JP2002505855A - 遺伝子治療に使用されるベクター及びウイルス - Google Patents

遺伝子治療に使用されるベクター及びウイルス

Info

Publication number
JP2002505855A
JP2002505855A JP2000534497A JP2000534497A JP2002505855A JP 2002505855 A JP2002505855 A JP 2002505855A JP 2000534497 A JP2000534497 A JP 2000534497A JP 2000534497 A JP2000534497 A JP 2000534497A JP 2002505855 A JP2002505855 A JP 2002505855A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vector
dna
cells
gene therapy
parp
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000534497A
Other languages
English (en)
Inventor
ビュルクレ,アレクサンダー
マイヤー,ラルフ
Original Assignee
ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム スチフトゥング デス エッフェントリヒェン レヒツ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム スチフトゥング デス エッフェントリヒェン レヒツ filed Critical ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム スチフトゥング デス エッフェントリヒェン レヒツ
Publication of JP2002505855A publication Critical patent/JP2002505855A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/1048Glycosyltransferases (2.4)
    • C12N9/1077Pentosyltransferases (2.4.2)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼに関する実質的に完全な遺伝情報をコードする発現可能な挿入DNAを含有し、かつ遺伝子治療に適するベクターに関する。また、本発明は、遺伝子治療に適する該ベクター及びウイルスの製造方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、遺伝子治療に適するベクター及びウイルス、その製造方法並びにそ
の使用に関する。
【0002】 一般的な腫瘍の治療法は、腫瘍の手術によるできるだけ完全な除去、及び放射
線照射及び/又は細胞増殖抑制剤の全身投与または部分投与(化学療法)による
患者の治療を含む。この点について、この放射線療法及び/又は化学療法は、腫
瘍の手術による除去の前又は後に行うことができ、しばしば手術不可能な腫瘍の
場合の唯一の治療可能性ですらある。放射線療法及び/又は化学療法により、ま
だ存在する腫瘍組織及び形成された転移のそれぞれを鎮静することが試みられて
いる。これらの治療方法は、腫瘍細胞においてDNA損傷/DNA合成阻害を誘
導し、これにより腫瘍細胞を鎮静する。健常な組織に対する重度の副作用のため
、治療のために計画される全投与量は、通常、数週間及び数カ月にわたって分割
された形態で与えられる。しかしながら、細胞傷害であるような定量以上の用量
に抗して生き残る腫瘍細胞において、この処理はゲノム不安定性を導きうるし、
又はそれを増強しうる。ゲノム不安定性は、構造的又は数的な染色体の異常、遺
伝子の再配列、完全な又は部分的な遺伝子欠失、遺伝子増幅、点突然変異等が起
こることを意味する。もちろん、これらの遺伝子の変化は、正常なタンパク質の
過剰発現、過少発現若しくは非制御(deregulierten)発現、又は
異常タンパク質(個々のアミノ酸交換、タンパク質の切断等)の発現を導くこと
により、関連する程度まで細胞の遺伝子発現に影響しうる。もし、細胞の成長、
分化条件、プログラムされた細胞死又は表面タンパク質の発現を制御するタンパ
ク質が影響をうけた場合、これは、妨害された増殖制御、不死化、分化妨害、「
免疫エスケープ(Immun−Escape)」、転移及び病理学的血管形成を
含む腫瘍細胞の典型的な「悪性表現型」を直接導きうる。したがって、細胞傷害
的な定量以上の用量に抗して生き残る腫瘍細胞におけるゲノム不安定性の誘導又
は増強は、悪性状態にするプロセスが意図されずに加速されるという事実、例え
ば、治療耐性又は転移への傾向が生じることにより患者の治癒が最終的に不可能
になるという事実を導きうる。また、これは、多くの癌患者において放射線療法
