JP2002340142A - ローラチェーン用のスプロケット - Google Patents

ローラチェーン用のスプロケット

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JP2002340142A
JP2002340142A JP2001149686A JP2001149686A JP2002340142A JP 2002340142 A JP2002340142 A JP 2002340142A JP 2001149686 A JP2001149686 A JP 2001149686A JP 2001149686 A JP2001149686 A JP 2001149686A JP 2002340142 A JP2002340142 A JP 2002340142A
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tooth
chain
sprocket
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Akihisa Yamaguchi
晃尚 山口
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H55/00Elements with teeth or friction surfaces for conveying motion; Worms, pulleys or sheaves for gearing mechanisms
    • F16H55/02Toothed members; Worms
    • F16H55/30Chain-wheels
    • F16H2055/306Chain-wheels with means providing resilience or vibration damping in chain sprocket wheels

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ローラチェーンのローラの歯底面での転動距
離を減じることにより噛み合いを滑らかとし、低騒音化
を図りうる歯形を有するローラチェーン用のスプロケッ
トを提供する。 【解決手段】 動力伝達用のローラチェーン用のスプロ
ケットであって、隣合う歯間の歯溝面は、歯の半径方向
外方の歯先曲線部Fsと、この歯先曲線部Fsに連なり
動力伝達用の作用圧力部Esと、この作用圧力部Esの
半径方向内端間の歯底部Rsとからなるとともに、歯底
部Rsは、ピッチ円直径からローラ径を減じることによ
り求まる歯底円直径を通る中央部と、この中央部に連続
し、かつ前記歯の根元側に凹むことにより前記中央部に
位置するローラと接触しない凹状面を形成する側部とか
らなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ローラチェーンの
ローラの歯底面での転動距離を減じることにより噛み合
いを滑らかとし、低騒音化を図りうる歯形を有するロー
ラチェーン用のスプロケットに関する。
【0002】
【従来の技術】動力用のローラチェーンとして、いわゆ
るJIS B1801で規定する動力用ローラチェーン
とともに、自転車、自動二輪車、自動車用タイミングチ
ェーン、舶用ローラチェーンなど、種々な動力伝達用の
ローラチェーンが用いられているが、そのローラチェー
ンと噛合するスプロケットの歯形として、JISを始
め、ISO、米国、英国、独国など各国、乃至国際的に
種々な規格が制定されている。
【0003】例えばJIS B1801で規定される動
力用のローラチェーンのスプロケット(本明細書におい
て場合によりJISスプロケットという)も同JISに
おいてS歯形、U歯形が規定され、かつS歯形の採用を
推奨している。このS歯形は、図1に示すように、ピッ
チをP、ローラ径をDr、歯数をNとするとき、 ピッチ円直径 Dp=P/sin (180°/N) として、図示符号の各寸法について、 歯底円直径 Db=DP −Dr R=0.5025Dr +0.038 A=35°+60°/N B=18°−56°/N ac=0.8Dr Q=0.8Dr cos A T=0.8Dr sin A E=cy=1.3025Dr +0.038 xy=2Esin (B/2) yz=Dr {1.4sin (17°−64°/N)−0.8
sin B} G=ab=1.4Dr K=1.4Dr cos (180°/N) V=1.4Dr sin (180°/N) F=Dr {0.8cos B+1.4cos (17°−64°
/N)−1.3025}−0.038 歯形ピッチ Pt =aa=P{1+(2R−Dr )/DP
} S=(Pt /2)cos (180°/N)+Hsin (18
0°/N) などと規定されている。
【0004】なお、歯底円直径Db=Dp−Drであ
り、他方、ローラが入る歯底部の半径Rは、R=0.5
025Dr+0.038であるため、歯溝Tgの歯底半
径Rの中心は、歯底中心線上に着座するローラ中心より
も長さ(R−Dr/2)の距離を半径方向外側に位置
し、従ってJISスプロケットの前記歯形ピッチPt
(aa)はチェーンの称呼ピッチP(=正規ピッチP)
よりも大となっている。
【0005】さらに、S歯形においては、前記半径Rの
xーx’間の歯底部Rsと名付ける部分と、図1左上の
点c、右上の点c’を中心とする半径E(E=cy=
1.3025Dr+0.038)の円弧xーy,x’ー
y’の作用円弧部と、yーz,y’ーz’間の作用直線
部とからなる作用圧力部Esと名付ける部分と、図示の
点b、b’を中心として前記半径Fの歯先曲線部Fsと
名付ける部分とからなり、隣合う歯Te間で前記ローラ
チェーンのローラを受け入れる前記歯溝Tgを形成す
る。なお本明細書において、歯底部Rsと、作用圧力部
