JP2002348348A - 透明成形体、プラスチックレンズ、および、それらの製造方法 - Google Patents
透明成形体、プラスチックレンズ、および、それらの製造方法Info
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Abstract
に適した成形体及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 下記成分(A)と成分(B)との重合体
からなる成形体であって、前記重合体がさらに下記成分
(C)及び成分(D)を含有する透明成形体。 成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシ
アネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールと
の反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー 成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以
上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2及びR
3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチ
ル基の何れかである) 成分(C):一般式(II)で表される1種または2種以
上のリン酸モノエステル(一般式(II)中、R4は炭素
数1〜10のアルキル基であり、n1は1または2であ
る) 成分(D):一般式(III)で表される1種または2種
以上のリン酸ジエステル(一般式(III)中、R5及びR
6はそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基であ
り、n2及びn3は1または2である) 【化1】
Description
形体およびそれらの製造方法に関する。特に、本発明
は、透明性及び成形型からの離型性に優れた、ウレタン
結合を分子内に有するポリウレアからなる、光学用途に
適した透明成形体及びその製造方法に関する。
で割れにくく、染色が容易であるため、眼鏡レンズをは
じめとする各種レンズ等の光学用途に使用されている。
その代表的なものとして、ポリジエチレングリコールビ
スアリルカーボネートやポリメチルメタクリレートが挙
げられる。しかしながら、これらは屈折率が1.50程
度と低く、比重も1.2程度以上である。そのため、例
えば眼鏡レンズに用いた場合、度数が強くなるほどレン
ズ中心付近の肉厚やコバ厚を厚くしなければならず、軽
量であるというプラスチックの優位性が損なわれてしま
う恐れがあった。またこれらは、ガラスに比べれば割れ
にくいものの、さらなる割れにくさを求める声も強くな
ってきた。それをうけて、軽量で割れにくいプラスチッ
クの特徴をより一層生かすため、射出成形により得られ
るポリカーボネートや注型重合により得られるポリチオ
ウレタンが光学用途に用いられ始めてきた。このポリカ
ーボネートは、非常に強度が大きいものの、射出成形材
料共通の欠点である耐溶剤性の低さを有している。一方
のポリチオウレタンは上記のような射出成形材料共通の
欠点は見られないものの、強度の面ではポリカーボネー
トにかなわないのが現状である。
るため、注型重合により得られ、かつポリカーボネート
に匹敵する強度を有する材料が望まれていた。そのよう
な特徴を有する材料として、ウレタン結合を分子内に有
するイソシアネート末端プレポリマーと芳香族ジアミン
を注型重合することにより得られる材料(米国特許59
62617号公報、米国特許6127505号公報)が
知られている。また、イソシアネート反応性ポリマー、
立体障害芳香族ジアミン及び内部離型剤としての脂肪酸
亜鉛塩を含む樹脂組成物の成形方法(特公平3−395
33号公報)が知られている。
公報に開示されている材料は、用いる芳香族ジアミンが
常温で固体であり、かつ重合反応が早いことから、溶け
残りが生じ、結果として得られる成形体は透明性が低い
という問題があった。一方、米国特許6127505号
公報に開示されている材料は、それ自身は光学材料とし
て十分な透明性を有している。しかし、注型重合により
製造する際に大きな問題となる離型性の点で満足できる
ものではなかった。
505号公報に開示されているようなポリウレタンウレ
ア系材料について、種々の内部離型剤を併用した場合の
離型性の改善について検討した。しかるに、シリコーン
系、フッ素系、金属塩系等のプラスチック用として一般
的な離型剤や、特開平1−163012号公報及び特開
昭64−45611号公報に開示されている酸性リン酸
アルキルエステルを、内部離型剤として使用すると、曇
りなどにより透明性が低下するという問題や、強度が低
下し、あるいは十分な離型性が得られない等の問題があ
ることが判明した。さらに、特公平3−39533号公
報に開示されている脂肪酸亜鉛についても離型性の改善
を検討した。特公平3−39533号公報に開示されて
いる成形物はそれ自身不透明体であるため、離型性が十
分得られる程度まで脂肪酸亜鉛を含有させても一向に差
し支えなかった。しかし、脂肪酸亜鉛は成形体中で結晶
として存在するために、光散乱を生じることから、透明
成形体用の内部離型剤として脂肪酸亜鉛を適用すること
は事実上不可能であった。
5号公報に開示されている材料は、注型重合が可能で、
かつウレタン結合を分子内に有するポリウレアであり、
ポリカーボネートに匹敵する強度を有するが、上述のよ
うに一般的な内部離型剤では、注型重合の際の離型性が
十分に得られないという問題があった。そこで本発明
は、透明性、成形型からの離型性に優れた光学用途に適
した成形体及びその製造方法を提供することを目的とす
るものである。
特許6127505号公報に開示されているようなポリ
ウレタンウレア系材料の透明性を損なうことなく、良好
な離型性を付与して、光学用途に適した材料を開発すべ
く鋭意研究を重ねた。その結果、特定のイソシアネート
末端プレポリマーを含む成分、特定の芳香族ジアミンを
含む成分及びそれぞれ特定の構造を有するリン酸モノエ
ステルとリン酸ジエステルの混合物を含む成分からなる
組成物を、注型及び硬化させることにより得られる光学
材料が、上記目的に適合するものであることを見出し、
本発明を完成するに至った。
りである。 (1) 下記成分(A)と成分(B)との重合体からな
る成形体であって、前記重合体がさらに下記成分(C)
