JP2002365410A - 防眩性光学フィルム - Google Patents
防眩性光学フィルムInfo
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Abstract
画面が白茶けない防眩面が設けられた光学フィルムを提
供する。 【解決手段】 表面に微細な凹凸が形成された光学フィ
ルムであって、そのフィルム表面に、法線に対して−1
0°の方向から光線を入射し、表面からの反射光のみを
観測したとき、フィルム法線と入射光線方向とを含む面
内で観測される反射光のプロファイルが、次の(I)及
び(II): WH≧7° (I) I(30°)/I(10°)≦0.2 (II) 〔ここに、WHは反射光プロファイルのピークに対する
半値幅であり、I(θ°)はフィルム法線からθ°方向に
観測される反射光強度である〕の関係を満たす防眩性光
学フィルムが提供される。
Description
光フィルムなどに用いられる、防眩性が付与された光学
フィルムに関するものである。
が映り込むと、視認性が著しく損なわれる。画質を重視
するテレビやパーソナルコンピュータなどの用途、外光
の強い屋外で使用されるビデオカメラやデジタルカメラ
などの用途、また反射光を利用して表示を行う携帯電話
のような反射型液晶表示装置などの用途では、これらの
映り込みを防止する処理が表示装置表面になされるのが
通例である。映り込み防止処理は、光学多層膜による干
渉を利用した無反射処理と、表面に微細な凹凸を形成す
ることにより入射光を散乱し、映り込み像をぼかすいわ
ゆる防眩処理とに大別される。前者の無反射処理は、均
一な光学膜厚の多層膜を形成する必要上、コスト高にな
るという問題がある。これに対して後者の防眩処理は、
比較的安価に実現できるため、大型のパーソナルコンピ
ュータやモニタなどの用途に用いられている。
防眩処理では、十分な映り込み防止性能を付与しようと
すると、画面全体が散乱光により白茶ける、すなわち、
全体に白っぽく、どんよりと濁った色になるという問題
点があった。
鋭意研究を行った結果、表面の微細な凹凸面で反射した
反射光のプロファイルがある条件を満たす場合には、十
分な映り込み防止能を発現しつつ、白茶けない防眩処理
面となり得ることを見出し、本発明に至った。
に微細な凹凸が形成された光学フィルムであって、その
フィルムの表面に、法線に対して−10°の方向から光
線を入射し、表面からの反射光のみを観測したとき、フ
ィルム法線と入射光線方向とを含む面内で観測される反
射光のプロファイルが、次の(I)及び(II)の関係を
満たす防眩性光学フィルムを提供するものである。
値幅であり、I(θ°)はフィルム法線からθ°方向に
観測される反射光強度である。
が多球面形状を有し、各球面がフィルム面でランダムな
配置になっているのが有利である。またこのような光学
フィルムは、防眩性の偏光フィルムとして有利に使用す
ることができる。
形成されており、そこに特定角度で光線を入射して当該
表面からの反射光のみを観測したときのプロファイルが
特定の関係を満たすものを、防眩性の光学フィルムとし
て採用する。具体的には、図1に示すように、光学フィ
ルム1の微細な凹凸が形成された面2に、フィルム法線
4に対して−10°の方向を入射光線方向5とし、その
方向から光線を入射し、フィルム法線4と入射光線方向
5を含む面6内で、光学フィルム1の凹凸表面2から反
射する光のみのプロファイルを観測する。このとき、一
般に、正反射方向である+10°の方向7に反射光のピ
ークが観察されるが、それ以外の方向においても散乱光
が観測される。そして、フィルム法線4から正の方向に
観測角度8を振らして観測される反射光のプロファイル
が、前記式(I)及び(II)の関係を満足するものを採
用する。
を、裏面反射や内部後方散乱などから分離して観測する
ためには、凹凸が形成された防眩面に適当な方法で適当
な金属からなる反射性の薄膜を形成し、その反射光プロ
ファイルを観測すればよい。この際に使用する金属とし
ては銀が最適であるが、アルミニウムなども用いること
ができる。金属薄膜の形成には、真空蒸着やスパッタリ
ングなどの手法が用いられる。
ァイルを測定するには、市販の角度変角反射測定装置を
用いることができる。例えば、(株)村上色彩技術研究
所製の“ゴニオフォトメータ”(商品名)などが、この
目的のために使用できる。このような装置を用い、入射
光角度をフィルム法線から−10°として、金属薄膜が
形成された防眩性光学フィルムの反射光プロファイルを
