JP2002503480A - がんスクリーニングならびに疾病段階および予後の評価のための体液のテロメラーゼ・アッセイ - Google Patents

がんスクリーニングならびに疾病段階および予後の評価のための体液のテロメラーゼ・アッセイ

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スタンバーグ,ジユデイス
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ユニバーシティ オブ メリーランド, ボルチモア
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Abstract

(57)【要約】 組織および細胞抽出物における上昇したテロメラーゼ活性レベルが、組織サンプルにおけるがんの存在を決定するために使用されてきた。ここに本発明は、がんの存在を検出し、ならびに患者の疾病段階および予後を評価する両目的のために、容易に得られる体液、例えば血液、血漿、リンパ液、胸膜液、脊髄液、唾液、喀痰、尿および精液を用いて、テロメラーゼRNAもしくはテロメラーゼ活性レベルを定量するための改良されたテロメア反復配列増幅法(TRAP)アッセイに対向される。改良されたTRAPアッセイは、悪性腫瘍の診断マーカーとして、ならびにがん療法の進捗および有効性をモニターする手段として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明の開発は、マリーランド大学、ボルチモア(University o
f Maryland,Baltimore)によって支援された。
【0002】 発明の分野 本発明は、最小に侵入的な(minimally invasive)がん検
出および評価の分野にある。本明細書に開示され、そして特許請求されるテロメ
ラーゼ・アッセイは、診断および治療の両実用性を有する。
【0003】 発明の背景 1972年、James Watsonは、末端複製問題として今や周知であ
る直鎖状DNA分子の末端を完全に複製すべきDNAポリメラーゼの不能を記述
している(図1)。その末端複製問題は、多数回の細胞周期の間に新しく複製さ
れる娘鎖の5’末端における染色体DNAの進行性縮小を予測している。各複製
サイクルにおけるゲノム配列の喪失は、末端のトランスフェラーゼもしくは「テ
ロメラーゼ」、テロメアDNA配列の新規合成のための鋳型としてそれ自身のR
NAコンポーネントの配列を利用するリボ核タンパク質複合体、を伴う酵素反応
による末端配列の付加によって補償することができる。
【0004】 ほとんどの体細胞は、それらが分裂するにつれ確実にテロメアDNAを喪失し
、そして検出しうるテロメラーゼ活性を保持しなくなる[Kim et al.
Science,266:2011−2014(1994)]。テロメラーゼ
は、染色体DNAの分解を防ぐので、それは、細胞不死化にとって必須の機能を
有する。発がんについての現在の考え方は、制御不能な細胞増殖が、悪性疾患発
生の一部であり、そして悪性状態に進行する制御不能な細胞集団が、無制限に複
製する能力を獲得することである。明らかに、酵素テロメラーゼは、無限の細胞
増殖に対して絶対に必要なものである。かくして、ほとんど例外なく、テロメラ
ーゼは、悪性細胞において高度に発現し、そしてそれに特異的である。テロメラ
ーゼを普遍的な腫瘍マーカーにさせることが、試験されたすべての腫瘍組織(n
=2000)の約90%において見い出された[Shay et al.,Tr ends Genet,12 :129−131(1996)]。
【0005】 大多数のがんによる死は、慣例の療法に抵抗性である転移に起因する。診断、
外科技術および一般的な患者ケアにおける改善にもかかわらず、初期診断がなさ
れる時には、転移が既に発生しているであろうから、多くのがんは、根絶するこ
とができない[Fidler et al.,Cancer Res,50:6
130−6134(1990)]。がんを早期に検出できれば、腫瘍が、より小
さく、より侵略性(aggressive)が低く、そして転移した可能性のよ
り低い時に、腫瘍を治療させることによって治癒率を改善できるであろう。疾病
の表示と転移の確立の間の短い時間とは逆に、化学的予防もしくは診断期間は、
10年以上も溯るかもしれない[Kelloff et al.,Cancer Res,54 :2015−2024(1994);Mulshine et
al.,Chest,55:280S−286S(1994)]。腫瘍成長は、
腫瘍が既知の手段によって検出できる前に、長い間表示する異形成ないしがん腫
から血管形成までの明白な期間を特徴とする(図2)。平均して、腫瘍は、3カ
月毎に細胞数を倍加するであろう[Israel,J Theor Biol, 178 :375−380(1996)]。百万個の細胞の腫瘍に相当するほぼ2
0回の倍加において、腫瘍は血管形成を経て、その結果、転移能力を獲得する。
腫瘍塊にとって直径2mmを超えるためには、十分な血液供給(すなわち血管形
成)の獲得が必要とされる[Folkman,Nature Med,1:27
−33(1995)]。今日の技術では、我々は、ほぼ30回の倍加に相当する
10億個の細胞より小さい腫瘍(特定の疾病タイプおよび段階に応じる)を検出
することは、ほとんど不可能である。典型的には、患者は、それよりもかなり大
きい腫瘍量を提示するであろう[Mulshine et al.,Oncol ogy,5 :25−32(1991)]。しかしながら、30回の倍加でさえも
、腫瘍成長の自然の経過においては非常に遅い。しばしば、転移は既に起きてお
