JP2002333346A - 評価対象の状態評価装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

評価対象の状態評価装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

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JP2002333346A
JP2002333346A JP2001136221A JP2001136221A JP2002333346A JP 2002333346 A JP2002333346 A JP 2002333346A JP 2001136221 A JP2001136221 A JP 2001136221A JP 2001136221 A JP2001136221 A JP 2001136221A JP 2002333346 A JP2002333346 A JP 2002333346A
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淳一 中川
Hiroyuki Yoshino
博之 吉野
Junichi Hayashi
順一 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 評価対象の時間的変化を捉えることができ、
更には、評価対象と計測点とが離れている場合でも、計
測点において計測した信号から評価対象の位置における
信号を求め、評価対象の状態を正確に評価できるように
する。 【解決手段】 状態評価装置140は、評価対象110
から離れた計測部130で計測した信号に基づいて、逆
問題解析により評価対象110の位置における信号を求
める逆問題解析部141と、逆問題解析部141により
求めた評価対象110の位置における信号から、所定の
次元を有する再構成アトラクタを作成するアトラクタ作
成部142と、アトラクタ作成部142により作成され
た再構成アトラクタ上の基準時刻での点の周囲に存在す
る再構成アトラクタ上の近傍点が、上記基準時間から所
定時間推移後での点の周囲にいくつ存在するかの割合を
求め、その割合に基づいて状態の評価を行う状態評価部
144とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、評価対象の状態評
価装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュ
ータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、ある評価対象の状態を評価する
場合、評価対象の状態が反映された物理量(温度等)を
計測し、その計測結果に基づいて評価対象の状態を推定
していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、計測結
果に基づいて評価対象の状態を推定していくだけでは、
評価対象の時間的変化を捉えにくいといった問題があっ
た。
【0004】さらに、計測点が評価対象から離れている
ような場合には、評価対象物と計測点との間での減衰等
により計測する物理量が変化してしまうため、評価対象
の状態を正確に評価することができないといった問題が
あった。
【0005】本発明は上記のような点に鑑みてなされた
ものであり、評価対象の時間的変化を捉えることがで
き、更には、評価対象と計測点とが離れている場合で
も、計測点において計測した信号から評価対象の位置に
おける信号を求め、評価対象の状態を正確に評価できる
ようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の評価対象の状態
評価装置は、評価対象から離れた計測点で計測した信号
に基づいて、評価対象の状態を評価する評価対象の状態
評価装置であって、上記計測点で計測した信号に基づい
て、所定の次元を有する再構成アトラクタを作成するア
トラクタ作成手段と、上記アトラクタ作成手段により作
成された再構成アトラクタ上の基準時刻での点の周囲に
存在する再構成アトラクタ上の近傍点が、上記基準時間
から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在するかの
割合を求め、その割合に基づいて状態の評価を行う状態
評価手段とを備えた点に特徴を有する。
【0007】また、本発明の評価対象の状態評価装置の
他の特徴とするところは、上記周囲として、上記基準時
刻での点及び上記所定時間推移後での点を中心とする一
定直径の超球を考える点にある。
【0008】また、本発明の評価対象の状態評価装置の
他の特徴とするところは、上記状態評価手段は、上記割
合に応じて評価対象の状態の安定性又は定常状態からの
乖離度を評価する点にある。
【0009】また、本発明の評価対象の状態評価装置の
