JP2002367230A - 光学情報記録媒体とその記録再生装置、及びその記録再生方法 - Google Patents

光学情報記録媒体とその記録再生装置、及びその記録再生方法

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JP2002367230A
JP2002367230A JP2001170584A JP2001170584A JP2002367230A JP 2002367230 A JP2002367230 A JP 2002367230A JP 2001170584 A JP2001170584 A JP 2001170584A JP 2001170584 A JP2001170584 A JP 2001170584A JP 2002367230 A JP2002367230 A JP 2002367230A
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JP2001170584A
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Mayumi Uno
真由美 宇野
Teruhiro Shiono
照弘 塩野
Hiroaki Yamamoto
博昭 山本
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超解像での記録再生を行う際に、記録再生信
号の強度が十分に得られなかった。 【解決手段】 基板上にマスク層と情報層とを少なくと
も有し、マスク層は、レーザー光の照射時にレーザー光
照射部の一部分が、状態1から光学的に異なる状態2へ
と一時的に変化し、状態2のとき表面プラズモンの発生
が増強される界面を形成することによって、解像限界よ
り小さい記録ピットを記録再生する際の信号強度を増大
させることが可能となる。これにより、さらなる高密度
記録が可能な記録媒体とその記録再生方法を提供するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光線の照
射等の光学的な手段を用い、高密度、高速度での情報の
記録再生が可能で、特に十分な信号強度を得ることが出
来る光学情報記録媒体及び記録再生装置、及び記録再生
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大容量、高速度での情報の記録再生が可
能な媒体として、光磁気記録媒体や相変化形記録媒体等
の光学情報記録媒体が知られている。これらの光学情報
記録媒体は、必要に応じてランダムアクセスが可能であ
り、かつ可搬性にも優れるという大きな利点を有してい
るため、高度情報化社会においてますますその重要性が
高まっている。例えばコンピュータを通じた個人データ
や映像情報等の記録、保存や、医療分野、学術分野、或
いは家庭用ビデオテープレコーダーの置き換え等、様々
な分野での需要が高まっている。現在、これらの光学情
報記録媒体について、アプリケーションの高性能化や画
像情報の高性能化に伴い、さらに大容量化(高密度
化)、高速化を達成することが求められている。
【0003】さらなる高密度化を達成する手段として、
レーザー光の集光スポット径を小さくする試みがなされ
ている。集光スポットの大きさは、レーザー光の波長を
λ、レンズの開口数をNAとすると、λ/NAに比例す
るため、レーザーの短波長化、或いは照射レーザービー
ムの高NA化が従来より提案されている。
【0004】或いは高密度化を達成する別の手段とし
て、集光スポット径よりも小さい記録マークを読み出す
ことを可能とする、いわゆる超解像記録技術が従来より
提案されている。例えば、特開2000−348377
号公報には、近接場光を用いた高密度化の技術が開示さ
れている。この発明においては、光ディスクは基板上に
保護層、マスク層、保護層、記録層、及び保護層がこの
順に作製され、保護層はZnS−SiO2、記録層は相
変化材料、マスク層は熱により酸素と銀に分解する酸化
銀を使用している。光ディスクに収束光を照射すると、
マスク層にレーザスポットが形成され、一定の閾値を越
えた高温部で酸化銀が酸素と銀に分解し、屈折率が変化
する。これによりマスク層にスポット径よりも小さな、
屈折率変化領域としてのアパーチャが形成される。この
アパーチャで発生したエバネッセント場により記録層に
記録マークを書き込み、またこの記録マークを読み出す
ことができるというものである。この発明においては、
マスク層で生じたエバネッセント場が到達可能な位置に
記録層を設けることによって、高速書き込み、及び高速
読みだしが可能となる技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来開示されて
いる技術では、いわゆる超解像技術を用いて信号の再生
を行う場合、記録信号がレーザーのスポット径よりも小
さいために、再生信号強度が非常に小さくなってしまう
という課題がある。また、同様に超解像技術を用いて信
号の記録を行う際にも、記録した信号の変調度が非常に
小さく、再生信号の強度が十分に得られないという課題
がある。
【0006】またこれらの課題を解決するために、記録
再生信号の強度を向上させようとして記録再生光強度を
強めた場合、既に書き込まれた信号に熱的影響を与え、
その信号を変質させてしまうという、いわゆる再生光劣
化が生じるといった新たな課題が生じる。
【0007】本発明は上記課題を解決し、超解像記録再
生において非常に小さいマークを記録再生する際であっ
ても、十分な信号強度を得ることができる技術を提案す
るものである。また、信号の記録再生時において、既に
書き込まれた信号に影響を与えることなく記録再生が可
能な技術を提案するものである。これにより、さらなる
高密度化が達成できる情報記録媒体を提供することが可
能になる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光学情報記
録媒体は、基板上にマスク層と情報層とを少なくとも有
し、マスク層は、レーザー光の照射時にレーザー光の照
射部の一部分が、状態1から光学的に異なる状態2へと
変化することによって、前記レーザー光の波長をλ、開
口数をNAとすると、情報層に形成されたλ/(4×N
A)よりも小さい記録ピットを読み出すことが可能であ
り、マスク層が状態2のとき、マスク層の表面或いは内
部に異なる媒質1、及び媒質2が接する界面が存在し、
レーザー光の波長における媒質1の複素屈折率をn1-i
k1、媒質2の複素屈折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)
