JP2002350300A - ガストラップ装置、発生ガス分析装置及び発生ガス分析方法 - Google Patents

ガストラップ装置、発生ガス分析装置及び発生ガス分析方法

Info

Publication number
JP2002350300A
JP2002350300A JP2001161605A JP2001161605A JP2002350300A JP 2002350300 A JP2002350300 A JP 2002350300A JP 2001161605 A JP2001161605 A JP 2001161605A JP 2001161605 A JP2001161605 A JP 2001161605A JP 2002350300 A JP2002350300 A JP 2002350300A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
generated
trap tube
trap
quartz particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001161605A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Kato
秀雄 加藤
Keiichi Fukuda
啓一 福田
Junichi Shimamura
淳一 島村
Mayumi Yoneda
真弓 米田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2001161605A priority Critical patent/JP2002350300A/ja
Publication of JP2002350300A publication Critical patent/JP2002350300A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分析試料を加熱して発生したガスを捕集する
際に、低沸点物質から高沸点物質まで沸点に関わりなく
捕集できかつ吸着剤をトラップ管に詰め易く製造し易い
ガストラップ装置を提供する。また、分析試料を加熱し
て発生したガスを低沸点物質から高沸点物質まで分析で
きる発生ガス分析装置及び発生ガス分析方法を提供す
る。 【解決手段】 このガストラップ装置は、外部から導入
されるガスの入口31aと外部にガスを導出する出口3
1bとを有するトラップ管31と、ガスを捕集するため
にトラップ管の内部に詰め込まれた石英粒子51とを備
える。この石英粒子により発生ガスを低沸点物質から高
沸点物質まで沸点に関わりなく広範囲に効率的に捕集で
きる。石英粒子はトラップ管内に詰め込み易く、その好
ましい粒径は40〜1000μmの範囲である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分析試料を加熱し
て発生したガスを捕集するガストラップ装置、このガス
トラップ装置を用いた発生ガス分析装置及び発生ガス分
析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】試料の分析を行うとき、熱天秤(TG)
での発生ガスをキャリヤーガスとともにダイレクト通路
で質量分析計(MS)に導き、そこで分析するTG−M
Sのダイレクトモード、及び熱天秤(TG)での発生ガ
スをトラップ管で採取し、トラップ管で採取されたガス
をその後、ガスクロマトグラフ(GC)と質量分析計
(MS)で分析するTG−GC/MSのトラップモード
が公知である(実開平7−16140号公報、実開平7
−16145号公報参照)。
【0003】上述のトラップ管にはガス捕集のために吸
着剤(充填剤)が充填されており、かかる吸着剤として
ポリマービーズからなるTENAX(商品名)及びグラ
スウールが知られている((株)島津製作所のTG−GC
/MS取扱説明書参照)。また、同様の吸着剤としてポ
ーラスポリマービーズからなるTENAX TA(商品
名)が公知であり(ジーエルサイエンス(株)のGSS−
238発生ガス捕集器のカタログ参照)、また低分子化
合物を分析対象とする場合はTENAXを使用し、低分
子化合物からより高分子の化合物を分析対象とする場合
はガラスウールを使用することが公知である(日本分析
工業(株)のキューリーポイントパージアンドトラップサ
ンプラのカタログ参照)。
【0004】ところが、本発明者らが第29回熱測定討
論会(1993年10月29日の講演要旨集参照)にお
いて発表したように、TG−GC/MS法では、熱天秤
で発生したガスをトラップ管に集め、再加熱しGCで分
離分析を行う場合、一般に吸着剤として使用される上述
のTENAXで発生ガスをトラップし捕集すると、BG
系シアニン色素の熱分解ガスは高沸点物質を含み、これ
