JP3866991B2 - 湿度センサ素子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、雰囲気中の水分を検知、定量するための湿度センサ素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気抵抗値などの電気特性の変化により湿度を検出する湿度センサ用材料(感湿材料)として、塩化リチウム等の電解質を用いたもの、金属酸化物を用いたもの、有機高分子化合物を用いたものが知られている。
【0003】
しかし、塩化リチウム等の電解質系のものは、計測湿度範囲が狭く、また結露や水漏れで特性が変化し耐水性が悪い。また、金属酸化物を用いたものは耐水性は強いが感度が低く、またそのままでは長期安定性が悪いため加熱クリーニング回路が必要で、そのため運転コストが高く、かつセンサ構造が複雑という欠点を有している。
【0004】
他方、湿度センサ用材料の中でも、有機高分子化合物、特に第四級アンモニウム塩を持つ高分子電解質は、民生用や産業用に広く利用され、高く評価されている材料である。
【0005】
例えば、特公昭61−54176号公報には、疎水性モノマーとイオン性あるいは非イオン性の親水性モノマーとの共重合体であり、かつ表面層が親水性があるラテックス粒子の集合体からなる感湿材料が開示されており、そのなかにカチオン性化合物として第一級ないし第四級の各アンモニウム塩を有するものが挙げられている。
【0006】
また、特公昭62−7976号公報には、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを含む高分子を、重合度1000〜10000の範囲で重合させて得た重合体を感湿材料に用いることが開示されている。
【0007】
さらに、特公平2−24465号公報には、
−(N+(R1)(R2)X-−A−N+(R3)(R4)X-−B)n−
[ここで、R1〜R4はアルキル基、X-はハロゲンイオン、A、Bは−(CH2)m−(m≧2)]の構造式を有するアイオネンポリマーの薄膜、あるいは基板に対する接着性や耐水性を向上させる目的で、このポリマーとポリビニルピロリドンのような他のポリマーとの混合物の薄膜を感湿高分子の薄膜として用いることが開示されている。
【0008】
しかし、上記に例示したようなこれまでの高分子電解質を湿度センサ用材料に用いた湿度センサの場合、高い湿度領域、特に結露雰囲気中では高分子電解質が一部溶出するなど耐水性が悪く、また湿度を増加させた場合と減少させた場合とで同じ湿度でも異なる出力値を示すヒステリシス現象もみられた。また10%RH以下の低湿度領域では高い抵抗値をもち実用上湿度測定が不可能であった。
【0009】
特開平7−318526号公報には耐水性を向上させるために、上記のアイオネンポリマーの両末端に不飽和結合を導入し、紫外線架橋を行っている例が開示されている。この場合には、きわめて小さな膜厚で良好な特性および耐水性が得られている。しかしながら、膜厚が小さいとポリマーの絶対量が少なく、水に溶けてイオンを形成するようなガス(例えばCl2、NOx、SOx)の影響を受けやすくなってしまう。特に、民生用では深刻である。
【0010】
膜厚が一定以上であれば、表面層にガス由来のイオンを生成しても導電性にはそれほどの影響を受けないが、上記の架橋方法ではポリマー層の給水による膨潤がきわめて大きく、クラックの発生、基板からの剥離等、大きな問題を生じるために、1μm 以下の小さな膜厚で使用せざるを得ないのが実状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、耐水性に優れ、結露する雰囲気中でも長期間安定に動作し、その上、耐溶剤性が良好で、窒素酸化物や硫黄酸化物、あるいは塩素などのガスの影響を受けにくく、かつ広い湿度領域で、特に低湿度領域においても、安定した優れた出力特性をもつ感湿薄膜を有する湿度センサ素子および製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 絶縁基板上にギャップを介して対向するように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有する湿度センサ素子において、前記感湿薄膜が、式(1)で示されるモノマーの1種以上と式(2)で示されるモノマーの1種以上との共重合体を含有する湿度センサ素子。
【0013】
【化5】
【0014】
[式(1)において、AおよびBはそれぞれ二価基を表わす。Yl,Y2,Y3,Y4,Y5およびY6は、それぞれ一価基を表わし、同一でも異なるものであってもよく、これらのうち少なくとも一つは、エチレン性不飽和反応基を末端に有する基である。Yl,Y2,Y3,Y4,Y5、Aおよびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の2つ以上、またはY4,Y5、Y6,Bおよびこれらの窒素原子(N)側の一部のうちの任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに環を形成してもよい。Xl -およびX2 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。nは、2〜5000である。]
【0015】
【化6】
【0016】
[式(2)において、A11は二価基を表わす。R11、R12、R13およびR14は、それぞれアルキル基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。Yl1およびY12は、それぞれエチレン性不飽和反応性基を末端に有する一価基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。R11〜R14、Y11、Y12、A11およびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに環を形成してもよい。X11 -およびX12 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。]
(2) 式(1)中のXl -およびX2 -で表わされる陰イオン、ならびに式(2)中のX11 -およびX12 -で表わされる陰イオンが、それぞれハロゲン化物イオンである上記(1)の湿度センサ素子。
(3) ハロゲン化物イオンとして塩化物イオンまたは臭化物イオンを含む上記(2)の湿度センサ素子。
(4) 式(1)中のAおよびBで表わされる二価基、ならびに式(2)中のA11で表わされる二価基が、それぞれアルキレン基、アルケニレン基もしくはアリーレン基またはこれらの組合せである上記(1)〜(3)のいずれかの湿度センサ素子。
(5) 式(2)中のY11およびY12で表わされる一価基が、それぞれアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレンエステル基またはアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレンアミド基である上記(1)〜(4)のいずれかの湿度センサ素子。
(6) 式(2)で示されるモノマーが、アクリル酸もしくはメタクリル酸ジアルキルアミノエチルエステルまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸ジアルキルアミノエチルアミドとジハロゲン化合物とを反応させて得られる2官能性モノマーである上記(1)〜(5)のいずれかの湿度センサ素子。
(7) 式(2)で示されるモノマーが、ジアルキルアミノ基を有するアクリル系不飽和化合物と式(2)中のA11で表わされる二価基のジハロゲン化合物との反応で得られたものである上記(1)〜(6)のいずれかの湿度センサ素子。
(8) 前記共重合体が、さらに、アルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーとの共重合体である上記(1)〜(7)のいずれかの湿度センサ素子。
(9) 前記絶縁基板が、最表層の汚染物および/または酸化物を物理的手段により除去した絶縁基板である上記(1)〜(8)のいずれかの湿度センサ素子。
(10) 絶縁基板上にギャップを介して対向するように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有する湿度センサ素子の製造方法において、式(1)で示されるモノマーおよび式(2)で示されるモノマーを含有する塗布液を、絶縁基板上に塗布し、次いで共重合させて感湿薄膜を形成する湿度センサ素子の製造方法。
【0017】
【化7】
【0018】
[式(1)において、AおよびBはそれぞれ二価基を表わす。Yl,Y2,Y3,Y4,Y5およびY6は、それぞれ一価基を表わし、同一でも異なるものであってもよく、これらのうち少なくとも一つは、エチレン性不飽和反応基を末端に有する基である。Yl,Y2,Y3,Y4,Y5、Aおよびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の2つ以上、またはY4,Y5、Y6,Bおよびこれらの窒素原子(N)側の一部のうちの任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに環を形成してもよい。Xl -およびX2 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。nは、2〜5000である。]
【0019】
【化8】
【0020】
[式(2)において、A11は二価基を表わす。R11、R12、R13およびR14は、それぞれアルキル基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。Yl1およびY12は、それぞれエチレン性不飽和反応性基を末端に有する一価基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。R11〜R14、Y11、Y12、A11およびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに環を形成してもよい。X11 -およびX12 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。]
