JP2002356389A - 高熱伝導性基板及びその製造方法 - Google Patents

高熱伝導性基板及びその製造方法

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JP2002356389A
JP2002356389A JP2001166390A JP2001166390A JP2002356389A JP 2002356389 A JP2002356389 A JP 2002356389A JP 2001166390 A JP2001166390 A JP 2001166390A JP 2001166390 A JP2001166390 A JP 2001166390A JP 2002356389 A JP2002356389 A JP 2002356389A
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Masanobu Azuma
正信 東
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基体として絶縁体であるセラミックからなる
基体を用い、その上面に素子を載置するためのダイヤモ
ンド膜が形成されたヒートシンクとして使用できる高熱
伝導性基板であって、放熱特性に優れ、安定に使用で
き、更に切断等の加工を行なった場合にダイヤモンド膜
が破損し難い高熱伝導性基板を提供する。 【解決手段】 基体として、熱伝導率の高い窒化アルミ
ニウムを主成分とするセラミックからなる基体を用い、
該基体上に珪素等の基体およびダイヤモンド膜の両方に
対して良好な接着性を有する材料からなる接着部材層
し、その上にダイヤモンド膜を形成することにより基体
とダイヤモンド膜の密着性の向上を図ると共に、ダイヤ
モンド膜を形成する前にニッケル等のその材質上ではダ
イヤモンド膜が形成され難い材質を用いて上記接着部材
層を仕切って分割してダイヤモンド層を形成し、複数の
ダイヤモンド膜が接着部材層を介して基体に接合された
積層体からなる高熱伝導性基板を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発熱源から発生す
る熱エネルギーを放熱するためのヒートシンクとして好
適に使用できる高熱伝導性基板に関する。詳しくは、窒
化アルミニウム基体にダイヤモンド膜が積層された構造
を有する高熱伝導性基板に関する。
【0002】
【従来の技術】情報密度の巨大化とともに電子部品の処
理能力は著しい向上を遂げている。そのため、各々の部
品からは多量の熱が発生しているのが現状である。これ
らの電子部品を安定的に動作させるためには一定温度に
保つことが好ましく、その冷却のために様々な工夫が成
されている。通常、高温となる電子部品はヒートシンク
と呼ばれる“熱を吸収できる材料、構成部品あるいはシ
ステムを熱的に保護するためにそのような材料を使用し
ている装置”上にマウントされ用いられるのが一般的で
ある。
【0003】ヒートシンク材料として早くから実用化さ
れている材料としてはCu、Cu−W合金等の熱伝導性
の良い金属、金属合金、或いはSiC、AlN等の半導
体性或いは絶縁性の高熱伝導性セラミックス材料が挙げ
られるが、電子部品の性能の向上に伴う発熱をこのよう
な材料のみからなるヒートシンクを用いて冷却するには
限界があることが分かり、放熱特性向上のための新たな
ヒートシンク材料として既存物質中で最高の熱伝導率
(約2000W/mK)を有するダイヤモンドを用いた
ものが開発されている。このようなヒートシンクで一般
的なものとしては、ステムと呼ばれる銅などで構成され
た基体上に所謂サブマウントとして板状又は膜状の単結
晶ダイヤモンドをロウ付けしたものがあるが、該ヒート
シンクにおいては、単結晶ダイヤモンドは非常に高価で
あるために大な形状のものを用いることができず、また
上記ロウ材が熱伝導に対する抵抗になるといった理由か
ら、その放熱効率は必ずしも満足の行くものではなかっ
た。そこで、基体上に多結晶ダイヤモンド膜を気相合成
法により形成することが試みられており、このような方
法で製造された上記のような問題がないヒートシンクと
して、半導体素子を載置するための載置面を有し、該載
置面が気相合成ダイヤモンド層で覆われた放熱部品が提
案されている(特開平5−13843号公報)。該放熱
部品は、半導体レーザー素子の発熱による特性劣化を抑
制するためのもので、基体(ステム)上にマイクロ波プ
ラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により
10〜500μmの厚さの多結晶ダイヤモンド層を直接
形成している。該放熱部品は小型化することによりサブ
マウントとして使用することも可能と思われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記放熱部
品のようなヒートシンクにおいては多結晶ダイヤモンド
膜を形成する基体の材料は用途によって最適なものが異
なるが、素子を載置する部分にのみ多結晶ダイヤモンド
層を形成し、ステムの素子載置面以外の部分に回路を形
成するような場合には、絶縁膜を新たに形成する必要が
ないという理由からセラミックのような絶縁体材料、特
に放熱効率を低下させない、換言すればヒートシンク全
体の熱導伝性を高く保つために熱伝導率の高い窒化アル
ミニウム(AlN)焼結体のような絶縁体材料を用いる
ことが望ましい。なお、ステムに金属を使用した場合に
も、SiO等の絶縁膜を蒸着等の方法により膜付けす
ることにより上記のような回路を形成することが可能だ
が、この様な絶縁膜には耐電圧特性等の信頼性に問題が
あることが多い。
【0005】このように、窒化アルミニウム(AlN)
焼結体からなる基体上に多結晶ダイヤモンド層を積層し
たヒートシンクの有用性は非常に高い。しかしながら、
気相合成法により窒化アルミニウム(AlN)焼結体か
らなる基体上に高品質の多結晶ダイヤモンド層を形成す
るのは困難であり、実用的な視点では高い熱伝導率を有
する多結晶ダイヤモンド層をAlN基体上に形成したヒ
ートシンクは知られていない。例えば上記特開平5−1
3843号公報には、ステム材料として、Cu、Cu−
W合金、Cu−Mo合金、Cu−W−Mo合金、W、M
o、SiC焼結体、Si焼結体、AlN焼結体等
が使用できると記載されているが、実際にAlN焼結体
からなるステム上に形成された多結晶ダイヤモンドの熱
伝導率は300(W/m・K)と極めて低いものとなっ
ている。
【0006】また、ダイヤモンド膜を積層した積層体基
板は、実際にヒートシンクとして使用する前にその用途
に応じてダイヤモンド膜を積層した後で切断等の加工を
する必要が生じる場合があるが、加工時にダイヤモンド
膜にクラックやひび割れが生じて歩留りが低くなってし
まうという問題がある。このような問題は、ダイヤモン
ド膜を基体上の所望の位置に選択的に形成することがで
きれば回避できると考えられる。即ち、基体の切断部
(切りしろ)となる部分の上にダイヤモンド膜を形成し
なければ、切断時にダイヤモンド膜に局所的な外力が加
わることがないので、ダイヤモンド膜を破損させること
なく切断することができると考えられる。基体上に所望
の形状のダイヤモンド膜を形成する従来法としては、基
体の表面にダイヤモンド膜の形成速度が遅くなるを部分
を設けて該部分でダイヤモンド膜の合成面を仕切ってか
ら気相法によりダイヤモンド膜を形成する方法が知られ
ており(特開平6−24897号公報)、このような方
法が適用できれば上記問題は解決することができると考
えられる。しかしながら、上記公報に開示されている方
法は、切断用工具等として使用するダイヤモンド膜を製
造するためのものであり、形成したダイヤモンド膜を基
体から剥離することを前提としているため基体との密着
性に関しては全く考慮されていない。また、特開平6−
116089号公報には、シリコン基板上にフォトリソ
グラフ等によりマスクパターンを形成して、非マスク部
