JP2002356696A - 香料の製造方法および香料組成物 - Google Patents

香料の製造方法および香料組成物

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JP2002356696A
JP2002356696A JP2001161799A JP2001161799A JP2002356696A JP 2002356696 A JP2002356696 A JP 2002356696A JP 2001161799 A JP2001161799 A JP 2001161799A JP 2001161799 A JP2001161799 A JP 2001161799A JP 2002356696 A JP2002356696 A JP 2002356696A
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JP2001161799A
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English (en)
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Katsuyuki Yomogida
勝之 蓬田
Seiichi Hirose
清一 廣瀬
Hideo Nakanishi
秀夫 中西
Tatsuya Kodama
達哉 児玉
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Soda Aromatic Co Ltd
Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Soda Aromatic Co Ltd
Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 収穫時期に左右されず、供給安定性及び品質
安定性が良い、ナチュラル感のある香料組成物を製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 天然物原材料に香料化合物および/また
は香料製剤を添加し、次いで前記天然物原材料をバッチ
方式で水蒸気蒸留して香気成分を捕集する。その際に用
いる装置としては、例えば蒸留操作と、固形原料からの
香気成分の抽出操作とを、常圧で連続的に行うことがで
きる蒸留・抽出器40を備えた装置を用いる。第1蒸留
器31に水と、香料化合物および/または香料製剤を添
加した天然物原材料よりなる固形原料Sを入れ、第2蒸
留器35に有機溶剤36を入れる。第1蒸留器からの溜
出蒸気と、第2蒸留器からの溜出蒸気を、冷却・抽出器
51の本体52内で冷却しながら混合する。この冷却・
混合工程において、固形原料Sからの香気成分が、有機
溶剤36で高効率に抽出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はナチュラル感を有す
る香料の製造方法およびかかる方法で得られた香料組成
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】香料は産業上、化粧品、食品などに製造
原料として使用されるため一定した品質が求められる。
また、近年はさらに各分野の製品において天然感のある
香気が求められている。
【0003】しかしながら、天然物の香気は本来非常に
多数の香気成分から成っているのが通常であり、合成香
料のみで調合して再現しようとすると、ナチュラル感を
表現することが非常に困難である。そこで、一般的にナ
チュラル感を表現するために天然香料を調合することで
天然感を表現する方法が使用されている。
【0004】天然香料の採油法には圧搾法、溶剤抽出法
などの様々な手法が存在するが、その代表的なものに水
蒸気蒸留法がある。これは天然物中の香気成分を水蒸気
と共に揮散させ、この留出物を処理することにより精油
を得る方法である。しかしながら、この方法では元の天
然物から得られる精油の量が非常に少ないのが通常であ
る。そのため合成香料に比して非常に高価となる。ま
た、特徴となる香気の含有量が特に多いものでない限り
は、得られた精油の香気が必ずしも原料となる天然物の
イメージを再現するとはいえない。さらには、収穫時期
の違い等により品質および香気が採油する毎に異なると
いった問題点があり、製造毎の品質管理が煩雑であると
ともに、調合処方を再検討する必要が生じることも少な
くない。
【0005】さらに天然香料に合成香料を調合した場合
は、使用した合成香料の特徴がそのまま強調されるため
人工的なイメージが拭いきれない場合が多く、また経時
的に人工的な印象が増加する傾向があるという欠点があ
った。また近年、気液向流接触装置を利用して、液状ま
たはスラリー状の香料製剤配合天然物材料から香気成分
を回収する方法が開発されている(特開2000−21
0045)。ただし、この方法でもナチュラル感の点で
改善の余地があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上述べた
ような従来の事情に鑑みてなされたもので、収穫時期に
左右されず、供給安定性及び品質安定性が良い、ナチュ
ラル感のある香料の製造方法を提供することを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討を行った結果、天然物に香料
を添加したものを水蒸気蒸留することにより本課題が解
決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】即ち本発明は、天然物原材料に香料化合物
および/または香料製剤を添加し、次いで前記天然物原
