JP2002338524A - ジアリールカーボネートの製造方法 - Google Patents

ジアリールカーボネートの製造方法

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JP2002338524A
JP2002338524A JP2001144323A JP2001144323A JP2002338524A JP 2002338524 A JP2002338524 A JP 2002338524A JP 2001144323 A JP2001144323 A JP 2001144323A JP 2001144323 A JP2001144323 A JP 2001144323A JP 2002338524 A JP2002338524 A JP 2002338524A
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Shinya Tange
真也 丹下
Takamasa Maki
孝政 槇
Ryoichi Nagashima
良一 永嶋
Akinobu Yoshisato
瑛信 善里
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Teijin Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ジアリールカーボネートの生成反応を従来よ
りさらに効率的に進行させる方法を提供する。 【解決手段】 芳香族ヒドロキシ化合物を、一酸化炭
素、酸素、および触媒の存在下酸化カルボニル化する反
応において、生成する水分と共に反応混合物から留出す
ることのできる不活性物質Aを共存させ、生成する水分
を不活性物質Aと共に反応混合物から分離しつつ、ジア
リールカーボネートを製造する方法において、一酸化炭
素と酸素と不活性物質Aとの混合物であって液相の存在
する混合物を、当該カルボニル化のための反応槽に供給
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、ジアリールカー
ボネートの製造において、一酸化炭素と酸素と特定の物
質とを混合し、当該混合物を反応槽に供給することを特
徴とするジアリールカーボネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐熱性、透明性等に優れたエンジニアリ
ングプラスチックスとして、芳香族ポリカーボネートが
幅広く利用されている。この芳香族ポリカーボネートの
製造方法として、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲン
とを反応させる界面重合法と、芳香族ジヒドロキシ化合
物とジアリールカーボネートとを溶融状態で重合させる
溶融エステル交換法とが一般的に知られている。
【0003】しかし、前者は環境上問題のある塩化メチ
レン等のハロゲン系の溶媒を多量に使用することに問題
がある。その点後者はこの問題を解決できるが、使用す
るジアリールカーボネートの純度によっては重合活性の
低下や芳香族ポリカーボネートの着色等の問題が生じ
る。
【0004】したがって、反応混合溶液より高純度のジ
アリールカーボネートを分離回収する方法に関しては様
々な研究がなされている。
【0005】ジアリールカーボネートの製造方法として
は、触媒の存在下で芳香族ヒドロキシ化合物と一酸化炭
素および酸素とをカルボニル化反応させる方法をはじ
め、数々の方法が知られている。触媒存在下の反応方法
については、特公昭56−38144号公報のパラジウ
ム触媒の存在下で周期律表のIIIA,IVA,VA,
VIA,IB,IIB,IVB,VB,VIB,VII
BおよびVIIIB族の金属を含む化合物、および塩基
を用いてフェノールを一酸化炭素と反応させる方法が記
載されている。
【0006】また、特公昭56−38145号公報には
パラジウム化合物とマンガン錯体またはコバルト錯体、
塩基および乾燥剤を用いる方法;特開平1−16555
1号公報にはパラジウム化合物、ヨウ素化合物およびゼ
オライトを用いる方法;特開平2−104564号公報
には、パラジウム化合物、マンガン化合物、テトラアル
キルアンモニウム塩および添加物としてキノン類を用い
る方法が提案されている。
【0007】さらにこれまで、特開平5−58961号
公報、特開平6−9505号公報、特開平6−4102
0号公報、特開平6−172268号公報、特開平6−
172269号公報等に、パラジウム化合物とレドック
ス金属および第4級アンモニウム塩に加えて各種添加物
や、特殊な配位子を用いる方法等が提案されている。
【0008】最近においては、特開平8−89810号
公報にはパラジウム化合物、レドックス剤、アルカリ金
属ハロゲン化物および活性炭を用いる方法;特開平8−
99935号公報にはパラジウム化合物、鉛化合物およ
びハロゲン化第4級アンモニウム塩および銅化合物を用
いる方法;特開平8−281108号公報には金属類T
i,V,Mn,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,La,
Nb,Mo,Pb,希土類金属類、アクチニド類の酸化
物を含む支持体に担持した白金族金属化合物からなる触
媒を用い、マンガンまたはコバルト塩のごとき共触媒、
第4級アンモニウムまたはホスホニウム塩および塩基の
存在下に反応させる方法;特開平8−281114号公
報には公知の支持体を用いて白金族金族化合物および共
触媒として作用する金属化合物を担持した支持触媒を用
い、第4級アンモニウムまたはホスホニウム塩および塩
