JP2002508976A - 遺伝子療法において使用するための、免疫原性が低下したヌクレオチド発現システム - Google Patents

遺伝子療法において使用するための、免疫原性が低下したヌクレオチド発現システム

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JP2002508976A JP2000540263A JP2000540263A JP2002508976A JP 2002508976 A JP2002508976 A JP 2002508976A JP 2000540263 A JP2000540263 A JP 2000540263A JP 2000540263 A JP2000540263 A JP 2000540263A JP 2002508976 A JP2002508976 A JP 2002508976A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、遺伝子送達系内に免疫抑制遺伝子を取込むことにより、ウイルスベース又は非ウイルスベースの遺伝子送達方法に対する免疫応答を抑制する。これらの免疫抑制遺伝子は、治療処置に加えて又はそれ自体治療処置として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 遺伝子療法の分野は、近年著しい進歩をとげてきている。遺伝子欠陥が識別さ
れたこと及び遺伝子ターゲティング/送達方法が開発されてきたことが組合わさ
って、臨床遺伝子療法プロトコルの数は爆発的に増えることになった。遺伝子療
法の最大の焦点は、新しい遺伝子材料を体細胞の中に導入するための方法を開発
することにある。今日までに2つの一般的なクラスの遺伝子移入方法が展開され
てきた。第1のクラスは、DNA媒介遺伝子移入であり、これにはさまざまな製
剤形態でDNAを患者に直接投与することが関与している。これらの方法は、従
来の有機又はタンパク質化合物に極めてよく似た要領で遺伝子を薬剤として使用
している。しかしながらDNA媒介遺伝子移入はきわめて困難であることが証明
されてきた。マイクロインジェクション、リポフェクション及びレセプター媒介
エンドサイトーシスといったような方法は、通常、より低い遺伝子移入を結果と
してもたらし、通常、ターゲティングされた細胞内に新規遺伝子の過渡的な常在
しか確立しなかった。細胞内への遺伝子の永久的取込みは、培養された細胞(1
×105未満の細胞)内でのDNA媒介遺伝子移入の後にはほとんど発生せず、i
n vivo では有意に観察されていない。かくして、DNA媒介遺伝子移入は、本 来、予測可能な時間にわたり治療的効果を提供するべく従来の非経口経路によっ
て投与される薬剤としての遺伝子の使用に制限される可能性がある。治療用遺伝
子製品の研究は、従来の薬学的薬剤ときわめて類似した形で縮重物質を患者に反
復的に投与することから成る可能性がある。
【0002】 それにひきかえウイルス遺伝子移入には、病原性機能が欠如している合成ウイ
ルス粒子(ベクター)の構築が関与する。ウイルス粒子は、複製能力をもたず、
感染プロセスにより細胞に送達されるウイルスゲノム内に治療又は診断用遺伝子
を含有している。これまで、最も成功を博したウイルスベクターはレトロウイル
スベクターである。レトロウイルス媒介遺伝子移送のプロトタイプは、モロニー
マウス白血病ウイルスである。レトロウイルスベクターは、それらを遺伝子療法
にとって有用なものにしているいくつかの特性を有している。まず第1に挙げら
れるのは、治療用遺伝子を含有し細胞を感染させる能力をもつもののウイルス遺
伝子に欠け、潜在的ウイルスエピトープに対する宿主応答を最小限におさえる一
助となるウイルス遺伝子産物を全く発現しない「欠損」ウイルス粒子を構築する
能力である。
【0003】 レトロウイルスベクターは、自らが運ぶ遺伝子を標的細胞の染色体内に永久的
に組込む能力をもつ。動物モデルにおける多大な実験及び臨床試行における初期
実験は、これらのベクターが高い安全限界を有することを示唆している。
【0004】 アデノウイルスに基づくベクターが、いくつかの細胞型における in vitro 及
び in vivo での遺伝子移入のためのビヒクルとして有効であることが最近立証 された。アデノウイルスベクターは、複製用アデノウイルス粒子を産生するのに
、必要とされるe−1遺伝子領域及び/又はe−3遺伝子領域のいずれかが欠如
した欠失アデノウイルスゲノムを用いて構築される。組換え型遺伝子が、欠失遺
伝子領域の部位の中に挿入される。次に、e−1又はe−3遺伝子を発現するこ
とができ、かくして治療用遺伝子を伴う組換え型ウイルスゲノムのみを含有する
ウイルス粒子を組立てる能力をもつ細胞系統の中でアデノウイルス粒子が産生さ
れる。
【0005】 アデノウイルスベクターは、それらがその遺伝子を標的細胞染色体内に組込ま
ないという点で、レトロウイルスベクターと異なっている。アデノウイルスベク
ターは、数週間から数カ月の期間にわたってその組換え型遺伝子の発現を提供す
る高い効率レベルでインビトロ及びインビボで分裂及び非分裂細胞の両方のさま
ざまな細胞を感染させることになる。
【0006】 現行の技術は増殖能力のないアデノウイルスベクター構築を可能にしたものの
、それらは完全に「欠損性」ではなく、提示されたウイルスエピトープに対する
宿主免疫応答を生成しかくしてすでに過渡的ベクターの急速な削除をひき起こす
可能性のある一連のウイルス遺伝子産物を発現することになる。アデノウイルス
ベクターは、細胞溶解及び炎症性応答を誘発する能力をもち続ける。膵嚢胞性繊
維炎の治療のための実験的臨床試行の間に重度の炎症が見られた。
【0007】 その他のウイルスも、遺伝子療法のための潜在的ベクターとして有用でありう
る特性を示す。このような1つのウイルスに、アデノ関連性ウイルスがある。こ
れはレトロウイルスと同様、標的細胞の染色体内に永久的に組込まれる完全に欠
損性のベクターを提供することができる。このアデノウイルスベクターは、感染
を受けた細胞内の予測可能な場所に組込まれ、このタイプのベクターを、ゲノム
内に無作為に組込まれるベクターに比べ安全なものにすることができる。
【0008】 もう1つの有望なウイルスベクターは、単純ヘルペスウイルスに基づくもので
ある。ヘルペスウイルスベクターは、細胞を感染させ、潜伏性状態で無期限に存
続する能力をもつ。従来、単純ヘルペスウイルスベクターには、それを適切な宿
主内での外来性遺伝子の持続した発現及び逐次的繁殖にとって有用なものとする
ため、ウイルスゲノムの遺伝子工学が関与している。米国特許第5,830,72
7号に記述されているように付加的成分、例えばエプスタイン−バーウイルス核
抗原遺伝子及び潜在性複製起原などを添加して、ベクターをエピゾーム状態に維
持することも可能である。
【0009】 送達方法の如何に関わらず、遺伝子療法プロトコルにおいて増えつづけている
問題には、挿入された遺伝子によりコードされたタンパク質に対する宿主の免疫
応答が関与する。大部分のプロトコルは、ウイルスベースの遺伝子送達に依存し
ており、従って野生型ウイルスが遭遇する問題と類似の問題に直面する。(Pall
ar. W. et al. 「アデノウイルスIX因子ベクター内へのE3領域遺伝子の取込
み及び宿主の過渡的抗−CD処理による導入遺伝子発現の安定化」、Gene Ther,
3(6):521−30(1996);Lochmuller, H., et al.「FK506に
よる過渡的免疫抑制が、成体ジストロフィ性(mdx)マウスの骨格筋に対するアデ
ノウイルス媒介ジストロフィンミニ遺伝子移入の後の持続性高レベルジストロフ
ィン発現を可能にする」、Gene Ther,3(8):706−16(1996);Tr
ipathy, S.K. et al.,「導入遺伝子でコードされたタンパク質に対する免疫応答
が複製欠損性アデノウイルスベクターの注入後の遺伝子発現の安定性を制限する
。Nat Med,2(5);545−50(1996);Smith, T.A. et al., 「過渡
的免疫抑制が、アデノウイルスベクターの反復的静脈内投与の成功を可能にする
」、Gene Ther 3(6);496−502(1996);Riddell, S.R. et al.
, 「HIV感染を受けた患者における、遺伝子修飾されたHIV特異的Tリンパ
球のT細胞媒介拒絶、Nat Med 2(2):216−23(1996)。免疫系に
露呈されるウイルスエピトープを最小限におさえる欠損性ベクターを設計するた
めの技術の到来をもってしても、宿主の免疫系は、導入された治療用遺伝子及び
その転写されたタンパク質を外来性のものとみなし、抗原投与を排除するべく活
発に応答する。ひとたび新しい又は変容した遺伝子が送達され発現された時点で
、患者の免疫系は、それが以前に露呈されたことのないタンパク質エピトープと
遭遇する。新しいエピトープは、さまざまな手段を通してそれらを提示する細胞
及び/又はウイルスを排除するように免疫系を刺激する。遺伝子療法に対する免
疫系応答については、いくつかの遺伝子療法実験及び臨床試行において詳細に記
録されるか、又は疑いがもたれてきた(Koenig, S., HIV患者からの教訓:免
疫応答はなおも遺伝子療法の悩みの種(或いは有望な見通し)でありつづけてい
る〔コメント〕。Nat Med.1996,2(2);165−7;Riddell S.R. et
al.,HIV感染患者における遺伝子修飾されたHIV特異的細胞障害性Tリンパ
球の細胞媒介拒絶〔コメント参照〕。Nat Med.1996,2(2);216−2
3)。免疫応答は、大部分の遺伝子療法プロトコルの有効性を損なうことになる
治療用遺伝子発現の急速な喪失をひきおこす可能性がある。
【0010】 ここでわかるように、当該技術分野においては、治療用遺伝子に対する宿主免
疫応答を最小限におさえ、外来性遺伝子が急速に排除されること無く存続できる
ようにする遺伝子発現系に対するニーズが存在する。本発明は、発現させるべき
治療又は診断用遺伝子に対する宿主免疫応答を低減させる免疫抑制剤をコードす
る配列を用いたヌクレオチド送達ビヒクル内で使用するための新規の発現系を提
供する。
【0011】 本発明の1つの目的は、低減された免疫原性をもつ治療又は診断目的のための
ヌクレオチド発現系を提供することにある。
【0012】 本発明のさらにもう1つの目的は、ビヒクルが受容体細胞の免疫応答を回避で
きるようにする複数のウイルスゲノムから分離された免疫抑制剤を内含するヌク
レオチド発現系を提供することにある。
【0013】 本発明のさらにもう1つの目的は、受容体細胞内でより長い時間にわたり持続
的に存在することによって効力が高められた永久的細胞形質転換のためのヌクレ
オチド発現系を提供することにある。
【0014】 本発明のさらなる目的は、ヌクレオチド送達ビヒクルの設計及び、in vivo、
in vitro 及び ex vivo での遺伝子療法を目的とする細胞の形質転換のための遺
伝子工学技術の使用において、本発明の発現系を利用するための方法及びプロト
コルを提供することにある。
【0015】 発明の概要 本発明は、免疫抑制を通して、導入された発現系の連続的な存続を提供する組
換え型ヌクレオチド発現系を提供するために遺伝子工学技術を利用しようとして
いる。1つの態様においては、本発明は、導入された治療用遺伝子に対する宿主
免疫応答が最小限におさえられるように、ウイルスゲノム又はその機能的等価物
又は一部分から分離された免疫抑制遺伝子を発現するように適合された組換え型
発現系を提供している。
【0016】 本書で使用されている「免疫抑制遺伝子」という語は、その発現によって、ウ
イルスが自らに対する受容体宿主の免疫系反応を回避、低減又は抑制できるよう
にするタンパク質産物が提供されることになるようなあらゆるヌクレオチド配列
を意味する。かかる免疫応答には、細胞障害性Tリンパ球応答、MHC−1,M
HC−2,Tヘルパー細胞、サイトカイン、インタロイキン及び天然キラー細胞
、好中球、マクロファージβ細胞、血漿細胞、組織マクロファージ(例えば肝臓
内のクッパー細胞)及び樹状細胞が内含され得るが、これらに制限されるわけで
はない。これらの遺伝子の例としては、SIV(サル免疫不全症ウイルス)nef
遺伝子;エプスタイン−バーウイルスBHRF1,LMP−1及びLMP−2A
;アデノウイルスE1B/19k及びE1B/55k;牛痘ウイルス crmA及び
CHOhr;バキュロウイルスp35及びIAP;伝染性軟属腫ウイルスMC15
9及びMCO66L;ウマヘルペスウイルス−2E8;家兎痘ウイルスSPI−
1;サルウイルス40T−Ag;乳頭腫ウイルスE7;サイトメガロウイルス、
IE2,UL18及びUS6;粘液腫ウイルスM−T5,MT−2及びM−T4
;ワクシニアウイルスE3L及びK3L;及びヘルペスウイルスサムライTip
が含まれるがこれらに制限されるわけではない。その他の免疫抑制遺伝子の例に
ついては以下で徹底的に論述されており、本書中の教示に従ってこれを分離し同
定することが可能である。
【0017】 ここで「発現系」という語は、タンパク質コーディング領域の発現を達成する
のに必要な遺伝子シグナル全てに作動的に連鎖されたタンパク質コーディング領
域を内含する遺伝子配列のことを意味する。伝統的に、発現系は、タンパク質コ
ーディング領域の転写及び/又は翻訳を増大させるため又は発現に対する制御を
提供するためのプロモーター又はエンハンサといった調節要素を内含することに
なる。調節要素は、タンパク質コーディング領域の上流側又は下流側に位置設定
されていてもよいし、又はタンパク質コーディング領域を中断するイントロン(