らは検出されない一方、吸着剤・充填剤を使用しない空
のトラップ管でトラップすると高沸点物質は検出され良
好な分析結果が得られるものの低沸点物質が検出し難い
問題があることが判明している。
【0005】また、ガラスウールを吸着剤・充填剤とし
て使用して低沸点物質から高沸点物質まで検出しようと
すると、通常のトラップ管は例えば内径3mmの約26
0mmのU字管であり、かかるU字状の曲線部にグラス
ウールを詰めることは非常に困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な従来技術の問題に鑑み、分析試料を加熱して発生した
ガスを捕集する際に、低沸点物質から高沸点物質まで沸
点に関わりなく捕集できかつ吸着剤をトラップ管に詰め
易く製造し易いガストラップ装置を提供することを目的
とする。また、分析試料を加熱して発生したガスを低沸
点物質から高沸点物質まで分析できる発生ガス分析装置
及び発生ガス分析方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明者らは、鋭意研究の結果、トラップ管の吸着剤
(充填剤)として石英粒子を用いることにより発生した
ガスを低沸点物質から高沸点物質まで沸点に関わりなく
広範囲に効率的に捕集できることを見いだし、本発明に
至ったのである。
【0008】即ち、本発明によるガストラップ装置は、
外部から導入されるガスの入口と外部にガスを導出する
出口とを有するトラップ管と、前記ガスを捕集するため
に前記トラップ管の内部に詰め込まれた石英粒子と、を
備えることを特徴とする。
【0009】このガストラップ装置によれば、トラップ
管に詰め込まれた石英粒子により発生ガスを低沸点物質
から高沸点物質まで沸点に関わりなく広範囲に効率的に
捕集できるとともに、外部にかかる物質を導出できる。
また、トラップ管の内部に粒子状の石英を詰め込むか
ら、ガラスウールのように詰め難いことはなく、詰め込
み易く、ガストラップ装置を生産し易い。
【0010】また、前記石英粒子は粒径が40〜100
0μmの範囲内にあることが好ましく、粒径が40μm
以上であると、ガスが通過し難くなることはなく、また
粒径が1000μm以下であると、比表面積が小さくな
り過ぎず、吸着性能が低下することはない。また、前記
石英粒子の粒径は、上述のガスの通過性及び吸着性能を
考慮すると、80〜150μmの範囲内が更に好まし
い。
【0011】また、前記石英粒子と前記入口との間及び
/又は前記石英粒子と前記出口との間に前記石英粒子を
保持しかつ前記ガスを通す保持材が詰め込まれているこ
とが好ましく、かかる保持材により粒子状の石英がトラ
ップ管から不測にこぼれることを防止できる。なお、ト
ラップ管は発生ガス捕集のときに冷却され、発生ガス導
出のときに加熱されるように構成できる。
【0012】また、本発明による発生ガス分析装置は、
試料を加熱し温度の関数として前記試料の重量変化を測
定する熱重量分析装置と、前記加熱により発生したガス
を導入し捕集するトラップ管と、前記トラップ管からの
ガスについて質量分析を行う質量分析装置と、を備える
発生ガス分析装置において、前記トラップ管は前記発生
ガスを捕集するために内部に詰め込まれた石英粒子を備
え、前記トラップ管内で前記石英粒子に捕集されたガス
が前記質量分析装置に向けて導出されるように構成した
ことを接続することを特徴とする。
【0013】この発生ガス分析装置によれば、熱重量分
析装置で試料の加熱により発生したガスをトラップ管に
導き、トラップ管に詰め込まれた石英粒子により発生ガ
スを低沸点物質から高沸点物質まで沸点に関わりなく効
率的に捕集でき、かかる物質を質量分析装置に向けて導
出できるので、発生ガスを低沸点物質から高沸点物質ま
で広範囲に分析できる。また、トラップ管の内部に粒子
状の石英を詰め込むから、ガラスウールのように詰め難
いことはなく、詰め込み易く、発生ガス分析装置を生産
し易い。
【0014】また、前記質量分析装置は、ガスクロマト
グラフと、質量分析計とを備え、前記捕集されたガスが
前記ガスクロマトグラフに向けて導出されるように構成
できる。また、前記トラップ管は前記石英粒子が内部に
詰め込まれた少なくとも1つの曲線部を有し、前記曲線
部を含んで前記トラップ管が前記発生ガスの捕集のとき
に冷却され、前記質量分析装置への導出のときに加熱さ
れるように構成できる。このようにトラップ管に曲線部
があると冷却も加熱も行い易いが、かかる曲線部に粒子
状の石英を詰め込むことはガラスウール等の場合と比べ
て容易である。
【0015】また、上記トラップ管内の石英粒子は粒径
が40〜1000μmの範囲内にあることが好ましく、
粒径が40μm以上であると、発生ガスが通過し難くな
ることはなく、また粒径が1000μm以下であると、
比表面積が小さくなり過ぎず、吸着性能が低下すること
