JP3085195B2 - 広帯域増幅回路 - Google Patents

広帯域増幅回路

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JP3085195B2 JP08136703A JP13670396A JP3085195B2 JP 3085195 B2 JP3085195 B2 JP 3085195B2 JP 08136703 A JP08136703 A JP 08136703A JP 13670396 A JP13670396 A JP 13670396A JP 3085195 B2 JP3085195 B2 JP 3085195B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広帯域増幅回路に
関し、特に、前段に電圧ー電流増幅回路を用い、後段に
電流ー電圧増幅回路を用いた構成の広帯域増幅回路に関
する。
【0002】
【従来の技術】この種の増幅回路の一例の回路図を、図
5に示す。この図に示す回路は、アラン・ビー・グリベ
ーン(Alan B.Grebene),バイポーラ
アンドエムオーエス アナログ インテグレーテッド
サーキット デザイン(Bipolar and MO
S Analog Integrated Circu
it Design),ISBN0ー471ー0852
9ー4,第422頁,ジョン ワイリー アンド サン
ズ(John Wiley & Sons)に記載され
た回路である。図5を参照して、この回路において前段
は、抵抗R3 ,R4 による直列帰還抵抗つまりエミッタ
帰還抵抗を用いた電圧ー電流増幅回路すなわち、トラン
スコンダクタンス増幅回路40で構成されている。一
方、後段には、抵抗R7 ,R8 による並列帰還抵抗を用
いた電流ー電圧増幅回路すなわち、トランスインピーダ
ンス増幅回路50が用いられている。この構成により、
広帯域、高利得の電圧増幅を実現している。この回路に
おいて利得は主に、抵抗R3,R4 及び抵抗R7 ,R8
によって決まる。しかし、より正確には、抵抗R1 ,R
2 及び抵抗R5 ,R6 によっても変化させることができ
るので、いずれの抵抗値を変化させても利得を調整でき
る。
【0003】一般に、このような増幅回路では、帰還抵
抗を調整し帰還率を変化させることによって、利得およ
び帯域の調整を行うことができる。その場合、利得を下
げると、帯域はより高周波領域に拡がる。逆に利得を上
げると、帯域は低周波領域に移動し狭くなる。従って、
高周波用すなわち広帯域増幅回路として用いるには、帰
還率を増加させ利得を下げることが必要となる。
【0004】図6は、図5に示す回路の出力波形を示す
図である。図中、波形LN4 は、図5中の前段の増幅回
路40における帰還抵抗R3 ,R4 を大きくした場合の
出力波形である。波形LN5 は、後段増幅回路50の帰
還抵抗R7 ,R8 を小さくしたときの出力波形である。
LN6 は、抵抗R3 ,R4 を小さくすると同時に抵抗R
7 ,R8 を大きくしたときの出力波形である。この出力
波形LN6 は、回路を利得を重視した増幅回路として用
いたときの出力波形に相当する。図7に、図6中の出力
波形LN4 ,LN5 を、縦軸すなわち電圧軸を拡大して
示す。時間軸を示す横軸は、図6,図7とも同一であ
る。
【0005】図6,図7を参照すると、次のことが言え
る。 出力波形LN4 ,LN5 とも、出力波形LN6 と比較
すると波形のクロスポイントが左に寄っており、利得が
抑えらえている半面、高速すなわち広帯域になってい
る。 出力波形LN4 と出力波形LN5 とを比較すると、出
力波形LN4 より出力波形LN5 の方が高速、広帯域で
あり、後段増幅回路50の利得を抑えて広帯域化を行っ
た方がより高周波に対応できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の増幅回
路では、前段増幅回路40の帰還抵抗R3 ,R4 の値を
大きくするか、又は、後段増幅回路50の帰還抵抗
7 ,R8 の値を小さくすることによって、利得を下げ
広帯域化することができる。しかしその場合、図7中の
波形LN5 で示すように、出力波形にオーバーシュート
及びアンダーシュートが生じ波形が乱れるという現象が
起きる。これは、前段増幅回路40と後段増幅回路50
の接続節点N1 ,N2 における波形の乱れが、出力波形
に影響を及ぼしているためである。節点N1 ,N2 にお
ける波形の乱れを抑えて利得を下げる一つの方法とし