×n2 2≦n1 2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を満たすも
のである。これにより、光学系の解像限界より小さい信
号を記録再生する際であっても、信号強度が飛躍的に向
上した光学情報記録媒体を得ることが可能になる。
【0009】情報層は2つ以上の光学的に異なる状態間
を変化しうる材料よりなることが好ましい。これにより
情報の記録、或いは書き換えが可能となるため、ユーザ
ー情報の書き込みが可能である高密度記録媒体を提供す
ることができる。マスク層が異なる2つの状態を変化し
うる転移温度は130℃以上400℃以下であることが
好ましい。これにより、既に書き込まれた信号を再生す
る際の再生光劣化を低減することが容易に可能となる。
【0010】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層はAu、Ag、或いはCuのうち少なくとも1元素を
含むものである。上記の媒質1、媒質2が満たすべき条
件を容易に満たすことが可能となる。
【0011】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層がAgを含み、かつ情報の読み出しに用いるレーザー
光の波長を200nmから580nmの範囲内とするも
のである。この好ましい例によれば、上記の媒質1、媒
質2が満たすべき条件を容易に満たすことができるばか
りでなく、信号強度の増強をより顕著に得ることが可能
となる。
【0012】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層がAuTe、CuTe、SnTe、NiCr、Crの
うち少なくともいずれか1つを含むものである。或い
は、本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク層がSn
−O、In−O、Zn−Oのうち少なくともいずれか1
つを含むものである。或いは、本発明に係る光学情報記
録媒体は、マスク層は少なくとも1種類の希土類を含む
ものである。この場合においても、信号強度の増強をよ
り顕著に得ることが可能となる。
【0013】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層が異なる2つの状態を変化しうる転移温度が130℃
以上400℃以下であることを特徴とする。
【0014】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
が2つ以上の光学的に異なる状態間を変化しうる材料よ
りなることを特徴とする。
【0015】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
が結晶状態とアモルファス状態とを可逆的に変化しうる
材料よりなることを特徴とする。
【0016】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
が作製直後で結晶状態であることを特徴とする。
【0017】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
がSb、Te、Seのうち少なくともいずれか1つを含
む相変化材料であることを特徴とする。
【0018】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
が1回のみの書き込みが可能である材料よりなることを
特徴とする。
【0019】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
がTeとOとを少なくとも含む材料よりなることを特徴
とする。
【0020】本発明に係る光学情報記録媒体の記録再生
装置は、基板上にマスク層と情報層とを少なくとも有す
る光学情報記録媒体を用いて情報の記録再生を行う装置
であり、マスク層は、レーザー光の照射時にレーザー光
の照射部の一部分が、状態1から光学的に異なる状態2
へと変化することによって、レーザー光の波長をλ、開
口数をNAとすると、情報層に形成されたλ/(4×N
A)よりも小さい記録ピットを読み出すことが可能であ
り、マスク層が状態2のとき、マスク層の表面或いは内
部に異なる媒質が接する界面が存在し、この異なる媒質
をそれぞれ媒質1、媒質2とし、媒質1の波長λにおけ
る複素屈折率をn1-ik1、媒質2の波長λにおける複素屈
折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2≦n1 2-k1 2
(−1.0)×n2 2 の関係を満たす光学情報記録媒体を用
い、波長λのレーザー光を用いて情報の記録再生を行う
ことを特徴とする。
【0021】本発明に係る光学情報記録媒体の記録再生
方法は、基板上にマスク層と情報層とを少なくとも有す
る光学情報記録媒体を用いて情報の記録再生を行う方法
であり、マスク層は、レーザー光の照射時にレーザー光
の照射部の一部分が、状態1から光学的に異なる状態2
へと変化することによって、レーザー光の波長をλ、開
口数をNAとすると、情報層に形成されたλ/(4×N
A)よりも小さい記録ピットを読み出すことが可能であ
り、マスク層が状態2のとき、マスク層の表面或いは内
部に異なる媒質が接する界面が存在し、この異なる媒質
をそれぞれ媒質1、媒質2とし、媒質1の波長λにおけ
る複素屈折率をn1-ik1、媒質2の波長λにおける複素屈
折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2≦n1 2-k1 2
(−1.0)×n2 2 の関係を満たす光学情報記録媒体を用
い、波長λのレーザー光を用いて情報の記録再生を行う
ことを特徴とする。
【0022】本発明に係る光学情報記録媒体の記録再生
装置は、基板上にマスク層と情報層とを少なくとも有す
る光学情報記録媒体を用いて情報の記録再生を行う装置
であり、マスク層は、レーザー光の照射時にレーザー光
の照射部の一部分が、状態1から光学的に異なる状態2
へと変化することによって、レーザー光の波長をλ、開
口数をNAとすると、情報層に形成されたλ/(4×N
A)よりも小さい記録ピットを読み出すことが可能であ
り、かつマスク層が状態2のとき、マスク層の表面或い
は内部に異なる媒質が接する界面が存在し、この界面に
おいて表面プラズモンが存在しうる条件とすることによ
って、情報信号の再生強度を向上させることを特徴とす
る。
【0023】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本発明の実施の
形態を、以下に具体例を用いて説明する。本発明におけ
