JP2002340833A - 湿度センサ素子およびその製造方法 - Google Patents

湿度センサ素子およびその製造方法

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JP2002340833A
JP2002340833A JP2002062012A JP2002062012A JP2002340833A JP 2002340833 A JP2002340833 A JP 2002340833A JP 2002062012 A JP2002062012 A JP 2002062012A JP 2002062012 A JP2002062012 A JP 2002062012A JP 2002340833 A JP2002340833 A JP 2002340833A
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moisture
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sensor element
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Akira Shibue
明 渋江
Noriyoshi Nanba
憲良 南波
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 雰囲気中の水分を検知、定量するための、耐
水性、耐溶剤性および耐ガス性に優れ、広い湿度領域で
ヒステリシスがなく、安定した出力特性を有する湿度セ
ンサ素子とその製造方法を提供する。 【解決手段】 絶縁基板上にギャップを介して対向する
ように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を
有し、この感湿薄膜は、式(1)のモノマーと、アルコ
キシシリル基を有するアクリル系モノマーとの共重合体
を含有し、かつアルコキシシリル基を基板表面の水酸基
等の官能基と反応させて固定化したものである湿度セン
サ素子。あるいは、物理的手段により絶縁基板の最表層
の汚染物および/または酸化物を除去した後に、式
(1)のモノマーの重合体を含有する感湿薄膜を形成し
た湿度センサ素子。 【0000】 【化14】 【0000】[式(1)中、Aは二価基、R1〜R4はア
ルキル基、Y1、Y2は、アクリル系等の不飽和反応性基
を末端に有する一価基、X1 -、X2 -は、陰イオンを表わ
す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雰囲気中の水分を
検知、定量するための湿度センサ素子およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気抵抗値などの電気特性の変化
により湿度を検出する湿度センサ用材料(感湿材料)と
して、塩化リチウム等の電解質を用いたもの、金属酸化
物を用いたもの、有機高分子化合物を用いたものが知ら
れている。
【0003】しかし、塩化リチウム等の電解質系のもの
は、計測湿度範囲が狭く、また結露や水漏れで特性が変
化し耐水性が悪い。また、金属酸化物を用いたものは耐
水性は強いが感度が低く、またそのままでは長期安定性
が悪いため加熱クリーニング回路が必要で、そのため運
転コストが高く、かつセンサ構造が複雑という欠点を有
している。
【0004】他方、湿度センサ用材料の中でも、有機高
分子化合物、特に第四級アンモニウム塩を持つ高分子電
解質は、民生用や産業用に広く利用され、高く評価され
ている材料である。
【0005】例えば、特公昭61−54176号公報に
は、疎水性モノマーとイオン性あるいは非イオン性の親
水性モノマーとの共重合体であり、かつ表面層が親水性
があるラテックス粒子の集合体からなる感湿材料が開示
されており、そのなかにカチオン性化合物として第一級
ないし第四級の各アンモニウム塩を有するものが挙げら
れている。
【0006】また、特公昭62−7976号公報には、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメ
チルアンモニウムクロライドを含む高分子を、重合度1
000〜10000の範囲で重合させて得た重合体を感
湿材料に用いることが開示されている。
【0007】さらに、特公平2−24465号公報に
は、 −(N+(R1)(R2)X-−A−N+(R3)(R4)X-
−B)n− [ここで、R1〜R4はアルキル基、X-はハロゲンイオ
ン、A、Bは−(CH2)m−(m≧2)]の構造式を
有するアイオネンポリマーの薄膜、あるいは基板に対す
る接着性や耐水性を向上させる目的で、このポリマーと
ポリビニルピロリドンのような他のポリマーとの混合物
の薄膜を感湿高分子の薄膜として用いることが開示され
ている。
【0008】しかし、上記に例示したようなこれまでの
高分子電解質を湿度センサ用材料に用いた湿度センサの
場合、高い湿度領域、特に結露雰囲気中では高分子電解
質が一部溶出するなど耐水性が悪く、また湿度を増加さ
せた場合と減少させた場合とで同じ湿度でも異なる出力
値を示すヒステリシス現象もみられた。また10%RH
以下の低湿度領域では高い抵抗値をもち実用上湿度測定
が不可能であった。
【0009】特開平7−318526号公報には耐水性
を向上させるために、上記のアイオネンポリマーの両末
端に不飽和結合を導入し、紫外線架橋を行っている例が
開示されている。この場合には、きわめて小さな膜厚で
良好な特性および耐水性が得られている。しかしなが
ら、膜厚が小さいとポリマーの絶対量が少なく、水に溶
けてイオンを形成するようなガス(例えばCl2、N
x、SOx)の影響を受けやすくなってしまう。特に、
民生用では深刻である。
【0010】膜厚が一定以上であれば、表面層にガス由
来のイオンを生成しても導電性にはそれほどの影響を受
けないが、上記の架橋方法ではポリマー層の給水による
膨潤がきわめて大きく、クラックの発生、基板からの剥
離等、大きな問題を生じるために、1μm 以下の小さな
膜厚で使用せざるを得ないのが実状である。
【0011】また、分子内に存在する水酸基を利用して
イソシアナート等で架橋することにより、耐水性を向上
させる試みもなされている。しかしながら、基板との密
着性は向上せず、膨潤によって膜が一部浮き上がって抵
抗値が上昇したり、極端な場合には膜がそっくり剥離し
てしまうなどの問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、耐水性に優れ、結露する雰囲気中でも長期間安定に
動作し、その上、耐溶剤性が良好で、窒素酸化物や硫黄
酸化物、あるいは塩素などのガスの影響を受けにくく、
かつ広い湿度領域で、特に低湿度領域においても、安定
した優れた出力特性をもつ感湿薄膜を有する湿度センサ
素子および製造方法を提供することにある。さらには、
上述のように特性の優れた湿度センサ素子の簡便な製造
方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(14)の本発明により達成される。 (1) 絶縁基板上にギャップを介して対向するように
一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有する
湿度センサ素子において、前記感湿薄膜が、式(1)で
示されるモノマーと、アルコキシシリル基を有するアク
リル系モノマーとの共重合体を含有する湿度センサ素
子。
【0014】
【化6】
【0015】[式(1)において、Aは二価基を表わ
す。R1、R2、R3およびR4は、それぞれアルキル基を
表わし、同一でも異なるものであってもよい。Y1およ
びY2は、それぞれ不飽和反応性基を末端に有する一価
基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。R1
〜R4、Y1、Y2、Aおよびこれらの窒素原子(N)側
の一部のうち任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素
原子(N)とともに環を形成してもよい。X1 -およびX
2 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるもの
であってもよい。] (2) 感湿薄膜が含有する共重合体中のアルコキシシ
リル基と絶縁基板および/または電極表面の官能基との
反応により、感湿薄膜が基板に固定されている上記
(1)の湿度センサ素子。 (3) 前記共重合体中のX1 -およびX2 -で表わされる
陰イオンの少なくとも30%(モル)が塩化物イオンで
ある上記(1)または(2)の湿度センサ素子。 (4) 絶縁基板上にギャップを介して対向するように
