステルおよびホルミル基)、ア
ルデヒド、ケトン、エーテル、カルバモイル基、チオール、スルフィド、チオカ
ルボニル(例えばチオカルボキシル、チオエステルおよびチオホルミル基)、チ
オエーテル、メルカプタン、スルホン酸、スルホキシド、スルフェート、スルホ
ネート、スルホン、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルフィニルを包含
する。
【0099】 適当なCFGの例は少なくとも1つのルイス塩基窒素、イオウ、リンまたは酸
素原子またはこのような窒素、イオウ、リンおよび酸素原子の組合せを含んでい
る有機化合物である。CFGの炭素原子は脂肪族、脂環族または芳香族の部分で
あることができる。典型的には、CFGは少なくとも2個の炭素原子を含むが、
一般的には40を超える炭素原子は含まない。有機ルイス塩基のほかに、CFG
はアルキル、アリールおよびハロゲン置換基のような置換基として他の原子およ
び/または基を含んでよい。本方法において潜在的触媒を発生させるために有用
な触媒部分はルイス塩基として作用することのできる官能性の末端反応基少なく
とも1つを有する直鎖または分枝鎖の官能性オレフィン化合物である。ルイス塩
基の例としては、アミン、特にアルキルアミンおよびアリールアミン、例えばメ
チルアミン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N
−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアニリン、ピリジン、アニリン、モルホ
リン、N−メチルモルホリン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピペリジン
、N−メチルピペリジン、シクロヘキシルアミン、N−ブチルアミン、ジメチル
オキサゾリン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルエタ
ノールアミン、N,N−ジエチルエタノールイミン、N,N−ジプロピルエタノ
ールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルイソプロパ
ノールアミン、N,N−ジエチルイソプロパノールアミン、N,N−ジプロピル
イソプロパノールアミン、N,N−ジブチルイソプロパノールアミン、N−メチ
ルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノ
ールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールア
ミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−プロピルジイソプロパノール
アミン、N−ブチルジイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプ
ロパノールアミン、トリ−S−ブタノールアミン等;アミド、例えばN,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、
ヘキサメチルリン酸トリアミド等;スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド
等;エーテル、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等;チオエーテル、例えばジメチルスルフィド、ジエチルチョエ
ーテル、テトラヒドロチオフェン等;リン酸エステル、例えばリン酸トリメチル
、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル等;ホウ酸エステル、例えばホウ酸トリ
メチル等;カルボン酸エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチ
ル等;カルボン酸エステル、例えばエチレンカーボネート等;ホスフィン、例え
ばジ−およびトリアルキルホスフィン、例えばトリブチルホスフィン、トリエチ
ルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン等;および炭素
原子1〜30個の1価および多価のアルコール、例えば、メチルアルコール、エ
チルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチ
ルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンチルア
ルコール、イソペンチルアルコール、2−メチル−1−ブチルアルコール、2−
メチル−2−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコ
ール、n−オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチルヘキシル
アルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、アリルアルコール、クロチルアルコール
、3−ヘキセン−1−オール、シトロネロール、シクロペンタノール、シクロヘ
キサノール、サリシルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール
、シンナミルアルコール等が挙げられる。
【0100】 更に説明すると、CFGはアミノ酸、ヒロドキシ酸、ヒドロキシチオール、メ
ルカプト、アミンなどのような2官能性の化合物を包含する。「アミノ酸」とい
う用語はアミノ酸類縁体および誘導体を含む、アミノ官能基と酸官能基の双方を
有する、天然または合成の、全ての化合物を包含することとする。「アミノ酸」
という用語には更に、(シアノアラニン、ノルロイシン、3−ホスホセリン、ホ モセリン、ジヒドロキシフェニルアラニン、5−ヒドロキシトリプとファン等の
ようなアミノ酸摸倣物も含まれる。如何なる全ての立体異性体も、そのような異
性体がモジュール成分で存在可能な限り、CFGに包含される。
【0101】 その他例示されるモジュール成分は核酸および核酸の類縁体および誘導体、ジ
酸、ジアミン等を包含する。ある実施態様においては、種々のモジュール成分を
組合せて潜在的触媒のライブラリを形成することができる。例えば、ジ酸のモジ
ュール成分はジアミンのモジュール成分と反応してアミド結合を生成することが
できる。
【0102】 特定の好ましい実施態様において、種々の潜在的触媒ライブラリがアミノ酸を
含んでいる場合は、モジュール成分少なくとも1つは非天然のアミノ酸である。
本発明で使用するための適当な非天然アミノ酸を選択する方法は本発明の天然の
アミノ酸の選択と同様である。例えば、上記した天然のアミノ酸の好ましい実施
態様は窒素またはイオウの原子を含んでおり、例えばヒスチジンおよびシステイ
ンである。同様に、好ましい非天然のアミノ酸もまた窒素および/またはイオウ
の中心を有する。
【0103】 所望により1つの官能基を選択的に保護ないしはブロックすることにより、ブ
ロックされていない官能基の反応を行なうことができる。即ち、例えば、アミノ
酸、ヌクレオチドおよび糖類を知られた方法でブロックおよび脱ブロックするこ
とができる。
【0104】 b)回転成分 本触媒の回転成分の顕著な特徴は、1種または複数の基質、遷移状態、中間体 および/または所望の反応の生成物の幾何学的配置を補い合うことができる立体
配座へそれらがCFGの空間的な前機構を提供することができるということであ
る。組み合わせの方法は、CFGの多くの空間的配列へのアクセスにより触媒の
速度上昇および/または特異性を最適化する。
【0105】 有効性、反応性および安定性に加えて、ポテンシャル触媒ライブラリを生成す るための回転成分の選択における判定条件は、分子の「剛性」である。本明細書
に記述された本発明の目的において、「剛直な」という用語は、単一の線状鎖よ
り少数の分子内回転自由度を有する分子構造の物理的状態を意味する。なお下記
に線状要素の例をあげるが、回転成分の選択は制限された自由度を有する基を採
用するのが好ましい。好ましい実施形態においては、個々の回転成分は、例えば
、直鎖アルキル基に比べて少ない数の内部で回転可能な結合を有している。
【0106】 環式成分の立体化学的な制約は、その置換基のCFGを配向させ、かつ傾かせ るように促進し、それによって、例えば、転換の遷移状態で最大の相互作用を与
えることができる。この方法では、例えば、遷移状態の認識のエントロピックコ
ストを低減するために、最適化相補性および前機構を想定して回転成分を選択す
ることができる。
【0107】 回転成分中の立体化学的多様性を利用する能力はさらにこの点を説明する。メ ソ・エポキシドおよびエナンチオ選択性開環からの開始は、ジアステレオマー的
に多様な化合物のライブラリを得るために、例えば、立体化学的に定義されたC
FGでさらに誘導体化し得る、鏡像異性的に強化された回転成分を提供すること
ができる。
【0108】
【化21】 さらに詳細には、ある代表的実施形態においては、トリフルオロ酢酸などの強 酸性条件によって開裂可能な結合アームを有するポリスチレンポリエチレングリ
コール共重合体樹脂(Rappe Polymere、Tubingen、ドイ
ツ)のTentagelを4−ニトロフェニルクロロ炭酸塩でエステル化する。
次いで、その樹脂をテトラヒドロ−1aH−シクロペンタ[b]オキシレン−3
−イルメタノールと反応させ、エポキシド誘導樹脂を得た。
【0109】
【化22】 その後、そのエポキシドをキラル体サレン触媒[1,2,−ビス(3,5−ジ −t−ブチルサリチリドアミノ)シクロヘキサン:Cr、例えば、米国特許5,
665,890号を参照]の存在下でトリメチルシリルアジド(TMSN)を
用いて鏡像選択的に開裂し、図解反応中の鏡像異性的に強化された3−アジド−
4−トリメチルシリロキシ−シクロペンチル誘導重合体を得た。これは、本ライ
ブラリの生成において有用な中間体として役立ち、一般に、その技術は他の多く
のエポキシドに適用することができる。
【0110】
【化23】 好ましい実施形態では、回転成分は、例えば、単環式または多環式、芳香族ま たは非芳香族であってよい炭素環式成分または複素環式成分などの環成分である
。この種類の代表的な回転成分には、アクリダルシン、アクリジン、アントラセ
ン、アルシノドール、アルシノリン、アゼパン、ベンゼン、カルバゾール、カル
ボリン、クロメン、シンノリン、フラン、フラザン、ヘキサヒドロピリダジン、
ヘキサヒドロピリミジン、イミダゾール、インダン、インダゾール、インドール
、インドリジン、イソアルシンドール、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソ
インドール、イソホスフィンドール、イソホスフィノリン、イソキノリン、イソ
ラシノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、モルホリン、ナフタリン、ナ
フチリジン、オキサゾール、オキソラン、ペリミジン、フェナントレン、ヘナン
トリジン、フェナントロリン、フェナルサジン(phenarsazine)、
フェナジン、フェノメルクラジン、フェノメルクリン、フェノホスファジン、フ
ェノセレナジン、フェノテルラジン、フェノチアルシン、フェノキサンチモニン
、フェノキサホスフィン、フェノキサルシン、フェノキサセレニン、フェノキサ
テルリン、フェノチアジン、フェノキサチイン、フェノキサジン、ホスファンテ
ン、ホスフィンドール、ホスフィノリン、フタラジン、ピペラジン、ピペリジン
、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン
、ピリミジン、ピロリジン(pyrrolidine)、ピロリジン(pyrr
olizine)、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン(ピロー
ルなど)、セレナントレン、セレノフェン、テルロフェン、テトラヒドロフラン
、テトラヒドロチオフェン、チアントレン、チアゾール、チオラン、チオフェン
またはキサンテンなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0111】 したがって、1つの実施形態では、ライブラリのポテンシャル触媒を次の一般
式で表わすことができ、
【化24】 式中、Aは、単環式または多環式、芳香族または非芳香族であり得る炭素環式 か複素環式を表わし; RおよびRは、各々、ライブラリのポテンシャル触媒での発生毎に独立し て、アミン類(第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンおよび芳香族アミン
)、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノアルコール、ニトリル
、イミノ基、リン酸塩、ホスホン酸塩、亜リン酸塩、(置換された)ホスフィン
、ホスフィンオキシド、チオリン酸エステル、アミド亜燐酸エステル、アミド亜
ホスホン酸エステル、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、エス
テルおよびフォルミル基)、アルデヒド、ケトン、エーテル、カルバモイル基、
チオール、硫化物、チオカルボニル(例えば、チオールカルボキシル、チオール
エステルおよびチオールフォルミル基)、チオエーテル、メルカプタン、スルホ
ン酸、硫酸塩、スルホン酸塩、スルホノン、スルホンアミド、スルファモイルお
よびスルフィニル、あるいは、それによって置換された(好ましくはC〜C の範囲内の)アルキル、アルケニルまたはアルキニル基、からなる群から選択
された成分を含むCFGを表し; Rは不在か、あるいは、環Aへのさらなる1つまたは複数のCFG置換を表 し、それの発生毎に独立して、アミン類(第1級アミン、第2級アミン、第3級
アミンおよび芳香族アミン)、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ニトロソ基、ア
ミノアルコール、ニトリル、イミノ基、リン酸塩、ホスホン酸塩、亜リン酸塩、
(置換された)ホスフィン、ホスフィンオキシド、チオリン酸エステル、アミド
亜燐酸エステル、アミド亜ホスホン酸エステル、ヒドロキシル、カルボニル(例
えば、カルボキシル、エステルおよびフォルミル基)、アルデヒド、ケトン、エ
ーテル、カルバモイル基、チオール、硫化物、チオカルボニル(例えば、チオー
ルカルボキシル、チオールエステルおよびチオールフォルミル基)、チオエーテ
ル、メルカプタン、スルホン酸、硫酸塩、スルホン酸塩、スルホノン、あるいは
、それによって置換された(好ましくはC〜C30の範囲内の)アルキル、ア
ルケニルまたはアルキニル基、からなる群から選択された成分を含んでいる。
【0112】 本方法の他の要素の供給源は、擬似ペプチドを生成するために使用される立体 配置的に制約された擬似体であり、例えば、ベンゾジアゼピン(例えば、Jam
esら(1993)Science 260:1937を参照)、置換ラクタム
環(Garveyら、Peptidesの中のChemistry and B
iology、G.R. Marshall編集、ESCOM Publish
er:Leiden、オランダ、1988、p123)、およびフェノキサチン
環構造(Kempら(1988)Tetrahedron Lett.29:4
931;Kempら(1988)Tetrahedron Lett. 29:
4935)がある。したがって、β−回転などの擬似ペプチド技術で使用される
配座のモチーフの多くは、本ポテンシャル触媒デザインプロトコルにおいて有利
に用いられる。
【0113】 詳しくは、本方法の要素は、外部または内部のβ−回転擬似体のいずれかであ り得る。最初に外部β−回転擬似体が生産された。Friedingerら(1
980)Science、210:656〜658には、立体配座的に制約され
た非ペプチドβ−回転擬似単環式ラクタムが記載されている。好ましい実施形態
では、その要素は置換ラクタムであり、例えば、単環式ラクタムまたは多環式ラ
クタムである。本明細書では、「ラクタム」は、環内部にアミド結合を有する任
意の有機環、例えば、γ−ラクタム環またはδ−ラクタム環を含むβ−カルボリ
ンを含んでいる。
【0114】 さらに別の実施形態では、ポテンシャル触媒の要素は、例えば、2個以上の共 通(橋頭)環原子とともに2個以上の環を有している多環式成分であってもよく
、例えば、その結果、橋頭原子間に異なる3個以上のパス(架橋置換基)がある
【0115】 ある例では、ポテンシャル触媒の要素は多環式アルカンまたは架橋炭素環であ ってもよく、好ましくは、二環式アルカンである。二環式アルカンの一般名は、
ビシクロ[x.y.z]アルカンであって、式中、x、yおよびzは2個の橋頭
炭素間の3つのパス上にある介在性炭素原子の数である。類似の命名法が架橋複
素環に対しても用いられる。本発明で使用される代表的な二環式アルカンには、
2−メチルビシクロ[2.1.0]ペンタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン
、1,4−ジメチルビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[2.2.1]
ヘプタン(ノルボルナン)、7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン
、エンド−2−イソプロピル−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.l]ヘプタ
ン、トランス−ビシクロ[4.4.0]デカン−3−オン、ビシクロ[2.2.