(11) あらかじめアルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーで絶縁基板を処理して、アクリル系官能基を絶縁基板に結合し、次いで前記塗布液を塗布するか、またはあらかじめアルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーを前記塗布液に含有させるかして感湿薄膜を形成する上記(10)の湿度センサ素子の製造方法。
(12) 絶縁基板の最表層の汚染物および/または酸化物を物理的手段により除去し、次いで前記塗布液を塗布する上記(10)の湿度センサ素子の製造方法。
(13) 物理的手段が、プラズマ表面処理である上記(12)の湿度センサ素子の製造方法。
(14) 紫外線照射により共重合する上記(10)〜(13)のいずれかの湿度センサ素子の製造方法。
【0021】
【作用】
本発明では、絶縁基板上に設けた一対の電極を被覆するように導電性高分子の感湿薄膜を形成する。
【0022】
この感湿薄膜は、式(1)で示される架橋性モノマー(以下、式(1)のモノマーと略す。)と式(2)で示される架橋性モノマー(以下、式(2)のモノマーと略す。)を、それぞれ、少なくとも1種、合わせて2種以上含有させ、これを、紫外線照射または加熱などの適当な手段により共重合して得られたものであり、式(1)、式(2)のモノマーに示されるように、これらにより得られる共重合体中に第四級アンモニウム塩(環化したものも含む。)を有するアイオネンポリマー構造を有することが特徴である。
【0023】
上記架橋性共重合体は、モノマーが、好ましくはアクリル系不飽和反応性基を2個有する2官能性であるために、3次元的に反応して架橋構造を形成して、水に不溶性とすることができる。
【0024】
このようなアイオネンポリマー構造の架橋性共重合体を用いた感湿薄膜では、共重合体分子内に含まれる第四級アンモニウム塩部分が導電性を発現する部分となり、第四級アンモニウム塩の対イオンが雰囲気中の水分により解離し、イオン伝導性を示す。そして、雰囲気中の水分の多寡により、この解離の程度が変化する現象を利用して湿度を検出するものである。本発明におけるアイオネンポリマー構造は架橋性共重合体中にあり、いわゆる側鎖型とは異なって自由度の少ない主鎖型に近い。このために湿度応答特性はヒステリシスを生じない。
【0025】
これら感湿膜形成が、電極上でのモノマーの共重合によるものは、重合が乾燥状態で行われるために、内部の架橋点分布は必ずしも均一ではない。これは、例えば紫外線照射などによるとき、膜表面と内部で光量子密度の差が固体の場合大きくなるためで、外側の方が架橋密度が高くなる傾向にある。そして、感湿膜が厚いほど、吸水して膜が膨潤した時にクラックが入りやすくなるため、架橋密度を均一にするか、架橋点を増やす必要がある。
【0026】
そこで、本発明においては、重合させて感湿材料としたとき、優れた特性を持つアイオネンポリマー構造をとりうる式(2)のモノマーを、架橋剤として、式(1)のモノマーに混在させて、低インピーダンスを維持したまま架橋点を増やすことを特徴としている。式(1)のモノマーも式(2)のモノマーも、分子量は異なるが、内部にアイオネンポリマー構造を持ち得る同種のモノマーであることから、イオン密度を減らすことなく架橋点を増やすことが可能となる。
【0027】
さらに、素子設計の面では、耐水性および耐ガス性、ヒステリシスなどの湿度センサの基本的特性のうち、どこに重点を置くかを、式(1)のモノマーの分子量とモノマーの混合比を変えることにより自在に設計することが可能となる。イオン密度を高めることは耐ガス性を向上させ、架橋密度を高めることは耐水性を向上させる。また、式(1)のモノマーの分子量が大きいほど柔軟性が高まるため、膨潤後クラックを押さえることができる。ただし、この場合、耐水性を得るためには式(2)のモノマーの含有量を増やして架橋度を上げる必要がある。一方、極端な架橋はヒステリシスが生じる可能性が高まるため、適度な調整が必要である。
【0028】
また、架橋性共重合体の導電性を決定する構造上の要因としては、式(1)、式(2)を用いて説明すると、式(1)中のA、B、式(2)中のA11の主鎖の炭素数(すなわち二価の連結基の長さ)や、式(1)中のX1 -、X2 -、式(2)中のX11 -、X12 -の陰イオンの種類などである。したがって、これらを適当に選択したモノマーを組み合わせることによってもセンサ特性を所望のものとした素子設計が可能である。
【0029】
これに対し、架橋点を増やすために一般に添加される、例えば、ジビニルベンゼン等のような架橋剤では、式(1)のモノマーに添加することで膜の強度が増し、架橋点が増えたことが確認される。しかしながら、一般に用いられる架橋剤は、架橋剤添加で架橋点が増すことにより膨潤が押さえられることと架橋剤自身に導電性がないことにより得られる感湿膜のインピーダンスが高くなるため、湿度センサ用の感湿膜には適さなくなる。
【0030】
なお、特公平2−24465号公報には、前記のように、主鎖中に第四級アンモニウム塩を有する本発明と類似の重合体が開示されている。しかし、本発明と異なり、重合体中に架橋構造を形成することについては示唆すらされていない。したがって、上記公報と本発明とは、その構成ないし特定事項が明らかに異なるものである。また、上記公報には、耐水性向上のため、ポリビニルピロリドンのような他の重合体を併用する旨の記載があるが、耐水性が明らかに劣るものである。
【0031】
また、特開平4−309855号公報および特開平7−128271号公報には、ヒドロキシル基を有するメタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩とトリメチロールプロパントリメタクリレートとを塗布し、膜形成後に重合不溶化させることで耐水性を向上させることができるとされている。この方法は、2種以上の高分子材料を混在させ重合する方法の開示であるが、感湿材料のアンモニウム基がいわゆる側鎖(ペンダント)型であるので、湿度応答特性上ヒステリシスが大きかった。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0033】
本発明の湿度センサ素子は、絶縁基板上にギャップを介して対向するように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有するものである。
【0034】
そして、上記の感湿薄膜は式(1)のモノマーと式(2)のモノマーとの共重合体を含有する。
【0035】
式(1)で示されるモノマーについて記す。
【0036】
【化9】
【0037】
式(1)において、Yl〜Y6は一価基を表わし、Yl〜Y6のうち少なくとも一つは、エチレン性不飽和反応性基を末端に有する基である。このような基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、ビニル基、アリル基、ジアリルメチル基、アリルオキシ基、ジアクリロイルアミノ基、ジメタクリロイルアミノ基およびこれらの基を導入した基等が挙げられる。
【0038】
また、Yl〜Y6で表わされるエチレン性不飽和反応性基を末端に有する基以外の基としては、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子等が挙げられる。アルキル基、アルケニル基の具体例については、式(1)のなかで好ましいものである、式(3)、式(4)のRl等と同様のものが挙げられ、以下で併せて説明する。ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。また、Yl〜Y5、Aおよびこれらの一部のうちから任意の2つ以上の組合せで、あるいはY4〜Y6、Bおよびこれらの一部のうちから任意の2つ以上の組合せで、これらの2つ以上が結合して窒素原子(N)とともに環を形成してもよいが、形成される環としては、式(3)、式(4)のRl等によって形成される環と同様であるので、後述する。
【0039】
式(1)で示されるモノマーは、上記のように、エチレン性不飽和反応性基を少なくとも1個有するものであればよく、通常は2個程度が好ましい。
【0040】
また、Y2〜Y5で表わされる一価基は、式(1)に示される分子構造中の繰り返し単位の結合鎖を含むものであってもよく、そのとき式(1)中の繰り返し単位は各々同一であっても、異なるものであってもよい。
【0041】
なお、式(1)中のA、B、n、X1 -、X2 -は、式(3)、式(4)のものと同義のものであるので、式(3)、式(4)のところで併せて説明する。
【0042】
式(1)で示されるモノマーのなかでも、式(3)、式(4)で示されるモノマーが好ましい。式(3)、式(4)について記す。
【0043】
【化10】
【0044】
【化11】
【0045】
式(3)、式(4)において、AおよびBは各々二価基を表わす。
【0046】
Aで表わされる二価基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基またはこれらの組合せが好ましく、これらはヒドロキシ基やメチル基等のアルキル基、あるいはカルバモイル基などが置換していてもよい。
【0047】
アルキレン基の総炭素数は1〜20が好ましく、ヒドロキシ基が置換するときの置換基数は1〜5が好ましい。
【0048】
アルケニレン基の総炭素数は2〜10が好ましい。
【0049】
アリーレン基の総炭素数は6〜20が好ましい。
【0050】
また、これらの組合せであるときの総炭素数は3〜20が好ましい。
【0051】
具体的には、−(CH2)m−(m=1〜20の整数)、