材料をバッチ方式で水蒸気蒸留して香気成分を捕集する
ことを特徴とする香料の製造方法および前記方法で得ら
れる香料組成物である。ここで水蒸気蒸留とは、天然物
原材料に含まれる揮発性成分を水蒸気と共に留出させる
ことをいう。
【0009】本発明によれば、合成香料を主として調合
した香料に比して、好ましい天然感を付与することがで
きる。さらに、従来の天然香料に合成香料を調合して香
気を調整する方法では、調合する合成香料の特徴がその
まま強調されるのに対し、本発明によれば全体にトップ
ノートからミドルノートにかけて強調されるため、原料
天然物のイメージを再現し、かつ好ましい天然感が持続
する香料を製造することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用することのできる天
然物原材料としては、例えば米、麦、そば、トウモロコ
シ及びそれらの焙焼物等の穀類;さつまいも、里芋、じ
ゃがいも等のいも類;上白糖、黒砂糖、和三盆糖、水
飴、蜂蜜、メープルシロップ等の甘味料;醤油、食酢、
ソース、みりん等の調味料類;ペパーミント、クロー
ブ、シナモン、山椒、わさび、唐辛子、バジル、バニラ
ビーンズ、ブラックペパー等のハーブ類またはスパイス
類;緑茶、紅茶、ウーロン茶などの茶類;焙煎コーヒ
ー、ココア、アルコール飲料等の嗜好飲料類;ミルク、
バター、チーズ、ヨーグルト、発酵乳等の乳類;鰹節、
鯖鰹、煮干し、するめ、干し鮑、帆立煮干し、海老、蟹
類などの魚介類及びそれらの乾燥物または加工品;卵類
またはそれらの調理加工品;いちご、オレンジ、梅、レ
モン、グレープフルーツ、すいか、梨、パイナップル、
バナナ、ぶどう、パパイヤ、マンゴー、メロン、桃、り
んご、柚子等の果実類またはそれらの加工品;椎茸、松
茸、しめじ、まいたけ、マッシュルーム等のきのこ類;
アスパラカス、キャベツ、かぼちゃ、きゅうり、紫蘇、
春菊、しょうが、ニンニク、玉葱、セロリー、大根、た
けのこ、唐辛子、ピーマン、トマト、ニラ、人参、ネ
ギ、白菜、パセリ、ブロッコリー、ホースラディッシ
ュ、三つ葉、茗荷、モヤシ、わさび等の野菜類;牛肉、
鶏肉、豚肉等の獣、鳥肉類およびそれらの加工品;カレ
ー、ハンバーグ等の調理加工食品;オリーブ油、ゴマ
油、落花生油、牛脂、豚脂等の油脂類;あおさ、あおの
り、昆布、わかめ等の藻類;アーモンド、ピーナッツ、
ココナッツ、栗、ゴマなどの種実類;小豆、大豆等の豆
類;あんこ、米菓等菓子類等々の飲食品およびそれらの
様々な形態の加工品を挙げることができる。
【0011】植物性原料においては、花、葉、茎、果
実、果皮、根などの部位は特に限定されない。また、こ
れら天然物は簡単な前処理を施したものであってもよ
く、例えば前処理としては、乾燥、破砕、焙煎、発酵処
理、圧搾、酵素処理、酵素失活処理(変性抑制処理)、
溶剤浸漬などを例示することができる。
【0012】これらの天然物原材料のうち、好ましいも
のとしては、緑茶、紅茶、ウーロン茶などの茶類、いち
ご、バナナ等の果実類が挙げられる。また、これらの天
然物原材料は、細断あるいは粉砕することなく、そのま
まの大きさ、あるいは適宜の大きさに切断して用いられ
ることが望ましい。また通常乾燥状態で用いられる茶類
は乾燥して用いてもよい。天然物原材料を液状、懸濁液
またはペースト状としたり、あるいは細断した場合には
ナチュラル感が損なわれる傾向がある。本発明で特に好
ましいものは、茶の葉であり、かつ乾燥したものであ
る。
【0013】本発明において、天然物原材料に予め添加
混合することのできる香料化合物および/または香料製
剤としては、特別の制約はなく、水溶性又は水に難溶性
の香料化合物あるいはそれらを調合して得られる香料製
剤を香料物質の種類、形態の如何を問わず任意に利用す
ることができる。
【0014】香料化合物および/または香料製剤として
は、例えば、[Steffen Arctander;Perfum and Flavor
Chemicals(Aroma Chemicals)I,II;Montclair,N.J.
(USA),1969]および[Steffen Arctander;Perfum a
nd Flavor Materials of Natural Origin;Erizabeth,
N.J.(USA),1960]ならびに[奥田治;香料化学総覧
I(1967),II(1968),III(1979);廣川書店]、
[藤巻正生ら;香料の事典(1980);朝倉書店]等に記
載された公知の天然香料及び合成香料物質の単独または
それらを混合した調合香料等を用いることができる。
【0015】天然物原材料に対する香料化合物および/
または香料製剤の添加量は、特に限定されないが、好ま
しくは天然物原材料に対して0.05〜50.0質量%
であり、より好ましくは0.1〜25.0質量%であ
る。
【0016】本発明において、原料に香料を添加する方
法は任意の方法が適用されるが、具体的には固形の原料
に水蒸気を接触させる蒸留法の場合は、天然物原料に香
料を噴霧、浸漬する方法が挙げられ、天然物原材料に水
性溶剤を加えたものなど液状の状態で水蒸気もしくはそ
の他の気体を通気もしくは沸騰させる場合は水性溶液中
に添加する方法が挙げられる。また、本発明においては
蒸留法もしくはバブリング法により香気成分を捕集する
前に、原料に香料を添加した後一定時間静置してもよ
い。
【0017】本発明においては、上記のようにして天然
物原材料に前処理として香料を添加したものをバッチ方
式で水蒸気蒸留して留出液を捕集することを特徴とする
ものである。本発明のようにバッチ方式で水蒸気蒸留し
た場合には、その他の方法、例えば気液向流接触装置を
用いて連続的に回収した場合に比べてナチュラル感のあ
る香料組成物が得られる。