2]オクタン、1,4−ジイソプロピルビシクロ[2.2.2]オクタン、(2
S,3S)−2−エチル−3−メチルビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシク
ロ[3.1.0]ヘキサン、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘ
プタン、ビシクロ−[3.2.0]ヘプタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、
ビシクロ[3.3.0]オクタン、1,2−ジメチルビシクロ−[3.3.0]
オクタン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタ
ン、(1S,2R,4S,6R)−4−エチル−2−イソプロピルビシクロ[4
.1.0]ヘプタン、シス−ビシクロ[4.2.1]ノナン、1,9−ジメチル
ビシクロ[4.2.1]ノナン、トランス−1,6−ジブロモビシクロ[4.3
.0]ノナン、1−メチル−8−プロピルビシクロ−[4.3.0]ノナン、ビ
シクロ[4.3.2]ウンデカン、シス−ビシクロ[4.4.0]デカン(シス
−デカリン)、トランス−ビシクロ[4.4.0]デカン(トランス−デカリン
)、およびトランス−ビシクロ[4.4.0]デカン−3−オンなどの化合物が
含まれる。
【0116】 他の例では、使用される多環は架橋複素環であってもよい。架橋置換基は、例 えば、アジミノ(−N=N−HN−)、アゾ(−N=N−)、ビイミノ(−NH
−NH−)、エピジオキシ(−O−O−)、エピジチオ(−S−S−)、エピチ
オ(−S−)、エピチオキシミオ(−S−O−NH−)、エポキシ(−O−)、
エポキシイミノ(−O−NH−)、エポキシニトリロ(−O−N−)、エポキシ
チオ(−O−S−)、エポキシチオキシ(−O−S−O−)、フラノ(−C O−)、イミノ(−NH−)、または、ニトリロ(−N=)成分であってよい
。代表的な架橋複素環には、7−アザビシクロ−[2.2.1]ヘプタン、3,
6,8−トリオキサビシクロ[3.2.2]ノナン、2,6−ジオキサビシクロ
[3.2.1]オクト−7−イル、およびそれらの置換形態がある。
【0117】 好ましい二環式成分は、各橋状置換基が各橋状原子間に少なくとも1個の原子 を含んでいるものであり、例えば、x、yおよびzは各々1以上の整数である。
【0118】 類似の方法において、他の環状成分には、3個以上の橋状原子および3個以上 の環を有する多環が含まれ、例えば、いわゆる多環式篭状化合物がある。例えば
、回転成分は、いくつかの例をあげてみると、アダマンタン、ダイアマンテン、
クバン、クアドリシクレン(テトラシクロ[2.2.1.0(2,6).0(3 ,5) ]ヘプタン)から誘導することができる。アダマンタンサブユニットを含
んでいる化合物は、例えば、三環式化合物の剛構造およびはっきり定義された置
換化学により化学者に興味がもたれていた。本ポテンシャル触媒を生成するため
に、このアダマンタン分子の特徴を利用することができる。さらに、多数の合成
方法がアダマンタン環を置換するために導かれた。例えば、米国特許第3,38
8,164号および3,391,142号(アミノアダマンタンの合成)、Mo
lleら(1982)J Org Chem 47:4120(アダマンタン構
造のカルボカチオン化学)、および、米国特許第5,599,998号(ハロ−
アダマンタンの置換)を参照。
【0119】 別の実施形態では、ポテンシャル触媒の成分は、糖類、好ましくは、モノサッ カライド、ジサッカライド、トリサッカライドである。好ましい実施形態では、
その成分は、ペントースまたはヘキソースの糖またはアザ糖から誘導する。固体
担体にサッカライドを結合する場合、糖のアノマー炭素を保持して、それをグリ
コシド結合で結合させることができる。他の実施形態では、糖類を、末端のアミ
ン官能性を有する固体担体の存在下で、還元性アミノ化に供することができ、そ
れによって還元糖をアミノアルジトールに変換する。後者の具体的な実施形態で
は、各キラル中心に関する特定の立体配置を有するペントース糖を重合体(アミ
ノエチル化ポリアクリルアミドなど)のアミノ基に結合させる。例えば、糖の還
元末端は、シアノホウ化水素ナトリウムの存在下で、還元性アミノ化によってア
ミノ官能化表面へ結合することができる。
【0120】
【化25】 得られた1,2,3,4−ペンタネテトラオールは、さらなる誘導体化に利用 可能な数個の不斉炭素で水酸基を提供する。きわめて安価であるので、鏡像異性
的精製糖は容易に入手可能であり、そのような糖は、例えば、立体化学的多様性
を生ぜしめるライブラリ成分のキラル体プールにとって優れた供給源を意味する
【0121】 本発明において有用な単糖類の特定の例としては、グルコース、マンノース、 ガラクトース、グルコサミン、マンノサミンおよびガラクトサミンなどのヘキソ
ース;およびアラビノース、キシロースおよびリボースなどのペントースがある
。一方、オリゴ糖の特定の例としては、マルトース、ラクトース、トレハロース
、セロビオース、イソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラミナリ
ビオース、キトビオース、キシロビオース、マンノビオースおよびソホロースな
どの二糖類がある。
【0122】 さらに他の実施形態では、ライブラリの成分はアザ糖またはホスファニル(p hosphanyl)糖、あるいはそれらの誘導体である。アザ糖は、環酸素が
窒素により置換されている糖類、または、環炭素がアミノ基で置換されている糖
類の種類を含んでいる。六員環アザ糖は、アザピラノースまたはポリヒドロキシ
ル化ピペリジン化合物と称することができる。五員環アザ糖は、アザフラノース
またはポリヒドロキシル化ピロリジンと称することができる。
【0123】 さらに、別の系統的または慣用的に称するピラノースまたはフラノース単糖類 のアザ誘導体をアザ糖と称することができる。回転成分として使用可能な代表的
なアザ糖は、ピペリジン(アザピラノース)またはピロリジン(アザフラノース
)から誘導することができる。同様に、ホスファニル糖は、環位置がホスファニ
ル基と置換されている糖類を含む。
【0124】 アザ糖成分の代表的な使用を下に図示する。図示した(2S,3S,4S,5 R)−アザピラノースなどのアザピラノースは、担体への係留鎖としてマロン酸
(n=1)、コハク酸(n=2)などのホモ二官能性成分を使用して、公知のプ
ロトコルにより、アミンを含んでいる担体に結合させることができる。
【0125】
【化26】 成分として天然に存在するアザ糖を使用することができる。この種類の代表的 なアザ糖には、1−デオキシノジリマイシン(1,5−ジデオキシ−1,5−イ
ミノ−D−グルシトール)、1−デオキシマンノジリマイシン(1,5−ジデオ
キシ−1,5−イミノ−D−マンニトール)、および、カスタノスペルミン(1
,6,7,8−テトラヒドロキシ−オクタヒドロインドリジン)がある。1−デ
オキシノジリマイシンは、Morus属の植物から分離し(Yagiら、Nip
pon Nogei Kagaku Kaishi 1976、50:5751
; Vasellaら、Helv.Chim.Acta.1982 65:11
34)、また、バチルス菌株から分離する(Daigoら、Chem.Phar
m.Bull.1986,34:2243)。1−デオキシマンノジリマイシン
は、豆科植物Lonchocarpusから分離する(Fellowsら、J.
C.S.Chem.Comm.1979,977)。カスタノスペルミンは、オ
ーストラリアの栗の木、Castanospermum australeの種
子から分離された植物アルカロイドである(Saulら、Arch.Bioch
em.Biophys.1983,221:593)。
【0126】 さらに、合成経路および半合成経路ともにアザ糖の合成に用いられ、それらは 本ライブラリの成分の生成に容易に適応し得る。例えば、アザ糖までの合成経路
は、広範囲な保護基操作とともに、アジ化物置換/還元およびN−アルキル化性
環化などの工程を一般に必要とする。例えば、Paulsenら、(1967)
Chem.Ber 100:802;Inouyeら、(1968)Tetra
hedron 23:2125;Saekiら、(1968)Chem.Pha
rm.Bull.11:2477;Kinastら、(1981)Angew.
Chem.Int.Ed.Engl.20:805;米国特許第4,266,0
25号;Vasellaら、(1982)Helv.Chim.Acta 65
:1134;米国特許第4,611,058号;Bernotasら、(198
5)Tetrahedron Lett.26:1123;Setoiら,(1
986)Chem.Pharm.Bull.34:2642;Broxterm
anら,(1987)Rec.Trav.Chim.Pavs−Bas 106
:571;Fleetら,(1987)Tetrahedron 43:979
;Iidaら、(1987)J.Org.Chem.52:3337;Zieg
lerら、(1988)Angew Chem.Int.Ed.Engl.27
:716;Schmidtら、(1989)Liebigs Ann.Chem
.423;Chidaら、(1989)J.Chem.Soc.Chem.Co
mmun.1230;Beaupereら、(1989)Carbohydr.
Res.191:163;von der Ostenら、(1989)J.A
m.Chem.Soc.111:3924;Ikota,N.(1989)He
terocycles 22:1469;Tsudaら、(1989)Chem
.Pharm Bull 37:2673;Fleetら、(1990)Tet
rahedron Lett.31:490;Anzevenoら、(1990
)Tetrahedron Lett.31:2085;および、Daxら、(
1990)Carbohydr.Chem.9:479を参照。
【0127】 複合保護および脱保護ステップが必要であるが、アザ糖生産の出発物質として 天然糖を使用した。例えば、1−デオキシノジリマイシンおよび1−デオキシマ
ンノジリマイシンの合成にグルコースを使用することができる(Bernota
sら、1985,上掲;および、Chenら、(1990)Tetrahedr
on Lett.31:2229)。
【0128】 また、TRISおよび関連化合物は、本ライブラリで使用するのに理想的な二 官能分子であり得る。図示すると以下のとおりである。
【0129】
【化27】 c. エンドキャップ 本触媒ライブラリの合成における他のポテンシャル成分は、いわゆる「エンド キャップ」単位である。一般に、これらの成分はいくつかの異なる目的に供する
ことができる。例えば、回転成分上で置換されたCFGサブユニットの各ストリ
ングの端部に対する保護基としてそれらを使用することができる。しかしながら
、さらに、エンドキャップは、例えば、親和性および特異性の両方への寄与など
、ポテンシャル触媒の触媒活性に機能を果たすことができる。例えば、エンドキ
ャップ基は、それら自身、触媒活性に寄与するルイス酸性成分および/または塩
基部分を含んでおり、この点で、それらはまたCFG基と考えてもよい。エンド
キャップの選択は、さらにライブラリに立体化学的多様性を提供することができ
る。同様に、電子求引性および/またはエンドキャップ上の電子供与性基の使用
によって、近接のCFG単位のルイスの塩基性度は影響を及ぼされ得る。さらに
ポテンシャル触媒の溶解度に影響するようにエンドキャップの選択を用いること
ができる。
【0130】 カルボキシル基に対するエンドキャップ基の例としては、例えば、ベンジルエ ステル、シクロヘキシルエステル、4−ニトロベンジルエステル、t−ブチルエ
ステル、4−ピリジルメチルエステル等がある。
【0131】 アミンに対する好適なエンドキャップ基の例としては、例えば、フォルミル、 ダンシル、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、スクシニル、メトキ
シスクシニル、ベンジルなどのアシル保護基、および、3,4−ジメトキシベン
ジル、o−ニトロベンジルおよびトリフェニルメチルのなどの置換ベンジル;式
中、Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2,2,2−トリクロロ
エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミ
ル、ビニル、アリル、フェニル、ベンジル、p−ニトロベンジル、o−ニトロベ
ンジル、および2,4−ジクロロベンジルなどの基を含む式−COORのもの;
アシル基、および、フォルミル、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル
、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルおよびp−メトキシ
ベンゾイルなどの置換アシル基;並びに、メタンスルホニル、p−トルエンスル
ホニル、p−ブロモベンゼンスルホニル、p−ニトロフェニルエチル、およびp
−トルエンスルホニルアミノカルボニルなどの他の基がある。好ましいアミノ保
護基は、ベンジル(−CH)、式中、RがC〜Cアルキル、ハロ
メチル、または2−ハロ−置換−(C−Cアルコキシ)であるアシル[C(
O)R]またはSiR、例えば、カルボニルベンジルオキシ(Cbz)などの
芳香族ウレタン保護基;および、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)または
9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)などの脂肪族ウレタン保護基
である。
【0132】 アミン類上にエンドキャップ単位を配置するための好ましい試薬のセットには 、塩化エタノイル(Acy);2,2−ジメチルプロパノイルクロライド(Pi
v);ナフタレンカルボキシルクロライド(Nap);1,3−ベンゾジオキソ
ール−5−カルボニルクロライド(Pip);メチル2−クロロカルボニルアセ
テート(Mal);ピコリン酸または2−ピリジンカルボン酸(Pie);5−
オキソ−2−ピロリジンカルボン酸(Pga);4−メチル−1―ベンゼンスル
ホニルクロライド(Tos);およびフェニルメタンアミド(ICN)が含まれ
る。
【0133】 アミノ保護基および/またはカルボキシル保護基を取り込むためには、従来の 固相ペプチド合成方法および他の従来の技術をさらに本方法に適応することがで
きる。例えば、アミノ保護基の結合は、例えば、好適な無水物で処理することに
よって、合成化合物をさらに樹脂に結合させることができると同時に達成するこ
とができる。アセチル保護基を結合するためには、例えば、結合樹脂を20%無
水酢酸で処理することができる。
【0134】 IV. 触媒活性の検出 ポテンシャル触媒のライブラリは、触媒活性について様々な技術によってスク リーニングすることができ、それらの技術のいくつかはすでに当該技術分野で公
知である。本方法の触媒によって触媒作用を及ぼされた転換が検出可能な事象、
例えば、沈殿の形成、ガスの発生または光子の放出を伴う場合、その触媒の組み
合わせおよび検出可能な事象は、試料または複合混合物における、触媒の基質の
存在に関する試験の基礎を形成することができる。逆に、触媒による転換時の基
質または転換に際しての基質が検出可能な事象を生じる場合、所望の種類の触媒
活性のための既知の基質にポテンシャル触媒のライブラリをさらすにより、その
種類の触媒活性に対するスクリーニング方法の基礎を形成することができる。
【0135】 さらに、1種以上の触媒の機能的特性を検出する試薬を用いてポテンシャル触 媒のライブラリをスクリーニングすることもできる。例えば、プローブ成分は、
染料、発蛍光団、放射標識等の標識成分と結合し、標的の存在を検出することが
できる(例えば、ビーズ染色によるなど)。プローブは、可逆的にまたは不可逆
的に結合することができる。例えば、ポテンシャル触媒のライブラリは、そのラ
