JP4805319B2 - 撹拌装置及び撹拌槽 - Google Patents

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Description

本発明は、撹拌装置及び撹拌槽に関する。
粘性流体中に他の流体や粉体を混合したり、流体原料の発熱重合反応などにおいて反応物を温度制御したりする場合、撹拌装置は重要な役割を担う。一般に、異種流体の混合においては、撹拌により迅速に均一混合し、発熱流体の温度制御においても、撹拌による流体温度の均一化が行われる。低粘度流体の混合や温度制御は、比較的容易であり、通常の板状翼、タービン翼、プロペラ翼等を利用すればよい。しかし、粘度の高い流体を撹拌し、均一に混合することは容易ではない。この為、多くの撹拌装置が提案されている。ある程度の粘度域の流体であれば、例えば、複数段のパドル翼を備えた撹拌装置や、ヘリカルリボン翼などでも有効に機能する。
最近は、さらに高粘度の流体の撹拌に適した撹拌装置として、傾斜翼と板状パドル翼を組み合わせたものが提案されている。すなわち、撹拌槽底部に配置した板状パドル翼により、撹拌槽底部から周縁部を上昇し、撹拌槽の中心部を下降する循環流を形成し、さらに、板状パドル翼の上部に配置した傾斜翼で流体の循環を強調したり、部分的な撹拌を起こさせたりする2段撹拌翼を備えた撹拌装置が提案されている。
その典型的な例を図4に示す。図4に示す縦型撹拌槽に配置された撹拌装置11は、回転軸13の上部に2枚の傾斜翼15,16を備え、下部には回転軸13の軸方向に垂直な板状の板状パドル14を備えている。この撹拌装置13では、回転に伴って、上部の傾斜翼15,16が撹拌槽12上層の高粘度流体を下部へ押し下げ、押し下げられた高粘度流体は、下部の板状パドル14により円周方向へ放出される。円周方向へ放出された高粘度流体は、撹拌槽12の壁面に沿って上昇し、撹拌槽12の上層に達する。上層に達した流体は、再び2枚の傾斜翼15,16により撹拌槽12の下部へ引き込まれていく。そして、高粘度の流体は、下降するときは、撹拌槽の中心部の円柱状の領域を流下し、板状パドル14により撹拌槽12の円周方向へ放出され、撹拌槽周縁部の円筒状の領域を上昇する。このように、流体の流動断面の形状を変化させることにより剪断による混合を行い、高粘度流体であっても、均一な混合をすることができる。
特許文献1には、流体中に添加した溶剤の塊や粉体の塊を砕いて流体中に分散させるため、剪断力を高めた撹拌装置が提案されている。この撹拌装置は、図5に示すように、図4に示した撹拌装置の変形例であり、回転軸24の下部に平板パドル21を配置し、上部に流体を上昇させる方向に傾斜させた壁寄り傾斜パドル26と、流体を下降させる方向に傾斜させた軸寄り傾斜パドル29とを組み合わせた傾斜翼の組を2組設けている。なお、図示していないが、この場合、撹拌槽には、邪魔板が設置されている。このようにして、軸寄り傾斜パドル29により下降流を形成し、壁寄り傾斜パドル26により上昇流を助勢して、高粘度流体や固形物を含む流体の循環を良好にできるとしている。
特許文献2には、低粘度の流体から、高粘度の流体まで幅広い粘度域の流体を撹拌、混合できる撹拌装置が提案されている。この撹拌装置は、図6に示すように、図4に示した撹拌装置の改良型であり、回転軸32の下部には板状パドル39が設置されており、上部の傾斜翼は、回転軸32から上方に向かって傾斜して設置された上部傾斜翼37と、回転軸32から下方に向かって傾斜して設置された下部傾斜翼38とを備え、上部傾斜翼37の下部と下部傾斜翼38の上部とは、軸方向に互いに重複して配置されている。傾斜翼をこのように上下2組とし、上部傾斜翼37の一部と下部傾斜翼38の一部を軸方向に重複して配置することにより、回転軸の回転に伴って上部傾斜翼37の下側(前面側)に引き込んだ流体を、スムースに下部傾斜翼38の上側(背面側)に移動させ、撹拌槽下部の板状パドル39まで移送することができるとしている。すなわち、この撹拌装置は、下部傾斜翼38は回転に伴って上側(背面側)に負圧が形成されるが、上部傾斜翼37の下側(前面側)から送り出されてくる流体が下部傾斜翼38の上側(背面側)に流れ込む構造になっており、スムースに下降流を形成できるので、高粘度流体にも、低粘度流体にも適した撹拌装置であるとしている。
特許文献3には、特許文献2に記載の撹拌装置のさらなる改良型の撹拌装置が提案されている。この撹拌装置は、図6に示す撹拌装置と概略の構造は同じであるが、定量的な特定がなされている。この撹拌装置は、板状パドル39(板状翼)を回転軸32に固定するボスの長さを板状パドル39の高さの0.75倍以下とし、撹拌槽31の底面と板状パドル39の下部との間隙を前記ボスの長さの0.9倍以下とすることを提案している。このようにすることにより、撹拌槽31底部の回転軸32直下での流体の澱みを防止することができ、粉体のような固体を含む高粘度流体の撹拌にも適しているとしている。
特開2002−273188号公報 特開平09−75699号公報 特開2000−210549号公報