【0018】本発明において蒸留法は、蒸留操作に関し
て公知の方法が適用される。例えば、固形の天然物原材
料(固形原料)を使用する場合の例を図1に示す。これ
は常圧でバッチ方式の単蒸留によるものであり、貫通孔
を多数形成した支持板12を設けた蒸留器11を支持台
13上に載せる。この蒸留器11に水14を入れ、支持
板12上に固形原料Sを載せる。ここで固形原料Sは、
天然物原材料に香料化合物および/または香料製剤を添
加したものである。蒸留器11の上部に冷却器15を連
結する。支持台13の直下に適宜構造のヒータ16を置
き、冷却器15直下に、回収容器17を置く。
【0019】蒸留に際しては冷却器15に冷却水を流
し、ついでヒータ16を作動させる。蒸留器11内で発
生した水蒸気が、支持板12上の固形原料Sに接触し、
これに含まれる香気成分が抽出される。水蒸気と、抽出
された香気成分の蒸気の混合蒸気が冷却器15で冷却さ
れ、回収容器17には液状の香気成分と水の混合液が回
収される。
【0020】次に、固形原料を水性溶剤、例えば水に投
入して蒸留する場合の例を図2、図3に示す。図2は常
圧での蒸留法によるものであり、図3は常圧でのバブリ
ング方式によるものである。図2は、蒸留器11に入れ
た水性溶剤21に固形原料Sを浸漬し、この状態で蒸留
するようにしたこと以外は図1と同じである。図2の蒸
留装置では蒸留器11内において、固形原料Sが沸騰状
態の水性溶剤21に接触して抽出される。そして蒸留器
11から溜出する水蒸気と、場合により有機溶剤蒸気
と、抽出された香気成分の蒸気とからなる混合蒸気が冷
却器15で冷却され、回収容器17には液状の香気成分
と水の混合液が回収される。
【0021】図3の蒸留装置では、蒸留器11に水蒸気
導入管22を挿入し、蒸留器11に入れた水性溶剤21
に固形原料Sを浸漬する。蒸留に際しては冷却器15に
冷却水を流し、ついで水蒸気導入管22からの水蒸気を
水性溶剤21に供給(バブリング)する。蒸留器11か
ら溜出する水蒸気と、場合により有機溶剤蒸気と、抽出
された香気成分の蒸気とからなる混合蒸気が冷却器15
で冷却され、回収容器17には液状の香気成分と水と有
機溶剤との混合液が回収される。
【0022】本発明では、水蒸気蒸留により得られる留
出液を公知の方法によって、有機溶剤で抽出、あるいは
多孔性吸着樹脂による濃縮をすることができる。
【0023】本発明において、上記留出液あるいは多孔
性吸着樹脂より香気成分を抽出する溶剤としては、アセ
トン、エーテル、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、クロロホルムなどが挙げられ、好
ましくはエーテル、ヘキサンを単独、あるいはこれらを
混合して使用することができる。
【0024】留出液より香気成分を溶剤抽出する場合
は、留出液に塩類を飽和状態になるまで添加したのち抽
出することが好ましい。使用する塩類としては塩化ナト
リウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウムなどが例示で
きるが、塩化ナトリウムが好ましく用いられる。
【0025】さらに本発明では、図4に例示するがごと
き蒸留・抽出装置を使用することで、蒸留しつつ香気成
分を連続的に抽出することができる。第1蒸留器31
に、水、および香料化合物類を添加した天然物原材料で
ある固形原料Sを入れ、この第1蒸留器31をオイルバ
ス32に浸漬する。オイルバス32には攪拌機32a
と、図略のヒータを設ける。また、ヒータ33上にウォ
ータバス34を載せ、有機溶剤36を入れた第2蒸留器
35をウォータバス34に浸漬する。第1蒸留器31お
よび第2蒸留器35の口を、分液機能を備えた蒸留・抽
出器40に連結する。前記有機溶剤としては、比重が水
より低く、かつ実質的に水と溶け合わないもの(例えば
エチルエーテル)を用いる。
【0026】この蒸留・抽出器40の構造は以下のとお
りである。U字管41の一端部に、保温材42を設けた
第1溜出管43が連結されている。U字管41の他端部
は二股に分かれ、その一方に第2溜出管44が、他方に
凝縮液回収管45が、それぞれ連結され、さらにこの溜
出液回収管45の上端部に、後記する構造の冷却・抽出
器51が連結されている。
【0027】この冷却・抽出器51は円筒状に形成され
たもので、上端部52aが大気開放された本体52の内
側、外側にそれぞれ冷却ジャケット53,54を設けた
3重管構造のものである。また、これら本体および冷却
ジャケット53,54は、円筒状に、かつ同心状に形成
されている。そして、前記第1溜出管43および前記第
2溜出管44は前記冷却・抽出器51の本体52に連結
されている。
【0028】この香気成分蒸留・抽出装置を使用するに
際しては図4の状態に準備し、冷却ジャケット53,5
4への冷却水供給を開始し、ついでオイルバス32およ
びウォータバス34を加熱して、第1蒸留器31内の水
および固形原料Sと、第2蒸留器35内の有機溶剤をそ
れぞれ沸騰させる。この場合、冷却・抽出器51の本体
52は大気開放されているから、第1および第2蒸留器
31,35内では沸騰が常圧下で進行する。
【0029】第1蒸留器31内では沸騰水が固形原料S
に接触して香気成分が抽出され、この香気成分の蒸気
と、水蒸気とからなる混合蒸気が第1溜出管43内を上
昇して冷却・抽出器51の本体52に導入され、冷却ジ
ャケット53,54で冷却されて凝縮する。また、第2
蒸留器35内で発生した有機溶剤蒸気は第2溜出管44
内を上昇し、同じく本体52に導入されて同様にして凝
縮する。そして、本体52内では、これらの蒸気が冷却
・凝縮して前記U字管41に貯溜される間に混合・接触
し、前記混合蒸気中の香気成分が有機溶剤に抽出され