る光学情報記録媒体の層構成の一例を図1に示す。図1
において、光透明層1及び基板7は、情報記録媒体を傷
や酸化から保護する役割を担う保護材である。光透明層
1及び基板7のうち、少なくとも記録再生に用いるレー
ザー光が通過しうる側は、レーザー光に対して透明な材
料、或いは光吸収が生じても無視できる程度に小さい
(例えば10%以下等)材料を使用する。なぜなら、用
いるレーザー光の波長において基板で光吸収が生じる場
合、レーザー光の光量を有効に活用することができず、
記録再生時の信号振幅を大きくとる上で不利になるため
である。図1においては、少なくとも光透明層1はレー
ザー入射側となりうるため、レーザー光に対して透明な
材料、或いは光吸収が生じたとしても無視できる程度に
小さい材料を用いる必要がある。
【0024】光透明層1及び基板7の材料の例として
は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクレート、ポリ
オレフィン系樹脂、またはガラス等が挙げられる。光透
明層1としては、成形等により所定の形状に作製した基
板を用いてもよいし、シート状のものを所定の形状とな
るように加工したものを用いてもよい。或いは記録再生
に用いるレーザー光に対して透明な紫外線硬化樹脂を用
いてもよく、その膜厚がむらなく所定の膜厚範囲内とな
るように作製すればよい。ここでいう光透明層1とは、
後に述べる保護層2からみてレーザー入射側に作製され
ている透明な層全体を指すものとする。例えば、透明な
シートを透明な紫外線硬化樹脂によって貼り合わせた場
合、これらの全体を光透明層1と称することとする。光
透明層1、或いは基板7の少なくともいずれか一方に
は、レーザー光線を導くための案内溝が、情報層5側の
表面に形成されていることが好ましい。
【0025】保護層2、4、6は、記録材料の保護と、
情報層での効果的な光吸収を可能にするといった光学特
性の調節とを主な目的として設けられる。保護層2、
4、6の材料としては、ZnS等の硫化物、ZnSe等
のセレン化物、Si-O、Al-O、Ti-O、Ta-O、
Zr-O等の酸化物、Ge-N、Cr-N、Si-N、Al
-N、Nb-N、Mo-N、Ti-N、Zr-N、Ta-N等
の窒化物、Ge-O-N、Cr-O-N、Si-O-N、Al
-O-N、Nb-O-N、Mo-O-N、Ti-O-N、Zr-
O-N、Ta-O-N等の窒酸化物、Ge-C、Cr-C、
Si-C、Al-C、Ti-C、Zr-C、Ta-C等の炭
化物、Si-F、Al-F、Ca-F等の弗化物、その他
の誘電体、或いはこれらの適当な組み合わせ(例えばZ
nS−SiO2等)など、上記目的が達成可能な材料を
用いる。
【0026】情報層5は、光学特性が異なる2つ以上の
状態間をとりうる材料より構成する。この異なる光学状
態を検出することによって、媒体の記録をなすのであ
る。情報層5の材料は、この異なる状態間を可逆的に変
化しうるものであってもよいし、非可逆的に変化しうる
ものであってもよい。可逆変化しうる材料の例として
は、Sb、Teの少なくともいずれかを含む材料が挙げ
られる。この場合、光学特性差を大きくとることが容易
に可能となるため好ましい。より具体的には、例えばT
e−Sb−Ge、Te−Sb−Ge−N、Te−Sb−
In、Te−Sb−In−Ag、Te−Sb−Sn−G
e、Te−Sb−Zn−Ge、Te−Sn−Sb、Te
−Sb−Au−Ge、In−Sb−Se、In−Te−
Se、Sb−Se、Bi−Se等を主成分とする材料が
挙げられる。1回のみ書き込み可能な媒体をなすために
は、非可逆変化する材料を用いてもよい。非可逆変化の
材料例としては、Te−O、Te−O−Pd、Te−O
−Au等のTe−Oを主成分とする材料や、Sb−O、
Sn−O、Zn−O、Si−O、Ge−Oを主成分とす
る材料が挙げられる。なかでもTe−Oを主成分とする
材料は、光学特性差を大きくとることが容易に可能とな
るため好ましい。
【0027】情報層5として可逆変化しうる材料を用い
て書き換え可能な媒体を形成する場合、情報層5の膜厚
は3nm以上20nm以下であることがより好ましい。
膜厚が3nm未満の場合、記録材料が層状になりにく
く、良好な信号を得ることが困難となるためである。ま
た膜厚が20nmより大きい場合は、情報層面内での熱
拡散が大きくなりやすいため、高密度での記録を行った
際に既に書き込まれた隣接マークへ熱的な影響を及ぼ
す、いわゆる隣接消去の課題が生じ易くなってしまうた
めである。
【0028】マスク層3は、レーザー光の照射時にレー
ザー光の照射部の一部分のみが、状態1から光学的に異
なる状態2へと変化しうる材料より成る。これにより、
レーザー照射部のうちの状態2の部分のみ、或いは状態
1の部分のみの情報を取り出すことが可能になり、本光
学系の解像限界λ/(4×NA)よりも小さい記録ピッ
トを読み出すことが可能となる。ここで、λはレーザー
光の波長、NAは開口数である。
【0029】マスク層3が状態2のとき、マスク層3の
表面或いは内部に異なる媒質が接する界面が存在し、こ
の異なる媒質をそれぞれ媒質1、媒質2とし、レーザー
光の波長における媒質1の複素屈折率をn1-ik1、媒質2
の複素屈折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2≦n1
2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を満たすことにより信号
を記録再生する際の光量を増加させることができ、信号
強度を増強させることができることを本発明者らは発見
した。これは、媒質1と媒質2がこの条件を満たす場
合、媒質1と媒質2の界面において、表面プラズモンが
強く励起されうるため、この界面での電磁場の強度を高
めることができたためであると考えている。
【0030】図2を用いて、マスク層3にレーザーが照
射された際の変化の例を説明する。図2は、図1で例示
されるような媒体の層構成のうち、マスク層3の近傍の
みを取り出して示しているものである。図2において、
レーザー光照射部10のうち、8で示す部分は初期状態
と同じ状態1をとり、9で示す部分は、あるしきい値以
上のレーザーパワーが照射されたために状態2へと一時
的に変化している部分である。レーザー光の通過後は、
状態2は状態1へ変化し元の状態に戻る。状態2は、媒
質1と媒質2とが混在する状態であり、媒質1と媒質2
の界面において、レーザー光の波長における媒質1の複
素屈折率をn1-ik1、媒質2の複素屈折率をn2-ik2とする
とき、(−5.0)×n2 2≦n1 2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関