基の存在下に反応させる方法;特開平8−28320号
公報には白金族金属化合物、マンガンまたはコバルト塩
のごとき共触媒、第4級塩および塩基に加えて、金属酸
化物、炭化物、窒化物、ほう化物などの不均一助触媒を
追加的に用いる方法などが提案されている。
【0009】ただし、以上のように、カルボニル化反応
には複雑な触媒系が必要とされており、かつ触媒が高価
であるため、さらにジアリールカーボネート中に残留す
る触媒がジアリールカーボネートの純度低下の要因とな
るため、その分離回収および再循環に関しても様々な研
究がなされている。
【0010】一方、この酸化カルボニル化反応は、通常
芳香族ヒドロキシ化合物自身を溶媒として用いて行われ
るが、反応に溶媒を用いる方法もこれまでいくつか提案
されている。例えば、ジクロルメタン等のハロゲン化物
を用いる方法(特開昭53−68747号公報)は特に
反応温度で固体の芳香族ヒドロキシ化合物を用いる際最
も普通に用いられるが、その他アセトニトリルを用いる
方法(特開平6−41020号公報)、カルボン酸アミ
ドあるいはアルキル尿素類を用いる方法(特開平10−
316627号公報)、あるいは、炭酸ジフェニルおよ
びN−メチルピロリドンを希釈剤として用いる方法(特
開平10−330326号公報)などが提案されてい
る。
【0011】しかしながらいずれの方法においても共通
する課題として、反応の進行が比較的遅く反応の転化率
が上がらない点がある。そのために反応温度を上げた
り、反応圧力を上げる他に、反応で生成する水を連続的
に反応系外に取り出す工夫が必要と考えられる。
【0012】反応温度を上げた場合、好ましくない副反
応が増大する場合が多く、転化率は上がっても反応の選
択率が下がり、触媒活性も急速に下がることがあり最適
温度で制限される。また反応圧力を上げたり酸素の分圧
を上げることは、その効果の割に設備の負荷が大きくな
り経済性を損なう場合が見られる。
【0013】また好ましくない副反応も引き起こされる
ことがあり、これも特定の範囲に制限される。一方生成
する水を連続的に反応系から除くことは効果があると考
えられており、上述の例でも見られるように反応系内に
モレキュラーシーブス等の脱水剤を共存させる方法がし
ばしば取られている(特公昭56−38145号公報、
特開平1−165551号公報等)。
【0014】しかしながら、これら脱水剤のみを用いる
場合十分な効果を上げるためには反応物に対しかなり大
量の脱水剤を必要とし、その再生循環使用を考えると操
作も煩雑で経済的でない。
【0015】また、芳香族ヒドロキシ化合物と一酸化炭
素および酸素を反応させるジアリールカーボネートの製
造では、一般的に、芳香族ヒドロキシ化合物と上記触媒
および上記共触媒を仕込んだ反応器に、一酸化炭素と酸
素とを加圧下・加温下に封じ込めて反応させる方法、ま
たは、芳香族ヒドロキシ化合物と上記触媒および上記助
触媒を仕込んだ反応器に一酸化炭素および酸素を連続的
に流通させて反応させる方法などがとられている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、上記の方
法においてさらに効率的に反応を促進する方法を見出さ
んとするものである。
【0017】本願発明のさらに他の目的および利点は、
以下の説明から明らかになろう。
【0018】
【課題を解決するための手段】これまで本願発明者等は
一酸化炭素と酸素とのガス流通下に反応を行って、副生
成物である水を連続的に流通ガスおよび若干の反応物
(芳香族ヒドロキシ化合物)と共に随伴させて連続的に
除くことで反応の進行を助長し、更に、エーテル類を用
いて、その水の随伴除去効果によってより反応を進行さ
せる方法をとってきたが、本願発明では、一酸化炭素お
よび酸素に加えて生成する水分と共に反応混合物から留
出することのできる不活性物質を混合し、当該一酸化炭
素、酸素および生成する水分と共に反応混合物から留出
することのできる不活性物質の混合物を反応槽に供給し
てジアリールカーボネートを製造することによって、ジ
アリールカーボネートの生成反応をより効率的に進行さ
せることが可能であることを見出した。
【0019】すなわち、本願発明の一態様によれば、下
記式(I) R−OH ・・・(I) (式中、Rは置換基を有していても良い、炭素数が6〜
15のアリールより選ばれる)で示される芳香族ヒドロ
キシ化合物を、一酸化炭素、酸素、および触媒の存在下
酸化カルボニル化する反応において、生成する水分と共
に反応混合物から留出することのできる不活性物質
(A)を共存させ、生成する水分を不活性物質Aと共に
反応混合物から分離しつつ、下記式(II) R−O−CO−O−R ・・・(II) (式中、Rの定義は式(I)と同じ)で示されるジアリ
ールカーボネートを製造する方法において、一酸化炭素
と酸素と不活性物質Aとの混合物であって液相の存在す
る混合物を、当該カルボニル化のための反応槽に供給す
ることを特徴とするジアリールカーボネートの製造方法
が提供される。
【0020】一酸化炭素や酸素と共に、不活性物質Aを
使用する理由は、不活性物質Aが溶媒として、カルボニ
ル化反応を促進すると共に、その留出時に生成する水を
速やかに同伴除去することによって、さらにカルボニル
化反応を促進することによるものであろうと推測されて
いるが、本願発明のごとく、その添加方法を工夫するこ
とによってさらに反応を促進し得ることが示された。
【0021】おそらくは、液相として存在する不活性物
質A中に一酸化炭素と酸素とがガス状に分散した状態に
なっており、さらに一部は不活性物質A中に溶解してい
ることにより、一酸化炭素と酸素とが芳香族ヒドロキシ
化合物と接触する機会が増大するためではないかと推察
