JP5437328B2 - 観測値信頼度評価装置、観測値信頼度評価方法及び観測値信頼度評価プログラム - Google Patents

観測値信頼度評価装置、観測値信頼度評価方法及び観測値信頼度評価プログラム Download PDF

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Description

本発明は、正確さや誤差分布が様々なセンサデータから算出した仮想センサデータを用いて閾値判定を行う際に、信頼度という指標を用いる技術に関する。
一般的なユビキタスアプリケーションにおけるイベント検出処理には、センサデータに含まれる観測値の閾値判定処理がよく用いられている。
従来、閾値判定に用いるセンサデバイスは、予め決まっていることが前提であった。観測値の正確さや誤差範囲の見積りは容易に得られ、これらを活用して閾値を最適化したり、観測値が誤差範囲内に存在する確率を計算したりすることで、安定した閾値判定を実現していた(特許文献1参照)。
しかしながら、閾値判定に用いるセンサデバイスやその領域・位置が予め決まっていない環境においては、観測値の正確さや誤差範囲が刻々と変化し、安定した閾値判定が困難であるという問題を有する。
本発明が対象としている環境に、複数の移動ユーザにセンサデータを収集させる参加型センシングがある。参加型センシング環境において、ある領域を代表する仮想センサデバイスを定義し、閾値判定処理を行うことを考える(非特許文献1参照)。ある領域を代表する仮想センサデータは、各時刻におけるその領域に存在する複数のセンサデバイスについて、センサデータの中央値や平均値などの統計値を利用することができる。
従来、観測値とその誤差範囲を見積もる方法として、1回の観測に対して複数回のサンプリングを行い、それらの統計値を用いることが有効とされてきた。また、近隣の複数の観測値に相関があれば、これらの統計値を用いることも同様に有効である(非特許文献2参照)。
しかし、測定するセンサデバイスが予め決まっていない参加型センシング環境で得られる仮想センサデータは、正確さやその誤差範囲が時刻によってダイナミックに変化するという特徴がある。また、ある領域を代表する仮想センサデータは、その領域自体がユーザの要求により可変となるという特徴がある。
特開平8−202970号公報
武山政直、他1名、「参加型都市センシングによる価値共創モデルの可能性」、会誌「情報処理」、Vol.51、No.9、情報処理学会、2010年 吉澤康和著、「新しい誤差論」、共立出版株式会社、1989年 独立行政法人製品評価技術基盤機構認定センター著、「不確かさの入門ガイド」、2004年
前記述べたような特徴をもつ参加型センシング環境において、閾値判定を安定して動作させるにあたって、以下に述べる問題があった。
仮想センサデータは不確かさをもつデータであるため、閾値判定を行う場合、仮想センサデータが閾値を超えたかどうかだけでなく、仮想センサデータの誤差範囲と、その区間内に仮想センサデータが含まれる確率を考慮することが望ましい(非特許文献3参照)。
しかしながら、仮想センサデータを算出するためのセンサデータ集合が予め決まっていないことにより、センサデバイスの違いや観測位置や観測時刻のばらつきによって、算出された確率の確からしさが変動するという問題がある。また、ユーザ要求によって仮想センサデータを算出する領域が伸縮することで、仮想センサデータの確からしさが変動するという問題がある。
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、仮想センサデータや閾値判定の確からしさを評価することにより、仮想センサデータや閾値判定の確からしさが変動するときであっても、より現実的な閾値判定を行うことを目的とする。
上記目的を達成するために、仮想センサデータを構成しながら、センサデバイスの違いや観測位置や観測時刻のばらつきを定量化する信頼度という指標を導入することで、仮想センサデータの信頼度を考慮した確率的な閾値判定を行うこととした。
具体的には、本発明は、複数の観測装置における観測値について、代表値を算出するとともに、前記複数の観測装置における観測位置及び観測時刻の少なくとも一方を含む観測条件について、代表値を算出し、前記観測条件についての代表値からの前記観測条件のばらつき又は所定値からの前記観測条件についての代表値のかたよりを算出する統計処理部と、前記ばらつき又は前記かたよりに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値の信頼度を算出する代表値信頼度算出部と、を備えることを特徴とする観測値信頼度評価装置である。