Esとの境界をなす前記点xを「理論噛み合い位置x」
と名付けることとする。
【0006】さらに、歯形において、JISスプロケッ
トが反時計方向に回転して、ローラチェーンCHを駆動
する場合において、歯TeがローラRaと接して押圧す
る側の歯溝面(歯溝Tgの中心線を境として押圧側に向
く歯溝面)を「押圧側」の歯溝面(乃至,「押圧側」の
作用圧力部Esなどという)といい、「押圧側」とは反
対の、通常ローラRaとは接触しない側を「反対側」の
歯溝面という。
【0007】前記のように、歯底半径RがR=0.50
25Dr+0.038であって、ローラ径Drよりも大
であるため、歯溝Tgに入るローラチェーンのローラ
は、図2に示すごとく、歯溝Tg内のスプロケットとロ
ーラチェーンとの噛み合い状態に応じた歯底部Rsの自
在の位置に接触点pを有して点接触しうる。またローラ
Raと歯溝面とが接触する接触点p(なお各歯において
接触点pの区別を要するときには接触点p1、p2・・
・など、末尾に例えば反時計方向に番号を付す。ローラ
Ra、歯Te、歯溝Tgなどにおいても同じ)が、作用
圧力部Esにあるときローラチェーンに伝動力を伝達で
きる。図2の歯溝Tg1の駆動側の歯溝面、図4の歯溝
Tg1などに示すように、ローラRaの前記接触点pが
前記「理論噛み合い位置x」(図1)にあるときを「理
論噛み合い状態」と称する。なお、図3の歯溝Tg1以
外の歯溝Tg、図4の歯溝Tg2などに示すように、歯
底部RsにローラRaが接触して歯底部Rsに接触点p
があるときを「歯底接触状態」と呼称する。
【0008】なお、スプロケットの静止状態において、
ローラRaが「歯底接触状態」であるときには、前記歯
底円直径Db=Dp−Drであることから、ローラRa
の中心Cはほぼ直径Dpのピッチ円上に位置する。一
方、スプロケットが起動し回転している伝動状態では、
通常、歯底部Rsはローラチェーンがスプロケットと噛
み合う時に、ローラRaが初めてスプロケットと衝突す
る衝突面となってローラRaを受け、ローラRaに反力
を作用させ、この反力はローラRaの各両側のリンクプ
レートに作用するチェーン張力とともに力の三角形を形
成し、このようにローラRaを支持し、力の作用方向を
保持するローラRaの支持面ともなる。なお、ローラチ
ェーンが伸びた状態では、歯底部Rsを越えて変動する
場合もある。
【0009】まず、歯底部RsがローラRaを受ける
「歯底接触状態」としての機能について考える。図2
は、ローラチェーンCHがピッチPが25.4mmのJ
IS80のチェーンであって、歯数Nが15のJISス
プロケットを用い、かつ0.2%のびによりピッチPが
25.45mm(注記:以後、JIS B1801にお
いて規定するピッチPよりも伸びたチェーンのピッチを
表す場合にも、混乱が生じないため、伸び量を考慮する
ことなくピッチPと表示している)となった場合の0.
2%伸び状態のローラチェーンCHとJISスプロケッ
トとの噛み合いの、「無張力状態」における巻き掛け状
態を示している。
【0010】また図2は、JISスプロケットの縦中心
線COの上方に第1の歯溝Tg1を位置させ、前記第1
の歯溝Tg1内の第1のローラRa1と歯溝面とが、前
記「理論噛み合い位置x」の接触点p1に位置するとし
て噛み合い状態を描いている。チェーンのローラ、ブシ
ュ間、ブシュ、ピン間にガタなどがなく、ピンリンクと
ローラリンクとが同心で回動し、かつ無張力、かつ噛み
外れ側においてもカテナリがないと仮定して図示してい
る。図2に示すように、第2のローラRa2〜第3のロ
ーラRa3までは、歯底部Rsに接触点pがある「歯底
接触状態」であり、他の第4のローラRa4〜第8のロ
ーラRa8は歯溝Tgの「反対側」の作用圧力部Esに
接触点p4〜接触点p8が位置することが判る。
【0011】この図2の噛み合い状態をうる手順を次に
説明すると、前記のごとく、スプロケットの縦中心線C
Oの上方に位置する第1の歯溝Tg1内の第1のローラ
Ra1は、歯溝面と、前記「理論噛み合い位置x」の接
触点p1で接触し位置するとしているため、図4に拡大
して示すごとく、第1のローラRa1に関して第1の歯
溝Tg1の「理論噛み合い位置x」での歯溝面と直角な
前記線分cx上にローラ半径Dr/2の位置(ローラR
aの中心C(C1)(ローラRaの中心Cにおいて、第
1〜nのローラの中心を区別するとき符号1〜nを付
す))C1を取り、その位置C1から0.2%のびのピ
ッチp(25.45mm)の円弧rP1を隣の第2の歯
溝Tg2に描く。また歯底部Rsを設定する前記JIS
で規定される前記点aを中心とする半径(R=0.50
25Dr +0.038)からローラ半径Dr/2を減じ
た半径(0.0025Dr +0.038)の円弧ra
(ra2)(図5にさらに拡大して示す)を描き、前記
円弧rP1と円弧ra2との交点を第2の歯溝Tg2で
の第2のローラRa2の中心C2としてローラを描く。
【0012】なお、図5は、図4において前記した半径
(0.0025Dr +0.038)の円弧ra2を、視
認しうる程度に誇張して、第1のローラRa1〜第4の
ローラRa4までの噛み合い状態を示している(なお他
の歯溝Tgの円弧ra(ra1、ra3、ra4)も併
示している)。
【0013】図5に示すごとく、歯溝Tgの弧xx’内
の接触点pで接している第3のローラRa3までは、前
記第2のローラRa2の中心C2を中心として描いたピ
ッチPの円弧rP2と、第3の歯溝Tg3における前記
円弧ra3との交点が第3のローラRa3の中心C3と
なるため、前記の通りの手順により位置を設定しうる。
【0014】しかしながら、歯溝Tgの前記弧xx’外
の作用圧力部Esに接触点p4を有する第4のローラR
a4では、前記中心C3から描いたピッチPの前記円弧
rP3は、第4の歯溝Tg4での前記半径(0.002
Dr +0.038)の円弧ra4とは交差することな