る。そして水と、前記香気成分を溶解した有機溶剤が上
下に層分離(有機溶剤が上層となる)してU字管41に
貯溜される。この場合、前記混合蒸気と有機溶剤蒸気と
は、ごく微小粒径の液滴の状態で接触するため、有機溶
剤による香気成分および香料の抽出効率が著しく高まる
という効果がある。U字管41に貯溜された有機溶剤は
ある一定量を超えると第2蒸留器35に回収される。ま
た、U字管41に貯溜された水も一定量を超えると第1
蒸留器31に回収される。以上のようにして、香気成分
を溶解した有機溶剤溶液が得られる。
【0030】有機溶剤で抽出した香気成分は、例えばロ
ータリーエバポレーターなどにより公知の方法で溶剤を
回収した後、必要に応じて溶媒で希釈される。有機溶媒
を回収する温度は用いる有機溶媒によるが、好ましくは
60℃以下、より好ましくは40℃〜50℃を例示でき
る。
【0031】さらに本発明では、上記した各装置の他
に、図5に例示するがごとき装置を用いて、バブリング
法に基づく蒸留によって香気成分を捕集することもでき
る。この装置では、ヒータ61上にウォータバス62を
載せ、水性溶剤36および固形原料Sを入れた蒸留器6
3をウォータバス62に浸漬する。蒸留器63の一方の
口に不活性ガスGの導入管64を挿入し、その先端部を
蒸留器63内の水面下に位置させる。蒸留器63の他方
の口に冷却器66の一端部を連結する。また、冷却器6
6の他端部に回収容器65を連結する。この場合、回収
容器65は大気開放とする。
【0032】この蒸留装置を使用するに際しては図5の
状態に準備し、冷却器66への冷却水供給を開始し、つ
いでヒータ61でウォータバス62を加熱するととも
に、不活性ガスGを蒸留器63内の水にバブリングす
る。これにより香気成分の蒸気と、水性溶剤の蒸気と、
不活性ガスとの混合気体が冷却器66で冷却され、香気
成分と水性溶剤との混合液が回収容器65に回収され
る。
【0033】本発明のバブリング法において、原料と共
に投入される水性溶剤としては、含水エタノールが好ま
しく使用される。また、含水エタノールのエタノールの
割合は30体積%〜70体積%が好ましく、40体積%
〜60体積%がより好ましい。溶媒温度は特に限定され
ないが、50℃以下であることが好ましく、40℃から
45℃がさらに好ましい。
【0034】本発明のバブリング法で導入される気体と
してはとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプ
トン、キセノン、ラドン、窒素ガスなどの不活性ガスが
例示されるが、汎用性があり、安価で扱いやすいことか
ら窒素ガスを使用することが特に好ましい。また、導入
される気体の流量としては、好ましくは30〜1500
mL/minが例示できるが、100〜400mL/m
inであることがより好ましい。
【0035】本発明のバブリング法において、香気成分
を捕集する方法は特に限定されないが、香気成分を含む
気体を冷却するか、もしくは溶剤中に導入して香気成分
を吸収させる方法、多孔性吸着樹脂に吸着させる方法な
どが挙げられる。
【0036】本発明によれば、蒸留法もしくはバブリン
グ法によって得られた香料を分析し、これをもとに調合
することで再現香料を製造することができる。本発明に
於ける分析は、既知のいかなる手段を用いても良い。具
体的にはガスクロマトグラフ、GC−MS等の分析機器
を用いて成分分析を行った結果に基づいての調合、さら
に官能による調合を利用した方法を例示できるが、これ
らに限定されるものではない。再現香料と本発明の香料
組成物とを併用することにより、更に安価に香料組成物
を大量製造することが可能となる。
【0037】また上記再現香料を天然物原材料に添加
し、次いでこの天然物原材料をバッチ方式で水蒸気蒸留
して香気成分を捕集することにより、よりナチュラル感
のある香料が得られる。
【0038】さらに本発明では、天然物原材料に香料化
合物および/または香料製剤を添加し、次いで前記天然
物原材料をバッチ方式で水蒸気蒸留して得られた香料組
成物を分析し、その成分組成に基づいて調合して得られ
る再現香料と、前記香料組成物とを組合わせて配合する
再現香料組成物を提供するものである。この再現香料組
成物は、再現香料を用いているので、前記香料組成物よ
りもさらに安価に大量生産が可能である。
【0039】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。 実施例1(蒸留法による香料の製造) バナナの果肉2.93kgを採取し、これに曽田香料株
式会社製の調合香料(Banana FL Base Z-00841)を2.
93g添加した(添加率0.1質量%)。これを底部に
10Lの水を充填した水蒸気蒸留装置に加えて水蒸気蒸
留を行い、そこから得られた留出水1Lに塩化ナトリウ
ムを飽和になるまで加えたのち、200mLのジエチル
エーテルで2回抽出を行った。このようにして得たエー
テル相を無水硫酸マグネシウムで脱水し、常法に従って
エーテルを濃縮留去して香料組成物を得た。以上のよう
にして得られた香料組成物は1.33gであり、収率は
下記に示す数式(1)より0.0450%であった。
【0040】
【数1】 収率(%)=香料組成物収量/(天然物原材料+調合香料)×100 …(1)
【0041】比較例1 実施例1と同様にバナナの果肉2.77kgを採取し、
これには香料を添加せずにそのまま水蒸気蒸留した。水
蒸気蒸留の条件及び留出水の処理は実施例1と同様にし
た。その結果、天然精油を得た。比較例1により得られ
た香料は0.08gであり、収率は上記に示す数式
(1)と同様にして計算し、0.0029%であった。
【0042】実施例1で得られた香料組成物及び比較例
1で得られた天然精油に実施例1で用いた調合香料1.
