JP2002353753A6 - 信号増幅回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば光通信システムの受信部に用いられる信号増幅回路において、パルス信号の再生時に増幅回路にて増幅される信号がリミットされることを防ぎ、各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制する。
【解決手段】入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路とを有し、ピーク値とボトム値との所定分圧値を閾値とする自動閾値設定部2と、入力信号と自動閾値設定部2からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部3と、ピーク値とボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部3へ供給する利得制御部4とをそなえて構成する。
【選択図】図1
【解決手段】入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路とを有し、ピーク値とボトム値との所定分圧値を閾値とする自動閾値設定部2と、入力信号と自動閾値設定部2からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部3と、ピーク値とボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部3へ供給する利得制御部4とをそなえて構成する。
【選択図】図1
Description
(目次)
発明の属する技術分野
従来の技術(図30)
発明が解決しようとする課題(図30〜図32)
課題を解決するための手段(図1〜図4)
発明の実施の形態
・(a)第1実施形態の説明(図5〜図12,図21)
・(b)第2実施形態の説明(図13)
・(c)第3実施形態の説明(図14)
・(d)第4実施形態の説明(図15)
・(e)第5実施形態の説明(図16,図17)
・(f)第6実施形態の説明(図18,図19,図22〜図29)
・(f1)第6実施形態の変形例の説明(図20)
・(g)その他
発明の効果
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光通信システムの受信部において、パルス信号の再生時に入力オフセットにより生じるパルス幅の歪みを低減する際に用いて好適な、信号増幅回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、電気通信システム等の受信部においては、伝送時に減衰した信号の波形整形を行なうべく、微弱アナログ信号からパルス信号を再生する信号増幅回路が用いられている。この信号増幅回路においては、入力信号レベルに対して広いダイナミックレンジを有することが求められている。
【0003】
このような要求を満たす信号増幅回路としては、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として設定する自動閾値制御(ATC;Automatic Threshold Control)回路(以下ATC回路という)と、この閾値に基づいて入力信号のリミッタ増幅を行なうリミッタ増幅器とからなるATC−リミッタ増幅回路が知られている。
【0004】
ここで、図30にATC−リミッタ増幅回路からなる信号増幅回路の構成の一例を示す。この信号増幅回路100は、図30に示すように、ATC回路102とリミッタ増幅回路106とからなるATC−リミッタ増幅回路101と、ATC−リミッタ増幅回路101の後段側に他のリミッタ増幅回路107とをそなえて構成されている。
【0005】
ATC回路102は、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として設定するものであり、ピーク検出回路103,ボトム検出回路104及び分圧回路105をそなえて構成されている。ここで、ピーク検出回路103は、入力信号のピーク値を検出して「1」レベルとして出力するものであり、ボトム検出回路104は、入力信号のボトム値を検出して「0」レベルとして出力するものである。なお、これらのピーク検出回路103及びボトム検出回路104は、それぞれ図示しないダイオード,保持容量及び増幅回路から構成されている。
【0006】
また、分圧回路105は、図30に示すように、ピーク検出回路103の出力端子とボトム検出回路104の出力端子との間で直列接続された抵抗105A,105Bからなり、ピーク検出回路103からのピーク値とボトム検出回路104からのボトム値との分圧レベルを抵抗105A,105Bの抵抗分割により求め、この分圧レベルを閾値(閾値レベル)として設定するものである。通常、分圧比は1/2に設定され、閾値レベルは「1」レベルと「0」レベルとの中間値となる。
【0007】
さらに、リミッタ増幅回路106は、入力信号とATC回路102からの閾値とを入力として、閾値レベルを中心にして入力信号のリミッタ増幅を行なうことにより、入力信号の全範囲において出力振幅が一定レベルとなるようにリミッタ処理を施すものである。また、リミッタ増幅回路107は、ATC−リミッタ増幅回路101のリミッタ増幅回路106によりリミッタ増幅された信号(差動信号)を入力として、入力された信号を差動増幅するものである。
【0008】
このような構成により、図30に示す信号増幅回路100においては、信号が入力されると、ATC−リミッタ増幅回路101のATC回路102では、入力信号のピーク値及びボトム値が検出されてこれらの値の中間値が閾値として設定される。続いて、この閾値と入力信号とがリミッタ増幅回路106に入力されると、リミッタ増幅回路106では、この閾値レベルを中心にして入力信号のリミッタ増幅が行なわれ、入力信号の振幅が一定レベルにされる。
【0009】
そして、ATC−リミッタ増幅回路101のリミッタ増幅回路106によりリミッタ増幅された信号がリミッタ増幅回路107に入力されると、リミッタ増幅回路107では、この入力信号の差動増幅が行なわれる。このように、図30に示す信号増幅回路100によれば、ATC回路102が入力信号に基づいて閾値を設定しているので、信号の入力レベルが変動した場合にはそれに追従して閾値を変動させることができ、このため広いダイナミックレンジに渡って良好な出力波形を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図30に示す信号増幅回路100においては、ピーク検出回路103,ボトム検出回路104及びリミッタ増幅回路106,107はそれぞれ固有のオフセットを有しているため、ATC回路102から出力される閾値レベルはオフセット値分だけ本来の閾値レベルからずれたものとなる。
【0011】
ここで、ピーク検出回路103,ボトム検出回路104及びリミッタ増幅回路106,107のオフセット値はそれぞれ最大で数10mVあるため、各回路のオフセットが蓄積するとそのオフセット値は入力信号の振幅に対して無視できない程大きな値となる。例えば、図31(a)に示すような信号(符号S参照)が入力された場合には、ATC回路102においては、図31(b)に示すように、この入力波形Sからピーク値レベルP及びボトム値レベルBが検出され、これらの値に基づいて1/2のレベルに本来の閾値レベルが設定される(符号H参照)。
【0012】
ところが、ATC回路102においては、この閾値レベルが出力される際には、ピーク検出回路103,ボトム検出回路104に存在するオフセット値(符号OF参照)が加味されるため、閾値レベルTとして出力されることになる。従って、リミッタ増幅回路106においては、このオフセット値分だけずれた閾値レベルTを用いてリミッタ増幅が行なわれるため、図31(c)に示すように、リミッタ増幅回路106から出力される信号のパルス幅が劣化するという課題がある(符号Q,R参照)。
【0013】
なお、図32(a),(b)に、リミッタ増幅回路106から出力される信号のアイパターンを示す。リミッタ増幅回路106において、オフセットが加味されていない閾値を用いてリミッタ増幅が行なわれた場合には、出力信号のアイパターンは図32(a)に示すように正常なものとなるのに対して、オフセットが加味された閾値を用いてリミッタ増幅が行なわれた場合には、出力信号のアイパターンは図32(b)に示すように異常なものとなる。
【0014】
また、入力信号の振幅が小さい場合には、オフセット値が加味されると閾値レベルが入力信号の振幅範囲を超えてしまうこともあり、この場合には、リミッタ増幅回路106においては信号のリミッタ増幅は正常に行なわれなくなる。これらの課題に対して、信号増幅回路100においては、ATC−リミッタ増幅回路101のリミッタ増幅回路106の出力端部からフィードバックループ(オフセット補償フィードバックループ)を設けて、リミッタ増幅回路106からの出力信号の一部を用いてフィードバック制御を行なうことにより各回路が有するオフセットを補償する方法が考えられる。
【0015】
ここで、オフセット補償フィードバックループにおけるフィードバック制御としては、リミッタ増幅回路106からの出力信号のピーク値を比較しピーク値が等しくなるようにフィードバック制御を行なう方法と、この出力信号の平均値を比較し平均値が等しくなるようにフィードバック制御を行なう方法とが考えられる。
【0016】
しかし、出力信号の平均値を用いてフィードバック制御を行なう方法は、信号のマーク率に影響を受ける等の課題があることから一般的には用いることができないため、出力信号のピーク値を用いてフィードバック制御を行なう方法を用いることとなる。しかしながら、リミッタ増幅回路106からの出力信号は所定のレベル以上がリミットされて振幅情報が失われており、閾値レベルに関係なく出力信号のピーク値は一定となるため、出力信号のピーク値を用いてフィードバック制御を行なう方法を用いることができないという課題がある。
【0017】
従って、ATC回路102の利点を生かしつつ、オフセットを補償できるような信号増幅回路が必要とされている。本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、信号を増幅するための回路として自動利得制御増幅回路を用い、利得を入力信号のレベルに応じてフィードフォワード的に制御することにより全ての入力レベルにおいて増幅回路にて増幅される信号がリミットされることを防ぐことを目的とするとともに、各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制できるようにした、信号増幅回路を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図であり、この図1に示す信号増幅回路1は、自動閾値設定部2,自動利得制御増幅部3及び利得制御部4をそなえて構成されている。ここで、自動閾値設定部2は、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定するものである。
【0019】
また、自動利得制御増幅部3は、入力信号と自動閾値設定部2からの閾値とを入力として差動増幅を行なうものである。さらに、利得制御部4は、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部3へ供給するものである。
【0020】
また、信号増幅回路1は、入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路(図示省略)と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路(図示省略)とを有する。自動閾値設定部2は、ピーク値とボトム値との所定分圧値を閾値とする。利得制御部4は、ピーク値とボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部3へ供給する。
【0021】
ところで、図2も本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図であり、この図2に示す信号増幅回路5は、自動閾値設定部6,自動利得制御増幅部7,利得制御部8及びオフセット補償フィードバック部9をそなえて構成されている。ここで、自動閾値設定部6は、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定するものである。
【0022】
また、自動利得制御増幅部7は、入力信号と自動閾値設定部6からの閾値とを入力として差動増幅を行なうものである。さらに、利得制御部8は、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部7へ供給するものである。
【0023】
また、オフセット補償フィードバック部9は、自動利得制御増幅部7からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部7の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7のオフセットを補償するものである。また、信号増幅回路5は、入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路(図示省略)と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路(図示省略)とを有する。さらに、自動閾値設定部6は、ピーク値とボトム値との所定分圧値を閾値とするものでもある。利得制御部8は、ピーク値とボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部7へ供給するものである。オフセット補償フィードバック部9は、自動利得制御増幅部7からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部7の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7のオフセットを補償するようになっている。
【0024】
ところで、図3も本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図であり、この図3に示す信号増幅回路10は、自動利得制御増幅部11,利得制御部12及びオフセット補償フィードバック部13をそなえて構成されている。ここで、自動利得制御増幅部11は、入力信号と参照信号とを入力として差動増幅を行なうものである。
【0025】
また、利得制御部12は、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部11へ供給するものである。この利得制御部12は、入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路(図示省略)と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路(図示省略)とを有し、ピーク値とボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部11へ供給するものでもある。
【0026】
さらに、オフセット補償フィードバック部13は、自動利得制御増幅部11からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部11の入力側へ参照信号としてフィードバックして、自動利得制御増幅部11のオフセットを補償するものである。このオフセット補償フィードバック部13は、自動利得制御増幅部11からの出力信号の差情報を、自動利得制御増幅部11のオフセットを補償すべく、自動利得制御増幅部11の入力側へ参照信号としてフィードバックするものでもある。
【0027】
また、上記利得制御部4,8,12は、上記自動利得制御増幅部3,7,11の利得を入力振幅が小さいときには最大利得とし、入力振幅が大きくなり第1の所定値を超えると入力振幅に応じて減少させ、更に入力振幅が大きくなり第2の所定値を超えると最小利得とするように、利得制御信号を供給するようになっている。
【0028】
ここで、自動閾値設定部2,6は、それぞれ入力信号の「1」側レベルを出力する「1」側レベル出力回路と、入力信号の「0」側レベルを出力する「0」側レベル出力回路と、上記の「1」側レベル出力回路及び「0」側レベル出力回路でそれぞれ得られた入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとを分圧して、閾値レベルを生成する分圧回路とをそなえて構成することができる。
【0029】
そして、利得制御部4,8,12が、最大利得として入力振幅が最小の信号がリミットされる値を用いるように構成されてもよく、また、最小利得として自動利得制御増幅部3,7,11に振幅が最大の信号が入力された場合において、自動利得制御増幅部3,7,11において増幅される信号の値が、自動利得制御増幅部3,7,11の線形範囲を超えない値を用いてもよい。
【0030】
具体的には、「1」側レベル出力回路は入力信号のピークレベルを検出するピーク検出回路として構成されるとともに、「0」側レベル出力回路は入力信号のボトムレベルを検出するボトム検出回路として構成することができる。また、「1」側レベル出力回路を入力信号のピークレベルを検出するピーク検出回路として構成するとともに、「0」側レベル出力回路を入力信号の「0」側レベルに相当する基準レベルを発生する基準レベル発生回路として構成してもよい。
【0031】
さらに、「1」側レベル出力回路を入力信号のピークレベルを検出するピーク検出回路として構成するとともに、オフセット補償フィードバック部9,13が「0」側レベル出力回路を兼用するように構成することもできる。また、自動利得制御増幅部3,7,11における入力信号が入力される側に、遅延回路を接続してもよい。
【0032】
ここで、自動利得制御増幅部3,7,11は、具体的には、同一の負荷抵抗にトランスコンダクタンスの異なる複数の差動対を接続し、複数の差動対入力に共通に差動入力端子を接続し、当複数の差動対に流れる電流の総和をほぼ一定に保ちつつ、電流の比率を変化させることで増幅利得を制御するように構成することができる。
【0033】
また、自動利得制御部4,8,12は、具体的には、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルをそれぞれを入力とする差動増幅回路をそなえた構成としてもよく、自動利得制御部4,8,12が、レベルシフト回路と、入力信号の「1」側レベル及び「0」側レベルのいずれかをレベルシフト回路を介してそれぞれを入力とする差動増幅回路とをそなえた構成としてもよい。
【0034】
さらに、上記の利得制御部4,8,12と自動利得制御増幅部3,7,11は、利得制御部4,8,12と自動利得制御増幅部3,7,11とで決まる最小の利得Gminが入力される信号の最大レベルでも自動利得制御増幅部3,7,11の線形範囲を超えない値となるように構成してもよい。具体的には、上記の利得制御部4,8,12と自動利得制御増幅部3,7,11は、自動利得制御増幅部3,7,11の線形範囲を超えない最小の利得Gminの値として、
Gmin=Vlinear/Vinmax
Vlinear:自動利得制御増幅部出力の線形範囲
Vinmax:最大入力レベル
となるように構成することができる。
【0035】
前記利得制御部4,8,12は、最小利得として自動利得制御増幅部3,7,11に振幅が最大の信号が入力された場合において、自動利得制御増幅部3,7,11において増幅される信号の値が、自動利得制御増幅部3,7,11の線形範囲を超えない値を用いることもできる。ところで、オフセット補償フィードバック部9,13は、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力の各ピーク値の差レベルを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成することができる。
【0036】
また、オフセット補償フィードバック部9,13を、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力の各ピーク値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成してもよい。
【0037】
さらに、オフセット補償フィードバック部9,13は、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力の各ボトム値の差レベルを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成することもできる。
【0038】
また、オフセット補償フィードバック部9,13を、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力の各ボトム値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成してもよい。
【0039】
さらに、オフセット補償フィードバック部9,13は、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものの差レベルを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成することもできる。
【0040】
また、オフセット補償フィードバック部9,13を、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものの差レベルについて低域フィルタ処理を施したものを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成してもよい。
【0041】
そして、上述した信号増幅回路1,5,10は、入力信号が光信号である場合は、入力側に、入力信号について光−電気変換を施す光−電気変換部と、光−電気変換部の出力信号を増幅する前置増幅回路とを接続してもよい。ところで、図4も本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図であり、この図4に示す信号増幅回路16は、少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部14及び少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部15をそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部14の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部15が接続された構成となっている。
【0042】
ここで、信号増幅基本ブロック部14は、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部と、入力信号と自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部とをそなえている。
【0043】
また、リミッタ増幅基本ブロック部15は、差動入力信号を差動増幅するリミッタ増幅部をそなえている。すなわち、本発明の信号増幅回路は、ピーク検出回路とボトム検出回路とを有し、前記自動閾値設定部と、前記自動利得制御増幅部と、前記利得制御部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、前記リミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴としている。
【0044】
さらに、信号増幅基本ブロック部14が、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部と、入力信号と自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部と、自動利得制御増幅部からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックして自動利得制御増幅部のオフセットを補償するオフセット補償フィードバック部とをそなえた構成としてもよく、信号増幅基本ブロック部14が、入力信号と参照信号とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部と、自動利得制御増幅部からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部の入力側へ参照信号としてフィードバックして、自動利得制御増幅部のオフセットを補償するオフセット補償フィードバック部とをそなえた構成としてもよい。
【0045】
すなわち、本発明の信号増幅回路は、ピーク検出回路とボトム検出回路とを有し、前記自動閾値設定部と、前記自動利得制御増幅部と、前記利得制御部と、前記オフセット補償フィードバック部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、前記リミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴としている。
【0046】
また、信号増幅基本ブロック部14が、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部と、入力信号と自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部とを有するとともに、リミッタ増幅基本ブロック部15が、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部と、入力信号と自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なうリミッタ増幅部とをそなえてもよい。
【0047】
さらに、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部15の自動閾値設定部に信号が入力されていないときにも閾値レベルが入力の無信号時レベルより所定のガード電圧分だけ高くなるよう閾値レベルを制御するガード電圧発生回路を、リミッタ増幅基本ブロック部15の自動閾値設定部に設けてもよく、特に、このガード電圧発生回路を、最後段のリミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けてもよい。
【0048】
すなわち、本発明の信号増幅回路は、前記自動利得制御増幅部と、前記ピーク検出回路と前記ボトム検出回路とを有し、前記利得制御部と、前記オフセット補償フィードバック部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、差動入力信号を差動増幅するリミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴としている。
【0049】
そして、本発明の信号増幅回路は、前記ピーク検出回路と、前記ボトム検出回路と、前記自動閾値設定部と、前記自動利得制御増幅部と、前記利得制御部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、ピーク検出回路と、ボトム検出回路と、自動閾値設定部と、リミッタ増幅部とを有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴としている。
【0050】
ここで、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に信号が入力されていないときにも閾値レベルが入力の無信号時レベルより所定のガード電圧分だけ高くなるよう閾値レベルを制御するガード電圧発生回路が、リミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けられてもよい。さらに、ガード電圧発生回路が、最後段のリミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けられてもよい。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(a)第1実施形態の説明
図5は本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0052】
この図5に示す信号増幅回路20は、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものである。即ち、この信号増幅回路20は、図6に示すように、その入力側に、入力信号について光−電気変換を施す光−電気変換部としてのフォトダイオード34と、フォトダイオード34の出力信号を所定値に増幅する前置増幅回路としてのプリアンプ35とが接続され、プリアンプ35からの微弱アナログ信号からパルス信号を再生することにより、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうものである。
【0053】
なお、プリアンプ35は、増幅回路35A及び抵抗35Bからなるトランスインピーダンス型のプリアンプであり、フォトダイオード34からの電流信号は、プリアンプ35により電流−電圧変換された後に信号増幅回路20に入力されるようになっている。具体的には、信号増幅回路20は、図5に示すように、信号増幅基本ブロック部92をそなえるとともに、信号増幅基本ブロック部92の後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのリミッタ増幅回路33をそなえて構成されている。
【0054】
ここで、信号増幅基本ブロック部92は、自動閾値制御(ATC;AutomaticThreshold Control)回路22,自動利得制御(AGC;Automatic Gain Control )増幅回路27,利得制御回路26及び遅延回路43をそなえてなるATC−AGC増幅回路21と、オフセット補償フィードバックループ28とをそなえて構成されている。
【0055】
ATC回路22は、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路23,ボトム検出回路24及び分圧回路25をそなえて構成されている。ここで、ピーク検出回路23は、入力信号のピーク値を検出して「1」側レベルとして出力するものであり、「1」側レベル出力回路として機能するものである。
【0056】
また、ボトム検出回路24は、入力信号のボトム値を検出して「0」側レベルとして出力するものであり、「0」側レベル出力回路として機能するものである。なお、これらのピーク検出回路23及びボトム検出回路24は、それぞれ図示しないダイオード,保持容量及び増幅回路から構成されている。
【0057】
さらに、分圧回路25は、図5に示すように、ピーク検出回路23の出力端子とボトム検出回路24の出力端子との間で直列接続された抵抗25A,25Bにより構成され、ピーク検出回路23及びボトム検出回路24でそれぞれ得られた入力信号のピーク値とボトム値とを分圧して閾値レベルを生成する。具体的には、分圧回路25は、ピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との分圧レベルを抵抗25A,25Bの抵抗分割により求め、この分圧レベルを閾値(閾値レベル)として設定し、AGC増幅回路27の反転入力部に対して出力するようになっている。通常、分圧比は1/2に設定され、閾値レベルは「1」レベルと「0」レベルとの中間値となる。
【0058】
即ち、ATC回路22は、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部として機能しているのである。また、AGC増幅回路27は、入力信号とATC回路22からの閾値とを入力として、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路22からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅を行なうものであり、自動利得制御増幅部として機能するものである。
【0059】
具体的には、AGC増幅回路27は、図8に示すように、負荷抵抗36,小利得差動対37,大利得差動対38,利得制御差動対39及び定電流源40をそなえて構成されている。また、負荷抵抗36は2つの抵抗36A,36Bからなり、小利得差動対37はMOS−FET37A,37Bから、大利得差動対38はMOS−FET38A,38Bから、利得制御差動対39はMOS−FET39A,39Bからなる。
