JP2002356687A - 石炭及び炭化水素系ポリマーの水添ガス化方法 - Google Patents

石炭及び炭化水素系ポリマーの水添ガス化方法

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JP2002356687A JP2001163476A JP2001163476A JP2002356687A JP 2002356687 A JP2002356687 A JP 2002356687A JP 2001163476 A JP2001163476 A JP 2001163476A JP 2001163476 A JP2001163476 A JP 2001163476A JP 2002356687 A JP2002356687 A JP 2002356687A
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 廃棄炭化水素系ポリマーの分解と石炭の水添
分解反応との併用により反応熱の効率的利用を図るとと
もに、所望の反応温度を維持し、簡素な小型反応器で良
好な分解反応率を達成し、高濃度の炭化水素系燃料ガス
を高効率で得る水添ガス化法を提供する。 【解決手段】 微粉砕した石炭1及び炭化水素系ポリマ
ー2を混合した後、得られた原料混合物と水素を水添ガ
ス化反応器12に導入し、高温加圧条件下に水素化熱分
解反応させて炭化水素混合ガスに転換させる石炭及び炭
化水素系ポリマーの水添ガス化方法である。そのガス化
反応器で生成する水素と発生したチャーをガス化炉18
において酸素で部分酸化させて得られる水素を前記水添
ガス化反応器に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭及びプラスチ
ック類を軽質炭化水素等のエネルギー源に転換させる水
素添加ガス化方法に関する。さらに詳しくは、本発明
は、石炭及びポリエチレン等のプラスチック類又はこれ
を含む廃棄物を、水素と高温加圧下に反応させて効率的
にメタン等の炭化水素系燃料に転換し、環境汚染物質や
有害金属を除去して、都市ガス、発電用燃料、マイクロ
ガスタービンや燃料電池等の次世代分散型発電燃料の多
様なエネルギー源として有効に利用するとともに、廃プ
ラスチック等の廃棄物を処理してエネルギー源に転換さ
せる水添ガス化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭をクリーンで高度な利用技術の確立
しているメタンに転換する方法としては、石炭からメタ
ンを直接製造する水添ガス化法と、石炭を酸素と水蒸気
でガス化して一酸化炭素と水素に転換した後、ニッケル
等の触媒を用いてメタンに合成する方法が知られてい
る。一般に、水添ガス化法は、メタン合成法よりも小さ
い発熱過程でメタンを製造できることから、熱損失が小
さく高い熱効率のプロセスを構成できることが期待さ
れ、長年にわたって開発研究が継続されてきた。
【0003】石炭の水添ガス化は、酸素をガス化剤とす
る部分酸化法に比べて反応速度が小さいことが知られて
おり、また、石炭の水添ガス化は発熱反応であるもの
の、その反応熱は部分酸化より小さいことも知られてい
る。この水添ガス化プロセスの開発当初は、部分酸化法
に類似する反応器を用いて試行されてきたが、両者間の
反応機構が異なるため、その殆どの試みは失敗に終わっ
た。
【0004】近年、石炭の水添ガス化反応過程の基礎的
な解析が進み、初期の熱分解過程がその後の水素化2次
分解に大きな影響を及ぼすことが明らかになり、石炭は
微粉状に粉砕して反応温度で水素と混合すると、短時間
で分解反応は完了することが判明した。また、水素化2
次分解は比較的緩やかに進行するので、石炭からガスへ
の転換を終えた後、その反応生成物を反応温度に長く滞
在させれば、メタンへの転換率及び選択率が向上するこ
とが分かった。これらの知見を基に、図1に示す構造の
反応器が提案され、さらに研究開発が進められている。
この反応器は微粉にした石炭を反応器上部で高速の水素
の流れにより分散させて急速熱分解を行わせ、その後、
反応生成物を反応器内を循環する流れに乗せて水素化2
次分解を行わせるものである。
【0005】水添ガス化プロセスでは、原料石炭と水素
の保有エネルギー(内部エネルギー)は反応後に生成ガ