を弗酸水溶液中で電気分解する(陽極化成法)ことでポ
ーラス化した後にSiO化してSi部分とSiO
分とに区分けをして、Si上にダイヤモンド膜を選択成
長させる方法が記載されているが、該方法では操作が煩
雑な陽極化成法を採用しなければならないばかりでなく
使用できる基板がSiに限定されており、AlN基板に
そのまま適用することはできない。
【0007】そこで、本発明は、窒化アルミニウム(A
lN)を主成分とするセラミックからなる板状の基体上
に高品質の多結晶ダイヤモンド層を形成して高熱伝導性
基板を得る方法を提供すると共に、切断等の加工を行な
っても加工時にダイヤモンド膜が破損し難い加工性に優
れる高熱伝導性基板を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、窒化アルミニ
ウムを主成分とする板状のセラミック基体上に該基体お
よびダイヤモンド膜に対して良好な接合性を有する特定
の物質からなる層を形成し、その上に気相法により多結
晶ダイヤモンド膜を形成した場合には高い熱伝導性を有
する高品位な多結晶ダイヤモンド膜を形成できるという
知見を得るに至った。そして、該知見に基づき更に検討
を行なった結果、上記セラミック基体の上面上に、所望
の形状の前記接着部材からなる層を形成し、該層上に選
択的にダイヤモンド膜を形成すれば基体と密着した任意
の形状のダイヤモンド膜を得ることができることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、窒化アルミニウムを主成
分とする板状のセラミック基体の上面に複数のダイヤモ
ンド膜が前記セラミック基体及び該ダイヤモンド膜に接
合可能な接着部材を介して接合された積層体からなるこ
とを特徴とする高熱伝導性基板である。
【0010】上記本発明の高熱伝導性基板は、絶縁特性
及び放熱特性に優れる窒化アルミニウムを主成分とする
セラミック基体を用いているため、全体としての吸熱特
性あるいは放熱特性が良好であり、それ自体ヒートシン
クとして好適に使用できる。また、ダイヤモンド膜で覆
われていない基体の表面に特に絶縁膜を形成することな
く金属などにより電子回路を描画することが可能であ
る。そして、基板上に形成されるダイヤモンド膜が予め
複数に分割されているため、その境界に沿って基材を切
断すれば切断時にダイヤモンド膜が破損することを防止
することができる。上記本発明の高熱伝導性基板の中で
も前記接着部材が珪素、炭化珪素、タングステン、炭化
タングステン、CuW、Cu−Mo合金、Cu−Mo−
W合金、非晶質炭素、窒化ホウ素、窒化炭素、及びチタ
ンからなる群より選ばれる少なくとも一種の材料で構成
されるものは、形成されたダイヤモンド膜にクラック等
が含まれることがないので放熱性が高く、また膜が剥れ
難いので取り扱い易い。また、前記接着部材が特定の結
晶面に配向した結晶性物質、特に(111)結晶面、
(220)結晶面、又は(400)結晶面に優先配向し
たドーパントを含んでいてもよい多結晶珪素からなるも
のの場合、合成した多結晶ダイヤモンド膜中の結晶粒が
大きくその結晶性も高くなるので該ダイヤモンド膜の熱
伝導率も特に高くなるという特徴を有する。さらに、前
記複数のダイヤモンド膜が互いに接触しない様に、各ダ
イヤモンド膜の間に、最小幅が積層するダイヤモンド膜
の厚み以上の間隙が形成されるような溝であって、且つ
その底面の少なくとも一部がダイヤモンド膜の成長を抑
制する材料で構成されている溝を設けたものは、加工時
にダイヤモンド膜が破損する確率がより小さく、基板の
ロスも少なくて済むという特徴を有する。
【0011】また、他の本発明は、窒化アルミニウムを
主成分とする板状のセラミック基体の上面上に、(i)該
上面全面を覆うように前記セラミック基体及びダイヤモ
ンド膜に接合可能な接着部材からなる層を形成した後、
当該層上にダイヤモンド膜の成長を抑制する材料からな
る帯状の層を、該帯状の層により表面に露出する前記接
着部材からなる層が複数に分割されるように形成する
か、(ii)前記セラミック基体の上面上にダイヤモンド膜
の成長を抑制する材料からなる帯状の層を、該帯状の層
により表面に露出する前記前記セラミック基体の面が複
数に分割されるように形成した後、当該露出したセラミ
ック基体の面上に前記接着部材からなる層を形成する
か、または(iii)前記セラミック基体の上面上に前記接
着部材からなる複数の層を各層の間に帯状の間隙を設け
て互いに接触しない様に配置する様に形成した後、該帯
状の間隙部にダイヤモンド膜の成長を抑制する材料から
なる帯状の層を形成し、次いで前記(i)乃至(iii)の何れ
かの工程で形成された接着部材からなる層の表面上にダ
イヤモンド膜を形成することを特徴とする前記本発明の
高熱伝導性基板の製造方法である。
【0012】上記本発明の製造方法によれば、本発明の
高熱伝導性基板を簡便に効率よく製造することができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の高熱伝導性基板は、窒化
アルミニウムを主成分とする板状のセラミック基体の上
面上にダイヤモンド膜層が形成された積層体からなり、
該ダイヤモンド膜上に半導体素子、抵抗、キャパシタ等
の各種素子を載置することによりヒートシンクとして使
用できる。このようなヒートシンクは、基体として絶縁
性を示すにもかかわらず高い熱伝導率をもつ材料である
窒化アルミニウムを主成分とするセラミック基体を使用
するので、ダイヤモンド膜と積層体を形成した場合にお
いてもトータルの熱伝導性が低下するのを抑制すること
ができ、また、ダイヤモンド膜を積層していない部分を
設け、該部分に金等の配線材料を蒸着することにより簡
単に配線のための回路を描くことも可能である。
【0014】本発明で使用する上記基体(以下、単にA
lN基体ともいう。)は、窒化アルミニウムを主成分と
するセラミックからなる板状体であれば特に限定され
ず、例えば窒化アルミニウム粉末に焼結助剤を添加し加
圧等により成形したのちに焼結することにより製造する
される板状体、又は多結晶を板状に加工したもの等が好
適に使用できる。板状体の形状は特に限定されないが、
加工時に切断が容易であるという観点からその厚さは5
0μm〜3cm、特に100μm〜1cmであるのが好
適である。
【0015】また、上記ダイヤモンド膜は、多結晶体あ
るいは単結晶体の何れでもよく、また天然ダイヤモンド
あるいは合成ダイヤモンドのいずれでもかまわないが、
コストおよび膜形成の容易さの観点から、気相法によっ
て合成される多結晶ダイヤモンドからなるのが好適であ
る。その面積、形状、厚さ等は、ヒートシンクとして使
用する場合における載置する素子や所望の放熱特性、製
造に要する時間やコストに応じて適宜決定すればよい
が、一般に放熱特性はダイヤモンド膜の厚さが厚い方が
高く、逆に製造に要する時間やコストは膜厚が薄いほど
低下するので、両者のバランスから膜厚は10μm〜3
00μm、得に20μm〜250μmとするのが好適で
ある。また、その熱伝導率は高ければ高い方が望ましい
が、後で詳述する本発明の製造方法を採用することによ
り、本発明の高熱伝導性基板では800W/mK以上、
得に1000W/mK以上の熱伝導率を有する多結晶ダ
イヤモンド膜を用いることができる。
【0016】本発明の高熱伝導性基板においては、上記
AlN基体とダイヤモンド膜とが両者に接合可能な接着
部材からなる層(以下、接着部材層ともいう。)を介し
て接合されていること、及びダイヤモンド膜が互いに独
立した複数のダイヤモンド膜からなることが重要であ
る。上記のような接着部材層を介在させることにより、
製造過程でダイヤモンド薄膜が剥離したり膜にクラック
が発生することなく高品質のダイヤモンド膜を形成する
ことができ、更に製造後においても使用中に加熱−冷却
といったヒートサイクルによりダイヤモンド膜が剥離し
たり破損したりするの防止することができる。また、切
断等の加工を行う場合に、切断部が各ダイヤモンド膜の