イブラリと、例えば、かかるルイス酸と可逆的に相互作用し、標識成分を含んで
いるルイス塩基官能基からなる化合物などの化合物とを接触させることによって
、ルイス酸性成分の存在をスクリーニングすることができる。その後、ルイス酸
性成分を含む任意のポテンシャル触媒は、ルイスの基礎的な成分を介して標識と
結びつき、それを順に検出することができる。
【0136】 本方法は、広範囲の化学的転移に対する触媒を発見し最適化するために利用す ることができる。その触媒は、反応速度的分割、位置選択的反応、化学選択的反
応、ジアステレオ選択的反応、立体選択的反応、官能基相互変換、水素添加作用
、酸化作用、還元作用、ラセミ化合物の分割、付加環化、シグマトロピー転位、
環状電子反応、開環、カルボニル添加、カルボニル還元、オレフィン添加、オレ
フィン還元、イミン添加、イミン還元、オレフィンエポキシ化、オレフィンアジ
リジン化、炭素−炭素結合形成、炭素−異原子結合形成、および異原子−異原子
結合形成からなるセットから選択される転移を発見し最適化することができる。
【0137】 V. ライブラリに対する標識付け/ディコンボリューション技術 A) 直接的特性決定 組み合わせの化学の分野において発展している傾向は、例えば、化合物のサブ フェムトモル量を特定化するために用いることができ、また、組み合わせライブ
ラリから選択された化合物の化学構造を直接決定するために用いることができる
質量分析法(MS)などの技術の感度を利用することである。例えば、ライブラ
リが不溶解性担体マトリックス上に提供される場合、最初に、担体から化合物の
個々の群を遊離し、MSによって特性を決定することができる。他の実施形態で
は、特にマトリックスへ化合物を結合するために不安定な結合を最初に使用する
場合、マトリックスから化合物を遊離するために、MS試料調製技術の一部とし
て、MALDIなどのMSの技術を使用することができる。例えば、ポテンシャ
ル触媒ライブラリから選択されたビーズは、マトリックスからポテンシャル触媒
を遊離し、MS分析に向けてポテンシャル触媒をイオン化するために、MALD
Iステップで放射線にさらすことができる。
【0138】 B)マルチピン合成 本方法のポテンシャル触媒ライブラリがとることができる1つの形態は、マル チピンライブラリフォーマットである。簡単に説明すれば、Geysenおよび
共同研究者(Geysenら(1984)PNAS 81:3998−4002
)は、マイクロタイタープレートフォーマット内に配列したポリアクリル酸グレ
ート型ポリエチレンピン上での並行合成によって化合物ライブラリを生成する方
法を紹介している。Geysenの技術は、マルチピン法を使用して、1週間当
たり何千ものポテンシャル触媒を合成しスクリーンするために用いることができ
、また、係留のポテンシャル触媒を多くのアッセイにおいて再使用することがで
きる。合成後、純度およびさらなる評価の査定のために、ポテンシャル触媒を担
体から離すことができるように、適切な結合成分をさらにピンへ追加することが
できる(Brayら、(1990)Tetrahedron Lett 31:
5811−5814;Valerioら、(1991)Anal Bioche
m 197:168−177;Brayら、(1991)Tetrahedro
n Lett 32:6163−6166)。
【0139】 C)分割−結合−再結合 さらに、別の実施形態では、ポテンシャル触媒の多様なライブラリは、分割− 結合−再結合の手順を用いて1セットのビーズ上に提供することができる(例え
ば、Houghten(1985)PNAS 82:5131−5135;およ
び、米国特許第4,631,211号;第5,440,016号;第5,480
,971号を参照)。短く説明すれば、名前が意味するように、ライブラリへ縮
重を導入する各合成ステップにおいて、ビーズを、ポテンシャル触媒ライブラリ
の特定の位置で加えられるように異なる置換基の数へ等しい個別の基を分割し、
その異なる置換基が個別の反応において結合し、そのビーズは次の反復のために
1つのプールへ再結合する。
【0140】 1つの実施形態において、分割−結合−再結合の手順は、ポテンシャル触媒合 成が内部に多孔性ポリプロピレンバッグをシーリングした樹脂上で生じる、Ho
ughtenによって最初に開発されたいわゆる「ティーバッグ(tea ba
g)」方法に類似した方法を用いて実施することができる(Houghtenら
、(1986)PNAS 82:5131−5135)。樹脂洗浄および脱保護
などの共通ステップは1つの反応槽の中ですべて同時に行われる一方、適切な反
応溶液にバッグを置くことによって置換基はポテンシャル触媒担持樹脂に結合す
る。合成の終わりに、各バッグは単極電位触媒成分を含んでいる。
【0141】 D)光誘導型、空間的にアドレス可能な並列化学合成による組み合わせライブ ラリ 化合物のアイデンティティーが合成基質上のその位置によって付与される組み 合わせ合成の方法を空間的にアドレス可能な合成と名付ける。1つの実施形態に
おいては、組み合わせの工程は、固体担体上の特定の位置に対する化学試薬の添
加を調節することによって行う(Dowerら、(1991)Annu Rep
Med Chem 26:271−280;Fodor,S.P.A.(19
91)Science 251:767;Pirrungら、(1992)米国
特許第5,143,854号;Jacobsら、(1994)Trends B
iotechnol 12:19−26)。フォトリソグラフィーの空間分解は
小型化をもたらす。この技術は、感光性保護基を用いた保護/脱保護反応を使用
して実施することができる。
【0142】 この技術の要点はGallopら、(1994)J Med Chem 37 :1233−1251に説明されている。合成基質は、感光性ニトロベラトリル
オキシカルボニル(NVOC)保護アミノリンカーまたは他の写真平板的リンカ
ーの共有結合を介して結合するために調製する。光線は、結合のための合成担体
の特定の領域を活性化するために使用する。光線による感光性保護基の除去(脱
保護)は選択区域を活性化する。活性化後、アミノ末端上の感光性保護基をそれ
ぞれ保持するアミノ酸類似体の第1の1セットをその全表面にさらす。結合は、
前のステップで光線によってアドレス化された領域でのみ生じる。反応を停止し
、プレートを洗浄し、再度、別のマスクを通じて基質を照射し、別の保護された
ビルディングブロックとの反応のための異なる領域を活性化する。マスクのパタ
ーンおよび反応物の配列は生成物およびそれらの位置を限定する。この工程はフ
ォトリソグラフィー技術を利用するので、合成することができる化合物マットの
数は適切な解像度でアドレス化され得る合成部位の数によってのみ制限される。
個々のポテンシャル触媒の位置は正確に知られており、従って、他の分子とのそ
の相互作用は直接評価することができる。
【0143】 光線誘導型化学合成において、生成物は、照度のパターンおよび反応物の添加 のオーダーに依存する。なおリソグラフのパターンを変えることにより、多数の
異なるセットの試験ポテンシャル触媒を同時に合成することができ、この特徴は
様々なマスキング方法の生成を導く。
【0144】 E)コード化組み合わせライブラリ さらに、別の実施形態においては、本方法は、コード化タグシステムとともに 提供されるポテンシャル触媒ライブラリを利用する。組み合わせライブラリから
の活性化合物の識別化に関する最近の改良においては、所与のビーズが受けた反
応ステップ、および推論によってそれが導く構造を独自にコード化するタグを用
いる化学的索引システムを使用する。概念的に、この方法は、活性が発現ペプチ
ドに由来するファージ表示ライブラリに似ているが、その活性ペプチドの構造は
対応するゲノムDNA配列から推定する。合成的組み合わせライブラリの第1の
コード化は、コードとしてDNAを使用した。コード化の様々な他の形態は、塩
基配列決定が可能なバイオオリゴマー(例えば、オリゴヌクレオチドおよびペプ
チド)を用いたコード化、および付加された塩基配列決定が不可能なタグを用い
た二成分コード化を含めて報告した。
【0145】 1)塩基配列決定可能なバイオオリゴマーを用いた標識付け 組み合わせ合成ライブラリをコード化するためにオリゴヌクレオチドを使用す る原理については1992年に記述し(Brennerら、(1992)PNA
S 89:5381−5383)、かかるライブラリの例は翌年報告した(Ne
edlesら、(1993) PNAS 90:10700−10704)。そ
れぞれが特定のジヌクレオチド(各々、TA、TC、CT、AT、TT、CAお
よびAC)によってコード化されている、Arg、Gln、Phe、Lys、V
al、D−ValおよびThr(3−文字アミノ酸コード)のすべての組み合わ
せから構成された名目上7(=823,543)のペプチドの組み合わせライ
ブラリは、固体担体上のペプチドおよびオリゴヌクレオチド合成の一連の交替性
循環(alternating round)によって調製した。この作業にお
いては、ビーズ上のアミン結合官能性は、オリゴヌクレオチド合成のための保護
されたOH基およびペプチド合成のための保護されたNH基(本明細書では1
:20の割合)を生成する試薬とビーズとを同時に事前インキュベートすること
によって、特にペプチドまたはオリゴヌクレオチド合成に向けて差別化した。完
了した際、タグは各々、69−mersからなり、それらの14単位はコードを
保持していた。蛍光性標識した抗体とビーズ結合ライブラリをインキュベートし
、強く蛍光を発した結合抗体を含むビーズを蛍光活性化細胞選別(FACS)に
よって回収した。DNAタグをPCRによって増幅し、塩基配列決定し、予測ペ
プチドを合成した。かかる技術の後で、本方法における使用のためにポテンシャ
ル触媒ライブラリを導くことができ、その場合、タグのオリゴヌクレオチド配列
は、特別のビーズが受けた継続的な組み合わせ反応を識別し、したがってビーズ
上のポテンシャル触媒のアイデンティティーを提供する。
【0146】 オリゴヌクレオチドタグの使用によって、非常に感度の高いタグ分析が行える 。それでも、その方法は、タグおよびライブラリメンバーの同時合成を交互にす
るために必要とされる保護基の直交セットを注意深く選択する必要がある。さら
に、タグの化学的不安定性、特に、リン酸塩および糖アノマー性結合は、非オリ
ゴマー性ライブラリの合成で使用することができる試薬および条件の選択を制限
するかもしれない。好ましい実施形態では、ライブラリは、アッセイのために試
験のポテンシャル触媒ライブラリメンバーを選択的に脱離させるリンカーを使用
する。
【0147】 さらに、ペプチドは、組み合わせライブラリのためのタグ付け分子として使用 した。代表的な2つの方法は当該技術分野で記述されており、それらはともに、
コード化および配位子ストランドを交互に入念に作る固体相への分岐状リンカー
を使用する。第1の方法においては(Kerr JMら、(1993) J A
m Chem Soc 115:2529−2531)、合成系の直交性は、コ
ード化ストランドに対する酸不安定保護および配位子ストランドに対する塩基不
安定保護を用いることにより達成することができる。
【0148】 代替方法(Nikolaievら、(1993) Pept Res 6:1 61−170)においては、コード化単位および試験ポテンシャル触媒をともに
樹脂上の同一官能基に結合することができるように分岐状リンカーを使用する。
ある実施形態においては、開裂可能なリンカーは、開裂がコードおよびポテンシ
ャル触媒の両方を含む分子を遊離するように、分岐ポイントとビーズの間に置く
ことができる(Ptekら、(1991)Tetrahedron Lett
32:3891− 3894)。別の実施形態では、開裂可能なリンカーは、試
験ポテンシャル触媒を選択的にビーズから分離し、後にコードを残すように置く
ことができる。この最後の構築物は、コード基の電位干渉作用なく試験ポテンシ
ャル触媒をスクリーニングすることができるので、特に価値がある。独立的な開
裂およびペプチドライブラリメンバーのフクリーニングおよびそれらの対応する
タグの当該分野における例によって、タグがペプチド構造を正確に予測すること
ができることが確認された。
【0149】 2)配列決定不可能なタグ:バイナリーコード化 試験ポテンシャル触媒ライブラリをコード化する代替形態は、バイナリーコー ドとして用いられる配列決定不可能な電子性タグ分子のセットを使用する(Oh
lmeyerら(1993)PNAS 90:10922−10926)。代表
的なタグは、電子捕獲ガスクロマトグラフィー(ECGC)によって、フェムト
モルレベル未満でそれらのトリメチルシリルエーテルとして検出可能なハロ芳香
族アルキルエーテルである。芳香族ハライド置換基の性質および位置、並びにア
ルキル鎖の長さの変化によって、少なくとも40のかかるタグを合成することが
でき、それは原則として、240の(例えば、約1012を超える)異なった分
子をコードすることができる。オリジナルの報告(Ohimeyerら、前掲)
では、タグは、光化学的に開裂可能なo−ニトロベンジルリンカーによって、ペ
プチドライブラリの利用可能なアミン基の約1%に結合した。ペプチド様または
他のアミンを含む分子の組み合わせライブラリを調製する場合、この方法は便利
である。しかしながら、本質的に任意の組み合わせライブラリをコード化するこ
とができるより多用途のシステムが開発された。ここでは、ポテンシャル触媒は
光化学的開裂可能なリンカーを介して固体担体に結合することができ、タグは、
ビーズマトリックスへのカルベン挿入を介したカテコールエーテルリンカーによ
って結合する(Nestlerら、(1994) J Org Chem 59
:4723−4724)。この直交性結合手順により、アッセイのためのライブ
ラリメンバーを溶液中で選択的に脱離し、タグセットの酸化的脱離の後にECG
Cによって引き続いて解読することができる。
【0150】 当該技術分野におけるいくつかのアミド結合ライブラリは、アミン基に結合し た電子性タグを用いたバイナリーコード化を使用するが、ビーズマトリックスへ
のこれらのタグの直接結合は、コード化組み合わせライブラリで調製可能な構造
内に非常に重大な可変性を提供する。この方法で結合した場合、タグおよびそれ
らのリンカーは、ビーズマトリックスそれ自身とほとんど同じくらい反応しない
。固体相に電子性タグを直接結合させる、2つのバイナリーコード化組み合わせ
ライブラリが報告され(Ohlmeyerら、(1995)PNAS 92:6
027−6031)、また、本ポテンシャル触媒ライブラリの生成についてのガ
イダンスが提供されている。直交結合手順を使用して、ライブラリメンバーを固
体担体に光不安定性リンカーによって結合し、タグを激しい酸化によってのみ開
裂するリンカーを介して結合した両ライブラリを構築した。ライブラリメンバー
を繰り返し部分的に固体担体から光溶出することができるので、ライブラリメン
バーは多重アッセイに利用することができる。また、連続的な光学的溶出は、非
常に高い流量が反復性スクリーニング方法を可能する。最初に、96穴のマイク
ロタイタープレートに多数のビーズを置く。第2に、リガンドを部分的に分離し
、プレートを分析する。第3に、金属結合アッセイによって、活性のあるウェル
を識別する。第4に、新しいマイクロタイタープレートへ一致するビーズを単独
で再配置する。第5に、単一の活性ポテンシャル触媒を識別する。第6に、その
構造を解読する。
【0151】 F) サーモグラフ技術に基づいたポテンシャル触媒の選択 ある実施形態では、サーモグラフの技術を使用して、ポテンシャル触媒のライ ブラリをスクリーニングする(この方法の最近の例に関しては、Taylorお
よびMorken、Science 1998,280,267−270を参照
)。この技術は、溶液中の所与の反応を触媒する能力について多数のコード化触
媒ライブラリの各メンバーを迅速で同時に評価するための一般的な方法を構成す
る。この技術は、ポリマー結合多機能ポテンシャル触媒のライブラリから活性触
媒を選択することを可能にする。例えば、TaylorおよびMorkenは、