スの保有エネルギーと反応熱に分配される。その反応熱
の一部は反応器壁から放散されて失われ、残りは生成ガ
スを加熱して、ガスの顕熱となって反応器から流出する
ことになる。得られる生成ガスの温度は、反応熱と反応
器壁からの放熱とガスの熱容量に応じて決まり、生成ガ
ス温度と反応器が原料を受け入れるときの反応温度が等
しくなって、反応器は熱的に安定状態となる。したがっ
て、反応熱はプロセスの熱損失を構成し、反応熱が低い
ほど計算上はプロセスの熱効率は高くなるが、生成ガス
温度が反応温度より低下して、反応温度を維持できなく
なる。図1に示す反応器は、リフト管を内設する二重管
構造からなり、石炭と水素はリフト管の中心部を下降す
る方向に吹き込まれる。リフト管は反応を終えた高温生
成ガスをリフト管上部に循環する役割を果たし、吹き込
まれる石炭と水素には高温生成ガスの顕熱が付与されて
熱分解が起こるものである。しかし、生成ガスを内部循
環しても反応温度を維持できない場合が想定されるの
で、水素の一部を酸素で燃焼させて石炭と混合する方式
が採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、石炭を水素
でガス化する水添ガス化法は、小さな発熱過程で都市ガ
スや発電燃料として既存の利用体系でクリーンに使用で
きるメタンを製造できるから、その早急な実現化が求め
られているが、解決すべき主な課題が二つある。その第
一の課題は、より簡素化した原理に基づいて反応器の熱
的自立を確立させることである。石炭の水添ガス化反応
は、弱い発熱反応であるため反応温度を維持する工夫が
必要である。従来より、高温の生成ガスを石炭・水素の
供給部に再循環させる反応器構造を採用し、さらに供給
水素に酸素を混入して水素を部分的に燃焼し、反応温度
の維持が図られているが、この方法では、反応器の構造
が複雑化すること及び酸素の添加はプロセスの操業安定
性や熱効率の低下を招来させることから、これに代わる
熱補給手段を講じて、熱的自立の確立を図る必要があ
る。第二の課題は、プロセスの経済性を高める反応加速
方法の確立である。水添ガス化では、ガス価格の60%を
プラント建設費が占めると試算され、反応器を小型化し
てプラントコストを削減する必要性が指摘されている。
これを実現するには石炭・水素間の反応速度を向上させ
る必要があり、現在900〜1000℃、7MPaで操業可能な反
応器が開発中である。ところが、これ以上の高温、高圧
化で反応させるには、高価な耐熱材料の使用や反応器の
肉厚化が不可欠となり、プラント建設費を増加させると
推測され、温度圧力面からの改善は限界に達している。
このため、高温高圧化条件以外の方法で反応を促進させ
る方法の確立が求められる。
【0007】一般に、石炭が水添ガス化反応器に供給さ
れると、最初に固体石炭の熱容量に室温から反応温度ま
での上昇分を乗じた熱(石炭の顕熱)が吸収され、続い
て熱分解反応に必要な反応熱が吸収される。そこで、断
熱的な条件下では石炭の顕熱と熱分解の所要熱により反
応温度が低下する。その後、熱分解生成物の二次的な水
素化過程(発熱反応)が起こり、それに伴って反応温度
は上昇する。この反応中の石炭と周囲の雰囲気ガスとの
間の熱移動及び物質移動現象の詳細については未だ解明
されていない。しかし、石炭を反応器内に供給した直後
に起きる吸熱反応により反応温度が低下し、そのことが
水素化2次分解の進行を遅らせ、最終的に水添ガス化反
応全体の達成率が低下する連鎖的な現象を生じているこ
とは、過去に蓄積されたデータから明らかにされてい
る。そこで、反応器に酸素を供給して水素の一部を燃焼
させて、この連鎖現象を抑えているが、酸素の添加は必
然的に熱効率の低下を招くという問題があるため、酸素
添加以外の方法で反応熱の不足を補う方策が求められ
る。
【0008】現在、内部循環型の反応器には、リフト管
の設置等が試みられているが、800〜1050℃という高温
の水素雰囲気下において使用可能な材料の選択や機械的
強度を保持できる支持構造については、将来のスケール
アップを考慮すれば大きな問題である。また、反応器内
は反応条件の変動等によって炭素の析出が予想され、特
に反応器の構造や内部ガス流が複雑な場合には、炭素の
析出によるプロセスへの悪影響が懸念される。
【0009】本発明は、従来の技術における上記した実
