JP2002351619A - パネル型周辺装置及びその製造方法並びにその製造用のパネル治具及び液体注入装置 - Google Patents

パネル型周辺装置及びその製造方法並びにその製造用のパネル治具及び液体注入装置

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JP2002351619A JP2001183779A JP2001183779A JP2002351619A JP 2002351619 A JP2002351619 A JP 2002351619A JP 2001183779 A JP2001183779 A JP 2001183779A JP 2001183779 A JP2001183779 A JP 2001183779A JP 2002351619 A JP2002351619 A JP 2002351619A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体封入型のパネル型周辺装置において、可
撓性導電パネル部材に凹みを生じることなくパネル部材
間の隙間の全体に迅速に液体材料を充填する。 【解決手段】 パネル治具12の第1及び第2支持部材
42、44に固定的に挟持したパネル組立体40を、液
体材料34を収容した容器60と共に共通の外部環境下
に置く。次に、パネル組立体40の通路32を外部環境
に露出させた状態で外部環境を減圧し、パネル組立体4
0の隙間26、及び第1支持部材42とパネル組立体4
0との間の第2の隙間54を真空排気する。続いて、パ
ネル組立体40の通路32を液体材料34に浸漬し、排
気操作を停止する。この状態で、外部環境の圧力を上昇
させれば、パネル組立体40の第1導電パネル部材18
を第2導電パネル部材24に接近する方向へ変形させる
ことなく、容器60内の液体材料34を、パネル組立体
40の隙間26の全体に充填することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タッチパネルや液
晶ディスプレイ等のパネル型周辺装置に関する。本発明
はさらに、そのようなパネル型周辺装置の製造方法並び
にその製造方法で使用できるパネル治具及び液体注入装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータ、ワード
プロセッサ、電子手帳等の、ディスプレイを備えたデジ
タルデータ処理装置において、LCD(液晶ディスプレ
イ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン
管)等のディスプレイ画面上に設置され、パネル表面の
所望位置をオペレータがペンや手指で押圧することによ
り、ディスプレイ上の二次元座標データを入力指示する
パネル型入力装置が、タッチパネルの呼称で広く利用さ
れている。
【0003】一般にタッチパネルは、透明な絶縁基板と
絶縁基板表面に設けられる透明な導電膜とを各々に有し
た一対の板状の検出素子(すなわち導電パネル部材)を
備えて構成される。それら検出素子は、隙間を介して導
電膜同士を対向させた状態で、両絶縁基板の外周縁に沿
って帯状に延設される接着剤層を介して、互いに重ね合
わせて固定される。両検出素子の間の隙間は、この接着
剤層と、一方の検出素子の導電膜の表面に分散配置され
た多数のドットスペーサとにより確保される。ドットス
ペーサは、検出素子の少なくとも自重による変形を抑制
して両検出素子間の隙間を保持する一方で、いずれかの
検出素子が押圧力下で変形したときには両導電膜の短絡
を許容する。なお通常、オペレータが押圧操作する上側
の検出素子の絶縁基板は、可撓性が要求されるので樹脂
フィルムから形成され、他方、ディスプレイ画面に隣接
配置される下側の検出素子の絶縁基板は、ガラス板、プ
ラスチック板、樹脂フィルム等から形成される。
【0004】この種のタッチパネルにおいて、ディスプ
レイ画面の視認性を改善するために、一対の検出素子の
間に形成される隙間に、各検出素子の屈折率と同等の屈
折率を有する透明な絶縁液体材料を封入して、光の透過
率を向上させたものが知られている。このような液体封
入型のタッチパネルは、一般的なLCDにおける液晶セ
ルに類似した構成を有するものであり、したがって、両
検出素子間の隙間への液体注入作業は、従来のLCD製
造工程における液晶注入作業と同様の方法で実施でき
る。
【0005】従来のLCD製造工程における液晶注入作
業は、以下の各ステップを有する。まず、絶縁基板及び
絶縁基板の一表面に形成した導電膜を各々に有する一対
の電極板(すなわち導電パネル部材)を、各々の導電膜
同士が隙間を介して対向するように互いに固定してなる
パネル組立体を作製する。このパネル組立体は、液晶を
注入する前段階の半完成品であり、例えば空セルと称す
る。一対の電極板は、それらの絶縁基板の外周縁に沿っ
て相互対向面間に帯状に延設される接着剤層によって互
いに固着され、接着剤層に隣接して(例えば接着剤の欠
落部分として)、両電極板間の隙間を外部環境に連通さ
せる少なくとも1つの通路が形成される。接着剤層は、
この通路以外で両電極板間の隙間を外部環境に対し気密
封止するように作用する。
【0006】次に、液晶材料を収容した容器を用意し、
この容器と上記したパネル組立体とを、共通の外部環境
下(例えば密閉室内)に置く。そして、パネル組立体に
設けた通路を外部環境に露出させた状態で、密閉室を真
空排気して外部環境を減圧し、それにより、パネル組立
体の両電極板間の隙間を真空排気するとともに、液晶材
料を真空脱気する。続いて、減圧した外部環境下で、パ
ネル組立体の通路及びその周辺部分を容器内の液晶材料
に浸漬し、排気操作を停止する。このとき、毛細管現象
により、パネル組立体の通路を介して両電極基板間の隙
間に液晶材料が僅かに浸入する。その後、密閉室に不活
性ガスを導入して圧力を上昇させることにより、液晶材
料を隙間の全体に充填する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のLCD
製造工程における液晶注入作業と同様の方法を、前述し
た液体封入型タッチパネルにおける液体注入作業に適用
すると、例えば樹脂フィルム製絶縁基板を有する上側検
出素子とガラス製絶縁基板を有する下側検出素子とを組
み合わせたタッチパネルでは、外部環境の圧力を上昇さ
せてパネル組立体の隙間に絶縁液体材料を充填する間
に、上側検出素子が圧力上昇によって下側検出素子に接
近する方向へ撓む傾向がある。液体充填ステップにおい
てパネル組立体の一方の検出素子にこのような変形が生
じると、両検出素子間の隙間が狭くなり、結果として絶
縁液体材料を隙間の全体に迅速に充填することが困難に
なるとともに、充填完了後の完成品としてのタッチパネ
ルがその上側検出素子の中央領域で外周縁領域よりも若
干凹んだものになることが懸念される。上側検出素子の
このような凹みは、タッチパネルの特に外周縁近傍領域
で透視画像を歪ませる要因となるだけでなく、押圧点で
導通接触した両検出素子のその後の分離を不確実にする
要因となり得る。
【0008】なお、こうした諸課題は、タッチパネルの
一対の検出素子の双方が樹脂フィルム製絶縁基板を有す
る場合に、一層顕著に生じることが予測される。また、
液体封入型タッチパネルに限らず、樹脂フィルム基板を
用いた液晶ディスプレイ等の、パネル組立体の少なくと
も一方の導電パネル部材が外部環境の圧力変動に伴って
比較的容易に変形し得る可撓性を有して構成される種々
の液体封入型のパネル型周辺装置において、液体材料注
入作業に際し可撓性導電パネル部材の中央領域の凹みが
同様に生じ得ると考えられる。
【0009】さらに、上記した液体注入作業では、液体
材料をパネル組立体の両導電パネル部材間の隙間に注入
する際に、パネル組立体と液体材料との双方を減圧環境
下に置くので、液体材料として、蒸気圧が十分に低いも
の(例えばシリコンオイル)を使用することが前提とな
る。したがって、液体材料の選択幅が狭く、例えばパネ
ル組立体の各種構成部品の材料に対して化学的に安定な
液体材料を選択する、といった構造の最適化が制限され
る危惧がある。
【0010】ところで、従来の液体封入型のパネル型周
辺装置では、パネル組立体の一対の導電パネル部材の間
に接着剤層に隣接して形成される液体材料注入用の通路
は、一般に、両導電パネル部材間の隙間に開口する内側
口と外部環境に開口する外側口との間で一様な流路断面
形状を有して直線状に延設されている。このような形状
を有する通路は、接着剤層を例えば両面粘着テープから
構成する場合に、両面粘着テープの欠落部分によって極
めて容易に形成できる利点がある。しかし、通路内では
両導電パネル部材が互いに固定されないので、タッチパ
ネルのように一方の導電パネル部材(検出素子)が樹脂
フィルム製絶縁基板を有する場合、通路の近傍で、その
導電パネル部材を固定的に保持することが困難になる傾
向がある。
【0011】特にタッチパネルにおいては、押圧位置に
係わらず正確かつ安定的なデータ入力を実現するため
に、押圧操作される上側の検出素子はその全体に渡って
一様に張力が負荷された状態で固定されていることが要
求される。したがって、液体材料注入用の通路は可及的
に小さくすることが好ましいが、通路を縮小すると液体
材料の充填作業に要する時間が増加する懸念がある。そ
こで、小さな通路を複数箇所に分散して設けることも考
えられるが、この場合には、液体材料充填後の通路封止
作業が煩雑になる危惧がある。
【0012】したがって本発明の目的は、一対の導電パ
ネル部材の間の隙間に液体材料を封入してなるパネル型
周辺装置の製造方法において、少なくとも一方の導電パ
ネル部材が外部環境の圧力変動に伴って比較的容易に変
形し得る可撓性を有する場合にも、液体材料注入作業に
際して、そのような可撓性導電パネル部材の中央領域に
凹みを生じることなく、導電パネル部材間の隙間の全体
に迅速に液体材料を充填することができる製造方法を提
供することにある。
【0013】本発明はまた、一対の導電パネル部材の間
の隙間に液体材料を封入してなるパネル型周辺装置の製
造方法において、蒸気圧の制約を受けずに様々な液体材
料を選択でき、以って構造の最適化を促進できる製造方
法を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、
上記したような製造方法を実施するために好適に使用で
きるパネル治具及び液体注入装置を提供することにあ
る。
【0014】本発明のさらに他の目的は、上記したよう
な製造方法によって製造されたパネル型周辺装置であっ
て、優れた機能性を有するパネル型周辺装置、特に透視
画像の歪みが少なく、正確かつ安定的に入力操作できる
タッチパネルを提供することにある。本発明のさらに他
の目的は、一対の導電パネル部材の間の隙間に液体材料
を封入してなるパネル型周辺装置において、液体材料注
入用の通路の存在に起因する機能性の劣化を、液体充填
作業及び通路封止作業を煩雑にすることなく防止できる
パネル型周辺装置、特にタッチパネルを提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、絶縁基板及び該絶縁基板
の第1面に設けられる導電膜を各々に有する一対の導電
パネル部材を具備するパネル型周辺装置の製造方法にお
いて、前記一対の導電パネル部材を、各々の前記導電膜
同士が隙間を介して対向するように互いに固定してなる
パネル組立体であって、該隙間を外部環境に連通させる
通路を有するとともに該通路以外で該隙間が該外部環境
に対し気密封止されるパネル組立体を用意し、前記パネ