境界と一致するように予め複数のダイヤモンド膜に分割
しておくことにより、切断時にダイヤモンド膜が破損す
ることを防止することができる。
【0017】上記接着部材層はAlN基体およびダイヤ
モンド膜の両方に対して良好な接合性を有する材料から
なる層であれば特に限定されないが、両者に対する接合
強度(あるいは接着強度)が高いという観点から、珪
素、炭化珪素、タングステン、炭化タングステン、Cu
W、Cu−Mo合金、Cu−Mo−W合金、非晶質炭
素、窒化ホウ素、窒化炭素、及びチタンからなる群より
選ばれる少なくとも一種の材料で構成されるのが好適で
ある。また、前記接着部材が特定の結晶面に配向した結
晶性物質からなるものは、その上部に形成される多結晶
ダイヤモンド膜中の結晶粒が大きく結晶性も高くなるの
で該ダイヤモンド膜の熱伝導率がより高くなる。このた
め、接着性部材はこのような結晶性物質からなるのがよ
り好適である。このような結晶性物質としては、(11
1)結晶面、(220)結晶面、又は(400)結晶面
に優先配向した多結晶珪素、ホウ素、燐等のドーパント
を含む上記面に優先的に配向した多結晶珪素等が例示さ
れる。特に上記のドーパントを含む配向した多結晶珪素
は、導電性を有するため、後述するようにダイヤモンド
膜を形成する際に直流電圧を印加することができるので
特に好適である。上記接着部材層の厚みは特に限定され
ないが、接合効果、高品質のダイヤモンド膜が得られや
すいという効果、該層を形成するのに要する時間、およ
び接着部材層を設けることによる熱伝導性の低下等のバ
ランスから5nm〜3μm、特に10nm〜2μmであ
るのが好ましい。なお、充分な接合強度が得られれば、
上記接着部材層は必ずしも上層となるダイヤモンド膜の
下面の全面と密着している必要はなく、一部に密着して
いてもよい。
【0018】また、AlN基体上に形成される互いに独
立した複数のダイヤモンド膜の形状は特に限定されず、
加工したい形状に応じて適宜決定すればよい。各ダイヤ
モンド膜は、完全に独立しているのが望ましいが、加工
時に支障が無ければ一部が結合していてもよいし、接着
部材層上に形成されるダイヤモンド膜の厚さと比べて非
常に薄いダイヤモンド膜で連結されていてもよいし、さ
らに周縁が互いに接触していてもよい。但し、加工時に
ダイヤモンド膜が破損する確率がより小さく、基板のロ
スも少なくて済むという観点から、複数のダイヤモンド
膜が互いに接触しない様に、各ダイヤモンド膜の間に積
層するダイヤモンド膜の厚み以上、すなわち幅10μm
〜300μmの間隙が設けられている、別言すれば“ダ
イヤモンド膜が存在しない部分であり、下地層を底面と
する溝”がダイヤモンド膜の周縁に沿って形成されてい
るのが特に好適である。本発明の高熱伝導性基板におい
ては、後述する図1、A1およびA2に示されるように
該溝には気相法でダイヤモンド膜を形成する際にその上
面でダイヤモンドが形成されにくい、鉄、ニッケル、コ
バルト、クロム、銅、SiO、サファイア等のダイヤ
モンド膜の成長を抑制する材料からなる層(以下、ダイ
ヤモンド成長阻害層ともいう。)が形成されていてもよ
い。該ダイヤモンド成長阻害層を構成する材料として
は、その形成が容易であるという観点からスパッタリン
グ法、或いは電子ビーム蒸着法で形成可能な材料が好適
である。当該材料を例示すれば、Fe,Ni,Co,C
r,Cu,SiO,Alが挙げられる。
【0019】図1に代表的な本発明の高熱伝導性基板A
1、A2、A3、およびA4の断面図を示す。高熱伝導
性基板A1では、AlN基体100上に接着部材層11
0およびダイヤモンド成長阻害層115が同一面上に交
互に形成され、更に接着部材層110上にダイヤモンド
膜120が形成されている。また、高熱伝導性基板A2
では、AlN基体100上の全面に接着部材層110か
形成され、その上に複数のダイヤモンド成長阻害層11
5がある間隔をあけて形成されており、更に接着部材層
110の露出面上にダイヤモンド膜120が形成されて
いる。また、高熱伝導性基板A3では、AlN基体上1
00上に複数の接着部材層110が比較的大きな間隔を
あけて形成されており、その上にダイヤモンド膜120
が形成されている。また、高熱伝導性基板A4では上記
高熱伝導性基板A3における接着部材層110で覆われ
ていないAlN基体の面の一部に該接着部材層に接する
ようにダイヤモンド成長阻害層115が形成されてい
る。上記高熱伝導性基板A3およびA4においては、切
断等の加工後においてAlN基材がむき出しで露出して
いる部分に回路を形成することができる。また、高熱伝
導性基板A1、A2、及びA3におけるダイヤモンド成
長阻害層の厚さは特に限定されないがダイヤモンド成長
抑制効果および製膜に要する時間の観点から5nm〜1
00 mm、特に10nm〜50 mmであるのが好適であ
る。但し、加工時にダイヤモンド膜が破損し難いという
観点から上記A1およびA4におけるダイヤモンド成長
阻害層の厚さの上限は接着部材層の厚さにダイヤモンド
膜の厚さを加えた厚さ未満であるのが好適であり、上記
A2の場合におけるダイヤモンド成長阻害層の厚さの上
限はダイヤモンド膜の厚さ未満であるのが好適である。
【0020】本発明の高熱伝導性基板の製造方法は特に
限定されないが、簡便性および効率性の観点から、Al
N基体の上面上に、(i)該上面全面を覆うように接着部
材層を形成した後、当該接着部材層上に帯状のダイヤモ
ンド成長阻害層を、該帯状のダイヤモンド成長阻害層に
より表面に露出する前記接着部材層が複数に分割される
ように形成するか、(ii)前記セラミック基体の上面上に
帯状のダイヤモンド成長阻害層を、該帯状のダイヤモン
ド成長阻害層により表面に露出する前記前記セラミック
基体の面が複数に分割されるように形成した後、当該露
出したセラミック基体の面上に接着部材層を形成する
か、または(iii)前記セラミック基体の上面上に複数の
接着部材層を各層の間に帯状の間隙を設けて互いに接触
しない様に配置する様に形成した後、該帯状の間隙部に
帯状のダイヤモンド成長阻害層を形成し、次いで前記
(i)乃至(iii)の何れかで形成された接着部材層の表面上
にダイヤモンド膜を形成する方法(本発明の製造方法)
により製造するのが好適である。接着部材層およびダイ
ヤモンド成長阻害層の形成方法として上記(i)の方法を
採用した場合には、図1、A2に示されるような構造の
高熱伝導性基板を製造することが出来、上記(ii)又は(i
ii)の方法を採用した場合には、図1、A1又はA4に
示される構造の高熱伝導性基板を製造することが出来
る。
【0021】上記接着部材層およびダイヤモンド成長阻
害層を形成する方法としては、基体上に膜を成形する方
法として知られている公知の製膜方法の中から接着部材
層の材質に応じて適用可能な方法が制限なく採用でき
る。このような製膜方法としては、印刷法、メッキ法、
蒸着法、化学気相蒸着(CVD)法、スパッタリング
法、レーザーアブレーション法などが挙げられる。これ
らの中でも蒸着法及び化学気相蒸着法は高純度の物質を
膜厚精度よく形成可能であるため特に有効な方法であ
る。
【0022】即ち、電子ビームを用いた真空蒸着法によ
り、珪素、炭化珪素、W、WC、CuW、Cu−Mo合
金、Cu−Mo−W合金、チタン、及びBNからなる群
より選ばれる少なくとも1種の材料からなる接着部材
層、並びにFe、Ni、Co、Cr、Cu、SiO
及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種
の材料からなるダイヤモンド成長阻害層を好適に形成す
ることができる。該方法では、接着部材層を構成する物
質と同種類の物質からなる材料を真空層内のハースに入
れ、この材料に電子ビームを照射することにより溶融し
て蒸発させ、該真空容器内に設置した基体表面に付着
(蒸着)させることにより接着部材層の形成を行なうこ
とができる。この時、水晶振動子を用いた膜厚モニター
で蒸着物質の膜厚を測定することで正確に付着膜厚を管
