JP2002349565A - 磁気軸受装置における回転体の目標浮上位置設定方法 - Google Patents

磁気軸受装置における回転体の目標浮上位置設定方法

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JP2002349565A JP2001158312A JP2001158312A JP2002349565A JP 2002349565 A JP2002349565 A JP 2002349565A JP 2001158312 A JP2001158312 A JP 2001158312A JP 2001158312 A JP2001158312 A JP 2001158312A JP 2002349565 A JP2002349565 A JP 2002349565A
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axis
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Manabu Taniguchi
学 谷口
Atsushi Kubo
厚 久保
Hirotomo Kamiyama
拓知 上山
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Koyo Seiko Co Ltd
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    • F16C2231/00Running-in; Initial operation

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転体の重量による摩擦抵抗の影響を受けず
に、正確に目標浮上位置の設定ができる方法を提供す
る。 【解決手段】 複数対の電磁石26a,26b,27a,27b,27c,27
d,28a,28b,28c,28dにより回転体5がアキシアル制御軸方
向および2つのラジアル制御軸方向に非接触支持されて
磁気浮上させられ、保護軸受11,12により回転体5の3つ
の制御軸方向の可動範囲が規制されている磁気軸受装置
において、回転体5の目標浮上位置を設定する。最初
に、鉛直方向に最も近い制御軸方向の目標浮上位置を求
めて、回転体5を該制御軸方向の目標浮上位置に磁気浮
上させ、次に、残りの2つのうちの一方の制御軸方向の
目標浮上位置を求めて、回転体5を該制御軸方向に磁気
浮上させ、最後に、残りの制御軸方向の目標浮上位置を
求めて、回転体5を該制御軸方向の目標浮上位置に磁気
浮上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気軸受装置に
おける回転体の目標浮上位置設定方法、さらに詳しく
は、複数組の磁気軸受で回転体を互いに直交するアキシ
アル制御軸方向および2つのラジアル制御軸方向に非接
触支持して磁気浮上させる磁気軸受装置において、最初
に運転を開始するときなどに、回転体の目標浮上位置を
設定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の磁気軸受装置として、5つの制
御軸(アキシアル方向の制御軸およびアキシアル方向の
2箇所の各々における2つのラジアル方向の制御軸)を
有する5軸制御型磁気軸受装置が知られている。
【0003】5軸制御型磁気軸受装置は、回転体をアキ
シアル制御軸方向に非接触支持するアキシアル磁気軸
受、回転体をアキシアル方向の2箇所においてそれぞれ
互いに直交する2つのラジアル制御軸方向に非接触支持
する2組のラジアル磁気軸受、ならびに回転体のアキシ
アル方向およびラジアル方向の可動範囲を機械的に規制
する機械的規制手段としての保護軸受(タッチダウン軸
受)を備えている。アキシアル磁気軸受は、回転体をア
キシアル制御軸方向の両側から挟むように配置されて回
転体を磁気吸引する1対の電磁石を備えている。各ラジ
アル磁気軸受は、2つの各ラジアル制御軸方向の各々に
ついて、回転体を該制御軸方向の両側から挟むように配
置されて回転体を磁気吸引する1対の電磁石を備えてい
る。また、磁気軸受装置は、5つの制御軸の各々につい
て、回転体の該制御軸方向の位置を検出する位置検出手
段としての位置検出装置、および位置検出装置による位
置の検出結果に基づいて該制御軸の1対の電磁石を制御
する電磁石制御手段としての電磁石制御装置を備えてい
る。アキシアル制御軸方向の位置検出装置は、回転体の
位置検出端面にアキシアル制御軸方向の一方から対向す
る1個のアキシアル位置センサを備えている。各ラジア
ル制御軸方向の位置検出装置は、回転体を該制御軸方向
の両側から挟んで対向する1対のラジアル位置センサを
備えている。電磁石制御装置は、比例動作部、微分動作
部および積分動作部を備えている。
【0004】この明細書において、アキシアル制御軸を
Z軸、ラジアル制御軸の一方をX軸、他方をY軸とす
る。
【0005】上記のような磁気軸受装置には、Z軸が鉛
直に配置されるいわゆる縦置き型のものと、Z軸が水平
に配置されるいわゆる横置き型のものとがある。縦置き
型の場合、当然、X軸およびY軸は水平に配置される。
横置き型の場合、通常、X軸とY軸の一方が鉛直に、他
方が水平に配置される。
【0006】また、上記のような磁気軸受装置では、た
とえば最初に運転を開始する際などに、各制御軸方向に
ついて、電磁石制御装置における回転体の位置制御の目
標値となる目標浮上位置の設定が行われる。
【0007】目標浮上位置は、保護軸受による可動範囲
に対する機械的中心位置、磁気軸受の電磁石の位置に対
する磁気的中心位置、あるいは位置センサの位置に対す
る対センサ中心位置のいずれかに設定される。各制御軸
方向の機械的中心位置は、保護軸受により規制される可
動範囲の中心の位置である。各制御軸方向の磁気的中心
位置は、該制御軸方向に対をなす2個の電磁石の中心の
位置である。アキシアル制御軸方向の対センサ中心位置
は、回転体の位置検出端面とアキシアル位置センサとの
ギャップ(空隙)の大きさがあらかじめ設定された所定
値になるような位置である。また、各ラジアル制御軸方
向の対センサ中心位置は、該制御軸方向に対をなす2個
のラジアル位置センサの中心の位置である。磁気軸受装
置は、機械的中心位置、磁気的中心位置および対センサ
中心位置が全て一致するように設計されるが、実際に
は、製作誤差や組立誤差のためにこれらの間にわずかな
誤差が生じることがある。
【0008】目標浮上位置の設定は、縦置き型および横
置き型のいずれの場合も、ラジアル制御軸の一方、同他
方およびアキシアル制御軸の順に行われ、ラジアル制御
軸の1番目の制御軸についての設定を行うときはもちろ
ん、ラジアル制御軸の2番目の制御軸およびアキシアル
制御軸についての設定を行うときも、回転体を磁気浮上
させずに、保護軸受で機械的に支持した状態で行われ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ある制御軸について目
標浮上位置の設定を行うとき、その制御軸の電磁石によ
り回転体を磁気吸引する動作を行う。
【0010】ところが、上記の従来の磁気軸受装置で
は、各制御軸についての目標浮上位置の設定を行うとき