スクリーニングされた〜7000のビーズから(3150の別個の触媒)、アシ
ル化反応の触媒作用に関して23のビーズを選択したことを報告した。それらの
反応速度的実験は、最も強く選択されたビーズがまた最も効率的な触媒であるこ
とを示した。
【0152】 VI. 反応条件 本発明の1つの態様では、本スクリーニング法は、固定化したポテンシャル触 媒ライブラリを利用して実施することができる。好適なポリマー性担体の選択は
当業者にとってはルーチンである。一般に、ポリマー性担体は、次の基準の少な
くともいくつかに従って選択することができる。(i)それは触媒活性の検出の
ために使用される状態下において反応的ではあってはならない。(ii)それは
バックグラウンド触媒活性を何も持たない。ポテンシャル触媒は、当該技術分野
で知られている好適な官能基および方法を用いてポリマー性担体に誘導すること
ができる。ポテンシャル触媒ライブラリのマトリックス固定の一部形態を使用す
るそれらの実施形態は、後のディコンボリューションに対するコード化および/
またはライブラリの空間的アドレシングの使用に従順である。
【0153】 不溶解性のポリマー性担体は、ポリスチレン、ポリスチレン/ジビニルベンゼ ン共重合体、および当業者に既知の他のポリマーをベースとした官能化ポリマー
を含んでいる。ポリマー性担体は、他の固体担体にコーティングでき、グラフト
化でき、あるいは別の方法で結合することができることを理解する。
【0154】 別の実施形態では、可逆的に可溶性ポリマーがポリマー性担体を提供すること ができる。かかるポリマー性担体には、ポリビニルアルコールまたはポリエチレ
ングリコール(PEG)をベースとした官能化ポリマーが含まれる。可溶性担体
は、好適な不活性非溶媒の添加によって不溶性になり得る(例えば、沈殿化され
得る)。可溶性ポリマー性担体を用いて実施された反応のある長所は、溶液中の
反応が、不溶性ポリマー担体上で実施される反応よりも迅速に、高収量で、かつ
/またはより完全であることである。したがって、好ましい実施形態では、高分
子担体はPEGまたはPEG−OMeである。
【0155】 さらに別の実施形態では、ポテンシャル触媒ライブラリを溶液中で合成するこ とができ、また、ディコンボリューション技術の使用または多重反応容器(例え
ば、マイクロタイタープレート等)での合成によって、ライブラリの特定のメン
バーの独自性を決定することができる。
【0156】 VII. 立体選択的求核反応用触媒、およびそれらの代表的な使用 さらなる詳細を下記に記述したように、本組み合わせ方法は、例えば、反応的 π結合を介した求核試薬の添加に有用な新規の種類の触媒を生成するために用い
た。
【0157】 一般に、本発明は、(下記に記述したように、)反応的π結合、求核試薬、お よび、少なくとも触媒量の非ラセミ体、特定の特性のキラル触媒からなる基質を
組み合わせることを含んでなる立体選択的求核付加プロセスを特徴とする。その
組み合わせは、基質の反応的π結合への求核試薬の立体選択的添加を触媒するよ
うに、適切な状態の下でキラル触媒について維持される。ジアステレオ選択性プ
ロセスにもエナンチオ選択性プロセスにもこの反応を適用することができる。さ
らに、位置選択性反応にもそれを適応してもよい。実施例は、本発明に従って触
媒され得るエナンチオ選択性反応、速度論的分割および位置選択性反応を追求す
る。
【0158】 代表的で好ましい実施形態では、本キラル体の存在下で、シアン化物イオンを イミン官能基の炭素に付加し、非ラセミ体触媒は非ラセミ体α−アミノニトリル
生成物を生じる。本実施形態は、本エナンチオ選択性求核付加反応の一例であり
、次の一般的な転移によって表わすことができる。
【0159】
【化28】 式中、 R100、R101およびR102は、発生毎に独立して、水素、アルキル、 アルケニル、アルキニル、アシル、チオアシル、アルキルチオ、イミン、アミド
、ホスホリル、ホスホン酸エステル、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、
カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルフォニル、アリ
ールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアル
キル、アミジン、アセタール、ケタール、アリール、ヘテロアリール、アジリジ
ン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホン
アミド、チオアミド、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、または−(CH −R80を表すか、あるいは、 R102は、イミン炭素および窒素、および、R100またはR101のいず れかと一緒になって、環構造における幾何学的制約を仮定して、4〜10個の原
子を有する(置換または未置換)の複素環を形成し、あるいは、 R100およびR101は、ともに環構造中に4〜10個の原子を有する環( 置換または未置換)を形成し; R80は未置換または置換のアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、 複素環または多環を表わし; mは0と8の間の範囲の整数であり; HCNはシアン化水素またはその代替剤、例えば、シアン化カリウム、シアン 化ナトリウム、アセトンシアノヒドリンまたはトリメチルシリルシアニドを表わ
す。
【0160】 上記の反応方法および本明細書に引用した他の反応および構造によれば、炭素 原子の隣の記号「*」は、(ポテンシャル)キラル中心を示す。
【0161】 イミンへのシアン化物の添加(Strecker反応)は、α−アミノ酸誘導 体の不斉合成に対する最も直接的で最も実行可能な方法の1つである。キラル補
助剤が共有結合的に結合したイミンベアリングをしたこの反応の立体選択的回転
の開発において有意な進歩があった。しかしながら、Strecker反応のエ
ナンチオ選択性触媒バージョンの明らかな実際的電位にもかかわらず、この端部
へは不十分な成果に終わった。対照的に、添付の実施例に記述したように、我々
は本明細書でエナンチオ選択性Strecker反応を触媒する新規なキラル触
媒について記述している。
【0162】 好ましい実施形態では、本発明のStrecker触媒は次の一般式を表わし :
【化29】 式中、 Bは単環式または多環式の基(例えば、シクロアルキル、複素環、芳香環また は複素芳香環)を表わし; C、CおよびCは各々キラルの炭素原子を表わし; XはO、SまたはNHを表わし; Jは、例えば、弱ブローンステッド酸(Bronsted acid)などの 水素結合供与体として作用可能な少なくとも1個の官能基を含むリンカー基を表
わし; R103は水素結合供与体、ルイス塩基性基、または両方の特徴を有する基の いずれかを表わし; R104は、20個までの(好ましくは2〜10個の)炭素の立体的に大きい 脂肪族または脂環式の置換基を表わし、例えば、それが触媒およびJのイミン窒
素を含む触媒反応活性点に近接して配置し続けるように立体的にルイス塩基性基
を妨げ; R105は存在しないか、または、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシ ル、チオアシル、アルキルチオ、イミン、アミド、フォスフォリル、ホスホン酸
塩、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル
、チオアルキル、アルキルスルフォニル、アリールスルフォニル、セレノアルキ
ル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、アミジン、アセタール、
ケタール、アリール、ヘテロアリール、アジリジン、カルバメート、エポキシド
、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカル
バメート、尿素、チオ尿素、または−(CH−R80の群から選択された
Bの1個または複数個の追加の置換基を表し; R106およびR107は、各々独立して、アルキル、アルケニル、アルキニ ル、アシル、チオアシル、アルキルチオ、イミン、アミド、フォスフォリル、ホ
スホン酸塩、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物
、シリル、チオアルキル、アルキルスルフォニル、アリールスルフォニル、セレ
ノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、アミジン、アセ
タール、ケタール、アリール、ヘテロアリール、アジリジン、カルバメート、エ
ポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、
チオカルバメート、尿素、チオ尿素、または−(CH−R80を表すか、
または、 CおよびCが互いに一緒になったR106およびR107は、環中に4〜 8個の原子を有する環を形成し; R108およびR109は、R108および(C(X)R109)が同一でな いという条件で(Cのキラリティーはこの条件を意味する)、各々独立して、
アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、チオアシル、アルキルチオ、イミ
ン、アミド、フォスフォリル、ホスホン酸塩、ホスフィン、カルボニル、カルボ
キシル、カルボキサミド、無水物、シリル、チオアルキル、アルキルスルフォニ
ル、アリールスルフォニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エステル、
ヘテロアルキル、アミジン、アセタール、ケタール、アリール、ヘテロアリール
、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム
、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、または−
(CH−R80を表し; R80は未置換または置換のアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、 複素環または多環を表わし; また、mは0から8の間の整数を表す。
【0163】 好ましい実施形態では、XはSまたは0である。
【0164】 好ましい実施形態では、R103は−NH、−OH、または−SH、あるい はそれによって置換された低級アルキル基である。
【0165】 好ましい実施形態では、R104は、R103に対してオルトの位置の、また 、イミン置換基に対するメタのBに結合させる。
【0166】 R104は、好ましくは、例えば、t−ブチル基などの分岐状低級アルキル基 などの低級アルキル基またはアルコキシル基である。
【0167】 好ましい実施形態では、R106およびR107はC〜Cのアルキル基で あるか、CおよびCとが一緒になって環中に4〜8個の原子を有する環を形
成する。
【0168】 好ましい実施形態では、Jは−NH−Y−NH−を表わし、式中、Yは次式か らなる群から選択され、
【化30】 式中、QはSまたはOを表わし、R46は水素、低級アルキル基またはアリー
ル基を表わす。さらに好ましい実施形態では、Yは−C(=Q)−からなる群
から選択され、式中、QはOまたはSである。
【0169】 ある実施形態では、R108はアルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘ
テロアリール基を表わす。
【0170】 好ましい実施形態では、R108は、天然に存在するα−アミノ酸またはその
類似体の側鎖を表わす。
【0171】 ある実施形態では、R109はアミノ基、例えば、第一または第二アミノ基、
好ましくは第一アミノ基を表わす。例えば、R109は次式によって表わすこと
ができ、
【化31】 式中、RおよびR10は各々独立して、水素、アルキル、アルケニル、(−(
CH−R80)を表すか、または、結合しているN原子と一緒になったR およびR10は、環構造中に4〜8個の原子を有する複素環を完成するか、ま
たは、RまたはR10はリンカーおよび固体担体マトリックスを表わすことが
でき; R80およびmは上記で定義されている。
【0172】 R104、R105、R106、R107および/またはR108の1つまた
は複数の大きい置換基の存在は、選択性において著しい効果があり得る。また、
これらの基は、遷移状態における1種以上の基質と触媒の間の立体化学的伝達を
改善し得る。
【0173】 好ましい実施形態では、本発明のStrecker触媒は次の一般式を表わし
【化32】 式中、 B、X、R103、R104、R105、R108およびR109は上記で定 義したとおりであり;Aは単環式または多環式の基(例えば、シクロアルキル基
、複素環、アリール基またはヘテロアリール環)を表わし;また、 R110は存在しないか、または、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシ ル、チオアシル、アルキルチオ、イミン、アミド、フォスフォリル、ホスホン酸
塩、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、無水物、シリル
、チオアルキル、アルキルスルフォニル、アリールスルフォニル、セレノアルキ
ル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、アミジン、アセタール、
ケタール、アリール、ヘテロアリール、アジリジン、カルバメート、エポキシド
、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカル
バメート、尿素、チオ尿素、または−(CH−R80からなる群から選択
されたAの1個または複数個の追加の置換基を表わす。
【0174】 好ましい実施形態では、Aは、その環構造中に3〜10個の炭素原子を有して いるシクロアルキル基であり、さらに好ましくは、環構造中に5、6、または7
個の炭素を有する。
【0175】 追加の好ましい実施形態では、本発明の触媒が次の一般的な構造によって表わ され:
【化33】 式中、 Xは、発生毎に独立してO、Sを表し; R、R、RおよびRは、発生毎に独立して、水素、アルキル、アリール 、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールを表し; Rは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ホルミ ルまたはアシルを表わし; Rは存在しないか、4回以下で生じ; また、nは0〜2の範囲から選択された整数である。
【0176】 非常に好ましい実施形態では、上記の一般的な構造を適用し: 式中、 Xは、発生毎に独立してOまたはSを表し; R、R、RおよびRは、発生毎に独立して、水素、アルキル、アリール 、ヘテロアルキルまたはヘテロアリールを表し; Rはアルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールを表わし; Rは存在せず; また、nは0〜2の範囲から選択された整数である。
【0177】 さらなる非常に好ましい実施形態では、上記の一般的な構造を適用し: 式中、 Xは、発生毎にOまたはSを表し; R、R、RおよびRは、発生毎に、水素、アルキル、アリール、ヘテロ アルキルまたはヘテロアリールを表し; Rはホルミルまたはアシルを表わし; Rは存在せず; また、nは0〜2の範囲から選択された整数である。
【0178】 好ましい実施形態では、目的発明の触媒が、少なくとも75%ee、さらに好 ましくは少なくとも80%ee、85%ee、90%ee、95%ee、または
、〉98%eeのエナンチオ選択性を有する少なくとも1つの立体選択的求核付
加を触媒する。
【0179】 本発明の方法による非対称性Strecker反応は、低触媒充填を用いて、 容易に利用可能な基質および触媒前駆体からの鏡像異性的強化されたα−アミノ
酸誘導体への真直ぐなエントリを提供する。その触媒は大規模で容易に調製され