係を満たすようにする。本発明においては、状態2の部
分9に入射された光のうち、情報層5に到達する光量
は、状態1の部分8に入射された光のうち、情報層5へ
到達する光量に比べて大きくなる。これは、状態2にお
いて既に述べた条件を満たす界面が存在する場合、この
界面において表面プラズモンが励起され、近接場光が増
強されて発生しているためである。これにより、状態2
の部分9に照射される光の強度を変調させることによ
り、本光学系の解像限界λ/(4×NA)よりも小さい
マーク11の形成が可能となる。このマーク11を再
生、或いは消去する際も、同様にしてマスク層3に状態
2の部分9を作り出すことによって、光学系の解像限界
よりも小さいマークの再生、消去が可能となる。
【0031】図3に、マスク層3の変化の別の例を示
す。図3において、12は状態1、13は状態2の部分
である。ここでは13の部分を媒質1、保護層2及び保
護層4を媒質2とし、この界面部分14において既述の
(−5.0)×n2 2≦n1 2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を満
たすようにする。このとき、媒質2をなすのは保護層2
のみであってもよいし、保護層4のみであってもよい
が、再生信号の増強効果をより大きく得るためには保護
層2、4ともに上記の条件を満たすことが好ましい。こ
のように、マスク層3と、保護層2及び/または保護層
4との界面において、表面プラズモンの励起が増強され
うる条件としても本発明の効果が得られる。
【0032】マスク層3の状態変化の例としては、例え
ば結晶状態からアモルファス状態への変化や、低酸化
物、低窒化物、低弗化物等からより化学量論組成に近い
組成への変化などが挙げられる。結晶状態からアモルフ
ァス状態への変化する材料の具体例としてはAuTe、
CuTe、SnTe、NiCr、Cr、或いはこれらの
混合物が挙げられる。これらの材料は、比較的広い波長
範囲において本発明におけるn1 2-k1 2≦(−1.0)×n2 2
の条件を満たしやすいため好ましい。低酸化物からより
化学量論組成に近い組成へ変化する材料の例としては、
Sn−O、In−O、Zn−O、或いはこれらの混合物
等が挙げられる。これらの材料についても、本発明にお
けるn1 2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の条件を満たしやすいた
め好ましい。 マスク層3をなす材料の別の具体例とし
て、Au、Ag、Cuのうち少なくともいずれかを含む
材料が挙げられる。Au、Ag、Cuの材料はいずれ
も、ある波長における複素屈折率をn−ikとしたと
き、n2-k2<0の条件を満たしうる波長範囲が広く存
在する。このため、これらの波長範囲においては本発明
におけるn1 2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の条件を満たしやす
くなるため好ましい。例えば、Agは200nmから5
80nmといった赤色波長から青紫色波長までの広い波
長範囲において、本発明での好ましい光学定数の条件を
容易に満たすことができる。また、マスク層3の材料と
して、希土類元素が少なくとも1つ含まれることが好ま
しい。これにより、信号強度がさらに増強されやすくな
る。
【0033】マスク層3が異なる2つの状態間を変化し
うる温度は、情報層5が状態変化する温度を考慮して、
最適な温度範囲内となるようにマスク層3及び情報層5
の材料設計を行わなければならない。なぜならば、マス
ク層3の状態変化の温度が情報層5の状態変化の温度と
比較してかなり高い場合、マスク層3が変化する際に情
報層5へ熱的影響を及ぼしてしまい、既に書き込まれた
信号が劣化してしまうといった課題が生じるためであ
る。また、逆にマスク層3の状態変化の温度が低すぎる
と、常温で保存する際にマスク層3が経時変化してしま
う、いわゆるシェルフ特性が劣化するという課題が生じ
てしまう。このため、マスク層3の状態変化温度を最適
な範囲にしておく必要がある。具体的には、マスク層3
の状態変化の温度は、130℃以上400℃以下である
ことが特に好ましい。400℃以下とするのは、情報層
5の状態変化の温度が一般的に150℃から600℃程
度の範囲内であることが多いことを考慮したものであ
り、130℃以上とするのは、シェルフ特性の劣化を防
止するためである。マスク層3の材料として、状態変化
温度が400℃以上の材料を用いることも可能である
が、この場合は情報層5の材料として、例えば600℃
以上といった比較的高い温度で状態変化を起こしうる材
料を用いることが好ましい。
【0034】本発明は、図1に示した構成に限定される
ものではなく、マスク層3、及び情報層5を必須の層と
して、種々の構成に適用することが可能である。例え
ば、情報層5のいずれかの界面に別の層を新たに付加し
てもよく、保護層6を2層の保護層で形成してもよい。
或いは、保護層2を2層の保護層で形成してもよいし、
情報層5を2層以上の層で構成してもよい。本発明は、
その他種々の構成に適用することが可能である。
【0035】次に、これらの光学情報記録媒体の製造装
置について述べる。上記光学情報記録媒体を構成する多
層膜を作製する方法としては、スパッタリング法、真空
蒸着、CVD等の方法が可能である。ここでは一例とし
て、スパッタリング法を用いて説明する。図4に成膜装
置の一例の概略図を示す。
【0036】真空容器15には排気口21を通して真空
ポンプ(図示省略)を接続してあり、真空容器内を高真
空に保つことができるようになっている。ガス供給口2
0からは、一定流量の希ガス、窒素、酸素、またはこれ
らの混合ガスを供給することができるようになってい
る。図中16は基板或いは光透明層であり、基板の自公
転を行うための駆動装置17に取り付けられている。1
8はスパッタターゲットであり、陰極19に接続されて
いる。陰極19は、図示は省略したが、スイッチを通し
て直流電源または高周波電源に接続されている。また、
真空容器15を接地することにより、真空容器15と基
板16は陽極に保たれている。
【0037】成膜ガスは希ガス、或いは場合に応じて希
ガスに微量の窒素、或いは酸素等を混合したガスを用い
る。希ガスとしては、Ar、Kr等の成膜可能なガスを
用いればよい。
【0038】情報層5や保護層2、4、6を作製する
際、希ガスと微量の窒素、或いは微量の酸素との混合ガ
スを用いてもよい。これによって、作製した層の熱伝導
率が低下することによる隣接消去の低減効果や、膜の強
度が高まることによる繰り返し記録特性の向上等の効果
を得ることが可能となる場合がある。
【0039】保護層2、4、6を構成する主成分として