に、回転体を磁気浮上させずに、保護軸受で機械的に支
持しているので、水平な制御軸についての設定を行うと
きに、回転体の重量による摩擦抵抗があるため、回転体
を正確に吸引することができず、目標浮上位置の設定が
正確に行えないという問題がある。たとえば、縦置き型
の磁気軸受装置の場合、磁気軸受を保護軸受で支持した
状態で、水平方向のX軸およびY軸についての設定を行
うが、このとき、回転体はZ軸方向に磁気浮上されてい
ないので、回転体をX軸方向あるいはY軸方向に磁気吸
引するときの摩擦抵抗が大きく、回転体を正確に吸引で
きないことがある。横置き型の磁気軸受装置の場合に、
X軸およびY軸のうちの水平方向の制御軸ならびにZ軸
についての設定を行うときにも同様の問題がある。
【0011】この発明の目的は、上記の問題を解決し、
回転体の重量による摩擦抵抗の影響を受けずに、正確に
目標浮上位置の設定ができる方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段および発明の効果】この発
明による方法は、複数対の電磁石により回転体が互いに
直交するアキシアル制御軸方向および2つのラジアル制
御軸方向に非接触支持されて磁気浮上させられ、機械的
規制手段により回転体の上記3つの制御軸方向の可動範
囲が規制されている磁気軸受装置において、回転体の目
標浮上位置を設定する方法であって、最初に、鉛直方向
に最も近い制御軸方向の目標浮上位置を求めて、回転体
を該制御軸方向の目標浮上位置に磁気浮上させ、次に、
残りの2つのうちの一方の制御軸方向の目標浮上位置を
求めて、回転体を該制御軸方向に磁気浮上させ、最後
に、残りの制御軸方向の目標浮上位置を求めて、回転体
を該制御軸方向の目標浮上位置に磁気浮上させることを
特徴とするものである。
【0013】最初に、鉛直方向に最も近い制御軸方向の
目標浮上位置を求めるので、回転体をこの制御軸方向に
磁気吸引するときに、回転体の重量による摩擦抵抗はほ
とんど作用しない。したがって、回転体をその制御軸方
向に正確に磁気吸引することができ、その制御軸につい
ての目標浮上位置を正確に求めることができる。また、
2番目あるいは3番目の制御軸について目標浮上位置を
求めるときには、既に目標浮上位置を求めた1つあるい
は2つの制御軸について回転体を磁気浮上させた状態で
回転体を磁気吸引するので、回転体の重量による摩擦抵
抗は作用しない。したがって、残りの2つの制御軸につ
いても、目標浮上位置を正確に求めることができる。
【0014】したがって、この発明の方法によれば、回
転体の重量による摩擦抵抗の影響を受けずに、正確に目
標浮上位置の設定を行うことができる。
【0015】たとえば、最初の制御軸方向の目標浮上位
置を求めるときに、回転体を他の2つの制御軸方向の仮
浮上位置に磁気浮上させ、次の制御軸方向の目標浮上位
置を求めるときに、回転体を最初の制御軸方向の目標浮
上位置および最後の制御軸方向の仮浮上位置に磁気浮上
させ、最後の制御軸方向の目標浮上位置を求めるとき
に、回転体を他の2つの制御軸方向の目標浮上位置に磁
気浮上させる。
【0016】このようにすれば、各制御軸方向の目標浮
上位置を求めるときに、回転体が他の2つの制御軸方向
に磁気浮上されているので、回転体の重量による摩擦抵
抗が全く作用しない。
【0017】縦置き型の磁気軸受装置の場合、最初に、
Z軸方向の目標浮上位置を求め、次に、回転体をZ軸方
向に磁気浮上させた状態で、X軸(あるいはY軸)方向
の目標浮上位置を求め、最後に、回転体をZ軸方向およ
びX軸(あるいはY軸)方向に磁気浮上させた状態で、
Y軸(あるいはX軸)方向の目標浮上位置を求める。最
初にZ軸方向の目標浮上位置を求めるとき、回転体は機
械的規制手段により支持されており、回転体と機械的規
制手段との間のZ軸方向の接触力は大きいが、X軸およ
びY軸方向の接触力は小さい。このため、最初に回転体
をZ軸方向に磁気吸引するときに、摩擦抵抗はほとんど
作用しない。次に、回転体をX軸(あるいはY軸)方向
に磁気吸引するときには、回転体はZ軸方向に磁気浮上
されているので、摩擦抵抗はほとんど作用しない。最後
に、回転体をY軸(あるいはX軸)方向に磁気吸引する
ときには、回転体はZ軸およびX軸(あるいはY軸)方
向に磁気浮上されているので、摩擦抵抗は全く作用しな
い。なお、最初に回転体をZ軸方向に磁気吸引すると
き、回転体と機械的規制手段との間にはX軸方向および
Y軸方向にも小さい接触力が作用しているので、摩擦抵
抗は0ではない。このとき、回転体をX軸方向およびY
軸方向の適宜な位置に仮に磁気浮上させた状態で、回転
体をZ軸方向に磁気吸引するようにすると、摩擦抵抗を
0にすることができる。そうした場合も、Z軸方向の目
標浮上位置を求めた後に、X軸およびY軸方向の目標浮
上位置を求める。
【0018】X軸が鉛直に配置されている横置き型の磁
気軸受装置の場合、最初に、X軸方向の目標浮上位置を
求め、次に、回転体をX軸方向に磁気浮上させた状態
で、Y軸方向の目標浮上位置を求め、最後に、回転体を
X軸方向およびY軸方向に磁気浮上させた状態で、Z軸
方向の目標浮上位置を求める。最初にX軸方向の目標浮
上位置を求めるとき、回転体は機械的規制手段により支
持されており、回転体と機械的記載手段との間のX軸方
向の接触力は大きいが、Y軸およびZ軸方向の接触力は
ほとんど0である。このため、最初に回転体をX軸方向
に磁気吸引するときに、摩擦抵抗はほとんど作用しな
い。次に、回転体をY軸方向に磁気吸引するときには、
回転体はX軸方向に磁気浮上されているので、摩擦抵抗
はほとんど作用しない。最後に、回転体をZ軸方向に磁
気吸引するときには、回転体はX軸およびY軸方向に磁
気浮上されているので、摩擦抵抗は全く作用しない。こ
の場合も、最初に回転体をX軸方向に磁気吸引するとき
に、回転体をY軸方向およびZ軸方向の適宜な位置に仮
に磁気浮上させるようにしてもよい。
【0019】Y軸が鉛直に配置されている横置き型の磁
気軸受装置の場合は、上記同様、Y軸、X軸およびZ軸
の順に、目標浮上位置を求める。
【0020】X軸およびY軸が斜めに配置されている横
置き型の磁気軸受装置の場合、最初に、X軸とY軸のう
ちの鉛直方向に近い方の目標浮上位置を求め、次に他方
の目標浮上位置を求める。X軸とY軸の傾斜が等しい場
合は、最初にいずれか一方の目標浮上位置を求め、次
に、他方の目標浮上位置を求める。
【0021】目標浮上位置は、たとえば、機械的中心位
置である。
【0022】その場合、たとえば、磁気軸受装置は、複
数対の電磁石の磁気吸引力により回転体が互いに直交す
るアキシアル制御軸方向および2つのラジアル制御軸方
向に非接触支持されて磁気浮上させられ、機械的規制手
段により回転体の上記3つの制御軸方向の可動範囲が規
制されている磁気軸受装置であって、上記3つの各制御
軸について、回転体を該制御軸方向の両側から挟むよう
に配置された1対の電磁石、回転体の該制御軸方向の位
置を検出する位置検出手段、および位置検出手段による
位置の検出結果に基づいて電磁石を制御する少なくとも
積分動作部を有する電磁石制御手段を備えており、電磁
石制御手段が、回転体を機械的規制手段により規制され
る該制御軸方向の一方の極限位置の近傍に磁気浮上させ
