JP7078128B2 - 超音波探傷方法、超音波探傷装置、鋼材の製造設備、鋼材の製造方法、及び鋼材の品質管理方法 - Google Patents

超音波探傷方法、超音波探傷装置、鋼材の製造設備、鋼材の製造方法、及び鋼材の品質管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、超音波探傷方法、超音波探傷装置、鋼材の製造設備、鋼材の製造方法、及び鋼材の品質管理方法に関するものである。
丸棒体内部の欠陥は、その丸棒体を素材とする機械部品を製造する際には割れの起点となることがあり、製造後には機械部品の強度や寿命を低下させる。そのため、丸棒体内部を超音波探傷し、内部欠陥を評価することが従来から行われている。従来の丸棒体の超音波探傷装置では、垂直用及び斜角用の単一探触子を丸棒体に対して周方向及び軸方向に相対的に移動させる方法、あるいはアレイ探触子により超音波ビームの方向を切り替えることで全断面の探傷を行う方法が行われている。
単一探触子又はアレイ探触子による斜角探傷では、主に鋼材表層付近の内部介在物や割れを検出する。表層付近の割れの場合は、表層から内部に進展し、反射指向性を有するもの(以下、「表層欠陥」という)が多く確認される。このような表層欠陥が検出された場合、欠陥が切削可能な範囲(例えば表層からの深さ2mmまで)であればこれを除去し、欠陥が切削可能な範囲外である場合には、製品の格下げ、又は内質不良品として処理される。
表層欠陥が切削可能範囲内にあるか否かを判定する方法として、例えば垂直探傷と斜角探傷とを組み合わせて判定する方法がある。切削可能範囲より内側を垂直探傷の検出ゲートとして設定することにより、垂直探傷では検出されず、斜角探傷で検出された欠陥は、切削可能範囲内に存在することになる。
しかし、上記判定方法の対象となる欠陥は、基本的には指向性を持たない欠陥であり、探傷断面内で円形状の断面を有する無指向性欠陥である。表層から進展する表面割れは、垂直探傷では検出ができないため、切削可能範囲外まで進展していたとしても切削可能範囲内として判定される。この場合、表層を切削された鋼材が表面割れを有した状態で出荷され、出荷された鋼材をさらに圧延、鍛造加工する段階で、表層欠陥を起点とした大きな割れが発生する可能性がある。そのため、探傷データから表層割れの深さを導出し、合否判定を行う探傷方法が必要である。
超音波探触子を用いた表面欠陥深さの導出方法としては、表層欠陥からのコーナ反射波と端部からの回折波の強度とが最大となる超音波探触子の位置、路程の違いから導出する方法がある。しかし、端部からの回折波はコーナ反射波よりも強度が相当小さく、出現する路程も近いため、回折波と反射波とを分離できない可能性がある。また、高ノイズ環境下では、十分なS/Nが得られず、回折波を検出できない可能性もある。
例えば特許文献1には、2つの超音波探触子を用いて、コーナ反射波と端部回折波の時間差から表層欠陥の長さを求める方法が開示されている。また、特許文献2には、複数の周波数で探傷を行うことにより欠陥深さを求める方法が開示されている。また、特許文献3には、表層欠陥と内部介在物とを欠陥エコーの特徴を用いて弁別する方法が開示されている。
特開2013-088240号公報 特開2015-114127号公報 特開2000-241396号公報
特許文献1で開示された方法では、コーナ反射波と端部回折波とを別々の超音波探触子で受信することにより弁別を可能としているが、微小欠陥の場合は、端部回折波が微小で検出できないという問題がある。
また、特許文献2で開示された方法では、2つ以上の周波数を用いることにより、大まかに欠陥の深さを弁別することは可能であるが、欠陥本実施形態に係る超音波探傷方法深さを高分解能、広範囲で得るためには探傷周波数を増やす必要がある。そのため、探傷時間の増大、又は設備規模が大きくなることによる高コスト化、メンテナンス負荷の増大という問題が発生する。
また、特許文献3で開示された方法では、表層欠陥と内部介在物とを欠陥エコーの特徴を用いて弁別する点については述べられているが、表層欠陥の深さの導出や合否判定方法については述べられていない。
ここで、通常の超音波探傷では、欠陥の形状に関わらず一定の閾値を設けて合否の判定を行う。しかし、本来、指向性欠陥と無指向性欠陥の場合とでは、反射率や指向性が異なるため、同一の閾値を用いて判定を行うだけでは有害又は無害を弁別することはできない。また、斜角探傷では、指向性欠陥として欠陥を検出するが、表面欠陥の長さを推定することができなければ、適切な合否判定や表面切削による欠陥の除去を行うことができない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、検査材内部の欠陥の形状を高精度に推定することができる超音波探傷方法及び超音波探傷装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、鋼材を歩留まりよく製造可能な鋼材の製造設備及び鋼材の製造方法を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、高品質の鋼材を提供可能な鋼材の品質管理方法を提供することにある。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1]超音波探触子から検査材に超音波信号を送信し、前記検査材の内部で反射した超音波信号を反射信号として前記超音波探触子において受信することによって、前記検査材の内部を検査する超音波探傷方法であって、前記検査材と前記超音波探触子との位置を変化させながら、前記反射信号を前記超音波探触子で受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信された前記反射信号から、前記検査材中の欠陥からの反射である欠陥信号を抽出する抽出ステップと、予想音圧と、前記抽出ステップで抽出された前記欠陥信号の強度から得られる受信音圧とから、前記欠陥の形状を推定する欠陥形状の推定ステップと、を含み、前記予想音圧は、前記超音波探触子の超音波指向性から予想される、仮想欠陥による欠陥信号の強度である、超音波探傷方法。
[2]前記欠陥形状の推定ステップは、前記受信音圧から前記欠陥の指向性の有無を判定し、判定した前記欠陥の指向性の有無に合わせた予想音圧と、前記受信音圧とから欠陥の形状を推定する、[1]に記載の超音波探傷方法。
[3]前記欠陥形状の推定ステップは、前記予想音圧と前記超音波探触子で受信された各位置関係における前記受信音圧との相関を用いて、前記欠陥の形状及び深さを推定する、[1]又は[2]に記載の超音波探傷方法。
[4]超音波探触子から検査材に超音波信号を送信し、前記検査材の内部で反射した超音波信号を反射信号として前記超音波探触子において受信することによって、前記検査材の内部を検査する超音波探傷装置であって、前記検査材と前記超音波探触子との位置を変化させながら、前記反射信号を受信する受信手段と、前記受信手段で受信された前記反射信号から、前記検査材中の欠陥からの反射である欠陥信号を抽出する抽出手段と、前記超音波探触子の超音波指向性から予想される、仮想欠陥による欠陥信号の強度である予想音圧を算出する予想音圧算出手段と、前記予想音圧と、前記抽出手段で抽出された前記欠陥信号の強度から得られる受信音圧とから、前記欠陥の形状を推定する欠陥形状の推定手段と、を備える超音波探傷装置。