非コーディング部分)に位置設定されていてもよい。代替的には、タンパク質コ
ーディング領域自体の配列が調節能力を含んでいることも可能である。
【0018】 「機能的等価物」という語は、言及された配列又はタンパク質に実質的な機能
が類似しているあらゆる誘導体のことを意味する。特に「機能的等価物」という
語は、生物学的機能に対して著しく不利な効果をもたらさずにその中でヌクレオ
チド塩基及び/又はアミノ酸が付加、欠失又は置換され、当該技術分野において
既知のものであって、 Maniatis et al., 「分子クローニング」Cold Spring Ha
rkor Press(1989)の中で開示されているプロトコルに従って高い緊縮性条
件下でハイブリッド形成することになる誘導体を内含する。
【0019】 本書で使用されているように、「治療用遺伝子」という語は、その発現が宿主
細胞内で望まれているあらゆるヌクレオチド配列を内含するものとして解釈され
るものとする。これには、導入された遺伝子に対する免疫原性の低減の恩恵を受
けることになるような配列の導入のためのあらゆる遺伝子工学プロトコルが内含
され、アンチセンス型戦略、診断プロトコル又は遺伝子療法が含まれる。
【0020】 かくして本発明は、1つの実施形態において、1つの細胞内でその発現が望ま
れる治療用ヌクレオチド配列及び免疫抑制剤をコードする組換え型ヌクレオチド
配列を含む組換え型発現系を内含している。免疫抑制剤及びヌクレオチド配列は
、両方の発現を促進するため単一の調節系に作動的に連鎖されていてもよいし、
或いは又ユニークな発現系の中に別々に取込まれていてもよい。
【0021】 好ましい一実施形態において、本発明の発現系は、受容体細胞の形質転換のた
めの遺伝子送達ビヒクル又ベクター内に内含されている。免疫抑制遺伝子は、選
択されたベクターに対して非未縮重のものであり、好ましくは、ウイルスでコー
ドされたタンパク質を最小限だけ有するベクター内に維持される。本発明は遺伝
子産物の永久的組込み及び/又は発現を達成しようとする形質転換プロトコルに
とって特に有用である。本発明はさらに、上述の組換え型発現系を含有するベク
ター、かかるベクターで形質転換された細胞及び、これらの成分を使用する遺伝
子工学プロトコルをも包含するものである。
【0022】 発明の詳細な説明 ウイルスが免疫応答の特定の側面を抑制するための手段を発達させてきたこと
はずいぶん前から知られている。(McFadden.G 及び K. Kane, いかにしてDN Aウイルスは機能的MHC発現を混乱させ、免疫認識を変えるのか。Adv. Cance
r Res.1994.63:117−209)。最近になって、一定の与えられたウ
イルスの宿主による検出及び排除における特定の段階を分断するいくつかの遺伝
子が同定され特徴づけされてきた。これらの発見事実は、潜在的に損傷を与える
ウイルス感染を防止する上で免疫系を補助しようとする研究者にとってきわめて
興味深いものであり続けてきた。これらの遺伝子のヌクレオチド配列も同様に特
徴づけされ、当業者にとって既知のアクセス可能なものとなってきた。その一例
としては、I型単純ヘルペスウイルス(HSV)ICP−47をコードする遺伝
子(York, I.A., et al.「シトゾル単純ヘルペスウイルスタンパク質がCO8+
Tリンパ球に対する抗原提示を阻害する」Cell, 1994.77(4):525
−35;Rosenthal, K.L.,et al.,「単純ヘルペスウイルス糖タンパク質gCを 発現するもののgB,gD又はgEを発現しない細胞がマウスウイルス特異的細
胞障害性リンパ球により認識される」、J Virol. 1987,61(8):24 38−47)及びヒトサイトメガロウイルス(hCMV)US11遺伝子(Jone
s, T.R., et al.,「ヒトサイトメガロウイルスのユニーク短領域内の多数の独立
した遺伝子座が主要組織適合遺伝子複合体クラスI重鎖の発現をダウンレギュレ
ートする」J Virol,1995.69(8):4830−41;Wiertz, E.J., et
al.,「ヒトサイトメガロウイルスUS11遺伝子産物は小胞体からシトゾルへ MHCクラスI重鎖を転座させる」,Cell, 1996.84(5):769−7
9)であるが、それに制限されるわけではない。
【0023】 本発明の発現系は、その最も単純な形では、受容体細胞中でのその発現が望ま
れている治療用遺伝子又はヌクレオチド配列、及び組換え形免疫抑制遺伝子又は
その単独の発現を内含する発現系を含んで成る。以上で規定したようなあらゆる
ヌクレオチド配列が、本発明の発現系において使用可能である。同様にして、既
知の及び今後発見されるはずの複数の免疫抑制遺伝子のうちのいずれでも使用す
ることができる。かかる遺伝子の例としては、エプスタイン−バーウイルスBH
RF1,LMP−1及びLMP−2A;アデノウイルスE1B/19k及びE1
B/55k;牛痘ウイルス crmA及びCHOhr;バキュロウイルスp35及びI
AP;伝染性軟属腫ウイルスMC159及びMCO66L;ウマヘルペスウイル
ス−2E8;家兎痘ウイルスSPI−1;サルウイルス40T−Ag;乳頭腫ウ
イルスE7;サイトメガロウイルス,IE2,UL18及びUS6;粘液腫ウイ
ルスM−T5,MT−2及びM−T4;ワクシニアウイルスE3L及びK3L;
及びヘルペスウイルスサムライTipが含まれる。これらの遺伝子のヌクレオチド
配列は、一般に当業者にとっては既知でしかもGen Bankといった情報源からアク
セス可能なものである。さらに、その他の免疫抑制遺伝子の同定、分離及び配列
決定は、本書中に参考として内含されている論文中で開示されており、本発明に
従って使用されるべきさらにその他の免疫抑制遺伝子を同定し配列決定するため
にこれを使用することができる.。
【0024】 さらにもう1つの実施形態においては、単一の遺伝子療法ベクター内で、内部
リポソーム入口部位(IRES)によって転写により連鎖されているか又は別々
のプロモーターによって個別に制御された多数の免疫抑制遺伝子を使用すると、
このアプローチの有効性の増強が約束される(Parks, G.D., G.M.Duke 及び A.C
. Palmenberg「脳心筋炎ウイルス3Cプロテアーゼ;P3領域に対してウイルス
5’非コーディング配列を連鎖させるクローンからの効率の良い無細胞発現」、
J. Virol, 1986.60(2):376−84。)
【0025】 本発明のヌクレオチド発現系ならびにこの系を用いた遺伝子工学技術を利用す
る本発明の方法は、治療用遺伝子に対し生成された免疫応答を減少、阻害又は回
避させ、かくして存続時間を増大させるという利点をもつ。事実上全ての従来の
遺伝子療法プロトコルが、治療用遺伝子の存続時間の延長からの恩恵を受けるこ
とができ、従って形質転換ビヒクル内へのこれらの免疫抑制遺伝子の内含により
恩恵を受けることになる。代替的には、組換え型免疫抑制遺伝子の発現は、組織
又は細胞の同種異系移植片拒絶を減少させるために行なわれる。
【0026】 好ましい実施形態においては、本発明のヌクレオチド発現系は、その後、問題
の遺伝子を発現させるべく細胞を形質導入し、受容体宿主細胞による遺伝子に対
するあらゆる免疫応答を低減させるのに用いられる適切な遺伝子移入ビヒクル内
に内含される。遺伝子送達ビヒクルは、当該技術分野にとって既知のあらゆる送
達ビヒクルであってよく、レセプター媒介トランスフェクションによって容易に
される単なる裸のDNAならびに数多くのベクターのうちのいずれかを内含する
ことができる。かかるベクターとしては、真核性ベクター、原核性ベクター(例
えば細菌ベクター)及び制限的な意味なくレトロウイルスベクター、アデノウイ
ルスベクター、アデノ関連性ウイルスベクター、レンチウイルスベクター(ヒト
及びブタを含むその他のもの)、ヘルペスウイルスベクター、エプスタイン−バ
ーベクター、SV40ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、シュード
タイプウイルスベクターを含むウイルスベクターが含まれるが、これらに制限さ
れるわけではない。
【0027】 本発明は、治療用遺伝子の過渡的発現に対するものとして永久的発現を達成し
ようとするウイルスベクター形質転換戦略にとって特に有用である。従って、本
発明は、宿主DNA内に組込まれるレトロウイルス、アデノ関連性又はレンチウ
イルスベクターといったようなベクターの使用に特に適している。本発明はHS
Vベクターといったような形質転換された細胞の中で無期限に存続するベクター
系又は、エプスタイン・バー遺伝子要素の使用によるもののようにエピソーム状
態に維持されるベクター系にも特に適している。
【0028】 本発明は同様に、欠損性でそのためウイルスエピトープを全く又は最少量しか
含まず、かくしてベクター自体又はベクター成分に対し生成された免疫反応を最
小限にするようなベクターの場合にも特に有利である。これらのベクターはさら
に、治療用遺伝子自体に対するあらゆる免疫応答を最小限におさえるべく本発明
によってさらに最適化され得る。
【0029】 脂質媒介トランスフェクション、レセプター媒介トランスフェクション,リン
酸カルシウムトランスフェクション,電気穿孔粒子ボンバード、裸の直接DNA
注入、ジエチルアミノエチル(DEAE−デキストラントランスフェクション)
といったような数多くの標準的遺伝子送達形質転換方法のいずれかを使用するこ
とが可能である。
【0030】 本発明の発現ビヒクル(ベクター)を、当業者にとって既知の数多くの技術の
うちのいずれかによって、工学処理することが可能である。以下に記すのは、本
発明のベクターの構築及び形質転換のための技術の要約である。
【0031】 ベクターの構築及び送達のための遺伝子工学技術 脂質媒介トランスフェクション、レセプター媒介トランスフェクション,リン
酸カルシウムトランスフェクション,電気穿孔粒子ボンバード、裸の直接DNA
注入、ジエチルアミノエチル(DEAE−デキストラントランスフェクション)
といったような数多くの標準的遺伝子送達形質転換方法のいずれも、本発明のた
めに使用することができる。
【0032】 好ましい一実施形態においては、発現系を含む本発明の発現ビヒクル又はベク
ターは、同様に、形質転換体について選択するための選択可能なマーカー遺伝子
ならびに細菌内の構成体繁殖のためにこれらの形質転換体を選択する方法も含ん
で成る。かかる選択可能なマーカーは、アンピシリン、カナマイシン、テトラサ
イクリン又はストレプトマイシンなどに対する耐性を付与するものといったよう
な抗生物質耐性遺伝子を含有する可能性がある。これらには、正の選択を提供す
るシヒドロ葉酸レダクターゼといったような原核細胞又は真核細胞からの遺伝子
又は、多薬物耐性I遺伝子、ハイグロマイシンB耐性遺伝子が含まれると考えら
れる。ネオマイシン又は Zeosyn といったようなあらゆるタイプの正のセレクタ
マーカーを使用することができ、これらのタイプのセレクタは、当該技術分野に
おいて一般に知られている。当業者には遺伝子の挿入及び欠失のための複数の手
順が知られており、開示されている。同様に、Post et al., Cell 第24巻:5
55−565(1981)も参照されたい。選択可能なマーカー遺伝子のために
、発現系全体を提供しなければならず、遺伝子はいずれかの端部でプロモーター
調節領域でフランキングされ、もう1方の端部で転写終止シグナル(ポリアデニ
ル化部位)でフランキングされなくてはならない。選択可能なマーカー遺伝子と
既知のあらゆるプロモーター/転写終止の組合せを使用することが可能である。
例えば、5V40プロモーターとSV40polyAである。
【0033】 発現させるべき治療用遺伝子を次に本発明のベクター内に導入することができ
る。外来性DNAは、完全転写単位、プロモーターー遺伝子−polyAを含むこと
ができ、又対象となっている遺伝子のみを挿入する必要しかないように、プロモ
ーター/転写終止配列を含有するべくベクターを工学処理することもできる。こ
れらのタイプの対照配列は当該技術において既知のものであり、任意にはリポソ
ーム結合部位配列と共にオペレータを伴って、転写開始のためのプロモーターを
内含する。かかる系の例としては、ベーターラクトース(ペニシリナーゼ)及び
ラクトースプロモーター系、(Chang et al., Nature,1977,198:105
6);トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel, et al., Nucleic Acid
Res., 1980,8:4057)及びラムダ由来のP1プロモーター及びN遺伝
子リポソーム結合部位(Shimatake et al., Nature 1981,292:128 )が含まれる。SV40polyAといったようなさまざまなリポソーム要素と組合
わせた形で、サイトメガロウイルスプロモーター又はラウス肉腫ウイルスといっ
たその他のプロモーターも使用することができる。プロモーターは構成性、(上
述の)誘発性のプロモーター(テトラサイクリン−制御されたトランス作用因子
(tTA)−応答性プロモーター(tet系、Paulus, W. et al.,「哺乳動物細胞 に対する遺伝子送達のための自蔵型テトラサイクリン調節レトロウイルスベクタ
ー系」、J of Virology, Jan, 1996,第70巻、No.1, p62〜67))又
は、組織特異的プロモーター(例えば、Costa, et Al.,European journal of Bi
ochemistry, 258「ヒト肉皮細胞内の組織型プラスミノーゲン活性化体遺伝子