たときの積分動作部の出力である積分出力と回転体を該
制御軸方向の他方の極限位置の近傍に磁気浮上させたと
きの同積分出力との中央値に対応する回転体の位置を回
転体の該制御軸方向の目標浮上位置として設定する目標
浮上位置設定手段を備えている。
【0023】各制御軸について、通常、1対の電磁石に
は同じ特性のものが使用され、各電磁石に、電磁石制御
手段から、一定の定常電流と回転体の該制御軸方向の位
置によって変わる制御電流とを合わせた励磁電流が供給
される。1対の電磁石において、定常電流の値は互いに
等しい。また、制御電流の絶対値は互いに等しく、符号
が逆である。
【0024】制御軸が水平な場合など、回転体に電磁石
の磁気吸引力以外の外力が作用しない場合は、回転体が
該制御軸方向のある位置に非接触支持されているとき、
回転体に対する2つの電磁石の磁気吸引力は互いに等し
い。また、各電磁石の磁気吸引力は、該電磁石の励磁電
流の大きさの二乗に比例し、該電磁石と回転体とのギャ
ップの大きさに反比例する。回転体が磁気的中心位置に
支持されているとき、各電磁石における回転体とのギャ
ップの大きさは互いに等しく、したがって、各電磁石に
おける励磁電流は互いに等しい。すなわち、各電磁石に
おける制御電流の値は互いに0である。回転体が磁気的
中心位置からいずれかの方向にずれた位置に支持された
ときは、各電磁石における回転体とのギャップの大きさ
が互いに異なるため、各電磁石における励磁電流の値が
互いに異なるものになり、したがって、各電磁石におけ
る制御電流の値も互いに異なるものになる。各電磁石に
おける制御電流の値は、回転体の位置の磁気的中心位置
からのずれの大きさに比例する。また、一方の電磁石に
おける制御電流の値は、電磁石制御装置の積分動作部の
出力である積分出力に比例する。したがって、回転体を
支持する位置を一方の極限位置から他方の極限位置まで
変化させると、積分出力は直線的に変化する。このた
め、回転体を一方の極限位置の近傍に磁気浮上させたと
きの積分出力と他方の極限位置の近傍に磁気浮上させた
ときの積分出力との中央値に対応する位置は、ほぼ機械
的中心位置となり、したがって、上記中央値に対応する
位置を目標浮上位置とすることにより、回転体はほぼ機
械的中心位置に磁気浮上させられる。
【0025】制御軸が鉛直な場合など、回転体に電磁石
の磁気吸引力以外に重力が作用する場合は、回転体が該
制御軸方向のある位置に非接触支持されているとき、上
側の電磁石による上向きの磁気吸引力が、下側の電磁石
による下向きの磁気吸引力と重力を合わせた力と釣り合
っている。このため、回転体が磁気的中心位置に支持さ
れているとき、上側の電磁石の制御電流は正の値(定常
電流と同符号)で、下側の電磁石の制御電流は負の値
(定常電流と逆符号)であり、したがって、積分出力は
0ではない。しかし、この場合も、回転体を支持する位
置を一方の極限位置から他方の極限位置まで変化させる
と、積分出力は直線的に変化し、上記同様、回転体を一
方の極限位置の近傍に磁気浮上させたときの積分出力と
他方の極限位置の近傍に磁気浮上させたときの積分出力
との中央値に対応する位置を目標浮上位置とすることに
より、回転体はほぼ機械的中心位置に磁気浮上させられ
る。
【0026】制御軸が斜めの場合についても同様であ
り、回転体の設置姿勢に関係なく、回転体をほぼ機械的
中心位置に磁気浮上させることができる。
【0027】磁気軸受装置は、通常、回転体、磁気軸受
の電磁石、保護軸受および位置検出装置のうちの位置セ
ンサなどを含む機械本体と、電磁石制御装置および位置
検出装置のうち位置センサを駆動し位置センサの出力に
基づいて回転体の位置を演算するセンサ回路などを含む
コントローラとに分けられ、これらがケーブルによって
接続される。また、磁気軸受装置の使用中に、コントロ
ーラを同一機種の他のものと取り替える必要が生じるこ
とがある。複数の機械本体について、同一機種であって
も、機械的中心位置、磁気的中心位置および対センサ中
心位置の関係は必ずしも同じではない。しかし、各機械
本体において、これら3つの位置の関係は不変である。
したがって、機械本体とコントローラの組合せが変わら
ない限り、最初に磁気軸受装置の運転を開始する際に、
上記のように目標浮上位置を設定すれば、後は、この目
標浮上位置を用いて回転体をほぼ機械的中心位置に磁気
浮上させることができる。ところが、機械本体とコント
ローラの組合せが変更されると、新しいコントローラに
は目標浮上位置は設定されていないので、そのままで
は、回転体を機械的中心位置に磁気浮上させることがで
きない。しかし、このような場合でも、上記のようにし
て目標浮上位置を設定することにより、回転体をほぼ機
械的中心位置に磁気浮上させることができる。
【0028】したがって、上記のようにすれば、最初に
磁気軸受装置の運転を開始する際あるいは機械本体とコ
ントローラの組合せを変更した際などに、回転体の設置
姿勢に関係なく、回転体を制御軸の一方の極限位置から
他方の極限位置に移動させるだけの簡単な操作で、回転
体をほぼ機械的中心位置に磁気浮上させることができ
る。したがって、従来のように回転体と機械的規制手段
との間隙が部分的に小さくなって、種々の不具合が生じ
るようなことがない。
【0029】たとえば、目標位置設定手段が、回転体を
一方の極限位置に位置させた後にその近傍に磁気浮上さ
せ、そのときの上記積分出力を求めて第1の極限位置積
分出力として記憶し、回転体の磁気浮上位置を他方の極
限位置側に徐々に移動させて、その都度、回転体の位置
と上記積分出力を求めて中間位置および中間位置積分出
力として記憶し、回転体を他方の極限位置まで移動させ
た後にその近傍に磁気浮上させ、そのときの上記積分出
力を求めて第2の極限位置積分出力とし、第1の極限位
置積分出力と第2の極限位置積分出力の中央値を求め、
記憶されている中間位置積分出力の中からこの中央値に
最も近いものを求めて、この中間位置積分出力に対応す
る中間位置を目標浮上位置とするものである。
【0030】
【発明の実施形態】以下、図面を参照して、この発明を
5軸制御型磁気軸受装置に適用した実施形態について説
明する。
【0031】図1は5軸制御型磁気軸受装置の機械的部
分の主要部を示す縦断面図、図2は同横断面図、図3は
その電気的構成の1例を示すブロック図である。
【0032】磁気軸受装置は、ケーブルにより接続され
た機械本体(1)およびコントローラ(2)を備えている。こ
の磁気軸受装置は、鉛直円筒状のケーシング(4)の内側
で鉛直軸状の回転体(5)が回転する縦置き型のものであ
る。前記のように、回転体(5)のアキシアル方向(鉛直
方向)の軸をZ軸、Z軸と直交するとともに互いに直交
する2つのラジアル方向(水平方向)の軸をX軸および
Y軸とする。
【0033】機械本体(1)には、回転体(5)をZ軸方向に
非接触支持する1組のアキシアル磁気軸受(6)、回転体
(5)をアキシアル方向の2箇所においてそれぞれX軸方
向およびY軸方向に非接触支持する上下2組のラジアル
磁気軸受(7)(8)、回転体(5)のアキシアル方向の位置お
よび上記2箇所におけるX軸方向およびY軸方向の位置
をそれぞれ検出するための位置検出部(9)、回転体(5)を
高速回転させるためのビルトイン型電動モータ(10)、な