く、前記手順によっては、その中心C4を設定しえない
こととなる。しかしながら、中心点C4が前記円弧rP
3上に位置することは当然であり、かつローラRa4が
作用圧力部Esに接しているのであるから、 作用圧力部
Esを設定する前記JISで規定される点c’を中心と
する半径(E=cy=1.3025Dr +0.038)か
らローラ半径Dr/2を減じた半径(0.8025Dr
+0.038)の円弧rxを描き、円弧rxと円弧rP
3との交点が第4の歯溝Tg4での第4のローラRa4
の中心C4となる。かかる手順によって第4のローラR
a4を描く。
【0015】即ち、第4のローラRa4は、その接触点
p4が「反対側」の作用圧力部Esの弧x’−y’の領
域に位置する。以後、その中心C4を中心としてピッチ
P(25.45mm)の円弧をさらに隣の歯溝Tgに描
くなど、同様に繰り返すことにより各ローラRa位置、
接触点pの位置を定め、第8のローラRa8までの図2
の噛み合い状態図を描きうる。
【0016】なお図2、4は、0.2%伸びのローラチ
ェーンの噛み合い状態であって、歯溝Tg2のローラR
a2が弧xx’の接触点p2で接している場合を図示し
ているが、図6に示す、チェーン伸びが2%(ピッチp
が25.9mm)の場合には、前記第1の歯溝Tg1内
の第1のローラRa1が、前記「理論噛み合い位置x」
の接触点p1で歯溝面と接するとしたとき、第2のロー
ラRa2〜第8のローラRa8の接触点p2〜接触点p
8は、全て「反対側」の作用圧力部Esの弧x’y’の
領域に位置することとなる。図7はかかる状態での第
1,2のローラRa1、Ra2の状態を示し、前記0.
2%時における図4に対応している。
【0017】このように、チェーン伸びが0.2%の場
合の図2,チェーン伸びが2%の場合の図6から明らか
なように、第1のローラRa1が歯溝面とが前記「理論
噛み合い位置x」の接触点p1で接するとしたとき、歯
底部Rsに着座する前記「歯底接触状態」となりうるロ
ーラRaはチェーンの伸びとともに急減し、換言すると
歯底部Rsが「歯底接触状態」でローラRaを受ける面
としての機能を発揮してローラRaと接しうる期間は、
チェーンの伸び寿命において、チェーン伸びが進行しな
い大して長くない期間であるのが推測される。
【0018】なお、第1のローラRa1と歯溝面とが前
記「理論噛み合い位置x」の接触点p1で接すると仮定
せず、歯溝Tgの中央で第1のローラRa1が歯底部R
sに接するとともにチェーン重量を見込んでカテナリを
有するとした場合を、伸び0%の正規ピッチのチェーン
について図8に示している。なお、ローラチェーンが伸
びを有するときには、第1のローラRaを第1の歯溝T
gの中央に位置するときには、「理論噛み合い位置x」
にある場合に比して歯底部Rsから離れるローラRaの
数は増す。
【0019】次に「張力状態」での噛み合いをチェーン
伸びが2%の場合を例にとり検討する。前記図6、図7
に示したチェーン伸びが2%(ピッチpが25.9m
m)の場合の無張力の噛み合いから、JISスプロケッ
トが反時計方向に回転してローラチェーンCHを駆動し
ている場合を図9に示している。さらに第1のローラR
a1,第2のローラRa2について、伝動によるローラ
Raの「無張力状態」である図10の噛み合いから、
「張力状態」に変化した噛み合いを図11に拡大して示
している。
【0020】「無張力状態」では、チェーンの伸び率、
第1の歯溝Tgでの第1のローラRa1での噛み合い状
態などに応じて各ローラRaは、図2,図6、図8の状
態を含めて多くの態様を取りうるが、JISスプロケッ
トが回転しその回転力をローラチェーンCHに伝動する
「張力状態」では、第1のローラRa1はまず歯Te1
の作用圧力部Esに位置することが必要となるととも
に、「歯底接触状態」にあった、ある1つのローラRa
は、JISスプロケットの回転力を受けてローラチェー
ンCHを周回させるべく、荷重の作用とともに傾斜角を
有する作用圧力部Esに沿って半径方向外側に移動しよ
うとし、これに伴い、この1つのローラRaに連なる他
のローラRaもそれに伴い移動する。
【0021】この他のローラRaは、前記1つのローラ
Raの半径方向外側への移動を抑制するものであり、こ
れによりチェーン張力を発生する。このように、スプロ
ケットと噛み合う複数個のローラRaが半径方向外側に
前記作用圧力部Esに移動することにりローラチェーン
CHには前記チェーン張力Tを発生することとなる。
【0022】前記図6,7のチェーン伸びが2%(ピッ
チpが25.9mm)の場合の「無張力状態」の噛み合
いから、「張力状態」へ変化し終わった状態を前記図1
1に示しているが、図10の「無張力状態」から図11
の「張力状態」となるには、図6において第2の歯溝T
g2における「 反対側」 の作用圧力部Esに接触点p2
があった「無張力状態」での第2のローラRa2が、第
2の歯溝Tg2の「押圧側」の作用圧力部Es、即ち図
11のx2ーy2の領域に接触点p2を移動する必要が
ある。かかる移動の間においてはローラRaは通常、歯
底部Rsを転動しつつこの歯底部Rsにより案内され
る。その変化を模式的に図12に誇張して示している
が、かかる変化の状態から前記歯底部Rsはその際のロ
ーラRaの案内面をなしていると言える。
【0023】このように、前記歯底部Rsは、「無張力
状態」では、歯底部Rs、又は「反対側」の作用圧力部
Esに存在したローラRaに伝動力を伝えるために、そ
のローラRaが歯溝面を移動するときの案内面を形成す
る案内機能を発揮できる。なお、チェーンが高速回転中
においてはチェーンが遠心力により歯溝Tgの空中を飛
行して作用圧力部Esに接する場合も想定できるが、本
発明においては、起動時、乃至チェーンが空中飛行しな
い程度の高速回転の範囲において、前記関係が成立する
と考える。