【0060】
ここで、小利得差動対37及び大利得差動対38は、それぞれトランスコンダクタンスが異なるように設計されており、これらの2つの差動対37,38に流れる電流値の割合を利得制御差動対39により制御することにより、AGC回路27全体のトランスコンダクタンス値が変化するようになっている。また、AGC増幅回路27全体で流れる電流は定電流源40により決定されるため、電流値と負荷抵抗36との積で与えられるリミッタ振幅は、利得が変動した場合においても一定に保たれるようになっている。
【0061】
即ち、AGC増幅回路27は、同一の負荷抵抗36にトランスコンダクタンスの異なる2つの差動対37,38を接続し、2つの差動対入力に共通に差動入力端子P1,P2を接続し、2つの差動対37,38に流れる電流の総和をほぼ一定に保ちつつ、電流の比率を変化させることで増幅利得を制御するように構成されているのである。
【0062】
このような構成により、AGC増幅回路27においては、図8に示すように、入力信号及びATC回路22からの閾値が、入力端子P1,P2から小利得差動対37,大利得差動対38にそれぞれ入力されるとともに、利得制御回路26からの利得制御信号が、利得制御端子P3,P4から利得制御差動対39に入力されると、利得制御信号に基づく利得で、閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれ、増幅された信号は出力端子P5,P6から出力される。
【0063】
なお、利得制御信号(制御電圧)とAGC増幅回路27の利得との関係の一例を図10に示す。即ち、このAGC増幅回路27の利得特性は、利得制御端子P3,P4に印加される制御電圧(利得制御信号)が−0.2Vpp以上で利得が低下しはじめ、+0.4Vppでほぼ一定となるようなものである。なお、小利得差動対37,大利得差動対38及び利得制御差動対39は、MOS−FETの代わりに、バイポーラトランジスタにより構成することもでき、このように、バイポーラトランジスタを用いたAGC増幅回路(このAGC増幅回路を27′で示す)の構成を図21に示す。
【0064】
即ち、図21に示すAGC増幅回路27′においては、小利得差動対37はバイポーラトランジスタ37C,37Dから、大利得差動対38はバイポーラトランジスタ38C,38Dから、利得制御差動対39はバイポーラトランジスタ39C,39Dからなる。また、AGC増幅回路27′においては、小利得差動対37に2つの抵抗96が設けられている。
【0065】
ところで、利得制御回路26は、ATC回路22のピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給するものであり、利得制御部として機能するものである。
【0066】
具体的には、利得制御回路26は、図7に示すように、レベルシフト回路41及び差動増幅回路42をそなえて構成されている。ここで、差動増幅回路42は、ATC回路22のピーク検出回路23からの出力(ピーク値)とボトム検出回路24からの出力(ボトム値)とを入力として差動増幅を行なうことにより、ピーク値とボトム値の差レベル(即ち入力振幅レベル)をAGC増幅回路27の利得制御信号(+及び−の利得制御信号)に変換するものである。
【0067】
また、レベルシフト回路41は、差動増幅回路42の入力端の入力側に設けられ、ピーク値又はボトム値のいずれか(図7ではボトム値)が入力されて、入力されたピーク値又はボトム値を所定レベル分シフトさせるものであり、抵抗41A及び定電流源41Bをそなえて構成されている。ここで、利得制御回路26によるAGC増幅回路27の利得制御について説明する。
【0068】
本実施形態においては、AGC増幅回路27において増幅される信号がリミットされることを防ぐために、利得制御回路26により、AGC増幅回路27の利得が入力信号の振幅レベル(入力振幅)に応じて変化するように制御されている。ここで、入力信号の振幅とAGC増幅回路27の利得との関係の一例を図9に示す。即ち、利得制御回路26は、図9に示すように、AGC増幅回路27の利得を、入力振幅が小さいときには最大利得Gmaxとし、入力振幅が大きくなりVg 1を超えると入力振幅に応じて減少させ、更に入力振幅が大きくなりVg2を超えると最小利得Gminとするように、入力信号の振幅情報を用いてフィードフォワード的に制御している。
【0069】
なお、最大利得Gmaxは、図5に示すリミッタ増幅回路33において入力振幅が最小の信号がリミットされる値となるように設計した値である。また、最小利得Gminは、AGC増幅回路27に振幅が最大の信号(最大入力レベル)が入力された場合においても、AGC増幅回路27において増幅される信号の値が、AGC増幅回路27の線形範囲〔図11(a)に示すリミッタ振幅L参照〕を超えない値となるように(換言すればAGC増幅回路27のリミッタ領域にかからないように)設計した値である。
【0070】
具体的には、AGC増幅回路27の線形範囲を超えない最小の利得Gminの値とは、例えば、
Gmin=Vlinear/Vinmax
Vlinear:AGC増幅回路27出力の線形範囲
Vinmax:最大入力レベル
となるような値である。
【0071】
即ち、AGC増幅回路27は、利得制御回路26により、その出力信号のレベルが線形範囲を超えないように制御されているのである。なお、AGC増幅回路27からの出力信号のレベルは一定にはならないが、本実施形態にかかる信号増幅回路20における利得制御では、1段目のAGC増幅回路27において増幅される信号がリミットしないようにすることが目的であり、出力信号のレベルはAGC増幅回路27の後段側に位置するリミッタ増幅回路33にて決定されるため差し支えない。
【0072】
さらに、利得制御回路26によるAGC増幅回路27の利得制御について、具体的に説明する。信号増幅回路20に信号が入力されていないとき(入力信号の振幅が0である時)には、図9に示すように、利得が最大利得GmaxとなるようにAGC増幅回路27を制御する必要がある。
【0073】
ところが、入力信号の振幅が0である時には、ピーク値とボトム値とをそのまま利得制御回路26に入力すると、ピーク値とボトム値との差レベルも0となるため、利得制御回路26から出力される利得制御信号は0Vppとなる。このとき、AGC増幅回路27は図10に示すような利得特性を有していることから、AGC増幅回路27の利得が最大利得Gmax以下に設定されてしまうことになる。
【0074】
そこで、本実施形態においては、AGC増幅回路27の利得の制御を適正に行なえるようにするために、利得制御回路26にレベルシフト回路41を設け、ピーク値又はボトム値のいずれかを所定レベル分シフトさせるように構成しているのである。例えば、図10に示すような特性を有するAGC増幅回路27に対しては、入力信号の振幅がVg1(図9参照)のときには、利得制御回路26からの出力(利得制御信号)が−0.2Vppとなり(図10参照)、また、入力信号の振幅がVg2(図9参照)のときには利得制御回路26からの出力が+0.4Vppとなる(図10参照)ように、レベルシフト回路41におけるレベルシフト値及び差動増幅回路42における利得とが設計されているのである。
【0075】
ところで、図5に示すオフセット補償フィードバックループ28は、AGC増幅回路27の差動出力の各ピーク値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものを、AGC増幅回路27からの出力信号の差情報として、AGC増幅回路27の入力側(図5ではATC回路22の出力部分)へフィードバックして、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるようにオフセット補償を行なうものであり、出力ピーク検出回路29−1,29−2,誤差増幅回路30,ローパスフィルタ31及び抵抗32をそなえて構成されている。
【0076】
ここで、出力ピーク検出回路29−1,29−2は、AGC増幅回路27からの差動出力(正相出力及び逆相出力)信号のピーク値〔図11(a)に示す正相出力ピーク値C及び逆相出力ピーク値D〕をそれぞれ検出するものである。また、誤差増幅回路30は、出力ピーク検出回路29−1,29−2により検出された各ピーク値C,Dの差分を、図11(a)に示すオフセットOFとして増幅するものである。
【0077】
さらに、ローパスフィルタ31は、誤差増幅回路30により増幅されたオフセットOFについて低域フィルタ処理を施すことにより、高周波成分を除去して直流成分をオフセット情報として取り出すものであり、その出力部は抵抗32を介して、ATC回路22の分圧回路25の出力部に接続されている。ここで、抵抗32は、分圧回路25の抵抗25A,25Bよりも抵抗値の大きいものが使用されて、定電流源的に働くことにより、オフセットを補正するように、抵抗25A,25Bから電流を引き抜いたり、抵抗25A,25Bに電流を流し込むものである。
【0078】
そして、オフセット補償フィードバックループ28により得られたオフセット情報は、AGC増幅回路27の入力側(図5においてはAGC増幅回路27の反転入力部)へフィードバックされるようになっている。なお、信号増幅回路20に信号が入力されないとき(入力の無信号時)にも、オフセット補償フィードバックループ28は、AGC増幅回路27の差動出力信号の直流レベルを比較してオフセット情報を出力するようになっている。
【0079】
ここで、図30に示すように、AGC増幅回路27の代わりにリミッタ増幅回路(図30の106参照)を用いて信号増幅回路を構成した場合には、リミッタ増幅回路からの出力信号の振幅は、図11(b)に示すように出力信号のピーク値がリミットされることにより〔図11(b)の符号E参照〕、入力信号の振幅によらず常に一定の大きさで出力されるため、上述したような出力信号のピーク値を用いたオフセット補償フィードバックループを構成することができない。
【0080】
これに対し、本実施形態では、前述のごとく、利得制御回路26によりAGC増幅回路27が線形範囲で動作するように制御されているため、AGC増幅回路27からの出力信号のピーク値を用いたオフセット補償フィードバックループ28を構成することができるのである。ところで、遅延回路43は、AGC増幅回路27の入力側に接続され、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がるのに十分な時間分遅れて、AGC増幅回路27に信号が入力されるようにするものである。
【0081】
ATC−AGC増幅回路21においては、ATC回路22のピーク検出回路23及びボトム検出回路24におけるピーク値及びボトム値の検出が完了するまでは、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がらないため、AGC増幅回路27の利得制御が正常に行なわれない。ここで、図12(a)に信号増幅回路20に入力される信号の波形を示し、図12(b)にAGC増幅回路27に入力される信号の波形を示し、図12(c)にAGC増幅回路27から出力される信号の波形を示す。
【0082】
図12(a)に示すような波形の信号(符号S参照)が入力された場合には、ATC回路22においては、図12(b)に示すように、この入力波形Sからピーク値及びボトム値(符号P,B参照)が検出され、これらの値に基づいて1/2のレベルに閾値レベルが設定される(符号T参照)。ところが、ピーク値及びボトム値の検出が完了する前に信号が入力されると〔図12(b)のG参照〕、その時点ではAGC増幅回路27の利得制御が行なわれていないため、AGC増幅回路27の利得が適正値より大きく、信号の初期部(特に信号の1ビット目)がそれ以降の信号に比べ大きくオーバシュートしてしまう〔図12(c)のJ参照〕。
【0083】
このようにオーバシュートした信号がAGC増幅回路27から出力されると、オフセット補償フィードバックループ28においては、出力ピーク検出回路29−1,29−2によりこのオーバシュートした信号が検出されるためフィードバックが異常になる等、後段の回路に悪影響を及ぼす場合がある。また、このようにオーバシュートした信号が、リミッタ増幅回路33においてリミッタ増幅されると、出力される信号のパルス幅が実際より太くなることもある。
【0084】
このため、本実施形態においては、このような信号のオーバシュートを防ぐために、AGC増幅回路27の入力側に遅延回路43を設けて、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路27に信号が入力されるようにして、AGC増幅回路27に信号が入力した時点でAGC増幅回路27の利得の設定が完了しているようにしているのである〔図12(b)のI及び図12(c)のK参照〕。
【0085】
なお、信号増幅回路20が適用される光通信システムの受信部(図6参照)において、信号の初期部がオーバシュートしても差し支えない場合には、この遅延回路43を設けなくてもよい。ところで、図5に示すリミッタ増幅回路33は、信号増幅基本ブロック部92のAGC増幅回路27からの差動信号を入力として、入力された信号を差動増幅した後に所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものであり、リミッタ増幅部として機能するものである。なお、リミッタ増幅回路33においては、全ての入力範囲で出力振幅が一定レベルにリミットされるようになっている。
【0086】
上述の構成により、本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路20においては、信号が入力されると、信号増幅基本ブロック部92のATC回路22では、自動的に入力信号のピーク値とボトム値に基づいた閾値が設定される。また、オフセット補償フィードバックループ28では、AGC増幅回路27の差動出力からオフセット情報が検出されてAGC増幅回路27の入力側へフィードバックし、オフセットがマイナス側にあるときはオフセット補償フィードバックループ28から電流が流入し、オフセットがプラス側にあるときはオフセット補償フィードバックループ28へ電流が流入するように動作することにより、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるようにオフセットが補償され、閾値レベルが適正に補償される。
【0087】
さらに、利得制御回路26では、ATC回路22にて検出されたピーク値とボトム値との差分から入力振幅レベルが検出され、図9に示すように、入力信号の振幅が小さいときはAGC増幅回路27の利得を大きくし、入力信号の振幅が大きいときはAGC増幅回路27の利得を小さくするような利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給される。
【0088】
続いて、遅延回路43を介して入力された信号と、オフセット補償フィードバックループ28により適正に補償されたATC回路22からの閾値とがAGC増幅回路27に入力されると、AGC増幅回路27では、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路22からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0089】
そして、信号増幅基本ブロック部92のAGC増幅回路27により差動増幅された信号がリミッタ増幅回路33に入力されると、リミッタ増幅回路33では、この入力信号が差動増幅された後に所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。このように、本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路20によれば、ATC回路22,利得制御回路26及びAGC増幅回路27を有するATC−AGC増幅回路21をそなえ、利得制御回路26を用いて、全ての入力信号の振幅レベルにおいてAGC増幅回路27がその線形範囲内で動作するように制御することにより、AGC増幅回路27にて増幅される信号がリミットされることを防ぐことができる。
【0090】
従って、AGC増幅回路27から出力される信号の振幅情報が失われないため、出力信号のピーク値を用いるオフセット補償フィードバックループ28を設けることができ、これにより、信号増幅回路20を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができ、入力信号レベルに対して広いダイナミックレンジにわたり良好な出力波形を得ることができる。
【0091】
また、利得制御回路26を用いて、AGC増幅回路27をフィードフォワード的に制御することにより、一般的に用いられるフィードバック制御によるAGC増幅回路よりも、応答の時定数を小さくすることができるため、AGC増幅回路27の立ち上がりを速くすることができ、例えば光通信のように信号の高速伝送を行なう際には特に有効に機能する。
【0092】
さらに、ATC回路22が入力信号の振幅に基づいて閾値を設定することにより、信号が断続的に入力される場合でも速やかに閾値を設定することができる。また、遅延回路43を設けて、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路27に信号が入力されるようにすることにより、AGC増幅回路27に信号が入力した時点ではAGC増幅回路27の利得の設定が完了しているようにできるため、信号のオーバシュートを防いで、信号増幅回路20の誤動作を防ぐことができる。
【0093】
なお、本実施形態においては、オフセット補償フィードバックループ28が、出力ピーク検出回路29−1,29−2をそなえ、AGC増幅回路27の差動出力の各ピーク値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側へフィードバックしてAGC増幅回路27のオフセットを補償する場合について説明したが、オフセット補償フィードバックループ28が、出力ピーク検出回路29−1,29−2の代わりに2つの出力ボトム検出回路をそなえ、AGC増幅回路27の差動出力の各ボトム値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側へフィードバックしてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしてもよく、このようにすれば信号増幅回路20をその使用に適した構成とすることができる。
【0094】
この場合は、2つの出力ボトム検出回路が、AGC増幅回路27からの差動出力(正相出力及び逆相出力)信号のボトム値をそれぞれ検出するとともに、誤差増幅回路30が、出力ボトム検出回路により検出された各ボトム値の差分を増幅してオフセット情報とする。また、本実施形態においては、信号増幅回路20を、光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いた場合を例に挙げて説明したが、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
【0095】
(b)第2実施形態の説明
図13は本発明の第2実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。この図13に示す信号増幅回路20Aも、前述の第1実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものであり、信号増幅基本ブロック部92Aをそなえるとともに、信号増幅基本ブロック部92Aの後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのリミッタ増幅回路33をそなえて構成されている。
【0096】
本実施形態においては、信号増幅基本ブロック部92Aは、オフセット補償フィードバックループ28Aを有するATC回路22A,AGC増幅回路27,利得制御回路26及び遅延回路43をそなえて構成されている。ここで、ATC回路22Aは、上述の第1実施形態におけるATC回路22と同様に、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであるが、本実施形態においては、ATC回路22Aは、ピーク検出回路23,オフセット補償フィードバックループ28A及び分圧回路25により構成されている。
【0097】
オフセット補償フィードバックループ28Aは、上述の第1実施形態におけるものと同様に、AGC増幅回路27の差動出力の各ピーク値について低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側(図13では分圧回路25の入力端部)へフィードバックして、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるようにオフセット補償を行なうものであり、図5に示す抵抗32が設けられていない点を除いては、同様の構成を有するものである。
【0098】
なお、本実施形態において、抵抗32に相当する抵抗が設けられていないのは、オフセット補償フィードバックループ28Aのフィードバック出力を分圧回路25のボトムレベル入力端部へ入力しているからであるが、このようにしてもオフセットの補償は、前述の第1実施形態と同様にして行なわれる。ここで、本実施形態にかかる信号増幅回路20Aを、特に光通信システムにおける信号インタフェース回路として用いる場合には、入力信号が単極性信号であることから、オフセット補償フィードバックループ28Aからの出力は入力信号の「0」側レベルに相当するレベルで安定する。
【0099】
このため、本実施形態においては、ATC回路22Aが、ピーク検出回路23からのピーク値を「1」側レベルとして用いるとともに、オフセット補償フィードバックループ28Aからの出力情報を「0」側レベル(この「0」側レベルにはオフセット情報が反映されている)として用いることにより、閾値を発生するように構成されているのである。
【0100】即ち、本実施形態においては、オフセット補償フィードバックループ28Aは、「0」側レベル出力回路としての機能も兼ねそなえており、このオフセット補償フィードバックループ28Aからの出力は、AGC増幅回路27の入力側(即ち分圧回路25)へフィードバックされるとともに、利得制御回路26へ入力されるようになっている。
【0101】
なお、オフセット補償フィードバックループ28Aは、前述のごとく、信号増幅回路20Aに信号が入力されないとき(入力の無信号時)でも、AGC増幅回路27の差動出力信号の直流レベルを比較して、オフセット情報を出力している状態である。また、AGC増幅回路27,利得制御回路26,リミッタ増幅回路33,ピーク検出回路23,分圧回路25及び遅延回路43は、上述の第1実施形態において説明したものと同様の機能及び構成を有するものである。
【0102】
上述の構成により、本発明の第2実施形態にかかる信号増幅回路20Aにおいては、信号が入力されると、信号増幅基本ブロック部92Aのオフセット補償フィードバックループ28Aでは、入力信号の「0」側レベルをオフセット補償のために変動させることにより、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるようにオフセットが補償され、ATC回路22Aでは、入力信号のピーク値と入力信号の「0」側レベル(即ちオフセット補償フィードバックループ28Aからの出力情報)に基づいて、適正に補償された閾値が自動的に設定される。
【0103】
また、利得制御回路26では、ATC回路22Aにて検出されたピーク値と入力信号の「0」側レベルとの差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給される。続いて、遅延回路43を介して入力された信号と、オフセット補償フィードバックループ28Aにより適正に補償されたATC回路22Aからの閾値とがAGC増幅回路27に入力されると、AGC増幅回路27では、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路22Aからの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0104】
そして、信号増幅基本ブロック部92AのAGC増幅回路27により差動増幅された信号がリミッタ増幅回路33に入力されると、リミッタ増幅回路33では、この入力信号が差動増幅された後に所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。このように、本発明の第2実施形態にかかる信号増幅回路20Aによれば、オフセット補償フィードバックループ28Aを有するATC回路22,利得制御回路26,AGC増幅回路27及び遅延回路43をそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点が得られるほか、オフセット補償フィードバックループ28Aが「0」側レベル出力回路としての機能も兼ねそなえることにより、信号増幅回路20Aを構成する回路数を削減して、信号増幅回路20Aの構成を簡素化することができる。
【0105】
(c)第3実施形態の説明
図14は本発明の第3実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。この図14に示す信号増幅回路20Bも、前述の第1,第2実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものであり、信号増幅基本ブロック部92Bをそなえるとともに、信号増幅基本ブロック部92Bの後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのリミッタ増幅回路33をそなえて構成されている。
【0106】
ここで、信号増幅基本ブロック部92Bは、ATC回路22B,AGC増幅回路27,利得制御回路26をそなえてなるATC−AGC増幅回路21と、オフセット補償フィードバックループ28Bとをそなえて構成されている。ATC回路22Bは、前述の第1実施形態におけるATC回路22と同様に、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであるが、本実施形態においては、ATC回路22Bは、ピーク検出回路23,基準レベル発生回路45及び分圧回路25により構成されている。
【0107】
ここで、本実施形態にかかる信号増幅回路20Bを、光通信システムにおける信号インタフェース回路として用いる場合のように、入力信号が単極性信号である場合には、入力信号の振幅によらず「0」側レベルは一定となるため、入力信号の「0」側レベルは特に検出する必要がない。このため、本実施形態においては、回路構成を簡略化するために、前述の第1,第2実施形態において説明したボトム検出回路(例えば図5の符号24参照)の代わりに、入力信号の「0」側レベルに相当する基準レベル信号を発生する基準レベル発生回路45を設け、ATC回路22Bが、ピーク検出回路23からのピーク値を「1」側レベルとして用いるとともに、基準レベル発生回路45からの基準レベルを「0」側レベルとして用いることにより、閾値を発生するように構成されているのである。
【0108】
また、本実施形態においては、オフセット補償フィードバックループ28Bは、AGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものの差レベルについて低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側(図14ではATC回路22Bの出力部分)へフィードバックして、AGC増幅回路27からの差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものが等しくなるようにオフセット補償を行なうように構成されている。
【0109】
即ち、オフセット補償フィードバックループ28Bは、図14に示すように、出力ピーク検出回路46−1,46−2,出力ボトム検出回路47−1,47−2,抵抗48A〜48D,誤差増幅回路30B,ローパスフィルタ31及び抵抗32をそなえて構成されており、出力ピーク検出回路46−1の出力端子と出力ボトム検出回路47−1の出力端子とは、直列接続された抵抗48A,48Bを介して接続されており、出力ピーク検出回路46−2の出力端子と出力ボトム検出回路47−2の出力端子とは、直列接続された抵抗48C,48Dを介して接続されている。
【0110】
ここで、出力ピーク検出回路46−1,46−2は、AGC増幅回路27からの差動出力(それぞれ正相出力及び逆相出力)信号のピーク値を検出するものであり、出力ボトム検出回路47−1,47−2は、AGC増幅回路27からの差動出力(それぞれ正相出力及び逆相出力)信号のボトム値を検出するものである。
【0111】
そして、出力ピーク検出回路46−1により検出されたピーク値と出力ボトム検出回路47−1により検出されたボトム値とは、抵抗48A,48Bにより分圧されて、また、出力ピーク検出回路46−2により検出されたピーク値と出力ボトム検出回路47−2により検出されたボトム値とは、抵抗48C,48Dにより分圧されて、それぞれ誤差増幅回路30Bに対して出力されるようになっている。
【0112】
また、誤差増幅回路30Bは、抵抗48A〜48Dにより分圧されたAGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値との分圧値の差分を、オフセットとして増幅するものである。なお、AGC増幅回路27,利得制御回路26,リミッタ増幅回路33,ピーク検出回路23,分圧回路25,ローパスフィルタ31及び抵抗32は、上述の第1実施形態において説明したものと同様の機能及び構成を有するものである。
【0113】
上述の構成により、本発明の第3実施形態にかかる信号増幅回路20Bにおいては、信号が入力されると、信号増幅基本ブロック部92BのATC回路22Bでは、自動的に入力信号のピーク値と基準レベルに基づいた閾値が設定される。また、オフセット補償フィードバックループ28Bでは、AGC増幅回路27の差動出力からオフセット情報が検出されてAGC増幅回路27の入力側へフィードバックすることにより、AGC増幅回路27からの差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものが等しくなるようにオフセットが補償され、閾値レベルが適正に補償される。
【0114】
さらに、利得制御回路26では、ATC回路22Bにて検出されたピーク値と基準レベルとの差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給される。続いて、入力された信号とATC回路22Bからの閾値とがAGC増幅回路27に入力されると、AGC増幅回路27では、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路22Bからの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0115】
そして、信号増幅基本ブロック部92BのAGC増幅回路27により差動増幅された信号がリミッタ増幅回路33に入力されると、リミッタ増幅回路33では、この入力信号が差動増幅された後に所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。このように、本発明の第3実施形態にかかる信号増幅回路20Bによれば、ATC回路22B,利得制御回路26,AGC増幅回路27及びオフセット補償フィードバックループ28Bをそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点が得られるほか、ATC回路22Bが基準レベル発生回路45をそなえて構成されることにより、信号増幅回路20Bの構成を簡素化することができる。
【0116】
また、オフセット補償フィードバックループ28Bが、出力ピーク検出回路46−1,46−2,出力ボトム検出回路47−1,47−2をそなえ、AGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したもの(即ち、ATC回路22Bからの閾値レベルと同様の、AGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値との中間値)を用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償することにより、信号の入力レベルが変動した場合にも安定してオフセット補償を行なうことができる。