らびに回転体(5)のアキシアル方向およびラジアル方向
の可動範囲を規制して回転体(5)を磁気軸受(6)(7)(8)で
支持できなくなったときなどに可動範囲の極限位置にお
いて回転体(5)を機械的に支持する機械的規制手段とし
ての上下2組の保護軸受(11)(12)が設けられている。Z
軸は、アキシアル方向の制御軸となっている。また、上
部磁気軸受(7)の部分におけるX軸方向の制御軸を上部
X軸、Y軸方向の制御軸を上部Y軸とし、下部磁気軸受
(8)の部分におけるX軸方向の制御軸を下部X軸、Y軸
方向の制御軸を下部Y軸とする。
【0034】コントローラ(2)には、センサ回路(13)、
磁気軸受駆動回路(14)、インバータ(15)およびDSPボ
ード(16)が設けられ、DSPボード(16)には、ソフトウ
ェアプログラムが可能なディジタル処理手段としてのD
SP(18)、ROM(31)、記憶手段としてのフラッシュメ
モリ(19)、AD変換器(20)およびDA変換器(21)が設け
られている。DSPはディジタル信号処理プロセッサの
略で、ディジタル信号処理プロセッサとは、ディジタル
信号を入力してディジタル信号を出力し、ソフトウェア
プログラムが可能で、高速実時間処理が可能な専用ハー
ドウェアを指す。
【0035】位置検出部(9)は、回転体(5)のZ軸方向の
位置を検出するための1個のアキシアル位置センサ(2
3)、ならびに回転体(5)のX軸方向およびY軸方向の位
置を検出するための上下2組のラジアル位置センサユニ
ット(24)(25)を備えている。
【0036】アキシアル磁気軸受(6)は、回転体(5)の下
部に一体に形成されたフランジ部(5a)をZ軸方向の両側
から挟むように配置されて回転体(5)を磁気吸引する1
対のアキシアル電磁石(26a)(26b)を備えている。アキシ
アル電磁石は、符号(26)で総称する。1対のアキシアル
電磁石(26)には、同じ特性のものが使用される。
【0037】アキシアル位置センサ(23)は、回転体(5)
の下端面にZ軸方向の下側から対向するように配置さ
れ、回転体(5)の下端面とのギャップの大きさに比例す
る距離信号を出力する。
【0038】2組のラジアル磁気軸受(7)(8)は、アキシ
アル磁気軸受(6)の上側において上下方向に所定の間隔
をおいて配置されており、これらの間にモータ(10)が配
置されている。上部ラジアル磁気軸受(7)は、回転体(5)
をX軸方向の両側から挟むように配置されて回転体(5)
を磁気吸引する1対の上部ラジアル電磁石(27a)(27b)、
および回転体(5)をY軸方向の両側から挟むように配置
されて回転体(5)を磁気吸引する1対の上部ラジアル電
磁石(27c)(27d)を備えている。これらのラジアル電磁石
は、符号(27)で総称する。同様に、下部ラジアル電磁石
(8)も、2対の下部ラジアル電磁石(28a)(28b)(28c)(28
d)を備えている。これらのラジアル電磁石も、符号(28)
で総称する。ラジアル軸受(27)(28)についても、少なく
とも同一制御軸の1対の電磁石には、同じ特性のものが
使用される。好ましくは、全てのラジアル電磁石(27)(2
8)に同じ特性のものが使用される。
【0039】上部ラジアル位置センサユニット(24)は、
上部ラジアル磁気軸受(7)の近傍に配置されており、X
軸方向の電磁石(27a)(27b)の近傍においてX軸方向の両
側から回転体(5)を挟むように配置された1対の上部ラ
ジアル位置センサ(29a)(29b)、およびY軸方向の電磁石
(27c)(27d)の近傍においてY軸方向の両側から回転体
(5)を挟むように配置された1対の上部ラジアル位置セ
ンサ(29c)(29d)を備えている。これらのラジアル位置セ
ンサは、符号(29)で総称する。同様に、下部ラジアル位
置センサユニット(25)は、下部ラジアル磁気軸受(8)の
近傍に配置されており、2対の下部ラジアル位置センサ
(30a)(30b)(30c)(30d)を備えている。これらのラジアル
位置センサも、符号(30)で総称する。各ラジアル変位セ
ンサ(29)(30)は、回転体(5)の外周面とのギャップの大
きさに比例する距離信号を出力する。
【0040】電磁石(26)(27)(28)および位置センサ(23)
(29)(30)は、ケーシング(4)に固定されている。
【0041】上部保護軸受(11)は、たとえば深みぞ玉軸
受などの転がり軸受よりなり、ラジアル荷重を受けられ
るようになっている。軸受(11)の外輪(11a)はケーシン
グ(4)に固定され、内輪(11b)は回転体(5)の外周面に適
当なギャップをあけて対向するように配置されている。
下部保護軸受(12)は、たとえば深みぞ玉軸受などの転が
り軸受よりなり、アキシアル荷重とラジアル荷重の両方
を受けられるようになっている。この軸受(12)の外輪(1
2a)はケーシング(4)に固定され、内輪(12b)が回転体(5)
の外周面に形成された環状みぞ(17)の部分にアキシアル
方向およびラジアル方向に適当なギャップをあけて臨ま
せられている。そして、下部軸受(12)の内輪(12b)と回
転体(4)との間のアキシアル方向のギャップの大きさに
より、回転体(5)のアキシアル方向の可動範囲が規制さ
れ、各軸受(11)(12)の内輪(11b)(12b)と回転体(5)との
間のラジアル方向のギャップの大きさにより、回転体
(5)のラジアル方向の可動範囲が規制される。そして、
回転体(2)が可動範囲の極限位置において保護軸受(11)
(12)により支持されている状態でも、回転体(5)と電磁
石(26)(27)(28)および位置センサ(23)(29)(30)との間に
はギャップがあり、回転体(5)は電磁石(26)(27)(28)お
よび位置センサ(23)(29)(30)に接触することはない。
【0042】コントローラ(2)のセンサ回路(13)は、位
置検出部(9)の各位置センサ(23)(29)(30)を駆動し、各
位置センサ(23)(29)(30)の出力である距離信号に基づい
て、回転体(5)のZ軸方向の位置、ならびに上下のラジ
アル位置センサユニット(24)(25)の部分におけるX軸方
向およびY軸方向の位置を演算し、その演算結果である
位置信号をAD変換器(20)を介してDSP(18)に出力す
る。位置検出部(9)およびセンサ回路(13)により、回転
体(5)の各制御軸方向の位置を検出する位置検出手段と
しての位置検出装置が構成されている。
【0043】ROM(31)には、DSP(18)における処理
プログラムなどが格納されている。フラッシュメモリ(1
9)には、磁気軸受の制御パラメータを記憶した制御パラ
メータテーブル、後述するバイアス電流(定常電流)値
を記憶したバイアス電流値テーブルなどが設けられてい
る。DSP(18)は、各制御軸について、AD変換器(20)
から入力する回転体(5)の位置を表わすディジタル位置
信号に基づいて、各磁気軸受(6)(7)(8)の各電磁石(26)
(27)(28)に対する励磁電流信号をDA変換器(21)を介し
て磁気軸受駆動回路(14)に出力する。そして、駆動回路
(14)は、DSP(18)からの励磁電流信号に基づく励磁電
流を対応する磁気軸受(6)(7)(8)の電磁石(26)(27)(28)
に供給し、これにより、回転体(5)が後述する目標浮上
