JP2002510498A - タンパク質の製造のための発現系 - Google Patents

タンパク質の製造のための発現系

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、糸状菌においてタンパク質を製造するための、a)トラメテスおよびポリポラスの属から選択される宿主生物ならびに、b)宿主生物の形質転換の後にポジティブな形質転換体の選択を可能にするタンパク質をコードし、かつ宿主生物が耐性でない抗生物質の増殖阻害作用をうち消すタンパク質をコードする抗生物質耐性遺伝子、発色反応の能力があるタンパク質をコードする遺伝子ならびに宿主生物の遺伝子欠損(栄養要求性)を相補する遺伝子の群から選択される選択マーカー遺伝子を有し、その際、選択マーカー遺伝子の発現が宿主生物において活性な少なくとも1つの遺伝子調節エレメントによってコントロールされるDNAベクター、およびc)製造されるべきタンパク質をコードする遺伝子を有し、その際、該遺伝子の発現および、場合によりこうして製造されたタンパク質の分泌が宿主生物において活性な1つの遺伝子調節エレメントによってコントロールされるDNAベクターからなり、その際、選択マーカー遺伝子を有するDNAベクターと製造されるべきタンパク質をコードする遺伝子を有するDNAベクターとが1つのDNAベクターとして存在してもよい発現系に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明はトラメテス(Trametes)およびポリポラス(polyporus)の属の菌類 におけるタンパク質の製造のための発現系、その製造およびその使用に関する。
【0002】 タンパク質製造のために、原核性および真核性の種々の発現系が知られている
。原核性の発現系の例は、エシェリキア コリおよびバシラス サチリスである。
該生物の遺伝子操作のための方法は十分に確立されている。これらの発現系特有
の欠点は、就中真核性タンパク質の生産率が屡々期待はずれに少ないことである
。その際生産されるタンパク質が活性形で存在することは殆どなく、かつ就中発
現されたタンパク質の翻訳後修飾が不足するほど生産されたタンパク質は折り畳
まれている。不足した翻訳後修飾として、例えば発現されるべきタンパク質の置
換基の付加の不足またはグルコシル化の不足が挙げられる。
【0003】 原核性の発現系の欠点は真核性の発現系の使用によって回避することができる
【0004】 広く使用される周知の真核性の発現系には、ホニュウ類細胞と同様に昆虫細胞
ならびに真核性の微生物、例えば酵母もしくは糸状菌の細胞培養系が属する。一
方、前記の発現系において発現されるべきタンパク質は一般に活性形で形成され
るが、就中生産率は異種タンパク質の発現においては多くの場合において低すぎ
る。このために例として酵母サッカロマイセス セレビシエまたはアスコマイセ テン(Ascomyceten)綱からの糸状菌における発現が役に立っている。
【0005】 アスペルギルスのような糸状菌での高い生産率は、就中同種タンパク質または
アスコマイセテン綱の糸状菌のタンパク質の発現のために記載されている。異種
タンパク質の発現は僅かまたは高くない収率でのみ成功している。WO96/0
0290号は、例えばバシドマイセテン(Basidomyceten)綱の糸状菌、ポリポ ラス ピンシツス(Polyporus pinsitus)の綱からのラッカーゼLCC1の異種 発現を記載している。アスペルギルスでの発現において、アスコマイセテン綱の
糸状菌に発酵において0.35g/lまでの収率が達成された。これは、比較可
能な野生株の0.1〜0.2g/lの発酵での生産能力に比して比較的僅かな収
率増加である。
【0006】 バシドマイセテンおよび就中白色腐敗菌の綱からの酵素に関して特に、工業的
使用に対する関心がますます増加している。例として、加水分解酵素、例えばセ
ルラーゼ、ヘミセルラーゼまたはリパーゼが挙げられるが、またはオキシドレダ
クターゼ、例えばリグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、ラッ
カーゼ、セルビオース−キノン−オキシドレダクターゼまたはセルビオース−オ
キシダーゼも挙げられる。前記の酵素は、例えば木材もしくはパルプの加工にお
いて使用可能である。
【0007】 殊にバシドマイセテン中に存在する、工業的使用に大きな関心が抱かれている
酵素クラスはラッカーゼ(p−ヒドロキシフェノールオキシダーゼ、EC1.1
0.3.2)の酵素クラスである。ラッカーゼは、いわゆる“青色銅タンパク質
”のタンパク質ファミリーであり、かつ一般に4個の銅イオンを有し、1型〜3
型を示す3つの銅中心に配置されている。ラッカーゼは更に、一般に分泌タンパ
ク質であり、かつ分子量の10〜45%のグリコシル化部分を有することがある
ことで際立っている。高分子化合物、例えばリグニンの分解の他に、ラッカーゼ
は就中芳香族化合物の重合を触媒する。これに関する例として、リグニン生合成
は植物において利用されており、その際に植物中に存在するラッカーゼが関与し
ている。ラッカーゼの工業的な使用の可能性は、製紙においてあらゆる種類の重
合反応、例えば下水処理においてパルプの脱リグニンをもたらす。ラッカーゼの
使用は有機化学合成において、例えば芳香族炭化水素のカップリング反応または
側鎖酸化において公知である。しかしながら前記の全ての方法における工業的使
用のためには、ラッカーゼ酵素がコスト的に有利であり、かつより大量に提供で
きることが前提条件である。
【0008】 バシジオマイセス綱からの種々の糸状菌に関して、形質転換および形質転換体
の選択に適当であるべきDNAベクターが記載されている。バシドマイセテン綱
ファネロカエテ クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)に関して、
同種形質転換(homologe transformation)のための方法が記載されている(M .Alic他 (1991)Curr.Genet.19,491−494)。
バシドマイセテン綱のプロイロタス オステレアタス(Pleurotus sotreatus)に
関しては、形質転換のためのDNA構築物が記載されている(K.Yanai他
(1996)Biosci.Biotech.Biochem.60,472
−475)。US5362640号はバシドマイセテン綱コリオラス ヒルスタ ス(Coriolus hirsutus)の形質転換のためのDNAベクターを記載している。 同様に、バシドマイセテン綱コリオラス ベルシカラー(Coriolus versicolor)
の形質転換のためにDNAベクターが記載されている(Y.Iimura他(1
992)5th International Conference on bi
otechnology in the Pulp and Paper Indus
try,427−431)。バシドマイセテン綱からの発現系によって、同種も
しくは異種のタンパク質に関する発現率のかなりの増加が達成されることは知ら
れていない。
【0009】 アスコマイセテン綱の糸状菌における発現のための遺伝子調節エレメントを有
する公知の発現ベクターは、バシドマイセテン綱の糸状菌において効率よく発現
することができない。従って該ベクターはバシドマイセテン綱の糸状菌の形質転
換の際に、例えば後天的な抗生物質耐性または発色性のインジケータータンパク
質の発現に基づくか、または栄養要求性の遺伝子欠損の相補に基づいてポジティ
ブな形質転換体の選択を可能にしない。
【0010】 本発明は、糸状菌中でのタンパク質の生産のために発現系に関し、その際発現
系は、 a)トラメテスおよびポリポルスの属から選択される宿主生物ならびに b)DNAベクター、該ベクターは宿主生物の形質転換によってポジティブな形
質転換体の選択を可能にするタンパク質をコードし、かつ宿主生物が耐性でない
抗生物質の増殖阻害作用をうち消すタンパク質をコードする抗生物質遺伝子、発
色反応の能力があるタンパク質をコードする遺伝子ならびに宿主生物の遺伝子欠
損(栄養要求性)を相補する遺伝子の群から選択される選択マーカー遺伝子を有
し、その際選択マーカー遺伝子の発現は宿主生物中で活性な少なくとも1種の遺
伝子調節エレメントによってコントロールされ、 c)DNAベクター、該ベクターは生産されるべきタンパク質をコードする遺伝
子を有し、その際、遺伝子の発現および、場合により生産されたタンパク質の分
泌も宿主生物において活性な遺伝子調節エレメントによってコントロールされ、
その際、選択マーカー遺伝子を有するDNAベクターおよび生産されるべきタン
パク質をコードする遺伝子を有するDNAベクターが1つのDNAベクターとし
て存在してもよい からなる。
【0011】 抗生物質耐性遺伝子として、有利にはハイグロマイシン、ビアラフォス(Bial
aphos)、カナマイシン、ジェネティシン、ブレオマイシン、オリゴマイシン、 G418、ゼオシン(Zeocin)、ベノミルおよびフレオマイシンの群からの抗生
物質に対して耐性を付与する遺伝子が適当である。
【0012】 有利には、発色反応の能力があるタンパク質をコードする選択マーカー遺伝子
、例えばグルコニダーゼ遺伝子または緑色蛍光タンパク質(GFP)のための遺
伝子を他に使用してよい。
【0013】 宿主生物の遺伝子欠損(栄養要求性)を相補できる選択マーカー遺伝子が特に
適当である。
【0014】 本発明による発現系のために有利な宿主生物は、トラメテスおよびポリポラス
の属からの一核性の株である。
【0015】 トラメテス ベルシカラー(trametes versicolor)種の宿主生物が特に有利で
ある。
【0016】 本発明による発現系における宿主生物は、代謝における遺伝子欠損(栄養要求
性)を有し、それに基づき1種以上の増殖のために必須の代謝物がもはや合成さ
れず、かつ前記の1種以上の代謝物の添加無しに最少培地上でもはや増殖できな
いという点で優れている。
【0017】 本発明は発現系に関し、その際、トラメテスおよびポリポラスの属から選択さ
れた宿主生物は代謝における遺伝子欠損(栄養要求性)を有し、それに基づき1
種以上の増殖のために必須の代謝物がもはや合成されず、かつ前記の1種以上の
代謝物の添加無しに最少培地上でもはや増殖できず、かつ選択マーカー遺伝子が
、宿主生物の栄養要求性遺伝子欠損を相補するように選択されている。
【0018】 宿主生物における栄養要求性遺伝子欠損を相補できる選択マーカー遺伝子のた
めの例は、OCT−遺伝子(オルニチン−カルバモイルトランスフェラーゼをコ
ードする、US5362640号)、pyr G−遺伝子(オロチジン−5’− ホスフェート デカルボキシラーゼをコードする、Goosen et al., Curr. Genet.