0質量%(全体量に対して;以下同様)を加えたもの
(比較例1精油+調合香料)について、12名の専門パ
ネラーにより、2点比較法で香気評価を行った。その結
果を表1に示す。
【0043】
【表1】 ─────────────────────────── 実施例1の 比較例1精油 香料組成物 +調合香料 ─────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 11人 1人 人工的な感じがする方 1人 11人 ───────────────────────────
【0044】実施例2(再現香料の製造) 実施例1で得られた香料組成物をGC/MSで測定して
成分分析を行い、その分析結果を基に調合し、再現香料
を得た。
【0045】実施例2で用いたGC/MSの測定条件を
以下に示す。 測定条件 分析機器:ヒューレットパッカード社製 HP-6890/5973M
SDシステム カラム:ヒューレットパッカード社製 HP-Innowaxシリ
カキャピラリーカラム30m×0.25mm(I.D=
0.25μl) キャリアガス:He(流速1.0mL/min) カラム温度:70℃〜245℃(昇温条件 4℃/mi
n) イオン化電圧:70eV
【0046】実施例2により得られた再現香料に実施例
1で得られた香料組成物を1質量%加えたもの(再現香
料+実施例1香料組成物)と比較例1の天然精油に調合
香料を1.0質量%加えたもの(比較例1天然精油+調
合香料)について、12名の専門パネラーにより、2点
比較法で香気評価を行った。その結果、ナチュラル感が
優れている方は、(再現香料+実施例1香料組成物)で
10人、(比較例1天然精油+調合香料)で2人であっ
た。
【0047】実施例3 ぶどうの生果実を果皮のついたまま6.90kg採取
し、これにぶどう用の調合香料(曽田香料株式会社製:
グレープエッセンス No.459)を69.0g添加
した(添加率0.1質量%)。これを底部に10Lの水
を充填した水蒸気蒸留装置に加えて水蒸気蒸留を行い、
そこから得られた留出水1Lに塩化ナトリウムを飽和に
なるまで加えた後、200mLのジエチルエーテルで2
回抽出を行った。このようにして得たエーテル相を無水
硫酸マグネシウムで脱水し、常法に従ってエーテルを濃
縮留去して香料組成物を得た。
【0048】比較例2 実施例3と同様にぶどうの生果実を果皮のついたまま
7.51kg採取し、これには香料を添加せずにそのま
ま水蒸気蒸留した。水蒸気蒸留の条件及び留出水の処理
は実施例3と同様にして天然精油を得た。
【0049】実施例3で得られた香料組成物は2.60
gであり、収率は上記数式(1)に準じた方法により計
算して0.0377%であった。また、比較例2により
得られた天然精油は0.01gであり、収率は0.00
01%であった。
【0050】実施例3で得られた香料組成物及び比較例
2により得られた精油に実施例3で使用した調合香料を
1.0質量%加えたもの(比較例2精油+調合香料)に
ついて、14名の専門パネラーにより、2点比較法で香
気評価を行った。結果を表2に示す。
【0051】
【表2】 ─────────────────────────── 実施例3の 比較例2精油 香料組成物 +調合香料 ─────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 12人 2人 人工的な感じがする方 1人 13人 ───────────────────────────
【0052】実施例4(再現香料の製造) 実施例3により得られた香料組成物をGC/MSで測定
して成分分析を行い、その分析結果を基に調合し、再現
香料を得た。
【0053】実施例4で用いたGC/MSの測定条件を
以下に示す。 測定条件 分析機器:ヒューレットパッカード社製 HP-6890/5973M
SDシステム カラム:ヒューレットパッカード社製 HP-Innowaxシリ
カキャピラリーカラム30m×0.25mm(I.D=
0.25μl) キャリアガス:He(流速1.0mL/min) カラム温度:70℃〜245℃(昇温条件 4℃/mi
n)イオン化電圧:70eV
【0054】実施例4により得られた再現香料に実施例
3で得られた香料組成物を1質量%加えたもの(再現香
料+実施例3香料組成物)と比較例2により得られた精
油に実施例3で使用した調合香料を1質量%加えたもの
(比較例2精油+調合香料)について、14名の専門パ
ネラーにより2点比較法で香気評価を行った。その結
果、ナチュラル感が優れている方は、(再現香料+実施
例3香料組成物)で13人、(比較例2天然精油+調合
香料)で1人であった。
【0055】実施例5 すいかの生果実9.62kgを果皮のついたまま適度の
大きさに切断し、これにすいか用の調合香料(CK Water
Melon)を48.1g添加した(添加率0.5質量
%)。これを底部に10Lの水を充填した水蒸気蒸留装
置内に入れて水蒸気蒸留を行い、そこから得られた留出
水1Lに塩化ナトリウムを飽和になるまで加えたのち、
200mLのジエチルエーテルで2回抽出を行った。こ
のようにして得たエーテル相を無水硫酸マグネシウムで
脱水し、常法に従ってエーテルを濃縮留去して香料組成
物を得た。
【0056】比較例3 実施例5と同様にすいかの生果実を8.87kg採取
し、これには香料を添加せずにそのまま水蒸気蒸留し
た。水蒸気蒸留の条件及び留出水の処理は実施例5と同
様にして天然精油を得た。
【0057】実施例5で得られた香料の収量は16.0
8gであり、収率は上記に示す計算式と同様にして計算
して0.1671%であった。また比較例3により得ら
れた香料の収量は0.01gであり、収率は0.000
1%であった。
【0058】実施例5で得られた香料組成物及び比較例
3で得られた天然精油に実施例5で用いた調合香料を
1.0質量%加えたもの(比較例3精油+調合香料)に
ついて、10名の専門パネラーにより2点比較法で香気
評価を行った。結果を表3に示す。
【0059】
【表3】 ─────────────────────────── 実施例5の 比較例3精油 香料組成物 +調合香料 ─────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 9人 1人 人工的な感じがする方 0人 10人 ───────────────────────────