理することが可能である。なお、蒸着は基体を室温とし
ても加熱して行ってもよい。膜形成後にエッチングをし
たり、膜形成時に基体にマスキングを行なったり、フォ
トリソグラフの方法を採用したりすることにより接着部
材層の形状を任意に変えることもできる。
【0023】また、接着部材層、或いは、ダイヤモンド
成長阻害層が珪素や非晶質炭素、窒化炭素、チタン、炭
化珪素、W、SiO、Alのようにガス状の原
料からCVD法により形成できる場合には、CVD法が
好適に採用できる。化学気相蒸着法による接着部材層の
形成は、平行平板型プラズマCVD装置を用いて好適に
行なうことができる。この方法では、真空排気した反応
容器内にSiH等の原料ガスを必要に応じて水素等の
希釈ガスにより希釈して導入し、対向する1組の平行平
板電極の片側に高周波電力を印加することにより高周波
ガスプラズマを発生して、該電極と対向する電極上に設
置した基体上に原料ガスの種類に応じて所期の材料から
なる膜状物質を形成することができる。基体は膜の成長
条件によって異なるが一般的に50℃〜500℃程度に
加熱される。また、予め、形成条件毎の製膜スピードを
測定しておくことにより、製膜時間を制御して膜厚を正
確に見積もることができる。なお、希釈ガスとしては水
素の他にヘリウム、窒素、アルゴン、キセノン、ネオ
ン、クリプトンなどの非堆積性ガスを用いることができ
る。また、膜形成後にエッチングをしたり、膜形成時に
基体にマスキングを行なったり、フォトリソグラフの方
法を採用したりすることにより接着部材層の形状を任意
に変えることもできる。
【0024】本発明の製造方法において、前記接着部材
層の形成は形成されるダイヤモンド層の剥離やひび割れ
を防止する上で重要であるばかりでなく、形成されるダ
イヤモンド膜の品質を向上させる上でも極めて重要であ
る。即ち、特定の結晶面に配向した結晶性物質で接着部
材層を形成することにより、その上に気相法により多結
晶ダイヤモンド形成する際に下地層の配向性を維持して
配向性の高い多結晶ダイヤモンド膜を成長させることが
でき、結果として結晶性の高いダイヤモンド膜を得るこ
とができる。また、導電性物質で接着部材層を形成した
場合には、該層を電極として利用し、気相法によりダイ
ヤモンド膜を形成する際に該層に直流電圧を印加するこ
とにより、ダイヤモンド形成に有効な前駆体が優先的に
該層上に堆積するようになり、結晶粒が大きく結晶性の
良好な多結晶ダイヤモンド膜を得ることができる。多結
晶ダイヤモンド膜の結晶性や結晶粒の増大は、ダイヤモ
ンド膜の熱伝導性を向上させるので、結果として放熱特
性の優れた高熱伝導性基板を得ることができる。
【0025】接着部材層を特定の結晶面に配向した結晶
性物質で形成する方法は特に限定されないが、上記CV
D法で珪素を主成分とする接着部材層を形成する場合に
は、形成条件を調整することにより珪素膜の配向性の制
御が可能であり、X線回折測定を行なった場合に(11
1)、(220)、又は(400)面に由来する回折ピ
ークが優先的に現れる(すなわち、これらの回折ピーク
強度が他の面に由来する回折ピーク強度よりも優位に強
い)多結晶珪素膜を形成することができる。例えば、
(111)面に優先的に配向した珪素膜を得る場合に
は、作製温度が高い条件で製膜を行なえばよく、(22
0)面に優先的に配向した珪素膜を得る場合には、反応
圧力が高い条件で製膜を行なえばよく、(400)面に
優先的に配向した珪素膜を得る場合には、ハロゲン化シ
ランガスと水素化シランガスとを適当な割合で混合する
という条件で製膜を行なえばよい。また、この場合に、
原料ガスにジボラン、ホスフィン等周期律表第III族或
いは第IV族元素からなるドーパントとなる元素を含有す
るガス化可能な化合物と上記のガスを混合して膜の合成
を行ない、P型、或いはN型の導電性を示す珪素膜を合
成することもできる。接着部材層をこのような珪素膜で
構成した場合には、上記配向効果および電圧印加効果の
両方の効果を得ることができる。したがって、接着部材
層としては、X線回折測定を行なった場合に(11
1)、(220)、又は(400)面が優先的に現れる
ドーパントを含む(すなわち、P型又はN型の)多結晶
珪素膜を形成するのが最も好ましい。
【0026】また、本発明の製造方法では、1つのAl
N基体上に互いに独立した複数のダイヤモンド膜を形成
するために、帯状のダイヤモンド成長阻害層を形成し、
接着部材層を複数に分割する必要がある。上記帯状のダ
イヤモンド成長阻害層上にはダイヤモンド膜が形成され
にくく、表面に露出した接着部材層上のみに選択的にダ
イヤモンド膜が形成されるので、分割された接着部材層
の形状通りに分割された複数のダイヤモンドを形成する
ことが可能となる。ダイヤモンド成長阻害層により、接
着部材層を複数に分割する方法としては、前記した(i)
〜(iii)の方法が採用できる。なお、帯状のダイヤモン
ド成長阻害層の幅は特に限定されないが、ダイヤモンド
膜は横(水平)方向にも成長し得るので厚さの均一なダ
イヤモンド膜を得るためにはダイヤモンド膜の膜厚以上
の幅であるのが好ましく、更に加工時におけるダイヤモ
ンド膜破損防止効果の高さの観点から、各ダイヤモンド
膜間の間隙幅が10μm〜300μmとなるような幅で
あるのが好適である。
【0027】本発明の製造方法では、上記の様にして形
成した接着部材層の露出した部分の上にダイヤモンド膜
を当該面の少なくとも一部を覆うように形成する。前記
したように形成するダイヤモンド膜のその面積、形状、
厚さ等は、載置する素子や所望の放熱特性、製造に要す
る時間やコストに応じて適宜決定すればよいが、ダイヤ
モンド膜の厚さは10μm〜300μm、得に20μm
〜250μmとするのが好適である。
【0028】上記ダイヤモンド膜の形成方法は特に限定
されないが、製膜が容易であるという観点から気相法に
よって製膜するのが好適である。気相法としては、化学
気相蒸着法、レーザーアブレーション法等ダイヤモンド
膜を製造可能な公知の気相法が制限無く用いられる。こ
れらの中でも化学気相蒸着法が現状の技術の中でも結晶
性の良好なダイヤモンド膜を再現良く安定的に製造する
ことが可能であるため好適である。化学気相蒸着法には
その製法により、高周波、マイクロ波、熱フィラメント
等を用いる方法に分類されるが、これらの中でもマイク
ロ波を用いた方法及び熱フィラメントを用いた方法がよ
り好ましい。以下にその製造方法について説明する。
【0029】該方法におけるダイヤモンド膜の原料とし
ては通常、メタン、アセチレン、二酸化炭素、一酸化炭
素等、炭素を含むガス化可能な物質が用いられる。これ
らの堆積性ガスは水素、酸素、窒素、アルゴン、キセノ
ン、ネオン、クリプトンなどの非堆積性ガスで希釈され
てもよい。また、ジボラン、ホスフィン等周期律表第II
I族或いは第IV族元素を含有するガス化可能な化合物と
上記のガスを混合してダイヤモンドの合成を行うことも
可能である。この様なガスを同伴させてダイヤモンド膜
の合成を行った場合、P型、或いはN型の導電型を示す
ダイヤモンド膜が合成される。ダイヤモンド膜製造時の
基体温度は特に限定されないが600℃〜1200℃、
特に、700℃〜1100℃であるのが好適である。6
00℃より低温では非晶質のカーボンを多く含むダイヤ
モンド膜が形成されるため、熱伝導性が低下し本発明の
効果を十分に発揮することができない。また、基体温度
が1200℃を超える場合には接着部材層に損傷を与え
ることがある。また、低温時の製膜と同様に、非晶質の
カーボンをダイヤモンド中に含有することがあるため好
ましくない。基体の加熱方法は上記温度範囲に設定でき
る方法であれば特に制限無く採用される。例えば、基体
を設置するホルダー中にヒーターを埋め込み加熱する方
法、高周波誘導加熱により基材を加熱する方法、或い
は、マイクロ波プラズマCVD法の場合、プラズマ形成
のために投入するマイクロ波により加熱する方法等が挙
げられる。ダイヤモンド合成のための圧力は、通常0.