(1987) 11, 499-503)、trpC遺伝子(ホスホリボシル−アントラニル酸イ ソメラーゼ、グルタミン−アミドトランスフェラーゼおよびインドール−グリセ
リンホスフェートシンターゼの酵素活性を有する三機能の遺伝子産物をコードす
る、Yelton et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA(1984)81, 1470-1474)、また はnia D遺伝子(ニトレートレダクターゼをコードする)である。
【0019】 選択マーカーとして、オロチジン−5’−ホスフェート デカルボキシラーゼ (ウリジン代謝の酵素)をコードし、かつpyrG遺伝子に欠損を有する宿主株
のウリジン栄養要求性を相補できるpyr G遺伝子が特に有利である。その際 特に有利には宿主生物は、pyrG遺伝子における欠損を有するトラメテスおよ
びポリポラスの属からの、ウリジンに対して栄養要求性の株である。
【0020】 pyrG遺伝子は、有利にはバシドマイセテン綱、例えばアガリクス属、コリ
オラス、ポリポラス、プロイロタス、ファネロカエテ、シゾフィルム(Schizoph
yllum)またはトラメテスからの菌類に由来する。
【0021】 有利には、例えばバシドマイセテン綱からの糸状菌、シゾフィルム コミュネ (Schizophyllum commune)、アガリクス ビスポラス(Agaricus bisporus)( GAPDH Ag2遺伝子)、ファネロカエテ クリソスポリウム、トラメテス ベルシカラーからのグリセリンアルデヒド−3−ホスフェート デヒドロゲナー ゼ遺伝子(GAPDH)またはラッカーゼ遺伝子、有利にはトラメテス ベルシ カラーからのラッカーゼI遺伝子もしくはラッカーゼIII遺伝子のためのプロ
モーターエレメントおよびターミネーターエレメントがpyrG遺伝子のために
適当である。
【0022】 特に、有利にはバシドマイセテンのシゾフィルム コミュネまたはバシドマイ セテンのトラメテス ベルシカラーからのオロチジン−5’−ホスフェート デカ
ルボキシラーゼ遺伝子(pyrG遺伝子)が本発明による発現系のための選択マ
ーカー遺伝子として適当である。
【0023】 有利には、バシドマイセテンのシゾフィルム コミュネからのpyrG遺伝子 の発現はシゾフィルム コミュネからのpyrG遺伝子のためのプロモーターお よび場合によりターミネーターによって調節される。
【0024】 有利にはバシドマイセテンのトラメテス ベルシカラーからのpyrG遺伝子 の発現は、トラメテス ベルシカラーからのpyrGのためのプロモーターによ って調節される。
【0025】 本発明による発現系は、特に、例えばセルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびリパ
ーゼの群またはオキシドレダクターゼ、例えばリグニンペルオキシダーゼ、マン
ガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、セルビオース−キノン−オキシドレダクタ
ーゼまたはセルビオース−オキシダーゼの群からの加水分解酵素をコードする遺
伝子の発現のために適当である。
【0026】 特に有利には、ラッカーゼのための遺伝子の発現に適当である。
【0027】 本発明は、更にトラメテスおよびポリポラスの属から選択された菌類の形質転
換後にポジティブな形質転換体の選択を可能にする少なくとも1つの選択マーカ
ー遺伝子を有するDNAベクターにおいて、選択マーカー遺伝子を、宿主生物が
耐性でない抗生物質の増殖阻害作用をうち消すタンパク質をコードする抗生物質
耐性遺伝子、発色反応の能力があるタンパク質をコードする遺伝子ならびに宿主
生物の遺伝子欠損(栄養要求性)を相補する遺伝子の群から選択し、かつ該選択
マーカー遺伝子が宿主生物中で活性な少なくとも1種の遺伝的調節因子によって
コントロールされることを特徴とするDNAベクターに関する。
【0028】 本発明によるDNAベクターは、ポジティブな形質転換体の選択を宿主生物に
おける栄養要求性の遺伝子欠損の相補に基づいてトラメテスおよびポリポラスの
属から選択される菌類の形質転換の際に可能にする。
【0029】 特に、糸状菌トラメテス ベルシカラーの形質転換体の選択および特に有利な 実施態様においてはpyrGを欠損した栄養要求性のトラメテス ベルシカラー 株の形質転換体は、有利には好適な遺伝子として挙げられる遺伝子によって宿主
生物における栄養要求性の遺伝子欠損の相補を可能にする。
【0030】 本発明によるDNAベクターは、トラメテスおよびポリポラスの属の宿主生物
において、タンパク質をコードする遺伝子の発現のためにも適当である。またタ
ンパク質をコードする遺伝子とは、本発明の意図としては構造遺伝子から誘導さ
れるタンパク質のcDNA遺伝子を意味すべきである。タンパク質とは、宿主生
物に対して異種のタンパク質または宿主生物に対して同種のタンパク質である。
【0031】 従って本発明のDNAベクターは、有利には発現されるべきタンパク質をコー
ドする少なくとも1種の遺伝子を有する。
【0032】 特に有利には本発明によるDNAベクターは、例えばセルラーゼ、ヘミセルラ
ーゼおよびリパーゼの群またはオキシドレダクターゼ、例えばリグニンペルオキ
シダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、セルビオース−キノン−オ
キシドレダクターゼまたはセルビオース−オキシダーゼの群からの加水分解酵素
をコードする少なくとも1種の遺伝子を有する。
【0033】 特に有利には、本発明によるDNAベクターはラッカーゼのための遺伝子を有
する。
【0034】 タンパク質をコードする遺伝子の発現のために必須のプロモーターは発現され
るべき遺伝子に由来するか、または外来遺伝子のプロモーターを、発現されるべ
き遺伝子のコードされる領域と機能的に連結させて使用してもよい。
【0035】 従って本発明によるDNAベクターは、有利にはタンパク質をコードする遺伝
子の発現のためのプロモーターを有する。
【0036】 特に有利には本発明によるDNAベクターは、タンパク質をコードする遺伝子
の発現のためのプロモーターとして高い発現能力が保証されるプロモーターを有
する。
【0037】 例えば前記の目的のために有利に使用されるプロモーターは、例えばトラメテ
ス ベルシカラー種からのグリセリンアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲ ナーゼ(GAPDH)のタンパク質のための遺伝子のプロモーターである。
【0038】 本発明によるDNAベクターは、有利にはタンパク質をコードする遺伝子のた
めの転写ターミネーターも有する。
【0039】 転写ターミネーターとして、発現されるべきタンパク質をコードする遺伝子の
ターミネーターを使用してよいが、または外来遺伝子のターミネーターを使用し
てもよい。ラッカーゼの遺伝子からの転写ターミネーターが有利である。
【0040】 タンパク質の発現は細胞内でか、または機能的シグナル配列の存在下で、分泌
の目的のために細胞外でも実施できる。
【0041】 細胞からの発現されたタンパク質の分泌が望ましい場合に、本発明によるDN
Aベクターは有利にはタンパク質をコードする遺伝子の前に機能的シグナル配列
5’を有する。更にまた、タンパク質をコードする遺伝子の5’−末端と機能的
に連結するいわゆる分泌キャリヤー(Sekretionscarrier)は本発明によるDN Aベクターに含まれている。
【0042】 分泌キャリヤーは、分泌されるタンパク質のための遺伝子または分泌されるタ
ンパク質のための遺伝子の断片であってよい。分泌キャリヤーは分泌されるべき
タンパク質と、融合タンパク質が分泌キャリヤーおよび分泌されるべきタンパク
質から生じるように機能的に連結してよい。別の実施態様において、分泌キャリ
ヤーおよび分泌されるべきタンパク質の連結は、分泌キャリヤーが分泌されるべ
きタンパク質から分離できるように構成する。これは、例えばタンパク質分解酵
素のための認識配列を分泌キャリヤーと分泌されるべきタンパク質の間の連結部
位に挿入することによって実施できる。このために例としては、いわゆるKEX
2プロテアーゼのためのリジン−アルギニン認識部位が知られており、かつ分泌
キャリヤーのための例としてアスペルギルス ニガーからのグルコアミラーゼが 知られている(Contreras et al., Bio/Technology(1991) 9, 378-381, Broekhu
ijsen et al., J. of Biotechnology(1993) 31, 135-145)。
【0043】 他にタンパク質をコードする遺伝子の3’−末端の転写ターミネーターとして
発現されるタンパク質の発現および分泌に関与しているDNA配列は同様に本発
明によるDNAベクター中に含まれている。それに関する例として、ノイロスポ
ラ クラッサからのラッカーゼのための遺伝子が提供され、該遺伝子の3’−末 端は13個のアミノ酸のための配列を有し、該配列はタンパク質の分泌の間に除
去され、かつ未成熟のタンパク質をもはや含まない(Germann et al., J. Biol.