【0060】実施例6 実施例5で得られた香料組成物をGC/MSで測定して
成分分析を行い、その分析結果を基に調合し、再現香料
を得た。
【0061】実施例6で用いたGC/MSの測定条件を
以下に示す。 測定条件 分析機器:ヒューレットパッカード社製 HP−689
0/5973MSDシステム カラム:ヒューレットパッカード社製 HP−Inno
waxシリカキャピラリーカラム30m×0.25mm
(I.D=0.25μl) キャリアガス:He(流速1.0mL/min) カラム温度:70℃〜245℃(昇温条件 4℃/mi
n) イオン化電圧:70eV
【0062】実施例6により得られた再現香料に実施例
5で得られた香料組成物を1質量%加えたもの(再現香
料+実施例5香料組成物)と比較例3の天然精油に調合
香料を1.0質量%加えたもの(比較例3精油+調合香
料)について、10名の専門パネラーにより2点比較法
で香気評価を行った。結果を表4に示す。
【0063】
【表4】 ───────────────────────────────── 再現香料 比較例3精油 +実施例5香料組成物 +調合香料 ───────────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 10人 0人 ─────────────────────────────────
【0064】実施例7 いちごの果肉5.32kgを採取し、これにいちご用調
合香料を5.32g添加した(添加率0.1質量%)。
これを底部に10Lの水を充填した水蒸気蒸留装置内に
入れて水蒸気蒸留を行い、そこから得られた留出水1L
に塩化ナトリウムを飽和になるまで加えたのち、200
mLのジエチルエーテルで2回抽出を行った。このよう
にして得たエーテル相を無水硫酸マグネシウムで脱水
し、常法に従ってエーテルを濃縮留去して香料組成物を
得た。
【0065】比較例4 実施例7と同様にいちごの果肉を5.32kg採取し、
これには香料を添加せずにそのまま水蒸気蒸留した。水
蒸気蒸留の条件及び留出水の処理は実施例7と同様にし
て天然精油を得た。
【0066】実施例7で得られた香料の収量は0.09
gであり、収率は上記に示す計算式と同様にして計算し
て0.0017%であった。また比較例4により得られ
た香料の収量は0.03gであり、収率は0.0006
%であった。
【0067】実施例7で得られた香料組成物及び比較例
4で得られた天然精油に実施例7で用いた調合香料を
1.0質量%加えたもの(比較例4精油+調合香料)に
ついて、10名の専門パネラーにより2点比較法で香気
評価を行った。結果を表5に示す。
【0068】
【表5】 ─────────────────────────── 実施例7の 比較例4精油 香料組成物 +調合香料 ─────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 8人 2人 人工的な感じがする方 0人 10人 ───────────────────────────
【0069】実施例8 実施例7で得られた香料組成物をGC/MSで測定して
成分分析を行い、その分析結果を基に調合し、再現香料
を得た。
【0070】実施例8で用いたGC/MSの測定条件を
以下に示す。 測定条件 分析機器:ヒューレットパッカード社製 HP−689
0/5973MSDシステム カラム:ヒューレットパッカード社製 HP−Inno
waxシリカキャピラリーカラム30m×0.25mm
(I.D=0.25μl) キャリアガス:He(流速1.0mL/min) カラム温度:70℃〜245℃(昇温条件 4℃/mi
n) イオン化電圧:70eV
【0071】実施例8により得られた再現香料に実施例
7で得られた香料組成物を1質量%加えたもの(再現香
料+実施例7香料組成物)と比較例4の天然精油に調合
香料を1.0質量%加えたもの(比較例4精油+調合香
料)について、13名の専門パネラーにより2点比較法
で香気評価を行った。結果を表6に示す。
【0072】
【表6】 ───────────────────────────────── 再現香料 比較例4精油 +実施例7香料組成物 +調合香料 ───────────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 12人 1人 ─────────────────────────────────
【0073】実施例9 りんごの生果実10.84kgを果皮のついたまま適度
の大きさに切断し、これにりんご用調合香料を10.8
4g添加した(添加率0.1質量%)。これを底部に1
0Lの水を充填した水蒸気蒸留装置内に入れて水蒸気蒸
留を行い、そこから得られた留出水1Lに塩化ナトリウ
ムを飽和になるまで加えたのち、200mLのジエチル
エーテルで2回抽出を行った。このようにして得たエー
テル相を無水硫酸マグネシウムで脱水し、常法に従って
エーテルを濃縮留去して香料組成物を得た。
【0074】比較例5 実施例9と同様にりんごの生果実を10.93kg採取
し、これには香料を添加せずにそのまま水蒸気蒸留し
た。水蒸気蒸留の条件及び留出水の処理は実施例9と同
様にして天然精油を得た。
【0075】実施例9で得られた香料の収量は0.24
gであり、収率は上記に示す計算式と同様にして計算し
0.0022%であった。また比較例5により得られた
香料の収量は0.09gであり、収率は0.0008%
であった。
【0076】実施例9で得られた香料組成物及び比較例
5で得られた天然精油に実施例9で用いた調合香料を
1.0質量%加えたもの(比較例5精油+調合香料)に
ついて、13名の専門パネラーにより2点比較法で香気
評価を行った。結果を表7に示す。
【0077】
【表7】 ─────────────────────────── 実施例9の 比較例5精油 香料組成物 +調合香料 ─────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 11人 2人 人工的な感じがする方 2人 11人 ───────────────────────────
【0078】実施例10 実施例9で得られた香料組成物をGC/MSで測定して
成分分析を行い、その分析結果を基に調合し、再現香料
を得た。
【0079】実施例10で用いたGC/MSの測定条件
を以下に示す。 測定条件 分析機器:ヒューレットパッカード社製 HP−689