はない。また、前記石英粒子の粒径は、上述の発生ガス
の通過性及び吸着性能を考慮すると、80〜150μm
の範囲内が更に好ましい。
【0016】また、前記トラップ管に前記石英粒子を保
持しかつ前記ガスを通す保持材が詰め込まれていること
が好ましく、かかる保持材により粒子状の石英がトラッ
プ管から装置内等に不測にこぼれることを防止でき、装
置の組立時やメンテナンス時に効果的である。
【0017】また、本発明による発生ガス分析方法は、
試料を加熱して発生したガスを分析する方法であって、
試料を加熱してガスを発生させるステップと、前記加熱
により発生したガスを内部に石英粒子が詰め込まれたト
ラップ管に導入し前記石英粒子で捕集するステップと、
前記トラップ管内で前記石英粒子に捕集されたガスを前
記トラップ管から導出するステップと、前記トラップ管
から導出されたガスについて質量分析を行うステップ
と、を含むことを特徴とする。
【0018】この発生ガス分析方法によれば、熱重量分
析装置等で試料の加熱により発生したガスをトラップ管
に導き、トラップ管に詰め込まれた石英粒子により発生
ガスを低沸点物質から高沸点物質まで沸点に関わりなく
効率的に捕集でき、しかる後、かかる物質を質量分析装
置等に向けて導出できるので、発生ガスを低沸点物質か
ら高沸点物質まで広範囲に分析できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態に
ついて図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形
態による発生ガス分析装置全体を概念的に示すブロック
図であり、図2は図1の発生ガス分析装置の具体的構成
を示す図であり、図3はガストラップ装置を示す正面図
であり、図4(a),(b),(c)は図1、図2の発
生ガス分析装置の機能を説明するための図である。
【0020】図1に示すように、本実施の形態の発生ガ
ス分析装置は、試料を加熱しながらその重量変化を温度
の関数として熱天秤(TG)により測定する熱重量分析
装置11と、試料を加熱した際に発生するガスを熱重量
分析装置11から導出する接続管15と、熱重量分析装
置11から導入された発生ガスをトラップし捕集するた
めのガストラップ装置12と、ガストラップ装置12で
捕集した発生ガスを導出する接続管16と、ガストラッ
プ装置12から導入された発生ガスの成分を分離するガ
スクロマトグラフ(GC)13と、ガスクロマトグラフ
(GC)13から配管17を通して導入された発生ガス
の各成分の質量分析を行う質量分析計(MS)14とを
備える。これにより、熱天秤(TG)−ガスクロマトグ
ラフ(GC)−質量分析(MS)法(以下、「TG−G
C−MS法」という。)による分析を行うことができ
る。
【0021】また、図1に示すように、本実施の形態の
発生ガス分析装置は熱重量分析装置11と質量分析計
(MS)14とを直接に接続する接続管18(図1の破
線で示す)を備え、発生ガスの流路を接続管18に切り
換えることにより、熱天秤(TG)−質量分析(MS)
法(以下、「TG−MS法」という。)による分析を行
うことができる。
【0022】図1の熱重量分析装置11は、図2に示す
ように、試料を加熱し温度と重量変化とを測定する熱天
秤を構成する反応管21と、反応管21に流すヘリウム
ガス等のキャリアガスの選択と流量調整を行うキャリア
ガス部22と、キャリアガスを流す前に反応管21内の
排気を行う排気部23とを備える。また、熱重量分析装
置11の反応管21の出口と連結された接続管15は切
換弁30のガス入口30aに接続されている。
【0023】また、ガストラップ装置12は内部に石英
粒子が詰め込まれU字状に形成されたトラップ管31を
備え、トラップ管31の入口31aは切換弁30のガス
出口30bに接続され、出口31bは切換弁30のガス
入口30cに接続されている。また、切換弁30の別の
ガス入口30eにはヘリウムガス等のキャリアガスをガ
スクロマトグラフ(GC)13に流すための配管40が
接続されている。
【0024】また、ガスクロマトグラフ(GC)13
は、切換弁30の別のガス出口30dに接続された接続
管16を通してキャリアガスとともに導入される発生ガ
スの各成分を分離するカラム部41を備える。このカラ
ム部41は成分分離時に加熱される場合もある。
【0025】ガスクロマトグラフ(GC)13からの発
生ガスは更に接続管17を通してキャリアガスを除くた
めのセパレータ42を介して質量分析計14に導入され
る。また、切換弁30の別のガス出口30fは接続管1
8及び開閉弁18aを通してセパレータ42に連結され
ている。
【0026】次に、図3によりガストラップ装置のトラ
ップ管について説明する。図3のように、ガストラップ
装置12は、ガス流路が折り返されるようにU字状に形
成されたU字状部31cを有するトラップ管31と、図