1mTorr〜300Torr、特にマイクロ波プラズ
マCVD法の場合には50mTorr〜200Torr
の範囲である。また、マイクロ波プラズマCVD法の場
合、プラズマ発生電源出力は形成するダイヤモンド膜の
特性によって適宜選択されるが、通常、300W〜10
kWである。なお、膜形成後にエッチングをしたり、膜
形成時に基体にマスキングを行なったりすることにより
ダイヤモンド膜の形状を任意に変えることもできる。
【0030】以下、接着部材層が珪素からなり、ダイヤ
モンド成長阻害層がニッケルからなる、図1、A1に示
すような本発明の高熱伝導性基板を、図2に示すような
平行平板型高周波プラズマCVD装置Bおよび図3に示
すマイクロ波プラズマCVD装置Cを用いて製造する場
合を例に、本発明の製造方法について更に詳しく説明す
る。
【0031】図2に示す装置Bは接着部材層110を製
造するために好適に使用できる代表的な装置であり、例
えばSUS304などのステンレス鋼等から構成され、
真空状態に維持される反応容器201を備えており、反
応チャンバー側壁に形成された排気口203a、203
bを介して真空ポンプなどの真空源に接続されることに
より一定の真空状態に維持されるようになっている。な
お、図中205および207aはそれぞれターボ分子ポ
ンプおよび油回転ポンプであり、これらのポンプによっ
て排気することにより反応容器内を高真空にすることが
できるようになっている。また、206はメカニカルブ
ースターポンプ、207bは油回転ポンプであり、これ
らのポンプは珪素膜合成時に使用する。また、排気量を
調整するための真空バルブ204a、204bが配設さ
れている。また、該装置Bの反応容器201の内部に
は、基体213を設置するための試料台202aが配置
されている。この試料台の中には基体を加熱するための
ヒーター214が埋め込まれており、基体の温度調節が
できるような機構になっている。またこの試料台は、反
応容器201の底壁を貫通して図示しない駆動機構によ
って上下に摺動可能に構成され、位置調整可能になって
いる。なお、図示しないが試料台202aと反応容器2
01底壁との間の摺動部分には、反応容器201の真空
度を確保するために、シーリングなどのシール部材が配
設されている。一方、基板を設置する試料台202aに
対向して高周波印加電極202bが配置され、高周波発
振器212から発振された高周波を、チューニング装置
211を介して、反応容器201内へ導くことができよ
うになっている。さらに、反応容器上方には反応ガス供
給口208a、208bが配設されており、反応ガス流
量調節器209を通して反応容器内にガスを導入できる
ようになっている。反応ガスと高周波を同時に供給する
ことにより反応容器内の平行平板電極間(202a−2
02b)に高周波ガスプラズマを形成して、反応ガスを
分解することにより基体213上に珪素膜を形成するこ
とができる。
【0032】また、図3に示す装置Cはダイヤモンド膜
120を製造するために好適に使用できる代表的な装置
であり、例えばSUS304などのステンレス鋼等から
構成され、真空状態に維持される反応容器301を備え
ており、反応チャンバー側壁に形成された排気口303
a、303bを介して真空ポンプなどの真空源に接続さ
れることにより一定の真空状態に維持されるようになっ
ている。図中305および307aはそれぞれターボ分
子ポンプおよび油回転ポンプであり、これらのポンプに
よって反応容器301内を高真空排気することができ
る。また、306はメカニカルブースターポンプ、30
7bは油回転ポンプであり、これらのポンプはダイヤモ
ンド膜合成時に使用する。また、排気量を調整するため
の真空バルブ304a、304bが配設されている。該
装置Cの反応容器301の内部には、基体313を設置
するための試料台302が配置されている。この試料台
の中には基体を加熱するするためのヒーター314が埋
め込まれており、基体の温度調節ができるような機構に
なっている。また、この試料台は、反応容器301の底
壁を貫通して図示しない駆動機構によって上下に摺動可
能に構成され、位置調整可能になっている。なお、図示
しないが試料台302と反応容器301底壁との間の摺
動部分には、反応容器301の真空度を確保するため
に、シーリングなどのシール部材が配設されている。一
方、反応容器301の上方には、石英、アルミナ等の誘
電体からなるマイクロ波透過窓315が配置され、マイ
クロ波発振器312から発振されたマイクロ波を、チュ
ーニング装置311を介してマイクロ波導波管を伝播さ
せ反応容器301内へ導くことができようになってい
る。さらに、反応容器上方には反応ガス供給口308
a、308bが配設されており、反応ガス流量調節器3
09を通して反応容器内にガスを導入できるようになっ
ている。反応ガスとマイクロ波を同時に供給することに
より反応容器内の基体設置台上方にマイクロ波ガスプラ
ズマを形成して、反応ガスを分解することにより基体3
13上にダイヤモンド膜を形成することができる。この
際、接着部材層である珪素膜に電圧を印加させながらダ
イヤモンド膜の形成を行うことができる。
【0033】本発明のヒートシンクA1を製造するに
は、まず、基体213を装置B内部の基材設置部202
aにセットする。この時、格子状にパターンが形成され
た金属マスクを基体に密着させてセットして開口部分に
接着部材層が形成されるようにする。その後、反応容器
201内を真空排気し、反応容器内が5×10−6To
rr以下となるまで真空引きしたのち、反応ガス供給口
から反応ガス流量調整器により流量を調整したガスを反
応容器201内へ供給するとともに、反応容器201外
部に設けられた高周波発振器212から高周波をチュー
ナー211により反射損失を最小にして高周波印加電極
202bへ投入する。これにより、高周波ガスプラズマ
を形成して、基体213上に珪素膜を形成する。なお、
この際の反応容器内の圧力は、好ましくは0.1mTo
rr〜100Torr、より好ましくは50mTorr
〜50Torrの範囲で珪素膜が合成される。この様な
圧力とすることにより、結晶性が高く均一且つ均質な珪
素膜が効率よく形成される。本発明の製造方法におい
て、珪素膜の製造時の基体温度は特に限定されないが5
0℃〜500℃、特に、80℃〜350℃であるのが好
適である。高周波プラズマCVD法の場合、プラズマ発
生電源出力は形成する珪素膜の特性によって適宜選択さ
れるが、通常、5W〜2kWである。高周波の発振周波
数としては1MHz〜200MHzが好ましく、より好
ましくは5MHz〜150MHzとするのが望ましい。
しかしながら、これらの条件は合成に用いる装置の容量
や形状により変化するため、一義的に決定されるもので
はない。
【0034】反応容器201の中に導入する堆積性の反
応ガスとしては、通常、SiH、Si、SiH
Cl、SiHCl、SiCl、SiF、Si
、等、珪素を含むガス化可能な物質が用いられ
る。これらの堆積性ガスは水素、窒素、ヘリウム、アル
ゴン、キセノン、ネオン、クリプトン、などの非堆積性
ガスで希釈されてもよい。また、ジボラン、ホスフィン
等周期律表第III族或いは第IV族元素を含有するガス化
可能な化合物と上記のガスを混合して珪素膜の合成を行
うことも可能である。この様なガスを同伴させて珪素膜
の合成を行った場合、P型、或いはN型の導電型を示す
珪素膜が合成される。反応ガス及び希釈ガスの導入量と
しては、製造条件によって異なるが、結晶性の良い膜を
得ようとする場合、通常、総導入量としては、50cc
/分〜1000cc/分となるようにするのが好まし
い。また、反応ガスと希釈ガスとの混合比率は特に限定
されるものではないが、反応ガスに対する希釈ガスの混
合比率(希釈ガス/反応ガス)が大きいほど結晶性の高
い珪素膜が得られる傾向にある。また、作製温度、反応
圧力、原料ガス混合比率を制御することにより珪素膜の
配向を制御することも可能である。