り、そして結局は、患者は疾病により死ぬであろう[Nicolson,Bio essays,13 :337−342(1991)]。
【0006】 腫瘍細胞が生活環をもつことは、長い間知られてきた。悪性腫瘍は「不死」で
あるけれども、腫瘍内の細胞は、酸素と栄養素の欠乏によって壊死に至り、次い
で、一定の対数割合において血流中に流出される。血管形成が起きた後も、腫瘍
の外側の細胞は、また、定常的に、血流中に流出され、そしてこの細胞の放出は
、急速に成長する腫瘍において増加する[Kohn et al.,Cance r Res,55 :1856−1861(1995)]。理論に拘束されること
を望まないけれども、本発明者らは、血流中に流出する腫瘍細胞の自然の生活環
によって、腫瘍の生活環の20〜30倍加くらい早期に、腫瘍細胞の証拠が血行
中に検出できると信じている。そのように、循環する悪性細胞を測定するのに十
分に感度の高い検出方法は、今日使用されるすべての臨床的検出方法よりも良好
であろう。
【0007】 今日まで、血行中の腫瘍マーカーの分析によるがんの正確な、そして早期の検
出は、いくつかの理由:すなわち(a)腫瘍マーカーレベルは、既知の方法によ
って血行中に検出されるにはあまりにも低すぎるであろう;(b)腫瘍マーカー
は悪性細胞に特異的ではないので、高い間違ったポジティブ率をもたらすであろ
う;(c)腫瘍マーカーは、試験された腫瘍の、あるパーセントにおいてのみ発
見されるので、高い間違ったネガティブ率をもたらすであろう、という理由によ
り達成されなかった[Canney et al.,Br J Cancer, 50 :765−769(1984);Bates et al.,Cancer Treat Rev,12 :163−207(1985);Scott et
al.,J Cell Biochem,17:175−183(1993)
]。がんの早期診断をもたらすすべての悪性腫瘍に特異的な腫瘍マーカーを定量
的に検出する非侵入的(non−invasive)アッセイの開発は、がん検
出の分野において主要な突破口を提供するであろう。
【0008】 多くの研究者が、腫瘍組織におけるテロメラーゼ活性を、種々のがん、例えば
神経芽細胞腫、急性骨髄性白血病、乳がんおよび胃腸がんにおける予後と相関さ
せた[Hiyama et al.,Nature Med,1:249−25
5(1995);Counter et al.,Blood,85:2315
−2320(1995);Zhang et al.,Clin Cancer Res,2 :799−803(1996);Hiyama et al., Natl Cancer Inst,88 (1996);Tahara et
al.,Semin Oncol,23:307−315(1995)]。こ
れらの研究のすべては、腫瘍それ自体において実施された。しかしながら、がん
のスクリーニングにおいて有用であるテロメラーゼのような腫瘍マーカーの測定
のためには、いくつかの臨床上の疑問:マーカーは、正常な組織と高い危険性の
ある組織において異なって発現されるか;マーカーは、どの進行段階において出
現するか;臨床的結果と相関があるか;アッセイの許容しうる特異性、感度およ
び精度は何か;そしてアッセイが、進行するであろう侵略性のがんと、進行性で
はないがんとの区別ができるか?という疑問が指摘されねばならない。従来の研
究からのデータは、テロメラーゼ活性は、がんの診断および予後において正当な
マーカーであることが分かっている[Hiyamaら(1995);Shayら
(1996);Hiyamaら(1996);Taharaら(1996)]。
【0009】 現在まで、がんにおけるテロメラーゼ活性を伴うすべての研究は、腫瘍それ自 からの直接サンプルを用いて実施されてきた。例えば、肺がん患者におけるテ
ロメラーゼ活性の検出は、生検もしくは外科的切除の肺腫瘍を検査することによ
って;脳腫瘍患者では、脳腫瘍を検査すること、等々によって実施される。血液
腫瘍(白血病)の場合は、白血細胞のサンプルが検査される。
【0010】 本発明は、根本的に異なり、そして優れている。本発明者らは、がん患者の 液の非細胞部分 において、血液以外の器官によって流出される悪性細胞の証拠を
検出することが可能であることを見い出した。例えば、本発明者らは、腫瘍が血
液腫瘍ではない肺がん患者の血液の非細胞部分において、上昇されたテロメラー
ゼ活性レベルを検出した。本発明者らは、新規に構成されたテロメア反復配列(
repeat)増幅法(もしくはTRAP)アッセイを利用する。この改変TR
APアッセイを用いれば、本発明者らは、がんの血液試験スクリーニングを開発
できる。
【0011】 がんの診断および予後における臨床上の実用性に加えて、テロメラーゼ発現の
レベルは、がん療法の有効性をモニターするために使用することができる。化学
療法後の血液において、テロメラーゼ活性が、正常なわずかに検出できる範囲内
に復帰できないことは、疾病の持続と断定されるであろう。そのような場合には
、治療は中止されるか、または疾病の限定される範囲への努力に変えられてもよ
い。健康な個体の対照集団に由来するテロメラーゼ活性の基礎値は、療法が成功
したことを示し、そして治療への終点を提供するであろう。容易に得られる体液
を使用してテロメラーゼ活性レベルが測定されて、患者に対するもっとも有効な
治療処方を決定し、そしてがん再発を減じることに役立つことができる。寛解傾
向の患者は、その後の受診では、血液中のテロメラーゼ活性レベルについてモニ
ターすることができる。テロメラーゼ活性の増大は、治療が比較的有効である場
合、より早い再発を示しているであろう。