Chem. (1988) 263, 885-896)。
【0044】 本発明によるDNAベクターの製造は、先行技術において公知の方法によって
実施する。種々の可能性を実施例に説明する。そこに記載される方法は当業者に
よって別の任意のベクター、耐性遺伝子、調節エレメントおよび構造遺伝子を用
いて使用される。
【0045】 本発明によるDNAベクターは、タンパク質の効率のよい発現および分泌を可
能にする菌類株の製造のために適当である。
【0046】 従って本発明は、タンパク質の効率のよい発現および分泌を可能にする菌類株
の製造方法に関する。
【0047】 前記の方法は、宿主生物として栄養要求性の遺伝子欠損を有するトラメテスお
よびポリポラスの属から選択される菌類を使用し、その際、該菌類は宿主株にお
ける栄養要求性遺伝子欠損の相補のための遺伝子を有するDNAベクターを使用
して自体公知の方法によって形質転換され、かつ形質転換混合物から、DNAベ
クターで形質転換したクローンを栄養要求性の遺伝子欠損の相補による選択によ
って選択し、その際、宿主株における栄養要求性の遺伝子欠損の相補のための遺
伝子発現は、宿主株中で活性な遺伝子調節エレメントによってコントロールされ
ていることを特徴とする。
【0048】 遺伝子発現のための宿主として使用してよい糸状菌はトラメテスおよびポリポ
ラスの属に属する。
【0049】 遺伝子発現のための宿主として、トラメテスおよびポリポラスの属からの一核
性のバシドマイセが有利である。
【0050】 更に、挙げられるバシドマイセテン綱からの宿主株が栄養要求性の遺伝子欠損
を有する場合に有利であり、該遺伝子欠損はポジティブな形質転換体を同定する
ための選択マーカーとして使用できる。例えばOCT−遺伝子、pyrG遺伝子
、trpC遺伝子またはniaD遺伝子に遺伝子欠損を有するバシドマイセテン
綱からの宿主株を使用してもよい。
【0051】 遺伝子発現のための宿主としては、pyrG遺伝子に欠損を有するトラメテス
およびポリポラスの属から選択された菌類が有利である。
【0052】 遺伝子発現のためには、pyrG遺伝子に欠損を有し、かつウリジンに対して
栄養要求性であるトラメテス ベルシカラー種の宿主が特に有利である。
【0053】 宿主株の形質転換は、先行技術に相当する方法によって実施する。前記の方法
には、CaCl2/PEG法によるプロトプラストの形質転換、エレクトロポレ ーションによる形質転換またはDNAを有する微小弾丸を打ち込むことによる形
質転換が属する。前記の方法は標準的な教科書に記載されている。
【0054】 例えば公知の方法で形質転換させるべき遺伝子を本発明によるDNAベクター
中にクローニングし、挙げられた方法によってトラメテスおよびポリポラスの属
から選択される糸状菌中に導入する。
【0055】 しかしながら形質転換されるべき遺伝子を、選択マーカー遺伝子を有さない発
現ベクター中にクローニングし、かつ宿主株の栄養要求性の遺伝子欠損を相補す
るベクターと一緒に使用(同時形質転換)して形質転換体を得てもよい。
【0056】 形質転換のために有利な株は、トラメテスおよびポリポラスの属から選択され
る糸状菌である。バシドマイセテン綱からの当該株は一核性であってよいが、ま
たは二核性の株であってもよい。有利な実施態様においては、pyrG遺伝子中
に欠損を有するウリジン栄養要求性株が対象である。
【0057】 形質転換のためには、トラメテス ベルシカラー種からの一核性のウリジン栄 養要求性のpyrG欠損株が特に有利である。
【0058】 ポジティブな形質転換体の選択は、例えばプロトプラストをベクターDNAに
よる形質転換の後に、プロトプラストの浸透安定化のために、例えばソルビトー
ル、マンニトールもしくはサッカロースのような添加物が添加され、かつ相補さ
れるpyrG遺伝子を使用して形質転換体の選択を可能にする培地上に播種して
実施する。
【0059】 本発明の有利な実施態様においては、糸状菌トラメテス ベルシカラーを同種 系中でトラメテス ベルシカラーからのラッカーゼの遺伝子で形質転換する。そ れによって、前記のラッカーゼのための発現率の向上が達成され、それによって
先行技術によって得られる生産率は0.1gのラッカーゼ/培養培地のリットル
の発酵において大いに改善される。
【0060】 有利には付加的にラッカーゼ遺伝子自体のプロモーターまたはトラメテス ベ ルシカラーからの強力に発現される遺伝子のためのプロモーターを使用する。有
利には4で単離されるラッカーゼ遺伝子IおよびIIIのプロモーターを使用す
る。
【0061】 例を記載する。その際、ラッカーゼI遺伝子のなかでも、有利には配列番号1
に含まれる塩基1〜1192の配列断片を使用する。ラッカーゼIII遺伝子の
中でも、有利には配列番号2に含まれる塩基1〜547の配列断片を使用する。
他の強力に発現される遺伝子のプロモーターは、トラメテス ベルシカラーから のグリセリンアルデヒド−3−ホスフェートヒドロゲナーゼのためのGAPDH
プロモーターである。GAPDHは5において単離している。例を記載する。G
APDHプロモーター配列は配列番号3の塩基1〜1542に挙げられる配列断
片に相当する。特に配列番号3の塩基1365〜1542ならびに該配列断片と
相同の73%より高いホモロジーを有する配列が発現のために適当なことが明ら
かである。有利には、更に以下の配列断片の少なくとも1つは本発明による調節
エレメント上になお同様に存在する: 配列番号3:塩基1005〜1123ならびに該配列断片と相同の52%より高
いホモロジーを有する配列、または 配列番号3:塩基817〜947ならびに該配列断片と相同の44%より高いホ
モロジーを有する配列、または 配列番号3:塩基640〜728ならびに該配列断片と相同の50%より高いホ
モロジーを有する配列。
【0062】 本発明において、全ての挙げられるホモロジー値は、コンピュータプログラム
“ウィスコンシン パッケージ バージョン9.1(Winsconsin Package Version
9.1)、ジェネティクス コンピュータ グループ(GCG)、マジソン、ウィス
コンシン”によって得られた結果に関連している。ホモロジー決定は、サブプロ
グラム“ファスタ(fasta)”および前調節値(ワードサイズ6)を使用するデ ータベースにおけるサーチによって実施する。次いで最も類似した配列のホモロ
ジーをサブプログラム“ギャップ(gap)”を使用して調べる。その際、前調節 されたパラメーター“ギャップ クリエーション ペナルティー50(gap creati
on penalty 50)”および“ギャップ エクステンション ペナルティー3(gap e
xtension penalty 3)”を使用した。更に、サブプログラム“ギャップ”および
前記に挙げた前調節されたパラメーターを使用してJP09047289号に開
示されているが、依然としてデータベースで使用可能でないコリオラス ヒルス ツス(Coriolus hirsutus)からのGAPDH遺伝子のプロモーター配列のホモ ロジーを調べる。
【0063】 従って本発明はトラメテスまたはポリポラスにおいて活性な調節エレメントに
おいて、配列番号1に含まれる塩基1〜1192の配列断片または配列番号2に
含まれる塩基1〜547の配列断片または配列番号3に含まれる塩基1365〜
1542の配列断片ならびに該配列と相同の73%より高いホモロジーを有する
配列を含むことを特徴とする調節エレメントに関する。
【0064】 有利には、pyrG遺伝子のための機能的に発現される選択マーカー遺伝子で
形質転換されたトラメテス ベルシカラーのかかる形質転換体のみが増殖できる 選択培地が使用される。2におけるものが対象である。例えばウリジン不在の前
記の最少培地上では、トラメテス ベルシカラーのpyrG栄養要求性株はもは や増殖できないか、もしくはウリジンの添加によって初めて再び増殖できる。
【0065】 選択系としてpyrG遺伝子を有する本発明によるDNAベクターの効果的な
使用は、トラメテス形質転換体における選択マーカー遺伝子の効果的な発現に依
存している。効果的な発現のためには、相当する発現シグナルが必須である。
【0066】 トラメテス ベルシカラーにおいて、バシドマイセテンからの発現シグナルは 、別の方法で使用できるアスコマイセテンからの発現シグナルよりも意想外に著
しく高い効率で機能的発現をもたらす。従って、本発明によるDNAベクターに
おいて、有利にはバシドマイセテンからの遺伝子調節エレメントのコントロール
下、特に有利にはトラメテスおよびポリポラスの属から選択された係る調節エレ
メントのコントロール下にpyrG選択マーカー遺伝子を配置する。
【0067】 有利にはpyrG遺伝子を、その上流の5’−プロモーター領域ならびにその
下流の3’−ターミネーター領域のコントロール下に配置する。シゾフィルム コミュネからのpyrG遺伝子がシゾフィルム コミュネからのpyrG遺伝子 の発現シグナルのコントロール下に配置されているDNA断片はFroelig
er他、Gene(1989)83,387−393によって記載されている。
更にpyrG遺伝子は、pyrG遺伝子とは異なるバシドマイセテンからの発現
シグナルのコントロール下に配置されていてよい。機能を満たす発現シグナルに
は、バシドマイセテン綱からの糸状菌、例えばコリオラス ヒルスツス、ファネ ロカエテ クリソスポリウム、アガリクス ビスポラスまたはトラメテス ベルシ カラーのGAPDH−プロモーター、コリオラス ヒルスツスからのOCTプロ モーター、トラメテス ベルシカラーからのラッカーゼIもしくはラッカーゼI IIのプロモーターならびにアガリクス ビスポラスからのGAPDH遺伝子の ターミネーターまたはトラメテス ベルシカラーからのラッカーゼIもしくはラ ッカーゼIII遺伝子のターミネーターが属する。