【0117】
なお、本実施形態においても、AGC増幅回路27の入力側に遅延回路(図5の符号43参照)を設ければ、前述のごとく、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路27に信号が入力されるようにすることができ、信号のオーバシュート〔図12(c)のJ参照〕を防ぐことができる。また、本実施形態においても、オフセット補償フィードバックループ28Bを、図5に示すように2つの出力ピーク検出回路をそなえて構成し、AGC増幅回路27の差動出力の各ピーク値を用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしたり、2つの出力ボトム検出回路をそなえて構成し、AGC増幅回路27の差動出力の各ボトム値を用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしてもよい。
【0118】
さらに、基準レベル発生回路45の代わりに、ボトム検出回路(図5の符号24参照)を用いれば、本実施形態にかかる信号増幅回路20Bを、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
(d)第4実施形態の説明
図15は本発明の第4実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0119】
この図15に示す信号増幅回路50も、前述の第1〜第3実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものである。本実施形態にかかる信号増幅回路50は、AGC増幅回路27を有する信号増幅基本ブロック部93と、AGC増幅回路53を有するAGC増幅回路ブロック部51とをそなえるとともに、信号増幅基本ブロック部93の後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのリミッタ増幅回路33をそなえて構成されている。
【0120】
本実施形態においては、信号増幅回路50の設計の自由度を大きくするために、信号増幅回路50が、複数のAGC増幅回路(図15ではAGC増幅回路27,53)をそなえて構成されている。例えば、信号増幅基本ブロック部93及びAGC増幅回路ブロック51を構成するAGC増幅回路27,53として利得特性が異なるAGC増幅回路を用いれば、信号増幅回路50の信号増幅特性を任意に設定することができる。
【0121】
ここで、信号増幅基本ブロック部93は、図15に示すように、ピーク検出回路23,ボトム検出回路24,利得制御回路26,AGC増幅回路27及びオフセット補償フィードバックループ28Cをそなえて構成されている。ピーク検出回路23,ボトム検出回路24,利得制御回路26及びAGC増幅回路27は、前述の第1実施形態におけるものと同様の機能及び構成を有するものである。
【0122】
また、オフセット補償フィードバックループ28Cは、図5に示す抵抗32が設けられていない点を除いては、前述の第1実施形態におけるものと同様の構成を有するものである。例えば図5に示すような信号増幅回路20においては、オフセット補償フィードバックループ28により、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるように、AGC増幅回路27の閾値レベル(参照電圧)が決定される。
【0123】
即ち、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるということは、AGC増幅回路27では信号振幅の中間レベルを中心にして入力信号が増幅されていることを示しており、換言すれば、オフセット補償フィードバックループ28は、それ自身が閾値レベルを信号中央(即ち入力信号の振幅の中心)に設定するような機能を有していることになる。
【0124】
そこで、本実施形態においては、図15に示すように、信号増幅回路50がATC回路(図5に示す符号22参照)をそなえることなく構成されている。この場合は、オフセット補償フィードバックループ28Cは、AGC増幅回路53の差動出力の各ピーク値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側へ閾値〔参照電圧(参照信号)〕としてフィードバックして、AGC増幅回路27の差動出力の直流レベルがほぼ等しくなるように閾値を設定するように構成されている。即ち、この閾値には、オフセット情報も反映されていることになる。
【0125】
また、AGC増幅回路27は、入力信号とこの参照信号とを入力として、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、オフセット補償フィードバックループ28Cにより設定された参照信号レベル(参照レベル)を中心にして入力信号の差動増幅を行なうように構成されている。なお、オフセット補償フィードバックループ28Cは、前述のごとく、信号増幅回路50に信号が入力されないとき(入力の無信号時)でも動作しているが、信号が断続的に入力される場合には、その時定数が大きいことから入力信号に対応した参照信号の出力が遅れることになる。従って、本実施形態にかかる信号増幅回路50は、信号が連続的に入力される場合に特に有効に機能する。
【0126】
ところで、AGC増幅回路ブロック部51は、AGC増幅回路53及び利得制御回路52をそなえて構成されている。ここで、利得制御回路52は、信号増幅基本ブロック部93のピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路53へ供給するものであり、利得制御部として機能するものである。
【0127】
また、AGC増幅回路53は、信号増幅基本ブロック部93のAGC増幅回路27からの差動信号を入力として、利得制御回路52からの利得制御信号に基づく利得で、入力信号の差動増幅を行なうものであり、自動利得制御増幅部として機能するものである。なお、AGC増幅回路53及び利得制御回路52は、AGC増幅回路27及び利得制御回路26と同様の構成ものを用いることができる(図7及び図8参照)。
【0128】
ところで、リミッタ増幅回路33は、AGC増幅回路ブロック部51のAGC増幅回路53からの差動信号を入力として、入力された信号を差動増幅した後に所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものである。上述の構成により、本発明の第4実施形態にかかる信号増幅回路50においては、信号が入力されると、信号増幅基本ブロック部93のオフセット補償フィードバックループ28Cでは、自動的にAGC増幅回路53からの差動出力に基づいてオフセット情報が反映された参照レベルが設定される。
【0129】
また、利得制御回路26では、ピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給される。続いて、入力された信号とオフセット補償フィードバックループ28Cからの参照信号とがAGC増幅回路27に入力されると、AGC増幅回路27では、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、オフセット補償フィードバックループ28Cからの参照レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0130】
また、AGC増幅回路ブロック部51の利得制御回路52では、信号増幅基本ブロック部93のピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路53へ供給される。さらに、信号増幅基本ブロック部93のAGC増幅回路27により差動増幅された信号が、AGC増幅回路ブロック部51のAGC増幅回路53に入力されると、AGC増幅回路53では、利得制御回路52からの利得制御信号に基づく利得で、入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0131】
そして、AGC増幅回路ブロック部51のAGC増幅回路53により差動増幅された信号がリミッタ増幅回路33に入力されると、リミッタ増幅回路33では、この入力信号が差動増幅された後に所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。このように、本発明の第4実施形態にかかる信号増幅回路50によれば、ピーク検出回路23,ボトム検出回路24,利得制御回路26,AGC増幅回路27及びオフセット補償フィードバックループ28Cをそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点を得ることができる。
【0132】
また、オフセット補償フィードバックループ28Cが、閾値レベルを信号中央(即ち入力信号の振幅の中心)に設定するような機能を有し、このオフセット補償フィードバックループ28Cにより閾値を設定することにより、閾値を設定するためのATC回路を設ける必要がなくなるため、信号増幅回路50を簡素に構成することができる。
【0133】
さらに、信号増幅回路50が、多段のAGC増幅回路27,53をそなえて構成されることにより、信号増幅回路50の設計の自由度を大きくすることができる。なお、本実施形態においても、AGC増幅回路27の入力側に遅延回路(図5の符号43参照)を設ければ、前述のごとく、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路27に信号が入力されるようにすることができ、信号のオーバシュート〔図12(c)のJ参照〕を防ぐことができる。
【0134】
また、本実施形態においても、オフセット補償フィードバックループ28Cを、2つの出力ボトム検出回路をそなえて構成し、AGC増幅回路27の差動出力の各ボトム値を用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしたり、図14に示すように、2つの出力ピーク検出回路,2つの出力ボトム検出回路及び4つの抵抗をそなえて構成し、AGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものを用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしてもよい。
【0135】
特に、本実施形態にかかる信号増幅回路50を、光通信システムにおける信号インタフェース回路として用いる場合には、ボトム検出回路24の代わりに基準レベル発生回路(図14の符号45参照)を用いて、信号増幅回路50の構成を簡素化してもよい。さらに、本実施形態においては、信号増幅回路50を、光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いた場合を例に挙げて説明したが、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
【0136】
(e)第5実施形態の説明
図16は本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。この図16に示す信号増幅回路60も、前述の第1〜第4実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものである。
【0137】
本実施形態にかかる信号増幅回路60は、図16に示すように、信号増幅基本ブロック部としてのATC−AGC増幅回路61をそなえるとともに、ATC−AGC増幅回路61の後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのATC−リミッタ増幅回路68をそなえて構成されている。ここで、ATC−AGC増幅回路61は、ATC回路62,利得制御回路66及びAGC増幅回路67をそなえて構成されている。
【0138】
ATC回路62は、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路63,ボトム検出回路64及び抵抗65A,65Bからなる分圧回路65をそなえて構成されている。なお、ピーク検出回路63,ボトム検出回路64及び分圧回路65は、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。
【0139】
また、利得制御回路66は、ATC回路62のピーク検出回路63からのピーク値とボトム検出回路64からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路67へ供給するものである。さらに、AGC増幅回路67は、入力信号とATC回路62からの閾値とを入力として、利得制御回路66からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路62からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅を行なうものである。
【0140】
なお、利得制御回路66及びAGC増幅回路67も、上述の第1実施形態におけるものと同様の機能及び構成を有している(図7及び図8参照)。また、ATC−リミッタ増幅回路68は、ATC回路69及びリミッタ増幅回路91′をそなえて構成されている。ここで、ATC回路69は、前述したATC回路62と同様に、入力信号(即ちAGC増幅回路67からの出力信号)のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路63A,ボトム検出回路64A及び抵抗65D,65Eからなる分圧回路65Cをそなえて構成されている。なお、ピーク検出回路63A,ボトム検出回路64A及び分圧回路65Cも、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。
【0141】
また、リミッタ増幅回路91′は、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67からの正相出力とATC回路69からの閾値とを入力として、ATC回路69からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路67からの入力信号を差動増幅した後、増幅した信号を所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものである。なお、リミッタ増幅回路91′においては、全ての入力範囲で出力振幅が一定レベルにリミットされるようになっている。
【0142】
ここで、図17(a)にAGC増幅回路67からの差動出力(正相出力)信号の波形図を示すと、AGC増幅回路67からの出力は、この図17(a)に示すように、常にAGC増幅回路27の線形範囲〔図17(a)に示すリミッタ振幅L〕内にある。このため、ATC−AGC増幅回路61が有するオフセットにより、ピーク値P及びボトム値Bにより決定される閾値Tがシフトした場合でも、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67からの出力は、直流レベルが変動するのみで、パルス幅の変動はほとんど生じない。
【0143】
そこで、本実施形態においては、ATC−AGC増幅回路61が有するオフセットを補償するために、ATC−AGC増幅回路61の後段にATC−リミッタ増幅回路68を設けて、AGC増幅回路67からの出力レベルの変動を、ATC−リミッタ増幅回路68のATC回路69により追従して補償するように構成されている。
【0144】
換言すれば、ATC−リミッタ増幅回路68においては、リミッタ増幅回路91′を、ATC回路69によりフィードフォワード的に制御することにより、ATC−AGC増幅回路61が有するオフセットを補償するように構成されているのである。なお、このようにATC回路が多段接続された信号増幅回路としては、ATC−リミッタ増幅回路(符号68参照)が多段に接続された信号増幅回路もあり、例えば、ATC−AGC増幅回路61の代わりにATC−リミッタ増幅回路をそなえた信号増幅回路も考えられる。
【0145】
ところが、前段のリミッタ増幅回路では、信号の入力レベルが大きいと、図17(b)に示すように、リミッタ増幅回路の線形範囲〔図17(b)に示すリミッタ振幅L〕を超えた部分がリミットされるため、信号の線形性が失われてしまう。なお、このときは、後段のリミッタ増幅回路では、図17(b)に示すピーク値M及びボトム値Nから閾値Uが決定されることになる。
【0146】
一方、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67では、図17(a)に示すように、信号がリミットせずに常に線形範囲で動作するため、リミッタ増幅回路では線形性が失われるような大きなレベルの信号が入力された場合でも、オフセットにより生じた閾値レベルのずれを出力レベルの変動として線形に反映することが可能となる。
【0147】
そこで、本実施形態においては、前段の増幅回路をATC−AGC増幅回路61とすることにより、後段のATC回路69によりオフセットを補償できるような入力信号の範囲を広げ、ATC回路を多段接続する効果をさらに大きくしているのである。上述の構成により、本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路60においては、信号が入力されると、ATC−AGC増幅回路61のATC回路62では、自動的に入力信号のピーク値とボトム値に基づいた閾値が設定される。
【0148】
また、利得制御回路66では、ATC回路62にて検出されたピーク値とボトム値との差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路67へ供給される。続いて、入力信号とATC回路62からの閾値とがAGC増幅回路67に入力されると、AGC増幅回路67では、利得制御回路66からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路62からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0149】
さらに、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67により差動増幅された信号がATC−リミッタ増幅回路68に出力されると、ATC−リミッタ増幅回路68のATC回路69では、自動的にAGC増幅回路67からの出力信号のピーク値とボトム値に基づいた閾値が設定される。そして、AGC増幅回路67からの正相出力とATC回路69からの閾値とがリミッタ増幅回路91′に入力されると、リミッタ増幅回路91′では、ATC回路69からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路67からの入力信号が差動増幅された後、増幅された信号が所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。
【0150】
このように、本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路60によれば、ATC−AGC増幅回路61をそなえるとともに、その後段にATC−リミッタ増幅回路68をそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点が得られるほか、ATC−リミッタ増幅回路68においてフィードフォワード制御によりオフセットの補償を行なうことにより、オフセット補償フィードバックループ(図5の符号28参照)を用いることなく信号のパルス幅の変動を低減することができるため、応答の時定数に制限がある高速の信号の増幅を行なう際にも適用することができる。
【0151】
なお、本実施形態においても、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67の入力側に遅延回路(図5の符号43参照)を設ければ、前述のごとく、利得制御回路66からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路67に信号が入力されるようにすることができ、信号のオーバシュート〔図12(c)のJ参照〕を防ぐことができる。
【0152】
特に、本実施形態にかかる信号増幅回路60を、光通信システムにおける信号インタフェース回路として用いる場合には、ボトム検出回路24の代わりに基準レベル発生回路(図14の符号45参照)を用いて、信号増幅回路60の構成を簡素化してもよい。また、本実施形態においては、信号増幅回路60を、光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いた場合を例に挙げて説明したが、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
【0153】
(f)第6実施形態の説明
図18は本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。この図18に示す信号増幅回路70も、前述の第1〜第5実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものである。
【0154】
本実施形態にかかる信号増幅回路70は、図18に示すように、信号増幅基本ブロック部としてのATC−AGC増幅回路71,78をそなえるとともに、ATC−AGC増幅回路78の後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのATC−リミッタ増幅回路85をそなえて構成されている。本実施形態においては、信号増幅回路70の設計の自由度を大きくするために、信号増幅回路70が2段のATC−AGC増幅回路71,78をそなえて構成されている。例えば、ATC−AGC増幅回路71,78をそれぞれ利得特性が異なるAGC増幅回路(図18の符号77,84参照)を用いて構成すれば、信号増幅回路70の信号増幅特性を任意に設定することができる。
【0155】
ここで、ATC−AGC増幅回路71は、ATC回路72,利得制御回路76及びAGC増幅回路77をそなえて構成されている。ATC回路72は、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路73,ボトム検出回路74及び抵抗75A,75Bからなる分圧回路75をそなえて構成されている。
【0156】
ここで、ピーク検出回路73は、入力信号のピーク値を検出して「1」側レベルとして出力するものであり、「1」側レベル出力回路として機能するものである。このピーク検出回路73は、図22に示すように、差動増幅回路54,ダイオード55,検出容量56及びバッファ57をそなえて構成されており、入力信号がハイレベル(「1」側レベル)であるときには、検出容量56を充電し、入力信号がローレベル(「0」側レベル)であるときには、ダイオード55を用いて差動増幅回路54の出力インピーダンスを高くして放電パスを断つことにより、入力信号のピーク値の検出及び保持を行なうものである。
【0157】
なお、バッファ57は、高入力インピーダンスのときに低出力インピーダンスとなるような回路であり、検出容量56に保持された電荷が他の回路(例えばピーク検出回路73の後段に接続された分圧回路75)に流出するのを防ぐために設けられている。また、このピーク検出回路73は、詳細には、図23に示すような構成を有しており、差動増幅回路54は2つのMOS−FET54Aからなる差動対と3つのMOS−FET54Bとをそなえて構成されている。
【0158】
さらに、ダイオード55は、MOS−FET55Aで構成されており、バッファ57は、ドレイン接地されたソースホロア構成の一対のMOS−FET57Aをそなえて構成されている。なお、49は、ピーク検出回路73内の差動増幅回路54及びバッファ57に電流を供給する定電流源としてのバイアス回路であり、図23に示すように、2つのMOS−FET49Aと2つの定電流源49Bとをそなえている。
【0159】
さらに、ボトム検出回路74は、入力信号のボトム値を検出して「0」側レベルとして出力するものであり、「0」側レベル出力回路として機能するものである。このボトム検出回路74は、図24に示すように、差動増幅回路54′,ダイオード55′,検出容量56及びバッファ57をそなえて構成されており、前述したピーク検出回路73とは逆に、入力信号がローレベル(「0」側レベル)であるときには、検出容量56を充電し、入力信号がハイレベル(「1」側レベル)であるときには、ダイオード55′を用いて差動増幅回路54′の出力インピーダンスを高くして放電パスを断つことにより、入力信号のボトム値の検出及び保持を行なうものである。
【0160】
なお、バッファ57は、高入力インピーダンスのときに低出力インピーダンスとなるような回路であり、検出容量56に保持された電荷が他の回路(例えばボトム検出回路74の後段に接続された分圧回路75)に流出するのを防ぐために設けられている。また、このボトム検出回路74は、詳細には、図25に示すような構成を有しており、差動増幅回路54′は2つのMOS−FET54Cからなる差動対と3つのMOS−FET54Dとをそなえて構成されている。
【0161】
さらに、ダイオード55′は、MOS−FET55Bで構成されており、バッファ57は、ドレイン接地されたソースホロア構成の一対のMOS−FET57Aをそなえて構成されている。また、このボトム検出回路74にも、前述したピーク検出回路73と同様に、ボトム検出回路74内の差動増幅回路54′及びバッファ57に電流を供給する定電流源としてのバイアス回路49が設けられている。このバイアス回路49は、図25に示すように、2つのMOS−FET49Aと2つの定電流源49Bとをそなえている。
【0162】
なお、分圧回路75は、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。また、利得制御回路76は、ATC回路72のピーク検出回路73からのピーク値とボトム検出回路74からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路77へ供給するものであり、利得制御部として機能するものである。
【0163】
具体的には、利得制御回路76は、図27に示すように、レベルシフト回路58,差動増幅回路59及びバイアス回路49をそなえて構成されている。ここで、差動増幅回路59は、2つのMOS−FET59Cからなる差動対,2つの抵抗59A及び7個のMOS−FET59Bをそなえて構成されることにより、ATC回路72のピーク検出回路73からの出力(ピーク値)とボトム検出回路74からの出力(ボトム値)とを入力として差動増幅を行なって、ピーク値とボトム値の差レベル(即ち入力振幅レベル)をAGC増幅回路77の利得制御信号(+及び−の利得制御信号)に変換するものである。
【0164】
また、レベルシフト回路58は、差動増幅回路59の入力端の入力側に設けられ、ピーク値又はボトム値のいずれか(図27ではボトム値)が入力されて、第1実施形態において前述した理由と同様の理由から、入力されたピーク値又はボトム値を所定レベル分シフトさせるものである。なお、このレベルシフト回路58は、抵抗58A及び定電流源としてのMOS−FET58Bをそなえて構成されている。
【0165】
さらに、バイアス回路49は、利得制御回路76内のレベルシフト回路58及び差動増幅回路59に電流を供給する定電流源であり、図27に示すように、2つのMOS−FET49Aと2つの定電流源49Bとをそなえている。ところで、AGC増幅回路77は、入力信号とATC回路72からの閾値とを入力として、利得制御回路76からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路72からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅を行なうものであり、自動利得制御増幅部として機能するものである。
【0166】
具体的には、AGC増幅回路77は、図28に示すように、負荷抵抗95A,小利得差動対95C,大利得差動対95E,利得制御差動対95G及び定電流源としてのMOS−FET95Iをそなえて構成されている。また、負荷抵抗95Aは2つの抵抗95Bからなり、小利得差動対95Cは2つのMOS−FET95Dから、大利得差動対95Eは2つのMOS−FET95Fから、利得制御差動対95Gは2つのMOS−FET95Hからなる。
【0167】
ここで、小利得差動対95C及び大利得差動対95Eは、図8を用いて前述したAGC増幅回路27におけるものと同様に、それぞれトランスコンダクタンスが異なるように設計されており、これらの2つの差動対95C,95Eに流れる電流値の割合を利得制御差動対95Gにより制御することにより、AGC回路77全体のトランスコンダクタンス値が変化するようになっている。
【0168】
また、AGC増幅回路77全体で流れる電流は定電流源としてのMOS−FET95Iにより決定されるため、電流値と負荷抵抗95Aとの積で与えられるリミッタ振幅は、利得が変動した場合においても一定に保たれるようになっている。即ち、AGC増幅回路77は、同一の負荷抵抗95Aにトランスコンダクタンスの異なる2つの差動対95C,95Eを接続し、2つの差動対入力に共通に差動入力端子P1,P2を接続し、2つの差動対95C,95Eに流れる電流の総和をほぼ一定に保ちつつ、電流の比率を変化させることで増幅利得を制御するように構成されているのである。
【0169】
なお、AGC増幅回路77においては、図28に示すように、増幅された信号は、ドレイン接地されたソースホロア構成の複数のMOS−FET95J等を介して、出力端子P5,P6から出力されるようになっている。また、図28において、95Kは抵抗であり、95LはMOS−FETである。さらに、AGC増幅回路77には、図28に示すように、AGC増幅回路77に電流を供給する定電流源としてのバイアス回路94が付設されている。なお、このバイアス回路94は、MOS−FET94A及び定電流源94Bとをそなえている。
【0170】
また、AGC増幅回路77を構成するトランジスタとしては、図28に示すようなMOS−FETのほか、バイポーラトランジスタを用いることもできる(図21参照)。このような構成により、AGC増幅回路77は、図8を用いて前述したAGC増幅回路27と同様に動作する。
【0171】
即ち、AGC増幅回路77においては、図28に示すように、入力信号及びATC回路72からの閾値が、入力端子P1,P2から小利得差動対95C,大利得差動対95Eにそれぞれ入力されるとともに、利得制御回路76からの利得制御信号が、利得制御端子P3,P4から利得制御差動対95Gに入力されると、利得制御信号に基づく利得で、閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれ、増幅された信号は、複数のMOS−FET95J等を介して出力端子P5,P6から出力される。
【0172】
ところで、ATC−AGC増幅回路78は、前述のATC−AGC増幅回路71と同様に、ATC回路79,利得制御回路83及びAGC増幅回路84をそなえて構成されている。ATC回路79は、前述のATC回路72と同様に、入力信号(即ちATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77からの出力信号)のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路80,ボトム検出回路81及び抵抗82A,82Bからなる分圧回路82をそなえて構成されている。
【0173】
なお、ピーク検出回路80及びボトム検出回路81は、それぞれ前述したピーク検出回路73及びボトム検出回路74と同様の機能及び構成を有しており、分圧回路82は、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。また、利得制御回路83は、ATC−AGC増幅回路71のピーク検出回路73からのピーク値とボトム検出回路74からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路84へ供給するものである。
【0174】