ル組立体の少なくとも一方の前記導電パネル部材よりも
高い剛性を有するとともに、該導電パネル部材の前記絶
縁基板の前記第1面の裏側の第2面よりも大きな支持面
を有する支持部材を用意し、液体材料を収容した容器を
用意し、前記パネル組立体、前記支持部材及び前記容器
を、共通の環境下に置き、前記パネル組立体の前記少な
くとも一方の導電パネル部材を、その前記絶縁基板の前
記第2面が前記支持面に対向するように前記支持部材に
重ねて固定的に配置し、前記パネル組立体の前記通路を
前記共通の環境に露出させた状態で、該環境を減圧し、
それにより該パネル組立体の前記隙間を排気し、減圧し
た前記共通の環境下で、前記パネル組立体の前記通路
を、前記容器内の前記液体材料に浸漬し、その状態で、
前記減圧した共通の環境の圧力を上昇させて、該環境の
圧力を前記支持部材に重ねて配置した前記少なくとも一
方の導電パネル部材に直接に負荷させることなく、前記
容器内の前記液体材料を、前記パネル組立体の前記通路
を通して前記隙間に充填すること、を特徴とするパネル
型周辺装置製造方法を提供する。
【0016】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のパネル型周辺装置製造方法において、前記パネル組立
体の前記少なくとも一方の導電パネル部材を前記支持部
材に重ねて固定的に配置するときに、該導電パネル部材
の前記絶縁基板の前記第2面と該支持部材の前記支持面
との間に第2の隙間を設け、前記共通の環境を減圧する
間は、該第2の隙間と該環境との間を連通させ、該共通
の環境を加圧する間は、該第2の隙間と該環境との間を
気密封止する請求項1に記載のパネル型周辺装置製造方
法を提供する。
【0017】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載のパネル型周辺装置製造方法において、前記支持
部材に重ねて固定的に配置される前記パネル組立体の前
記少なくとも一方の導電パネル部材が、前記共通の環境
の圧力変動に伴って変形し得る可撓性を有する請求項1
又は2に記載のパネル型周辺装置製造方法を提供する。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか1項に記載のパネル型周辺装置製造方法によっ
て製造されたパネル型周辺装置を提供する。請求項5に
記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパ
ネル型周辺装置製造方法で用意される前記支持部材を具
備するパネル治具を提供する。
【0019】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
のパネル治具において、前記支持部材と協働して前記パ
ネル組立体を固定的に挟持する第2の支持部材をさらに
具備するパネル治具を提供する。請求項7に記載の発明
は、請求項2に記載のパネル型周辺装置製造方法で用意
される前記支持部材を具備するパネル治具であって、前
記第2の隙間を前記共通の環境に連通させる気体通路
と、該環境の圧力変動に伴って該気体通路を開閉する弁
部材とをさらに具備するパネル治具を提供する。
【0020】請求項8に記載の発明は、互いに離間かつ
対向して配置される一対の絶縁基板と、それら絶縁基板
の各々の相互対向面に形成され、隙間を介して互いに対
向する導電膜と、該隙間を外部環境に対し封止するとと
もに、それら絶縁基板を互いに固定する封着部材と、該
隙間に封入される液体材料とを具備するパネル型周辺装
置において、前記封着部材は、前記一対の絶縁基板の外
周縁に沿って帯状に延設され、それら絶縁基板の前記相
互対向面に積層される接着剤層と、該接着剤層に隣接し
て形成され、前記隙間に前記液体材料を注入するための
少なくとも1つの通路と、該通路を封止する封止材とを
具備し、前記通路の各々が、外部環境に開口する1つの
外側口と、該外側口よりも小さい面積で個々に前記隙間
に開口する少なくとも1つの内側口とを有すること、を
特徴とするパネル型周辺装置を提供する。
【0021】請求項9に記載の発明は、透明な絶縁基板
及び該絶縁基板の第1面に設けられる透明な導電膜を各
々に有する一対の板状の検出素子を具備するタッチパネ
ルの製造方法において、前記一対の検出素子を、各々の
前記導電膜同士が隙間を介して対向するように互いに固
定してなるパネル組立体であって、該隙間を外部環境に
連通させる通路を有するとともに該通路以外で該隙間が
該外部環境に対し気密封止され、少なくとも一方の該検
出素子が該外部環境の圧力変動に伴って変形し得る可撓
性を有するパネル組立体を用意し、前記パネル組立体の
前記少なくとも一方の検出素子よりも高い剛性を有する
とともに、該検出素子の前記絶縁基板の前記第1面の裏
側の第2面よりも大きな支持面を有する支持部材を用意
し、透明な絶縁液体材料を収容した容器を用意し、前記
パネル組立体、前記支持部材及び前記容器を、共通の環
境下に置き、前記パネル組立体の前記少なくとも一方の
検出素子を、その前記絶縁基板の前記第2面が前記支持
面に対向するように前記支持部材に重ねて固定的に配置
し、前記パネル組立体の前記通路を前記共通の環境に露
出させた状態で、該環境を減圧し、それにより該パネル
組立体の前記隙間を排気し、減圧した前記共通の環境下
で、前記パネル組立体の前記通路を、前記容器内の前記
絶縁液体材料に浸漬し、その状態で、前記減圧した共通
の環境の圧力を上昇させて、該環境の圧力を前記支持部
材に重ねて配置した前記少なくとも一方の検出素子に直
接に負荷させることなく、前記容器内の前記絶縁液体材
料を、前記パネル組立体の前記通路を通して前記隙間に
充填すること、を特徴とするタッチパネル製造方法を提
供する。
【0022】請求項10に記載の発明は、請求項9に記
載のタッチパネル製造方法によって製造されたタッチパ
ネルを提供する。
【0023】請求項11に記載の発明は、互いに離間か
つ対向して配置される一対の透明な絶縁基板と、それら
絶縁基板の各々の相互対向面に形成され、隙間を介して
互いに対向する透明な導電膜と、該隙間を外部環境に対
し封止するとともに、それら絶縁基板を互いに固定する
封着部材と、該隙間に封入される透明な絶縁液体材料と
を具備するタッチパネルにおいて、前記封着部材は、前
記一対の絶縁基板の外周縁に沿って帯状に延設され、そ
れら絶縁基板の前記相互対向面に積層される接着剤層
と、該接着剤層に隣接して形成され、前記隙間に前記絶
縁液体材料を注入するための少なくとも1つの通路と、
該通路を封止する封止材とを具備し、前記通路の各々
が、外部環境に開口する1つの外側口と、該外側口より
も小さい面積で個々に前記隙間に開口する少なくとも1
つの内側口とを有すること、を特徴とするタッチパネル
を提供する。
【0024】請求項12に記載の発明は、絶縁基板及び
該絶縁基板の第1面に設けられる導電膜を各々に有する
一対の導電パネル部材を具備するパネル型周辺装置の製
造方法において、前記一対の導電パネル部材を、各々の
前記導電膜同士が隙間を介して対向するように互いに固
定してなるパネル組立体であって、該隙間を外部環境に
連通させる通路を有するとともに該通路以外で該隙間が
該外部環境に対し気密封止され、少なくとも一方の該導
電パネル部材が該外部環境の圧力変動に伴って変形し得
る可撓性を有するパネル組立体を用意し、前記パネル組
立体の一部分を気密封止状態で嵌入できる貫通穴を有す
る隔壁を用意し、前記パネル組立体の前記通路が前記隔
壁の一方の側で開口するとともに、該パネル組立体の前
記一対の導電パネル部材の大部分が該隔壁の他方の側に
配置されるように、該パネル組立体の一部分を該隔壁の
前記貫通穴に気密封止状態で嵌入し、前記隔壁の前記一
方の側に液体材料を配置し、前記隔壁の前記貫通穴に嵌
入した前記パネル組立体の前記通路の開口部分を前記液
体材料に浸漬し、前記隔壁の前記他方の側における環境
の圧力を上昇させて、前記パネル組立体の前記少なくと
も一方の導電パネル部材を変形させ、それにより、該パ
ネル組立体の前記隙間を排気し、前記隔壁の前記他方の
側における前記環境の圧力を下降させて、前記パネル組
立体の前記少なくとも一方の導電パネル部材を変形さ
せ、それにより、該パネル組立体の前記隙間に前記通路
を通して前記液体材料を充填すること、を特徴とするパ
ネル型周辺装置製造方法を提供する。
【0025】請求項13に記載の発明は、請求項12に
記載のパネル型周辺装置製造方法において、前記隔壁
が、複数の前記パネル組立体の各々の一部分を気密封止
状態で嵌入できる複数の前記貫通穴を有し、該複数のパ
ネル組立体の各々の前記隙間に同時に前記液体材料を充
填するパネル型周辺装置製造方法を提供する。
【0026】請求項14に記載の発明は、請求項12又
は13に記載のパネル型周辺装置製造方法によって製造
されたパネル型周辺装置を提供する。請求項15に記載
の発明は、請求項12又は13に記載のパネル型周辺装
置製造方法で用意される前記隔壁を具備する液体注入装
置を提供する。
【0027】請求項16に記載の発明は、請求項15に
記載の液体注入装置において、前記隔壁の前記一方の側
に設けられる液体材料貯留槽と、該隔壁の前記他方の側
に設けられる圧力調整室と、前記パネル組立体の前記一
部分を該隔壁の前記貫通穴に嵌入した状態で該パネル組
立体を固定的に支持する支持機構とをさらに具備する液
体注入装置を提供する。
【0028】請求項17に記載の発明は、透明な絶縁基
板及び該絶縁基板の第1面に設けられる透明な導電膜を
各々に有する一対の板状の検出素子を具備するタッチパ
ネルの製造方法において、前記一対の検出素子を、各々
の前記導電膜同士が隙間を介して対向するように互いに
固定してなるパネル組立体であって、該隙間を外部環境
に連通させる通路を有するとともに該通路以外で該隙間
が該外部環境に対し気密封止され、少なくとも一方の該
検出素子が該外部環境の圧力変動に伴って変形し得る可
撓性を有するパネル組立体を用意し、前記パネル組立体
の一部分を気密封止状態で嵌入できる貫通穴を有する隔
壁を用意し、前記パネル組立体の前記通路が前記隔壁の
一方の側で開口するとともに、該パネル組立体の前記一
対の検出素子の大部分が該隔壁の他方の側に配置される
ように、該パネル組立体の一部分を該隔壁の前記貫通穴
に気密封止状態で嵌入し、前記隔壁の前記一方の側に透
明な絶縁液体材料を配置し、前記隔壁の前記貫通穴に嵌
入した前記パネル組立体の前記通路の開口部分を前記絶
縁液体材料に浸漬し、前記隔壁の前記他方の側における
環境の圧力を上昇させて、前記パネル組立体の前記少な
くとも一方の検出素子を変形させ、それにより、該パネ
ル組立体の前記隙間を排気し、前記隔壁の前記他方の側
における前記環境の圧力を下降させて、前記パネル組立
体の前記少なくとも一方の検出素子を変形させ、それに
より、該パネル組立体の前記隙間に前記通路を通して前
記絶縁液体材料を充填すること、を特徴とするタッチパ
ネル製造方法を提供する。
【0029】請求項18に記載の発明は、請求項17に
記載のタッチパネル製造方法によって製造されたタッチ
パネルを提供する。
【0030】請求項19に記載の発明は、絶縁基板及び
該絶縁基板の第1面に設けられる導電膜を各々に有する
一対の導電パネル部材を具備するパネル型周辺装置の製
造方法において、前記一対の導電パネル部材を、各々の
前記導電膜同士が隙間を介して対向するように互いに固
定してなるパネル組立体であって、該隙間を外部環境に
連通させる通路を有するとともに該通路以外で該隙間が
該外部環境に対し気密封止されるパネル組立体を用意
し、前記パネル組立体の一部分を嵌入できる貫通穴を有
する壁を用意し、前記パネル組立体の前記通路が前記壁
