JP2002333600A5 - - Google Patents

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JP2002333600A5
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【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンタクト・レンズの色味付けにおいて使用するための着色剤において、1種類以上の顔料、1種類以上の溶媒、およびバインダーポリマーを含有しており、当該バインダーポリマーがレンズ材料と共に相互貫入ポリマーの網状構造を形成可能である着色剤。
【請求項2】 コンタクト・レンズの色味付けにおいて使用するための着色剤において、1種類以上の顔料、1種類以上の溶媒、および約7,000乃至約40,000の分子量を有するバインダーポリマーを含有しており、当該バインダーポリマーがHEMAを基材とするヒドロゲルまたはシリコーンを基材とするヒドロゲルを含有しているレンズ材料と共に相互貫入ポリマーの網状構造を形成可能である着色剤。
【請求項3】 色味付けしたコンタクト・レンズを製造するための方法において、(a)1種類以上の顔料、1種類以上の溶媒、およびバインダーポリマーを含有している色味付けに有効なの着色剤を金型の成形表面に塗布する工程と、(b)前記金型の中にレンズを形成できる量のレンズ材料を配給する工程と、(c)前記着色剤を前記レンズ材料の中において膨潤させる工程と、(d)色味付けしたコンタクト・レンズを形成するために前記レンズ材料を前記金型の中において硬化する工程を含み、前記バインダーポリマーおよび前記レンズ材料が相互貫入ポリマーの網状構造を形成する方法。
【請求項4】 第1の金型半体部分および第2の金型半体部分を有する色味付けしたコンタクト・レンズの製造において使用するための金型において、前記第1の金型半体部分および第2の金型半体部分における少なくとも一方の成形表面が1種類以上の顔料、1種類以上の溶媒、およびバインダーポリマーを含有しており、当該バインダーポリマーがレンズ材料と共に相互貫入ポリマーの網状構造を形成可能である金型。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は色味付けしたコンタクト・レンズの製造において有用な着色剤に関する。特に、本発明はコンタクト・レンズを色味付けするための単一工程の処理方法および当該処理方法において使用するための着色剤を提供する。
【0002】
【従来の技術】
虹彩の自然な色を変えるための色味付けしたコンタクト・レンズの使用がよく知られている。一般に、レンズの色味付けした部分はレンズの中心に配置されており、レンズ装着者の瞳孔および虹彩のいずれかまたは両方に重なるレンズの部分である。また、可視性または位置決め手段用の色味としてレンズ全体を明るく色味付けできることもコンタクト・レンズの色味付けにおいてよく知られている。
【0003】
一般に、色味付けしたレンズを製造するために用いる着色剤はバインダーポリマーおよび顔料により構成されている。これらの既知の着色剤は安定な色味付けしたレンズを形成するためにレンズ材料とバインダーポリマーとの間に共有結合を形成するための架橋剤の使用を必要とする。この「安定な色味付けしたレンズ(stable, tinted lenses)」とは、色味がレンズから流出または浸出しないこと、あるいは、レンズの一定の場所から別の場所に移動しないことを意味する。加えて、色味付けしたレンズを形成するための一部の既知の方法においては、着色剤のレンズ上への導入の前にレンズの本体部分を形成することが必要である。また、他の方法および着色剤は当該着色剤からレンズの外側の部分を保護するために単独にまたは特製のリングと共に使用するための多数の工程を必要とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、色味付けしたレンズを製造するための既知の着色剤および方法は通常のレンズの製造方法に付加的な時間および付加的な材料のいずれかまたは両方を導入する。それゆえ、上記のような不都合点の一部または全部を解消する着色剤および当該着色剤を使用するコンタクト・レンズを製造するための方法が要望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は色味付けしたコンタクト・レンズの製造において使用するための着色剤、および当該本発明の着色剤を使用するコンタクト・レンズの色味付けのための方法を提供する。本発明の着色剤を後に硬化される未硬化状態のレンズ材料に適用すると、バインダーポリマーがレンズ材料と共に相互貫入ポリマーの網状構造を形成する。これにより、上記の着色剤がレンズ材料の中に深く入り込んで安定な色味付けしたレンズが形成される。このことは着色剤が当該着色剤の顔料のレンズ内における捕捉を補助するための共有結合の使用を必要としない点で有利である。さらに、本発明の着色剤は当該着色剤によりプリントされる高解像度の画像パターンを伴う仕上げ状態のレンズを形成する様式で金型表面からレンズ材料に転移する。
【0006】
【発明の実施の形態】