一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有する
湿度センサ素子において、前記絶縁基板が、最表層の汚
染物および/または酸化物を物理的手段により除去した
絶縁基板であり、前記感湿薄膜が、式(1)で示される
モノマーの重合体を含有する湿度センサ素子。
【0016】
【化7】
【0017】[式(1)において、Aは二価基を表わ
す。R1、R2、R3およびR4は、それぞれアルキル基を
表わし、同一でも異なるものであってもよい。Y1およ
びY2は、それぞれ不飽和反応性基を末端に有する一価
基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。R1
〜R4、Y1、Y2、Aおよびこれらの窒素原子(N)側
の一部のうち任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素
原子(N)とともに環を形成してもよい。X1 -およびX
2 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるもの
であってもよい。] (5) 前記重合体中のX1 -およびX2 -で表わされる陰
イオンの少なくとも30%(モル)が塩化物イオンであ
る上記(4)の湿度センサ素子。 (6) 式(1)中のAで表わされる二価基がアルキレ
ン基、アルケニレン基もしくはアリーレン基またはこれ
らの組合せである上記(1)〜(5)のいずれかの湿度
センサ素子。 (7) 式(1)中のY1およびY2で表わされる一価基
が、アクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレンエステ
ル基またはアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレン
アミド基である上記(1)〜(6)のいずれかの湿度セ
ンサ素子。 (8) 式(1)で示されるモノマーが、アクリル酸も
しくはメタクリル酸ジアルキルアミノエチルエステルま
たはアクリル酸もしくはメタクリル酸ジアルキルアミノ
エチルアミドとジハロゲン化合物とを反応させて得られ
る2官能性モノマーである上記(1)〜(7)のいずれ
かの湿度センサ素子。 (9) 式(1)で示されるモノマーが、ジアルキルア
ミノ基を有するアクリル系不飽和化合物と式(1)中の
Aで表わされる二価基のジハロゲン化合物との反応で得
られたものである上記(1)〜(8)のいずれかの湿度
センサ素子。 (10) 絶縁基板上にギャップを介して対向するよう
に一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有す
る湿度センサ素子の製造方法において、あらかじめアル
コキシシリル基を有するアクリル系モノマーで絶縁基板
を処理して、アクリル系官能基を絶縁基板に結合させ、
次いで式(1)で示されるモノマーを塗布し、その後重
合させて感湿薄膜を形成する湿度センサ素子の製造方
法。
【0018】
【化8】
【0019】[式(1)において、Aは二価基を表わ
す。R1、R2、R3およびR4は、それぞれアルキル基を
表わし、同一でも異なるものであってもよい。Y1およ
びY2は、それぞれ不飽和反応性基を末端に有する一価
基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。R1
〜R4、Y1、Y2、Aおよびこれらの窒素原子(N)側
の一部のうち任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素
原子(N)とともに環を形成してもよい。X1 -およびX
2 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるもの
であってもよい。] (11) 絶縁基板上にギャップを介して対向するよう
に一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有す
る湿度センサ素子の製造方法において、式(1)で示さ
れるモノマーおよびアルコキシシリル基を有するアクリ
ル系モノマーを、絶縁基板上に塗布し、次いで共重合さ
せた後、水蒸気存在下で絶縁基板表面の官能基とアルコ
キシシリル基とを反応させ、前記共重合で得られた共重
合体を絶縁基板に固定化させて感湿薄膜を形成する湿度
センサ素子の製造方法。
【0020】
【化9】
【0021】[式(1)において、Aは二価基を表わ
す。R1、R2、R3およびR4は、それぞれアルキル基を
表わし、同一でも異なるものであってもよい。Y1およ
びY2は、それぞれ不飽和反応性基を末端に有する一価
基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。R1
〜R4、Y1、Y2、Aおよびこれらの窒素原子(N)側
の一部のうち任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素
原子(N)とともに環を形成してもよい。X1 -およびX
2 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるもの
であってもよい。] (12) 絶縁基板上にギャップを介して対向するよう
に一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有す
る湿度センサ素子の製造方法において、絶縁基板の最表
層の汚染物および/または酸化物を物理的手段により除
去し、次いでこの絶縁基板上に式(1)で示されるモノ
マーを塗布した後、この絶縁基板上で前記モノマーを重
合して感湿薄膜を形成する湿度センサ素子の製造方法。
【0022】
【化10】
【0023】[式(1)において、Aは二価基を表わ
す。R1、R2、R3およびR4は、それぞれアルキル基を
表わし、同一でも異なるものであってもよい。Y1およ
びY2は、それぞれ不飽和反応性基を末端に有する一価
基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。R1
〜R4、Y1、Y2、Aおよびこれらの窒素原子(N)側
の一部のうち任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素
原子(N)とともに環を形成してもよい。X1 -およびX
2 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるもの
であってもよい。] (13) 物理的手段がプラズマ表面処理である上記
(12)の湿度センサ素子の製造方法。 (14) 紫外線照射により重合する上記(10)〜
(13)のいずれかの湿度センサ素子の製造方法。
【0024】
【作用】本発明では、絶縁基板上に設けた一対の電極を
被覆するように導電性高分子の感湿薄膜を形成する。
【0025】本発明の第1の態様として、上記の感湿薄
膜は、式(1)で示されるモノマーとアルコキシシリル
基を有するアクリル系モノマーとの架橋性共重合体を含
有するものであり、このため、感湿薄膜は、この分子内
に有するシランカップリング剤との反応により絶縁基板
に結合されている。すなわち、この感湿薄膜は、上記モ
ノマーとアクリル系不飽和結合を有するシランカップリ
ング剤の水溶液または有機溶剤溶液を塗布、乾燥させ、
紫外線照射および/または加熱等によって上記モノマー
と上記シランカップリング剤とを共重合させ、かつ架橋
させて得られたものである。上記共重合体は、式(1)
のモノマーに示されるように、共重合体中に第四級アン
モニウム塩(環化したものも含む。)を有するアイオネ
ンポリマー構造を有し、かつ分子内シランカップリング
剤を有することが特徴である。
【0026】このようなアイオネンポリマー構造の架橋
性共重合体を用いた感湿薄膜では、共重合体分子内に含
まれる第四級アンモニウム塩部分が導電性を発現する部
分となり、第四級アンモニウム塩の対イオンが雰囲気中
の水分により解離し、イオン伝導性を示す。そして雰囲
気中の水分の多寡により、この解離の程度が変化する現
象を利用して湿度を検出するものである。本発明におけ
るアイオネンポリマー構造は架橋性共重合体中にあり、
いわゆる側鎖型とは異なって自由度の少ない主鎖型に近
い。このために湿度応答特性はヒステリシスを生じな
い。
【0027】また、本発明では、2価の連結基Aの長さ
を調節することにより、感湿膜のイオン密度および架橋
度を調節することができる。このため、耐水性および耐
ガス性、ヒステリシスなどの特性のうち重点をどこに置
くかの設計が可能となる。すなわち、イオン密度を高め
ることは耐ガス性を向上させ、架橋密度を高めることは