の転写調節:組織型プラスミノーゲン活性化体遺伝子プロモーター内で機能的要
素を認識する核因子の同定」p123−131(1998);Fleischmann, M.,
et Al., FEBS Letters 440「早期マウス胚発生中の緑色螢光タンパク質の心 臓特異的発現」,p370−376,(1998);Fassati, Ariberto, et Al
., Human Gene Therapy,(9:2459−2468)「自己不活性化ベクターの
長末端反復内に2つの独立したエンハンサーを挿入すると、結果として、組織特
異的発現を伴う高力価レトロウイルスベクターが得られる」(1998);Vale
rie, Jerome, et Al.Human Gene Therapy 9:2653−2659,「腫瘍細胞
に対する遺伝子発現をターゲティングするための組織特異的細胞でサイクル調節
されたキメラ転写因子、(1998);Takehito, Igarashi, et Al., Human Ge
ne Therapy9:2691−2698,「エストロピックレトロウイルス遺伝子の
組織特異的発現に基づく細胞ターゲティングの新たな戦略」1998;Lidberg,
UIf et al. The Journal of Biological Chemistry 273,No.47「外分泌 すい臓内でのヒトカルボキシルエステルリパーゼ遺伝子の転写調節」1998;
Yu, Geng-Sheng et.Al. The Journal of Biological Chemistry 273 No.49
,「脂肪酸酵素基質による組織特異的な代替的ヒトカルニチンパルミトイルトラ
ンスフェラーゼIB遺伝子プロモーター,1998)の中で引用されているもの
)を含めた、当該技術において既知のあらゆるプロモーターであり得る。これら
のタイプの配列は、当該技術分野において周知のものであり、ATCC,Pharma
cia, Invitrogen, Stratagene, Promegaといった複数の供給元から市販されてい
る。
【0034】 最も好ましい実施形態においては、ベクターは、複数のユニーク制限部位が中
に作り上げられている特定的に工学処理された多重クローニング部位を含んで成
る。制限酵素及びその分割部位は、当業者にとって周知のものである。
【0035】 好ましい一実施形態においては、ウイルスベクターを内含する生産者細胞系統
を形成するべく、治療用ヌクレオチド配列を含有するウイルスベクターを用いて
パッケージング細胞系統が形質導入される。このとき生産者細胞を直接投与する
ことができ、かくして生産者細胞は、受容体細胞を形質導入する能力をもつウイ
ルス粒子を生成する。
【0036】 好ましい一実施形態においては、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクタ
ーである。利用可能なレトロウイルスベクターの例としては、モロニーマウス白
血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、及びラウス肉腫ウイルス、ハーベリ肉腫ウイ
ルス、鳥類白血症ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス
及び哺乳動物腫瘍ウイルスといったようなレトロウイルスから誘導されたベクタ
ーが含まれるが、これらに制限されるわけではない。
【0037】 レトロウイルスベクターは、真核細胞内へのレトロウイルス媒介遺伝子移入を
媒介するための作用物質として有用である。レトロウイルスベクターは一般に、
ウイルスの構造遺伝子についてコードする配列の大部分が欠失し、問題の治療用
遺伝子によって置換されるような形で構築されている。構造遺伝子(すなわち g
ag, pol 及び env)は、当該技術分野において既知の遺伝子工学技術を用いてレ
トロウイルスバックボーンから除去されることが最も多い。これには、適切な制
限エンドヌクレアーゼ又は一部のケースではBal31エキソヌクレアーゼを用
いて消化を行ない、パッケージングシグナルの該当する部分を含有するフラグメ
ントを生成することが含まれていてよい。
【0038】 これらの新しい遺伝子は、いくつかの一般的な方法でプロウイルスバックボー
ン内に取込むことができる。最も明白な構成は、レトロウイルスの構造遺伝子が
、その後長い末端反復(LTR)内でウイルス調節配列の制御下で転写される単
一の遺伝子によって置換されているような構成である。標的細胞内に複数の遺伝
子を導入することのできるレトロウイルスベクターも同様に構築されてきた。通
常、このようなベクターにおいては、1つの遺伝子は、ウイルスLTRの調節制
御下にあり、一方第2の遺伝子は、スプライスを受けたメッセージから離れて発
現されるか又はそれ自体の内部プロモーターの調節下にある。
【0039】 主としてパッケージング細胞内のパッケージング欠損性ヘルパーウイルスとベ
クターの間の組換えの機会を減らそうとして、ウイルスバックボーンのウイルス
成分を最小限にすることに努力が向けられてきた。ベクター自体から欠失させら
れたレトロウイルスの構造遺伝子を提供するために、パッケージング欠損性ヘル
パーウイルスが必要である。
【0040】 1つの実施形態においては、レトロウイルスベクターは、ベクターとパッケー
ジング系の間の相同性を絶対最小限まで減らすため一連の欠失及び置換を含むN
2ベクター(Armentans et al., J. Virol, 61:1647−1650)に基づ
く、Bender, et al., J. Virol 61:1639〜1649(1987)内に記 述された一連のベクターの1つであってよい。これらの変化は又、ウイルスタン
パク質が発現される確率をも低減させた。これらのベクターのうちの最初のもの
、LHC−XHCにおいては、部位特異的突然変異誘発により、TAGへのgag
の天然ATG開始コドンが縮重され、かくしてその点から意図されていないタン
パク質合成が削除された。
【0041】 モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)においては、真正 gag 開始点 まで5’ のところで、もう1つのグリコシル化タンパク質(pPr80gag) の発現を可能にする読取り枠が存在する。モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMu
SV)は、(pPr80gagのアミノ末端の潜在的発現を不要にするグリコシル 化部位の喪失及びフレームシフトを含めたこの5’領域内の縮重を有する。従っ
て、LNL−XHCの縮重ATG及びMoMuSVの5’部分の両方を取込んだベ
クターLNL6が作られた。LNベクター系列の5’構造は、かくして、遺伝的
に形質導入された標的細胞内でのその後のウイルス抗原産生を伴って、レトロウ
イルス読取り枠発現の可能性を無くする。パッケージング欠損性ヘルパーウイル
スとの重複を低減させるための最終的縮重において、Millerは、LNベクター内
の3’LTRの直ぐ前の追加の env配列を削除した(Miller et al., Biotechni
ques, 7;980−990,1989)。
【0042】 遺伝子療法に応用するためにあらゆる遺伝子移入系が満たされなくてはならな
い最大の必要条件は、安全性である。安全性は、感染性ベクターの産生のために
利用されるパッケージング系とベクターゲノム構造の組合せから導かれる。Mill
er et al. は、ベクターゲームとパッケージング欠損性ヘルパーゲノムの間のほ
ぼ全ての組換え部位の削除を通して組換え型野生型レトロウイルスの生成が最小
限に抑えられているベクターパッケージング系を作るためLNベクター系列との
レトロウイルス構造タンパク質の発現のためのpPAM3プラスミド(パッケー
ジング欠損性ヘルパーゲノム)の組合せを開発した(すなわちLNとpPAM3
)。
【0043】 1つの実施形態においては、レトロウイルスベクターは、本書で前述し Bende
r et al.(1987)及び Miller et al.(1989)の中でもさらに記述され
ているもののようなLNベクター系列のモロニーマウス白血病ウイルスでありう
る。かかるベクターは、マウス肉腫ウイルスから誘導されたパッケージングシグ
ナルの一部分及び突然変異を受けた gag開始コドンを有する。本書で用いられる
「突然変異を受けた」という語は、gag 開始コドンが欠失又は縮重され、かくし
て gagタンパク質又はそのフラグメント又は切形が発現されないことを意味する
【0044】 もう1つの実施形態においては、レトロウイルスベクターは、少なくとも4つ
のクローニング又は制限酵素認識部位を内含することができ、ここで部位のうち
少なくとも2つが10000塩基対の中で1回未満の真核性遺伝子内平均出現頻
度をもつ。すなわち制限産物は、少なくとも10000塩基対の平均DNA部位
を有する。好ましいクローニング部位は、NotI,Sna BI,SalI及びXho Iから成る群の中から選択される。好ましい実施形態においては、レトロウイル
スベクターには、これらのクローニング部位の各々が内含されている。
【0045】 このようなクローニング部位を内含するレトロウイルスベクターが利用される
場合、レトロウイルスベクター上にあるNotI,SnaBI,SalI及びXhoIか
ら成る群の中から選択された少なくとも2つのクローニング部位と相容性のある
2つのCLSを内含するシャトルクローニングべクターも提供することができる
。このシャトルクローニングべクターは同様に、シャトルクローニングべクター
からレトロウイルスベクターに移入される能力をもつ少なくとも1つの望ましい
遺伝子も内含する。
【0046】 シャトルクローニングべクターは、クローニング又は制限酵素認識部位を内含
する単数又は複数のリンカーが連鎖されている基本的「バックボーン」ベクター
又はフラグメントから構築され得る。CLS内に含まれているのは、以上で記述
した相容性又は相補的クローニング部位である。シャトルベクターの制限部位に
対応する遺伝子及び/又はプロモーターを、当該技術分野において既知の技術を
通してシャトルべクター内に連鎖させることができる。
【0047】 シャトルクローニングべクターは、原核系の中でDNA配列を増幅するために
利用することができる。シャトルクローニングべクターは、原核系、特に細菌内
で一般に使用されるプラスミドから調製することができる。かくして、例えば、
シャトルクローニングべクターはpBR322及びpUC18などといったプラ
スミドから誘導され得る。
【0048】 ベクターは単数又は複数のプロモーターを内含している。利用可能な適切なプ
ロモーターには、レトロウイルスLTR;SV40プロモーター;及び Miller
et al. Biotechniqus,7:(9);980−990(1989)内に記述されて
いるヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、或いはその他のプロモ
ーター(例えば制限的な意味なくヒストン,pol III 及びβ−アクチンプロモー
ターを含めた真核細胞プロモーターといった細胞プロモーター)が含まれるが、
これらに制限されるわけではない。利用可能なその他のウイルスプロモーターに
はアデノウイルスプロモーター、TKプロモーター及びB19パルボウイルスプ
ロモーターが含まれていてよいが、これらに制限されるわけではない。適切なプ
ロモーターの選択は、本書に含まれている教示から当業者には明らかとなること
であろう。
【0049】 このとき、ベクターは、生産者細胞系統を形成するべくパッケージング細胞系
統を形質導入するために利用される。トランスフェクションを受けることのでき
るパッケージング細胞の例としては、PE501、PA317、Ψ2、Ψ−AM
、PA12、T19−14X、VT−19−17−H2、ΨCRE、ΨCRIP
、GP+E−86、GP+envAM12、及びDAN細胞系統が含まれるがこれ らに制限されるわけではない。治療用核酸配列を含有するベクターは、当該技術
分野において既知のあらゆる手段を通してパッケージング細胞を形質導入するこ
とができる。かかる手段としては、電気穿孔法、リポソームの使用及びCaPO 4 沈降法があるがこれらに制限されるわけではない。
【0050】 生産者細胞はこのとき、望ましい受容体細胞に直接か又はそれに隣接して投与
される。
【0051】 好ましい実施形態においては、本発明は、一般にヒトに感染するウイルスベク
ター及びヒトベースのパッケージング細胞系統を含んで成る。例えば、ヘルペス
ウイルス、エプスタイン−バーウイルスといったような一般にヒトに感染するウ
イルスから誘導され、活性α−ガラクトシルエンベロープを発現しないベクター
を使用することができる。
【0052】 最も好ましい実施形態においては、ベクターには単純ヘルペスウイルスプラス
ミドベクターが含まれる。I型単純ヘルペスウイルス(HSV−1)が潜在的に
有用な遺伝子送達系として立証されてきた。Glorioso, J.C.「中枢神経系に対す
る遺伝子移送のための単純ヘルペスウイルスベクターの開発。遺伝子療法:直接
的遺伝子移入の方法と応用」。Jon A. Wolff, Editor, 1994 Birkhauser Bo
ston, 281−302;Kennedy, P.G.,「神経病における遺伝子療法のための単
純ヘルペスウイルスベクターの使用」QJMed, Nov. 1993,86(11):6
97−702;Latchman, D.S., 「遺伝子療法のための単純ヘルペスウイルスベ
クター」,Mol Biotechnol, Oct.1994,2(2):179−95.