【0012】 不死化細胞をもたらす遺伝的変化は、細胞の究極の破滅であろう。悪性細胞に
とって無制限に増殖するためには、そのテロメア末端が、ある安定な長さにおい
て維持されねばならない[Harley,Mutat Res,256:271
−263(1991)]。90%までもの悪性腫瘍において、本来のままの染色
体末端が、テロメラーゼによって維持されている[Shayら(1996)]。
本明細書に開示される技術を用いれば、少量の(minuscule)血液サン
プルが、テロメラーゼレベルに関して分析され、そして肺、肝臓、乳房もしくは
すべての器官の新規もしくは転移腫瘍の存在を明らかにして、直ちにそれを根絶
することができる。この非侵入的試験の感度は、我々のがんについての概念を変
えることができた。限定された治療の選択をもたらす診断になるよりもむしろ、
早期の腫瘍が捕らえられ、そして根絶されるであろう。
【0013】 発明の概要 本発明の目的は、がん患者の体液においてテロメラーゼの存在を測定し、そし
てテロメラーゼ活性のレベルを定量する方法を提供することである。
【0014】 本発明のさらなる目的は、診断目的のための腫瘍マーカーとしてテロメラーゼ
およびテロメラーゼ活性測定値を使用することである。本発明のさらなる目的は
、これらのテロメラーゼおよびテロメラーゼ活性測定値を使用して、がん患者の
状態を最小の侵入方式においてモニターし、そして疾病の予後を評価することで
ある。
【0015】 本発明のさらなる目的は、容易に得られる体液を用いて早期のがんを検出する
ため、健康な個体において日常的に使用するがんスクリーニングキットを開発す
ることである。本発明のさらなる目的は、測定されたテロメラーゼおよびテロメ
ラーゼ活性と、腫瘍の大きさおよび疾病の程度および/または段階とを相関させ
ることである。
【0016】 発明の詳細な記述 本発明の研究のために、本発明者らは、肺が、非常に濃密な毛細血管床を含有
し、そして毎分、完全な心臓血液搏出量を受けているので、最初の研究では肺が
ん患者を選んだ[West,Wilkins and Wilkins(198
2)]。したがって、肺腫瘍は、血液中の腫瘍マーカーを検出する可能性を増加
する体の循環系への平易なアクセスを有する。一般に、肺がんは、組織学によっ
て2つの広いサブタイプ:1)小細胞肺がん(SCLC)、および2)非小細胞
肺がん(NSCLC)に分けられる。この分類は、広く受け入れられており、そ
してSCLC対NSCLCをもつ患者における治療上のアプローチにおいて大き
な違いがあるために欠かせない[Hirsch et al.,Cancer, 62 :973−980(1988)]。本研究では、NSCLCは、(a)腺が
ん、(b)鱗細胞がん腫、および(c)大細胞がん腫:を含む小細胞成分以外の
全肺がんを含む。
【0017】 肺がんは、毎年、全がん死の28%以上に数えられる、世界でもっとも共通の
宿命的悪性腫瘍の1つである[Miller et al.,Natl Can cer Inst,93 :2789−2795(1993)]。新しい治療戦略
への継続する研究にもかかわらず、すべての肺がん生存率は、過去20年間改善
せず、5年生存者は約13%に留まっている[Ries et al.,Nat l Cancer Inst,94 :263−276(1994)]。転移性肺
がんの5年生存者は1.5%以下に留まっているけれども、早期肺がんの完全な
疾病のない生存者がいることは、早期診断の展望を全く有益なものにすることに
勇気づける。腫瘍が比較的小さく、そして結節性併発のない1期肺がんの5年生
存者は、80%位高いと報告されている[Riesら、(1994)]。しかし
ながら、ほとんどの肺がん死は、明らかに転移性疾病によっている。典型的には
、患者が、初期症状の訴えを示すか、または分離スクリーニングで、唯一非常に
大きい病巣(直径3もしくは4〜7cmの病巣)を示す場合には、現在の診断操
作、例えば胸部放射線写真法によって容易に肉眼でみることができる[Muls
hineら、(1994)]。これらの病巣は、通常は、転移性である進行がん
を表している。現時点では、長期生存率を増加するのに十分に早期の肺がん検出
のためのスクリーニング操作は存在しない[Rimer et al.,Han dbook of Health Behavior Research ,(1
997)]。
【0018】 血液サンプルにおいて悪性度を評価する際に、腫瘍マーカー、例えばテロメラ
ーゼが利用されるためには、それが、原発腫瘍によって発現されねばならない。
肺がん腫瘍におけるテロメラーゼ活性に関して3種の研究が公表されている[K
imら、(1994);Hiyama et al.,J Natl Canc er Inst,87 :895−902(1995);Shirotani e
t al.,Lung Cancer,11:29−41(1994)]。これ
らの研究からの結果を集めると、テロメラーゼ活性は、NSCLC腫瘍の78%
(n=125)およびSCLC腫瘍の100%(n=15)において検出された
。もっとも高いテロメラーゼ活性は、SCLCにおいて検出され、これは、ポジ
ティブ対照として使用された不死化肺がん細胞系に匹敵するレベルを示した[H
iyama et al.,J Natl Cancer Inst(1995
)]。小細胞肺がんは、急速に拡大した疾病に進行する非常に侵略性の悪性腫瘍
である。発表では、SCLC患者の90%以上が、進行性および/または転移性
の疾病をもっていた[Feld et al.,Chest,103:1010
−1015(1996)]。したがって、SCLC腫瘍におけるテロメラーゼの
