JP2002357246A - 内燃機関のバランスシャフト機構 - Google Patents

内燃機関のバランスシャフト機構

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JP2002357246A
JP2002357246A JP2001166980A JP2001166980A JP2002357246A JP 2002357246 A JP2002357246 A JP 2002357246A JP 2001166980 A JP2001166980 A JP 2001166980A JP 2001166980 A JP2001166980 A JP 2001166980A JP 2002357246 A JP2002357246 A JP 2002357246A
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eccentric mass
internal combustion
combustion engine
eccentric
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Fukuo Kitagawa
福郎 北川
Yasushi Ohara
康司 大原
Koichi Shimizu
光一 清水
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Toyota Motor Corp
Soken Inc
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Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 往復動式内燃機関のバランスシャフトによっ
て発生する動力損失を低減させる。 【解決手段】 バランスシャフト2に偏心質量移動機構
4を設けて、偏心質量3の偏心量を、ECU6によって
操作される油圧によって最大値から最小値まで変化させ
る。例えば、機関回転数の一部の領域ではバランスシャ
フトの効果がないので、その領域では偏心質量3の偏心
量を零又は最小として、偏心質量3が潤滑油を掻き回す
ことによって生じる動力損失を低減させる。更に、摩擦
クラッチ20とシンクロメッシュ機構を有する駆動力切
り離し機構11を設けて、バランスシャフト2の回転駆
動を遮断することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、往復動をするピス
トンを備えている所謂往復動式の内燃機関において、ピ
ストンの往復動によって発生する偶力のアンバランスを
打ち消して、その内燃機関を搭載している車両に生じる
振動や騒音を軽減するために設けられるバランスシャフ
ト機構に関する。
【0002】
【従来の技術】往復動式の内燃機関においては、ピスト
ンが往復動をすることによって偶力のアンバランスが生
じ、機関全体がピストンの運動方向と同じ方向に往復動
をする振動が発生する。この振動は機関の低回転時には
揺さぶり振動として、また、高回転時には車室内の篭も
り音として車両の乗員には感じられる。この振動を抑制
するために、従来から機関にバランスシャフトを設ける
ことが行われている。例えば、直列4気筒の機関では、
偏心した錘を有するバランスシャフトを2本設けて、そ
れらをクランク軸の2倍の速度で互いに反対方向に回転
させる。それによって、機関回転数の2倍の振動数(周
波数)を有する所謂「回転2次」の上下方向の往復振動
を相殺している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図4に機関回転数に対
する車室内の騒音レベルの変化と、回転2次の振動数に
対するエンジンマウントの伝達関数の変化とを対応させ
て示す。回転2次の車室内騒音レベルを示す線図におい
て、曲線aはバランスシャフトが設けられていない場合
を示しており、曲線bはバランスシャフトが設けられて
いる場合を示している。また、図4の線図から明らかな
ように、一般的にエンジンマウントの伝達関数(振動伝
達率)は低周波数側で大きく、高周波数側で小さくな
る。
【0004】バランスシャフト機構を備えていない曲線
aの場合、アイドリング状態である低回転数域の100
0rpm付近においては、エンジンマウントの伝達関数
(振動伝達率)が大きいので、エンジンマウントが機関
の振動をシャシーへ比較的によく伝える結果、車体が3
0Hz程度の周波数で揺さぶられるので、乗員には車体
自体の揺れと共に騒音が感じられる。また、中高回転数
域の3000〜5000rpmでは、回転2次の空気振