及び成分(D)を含有することを特徴とする透明成形
体。 成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシ
アネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールと
の反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー 成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以
上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2及びR
3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチ
ル基の何れかである) 成分(C):一般式(II)で表される1種または2種以
上のリン酸モノエステル(一般式(II)中、R4は炭素
数1〜10のアルキル基であり、n1は1または2であ
る) 成分(D):一般式(III)で表される1種または2種
以上のリン酸ジエステル(一般式(III)中、R5及びR
6はそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基であ
り、n2及びn3は1または2である)
(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の全
重量の0.005〜0.1%の範囲である(1)記載の透明成形
体。 (3)成分(C)の重量は、成分(C)と成分(D)の
合計の重量の30〜70%の範囲である(1)または
(2)記載の透明成形体。 (4)成分(A)の原料である、分子中に環状構造を有
する脂肪族ジイソシアネートが、脂環式ジイソシアネー
トである(1)〜(3)のいずれかに記載の透明成形
体。 (5)脂環式ジイソシアネートが4,4'−メチレンビ
ス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイ
ソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)
シクロヘキサン及びノルボルネンジイソシアネートから
なる群から選ばれる少なくとも1種である(4)に記載
の透明成形体。 (6)成分(A)の原料である、300〜2500の平均分子
量を有するジオールが、ポリエーテル系ジオールまたは
ポリエステル系ジオールである(1)〜(5)のいずれ
かに記載の透明成形体。 (7)成分(A)のイソシアネート基含有率が10〜20重
量%の範囲である(1)〜(6)のいずれかに記載の透
明成形体。 (8)一般式(I)におけるR1がメチル基であり、R2
及びR3がそれぞれエチル基またはチオメチル基の何れ
かである(1)〜(7)のいずれかに記載の透明成形
体。 (9)成分(B)のアミノ基に対する、成分(A)のイ
ソシアネート基のモル比が1.00〜1.15の範囲である
(1)〜(8)のいずれかに記載の透明成形体。 (10)の一般式(II)におけるR4が、炭素数2〜6
のアルキル基であり、一般式(III)におけるR5及びR
6がそれぞれ独立に炭素数2〜6のアルキル基である
(1)〜(9)のいずれかに記載の透明成形体。 (11)透明成形体がレンズである(1)〜(10)の
いずれかに記載の透明成形体。 (12)レンズが眼鏡レンズである(11)に記載の透
明成形体。 (13)前記透明成形体がその表面に硬化皮膜を有する
(1)〜(12)のいずれかに記載の透明成形体。 (14)前記硬化皮膜が、成分(E)と成分(F)とを
含むコ−ティング組成物から得られたものである(1
3)に記載の透明成形体。 成分(E):一般式(IV)で表される有機ケイ素化合物
またはその加水分解物 (R7)a(R9)bSi(OR8)4-(a+b)・・・(IV) (一般式(IV)中、R7はエポキシ基、メタアクリルオ
キシ基、メルカプト基、アミノ基、又はフェニル基を有
する有機基、R8は炭素数1〜4のアルキル基または炭
素数1〜4のアシル基、R9は炭素数1〜6のアルキル
基、a及びbは0又は1の整数を示す) 成分(F): 金属酸化物コロイド粒子 (15)前記透明成形体がその表面に、または前記硬化
皮膜上に反射防止膜を有する(1)〜(14)のいずれ
かに記載の透明成形体。 (16)前記反射防止膜は多層反射防止膜であり、かつ
該多層反射防止膜の少なくとも1層が酸化ニオブを含有
する高屈折率層であることを特徴とする(15)に記載
の成形体。 (17)(1)〜(10)のいずれかに記載の成分
(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の混
合物を成形型内に注入し、次いで成分(A)及び成分
(B)を重合させて成形体とすることを含む透明成形体
の製造方法。 (18)前記混合物は、成分(A)と成分(C)と成分
(D)との混合物に、成分(B)をさらに混合すること
で調製される(17)に記載の透明成形体の製造方法。
(A)と成分(B)との重合体からなる。成分(A) 成分(A)は、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソ
シアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオール
との反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー
である。上記イソシアネート末端プレポリマーの一方の
原料であるジイソシアネートが、分子中に環状構造を有
する脂肪族ジイソシアネートであることで、プレポリマ
ー製造時、または重合時の反応コントロールが容易にな
り、かつ最終的に得られる成形体に適度な弾性を付与す
ることができる。さらに、得られる成形体に高耐熱性と
良好な機械特性を与えることもできる。
アネートとは、主鎖又は側鎖に環状構造を有する脂肪族
ジイソシアネートであり、環状構造は、脂環、芳香環、
または複素環のいずれであっても良い。但し、分子中に
環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートは、黄変を防
止すると共に十分な弾性や硬度を保持するという観点か
ら脂環式ジイソシアネートであることが好ましい。脂環
式ジイソシアネートに比べ、芳香環を有するイソシアネ
ートでは得られた成形体の黄変が進みやすく、脂肪族鎖
状のイソシアネートでは得られた成形体が柔らかくな