2の切換弁30のガス出口30bと連結したトラップ管
31のガス入口31aと、切換弁30のガス入口30c
と連結したトラップ管31のガス出口31bと、トラッ
プ管31のU字状部31c及び直線部31dに詰め込ま
れた多数の石英粒子51と、ガス入口31a及びガス出
口31bから挿入されて多数の石英粒子51の端近傍に
位置し石英粒子51をトラップ管31内に保持する保持
材52a、52bとを備えている。保持材52a、52
bはガラスウールや石英ウールからなりガスを通す。石
英粒子51はその粒径が40〜1000μmの範囲内に
ある。
【0027】トラップ管31は、出入り口側組立部材3
3a、33bと組立部材34とによりガストラップ装置
12内の支持部材32に組み付けられ支持される。ま
た、ガストラップ装置12は、U字状部31c及び直線
部31dを反応管21からの発生ガス導入時に冷却して
発生ガスを捕集し、また、発生ガス導出時に加熱するよ
うになっている。
【0028】図3の破線で示すように、例えば、トラッ
プ管の冷却時には、液体窒素により冷却された冷却用容
器42が図の上方に移動し、トラップ管31のU字状部
31c及び直線部31dの一部が冷却用容器42で所定
の温度に冷却されるようになっている。また、トラップ
管の加熱時には冷却用容器42が図の下方に移動して退
避し、代わりに、ヒータを含む加熱用容器(図示省略)
が移動しU字状部31c及び直線部31dを所定の温度
に加熱するようになっている。なお、トラップ管31は
直線部31dが鉛直方向になるように縦方向に配置して
よく、また水平方向になるように横方向に配置してもよ
い。
【0029】上述のように、トラップ管31に詰め込ま
れる吸着剤は粒子状であるので、ガラスウール等と比べ
てU字状部にも詰め込み易く、トラップ管の製造が容易
となる。また、トラップ管31にガス流路を折り返して
石英粒子51を詰め込むU字状部31cを設けたので、
冷却の際はU字状部31cを中心に冷却するだけでよ
く、また、加熱の際はU字状部31cを中心に加熱すれ
ばよいので、トラップ管31の冷却及び加熱を簡単に行
うことができる。また、石英粒子51は、粒径が40〜
1000μmの範囲内にあるため、発生ガスの通過性及
び吸着性能の両方を満足することができる。
【0030】また、図1,図2の発生ガス分析装置は、
切換弁30、開閉弁18a等を制御し、切換弁30のガ
ス出入口30a〜30fや開閉弁18aを開閉してガス
トラップ装置12によりトラップモードとした、熱重量
分析装置11とガストラップ装置12とガスクロマトグ
ラフ13と質量分析計14とによるTG−GC−MSモ
ードと、熱重量分析装置11と質量分析計14とによる
TG−MSダイレクトモードとにそれぞれ切り換えるこ
とができるようになっている。
【0031】上述のような図1〜図3に示した発生ガス
分析装置のTG−GC−MS法による動作について図4
を参照しながら説明する。
【0032】まず、熱重量分析装置11において試料を
反応管21内にセットし排気部23で所定の圧力まで減
圧してからキャリアガス部22からヘリウムガスを流し
ながら、反応管21内で試料を加熱すると、図4(a)
に示すように、試料の重量は低下し始める。そして、試
料の加熱に伴い重量が低下し加熱温度が温度T1に達す
ると、ガスAを発生する。更に温度が上昇し、重量が低
下し温度T2に達するとガスB,Cを発生し、温度T3
に達するとガスDを発生する。このようにして、試料の
加熱の際の重量変化を温度の関数として測定することに
より、試料に含まれる低沸点物質Aから高沸点物質Dま
での熱重量分析を行う。
【0033】次に、上述のような熱重量分析の間に切換
弁30のガス入口30a、ガス出口30b、ガス入口3
1cを開き、図2の接続管15及び切換弁30を通して
ガストラップ装置12のガス入口31aから発生ガスA
〜Dを含むガスをトラップ管31内に導入する。このと
き、トラップ管31のU字状部31c及び直線部31d
の一部が冷却用容器42内で冷却されており、発生ガス
A〜Dはトラップ管31内で凝縮され液相になり、トラ
ップ管31内の多数の石英粒子51に吸着してトラップ
される。このようにして、発生ガスA〜Dが凝縮されて
石英粒子51により吸着され捕集される(トラップモー
ド)。
【0034】次に、切換弁30のガス入口30d、30
fを開き、トラップ管31のU字状部31c及び直線部
31dをヒータを含む加熱用容器(図示省略)で加熱す
ると、凝縮して石英粒子51に吸着している発生ガスA
〜Dが蒸発して気相に変化し石英粒子から分離し、ガス
出口31bから切換弁30及び接続管16を通して接続
管40からのキャリアガス(ヘリウムガス)とともにガ
スクロマトグラフ13のカラム部41に向けて導出す
る。
【0035】そして、ガスクロマトグラフ13にキャリ
アガスとともに導入された発生ガスA〜Dについてカラ
