JP2002370309A - 金属張積層板及びそれを用いたプリント配線板 - Google Patents

金属張積層板及びそれを用いたプリント配線板

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JP2002370309A
JP2002370309A JP2001179738A JP2001179738A JP2002370309A JP 2002370309 A JP2002370309 A JP 2002370309A JP 2001179738 A JP2001179738 A JP 2001179738A JP 2001179738 A JP2001179738 A JP 2001179738A JP 2002370309 A JP2002370309 A JP 2002370309A
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resin composition
insulating resin
electrically insulating
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JP2001179738A
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Takeshi Sugimura
猛 杉村
Harumi Negishi
春己 根岸
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Resonac Corp
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、このような状況を鑑みて、誘
電特性が優れた金属張積層板とそれを用いたプリント配
線板を提供することにある。 【解決手段】本発明は、ガラスクロスに電気絶縁性樹脂
組成物を含浸乾燥させて形成したプリプレグを積層し一
体成形させた積層板の表面に金属箔を有する金属張積層
板において、前記金属箔に接して前記電気絶縁性樹脂組
成物より低誘電率及び低誘電正接の少なくとも一方を有
する電気絶縁性樹脂組成物層を形成させたことを特徴
と、又それを用いたプリント配線板にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な金属張積層
板とそれを用いたプリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板用積層板は、電気絶縁性
樹脂組成物をマトリックスとするプリプレグを所定枚数
重ね、加熱加圧して一体化したものである。プリント回
路をサブトラクティブ法により形成する場合には、金属
張積層板が用いられる。この金属張積層板は、プリプレ
グの表面(片面又は両面)に銅箔等の金属箔を重ねて、
加熱加圧することにより製造される。
【0003】電気絶縁性樹脂としては、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド−
トリアジン樹脂等のような熱硬化性樹脂が汎用され、フ
ッ素樹脂やポリフェニレンエーテル樹脂等のような熱可
塑性樹脂が用いられることもある。
【0004】近年、コンピュータ等の情報処理機器にみ
られる高速演算化及び移動体通信や衛星通信等にみられ
る高周波化に対応するため、低誘電率・低誘電正接の積
層板が求められるようになっている。
【0005】シアナート樹脂、1価フェノール類化合物
及びポリフェニレンエーテル樹脂を必須成分とするシア
ナート樹脂組成物をマトリックスとし、Sガラス繊維や
Dガラス繊維を繊維基材とするプリプレグを用いた積層
板は、このような要求を満たす積層板として注目されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ように全てのプリプレグに、誘電特性の良いプリプレグ
を使用することでは、高価な金属張積層板となってしま
い、その使用用途が極めて限定されていた。
【0007】本発明の目的は、このような状況を鑑み
て、誘電特性が優れた金属張積層板とそれを用いたプリ
ント配線板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、比較的安価
なエポキシ樹脂等の電気絶縁樹性脂組成物をガラスクロ
スに含浸乾燥させたプリプレグと、金属箔の間に当該電
気絶縁性樹脂組成物より低誘電率及び低誘電正接である
それとは誘電特性の異なる電気絶縁性樹脂組成物を含浸
乾燥させたプリプレグ、その異なる電気絶縁性樹脂組成
物をキャステング法によってフィルム状の接着シートに