さらに、AGC増幅回路84は、ATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77からの出力信号とATC回路79からの閾値とを入力として、利得制御回路83からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路79からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路77からの入力信号の差動増幅を行なうものである。なお、利得制御回路83及びAGC増幅回路84も、それぞれ前述した利得制御回路76及びAGC増幅回路77と同様の機能及び構成を有している。
【0175】
さらに、ATC−リミッタ増幅回路85は、ATC回路86及びリミッタ増幅回路91をそなえて構成されている。ATC回路86は、前述したATC回路72と同様に、入力信号(即ちAGC増幅回路84からの正相出力)のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであるが、本実施形態においては、ピーク検出回路87,ボトム検出回路88,抵抗89A,89Bからなる分圧回路89及びガード電圧発生回路90をそなえて構成されている。
【0176】
なお、ピーク検出回路87及びボトム検出回路88は、それぞれ前述したピーク検出回路73及びボトム検出回路74と同様の機能及び構成を有しており、分圧回路89は、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。ここで、ATC回路を用いて構成された信号増幅回路においては、信号が入力されないとき〔入力の無信号時;図19(a)の符号W参照〕には、信号レベルと閾値レベルとが等しくなるため、微弱な入力雑音によりその出力が「0」又は「1」に振れ、信号が誤認識されることがある。
【0177】
この入力雑音による信号の誤認識を防ぐためには、図19(b)に示すように、ATC回路86に信号が入力されていないとき(無信号時W)にも、閾値レベルTを入力雑音レベルより高くなるように制御すればよい。ここで、ガード電圧発生回路90は、図19(b)に示すように、所定の(入力雑音より大きいレベルの)ガード電圧Vを発生するものであり、本実施形態においては、このガード電圧発生回路90が、ATC回路86に信号が入力されていないときにも、閾値レベルTが入力の無信号時レベルより所定のガード電圧分(即ち入力雑音より大きいレベル分)だけ高くなるようにボトム検出回路88の出力(ボトム検出レベルB)を制御することにより、閾値レベルTを制御するようになっている。
【0178】
なお、ボトム検出回路88とガード電圧発生回路90とは、図26に示すように接続されており、ガード電圧発生回路90は、具体的には、図26に示すように、MOS−FET90A及び抵抗90Bをそなえて構成されている。ところで、リミッタ増幅回路91は、ATC−AGC増幅回路78のAGC増幅回路84からの正相出力とATC回路86からの閾値とを入力として、ATC回路86からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路84からの入力信号を差動増幅した後、増幅した信号を所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものである。
【0179】
なお、リミッタ増幅回路91においては、全ての入力範囲で出力振幅が一定レベルにリミットされるようになっている。具体的には、リミッタ増幅回路91は、図29に示すように、2つの抵抗91Aからなる負荷抵抗,2つのMOS−FET91Bからなる差動対,定電流源としてのMOS−FET91Cをそなえて構成されている。
【0180】
なお、リミッタ増幅回路91においては、増幅された信号は、ドレイン接地されたソースホロア構成の複数のMOS−FET91D等を介して、出力端子から出力されるようになっている。また、図29において、91Eは抵抗であり、91FはMOS−FETである。さらに、リミッタ増幅回路91には、図29に示すように、リミッタ増幅回路91に電流を供給する定電流源としてのバイアス回路94が付設されている。なお、このバイアス回路94は、MOS−FET94A及び定電流源94Bとをそなえている。
【0181】
また、リミッタ増幅回路91を構成するトランジスタとしては、図29に示すようなMOS−FETのほか、バイポーラトランジスタを用いることもできる(図21参照)。このように、本実施形態においても、前述の第5実施形態で説明したように、ATC−AGC増幅回路71,78が有するオフセットを補償するために、ATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77の後段にATC−AGC増幅回路78のATC回路79を設けるとともに、ATC−AGC増幅回路78のAGC増幅回路84の後段にATC−リミッタ増幅回路85のATC回路86を設けて、AGC増幅回路77,84からの出力レベルの変動を、それぞれその後段のATC回路79,86により追従して補償するように構成されている。
【0182】
換言すれば、ATC−AGC増幅回路78においてはAGC増幅回路84をATC回路79により、またATC−リミッタ増幅回路85においてはリミッタ増幅回路91をATC回路86により、それぞれフィードフォワード的に制御することにより、ATC−AGC増幅回路71,78が有するオフセットを補償するように構成されているのである。
【0183】
上述の構成により、本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路70においては、信号が入力されると、ATC−AGC増幅回路71のATC回路72では、自動的に入力信号のピーク値と基準レベルに基づいた閾値が設定される。また、利得制御回路76では、ATC回路72にて検出されたピーク値と基準レベルとの差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路77へ供給される。
【0184】
入力信号とATC回路72からの閾値とがAGC増幅回路77に入力されると、AGC増幅回路77では、利得制御回路76からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路72からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。さらに、ATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77により差動増幅された信号が出力されると、ATC−AGC増幅回路78のATC回路79では、自動的にAGC増幅回路77からの出力信号のピーク値とボトム値に基づいた閾値が設定される。
【0185】
また、利得制御回路83では、ATC回路79にて検出されたピーク値とボトム値との差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路84へ供給される。AGC増幅回路77からの出力信号とATC回路79からの閾値とがAGC増幅回路84に入力されると、AGC増幅回路84では、利得制御回路83からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路79からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0186】
さらに、ATC−AGC増幅回路78のAGC増幅回路84により差動増幅された信号が出力されると、ATC−リミッタ増幅回路85のATC回路86では、AGC増幅回路84からの出力信号のピーク値とガード電圧発生回路90により制御されたボトム値に基づいた閾値が自動的に設定される。そして、AGC増幅回路84からの正相出力とATC回路86からの閾値とがリミッタ増幅回路91に入力されると、リミッタ増幅回路91では、ATC回路86からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路84からの入力信号が差動増幅された後、増幅された信号が所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。
【0187】
このように、本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路70によれば、ATC−AGC増幅回路71,78をそなえるとともに、その後段にATC−リミッタ増幅回路85をそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点が得られるほか、ATC−AGC増幅回路78,ATC−リミッタ増幅回路85においてフィードフォワード制御によりオフセットの補償を行なうことにより、オフセット補償フィードバックループ(図5の符号28参照)を用いることなく信号のパルス幅の変動を低減することができるため、応答の時定数に制限がある高速の信号の増幅を行なう際にも適用することができる。
【0188】
また、信号増幅回路70が、多段のAGC増幅回路77,84をそなえて構成されることにより、信号増幅回路70の設計の自由度を大きくすることができる。さらに、ガード電圧発生回路90が、ATC回路86に信号が入力されていないときにも、閾値レベルが入力の無信号時レベルより所定のガード電圧分(即ち入力雑音より大きいレベル分)だけ高くなるように閾値レベルを制御することにより、入力雑音による信号の誤認識を防ぐことができ、例えば図19(c)に示すように、無信号時の出力レベルを論理「0」に固定することができる。
【0189】
なお、本実施形態においては、ガード電圧発生回路90が、ボトム検出回路88の出力〔図19(b)に示すボトム検出レベルB〕を制御することにより閾値レベルを制御する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、ピーク検出回路87の出力〔図19(b)に示すピーク検出レベルP〕や分圧回路89の出力を制御することにより閾値レベルを制御してもよい。
【0190】
また、本実施形態においても、AGC増幅回路77の入力側に遅延回路(図5の符号43参照)を設ければ、前述のごとく、利得制御回路76からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路77に信号が入力されるようにすることができ、信号のオーバシュート〔図12(c)のJ参照〕を防ぐことができる。さらに、本実施形態にかかる信号増幅回路70を、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
【0191】
(f1)第6実施形態の変形例の説明
なお、上述の第6実施形態においては、図18に示すように、信号増幅回路70が、2段のATC−AGC増幅回路71,78及び1段のATC−リミッタ増幅回路85をそなえて構成される場合について説明したが、最終段がATC−リミッタ増幅回路であればよいため、図20に示すように、1段のATC−AGC増幅回路と2段のATC−リミッタ増幅回路をそなえて構成することもできる。
【0192】
ここで、図20に示す信号増幅回路70Aは、信号増幅回路70のATC−AGC増幅回路78が、ATC−リミッタ増幅回路78Aに置き換えられた点を除いては、信号増幅回路70と同様に構成されている。ATC−リミッタ増幅回路78Aは、ATC回路79及びリミッタ増幅回路84Aをそなえて構成されており、ATC回路79は、上述の第6実施形態におけるものと同様の機能及び構成を有するものである。
【0193】
また、リミッタ増幅回路84Aは、ATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77からの出力信号とATC回路79からの閾値とを入力として、ATC回路79からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路77からの入力信号を差動増幅した後、増幅した信号を所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものである。
【0194】
なお、リミッタ増幅回路84Aは、上述の第6実施形態におけるリミッタ増幅回路91と同様の構成を有しており、このリミッタ増幅回路84Aにおいても、全ての入力範囲で出力振幅が一定レベルにリミットされるようになっている。このように、信号増幅装置70Aを、1段のATC−AGC増幅回路と2段のATC−リミッタ増幅回路をそなえて構成しても、上述した第6実施形態にかかる信号増幅回路70と同様の利点が得られるほか、中段のATC−リミッタ増幅回路78Aが利得制御回路(図18の符号83参照)をそなえる必要がないため、信号増幅回路70Aを構成する回路数を削減して、信号増幅回路70Aの構成を簡素化することができる。
【0195】
(g)その他
第6実施形態において説明したような、ピーク検出回路(図22,図23参照),ボトム検出回路(図24〜図26参照),利得制御回路(図27参照),AGC増幅回路(図28参照)及びリミッタ増幅回路(図29参照)は、第1〜第5実施形態においても用いることができる。
【0196】
また、前述の第6実施形態においても、第1〜第5実施形態において説明したようなピーク検出回路(図示せず),ボトム検出回路(図示せず),利得制御回路(図7参照)及びAGC増幅回路(図8,図21参照)を用いることができる。さらに、上述した第1〜第6実施形態において、MOS−FETを用いて構成された回路においては、バイポーラトランジスタを用いて構成することもできる。
【0197】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部及び利得制御部をそなえて構成されることにより、全ての入力信号の振幅レベルにおいて自動利得制御増幅部がその線形範囲内で動作することができるため、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防ぐことができる利点がある。
【0198】
また、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、一般的に用いられるフィードバック制御による自動利得制御増幅部よりも、応答の時定数を小さくすることができるため、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる。
【0199】
また、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部,利得制御部及びオフセット補償フィードバック部をそなえて構成されることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防いで、信号増幅回路を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができるため、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる利点がある。
【0200】
さらに、本発明の信号増幅回路によれば、自動利得制御増幅部,利得制御部及びオフセット補償フィードバック部をそなえて構成されることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防いで、信号増幅回路を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる。
【0201】
また、オフセット補償フィードバック部が、参照信号を自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックすることにより、閾値を設定するための自動閾値設定部を設ける必要がなくなるため、信号増幅回路を簡素に構成することができる利点がある。また、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部における「0」側レベル出力回路として、入力信号の「0」側レベルに相当する基準レベルを発生する基準レベル発生回路を用いれば、信号増幅回路の構成を簡素化することができる。
【0202】
また、オフセット補償フィードバック部が、「0」側レベル出力回路を兼用するように構成すれば、信号増幅回路を構成する回路数を削減することができるため、更に信号増幅回路の構成を簡素化することができる利点がある。さらに、本発明の信号増幅回路によれば、自動利得制御増幅部における入力信号が入力される側に遅延回路を接続することもでき、このようにすれば、利得制御部からの利得制御信号が立ち上がった後に自動利得制御増幅部に信号が入力されるようにすることができるため、自動利得制御増幅部における信号のオーバシュートを防ぎ、信号増幅回路の誤動作を防ぐことができる利点がある。
【0203】
また、本発明の信号増幅回路によれば、オフセット補償フィードバック部が、自動利得制御増幅部の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものの差レベルを自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部のオフセットを補償するように構成することもでき、このようにすれば、信号の入力レベルが変動した場合にも安定してオフセット補償を行なうことができる。
【0204】
さらに、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部及び利得制御部を有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、リミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防ぐことができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる利点がある。
【0205】
また、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部,利得制御部及びオフセット補償フィードバック部を有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、リミッタ増幅回路部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防いで、信号増幅回路を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる利点がある。
【0206】
さらに、本発明の信号増幅回路によれば、自動利得制御増幅部,利得制御部及びオフセット補償フィードバック部を有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、リミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防いで、信号増幅回路を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる。
【0207】
また、オフセット補償フィードバック部が、参照信号を自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックすることにより、閾値を設定するための自動閾値設定部を設ける必要がなくなるため、信号増幅回路を簡素に構成することができる利点がある。また、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部及び利得制御部を有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、自動閾値設定部及びリミッタ増幅部とを有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防ぐことができるとともに、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる利点がある。
【0208】
さらに、本発明の信号増幅回路によれば、ガード電圧発生回路を、リミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けることもでき、このようにすれば、入力雑音による信号の誤認識を防ぐことができる利点がある。特に、ガード電圧発生回路を、最後段のリミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けることもでき、このようにすれば、入力雑音による信号の誤認識を確実に防ぐことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図である。
【図2】本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図である。
【図3】本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図である。
【図4】本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路が適用される光通信システムの受信部の構成の一部を示すブロック図である。
【図7】利得制御回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】AGC増幅回路の構成の一例を示す回路図である。
【図9】入力信号の振幅とAGC増幅回路の利得との関係の一例を示す図である。
【図10】利得制御信号とAGC増幅回路の利得との関係の一例を示す図である。
【図11】(a),(b)は、それぞれ本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図12】(a)〜(c)は、それぞれ本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図13】本発明の第2実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第3実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第4実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図17】(a),(b)は、それぞれ本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図18】本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図19】(a)〜(c)は、それぞれ本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図20】本発明の第6実施形態の変形例にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図21】AGC増幅回路の構成の他の例を示す回路図である。
【図22】ピーク検出回路の構成を示すブロック図である。
【図23】ピーク検出回路の構成を示す回路図である。
【図24】ボトム検出回路の構成を示すブロック図である。
【図25】ボトム検出回路の構成を示す回路図である。
【図26】ボトム検出回路とガード電圧発生回路との接続について説明するための図である。
【図27】利得制御回路の構成の他の例を示す回路図である。
【図28】AGC増幅回路の構成の他の例を示す回路図である。
【図29】リミッタ増幅回路の構成を示す回路図である。
【図30】従来の信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図31】(a)〜(c)は、それぞれ従来の信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図32】(a),(b)は、それぞれ従来の信号増幅回路からの出力信号のアイパターンを示す図である。
【符号の説明】
1 信号増幅回路
2 自動閾値設定部
3 自動利得制御増幅部
4 利得制御部
5 信号増幅回路
6 自動閾値設定部
7 自動利得制御増幅部
8 利得制御部
9 オフセット補償フィードバック部
10 信号増幅回路
11 自動利得制御増幅部
12 利得制御部
13 オフセット補償フィードバック部
14 信号増幅基本ブロック部
15 リミッタ増幅基本ブロック部
16 信号増幅回路
20,20A,20B 信号増幅回路
21 ATC−AGC増幅回路
22,22A,22B 自動閾値制御回路(ATC回路;自動閾値設定部)
23 ピーク検出回路(「1」側レベル出力回路)
24 ボトム検出回路(「0」側レベル出力回路)
25 分圧回路
25A,25B 抵抗
26 利得制御回路(利得制御部)
27 自動利得制御増幅回路(AGC増幅回路;自動利得制御増幅部)
28,28A,28B,28C オフセット補償フィードバックループ(オフセット補償フィードバック部)
29−1,29−2 出力ピーク検出回路
30,30B 誤差増幅回路
31 ローパスフィルタ
32 抵抗
33 リミッタ増幅回路(リミッタ増幅部,リミッタ増幅基本ブロック部)
34 フォトダイオード(光−電気変換部)
35 プリアンプ(前置増幅回路)
35A 増幅回路
35B 抵抗
36 負荷抵抗
36A,36B 抵抗
37 小利得差動対
38 大利得差動対
39 利得制御差動対
37A,37B,38A,38B,39A,39B MOS−FET
37C,37D,38C,38D,39C,39D バイポーラトランジスタ
40 定電流源
41 レベルシフト回路
41A 抵抗
41B 定電流源
42 差動増幅回路
43 遅延回路
45 基準レベル発生回路(「0」側レベル出力回路)
46−1,46−2 出力ピーク検出回路
47−1,47−2 出力ボトム検出回路
48A〜48D 抵抗
49 バイアス回路
49A MOS−FET
49B 定電流源
50 信号増幅回路
51 AGC増幅回路ブロック部
52 利得制御回路
53 自動利得制御増幅回路(AGC増幅回路)
54,54′ 差動増幅回路
54A,54B,54C,54D MOS−FET
55,55′ ダイオード
55A,55B MOS−FET
56 検出容量
57 バッファ
57A MOS−FET
58 レベルシフト回路
58A 抵抗
58B MOS−FET
59 差動増幅回路
59A 抵抗
59B,59C MOS−FET
60 信号増幅回路
61 ATC−AGC増幅回路(信号増幅基本ブロック部)
62 自動閾値制御回路(ATC回路;自動閾値設定部)
63,63A ピーク検出回路(「1」側レベル出力回路)
64,64A ボトム検出回路(「0」側レベル出力回路)
65,65C 分圧回路
65A,65B,65D,65E 抵抗
66 利得制御回路(利得制御部)
67 自動利得制御増幅回路(AGC増幅回路;自動利得制御増幅部)
68 ATC−リミッタ増幅回路(リミッタ増幅基本ブロック部)
69 自動閾値制御回路(ATC回路;自動閾値設定部)
70 信号増幅回路
71,78 ATC−AGC増幅回路(信号増幅基本ブロック部)
72,79,86 自動閾値制御回路(ATC回路;自動閾値設定部)
73,80,87 ピーク検出回路(「1」側レベル出力回路)
74 ボトム検出回路(「0」側レベル出力回路)
75,82,89 分圧回路
75A,75B,82A,82B,89A,89B 抵抗
76 利得制御回路(利得制御部)
77 自動利得制御増幅回路(AGC増幅回路;自動利得制御増幅部)
78A,85 ATC−リミッタ増幅回路(リミッタ増幅基本ブロック部)
81,88 ボトム検出回路(「0」側レベル出力回路)
90 ガード電圧発生回路
90A MOS−FET
90B 抵抗
91,91′,84A リミッタ増幅回路(リミッタ増幅部)
91A,91E 抵抗
91B,91C,91D,91F MOS−FET
92,92A,92B,93 信号増幅基本ブロック部
94 バイアス回路
94A MOS−FET
94B 定電流源
95A 負荷抵抗
95B,95K 抵抗
95C 小利得差動対
95D,95F,95H,95I,95J,95L MOS−FET
95E 大利得差動対
95G 利得制御差動対
96 抵抗
100 信号増幅回路
101 ATC−リミッタ増幅回路
102 自動閾値制御回路(ATC回路)
103 ピーク検出回路
104 ボトム検出回路
105 分圧回路
105A,105B 抵抗
106,107 リミッタ増幅回路
発明の属する技術分野
従来の技術(図30)
発明が解決しようとする課題(図30〜図32)
課題を解決するための手段(図1〜図4)
発明の実施の形態
・(a)第1実施形態の説明(図5〜図12,図21)
・(b)第2実施形態の説明(図13)
・(c)第3実施形態の説明(図14)
・(d)第4実施形態の説明(図15)
・(e)第5実施形態の説明(図16,図17)
・(f)第6実施形態の説明(図18,図19,図22〜図29)
・(f1)第6実施形態の変形例の説明(図20)
・(g)その他
発明の効果
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光通信システムの受信部において、パルス信号の再生時に入力オフセットにより生じるパルス幅の歪みを低減する際に用いて好適な、信号増幅回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、電気通信システム等の受信部においては、伝送時に減衰した信号の波形整形を行なうべく、微弱アナログ信号からパルス信号を再生する信号増幅回路が用いられている。この信号増幅回路においては、入力信号レベルに対して広いダイナミックレンジを有することが求められている。
【0003】
このような要求を満たす信号増幅回路としては、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として設定する自動閾値制御(ATC;Automatic Threshold Control)回路(以下ATC回路という)と、この閾値に基づいて入力信号のリミッタ増幅を行なうリミッタ増幅器とからなるATC−リミッタ増幅回路が知られている。
【0004】
ここで、図30にATC−リミッタ増幅回路からなる信号増幅回路の構成の一例を示す。この信号増幅回路100は、図30に示すように、ATC回路102とリミッタ増幅回路106とからなるATC−リミッタ増幅回路101と、ATC−リミッタ増幅回路101の後段側に他のリミッタ増幅回路107とをそなえて構成されている。
【0005】
ATC回路102は、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として設定するものであり、ピーク検出回路103,ボトム検出回路104及び分圧回路105をそなえて構成されている。ここで、ピーク検出回路103は、入力信号のピーク値を検出して「1」レベルとして出力するものであり、ボトム検出回路104は、入力信号のボトム値を検出して「0」レベルとして出力するものである。なお、これらのピーク検出回路103及びボトム検出回路104は、それぞれ図示しないダイオード,保持容量及び増幅回路から構成されている。
【0006】
また、分圧回路105は、図30に示すように、ピーク検出回路103の出力端子とボトム検出回路104の出力端子との間で直列接続された抵抗105A,105Bからなり、ピーク検出回路103からのピーク値とボトム検出回路104からのボトム値との分圧レベルを抵抗105A,105Bの抵抗分割により求め、この分圧レベルを閾値(閾値レベル)として設定するものである。通常、分圧比は1/2に設定され、閾値レベルは「1」レベルと「0」レベルとの中間値となる。
【0007】
さらに、リミッタ増幅回路106は、入力信号とATC回路102からの閾値とを入力として、閾値レベルを中心にして入力信号のリミッタ増幅を行なうことにより、入力信号の全範囲において出力振幅が一定レベルとなるようにリミッタ処理を施すものである。また、リミッタ増幅回路107は、ATC−リミッタ増幅回路101のリミッタ増幅回路106によりリミッタ増幅された信号(差動信号)を入力として、入力された信号を差動増幅するものである。
【0008】
このような構成により、図30に示す信号増幅回路100においては、信号が入力されると、ATC−リミッタ増幅回路101のATC回路102では、入力信号のピーク値及びボトム値が検出されてこれらの値の中間値が閾値として設定される。続いて、この閾値と入力信号とがリミッタ増幅回路106に入力されると、リミッタ増幅回路106では、この閾値レベルを中心にして入力信号のリミッタ増幅が行なわれ、入力信号の振幅が一定レベルにされる。
【0009】