[5]鋼材を製造する製造設備と、前記製造設備によって製造された前記鋼材の内部を検査する[4]に記載の超音波探傷装置と、を備える鋼材の製造設備。
[6]鋼材を製造する製造ステップと、[1]から[3]のいずれか一項に記載の超音波探傷方法によって、前記製造ステップにおいて製造された鋼材の内部を探傷する探傷ステップと、を含む鋼材の製造方法。
[7][1]から[3]のいずれか一項に記載の超音波探傷方法によって、鋼材の内部を探傷する探傷ステップと、前記探傷ステップによって得られた探傷結果から前記鋼材の品質管理を行う品質管理ステップと、を含む鋼材の品質管理方法。
本発明に係る超音波探傷方法及び超音波探傷装置によれば、超音波探触子の指向性から算出された予想音圧を用いることにより、検査材に存在する欠陥の形状を推定することができる。これにより、検査材内部の欠陥が存在する範囲が明確となり、より高品質な製品の製造や歩留まりの向上が可能となる。また、本発明に係る鋼材の製造設備及び鋼材の製造方法によれば、鋼材を歩留まりよく製造することができる。さらに、本発明に係る鋼材の品質管理方法によれば、高品質の鋼材を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る超音波探傷装置の構成を示す模式的に示す図である。 図2は、本発明の実施形態に係る超音波探傷方法の信号処理方法を模式的に示す図である。 図3は、無指向性欠陥の第一の反射モデルの伝搬経路を模式的に示す図である。 図4は、無指向性欠陥の第二の反射モデルの伝搬経路を模式的に示す図である。 図5は、無指向性欠陥の第三の反射モデルの伝搬経路を模式的に示す図である。 図6は、無指向性欠陥の第四の反射モデルの伝搬経路を模式的に示す図である。 図7は、指向性欠陥の第一の反射モデルの伝搬経路を模式的に示す図である。 図8は、指向性欠陥の第二の反射モデルの伝搬経路を模式的に示す図である。 図9は、指向性欠陥の第三の反射モデルの伝搬経路を模式的に示す図である。 図10は、指向性欠陥の第四の反射モデルの伝搬経路を模式的に示す図である。 図11は、超音波探触子と、見かけの超音波探触子との位置関係を模式的に示す図である。 図12は、無指向性欠陥の第一の反射モデルの伝搬経路における、予想音圧の算出方法を模式的に示す図である。 図13は、無指向性欠陥の第二~第四の反射モデルの伝搬経路における、予想音圧の算出方法を模式的に示す図である。 図14は、指向性欠陥の第一の反射モデルの伝搬経路における、予想音圧の算出方法を模式的に示す図である。 図15は、指向性欠陥の第二~第四の反射モデルの伝搬経路における、予想音圧の算出方法を模式的に示す図である。 図16は、超音波探触子の位置を変えながら無指向性欠陥からの反射信号を受信した時の、欠陥信号群を画像化した例を示す図である。 図17は、超音波探触子の位置を変えながら指向性欠陥からの反射信号を受信した時の、欠陥信号群を画像化した例を示す図である。 図18は、欠陥画像領域を設定した例を示す図である。 図19は、特定の欠陥形状を仮定した時に得られた予想音圧の算出結果の一例を示す図である。 図20は、実際の欠陥信号データから得られた、欠陥と判定された受信音圧の一例を示す図である。
[超音波探傷装置]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態である超音波探傷装置の構成及びその動作について詳しく説明する。
本発明の実施形態である超音波探傷装置の構成について、図1を参照して説明する。超音波探傷装置1は、水浸探傷法(以下、水浸法と表記)を利用した超音波探傷方法によって、検査体を超音波探傷する装置である。超音波探傷装置1は、超音波を用いて、例えば、鋳造された鋼片を圧延して製造された丸棒体RBに存在する欠陥を検出する。なお、欠陥の存在位置は、丸棒体RBの表層及び内部であるが、以降、表層を含めて「内部」と表すものとする。
本実施形態に係る超音波探傷装置1は、複数の超音波探触子11、プローブヘッド12、架台13、回転駆動装置14、パルサ15、レシーバ16、A/Dコンバータ17、記録装置18、信号処理装置19、及び表示装置20を主な構成要素として備えている。
超音波探触子11は、検査材(例えば丸棒体RB)の外部に配置され、検査材に対する位置関係を変化させながら超音波を送信し、かつ欠陥信号を受信する。図1に示された超音波探傷装置1においては、超音波探触子11、レシーバ16、A/Dコンバータ17、及び記録装置18が受信手段に該当する。
さらに、本実施形態に係る超音波探傷装置1は、超音波探触子11で受信された反射信号から、検査材中の欠陥からの反射である欠陥信号を抽出する、抽出手段を備える。また、超音波探傷装置1は、超音波探触子11で受信された欠陥信号の特徴から、欠陥種を判定する、欠陥種の判定手段を備える。また、超音波探傷装置1は、超音波探触子11の超音波指向性を考慮して予想される、仮想欠陥による欠陥信号の強度である予想音圧を予め算出する、予想音圧算出手段を備える。
また、超音波探傷装置1は、検査材と超音波探触子11との各位置関係において、超音波探触子11の超音波指向性から予想され、かつ予想音圧算出手段で予め算出される予想音圧と、抽出手段で抽出された欠陥信号の強度から得られる受信音圧とから、欠陥の形状(以下、「欠陥形状」という)を推定する、欠陥形状の推定手段を備える。また、超音波探傷装置1は、推定された欠陥形状に基づいて検査材の合否判定を行い、当該検査材の切削量を決定する、判定手段を備える。図1に示された超音波探傷装置1においては、信号処理装置19が、抽出手段、欠陥種の判定手段、予想音圧算出手段、欠陥形状の推定手段及び判定手段に該当する。なお、本実施形態において、受信音圧とは、超音波探触子11で受信された欠陥信号に対し、時間範囲を設定し、設定された時間範囲内の信号振幅の最大値を表す。
超音波探触子11は、水浸法における媒質である水を介して、丸棒体RBから所定距離離れた位置に1つ以上配置されている。この超音波探触子11は、超音波で探傷中はパルサ15から出力されるパルス信号によって励振されることにより、超音波信号を丸棒体RBに送信する。そして、丸棒体RBの内部を伝搬して反射した超音波信号(以下、「反射信号」という)は、超音波探触子11を介してレシーバ16によって受信される。
プローブヘッド12は、超音波探触子11を備え、丸棒体RBの上部に配置された架台13上を移動することができるように構成されている。これにより、超音波探触子11は、丸棒体RBの軸方向に走査可能となる。丸棒体RBを回転駆動装置14によって矢印で示す円周方向に回転させながら、プローブヘッド12を走査させつつ、さらに欠陥信号をレシーバ16で受信する。この結果、丸棒体RBの全体積を超音波探傷することができる。すなわち、超音波探傷装置1は、丸棒体RBに対する超音波探触子11の位置を変化させながら、超音波探触子11で1つ又は複数の超音波を送受信することができる。
回転駆動装置14の回転速度及びプローブヘッド12の走査速度は、丸棒体RBの全体積が不足なく超音波探傷されるように設定されている。なお、丸棒体RBを回転させずに、プローブヘッド12を丸棒体RBの周囲を回転させて、丸棒体RBの全体積を超音波探傷するようにしてもよい。なお、本実施形態において、「検査体(すなわち丸棒体RB)に対する超音波探触子11の位置を変化させる」とは、ある特定の1つの超音波探触子11が、検査体に対して移動することを示している。複数の超音波探触子11がある場合は、プローブヘッド12が固定され、超音波探触子11間で欠陥信号の受信が移動することも含まれる。