動の半波長が車室の長さ等に一致して共鳴する結果、数
百Hzの篭もり音を生じる。
【0005】このように、アイドリング時や中高回転数
域において、バランスシャフトは回転2次の機関の振動
や騒音を抑制するために非常に有効であるが、図4の線
図においてcとして示す1500〜2500rpmの低
中回転数域ではバランスシャフトの効果が乏しいので、
この領域においてはバランスシャフトを駆動することに
よって動力が無駄になるという問題があった。
【0006】ところで、バランスシャフトの偏心質量は
回転中心から離れて(偏心して)回転しているので、ク
ランク室内のオイルパンに溜まっている潤滑油を掻き回
すことによって駆動力の損失を生じる。この場合、潤滑
油の粘性によって生じるトルクは偏心質量の偏心量(偏
心半径)の大きさに比例して大きくなるし、機関の高回
転数域においては、回転数の二乗に比例して動力損失が
増大する。また、車両を運転していて緊急事態に遭遇し
た時に、まず緊急事態から脱出するために、振動や騒音
の抑制よりも車両の加速を優先させたい場合があるが、
アクセルペダルを踏み込んでスロットル弁を大きく開弁
させても、高回転数域においてはバランスシャフトによ
る動力損失が大きくなるので、その分だけ機関の角加速
度が小さくなり、車両の加速が鈍るという問題があっ
た。
【0007】更に、特開平10−280973号公報に
記載されているように、バランスシャフトの効果が小さ
くなる特定の機関回転数において回転駆動力の伝達を遮
断するクラッチ機構を設けた場合には、クラッチ機構に
よって回転駆動力の遮断及び伝達を行う時に機構の各部
分の回転数が一致していなければ、慣性モーメントが大
きいバランスシャフトの回転数の変動によって衝撃が発
生するという問題がある。また、バランスシャフトの切
断後も暫くの間は慣性によってバランスシャフトが回転
を続けるが、この時は機関回転数とバランスシャフトの
回転数が無関係になっているので、バランスシャフトが
機関の振動を抑制する作用はなく、むしろ、バランスシ
ャフトが新たな往復振動の発生源となることもある。
【0008】本発明は、従来技術における前述のような
問題に鑑み、新規な手段によってそれらの問題を解消す
ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、この課題を解
決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1に
記載された通りの内燃機関のバランスシャフト機構を提
供する。
【0010】本発明の内燃機関のバランスシャフト機構
においては、クランク軸と平行に支持されるバランスシ
ャフトにその軸心に対して半径方向に移動することがで
きる偏心質量を支持すると共に、偏心質量の偏心量を最
小値から最大値までの範囲で変化させることができる偏
心質量移動機構を設けているので、バランスシャフトを
必要としない運転状態において偏心質量の偏心量を零又
は最小にすることにより、偏心質量が潤滑油を掻き回す
こと等による無駄な動力損失を確実に避けることができ
る。
【0011】更に、駆動力切り離し機構を設けてクラン
ク軸からバランスシャフトへの伝動を遮断することがで
きるようにすれば、バランスシャフトの必要がない運転
状態においてバランスシャフトをクランク軸から切り離
すことができるので、無用のバランスシャフトを回転駆
動するための動力損失を低減させることができる。この
場合、駆動力切り離し機構を構成するクラッチにスライ
ド溝とそれに係合するスライドキーからなる回転位相整
合機構を設けることによって、クランク軸とバランスシ
ャフトとの間に、バランスシャフトの作用にとって必要
な位相関係を、駆動力切り離し機構の作動に関係なく維
持することができる。駆動力切り離し機構にシンクロメ
ッシュ機構を設けることによって駆動力切り離し機構の
作動が円滑になり、作動に伴うショックも生じない。
【0012】偏心質量移動機構の作動時期を判定するた
めに電子式制御装置のような自動的に作動する制御装置
を設けることができるが、それによって判定される偏心
質量移動機構の作動時期は、その時の機関回転数に基づ
いて、バランスシャフトの効果が得られる回転領域であ
るか否かを判定して行うことができる。また、偏心質量
移動機構の作動時期を判定するために機関のスロットル
開度を参照して、スロットル弁の開弁速度が異常に高い
時や、全開時間が異常に長い時は、緊急事態であって運
転者がバランスシャフトによる振動及び騒音の低減より
も機関の迅速な加速を望んでいると判定して、バランス
シャフトの作用を抑えると共に加速を優先するように設
定することができる。
【0013】偏心質量移動機構に油圧式アクチュエータ