また、本発明は、複数の観測装置における観測値について、代表値を算出するとともに、前記複数の観測装置における観測位置及び観測時刻の少なくとも一方を含む観測条件について、代表値を算出し、前記観測条件についての代表値からの前記観測条件のばらつき又は所定値からの前記観測条件についての代表値のかたよりを算出する統計処理手順と、前記ばらつき又は前記かたよりに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値の信頼度を算出する代表値信頼度算出手順と、を順に備えることを特徴とする観測値信頼度評価方法である。
この構成によれば、複数の観測装置における観測条件にばらつきやかたよりがあるときでも、ばらつきやかたよりに基づいて複数の観測装置における観測値についての代表値の信頼度を算出するため、仮想センサデータの信頼度を考慮することができる。
また、本発明は、前記ばらつき又は前記かたよりに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出する閾値判定信頼度算出部、をさらに備えることを特徴とする観測値信頼度評価装置である。
また、本発明は、前記ばらつき又は前記かたよりに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出する閾値判定信頼度算出手順、を前記代表値信頼度算出手順の後にさらに備えることを特徴とする観測値信頼度評価方法である。
この構成によれば、複数の観測装置における観測条件にばらつきやかたよりがあるときでも、ばらつきやかたよりに基づいて複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出するため、仮想センサデータの信頼度を考慮した確率的な閾値判定を行うことができる。
また、本発明は、前記閾値判定信頼度算出部は、前記複数の観測装置における観測値についての代表値からの観測値のばらつきに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出することを特徴とする観測値信頼度評価装置である。
また、本発明は、前記閾値判定信頼度算出手順は、前記複数の観測装置における観測値についての代表値からの観測値のばらつきに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出することを特徴とする観測値信頼度評価方法である。
この構成によれば、仮想センサデータが閾値を超えたかどうかだけでなく、仮想センサデータの誤差範囲内に仮想センサデータが含まれる確率を考慮することができる。
また、本発明は、前記複数の観測装置における観測条件に応じて、前記複数の観測装置が観測したデータをグループに分類するデータグループ化部、をさらに備え、前記統計処理部及び前記代表値信頼度算出部は、前記データグループ化部が各グループに分類した各データについて処理を実行することを特徴とする観測値信頼度評価装置である。
この構成によれば、複数の観測装置における観測条件ごとに細密に、複数の観測装置が観測したデータについて仮想センサデータを算出することができる。
また、本発明は、上記の観測値信頼度評価方法をコンピュータに実行させるための観測値信頼度評価プログラムである。
この構成によれば、観測値信頼度評価プログラムを、記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
本発明は、仮想センサデータや閾値判定の確からしさを評価することにより、仮想センサデータや閾値判定の確からしさが変動するときであっても、より現実的な閾値判定を行うことができる。
仮想センサデータ構成装置の構成を示す図である。 センサデータの内容を例示する図である。 グループ化の条件を例示する図である。 センサデータグループ化機能部の処理を示す図である。 信頼度付き仮想センサデータ構成機能部の処理を示す図である。 センサデータグループの内容を例示する図である。 メタデータの統計情報の内容を例示する図である。 メタデータの統計情報付きのセンサデータグループの内容を例示する図である。 観測値の統計情報の内容を例示する図である。 観測値の統計情報付きのセンサデータグループの内容を例示する図である。 仮想センサデータの内容を例示する図である。 信頼度付きの仮想センサデータの内容を例示する図である。 信頼度付き閾値判定機能部の処理を示す図である。 信頼度付き閾値判定機能部の処理を例示する図である。 信頼度付きの仮想センサデータの内容を例示する図である。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