【0035】接着部材層となる珪素膜形成後、基体を反
応容器201から取出して、電子ビーム真空蒸着装置の
基体設置ホルダーにセットする。この時、接着部材層形
成時に用いたマスクの開口部が隠れるようにする第2の
マスクを基体に密着させセットする。電子ビーム真空蒸
着装置の反応容器内を5×10−6Torr以下まで真
空引きしたのち、電子ビームを発生させてハース内のニ
ッケルへ照射し蒸着を開始する。この時、基体への付着
膜厚は水晶振動子を用いた膜厚モニターで管理する。所
定の厚みまでニッケルを形成したのち電子ビームの照射
を停止して、反応容器に大気を導入する。
【0036】次に反応容器から基体を取り出し、取り出
した基体をダイヤモンド膜を製造するための装置Cの基
体設置台302にセットして、上記同様に反応容器30
1を真空ポンプにより真空排気する。そして、上記と同
様に反応容器内の圧力を5×10−6Torr以下とし
て、反応ガス供給口から反応ガス流量調整器により流量
を調整したガスを反応容器301内へ供給するととも
に、反応容器301外部に設けられたマイクロ波電源3
12からマイクロ波をチューナー311により反射損失
を最小にしてマイクロ波導波管310を介して反応容器
301内へ投入する。これにより、マイクロ波ガスプラ
ズマを基体設置台302上方に形成して、接着部材が既
に形成された基体313上にダイヤモンド膜を形成す
る。ダイヤモンド膜を形成する際、接着部材層である珪
素膜に、成長初期から1時間程度直流電圧を印加して製
膜することが結晶性の高いダイヤモンド膜を形成するた
めに特に有効である。この時印加する電圧は、+500
V〜−500Vとするのが好適である。なお、この際の
反応容器内の圧力は、好ましくは0.1mTorr〜3
00Torrより好ましくは、50mTorr〜200
Torrの範囲でダイヤモンド膜が合成される。この様
な圧力とすることにより、結晶性が高く均一且つ均質な
ダイヤモンド膜が効率よく形成される。本発明の製造方
法において、ダイヤモンド膜の製造時の基体温度は特に
限定されないが600℃〜1200℃、特に、700℃
〜1100℃であるのが好適である。マイクロ波プラズ
マCVD法の場合、プラズマ発生電源出力は形成するダ
イヤモンド膜の特性によって適宜選択されるが、通常、
300W〜10kWである。マイクロ波の発振周波数と
しては500MHz〜5GHzが好ましく、より好まし
くは1GHz〜4GHzとするのが望ましい。しかしな
がら、これらの条件は合成に用いる装置の容量や形状に
より変化するため、一義的に決定されるものではない。
【0037】反応容器301の中に導入する反応ガスと
しては、通常、メタンガス、アセチレンガス、二酸化炭
素、一酸化炭素等、カーボンを含むガス化可能な物質が
用いられる。これらの堆積性ガスは水素、窒素、ヘリウ
ム、アルゴン、キセノン、ネオン、クリプトン、酸素な
どの非堆積性ガスで希釈されてもよい。また、ジボラ
ン、ホスフィン等周期律表第III族或いは第IV族元素を
含有するガス化可能な化合物と上記のガスを混合してダ
イヤモンドの合成を行うことも可能である。この様なガ
スを同伴させてダイヤモンド膜の合成を行った場合、P
型、或いはN型の導電型を示すダイヤモンド膜が合成さ
れる。反応ガス及び希釈ガスの導入量としては、製造条
件によって異なるが、熱伝導率の高いダイヤモンド膜を
得ようとする場合、通常、総導入量としては、50cc
/分〜6000cc/分となるようにするのが好まし
い。また、反応ガスと希釈ガスとの混合比率は特に限定
されるものではないが、反応ガスに対する希釈ガスの混
合比率(希釈ガス/反応ガス)が大きいほど結晶性の高
いダイヤモンド膜が得られる傾向にある。
【0038】
【実施例】以下に参考例、実施例を挙げて本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0039】尚、以下の各参考例、実施例及び比較例に
おいて、珪素膜は図2に示す様な構造の装置を用い、ま
たダイヤモンド膜は図3に示す様な構造の装置を用いて
形成した。また、以下の実施例及び比較例において接着
部材層、ダイヤモンド膜、及び最終的に得られた高熱伝
導性基板の評価は以下の(1)〜(4)に示す方法によ
って行った。
【0040】(1)膜厚測定 接着部材層の厚みは、予め、石英基体上に珪素又はタン
クステン膜を形成した厚みを触針式膜厚計で求めて該厚
みを製造時間で除して、まず、膜厚製造速度を求め、該
製膜速度に接着部材層を形成する際の製造時間を乗ずる
ことにより厚みを求めた。また、ダイヤモンド膜の厚み
は、走査型電子顕微鏡により断面形状を観察して求め
た。
【0041】(2)配向性 X線回折測定により珪素膜およびダイヤモンド膜の配向
性を確認した。珪素膜については(111)、(22
0)、(311)、(400)面に関するピークはそれ
ぞれ、28.4°(2θ/°)、47.3°(2θ/
°)、56.1°(2θ/°)、69.1°(2θ/
°)に現れ、ダイヤモンド膜については(111)、
(220)、(311)、(400)面に関するピーク
はそれぞれ、43.95°(2θ/°)、75.40°
(2θ/°)、91.60°(2θ/°)、119.7
°(2θ/°)に現れるため、その強度を比較すること
によって、配向性の評価を行った。
【0042】(3)結晶性 ラマン散乱分光法によって約1333cm−1に現れる
散乱波形の半値幅を求めることにより結晶性の評価を行
った。該半値幅が小さいほど結晶性が高い。
【0043】(4)熱伝導率 以下の算出式を用いて熱伝導率を計算した。 熱伝導率(W/mK)=密度(g/cm)×比熱(J
/gK)×熱拡散率(cm/s)×100(定数) ここで、密度は水中密度法により求め、熱拡散率は2次
元リング法によって非線形回帰分析により決定した。
【0044】まず、特定の接着部材層を設けることによ
りAlN基板上に高品質のダイヤモンド膜が良好な接合
強度をもって形成されることを確認した(参考例1〜6
と比較例1〜2の対比)。
【0045】参考例1 窒化アルミニウムを主成分とするセラミック基体(25
mm×25mm×0.5mmt)を高周波プラズマCV
D装置内の基体設置台へセットして、反応容器内を真空
引きすると同時に基体設置台を120℃に加熱した。基
体の温度が安定するまで約30分間保持するとともに、
反応容器内の圧力が5×10−6Torr以下となった
のを確認し、反応容器内にモノシランガスを3cc/
分、水素を100cc/分の流量で導入し、排気バルブ
を調節することによって反応容器内の圧力を1.5To
rrに設定した。次に、高周波電源から50Wの出力で
反射損失が最小となるようにチューナーでチューニング
して高周波を高周波印加電極へ供給した。得られる珪素
膜の膜厚が100nmとなるように約2000秒間高周
波電力を供給して珪素膜を基体上へ析出させた。反応終
了後、反応容器内の残留ガスを排気するとともに、基体
の温度が100℃以下となるのを確認した後、反応容器
を大気開放して珪素膜が形成された基体を高周波プラズ
マCVD装置から取出した。得られた珪素膜の配向性を
調べたところ特定の面方向に強く配向する結果は見られ
なかった。また、珪素膜が析出した基体の熱伝導率を調
べたところ、約200W/mKであった。
【0046】次に、ダイヤモンド膜を形成するために上
記基体をマイクロ波プラズマCVD装置内の基体設置台
へセットして、反応容器内を真空引きすると同時に基体
設置台を1000℃に加熱した。基体の温度が安定する
まで約1時間保持するとともに、反応容器内の圧力が5
×10−6Torr以下となったのを確認し、反応容器
内にメタンガスを12cc/分、水素を300cc/分
の流量で導入し、排気バルブを調節することによって反
応容器内の圧力を100Torrとした。次に、マイク
ロ波電源から5kWの出力で反射損失が最小となるよう
にチューナーでチューニングしてマイクロ波を石英製の