の一方の側で開口するように、該パネル組立体の一部分
を該壁の前記貫通穴に嵌入し、前記壁の両側における環
境を減圧して真空状態にし、前記壁の前記一方の側に液
体材料を配置して、前記パネル組立体の前記通路の開口
部分を該液体材料に浸漬し、重力作用により、前記パネ
ル組立体の前記隙間に前記通路を通して前記液体材料を
充填すること、を特徴とするパネル型周辺装置製造方法
を提供する。
【0031】請求項20に記載の発明は、請求項19に
記載のパネル型周辺装置製造方法において、前記壁が、
複数の前記パネル組立体の各々の一部分を嵌入できる複
数の前記貫通穴を有し、該複数のパネル組立体の各々の
前記隙間に同時に前記液体材料を充填するパネル型周辺
装置製造方法を提供する。
【0032】請求項21に記載の発明は、請求項19又
は20に記載のパネル型周辺装置製造方法において、前
記壁が、前記一方の側と前記他方の側との間を気密封止
でき、前記パネル組立体の前記隙間に前記液体材料を充
填した後に、該壁の該他方の側における前記環境の圧力
を変化させて、該隙間内の該液体材料の量を調整するパ
ネル型周辺装置製造方法を提供する。
【0033】請求項22に記載の発明は、請求項19〜
21のいずれか1項に記載のパネル型周辺装置製造方法
によって製造されたパネル型周辺装置を提供する。請求
項23に記載の発明は、請求項19〜21のいずれか1
項に記載のパネル型周辺装置製造方法で用意される前記
壁を具備する液体注入装置を提供する。
【0034】請求項24に記載の発明は、請求項23に
記載の液体注入装置において、前記壁の前記一方の側に
設けられる液体材料貯留槽と、該壁及び該液体材料貯留
槽の周囲に間断なく形成される圧力調整室と、前記パネ
ル組立体の前記一部分を該壁の前記貫通穴に嵌入した状
態で該パネル組立体を固定的に支持する支持機構とをさ
らに具備する液体注入装置を提供する。
【0035】請求項25に記載の発明は、透明な絶縁基
板及び該絶縁基板の第1面に設けられる透明な導電膜を
各々に有する一対の板状の検出素子を具備するタッチパ
ネルの製造方法において、前記一対の検出素子を、各々
の前記導電膜同士が隙間を介して対向するように互いに
固定してなるパネル組立体であって、該隙間を外部環境
に連通させる通路を有するとともに該通路以外で該隙間
が該外部環境に対し気密封止されるパネル組立体を用意
し、前記パネル組立体の一部分を嵌入できる貫通穴を有
する壁を用意し、前記パネル組立体の前記通路が前記壁
の一方の側で開口するように、該パネル組立体の一部分
を該壁の前記貫通穴に嵌入し、前記壁の両側における環
境を減圧して真空状態にし、前記壁の前記一方の側に液
体材料を配置して、前記パネル組立体の前記通路の開口
部分を該液体材料に浸漬し、重力作用により、前記パネ
ル組立体の前記隙間に前記通路を通して前記液体材料を
充填すること、を特徴とするタッチパネル製造方法を提
供する。
【0036】請求項26に記載の発明は、請求項25に
記載のタッチパネル製造方法によって製造されたタッチ
パネルを提供する。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一
又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。図1
は、本発明の一実施形態によるパネル型周辺装置製造方
法によって製造されるパネル型周辺装置10の概略構成
を厚み方向に拡大、強調して示す。図2〜図4は、この
パネル型周辺装置製造方法で使用されるパネル治具12
を、パネル型周辺装置10の半完成品とともに示す。
【0038】パネル型周辺装置10は、絶縁基板14及
び絶縁基板14の第1面14aに設けられる導電膜16
を有した第1導電パネル部材18と、同様に絶縁基板2
0及び絶縁基板20の第1面20aに設けられる導電膜
22を有した第2導電パネル部材24とを備える。第1
導電パネル部材18と第2導電パネル部材24とは、互
いに略同一の矩形輪郭を有する平板であり、同様に互い
に略同一の矩形輪郭を有する導電膜16、22をそれぞ
れに備える。それら導電パネル部材18、24は、隙間
26を介して導電膜16、22同士を対向させた状態
で、両絶縁基板14、20の外周縁に沿って両第1面1
4a、20a上に帯状に延設される接着剤層28を介し
て、互いに重ね合わせて固定される。
【0039】接着剤層28は、例えば所定厚みを有して
矩形枠状に成形された両面粘着テープからなり、この接
着剤層28と、第2導電パネル部材24の導電膜22の
表面に分散配置された多数のドットスペーサ30との協
働により、両導電パネル部材18、24の間の隙間26
が確保される。さらに、接着剤層28に隣接して(例え
ば両面粘着テープの欠落部分として)、両導電パネル部
材18、24間の隙間26をパネル型周辺装置12の外
部環境に連通させる1つの通路32が形成される。接着
剤層28は、導電パネル部材固定作用に加えて、この通
路32以外で両導電パネル部材18、24間の隙間26
を外部環境に対し気密封止する作用を有する。両導電パ
ネル部材18、24間の隙間26には、所定の機能を有
する液体材料34が封入される。したがって通路32
は、後述する液体注入工程により液体材料34を隙間2
6に注入した後に、封止材(例えば接着剤)36によっ
て封止される。
【0040】図示の好適な実施形態では、第1導電パネ
ル部材18は、透明樹脂フィルム製の絶縁基板14に透
明な導電膜16を被着して形成され、それ自体、外部環
境の圧力変動に伴って比較的容易に変形し得る可撓性を
有するものとなっている。また、第2導電パネル部材2
4は、透明ガラス製の絶縁基板20に透明な導電膜22
を被着して形成され、それ自体、外部環境の圧力変動に
抗して自己形状を保持し得る剛性を有するものとなって
いる。このようなパネル型周辺装置12は、デジタルデ
ータ処理装置における入力装置であるタッチパネルとし
て機能し得るものである。
【0041】タッチパネルとして構成されるパネル型周
辺装置12では、第1導電パネル部材18が、オペレー
タによって押圧操作される上側検出素子として機能し、
第2導電パネル部材24が、LCD(液晶ディスプレ
イ)、PDP(プラズマパネル)、CRT(ブラウン
管)等のディスプレイ画面38上に設置される下側検出
素子として機能する。また多数のドットスペーサ30
は、第1導電パネル部材(上側検出素子)18の少なく
とも自重による変形を抑制して隙間26を保持する一方
で、第1導電パネル部材(上側検出素子)18が押圧力
下で変形したときには押圧位置における両導電膜16、
22の短絡を許容する。また液体材料34は、各導電パ
ネル部材(検出素子)18、24の屈折率と同等の屈折
率を有する透明な絶縁液体材料からなり、光の透過率を
向上させる機能を有する。
【0042】なお、第1及び第2導電パネル部材18、
24は、それぞれの導電膜16、22に電気的に接続し
て絶縁基板14、20の第1面14a、20aにパター
ン形成される第1及び第2の導線部(図示せず)をさら
に備える。これら第1及び第2の導線部は、導電膜1
6、22のそれぞれの対向縁に沿って互いに90度異な
る位置に配置される第1及び第2の電極対(図示せず)
と、それら電極対に接続される第1及び第2の配線スト
リップ(図示せず)とから構成される。このような構成
は、抵抗膜型タッチパネルにおいて公知のものである。
【0043】上記したパネル型周辺装置10の製造工程
(特に液体注入工程)で使用されるパネル治具12は、
両導電パネル部材18、24間の隙間26に液体材料3
4を注入する前段階のパネル型周辺装置10の半完成品
であるパネル組立体40を固定的に支持するための構成
を有する。パネル治具12は、パネル組立体40の第1
導電パネル部材18よりも高い剛性、好ましくは外部環
境の圧力変動に抗して自己形状を保持し得る剛性を有す
る平板状の第1支持部材42と、第1支持部材42と協
働してパネル組立体40を固定的に挟持する第2支持部
材44とを備える。第1支持部材42は、第1導電パネ
ル部材18の絶縁基板14の第1面14aの裏側の第2
面14bよりも十分に大きな平坦な支持面42aを有す
る。同様に第2支持部材44は、第2導電パネル部材2
4の絶縁基板20の第1面20aの裏側の第2面20b
よりも幾分大きな平坦な支持面44aを有する。
【0044】第1支持部材42と第2支持部材44と
は、両者間にパネル組立体40を挟持した状態で、パネ
ル組立体40の周囲に分散配置される複数のボルト46
によって相互に固定される。両支持部材42、44に
は、互いに対応する位置に、複数の雌ねじ48、50が
それぞれ貫通形成され、各雌ねじ48、50にボルト4
6が螺着される。第1支持部材42の支持面42aに
は、矩形に整列する複数の雌ねじ48の内側に、矩形枠
状のスペーサ52が固定的に設置される。スペーサ52
は、好ましくはゴムパッキンからなり、パネル組立体4
0の第1導電パネル部材18の絶縁基板14の外周縁に
沿ってその第2面14bに密接可能な寸法及び形状を有
する。スペーサ52の一辺52aは、第1支持部材42
の支持面42aの一縁(図で下縁)に沿って配置され
る。
【0045】パネル組立体40は、第1導電パネル部材
18の絶縁基板14の第2面14bを第1支持部材42
の支持面42aに対向させてスペーサ52の全長に渡っ
て気密接触させるとともに、第2導電パネル部材24の
絶縁基板20の第2面20bを第2支持部材44の支持
面44aに当接させて、パネル治具12の両支持部材4
2、44の間に固定的に挟持される。このときパネル組
立体40は、両導電パネル部材18、24間の隙間26
に連通する通路32が、スペーサ52の一辺52aから
パネル治具12の外部に露出するように位置決めされ
る。このようにしてパネル治具12をパネル組立体40
に取り付けると、第1導電パネル部材18の絶縁基板1
4の第2面14bと第1支持部材42の支持面42aと
の間に第2の隙間54が形成される。
【0046】パネル治具12はさらに、パネル組立体4
0を固定的に挟持している間に第2の隙間54を外部環
境に連通させる複数の気体通路56と、外部環境の圧力
変動に伴ってそれら気体通路56を開閉する弁部材58
とを備える。複数の気体通路56は、スペーサ52の内
側の所定位置で第1支持部材42に貫通形成される。弁
部材58は、例えばゴムシートからなり、それら気体通
路56を遮蔽する位置で第1支持部材42の支持面42
aの裏側の裏面42bに取り付けられる。ゴムシートか
らなる弁部材58は、その外周縁の所望位置で局部的に
第1支持部材42の裏面42bに固定される。弁部材5
8は、両支持部材42、44によってパネル組立体40
を固定的に挟持している間に、第2の隙間54の内圧と
外部環境の圧力との差に応じて、複数の気体通路56を
開放する開放位置とそれら気体通路56を気密封止する
閉鎖位置との間で変位する。
【0047】上記構成を有するパネル治具12を用いた
パネル型周辺装置10の製造工程(特に液体注入工程)
を、図5及び図6を参照して以下に説明する。まず、前
述したようにしてパネル治具12の第1及び第2支持部
材42、44により固定的に挟持したパネル組立体40
を、液体材料34を収容した上部開放型の容器60と共
に、共通の環境下すなわち密閉室62内に置く。パネル
組立体40は、その通路32を下に向けた状態で、パネ
ル治具12と共に、密閉室62に設置された固定台64
によって静止支持される。容器60は、液体材料34を
パネル治具12及びパネル組立体40の下方に位置決め
した状態で、密閉室62に設置された移動台66によっ
て昇降可能に支持される。さらに密閉室62には、密閉