【0024】かかる案内面としての機能についてさらに
考察するために、ローラ移動について考える。図12に
換えて各部を略比例尺により示す図13において、第2
のローラRa2の初期のローラ中心点Ca2(同じロー
ラRaの中心Cであっても、位置を区別する場合はa〜
の英文字を付する)は、「張力状態」となることにより
中心Cb2をへてCc2に移動する間に、第2のローラ
Ra2の歯溝面との接触点pa2(同じローラRaの接
触点pであっても、位置を区別する場合はa〜の英文字
を付する)は、接触点pb2をへて作用圧力部Esの接
触点pc2に移動する。
【0025】このことは、ローラチェーンCHの各リン
クを継いで張力を伝える節点(以下ピン中心という)
と、そのピン中心に中心を考えるローラの外周面の移動
量が異なることを意味する。これによりローラRaが歯
底部Rsを移動するが、この移動は、ローラRaが前記
ピン中心の動きに同調すべき機構のつながりはない。従
って、ローラ外周面は、ローラ内径面とブシュ及びロー
ラ外周面と歯溝面との間の摩擦力の影響から、そのピン
中心の動きに同期せず遅れる場合もあるなど自由に動く
こともできる。
【0026】次に「張力状態」での力の釣り合いを考え
る。実際のローラチェーンCHにおいては、ピン中心と
ローラ中心Cとはピン、ブシュ間の隙間などによって同
心となるとは考ええないが、前記力の三角形を図9の2
%伸びのローラチェーンCHの第2のローラRa2につ
いて考えると、スプロケットとの噛み合いにより、例え
ば図14に示すごとく、第2のローラRa2の中心C2
において、その両側に連なるリンクプレートの方向に隣
り合うローラRa間で作用する相反する向きの力T1,
T2と、歯溝面(この場合作用圧力部Es)からの反力
S2とにより力の三角形を成立させている。
【0027】しかしながら、前記のように、ピン中心,
ローラ中心Cがガタなどにより実際には一致せず、この
場合には、図15,16に示すように前記理論式は成立
しないが、実際には、「張力状態」において図14の状
態と見なしうる位置関係となる。即ち図15、図16の
場合を中間状態として、図14の力の三角形は成立して
いるものと考えられる。このように作用力、摩耗量、滑
面の状況などにより、ピン中心,ローラ中心Cは、相応
する「力の三角形」、「力の多角形」を形成すると見な
しうる程度の相対位置関係を取るものと考えられ、以
下、ピン中心をローラRaの中心Cと同じと仮定する。
【0028】前述の如くローラRaがピン中心、即ちロ
ーラRaの中心C2とともに移動するとすれば、移動中
のローラRaは、リンクプレート側、及び歯溝面からの
内外の力を受けて歯溝面を移動すると考えられ、歯溝面
での移動ととも騒音と振動とを伴うことが予想できる。
【0029】さらに、ローラチェーンCHとスプロケッ
トとの噛み合いにおける「力の多角形」についてさらに
検討する。図17は、80番チェーンのピッチが25.
408mmであるローラチェーンCHと、歯数Nが15
のJISスプロケットとの噛み合い状態を図示し、その
張力分布を力の多角形として図18に示している。噛み
合い始め部SAに100の力が作用すると、噛み合い外
れ部SEでは7.17の力を作用させることにより力の
多角形を成立している。
【0030】なお噛み外れ側のこの数値は、各部の抵抗
を無視し、幾何学的にのみ求めている。図17の場合に
おいては、全てのローラRaは接触点pが歯底部Rs内
の常に一定点に位置する。このため、作用圧力部Esと
は噛み合わないが図の張力バランス内では噛み合いとし
て成立でき、力の伝達は可能である。ただし、この図の
噛み外れ側に7.17以上の力が作用すると、接触点p
は歯底中央側に移動する。
【0031】図19はピッチが25.4126mmに伸
びたJIS80番チェーンであって同様にJISスプロ
ケットとの噛み合い状態を図示し、その張力分布を力の
多角形として図20に示している。噛み合い始め部SA
に100の力が作用すると、噛み合い外れ部SEでは
1.87の力を作用させることにより力の多角形を成立
している。図20においては、全てのローラRaと歯溝
面との噛み合い位置が前記「理論噛み合い位置x」に全
て位置している。ただし、この図の噛み外れ側に1.8
7以上の力が作用すると、接触点pは歯底中央側に移動
する。
【0032】図21は、図19、図20の場合において
噛み外れ側に45.21の力を加えた場合を例示してい
る。噛み外れ側に作用する力の変化により、その加えら
れた力に相当する位置で噛み合い、噛み外れ側の力によ
りその接触点p位置が変化できる。図19、21は、例
えば負荷変動による噛み合い側の力と、噛み外れ側の力
との相対比によって、運転中の状況の変化により噛み合
い状態が一定とならない場合が生じることを意味してい
る。
【0033】伸びたチェーンが噛み合っている場合は、
実際には力の伝達のために、ローラRaは内外から抵抗
力を受けつつ歯底部Rsにより案内されて移動し作用圧
力部Esと噛み合う。また作用圧力部EsとローラRa
とが噛み合わず歯底部Rsにあるときにも動力を伝達で
き、このとき、ローラ抵抗によってローラチェーンCH
とスプロケットSPとは同期して回転しない場合も生じ
ていると考えうる。なお、伸びのない正規ピッチのロー
ラチェーンCHにおいて全てのローラRaを「張力状
態」において「理論噛み合い位置x」で噛み合わせるこ
ともできる。
【0034】このように歯底曲線はローラを納める場所
でありながら、ローラの移動を案内する案内面をなし、
このためにローラに加わる抵抗によって、鎖車とチェー
ンの回転不一致も伴い、これによって騒音と振動の一因
になっていると推察できる。
【0035】なお、ローラチェーンCHの各部の遊びに
ついて検討する。図22(A),(B),(C)は、2
%のびの80番手のローラチェーンCHの各部の遊びを
例示し、ブシュとローラRaとの合計の隙間g1を0.
