JP2002332916A - 気化器の始動燃料供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存の気化器の艤装を大幅に変更することな
く、始動燃料を加減する始動燃料弁を内蔵する、蝶型絞
り弁式気化器の始動燃料供給装置を得る。 【解決手段】 燃料入口１６と燃料噴孔１２とを結ぶ始
動燃料通路の途中にシリンダ１４を設け、シリンダ１４
にチヨーク弁５の弁軸６に設けたカム２０により、ばね
１５の力に抗して始動燃料通路を閉じる弁体１９を嵌装
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は機関の始動時チヨー
ク弁の閉操作に連動して、通常の燃料に加えて始動燃料
が自動的に供給されるようにした、蝶型絞り弁式気化器
の始動燃料供給装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】チヨーク弁を備えた気化器では、始動に
十分な燃料を得るために、チヨーク弁の密閉度を高める
と、機関の始動後の回転を持続できないという問題があ
る。一方、機関の始動後の回転を重視すると、始動時に
十分な燃料量を吸い出すことができない。

【０００３】バイスタータを備えた気化器は始動性能を
満足するものであるが、バイスタータの機密性を十分に
確保しないと、通常の運転でアイドル回転数が不安定に
なる。また、通路構成が複雑になるので、既存の気化器
にバイスタータを一体的に収めることが難しく、機関製
造者にとつて新たな艤装の検討が必要になる。

【０００４】フアストアイドル機構を備えた気化器は、
機関の始動後に回転数が高くなりすぎるので、遠心クラ
ツチを介して駆動される動力鋸、刈払い機などの携帯作
業機では刃物が回転し、非常に危険である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上述の
問題に鑑み、既存の気化器の艤装を大幅に変更すること
なく、始動燃料を加減する始動燃料弁を内蔵する、蝶型
絞り弁式気化器の始動燃料供給装置を提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の構成は燃料入口と燃料噴孔とを結ぶ始動燃
料通路の途中にシリンダを設け、該シリンダにチヨーク
弁の弁軸に設けたカムにより、ばねの力に抗して前記始
動燃料通路を閉じる弁体を嵌装したことを特徴とする燃
料入口と燃料噴孔とを結ぶ通路の間にシリンダを設け、
該シリンダにチヨーク弁の弁軸に設けたカムにより、ば
ねの力に抗して前記通路を閉じる弁体を嵌装したことを
特徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明では始動燃料を加減する始
動燃料弁を気化器本体に備える。機関の始動時チヨーク
弁の閉操作に連動して開く始動燃料弁を始動燃料通路に
設け、通常の燃料に加えて始動燃料通路から始動燃料が
吸気路へ自動的に供給されるようにする。既存のフアス
トアイドル機構を併用すれば、機関の始動性だけでなく
始動後の機関回転数をクラツチイン（遠心クラツチが接
続する回転数）以下に維持できる。

【０００８】

【実施例】図１に示すように、本発明による気化器は気
化器本体２を貫通する吸気路３の上流側に、チヨーク弁
５が弁軸６により支持され、下流側に図示してない弁軸
により蝶型絞り弁４が支持される。図示してないが、気
化器本体２の下部に配設した定圧燃料機構の定圧燃料室
から低速燃料噴孔が絞り弁４の閉位置付近へ開口され、
またベンチユリ部３ａへ高速燃料噴孔が開口される。

【０００９】本発明では、機関の始動性を高めるため
に、機関の始動時、濃い混合気が機関へ供給されるよう
に、始動燃料通路に燃料を増量するための始動燃料弁１
０が備えられる。気化器本体２の内部に弁軸６に対しほ
ぼ垂直な弁室ないしシリンダ１４が形成され、シリンダ
１４に弁体１９が嵌装される。弁体１９はばね１５の力
により、弁軸６に設けた切欠からなるカム２０へ係合さ
れる。シリンダ１４の周壁に燃料入口１６が開口され、
シリンダ１４の端壁に燃料ジエツト１３を有する燃料噴
孔１２が接続される。燃料噴孔１２は絞り弁４の閉位置
付近へ開口される。弁体１９は弁体１９ａと弁体１９ｂ
とに分割され、両者の間にばね１８が介装される。弁体
１９ａにシール１７が装着される。

【００１０】上述の気化器の始動燃料供給装置におい
て、図１に示すように、機関の始動時チヨーク弁５を閉
位置へ回動すると、弁軸６のカム２０に弁体１９ａがば
ね１５，１８の力により押し付けられ、弁体１９ｂは後
退して燃料噴孔１２を開く。絞り弁４が絞られているの
で、クランキングに伴い、燃料噴孔１２には強い吸気負
圧が働く。したがつて、例えば定圧燃料室などの燃料源
の燃料が燃料入口１６からシリンダ１４へ入り、燃料ジ
エツト１３、燃料噴孔１２を経て吸気路３へ吸引され
る。こうして、機関へ濃い混合気が供給され、機関の円
滑な始動が達せられる。