レシーバ16によって受信されたアナログ形態の反射信号は、パルサ15から出力されるパルス信号に同期しながらA/Dコンバータ17によってデジタルデータに変換され、記録装置18に保存される。これにより、丸棒体RBの全体積の反射信号が記録装置18に保存される。保存された反射信号は、信号処理装置19によって欠陥信号等へ信号処理され、信号処理結果は表示装置20に表示される。信号処理は、超音波で探傷中に保存される反射信号に対して逐次行われる場合や、全ての反射信号が保存された後に行われる場合がある。また、信号処理は、保存される全データに対してだけでなく、一部データに対して選択的に行われる場合もある。
信号処理装置19は、保存された反射信号から欠陥箇所の抽出を行い、検査材中の欠陥からの反射を欠陥信号として記録装置18に保存する。また、信号処理装置19は、保存された欠陥信号に対して、信号処理の1つとして欠陥種の判定を行う。さらに、信号処理装置19は、保存された欠陥信号に対して、信号処理の1つとして欠陥形状の推定を実行する。なお、欠陥種の判定にあたり、開口合成等の信号処理を行う場合もある。また、信号処理装置19は、超音波探触子11の指向性から予想される、仮想欠陥による欠陥信号の強度である受信音圧(以下、「予想音圧」という)を予め算出する。そして、予め算出した予想音圧と、実際に測定した欠陥信号の受信音圧とに基づき、欠陥形状を推定する。ここで、欠陥形状の推定に用いられる欠陥信号としては、保存された欠陥信号の未処理データを用いる場合だけでなく、開口合成や周波数フィルタ等の信号処理を施した信号処理後のデータを用いる場合もある。
すなわち、信号処理装置19は、超音波探触子11で受信された反射信号から、検査材中の欠陥からの反射である欠陥信号を抽出する、抽出手段を備える。また、信号処理装置19は、超音波探触子11で受信された欠陥信号の特徴から欠陥種を判定する、欠陥種の判定手段を備える。また、信号処理装置19は、超音波探触子11の超音波指向性を考慮して予想される、仮想欠陥による欠陥信号の受信音圧を予め算出する、予想音圧算出手段を備える。また、信号処理装置19は、超音波探触子11で受信された各位置関係における受信音圧と、予め算出された予想音圧とから欠陥形状を推定する、欠陥形状の推定手段を備える。そして、信号処理装置19は、推定された欠陥形状に基づき検査材の合否判定や切削必要量の決定を行う、判定手段を備える。
[超音波探傷方法]
次に、本実施形態に係る超音波探傷方法について説明する。本実施形態に係る超音波探傷方法は、(I)受信ステップ、(II)抽出ステップ、(III)推定ステップ、及び(IV)判定ステップの4つのステップを含む。本実施形態に係る超音波探傷方法では、(I)受信ステップの次に(II)抽出ステップが実行され、(II)抽出ステップの次に(III)推定ステップが実行され、(III)推定ステップの次に(IV)判定ステップが実行される。
受信ステップIでは、検査材(例えば丸棒体RB)と超音波探触子11との位置関係を変化させながら、超音波探触子11によって1つ又は複数の反射信号を受信する。なお、本実施形態においては、検査材が丸棒体RBであるので、上述の斜角探傷の例となる。受信ステップIでは、公知の超音波探触子11による欠陥信号の受信方法を用いることができる。一例としては、上述した超音波探触子11、レシーバ16、A/Dコンバータ17、及び記録装置18の動作により実現させることができる。
抽出ステップIIでは、受信ステップIにおいて超音波探触子11で受信された1つ又は複数の反射信号から、検査材中に実在する欠陥で反射した超音波信号を、欠陥信号として抽出する。抽出された欠陥信号は、記憶装置18に保存される。実際に受信された反射信号からの欠陥信号の抽出は、信号処理装置19の動作により実現させることができる。
推定ステップIIIでは、抽出ステップIIで抽出された欠陥信号の特徴から、当該欠陥が指向性欠陥であるか、又は無指向性欠陥であるかを判定する。そして、検査材と超音波探触子11との各位置関係において、超音波探触子11の超音波指向性から予め算出された予想音圧と、超音波探触子11によって実際に受信された欠陥信号の受信音圧とを比較することにより、欠陥形状を推定する。欠陥形状の推定に用いる予想音圧の算出方法は、本発明において最も重要な技術である。このため、予想音圧の算出方法は、後程詳細に説明する。
判定ステップIVでは、抽出ステップIIにおいて反射信号から抽出された欠陥信号に対して、推定ステップIIIによって推定された欠陥形状に基づき、検査材の合否及び/又は必要切削量を判定する。
上記のようなステップを行う本実施形態に係る超音波探傷方法によれば、欠陥形状及び欠陥が存在する存在深さ(以下、単に「深さ」という)を正確に推定することができる。これにより、検査材の合否判定、及び/又は検査材が不合格であった場合の表面切削量を決定することができる。その結果、製品の品質及び歩留りを向上させることができる。
<(I)受信ステップ>
本発明の実施形態に係る超音波探傷方法の受信ステップIにおいて、欠陥信号を受信する際の信号処理装置19及び記録装置18の動作について、図2を参照しながら説明する。受信ステップIでは、まず受信手段により丸棒体RB内からの反射信号を受信する(ステップS21)。次に、受信した反射信号を記録装置18に保存する(ステップS22)。
<(II)抽出ステップ>
抽出ステップIIでは、信号処理装置19が、受信ステップIで記録装置18に保存された反射信号に対して、予め定めておいた閾値で閾値判定を行う(ステップS23)。信号処理装置19は、閾値を超えた反射信号には欠陥があると判定し、欠陥信号として抽出する。抽出された欠陥信号は、改めて記録装置18に保存される。欠陥があると判定された反射信号(すなわち欠陥信号)に対しては、この後のステップS13以降の信号処理が行われる。一方、欠陥が無いと判定された反射信号に対しては、ステップS13以降の信号処理が行われない。
<(III)推定ステップ>
次に、本発明の実施形態に係る超音波探傷方法の推定ステップIIIにおいて、欠陥形状を推定する際の信号処理装置19及び記録装置18の動作について、図2を参照しながら説明する。推定ステップIIIでは、超音波探傷子11で測定された欠陥信号からの受信音圧に基づいて、まず欠陥の指向性の有無を判定し、その後、前記欠陥の指向性の有無に合わせた予想音圧と、実際に測定された受信音圧とに基づいて、欠陥形状を推定する。推定ステップIIIは、具体的には、同図に示すように、探傷画像取得ステップ(S13)、欠陥種の判定ステップ(S14)、欠陥形状の推定ステップ(S15)、の順で実行される。検査材を丸棒体RBとして、各ステップについて詳しく説明する。
(探傷画像取得ステップ)
ステップS13の処理では、信号処理装置19が、ステップS23で特定された、予め設定された閾値を超えた波形位置を基準とし、記録装置18において記録された欠陥信号の中から、予め設定された範囲内の複数の欠陥信号の読み込みを行う。これにより、実際に欠陥が存在する位置等の情報を含んだ欠陥信号群を抽出することができる。つまり、実際に存在する欠陥から反射し、受信された超音波信号の情報を得ることができる。後述のステップS14以降では、ここで得られる欠陥信号群から受信音圧等の特徴量を抽出し、欠陥種の判定、欠陥形状の推定を実施する。
