JP2002338525A - ジアリールカーボネートの製造方法 - Google Patents

ジアリールカーボネートの製造方法

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JP2002338525A
JP2002338525A JP2001144324A JP2001144324A JP2002338525A JP 2002338525 A JP2002338525 A JP 2002338525A JP 2001144324 A JP2001144324 A JP 2001144324A JP 2001144324 A JP2001144324 A JP 2001144324A JP 2002338525 A JP2002338525 A JP 2002338525A
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Shinya Tange
真也 丹下
Kenji Ohashi
賢司 大橋
Ryoichi Nagashima
良一 永嶋
Akinobu Yoshisato
瑛信 善里
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Teijin Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ヒドロキシ化合物を、一酸化炭素、酸
素、および触媒の存在下酸化カルボニル化する反応にお
いて、当該反応を促進させ、各成分の回収を容易に行
う。 【解決手段】 芳香族ヒドロキシ化合物を、一酸化炭
素、酸素、および触媒の存在下酸化カルボニル化する反
応において、生成する水分と共に反応混合物から留出す
ることのできる不活性物質(A)を共存させ、生成する
水分を不活性物質Aと共に反応混合物から分離しつつ、
ジアリールカーボネートを製造する方法であって、反応
混合物からの留出分等について(1)水分を減少させる
1以上の工程と、(2)不活性物質Aを留出分の一つと
して蒸留する1以上の工程とを含む処理を行うジアリー
ルカーボネートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、芳香族ヒドロキ
シ化合物を酸化的にカルボニル化(酸化カルボニル化)
するジアリールカーボネートの製造方法に関する。さら
に詳しくは、芳香族ヒドロキシ化合物を、一酸化炭素、
酸素、触媒、および特定の物質の存在下で酸化的にカル
ボニル化するジアリールカーボネートの製造方法におい
て、当該反応の副成物である水を当該特定の物質の留出
と共に除去するジアリールカーボネートの製造方法に関
しる。
【0002】
【従来の技術】耐熱性、透明性等に優れたエンジニアリ
ングプラスチックスとして、芳香族ポリカーボネートが
幅広く利用されている。この芳香族ポリカーボネートの
製造方法として、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲン
とを反応させる界面重合法と、芳香族ジヒドロキシ化合
物とジアリールカーボネートとを溶融状態で重合させる
溶融エステル交換法とが一般的に知られている。
【0003】しかしながら、前者は環境上問題のある塩
化メチレン等のハロゲン系の溶媒を多量に使用すること
に問題がある。これに対し、後者はこの問題を解決でき
るが、使用するジアリールカーボネートの純度によって
は重合活性の低下や芳香族ポリカーボネートの着色等の
問題が生じる。
【0004】このため、高純度のジアリールカーボネー
トの製造方法に関しては様々な研究がなされている。
【0005】ジアリールカーボネートの製造方法として
は、触媒の存在下で芳香族ヒドロキシ化合物と一酸化炭
素および酸素とをカルボニル化反応させる方法をはじ
め、数々の方法が知られている。
【0006】触媒存在下の反応方法については、特公昭
56−38144号公報のパラジウム触媒の存在下で周
期律表のIIIA,IVA,VA,VIA,IB,II
B,IVB,VB,VIB,VIIBおよびVIIIB
族の金属を含む化合物および塩基を用いてフェノールを
一酸化炭素と反応させる方法が記載されている。
【0007】また、特公昭56−38145号公報には
パラジウム化合物とマンガン錯体またはコバルト錯体、
塩基および乾燥剤を用いる方法が、特開平1−1655
51号公報にはパラジウム化合物、ヨウ素化合物および
ゼオライトを用いる方法が、特開平2−104564号
公報には、パラジウム化合物、マンガン化合物、テトラ
アルキルアンモニウム塩および添加物としてキノン類を
用いる方法が提案されている。
【0008】さらにこれまで、特開平5−58961号
公報、特開平6−9505号公報、特開平6−4102
0号公報、特開平6−172268号公報、特開平6−
172269号公報等に、パラジウム化合物とレドック
ス金属および第4級アンモニウム塩に加えて各種添加物
や、特殊な配位子を用いる方法等が提案されている。
【0009】最近においては、特開平8−89810号
公報にはパラジウム化合物、レドックス剤、アルカリ金
属ハロゲン化物および活性炭を用いる方法が、特開平8
−99935号公報にはパラジウム化合物、鉛化合物お
よびハロゲン化第4級アンモニウム塩および銅化合物を
用いる方法が、特開平8−281108号公報には金属
類Ti,V,Mn,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,L
a,Nb,Mo,Pb,希土類金属類、アクチニド類の
酸化物を含む支持体に担持した白金族金属化合物からな
る触媒を用い、マンガンまたはコバルト塩のごとき共触