0/5973MSDシステム カラム:ヒューレットパッカード社製 HP−Inno
waxシリカキャピラリーカラム30m×0.25mm
(I.D=0.25μl) キャリアガス:He(流速1.0mL/min) カラム温度:70℃〜245℃(昇温条件 4℃/mi
n) イオン化電圧:70eV
【0080】実施例10により得られた再現香料に実施
例9で得られた香料組成物を1質量%加えたもの(再現
香料+実施例10香料組成物)と比較例5の天然精油に
調合香料を1.0質量%加えたもの(比較例5精油+調
合香料)について、13名の専門パネラーにより2点比
較法で香気評価を行った。結果を表8に示す。
【0081】
【表8】 ───────────────────────────────── 再現香料 比較例5精油 +実施例9香料組成物 +調合香料 ───────────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 12人 1人 ─────────────────────────────────
【0082】実施例11 うめの果実8.26kgを採取し、これにうめ用の調合
香料を82.60g添加した(添加率1.0wt%)。
これを底部に10Lの水を充填した水蒸気蒸留装置内に
入れて水蒸気蒸留を行い、そこから得られた留出水1L
に塩化ナトリウムを飽和になるまで加えたのち、200
mLのジエチルエーテルで2回抽出を行った。このよう
にして得たエーテル相を無水硫酸マグネシウムで脱水
し、常法に従ってエーテルを濃縮留去して香料組成物を
得た。
【0083】比較例6 実施例11と同様にうめの果実を6.91kg採取し、
これには香料を添加せずにそのまま水蒸気蒸留した。水
蒸気蒸留の条件及び留出水の処理は実施例11と同様に
して天然精油を得た。
【0084】実施例11で得られた香料の収量は0.1
3gであり、収率は上記に示す計算式と同様にして計算
して0.0016%であった。また比較例6により得ら
れた香料の収量は0.05gであり、収率は0.000
7%であった。
【0085】実施例11で得られた香料組成物及び比較
例6で得られた天然精油に実施例11で用いた調合香料
を1.0質量%加えたもの(比較例6精油+調合香料)
について、11名の専門パネラーにより2点比較法で香
気評価を行った。結果を表9に示す。
【0086】
【表9】 ─────────────────────────── 実施例11の 比較例6精油 香料組成物 +調合香料 ─────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 8人 3人 人工的な感じがする方 1人 10人 ───────────────────────────
【0087】実施例12 実施例11で得られた香料組成物をGC/MSで測定し
て成分分析を行い、その分析結果を基に調合し、再現香
料を得た。
【0088】実施例12で用いたGC/MSの測定条件
を以下に示す。 測定条件 分析機器:ヒューレットパッカード社製 HP−689
0/5973MSDシステム カラム:ヒューレットパッカード社製 HP−Inno
waxシリカキャピラリーカラム30m×0.25mm
(I.D=0.25μl) キャリアガス:He(流速1.0mL/min) カラム温度:70℃〜245℃(昇温条件 4℃/mi
n) イオン化電圧:70eV
【0089】実施例12により得られた再現香料に実施
例11で得られた香料組成物を1質量%加えたもの(再
現香料+実施例11香料組成物)と比較例6の天然精油
に調合香料を1.0質量%加えたもの(比較例6精油+
調合香料)について、11名の専門パネラーにより2点
比較法で香気評価を行った。結果を表10に示す。
【0090】
【表10】 ───────────────────────────────── 再現香料 比較例6精油 +実施例11香料組成物 +調合香料 ───────────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 11人 0人 ─────────────────────────────────
【0091】実施例13(蒸留法(連続抽出)による香
料組成物の製造) 500mLの三角フラスコにダージリン紅茶の葉を20
g採取し、これにダージリン紅茶用の調合香料を5.0
g添加し(添加率25.0質量%)、これに85℃の水
を加えたものを用意した。もう一方で200mLのナス
フラスコにエーテルを200mL入れたものを用意し、
これらをLikens-Nickersonの装置に設置した。三角フラ
スコを120℃に設定したシリコンバス内、ナスフラス
コを40℃に設定したウォーターバス内で温めながら1
時間連続液−液抽出を行い、得られた有機相を無水硫酸
マグネシウムで脱水、常法に従ってエーテルを濃縮留去
して香料組成物を得た。
【0092】比較例7 実施例13と同様にダージリン紅茶の葉を20g採取
し、これには香料を添加せずにそのまま連続液−液抽出
した。連続液−液抽出の条件及び得られた有機相の処理
は実施例13と同様にして天然精油を得た。
【0093】実施例13で得られた香料組成物の収量は
3.57gであり、収率は上記に示す計算式と同様にし
て計算して14.28%であった。また比較例7により
得られた天然精油の収量は0.01gであり、収率は
0.04%であった。
【0094】実施例13で得られた香料組成物及び比較
例7で得られた天然精油に実施例13で用いた調合香料
を1.0質量%加えたもの(比較例7精油+調合香料)
について、15名の専門パネラーにより2点比較法で香
気評価を行った。結果を表11に示す。
【0095】
【表11】 ─────────────────────────── 実施例13の 比較例7精油 香料組成物 +調合香料 ─────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 15人 0人 人工的な感じがする方 0人 15人 ───────────────────────────
【0096】表11の結果によれば実施例13で得られ
た香料組成物は、従来の調合香料に天然精油を加えたも
のよりもナチュラル感を有しており、そのままでも製品
として用いることが可能であるといえる。
【0097】実施例14(再現香料の製造) 実施例13により得られた香料組成物をGC/MSで測
定して成分分析を行い、その分析結果を基に調合し、再