されている。
【0022】なお、以下に説明する発明の実施の形態や
実施例の中で、本発明の更なる特徴が明らかにされる。
【0023】
【発明の実施の形態】上記式(I)、(II)中のRの
芳香族環に導入可能な置換基は、それぞれ例えば−CH
3、−C25等の炭素数1〜9のアルキル基、またはハ
ロゲン等であり、1置換、または2置換とすることがで
きる。
【0024】式中のRは、好ましくは置換、または非置
換フェニルである。またRは、特に好ましくは非置換ア
リールであり、フェニル、ビフェニルでは、ナフチル、
アントラニルが好ましい。Rは、特に好ましくはフェニ
ルである。
【0025】本反応に用いることのできる芳香族ヒドロ
キシ化合物は、例えば、フェノール、クレゾール、キシ
レノール、トリメチルフェノール、テトラメチルフェノ
ール、エチルフェノール、プロピルフェノール、メトキ
シフェノール、エトキシフェノール、クロロフェノー
ル、ブロモフェノールなどの非置換・置換フェノール類
およびそれらの異性体;ナフトール、メチルナフトー
ル、クロロナフトール、ブロモナフトールなどの非置換
・置換ナフトールおよびそれらの異性体;ビスフェノー
ルAなどのビスフェノール類などがあるが、これらの中
でフェノールが特に好ましい。
【0026】生成するジアリールカーボネートとして
は、前記の芳香族ヒドロキシ化合物に応じて、たとえ
ば、ジフェニルカーボネート、2,2'-ジメチルジフェ
ニルカーボネート、4,4'-ジメチルジフェニルカーボ
ネート、4,4'-ジプロピルフェニルカーボネート、
4,4'-ジクロロジフェニルカーボネート、1-ナフト
ールからの1,1'ジナフチルカーボネート等の、上記
の前記の芳香族ヒドロキシ化合物の炭酸エステルを挙げ
ることができる。本願発明は特にジフェニルカーボネー
トを生成する場合に適している。
【0027】本願発明において用いられるガス成分の一
酸化炭素および酸素は、窒素、アルゴン、二酸化炭素
等、反応に悪影響を及ぼさない他のガスで希釈された状
態で用いることができ、特に酸素としては空気を用いる
こともできる。
【0028】また本願発明で用いられる触媒は、白金族
金属および/または白金族金属化合物を主触媒とし、レ
ドックス共触媒および第4級ホスホニウム塩および/ま
たは第4級アンモニウム塩からなる共触媒を含む触媒系
が好ましい。本触媒系にはさらに無機、または有機の促
進剤を共存させても良い。
【0029】白金族金属としては、ルテニウム、ロジウ
ム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、プラチナが
ある。好ましくはルテニウム、パラジウム、プラチナで
あり、さらに好ましくはパラジウムである。
【0030】白金族触媒は、前記の白金族金属の化合物
であり、パラジウムの場合を例示すれば、パラジウム金
属、または0価および2価のパラジウム化合物の形で用
いられる。
【0031】例えば、酢酸パラジウム等の有機カルボン
酸塩、塩化パラジウム、臭化パラジウム等のハロゲン
塩、硝酸パラジウム等の無機酸の塩、パラジウムアセチ
ルアセトナート等の錯塩、酸化物あるいは水酸化物、ま
たは例えば一酸化炭素オレフィン、アミン、ホスフィン
あるいはハロゲンを含む錯化合物の形で使用することが
できる。
【0032】レドックス共触媒は、マンガン、コバル
ト、銅、セリウム、鉛、錫の化合物から選ばれた少なく
とも一種以上、好ましくは2種以上で、それらはそれぞ
れ酸化物、水酸化物、アセチルアセトナート塩,酢酸
塩,塩化物,臭化物等の形で用いられる。
【0033】好ましい2種以上の金属の化合物の組み合
わせは、例えばマンガン化合物と鉛化合物、コバルト化
合物と鉛化合物、セリウム化合物と鉛化合物、セリウム
化合物、錫化合物と銅化合物、マンガン化合物、セリウ
ム化合物、錫化合物と銅化合物等である。
【0034】第4級ホスホニウム塩および第4級アンモ
ニウム塩は、下記式(III) R1234PX ・・・(III) (式中、R1〜R4は炭素数1から8のアルキル、あるい
は炭素数が6から15のアリールで、同一もしくは異な
っていても良い。Xはアニオンであり、水酸基、アルコ
キシ基、フェノキシ基、クロライド、ブロマイド、イオ
ダイドなどのハロゲンがよく用いられる。)および下記
式(IV) R1234NX ・・・(IV) (式中、R1〜R4およびXの定義は式(VI)と同じ)
でそれぞれ示される。
【0035】これらの中で、テトラブチルアンモニウム
ブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド等の
テトラ−n−ブチルアンモニウム塩およびテトラフェニ
ルホスホリルクロライド等のテトラフェニルホスホニウ
ム塩が好ましい。特に好ましくはテトラブチルアンモニ
ウムブロマイドである。
【0036】反応に用いられる第4級アンモニウム塩と
第4級ホスホニウム塩との量は白金族金属および/また
は白金族金属化合物の1モルに対し、モル比で0.1〜
1000の範囲が好ましく、1〜100の範囲であるこ
とが特に好ましい。
【0037】本願発明においては、前記の触媒系の存在
下に目的のジアリールカーボネートを得ることができる
が、反応促進効果を示す共触媒として、さらに、ヘテロ
ポリ酸やそのプロトンをカチオンで置き換えたものを挙
げることができる。
【0038】ヘテロポリ酸は2種以上の酸素酸(オキソ
酸)が脱水縮合したポリ酸で、負電荷を持った酸化物分
子クラスター(ポリアニオン)とプロトンからなる。
【0039】ヘテロポリ酸としては、種々の組成・構造
をもったものが知られており、いずれも用いることが可
