JP2002350407A - 超音波パルスのエコー高さを利用した配管内面腐食の推定方法 - Google Patents
超音波パルスのエコー高さを利用した配管内面腐食の推定方法Info
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Abstract
腐食の形状と寸法に依存しない寸法推定を可能とし、短
時間で高精度な配管劣化診断を、市販されている探触子
を利用して低コストで行う。 【解決手段】超音波探触子による測定データについて欠
陥エコー高さの極大値探索を行って腐食中心位置を推定
する。等間隔で格子状に超音波エコーデータをサンプリ
ングし、代表的な3種類の局部腐食形状として潰食、孔
食、溝食を模擬した人工腐食のデータを用意し、閾値処
理により欠陥エコー高さとその多重エコー高さの2つの
エコー高さから潰食を分類し、さらに欠陥エコー高さの
広がりを閾値処理によって分類し腐食の広がり方の違い
から孔食と溝食を分類する。
Description
コー高さを用いた配管内面の自動腐食検査技術に関す
る。すなわち、超音波探傷法による配管内面の自動腐食
検査において、反射面から得られるエコー高さから局部
腐食の形状、位置、及び大きさを推定し、短時間で高精
度な配管劣化診断を行うための技術を提供する。
て、局部腐食の要素である形状と大きさを推定するため
の技術はいくつか提案されているが、形状判別について
は特別な超音波探触子を使用するため装置が高価になる
ことや、予め多種の形状とエコー情報との対応関係を求
めておかなければならないなどの問題があり、大きさ推
定については形状による反射率の変化を考慮していない
ため推定値の精度が低いなどの問題がある。
(社)日本非破壊検査協会編、(日刊工業新聞社発行)
では、傷の寸法が傷の位置での超音波ビーム幅より小さ
くビームに垂直に位置する場合には、傷の面積と欠陥エ
コー高さが比例するので、最大エコー高さを測定してD
GS線図を用いた傷寸法(円形等価寸法)の推定ができ
る。基準とする反射源のエコー高さには、試験体の底面
エコー高さ、あるいは標準試験片か対比試験片の標準穴
のエコー高さが用いられる。この従来技術では、傷の寸
法が超音波ビーム幅より大きいものについては欠陥エコ
ー高さと傷寸法の相関がなくなるため推定できないとい
う問題点がある。
法「新非破壊検査便覧」(社)日本非破壊検査協会編、
(日刊工業新聞社発行)では、傷の寸法が傷の位置での
超音波ビーム幅より大きい場合、探触子を移動して得ら
れる欠陥エコーについて、最大エコー高さからDeデシ
ベルだけ低い高さ以上のエコー高さが現れる探触子の移
動距離を、欠陥の大きさとする方法がデシベルドロップ
法、エコー高さがある閾値以上に現れる探触子の移動距
離を、欠陥の大きさとする方法を閾値法という。この従
来技術では、腐食形状と大きさによって測定位置と欠陥
エコー高さとの関係が異なるため、統一のDe値や閾値
では測定精度にばらつきを生じるという問題点がある。
管腐食診断システム「日本機械学会論文集C編、64巻
625号、1998年9月、No.97−0912」で
は、3種類の人工腐食を施した基準配管において腐食位
置より得られるエコーデータから、ウェーブレット変換
により各反射源からのエコーを抽出し、欠陥エコー高さ
を横軸に、底面エコー高さを縦軸に取った座標にプロッ
トし、線形分離によって腐食形状ごとに領域分割をす
る。そのグラフ(腐食平面)を用いて得られるエコーデ
ータの欠陥エコー高さと底面エコー高さから形状の分類
を行う。この従来技術では、予め既知の人工腐食配管で
腐食平面を作成しておく必要があること、腐食の大きさ
が超音波のビーム径を超える場合の分類について検討が
不十分である、などの問題点がある。
法および装置」では、収束型超音波探触子を用いて被検
査材の微小欠陥を検出し、欠陥の種類を判別するに際
し、探触子にアレイ探触子を用いて各振動子を選択的に
動作させることで大きな振動子径と小さな振動子径の2
種類の探触子で探傷を行い、両方の振動子で検出される
欠陥を気泡とし、大径の探触子では検出できるが小径の
探触子では検出できない欠陥を非金属介在物と判定し、
エコー高さ情報のみで欠陥を弁別する。これは気泡と非
金属介在物の音圧反射率の違いを利用しており、音圧反
射率の大きい気泡は大径と小径の探触子両方で検出され
るが、音圧反射率の小さい非金属介在物は、振動子径が
小さい、すなわちある収束角度以下の探触子で探傷する