窒化物や酸化物、或いは窒酸化物を用いる場合、反応性
スパッタリング法によりスパッタを行うと良好な膜質の
膜が得られる場合が多い。例えば、保護層としてSi-
Nを用いる場合、Siを少なくとも含む材料をターゲッ
トとし、成膜ガスとして希ガスと窒素との混合ガスを用
いる。或いは希ガスと、N2O、NO2、NO、N2等の
窒素原子を含むガスとの混合ガス、或いは希ガスと上記
の窒素原子を含むガスの適当な組み合わせで構成される
ガスとの混合ガスを用いてもよい。
【0040】書き換え可能な媒体をなすために相変化形
記録材料を用いる場合、媒体を製造した後、或いは製造
工程の途中で、情報層5を結晶状態に変化させるため、
強いレーザー光の照射等のエネルギー照射工程を経るこ
とが一般的である。これにより、情報記録の書き換えが
初回から容易に可能となる。但し本発明においては、こ
の結晶化工程を省略するために、情報層5を成膜した直
後の状態が結晶状態となるように、情報層5を結晶化し
やすい材料とするか、或いは情報層5を成膜する工程の
前に、結晶化成膜が可能な記録材料を薄く成膜した後に
情報層5を成膜する等の方法をとることが好ましい。例
えば、情報層5の主成分としてSb或いはTeを含む材
料を用いる場合、情報層5を成膜する直前にSb、Sn
Te等の成膜直後が結晶状態になりうる材料の層を作製
し、その上に情報層5を成膜することにより、情報層を
成膜直後で結晶状態とすることができる。或いは、S
b、SnTe等を多く含む材料を情報層5の材料として
用いることにより、情報層5を成膜した直後の状態を結
晶状態とすることができる。これにより、情報層5を結
晶化させる工程を省略することができコスト削減が可能
となるばかりでなく、結晶化工程を経ることによってマ
スク層3に余計な熱ダメージを与えることがなくなるた
め、特に本発明においては採用することが好ましい。
【0041】次に、以上のようにして形成した光学情報
記録媒体の記録再生方法の一例について述べる。図5
に、光学情報記録媒体が光ディスクである場合に、記録
再生に用いる装置の一例の概略を示す。信号の記録再
生、消去には、レーザー光源22と、対物レンズ23を
搭載した光ヘッドと、レーザー光を照射する位置を所定
の位置へと導くための駆動装置24、トラック方向及び
膜面に垂直な方向の位置を制御するためのトラッキング
制御装置及びフォーカシング制御装置(図示省略)と、
レーザーパワーを変調するためのレーザー駆動装置(図
示省略)、媒体を回転させるための回転制御装置25と
を用いる。
【0042】信号の記録、消去、再生は、まず媒体を回
転制御装置25を用いて回転させ、光学系によりレーザ
ー光を微小スポットに絞りこんで、媒体へレーザー光を
照射することにより行う。このとき、既に述べたメカニ
ズムによって、解像限界λ/(4×NA)より小さいマ
ークを記録、消去することが可能となる。
【0043】信号の再生の際には、信号の記録、或いは
消去を行うパワーレベルよりも低く、そのパワーレベル
でのレーザー照射によって記録マークの光学的な状態が
影響を受けず、かつその照射によって媒体から記録マー
クの再生のために十分な光量が得られるパワーのレーザ
ービームを照射し、得られる媒体からの信号を検出器で
読みとることによって行う。
【0044】情報の記録再生を行うレーザー光の波長λ
は、先述のマスク層3が媒質1であるときの波長λにお
ける複素屈折率をn1-ik1、媒質2であるときの波長λに
おける複素屈折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2
≦n1 2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を満たしうる範囲内
とする。これにより、情報信号を記録再生する際の光量
を増加させることができ、信号強度を増強させることが
できる。マスク層3がAgを含むときは、レーザー光の
波長を200nm以上580nm以下の範囲内とするこ
とが好ましい。特に200nm以上450nm以下とす
ることがさらに好ましい。この条件を用いることによ
り、表面プラズモンの発生強度を最も強くすることが可
能となり、信号の記録、或いは再生いずれの場合でも信
号強度を高めることが可能となる。400nm付近の波
長を有するレーザーとしては、近年開発が進んでいるG
aN系の半導体レーザーや、SHGレーザーの技術を用
いたレーザーを用いることができる。
【0045】マスク層3がAuTe、CuTe、SnT
e、NiCr、Crのうち少なくともいずれかを含むと
きは、レーザー光の波長を200nm以上580nm以
下とすることが特に好ましい。この条件を用いることに
より、表面プラズモンの発生強度を最も強くすることが
可能となり、信号の記録、或いは再生いずれの場合でも
信号強度を高めることが可能となる。
【0046】マスク層3がSn−O、In−O、Zn−
Oのうち少なくともいずれかを含むときは、レーザー光
の波長を200nm以上580nm以下とすることが特
に好ましい。この条件を用いることにより、表面プラズ
モンの発生強度を最も強くすることが可能となり、信号
の記録、或いは再生いずれの場合でも信号強度を高める
ことが可能となる。
【0047】信号を再生する際は、必要に応じてアバラ
ンシェフォトダイオード(APD)を用いることが好ま
しい。APDを用いた場合、微小信号のゲインを高めて
大きい信号強度を容易に得ることができるため、本発明
の再生信号増強効果をさらに顕著に得ることができる。
【0048】
【実施例】次に、具体的な実施例をもって本発明をさら
に詳細に述べる。
【0049】(実施例1)一例として図1の構成におい
て、光透明層1、基板7をともに厚さ0.6mm、直径
120mmのディスク状ポリカーボネート樹脂、保護層
2、4をともにSiC、保護層6をZnSにSiO2を
20mol%混合した材料、情報層5をGe30Sb15T
e55、マスク層3をSnTeとした媒体を作製した。こ
れを媒体(1)とする。各層の膜厚はともに、保護層
2、4、6をそれぞれ130nm、20nm、40n
m、情報層5を15nm、マスク層3を20nmとし
た。レーザー光の案内溝は光透明層1に形成し、溝深さ
を42nm、トラックピッチを0.36μmとした。
【0050】情報層5を成膜する際は、Arガスを全圧
が0.13Paとなるように供給し、陰極にDC1.2
7W/cm2のパワーを投入して行った。保護層2、
4、6を成膜する際には、Arガスを全圧が0.13P
aとなるように供給し、陰極にRF5.10W/cm2
のパワーを投入して行った。マスク層5を成膜する際
は、Arガスを全圧0.26Paになるように供給し、
DC4.45W/cm2のパワーを投入して行った。