又は化学療法により寛解が初期に誘導されるが、治療のさらなる過程において、
腫瘍は、治療耐性となり、患者は最終的にそれが原因で死ぬという臨床経験に一
致する。したがって、これらの現在の腫瘍治療に関連する成功はほとんどない。
【0003】 しかしながら、まだ健常であるとみなされる細胞(「正常細胞」)の場合でも
ゲノム不安定性は生じ、おそらく腫瘍発現の駆動力とさえみなされうる。これは
、以下の事実により支持される: a)一般的な特徴が、すでに幼少の発端者の正常細胞においてゲノム不安定性が
増強されている、種々の単一遺伝子性遺伝性疾患(例えば、ブルーム症候群、ウ
ェーバ症候群等)がいくつかある。これらの症候群はすべて、癌の危険性の増加
に関連する。 b)化学的及び物理的発癌性物質は、ゲノム不安定性を引き起こし得、このこと
は、初期に活性化された「無欠陥」修復システムの過負荷による「欠陥生成」D
NA修復系の結果(Inanspruchnahme)とみなされうる。同様に
、腫瘍ウイルスの特定の遺伝子産物は、宿主細胞においてゲノム不安定性を引き
起こしうる。
【0004】 したがって、本発明の目的は、一般的な腫瘍治療を改善することができ、腫瘍
の形成及び発現に対する予防を行うことができる産物、特に、腫瘍細胞及び正常
細胞におけるゲノム不安定性の生成を回避することができる産物を提供すること
にある。
【0005】 本発明によれば、これは、遺伝子治療に適し、かつポリ(ADPリボース)ポ
リメラーゼ(以下、PARPという)の実質的に完全な遺伝情報をコードする発
現可能な挿入DNAを含有したベクターにより達成することができる。
【0006】 PARPは、高等真核生物の高度に保存された核酵素であり、DNA鎖切断片
の存在下で、ポリ(ADPリボース)による細胞核タンパク質の共有結合修飾を
触媒する。この反応は、効率的な塩基除去修復、及び増殖している細胞のアルカ
リ化剤、酸化剤又はイオン化放射線照射によるDNA損傷の細胞傷害性効果から
の回復に貢献する。この発見は、これまで、PARPの阻害によって腫瘍細胞で
の細胞でのポリ(ADPリボース)産生を防止するのに使用されている。このこ
とにより、損傷性抗原に対する細胞の感作が検出され、腫瘍細胞の死滅が起こる
はずである。この治療上のアプローチは、例えば、独国特許第44 44 94
9 C1号明細書に記載されている。この刊行物によれば、PARP又は少なく
とも部分的に触媒的に不活化されたPARPのDNA結合ドメインをコードする
、発現可能な挿入DNAが遺伝子治療に適したベクターに挿入され、トランスド
ミナント(transdominanten)な様式で腫瘍細胞に挿入して内部
に存在するPARPを阻害すると、DNA損傷の修復がその割合について劇的に
低下し、かつ腫瘍細胞が非常に死滅しやすいようになる。ここで、本発明は、そ
れを超える知識、すなわち、腫瘍細胞におけるゲノム不安定性を回避するために
は、腫瘍細胞においてPARPが阻害されなければならないのではなく、PAR
Pの過剰発現が確保されなければならないことに基づいている。もちろん、該知
識は、このアプローチが「癌予防」が意味する範囲で有効となるものとする正常
細胞に適用可能である。
【0007】 上記の「遺伝子治療に適するベクター」という表現は、遺伝子治療においてそ
のままで、又は他の産物と組み合わせて使用することができる任意のベクターを
包含する。それらには、例えば、組み込まれていても組み込まれていなくてもよ
いベクター系であるプラスミドベクター及びウイルスベクターが含まれる。ウイ
ルスベクターのうち、特にアデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノ随伴
ウイルス(以下、AAVという)、「マウスの微小ウイルス」(以下、MVMと
いう)及びレトロウイルスを挙げるべきであろう。AAVのウイルスベクター、
例えば、AAV−sub201(サムルスキー(Samulski),R.J.
ら、J.Virology 61,(1987),3096−3101参照のこ
と)、MVMのウイルスベクター、例えば、pSR2(ラッセル(Russel
l),S.J.ら、J.Virology 66,(1992),2821−2
828参照のこと)及びレトロウイルスのウイルスベクター、例えば、N2(ケ
ラー(Keller),G.ら、Nature 318,(1985),149
−154)は、特に好ましい。また、 − 外来DNAと、GAL4/インベーシン融合タンパク質(ポール(Paul
)ら、Gene Ther.8、1253〜1262頁(1997))又は、ペ
プチド(ハート(Hart)ら、Gene Ther.2、552〜554頁(
1995);ゴットシャルク(Gottschalk)ら、Gene Ther
,3、48〜57頁(1996))との複合体; − 改良された脂質系ベクター(例えば、カチオン性リポソームとのDNA会合
物;中性又はアニオン性リポソーム内へのDNAパッケージング;リポソームで
パッケージングされたポリカチオン凝縮DNA;リー(Lee)ら、Crit.