【0068】 3におけるベクターが特に有利である。シゾフィルム コミュネからのpyr G遺伝子がシゾフィルム コミュネからのpyrG遺伝子の発現シグナルのコン トロール下に配置されている例を記載する。
【0069】 pyrG遺伝子は、オロチジン−5’−ホスフェートデカルボキシラーゼの酵
素活性を有するタンパク質をコードするそれぞれの遺伝子であってよい。有利に
はpyrG遺伝子はバシドマイセテン綱からの糸状菌、例えばアガリクス ビス ポラス、ファネロカエテ クリソスポリウム、コリオラス ヒルスツス、ポリポラ
ス ピンシツス、シゾフィルム コミュネまたはトラメテス ベルシカラーに由来 する。
【0070】 シゾフィルム コミュネおよびトラメテス ベルシカラーからのpyrG遺伝子
が特に有利である。
【0071】 更に、本発明はトラメテスおよびポリポラスの属から選択される菌類株におい
て、これらが本発明によるDNAベクターを有することを特徴とする菌類株に関
する。
【0072】 これらの菌類株は、タンパク質の効果的発現および分泌を可能にする。
【0073】 従って、本発明は特にトラメテスおよびポリポラスの属の糸状菌において、こ
れらが本発明によるDNAベクターを有することを特徴とする糸状菌に関する。
【0074】 発現されかつ分泌されるタンパク質とは異種タンパク質であるが、同種タンパ
ク質であってもよい。
【0075】 有利にはラッカーゼが対象である。かかるラッカーゼは、例えばトラメテス ベルシカラー株から知られている(ラッカーゼ遺伝子のための例はラッカーゼI
:配列番号1の塩基1193〜3312またはラッカーゼIII:配列番号2の
塩基548〜2542のための遺伝子である)。
【0076】 従って本発明はタンパク質を製造するための方法において、本発明による発現
系をタンパク質製造のために自体公知の方法で使用するか、または本発明による
方法によって製造した菌類株を自体公知の方法で培養することを特徴とする、タ
ンパク質の製造方法に関する。
【0077】 かかる製造方法は、例えばCA:AN 96−203142、Eggert他 、Appl.Environ.Microbiol.(1996)62,115
1,Martinez他、Appl.Microbiol.Biotechno
l(1994)41,500−504またはWO93/08272号から知られ
ている。
【0078】 以下の実施例は本発明の更なる説明に役立つ。実施例に使用されるDNAまた
はRNAの取り扱い、例えば制限エンドヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ、逆
転写酵素等のための標準的方法ならびに細菌の形質転換、サザンおよびノーザン
分析、DNA配列決定、放射性標識、スクリーニングおよびPCR技術のような
標準的方法は、特に記載がない限り、製造者が推奨するように実施するか、また
は製造者の説明書が存在しない場合、標準的な教科書から公知の先行技術に従っ
て実施する。
【0079】 1.実施例: トラメテスのプロトプラストの製造および菌類コロニーの再生 プロトプラストの製造のために、二核菌株トラメテス ベルシカラーTV−1 (Trametes versicolor TV-1 : DSMZ (Deutschen Sammlung von Mikroorgani
smen und Zellkulturen GmbH, D-38124 Braunschweig)に寄託番号DSM115 23で寄託)、トラメテス ベルシカラー38070(American Type Culture C
ollection, Rockville, MD20852 USAから入手可能)および単核菌株トラメテス
ベルシカラーF2 100(DSMZ (Deutschen Sammlung von Mikroorganisme
n und Zellkulturen GmbH, D-38124 Braunschweig)に寄託番号DSM11972
で寄託)を使用した。最初に、トラメテス ベルシカラーの菌糸体を麦芽寒天プ レート(麦芽エキス3%、大豆粉からのペプトン0.3%、寒天1.5%、pH5
.0)上で28℃で7日間培養することにより獲得した。この麦芽寒天プレート から3個打ち抜き、これで500ml三角フラスコ中の滅菌した1.5%麦芽エ キス培地(麦芽エキス3%、大豆粉からのペプトン0.3%、pH5.0)100
mlもしくは162cm2の細胞培養容器中の該滅菌培地125mlを接種した 。この培地を、培養液が菌糸体のマットで密に覆われるまで、振盪することなく
28℃で7日間インキュベーションした。培養液を傾瀉除去し新鮮な培地を添加
した(100mlの培養物の菌糸体に関して30ml)。この菌糸体をウルトラ
・チュラックス(Ultra Turrax, 9500rpm, 4分)を用いて均質化し、100rp
mで振盪下に28℃で更に18時間インキュベーションした。
【0080】 このようにして製造された菌糸体懸濁液を1500rpm(2000×g)で
5分間遠心分離することにより収穫し、この際得られた菌糸体を3回MgSO4 0.1M、サッカロース0.6M、ホスフェート0.1M、pH5.8(OMT−培
地)と共に懸濁させ、引き続き遠心分離することにより洗浄した。単離した菌糸
体が得られ、溶解酵素で処理するまで4℃で保存した。
【0081】 プロトプラストを次のように製造した:滅菌三角フラスコ中で配合量の菌糸体
を新たに製造し、かつOMT−培地中の溶解酵素混合物Novozym234(
3mg/ml、Novo Nordisk, Bagsvaerd, Daenemark)の滅菌濾過した溶液15
ml中に懸濁させた。酵素溶液中に再懸濁させた菌糸体を振盪インキュベーター
(Infos)上で、低い回転数(80rpm)で、30℃で1〜3時間インキュベ ーションした。インキュベーションの間、プロトプラストの形成を顕微鏡中で観
察した。自由に可動性のプロトプラストは通常1時間後に観察することができる
。プロトプラスト形成の最終時点は顕微鏡の視覚による観察で決定し、このプロ
トプラストをガラスフィルター中のガラスウールを介する濾過により残りの菌糸
体から分離した。ガラスウールを氷冷OMT−培地で十分に洗浄した。プロトプ
ラストを懸濁液の遠心分離により滅菌試料容器中で単離した(2000rpm;
2500×g、4℃、10分間)。細胞の更なる操作は4℃で実施した。プロト
プラストペレットをOMT−培地中に懸濁させることにより洗浄し、かつ遠心分
離により再単離した。必要であれば、洗浄工程を繰り返した。プロトプラストの
濃度を顕微鏡下に計算室中で決定した。プロトプラスト懸濁液をプロトプラスト
再生のための試験のために、または形質転換のためにプロトプラスト1×108 /mlの濃度に調節した。
【0082】 再生実験のためには、このプロトプラスト懸濁液から希釈列を製造し、麦芽エ
キス1.5%、トリプチカーゼペプトン(Trypticase Pepton)0.1%、グルコ ース2%、寒天1.5%および浸透圧安定化のためにマンニトール0.4Mを含有
する寒天プレート上に塗布した。このようにして、生存可能な細胞の割合を測定
し、得られたプロトプラストが菌糸体状の増殖に再生可能かどうか試験した。同
様にして、浸透圧的に安定化していないプレート(マンニトールなし)上で、浸
透圧的に安定な細胞(例えば、菌糸体フラグメント)の割合を測定した。28℃
で7日間インキュベーションした後、得られたクローンを数えた。一連のプロト
プラスト調製物からの生存可能な細胞の割合は約0.5%であった。この結果は トラメテス ベルシカラーから形質転換実験のために生存可能であり、かつ再生 可能なプロトプラストが製造される得ることを示す。
【0083】 実施例2 トラメテス ベルシカラーのpyrG−欠損突然変異体の単離 ピリミジン物質代謝に遺伝子欠損を有するトラメテス ベルシカラーの栄養要 求性突然変異体(pyr−突然変異体)をベーケ等(Boeke et al. Methods Enz
ymol. (1987) 154, 164-175)による方法に従って、単離した。選択性の薬剤と しては、遺伝毒性の物質5−フルオロ−オロチン酸(FOA)を使用した。トラ
メテス ベルシカラープロトプラストの突然変異誘発はUV−処理により行った 。
【0084】 A:UV−突然変異誘発: 突然変異誘発のために、実施例1に記載された単核菌株トラメテス ベルシカ ラーF2 100を使用した。この菌株のプロトプラストを実施例1に記載の方
法と同様にして、製造した。
【0085】 突然変異誘発のためにはBioRad UV−リンカー(5.8W/cm2、UV −源からの距離16cm)を使用した。突然変異誘発のために使用したプロトプ
ラストの数は8×109個であった。トラメテス ベルシカラーのプロトプラスト
をペトリシャーレ中に入れ、UV−光で異なる長さの時間の間照射した。この際
、前記条件下に60秒間の照射が、これに続く栄養要求突然変異体の選択に最適
であることが明らかになった。
【0086】 B:ウリジン栄養要求性突然変異体の選択: ウリジン栄養要求性突然変異体の選択のためには次の最少培地(MM)を使用