2段撹拌翼を備えた撹拌装置は、撹拌槽内で高粘度流体の大きな循環流を形成して、流体を中央部に集めたり、外周部に分散させたりすることにより、流体同士を剪断しながら混合して撹拌しているものと考えられる。この点で、図4に示した撹拌装置を始めとして、特許文献1〜3に開示されている撹拌装置は、傾斜翼による下降流の形成と板状パドルによる流体の撹拌槽外周方向への分散と上昇流の形成との組合せにより、上下の大きな循環流を形成することができ、剪断による撹拌の必要な高粘度流体の撹拌に適していると考えられる。
本発明者の検討によると、高粘度流体、特に粘度が1000cP(1Pas)を超えるような流体の撹拌においては、流体を撹拌槽中心部に集めて下降させ、次に、撹拌槽の周縁部に拡げるようにして上昇させることを繰り返すことによることが好ましい。これは、水分を含む粘土やうどん粉の塊を延ばしたり畳んだりを繰り返して、均一混合する方法と類似している。図4に示したような、傾斜翼と板状パドルを組合せた撹拌装置は、撹拌槽内に大きな対流を生成し、上記の高粘度流体の混合に適する面もあるが、一方で部分的な激しい撹拌や混合により、上昇流と下降流の循環を妨げるだけでなく、流体内への泡の巻き込みや渦の発生を生じたり、流体の循環を妨害し余分な動力を必要としたりして好ましくない点もある。
図4に示した撹拌装置を始めとして、特許文献1〜3に開示されている撹拌装置による撹拌においては、上昇流と下降流の境界付近で流体が部分的な撹拌状態になり、互いに干渉を起こし、良好な循環流形成の妨げになっている。低粘度流体の撹拌であれば、流動方向の異なる流体同士の接触による干渉は、混合を促進する要素となるが、高粘度流体の撹拌においては、逆に混合効率を低下させる要素となる。特に、粘度が1000cP(1Pas)を超えるような高粘度流体の場合、撹拌槽の中で効率よく流体の分散状態(槽周縁部の上昇流)と集合状態(槽中心部の下降流)とを繰り返すことが必要であり、上昇流と下降流の干渉の少ない良好な循環流を形成することが求められる。
本発明の目的は、上記問題点を踏まえ、撹拌槽中の高粘度流体の撹拌において、良好な循環流を形成して効率的に撹拌を行うことのできる撹拌装置及びこれを備えた撹拌槽を提供することである。
本発明は、撹拌槽中で、垂直に設置した回転軸の周りに複数の回転翼を配置して高粘度流体を撹拌する撹拌装置であって、前記回転軸の上部に、回転軸の回転方向に対し傾斜した板状の傾斜翼を配置し、前記回転軸の下部に、回転軸に平行な板状のパドルを配置し、前記傾斜翼の外周端は、前記回転軸上方から見たときに、回転軸を中心とする円周上にあり、前記傾斜翼の上半部の外周端には、下方若しくは上方、又は上・下方の両方に向かう垂直板を備えていることを特徴とする撹拌装置である。
本撹拌装置による撹拌においては、垂直板が、傾斜翼により形成された下降流の径方向への流出を防ぎ、流体を効率よくパドル方向に移送するだけでなく、パドルにより形成された撹拌槽周縁部の上昇流に対し下降流が流出し干渉することも防いでいる。これにより、流体の効率的な循環が行われる。高粘度流体、特に粘度1000〜10000cP(1〜10Pas)程度の高粘度流体の撹拌においては、撹拌槽内における循環が重要であり、本撹拌装置は、このような高粘度流体を好適に撹拌することができる。さらに、垂直板は、上昇流との接触面において、摩擦力により流体を垂直板の回転方向に回転させる作用がある。この為、高粘度の流体は、上昇しながら垂直板との接触面で回転方向に回転力を付与され、一方で撹拌槽の壁面では、回転を押さえる方向の摩擦力を受ける。この作用により、高粘度の液体は、回転方向に層状に剪断され且つ引き延ばされながら上昇するので、強い撹拌効果が加わることになる。
好ましい本発明は、前記垂直板は、前記傾斜翼の端部から下方、上方、又は上下方向に形成されていることを特徴とする前記撹拌装置である。
本撹拌装置における垂直板は、傾斜翼の端部から下方、上方、又は上下方向のいずれに形成されていても上記のような効果を発揮できる。下方にあれば、傾斜翼の下側の流体を撹拌槽の壁面方向ではなく、撹拌槽の下方に導く作用が強く、上方にあれば、傾斜翼の上側の流体を撹拌槽の壁面方向ではなく、撹拌槽の下方に導く作用が強く、上下両方にあれば、傾斜翼の上下両方の流体を撹拌槽の壁面方向ではなく、撹拌槽の下方に導く作用が強く働く。
好ましい本発明は、前記傾斜翼の上部に、回転軸の回転方向に対し傾斜した板状の追加の傾斜翼を配置し、前記追加の傾斜翼の外周端は、前記回転軸上方から見たときに、回転軸を中心とする円周上にあり、前記追加の傾斜翼の上半部の外周端には、垂直板を備えていることを特徴とする前記撹拌装置である。
本撹拌装置による撹拌においては、比較的縦長の撹拌槽であっても、追加の傾斜翼を設置することにより、下降流の流速を十分維持することができる。
好ましい本発明は、前記垂直板の下端は、前記傾斜翼の回転軸との結合部を通る水平面以上の高さにあることを特徴とする前記撹拌装置である。