ム部41で各成分を分離し、各成分を接続管17及びセ
パレータ42を通して導出し質量分析計14において各
成分につき質量分析を行う(TG−GC−MSモー
ド)。これにより、図4(b)のような保持時間と各成
分A〜Dの強度(ガス量)との応答曲線(クロマトグラ
ム)を得る。なお、保持時間とはガスクロマトグラフ1
3のカラム部41に発生ガスが導入されてから各成分A
〜Dのピークが検出されるまでの時間である。
【0036】以上のようにして、図1〜図3の発生ガス
分析装置によれば、TG−GC−MS法で発生ガスの分
析を行うことができるが、このとき、熱重量分析装置1
1からの発生ガスA〜Dをガストラップ装置12のトラ
ップ管31内の石英粒子51により効率的に捕集でき、
加熱時にガスクロマトグラフ13に向けて効率的に導出
できるので、試料について低沸点物質Aから高沸点物質
Dまで広範囲に分析することができる。
【0037】また、図2において、熱重量分析装置11
からの発生ガスA〜Dを切換弁30のガス出口30f、
接続管18及び開閉弁18aを通して直接に質量分析計
14に導出するTG−MSダイレクトモードに切り換
え、TG−MS法により図4(c)のような加熱温度と
各成分A〜Dの強度(ガス量)との曲線を得ることで発
生ガスの分析を行うことができる。
【0038】
【実施例】次に、図1〜図3に示す発生ガス分析装置に
よりTG−GC−MS法で試料の分析を行った実施例を
説明する。
【0039】最初に、ガストラップ装置12に用いたト
ラップ管31について説明する。図3のようなU字状の
トラップ管31内に、#100〜#180メッシュサイ
ズ(粒径150μm以下80μm以上に対応する)の石
英粒子の一種である水晶粒子(信和化工(株)のShima1it
e Q(水晶粒担体))を多数詰め込み、その後、石英粒子
がこぼれないように石英粒子の支持材として石英ウール
を少量詰めた。石英粒子は粒子状であるので容易に詰め
ることができ、また、石英ウールも直線部に詰めるだけ
であるので、棒等を用いて容易に詰めることができた。
【0040】図5に、本実施例で用いた石英粒子につい
て二次電子像及び反射電子像による走査電子顕微鏡写真
を高倍率と低倍率でそれぞれ示す。図5の走査電子顕微
鏡写真から分かるように、本実施例で用いた石英粒子は
粒子形状が角張った主に四角形状等の多角形状に形成さ
れ、その表面に孔が殆ど見られず、多孔性(ポーラス)
の粒子でない。
【0041】次に、実施例としてフタル酸エステル系可
塑剤を混合したアクリル系樹脂を分析対象の試料として
TG−GC−MS法により次の条件で分析を行った。
【0042】測定条件 ・TG 雰囲気:不活性ガスHe(50ml/min)、
接続管温度:250℃ 温度範囲:室温〜800℃(20℃/min) ・トラップ管 温度−60℃(冷却時)、300℃(加
熱時) ・GC カラム:無極性メガボアカラムDB−1(30m*
0.53mm i.dl.5μm)、 キャリヤー(Heガス):10ml/min カラム温度:40〜300℃(10℃/min)、注入口
温度:300℃ ・MS EI法イオン化電圧:70eV、イオン源温
度:250℃、 測定質量範囲:m/z=33〜500
【0043】また、比較例1として図3と同じ形状のト
ラップ管内に、従来の吸着剤であるTENAX(商品
名)を詰め込んだ分析装置により実施例と同一の試料及
び同一の条件でTG−GC−MS法により分析を行っ
た。更に、比較例2として図3と同じ形状のトラップ管
内に何も詰め込まず空にした分析装置により実施例と同
一の試料及び同一の条件でTG−GC−MS法により分
析を行った。
【0044】図6に実施例における試料(フタル酸エス
テル系可塑剤を混合したアクリル系樹脂)の発生ガス化
合物についてのクロマトグラムを示す。図6における各
ピークa〜fは質量分析計(MS)のライブラリサーチ
で次の各成分に対応することが判明した。
【0045】 ピーク 発生ガス化合物成分 沸点(℃) a メタクリル酸エチル(MMA) 101 b スチレン(ST) 145 c アクリル酸ブチル(BA) 145 d 無水フタル酸 284 e 安息香酸フェニルメチル 316 f フタル酸-n-ブチルベンジル(BBP) 370
【0046】一方、比較例1(吸着剤:TENAX)の
場合、図7のクロマトグラムのように高沸点成分(図6
のピークf)を検出することができなかった。また、比
較例2(吸着剤なし)の場合、図8のクロマトグラムの
ように低沸点成分(図6のピークa,b,c)を検出す
ることができなかった。
【0047】以上のように、本実施例によれば、ピーク
a〜fの低沸点成分から高沸点成分まで広範囲に検出で
き、有機材料を含む材料の分析に適する。
【0048】また、本発明者らの更なる調査・実験によ
れば、吸着剤として石英粒子を詰め込んだトラップ管を
用いることにより、低沸点物質(60〜120℃)、中