実施形態の一例において、本発明はコンタクト・レンズの色味付けにおいて使用するための着色剤を提供し、この着色剤は1種類以上の顔料、1種類以上の溶媒、およびバインダーポリマーを含むか、これらにより実質的に構成されているか、あるいは、これらのみにより構成されており、上記バインダーポリマーはレンズ材料と共に相互貫入ポリマーの網状構造を形成することができる。また、別の実施形態において、本発明は色味付けしたコンタクト・レンズを製造するための方法を提供し、この方法は(a)色味付けに有効な量の着色剤を金型の成形表面に塗布し、当該着色剤が1種類以上の顔料、1種類以上の溶媒、およびバインダーポリマーを含むか、これらにより実質的に構成されているか、あるいは、これらのみにより構成されている工程と、(b)上記金型の中にレンズを形成する量のレンズ材料を配給する工程と、(c)上記着色剤を上記レンズ材料の中に膨潤させてレンズ材料を着色剤の中に拡散させる工程と、(d)色味付けしたコンタクト・レンズを形成するために適当な条件下で上記レンズ材料を上記金型の中において硬化する工程を含むか、これらの工程により実質的に構成されているか、これらの工程のみにより構成されており、上記のバインダーポリマーおよびレンズ材料が相互貫入ポリマーの網状構造を形成する。さらに別の実施形態において、本発明は色味付けしたコンタクト・レンズの製造において使用するための金型を提供し、この金型は第1の金型半体部分および第2の金型半体部分を含むか、これらにより実質的に構成されているか、これらのみにより構成されており、これら第1の金型半体部分および第2の金型半体部分における少なくとも一方の成形表面が1種類以上の顔料、1種類以上の溶媒、およびバインダーポリマーを含むか、これらにより実質的に構成されているか、あるいは、これらのみにより構成されており、上記バインダーポリマーがレンズ材料と共に相互貫入ポリマーの網状構造を形成可能である。
【0007】
本発明の目的において、「相互貫入ポリマーの網状構造(interpenetrating polymer network)」または「IPN」は一方のポリマーが別のポリマーの存在下に合成および/または架橋される2種類以上の独立したポリマーの組み合わせとして定義されている。従って、ある程度の浸透性がこのような網状構造内に生じる。一般的に、上記IPNの形成に用いられる独立した各ポリマーはそれぞれ網状構造の形態である。このIPN構造、特に半IPN構造(semi-IPN)の一例は、Sperling, L. H.による「相互貫入ポリマーの網状構造:概論(Interpenetrating Polymer Networks: An Overview)」(Interpenetrating Polymer Networks、Klempner, SperlingおよびUtracki編集、第3頁乃至第6頁(1994年))に開示されているような、架橋されている1種類以上のポリマーおよび実質的に架橋されていない1種類以上のポリマーにより構成されている。さらに、本発明の目的において、使用している上記の相互貫入ポリマーの網状構造の種類は半IPN構造である。実施形態の一例において、この半IPN構造は架橋されているレンズ材料および実質的に架橋されていないバインダーポリマーにより形成されている。さらに、本発明の目的において、「実質的に架橋されていない(not substantially crosslinked)」とは、未架橋状態の材料が上記のレンズ材料との接触の前に従来的な架橋条件による処理を受けないことを意味する。上記の半IPN構造は単一工程で形成可能であり、あるいは一連の複数の工程において形成することもでき、これらは連続的な半IPN構造として知られている。なお、当該技術分野における通常の熟練者であれば、添加物による場合または不純物としてのいずれかによる、架橋剤の存在により、連続的な相互貫入ポリマーの網状構造(IPN)の形成に役立つ反応環境が形成できることが認識できる。
【0008】
本発明の発見は、レンズ材料と共に相互貫入ポリマーの網状構造を形成できるバインダーポリマーを使用することにより、安定な色味付けしたレンズを形成するための着色剤とレンズ材料との間の共有結合の形成の必要性が排除できることである。この色味付けしたレンズの安定性は上記のバインダーポリマーとレンズの基材ポリマーとのもつれ合い構造の中における上記顔料の捕捉により賦与される。本発明のバインダーポリマーは互いに類似の溶解性パラメーターを有するホモポリマーまたはコポリマー、またはこれらの組み合わせにより作成されており、さらに、このバインダーポリマーは上記のレンズ材料に対して類似の溶解性のパラメーターを有している。これらのバインダーポリマーは当該バインダーポリマーにおける各ポリマーおよびコポリマーを互いに相互作用可能にする官能基を含むことができる。これらの官能基は上記の相互作用の密度を高めることにより上記顔料の粒子の移動の抑制および/または当該粒子の捕捉を助長する様式で一方のポリマーまたはコポリマーにおける官能基が他方のポリマーまたはコポリマーにおける官能基に対して相互作用するような基である必要がある。これら官能基の間の相互作用は極性的、分散的、または電荷の転移を含む複雑な反応になる可能性がある。また、これらの官能基は上記のポリマーまたはコポリマーの主鎖に存在していてもよく、当該主鎖から側鎖状に分枝していてもよい。
【0009】
例えば、正の電荷によりポリマーを形成する単一モノマーまたはモノマー混合物を負の電荷によりポリマーを形成する単一モノマーまたは複数のモノマーと共に使用して上記のバインダーポリマーを形成することができる。さらに具体的な例として、メタクリル酸(「MAA」)および2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(「HEMA」)を用いてMAA/HEMA・コポリマーを形成した後に、このコポリマーをHEMA/3−(N,N−ジメチル)プロピル・アクリルアミド・コポリマーと共に混合することにより上記のバインダーポリマーが形成できる。
【0010】
また、別の例として、上記のバインダーポリマーは以下の化学式のアミドおよびエステルを含むがこれらに限らない疎水性に変性されているモノマーにより構成できる。
CH3 (CH2x −L−COCHR=CH2
この式において、Lは−NHまたは酸素であり、xは2乃至24の整数であり、RはC1 乃至C6 のアルキルまたは水素とすることができ、好ましくはメチルまたは水素である。このようなアミドおよびエステルの例はラウリル・メタクリルアミド、およびヘキシル・メタクリレート(メタクリル酸ヘキシル)を含むがこれらに限らない。さらに別の例として、脂肪族鎖伸長したカルバメート類および尿素類も上記バインダーポリマーを形成するために使用できる。
【0011】