媒、第4級アンモニウムまたはホスホニウム塩および塩
基の存在下に反応させる方法が、特開平8−28111
4号公報には公知の支持体を用いて白金族金族化合物お
よび共触媒として作用する金属化合物を担持した支持触
媒を用い、第4級アンモニウムまたはホスホニウム塩お
よび塩基の存在下に反応させる方法が、特開平8−28
3206号公報には白金族金属化合物、マンガンまたは
コバルト塩のごとき共触媒、第4級塩および塩基に加え
て、金属酸化物、炭化物、窒化物、ほう化物などの不均
一助触媒を追加的に用いる方法などが提案されている。
【0010】一方、酸化カルボニル化反応では、通常芳
香族ヒドロキシ化合物自身が溶媒として使われるが、反
応に溶媒を用いる方法もこれまでいくつか提案されてい
る。
【0011】例えば、ジクロルメタン等のハロゲン化物
を用いる(特開昭53−68747号公報)方法は特に
反応温度で固体の芳香族ヒドロキシ化合物を用いる際最
も普通に用いられるが、その他アセトニトリルを用いる
方法(特開平6−41020号公報)、カルボン酸アミ
ドあるいはアルキル尿素類を用いる方法(特開平10−
316627号公報)、あるいは、炭酸ジフェニルおよ
びN−メチルピロリドンを希釈剤として用いる方法(特
開平10−330326号公報)などが提案されてい
る。
【0012】しかしながらいずれの方法においても共通
する課題としては、反応の進行が比較的遅く反応の転化
率が上がらないことがある。そのために反応温度を上げ
たり、反応圧力を上げる他に、反応で生成する水を連続
的に反応系外に取り出す工夫が必要と考えられている。
【0013】しかしながら、反応温度を上げた場合に
は、好ましくない副反応が増大する場合が多く、転化率
は上がっても反応の選択率が下がり、触媒活性も急速に
下がることがあり最適温度が制限される。
【0014】また反応圧力を上げたり酸素の分圧を上げ
ることは、その効果の割に設備の負荷が大きくなり経済
性を損なう場合が見られる。また好ましくない副反応も
引き起こされることがあり、これも特定の範囲に制限さ
れる。
【0015】一方生成する水を連続的に反応系から除く
ことは効果があると考えられており、上述の例でも見ら
れるように反応系内にモレキュラーシーブス等の脱水剤
を共存させる方法がしばしば取られている(特公昭56
−38145号公報、特開平1−165551号公報
等)。
【0016】しかしながら、これら脱水剤のみを用いる
場合には十分な効果を上げるためには反応物に対しかな
り大量の脱水剤を必要とし、その再生循環使用を考える
と操作も煩雑で経済的でない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】そこで、これらの点を
考慮し、本願発明者等は一酸化炭素と酸素とを含むガス
流通下に反応を行って、副成物である水を連続的に流通
ガスおよび若干の未反応物(芳香族ヒドロキシ化合物)
に随伴させて連続的に除くことで反応の進行を助長し、
更に、エーテル類を用いて反応を進行させる方法を採用
した。
【0018】このような方法における課題として、生成
するジアリールカーボネートについて良好な品質のもの
を得ること、良好な転化率、良好な選択率、良好な収率
を得ること、効率よく、経済的に、生成する水を除去
し、溶媒を回収再使用すること、コスト上昇を招かない
こと等がある。
【0019】本願発明のさらに他の目的および利点は、
以下の説明から明らかになろう。
【0020】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、これら
の課題のいくつか、あるいはすべてを解決する方法を見
出した。
【0021】すなわち、本願発明の1態様は、下記式
(I) R−OH ・・・(I) (式中、Rは置換基を有していても良い、炭素数が6〜
15のアリールより選ばれる)で示される芳香族ヒドロ
キシ化合物を、一酸化炭素、酸素、および触媒の存在下
酸化カルボニル化する反応において、生成する水分と共
に反応混合物から留出することのできる不活性物質
(A)を共存させ、生成する水分を不活性物質Aと共に
反応混合物から分離しつつ、下記式(II) R−O−CO−O−R ・・・(II) (式中、Rの定義は式(I)と同じ)で示されるジアリ
ールカーボネートを製造する方法において、反応混合物
から分離されたジアリールカーボネート以外の副成物
(Y)について、(1)水分を減少させる1以上の工程
と、(2)不活性物質Aを留出分の一つとして蒸留する
1以上の工程とを含む不活性物質Aの回収処理を行うこ
とを含むジアリールカーボネートの製造方法、である。
【0022】なお、前記において、「留出分の一つとし
て」とは釜残(缶底留出分)をも含む謂であり、また、
「反応混合物から分離されたジアリールカーボネート以
外の副成物Y」とは、酸化カルボニル化中に生成する水
や不活性物質Aや未反応原料のような各種成分を含む混
合蒸気のみならず、反応の終了した反応混合物からジア
リールカーボネートを分離した後に残る各種の副成物を
も総称するものである。ただし、必ずしも副成物Yのす
べてについて前記(1),(2)の工程を適用すること
を意味するものではない。
【0023】酸化カルボニル化中に生成する水は、反応
混合物から留出する程度の蒸気圧を有する不活性物質A
を反応混合物中に存在させることにより、迅速に反応系
外に取り出せることが示された。
【0024】この不活性物質Aの作用は水との共沸によ
るものであるのが好ましいことも判明した。特に共沸点
が極小値を示す場合には、単独に水を蒸発させるより低
い温度で水を除去できることになるので有利である。
【0025】ただし、実際上共沸性を有しているかどう