−CH2CH=CH−CH2−、−CH2−CH(OH)−CH2−
−CH(CH3)−CH2−CH2−、−C6H4−C6H4−、
−C6H4−CH(OH)−C6H4−等が好ましいものとして挙げられる。
【0052】
なかでも、Aとしては無置換のアルキレン基、特に直鎖状の−(CH2)m−が好ましい。mは、B、X1 -、X2 -あるいは共重合に供される式(2)のモノマーの種類や共重合比に依存して決定されるが、3〜16程度であることが好ましい。
【0053】
Bで表わされる二価基としては、アルキレン基、オキシ基(−O−)およびカルポニル基(−CO−)のうちの1種以上が介在したアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基またはこれらの組合せが好ましく、これらはヒドロキシ基やビニル基等のアルケニル基などが置換していてもよい。
【0054】
アルキレン基の総炭素数は1〜20が好ましく、ヒドロキシ基が置換するときの置換基数は1〜5が好ましい。また、アルキレン基に−O−、−CO−が介在するときの介在数は合計で1〜5が好ましい。
【0055】
アルケニレン基の総炭素数は2〜10が好ましい。アリーレン基の総炭素数は6〜20が好ましい。また、これらの組合せであるときの総炭素数は3〜20が好ましい。
【0056】
具体的には、
−(CH2)m−(m=1〜20の整数)、
−(CH2)2−CH(OH)−CH2−、−CH2−CH(OH)−CH2−、
−CH2−CH=CH−CH2−、−CH2−CH(CH=CH2)−、
−(CH2−CH2−O)2−(CH2)2−、
−CH2−(CO)−CH2−、−CH2−C6H4−CH2−
等が好ましいものとして挙げられる。
【0057】
なかでも、Bとしては無置換のアルキレン基、特に直鎖状の−(CH2)m−が好ましい。mは、A、X1 -、X2 -あるいは共重合に供される式(2)のモノマーの種類や共重合比に依存して決定されるが、3〜16程度であることが好ましい。
【0058】
Rl、R2、R3およびR4は各々アルキル基またはアルケニル基を表わす。
【0059】
Rl〜R4で表わされるアルキル基としては、炭素数の1〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよいが、無置換のものが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好ましいものとして挙げられる。
【0060】
Rl〜R4で表わされるアルケニル基としては、炭素数2〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよいが、無置換のものが好ましい。具体的にはビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等が好ましいものとして挙げられる。
【0061】
R1とR2、R1とAもしくはAの一部、R2とAもしくはAの一部、R3とR4、R3とAもしくはAの一部、R4とAもしくはAの一部、R1とR3もしくはR4、またはR2とR3もしくはR4が互いに結合して窒素原子(N)とともに環を形成してもよい。このような環としては、5員または6員、特に6員の含窒素複素環が好ましく挙げられ、さらには橋かけ環であってもよい。このような含窒素複素環としては、ピリジン環、1,4−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピラジン環等が好ましく、場合によってはカルバモイル基等が置換していてもよい。
【0062】
式(3)において、R5およびR6は、各々、アルキル基またはアルケニル基を表わす。なかでも、アルキル基が好ましく、炭素数1〜10のものが好ましく、置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましく、メチル基、エチル基等が好ましいものとして挙げられる。また、R5、R6で表わされるアルケニル基の具体例等については、R1〜R4におけるものと同様のものが挙げられる。
【0063】
式(3)、式(4)において、Lは二価基を表わす。式(3)におけるLの好ましいものとしては、−COO(CH2)2−、−CONH(CH2)3−、−(CH2)m−(mは1〜20の整数)などが挙げられる。また、式(4)におけるLの好ましいものとしては、−OCH2CH2−、−(CH2)m−(mは1〜20の整数)、−COO(CH2)2−、−COOCH2CH(OH)CH2−、−CH2−C6H4−(p−またはm−)などが挙げられる。
【0064】
なお、式(3)において、R5、R6およびLは、これらのなかの2個または3個の組合せで適宜結合して窒素原子(N)とともにピリジン環等を形成していてもよい。
【0065】
式(3)、式(4)において、Rは水素原子またはアルキル基を表わすが、水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0066】
式(3)、式(4)において、X1 -、X2 -は陰イオンを表わし、ハロゲン化物イオンが好ましく、具体的には塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等であってよいが、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましい。これらのX1 -、X2 -は通常同一であるが、各々異なっていてもよい。式(4)において、X3 -は陰イオンを表わし、式(4)中の2個のX3 -は後述の合成スキームに従い同一記号を用いており、また、これらは通常同一であるが、場合によっては異なるものであってもよい。その具体例や好ましいものは、X1 -、X2 -と同様である。また、X1 -、X2 -、X3 -は通常同一である。nは2〜5000の数を表わす。
【0067】
式(1)、式(3)、式(4)で示されるモノマーは所定の繰り返し単位を有する重合体ともいうべきもので、その数平均分子量Mnは1000〜100万程度である。
【0068】
式(3)のモノマーは以下に示すようなスキームに従って合成される。X1 -、X2 -がハロゲン化物イオンである場合を例にし、スキーム中の記号は上記と同義である。
【0069】
【化12】
【0070】
まず、ジアミン化合物とジハロゲン化合物との反応から、第四級アンモニウム塩を有し、末端基がハロゲンである中間重合体Iを得る。この場合、ジアミン化合物に対しジハロゲン化合物が1.0倍モル量〜2.0倍モル量となる条件下で反応させればよい。また、中間重合体Iの末端基を確実にハロゲンとするために、ジハロゲン化合物を2回に分けて添加してもよく、この場合の1回目の添加量は、ジアミン化合物に対し1倍モル量〜1.3倍モル量程度とし、2回目は残部を添加するようにすればよい。
【0071】
このときの反応はメタノール、イソプロパノール、メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等の非水溶媒中で還流温度あるいは100℃程度の温度にて5〜100時間程度行う。
【0072】
次に、エチレン性不飽和反応性基を有する化合物Aを中間重合体Iと反応させ、中間重合体Iの両末端にエチレン性不飽和反応性基を導入して式(3)のモノマーを得る。この場合の反応は、上記の反応に引き続き行えばよく、上記溶液にジハロゲン化合物とほぼ等モル量のエチレン性不飽和反応性基を有する化合物Aを添加し、15〜100℃程度の温度で、10〜150時間程度反応させる。
【0073】
その後、反応溶液をアセトン、酢酸エチル等の溶媒に滴下して沈澱物を生成させ、これを濾取することにより沈澱精製し、目的物が得られる。
【0074】
一方、式(4)のモノマーは以下に示すようなスキームに従って合成される。X1 -、X2 -がハロゲン化物イオンである場合を例とし、スキーム中の記号は上記と同義である。なお、X3 -もハロゲン化物イオンが好ましい。
【0075】
【化13】
【0076】
まず、ジアミン化合物とジハロゲン化合物との反応から、第四級アンモニウム塩を有し末端基がアミノ基である中間重合体IIを得る。この場合、ジハロゲン化合物に対しジアミン化合物が1.1倍モル量〜2.0倍モル量となる条件下で反応させればよい。このほかの反応条件等については、前記の中間重合体Iを得る場合と同様であり、末端基を確実にアミノ基とするための方法も前記に準じて行えばよい。
【0077】
次に、エチレン性不飽和反応性基を有する化合物Bを中間重合体IIと反応させ、中間重合体IIの両末端エチレン性不飽和反応性基を導入して式(4)のモノマーを得る。この場合の反応は前記の式(3)のモノマーと同様に行えばよい。
【0078】
式(3)、式(4)で示されるモノマーは、ジアミン化合物とジハロゲン化合物との反応によって得られるものであり、上記のスキームに従う反応が可能なものであれば、用いられるジアミン化合物およびジハロゲン化合物はいずれであってもよく、特に限定されるものではない。なお、これらのモノマーおよび中間重合体は、通常、重合度nが2〜20程度のオリゴマーと重合度nが20をこえるポリマーとの混合物として得られる。
【0079】
ジアミン化合物の好適例を以下に示す。
【0080】
【化14】
【0081】
【化15】
【0082】
【化16】
【0083】
ジハロゲン化合物の好適例を以下に示す。
【0084】
【化17】
【0085】
【化18】
【0086】
上記において、Xはハロゲン原子であるが、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0087】
式(3)、式(4)のモノマーの中間重合体の例をジアミン化合物とジハロゲン化合物の組合せから得られる重合体として以下に示す。なお、カッコ内の数値はモル比を表わす。
【0088】
(1)A−16/B−10(50/50)の組合せから得られる重合体
(2)A−8/B−12/B−10(50/48/2)の組合せから得られる重合体
(3)A−8/B−13/B−10(50/48/2)の組合せから得られる重合体