て、抵抗R1 ,R2 の値を小さくするということが有効
であるが、抵抗R1 ,R2 は、定電流源3Aに流れる電
流との積によって節点N1 ,N2 の動作点を決めている
ので、抵抗値を任意に変化させることはできない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の広帯域増幅回路
は、前段に微小電圧の入力信号を増幅し又は整形して電
流信号を出力する電圧ー電流増幅回路を有し、後段に前
記前段の増幅回路が出力する微小電流の信号を増幅し又
は整形して電圧信号を出力する電流ー電圧増幅回路を備
える広帯域増幅回路において、前記前段の増幅回路と前
記後段の増幅回路との接続節点が、直流動作点でのバイ
アス電圧対バイアス電流の比と交流での小信号動作時の
インピーダンスとが異る非直線性負荷を介して、電源電
圧を供給する一対の電位点の一方に接続されている。
【0008】又、上記の広帯域増幅回路において、前記
前段の増幅回路及び前記後段の増幅回路、共に差動増
幅回路である
【0009】上記の差動型の広帯域増幅回路は、前記前
段の増幅回路と前記後段の増幅回路との二つの接続節点
がそれぞれ、前記電源電圧供給用の電位点と前記接続節
点の一方との間を直列に接続する少くとも一つ以上のp
n接合ダイオード又はダイオード接続のトランジスタか
らなる第1の直列ダイオード回路と、前記電源電圧供給
用の電位点と前記接続節点の他方との間を直列に接続す
る少くとも一つ以上のpn接合ダイオード又はダイオー
ド接続のトランジスタからなる第2の直列ダイオード回
路とを含んでなる非直線性負荷を介して、前記電源電圧
供給用の電位点に接続されているように構成することに
よって実現できる。
【0010】又、本発明に係る差動型の広帯域増幅回路
のように、前記前段の増幅回路と前記後段の増幅回路と
の二つの接続節点がそれぞれ、前記電源電圧供給用の電
位点と前記接続節点の一方との間に電流経路を成すよう
に接続され、コレクタ・エミッタ間には二つの抵抗が直
列接続された第1のトランジスタと、前記電源電圧供給
用の電位点と前記接続節点の他方との間に電流経路を成
すように接続され、コレクタ・エミッタ間には二つの抵
抗が直列接続された第2のトランジスタと含み、各々の
トランジスタのベース電極が互いに相手側の前記二つの
抵抗の直列接続点に接続された構成の非直線性負荷を介
して、前記電源電圧供給用の電位点に接続されているこ
とを特徴とする構成によっても実現できる。
【0011】或いは、前記前段の増幅回路と前記後段の
増幅回路との二つの接続節点がそれぞれ、前記電源電圧
供給用の電位点と前記接続節点の一方との間に接続され
た二つの抵抗からなる第1の直列抵抗回路と、前記電源
電圧供給用の電位点と前記接続節点の他方との間に接続
された二つの抵抗からなる第2の直列抵抗回路と、前記
第1及び第2の直列抵抗回路内の直列接続点どうしの間
に接続された抵抗とを含んでなる非直線性負荷を介し
て、前記電源電圧供給用の電位点に接続されていること
を特徴とする構成によっても実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。尚、以下の説明では、最
高電位を接地電位GNDとし、最低電位を電源電位VEE
として説明する。始めに、本発明の理解を容易にするた
めに、参考例について説明する。図1は、本発明の一参
考例による増幅回路の回路図である。図1と図5とを比
較して、本参考例の回路が従来の回路と異るのは、前段
増幅回路10の負荷11である。本参考例では、前段
に、直列帰還抵抗つまりエミッタ帰還抵抗R3 ,R4
用いた電圧ー電流増幅回路すなわち、トランスコンダク
タンス増幅回路10がある。本参考例では、この増幅回
路10の負荷11に、ダイオード接続のトランジスタD
1 ,D2 を用いている。従来の回路では、この部分に抵
抗が用いられていた。一方、後段には、並列帰還抵抗R
7 ,R8 を用いた電流ー電圧増幅回路すなわち、トラン
スインピーダンス増幅回路50が用いられている。前段
増幅回路10と後段増幅回路50とは、節点N1 ,N2
を接続点としている。
【0013】本参考例において前段の増幅回路10の入
力端子1A,1Bに入力された電圧信号は、節点N1
2 に電流信号として出力され、後段の増幅回路50の
入力信号として用いられる。後段増幅回路50はこの電
流信号を受け、出力端子2A,2Bに電圧信号を出力す
る。ここで、前段増幅回路10において負荷11は、節
点N1 ,N2 の動作点および電圧振幅を決めている。本