した: グルコース 20g/l 寒天 15g/l リン酸二水素カリウム 1g/l 硫酸マグネシウム 0.5g/l リン酸一水素二ナトリウム 0.1g/l アデニン 27.5mg/l DL−フェニルアラニン 0.15g/l L−アスパラギン 2.5g/l チアミン 0.48mg/l 塩化カルシウム 10mg/l 硫酸鉄 10mg/l 硫酸銅 2mg/l 硫酸亜鉛 1mg/l 硫酸マグネシウム 1mg/l 硫酸でpH5.0に調節。
【0087】 プロトプラストの浸透圧安定化のために、MMにサッカロース0.6Mを補充 した(MMS)。液体培養のためには寒天なしにMMを製造した。
【0088】 開始のために、MMSに異なる濃度のFOSならびにウリジン10mMを添加
し、種々のトラメテス菌株に関して選択培地上での成長特性を特徴付けた。FO
A1.5mg/mlおよびウリジン10mMを含有するMMS(選択性MMS) は試験したトラメテス菌株を完全に抑制した。
【0089】 選択性MMSを有するプレートをUV−突然変異プロトプラスト(工程A中に
記載)で接種し、28℃で21日間インキュベーションした。突然変異していな
いプロトプラストとは異なり、35コロニーの成長が観察された。ウリジン栄養
要求性表現型をより詳細に特徴付けるために、この潜在的なpyr−欠損突然変
異体を、MM−プレート、ウリジン10mMを含有するMM−プレートおよび選
択性MM−プレート上に担持し、その成長を出発菌株F2 100に対して比較
した。その際、採取した35個のコロニーの内、3個のトラメテス突然変異体が
明らかに、pyr−欠損表現型を示した。このことは第1表に示されている。
【0090】
【表1】
【0091】 C:pyrG−突然変異体の同定 FOAでの突然変異誘発はpyrF遺伝子(オロト酸−ホスホリボシルトラン
スフェラーゼ)中で、または所望のpyrG遺伝子(オロチジン−5′−リン酸
デカルボキシラーゼ)中で突然変異体に導く。pyrG突然変異体およびpyr
F突然変異体はシゾフィルム コミュネ(Schizophyllum commune)からのpyr
G遺伝子で形質転換することにより区別された(プラスミドpSCpyrGは実
施例3参照)。
【0092】 プラスミドpSCpyrGで形質転換した後、第1表に記載された3つのpy
r−欠損突然変異体からコロニーが観察された。このことは3つ全ての突然変異
体がpyrG遺伝子中に欠損を有していることを示した。しかしながら、pyr
G−欠損トラメテス ベルシカラー菌株F2 100B11は約10倍高い頻度 で形質転換するので、この菌株をこの後の実験に使用した。
【0093】 菌株トラメテス ベルシカラーF2 100B11、F2 100B14およ びF2 100B16はトラメテス ベルシカラーの最初にこれまで記載したp yrG−欠損菌株である。これらのpyrG−欠損菌株はトラメテス ベルシカ ラーの従来記載されていない形質転換体のための宿主生物として使用することが
でき、こうして担子菌類の綱からの糸状菌の中でのタンパク質発現およびタンパ
ク質分泌のために重要な新規宿主生物である。この目的のための菌株F2 10
0B11の使用を以下の実施例に記載する。
【0094】 実施例3 シゾフィルム コミュネからのpyrG−遺伝子でのpyrG栄養要求性トラ メテス ベルシカラー菌株の形質転換 A:シゾフィルム コミュネからのpyrG遺伝子の単離 シゾフィルム コミュネからのpyrG遺伝子の単離およびDNA−配列(文 献中ではURA1遺伝子として命名)はフロエリガー等(Froeliger et al., Ge
ne (1989) 83, 387-393)により記載されている。シゾフィルム コミュネの菌糸
体(菌株ATCC44201、ATCC American Type Culture Collection, 1
2301 Parklawn Drive, Rockvill, Maryland 20852-1776, USAによる)を麦芽エ キス培地中でトラメテス ベルシカラーに関して実施例1に記載したように製造 した。染色体DNAの単離をトラメテス ベルシカラーに関する方法と同様に行 い、実施例4に記載する。pyrG遺伝子をシゾフィルム コミュネの染色体D NAからPCRにより増幅した。このためには、プライマーAおよびBを使用し
(Froeliger et al., Gene (1989) 83, 387-393中で公開された配列から誘導さ れた)、これでもってコード領域の他に、プロモーターおよびターミネーター配
列も増幅することができた。
【0095】
【外1】
【0096】 PCR−増幅を製造者(StratageneのPCRキット)の指示書に従って、公知
技術により実施した:シゾフィルム コミュネの染色体DNA200ngを、製 造者により調製された緩衝剤を含有し、更に1.25U Pfuポリメラーゼ、4
つのdNTP(dATP、dCTP、cGTP、dTTP)を各0.2mMおよ びプライマーAおよびB各100pmolを含有するPCR100μl中に添加
した。所望のPCR−生成物の特異的増幅のための、その他の条件は:94℃で
5分間、引き続き25サイクルの94℃で1分間、50℃で1.5分間および7 2℃で2.5分間を実施し、ならびに72℃で5分間、である。約1.6kbの大
きさの所望のPCR−生成物をアガロースゲル電気泳動により精製し、PCR−
スクリプトSK(+)ベクター(Stratagene)中でクローニングし、E.コリ中 に形質転換した。培養した形質転換E.コリからプラスミドを単離した。プラス のクローンに関して、挿入物のDNA−配列分析により、シゾフィルム コミュ ネpyrG遺伝子が増幅されたことが確認された。シゾフィルム コミュネpy rG遺伝子を有するこのプラスミドをpSCpyrG(図1)と命名した。
【0097】 B:トラメテス ベルシカラーpyrG欠損菌株の形質転換 トラメテス ベルシカラーF2 100B11のプロトプラスト(実施例2参 照)を実施例1中に記載された方法で製造した。この際培地に栄養要求性菌株の
ためにウリジン10mMを補充した。ベクターpSCpyrG(工程Aに記載)
で形質転換した。
【0098】 実施例1に記載したように、トラメテス ベルシカラーF2 100B11の プロトプラストを製造し、かつ最終濃度108/mlに懸濁した。容積12ml のインキュベーション容器中で、プロトプラストの分割量0.1mlをプラスミ ドのDNA各10μgと混合し、かつ30分間氷上でインキュベーションした。
その後、ゆっくりと混合を繰り返してPEG4000溶液1.25mlを形質転 換配合物に加えた。室温で更に20分間インキュベーションした後、反応容器を
実施例1に記載したOMT−培地で充填し、混合し、かつ4℃で2000×gで
10分間遠心分離した。このペレットを再懸濁し、浸透圧に関して安定化したウ
リジンを有しないMMS−プレート上に塗布した(実施例2中に記載)。このプ
レートを28℃で14日間インキュベーションし、コロニーの成長に関して試験
した。種々異なる実験においてプラスミドDNA1μgあたり形質転換体0.1 〜3の形質転換率が達せられた。
【0099】 C:形質転換体の精製 得られた形質転換体の菌糸体を採取し、MMを有する新鮮なプレート上に塗布
することにより精製した。この際、接種物をプレートの中心に点状に担持した。
28℃で7〜14日間インキュベーションした後、放射状の菌糸体成長を観察す
ることができた。この精製工程を繰り返したが、この際接種物のための菌糸体は
最初の精製プレートの縁から採取した。次いで、MMプレートを第二の精製プレ
ートの接種物で新たに接種し、プレートが完全に菌糸体で覆われるまで28℃で
インキュベーションした。
【0100】 D:形質転換体の分析 トラメテス ベルシカラーの形質転換体をサザンブロット分析法によりプラス ミドpSCpyrGの組み込みに関して試験した。このためには種々の形質転換
体からおよび参照としてpyrG欠損菌株F2 100B11から、菌糸体を液
体培地中で製造した(実施例1参照、ウリジン10mMを添加した麦芽エキス培
地)。単離した菌糸体から染色体DNAを後記の実施例4中に記載されているよ
うに単離した。
【0101】 実験菌株から、それぞれ染色体DNA1μgおよびプラスミドpSCpyrG
100ngをNotIおよびEcoRIを用いて、ダブル消化により切断し、引
き続きアガロースゲル電気泳動により分離し、ナイロンフィルター(Quiagen) 上にブロッティングし、シゾフィルム コミュネからのpyrG遺伝子に関して 特異的である放射性標識したDNA−プローブとハイブリダイズした。
【0102】 プラスミドpSCpyrGをNotIおよびEcoRIを用いて、ダブル消化
により切断し、かつその際得られたpyrG遺伝子の1.4kbの長さのDNA フラグメントを調製ゲル電気泳動で単離することにより、DNA−プローブを準
備した。1.6kbの長さのpyrG−特異的DNA−フラグメントをα−[3 2P]−dATPで放射性に標識した(“Random Priming”キット、Boehringer
Mannheim)。遊離の放射活性をSephadex G25(Pharmacia)を介してクロマトグ
ラフィーを行うことにより分離した。放射性に標識したDNA−プローブの特異
的活性は1×107cpm/μgDNAであった。ナイロンフィルター上にブロ ッティングしたDNAと放射性標識DNA−プローブとのハイブリダイゼーショ
ン温度は60℃であった。その他にはサザンブロット法に関して専門書中に記載
されている条件を保持した。サザンブロットをオートラジオグラフィーで評価し
た。その際、1.6kbの長さのpyrG−特異的DNA−フラグメントは形質 転換体中にのみ検出され、ウリジン−栄養要求性菌株F2 100B11中には