【0053】 HSV−1ベクターは、筋肉(Huard. J.,「筋肉に対する、I型単純ヘルペス
ウイルスベクター媒介の遺伝子移入」、Gene Therapy, 1995,2,385− 392);及び脳(Kaplitt, M.G.,「プレプロエンケファリンが、欠損性単純ヘ
ルペスウイルスベクターを介した直接的 In Vivo遺伝子移入後の成人の脳におけ
る領域特異的及び長期的発現を生み出す」、Proc Natl Acad Sci USA, Sep13 ,1994,91(19):8979−83。)に対する遺伝子移入のために使
用され、又マウス脳腫瘍治療のために使用されてきた(Boviatsis, E.J.,「Ganc
iclovir及び無欠性チミジンキナーゼ遺伝子を保持する単純ヘルペスウイルスベ クターで治療された脳新生物を宿すラットの長期存命」、Cancer Res. Nov15 ,1994,54(22):5745−51;Mineta, T.,「Ganciclovir-超感 受性、リボヌクレオチドリダクターゼ、欠損性単純ヘルペスウイルス突然変異体
を用いた悪性グリオーバの治療」、Cancer Res, Aug1,1994,54(15 ):3963−6。
【0054】 作業をより容易にするため及びより大きな挿入(最高140kb)の能力を有す
ることから、ヘルパーウイルス依存性ミニウイルスベクターが開発されてきた。
Geller.,Al.「欠損性単純ヘルペスウイルスベクターのための効率の良い欠失突 然変異体パッケージング系:ヒト遺伝子療法及び神経生理学に対するその潜在的
応用」Proc Natl Acad Sci USA, Nov 1990,87(22):8950−4;
Frenkel. N.,「単純ヘルペスウイルスアンプリコン:汎用欠損性ウイルスベクタ
ー」、Gene Therapy. 1. Supplement 1 ,1994。当該技術分野では、複製不 全アンプリコンが構築されてきており、その一例は、本書に参考として内含され
ている Geller et al., Science,241,Sept. 1998によるpHSVlac
ベクターである。これらのHSVアンプリコンは、外因性DNAの挿入のための
スペースを提供するべくHSVゲノムの大きい欠失を含んでいる。標準的には、
これらは、HSV−1 パッケージング部位、HSV−1「oriS」複製部位及び IE4/5プロモーター配列を含む。これらのビリオンは、繁殖のためヘルパー ウイルスに依存している。
【0055】 組換えを最小限におさえるため、主として2つのタイプの突然変異ヘルパーウ
イルスが開発された。本書では、その他の相補的HSVヘルパーウイルス系が考
慮されており、これらは当業者の技能範囲内に入るものである。開発されてきた
かかる系の1つは、温度感受性突然変異体である。IE3遺伝子内のTS突然変
異を用いて、HSV温度感受性(TS)突然変異体が開発された。Davison et a
l,1984,J. Gen. Virol., 65:859−863。その結果、このウイルス
は、IE表現型をもち、DNAを複製せず、細胞の生理学を著しく変更せず、3
7℃で後代ウイルスを産生しない。ウイルスは37℃の許容温度で成長する。し
かしながら、TS突然変異体は野生型に戻る傾向をもっていた。
【0056】 これとは対照的に、第2のヘルパーウイルス系は、IE3遺伝子の大部分が単
純に欠失された状態にある欠失突然変異体である。これらは、野生型には戻らな
い。従って、欠失突然変異体をヘルパーウイルスとして使用してパッケージング
されたHSV−1ベクターは、本発明の最も好ましいヘルパーウイルスである。
例えば、Patterson et al., 1990,J. Gen. Virol., 71:1775−17
83を参照のこと。その他の複製不全ヘルパーウイルスも使用可能であり、当業
者であれば、適切な複製及び発現機能を提供することになる複製不全ヘルパーウ
イルスを結果としてもたらし、ヘルパー細胞系統及びベクターと調整されるIE
遺伝子又はその他の遺伝子の中でのその他の突然変異も本発明の範囲内で考慮さ
れているということがわかるだろう。それがIE3又は複製依存性遺伝子を発現
するか又は、すでに形質転換されていて市販されているヘルパー細胞系統を得る
能力を有するかぎり、この段階のためにいかなる細胞系統でも使用することがで
きる。pHE及びIE3遺伝子を含有するプラスミドを同時に導入することによ
り、いかなる細胞系統でも使用することができる。次に、電気穿孔法、リン酸カ
ルシウムDNA トランスフェクション又はその他の任意の適切な方法によりヘ ルパー細胞系統に対しベクターを送達する。pHE及びIE3遺伝子を含有する
プラスミドを同時に導入することにより、いかなる細胞系統でも使用することが
できる。次に、ヘルパーウイルスIE3欠失突然変異体又は複製不全のものであ
るその他の対応する欠失突然変異体で、細胞を感染させる。IE3遺伝子又はヘ
ルパー細胞系統内のその他のこのような遺伝子はヘルパーウイルスを補完し、結
果として生産的HSV−1感染をもたらし、結果として得られたウイルス株は、
全て複製無能であるベクターDNA又はヘルパーウイルスDNAのいずれかを含
有するHSV−1粒子で構成されている。ヘルパー細胞系統に関するさらなる情
報及び方法論は、Geller et al.,PNAS,87;8950−8954,199
0年11月、「欠損性単純ヘルペスウイルスベクターのための効率の良い欠失突
然変異体パッケージ系:ヒト遺伝子療法及び神経細胞生理学に対するその潜在的
応用」で開示されている。本発明は、10倍の力価及び非常に大きなDNAイン
サート能力を達成するエピゾーム形態で細胞中にベクターを維持できるようにす
るエプスタイン−バーウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス又はウシ乳頭腫ウイルスI
型からのもののようなその他のウイルス配列と、複製不全HSVアンプリコンを
組合わせるHSVミニベクターを含んで成る。
【0057】 本発明の1実施形態には、(a)(ヘルパーウイルスから複製及びパッケージ
するためのシグナルに応答した)プラスミドの複製パッケージのための「oriS 」複製起点及びパッケージ/分割シグナルのためのHSV−1「a」配列;(b
)宿主ゲノムへの組込みの無い複製そして、2つの分裂中の細胞の各々の中への
均等な複製のため核内でエピゾーム形態でベクターを維持できるようにするEB
V潜伏性複製起点(oriP)及びエプスタイン−バーウイルス(EBV)核抗原 (EBNA−1)遺伝子;好ましくは(c)E. coli 内でのベクターの繁殖のた
めの原核細胞からの遺伝子(アンピシリン耐性又はテトラサイクリン耐性遺伝子
といったような選択可能なマーカー遺伝子及び col. E1 ori) 及び(d)US 11といったような免疫抑制タンパク質をコードする配列を含むヘルパーウイル
ス依存性ミニウイルスベクターが関与している。任意には、ベクターは又、正の
ハイグロマイシン選択のための遺伝子といったような第2の選択可能なマーカー
を提供する原核性遺伝子も含んでいてよい。
【0058】 この特定の実施形態において、単純ヘルペスウイルスカプシド内へのミニベク
ターDNAのパッケージ機能は、ヘルパーウイルス及びヘルパー細胞系統によっ
て提供される。
【0059】 さらにもう1つの実施形態においては、Mann et al.,「レトロウイルスパッケ
ージ突然変異体の構築及びヘルパーを含まない欠損性レトロウイルスを産生する
ためのその使用」、33 Sal., p153〜159,1983年5月,Journal o
f Virology,1989年9月p3822〜3829,1989年9月;Samulski 「組換え型アデノ関連性ウイルスのヘルパーを含まない株;正常な組込みにはウ
イルス遺伝子発現は必要とされない」;及び Kohn et al.,「哺乳動物細胞内へ の高効率遺伝子移入:広い哺乳動物宿主範囲をもつヘルパーを含まない組換え型
レトロウイルスの生成」、PNAS,81;6349−6353,1984.1
0月にあるように、ヘルパーを含まないウイルスベクターを産生するようにHS
Vベクターを工学処理することができる。
【0060】 本発明の発現系及び形質転換ビヒクルは、望ましいヌクレオチド配列の in vi
tro, ex vivo 又は in vivo発現を内含するあらゆる診断又は治療用遺伝子工学 プロトコルのために使用することができる。例えば、本発明の発現ビヒクルは、
単純ヘルペスウイルス、チミジンキナーゼ遺伝子移送系による場合のように(Ma
rtuza RL et al.,「遺伝子工学処理されたウイルス突然変異体を用いたヒトグリ
オーマの実験的療法」、Science 1991:252:854−856),ガン治
療における数多くの治療用処置プロトコルのうちのいずれにおいても使用可能で
ある。同様に、骨髄パージといったような ex vivo遺伝子療法プロトコルにおい
ては、(Seth P., et al.,ヒト乳房腫瘍細胞に対するアデノウイルス媒介遺伝子
移入:ガン遺伝子療法及び骨髄パージのためのアプローチ」;Cancer Res. 56
(6):1346−1351(1996;Andersen, N.S., et al.,「最小残留 疾患のポリメラーゼ連鎖反応検出により評価された外とう膜リンパ腫内での免疫
学的パージの失敗」、Blood,90(10):4212−4221(1997)。
かくして、形質転換された細胞は、患者の体内に再度導入された時点で、減少し
た免疫応答を生成することになる。これらは同様に、診断目的でも使用可能であ
る。
【0061】 さらに好ましい実施形態においては、本発明は、本書内の教示に従って構築さ
れ、実質的に配列番号1,2,3又は4内に記されたとおりの配列又はその一部
分又はその機能的等価物を有するポリヌクレオチドを含む、ヌクレオチド発現ビ
ヒクル(pLXSI−IRES−N,pLISN,pLXSU−IRES−N,
pLGSN,pLISH,pLUISN及びpLUSN)を提供している。
【0062】 治療用遺伝子の送達に基づく遺伝子工学プロトコルに加えて、本発明のさらに
もう1つの実施形態においては、免疫抑制遺伝子はそれ自体、細胞に導入される
べき治療用遺伝子でありうる。独力で送達されるこれらの免疫抑制発現系は、数
多くのプロトコルの中で治療薬として使用することが可能である。
【0063】 例えば、いくつかのクラスのウイルスは、そのタンパク質産物がCTL応答を
特異的に抑制する免疫抑制遺伝子を発達させた。(McFadden, G. and K.Kane,「
いかにしてDNAウイルスは、免疫認識を変えるべく機能的MHC発現を混乱さ
せるか」Adv Cancer Res63:117−209(2994);Fruh, K, et al.,
「抗原提示のためのペプチド輸送体のウイルス阻害物質」Nature375:653
0):415−8(1995);Wold, W.S.and L.R.Gooding,「アデノウイルス
のE3領域:宿主免疫監視及びウイルス−細胞相互作用に関与する遺伝子カセッ
ト」Virology, 184(1):1−8(1991);Beersma, M.F., M.J. Bijl
makers, and H.L. Ploegh,「ヒトサイトメガロウイルスがクラスIH連鎖の安定
生を減少させることによりHLAクラスI発現をダウンレギュレートする」J Im
munol,151(9):4455−64(1993))。このような2つの遺伝子
には、I型単純ヘルペスウイルス(HSU)ICP−47をコードする遺伝子(
York, I.A., et al.,「シトゾル単純ヘルペスウイルスタンパク質が、CD8+ Tリンパ球に対する抗原提示を阻害する」Cell, 1994.77(4):525
−35;Rosenthal, K.L., et al.,単純ヘルペスウイルス糖タンパク質gcを発
現するもののgB,gD又はgEを発現しない細胞が、マウスウイルス特異的細
胞障害性Tリンパ球により認識される」J Virol,1987.61(8):243
8−47)及びヒトサイトメガロウイルス(hCMV)US11遺伝子(Jones,
T.R. et al.,「ヒトサイトメガロウイルスユニーク短領域内の多数の独立した 遺伝子座が主要組織適合遺伝子複合体クラスI重鎖の発現をダウンレギュレート
する」J Virol,1995.69(8):4830−41;Wiertz, E,J.,et al.,
「ヒトサイトメガロウイルスUS11遺伝子産物は小胞体からシトゾルまでMH
CクラスI重鎖を転座させる」Cell, 1996.84(5):769−79)が
含まれる。
【0064】 CTL応答は、クローン病、糖尿病及びアレルギー反応を含めた多くの自己免
疫疾患における寄与因子として同定されてきた(Harris, S.J.,et al.,「主要ハ
ウスダストダニアレルゲン内のマウスMHCクラスIエピトープの予想及びT1
型CD8+T細胞応答の誘発」Int Immunol,1997.9(2):273−80
;Nagata, M., et al., 肥満していない糖尿病マウス内の細胞障害性Tリンパ球
によるすい島細胞の破壊」J Immunol,1989.143(4):1155−62
)。
【0065】 本発明に従うと、本発明の免疫抑制発現系は、これらの疾患に付随するCTL
免疫応答を阻害するための治療薬として投与することができる。ここでも単独で
あるか又は発現ビヒクルの中に入った発現系は、当業者によって決定される疾患
の治療又はその症候の軽減に有効な量で、患者に対して投与される。
【0066】 この療法の潜在的標的である付加的自己免疫疾患には以下のものが含まれる:
自己免疫貧血症又は血球減少症、潰瘍性大腸炎、血管性心臓疾患、囲心病、脈管
炎、過敏症肺臓炎、間質性肺疾患、心筋症、糸球体症、肝炎/肝硬変、急性/慢
性膵炎、異物反応、肺炎症性症候群、変形性関節症、乾癬、サルコイドーシス、
脈管炎、ビーチ症候群、siogronssya、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性硬化症、 即時型過敏性疾患、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、全身性紅斑性狼瘡、強直
性脊椎炎、好酸球性肺炎、重症筋無力症、神経筋接合部疾患、脱髄疾患、多発性
軟骨炎、感染性関節炎、カルシウム結晶沈着を原因とする関節炎、変形性関節症
、未分化脊椎関節症、ショーグレン症候群、免疫学的に仲介された皮膚疾患、急
性多発性脳脊髄炎、急性白質脳炎、筋ジストロフィー、糸球体症、炎症性腸疾患
、心臓弁膜症、肺性心、心筋炎。罹患した組織内の細胞によるMHCI発現の全
体的抑制は、疑わしい免疫応答を低減又は削除するはずである。さらに器官移植
体が、これらの遺伝子提供といった局在化した免疫抑制から多大な恩恵を受ける
ことができる。(Qin, L.,et al.,「ウイルスIL−10遺伝子のレトロウイル ス媒介移入がマウスの心臓同種異系移植片の生存をひきのばす」J Immunol,19
96.156(6):2316−23)。
【0067】 さらにもう1つの実施形態においては、移植体器官内のこれらの遺伝子の発現
の成功が患者に全身的免疫抑制を提供する必要性及びそれに関連する問題を低減
又は削除することになる。
【0068】 さらにもう1つの実施形態では、本発明の免疫抑制系は、ガン治療プロトコル
における治療薬として使用可能である。この実施形態に従うと、本発明の免疫抑
制系には、高レベルで発現される多くの免疫抑制剤が含まれる。高レベルで、こ
れらの作用物質は、免疫系の標的となり、免疫系は形質導入された細胞をターゲ
ティングし破壊する。かくして、この系は、これらの細胞に対する免疫応答を生
成するべく腫瘍細胞を形質導入し細胞を死滅させるのに使用することができる。
Leong, CC,「ヒトサイトメガロウイルス感染における天然キラー細胞の細胞障害
性の変調:内因性クラスI主要組織適合遺伝子複合体及びウイルスクラスI相同
体の役割」J. Exp. Med., 188(3):614(1998);Yokoyama, W.M.