極端に高いレベルは、進行期のがんにおける高いテロメラーゼ活性との相関関係
があっても驚くべきことではない[Shayら、(1996)]。
【0019】 早期に悪性疾患を検出することに加えて、血液中のテロメラーゼ活性の定量的
測定は、予後データを提供できる。肺がんの初期診断の後、腫瘍体積が、臨床上
の期別評価によって評価される。この評価は、組織学的データを確認し、転移が
存在するか否かを示し、そして手術の可能性について患者を評価する。腫瘍が、
比較的局限されていれば−1期もしくは2期−、外科的切除が、一般に推奨され
る。しかしながら、手術後、患者の35%位多くは、後期にある(unders
taged)ことが分かった[Ihde,Curr Prob Cancer, 15 :65−72(1991)]。これらの患者では、腫瘍の外科的除去は、予
後を改善せず、かくして、不必要な侵入的操作である。しかしながら、テロメラ
ーゼ活性レベルの測定は、がんの正確な臨床上の段階決定に役立つデータを提供
できる。腫瘍マーカーレベルは、腫瘍の大きさに強く関連するので、疾病の拡大
が限定される時には、比較的低い[Crippa et al.,J Nucl Biol Med,36 :52−55(1992)]。したがって、非常に高
いテロメラーゼ活性レベルは、良好な手術の候補ではない進展した疾病をもつ患
者に相関する。
【0020】 腫瘍が、いかに急速に成長もしくは拡大するかを確認することは、照射か、ま
たは化学療法かいずれか、手術後の処置を決定する際の決定的要素になる。NS
CLCでは、腫瘍がG0もしくはG1期の細胞の低い割合をもっている患者は、
より短い生存時間をもつ[Volm et al.,Cancer,56:13
96−1401(1985)]。テロメラーゼは、G0期には下方制御されるの
で、高いテロメラーゼ活性をもつ腫瘍は、一般に、低い数のG0における細胞を
含有するであろう[Holt et al.,Mol Cellular Bi ol,16(6) :2932−2939(1996)]。したがって、原発腫瘍
におけるテロメラーゼ活性の測定は、急速に成長する腫瘍を無痛性疾病と区別で
きる。がんの侵略性に基づく特定の療法を開発するために、これらのテロメラー
ゼ測定値を使用することができる。
【0021】 外科的切除縁における潜在性の新生物細胞の検出は、全生存者において有意な
減少をもたらす局部域の再発の強い予言となる[Bartlett et al
.,Germ Cell Neoplasm,5(6):1245−1260(
1991)]。頭頸部がんでは、例えば、腫瘍は、p53突然変異に関する分子
的なものにタイプ分けされる。腫瘍は、次に、標準的病理検査によっては発見で
きない残存腫瘍細胞をもつ患者を特定するために、切除縁におけるこれらの同じ
変異体を探される[Brennan et al.,N Engl J Med ,332 :429−435(1995)]。これらの患者は、再発について高い
危険性にあり、そして彼らを特定することは、照射のような局所療法の付加を可
能にすると思われる。マーカーとしてテロメラーゼ活性を用いる同じアプローチ
が、肺がんにおける腫瘍切除縁に応用することができる。テロメラーゼ活性は、
わずか0.01%のテロメラーゼポジティブ細胞からなる組織において検出でき
る[Wright et al.,Trends Cell Biol,5:2
93−297(1995)]。他方、現在の組織学的技術は、2%未満の新生物
細胞を含有する切片において転移を検出することはできないであろう[Bren
nanら、(1995)]。さらに、同じ患者から採取された一連の血液サンプ
ルにおけるテロメラーゼ活性の定量的測定は、腫瘍切除縁の外側に残存する疾病
の証拠を示すかもしれない。腫瘍切除後、テロメラーゼ活性は、血液中のその理
論的半減期において正常の基礎値まで減少するに違いない。延長された半減期は
、残留もしくは潜在性疾病の存在を指示するであろう[Lange et al
.,J Urol,128:708−711(1982)]。疾病の証拠および
腫瘍マーカーレベルの増加のない乳がん患者において、予備データは、化学療法
の投与が生存率を改善したことを示した[Jager,Eur J Cance r Prev,2(3) :133−139(1993)]。したがって、腫瘍切
除縁および血液におけるテロメラーゼ活性の測定は、原発腫瘍について根本的外
科手術を検討するための感度の高い手段を提供できる。
【0022】 血液サンプル収集および調製 次の変数が、血液サンプル中の測定可能なテロメラーゼ活性に及ぼすそれらの
影響について試験された:1)血液抜き取りチューブの型(ヘパリン処理、ED
TA、クエン酸ナトリウムもしくは無添加)、2)血液抜き取りとタンパク質抽
出の間の経過時間(0,2,4および24時間)、3)サンプルが、タンパク質
抽出まで保持される温度(室温対冷蔵)および4)タンパク質溶解バッファーへ
のRNアーゼ阻害剤の添加。各血液サンプルは、K562細胞抽出物により「ス
パイク(spik)」され、上記変数に従い処理され、そしてテロメラーゼ活性
をアッセイされた。K562は、非常に高いテロメラーゼ活性を示すことが分か
っているヒト白血病細胞系である[Kimら、(1994)]。本発明者らは、
本アッセイの開発におけるポジティブ対照としてこの細胞系のタンパク質抽出物
を使用した。各血液サンプルが、室温で5分間125xgにおいて遠心されて細
胞画分を沈降させた。各サンプルからの血漿の100μlが、次のもの:0.5
%CHAPS、10mMTRIS−HCl(pH7.5)、1mMMgCl2、 1mMEGTA、10%グリセロール、5mMβ−メルカプトエタノール、0.
