JP2002346701A - 介在物欠陥の少ない鋳片 - Google Patents
介在物欠陥の少ない鋳片Info
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Abstract
の個数を低減する。 【解決手段】 連続鋳造された鋼鋳片であって、鋳片内
で鋳片長辺面と平行し、かつ鋳片厚方向中心面で鋳造方
向長さ400mmの区間にあって、鋳片の両側の鋳片短
辺面表面からの深さ5〜15mm間における凝固組織の
デンドライト形態が、下記(1)式を満たすことを特徴
とする介在物欠陥の少ない鋳片。 5°≦θ1≦40° …
(1) ここで、θ1:凝固組織である一次デンドライトが鋳片
表面の法線となす角度(°)の平均値で、符号は該デン
ドライトの成長方向の向きが鋳造方向と同じ側である場
合をプラスとする。
Description
に関し、特に介在物欠陥の少ない鋳片を提供する連続鋳
造法に係わるものである。
陥を引き起こすため、その低減に多大の努力がなされて
いる。特に近年、介在物の極力少ない清浄鋼が要求され
ており、その対応として、鋼の精錬時のみならず連続鋳
造においても種々の介在物低減対策が行われている。
ては、電磁力を用いて積極的に攪拌させる技術(例え
ば、特開昭56−4353号公報)や、逆に溶鋼流れに
ブレーキをかけて内部への介在物侵入を抑制する技術
(例えば、特開昭59−10126号公報)が適用され
ている。また、両者を同時に適用した技術(例えば、特
開平5−177317号公報)がある。
術は、特に、鋳片表層の介在物の個数低減を目的に行わ
れている。これは、凝固シェルの前面に溶鋼流れを与え
ることにより、鋼が凝固する際に、溶鋼中の介在物が凝
固シェルの中に入ることを防止するものである。この結
果、鋳片表層の介在物個数が少なくなり、製品において
発生するスリバー疵等の鋳片介在物に起因する欠陥が減
少する。
は、特に、鋳片内部の介在物を低減する目的で行われて
いる。連鋳タンディッシュのノズルから鋳型内に出た溶
鋼が連鋳ストランドの内部に侵入すると、この流れに乗
った介在物も内部に侵入し、製品加工時に割れ発生の起
点となる。電磁ブレーキを用いることにより、溶鋼が連
鋳ストランドの内部に侵入することを防止すれば、鋳片
内部の介在物を低減することが出来る。
いれば、鋳片表層と内部の両方の介在物を低減すること
が出来る。しかしながら、これら装置の設置位置や印可
する磁場の大きさ、また、鋳造する鋼種や鋳造サイズ、
タンディッシュ・ノズルの溶鋼吐出孔数や角度といった
形状に関する条件、鋳造速度等が異なった場合には、電
磁攪拌や電磁ブレーキをかけた場合の溶鋼流動が、必ず
しも介在物低減にとって最適な値となっているかどうか
は保証できない。すなわち、電磁攪拌を例にとると、メ
ニスカスの溶鋼流速が小さすぎれば、凝固シェルによる
介在物捕捉を防止することは出来ない。また、逆にメニ
スカスの溶鋼流速が大きすぎると、溶鋼表面上に添加さ
れているモールド・フラックスを巻き込み、フラックス
起因の介在物欠陥が増加することになる。
考え方もあるが、鋳造中の鋳型内の溶鋼流速を正確に測
定することは困難である。このような観点から発明者ら
は、先に、特開2000−246407号公報におい
て、鋳片の凝固組織の形態を規定することで、鋳片表層
と内部の両方の介在物を低減する条件を開示した。この
発明によれば、鋳片内の大きさ37μm以上の介在物に
対して大きな低減効果を得ることが出来た。しかしなが
ら、近年、ユーザーの要求は益々厳しくなり、大きさ1
0μm以上の介在物に関しても、その個数の低減が求め
られるようになった。従って、大きさ10μm以上の介
在物に対して、安定して鋳片の表層と内部の介在物個数
を少なくする技術が必要となった。
表面の割れと鋳片内部の介在物欠陥を同時に少なくする
ことにより、高品質の鋳片を提供するものである。
いて、大きさ10μm以上の介在物個数を同時に低減さ
せるために、本発明は以下の構成を特徴とする。 1.連続鋳造された鋼鋳片であって、鋳片内で鋳片長辺
面と平行し、かつ鋳片厚方向中心面で鋳造方向長さ40
0mmの区間にあって、鋳片の両側の鋳片短辺面表面か
らの深さ5〜15mm間における凝固組織のデンドライ
ト形態が、下記(1)式を満たすことを特徴とする介在
物欠陥の少ない鋳片である。
表面の法線となす角度(°)の平均値で、符号は該デン