耐水性を向上させる。一方、極端な架橋はヒステリシス
が生じる可能性が高まる。
【0028】上記架橋性共重合体は、モノマーが、好ま
しくはアクリル系不飽和反応性基を2個有する2官能性
であるために、3次元的に反応して架橋構造を形成し
て、水に不溶性とすることができる。さらに、分子内に
シランカップリング剤構造を有するために、基板表面お
よび/または電極表面の水酸基等の官能基と反応させる
ことで基板と共有結合によって強固に結合させることが
できる。この結合により、感湿薄膜を大きな膜厚として
も浮き上がったり、剥離したりしない耐水性に優れた感
湿薄膜が得られ、耐水性および耐ガス性に優れた湿度セ
ンサとなる。また、耐溶剤性にも優れる。
【0029】また、上記共重合体において、第四級アン
モニウム塩の対イオンを塩化物イオンとすることで、特
に低湿度領域(10%RH以下)の測定が可能になり、
測定領域が広域となるとともに、従来のセンサでは測定
不可能だった0%RH〜100%RHまでの全湿度範囲
での測定が可能となる。
【0030】なお、特公平2−24465号公報には、
前記のように、主鎖中に第四級アンモニウム塩を有する
本発明と類似の重合体が開示されている。しかし、本発
明と異なり、重合体中にシランカップリング剤を導入し
た構造および架橋構造については示唆すらされていな
い。従って、上記公報と本発明とは、その構成ないし特
定事項が明らかに異なるものである。また、上記公報に
は、耐水性向上のため、ポリビニルピロリドンのような
他の重合体を併用する旨の記載があるが、耐水性が明ら
かに劣るものである。
【0031】また、特開平4−258750号公報に
は、カチオン性遊離基およびヒドロキシル基を有するア
クリル系高分子と多官能イソシアネート化合物を用いて
3次元架橋高分子とすることで耐水性を向上させてい
る。この方法では、イソシアネートの一部が基板表面の
水酸基と反応して結合することが期待できるが、その効
果は小さいものであった。
【0032】また、特開平4−309855号公報およ
び特開平7−128271号公報には、ヒドロキシル基
を有するメタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニ
ウム塩とトリメチロールプロパントリメタクリレートと
を塗布し、膜形成後に重合不溶化させることで耐水性を
向上させることができるとされているが、この場合も基
板との密着性については大きな改善がなされていない。
【0033】さらには、特開平7−318525号公報
には、基板を四塩化珪素で処理した後に、ポリ−2−ヒ
ドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルア
ンモニウム塩を反応させて基板表面とポリマー中のヒド
ロキシル基とを反応させることで結合させる方法が開示
されている。この方法では感湿膜と基板の密着性は確保
されるが、四塩化珪素の反応性の高さや保存性の悪さな
どから、基板処理方法の条件の再現性などに難点があ
り、また感湿材料のアンモニウム基がいわゆる側鎖(ペ
ンダント)型であるので、湿度応答特性上ヒステリシス
が避けられなかった。
【0034】また、本発明の第2の態様として、絶縁基
板の最表層の汚染物および/または酸化物を物理的手段
により除去した後に、感湿薄膜を形成する場合は、アル
コキシシリル基を有するアクリル系モノマーを用いるこ
となく、式(1)で示されるモノマーから得られた重合
体を含有する感湿薄膜とすることができる。
【0035】感湿膜を形成する絶縁基板はアルミナ基板
が一般的であり、その最表層は汚染物、吸着ガス、有機
物、基板自身の酸化物等で覆われているため、感湿膜と
の密着性が阻害されているが、このような操作を施すこ
とにより、絶縁基板と感湿薄膜との密着性を向上させる
ことができる。
【0036】物理的手段による方法としたのは、化学的
手段による方法では汚染物や有機物の除去は可能である
が、酸化物層を取り除くことは難しく、さらには化学処
理後の廃液の問題もあるため好ましい方法ではないから
である。一方、物理的手段による方法では下地の破壊を
最小限にとどめて比較的簡単に上記の汚染物や酸化物を
取り除くことが可能である。また、処理対象となる材質
の選択の幅が広い。
【0037】いくつかある物理的手段の中で、プラズマ
表面処理は効果が高く好ましい。プラズマ表面処理(以
下、「プラズマ処理」ともいう。)は、プラズマ中に存
在する活性な電子、ラジカル、イオン、分子を、絶縁基
板表面と相互作用させることで、エッチング作用とイン
プランテーション作用により表面状態を改質する。
【0038】プラズマ発生雰囲気により、発生するプラ
ズマが変わり、特に使用するガス種で酸素プラズマと水
素プラズマに大別されるが、これらの使用は好ましい。
酸素プラズマは、表面有機汚染物の除去と表面改質に有
効であり、水素プラズマは、金属酸化物を還元すること
が可能である。
【0039】本発明においては、このプラズマによる物
理的手段により絶縁基板の最表層の汚染物および/また
は最表層の酸化物を除去して、以下の二つの作用機構に
より感湿薄膜と絶縁基板との密着性を高めていると考え
られる。
【0040】第1に、最表層の汚染物と酸化物とが、感
湿薄膜と絶縁基板の両界面間の「弱い結合層(weak bou
ndary layer)」として働くためで、この層を除去する
ことにより密着が強くなる。
【0041】第2に、最表層の汚染物および/または酸
化物を除去することで、絶縁基板表面のぬれ性が高ま
り、感湿薄膜形成用モノマーを塗布する時に絶縁基板の
細孔までモノマーが到達して、重合させた後は感湿薄膜
が絶縁基板に根を下ろし、「錨」のような作用で感湿薄
膜と絶縁基板とを密着させる。
【0042】本発明においては、後者の作用が大きく働
いていると考えられる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の湿度センサ素子は、絶縁基板上にギャッ
プを介して対向するように一対の電極を有し、このギャ
ップ上に感湿薄膜を有するものである。
【0044】そして、本発明の第1の態様として、上記
の感湿薄膜は式(1)で示されるモノマーとアルコキシ
シリル基を有するアクリル系モノマーとの架橋性共重合
体を含有する。さらには、基板表面および/または電極
表面の水酸基等の官能基と分子内のアルコキシシリル基
との反応により上記感湿薄膜は基板や電極と結合されて
いる。
【0045】式(1)について記す。
【0046】
【化11】
【0047】式(1)において、Aは二価基を表わす。
1、R2、R3およびR4は、それぞれアルキル基を表わ
し、同一でも異なるものであってもよい。Y1およびY2
は、それぞれ不飽和反応性基を末端に有する一価基を表
わし、同一でも異なるものであってもよい。R1〜R4
1、Y2、Aおよびこれらの窒素原子(N)側の一部の
うち任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子
(N)とともに環を形成してもよい。X1 -およびX
2 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるもの
であってもよい。
【0048】Aで表わされる二価基としては、アルキレ
ン基、アルケニレン基、アリーレン基またはこれらの組
合せが好ましく、これらはメチル基等のアルキル基、あ
るいはカルバモイル基などが置換していてもよい。
【0049】アルキレン基の総炭素数は1〜20が好ま
しい。
【0050】アルケニレン基の総炭素数は2〜10が好
ましい。
【0051】アリーレン基の総炭素数は6〜20が好ま
しい。
【0052】また、これらの組合せであるときの総炭素
数は3〜20が好ましい。
【0053】具体的には、−(CH2m−(m=1〜2
0の整数)、−CH2CH=CH−CH2−、−CH(C
3)−CH2−CH2−、−C64−C64−等があ
り、特に−(CH2m−(m=1〜20の整数)が好ま
しい。
【0054】Y1、Y2で表わされる不飽和反応性基を末
端に有する一価基としては、アクリル系のものが好まし
く、アクリロイルオキシアルキル基、メタクリロイルオ
キシアルキル基、アクリロイルアミノアルキル基、メタ
クリロイルアミノアルキル基を有する基であり、好まし
くは、アクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレンエス
テル基、またはアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキ
レンアミド基等が挙げられる。Y1、Y2の総炭素数は4
〜8であることが好ましい。Y1とY2は、通常、同一で
あるが、各々異なっていてもよい。
【0055】また、R1〜R4で表わされるアルキル基と