室62内を真空排気するためのポンプ装置68と、密閉
室62内に不活性ガスを導入するボンベ70とが互いに
独立して接続され、それにより、図5に示す液体注入装
置が構成される。
【0048】次に、パネル組立体40の通路32を上記
共通の環境すなわち密閉室62内に露出させた状態でポ
ンプ装置68を作動して、密閉室62を真空排気して減
圧し、それにより、パネル組立体40の両導電パネル部
材18、24間の隙間26を真空排気するとともに、液
体材料34を真空脱気する。このとき、図6(a)に示
すように、パネル治具12の第1支持部材42の裏面4
2bに取り付けられた弁部材58が、第1支持部材42
とパネル組立体40の第1導電パネル部材18との間に
形成される第2の隙間54の内圧により外方へ押され
て、複数の気体通路56を開放する開放位置に弾性的に
変位し、その結果、第2の隙間54も同時に真空排気さ
れる。
【0049】続いて、密閉室62を減圧したままの状態
で移動台66を上昇させて、パネル治具12の下端部分
すなわちパネル組立体40の通路32及びその周辺部分
を、容器60内の液体材料34に所望深さまで浸漬し、
その状態で、ポンプ装置68による排気操作を停止す
る。このとき、毛細管現象により、パネル組立体40の
通路32を介して両導電パネル部材18、24間の隙間
26に液体材料34が僅かに浸入する(図6(b))。
またこの間、第1支持部材42と第1導電パネル部材1
8との間の第2の隙間54の内圧は、密閉室62の圧力
に対して平衡しているので、第1支持部材42に取り付
けた弁部材58は、それ自体の弾性復元力により、第1
支持部材42の裏面42bに接触して複数の気体通路5
6を実質的に閉鎖する位置に置かれる。
【0050】次いで、パネル組立体40の通路32を液
体材料34に浸漬したままの状態で、ボンベ70を開放
して密閉室62に不活性ガスを導入し、密閉室62内の
圧力を上昇させる。それにより、パネル組立体40の隙
間26の全体に液体材料34を充填する。このとき、図
6(c)に示すように、パネル治具12の第1支持部材
42に取り付けた弁部材58は、密閉室62内の圧力上
昇により第1支持部材42の裏面42bに押し付けられ
て密着し、複数の気体通路56を気密封止する閉鎖位置
に保持される。その結果、第2の隙間54は真空状態を
維持する。したがって、密閉室62内の圧力が上昇して
も、密閉室62内の圧力をパネル組立体40の第1導電
パネル部材18に直接に負荷させることが回避され、そ
れにより、第1導電パネル部材18を第2導電パネル部
材24に接近する方向へ変形させることなく、容器60
内の液体材料34を、パネル組立体40の通路32を通
して隙間26の全体に確実に充填することができる。な
おこの間、図示のように、第1導電パネル部材18は液
体材料34の注入圧力によって外方へ僅かに膨らむこと
が予測されるが、液体充填完了後に容器60内の液体材
料34からパネル組立体40を引き離すと、第1導電パ
ネル部材18はそれ自体の張力により、余剰の液体材料
34を隙間26から押し出して実質的に平坦な形態に自
動的に復帰する。
【0051】最後に、パネル治具12及びパネル組立体
40を密閉室62から取り出して、、パネル組立体40
の通路32を封止材36で封止する。これにより、図1
に示すパネル型周辺装置10が完成する。なお、パネル
組立体40からパネル治具12を取り外す際には、弁部
材58を強制的に閉鎖位置から開放位置へ変位させて第
2の隙間54の真空状態を解除すれば、取り外し作業が
容易になる。
【0052】このように、上記実施形態に係るパネル型
周辺装置製造方法によれば、作製されるパネル型周辺装
置10がタッチパネルとして機能し得るものであって、
そのパネル組立体40の第1導電パネル部材18が、外
部環境の圧力変動に伴って比較的容易に変形し得る可撓
性を有する構成であっても、外部環境すなわち密閉室6
2の圧力を上昇させてパネル組立体40の隙間26に液
体材料34を充填するステップにおいて、第1導電パネ
ル部材18が圧力上昇に起因して第2導電パネル部材2
4に接近する方向へ撓むことは、パネル治具12の作用
により効果的に防止される。したがって、液体充填ステ
ップにおいてパネル組立体40の両導電パネル部材1
8、24間の隙間26を狭めることなく、液体材料34
を隙間26の全体に迅速に充填することが可能になる。
その結果、液体材料充填後の完成品としてのパネル型周
辺装置10は、タッチパネルの上側検出素子として機能
する第1導電パネル部材18がその全面に渡って優れた
平坦性を有するものとなり、透視画像の歪みが少なく、
正確かつ安定的に入力操作できるタッチパネルを構成で
きる。
【0053】また、上記実施形態に係るパネル治具12
は、その第1支持部材42とパネル組立体40の第1導
電パネル部材18との間に第2の隙間54を形成するよ
うに構成されるので、上記した液体充填ステップにおい
て、第1導電パネル部材18が第2導電パネル部材24
に接近する方向へ撓むことを防止できるだけでなく、第
1導電パネル部材18の樹脂フィルム製絶縁基板14の
第2面14bが第1支持部材42から損傷を受けること
を確実に防止できる利点がある。
【0054】しかし、液体充填ステップにおいて第1導
電パネル部材18が第2導電パネル部材24に接近する
方向へ撓むことを防止するという観点では、上記した第
2の隙間54は必ずしも必要ではない。図7は、そのよ
うな第2の隙間54を形成しない本発明の他の実施形態
によるパネル治具72を示す。パネル治具72は、第1
支持部材74の構成以外は、前述したパネル治具12と
実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には
共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0055】パネル治具72は、前述したパネル組立体
40の第1導電パネル部材18よりも高い剛性、好まし
くは外部環境の圧力変動に抗して自己形状を保持し得る
剛性を有する平板状の第1支持部材74と、第1支持部
材74と協働してパネル組立体40を固定的に挟持する
第2支持部材44とを備える。第1支持部材74は、第
1導電パネル部材18の絶縁基板14の第2面14bよ
りも十分に大きな平坦な支持面74aを有する。
【0056】第1支持部材74と第2支持部材44と
は、両者間にパネル組立体40を挟持した状態で、パネ
ル組立体40の周囲に分散配置される複数のボルト46
によって相互に固定される。両支持部材74、44に
は、互いに対応する位置に、複数の雌ねじ76、50が
それぞれ貫通形成され、各雌ねじ76、50にボルト4
6が螺着される。第1支持部材74の支持面74aに
は、矩形に整列する複数の雌ねじ76の内側に、矩形平
板状のスペーサ78が固定的に設置される。スペーサ7
8は、好ましくはゴムシートからなり、パネル組立体4
0の第1導電パネル部材18の絶縁基板14の第2面1
4bに密接可能な寸法及び形状を有する。スペーサ78
の一縁78aは、第1支持部材42の支持面42aの一
縁(図で下縁)に沿って配置される。
【0057】パネル組立体40は、第1導電パネル部材
18の絶縁基板14の第2面14bを第1支持部材74
の支持面74aに対向させてスペーサ78の全面に渡っ
て気密接触させるとともに、第2導電パネル部材24の
絶縁基板20の第2面20bを第2支持部材44の支持
面44aに当接させて、パネル治具72の両支持部材7
4、44の間に固定的に挟持される。このときパネル組
立体40は、両導電パネル部材18、24間の隙間26
に連通する通路32が、スペーサ78の一縁78aから
パネル治具72の外部に露出するように位置決めされ
る。このようにしてパネル治具72をパネル組立体40
に取り付けると、第1導電パネル部材18がパネル治具
72の第1支持部材74によって、外部環境の圧力変動
の影響を直接には受けない状態で平坦な形態に保持され
る。
【0058】上記実施形態に係るパネル治具72によっ
ても、前述したパネル型周辺装置製造方法の液体充填ス
テップにおいて、第1導電パネル部材18が圧力上昇に
より第2導電パネル部材24に接近する方向へ撓むこと
は確実に防止されることが理解されよう。また、第1導
電パネル部材18の樹脂フィルム製絶縁基板14の第2
面14bは、スペーサ78をゴムシートから形成するこ
とにより損傷を回避できる。
【0059】本発明に係るパネル治具は、上記各実施形
態以外の様々な構成を採用できる。例えば、第1支持部
材と協働する第2支持部材は、パネル組立体を固定的に
挟持できることを前提にすれば、上記した平板形状に限
らず、棒状、枠状等の様々な形状を有することができ
る。また、第2支持部材とパネル組立体の第2導電パネ
ル部材との間に、ゴムシート等のスペーサを介在させる
こともできる。特に、対象となるパネル型周辺装置が、
そのパネル組立体の第1及び第2導電パネル部材の双方
が、外部環境の圧力変動に伴って比較的容易に変形し得
る可撓性を有するものからなる場合には、第2支持部材
を前述した各実施形態における第1支持部材と同様の構
成とすることが好ましい。
【0060】上記各実施形態によるパネル型周辺装置1
0の製造方法では、液体材料34をパネル組立体40の
両導電パネル部材18、24間の隙間26に注入する際
に、液体材料34とパネル組立体40との双方を密閉室
62内の減圧環境下に置くので、液体材料34として、
シリコンオイル等の蒸気圧が十分に低いものを使用する
ことが前提となる。これに対し、蒸気圧の制約を受けず
に様々な液体材料を選択してパネル型周辺装置10を製
造できる本発明のさらに他の実施形態による製造方法
を、図8〜図11を参照して以下に説明する。
【0061】この製造方法では、パネル型周辺装置10
の液体注入工程において、図5に示す液体注入装置とは
異なる構成を有する液体注入装置80が使用される。液
体注入装置80は、パネル型周辺装置10の半完成品で
ある前述したパネル組立体40(図2)を、所定姿勢で
固定的に支持するための構成を有する。なお、この製造
方法で作製されるパネル型周辺装置10は、液体材料の
物性以外は図1に示すものと実質的に同一の構成を有
し、特に、少なくとも一方の導電パネル部材18、24
が、外部環境の圧力変動に伴って比較的容易に変形し得
る可撓性を有することを前提とするものである。
【0062】図8に示すように、液体注入装置80は、
パネル組立体40の一部分を気密封止状態で嵌入できる
貫通穴82を有する隔壁84を備えた箱状治具86を含
んで構成される。箱状治具86は、隔壁84から離隔し
た位置で隔壁84に略平行に配置される略矩形の底壁8
8と、隔壁84及び底壁88を囲繞してそれらに直交す
る方向へ延設され、隔壁84及び底壁88に一体的に連
結される角筒状の側壁90とをさらに備える。隔壁84
の一方の側(図で上側)には、隔壁84と側壁90の一
部分とによって上部開放型の液体材料貯留槽92が形成
され、隔壁84の他方の側(図で下側)には、隔壁84
と側壁90の残りの部分と底壁88とによって密閉型の
圧力調整室94が形成される。
【0063】隔壁84は、側壁90の内面に沿って枠状
に延設されて側壁90に一体的に連結される枠壁部分9
6と、枠壁部分96の内周縁に着脱自在に取り付けら
れ、貫通穴82を形成する封止部材98とから構成され
る。図示実施形態では、封止部材98は、枠壁部分96
の段付きの対向内縁部分96a(図9参照)に適合する
段付きの外縁部分100a、102aをそれぞれに有す
る第1及び第2封止板100、102(図10参照)か
ら構成される。第1封止板100は、外縁部分100a
に直交する一側縁に沿って、平坦な封止面104と、封