本発明の好ましいバインダーポリマーはHEMA、MAAおよびラウリル・メタクリレート(「HMA」)のランダム・ブロック・コポリマー、HEMAおよびMAAまたはHEMAおよびLMAのランダム・ブロック・コポリマー、またはHEMAのホモポリマーである。これらの実施形態における各成分の上記バインダーポリマーの全重量に基づく重量パーセント(%)値は約93重量%乃至約約100重量%のHEMA、約0重量%乃至約2重量%のMAA、および約0重量%乃至約5重量%のLMAである。
【0012】
上記のバインダーポリマーの分子量は上記のレンズ材料においてある程度の溶解性を有していて当該レンズ材料内において膨潤する程度にする必要がある。これにより、レンズ材料はバインダーポリマーの中に拡散して重合化および/または架橋される。しかしながら、これと同時に、上記バインダーポリマーの分子量はプリントされる画像の品質に影響を与える程度に高くしてはならない。好ましくは、このバインダーポリマーの分子量は約7,000乃至約100,000、さらに好ましくは約7,000乃至約40,000、最も好ましくは約17,000乃至約35,000であり、この最大値(Mpeak)はSEC分析における最高ピーク値の分子量(=Mn ×Mw1/2 に相当する。
【0013】
本発明の目的において、上記の分子量は90°光散乱検出器および屈折率検出器を伴うゲル透過クロマトグラフィーにより決定される。さらに、PW4000およびPW2500の2個のカラム、50ミリモルの塩化ナトリウム濃度に調節した75/25(重量/重量)のメタノール−水の溶離液、および325,000乃至194の範囲の十分に明確に規定されている分子量を有するポリエチレン・グリコールおよびポリエチレン・オキシドの混合物を使用する。
【0014】
当該技術分野における通常の熟練者であれば、上記バインダーポリマーの製造において連鎖移動剤を使用すること、多量の開始剤を使用すること、リビング・ポリメライゼーション(活性重合化反応)を採用すること、適当なモノマーおよび開始剤の各濃度を選択すること、溶媒の量および種類を選択すること、またはこれらの組み合わせにより、所望のバインダーポリマーの分子量が得られることが認識できる。さらに、所望の分子量を達成するために、連鎖移動剤は好ましくは開始剤と共に使用され、さらに好ましくは開始剤および1種類以上の溶媒と共に使用される。あるいは、少量の極めて高い分子量のバインダーポリマーを多量の溶媒と共に使用して上記バインダーポリマーにおける所望の粘度を維持することができる。好ましくは、このバインダーポリマーの粘度は23℃において約4,000センチポアズ乃至約15,000センチポアズである。
【0015】
本発明において使用するバインダーポリマーを形成することに有用な連鎖移動剤は約0.01以上、好ましくは約7以上、さらに好ましくは約25,000以上の値の連鎖移動定数を有している。このような適当な連鎖移動剤が知られており、これらは化学式R−SHがであってRがC1 乃至C12の脂肪族、ベンジル基、環状脂肪族基、またはCH3 (CH2x −SHであってxが1乃至24である各脂肪族チオール、ベンゼン、塩化n−ブチル、塩化t−ブチル、臭化n−ブチル、2−メルカプト・エタノール、1−ドデシル・メルカプタン、2−クロロブタン、アセトン、酢酸、クロロホルム、ブチル・アミン、トリエチルアミン、ジ−n−ブチル・スルフィドおよびジスルフィド、四塩化炭素および臭化物等、およびこれらの組み合わせ物を含むがこれらに限らない。一般に、ポリマー配合物の全重量に基づいて約0重量%乃至約7重量%が使用される。好ましくは、ドデカンチオール、デカンチオール、オクタンチオール、またはこれらの組み合わせ物が上記の連鎖移動剤として用いられる。
【0016】
さらに、紫外光、可視光、および熱的な各開始剤等およびこれらの混合物を含むがこれらに限らない任意の所望の開始剤が使用できる。好ましくは、熱的な開始剤が用いられ、さらに好ましくは2,2−アゾビス・イソブチロニトリルおよび2,2−アゾビス・2−メチルブチロニトリルが用いられる。また、使用する開始剤の量は上記配合物の全重量に基づいて約0.1重量%乃至約5重量%である。好ましくは、2,2−アゾビス・2−メチルブチロニトリルをドデカンチオールと共に用いる。
【0017】
本発明のバインダーポリマーはラジカル連鎖重合、段階重合、乳化重合、イオン連鎖重合、開環重合、グループ・トランスファー・ポリメライゼーション(group transfer polymerization)、アトム・トランスファー・ポリメライゼーション(atom transfer polymerization)等を含むがこれらに限らない任意の好都合な重合方法により作成できる。好ましくは、熱的に開始される遊離ラジカル重合が用いられる。この重合を行なうための諸条件は当該技術分野における通常の熟練者の知識の範囲内に含まれる。
【0018】
上記のバインダーポリマーの製造において有用な溶媒は約120℃乃至230℃の範囲内の沸点を有する中程度の沸点の溶媒である。使用する溶媒の選択は製造するバインダーポリマーの種類およびその分子量に基づいて行なわれる。適当な溶媒は、ジアセトン・アルコール、シクロヘキサノン、乳酸イソプロピル、3−メトキシ−1−ブタノール、1−エトキシ−2−プロパノール等を含むがこれらに限らない。
【0019】
本発明のバインダーポリマーは当該ポリマーを使用するレンズ材料に対する水中における膨脹率に関して調整される。このバインダーポリマーの膨脹率を充填溶液内の硬化処理したレンズ材料の膨脹率に一致または実質的に一致させることにより、レンズ内に応力が広がって光学品質不良およびレンズ・パラメーターの変動を生じることが回避できる。加えて、上記のバインダーポリマーはレンズ材料内において膨潤して、本発明の着色剤によりプリントされる画像の膨張を可能にする必要がある。このような膨潤性により、上記の画像がレンズの装着感に何ら影響を及ぼすことなくレンズ材料の中に捕捉できる。
【0020】