か不明の物質を使用してもある程度の効果が得られる所
からすると、別のメカニズムが働いている可能性もあ
る。
【0026】前記において、(1)水分を減少させる1
以上の工程には、単なる蒸留以外のどのような方法を使
用しても良い。とりわけ、抽出、吸着が望ましい方法で
ある。
【0027】不活性物質Aが水と共沸する場合には、特
に前記(1)の工程で水分を、(2)の蒸留工程で採用
される圧力における共沸組成中の水分濃度を下回る濃度
まで下げ、ついで(2)不活性物質Aを留出分の一つと
して蒸留する1以上の工程を採用することによって、原
料である不活性物質Aとして再使用できるものを得るこ
とができる場合がある。
【0028】そして、必要であれば(2)の工程の結果
得られる、(2)の蒸留工程で採用される圧力における
共沸組成中の水分濃度以上の濃度まで水分の上昇した液
(これも前記副成物Yである)を再度前記(1)と
(2)との工程で処理することもできる。
【0029】また、不活性物質Aが水と共沸しないよう
に見える場合でも、前記(1)と(2)との工程を組み
合わせることが有用であることが示された。この場合
は、共沸組成における水分濃度を参照して(1)と
(2)との工程を組み合わせることはできないが、この
両者の工程の組合わせについて試行錯誤試験を行うこと
により、最適条件を定めることは可能である。なお、以
下に説明する発明の実施の形態や実施例の中で、本発明
の更なる特徴が明らかにされる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に本願発明を詳しく説明す
る。なお、以下の説明は本願発明を例示するものであ
り、本願発明の範囲を制限するものではない。本願発明
の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本願発明の範疇
に属し得ることは言うまでもない。
【0031】式(I)、(II)中のRの芳香族環に導
入可能な置換基は、それぞれ例えば−CH3、−C25
等の炭素数1〜9のアルキル基、またはハロゲン等であ
り、1置換、または2置換とすることができる。
【0032】式中のRは、好ましくは置換または非置換
のフェニルである。さらに好ましくは非置換アリールで
あり、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル
が例示される。特に好ましくはフェニルである。
【0033】本反応に用いることのできる芳香族ヒドロ
キシ化合物としては、芳香族モノヒドロキシ化合物また
は、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、
トリメチルフェノール、テトラメチルフェノール、エチ
ルフェノール、プロピルフェノール、メトキシフェノー
ル、エトキシフェノール、クロロフェノール、ブロモフ
ェノールなどの非置換・置換フェノール類およびそれら
の異性体;ナフトール、メチルナフトール、クロロナフ
トール、ブロモナフトールなどの非置換・置換ナフトー
ルおよびそれらの異性体が特に好ましい。
【0034】生成するジアリールカーボネートとして
は、前記の芳香族ヒドロキシ化合物に応じて、たとえ
ば、ジフェニルカーボネート、2,2'-ジメチルジフェ
ニルカーボネート、4,4'-ジメチルジフェニルカーボ
ネート、4,4'-ジプロピルフェニルカーボネート、
4,4'-ジクロロジフェニルカーボネート、1-ナフト
ールからの1,1'ジナフチルカーボネート等の、上記
の前記の芳香族ヒドロキシ化合物の炭酸エステルを挙げ
ることができる。本願発明は特にジフェニルカーボネー
トを生成する場合に適している。
【0035】本願発明において用いられるガス成分の一
酸化炭素および酸素は、窒素、アルゴン、二酸化炭素
等、反応に悪影響を及ぼさない他のガスで希釈された状
態で用いることができ、特に酸素としては空気をいるこ
ともできる。
【0036】また本願発明で用いられる触媒は、白金族
金属および/または白金族金属化合物を主触媒とし、レ
ドックス共触媒および第4級ホスホニウム塩および/ま
たは第4級アンモニウム塩からなる共触媒を含む触媒系
が好ましい。本触媒系にはさらに無機、または有機の促
進剤を共存させても良い。
【0037】白金族金属としては、ルテニウム、ロジウ
ム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、プラチナが
ある。好ましくはルテニウム、パラジウム、プラチナで
あり、さらに好ましくはパラジウムである。
【0038】白金族触媒は、前記の白金族金属の化合物
であり、パラジウムの場合を例示すれば、パラジウム金
属、または0価および2価のパラジウム化合物の形で用
いられる。
【0039】例えば、酢酸パラジウム等の有機カルボン
酸塩、塩化パラジウム、臭化パラジウム等のハロゲン
塩、硝酸パラジウム等の無機酸の塩、パラジウムアセチ
ルアセトナート等の錯塩、酸化物あるいは水酸化物、ま
たは例えば一酸化炭素オレフィン、アミン、ホスフィン
あるいはハロゲンを含む錯化合物の形で使用することが
できる。
【0040】レドックス共触媒は、マンガン、コバル
ト、銅、セリウム、鉛、錫の化合物から選ばれた少なく
とも一種以上、好ましくは2種以上で、それらはそれぞ
れ酸化物、水酸化物、アセチルアセトナート塩,酢酸
塩,塩化物,臭化物等の形で用いられる。
【0041】好ましい2種以上の金属の化合物の組み合
わせは、例えばマンガン化合物と鉛化合物、コバルト化
合物と鉛化合物、セリウム化合物と鉛化合物、セリウム
化合物、錫化合物と銅化合物、マンガン化合物、セリウ
ム化合物、錫化合物と銅化合物等である。