Rev.Ther.Drug Carrier Syst.14、173〜20
6頁(1997); − T7−RNAポリメラーゼ系ベクター(チェン(Chen)ら、Cance
r Gene Ther.2、281〜289頁(1995)); − 「トランスフェリン感染」(ザトロウカル(Zatloukal)ら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci− USA 91、5148〜5152頁(
1994)); − さらなる付加物なしの発現プラスミドの精製DNAの直接注入(ヴォルフ(
Wolff)、Neuromuscul.Disord.7、314〜318頁
(1997)) 等の非ウイルスベクター系を使用することも可能である。
【0008】 本発明によれば、挿入DNAは、PARPの実質的に完全な遺伝情報をコード
する上記ベクターに挿入される。「実質的に完全な遺伝情報」という表現は、挿
入、欠失、塩基置換又は修飾が起こりうるが、PARPの機能を変えないことを
意味する。かかる機能的PARPは、触媒的に活性でなければならず、かつDN
A鎖切断片により活性化されなければならない。
【0009】 上述の挿入DNAは、任意の生物、例えば、ヒト又は動物又は植物に由来しう
る。ヒト由来の挿入DNA、特に、ヒトcDNA、特に好ましくはFig.1の
もの又はそれとは1個若しくは数個のヌクレオチドが異なるDNAを使用するこ
とが好ましい。「それとは1個若しくは数個のヌクレオチドが異なるDNA」は
、塩基置換にもかかわらずPARPの機能が維持されていることを意味する。こ
れは、対立遺伝子バリアントも包含する。
【0010】 上記挿入DNAのベクターへの挿入は、該DNAが発現されうるように行なわ
れる。これは、ベクター内に存在する発現単位に同調して挿入DNAを挿入する
ことにより達成されうる。この目的のためには、発現単位に存在するDNAを少
なくとも一部除去することが必要でありうる。また、エンハンサー、プロモータ
ー又はポリアデニル化シグナルなどの利用可能な発現単位のエレメントを少なく
とも部分的に、他のもので置き換えることも有利でありうる。好ましくは、プロ
モーターにより制御される挿入DNAの発現が組織特異的となるように、組織の
種類に特異的であるプロモーターが発現単位に挿入される。腫瘍細胞において活
性なプロモーターが特に好ましい。そのようなプロモーターの例は、MVMのP
4プロモーターである(ラッセル(Russell),S.J.ら、上記)。
【0011】 上記の挿入DNAの発現は、この目的のためにベクター内に挿入されるべきで
あろう発現単位においても達成されうる。上記の記載はこの発現単位にも当ては
まる。
【0012】 ウイルスベクターの場合、ベクター内に存在する発現単位に挿入DNAを挿入
することが好ましいということがしばしば証明される。発現単位に存在するウイ
ルスDNAであって、それと関連する特定の環境下にあるDNAの除去又は部分
的な除去は、ウイルス機能の欠損を有するウイルスベクターをもたらす。この欠
損は、選択マーカーとして使用することができる。一方で、必要であれば、イン
トランス相補(Komplementation in trans)等の通常
の方法により該欠損を補うことができる。
【0013】 本発明によれば、ウイルスベクターそれ自体が、自身によってコードされるウ
イルスをもはや形成しないように挿入DNAが挿入されたウイルスベクターが好
ましい。本発明において好ましいベクターはFig.3に示される。
【0014】 しかしながら、ウイルスベクターによりコードされるウイルスは、通常の相補
方法によっても形成されうる。例えば、PARP挿入物を含むAVVrep-ベクタ
ーは、rep遺伝子を発現するDNA構築物で同時にコトランスフェクトされる