本発明の着色剤における上記バインダーポリマーと共に有用な顔料はコンタクト・レンズにおける使用に適している有機質または無機質の顔料、またはこれらの顔料の組み合わせ物である。これらの顔料における不透明性はその顔料および不透明化剤の濃度を変えることにより調整可能であり、これらの量が多くなるほど、その不透明性が高まる。例示的な有機質の顔料はフタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、カルバゾール・バイオレット、バット・オレンジ#1等、およびこれらの組み合わせ物を含むがこれらに限らない。また、有用な無機質の顔料の例は黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、二酸化チタン等、およびこれらの組み合わせ物を含むがこれらに限らない。さらに、これらの顔料に加えて、ジクロロトリアジンおよびビニル・スルホン基材の各色素を含むがこれらに限らない可溶性および不溶性の色素も使用可能である。なお、有用な色素および顔料が市販されている。
【0021】
上記バインダーポリマーと共に顔料粒子をコーティング、または浸潤することにより、これら顔料粒子の結合性ポリマーの本体内へのさらに良好な分散が行なえる。このコーティングは静電作用、分散性、または水素結合力等を利用することにより顔料の表面を被覆することができる。好ましくは、高い剪断力を用いて顔料をバインダーポリマー内に分散する。この顔料は回転軸型ミキサー等の適当なミキサー内にこれらのポリマーおよび顔料を供給して、一般的に約30分程度までの時間にわたり、均質な混合物が得られるまで混合することによりバインダーポリマー内に添加できる。その後、この混合物をEigerミル等の高剪断ミル内に供給して、顔料をバインダーポリマー内に分散することができる。さらに、この微粉砕処理を必要に応じて繰り返すことにより、完全な分散状態を達成することができる。一般に、この微粉砕処理は顔料が約0.2ミクロン乃至約3ミクロンの寸法になるまで行なわれる。また、この微粉砕処理は高剪断ミル装置またはボール・ミル装置を含むがこれらに限らない任意の適当な市販の装置により行なうことができる。
【0022】
上記の顔料およびバインダーポリマーに加えて、本発明の着色剤はこの着色剤を一定の表面上にコーティングすることを補助する1種類以上の溶媒を含有している。このような着色剤がこれを供給する表面上において浸出または流出しないことを確実にするために、この着色剤が約27mN/m(ミリニュートン/メートル)以下の表面張力を有していることが望ましく且つ好ましいことが本発明におけるさらに別の発見である。この表面張力は着色剤が供給される表面を、例えば、成形面等のような処理により達成できる。このような表面処理はプラズマおよびコロナ(放電)等による処理を含むがこれらに限らない当該技術分野において既知の方法により行なうことができる。あるいは、および、好ましくは、上記所望の表面張力は着色剤において使用する溶媒の選択により達成できる。
【0023】
従って、本発明の着色剤において有用な溶媒は当該着色剤の粘度を増減して、表面張力の調整を補助することのできる溶媒である。適当な溶媒はシクロペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸イソプロピル等、およびこれらの組み合わせ物を含むがこれらに限らない。好ましくは、1−エトキシ−2−プロパノールおよび乳酸イソプロピルを用いる。
【0024】
好ましい実施形態において、少なくとも3種類の異なる溶媒が本発明の着色剤において用いられている。これらの溶媒の内の2種類は共に中程度の沸点の溶媒であり、上記バインダーポリマーの製造に用いられている。これらの溶媒はバインダーポリマーの形成後に当該バインダーポリマーから除去可能であるが、これらが残留していることが好ましい。好ましくは、これら2種類の溶媒は1−エトキシ−2−プロパノールおよび乳酸イソプロピルである。さらに別の低沸点の溶媒、すなわち、約75℃乃至約120℃の範囲内の沸点を有する溶媒を用いて着色剤の粘度を要望に応じて減少する。このような適当な低沸点溶媒は2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−プロパノール等、およびこれらの組み合わせ物を含むがこれらに限らない。好ましくは、1−プロパノールを用いる。
【0025】
使用する各溶媒のそれぞれの特定の量は多数のファクターにより決まる。例えば、上記バインダーポリマーを形成する場合に使用する各溶媒の量はその求められているバインダーポリマーの分子量および当該バインダーポリマーにおいて使用されている各モノマーおよび各コポリマー等の諸成分により決まる。また、使用する低沸点溶媒の量は上記着色剤において望まれる粘度および表面張力により決まる。さらに、上記の着色剤が金型に供給されてレンズ材料と共に硬化される場合には、使用する溶媒の量は使用するレンズおよび金型の各材料、およびこの金型の材料がその湿潤性を高めるための何らかの表面処理を受けているか否かにより決まる。なお、使用する溶媒の正確な量の決定方法は当該技術分野における通常の熟練者の技術範囲内である。一般に、使用される各溶媒の全重量は使用する溶媒の約40重量%乃至約75重量%になる。
【0026】
当該技術分野における通常の熟練者であれば、使用する各顔料は選択するそれぞれの溶媒に対応して顔料の一定の臨界容積を有していることが認識できる。この顔料の臨界容積は任意の既知の手段により決定可能であり、一般に、例えば、Patton, Temple C.のPaint Flow and Pigment Dispersion(第2版、第126頁乃至第300頁(1993年))において開示されているような溶媒および結合性ポリマーの顔料粒子を懸濁する効率に基づく一定の容積である。
【0027】
