JP2002363964A - 地盤改良パイル工法 - Google Patents

地盤改良パイル工法

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JP2002363964A
JP2002363964A JP2001176846A JP2001176846A JP2002363964A JP 2002363964 A JP2002363964 A JP 2002363964A JP 2001176846 A JP2001176846 A JP 2001176846A JP 2001176846 A JP2001176846 A JP 2001176846A JP 2002363964 A JP2002363964 A JP 2002363964A
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cement
weight
parts
hydration reaction
ground
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JP2001176846A
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English (en)
Inventor
Takao Ito
孝男 伊藤
Yasumitsu Miyaoka
康光 宮岡
Yasutaka Kanazawa
保孝 金澤
Hiroaki Tagami
博章 田上
Teruaki Kobayashi
映章 小林
Hiroyuki Ogawa
洋征 小河
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CHICHIBU LIME IND
CHICHIBU SEKKAI KOGYO KK
Seltec Corp
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CHICHIBU LIME IND
CHICHIBU SEKKAI KOGYO KK
Seltec Corp
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Publication date
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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟弱地盤の改良に膨張性固化材をスラリー状
態で使用する地盤改良パイル工法を提供すること。 【解決手段】 軟弱地盤中に膨張性固化材のスラリーを
打設して固める地盤改良パイル工法において、上記膨張
性固化材を、少なくともセメントおよび生石灰を含む構
成とし、上記セメントおよび生石灰の水和反応を、上記
膨張性固化材に水を添加後、30分を下回らない範囲で
遅延させ、且つ、セメントの水和反応を生石灰の水和反
応よりも遅く進行させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木建築分野にお
いて実施される基礎地盤の強化工法に関し、詳しくは、
含水率の大きい軟弱地盤に地上面から水硬性の土質改良
材を注入して硬化させる地盤改良パイル工法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軟弱な地盤を改良する地盤改良パ
イル工法として、生石灰パイル工法が知られている。こ
の工法は、生石灰を主成分とする地盤改良材を地盤中に
パイル状に打設し、生石灰の水和反応による水の吸収効
果と膨張作用による圧密効果によって地盤を改良するも
のである。しかしながら、この工法は地下水が豊富で透
水性の高い地盤に適用すると、生石灰の発熱を伴う水和
反応が瞬間的に起こり、発生した水蒸気により往々にし
て突沸事故が生じ易く、逆に、急激な消化反応が起きな
いような地下水の供給が少ない地盤では、内部の生石灰
の水和反応が進行しにくいことがある。
【0003】これを改良するものとして、生石灰を含む
地盤改良材を塊状に成形して使用する工法(特公昭58
−35552号公報、特開平8−27463号公報記
載)、粒径の大きい生石灰を使用する工法(特開平4−