他の特徴とするところは、上記計測点で計測した信号に
基づいて、逆問題解析により上記評価対象の位置におけ
る信号を求める逆問題解析手段を備え、上記アトラクタ
作成手段は、上記逆問題解析手段により求めた評価対象
の位置における信号から上記再構成アトラクタを作成す
る点にある。
【0010】本発明の評価対象の状態評価方法は、評価
対象から離れた計測点で計測した信号に基づいて、評価
対象の状態を評価する評価対象の状態評価方法であっ
て、上記計測点で計測した信号に基づいて、所定の次元
を有する再構成アトラクタを作成するアトラクタ作成処
理を有し、上記アトラクタ作成処理により作成された再
構成アトラクタ上の基準時刻での点の周囲に存在する再
構成アトラクタ上の近傍点が、上記基準時間から所定時
間推移後での点の周囲にいくつ存在するかの割合を求
め、その割合に基づいて状態の評価を行い、状態評価に
応じて診断処理及び制御処理のうち少なくとも1つの処
理を行う点に特徴を有する。
【0011】また、本発明の評価対象の状態評価方法の
他の特徴とするところは、上記計測点で計測した信号に
基づいて、逆問題解析により上記評価対象の位置におけ
る信号を求める逆問題解析処理を有し、上記アトラクタ
作成処理では、上記逆問題解析処理により求めた評価対
象の位置における信号から上記再構成アトラクタを作成
する点にある。
【0012】本発明のコンピュータプログラムは、評価
対象から離れた計測点で計測した信号に基づいて、評価
対象の状態を評価する処理をコンピュータに実行させる
コンピュータプログラムであって、上記計測点で計測し
た信号に基づいて、所定の次元を有する再構成アトラク
タを作成するアトラクタ作成処理と、上記アトラクタ作
成処理により作成された再構成アトラクタ上の基準時刻
での点の周囲に存在する再構成アトラクタ上の近傍点
が、上記基準時間から所定時間推移後での点の周囲にい
くつ存在するかの割合を求め、その割合に基づいて状態
の評価を行う状態評価処理とをコンピュータに実行させ
る点に特徴を有する。
【0013】また、本発明のコンピュータプログラムの
他の特徴とするところは、上記計測点で計測した信号に
基づいて、逆問題解析により上記評価対象の位置におけ
る信号を求める逆問題解析処理をコンピュータに実行さ
せ、上記アトラクタ作成処理では、上記逆問題解析処理
により求めた評価対象の位置における信号から上記再構
成アトラクタを作成する点にある。
【0014】本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶
媒体は、上記コンピュータプログラムを格納した点に特
徴を有する。
【0015】上記のようにした本発明においては、所定
の次元を有する再構成アトラクタを作成し、再構成アト
ラクタ上の基準時刻での点の周囲に存在する再構成アト
ラクタ上の近傍点が、上記基準時間から所定時間推移後
での点の周囲にいくつ存在するかの割合を求めることに
よって、評価対象の状態を時間的な変化を捉えて評価す
ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
評価対象の状態評価装置、方法、コンピュータプログラ
ム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の実施の
形態について説明する。
【0017】図1には、本実施の形態の状態評価装置の
構成を示す。同図において、130は計測部であり、評
価対象110から所定の距離を有する計測点において、
評価対象110から出力され、抵抗120により減衰さ
れた状態信号を計測する。上記評価対象110から出力
される状態信号は、評価対象110の状態が反映された
信号であり、熱、信号、音等がある。すなわち、計測部
130は、計測点における評価対象110の状態が反映
された物理量等を計測する。抵抗120は、評価対象1
10から出力される状態信号を減衰させるものである。
例えば、上記状態信号が熱に関する信号であれば、大き
な熱容量を有するものや熱伝導度の低いもの等の伝熱抵
抗となるものである。
【0018】140は状態評価装置であり、上記計測部
130における状態信号の計測結果(以下、「計測点に
おける計測値」と称する)に基づいて、評価対象110
の外表面又は外表面上の点(以下、「評価面」と称す
る)における状態信号を求めて、評価対象の状態を評価
する。状態評価装置は、逆問題解析部141、アトラク
タ作成部142、記憶部143、状態評価部144を含
んで構成される。
【0019】逆問題解析部141は、計測点における計
測値及び抵抗120の物性値等を用いて逆問題解析を行
い、評価対象110の評価面における状態信号を求め
る。すなわち、逆問題解析部141は、仮に評価対象1
10の位置で計測したと仮定した場合に計測される状態
信号の算出を行う。
【0020】上記逆問題解析では、例えば、評価対象1
10、抵抗120、及び計測部130を含む系を対象に