そして、ATC−リミッタ増幅回路101のリミッタ増幅回路106によりリミッタ増幅された信号がリミッタ増幅回路107に入力されると、リミッタ増幅回路107では、この入力信号の差動増幅が行なわれる。このように、図30に示す信号増幅回路100によれば、ATC回路102が入力信号に基づいて閾値を設定しているので、信号の入力レベルが変動した場合にはそれに追従して閾値を変動させることができ、このため広いダイナミックレンジに渡って良好な出力波形を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図30に示す信号増幅回路100においては、ピーク検出回路103,ボトム検出回路104及びリミッタ増幅回路106,107はそれぞれ固有のオフセットを有しているため、ATC回路102から出力される閾値レベルはオフセット値分だけ本来の閾値レベルからずれたものとなる。
【0011】
ここで、ピーク検出回路103,ボトム検出回路104及びリミッタ増幅回路106,107のオフセット値はそれぞれ最大で数10mVあるため、各回路のオフセットが蓄積するとそのオフセット値は入力信号の振幅に対して無視できない程大きな値となる。例えば、図31(a)に示すような信号(符号S参照)が入力された場合には、ATC回路102においては、図31(b)に示すように、この入力波形Sからピーク値レベルP及びボトム値レベルBが検出され、これらの値に基づいて1/2のレベルに本来の閾値レベルが設定される(符号H参照)。
【0012】
ところが、ATC回路102においては、この閾値レベルが出力される際には、ピーク検出回路103,ボトム検出回路104に存在するオフセット値(符号OF参照)が加味されるため、閾値レベルTとして出力されることになる。従って、リミッタ増幅回路106においては、このオフセット値分だけずれた閾値レベルTを用いてリミッタ増幅が行なわれるため、図31(c)に示すように、リミッタ増幅回路106から出力される信号のパルス幅が劣化するという課題がある(符号Q,R参照)。
【0013】
なお、図32(a),(b)に、リミッタ増幅回路106から出力される信号のアイパターンを示す。リミッタ増幅回路106において、オフセットが加味されていない閾値を用いてリミッタ増幅が行なわれた場合には、出力信号のアイパターンは図32(a)に示すように正常なものとなるのに対して、オフセットが加味された閾値を用いてリミッタ増幅が行なわれた場合には、出力信号のアイパターンは図32(b)に示すように異常なものとなる。
【0014】
また、入力信号の振幅が小さい場合には、オフセット値が加味されると閾値レベルが入力信号の振幅範囲を超えてしまうこともあり、この場合には、リミッタ増幅回路106においては信号のリミッタ増幅は正常に行なわれなくなる。これらの課題に対して、信号増幅回路100においては、ATC−リミッタ増幅回路101のリミッタ増幅回路106の出力端部からフィードバックループ(オフセット補償フィードバックループ)を設けて、リミッタ増幅回路106からの出力信号の一部を用いてフィードバック制御を行なうことにより各回路が有するオフセットを補償する方法が考えられる。
【0015】
ここで、オフセット補償フィードバックループにおけるフィードバック制御としては、リミッタ増幅回路106からの出力信号のピーク値を比較しピーク値が等しくなるようにフィードバック制御を行なう方法と、この出力信号の平均値を比較し平均値が等しくなるようにフィードバック制御を行なう方法とが考えられる。
【0016】
しかし、出力信号の平均値を用いてフィードバック制御を行なう方法は、信号のマーク率に影響を受ける等の課題があることから一般的には用いることができないため、出力信号のピーク値を用いてフィードバック制御を行なう方法を用いることとなる。しかしながら、リミッタ増幅回路106からの出力信号は所定のレベル以上がリミットされて振幅情報が失われており、閾値レベルに関係なく出力信号のピーク値は一定となるため、出力信号のピーク値を用いてフィードバック制御を行なう方法を用いることができないという課題がある。
【0017】
従って、ATC回路102の利点を生かしつつ、オフセットを補償できるような信号増幅回路が必要とされている。本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、信号を増幅するための回路として自動利得制御増幅回路を用い、利得を入力信号のレベルに応じてフィードフォワード的に制御することにより全ての入力レベルにおいて増幅回路にて増幅される信号がリミットされることを防ぐことを目的とするとともに、各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制できるようにした、信号増幅回路を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図であり、この図1に示す信号増幅回路1は、自動閾値設定部2,自動利得制御増幅部3及び利得制御部4をそなえて構成されている。ここで、自動閾値設定部2は、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定するものである。
【0019】
また、自動利得制御増幅部3は、入力信号と自動閾値設定部2からの閾値とを入力として差動増幅を行なうものである。さらに、利得制御部4は、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部3へ供給するものである。
【0020】
また、信号増幅回路1は、入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路(図示省略)と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路(図示省略)とを有する。自動閾値設定部2は、ピーク値とボトム値との所定分圧値を閾値とする。利得制御部4は、ピーク値とボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部3へ供給する。
【0021】
ところで、図2も本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図であり、この図2に示す信号増幅回路5は、自動閾値設定部6,自動利得制御増幅部7,利得制御部8及びオフセット補償フィードバック部9をそなえて構成されている。ここで、自動閾値設定部6は、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定するものである。
【0022】
また、自動利得制御増幅部7は、入力信号と自動閾値設定部6からの閾値とを入力として差動増幅を行なうものである。さらに、利得制御部8は、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部7へ供給するものである。
【0023】
また、オフセット補償フィードバック部9は、自動利得制御増幅部7からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部7の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7のオフセットを補償するものである。また、信号増幅回路5は、入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路(図示省略)と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路(図示省略)とを有する。さらに、自動閾値設定部6は、ピーク値とボトム値との所定分圧値を閾値とするものでもある。利得制御部8は、ピーク値とボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部7へ供給するものである。オフセット補償フィードバック部9は、自動利得制御増幅部7からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部7の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7のオフセットを補償するようになっている。
【0024】
ところで、図3も本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図であり、この図3に示す信号増幅回路10は、自動利得制御増幅部11,利得制御部12及びオフセット補償フィードバック部13をそなえて構成されている。ここで、自動利得制御増幅部11は、入力信号と参照信号とを入力として差動増幅を行なうものである。
【0025】
また、利得制御部12は、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部11へ供給するものである。この利得制御部12は、入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路(図示省略)と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路(図示省略)とを有し、ピーク値とボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部11へ供給するものでもある。
【0026】
さらに、オフセット補償フィードバック部13は、自動利得制御増幅部11からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部11の入力側へ参照信号としてフィードバックして、自動利得制御増幅部11のオフセットを補償するものである。このオフセット補償フィードバック部13は、自動利得制御増幅部11からの出力信号の差情報を、自動利得制御増幅部11のオフセットを補償すべく、自動利得制御増幅部11の入力側へ参照信号としてフィードバックするものでもある。
【0027】
また、上記利得制御部4,8,12は、上記自動利得制御増幅部3,7,11の利得を入力振幅が小さいときには最大利得とし、入力振幅が大きくなり第1の所定値を超えると入力振幅に応じて減少させ、更に入力振幅が大きくなり第2の所定値を超えると最小利得とするように、利得制御信号を供給するようになっている。
【0028】
ここで、自動閾値設定部2,6は、それぞれ入力信号の「1」側レベルを出力する「1」側レベル出力回路と、入力信号の「0」側レベルを出力する「0」側レベル出力回路と、上記の「1」側レベル出力回路及び「0」側レベル出力回路でそれぞれ得られた入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとを分圧して、閾値レベルを生成する分圧回路とをそなえて構成することができる。
【0029】
そして、利得制御部4,8,12が、最大利得として入力振幅が最小の信号がリミットされる値を用いるように構成されてもよく、また、最小利得として自動利得制御増幅部3,7,11に振幅が最大の信号が入力された場合において、自動利得制御増幅部3,7,11において増幅される信号の値が、自動利得制御増幅部3,7,11の線形範囲を超えない値を用いてもよい。
【0030】
具体的には、「1」側レベル出力回路は入力信号のピークレベルを検出するピーク検出回路として構成されるとともに、「0」側レベル出力回路は入力信号のボトムレベルを検出するボトム検出回路として構成することができる。また、「1」側レベル出力回路を入力信号のピークレベルを検出するピーク検出回路として構成するとともに、「0」側レベル出力回路を入力信号の「0」側レベルに相当する基準レベルを発生する基準レベル発生回路として構成してもよい。
【0031】
さらに、「1」側レベル出力回路を入力信号のピークレベルを検出するピーク検出回路として構成するとともに、オフセット補償フィードバック部9,13が「0」側レベル出力回路を兼用するように構成することもできる。また、自動利得制御増幅部3,7,11における入力信号が入力される側に、遅延回路を接続してもよい。
【0032】
ここで、自動利得制御増幅部3,7,11は、具体的には、同一の負荷抵抗にトランスコンダクタンスの異なる複数の差動対を接続し、複数の差動対入力に共通に差動入力端子を接続し、当複数の差動対に流れる電流の総和をほぼ一定に保ちつつ、電流の比率を変化させることで増幅利得を制御するように構成することができる。
【0033】
また、自動利得制御部4,8,12は、具体的には、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルをそれぞれを入力とする差動増幅回路をそなえた構成としてもよく、自動利得制御部4,8,12が、レベルシフト回路と、入力信号の「1」側レベル及び「0」側レベルのいずれかをレベルシフト回路を介してそれぞれを入力とする差動増幅回路とをそなえた構成としてもよい。
【0034】
さらに、上記の利得制御部4,8,12と自動利得制御増幅部3,7,11は、利得制御部4,8,12と自動利得制御増幅部3,7,11とで決まる最小の利得Gminが入力される信号の最大レベルでも自動利得制御増幅部3,7,11の線形範囲を超えない値となるように構成してもよい。具体的には、上記の利得制御部4,8,12と自動利得制御増幅部3,7,11は、自動利得制御増幅部3,7,11の線形範囲を超えない最小の利得Gminの値として、
Gmin=Vlinear/Vinmax
Vlinear:自動利得制御増幅部出力の線形範囲
Vinmax:最大入力レベル
となるように構成することができる。
【0035】
前記利得制御部4,8,12は、最小利得として自動利得制御増幅部3,7,11に振幅が最大の信号が入力された場合において、自動利得制御増幅部3,7,11において増幅される信号の値が、自動利得制御増幅部3,7,11の線形範囲を超えない値を用いることもできる。ところで、オフセット補償フィードバック部9,13は、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力の各ピーク値の差レベルを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成することができる。
【0036】
また、オフセット補償フィードバック部9,13を、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力の各ピーク値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成してもよい。
【0037】
さらに、オフセット補償フィードバック部9,13は、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力の各ボトム値の差レベルを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成することもできる。
【0038】
また、オフセット補償フィードバック部9,13を、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力の各ボトム値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成してもよい。
【0039】
さらに、オフセット補償フィードバック部9,13は、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものの差レベルを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成することもできる。
【0040】
また、オフセット補償フィードバック部9,13を、自動利得制御増幅部7,11からの出力信号の差情報として、自動利得制御増幅部7,11の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものの差レベルについて低域フィルタ処理を施したものを自動利得制御増幅部7,11の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部7,11のオフセットを補償するように構成してもよい。
【0041】
そして、上述した信号増幅回路1,5,10は、入力信号が光信号である場合は、入力側に、入力信号について光−電気変換を施す光−電気変換部と、光−電気変換部の出力信号を増幅する前置増幅回路とを接続してもよい。ところで、図4も本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図であり、この図4に示す信号増幅回路16は、少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部14及び少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部15をそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部14の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部15が接続された構成となっている。
【0042】
ここで、信号増幅基本ブロック部14は、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部と、入力信号と自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部とをそなえている。
【0043】
また、リミッタ増幅基本ブロック部15は、差動入力信号を差動増幅するリミッタ増幅部をそなえている。すなわち、本発明の信号増幅回路は、ピーク検出回路とボトム検出回路とを有し、前記自動閾値設定部と、前記自動利得制御増幅部と、前記利得制御部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、前記リミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴としている。
【0044】
さらに、信号増幅基本ブロック部14が、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部と、入力信号と自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部と、自動利得制御増幅部からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックして自動利得制御増幅部のオフセットを補償するオフセット補償フィードバック部とをそなえた構成としてもよく、信号増幅基本ブロック部14が、入力信号と参照信号とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部と、自動利得制御増幅部からの出力信号の差情報を自動利得制御増幅部の入力側へ参照信号としてフィードバックして、自動利得制御増幅部のオフセットを補償するオフセット補償フィードバック部とをそなえた構成としてもよい。
【0045】
すなわち、本発明の信号増幅回路は、ピーク検出回路とボトム検出回路とを有し、前記自動閾値設定部と、前記自動利得制御増幅部と、前記利得制御部と、前記オフセット補償フィードバック部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、前記リミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴としている。
【0046】
また、信号増幅基本ブロック部14が、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部と、入力信号と自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、入力信号の振幅情報を検出して、入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部とを有するとともに、リミッタ増幅基本ブロック部15が、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部と、入力信号と自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なうリミッタ増幅部とをそなえてもよい。
【0047】
さらに、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部15の自動閾値設定部に信号が入力されていないときにも閾値レベルが入力の無信号時レベルより所定のガード電圧分だけ高くなるよう閾値レベルを制御するガード電圧発生回路を、リミッタ増幅基本ブロック部15の自動閾値設定部に設けてもよく、特に、このガード電圧発生回路を、最後段のリミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けてもよい。
【0048】
すなわち、本発明の信号増幅回路は、前記自動利得制御増幅部と、前記ピーク検出回路と前記ボトム検出回路とを有し、前記利得制御部と、前記オフセット補償フィードバック部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、差動入力信号を差動増幅するリミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴としている。
【0049】
そして、本発明の信号増幅回路は、前記ピーク検出回路と、前記ボトム検出回路と、前記自動閾値設定部と、前記自動利得制御増幅部と、前記利得制御部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、ピーク検出回路と、ボトム検出回路と、自動閾値設定部と、リミッタ増幅部とを有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴としている。
【0050】
ここで、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に信号が入力されていないときにも閾値レベルが入力の無信号時レベルより所定のガード電圧分だけ高くなるよう閾値レベルを制御するガード電圧発生回路が、リミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けられてもよい。さらに、ガード電圧発生回路が、最後段のリミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けられてもよい。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(a)第1実施形態の説明
図5は本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0052】
この図5に示す信号増幅回路20は、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものである。即ち、この信号増幅回路20は、図6に示すように、その入力側に、入力信号について光−電気変換を施す光−電気変換部としてのフォトダイオード34と、フォトダイオード34の出力信号を所定値に増幅する前置増幅回路としてのプリアンプ35とが接続され、プリアンプ35からの微弱アナログ信号からパルス信号を再生することにより、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうものである。
【0053】
なお、プリアンプ35は、増幅回路35A及び抵抗35Bからなるトランスインピーダンス型のプリアンプであり、フォトダイオード34からの電流信号は、プリアンプ35により電流−電圧変換された後に信号増幅回路20に入力されるようになっている。具体的には、信号増幅回路20は、図5に示すように、信号増幅基本ブロック部92をそなえるとともに、信号増幅基本ブロック部92の後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのリミッタ増幅回路33をそなえて構成されている。
【0054】
ここで、信号増幅基本ブロック部92は、自動閾値制御(ATC;AutomaticThreshold Control)回路22,自動利得制御(AGC;Automatic Gain Control )増幅回路27,利得制御回路26及び遅延回路43をそなえてなるATC−AGC増幅回路21と、オフセット補償フィードバックループ28とをそなえて構成されている。
【0055】
ATC回路22は、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路23,ボトム検出回路24及び分圧回路25をそなえて構成されている。ここで、ピーク検出回路23は、入力信号のピーク値を検出して「1」側レベルとして出力するものであり、「1」側レベル出力回路として機能するものである。
【0056】
また、ボトム検出回路24は、入力信号のボトム値を検出して「0」側レベルとして出力するものであり、「0」側レベル出力回路として機能するものである。なお、これらのピーク検出回路23及びボトム検出回路24は、それぞれ図示しないダイオード,保持容量及び増幅回路から構成されている。
【0057】
さらに、分圧回路25は、図5に示すように、ピーク検出回路23の出力端子とボトム検出回路24の出力端子との間で直列接続された抵抗25A,25Bにより構成され、ピーク検出回路23及びボトム検出回路24でそれぞれ得られた入力信号のピーク値とボトム値とを分圧して閾値レベルを生成する。具体的には、分圧回路25は、ピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との分圧レベルを抵抗25A,25Bの抵抗分割により求め、この分圧レベルを閾値(閾値レベル)として設定し、AGC増幅回路27の反転入力部に対して出力するようになっている。通常、分圧比は1/2に設定され、閾値レベルは「1」レベルと「0」レベルとの中間値となる。
【0058】
即ち、ATC回路22は、入力信号の「1」側レベルと「0」側レベルとに基づいて閾値を自動的に設定する自動閾値設定部として機能しているのである。また、AGC増幅回路27は、入力信号とATC回路22からの閾値とを入力として、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路22からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅を行なうものであり、自動利得制御増幅部として機能するものである。
【0059】
具体的には、AGC増幅回路27は、図8に示すように、負荷抵抗36,小利得差動対37,大利得差動対38,利得制御差動対39及び定電流源40をそなえて構成されている。また、負荷抵抗36は2つの抵抗36A,36Bからなり、小利得差動対37はMOS−FET37A,37Bから、大利得差動対38はMOS−FET38A,38Bから、利得制御差動対39はMOS−FET39A,39Bからなる。
【0060】
ここで、小利得差動対37及び大利得差動対38は、それぞれトランスコンダクタンスが異なるように設計されており、これらの2つの差動対37,38に流れる電流値の割合を利得制御差動対39により制御することにより、AGC回路27全体のトランスコンダクタンス値が変化するようになっている。また、AGC増幅回路27全体で流れる電流は定電流源40により決定されるため、電流値と負荷抵抗36との積で与えられるリミッタ振幅は、利得が変動した場合においても一定に保たれるようになっている。
【0061】
即ち、AGC増幅回路27は、同一の負荷抵抗36にトランスコンダクタンスの異なる2つの差動対37,38を接続し、2つの差動対入力に共通に差動入力端子P1,P2を接続し、2つの差動対37,38に流れる電流の総和をほぼ一定に保ちつつ、電流の比率を変化させることで増幅利得を制御するように構成されているのである。
【0062】
このような構成により、AGC増幅回路27においては、図8に示すように、入力信号及びATC回路22からの閾値が、入力端子P1,P2から小利得差動対37,大利得差動対38にそれぞれ入力されるとともに、利得制御回路26からの利得制御信号が、利得制御端子P3,P4から利得制御差動対39に入力されると、利得制御信号に基づく利得で、閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれ、増幅された信号は出力端子P5,P6から出力される。
【0063】
なお、利得制御信号(制御電圧)とAGC増幅回路27の利得との関係の一例を図10に示す。即ち、このAGC増幅回路27の利得特性は、利得制御端子P3,P4に印加される制御電圧(利得制御信号)が−0.2Vpp以上で利得が低下しはじめ、+0.4Vppでほぼ一定となるようなものである。なお、小利得差動対37,大利得差動対38及び利得制御差動対39は、MOS−FETの代わりに、バイポーラトランジスタにより構成することもでき、このように、バイポーラトランジスタを用いたAGC増幅回路(このAGC増幅回路を27′で示す)の構成を図21に示す。
【0064】
即ち、図21に示すAGC増幅回路27′においては、小利得差動対37はバイポーラトランジスタ37C,37Dから、大利得差動対38はバイポーラトランジスタ38C,38Dから、利得制御差動対39はバイポーラトランジスタ39C,39Dからなる。また、AGC増幅回路27′においては、小利得差動対37に2つの抵抗96が設けられている。
【0065】
ところで、利得制御回路26は、ATC回路22のピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給するものであり、利得制御部として機能するものである。
【0066】
具体的には、利得制御回路26は、図7に示すように、レベルシフト回路41及び差動増幅回路42をそなえて構成されている。ここで、差動増幅回路42は、ATC回路22のピーク検出回路23からの出力(ピーク値)とボトム検出回路24からの出力(ボトム値)とを入力として差動増幅を行なうことにより、ピーク値とボトム値の差レベル(即ち入力振幅レベル)をAGC増幅回路27の利得制御信号(+及び−の利得制御信号)に変換するものである。
【0067】
また、レベルシフト回路41は、差動増幅回路42の入力端の入力側に設けられ、ピーク値又はボトム値のいずれか(図7ではボトム値)が入力されて、入力されたピーク値又はボトム値を所定レベル分シフトさせるものであり、抵抗41A及び定電流源41Bをそなえて構成されている。ここで、利得制御回路26によるAGC増幅回路27の利得制御について説明する。
【0068】
本実施形態においては、AGC増幅回路27において増幅される信号がリミットされることを防ぐために、利得制御回路26により、AGC増幅回路27の利得が入力信号の振幅レベル(入力振幅)に応じて変化するように制御されている。ここで、入力信号の振幅とAGC増幅回路27の利得との関係の一例を図9に示す。即ち、利得制御回路26は、図9に示すように、AGC増幅回路27の利得を、入力振幅が小さいときには最大利得Gmaxとし、入力振幅が大きくなりVg 1を超えると入力振幅に応じて減少させ、更に入力振幅が大きくなりVg2を超えると最小利得Gminとするように、入力信号の振幅情報を用いてフィードフォワード的に制御している。
【0069】
なお、最大利得Gmaxは、図5に示すリミッタ増幅回路33において入力振幅が最小の信号がリミットされる値となるように設計した値である。また、最小利得Gminは、AGC増幅回路27に振幅が最大の信号(最大入力レベル)が入力された場合においても、AGC増幅回路27において増幅される信号の値が、AGC増幅回路27の線形範囲〔図11(a)に示すリミッタ振幅L参照〕を超えない値となるように(換言すればAGC増幅回路27のリミッタ領域にかからないように)設計した値である。
【0070】
具体的には、AGC増幅回路27の線形範囲を超えない最小の利得Gminの値とは、例えば、
Gmin=Vlinear/Vinmax
Vlinear:AGC増幅回路27出力の線形範囲
Vinmax:最大入力レベル
となるような値である。
【0071】
即ち、AGC増幅回路27は、利得制御回路26により、その出力信号のレベルが線形範囲を超えないように制御されているのである。なお、AGC増幅回路27からの出力信号のレベルは一定にはならないが、本実施形態にかかる信号増幅回路20における利得制御では、1段目のAGC増幅回路27において増幅される信号がリミットしないようにすることが目的であり、出力信号のレベルはAGC増幅回路27の後段側に位置するリミッタ増幅回路33にて決定されるため差し支えない。
【0072】