能であるが、それらの内、ケギン型と呼ばれる構造を有
し、そのアニオン部分の構造式は次の一般式(V) XM1240 ・・・(V) で示されるものが好ましい。式中、XはP、Si元素の
他、As,Ge,B等の元素を示し、MはMoまたはW
であるが、V、Mn、Co、Cu、Fe、Zn等の原子
で置換することができる。そしてこのアニオンに対し、
プロトンを有するものはヘテロポリ酸と言われるが、本
願発明においてはそのプロトンをカチオンで置き換えた
ものも有効である。当該カチオンとしてはLi、Na、
K、Rb、Cs等のアルカリ金属の他、Ca、Mg等の
アルカリ土類金属、Cu、Zn、Al等の金属イオン、
Fe、Co,Ni、Mn、Cr等の遷移金属イオンや、
Ce、La等の希土類金属イオン等による塩の形で用い
ても良く、さらに、アンモニウム塩や有機アンモニウム
塩、あるいは有機ホスホニウム塩等の有機溶媒にも可溶
な塩で用いても良い。
【0040】ケギン構造を有するこれらのヘテロポリ酸
あるいはその塩類の中で、特に好ましいのは、ケギン構
造のヘテロポリ酸としてアニオン部が次の構造式(V
I) X(Mo)n(W)m(V)p40・・・・(VI) (式中、XはPまたはSi元素であり、n、m、pは0
〜12の数値であり、n+m+p=12なる関係にあ
る。)で示されるヘテロポリ酸、あるいはその塩類であ
る。
【0041】その具体的な例としては、リンタングスト
モリブデン酸;PMo21040、PMo4840、P
Mo6640、PMo8440、PMo10240等、
リンヴァナドモリブデン酸類;PMo11140、PM
10240、PMo9340、PMo4840、PM
21040等、リンヴァナドタングステン酸;PW9
340、PW10240、PW11140等、ケイモリブ
ドタングステン酸;SiMo3940、SiMo66
40、SiMo8440等、ケイヴァナドタングステン
酸;SiW11140、SiW10240、SiW93
40、SiW8440、SiW6640、SiW8440
等、ケイモリブドタングステン酸;SiMo 11
140、SiMo10240、SiMo9340、SiM
8440、SiMo6640,SiMo8440等が
挙げられる。これらのヘテロポリ酸は単独で用いても良
く、2種以上の混合した形で用いても良い。また上述し
たように種々のカチオンの塩あるいはそれらの混合物の
形でも用いることができる。
【0042】本願発明に係る不活性物質Aは、他の成分
を溶解し均一に含む意味での通常の溶媒の働きを持つ点
で従来の溶媒と共通する概念であるか、その他に、前記
のような水を同伴除去する作用や、一酸化炭素、酸素等
のガスを分散しあるいは溶かし込んで反応を促進すると
いった役割も有する場合があると考えらる。
【0043】不活性物質Aとしては、本願発明に係る各
種物質に対し実質的に反応性を有しない不活性な物質で
あり、酸化カルボニル化の際に、その一部であっても、
水と共に系外に留出しうる性質を有する物質であればど
のようなものでも良いが、水と共沸性を有するものであ
る方が酸化カルボニル化を促進する上でより望ましい。
【0044】その存在量は、反応に供する芳香族ヒドロ
キシ化合物の1容量に対して容量比で10〜0.01で
良い。場合によっては5〜0.02の範囲が好ましい。
【0045】酸化カルボニル化をバッチで行う場合に
は、反応の進行と共に不活性物質Aの添加量を変えるこ
とも可能であるが、反応の最後には、不活性物質Aの添
加量を減少させる等して、反応混合物中の濃度をできる
だけ下げ、その後の製品化の工程の負担を下げることも
有用である。
【0046】また、反応途中で不活性物質Aの濃度を上
げたい場合には、反応途中で不活性物質Aを追加添加す
ることも可能である。
【0047】なお、不活性物質Aは全工程に同一の物質
を1種類使用する場合の他、複数の物質を使用する場
合、複数の物質を時間的に分けて添加する等の場合も考
えられるが、これらも本願発明の範疇に属する。適する
条件を見つけるには試行錯誤試験を行えば良い。
【0048】一方、連続的に酸化カルボニル化を行う場
合には、その反応の各ステージ毎に、不活性物質Aの濃
度として適当なものを選択することも、適当な物質を選
択することも、反応途中で追加添加することも比較的容
易に選択することができる。たとえば、反応の途中のス
テージにおいて、大量の不活性物質Aを反応混合物の液
相中に投入し、水分の留出を促進させ、その後のステー
ジでは、系の圧力を下げ急速に不活性物質Aを留去する
等の各種の方法が考えられる。
【0049】不活性物質Aとしてはエーテル類が好まし
いことが判明した。エーテル類としては、分子内に1個
またはそれ以上のエーテル結合を有する環状脂肪族の化
合物が挙げられる。
【0050】特に大気圧下での沸点が30℃〜170℃
であるものが好ましいことが判明した。
【0051】沸点が30℃未満の低沸点のエーテルで
は、反応条件下で反応混合溶液相に留まり難く、生成す
る水分と共に反応混合物から留出する効果が発揮されな
い場合があり、また、170℃を超える高沸点のエーテ
ルでは、水の随伴除去効果が小さく、既述の加水分解の
問題から、好ましくない。このようなエーテル類の中で
も特に好ましいものは、テトラヒドロフラン、メチル−
t−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンより選
ばれる少なくとも一種以上である。反応系中におけるエ
ーテル類の存在量は、反応物の芳香族ヒドロキシ化合物
の1容量に対して容量比で10〜0.01、好ましくは
5〜0.02の範囲である。
【0052】エーテル類は液状で混合して反応相に供給
しても良いし、部分的に気化した状態で供給しても良
い。
