JP2002348304A - 重合装置および重合方法 - Google Patents

重合装置および重合方法

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JP2002348304A
JP2002348304A JP2001160541A JP2001160541A JP2002348304A JP 2002348304 A JP2002348304 A JP 2002348304A JP 2001160541 A JP2001160541 A JP 2001160541A JP 2001160541 A JP2001160541 A JP 2001160541A JP 2002348304 A JP2002348304 A JP 2002348304A
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reaction solution
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stirring
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Susumu Hagiwara
享 萩原
Akihiro Toritani
明弘 鳥谷
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気相部の壁面や撹拌軸への重合体の付着を防
止することのできる重合装置および重合方法を提供す
る。 【解決手段】 少なくとも一種の単量体を含む反応液を
内部に有し、該単量体を重合するための、竪型円筒型の
完全混合型反応器である重合装置において、該反応液に
液没して該反応液を攪拌する攪拌翼と、該反応液の液面
の反応器内壁近傍を攪拌する補助翼と、該単量体の蒸気
を凝縮させる冷却手段とを備える。竪型円筒型の完全混
合型反応器中で少なくとも一種の単量体を含む反応液を
用いて該単量体を重合するに際し、該反応液に液没した
攪拌翼により該反応液を攪拌し、該反応液の液面の反応
器内壁近傍を補助翼により攪拌し、かつ該単量体の蒸気
を冷却することを特徴とする重合方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応器内の気相部
および気液界面部分の壁面等に重合体の付着を防止でき
る重合装置および方法に関し、より詳しくはビニル系単
量体を連続的に塊状重合または溶液重合を行う際に、反
応器内の気相部および気液界面部分の壁面等に重合体の
付着を防止できる装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、完全混合型反応器を用いてビニル
系単量体を連続的に塊状重合または溶液重合する際、前
記完全混合型反応器の内壁や撹拌軸の気相部や気液界面
部分に重合体が付着し固化するといった問題が発生して
おり、この問題を解決するために以下の方法が提案され
ている。
【0003】特公昭48−32431号公報には気液界
面における重合体の付着固化を防止する連続塊状重合方
法として、反応器内の反応液面より上部に回転体を設
け、前記回転体上に単量体を供給することによって、単
量体を反応器の壁面に散布し、反応器の内壁における重
合体固着を防止する方法が開示されている。しかしなが
ら、この方法では回転体下部には単量体を散布できない
という不都合が生じ、特に、反応器の攪拌軸に回転体を
設置した場合、前記攪拌軸下の気液界面に単量体が供給
できずに攪拌軸に重合体が固着してしまうという欠点を
有していた。
【0004】また、重合体の反応器内壁等への付着防止
方法として、反応液中から単量体の蒸発量を増加させる
とともに気相部を冷却ジャケットや冷却コイル等の気相
部に設けられた冷却手段により冷却し、反応器内の気相
部での単量体の凝縮液量を増加させ、単量体の凝縮液に
よって反応器内の気相部内壁や撹拌軸の気相への露出部
分を洗い流すことにより、重合体の付着を防止する方法
がある。そのために反応液中からの単量体の蒸発量を増
やす手段として、撹拌翼にダブルヘリカルリボン翼、ま
たは特開平10−158307号公報にあるようにマッ
クスブレンド(登録商標、住友重機製)翼等の格子翼型
撹拌翼を用い、撹拌翼の上端部を反応液面より高くし
て、液面更新を促進しつつ有効蒸発面積を増す方法があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記のダ