18mm(0.09mm×2)、ピンとブシュとの合計
の隙間g2を0.58mm(0.50mm+0.08m
m)、ピンとローラRaと中心の偏心量e1を0.50
mm、ローラRa摩耗を直径0.4mmとしている。
【0036】かかる遊びを有するローラチェーンCHが
「無張力状態」で噛み合う状態を図23で例示し、かつ
「張力状態」での噛み合い状態を図24に示す。図2
3,24は前記のようにローラRaの中心Cとピン中心
とが異なるとして図示しているが、図9と対比すると明
らかなように、チェーンの各部のガタ、遊びを考慮する
ことなく検討しても噛み合い状態において実用的に大差
がないことが判る。
【0037】なお、図23は、無張力の噛み合いであっ
て、歯溝Tg1での前記点xでのローラRaとの接触を
出発点として、ブシュはローラRaの内径面の重力方向
下方で接触し、かつピンはそのブシュの内径面の重力方
向下方で接触するとし、このように歯底部Rsとピン外
径面との間に位置するブシュ,ローラをそれらの間の遊
びを考慮しつつ、妥当な試行錯誤を含めて、各部の接触
点を順次求めることにより描かれる。
【0038】また張力状態である図24も、ピンとブシ
ュの摩耗面が互いに接触しているとして、ローラRaは
作用圧力部Esで接触し、歯溝Tg7を噛み合いの出発
点として歯溝Tg7側から描いている。なお歯溝Tg7
では、前記「理論噛み合い位置x」よりもややy側とな
る位置を噛み合い点と仮定して接触点p7を設定し、前
記点cと接触点p7を結ぶ線を描いてこの線上にブシュ
中心があると仮定する。この結果ブシュ外径面とローラ
Raの内径面との接触も前記接触点上になる。なおピン
リンク側はピンとブシュとの接触面を張力状態として順
次、妥当な試行錯誤をしつつ位置決めして描いている。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】前記分析から、特に伸
びたローラチェーンCHがスプロケットと噛合する場合
において、力の伝達のためにローラRaが歯の作用圧力
部と接触するために、歯底曲線内でローラは内外径に抵
抗を受けつつ移動する。
【0040】又ローラチェーンCHとスプロケットのピ
ッチに差異が生じているときには、運転中であってもチ
ェーンの巻付け力 (噛み外れ側の力とも云える )の大き
さによっては、作用圧力部Esとは無関係に歯底部Rs
曲線とローラの接触による噛み合いが成立し、例えばバ
ックテンションが変動するときなどでは、その噛み合い
により歯底部Rsに止まることなくローラRaが移動し
て、ローラチェーンCHとスプロケットとの同期回転を
妨げる場合もあり、しかもチェーン伸びの状況に応じ
て、噛み合う全範囲、或いは部分的に、ローラに前記抵
抗を加え得るのである。
【0041】このように、歯底部Rsは、ローラを納め
るとともに、ローラRaが半径方向外側へ前記作用圧力
部Esに移動することによって前記チェーン張力を発生
するに際して、歯底部Rsは、無張力状態では、歯底部
Rs、又は反対側の作用圧力部Esに存在したローラR
aを前記作用圧力部Esに移動するときの案内面を形成
する案内機能を発揮する。
【0042】またかかるローラRa移動は内外の押圧力
を受けて移動するため、騒音と振動の一因になっている
と推察でき、さらに、かかるローラRa移動は、起動時
のみならず、チェーン回転中において、1つのローラR
aに着目すると、スプロケットとの噛み合い初めと終わ
りの間でも発生するのであり、かかる移動も騒音と振動
の原因となる。
【0043】本発明は、ローラチェーンのローラの歯底
面の歯の根元部に凹部を形成してローラと歯溝面との接
触転動距離を減じることにより噛み合いを滑らかとし、
低騒音化、低振動化を図りうる歯形を有する動力伝達用
のローラチェーン用のスプロケットの提供を目的として
いる。
【0044】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、動力
伝達用のローラチェーン用のスプロケットであって、隣
合う歯間の歯溝面は、歯の半径方向外方の歯先曲線部F
sと、この歯先曲線部Fsに連なり動力伝達用の作用圧
力部Esと、この作用圧力部Esの半径方向内端間の歯
底部Rsとからなるとともに、歯底部Rsは、ピッチ円
直径からローラ径を減じることにより求まる歯底円直径
を通る中央部と、この中央部に連続し、かつ前記歯の根
元側に凹むことにより前記中央部に位置するローラと接
触しない凹状面を形成する側部とからなることを特徴と
するスプロケットである。
【0045】請求項2の発明は、前記凹状面が、半径R
が0.5025Dr +0.038(Drはローラ径)の
円弧よりも前記歯の根元側に凹むことを特徴とし、かつ
請求項3の発明は、前記歯底部Rsが、前記中央部が歯
底円直径で連なる小長さの円弧領域を有し、かつ側部の
前記凹状面は、曲面又は折れ面であることを特徴とし、
さらに請求項4の発明は、前記凹状面が、その曲率半径
が前記ローラ径Drの1/2倍よりも小の円弧状をなす
ことを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面
に基づき説明する。図25、図26は本発明の動力伝達