と検出されないかエコー高さが小さいことを利用してい
る。この従来技術では、アレイ探触子を特別の仕様にあ
わせて製作しなければならず、入手が困難で高価だとい
う問題点がある。
超音波検査装置」は、アレイ探触子により扇型に走査す
る超音波検査装置を用いて、超音波ビームの指向方向に
対応する色又は濃淡に階調化された画像で欠陥を表示す
ることにより、欠陥の種類を判別する方法である。扇形
走査式アレイ探触子は、ビームの指向方向に反射された
エコーのみを検出できるので、受信回路部では得られた
エコー信号の指向方向を検出することができる。したが
って、エコーの指向方向に応じてエコー信号の像を色又
は濃淡に階調化しこれを表示することによって、色パタ
ーンから欠陥の種類を判別することができる。色パター
ンは、予め欠陥の種類がわかっている試験片を探傷する
ことによって得られるので、欠陥に応じた色パターンを
記憶しておき、得られるエコー信号の像と比較すること
により欠陥の種類を自動的に判別することができる。こ
の従来技術では、アレイ探触子を特別の仕様にあわせて
製作しなければならず入手が困難で高価になることと、
予め欠陥に応じた色パターンを用意しておく必要がある
という問題点がある。
内面の腐食を調べる超音波探傷法において腐食の形状と
寸法に依存しない寸法推定を可能とする方法を提供する
ことにある。本発明の他の目的は、短時間で高精度な配
管劣化診断を行う方法を提供することにある。本発明の
さらに他の目的は、市販されている探触子を利用して低
コストで配管劣化診断を行う方法を提供することにあ
る。
ため、本発明は、 A 超音波パルス反射法によって配管内面の局部腐食の
位置を推定する方法 B 超音波パルス反射法で得られる欠陥エコー高さと欠
陥エコーの多重エコー高さによって配管内面の局部腐食
の形状を推定する方法 C 超音波パルス反射法で得られる底面エコー高さによ
る反射の減少量によって局部腐食の存在を認識する方法 D 超音波パルス反射法で得られる欠陥エコー高さと底
面エコー高さの比を用いることによって配管内面の局部
腐食の大きさを推定する方法、を提供する。
探触子を使用し、 A 欠陥エコー高さを用いて局部腐食の位置を推定する
技術 B 欠陥エコー高さと多重エコー高さから局部腐食の形
状を推定する技術 C 底面エコー高さによる反射量を用いて微小な腐食の
存在を確認する技術 D 欠陥エコー高さと底面エコー高さの比から局部腐食
の大きさを推定する技術、を提供する。
面を等間隔で格子状にエコーデータをサンプリングし
て、代表的な3種類の局部腐食形状(潰食、孔食、溝
食)を模擬した人工腐食を推定する。 A 腐食位置の推定方法 腐食中心位置においては欠陥エコー高さが極大となるの
で、全測定データについて欠陥エコー高さの極大値探索
を行うことにより腐食中心位置を推定する。 B 腐食形状の推定方法 反射面の形状によってエコーの散乱程度が異なるので、
形状により欠陥エコー高さ及びその多重エコー高さは異
なる。そこでまず閾値処理により2つのエコー高さから
潰食を分類する。そして腐食の広がり方の違いを利用し
て孔食と溝食を分類する。
少するため、底面エコー高さが腐食がない場合に比べて
小さくなる。これを利用して微小な腐食の存在を確認で
きる。 D 腐食の大きさの推定方法 形状によるエコー高さへの影響を考慮し、大きさを評価
するパラメータとして、r=(1+f)/(1+b)、
ここでfは欠陥エコー高さ、bは底面エコー高さ、を用
いる。これを腐食位置から配管軸方向及び円周方向それ
ぞれに隣接する測定点におけるエコーデータについて計
算し各方向の和Ra、Rcの相加平均Rをもって大きさ
を評価する。各腐食形状について求めた腐食大きさとパ
ラメータとの関係を利用して任意の腐食の大きさを推定
する。
しても分類が可能 3 市販の垂直探触子によって実現できるため、低コス
トで実施できる 4 局部腐食の存在を確認できる 5 腐食の形状と寸法に依存しない寸法推定が可能 6 予め用意した人工腐食について腐食形状ごとに欠陥
エコー高さと腐食の大きさとの関係を求め、その関係か
ら寸法を推定するので精度にばらつきや変動がない 7 局部腐食の位置を推定できる、などの作用効果が得
られる。 以下、本発明による好適な実施形態を添付図面を参照し
ながら説明する。
例として、超音波探傷法のパルス反射法の垂直法によっ
て、配管表面を等間隔で格子状にエコーデータをサンプ