垂直板を回転軸との結合部を通る水平面よりも下側まで長くすると、傾斜翼の下半面(回転軸と結合された傾斜翼の回転方向後側部分の翼面)上で、外周部から回転軸中心方向への流体の引き込みを阻害する結果、傾斜翼の上半面(回転軸と結合された傾斜翼の回転方向前側部分の翼面)から下半面への流れを増大させる働きを阻害するので好ましくない。これを防ぐため、垂直板の下端は、傾斜翼の回転軸との結合部を通る水平面以上の高さまでとすることが好ましい。なお、追加の傾斜翼に設置する垂直板も、追加の傾斜翼に対して前記と同様の配置とすることが好ましい。
好ましい本発明は、前記傾斜翼及び追加の傾斜翼は、水平面に対し20〜70度の傾斜角を有し、前記パドルは、先端部が回転方向に対し30〜45度の後退角で屈曲又は湾曲していることを特徴とする前記撹拌装置である。
傾斜翼の傾斜角20〜70度は、撹拌テストによって求められた好適な下降流の形成のできる範囲であり、下降流形成に効果的な傾斜角である。また、パドルの先端部の後退角も回転方向に対し30〜45度とすることが、効率的に上昇流を形成する上で好ましい。
本発明は、前記撹拌装置のいずれかひとつを備えた円筒形の撹拌槽であって、前記回転軸上方から見たときに、前記円筒形の内側の直径が前記傾斜翼の外周端の形成する円弧の直径の1.3〜1.8倍であり、前記円筒形の直径は、前記パドルの回転軸中心から外周端までの長さの1.1〜1.5倍であることを特徴とする撹拌槽である。
本発明の撹拌槽は、撹拌槽の内径が、内部に設置した撹拌装置の傾斜翼の外周端の形成する円弧の直径の1.3〜1.8倍である。このことは、下降流の占める断面積と上昇流の占める断面積をほぼ等しくして、下降流と上昇流の流速をほぼ同じにする効果をもたらしている。この比率は、撹拌槽内の傾斜翼や邪魔板等の占める断面積を無視すれば、1.4倍(21/2倍)倍とすればよい。しかし、撹拌槽内には傾斜翼や邪魔板等が設置されているので、個々の撹拌槽に対し1.3〜1.8倍の間で好適な値を選べばよい。同様に、前記円筒形の半径は、前記パドルの回転軸中心から外周端までの長さの1.1〜1.5倍とすることで、効率よく下降流が外周部へ拡散し、上昇流となっていく。
本発明は、内壁には邪魔板を備え、前記邪魔板の下端は前記垂直板の下端と略同じ高さであり、上端は前記傾斜翼の上端より、50〜150mm上の高さ、又は前記円筒形の直径の0.1〜0.2倍の距離だけ上の高さのいずれか高い方までであることを特徴とする撹拌槽である。
本発明の撹拌槽においては、垂直板とほぼ同じ水平位置に邪魔板が設置されている。この邪魔板は、上述の上昇流体に対する垂直板側と撹拌槽内壁側との剪断効果を向上させるものである。さらに、撹拌槽内壁付近で滞留しがちな境界層流を内壁から引きはがし、撹拌槽中心方向に引き込む効果があり、境界層流内の未混合を生じさせない働きがある。また、垂直板とほぼ同じ水平位置に邪魔板を設置するのは、剪断効果を期待できない位置、例えば、垂直板よりも下に邪魔板があれば、回転方向の剪断効果はほとんど期待できない一方、上昇流の抵抗になるので、かえって流体の螺旋的上昇、すなわち循環を妨害することになり好ましくない。上端は前記傾斜翼の上端より、50〜150mm上の高さ、又は前記円筒形の直径の0.1〜0.2倍の距離だけ上の高さのいずれか高い方までとしているのは、撹拌槽の液面が外周部分で盛り上がるため、その盛り上がり高さに相当する分高くすることが好ましいからである。言い換えれば、邪魔板の上端は撹拌される液体の撹拌槽外周部における液面よりも高くすることである。
本発明によれば、撹拌槽中の高粘度流体の撹拌において、良好な循環流を形成して効率的に撹拌を行うことのできる撹拌装置及びこれを備えた撹拌槽を提供することができる。
本発明の実施の形態を、具体的図面を参照にして説明する。なお、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で変形、変更することができる。
図1は、典型的な本発明の撹拌装置の例を示す概略図である。(a)は正面図、(b)は平面図である。なお、図1における撹拌装置1は、撹拌槽2に中に設置されているところが記載されている。撹拌槽2は、円筒形容器である縦型撹拌槽であり、上部から本発明の撹拌装置1が挿入されており、本発明の撹拌槽であるともいえる。
まず、本発明の撹拌装置1について説明する。本発明の撹拌装置1は、回転軸3の下部には板状のパドルである板状パドル4が固定されている。板状パドル4は、回転軸3に平行な板であり、回転軸の径方向に延出して配置されている。そして、板状パドル4の先端部付近は、回転軸3に平行なまま回転軸3の回転方向に対し30〜45度の後退角で後退するように屈曲又は湾曲していることが好ましい。このようにすることで、撹拌中の流体が板状パドル4の裏側(回転時の板状パドル4の後側)に巻き込まれることを押さえることができる。なお、板状パドル4は、複数枚であっても良い。そのときは、板状パドル4は等間隔に配置することが好ましい。