検出されなかった。この結果は、ウリジン−栄養要求性菌株トラメテス ベルシ カラーF2 100B11の形質転換の際には、プラスミドpSCpyrGはゲ
ノム中に組み込まれており、選択マーカー遺伝子pyrGの生産的発現に導き、
これによりこの菌株のウリジン栄養要求性は補足された、ということを証明した
。意外にも、この際担子菌類シゾフィルム コミュネからのpyrG遺伝子の発 現シグナルはトラメテス ベルシカラー中でも機能性であることが初めて確認さ れた。
【0103】 実施例4 トラメテス ベルシカラー・ラッカーゼ遺伝子のクローニング A:トラメテス ベルシカラーからの染色体ジーンライブラリーの製造 トラメテス ベルシカラーのゲノムDNAを振盪フラスコ培地の菌糸体から単 離した。トラメテス ベルシカラーの菌糸体1gを液体窒素の存在下に乳鉢およ び乳棒で粉砕し微細な粉末にした。この粉末を滅菌試料容器中に取り入れ、即座
に抽出溶液(Tris−HCl 0.1M、pH8.0、EDTA0.1M、NaC
l0.25M、プロテイナーゼK0.6mg/ml)5mlおよび10%(W/V
)ナトリウムラウリルサルコシン溶液0.5mlと混合した。50℃で少なくと も2時間インキュベーションした後、この混合物を5M NaCl 0.85ml および0.7M NaCl中の10%(W/V)CTAB−溶液0.7mlと混合 し、65℃で30分間インキュベーションする。クロロホルム−イソアミルアル
コール混合物(24:1)7mlの添加後、この配合物を振盪し、両方の相を遠
心分離により分離する。水相を除き、染色体DNAをイソプロパノール0.6容 積部を添加することにより沈殿させる。引き続き、この沈殿したDNAをカラム
(Quiagen Genomic Tip)を介して精製する。このようにして、菌糸体16gか ら遺伝子DNA0.5mgを単離することができた。
【0104】 染色体ジーンライブラリーの製造のためにはトラメテス ベルシカラーTV− 1の染色体DNA90μgをSau3Aでの部分消化において切断し、アガロー
スゲル電気泳動により分離した。染色体DNA−フラグメントを5〜20kbの
範囲の大きさおよび20kbより大きい範囲に単離し、それぞれBamHIで前
切断したλ−ファージ中でクローニングした(Stratagene Klonierungssystem)
。5〜20kbDNA−フラクションからはファージ4×104/μgベクター DNAがおよび20kbより大きいDNA−フラクションからはファージ5×1
4/μgベクター−DNAが得られた。このファージをE.コリ菌株XL−1ブ
ルーMRF′の感染により増幅した。
【0105】 B:ラッカーゼ特異的DNAプローブの単離 ラッカーゼ遺伝子の単離のためのDNA−プローブを変性プライマーを用いて
トラメテス ベルシカラーゲノムDNAからPCR−増幅により製造した。変性 プライマーは公知のラッカーゼ遺伝子の配列比較により作成された。EMBL遺
伝子データバンクに保有されている、アカバンカビ(Neurospora crassa)コリ オラス ヒルスタス(Coriolus hirsutus)、フレビア ラジアタ(Phlebia radia
ta)、アガリクス ビスポラス(Agaricus bisporus)のラッカーゼ遺伝子および
詳細に特徴付けされていない担子菌類の亜網からの菌糸状菌のラッカーゼ遺伝子
のアミノ酸配列を比較した。この配列比較により、全てのラッカーゼ中に完全に
保存されている、長さ5〜7のアミノ酸を有する4つのペプチドを同定すること
ができた。縮重コドンを考慮して、これらのペプチドをDNAに翻訳し、変性プ
ライマーを製造した。このプライマーは次の配列を有した:
【0106】
【外2】
【0107】 プライマーEおよびFは5′−領域にBamHI切断部位(下線)を有し、こ
れにそれぞれ相応する変性ラッカーゼ配列が結合している。PCR−増幅を製造
者の(Perkin ElmerのPCRキット)指示書に従って公知技術に相応して実施し
た:最初のPCRにおいてトラメテス ベルシカラーの染色体DNA200ng を、製造者により調製された緩衝剤を含有し、更に1.25U Taqポリメラー
ゼ、MgCl21.25mM、4つのdNTP(dATP、dCTP、cGTP、
dTTP)を各0.2mMおよびプライマーCおよびD各100pmolを含有 するPCR100μl中に添加した。所望のPCR−生成物の特異的増幅のため
の、その他の条件は:94℃で5分間、引き続き7サイクルの94℃で0.5分 間、40℃で1分間および60℃で2.5分間、ならびに30サイクルの94℃ で0.5分間、50℃で1分間および72℃で2.5分間である。最初のPCRの
1μlを第二のPCRに使用し、このPCRは更に1.25U Taqポリメラー
ゼ、MgCl21.25mM、4つのdNTPを各0.2mMおよびプライマーE およびF各100pmolを含有する。所望のPCR−生成物の特異的増幅のた
めの、その他の条件は:94℃で5分間、引き続き7サイクルの94℃で0.5 分間、40℃で1分間および60℃で2.5分間、ならびに30サイクルの94 ℃で0.5分間、50℃で1分間および72℃で2.5分間、である。約1.1k bの大きさのPCR−生成物が得られた。このPCR−生成物をアガロースゲル
電気泳動により精製し、制限酵素BamHIを用いて切断し、BamHIを用い
て切断したpUC18ベクター中でクローニングし、E.コリ中に形質転換した 。形質転換E.コリの培養物からプラスミドを単離した。5′−および3′−末 端のDNA−配列分析はクローニングしたDNA−フラグメントがラッカーゼ遺
伝子のフラグメントであることを証明した。
【0108】 ラッカーゼ遺伝子のスクリーニングのためのDNA−プローブを製造するため
に、BamHIで処理することによりラッカーゼ特異的なPCR−フラグメント
を切断し、アガロース電気泳動を介して単離し、α−[32P]−dATPで放
射性に標識した(“Random Priming”キット、Boehringer Mannheim)。遊離の 放射性をSephadex G25(Pharmacia)を介してクロマトグラフィーを実施するこ とにより分離した。放射性標識したDNA−プローブの特異的活性は1×107 cpm/μgDNAであった。
【0109】 C:染色体ラッカーゼ遺伝子の単離 工程A中に記載されているトラメテス ベルシカラーTV−1の染色体ジーン ライブラリーを使用した。ゲノムラッカーゼ遺伝子によるスクリーニングは公知
技術により行った。最初のスクリーニングの回においては、E.コリXL−1ブ ルーMRF′を10個のペトリシャーレ上で最初に培養し、次いでペトリシャー
レあたり染色体ジーンライブラリー(5〜20kbフラクション、実施例4のA
参照)ファージ50000個で感染した。37℃で一夜インキュベーションした
後、新たに形成されたファージをナイロンフィルター(Stratagene)に移した。
次いで、このフィルターを製造者の指示書に相応して放射性に標識されたラッカ
ーゼ−特異的プローブ(工程B参照)とハイブリダイズした。ハイブリダイゼー
ション温度は50%ホルムアミド含量のハイブリダイゼーション緩衝液中で45
℃であった。プラスのクローンを採取し、スクリーニング法を繰り返すことによ
り精製した。個別化を3回行った後、スクリーニングにおいて強力にハイブリダ
イズするファージクローン20個が単離され、これを製造者(Stratagene)の指
示書に従って、“in vivo 切り出し”によりpBKCMVベクター(Stratagene
)中で再クローニングした。制限エンドヌクレアーゼでの消化およびDNA−配
列決定によるクローンの分析は、15〜20個のクローンがラッカーゼクローン
であるということを示した。2種の異なるラッカーゼクローンが得られた。
【0110】 両方のラッカーゼ遺伝子はラッカーゼIおよびラッカーゼIIIという名称を
有した。両方のラッカーゼ遺伝子を有するプラスミドをpLac100(配列番
号1)およびpLac300(配列番号2)と命名した。両方のラッカーゼ遺伝
子は構造遺伝子(コードする領域)に関する配列情報の他に、ATG−開始コド
ン前の5′領域(プロモータ領域)中の配列情報ならびに終止コドンの後の3′
領域(ターミネーター領域)中の情報を含有している。この際、担子菌類の綱か
らの糸状菌中の遺伝子発現のためのDNA−ベクターを製造するために使用する
ことができる、トラメテス ベルシカラーのための新規遺伝学的制御エレメント に関する。第2表は配列番号1(ラッカーゼI遺伝子)および配列番号2(ラッ
カーゼIII遺伝子)中の相応する配列領域に関して概要を示す。
【0111】 第2表 配列番号1および配列番号2中の遺伝学的エレメント 配列番号1 配列番号2 ラッカーゼI遺伝子 ラッカーゼIII遺伝子 プロモータ bp1−1192 bp1−547 構造遺伝子 (イントロンを含有) bp1193-3312 bp548−2542 ターミネーター bp3313-7986 bP2542-5762 実施例5 トラメテス ベルシカラーGAPDH−遺伝子のクローニング A:トラメテス ベルシカラーからのGAPDHDNA−プローブの単離 菌株トラメテス ベルシカラーTV−1(実施例1を参照)を使用した。TV −1の培養および染色体DNAの単離は実施例1もしくは実施例4中に記載され
ているように行った。
【0112】 ファネロカエテ クリソスポリウム(Fanerochaete chrysosporium; M.C.Harms