しては、無置換のものが一般的であるが、置換基を有し
ていてもよく、総炭素数は1〜5であることが好まし
い。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が
挙げられ、特にメチル基が好ましい。R1〜R4は、通
常、同一であるが、各々異なっていてもよい。
【0056】また、R1〜R4、Y1、Y2、Aおよびこれ
らの一部(N側)のうちから任意の2つ以上の組合せ
で、これらの2つ以上が結合して窒素原子(N)ととも
に環を形成してもよいが、環は形成しない方が好まし
い。
【0057】X1 -、X2 -で表わされる陰イオンは、特
に、ハロゲン化物イオンが好ましく、具体的には塩化物
イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等であってよい
が、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、特に塩化
物イオンが好ましい。X1 -とX 2 -とは通常同一である
が、各々異なっていてもよい。
【0058】式(1)で示されるモノマーは、上記のよ
うに、両末端にアクリル系不飽和反応基を有する2官能
性モノマーであることが好ましい。
【0059】一方、式(1)で示されるモノマーとの共
重合に供されるアルコキシシリル基を有するアクリル系
モノマーは、アクリル系不飽和反応性基を有するもので
あり、特に制限はないが、なかでもメタクリル系が好ま
しい。
【0060】さらに、アルコキシシリル基はアルミナ基
板表面や酸化物電極表面の水酸基などのように、基板お
よび/または電極表面の官能基と反応できるものであれ
ば何でも構わないが、アルコキシ部分の総炭素数は1〜
5であることが好ましく、特に、アルコキシ基としては
メトキシ基、エトキシ基が好ましい。また、Siに結合
するアルコキシ基の数は、2または3が好ましく、Si
に結合するアクリル系不飽和反応基を有する基およびア
ルコキシ基以外の基としては、アルキル基等があり、そ
の炭素数は1〜5が好ましく、メチル基等が好ましい。
【0061】アルコキシシリル基を有するアクリル系モ
ノマーとしては、例えばγ−メタクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン(信越化学製KBM502)、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン(同KBM503)、
γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン
(同KBE502)、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキ
シシラン(同KBE503)などが市販されていて便利であ
る。
【0062】本発明に用いられる式(1)で示されるモ
ノマー(以下、「式(1)のモノマー」ともいう。)は
次のようにして得られる。具体的には、式(1)のモノ
マーは、式(2)に示すようなスキームに従って合成さ
れる。
【0063】
【化12】
【0064】なお、式(2)中のY1、Y2、R1〜R4
A、X1、X2は、式(1)と同義のものである。
【0065】X1およびX2がハロゲンの場合について説
明すると、まず、アクリル系アミン化合物(a−1、a
−2)とジハロゲン化合物(b)との反応から、第四級
アンモニウム塩を有し両末端基がアクリル系不飽和基で
ある式(1)のモノマーを得る。この時、アクリル系ア
ミン化合物の添加量は、ジハロゲン化合物に対し2倍モ
ル量以上、特に2.0〜3.0倍モル量とするようにす
ればよい。
【0066】このときの反応はアセトニトリル、ジオキ
サンなどの非プロトン性極性溶剤で約50℃程度で数日
間撹拌して行う。溶剤として、メタノール、イソプロパ
ノール、メトキシエタノール、2−エトキシエタノール
等のアルコール中で還流させると、エステル交換が起き
てしまい、目的のジアクリル系第四級アンモニウム塩は
得られない。したがって、エステル交換反応を引き起こ
す可能性のある、アルコール系溶剤は適さない。
【0067】反応終了後、アセトンなどを加えて目的の
第四級アンモニウム塩を析出させ、得られた白色沈殿物
を濾過する。アセトンで洗浄後、乾燥させて目的物を得
る。
【0068】式(1)のモノマーをメタノールやエタノ
ールに溶解し、そのまま電極上に塗布した後、紫外線照
射等により重合して感湿薄膜とすることも考えられる
が、基板との密着性を確実にして高い耐水性を得るため
に、本発明ではγ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシランのように基板や電極と反応し得る官能基(アル
コキシシリル基)を持つアクリル系シランカップリング
剤モノマーと共重合させるか、あるいは基板(通常、電
極付)をアクリル系シランカップリング剤で処理後、式
(1)のモノマーを塗布、重合させている。いずれにせ
よ、式(1)のモノマーとアクリル系シランカップリン
グ剤モノマーとの共重合体が生成する。
【0069】式(1)のモノマーとシランカップリング
剤モノマーとの比率は、モル比で、1:1〜1:0.0
1程度が好ましい。シランカップリング剤モノマーが多
すぎると感湿機能が低下して低湿度応答が困難となる。
また、少なすぎると基板との密着性が不十分となり、耐
水性が低下する。
【0070】感湿薄膜中の共重合体の合成は、感湿薄膜
の成膜と同時に次のようにして行うことが好ましい。
【0071】式(1)のモノマーとシランカップリング
剤モノマーと光重合開始剤との混合溶液を基板上に塗布
して成膜し、乾燥後に紫外線を照射して重合させる。重
合開始剤はベンゾフェノン誘導体など種々の市販されて
いる開始剤を用いることができる。次いで、塗布膜を高
湿度下(すなわち水蒸気存在下)に保存することで基板
表面および/または電極表面の水酸基等の官能基とアル
コキシシリル基またはシラノール基との反応を促進させ
て基板との密着性を確保する。この基板表面や電極表面
の官能基との反応による強固な結合は水浸漬による膜剥
離がないことや出力低下がないことにより確認できる。
あるいは、基板(通常、電極付)をシランカップリング
剤で処理後、式(1)のモノマーを塗布、重合させる方
法によっても同様の結果となる。
【0072】式(1)の第四級アンモニウム塩モノマ
ー、好ましくは2官能性アンモニウム塩とアクリル系シ
ランカップリング剤との反応によって得られた感湿薄膜
は、3次元的な架橋がされており、きわめて丈夫な膜と
なっているばかりでなく、第四級アンモニウム塩がいわ
ゆる主鎖型であるアイオネン構造となっており、ペンダ
ント型構造のような自由度の高い構造を有しない。した
がって、感湿曲線はヒステリシスのきわめて小さな特性
を維持することができる。
【0073】また、架橋性共重合体中の第四級アンモニ
ウム塩を構成するハロゲン化物イオンの30%(モル)
以上、さらには50%(モル)以上が塩化物イオンであ
ることが好ましい。塩化物イオンとすることで、イオン
の移動が容易になり、このため0〜50%RHの低湿度
領域での応答が直線性よく得られる。
【0074】さらに、基板および/または電極とアルコ
キシシリル基またはシラノール基との反応により共有結
合させた後は、基板からの剥離を防止することができ、
耐水性が格段と向上する。また、基板からの剥離が防止
されるため、膜厚を大きくでき、Cl2、NOx、S
x、H2S、HCl、NH3等のガスに対する耐ガス性
が向上する。さらに、本発明の感湿薄膜は、アルコー
ル、アセトン、ヘキサンなどの蒸気に対しても光沢を失
うことがなく、耐溶剤性が良好になる。
【0075】式(1)のモノマーの両末端に、不飽和反
応性基、好ましくはアクリル系不飽和反応性基を導入す
る際に用いられる化合物は、アクリロイルオキシ基、メ
タクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタク
リロイルアミノ基、ジアクリロイルアミノ基、ジメタク
リロイルアミノ基等の不飽和反応性基、好ましくはアク
リル系不飽和反応性基を有する化合物であれば特に制限
はなく、アクリル酸もしくはメタクリル酸ジアルキルア
ミノエチルエステルまたはアクリル酸もしくはメタクリ
ル酸ジアルキルアミノエチルアミドが好適であるが、こ
れらも含めて、以下に具体例を示す。