【0042】第4級ホスホニウム塩と第4級アンモニウ
ム塩とは、下記式(III) R1234PX ・・・(III) (式中、R1〜R4は炭素数が1〜8のアルキル、あるい
は炭素数が6〜12のアリールで、同一もしくは異なっ
ていても良い。Xはアニオンであり、水酸基、アルコキ
シ基、フェノキシ基、クロライド、ブロマイド、イオダ
イドなどのハロゲンがよく用いられる。)および下記式
(IV) R1234NX ・・・(IV) (式中、R1〜R4およびXの定義は式(VI)と同じ)
でそれぞれ示される。
【0043】これらの中で、テトラブチルアンモニウム
ブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド等の
テトラ−n−ブチルアンモニウム塩およびテトラフェニ
ルホスホリルクロライド等のテトラフェニルホスホニウ
ム塩が好ましい。特に好ましくはテトラブチルアンモニ
ウムブロマイドである。
【0044】反応に用いられる第4級アンモニウム塩と
第4級ホスホニウム塩との量は白金族金属および/また
は白金族金属化合物の1モルに対し、モル比で0.1〜
1000の範囲が好ましく、1〜100の範囲であるこ
とが特に好ましい。
【0045】本願発明においては、前記の触媒系の存在
下に目的のジアリールカーボネートを得ることができる
が、反応促進効果を示す共触媒として、さらに、ヘテロ
ポリ酸やそのプロトンをカチオンで置き換えたものを挙
げることができる。
【0046】ヘテロポリ酸は2種以上の酸素酸(オキソ
酸)が脱水縮合したポリ酸で、負電荷を持った酸化物分
子クラスター(ポリアニオン)とプロトンとからなる。
【0047】ヘテロポリ酸としては、種々の組成・構造
をもったものが知られており、いずれも用いることが可
能であるが、それらの内、ケギン型と呼ばれる構造を有
し、そのアニオン部分の構造式は次の一般式 XM1240 ・・・(V) で示されるものが好ましい。式中、XはP、Si元素の
他、As,Ge,B等の元素を示し、MはMoまたはW
であるが、V、Mn、Co、Cu、Fe、Zn等の原子
で置換することができる。
【0048】そしてこのアニオンに対し、プロトンを有
するものはヘテロポリ酸と言われるが、本願発明におい
てはそのプロトンを他のカチオンで置き換えたものも有
効である。
【0049】当該カチオンとしてはLi、Na、K、R
b、Cs等のアルカリ金属のイオンの他、Ca、Mg等
のアルカリ土類金属のイオン、Cu、Zn、Al等の金
属イオン、Fe、Co,Ni、Mn、Cr等の遷移金属
イオンや、Ce、La等の希土類金属イオン等による塩
の形で用いても良く、さらに、アンモニウム塩や有機ア
ンモニウム塩、あるいは有機ホスホニウム塩等の有機溶
媒にも可溶な塩を用いても良い。
【0050】ケギン構造を有するこれらのヘテロポリ酸
あるいはその塩類の中で、特に好ましいのは、ケギン構
造のヘテロポリ酸としてアニオン部が次の構造式(V
I) X(Mo)n(W)m(V)p40・・・・(VI) (式中、XはPまたはSi元素であり、n、m、pは0
〜12の数値であり、n+m+p=12なる関係にあ
る)で示されるヘテロポリ酸、あるいはその塩類であ
る。
【0051】その具体的な例としては、リンタングスト
モリブデン酸;PMo21040、PMo4840、P
Mo6640、PMo8440、PMo10240等、
リンヴァナドモリブデン酸類;PMo11140、PM
10240、PMo9340、PMo4840、PM
21040等、リンヴァナドタングステン酸;PW9
340、PW10240、PW11140等、ケイモリブ
ドタングステン酸;SiMo3940、SiMo66
40、SiMo8440等、ケイヴァナドタングステン
酸;SiW11140、SiW10240、SiW93
40、SiW8440、SiW6640、SiW8440
等、ケイモリブドタングステン酸;SiMo 11
140、SiMo10240、SiMo9340、SiM
8440、SiMo6640,SiMo8440等が
挙げられる。
【0052】これらのヘテロポリ酸は単独で用いても良
く、2種以上の混合した形で用いても良い。また上述し
たように種々のカチオンの塩あるいはそれらの混合物の
形でも用いることができる。
【0053】本願発明に係る不活性物質Aは、他の成分
を溶解し均一に含む意味での通常の溶媒の働きを持つ点
で従来の溶媒と共通する概念であるか、その他に、前記
のような水を同伴除去する作用や、一酸化炭素、酸素等
のガスを溶かし込んで反応を促進するといった役割も有
する場合があると考えらる。
【0054】不活性物質Aとしては、本願発明に係る各
種物質に対し実質的に反応性を有しない不活性な物質で
あり、酸化カルボニル化の際に、その一部であっても、
水と共に系外に留出しうる性質を有する物質であればど
のようなものでも良いが、水と共沸性を有するものであ
る方が酸化カルボニル化を促進する上でより望ましい。
【0055】その存在量は、反応に供する芳香族ヒドロ
キシ化合物の1容量に対して容量比で10〜0.01で
良い。場合によっては5〜0.02の範囲が好ましい。
【0056】なお、不活性物質Aは、原料の芳香族ヒド
ロキシ化合物と共に液状で混合して反応槽に供給しても
良い。また、部分的に気化した状態でガス状の原料と共
に反応槽に供給しても良い。
【0057】酸化カルボニル化をバッチで行い、不活性
物質Aを反応に先立って反応系に投入しておく場合は、
反応混合物中の不活性物質Aの濃度は反応が進むと共に
次第に小さくなる。そして、反応の最後には、その濃度
をできるだけ下げておけば、その後の製品化の工程の負
担を下げることができる。
【0058】また、反応途中で不活性物質Aの濃度を上