83012号公報記載)、比較的小粒径の生石灰とセメ
ント系固化剤等よりなる固化性材料をパイル中心部に打
設し、比較的粗粒の生石灰よりなる膨張性材料をパイル
外周側に打設する工法(特開平10−280382号公
報記載)等がある。
【0004】上記の生石灰パイル工法は膨張性能を有す
る固体材料を軟弱地盤中に形成した竪穴中に打設するも
のであるが、これとは異なり、セメント系固化材よりな
る地盤改良材をスラリーの形で軟弱土と混合する方法が
ある(セメント協会編:セメント系固化材による地盤改
良マニュアル〔第2版〕:セメント協会(199
4))。この方法は地盤改良材の打設が容易で、大規模
施工に適している。しかし、この方法では生石灰パイル
工法のような膨張による軟弱地盤の圧密化は期待できな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の地盤改良パ
イル工法は、水を含まない膨張性材料を地盤中に打設す
る工法と、水を加えてスラリー状にした固化材料を注入
する工法に大別される。
【0006】特公昭58−35552号公報、特開平8
−27463号公報、特開平4−83012号公報およ
び特開平10−280382号公報に記載の膨張性材料
を打設する工法は、上記膨張性材料が水に接触すると、
直ちに反応を開始するため、水分のない固体(粉体)状
態で使用しなければならず、一般に、施工が簡単ではな
い。他方、上記のセメント系固化材よりなる地盤改良材
をスラリーの形で軟弱土と混合する方法は、施工は容易
であるが、上記固化材料に軟弱地盤を改良するのに有効
な膨張性をもたせることが難しい。
【0007】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決するために為されたもので、軟弱地盤の改良に有効な
膨張性固化材をスラリー状で打設することが可能な地盤
改良パイル工法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
ために、本発明は特許請求の範囲に記載のような構成と
する。
【0009】すなわち、本発明の地盤改良パイル工法
は、軟弱地盤中に膨張性固化材のスラリーを打設して固
める地盤改良パイル工法において、上記膨張性固化材
を、ポルトランドセメント、混合セメントおよび特殊セ
メントより選ばれたセメント並びに生石灰を少なくとも
含む構成とし、上記セメント並びに生石灰の水和反応
を、上記膨張性固化材に水を添加後、30分を下回らな
い範囲で遅延させ、且つ、セメントの水和反応を生石灰
の水和反応よりも遅く進行させる。
【0010】また、本発明の地盤改良パイル工法は、軟
弱地盤を形成する軟弱土を攪拌しつつ、上記膨張性固化
材のスラリーを上記軟弱土中に吐出することにより、上
記膨張性固化材と軟弱土を混合して固めるソイルカラム
方式とする。
【0011】また、これらの場合、上記膨張性固化材の
組成は、セメント100重量部、粒径1mm以下の粉末生
石灰5〜50重量部、カルボン酸類、オキシカルボン酸
類、ケトカルボン酸類、糖類、糖アルコール類、および
上記化合物の誘導体、並びに無機塩類から選択した1種
類又は2種類以上のセメントおよび生石灰の水和反応遅
延剤1〜5重量部とする。
【0012】また、これらの場合、上記膨張性固化材の
組成は、セメント100重量部、粒径1mm以下の粉末生
石灰5〜50重量部、カルボン酸類、オキシカルボン酸
類、ケトカルボン酸類、糖類、糖アルコール類、および
上記化合物の誘導体、並びに無機塩類から選択した1種
類又は2種類以上のセメントおよび生石灰の水和反応遅
延剤1〜5重量部、並びに500重量部を越えない量の
無機質充填材とする。
【0013】
【発明の実施の形態】上記目的を達成するために、本発
明者等は各種材料および工法を検討した結果、軟弱地盤
中に膨張性固化材(以下の記述では、「膨張性固化材」
を「固化材」と略記する。)のスラリーを打設して固め
る地盤改良パイル工法において、上記固化材を、ポルト
ランドセメント、混合セメントおよび特殊セメントより
選ばれたセメント並びに生石灰を少なくとも含む構成と
し、上記セメント並びに生石灰の水和反応を、上記固化
材に水を添加後、30分を下回らない範囲で遅延させ、
且つ、セメントの水和反応を生石灰の水和反応よりも遅