したもの、又は、その異なる電気絶縁性樹脂組成物を含
浸乾燥させたプリプレグと金属箔の接着面に当該電気絶
縁樹性脂組成物とは誘電特性の異なる電気絶縁性樹脂組
成物をコーターによって塗布したもの(以下RCCと略
す)、を加熱成形し、金属張積層板とするものである。
なお、当該電気絶縁樹性脂組成物を含浸乾燥させたプリ
プレグの代わりに、これらプリプレグを加熱加圧成形し
て一体にした積層板を用いることもできる。
【0009】又、本発明は、ガラスクロスに電気絶縁性
樹脂組成物を含浸乾燥させて形成したプリプレグを積層
し一体成形させた積層板の表面に金属箔を有する金属張
積層板において、前記金属箔に接して前記電気絶縁性樹
脂組成物とは異なる電気絶縁性樹脂組成物層を有し、全
体における誘電率が4.0以下、好ましくは3.8以下
及び誘電正接が150×10-4以下、好ましくは80〜
140×10-4であることを特徴とする。
【0010】本発明において、前述の誘電特性の異なる
電気絶縁性樹脂組成物としては、ポリフェニレンエーテ
ル樹脂を芳香属炭化水素系溶媒に加熱溶解し、次いで、
その溶液中に、シアネートエステル類化合物及び1価フ
ェノール類化合物、必要により金属系反応触媒、難燃剤
など他の成分を加えてシアナート樹脂とポリフェニレン
エーテル樹脂との相溶化樹脂溶液(以下単に相溶化樹脂
溶液とする)を調製し、これにケトン系溶媒を投入攪拌
することにより、又はケトン系溶媒に相溶化樹脂溶液を
投入攪拌することにより、相溶化樹脂溶液を懸濁化し、
この溶媒を乾燥除去することにより作製される。
【0011】本発明で使用されるシアネートエステル類
化合物は、2個以上のシアナート基を有する次の化1で
表されるシアネートエステル類化合物である。
【0012】
【化1】
【0013】(ただし、mは2〜10の整数、R1
芳香族の多価の有機基、シアナート基は有機基の芳香環
に直接結合している。)シアネートエステル類化合物は
その一部をオリゴマーとしたものであってもよい。
【0014】シアネートエステル類化合物のオリゴマー
は、シアネートエステル類化合物を触媒の存在下に、又
は不存在下に重合させて得られる。触媒としては、鉱
酸、ルイス酸、炭酸ナトリウム又は塩化リチウムのよう
な塩類、トリブチルホスフィンのようなリン酸エステル
類等が挙げられる。触媒が存在する場合としない場合で
は反応温度が異なり、前者は100〜140℃、後者は
140〜170℃で反応させる。この重合反応により、
シアナート基が三量化することによってトリアジン環が
形成される。オリゴマーは、数平均分子量が400〜6
000となるように重合させるのが好ましい。
【0015】オリゴマーの数平均分子量は、反応中に一
定時間間隔でサンプリングし、テトラヒドロフラン溶液
としてゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより
測定することで制御することができる。
【0016】化1で表されるシアネートエステル類化合
物は、一般に、対応する多価のフェノール系化合物をハ
ロゲン化シアンと反応させる公知の方法(例えば、特公
昭41−1928号公報参照)によって調製される。
【0017】かかるシアネートエステル類化合物として
は、1,3−ジシアナートベンゼン、1,4−ジシアナ
ートベンゼン、1,3,5−トリシアナートベンゼン、
1,3−ジシアナートナフタレン、1,4−ジシアナー
トナフタレン、1,6−ジシアナートナフタレン、1,
8−ジシアナートナフタレン、2,6−ジシアナートナ
フタレン、2,7−ジシアナートナフタレン、1,3,
6−トリシアナートナフタレン、4,4−ジシアナート
ビフェニル、ビス(4−シアナートフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−シアナート
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ
−4−シアナートフェニル)プロパン、ビス(4−シア
ナートフェニル)エーテル、ビス(4−シアナートフェ
ニル)チオエーテル、ビス(4−シアナートフェニル)
スルホン、トリス(4−シアナートフェニル)ホスファ
イト、トリス(4−シアナートフェニル)ホスフェー
ト、フェノール樹脂とハロゲン化シアンとの反応により
得られるベンゼン多核体のポリシアナート(例えば、特
公昭45−11712号公報、特公昭55−9433号
公報参照)等が挙げられる。これらのシアネートエステ
ル類化合物は、単独で使用してもよく、2種類以上を組
み合わせて使用してもよい。
【0018】入手容易であり、かつ最終樹脂に良好な性
質を与えるという点から、2,2−ビス(4−シアナー
トフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチ
ル−4−シアナートフェニル)メタンのように、対称構
造を有し、かつ橋絡部に縮合環を有しない2価のシアネ
ートエステル類化合物が特に好ましい。
【0019】本発明で使用される1価フェノール類化合
物としては、化2又は化3で示される1価フェノール類
が挙げられる。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】(nは1〜2の整数であり、R2 及びR3
は水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基を表
し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。ま
た、R4は−CH3 、−CH2CH3 又は−CH2C(C
2)2CH3 を表す。)化2で表される1価フェノール
類化合物としては、例えばP−(α−クルミ)フェノー
ルが挙げられる。また、化3で表される1価フェノール
類化合物としては、例えば、p−tert−ブチルフェ
ノール、p−tert−アミルフェノール、p−ter
t−オクチルフェノールが挙げられ、その中でもp−t
ert−オクチルフェノールが好ましい。
【0023】これらの1価フェノール類化合物は、1種
類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用
いてもよい。
【0024】シアネートエステル類化合物が有するシア
ナート基自体は、極めて極性の強い基であるが、このシ
アナート基が三量化して生成するトリアジン環は、対称
な構造であり、このため硬化物の誘電率及び誘電正接が
小さくなる。従って、現在公知の熱硬化性樹脂の中で
は、最も低い誘電率及び誘電正接の硬化物が得られる。
【0025】しかしながら、実際の硬化反応において
は、シアナート基全部が反応してトリアジン環を生成す
るということは不可能であり、硬化反応の進行に伴って
反応系が流動性を失い、未反応のシアナート基が系内に
残存し、誘電率及び誘電正接が高くなる。
【0026】1価フェノール類をシアネートエステル類
化合物に付加させ、イミドカーボネート化することによ
り、シアナート基が系内に残存しないようにして、誘電
率及び誘電正接を低くすることができる。
【0027】このようなことから、1価フェノール類の
配合量は、シアネートエステル類化合物100重量部に
対して4〜30重量部とすることが好ましい。4重量部
未満では誘電率及び誘電正接を低くする効果が小さくな
る傾向にあり、30重量部を超えると返って誘電率及び
誘電正接が高くなる傾向にある。このことから、シアネ
ートエステル類化合物100重量部に対して1価フェノ
ール類を5〜25重量部配合するのがより好ましく、7
〜20重量部配合するのが特に好ましい。
【0028】本発明で使用される1価フェノール類化合
物は、シアネートエステル類化合物と共に、前記の適正
配合量の全部を初期から反応系に投入しておいてもよ
く、又は初期は前記の適正配合量の一部を反応系に投入
し、冷却後残りの配合量を投入してもよい。
【0029】本発明で使用されるポリフェニレンエーテ
ル樹脂は、化4で示される構造単位を有している樹脂で
あり、単環式フェノールを重縮合させて得られる。
【0030】
【化4】
【0031】(但し、R5 、R67 及びR8 は炭
素数1〜3の低級アルキル基又は水素原子であり、R7
とR8 のうち少なくとも一方は低級アルキル基であ
る。)また、化4で示される構造を根幹とし、この根幹
にビニル芳香族化合物をグラフト重合して得られるグラ
フト共重合体も使用することができる。
【0032】ポリフェニレンエーテル樹脂の合成に使用
される単環式フェノールとしては、2,6−ジメチルフ
ェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジプ
ロピルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノー
ル、2−メチル−6−プロピルフェノール、2−エチル
−6−プロピルフェノール、m−クレゾール、2,3−
ジメチルフェノール、2,3−ジプロピルフェノール、
2−メチル−3−エチルフェノール、2−メチル−3−
プロピルフェノール、2−エチル−3−メチルフェノー
ル、2−エチル−3−プロピルフェノール、2−プロピ
ル−3−メチルフェノール、2−プロピル−3−エチル
−フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、
2,3,6−トリエチルフェノール、2,3,6−トリ