2mMAEBSFおよび広範囲RNアーゼ阻害剤(Promegaより入手)8
0単位:を含有する溶解バッファー1mlに添加された。全量を、4℃で20分
間17,000gで遠心した。上澄液の2/3を回収し、そしてタンパク質濃度
を下記のように決定した。タンパク質抽出物(タンパク質9および12mg含有
)2μlを、テロメラーゼ活性についてアッセイした。ヘパリンナトリウム・バ
キュテナー中に抜き取られた血液サンプルは、室温において4時間以内はテロメ
ラーゼ活性が最良に維持されて保たれた。
【0023】 テロメラーゼ活性の測定 細胞中のテロメラーゼ活性は、基本的には、KimおよびShayによって開
発されたTRAP(テロメア反復配列増幅法)アッセイを用いて測定される。T
RAPアッセイは、腫瘍組織および腫瘍細胞から直接単離されたタンパク質抽出
物中のテロメラーゼ活性を測定する[Kimら、(1994)]。しかしながら
、テロメラーゼは、2つの理由のために血液液物(blood fluid)で
は測定されなかった。第1に、テロメラーゼは、細胞酵素であり、細胞核中にの
み見いだされ、したがって、非細胞組織成分、例えば血液液物もしくは血漿では
検出されないことが予想された。第2には、既知のTRAPアッセイによる血液
成分を含有する組織におけるテロメラーゼ活性の検出は、次の理由:(1)血液
中に見いだされるヘム生産物が、PCR増幅、TRAPアッセイの構成要素部分
、に対して大きな阻害効果をもつ;および(2)リソソームの破壊によって血液
中に放出されるリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)が、そのリボ核酸(RNA)鋳
型を分解することによってテロメラーゼを失活させるので、TRAPアッセイに
よるテロメラーゼ活性の検出を不可能にするにちがいない:という理由から、技
術的挑戦を表すことが予想されるであろう[Akane et al.,J F orensic Sci,39 :362−372(1994)]。これらの欠点
が与えられるので、非細胞性の、RNアーゼ含有液、例えば血漿においてテロメ
ラーゼ活性を検出するか、またはテロメラーゼ活性を定量するためのアッセイを
開発する可能性は、当業者にとっては遠い存在と考えられた。
【0024】 予期せぬことに、本発明者らは、テロメラーゼ活性が、実に、血液もしくは血
漿のように血清においても測定できることを見い出した。本発明者らは、希薄な
タンパク質抽出物におけるテロメラーゼ検出の感度増強ならびに並列アッセイ間
で、より均一な結果を達成するために、既知のTRAPアッセイを改変した。本
アッセイは、種々のPCRチューブを用いて実施され、そして反応バッファーが
改変された。時間、温度および逆プライマーさえも変えられた。新規なプライマ
ーは、プライマーのスタッガー(staggered)アニーリングを制限し、
プライマー/ダイマー人工産物によって惹起される誤ったポジティブな結果を、
事実上排除する。高忠実度(high fidelity)Taqポリメラーゼ
は、Gibco,BRL製の推奨されているTaqポリメラーゼを置き換える。
これらの改良は、テロメラーゼ活性検出の感度を増大、ならびにアッセイの信頼
性を改善した。
【0025】 具体的には、本発明者らは、患者被験者の収集された血液サンプルからタンパ
ク質を抽出した。タンパク質抽出物は、全量25 l中、20mMTRIS−H
Cl(pH8.3)、1.5mMMgCl2、63mMKCl、0.05%Tw een20(Sigma)、1mMEGTA、25μM各dNTP、0.5μM
T4遺伝子32タンパク質(Ambionから入手)および2.5Ci−32Pd
CTP(3000Ci/mmol)を含有する薄い管壁の反応チューブにおいて
、TSオリゴヌクレオチド(5’−AAT CCG TCG AGC AGA
GTT−3’)(配列番号:1)0.250μgとともに30℃で45分間イン
キュベートされた。45分間のインキュベーション中、テロメラーゼは、TSオ
リゴヌクレオチドにTTAGGG反復配列を付加する。PCRチューブは、94
℃で2分間加熱されて、テロメラーゼを失活し、そしてプライマー/ダイマーの
形成を低下する。次に、20mMTRIS−HCl(pH8.3)、1.5mM
MgCl2、63mMKCl、0.05%Tween20(Sigmaより入手 )、1mMEGTA、25μM各dNTP、2.5U HiFiTaqポリメラ
ーゼ(Boehringer−Mannheimより入手)、0.1μgCX−
extオリゴヌクレオチド(5’−GTC CCC TTA CCC TTA
CCC TTA CCC TAA−3’)(配列番号:2)および5.0att
gITAS(内部テロメラーゼアッセイ基準)を含有する、94℃に加熱された
反応バッファーが添加されて、容量50μlにされる。ITASは、正TSプラ
イマーおよび逆CXプライマーへの結合部位をもつ150塩基対DNAフラグメ
ントである。生成物は、94℃30秒間、50℃30秒間、そして72℃45秒
間において、30サイクル増幅された。増幅生成物の10μl分量が、45mM