現香料を得た。
【0098】実施例14で用いたGC/MSの測定条件
を以下に示す。 測定条件 分析機器:ヒューレットパッカード社製 HP−689
0/5973MSDシステム カラム:ヒューレットパッカード社製 HP−Inno
waxシリカキャピラ リーカラム30m×0.25mm(I.D=0.25μ
l) キャリアガス:He(流速1.0mL/min) カラム温度:70℃〜245℃(昇温条件 4℃/mi
n) イオン化電圧:70eV
【0099】実施例14により得られた再現香料に実施
例13で得られた香料組成物を1質量%加えたもの(再
現香料+実施例13香料組成物)と比較例7により得ら
れた精油に実施例13で使用した調合香料を1質量%加
えたもの(比較例7精油+調合香料)について、15名
のパネラーにより2点比較法で香気評価を行った。結果
を表12に示す。
【0100】
【表12】 ───────────────────────────────── 再現香料 比較例7精油 +実施例13香料組成物 +調合香料 ───────────────────────────────── ナチュラル感が優れている方 13人 2人 ─────────────────────────────────
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、簡便に、品質安定性良好で、且つ安定量の供給が
可能で、ナチュラル感を有する香料組成物を製造するこ
とができる。また本発明の香料組成物によれば、天然精
油よりも安価で、収穫時期に左右されず、供給及び品質
の安定性が良く、従来の調合香料に天然精油を加えたも
のよりも良好なナチュラル感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】常圧バッチ方式の単蒸留により、固形の天然物
原材料(固形原料)から香気成分を抽出する方法の一例
を示す説明図である。
【図2】常圧バッチ方式の単蒸留により、固形原料から
香気成分を抽出する方法の別例を示す説明図である。
【図3】常圧バッチ方式の水蒸気蒸留により、固形原料
から香気成分を抽出する方法を示す説明図である。
【図4】蒸留操作と、固形原料からの香気成分の抽出操
作とを、常圧で連続的に行うことができる蒸留・抽出方
法および、その装置を示す説明図である。
【図5】不活性ガスのバブリング法に基づく蒸留によっ
て香気成分を抽出・捕集する方法を示す説明図である。
【符号の説明】
31…第1蒸留器 32…オイルバス 32a…攪拌機 33…ヒータ 34…ウォータバス 35…第2蒸留器 36…有機溶剤 40…蒸留・抽出器 41…U字管 42…保温材 43…第1溜出管 44…第2溜出管 45…凝縮液回収管 51…冷却・抽出器 52…本体 52a…上端部 53…冷却ジャケット 54…冷却ジャケット S…固形原料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣瀬 清一 神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株 式会社資生堂リサーチセンター(新横浜) 内 (72)発明者 中西 秀夫 千葉県野田市船形1573−4 曽田香料株式 会社野田支社内 (72)発明者 児玉 達哉 千葉県野田市船形1573−4 曽田香料株式 会社野田支社内 Fターム(参考) 4B047 LB03 LB09 LG37 LG38 LG39 LG50 LP01 4H059 AA04 BC10 BC23 CA02 CA18 CA51 CA66 CA96 DA09 EA21

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然物原材料に香料化合物および/また
    は香料製剤を添加し、次いで前記天然物原材料をバッチ
    方式で水蒸気蒸留して香気成分を捕集することを特徴と
    する香料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記天然物原材料は、そのまま、あるい
    は適宜の大きさに切断して用いられることを特徴とする
    請求項1記載の香料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記天然物原材料が茶の葉であり、かつ
    乾燥したものを用いることを特徴とする請求項2記載の
    香料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記水蒸気蒸留は、香料化合物および/
    または香料製剤を添加した天然物原材料を水性溶媒中に
    入れて加熱し、留出液から香気成分を有機溶媒にて連続
    的に抽出することを特徴とする請求項1記載の香料の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 天然物原材料に香料化合物および/また
    は香料製剤を添加し、次いで前記天然物原材料をバッチ
    方式で水蒸気蒸留して得られることを特徴とする香料組
    成物。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の香料組成物を分析し、
    その成分組成に基づいて調合してなることを特徴とする
    再現香料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の香料組成物を分析し、
    その成分組成に基づいて調合して得られることを特徴と
    する再現香料。
  8. 【請求項8】 天然物原材料に請求項7に記載の再現香
    料を添加し、次いで前記天然物原材料をバッチ方式で水
    蒸気蒸留して香気成分を捕集することを特徴とする香料
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 天然物原材料に請求項7に記載の再現香
    料を添加し、次いで前記天然物原材料をバッチ方式で水
    蒸気蒸留して得られることを特徴とする香料組成物。
  10. 【請求項10】 請求項7に記載の再現香料と、請求項
    5に記載の香料組成物とを組合わせて配合することを特
    徴とする再現香料組成物。
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