プロピルフェノール、2,6−ジメチル−3−エチルフ
ェノール、2,6−ジメチル−3−プロピルフェノール
等が挙げられる。
【0033】これら単環式フェノールの1種類以上の重
縮合により得られるポリフェニレンエーテル樹脂を具体
的に例示すると、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フ
ェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4
−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6
−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−
メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニ
レン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,
3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプ
ロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール
共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテルにスチレンをグラフト重合したグラフト共
重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−ト
リメチルフェノール共重合体合にスチレンをグラフト重
合したグラフト共重合体が挙げられる。
【0034】また、ポリフェニレンエーテル樹脂は、ポ
リスチレン等とのアロイ化ポリマーの形で市販されるこ
とがある。このようなアロイ化ポリマーも使用できる。
アロイ化ポリマーとしては、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテルとポリスチレンとのアロ
イ化ポリマー、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレン)エーテルとスチレン−ブタジエンコポリマーと
のアロイ化ポリマーが挙げられる。
【0035】積層板としたときの誘電特性の観点から、
アロイ化ポリマー中のポリ(2,6−ジメチル−1,4
−フェニレン)エーテルの成分量が、50重量%以上含
有されるようなアロイ化ポリマーであることが好まし
く、65重量%以上含有されるようなアロイ化ポリマー
であることがより好ましい。
【0036】ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量は、
シアネートエステル類化合物100重量部に対して5〜
300重量部とすることが好ましい。配合量が5重量部
未満では、誘電率及び誘電正接を低くする効果が小さく
なる傾向にあり、30重量部を超えると懸濁化した相溶
化樹脂溶液の粘度が高くなり、流動性・成形性が悪くな
る。
【0037】このことから、ポリフェニレンエーテル樹
脂の配合量は、シアネートエステル類化合物100重量
部に対して10〜200重量部とすることがより好まし
く、10〜100重量部とするこが特に好ましい。
【0038】必要により、マトリックス中に難燃剤を加
えておくこともできる。難燃剤は懸濁化した相溶化樹脂
溶液を調製するときに配合する必要があることから、シ
アネートエステル類化合物と反応性を有しない難燃剤が
好ましい。このような難燃剤としては、1,2−ジブロ
モ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、
テトラブロモシクロヘキサン、ヘキサブロモシクロドデ
カン、ポリブロモジフェニルエーテル、臭素化ポリスチ
レン、臭素化ポリカーボネイト、2,4,6−トリス
(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジンの
ような臭素化トリフェニルイソシアヌレート系難燃剤等
が挙げられる。これらの中でも、1,2−ジブロモ−4
−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラ
ブロモシクロヘキサン、ヘキサブロモシクロドデカン、
2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,
3,5−トリアジンは、積層板としたときの誘電特性が
良好となるので好ましい。
【0039】難燃剤を加えるときは、シアネートエステ
ル類化合物、1価フェノール類化合物及びポリフェニレ