用のローラチェーン用のスプロケット1(以下スプロケ
ット1という)の歯形を、ローラチェーン2がJIS1
801の80番であり、かつスプロケット2の歯数Nが
15の場合を例にとり、異なる2つの実施の形態を例示
している。
【0047】本発明で用いるローラチェーン2は例えば
JIS1801に規定され、かつスプロケット1は、基
準となる歯形として図1,図2に記載したJIS180
1のS歯形を用いるとともに、隣合う歯Te間の歯溝面
Tsは、図25,図26に示すように、歯底部Rsと、
歯の半径方向外方の歯先曲線部Fsと、その間の伝動力
伝達用の作用圧力部Esとを連続させており、かつ図2
5,図26の歯形は、前記歯底部Rsを前記JIS18
01の歯底部Rsと違える2つの形態を示している(な
お、歯底部としていずれも同符号Rsを用いている)。
【0048】前記作用圧力部Esは、図1のJISスプ
ロケットと同じく、点c、c’を中心とする半径E(E
=cy=1.3025Dr+0.038)の前記理論噛
み合い位置xと点y間の弧x−y,x’ーy’と、点y
と点z間の直線範囲x−y,y’ーz’とからなる動力
伝達用の領域をいい、かつ歯先曲線部Fsとは、作用圧
力部Esの半径方向外端に滑らかに連なり図示の点b、
b’を中心として図1について前記した半径Fの円弧の
逃げとなる領域をいう。
【0049】他方、JIS−S歯形では全体が半径R=
0.5025Dr +0.038の円弧であったxーx’
間の弧領域である歯底部Rsについて、本発明の歯底部
Rsにおいては、ピッチ円直径Dpからローラ径Drを
減じることにより求まる歯底円直径を通る中央部4と、
この中央部4に連続し、かつ前記歯の根元側に凹むこと
により前記中央部4に位置するローラと接触しない凹状
面10を形成する側部6とからなる。
【0050】又前記中央部4は、図25、図26に示す
ように、歯底円直径Dbで連続する小長さの円弧領域と
することも、いわゆる実質的に一点と考えうる程度の微
少長さ領域として形成することもできるが、好ましくは
前記作用圧力部Es内端の点x、x’間でローラRaが
転動しうる程度の遊びの長さ(例えば80番チェーンで
は0.06〜0.2mm程度)を少なくとも有するのが
好ましく、かつ変動量、摩耗による転動量の増加などを
考慮して、前記遊びの長さの1.0〜50倍程度がよ
く、乃至チェーンピッチなどの仕様に応じてピッチの
0.002〜0.4倍程度、好ましくは0.05〜0.
2倍程度に設定する。
【0051】また歯底部Rsは、図25に示す場合に
は、作用圧力部Esの半径Eを歯底に向かって延長し、
その延長線と、歯底円直径Dbとした前記中央部4の円
弧部との交点ex、e’x’を基準として、前記ex−
e’x’間の中央部4と、ex−x,e’x’−x’間
の側部6とによって、R=0.5025Dr +0.03
8(Drはローラ径)の半径がなす円弧よりも歯溝面T
sが前記歯の根元側に凹みローラRaと接触しない折れ
面からなる凹状面10を具える。
【0052】さらに図26の場合には、中央部4の両端
と、作用圧力部Esの内端の点x、x’とを曲率半径
(又は直線部分との組合せ)により、全体として前記ロ
ーラ径Drの1/2倍(好ましくは1/3倍)よりも
小、かつ0.5mm以上の円弧状面で連結することによ
り、中央部4と側部6とは協動して凹状面10を形成し
ている。なおこのとき、作用圧力部Esをやや下方に延
長しておくこともできる。さらに、好ましくは曲率半径
を前記ローラ径の0.25倍(Dr/4)とすることも
でき、ローラRaとの接触を確実に防止するとともに凹
状面10での汚れの堆積を防ぎかつ潤滑材の保持に役立
てる。
【0053】さらに、中央部4の両側を、実質的にロー
ラRaと接しない程度の大半径の円弧とし、作用圧力部
Esからの曲線と交差、連結するようにも構成でき、さ
らに凹状面10は両側非対称とすることもできる。
【0054】かかる構成とすることによって、従来の例
えばS歯形を採用するスプロケットの歯のピッチに比し
て、チェーンのピッチが摩耗とともに増大したときに
も、歯底円直径を通る中央部4と、この中央部4に連続
する側部10とが、R=0.5025Dr +0.038
(Drはローラ径)の半径がなす円弧よりも歯溝面Ts
が前記歯の根元側に凹みローラと接触しない凹状面10
を形成するため、(1)半径R=0.5025Dr +
0.038の円弧であったxーx’間の弧領域である歯
底部Rsを有するS歯形に比して、歯底に納まっている
ローラRaの円弧面に沿う半径方向のせり上がりを減じ
て歯底部Rsと作用圧力部Esとの間の移動を容易にす
る。
【0055】(2)歯底部RsからローラRaに作用す
る反力の発生する機会を減じ、騒音、振動を低減しう
る、などの作用を発揮する。
【0056】このように、ローラRaは、歯底円直径を
通る中央部4、作用圧力部Esとのみ接触でき、しかも
中央部4での移動距離も歯溝の中心線両側の前記遊びの
長さであるから、歯溝面と接することなく作用圧力部E
sに接触できる。因みに、JIS80番では、前記のよ
うに中央部4でのローラRaの移動距離は、0.08〜
0.3mm、通常、0.1mm程度である。