ブルヘリカルリボン翼や格子翼等は、本来、反応器中の
液相部の混合を主目的としたものであり、また、ダブル
ヘリカルリボン翼は液相部の撹拌流動状態が層流状態で
ある場合に適した撹拌翼であるため、反応器内の粘度が
低い場合や槽径が大きく反応器内の液相部の撹拌流動状
態が層流から乱流への遷移域となる場合や乱流域となる
場合には液相部における混合時間が極端に長くなった
り、液相部での単位体積あたりの撹拌所用動力が大きく
なる等、液相部の撹拌に適さないこともある。
【0006】一方、マックスブレンド(登録商標、住友
重機製)翼等の格子翼型撹拌翼は、一般に液相撹拌時の
流動状態が遷移域や乱流域に適した撹拌翼であるが、特
開平10−158307号公報に基づいて発明者らが追
試をおこなった結果、撹拌翼の上端部を液相中から気相
中へ突出させることによって、反応器中の気液界面の撹
拌軸周辺から下方へ引き込まれる反応液の流れが阻害さ
れて混合特性が低下し、さらに反応器中の気液界面の内
壁近傍に反応液の滞留部(図2における滞留部10)が
生じ、その結果、長時間の連続運転によって図2の滞留
部10の位置に重合物が付着し固化してしまうことがわ
かった。
【0007】よって本発明の目的は、反応器内の液相部
において撹拌翼によって混合特性の低下や滞留部を生じ
させることなく、反応液中から単量体の蒸発量を増加さ
せるとともに気相部を冷却ジャケットや冷却コイル等の
気相部に設けられた冷却手段により冷却し、反応器内の
気相部での単量体の凝縮液量を増加させ、その単量体凝
縮液によって反応器内の気相部内壁や撹拌軸を洗い流す
ことにより、気相部の壁面や撹拌軸への重合体の付着を
防止することのできる重合装置および重合方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも一
種の単量体を含む反応液を内部に有し、該単量体を重合
するための、竪型円筒型の完全混合型反応器である重合
装置において、該反応液に液没して該反応液を攪拌する
攪拌翼と、該反応液の液面の反応器内壁近傍を攪拌する
補助翼と、該単量体の蒸気を凝縮させる冷却手段とを備
えることを特徴とする重合装置である。
【0009】本発明の装置においては、補助翼が、反応
器の中心軸と同軸をなす回転可能な攪拌軸、反応液に浸
漬される部分を有する板状フィン、および該攪拌軸と該
板状フィンとを接続する支持体を有して回転可能とさ
れ、該板状フィンは、該攪拌軸側に位置する縁部と、反
応器内壁面側に位置する縁部と、鉛直方向における上側
に位置する縁部と下側に位置する縁部とを有し、上側に
位置する縁部から下側に位置する縁部へ板状フィンにそ
って向かう方向と、該攪拌軸と直交する面における回転
方向とが15〜90度の角度で設けられ、該板状フィン
の反応液に浸漬される部分の回転軌道の外径は、該反応
器の内径の80〜99%であり、該板状フィンの反応液
に浸漬される部分の回転軌道の幅は、該反応器の内径の
1〜20%であり、該板状フィンの該反応液への浸漬深
さは、該反応液の深さの1〜25%であることが好まし
い。
【0010】本発明はまた、竪型円筒型の完全混合型反
応器中で少なくとも一種の単量体を含む反応液を用いて
該単量体を重合するに際し、該反応液に液没した攪拌翼
により該反応液を攪拌し、該反応液の液面の反応器内壁
近傍を補助翼により攪拌し、かつ該単量体の蒸気を冷却
することを特徴とする重合方法である。
【0011】本発明の方法においては、補助翼により攪
拌する領域を、反応器の中心軸を中心とする2つの円で
囲まれる反応液面内の面領域から所定の深さまでの領域
とし、該2つの円のうちの外側の円の直径は、該反応器
の内径の80〜99%とし、該2つの円の間の距離は、
該反応器の内径の1〜20%とし、該所定の深さは、反
応液の深さの1〜25%とすることが好ましい。
【0012】本発明の方法は、前記重合をラジカル重合
開始剤の存在下に行う際に好適である。
【0013】また、本発明の方法は、前記重合を連続的
に塊状重合法または溶液重合法で行う際に好適である。
【0014】さらに、本発明の方法は、前記単量体がビ
ニル系単量体、特にはメチルメタクリレートを主成分と
する単量体である際に好適である。
【0015】本発明の方法は、前記本発明の装置を用い
て好適に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0017】図1は本発明の重合装置の例を示した模式