【0076】アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル アクリル酸ジメチルアミノプロピルアミド メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル メタクリル酸ジメチルアミノエチルアミド メタクリル酸ジメチルアミノプロピルエステル メタクリル酸ジメチルアミノプロピルアミド メタクリル酸ジメチルアミノブチルエステル メタクリル酸ジメチルアミノペンチルエステル メタクリル酸ジメチルアミノへキサンエステル メタクリル酸ジメチルアミノオクチルエステル メタクリル酸ジメチルアミノオクチルアミド など
【0077】これと反応させるジハロゲン化合物の具体
例を以下に示す。
【0078】1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジク
ロロブタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジク
ロロへキサン、1,8−ジクロロオクタン、1,10−
ジクロロデカン、1,12−ジクロロドデカン、1,3
−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5
−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモへキサン、1,
8−ジブロモオクタン、1,10−ジブロモデカン、
1,12−ジブロモドデカンなど
【0079】本発明における感湿薄膜は、前記のとお
り、式(1)のモノマーとアルコキシシリル基を有する
アクリル系モノマーとを反応させた共重合体の架橋物を
含有するものであるが、感湿薄膜の形成は次のように行
うことが好ましい。
【0080】式(1)のモノマーおよびアルコキシシリ
ル基を有するアクリル系モノマーを含有する塗布液を調
製する。この場合、式(1)のモノマーおよびアルコキ
シシリル基を有するアクリル系モノマーは通常、各々1
種ずつ用いられるが、各々2種以上用いてもよく、いず
れか一方のみを2種以上としてもよい。
【0081】塗布液は、上記各モノマーを所定比で含有
する1〜10%(質量百分率)の水溶液またはアルコー
ルなどの有機溶剤溶液あるいは混合溶剤の溶液とする。
このとき、後に上記共重合体を放射線、好ましくは紫外
線照射により架橋させる場合には、光重合開始剤(例え
ば水溶性のベンゾフェノン系の化合物)を0.03〜
0.7%(質量百分率)程度添加することが好ましい。
【0082】本発明では、好ましくは、塗布により、上
記の塗布液を用いて、前記のように電極が設けられた絶
縁基板上に感湿薄膜を形成する。塗布方法としては、一
定量を絶縁基板に塗布できれば、いずれの方法でも可能
である。例えば浸漬(ディッピング)法、滴下(ディス
ペンス)法、刷毛塗り法、グラビア印刷法、スクリーン
印刷法、スピナー塗布法等、種々の方法が使用でき、工
程や製品の用途・種類等により選択すればよい。なお、
塗布液は全成分をはじめから添加したものを用いてもよ
いが、前述のように、まずアルコキシシリル基を有する
アクリル系モノマーの塗布液を塗布してから式(1)の
モノマーの塗布液を塗布するようにしてもよい。
【0083】このように塗膜を形成したのち、15〜1
00℃程度の温度で3〜15分程度乾燥および/または
熱的に架橋し、さらに、その後に放射線架橋させる。放
射線照射による架橋は、特に、紫外線照射によることが
好ましい。
【0084】紫外線照射による架橋方法は、公知の方法
に従って行えばよい。通常、照射する紫外線強度は、5
0mW/cm2程度以上、照射量は200〜2500mJ/cm2
度とすればよい。また、紫外線源としては、水銀灯など
の通常のものを用いればよい。
【0085】このような本発明の第1の態様に用いる絶
縁基板としては、材質は感湿薄膜との接着性を確保する
ために表面に水酸基などの官能基を有し、かつ電気絶縁
性を有するものであればどのようなものでもよく、例え
ばガラス、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などのプラス
チック、セラミックまたは水酸基等を有する樹脂で絶縁
被覆した金属等が用いられる。また、電極は通常使用さ
れているものであれば特に制限はなく、例えばAuない
しはRuO2等を含有し、さらに、必要に応じガラスフ
リットを含有する低抵抗ペースト等をスクリーン印刷し
高温焼結したものなどが使用できる。なお、RuO2
の酸化物電極であれば、表面の水酸基などの官能基が、
感湿薄膜との接着性向上に寄与する。
【0086】なお、本発明で、前述のようにアルコキシ
シリル基を有するアクリル系モノマーで絶縁基板を処理
する場合、絶縁基板に電極(好ましくは櫛形電極)を配
置した状態で、処理を行う。
【0087】また、本発明では、第2の態様として、絶
縁基板の最表層の汚染物および/または酸化物を物理的
手段により除去した後に、感湿薄膜を形成する場合は、
アルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーを用い
ることなく、式(1)で示されるモノマーから得られた
重合体を含有する感湿薄膜とすることができる。
【0088】この場合の感湿薄膜の形成は、前記の感湿
薄膜の形成において、アルコキシシリル基を有するアク
リル系モノマーを用いることなく、式(1)のモノマー
を含有する塗布液を使用し、同様に行うことができる。
【0089】また、物理的手段による処理は、電極、好
ましくは櫛形電極を配置した絶縁基板に対して行われ
る。
【0090】本発明の第2の態様に使用する一対の櫛形
電極を持つ絶縁基板は、材質が感湿薄膜と化学的反応性
がないもので、電気絶縁性を有するものであれば特に制
限はなく、例えばガラス、プラスチック、セラミックま
たは絶縁被覆した金属板などが用いられる。特にアルミ
ナは、機械的強度と絶縁性および安定性が高いため好適
である。
【0091】以降、好ましく使用されるアルミナ基板を
例に説明する。このような一対の櫛形電極を持つ絶縁基
板(以降、櫛形電極基板)の表層には、作成時および保
管時に多くの汚染物、吸着ガス、有機物が吸着し、ま
た、アルミナ基板の最表層は、基板自身の酸化物等で覆
われている。
【0092】本発明では、上記のような汚染物、吸着ガ
ス、吸着有機物など、外部から櫛形電極基板に取り込ま
れた酸化物以外のものをまとめて汚染物といい、酸化物
の汚染物のほか、絶縁基板自身の材質も含めて酸化物と
いう。
【0093】さらに具体的には、例えば、環境中に漂う
有機物の付着や製造時使用した薬品の残滓や添加剤など
が付着している。これらは、基板自身の酸化物と相まっ
て、櫛形電極基板のぬれ性を低下させているため、式
(1)のモノマー液を塗布しても塗り広がらないだけで
なく、重合後の感湿薄膜との密着性が悪い。
【0094】したがって、本発明においては、式(1)
のモノマー液の塗布前に、物理的手段による処理により
最表層の汚染物および/または最表層の酸化物を除去し
ている。
【0095】アルミナ基板を例にすれば、最表層は、汚
染物が表面に存在するときは、細孔を無視すると、その
部分も含めて表面から1nm程度の深さの領域部分にあ
り、最表層の汚染物や酸化物が物理的手段によって除去
されたことについては、表面のぬれ性により確認するこ
とができる。多くの場合、水の接触角が0°近くにな
る。除去は、汚染物のほか、電極や基板そのものの表層
(それ自体の表面から1nm程度の深さにある領域部分)
に対して行うことが好ましい。したがって、汚染物およ
び酸化物の両方を除去することが好ましい。ただし、電
極や基板そのものの表層の除去がすぎると、それらの形
状変化を伴い好ましくない。
【0096】物理的手段による処理としては、フレーム
プラズマ処理、UV/オゾン処理、エキシマUV処理、
コロナ処理、電子線処理、レーザー処理、スパッタ処
理、プラズマ処理等を用いることが可能であるが、絶縁
基板へのダメージが少なく、廉価であることから、プラ
ズマ処理が好適である。UV/オゾン処理もコストが低
いため適する櫛形電極基板があるが、アルミナ基板に限
ると処理後に着色が見られることが多い。ただし、処理
条件を選択すれば着色の防止が可能である。
【0097】本発明の第2の態様において好ましく用い
られるプラズマ処理について説明する。
【0098】前記作用の項で記したように、本発明にお
いては酸素プラズマの持つ有機物を除去する作用と表面
改質作用、また水素プラズマの持つ金属酸化物を還元す
る作用が有効であり、酸素プラズマ単独、または酸素プ
ラズマの後水素プラズマの処理を行うことが好ましい。
また、手軽さからいえば、不活性ガスを導入したプラズ
マ処理も好ましい。
【0099】プラズマ処理を行う方法としては、真空
中、不活性ガス中、大気圧中のいずれの条件でも、櫛形
電極基板にダメージを与えない比較的低温のプラズマ条
件であれば良く、装置も作成条件に合わせて選択する。
中でも、不活性ガス中と大気圧中の条件は、装置が簡単
になるため好適であるが、真空中で酸素あるいは水素を