く進行させれば良いことを見い出した。
【0014】また、本発明の地盤改良パイル工法を、軟
弱地盤を形成する軟弱土を攪拌しつつ、上記固化材のス
ラリーを上記軟弱土中に吐出することにより、上記固化
材と軟弱土を混合して固めるソイルカラム方式に適用し
た場合にも好結果が得られることを見いだした。
【0015】この結果、軟弱地盤の改良に固化材をスラ
リー状態で使用することが可能になり、軟弱地盤の強固
な圧密化による改良を、大規模施工に適した方法で容易
に実施することができるようになった。また、ソイルカ
ラム方式による地盤改良に、固化材を適用することが可
能となり、ソイルカラム方式の地盤改良性能を高めるこ
とができた。
【0016】軟弱地盤中に固化材を打設してパイルを形
成する本発明の地盤改良パイル工法は、軟弱地盤中に竪
穴を掘って固化材のスラリーを打設してもよいし、軟弱
地盤を形成する軟弱土中に固化材のスラリーを吐出しな
がら攪拌し、固化材を土と混合した状態で固めるソイル
カラム方式によって行ってもよい。どちらを採用するに
しても、本発明によると、固化材の軟弱地盤中での膨
張、固化による圧密効果により強固な地盤を形成するこ
とができる。
【0017】セメントは周知のように、水に接触する
と、水和反応が起こり、速やかに凝結し、続いて緩やか
に硬化して強固な構造体を形成する材料である。本発明
においては、この凝結、硬化反応を水和反応と呼ぶこと
にする。
【0018】本発明に適したセメントは、JISに規格が
定められている、普通ポルトランドセメント、早強ポル
トランドセメント等のポルトランドセメント(JIS R 52
10)、および高炉セメント(JIS R 5211)、シリカセメ
ント(JIS R 5212)、フライアッシュセメント(JIS R
5213)等の混合セメント、並びに特殊セメントのうちの
セメント系固化材である。
【0019】また、生石灰(酸化カルシウム)CaOは、
次式のように水と反応すると発熱して消石灰(水酸化カ
ルシウム)Ca(OH)となる。
【0020】CaO + HO → Ca(OH) + 63.6kJ 上記の反応は、通常、消化反応と呼ばれているが、本発
明では生石灰の水和反応と呼ぶことにする。
【0021】上記の反応で、反応に関与する石灰の体積
のみに着目すると、生石灰が消石灰に変わることによ
り、反応の前後で固体の体積が約2倍になる。また、こ
の反応が上記反応式のように発熱反応で温度が上昇する
こともあって、水中に溶解していた空気、およびセメン
トや生石灰などの粉体粒子表面に吸着していた空気が分
離して、多量の気泡が発生し、これが硬化過程の固化材
をさらに膨張させ、周辺地盤の圧密化に寄与する。
【0022】上記のように、セメントも生石灰も水に接
触すると、直ちに水和反応を起こすため、これらの材料
からなる固化材を、水を含まない状態で軟弱地盤中に打
設し、地盤中の水と反応させて水和反応を起こさせるの
であれば、固化材の膨張による地盤の圧密化が期待でき
るが、打設前に水と接触させると、打設したときには、
既に反応が進行してしまい、固化材の膨張による地盤の
圧密化は期待できない。
【0023】セメントおよび生石灰を主材料とする固化
材を予め水と接触させた状態、例えば、スラリー状態で
軟弱地盤中に打設しようとする場合には、セメントおよ
び生石灰の水和反応を、少なくとも水を添加して練り混
ぜてから打設するまでの間、反応が進行しないように遅
延させておくことが必要である。この水和反応を抑制し
ておく時間は30分以上必要である。本発明では、この
目的のためにセメントおよび生石灰の水和反応遅延剤を
使用する。
【0024】固化材の主要成分の一つであるセメント
は、水和反応終了後、すなわち、硬化後の固化材(パイ
ル)の構造を強固に保持するためのものである。セメン
トが硬化してから生石灰の水和反応が起きて固化材を膨
張させると、いったん形成されたパイルがひび割れを起
こしたり、崩壊したりする恐れがある。したがって、地
盤改良に有効な強固なパイルを形成するためには、ま
ず、生石灰の水和反応を進行させ、続いてセメントの水
和反応が進行するように、固化材の水和反応を制御しな
ければならない。このような固化材の反応制御を行うに
は、セメントおよび生石灰の水和反応を遅延させる働き