さらに、利得制御回路26によるAGC増幅回路27の利得制御について、具体的に説明する。信号増幅回路20に信号が入力されていないとき(入力信号の振幅が0である時)には、図9に示すように、利得が最大利得GmaxとなるようにAGC増幅回路27を制御する必要がある。
【0073】
ところが、入力信号の振幅が0である時には、ピーク値とボトム値とをそのまま利得制御回路26に入力すると、ピーク値とボトム値との差レベルも0となるため、利得制御回路26から出力される利得制御信号は0Vppとなる。このとき、AGC増幅回路27は図10に示すような利得特性を有していることから、AGC増幅回路27の利得が最大利得Gmax以下に設定されてしまうことになる。
【0074】
そこで、本実施形態においては、AGC増幅回路27の利得の制御を適正に行なえるようにするために、利得制御回路26にレベルシフト回路41を設け、ピーク値又はボトム値のいずれかを所定レベル分シフトさせるように構成しているのである。例えば、図10に示すような特性を有するAGC増幅回路27に対しては、入力信号の振幅がVg1(図9参照)のときには、利得制御回路26からの出力(利得制御信号)が−0.2Vppとなり(図10参照)、また、入力信号の振幅がVg2(図9参照)のときには利得制御回路26からの出力が+0.4Vppとなる(図10参照)ように、レベルシフト回路41におけるレベルシフト値及び差動増幅回路42における利得とが設計されているのである。
【0075】
ところで、図5に示すオフセット補償フィードバックループ28は、AGC増幅回路27の差動出力の各ピーク値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものを、AGC増幅回路27からの出力信号の差情報として、AGC増幅回路27の入力側(図5ではATC回路22の出力部分)へフィードバックして、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるようにオフセット補償を行なうものであり、出力ピーク検出回路29−1,29−2,誤差増幅回路30,ローパスフィルタ31及び抵抗32をそなえて構成されている。
【0076】
ここで、出力ピーク検出回路29−1,29−2は、AGC増幅回路27からの差動出力(正相出力及び逆相出力)信号のピーク値〔図11(a)に示す正相出力ピーク値C及び逆相出力ピーク値D〕をそれぞれ検出するものである。また、誤差増幅回路30は、出力ピーク検出回路29−1,29−2により検出された各ピーク値C,Dの差分を、図11(a)に示すオフセットOFとして増幅するものである。
【0077】
さらに、ローパスフィルタ31は、誤差増幅回路30により増幅されたオフセットOFについて低域フィルタ処理を施すことにより、高周波成分を除去して直流成分をオフセット情報として取り出すものであり、その出力部は抵抗32を介して、ATC回路22の分圧回路25の出力部に接続されている。ここで、抵抗32は、分圧回路25の抵抗25A,25Bよりも抵抗値の大きいものが使用されて、定電流源的に働くことにより、オフセットを補正するように、抵抗25A,25Bから電流を引き抜いたり、抵抗25A,25Bに電流を流し込むものである。
【0078】
そして、オフセット補償フィードバックループ28により得られたオフセット情報は、AGC増幅回路27の入力側(図5においてはAGC増幅回路27の反転入力部)へフィードバックされるようになっている。なお、信号増幅回路20に信号が入力されないとき(入力の無信号時)にも、オフセット補償フィードバックループ28は、AGC増幅回路27の差動出力信号の直流レベルを比較してオフセット情報を出力するようになっている。
【0079】
ここで、図30に示すように、AGC増幅回路27の代わりにリミッタ増幅回路(図30の106参照)を用いて信号増幅回路を構成した場合には、リミッタ増幅回路からの出力信号の振幅は、図11(b)に示すように出力信号のピーク値がリミットされることにより〔図11(b)の符号E参照〕、入力信号の振幅によらず常に一定の大きさで出力されるため、上述したような出力信号のピーク値を用いたオフセット補償フィードバックループを構成することができない。
【0080】
これに対し、本実施形態では、前述のごとく、利得制御回路26によりAGC増幅回路27が線形範囲で動作するように制御されているため、AGC増幅回路27からの出力信号のピーク値を用いたオフセット補償フィードバックループ28を構成することができるのである。ところで、遅延回路43は、AGC増幅回路27の入力側に接続され、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がるのに十分な時間分遅れて、AGC増幅回路27に信号が入力されるようにするものである。
【0081】
ATC−AGC増幅回路21においては、ATC回路22のピーク検出回路23及びボトム検出回路24におけるピーク値及びボトム値の検出が完了するまでは、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がらないため、AGC増幅回路27の利得制御が正常に行なわれない。ここで、図12(a)に信号増幅回路20に入力される信号の波形を示し、図12(b)にAGC増幅回路27に入力される信号の波形を示し、図12(c)にAGC増幅回路27から出力される信号の波形を示す。
【0082】
図12(a)に示すような波形の信号(符号S参照)が入力された場合には、ATC回路22においては、図12(b)に示すように、この入力波形Sからピーク値及びボトム値(符号P,B参照)が検出され、これらの値に基づいて1/2のレベルに閾値レベルが設定される(符号T参照)。ところが、ピーク値及びボトム値の検出が完了する前に信号が入力されると〔図12(b)のG参照〕、その時点ではAGC増幅回路27の利得制御が行なわれていないため、AGC増幅回路27の利得が適正値より大きく、信号の初期部(特に信号の1ビット目)がそれ以降の信号に比べ大きくオーバシュートしてしまう〔図12(c)のJ参照〕。
【0083】
このようにオーバシュートした信号がAGC増幅回路27から出力されると、オフセット補償フィードバックループ28においては、出力ピーク検出回路29−1,29−2によりこのオーバシュートした信号が検出されるためフィードバックが異常になる等、後段の回路に悪影響を及ぼす場合がある。また、このようにオーバシュートした信号が、リミッタ増幅回路33においてリミッタ増幅されると、出力される信号のパルス幅が実際より太くなることもある。
【0084】
このため、本実施形態においては、このような信号のオーバシュートを防ぐために、AGC増幅回路27の入力側に遅延回路43を設けて、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路27に信号が入力されるようにして、AGC増幅回路27に信号が入力した時点でAGC増幅回路27の利得の設定が完了しているようにしているのである〔図12(b)のI及び図12(c)のK参照〕。
【0085】
なお、信号増幅回路20が適用される光通信システムの受信部(図6参照)において、信号の初期部がオーバシュートしても差し支えない場合には、この遅延回路43を設けなくてもよい。ところで、図5に示すリミッタ増幅回路33は、信号増幅基本ブロック部92のAGC増幅回路27からの差動信号を入力として、入力された信号を差動増幅した後に所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものであり、リミッタ増幅部として機能するものである。なお、リミッタ増幅回路33においては、全ての入力範囲で出力振幅が一定レベルにリミットされるようになっている。
【0086】
上述の構成により、本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路20においては、信号が入力されると、信号増幅基本ブロック部92のATC回路22では、自動的に入力信号のピーク値とボトム値に基づいた閾値が設定される。また、オフセット補償フィードバックループ28では、AGC増幅回路27の差動出力からオフセット情報が検出されてAGC増幅回路27の入力側へフィードバックし、オフセットがマイナス側にあるときはオフセット補償フィードバックループ28から電流が流入し、オフセットがプラス側にあるときはオフセット補償フィードバックループ28へ電流が流入するように動作することにより、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるようにオフセットが補償され、閾値レベルが適正に補償される。
【0087】
さらに、利得制御回路26では、ATC回路22にて検出されたピーク値とボトム値との差分から入力振幅レベルが検出され、図9に示すように、入力信号の振幅が小さいときはAGC増幅回路27の利得を大きくし、入力信号の振幅が大きいときはAGC増幅回路27の利得を小さくするような利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給される。
【0088】
続いて、遅延回路43を介して入力された信号と、オフセット補償フィードバックループ28により適正に補償されたATC回路22からの閾値とがAGC増幅回路27に入力されると、AGC増幅回路27では、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路22からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0089】
そして、信号増幅基本ブロック部92のAGC増幅回路27により差動増幅された信号がリミッタ増幅回路33に入力されると、リミッタ増幅回路33では、この入力信号が差動増幅された後に所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。このように、本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路20によれば、ATC回路22,利得制御回路26及びAGC増幅回路27を有するATC−AGC増幅回路21をそなえ、利得制御回路26を用いて、全ての入力信号の振幅レベルにおいてAGC増幅回路27がその線形範囲内で動作するように制御することにより、AGC増幅回路27にて増幅される信号がリミットされることを防ぐことができる。
【0090】
従って、AGC増幅回路27から出力される信号の振幅情報が失われないため、出力信号のピーク値を用いるオフセット補償フィードバックループ28を設けることができ、これにより、信号増幅回路20を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができ、入力信号レベルに対して広いダイナミックレンジにわたり良好な出力波形を得ることができる。
【0091】
また、利得制御回路26を用いて、AGC増幅回路27をフィードフォワード的に制御することにより、一般的に用いられるフィードバック制御によるAGC増幅回路よりも、応答の時定数を小さくすることができるため、AGC増幅回路27の立ち上がりを速くすることができ、例えば光通信のように信号の高速伝送を行なう際には特に有効に機能する。
【0092】
さらに、ATC回路22が入力信号の振幅に基づいて閾値を設定することにより、信号が断続的に入力される場合でも速やかに閾値を設定することができる。また、遅延回路43を設けて、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路27に信号が入力されるようにすることにより、AGC増幅回路27に信号が入力した時点ではAGC増幅回路27の利得の設定が完了しているようにできるため、信号のオーバシュートを防いで、信号増幅回路20の誤動作を防ぐことができる。
【0093】
なお、本実施形態においては、オフセット補償フィードバックループ28が、出力ピーク検出回路29−1,29−2をそなえ、AGC増幅回路27の差動出力の各ピーク値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側へフィードバックしてAGC増幅回路27のオフセットを補償する場合について説明したが、オフセット補償フィードバックループ28が、出力ピーク検出回路29−1,29−2の代わりに2つの出力ボトム検出回路をそなえ、AGC増幅回路27の差動出力の各ボトム値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側へフィードバックしてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしてもよく、このようにすれば信号増幅回路20をその使用に適した構成とすることができる。
【0094】
この場合は、2つの出力ボトム検出回路が、AGC増幅回路27からの差動出力(正相出力及び逆相出力)信号のボトム値をそれぞれ検出するとともに、誤差増幅回路30が、出力ボトム検出回路により検出された各ボトム値の差分を増幅してオフセット情報とする。また、本実施形態においては、信号増幅回路20を、光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いた場合を例に挙げて説明したが、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
【0095】
(b)第2実施形態の説明
図13は本発明の第2実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。この図13に示す信号増幅回路20Aも、前述の第1実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものであり、信号増幅基本ブロック部92Aをそなえるとともに、信号増幅基本ブロック部92Aの後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのリミッタ増幅回路33をそなえて構成されている。
【0096】
本実施形態においては、信号増幅基本ブロック部92Aは、オフセット補償フィードバックループ28Aを有するATC回路22A,AGC増幅回路27,利得制御回路26及び遅延回路43をそなえて構成されている。ここで、ATC回路22Aは、上述の第1実施形態におけるATC回路22と同様に、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであるが、本実施形態においては、ATC回路22Aは、ピーク検出回路23,オフセット補償フィードバックループ28A及び分圧回路25により構成されている。
【0097】
オフセット補償フィードバックループ28Aは、上述の第1実施形態におけるものと同様に、AGC増幅回路27の差動出力の各ピーク値について低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側(図13では分圧回路25の入力端部)へフィードバックして、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるようにオフセット補償を行なうものであり、図5に示す抵抗32が設けられていない点を除いては、同様の構成を有するものである。
【0098】
なお、本実施形態において、抵抗32に相当する抵抗が設けられていないのは、オフセット補償フィードバックループ28Aのフィードバック出力を分圧回路25のボトムレベル入力端部へ入力しているからであるが、このようにしてもオフセットの補償は、前述の第1実施形態と同様にして行なわれる。ここで、本実施形態にかかる信号増幅回路20Aを、特に光通信システムにおける信号インタフェース回路として用いる場合には、入力信号が単極性信号であることから、オフセット補償フィードバックループ28Aからの出力は入力信号の「0」側レベルに相当するレベルで安定する。
【0099】
このため、本実施形態においては、ATC回路22Aが、ピーク検出回路23からのピーク値を「1」側レベルとして用いるとともに、オフセット補償フィードバックループ28Aからの出力情報を「0」側レベル(この「0」側レベルにはオフセット情報が反映されている)として用いることにより、閾値を発生するように構成されているのである。
【0100】即ち、本実施形態においては、オフセット補償フィードバックループ28Aは、「0」側レベル出力回路としての機能も兼ねそなえており、このオフセット補償フィードバックループ28Aからの出力は、AGC増幅回路27の入力側(即ち分圧回路25)へフィードバックされるとともに、利得制御回路26へ入力されるようになっている。
【0101】
なお、オフセット補償フィードバックループ28Aは、前述のごとく、信号増幅回路20Aに信号が入力されないとき(入力の無信号時)でも、AGC増幅回路27の差動出力信号の直流レベルを比較して、オフセット情報を出力している状態である。また、AGC増幅回路27,利得制御回路26,リミッタ増幅回路33,ピーク検出回路23,分圧回路25及び遅延回路43は、上述の第1実施形態において説明したものと同様の機能及び構成を有するものである。
【0102】
上述の構成により、本発明の第2実施形態にかかる信号増幅回路20Aにおいては、信号が入力されると、信号増幅基本ブロック部92Aのオフセット補償フィードバックループ28Aでは、入力信号の「0」側レベルをオフセット補償のために変動させることにより、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるようにオフセットが補償され、ATC回路22Aでは、入力信号のピーク値と入力信号の「0」側レベル(即ちオフセット補償フィードバックループ28Aからの出力情報)に基づいて、適正に補償された閾値が自動的に設定される。
【0103】
また、利得制御回路26では、ATC回路22Aにて検出されたピーク値と入力信号の「0」側レベルとの差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給される。続いて、遅延回路43を介して入力された信号と、オフセット補償フィードバックループ28Aにより適正に補償されたATC回路22Aからの閾値とがAGC増幅回路27に入力されると、AGC増幅回路27では、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路22Aからの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0104】
そして、信号増幅基本ブロック部92AのAGC増幅回路27により差動増幅された信号がリミッタ増幅回路33に入力されると、リミッタ増幅回路33では、この入力信号が差動増幅された後に所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。このように、本発明の第2実施形態にかかる信号増幅回路20Aによれば、オフセット補償フィードバックループ28Aを有するATC回路22,利得制御回路26,AGC増幅回路27及び遅延回路43をそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点が得られるほか、オフセット補償フィードバックループ28Aが「0」側レベル出力回路としての機能も兼ねそなえることにより、信号増幅回路20Aを構成する回路数を削減して、信号増幅回路20Aの構成を簡素化することができる。
【0105】
(c)第3実施形態の説明
図14は本発明の第3実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。この図14に示す信号増幅回路20Bも、前述の第1,第2実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものであり、信号増幅基本ブロック部92Bをそなえるとともに、信号増幅基本ブロック部92Bの後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのリミッタ増幅回路33をそなえて構成されている。
【0106】
ここで、信号増幅基本ブロック部92Bは、ATC回路22B,AGC増幅回路27,利得制御回路26をそなえてなるATC−AGC増幅回路21と、オフセット補償フィードバックループ28Bとをそなえて構成されている。ATC回路22Bは、前述の第1実施形態におけるATC回路22と同様に、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであるが、本実施形態においては、ATC回路22Bは、ピーク検出回路23,基準レベル発生回路45及び分圧回路25により構成されている。
【0107】
ここで、本実施形態にかかる信号増幅回路20Bを、光通信システムにおける信号インタフェース回路として用いる場合のように、入力信号が単極性信号である場合には、入力信号の振幅によらず「0」側レベルは一定となるため、入力信号の「0」側レベルは特に検出する必要がない。このため、本実施形態においては、回路構成を簡略化するために、前述の第1,第2実施形態において説明したボトム検出回路(例えば図5の符号24参照)の代わりに、入力信号の「0」側レベルに相当する基準レベル信号を発生する基準レベル発生回路45を設け、ATC回路22Bが、ピーク検出回路23からのピーク値を「1」側レベルとして用いるとともに、基準レベル発生回路45からの基準レベルを「0」側レベルとして用いることにより、閾値を発生するように構成されているのである。
【0108】
また、本実施形態においては、オフセット補償フィードバックループ28Bは、AGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものの差レベルについて低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側(図14ではATC回路22Bの出力部分)へフィードバックして、AGC増幅回路27からの差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものが等しくなるようにオフセット補償を行なうように構成されている。
【0109】
即ち、オフセット補償フィードバックループ28Bは、図14に示すように、出力ピーク検出回路46−1,46−2,出力ボトム検出回路47−1,47−2,抵抗48A〜48D,誤差増幅回路30B,ローパスフィルタ31及び抵抗32をそなえて構成されており、出力ピーク検出回路46−1の出力端子と出力ボトム検出回路47−1の出力端子とは、直列接続された抵抗48A,48Bを介して接続されており、出力ピーク検出回路46−2の出力端子と出力ボトム検出回路47−2の出力端子とは、直列接続された抵抗48C,48Dを介して接続されている。
【0110】
ここで、出力ピーク検出回路46−1,46−2は、AGC増幅回路27からの差動出力(それぞれ正相出力及び逆相出力)信号のピーク値を検出するものであり、出力ボトム検出回路47−1,47−2は、AGC増幅回路27からの差動出力(それぞれ正相出力及び逆相出力)信号のボトム値を検出するものである。
【0111】
そして、出力ピーク検出回路46−1により検出されたピーク値と出力ボトム検出回路47−1により検出されたボトム値とは、抵抗48A,48Bにより分圧されて、また、出力ピーク検出回路46−2により検出されたピーク値と出力ボトム検出回路47−2により検出されたボトム値とは、抵抗48C,48Dにより分圧されて、それぞれ誤差増幅回路30Bに対して出力されるようになっている。
【0112】
また、誤差増幅回路30Bは、抵抗48A〜48Dにより分圧されたAGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値との分圧値の差分を、オフセットとして増幅するものである。なお、AGC増幅回路27,利得制御回路26,リミッタ増幅回路33,ピーク検出回路23,分圧回路25,ローパスフィルタ31及び抵抗32は、上述の第1実施形態において説明したものと同様の機能及び構成を有するものである。
【0113】
上述の構成により、本発明の第3実施形態にかかる信号増幅回路20Bにおいては、信号が入力されると、信号増幅基本ブロック部92BのATC回路22Bでは、自動的に入力信号のピーク値と基準レベルに基づいた閾値が設定される。また、オフセット補償フィードバックループ28Bでは、AGC増幅回路27の差動出力からオフセット情報が検出されてAGC増幅回路27の入力側へフィードバックすることにより、AGC増幅回路27からの差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものが等しくなるようにオフセットが補償され、閾値レベルが適正に補償される。
【0114】
さらに、利得制御回路26では、ATC回路22Bにて検出されたピーク値と基準レベルとの差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給される。続いて、入力された信号とATC回路22Bからの閾値とがAGC増幅回路27に入力されると、AGC増幅回路27では、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路22Bからの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0115】
そして、信号増幅基本ブロック部92BのAGC増幅回路27により差動増幅された信号がリミッタ増幅回路33に入力されると、リミッタ増幅回路33では、この入力信号が差動増幅された後に所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。このように、本発明の第3実施形態にかかる信号増幅回路20Bによれば、ATC回路22B,利得制御回路26,AGC増幅回路27及びオフセット補償フィードバックループ28Bをそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点が得られるほか、ATC回路22Bが基準レベル発生回路45をそなえて構成されることにより、信号増幅回路20Bの構成を簡素化することができる。
【0116】
また、オフセット補償フィードバックループ28Bが、出力ピーク検出回路46−1,46−2,出力ボトム検出回路47−1,47−2をそなえ、AGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したもの(即ち、ATC回路22Bからの閾値レベルと同様の、AGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値との中間値)を用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償することにより、信号の入力レベルが変動した場合にも安定してオフセット補償を行なうことができる。
【0117】
なお、本実施形態においても、AGC増幅回路27の入力側に遅延回路(図5の符号43参照)を設ければ、前述のごとく、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路27に信号が入力されるようにすることができ、信号のオーバシュート〔図12(c)のJ参照〕を防ぐことができる。また、本実施形態においても、オフセット補償フィードバックループ28Bを、図5に示すように2つの出力ピーク検出回路をそなえて構成し、AGC増幅回路27の差動出力の各ピーク値を用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしたり、2つの出力ボトム検出回路をそなえて構成し、AGC増幅回路27の差動出力の各ボトム値を用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしてもよい。
【0118】
さらに、基準レベル発生回路45の代わりに、ボトム検出回路(図5の符号24参照)を用いれば、本実施形態にかかる信号増幅回路20Bを、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
(d)第4実施形態の説明
図15は本発明の第4実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【0119】
この図15に示す信号増幅回路50も、前述の第1〜第3実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものである。本実施形態にかかる信号増幅回路50は、AGC増幅回路27を有する信号増幅基本ブロック部93と、AGC増幅回路53を有するAGC増幅回路ブロック部51とをそなえるとともに、信号増幅基本ブロック部93の後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのリミッタ増幅回路33をそなえて構成されている。
【0120】
本実施形態においては、信号増幅回路50の設計の自由度を大きくするために、信号増幅回路50が、複数のAGC増幅回路(図15ではAGC増幅回路27,53)をそなえて構成されている。例えば、信号増幅基本ブロック部93及びAGC増幅回路ブロック51を構成するAGC増幅回路27,53として利得特性が異なるAGC増幅回路を用いれば、信号増幅回路50の信号増幅特性を任意に設定することができる。
【0121】
ここで、信号増幅基本ブロック部93は、図15に示すように、ピーク検出回路23,ボトム検出回路24,利得制御回路26,AGC増幅回路27及びオフセット補償フィードバックループ28Cをそなえて構成されている。ピーク検出回路23,ボトム検出回路24,利得制御回路26及びAGC増幅回路27は、前述の第1実施形態におけるものと同様の機能及び構成を有するものである。
【0122】
また、オフセット補償フィードバックループ28Cは、図5に示す抵抗32が設けられていない点を除いては、前述の第1実施形態におけるものと同様の構成を有するものである。例えば図5に示すような信号増幅回路20においては、オフセット補償フィードバックループ28により、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるように、AGC増幅回路27の閾値レベル(参照電圧)が決定される。
【0123】
即ち、AGC増幅回路27からの差動出力の各ピーク値が等しくなるということは、AGC増幅回路27では信号振幅の中間レベルを中心にして入力信号が増幅されていることを示しており、換言すれば、オフセット補償フィードバックループ28は、それ自身が閾値レベルを信号中央(即ち入力信号の振幅の中心)に設定するような機能を有していることになる。
【0124】
そこで、本実施形態においては、図15に示すように、信号増幅回路50がATC回路(図5に示す符号22参照)をそなえることなく構成されている。この場合は、オフセット補償フィードバックループ28Cは、AGC増幅回路53の差動出力の各ピーク値の差レベルについて低域フィルタ処理を施したものをAGC増幅回路27の入力側へ閾値〔参照電圧(参照信号)〕としてフィードバックして、AGC増幅回路27の差動出力の直流レベルがほぼ等しくなるように閾値を設定するように構成されている。即ち、この閾値には、オフセット情報も反映されていることになる。
【0125】
また、AGC増幅回路27は、入力信号とこの参照信号とを入力として、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、オフセット補償フィードバックループ28Cにより設定された参照信号レベル(参照レベル)を中心にして入力信号の差動増幅を行なうように構成されている。なお、オフセット補償フィードバックループ28Cは、前述のごとく、信号増幅回路50に信号が入力されないとき(入力の無信号時)でも動作しているが、信号が断続的に入力される場合には、その時定数が大きいことから入力信号に対応した参照信号の出力が遅れることになる。従って、本実施形態にかかる信号増幅回路50は、信号が連続的に入力される場合に特に有効に機能する。
【0126】
ところで、AGC増幅回路ブロック部51は、AGC増幅回路53及び利得制御回路52をそなえて構成されている。ここで、利得制御回路52は、信号増幅基本ブロック部93のピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路53へ供給するものであり、利得制御部として機能するものである。
【0127】