位置に非接触支持される。DSP(18)により、上記位置
検出手段による位置の検出結果に基づいて各磁気軸受
(6)(7)(8)の電磁石(26)(27)(28)に供給する励磁電流を
制御する電磁石制御手段としての電磁石制御装置が構成
されている。
【0044】DSP(18)は、また、モータ(10)に対する
回転数指令信号をインバータ(15)に出力し、インバータ
(15)は、この信号に基づいて、モータ(10)の回転数を制
御する。そして、その結果、回転体(5)が、磁気軸受(6)
(7)(8)により目標浮上位置に非接触支持された状態で、
モータ(10)により高速回転させられる。
【0045】図4は、コントローラ(2)の構成のうち、
アキシアル磁気軸受(6)における1対のアキシアル電磁
石(26a)(26b)の制御に関する部分だけを示したものであ
る。次に、図4を参照して、コントローラ(2)による上
記の1対のアキシアル電磁石(26a)(26b)の制御について
説明する。
【0046】まず、センサ回路(13)は、アキシアル位置
センサ(23)の出力信号より、回転体(5)のZ軸方向の位
置を求め、この位置に比例した位置信号Zsを出力す
る。センサ回路(13)からの位置信号Zsは、AD変換器
(20)によりディジタル値に変換されて、DSP(18)に入
力する。DSP(18)は、後述するように、ディジタル位
置信号Zsより回転体(5)の目標浮上位置に対する変位を
演算し、この変位に基づいて、1対の電磁石(26)にそれ
ぞれ対応する制御信号としての1対の励磁電流信号をD
A変換器(21)に出力する。第1の励磁電流信号(Io+
Ic)はDA変換器(21)によりアナログ信号に変換され
て、第1の励磁電流信号(Io+Ic)として磁気軸受駆
動回路(14)の第1の電力増幅器(35)に供給され、第1の
電力増幅器(35)は第1の励磁電流信号(Io+Ic)を増
幅し、これに比例する励磁電流を第1の電磁石(26a)に
供給する。第2の励磁電流値(Io−Ic)はDA変換器
(21)によりアナログ信号に変換されて、第2の励磁電流
信号(Io−Ic)として磁気軸受駆動回路(14)の第2の
電力増幅器(36)に供給され、第2の電力増幅器(36)は第
2の励磁電流信号(Io−Ic)を増幅し、これに比例す
る励磁電流を第2の電磁石(26a)に供給する。その結
果、回転体(5)が、Z軸方向の目標浮上位置に支持され
る。
【0047】図5は、図4に示されているコントローラ
(2)の部分において、DSP(18)の動作を機能ブロック
で表わしたものである。DSP(18)は、機能的には、減
算手段(22)、目標浮上位置設定手段(32)、制御電流演算
手段(37)および励磁電流演算手段(38)を備えている。減
算手段(22)は、AD変換器(20)から入力する位置信号Z
sより後述するように目標浮上位置設定手段(32)から入
力する目標浮上位置Zoを減算することにより、回転体
(5)の目標浮上位置からの変位値ΔZを求め、これを制
御電流演算手段(37)に出力する。制御電流演算手段(37)
は、減算手段(22)からの変位値ΔZに基づいて、たとえ
ばPID演算により、電磁石(26a)(26b)に対する制御電
流値Icを演算するものであり、積分演算部(積分動作
部)(40)、比例・微分演算部(比例・微分動作部)(41)
および加算部(42)より構成されている。積分演算部(40)
は、フラッシュメモリ(19)のテーブルに記憶されている
積分演算制御パラメータを用い、変位値ΔZに基づいて
制御電流値Icの積分成分Iciを演算する。比例・微分
演算部(41)は、フラッシュメモリ(19)のテーブルに記憶
されている比例演算制御パラメータおよび微分演算制御
パラメータを用い、変位値ΔZに基づいて制御電流値I
cの比例・微分成分Icpdを演算する。加算部(42)は、上
記の積分成分Iciと比例・微分成分Icpdを加算するこ
とによって制御電流値Icを求め、これを励磁電流演算
手段(38)に出力する。なお、比例・微分演算部(41)を比
例演算部と微分演算部とに分け、比例演算部の出力であ
る比例成分と、微分演算部の出力である微分成分と、上
記の積分演算部(40)の出力である積分成分Iciとを加算
することにより制御電流値Icを求めるようにしてもよ
い。励磁電流演算手段(38)は、フラッシュメモリ(19)の
テーブルに記憶されているバイアス電流値Ioに制御電
流演算手段(37)からの制御電流値Icを加算し、その結
果得られた値(Io+Ic)を第1の励磁電流値としてD
A変換器(21)に出力するとともに、上記バイアス電流値
Ioから上記制御電流値Icを減算し、その結果得られた
値(Io−Ic)を第2の励磁電流値としてDA変換器(2
1)に出力する。目標浮上位置設定手段(32)は、後述する
目標浮上位置Zoの設定を行う。
【0048】図6は、コントローラ(2)の構成のうち、
上部ラジアル磁気軸受(7)におけるX軸方向の1対のラ
ジアル電磁石(27a)(27b)の制御に関する部分だけを示し
たものである。この場合、センサ回路(13)は、上部ラジ
アル位置センサユニット(24)のX軸方向の1対のラジア
ル位置センサ(29a)(29b)のうちの一方の出力信号から他
方の出力信号を減算することにより、上部ラジアル磁気
軸受(7)の部分における回転体(5)のX軸方向の位置を求
め、この位置に比例した位置信号Xsを出力する。セン
サ回路(13)からの位置信号Xsは、AD変換器(20)によ
りディジタル値(ディジタル変位信号Xs)に変換され
て、DSP(18)に入力する。後は、図4の場合と同様で
あり、対応する部分には同一の符号を付している。
【0049】上部ラジアル磁気軸受(7)におけるY軸方
向の1対のラジアル電磁石(27c)(27d)の制御に関する部
分、下部ラジアル磁気軸受(8)におけるX軸方向の1対
のラジアル電磁石(28a)(28b)の制御に関する部分および
Y軸方向の1対のラジアル電磁石(28c)(28d)の制御に関
する部分についても、同様である。
【0050】上記の磁気軸受装置には、機械的中心位
置、磁気的中心位置および対センサ中立位置がある。機
械的中心位置は、保護軸受(11)(12)により規制される可
動範囲の中心の位置であり、アキシアル方向について
は、下部保護軸受(12)の内輪(12b)が回転体(5)のみぞ(1
7)のアキシアル方向の中央にきて、内輪(12b)の端面と
これに対向するみぞ(17)の側面とのアキシアル方向のギ
ャップの大きさが両側において互いに等しくなる位置で
あり、ラジアル方向については、回転体(5)の中心が2
組の保護軸受(11)(12)の中心に一致して、回転体(5)と
保護軸受(11)(12)の内輪(12b)とのラジアル方向のギャ
ップの大きさが全周にわたって等しくなる位置である。
磁気的中心位置は、各磁気軸受(6)(7)(8)の対向する各
対の電磁石(26)(27)(28)の中心の位置である。対センサ
中立位置は、アキシアル方向については、回転体(5)の
下端面とアキシアル位置センサ(23)とのアキシアル方向
のギャップの大きさが予め設定された所定値になるよう
な位置であり、ラジアル方向については、各ラジアル位
置センサユニット(24)(25)の対向する各対のラジアル位
置センサ(29)(30)の中心の位置である。