なお、欠陥信号の状態によっては、欠陥信号を読み出した後に、信号処理装置19で開口合成や周波数フィルタ等の信号処理を行ってから、欠陥信号群としてもよい。また、本ステップS13において、視覚的に分かりやすくするために、受信信号群を画像化してもよい。例えば、欠陥信号の振幅を輝度に、欠陥信号の受信時間を縦軸に、欠陥信号の波形数を横軸に変換して、画像として表示することができる。本実施形態では、欠陥信号群を本ステップ13で画像化したものとして、以降の処理を説明する。
ステップS13は、超音波で反射信号を記録しながら逐次行うだけでなく、超音波で反射信号の記録が終了した後に行ってもよい。ここで読み込まれた欠陥信号群に対して、ステップS14及びステップS15の処理が実行される。これにより、ステップS13の処理は完了し、ステップS14の処理に進む。
(欠陥種の判定ステップ)
ステップS14の処理では、信号処理装置19が、ステップS13で読み込まれた欠陥信号の特徴とステップS12で算出された予想音圧の特徴とを用いて、検出された欠陥種が指向性欠陥であるか、又は無指向性欠陥であるかを判定する。欠陥種の判定方法については、後程詳細に説明する。これにより、ステップS14の処理は完了し、ステップS15の処理に進む。
(欠陥形状の推定ステップ)
ステップS15の処理では、信号処理装置19が、ステップS13で算出された欠陥信号とステップS12で算出された予想音圧とを比較することにより、欠陥形状及び深さを推定する。ステップS15の処理では、具体的には、超音波探触子11で受信された各位置関係における欠陥信号の受信音圧の変化と、ステップS12で算出された予想音圧の変化との相関を用いて、欠陥の傾きを含む欠陥形状及び深さを推定する。
欠陥形状については、指向性欠陥の場合には深さ及び傾き角度が推定され、無指向性欠陥の場合には欠陥径及び深さ位置が推定される。欠陥形状の推定方法については、後程詳細に説明する。これにより、ステップS15の処理は完了し、ステップS16の処理に進む。また、これにより、推定ステップIIIの処理は完了し、判定ステップIVの処理に進む。
<(IV)判定ステップ>
次に、本発明の実施形態に係る超音波探傷方法の判定ステップIVにおいて、検査材の合否及び/又は必要切削量を判定する際の信号処理装置19及び記録装置18の動作について、図2を参照しながら説明する。判定ステップIVにおける判定は、同図に示すように、合否及び/又は切削量判定ステップ(ステップS16)が実行される。検査材を丸棒体RBとして、当該ステップについて詳しく説明する。
(合否及び/又は切削量判定ステップ)
ステップS16の処理では、信号処理装置19が、ステップS15で推定された欠陥形状及び深さに基づき、検査材の合否判定を行うか、又は、当該検査材の必要切削量を決定する。さらに、信号処理装置19が、ステップS15で推定された欠陥形状及び深さに基づき、検査材の合否判定を行い、当該検査材の必要切削量を決定するとしてもよい。
例えば、ステップS15の結果、指向性欠陥又は無指向性欠陥が、表層から2mm以内の距離に存在すると推定された場合には、合格(手入れ必要材)とし、それ以外の場合は不合格とする。欠陥の存在範囲及び必要切削量の算出には、無指向性欠陥及び指向性欠陥の形状を考慮するものとする。例えば、ステップS15で推定される欠陥形状から、欠陥の存在する範囲が表層下1.5mmまでである場合には、欠陥が検出された箇所を1.5mm以上切削又は手入れを行う。これにより、一連の判定ステップIVは完了する。
[予想音圧の算出方法]
次に、本発明の実施形態に係る超音波探傷方法の推定ステップIIIにおいて、欠陥形状を推定する際に使用する、超音波探触子11の指向性から予想される、仮想欠陥からの反射による欠陥信号の受信音圧(すなわち予想音圧)の算出方法について、図2を参照しながら説明する。予想音圧の算出方法は、同図に示すように、探傷条件入力ステップ(S11)、予想音圧算出ステップ(S12)、の順で実行される。検査材を丸棒体RBとして、各ステップについて詳しく説明する。
(探傷条件入力ステップ)
ステップS11の処理では、信号処理装置19が、丸棒体RBの寸法、超音波探触子11の寸法及び形状、測定ピッチ、丸棒体RBとの位置関係、超音波探傷範囲等の超音波探傷条件を取得する。なお、超音波探傷条件は、超音波で欠陥信号を取得する前に取得される場合だけでなく、超音波で反射信号の取得中又は超音波で反射信号の取得後に取得される場合もある。これにより、ステップS11の処理は完了し、ステップS12の処理に進む。
(予想音圧算出ステップ)
次に、ステップS12の処理では、信号処理装置19が、ステップS11の処理において取得した超音波探傷条件を用いて、超音波探触子11の超音波指向性に基づき、予想音圧を算出する。また、ステップS12の処理では、信号処理装置19が、超音波探触子11の超音波指向性を考慮した予想音圧として、無指向性欠陥の場合と指向性欠陥の場合の2種類の場合の予想音圧を算出する。また、実際に測定した反射信号及びその反射信号から算出された受信信号は、使用せずに算出する。すなわち、検査材中に実存する欠陥ではなく、仮想欠陥を設定し、その仮想欠陥で反射した欠陥信号の受信音圧を、予想音圧して算出することになる。
また、欠陥形状(例えば、指向性欠陥の場合は深さと角度、無指向性欠陥の場合は深さと半径)によって予想音圧は変わる。そこで、ステップS12では、仮想欠陥の欠陥形状を複数種類設定し、それぞれの設定に対する予想音圧を算出しておくことが好ましい。この場合、ステップS14以降での処理で、複数種類の欠陥形状に対する各予想音圧を比較し、近い予想音圧を使用してステップS14以降の信号処理を行うことができる。また、このステップS12において、後程説明する図16及び図18で使用する分割領域を算出し、ステップS14以降で設定できるようにしてもよい。
また、ステップS12の処理では、信号処理装置19が、超音波探触子11の超音波指向性を考慮した予想音圧として、後記する4つの反射モデル(図3~図10参照)のうち、1つ以上の反射モデルの伝搬経路の受信音圧を算出する。また、ステップS12の処理では、信号処理装置19が、超音波探触子11及び欠陥の各位置関係から計算される伝搬経路と、超音波探触子11又は欠陥の中心軸のなす指向性とから、超音波探触子11の超音波指向性を考慮した予想音圧を算出する。予想音圧の算出方法については、後程詳細に説明する。これにより、ステップS12の処理は完了する。
なお、探傷条件入力ステップS11と予想音圧算出ステップS12は、超音波による欠陥信号の取得前、取得中又は取得後のいずれのタイミングで行ってもよい。上述の欠陥種の判定ステップS14より前に、予想音圧算出ステップS12が完了し、予想音圧が算出されていればよい。言い換えれば、推定ステップIII中の欠陥種の判定ステップS14が開始される前に、予想音圧算出ステップS12が完了していればよい。一方、受信ステップI、抽出ステップII及び探傷画像取得ステップS13に対し、予想音圧算出ステップS12のタイミングは任意としてよい。