【００１１】図２に示すように、機関の始動後はチヨー
ク弁５を全開にすると、弁軸６の周面により弁体１９が
図２の上方へ押され、ばね１８の力により弁体１７がば
ね１５の力に抗して燃料噴孔１２の通路端部へ押し付け
られ、燃料噴孔１２が閉じられる。この時、絞り弁４の
開度に応じて、ベンチユリ部３ａに配設した高速燃料噴
孔と、絞り弁４の閉位置付近に配設した低速燃料噴孔と
から燃料が吸気路３へ吸引される。

【００１２】図３に示す実施例では、始動燃料弁１０は
シール２２，２３を軸方向の間隔を存して装着した単一
のピストン型の弁体２４を、弁室ないしシリンダ２５に
嵌装され、シリンダ２５の端壁と弁体２４との間に介装
したばね２１の力により、弁体２４が弁軸６のカム２０
へ係合される。

【００１３】機関の始動時、チヨーク弁５を閉じると、
燃料源の燃料が燃料入口１６、シリンダ２５、燃料ジエ
ツト１３、燃料噴孔１２を経て吸気路３へ吸引される。
燃料噴孔１２から吸気路３へ供給される燃料量は、燃料
ジエツト１３により規制される。機関の始動後は、チヨ
ーク弁５を開くと、弁軸６の周面により弁体２４がばね
２１の力に抗して図３の上方へ押され、シール２２，２
３により燃料入口１６が閉じられる。

【００１４】この実施例では、弁体２４のストロークは
カム２０と弁軸６の周面との差であり、シリンダ２５の
上端部にストロークよりも長い軸方向の空隙があれば、
つまり弁体２４がシリンダ２５の端壁に当たることはな
く、始動燃料通路つまり燃料入口１６を閉じることがで
きる。

【００１５】

【発明の効果】本発明は上述のように、燃料入口と燃料
噴孔とを結ぶ始動燃料通路の途中にシリンダを設け、該
シリンダにチヨーク弁の弁軸に設けたカムにより、ばね
の力に抗して前記始動燃料通路を閉じる弁体を嵌装した
ものであり、シール部分が１個所になるので、通路構成
が簡単になり、製造単価の低減に役立つ。

【００１６】始動燃料通路の配置だけを考えればよく、
始動燃料のための燃料源は定圧燃料室に限定されない。

【００１７】既存のフアストアイドル機構と同じ操作で
クラツチインしない（機関の回転が作業機の刃物に伝わ
らない）設定が可能である。

【００１８】気化器本体の内部に始動燃料弁などが内蔵
されるので、既存の艤装を変える必要がなく、互換性が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る気化器の始動燃料供給装置の始動
時の平面断面図である。

【図２】本発明に係る気化器の始動燃料供給装置の通常
運転時の平面断面図である。

【図３】本発明の第２実施例に係る気化器の始動燃料供
給装置の始動時の平面断面図である。

【符号の説明】

２：気化器本体 ３：吸気路 ３ａ：ベンチユリ部
４：絞り弁 ５：チヨーク弁 ６：弁軸 １０：始動燃
料弁 １２：燃料噴孔 １３：燃料ジエツト １４：シ
リンダ １５：ばね １６：燃料入口 １７：シール
１８：ばね １９：弁体 １９ａ：弁体 １９ｂ：弁体
２０：カム ２１：ばね ２２：シール２３：シール
２４：弁体 ２５：シリンダ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料入口と燃料噴孔とを結ぶ始動燃料通路
   の途中にシリンダを設け、該シリンダにチヨーク弁の弁
   軸に設けたカムにより、ばねの力に抗して前記始動燃料
   通路を閉じる弁体を嵌装したことを特徴とする、蝶型絞
   り弁式気化器の始動燃料供給装置。
2. 【請求項２】前記燃料噴孔が吸気路の絞り弁の閉位置付
   近に開口され、機関の始動時、前記始動燃料弁の弁体が
   ばねの力により押し開かれる、請求項１に記載の気化器
   の始動燃料供給装置。
3. 【請求項３】前記燃料噴孔に燃料量を規制する燃料ジエ
   ツトが配設される、請求項１に記載の気化器の始動燃料
   供給装置。
4. 【請求項４】前記弁体が２分割され、２分割体の間にば
   ねが介装される、請求項１に記載の気化器の始動燃料供
   給装置。