【0051】上記の磁気軸受装置において、最初に運転
を開始する際に、DSP(18)により、各制御軸について
目標浮上位置が設定され、以後は、回転体(5)がこの目
標浮上位置に支持されるように磁気軸受(6)(7)(8)が制
御される。
【0052】最初に磁気軸受装置の運転を開始する前
は、磁気軸受(6)(7)(8)およびモータ(10)は駆動されて
おらず、回転体(5)は保護軸受(11)(12)の内輪(11b)(11
a)に支持されて、停止している。
【0053】最初に磁気軸受装置の運転を開始する際
に、DSP(18)により、たとえば、次に説明するよう
に、Z軸方向、X軸方向およびY軸方向の順に目標浮上
位置が設定される。
【0054】最初に、次のようにして、Z軸方向の目標
浮上位置が設定される。
【0055】まず、回転体(5)がX軸方向およびY軸方
向の所定の仮浮上位置に支持される。これは、X軸およ
びY軸の各制御軸の目標浮上位置設定手段が仮浮上位置
を減算手段に出力することにより行われる。X軸方向お
よびY軸方向の仮浮上位置は、たとえば、各制御軸方向
の対センサ中心位置とされる。
【0056】回転体(5)がX軸方向およびY軸方向の仮
浮上位置に支持されたとき、アキシアル電磁石(26)は駆
動されていないので、回転体(5)は、アキシアル方向に
は、保護軸受(12)の内輪(12b)により支持されて、下端
極限位置に位置している。このような状態で、Z軸の目
標浮上位置設定手段(32)により、Z軸方向の位置信号Z
sが読み取られ、これよりわずかに上方の位置が最初の
仮浮上位置として減算手段(22)に出力される。これによ
り、回転体(5)は、Z軸方向の最初の仮浮上位置に浮上
させられる。そして、このときの積分演算部(40)の出力
(積分出力)が読み取られ、第1の極限位置積分出力と
してフラッシュメモリ(19)に記憶される。
【0057】次に、目標浮上位置設定手段(32)により、
Z軸方向の仮浮上位置が、予め定められた一定の間隔で
上方に移されて、減算手段(22)に出力される。これによ
り、回転体(5)の仮浮上位置が徐々に上方に移動するの
で、移動の都度、位置信号Zsと積分出力が読み込ま
れ、対応する中間位置および中間位置積分出力としてフ
ラッシュメモリ(19)に記憶される。
【0058】回転体(5)の仮浮上位置が上端極限位置ま
で移動すると、位置信号Zsおよび積分出力が変化しな
くなるので、それが検知され、上端極限位置よりわずか
に下方の位置が最後の仮浮上位置として減算手段(22)に
出力されことにより、回転体(5)がZ軸方向の最後の仮
浮上位置に浮上させられる。そして、このときの積分出
力が読み取られ、第2の極限位置積分出力としてフラッ
シュメモリ(19)に記憶される。
【0059】次に、第1の極限位置積分出力と第2の極
限位置積分出力の中央値が演算され、フラッシュメモリ
(19)に記憶されている中間位置積分出力の中からこの中
央値に最も近いものが求められ、この求められた中間位
置積分出力に対応して記憶されている中間位置の値が目
標浮上位置として設定される。これでZ軸方向の目標浮
上位置の設定が終了し、以後は、このようにして設定さ
れた目標浮上位置が目標浮上位置設定手段(32)から減算
手段(22)に出力される。
【0060】回転体(5)がZ軸方向のある位置に浮上さ
せられているとき、上部アキシアル電磁石(26a)による
上向きの磁気吸引力が、下部アキシアル電磁石(26b)に
よる下向きの磁気吸引力と重力を合わせた力と釣り合っ
ている。つまり、上部電磁石(26a)による磁気吸引力
は、常に、下部電磁石(26b)による磁気吸引力より重力
分だけ大きい。また、各電磁石(26)の磁気吸引力は、該
電磁石(26)の励磁電流の大きさの二乗に比例し、該電磁
石(26)と回転体(5)とのギャップの大きさに反比例す
る。このため、Z軸方向の磁気的中心位置よりも上方
に、上下の電磁石(26)の励磁電流が互いに等しくなる位
置すなわち制御電流が0になる位置が存在する。そし
て、回転体(5)の浮上位置がこの制御電流0の位置から
上下にずれると、制御電流の値が変化し、制御電流の値
は、回転体(5)の位置の制御電流0の位置からのずれの
大きさに比例する。また、一方の電磁石(26)における制
御電流の値は、積分演算部(40)の出力である積分出力に
比例する。したがって、回転体(5)の浮上位置を一方の
下端極限位置から他方の上方極限位置まで変化させる
と、積分出力は直線的に変化する。このため、上記のよ
うに、回転体(5)を一方の極限位置の近傍に磁気浮上さ
せたときの積分出力と他方の極限位置の近傍に磁気浮上
させたときの積分出力との中央値に対応する位置は、ほ
ぼ機械的中心位置となり、したがって、上記中央値に対
応する位置を目標浮上位置とすることにより、回転体
(5)はほぼ機械的中心位置に磁気浮上させられる。
【0061】Z軸方向の目標浮上位置の設定が終了する
と、次のようにして、上下のX軸方向の目標浮上位置が
同時に設定される。
【0062】まず、回転体(5)がY軸方向の仮浮上位置
とZ軸方向の目標浮上位置に支持された状態で、上下両
ラジアル磁気軸受(7)(8)において、X軸方向のラジアル
電磁石(27)(28)の一方により、回転体(5)が上下のX軸
方向の一方の第1の極限位置に吸引される。このような
状態で、上下各X軸の目標浮上位置設定手段により、各
X軸方向の位置信号Xsが読み取られ、これよりわずか
に他方の第2の極限位置側の位置が最初の仮浮上位置と
して各X軸の減算手段に出力される。これにより、回転
体(5)は、X軸方向の最初の仮浮上位置に浮上させられ
る。そして、このときの各X軸の積分出力が読み取ら
れ、第1の極限位置積分出力としてフラッシュメモリ(1
9)に記憶される。
【0063】次に、目標浮上位置設定手段により、各X
軸方向の仮浮上位置が、予め定められた一定の間隔で第
2の極限位置側に移されて、各X軸の減算手段に出力さ
れる。これにより、回転体(5)の各X軸方向の仮浮上位
置が徐々に第2の極限位置側に移動するので、移動の都
度、各X軸の位置信号Xsと積分出力が読み込まれ、対
応する中間位置および中間位置積分出力としてフラッシ
ュメモリ(19)に記憶される。
【0064】回転体(5)の仮浮上位置が第2の極限位置
まで移動すると、各X軸の位置信号Xsおよび積分出力
が変化しなくなるので、それが検知され、各X軸につい
て第2の極限位置よりわずかに第1の極限位置側の位置
が最後の仮浮上位置として減算手段に出力されことによ
り、回転体(5)がX軸方向の最後の仮浮上位置に浮上さ
せられる。そして、このときの各X軸の積分出力が読み
取られ、第2の極限位置積分出力としてフラッシュメモ
リ(19)に記憶される。
【0065】次に、各X軸について、第1の極限位置積
分出力と第2の極限位置積分出力の中央値が演算され、
フラッシュメモリ(19)に記憶されている中間位置積分出
力の中からこの中央値に最も近いものが求められ、この
求められた中間位置積分出力に対応して記憶されている
中間位置の値が目標浮上位置として設定される。これ
で、両X軸方向について、目標浮上位置の設定が終了
し、以後は、このようにして設定された目標浮上位置が
目標浮上位置設定手段から減算手段に出力される。
【0066】X軸は水平であるから、X軸方向に関して