げたい場合には、反応途中で不活性物質Aを追加添加す
ることも可能である。
【0059】なお、不活性物質Aは全行程に同一の物質
を1種類使用する場合の他、複数の物質を使用する場
合、複数の物質を時間的に分けて添加する等の場合も考
えられるが、これらも本願発明の範疇に属する。適する
条件を見つけるには試行錯誤試験を行えば良い。
【0060】一方、連続的に酸化カルボニル化を行う場
合には、その反応の各ステージ毎に、不活性物質Aの濃
度として適当なものを選択することも、適当な物質を選
択することも、反応途中で追加添加することも比較的容
易に選択することができる。たとえば、反応の途中のス
テージにおいて、大量の不活性物質Aを反応混合物の液
相中に投入し、水分の留出を促進させ、その後のステー
ジでは、系の圧力を下げ急速に不活性物質Aを留去する
等の各種の方法が考えられる。
【0061】不活性物質Aとしてはエーテル類が好まし
いことが判明した。エーテル類としては、分子内に1個
またはそれ以上のエーテル結合を有する環状脂肪族の化
合物が挙げられる。
【0062】特に大気圧下での沸点が30℃〜170℃
であるものが好ましいことが判明した。
【0063】沸点が30℃未満の低沸点のエーテルで
は、反応条件下で反応混合物相に留まり難く、効果が発
揮されにくい場合があり、また、170℃を超える高沸
点のエーテルでは、水の随伴除去効果が小さく、加水分
解の問題からも好ましくない。
【0064】このようなエーテル系物質の中でも特に好
ましいものは、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチ
ルエーテル、1,2−ジメトキシエタンより選ばれる少
なくとも一種の物質である。
【0065】反応系中におけるエーテル類の存在量は、
反応物の芳香族ヒドロキシ化合物の1容量に対して容量
比で10〜0.01、好ましくは5〜0.02の範囲で
ある。
【0066】エーテル類は、原料の芳香族ヒドロキシ化
合物と共に液状で混合して反応槽に供給しても良い。ま
た、部分的に気化した状態でガス状の原料と共に反応槽
に供給しても良い。
【0067】以上に示すように触媒および不活性物質A
を選定し、芳香族ヒドロキシ化合物を、一酸化炭素、酸
素、当該触媒、および当該不活性物質Aの存在下で酸化
的にカルボニル化してジアリールカーボネートを得る。
【0068】その際、当該反応では生成するジアリール
カーボネートと等モル量の水が生成する。この反応生成
水は、既述したジアリールカーボネートの加水分解を引
き起こすため、不活性物質Aと共に気相へ随伴除去され
るが、この不活性物質Aを混合蒸気から高収量で分離回
収しなければ経済的に不利である。また、同様に反応槽
内の混合物中に残存した不活性物質Aについても回収す
る必要がある。すなわち、上述した副成物Yから不活性
物質Aを回収する必要がある。
【0069】本願発明では、この不活性物質Aの分離回
収のために、まず水の除去操作を行い、次に蒸留操作を
行うことが多い。蒸留操作によってたとえば、水と不活
性物質Aとの共沸分が留出し、不活性物質Aが蒸留残分
と残る。これらの操作によって、効果的に純度の高い不
活性物質Aの回収を行うことができる。
【0070】蒸留で回収できなかった留出側の不活性物
質Aについては、再度水の除去操作工程に導入すること
で、不活性物質Aの収率を高くすることができる。
【0071】また、当該製造方法では混合蒸気および反
応混合物に含まれる芳香族ヒドロキシ化合物、一酸化炭
素および酸素も、前記の不活性物質Aの回収工程に適宜
それらの物質の回収工程を組み入れることにより、損失
することがなく反応に使用することができる。
【0072】たとえは芳香族ヒドロキシ化合物は、フェ
ノールトラップ(芳香族ヒドロキシ化合物のトラップ)
により前記の蒸留前に分離したり、前記の蒸留の1留分
として取り出すことができる。あるいは、不活性物質A
との混合物として再使用することもできる。
【0073】また、一酸化炭素と酸素とは適宜気相分か
ら、一酸化炭素と酸素との混合物として取り出すことが
できる。
【0074】上述の水の除去操作では、混合蒸気の凝縮
物等の副成物Y中の水は、たとえば、(2)の蒸留工程
で採用される圧力における共沸組成中の水分濃度を下回
る濃度まで除去されるのが好ましい。温度は0〜100
℃、好ましくは0〜80℃で、抽出または吸着によって
水分を減少させるのが好ましい。また、操作圧力は操作
条件の緩和のため、1MPa以下、好ましくは大気圧以
下である。
【0075】次いで当該水の除去操作を施した後に得ら
れる副成物Yを蒸留塔に導入して蒸留操作を行い、高純
度で不活性物質Aを回収する。
【0076】蒸留温度は0〜100℃、好ましくは0〜
80℃、蒸留圧力は1MPa以下、好ましくは大気圧以
下の圧力である。蒸留の操作圧力は、反応槽内圧力より
高い圧力値を選定して当該操作を行うと、蒸留温度が高
くなり経済的に好ましくないため、操作圧力は反応圧力
(およそ1MPa付近の値が採用されることが多い)以
下とすることが好ましい。また更なる温度条件の緩和と
蒸留の不活性物質A分離能力を考えると、大気圧以下と
することが特に好ましい。
【0077】以上の不活性物質Aの回収循環操作を用い
ると、効率的に不活性物質Aを回収することができ、さ
らに、回収された不活性物質Aの純度が高いため、回収
したものを直接反応に使用しても反応槽におけるジアリ
ールカーボネートの生成促進効果を高い状態で保持する
ことが可能である。
【0078】また、原料である芳香族ヒドロキシ化合
物、一酸化炭素、酸素を反応槽中の混合ガス中から損失
することなく、ジアリールカーボネートの製造に使うこ