止面104の略中央に凹設され、パネル組立体40の1
つの隅領域を受容できる凹所106とを有する。また第
2封止板102は、外縁部分102aに直交する一側縁
に沿って、平坦な封止面108を有する。第1及び第2
封止板100、102は、それぞれの封止面104、1
08同士を互いに密接させて組み合わされ、その状態で
凹所106と封止面108との間に貫通穴82が形成さ
れる。
【0064】図示実施形態では、パネル組立体40は、
両導電パネル部材18、24間の隙間26に連通する通
路32を、その1つの隅領域に配置して構成されてい
る。そしてパネル組立体40は、通路32を有する隅領
域を、互いに組み合わせた第1及び第2封止板100、
102の貫通穴82に気密封止状態で嵌入して、箱状治
具86に取り付けられる。このときパネル組立体40
は、その通路32が液体材料貯留槽92に開口するとと
もに、両導電パネル部材18、24の大部分が圧力調整
室94内に配置されるように方向付けされ、その姿勢
で、後述する液体注入作業が実施される。なお、パネル
組立体40と隔壁84の貫通穴82との気密封止性を向
上させるために、第1及び第2封止板100、102の
それぞれの封止面104、108及び凹所106に、ゴ
ムパッキン110、112を設置することが好ましい。
【0065】箱状治具86の圧力調整室94には、パネ
ル組立体40を液体注入時の姿勢に固定的に支持する支
持機構として、底壁88に直交するとともに互いに平行
に離間して配置される一対の支持壁114、116が設
けられる。それら支持壁114、116は、底壁88か
ら互いに異なる高さまで延設され、隔壁84から互いに
異なる距離に位置するそれぞれの上端に、傾斜支持面1
14a、116aが形成される。両支持壁114、11
6は、それぞれの傾斜支持面114a、116aをパネ
ル組立体40の外周縁に当接することにより、パネル組
立体40を、その通路32を有する隅領域が隔壁84の
貫通穴82に気密封止状態で嵌入された液体注入時の姿
勢に、固定的に支持する。
【0066】なお上記した支持機構としては、これら支
持壁114、116に代えて、両支持壁114、116
の傾斜支持面114a、116aの位置に架設されるワ
イヤ等の、他のあらゆる手段を採用することができる。
また、上記した第1及び第2封止板100、102に選
択的に設けられるゴムパッキン110、112の圧着作
用のみによって、パネル組立体40を液体注入時の姿勢
に固定的に支持できる場合は、支持壁114、116を
省略することもできる。
【0067】液体注入装置80はさらに、箱状治具86
の圧力調整室94に減圧弁118を介して接続されるボ
ンベ120と、減圧弁118から独立して圧力調整室9
4に接続され、圧力調整室94の内圧を液体注入装置8
0の周囲大気圧に選択的に解放できる絞り弁122とを
備える。したがって液体注入装置80では、絞り弁12
2を閉じた状態で、減圧弁118を適宜操作することに
より、ボンベ120から圧力調整室94に不活性ガスを
導入して、圧力調整室94の内圧を所望レベルに上昇さ
せることができる。また、圧力調整室94の内圧が所望
レベルに上昇した時点で、絞り弁122を開くことによ
り、圧力調整室94の内圧を周囲大気圧に下降させるこ
とができる。
【0068】上記構成を有する液体注入装置80を用い
たパネル型周辺装置10の製造工程(特に液体注入工
程)を、図11を参照して説明する。まず、前述したよ
うにして、パネル組立体40を液体注入時の姿勢で箱状
治具86に取り付けるとともに、圧力調整室94(すな
わち隔壁84の他方の側における環境)を液体注入装置
80の周囲大気圧に維持する。次いで、液体材料貯留槽
92(すなわち隔壁84の一方の側)に所望種類の液体
材料124を、液体材料貯留槽92内に開口するパネル
組立体40の通路32の高さを十分に越える液面高さま
で供給する(図11(a))。
【0069】続いて、絞り弁122を閉じた状態で、減
圧弁118を操作して、ボンベ120(図8)から圧力
調整室94に不活性ガスを導入し、圧力調整室94の内
圧を所望レベルに上昇させる。それにより、パネル組立
体40の第1導電パネル部材18を第2導電パネル部材
24に接近する方向へ変形させて、両導電パネル部材1
8、24間の隙間26を少なくとも部分的に排気する
(図11(b))。このとき、柔軟な第1導電パネル部
材18は、好ましくは所要の張力下で第2導電パネル部
材24に保持されているので、内部応力を生じつつ弾性
変形する。
【0070】次に、減圧弁118を閉じるとともに、絞
り弁122を開いて、圧力調整室94の内圧を周囲大気
圧に下降させる。それにより、パネル組立体40の第1
導電パネル部材18が、第2導電パネル部材24から離
れた初期位置へ弾性的に復元する。それに伴い、パネル
組立体40の通路32を通して、排気量に対応する量の
液体材料124が、両導電パネル部材18、24間の隙
間26に充填される(図11(c))。その後、適宜間
隔を空けて、圧力調整室94の内圧の上昇及び下降を所
要回数だけ繰り返す(図11(d)〜(e))。それに
より、パネル組立体40の隙間26が完全に排気される
とともに、十分な量の液体材料124が隙間26に充填
される。
【0071】その後、液体材料貯留槽92から、例えば
図示しないドレーンを介して液体材料124を排出し、
パネル組立体40の通路32を封止材36で封止する
(図11(f))。これにより、図1に示すパネル型周
辺装置10が完成する。ここで例えば、通路32を封止
する前に、減圧弁118及び絞り弁122の両者を閉じ
て圧力調整室94の内圧を適当なレベルに維持すること
により、パネル組立体40の隙間26に充填された液体
材料124を最適量に保持しつつ、すなわち空気を不用
意に隙間26に導入することなく、通路32を封止する
ことができる。
【0072】上記した液体注入工程では、図11(a)
のステップと図11(b)のステップとを入れ替えて実
施することもできる。すなわち、パネル組立体40を液
体注入時の姿勢で箱状治具86に取り付けた後に、まず
絞り弁122を閉じた状態で減圧弁118を操作して、
圧力調整室94の内圧を所望レベルに上昇させ、それに
より、パネル組立体40の両導電パネル部材18、24
間の隙間26を少なくとも部分的に排気する。そしてそ
の状態を維持しながら、液体材料貯留槽92に液体材料
124を十分な液面高さまで供給する。その後、図11
(c)のステップで、減圧弁118を閉じるとともに絞
り弁122を開くことにより、排気量に対応する量の液
体材料124を、両導電パネル部材18、24間の隙間
26に充填できる。
【0073】このように、液体注入装置80を用いた上
記実施形態に係るパネル型周辺装置製造方法によれば、
作製されるパネル型周辺装置10の第1導電パネル部材
18が、外部環境の圧力変動に伴って比較的容易に変形
し得る可撓性を有する構成であっても、パネル組立体4
0の隙間26に液体材料124を充填するステップにお
いて、外部環境すなわち箱状治具86の圧力調整室94
の圧力を上昇させないので、液体充填中に第1導電パネ
ル部材18が第2導電パネル部材24に接近する方向へ
撓むことは確実に回避される。したがって、液体充填ス
テップにおいてパネル組立体40の両導電パネル部材1
8、24間の隙間26を狭めることなく、液体材料12
4を隙間26の全体に確実に充填することができる。そ
の結果、液体材料充填後の完成品としてのパネル型周辺
装置10は、タッチパネルの上側検出素子として機能す
る第1導電パネル部材18がその全面に渡って優れた平
坦性を有するものとなり、透視画像の歪みが少なく、正
確かつ安定的に入力操作できるタッチパネルを構成でき
る。
【0074】特にこの実施形態では、液体注入工程にお
いて、液体材料124を減圧環境下に置くことがないの
で、液体材料124として、蒸気圧の制約を受けずに、
両導電パネル部材18、24の屈折率と同等の屈折率を
有する様々な液体材料を選択できる。したがって、液体
材料124の選択幅が広がり、例えばパネル組立体40
の各種構成部品の材料に対して化学的に安定な液体材料
124を選択する、といった構造の最適化を促進するこ
とができる。なお、この液体注入工程では、液体材料3
4の真空脱気を行わないので、気泡の発生を防止するた
めに、液体材料34に界面活性剤を混入することが有利
である。
【0075】さらに、上記実施形態では、パネル型周辺
装置10がその1つの隅領域に、両導電パネル部材1
8、24間の隙間26に連通する通路32を有するもの
として、パネル組立体40のその隅領域を、隔壁84の
貫通穴82に気密封止状態で嵌入するようにしたので、
貫通穴82の寸法を可及的に縮小してその気密性を向上
させることができる。しかし、図2に示すような1辺の
所望位置に通路32を有するパネル組立体40に対して
も、上記した液体注入工程を実施できることは理解され
よう。
【0076】上記した液体注入工程で使用される液体注
入装置80は、上記以外の様々な構成を有することがで
きる。例えば、箱状治具86の液体材料貯留槽92を、
圧力調整室94と同様に、密閉可能でかつその内圧を選
択的に昇降可能な構成とすることができる。この構成に
よれば、パネル組立体40の隙間26に液体材料124
を充填するステップで、圧力調整室94の内圧を周囲大
気圧に下降させると同時に、液体材料貯留槽92の内圧
を所望レベルに上昇させて、隙間26への液体材料12
4の充填速度を向上させることができる。また、この構
成によれば、液体材料貯留槽92と圧力調整室94との
相対配置を、図示の上下重畳配置から、横方向並列配置
に変更することもできる。
【0077】また、図12及び図13に示すように、箱
状治具86の隔壁84が、複数のパネル組立体40の各
々の一部分を気密封止状態で嵌入できる複数の貫通穴8
6を有する構成とすることもできる。この場合、図示の
ように、一側縁に沿って前述した第1封止板100と同
様の封止面104及び凹所106を有するとともに、そ
の反対側の側縁に沿って前述した第2封止板102と同
様の封止面108を有する複数の短尺の第3封止板12
6を用意し、互いに規則的に並べて組み合わせることに
より、封止部材98を構成することができる。このと
き、隣り合う第3封止板126のそれぞれの封止面10
4、108同士を互いに密接させて組み合わせることに
より、凹所106と封止面108との間に貫通穴82が
形成される。
【0078】このような構成を有する箱状治具86を使
用すれば、貫通穴86の個数に対応する枚数のパネル組
立体40を、前述したようにして箱状治具86に取り付
けて液体注入工程を実施することにより、それらパネル
組立体40の各々の隙間26に同時に液体材料124を
充填することができる。なお、この構成において、貫通
穴86の形成を要しない部位には、図13に示すように
適宜、第2封止板102を組み合わせることができる。
また、箱状治具86の所望の壁部分(図13の例では1
つの側壁部分90a)を着脱可能な構成とすることによ
り、複数のパネル組立体40の取り付けを一層容易にす
ることができる。
【0079】ところで、液体材料34として、シリコン
オイル等の蒸気圧が十分に低いものを使用する場合に
は、図8に示す液体注入装置80に類似した構成を有す
る液体注入装置を使用して、上記製造方法とは異なる手
順によりパネル型周辺装置10を製造することができ
る。そのような本発明のさらに他の実施形態による製造
方法を、図14〜図16を参照して以下に説明する。
【0080】この製造方法で使用される液体注入装置1
30は、液体注入装置80と同様に、パネル型周辺装置
10の半完成品である前述したパネル組立体40(図