また、探傷条件入力ステップS11及び予想音圧算出ステップS12は、超音波による欠陥信号を受信する度に行う必要はない。例えば、検査体の形状や、超音波探触子11と検査体との相対移動速度がおおよそ同一の場合等は、検査体が何回変更になっても、その都度ステップS11及びステップS12を行う必要はない。ステップS12で予想音圧を一度求めておけば、検査体が何回変更されても、同じ予想音圧を用いて本発明に係る超音波探傷方法を行うことができる。なお、本実施形態における超音波指向性とは、特定の方向に超音波音圧が強く分布し、伝搬する性質を示している。一般的な単一超音波探触子の場合、近距離音場以遠では探触子中心軸上での音圧が最大となるということを示している。
次に、本実施形態に係る超音波探傷方法の超音波探触子11の超音波指向性を考慮した予想音圧の算出方法(図2のステップS12)について、図3~図15を参照しながら詳細に説明する。
丸棒体RBの内部に存在する欠陥は、指向性欠陥と無指向性欠陥とに大きく分類される。指向性欠陥は、帯状や円板状の反射面を持ち、特定の方向に強い反射指向性を有している。斜角探傷によって検出される表面割れは、指向性欠陥である場合が多い。これに対し、無指向性欠陥は、表層近傍に存在する介在物等であり、球状又は円柱状の欠陥である。
斜角探傷では、同一の欠陥対象に対して複数の伝搬経路による反射信号が得られることが知られている。無指向性欠陥の場合の反射信号の伝搬経路を図3~図6に、指向性欠陥の場合の反射信号の伝搬経路を図7~図10に示す。
図3及び図7は、(A)超音波探触子11、欠陥、超音波探触子11の順に伝搬する反射モデルを示している。また、図4及び図8は、(B)超音波探触子11、欠陥、検査材(丸棒体RB)の壁面、超音波探触子11の順に伝搬する反射モデルを示している。また、図5及び図9は、(C)超音波探触子11、検査材の壁面、欠陥、超音波探触子11の順に伝搬する反射モデルを示している。また、図6及び図10は、(D)超音波探触子11、検査材の壁面、欠陥、検査材の壁面、超音波探触子11の順に伝搬する反射モデルを示している。
なお、図3~図10において、符号11は実際の超音波探触子を、符号21は斜角探傷における見かけの超音波探触子を、符号Fは無指向性欠陥を、符号Fdは指向性欠陥を、それぞれ示している。本実施形態に係る超音波探傷方法では、各伝搬経路の場合について、欠陥と超音波探触子の位置関係から予想音圧の算出を行う。
図11は、超音波探触子11と、見かけの超音波探触子21の位置関係を示している。超音波探触子11の入射角をφ、探触子幅をDw1、探触子高さをD、ウェッジ距離をL、ウェッジ内音速をCwed、鋼中音速をCとすると、見かけの超音波探触子21の屈折角φ、探触子幅Dw2、ウェッジ距離Lは、下記式(1)~下記式(3)で表される。
Figure 0007078128000001
Figure 0007078128000002
Figure 0007078128000003
なお、ここで、見かけの超音波探触子21とは、「検査材中に存在し、屈折を考慮せずに直接伝搬すると仮定できる」仮想的な超音波探触子を指す。本実施形態で使用している斜角探傷法において、超音波を屈折させて検査材中に入射させる際に、検査材中での超音波の伝搬は、あたかも検査材中にある見かけの超音波探触子から直接伝搬した超音波とみなすことができる。なお、超音波探触子21は、実際には検査材の外部に在り、ウェッジ部(図示せず)の媒質内に存在する。
予想音圧の値を求めるために必要な伝搬経路は、この見かけの超音波探触子21からの伝搬経路を用いて導出する。なお、今回は計算を簡易にするために見かけの超音波探触子21を用いて計算を行うが、各伝搬経路についてスネルの法則に従う屈折現象を考慮し、超音波探触子21からの伝搬経路を導出してもよい。
まず、無指向性欠陥における予想音圧の算出方法について説明する。図3の伝搬経路における予想音圧は、図12を用いて算出する。原点をO、丸棒体RBの半径をr、欠陥回転角をθ、欠陥位置の深さをtとすると、無指向性欠陥Fの座標F(X,Y)は、下記式(4)及び下記式(5)で表される。
Figure 0007078128000004
Figure 0007078128000005
また、直線OFと、見かけの超音波探触子21のなす角をψとすると、当該なす角ψは、式(6)で表される。
Figure 0007078128000006
また、送信音圧をP、探触子面積をA、周波数をFr、線分OFの長さをx、見かけの超音波探触子21の超音波に対する指向性係数をD、欠陥形状の反射率をγ、欠陥半径をd、欠陥長さをLとすると、探触子面積A、反射率γ及び指向性係数Dは、下記式(7)~下記式(12)で表される。
Figure 0007078128000007
Figure 0007078128000008
Figure 0007078128000009
Figure 0007078128000010
Figure 0007078128000011
Figure 0007078128000012
図3の伝搬経路における、予想音圧PF1は、超音波探触子21の送信時の指向性係数D(Ψ)と、欠陥の反射率γ(x)と、超音波探触子21の受信時の指向性係数D(Ψ)との積で表される。上記式(7)~上記式(12)より、予想音圧PF1は、下記式(13)となる。また、図3の伝搬経路における伝搬時間Tは、線分OFの往復距離を鋼中音速で割ったもので表されるため、下記式(14)となる。
Figure 0007078128000013
Figure 0007078128000014
図4~図6の伝搬経路における予想音圧は、図13を用いて算出する。法線Sに対する無指向性欠陥Fの鏡像をF’の座標をF’(X’,Y’)、見かけの超音波探触子21の鏡像を22、原点Oの鏡像をO’、線分OF’の長さをx、線分O’F’の長さをX’、線分O’F’と鏡像O’の中心軸C’のなす角をψp1’とすると、鏡像F’の座標F’(X’,Y’)は、下記式(15)及び下記式(16)で表される。
Figure 0007078128000015
Figure 0007078128000016
図4及び図5の伝搬経路における予想音圧PF2は、超音波探触子21の送信時の指向性係数D(Ψp1)と、欠陥の反射率γ(x)と、超音波探触子21の受信時の指向性係数D(Ψp1’)との積で表される。式(15)及び式(16)より、予想音圧PF2は、下記式(17)となる。また、図4及び図5の伝搬経路における伝搬時間Tは、線分OF’とF’O’との合計距離を鋼中音速で割ったもので表されるため、下記式(18)となる。
Figure 0007078128000017
Figure 0007078128000018
図6の伝搬経路における予想音圧PF3は、超音波探触子21の送信時の指向性係数D(Ψp1)と、欠陥の反射率γ(x)と、超音波探触子21の受信時の指向性係数D(Ψp1)との積で表される。そのため、予想音圧PF3は、下記式(19)となる。また、図6の伝搬経路における伝搬時間Tは、線分OF’の往復距離を鋼中音速で割ったもので表されるため、下記式(20)となる。
Figure 0007078128000019
Figure 0007078128000020
以上のように、上記式(13)、上記式(14)、上記式(17)~上記式(20)によって得られる各伝搬経路からの予想音圧及び伝搬時間を用いることにより、丸棒体RBと超音波探触子11の位置関係を変化させながら、無指向性欠陥を探傷した際に予想される受信音圧及び伝搬時間を理論的にシミュレートすることができる。