【0053】以上に示す触媒および不活性物質Aを選定
し、一酸化炭素および酸素と不活性物質Aとを混合し、
当該一酸化炭素、酸素、および不活性物質Aの混合物を
反応槽に供給して芳香族ヒドロキシ化合物をカルボニル
化してジアリールカーボネートを製造する。
【0054】この場合一酸化炭素および酸素と不活性物
質Aとを互いに混ぜ合わせる順序はどのようなものであ
っても良い。また、必要なら一酸化炭素および酸素と混
合しない不活性物質Aを別途反応槽に供給しても良い。
【0055】上記混合物は、液状の不活性物質A中に一
酸化炭素と酸素とがガス状に分散した状態を有すること
が好ましい。一酸化炭素と酸素とが細かい気泡として存
在し、また不活性物質A中に溶解することにより、カル
ボニル化反応が促進されるものと推定されている。
【0056】そして、この混合物の反応槽への供給は、
反応槽内の液相中への供給であることが好ましい。一酸
化炭素と酸素とが効率的に反応に供されることになるた
めであろうと思われる。
【0057】本願発明においては、反応槽から出た未反
応の一酸化炭素と酸素との混合物を回収し、互いに分離
することなく循環させて、前記一酸化炭素と酸素と不活
性物質Aとの混合物の一部として再使用することもで
き、コスト低減に役立つ。
【0058】本願発明に係る反応においては、反応槽に
は、ガス成分として一酸化炭素と酸素とが供給され、場
合によっては、本願発明に係る種々の物質に対し不活性
なガスが共に供給されるが、反応槽か出るガス中には、
これら以外のガスは、実質的に生成せず、従って、水分
や同伴する芳香族ヒドロキシ化合物、不活性物質A、触
媒等を分離した後のガス成分は、そのまま、あるいは乾
燥して水分を除去してから、再び反応槽に供給すること
ができるのである。
【0059】そして、このように、ガス組成が単純であ
ることから、互いに分離することなく循環させる未反応
の一酸化炭素と酸素との混合物中の一酸化炭素および/
または酸素濃度に応じて、新たに供給する一酸化炭素と
酸素との量を定め、反応に供する一酸化炭素と酸素と不
活性物質Aとの混合物中の各成分の比率を所定の範囲に
保つことにより、ジアリールカーボネートの転化率、選
択率、収率のいずれかを安定した高い値に保つことがで
きることが見出された。
【0060】また、反応に供する一酸化炭素と酸素と不
活性物質Aとの混合物中の各成分の比率を所定の範囲に
保つ代わりに、反応槽内の組成と圧力とを所定の範囲に
保つことも同様に好ましいことが判明した。
【0061】ここで、所定の範囲とは、ジアリールカー
ボネートの所望の転化率、選択率、品質、反応速度(生
産性)等により、試行錯誤で定められる任意の範囲であ
る。具体的には一定の組成、圧力等を指標にして、循環
させる未反応の一酸化炭素と酸素との混合物の量や新た
に供給する一酸化炭素と酸素との量を定めることにな
る。
【0062】反応槽内の組成と圧力とは、回収循環する
一酸化炭素と酸素との混合物中の一酸化炭素および/ま
たは酸素濃度と前記反応槽内圧力とを測定し、それらの
値から反応槽内の一酸化炭素分圧と酸素分圧とを計算す
ることによって求めることができる。
【0063】回収循環する一酸化炭素と酸素との混合物
中の一酸化炭素および/または酸素濃度は、たとえば一
酸化炭素と酸素とのみからなる混合物の場合には、一酸
化炭素または酸素濃度を測定すれば十分である。たとえ
ば酸素源として空気を用いた場合のように他の不活性な
ガスを含む場合にも、それらの成分は一定のままである
ので、一酸化炭素または酸素濃度を測定すれば十分であ
る。この場合、酸素濃度の測定の方が信頼性が高く有利
であることが分かった。酸素濃度はガルバニ式計測器で
測定するのが信頼性の上で好ましい。
【0064】また、反応槽内圧力としては、ダイヤフラ
ム式圧力伝送器で測定することが信頼性の上で好まし
い。
【0065】反応槽内の一酸化炭素分圧と酸素分圧とを
計算するにはPLC(ProgrammableLogic Controller)
を使用することができる。
【0066】なお、反応槽に導入する一酸化炭素と酸素
と不活性物質Aとの混合物中の気相部における酸素濃度
および反応槽内の気相中の酸素濃度は、一酸化炭素の爆
発範囲外であることが重要である。この場合、爆発限界
はその環境圧力によっても影響を受けるので、使用圧力
を考慮して爆発限界を定めるべきである。常圧の場合は
一酸化炭素の爆発範囲外である、CO/O2=0.68
(モル比)以下またはCO/O2=14.3(モル比)
以上とするのが好ましい。
【0067】上記のごときフェノール等の芳香族ヒドロ
キシ化合物に一酸化炭素および酸素を反応させてジフェ
ニールカーボネート等の芳香族カーボネートを得る反応
自体は公知である。
【0068】以下の記載では、ジアリールカーボネート
としてジフェニルカーボネート(以下、DPCと称す)
を、芳香族ヒドロキシ化合物としてフェノールを選定す
るが、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】触媒および不活性物質Aの存在下で、フェ
ノールと一酸化炭素および酸素とをカルボニル化させる
方法でDPCは製造される。
【0070】本願発明の例では、反応槽の気相中の水蒸
気濃度を平衡飽和に近づけるため、分圧一定で混合した
一酸化炭素および酸素の混合ガスに、さらに不活性物質
Aを混合し、当該一酸化炭素、酸素および不活性物質A
の混合物を反応槽に供給してDPCを製造した。
【0071】得られた反応混合溶液は40〜60重量%
のDPC含有混合溶液であった。
【0072】反応の圧力は全圧で0.1〜30MPa、
好ましくは0.1〜15MPa、さらに好ましくは0.