仮想センサデータ構成装置の構成を示す図を図1に示す。信頼度付き閾値判定を行う信頼度付き仮想センサデータ構成装置100は、センサデータ読み出し機能部101、仮想センサデータ蓄積機能部102、設定受付機能部103、応答機能部104、センサデータグループ化機能部105、信頼度付き仮想センサデータ構成機能部106及び信頼度付き閾値判定機能部111を具備する。信頼度付き仮想センサデータ構成機能部106は、メタデータ統計処理機能部107、観測値統計処理機能部108、仮想センサデータ構成機能部109及び信頼度付与機能部110を含む。
信頼度付き閾値判定を行う信頼度付き仮想センサデータ構成装置100は、センサデータ読み出し機能部101及び仮想センサデータ蓄積機能部102において、センサデータ記憶装置112と接続され、設定受付機能部103及び応答機能部104において、アプリケーション装置113に接続される。センサデータ記憶装置112は、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)などを用いて容易に作成可能なものである。
信頼度付き仮想センサデータ構成装置100の概要を説明する。センサデータグループ化機能部105は、データグループ化部として、複数の観測装置における観測条件に応じて、複数の観測装置が観測したデータをグループに分類する。観測装置として、温度センサなどが挙げられ、観測条件として、観測位置や観測時刻などが挙げられる。
メタデータ統計処理機能部107は、統計処理部として、複数の観測装置における観測条件について、代表値を算出し、代表値からの観測条件のばらつき又は所定値からの代表値のかたよりを算出する。観測条件の代表値として、観測位置や観測時刻の平均値などが挙げられ、所定値として、グループ領域における中心値などが挙げられる。観測値統計処理機能部108は、統計処理部として、複数の観測装置における観測値について、代表値を算出する。観測値の代表値として、温度の平均値などが挙げられる。
信頼度付与機能部110は、代表値信頼度算出部として、上記ばらつき又は上記かたよりに基づいて、複数の観測装置における観測値についての代表値の信頼度を算出する。例えば、信頼度付与機能部110は、グループにおいて観測条件のばらつきが一様であるほど、観測値の代表値の信頼度が高いと評価してもよく、グループにおいて観測条件の代表値が観測条件の中心値に近いほど、観測値の代表値の信頼度が高いと評価してもよい。
信頼度付き閾値判定機能部111は、閾値判定信頼度算出部として、上記ばらつき又は上記かたよりに基づいて、複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出する。例えば、信頼度付き閾値判定機能部111は、グループにおいて観測条件のばらつきが一様であるほど、閾値判定の信頼度が高いと評価してもよく、グループにおいて観測条件の代表値が観測条件の中心値に近いほど、閾値判定の信頼度が高いと評価してもよい。
信頼度付き閾値判定機能部111は、閾値判定信頼度算出部として、複数の観測装置における観測値についての代表値からの観測値のばらつきに基づいて、複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出する。つまり、信頼度付き閾値判定機能部111は、代表値が閾値を超えたかどうかだけでなく、代表値の誤差範囲内に代表値が含まれる確率を考慮している。
図1に説明した各構成は、コンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
センサデータの内容を例示する図を図2に示す。センサデータ200は、属性と値の組で記述されるデータであり、その属性には観測位置201、202と観測時刻203と観測値204を含んでいる。観測位置は少なくとも1つの属性からなり、緯度と経度のように複数あってもよい。また、緯度経度に限るものではなく、例えば住所区画でもよい。
センサデータ200の観測条件はこれに限るものでなく、観測位置及び観測時刻の両方が含まれてもよく、どちらか片方が含まれなくてもよい。また、その他のメタデータとして、例えば、センサの種別、センサの型番、ネットワークアドレスなどを含んでもよい。
グループ化の条件を例示する図を図3に示す。グループ化条件300は、グループ化するセンサの種類301、グループ化する観測開始位置302、グループ化する観測終了位置303、グループ化する観測開始時刻304及びグループ化する観測終了時刻305を含み、時空間で表される領域を定義している。
本実施形態では、グループ化する位置範囲の指定に、緯度経度の矩形を表す開始位置と終了位置を用いているが、例えば、住所区画、建築物内の区画、緯度経度の中央と半径などを用いることができる。本実施形態では、グループ化する時刻範囲の指定に、開始時刻と終了時刻を用いているが、例えば、中央時刻と前後の時間、あるいは、開始時刻と終了時刻とグループ化間隔、などで指定してもよい。