撹拌槽2の半径と回転軸3の中心から板状パドル4の外周端までの距離の比は1.1〜1.5とすることが好ましい。板状パドル4の外周端は撹拌槽2の側壁に近いほど大きくなり、下降流を撹拌槽2の周縁部に移送する能力は大きくなるが、撹拌槽2の周縁部では、移送された流体が上昇流となって上昇するための通路が必要である。この通路を確保するために、撹拌槽2の半径と回転軸3の中心から板状パドル4の外周端までの距離の比を1.1〜1.5とすることが好ましい。
板状パドル4の上部には、同じ形状の傾斜翼5と傾斜翼6が配置されている。傾斜翼5と傾斜翼6は、それぞれ内側中央部が回転軸3に固定されており、傾斜翼5と傾斜翼6とが回転軸3を中心にして回転軸対象になるように回転軸3の両側に配置されている。なお、傾斜翼は、2枚以上であることが好ましく、回転軸3を中心にして互いに等間隔で回転軸3の周りに配置され、回転軸3を回転したときに回転軸3には均等に遠心力が掛かるようにすることが好ましい。傾斜翼5と傾斜翼6は、接続治具9により回転軸3の同じ高さ位置に固定されている。それぞれの傾斜翼5と傾斜翼6は、回転軸の回転方向に対して傾斜している。言い換えれば、傾斜翼5及び傾斜翼6は、回転軸3との接続点より回転方向の前にある部分が高くなっている(低くなっていてもよいが、この場合は、回転軸を逆に回転させるときを正常回転とする。)。傾斜翼5及び傾斜翼6の傾斜角度は、回転方向(水平面)に対しておよそ45度であり、通常は20〜70度の中で設定することが好ましい。このようにすることで、傾斜翼5及び傾斜翼6が流体を下方へ下降させる効果が最もよく発揮される。
撹拌槽が内径に比して高さが高い場合は、上下方向に多段の傾斜翼を取り付けてもよい。多段の傾斜翼を取り付けた場合、最下段の傾斜翼より上の傾斜翼を追加の傾斜翼と呼ぶことにする。追加の傾斜翼にも垂直板が設置され、垂直板の下端は、それぞれの追加の傾斜翼の回転軸との結合部を通る水平面以上の高さとすることが好ましい。垂直板の取り付けられた追加の傾斜翼は、上半面(回転軸との結合部より回転方向前部)のみとし、通常の傾斜翼(最下部に配置する傾斜翼)の上部に追加してもよい。さらに、高さ比の高い撹拌槽の場合は、通常の傾斜翼と全く同じものを追加してもよい。
本発明の撹拌槽2は、撹拌槽2の内径が、内部に設置した撹拌装置の傾斜翼5,6の外周端の形成する円弧の直径の1.3〜1.8倍である。この撹拌槽2の直径は、理論的には1.4倍(21/2倍)倍とすればよいが、回転軸3、傾斜翼5,6、垂直板7,8の断面積、および撹拌槽内壁付近で滞留しがちな境界層の占める断面積を考慮して1.3〜1.8倍とした。なお、この実施形態では、撹拌槽の内径を1.54倍とした。これにより、下降流の占める領域の断面積と上昇流の占める領域の断面積をほぼ等しくなり、下降流と上昇流の流速を同じにすることができる。
板状パドル4の回転時に外周端の形成する円に対して、撹拌槽2の内径は1.1〜1.5倍とすることが好ましい。この実施形態では、撹拌槽2の内径は1.4倍である。このようにして、回転軸3の回転の駆動力に対し効果的に上昇流を形成している。
傾斜翼5及び傾斜翼6は、図1(b)に示した平面図から分かるように、その外周端は、回転軸3を中心にした円周上にある。すなわち、平面図で見れば、傾斜翼5及び傾斜翼6の外形は、回転軸3が回転しているときは、円形になっている。傾斜翼5及び傾斜翼6を部品として見るときは、図2(a)に示すように、楕円形の平板の長径側を切断するように2等分して、鋭角部の面取りをした形状とすればよい。
本発明の撹拌装置1においては、傾斜翼5,6は、それぞれ外周端に垂直板7,8を備えている。垂直板7,8は、傾斜翼5,6の上半部側の外周端から垂直に垂れている板である。この垂直板7,8は、傾斜翼5,6の外周端に配置されているので、平面図1(b)においては、傾斜翼5,6の外周端と同じ円の一部となっている。また、正面図1(a)においては、三角形になっている。垂直板7,8は、下端が傾斜翼5,6の中央部を通る水平面と同じ高さ、又はそれより上にあることが好ましい。図2(a)に示す傾斜翼5の平面図で説明すれば、図の右半部分が傾斜翼上部として、傾斜翼の外周端と中心から角度τだけ右側に傾斜した線との交点まで垂直板を配置すればよい。角度τは、0〜60度、好ましくは0〜45度の範囲とすることが望ましい。なお、垂直板7,8の形状は、円筒の一部であるが、傾斜翼5,6から取り外して平坦にすれば、垂直板の形状が図2(b
)のように下側のみであれば、ほぼ三角形である。
垂直板7,8は、図2(b)〜2(e)に示すように、傾斜翼5,6の外周側の端部から下側、上側、上下両側のいずれに形成されていてもよい。また、図には示していないが、傾斜翼5,6の外周側の端部から上側のみに垂直板を形成してもよい。傾斜翼5,6はその下側では、流体を押しつけて下降流を生じさせ、上側では、流体を引き付けて下降流を生じさせる作用がある。このとき、流体に同時に回転によるラジアル方向への遠心力が働くので、この遠心力による流体のラジアル方向への拡散を押さえることが、垂直板7,8の重要な役目である。さらに、回転する垂直板7,8の外周面が旋回しながら上昇する流体に剪断力を与えるのも垂直板7,8の重要な役目である。また、垂直板7,8の平坦にしたときの形状は、図2(b)〜2(e)に示すように、台形や平行四辺形など、どのような形状でもでもよい。また、角部を面取りして流体の流動抵抗を軽減してもよい。