、周囲条件下で保存された場合でさえ不定の「貯蔵寿命」を有することが明らか
である。
【0180】 代表的な実施形態では、シアン化物イオンを目的キラルの存在下でインライン 官能基の炭素へ添加し、非ラセミ体触媒は非ラセミ体α−アミノニトリル生成物
を生じる。この実施形態は、本エナンチオ選択性求核付加反応の一例である。こ
の反応の生成物は、シングルステップで非ラセミ体N−メチルフェニルグリシン
−非天然α−アミノ酸へ変化させることができる。
【0181】
【化34】 さらに詳しくは、N−アリル−2−ナフチルメタンイミンをHCNと反応させ 、対応するニトリルを生成することができ、次にそれを酸の存在下にMeOHと
反応させてメチルエステルを産生することができる。続いて、アリル基を例えば
ジメチルバルビツール酸および触媒のパラジウム(0)で除去し、α−アミノエ
ステルを産生する。さらに単一の鏡像異性体の純度を高めるために再結晶を使用
することができる。
【0182】
【化35】 目的触媒の使用の別の詳細な例には、例えば、下記の反応スキームに示したよ うに、スルフィンアミドへのスルフィンイミドのエナンチオ選択性転化が含まれ
ている。得られたフルフィンアミドをさらに新しい立体生成的な中心を含んでい
る第1級アミンに変換することができる。
【0183】
【化36】 別の例を提供するために、下記に示した反応(例えば、米国特許第5,661 ,160号を参照)におけるアニリンを目的触媒の存在下でシアン化物と反応さ
せニトリルを得た。
【0184】
【化37】 本発明のさらなる態様においては、下記に示したように求核試薬を環内イミン に付加することができる。
【0185】
【化38】 本発明の別の態様では、求核付加反応は、本キラル、非ラセミ体触媒の存在下 にジアステレオ選択的方法で生じる。本発明のジアステレオ選択的反応の一例を
書きに示す。
【0186】
【化39】 別の例の実施形態では、本発明は、α−立体中心を含んでいるイミンのラセミ 混合物の速度論的分割方法を提供する。ラセミ体のイミン基質が関与する本触媒
を媒介とした速度論的分割プロセスでは、イミンの1つの鏡像異性体は未反応基
質として回収することができ、また、他の鏡像異性体は所望の生成物に変化させ
ることができる。本発明のこの態様では、ラセミ体の出発物質からの官能化非ラ
セミ体生成物を合成する方法を提供する。そのうえ、この実施形態はジアステレ
オ選択的プロセスでもある。
【0187】
【化40】 本触媒を用いて速度論的分割可能な別の種類には、ラセミ体の求核試薬の分割 がある。下記に示した代表的な実施形態は、O−メチルベンゾフェノンオキシム
を用いた触媒反応におけるチオールのラセミ体混合物の分割が中心である。本方
法において約0.5当量のオキシムエーテルを使用した場合、非ラセミ体の未反
応チオールと非ラセミ体付加物の両方を含んでいる生成混合物が得られる。
【0188】
【化41】 異なる反応性の2つの反応性π結合を含む基質に本発明を適用することができ ることは、当業者に理解されるであろう。下記に説明した実施形態は、イミンが
それらの立体化学的環境において異なるジイミン基質を含んでおり、本方法は、
他のすべての要因は等しく、より障害を受けにくいイミン成分で求核付加を選択
的に触媒することが予想される。
【0189】
【化42】 さらに、当業者は、異なる種類の反応性π結合を含んでいる基質に本発明を適 用することができることを理解するであろう。下記に説明した実施形態では、イ
ミンおよびヒドラゾンの両方を含む基質を含んでいる。本方法は、他のすべての
要因は等しく、イミン成分で求核付加を触媒することが予測される。
【0190】
【化43】 さらに、本方法および本触媒は、分子内検知で活用することができる。以下に 説明した実施形態では、キラル、非ラセミ体触媒は、N−アリルイミンへのチオ
ールの分子内エナンチオ選択性付加を触媒することができる。
【0191】
【化44】 本発明のプロセスは、非常に高い立体選択性(例えば、エナンチオ選択性また はジアステレオ選択性)、または位置選択性を有する光学活性生成物を提供する
ことができる。本エナンチオ選択性反応の好ましい実施形態では、本発明のプロ
セスによって、好ましくは50%より高い、さらに好ましくは75%より高い、
最も好ましくは90%よりも高い鏡像体過剰率を得ることができる。同様に、位
置選択的反応に関しても、本発明のプロセスによって、好ましくは5:1より大
きい,より好ましくは10:1より大きい、最も好ましくは25:1より大きい
、所望位置異性体/非所望位置異性体のモル比を得ることができる。さらに、本
発明のプロセスは、商業的使用に好適な非常に望ましい反応速度で実施すること
ができる。
【0192】 上記の検討から明らかなように、本発明の不斉合成プロセスによって生産され たキラル生成物は、所望のそれの誘導体までさらなる反応に供することができる
。かかる許容可能な誘導体化反応は、当該技術分野で公知の従来法に従って実施
することができる。例えば、ポテンシャル誘導体化反応には、エポキシ化、オゾ
ン分解、ハロゲン化、ハロゲン化水素添加、水素化、エステル化、アルデヒド、
ケトンおよび/またはカルボン酸塩誘導体へのアルコールの酸化、アミドのN−
アルキル化、アミドへのアルデヒドの付加、ニトリル還元、エステルによるアル
コールのアシル化、アミンのアシル化等がある。さらに詳しくは、本立体選択反
応を含むスキームによって合成することができる医薬品の代表的な種類は、心臓
血管薬、非ステロイド性消炎薬、中枢神経系製剤および抗ヒスタミン剤である。
【0193】 VIII.実施例 ここまで本発明について一般的な説明をしてきたが、以下に挙げる実施例を参
照すれば、本発明をさらに容易に理解することができよう。ここに挙げる実施例
は、単に本発明のある面と実施態様を説明するために挙げたものであって、これ
によって発明の範囲が制限されるものではない。
【0194】 実施例1 この実施例は、イミンへのシアン化水素の形式的付加(シュトレッカー反応)
のためのキラル触媒の発見と最適化への並行コンビナトリアルライブラリ合成の
応用の概要を述べるものである。総計192種類の化合物を含む固相ライブラリ
3種類の調製と評価をくり返すことによって、反応のエネンチオ選択性を、最初
のリードの結果である19%eeから91%eeまで最適化することができた。
N−アリルベンズアルジミンのヒドロシアノ化の最適条件を通じて同定された触
媒は、各種イミン基質に対して有効であることが判明した。特に、脂肪族イミン
のシュトレッカー反応に対していかなる触媒系であっても>80%eeが達成さ
れたのは初めてである。高いエナンチオ選択性に導く構造的な特徴は、触媒成分
間に現れた相乗効果のために全くの予想外である。
【0195】 現在では、コンビナトリアルケミストリは、生物学的標的のための配位子を発
見し最適化するための有望な戦略であることが良く認識されている。さらに最近
では、新規触媒、配位化合物および固体材料を同定するための生きた手法
としての展望が開けてきた。コンビナトリアルケミストリでは、二つの根本的に
異なる戦略−分割してプールする手法と並行ライブラリ合成−を区別することが
できる。いずれの方法を選ぶかは、問題の内容にかかっている。分割プール戦
略は、標的の構造がほとんど明らかになっておらず、求める活性を持った化合物
の割合が極めて低いという可能性が高いために5、多数の化合物を評価すること が望ましいか必要な場合に推奨される。それに対して、並行ライブラリ法は、標
的の構造の基本的な特徴がすでに確立されていて、最初のリードの結果を最適化
する場合に最も見込みが高いと考えられる6。その場合、空間的に配列された候 補の構造をスクリーニングにかけ、同定することに関連する実験が簡単である方
が、大きなライブラリを評価することに関連する利点を上回ることもありうる。
発明者は、不斉触媒作用という条件の中で、既知のキラル配位子群7の並行コン ビナトリアルライブラリを合成し、イミンの不斉ヒドロシアノ化(シュトレッカ
ー反応)(反応式1)のための触媒としてそれらを評価することに関して後者の
シナリオを検討した。ここでは、触媒の構造に一連の明確な変更を加えないで、
反応のエナンチオ選択性を最初のリードの結果である19%eeから91%ee
まで、反復最適化することを通して、この手法の有効性を明らかにする。
【0196】
【化45】 並行触媒ライブラリ戦略の実施の第1段階は、固相合成が可能であり。そして
構造の変更を系統的に行うことができ、さらにキラリテイを移す時の選択的なテ
ンプレートになることが知られているような有望な触媒系を選択することであっ
た。これらの条件は、固体の担体に結合させるための目立たない部位を有する触
媒に、高い収率をもたらし、そして一般化が可能な合成的な道を要求する。しか
し残念ながら、ビナフチル系配位子、C2対称ホスフィン、サレン配位子、ビス オキサゾリン、酒石酸から誘導される化合物およびシンコナアルカロイドから誘
導される化合物といった、最も良く知られ最も効果的なキラル配位子系には、こ
れらの要件を完全に満たすものはほとんどない。それに対して、三座配位子シッ
フ塩基錯体は、固相合成に応用できるかもしれない新たに姿を現し始めた触媒群 を成している。これらの系は、典型的には、キラルなアミノアルコールとサリ
チルアルデヒド誘導体と金属の3つの単位から成っている。発明者は、アミノア
ルコールの代わりにジアミンを導入する道を選んだ。その場合、ジアミンはキラ
ルな主鎖上にあって、第2の窒素が担体に結合するための部位として働く(図1
)。ジアミンとポリマーの間には追加的な多様性の要素としてアミノ酸を導入し
た。このようにして誘導された配位子系を、個々の反応器中で、各ポリマーに担
持させた触媒と並行して変換反応を行い、市販自動サンプラーで採取した反応混
合物試料をキラルGC分析で検査して(1)の反応に対する評価と最適化を行っ
【0197】 ライブラリ1: 図1に示したタイプの一つの配位子を調製し、一連の異なった金属イオンの存
在下におけるN−アリルベンズアルジミンへのTBSCNの付加に対する、その
触媒作用を評価した(ライブラリ1〜3の触媒の構造に関しては図2を参照)。
いずれも反応性に大きな違いは見られなかったが、金属イオンを添加しなかった
時の配位子が最もエナンチオ選択性が高かった(19%ee)。
【0198】 ライブラリ2: この最初のリードの結果に基づいて、48メンバーから成る並行配位子ライブ
ラリを調製し、金属イオンを添加しないでスクリーニングを行った(図3参照)
。その結果、アミノ酸成分が、反応のエナンチオ選択性に非常に重要な影響を及
ぼすことが観察され、ロイシンから誘導される触媒で最も高い結果が得られるこ
とが分かった。触媒の相対立体化学も重要であって、(R,R)−ジアミンから
誘導した触媒の場合、L−ロイシンと組み合わせると、非天然のD−ロイシンエ
ナンチオマーと比べて格段に大きなeeをもたらす(たとえば、Leu−CH−
D:32%ee; D−Leu−CH−D:5%ee)。最後に、サリチルアル
デヒド上の置換基も極めて重要な役割を演じており、t−ブチル置換誘導体A,
BおよびDで最も高いeeを与えた。
【0199】 触媒ライブラリ開発のこの段階で、一種類づつ効果を調べる古典的な方法でリ
ンカー要素(図1を参照)の最適化を行った。対照実験の結果、ライブラリ1お
よび2(リンカー)で、樹脂に触媒を結合するのに使用したカプロン酸単位は
、背景の反応性の無視できないレベルに関係していることが判明した。触媒のア
ミノ酸基をポリスチレン支持体に直接結合させると、ライブラリ2から同定され
た最良の触媒に対して(たとえば、Leu−CH−Aで30%eeから45%e
eに)改善されたエナンチオマー選択性が得られた。アミノ酸をジアミン(リン
カー)に結合させるために使用される単位も触媒のエナンチオ選択性に影響を
及ぼすことが明らかになった。たとえば、Leu−CH−A系列では、尿素リン
カーをチオ尿素で置き換えるとeeは45%から55%まで向上した。それに対
して、対応するグアニジンを結合させた系によるエナンチオ選択性は、同じシュ
トレッカー反応でわずか21%eeであった。
【0200】 ライブラリ3: ライブラリ2から得られた結果に基づいて、非極性L−アミノ酸と3−t−ブ
チル置換サリチルアルデヒド誘導体だけを組み込んだ132種類のチオ尿素誘導
体からなる大きな並行ライブラリを調製した。その結果、すべてのライブラリメ
ンバーが、式1の反応を触媒し、t−Leu−CH−OMe(OMeは3−t−
ブチル−5−メトキシサリチルアルデヒド、ライブラリ2のDを表す)の場合に
エナンチオ選択性が最高(80%ee、図4)になることが分かった。ここでも
アミノ酸成分が決定的な役割を果たすことが見られ、最もかさ高い誘導体(t−
Leu,シクロヘキシルグリシンおよびイソロイシン)で最良の結果が得られる
ことが分かった。CH−誘導体触媒に対しては、t−Leuが最も良いアミノ酸
成分であるのに対して、CP誘導体に対しては最も悪い結果を与えた。このこと
は、すべての配位子を変えて評価することの有用性を如実に表している。
【0201】 ライブラリのスクリーニングから確認された最も優れた触媒、t−Leu−C
H−OMe(1)および2は溶液状態で独立に合成し、式2および3の不斉反応
で検査した。HCNをシアン化物の供給源とした反応では、溶液相触媒1は、−
78゜CでN−アリルベンズアルジミンのシュトレッカー付加体の生成を、単離 収率78%、そして91%eeで触媒した。1は特定の基質に対して最適化され
たに過ぎないが、ある範囲のイミン誘導体に対して効果的な触媒であり、中程度
ないし高いエナンチオ選択性と収率を与えることが分かった(表1)。脂肪族イ
ミン誘導体(表1のイミンeおよびf;表2の出発イミン2〜4)は、>80% eeでヒドロシアノ化されたことは特に注目すべきである。これらは、この重要
の基質群のシュトレッカー反応で高いエナンチオ選択性が得られた初めての例で
ある10
【0202】
【化46】
【表1】
【化47】
【表2】 以上の研究から、並行合成ライブラリから確認されたキラルシッフ塩基は、シ
ュトレッカー反応に対して効果的な不斉触媒と成りうることが立証された。これ
らの系は、固相および溶液状態の両方で有望なエネンチオ選択性を示すばかりで
なく、安価な成分から容易に調製される。高いエナンチオ選択性をもたらす構造
的な特徴は、触媒成分間に直感を超えた相乗効果が現れて全く予想がつかない。
これらの結果はヒドロシアノ化反応の触媒機構に興味深い問題をもたらす。シュ
トレッカー反応に対するこの新しい触媒群を開発するためにこの問題に向けた実
験と、ここに記述してきた並行法を利用して他の重要な反応に有効な不斉触媒を
見つけだす実験を目下進めている。
【0203】 注および参考文献 (1)総説および議論につては(a)Gennari,C.;Nestler
,H.P.;Piarulli,U.;Salom,B.Liebigs An
n./Recueil 1997,637.(b)Borman,S.Chem
.Eng.News 1996,74(45)37.を参照。
【0204】 (2)(a)Francis,M.B.;Finney,N.S.;Jaco
bsen,E.N.J.Am.Chem.Soc.1996,118,8983
. (b)Burger,M.T.;Still,W.C.J.Org.Che
m.1995,60,7382. (c)Malin,R.;Steinbro
cher,R.;Jannsen,J.;Semmler,W.;Noll,B
.;Johannsen,B.;Frommel,C.;H−hne,W.;S
chneider−Mergener,J.J.Am.Chem.Soc.19
95,117,11821. (d)Hall,D.G.;Schultz,P
.G.Tetrahedron Lett.1997,38,7825 (e)
Shibata,N.;Baldwin,J.E.;Wood,M.E.Bio
rr.Med.Chem.Lett.1997,7,413. (3)(a)Briceno,G.;Chang,H.;Sun,X.;Sc
hultz,P.G.;Xiang,X.−D.;Science 1995,
270,273. (b)Danielson,E.;Golden,J.H.