上記の溶媒に加えて、可塑剤を着色剤に添加して当該着色剤および光学用金型部品の乾燥中におけるクラッキングを減少することにより、当該着色剤により形成される画像の最終品質を高めること、およびレンズ材料による着色剤の拡散性および膨潤性を高めることが可能であり、好ましい。使用する可塑剤の種類および量は使用するバインダーポリマーの分子量、使用前に保管されている金型の上に配置される着色剤、および所望の保存寿命の安定性に応じて決まる。有用な可塑剤はグリセロール、プロピレン・グリコール、ジプロピレン・グリコール、トリプロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール200,400または600等、およびこれらの組み合わせ物を含むがこれらに限らない。好ましくは、グリセロールを用いる。一般に、使用する可塑剤の量は着色剤の重量に基づいて0重量%乃至約10重量%である。
【0028】
上記着色剤の不透明性は採用する顔料濃度および顔料粒子の粒径を変更することにより調整できる。あるいは、不透明化剤を使用することも可能である。例えば、二酸化チタンまたは酸化亜鉛等の適当な不透明化剤が市販されている。
【0029】
本発明の好ましい着色剤混合物において、約0.2重量%乃至約25重量%の顔料、約30重量%乃至約45重量%の結合性ポリマー、約40重量%乃至約70重量%の溶媒、約0重量%乃至約25重量%の二酸化チタン、および約0.2重量%乃至約7重量%の可塑剤が用いられている。この各重量%の値は着色剤混合物の全重量に基づいている。
【0030】
上記バインダーポリマーは有機質顔料の場合において上記着色剤の重量に基づいて約0.2重量%乃至約25重量%で添加することができ、無機質顔料の場合において約0.2重量%乃至約50重量%で添加できる。しかしながら、高い顔料濃度は極めて暗い色合いを賦与する可能性がある。それゆえ、好ましくは、約0.2重量%乃至約7重量%の有機質顔料および約0重量%乃至約20重量%の無機質顔料を用いる。また、各顔料の組み合わせ物がその望まれる色、影、および色合いに応じた比率で使用できる。
【0031】
当該技術分野における通常の熟練者であれば、上記以外の添加物も本発明の着色剤組成物において含有可能であることが認識できる。適当な添加物は流動およびレベリングを補助する添加物、発泡防止のための添加物、流動性改質のための添加物等、およびこれらの組み合わせ物を含むがこれらに限らない。
【0032】
本発明の着色剤はレンズ材料の硬化時に当該レンズ材料中に深く入り込む。それゆえ、着色剤が供給されるレンズに対する金型の表面に応じて形成されるレンズの前面部または後面部に近いほど着色剤が入り込む可能性がある。加えて、1種類以上の着色剤の層が任意の順番で供給可能である。さらに別の実施形態において、透明なバインダーポリマー層が上記着色剤と共に使用可能である。例えば、本発明のこのような方法において、透明なバインダーポリマー層を着色剤の供給前に金型の半体部分における成形表面に塗布することができる。この透明なバインダーポリマーは着色剤の各層に対応して使用されるバインダーポリマーと同一でもよく、または異なっていてもよい。この透明なバインダーポリマーが他のバインダーポリマーと異なっている場合には、この透明なバインダーポリマーは膨脹率および膨潤性の観点から他のバインダーポリマーおよびレンズ材料に対して相容性を有している必要があり、レンズ材料中において膨潤可能である必要性がある。
【0033】
本発明は任意の既知のレンズ材料またはレンズを製造するために適している材料により作成した色味付けしたハードまたはソフトのコンタクト・レンズを提供するために使用できる。好ましくは、本発明のレンズは約0%乃至約90%の含水率を有するソフト・コンタクト・レンズである。さらに好ましくは、本発明のレンズは水酸基またはカルボキシル基、またはこれらの両方を含む各モノマーにより作成されており、あるいは、シロキサン・ヒドロゲル、シリコーン・ヒドロゲル、およびこれらの組み合わせ物等の各シリコーン含有ポリマーにより作成可能である。本発明のレンズを形成するために有用な材料は重合開始剤等の添加物と共にマクロマー、モノマー、およびこれらの組み合わせ物の混合物を反応させることにより作成できる。適当な材料はシリコーン・マクロマーおよび親水性モノマーにより作成したシリコーン・ヒドロゲルを含むがこれらに限らない。さらに、上記のシリコーン・マクロマーの例は米国特許第4,259,467号、4,260,725号および4,261,875号において記載されているような側鎖の親水性の基を有するポリジメチルシロキサン・メタクリレート、米国特許第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,189,546号、同第4,182,822号、同第4,343,927号、同第4,254,248号、同第4,355,147号、同第4,276,402号、同第4,327,203号、同第4,341,889号、同第4,486,577号、同第4,605,712号、同第4,543,398号、同第4,661,575号、同第4,703,097号、同第4,837,289号、同第4,954,586号、同第4,954,587号、同第5,346,946号、同第5,358,995号、同第5,387,632号、同第5,451,617号、同第5,486,579号、同第5,962,548号、同第5,981,615号、同第5,981,675号、および同第6,039,913号において記載されている重合可能な基を有するポリジメチルシロキサン・マクロマー、およびこれらの組み合わせ物を含むがこれらに限らない。さらに、上記の材料は米国特許第5,010,141号、同第5,057,578号、同第5,314,960号、同第5,371,147号および同第5,336,797号において記載されているような親水性のモノマーを含むポリシロキサン・マクロマー、または米国特許第4,871,785号および同第5,034,461号において記載されているようなポリジメチルシロキサン・ブロックおよびポリエーテル・ブロックを含むマクロマーにより作成することもできる。上記において引用した全ての特許はそれぞれの内容全体が本明細書に参考文献として含まれる。
【0034】