とができる。さらに、本製造方法は、ジアリールカーボ
ネートの製造で生成する水以外の副成物の影響も受ける
ことなく目的の不活性物質Aの回収循環を行うことが可
能である。
【0079】次に本願発明に係る方法でジフェニルカー
ボネート(以下、DPCと称す)を製造する方法をモデ
ル的に示すと次のようになる。なお、以下の記載では、
ジアリールカーボネートとしてDPCを、芳香族ヒドロ
キシ化合物としてフェノールを選定するが、本願発明は
これらに限定されるものではない。また、下記におい
て、混合蒸気B、混合蒸気Cおよび、これらを漸次処理
した凝縮物等の成分は前記の副成物Yに当該当する。
【0080】前記のごときフェノール等の芳香族ヒドロ
キシ化合物に一酸化炭素および酸素を反応させてジフェ
ニールカーボネート等の芳香族カーボネートを得る反応
自体は公知である。
【0081】得られた反応混合物は、たとえば10〜5
0重量%のDPC含有混合物である。気相中には、不活
性物質Aと水とを含む混合蒸気(B)が生じる。当該混
合蒸気Bは、次いでフェノールトラップに導入され、水
と共沸状態にあるフェノールが180〜40℃、好まし
くは100〜40℃の温度範囲で、1MPa以下、好ま
しくは大気圧以下の圧力の適切な条件で回収され反応槽
に循環される。
【0082】次に、フェノールを除去した当該混合蒸気
Bは、一酸化炭素および酸素分離用のコンデンサーに導
入され、100〜0℃、好ましくは80〜0℃の温度範
囲で、1MPa以下、好ましくは大気圧以下の圧力範囲
で一酸化炭素および酸素を気相側に分離回収して反応槽
に循環する。
【0083】また、当該反応混合物中に残存した不活性
物質A、水およびフェノールは、フラッシュ分離によっ
て混合蒸気(C)として、DPCと触媒とを分離し、前
記混合蒸気と合わせられ、前記と同じフェノール除去工
程、一酸化炭素および酸素除去工程に導入される。
【0084】次いで、一酸化炭素と酸素とを除去した混
合蒸気B,Cの凝縮物は、水の除去工程に導入され、た
とえば、(2)の蒸留工程で採用される圧力における共
沸組成中の水分濃度を下回る濃度まで水が除去される。
水を除去するための塔の内温度は、100〜0℃、好ま
しくは80〜0℃の温度範囲で、1MPa以下、好まし
くは大気圧以下の圧力である。
【0085】ここで用いる水の除去装置は、たとえば撹
拌機付向流式抽出塔または吸着剤を投入した撹拌機付タ
ンクであるが、これらに限定されるものではない。
【0086】次いで、水の除去操作を終えた当該混合蒸
気は蒸留塔に導入され、たとえば、水と不活性物質Aと
の共沸分が留出し、不活性物質Aが蒸留残差(釜残)と
して残る。すなわち、不活性物質Aと、不活性物質Aと
水との共沸物とに分離される。当該不活性物質Aは反応
槽で再利用される。また、不活性物質Aと水の共沸物
は、前記の水の除去装置に再度戻される。蒸留温度は、
100〜0℃、好ましくは80〜0℃の温度範囲で、1
MPa以下、好ましくは大気圧以下の圧力である。
【0087】なお、前記の説明は、主に不活性物質Aが
水と共沸することを前提にしてなされているが、本願発
明は、そのような場合に限定されず、実際上共沸性を有
しているかどうか不明の物質を使用してもよいことはす
でに述べたとおりである。
【0088】以上の不活性物質Aの回収循環操作を用い
ると、効率的に不活性物質Aを回収することができ、さ
らに、回収された不活性物質Aの純度が高いため、回収
したものを直接反応に使用しても反応槽におけるジアリ
ールカーボネートの生成促進効果を高い状態で保つこと
が可能である。
【0089】また、原料である芳香族ヒドロキシ化合
物、一酸化炭素、酸素を反応槽中の混合蒸気中から損失
することなく、ジアリールカーボネートの製造に使うこ
とができる。反応混合物中に残存した芳香族ヒドロキシ
化合物、一酸化炭素、酸素についても高効率で回収する
ことが可能である。さらに、本製造方法は、ジアリール
カーボネートの製造で生成するその他の副成物の影響を
受けることなく目的の不活性物質Aの回収循環を行うこ
とが可能である。
【0090】
【発明の効果】本願発明の各態様に応じて、下記の種々
の効果のいずれかを実現することができる。
【0091】(a)原料および副成物の影響を受けるこ
となく、高い不活性物質Aの回収率を得ることができ
る。
【0092】(b)ジアリールカーボネートの転化率、
選択率、収率のいずれかを向上できる。
【0093】(c)回収された不活性物質Aの純度が高
いため、直ちに 酸化カルボニル化反応に再使用でき
る。
【0094】(d)水の除去が容易である。
【0095】(e)原料として再使用できる芳香族ヒド
ロキシ化合物、一酸化炭素、酸素等の回収率が高い。
【0096】(f)生成ジアリールカーボネートの品質
が優れている。
【0097】(g)製造コストを低減できる。
【0098】
【実施例】以下に実施例を挙げて本説明を詳述するが、
本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0099】[実施例1] (テトラヒドロフランを不活性物質Aとして用いたジフ
ェニルカーボネートの製造)ガス吹き込み管と撹拌翼と
を備えた空容積5Lの反応装置を用いて、フェノール2
kgおよびテトラヒドロフラン500gと、パラジウム
アセテート(Pd(OAc)2)1.8g、マンガン
(II)アセテート(Mn(OAc)2)2.75g、
テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド50gおよ
びケイタングスト11モリブデン酸テトラ−n−ブチル
アンモニウム塩((Bu4N)4SiWMo 1140)6.