参考例では、負荷11にダイオードを用いており、動作
点は接地電位GNDからダイオード1段分の電圧降下点
に設定される。小信号入力時のインピーダンスは、ダイ
オードのオン抵抗により、低インピーダンスにされてい
る。従って、節点N1 ,N2 の電圧レベルは動作点を変
えることなく、波形の乱れ及び動作振幅を制御し、利得
を抑え広帯域化することができる。
【0014】尚、これまでは前段、後段ともに差動増幅
回路で構成した例について説明したが、本参考例で用い
たダイオード負荷はこれを単相の増幅回路に適用した
きでも、これまで述べた回路におけると同様の作用効果
を示すことは、明かであろう。
【0015】次に、本発明の実施の形態について、説明
する。図2は、本発明の第1の実施の形態による増幅回
路の、回路図である。本実施の形態は、前段増幅回路の
負荷が参考例の形態とは異る例を示すものである。図2
を参照して、本実施の形態では、前段の増幅回路20の
負荷21として、トランジスタと抵抗とによる回路を用
いている。節点N1 の動作点は、抵抗R9 ,R10及びト
ランジスタQ7 で決まる。節点N2 の動作点は、抵抗R
11,R12及びトランジスタQ8 で決まる。本実施の形態
において負荷はそれぞれ、抵抗とトランジスタのオン抵
抗との並列接続となっているので、動作点を任意に設定
できる。又、小信号動作時のインピーダンスは、トラン
ジスタQ7 ,Q8 のオン抵抗が支配的であるので、低イ
ンピーダンス化され、第1の実施の形態におけると同様
に、節点N1 ,N2 の電圧レベルが制御される。これに
より、利得を抑え広帯域化することができる。
【0016】次に、本発明の第2の実施の形態につい
て、説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態によ
る増幅回路の、回路図である。本実施の形態は、前段増
幅回路の負荷がこれまでの実施の形態とは異る例を示す
ものである。図3を参照して、本実施の形態では、前段
の増幅回路30の負荷31を、抵抗R9 ,R10よる分
圧回路と、抵抗R11,R12による分圧回路と、二つの分
圧回路を抵抗R13で結ぶ短絡回路とで構成している。節
点N1 ,N2 ,の動作点は、抵抗R9 ,R10及び抵抗R
11,R12で決まる。又、小信号動作時のインピーダンス
は、抵抗R9 ,R11が大きい場合は主に抵抗R10
13,R12によって決まるので、動作点の設定に関わり
なく低インピーダンス化できるので、参考例におけると
同様に節点N1,N2 の電圧レベルが制御される。これ
により、利得を抑え広帯域化させることができる。
【0017】図4は、参考例及び第1,第2の実施の形
それぞれにおける出力波形を、従来の増幅回路におけ
る出力波形と比較して示す図である。図4において、波
形LN1 ,LN2 ,LN3 はそれぞれ、参考例、第1の
実施の形態及び第2の実施の形態における出力波形を示
す。又、波形LN4 は、図5に示す従来の増幅回路で、
抵抗R3 ,R4 の値を大きくした場合の出力波形であっ
て、図6,図7で示した出力波形LN4 と同じものであ
る。波形LN1 ,LN2 ,LN3 は、振幅がほぼ同じに
なるようにして比較しているが、これは、図1,図2,
図3において、それぞれの負荷11,21,31の値の
みを変更して調整している。波形LN1,LN2 ,LN3
は波形LN4 に比べ、立上がり時間および立下がり時
間が速くなっている。又、オーバーシュートも、図7に
おける出力波形LN5 に比べ、十分抑制されている。
【0018】尚、これまでの実施の形態はいずれも負電
源電圧を用いた例であるが、正電源電圧を使用しても、
全く構わない。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、前段に
微小電圧の入力信号を増幅し又は整形して電流信号を出
力する電圧ー電流増幅回路を備え、後段に微小電流の入
力信号を増幅し又は整形を行い電圧信号を出力する電流
ー電圧増幅回路を備える広帯域増幅回路において、前段
の増幅回路と後段の増幅回路との接続節点を、直流動作
点でのバイアス電圧とバイアス電流との比と、交流小信
号動作時のインピーダンスとが異る非直線性負荷によっ
て、電源電位点または接地電位点(すなわち、電源源電
圧供給用の一対の電位点の一方)に接続している。これ
により本発明によれば、前段増幅回路と後段増幅回路と
の接続節点の直流動作点と交流動作時のインピーダンス
とを個々に任意に設定することができる。