細胞にトランスフェクトされる。ウイルスが得られる。それらは、患者において
複製することができないので、遺伝子治療に十分に適する。
【0015】 ウイルスベクターによりコードされるウイルスは、PARP挿入物を含むレト
ロウイルスベクターの一般的なパッケージング細胞株におけるトランスフェクシ
ョンにより得られる。それも遺伝子治療に十分に適する。
【0016】 したがって、本発明の主題は、上記のウイルスベクターによりコードされるウ
イルスにも関する。
【0017】 本発明のベクター及びウイルスは、正常細胞及び腫瘍細胞においてゲノム不安
定性の形成を阻害することができる点において自身を差別化する。したがって、
それらは、ゲノム不安定性が回避されなければならない治療における使用に完全
に適している。本発明のベクター及びウイルスの適性は、特に腫瘍の治療におい
て、特に、従来の放射線療法及び/又は細胞増殖抑制剤を使用する方法との併用
において見られるはずである。本発明のベクター及びウイルスにより治療される
腫瘍細胞は、幸い死滅する傾向の増加を示す。ここで、本発明のベクター及びウ
イルスは、組織(腫瘍)特異的活性を示すであろうという恩恵をもたらす。放射
線療法及び/又は化学療法の効率は、これにより非常によく増加しうる。この目
的のためには、計画された放射線療法及び化学療法のそれぞれの前に、遺伝子治
療ベクターの全身投与及び/又は腫瘍内投与により腫瘍細胞が形質導入される。
この場合に期待される過剰なポリ(ADPリボシル)化により、放射線療法又は
化学療法によるDNA損傷に対する細胞応答として、定量以上の用量に抗して生
き残るような腫瘍細胞における現象である「ゲノム不安定性」の特異的阻害があ
る。期待されるように、さらに腫瘍細胞が悪性となることはなく、懸念された治
療耐性は生じない。特に、すでに癌の危険性の増加が言及される場合、癌患者又
は健常な人の健常な組織に対して、遺伝子治療ベクターの全身投与による細胞の
反復形質導入することも推奨されている。本発明は、遺伝子治療による「癌予防
」及び最も重篤な疾患の治療のトレンド創出である。
【0018】 以下の実施例は本発明を説明する。
【0019】 実施例 実施例1:本発明のベクターAAVrep-/cap- −PARPの製造 ベクターAAV−sub201(サムルスキー(Samulski),R.J
.ら、上記)をベースとして使用する。このベクターを制限酵素XbaIにより
切断し、逆方向末端反復を除くすべてのAVV部分を除く。ベクター断片の末端
を「平滑」にする。その内部には、挿入物、P4−PARP−ポリAが挿入され
ており、該挿入物は、5’から3’まで各々平滑末端を有する以下の配列: (I)P4プロモーターを含む259bpのBamHI/NcoI断片。この断
片は、例えば、プラスミドpEG618(アステル(Astell),C.ら、
J.Virology 57,(1986),656−669を参照のこと)に
由来する;(II)部分消化により生成され、かつ3.0kbのオープン・リー
ディング・フレームと630bpのHSV−チミジンキナーゼポリ−A−シグナ
ルとの両方を有するpPARP31(バン グール(van Goolら、Eu
r.J.Biochem.244(1997)、15−20を参照のこと)由来
の3.6kbのSmaI/HindIII断片 を含有する。ベクターAAVrep-/cap- −PARPが得られる。
【0020】 実施例2:本発明のレトロウイルスPARPベクターの製造 ベクターN2(ケラー(Keller),G.ら、上記参照のこと)をベース
として使用する。このベクターを、ネオマイシン遺伝子の3’でのEcoRI部
分消化により開裂する。次いで、5’から3’に以下の配列がベクター中のネオ
マイシン遺伝子の3’末端に挿入されている:(I)β−グロビン遺伝子の0.