,「天然キラー細胞レセプター」Current Opinion in Immunology,10(3): 298−305(1998);Komatsu, F., et al.,抗−HTLV−1に起因す
る抗体依存性細胞媒介細胞障害性と、成人T細胞白血病細胞系統上の主要組織適
合遺伝子複合体クラスI抗原の負のシグナルの関係」Oncology Research,10(
2):59−67(1998);Fletcher, J.M.,et al.,「サイトメガロウイル
ス(CMV)感染細胞の天然キラー細胞溶解は細胞表面クラスI HLAのCM V誘発されたダウンレギュレーションとではなく、細胞表面リンパ球機能関連抗
原−3(LFA−3)発現ウイルスにより誘発された変更と相関関係をもつ」Jo
urnal of Immunology,161(5):2365−2374(1998)。 この実施形態のためには、発現系は、腫瘍細胞に対して自殺遺伝子の発現を向
けるための誘発性又は好ましくは腫瘍特異的なプロモーターを内含することにな
る。このようなプロモーターは当業者にとって既知でかつアクセス可能なもので
ある:Gotoh, et. al., The Journal of Urology, Vol160「アンドロゲン非 依存性ヒト前立腺ガンのための前立腺特異的抗原プロモーターベースの遺伝子療
法の開発」p220−229 1998;Pang, Shen et. al, Cancer Research
Vo157「前立腺特異的抗原の組織特異的発現の原因となる正の調節要素の同定
」p495−499,(1997);Lin, Ching・Shwun, et. Al, The Journal o
f Biological Chemistry, Vol268 No.4「正常な細胞及び新生細胞内のヒト L−プラスチン遺伝子プロモーターの特徴づけ」p2793−2801(199
3);及び Lin, Ching-Shwun et.Al., DNA and Cell Biology, volume16 No.
I「マウスL−プラスチン遺伝子プロモーター:その同定とヒトL−プラスチン
遺伝子プロモーターとの比較」p9−16(1997)。
【0069】 本書に記述されている方法及び組成物の恩恵を完全に利用するために、数多く
の一般的遺伝子療法改良を使用することが考慮され、本発明の範囲内に入るよう
意図されている。このようにして、より高いウイルス力価の産生、より効率の良
い遺伝子送達、及びターゲティングされた遺伝子送達といったような改良が利用
されることになり、本発明の範囲内に入ることが意図される。
【0070】 遺伝子療法ベクターを改良するための付加的成分の選択及び使用は、日常的実
験を通して単純に特徴づけされるものとして見られ、本発明の範囲内に入るべく
意図されている。
【0071】 本書で引用される全ての参考文献は、以下のものを含め、その全体が参考とし
て明らかに本書に内含される: Miller, et al., 「ヘルパーウイルス産生を導く組換えを回避するためのレト
ロウイルス パッケージ細胞系統の再設計」、Molecular and Cellular Biology 、6:(8),2895−2902(1986)。 Koenig, Scott, 「HIV患者からの教訓:免疫応答はなおも遺伝子療法の悩 みの種(或いは有望な見通し)でありつづけている」Nature Medicine,2:(6
),165(1996)。 York. I.A. et al.「シトゾル単純ヘルペスウイルスタンパク質がCD8+T リンパ球に対する抗原提示を阻害する」、Cell.11:525−535(199 4)。 Rosenthal, K, 「単純ヘルペスウイルス糖タンパク質gCを発現するもののg
B,gD又はgEを発現しない細胞がマウスウイルス特異的細胞障害性リンパ球
により認識される」、Journal of Virology,61(8)2438−2447(1
987)。 Jones et al., 「ヒトサイトメガロウイルスのユニーク短領域内の多数の独立
した遺伝子座が主要組織適合遺伝子複合体クラスI重鎖の発現をダウンレギュレ
ートする」、Journal of Virology,69(8)4830−4841。 Wientz et al.,「ヒトサイトメガロウイルスUS11遺伝子産物は小胞体から
シトゾルへMHCクラスI重鎖を転座させる」、Cell 84,769−79 Hill, et al.,「単純ヘルペスウイルスは、宿主免疫を回避するべくTAPを オフにする」、Nature, 375 411−415(1995) Galocha et al.,「ICP47の活性部位すなわち、抗原処理(TAP)に結 びつけられた主要組織適合遺伝子複合体(MHC)でコードされたペプチドの単
純ヘルペスウイルスでコードされた阻害物質が、NH2−末端35残基にマッピ ングする」、185(9)1565−1572(1997) Tomazin et al., 「TAPのペプチド結合部位に対する単純ヘルペスウイルス
ICP47タンパク質の安定した結合」、EMBO J15(13)3256− 3266(1996) Kwangseog et al.,「単純ヘルペスウイルスタンパク質ICP47によるTA P阻害の分子メカニズム及び種特異性」,EMBO J 15(13)3247−
3255(1996) Fruh et al.,「抗原提示のためのペプチド輸送体のウイルス阻害物質」、Natu
re, 375 415−418(1995) Machold et al., 「HCMV遺伝子産物US11及びUS2は、マウス組織適
合遺伝子複合体(MHC)クラスI重鎖の対立形質を攻撃するそれらの能力にお
いて異なっている」、J Exp. Med.,185(2)363−366(1997) Jones et al., 「ヒトサイトメガロウイルスUS2は、主要組織適合遺伝子複
合体クラスI重鎖を不安定にする」Journal of Virology,71(2)2970−
2979(1997) Nagata, M., et al., 肥満していない糖尿病マウス内の細胞障害性Tリンパ球
によるすい島細胞の破壊」、Journal of Immunology,143,1155−116
2(1978)。 Qin, L.,et al., 「ウイルスIL−10遺伝子のレトロウイルス媒介移入がマ
ウスの心臓同種異系移植片の生存をひきのばす」The Journal of Immunology,1
56 2316−2323(1996)。 Parks. et al.,「脳心筋炎ウイルス3Cプロテアーゼ:ウイルス5’非コーデ
ィング配列をP3領域に連鎖するクローンからの効率の良い無細胞発現」Journa
l of Virology 60(2)376−384(1986) Fruh et al.,「抗原提示のためのペプチド輸送体のウイルス阻害物質」Nature
, 375 415−418(1995)
【0072】 以下の例は、本発明の組成物及び方法をさらに例示することを意図したもので
あり、いかなる形であれ本発明を制限しようとするものではない。
【0073】
【実施例】
例1 数多くのタイプの免疫応答のうち、MHCIで制限された抗原に対するCTL
細胞障害性Tリンパ球(CTL)応答は、ウイルス感染に対する宿主応答におい
て早期に主要な役割を果たすものであることが知られている。予想される通り、
導入遺伝子及びウイルスタンパク質に対する宿主CTLの応答は、ウイルスベー
スの遺伝子療法プロトコルの中で観察されてきた。ウイルスベクターの宿主排除
(FK506による過渡的免疫抑制は、Lochmuller, H et al.,「成体ジストロ フィー(mdx)マウスの骨格筋に対するアデノウイルス媒介のジストロフィンミニ
遺伝子の移入の後の持続した高レベルジストロフィン発現を可能にする。Gene T
her,3(8):706−16(1996);Smith T.A. et al.,「過渡的免疫抑
制は、アデノウイルスベクターを反復的にうまく静脈内投与できるようにする」
、Gene Ther 3(6):496−502(1996);Riddell S.R., et al.,
「HIV感染した患者における遺伝子修飾したHIV特異的細胞障害性Tリンパ
球のT細胞媒介拒絶」、Nat Med 2(2);216−23(1996))及び導
入遺伝子に対する特異的T細胞応答(Poller, W et al,「アデノウイルスIX因
子ベクター内へのE3領域遺伝子の取込み及び宿主の過渡的抗CD4処理による
導入遺伝子発現の安定化」、Gene Ther,3(6);521−30(1996);
Tripathy, S.K. et al.,「導入遺伝子でコードされたタンパク質に対する免疫応
答が、複製欠損性アデノウイルスベクターの注入後の遺伝子発現の安定性を制限
する」、Nat Med,2(5);545−50(1996))が充分に報告されてき
ている。従って、宿主CTL応答を克服し、ベクターの生存を延ばすことが、今
、遺伝子療法系における優先度の高い最終目標として認識されている。
【0074】 通常の経路では、MHCI分子は、小胞体(ER)の管腔内で合成され、充分
成熟した状態となる。成熟MHCI分子は、ゴルジ体を通って輸送され、細胞表
面上に提示される。組立てられていないMHCI分子は、ゴルジ体の中で分解さ
れ、細胞表面上で提示されない。(McFadden, G. and K. Kane,「いかにしてDNA
ウイルスは、免疫認識を変えるべく機能的MHC発現を混乱させるか」、Adv Ca
ncer Res 63:117−209(1993))。抗原エピトープを決定する8 〜10個のアミノ酸ペプチドは、主としてプロテオゾ−ムによってシトゾル内で
外来性タンパク質から生成され、抗原処理(TAP)ペプチド輸送体に結びつけ
られた輸送体によってER内に輸送される(Heemels, M.T., et al.,「抗原処理
と結びつけられた輸送体の変異体によっるペプチド転座」、Science 262(5
142):2059−63(1993))。免疫抑制剤ICP47は、TAP輸送 体のシトゾル側でペプチド負荷部位に結合する(Tomazin, R., et al.,「TAPの ペプチド結合部位に対する単純ヘルペスウイルスICP47タンパク質の安定し
た結合」、EMBO J. 15(13):3256−66(1996)。このICP4
7(TAP)会合は、8〜10個のアミノ酸ウイルスペプチドがER内に入るの
を防ぎ、かくして細胞表面上に存在するMHCI分子の数を低減させる。hCM
V US11遺伝子産物は、抗原処理及び提示経路内で異なる段階に影響を及ぼ す。US11遺伝子は、MHCI分子をERからそれらが急速に分解されるシト
ゾルへと転座させる膜内外糖タンパク質をコードする。(Beersma, M.F., M.J.Bi
jlmakers,及び H.L.Ploegh,「ヒトサイトメガロウイルスは、クラスIのH鎖の 安定性を低減させることによりHLAクラスI発現をダウンレギュレートする」
、J Immunol, 151(9):4455−64(1993)。US11が発現さ れる細胞内では、新たに合成されたMHC1が1分未満の半減期を有し、細胞表
面では提示されない。これらのウイルスタンパク質は小さく、レトロウイルス遺
伝子療法ベクターのパッケージサイズの制約条件を容易に満たす。
【0075】 これらの実験のためには、マウス由来のレトロウイルスベクターLXSNが、
ウイルス免疫抑制遺伝子を送達し発現するために使用された。(Miller, A.D.及
び C.Buttimore, 「ヘルパーウイルス産生を導く組換えを回避するためのレトロ
ウイルスパッケージ細胞系統の再設計」、Mol Cell Biol.1986,6(8);
2895−902)。LXSNは、必要な細胞シャトル遺伝子とレトロウイルス
インサート(図1)で構成されている。レトロウイルスインサートは、レトロウ
イルス組込みのための5’及び3’の長い末端反復(LTR)を有し、SV40
プロモーターが、ネオマイシン相同体G418と共に選択可能マーカーとして使
用するためネオマイシンホスフォトランスフェラーゼ発現を制御する。さらに、
LXSNは、ベクターが適切なパッケージ細胞系統内でウイルス粒子を産生でき
るようにする拡張されたパッケージシグナルを有する。(Miller, A.D. 及び C.