沸点物質(120〜200℃)、高沸点物質(200〜
370℃)までの広範囲の物質を検出できることが判明
した。これに対し、トラップ管に吸着剤としてTENA
X(商品名)を使用した場合には高沸点物質を検出でき
ず吸着剤を使用しない場合には低沸点物質を検出できな
い傾向にあった。
【0049】なお、本明細書において、「石英」とは二
酸化ケイ素の三方晶系(α石英)の結晶のことである。
この石英の透明な結晶である水晶は、一般に不純物が少
なく、本発明を実施する上で好ましい。また、石英粒子
の粒径は対応するメッシュサイズから得ることができ
る。また、シリカゲル(SiO・nHO)は多孔性
であり、石英には含まない。
【0050】以上のように本発明を実施の形態及び実施
例により説明したが、本発明はこれらに限定されるもの
ではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が
可能である。例えば、トラップ管のU字状部は、この形
状に限定されず、円形状等の他の曲線形状を有していて
もよい。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、分析試料を加熱して発
生したガスを捕集する際に低沸点物質から高沸点物質ま
で沸点に関わりなく捕集できかつ吸着剤をトラップ管に
詰め易く製造し易いガストラップ装置を提供できる。
【0052】また、分析試料を加熱して発生したガスを
低沸点物質から高沸点物質まで分析できる発生ガス分析
装置及び発生ガス分析方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による発生ガス分析装置全
体を概念的に示すブロック図である。
【図2】図1の発生ガス分析装置の具体的構成を示す図
である。
【図3】図2に示すガストラップ装置の正面図である。
【図4】図1、図2の発生ガス分析装置の機能を説明す
るための図であり、図4(a)は熱重量分析(TG)に
おいて試料の加熱の際の重量変化を温度の関数として測
定した結果を概略的に示す図であり、図4(b)は保持
時間と熱重量分析(TG)で発生した各成分A〜Dの強
度(ガス量)との応答曲線(クロマトグラム)を概略的
に示す図であり、図4(c)はTG−MS法による加熱
温度と各成分A〜Dの強度(ガス量)との曲線を概略的
に示す図である。
【図5】本実施例で用いた石英粒子についての走査電子
顕微鏡写真(二次電子像及び反射電子像)を高倍率と低
倍率で示す図である。
【図6】本実施例における試料(フタル酸エステル系可
塑剤を混合したアクリル系樹脂)の発生ガス化合物につ
いてのクロマトグラムを示す図である。
【図7】比較例1に関するクロマトグラムを示す図であ
る。
【図8】比較例2に関するクロマトグラムを示す図であ
る。
【符号の説明】
11 熱重量分析装置 12 ガストラップ装置 13 ガスクロマトグラフ 14 質量分析計 31 トラップ管 31a トラップ管31のガス入口 31b トラップ管31のガス出口 31c トラップ管31のU字状部(曲線
部) 31d トラップ管31の直線部 51 石英粒子 52a,52b 保持材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/62 G01N 27/62 F (72)発明者 島村 淳一 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 米田 真弓 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 2G040 AA02 AB05 AB11 AB12 BA23 CA05 CA16 EB02 EC09 ZA02 ZA03 2G052 AA18 AB12 AC11 AD02 AD22 AD42 BA03 BA21 CA04 CA14 CA35 DA09 EB11 EB13 ED07 ED10 GA20 GA24 GA27 HC02 HC09 HC39 JA09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部から導入されるガスの入口と外部に
    ガスを導出する出口とを有するトラップ管と、前記ガス
    を捕集するために前記トラップ管の内部に詰め込まれた
    石英粒子と、を備えることを特徴とするガストラップ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記石英粒子は粒径が40〜1000μ
    mの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のガ
    ストラップ装置。
  3. 【請求項3】 前記石英粒子と前記入口との間及び/又
    は前記石英粒子と前記出口との間に前記石英粒子を保持