【0057】JISスプロケットの場合の図13に対応
させて2%のびのチェーンの第1のローラRa1,第2
のローラRa2と、歯数Nが15のスプロケット1との
示した前記図25を例にとり具体的に説明する。図25
において、第2のローラRa2の初期のローラ中心Ca
2が、「張力状態」となることによりCb2をへてCc
2に移動する間に、第2のローラRa2の歯溝面との接
触点pa2ー1は、接触点pa2ー2から、中央部4で
の接触点pb2ー1、pb2ー2をへて、作用圧力部E
sの接触点pc2に移動する。
【0058】この場合において、本発明のスプロケット
1においては、第2のローラRa2は、接触点pa2ー
2と中央部4での接触点pb2ー1との間、及び接触点
pb2ー2と作用圧力部Esの接触点pc2との間にお
いては歯溝面との接触はないか、若しくは極めて少なく
なる。
【0059】このため、ローラチェーン2の各リンクを
継ぎ張力を伝えるピン中心と、そのピン中心に中心を考
えるローラの外周の移動量が異なるとはいえ、ローラ外
周面の歯溝面との接触を減じるため、ローラ内径面とブ
シュ及びローラ外周面と歯溝面との間の摩擦力、反力の
影響が著減し、その結果、噛み合いが円滑となる。
【0060】前記JISスプロケットによる前記図1
9、図21に対応させて、図26の本発明に係る歯形の
スプロケットを用いる場合をそれぞれ図27、図29に
記載している。図19,図27は、接触点pが「理論噛
み合い位置x」に全て存在する場合であり、図21、図
29は接触点pがJISスプロケットの歯底部Rsに全
てが存在する場合を示している(図29では第1のロー
ラRa1は「理論噛み合い位置x」にも反力を受けるこ
となく接している)。
【0061】図19の場合の張力分布を力の多角形とし
て図20に示したように、噛み合い始め部SAに100
の力が作用すると、噛み合い外れ部SEでは1.87の
力を作用させることにより多角形を成立している。これ
に対応する本発明のスプロケット1を用いた場合にも図
31に力の三角形を示すように、図20と実質的に同じ
噛み合いとなる。
【0062】他方、図29の場合には、本発明のスプロ
ケット1においては接触点pが歯底部Rsの中央部4に
存在するため、その力の三角形は図30に示す通りとな
る。この図から、図29の場合には、噛み外れ側の張力
(バック張力に相当)が、102.2になるまでは、図
27の噛み合い状態が維持され、前記値となったときに
図29の状態となりうる。
【0063】本発明のスプロケット1においては、ロー
ラRaと歯溝面とは、歯底部Rsの中央部4の中心部
分、及び/又は作用圧力部Esで接触し、前記中央部4
は歯底円直径Dbであるから、幾何学的にはチェーンを
押す力は発生しない。従って、図29に示す、ローラR
aが歯底部Rsから離間する寸前の噛合い状態とするに
は、102.2、即ち噛み外れ側にチェーン張力以上の
力が必要になることを意味する。図21のJISスプロ
ケットの場合には歯底部Rsにおいてもチェーンを押す
力を発生するが故に、図21に示すバックテンション4
5.21によって力の多角形が成立していると推定でき
る。
【0064】以上の結果、噛み外れ側に図27に示す
1.87以上の力が加えられれば、その加わった力はそ
のまま噛み始め側のチェーン張力100に増加(追加)
され、チェーンを引っ張る力として、加算される側に作
用するのみであるのに対して、JISスプロケットのS
歯形の歯底曲線の場合には、噛み外れ側に加えられる力
により歯底曲線と接触しているローラが変位し、力の多
角形が変形しやすく、その結果チェーンはスプロケット
と一体で回転(運行)しない場合が生じることがある。
しかしながら、作用圧力部Esに接触するまでの歯底部
Rsでの移動距離が微小となる本発明の歯形のスプロケ
ット1を用いる場合にはかかる状態を防ぐことができ
る。
【0065】かかる状態は、2%伸びのローラチェーン
における「無張力状態」を示す図31,伝動状態、即ち
「張力状態」を示す図32、及びローラRaの各場合の
噛み合い状態を示す図33,図34から、チェーン伸び
率にかかわらず、同様に成立するのが判る。
【0066】なお、本発明の動力伝達用のローラチェー
ンには、ブシュをスプロケットと直接噛み合わせるブシ
ュドチェーンを包含する。
【0067】
【発明の効果】このように、請求項1、2記載の発明で
は、例えばバックテンションが変動するときにも、ロー
ラチェーンとスプロケットとの同期回転を妨げることな
く、かつ歯底部Rsでのローラの接触移動を著減しては
起動時のみならず、チェーン回転中における騒音と振動
を低減できる。
【0068】また、請求項3記載の発明では、中央部が
歯底円直径で連なる小長さの円弧領域を有し、かつ側部
の前記凹状面は、曲面又は折れ面であることにより、そ
の形成を容易とするとともに、請求項4の発明のよう
に、凹状面の曲率半径を前記ローラ径Drの1/3倍以
下の円弧状とすることにより、十分な逃げを有する凹状
面を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】JIS B1801で規定される動力用のロー
ラチェーンのスプロケットのS歯形を例示する線図であ