がある混和剤の中から、この制御に適した水和反応遅延
剤を選択する必要がある。
【0025】セメントおよび生石灰の水和反応遅延剤と
しては、セメント凝結遅延剤を使用することができる。
このようなセメント凝結遅延剤として、コハク酸、酪酸
等のカルボン酸類、グルコン酸、クエン酸等のオキシカ
ルボン酸類、2-ケトグルコン酸、ピルビン酸等のケトカ
ルボン酸類、グルコース、蔗糖等の糖類、ソルビトー
ル、エチレングリコール等の糖アルコール類および上記
化合物、すなわち、カルボン酸類、オキシカルボン酸
類、ケトカルボン酸類、糖類、糖アルコール類の誘導体
であるジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、その他のヒドロキシル基、カルボキシル基、ケトン
基等を有する有機化合物、珪フッ化マグネシウム、トリ
ポリリン酸ナトリウム等の無機塩類がある。
【0026】また、モルタルやコンクリートの減水剤の
うち、ポリカルボン酸系等の遅延性減水剤も減水効果と
共に、遅延剤として働くので、セメントおよび生石灰の
水和反応遅延剤として用いることができる。
【0027】また、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の
炭酸アルカリも生石灰の水和反応遅延剤として使用でき
るが、これらを使用する場合には、これらがセメントの
水和反応を促進するので、有効なセメント凝結遅延剤を
併用する必要がある。また、強アルカリ性であるセメン
トペーストも生石灰の水和反応遅延剤として作用する。
【0028】上記のように水和反応の遅延には、多数の
化学反応が複雑に絡み合っているので、本発明になる、
固化材に水を添加後、30分以上水和反応を遅延させ、
且つ、セメントの水和反応を生石灰の水和反応よりも遅
らせて進行させるためには、これに適した固化材組成、
特に、遅延剤を実験的に選択することが望ましい。この
際、1種類の遅延剤を使用してもよいし、2種類以上の
遅延剤を組み合わせて使用してもよい。固化材組成を決
めるときには、固化材水和反応の遅延時間、硬化した固
化材の膨張率、強度等を実験的に調べて最適の組成を選
択する。
【0029】本発明者等は、上記固化材の最適組成を検
討した結果、上記固化材の組成は、セメント100重量
部に対して、粒径1mm以下の粉末生石灰5〜50重量
部、カルボン酸類、オキシカルボン酸類、ケトカルボン
酸類、糖類、糖アルコール類、および上記化合物の誘導
体、並びに無機塩類から選択した1種類又は2種類以上
のセメントおよび生石灰の水和反応遅延剤1〜5重量
部、または、セメント100重量部に対して、粒径1mm
以下の粉末生石灰5〜50重量部、カルボン酸類、オキ
シカルボン酸類、ケトカルボン酸類、糖類、糖アルコー
ル類、および上記化合物の誘導体、並びに無機塩類から
選択した1種類又は2種類以上のセメントおよび生石灰
の水和反応遅延剤1〜5重量部、並びに500重量部を
越えない量の無機質充填材が良いことを見い出した。
【0030】この結果、本発明の地盤改良パイル工法に
使用できる、高性能の固化材スラリーを作製できるよう
になった。また、上記工法の性能を損なうことなく、コ
ストを低減できるようになった。
【0031】本発明の地盤改良パイル工法では、固化材
をスラリー状態で地盤中に打設するため、スラリーが良
好な流動性を保持していることも必要である。固化した
パイルの強度を損なわないように、スラリーの水分を必
要以上に過剰にすることなく、固化材スラリーに高い流
動性を保持させるためには、高性能のコンクリート減水
剤の使用が有効である。上記のように減水剤には、セメ
ントおよび生石灰の水和反応遅延剤として働くものがあ
るので、遅延性減水剤の使用が、特に、効果的である。
【0032】固化材中のセメントの水和反応、特に、凝
結の進行は、フレッシュ固化材(まだ固まらない固化
材)のフロー値(測定法はJIS R 5201記載の方法に準じ
る)を時間を追って測定することにより知ることができ
る。また、生石灰の水和反応の進行は、生石灰を含む固
化材に、水を添加してからの温度上昇を測定することに
より判定できる。その一例を以下に示す。
【0033】本発明で見出した固化材の一つ、すなわ
ち、ポルトランドセメント100重量部、粉末生石灰