また、AGC増幅回路53は、信号増幅基本ブロック部93のAGC増幅回路27からの差動信号を入力として、利得制御回路52からの利得制御信号に基づく利得で、入力信号の差動増幅を行なうものであり、自動利得制御増幅部として機能するものである。なお、AGC増幅回路53及び利得制御回路52は、AGC増幅回路27及び利得制御回路26と同様の構成ものを用いることができる(図7及び図8参照)。
【0128】
ところで、リミッタ増幅回路33は、AGC増幅回路ブロック部51のAGC増幅回路53からの差動信号を入力として、入力された信号を差動増幅した後に所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものである。上述の構成により、本発明の第4実施形態にかかる信号増幅回路50においては、信号が入力されると、信号増幅基本ブロック部93のオフセット補償フィードバックループ28Cでは、自動的にAGC増幅回路53からの差動出力に基づいてオフセット情報が反映された参照レベルが設定される。
【0129】
また、利得制御回路26では、ピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路27へ供給される。続いて、入力された信号とオフセット補償フィードバックループ28Cからの参照信号とがAGC増幅回路27に入力されると、AGC増幅回路27では、利得制御回路26からの利得制御信号に基づく利得で、オフセット補償フィードバックループ28Cからの参照レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0130】
また、AGC増幅回路ブロック部51の利得制御回路52では、信号増幅基本ブロック部93のピーク検出回路23からのピーク値とボトム検出回路24からのボトム値との差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路53へ供給される。さらに、信号増幅基本ブロック部93のAGC増幅回路27により差動増幅された信号が、AGC増幅回路ブロック部51のAGC増幅回路53に入力されると、AGC増幅回路53では、利得制御回路52からの利得制御信号に基づく利得で、入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0131】
そして、AGC増幅回路ブロック部51のAGC増幅回路53により差動増幅された信号がリミッタ増幅回路33に入力されると、リミッタ増幅回路33では、この入力信号が差動増幅された後に所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。このように、本発明の第4実施形態にかかる信号増幅回路50によれば、ピーク検出回路23,ボトム検出回路24,利得制御回路26,AGC増幅回路27及びオフセット補償フィードバックループ28Cをそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点を得ることができる。
【0132】
また、オフセット補償フィードバックループ28Cが、閾値レベルを信号中央(即ち入力信号の振幅の中心)に設定するような機能を有し、このオフセット補償フィードバックループ28Cにより閾値を設定することにより、閾値を設定するためのATC回路を設ける必要がなくなるため、信号増幅回路50を簡素に構成することができる。
【0133】
さらに、信号増幅回路50が、多段のAGC増幅回路27,53をそなえて構成されることにより、信号増幅回路50の設計の自由度を大きくすることができる。なお、本実施形態においても、AGC増幅回路27の入力側に遅延回路(図5の符号43参照)を設ければ、前述のごとく、利得制御回路26からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路27に信号が入力されるようにすることができ、信号のオーバシュート〔図12(c)のJ参照〕を防ぐことができる。
【0134】
また、本実施形態においても、オフセット補償フィードバックループ28Cを、2つの出力ボトム検出回路をそなえて構成し、AGC増幅回路27の差動出力の各ボトム値を用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしたり、図14に示すように、2つの出力ピーク検出回路,2つの出力ボトム検出回路及び4つの抵抗をそなえて構成し、AGC増幅回路27の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものを用いてAGC増幅回路27のオフセットを補償するようにしてもよい。
【0135】
特に、本実施形態にかかる信号増幅回路50を、光通信システムにおける信号インタフェース回路として用いる場合には、ボトム検出回路24の代わりに基準レベル発生回路(図14の符号45参照)を用いて、信号増幅回路50の構成を簡素化してもよい。さらに、本実施形態においては、信号増幅回路50を、光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いた場合を例に挙げて説明したが、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
【0136】
(e)第5実施形態の説明
図16は本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。この図16に示す信号増幅回路60も、前述の第1〜第4実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものである。
【0137】
本実施形態にかかる信号増幅回路60は、図16に示すように、信号増幅基本ブロック部としてのATC−AGC増幅回路61をそなえるとともに、ATC−AGC増幅回路61の後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのATC−リミッタ増幅回路68をそなえて構成されている。ここで、ATC−AGC増幅回路61は、ATC回路62,利得制御回路66及びAGC増幅回路67をそなえて構成されている。
【0138】
ATC回路62は、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路63,ボトム検出回路64及び抵抗65A,65Bからなる分圧回路65をそなえて構成されている。なお、ピーク検出回路63,ボトム検出回路64及び分圧回路65は、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。
【0139】
また、利得制御回路66は、ATC回路62のピーク検出回路63からのピーク値とボトム検出回路64からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路67へ供給するものである。さらに、AGC増幅回路67は、入力信号とATC回路62からの閾値とを入力として、利得制御回路66からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路62からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅を行なうものである。
【0140】
なお、利得制御回路66及びAGC増幅回路67も、上述の第1実施形態におけるものと同様の機能及び構成を有している(図7及び図8参照)。また、ATC−リミッタ増幅回路68は、ATC回路69及びリミッタ増幅回路91′をそなえて構成されている。ここで、ATC回路69は、前述したATC回路62と同様に、入力信号(即ちAGC増幅回路67からの出力信号)のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路63A,ボトム検出回路64A及び抵抗65D,65Eからなる分圧回路65Cをそなえて構成されている。なお、ピーク検出回路63A,ボトム検出回路64A及び分圧回路65Cも、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。
【0141】
また、リミッタ増幅回路91′は、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67からの正相出力とATC回路69からの閾値とを入力として、ATC回路69からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路67からの入力信号を差動増幅した後、増幅した信号を所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものである。なお、リミッタ増幅回路91′においては、全ての入力範囲で出力振幅が一定レベルにリミットされるようになっている。
【0142】
ここで、図17(a)にAGC増幅回路67からの差動出力(正相出力)信号の波形図を示すと、AGC増幅回路67からの出力は、この図17(a)に示すように、常にAGC増幅回路27の線形範囲〔図17(a)に示すリミッタ振幅L〕内にある。このため、ATC−AGC増幅回路61が有するオフセットにより、ピーク値P及びボトム値Bにより決定される閾値Tがシフトした場合でも、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67からの出力は、直流レベルが変動するのみで、パルス幅の変動はほとんど生じない。
【0143】
そこで、本実施形態においては、ATC−AGC増幅回路61が有するオフセットを補償するために、ATC−AGC増幅回路61の後段にATC−リミッタ増幅回路68を設けて、AGC増幅回路67からの出力レベルの変動を、ATC−リミッタ増幅回路68のATC回路69により追従して補償するように構成されている。
【0144】
換言すれば、ATC−リミッタ増幅回路68においては、リミッタ増幅回路91′を、ATC回路69によりフィードフォワード的に制御することにより、ATC−AGC増幅回路61が有するオフセットを補償するように構成されているのである。なお、このようにATC回路が多段接続された信号増幅回路としては、ATC−リミッタ増幅回路(符号68参照)が多段に接続された信号増幅回路もあり、例えば、ATC−AGC増幅回路61の代わりにATC−リミッタ増幅回路をそなえた信号増幅回路も考えられる。
【0145】
ところが、前段のリミッタ増幅回路では、信号の入力レベルが大きいと、図17(b)に示すように、リミッタ増幅回路の線形範囲〔図17(b)に示すリミッタ振幅L〕を超えた部分がリミットされるため、信号の線形性が失われてしまう。なお、このときは、後段のリミッタ増幅回路では、図17(b)に示すピーク値M及びボトム値Nから閾値Uが決定されることになる。
【0146】
一方、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67では、図17(a)に示すように、信号がリミットせずに常に線形範囲で動作するため、リミッタ増幅回路では線形性が失われるような大きなレベルの信号が入力された場合でも、オフセットにより生じた閾値レベルのずれを出力レベルの変動として線形に反映することが可能となる。
【0147】
そこで、本実施形態においては、前段の増幅回路をATC−AGC増幅回路61とすることにより、後段のATC回路69によりオフセットを補償できるような入力信号の範囲を広げ、ATC回路を多段接続する効果をさらに大きくしているのである。上述の構成により、本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路60においては、信号が入力されると、ATC−AGC増幅回路61のATC回路62では、自動的に入力信号のピーク値とボトム値に基づいた閾値が設定される。
【0148】
また、利得制御回路66では、ATC回路62にて検出されたピーク値とボトム値との差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路67へ供給される。続いて、入力信号とATC回路62からの閾値とがAGC増幅回路67に入力されると、AGC増幅回路67では、利得制御回路66からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路62からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0149】
さらに、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67により差動増幅された信号がATC−リミッタ増幅回路68に出力されると、ATC−リミッタ増幅回路68のATC回路69では、自動的にAGC増幅回路67からの出力信号のピーク値とボトム値に基づいた閾値が設定される。そして、AGC増幅回路67からの正相出力とATC回路69からの閾値とがリミッタ増幅回路91′に入力されると、リミッタ増幅回路91′では、ATC回路69からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路67からの入力信号が差動増幅された後、増幅された信号が所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。
【0150】
このように、本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路60によれば、ATC−AGC増幅回路61をそなえるとともに、その後段にATC−リミッタ増幅回路68をそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点が得られるほか、ATC−リミッタ増幅回路68においてフィードフォワード制御によりオフセットの補償を行なうことにより、オフセット補償フィードバックループ(図5の符号28参照)を用いることなく信号のパルス幅の変動を低減することができるため、応答の時定数に制限がある高速の信号の増幅を行なう際にも適用することができる。
【0151】
なお、本実施形態においても、ATC−AGC増幅回路61のAGC増幅回路67の入力側に遅延回路(図5の符号43参照)を設ければ、前述のごとく、利得制御回路66からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路67に信号が入力されるようにすることができ、信号のオーバシュート〔図12(c)のJ参照〕を防ぐことができる。
【0152】
特に、本実施形態にかかる信号増幅回路60を、光通信システムにおける信号インタフェース回路として用いる場合には、ボトム検出回路24の代わりに基準レベル発生回路(図14の符号45参照)を用いて、信号増幅回路60の構成を簡素化してもよい。また、本実施形態においては、信号増幅回路60を、光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いた場合を例に挙げて説明したが、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
【0153】
(f)第6実施形態の説明
図18は本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。この図18に示す信号増幅回路70も、前述の第1〜第5実施形態におけるものと同様に、例えば光通信システムの受信部において、伝送時に減衰した光信号の波形整形を行なうための信号インタフェース回路として用いられるものである。
【0154】
本実施形態にかかる信号増幅回路70は、図18に示すように、信号増幅基本ブロック部としてのATC−AGC増幅回路71,78をそなえるとともに、ATC−AGC増幅回路78の後段にリミッタ増幅基本ブロック部としてのATC−リミッタ増幅回路85をそなえて構成されている。本実施形態においては、信号増幅回路70の設計の自由度を大きくするために、信号増幅回路70が2段のATC−AGC増幅回路71,78をそなえて構成されている。例えば、ATC−AGC増幅回路71,78をそれぞれ利得特性が異なるAGC増幅回路(図18の符号77,84参照)を用いて構成すれば、信号増幅回路70の信号増幅特性を任意に設定することができる。
【0155】
ここで、ATC−AGC増幅回路71は、ATC回路72,利得制御回路76及びAGC増幅回路77をそなえて構成されている。ATC回路72は、入力信号のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路73,ボトム検出回路74及び抵抗75A,75Bからなる分圧回路75をそなえて構成されている。
【0156】
ここで、ピーク検出回路73は、入力信号のピーク値を検出して「1」側レベルとして出力するものであり、「1」側レベル出力回路として機能するものである。このピーク検出回路73は、図22に示すように、差動増幅回路54,ダイオード55,検出容量56及びバッファ57をそなえて構成されており、入力信号がハイレベル(「1」側レベル)であるときには、検出容量56を充電し、入力信号がローレベル(「0」側レベル)であるときには、ダイオード55を用いて差動増幅回路54の出力インピーダンスを高くして放電パスを断つことにより、入力信号のピーク値の検出及び保持を行なうものである。
【0157】
なお、バッファ57は、高入力インピーダンスのときに低出力インピーダンスとなるような回路であり、検出容量56に保持された電荷が他の回路(例えばピーク検出回路73の後段に接続された分圧回路75)に流出するのを防ぐために設けられている。また、このピーク検出回路73は、詳細には、図23に示すような構成を有しており、差動増幅回路54は2つのMOS−FET54Aからなる差動対と3つのMOS−FET54Bとをそなえて構成されている。
【0158】
さらに、ダイオード55は、MOS−FET55Aで構成されており、バッファ57は、ドレイン接地されたソースホロア構成の一対のMOS−FET57Aをそなえて構成されている。なお、49は、ピーク検出回路73内の差動増幅回路54及びバッファ57に電流を供給する定電流源としてのバイアス回路であり、図23に示すように、2つのMOS−FET49Aと2つの定電流源49Bとをそなえている。
【0159】
さらに、ボトム検出回路74は、入力信号のボトム値を検出して「0」側レベルとして出力するものであり、「0」側レベル出力回路として機能するものである。このボトム検出回路74は、図24に示すように、差動増幅回路54′,ダイオード55′,検出容量56及びバッファ57をそなえて構成されており、前述したピーク検出回路73とは逆に、入力信号がローレベル(「0」側レベル)であるときには、検出容量56を充電し、入力信号がハイレベル(「1」側レベル)であるときには、ダイオード55′を用いて差動増幅回路54′の出力インピーダンスを高くして放電パスを断つことにより、入力信号のボトム値の検出及び保持を行なうものである。
【0160】
なお、バッファ57は、高入力インピーダンスのときに低出力インピーダンスとなるような回路であり、検出容量56に保持された電荷が他の回路(例えばボトム検出回路74の後段に接続された分圧回路75)に流出するのを防ぐために設けられている。また、このボトム検出回路74は、詳細には、図25に示すような構成を有しており、差動増幅回路54′は2つのMOS−FET54Cからなる差動対と3つのMOS−FET54Dとをそなえて構成されている。
【0161】
さらに、ダイオード55′は、MOS−FET55Bで構成されており、バッファ57は、ドレイン接地されたソースホロア構成の一対のMOS−FET57Aをそなえて構成されている。また、このボトム検出回路74にも、前述したピーク検出回路73と同様に、ボトム検出回路74内の差動増幅回路54′及びバッファ57に電流を供給する定電流源としてのバイアス回路49が設けられている。このバイアス回路49は、図25に示すように、2つのMOS−FET49Aと2つの定電流源49Bとをそなえている。
【0162】
なお、分圧回路75は、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。また、利得制御回路76は、ATC回路72のピーク検出回路73からのピーク値とボトム検出回路74からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路77へ供給するものであり、利得制御部として機能するものである。
【0163】
具体的には、利得制御回路76は、図27に示すように、レベルシフト回路58,差動増幅回路59及びバイアス回路49をそなえて構成されている。ここで、差動増幅回路59は、2つのMOS−FET59Cからなる差動対,2つの抵抗59A及び7個のMOS−FET59Bをそなえて構成されることにより、ATC回路72のピーク検出回路73からの出力(ピーク値)とボトム検出回路74からの出力(ボトム値)とを入力として差動増幅を行なって、ピーク値とボトム値の差レベル(即ち入力振幅レベル)をAGC増幅回路77の利得制御信号(+及び−の利得制御信号)に変換するものである。
【0164】
また、レベルシフト回路58は、差動増幅回路59の入力端の入力側に設けられ、ピーク値又はボトム値のいずれか(図27ではボトム値)が入力されて、第1実施形態において前述した理由と同様の理由から、入力されたピーク値又はボトム値を所定レベル分シフトさせるものである。なお、このレベルシフト回路58は、抵抗58A及び定電流源としてのMOS−FET58Bをそなえて構成されている。
【0165】
さらに、バイアス回路49は、利得制御回路76内のレベルシフト回路58及び差動増幅回路59に電流を供給する定電流源であり、図27に示すように、2つのMOS−FET49Aと2つの定電流源49Bとをそなえている。ところで、AGC増幅回路77は、入力信号とATC回路72からの閾値とを入力として、利得制御回路76からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路72からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅を行なうものであり、自動利得制御増幅部として機能するものである。
【0166】
具体的には、AGC増幅回路77は、図28に示すように、負荷抵抗95A,小利得差動対95C,大利得差動対95E,利得制御差動対95G及び定電流源としてのMOS−FET95Iをそなえて構成されている。また、負荷抵抗95Aは2つの抵抗95Bからなり、小利得差動対95Cは2つのMOS−FET95Dから、大利得差動対95Eは2つのMOS−FET95Fから、利得制御差動対95Gは2つのMOS−FET95Hからなる。
【0167】
ここで、小利得差動対95C及び大利得差動対95Eは、図8を用いて前述したAGC増幅回路27におけるものと同様に、それぞれトランスコンダクタンスが異なるように設計されており、これらの2つの差動対95C,95Eに流れる電流値の割合を利得制御差動対95Gにより制御することにより、AGC回路77全体のトランスコンダクタンス値が変化するようになっている。
【0168】
また、AGC増幅回路77全体で流れる電流は定電流源としてのMOS−FET95Iにより決定されるため、電流値と負荷抵抗95Aとの積で与えられるリミッタ振幅は、利得が変動した場合においても一定に保たれるようになっている。即ち、AGC増幅回路77は、同一の負荷抵抗95Aにトランスコンダクタンスの異なる2つの差動対95C,95Eを接続し、2つの差動対入力に共通に差動入力端子P1,P2を接続し、2つの差動対95C,95Eに流れる電流の総和をほぼ一定に保ちつつ、電流の比率を変化させることで増幅利得を制御するように構成されているのである。
【0169】
なお、AGC増幅回路77においては、図28に示すように、増幅された信号は、ドレイン接地されたソースホロア構成の複数のMOS−FET95J等を介して、出力端子P5,P6から出力されるようになっている。また、図28において、95Kは抵抗であり、95LはMOS−FETである。さらに、AGC増幅回路77には、図28に示すように、AGC増幅回路77に電流を供給する定電流源としてのバイアス回路94が付設されている。なお、このバイアス回路94は、MOS−FET94A及び定電流源94Bとをそなえている。
【0170】
また、AGC増幅回路77を構成するトランジスタとしては、図28に示すようなMOS−FETのほか、バイポーラトランジスタを用いることもできる(図21参照)。このような構成により、AGC増幅回路77は、図8を用いて前述したAGC増幅回路27と同様に動作する。
【0171】
即ち、AGC増幅回路77においては、図28に示すように、入力信号及びATC回路72からの閾値が、入力端子P1,P2から小利得差動対95C,大利得差動対95Eにそれぞれ入力されるとともに、利得制御回路76からの利得制御信号が、利得制御端子P3,P4から利得制御差動対95Gに入力されると、利得制御信号に基づく利得で、閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれ、増幅された信号は、複数のMOS−FET95J等を介して出力端子P5,P6から出力される。
【0172】
ところで、ATC−AGC増幅回路78は、前述のATC−AGC増幅回路71と同様に、ATC回路79,利得制御回路83及びAGC増幅回路84をそなえて構成されている。ATC回路79は、前述のATC回路72と同様に、入力信号(即ちATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77からの出力信号)のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであり、ピーク検出回路80,ボトム検出回路81及び抵抗82A,82Bからなる分圧回路82をそなえて構成されている。
【0173】
なお、ピーク検出回路80及びボトム検出回路81は、それぞれ前述したピーク検出回路73及びボトム検出回路74と同様の機能及び構成を有しており、分圧回路82は、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。また、利得制御回路83は、ATC−AGC増幅回路71のピーク検出回路73からのピーク値とボトム検出回路74からのボトム値との差分から入力信号の振幅情報(入力振幅レベル)を検出して、この入力振幅レベルに応じた利得制御信号を、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路84へ供給するものである。
【0174】
さらに、AGC増幅回路84は、ATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77からの出力信号とATC回路79からの閾値とを入力として、利得制御回路83からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路79からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路77からの入力信号の差動増幅を行なうものである。なお、利得制御回路83及びAGC増幅回路84も、それぞれ前述した利得制御回路76及びAGC増幅回路77と同様の機能及び構成を有している。
【0175】
さらに、ATC−リミッタ増幅回路85は、ATC回路86及びリミッタ増幅回路91をそなえて構成されている。ATC回路86は、前述したATC回路72と同様に、入力信号(即ちAGC増幅回路84からの正相出力)のピーク値とボトム値とを検出してこれらの値の中間値を閾値として自動的に設定するものであるが、本実施形態においては、ピーク検出回路87,ボトム検出回路88,抵抗89A,89Bからなる分圧回路89及びガード電圧発生回路90をそなえて構成されている。
【0176】
なお、ピーク検出回路87及びボトム検出回路88は、それぞれ前述したピーク検出回路73及びボトム検出回路74と同様の機能及び構成を有しており、分圧回路89は、上述の第1実施形態におけるもの(図5参照)と同様の機能及び構成を有している。ここで、ATC回路を用いて構成された信号増幅回路においては、信号が入力されないとき〔入力の無信号時;図19(a)の符号W参照〕には、信号レベルと閾値レベルとが等しくなるため、微弱な入力雑音によりその出力が「0」又は「1」に振れ、信号が誤認識されることがある。
【0177】
この入力雑音による信号の誤認識を防ぐためには、図19(b)に示すように、ATC回路86に信号が入力されていないとき(無信号時W)にも、閾値レベルTを入力雑音レベルより高くなるように制御すればよい。ここで、ガード電圧発生回路90は、図19(b)に示すように、所定の(入力雑音より大きいレベルの)ガード電圧Vを発生するものであり、本実施形態においては、このガード電圧発生回路90が、ATC回路86に信号が入力されていないときにも、閾値レベルTが入力の無信号時レベルより所定のガード電圧分(即ち入力雑音より大きいレベル分)だけ高くなるようにボトム検出回路88の出力(ボトム検出レベルB)を制御することにより、閾値レベルTを制御するようになっている。
【0178】
なお、ボトム検出回路88とガード電圧発生回路90とは、図26に示すように接続されており、ガード電圧発生回路90は、具体的には、図26に示すように、MOS−FET90A及び抵抗90Bをそなえて構成されている。ところで、リミッタ増幅回路91は、ATC−AGC増幅回路78のAGC増幅回路84からの正相出力とATC回路86からの閾値とを入力として、ATC回路86からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路84からの入力信号を差動増幅した後、増幅した信号を所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものである。
【0179】
なお、リミッタ増幅回路91においては、全ての入力範囲で出力振幅が一定レベルにリミットされるようになっている。具体的には、リミッタ増幅回路91は、図29に示すように、2つの抵抗91Aからなる負荷抵抗,2つのMOS−FET91Bからなる差動対,定電流源としてのMOS−FET91Cをそなえて構成されている。
【0180】
なお、リミッタ増幅回路91においては、増幅された信号は、ドレイン接地されたソースホロア構成の複数のMOS−FET91D等を介して、出力端子から出力されるようになっている。また、図29において、91Eは抵抗であり、91FはMOS−FETである。さらに、リミッタ増幅回路91には、図29に示すように、リミッタ増幅回路91に電流を供給する定電流源としてのバイアス回路94が付設されている。なお、このバイアス回路94は、MOS−FET94A及び定電流源94Bとをそなえている。
【0181】
また、リミッタ増幅回路91を構成するトランジスタとしては、図29に示すようなMOS−FETのほか、バイポーラトランジスタを用いることもできる(図21参照)。このように、本実施形態においても、前述の第5実施形態で説明したように、ATC−AGC増幅回路71,78が有するオフセットを補償するために、ATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77の後段にATC−AGC増幅回路78のATC回路79を設けるとともに、ATC−AGC増幅回路78のAGC増幅回路84の後段にATC−リミッタ増幅回路85のATC回路86を設けて、AGC増幅回路77,84からの出力レベルの変動を、それぞれその後段のATC回路79,86により追従して補償するように構成されている。
【0182】
換言すれば、ATC−AGC増幅回路78においてはAGC増幅回路84をATC回路79により、またATC−リミッタ増幅回路85においてはリミッタ増幅回路91をATC回路86により、それぞれフィードフォワード的に制御することにより、ATC−AGC増幅回路71,78が有するオフセットを補償するように構成されているのである。
【0183】
上述の構成により、本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路70においては、信号が入力されると、ATC−AGC増幅回路71のATC回路72では、自動的に入力信号のピーク値と基準レベルに基づいた閾値が設定される。また、利得制御回路76では、ATC回路72にて検出されたピーク値と基準レベルとの差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路77へ供給される。
【0184】