さらに、適当な材料が米国特許第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,807,944号、同第5,965,631号および同第5,958,440号において記載されているようなオキシパーム(oxyperm)およびイオノパーム(ionoperm)の各成分の組み合わせ物により作成することも可能である。また、親水性モノマーを2−ヒドロキシエチル・メタクリレート(「HEMA」)、2−ヒドロキシエチル・アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、N−ビニルピロリドン、2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン、メタクリル酸、および2−ヒドロキシエチル・メタクリルアミドを含むコポリマーに混合することができる。さらに、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル・メタクリレート、または米国特許第5,998,498号、同第3,808,178号、同第4,139,513号、同第5,070,215号、同第5,710,302号、同第5,714,557号および同第5,908,906号において記載されているシロキサン・モノマー等の付加的なシロキサン・モノマーが混合できる。また、これらは種々の強化剤、UV遮断剤、および湿潤剤も含有できる。また、これらは米国特許第6,020,445号において記載されている第一級アルコール、第二級アルコールまたは第三級アルコール等の希釈剤を用いて作成することができる。なお、上記において引用した全ての特許はそれぞれの内容全体が本明細書に参考文献として含まれる。
【0035】
上記のコンタクト・レンズを作成するための各材料は周知であり、市販されている。好ましくは、上記の使用材料はHEMAを基材とするヒドロゲル、さらに好ましくはエタフィルコンA(etafilcon A)であり、上記バインダーポリマーはMAA、HEMAおよびラウリル・メタクリレート(「LMA」)の線形ランダム・ブロック・コポリマー、MAAおよびHEMAの線形ランダム・ブロック・コポリマー、HEMAおよびLMAの線形ランダム・ブロック・コポリマー、またはHEMAホモポリマーにより形成されている。それぞれの内容が本明細書に参考文献として含まれる米国特許第4,680,336号および同第4,495,313号に開示されているエタフィルコンAは一般に100重量部(「pbw」)のHEMA、約1.5pbw乃至約2.5pbwのMAA、約0.3pbw乃至約1.3pbwのエチレン・グリコール・ジメタクリレート、約0.05pbw乃至約1.5pbwの1,1,1,−トリメチロールプロパン・トリメタクリレート、および約0.017pbw乃至約0.024pbwの可視性の色味付け剤の配合物である。好ましくは、このエタフィルコンAは0.47のMAA、100のHEMA、および4.14のLMAの比率におけるMAA、HEMAおよびLMAの線形ランダム・ブロック・コポリマー、または99.9のHEMAおよび0.1のMAA乃至99.5のHEMAおよび0.5のMAAの比率におけるHEMAおよびMAAの線形ブロック・ランダム・コポリマーと共に使用する。
【0036】
色味付けに有効な量、すなわち、製造するレンズに所望量の色味付け剤を賦与するのに十分である量の着色剤が用いられる。一般に、約0.5mg乃至約4.0mgの着色剤がレンズ1個当たりに使用される。
【0037】
本発明のレンズにおいて使用する着色剤は任意の従来的な方法によりレンズの表面に供給される。本発明の好ましい方法において、ポリプロピレンまたはポリスチレンの樹脂を含むがこれらに限らない任意の適当な材料により作成されている熱可塑性樹脂の光学用金型を使用する。色味付けに有効なの着色剤はこの金型の成形表面における所望の部分に供給される。また、この供給は任意の従来的な手段により行なうことができる。好ましくは、この供給はパッド印刷により行なう。
【0038】
さらに、レンズを形成できる量のレンズ材料が上記の金型の中に供給される。この「レンズを形成する量(lens-forming amount)」とは、所望の寸法および厚さのレンズを製造するために十分な量を意味する。一般的に、約10mg乃至約40mgのレンズ材料が用いられる。
【0039】
上記の着色剤はレンズ材料中において膨潤する。好ましくは、この膨潤は着色剤がその乾燥状態の厚さの約1倍乃至約4倍に膨潤するのに適している条件下で行なわれる。一般的に、この膨潤は約40℃乃至約68℃において約1分乃至約30分以内に達成できる。
【0040】
その後、上記のレンズ材料および着色剤を入れた金型は色味付けしたレンズを形成するために適している諸条件に曝される。これらの正確な条件は選択した着色剤およびレンズ材料の各成分により決まり、この決定方法は当該技術分野における通常の熟練者の技術範囲内である。硬化処理が終わると、レンズを金型から放出して、緩衝化した塩類溶液中において平衡状態にすることができる。
【0041】
色味付けしたレンズを製造する好ましい方法は以下のようなパッド印刷により行なわれる。好ましくはスチール剤、さらに好ましくはステンレス・スチールにより作成されている金属プレートを硬化後に水に対して不溶性になり得るフォト・レジスト材料により被覆する。着色剤のパターンを選択または設計した後に、写真技法等の多数の技法の内の任意の方法により所望の寸法に削減して上記の金属プレート上に配置してから、上記のフォト・レジストを硬化する。このパターン・エッチングを行なうための諸条件は当該技術分野における通常の熟練者の知識の範囲内である。
【0042】
上記のパターン作成に続いて、上記のプレートを水性溶液により洗浄し、得られた画像を、例えば、約20ミクロンの適当な深さまでプレート内にエッチングする。その後、着色剤をこのパターン上に沈着させてその溝を着色剤により充填する。一般に約1乃至約10のショアーA型押込硬度のユニットである適当な形状および可変の硬度を有するシリコン・パッドを上記プレート上の画像に押し当ててその着色剤を除去(パッド上に転写)した後に、この着色剤を溶媒のエバポレーションにより僅かに乾燥する。その後、このパッドを光学用金型の成形面に押し当てて着色剤を自然に乾燥させる。この金型を12時間に到るまでガス抜きして過剰の溶媒および酸素を除去した後に、この金型をレンズを成形する量のレンズ材料により充填する。その後、相補的な別の金型の半体部分を用いて金型組立体を完成し、印刷した画像を自然に膨潤させてから、この金型組立体を使用しているレンズ材料を硬化するために適している諸条件に曝露する。