り、形状保持性が低下する傾向がある。さらに、脂環式
ジイソシアネートは、例えば、4,4'-メチレンビス(シ
クロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシア
ネート、1,2-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキ
サン、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサ
ン、1,4-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサ
ン、1,2-ジイソシアナートシクロヘキサン、1,3-ジイソ
シアナートシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナートシク
ロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート等を挙げる
ことができる。また、芳香環を有するジイソシアネート
としては、例えば、m−キシリレンジイソシアネート、
o−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイ
ソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシア
ネート等を挙げることができる。特に、4,4'−メチ
レンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロ
ンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメ
チル)シクロヘキサン及びノルボルネンジイソシアネー
トからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが
好ましい。
マーのもう一方の原料であるジオールの平均分子量は3
00〜2500である。ジオールの平均分子量が300
より小さいと得られる成形体に靭性を付与することがで
きず、2500より大きいと得られた成形体が柔らかく
なり形状を保持できなくなる。ジオールの平均分子量
は、好ましくは、400〜1000である。300〜2500
の平均分子量を有するジオールは、例えば、ポリエーテ
ル系ジオールまたはポリエステル系ジオールであること
ができる。これらのジオールは、他成分との相溶性が良
いことから好ましい。相溶性が良くないジオールの場
合、得られる成形体の透明性を維持するために相溶化剤
などの別成分を添加する必要が出てきたり、透明性が損
なわれる可能性がある。
リオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、エチ
レングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオ
ール、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリ
エステルジオール、ジエチレングリコールとアジピン酸
からなるポリエステルジオール、1,4-ブタンジオールと
アジピン酸からなるポリエステルジオール、ネオペンチ
ルグリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオー
ル、1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸からなるポリエ
ステルジオール、1,10-デカンジオールとアジピン酸か
らなるポリエステルジオール、1,4-ブタンジオールとセ
バシン酸からなるポリエステルジオール、エチレングリ
コールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクト
ンジオール、プロピレングリコールとε-カプロラクト
ンからなるポリカプロラクトンジオール、ジエチレング
リコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラク
トンジオール、1,4-ブタンジオールとε-カプロラクト
ンからなるポリカプロラクトンジオール、ネオペンチル
グリコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラ
クトンジオール、1,6-ヘキサンジオールとε-カプロラ
クトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,10-デ
カンジオールとε-カプロラクトンからなるポリカプロ
ラクトンジオール、ポリカーボネートグリコール等が挙
げられ、好ましくはポリオキシプロピレングリコール、
ポリオキシテトラメチレングリコール、1,4-ブタンジオ
ールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ネオ
ペンチルグリコールとアジピン酸からなるポリエステル
ジオール、1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸からなる
ポリエステルジオール、1,10-デカンジオールとアジピ
ン酸からなるポリエステルジオール等が挙げられる。
ポリマーのイソシアネート基含有率は、10〜20重量%の
範囲であることが好ましい。上記イソシアネート基含有
率が上記範囲より小さいと得られる成形体の硬度が低く
なる傾向があり、上記範囲より高くなると得られる成形
体の靭性(十分な強度)が得られにくくなる傾向があ
る。さらに、上記イソシアネート基含有率は、より好ま
しくは11〜15重量%の範囲である。
上の芳香族ジアミンである。一般式(I)中のR1、R2
及びR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チ
オメチル基の何れかである。R1、R2及びR3が上記置
換基であることで、結晶性を抑制しかつ他成分との相溶
性を高めることができる。また、これらの置換基がない
か、あるいは数が少ないと結晶性が高く取り扱いにくく
なり、他の置換基だと他の成分との相溶性が悪くなり得
られる材料の透明性が低下する恐れがある。前記芳香族
ジアミンは、より具体的には、例えば、以下の化合物で
ある。1,3,5-トリメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5
-トリメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル
-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミ
ノベンゼン、1,3,5-トリチオメチル-2,4-ジアミノベン
ゼン、1,3,5-トリチオメチル-2,6-ジアミノベンゼン、
3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,
6-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-2,4-ジアミノ
トルエン、3,5-ジチオメチル-2,6-ジアミノトルエン、1
-エチル-3,5-ジメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-エチ
ル-3,5-ジメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1-エチル-3,5
-ジチオメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-エチル-3,5-
ジチオメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1-チオメチル-3,
5-ジメチル-2,4-ジアミノトルエン、1-チオメチル-3,5-
ジメチル-2,6-ジアミノトルエン、1-チオメチル-3,5-ジ
エチル-2,4-ジアミノトルエン、1-チオメチル-3,5-ジエ
チル-2,6-ジアミノトルエン、3-エチル-5-チオメチル-
2,4-ジアミノトルエン、3-エチル-5-チオメチル-2,6-ジ
アミノトルエン、3-チオメチル-5-エチル-2,4-ジアミノ
トルエン等。上記芳香族ジアミンは、R1がメチル基で
あり、R2及びR3がそれぞれエチル基またはチオメチル
基の何れかであることが、得られる成形体が白濁しにく
く、かつ得られる成形体に十分な靭性を付与できるとい
う観点から好ましい。前記芳香族ジアミンとしては、よ
り具体的には、例えば、3,5-ジエチル-2,4-ジアミノト
ルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、3,5-ジ
チオメチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-
2,6-ジアミノトルエン等を挙げることができる。
(B)のアミノ基に対する、成分(A)のイソシアネー
ト基のモル比が1.00〜1.15の範囲であることが、十分な
靭性(強度)が得られるという観点から好ましい。上記
モル比は、より好ましくは1.02〜1.12の範囲である。
さらに下記成分(C)及び成分(D)を含有するもので
ある。成分(C) 成分(C)は、一般式(II)で表される1種または2種
以上のリン酸モノエステルであり、一般式(II)中のR
4は炭素数1〜10のアルキル基であり、n1は1または2
である。この範囲のリン酸モノエステルであれば、得ら
れる成形体が白濁することがなく、透明性に優れた成形
体を得ることができる。好ましくは、他成分との相溶性
が最も優れているという観点から、一般式(II)におけ
るR4が、炭素数2〜6のアルキル基であるリン酸モノ
エステルである。また、n1は好ましくは1である。
ルとしては、例えば、メトキシエチルアシッドホスフェ
ート、エトキシエチルアシッドホスフェート、プロポキ
シエチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッ
ドホスフェート、ペンチルオキシエチルアシッドホスフ
ェート、ヘキシルオキシエチルアシッドホスフェート、
ヘプチルオキシエチルアシッドホスフェート、オクチル
オキシエチルアシッドホスフェート、ノニルオキシエチ
ルアシッドホスフェート、デシルオキシエチルアシッド
ホスフェートなどが挙げられる。特に好ましいリン酸モ
ノエステルとしては、例えば、エトキシエチルアシッド
ホスフェート、プロポキシエチルアシッドホスフェー
ト、ブトキシエチルアシッドホスフェート、ペンチルオ
キシエチルアシッドホスフェート、ヘキシルオキシエチ
ルアシッドホスフェート等が挙げられる。
種以上のリン酸ジエステルであり、一般式(III)中の
R5及びR6はそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキ
ル基であり、n2及びn3は1または2であることで、得
られる成形体の白濁を防止でき、透明性に優れた成形体
を得ることができる。一般式(III)におけるR5及びR
6は、それぞれ独立に炭素数2〜6のアルキル基である
ことが他成分との相溶性が最も優れているという観点か
ら好ましい。
ルとしては、例えば、メトキシエチル−エトキシエチル
アシッドホスフェート、メトキシエチル−プロポキシエ
チルアシッドホスフェート、エトキシエチル−プロポキ
シエチルアシッドホスフェート、エトキシエチル−ブト
キシエチルアシッドホスフェート、プロポキシエチル−
ブトキシエチルアシッドホスフェート、ジ(メトキシエ
チル)アシッドホスフェート、ジ(エトキシエチル)ア
シッドホスフェート、ジ(プロポキシエチル)アシッド
ホスフェート、ジ(ブトキシエチル)アシッドホスフェ
ート、ジ(ペンチルオキシエチル)アシッドホスフェー
ト、ジ(ヘキシルオキシエチル)アシッドホスフェー
ト、ジ(ヘプチルオキシエチル)アシッドホスフェー
ト、ジ(オクチルオキシエチル)アシッドホスフェー
ト、ジ(ノニルオキシエチル)アシッドホスフェート、
ジ(デシルオキシエチル)アシッドホスフェート、など
が挙げられる。リン酸ジエステルとしは、好ましくは、
ジ(エトキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(プロ
ポキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(ブトキシエ
チル)アシッドホスフェート、ジ(ペンチルオキシエチ
ル)アシッドホスフェート、ジ(ヘキシルオキシエチ
ル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)
の全重量の0.005〜0.1%の範囲であることが好ましい。
成分(C)と成分(D)の合計の重量が、上記範囲より
少ないと、良好な離型性が得られにくくなり、また、上
記範囲より多いと、重合途中での剥離による成形不良や
透明性の低下をきたす場合がある。成分(C)と成分
(D)の合計の重量は、より好ましくは、成分(A)、
成分(B)、成分(C)および成分(D)の全重量の0.
