JP2002336123A - 電子レンジ用蒸し容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容器本体、載台および蓋体を形成する物質の
みによってマイクロ波加熱と水蒸気加熱が調整され、短
時間でしっとりとした調理物の仕上がりが得られる電子
レンジ用蒸し器を提供する。 【解決手段】 底部２ａに水を浸すことのできる容器本
体２と、この容器本体２上に載置されて容器本体に水を
浸したときに水面から離れた位置に調理物５が載せられ
る載台３と、容器本体２上に載置されて載台３および調
理物５を囲む蓋体４とを備える電子レンジ用蒸し容器１
であって、容器本体２は、誘電体損失係数が０．１以上
１未満である物質から形成され、載台３は、マイクロ波
透過性のある物質から形成され、蓋体４は、マイクロ波
非透過性のある物質から形成されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子レンジ内に収
容されて調理物に蒸し調理を行なうための電子レンジ用
蒸し容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、一般に、電子レンジによる蒸し調
理は、マイクロ波透過性を有する樹脂製の電子レンジ用
蒸し器を利用して、容器本体の底部に水を浸してこの水
面上にすのこ等を敷きこの上に調理物をおいてマイクロ
波加熱することによって水蒸気を発生させて行なってい
た。この場合、マイクロ波によって調理物が直接加熱さ
れてしまうため、調理物からの水分蒸発が多く調理物の
仕上がりが乾燥ぎみになってしまってしっとりとした仕
上がりを得ることができていない。

【０００３】また、ガス火蒸し器による調理では、調理
物は水蒸気のみによって加熱されるため、調理物の仕上
がりをしっとりとさせることができるものの、調理物の
内部温度を上げるために長時間かかってしまっている。

【０００４】そこで、調理物の仕上がりをしっとりとさ
せるとともに、調理時間を短縮することのできる電子レ
ンジ用蒸し器が望まれている。

【０００５】そこで、本願出願人は、特開平６−３０８
４８号公報では、非金属製の容器本体と、この容器本体
の上部開口を閉成する蓋（蓋体）と、容器本体内に設置
される調理物を載置するための調理物載置台とから構成
され、容器本体の調理物載置台より上方の内面および蓋
の内面にマイクロ波を減衰させるマイクロ波源衰体であ
る金属板を設けたものを開示する。これによれば、マイ
クロ波による直接加熱で調理物の温度が急激に上昇する
ことがなく緩やかに上昇するので、蒸気により調理物を
充分に蒸すことができ、調理終了後短い時間で調理物が
硬くなるということはなく、良好な仕上がり状態を得る
ことができる。

【０００６】また、特開平６−２１７８８０号公報で
は、底部に水をたくわえるマイクロ波透過性の容器本体
と、この容器本体に底面を浮かせた状態で内嵌合され底
面に蒸気通孔を有し調理物を収納するマイクロ波非透過
性の内容器と、この内容器を閉じるマイクロ波非透過性
の蓋体と、内容器に着脱自在に載置され調理物を載置す
る蒸し台（載台）から構成され、内容器の底板部におけ
る蒸気通孔の形状をマイクロ波をも通過させる形状にな
すとともに、内容器の底板部に重ね合わせかつその底板
部に沿って摺動して変位するマイクロ波調節板を設けた
ものを開示する。これによれば、単一の電子レンジ用蒸
し器でありながら、蒸し加熱のみの調理と、蒸し加
熱プラスマイクロ波加熱の調理とを自由に選択すること
ができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の電子レンジ用蒸し器では、前者では、マイ
クロ波源衰体である金属板に、後者では内容器に、それ
ぞれ設けられる孔の大小によってマイクロ波の透過率を
変えなければならない。

【０００８】本発明は、このような状況を鑑みてなされ
たもので、容器本体、載台および蓋体が形成される物質
のみによってマイクロ波加熱と水蒸気加熱が調整され、
短時間でしっとりとした調理物の仕上がりが得られる電
子レンジ用蒸し器を提供することを課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明に係る電子レンジ用蒸し器は、次のような手
段を採用する。