ドライトの成長方向の向きが鋳造方向と同じ側である場
合をプラスとする。 2.さらに、前記の鋼鋳片において、鋳片の長辺面と短
辺面の双方と垂直な面で、かつ鋳片幅方向中心線から±
200mmにあって、鋳片の両側の長辺面の少なくとも
1長片面表面からの深さ5〜10mm間における凝固組
織のデンドライト形態が、下記(2)式を満たすことを
特徴とする前記(1)に記載の介在物欠陥の少ない鋳片
である。
表面の法線となす角度(°)の平均値。
m以上の介在物を低減するために適した溶鋼流れについ
て検討した。連続鋳造においては、溶鋼は凝固シェルと
ともに絶えず下方に鋳造速度の大きさで引き抜かれてい
るので、例え溶鋼の流れを完全に停止させたとしても、
鋳造方向下向きには数cm/sの速度で動いていること
になる。このような場合には、大きさ10μmの介在物
が、浮上して溶鋼表面まで確実に到達することは不可能
であり、他の手段が必要となる。
在物を溶鋼表面に到達させるために、鋳型内に積極的に
上昇流を作ることを着想し、どのような上昇流の場合
に、鋳片内の10μm以上の介在物個数が低減するかに
ついて、実鋳片を調査した。表1に示す溶鋼成分で、表
2に示すように条件を変更し、鋳片内の介在物を調査し
た。
鋼中の流れの測定は困難なので、先の発明(特開200
0−246407号公報)と同じように、溶鋼の流れを
表す指標として、鋳片の凝固組織に着目した。凝固時に
成長するデンドライトは、溶鋼流れの上流側に向かって
伸びる性質がある。凝固組織については、鋳片の種々の
位置や方向で観察したが、鋳型内の上昇流を表すには、
鋳片短辺表層のデンドライトの傾きを用いるのが良いこ
とが判った。
2にて後述するように、鋳片長辺面と平行し、かつ鋳片
厚方向中心面で鋳造方向長さ400mmの区間にあっ
て、鋳片の両側の鋳片短辺面から深さ5〜15mm間に
おける凝固組織での、図3にて後述するように、一次デ
ンドライトが鋳片表面の法線となす角度(°)の平均値
をとったものを示す。符号は該デンドライトの成長の向
きが鋳造方向と同じ側に向いている場合をプラスとし
た。また、縦軸は、10μm以上の介在物指数であり、
これは、鋳片を電解スライム法で処理して抽出した10
μm以上の介在物個数を顕微鏡で計数し、その個数を鋳
片1kg当たりに換算した数値を、更に基準の数値で割
ったものである。ここで基準の数値とは、過去数年間に
渡るユーザーからの鋼板の清浄度に対する要望から、特
に介在物の影響が大きく現れる加工を行なう製品でも欠
陥が発生しない限界として、本発明者らが解析して経験
的に求めた10μm以上の介在物個数である。すなわ
ち、本指標が1以下の場合には、特に介在物の影響が大
きく現れる加工の厳しい製品においても欠陥を発生する
ことがない。
デンドライトの傾きが5°〜40゜の場合に1以下とな
り、非常に少なくなることが判った。これは、タンディ
ッシュ・ノズルから下方、またはノズルの両側において
斜め下方に出た溶鋼が鋳型の溶鋼の抵抗によって反転
し、鋳片短辺に沿った上昇流となって溶鋼表面に向かう
ときに、10μm以上の介在物がその溶鋼にのっていっ
しょに溶鋼表面に運ばれていくためである。一方、デン
ドライトの角度が40゜よりも大きい場合には、大きく
なった上昇流が溶鋼表面を乱し、溶鋼表面の上にのって
いる連鋳潤滑用のフラックスを巻き込んで、介在物とな
るために、逆に介在物指標が大きくなる。
の発明(特開2000−246407号公報)で示した
ような、溶鋼表面近傍で適正な水平流れを付与した場合
の効果についても結果を示した。すなわち、図中の水平
流有りでは、更に10μm以上の介在物個数が低減し
た。ここで、適正な水平流とは、先の発明(特開200
0−246407号公報)で示したように、鋳片の長辺
面と短辺面の双方と垂直な面で、かつ鋳片幅中央線から
±200mmにあって、鋳片の長辺面の表層下5〜10
mm間における凝固組織の形態が、下記の式を満たす場
合である。
表面の法線となす角度(°)の平均値。これは、適正な
水平流を付与すると、凝固シェルの前面に適正な溶鋼流
れを与えることにより、鋼が凝固する際に溶鋼中の介在
物が凝固シェルの中に入ることが防止された結果であ
る。
する。まず、鋳型内の上昇流の程度を代表する凝固組織
の評価位置について述べる。評価位置は、図2に示した
ように、鋳片長辺面と平行し、かつ鋳片厚方向中心面で
鋳造方向長さ400mmの区間にあって、鋳片の両側の