7kbポリ−A−シグナル(例えば、pECV由来のEcoRI/SalI断片
;バーグ(Berg),B.G.M.ら、Gene 4(1989),407−
417を参照のこと);(II)P4プロモーターを含む259bpのBamH
I/NcoI断片(実施例1、(I)を参照のこと);(III)部分消化によ
り生成された、pPARP31由来の3.6kbのSmaI/HindIII断
片(実施例1、(II)を参照のこと)。レトロウイルスPARPベクターを得
る。
【0021】 実施例3:ゲノム不安定性の発生(Entstehung)の阻害 誘導PARP過剰発現トランスフェクタントにより、細胞のゲノム安定性に対
するPARP過剰発現の効果を、遺伝子毒性ストレスの条件下で調べる。ゲノム
不安定性の一般に認識されたマーカーであり、かつ遺伝子欠失の生成と遺伝子増
幅との両方に対する重要な機構(「不等姉妹染色分体交換」)である、姉妹染色
分体交換(SCE)前駆体の頻度は、測定パラメータとしての役割を果たす。
【0022】 a)初期SV40プロモーターの制御下で、ヒトグリココルチコイドレセプタ
ー用の発現ベクターによるハムスター細胞株CO60の安定なトランスフェクシ
ョンにより、トランスフェクタントCOR4を得た(クマール(Kumar),
V.ら、Cell 51、941〜951頁、1987)。「マウス乳がんウイ
ルス長末端反復(MMTV−LTR))プロモーター」(=PARP 93)の
制御下で、完全なヒトPARPのためのpPARP31を基にした発現プラスミ
ドによるCOR4細胞の安定なトランスフェクションにより、グルココルチコイ
ド誘導トランスフェクタントCOMFを得た。
【0023】 3×105 細胞のCOMF及びOCR4のそれぞれを、20mlのD−MEM
、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む10%FKSの入った培養ビン(
75cm2 )にまいた(t=−24h)。培養の24時間(t=0h)後、デキ
サメタゾン(最終濃度10-7M)を、導入遺伝子発現の誘導(Induktio
n)ために添加した。その後、培養を24時間継続した。次いで、20ml培養
物への460μlのブロモデオキシウリジン(BrdU)使用溶液(Gebra
uchsloesung)(=PBS中270μg/mlのBrdU)の添加(
t=+24h)。次いで、t=+32hでのMNNG−(N−メチル−N’−ニ
トロ−N−ニトロソグアニジン;最終濃度2μM)の添加。t=+51hの時、
20μlのデメコルチン基準溶液(Stammloesung)(10μg/m
lデメコルチン;シグマ(Sigma)社)/20ml培養物)を添加した後、
インキュベーター内でさらに4時間インキュベートした。有糸分裂細胞(mit
otischen Zellen)の回収、及び有糸分裂あたりのSCEの測定
のためのさらなる処理を、公知の標準方法(ペリー(Perry)ら、Natu
re 258、121〜125頁(1974))に従って行なった。
【0024】 まとめると、COMF細胞のデキサメタゾン(100nM)との24時間にわ
たるインキュベーションは、細胞核におけるヒトPARPの強い過剰発現、細胞
のガンマ線照射後のポリ(ADPリボース)の細胞内含有量の2〜5倍の値への
増加(照射10分後、測定)、及びMNNG誘導SCEの頻度の有意な低下をも
たらすことがのべられるべきである(Fig.4a及び4b参照のこと)。PA
RP過剰発現が起こらない最初の細胞COR4において、デキサメタゾン処理は
各々何の結果もなかった(Fig.4c及び4d参照のこと)。
【0025】 b)テトラサイクリン感受性トランス作用因子rtTA(プラスミドpUHD
172−lneo;ゴッセン(Gossen)ら、Science 268、1
766〜1769頁、1995を参照のこと)のための発現ベクターによるヒト
子宮頸癌種細胞株HeLaの安定なトランスフェクションにより、トランスフェ
クタントHertTAを得た。PARPの完全なヒトcDNAを、それがテトラ
サイクリン/rtTA感受性プロモーターにより制御されるプラスミドpUHD
10−3にクローニングした(pUHD10−3;ゴッセン(Gossen)ら
、Science 268、1766〜1769頁、1995参照のこと)。こ
のようにして得た発現プラスミドによるHertTA細胞の安定なトランスフェ
クションにより、ドキシサイクリン誘導トランスフェクタントHeINDcを得
た。この細胞系は、ハイグロマイシン耐性プラスミドpTKHygroをさらに
含む(ケッパー(Kuepper)ら、Mol.Cell.Biol.15、3
154〜3163頁、1995)。対照細胞株HertTAKonを、pTKH
ygroによるHertTAの安定なトランスフェクションにより得た(PAR
P発現カセットなし)。
【0026】 3×105 細胞のHeINDc及びHertTAKonのそれぞれを、20m
lのD−MEM、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む10%FKSの入
った培養ビン(75cm2 )にまいた(t=−24h)。培養の24時間(t=
0h)後、ドキシサイクリン(1μg/ml最終濃度)を、導入遺伝子発現の誘
導ために添加した。その後、培養を28時間継続した。その後、20ml培養物
への460μlのブロモデオキシウリジン(BrdU)使用溶液(=PBS中2
70μg/mlのBrdU)の添加(t=+28h)。続いて、MNNG(N−
メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン;0.1μM最終濃度)のt=
+48hでの添加。t=+72hの時、20μlのデメコルチン基準溶液(10
μg/mlデメコルチン;シグマ(Sigma)社)/20ml培養物)を添加
した後、インキュベーター内でさらに4時間インキュベートした。有糸分裂細胞
の回収、及び有糸分裂あたりのSCEの測定のためのさらなる処理を、公知の標
準方法(ペリー(Perry)ら、Nature 258、121〜125頁(
1974))に従って行なった。
【0027】 まとめると、HeINDc細胞のドキシサイクリンとの48時間にわたるイン
キュベーションは、細胞核におけるヒトPARPの過剰発現、細胞のガンマ線照
射後のポリ(ADPリボース)の細胞内含有量の1.5〜1.8倍の値への増加
(照射10分後、測定)、及びMNNG誘導性SCEの頻度の有意な低下をもた