状に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目
的は、石炭の水添分解反応と炭化水素系ポリマーの分解
反応とを組み合わせることにより、生成ガスの循環や酸
素添加を行うことなく所望の反応温度を維持して、簡素
で小型の反応器を用いて分解反応を促進させるとともに
良好な分解反応率を達成し、高濃度の炭化水素系燃料ガ
スを高効率で製造できる水添ガス化方法を提供すること
にある。また、本発明の他の目的は、廃棄炭化水素系ポ
リマーの分解を石炭の水添分解反応に適用することによ
り、反応熱の効率的利用を図るとともに、廃棄処理の困
難な炭化水素系ポリマーを良好な燃料ガスとして有効利
用できる水添ガス化方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、石炭等の
水添ガス化プロセスにおける前記した課題を解決すべく
鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明における石炭及び炭化水素系ポリマーの
水添ガス化方法は、微粉砕した石炭及び炭化水素系ポリ
マーを混合した後、得られた原料混合物と水素を水添ガ
ス化反応器に導入し、高温加圧条件下に水素化熱分解反
応させて炭化水素混合ガスに転換させることを特徴とす
る。また、本発明における他の石炭及び炭化水素系ポリ
マーの水添ガス化方法は、微粉砕した石炭及び炭化水素
系ポリマーを混合した後、得られた原料混合物と水素を
水添ガス化反応器に導入し、高温加圧条件下に水素化熱
分解反応させて炭化水素混合ガスに転換させ、前記ガス
化反応器で生成する水素と発生したチャーを酸素で部分
酸化させて得られる水素とを前記水添ガス化反応器に供
給することを特徴とする。
【0011】本発明の上記水添ガス化方法においては、
原料混合物が、石炭中に含まれる炭素量に対し、10
〜120重量%の炭化水素系ポリマー量を含むものであ
ることが好ましい。また、得られる炭化水素混合ガスと
しては、メタンを主成分とする低級炭化水素留分とベン
ゼン、トルエン、キシレンを主成分とする芳香族炭化水
素留分であることが好ましい。さらに、その高温加圧条
件としては、700〜1200℃及び2〜10MPaの
範囲であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、本発明者らは、前記した課題の解消に向け
て、実用的な反応条件下における水添ガス化反応につい
て検討し、以下の反応過程を明らかにした。すなわち、
石炭単独では、石炭が所定の反応温度、圧力条件に設定
され、水素で満たされた水添ガス化反応器に供給される
と、まず熱分解されて、ガス、揮発分及びチャーを生成
し、さらに各生成物は水素と反応してメタンを主とする
最終生成物に転換する。初期の熱分解反応は数秒以内に
終了するが、吸熱過程であるからこの間に急激な温度低
下が起こる。これに続く2次分解過程は発熱を伴うた
め、温度は反転して上昇する。一方、ポリエチレン等の
プラスチック類単独の場合には、石炭単独の場合と比較
して熱分解段階の吸熱現象は穏やかであるが、その後の
2次分解過程の発熱が激しい。これらの基礎研究の成果
を基に、水添ガス化反応過程の特徴としては(1)石炭
の水添ガス化の進行において、反応ガスである水素の顕
熱が石炭に分配、伝達される過程が反応の進行を全体に
わたり支配していること、(2)プラスチックの水添ガ
ス化では熱分解が進行するある誘導期間を経た後、急激
な2次分解が生じること、(3)プラスチック類の中に
は、第1段階の熱分解における吸熱が水素雰囲気下では
殆ど観測できない程度に小さく、続く2次分解の発熱が
急激で大きいものが存在すること、の三点を確認した。
【0013】次に、上記(3)の性質を有するプラスチ
ックを石炭に混合して水添ガス化試験を行ったところ、
両者の熱分解、熱分解生成物の水素化2次分解が急激に
進行して、目的とする反応率が短時間内で達成された。
このことから、プラスチックの水添ガス化は発熱反応で
あるため、石炭の水添ガス化にこの発熱反応を共存させ
ると石炭のガス化反応温度を低下させることなく、一定
の反応温度を保持し得ると予想される。そこで、本発明
では石炭とプラスチックの混合という複合化を計ること
により、生成ガスの循環や酸素添加を行うことなく反応