    しかつ前記ガスを通す保持材が詰め込まれていることを
    特徴とする請求項1または2に記載のガストラップ装
    置。
  4. 【請求項4】 試料を加熱し温度の関数として前記試料
    の重量変化を測定する熱重量分析装置と、前記加熱によ
    り発生したガスを導入し捕集するトラップ管と、前記ト
    ラップ管からのガスについて質量分析を行う質量分析装
    置と、を備える発生ガス分析装置において、 前記トラップ管は前記発生ガスを捕集するために内部に
    詰め込まれた石英粒子を備え、 前記トラップ管内で前記石英粒子に捕集されたガスが前
    記質量分析装置に向けて導出されるように構成したこと
    を特徴とする発生ガス分析装置。
  5. 【請求項5】 前記質量分析装置は、ガスクロマトグラ
    フと、質量分析計とを備え、前記捕集されたガスが前記
    ガスクロマトグラフに向けて導出されることを特徴とす
    る請求項4に記載の発生ガス分析装置。
  6. 【請求項6】 前記トラップ管は前記石英粒子が内部に
    詰め込まれた少なくとも1つの曲線部を有し、前記曲線
    部を含んで前記トラップ管が前記発生ガスの捕集のとき
    に冷却され、前記質量分析装置への導出のときに加熱さ
    れることを特徴とする請求項4または5に記載の発生ガ
    ス分析装置。
  7. 【請求項7】 前記石英粒子は粒径が40〜1000μ
    mの範囲内にあることを特徴とする請求項4,5または
    6に記載の発生ガス分析装置。
  8. 【請求項8】 前記トラップ管に前記石英粒子を保持し
    かつ前記ガスを通す保持材が詰め込まれていることを特
    徴とする請求項4,5,6または7に記載の発生ガス分
    析装置。
  9. 【請求項9】 試料を加熱して発生したガスを分析する
    方法であって、 試料を加熱してガスを発生させるステップと、 前記加熱により発生したガスを内部に石英粒子が詰め込
    まれたトラップ管に導入し前記石英粒子で捕集するステ
    ップと、 前記トラップ管内で前記石英粒子に捕集されたガスを前
    記トラップ管から導出するステップと、 前記トラップ管から導出されたガスについて分析を行う
    ステップと、を含むことを特徴とする発生ガス分析方
    法。
JP2001161605A 2001-05-30 2001-05-30 ガストラップ装置、発生ガス分析装置及び発生ガス分析方法 Pending JP2002350300A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001161605A JP2002350300A (ja) 2001-05-30 2001-05-30 ガストラップ装置、発生ガス分析装置及び発生ガス分析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001161605A JP2002350300A (ja) 2001-05-30 2001-05-30 ガストラップ装置、発生ガス分析装置及び発生ガス分析方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002350300A true JP2002350300A (ja) 2002-12-04

Family

ID=19004857

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001161605A Pending JP2002350300A (ja) 2001-05-30 2001-05-30 ガストラップ装置、発生ガス分析装置及び発生ガス分析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002350300A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009069053A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Polyplastics Co 発生ガス分析用試料、発生ガス分析方法ならびにガス発生挙動解析方法
JP2017102100A (ja) * 2015-11-20 2017-06-08 株式会社日立ハイテクサイエンス 発生ガス分析方法及び発生ガス分析装置
CN113358805A (zh) * 2020-03-05 2021-09-07 株式会社岛津制作所 复合分析装置以及分析方法
CN113358805B (zh) * 2020-03-05 2024-06-07 株式会社岛津制作所 复合分析装置以及分析方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009069053A (ja) * 2007-09-14 2009-04-02 Polyplastics Co 発生ガス分析用試料、発生ガス分析方法ならびにガス発生挙動解析方法