TRIS塩基/45mMホウ酸/1mMEDTA中12.5%未変性ポリアクリ
ルアミドゲル上で、200ボルトで30分間、次いで275ボルトで2.5時間
分離された。ゲルが乾燥され、PhosphorImager screen(
Molecular Dynamics)に16時間曝露された。ポジティブお
よびネガティブ対照は、各実験において平行して実施された。
【0026】 TRAPアッセイの定量化 本TRAPアッセイが、直線範囲内で作動する条件下で測定するために、反応
は、K562細胞および組織タンパク質抽出物の連続希釈物とともに実施された
。すべての場合、アッセイを実施するために、0.06μgタンパク質抽出物が
選ばれた。TRAP反応物は、Molecular Dynamics Pho
sphorImagerにおいてImageQuantソフトウエアーを用いて
定量された。各TRAP生成物バンドのシグナル強度が測定され、そしてタンパ
ク質抽出物を含まないTRAP反応物のシグナル強度測定値を減じることによっ
て、バックグラウンドについて補正された。サンプルは、TRAPバンドの調整
シグナル強度を合計することによって任意の活性単位を与えられた。50K56
2細胞における比テロメラーゼ活性のレベルは、各アッセイにおいて100%に
設定された。各サンプルの比テロメラーゼ活性は、もっとも近似したパーセント
に丸められて、50K562細胞におけるテロメラーゼ活性のパーセンテージと
して表された。
【0027】 RNA PCR分析によるテロメラーゼの測定 総RNAが、QIAampウイルスRNA単離キット(QIAGEN)を用い
て、血漿タンパク質(血漿タンパク質溶解物の調製は、先に挙げられた方法にし
たがって実施された)140μlから単離された。RNAは70℃で保存された
。テロメラーゼRNA鋳型(hTR)の発現の分析は、RT−PCRによって遂
行された。hTRmRNAが、Fengら[Science,269:1236
−1241(1995)]による記述のように、プライマーペアー5’−TCT
AAC CCT AAC TGA GAA GGG CGT AG−3’(F
3B)(配列番号:3)および5’−GTT GCT CTA GAA TGA
ACG GTG GAA G−3’(R3C)(配列番号:4)を用いて増幅
された。
【0028】 まず、総RNA5μlが、薄い管壁の0.2ml容PCTチューブ(Perk
in−elmer,cat#N801−0737)中にピペットで注入された。
RNAは、94℃で4分間インキュベートされ、そして直ちに氷上に置かれた。
インキュベーション温度は、RNA2次構造を除去させ、それによってRNAを
cDNAに逆転写させることができる。
【0029】 次に、マスター混合物(表1参照)45μlが、氷上の各反応チューブに添加
された。チューブは、PCRブロックに移され、そして下記のhTRPCRプロ
グラムを用いて加熱サイクルにかけられた。プログラムは、次の、段階3〜5が
34回繰り返されるインキュベーション段階を含む: (1)42℃45分間; (2)94℃3分30秒間; (3)94℃30秒間; (4)57℃30秒間; (5)72℃45秒間; (6)72℃2分間;および (7)4℃維持。
【0030】
【表1】
【0031】 PCR生成物は、アガロースゲル電気泳動によって分析される。先ず、10X
負荷バッファー5μlが、各反応チューブに添加される、次に、PCR生成物2
0μlが、EthidiumBromide(5mg/ml)で染色された2%
Nusieveゲル(FMC Bioproducts)上に負荷される。25
塩基対ラダー(1μg)をもつ列が含まれる。生成物は、0.5X TBEにお
いて125ボルト45分間電気泳動される。ゲルは、トランスイルミネーター上
に置かれ、そして写真撮影される。期待されるPCR生成物は126塩基対であ
る。
【0032】 次の実施例は、具体的に説明する目的のためにのみ提供され、そしていかなる
点においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0033】 実施例1−対照集団におけるテロメラーゼ活性: 血液サンプルは、20人の対照被験者から収集され、そして本明細書に開示さ
れる改変TRAPアッセイを利用して繰り返し試験された。すべての場合、テロ
メラーゼ活性は、ポジティブ対照細胞系の5%未満であった(図4)。
【0034】 実施例2−がん集団におけるテロメラーゼ活性: 血液サンプルは、20人の肺がん患者から収集され、そして本明細書に開示さ
れる改変TRAPアッセイを利用して二重盲検様式で試験された。具体的には、
本発明者らは、試験後まで、患者の疾病状態についての情報を得ていなかった;
同様に、患者のケアーをしている臨床医は、パイロット研究の終了後に患者の段
階が決定され、そして予後された後まで、本発明者らの結果について話されてい
なかった。14症例では、テロメラーゼ活性は、ポジティブ対照細胞系の5%未
満か、それと同等であった。これらの14症例では、患者は、試験時点において