垂直板7,8の下端部は、傾斜翼5,6の中央部と同じ高さ位置より幾分上にしてある。垂直板7,8は、短すぎれば、下降流の傾斜翼5,6の外側へのはみ出しを十分に抑制できず、中央部より下側に長すぎると、傾斜翼5,6の下半面(回転軸と結合された傾斜翼の回転方向後側半分の翼面)上で外周部から回転軸中心方向への流体の吸い込みを阻害する結果、傾斜翼の上半面から下半面への流れを増大させる働きを阻害するので、傾斜翼5,6の中央部と同じ高さ位置までの長さとすることが好ましい。
撹拌槽が比較的縦長の場合は、傾斜翼を二組以上備えた撹拌装置とすることもできる。図2(e)は、二組の傾斜翼を備えた撹拌装置である。図2(e)においては、下側の傾斜翼は、図2(c)に示したもの同じ垂直板を備えた傾斜翼であり、上側の傾斜翼は、図2(d)に示したもの同じ垂直板を備えた傾斜翼である。なお、図2(e)は、二組の傾斜翼5,6と、傾斜翼5',6'が回転軸3から同じ方向に出ているが、傾斜翼5,6と、傾斜翼5',6'を回転方向にずらして配置してもよい。例えば、傾斜翼5,6と、傾斜翼5',6'を回転方向90度、又は30度ずらすことで下降流を効率よく形成することがある。
垂直板の効果について説明する。まず第一に、垂直板は、撹拌中に傾斜翼により形成される下降流を効率よく下方へ導く効果を有している。図3を参照して説明する。図3(b)は、従来の撹拌装置(図4に示した撹拌装置)による撹拌の状態を模式的に示したものである。図3(b)において、回転軸13が軸の回転方向を示す矢印A方向に沿って回転すると、傾斜翼15、16も同じ矢印A方向に回転する。そして、流体は、傾斜翼15、16によって下方へ押し込まれていく。そのとき、実際には、傾斜翼15、16表面との摩擦により、流体も少し軸の回転方向を示す矢印A方向に回転しながら下降していく。しかし、図3(b)においては、回転している傾斜翼15、16を基準にして、流体の相対的な動きを示している。このため、傾斜翼15により押さえ込まれて下降していく流体は、下降流が傾斜翼15の外側方向で、図3(b)の遠心下降流でB方向へ流れながら下降していく様に図示されている。
ここで、問題となるのは、傾斜翼15の外側に流れ出ていく下降流である。この外側に流れていく下降流は、撹拌槽12の周壁に沿って回転軸の回転方向と同じ方向に回転しながら上昇している上昇流Cとぶつかる。そして、上昇流Cの上昇力を弱める方向に作用する。勿論、下降流自身も下降の力が弱まる。このようにして下降流と上昇流が傾斜翼15の外周部付近で干渉し合い、互いの流動を妨げ合い、結果として撹拌槽12の良好な流体の循環を妨げることになる。
これに対して、図3(a)は、本発明の撹拌装置における流体の流動状態を示す模式図である。図3(a)の見方は、図3(b)と同じであり、図3(a)が図3(b)と相違するのは、傾斜翼5の外周部の一部に垂直板7が設置されていることである。この垂直板7の効果により、傾斜翼5の外周側に向かってきた下降流Bは、垂直板7にぶつかって方向転換し、傾斜翼5の周方向に向かいながら下降していく。このため、下降流が螺旋状の上昇流Cと接触する領域が少なくなり、下降流Bと上昇流Cは互いに干渉することなく流動する。結果として撹拌槽2中の流体は、良好な循環を続けることができる。また、下降流Bと上昇流Cの干渉がない分、撹拌翼を回転させる動力も少なくて済む。
垂直板7,8の役目の一つは、傾斜翼面上の上半分で強く発生するラジアル方向の流れを、垂れ板が強制的に内側に戻し、且つ翼面上で強い下降流に換えることで、下半面上の下降流れを促進し、回転軸中心に向かう強い旋回下降流を発生させる。このことで撹拌槽全体に渡る大きな対流を発生させることができる。したがって、回転軸下部の中心付近で滞留部は発生しにくい。螺旋状の上昇対流との干渉が小さく、上昇対流を妨げない。高粘度流体(プロペラレイノルズ数Rn<数百)の撹拌による混合は、乱流(渦流)に因るのではなく、まだらの多重層のまま引き延ばし、折り曲げて重ねることを繰り返しことで最終的な混合状態を得るのがもっとも効率的である。
さらに、垂直板7は上昇流Cに摩擦力により上昇流C方向の回転力を付ける。一方上昇流Cは撹拌槽2の壁面の摩擦力により上昇流C方向の回転を止める方向の力を受けている。上昇流Cは、この相反する両者の応力により剪断力を受け、剪断されながら上昇する。この剪断作用により、高粘度の流体の撹拌が促進される。
撹拌槽2に設けた邪魔板10は、撹拌槽内壁付近で滞留しがちな境界層流を内壁から引きはがし、撹拌槽中心方向に引き込む効果があり、境界層流内の未混合を生じさせない働きがある。撹拌槽2の壁面に設ける邪魔板10は、垂直板7,8の下端部とほぼ同じ高さから垂直板7,8の上端部より50〜150mm程度上まで設けることが好ましい。撹拌槽2が大きい場合には、上端部より50〜150mmに替えて、上端部より撹拌槽2の円筒形の直径の0.1〜0.2倍とすることが好ましい。なお、この邪魔板は、どのような形状でもよいが、平面図1(b)に表される断面形状が撹拌槽2の壁面から突出した凸状であることが好ましく、例えば、三角形、台形、半円形などとすればよい。このような形状とすれば、流体の一部に乱流を起こすような抵抗はなく、撹拌槽内壁付近の境界層を回転軸中心方向に引き込み、境界層流内で未混合部分が発生しないような働きをする。