鋳片短辺面の少なくとも1短辺面表面からの深さ5〜1
5mm間における凝固組織の位置とした。これは、この
位置がちょうど鋳型内における短辺凝固シェルの厚みを
代表しており、この位置の凝固組織が凝固シェルと溶鋼
の境界における垂直方向の溶鋼の流れを表しているため
である。
法について説明する。まず観察面を鏡面研磨後、ピクリ
ン酸を用いて、60℃で5分間エッチングし、凝固組織
を顕出させる。図3に示したような凝固組織に見られる
一次デンドライト(図3内で筋状に伸びている線)の伸
びる方向と鋳片表面における法線とのなす角度を、鋳造
方向400mmの区間について20mmピッチで測定基
準点を設け、21箇所測定してその平均値を求め、その
鋳片の角度とする。角度を測定する際には、上記測定基
準点の左右±10mm分を観察し、ほぼその領域を代表
していると見なせる一次デンドライトの角度を測る。角
度の符号は、図3に示すように、デンドライトの成長方
向(鋳片内部側)が鋳造進行方向と同じ場合をプラスと
する。鋳片における短辺は左右の2箇所あるが、その両
方について、下記条件を満たす必要がある。
きの条件については、以下の理由で決定した。図1に示
したように、上記の方法で測定し求めたデンドライトの
角度の平均値が5°〜40°の範囲に入っている場合
に、鋳片内の10μm以上の介在物指標が非常に小さく
なることから、その範囲を適正値とした。デンドライト
の角度が5゜未満の場合には、溶鋼上昇流が小さいため
に、小さな介在物は浮上しない。また、デンドライトの
角度が40゜よりも大きい場合には、大きくなった上昇
流が溶鋼表面を乱し、溶鋼表面の上にのっている連鋳潤
滑用のフラックスを巻き込んで、介在物となる。
固組織の評価位置について述べる。評価位置は、図2に
示したように、鋳片の長辺面と短辺面の双方と垂直な面
で、かつ鋳片幅方向中央線から±200mmにあって、
鋳片の両側の長辺面の少なくとも1長辺面表面から深さ
5〜10mm間における凝固組織の位置とした。これ
は、この位置が丁度鋳型内における長辺面の凝固シェル
の厚みを代表しており、この位置の凝固組織が凝固シェ
ルと溶鋼の境界における水平方向の溶鋼の流れを表して
いるためである。凝固組織であるデンドライトの測定法
については、前述したものと同じであるが、この場合、
一次デンドライトの伸びる方向が、鋳片表面における法
線に対して左側の方向へ伸びる場合と、逆に右側の方向
に伸びる場合があるので、図4に示すように、測定試料
全体を見て、その傾向が大きい方をプラス側、逆方向を
マイナス側として、平均値を求める。
2箇所あるが、水平流の評価の場合には、片方の測定で
代表できる。この水平流を代表するデンドライトの傾き
の条件については、以下の理由で決定した。すなわち、
先の発明で示したように、上記の方法で測定し求めたデ
ンドライトの角度の平均値が10°〜40°の範囲に入
っている場合に、鋳片表層近傍の37μm以上の介在物
指数が非常に小さくなるが、この水平流の範囲で更に、
本発明で示した適正な上昇流を組み合わせると、表層近
傍を含めた鋳片内の10μm以上の介在物指数も、図1
に示したように大幅に低減した。この理由から、水平流
を表すデンドライトの角度の適正範囲を決定した。
得る、すなわち鋳型内で適正な上昇流と水平流を得るに
は、先に挙げた鋳型内の電磁攪拌装置や電磁ブレーキ装
置を用いるのも一つの方法であるが、タンディッシュ・
ノズルの形状や鋳片サイズ、鋳造速度等の組み合わせに
よっても得ることが出来る。逆に、電磁攪拌装置や電磁
ブレーキ装置を用いたからといって、必ずしも適正な凝
固組織、すなわち溶鋼流動条件が得られるわけではな
い。従って、本発明に見られる凝固組織を指標として、
ノズル形状および、または電磁力使用の条件を、鋳造速
度や鋳造サイズに合わせて決定することが重要である。
指数を大幅に低減する事が出来、介在物基準の厳しい材
料についても十分な品質を得ることが保証できる。
示す試験条件で製造し、得られた鋳片の凝固組織と介在
物の関係を調査した。結果を同じく表5に示す。
場合(A−1、B−1、C−1、D−1、E−1、F−
1、G−1、H−1)には、いずれの場合も鋳片介在物
指数が1より低い結果となり、10μm以上の介在物が
非常に少ない鋳片が得られた。また、B−1、D−1、
E−1、H−1のように電磁力を使用して本発明条件を
満たした場合も良好な結果となった。特に、B−1、D