らすことがはっきりのべられるべきである(Fig.5a及び5b参照のこと)
。PARP過剰発現が起こらない対照細胞HertTAkonにおいて、ドキシ
サイクリン投与は各々何の結果もなかった(Fig.5c及び5d参照のこと)
【0028】 その結果、ハムスター細胞(Fig.4a,b参照のこと)及びヒト細胞(F
ig.5a,b参照のこと)の両方におけるPARPの過剰発現により、アルキ
ル化剤N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)により
誘導される染色体あたりのSCEの蓄積は、有意に低下するといえる。PARP
外来遺伝子のない対応の対照細胞において(Fig.4c,d及びFig.5c
,dを参照のこと)、外来遺伝子インディケーター物質デキサメタゾン及びドキ
シサイクリンのそれぞれの影響は、SCE率を変化させない。PARP過剰発現
によるSCE阻害の効果の特異性は、これにより証明される。MNNG処理の細
胞傷害性は、COMFハムスター細胞又はヒトHeINDcのいずれにおいても
PARP過剰発現によって低下しない。後者は、SCE率の低下がDNA修復の
改善によって引き起こされないということを証明する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Fig.1は、ヒトポリ(ADPリボース)ポリメラーゼのcDNAのヌクレ
オチド配列を示す。
【図2】 Fig.2は、ヒトポリ(ADPリボース)ポリメラーゼのアミノ酸配列を示
す。
【図3】 Fig.3は、本発明によるAAVrep-/cap- PARPベクター及びレトロウ
イルスPARPベクターを示す。
【図4】 Fig.4a,bは、COMF細胞におけるSCE頻度を示す。
【図5】 Fig.4c,dは、COR4細胞におけるSCE頻度を示す。
【図6】 Fig.5a,bは、ヒトHeINDc細胞におけるSCE頻度を示す。
【図7】 Fig.5c,dは、ヒトHertTAKon対照細胞におけるSCE頻度を
示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年5月5日(2000.5.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A61K 35/76 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 マイヤー,ラルフ ドイツ連邦共和国 ルートヴィヒスハーフ ェン デー−67061 リヒァルト−デーメ ル−シュトラーセ 7 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA07 CA04 DA03 EA02 GA11 HA08 HA17 4B065 AA91X AA93X AA93Y AA95X AA97X AB01 AC14 BA02 CA27 CA44 4C084 AA13 NA14 ZB262 4C086 AA01 AA02 EA16 ZB26 4C087 AA01 AA02 BC83 CA12 NA14 ZB26

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遺伝子治療に適し、かつポリ(ADPリボース)ポリメラー
    ゼの実質的に完全な遺伝情報をコードする発現可能な挿入DNAを含有してなる
    ベクター。
  2. 【請求項2】 ベクターが、ウイルスベクターを基にしたものであることを
    特徴とする、請求項1記載のベクター。
  3. 【請求項3】 ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルスベクター又はレト
    ロウイルスベクターであることを特徴とする、請求項2記載のベクター。
  4. 【請求項4】 ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼをコードするDNAが
    Fig.1の配列又はそれとは1個若しくは数個のヌクレオチドが異なる配列を
    含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか記載のベクター。
  5. 【請求項5】 挿入DNAが腫瘍及び/又は正常組織において発現可能であ
    ることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか記載のベクター。
  6. 【請求項6】 ベクターにおいてすでに利用可能となっている発現単位、又
    は内部に同様に挿入された発現単位により挿入DNAが発現されうるように、遺
    伝子治療に適するベクターに請求項1記載の挿入DNAを挿入することを含む、
    請求項1記載のベクターの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項2又は3記載のベクターによりコードされてなるウイ
    ルス。
  8. 【請求項8】 遺伝子治療のための請求項1〜5のいずれか記載のベクター
    又は請求項7記載のウイルスの使用。
  9. 【請求項9】 腫瘍性疾患の治療及び/又は予防を介助(Unterstu
    etzung)するための請求項8記載の使用。
JP2000534497A 1998-03-03 1999-03-03 遺伝子治療に使用されるベクター及びウイルス Pending JP2002505855A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DE19808889A DE19808889A1 (de) 1998-03-03 1998-03-03 Vektoren und Viren zur Gentherapie
DE19808889.2 1998-03-03
PCT/DE1999/000647 WO1999044943A2 (de) 1998-03-03 1999-03-03 Vektoren und viren zur gentherapie

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002505855A true JP2002505855A (ja) 2002-02-26

Family

ID=7859479