2)を、所定姿勢で固定的に支持するための構成を有す
る。図14に示すように、液体注入装置130は、パネ
ル組立体40の一部分を嵌入できる貫通穴132を有す
る壁134を備えた箱状治具136を含んで構成され
る。箱状治具136は、壁134から離隔して壁134
に略平行に配置される略矩形の底壁138と、底壁13
8とは反対側で壁134から離隔して壁134に略平行
に配置される略矩形の頂壁140と、壁134、底壁1
38及び頂壁140を囲繞してそれらに直交する方向へ
延設され、壁134、底壁138及び頂壁140に一体
的に連結される角筒状の側壁142とをさらに備える。
壁134の一方の側(図で上側)と他方の側(図で下
側)とは、壁134と一対の対向側壁部分142aとの
間に設けられる一対の開口部144(図16)を介し
て、流体流通可能に連通する。
【0081】壁134には、開口部144を画定するそ
の外縁に沿って、頂壁140に向かって延びる一対の縁
壁146が一体的に形成される。各縁壁146は、壁1
34との間に開口部144を画定しない他の一対の側壁
部分142bに一体的に連結される。それにより、壁1
34の一方の側には、壁134を底とする上部開放型の
液体材料貯留槽148が形成される。また、壁134及
び液体材料貯留槽148の周囲には、密閉型の圧力調整
室150が間断なく形成される。
【0082】壁134は、側壁部分142b及び縁壁1
46の内面に沿って枠状に延設される枠壁部分152
と、枠壁部分152の内周縁に着脱自在に取り付けら
れ、貫通穴132を形成する封止部材98とから構成さ
れる。封止部材98は、図8に示す液体注入装置80の
箱状治具86に装備した封止部材98と実質的同一の構
成を有することができ、したがってその説明を省略す
る。
【0083】パネル組立体40は、通路32を有する隅
領域を、封止部材98に形成される貫通穴132に好ま
しくは液密状態で嵌入して、箱状治具136に取り付け
られる。このときパネル組立体40は、その通路32が
液体材料貯留槽148に開口するように方向付けされ、
その姿勢で、後述する液体注入作業が実施される。な
お、この実施形態では、パネル組立体40と壁134の
貫通穴132との気密封止性は要求されないので、図1
0に示すゴムパッキン110、112を省略できる。
【0084】箱状治具136の圧力調整室150には、
パネル組立体40を液体注入時の姿勢に固定的に支持す
る支持機構として、底壁138に直交するとともに互い
に平行に離間して配置される一対の支持壁114、11
6が設けられる。それら支持壁114、116は、図8
に示す液体注入装置80の箱状治具86に装備した支持
壁114、116と実質的同一の構成を有することがで
き、したがってその説明を省略する。
【0085】液体注入装置130はさらに、箱状治具1
36の圧力調整室150にリリーフ弁154を介して接
続され、圧力調整室150内を真空排気するためのポン
プ装置156と、リリーフ弁154から独立して圧力調
整室150に接続され、圧力調整室150の内圧を液体
注入装置130の周囲大気圧に選択的に解放できる絞り
弁158とを備える。さらに箱状治具136には、液体
材料貯留槽148の上方位置で頂壁140に、液体材料
供給口160が形成される。
【0086】上記構成を有する液体注入装置130を用
いたパネル型周辺装置10の製造工程(特に液体注入工
程)を、図16を参照して説明する。まず、前述したよ
うにして、パネル組立体40を液体注入時の姿勢で箱状
治具136に取り付ける。この状態で、絞り弁158を
閉じるとともに、リリーフ弁154を開放して、ポンプ
装置156の作動により圧力調整室150(すなわち壁
134の両側における環境)を真空排気する(図16
(a))。このとき、パネル組立体40の両導電パネル
部材18、24間の隙間26も真空排気されるが、パネ
ル組立体40の外部環境すなわち圧力調整室150の全
体が隙間26と同一のレベルに排気されているので、柔
軟な第1導電パネル部材18が堅固な第2導電パネル部
材24に接近する方向へ変形することは回避される。
【0087】次に、リリーフ弁154を閉じて、圧力調
整室150を真空状態に維持しつつ、液体材料供給口1
60を介して液体材料貯留槽148(すなわち壁134
の一方の側)に液体材料162を、液体材料貯留槽14
8内に開口するパネル組立体40の通路32の高さを十
分に越える液面高さまで供給する(図16(b))。そ
して、この状態を所望時間に渡って維持すると、重力作
用により、パネル組立体40の隙間26に通路32を通
して液体材料162が充填される(図16(c)、
(d))。
【0088】続いて、リリーフ弁154を閉じた状態
で、絞り弁158を開いて、圧力調整室150の内圧を
液体注入装置130の周囲大気圧に解放する。そして、
液体材料貯留槽148から、例えば図示しないドレーン
を介して残余の液体材料162を排出し(図16
(e))、パネル組立体40の通路32を封止材36で
封止する(図16(f))。このようにして、図1に示
すパネル型周辺装置10が完成する。
【0089】このように、液体注入装置130を用いた
上記実施形態に係るパネル型周辺装置製造方法によれ
ば、作製されるパネル型周辺装置10の第1導電パネル
部材18が、外部環境の圧力変動に伴って比較的容易に
変形し得る可撓性を有する構成であっても、パネル組立
体40の隙間26に液体材料162を充填するステップ
において、外部環境すなわち箱状治具136の圧力調整
室150の圧力を上昇させないので、液体充填中に第1
導電パネル部材18が第2導電パネル部材24に接近す
る方向へ撓むことは確実に回避される。したがって、液
体充填ステップにおいてパネル組立体40の両導電パネ
ル部材18、24間の隙間26を狭めることなく、液体
材料162を隙間26の全体に確実に充填することがで
きる。その結果、液体材料充填後の完成品としてのパネ
ル型周辺装置10は、タッチパネルの上側検出素子とし
て機能する第1導電パネル部材18がその全面に渡って
優れた平坦性を有するものとなり、透視画像の歪みが少
なく、正確かつ安定的に入力操作できるタッチパネルを
構成できる。
【0090】上記した液体注入装置130では、例え
ば、箱状治具136の壁134を、その一方の側(すな
わち液体材料貯留槽148)と他方の側(すなわち圧力
調整室150)との間を気密封止する隔壁として構成す
ることもできる。この場合、液体材料貯留槽148に
は、圧力調整室150から独立して、真空減圧用のポン
プ装置と内圧解放用の絞り弁とが接続される。この構成
によれば、パネル組立体40の隙間26に液体材料16
2を充填した後に、圧力調整室150の内圧を所望レベ
ルに上昇させて、パネル組立体40に充填された液体材
料124を最適量に調整することができる。
【0091】また、液体注入装置130においても、図
12及び図13に関連して説明したように、箱状治具1
36の壁134が、複数のパネル組立体40の各々を嵌
入できる複数の貫通穴を有する構成とすることもでき
る。この構成によれば、貫通穴の個数に対応する枚数の
パネル組立体40の隙間26に同時に液体材料162を
充填することができる。
【0092】上述した本発明の種々の実施形態に係るパ
ネル型周辺装置製造方法並びにパネル治具及び液体注入
装置は、液体封入型タッチパネルに限らず、樹脂フィル
ム基板を用いた液晶ディスプレイ等の、パネル組立体の
少なくとも一方の導電パネル部材が外部環境の圧力変動
に伴って比較的容易に変形し得る可撓性を有して構成さ
れる種々の液体封入型のパネル型周辺装置において、液
体材料の注入工程に際し極めて有利に適用できること
が、当業者に理解されよう。この場合、作製されたパネ
ル型周辺装置は、導電パネル部材の湾曲を排除した高水
準の機能性を有するものとなる。
【0093】ところで、前述した実施形態におけるパネ
ル型周辺装置10では、第1及び第2導電パネル部材1
8、24の間に接着剤層28に隣接して形成される液体
材料注入用の通路32は、両導電パネル部材18、24
間の隙間26に開口する内側口と外部環境に開口する外
側口との間で一様な流路断面形状を有して直線状に延設
されている。このような形状を有する通路32は、接着
剤層28を構成する両面粘着テープの欠落部分によって
容易に形成できる。しかし、通路32内では両導電パネ
ル部材18、24が互いに固定されないので、柔軟な樹
脂フィルム製絶縁基板14を有する第1導電パネル部材
18を、通路32の近傍で十分な張力下で固定的に保持
することが困難になる危惧がある。
【0094】図17及び図18は、このような課題を解
決する本発明のさらに他の実施形態によるパネル型周辺
装置170及びその半完成品としてのパネル組立体17
2の主要部を、それぞれ拡大して示す。パネル型周辺装
置170及びパネル組立体172は、接着剤層174及
びそれに隣接する通路176の構成以外は、前述したパ
ネル型周辺装置10及びパネル組立体40と実質的同一
の構成を有し得るものであり、対応する構成要素には共
通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0095】パネル型周辺装置170では、第1導電パ
ネル部材18と第2導電パネル部材24とが、双方の外
周縁に沿って帯状に延設される接着剤層174を介し
て、互いに重ね合わせて固定される。接着剤層174
は、例えば所定厚みを有して矩形枠状に成形された両面
粘着テープからなる。さらに、接着剤層174に隣接し
て(例えば両面粘着テープの欠落部分として)、両導電
パネル部材18、24間の隙間26をパネル型周辺装置
170の外部環境に連通させる1つの通路176が形成
される。接着剤層174は、導電パネル部材固定作用に
加えて、この通路176以外で両導電パネル部材18、
24間の隙間26を外部環境に対し気密封止する作用を
有する。両導電パネル部材18、24間の隙間26に
は、所定の機能を有する液体材料34が封入される。し
たがって通路176は、液体材料34を隙間26に注入
した後に、封止材(例えば接着剤)178によって封止
される。
【0096】接着剤層174は、通路176を挟んで枠
状に連続する主部分180と、主部分180から独立し
て通路176内に配置される三角形の副部分182とを
備える。副部分182は、主部分180の帯幅αよりも
小さい帯幅βを有し、それにより通路176を、隙間2
6側で二股に分岐させる。その結果、二股の通路176
は、外部環境に開口する1つの外側口184と、外側口
184よりも小さい面積で個々に隙間26に開口する2
つの内側口186とを有して形成される。図示実施形態
では、通路176は、外側口184から接着剤層174
の主部分180の帯幅αの中途まで一様な流路断面形状
を有して直線状に延設される幹路部分176aと、幹路
部分176aから対称に傾斜して各々が一様な流路断面
形状で内側口186まで直線状に延設される一対の分岐
路部分176bとを備え、それにより各内側口186
に、外側口184の略半分の開口面積が付与されてい
る。
【0097】このように、パネル型周辺装置170で
は、接着剤層174の主部分180から独立した小形の
副部分182を通路176内に設置して、通路176
を、外部環境に開口する1つの外側口184と、外側口
184よりも小さい面積で個々に隙間26に開口する2
つの内側口186とを有する二股状に形成したから、通
路176内で互いに固定されない両導電パネル部材1
8、24の非接着部分が、隙間26側で2つの小部分に
分散されることになる。その結果、柔軟な樹脂フィルム
製絶縁基板14を有する第1導電パネル部材18を、通
路176の近傍(特に隙間26側)で十分な張力下で固