【0043】
本発明は以下の非制限的な各実施例を考察することによりさらに明らかになる。
【0044】
実施例
実施例1−結合性ポリマーの合成
5リットルのガラス容器に、2.65重量%のドデカンチオール、1.56重量%のラウリル・メタクリレート、0.18重量%のMAA、37.69重量%の2−HEMA、および溶媒として42.35重量%の乳酸イソプロピルおよび10.59重量%の1−エトキシ−2−プロパノールを加えた。この混合物をマグネチック・スターラーにより10分間にわたり予備的に混合した後に、内蔵型の加熱用マンテル(mantel)を有していてメカニカル・スターラー、窒素供給口、リフラックス・コンデンサー、および温度センサーを備えている5リットルのステンレス・スチール反応容器に移した。この混合物を約25分間にわたり約63℃の温度に加熱し、この時点において、3.0重量%の2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリルを残りの乳酸イソプロピルと共に加えた。さらに、窒素を上記の反応容器内に導入してこの重合化の残りの処理中に使用するための窒素ブランケット(の環境)を形成した。
【0045】
約17時間乃至19時間後に、1.96重量%のグリセロールを上記の反応混合物に加えて、この混合物を約30分間にわたり攪拌した。その後、上記の攪拌および窒素供給を停止して、反応混合物を室温まで冷却した。
【0046】
実施例2−結合性ポリマーの合成
5リットルのガラス容器に、0.69重量%のドデカンチオール、0.16重量%のMAA、33.55重量%の2−HEMA、および溶媒として51.1重量%の乳酸イソプロピルおよび12.8重量%の1−エトキシ−2−プロパノールを加えた。この混合物をマグネチック・スターラーにより10分間にわたり予備的に混合した後に、内蔵型の加熱用マンテル(mantel)を有していてメカニカル・スターラー、窒素供給口、リフラックス・コンデンサー、および温度センサーを備えている5リットルのステンレス・スチール反応容器に移した。この混合物を約25分間にわたり約68℃の温度に加熱し、この時点において、0.20重量%の2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリルを残りの乳酸イソプロピルと共に加えた。さらに、窒素を上記の反応容器内に導入してこの重合化の残りの処理中に使用するための窒素ブランケット環境を形成した。
【0047】
約17時間乃至19時間後に、1.56重量%のグリセロールを上記の反応混合物に加えて、この混合物を約30分間にわたり攪拌した。次に、この反応混合物をさらに23時間にわたり80℃に加熱して、残留している熱的開始剤を分解した。その後、上記の攪拌および窒素供給を停止して、反応混合物を室温まで冷却した。
【0048】
実施例3
上記実施例1の結合性ポリマーと類似または同一の結合性ポリマーを用いて以下の表に記載する各着色剤配合物を作成した。
【表1】
Figure 2002333600
【0049】
実施例4
実施例1の結合性ポリマーに0.5重量%のフタロ−シアニン・ブルーを加えて微粉砕処理することにより青色の着色剤を形成した。その後、この着色剤の一定の分量をコンタクト・レンズの前方曲面用金型の上にパッド・プリントして、このプリント処理した金型を減圧下で約8時間にわたりガス抜きして着色剤から揮発性の溶媒を除去した。このプリント処理した金型に、100重量部(「pbw」)のHEMA、約2pbwのMAA、約0.8pbwのエチレン・グリコール・ジメタクリレート、約0.1pbwの1,1,1,−トリメチロールプロパン・トリメタクリレート、約1pbwのNorbloc(登録商標)7966および1.3pbwのIrgacure(光開始剤、Ciba社から市販されている)を含有している反応性のモノマー混合物を供給した。その後、コンタクト・レンズの基礎曲面用金型を上記の充填した前方曲面用金型の上に重ね入れて、これら2個の金型半体部分を一体に押し合わせた。約2分間の休止時間により、上記の反応性モノマー混合物が着色剤層の中および周囲に拡散し、これにより、着色剤層が膨潤した。上記の休止時間の完了後に、上記金型組立体を約5分間にわたり可視光(約420nm)に曝露し、これにより、上記反応性のモノマー混合物が着色剤の結合性ポリマーの中および周囲において重合および架橋して、半相互貫入ポリマーの網状構造が形成される。その後、上記の各金型半体部分を分離して、さらに別の処理工程のために色味付けしたレンズを取り出した。この結果、この実施例は実質的に架橋していないバインダーポリマーおよび当該結合性ポリマーの中および周囲に拡散した後に架橋される基材のレンズ材料により色味付けしたコンタクト・レンズが形成可能であることを示している。有利であることは、上記の結合性ポリマーに混合した各顔料が機能化または他の結合化のための工程を必要とすることなく得られたコンタクト・レンズの中に固定されることである。
【0050】
本発明の実施態様は以下の通りである。
(1)前記形成される相互貫入ポリマーの網状構造が半相互貫入ポリマーの網状構造である請求項1に記載の着色剤。
(2)前記形成される相互貫入ポリマーの網状構造が連続的な相互貫入ポリマーの網状構造である請求項1に記載の着色剤。
(3)前記バインダーポリマーが約7,000乃至約40,000の分子量を有している請求項1に記載の着色剤。
(4)前記バインダーポリマーが以下の化学式を有している請求項1に記載の着色剤。
CH3 (CH2x −L−COCHR=CH2
この式において、Lは−NHまたは酸素であり、xは2乃至24の整数であり、RはC1 乃至C6 のアルキルまたは水素である。