例えば、
開始時刻={2011−05−01 00:00:00}
終了時刻={2011−05−01 00:35:00}
グループ化間隔={00:10:00}
と指定した場合、2011−05−01 00:00:00から10分間隔でグループ化する。結果として、
2011−05−01 00:00:00−00:09:59、
2011−05−01 00:10:00−00:19:59、
2011−05−01 00:20:00−00:29:59、
の3グループを作成し、残り時間のグループはグループ化されてもよくされなくてもよい。また、複数のグループを指定する場合は、複数個のグループ化条件を列挙すればよい。
センサデータグループ化機能部の処理を示す図を図4に示す。センサデータグループ化機能部105は、設定受付機能部103を介して、グループ化条件を受け取り、読み出し要求を生成する(手順S401)。センサデータグループ化機能部105は、読み出し要求をセンサデータ読み出し機能部101に送信し、センサデータ記憶装置112から読み出したセンサデータを受信する(手順S402)。
センサデータグループ化機能部105は、手順S401で受信したセンサデータのグループ化条件に基づいてグループを作成する(手順S403)。手順S401〜S403により、図3に示したセンサデータグループ化条件300に基づいて、図6に示すようなセンサデータグループ600を作成する。
センサデータグループ化機能部105は、グループごとに、手順S405〜S408を繰り返す(手順S404)。グループが空である場合は(手順S405において「はい」)、手順S406〜S408を省略する。グループが空でない場合は(手順S405において「いいえ」)、手順S406〜S408を実行する。
信頼度付き仮想センサデータ構成機能部106の実行(手順S406)の詳細は後述する。手順S406が完了すると、信頼度付き仮想センサデータ構成機能部106は、信頼度付き閾値判定機能部111に仮想センサデータを送信し(手順S407)、仮想センサデータ蓄積機能部102に仮想センサデータを送信する(手順S408)。仮想センサデータ蓄積機能部102は、センサデータ記憶装置112に仮想センサデータを保存する。
信頼度付き仮想センサデータ構成機能部の処理を示す図を図5に示す。信頼度付き仮想センサデータ構成機能部106は、センサデータグループ600を受け取ると、欠損データの補正を行う(手順S501)。欠損データの補正は、観測値とメタデータの属性のうち1つ以上が欠損しているデータを削除することで行う。図6の欠損値605は観測値のみが欠損した例である。この行は欠損データの補正によって削除される。
補正方法はこれに限らず、例えば、センサデバイスが測定しうる値の範囲外の値を含むデータを削除する、あるいは、カルマンフィルタ、線形補完、スプライン補完、クリギングなどの手段を用いて欠損データの補完を行う、などの手段を用いることができる。
メタデータ統計処理機能部107は、手順S501で作成したセンサデータグループ600を受け取り、観測位置および観測時刻のそれぞれの統計値を計算する。そして、それぞれの統計値の組からなるセンサデータグループ600のメタデータの統計情報700と、各センサデータに対してメタデータの統計処理結果を与えたセンサデータグループ800を、観測値統計処理機能部108に送信する(手順S502)。
メタデータの統計情報の内容を例示する図を図7に示す。メタデータの統計情報700には、平均値701、標準偏差702、歪度703、尖度704、正規化平均値705及び正規化標準偏差706を用いている。
正規化平均値705及び正規化標準偏差706は、空間範囲及び時間範囲で定義された領域の各軸において、観測開始点を−1、観測終了点を1とする正規化を行った単位領域における、メタデータの平均値及び標準偏差である。また、観測時刻の統計値709は、グループ化開始時刻2011/5/1 01:55:00(304)を0とした経過秒数で算出している。メタデータの統計情報700は、これらの値に限らず、例えば、中央値、不偏分散、値の重心などを含んでもよい。
メタデータの統計情報付きのセンサデータグループの内容を例示する図を図8に示す。図6のセンサデータグループ600に、緯度の偏差801、経度の偏差802及び時刻の偏差803を付与している。各センサデータに与える統計処理結果は、これらの属性に限るものではなく、例えば、重心からの距離などを用いてもよい。
観測値統計処理機能部108は、手順S502で作成したセンサデータグループ800とメタデータの統計情報700を受け取り、観測値の統計値を計算する。そして、手順S502で作成したメタデータの統計情報700と、観測値の統計値の組からなるセンサデータグループ800の観測値の統計情報900と、手順S502でメタデータの統計処理結果を与えた各センサデータに対しさらに観測値の統計処理結果を与えたセンサデータグループ1000を、仮想センサデータ構成機能部109に送信する(手順S503)。