;McFarland,E.W.;Reaves,C.M.;Weinberg
,W.H.;Wu,X.D.;Nature 1997,389,944. (
c)Brocchini,S.;James,K.;Tangpasuthad
ol,V.;Kohn,J.J.Am.Chem.Soc.1997,119,
4553. (d)Baker,B.E.;Kline,N.J.;Teado
,P.J.;Natan,M.J.J.Am.Chem.Soc.1996,1
18,8721. (4)小分子ライブラリの合成と評価の戦略に関する最近の総説については(
a)Hobbs DeWitt,S.;Czarnik,A.W.Acc.Ch
em.Res.1996,29,114. (b)Thomson,L.A.;
Ellman,J.A.Chem.Rev.1996,96,555. (c)
Armstrong,R.W.;Combs,A.P.;Tempest,P.
A.;Brown,S.D.;Keating,T.A.Acc.Chem.R
es.1996,29,123. (d)Still,W.C.Acc.Che
m.Res.1996,29,155. (e)Terret,N.K.;Ga
rdner,M.;Gordon,D.W.;Kobylecki,R.J.;
Steele,J.Tetrahedron 1995,51,8135.を参
照。
【0205】 (5)たとえば(a)Combs,A.P.;Kapoor,T.M.;Fe
ng,S.;Chen,J.K.;Daud Snow,L.F.;Schre
iber,S.L.J.Am.Chem.Soc.1996,118,287.
(b)Cheng,Y.;Suenaga,T.;Still,W.C.J.
Am.Chem.Soc.1996,118,1813. (c)Liang,
R.;Yan,L.;Loebach,J.;Ge,M.;Uozumi,Y.
;Sekanina,K.;Horan,N.;Gildersleeve,J
.;Thompson,C.;Smith,A.;Biswas,K.;Sti
ll,W.C.;Kahne,D.Science1996,274,1520
.を参照。
【0206】 (6)たとえば、Kick,E.K.;Roe,D.C.;Skillman
,A.G.;Liu,G.;Ewing,T.J.A.;Sun,Y.;Kun
tz,I.D.;Ellman,J.A.Chem.Biol.1997,4,
297.を参照。
【0207】 (7)関連する研究については、(a)Burgess,K.;Lim,H.
−J.;Porte,;A.M.;Sulikowski,G.A.;Ange
w.Chem.int.Ed.Engl.1996,35,220. (b)C
ole,M.B.;Shimizu,K.D.;Krueger,C.A.;H
arrity;J.P.A.;Snapper,M.L.;Hoveyda,A
.H.Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1966,35,16
68を参照。BurgessとSulikowskiは、一連の既知配位子と一
連の金属イオンを組み合わせて調製した空間的に配列された金属配位子錯体のラ
イブラリを評価した。SnapperとHoveydaは、固体担体上に合成さ
れる触媒の最適化に対する戦略を開発し、「位置的走査(positional
scanning)」と名付けた。この戦略では、触媒の配位子成分を一つ一
つ連続的に最適化させて行く手法が取られる。あらゆる可能な変更を配位子に加
えてそれを評価する、本報のコンビナトリアル手法と違い、SnapperとH
oveydaの手法は、可能性のある配位子のごく一部だけを調製することにな
るため、特に有効な配位子の組み合わせを見落とす可能性がないとは言えない。
しかしそれでも、彼らの手法は、配位子成分を変化させる順序に関係なく、同じ
最適な触媒構造に到達している。
【0208】 (8)(a)Aratani,T.;Yoneyoshi,Y.;Nagas
e,T.;Tetrahedron Lett.1975,1707. (b)
Hayashi,M.;Inoue,T.;Miyamoto,Y.;Ogun
i,N.Tetrahedron,1994,50,4385. (c)Car
reira,E.M.;Singer,R.A.;Lee,W.J.Am.Ch
em.Soc.1994,116,8837. (d)Bolm,C.;Bie
newald,F.Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1995
,34,2641. (9)反応は1mLの試験管中で行った。詳細は「支持情報」の項に記載して
ある。
【0209】 (10)(a)Iyer,M.S.;Gigstad,K.M.;Namde
v,N.D.;Lipton,M.J.Am.Chem.Soc.1996,1
18,4910. (b)独立した研究で、最近、当発明者はアルミニウムをベ
ースにしたシュトレッカー反応用不斉触媒を同定した:Sigman,M.S.
;Jacobsen,E.N.投稿中。
【0210】 補足事項 総論: 100〜200μmのアミノメチル化ポリスチレン(0.44mmol/g)
は、Novabiochem社から購入し、使用前にDMF,THFおよびトル
エンで洗浄した。Fmocアミノ酸は、Advanced Chemtechか
ら購入しそのまま使用した。TMSCNは、アルドリッチ社から購入し、使用前
に蒸留した。TBSCNはアルドリッチ社から購入しそのまま使用した。(R,
R)−1,2−ジアミンシクロヘキサンおよび(R,R)−ジフェニル−1,
2−エチレンジアミンは文献に記載の方法によって分割した。CPは文献に記
載の方法によって合成した。サリチルアルデヒドは公表されている方法に従っ
て合成した1。ライブラリ1(リンカー/尿素)に対しては、アミノメチル化ス チレンから6−アミノカプロン酸を使用し、方法bおよびcによって誘導体に変
換した(下記)。すべてのカップリング反応は、1.5mLまたは10mLの使
い捨て多孔板付きクロマトグラフィカラムで行った。反応が終了したら、反応物
を濾過し、特に断らない限りDMF、THF、CHClおよびトルエンで洗
った。すべてのアミノ酸カップリング反応の進行状態は、Fmocの開裂で2m
gの樹脂試料から放出されるジベンゾフルベンのUV定量分析によって追跡した
。チオ尿素および尿素の生成は、イソチオシアネートおよびp−ニトロフェニル
カルバメートの吸収帯をIR分析することによって追跡した。
【0211】 固相尿素ライブラリ合成:
【化48】 合成の概略: (a)ライブラリを適当な数のバイアル瓶に分割する。(b)2.5eqのF
moc−アミノ酸、2.5eqのHBTU、5eqのDIPEA、2.5eqの
HOBT、DMF、2時間。(c)ピペリジンをDMFに溶解した30%溶液、
30分。(d)0.5M p−ニトロフェニル=クロロフォーメート、0.5M
DIPEA、THF/CHCl(1/1 v/v)、30分(THFおよび
CHClのみで洗浄)。(e)0.5M ジアミン、TEA、DMF、3 時間。(f)アルデヒド、DMF、1h。
【0212】 固相チオ尿素ライブラリ合成:
【化49】 合成の概略: (a)ライブラリを適当な数のバイアル瓶に分割する。(b)2.5eqのF
moc−アミノ酸、2.5eqのHBTU、5eqのDIPEA、2.5eqの
HOBT、DMF、2時間。(c)ピペリジンをDMFに溶解した30%溶液、
30分。(d)0.5M チョカルボニル尿素、THF、30分(THFおよび CHClのみで洗浄)。(e)0.5M ジアミン、TEA、DMF、3時 間。(f)アルデヒド、DMF、1h。
【0213】 固相金属錯体の生成: 代表的なライブラリのメンバーとしてロイシン−CH−Aを使い、樹脂を金属
源の0.1M溶液に懸濁させ、表3に記載した時間だけ攪拌した。樹脂をTHF
、CHCl、トルエンで洗い、減圧乾燥した。1−ニトロソー2ーナフトー
ル(NNP)またはピロカテコールバイオレット(PCV)による呈色試験によ
って金属が組み込まれたか否か検査した(表3)。
【0214】
【表3】 シュトレッカー反応のスクリーニング: 500μLの試験管に、樹脂1mg(バイアル瓶当たり一つのライブラリメン
バー、4.4mol%)、イミンの200mMトルエン溶液50μLおよびTB
SCNの250mMトルエン溶液50μLを入れた。各バイアル瓶にゴム製セプ
タムで栓をし15時間攪拌した。それから、反応液20μLを採取し、無水トリ
フルオロ酢酸のジクロロエタン溶液(100mM)400μLを加えて反応を停
止させた。20m×0.25mmγ−TAキラルカラムを付けた自動試料採取G
Cによって、反応率およびエナンチオ選択性を決定した。
【0215】 (Advanced Separation Technologies I
nc.,37 Leslie Ct, P.O.B. 297,Whippan
y,NJ 07981, 110゜C低温,25分) 溶液相触媒の合成:
【化50】 (ベンジル−t−ロイシン): Fmoc−tert−ロイシン500mg(1.41mmol)とDIPEA
0.54mL(3.11mmol,2.2当量)のアセトニトリル溶液にHBT
U590mg(1.55mmol,1.1当量)を加えた。1分後に、ベンジル
アミン309μL(2.82mmol,2.0当量)を加え、反応混合物を30
分間攪拌した。混合物をCHCl(50mL)とHO(50mL)との間に
分配した。有機層をHO(2×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥後、
減圧濃縮した。得られた残留物をシリカの薄い層を通して濾過し、4%MeOH
/CHClで溶出させた。溶媒を減圧留去し、残留物を1:1ピペリジン/
MeOH10mLに溶かし、30分間攪拌し、続いてCHCl 50mLとH
2O25mLの間に分配した。有機層をH2O(50mL)で洗い、NaSO で乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィ(5%MeOH/CH2 Cl2)で精製し、白色固体242mg(収率78%、2段階)を得た;mp5 3〜54゜C;IR(KBr)3303,1650cm−1H NMR(40
0MHz,CDCl3)δ7.33(m,5H),7.05(s,1H),4. 45(d,J=0.9Hz,1H),4.43(d,J=0.9Hz,1H),
3.14(s,1H),1.41(s,2H),1.01(s,9H),;13 C NMR{H}(100MHz,CDCl)δ173.4,138.5, 128.5,127.8,127.3,64.3,43.0,34.1,26.
7;高分解能MS m/z(M+H)計算値221.1654,測定値221. 1658。
【0216】 ベンジル−tert−ロイシン−CH−3(1): チオカルボニルイミダゾール45mg(0.255mmol,1.1当量)を
CHCl2mLに溶解した0゜Cの溶液に、ベンジル−t−ロイシン(51 mg,0.232mmol)をCHCl2mLに溶解してあらかじめ冷却し
た溶液を1分間で加えた。10分後に、溶液をシリカゲルの薄い層に通して濾過
し、CHClで溶出させた。溶媒を約2mLまで濃縮し、(R,R)−1,
2−ジアミノシクロヘキサン(132mg,1.16mmol,5当量)をCH Cl 1mLに溶解した溶液に攪拌しながらゆっくり加えた。30分後に、 反応混合物をCHCl(20mL)とHO(20mL)の間に分配した。
有機層をHO(2×20mL)で洗い、NaSOで乾燥後、減圧濃縮した
。NMR分析の結果、得られた残留物は2種類の主要成分の混合物であることが
分かった。この混合物をMeOHmLに溶かし、3 24mg(0.114m
mol)で処理し、1時間攪拌を続けた。溶媒を減圧で除き、残留物をシリカゲ
ルクロマトグラフィ(1%MeOH/CHCl)で精製し、黄色固体242
mgを18%の通算収率で得た(3段階);ベンゼン/ヘキサン(1:3)から
再結晶した。mp115゜C;IR(KBr)330,2942,1649,1 535cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ13.80(s
,1H),8.18(s,H),7.20(d,J=2.9Hz,1H),7.
05(m,4H),6.99(m,1H),6.85(br,1H),6.68
(d,J=2.9Hz,1H),6.20(br,1H),5.56(br,1
H),5.01(br,1H),4.29(dd,J=6.4,15Hz,1H
),4.07(br,1H),3.87(dd,J=5.1Hz,1H),3.
50(br,3H),2.99(br,1H),1.91(s,1H),1.5
8(s,9H),1.58〜1.01(m,5H),0.97(s,9H); C NMR{H}(100MHz,CDCl)δ170.7,165.7 ,154.8,151.2,138.9,137.6,128.7,127.9
,127.8,127.6,118.6,118.0,111.8,77.2,
66.5,57.1,55.9,43.6,35.0,34.8,32.9,3
1.1,29.3,26.8,24.0,23.4;高分解能 MS m/z(M
+Na)計算値589.3188,測定値589.3183。
【0217】 溶液相触媒のスクリーニング: 炎であぶって乾燥させた10mL丸底フラスコに1(1.8mg,3.5μm
ol,2mol%),イミン(25mg0.17mmol)およびトルエン0.