上記のように導入したプラズマ処理が一般的である。
【0100】いずれの方法にせよ、電源周波数が数kHz
〜数百MHzで発生するプラズマを使用するが、プラズマ
発生条件に合わせて適宜出力を調整する。櫛形電極基板
がアルミナの場合、高周波出力50〜1000Wの範囲
で、2秒〜10分処理することにより効果が得られる。
【0101】プラズマ処理を施した櫛形電極基板は、次
に式(1)のモノマー液を塗布する。塗布までの時間
は、真空中に保管すれば24時間から96時間、大気圧
下では、処理直後から24時間以内に処理することが好
ましい。保存状態が悪いと表面状態を良好に保持できる
時間が短くなるため、プラズマ処理直後に連続して塗布
することが望ましい。
【0102】なお、このような物理的手段による場合、
これによって、感湿薄膜との十分な密着性を得ることが
可能であり、これのみで十分であるが、この処理後の櫛
形電極基板に対し、前述のアルコキシシリル基を有する
アクリル系モノマー(例えばアクリル系シランカップリ
ング剤)を用いる方法と併用することもできる。
【0103】本発明において得られる感湿薄膜の架橋後
の膜厚はいずれの場合も0.5〜10μm 程度であるこ
とが好ましいが、さらに好ましくは3〜10μm 程度で
ある。膜が厚すぎると、湿度に対する膜の電気抵抗値の
応答速度すなわちレスボンスが遅くなり、膜が薄すぎる
と、特に低湿度領域での出力が低下し、さらに耐ガス
性、耐水性なども低下することになり、好ましくない。
【0104】なお、本発明では、付着する水滴の影響を
防止し、迅速に正確な湿度測定を行うために、前記薄膜
上に撥水性被膜を形成してもよい。撥水性被膜は、水と
の接触角が90度以上、特に90〜130度であること
が望ましい。また、膜厚としては、充分な水分の透過を
確保する必要があり、そのためには、5μm 以下、特に
0.1〜2μm にすることが望ましい。このような撥水
性被膜を構成する材料としては、疎水性のポリマー、例
えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマ
ー、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系ポ
リマー、シリコーン系ポリマー等が好適に使用される。
このような撥水性被膜の形成方法に限定はないが、上記
材料を可溶な溶媒(例えば飽和炭化フッ素等)に溶解
し、塗布すればよい。
【0105】本発明の湿度センサ素子は、前記のように
電極が設けられた絶縁基板上に、上記のような感湿薄膜
を有するものであれば、他の溝成については特に制限は
ない。
【0106】このような湿度センサ素子の一構成例が図
1に示されている。図1は平面図である。図1に示すよ
うに、湿度センサ素子1は、絶縁基板2上に一対の櫛形
電極4を有し、一対の櫛形電極4は、一定距離のギャッ
プ5を介し、かつ噛み合うようにして絶縁基板2上に配
置されている。そして、絶縁基板2および櫛形電極4上
には図示のように感湿薄膜3が設けられている。また、
櫛形電極4の各々の一端には電極端子6が取り付けられ
ており、電極端子6の各々にはリード線7が半田8を用
いて接続されている。また、図示のように、電極材料の
拡散防止のためのレジスト膜9が設けられている。
【0107】このような構成で、両電極間に好ましくは
交流を印加する。感湿薄膜の湿度に応じた抵抗ないしイ
ンピーダンス変化により出力電圧が変化し、湿度が検出
される。印加電圧は12V程度以下とする。
【0108】図1に従って説明すれば、本発明に用いる
絶縁基板2、電極4としては、前述のとおりである。ま
た、電極端子6は半田8との相溶性のあるものであれば
どのようなものでもよく、例えばAg−Pd合金等を用
い、これらを通常の方法で印刷して高温で焼付等すれば
よい。さらに、例えば電極4にAuを用いる場合は、図
1に示すように、半田付け処理時のAu拡散防止のため
にレジストまたはガラスよりなるレジスト膜9を設ける
ことが好ましい。レジスト膜9の厚さおよび形状には制
限はなく、半田付け処理時のAu拡散防止の効果を有す
ればよい。
【0109】本発明の湿度センサ素子は図示例に限ら
ず、種々のものであってよい。
【0110】なお、本発明における一対の電極間のギャ
ップは、通常、100〜500μm程度である。
【0111】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を比較例ととも
に示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0112】<実施例1>アクリル酸ジメチルアミノエ
チルエステル4.73g(0.030モル)と1,6−ジク
ロロヘキサン2.3g(0.0148モル)を10mlのアセト
ニトリルに溶解し、50℃以下で80時間撹拌して式
(3)のような4級化反応を行った。白色沈殿が生成す
るが、さらにアセトン30mlを加えて4級塩を完全に析
出させた。白色沈殿を濾過し、アセトンで洗浄後、80
℃で1時間乾操させて、2.77gを得た(収率39.
6%)。得られた4級塩0.47g(0.001モル)およ
びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信
越化学製KBM503)0.025g(0.0001モル)を10ml
の水に溶解して約5%(質量百分率)の水溶液を調製し
た。この水溶液に重合開始剤として0.2%(質量百分
率)のKAYACURE ABQ(日本化薬社製)を添加して、塗布
液を調製した。
【0113】
【化13】
【0114】この塗布液を用いて図1に示すような湿度
センサ素子1を組み立てた。絶縁基板2としてはアルミ
ナ製の多孔性セラミック基板を用い、電極4はRuO2
とガラスフリットとを含むペーストをスクリーン印刷
し、高温焼成して得られた櫛形電極とした。また、電極
4間のギャップは、225μm 程度であった。
【0115】このような絶縁基板2上に上記塗布液を用
いてディッピングにより塗布し、50℃で5分間乾操し
て塗膜を形成した。次に、窒素雰囲気下でこの塗膜の電
極面と裏面の両面に対しそれぞれ1分間ずつ紫外線照射
を行い架橋処理を施し感湿薄膜3を得た。このときの紫
外線照射量は1000mJ/cm2とした。このようにして形
成した感湿薄膜3の膜厚は8μm であった。
【0116】このようにして得られた膜を60℃80%
RHの雰囲気下で2時間処理して基板表面や電極表面の
水酸基とアルコキシシリル基またはシラノール基を反応
させて、こうして得られた湿度センサ素子について出力
特性の評価および耐水性試験を行った。
【0117】出力特性は特開平2−123843号公報
に記載の回路に湿度センサを組み込み、分流式湿度発生
装置(モデルSRH−1、神栄株式会社製)を用いて評
価した。前記分流式湿度発生装置内に前記回路に組み込
んだ湿度センサ素子を設置し、25℃にて相対湿度を低
湿度側から高湿度側へ、続いて高湿度側から低湿度側へ
変化させ、その各過程における0%RH、10%RH、
20%RH、30%RH、50%RH、70%RH、9
0%RHの各湿度条件下に湿度センサ素子を10分間放
置したときの出力電圧を測定した。得られた結果を図2
に示す。
【0118】耐水性試験は、上述のように出力電圧を湘
定したのち、湿度センサ素子を1分間蒸留水中に浸漬し
大気中で乾燥させて再度出力電圧を測定し比較した。続
いて同じセンサ素子に対して蒸留水中の浸水時間を10
分間、30分間、60分間と延長して同様に各々出力電
圧を測定し比較した。得られた結果を図3に示す。
【0119】図2より、ヒステリシスがみられず、また
低湿度、特に10%RH以下の領域での測定が可能にな
ることがわかる。
【0120】また、図3より、耐水性に優れたものであ
ることがわかる。
【0121】さらに、耐ガス性試験を行った。耐ガス性
は、湿度センサの各相対湿度に対する出力値を測定し、
直線性を確認し、次いで、二酸化窒素ガス、塩化水素ガ
ス、アンモニアガス、二酸化硫黄ガス、塩素ガス、およ
び硫化水素ガスをそれぞれ5ppmの濃度で流しながら、
温度40℃、湿度70℃〜80%RHの条件で100時
間放置した後、各設定湿度(%RH)に対する湿度セン
サの湿度の出力値(%RH)を測定し、変化率(%R
H)の最大値を求めた。結果を表1に示す。
【0122】
【表1】
【0123】これより、変化率が少なく、耐ガス性に優
れることがわかる。以上より、本発明の効果は明らかで
ある。
【0124】<実施例2>実施例1と同様の方法で作成
した櫛形電極付きのアルミナ基板をあらかじめ、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM503)の
1%(質量百分率)酢酸水溶液で処理し、基板表面にア