観測値の統計情報の内容を例示する図を図9に示す。観測値の統計情報900には、平均値901、標準偏差902、歪度903及び尖度904を用いている。
観測値の統計情報900は、これらの値に限らず、例えば、中央値、不偏分散などを含んでもよい。これらの統計値の算出に、手順S502で作成した、メタデータの統計情報700や、各センサデータの統計情報801−803を用いてもよい。例えば、観測値の統計情報900は、メタデータの偏差を用いた重みを付与した荷重平均値、メタデータの重心からの距離を用いた重みを付与した荷重平均値、などを含んでもよい。
観測値の統計情報付きのセンサデータグループの内容を例示する図を図10に示す。図8のセンサデータグループ800に、観測値の偏差1001を付与している。
本実施形態では、メタデータ統計処理機能部107と観測値統計処理機能部108の順序で計算している(手順S502、S503)。しかし、これらの計算順序を入れ替えてもよい。そして、観測値の統計情報900や、各センサデータの統計情報1001を用いて、メタデータの統計情報700を算出してもよい。
仮想センサデータ構成機能部109は、手順S502と手順S503で算出した統計情報から、観測値の代表値、観測値の誤差範囲及びメタデータの代表値を選択し、これらを結合した仮想センサデータを構成する(手順S504)。
仮想センサデータの内容を例示する図を図11に示す。仮想センサデータ1100は、グループID1101、メタデータの代表値1102−1104、観測値の代表値1105及び観測値の誤差範囲1106で構成する。仮想センサデータ1100は、この構成に限らず、例えば、メタデータの代表値1102−1104をすべては含まなくてもよい。
観測値の代表値1105と誤差範囲1106として、観測値の平均値901と標準偏差902の2倍の値(95%信頼区間)を用いる。観測値の代表値と誤差範囲に用いる統計値として、観測値の平均値と標準偏差の組に限らず、例えば、観測値の荷重平均値と荷重標準偏差の組などを用いることができる。また、標準偏差902の2倍の値(95%信頼区間)に限らず、標準偏差902の1倍の値(68%信頼区間)を用いてもよい。
メタデータの代表値1102−1104として、メタデータの平均値701を用いる。メタデータの代表値には、メタデータの平均値だけではなく、例えば、メタデータの中央値、あるいは、メタデータの重み付き平均値などを用いることができる。
信頼度付与機能部110は、手順S504で構成した仮想センサデータ1100に信頼度を付与する(手順S505)。信頼度は、観測位置及び観測時刻のかたより具合及びばらつき具合という、2つの指標を定量化した値とする。
本実施形態においては、上記の正規化後の単位領域に観測条件が一様に散らばっているほど、信頼度が高いと仮定する。なお、上記の正規化後の単位領域の中心部に観測条件が集中しているほど、信頼度が高いと仮定してもよい。
2つの指標の定量化には、メタデータの統計情報700及び観測値の統計情報900を用いる。本実施形態においては、単位領域の中心点から正規化平均値705までの距離を用いて、かたより値を算出し、正規化標準偏差706を用いて、ばらつき値を算出する。
まず、単位領域の中心点と単位領域の各軸における正規化平均値705の距離rを用いて、中心点からのかたより値を算出する。本実施形態においては、距離rが取りうる範囲は0≦r≦√3である。メタデータの統計情報700から算出される距離rは0.254であり、これをrが取りうる値の最大値で割るとかたより値は14.7%である。
次に、単位領域における各軸の正規化標準偏差σ_x(x=i,j,k)を用いて、ばらつき値を算出する。一辺が2σ_x(x=i,j,k)の直方体を仮定し、直方体の単位領域に占める割合をばらつき値とする。本実施形態においては、体積vの取りうる範囲は0≦v≦8である。メタデータの統計情報700から算出される直方体の体積vは0.0619であり、これをvが取りうる最大値で割るとばらつき値は0.773%である。
信頼度付きの仮想センサデータの内容を例示する図を図12に示す。かたより値1201とばらつき値1202の2値で信頼度を表す。また、かたより値とばらつき値の算出には、正規化平均値と正規化標準偏差に限らず、例えば、センサデータグループの単位領域における中心の周りのモーメント、メタデータの歪度と尖度、センサデータグループの単位領域におけるエントロピーなどを用いてもよい。