7mLを入れた、混合物を−78゜Cに冷却し、HCNの2.8Mトルエン溶液 125μlを加えた。24時間攪拌した後、TFAA(2当量)を加えて反応を
停止し、環境温度まで昇温した。溶媒を減圧留去した後、残留物を精製し、下記
に従って分析した。
【0218】
【化51】 (10a):フラッシュクロマトグラフィ(3:2 ヘキサン:CHCl )で精製した後、透明な油状物として収率78%、キラルGC分析(γ−TA,
110゜C定温,t(多量成分)=21.7分,t(少量成分)=24.5分) で91%eeで得られた。IR(薄膜)2936,2249,1701cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ7.45(m,5H),6.6 5(s,1H),5.66(m,1H),5.19(d,J=10.2Hz,1
H),5.13(d,J=17.0Hz,1H),4.15(dd,J=4.7
,17.0Hz,1H),3.91(dd,J=6.0,17.0Hz,1H)
13C NMR{H}(100MHz,CDCl)δ157.9(q,J
=38Hz),131.1,130.1,129.4,127.8,120.3
,117.5(q,J=288Hz),115.2,49.8,48.6;高分
解能 MS m/z(M+NH )計算値286.1167,測定値286.1
163。
【0219】
【化52】 (10b):フラッシュクロマトグラフィ(3:2 ヘキサン:CHCl )で精製した後、透明な油状物として収率92%、キラルHPLC分析(Chi
ralcel AS,5%IPA/ヘキサン,1ml/min,t(多量成分) =9.7分,t(少量成分)=11.5分)で70%eeで得られた。IR(薄
膜)2940,1701,1613cm−1H NMR(400MHz,C DCl)δ7.36(d,J=8.6Hz,2H),6.94(d,J=8.
6Hz,2H),6.57(s,1H),5.65(m,1H),5.19(d
,J=10.2Hz,1H),5.14(d,J=17.2Hz,1H),4.
15(dd,J=4.2,17.0Hz,1H),3.87(dd,J=6.2
,17.0Hz,1H)3.83(s,3H);13C NMR{H}(10
0MHz,CDCl)δ160.9,157.8(q,J=38Hz),13
1.4,129.5,121.9,120.1,117.5(q,J=288H
z),115.6,114.8,55.5,49.4,48.3;高分解能 M S m/z(M)計算値298.0929,測定値298.0936。
【0220】
【化53】 (10c):フラッシュクロマトグラフィ(3:2 ヘキサン:CHCl )で精製した後、透明な油状物として収率65%、キラルHPLC分析(Chi
ralcel AS,5%IPA/ヘキサン,1ml/min,t(多量成分) =6.2分,t(少量成分)=8.1分)で86%eeで得られた。IR(薄膜
)2936,1701cm−1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7
.56(d,J=8.4Hz,2H),7.31(d,J=8.4Hz,2H)
,6.52(s,1H),5.65(m,1H),5.21(d,J=10.2
Hz,1H),5.15(d,J=17.1Hz,1H),4.15(dd,J
=5.5,17.0Hz,1H),3.92(dd,J=6.3,17.0Hz
,1H);13C NMR{H}(100MHz,CDCl)δ157.7
,132.7,131.0,129.5,124.5,120.8,117.4
,114.8,114.5,49.6,49.0;高分解能 MS m/z(M )計算値345.9929,測定値345.9931。
【0221】
【化54】 (10d):フラッシュクロマトグラフィ(3:2 ヘキサン:CHCl )で精製した後、白色固体として収率88%、キラルHPLC分析(Chira
lcel AS,5%IPA/ヘキサン,1ml/min,t(多量成分)=7 .0分,t(少量成分)=8.4分)mp72−73℃で88%eeで得られた
。IR(薄膜)3061,2934,1701cmー1;1H NMR(400MH
z,CDCl)δ8.06(s,1H),7.90(m,B),7.59(m
,2H),7.37(m,1H),6.85(s,1H),5.69(m,1H
),5.17(d,J=10.4Hz,1H),5.12(d,J=17.2H
z,1H),4.20(dd,J=4.9,17.0Hz,1H),3.50(
dd,J=6.5,17.0Hz,1H);13C NMR{H}(100M
Hz,CDCl)δ157.9(q,J=38Hz),133.6,132.
9,131.2,129.8,128.3,128.1,127,9,127.
7,127.4,124.2,120.4,117.6(q,J=287Hz)
,115.4,114.7,50.0,48.6;高分解能 MS m/z(M )計算値318.0980,測定値318.0974。
【0222】
【化55】 (10e):フラッシュクロマトグラフィ(3:2 ヘキサン:CHCl )で精製した後、透明な液体として収率70%、キラルGC分析(γ−TA,1
12゜C定温,t(多量成分)=4.0分,t(少量成分)=6.0分)で85 %eeで得られた。IR(薄膜)2972,1705cm−1H NMR( 400MHz,CDCl)δ5.87(m,1H),5.33(d,J=10
.4Hz,1H),5.25(d,J=17.2Hz,1H),4.25(s(
br),2H),1.16(s,9H);13C NMR{H}(100MH
z,CDCl)δ157.5(J=37Hz),132.0,119.0,1
17.4(q,J=286Hz),115.3,56.7,40.5,38.1
,26.9;高分解能 MS m/z(M+NH )計算値266.1480,
測定値266.1481。
【0223】
【化56】 (10f):フラッシュクロマトグラフィ(3:2 ヘキサン:CHCl )で精製した後、透明な油状物として収率77%、キラルGC分析(γ−TA,
120゜C定温,t(多量成分)=13.6分,t(少量成分)=15.6分) で83%eeで得られた。IR(薄膜)2936,2859,1704cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ5.85(m,1H),5.3 8(d,J=15.7Hz,1H),5.35(d,J=9.8Hz,1H),
4.65(d,J=10.6Hz,1H),4.26(dd,J=4.9,16
.9Hz,1H),4.26(dd,J=6.9,16.9Hz,1H),2.
09(m,2H),1.84〜1.60(m,4H),1.40〜0.85(m
,5H);13C NMR{H}(100MHz,CDCl)δ157.8
(J=37Hz),131.6,120.6,117.4(q,J=286Hz
),115.9,53.6,50.4,38.3,30.0,28.9,25.
7,25.3,25.1;高分解能 MS m/z(M+ NH )計算値29 2.1637,測定値292.1625。
【0224】 絶対配置の決定: ラセミ体および(R)体フェニルグリシンをメチルエステルに変換し、酢酸
アリルでア リル化した(Pd触媒)。生成物のトリフルオロアセタミドのキラルGC分析
(γ−TA,112゜C定温)による保持時間は、36.0(R)および37. 62(S)であった。不斉シュトレッカー反応生成物をアリルアミノ酸メチルエ
ステルに加水分解した。キラルGC分析によると主要エナンチオマーは(S)体
であることが分かった。もう一つの化合物は類推によって(S)アミノニトリル
に帰属させた。
【0225】
【化57】 IR(薄膜)3338,1738cm−1H NMR(400MHz,CD Cl)δ7 .34(m,5H),5.88(ddd,J=6.1,10.1,17.2Hz
,1H),5.17(dd,J=1.6,17.2Hz,1H),5.12(d
d,J=1.3,10.1Hz,1H),4.41(s,1H),3.69(s
,3H),3.21(dd,J=6.1,1.0Hz,1H),3.19(dd
,J=6.1,1.0Hz,1H);13C NMR{H}(100MHz,
CDCl)δ173.3,137.9,135.9,128.0,127.4
,116.7,64.3,52.1,50.0;高分解能 MS m/z(M+H
)計算値206.1181,測定値206.1174。
【0226】 (1) Larrow, J.F.;Jacobson,E.N.;Gao,Y
.;Hong,Y.;Nie,X.Zepp,C.M.J.Org.Chem.
1994,59,1939. (2) Pikul,S.;Corey,E.J.Org.Synth.71,
22. (3) Reddy,D.R.;Thorton,E.R.J.Chem.So
c.Commun.1992,172. (4) (a)Hutchins,S.M.;Chapman,K.T.Tet
rahedron Lett.,1994,35,4055.(b)Hutch
ins,S.M.;Chapman,K.T.Tetrahedron Let
t.,1995,36,2583. (5) Bodansky,M.;Bodansky,A.The Pract ice of Peptide Synthesis Springer−Ve
rlag:New York,1994,p30. (6) Takahashi,K.;Miyake,A.;Hata,G.Bu
ll.Chem.Soc.Japan 1972,45,230. 本明細書に引用したすべての参照文献および刊行物は、参照によって組み込まれ
る。
【0227】 等価物 当業者は、日常的な実験手法のみを使用して、本明細書に記述された具体的な
ポリペプチド、核酸、方法、検定法および試薬の数多くの等価物を認識し、また
は確認することができよう。このような等価物は本発明の範囲内にあるものと考
えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 潜在的な触媒形の一般化された構造を示す。
【図2】 ライブラリ1〜3の構成員の構造を示す。
【図3】 利用される金属非含有触媒の構造の関数としての触媒されたストレッカー反応
において観察されるエナンチオ選択性を示す。
【図4】 ライブラリ3の構成員を利用した触媒されたストレッカー反応において観察さ
れるエナンチオ選択性を示す。
【図5】 潜在的触媒のライブラリの発生のための複合方法を模式的に示す。
【図6】 チオ尿素含有触媒のライブラリおよびライブラリ作成の基となった要員を示す
(RはL−アミノ酸の側鎖であり;RおよびRは一緒になってシクロヘキ
シル環を形成し;置換されたフェニルキは使用したアルデヒドから誘導する)。
【図7】 図6に示すチオ尿素含有触媒のライブラリの個々の構成員により触媒した場合
に示される変換において得られるエナンチオ選択性をグラフで示す(4および6
は最大のエナンチオ選択性を与えた触媒2種の調製においてt−ロイシンと共に
使用したアルデヒドである)。
【図8】 この図に示す尿素含有触媒を利用した多くの基質へのシアン化物の触媒された
付加において得られる収率とエナンチオマー過剰を示す。
【図9】 特定のチオ尿素含有樹脂結合触媒を用いた回数の関数としての特異的付加反応
において得られた収率とエナンチオマー過剰を示す。
【図10】 チオ尿素含有樹脂結合触媒に依存したt−ロイシンのエナンチオ選択的な4段
階合成を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 シグマン,マシュー エス アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 02144 サマーヴィル エリントン スト リート 23 Fターム(参考) 4G069 AA04 AA20 BA21A BA21B BA29A BA29B BE19A BE19B BE21A BE33A BE34A BE34B BE36A BE36B BE37A BE37B BE38A BE38B BE47A CB01 CB02 CB07 CB25 CB38 CB41 CB57 CB59 4H006 AA02 AC54 AC60 AD30 BA49 BA50 BA51 BA52 BA53

Claims (54)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)有望な触媒の多様性なライブラリを化学的に合成する
    工程、および (b)有望な触媒のライブラリをスクリーニングして興味ある変換反応を触媒す
    る候補を同定する工程を含むことを特徴とする化学変換反応のための新規触媒を
    発見し最適化するための並行コンビナトリアル方法。
  2. 【請求項2】 有望な触媒が、天然のあるいは非天然のアミノ酸を含むこと
    を特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 ライブラリが、立体選択的反応を触媒する触媒を含むことを
    特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 ライブラリが、化学選択的および/または位置選択的反応を
    触媒する触媒を含むことを特徴とする請求項1の方法。
  5. 【請求項5】 有望な触媒が、アクリダルシン、アクリジン、アントラセン
    、アルシンドール、アルシンドリン、アゼパン、ベンゼン、カルバゾール、カル
    ボリン、クロメン、シンノリン、フラン、フラザン、ヘキサヒドロピリダジン、
    ヘキサヒドロピリミジン、イミダゾール、インダン、インダゾール、インドール
    、インドリジン、イソアルシンドール、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソ
    インドール、イソホスフィンドール、イソホスフィノリン、イソキノリン、イソ
    アルシノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、モルホリン、ナフタレン、
    ナフチリジン、オキサゾール、オキソラン、ペリミジン、フェナントレン、フェ
    ナントリジン、フェナントロリン、フェナルサジン、フェナジン、フェノメルク
    ラジン、フェノメルクリン、フェノホスファジン、フェノセレナジン、フェノテ
    ルラジン、フェノチアルシン、フェノキサンチモニン、フェノキサホスフィン、
    フェノキサルシン、フェノキサセレニン、フェノキサテルリン、フェノチアジン
    、フェノキサチイン、フェノキサジン、ホスファンテン、ホスフィンドール、ホ
    スフィノリン、フタラジン、ピペラジン、ピペラジン、ピペリジン、ピペリジン
    、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン
    、ピリミジン、ピロリジン、ピロリジン、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、
    キノリジン、キノキサリン、セレナントレン、セレノフェン、テルロフェン、テ
    トラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、チアントレン、チアゾール、チオ
    ラン、チオフェンおよびキサンテンから成る群から選択される環構造を含むこと
    を特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 有望な触媒が、ビシクロ[x.y.z]アルカン(式中、x
    ,yおよびzはそれぞれ独立にゼロまたは1以上の整数である)を含むことを特
    徴とする請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 有望な触媒が不斉中心を含むことを特徴とする請求項1記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 有望な触媒のライブラリが、その鏡像と重ならない触媒を含
    むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 ライブラリが、少なくとも100種類の触媒を含むことを特
    徴とする請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 ライブラリが、少なくとも1,000種類の触媒を含むこ
    とを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 ライブラリが、少なくとも10,000種類の触媒を含む
    ことを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 有望な触媒が、糖またはオリゴ糖を含むことを特徴とする
    請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 糖またはオリゴ糖がペントース糖、ヘキソース糖、ペント
    ースアザ糖、および/またはヘキソースアザ糖から成ることを特徴とする請求項
    12記載の方法。
  14. 【請求項14】 ライブラリが固体担体上で合成されることを特徴とする請
    求項1から13いずれか1項記載の方法。
  15. 【請求項15】 ライブラリが溶液状態で合成されることを特徴とする請求
    項1から13いずれか1項記載の方法。
  16. 【請求項16】 選択された触媒を、有望な触媒の第2ライブラリのリード
    の構造として使用し、有望な触媒の前記第2ライブラリをスクリーニングにかけ
    て興味ある変換反応を触媒するそれらのメンバーを同定し、その際、第2ライブ
    ラリのメンバーの少なくとも1つが、第1ライブラリからの触媒に比べて、興味
    ある変換反応に対して改善された触媒であることを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  17. 【請求項17】 記載のプロセスを、1回ないしさらに10回ほど反復して
    、興味ある変換反応に対する少なくとも1つの触媒を得ることを特徴とする請求
    項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 選択された触媒が、速度論的分割、位置選択的反応、化学
    選択的反応、ジアステレオ選択的反応、立体選択的反応、官能基間相互変換反応
    、水素化、酸化、還元、ラセミ体混合物の分割、付加環化、シグマトロピー転位
    、電子環化反応、開環、カルボニルへの付加、カルボニル基の還元、オレフィン
    への付加、オレフィンの還元、イミンへの付加、イミンの還元、オレフィンのエ
    ポキシ化、オレフィンのアジリジン化、炭素−炭素結合の生成、炭素−ヘテロ原
    子結合の生成およびヘテロ元素−ヘテロ元素結合の生成を含む変換反応の組から