次に、指向性欠陥における予想音圧の算出方法について説明する。図7の伝搬経路における予想音圧は、図14を用いて算出する。原点をO、欠陥回転角をθr2、欠陥傾き角をθ、欠陥の深さをd、指向性欠陥Fdの指向性係数をD、見かけの超音波探触子21の超音波に対する指向性係数をD、欠陥形状の反射率をγ、欠陥長さをL、指向性欠陥Fdの中点の座標をM(X,Y)、線分OMと見かけの超音波探触子21の中心軸Cとのなす角をψp3、指向性欠陥Fdの中心軸と線分OMとのなす角をψ、線分OMの長さをxとすると、指向性欠陥Fdの中点の座標M(X,Y)、なす角ψp3及びなす角ψは、下記式(21)~下記式(24)で表される。
Figure 0007078128000021
Figure 0007078128000022
Figure 0007078128000023
Figure 0007078128000024
また、指向性欠陥Fdの指向性係数Dc及び欠陥反射率γは、下記式(25)~下記式(29)で表される。
Figure 0007078128000025
Figure 0007078128000026
Figure 0007078128000027
Figure 0007078128000028
Figure 0007078128000029
図7の伝搬経路における予想音圧PF4は、超音波探触子21の送信時の指向性係数D(Ψp3)と、欠陥の反射率γ(x)と、欠陥での反射時の指向性係数D,-Ψ)と、超音波探触子21の受信時の指向性係数D(Ψp3)との積で表される。式(21)~式(29)より、予想音圧PF4は、下記式(30)となる。また、図7の伝搬経路における伝搬時間Tは、線分OMの往復距離を鋼中音速で割ったもので表されるため、下記式(31)となる。なお、超音波探触子21の指向性係数Dは、無指向性欠陥の場合と同一のものである。
Figure 0007078128000030
Figure 0007078128000031
図8~図10の伝搬経路における予想音圧は、図15を用いて算出する。法線S2に対する指向性欠陥Fdの鏡像をFd’、鏡像Fd’の中点の座標をM(X’,Y’)、見かけの超音波探触子21の鏡像を22、原点Oの鏡像をO’、線分OM’の長さをx、線分O’M’の長さをx’、線分OM’と見かけの超音波探触子21の中心軸Cとのなす角をψp4、線分M’Oと鏡像Fd’中心軸とのなす角をψc2、線分M’O’と鏡像Fd’の中心軸とのなす角をψc3、線分M’O’と鏡像22の中心軸とのなす角をψp4’とすると、鏡像Fd’の中点の座標M(X’,Y’)、なす角ψp4及びなす角ψc2は、下記式(32)~下記式(35)で表される。
Figure 0007078128000032
Figure 0007078128000033
Figure 0007078128000034
Figure 0007078128000035
図8及び図9の伝搬経路における予想音圧PF5は、超音波探触子21の送信時の指向性係数D(Ψp4)と、欠陥の反射率γ(x)と、欠陥での反射時の指向性係数Dc2,Ψc3)と、超音波探触子21の受信時の指向性係数D(Ψp4’)との積で表される。式(32)~式(35)より、予想音圧PF5は、下記式(36)となる。また、図8及び図9の伝搬経路における伝搬時間T5は、線分OM’と線分M’O’の合計距離を鋼中音速で割ったもので表されるため、下記式(37)となる。なお、超音波探触子21の指向性係数Dは、無指向性欠陥の場合と同一のものである。
Figure 0007078128000036
Figure 0007078128000037
図10の伝搬経路における予想音圧PF6は、超音波探触子21の送信時の指向性係数D(Ψp4)と、欠陥の反射率γ(x)と、欠陥での反射時の指向性係数Dc2,-Ψc2)と、超音波探触子21の受信時の指向性係数D(Ψp4)との積で表される。そのため、予想音圧PF6は、下記式(38)となる。また、図10の伝搬経路における伝搬時間Tは、線分OM’の往復距離を鋼中音速で割ったもので表されるため、下記式(39)となる。なお、超音波探触子11の指向性係数Dは、無指向性欠陥の場合と同一のものである。
Figure 0007078128000038
Figure 0007078128000039
以上のように、上記式(30)、上記式(31)、上記式(37)~上記式(39)によって得られる、各伝搬経路からの予想音圧及び伝搬時間を用いることにより、丸棒体RBと超音波探触子11の位置関係を変化させながら、指向性欠陥を探傷した際の予想される受信音圧及び伝搬時間を理論的にシミュレートすることができる。また、上記式(13)、上記式(17)、上記式(19)、上記式(30)、上記式(36)及び上記式(38)のいずれにも、超音波探触子21の超音波に対する指向性係数をDpが含まれている。これらの式から分かるように、予想音圧は、超音波探触子21の超音波指向性を考慮して算出されている。
ここで、予想音圧算出ステップS12は、予想音圧を算出する具体的な方法として、
(A)超音波探触子11、欠陥、超音波探触子11の順に伝搬する反射モデル、
(B)超音波探触子11、欠陥、検査材の壁面、超音波探触子11の順に伝搬する反射モデル、
(C)超音波探触子11、検査材の壁面、欠陥、超音波探触子11の順に伝搬する反射モデル、
(D)超音波探触子11、検査材の壁面、欠陥、検査材の壁面、超音波探触子の順に伝搬する反射モデル、
のいずれか1つ以上を用いて、予想音圧を算出することができる。なお、上記(A)~(D)のモデルのうち、2つ以上を用いて予想音圧を算出することがより好ましい。その理由は、経路が異なる複数の予想音圧を用いて比較を行うことで、欠陥の種類の判定、欠陥形状の予測精度が上がるためである。
また、実際には、上記(A)~(D)に示した複数の伝搬経路による反射信号が同時に受信されるため、欠陥信号からは、どの伝搬経路による信号であるかは区別がつかない。本実施形態では、仮想欠陥による予想音圧と実際に測定された欠陥信号から算出した受信音圧とを比較することにより、欠陥の種類や深さ情報を含む欠陥形状を推定することを可能とする。
[欠陥種の判定方法]
次に、本実施形態に係る超音波探傷方法の推定ステップIIIにおいて、欠陥種の判定方法(図2の欠陥種の判定ステップS14)について、図16~図18を参照しながら説明する。本実施形態では、受信された反射信号から抽出されたままの欠陥信号群を用いて欠陥種の判定を行う場合について説明する。
超音波探触子11の位置を変えながら欠陥からの反射信号を受信した時の、欠陥信号群を画像化した例を、図16及び図17に示す。図16(b)及び図17(b)の欠陥信号群の画像は、欠陥信号の振幅強度を輝度に変換したものである。また、図16は、無指向性欠陥の判定方法の例を、図17は指向性欠陥の判定方法の例を、それぞれ模式的に示した図である。
図16(a)は、超音波探触子11から見た無指向性欠陥の位置が、F1、F2、F3の順に移動する例を模式的に示した図である。図16(b)は、図16(a)のように欠陥と超音波探触子との相対位置が変化した際に得られる欠陥信号群に対し、欠陥信号の振幅強度を輝度に変換して画像化したものである。図16(b)中の符号I1、I2、I3は、それぞれ図3~図6に例示した反射経路によって得られる信号を表している。