−1では、本発明で規定した上昇流を表す凝固組織が適
正なことに加えて、水平流を表す凝固組織も適正なた
め、非常に低位で良好な鋳片内介在物指数が得られた。
ついては、次の通り問題のある結果となった。すなわ
ち、比較材A−2、B−2、C−2、F−2、G−2、
H−2では、ノズル形状が不適切のため、本発明の条件
を満足する凝固組織が得られず、鋳片内介在物指標も問
題となる結果となった。D−2、E−2では、D−1、
E−1とそれぞれ同じノズルを用いているが、D−2で
は鋳造速度が低すぎるため、またE−2ではノズル内で
偏流が起こり、左右の流れがアンバランスになったた
め、鋳片内介在物指標が悪化した。
合には、鋳片内介在物指標が悪化し、加工の厳しい用途
では欠陥が多発するようなものしか出来なかった。
上の介在物を表す鋳片内介在物指標が低位安定となり、
加工の厳しい用途でも欠陥の発生しない高品質の素材鋳
片を得ることが出来た。
係を表した図。
を表した図。
Claims (2)
- 【請求項1】 連続鋳造された鋼鋳片であって、鋳片内
で鋳片長辺面と平行し、かつ鋳片厚方向中心面で鋳造方
向長さ400mmの区間にあって、鋳片の両側の鋳片短
辺面表面からの深さ5〜15mm間における凝固組織の
デンドライト形態が、下記(1)式を満たすことを特徴
とする介在物欠陥の少ない鋳片。 5°≦θ1≦40° … (1) ここで、θ1:凝固組織である一次デンドライトが鋳片
表面の法線となす角度(°)の平均値で、符号は該デン
ドライトの成長方向の向きが鋳造方向と同じ側である場
合をプラスとする。 - 【請求項2】 さらに、前記鋼鋳片において、鋳片の長
辺面と短辺面の双方と垂直な面で、かつ鋳片幅方向中心
線から±200mmにあって、鋳片の両側の長辺面の少
なくとも1長片面表面からの深さ5〜10mm間におけ
る凝固組織のデンドライト形態が、下記(2)式を満た
すことを特徴とする請求項1に記載の介在物欠陥の少な
い鋳片。 10°≦θ2≦40° … (2) ここで、θ2:凝固組織である一次デンドライトが鋳片
表面の法線となす角度(°)の平均値。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001159029A JP2002346701A (ja) | 2001-05-28 | 2001-05-28 | 介在物欠陥の少ない鋳片 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001159029A JP2002346701A (ja) | 2001-05-28 | 2001-05-28 | 介在物欠陥の少ない鋳片 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002346701A true JP2002346701A (ja) | 2002-12-04 |
Family
ID=19002673
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001159029A Pending JP2002346701A (ja) | 2001-05-28 | 2001-05-28 | 介在物欠陥の少ない鋳片 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002346701A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114441579A (zh) * | 2022-01-07 | 2022-05-06 | 攀钢集团研究院有限公司 | 一种连铸坯枝晶间夹杂位置的检测方法 |
-
2001
- 2001-05-28 JP JP2001159029A patent/JP2002346701A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114441579A (zh) * | 2022-01-07 | 2022-05-06 | 攀钢集团研究院有限公司 | 一种连铸坯枝晶间夹杂位置的检测方法 |
CN114441579B (zh) * | 2022-01-07 | 2024-05-28 | 攀钢集团研究院有限公司 | 一种连铸坯枝晶间夹杂位置的检测方法 |
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