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000534497A Pending JP2002505855A (ja) 1998-03-03 1999-03-03 遺伝子治療に使用されるベクター及びウイルス

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP1066221A2 (ja)
JP (1) JP2002505855A (ja)
AU (1) AU3698699A (ja)
DE (1) DE19808889A1 (ja)
WO (1) WO1999044943A2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3352691B2 (ja) * 1992-11-30 2002-12-03 アメリカ合衆国 哺乳動物の筋肉のnad:アルギニンadp−リボシルトランスフェラーゼ
DE4433130C2 (de) * 1994-09-16 1997-02-06 Deutsches Krebsforsch Poly(ADP-Ribose)-Polymerase überexprimierende tierische Zellinien und Verfahren zur Identifizierung von DNA-schädigenden Substanzen
DE4444949C1 (de) * 1994-12-16 1996-11-21 Deutsches Krebsforsch Vektoren und Viren zur Gentherapie

Also Published As

Publication number Publication date
WO1999044943A3 (de) 1999-12-09
DE19808889A1 (de) 1999-09-09
AU3698699A (en) 1999-09-20
EP1066221A2 (de) 2001-01-10
WO1999044943A2 (de) 1999-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Passini et al. Translational Fidelity of Intrathecal Delivery of Self-Complementary AAV9–Survival Motor Neuron 1 for Spinal Muscular Atrophy
US6821956B2 (en) Therapeutic use of cis-element decoys in vivo
JP2007084550A (ja) 組織特異的および標的rna特異的リボザイム
JPH06500005A (ja) ヒト免疫不全ウイルスのアンチセンス阻害薬
JPWO2005093067A1 (ja) シノビオリン遺伝子のプロモーターに対するデコイ核酸
JP2003265193A (ja) 組換えp53アデノウイルス
US6121000A (en) Antitumor antisense sequences directed against R1 and R2 components of ribonucleotide reductase
JP2002542805A (ja) アデノ随伴ウイルス送達リボザイム組成物および使用方法
WO2010006239A2 (en) Regulation of apoptosis by neural specific splice variants of ig20
Simon et al. Functional evidence for a role of combined CDKN2A (p16-p14 ARF)/CDKN2B (p15) gene inactivation in malignant gliomas
US20220233721A1 (en) Method for treating muscular dystrophy by targeting dmpk gene
US6524851B1 (en) Hybrid nucleic acid molecules and vectors including β-globin regulatory elements
EP4031147A1 (en) Methods of treatment of neurofibromatosis type 1 (nf1) and nf1-mediated conditions and compositions for use in such methods
Heils et al. Functional characterization of the murine serotonin transporter gene promoter in serotonergic raphe neurons
US6579855B1 (en) Adenovirus-mediated gene therapy
US6027892A (en) Compositions and methods for reducing radiation and drug resistance in cells
JP2002505855A (ja) 遺伝子治療に使用されるベクター及びウイルス
US6593305B1 (en) Antitumor antisense sequences directed against R1 and R2 components of ribonucleotide reductase
JP2020528735A (ja) 反復伸長変異のためのゲノム編集システム
JPH10510160A (ja) 遺伝子治療用ベクターおよびウイルス
US5863794A (en) SV40 viral vectors for targeted integration into cells
WO2023072225A1 (en) Crispr-mediated manipulation of app expression as a therapeutic approach for amyloid pathologies
US20020018768A1 (en) Control of gene expression
WO2022011099A1 (en) Modified hexosaminidase and uses thereof
CA2236998C (en) Tissue-specific and target rna-specific ribozymes