【0051】信号の記録再生を行う際は、波長400n
m、対物レンズの開口数が0.60のレーザー光を用
い、ディスク回転速度を線速3.0m/sとした。ディ
スクの特性評価は、マーク長0.12μmの単一信号を
適正なレーザーパワーで溝部に記録し、このC/Nを測
定することにより行った。
【0052】別の実施例として、レーザー光の案内溝の
深さを67nm、トラックピッチを0.60μmとした
以外は媒体(1)と全く同じ膜厚構成を有するディスク
を作製し、これを媒体(2)とする。媒体(2)のディ
スク特性の評価は、記録再生のレーザー波長を650n
m、マーク長を0.20μmとした以外は媒体(1)と
全く同様の条件で行った。
【0053】これらの実施例においてマスク層SnTe
は、あるしきい値以上のレーザーパワーが照射された場
合に結晶状態から溶融状態に変化し得、レーザーが通過
した後は再び結晶状態に戻りうる。SnTe、及びSi
Cの波長400nmにおける光学定数は、それぞれ1.8-
i3.4、3.4-i0.4、波長650nmにおける光学定数は、
それぞれ3.8-i5.0、3.3-i0.1であった。このときSnT
eを媒質1、保護層2及び保護層4をなすSiCを媒質
2とし、媒質1、2の光学定数をそれぞれn1-ik1、n2-i
k2とするとき、 波長400nmにおいては、(-5.0)×n2=-17.0、n1 2-k1
2=-8.3、(-1.0)×n2 =-3.4 、 波長650nmにおいては、(-5.0)×n2=-16.5、n1 2-k1
2=-10.6、(-1.0)×n2=-3.3 であり、いずれの波長についても、(−5.0)×n2 2≦n1
2-k1 2≦(−1.0)×n2 2の関係を満たしている。
【0054】比較例として、マスク層3をSbとし、保
護層2、4をZnS−SiO2とした以外は全て媒体
(1)、及び媒体(2)と同様とした媒体を作製した。
これらの媒体をそれぞれ媒体(100)、(101)と
する。媒体(100)、(101)についても、それぞ
れ媒体(1)、(2)と同様の評価を行った。
【0055】このとき、Sb及びZnS−SiO2の波
長400nmにおける光学定数は、それぞれ1.5-i3.7、
2.2-i0.0、波長650nmにおける光学定数は、4.8-i
5.0、2.1-i0.0であった。Sbを媒質1、保護層2及び
保護層4をなすZnS−SiO 2を媒質2とし、媒質
1、2の光学定数をそれぞれn1-ik1、n2-ik2とすると
き、波長400nmにおいては、(−5.0)×n2=-11.0、n
1 2-k1 2=-11.4、(−1.0)×n2=-2.2、波長650nmにお
いては、(−5.0)×n2=-10.5、n1 2-k1 2=-2.0、(−1.0)
×n2 =-2.1、であり、この比較例においては(−5.0)×
2 2≦n1 2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を満たさな
い。(表1)に、以上の全ての媒体を評価した結果を示
す。
【0056】
【表1】
【0057】ここで、C/Nについては、20dB以上
得られた場合を○、20dB未満であったものを×とし
て示した。(表1)によると、媒体(1)及び媒体
(2)では比較例となるそれぞれ媒体(100)、媒体
(101)に比べてC/Nが改善されている。これは、
媒体(1)及び(2)ではマスク層付近で表面プラズモ
ンが励起される条件となっているため、信号強度が増強
されたが、媒体(100)、媒体(101)ではこのメ
カニズムが働かないためであると考えている。
【0058】なお、媒体(1)(2)において、マスク
層3としてAuTe、CuTeを用いた場合も、上記と
同様の効果が得られた。
【0059】以上より、マスク層3の界面において表面
プラズモンが強く励起されうる条件となるように媒体を
構成することによって、解像限界より小さい信号を記録
再生する際であっても、信号強度を増強することが可能
となることがわかる。
【0060】
【発明の効果】本発明に係る光学情報記録媒体は、基板
上にマスク層と情報層とを少なくとも有し、マスク層
は、レーザー光の照射時にレーザー光の照射部の一部分
が、状態1から光学的に異なる状態2へと変化すること
によって、前記レーザー光の波長をλ、開口数をNAと
すると、情報層に形成されたλ/(4×NA)よりも小
さい記録ピットを読み出すことが可能であり、マスク層
が状態2のとき、マスク層の表面或いは内部に異なる媒
質1、及び媒質2が接する界面が存在し、レーザー光の
波長における媒質1の複素屈折率をn1-ik1、媒質2の複
素屈折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2≦n1 2-k1
2≦(−1.0)×n2 2 の関係を満たすので、これにより、
光学系の解像限界より小さい信号を記録再生する際であ
っても、信号強度が飛躍的に向上した光学情報記録媒体
を得ることが可能になる。従って超解像記録を行った場
合であっても大きい信号変調度と十分大きい再生信号を
得ることが可能となり、さらなる高密度記録が可能な記
録媒体を提供することができる。
【0061】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層はAu、Ag、或いはCuのうち少なくとも1元素を
含むので、上記の媒質1、媒質2が(−5.0)×n2 2≦n1
2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を容易に満たすことが可
能となる。
【0062】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層がAgを含み、かつ情報の読み出しに用いるレーザー
光の波長を200nmから580nmの範囲内とするの
で、媒質1、媒質2が(−5.0)×n2 2≦n1 2-k1 2≦(−1.
0)×n2 2 の関係を容易に満たすことができるばかりで
なく、信号強度の増強をより顕著に得ることが可能とな
る。
【0063】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層がAuTe、CuTe、SnTe、NiCr、Crの
うち少なくともいずれか1つを含むので、上記の媒質
1、媒質2が(−5.0)×n2 2≦n1 2-k1 2≦(−1.0)×n2
2 の関係を容易に満たすことが可能となる。
【0064】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層がSn−O、In−O、Zn−Oのうち少なくともい
ずれか1つを含むので、上記の媒質1、媒質2が(−5.