(実施例1)
図7に示したような撹拌槽(内径約200mm、高さ250mm、実効容量8L)に、25℃のときの粘度5400cP(5.4Pa・sec)のポリオール(ポリウレタン樹脂原料)を7L仕込み、流体温度25℃として、図1に示すような撹拌装置を用いて回転速度200rpmで撹拌した。なお、この撹拌装置は、上段傾斜翼の外径120mm、傾斜角度45°、下段パドル翼の外径120mmの撹拌翼(撹拌翼の先端は約30°後退するように屈折している)を備えている。このときの撹拌レイノルズ数Rnは9.8であった。ポリオールを均一に撹拌しながら、青色染料水溶液を500ml滴下し、そのまま撹拌を続けて染料を混合した。撹拌するに従って、白色のポリオールは、青い染料と縞模様を形成しながら、次第に均一な薄紫色に変化していった。
この変化を、図7に示す写真を参照にしながら説明する。図7(a)は、染料投入前のポリオールを撹拌している状態であり、ポリオールは白濁色をしている。図7(b)は、撹拌を続けながら青色染料水溶液を投入開始した直後の写真であり、染料の青い帯が見える。図7(c)は、染料投入終了時点であり、表面全体に青色染料が拡がっている。染料投入時間はおよそ5秒であった。図7(d)は、染料投入後10秒間撹拌した状態であり、染料が中心付近から巻き込まれて行き、外周部には、白いポリオールが浮き上がってきている。図7(e)は、染料投入後20秒経過、図7(f)は、染料投入後30秒経過、図7(g)は、染料投入後60経過、図7(h)は、染料投入後90秒経過した写真を示す。それぞれ白色と青色の縞がグラデーションに近くなっており、図7(h)では、ほとんど均一な薄紫に近くなっている。図7(i)は、染料投入後180秒(3分)経過したところで、撹拌機の撹拌を停止した状態の写真である。ポリオール溶液は、完全に均一な薄紫にとなっている。なお、図7(e)〜7(h)の液面上に見られる部分的な白色部は光の反射によるもので、未混合の流体ではない。
5400cPという高粘度流体に対して、比較的低い撹拌レイノルズ数(同一撹拌翼径、流体粘度の撹拌においては低回転を意味する)でも短時間で充分な撹拌が可能であるので、単位容積当たりの撹拌動力(本実施例1、2、3、4の撹拌に必要な動力はすべて70W以下であった。)が低くても有効な撹拌が可能である。従来の撹拌翼(例えば、図6に示すような撹拌翼)では、撹拌レイノルズ数が40〜50の撹拌領域では、一般のリボン翼よりも撹拌効率が悪いといわれている。
(実施例2)
実施例1と同じ撹拌装置を備えた撹拌槽に、20℃のときの粘度7500cP(20℃で7.5Pa・Sec、17℃で10Pa・Sec)のポリオール溶液(ポリオールに添加剤を加えたポリウレタン樹脂原料)をドライアイスで均一に冷却して17℃として7L仕込んだ。このポリオール溶液を回転速度200rpmで撹拌した。このときの撹拌レイノルズ数Rnは5.3であった。ポリオール溶液が均一に撹拌されだした時点で、撹拌を続けながら青色染料水溶液を500mL滴下した。ポリオール溶液は、青い縞になりながら次第に薄紫色に変化していった。なお、撹拌終了時のポリオール溶液の温度は20℃であった。
実施例1と同様に、青色染料水溶液投入、撹拌混合状態を肉眼観察した。青色染料水溶液投入後10秒くらいは、実施例1と同様に青い縞模様が見えるが、その後、縞模様がグラデーションを帯びてきて、次第に均一な薄紫に変わっていった。ポリオール溶液が均一な薄紫色になるまでの時間は、約2.5分であった。実施例1よりも低い撹拌レイノルズ数Rnであっても、むしろ好適な混合が実現できた。
(実施例3)
実施例1と同一の撹拌装置を備えた撹拌槽に、25℃のときの粘度2500cP(2.5Pa・sec)のポリオール(ポリウレタン樹脂原料)を7L仕込み、粘度100cP以下の添加剤を0.5L投入して、140rpmで撹拌した。このときの流体温度は25℃で撹拌レイノルズ数Rnは14.8であった。15分間混合した後、撹拌槽からポリオールを0.5L取り出し、イソシアネートと規定量混合してポリウレタン樹脂を反応生成させ、当該ポリオールが低粘度、且つ少量の添加剤と完全に混合されているかを、生成された樹脂の内部発泡状態で目視判断したが、きわめて均一な品質のポリウレタン樹脂が得られた。
ポリオールが添加剤と完全に混合されていない場合には、発泡ポリウレタン樹脂の内部に不均一な泡が生じたり、未反応の部分が生じたりするが、この混合ポリオールはきわめて均質であり、ポリオールと添加剤との混合は完全であることが分かった。良質なポリウレタン樹脂を作成するには、均質な混合ポリオールの生成がきわめて重要であり、通常の撹拌翼(多段プロペラ翼が多い)と撹拌槽の組み合わせでは、120分以上をかけて混合していたのに較べ、およそ1/8の時間(15分)に短縮された。これはポリウレタン製造ラインの設計やコスト、設備コストにきわめて有効と考えられる。