(4)A−8/B−15/B−10(50/48/2)の組合せから得られる重合体
(5)A−16/B−2(50/50)の組合せから得られる重合体
(6)A−7/B−10(50/50)の組合せから得られる重合体
(7)A−2/B−10(50/50)の組合せから得られる重合体
(8)A−9/B−10(50/50)の組合せから得られる重合体
(9)A−16/B−9(50/50)の組合せから得られる重合体
(10)A−3/A−8/B−10(2/48/50)の組合せから得られる重合体
【0089】
(11)A−14/A−16/B−17(49/1/50)の組合せから得られる重合体
(12)A−11/B−16(50/50)の組合せから得られる重合体
(13)A−6/B−4/B−15(50/47/3)の組合せから得られる重合体
(14)A−11/B−6(50/50)の組合せから得られる重合体
(15)A−13/B−3(50/50)の組合せから得られる重合体
(16)A−10/B−15(50/50)の組合せから得られる重合体
(17)A−15/B−16(50/50)の組合せから得られる重合体
(18)A−4/B−10(50/50)の組合せから得られる重合体
(19)A−10/B−12/B−10(50/48/2)の組合せから得られる重合体
(20)A−8/B−2(50/50)の組合せから得られる重合体
【0090】
(21)A−7/A−16/B−10(15/35/50)の組合せから得られる重合体
(22)A−8/A−16/B−10(15/35/50)の組合せから得られる重合体
(23)A−9/A−16/B−10(15/35/50)の組合せから得られる重合体
(24)A−10/A−16/B−10(15/35/50)の組合せから得られる重合体
(25)A−8/B−13(50/50)の組合せから得られる重合体
(26)A−8/A−10/B−13(15/35/50)の組合せから得られる重合体
(27)A−8/B−13/B−10(50/40/10)の組合せから得られる重合体
(28)A−8/B−13/B−2(50/40/10)の組合せから得られる重合体
(29)A−9/B−13(50/50)の組合せから得られる重合体
(30)A−8/A−9/B−13(25/25/50)の組合せから得られる重合体
【0091】
(31)A−9/A−10/B−13(25/25/50)の組合せから得られる重合体
(32)A−19/B−15(50/50)の組合せから得られる重合体
(33)A−15/B−9(50/50)の組合せから得られる重合体
(34)A−15/B−15(50/50)の組合せから得られる重合体
【0092】
中間重合体I、IIの両末端にエチレン性不飽和反応性基を導入する際に用いられる化合物A、Bとしては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、ビニル基、アリル基、ジアリルメチル基、アリルオキシ基、ジアクリロイルアミノ基、ジメタクリロイルアミノ基等のエチレン性不飽和反応性基を有する化合物であれば特に制限はない。なお、中間重合体I、IIの生成の段階で末端にエチレン性不飽和反応性基を有する重合体[例えば(10)、(11)、(13)]の場合は,そのまま本発明のモノマーとして用いることができる。
【0093】
中間重合体Iとの組合せにおいて好ましく用いられる化合物Aとしては以下のものが挙げられる。
【0094】
【化19】
【0095】
一方、中間重合体IIとの組合わせにおいて好ましく用いられる化合物Bとしては以下のものが挙げられる。
【0096】
【化20】
【0097】
上記において、Xはハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0098】
本発明の感湿薄膜に含有される共重合体を得るのに、式(1)のモノマーとともに用いられる式(2)のモノマーについて述べる。
【0099】
式(2)について記す。
【0100】
【化21】
【0101】
式(2)において、A11は二価基を表わす。R11、R12、R13およびR14は、それぞれアルキル基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。Y11およびY12は、それぞれエチレン性不飽和反応性基を末端に有する一価基を表わし、同一でも異なるものであってもよい。R11〜R14、Y11、Y12、A11およびこれらの窒素原子(N)側の一部のうち任意の2つ以上は、それぞれ結合して窒素原子(N)とともに環を形成してもよい。X11 -、X12 -は、それぞれ陰イオンを表わし、同一でも異なるものであってもよい。
【0102】
A11で表わされる二価基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基またはこれらの組合せが好ましく、これらはメチル基等のアルキル基、あるいはカルバモイル基などが置換していてもよい。
【0103】
アルキレン基の総炭素数は1〜20が好ましい。
【0104】
アルケニレン基の総炭素数は2〜10が好ましい。
【0105】
アリーレン基の総炭素数は6〜20が好ましい。
【0106】
また、これらの組合せであるときの総炭素数は3〜20が好ましい。
【0107】
具体的には、−(CH2)m−(m=1〜20の整数)、−CH2CH=CH−CH2−、−CH(CH3)−CH2−CH2−、−C6H4−C6H4−等があり、特に−(CH2)m−(m=1〜20の整数)が好ましい。
【0108】
このように、A11は無置換の直鎖状のアルキレン基が好ましく、この場合のmは、X11 -、X12 -あるいは共重合に供される式(1)のモノマーの種類や共重合比などに依存して決定されるが、3〜16程度であることが好ましい。
【0109】
Y11、Y12で表わされるエチレン性不飽和反応性基を末端に有する一価基としては、アクリル系のものが好ましく、アクリロイルオキシアルキル基、メタクリロイルオキシアルキル基、アクリロイルアミノアルキル基、メタクリロイルアミノアルキル基を有する基であり、好ましくは、アクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレンエステル基、またはアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレンアミド基等が挙げられる。Y11、Y12の総炭素数は4〜8であることが好ましい。Y11とY12は、通常、同一であるが、各々異なっていてもよい。
【0110】
また、R11〜R14で表わされるアルキル基としては、無置換のものが一般的であるが、置換基を有していてもよく、総炭素数は1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。R11〜R14は、通常、同一であるが、各々異なっていてもよい。
【0111】
また、R11〜R14、Y11、Y12、A11およびこれらの一部(N側)のうちから任意の2つ以上の組合せで、これらの2つ以上が結合して窒素原子(N)とともに環を形成してもよいが、環は形成しない方が好ましい。
【0112】
X11 -、X12 -で表わされる陰イオンは、特に、ハロゲン化物イオンが好ましく、具体的には塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等であってよいが、塩化物イオン、臭化物イオンが好ましく、特に塩化物イオンが好ましい。X11 -、X12 -は通常同一であるが、各々異なっていてもよい。
【0113】
式(2)で示されるモノマーは、上記のように、両末端にアクリル系不飽和反応基を有する2官能性モノマーであることが好ましい。
【0114】
本発明に用いられる式(2)で示されるモノマーは次のようにして得られる。具体的には、式(2)のモノマーは、以下に示すようなスキームに従って合成される。
【0115】
【化22】
【0116】
なお、上記のY11、Y12、R11〜R14、A11は、式(2)と同義のものである。また、X11、X12がハロゲン原子である場合を例にする。
【0117】
まず、アクリル系アミン化合物(a−1、a−2)とジハロゲン化合物(b)との反応から、第四級アンモニウム塩を有し両末端基がアクリル系不飽和基である式(2)のモノマーを得る。この時、アクリル系アミン化合物の添加量は、ジハロゲン化合物に対し2倍モル量以上、特に2.0〜3.0倍モル量とするようにすればよい。
【0118】
このときの反応はアセトニトリル、ジオキサンなどの非プロトン性極性溶剤で約50℃程度で数日間撹拌して行う。溶剤として、メタノール、イソプロパノール、メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール中で還流させると、エステル交換が起きてしまい、目的のジアクリル系第四級アンモニウム塩は得られない。したがって、エステル交換反応を引き起こす可能性のある、アルコール系溶剤は適さない。
【0119】
反応終了後、アセトンなどを加えて目的の第四級アンモニウム塩を析出させ、得られた白色沈殿物を濾過する。アセトンで洗浄後、乾燥させて目的物を得る。
【0120】
式(2)のモノマーの両末端に、エチレン性不飽和反応性基、好ましくはアクリル系不飽和反応性基を導入する際に用いられる化合物は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、ジアクリロイルアミノ基、ジメタクリロイルアミノ基等のエチレン性不飽和反応性基、好ましくはアクリル系不飽和反応性基を有する化合物であれば特に制限はなく、アクリル酸もしくはメタクリル酸ジアルキルアミノエチルエステルまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸ジアルキルアミノエチルアミドが好適であるが、これらも含めて、以下に具体例を示す。
【0121】
アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル
アクリル酸ジメチルアミノプロピルアミド
メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル
メタクリル酸ジメチルアミノエチルアミド
メタクリル酸ジメチルアミノプロピルエステル
メタクリル酸ジメチルアミノプロピルアミド
メタクリル酸ジメチルアミノブチルエステル
メタクリル酸ジメチルアミノペンチルエステル
メタクリル酸ジメチルアミノヘキサンエステル
メタクリル酸ジメチルアミノオクチルエステル
メタクリル酸ジメチルアミノオクチルアミド
など
【0122】
これと反応させるジハロゲン化合物の具体例を以下に示す。
【0123】
1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,5一ジクロロペンタン、1,6−ジクロロへキサン、1,8−ジクロロオクタン、1,10−ジクロロデカン、1,12−ジクロロドデカン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモへキサン、1,8−ジブロモオクタン、1,10−ジブロモデカン、1,12−ジブロモドデカンなど
【0124】
式(2)のモノマーの分子量に特に制限はないが、好ましいA11などを考慮に入れると、通常650以下である。その下限に特に制限はないが、通常370程度である。
【0125】
本発明の共重合体を得るには、式(1)のモノマーと式(2)のモノマーと光重合開始剤との混合溶液を基板上に塗布して成膜し、乾燥後に紫外線を照射して重合させる。この場合、各モノマーは、各々1種以上用いればよい。
【0126】
式(1)のモノマーと式(2)のモノマーの混合比率は、各々のモノマーの固有インピーダンスと混合時の架橋度と、基板上に設けられた電極形状により決まる。したがって、混合比率は、個々のケースにより異なり、一義的には決定できないが、一般的には、式(1)のモノマー:式(2)のモノマーがモル比で10:1〜1:10程度である。
【0127】
重合開始剤はベンゾフェノン誘導体など種々の市販されている重合開始剤を用いることができる。
【0128】
本発明において、重合は紫外線照射によることが好ましいが、場合によっては加熱などによってもよく、加熱処理後に紫外線照射することも好ましい。
【0129】
式(1)と式(2)の第四級アンモニウム塩モノマー、好ましくは2官能性アンモニウム塩の共重合反応によって得られた感湿薄膜は、3次元的な架橋がされており、きわめて丈夫な膜となっているばかりでなく、第四級アンモニウム塩がいわゆる主鎖型であるアイオネン構造となっており、ペンダント型構造のような自由度の高い構造を有しない。したがって、感湿曲線はヒステリシスのきわめて小さな特性を維持することができる。
【0130】
本発明における感湿薄膜は、前記のとおり、式(1)のモノマーと式(2)のモノマーとを反応させた共重合体の架橋物を含有するものであるが、感湿薄膜の形成は次のように行うことが好ましい。
【0131】
式(1)のモノマーおよび式(2)のモノマーを含有する塗布液を調製する。この場合、式(1)のモノマーおよび式(2)のモノマーは通常、各々1種ずつ用いられるが、各々2種以上用いてもよく、いずれか一方のみを2種以上としてもよい。なお、これらのモノマーとしては、陰イオンとしてハロゲン化物イオンを有するものが好ましく用いられるが、特に塩化物イオン、臭化物イオンを有するものが好ましく、とりわけ、塩化物イオンを有するモノマーを少なくとも1種用いることが好ましい。
【0132】
塗布液は、上記各モノマーを所定比で含有する1〜10%(質量百分率)の水溶液またはアルコールなどの有機溶剤溶液あるいは混合溶剤の溶液とする。このとき、後に上記共重合体を放射線、好ましくは紫外線照射により架橋させる湯合には、光重合開始剤(例えば水溶性のベンゾフェノン系の化合物)を0.03〜0.7%(質量百分率)程度添加することが好ましい。
【0133】
なお、本発明により得られる感湿薄膜は従来の膜に比べ膨潤量が抑えられるため、基板から感湿薄膜が剥離することはないが、基板との密着性を確実にして高い耐水性を得るために、下記のような処理を施してもよい。
【0134】
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのように基板や電極と反応し得る官能基(アルコキシシリル基)を持つアクリル系モノマーであるアクリル系シランカップリング剤と共重合させるか、あるいは基板(通常、電極付)をアクリル系シランカップリング剤で処理加熱後、式(1)のモノマーおよび式(2)のモノマーを含有する液を塗布乾燥し、共重合させる方法がよい。前者の方法では、共重合させて感湿薄膜を形成した後、高湿度下(すなわち水蒸気存在下)に保存し、密着性を向上させることが好ましい。
【0135】
アクリル系シランカップリング剤としては、例えばγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学製KBM502)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(同KBM503)、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(同KBE502)、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(同KBE503)などが市販されていて便利である。
【0136】
本発明に用いる絶縁基板としては、材質は感湿薄膜との接着性を確保するために表面に水酸基などの官能基を有し、かつ電気絶縁性を有するものであればどのようなものでもよく、例えばガラス、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などのプラスチック、セラミックまたは水酸基等を有する樹脂で絶縁被覆した金属等が用いられる。また、電極は通常使用されているものであれば特に制限はなく、例えばAuないしはRuO2等を含有し、さらに、必要に応じガラスフリットを含有する低抵抗ペースト等をスクリーン印刷し高温焼結したものなどが使用できる。なお、RuO2等の酸化物電極であれば、表面の水酸基などの官能基が、感湿薄膜との接着性向上に寄与する。
【0137】
また、本発明では、前述のアルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーを用いる方法にかえて、絶縁基板の最表層の汚染物および/または酸化物を物理的手段により除去した後に、感湿薄膜を形成して感湿薄膜と基板との密着性の向上を図ってもよい。
【0138】
感湿膜を形成する絶縁基板はアルミナ基板が一般的であり、その最表層は汚染物、吸着ガス、有機物、基板自身の酸化物等で覆われているため、感湿膜との密着性が阻害されているが、このような操作を施すことにより、絶縁基板と感湿薄膜との密着性を向上させることができる。
【0139】
物理的手段による方法としたのは、化学的手段による方法では汚染物や有機物の除去は可能であるが、酸化物層を取り除くことは難しく、さらには化学処理後の廃液の問題もあるため好ましい方法ではないからである。一方、物理的手段による方法では下地の破壊を最小限にとどめて比較的簡単に上記の汚染物や酸化物を取り除くことが可能である。また、処理対象となる材質の選択の幅が広い。
【0140】
いくつかある物理的手段の中で、プラズマ表面処理は効果が高く好ましい。プラズマ表面処理(以下、「プラズマ処理」ともいう。)は、プラズマ中に存在する活性な電子、ラジカル、イオン、分子を、絶縁基板表面と相互作用させることで、エッチング作用とインプランテーション作用により表面状態を改質する。
【0141】
プラズマ発生雰囲気により、発生するプラズマが変わり、特に使用するガス種で酸素プラズマと水素プラズマに大別されるが、これらの使用は好ましい。酸素プラズマは、表面有機汚染物の除去と表面改質に有効であり、水素プラズマは、金属酸化物を還元することが可能である。
【0142】
本発明においては、このプラズマによる物理的手段により絶縁基板の最表層の汚染物および/または最表層の酸化物を除去して、以下の二つの作用機構により感湿薄膜と絶縁基板との密着性を高めていると考えられる。
【0143】
第1に、最表層の汚染物と酸化物とが、感湿薄膜と絶縁基板の両界面間の「弱い結合層(weak boundary layer)」として働くためで、この層を除去することにより密着が強くなる。
【0144】
第2に、最表層の汚染物および/または酸化物を除去することで、絶縁基板表面のぬれ性が高まり、感湿薄膜形成用モノマーを塗布する時に絶縁基板の細孔までモノマーが到達して、重合させた後は感湿薄膜が絶縁基板に根を下ろし、「錨」のような作用で感湿薄膜と絶縁基板とを密着させる。
【0145】
本発明においては、後者の作用が大きく働いていると考えられる。
【0146】
物理的手段による処理は、電極、好ましくは櫛形電極を配置した絶縁基板に対して行われる。
【0147】
ここに使用する一対の櫛形電極を持つ絶縁基板は、材質は感湿薄膜と化学的反応性がないもので、電気絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、例えばガラス、プラスチック、セラミックまたは絶縁被覆した金属板などが用いられる。特にアルミナは、機械的強度と絶縁性および安定性が高いため好適である。
【0148】
以降、本発明に好ましく使用されるアルミナ基板を例に説明する。
このような一対の櫛形電極を持つ絶縁基板(以降、櫛形電極基板)の表層には、作成時および保管時に多くの汚染物、吸着ガス、有機物が吸着し、また、アルミナ基板の最表層は、基板自身の酸化物等で覆われている。
【0149】
本発明では、上記のような汚染物、吸着ガス、吸着有機物など、外部から櫛形電極基板に取り込まれた酸化物以外のものをまとめて汚染物といい、酸化物の汚染物のほか、絶縁基板自身の材質も含めて酸化物という。
【0150】