ンエーテル樹脂の総量100重量部に対して5〜30重
量部とすることが好ましい。シアネートエステル類化合
物、1価フェノール類化合物及びポリフェニレンエーテ
ル樹脂の総量100重量部に対して難燃剤の配合量が5
重量部未満では、耐熱性が不十分となる傾向にあり、3
0重量部を超えると積層板の耐熱性が低下する傾向があ
る。このことから、シアネートエステル類化合物、1価
フェノール類化合物及びポリフェニレンエーテル樹脂の
総量100重量部に対して8〜25重量部とすることが
より好ましく、10〜20重量部とすることが特に好ま
しい。
【0040】相溶化樹脂溶液を調製するときに必要によ
り用いられる金属系反応触媒としては、ナフテン酸鉛、
ナフテン酸コバルト、ナフテン酸(III)、ナフテン酸ニ
ッケル、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸銅、ナフテン酸マ
ンガン、2−エチルシクロヘキサンコバルト等の有機金
属塩、塩化スズ、塩化亜鉛、塩化アルミニウム等の金属
塩化物、トリエチレンジアミン等の有機塩基等が挙げら
れる。特に、有機金属塩は、添加量が少なくて済むこと
から好ましい。
【0041】シアネートエステル類化合物は、加熱ある
いは加圧下に反応してトリアジン環を生成し、網状構造
を形成して硬化する。これら金属系反応触媒は、この反
応を促進する作用をする。トリアジン環を生成する反応
は、相溶化樹脂溶液を調製するとき及びプリプレグとす
るときに一部が進行し、プリプレグを加熱加圧して積層
板を製造するときに残りが進行する。
【0042】金属系反応触媒の配合量は、シアネートエ
ステル類化合物に対して1〜300ppmとすることが
好ましく、5〜200ppmとすることが好ましく、1
0〜100ppmとすることが特に好ましい。配合量が
1ppm未満の場合は効果が小さくなる傾向にあり、3
00ppmを超えると反応が速くなり過ぎる傾向にあ
る。
【0043】金属系反応触媒は、相溶化樹脂溶液を調製
するときの反応促進及び積層板製造時の硬化促進剤の両
様の作用をするが、相溶化樹脂溶液を調製する際に両様
の作用をするに足りる量を一時にまとめて配合してもよ
く、反応促進剤として作用する分と硬化促進剤として作
用する分に分割して配合してもよい。なお、硬化促進剤
として作用する分を分割して配合するときは、硬化促進
剤として作用する分を懸濁化した相溶化樹脂溶液に添加
する。
【0044】反応促進剤として作用する分と硬化促進剤
として作用する分とに分割して添加するときには、相溶
化樹脂溶液を調製する際の反応促進剤と積層板製造時の
硬化促進剤で同一の金属系反応触媒を単独で用いてもよ
く、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】相溶化樹脂溶液を調製する際に使用される
芳香族炭化水素系溶媒は、ポリフェニレンエーテル樹脂
を加熱溶解し、さらに、シアネートエステル類化合物と
1価フェノール類化合物の反応とポリフェニレンエーテ
ル樹脂との相溶化を行う際の反応溶媒となる。芳香族炭
化水素系溶媒は、沸点が50〜170℃の範囲にあるも
のが好ましい。
【0046】芳香族炭化水素系溶媒の沸点が50℃未満
であると、プリプレグを製造するときに溶媒が揮発し易
く、揮発によって濃度及び粘度が変化することから、繊
維基材への含浸制御が困難となる傾向を示す。また、沸
点が170℃を超えるとプリプレグ中に残存する溶媒量
が多くなって、最終的に積層板としたときボイドを発生
させ、耐熱性が低下する傾向を示す。
【0047】本発明において使用される芳香族炭化水素
系溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、イソプロピルベンゼン、メチレン等が挙げられる。
これらの中では、トルエンが特に好ましいが、これに制
限されず、他の芳香族炭化水素系溶媒も使用可能であ
る。勿論、単一の芳香族炭化水素系溶媒を使用してもよ
く、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0048】また、芳香族炭化水素系溶媒は、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂100重量部に対して100〜50
0重量部とするのが好ましく、150〜300重量部が
特に好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂100重量
部に対して芳香族炭化水素系溶媒が100重量部未満で
あると粘度が高くなるために、相溶化樹脂溶液の取り扱
いが困難となる傾向があり、500重量部を超えるとオ