入力信号とATC回路72からの閾値とがAGC増幅回路77に入力されると、AGC増幅回路77では、利得制御回路76からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路72からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。さらに、ATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77により差動増幅された信号が出力されると、ATC−AGC増幅回路78のATC回路79では、自動的にAGC増幅回路77からの出力信号のピーク値とボトム値に基づいた閾値が設定される。
【0185】
また、利得制御回路83では、ATC回路79にて検出されたピーク値とボトム値との差分に応じた利得制御信号が生成されて、フィードフォワード信号としてAGC増幅回路84へ供給される。AGC増幅回路77からの出力信号とATC回路79からの閾値とがAGC増幅回路84に入力されると、AGC増幅回路84では、利得制御回路83からの利得制御信号に基づく利得で、ATC回路79からの閾値レベルを中心にして入力信号の差動増幅が行なわれる。
【0186】
さらに、ATC−AGC増幅回路78のAGC増幅回路84により差動増幅された信号が出力されると、ATC−リミッタ増幅回路85のATC回路86では、AGC増幅回路84からの出力信号のピーク値とガード電圧発生回路90により制御されたボトム値に基づいた閾値が自動的に設定される。そして、AGC増幅回路84からの正相出力とATC回路86からの閾値とがリミッタ増幅回路91に入力されると、リミッタ増幅回路91では、ATC回路86からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路84からの入力信号が差動増幅された後、増幅された信号が所定の信号レベルとなるようにリミットされて出力される。
【0187】
このように、本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路70によれば、ATC−AGC増幅回路71,78をそなえるとともに、その後段にATC−リミッタ増幅回路85をそなえて構成されることにより、上述した第1実施形態にかかる信号増幅回路20と同様の利点が得られるほか、ATC−AGC増幅回路78,ATC−リミッタ増幅回路85においてフィードフォワード制御によりオフセットの補償を行なうことにより、オフセット補償フィードバックループ(図5の符号28参照)を用いることなく信号のパルス幅の変動を低減することができるため、応答の時定数に制限がある高速の信号の増幅を行なう際にも適用することができる。
【0188】
また、信号増幅回路70が、多段のAGC増幅回路77,84をそなえて構成されることにより、信号増幅回路70の設計の自由度を大きくすることができる。さらに、ガード電圧発生回路90が、ATC回路86に信号が入力されていないときにも、閾値レベルが入力の無信号時レベルより所定のガード電圧分(即ち入力雑音より大きいレベル分)だけ高くなるように閾値レベルを制御することにより、入力雑音による信号の誤認識を防ぐことができ、例えば図19(c)に示すように、無信号時の出力レベルを論理「0」に固定することができる。
【0189】
なお、本実施形態においては、ガード電圧発生回路90が、ボトム検出回路88の出力〔図19(b)に示すボトム検出レベルB〕を制御することにより閾値レベルを制御する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、ピーク検出回路87の出力〔図19(b)に示すピーク検出レベルP〕や分圧回路89の出力を制御することにより閾値レベルを制御してもよい。
【0190】
また、本実施形態においても、AGC増幅回路77の入力側に遅延回路(図5の符号43参照)を設ければ、前述のごとく、利得制御回路76からの利得制御信号が立ち上がった後にAGC増幅回路77に信号が入力されるようにすることができ、信号のオーバシュート〔図12(c)のJ参照〕を防ぐことができる。さらに、本実施形態にかかる信号増幅回路70を、情報処理分野における高速・小振幅信号インタフェース回路としても用いることができる。
【0191】
(f1)第6実施形態の変形例の説明
なお、上述の第6実施形態においては、図18に示すように、信号増幅回路70が、2段のATC−AGC増幅回路71,78及び1段のATC−リミッタ増幅回路85をそなえて構成される場合について説明したが、最終段がATC−リミッタ増幅回路であればよいため、図20に示すように、1段のATC−AGC増幅回路と2段のATC−リミッタ増幅回路をそなえて構成することもできる。
【0192】
ここで、図20に示す信号増幅回路70Aは、信号増幅回路70のATC−AGC増幅回路78が、ATC−リミッタ増幅回路78Aに置き換えられた点を除いては、信号増幅回路70と同様に構成されている。ATC−リミッタ増幅回路78Aは、ATC回路79及びリミッタ増幅回路84Aをそなえて構成されており、ATC回路79は、上述の第6実施形態におけるものと同様の機能及び構成を有するものである。
【0193】
また、リミッタ増幅回路84Aは、ATC−AGC増幅回路71のAGC増幅回路77からの出力信号とATC回路79からの閾値とを入力として、ATC回路79からの閾値レベルを中心にしてAGC増幅回路77からの入力信号を差動増幅した後、増幅した信号を所定の信号レベルとなるようにリミットして出力するものである。
【0194】
なお、リミッタ増幅回路84Aは、上述の第6実施形態におけるリミッタ増幅回路91と同様の構成を有しており、このリミッタ増幅回路84Aにおいても、全ての入力範囲で出力振幅が一定レベルにリミットされるようになっている。このように、信号増幅装置70Aを、1段のATC−AGC増幅回路と2段のATC−リミッタ増幅回路をそなえて構成しても、上述した第6実施形態にかかる信号増幅回路70と同様の利点が得られるほか、中段のATC−リミッタ増幅回路78Aが利得制御回路(図18の符号83参照)をそなえる必要がないため、信号増幅回路70Aを構成する回路数を削減して、信号増幅回路70Aの構成を簡素化することができる。
【0195】
(g)その他
第6実施形態において説明したような、ピーク検出回路(図22,図23参照),ボトム検出回路(図24〜図26参照),利得制御回路(図27参照),AGC増幅回路(図28参照)及びリミッタ増幅回路(図29参照)は、第1〜第5実施形態においても用いることができる。
【0196】
また、前述の第6実施形態においても、第1〜第5実施形態において説明したようなピーク検出回路(図示せず),ボトム検出回路(図示せず),利得制御回路(図7参照)及びAGC増幅回路(図8,図21参照)を用いることができる。さらに、上述した第1〜第6実施形態において、MOS−FETを用いて構成された回路においては、バイポーラトランジスタを用いて構成することもできる。
【0197】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部及び利得制御部をそなえて構成されることにより、全ての入力信号の振幅レベルにおいて自動利得制御増幅部がその線形範囲内で動作することができるため、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防ぐことができる利点がある。
【0198】
また、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、一般的に用いられるフィードバック制御による自動利得制御増幅部よりも、応答の時定数を小さくすることができるため、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる。
【0199】
また、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部,利得制御部及びオフセット補償フィードバック部をそなえて構成されることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防いで、信号増幅回路を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができるため、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる利点がある。
【0200】
さらに、本発明の信号増幅回路によれば、自動利得制御増幅部,利得制御部及びオフセット補償フィードバック部をそなえて構成されることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防いで、信号増幅回路を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる。
【0201】
また、オフセット補償フィードバック部が、参照信号を自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックすることにより、閾値を設定するための自動閾値設定部を設ける必要がなくなるため、信号増幅回路を簡素に構成することができる利点がある。また、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部における「0」側レベル出力回路として、入力信号の「0」側レベルに相当する基準レベルを発生する基準レベル発生回路を用いれば、信号増幅回路の構成を簡素化することができる。
【0202】
また、オフセット補償フィードバック部が、「0」側レベル出力回路を兼用するように構成すれば、信号増幅回路を構成する回路数を削減することができるため、更に信号増幅回路の構成を簡素化することができる利点がある。さらに、本発明の信号増幅回路によれば、自動利得制御増幅部における入力信号が入力される側に遅延回路を接続することもでき、このようにすれば、利得制御部からの利得制御信号が立ち上がった後に自動利得制御増幅部に信号が入力されるようにすることができるため、自動利得制御増幅部における信号のオーバシュートを防ぎ、信号増幅回路の誤動作を防ぐことができる利点がある。
【0203】
また、本発明の信号増幅回路によれば、オフセット補償フィードバック部が、自動利得制御増幅部の差動出力のピーク値とボトム値とを分圧したものの差レベルを自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックして、自動利得制御増幅部のオフセットを補償するように構成することもでき、このようにすれば、信号の入力レベルが変動した場合にも安定してオフセット補償を行なうことができる。
【0204】
さらに、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部及び利得制御部を有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、リミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防ぐことができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる利点がある。
【0205】
また、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部,利得制御部及びオフセット補償フィードバック部を有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、リミッタ増幅回路部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防いで、信号増幅回路を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる利点がある。
【0206】
さらに、本発明の信号増幅回路によれば、自動利得制御増幅部,利得制御部及びオフセット補償フィードバック部を有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、リミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防いで、信号増幅回路を構成する各回路が有するオフセットを補償して出力信号のパルス幅の変動を抑制することができる利点があるほか、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる。
【0207】
また、オフセット補償フィードバック部が、参照信号を自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックすることにより、閾値を設定するための自動閾値設定部を設ける必要がなくなるため、信号増幅回路を簡素に構成することができる利点がある。また、本発明の信号増幅回路によれば、自動閾値設定部,自動利得制御増幅部及び利得制御部を有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、自動閾値設定部及びリミッタ増幅部とを有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つのリミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることにより、自動利得制御増幅部にて増幅された信号がリミットされることを防ぐことができるとともに、利得制御部により自動利得制御増幅部をフィードフォワード的に制御することにより、自動利得制御増幅部の立ち上がりを速くすることができ、信号の高速伝送を行なう通信システムに適用することができる利点がある。
【0208】
さらに、本発明の信号増幅回路によれば、ガード電圧発生回路を、リミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けることもでき、このようにすれば、入力雑音による信号の誤認識を防ぐことができる利点がある。特に、ガード電圧発生回路を、最後段のリミッタ増幅基本ブロック部の自動閾値設定部に設けることもでき、このようにすれば、入力雑音による信号の誤認識を確実に防ぐことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図である。
【図2】本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図である。
【図3】本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図である。
【図4】本発明の信号増幅回路を示す原理ブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路が適用される光通信システムの受信部の構成の一部を示すブロック図である。
【図7】利得制御回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】AGC増幅回路の構成の一例を示す回路図である。
【図9】入力信号の振幅とAGC増幅回路の利得との関係の一例を示す図である。
【図10】利得制御信号とAGC増幅回路の利得との関係の一例を示す図である。
【図11】(a),(b)は、それぞれ本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図12】(a)〜(c)は、それぞれ本発明の第1実施形態にかかる信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図13】本発明の第2実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第3実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第4実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図17】(a),(b)は、それぞれ本発明の第5実施形態にかかる信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図18】本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図19】(a)〜(c)は、それぞれ本発明の第6実施形態にかかる信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図20】本発明の第6実施形態の変形例にかかる信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図21】AGC増幅回路の構成の他の例を示す回路図である。
【図22】ピーク検出回路の構成を示すブロック図である。
【図23】ピーク検出回路の構成を示す回路図である。
【図24】ボトム検出回路の構成を示すブロック図である。
【図25】ボトム検出回路の構成を示す回路図である。
【図26】ボトム検出回路とガード電圧発生回路との接続について説明するための図である。
【図27】利得制御回路の構成の他の例を示す回路図である。
【図28】AGC増幅回路の構成の他の例を示す回路図である。
【図29】リミッタ増幅回路の構成を示す回路図である。
【図30】従来の信号増幅回路の構成を示すブロック図である。
【図31】(a)〜(c)は、それぞれ従来の信号増幅回路の動作を説明するための図である。
【図32】(a),(b)は、それぞれ従来の信号増幅回路からの出力信号のアイパターンを示す図である。
【符号の説明】
1 信号増幅回路
2 自動閾値設定部
3 自動利得制御増幅部
4 利得制御部
5 信号増幅回路
6 自動閾値設定部
7 自動利得制御増幅部
8 利得制御部
9 オフセット補償フィードバック部
10 信号増幅回路
11 自動利得制御増幅部
12 利得制御部
13 オフセット補償フィードバック部
14 信号増幅基本ブロック部
15 リミッタ増幅基本ブロック部
16 信号増幅回路
20,20A,20B 信号増幅回路
21 ATC−AGC増幅回路
22,22A,22B 自動閾値制御回路(ATC回路;自動閾値設定部)
23 ピーク検出回路(「1」側レベル出力回路)
24 ボトム検出回路(「0」側レベル出力回路)
25 分圧回路
25A,25B 抵抗
26 利得制御回路(利得制御部)
27 自動利得制御増幅回路(AGC増幅回路;自動利得制御増幅部)
28,28A,28B,28C オフセット補償フィードバックループ(オフセット補償フィードバック部)
29−1,29−2 出力ピーク検出回路
30,30B 誤差増幅回路
31 ローパスフィルタ
32 抵抗
33 リミッタ増幅回路(リミッタ増幅部,リミッタ増幅基本ブロック部)
34 フォトダイオード(光−電気変換部)
35 プリアンプ(前置増幅回路)
35A 増幅回路
35B 抵抗
36 負荷抵抗
36A,36B 抵抗
37 小利得差動対
38 大利得差動対
39 利得制御差動対
37A,37B,38A,38B,39A,39B MOS−FET
37C,37D,38C,38D,39C,39D バイポーラトランジスタ
40 定電流源
41 レベルシフト回路
41A 抵抗
41B 定電流源
42 差動増幅回路
43 遅延回路
45 基準レベル発生回路(「0」側レベル出力回路)
46−1,46−2 出力ピーク検出回路
47−1,47−2 出力ボトム検出回路
48A〜48D 抵抗
49 バイアス回路
49A MOS−FET
49B 定電流源
50 信号増幅回路
51 AGC増幅回路ブロック部
52 利得制御回路
53 自動利得制御増幅回路(AGC増幅回路)
54,54′ 差動増幅回路
54A,54B,54C,54D MOS−FET
55,55′ ダイオード
55A,55B MOS−FET
56 検出容量
57 バッファ
57A MOS−FET
58 レベルシフト回路
58A 抵抗
58B MOS−FET
59 差動増幅回路
59A 抵抗
59B,59C MOS−FET
60 信号増幅回路
61 ATC−AGC増幅回路(信号増幅基本ブロック部)
62 自動閾値制御回路(ATC回路;自動閾値設定部)
63,63A ピーク検出回路(「1」側レベル出力回路)
64,64A ボトム検出回路(「0」側レベル出力回路)
65,65C 分圧回路
65A,65B,65D,65E 抵抗
66 利得制御回路(利得制御部)
67 自動利得制御増幅回路(AGC増幅回路;自動利得制御増幅部)
68 ATC−リミッタ増幅回路(リミッタ増幅基本ブロック部)
69 自動閾値制御回路(ATC回路;自動閾値設定部)
70 信号増幅回路
71,78 ATC−AGC増幅回路(信号増幅基本ブロック部)
72,79,86 自動閾値制御回路(ATC回路;自動閾値設定部)
73,80,87 ピーク検出回路(「1」側レベル出力回路)
74 ボトム検出回路(「0」側レベル出力回路)
75,82,89 分圧回路
75A,75B,82A,82B,89A,89B 抵抗
76 利得制御回路(利得制御部)
77 自動利得制御増幅回路(AGC増幅回路;自動利得制御増幅部)
78A,85 ATC−リミッタ増幅回路(リミッタ増幅基本ブロック部)
81,88 ボトム検出回路(「0」側レベル出力回路)
90 ガード電圧発生回路
90A MOS−FET
90B 抵抗
91,91′,84A リミッタ増幅回路(リミッタ増幅部)
91A,91E 抵抗
91B,91C,91D,91F MOS−FET
92,92A,92B,93 信号増幅基本ブロック部
94 バイアス回路
94A MOS−FET
94B 定電流源
95A 負荷抵抗
95B,95K 抵抗
95C 小利得差動対
95D,95F,95H,95I,95J,95L MOS−FET
95E 大利得差動対
95G 利得制御差動対
96 抵抗
100 信号増幅回路
101 ATC−リミッタ増幅回路
102 自動閾値制御回路(ATC回路)
103 ピーク検出回路
104 ボトム検出回路
105 分圧回路
105A,105B 抵抗
106,107 リミッタ増幅回路
Claims (13)
- 入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路とを有し、
該ピーク値と該ボトム値との所定分圧値を閾値とする自動閾値設定部と、
該入力信号と該自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、
該ピーク値と該ボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、該入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として該自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部とをそなえて構成されたことを特徴とする、信号増幅回路。 - 入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路とを有し、
該ピーク値と該ボトム値との所定分圧値を閾値とする自動閾値設定部と、
該入力信号と該自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、
該ピーク値と該ボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、該入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として該自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部と、
該自動利得制御増幅部からの出力信号の差情報を該自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックして、該自動利得制御増幅部のオフセットを補償するオフセット補償フィードバック部とをそなえて構成されたことを特徴とする、信号増幅回路。 - 入力信号と自動閾値設定部からの参照信号とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、
該入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、該入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路とを有し、該ピーク値と該ボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、該入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として該自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部と、
該自動利得制御増幅部からの出力信号の差情報を、該自動利得制御増幅部のオフセットを補償すべく、該自動利得制御増幅部の入力側へ該参照信号としてフィードバックするオフセット補償フィードバック部とをそなえて構成されたことを特徴とする、信号増幅回路。 - 該利得制御部が、
該自動利得制御増幅部の利得を入力振幅が小さいときには最大利得とし、入力振幅が大きくなり第1の所定値を超えると入力振幅に応じて減少させ、更に入力振幅が大きくなり第2の所定値を超えると最小利得とするように、該利得制御信号を供給するように構成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号増幅回路。 - 該自動利得制御増幅部における入力信号が入力される側に、遅延回路が接続されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号増幅回路。
- 該利得制御部が、
最大利得として入力振幅が最小の信号がリミットされる値を用いるように構成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号増幅回路。 - 該利得制御部が、
最小利得として自動利得制御増幅部に振幅が最大の信号が入力された場合において、該自動利得制御増幅部において増幅される信号の値が、該自動利得制御増幅部の線形範囲を超えない値を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の信号増幅回路。 - 入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路と、該ピーク値と該ボトム値との所定分圧値を閾値とする自動閾値設定部と、該入力信号と該自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、該ピーク検出回路のピーク値と該ボトム検出回路のボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、該入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として該自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、
差動入力信号を差動増幅するリミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、
上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つの該リミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴とする、信号増幅回路。 - 入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路と、該ピーク値と該ボトム値との所定分圧値を閾値とする自動閾値設定部と、該入力信号と該自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、該ピーク検出回路のピーク値と該ボトム検出回路のボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、該入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として該自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部と、該自動利得制御増幅部からの出力信号の差情報を該自動利得制御増幅部の入力側へフィードバックして該自動利得制御増幅部のオフセットを補償するオフセット補償フィードバック部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、
差動入力信号を差動増幅するリミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、
上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つの該リミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴とする、信号増幅回路。 - 入力信号と自動閾値設定部からの参照信号とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、該入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、該入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路とを有し、該ピーク値と該ボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、該入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として該自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部と、該自動利得制御増幅部からの出力信号の差情報を、該自動利得制御増幅部のオフセットを補償すべく、該自動利得制御増幅部の入力側へ該参照信号としてフィードバックするオフセット補償フィードバック部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、
差動入力信号を差動増幅するリミッタ増幅部を有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、
上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つの該リミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴とする、信号増幅回路。 - 入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路と、該ピーク値と該ボトム値との所定分圧値を閾値とする自動閾値設定部と、該入力信号と該自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なう自動利得制御増幅部と、該ピーク検出回路のピーク値と該ボトム検出回路のボトム値とのレベル差から振幅情報を検出して、該入力信号の振幅に応じた利得制御信号をフィードフォワード信号として該自動利得制御増幅部へ供給する利得制御部とを有する信号増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえるとともに、
入力信号のピーク値を保持するピーク検出回路と、入力信号のボトム値を保持するボトム検出回路と、該ピーク値と該ボトム値との所定分圧値を閾値とする自動閾値設定部と、該入力信号とその自動閾値設定部からの閾値とを入力として差動増幅を行なうリミッタ増幅部とを有するリミッタ増幅基本ブロック部を少なくとも1つそなえ、
上記の少なくとも1つの信号増幅基本ブロック部の後段に、少なくとも1つの該リミッタ増幅基本ブロック部が接続されていることを特徴とする、信号増幅回路。 - 少なくとも1つの該リミッタ増幅基本ブロック部の該自動閾値設定部に信号が入力されていないときにも閾値レベルが入力の無信号時レベルより所定のガード電圧分だけ高くなるよう該閾値レベルを制御するガード電圧発生回路が、該リミッタ増幅基本ブロック部の該自動閾値設定部に設けられていることを特徴とする、請求項11記載の信号増幅回路。
- 該ガード電圧発生回路が、最後段のリミッタ増幅基本ブロック部の該自動閾値設定部に設けられていることを特徴とする、請求項12記載の信号増幅回路。
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