(実施例4)
実施例1と同一の撹拌装置を備えた撹拌槽に、25℃のときの粘度7000cP(7Pa・sec)の水飴を7L仕込み、粘度5cP以下のヨードを2cc投入して毎分180回転で混合した。撹拌開始時の流体温度は25℃で終了時の流体温度も25℃と変化がなかった。撹拌レイノルズ数Rnは6.6であった。本実施例は、撹拌翼周りの流れを目視可能にし、本発明の効果を確認するために行った。
回転翼を一時的に停止し、撹拌槽内のヨードの混合状態の変化を表す写真を図8に示す。図8(a)は、撹拌開始4秒後であり、撹拌翼の回転軸に沿って流体が引き込まれる状態を表す。図8(b)は、撹拌開始6秒後であり、傾斜翼の下半面に沿って流体が回転軸方向且つ下側に引き込まれる状態である。図8(c)は、撹拌開始10秒後であり、傾斜翼の下半面から下部のパドル翼に流体が流れる状態である。図8(d)は、図8(c)の状態を、角度を変えて撮ったものである。傾斜翼の下半面に沿って流体が回転軸方向、且つ下側に引き込まれる状態をよく表している。傾斜翼の下半分では撹拌翼から遠心方向への流れは見られない。図8(e)は、撹拌開始15秒後であり、撹拌槽最下部に達した流れが旋回しながら撹拌槽の表層まで上昇している様が見られる。同時に高粘度層を引き延ばし重ねる働きが見える。ヨードが幾重にも重なった細い層になっている。また、撹拌槽の最下部中心まで充分に混合されていることがわかる。図8(f)は、図8(e)の状態を上から撮影した。旋回するヨードの層が表層から撹拌軸の中心から引き込まれていることがわかる。撹拌槽最下部に達した流れが旋回しながら撹拌槽の表層まで上昇している様が見られる。なお、この水飴は45秒で混合が完了した。
(実施例5)
実際の製造ラインに使用されるものと同一寸法の、上段傾斜翼の外径0.35m、傾斜角度45°、下段パドル翼の外径0.35mmの撹拌翼(撹拌翼の先端は約30°後退するように屈折している)を備えた、図1に示すような撹拌翼を製作し、内径0.6m、高さ1.1mの撹拌槽に設置して撹拌性能を確認した。撹拌槽に27℃のポリオール(温度27℃で約2000cP)200Lを投入し、粘度100cP以下の添加剤を14L(ポリオール総量に対して7質量%)投入して毎分83回転で撹拌した。このときの撹拌レイノルズ数Rnは94以下であった。撹拌動力は約1.2KWであった。15分間混合した後、撹拌槽からポリオールを0.5L取り出し、イソシアネートと規定量混合してポリウレタン樹脂を反応生成し、当該ポリオールが添加剤と完全に混合されているかを、生成された樹脂の内部発泡状態で目視判断したところ、良好であった。本混合ポリオールではきわめて均一な品質が得られた。
なお、図6に示すような撹拌装置やプロペラ型もしくはパドル型のような、従来の撹拌装置を備えた撹拌槽では、同一の容量でポリオールが添加剤と完全に混合されルまでに120分を要することがわかっている。この実施例の撹拌装置を備えた撹拌槽は、混合時間を大幅に短縮できるのみならず、撹拌槽自体を小型化できる利点もある。また、従来の撹拌翼では大量の気泡を巻き込み、この泡のために製品品質が低下していたが、本発明品では撹拌翼の特殊な形状と、低撹拌回転数で混合できることから、泡の巻き込みが無く脱泡のための静置時間を必要としない。従来は脱泡するのに長時間を有したが、本発明の撹拌装置によれば、脱泡時間が不用であり、ポリオール混合溶液製造に関わる時間が大幅に短縮され、製品コストの低減が可能になる。
(実施例6)
実際の製造ラインに使用されるさらに大型の、外径0.51m、傾斜角度45°、下段パドル翼の外径0.51mmの撹拌翼(撹拌翼の先端は約30°後退するように屈折している)を備えた、図1に示すような撹拌翼を製作し、内径0.8m、高さ1.1mの撹拌槽に設置して撹拌性能を確認した。撹拌槽に27℃のポリオール(温度27℃で2000cP)500Lを投入し、粘度100cP以下の添加剤を35L(ポリオール総量に対して7%)投入して毎分33.8回転で混合した。このときの撹拌レイノルズ数Rnは81.4であった。撹拌動力は約0.9KWであった。15分間混合した後、撹拌槽からポリオールを0.5L取り出し、イソシアネートと規定量混合してポリウレタン樹脂を反応生成し、当該ポリオールが添加剤と完全に混合されているかを、生成された樹脂の内部発泡状態で目視判断した結果、本混合ポリオールでもきわめて均一な品質が得られた。
実施例5と同様に、従来の撹拌槽では同一の容量で良好な混合を得るのに120分以上を要するが、このような大型の撹拌槽でも同様に混合時間を大幅に短縮でき、且つ気泡の巻き込みもないことが分かった。
実施例1〜6の結果から分かるように、高粘度流体に対する撹拌効率は、本発明の撹拌装置を備えた撹拌槽を用いた場合、従来の撹拌槽に較べ明らかに向上した。また、高粘度流体に対して、少量の低粘度流体を混合する場合にも良好な撹拌作用を示している。一般に、撹拌翼寸法、流体密度や粘度が異なっていても、同一の撹拌レイノルズ数では同様の撹拌効果が得られと考えられている。実験により、本発明の撹拌装置は撹拌レイノルズ数が100以下程度の領域で使用するのがもっとも撹拌効率がよいことがわかっている。