リゴマー化するときに要する時間が長くなる傾向があ
る。
【0049】ケトン系溶媒は、相溶化樹脂溶液を懸濁化
させるために添加され、相溶化樹脂の溶解性が低い、い
わゆる貧溶媒として作用する。ケトン系溶媒は、沸点が
50〜170℃の範囲にあるものが好ましい。
【0050】ケトン系溶媒の沸点が50℃未満である
と、プリプレグを製造するときに溶媒が揮発し易く、揮
発によって濃度及び粘度が変化することから、繊維基材
への含浸制御が困難となる傾向を示す。また、沸点が1
70℃を超えるとプリプレグ中に残存する溶媒量が多く
なって、最終的に積層板としたときボイドを発生させ、
耐熱性が低下する傾向を示す。
【0051】本発明において使用されるケトン系溶媒と
しては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノ
ン、3−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘ
キサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、シクロ
ヘキサノン等が挙げられる。これらの中では、メチルエ
チルケトンが特に好ましいが、これに制限されず、他の
ケトン系溶媒も使用可能である。勿論、単一のケトン系
溶媒を使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用
してもよい。
【0052】また、ケトン系溶媒は、相溶化樹脂溶液中
に投入攪拌してもよく、ケトン系溶媒中に相溶化樹脂溶
液を投入攪拌してもよい。
【0053】ケトン系溶媒は、芳香族炭化水素系溶媒1
00重量部に対して50〜500重量部の範囲で使用す
るのが好ましく、100〜200重量部の範囲で使用す
るのが特に好ましい。ケトン系溶媒の使用量が50重量
部未満であると相溶化樹脂が充分に懸濁化しない傾向が
あり、500重量部を超えると溶媒量が多すぎることか
ら、繊維基材に含浸乾燥後のすなわち、液垂れ、発泡、
すじむら等により表面を平滑にすることが困難となり、
外観が悪くなる傾向がある。
【0054】芳香族炭化水素系溶媒及びケトン系溶媒の
他に、必要に応じて、他の溶媒を併用することもでき
る。ただ、相溶化樹脂溶液の懸濁状態を変化させない種
類及び量の範囲内である必要がある。
【0055】併用できる溶媒としては、トリクロロエチ
レン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトア
ミド等のアミド系溶媒、N−メチルピロリドン等の窒素
系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独で併用して
もよく、2種類以上を組み合わせて併用してもよい。
【0056】本発明のシアナート樹脂組成物の製造方法
においては、シアナート樹脂とポリフェニレンエーテル
樹脂との相溶化樹脂溶液を製造する際に、シアネートエ
ステル類化合物の反応率を直接測定することなく、硬化
時間を測定することで反応終点を決定する。この際、相
溶化樹脂溶液に1価フェノール類化合物とケトン系溶媒
を添加することで、相溶化樹脂溶液を疑似的に最終配合
と同等の状態にすることができ、この時の硬化時間を測
定することで反応率の経時変化を推定することが可能と
なる。添加する1価フェノール類化合物とケトン系溶媒
の配合量は、相溶化樹脂溶液が懸濁化された時の成分比
と同じになるように調整すればいい。
【0057】硬化時間は、相溶化樹脂溶液をサンプリン
グして、一定温度の熱板上に置き、ゲル化するまでの時
間を測定することにより知ることができる。
【0058】懸濁化した相溶化樹脂溶液をガラス繊維基
材に含浸乾燥することにより、プリプレグを作製するこ
とができる。このプリプレグを少なくとも1枚、金属箔
と任意の基材の間に重ねて加熱加圧することにより、積
層板を作製する。
【0059】また、前記の相溶化樹脂溶液を、キャステ
ィング法等により、フィルム状の接着シートを作製し、
この接着シートを、汎用的なエポキシ樹脂組成物を含浸
乾燥させたプリプレグと金属箔の間に配置し、加熱加圧
することにより所望の積層板を作製することもできる。
【0060】更に、前記の相溶化樹脂溶液を、金属箔の
接着面に塗布乾燥することにより、RCCを作製する。
これを汎用的なエポキシ樹脂組成物を含浸乾燥させたプ
リプレグと所定の板厚になるように配置し、加熱加圧す
ることにより所望の積層板を作製することもできる。
【0061】
【発明の実施の形態】(実施例1) (1)懸濁化した相溶化樹脂溶液(A)の調製 2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン(旭