75gを仕込み反応器中を一酸化炭素で置換した。
【0100】反応はバッチ方式を採用した。
【0101】反応器の温度を80℃に昇温すると同時
に、一酸化炭素で圧力を0.780MPaに上げ、所定
の温度圧力になったところで一酸化炭素の流量を25L
/min(標準状態)および純酸素の流量を1.7L/
min(標準状態)を流通させ反応圧力0.780MP
a、反応温度80℃に保って5時間反応させた。
【0102】反応終了後反応容器中の反応物を取り出し
ガスクロマトグラフィーで分析したところ600g(収
率26.4%)の良好な品質のDPCが得られた。反応
選択率は98.7%であった。
【0103】また、当該反応物中の水分率およびテトラ
ヒドロフラン濃度をそれぞれカールフィッシャー法およ
びガスクロマトグラフィーで分析したところ、水分率は
0.2重量%、テトラヒドロフラン0.1重量%以下で
あった。
【0104】DPC生成量から、反応の副成物である水
の量を計算すると、理論上50.4gの水が生成されて
いることになるが、以上の測定結果より、ほとんど全て
の水(約46g)とテトラヒドロフランが随伴および共
沸により反応槽混合物より除去されていたものと考えら
れる。
【0105】こうして得られた反応槽内の混合蒸気は、
連続的に空容積5Lのステンレス製フェノールトラップ
に導入した。導入時の操作温度は70.0℃、圧力は
0.100MPaとした。当該トラップの缶出物である
フェノールは反応槽に戻した。
【0106】フェノールトラップを通過した当該混合蒸
気は、一酸化炭素および酸素用のコンデンサーに導入
し、40℃、0.100MPaで一酸化炭素および酸素
を気相側に分離回収して反応に再使用し、テトラヒドロ
フランおよび水を主成分とする混合凝縮物を得た。
【0107】当該混合凝縮物中の水分は4重量%、ヒド
ロフランの濃度は96重量%であった。
【0108】次いで、当該混合凝縮物を60mL/mi
nで撹拌機付抽出塔に導入した。
【0109】抽出塔では、水酸化ナトリウム溶液(濃度
50重量%)を抽出塔塔頂から塔底に向かって10.5
mL/minで流し、同時に当該混合凝縮物を塔底から
塔頂に向かって流し向流接触させた。当該抽出操作によ
り、当該混合凝縮物中の水濃度は、(2)の蒸留工程で
採用される圧力(0.100MPa)における共沸組成
中の水分濃度を下回る0.4重量%まで減少した。抽出
塔内温度は40℃、圧力は、0.100MPaであっ
た。
【0110】当該抽出操作後の混合凝縮物は、理論段数
15段のバッチ式蒸留塔の9段目に導入し、テトラヒド
ロフランを缶底より回収して、反応に再使用した。ま
た、塔頂からの蒸気は一部還流液として蒸留塔に戻すほ
かは、抽出塔で適宜再抽出した。
【0111】蒸留温度は、塔頂温度64℃で、塔底温度
66℃、塔内圧力0.100MPaであった。蒸留後の
釜残液(缶出液)は、水が30ppm以下であり、テト
ラヒドロフラン濃度は99.99重量%以上であった。
【0112】また、水酸化ナトリウム溶液を用いた水の
抽出工程での抽出液中のテトラヒドロフラン濃度は検出
限界の1ppm以下であり、テトラヒドロフランの回収
工程系外へのロスはなかった。
【0113】また、上記で得た、テトラヒドロフラン、
フェノール、一酸化炭素、酸素は、回収再使用したが、
水分の分離機能、テトラヒドロフラン、フェノール、一
酸化炭素、酸素の回収率や品質に影響は認められなかっ
た。
【0114】[実施例2]抽出塔の代わりに撹拌翼付ス
テンレス製タンクを用いて、モレキュラーシーブス(3
Å)450gを添加して混合蒸気の液化物中の水を脱水
した。抽出タンク内温度は40℃、圧力は0.100M
Paであった。その他は実施例1と同様の原料仕込み
量、反応条件で実験を行った。当該吸着操作により、当
該混合凝縮物中の水濃度は、(2)の蒸留工程で採用さ
れる圧力(0.100MPa)における共沸組成中の水
分濃度を下回る0.5重量%まで減少した。
【0115】このとき得られた水の除去操作後のテトラ
ヒドロフランは、濃度99.5重量%であった。その
後、当該混合凝縮物に対し実施例1と同様の蒸留操作を
行い、99.99重量%以上の濃度のテトラヒドロフラ
ンを得た。
【0116】[比較例1]不活性物質Aに当該当するテ
トラヒドロフランを使用しなかった以外は実施例1と同
様にして、反応を行った。
【0117】反応終了後反応容器中の反応物を取り出し
ガスクロマトグラフィーで分析したところ400g(収
率17.9%)のDPCが得られた。反応選択率は9
8.2%であった。また、当該反応物中の水分率をカー
ルフィッシャー法で分析したところ、0.9重量%であ
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永嶋 良一 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 善里 瑛信 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 AD11 AD12 AD16 AD17 BA05 BA08 BA11 BA16 BA20 BA23 BA25 BA26 BA34 BA35 BA50 BA75 BA83 BB31 BD20 BD36 BD52 BE10 BE30 BE40 BJ50 KA60 4H039 CA66 CD10 CD30

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) R−OH ・・・(I) (式中、Rは置換基を有していても良い、炭素数が6〜