を設けて偏心質量を移動させる場合には、フェールセー
フのために、油圧が零の時に偏心質量の偏心量を最大と
するようなスプリングを設けるのが好適である。この場
合は、何らかの理由でアクチュエータへ供給される作動
油の油圧が得られなくなっても、偏心質量はスプリング
の付勢力によって最大の偏心量をとるので、バランスシ
ャフトの防振効果が確実に維持される。
【0014】
【発明の実施の形態】直列4気筒の往復動式内燃機関1
における回転2次振動をバランスシャフト2によって相
殺して低減させるために、クランク軸5に対して平行に
軸支されると共に、その2倍の速度で回転するバランス
シャフト2に偏心質量(錘)3のための偏心質量移動機
構4を設けた内燃機関のバランスシャフト機構を、本発
明の第1実施例として図1に示す。偏心質量3は偏心質
量移動機構4によってバランスシャフト2の回転中心に
対して半径方向に移動することができる。偏心質量移動
機構4は、電子式制御装置(ECU)6によって作動さ
れる切換弁16によって切り換えられる油圧により作動
する。そのために、ECU6には、内燃機関1のスロッ
トル弁7に設けられたアクセル開度センサ8とか、クラ
ンク軸5に対応して設けられた機関回転数センサ9等か
らの信号が入力されており、演算結果としての制御信号
が切換弁16に向かって出力される。
【0015】図2に示すように、偏心質量移動機構4内
において偏心質量3はスプリング10の弾性力によって
偏心量が増大する方向に常時付勢されていると共に、図
3に示すように、スプリング10の付勢力に対抗して偏
心質量3の偏心量を小さくするように、図示しない油圧
シリンダに切換弁16から油圧が加えられる。なお、1
7は油圧源となる油圧ポンプを、18は作動油タンクを
示している。また、図1において、19はピストンを、
21及び22はクランク軸5とバランスシャフト2にそ
れぞれ取り付けられた大小の歯車を示しており、それら
が噛み合うことによって、バランスシャフト2はクラン
ク軸5の2倍の回転数で回転することができる。
【0016】図1〜図3に示す第1実施例のバランスシ
ャフト機構の特徴は、ECU6の指令により、偏心質量
3の偏心量を油圧を利用して自由に変化させることがで
きる偏心質量移動機構4を設けた点にあるから、回転数
センサ9の出力する信号を監視しているECU6が、機
関回転数が図4に示したcのようなバランスシャフトの
効果が乏しい領域にあると判定した時は、切換弁16を
図3に示すように切り換えて、油圧ポンプ17が発生す
る油圧を偏心質量移動機構4の図示しない油圧シリンダ
へ供給する。その油圧力により、スプリング10を圧縮
して偏心質量3を半径方向に回転中心に向かって移動さ
せて、偏心質量3の偏心量を零又は最小にする。
【0017】偏心質量3の偏心量が図3に示すように零
又は最小になることにより、偏心質量3の半径方向への
突出量が減少して、偏心質量3がオイルパン24内の潤
滑油を掻き回すことによって生じる無駄な動力損失が最
小となる。なお、図4から明らかなように、内燃機関の
回転数が低い時ほどバランスシャフトの効果が小さくな
るという傾向が見られるから、機関回転数が小さくなる
のに応じて偏心質量3の偏心量を小さくするとか、或い
は簡単に、機関回転数が所定値以下の時に偏心量を零又
は最小にするというように制御しても、実用上は十分な
効果をあげることができる。
【0018】また、cの領域以外の運転状態、或いは機
関回転数が所定値以上の運転状態にあって、偏心質量3
の偏心量が大きくなっている場合でも、緊急事態等にお
いて振動及び騒音を抑制することよりも大きい加速を優
先的に必要とする場合には、アクセル開度センサ8の出
力する信号を監視しているECU6が、スロットル弁7
の開度の増加率(スロットル弁7を開く速度)が異常に
大きくなったこと、即ち、図5に示す領域dのように、
スロットル開度を示す曲線の傾斜角度が所定の閾値αよ
りも大きくなったことを検出した時に、緊急事態であっ
て、運転者が振動及び騒音を抑制することよりも機関の
加速を望んでいると判断して、一定の時間T1 だけ偏心
質量3の偏心量を零又は最小にする指令を切換弁16に
向かって出力するので、この場合も図3に示したのと同
じ状態になる。更に、図5に示す領域eのように、スロ
ットル弁7の全開時間が所定の閾値tよりも大きくなっ
た時にも、ECU6が緊急事態と判断して、一定の時間
2 だけ同じような制御を行うように設定することがで
きる。
【0019】このようにして、機関の加速が終わってス
ロットル弁7の開度の増加率が閾値α以下の通常の程度
に戻った時、或いはスロットル弁7の全開状態が終わっ
た時には、ECU6はバランスシャフト2の偏心質量3