Buttimore, 「ヘルパーウイルス産生を導く組換えを回避するためのレトロウイ ルスパッケージ細胞系統の再設計」。Mol Cell Biol. 1986,6(8);2 895−902;Miller, A.D., レトロウイルス パッケージ細胞、Hum Gene Th
er,1990.1(1):5−14)。パッケージ細胞系統は、ウイルスgag pol
及び env遺伝子と安定した形でトランスフェクションされる。この系は、トラ ンスフェクションを受けたLXSN パッケージ細胞系統から複製無能レトロウ イルス粒子を産生できるようにする。LXSNベクターは、5’LTRプロモー
ターの下流側にあるマルチクローニング部位の中に遺伝子を挿入することによっ
て修飾可能である。LXSNベクターは、本発明において使用される遺伝子を送
達するのに有用であることが立証されたが、以下に紹介する対照実験は、その他
のウイルス及び非ウイルス送達方法がさらに一層有効なものであることが立証さ
れる可能性もあるということを示唆している。
【0076】 我々は、遺伝子療法ベクターに対する細胞障害性Tリンパ球(CTL)免疫応
答をダウンレギュレートするため2つのウイルス遺伝子、すなわちI型単純ヘル
ペスウイルス(HSV)ICP−47をコードする遺伝子(York I.A., et al.
「シトゾル単純ヘルペスウイルスタンパク質がCD8+Tリンパ球に対する抗原
提示を阻害する」Cell, 1994.77(4):525−35;Rosenthal, K.L
., et al.,「単純ヘルペスウイルス糖タンパク質gCを発現するもののgB,g
D又はgEを発現しない細胞がマウスウイルス特異的細胞障害性リンパ球により
認識される 」、J Virol. 1987,61(8):2438−47)及びヒトサ
イトメガロウイルス(hCMV)US11遺伝子(Jones, T.R., et al.,「ヒト
サイトメガロウイルスのユニーク短領域内の多数の独立した遺伝子座が主要組織
適合遺伝子複合体クラスI重鎖の発現をダウンレギュレートする」J Virol,19
95.69(8):4830−41;Wiertz, E.J., et al.,「ヒトサイトメガ ロウイルスUS11遺伝子産物は小胞体からシトゾルへMHCクラスI重鎖を転
座させる」,Cell, 1996.84(5):769−79)を利用してきた。
【0077】 LISNは、HSV DNAからHSVICP−47遺伝子をクローニングし 、それをLXSN遺伝子療法ベクター内にサブクローニングすることによって作
られた(図2A)。HSVICP−47遺伝子は、87アミノ酸の即時早期HS
Vタンパク質についてコードする。ICP−47タンパク質は、MHCI処理及
び提示経路のTAPタンパク質に結合し、ER内にウイルスペプチドを輸送する
その能力を阻害する(Hill, A et al.「単純ヘルペスウイルスは、宿主免疫を回
避するためTAPをオフにする」 Nature,1995.375(6530):41
1−5;Ahn, K., et al.,「単純ヘルペスウイルスによるTAP阻害の分子メカ
ニズムと種特異性」ICP47.Embo J. 1996.15(13):3247−
55)。ペプチドが無い場合MHC−I分子は急速に分解され、細胞表面に輸送
されない。(York, I.A., et al.,「シトゾル単純ヘルペスウイルスタンパク質 がCD8+Tリンパ球に対する抗原提示を阻害する」Cell, 1994.77(4
):525−35;Fruh, K., et al.,「抗原提示のためのペプチド輸送体のウ イルス阻害物質」Nature, 1995、375(6530):415−8)。
【0078】 MHC−I細胞表面発現をダウンレギュレートすることが示された第2のウイ
ルス遺伝子hCMV US11が、同様に近年になって同定され特徴づけされた 。MHC−I分子は、膜の中に定着させられた重鎖及び会合されたβ2マイクロ
グロブリン鎖で構成されている。hCMV US11遺伝子産物は、HMC−I 重鎖をER管腔からシトゾルまで転座させ、このシトゾルにおいてこの重鎖はプ
ロテオゾームにより分解されるということが立証されてきた。(Machold, R.P.,
et al.,MCMV遺伝子産物US11及びUS2は、マウスの主要組織適合遺伝
子複合体(MHC)クラスI重鎖の対立形質を攻撃するその能力において異なっ
ている」J Exp Med,1997.185(2):363−6;Jones,T.R. and L.
Sun,「ヒトサイトメガロウイルスUS2は主要組織適合遺伝子複合体クラスI重
鎖を不安定にする」J Virol,1997.71(4):2970−9)。LUSN
ベクターは、hCMV感染細胞系統からhCMV US11遺伝子をクローニン グし、その後それをLXSNベクター内にサブクローニングすることによって構
築された(図2B)。
【0079】 アデノウイルスGP19Kをコードする遺伝子を取込んだ第3のベクターLG
SNも、類似の要領で構築された(図12)(データ示さず)。MHCIの処理
及び提示経路の抑制にはGP19kも同様に関与しており、これらの研究におい
ては、LGSNベクターも使用された。
【0080】 MHC−1発現をダウンレギュレートする上でのその有効性を見極めるべくL
ISN及びLUSNベクターの両方をテストする目的で、該タンパク質を発現す
る細胞系統を構築することが必要であった。ウイルス上清を生成するために、2
つのマウスパッケージ細胞系統が使用された。まず第1に、GPE86細胞をリ
ポゾームトランスフェクション方法を用いてベクターでトランスフェクションし
た。GPE系統からの上清を使用してPA317細胞を形質導入し、G418含
有培地内で選択により、成功したトランスフェクタントを同定した。その後、P
A317細胞系統からの上清を用いてA375細胞を形質導入した。A375は
、ヒト黒色腫細胞系統であり、上述の手順は、2つの混合個体群細胞系統つまり
A375/LISN及びA375/LUSNを結果としてもたらした。LXSN
ベクターを取込んだ状態のA375対照細胞A375/LXSNを生成するため
、同じ3段階方法を使用した。ノーザンブロット分析が、適切な細胞系統中のL
ISA及びLUSNRNAの存在を確認した(図3)。MHC−I細胞表面発現
を評価するため、抗MHC−IモノクローナルAb,H58A及びFITC標識
づけされた antマウス 2次Abを使用した。結果を、螢光活性化された細胞選 別装置を用いて分析した。Ab標識づけプロセス中に細胞が透過性付与されるこ
とはなく、従って、螢光の減少は、細胞表面MHC−1の減少を表わしている。
A375細胞の自己螢光及びFITC標識づけされた2次的Abの背景結合を評
価し、それが無視できるものであることがわかった(図4)。A375/LXS
N細胞系統は、ウイルス感染に対する一般的応答として観察された細胞MHC−
1発現の著しい増大を往々にして示した。A375/LXSNは、大部分の遺伝
子療法送達方法がウイルスベースであることから、これらの実験にとってさらに
適切な対照である。LISN及びLUSNベクターは両方共、A375/LXS
Nレベル又はA375レベルのいずれかからMHC−I発現を著しく低減させた
【0081】 細胞表面MHC−Iの減少が、CTL細胞溶解を低減させるという望ましい効
果をもつか否かを見極めるため、細胞障害性検定を実施した(図5)。この検定
では、安定したシトゾル酵素、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の放出を測定す
ることによって標的細胞を溶解させるCTLの能力が測定される。CTLエフェ
クタ細胞を用いて、ベクターで形質導入された標的細胞をインキュベートした後
、O.D.492で読取った基質呈色反応を用いて、LDH放出量を測定する。
5つのエフェクタ−標的比を用い、自発的放出と培地背景LDHの両方を読取り
値から差し引いた。エフェクタ細胞として、クローン選択したT急性リンパ芽球
性白血病(TALL)細胞系統(TALL−104,A標的細胞C)をエフェク
タ細胞として使用した。TALL−104細胞は、腫瘍細胞の高特異性溶解を有
するものとして知られ、従ってこの検定にはきわめて適している。MHC−I細
胞表面結果から予測されるように、A375/LXSNは、TALL細胞による
最高の特異的溶解を示し、その後にA375,A375/LISN 及び A37
5/LUSNがそれぞれ続いている。A375は細胞系統は、図4及び6Dに姿
を現わしている。6Dは4の反復であり、従って数字がわずかに異なっている。
図4にグラフ表示された実験を見ればわかるように、A375/LUSN 対 A
375/LXSN(それぞれ0.93対17.5)の細胞表面MHC−Iの18分
の1の減少の結果、10:1の比でTALL溶解のほぼ43%の減少がもたらさ
れた。A375/LISN対A375/LXSNの細胞表面MHC−Iの8分の
1の減少(2.19対17.5)は、TALL溶解の32%の下降に対応していた
。これらの結果は、観察された細胞表面上のMHC−Iの減少レベルが、CTL
の細胞溶解活性を低減させるのに充分であることを実証している。これらの結果
は、テスト対象の全ての細胞系統において一貫性のあるものであった。かくして
、HSV ICP−47遺伝子及びhCMV US11遺伝子は共に、宿主のCT
L応答からLXSN遺伝子療法ベクターを保護する。
【0082】 ベクター構築 ICP47をコードするヘルペスウイルス遺伝子に対するプライマを、以下の
特徴をもつように設計した:順方向プライマ:遺伝子配列の開始に対し相補的な
24bp,リポゾーム結合を促進するための Kosak配列、Hind III エンドヌク レアーゼ制限部位及び、プライマ末端及び Hind III 部位の安定化を助けるべく
添加されるグアニン及びシトシンヌクレオチド。逆方向プライマ:遺伝子の末端
であるアンチセンス配列に対し相補的な24bp,Hind III 部位、及びGCク ランプ。遺伝子のPCR増幅を実施し、アガロースゲル電気泳動により確認した
(データ示さず)。増幅中TAQポリメラーゼによって残されたAオーバーハン
グを活用するPCRョ(Invitrogen)T/Aクローニングベクターの中に産物を非指 向的にクローニングした。標本の同一性を確認するため、標本を配列決定した(
データ示さず)。その後、Eco RI部位においてLXSNマウスレトロウイル スバックボーン内含にICP47をサブクローニングさせた。制限消化物により
LISNの適正な配位が確認された。以下の差異を除き、上述のものと同じプロ
セスに従って、LUSNベクターを生成した:プライマはhCMV US11遺 伝子向けに設計し、鋳型は精製されたhCMV DNA(Sigma) であった。LI SNは以下の要領で構築した。
【0083】 ノーザン分析 完全RNA精製キット(Quiagen Inc. RneasyTM)を用いて、形質導入された 混合A375細胞系統からRNAを精製した。成形済みの1.25%アガロース ゲル(FMC Bioproducts)の各レーン上に10μgの精製RNAを投入した。
RNAを、0.45μmの孔径のナイロン膜にサザンブロットし(Oncor Sure Bl
otTM)、紫外線光を用いて架橋させた。ランダムプライミングされたDNA標識
づけキット(Boehringer Manhein Inc.)を用いてLXSN汚染を回避するべく非
LXSNベクターからICP47及びUS11の両方の遺伝子について32P放射
性標識付けされたDNAプローブを作製した。プローブを、ハイブリダイゼーシ
ョン溶液(Oncor Hybrizo/TMI)中で42度で12時間膜と共にインキュベート
し、2×SSC/0.1%SDS中で2回5分間洗浄した。膜をフィルムに露呈し
現像した。
【0084】 MHCI発現検定: 細胞表面MHCI阻害、形質導入されたA375細胞の混合個体群を、1時間
37度で0.1μg/0.5×106細胞の割合で抗−MHCIAb(VMRD In
c.)で標識づけした。細胞をPBSで2回洗浄し、37度で1時間、ヤギ抗マウ スFITC標識づけ済み二次Ab(Sigma)の1:150希釈液を添加した。再び
細胞を2回洗浄し、フェノール赤を含まず又血清を含まないFACS分析用Opt
i−MEMR(Gibco BRL)培地内で再懸濁させた。各々の3つの標本を平均し、 標準偏差を決定した。A375Ab無し、A375一次無し及びA375が、形
質導入を受けていない対照である。
【0085】 CTL応答抑制検定: TALL−104エフェクタ細胞による、A375形質導入を受けた標的細胞
の特異的溶解。96ウェルの組織培養平板(4ウェル/データポイント)上で5
×103個の標的細胞/ウェルをアリコートにする。エフェクタ細胞を10:1 ,7.5:1,5:1,2.5:1,及び1.25:1の比率で添加し、7時間イ ンキュベートする。1組の対照ウェルを完全に溶解させることによって、100
%溶解を決定する。ウェル内に放出された安定したシトゾル酵素(乳酸デヒドロ
ゲナーゼ、LDH)の量を測定し呈色反応(Promega Corp. Cytotox 96R検定
キット)を用いることによって、細胞溶解を決定する。基線LDHレベルを確立
し、エフェクタ及び標的細胞による自発的LDH放出を差し引く。呈色反応の範