温度を維持し、反応器の簡素化、小型化を達成しようと
するものである。
【0014】石炭を水素の存在下で熱分解ガス化する
際、その反応過程は原料の化学的性質に影響されるもの
であり、例えば、同じ石炭であっても炭種毎に生成ガス
組成や生成物の収率が異なることが確認されている。ま
た、本発明者らは、原料を石炭からプラスチック等の他
の有機物質に代える反応の初期過程が顕著に変化するこ
とを確認した。特に、脂肪族系の高分子物質では反応初
期の熱分解による吸熱現象が小さく、続いて起こる水素
化分解の発熱は大きいことを見出した。図2には、石炭
及びポリエチレンを所定の反応温度、圧力条件に設定さ
れ、水素で満たされた反応器中で水添ガス化した時のそ
れぞれの反応器内温度の経時変化を比較して示す。石炭
が反応器内に吹き込まれると温度が直ちに低下し、3〜
5秒後には反転して急上昇した後、緩やかに反応器の外
熱温度に戻る。図2で80秒後に見られる温度低下ピーク
は、生成ガスを排気する際、装置内の低温部分に滞留し
ていた水素が反応器内を通過して生じたものである。一
方、ポリエチレンでは、反応器内に噴射した後1秒前後
から急激な発熱反応が始まり、その後反応器の外熱温度
に向かって徐々に温度が低下する。このように反応器内
に噴射した直後の反応は、石炭では吸熱であるのに対
し、ポリエチレンでは発熱であるという相反する熱的過
程を辿ることになる。
【0015】そこで、本発明では、反応器に噴射する原
料として石炭とポリエチレン(PE)等の炭化水素系ポ
リマーを混合して用いれば、炭化水素系ポリマーが水添
ガス化するときの反応熱が石炭に伝えられ、石炭の熱分
解が促進されて高い反応達成率を実現できると着想し、
石炭と炭化水素系ポリマーの混合物を高温加圧下の水添
ガス化反応器に導入した試験を行った結果、短時間で水
素化分解反応が起こり炭化水素混合ガスを主成分とする
生成物が得られた。図3には、石炭単独(□印)、PE
単独(△印)、両者の混合物(○印、供給重量比1:
1)を、それぞれ800℃、70気圧で水添ガス化反応
させた際に反応の経過に連れて得られるメタン生成量の
変化を逐次調べ、反応時間の対数値を横軸に、試料1g
当たりのメタン生成量を縦軸にしてプロットした結果を
示す。なお、波線は、石炭単独とPE単独とで得られる
メタン量を計算により求めた平均生成値を示したもので
ある。
【0016】これらの一連の試験では、石炭単独時の水
素/石炭比は0.3g/gになるように供給比を選び、ポ
リエチレン単独及び石炭とポリエチレンの混合物でも無
灰基準で同じ重量比になるように試料供給量を決めた。
この石炭単独時の水素/石炭の供給比0.3g/gは、水
添ガス化プロセスを実用化する際に想定される供給比で
ある。石炭からのメタン生成量は、反応時間1秒後で1
90ml/g、80秒後には650ml/gで時間の経過と共
に増加する。一方、ポリエチレン単独では、初期に2秒
間程度の誘導期間を経た後、急激にメタン生成量が増加
する。1秒後のメタン生成量は120ml/gで、80秒
後には1390ml/gに達した。なお、 石炭とポリエチ
レンの間に混合効果は無く、混合試料のメタン生成量が
両者の相加平均値になると仮定すれば、図3に点線で示
す生成量変化を辿ることが予想される。
【0017】ところが、混合試料を用いた反応では、メ
タン生成量の実測値は、図3の点線で予想される計算値
とはかなり異なる傾向を示した。特に反応時間に着目す
ると、5秒以内にメタン生成量は顕著に増加し、なかで
も反応時間2秒以内で相加平均値の約3倍量が生成し
た。一方、反応時間が5〜80秒では、点線の相加平均
値より約120ml/g大きい値を保って、メタン生成量
は推移した。すなわち、原料を混合したことによって短
時間側でメタンの生成反応が加速されたことが明らかで
あり、2秒以内の短時間で実用的なプロセスに要求され
る反応率が達成されるものと推測される。
【0018】石炭と炭化水素系ポリマーを混合し原料を
複合化させると分解反応が加速するのは、炭化水素系ポ
リマーが水添ガス化する際に発生する反応熱が石炭の熱
分解に与えられて吸熱反応が進行すると共に、これに続
く水素化反応がより高温で開始された結果であると想定
される。図3から分かるように、石炭とポリエチレンを
それぞれ単独で水素と反応させた場合のメタン生成量
は、2秒以内では殆ど変化は見られないが、両者を混合