は、回転体(5)にラジアル電磁石(27)(28)の磁気吸引力
以外の力は作用しない。そして、回転体(5)がX軸方向
のある位置に浮上させられているとき、片側の電磁石(2
7a)(28a)による磁気吸引力が、反対側の電磁石(27b)(28
b)による磁気吸引力と釣り合っている。このため、各電
磁石(27)(28)における回転体(5)とのギャップの大きさ
が互いに等しい磁気的中心位置に回転体(5)が支持され
ているとき、各電磁石(27)(28)における励磁電流が互い
に等しく、制御電流が0になる。そして、回転体(5)の
浮上位置が磁気的中心位置からX軸方向にずれると、制
御電流の値が変化し、制御電流の値は、回転体(5)の位
置の磁気的中心位置からのずれの大きさに比例する。し
たがって、前記同様、回転体(5)を一方の極限位置の近
傍に磁気浮上させたときの積分出力と他方の極限位置の
近傍に磁気浮上させたときの積分出力との中央値に対応
する位置は、ほぼ機械的中心位置となり、したがって、
上記中央値に対応する位置を目標浮上位置とすることに
より、回転体(5)はほぼ機械的中心位置に磁気浮上させ
られる。
【0067】Z軸方向およびX軸方向の目標浮上位置の
設定が終了すると、回転体(5)がZ軸方向およびX軸方
向の目標浮上位置に支持された状態で、X軸方向の場合
と同様に、上下のY軸方向の目標浮上位置が同時に設定
される。これにより、目標浮上位置の設定が全て終了
し、以後は、回転体(5)は全ての制御軸について、上記
のようにして設定された機械的中心位置に近い目標浮上
位置に支持される。
【0068】最初にZ軸方向の設定を行うときに、回転
体(5)をX軸方向およびY軸方向の仮浮上位置に磁気浮
上させているので、回転体(5)をZ軸方向に移動させる
ときに、摩擦抵抗は全く作用しない。次にX軸方向の設
定を行うときに、回転体(5)をZ軸方向の目標浮上位置
およびY軸方向の仮浮上位置に磁気浮上させているの
で、回転体(5)をX軸方向に移動させるときに、摩擦抵
抗は全く作用しない。最後にY軸方向の設定を行うとき
に、回転体をZ軸方向およびX軸方向の目標浮上位置に
磁気浮上させているので、回転体(5)をY軸方向に移動
させるときに、摩擦抵抗は全く作用しない。したがっ
て、各制御軸の目標浮上位置を正確に設定することがで
きる。
【0069】しかしながら、最初にZ軸方向の設定を行
うときには、回転体(5)をX軸方向およびY軸方向には
磁気浮上させず、次にX軸方向の設定を行うときには、
回転体(5)をY軸方向には磁気浮上させないようにする
こともできる。
【0070】磁気軸受装置の運転を停止する場合は、ま
ず、モータ(10)の駆動を停止して、回転体(5)の回転を
停止させ、次に、磁気軸受(6)(7)(8)の電磁石(26)(27)
(28)の駆動を停止する。これにより、磁気軸受(6)(7)
(8)による支持力がなくなるため、回転体(5)は保護軸受
(11)(12)によって支持される。
【0071】磁気軸受装置の運転を再開する場合は、ま
ず、磁気軸受(6)(7)(8)の電磁石(26)(27)(28)を駆動し
て、回転体(5)を上記の目標浮上位置に浮上させる。そ
して、モータ(10)を駆動し、回転体(5)を回転させる。
【0072】機械本体(1)とコントローラ(2)の組合せを
変更した場合など、上記のようにして目標浮上位置を設
定することにより、後は、その目標浮上位置を用いて回
転体(5)をほぼ機械的中心位置に磁気浮上させることが
できる。
【0073】なお、磁気軸受装置を最初に運転するとき
や機械本体(1)とコントローラ(2)の組合せを変更したと
きだけでなく、必要に応じ、改めて上記のように目標浮
上位置を設定することができる。
【0074】各制御軸についての目標浮上位置の設定方
法は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更可能であ
る。また、目標浮上位置は、機械的中心位置以外の任意
の位置に設定することmできる。
【0075】上記の磁気軸受装置において、機械的中心
位置と磁気的中心位置とが一致していない場合、上記の
ようにして回転体の目標浮上位置を設定しても、回転体
を磁気的中心位置に磁気浮上させることはできない。そ
して、回転体が磁気的中心位置からずれていると、磁気
軸受の各1対の電磁石に供給される励磁電流とこれらに
よる磁気吸引力との関係が線形にならず、制御が不安定
になることがある。これが問題になる場合は、磁気軸受
装置を最初に運転する際に、磁気的中心位置を求めて、
この磁気的中心位置に回転体を磁気浮上させる必要があ
る。磁気的中心位置を求める方法として、たとえば特開
平9−166139号公報に記載されているものが知ら
れている。これは、回転体を対センサ中心位置などの所
定の仮浮上位置に仮浮上させて、そのときに各磁気軸受
の1対の電磁石に流れる励磁電流から回転体の設置姿勢
と磁気的中心位置を推定するものである。回転体の設置
姿勢には、回転体すなわちZ軸が鉛直になった縦置姿勢
と、Z軸が水平になった横置姿勢がある。縦置姿勢に
は、Z軸正方向が上になった正立姿勢と、Z軸正方向が
下になった倒立姿勢がある。横置姿勢には、X軸が垂直
になってX軸正方向が上になったX軸正立姿勢およびX
軸正方向が下になったX軸倒立姿勢、ならびにY軸が垂
直になってY軸正方向が上になったY軸正立姿勢および
Y軸正方向が下になったY軸倒立姿勢がある。そして、
磁気軸受装置の用途などに応じて、適当な設置姿勢が選
ばれる。設置姿勢と磁気的中心位置の推定は、コントロ
ーラによって行われる。このため、コントローラは、各
制御軸について、1対の電磁石に流れる励磁電流と回転
体の該制御軸方向の位置との関係を表すデータ(推定用
データ)をメモリに記憶しておき、電磁石の励磁電流か
ら、この推定用データに基づいて磁気的中心位置を推定
するようになっている。ところが、上記の推定用データ
は回転体の設置姿勢によって変わるため、コントローラ
は全ての設置姿勢についての推定用データを記憶してお
く必要があり、また、たとえばZ軸が斜めに設置された
場合など、推定用データが記憶されていない姿勢に回転
体が設置された場合には、磁気的中心位置を求めること
ができない。磁気的中心位置が一旦求められると、機械
本体とコントローラの組合せが変わらない限り、たとえ
回転体の設置姿勢が変わっても、回転体を磁気的中心位
置に磁気浮上させることができる。ところが、機械本体
とコントローラの組合せが変更されると、新しいコント
ローラにはその機械本体における磁気的中心位置は設定
されていないので、そのままでは、回転体を磁気的中心
位置に磁気浮上させることができない。したがって、改
めて磁気的中心位置を求める必要があるが、その際に
も、推定用データが記憶されていない姿勢に回転体が設
置されれば、やはり、磁気的中心位置を求めることがで
きない。
【0076】しかし、上記の磁気軸受装置では、回転体
(5)を磁気的中心位置に磁気浮上させることが必要な場
合に、次のようにすることにより、回転体(5)をその設
置姿勢に関係なく磁気的中心位置に磁気浮上させること
ができる。
【0077】この場合、機械本体(1)に、機械的中心位
置に対する磁気的中心位置のずれを記憶するための記憶
手段たとえばメモリを設けておく。一方、コントローラ