(粒径100メッシュ以下)25重量部、ジエチレング
リコール 1.3重量部、ポリカルボン酸系遅延性減水剤((株)
サンフローパリック製) 2.5重量部、水45重量部よりなる組成の固化材を使
用して、練り混ぜ後の固化材の温度上昇とフロー値の変
化を測定した。その結果を表1に示した。
【0034】
【表1】 表1の例では、固化材の温度は、練り混ぜ開始直後に1
0℃近く上昇するが、その後、60分までは緩やかで、
急激な上昇はみられず、この間、生石灰の水和反応が期
待通りに抑制されていることが分かる。60分が経過す
ると、温度の上昇が著しく、この温度上昇は、水和反応
が激しく進行していることを示唆している。一方、フロ
ー値をみると、120分でも著しい低下はなく、セメン
トの凝結反応、すなわち、水和反応が、この間、目立っ
て進行していないことが分かる。
【0035】表1に示した実験では、セメントおよび生
石灰の水和反応遅延剤として、ジエチレングリコールお
よびポリカルボン酸系遅延性減水剤を合わせて、ポルト
ランドセメント100重量部に対して、3.8重量部
(全粉体の3%)使用したが、次に、水和反応遅延剤の
量を変えて固化材水和反応の進行を調べた。その結果を
表2に示した。この実験では、セメントおよび生石灰は
表1の場合と同じにし、水の量は、スラリーの軟らかさ
がほぼ同一になるように適当に変更した。すなわち、水
和反応遅延剤の量がポルトランドセメント100重量部
に対して、1重量部を下回ると、練り混ぜ後、短時間で
生石灰の水和反応が著しく進行し、20分で固化材温度
が50℃を越えた。5重量部を超えると、水和反応の遅
延は十分であったが、セメントの硬化が遅くなった。水
和反応遅延剤の量が5重量部の固化材は翌日には硬化し
ていたが、6重量部の固化材は翌日もまだいくぶん軟ら
かい状態を留めていた。
【0036】
【表2】 本発明のパイルの膨張は生石灰に依存しており、したが
って、固化材中の生石灰量が多いほど、固化材の膨張が
大きく、軟弱地盤の締め固めに有利である。しかし、多
過ぎると、生石灰の水和反応が発熱反応であるため、こ
の反応を抑制することが困難になり、また膨張が大き過
ぎて、固化材の強度が低下するなどの問題が生じた。
【0037】使用する生石灰の粒径は、水和反応速度と
反応の均一性に影響を及ぼすので、粒径の小さい粉末生
石灰を使用することが望ましい。粒径が1mm以上の生石
灰を用いると、特に、反応が不均一になることが多かっ
た。粒径3mm以上の顆粒状生石灰を使用したときには、
生成したパイル内で膨張した部分と膨張しなかった部分
が分離して現れ、欠陥が多く、強固なパイルを得ること
が難しかった。
【0038】生成したパイルの性能は、固化材の組成だ
けでなく、地盤が含有する水分や透水性などによっても
大きく変動するので、固化材組成とパイル性能の関係を
一概に言うことは困難であるが、おおよその傾向は実験
的に知ることができる。その一例を次に示す。
【0039】内径470mm、高さ540mmの円筒の中心
に、内径150mm、高さ600mmの塩化ビニル樹脂製パ
イプを置き、その周囲に十分水を含んだ砂質土を入れて
突き固め、厚さ350mmの土の層を作った。上記塩化ビ
ニル樹脂製パイプ内に表3に示した組成の固化材スラリ
ー6.10dmを流し込み、直ちに、上記塩化ビニル樹
脂製パイプを抜き取って、屋外で一週間養生した。一週
間後、硬化した固化材(パイル)を取り出し、パイルの
一週後体積および一週後圧縮強度(測定法はJIS A 1108
による)を測定した。その結果を表3に示した。
【0040】
【表3】 表3によると、ポルトランドセメント100重量部に対
して、生石灰5重量部で顕著な膨張がみられる。生石灰
の量をさらに増すと、それに比例して固化材の膨張が増
大した。しかし、50重量部を越すと、パイル強度が大
きく低下する結果となった。
【0041】軟弱地盤の改良には、通常、多量の固化材
を改良材として打設することになる。この際、固化材の
コストを低減して、実用性を高めるためには、主要材料
であるセメント、生石灰およびこれら成分の水和反応を
遅らせる水和反応遅延剤の他に、無機質充填材を増量材
として使用することが望ましい。無機質充填材として
は、炭酸カルシウム、ゼオライト、フライアッシュ、高
炉スラグ微粉末、細砂等が用いられる。無機質充填材の