図である。
【0018】本発明において、反応液は、重合体の原料
となる少なくとも一種の単量体を含む液を意味し、もと
もと液状である単量体あるいはこの単量体が溶媒で希釈
されたもの、単量体が溶媒に溶解したものを含む。反応
液は重合開始剤や連鎖移動剤等、重合に際して用いられ
る公知の添加成分を含んでいても良い。
【0019】本発明の重合装置は、竪型円筒型の完全混
合型反応器(2)をなす。
【0020】本発明における竪型円筒型の完全混合型反
応器とは、竪型に配置された円筒型の反応器であり、反
応液の供給口、反応混合物の取り出し口および撹拌装置
を備え、反応器の内容物を実質的に完全混合状態とする
反応器である。
【0021】反応器は重合操作時に反応器内部の上部に
気相部(3)を有し、気相部に含まれる単量体蒸気を凝
縮するための冷却手段を有する。冷却手段としては、例
えば気相部内部に配されたコイル状または多管状にした
パイプ、フィン付管、中空平板などに冷却媒を通したも
のや、反応器気相部の外壁部に配された冷却媒を通した
ジャケット等が挙げられる。
【0022】また、反応器内の気相部(3)での単量体
蒸気の凝縮を促進するため、気相部内に気相部(3)を
撹拌する手段を有していてもよい。気相部(3)の撹拌
手段としては、反応器内の液相部(6)を撹拌するため
の液相部用撹拌翼(7)の撹拌軸(1)、または後述す
る反応器内の気液界面の内壁近傍を撹拌するための補助
翼(8)の撹拌軸と同軸にタービン型、ファンタービン
型、ブルマージン型、プロペラ型等の気相部用の撹拌翼
を取り付けてもよいし、専用に反応器の気相部を撹拌す
る攪拌機を反応器に用意してもよい。また後述する補助
翼(8)と兼用する構造としてもよい。
【0023】反応器はまた、反応器内の液相部(6)に
存在する反応液を撹拌するための撹拌翼(7)(以下、
液相部用攪拌翼という)を有する。液相部用攪拌翼は反
応液に液没して配される。ここで、液相部用攪拌翼が反
応液に液没するとは、液相部用攪拌翼の翼部がすべて反
応液内に存在することを意味し、この攪拌翼の攪拌軸
(1)が気相部に存在することは妨げない。
【0024】完全混合型反応器内の液相部(6)を撹拌
する液相部用撹拌翼(7)としては、例えば格子翼、2
段大型パドル翼、多段(傾斜)パドル翼が好ましく、特
に撹拌効率や液相部での流動状態に対して、遷移域から
乱流域までの広い範囲の流動状態に対応できる格子翼に
分類されるマックスブレンド(登録商標、住友重機製)
翼の使用がより好ましい。液相部用撹拌翼(7)は反応
器内の液相中での撹拌軸付近に発生する下方向に向かう
反応液の流れを阻害しないように、液相部用撹拌翼
(7)の上端部を気相部(6)に突出させない状態で使
用する。
【0025】反応器はさらに、反応液液面の反応器内壁
近傍を攪拌する補助翼(8)(以下、気液界面用補助翼
という。)を有する。気液界面用補助翼は、反応器の中
心軸と同軸をなす回転可能な攪拌軸(1)と、前記反応
液に浸漬される部分を有する板状フィン(9)と、該攪
拌軸と該板状フィンとを接続する支持体(11)とを有
して回転可能とされることが好ましい。図1において
は、液相部用撹拌翼の攪拌軸が気液界面用補助翼の攪拌
軸を兼ねている。板状フィン、支持体および攪拌軸は別
個の部材であっても、一体であってもよい。
【0026】気液界面用補助翼は、重合時に反応器内の
反応液液面すなわち気液界面(4)からの単量体の蒸発
量を増加させるために、液面更新を促進しつつ単量体の
有効蒸発面積を増やし、かつ、反応器内の気液界面の内
壁近傍で生じやすい反応液の滞留部を解消し、前記滞留
部での反応器内壁への重合体付着を防止する目的で使用
される。
【0027】気液界面用補助翼による撹拌位置は、液相
部用撹拌翼(7)による反応器内液相中の撹拌軸付近で
の下方向に向かう反応液流を阻害しないように、反応器
内の気液界面の内壁近傍に限定される。この観点から、
竪型円筒型の反応器を用いるときの攪拌位置は、反応器
の中心軸を中心とする2つの円で囲まれる反応液面内の
面領域から所定の深さまでの領域であって、この2つの
円のうちの外側の円の直径は0.80D〜0.99Dで
あることが好ましく、この2つの円の間の距離は0.0
1D〜0.20Dであることが好ましく、所定の深さは
0.01H〜0.25Hであることが好ましい。ここで
Dは反応器の内径であり、Hは反応液の深さ(反応器底
面が曲面となっている場合には最大深さ)である。