一般に、高粘度流体の層流流れでは、流体密度と静粘性係数が同じ場合、本発明の様な形状の撹拌翼では、撹拌動力は撹拌レイノルズ数の自乗に比例するから、本発明の撹拌装置は、撹拌槽が大型になっても撹拌に要する動力がほとんど変わらないことがわかる。実施例5,6の動力を比較すると、200L槽と500L槽の撹拌レイノルズ数はそれぞれ94と81.4であるから、撹拌レイノルズ数の自乗の比から、500L槽の撹拌動力は200L槽の0.75倍になるはずである。実際の計測では0.9KW/1.2KW=0.75であり、計算による予想動力値と一致していることがわかる。この実施例では大型の撹拌槽の方が低い動力になっている。
本発明は、例えば、1000cP(1Pas)以上の高粘度流体同士の混合、高粘度流体に低粘度流体を混合する場合、撹拌中に高粘度化する流体を撹拌する場合、高粘度流体の熱交換による均一な冷却や加熱などに適用することができる。
本発明の撹拌装置の概略図; (a)は正面図、(b)は平面図 本発明の撹拌装置における(a)傾斜翼の平面図、(b)垂直板が下側に垂れた傾斜翼の例、(c)垂直板が上下両側に付いた傾斜翼の例、(d)略三角形の垂直板が上下両側に付いた傾斜翼の別の例、(e)二組の傾斜翼を備えた例 下降流と上昇流の干渉の説明図; (a)は本発明の撹拌装置、(b)は従来の撹拌装置 従来の撹拌装置例(1)の概略図(正面図) 従来の撹拌装置例(2)の概略図(正面図) 従来の撹拌装置例(3)の概略図(正面図) ポリオールに染料を添加して撹拌したときの混合状態を表す写真 水飴にヨードを添加して撹拌したときの混合状態を表す写真
符号の説明
1 :撹拌装置
2 :撹拌槽
3 :回転軸
4 :板状パドル
5 :傾斜翼
6 :傾斜翼
7 :垂直板
8 :垂直板
9 :接続治具
10 :邪魔板
11 :撹拌装置
12 :撹拌槽
13 :回転軸
14 :板状パドル
15 :傾斜翼
16 :傾斜翼
20 :撹拌装置
21 :平板パドル
24 :回転軸
26 :壁寄り傾斜パドル
29 :軸寄り傾斜パドル
30 :撹拌装置
31 :撹拌槽
32 :回転軸
36 :邪魔板
37 :上部傾斜翼
38 :下部傾斜翼
39 :板状パドル傾斜翼

Claims (7)

  1. 撹拌槽中で、垂直に設置した回転軸の周りに複数の回転翼を配置して高粘度流体を撹拌する撹拌装置であって、
    前記回転軸の上部に、回転軸の回転方向に対し傾斜した板状の傾斜翼を配置し、
    前記回転軸の下部に、回転軸に平行な板状のパドルを配置し、
    前記傾斜翼の外周端は、前記回転軸上方から見たときに、回転軸を中心とする円周上にあり、
    前記傾斜翼の上半部の外周端には、垂直板を備えていることを特徴とする撹拌装置。
  2. 前記垂直板は、前記傾斜翼の端部から下方、上方、又は上下方向に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撹拌装置。
  3. 前記傾斜翼の上部に、回転軸の回転方向に対し傾斜した板状の追加の傾斜翼を配置し、
    前記追加の傾斜翼の外周端は、前記回転軸上方から見たときに、回転軸を中心とする円周上にあり、
    前記追加の傾斜翼の上半部の外周端には、垂直板を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撹拌装置。
  4. 前記垂直板の下端は、前記傾斜翼の回転軸との結合部を通る水平面以上の高さにあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撹拌装置。
  5. 前記傾斜翼及び追加の傾斜翼は、水平面に対し20〜70度の傾斜角を有し、
    前記パドルは、先端部が回転方向に対し30〜45度の後退角で屈曲又は湾曲していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の撹拌装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の撹拌装置を備えた円筒形の撹拌槽であって、
    前記回転軸上方から見たときに、前記円筒形の内直径が前記傾斜翼の外周端の形成する円弧の直径の1.3〜1.8倍であり、
    前記円筒形の直径は、前記パドルの回転軸中心から外周端までの長さの1.1〜1.5倍であることを特徴とする撹拌槽。
  7. 内壁には邪魔板を備え、前記邪魔板の下端は前記垂直板の下端と略同じ高さであり、上端は前記傾斜翼の上端より、50〜150mm上の高さ、又は前記円筒形の直径の0.1〜0.2倍の距離だけ上の高さのいずれか高い方であることを特徴とする請求項6に記載の撹拌槽。
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