完全に、または完全に近い寛解傾向にあることが、続いて分かった。高いテロメ
ラーゼ活性(ポジティブ対照の24%〜160%)をもつ6症例では、すべてが
、活動的な進行性および/または転移性疾病を有した(図5)。本発明者らは、
疾病予後の機能しているようながん患者における、すなわち完全な、または部分
的寛解傾向における、血漿テロメラーゼ活性対侵略性および/または転移性疾病
をプロットした(図6)。寛解傾向の患者の100%において、テロメラーゼ活
性レベルは5%以下であった。1人の患者を除く全患者において、テロメラーゼ
活性レベルは十分5%を超えていた。必ずしも、どの腫瘍組織も上昇したテロメ
ラーゼレベルを発現する[試験された腫瘍組織約90%において見いだされる、
Shayら(1996)に注目]とは限らないので、本発明者らは、場合によっ
ては患者が、テロメラーゼネガティブな腫瘍をもつこともあろうと予測できる。
【0035】 実施例3−がんのタイプおよび予後を評価する手段としてのテロメラーゼ活性 血液サンプルは、20人の肺がん患者から収集され、そして本明細書に開示さ
れる改変TRAPアッセイを利用して試験された。14症例では、テロメラーゼ
活性は、対照細胞系の5%未満か、それと同等であった。これらの14症例では
、患者は、試験時点において、完全に、または完全に近い寛解傾向にあった。高
いテロメラーゼ活性(24%〜160%)をもつ6症例では、すべてが、活動的
な進行性および/または転移性疾病を有した(図5)。
【0036】 本明細書に引用された全参考文献は、完全に、引用によって組み入れられてい
る。本発明は、詳細に、そしてその特定の実施態様に関して、記述されたけれど
も、種々の変化および修飾が、その精神および範囲を逸脱することなく、ここに
実施することができることは、当該技術分野において通常の技術をもつものにと
っては明白であろう。例えば、特定の実施例が、肺がん患者からの血液を試験す
ることに向けられたけれども、腫瘍組織の90%超において高度に発現されてい
るテロメラーゼは、他のタイプのがんに関する診断マーカーになる得ることは明
らかである。第2に、本明細書に開示されたテロメラーゼアッセイは、血液液物
からのタンパク質抽出物の試験について特に議論されているけれども、他の体液
、例えばリンパ液、胸膜液、脊髄液、唾液、喀痰、尿および精液からのものであ
ってもよいことは明らかである。自然には、テロメラーゼ検出のために選ばれる
特定の体液は、患者、スクリーニングもしくは評価されるべきがんのタイプ、な
らびに疾病の発現に依存するであろう。例えば、精液は、卵巣がんを診断するた
めに試験される体液ではあり得ないことは明白である。同じく、胸膜液は、一般
に、健康な個体では見いだされない。したがって、胸膜液における上昇したテロ
メラーゼレベルは、単なる細菌もしくはウイルス感染よりも、むしろ悪性腫瘍を
示しているであろう。最後に、テロメラーゼ活性を定量的に検出する段階は、開
示された方法に限定されるものではない。むしろ、テロメラーゼレベルを測定す
るあらゆるメカニズムが使用できる。例えば、テロメラーゼに特異的に結合する
か、または認識する試薬もしくは化学実体(chemical entity)
、例えばテロメラーゼ抗体が使用されてもよい。かくして、種々の既知の血清学
的アッセイ、例えば補体結合、ELISA、イムノブロットおよびその等価物が
、テロメラーゼ活性レベルを測定するのに使用されてもよい。
【0037】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 末端複製問題(先行技術)。
【図2】 干渉(intervention)対治療のためのタイムウィンドウ(先行技
術)。
【図3】 体液のテロメラーゼ反復配列増幅法(TRAP)アッセイ。
【図4】 対照の血漿テロメラーゼ活性(50K562細胞における活性のパーセンテー
ジとして表される)。
【図5】 がん患者における血漿テロメラーゼ活性。
【図6】 寛解傾向のがん患者対侵略性肺がんをもつ患者における血漿テロ
メラーゼ活性。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ハイスミス,エドワード アメリカ合衆国メリーランド州21201ボル チモア・ウエストプラツトストリート 519・アパートメント302 (72)発明者 アブラツゾ,リン・ブイ アメリカ合衆国メリーランド州20850ポト マク・アルダースゲイトロード9705 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 CA01 CA11 CA20 DA03 HA08 HA11 HA14 4B063 QA01 QA05 QA18 QA19 QQ03 QQ26 QQ52 QR08 QR31 QR57 QR62 QS16 QS24 QS25 QS34 4B064 CA21 CC24 DA05 DA14

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)被験者から収集された体液被検物の細胞部分を除去し