(5)前記バインダーポリマーがメタクリル酸、2−ヒドロキシエチル・メタクリレート、およびラウリル・メタクリレートのコポリマーを含む請求項1に記載の着色剤。
【0051】
(6)前記バインダーポリマーが2−ヒドロキシエチル・メタクリレートおよびメタクリル酸のコポリマーを含む請求項1に記載の着色剤。
(7)前記バインダーポリマーが2−ヒドロキシエチル・メタクリレートのホモポリマーを含む請求項1に記載の着色剤。
(8)前記1種類以上の溶媒が少なくとも1種類の中程度の沸点の溶媒および1種類の低沸点の溶媒を含む請求項1または実施態様(1),(2),(3),(5),(6)または(7)のいずれかに記載の着色剤。
(9)前記着色剤の表面張力が28ダイン/センチメートル以下である請求項1または実施態様(1),(2),(3),(5),(6)または(7)のいずれかに記載の着色剤。
(10)前記中程度の沸点の溶媒が1−エトキシ−2−プロパノールおよび乳酸イソプロピルを含む実施態様(5),(6)または(7)のいずれかに記載の着色剤。
【0052】
(11)さらに、可塑剤および不透明化剤を含む請求項1または実施態様(1),(2),(3),(5),(6)または(7)のいずれかに記載の着色剤。
(12)約0.2重量%乃至約25重量%の1種類以上の顔料、約30重量%乃至約45重量%のバインダーポリマー、約40重量%乃至約70重量%の1種類以上の溶媒、約0重量%乃至約25重量%の不透明化剤、および約0.2重量%乃至約7重量%の可塑剤を含有している実施態様(11)に記載の着色剤。
(13)前記バインダーポリマーとレンズ材料との間に形成される相互貫入ポリマーの網状構造が半相互貫入ポリマーの網状構造である請求項2に記載の着色剤。
(14)前記バインダーポリマーとレンズ材料との間に形成される相互貫入ポリマーの網状構造が連続的な相互貫入ポリマーの網状構造である請求項2に記載の着色剤。
(15)前記バインダーポリマーがメタクリル酸、2−ヒドロキシエチル・メタクリレート、およびラウリル・メタクリレートのコポリマーを含む請求項2に記載の着色剤。
【0053】
(16)前記バインダーポリマーがメタクリル酸および2−ヒドロキシエチル・メタクリレートのコポリマーを含む請求項2に記載の着色剤。
(17)前記バインダーポリマーが2−ヒドロキシエチル・メタクリレートのホモポリマーを含む請求項2に記載の着色剤。
(18)前記1種類以上の溶媒が2種類の中程度の沸点の溶媒および1種類の低沸点の溶媒を含む請求項2および実施態様(13)乃至実施態様(17)のいずれかに記載の着色剤。
(19)前記2種類の中程度の沸点の溶媒が1−エトキシ−2−プロパノールおよび乳酸イソプロピルを含む実施態様(18)に記載の着色剤。
(20)さらに、可塑剤および不透明化剤を含む請求項2および実施態様(13)乃至実施態様(17)のいずれかに記載の着色剤。
【0054】
(21)約0.2重量%乃至約25重量%の1種類以上の顔料、約30重量%乃至約45重量%のバインダーポリマー、約40重量%乃至約70重量%の1種類以上の溶媒、約0重量%乃至約25重量%の不透明化剤、および約0.2重量%乃至約7重量%の可塑剤を含有している実施態様(20)に記載の着色剤。
(22)前記バインダーポリマーが約7,000乃至約40,000の分子量を有しており、前記レンズ材料がHEMAを基材とするヒドロゲルまたはシリコーンを基材とするヒドロゲルを含有している請求項3に記載の方法。
(23)前記バインダーポリマーがメタクリル酸、2−ヒドロキシエチル・メタクリレートおよびラウリル・メタクリレートのコポリマーを含む請求項3に記載の方法。
(24)前記バインダーポリマーがメタクリル酸および2−ヒドロキシエチル・メタクリレートのコポリマーを含む請求項3に記載の方法。
(25)前記バインダーポリマーが2−ヒドロキシエチル・メタクリレートのホモポリマーを含む請求項3に記載の方法。
【0055】
(26)前記1種類以上の溶媒が2種類の中程度の沸点の溶媒および1種類の低沸点の溶媒を含む請求項3または実施態様(22)のいずれかに記載の方法。
(27)前記2種類の中程度の沸点の溶媒が1−エトキシ−2−プロパノールおよび乳酸イソプロピルを含む実施態様(26)に記載の方法。
(28)前記結合性ポリマーとレンズ材料との間に形成される相互貫入ポリマーの網状構造が半相互貫入ポリマーの網状構造である請求項4に記載の金型。
(29)前記結合性ポリマーとレンズ材料との間に形成される相互貫入ポリマーの網状構造が連続的な相互貫入ポリマーの網状構造である請求項4に記載の金型。
(30)前記バインダーポリマーが約7,000乃至約40,000の分子量を有している請求項4に記載の金型。
【0056】
(31)前記バインダーポリマーがメタクリル酸、2−ヒドロキシエチル・メタクリレート、およびラウリル・メタクリレートのコポリマーを含む請求項4に記載の金型。
(32)前記バインダーポリマーがメタクリル酸および2−ヒドロキシエチル・メタクリレートのコポリマーを含む請求項4に記載の金型。
(33)前記バインダーポリマーが2−ヒドロキシエチル・メタクリレートのホモポリマーを含む請求項4に記載の金型。
(34)前記1種類以上の溶媒が2種類の中程度の沸点の溶媒および1種類の低沸点の溶媒を含む請求項4または実施態様(28)乃至実施態様(33)のいずれかに記載の金型。
(35)前記2種類の中程度の沸点の溶媒が1−エトキシ−2−プロパノールおよび乳酸イソプロピルを含む実施態様(34)に記載の金型。
【0057】
(36)実施態様(21)に記載の着色剤、実施態様(27)に記載の方法、および実施態様(35)に記載の金型により誘導した眼用レンズ。
(37)前記顔料が前記バインダーポリマーによりコーティングまたは湿潤化される請求項3に記載の方法。
【0058】
【発明の効果】
従って、本発明によれば、従来の不都合点の一部または全部を解消する着色剤および当該着色剤を使用して色味付けしたコンタクト・レンズを製造するための方法が提供できる。
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