01〜0.1%の範囲である。また、成分(C)の重量は、
成分(C)と成分(D)の合計重量の30〜70%の範
囲であることが好ましい。成分(C)の重量が前記範囲
より多くなると、重合中に発泡する恐れがあり、また前
記範囲より少ないと白濁により透明性が低下する場合が
ある。成分(C)の重量は、より好ましくは成分(C)
と成分(D)の合計重量の35〜65%の範囲である。
(B)、成分(C)および成分(D)の混合物を成形型
内に注入し、次いで成分(A)及び成分(B)を重合さ
せて成形体とすることを含む方法により製造することが
できる。但し、成分(A)と成分(B)との重合性(反
応性)が高く、常温でも反応が進行することから、前記
混合物(成分(A)、(B)、(C)および(D)の混
合物)は、成分(A)に成分(C)と成分(D)とを添
加、混合して、均一に溶解した物(混合物)に、成分
(B)をさらに混合することで調製され、調製後速やか
に成形型内に注入することが好ましい。重合反応の条件
等は、例えば、米国特許6127505号公報第5欄に
記載の条件等を適宜参照することができ、また、後述の
実施例でも詳述する。また、本発明の成形体は、成分
(C)及び成分(D)以外に、必要により、抗酸化剤、
紫外線安定化剤、着色防止剤等の添加成分を本発明の成
形体の透明性と強度を損なわない程度に添加することは
できる。添加成分の例は、例えば、米国特許61275
05号公報第6〜7欄の記載のものを挙げることかでき
る。
ズや光学レンズ等のレンズ、プリズム、光ファイバー、
光ディスクや磁気ディスク等に用いられる記録媒体用基
板、フィルター等の光学用途に用いることができる。好
ましくは、本発明の透明成形体は、レンズ、特に好まし
くは眼鏡レンズに用いることができる。
硬化皮膜を有する事ができる。硬化皮膜としては、例え
ば、成分(E)と成分(F)とを含むコ−ティング組成
物を硬化させることで得られる皮膜を挙げることができ
る。 成分(E):一般式(IV)で表される有機ケイ素化合物
またはその加水分解物 (R7)a(R9)bSi(OR8)4-(a+b)・・・(IV) (一般式(IV)中、R7はエポキシ基、メタアクリルオ
キシ基、メルカプト基、アミノ基、又はフェニル基を有
する有機基、R8は炭素数1〜4のアルキル基または炭
素数1〜4のアシル基、R9は炭素数1〜6のアルキル
基、a及びbは0又は1の整数を示す) 成分(F): 金属酸化物コロイド粒子
具体的には以下の化合物を挙げることができる。 メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシ
リケート、i−プロピルシリケート、n−ブチルシリケ
ート、sec−ブチルシリケート、t−ブチルシリケー
ト、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシ
シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブト
キシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリ
フェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、
メチルトリフェネチルオキシシラン、グリシドキシメチ
ルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキ
シシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラ
ン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−
グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシ
ドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブ
チルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリ
メトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシ
シラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリ
シドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシ
ブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラ
ン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルト
リメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチル
メチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジ
エトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメト
キシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシ
シラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラ
ン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、
α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−
グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グ
リシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルフェニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリ
エトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−
クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセト
キシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−
シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメ
トキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−
(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジ
メトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエト
キシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメ
チルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチ
ルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、
メチルビニルジエトキシシラン。
としては、例えば、酸化タングステン(WO3)、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミ
ニウム(Al2O3)、酸化チタニウム(TiO2)、酸
化ジルコニウム(ZrO2)、酸化スズ(SnO2)、酸
化ベリリウム(BeO)、酸化アンチモン(Sb2O5)
等を単独で用いるか又は2種以上を併用することができ
る。
成分である有機ケイ素化合物100重量部に対して
(F)成分である金属酸化物コロイド粒子1〜500重
量部を含有させることが望ましい。(F)成分である金
属酸化物コロイド粒子が1重量部未満では硬化皮膜の耐
擦傷性が向上せず、逆に500重量部以上では硬化皮膜
と基板の間にクラック等が生じやすく、更に透明性が低
下する傾向がある。
進させるための硬化剤、または(2)塗布時における塗れ
性を向上させ、硬化皮膜の平滑性を高めるために各種の
界面活性剤を適宜含有させることもできる。更に紫外線
吸収剤、酸化防止剤等も硬化皮膜の物性の影響を与えな
い限り添加することが可能である。
ルアミン等のアミン類、またルイス酸やルイス塩基を含
む各種酸や塩基、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次
亜塩素酸、ホウ酸、過塩素酸、臭素酸、亜セレン酸、チ
オ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミ
ン酸、炭酸などを有する塩又は金属塩、更にアルミニウ
ム、ジルコニウム、チタニウムを有する金属アルコキシ
ドまたはこれらの金属キレ−ト化合物などが挙げられ
る。
形体の表面に塗布し、硬化して硬化皮膜とする。コ−テ
ィング組成物の硬化は、熱風乾燥又は活性化エネルギ−
線照射によって行い、硬化条件としては、70〜200
℃の熱風中で行うのが良く、好ましくは90〜150℃
が望ましい。尚、活性エネルギ−線としては遠赤外線等
があり、熱による損傷を低く抑えることができる。
を基材上へ形成する方法としてはディッピング法、スピ
ン法、スプレ−法等が通常行われる方法として適用され
るが、面精度の面からディッピング法、スピン法が特に
好ましい。更に上述したコ−ティング組成物を基材上へ
塗布する前に酸、アルカリ、各種有機溶媒による化学的
処理、プラズマ、紫外線、オゾン等による物理的処理、
各種洗剤を用いる洗剤処理、さらには各種樹脂を用いた
プライマ−処理を行うことによって基材と硬化皮膜の密
着性等を向上させることができる。
又は前記硬化皮膜上に反射防止膜を有することもでき
る。また、反射防止膜の種類は特に限定されず、従来か
ら知られている無機酸化物やMgF2等を単層、多層に
して使用することができる。反射防止膜としては、例え
ば、特開平2−262104号公報、特開昭56−11
6003号公報に開示されている反射防止膜を用いるこ
とができる。更に本発明の硬化皮膜は、防曇、フォトク
ロミック、防汚等の機能性分を加えることにより多機能
膜として使用も可能である。さらに前記反射防止膜は多
層反射防止膜であり、かつ該多層反射防止膜の少なくと
も1層が酸化ニオブを含有する高屈折率層であることも
できる。さらにこの高屈折率層は、酸化ジルコニウム及
び/又は酸化イットリウムを含むこともできる。
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、本実施例及び比較例で得られたプラスチック
レンズは以下に示す評価法を用いて諸物性を評価した。 (1)離型性 レンズ面の変形等の成形不良の原因となる重合中の剥が
れがなく、かつ得られたレンズをガラス型から剥す際
に、力をかけずともレンズ及びガラス型が破損すること
なく離型できたものをUA、わずかに力を必要とするが
容易に離型できたものをAとした。これらは離型性が良
好で、製造上合格にあたる。一方、レンズやガラス型の
破損はないもののレンズ面の変形などの成形不良を起こ
したものをB、レンズやガラス型が破損したものをCと
した。これらは、離型性が不良で、製造上不合格にあた
る。 (2)透明性 得られたレンズを暗所にて蛍光灯下で目視観察し、レン
ズの曇りや不透明物質の析出がないものをAとした。一
方、わずかに曇り等を観察されるものをB、曇りの程度
がひどいもの、あるいは不透明物質の析出が明らかに見
られるものをCとした。Cはあきらかにレンズとしては
不適当である。 (3)耐衝撃性 中心厚1.3mmのS-4.00のレンズの中心部に、FDA規格でも
ある1.27mの高さから重さ16gの鋼球を自然落下
させて、テストサンプル全数が破壊されないものをA、
ひびが入ったり、貫通する等の破壊がテストサンプルの
3割未満(少なくとも1枚)に起きたものをB、3割以
上に破壊が起きたものをCとした。また鋼球の重さを1
kgに増量した試験も行い、同様の評価とした。
4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネー
ト)からなるイソシアネート基含有率が13%であるイ
ソシアネート末端プレポリマー(表1中でITP−1と
表示)100重量部に、あらかじめモノブトキシエチル
アシッドホスフェート(表1中でMBPと表示)0.0
24重量部およびジ(ブトキシエチル)アシッドホスフ
ェート(表1中でDBPと表示)0.036重量部を添
加し、均一に溶解させ、脱泡した。次に、3,5-ジエチ
ル-2,4-トルエンジアミンと3,5-ジエチル-2,6-ト
ルエンジアミンの混合物(表1中でDETDAと表示)
25.5重量部とを60〜70℃で均一に混合し、短時
間に高速にて攪拌した。さらに攪拌直後の混合物をレン
ズ成型用ガラス型に注入し、120℃で15時間加熱重
合させ、プラスチックレンズ(透明成形体)を得た。得
られたプラスチックレンズの諸物性を表1に示す。表1
から、得られたプラスチックレンズは、レンズ及びガラ
ス型の破損がなく、ガラス型からの離型性に優れてい
た。また、白濁や微結晶による散乱が原因となる曇りも
なく非常に透明性に優れたものであった。さらに、FDA
規格である16gのみならず、1kgの落球試験でも破
壊されることがなく、耐衝撃性にも優れるものであっ
た。
操作を行いプラスチックレンズ(透明成形体)を得た。
これらのプラスチックレンズの諸物性を表1に示す。表
1から、得られたプラスチックレンズは、レンズ及びガ
ラス型の破損がなく、ガラス型からの離型性に優れ、白
濁や微結晶による散乱が原因となる曇りもなく透明性に
も優れたものであった。また、FDA規格である16gの
みならず、1kgの落球試験でも破壊されることがな
く、耐衝撃性にも優れるものであった。
様の操作を行った。しかしガラス型からの離型性が悪
く、ガラス型が破損し、その一部がプラスチックレンズ
側に貼りついたままとなった。またこれを引き剥がそう
とすると、レンズ面が傷んでしまい、結果的にプラスチ
ックレンズは得られなかった。
系離型剤MS−443(ダイキン工業(株)製)をガラ