(2)のフラッシュメモリ(19)に、少なくとも1つの設置
姿勢に対する推定用データを記憶させておく。そして、
まず、機械本体(1)を推定用データが記憶されている姿
勢に設置する。次に、機械的中心位置を推定し、これを
仮浮上位置として、回転体(5)を仮浮上させる。これ
は、たとえば、前記の目標浮上位置の設定方法を用いて
行うことができる。これにより、回転体(5)がほぼ機械
的中心位置に磁気浮上させられるので、各磁気軸受(6)
(7)(8)の1対の電磁石について、励磁電流の値を検出
し、この励磁電流の値から、推定用データに基づいて、
各制御軸における磁気的中心位置を推定する。これは、
前記の特開平9−166139号公報に記載されている
方法を用いて行うことができる。このようにして磁気的
中心位置の推定が終了すると、各制御軸における磁気的
中心位置の値をコントローラ(2)に記憶させるととも
に、各制御軸のおける機械的中心位置に対する磁気的中
心位置のずれの値を機械本体(1)のメモリに記憶させ
る。
【0078】後は、そのままの組合せで磁気軸受を運転
することもできるし、機械本体(1)とコントローラ(2)の
組合せを変えて磁気軸受装置を運転することもできる。
また、必要に応じて、機械本体(1)の設置姿勢を変える
ことができる。
【0079】機械本体(1)とコントローラ(2)の組合せを
変更しない場合は、機械本体(1)の設置姿勢に関係な
く、そのまま、コントローラ(2)に記憶されている磁気
的中心位置の値を用いて、回転体(5)を磁気的中心位置
に磁気浮上させることができる。この場合、コントロー
ラ(2)には、少なくとも1つの設置姿勢に対する推定用
データを記憶させておけばよく、必ずしも全ての設置姿
勢に対する推定用データを記憶させておく必要はない。
【0080】機械本体(1)とコントローラ(2)の組合せを
変更した場合は、最初に、次のように、磁気的中心位置
を推定し、後は、その磁気的中心位置の値を用いて、回
転体(5)を磁気的中心位置に磁気浮上させる。すなわ
ち、まず、機械本体(1)を使用状態の姿勢に設置する。
そして、前記の目標浮上位置の設定方法と同じようにし
て、機械的中心位置を求め、各制御軸における機械的中
心位置をコントローラ(2)に記憶させる。次に、各制御
軸について、上記のようにして求めた機械的中心位置に
機械本体(1)のメモリに記憶されているずれの値を加算
することにより、磁気的中心位置を求め、後は、この磁
気的中心位置を目標浮上位置として、回転体(5)を磁気
浮上させる。この場合、前記の目標浮上位置の設定方法
を用いて機械的中心位置を求めることは、機械本体(1)
の設置姿勢に関係なく行うことができる。また、機械的
中心位置から磁気的中心位置を求めることも、簡単な加
算演算だけで行うことができる。したがって、機械本体
(1)とコントローラ(2)の組合せを変更した場合でも、機
械本体(1)の設置姿勢に関係なく、簡単に磁気的中心位
置を求めて、その磁気的中心位置に回転体(5)を磁気浮
上させることができる。また、新しいコントローラ(2)
は、前記のような電磁石の励磁電流に基づく磁気的中心
位置の推定を行う必要がないので、前記のような推定用
データを記憶させておく必要がない。
【0081】上記実施形態には、回転体が鉛直に配置さ
れた縦置き型の磁気軸受装置を示したが、この発明は回
転体が水平に配置された横置き型の磁気軸受装置にも適
用できる。
【0082】横置き型の磁気軸受装置で、X軸が鉛直に
配置されている場合は、X軸、Y軸およびZ軸の順に、
上記と同様にして目標浮上位置を求める。Y軸が鉛直に
配置されている場合は、Y軸、X軸およびZ軸の順に、
上記と同様にして目標浮上位置を求める。X軸およびY
軸が斜めに配置されている場合は、最初に、鉛直方向に
近い方の設定を行い、次に、他方の設定を行う。X軸と
Y軸の傾斜が等しい場合は、最初にいずれか一方の設定
を行い、次に他方の設定を行う。
【0083】また、上記実施形態には、回転体が固定部
分であるケーシングの内側で回転するインナロータ型の
磁気軸受装置を示したが、この発明は、回転体が固定部
分の外側で回転するアウタロータ型の磁気軸受装置にも
適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の実施形態を示す磁気軸受装
置の機械的部分の主要部の縦断面図である。
【図2】図2は、同横断面図である。
【図3】図3は、同磁気軸受装置の電気的構成の1例を
示すブロック図である。
【図4】図4は、図3のコントローラの1対のアキシア
ル電磁石に関する部分を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4のDSPの部分の機能を示すブロ
ック図である。
【図6】図6は、図3のコントローラの1対のラジアル
電磁石に関する部分を示すブロック図である。
【符号の説明】
(5) 回転体 (6) アキシアル磁気軸受 (7)(8) ラジアル磁気軸受 (11)(12) 保護軸受 (26a)(26b) アキシアル電磁石 (27a)(27b)(27c)(27d) ラジアル電磁石 (28a)(28b)(28c)(28d) ラジアル電磁石 (32) 目標浮上位置設定手段
フロントページの続き (72)発明者 上山 拓知 大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋 精工株式会社内 Fターム(参考) 3J102 AA03 BA03 BA17 BA18 CA21 CA27 DA03 DA09 DB05 DB37

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数対の電磁石により回転体が互いに直交
    するアキシアル制御軸方向および2つのラジアル制御軸
    方向に非接触支持されて磁気浮上させられ、機械的規制
    手段により回転体の上記3つの制御軸方向の可動範囲が
    規制されている磁気軸受装置において、回転体の目標浮
    上位置を設定する方法であって、 最初に、鉛直方向に最も近い制御軸方向の目標浮上位置
    を求めて、回転体を該制御軸方向の目標浮上位置に磁気
    浮上させ、次に、残りの2つのうちの一方の制御軸方向
    の目標浮上位置を求めて、回転体を該制御軸方向に磁気
    浮上させ、最後に、残りの制御軸方向の目標浮上位置を
    求めて、回転体を該制御軸方向の目標浮上位置に磁気浮
    上させることを特徴とする磁気軸受装置における回転体
    の目標浮上位置設定方法。
  2. 【請求項2】最初の制御軸方向の目標浮上位置を求める
    ときに、回転体を他の2つの制御軸方向の仮浮上位置に
    磁気浮上させ、次の制御軸方向の目標浮上位置を求める
    ときに、回転体を最初の制御軸方向の目標浮上位置およ
    び最後の制御軸方向の仮浮上位置に磁気浮上させ、最後
    の制御軸方向の目標浮上位置を求めるときに、回転体を
    他の2つの制御軸方向の目標浮上位置に磁気浮上させる
    ことを特徴とする請求項1の磁気軸受装置における回転
    体の目標浮上位置設定方法。
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