チバ株式会社製、商品名Arocy B−10を使用)
100重量部、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレン)エーテル(日本ジーイープラスチックス株式会
社製、商品名ノリルPKN4752を使用)20重量部
及びP−(α−クミル)フェノール(サンテクノケリミ
カル株式会社製、商品名PCPを使用)1重量部をトル
エン40重量部に加熱溶解し、金属系反応触媒としてナ
フテン酸マンガン(マンガン含有量10%,日本化学産
業株式会社製を使用)0.03重量部を添加後液温を1
20℃として反応させることにより、相溶化樹脂溶液を
調製した。
【0062】この相溶化樹脂溶液を90℃に冷却後シア
ネートエステル類化合物と反応性を有しない難燃剤とし
て2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,
3,5−トリアジン(第一鉱業製薬株式会社製、商品名
SR−245)18重量部を投入し、次いで、メチルエ
チルケトン82重量部を投入攪拌して懸濁化させ、更に
40℃以下に冷却後に、前記P−(α−クミン)フェノ
ール11重量部、金属系反応触媒(日本化学産業株式会
社製、ナフテン酸亜鉛 亜鉛含有量8重量%)0.01
25重量部を添加して懸濁化した相溶化樹脂溶液(A)
を調製した。
【0063】(2)プリプレグの作製 エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名
エピコート1001を使用)100重量部及びジシアン
ジアミド0.8重量部をメチルエチルケトンに、固形分
が20重量%となるように溶解してワニスを調製した。
このワニスを坪量104g/m2 のガラスクロス(日
東紡績株式会社製、商品名WEA116E)に、乾燥後
の付着量が42重量%となるように含浸乾燥させること
により、プリプレグ(1)を作製した。
【0064】次に、相溶化樹脂溶液(A)を前記ガラス
クロスに含浸乾燥して、乾燥後の厚さが0.100mm
のプリプレグ(2)を作製した。 (3)銅張積層板の作製 次に、プリプレグ(1)を6枚重ね、その両側にプリプ
レグ(2)を1枚づつ配し、18μm銅箔(古河サーキ
ットフォイル社製、GTS−18)を介して、温度20
0℃、圧力3MPaで90分間加熱加圧して銅張積層板
を作製した。
【0065】(実施例2)相溶化樹脂溶液(A)を用い
てキャステング法により、厚み50μmのフィルム状の
接着シート(3)を作製した。実施例1のプリプレグ
(2)の代りに接着シート(3)を用いた他は、実施例
1と同様にして、銅張積層板を作製した。
【0066】(実施例3)相溶化樹脂溶液(A)を用い
て、コーターにより、厚み80μmとなるように18μ
m銅箔(古河サーキットフォイル社製、GTS−18)
の粗化面に塗布乾燥し、RCC(4)を作製した。実施
例1のプリプレグ(2)の代りにこのRCC(4)を用
いた他は、実施例1と同様にして、銅張積層板を作製し
た。
【0067】(実施例4)実施例1のプリプレグ(1)
の代わりに、プリプレグ(1)を用いて予め成形された
積層板を用いた他は、実施例1と同様にして、銅張積層
板を作製した。
【0068】(実施例5)実施例1のプリプレグ(1)
の代わりに、プリプレグ(1)を用いて予め成形された
積層板を用いた他は、実施例2と同様にして、銅張積層
板を作製した。
【0069】(実施例6)実施例1のプリプレグ(1)
の代わりに、プリプレグ(1)を用いて予め成形された
積層板を用いた他は、実施例3と同様にして、銅張積層
板を作製した。
【0070】(比較例1)実施例1のプリプレグ(1)
を8枚重ね、温度170℃、圧力3MPaで90分間加
熱加圧して、積層板を作製した。
【0071】(比較例2)実施例1のプリプレグ(2)
を8枚重ね、温度200℃、圧力3MPaで90分間加
熱加圧して、積層板を作製した。
【0072】以上の実施例1〜6及び比較例1、2で作
製した積層板について、板厚、銅箔引き剥がし強さ、誘
電率、誘電正接、はんだ耐熱性を調べた。これらの結果
を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】表1に示す各項目の測定は次の通りであ
る。 ・板厚:マイクロメータを用いて、各3個の試験片につ
いて、各々3か所ずつ測定してその平均値を示した。 ・板厚精度:板厚測定値の最大値と最小値の差を算出し
た。 ・はんだ耐熱性:常態及び吸水率と同条件のPCT内に
1時間保持(PCT−1)した後の試験片を、260℃
のはんだ槽に20秒浸漬し、外観を観察した。表1にお
ける数値は、5:異常なし、2:小ふくれ発生、1:ふ