さらに具体的には、例えば、環境中に漂う有機物の付着や製造時使用した薬品の残滓や添加剤などが付着している。これらは、基板自身の酸化物と相まって、櫛形電極基板のぬれ性を低下させているため、感湿薄膜形成用モノマー液を塗布しても塗り広がらないだけでなく、重合後の感湿薄膜との密着性が悪い。
【0151】
したがって、感湿薄膜形成用モノマー液の塗布前に、物理的手段による処理により最表層の汚染物および/または最表層の酸化物を除去している。
【0152】
アルミナ基板を例にすれば、最表層は、汚染物が表面に存在するときは、細孔を無視すると、その部分も含めて表面から1nm程度の深さの領域部分にあり、最表層の汚染物や酸化物が物理的手段によって除去されたことについては、表面のぬれ性により確認することができる。多くの場合、水の接触角が0°近くになる。除去は、汚染物のほか、電極や基板そのものの表層(それ自体の表面から1nm程度の深さにある領域部分)に対して行うことが好ましい。したがって、汚染物および酸化物の両方を除去することが好ましい。ただし、電極や基板そのものの表層の除去がすぎると、それらの形状変化を伴い好ましくない。
【0153】
物理的手段による処理としては、フレームプラズマ処理、UV/オゾン処理、エキシマUV処理、コロナ処理、電子線処理、レーザー処理、スパッタ処理、プラズマ処理等を用いることが可能であるが、絶縁基板へのダメージが少なく、廉価であることから、プラズマ処理が好適である。UV/オゾン処理もコストが低いため適する櫛形電極基板があるが、アルミナ基板に限ると処理後に着色が見られることが多い。ただし、処理条件を選択すれば着色の防止が可能である。
【0154】
ここで、好ましく用いられるプラズマ処理について説明する。
前述のように、ここでは、酸素プラズマの持つ有機物を除去する作用と表面改質作用、また水素プラズマの持つ金属酸化物を還元する作用が有効であり、酸素プラズマ単独、または酸素プラズマの後水素プラズマの処理を行うことが好ましい。また、手軽さからいえば、不活性ガスを導入したプラズマ処理も好ましい。
【0155】
プラズマ処理を行う方法としては、真空中、不活性ガス中、大気圧中のいずれの条件でも、櫛形電極基板にダメージを与えない比較的低温のプラズマ条件であれば良く、装置も作成条件に合わせて選択する。中でも、不活性ガス中と大気圧中の条件は、装置が簡単になるため好適であるが、真空中で酸素あるいは水素を上記のように導入したプラズマ処理が一般的である。
【0156】
いずれの方法にせよ、電源周波数が数kHz〜数百MHzで発生するプラズマを使用するが、プラズマ発生条件に合わせて適宜出力を調整する。櫛形電極基板がアルミナの場合、高周波出力50〜1000Wの範囲で、2秒〜10分処理することにより効果が得られる。
【0157】
プラズマ処理を施した櫛形電極基板は、次に感湿薄膜形成用モノマー溶液を塗布する。塗布までの時間は、真空中に保管すれば24時間から96時間、大気圧下では、処理直後から24時間以内に処理することが好ましい。保存状態が悪いと表面状態を良好に保持できる時間が短くなるため、プラズマ処理直後に連続して塗布することが望ましい。
【0158】
なお、このような物理的手段による場合、これによって、感湿薄膜との十分な密着性を得ることが可能であり、これのみで十分であるが、この処理後の櫛形電極基板に対し、前述のアルコキシシリル基を有するアクリル系モノマー(例えばアクリル系シランカップリング剤)による方法と併用することもできる。
【0159】
本発明では、好ましくは、塗布により、前記の塗布液を用いて、前記のように電極が設けられた絶縁基板上に感湿薄膜を形成する。塗布方法としては、一定量を絶縁基板に塗布できればいずれの方法でも可能である。例えば浸漬(ディッピング)法、滴下(ディスペンス)法、刷毛塗り法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スピナー塗布法等、種々の方法が使用でき、工程や製品の用途・種類等により選択すればよい。
【0160】
このように塗膜を形成したのち、15〜100℃程度の温度で3〜15分程度乾操および/または熱的に架橋し、さらに、その後に放射線架橋させる。放射線照射による架橋は、特に、紫外線照射によることが好ましい。なお、架橋は共重合とともに進行する。
【0161】
紫外線照射による架橋方法は、公知の方法に従って行えばよい。通常、照射する紫外線強度は、80mW/cm2程度以上、照射量は200〜2500mJ/cm2程度とすればよい。また、紫外線源としては、水銀灯などの通常のものを用いればよい。
【0162】
このようにして得られる感湿薄膜の架橋後の膜厚は0.5〜10μm程度であることが好ましいが、さらに好ましくは3〜10μm程度である。膜が厚すぎると、湿度に対する膜の電気抵抗値の応答速度すなわちレスポンスが遅くなり、膜が薄すぎると、特に低湿度領域での出力が低下し、さらに耐ガス性も低下することになり、好ましくない。
【0163】
なお、本発明では、付着する水滴の影響を防止し、迅速に正確な湿度測定を行うために、前記薄膜上に、水との接触角が90度以上(通常130度以下)の撥水性被膜(膜厚5μm以下0.1μm以上)を形成してもよい。このような撥水性被膜を構成する材料としては、疎水性のポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系ポリマー、シリコーン系ポリマー等が好適に使用される。このような撥水性被膜の形成方法に限定はないが、上記材料を可溶な溶媒(例えば飽和炭化フッ素等)に溶解し、塗布すればよい。
【0164】
本発明の湿度センサ素子は、前記のように電極が設けられた絶縁基板上に、上記のような感湿薄膜を有するものであれば、他の溝成については特に制限はない。
【0165】
このような湿度センサ素子の一構成例が図1に示されている。図1は平面図である。
【0166】
図1に示すように、湿度センサ素子1は、絶縁基板2上に一対の櫛形電極4を有し、一対の櫛形電極4は、一定距離のギャップ5を介し、かつ噛み合うようにして絶縁基板2上に配置されている。そして、絶縁基板2および櫛形電極4上には図示のように感湿薄膜3が設けられている。また、櫛形電極4の各々の一端には電極端子6が取り付けられており、電極端子6の各々にはリード線7が半田8を用いて接続されている。また、図示のように、電極材料の拡散防止のためのレジスト膜9が設けられている。
【0167】
このような構成で、両電極間に好ましくは交流を印加する。感湿薄膜の湿度に応じた抵抗ないしインピーダンス変化により出力電圧が変化し、湿度が検出される。印加電圧は12V程度以下とする。
【0168】
図1に従って説明すれば、本発明に用いる絶縁基板2、電極4としては、前述のとおりである。また、電極端子6は半田8との相溶性のあるものであればどのようなものでもよく、例えばAg−Pd合金等を用い、これらを通常の方法で印刷して高温で焼付等すればよい。さらに、例えば電極4にAuを用いる場合は、図1に示すように、半田付け処理時のAu拡散防止のためにレジストまたはガラスよりなるレジスト膜9を設けることが好ましい。レジスト膜9の厚さおよび形状には制限はなく、半田付け処理時のAu拡散防止の効果を有すればよい。
【0169】
本発明の湿度センサ素子は図示例に限らず、種々のものであってよい。
【0170】
なお、本発明における一対の電極間のギャップは、通常、100〜500μm程度である。
【0171】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0172】
<実施例1>
まず始めに式(1)のモノマーを合成した。
N,N,N',N'−テトラメチル−1,12−ドデカンジアミン3.62g(21.0mmol)と1,12−ジブロモドデカン6.92g(21.1mmol)を、20.2gのメタノール中で110℃で48時間反応させ、アセトンによる再沈殿で9.04gの白色沈殿を得た。続いて、白色沈殿6.92gとジメチルアミノプロピルメタクリルアミド3.54gをメタノール中90℃で24時間反応させ、アセトン中の逆再沈操作により淡黄色沈殿を5.47g得た。数平均分子量は約5000であった。
【0173】
次に式(2)のモノマーを合成した。
メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル11.82g(75.2mmol)と、1,3−ジクロロプロパン4.23g(37.4mmol)を21.04gのアセトニトリルに溶解し、重合禁止剤として4−メトキシフェノールを0.27g添加した後、60℃で120時間反応させ、アセトン1000mlの再沈殿により17.52gの4級塩を得た。収率は90%であった。
【0174】
このような式(1)のモノマーと式(2)のモノマーをそれぞれ0.5gと0.6g秤量し、エチルセロソルブを20.9g加えて溶解し、重合開始剤として0.2%(質量百分率)のKAYACURE ABQ(日本化薬社製)を添加し、感湿薄膜形成用モノマー液(塗布液)とした。液は4℃で保管した。
【0175】
次に、図1に示すような湿度センサ素子を組み立てた。絶縁基板としてはアルミナ製の多孔性セラミック基板を用い、電極4はRuO2とガラスフリットとを含むペーストをスクリーン印刷し、高温焼成して得られた櫛形電極とした。また、電極4間のギャップは、225μm 程度であった。
【0176】
イソプロピルアルコール100mlに上記櫛形電極基板を入れ、10分間超音波を掛けながら浸漬して洗浄した後、放置により乾燥した。この操作を3回繰り返した。
【0177】
乾燥後直ちにディスペンサを使って、感湿薄膜形成用モノマー液を素子1個当たり2.75μl塗布した。25℃の状態で15分放置し乾燥させ塗膜を作成した。次に、この塗膜に窒素雰囲気下で1分間紫外線を照射し重合させて、感湿薄膜を得た。この時の紫外線照射量は、1000mJ/cm2で、感湿薄膜の膜厚は約5μm であった。
【0178】
こうして得られた湿度センサ素子について出力特性の評価および耐水性試験を行った。
【0179】