した所定の方程式(偏微分方程式等)と、評価対象11
0の評価面における状態信号の仮定値とを用いて、計測
点における状態信号を算出する。その算出した状態信号
と、計測部130により実際に計測された計測点におけ
る計測値との誤差が所定の値より小さくなるように、評
価対象110の評価面における状態信号の仮定値を修正
し、計測点における状態信号の算出を繰り返す。そし
て、算出した状態信号と、実際に計測された計測点にお
ける計測値との誤差が所定の値より小さくなったときの
仮定値を、評価対象110の評価面における状態信号と
する。
【0021】また、例えば、下記の数1に示す式
(1)、(2)に基づいて、評価対象110の評価面に
おける状態信号を算出する。
【0022】
【数1】
【0023】上記式(1)は非定常方程式であり、例え
ば、熱伝導であれば熱伝導方程式である。式(1)に対
して所定の演算等を施すと、式(2)に示すような積分
境界方程式になる。式(2)において、Gは共役方程式
の解、uはスカラー量(例えば、熱伝導であれば温度
等)、∂u/∂nはスカラー勾配(例えば、熱伝導であ
れば熱流束)である。
【0024】上記式(2)において、左辺は評価対象1
10の評価面に関する積分であり、右辺は所定の既知境
界面、例えば計測点を含む面に関する積分である。した
がって、計測点における計測値に基づいて、式(2)の
右辺の値が求められ、その求めた値から式(2)の左辺
の評価面におけるスカラー勾配∂u/∂nが求められ
る。さらに、上述のようにして得られた評価面における
スカラー勾配∂u/∂nを、計測点における計測値を境
界条件として解くことにより、評価面のスカラー値uを
算出する。このスカラー値uが、評価面における状態信
号である。
【0025】アトラクタ作成部142は、逆問題解析部
141により算出された時系列の評価面における状態信
号に基づいて、アトラクタと呼ばれる軌道を再構成す
る。まず、アトラクタ作成部142は、逆問題解析部1
41により算出された時系列の評価面における状態信号
から、対象とする現象の2倍以上の次元mを持つ遅延ベ
クトルv(t)=(u(t),u(t+τ),u(t+
2τ),…,u(t+(m−1)τ))を作成する。
【0026】ここで、上記遅延ベクトルv(t)におい
て、u(T)は時刻Tにおける評価面における状態信号
の値、τは時間遅れ間隔である。例えば、上記逆問題解
析部141が、上述した式(1)、(2)を用いて、評
価面における状態信号を算出した場合には、上記u
(T)は評価面のスカラー値uである。なお、上記u
(T)として、評価面におけるスカラー勾配∂u/∂n
を用いてもよい。
【0027】次に、アトラクタ作成部142は、上記作
成した遅延ベクトルv(t)を所定の次元を有する位相
空間に写像する。この写像した遅延ベクトルv(t)の
時間推移による軌道を作成することによりアトラクタを
再構成する。なお、以下の説明では、この再構成したア
トラクタを「再構成アトラクタ」と称する。
【0028】143は記憶部であり、逆問題解析部14
1、アトラクタ作成部142、状態評価部144での処
理に用いるデータを記憶するものである。記憶部143
には、計測部130により計測された状態信号の計測
値、逆問題解析部141により算出された評価面におけ
る状態信号、アトラクタ作成部142により作成された
再構成アトラクタ等が記憶される。
【0029】144は状態評価部であり、上記アトラク
タ作成部142により得られた結果に基づいて、評価対
象の状態を評価する。評価対象の状態の挙動をΔtの時
間スケールで観測したときに、時間発展の様子が決定論
的、すなわちある法則性に支配されて推移するようにみ
えるということは、図2に示すように、再構成された軌
道群の近接した部分がΔt後に同じように近傍した部分
に移されることを意味する。そこで、状態評価部144
では、再構成アトラクタ上の現時刻点x(t)を中心と
する直径εの超球を考え、そこに含まれる再構成アトラ
クタ上の近傍点が、Δt秒後の点x(t+Δt)を中心
とする直径εの超球にいくつ存在するかの割合を指標
(以下、「定常性評価指標」と称する)として定義す
る。
【0030】具体的には、定常性評価指標は、定常性評
価指標=(Δt時刻後に生き残った近傍点数)/(時刻
tにおける近傍点数)により表される。この定常性評価
指標は、時系列変化の法則性依存度を表し、法則性依存
度が大きいほど1に近づき、完全なランダム状態、例え
ば白色ノイズでは0となる。図2においては、定常性評
価指標は3/5=0.6となる。
【0031】以下、図3のフローチャートに基づいて、
評価対象の状態評価のための処理動作について説明す
る。まず、逆問題解析部141において、計測部130
から供給される計測値を取り込み(ステップS30
1)、その計測値を用いて上述したように逆問題解析処
理を行い、評価対象110の評価面における状態信号を
求める(ステップS302)。