測定し、反射光強度のピークに対する半値幅WH、法線
から+10°方向の反射光強度I(10°)、及び法線
から+30°方向の反射光強度I(30°)を求め、さ
らに後二者の比I(30°)/I(10°)を求める。
この比I(30°)/I(10°)を、以下の説明では
「R」と略記することがある。
(10°)及び+30°方向の反射光強度I(30°)
の概念を図2に示す。半値幅WHとは、+10°の角度
で観測される反射光強度のピークに対し、その半分の反
射光強度が観測される二つの角度の差である。また、I
(10°)とは、+10°の角度で観測される反射光強
度の値であり、I(30°)とは、+30°の角度で観
測される反射光強度の値である。
°以上であれば、外光の映り込みが有効に防止され、防
眩性の高いものとなる。逆に半値幅WHが7°を下回る
と、防眩性が不足し、十分な映り込み防止性能が発現で
きなくなる。この半値幅WHは、10°以上であるのが
より好ましい。また、+10°方向のピーク反射光強度
I(10°)に対する+30°方向の反射光強度I(3
0°)の比Rが0.2以下であれば、広い範囲において
外光からの散乱光が遮られ、画像全体の白茶けが有効に
防止されるようになる。逆にこの比Rが0.2 を上回る
と、広い範囲の外光の散乱光が観察者の眼に入り、画像
全体が白茶けてしまう傾向にある。この比Rは、0.1
5以下、さらには0.1以下であるのがより好ましい。
関係を満たす光学フィルムは、表面に形成される微細な
凹凸を適当な形状とすることにより、得ることができ
る。特に表面の凹凸模様は、多球面形状であって、それ
ぞれの球面がフィルム面においてランダムに配置されて
いるのが好ましい。ここでいう多球面形状とは、表面が
実質的に多数の凸球面のみにより構成されている表面形
状であり、実質的に平坦部を有しないものである。具体
的な表面形状の例を、図3にフィルムの拡大縦断面図で
模式的に示す。この例のように、多数の凸球面のみで実
質的に表面が形成されており、平坦な部分が実質的にな
く、かつ前記のような反射プロファイルを示す表面を有
するものが、防眩効果及び視認性に優れている。
はならない。各球面が規則正しい配置を取る場合には、
画像表示装置の画素と干渉してモアレ縞を発生し、視認
性を著しく低下させるため、好ましくない。各凸球面の
平均サイズは、この光学フィルムが装着される画像表示
装置の画素サイズよりも小さいことが好ましい。各凸球
面の平均サイズが画素サイズより大きくなると、画像に
ギラツキを生じ、画像の視認性を著しく損なうため、好
ましくない。
を塗工した透明基材フィルムにエンボス鋳型を押し当て
た状態で紫外線照射するか、あるいは熱可塑性の透明フ
ィルムを加熱状態でエンボス鋳型に押し当てるなど、任
意の方法で作製することができる。透明基材フィルム
は、事実上光学的に透明なものであればよく、例えば、
トリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフ
タレートフィルムなどが挙げられる。紫外線硬化樹脂と
しては、一般に市販されているものを用いることがで
き、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官
能アクリレートの1種又は2種以上と、“イルガキュア
ー 907”、“イルガキュアー 184”(いずれも、チバ・
スペシャルティ・ケミカルズ(株)から販売されてい
る)等の光開始剤との混合物を用いることができる。熱
可塑性の透明フィルムとしては、実質的に透明な熱可塑
性フィルムであれば用いることができ、例えば、ポリメ
チルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン
テレフタレートのような熱可塑性樹脂のキャスト又は押
出フィルムなどを用いることができる。
ルムは、防眩効果に優れ、かつ表面の白茶けが良好に改
善されているため、画像表示装置に装着したときに視認
性に優れたものとなる。
用する場合の形態について説明すると、偏光フィルムは
一般に、ヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたポリビ
ニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子の少なく
とも片面に、保護フィルムが積層された形のものが多い
が、このような偏光フィルムの一方の面に、上記のよう
な防眩性の凹凸面が付与された光学フィルムを貼合すれ