クリロイル基を導入した。次いで、実施例1で得られた
4級塩を5%(質量百分率)水溶液とし、重合開始剤を
加えた溶液に基板をディップして塗布膜を形成した。
【0125】これに実施例1と同様に紫外線を照射して
重合、架橋し、湿度センサ素子を得た。
【0126】このようにして得られた湿度センサ素子の
出力特性の評価および耐水性試験は実施例1と同様に行
った。得られた出力特性の測定結果を図4に、耐水性試
験の測定結果を図5に示す。
【0127】図4、図5より、良好な湿度応答特性を示
し、耐水性に優れることがわかる。また、実施例1と同
様にして耐ガス性試験を行ったが、実施例1と同様の良
好な結果が得られた。
【0128】<比較例1>実施例1において、シランカ
ップリング剤を加えずに素子を作製した。湿度応答特性
は、図6に示すように、ほぼ同等の特性が得られ、ま
た、耐ガス試験に関しては問題がなかったが、耐水性試
験をしたところ、ただちに感湿薄膜が膜のまま剥離し、
特性が得られなくなった。
【0129】<比較例2>実施例1と同じ櫛形電極を形
成したアルミナ基板上に、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシランを用いずに、特開平7−31852
6号公報に記載のようにして、N,N,N’,N’−テ
トラメチルジアミノヘキサン8.6g と1,3−ジクロ
ロプロパン6.8g との反応で得られたアイオネンポリ
マーの両末端にアクリルアミド基を導入した共重合体
(数平均分子量11万)を架橋させた感湿薄膜を0.1
μm 厚に形成するほかは、実施例1と同様にして湿度セ
ンサ素子を得た。
【0130】これについて、実施例1と同様の評価を行
ったところ、湿度応答特性、耐水性については、ほぼ良
好な結果を示すことがわかった。また、耐ガス性試験の
結果を、実施例1とともに、表1に示したが、耐ガス性
に劣ることがわかった。
【0131】<実施例3>メタクリル酸ジメチルアミノ
エチルエステル14.21g(90.4mmol)と、
1,3−ジクロロプロパン5.11g(45.2mmo
l)を14.8gのアセトニトリルに溶解し、重合禁止
剤として4−メトキシフェノールを0.35g添加し
た。この溶液を60℃で96時間攪拌し、実施例1と同
タイプの4級化反応を行った。白色沈殿が生成し、ここ
にメタノール20ml加えて沈殿を溶解した。この溶液
をフィルタ後、1000mlのアセトンにより再沈殿さ
せ4級塩を析出させた。白色沈殿を濾過後、アセトン3
0mlで洗浄し、40℃で1時間乾燥、さらに真空乾燥
を行い17.52gの4級塩を得た。収率は90%であ
った。
【0132】次に、図1に示すような湿度センサ素子を
組み立てた。絶縁基板としてはアルミナ製の多孔性セラ
ミック基板を用い、電極4はRuO2とガラスフリット
とを含むペーストをスクリーン印刷し、高温焼成して得
られた櫛形電極とした。また、電極4間のギャップは、
225μm 程度であった。
【0133】イソプロピルアルコール100mlに上記
櫛形電極基板を入れ、10分間浸漬して洗浄した後、放
置により乾燥した。
【0134】プラズマ処理は、ヤマト科学製プラズマド
ライクリーナーPDC200型を用いて行った。装置
に、処理用サンプルを100個投入し、10分間真空ポ
ンプEC−403(ULVAC製)を用いて真空状態に
した。そこに酸素ガスを流量300sccm(0.51Pa・m3
・S-1)で投入、真空度を55Paになるように保ち、R
F出力700Wにてプラズマを発生させ、1分間処理し
た。この時の電極間距離は10cmである。
【0135】処理後直ちにディスペンサを使って、感湿
薄膜形成用モノマー液を素子1個当たり2.2μl塗布し
た。25℃の状態で15分放置し乾燥させ塗膜を作成し
た。次に、この塗膜に窒素雰囲気下で1分間紫外線を照
射し重合させて、感湿薄膜を得た。この時の紫外線照射
量は、1000mJ/cm2で、感湿薄膜の膜厚は約4μm であっ
た。
【0136】こうして得られた湿度センサ素子について
出力特性の評価および耐水性試験を行った。
【0137】出力特性は特開平2−123843号公報
に記載の回路に湿度センサを組み込み、分流式湿度発生
装置(モデルSRH−1、神栄株式会社製)を用いて評
価した。前記分流式湿度発生装置内に前記回路に組み込
んだ湿度センサ素子を設置し、25℃にて相対湿度を低
湿度側から高湿度側へ、続いて高湿度側から低湿度側へ
変化させ、その各過程における5%RH、10%RH、
20%RH、30%RH、40%RH、50%RH、6
0%RH、70%RH、80%RH、90%RH、95
%RHの各湿度条件下に湿度センサ素子を30分間放置
したときの出力電圧を測定した。得られた結果を図7に
示す。
【0138】耐水性試験は、上述のように出力電圧を測
定したのち、湿度センサ素子を1分間蒸留水中に浸漬し
大気中で乾燥させて再度出力電圧を測定した。続いて同
じセンサ素子に対して蒸留水中の浸水時間を10分間、
30分間、60分間と延長して同様に各々10%RH、
30%RH、50%RH、80%RH、90%RHの時
の出力電圧を測定し比較した。得られた結果を図8に示
す。
【0139】図7よりわかるように、ヒステリシスがみ
られず、良い応答曲線を示した。また、図8より、耐水
性に優れたものであることがわかった。
【0140】また、実施例1と同様にして耐ガス性試験
を行ったが、実施例1と同様の良好な結果が得られた。
【0141】<実施例4>実施例3において、櫛形電極
基板を大気圧中でプラズマ処理する以外は同様にして湿
度センサ素子を得、同様に特性評価を行ったところ、同
様に良好な結果を示すことがわかった。
【0142】この場合のプラズマ処理は、松下電工マシ
ンアンドビジョン製大気圧プラズマクリーニング装置を
用いて行った。出力700W、照射距離5mm、10mm/sec
のヘッド移動スピードで酸素プラズマを照射後に、引き
続き同じ条件で水素プラズマを照射して処理した。
【0143】
【発明の効果】本発明によれば、耐水性に優れ、かつガ
スによる影響が少なく、さらには耐溶剤性に優れ、広い
湿度領域で安定した出力特性を示す湿度センサ素子が得
られる。また、特に、プラズマ処理などの物理的手段に
よる処理をした絶縁基板を用いた場合は、製造工程の簡
略化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿度センサ素子の構成例の一つを示す
平面図である。
【図2】実施例1で得た湿度センサ素子の出力特性の測
定結果を示すグラフである。
【図3】実施例1で得た湿度センサ素子の耐水性試験の
測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例2で得た湿度センサ素子の出力特性の測
定結果を示すグラフである。
【図5】実施例2で得た湿度センサ素子の耐水性試験の
測定結果を示すグラフである。
【図6】比較例1の湿度センサ素子の出力特性の測定結
果を示すグラフである。
【図7】実施例3で得た湿度センサ素子の出力特性の測
定結果を示すグラフである。
【図8】実施例3で得た湿度センサ素子の耐水性試験の
測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】 1 湿度センサ素子 2 絶縁基板 3 感湿薄膜 4 電極 5 ギャップ 6 電極端子 7 リード線 8 半田 9 レジスト膜
フロントページの続き Fターム(参考) 2G046 AA09 BA01 BA09 BB02 BB04 BC03 BC05 DA03 DC13 EA02 EA04 EA08 EA09 EA20 FA01 FE00 FE02 FE03 FE28 FE29 FE35 FE39 2G060 AA01 AB02 AE19 AF03 AF06 AG06 AG10 BA01 BB10 HA02 HC06 HC18 HE03 JA01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上にギャップを介して対向する
    ように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を
    有する湿度センサ素子において、前記感湿薄膜が、式
    (1)で示されるモノマーと、アルコキシシリル基を有
    するアクリル系モノマーとの共重合体を含有する湿度セ
    ンサ素子。 【化1】 [式(1)において、Aは二価基を表わす。R1、R2
    3およびR4は、それぞれアルキル基を表わし、同一で
    も異なるものであってもよい。Y1およびY2は、それぞ
    れ不飽和反応性基を末端に有する一価基を表わし、同一
    でも異なるものであってもよい。R1〜R4、Y1、Y2
    Aおよびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の
    2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに
    環を形成してもよい。X1 -およびX2 -は、それぞれ陰イ
    オンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。]
  2. 【請求項2】 感湿薄膜が含有する共重合体中のアルコ
    キシシリル基と絶縁基板および/または電極表面の官能
    基との反応により、感湿薄膜が基板に固定されている請
    求項1の湿度センサ素子。
  3. 【請求項3】 前記共重合体中のX1 -およびX2 -で表わ
    される陰イオンの少なくとも30%(モル)が塩化物イ
    オンである請求項1または2の湿度センサ素子。
  4. 【請求項4】 絶縁基板上にギャップを介して対向する
    ように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を
    有する湿度センサ素子において、前記絶縁基板が、最表
    層の汚染物および/または酸化物を物理的手段により除
    去した絶縁基板であり、前記感湿薄膜が、式(1)で示
    されるモノマーの重合体を含有する湿度センサ素子。 【化2】 [式(1)において、Aは二価基を表わす。R1、R2
    3およびR4は、それぞれアルキル基を表わし、同一で
    も異なるものであってもよい。Y1およびY2は、それぞ
    れ不飽和反応性基を末端に有する一価基を表わし、同一
    でも異なるものであってもよい。R1〜R4、Y1、Y2
    Aおよびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の
    2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに
    環を形成してもよい。X1 -およびX2 -は、それぞれ陰イ
    オンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。]
  5. 【請求項5】 前記重合体中のX1 -およびX2 -で表わさ
    れる陰イオンの少なくとも30%(モル)が塩化物イオ
    ンである請求項4の湿度センサ素子。
  6. 【請求項6】 式(1)中のAで表わされる二価基がア
    ルキレン基、アルケニレン基もしくはアリーレン基また
    はこれらの組合せである請求項1〜5のいずれかの湿度
    センサ素子。
  7. 【請求項7】 式(1)中のY1およびY2で表わされる
    一価基が、アクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレン
    エステル基またはアクリル酸もしくはメタクリル酸アル
    キレンアミド基である請求項1〜6のいずれかの湿度セ
    ンサ素子。
  8. 【請求項8】 式(1)で示されるモノマーが、アクリ
    ル酸もしくはメタクリル酸ジアルキルアミノエチルエス
    テルまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸ジアルキル
    アミノエチルアミドとジハロゲン化合物とを反応させて
    得られる2官能性モノマーである請求項1〜7のいずれ
    かの湿度センサ素子。
  9. 【請求項9】 式(1)で示されるモノマーが、ジアル
    キルアミノ基を有するアクリル系不飽和化合物と式
    (1)中のAで表わされる二価基のジハロゲン化合物と
    の反応で得られたものである請求項1〜8のいずれかの
    湿度センサ素子。
  10. 【請求項10】 絶縁基板上にギャップを介して対向す
    るように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜
    を有する湿度センサ素子の製造方法において、あらかじ
    めアルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーで絶
    縁基板を処理して、アクリル系官能基を絶縁基板に結合
    させ、次いで式(1)で示されるモノマーを塗布し、そ
    の後重合させて感湿薄膜を形成する湿度センサ素子の製
    造方法。 【化3】 [式(1)において、Aは二価基を表わす。R1、R2
    3およびR4は、それぞれアルキル基を表わし、同一で
    も異なるものであってもよい。Y1およびY2は、それぞ
    れ不飽和反応性基を末端に有する一価基を表わし、同一
    でも異なるものであってもよい。R1〜R4、Y1、Y2
    Aおよびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の
    2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに
    環を形成してもよい。X1 -およびX2 -は、それぞれ陰イ
    オンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。]
  11. 【請求項11】 絶縁基板上にギャップを介して対向す
    るように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜
    を有する湿度センサ素子の製造方法において、式(1)
    で示されるモノマーおよびアルコキシシリル基を有する
    アクリル系モノマーを、絶縁基板上に塗布し、次いで共
    重合させた後、水蒸気存在下で絶縁基板表面の官能基と
    アルコキシシリル基とを反応させ、前記共重合で得られ
    た共重合体を絶縁基板に固定化させて感湿薄膜を形成す
    る湿度センサ素子の製造方法。 【化4】 [式(1)において、Aは二価基を表わす。R1、R2
    3およびR4は、それぞれアルキル基を表わし、同一で
    も異なるものであってもよい。Y1およびY2は、それぞ
    れ不飽和反応性基を末端に有する一価基を表わし、同一
    でも異なるものであってもよい。R1〜R4、Y1、Y2
    Aおよびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の
    2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに
    環を形成してもよい。X1 -およびX2 -は、それぞれ陰イ
    オンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。]
  12. 【請求項12】 絶縁基板上にギャップを介して対向す
    るように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜
    を有する湿度センサ素子の製造方法において、絶縁基板
    の最表層の汚染物および/または酸化物を物理的手段に
    より除去し、次いでこの絶縁基板上に式(1)で示され
    るモノマーを塗布した後、この絶縁基板上で前記モノマ
    ーを重合して感湿薄膜を形成する湿度センサ素子の製造
    方法。 【化5】 [式(1)において、Aは二価基を表わす。R1、R2
    3およびR4は、それぞれアルキル基を表わし、同一で
    も異なるものであってもよい。Y1およびY2は、それぞ
    れ不飽和反応性基を末端に有する一価基を表わし、同一
    でも異なるものであってもよい。R1〜R4、Y1、Y2
    Aおよびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の
    2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに
    環を形成してもよい。X1 -およびX2 -は、それぞれ陰イ
    オンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。]
  13. 【請求項13】 物理的手段がプラズマ表面処理である
    請求項12の湿度センサ素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 紫外線照射により重合する請求項10
    〜13のいずれかの湿度センサ素子の製造方法。
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