    選択された反応を触媒することを特徴とする請求項1、16または17記載の方
    法。
  19. 【請求項19】 検出可能な現象の観察に基づいて触媒を選択することを特
    徴とする請求項1、16または17記載の方法。
  20. 【請求項20】 検出できる現象が、ガスの発生、光子の放出おおび沈殿の
    生成を含む組のメンバーであることを特徴とする請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 次の一般構造模式図: 【化1】 (式中、球は、固体の担体を表し、 リンカーおよびリンカーは、側鎖および/立体中心を持つ、または持たない
    二官能性分子から成る群からそれぞれ独立に選択され、 アミノ酸は、天然または非天然のアミノ酸であり、そして 触媒構造部分は、既知の触媒の触媒活性部分を含む組から選択される) を有する有望な触媒のライブラリとその各メンバー。
  22. 【請求項22】 リンカーおよびリンカーが、ジアミン、ジオール、ア
    ミノアルコールおよび二酸から成る群からそれぞれ独立に選択され、触媒構造部
    分が、サレネート(salenates)、ポルフィリン、シッフ塩基を含む構
    造、ジケトピペラジン、オリゴアミン、オリゴアルコール、アミノアルコール、
    オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチドを含む組から選択されることを特徴と
    する請求項21記載の有望な触媒のライブラリとその各メンバー。
  23. 【請求項23】 触媒構造部分が、基質に対して単座配位子、二座配位子、
    三座配位子または四座配位子であることを特徴とする請求項22記載のライブラ
    リとその各メンバー。
  24. 【請求項24】 ライブラリが、少なくとも100種類の有望な触媒を含む
    ことを特徴とする請求項21、22、または23記載のライブラリ。
  25. 【請求項25】 ライブラリが、少なくとも1,000種類の有望な触媒を
    含むことを特徴とする請求項21、22または23記載のライブラリ。
  26. 【請求項26】 ライブラリが、少なくとも10,000種類の有望な触媒
    を含むことを特徴とする請求項21、22または23記載の有望な触媒のライブ
    ラリとその各メンバー。
  27. 【請求項27】 選択された触媒を、有望な触媒の第2ライブラリのリード
    の構造として使用し、有望な触媒の前記第2ライブラリをスクリーニングにかけ
    て興味ある変換反応を触媒するそれらのメンバーを同定し、その際、第2ライブ
    ラリのメンバーの少なくとも1つが、第1ライブラリからの触媒に比べて、興味
    ある変換反応に対して改善された触媒であることを特徴とする請求項21、22
    または23記載のライブラリおよび個々の触媒。
  28. 【請求項28】 記載のプロセスを、1回ないしさらに10回ほど反復して
    、興味ある変換反応に対する少なくとも1つの触媒を得ることを特徴とする請求
    項27記載のライブラリおよび個々の触媒。
  29. 【請求項29】 選択された触媒が、速度論的分割、位置選択的反応、化学
    選択的反応、ジアステレオ選択的反応、立体選択的反応、官能基間相互変換反応
    、水素化、酸化、還元、ラセミ体混合物の分割、付加環化、シグマトロピー転位
    、電子環化反応、開環、カルボニルへの付加、カルボニルの還元、オレフィンへ
    の付加、オレフィンの還元、イミンへの付加、イミンの還元、オレフィンのエポ
    キシ化、オレフィンのアジリジン化、炭素−炭素結合の生成、炭素−ヘテロ原子
    結合の生成およびヘテロ元素−ヘテロ元素結合の生成を含む変換反応の組から選
    択された反応を触媒することを特徴とする請求項27または28記載の方法。
  30. 【請求項30】 検出可能な現象の観察に基づいて触媒を選択することを特
    徴とする請求項27または28記載の方法。
  31. 【請求項31】 検出できる現象が、ガスの発生、光子の放出おおび沈殿の
    生成を含む組のメンバーであることを特徴とする請求項30記載の方法。
  32. 【請求項32】 シュトレッカー反応、アルドール付加、アルドール縮合、
    マイケル付加、クライゼン転位、コープ転位、オレフィンのジヒドロキシル化、
    オレフィンのエポキシ化、オレフィンのアジリジン化、ダルザン(Darzen
    s)縮合、ディールスーアルダー反応、ヘテロディールスーアルダー反応、エン
    反応、ヘテロエン反応、ヴィッティヒ転位、ナザロフ環化、炭素−ヘテロ原子π
    結合へのグリニャール試薬の不斉付加、炭素−ヘテロ原子π結合への有機リチウ
    ム試薬の不斉付加、不斉ロビンソンアニュレーション反応およびシモンズ−スミ
    ス反応を含む組から選択される変換反応のための触媒の発見と最適化のための並
    行コンビナトリアル方法。
  33. 【請求項33】 次の一般構造式: 【化2】 (式中、Bは、単環式または多環式基を表し、 C、CおよびCは、それぞれキラルな炭素原子を表し、 Xは、O、SまたはNHを表し、 Jは、水素結合ドナーとして働く少なくとも1つの官能基を含むリンカー基を表
    し、 R103は、水素結合ドナー、ルイス塩基性基または両方の性質を持った基を表
    し、 R104は、最大20個まで(好ましくは2〜10個)の炭素を含む立体的にか
    さ高い脂肪 族またはシクロ脂肪族置換基を表し、 R105は、不在か、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、チオ
    アシル、ア ルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホナート、ホスフィン、カルボ
    ニル、カルボキシル、カルボキサミド、酸無水物、シリル、チオアルキル、アル
    キルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、
    エステル、ヘテロアルキル、アミジン、アセタール、ケタール、アリール、ヘテ
    ロアリール、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド
    、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、尿素、チオ尿素
    または−(CH−R80から成る群から選択されるBの1個または複数個
    の追加置換基を表し、そして R106およびR107は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニ
    ル、アシル、チオアシル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホ
    ナート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、酸無水物、
    シリル、チオアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアル
    キル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、アミジン、アセタール
    、ケタール、アリール、ヘテロアリール、アジリジン、カルバメート、エポキシ
    ド、ヒドロキサム酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカ
    ルバメート、尿素、チオ尿素または−(CH−R80を表すか、または R106およびR107は、CおよびCと一緒に取って環中に4ないし8個
    の原子を持つ環を形成し、 R108およびR109は、それぞれ独立にアルキルを表し、そしてR108
    (C(X)R109)が同じでない場合は(この条件は、Cの前記キラリティ
    を含意する)、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、チオアシル、アル
    キルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホナート、ホスフィン、カルボニ
    ル、カルボキシル、カルボキサミド、酸無水物、シリル、チオアルキル、アルキ
    ルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エ
    ステル、ヘテロアルキル、アミジン、アセタール、ケタール、アリール、ヘテロ
    アリール、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、
    オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、尿素、チオ尿素ま
    たは−( CH−R80を表し、 R80は、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、
    シクロアルケニル、ヘテロ環または多環を表し、そして mは、0ないし8(含む)の範囲から選択される整数)によって表される触媒。
  34. 【請求項34】 Xが、Sまたは0であることを特徴とする請求項33記載
    の触媒。
  35. 【請求項35】 R103が、−NH、−OHまたは−SH、またはそれ
    らによって置換された低級アルキルであることを特徴とする請求項33記載の触
    媒。
  36. 【請求項36】 R104が、R103に対してオルト位、B上のイミン置
    換基に対してメタ位の位置でBに結合していることを特徴とする請求項33記載
    の触媒。
  37. 【請求項37】 R104が、低級アルキル基またはアルコキシル基である
    ことを特徴とする請求項33記載の触媒。
  38. 【請求項38】 R106およびR107が、C−Cアルキル基である
    か、またはCおよびCと一緒に、環中に4ないし8個の原子を有する環を形
    成することを特徴とする請求項33記載の触媒。
  39. 【請求項39】 Jが、−NH−Y−NH−によって表され、 Yが、 【化3】 から成る群から選択され、 Qが、SまたはOを表し、そして R46が、水素、低級アルキルまたはアリール を表すことを特徴とする請求項33記載の触媒。
  40. 【請求項40】 Yが、−C(=Q1)−であり、Q1が、OまたはSである
    ことを特徴とする請求項39記載の触媒。
  41. 【請求項41】 R108が、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたは
    ヘテロアリール基を表すことを特徴とする請求項33記載の触媒。
  42. 【請求項42】 R108が、天然に存在するα−アミノ酸またはそのアナ
    ローグの側鎖を表すことを特徴とする請求項33、39または40記載の触媒。
  43. 【請求項43】 R108が、アミノ基であることを特徴とする請求項42
    記載の触媒。
  44. 【請求項44】 次の一般構造式: 【化4】 (式中、Aは、単環式または多環式基を表し、 Bは、単環式または多環式基を表し、 Cは、キラルな炭素原子を表し、 Xは、O、SまたはNHを表し、 R103は、水素結合ドナー、ルイス塩基性基または両方の性質を持った基を表
    し、 R104は、最大20個までの炭素を含む立体的にかさ高い脂肪族またはシクロ
    脂肪族置換 基を表し、 R105は、不在か、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、チオ
    アシル、ア ルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボ
    ニル、カルボキシル、カルボキサミド、酸無水物、シリル、チオアルキル、アル
    キルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、
    エステル、ヘテロアルキル、アミジン、アセタール、ケタール、アリール、ヘテ
    ロアリール、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド
    、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、尿素、チオ尿素
    または−(CH−R80から成る群から選択されるBの1個または複数個
    の追加置換基を表し、そして R108およびR109は、それぞれ独立にアルキルを表し、そしてR108
    (C(X)R109)が同じでない場合は(この条件は、Cの前記キラリティ
    を含意する)、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、チオアシル、アル
    キルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィン、カルボニ
    ル、カルボキシル、カルボキサミド、酸無水物、シリル、チオアルキル、アルキ
    ルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、エ
    ステル、ヘテロアルキル、アミジン、アセタール、ケタール、アリール、ヘテロ
    アリール、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム酸、イミド、
    オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、尿素、チオ尿素ま
    たは−(CH−R80を表し、 R110は、不在か、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、チオ
    アシル、アルキルチオ、イミン、アミド、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィ
    ン、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、酸無水物、シリル、チオアル
    キル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、ア
    ルデヒド、エステル、ヘテロアルキル、アミジン、アセタール、ケタール、アリ
    ール、ヘテロアリール、アジリジン、カルバメート、エポキシド、ヒドロキサム
    酸、イミド、オキシム、スルホンアミド、チオアミド、チオカルバメート、尿素
    、チオ尿素または−(CH−R80から成る群から選択されるAの1個ま
    たは複数個の追加置換基を表し、そして R80は、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、
    シクロアルケニル、ヘテロ環または多環を表し、そして mは、0ないし8(含む)の範囲から選択される整数)によって表される触媒。
  45. 【請求項45】 Aが、環構造中に5、6または7個の炭素を有するシクロ
    アルキルであることを特徴とする請求項44記載の触媒。
  46. 【請求項46】 次の一般式: 【化5】 (式中、Xは、各出現に対してそれぞれ独立に、O、SまたはNRを表し、 R,R,RおよびRは、各出現に対してそれぞれ独立に、水素、アルキル
    、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリール、 Rは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ホルミ
    ルまたは アシル、 Rは、不在か、存在しても4回以上出現せず、そして nは、0ないし2(含む)の範囲から選択される整数) によって表される触媒。
  47. 【請求項47】 Xは、各出現に対して、それぞれ独立にOまたはSを表し
    、 R, R,RおよびRは、各出現に対してそれぞれ独立に、水素、アルキ ル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリール、 Rは、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリール、 Rは、不在、そして nは、0ないし2(含む)の範囲から選択される整数) であることを特徴とする請求項46記載の触媒。
  48. 【請求項48】 Xは、各出現に対してそれぞれ独立に、OまたはSを表し
    、 R, R,RおよびRは、各出現に対してそれぞれ独立に、水素、アルキ ル、アリール、ヘテロアルキルまたはヘテロアリール、 Rは、ホルミルまたはアシル、 Rは、不在、そして nは、0ないし2(含む)の範囲から選択される整数) であることを特徴とする請求項47記載の触媒。
  49. 【請求項49】 前記触媒が、エナンチオ選択的またはジアステレオ選択的
    な変換反応を触媒し、それぞれ少なくとも75%のエナンチオマーまたはジアス
    テレオマー過剰の生成物をもたらすことを特徴とする請求項33、44または4
    6記載の触媒。
  50. 【請求項50】 前記触媒が、エナンチオ選択的またはジアステレオ選択的
    な変換反応を触媒し、それぞれ少なくとも80%のエナンチオマーまたはジアス
    テレオマー過剰の生成物をもたらすことを特徴とする請求項33、44または4
    6記載の触媒。
  51. 【請求項51】 前記触媒が、エナンチオ選択的またはジアステレオ選択的
    な変換反応を触媒し、それぞれ少なくとも85%のエナンチオマーまたはジアス
    テレオマー過剰の生成物をもたらすことを特徴とする請求項33、44または4
    6記載の触媒。
  52. 【請求項52】 前記触媒が、エナンチオ選択的またはジアステレオ選択的
    な変換反応を触媒し、それぞれ少なくとも90%のエナンチオマーまたはジアス
    テレオマー過剰の生成物をもたらすことを特徴とする請求項33、44または4
    6記載の触媒。
  53. 【請求項53】 前記触媒が、エナンチオ選択的またはジアステレオ選択的
    な変換反応を触媒し、それぞれ少なくとも95%のエナンチオマーまたはジアス
    テレオマー過剰の生成物をもたらすことを特徴とする請求項33、44または4
    6記載の触媒。
  54. 【請求項54】 前記触媒が、エナンチオ選択的またはジアステレオ選択的
    な変換反応を触媒し、それぞれ少なくとも98%のエナンチオマーまたはジアス
    テレオマー過剰の生成物をもたらすことを特徴とする請求項33、44または4
    6記載の触媒。
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