【0032】図4には、参考として、ある事例におい
て、2種類の計測点における計測値(同図(A)に示す
41、42)と、これら2種類の計測点における計測値
を用いて逆問題解析により求めた評価面における状態信
号(同図(B)に示す44、45)とを示す。同図
(A)に示すように、計測点における計測値は、抵抗2
0により減衰されるために滑らかな状態で検出されるの
に対して、同図(B)に示すように、評価面における状
態信号は、鋭い変化を示す。特に、同図(A)の領域4
3では、計測点における計測値変化は小さいが、同図
(B)で上記領域43に対応する領域46では、状態信
号は大きな変化を示している。
【0033】次に、アトラクタ作成部142では、上記
ステップS302で算出された評価面における状態信号
に基づいて、上述したようにアトラクタを再構成する
(ステップS303)。すなわち、逆問題解析部141
により算出された時系列の評価面における状態信号か
ら、対象とする現象の2倍以上の次元mを持つ遅延ベク
トルv(t)を作成する。そして、その遅延ベクトルv
(t)を所定の次元を有する位相空間に写像し、遅延ベ
クトルv(t)の時間推移による軌道を作成することに
よりアトラクタを再構成する。
【0034】図5には、参考として、図4で述べた事例
において、図4(B)に示す評価面における状態信号に
基づいて遅延ベクトルv(t)を作成し、その遅延ベク
トルv(t)を(x(t),x(t+7τ),x(t+
(m−1)τ))を座標としてプロットすることにより
得られた再構成アトラクタを示す。同図において、軌道
が密な領域61は安定な状態を示す軌道領域であり、軌
道が疎な領域62、63は不安定な状態を示す軌道領域
である。
【0035】そして、状態評価部144では、再構成ア
トラクタ上の現時刻点x(t)を中心とする直径εの超
球を考え、上述したように、直径εの超球内に存在する
再構成アトラクタ上の近傍点(過去の軌道上の点)が、
Δt秒後の点x(t+Δt)を中心とする直径εの超球
内にいくつ存在しているかという定常性評価指標を求め
る。そして、定常性評価指標が1に近ければ、評価対象
は安定状態にあり、0に近ければ、評価対象は不安定な
状態にあると評価する(ステップS304)。
【0036】なお、本実施の形態では、逆問題解析によ
り算出された時系列の評価面における状態信号に基づい
て再構成アトラクタと作成するようにしたが、計測点に
おける計測値に基づいて再構成アトラクタを作成するよ
うにしてもよい。
【0037】以下、具体例を挙げて説明する。例えば、
高炉操業において炉底温度状態(評価対象の状態)を評
価するために、炉底温度状態を直接計測することはでき
ないため、高炉炉底煉瓦に熱電対を埋め込んでおき、そ
の熱電対で測定された温度から炉底温度状態を評価する
場合を説明する。
【0038】図6には、経過時間と、高炉炉底煉瓦に埋
め込まれた熱電対(「測定部30」に相当)により計測
された温度との関係を示す。同図の矢印Aに示すよう
に、何らかの原因により熱電対温度の急激な上昇が発生
している。
【0039】図7には、上記逆問題解析を行わずに、熱
電対温度に基づいてアトラクタを再構成し(図示せ
ず)、定常性評価指標を求めた結果を示す。同図の矢印
Bに示すように、図6の矢印Aに示した変化の前に、定
常性評価指標の低下、すなわち不安定な状態が観察され
る。これは、現在の状態が別の状態に移行しようとする
予兆を表していると考えられる。
【0040】図8には、図6、7で説明したのと同じ高
炉における、経過時間と、逆問題解析により求めた炉底
熱流束との関係を示す図である。このように逆問題解析
を行うことにより、炉壁に埋め込まれた熱電対(「測定
部30」に相当)により測定された温度(「計測点にお
ける計測値」に相当)に基づいて、炉底熱流束(「評価
面における状態信号」に相当)を求めることが可能とな
る。この関係からも、同図の矢印Aに示すように、何ら
かの原因により熱電対温度の急激な上昇が発生している
ことがわかる。
【0041】図9には、上記のようにして求めた炉底熱
流束に基づいてアトラクタを再構成し(図示せず)、定
常性評価指標を求めた結果を示す。同図の矢印Bに示す
ように、図8の矢印Aに示した変化の前に、定常性評価
指標に大きな乱れと値の低下、すなわち不安定な状態が
観察される。これは、図7と同様、現在の状態が別の状
態に移行しようとする予兆を表していると考えられる。
また、図7と比較して、逆問題解析を介在させることに
より、この予兆が鮮明に現れており、予兆の検出能が向
上していることがわかる。
【0042】以上述べたように本実施の形態によれば、
評価対象から離れた計測点における計測値に基づいて逆
問題解析を行うことにより、抵抗120の影響を取り除
いて、評価面における状態信号を求めることができる。
そして、求められた評価面における状態信号の振る舞い
を示すアトラクタを再構成し、ある法則性に支配されて