リングする場合のデータ処理方法を扱う。配管内面に発
生する代表的な局部腐食のモデル形状として、図1に示
す3種類を推定の対象とした。(a)が平底穴型(また
は潰食)、(b)が丸底穴型(または孔食)、(c)が
V溝型(または溝食)である。腐食形状の推定には、腐
食中心位置におけるデータとその点を中心として配管軸
方向及び周方向に連続する測定点におけるデータを使用
する。そのため、配管を全面測定して得られたデータか
ら腐食中心位置におけるデータを抽出する必要がある。
ので、全測定データについて欠陥エコー高さの極大値探
索を行いそのデータを腐食中心位置におけるデータとす
る。ここで、配管軸方向に連続する測定点において欠陥
エコー高さがほとんど変化しない場合は、欠陥エコー高
さが閾値以内である測定点列の中央の点を腐食中心位置
とする。
タをそれぞれ示す。超音波パルスが各腐食に入射される
と、図4に示すように腐食形状の違いからエコーの散乱
の程度が異なる。その結果、局部腐食の頂部で反射され
る超音波のエネルギー量は(a)の平底穴型が最も大き
く、そのため欠陥エコーの高さは(a)平底穴型の場合
が他の2つに比べて高くなる。したがって、欠陥エコー
のエコー高さを用いて(a)平底穴型かそれ以外かの推
定ができる。しかし、(b)丸底穴型であっても、腐食
サイズが大きくなると球面の曲率も大きくなるので、反
射時の散乱が減少し欠陥エコー高さが大きくなり、
(a)平底穴型との区別が困難になる。そこで図3に示
す多重エコーの高さを利用する。多重エコーは伝播によ
る減衰と反射時の散乱によりエコー高さが減少するが、
(a)平底穴型に比べて(b)丸底穴型は散乱が大きい
ため多重エコー高さが小さくなる。よって欠陥エコー高
さに加えて多重エコー高さを推定のパラメータとするこ
とによって、曲率の大きな(b)丸底穴型についても
(a)平底穴型の腐食と区別することができる。
別は、腐食の広がり方の違いを利用する。(c)V溝型
は溝状腐食を想定したものであり、配管軸方向に細長く
生成されるため、配管軸方向に連続測定した場合、欠陥
エコー高さがほとんど変化しないエコーデータが観測さ
れる。そこで、腐食中心位置における欠陥エコー高さ
と、中心位置から連続する測定点における欠陥エコー高
さの差が閾値以内である測定点の個数を、配管軸方向と
周方向それぞれについてカウントし、個数の比が1対2
以上である場合を(c)V溝型、1対2未満である場合
を(b)丸底穴型と推定する。
て、局部腐食形状を推定することができる。しかし、腐
食サイズが小さい場合、欠陥エコーが観測されないこと
があり、腐食検査においては局部腐食を見落としてしま
うことが考えられる。そこで欠陥エコーが観測されない
場合、底面エコー高さを利用して腐食の存在を確認す
る。エコー高さは入射方向に垂直な反射源の面積に依存
する。図5のように超音波の伝播域内に腐食が存在する
と、底面エコーの反射源となる配管内面の面積が減少す
るので、底面エコー高さは腐食が存在しない場合に比べ
て小さくなる。したがって欠陥エコーが観測されない微
小な腐食でも底面エコー高さを観測することで腐食の存
在を確認することができる。
面積に依存する。よって欠陥エコー高さに腐食の大きさ
を関係付けることは可能である。しかし、腐食が大きく
なり超音波のビーム径を超過してしまうと、欠陥エコー
高さは変化しなくなってしまう。また、(b)丸底穴型
や(c)V溝型の腐食においては、欠陥エコーが小さく
腐食の大きさによるエコー高さの変化が顕著に現れにく
い。そこで、欠陥エコー高さと底面エコー高さの比を用
いて腐食サイズの指標とする。ここでは、エコー高さの
比rを、r=(1+f)/(1+b)、と定義する。こ
こでfは欠陥エコー高さ、bは底面エコー高さ、とす
る。分母と分子に1を加えているのは、どちらかの欠陥
エコーが観測されない場合、つまりエコー高さが0にな
る場合でも、もう一方のエコー高さの変化がrに反映さ
れるようにするためである。
では、大きい腐食の場合にパラメータの値が変化しなく
なることの解決にはならない。そこで図6に示すよう
に、配管軸方向と周方向それぞれについて腐食位置を中
心に腐食が存在する範囲、つまり前述の腐食形状推定方
法により正常状態(底面エコー高さに変化がない)と推
定される点までの間にある測定点においてrをそれぞれ
算出し、それぞれの方向について下記の式から和Ra、
Rcを求め、さらに求められた2つの値の相加平均Rを
もって腐食の大きさを表すパラメータとする。