る。
【図2】0.2%伸びのローラチェーンのローラと、図
1のスプロケットとの噛み合いを例示する線図である。
【図3】ローラチェーンとスプロケットとの噛み合い状
態を例示する平面図である。
【図4】0.2%伸びのローラチェーンのローラの第
1,2の歯溝Tgでの噛み合い状態を例示する拡大線図
である。
【図5】図4に例示するチェーンの噛み合い状態を誇張
して図示する線図である。
【図6】2%伸びのローラチェーンのローラと、図1の
スプロケットとの噛み合いを例示する線図である。
【図7】2%伸びのローラチェーンのローラの第1,2
の歯溝Tgでの噛み合い状態を例示する拡大線図であ
る。
【図8】伸び0%の正規ピッチのチェーンとスプロケッ
トとの噛み合い状態を例示する線図である。
【図9】2%伸びのローラチェーンのJISスプロケッ
トが反時計方向に回転することによる噛み合い状態を例
示する線図である。
【図10】2%伸びのローラチェーンの「無張力状態」
の噛み合いを例示する線図である。
【図11】2%伸びのローラチェーンの「張力状態」の
噛み合いを例示する線図である。
【図12】ローラRaが歯底部Rsを転動する状態を誇
張して例示する線図である。
【図13】ローラの歯溝面での移動状態を例示する線図
である。
【図14】チェーンの節点をローラの中心とした場合の
力の三角形を例示する線図である。
【図15】チェーンの節点がローラの中心ローラとは異
なるとしたときのローラの移動状態での力の三角形を例
示する線図である。
【図16】チェーンの節点がローラの中心ローラとは異
なるとしたときのローラの他の移動状態での力の三角形
を例示する線図である。
【図17】ピッチが25.408mmに伸びた80番ロ
ーラチェーンとスプロケットとの噛み合い状態を例示す
る線図である。
【図18】図17の場合の力の多角形を例示する線図で
ある。
【図19】ピッチが25.413mmに伸びたJIS8
0番チェーンとスプロケットとの噛み合い状態を例示す
る線図である。
【図20】図19の場合の力の多角形を例示する線図で
ある。
【図21】図19,20の噛み合いにおいて45.21
の力を噛み外れ側に作用した場合を例示する線図であ
る。
【図22】(A),(B),(C)は2%伸びのピッチ
のローラチェーンにおける各ガタを例示するとともにロ
ーラ外周摩耗を直径で0.4mmであると仮定した場合
の断面図である。
【図23】図22のチェーンの「無張力状態」の噛み合
いを例示する線図である。
【図24】図22のチェーンの「張力状態」での噛み合
いを例示する線図である。
【図25】本発明の実施の1形態を例示する線図であ
る。
【図26】他の形態を例示する線図である。
【図27】図26の本発明に係る歯形のスプロケットを
用いる場合の噛み合い状態を例示する線図である。
【図28】その力の多角形を例示する線図である。
【図29】接触点pがJISスプロケットの歯底部Rs
に全てが存在する場合の噛み合い状態を例示する線図で
ある。
【図30】その力の多角形を例示する線図である。
【図31】2%伸びのローラチェーンにおける「無張力
状態」を示す線図である。
【図32】伝動状態、即ち「張力状態」を例示する線図
である。
【図33】静止状態でのローラRaの噛み合い状態を例
示する線図である。
【図34】伝動状態でのローラRaの噛み合い状態を例
示する線図である。
【符号の説明】
1 スプロケット 2 動力用のローラチェーン 4 中央部 6 側部 10 凹状面 Dp 歯底円直径 Es 作用圧力部 Fs 歯先曲線部 Rs 歯底部 Te 歯 Tg 歯溝 p 接触点 x 理論噛み合い位置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動力伝達用のローラチェーン用のスプロケ
    ットであって、 隣合う歯間の歯溝面は、歯の半径方向外方の歯先曲線部
    Fsと、この歯先曲線部Fsに連なり動力伝達用の作用
    圧力部Esと、この作用圧力部Esの半径方向内端間の
    歯底部Rsとからなるとともに、 歯底部Rsは、ピッチ円直径からローラ径を減じること
    により求まる歯底円直径を通る中央部と、この中央部に
    連続し、かつ前記歯の根元側に凹むことにより前記中央
    部に位置するローラと接触しない凹状面を形成する側部
    とからなることを特徴とするスプロケット。
  2. 【請求項2】前記凹状面は、半径Rが0.5025Dr
    +0.038(Drはローラ径)の円弧よりも前記歯の
    根元側に凹むことを特徴とする請求項1記載のスプロケ
    ット。
  3. 【請求項3】歯底部Rsは、前記中央部が歯底円直径で
    連なる小長さの円弧領域を有し、かつ側部の前記凹状面
    は、曲面又は折れ面であることを特徴とする請求項1又
    は2記載のスプロケット。
  4. 【請求項4】前記凹状面は、その曲率半径が前記ローラ
    径Drの1/2倍よりも小の円弧状をなすことを特徴と
    する請求項1、又は2記載のスプロケット。
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