定的に保持することが可能になる。したがって、パネル
型周辺装置170をタッチパネルとして構成した場合に
は、押圧操作される上側検出素子として機能する第1導
電パネル部材18がその全体に渡って一様に張力が負荷
された状態で固定されるので、第1導電パネル部材18
の押圧位置に係わらず正確かつ安定的なデータ入力を実
現することができる。しかも、液体材料充填後の通路封
止作業は、1つの外側口184に封止材178を塗着す
るだけであるから、従来のパネル型周辺装置における通
路封止作業に比べて煩雑になることはない。
【0098】特に、パネル型周辺装置170では、通路
176の液体注入方向に見て上流側の外側口184の開
口面積と、下流側の2つの内側口186の合計開口面積
とが実質的に変わらないので、液体材料34の充填作業
に要する時間は実質的に増加しない。このような観点で
は、外側口184の開口面積と実質的同一の合計開口面
積を内側口が有することを前提に、接着剤層174の小
形の副部分を通路176の下流側に3個以上設置して、
3個以上の分岐路部分(すなわち内側口)を形成するこ
ともできる。
【0099】なお、液体材料の充填作業に要する時間の
増加を許容範囲に抑えることができる場合は、図19に
変形例として示すように、枠状の主部分のみからなる接
着剤層188を使用して、外側口190から内側口19
2まで流路断面形状が徐々に縮小される通路194を有
する構成とすることもできる。さらに、液体材料充填後
の通路封止作業が煩雑にならない範囲で、パネル型周辺
装置170に複数個の通路176、194を設置するこ
ともできる。
【0100】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、一対の導電パネル部材の間の隙間に液体材料
を封入してなるパネル型周辺装置の製造方法において、
少なくとも一方の導電パネル部材が外部環境の圧力変動
に伴って比較的容易に変形し得る可撓性を有する場合に
も、液体材料注入作業に際して、そのような可撓性導電
パネル部材の中央領域に凹みを生じることなく、導電パ
ネル部材間の隙間の全体に迅速に液体材料を充填するこ
とが可能になる。さらに本発明によれば、一対の導電パ
ネル部材の間の隙間に液体材料を封入してなるパネル型
周辺装置の製造方法において、蒸気圧の制約を受けずに
様々な液体材料を選択できるようになり、したがって構
造の最適化を促進することが可能になる。
【0101】また、そのような製造方法において、本発
明のパネル治具又は液体注入装置を用いて製造されたパ
ネル型周辺装置は、優れた機能性を有するものとなり、
特に、透視画像の歪みが少なく、正確かつ安定的に入力
操作できるタッチパネルが提供される。さらに本発明に
よれば、一対の導電パネル部材の間の隙間に液体材料を
封入してなるパネル型周辺装置において、液体材料注入
用の通路の存在に起因する機能性の劣化を、液体充填作
業及び通路封止作業を煩雑にすることなく防止できるパ
ネル型周辺装置、特にタッチパネルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるパネル型周辺装置
を、厚み方向へ拡大、強調して示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるパネル型周辺装置製
造方法で使用されるパネル治具を、対象となるパネル型
周辺装置のパネル組立体と共に示す分解斜視図である。
【図3】図2のパネル治具をパネル組立体と共に示す分
解断面図である。
【図4】図2のパネル治具をパネル組立体に取り付けた
状態で示す組立断面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるパネル型周辺装置製
造方法を実施するための液体注入装置の全体構成を示す
概略図である。
【図6】本発明の一実施形態によるパネル型周辺装置製
造方法の主要ステップを示す断面図で、(a)減圧ステ
ップ、(b)浸漬ステップ及び(c)充填ステップを示
す。
【図7】本発明の他の実施形態によるパネル治具をパネ
ル組立体に取り付けた状態で示す組立断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるパネル型周辺装置
製造方法を実施するための液体注入装置の全体構成を示
す概略図である。
【図9】図8の液体注入装置における箱状治具の主要部
を示す切欠斜視図である。
【図10】図8の液体注入装置における封止部材をパネ
ル組立体と共に示す分解斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態によるパネル型周辺装
置製造方法の主要ステップを示す図で、(a)浸漬ステ
ップ、(b)排気ステップ、(c)充填ステップ、
(d)排気ステップ、(e)充填ステップ及び(f)封
止ステップを示す。
【図12】変形例による封止部材をパネル組立体と共に
示す分解斜視図である。
【図13】変形例による箱状治具をパネル組立体と共に
示す概略断面図である。
【図14】本発明のさらに他の実施形態によるパネル型
周辺装置製造方法を実施するための液体注入装置の全体
構成を示す概略図である。
【図15】図14の液体注入装置における箱状治具の主
要部を示す切欠斜視図である。
【図16】本発明のさらに他の実施形態によるパネル型
周辺装置製造方法の主要ステップを示す図で、(a)排
気ステップ、(b)浸漬ステップ、(c)充填ステッ
プ、(d)充填ステップ、(e)解放ステップ及び
(f)封止ステップを示す。
【図17】本発明の他の実施形態によるパネル型周辺装
置の主要部を示す拡大平面図である。
【図18】図17のパネル型周辺装置を構成するパネル
組立体の主要部を示す拡大平面図である。
【図19】図18のパネル組立体の変形例を示す拡大平
面図である。
【符号の説明】
10、170…パネル型周辺装置 12、72…パネル治具 14、20…絶縁基板 16、22…導電膜 18…第1導電パネル部材 24…第2導電パネル部材 26…隙間 28、174、188…接着剤層 32、176、194…通路 34、124、162…液体材料 36、178…封止材 40、172…パネル組立体 42、74…第1支持部材 44…第2支持部材 52、78…スペーサ 54…第2の隙間 56…気体通路 58…弁部材 60…容器 62…密閉室 68、156…ポンプ装置 80、130…液体注入装置 82、132…貫通穴 84…隔壁 86、136…箱状治具 92、148…液体材料貯留槽 94、150…圧力調整室 98…封止部材 114、116…支持壁 118…減圧弁 122、158…絞り弁 134…壁 184、190…外側口 186、192…内側口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H089 NA24 NA60 QA12 TA01 5B087 CC12 CC13 CC37 5G023 CA43

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板及び該絶縁基板の第1面に設け
    られる導電膜を各々に有する一対の導電パネル部材を具
    備するパネル型周辺装置の製造方法において、 前記一対の導電パネル部材を、各々の前記導電膜同士が
    隙間を介して対向するように互いに固定してなるパネル
    組立体であって、該隙間を外部環境に連通させる通路を
    有するとともに該通路以外で該隙間が該外部環境に対し
    気密封止されるパネル組立体を用意し、 前記パネル組立体の少なくとも一方の前記導電パネル部
    材よりも高い剛性を有するとともに、該導電パネル部材
    の前記絶縁基板の前記第1面の裏側の第2面よりも大き
    な支持面を有する支持部材を用意し、 液体材料を収容した容器を用意し、 前記パネル組立体、前記支持部材及び前記容器を、共通
    の環境下に置き、 前記パネル組立体の前記少なくとも一方の導電パネル部
    材を、その前記絶縁基板の前記第2面が前記支持面に対
    向するように前記支持部材に重ねて固定的に配置し、 前記パネル組立体の前記通路を前記共通の環境に露出さ
    せた状態で、該環境を減圧し、それにより該パネル組立
    体の前記隙間を排気し、 減圧した前記共通の環境下で、前記パネル組立体の前記
    通路を、前記容器内の前記液体材料に浸漬し、 その状態で、前記減圧した共通の環境の圧力を上昇させ
    て、該環境の圧力を前記支持部材に重ねて配置した前記
    少なくとも一方の導電パネル部材に直接に負荷させるこ
    となく、前記容器内の前記液体材料を、前記パネル組立
    体の前記通路を通して前記隙間に充填すること、を特徴
    とするパネル型周辺装置製造方法。
  2. 【請求項2】 前記パネル組立体の前記少なくとも一方
    の導電パネル部材を前記支持部材に重ねて固定的に配置
    するときに、該導電パネル部材の前記絶縁基板の前記第
    2面と該支持部材の前記支持面との間に第2の隙間を設
    け、前記共通の環境を減圧する間は、該第2の隙間と該
    環境との間を連通させ、該共通の環境を加圧する間は、
    該第2の隙間と該環境との間を気密封止する請求項1に
    記載のパネル型周辺装置製造方法。
  3. 【請求項3】 前記支持部材に重ねて固定的に配置され
    る前記パネル組立体の前記少なくとも一方の導電パネル
    部材が、前記共通の環境の圧力変動に伴って変形し得る
    可撓性を有する請求項1又は2に記載のパネル型周辺装
    置製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパ
    ネル型周辺装置製造方法によって製造されたパネル型周
    辺装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のパ
    ネル型周辺装置製造方法で用意される前記支持部材を具
    備するパネル治具。
  6. 【請求項6】 前記支持部材と協働して前記パネル組立
    体を固定的に挟持する第2の支持部材をさらに具備する
    請求項5に記載のパネル治具。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載のパネル型周辺装置製造
    方法で用意される前記支持部材を具備するパネル治具で
    あって、前記第2の隙間を前記共通の環境に連通させる
    気体通路と、該環境の圧力変動に伴って該気体通路を開
    閉する弁部材とをさらに具備するパネル治具。
  8. 【請求項8】 互いに離間かつ対向して配置される一対
    の絶縁基板と、それら絶縁基板の各々の相互対向面に形
    成され、隙間を介して互いに対向する導電膜と、該隙間
    を外部環境に対し封止するとともに、それら絶縁基板を
    互いに固定する封着部材と、該隙間に封入される液体材
    料とを具備するパネル型周辺装置において、 前記封着部材は、 前記一対の絶縁基板の外周縁に沿って帯状に延設され、
    それら絶縁基板の前記相互対向面に積層される接着剤層
    と、 該接着剤層に隣接して形成され、前記隙間に前記液体材
    料を注入するための少なくとも1つの通路と、 該通路を封止する封止材とを具備し、 前記通路の各々が、外部環境に開口する1つの外側口
    と、該外側口よりも小さい面積で個々に前記隙間に開口
    する少なくとも1つの内側口とを有すること、を特徴と
    するパネル型周辺装置。
  9. 【請求項9】 透明な絶縁基板及び該絶縁基板の第1面