【0020】上記の非直線性負荷はこれを、少くとも一
つ以上のダイオードの直列接続で構成できる。又は、抵
抗を用いた分圧回路とこれに並列なトランジスタとの組
合せによっても実現できる。更には、抵抗を用いた分圧
回路と分圧点どうしを結ぶ抵抗との組合せによっても構
成できる。
【0021】本発明によれば、高速性、広帯域性を損う
ことなく出力波形のオーバーシュート,アンダーシュー
トを減少させ、歪みのない出力波形を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例による広帯域増幅回路の回路図
である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による広帯域増幅回
路の回路図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による広帯域増幅回
路の回路図である。
【図4】本発明の参考例及び第1,第2の実施の形態
れぞれにおける出力波形を、従来の広帯域増幅回路にお
ける出力波形と比較して示す図である。
【図5】従来の技術による広帯域増幅回路の一例の回路
図である。
【図6】図5に示す従来の広帯域増幅回路の出力波形
を、回路条件を変え比較して示す図である。
【図7】図6に示す出力波形の一部を、電圧軸を拡大し
て示す図である。
【符号の説明】
1A,1B 入力端子 2A,2B 出力端子 3A,3B,3C,3D 定電流源 4 接地線 5 電源線 10,20,30,40 前段増幅回路 11,21,31,41 負荷 50 後段増幅回路

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前段に微小電圧の入力信号を増幅し又は
    整形して電流信号を出力する差動型の電圧ー電流増幅回
    路を有し、後段に前記前段の増幅回路が出力する微小電
    流の信号を増幅し又は整形して電圧信号を出力する差動
    型の電流ー電圧増幅回路を備え、前記前段の増幅回路と
    前記後段の増幅回路との接続節点が、直流動作点でのバ
    イアス電圧対バイアス電流の比と交流での小信号動作時
    のインピーダンスとが異る非直線性負荷を介して、電源
    電圧を供給する一対の電位点の一方に接続されている広
    帯域増幅回路において、前記前段の増幅回路と前記後段の増幅回路との二つの接
    続節点がそれぞれ、前記電源電圧供給用の電位点と前記
    接続節点の一方との間に電流経路を成すように接続さ
    れ、コレクタ・エミッタ間には二つの抵抗が直列接続さ
    れた第1のトランジスタと、前記電源電圧供給用の電位
    点と前記接続節点の他方との間に電流経路を成すように
    接続され、コレクタ・エミッタ間には二つの抵抗が直列
    接続された第2のトランジスタと含み、各々のトランジ
    スタのベース電極が互いに相手側の前記二つの抵抗の直
    列接続点に接続された構成の非直線性負荷を介して、前
    記電源電圧供給用の電位点 に接続されていることを特徴
    とする広帯域増幅回路。
  2. 【請求項2】 前段に微小電圧の入力信号を増幅し又は
    整形して電流信号を出力する差動型の電圧ー電流増幅回
    路を有し、後段に前記前段の増幅回路が出力する微小電
    流の信号を増幅し又は整形して電圧信号を出力する差動
    型の電流ー電圧増幅回路を備え、前記前段の増幅回路と
    前記後段の増幅回路との接続節点が、直流動作点でのバ
    イアス電圧対バイアス電流の比と交流での小信号動作時
    のインピーダンスとが異る非直線性負荷を介して、電源
    電圧を供給する一対の電位点の一方に接続されている
    帯域増幅回路において、前記前段の増幅回路と前記後段の増幅回路との二つの接
    続節点がそれぞれ、前記電源電圧供給用の電位点と前記
    接続節点の一方との間に接続された二つの抵抗からなる
    第1の直列抵抗回路と、前記電源電圧供給用の電位点と
    前記接続節点の他方との間に接続された二つの抵抗から
    なる第2の直列抵抗回路と、前記第1及び第2の直列抵
    抗回路内の直列接続点どうしの間に接続された抵抗とを
    含んでなる非直線性負荷を介して、前記電源電圧供給用
    の電位点に接続されている ことを特徴とする広帯域増幅
    回路。
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