使用量は、パイルの強度や膨張性を著しく損なわない範
囲で、使用する充填材の種類や改良対象とする地盤の状
態等を考慮して決定する必要がある。セメント中に既に
充填材が多量に含まれている混合セメントや、セメント
系固化材のような特殊セメントを使用する場合には、既
に添加されている充填材の量を考慮して添加量を定め
る。
【0042】表3に示した実験と同様にしてパイル試料
を作り、無機質充填材(粒状炭酸カルシウム)の量とパ
イルの1週後圧縮強度および体積膨張率の関係を調べ
た。その結果を表4に示した。
【0043】
【表4】 表4に示した例からも分かるように、セメント100重
量部に対して、無機質充填材は500重量部が限度で、
これを越えると、パイルの強度が著しく低下する恐れが
ある。なお、本発明のように、固化材をスラリーの形で
打設する工法は、これらの増量材を使用するのに適して
いる。
【0044】本発明の固化材は、軟弱土を攪拌しつつ、
これに固化材を注入して固めるソイルカラム方式に適用
した場合にも極めて有効である。この効果を確認するた
めに行った実験の一例を次に示す。
【0045】すなわち、表3に示した実験と同様に、内
径470mm、高さ540mmの円筒の中心に、内径150
mm、高さ600mmの塩化ビニル樹脂製パイプを置き、そ
の周囲に、十分水を含んだ砂質土を入れて、突き固め、
厚さ350mmの土の層を作った。また、別に、(1)一
般軟弱土用セメント系固化材ハイハード100(日立セ
メント(株)製)100重量部、粉末生石灰(粒径100
メッシュ以下)25重量部、ジエチレングリコール1.
3重量部、ポリカルボン酸系遅延性減水剤2.5重量
部、水150重量部よりなる組成のスラリー(膨張性固
化材スラリーと呼ぶ)と、(2)上記一般軟弱土用セメ
ント系固化材ハイハード100のスラリー(水セメント
比150%)を用意した。
【0046】(1)の膨張性固化材スラリーと(2)のセ
メント系固化材スラリーをそれぞれ1kg採り、別に用意
した含水比率100%の粘性土10kg(6.8dm
と、それぞれ容器内でよく攪拌混合した。次いで、上記
混合物6.1dmをそれぞれ上記塩化ビニル樹脂製パイ
プ内に流し込み、直ちに上記塩化ビニル樹脂製パイプを
抜き取って、軟質粘性土に膨張性固化材を混合したソイ
ルカラムを作製した。上記ソイルカラムは、そのままの
状態で屋外において一週間養生した。一週間後、固まっ
たソイルカラムと砂質土を分離し、ソイルカラムの体積
および圧縮強度(測定法はJIS A 1108による)を測定し
た。その結果を表5に示した。表から分かるように、ソ
イルカラムそのものの強度は、膨張性固化材の方が幾分
低かったが、膨張により周りの地盤に圧密効果を及ぼす
可能性のあることが分かる。
【0047】
【表5】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明は、軟弱
地盤中に膨張性固化材のスラリーを打設して固める地盤
改良パイル工法において、上記膨張性固化材を、ポルト
ランドセメント、混合セメントおよび特殊セメントより
選ばれたセメント並びに生石灰を少なくとも含む構成と
し、上記セメント並びに生石灰の水和反応を、上記膨張
性固化材に水を添加後、30分を下回らない範囲で遅延
させ、且つ、セメントの水和反応を生石灰の水和反応よ
りも遅く進行させるため、軟弱地盤の改良に膨張性固化
材をスラリー状態で使用することが可能になり、軟弱地
盤の強固な圧密化による改良を、大規模施工に適した方
法で容易に実施することができるようになった。
【0048】また、本発明は、軟弱地盤を形成する軟弱
土を攪拌しつつ、上記膨張性固化材のスラリーを上記軟
弱土中に吐出することにより、上記膨張性固化材と軟弱
土を混合して固めるため、ソイルカラム方式による地盤
改良に、膨張性固化材を適用することが可能となり、ソ
イルカラム方式の地盤改良性能を高めることができた。
【0049】また、本発明は、上記膨張性固化材の組成
が、セメント100重量部、粒径1mm以下の粉末生石灰
5〜50重量部、カルボン酸類、オキシカルボン酸類、
ケトカルボン酸類、糖類、糖アルコール類および上記化
合物の誘導体、並びに無機塩類から選択した1種類又は
2種類以上の生石灰およびセメントの水和反応遅延剤1
〜5重量部であるため、上記工法に使用できる、高性能