窓を通して反応容器内へ供給した。得られるダイヤモン
ド膜の膜厚が50μmとなるように約10時間マイクロ
波電力を供給してダイヤモンド膜を基体上へ析出させ
た。反応終了後、基体温度が100℃以下となったのを
確認してから、反応容器を大気開放してダイヤモンドが
形成された基体を取出した。基体上に形成されたダイヤ
モンド膜を目視により観測したところ、端部までダイヤ
モンドは付着しており、膜剥れは見られなかった。また
断面を顕微鏡で観察して、ダイヤモンド膜の厚みを観測
したところ、約50μmであることが確認された。次
に、基体上に形成されたダイヤモンドの結晶性をラマン
散乱スペクトル測定により見積もった結果、約1333
cm−1に現れるダイヤモンド構造に起因するピークの
半値幅が約8.5cm−1であることを確認した。また
ダイヤモンド層の配向性を調べたところ接着部材層と同
様に、特定の面方向に強く配向する結果は観測されなか
った。さらに得られた積層体(高熱伝導性基板)の熱伝
導率の測定を実施したところ約350W/mKであっ
た。
【0047】参考例2 合成するダイヤモンドの厚みを200μmとする以外は
すべて参考例1と同様にして高熱伝導性基板を作製し
た。基体上に形成されたダイヤモンド膜を目視により観
測したところ、端部までダイヤモンドは付着しており、
膜剥れは見られなかった。また断面を顕微鏡で観察し
て、ダイヤモンド膜の厚みを観測したところ、約200
μmであることが確認された。次に、参考例1と同様に
して基体上に形成されたダイヤモンドの結晶性を調べた
ところ、半値幅は約6.8cm−1であった。また、得
られたダイヤモンド層の配向性を調べたところ特定の面
方向に強く配向する結果は見られなかった。さらに、得
られた高熱伝導性基板の熱伝導率の測定を実施したとこ
ろ、接着部材層を積層した基体の熱伝導率は約200W
/mKであったのに対し、ダイヤモンドを付着させたも
のの熱伝導率は約720W/mKであった。
【0048】参考例3 接着部材層をWとする以外はすべて参考例1と同様にし
て高熱伝導性基板を作製した。基体上に形成されたダイ
ヤモンド膜を目視により観測したところ、端部までダイ
ヤモンドは付着しており、膜剥れは見られなかった。ま
た断面を顕微鏡で観察して、ダイヤモンド膜の厚みを観
測したところ、約50μmであることが確認された。次
に、基体上に形成されたダイヤモンドの結晶性を調べた
ところ、半値幅が約8.0cm−1であった。また、ダ
イヤモンド層の配向性を調べたところ特定の面方向に強
く配向する結果は見られなかった。さらに得られた高熱
伝導性基板の熱伝導率の測定を実施したところ、接着部
材層を積層した基体の熱伝導率は約210W/mKであ
ったのに対し、ダイヤモンドを付着させたものの熱伝導
率は約360W/mKであった。
【0049】比較例1 接着部材層を挿入しないこと以外は参考例1と同様に高
熱伝導性基板を作製した。基体上に形成されたダイヤモ
ンド膜を目視により観測したところ、基体端部近傍に膜
剥れが生じていた。
【0050】比較例2 接着部材層をニッケルに変更する以外は参考例3と同様
に高熱導電性基板を作製しようとしたが、所期の厚さの
均一なダイヤモンド膜を得ることはできなかった。
【0051】参考例4 基体設置台の加熱温度を300℃とし、高周波電源出力
を10Wとする他は実施例1と同様にして膜厚100n
mの珪素膜を基体上に析出させ、参考例1と同様にして
得られた珪素膜の配向性を調べたところ(111)配向
であった。また、珪素膜が析出した基体の熱伝導率を調
べたところ、約200W/mKであった。
【0052】次に、上記珪素膜が析出した基体を用い、
参考例1と同様にして厚さ50μmのダイヤモンド膜を
形成し、高熱伝導性基板を製造した。基体上に形成され
たダイヤモンドの結晶性を調べたところ、半値幅が約
7.9cm−1であった。また、ダイヤモンド層の配向
性を調べたところ、(111)面に起因する回折ピーク
がその他のピークより約2.5倍程度大きい結果を得
た。さらに得られた高熱伝導性基板の熱伝導率の測定を
実施したところ、約370W/mKであった。
【0053】参考例5 参考例4において、珪素膜の形成条件の中で基体加熱温
度を120℃とする以外はすべて同様にして高熱伝導性
基板を作製し、各種評価を行なった。その結果、基体上
に形成されたダイヤモンドの結晶性は半値幅で約7.7
cm−1であり、珪素膜およびダイヤモンド膜はいずれ
も(220)面に起因する回折ピークがその他のピーク
より約4倍程度大きい結果であり、珪素膜の析出した基
体および高熱伝導性基板の熱伝導率はそれぞれ200W
/mKおよび380W/mKであった。
【0054】参考例6 参考例5において接着部材層形成時にジボランを5cc
/分の流量で供給するとともに、ダイヤモンド膜形成初
期の30分間、該接着部材層に−100Vの直流電圧を
印加すること以外はすべて同様な条件で高熱伝導性基板
を作製し、各種評価を行った。その結果、基体上に形成
されたダイヤモンドの結晶性は半値幅で約7.3cm
−1であり、珪素膜およびダイヤモンド膜はいずれも
(220)面に起因する回折ピークがその他のピークよ
り約4倍程度大きい結果であり、珪素膜の析出した基体
および高熱伝導性基板の熱伝導率はそれぞれ200W/
mKおよび400W/mKであった。
【0055】実施例1 窒化アルミニウムを主成分とするセラミック基体(25
mm×25mm×0.5mmt)を高周波プラズマCV
D装置内の基体設置台へセットする際、3mm×3mm
の開口部と非開口部を格子状に交互に有する金属性のパ
ターン形成用マスクを基体に密着させた。そして、反応
容器内を真空引きすると同時に基体設置台を120℃に
加熱した。基体の温度が安定するまで約30分間保持す
るとともに、反応容器内の圧力が5×10−6Torr
以下となったのを確認し、反応容器内にモノシランガス
を3cc/分、水素を100cc/分の流量で導入し、
排気バルブを調節することによって反応容器内の圧力を
1.5Torrに設定した。次に、高周波電源から50
Wの出力で反射損失が最小となるようにチューナーでチ
ューニングして高周波を高周波印加電極へ供給した。得
られる珪素膜の膜厚が100nmとなるように約200
0秒間高周波電力を供給して珪素膜を基体上へ析出させ
た。反応終了後、反応容器内の残留ガスを排気するとと
もに、基体の温度が100℃以下となるのを確認した
後、反応容器を大気開放して珪素膜が形成された基体を
高周波プラズマCVD装置から取出した。
【0056】次に、ダイヤモンド膜を形成するために上
記基体をマイクロ波プラズマCVD装置内の基体設置台
へセットして、反応容器内を真空引きすると同時に基体
設置台を1000℃に加熱した。この時、パターン形成
用マスクはセットしなかった。基体の温度が安定するま
で約1時間保持するとともに、反応容器内の圧力が5×
10−6Torr以下となったのを確認し、反応容器内
にメタンガスを12cc/分、水素を300cc/分の
流量で導入し、排気バルブを調節することによって反応
容器内の圧力を100Torrとした。次に、マイクロ
波電源から5kWの出力で反射損失が最小となるように
チューナーでチューニングしてマイクロ波を石英製の窓
を通して反応容器内へ供給した。得られるダイヤモンド
膜の膜厚が50μmとなるように約10時間マイクロ波
電力を供給してダイヤモンド膜を基体上へ析出させた。
反応終了後、基体温度が100℃以下となったのを確認
してから、反応容器を大気開放してダイヤモンドが形成
された基体を取出した。
【0057】基体上に形成されたダイヤモンド膜を目視
により観測したところ、端部までダイヤモンドは付着し
ており、膜剥れは見られなかった。ダイヤモンド膜はパ
ターンの開口部より若干広がる領域に形成されているこ
とが認められた。さらに本実施例により作製された高熱
伝導性基板のダイヤモンド膜が形成されてない部分の裏
面にガラススクライバーを用いて切断用の溝を形成した