くれ発生を示し、3個の試験片についての結果を各々表
示したものである。 ・誘電率及び誘電正接:トリプレート−ストリップライ
ン共振器法により周波数1GHzで測定した。なお、誘
電正接の数値は(×10-4)の単位で示したものであ
る。
【0075】表1に示す様に、本発明の実施例1〜6の
誘電率は3.58〜3.66、誘電正接は100〜13
2×10-4と、比較例1、2に比べて誘電率が低く、特
に実施例1〜6のプリプレグ(1)のみを用いた比較例
1に比べて誘電率132以下及び誘電正接132×10
-4以下と、共に著しく低く、優れた誘電特性を有するこ
とが明らかである。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、低誘電率及び低誘電正
接の誘電特性に優れる金属張積層板とそれを用いたプリ
ント配線板を提供できる顕著な効果を有するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 101:00 C08L 101:00 Fターム(参考) 4F072 AA04 AB09 AB28 AD23 AD42 AG17 AH21 AK05 AK20 AL12 4F100 AB01B AG00A AK01A AK01C AL05A AL05C BA03 BA07 BA10A BA10B BA25 DG11 DH01A EJ19 EJ192 EJ42 EJ422 EJ82 EJ822 EJ86 EJ862 GB43 JD04A JG04C JG05 JG05C

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラスクロスに電気絶縁性樹脂組成物を含
    浸乾燥させて形成したプリプレグを積層し一体成形させ
    た積層板の表面に金属箔を有する金属張積層板におい
    て、前記金属箔に接して前記電気絶縁性樹脂組成物より
    低誘電率及び低誘電正接の少なくとも一方を有する電気
    絶縁性樹脂組成物層を形成させたことを特徴とする金属
    張積層板。
  2. 【請求項2】ガラスクロスに電気絶縁性樹脂組成物を含
    浸乾燥させて形成したプリプレグを積層し一体成形させ
    た積層板の表面に金属箔を有する金属張積層板におい
    て、前記金属箔に接して前記電気絶縁性樹脂組成物より
    低誘電率及び低誘電正接の少なくとも一方を有する電気
    絶縁性樹脂組成物をガラスクロスに含浸させたプリプレ
    グを介在させたことを特徴とする金属張積層板。
  3. 【請求項3】ガラスクロスに電気絶縁性樹脂組成物を含
    浸乾燥させて形成したプリプレグを積層し一体成形させ
    た積層板の表面に金属箔を有する金属張積層板におい
    て、前記金属箔に接して前記電気絶縁性樹脂組成物より
    低誘電率及び低誘電正接の少なくとも一方がキャステン
    グ法によって形成された電気絶縁性樹脂組成物層を有す
    ることを特徴とする金属張積層板。
  4. 【請求項4】ガラスクロスに電気絶縁性樹脂組成物を含
    浸乾燥させて形成したプリプレグを積層し一体成形させ
    た積層板の表面に金属箔を有する金属張積層板におい
    て、前記金属箔に接して前記電気絶縁性樹脂組成物より
    低誘電率及び低誘電正接の少なくとも一方がコーターに
    よって塗付され乾燥して形成された電気絶縁性樹脂組成
    物層を有することを特徴とする金属張積層板。
  5. 【請求項5】ガラスクロスに電気絶縁性樹脂組成物を含
    浸乾燥させて形成したプリプレグを積層し一体成形させ
    た積層板の表面に金属箔を有する金属張積層板におい
    て、前記金属箔に接して前記電気絶縁性樹脂組成物とは
    異なる電気絶縁性樹脂組成物層を有し、誘電率が4.0
    以下及び誘電正接が150×10-4以下であることを特
    徴とする金属張積層板。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかにおいて、前記低
    誘電率及び低誘電正接の少なくとも一方を有する電気絶
    縁性樹脂組成物層が相溶化樹脂溶液を用いて形成されて
    いることを特徴とする金属張積層板。
  7. 【請求項7】電気絶縁性層表面に配線層を有する金属張
    積層板からなるプリント配線板において、前記金属張積
    層板は請求項1〜6のいずれかに記載の金属張積層板か
    らなり、前記金属箔が前記配線層であることを特徴とす
    るプリント配線板。
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