en et al., (1992), Curr. Genet. 22, 447-454)からのGAPDH−遺伝子お よびコリオラス ヒルスタス(Coriolus hirsutus, JP 9-47289)からのGAP DH−遺伝子の公開されたDNA配列を基にして、GAPDH−特異的遺伝子フ
ラグメントのPCR−増幅のためのプライマーを作成した。このプライマーは次
のDNA−配列を有した:
【0113】
【外3】
【0114】 PCR−増幅を公知技術に従って実施した:PCRにおいてトラメテス ベル シカラーの染色体DNA200ngを、製造者により調製された緩衝剤を含有し
、更に1.25U Taqポリメラーゼ、MgCl21.25mM、4つのdNTP
(dATP、dCTP、cGTP、dTTP)を各0.2mMおよびプライマー GおよびH各100pmolを含有するPCR100μl中に添加した。所望の
PCR−生成物の特異的増幅のための、その他の条件は:94℃で5分間、引き
続き7サイクルの94℃で0.5分間、47℃で1分間および72℃で1分間、 ならびに30サイクルの94℃で0.5分間、50℃で1分間および72℃で1 分間、である。約0.43kbのPCR−生成物が得られた。
【0115】 このPCR−生成物をアガロースゲル電気泳動により精製し、ベクターPCR
−スクリプトSK(+)(Stratagene)中でクローニングし、E.コリ中で形質 転換した。形質転換E.コリの培養物からプラスミドを単離した。5′−および 3′−末端のDNA−配列分析はクローニングしたDNA−フラグメントがファ
ネロカエテ クリソスポリウムGAPDH−遺伝子のフラグメントであるという ことを証明した。
【0116】 ラッカーゼ遺伝子のスクリーニングのためのDNA−プローブを製造するため
に、NotIおよびEcoRIで処理することによりラッカーゼ特異的なPCR
−フラグメントを切り出し、アガロース電気泳動を介して単離し、α−[32P
]−dATPで放射性に標識した(“Randam Priming”キット、Boehringer Man
nheim)。遊離の放射性をSephadex G25(Pharmacia)を介してクロマトグラフィ
ーを実施することにより分離した。放射性標識したDNA−プローブの特異的活
性は1×107cpm/μgDNAであった。
【0117】 B:トラメテス ベルシカラーからの染色体GAPDH−遺伝子の単離: 実施例4の工程Aに記載したトラメテス ベルシカラーTV−1の染色体ジー ンライブラリーを使用した。染色体GAPDH−遺伝子によるスクリーニングは
公知技術により行った。最初のスクリーニングの回において、E.コリXL−1 ブルーMRF′を10個のペトリシャーレ上で最初に培養し、次いでペトリシャ
ーレあたりジーンライブラリー(5〜20kbフラクション、実施例4参照)の
ファージ50000個で感染した。37℃で一夜インキュベーションした後、新
たに形成されたファージをナイロンフィルター(Stratagene)上に移した。次い
で、このフィルターを製造者の提案に相応して放射性に標識されたGAPDH−
特異的プローブ(工程A参照)とハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション
温度は58℃であった。成長温度は58℃であった。28個のプラスのクローン
を採取した。これらの内の10個のクローンをスクリーニング法を繰り返すこと
により精製した。個別化を3回行った後、スクリーニングにおいて強力にハイブ
リダイズするファージクローン9個が単離され、これを製造者(Stratagene)の
指示書に従って、“in vivo 切り出し”によりpBKCMVベクター(Stratage
ne)中で再クローニングした。制限エンドヌクレアーゼでの消化およびDNA−
配列決定によるクローンの分析は、9個のクローン全てがGAPDH−クローン
であるということを示した。制限分析により、9個のクローンを6個のクラスに
分類することができた。最も大きなGAPDH−遺伝子フラグメントを有するク
ローンをpGAPTV(配列番号3)として命名し、これから提供可能なコード
領域(配列番号3、bp1543-2387)およびATG開始コドンの前の5 ′プロモータ領域の約1.5kb(配列番号3、bp1−1542)が決定され た。
【0118】 実施例6 GAPDH−プロモータとラッカーゼIIIの遺伝子との機能的結合 A:pBluescriptベクター中でのラッカーゼIII遺伝子のクローニ
ング 更なる操作のために、pLac300からのラッカーゼIII遺伝子をベクタ
ーpBluescript中に再クローニングした。このためには実施例4で得
られたpBKCMVベクターからラッカーゼIIIを3.5kbのSpeI−S maIフラグメントとして単離し、SpeIおよびSmaIで予め切断したpB
luescriptベクター中でサブクローニングした。この際生じた6.5k bのプラスミドをpLac301と命名した。pLac301はGAPDH−プ
ロモータと結合するために、pBluescriptから由来するNotI切断
部位を有し、これを介してGAPDH−プロモータの3′−末端と機能的結合を
することができる(この実施例の工程Bを参照)。
【0119】 B:ラッカーゼIII遺伝子のATG翻訳開始コドンとGAPDH−プロモータ
との機能的結合 実施例4において単離されたGAPDH−遺伝子の1.5kbの長さのプロモ ータ領域をpGAPTV(配列番号3、実施例5参照)からNotI−BspL
u11Iフラグメントとして単離した。この際、NotI切断部位はpBKCM
Vベクター部分から、およびBspLu11I切断部位はGAPDH遺伝子の開
始ATG−コドンから由来する。
【0120】 ベクターpLac301をNotIでおよび部分的にBspLu11Iで切断
し、ラッカーゼIII遺伝子の0.55kbの大きさのプロモータ部分だけ短く なった6kbの大きさのベクターフラグメントが単離された。
【0121】 1.5kbの長さのNotI−BspLu11IGAPDHプロモータフラグ メントをpLac301の6kbの大きさのNotI−BspLu11Iベクタ
ーフラグメントと連結し、E.コリ中に形質転換した。形質転換したE.コリの培
養物からプラスミドを単離した。プラスのクローンを制限分析およびDNA−配
列決定により試験した。その中でラッカーゼIII構造遺伝子がGAPDH−遺
伝子のプロモータと機能的に結合している7.5kbの長さのベクターをpLa c3gap(図2)と命名した。pLac3gap中ではGAPDH−プロモー
タ領域がBspLu11I切断部位を介してラッカーゼIII遺伝子の翻訳開始
ATG−コドンと機能的に結合している。
【0122】 C:ベクターpLac3gap中への選択マーカー遺伝子pyrGの組み込み 準備のために、ベクターpSCpyrGにおいて、pCR−スクリプトSK(
+)ベクターのポリリンカーから由来するEcoRI切断部位に付加的なNot
I切断部位を組み込んだ。このためには次の配列を有するアダプターAを使用し
た:
【0123】
【外4】
【0124】 ベクターpSCpyrGをEcoRIで線状にし、アルカリ性ホスファターゼで
5′−脱リン酸化した。引き続き、線状にされたpSCpyrGベクターを種々
異なる濃度のアダプターAと連結し、E.コリ中に形質転換した。プラスのクロ ーンを単離したプラスミドDNAのNotIでの消化により同定し、この際第二
のNotI切断部位の導入によりシゾフィルム コミュネ遺伝子フラグメントの 1.6kbの大きさのフラグメントが遊離された。このベクターをpSCpyr G−Notと命名した。
【0125】 ベクターpSCpyrG−NotをNotIで処理し、この際遊離した1.6 kbの大きさのpyrGフラグメントをアガロースゲル電気泳動で単離した。
【0126】 ベクターpLac3gapをNotIで線状にし、引き続き7.5kbの大き さのフラグメントをアルカリ性ホスファターゼで処理し、5′−リン酸基を切断
した。
【0127】 1.6kbの大きさのpyrGフラグメントをNotIで線状にし、脱リン酸 化したpLac3gap中にクローニングし、E.コリ中で形質転換し、プラス のE.コリ形質転換体からプラスミドDNAを単離した。プラスの形質転換体は 1.6kbの大きさのpyrG遺伝子フラグメントを有した。制限分析により、 pyrG選択マーカー遺伝子の方向がラッカーゼIII遺伝子の方向と同じであ
るクローンが同定された。ラッカーゼIII遺伝子の他にpyrG選択マーカー
遺伝子をも含有する、9.1kbの長さのベクターをpL3GpyrG(図3) と命名した。
【0128】 実施例7 トラメテス ベルシカラー中でのラッカーゼIIIの過剰生産 A:トラメテス ベルシカラーの形質転換 トラメテス ベルシカラーのプロトプラストを実施例1に記載した方法で製造 し、実施例6中に記載されたベクターpL3GpyrGで形質転換した。
【0129】 実施例2中に記載したように、pyrG−欠損菌株トラメテス ベルシカラー F2 100B11のプロトプラストを製造し、かつ最終濃度108/mlに懸 濁した。容積12mlのインキュベーション容器中で、プロトプラストの分割量
0.1mlをプラスミドpL3GpyrGのDNA10μgと共に、かつ30分 間氷上でインキュベーションした。その後、ゆっくりと混合を繰り返してPEG
4000溶液1.25mlを形質転換配合物中に加えた。室温で更に20分間イ ンキュベーションした後、反応容器を実施例2に記載したOMT−培地で充填し
、混合し、かつ4℃で2000×gで10分間遠心分離した。このペレットを再
懸濁し、浸透圧に関して安定化したウリジンを有しないMM上に塗布した(実施