ところ容易に小片へ分割することができた。
【0058】実施例2 実施例1において、ダイヤモンド膜を形成する前に、前
記パターンの非開口部(即ち珪素膜で被覆されていない
部分)にニッケルを付着させること以外はすべて実施例
1と同様にして熱伝導基板を作製した。基体上に形成さ
れたダイヤモンド膜を目視により観測したところ、端部
までダイヤモンドは付着しており、膜剥れは見られなか
った。また、ダイヤモンド膜は主に接着部材層の上部に
形成されていることが認められた。本実施例により作製
された高熱伝導性基板のダイヤモンド膜が形成されてな
い部分の裏面にガラススクライバーを用いて切断用の溝
を形成したところ容易に小片へ分割することができた。
なお、ニッケル膜の形成は、パターン形成マスクを用い
てスパッタリング法により行なった。
【0059】実施例3 実施例1において珪素膜を形成する際、マスクを用いず
基体全面に接着部材層を形成した。その後、3mm×3
mmの開口部と非開口部を格子状に交互に有する金属性
のパターン形成用マスクを基体に密着させ、電子ビーム
蒸着法によりニッケルをパターン開口部に形成した。接
着部材層及びニッケルパターンが形成された基材をダイ
ヤモンド膜形成のためのマイクロ波CVD装置の中にセ
ットして、実施例1同様、50μmの厚みのダイヤモン
ド膜を形成した。基体上に形成されたダイヤモンド膜を
目視により観測したところ、端部までダイヤモンドは付
着しており、膜剥れは見られなかった。また、ダイヤモ
ンド膜は主に接着部材層の上部に形成されていることが
認められた。本実施例により作製された高熱伝導性基板
のダイヤモンド膜が形成されてない部分の裏面にガラス
スクライバーを用いて切断用の溝を形成したところ容易
に小片へ分割することができた。
【0060】比較例3 参考例1で製造した高熱伝導性基板(表側の面の全面に
ダイヤモンド膜が形成されている)の裏面にガラススク
ライバーを用いて切断用の溝を形成し、小片に分割しよ
うとしたがダイヤモンド膜にクラックが生じ良好な切断
を行うことができなかった。
【0061】
【発明の効果】本発明の高熱伝導性基板は、ダイヤモン
ド膜が形成される基体として熱伝導率の大きい窒化アル
ミニウムを主成分とするセラミック基体(AlN基体)
を用いているので放熱効率が高くヒートシンクとして好
適に使用できる。また、基体が絶縁体であるため、その
一部をダイヤモンド膜で覆い他の部分については回路を
形成することもできる。さらに、本発明の高熱伝導性基
板においては基体とダイヤモンド膜の接合性が良好であ
るため、ヒートシンクとして使用した時に加熱−冷却の
ヒートサイクルを繰り返してもダイヤモンド膜が剥離し
たりダイヤモンド膜にクラックが発生することがなく、
長期間安定して使用することができる。さらに、本発明
の高熱伝導性基板は、切断等の加工を行なった場合にも
加工時にダイヤモンド膜にクラックが発生したりして破
損し難いため加工性に優れている。また、本発明の製造
方法によれば上記本発明の高熱伝導性基板を簡便に効率
よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本図は、代表的な本発明の高熱伝導性基板の
断面図である。
【図2】 本図は、本発明の製造方法において接着部材
層となる珪素膜を製造するために好適に使用できる高周
波プラズマCVD装置の該略図である。
【図3】 本図は、本発明の製造方法においてダイヤモ
ンド膜を製造するために好適に使用できるマイクロ波C
VD装置の該略図である。
【符号の説明】
A1〜A4:高熱伝導性基板 B:高周波プラズマCVD装置 C:マイクロ波CVD装置 100:AlN基体 110:接着部材層 115:ダイヤモンド成長阻害層 120:ダイヤモンド膜 201:反応容器 202a:基体設置電極 202b:高周波印加電圧 203a:真空排気口 203b:真空排気口 204a:真空バルブ 204b:真空バルブ 205:ターボ分子ポンプ 206:メカニカルブースターポンプ 207a:油回転ポンプ 207b:油回転ポンプ 208a:ガス供給口 208b:ガス供給口 209:ガス流量調整器 211:チューナー 212:高周波電源 301:反応容器 302:試料台 303a:真空排気口 303b:真空排気口 304a:真空バルブ 304b:真空バルブ 305:ターボ分子ポンプ 306:メカニカルブースターポンプ 307a:油回転ポンプ 307b:油回転ポンプ 308a:ガス供給口 308b:ガス供給口 309:ガス流量調整器 310:マイクロ波導波管 311:チューナー 312:マイクロ波電源 313:接着部材層が形成されたAlN基体 314:ヒーター 315:石英窓
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 23/15 H01L 23/14 C 23/373 23/36 M

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウムを主成分とする板状の
    セラミック基体の上面に複数のダイヤモンド膜が前記セ
    ラミック基体及び該ダイヤモンド膜に接合可能な接着部
    材を介して接合された積層体からなることを特徴とする
    高熱伝導性基板。
  2. 【請求項2】 前記接着部材が珪素、炭化珪素、タング
    ステン、炭化タングステン、CuW、Cu−Mo合金、
    Cu−Mo−W合金、非晶質炭素、窒化ホウ素、窒化炭
    素、及びチタンからなる群より選ばれる少なくとも一種
    の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の高熱
    伝導性基板。
  3. 【請求項3】 前記接着部材が特定の結晶面に配向した
    結晶性物質からなることを特徴とする請求項1に記載の
    高熱伝導性基板。
  4. 【請求項4】 前記複数のダイヤモンド膜が互いに接触
    しない様に、各ダイヤモンド膜の間に、最小幅が積層す
    るダイヤモンド膜の厚み以上となるような溝であって且
    つその底面の少なくとも一部がダイヤモンド膜の成長を
    抑制する材料で構成されている溝が設けられていること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の高熱伝導
    性基板。
  5. 【請求項5】 窒化アルミニウムを主成分とする板状の
    セラミック基体の上面上に、(i)該上面全面を覆うよう
    に前記セラミック基体及びダイヤモンド膜に接合可能な
    接着部材からなる層を形成した後、当該層上にダイヤモ
    ンド膜の成長を抑制する材料からなる帯状の層を、該帯
    状の層により表面に露出する前記接着部材からなる層が
    複数に分割されるように形成するか、(ii)前記セラミッ
    ク基体の上面上にダイヤモンド膜の成長を抑制する材料
    からなる帯状の層を、該帯状の層により表面に露出する
    前記前記セラミック基体の面が複数に分割されるように
    形成した後、当該露出したセラミック基体の面上に前記
    接着部材からなる層を形成するか、または(iii)前記セ
    ラミック基体の上面上に前記接着部材からなる複数の層
    を各層の間に帯状の間隙を設けて互いに接触しない様に
    配置して形成した後、該帯状の間隙部にダイヤモンド膜
    の成長を抑制する材料からなる帯状の層を形成し、次い
    で前記(i)乃至(iii)の何れかの工程で形成された接着部
    材からなる層の表面上にダイヤモンド膜を形成すること
    を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の高熱伝導
    性基板の製造方法。
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