【0028】板状フィン(9)においては、攪拌軸側に
位置する縁部(22)と、反応器内壁面側に位置する縁
部(21)と、鉛直方向における上側に位置する縁部
(23)と下側に位置する縁部(24)とを有する。
【0029】上記板状フィンの反応液に浸漬される部分
の回転軌道の外径は、板状フィンが反応液に浸漬される
部分の各部が形成する回転軌道の最も外側の円の径を意
味する。図1および図3においては気液界面用補助翼
(8)の気相部における長さ(d)と同一の長さが板状
フィンの反応液に浸漬される部分の回転軌道の外径と等
しくなる。回転軌道の外径は、反応器の内径(D)に対
して、80〜99%の長さであることが好ましく、85
〜99%の長さであることがより好ましい。前記内径
(D)に対して回転軌道の外径が大きすぎると、反応器
内壁と気液界面用補助翼(8)が接触し、得られる重合
体へのコンタミが発生する危険性があるという点で不利
であり、小さすぎると反応液の滞留部の解消効果が減少
し、また反応器内液相中の撹拌軸付近での下方向に向か
う反応液流を阻害しやすくなる傾向があるという点で不
利である。
【0030】板状フィンの反応液に浸漬される部分の回
転軌道の幅は、板状フィンが反応液に浸漬される部分の
各部が形成する回転軌道の最も外側の円と最も内側の円
との間の距離を意味し、図1および図3においては板状
フィンの幅(L1)で示される。回転軌道の幅は、反応
器の前記内径(D)に対して1〜20%であることが好
ましく、2〜16%の長さであることがより好ましい。
前記内径(D)に対して回転軌道の幅が広すぎるとと、
反応器内液相中の撹拌軸付近での下方向に向かう反応液
流を阻害しやすくなるという点で不利であり、狭すぎる
と滞留部の解消効果と単量体の蒸発量増加効果が減少す
る傾向があるという点で不利である。
【0031】板状フィンは、鉛直方向における上側に位
置する縁部から下側に位置する縁部へ板状フィンにそっ
て向かう方向と、攪拌軸と直交する面における回転方向
とが15〜90度の角度で設けられることが好ましい。
図1においては、板状フィン(9)は、翼の先端部
(5)から撹拌軸(1)の回転方向に対して下前方に、
反応器内壁に沿って螺旋状に15〜90度の角度(α)
で延びる。角度(α)は図3に示した例のように90度
でもよいが、角度が大きすぎると、板状フィンが回転方
向に対して後方に延びることになり、気液界面用補助翼
の回転によって下方向の流れが発生し、液相部用撹拌翼
による上昇流れを阻害する傾向があるという点で不利で
ある。角度(α)が小さすぎると反応液の滞留部の解消
効果が減少する傾向があるという点で不利である。
【0032】板状フィン(9)の液相部(6)への気液
界面(4)からの浸漬深さ(L2)は液相部用撹拌翼
(7)による液相部(6)の撹拌状態における該反応器
内の液深さ(H)に対して1〜25%であることが好ま
しく、2〜20%であることがより好ましい。浸漬深さ
(L2)が該反応器内の液深さ(H)に対して小さすぎ
ると気液界面の更新と滞留部解消の効果が減少する傾向
があるという点で不利であり、大きすぎると気液界面用
補助翼による単位体積あたりの攪拌所用動力が大きくな
り、運転コスト的に不利になる。
【0033】気液界面用補助翼(8)の設置位置は、液
相部用撹拌翼(7)による反応器内液相中の撹拌軸付近
での下方向に向かう反応液流を阻害しないように、撹拌
軸から伸びる支持体(11)を液相部(6)に浸漬しな
い位置に配置することが好ましい。攪拌軸と板状フィン
とを強固に接続するために複数の支持体を設ける際に
は、支持体の一部が液相部に浸漬する場合であっても、
その支持体の形状を細くすること等によって、支持体が
攪拌軸付近での下方向に向かう反応液流を阻害しないよ
うに支持体を設計して配置することが好ましい。
【0034】図4に示したように、気液界面用補助翼の
板状フィン部(9)の形状は、裏面に重合体が付着する
ことを防ぐために、板状フィン部が櫛状になっていても
よい。板状フィンは格子状であっても良い。
【0035】気液界面用補助翼の板状フィンの枚数は特
に制限をせず、図1、図3、図4に示したような2枚翼
タイプでもよいし、4枚、6枚翼タイプでもよい。
【0036】また、図5に示したように、板状フィンを
気相部にも張り出し、気液界面用補助翼と前述した気相
部用の撹拌翼と兼用する構造としてもよい。
【0037】気液界面用補助翼の攪拌軸は反応器内の液
相部を撹拌するための液相部用撹拌翼の撹拌軸と兼用し