【００１０】本発明の要旨は、底部に水を浸すことので
きる容器本体と、この容器本体上に載置されて容器本体
に水が浸されたとき水面から離れた位置に調理物が載せ
られる載台と、容器本体上に載置されて載台および調理
物を囲む蓋体とを備える電子レンジ用蒸し容器であっ
て、容器本体は、誘電体損失係数が０．１以上１未満で
ある物質から形成され、載台は、マイクロ波透過性のあ
る物質から形成され、蓋体は、マイクロ波非透過性のあ
る物質から形成されていることを特徴とする電子レンジ
用蒸し容器に関する。

【００１１】本発明によれば、本発明に係る電子レンジ
用蒸し器の容器本体の底部に水を浸し、載台を容器本体
上に載置して載台に水面から離して調理物を載せ、蓋体
を載台および調理物を囲むように容器本体上に載置し、
そして電子レンジの加熱室に電子レンジ用蒸し器を収容
してマイクロ波加熱を実行する。これによって、マイク
ロ波が減衰して容器本体を透過して、水を加熱して水蒸
気を発生させ調理物を水蒸気加熱させるとともに、調理
物が直接マイクロ波加熱されて、短時間でしっとりとし
た調理物の仕上がりが得られる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電子レンジ用
蒸し容器の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１
〜図４は、本発明に係る電子レンジ用蒸し容器の実施の
形態を説明するためのものである。

【００１３】図１は、本発明に係る電子レンジ用蒸し容
器１を示す側面断面図である。電子レンジ用蒸し容器１
は、容器本体２、載台３および蓋体４から概略構成され
ている。

【００１４】容器本体２は、外形としては、底部２ａに
水６を浸すことができる皿状に形成され、素材として
は、誘電体損失係数が０．１以上１未満のマイクロ波透
過性を有する物質から形成されている。具体的には、例
えば、陶器（誘電体損失係数＝０．１８）から形成され
ている。

【００１５】載台３は、容器本体２上に載置され容器本
体２に浸された水６から離れて調理物５を載せるための
台であって、素材としては、マイクロ波透過性を有する
物質から形成されている。具体的には、例えば、樹脂か
ら形成されている。

【００１６】蓋体４は、容器本体２上に載置され載台３
および調理物５を囲むものであって、素材としては、マ
イクロ波非透過性を有する物質から形成されている。具
体的には、例えば、金属から形成されている。

【００１７】図２は、電子レンジ７を示す斜視図であ
る。電子レンジ７には、電子レンジ用蒸し容器１等を収
容する加熱室８、ドア９、ユーザが調理物の種類および
調理時間等を入力する操作部１０および図示しないマイ
クロ波発生手段、マイクロ波制御部が備えられている。

【００１８】次に、このように構成された電子レンジ用
蒸し器１の使用および作用について説明する。まず、電
子レンジ用蒸し器１の容器本体２の底部２ａに水６を浸
し、容器本体２上に載台３を載せ、この載台３に容器本
体２の水面から離して調理物５（冷凍肉まん、冷凍しゅ
うまい等）を載せ、載台３および調理物５を囲むように
蓋体４を容器本体２上に載置する。次に、電子レンジ７
の加熱室８に電子レンジ用蒸し容器１を収容し、ドア９
を閉じて、操作部１０で調理物５の種類および調理時間
等を入力してマイクロ波加熱を実行する。

【００１９】図１に示すように、マイクロ波１１は、容
器本体２に対しては減衰（マイクロ波エネルギーが容器
本体２に一部吸収される）して透過し、蓋体４に対して
は透過しない。透過したマイクロ波１２は、水６と調理
物５を加熱する。加熱された水６からは水蒸気１３が発
生して、この水蒸気１３は調理物５に接してその潜熱に
よって調理物５を加熱するとともに調理物５の表面で水
となる。このようにして、調理物５は、マイクロ波１２
と水蒸気１３によって加熱（蒸し調理）される。蒸し調
理に関して、マイクロ波加熱と水蒸気加熱とは下表のよ
うな特徴がある。