図4と図5の伝搬経路は異なるが、経路長は同一であるため、欠陥像は2経路の合計I2として得られる。図16(c)は、回転角度Rを、図16(a)及び図16(b)の回転角度R1、R2、R3とした場合における、欠陥信号群の波形の変化を表している。言い換えると、図16(b)における回転角度Rが、R1、R2、R3のそれぞれである場合の、信号強度と受信時間Tとの関係を示している。図16(c)に示す通り、同じ信号であっても、回転角度Rが変わると信号強度の強さも変わる。そして、図16から分かるように、無指向性欠陥の場合には、複数経路での欠陥からの反射信号を確認することができ、図16(b)の画像は欠陥位置や探傷条件等によって変化する。
図17(a)は、超音波探触子11から見た指向性欠陥の位置が、Fd1、Fd2、Fd3の順に移動する例を模式的に示した図である。図17(b)は、図17(a)のように欠陥と超音波探触子との相対位置が変化した際に得られる欠陥信号群に対し、欠陥信号の振幅強度を輝度に変換して画像化したものである。図17(b)中のI’1は、図7~図10のいずれかの反射経路によって得られる信号を表している。
図8と図9の伝搬経路は異なるが、経路長は同一であるため、欠陥像は2経路の合計I’1として得られる。どの伝搬経路によって欠陥像が得られるかは、欠陥形状によって異なり、2つ以上の欠陥像が確認される場合もある。図17(c)は、回転角度Rを図17(a)及び図17(b)のR1、R2、R3とした場合における、欠陥信号群の波形の変化を表している。言い換えると、図17(b)における回転角度Rが、R1、R2、R3それぞれである場合の、信号強度と受信時間Tとの関係を示している。図17(c)に示す通り、同じ信号であっても、回転角度Rが変わると信号強度の強さも変わる。そして、図17から分かるように、指向性欠陥の場合には、単一経路での欠陥からの反射信号を確認することができ、図17(b)の画像は欠陥位置や探傷条件等によって変化する。
図16及び図17に示すように、欠陥との位置関係の変化に伴い、欠陥からの反射信号の受信時間及び信号強度は変化する。また、実際には、例えばカラーマップやグラデーションによって信号強度の強弱が表されるが、図16及び図17では、信号強度の強弱の表示は省略する。
欠陥信号群は、欠陥信号の波形数と時間方向とで定められる特定範囲で切り出された複数の欠陥信号である。それに対して、本ステップS14で算出される受信音圧は、欠陥信号群である特定の時間範囲内での最大値を各波形で計算したものを指している。また、図2の各ステップの関係を整理すると、ステップS13では、信号処理装置18により、欠陥信号群の画像化と記録装置18への保存までを行う。
一方、ステップS14では、信号処理装置19により、図16及び図17に示した領域に細分化し、それに基づいた各領域での受信音圧を算出し、それら受信音圧から欠陥種の判定までを行う。具体的に説明すると、信号処理装置19は、保存された欠陥信号から欠陥信号群を抽出して画像にし、抽出された欠陥信号群に対して、事前にステップS12で設定された領域に分割し(例えば、領域1、領域2及び領域3の3カ所)、分割された各領域(例えば、各波形の特定時間範囲内)で、振幅最大値を受信音圧として算出する。そして、算出された各領域の受信音圧に基づいて、欠陥種の判定を実施する。なお、分割領域は、ステップS12において算出され、ステップS14で事前に設定されることが最も好ましいが、欠陥信号群の輝度分布に従って分割領域を設定してもよい。また、分割数は「3」とするのが最も好ましいが、それ以外に設定してもよい。
「予想音圧の算出方法」にて説明したように、丸棒体RBの表層付近の欠陥は、無指向性欠陥であれば図3~図6の伝搬経路が考えられ、指向性欠陥であれば図7~図10の伝搬経路が考えられる。無指向性の欠陥の場合、上述した(A)~(D)の4種類の伝搬経路からの反射信号が同時に受信される。但し、図4及び図5は伝搬時間が同じであるため、図16(c)に示すように、受信時間が異なる3種類の波形として観測される。一方で、指向性欠陥の場合には、欠陥の反射指向性の影響により、図17(c)に示すように、1種類の伝搬経路からの反射信号が大きくなる。但し、図7~図10のどの伝搬経路からの反射信号が大きくなるかは、欠陥形状に依存する。
本実施形態に係る超音波探傷方法では、上記の特徴を利用して指向性欠陥と無指向性欠陥を弁別する。すなわち、本実施形態に係る超音波探傷方法では、欠陥信号群の中から、欠陥画像領域を設定する。設定される各欠陥画像領域は、前記(A)~(D)のモデルいずれかの反射信号を含み、信号強度が最大となる位置を基準に時間方向と回転角度方向に設定された所定の範囲である。
図18に、欠陥画像領域を設定した例を示す。縦軸は受信時間Tであり、下に行く程、時間が経過していることを示している。一方、横軸は回転角度Rであり、右に行く程、回転位置が増加することを示している。受信音圧の像は、3つの領域に分かれ、上からIF1、IF2、IF3とする。検出最大値Pmaxは、欠陥信号内での振幅最大値の座標を表す。
続いて、設定された欠陥画像領域を、検出最大値を基準とした線分1、線分2、線分3及び線分4により、領域1、領域2及び領域3に分割する。続いて、分割された領域に対して、それぞれ設定された閾値を用いて欠陥の有無を判定する。それぞれの領域の閾値は、実験的及び経験的に決めることができるが、上記の予想音圧の算出結果から定量的に決めることもできる。
そして、3つの領域に信号が存在する場合には無指向性欠陥と判定し、2つ以下の領域に信号が存在する場合には指向性欠陥と判定する。あるいは、2つ以上の領域に信号が存在する場合には無指向性欠陥と判定し、1つの領域に信号が存在する場合には指向性欠陥と判定する。なお、上記の説明では、超音波探触子11により受信された反射信号から抽出されたままの欠陥信号を用いた場合について説明したが、抽出された欠陥信号に対して信号処理、画像処理を施したものを用いる場合もある。
[欠陥形状の推定方法]
次に、本実施形態に係る超音波探傷方法の推定ステップIIIにおいて、欠陥形状を推定する方法(図2の欠陥形状の推定ステップS15)について、説明する。欠陥形状の推定には、算出した予想音圧と伝搬時間の両方を用いるのが望ましいが、予想音圧だけを用いて欠陥形状の推定を行うことも可能である。以下、予想音圧だけを用いた欠陥形状の推定方法について、図19及び図20を参照しながら説明する。
ここで、上述した予想音圧の算出を行い、各反射モデル(図3~図10参照)における予想音圧を算出し、かつ足し合わせたものが、実際に超音波探触子11で受信される欠陥信号からの受信音圧となる。
図19は、特定の欠陥形状を仮定した時に得られた予想音圧E1の算出結果の一例を示している。図19において、縦軸は受信時間Tであり、下に行く程、時間が経過していることを示している。一方、横軸は回転角度Rであり、右に行く程、回転位置が増加していることを示している。予想音圧の像は、1つの領域であり、IE1とする。また、下のグラフは、ステップS14において欠陥信号群から算出した受信音圧の軌跡を表している。また、予想音圧E1は、範囲内の最大予想音圧に対する比率で表される。得られた予想音圧E1からN点の点集合Sを抜き出し、実測の欠陥信号からの受信音圧との比較を行う。回転角度Rの間隔をdx、n番目のプロットを(x,y)とすると、xは下記式(40)で表される。
Figure 0007078128000040