の偏心量を本来の値に戻す、即ち偏心質量3の偏心量
を、それが振動及び騒音を相殺し得るように増大させる
制御を行う。なお、フェールセーフの目的において、何
らかの理由で油圧シリンダの作動油圧が零となった場合
にも偏心質量3の偏心量が最大値をとるように、スプリ
ング10が偏心質量3を半径方向に押し出すように作動
するので、バランスシャフト2の作用が復活する。
【0020】以上の説明から明らかなように、図2はバ
ランスシャフト2の効果が大きくなった状態を示してお
り、この状態では偏心質量3は、相殺すべき機関のピス
トン19やコンロッド23のような往復動をする質量に
釣り合うように、偏心量最大の位置まで半径方向に移動
している。往復動質量と釣り合ったバランスシャフト2
が、クランク軸5の2倍の角速度で回転することによ
り、機関の回転2次の往復振動は相殺されて、振動及び
騒音が抑制される。
【0021】また、図3は、前述のようにバランスシャ
フト2の効果が小さい時、或いは機関の出力の増加が優
先的に望まれる時に、偏心質量3の偏心量を零又は最小
とした状態を示している。この状態では偏心質量3は油
圧の作用によって偏心質量移動機構4の内部へ引き込ま
れて、半径方向への突出部分がなくなっているので、オ
イルパン24に溜まっている潤滑油を掻き混ぜることに
よる動力損失を最小に抑えることが可能になる。この効
果は、特にクランク軸5の回転数が高い状態において顕
著になる。
【0022】図6〜図8に本発明の第2実施例としての
内燃機関のバランスシャフト機構を示す。第1実施例と
同様な構成部分については、同じ参照符号を付すことに
よって重複する詳細な説明を省略する。第1実施例との
比較において、第2実施例の特徴は、クランク軸5とバ
ランスシャフト2との間に、大小の歯車21,22の他
に駆動力切り離し機構11を設けた点にある。駆動力切
り離し機構11は、第1実施例のようにバランスシャフ
ト2を常時回転駆動するのではなく、ECU6の制御に
よって、駆動の必要がない時に駆動力を遮断することが
できるように設けられたものである。駆動力切り離し機
構11の詳細な構成と作動を、前述の第1実施例と同様
な構成の偏心質量移動機構4と共に図7及び図8に示
す。
【0023】駆動力切り離し機構11はコーン(円錐)
形状の一対の摩擦部材からなる摩擦クラッチ20と、自
動車用の歯車式変速装置においてよく使用されるシンク
ロメッシュ機構等からなっている。このシンクロメッシ
ュ機構の詳細な構造は図9に例示されており、駆動側と
なる歯車22と一体的に連動するシンクロナイザリング
14と、バランスシャフト2と一体化されて被駆動側と
なるスプラインギア13と、軸方向に摺動してスプライ
ンギア13とシンクロナイザリング14との間を確実に
橋絡したり、それらの間の伝動関係を遮断することがで
きるシンクロナイザスリーブ12とを含む。スプライン
ギア13の一部の外周面は円錐形となっていると共に、
それと協働するように、シンクロナイザリング14の内
周面も円錐形となっていて、それらによって前述の摩擦
クラッチ20が構成されている。
【0024】シンクロナイザスリーブ12をバランスシ
ャフト2の軸方向に移動させるために、シンクロナイザ
スリーブ12の外周の溝に係合するリンク機構25と、
油圧シリンダ26が設けられ、油圧シリンダ26は偏心
質量移動機構4と同時に切換弁16から加圧された作動
油を供給されるようになっている。それによって、図8
に示すように、偏心質量3を偏心質量移動機構4内へ引
き込んで偏心質量3の偏心量を零又は最小にする時に、
同時にシンクロナイザスリーブ12を左方へ移動させ
て、シンクロナイザスリーブ12とスプラインギア13
の間の係合関係を絶つことができる。
【0025】図9に示すように、シンクロナイザスリー
ブ12の内周面には内歯車状のインナースプラインが形
成されていると共に、スプラインギア13及びシンクロ
ナイザリング14の外周面には外歯車状のアウタースプ
ラインが形成されていて、それらが噛み合うようになっ
ているが、これらのスプライン歯の他に、シンクロナイ
ザスリーブ12の内周面の一部には幅の広いスライド溝
15が形成されていると共に、それと係合することがで
きるように、スプラインギア13及びシンクロナイザリ
ング14の外周面のそれぞれ一部には幅の広いスライド
キー27及び28が形成されている。従って、シンクロ
ナイザスリーブ12は、スプラインギア13及びシンク
ロナイザリング14のスライドキー27及び28が揃っ
てスライド溝15に係合することができる回転方向の位
置関係となった時に限って、軸方向に移動してスプライ
ンギア13及びシンクロナイザリング14と係合するこ