推移するか否かを表す定常性評価指標を求めることによ
り、評価対象の状態の時間的変化を捉えて正確に評価す
ることができる。
【0043】なお、定常性評価指標を求めるための超球
の直径εは、評価対象に応じて定めればよく、例えば、
評価を厳しく行う場合には、超球の直径εを小さくすれ
ばよい。
【0044】また、本実施の形態では、評価対象の状態
を評価するものとしているが、さらに評価対象の将来の
状態を予測したり、評価対象の状態を制御したりするの
に用いてもよい。例えば、定常性評価指標が1に近い値
となるように、評価対象に対して制御を行うようにすれ
ばよい。
【0045】(その他の実施の形態)なお、上記実施の
形態の状態評価装置は、コンピュータのCPU或いはM
PU、RAM、ROM等により構成されるものであり、
RAMやROMに格納されたプログラムが動作すること
によって各機能が実現される。この場合、上記機能を果
たすようにコンピュータを動作させるプログラム自体、
さらには当該プログラムを供給するための手段、例えば
かかるプログラムを格納した記録媒体は本発明を構成す
る。記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、
ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−
ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM
等を用いることができる。
【0046】また、コンピュータが供給されたプログラ
ムコードを実行することにより、上述の実施の形態の機
能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコ
ンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティン
グシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共
同して上述の実施の形態の機能が実現される場合にもか
かるプログラムコードは本発明の実施の形態に含まれ
る。
【0047】また、本発明をネットワーク環境で利用す
べく、全部或いは一部のプログラムが他のコンピュータ
で実行されるようになっていてもよい。例えば、画面入
力処理は、遠隔端末コンピュータで行われ、各種判断、
ログ記録等は他のセンターコンピュータ等で行われるよ
うにしてもよい。上記実施の形態において示した各部の
形状及び構造は、何れも本発明を実施するにあたっての
具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによ
って本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならな
いものである。すなわち、本発明はその精神、又はその
主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施する
ことができる。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、評価
面における状態信号の振る舞いを示すアトラクタを再構
成し、ある法則性に支配されて推移するか否かを表す割
合を求めるようにしたので、評価対象の状態の時間的変
化を捉えて評価することができる。更に、計測点が評価
対象から離れているような場合に、計測点における計測
値に基づいて逆問題解析を行うようにすれば、抵抗の影
響を取り除いて評価面における状態信号を求めることが
でき、評価対象の状態を正確に評価することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の状態評価装置の構成を示すブロ
ック図である。
【図2】アトラクタ近傍点の時間推移を説明するための
図である。
【図3】状態評価のための処理動作を示すフローチャー
トである。
【図4】ある事例における2種類の計測点における計測
値と、これら2種類の計測点における計測値を用いて逆
問題解析により求めた評価面における状態信号とを示す
図である。
【図5】ある事例における再構成アトラクタを示す図で
ある。
【図6】ある高炉における経過時間と、高炉炉底煉瓦に
埋め込まれた熱電対により計測された温度との関係を示
す図である。
【図7】熱電対温度に基づいてアトラクタを再構成し、
定常性評価指標を求めた結果を示す図である。
【図8】ある高炉における経過時間と、逆問題解析によ
り求めた炉底熱流束との関係を示す図である。
【図9】逆問題解析により求めた炉底熱流束に基づいて
アトラクタを再構成し、定常性評価標を求めた結果を示
す図である。
【符号の説明】