の膨張性固化材スラリーを作製できるようになった。
【0050】また、本発明は、上記膨張性固化材の組成
が、セメント100重量部、粒径1mm以下の粉末生石灰
5〜50重量部、カルボン酸類、オキシカルボン酸類、
ケトカルボン酸類、糖類、糖アルコール類および上記化
合物の誘導体、並びに無機塩類から選択した1種類又は
2種類以上のセメントおよび生石灰の水和反応遅延剤1
〜5重量部、並びに500重量部を越えない量の無機質
充填材よりなるため、上記工法の性能を損なうことな
く、コストを低減できるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 17/44 C09K 17/44 P E02D 3/12 102 E02D 3/12 102 //(C04B 28/02 C04B 22:06 Z 22:06 24:04 24:04 24:06 A 24:06 24:38 Z 24:38 24:02 24:02) 111:70 111:70 C09K 103:00 C09K 103:00 (72)発明者 宮岡 康光 東京都中央区新川1丁目8番6号 秩父石 灰工業株式会社内 (72)発明者 金澤 保孝 東京都中央区新川1丁目8番6号 秩父石 灰工業株式会社内 (72)発明者 田上 博章 東京都中央区新川1丁目8番6号 秩父石 灰工業株式会社内 (72)発明者 小林 映章 東京都府中市寿町1丁目4番3号 セルテ ック株式会社内 (72)発明者 小河 洋征 東京都府中市寿町1丁目4番3号 セルテ ック株式会社内 Fターム(参考) 2D040 AB03 BD05 CA01 CA03 CA10 CB03 2D043 CA01 CA06 EA04 EA06 EA10 4G012 PB03 PB05 PB15 PB16 PB17 PB39 PC05 4H026 CA01 CA02 CB01 CB08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟弱地盤中に膨張性固化材のスラリーを打
    設して固める地盤改良パイル工法において、上記膨張性
    固化材を、ポルトランドセメント、混合セメントおよび
    特殊セメントより選ばれたセメント並びに生石灰を少な
    くとも含む構成とし、上記セメント並びに生石灰の水和
    反応を、上記膨張性固化材に水を添加後、30分を下回
    らない範囲で遅延させ、且つ、セメントの水和反応を生
    石灰の水和反応よりも遅く進行させることを特徴とする
    地盤改良パイル工法。
  2. 【請求項2】軟弱地盤を形成する軟弱土を攪拌しつつ、
    上記膨張性固化材のスラリーを上記軟弱土中に吐出する
    ことにより、上記膨張性固化材と軟弱土を混合して固め
    ることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良パイル工
    法。
  3. 【請求項3】上記膨張性固化材の組成が、セメント10
    0重量部、粒径1mm以下の粉末生石灰5〜50重量部、
    カルボン酸類、オキシカルボン酸類、ケトカルボン酸
    類、糖類、糖アルコール類および上記化合物の誘導体、
    並びに無機塩類から選択した1種類又は2種類以上の生
    石灰およびセメントの水和反応遅延剤1〜5重量部であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに
    記載の地盤改良パイル工法。
  4. 【請求項4】上記膨張性固化材の組成が、セメント10
    0重量部、粒径1mm以下の粉末生石灰5〜50重量部、
    カルボン酸類、オキシカルボン酸類、ケトカルボン酸
    類、糖類、糖アルコール類および上記化合物の誘導体、
    並びに無機塩類から選択した1種類又は2種類以上のセ
    メントおよび生石灰の水和反応遅延剤1〜5重量部、並
    びに500重量部を越えない量の無機質充填材よりなる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記
    載の地盤改良パイル工法。
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