0)×n2 2≦n1 2-k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を容易に
満たすことが可能となる。
【0065】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層は少なくとも1種類の希土類を含むので、信号強度が
さらに増強されやすくなる。
【0066】本発明に係る光学情報記録媒体は、マスク
層が異なる2つの状態を変化しうる転移温度が130℃
以上400℃以下であるので、既に書き込まれた信号を
再生する際の再生光劣化を低減することが容易に可能と
なる。
【0067】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
が2つ以上の光学的に異なる状態間を変化しうる材料よ
りなるので、情報の記録、或いは書き換えが可能となる
ため、ユーザー情報の書き込みが可能である高密度記録
媒体を提供することができる。
【0068】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
が結晶状態とアモルファス状態とを可逆的に変化しうる
材料よりなるので、大きい信号強度を得ることが容易に
可能となる。
【0069】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
が作製直後で結晶状態であるので、情報層を結晶化させ
る工程を省略することができコスト削減が可能となるば
かりでなく、結晶化工程を経ることによってマスク層に
余計な熱ダメージを与えることがないため、記録再生前
の媒体の劣化を防ぐことが容易に可能となる。
【0070】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
がSb、Te、Seのうち少なくともいずれか1つを含
む相変化材料であるので、大きい信号強度を得ることが
より容易に可能となる。
【0071】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
が1回のみの書き込みが可能である材料よりなるので、
簡単な層構成を採用することができるため、コスト削減
が可能となるばかりでなく、媒体を作製する際の歩留ま
りを高く保つことが容易に可能となる。
【0072】本発明に係る光学情報記録媒体は、情報層
がTeとOとを少なくとも含む材料よりなるので、1回
のみの書き込みが可能な媒体において、大きい信号強度
を容易に得ることが可能となる。
【0073】本発明に係る光学情報記録媒体の記録再生
装置は、基板上にマスク層と情報層とを少なくとも有す
る光学情報記録媒体を用いて情報の記録再生を行う装置
であり、マスク層は、レーザー光の照射時にレーザー光
の照射部の一部分が、状態1から光学的に異なる状態2
へと変化することによって、レーザー光の波長をλ、開
口数をNAとすると、情報層に形成されたλ/(4×N
A)よりも小さい記録ピットを読み出すことが可能であ
り、マスク層が状態2のとき、マスク層の表面或いは内
部に異なる媒質が接する界面が存在し、この異なる媒質
をそれぞれ媒質1、媒質2とし、媒質1の波長λにおけ
る複素屈折率をn1-ik1、媒質2の波長λにおける複素屈
折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2≦n1 2-k1 2
(−1.0)×n2 2 の関係を満たす光学情報記録媒体を用
い、波長λのレーザー光を用いて情報の記録再生を行う
ことを特徴とする。
【0074】これにより、レーザー光のスポット径より
小さい信号を記録再生する際であっても、信号強度が飛
躍的に向上した光学情報記録媒体の記録再生装置を得る
ことが可能になる。従って超解像記録を行った場合であ
っても大きい信号変調度と十分大きい再生信号を得るこ
とが可能となり、さらなる高密度記録が可能な記録再生
装置を提供することができる。
【0075】本発明に係る光学情報記録媒体の記録再生
方法は、基板上にマスク層と情報層とを少なくとも有す
る光学情報記録媒体を用いて情報の記録再生を行う方法
であり、マスク層は、レーザー光の照射時にレーザー光
の照射部の一部分が、状態1から光学的に異なる状態2
へと変化することによって、レーザー光の波長をλ、開
口数をNAとすると、情報層に形成されたλ/(4×N
A)よりも小さい記録ピットを読み出すことが可能であ
り、マスク層が状態2のとき、マスク層の表面或いは内
部に異なる媒質が接する界面が存在し、この異なる媒質
をそれぞれ媒質1、媒質2とし、媒質1の波長λにおけ
る複素屈折率をn1-ik1、媒質2の波長λにおける複素屈
折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2≦n1 2-k1 2
(−1.0)×n2 2 の関係を満たす光学情報記録媒体を用
い、波長λのレーザー光を用いて情報の記録再生を行う
ので、レーザー光のスポット径より小さい信号を記録再
生する際であっても、信号強度が飛躍的に向上した光学
情報記録媒体の記録再生方法を得ることが可能になる。
従って超解像記録を行った場合であっても大きい信号変
調度と十分大きい再生信号を得ることが可能となり、さ
らなる高密度記録が可能な記録再生方法を提供すること
ができる。
【0076】本発明に係る光学情報記録媒体の記録再生
装置は、基板上にマスク層と情報層とを少なくとも有す
る光学情報記録媒体を用いて情報の記録再生を行う装置
であり、マスク層は、レーザー光の照射時にレーザー光
の照射部の一部分が、状態1から光学的に異なる状態2
へと変化することによって、レーザー光の波長をλ、開
口数をNAとすると、情報層に形成されたλ/(4×N
A)よりも小さい記録ピットを読み出すことが可能であ
り、かつマスク層が状態2のとき、マスク層の表面或い
は内部に異なる媒質が接する界面が存在し、この界面に
おいて表面プラズモンが存在しうる条件とすることによ
って、情報信号の再生強度を向上させるので、レーザー
光のスポット径より小さい信号を記録再生する際であっ
ても、信号強度が飛躍的に向上した光学情報記録媒体の
記録再生装置を得ることが可能になる。従って超解像記
録を行った場合であっても大きい信号変調度と十分大き
い再生信号を得ることが可能となり、さらなる高密度記
録が可能な記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における層構成の一例を示す図
【図2】本発明におけるマスク層の状態変化の一例を示
す図
【図3】本発明におけるマスク層の状態変化の一例を示
す図
【図4】成膜装置の一例を示す図
【図5】記録再生装置の一例を示す図
【符号の説明】
1 光透明層 2 保護層 3 マスク層 4 保護層 5 情報層 6 保護層 7 基板 8 状態1の部分 9 状態2の部分 10 レーザー光照射部分 11 マーク 12 状態1の部分 13 状態2の部分 14 媒質1と媒質2の界面部分 15 真空容器 16 基板 17 基板駆動装置 18 ターゲット 19 陰極 20 ガス供給口 21 排気口 22 レーザー光源 23 対物レンズ 24 駆動装置 25 回転制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 博昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5D029 LA13 LB01 LC05 MA39 5D090 AA01 CC01 CC04 DD02 EE02 FF11

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上にマスク層と情報層とを少なくとも
    有し、前記マスク層は、レーザー光の照射時に前記レー
    ザー光の照射部の一部分が、状態1から光学的に異なる
    状態2へと変化することによって、前記レーザー光の波