2〜10MPaの範囲であり、反応温度は30〜200
℃、好ましくは50〜150℃の範囲である。反応時間
は反応条件により異なるが通常は数分から数時間であ
る。
【0073】また、本願発明の検討においては、反応槽
内で未反応の一酸化炭素および酸素と反応槽内混合溶液
に未溶解の一酸化炭素および酸素を回収して反応槽で再
利用する方法についても鋭意検討し、高い精度で一酸化
炭素および酸素の濃度を制御する方法を発明した。
【0074】具体的には、たとえは次のようにすること
ができる。
【0075】反応槽からの混合蒸気から、水と共佛状態
にあるフェノールを180〜40℃、好ましくは100
〜40℃の温度範囲で、1MPa以下、好ましくは大気
圧以下の圧力の適切な条件で、フェノールトラップ(芳
香族ヒドロキシ化合物のトラップ)を使用して回収し、
反応槽に循環する。
【0076】次に、フェノールを除去した当該混合蒸気
を、一酸化炭素および酸素分離用のコンデンサーに導入
して、100〜0℃、好ましくは80〜0℃の温度範囲
で、1MPa以下、好ましくは大気圧以下の圧力範囲で
一酸化炭素および酸素を気相側に分離回収して混合ガス
を得る。
【0077】次いで、分離回収した当該混合ガス中の酸
素濃度を酸素濃度計測器により測定し、当該酸素濃度計
測計の出力信号と反応槽内圧力を測定する圧力計の出力
信号とをPLCに入力する。
【0078】当該PLCでは当該酸素濃度計測計の出力
信号と反応槽内圧力を測定する圧力計の出力信号とから
当該混合ガス中の酸素分圧を換算する。
【0079】また、同時に当該酸素分圧から当該混合ガ
ス中の一酸化炭素分圧を換算する。ここでの一酸化炭素
分圧中には、二酸化炭素の分圧も含まれるが、体積比で
一酸化炭素の千分の一以下と非常に微量であり、かつ、
二酸化炭素濃度は反応開始後すぐに飽和するため、ジア
リールカーボネートの製造上、および酸素濃度制御上は
問題がない。なお、二酸化炭素の生成量がこれより多い
とした場合でも、一酸化炭素濃度は爆発に対して安全サ
イドになるため安全上の問題はない。
【0080】次いで、当該一酸化炭素分圧および酸素分
圧を出力信号として、原料ガス供給ラインに設置した一
酸化炭素の質量流量調節計および酸素の質量流量計に入
力してコントロールバルブを制御し、当該混合ガス中に
新たに供給する一酸化炭素および酸素の質量流量を制御
して、反応槽に導入する一酸化炭素および酸素の濃度お
よび反応槽内圧力を一定に保つ。
【0081】この制御方法により、高い精度で反応槽に
導入する一酸化炭素濃度および酸素濃度を一定に保ち、
かつ反応槽内圧力を一定にして反応を行うことが可能で
ある。
【0082】当該製造方法における酸素濃度計測器は、
ガルバニ式計測器であることが好ましく、当該製造方法
における圧力計は、ダイヤフラム式圧力伝送器であるこ
とが好ましい。
【0083】また、当該製造方法における反応槽に導入
するガス中の酸素濃度は、一酸化炭素の爆発範囲外であ
ることが好ましい。たとえば、常圧の場合は一酸化炭素
の爆発範囲外である、CO/O2=0.68(モル比)
以下またはCO/O2=14.3(モル比)以上とする
のが好ましい。
【0084】
【発明の効果】本願発明により、ジアリールカーボネー
トの生成反応を不活性物質Aを混合しない一酸化炭素お
よび酸素の混合ガスを使用する従来の反応方法よりさら
に効率的に進行させることができる。
【0085】また、本願発明の態様によっては、反応槽
中の未反応の一酸化炭素および酸素を無駄なく再利用で
き、かつジアリールカーボネートの生成反応を安定させ
ることができ、さらに製造上の安全も確保することがで
きる。
【0086】
【実施例】以下に実施例を挙げて本願発明を詳述する
が、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】[実施例1]ガス吹き込み管と撹拌翼とを
備えた空容積5Lの反応装置を用いて、当該反応装置に
フェノール2kgと、パラジウムアセテート:Pd(O
Ac)21.8g、マンガン(II)アセテート:Mn
(OAc)22.75g、テトラ−n−ブチルアンモニ
ウムブロマイド50gおよびケイタングスト11モリブ
デン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム塩;(Bu