出力特性は特開平2−123843号公報に記載の回路に湿度センサを組み込み、分流式湿度発生装置(モデルSRH−1、神栄株式会社製)を用いて評価した。前記分流式湿度発生装置内に前記回路に組み込んだ湿度センサ素子を設置し、25℃にて相対湿度を低湿度側から高湿度側へ、続いて高湿度側から低湿度側へ変化させ、その各過程における5%RH、10%RH、20%RH、30%RH、40%RH、50%RH、60%RH、70%RH、80%RH、90%RH、95%RHの各湿度条件下に湿度センサ素子を30分間放置したときの出力電圧を測定した。得られた結果を図2に示す。
【0180】
耐水性試験は、上述のように出力電圧を測定したのち、湿度センサ素子を1分間蒸留水中に浸漬し大気中で乾燥させて再度出力電圧を測定した。続いて同じセンサ素子に対して蒸留水中の浸水時間を10分間、30分間、60分間と延長して同様に各々10%RH、30%RH、50%RH、80%RH、90%RHの時の出力電圧を測定し比較した。得られた結果を図3に示す。
【0181】
図2よりわかるように、ヒステリシスがみられず、良い応答曲線を示した。また、図3より、耐水性に優れたものであることがわかった。
【0182】
さらに、耐ガス性試験を行った。耐ガス性は、湿度センサの各相対湿度に対する出力値を測定し、直線性を確認し、次いで、二酸化窒素ガス、塩化水素ガス、アンモニアガス、二酸化硫黄ガス、塩素ガス、および硫化水素ガスをそれぞれ5ppmの濃度で流しながら、温度40℃、湿度70℃〜80%RHの条件で100時間放置した後、各設定湿度(%RH)に対する湿度センサの湿度の出力値(%RH)を測定し、変化率(%RH)の最大値を求めた。結果を表1に示す。
【0183】
【表1】
【0184】
これより、変化率が少なく、耐ガス性に優れることがわかる。
【0185】
以上より、本発明の効果は明らかである。
【0186】
<実施例2>
実施例1と同様の方法で作成した櫛形電極付きのアルミナ基板をあらかじめ、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製KBM503)の1%(質量百分率)酢酸水溶液で処理し、乾燥後120℃に20分間放置し、基板表面にアクリロイル基を導入した。次いで、実施例1と同じ感湿薄膜形成用モノマー液にディップして塗布膜を形成した。これに実施例1と同様に紫外線を照射して重合、架橋し、湿度センサ素子を得た。
【0187】
このようにして得られた湿度センサ素子の出力特性の評価および耐水性試験は実施例1と同様に行った。得られた出力特性の測定結果を図4に、耐水性試験の測定結果を図5に示す。
【0188】
図4、図5より、良好な湿度応答特性を示し、かつ耐水性に優れることがわかる。また、実施例1に比べて耐水性が向上していることもわかる。
また、実施例1と同様にして耐ガス性試験を行ったが、実施例1と同様の良好な結果が得られた。
【0189】
<実施例3>
まず始めに式(1)のモノマーを合成した。
【0190】
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,12−ドデカンジアミン6.30g(36.6mmol)と1,12−ジクロロドデカン9.62g(40.2mmol)を、23gのメタノール中に溶解し、ナスフラスコ中で還流させた。この時のオイルバス温度は110℃であった。36時間反応時には、溶液が白濁していることを確認した。48時間で反応を停止させ、白濁粘調溶液にメタノールを40ml加えた。不溶物はないが、一度濾過後逆再沈殿操作により白色沈殿を得た。使用したアセトン量は500mlであった。乾燥後の重量は、6.04gであった。引き続き、白色沈殿5.07gを、メタノール9gに溶解した。ここにジメチルアミノプロピルメタクリルアミド2.98gを加え、オイルバス温度90℃で24時間反応させた。溶液は暗オレンジ粘調状態であった。この溶液に、メタノール20mlを加え、逆再沈操作により淡黄色沈殿を得た。収量は、2.47gであった。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ法)分析によると、数平均分子量Mnは2734であった。
【0191】
次に式(2)のモノマーを合成した。
【0192】
アクリル酸2−ジメチルアミノエチルエステル9.63g(67.2mmol)と1,3−ジクロロプロパン3.79g(33.6mmol)を20mlのアセトニトリルに溶解した。そこに、4−メトキシフェノールを0.35g添加した。ナスフラスコ中60℃で5日間(正確には128時間)マグネチックススターラで撹拌した。3日後では溶液には変化がないが、5日目には白色沈殿が析出しているのを確認した。4級塩を完全に析出させた。反応停止後、そこにメタノールを50ml加え、白色沈殿を溶解させた。この時、不溶物が0.112gあり(後から乾燥し秤量)、一度濾過した。濾液にアセトン500mlを加えて逆再沈操作により4級塩を完全に析出させた。この4級塩を分離後、真空乾燥し生成物を得た。収量は、5.131gであった。
【0193】
得られた式(1)のモノマー0.3g、得られた式(2)のモノマー0.6gを秤量し、18mlの水に溶解して約5%(質量百分率)の水溶液を調製した。この水溶液に重合開始剤として0.2%(質量百分率)のKAYACURE ABQ(日本化薬社製;ベンゾフェノン系化合物)を添加して、塗布液(感湿薄膜形成用モノマー液)を調製した。
【0194】
この塗布液を用いて図1に示すような湿度センサ素子1を組み立てた。絶縁基板2としてはアルミナ製の多孔性セラミック基板を用い、電極4はRuO2とガラスフリットとを含むペーストをスクリーン印刷し、高温焼成して得られた櫛形電極とした。また、電極4間のギャップは、225μm程度であった。
【0195】
このような絶縁基板2上に上記塗布液を用いてディッピングにより塗布し、50℃で5分間乾操して塗膜を形成した。次に、窒素雰囲気下でこの塗膜の電極面に対しそれぞれ1分間ずつ紫外線照射を行い架橋処理を施し感湿薄膜3を得た。このときの紫外線照射量は1000mJ/cm2とした。このようにして形成した感湿薄膜3の膜厚は5μmであった。こうして得られた湿度センサ素子について出力特性の評価および耐水性試験を実施例1と同様に行った。得られた出力特性の測定結果を図6に、耐水性試験の測定結果を図7に示す。
【0196】
図6よりわかるように、ヒステリシスがみられず、良い応答曲線を示した。また、図7より、耐水性に優れたものであることがわかる。
【0197】
さらに、実施例1と同様にして耐ガス性試験を行った。結果を実施例1とともに表1に示したが、耐ガス性は良好であることがわかった。
【0198】
<実施例4>
実施例3と同様の方法で作成した櫛形電極付きのアルミナ基板をあらかじめ、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製KBM503)の1%(質量百分率)酢酸水溶液で処理し、乾燥後120℃に20分間放置し、基板表面にアクリロイル基を導入した。次いで、実施例1と同じ感湿薄膜形成用モノマー液にディップして塗布膜を形成した。これに実施例3と同様に紫外線を照射して重合、架橋し、湿度センサ素子を得た。
【0199】
このようにして得られた湿度センサ素子の出力特性の評価および耐水性試験は実施例1と同様に行った。得られた出力特性の測定結果を図8に、耐水性試験の測定結果を図9に示す。
【0200】
図8、図9より、良好な湿度応答特性を示し、かつ耐水性に優れることがわかる。また、実施例3に比べて耐水性が向上していることもわかる。
また、実施例1と同様にして耐ガス性試験を行ったが、実施例3と同様の良好な結果が得られた。
【0201】
<実施例5>
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,12−ドデカンジアミン5.04g(25.6mmol)と1,12−ジブロモドデカン9.91g(30.2mmol)を原料に実施例3と同様な方法で式(1)のモノマーを合成した。
【0202】
メタクリル酸2−ジメチルアミノエチルエステル9.88g(66.9mmol)と1,3−ジクロロプロパン3.68g(33.3mmol)を原料に実施例1と同様な方法で式(2)のモノマーを合成した。
【0203】
得られた式(1)のモノマー0.1g、得られた式(2)のモノマー0.5gを秤量し、12mlの水に溶解して約5%(質量百分率)の水溶液を調製し、実施例1と同様な方法で素子を作製した。
【0204】
このようにして得られた湿度センサ素子の出力特性の評価および耐水性試験は実施例1と同様に行った。得られた出力特性の測定結果を図10に、耐水性試験の測定結果を図11に示す。
【0205】
図10、図11より、良好な湿度応答特性を示し、かつ耐水性に優れることがわかる。
【0206】
また、実施例1と同様にして耐ガス性試験を行ったが、実施例3と同様の良好な結果が得られた。
【0207】
<比較例1>
実施例3において、式(1)のモノマーと式(2)のモノマーをそれぞれ単独で用いて素子化して評価した。このなかで、式(2)のモノマーを用いた素子の出力特性の測定結果を図12に、式(1)のモノマーを用いた素子の耐水性試験の測定結果を図13に示す。
【0208】
湿度応答特性については、式(1)のモノマーの素子は実施例3とほぼ同等の特性が得られたが、式(2)のモノマーの素子は、全体の出力が低く、さらに、図12に示すように、低湿度領域にヒステリシスが観測された。また、両素子とも耐ガス試験に関しては問題がなかったが、耐水性試験をしたところ、図13に示すように、式(1)のモノマーの素子は出力が若干低下した。また、式(2)のモノマーの素子は耐水性が悪かった。
【0209】
<比較例2>
実施例3と同じ櫛形電極を形成したアルミナ基板上に、特開平7−318526号公報に記載のようにして、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノヘキサン8.6gと1,3−ジクロロプロパン6.8gとの反応で得られたアイオネンポリマーの両末端にアクリルアミド基を導入した共重合体(数平均分子量11万)を架橋させた感湿薄膜を0.1μm厚に形成するほかは、実施例3と同様にして湿度センサ素子を得た。