てもよいし、気液界面用補助翼と液相部用撹拌翼の攪拌
回転数等の攪拌条件をそれぞれ最適に設定するために、
撹拌軸をそれぞれ別個に設けてもよい。気液界面用補助
翼と液相部用撹拌翼の撹拌軸を兼用する場合は、まず液
相部の撹拌に適した攪拌翼形状や攪拌回転数等の攪拌条
件を選定し、その攪拌回転数に適した条件にて、反応器
内の気液界面の内壁近傍に生じる滞留部を解消し、かつ
反応器内壁や攪拌軸を洗い流すために十分な凝縮液量が
得られるように気液界面用補助翼の各部寸法や形状を決
定するとよい。気液界面用補助翼と液相部用撹拌翼の撹
拌軸を兼用する場合における、好ましく採用される攪拌
回転数としては攪拌所用動力が反応液1m3あたり0.
1〜20kWとなる範囲で選択するとよい。
【0038】本発明では、特に液相部の混合状態が遷移
域から乱流域となる場合の混合特性を改善し、さらに気
液界面の更新を促進するために邪魔板を使用することが
できる。ただし、邪魔板が気液界面用補助翼と接触しな
いように、また反応器内の液相部から気相部に邪魔板を
突出させた場合、反応液の流れ方向に対して邪魔板の裏
面に滞留部が生じ、特に該滞留部の気液界面に重合体が
付着成長することを防止するという観点から、邪魔板は
反応液中に液没させることが好ましい。さらに邪魔板の
形状は板型ではなく、反応液の流れ方向に対して裏面に
滞留部が生じにくい円筒型等とすることが好ましい。図
6に、円筒形の邪魔板(14)の例を示した。邪魔板の
本数は、2本、4本、6本等の2の倍数から選択し、可
能な限り等間隔に設置することが好ましい。
【0039】本発明の装置および方法は、ビニル系単量
体をラジカル重合開始剤の存在下で重合を行う場合に好
適に適用できる。ビニル系単量体としては、例えばアル
キル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチ
レン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド等が
挙げられる。本発明の装置および方法により単量体を単
独で用いて単独重合体を製造し、あるいは2種類以上の
単量体を混合して用いて共重合体を製造することが可能
であり、特に単量体混合物の場合、反応器に供給する単
量体全重量に対してメチルメタクリレートを80重量%
以上含有する単量体混合物の場合に効果が顕著である。
【0040】本発明の方法は、ラジカル重合開始剤の存
在下において重合反応を行う際に好適である。ラジカル
重合開始剤としては有機過酸化物あるいはアゾ化合物を
用いることが可能であり、例えば1,1,3,3−テト
ラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、
1−シクロヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネー
ト、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネー
ト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−
3,5,5−トリメチルヘキサネート、ジ−t−ブチル
パーオキサイド等の有機過酸化物、または2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’
(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−
アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ
化合物等が挙げられる。ラジカル開始剤は一種を単独で
使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0041】また本発明では重合体の分子量を調整する
目的で連鎖移動剤としてメルカプタン化合物を添加して
重合反応を行うことができる。メルカプタン化合物とし
ては特に限定されるものではないが、例えばn−ブチル
メルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチル
メルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等が好適であ
る。
【0042】本発明の装置および方法は、連続的に塊状
重合または溶液重合を行う場合に好適である。溶液重合
の場合は、単量体および重合体と相溶性がよい溶媒を用