囲は、492nmで96ウェル平板の分光光度計を用いて決定する。
【0086】 例2 LISN及びLUSNを構築した後、A375に加えてその他の細胞系統内で
もレトロウイルス系内で予想した通りに遺伝子が発現され働いたか否かを見極め
るため、上述のとおりに実験を行なった。ベクター生産者細胞を作製し、いくつ
かの細胞系統を形質導入した。ノーザン分析は、標的細胞系統内の両方の遺伝子
の転写を確認した(データ示さず)。抗MHCIモノクローナル一次Ab及びF
ITC標識づけされた二次Abを用いて、細胞表面MHCIを測定した。螢光活
性化細胞(FACS)分析を用いて、結果を測定した(図6A−F)。LISN
又はLUSNベクターで形質導入された細胞の混合個体群は、テスト対象のヒト
細胞系統全てにおいてLXSNで形質導入された対照に比べて著しい細胞表面M
HCIの減少を示した。従って、テスト対象の両方の遺伝子はこれらの細胞系統
におけるMHCI細胞表面発現のレベルを著しく低減させた。
【0087】 MHCIの減少がCTL活性の減少を導くことになるか否かを見極めるため、
クローン選択されたT急性リンパ性白血病(TALL−104)細胞系統を得た
。TALL−104は、腫瘍細胞全般に対する増強した細胞障害性効果を示すC
D8+CTL系統である。(R.,O. C., et al.「小児期急性T−リンパ芽球性白
血病の成長因子必要条件:染色体異常の存在と in vitro で永久的に成長する能
力の間の相関関係」Blood,77(7):1534−45(1991))。A37
5及びVAN細胞系統を特異的に溶解するその能力を決定するべくTALL細胞
をテストした(図7A及びB)。以前に観察された細胞表面MHC1の減少した
レベルと、TALL細胞による特異的溶解の低減したレベルはよく似ている。こ
のデータから、我々は、MHCI細胞表面発現の低減が、形質導入を受けたLI
SN又はLUSN細胞の in vitro でのCTLによる溶解の減少を導くという結
論を下す者である。これらの実験において使用される全てのウイルス及び細胞培
養材料は、学会の方針に従った生物安全性レベル2の作用物質として取扱われる
【0088】 例3 ICP47及びUS11は、各々、MHCI制限エピトープの発現を減少させ
る。いずれか1方の遺伝子が単独で行なうよりも両方の遺伝子の場合の方が優れ
た働きをするか否かを見極めるため、2つの異なるアプローチを使用することが
できる。まず第1に、異なる選択方法を用いた2つの別々のベクターの同時形質
導入が行なわれることになる。第2に、IRES内部プロモーターを含有する単
一の構成体から両方の遺伝子を発現させた。2つの遺伝子を発現する単一の構成
体は、1つの複雑化要因としてのRNAレベルの差異を無くする。上述のアプロ
ーチは両方共、比較的新しいIRES技術での予見しがたい問題を回避する目的
で同時に追求される。図15,16,19及び20を参照のこと。選択方法とし
てハイグロマイシン耐性を使用する、LISNに類似したベクターが構築される
ことになる(図8)。このLISHベクターは次に、パッケージ細胞内にトラン
スフェクションされ、上清は、すでにLUSNベクターを含有する標的細胞を形
質導入するために使用されることになる。2重の形質導入を受けた細胞は、G4
18及びハイグロマイシンの両方を使用するために選択された。
【0089】 例4 ウイルス内に見られるち密なゲノムは、内部リボソーム入口部位(IRES)
を取込むことによって単一のRNA分子から離れて多数の遺伝子を発現するため
のシステムの発展を導いた。市販のIRES(Movagen pCITE−4a−c(t
) )は、長さ約450bpで、非常に有効に翻訳を開始することが示されてきた
。(Parks, G. D., G.M.Duke 及びA.C. Palmenberg,「脳心筋ウイルス3Cプロ テアーゼ;P3領域に対しウイルス5’非コーディング配列を連鎖するクローン
からの効率の良い無細胞発現」、J. Virol60(2):376−84(1986
)。LUISNベクター(図9)は、標的細胞系統を形質導入するために作製さ
れ使用されることになる。
【0090】 上述のモデルのいずれかによってひき起こされるMHCI細胞表面減少のレベ
ルを、記述された抗体ベースのプロトコル(図6)を用いて決定する。特異的溶
解阻害を、記述された方法(図7)を用いて見極めることになる。
【0091】 例5 HSVICP47及びhCMV US11は両方共、テストされた細胞系統の 細胞表面 のMHCI及びCTL特異的溶解の量を著しく低下させる。遺伝子療
法プロトコルにおけるこれらの遺伝子の潜在的応用には、さまざまな器官及び組
織に対するターゲティングされたベクター送達が関与する可能性が高い。さらに
、一次細胞培養に対し確立された細胞系統を比較した時点で、遺伝子発現に著し
い差異が存在することが立証された。一次細胞培養中のLISN及びLUSNの
機能を評価するため、選択された一次細胞培養を用いて、MHCI形質導入、発
現、及び細胞障害性実験が反復されることになる。ヒトの肝臓、肺、腎臓及び骨
髄からの一次培養は現在市販されており、これを形質導入しMHCI細胞表面減
少についてテストすることになる。 その他の組織からの一次細胞培養をテストすることも可能である。
【0092】 LISN及びLUSNベクターのためのパッケージ細胞系統が確立されてきて
いる。以上で列挙した標的細胞を形質導入するためには、これらの系統からの上
清が使用される。形質導入された標的細胞は、ネオマイシン相同体であるG41
8の中で2−4週間選択されることになる。
【0093】 MHCI細胞表面減少を、記述された方法(図6)を用いて評価する。TAL
L−104細胞による特異的溶解を、記述されたとおり(図7)に測定する。
【0094】 例6 CTL活性の減少が結果として in vivo でのベクター生存の延長をもたらす ことになるか否かを見極めることが有利であろう。このアプローチの潜在的利用
分野はかなり多様であり、特定の利用分野に対処するためのモデルを作る必要が
ある。in vivo モデルの選択に関する1つの複雑化要因が、図10に示されてい
るICP47及びUS121の機能の中で立証されている。ICP47は、ここ
に示されている9L細胞系統といったラット細胞系統及び他の場所で報告されて
いるようなその他のげっ歯類系統の中で機能しない。(Ahn, K, et al.,「単純 ヘルペスウイルスICP47によるTAP阻害の分子メカニズムと種特異性」EM
BO J, 15(13):3247−55(1996)。これはTAPのげっ歯類バ
ージョン上にICP47結合部位が存在しないからである。従って、US11機
能をテストするためには、in vivo げっ歯類モデルのみが使用されることになる
。ICP47の in vivo機能は、イヌ骨髄細胞系統D17によって示されている
ようにイヌといったそこでそれが働くことがわかっているモデルの中で評価され
ることになる。さらに、in vivo モデルは複雑であることから、成功を期待して
いくつかの道を追求することが賢明である。第1のモデルは、骨髄細胞中で螢光
マーカー遺伝子GFPを発現することになる(Heim, R.,A.B.Cubitt, and R.Y.
Tsien,「改良型緑色螢光〔文字〕」Nature, 373(6516):663−4(
1995)。このアプローチは、血液細胞中に由来する数多くの異なる遺伝病の
治療におけるICP47/US11免疫ダウンレギュレーションの取込みを評価
する上で有用となる。第2のモデルは、器官移植体及び/又は自己免疫疾患の治
療的処置として免疫抑制自体を使用することに注目するものである。全器官形質
導入技術における最近の改良によって、遺伝子療法ベクターで器官を形質導入し
た後、器官移植体実験を行なうことが可能となる。(Shaked, A., et al.,「移 植体設定におけるアデノウイルス媒介の遺伝子移入、II。同形移植片内の移入c
DNAの成功裡の発現」Transplantation,57(10:1508−11)(19
94)。第3のモデルは、イヌにおけるα−L−イズロンダーゼ欠損症の研究に
おいて追求されることになる。Shull, et.Al.,Human Gene Therapy, 7:159
5−1603「イヌのムコ多糖体沈着症」における筋芽細胞遺伝子療法:α−L
−イズロニダーゼに対する免疫応答による排除」(1996)。
【0095】 形質導入されたリンパ球は、細胞及び体液性免疫応答の両方により、in vivo
での一般的リンパ球個体群から急速に除去される。(Tripathy. S.K. et al.,「
導入遺伝子でコードされたタンパク質に対する免疫応答は、複製欠損性アデノウ
イルスベクターの注入後の遺伝子発現の安定性を制限する」、Nat Med,2(5)
:545−50(1996);Riddell, S.R., et al.,「HIV感染患者におけ
る遺伝子修飾されたHIV特異的細胞障害性リンパ球のT細胞媒介拒絶」;Nat
Med 2(2):216−23(1996)。細胞免疫応答は7日目にピークに達
するが、一方Ab応答は、約14日目でピークに達する。CTL応答を除去する
と、in vivo での形質導入を受けたリンパ球の生存がひき延ばされるはずである
。螢光リンパ球を得るためには、LGSN,LGISN及びLGUSNという3
つのベクターが構築されることになる(図11)。ベクター生産者細胞を確立し
、上清をリンパ球の形質導入のために使用する。
【0096】 マウスリンパ球を分離し、形質導入し、選択し、同系動物体内に輸注により戻
す。螢光マーカーの持続性が、周期的血液標本のFACS分析によって評価され
ることになる。
【0097】 これらの免疫抑制遺伝子の最も直接的な応用は、免疫抑制を治療に使用するこ
とにある。このアプローチの魅力は、免疫抑制遺伝子を治療用遺伝子とすること
によって移入に必要とされる遺伝子の数を最小限におさえるという点にある。現
在、高い効率で肝臓といったような全器官に形質導入するのに使用することので
きる技術がいくつか存在する。さらに、或るタイプの糖尿病、関節炎、狼瘡など
といったいくつかの自己免疫障害が、自己エピトープに対するCTL活性に合わ
せて追跡されてきた。これらの疾病についての一次細胞培養データ及び動物モデ
ルが利用可能であることから、US11/ICP47機能をテストすることが可 能となるだろう。
【0098】 このアプローチを利用すべく我々が計画している1つの例として、イヌのα−
L−イデュロンダーゼ遺伝子の補正バージョンを用いてMPSI(ムコ多粘体沈
着症I)を治療するためのイヌのモデル系が存在する。初期試行は、免疫応答の
問題に遭遇している。このベクターは、α−L−IDベクター内に免疫抑制を取
込み、それがうまく行くならば、疾病を治療するためヒトのα−L−ID遺伝子
について使用することができるだろう。Fassati. A,「自己不活性化ベクターの 長い末端反復内への2つの独立したエンハンサの挿入の結果、組織特異的発現を
伴う高力価のレトロウイルスベクターが得られる」、Human Gene Therapy, 9:
2459−2468(1998);Shull et al.,「体液性免疫応答がイヌのM PSIにおける遺伝子療法を制限する」Blood.88(1):377−379(1
996)。
【0099】 このプロトコルには、3つの遺伝子を発現するベクターの構築が必要とされる
。図12に示されたLαSI/N及びLαSU/N構成体は、これらの必要条件
を満たすものと思われる。このベクターは骨髄細胞を形質導入するために用いら
れ、α−IDの産生が長期間監視されることになる。免疫抑制遺伝子無しのこれ
までの実験が、骨髄細胞の約5%が長期にわたり治療以下のレベルでα−IDを
発現すること、そして、この低い発現レベルが一部には、α−IDタンパク質に
対する免疫応答に起因するものであることを実証している。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 LXSNレトロウイルス遺伝子療法ベクターを概略的に表わす。
【図2A及び2B】 使用されたクローニング方法及びその結果得られたベクターを概略的に表わす
。図2Aは、精製されたHSVDNAから増幅されたシャトルベクター内に連鎖
されたHSVICP47をコードする遺伝子である。この遺伝子は、その同一性
を確認するために配列決定された。遺伝子はその後、LXSNのEcoRI制御部
位内にクローニングされ、結果としてLISNベクターをもたらした。図2Bは
、LUSNベクターを得るべくhCMV感染細胞系統から類似の方法を用いてク
ローニングされたhCMVUS11遺伝子である。
【図3A,3B及び3C】 構築された細胞系統が、期待されたRNAを翻訳していたことを確認するため
のノーザンブロット分析を示す。図3Aは、10μgの合計RNA調製物を4つ
の指示された細胞系統から分離する1.25%のアガロースゲル電気泳動である 。図3Bは、ナイロン膜に移され、放射性標識づけされたICP47DNAでプ
ローブ探査され、オートラジオグラフィによって検出されたRNAである。観察
されたバンドは、LISN RNAについての予測されたサイズである。図3C は、放射性標識づけされたUS11DNAでプローブ探査された同じナイロン膜