の合計を表す。また、m,nはそれぞれの方向における
腐食が存在する範囲内の測定点の個数を表す。このRを
予め形状と大きさが既知である腐食について求め、Rに
対する腐食の大きさを形状ごとにプロットし、最小2乗
法により直線近似して得られる式を用いて大きさの推定
を行う。ここで(c)V溝型腐食については周方向の幅
WをRcのみで推定する。軸方向長さは、形状推定の際
に求めた周方向と軸方向の比(2以上)と測定ピッチの
積とする。
推定を行うためのフローチャートを図7に示す。この中
で使用されている閾値L1からL4は、超音波探傷器の
設定や探触子など測定器の設定によって異なるため、予
めキャリブレーションをして決定する。
な大きさの人工腐食を機械加工により施した。深さHは
すべて2mmとする。これを用いて腐食の大きさのパラ
メータRa,Rc,及びRを求めた。図8から図10に
パラメータとその近似式を示す。そして別の50A鋼管
の内面に3種類の人工腐食を施して、軸方向と周方向に
それぞれ1mmピッチで格子状にエコーデータを測定し
た。それらのデータについて上述の方法により腐食の形
状と大きさを推定した。人工腐食のサイズとその推定結
果を表2に示す。これらの結果は、オンサイトで短時間
に求められる。
腐食の推定方法によれば、配管内面の局部腐食の位置、
形状、存在が短時間で高精度に求められるので、 (1)配管劣化診断が低コストで正確に行うことができ
る (2)適切なリニューアル提案ができる (3)定期検査によって腐食原因の推定ができる (4)配管寿命予測が正確にできる、などの利点が得ら
れ、その技術的効果には極めて顕著なものがある。
表す概略図である。
る。
フである。
る。
す概略図である。
態を表す概略図である。
る。
似直線のグラフである。
似直線のグラフである。
近似直線のグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 超音波探傷法によって配管内面の腐食状
態を自動的に検査し腐食を推定する方法であって、 超音波探触子による測定を行い、 全測定データについて欠陥エコー高さの極大値探索を行
うことにより腐食中心位置を推定することを特徴とする
腐食の推定方法。 - 【請求項2】 超音波探傷法によって配管内面の腐食状
態を自動的に検査し腐食を推定する方法であって、 等間隔で格子状に超音波エコーデータをサンプリングし
て、代表的な3種類の局部腐食形状として潰食、孔食、
溝食を模擬した人工腐食のデータを予め用意し、 超音波探触子による測定を行い、 前記人工腐食のデータによってあらかじめ設定した閾値
処理により欠陥エコー高さとその多重エコー高さの2つ
のエコー高さから潰食を分類し、さらに欠陥エコー高さ
の広がりを閾値処理によって分類し腐食の広がり方の違
いから孔食と溝食を分類することを特徴とする腐食の推
定方法。 - 【請求項3】 超音波探傷法によって配管内面の腐食状
態を自動的に検査し腐食を推定する方法であって、 超音波探触子による測定を行い、 底面エコー高さによる垂直反射の量が腐食がある場合は
腐食がない場合に比べて小さくなることを利用して微小
な腐食の存在を確認することを特徴とする腐食の推定方
法。 - 【請求項4】 超音波探傷法によって配管内面の腐食状
態を自動的に検査し腐食を推定する方法であって、 超音波探触子による測定を行い、 形状によるエコー高さの大きさを評価するパラメータと
して、r=(1+f)/(1+b)、ここでfは欠陥エ
コー高さ、bは底面エコー高さ、を算出し、このパラメ
ータrを腐食位置から配管軸方向及び周方向それぞれに
隣接する測定点におけるエコーデータについて計算し、
式 【数1】 ここでm,nはそれぞれの方向における腐食が存在する
範囲内の測定点の個数、で表される各方向の和Ra、R
cの相加平均Rをもって腐食の大きさを推定することを
特徴とする腐食の推定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001159761A JP3581333B2 (ja) | 2001-05-29 | 2001-05-29 | 超音波パルスのエコー高さを利用した配管内面腐食の形状寸法の推定方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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