【００２０】

【表１】

【００２１】図３は、冷凍肉まん（調理物５）を、容器
本体の種類等を変更して調理した場合の結果を示す図で
ある。条件１と条件２とは、容器本体がパイレックス
（登録商標）皿の場合と陶器皿との場合を比較してい
る。これによれば、条件２では条件１と比較して、加熱
前後重量変化（調理物５の重量変化）が大きく、また、
具平均温度が低くなっている。これは、陶器皿を使用し
た場合の方が、パイレックス（登録商標）皿を使用した
場合よりも水蒸気加熱が多い（調理物５に水が付着して
重量が増す）ことを示している。即ち、条件２の場合の
方が調理物５にしっとりした仕上がりを得ることができ
る。条件３は、ガス火蒸し器を使用した（電子レンジ７
を使用しない）場合を示している。これによれば、条件
２と比較して、加熱前後重量変化が大きく、また、具平
均温度が低くなっている。即ち、さらに調理物５にしっ
とりした仕上がりを得ることができるが、調理時間が長
くなってしまうという結果となる。条件４は、条件２に
対して電子レンジ７の出力ワット数（マイクロ波エネル
ギー）を上げた場合を示す。これによれば、条件２と比
較して、加熱前後重量変化が大きく、また、具平均温度
も高くなっている。即ち、電子レンジ７の出力ワット数
を上げた方が、調理時間を短くすることができる。条件
５は、条件４において、調理物が食べごろとなる調理時
間を示している。

【００２２】図４は、主な物質の誘電体損失係数と電力
半減深度を示す図である。図３の条件２、条件４および
条件５においては、容器本体２として陶器皿を用いてい
るが、陶器皿の誘電体損失係数は、０．１８であって、
電力半減深度は、３．１８ｃｍである。なお、容器本体
２としては、陶器皿に限定されるものではなく、誘電体
損失係数が０．１以上１未満のものであればよい。

【００２３】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、電子レ
ンジ用蒸し容器が、容器本体は、誘電体損失係数が０．
１以上１未満である物質から形成され、載台は、マイク
ロ波透過性のある物質から形成され、蓋体は、マイクロ
波非透過性のある物質から形成されるため、本発明に係
る電子レンジ用蒸し容器を使用して電子レンジで蒸し調
理を行なって、マイクロ波を減衰させて容器本体を透過
させ、水を温めて水蒸気を発生させ調理物を水蒸気加熱
させるとともに、調理物を直接マイクロ波加熱すること
によって、短時間でしっとりとした調理物の仕上がりを
得ることが簡単な構造で実現することができる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る電子レンジ用蒸し器の実施の形態
を示す側面断面図である。

【図２】電子レンジの斜視図である。

【図３】冷凍肉まんを、容器本体の種類等を変更して調
理した場合の結果を示す図である。

【図４】主な物質の誘電体損失係数と電力半減深度を示
す図である。

【符号の説明】

１ 電子レンジ用蒸し容器 ２ 容器本体 ３ 載台 ４ 蓋体 ５ 調理物 ６ 水 ７ 電子レンジ ８ 加熱室 ９ ドア １０ 操作部 １１、１２ マイクロ波 １３ 水蒸気

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底部に水を浸すことのできる容器本体
   と、この容器本体上に載置されて容器本体に水が浸され
   たとき水面から離れた位置に調理物が載せられる載台
   と、容器本体上に載置されて載台および調理物を囲む蓋
   体とを備える電子レンジ用蒸し容器であって、容器本体
   は、誘電体損失係数が０．１以上１未満である物質から
   形成され、載台は、マイクロ波透過性のある物質から形
   成され、蓋体は、マイクロ波非透過性のある物質から形
   成されていることを特徴とする電子レンジ用蒸し容器。