140 状態評価装置 141 逆問題解析部 142 アトラクタ作成部 143 記憶部 144 状態評価部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 順一 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 合原 一幸 千葉県習志野市谷津4−8−8−208 Fターム(参考) 2F076 BA18 BE04 BE06 BE08 5B056 BB00 HH00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 評価対象から離れた計測点で計測した信
    号に基づいて、評価対象の状態を評価する評価対象の状
    態評価装置であって、 上記計測点で計測した信号に基づいて、所定の次元を有
    する再構成アトラクタを作成するアトラクタ作成手段
    と、 上記アトラクタ作成手段により作成された再構成アトラ
    クタ上の基準時刻での点の周囲に存在する再構成アトラ
    クタ上の近傍点が、上記基準時間から所定時間推移後で
    の点の周囲にいくつ存在するかの割合を求め、その割合
    に基づいて状態の評価を行う状態評価手段とを備えたこ
    とを特徴とする評価対象の状態評価装置。
  2. 【請求項2】 上記周囲として、上記基準時刻での点及
    び上記所定時間推移後での点を中心とする一定直径の超
    球を考えることを特徴とする請求項1に記載の評価対象
    の状態評価装置。
  3. 【請求項3】 上記状態評価手段は、上記割合に応じて
    評価対象の状態の安定性又は定常状態からの乖離度を評
    価することを特徴とする請求項1又は2に記載の評価対
    象の状態評価装置。
  4. 【請求項4】 上記計測点で計測した信号に基づいて、
    逆問題解析により上記評価対象の位置における信号を求
    める逆問題解析手段を備え、 上記アトラクタ作成手段は、上記逆問題解析手段により
    求めた評価対象の位置における信号から上記再構成アト
    ラクタを作成することを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の評価体表の状態評価装置。
  5. 【請求項5】 評価対象から離れた計測点で計測した信
    号に基づいて、評価対象の状態を評価する評価対象の状
    態評価方法であって、 上記計測点で計測した信号に基づいて、所定の次元を有
    する再構成アトラクタを作成するアトラクタ作成処理を
    有し、 上記アトラクタ作成処理により作成された再構成アトラ
    クタ上の基準時刻での点の周囲に存在する再構成アトラ
    クタ上の近傍点が、上記基準時間から所定時間推移後で
    の点の周囲にいくつ存在するかの割合を求め、その割合
    に基づいて状態の評価を行い、状態評価に応じて診断処
    理及び制御処理のうち少なくとも1つの処理を行うこと
    を特徴とする評価対象の状態評価方法。
  6. 【請求項6】 上記計測点で計測した信号に基づいて、
    逆問題解析により上記評価対象の位置における信号を求
    める逆問題解析処理を有し、 上記アトラクタ作成処理では、上記逆問題解析処理によ
    り求めた評価対象の位置における信号から上記再構成ア
    トラクタを作成することを特徴とする請求項5に記載の
    評価体表の状態評価方法。
  7. 【請求項7】 評価対象から離れた計測点で計測した信
    号に基づいて、評価対象の状態を評価する処理をコンピ
    ュータに実行させるコンピュータプログラムであって、 上記計測点で計測した信号に基づいて、所定の次元を有
    する再構成アトラクタを作成するアトラクタ作成処理
    と、 上記アトラクタ作成処理により作成された再構成アトラ
    クタ上の基準時刻での点の周囲に存在する再構成アトラ
    クタ上の近傍点が、上記基準時間から所定時間推移後で
    の点の周囲にいくつ存在するかの割合を求め、その割合
    に基づいて状態の評価を行う状態評価処理とをコンピュ
    ータに実行させることを特徴とするコンピュータプログ
    ラム。
  8. 【請求項8】 上記計測点で計測した信号に基づいて、
    逆問題解析により上記評価対象の位置における信号を求
    める逆問題解析処理をコンピュータに実行させ、 上記アトラクタ作成処理では、上記逆問題解析処理によ
    り求めた評価対象の位置における信号から上記再構成ア
    トラクタを作成することを特徴とする請求項7に記載の
    コンピュータプログラム。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載のコンピュータプ
    ログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み
    取り可能な記憶媒体。
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