とができる。これは、偏心質量移動機構4における偏心
質量3の半径方向への突出方向をクランク軸5の特定の
位相角に合わせる必要があるためで、それがずれている
とバランスシャフト2の効果が得られないからである。
【0026】第2実施例のバランスシャフト機構はこの
ように構成されているから、ECU6の指令によって偏
心質量移動機構4が第1実施例の場合と同様に作動する
が、図8に示すように、偏心質量3の偏心量が零又は最
小とされる時には同時に油圧シリンダ26にも加圧され
た作動油が供給されるので、シンクロナイザスリーブ1
2が左方へ移動して、スプラインギア13及びシンクロ
ナイザリング14の間の連動関係が遮断される。それに
よって、歯車22が回転していてもバランスシャフト2
がそれとは無関係になって停止することも可能になる。
従って、この際には無用なバランスシャフト2を回転駆
動することによって生じる動力損失を避けることができ
る。なお、偏心質量3が偏心している状態でバランスシ
ャフト2が空転状態になると、バランスシャフト2が新
たな振動発生源となる恐れがあるが、第2実施例におい
てはバランスシャフト2が回転自由となる時に同時に偏
心質量3の偏心量も零又は最小となるからこの問題は生
じない。
【0027】図4に示す領域c以外の運転状態、或いは
機関回転数が所定値以上の運転状態になって、バランス
シャフト2の防振効果が得られる状態になると、ECU
6は図7に示すように切換弁16を切り換えて、偏心質
量移動機構4へ供給していた作動油を作動油タンク18
へ放出させる。それと同時に、油圧シリンダ26へ供給
されていた作動油も作動油タンク18へ放出されるか
ら、リンク機構25を介して伝えられるスプリング29
の付勢力によりシンクロナイザスリーブ12が右方へ移
動する。それによってシンクロナイザリング14も僅か
に右方へ移動して摩擦クラッチ20が摺動を伴う係合を
している間に、スライドキー27と28をスライド溝1
5に合致させて、スプラインギア13とシンクロナイザ
リング14をシンクロナイザスリーブ12に同期させ、
その状態を維持しながらスプライン歯を噛み合わせて、
クランク軸5とバランスシャフト2との間に確実な連動
関係を確立させる。
【0028】第2実施例においても、油圧シリンダ26
に作動油の油圧が供給されない時には、スプリング29
がバランスシャフト2の効果を維持するようにフェール
セーフの作動をする。
【0029】駆動力切り離し機構11の係合作動よりも
若干遅れて、作動油の油圧力が消滅した偏心質量移動機
構4においては、スプリング10の付勢力によって偏心
質量3が偏心質量移動機構4から押し出されて偏心量が
増大し、バランスシャフト2による防振効果が得られる
ようになる。このように、第2実施例においては、偏心
質量3の偏心量が未だ零又は最小となっていて、バラン
スシャフト2の慣性モーメントが最小である状態におい
て摩擦クラッチ20とスプライン歯やキーの係合が開始
されるから、摩擦クラッチ20の損傷や無用の振動の発
生を防止することができる。このように、時間差のある
作用を確実に行わせるためには、油圧シリンダ26と偏
心質量移動機構4にそれぞれ別体の切換弁を介して油圧
を供給してもよい。
【0030】また、駆動力切り離し機構11を作動させ
てクランク軸5とバランスシャフト2との間の動力伝達
を開始したり遮断する時には、同時に偏心質量3の偏心
量が小さくなるように制御することが望ましい。それに
よって、バランスシャフト2の慣性モーメントが小さく
なるため、回転開始及び停止時の回転変動による衝撃の
発生を防止することができる。
【0031】このようにして、第2実施例のバランスシ
ャフト機構においても、基本的には第1実施例と同様
に、内燃機関1の回転2次振動を必要な時だけ相殺する
ことにして、無駄な動力損失を避けることができるだけ
でなく、更に駆動力切り離し機構11を設けたことによ
って、より一層の動力損失の低減を図ることができ、そ
の際にショックが発生するのを防止して、伝動機構等に
損傷が生じるのを避けることができるという効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例としてのバランスシャフト機構の全
体構成を示す概念図である。
【図2】第1実施例の要部について1つの作動状態を示
す断面図である。
【図3】第1実施例の要部について他の作動状態を示す
断面図である。
【図4】機関回転数に対するバランスシャフトの効果
と、エンジンマウントの振動伝達率の変化を示す線図で
ある。
【図5】スロットル弁の開度の変化モードを例示する線
図である。
【図6】第2実施例としてのバランスシャフト機構の全
体構成を示す概念図である。