    長をλ、開口数をNAとすると、前記情報層に形成され
    たλ/(4×NA)よりも小さい記録ピットを読み出す
    ことが可能であり、 前記マスク層が前記状態2のとき、マスク層の表面或い
    は内部に異なる媒質が接する界面が存在し、前記の異な
    る媒質をそれぞれ媒質1、媒質2とし、前記レーザー光
    の波長における媒質1の複素屈折率をn1-ik1、媒質2の
    複素屈折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2≦n1 2-
    k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を満たすことを特徴とする
    光学情報記録媒体。
  2. 【請求項2】マスク層がAu、Ag、或いはCuのうち
    少なくとも1元素を含むことを特徴とする請求項1記載
    の光学情報記録媒体。
  3. 【請求項3】マスク層がAgを含み、かつ情報の読み出
    しに用いるレーザー光の波長が200nmから580n
    mの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の光学
    情報記録媒体。
  4. 【請求項4】マスク層がAuTe、CuTe、SnT
    e、NiCr、Crのうち少なくともいずれか1つを含
    むことを特徴とする請求項1記載の光学情報記録媒体。
  5. 【請求項5】マスク層がSn−O、In−O、Zn−O
    のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする
    請求項1記載の光学情報記録媒体。
  6. 【請求項6】マスク層が少なくとも1種類の希土類元素
    を含むことを特徴とする請求項1記載の光学情報記録媒
    体。
  7. 【請求項7】マスク層が異なる2つの状態を変化しうる
    転移温度が130℃以上400℃以下であることを特徴
    とする請求項1記載の光学情報記録媒体。
  8. 【請求項8】情報層が2つ以上の光学的に異なる状態間
    を変化しうる材料よりなることを特徴とする請求項1記
    載の光学情報記録媒体。
  9. 【請求項9】情報層が結晶状態とアモルファス状態とを
    可逆的に変化しうる材料よりなることを特徴とする請求
    項8記載の光学情報記録媒体。
  10. 【請求項10】情報層が作製直後で結晶状態であること
    を特徴とする請求項9記載の光学情報記録媒体。
  11. 【請求項11】情報層がSb、Te、Seのうち少なく
    ともいずれか1つを含む相変化材料であることを特徴と
    する請求項9記載の光学情報記録媒体。
  12. 【請求項12】情報層が1回のみの書き込みが可能であ
    る材料よりなることを特徴とする請求項8記載の光学情
    報記録媒体。
  13. 【請求項13】情報層がTeとOとを少なくとも含む材
    料よりなることを特徴とする請求項12記載の光学情報
    記録媒体。
  14. 【請求項14】基板上にマスク層と情報層とを少なくと
    も有し、前記マスク層は、レーザー光の照射時に前記レ
    ーザー光の照射部の一部分が、状態1から光学的に異な
    る状態2へと変化することによって、前記レーザー光の
    波長をλ、開口数をNAとすると、前記情報層に形成さ
    れたλ/(4×NA)よりも小さい記録ピットを読み出
    すことが可能であり、 前記マスク層が前記状態2のとき、マスク層の表面或い
    は内部に異なる媒質が接する界面が存在し、前記の異な
    る媒質をそれぞれ媒質1、媒質2とし、媒質1の波長λ
    における複素屈折率をn1-ik1、媒質2の波長λにおける
    複素屈折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2≦n1 2-
    k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を満たす光学情報記録媒体
    を用い、波長λのレーザー光を用いて情報の記録再生を
    行うことを特徴とする光学情報記録媒体の記録再生装
    置。
  15. 【請求項15】基板上にマスク層と情報層とを少なくと
    も有し、前記マスク層は、レーザー光の照射時に前記レ
    ーザー光の照射部の一部分が、状態1から光学的に異な
    る状態2へと変化することによって、前記レーザー光の
    波長をλ、開口数をNAとすると、前記情報層に形成さ
    れたλ/(4×NA)よりも小さい記録ピットを読み出
    すことが可能であり、 前記マスク層が前記状態2のとき、マスク層の表面或い
    は内部に異なる媒質が接する界面が存在し、前記の異な
    る媒質をそれぞれ媒質1、媒質2とし、媒質1の波長λ
    における複素屈折率をn1-ik1、媒質2の波長λにおける
    複素屈折率をn2-ik2とするとき、(−5.0)×n2 2≦n1 2-
    k1 2≦(−1.0)×n2 2 の関係を満たす光学情報記録媒体
    を用い、波長λのレーザー光を用いて情報の記録再生を
    行うことを特徴とする光学情報記録媒体の記録再生方
    法。
  16. 【請求項16】基板上にマスク層と情報層とを少なくと
    も有する光学情報記録媒体を用いて情報の記録再生を行
    う装置であり、前記マスク層は、レーザー光の照射時に
    前記レーザー光の照射部の一部分が、状態1から光学的
    に異なる状態2へと変化することによって、前記レーザ
    ー光の波長をλ、開口数をNAとすると、前記情報層に
    形成されたλ/(4×NA)よりも小さい記録ピットを
    読み出すことが可能であり、かつ前記マスク層が前記状
    態2のとき、マスク層の表面或いは内部に異なる媒質が
    接する界面が存在し、この界面において表面プラズモン
    が存在しうる条件とすることによって、情報信号の再生
    信号強度を向上させることを特徴とする光学情報記録媒
    体の記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006022510A1 (en) * 2004-08-25 2006-03-02 Samsung Electronics Co., Ltd. Super-resolution information storage medium and method of and apparatus for recording/ reproducing data to/from the same
US7436755B2 (en) 2002-11-18 2008-10-14 Sharp Kabushiki Kaisha Optical information recording medium, recording and reproduction methods using the same, optical information recording device, and optical information reproduction device
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US7682678B2 (en) 2003-06-06 2010-03-23 Sharp Kabushiki Kaisha Optical information recording medium, recording and readout methods using the same, optical information recording device, and optical information readout device

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