ば、防眩性の偏光フィルムとなる。また、上記のような
防眩性の凹凸面が付与された光学フィルムを保護フィル
ム兼防眩層として用い、その凹凸面が外側となるよう偏
光子の片面に貼合することによっても、防眩性の偏光フ
ィルムとすることができる。さらには、保護フィルムが
積層された偏光フィルムにおいて、その片面保護フィル
ムの表面に上記のような防眩性の凹凸を付与することに
より、防眩性の偏光フィルムとすることもできる。そし
て、画像表示装置が液晶ディスプレーである場合には、
このような防眩性の偏光フィルムを前面視認側に配置す
ることによって、その視認性を改善することができる。
るが、本発明はこれらの例によって限定されるものでは
ない。
定した、JIS B 0601 による中心線平均表面粗さRa=
0.08μm、平均凹凸間距離Sm=15μm の多球面形
状を有する防眩処理が施されたポリエチレンテレフタレ
ートフィルムの防眩面に、真空蒸着により銀薄膜を形成
して、その防眩面の反射光プロファイルを、(株)村上
色彩技術研究所製の“ゴニオフォトメータ”を用いて測
定した。その結果、WH=8.0°、R=0の値が得ら
れた。
し)を、200ppi(ピクセルパーインチ)の精細度を
有する液晶表示装置に、防眩面が視認側となるように粘
着剤を用いて貼合し、画像の防眩性及び白茶けを観察し
た。その結果、十分な防眩性を有し、かつ白茶けが非常
に少なく、良好な表示であることが確認された。
偏光板に貼合すれば、防眩性の偏光板となり、それを液
晶表示装置の前面偏光板として用いれば、防眩性が良好
で白茶けも少なく、良好な表示品質が得られる。
a が0.13μmで、平均凹凸間距離Sm が14μm の多
球面形状を有するポリエチレンテレフタレートフィルム
について、実施例1と同じ方法で反射光プロファイルを
測定した。その結果、WH=16.9°、R=0.15で
あった。この防眩性フィルムを用い、画像の視認性を実
施例1と同様の方法で観察したところ、十分な防眩性を
有し、かつ白茶けが少なく、良好な視認性であることが
確認された。
a が0.23μmで、平均凹凸間距離Sm が23μm のト
リアセチルセルロースフィルムについて、実施例1と同
じ方法で反射光プロファイルを測定した。その結果、W
H=9.5°、R=0.67であった。この防眩性フィル
ムを用い、画像の視認性を実施例1と同様の方法で観察
したところ、十分な防眩性を有するものの、非常に白茶
けており、視認性は低かった。
a が0.16μmで、平均凹凸間距離Sm が12μm のト
リアセチルセルロースフィルムについて、実施例1と同
じ方法で反射光プロファイルを測定した。その結果、W
H=7.2°、R=0.29であった。この防眩性フィル
ムを用い、画像の視認性を実施例1と同様の方法で観測
したところ、十分な防眩性を有するものの、非常に白茶
けており、視認性は低かった。
とめた。
れ、またそれを画像表示装置に適用した場合に視認性に
優れたものとなる。
°方向から光線を入射し、フィルム法線と入射光線方向
とを含む面内で反射光のプロファイルを観測する状態を
模式的に示す斜視図である。
0°)及び+30°方向の反射光強度I(30°)の概
念を示す図であって、横軸は反射光観測角度を、縦軸は
反射光強度(相対値)を表す。
す縦断面模式図である。
れている)、 4……フィルム法線方向、 5……入射光線方向(−10°方向)、 6……フィルム法線と入射光線方向を含む面、 7……反射光ピーク強度観測方向(+10°)、 8……散乱光観測方向(+30°)、 9……反射光観測角度。
Claims (3)
- 【請求項1】表面に微細な凹凸が形成された光学フィル
ムであって、該フィルムの表面に、法線に対して−10
°の方向から光線を入射し、表面からの反射光のみを観
測したとき、フィルム法線と入射光線方向とを含む面内
で観測される反射光のプロファイルが、次の関係: WH≧7° I(30°)/I(10°)≦0.2 〔ここに、WHは反射光プロファイルのピークに対する
半値幅であり、I(θ°)はフィルム法線からθ°方向に
観測される反射光強度である〕を満たすことを特徴とす
る、防眩性光学フィルム。 - 【請求項2】表面の微細な凹凸が多球面形状を有し、各
球面がフィルム面でランダムな配置になっている請求項
1記載の光学フィルム。 - 【請求項3】偏光フィルムである請求項1又は2記載の
光学フィルム。
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