して用いると、2秒以内でメタン生成量が約3倍にまで
向上する。この生成量の増加は、単に石炭の熱分解が促
進されたことのみでは説明できず、ポリエチレンの水添
ガス化反応も複合化により加速されたものと推定され
る。また、石炭のガス化残渣として得られるチャーをポ
リエチレンに混合して確認のための水添ガス化を行っ
た。このチャーをポリエチレンに添加するとメタン生成
量が増加するので、チャーはポリエチレンの水添ガス化
に触媒活性を有すると思われる。すなわち、石炭はポリ
エチレンの水添ガス化時の反応熱が付与されて熱分解反
応の進行度が深められ、生成チャーの触媒効果によりポ
リエチレンは水添ガス化反応が進行するという相互作用
が働き、0〜2秒間でメタン生成量が約3倍に増加して
いることが判った。
【0019】本発明は、上述した原料の複合化による反
応加速効果を利用する水添ガス化法であり、その水添ガ
ス化プロセスは、石炭と炭化水素系ポリマーの混合物と
水素を、酸素を添加することなく、高温加圧下に水添ガ
ス化反応させてメタンを主成分とする燃料ガスを得る水
添ガス化段階工程を不可欠とするものである。また、そ
の水添ガス化段階とこの段階で生じた未反応残渣のチャ
ーを酸素で部分酸化して水素を製造するチャーガス化段
階と、その水素を水添ガス化段階の水素源として循環さ
せる工程から構成される。この場合、水添ガス化段階の
反応達成率は、この段階でメタンの生成等に消費される
水素に見合うだけのチャー量とバランスさせなければな
らない。本発明のプロセスでは、水添ガス化工程に酸素
を添加しないため、反応器内の温度低下がなく、一定の
反応温度を保持でき、原料混合物の分解反応を促進させ
ることが可能となるのである。
【0020】図3に見るように、混合試料からガスへの
炭素転換率は1秒後では77.05%、2秒後では8
1.2%に達し、プロセスを構成するには1秒後でもチ
ャーが不足する状態にある。そこで、実際の操業では1
秒以内の反応時間に水添ガス化反応器を構成できること
から、従来5〜10秒の反応時間で設計されていたこと
と比較すると反応器を小型化する上で、石炭と炭化水素
系ポリマーを混合して燃料ガスを得る原料の複合化は極
めて有効な手段である。
【0021】本発明の水添ガス化法において、原料の石
炭としては、炭素含有率70〜80%dafの褐炭、亜瀝
青炭、瀝青炭等が使用できる。瀝青炭は、生じるチャー
と水素との反応性が低いため、瀝青炭単独で水添ガス化
するとチャーが余剰になってその処分が問題となる。と
ころが、瀝青炭に炭化水素系ポリマーを混合すると水添
ガス化段階の反応が過剰に進行でき、また、亜瀝青炭で
は部分酸化過程に多量の石炭を補充すれば、十分に利用
可能である。このように、本発明では従来使用できなか
った炭種も水添ガス化プロセスの原料として供給できる
から、使用できる炭種の幅を拡大できるという利点を有
する。
【0022】また、炭化水素系ポリマー原料としては、
水添ガス化する際に石炭のような吸熱現象を示すことな
く速やかに発熱反応過程に移行できる固体状の炭化水素
系ポリマー製品からなるものであれば、それらの廃棄物
も使用可能であって、メタンを主成分とする低級炭化水
素系燃料ガスが得られるポリエチレンやポリプロピレン
等の脂肪族系高分子化合物が望ましく、また、ベンゼン
(B)、トルエン(T)及びキシレン(X)を高収率で
得ることが要望される場合にはポリスチレン等の芳香族
系高分子化合物が使用できる。これらの炭化水素系ポリ
マーとして、廃棄されるポリエチレンやポリプロピレン
等を用いれば、廃棄物の有効利用となり、資源の節約や
が有用な処理方法となり、またコスト面からも極めて有
効である。
【0023】石炭と炭化水素系ポリマーの原料混合比
は、石炭中の炭素量に対し、炭化水素系ポリマーを10
〜120重量%の範囲で配合することが望ましい。ま
た、石炭と炭化水素系ポリマーは、微粉砕したものを水
添ガス化反応器の直前の混合機で混合して用いるが、そ
れらの粒径としては予め200メッシュ以下に微粉砕し
たものを用いることが好ましい。さらに、水添ガス化反
応器には、石炭と炭化水素系ポリマーとの混合物1kg
に対し、水素0.2〜0.6kgの割合で導入すること
が好ましい。
【0024】水添ガス化反応器を操業する条件である温
度・圧力条件としては、700〜1200℃、好ましく