例2中に記載)。このプレートを28℃で14日間インキュベーションし、コロ
ニーの成長に関して試験した。異なる実験においてプラスミドDNA1μgあた
り形質転換体0.5〜3個の形質転換率が達せられた。
【0130】 B:形質転換体の精製 得られた形質転換体の菌糸体を採取し、ウリジンを有しないMM−選択培地を
有する新鮮なプレート上に塗布することにより精製した。この際接種物をプレー
トの中心に点状に担持した。28℃で7〜14日間インキュベーションすること
により、放射状の菌糸体成長を観察することができた。この精製工程を繰り返し
たが、この際接種物のための菌糸体は最初の精製プレートの縁から採取した。次
いで、選択プレートを第二の精製プレートの接種物で新たに接種し、このプレー
トを完全に菌糸体が覆った後に、ラッカーゼ生産を振盪フラスコ培養物中で試験
した。
【0131】 C:振盪フラスコ中での培養 振盪フラスコ中での培養のためには完全に成長したプレートから菌糸体2cm 2 を取出し、滅菌遠心分離し、かつこれで麦芽エキスの培地(実施例1参照)5 0mlの予培地(250mlフラスコ中)を接種した。予培地を振盪下に28℃
で6日間、120rpmでインキュベートした。6日目に予培地を9500rp
mで30秒間ウルトラ・チュラックスを用いて均質化し、これでもって1l三角
フラスコ中の主培地(組成は実施例1参照)250mlを接種した。次いで主培
地を再び28℃で120rpmで振盪下にインキュベーションした。ラッカーゼ
の生産を培養2日目から毎日測光により測定した。ラッカーゼの活性を基質AB
TS(2,2′−アジノ−ビス(3−エチル−ベンズチアゾリン−6−スルホン 酸))を用いて、420nmで測定した。420nmでのABTSの吸光係数ε 420 :3.6×104[1×mol-1×cm-1]。その際、1Uラッカーゼ活性は 、37℃、pH4.5におけるABTS1μmol/分の変換率に相当する。振 盪フラスコ培養物中でのラッカーゼ生産の最大には主培養の開始後8〜10日で
達する。第3表は種々異なる形質転換体と形質転換していない出発菌株トラメテ
ス ベルシカラーF2 100との比較を示す。形質転換していない菌株F2 100に関しては更に文献中に記載されている誘発物質2,5−キシリジン(Yav
er et al., Applied and Environmental Microbiology (1966) 62, 834-841)で
の誘発後に、ラッカーゼ生産を測定した。第3表から明らかなように、形質転換
していない出発菌株に比較して、菌株F2 100の最良の形質転換体において
、振盪フラスコ中でのラッカーゼ生産は、約ファクター12(誘発なし)もしく
は約ファクター5(誘発あり)だけ上昇した。
【0132】
【表2】
【0133】
【外5】
【0134】
【外6】 配列表
【0135】
【外7】
【0136】
【外8】
【0137】
【外9】
【0138】
【外10】
【0139】
【外11】
【0140】
【外12】
【0141】
【外13】
【0142】
【外14】
【0143】
【外15】
【0144】
【外16】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、シゾフィルム コミュネpyrG遺伝子を有するプラスミドpSCp yrGを示している。
【図2】 図2は、ラッカーゼIII構造遺伝子がGAPDH−遺伝子のプロモータと機
能的に結合している7.5kbの長さのベクターpLac3gapを示している 。
【図3】 図3は、ラッカーゼIII遺伝子の他にpyrG選択マーカー遺伝子をも含有
する、9.1kbの長さのベクターpL3GpyrGを示している。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年2月10日(2000.2.10)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 Zielstattstraβe 20,D −81379 Munchen,F.R.Ge rmany (72)発明者 コーネリス ファン デン ホンデル オランダ国 ゴウダ ワタレリー 124 (72)発明者 ロベルトゥス ファン ホルコム オランダ国 スースト ヒルデブラントラ ーン 2アー Fターム(参考) 4B024 AA20 BA08 CA04 DA11 FA02 FA10 GA11 HA01 4B050 CC03 DD05 LL05 4B065 AA71X AA71Y AB01 AC20 BA02 CA28

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糸状菌においてタンパク質を製造するための、 a)トラメテスおよびポリポラスの属から選択される宿主生物ならびに、 b)宿主生物の形質転換の後にポジティブな形質転換体の選択を可能にするタン
    パク質をコードし、かつ宿主生物が耐性でない抗生物質の増殖阻害作用をうち消
    すタンパク質をコードする抗生物質耐性遺伝子、発色反応の能力があるタンパク
    質をコードする遺伝子ならびに宿主生物の遺伝子欠損(栄養要求性)を相補する
    遺伝子の群から選択される選択マーカー遺伝子を有し、その際、選択マーカー遺
    伝子の発現が宿主生物において活性な少なくとも1つの遺伝子調節エレメントに
    よってコントロールされるDNAベクター、および c)製造されるべきタンパク質をコードする遺伝子を有し、その際、該遺伝子の
    発現および、場合によりこうして製造されたタンパク質の分泌が宿主生物におい
    て活性な1つの遺伝子調節エレメントによってコントロールされるDNAベクタ
    ー からなり、その際、選択マーカー遺伝子を有するDNAベクターと製造されるべ
    きタンパク質をコードする遺伝子を有するDNAベクターとが1つのDNAベク
    ターとして存在してもよい発現系。
  2. 【請求項2】 宿主生物がトラメテスまたはポリポラスの属からの一核性の
    株である、請求項1記載の発現系。
  3. 【請求項3】 宿主生物がトラメテス ベルシカラーである、請求項1又は 2記載の発現系。
  4. 【請求項4】 宿主生物がオロチジン−5’−ホスフェート デカルボキシ ラーゼ(pyrG遺伝子)に欠損を有し、かつウリジンに対して栄養要求性であ
    り、かつ選択マーカー遺伝子がpyrG遺伝子である、請求項1から3までのい
    ずれか1項記載の発現系。
  5. 【請求項5】 宿主生物において活性な遺伝子調節エレメントがグリセリン
    アルデヒド−3−ホスフェート デヒドロゲナーゼ遺伝子(GAPDH遺伝子) のためのプロモーターエレメントおよび、場合によりターミネーターエレメント
    ならびにラッカーゼ遺伝子のためのプロモーターエレメントおよびターミネータ
    ーエレメントから選択される、請求項1から4までのいずれか1項記載の発現系
  6. 【請求項6】 発現されるべきタンパク質がラッカーゼである、請求項1か
    ら5までのいずれか1項記載の発現系。
  7. 【請求項7】 トラメテスおよびポリポラスの属から選択される宿主生物に
    おける形質転換後にポジティブな形質転換体の選択を可能にするタンパク質をコ
    ードする少なくとも1種の選択マーカー遺伝子を有するDNAベクターにおいて
    、選択マーカー遺伝子が、宿主生物が耐性でない抗生物質の増殖阻害作用をうち
    消すタンパク質をコードする抗生物質耐性遺伝子、発色反応の能力があるタンパ
    ク質をコードする遺伝子ならびに宿主生物の遺伝子欠損(栄養要求性)を相補す
    る遺伝子の群から選択され、かつ選択マーカー遺伝子が、宿主生物において活性
    な少なくとも1種の遺伝子調節エレメントによってコントロールされることを特
    徴とする、DNAベクター。
  8. 【請求項8】 トラメテスまたはポリポラスにおいて活性な調節エレメント
    において、配列番号1に含まれる塩基1〜1192の配列断片または配列番号2
    に含まれる塩基1〜547の配列断片または配列番号3に含まれる塩基1365
    〜1542の配列断片ならびに該配列断片と相同の73%より高いホモロジーを
    有する配列を含む調節エレメント。
  9. 【請求項9】 タンパク質の効率よい発現および分泌を可能にする菌類株を
    製造するための方法において、宿主株としてトラメテスおよびポリポラスの属か
    ら選択されるウリジン栄養要求性遺伝子欠損の菌類を使用し、その際、該菌類は
    自体公知の方法によって、宿主株における栄養要求性の遺伝子欠損の相補のため
    の遺伝子を有するDNAベクターで形質転換し、かつ形質転換混合物から前記D
    NAベクターで形質転換したクローンを栄養要求性の遺伝子欠損の相補による選
    択によって選択し、その際、宿主株における栄養要求性の遺伝子欠損の相補のた
    めの遺伝子発現を宿主株において活性な1つの遺伝子調節エレメントによってコ
    ントロールすることを特徴とする、菌類株の製造方法。
  10. 【請求項10】 タンパク質を製造するための方法において、請求項1から
    6までのいずれか1項記載の発現系を、自体公知の方法でタンパク質製造のため
    に使用するか、または請求項9記載の菌類株を自体公知の方法で培養することを
    特徴とする、タンパク質の製造方法。
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