【図7】第2実施例の要部について1つの作動状態を示
す断面図である。
【図8】第2実施例の要部について他の作動状態を示す
断面図である。
【図9】第2実施例の要部について構成部分を分解して
示す斜視図である。
【符号の説明】
2…バランスシャフト 3…偏心質量 4…偏心質量移動機構 5…クランク軸 6…電子式制御装置(ECU) 8…アクセル開度センサ 9…機関回転数センサ 10…スプリング 11…駆動力切り離し機構 12…シンクロナイザスリーブ 13…スプラインギア 14…シンクロナイザリング 15…スライド溝 16…切換弁 20…摩擦クラッチ 26…油圧シリンダ 27,28…スライドキー 29…スプリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大原 康司 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 清水 光一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 往復動式内燃機関における偶力アンバラ
    ンスを打ち消して、前記内燃機関を搭載している車両に
    生じる振動や騒音を軽減するために設けられるバランス
    シャフト機構において、前記内燃機関のクランク軸と平
    行に軸支されると共に該クランク軸によって回転駆動さ
    れるバランスシャフトと、該バランスシャフトの軸心に
    対して半径方向に移動することができる偏心質量と、該
    偏心質量の偏心量を最小値から最大値までの範囲で変化
    させることができる偏心質量移動機構とを備えているこ
    とを特徴とする内燃機関のバランスシャフト機構。
  2. 【請求項2】 請求項1において、更に、前記クランク
    軸から前記バランスシャフトへの伝動を遮断することが
    できる切り離し機構をも備えていることを特徴とする内
    燃機関のバランスシャフト機構。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記切り離し機構を
    作動させて前記バランスシャフトへの伝動を遮断したり
    伝動を再開する過渡期に、前記偏心質量移動機構によっ
    て前記偏心質量の偏心量を小さくするように設定されて
    いることを特徴とする内燃機関のバランスシャフト機
    構。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3において、前記切り離し
    機構を構成するクラッチにスライド溝とそれに係合する
    スライドキーからなる回転位相整合機構が設けられてい
    ることを特徴とする内燃機関のバランスシャフト機構。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記クラッチが前記
    回転位相整合機構のためのシンクロメッシュ機構を備え
    ていることを特徴とする内燃機関のバランスシャフト機
    構。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記偏心質量移動機構の作動時期を判定するために設け
    られた制御装置が、前記内燃機関の回転数に基づいて前
    記偏心質量移動機構の作動時期を判定するように構成さ
    れていることを特徴とする内燃機関のバランスシャフト
    機構。
  7. 【請求項7】 請求項6において、機関回転数が低い時
    ほど前記偏心質量移動機構が前記偏心質量の偏心量を小
    さくするように設定されていることを特徴とする内燃機
    関のバランスシャフト機構。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    前記偏心質量移動機構の作動時期を判定するために設け
    られた制御装置が、前記内燃機関のスロットル開度に基
    づいて前記偏心質量移動機構の作動時期を判定するよう
    に構成されていることを特徴とする内燃機関のバランス
    シャフト機構。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    前記偏心質量移動機構が油圧シリンダとそれに挿入され
    たピストンからなる油圧式アクチュエータを備えている
    と共に、フェールセーフのために油圧が零の時に偏心質
    量の偏心量を最大とするスプリングが設けられているこ
    とを特徴とする内燃機関のバランスシャフト機構。
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