    ; (b)該体液の残物からタンパク質抽出物を調製し; (b)テロメラーゼRNAもしくはテロメラーゼ活性の存在について該抽出物を
    アッセイし; (c)テロメラーゼRNAもしくはテロメラーゼ活性のレベルを定量し;そして (d)テロメラーゼRNAもしくはテロメラーゼ活性のレベルを、正常レベルに
    おいて見いだされるテロメラーゼRNAもしくはテロメラーゼ活性のレベルと比
    較して、がんの存在を決定する: 段階を含む、該被験者においてがんを検出する方法。
  2. 【請求項2】 該がんが、胃腸、内分泌、生殖、頭・首、肝臓、乳房、腎臓
    、泌尿、神経、血液、リンパ様、筋骨格および心臓と呼吸器からなる群から選ば
    れる解剖学的構造系において発現されている、請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 該がんが肺がんである、請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 がんが非転移性である、請求項1の方法。
  5. 【請求項5】 がんが転移性である、請求項1の方法。
  6. 【請求項6】 体液が、血液、血漿、リンパ液、胸膜液、脊髄液、唾液、喀
    痰、尿および精液からなる群から選ばれる、請求項1の方法。
  7. 【請求項7】 体液が循環液である、請求項1の方法。
  8. 【請求項8】 体液が血液である、請求項1の方法。
  9. 【請求項9】 段階(b)および(c)が、 (i)テロメア反復配列の付加によるテロメラーゼ基質の伸長を触媒するように
    、抽出物を、該テロメラーゼ基質の反応混合物およびバッファーとともにインキ
    ュベートし; (ii)伸長されたテロメラーゼ基質が存在する場合には、テロメア反復配列に
    十分に相補的な配列を含有するプライマーが、該伸長テロメラーゼ基質にハイブ
    リダイズし、それにより二本鎖DNA分子を形成することができるような条件下
    で、該プライマーを該混合物に添加して、それに特異的にハイブリダイズさせる
    : 段階をさらに含む、請求項1の方法。
  10. 【請求項10】 (iii)二本鎖DNAを増幅して測定しうるサンプル量
    を達成する: 段階をさらに含む、請求項9の方法。
  11. 【請求項11】 テロメラーゼ基質がオリゴヌクレオチドTS(5’−AA
    T CCG TCG AGC AGA GTT−3’)である、請求項9の方法
  12. 【請求項12】 プライマーがCX−extオリゴヌクレオチド(5’−G
    TC CCC TTA CCC TTA CCC TTA CCC TAA−3
    ’)である、請求項9の方法。
  13. 【請求項13】 (a)患者から抜き取られた体液サンプル中のテロメラー
    ゼRNAもしくはテロメラーゼ活性を定量的に測定して、初期テロメラーゼ活性
    レベルを測定し; (b)既知のがん療法によって患者を治療し; (c)該療法後に患者の体液中のテロメラーゼRNAもしくはテロメラーゼ活性
    のレベルを再測定し; (d)初期テロメラーゼRNAもしくはテロメラーゼ活性レベルを、該療法後に
    測定されたレベルと比較し;そして (e)テロメラーゼRNAもしくはテロメラーゼ活性における減少を、該がん療
    法の有効性と相関させる: 段階を含む、患者において診断されたがんを治療する方法。
  14. 【請求項14】 所定の期間にわたって段階(b)〜(e)を繰り返すこと
    をさらに含む、請求項10の方法。
  15. 【請求項15】 体液が、血液、血漿、リンパ液、胸膜液、脊髄液、唾液、
    喀痰、尿および精液からなる群から選ばれる、請求項13の方法。
  16. 【請求項16】 体液が循環液である、請求項13の方法。
  17. 【請求項17】 体液が血液である、請求項13の方法。
  18. 【請求項18】 テロメラーゼ基質;伸長されたテロメラーゼ基質の存在下
    で二本鎖DNA分子を形成するように、テロメア反復配列に十分に相補的な配列
    を含み、それに特異的にハイブリダイズする逆プライマー;反応バッファー、お
    よびDNA増幅コンポーネント: を含んでなる、血液調製物においてテロメラーゼレベルを検出するためのキット
  19. 【請求項19】 テロメラーゼ基質がTSオリゴヌクレオチド(5’−AA
    T CCG TCG AGC AGA GTT−3’)であり、そして逆プライ
    マーがCX−extオリゴヌクレオチド(5’−GTC CCC TTA CC
    C TTA CCC TTA CCC TAA−3’)である、請求項18のキ
    ット。
  20. 【請求項20】 DNA増幅コンポーネントが、高忠実度Taqポリメラー
    ゼを含む、請求項18のキット。
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