    に設けられる透明な導電膜を各々に有する一対の板状の
    検出素子を具備するタッチパネルの製造方法において、 前記一対の検出素子を、各々の前記導電膜同士が隙間を
    介して対向するように互いに固定してなるパネル組立体
    であって、該隙間を外部環境に連通させる通路を有する
    とともに該通路以外で該隙間が該外部環境に対し気密封
    止され、少なくとも一方の該検出素子が該外部環境の圧
    力変動に伴って変形し得る可撓性を有するパネル組立体
    を用意し、 前記パネル組立体の前記少なくとも一方の検出素子より
    も高い剛性を有するとともに、該検出素子の前記絶縁基
    板の前記第1面の裏側の第2面よりも大きな支持面を有
    する支持部材を用意し、 透明な絶縁液体材料を収容した容器を用意し、 前記パネル組立体、前記支持部材及び前記容器を、共通
    の環境下に置き、 前記パネル組立体の前記少なくとも一方の検出素子を、
    その前記絶縁基板の前記第2面が前記支持面に対向する
    ように前記支持部材に重ねて固定的に配置し、 前記パネル組立体の前記通路を前記共通の環境に露出さ
    せた状態で、該環境を減圧し、それにより該パネル組立
    体の前記隙間を排気し、 減圧した前記共通の環境下で、前記パネル組立体の前記
    通路を、前記容器内の前記絶縁液体材料に浸漬し、 その状態で、前記減圧した共通の環境の圧力を上昇させ
    て、該環境の圧力を前記支持部材に重ねて配置した前記
    少なくとも一方の検出素子に直接に負荷させることな
    く、前記容器内の前記絶縁液体材料を、前記パネル組立
    体の前記通路を通して前記隙間に充填すること、を特徴
    とするタッチパネル製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のタッチパネル製造方
    法によって製造されたタッチパネル。
  11. 【請求項11】 互いに離間かつ対向して配置される一
    対の透明な絶縁基板と、それら絶縁基板の各々の相互対
    向面に形成され、隙間を介して互いに対向する透明な導
    電膜と、該隙間を外部環境に対し封止するとともに、そ
    れら絶縁基板を互いに固定する封着部材と、該隙間に封
    入される透明な絶縁液体材料とを具備するタッチパネル
    において、 前記封着部材は、 前記一対の絶縁基板の外周縁に沿って帯状に延設され、
    それら絶縁基板の前記相互対向面に積層される接着剤層
    と、 該接着剤層に隣接して形成され、前記隙間に前記絶縁液
    体材料を注入するための少なくとも1つの通路と、 該通路を封止する封止材とを具備し、 前記通路の各々が、外部環境に開口する1つの外側口
    と、該外側口よりも小さい面積で個々に前記隙間に開口
    する少なくとも1つの内側口とを有すること、を特徴と
    するタッチパネル。
  12. 【請求項12】 絶縁基板及び該絶縁基板の第1面に設
    けられる導電膜を各々に有する一対の導電パネル部材を
    具備するパネル型周辺装置の製造方法において、 前記一対の導電パネル部材を、各々の前記導電膜同士が
    隙間を介して対向するように互いに固定してなるパネル
    組立体であって、該隙間を外部環境に連通させる通路を
    有するとともに該通路以外で該隙間が該外部環境に対し
    気密封止され、少なくとも一方の該導電パネル部材が該
    外部環境の圧力変動に伴って変形し得る可撓性を有する
    パネル組立体を用意し、 前記パネル組立体の一部分を気密封止状態で嵌入できる
    貫通穴を有する隔壁を用意し、 前記パネル組立体の前記通路が前記隔壁の一方の側で開
    口するとともに、該パネル組立体の前記一対の導電パネ
    ル部材の大部分が該隔壁の他方の側に配置されるよう
    に、該パネル組立体の一部分を該隔壁の前記貫通穴に気
    密封止状態で嵌入し、 前記隔壁の前記一方の側に液体材料を配置し、 前記隔壁の前記貫通穴に嵌入した前記パネル組立体の前
    記通路の開口部分を前記液体材料に浸漬し、 前記隔壁の前記他方の側における環境の圧力を上昇させ
    て、前記パネル組立体の前記少なくとも一方の導電パネ
    ル部材を変形させ、それにより、該パネル組立体の前記
    隙間を排気し、 前記隔壁の前記他方の側における前記環境の圧力を下降
    させて、前記パネル組立体の前記少なくとも一方の導電
    パネル部材を変形させ、それにより、該パネル組立体の
    前記隙間に前記通路を通して前記液体材料を充填するこ
    と、を特徴とするパネル型周辺装置製造方法。
  13. 【請求項13】 前記隔壁が、複数の前記パネル組立体
    の各々の一部分を気密封止状態で嵌入できる複数の前記
    貫通穴を有し、該複数のパネル組立体の各々の前記隙間
    に同時に前記液体材料を充填する請求項12に記載のパ
    ネル型周辺装置製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12又は13に記載のパネル型
    周辺装置製造方法によって製造されたパネル型周辺装
    置。
  15. 【請求項15】 請求項12又は13に記載のパネル型
    周辺装置製造方法で用意される前記隔壁を具備する液体
    注入装置。
  16. 【請求項16】 前記隔壁の前記一方の側に設けられる
    液体材料貯留槽と、該隔壁の前記他方の側に設けられる
    圧力調整室と、前記パネル組立体の前記一部分を該隔壁
    の前記貫通穴に嵌入した状態で該パネル組立体を固定的
    に支持する支持機構とをさらに具備する請求項15に記
    載の液体注入装置。
  17. 【請求項17】 透明な絶縁基板及び該絶縁基板の第1
    面に設けられる透明な導電膜を各々に有する一対の板状
    の検出素子を具備するタッチパネルの製造方法におい
    て、 前記一対の検出素子を、各々の前記導電膜同士が隙間を
    介して対向するように互いに固定してなるパネル組立体
    であって、該隙間を外部環境に連通させる通路を有する
    とともに該通路以外で該隙間が該外部環境に対し気密封
    止され、少なくとも一方の該検出素子が該外部環境の圧
    力変動に伴って変形し得る可撓性を有するパネル組立体
    を用意し、 前記パネル組立体の一部分を気密封止状態で嵌入できる
    貫通穴を有する隔壁を用意し、 前記パネル組立体の前記通路が前記隔壁の一方の側で開
    口するとともに、該パネル組立体の前記一対の検出素子
    の大部分が該隔壁の他方の側に配置されるように、該パ
    ネル組立体の一部分を該隔壁の前記貫通穴に気密封止状
    態で嵌入し、 前記隔壁の前記一方の側に透明な絶縁液体材料を配置
    し、 前記隔壁の前記貫通穴に嵌入した前記パネル組立体の前
    記通路の開口部分を前記絶縁液体材料に浸漬し、 前記隔壁の前記他方の側における環境の圧力を上昇させ
    て、前記パネル組立体の前記少なくとも一方の検出素子
    を変形させ、それにより、該パネル組立体の前記隙間を
    排気し、 前記隔壁の前記他方の側における前記環境の圧力を下降
    させて、前記パネル組立体の前記少なくとも一方の検出
    素子を変形させ、それにより、該パネル組立体の前記隙
    間に前記通路を通して前記絶縁液体材料を充填するこ
    と、を特徴とするタッチパネル製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のタッチパネル製造
    方法によって製造されたタッチパネル。
  19. 【請求項19】 絶縁基板及び該絶縁基板の第1面に設
    けられる導電膜を各々に有する一対の導電パネル部材を
    具備するパネル型周辺装置の製造方法において、 前記一対の導電パネル部材を、各々の前記導電膜同士が
    隙間を介して対向するように互いに固定してなるパネル
    組立体であって、該隙間を外部環境に連通させる通路を
    有するとともに該通路以外で該隙間が該外部環境に対し
    気密封止されるパネル組立体を用意し、 前記パネル組立体の一部分を嵌入できる貫通穴を有する
    壁を用意し、 前記パネル組立体の前記通路が前記壁の一方の側で開口
    するように、該パネル組立体の一部分を該壁の前記貫通
    穴に嵌入し、 前記壁の両側における環境を減圧して真空状態にし、 前記壁の前記一方の側に液体材料を配置して、前記パネ
    ル組立体の前記通路の開口部分を該液体材料に浸漬し、 重力作用により、前記パネル組立体の前記隙間に前記通
    路を通して前記液体材料を充填すること、を特徴とする
    パネル型周辺装置製造方法。
  20. 【請求項20】 前記壁が、複数の前記パネル組立体の
    各々の一部分を嵌入できる複数の前記貫通穴を有し、該
    複数のパネル組立体の各々の前記隙間に同時に前記液体
    材料を充填する請求項19に記載のパネル型周辺装置製
    造方法。
  21. 【請求項21】 前記壁が、前記一方の側と前記他方の
    側との間を気密封止でき、前記パネル組立体の前記隙間
    に前記液体材料を充填した後に、該壁の該他方の側にお
    ける前記環境の圧力を変化させて、該隙間内の該液体材
    料の量を調整する請求項19又は20に記載のパネル型
    周辺装置製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項19〜21のいずれか1項に記
    載のパネル型周辺装置製造方法によって製造されたパネ
    ル型周辺装置。
  23. 【請求項23】 請求項19〜21のいずれか1項に記
    載のパネル型周辺装置製造方法で用意される前記壁を具
    備する液体注入装置。
  24. 【請求項24】 前記壁の前記一方の側に設けられる液
    体材料貯留槽と、該壁及び該液体材料貯留槽の周囲に間
    断なく形成される圧力調整室と、前記パネル組立体の前
    記一部分を該壁の前記貫通穴に嵌入した状態で該パネル
    組立体を固定的に支持する支持機構とをさらに具備する
    請求項23に記載の液体注入装置。
  25. 【請求項25】 透明な絶縁基板及び該絶縁基板の第1
    面に設けられる透明な導電膜を各々に有する一対の板状
    の検出素子を具備するタッチパネルの製造方法におい
    て、 前記一対の検出素子を、各々の前記導電膜同士が隙間を
    介して対向するように互いに固定してなるパネル組立体
    であって、該隙間を外部環境に連通させる通路を有する
    とともに該通路以外で該隙間が該外部環境に対し気密封
    止されるパネル組立体を用意し、 前記パネル組立体の一部分を嵌入できる貫通穴を有する
    壁を用意し、 前記パネル組立体の前記通路が前記壁の一方の側で開口
    するように、該パネル組立体の一部分を該壁の前記貫通
    穴に嵌入し、 前記壁の両側における環境を減圧して真空状態にし、 前記壁の前記一方の側に液体材料を配置して、前記パネ
    ル組立体の前記通路の開口部分を該液体材料に浸漬し、 重力作用により、前記パネル組立体の前記隙間に前記通
    路を通して前記液体材料を充填すること、を特徴とする
    タッチパネル製造方法。
  26. 【請求項26】 請求項25に記載のタッチパネル製造
    方法によって製造されたタッチパネル。
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