ス型に塗布した以外は、実施例1と同様の操作を行い、
プラスチックレンズを得た。得られたプラスチックレン
ズの諸物性を表1に示す。表1から、比較例2のプラス
チックレンズは、耐衝撃性には優れるものの、重合中の
型離れに起因する成形不良から離型性に劣り、また表面
付近に白濁が見られたことから、透明性も劣るものであ
った。
操作を行いプラスチックレンズを得た。これらのプラス
チックレンズの諸物性を表1に示す。表1から、比較例
3のプラスチックレンズは、離型性、透明性及び耐衝撃
性の全てに劣るものであった。比較例4のプラスチック
レンズは、離型性には優れていたものの、不透明物質の
析出がわずかに見られ、透明性に劣ると共に耐衝撃性に
も劣るものであった。比較例5のプラスチックレンズ
は、離型性、耐衝撃性には優れていたものの、明らかに
曇りが生じており、透明性に劣るものであった。比較例
6のプラスチックレンズは、離型性には優れていたもの
の、部分的に白濁が起き透明性に劣り、1kgの落球試験
において、テストサンプル中の1割程度にひびが見られ
るように耐衝撃性にも劣るものであった。比較例7のプ
ラスチックレンズは、離型性、耐衝撃性には優れていた
ものの、不透明物質の析出が見られ、透明性に劣るもの
であった。
モル割合 ※2 全成分中におけるC成分とD成分の合計の重量割合 表中の成分名の説明 ITP−1;平均分子量400のポリオキシテトラメチ
レングリコールと4,4'-メチレンビス(シクロヘキシ
ルイソシアネート)からなるイソシアネート基含有率が
13%であるイソシアネート末端プレポリマー ITP−2;平均分子量500のポリオキシプロピレン
グリコールと4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイ
ソシアネート)からなるイソシアネート基含有率が11
%であるイソシアネート末端プレポリマー DETDA;3,5-ジエチル-2,4-トルエンジアミン
と3,5-ジエチル-2,6-トルエンジアミンの混合物 DTTDA;3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジア
ミンと3,5-ジメチルチオ-2,6-トルエンジアミンの
混合物 MOCA;4,4'-メチレンビス(2−クロロアニリ
ン) MBP;モノブトキシエチルアシッドホスフェート DBP;ジ(ブトキシエチル)アシッドホスフェート MPP;モノプロポキシエチルアシッドホスフェート DPP;ジ(プロポキシエチル)アシッドホスフェート MOP;モノオクチルオキシエチルアシッドホスフェー
ト DOP;ジ(オクチルオキシエチル)アシッドホスフェ
ート MS−443;フッ素系離型剤(ダイキン工業(株)
製) IDP;イソデシルアシッドホスフェート MHDP;モノヘキサデシルオキシエチルアシッドホス
フェート DHDP;ジ(ヘキサデシルオキシエチル)アシッドホ
スフェート
施例及び比較例で得られた硬化皮膜を有するプラスチッ
クレンズ(透明成形体)は以下に示す測定法により諸物
性を測定した。 (4)-1 耐擦傷性試験 スチ−ルウ−ル#0000でレンズ表面を擦って傷のつ
き難さを目視にて判定した。判定基準は以下の通りであ
る。 A.強く擦ってもほとんど傷がつかない B.強く擦るとかなり傷がつく C.レンズ基板と同等の傷がつく。 (4)-2 密着性試験 1mm間隔で100目クロスカットし、粘着テ−プ(商
品名”セロテ−プ”ニチバン(株)製品)を強く貼り付
け急速に剥し、硬化皮膜の剥離の有無を調べた。 (4)-3 外観 室内、目視にて透明性、表面状態等を調べた。 (4)-4 耐衝撃性試験 鋼球落下試験を行った。具体的には1.27mの高さからレ
ンズ中心部に16gまたは1kgの鋼球を自然落下させて、割
れないものを合格とした。 A:合格、B:不合格
備えたガラス製の容器に水分散コロイダルシリカ(固形
分40%、平均粒子径15ミリミクロン;成分(F))1
41重量部を加え撹拌しながら、酢酸30重量部を添加し、
充分に混合攪拌を行った。その後、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン(成分(E))74重量部を滴
下し、5℃で24時間攪拌を行った。次にプロピレングリ
コールモノメチルエーテル100重量部、イソプロピルア
ルコール150重量部、更にシリコ−ン系界面活性剤0.2
重量部、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ−
ト7.5重量部を加え、充分に撹拌した後濾過を行ってコ
−ティング組成液を作製した。
成したプラスチックレンズ(透明成形体)を55℃、10%
の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸して十分に洗浄を
行った後、上記方法で調製されたコ−ティング液を用い
て、ディップ法(引き上げ速度20cm/min)でコ−
ティングを行い120℃で2時間加熱、硬化皮膜を形成
し、各種の評価を行った。得られた硬化皮膜を有するプ
ラスチックレンズ(透明成形体)は表2に示すように耐
擦傷性、密着性、外観、耐衝撃性に優れたものであっ
た。
−を備えたガラス製の容器にイソプピルアルコール分散
コロイダルシリカ(日産化学工業社製:固形分30%、平
均粒子径15ミリミクロン;成分(F))189重量部を
加え撹拌しながら、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン(成分(E))74重量部を加えた。攪拌し
ながら10-2規定塩酸19重量部を滴下し、5℃で24時間攪
拌を行った。次にプロピレングリコールモノメチルエー
テル100重量部、イソプロピルアルコール100重量部、更
にシリコ−ン系界面活性剤0.2重量部、硬化剤として
アルミニウムアセチルアセトネ−ト7.5重量部を加え、
充分に撹拌した後濾過を行ってコ−ティング組成液を作
製した。それ以外は実施例8−1と同様にして行った。
得られた硬化皮膜を有するプラスチックレンズ(透明成
形体)は、表2に示すように実施例8−1と同様、耐擦
傷性、密着性、外観、耐衝撃性に優れたものであった。
ーを備えた硝子製の容器に酸化スズ/酸化タングステン/
酸化ジルコニア/酸化ケイ素を主成分とする複合ゾル
(日産化学工業社製:商品名HIS-40MH:メタノール分
散:固形分 30%;成分(F))94重量部、n-プロピル
セロソルブ分散コロイダルシリカ(日産化学工業社製:
商品名NPC-ST30固形分30%;成分(F))94重量部を充
分に混合攪拌をしながら、有機ケイ素化合物であるγ-
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(成分
(E))67.0重量部を攪拌しながら滴下した。滴下終了
後、10-2規定塩酸16重量部、溶媒としてプロピレングリ
コールモノメチルエーテル230重量部、更にシリコーン
界面活性剤0.2重量部、硬化促進剤としてアルミニウム
アセチルアセトネート3重量部を加え、十分に攪拌した
後、濾過を行って、コーティング組成物を得た。それ以
外は実施例8−1と同様にして行った。得られた硬化皮