JP2017102100A (ja) * 2015-11-20 2017-06-08 株式会社日立ハイテクサイエンス 発生ガス分析方法及び発生ガス分析装置
CN113358805A (zh) * 2020-03-05 2021-09-07 株式会社岛津制作所 复合分析装置以及分析方法
JP2021139752A (ja) * 2020-03-05 2021-09-16 株式会社島津製作所 複合分析装置および分析方法
JP7400549B2 (ja) 2020-03-05 2023-12-19 株式会社島津製作所 複合分析装置および分析方法
CN113358805B (zh) * 2020-03-05 2024-06-07 株式会社岛津制作所 复合分析装置以及分析方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10429348B2 (en) Detection apparatus and detection method
JP6862535B2 (ja) ガスクロマトグラフィ(gc)及びガスクロマトグラフィ質量分析法(gcms)の感度を高めるための多重毛管カラム予備濃縮システム
JP5705421B2 (ja) 質量分光分析におけるサンプル導入のための開放型プローブ方法および装置
US7882754B2 (en) Gas component collector, gas component collecting device, filter producing method, and gas component analyzing apparatus
JP6799087B2 (ja) 真空支援試料抽出装置及び方法
JP2006516717A5 (ja)
WO2012056376A1 (en) Analysis of molecular contamination in vacuum environments
JP2002350300A (ja) ガストラップ装置、発生ガス分析装置及び発生ガス分析方法
JP3506599B2 (ja) 分析方法
US20210318272A1 (en) Carbide-derived carbon for solid-phase micro extraction media
JP4064349B2 (ja) サンプルの固体支持体から液体中への移動
CN104677976B (zh) 粉末状磁性吸附剂与常压质谱源的联用分析方法
CA2320445A1 (en) A valveless gas chromatographic system with pulsed injection and temperature programmed elution
JP2003254954A (ja) 試料採取器
US20180252619A1 (en) Environmental sampling apparatuses, systems, and related methods
US20230078593A1 (en) Cold trap enhanced input into low-cost analyzer
JP2003315219A (ja) 揮発性物質の放散速度スクリーニング装置
RU2697572C1 (ru) Устройство ввода пробы в анализатор состава
JP2004184253A (ja) 有機材料の有機揮発物測定方法
KR20200059346A (ko) 질병 진단을 위한 날숨 포집 및 탈착기, 및 그를 이용한 날숨 포집 및 탈착 방법
Zhu et al. Micro-Fabricated Pre-Concentrator Filled with Single-Walled Carbon Nanotubes as Adsorbent Material
JPH0989862A (ja) 分取用ガスクロマトグラフ
JP2003322594A (ja) 液体状もしくは固体試料中の揮発性化合物の分析法
JP2015059770A (ja) 環境大気中の揮発性有機化合物の測定方法
JP2015059771A (ja) 環境大気中の揮発性塩素化炭化水素の測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041101

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20041117

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050111

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050302