は800〜1050℃の温度範囲であり、また、2〜1
0MPa、好ましくは2.5〜7.0MPaの圧力範囲
で行う。さらに、その反応時間は2秒以下、好ましくは
1秒以下で行われる。
【0025】本発明の一具体例として、石炭とポリエチ
レン(PE)の混合物を原料として行うプロセス例を、
図4のフローに従って説明する。このプロセスは、石炭
とポリエチレンを混合ガス化してメタン及びBTXに転
換し、副生するチャーは酸素でガス化した後、シフト転
換して水素を合成し、水添ガス化反応器に循環する方式
である。
【0026】予め微粉砕した石炭(1)とポリエチレン
(2)を各々のホッパーから切り出して混合器(11)
に供給する。ポリエチレンが水添ガス化するときの反応
熱が石炭に良好に移動するように、またチャー表面の触
媒効果によりポリエチレンが良く水添ガス化されるよう
に、石炭とポリエチレンを水添ガス化反応器の直前で良
く混合し、輸送中に一方の成分が偏析して濃度分布を生
じないようにしておくことが望ましい。
【0027】次に、石炭とポリエチレンの混合物は、混
合器(11)から水素(4)とともに水添ガス化反応器
(12)に噴射して反応させる。既に説明した反応促進
効果によりガス化は2秒以内に目的とする転換率まで進
行するので、反応器の容積は従来法(反応時間:7〜10
秒)より小型のもので十分であり、また従来法のように
反応器内にガスを循環させるパイプ等の構造を設置する
必要もない。その反応器(12)には、ガスと石炭の滞
在時間を2秒程度とする管型の単純な反応器を用いる。
【0028】水添ガス化反応器(12)から流出するガ
スは、脱塵器(13)を通り、冷却塔(14)で冷却す
るガス精製過程を経て、塔下部からBTX留分を回収す
る。その後、ガス留分はシフト反応器(15)に導入さ
れて水素に転換され、次いで脱炭酸塔(16)で炭酸ガ
スを回収し、脱硫等を十分に施した上で、深冷分離器
(17)においてメタン及びエタンを製品ガスとして回
収する。水素は生成ガスより分離して水添ガス化反応器
(12)に循環する。また、メタン、エタン及び水素を
除いた残余ガスは、プロセスヒートやプロセススチーム
生産用の燃料として利用する。さらに、水添ガス化反応
器から排出されるチャー(3)は、チャーガス化炉(1
8)に送って酸素で部分酸化させて一酸化炭素及び水素
を合成し、次にシフト転換器で一酸化炭素を水素に転換
した後、前記の循環水素と合わせて、水添ガス化反応器
に導入する。なお、メタンをより多量に生産するには、
ガス精製後のガスをNi等を触媒とするメタン合成過程に
送り、CO+3H→CH+HOで示すメタン化反応
により残留する一酸化炭素をメタンに変えて回収するこ
とも可能である。
【0029】本発明の内容をより良く理解されるよう
に、図5には、石炭とポリエチレンの混合物を用いた他
の一例のプロセスにより、実験データ(800℃、7.1MP
a、反応時間2秒)を基にして、物質収支を試算して例示
した。このプロセスでは、水素製造用の部分酸化炉に石
炭を供給して、必要な水素を補充する方式とした。図5
に示す例では、ポリエチレンが原料全体に占める割合は
36.7%である。生成ガス全体の発熱量を供給した石
炭とポリエチレンの熱量で除した熱効率は86.2%で
ある。製品ガスであるメタンとエタンの製造に限定する
と77.9%、BTXの製造に関しては5.2%で、両者を
合計した熱効率は83.1%に達する。これに対し、石
炭単独でガス化する場合は、メタンとエタンに限った場
合の効率は70%程度であるから、燃料を複合化するこ
とにより効率の良いプロセスの構成が可能になった。ま
た、本例では、製品ガス中のエタン濃度は14.4%
で、ガスの発熱量は10526kcal/m3 となり、現
在、我国で供用されている都市ガスの規格値に近い高発
熱量を達成しており、僅かな調整で都市ガスとして利用
可能である。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、石炭に炭化水素系ポリ
マーを混合した原料を用いたから、石炭を水添ガス化す
る際の反応時間を短縮し、これにより反応器を小型化か
つ簡素化でき、プラント建設費を圧縮し、操業の安定化
に寄与するものである。本発明は、炭化水素系ポリマー
の水添ガス化時に発生する反応熱を用いて石炭の熱分解
を促進できるので、水添ガス化反応器を内部循環型にす