図20は、実際の欠陥信号データから得られた、欠陥と判定された受信音圧E2の一例を示している。図20において、縦軸は受信時間Tであり、下に行く程、時間が経過していることを示している。一方、横軸は回転角度Rであり、右に行く程、回転位置が増加していることを示している。受信音圧の像は、1つの領域であり、IE2とする。また、下のグラフは、欠陥信号群から算出した受信音圧の軌跡を表している。また、受信音圧E2は、範囲内の最大受信音圧に対する比率で表される。得られた受信音圧E2から回転角度間隔dxで抽出したN点の点集合をSとし、Sのn番目のプロットを(x,y’)とし、評価関数Eを下記式(41)のように与える。但し、連続するN点は、Eが最小となるような組み合わせで抽出した欠陥信号から選ぶ。
Figure 0007078128000041
仮想欠陥の形状の設定値を変えて算出された複数の予想音圧に対して、上記式(40)及び上記式(41)による計算を実施し、最もEが小さくなる仮想欠陥の形状の設定値を、欠陥形状の推定値として決定する。指向性欠陥の場合には、仮想欠陥の深さと進展角度を変化させながら複数の予想音圧を算出し、無指向性欠陥の場合には、欠陥の深さ位置と欠陥径を変化させながら複数の予想音圧を算出する。また、予想音圧の絶対値と既知の欠陥形状での受信音圧の実測値とを組み合わせて、欠陥形状の推定を行ってもよい。
また、上記の式(40)及び式(41)による計算を伝搬経路について実施することにより、欠陥形状を推定することも可能である。また、伝搬経路と予想音圧とを組み合わせ、算出値と比較することにより、欠陥形状を推定することも可能である。
以上説明した本実施形態に係る超音波探傷方法及び超音波探傷装置1によれば、超音波探触子11の指向性から算出された予想音圧を用いることにより、検査材内部の欠陥形状を推定することができる。これにより、検査材内部の欠陥が存在する範囲が明確となり、より高品質な製品の製造や歩留まりの向上が可能となる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。
例えば、本発明を鋼材の製造設備を構成する検査装置として適用することができる。具体的には、公知又は既存の鋼材の製造設備によって製造された鋼材の内部を、本発明に係超音波探傷装置1で検査し探傷するようにしてもよい。また、本発明を鋼材の製造方法に含まれる検査ステップとして適用することができる。具体的には、公知又は既存の鋼材の製造ステップにおいて製造された鋼材の内部を、本発明に係る超音波探傷方法で検査し探傷するようにしてもよい。このような鋼材の製造設備及び鋼材の製造方法によれば、鋼材を歩留まりよく製造することができる。
さらに、本発明を鋼材の品質管理方法に適用し、鋼材の内部を検査し探傷することにより鋼材の品質管理を行うようにしてもよい。具体的には、本発明で鋼材の内部を探傷ステップで探傷し、探傷ステップで得られた探傷結果から鋼材の品質管理を行うことができる。探傷ステップでは、鋼材内部の欠陥を探し、欠陥の有無、欠陥位置、欠陥サイズ等についての結果を得る。次に続く品質管理ステップでは、探傷ステップにより得られた、欠陥の有無、欠陥位置、欠陥サイズに関わる結果に基づき、製造された鋼材が予め指定された基準を満たしているかどうか判定し、鋼材の品質を管理する。このような鋼材の品質管理方法によれば、高品質の鋼材を提供することができる。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 超音波探傷装置
11 超音波探触子
12 プローブヘッド
13 架台
14 回転駆動装置
15 パルサ
16 レシーバ
17 A/Dコンバータ
18 記録装置
19 信号処理装置
20 表示装置
21 見かけの超音波探触子
F 無指向性欠陥
Fd 指向性欠陥
RB 丸棒体(検査材)

Claims (7)

  1. 超音波探触子から検査材に超音波信号を送信し、前記検査材の内部で反射した超音波信号を反射信号として前記超音波探触子において受信することによって、前記検査材の内部を検査する超音波探傷方法であって、
    前記検査材と前記超音波探触子との位置を変化させながら、前記反射信号を前記超音波探触子で受信する受信ステップと、
    前記受信ステップで受信された前記反射信号から、前記検査材中の欠陥からの反射である欠陥信号を抽出する抽出ステップと、
    予想音圧と、前記抽出ステップで抽出された前記欠陥信号の強度から得られる受信音圧とから、前記欠陥の形状を推定する欠陥形状の推定ステップと、を含み、
    前記予想音圧は
    前記超音波探触子の超音波指向性から予想される、仮想欠陥による欠陥信号の強度であ
    複数の仮想欠陥について設定される複数の反射モデルにおいて、前記超音波探触子の指向性係数および前記仮想欠陥の反射率に基づいて算出される、
    超音波探傷方法。
  2. 前記欠陥形状の推定ステップは、
    前記受信音圧から前記欠陥の指向性の有無を判定し、
    判定した前記欠陥の指向性の有無に合わせた予想音圧と、前記受信音圧とから欠陥の形状を推定する、
    請求項1に記載の超音波探傷方法。
  3. 前記欠陥形状の推定ステップは、前記予想音圧と前記超音波探触子で受信された各位置関係における前記受信音圧との相関を用いて、前記欠陥の形状及び深さを推定する、
    請求項1又は請求項2に記載の超音波探傷方法。
  4. 超音波探触子から検査材に超音波信号を送信し、前記検査材の内部で反射した超音波信号を反射信号として前記超音波探触子において受信することによって、前記検査材の内部を検査する超音波探傷装置であって、
    前記検査材と前記超音波探触子との位置を変化させながら、前記反射信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段で受信された前記反射信号から、前記検査材中の欠陥からの反射である欠陥信号を抽出する抽出手段と、
    前記超音波探触子の超音波指向性から予想される、仮想欠陥による欠陥信号の強度である予想音圧を、複数の仮想欠陥について設定される複数の反射モデルにおいて、前記超音波探触子の指向性係数および前記仮想欠陥の反射率に基づいて算出する予想音圧算出手段と、
    前記予想音圧と、前記抽出手段で抽出された前記欠陥信号の強度から得られる受信音圧とから、前記欠陥の形状を推定する欠陥形状の推定手段と、
    を備える超音波探傷装置。
  5. 鋼材を製造する製造設備と、
    前記製造設備によって製造された前記鋼材の内部を検査する請求項4に記載の超音波探傷装置と、
    を備える鋼材の製造設備。
  6. 鋼材を製造する製造ステップと、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超音波探傷方法によって、前記製造ステップにおいて製造された鋼材の内部を探傷する探傷ステップと、
    を含む鋼材の製造方法。
  7. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超音波探傷方法によって、鋼材の内部を探傷する探傷ステップと、
    前記探傷ステップによって得られた探傷結果から前記鋼材の品質管理を行う品質管理ステップと、
    を含む鋼材の品質管理方法。
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