4N)4SiWMo11406.75gを仕込み反応器中を
一酸化炭素で置換した。
【0088】反応器の温度を80℃に昇温すると同時
に、一酸化炭素で圧力を0.780MPaに上げ、所定
の温度圧力になったところで一酸化炭素の流量を25L
/min(標準状態)及び純酸素の流量を1.7L/m
in(標準状態)にして両ガスを混合し、この混合ガス
にさらに液状のテトラヒドロフランを1.7g/min
で混合して、当該混合ガスとテトラヒドロフランとより
なる液相と気相と混ざった混合物をガス吹き込み管から
反応装置の液相部分に導通させて、反応圧力0.780
MPa、反応温度80℃に保って5時間反応させた。
【0089】反応終了後反応容器中の反応物を取り出し
ガスクロマトグラフィーで分析したところ640g(収
率28.2%)のジフェニルカーボネート(DPC)が
得られた。反応選択率は98.7%であった。
【0090】また、当該反応物中の水分率およびテトラ
ヒドロフラン濃度をそれぞれカールフィッシャー法およ
びガスクロマトグラフィーで分析したところ、水分率は
0.1重量%以下、テトラヒドロフラン0.1重量%以
下であった。
【0091】[比較例1]実施例1と同様の反応装置を
用いて、当該反応装置にフェノール2kgと、パラジウ
ムアセテート:Pd(OAc)21.8g、マンガン
(II)アセテート:Mn(OAc)22.75g、テ
トラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド50g、ケイ
タングスト11モリブデン酸テトラ−n−ブチルアンモ
ニウム塩;(Bu4N)4SiWMo11406.75gお
よびテトラヒドロフラン500gを仕込み反応器中を一
酸化炭素で置換した。
【0092】反応器の温度を80℃に昇温すると同時
に、一酸化炭素で圧力を0.780MPaに上げ、所定
の温度圧力になったところで一酸化炭素の流量を25L
/min(標準状態)及び純酸素の流量を1.7L/m
in(標準状態)にして両ガスを混合し、当該混合ガス
をガス吹き込み管から反応装置の液相部分に導通させ
て、反応圧力0.780MPa、反応温度80℃に保っ
て5時間反応させた。
【0093】反応終了後反応容器中の反応物を取り出し
ガスクロマトグラフィーで分析したところ600g(収
率26.4%)のジフェニルカーボネート(DPC)が
得られた。反応選択率は98.7%であった。
【0094】また、当該反応物中の水分率およびテトラ
ヒドロフラン濃度をそれぞれカールフィッシャー法およ
びガスクロマトグラフィーで分析したところ、水分率は
0.2重量%、テトラヒドロフラン0.1重量%以下で
あった。
【0095】[実施例2]ガス吹き込み管と撹拌翼とを
備えた空容積5Lの反応装置を用いて、当該反応装置に
フェノール2kgと、パラジウムアセテート:Pd(O
Ac)21.8g、マンガン(II)アセテート:Mn
(OAc)22.75g、テトラ−n−ブチルアンモニ
ウムブロマイド50gおよびケイタングスト11モリブ
デン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム塩;(Bu
4N)4SiWMo11406.75gを仕込み反応器中を
一酸化炭素で置換した。
【0096】反応器の温度を80℃に昇温すると同時
に、一酸化炭素で圧力を0.780MPaに上げ、所定
の温度圧力になったところで一酸化炭素の流量を25L
/min(標準状態)及び純酸素の流量を1.4L/m
in(標準状態)にして両ガスを混合し、この混合ガス
にさらに液状のテトラヒドロフランを1.7g/min
で混合して、当該混合ガスとテトラヒドロフランとより
なる液相と気相と混ざった混合物をガス吹き込み管から
反応装置の液相部分に導通させて、反応圧力0.780
MPa、反応温度80℃に保って5時間反応させた。
【0097】ただし、一酸化炭素および酸素の流量は、
反応初期の数分だけ上記流量を保持し、その後は制御系
を利用して以下のように反応装置内で未反応の一酸化炭
素および酸素と反応槽内混合溶液に未溶解の一酸化炭素
および酸素を循環させて反応装置で再利用しながら、一
酸化炭素濃度、酸素濃度および反応装置内圧力を一定に
保持した。一酸化炭素と酸素の濃度比(モル比)の設定
値は、95:5であり、反応装置内圧力の設定値は0.