    15のアリールより選ばれる)で示される芳香族ヒドロ
    キシ化合物を、一酸化炭素、酸素、および触媒の存在下
    酸化カルボニル化する反応において、生成する水分と共
    に反応混合物から留出することのできる不活性物質
    (A)を共存させ、 生成する水分を不活性物質Aと共に反応混合物から分離
    しつつ、 下記式(II) R−O−CO−O−R ・・・(II) (式中、Rの定義は式(I)と同じ)で示されるジアリ
    ールカーボネートを製造する方法において、 反応混合物から分離されたジアリールカーボネート以外
    の副成物(Y)について、 (1)水分を減少させる1以上の工程と、 (2)不活性物質Aを留出分の一つとして蒸留する1以
    上の工程とを含む不活性物質Aの回収処理を行うことを
    含むジアリールカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記(1)の工程が、抽出および/また
    は吸着を利用したものであることを特徴とする請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記不活性物質Aが水と共沸現象を示す
    ものであることを特徴とする請求項1または2に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で
    回収された不活性物質Aを前記カルボニル化のための不
    活性物質Aの一部として再使用するジアリールカーボネ
    ートの製造方法。
  5. 【請求項5】 不活性物質Aがエーテル系有機物質であ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 不活性物質Aがテトラヒドロフランであ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 前記抽出に用いる抽出液が水酸化ナトリ
    ウムと水とを含むものであることを特徴とする請求項2
    〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記吸着に用いる吸着剤がモレキュラー
    シーブスであることを特徴とする請求項2〜7のいずれ
    かに記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記カルボニル化に用いる触媒が、白金
    族金属および/または白金族化合物ならびにレドックス
    剤ならびに第4級ホスホニウム塩および/または第4級
    アンモニウム塩を含むことを特徴とする請求項1〜8の
    いずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記白金族金属および/または白金族
    化合物が、ルテニウム、プラチナ、またはパラジウムか
    ら選ばれた金属または金属の化合物の1種または2種以
    上からなることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記カルボニル化に用いるレドックス
    剤が、マンガン、コバルト、銅、鉛またはセリウムから
    選ばれた金属の化合物の1種または2種以上からなるこ
    とを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記カルボニル化に用いる第4級ホス
    ホニウム塩および/または第4級アンモニウム塩が、テ
    トラフェニルホスホニウム塩またはテトラ−n−ブチル
    アンモニウム塩であることを特徴とする請求項9〜11
    のいずれかに記載の方法。
  13. 【請求項13】 触媒として、さらにヘテロポリ酸およ
    び/またはその塩を用いることを特徴とする請求項1〜
    12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 下記式(I) R−OH ・・・(I) (式中、Rは置換基を有していても良い、炭素数が6〜
    15のアリールより選ばれる)で示される芳香族ヒドロ
    キシ化合物を、一酸化炭素、酸素、および触媒の存在下
    酸化カルボニル化する反応において、生成する水分と共
    に反応混合物から留出することのできる不活性物質
    (A)を共存させ、 生成する水分を不活性物質Aと共に反応混合物から分離
    しつつ、 下記式(II) R−O−CO−O−R ・・・(II) (式中、Rの定義は式(I)と同じ)で示されるジアリ
    ールカーボネートを製造する方法において、 当該不活性物質Aが水との組合わせで極小値となる共沸
    点を有するものであるジアリールカーボネートの製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103204777A (zh) * 2012-01-13 2013-07-17 中国石油化工股份有限公司 一种催化酯交换的方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103204777A (zh) * 2012-01-13 2013-07-17 中国石油化工股份有限公司 一种催化酯交换的方法

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