る必要が無くなり、酸素製造設備や酸素による水素燃焼
機構を削減できる利点がある。また、本発明では、反応
熱の有効利用により反応時間を短縮できるから、反応器
構造を簡素化、小型化できる。
【0031】原料の炭化水素系ポリマーは、従来廃棄物
として扱われているポリエチレン、ポリプロピレン及び
ポリスチレン製品等であり、本発明は、これら廃棄プラ
スチック類の有効利用を計ることができ、資源の節約や
環境保全に大きく貢献できる。また、得られる燃料ガス
は、メタンの生成量を増大できるばかりでなく、生成ガ
ス中にはメタンが高濃度になるから、反応器1基当りの
生産性が向上し、またメタンを深冷分離する動力費等を
削減できる。また、本発明で得られる燃料ガスは、飽和
炭化水素系ガスを高濃度で含む高発熱量のものであるか
ら、僅かな調整により都市ガスとして供給可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の石炭ガス化に用いられる反応器の断面
構成図である。
【図2】 石炭及びポリエチレンをそれぞれ水添ガス化
させた際の反応器内温度の経時変化を示すグラフであ
る。
【図3】 石炭単独(□印)、PE単独(△印)、両者
の混合物(○印)を用いて、それぞれ水添ガス化反応さ
せて得られるメタン生成量の変化を示すグラフである。
【図4】 本発明の石炭とPEの混合物を原料として用
いたガス化プロセスのフローの一例を示す概略構成図で
ある。
【図5】 本発明の石炭とPEの混合物を原料として用
いたガス化プロセスの他のフローの一例を示す概略構成
図である。
【符号の説明】
1・・・石炭 2・・・ポリエチレン 3・・・チャー 4・・・水素 5・・・メタン 6・・・BTX 7・・・水蒸気 8・・・二酸化炭素 9・・・酸素 10・・・灰 11・・・混合機 12・・・水添ガス化反応器 13・・・脱塵器 14・・・冷却器 15・・・シフト反応器 16・・・脱炭酸塔 17・・・深冷分離器 18・・・チャーガス化炉(部分酸化炉)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10G 1/10 C10L 3/00 ZABA Fターム(参考) 4H006 AA02 AC91 BC10 BC11 BE20 4H029 CA13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粉砕した石炭及び炭化水素系ポリマー
    を混合した後、得られた原料混合物と水素を水添ガス化
    反応器に導入し、高温加圧条件下に水素化熱分解反応さ
    せて炭化水素混合ガスに転換させることを特徴とする石
    炭及び炭化水素系ポリマーの水添ガス化方法。
  2. 【請求項2】 微粉砕した石炭及び炭化水素系ポリマー
    を混合した後、得られた原料混合物と水素を水添ガス化
    反応器に導入し、高温加圧条件下に水素化熱分解反応さ
    せて炭化水素混合ガスに転換させ、前記ガス化反応器で
    生成する水素と発生したチャーを酸素で部分酸化させて
    得られる水素とを前記水添ガス化反応器に供給すること
    を特徴とする石炭及び炭化水素系ポリマーの水添ガス化
    方法。
  3. 【請求項3】 原料混合物が、石炭中に含まれる炭素量
    に対し、10〜120重量%の炭化水素系ポリマー量を
    含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の石炭及び炭化水素系ポリマーの水添ガス化方法。
  4. 【請求項4】 炭化水素混合ガスが、メタンを主成分と
    する低級炭化水素留分とベンゼン、トルエン、キシレン
    を主成分とする芳香族炭化水素留分であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の石炭及び炭化
    水素系ポリマーの水添ガス化方法。
  5. 【請求項5】 高温加圧条件が、700〜1200℃及
    び2〜10MPaの範囲であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の石炭及び炭化水素系ポリマーの水添ガ
    ス化方法。
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