また、本発明の範囲は上記のものに限らず、例えば、メタデータの緯度、経度、時刻及び観測値からなる4次元分布を仮定し、その信頼区間に入る確率を信頼度としてもよい。また、センサの個数の密度を算出して重み付けを行ってもよい。また、信頼度は、1値に合成してもよく、複数の値からなるベクトル表現のままでもよい。
信頼度付き仮想センサデータ構成機能部106は、信頼度を付与した仮想センサデータ1200を、信頼度付き閾値判定機能部111に送信する(手順S506)。そして、信頼度を付与した仮想センサデータ1200を、仮想センサデータ蓄積機能部102を介し、センサデータ記憶装置112に蓄積する(手順S507)。
信頼度付き閾値判定機能部の処理を示す図を図13に示す。信頼度付き閾値判定機能部の処理を例示する図を図14に示す。信頼度付きの仮想センサデータの内容を例示する図を図15に示す。図14には、時刻t1,t2,t3における、仮想センサデータの値、仮想センサデータの誤差範囲、仮想センサデータの信頼度及びアプリケーションの閾値を図示している。図15には、図14の仮想センサデータ1400を例示している。
アプリケーション装置113は、仮想センサデータが閾値以上であるかどうかの判定結果を要求する。時刻t1においては、誤差範囲の下限からの1/4点で、アプリケーションの閾値と交差している。時刻t2においては、誤差範囲の下限からの3/4点で、アプリケーションの閾値と交差している。時刻t3においては、交差が起こっていない。
信頼度付き閾値判定処理機能部111は、第一段の判定として、誤差範囲と閾値から閾値判定の計算を行う(手順S1301)。グループ内の観測値の誤差分布は、正規分布に従うとみなす。測定値xの誤差範囲の幅は、95%信頼区間を用いる。つまり、平均値μ、標準偏差σのとき、(μ−2σ≦x≦μ+2σ)の区間を用いる。
閾値aを上回るという判定を行う場合、測定値xが閾値以上誤差範囲上限以下(a≦x≦μ+2σ)に存在する確率を計算する。このとき、(μ+2σ≦a)の場合は0%、(a≦μ−2σ)の場合は100%とみなす。
閾値aを下回るという判定を行う場合、測定値xが閾値以下誤差範囲下限以上(μ−2σ≦x≦a)に存在する確率を計算する。このとき、(μ+2σ≦a)の場合は100%、(a≦μ−2σ)の場合は0%とみなす。
本実施形態では、閾値を上回るという判定を行っている。時刻t1においては、閾値以上かつ誤差範囲上限以下に存在する確率は81.85%である。時刻t2においては、閾値以上かつ誤差範囲上限以下に存在する確率は13.59%である。時刻t3においては、閾値以上かつ誤差範囲上限以下に存在する確率は0%である。
信頼度付き閾値判定処理機能部111は、第二段の判定として、信頼度(かたより値及びばらつき値)を用いて、第一段閾値判定結果の正しさを評価する(手順S1302)。つまり、代表値の信頼度が低い場合、その誤差範囲の信頼度も同様に低いとみなされるため、第一段閾値判定結果が正しく無い可能性がある。
本実施形態においては、上記の正規化後の単位領域に観測条件が一様に散らばっている場合に、観測値の代表値の信頼度が高いとみなすこととする。つまり、観測条件が単位領域に一様に散らばっている場合は、観測値の代表値の信頼度は100%とし、センサの配置が局所的である場合は、観測値の代表値の信頼度は低いとみなす。
本実施形態においては、仮想センサデータに付与されている信頼度を用いて、ばらつき値×(1−かたより値)を算出する。(1−かたより値)を乗算することにより、観測条件が単位領域に一様に散らばっており、観測条件の代表値が単位領域の中心値に近いほど、観測値の代表値の信頼度が高いと、より確実にみなすことができる。
ばらつき値×(1−かたより値)を評価する。時刻t1における第一段閾値判定結果は、0.02%の信頼度である。時刻t2における第一段閾値判定結果は、51.2%の信頼度である。時刻t3における第一段閾値判定結果は、0.59%の信頼度である。
信頼度付き閾値判定処理機能部111は、第一段の判定結果及び第二段の判定結果を用いて、閾値判定を統合する(手順S1303)。
本実施形態では、第一段判定結果の確率が0%より大きいものは「閾値を超えている可能性がある」とみなし、その確率を以て第一段判定結果の不確かさを表現する。また、第二段判定結果を以て第一段判定結果の正しさを表現する。
「第一段判定結果の確率が0%であり、その信頼度が低い」場合は、閾値を超えている可能性があるとみなす。「閾値を超えている確率が0%であり、その信頼度が高い」場合のみ、閾値を超えていないという判定となる。
時刻t1においては、閾値を超えている可能性がある。その確率は第一段で判定したように81.85%であり、第一段の信頼度は第二段で判定したように低い。時刻t2においては、閾値を超えている可能性がある。その確率は第一段で判定したように13.59%であり、第一段の信頼度は第二段で判定したように高い。時刻t3においては、閾値を超えている可能性がある。その確率は第一段で判定したように0%であるが、第一段の信頼度は第二段で判定したように低いため、閾値を超えている可能性があると考えられる。