い、均一系で重合反応を行う。用いる溶媒は単量体によ
って異なるが、例えば単量体がメチルメタクリレートの
場合、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケ
トン、メタノール、エタノール、エチルベンゼン、メチ
ルイソブチルケトン、酢酸n−ブチル等が使用可能であ
る。溶媒の使用量は特に制限されない。
【0043】本発明において塊状重合または溶液重合を
行う場合、反応器内で反応液を沸騰させると大量に発生
する泡や飛沫同伴物等によって反応器内の気相部内壁に
重合体が付着することがあるので反応器内の反応液が沸
騰しないように反応器の内圧を維持して連続重合するこ
とが好ましい。
【0044】本発明における重合温度は既知の温度条件
を採用することができる。一般にメチルメタクリレート
を主成分とする連続塊状重合の場合、110℃〜170
℃の範囲にある一定温度を維持するように撹拌しながら
重合することが好ましい。
【0045】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により説明
する。
【0046】[実施例1]実施例1に用いた装置構成の
模式図を図7に示す。反応器内の気相部に水温約5℃の
冷却水を通水した気相部冷却用コイル(15)を有する
内径500mmの完全混合型反応器を用意し、内部に液
相部用の攪拌翼(住友重機製、マックスブレンド(登録
商標)翼)と、その攪拌軸と同軸の上部に気液界面用補
助翼(翼長さ:d=475mm、板状フィンの幅:L1
=40mm、角度(α)=30度、板状フィン数:2
枚)を取り付け、攪拌軸を回転数150rpmで回転さ
せた。
【0047】次に、精製されたメチルメタクリレート9
8質量%およびメチルアクリレート2質量%とからなる
単量体混合物100質量部に対し、n−オクチルメルカ
プタン0.22質量部および重合開始剤としてtert
−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノ
エート0.0040質量部を混合した反応原料を用意
し、その原料温度を原料の顕熱を利用して前記反応器内
での重合温度が135℃となるように調節しつつ、前記
反応器に連続的に20kg/hrの流量で供給した。次
に前記反応器内の反応混合物の滞留量が約110Lとな
るように、前記反応器の底部からギヤポンプを用いて反
応混合物を抜き出すという連続塊状重合を200時間連
続運転した。なお、その運転条件において、反応器内の
反応混合物の滞留量に対して液相部用の攪拌翼は翼の上
端まで反応混合物中に液没しており、また気液界面用補
助翼の板状フィンの浸漬深さ(L2)は、反応器内の液
深さ(H)に対して、平均して約8%の深さ分反応混合
物中に液没している状態であった。その結果、反応器の
気相部内壁や攪拌軸に重合体付着は見られなかった。
【0048】[比較例1]気液界面用補助翼を取り外し
た点を除き、実施例1と同様にして連続塊状重合を実施
した。その運転条件において液相部用の攪拌翼は翼の上
端まで反応混合物中に没しており、気液界面は非常に静
かであった。約100時間の連続運転後、反応器の気相
部内壁と撹拌軸の気相部分に多量の重合体付着が確認さ
れた。
【0049】[比較例2]気液界面用補助翼を取り外
し、反応器内の反応混合物の滞留量が約70Lとなるよ
うに調整した点を除き、実施例1と同様にして連続塊状
重合を実施した。その運転条件において、液相部用の攪
拌翼の上端は約50mm液相部から気相部に突出した状
態であった。約200時間の連続運転後、比較例1ほど
ではないが反応器内の気液界面付近の内壁に重合物の付
着が見られた。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、反応器内壁および攪拌
軸の気相部や気液界面部における重合物の付着が防止で
きるため、付着重合物除去のための反応器の掃除回数が
減少し、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重合装置の一例を示した模式図であ
る。
【図2】従来技術における、格子翼上端を液相中から気
相中に出して撹拌した場合の反応液の滞留位置を示した
模式図である。
【図3】本発明の重合装置の別の一例を示した模式図で
ある。
【図4】本発明の重合装置用の気液界面用補助翼の一例
を示した模式図である。
【図5】本発明の重合装置において気液界面用補助翼と