膜を有するプラスチックレンズ(透明成形体)は、表2
に示すように、実施例8−1と同様、耐擦傷性、密着
性、外観、耐衝撃性に優れたものであった。
8−3で用いたプラスチックレンズ(透明成形体)の代
わりにジエチレングリコールビスアリルカーボネート重
合体からなるレンズを使用した以外は実施例8−1〜3
と同様にして行った。いずれも表2に示すように、本発
明のプラスチックレンズ(透明成形体)に比較し、耐衝
撃性が劣るものであった。
離型性に優れた光学用途に適した成形体及びその製造方
法を提供することができる。特に、前記米国特許612
7505号公報に開示されているようなポリウレタンウ
レア系材料の透明性を損なうことなく、良好な離型性を
付与して、光学用途に適した成形体及びその製造方法を
提供することができる。
Claims (18)
- 【請求項1】 下記成分(A)と成分(B)との重合体
からなる成形体であって、前記重合体がさらに下記成分
(C)及び成分(D)を含有することを特徴とする透明
成形体。 成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシ
アネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールと
の反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー 成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以
上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2及びR
3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチ
ル基の何れかである) 成分(C):一般式(II)で表される1種または2種以
上のリン酸モノエステル(一般式(II)中、R4は炭素
数1〜10のアルキル基であり、n1は1または2であ
る) 成分(D):一般式(III)で表される1種または2種
以上のリン酸ジエステル(一般式(III)中、R5及びR
6はそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基であ
り、n2及びn3は1または2である) 【化1】 - 【請求項2】成分(C)と成分(D)の合計の重量は、
成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)
の全重量の0.005〜0.1%の範囲である請求項1記載の透
明成形体。 - 【請求項3】成分(C)の重量は、成分(C)と成分
(D)の合計の重量の30〜70%の範囲である請求項
1または2記載の透明成形体。 - 【請求項4】成分(A)の原料である、分子中に環状構
造を有する脂肪族ジイソシアネートが、脂環式ジイソシ
アネートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の透
明成形体。 - 【請求項5】脂環式ジイソシアネートが4,4'−メチ
レンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロ
ンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメ
チル)シクロヘキサン及びノルボルネンジイソシアネー
トからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項
4に記載の透明成形体。 - 【請求項6】成分(A)の原料である、300〜2500の平
均分子量を有するジオールが、ポリエーテル系ジオール
またはポリエステル系ジオールである請求項1〜5のい
ずれか1項に記載の透明成形体。 - 【請求項7】成分(A)のイソシアネート基含有率が10
〜20重量%の範囲である請求項1〜6のいずれか1項に
記載の透明成形体。 - 【請求項8】一般式(I)におけるR1がメチル基であ
り、R2及びR3がそれぞれエチル基またはチオメチル基
の何れかである請求項1〜7のいずれか1項に記載の透
明成形体。 - 【請求項9】成分(B)のアミノ基に対する、成分
(A)のイソシアネート基のモル比が1.00〜1.15の範囲
である請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明成形
体。 - 【請求項10】一般式(II)におけるR4が、炭素数2
〜6のアルキル基であり、一般式(III)におけるR5及
びR6がそれぞれ独立に炭素数2〜6のアルキル基であ
る請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明成形体。 - 【請求項11】透明成形体がレンズである請求項1〜1
0のいずれか1項に記載の透明成形体。 - 【請求項12】レンズが眼鏡レンズである請求項11に
記載の透明成形体。 - 【請求項13】前記透明成形体がその表面に硬化皮膜を
有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の透明成形
体。 - 【請求項14】前記硬化皮膜が、成分(E)と成分
(F)とを含むコ−ティング組成物から得られたもので
ある請求項13に記載の透明成形体。 成分(E):一般式(IV)で表される有機ケイ素化合物
またはその加水分解物 (R7)a(R9)bSi(OR8)4-(a+b)・・・(IV) (一般式(IV)中、R7はエポキシ基、メタアクリルオ
キシ基、メルカプト基、アミノ基、又はフェニル基を有
する有機基、R8は炭素数1〜4のアルキル基または炭
素数1〜4のアシル基、R9は炭素数1〜6のアルキル
基、a及びbは0又は1の整数を示す) 成分(F): 金属酸化物コロイド粒子 - 【請求項15】前記透明成形体がその表面に、または前
記硬化皮膜上に反射防止膜を有する請求項1〜14のい
ずれか1項に記載の透明成形体。 - 【請求項16】前記反射防止膜が多層反射防止膜であ
り、かつ該多層反射防止膜の少なくとも1層が酸化ニオ
ブを含有する高屈折率層であることを特徴とする請求項
15に記載の成形体。 - 【請求項17】請求項1〜10のいずれか1項に記載の
成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)
の混合物を成形型内に注入し、次いで成分(A)及び成
分(B)を重合させて成形体とすることを含む透明成形
体の製造方法。 - 【請求項18】前記混合物は、成分(A)と成分(C)
と成分(D)との混合物に、成分(B)をさらに混合す
ることで調製される請求項17に記載の透明成形体の製
造方法。
Priority Applications (13)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002025934A JP4139113B2 (ja) | 2001-03-21 | 2002-02-01 | 透明成形体、プラスチックレンズ、および、それらの製造方法 |
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