信頼度付き閾値判定処理機能部111は、手順S1303で得られた判定結果に信頼度を付与し、応答機能部104を介しアプリケーション装置113に送信する(手順S1304)。本実施形態では、信頼度付き閾値判定処理機能部111は、信頼度として、かたより値1201及びばらつき値1202の2値を付与する。
本発明に係る観測値信頼度評価装置、観測値信頼度評価方法及び観測値信頼度評価プログラムは、特に、閾値判定に用いるセンサデバイスやその領域・位置が予め決まっていない環境において、例えば、複数の移動ユーザにセンサデータを収集させる参加型センシング環境において、安定した閾値判定を行うときに適用することができる。
100:仮想センサデータ構成装置
101:センサデータ読み出し機能部
102:仮想センサデータ蓄積機能部
103:設定受付機能部
104:応答機能部
105:センサデータグループ化機能部
106:信頼度付き仮想センサデータ構成機能部
107:メタデータ統計処理機能部
108:観測値統計処理機能部
109:仮想センサデータ構成機能部
110:信頼度付与機能部
111:信頼度付き閾値判定機能部
112:センサデータ記憶装置
113:アプリケーション装置

Claims (8)

  1. 複数の観測装置における観測値について、代表値を算出するとともに、前記複数の観測装置における観測位置及び観測時刻の少なくとも一方を含む観測条件について、代表値を算出し、前記観測条件についての代表値からの前記観測条件のばらつき又は所定値からの前記観測条件についての代表値のかたよりを算出する統計処理部と、
    前記ばらつき又は前記かたよりに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値の信頼度を算出する代表値信頼度算出部と、
    を備えることを特徴とする観測値信頼度評価装置。
  2. 前記ばらつき又は前記かたよりに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出する閾値判定信頼度算出部、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の観測値信頼度評価装置。
  3. 前記閾値判定信頼度算出部は、前記複数の観測装置における観測値についての代表値からの観測値のばらつきに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出することを特徴とする、請求項2に記載の観測値信頼度評価装置。
  4. 前記複数の観測装置における観測条件に応じて、前記複数の観測装置が観測したデータをグループに分類するデータグループ化部、をさらに備え、
    前記統計処理部及び前記代表値信頼度算出部は、前記データグループ化部が各グループに分類した各データについて処理を実行することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の観測値信頼度評価装置。
  5. 複数の観測装置における観測値について、代表値を算出するとともに、前記複数の観測装置における観測位置及び観測時刻の少なくとも一方を含む観測条件について、代表値を算出し、前記観測条件についての代表値からの前記観測条件のばらつき又は所定値からの前記観測条件についての代表値のかたよりを算出する統計処理手順と、
    前記ばらつき又は前記かたよりに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値の信頼度を算出する代表値信頼度算出手順と、
    を順に備えることを特徴とする観測値信頼度評価方法。
  6. 前記ばらつき又は前記かたよりに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出する閾値判定信頼度算出手順、
    を前記代表値信頼度算出手順の後にさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の観測値信頼度評価方法。
  7. 前記閾値判定信頼度算出手順は、前記複数の観測装置における観測値についての代表値からの観測値のばらつきに基づいて、前記複数の観測装置における観測値についての代表値及び閾値の大小判定の信頼度を算出することを特徴とする、請求項6に記載の観測値信頼度評価方法。
  8. 請求項5から請求項7のいずれかに記載の観測値信頼度評価方法をコンピュータに実行させるための観測値信頼度評価プログラム。
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