【0210】
これについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、湿度応答特性、耐水性については、ほぼ良好な結果を示すことがわかった。また、耐ガス性試験の結果を、実施例1、3とともに、表1に示したが、耐ガス性に劣ることがわかった。
【0211】
<比較例3>
実施例3において、式(2)のモノマーのかわりに、ジビニルベンゼン0.015g を用いるほかは同様にして素子を作製し、同様に評価を行った。その結果、耐水性、耐ガス性については問題がなかったが、インピーダンスが高くなるため、出力が小さかった。
【0212】
<実施例6>
実施例1〜4において、式(2)のモノマーの合成の際に、1,3−ジクロロプロパンのかわりに、1,6−ジクロロヘキサンまたは1,10−ジクロロデカンを用いるほかは同様にして4種の素子を作製し、同様に評価を行ったところ、実施例1〜4の素子構成に応じて、いずれの素子も、実施例1〜4と同様の良好な結果が得られた。
【0213】
<実施例7>
実施例3、4において、式(1)のモノマーの合成の際に、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンと1,3−ジクロロプロパンとの組合せ、あるいはN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンと1,12−ジクロロドデカンとの組合せとするほかは同様にして4種の素子を作製し、同様に評価を行ったところ、実施例3、4の素子構成に応じて、いずれの素子も、実施例3、4と同様の良好な結果が得られた。
【0214】
<実施例8>
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,12−ドデカンジアミン6.30g(36.6mmol)と1,12−ジクロロドデカン9.62g(40.2mmol)から得られた式(1)のモノマーと、アクリル酸2−ジメチルアミノエチルエステル9.63g(67.2mmol)と1,3−ジクロロプロパン3.79g(33.6mmol)から得られた式(2)のモノマーを使い実施例3と同じ組成比の感湿薄膜形成用モノマー液(塗布液)を10ml作成した。
【0215】
次に、図1に示すような湿度センサ素子1を組み立てた。絶縁基板2としてはアルミナ製の多孔性セラミック基板を用い、電極4はRuO2とガラスフリットとを含むペーストをスクリーン印刷し、高温焼成して得られた櫛形電極とした。また、電極4間のギャップは、225μm 程度であった。
【0216】
イソプロピルアルコール100mlに上記櫛形電極基板を入れ、10分間浸漬して洗浄した後、放置により乾燥した。
【0217】
プラズマ処理は、ヤマト科学製プラズマドライクリーナーPDC200型を用いて行った。装置に、処理用サンプルを100個投入し、10分間真空ポンプEC−403(ULVAC製)を用いて真空状態にした。そこに酸素ガスを流量300sccm(0.51Pa・m3・s-1)で投入、真空度を55Paになるように保ち、RF出力200Wにてプラズマを発生させ、1分間処理した。この時の電極間距離は10cmである。
【0218】
処理後直ちに、実施例3と同様にして、感湿薄膜を形成した。
【0219】
こうして得られた湿度センサ素子について出力特性の評価および耐水性試験を実施例1と同様に行った。
【0220】
得られた出力特性の測定結果を図14に、耐水性試験の測定結果を図15に示す。
【0221】
図14よりわかるように、ヒステリシスがみられず、良い応答曲線を示した。また、図15より、耐水性に優れたものであることがわかった。さらに、実施例1と同様にして耐ガス性試験を行ったが、実施例3と同様の良好な結果が得られることがわかった。
【0222】
<実施例9>
実施例8において、櫛形電極基板を大気圧中でプラズマ処理する以外は同様にして湿度センサ素子を得、同様に特性評価を行ったところ、同様に良好な結果を示すことがわかった。
【0223】
この場合のプラズマ処理は、松下電工マシンアンドビジョン製大気圧プラズマクリーニング装置を用いて行った。出力700W、照射距離5mm、10mm/secのヘッド移動スピードで酸素プラズマを照射後に、引き続き同じ条件で水素プラズマを照射して処理した。
【0224】
【発明の効果】
本発明によれば、耐水性に優れ、かつガスによる影響が少なく、さらには耐溶剤性に優れ、広い湿度領域で安定した出力特性を示す湿度センサ素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿度センサ素子の構成例の一つを示す平面図である。
【図2】実施例1で得た湿度センサ素子の出力特性の測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例1で得た湿度センサ素子の耐水性試験の測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例2で得た湿度センサ素子の出力特性の測定結果を示すグラフである。
【図5】実施例2で得た湿度センサ素子の耐水性試験の測定結果を示すグラフである。
【図6】実施例3の湿度センサ素子の出力特性の測定結果を示すグラフである。
【図7】実施例3で得た湿度センサ素子の耐水性試験の測定結果を示すグラフである。
【図8】実施例4で得た湿度センサ素子の出力特性の測定結果を示すグラフである。
【図9】実施例4で得た湿度センサ素子の耐水性試験の測定結果を示すグラフである。
【図10】実施例5で得た湿度センサ素子の出力特性の測定結果を示すグラフである。
【図11】実施例5で得た湿度センサ素子の耐水性試験の測定結果を示すグラフである。
【図12】比較例1の湿度センサ素子の出力特性の測定結果を示すグラフである。
【図13】比較例1で得た湿度センサ素子の耐水性試験の測定結果を示すグラフである。
【図14】実施例8で得た湿度センサ素子の出力特性の測定結果を示すグラフである。
【図15】実施例8で得た湿度センサ素子の耐水性試験の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 湿度センサ素子
2 絶縁基板
3 感湿薄膜
4 電極
5 ギャップ
6 電極端子
7 リード線
8 半田
9 レジスト膜
Claims (14)
- 絶縁基板上にギャップを介して対向するように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有する湿度センサ素子において、前記感湿薄膜が、式(1)で示されるモノマーの1種以上と式(2)で示されるモノマーの1種以上との共重合体を含有する湿度センサ素子。
- 式(1)中のXl -およびX2 -で表わされる陰イオン、ならびに式(2)中のX11 -およびX12 -で表わされる陰イオンが、それぞれハロゲン化物イオンである請求項1の湿度センサ素子。
- ハロゲン化物イオンとして塩化物イオンまたは臭化物イオンを含む請求項2の湿度センサ素子。
- 式(1)中のAおよびBで表わされる二価基、ならびに式(2)中のA11で表わされる二価基が、それぞれアルキレン基、アルケニレン基もしくはアリーレン基またはこれらの組合せである請求項1〜3のいずれかの湿度センサ素子。
- 式(2)中のY11およびY12で表わされる一価基が、それぞれアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレンエステル基またはアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキレンアミド基である請求項1〜4のいずれかの湿度センサ素子。
- 式(2)で示されるモノマーが、アクリル酸もしくはメタクリル酸ジアルキルアミノエチルエステルまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸ジアルキルアミノエチルアミドとジハロゲン化合物とを反応させて得られる2官能性モノマーである請求項1〜5のいずれかの湿度センサ素子。
- 式(2)で示されるモノマーが、ジアルキルアミノ基を有するアクリル系不飽和化合物と式(2)中のA11で表わされる二価基のジハロゲン化合物との反応で得られたものである請求項1〜6のいずれかの湿度センサ素子。
- 前記共重合体が、さらに、アルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーとの共重合体である請求項1〜7のいずれかの湿度センサ素子。
- 前記絶縁基板が、最表層の汚染物および/または酸化物を物理的手段により除去した絶縁基板である請求項1〜8のいずれかの湿度センサ素子。
- 絶縁基板上にギャップを介して対向するように一対の電極を有し、このギャップ上に感湿薄膜を有する湿度センサ素子の製造方法において、式(1)で示されるモノマーおよび式(2)で示されるモノマーを含有する塗布液を、絶縁基板上に塗布し、次いで共重合させて感湿薄膜を形成する湿度センサ素子の製造方法。
- あらかじめアルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーで絶縁基板を処理して、アクリル系官能基を絶縁基板に結合し、次いで前記塗布液を塗布するか、またはあらかじめアルコキシシリル基を有するアクリル系モノマーを前記塗布液に含有させるかして感湿薄膜を形成する請求項10の湿度センサ素子の製造方法。
- 絶縁基板の最表層の汚染物および/または酸化物を物理的手段により除去し、次いで前記塗布液を塗布する請求項10の湿度センサ素子の製造方法。
- 物理的手段が、プラズマ表面処理である請求項12の湿度センサ素子の製造方法。
- 紫外線照射により共重合する請求項10〜13のいずれかの湿度センサ素子の製造方法。
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