780MPaである。
【0098】当該循環では、まず、当該反応装置中の混
合蒸気を連続的にフェノールトラップに導入して、当該
トラップで水と共佛状態にあるフェノールを70℃、大
気圧で回収し反応槽に循環した。
【0099】次に、フェノールを除去した当該混合蒸気
を、一酸化炭素および酸素分離用のコンデンサーに導入
して、60℃、大気圧で一酸化炭素および酸素を気相側
に分離回収して混合ガスを得た。
【0100】次いで、分離回収した当該混合ガス中の酸
素濃度をガルバニ電池式酸素濃度計測器により測定し、
当該酸素濃度計測計の出力信号と反応槽内圧力を測定す
る圧力計の出力信号をPLCに入力した。
【0101】当該PLCでは、当該酸素濃度計測計の出
力信号と反応槽内圧力を測定するダイヤフラム式圧力伝
送器の出力信号とから当該混合ガス中の酸素分圧が換算
された。また、同時に当該酸素分圧から当該混合ガス中
の一酸化炭素分圧が換算された。
【0102】次いで、当該換算された一酸化炭素分圧お
よび酸素分圧を出力信号として、原料ガス供給ラインに
設置した一酸化炭素の質量流量調節計および酸素の質量
流量計に入力してコントロールバルブを制御し、当該混
合ガス中に新たに供給する一酸化炭素および酸素の質量
流量を制御して、反応槽に導入する一酸化炭素および酸
素の濃度および反応槽内圧力を一定に保った。
【0103】この制御方法によると、反応時間である5
時間の間、反応装置内圧力の変動は見られず、また、反
応装置に導入する一酸化炭素濃度と酸素濃度の割合(モ
ル比)は、94.5/5.5〜95.3/4.7であっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永嶋 良一 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 善里 瑛信 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 AD11 BA05 BA08 BA11 BA16 BA20 BA23 BA25 BA26 BA34 BA35 BA50 BA75 BC11 BC37 BD20 BD21 BD33 BD52 BE30 BE40 KA60 4H039 CA66 CD10 CD30

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) R−OH ・・・(I) (式中、Rは置換基を有していても良い、炭素数が6〜
    15のアリールより選ばれる)で示される芳香族ヒドロ
    キシ化合物を、一酸化炭素、酸素、および触媒の存在下
    酸化カルボニル化する反応において、生成する水分と共
    に反応混合物から留出することのできる不活性物質
    (A)を共存させ、 生成する水分を不活性物質Aと共に反応混合物から分離
    しつつ、 下記式(II) R−O−CO−O−R ・・・(II) (式中、Rの定義は式(I)と同じ)で示されるジアリ
    ールカーボネートを製造する方法において、 一酸化炭素と酸素と不活性物質Aとの混合物であって液
    相の存在する混合物を、当該カルボニル化のための反応
    槽に供給することを特徴とするジアリールカーボネート
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記混合物が、液状の不活性物質A中に
    一酸化炭素と酸素とがガス状に分散した状態を有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記混合物の反応槽への供給が、反応槽
    内の液相中への供給であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 未反応の一酸化炭素と酸素との混合物を
    回収し、互いに分離することなく循環させて、前記一酸
    化炭素と酸素と不活性物質Aとの混合物の一部として再
    使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記回収した一酸化炭素と酸素との混合
    物中の一酸化炭素および/または酸素濃度に応じて、新
    たに供給する一酸化炭素と酸素との量を定め、前記一酸
    化炭素と酸素と不活性物質Aとの混合物中の各成分の比
    率を所定の範囲に保つことを特徴とする請求項4に記載
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記回収した一酸化炭素と酸素との混合
    物中の一酸化炭素および/または酸素濃度と前記反応槽
    内圧力とを測定し、それらの値から計算によって求めた
    当該反応槽内の一酸化炭素分圧と酸素分圧とを所定の範
    囲内に保つように、当該反応槽に新たに導入する一酸化
    炭素と酸素との流量を制御することを特徴とする請求項
    4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記酸素濃度をガルバニ式計測器で測定
    することを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記反応槽内圧力をダイヤフラム式圧力
    伝送器で測定することを特徴とする請求項6または7に
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記製造方法における反応槽に導入する
    一酸化炭素と酸素と不活性物質Aとの混合物の気相中の
    酸素濃度が、一酸化炭素の爆発範囲外であることを特徴
    とする請求項1〜8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記触媒が、白金族金属および/また
    は白金族化合物ならびにレドックス剤ならびに第4級ホ
    スホニウム塩および/または第4級アンモニウム塩を含
    むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 前記白金族金属または白金族化合物
    が、ルテニウム、プラチナ、またはパラジウムから選ば
    れた金属または金属の化合物の1種または2種以上から
    なることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記レドックス剤が、マンガン、コバ
    ルト、銅、鉛またはセリウムから選ばれた金属の化合物
    の1種または2種以上からなることを特徴とする請求項
    10または11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記第4級ホスホニウム塩または第4
    級アンモニウム塩が、テトラフェニルホスホニウム塩ま
    たはテトラ−n−ブチルアンモニウム塩であることを特
    徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 触媒として、さらにヘテロポリ酸およ
    び/またはその塩を用いることを特徴とする請求項10
    〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記不活性物質Aが、エーテル類より
    選ばれる少なくとも一種以上であることを特徴とする請
    求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記不活性物質Aが、テトラヒドロフ
    ラン、メチル−t−ブチルエーテル、1,2−ジメトキ
    シエタンより選ばれる少なくとも一種以上であることを
    特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記反応槽内圧力が1MPa以下の範
    囲にある請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
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