気相部用撹拌翼を兼用する場合の一例の模式図である。
【図6】本発明に適用可能な邪魔板を取り付けた一例の
模式図である。
【図7】実施例1の装置構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・撹拌軸 2・・・完全混合型反応器 3・・・気相部 4・・・気液界面 5・・・翼の先端部 6・・・液相部 7・・・液相部用撹拌翼 8・・・気液界面用補助翼 9・・・板状フィン部 10・・・反応液の滞留部 11・・・支持体 14・・・円筒型邪魔板 15・・・気相部冷却用コイル 21・・・板状フィンの縁部(反応器内壁面に沿う側) 22・・・板状フィンの縁部(攪拌軸側) 23・・・板状フィンの縁部(鉛直方向における上側) 24・・・板状フィンの縁部(鉛直方向における下側)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一種の単量体を含む反応液を
    内部に有し、該単量体を重合するための、竪型円筒型の
    完全混合型反応器である重合装置において、該反応液に
    液没して該反応液を攪拌する攪拌翼と、該反応液の液面
    の反応器内壁近傍を攪拌する補助翼と、該単量体の蒸気
    を凝縮させる冷却手段とを備えることを特徴とする重合
    装置。
  2. 【請求項2】 補助翼が、反応器の中心軸と同軸をなす
    回転可能な攪拌軸、反応液に浸漬される部分を有する板
    状フィン、および該攪拌軸と該板状フィンとを接続する
    支持体を有して回転可能とされ、該板状フィンは、該攪
    拌軸側に位置する縁部と、反応器内壁面側に位置する縁
    部と、鉛直方向における上側に位置する縁部と下側に位
    置する縁部とを有し、上側に位置する縁部から下側に位
    置する縁部へ板状フィンにそって向かう方向と、該攪拌
    軸と直交する面における回転方向とが15〜90度の角
    度で設けられ、該板状フィンの反応液に浸漬される部分
    の回転軌道の外径は、該反応器の内径の80〜99%で
    あり、該板状フィンの反応液に浸漬される部分の回転軌
    道の幅は、該反応器の内径の1〜20%であり、該板状
    フィンの該反応液への浸漬深さは、該反応液の深さの1
    〜25%である請求項1記載の重合装置。
  3. 【請求項3】 竪型円筒型の完全混合型反応器中で少な
    くとも一種の単量体を含む反応液を用いて該単量体を重
    合するに際し、該反応液に液没した攪拌翼により該反応
    液を攪拌し、該反応液の液面の反応器内壁近傍を補助翼
    により攪拌し、かつ該単量体の蒸気を冷却することを特
    徴とする重合方法。
  4. 【請求項4】 補助翼により攪拌する領域を、反応器の
    中心軸を中心とする2つの円で囲まれる反応液面内の面
    領域から所定の深さまでの領域とし、該2つの円のうち
    の外側の円の直径は、該反応器の内径の80〜99%と
    し、該2つの円の間の距離は、該反応器の内径の1〜2
    0%とし、該所定の深さは、反応液の深さの1〜25%
    とする請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記重合をラジカル重合開始剤の存在下
    に行う請求項3または4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記重合を連続的に塊状重合法または溶
    液重合法で行う請求項3〜5のいずれか一項記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 前記単量体がビニル系単量体である請求
    項3〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記単量体がメチルメタクリレートを主
    成分とする単量体である請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の重合装置を用いる請求項
    3〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項2記載の重合装置を用いる請求
    項4〜8のいずれか一項記載の方法。
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