である。観察されたバンドはLUSN RNAの予測されたサイズである。
【図4】 この図では、抗MHCIモノクローナルAb及びFITC標識づけされた二次
的Abを用いて、相対的なMHCクラスI細胞表面発現が決定された。結果は、
螢光活性化細胞選別装置(FACS)によって分析され、その結果が図4に示さ
れている。A375 Ab無は、A375細胞系統による自己螢光を測定する。 A375一次無は、二次Abからの評価できるレベルの非特異的結合が存在する
か否かを見極めるためニ次Abのみで標識づけされたものである。
【図5】 5つのエフェクタ/標的細胞比にわたり決定されたTALL−104CTL細
胞による4つの標的細胞系統の特異的溶解を描いている。この特異的溶解は、方
法の中で記述されているとおりに決定された。
【図6A−F】 細胞表面のMHCI阻害を描いている。形質導入された細胞の混合個体群を、
1時間37度で0.1μg/0.5×106細胞の割合で抗MHCIAb(VMR DInc.)で標識づけした。PBS2xで細胞を洗浄し、ヤギ抗マウスFITcで
標識づけされた二次Ab(Sigma)の1:150希釈液を37度で1時間添加した
。2xで細胞を再度洗浄し、FACS分析のためフェノール赤を含まない/血清
を含まないOpti-MEMR培地内でこれを懸濁させた。各々の3つの標本を平均
し、標準偏差を決定した。Ab無、一次無、形質導入を受けていない対照及びL
XSNで形質導入された対照について、全ての細胞系統をテストした。6A(形
質導入された293細胞系統)は、形質転換されたヒト腎臓上皮細胞系統である
。6B(形質導入されたVA13細胞系統)は、形質転換されたヒト線維芽細胞
系統である。6C(形質導入されたA549細胞系統)は、ヒト肺ガン細胞系統
である。6D(形質導入されたA375細胞系統、これは図4で記述した実験の
くり返しである)は、ヒト黒色腫細胞系統である。6E(形質導入されたOvcar
細胞系統) は、ヒトの卵巣ガン細胞系統である。6F(形質導入されたIGRO
V細胞系統)は、ヒトの卵巣ガン細胞系統である。誤差バーは、3つの試行から
の平均の標準誤差を表わす。
【図7A及び7B】 TALL−104エフェクタ細胞による形質導入された標的細胞の特異的溶解
を描いている。1ウェルにつき5×103個の標的細胞を96ウェルの組織培養 平板(4ウェル/データポイント)上でアリコートに分ける。指示された比でエ
フェクタ細胞を添加し、6時間インキュベートする。一組の対照ウェルを完全に
溶解させることによって100%の分解を決定する。ウェル内に放出された安定
したシトゾル酵素(乳酸デヒドロゲナーゼ、LDH)の量を測定し、呈色反応(
Promega Corp. Cytotox96R検定キット)を使用することによって細胞溶解を 見極める(Sinensky, M.C., A.L.Leiser, 及び H.Babich, 「過酸化カルバミド の細胞障害性の酸化的ストレスの側面;in vitro研究」、Toxicol Lett, 75(
1−3);101−9(1995))。基線LDHレベルを立証し、エフェクタ
及び標的細胞による自発的LDH放出を差し引く。92nmでの96ウェル平板
分光光度計を用いて、呈色反応の範囲を見極める。A375対照及び形質導入さ
れた細胞系統の7A TALL−104特異的溶解。これは、図5の場合と全く 同じデータ(図7A)である。VA13対照及び形質導入された細胞系統の7B TALL−104特異的溶解。
【図8】 LISHベクターの概略図を表わす。LISNとの主たる差異が、ネオマイシ
ン耐性遺伝子に代ってハイグロマイシン耐性遺伝子が使用されている点にあるL
ISHの構造。
【図9】 LUISNベクターの概略図を表わす。ICP47及びUS11が、内部リボ
ソーム入口部位IRESを用いて同じRNA分子から発現されている、LIUS
Nの構造。この構成体は、MHC1レベル及び特異的溶解を評価するのに必要と
される対照の数を最小限におさえる。
【図10A及び10B】 イヌ及びラットの細胞中のICP47及びUS11機能を表わす。イヌ骨髄細
胞系統D17A)及びラットのグリア芽細胞腫細胞系統9LB)を形質導入させ
、前述のとおりに、細胞表面MHC1について検定した。ICP47は、げっ歯
類の細胞中では機能しないがイヌの細胞中では機能する。US11はげっ歯類及
びイヌの細胞の両方において機能する。
【図11】 リンパ球発現ベクターを描いている。IRES免疫抑制カセットが構築されL
GSNベクター内に挿入されることになる。ヒト化され赤色シフトされたeGE
P(Clonetech Inc)をLXSNベクター内にサブクローニングすることにより、
LGSNベクターを構築した。
【図12】 LαSI/N及びLαSU/Nベクターを概略的に表わしている。両方のベク
ターを共に前述のとおりに免疫抑制について、又ウエスタン分析によりα−ID
発現についてテストすることになる。
【図13】 本発明に従って設計されたpLUSNベクターの地図である。
【図14】 pLUSNベクターのヌクレオチド配列(配列番号2)である。
【図15】 本発明に従って設計されたpLXSU−IRES−Nベクターの地図である。
【図16】 pLXSU−IRES−Nベクターのヌクレオチド配列(配列番号5)である
【図17】 本発明に従って設計されたpLISNベクターの地図である。
【図18】 pLISNベクターのヌクレオチド配列(配列番号1)である。
【図19】 本発明に従って設計されたpLXSI−IRES−Nベクターの地図である。
【図20】 pLXSI−IRES−Nベクターのヌクレオチド配列(配列番号3)である
【図21】 pLXSNベクターのヌクレオチド配列(配列番号4)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 1/21 1/21 A61K 35/76 5/10 C12R 1:93) // A61K 35/76 C12N 15/00 ZNAA (C12N 15/09 ZNA 5/00 A C12R 1:93) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 DA02 EA02 FA02 FA07 FA10 HA17 4B065 AA91Y AA93X AA95Y AA97Y AC10 AC20 BA02 BA25 CA24 CA44 4C084 AA13 ZC012 4C086 AA01 EA16 NA10 ZC01 4C087 AA01 BC83 ZC01

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 免疫抑制遺伝子をコードするヌクレオチド配列、 プロモーター、及び 転写終止シグナル、 を含む、治療用遺伝子導入のためのヌクレオチド発現系において、受容体細胞内
    への形質転換の時点で、前記治療用遺伝子に対する受容体細胞の免疫応答を阻害
    するか、回避するか又は削除する能力を有するヌクレオチド発現系。
  2. 【請求項2】 前記免疫抑制遺伝子が、SIV(サル免疫不全症ウイルス)
    nef 遺伝子;エプスタイン−バーウイルスBHRF1、LMP−1及びLMP−
    2A;アデノウイルスE1B/19k及びE1B/55k;牛痘ウイルス crmA
    及びCHOhr;バキュロウイルスp35及びIAP;伝染性軟属腫ウイルスMC
    159及びMCO66L;ウマヘルペスウイルス−2E8;家兎痘ウイルスSP
    I−1;サルウイルス40T−Ag;乳頭腫ウイルスE7;サイトメガロウイル
    スUS11、IE2、UL18及びUS6;粘液腫ウイルスM−T5,MT−2
    及びM−T4;ワクシニアウイルスE3L及びK3L;及びヘルペスウイルスI
    CP47及びサムライTipから成る群の中から選択される、請求項1記載の発現
    系。
  3. 【請求項3】 前記免疫応答が、細胞障害性Tリンパ球応答、MHC−1、
    MHC−2、Tヘルパー細胞、サイトカイン、インターロイキン及び天然キラー
    細胞から成る群の中から選択される、請求項1記載の発現系。
  4. 【請求項4】 前記免疫抑制遺伝子が組換え型非未縮重免疫抑制遺伝子であ
    る請求項1記載のヌクレオチド発現系を含んで成る受容体細胞中への治療用遺伝
    子の永久的導入のための組換え型ウイルスベクター。
  5. 【請求項5】 受容体細胞 DNA内への前記ヌクレオチド発現系の永久的 組込みを提供する、請求項4記載のウイルスベクター。
  6. 【請求項6】 潜伏状態又はエピゾーム状態で形質転換された細胞内に無期
    限に存続することのできるウイルスベクターである、請求項4記載のウイルスベ
    クター。
  7. 【請求項7】 レトロウイルス系ウイルス、アデノ関連性ウイルス、ヘルペ
    スウイルス、レンチウイルス及びエプスタイン−バーウイルスから成る群の中か
    ら選択される、請求項5記載のベクター。
  8. 【請求項8】 形質転換体の選択のためマーカー選択遺伝子をコードする発
    現系をさらに含んで成る、請求項4記載のベクター。
  9. 【請求項9】 内部リボソーム入口部位をさらに含んで成る、請求項4記載
    のベクター。
  10. 【請求項10】 前記選択遺伝子が抗生物質耐性遺伝子である、請求項4記
    載のベクター。
  11. 【請求項11】 前記抗生物質耐性遺伝子が、アンピシリン耐性遺伝子、カ
    ナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子から
    成る群の中から選択される、請求項10記載のベクター。
  12. 【請求項12】 多重クローニング部位をさらに含んで成る、請求項4記載
    のベクター。
  13. 【請求項13】 前記ベクターを細菌中で繁殖させるための原核遺伝子をさ
    らに含んで成る請求項4記載のベクター。
  14. 【請求項14】 誘発性プロモーター、構成性プロモーター、組織特異性プ
    ロモーター及び人工プロモーターエンハンサから成る群の中から選択されたプロ
    モーターをさらに含んで成る、請求項1又は4記載の発現系。
  15. 【請求項15】 前記免疫抑制遺伝子が、エプスタイン−バーウイルスBH
    RF1,LMP−1及びLMP−2A;アデノウイルスE1B/19k及びE1
    B/55k;牛痘ウイルスcrmA及びCHOhr;バキュロウイルスp35及
    びIAP;伝染性軟属腫ウイルスMC159及びMCO66L;ウマヘルペスウ
    イルス−2E8;家兎痘ウイルスSPI−1;サルウイルス40T−Ag;乳頭
    腫ウイルスE7;サイトメガロウイルスUS11、IE2、UL18及びUS6
    ;粘液腫ウイルスM−T5,MT−2及びM−T4;ワクシニアウイルスE3L
    及びK3L;及びヘルペスウイルスICP47及びサムライTipから成る群の
    中から選択される、請求項4記載の組換え型ウイルスベクター。
  16. 【請求項16】 前記免疫応答が、細胞障害性Tリンパ球応答、MHC−1
    、MHC−2、Tヘルパー細胞、サイトカイン、インタロイキン及び天然キラー
    細胞、好中球、β細胞、血漿細胞、組織マクロファージ、樹状細胞及びマクロフ
    ァージから成る群の中から選択される請求項4記載のウイルスベクター。
  17. 【請求項17】 前記免疫応答がMHC−Iである、請求項16記載の発現
    系。
  18. 【請求項18】 請求項4記載のベクターで形質転換された受容体細胞。
  19. 【請求項19】 導入された治療用遺伝子に対する宿主細胞免疫応答を低減
    させる方法において、前記宿主細胞に対し請求項4記載のヌクレオチドベクター
    を導入する段階を含んで成る方法。
  20. 【請求項20】 MHC−I自己免疫疾患の治療方法において、請求項1記
    載のヌクレオチド発現系を該治療を必要としている動物に対して投与する段階を
    含んで成り、前記免疫抑制遺伝子が、MHC−I免疫応答を阻害する免疫抑制遺
    伝子である方法。
  21. 【請求項21】 前記免疫抑制遺伝子が、ヒトサイトメガロウイルスUS1
    1及びヘルペスウイルスICP47から成る群の中から選択される、請求項20
    記載の方法。
  22. 【請求項22】 腫瘍細胞を死滅させる方法において、請求項1記載のヌク
    レオチド発現系を前記細胞に導入する段階を含み、前記免疫抑制遺伝子は、天然
    キラー応答が受容体宿主細胞内で生成されるようなレベルで発現させられる方法
  23. 【請求項23】 前記ヌクレオチド発現系が腫瘍特異的プロモーターを含ん
    で成る請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 US11及びICP47から成る群の中から選択された免
    疫抑制遺伝子を含む発現系、抗生物質耐性遺伝子を含む発現系といった要素を含
    んで成るプラスミドレトロウイルスベクター。
  25. 【請求項25】 配列番号1、2、3又は4のヌクレオチド配列及びその機
    能的等価物を含んで成るプラスミドレトロウイルスベクター。
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