JP2020084867A - 層状掃気式2サイクルエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】不安定なエンジン動作を短時間で終わらせてエンジン動作を安定化させる。【解決手段】掃気通路18に供給した先導空気を燃焼室12に供給して燃焼ガスの掃気を促す層状掃気式2サイクルエンジンである。吸気系は、掃気通路18に先導空気を供給する空気通路26を含み、空気通路26には、エアクリーナ20の第2開口20bを通じて空気が供給される。第2開口20bには、マニュアル式の空気制限部材40が設けられている。ユーザの操作によって空気制限部材40で第2開口20bを閉じることができる。【選択図】図6

Description

本発明は層状掃気式2サイクルエンジンに関する。
2サイクルエンジンは、軽量、重量比で高出力であることから、ブロア、チェーンソー、刈払機などの携帯作業機の駆動源として用いられている。2サイクルエンジンは、クランク室で予圧縮された混合気を燃焼室に供給する掃気通路を有し、燃焼室に供給される混合気を使って燃焼ガスの掃気が行われる。
2サイクルエンジンは、掃気行程において混合気がそのまま排気される、いわゆる「吹き抜け」の問題が内在している。この「吹き抜け」問題を改善するため、混合気に先立って空気を燃焼室に供給する層状掃気式エンジンが開発され普及している(例えば特許文献1)。層状掃気式エンジンにおいて、混合気に先立って燃焼室に供給される空気は「先導空気」と呼ばれている。層状掃気式エンジンは、先導空気によって燃焼ガスの排気が促されるため、排気ガス中の未燃ガスの量を低減できるという利点を有している。
層状掃気式2サイクルエンジンの吸気系は、混合気をクランク室に供給するための混合気通路に加えて、先導空気を掃気通路に供給するための空気通路を有している。層状掃気式エンジンの吸気系は3つのタイプに大別することができる。
特許文献1、2は第1のタイプの吸気系を開示している。この第1のタイプの吸気系は、気化器から独立した空気通路を有し、この空気通路を通じて掃気通路に先導空気が供給される。空気通路には先導空気弁が配設され、この先導空気弁は、混合気通路に設けられたスロットル弁(出力制御弁)と機械的に連携される。スロットル弁は、ユーザが操作するトリガと連携している。ユーザのスロットル操作によってスロットル弁が開閉動作し、そして、これに連動して先導空気弁が開閉動作する。特許文献1、2において、特許文献1にあっては、スロットル弁としてバタフライ弁が設けられたバタフライ式気化器が採用され、他方、空気通路の先導空気弁としてロータリ弁が採用されている。これらスロットル弁、ロータリ弁は機械的に連携されている。他方、特許文献2にあっては、スロットル弁及び先導空気弁が共にバタフライ弁で構成され、この2つのバタフライ弁は機械的に連携されている。
特許文献3、4は第2のタイプの吸気系を開示している。この第2のタイプの吸気系は2つのボアを有する気化器を含んでいる。2ボア式気化器は、第1ボアによって混合気チャンネルが形成され、第2ボアによって空気チャンネルが形成されている。特許文献3に開示の気化器は、混合気チャンネルにはバタフライ弁からなるスロットル弁が設けられている。他方、空気チャンネルには、バタフライ弁からなる先導空気弁が設けられ、この空気弁とスロットル弁とは機械的に連携されている。他方、特許文献4は2ボア気化器の概要しか記載されていないが、混合気チャンネルにベンチュリが図示されている。したがって、特許文献4に開示の気化器は、バタフライ弁からなるスロットル弁を備えたバラフライ式気化器である。
特許文献5は第3のタイプの吸気系を開示している。この第3のタイプの吸気系は、単一のボアを有する気化器を含み、この単一のボアには、バタフライ弁からなるスロットル弁と、これに隣接する仕切りプレートとが設けられている。そして、スロットル全開のとき、スロットル弁(バタフライ弁)と仕切りプレートとで、混合気チャンネルと空気チャンネルとが形成される。気化器はインシュレータを介して層状掃気式2サイクルエンジンに連結される。インシュレータには、パーティションによって区画された混合気通路と空気通路とが形成されている。
ところで、エンジンの始動性、特に冷間時の始動性を確保するための部材としてチョーク弁が知られている。チョーク弁は、混合気チャンネルに供給する空気の量を制限するのに用いられる。そして、このチョーク弁を使うことで、混合気チャンネルで生成される混合気の燃料含有量を高めて燃料リッチな混合気を燃焼室に供給することで、円滑にエンジンを始動させることができる。
特許文献5は一つの典型的なチョーク弁を開示している。特許文献5に開示のチョーク弁はバタフライ弁で構成され、このチョーク弁はスロットル弁の上流側に配置されている。
特許文献3、4は他の典型的なチョーク弁を開示している。このチョーク弁は、エアクリーナに配置されたプレート部材で構成されている。エアクリーナは、ろ過した空気を混合気通路に供給する第1開口を有し、この第1開口にプレート状のチョーク弁が設けられ、プレート状チョーク弁を一つの軸線を中心に揺動させることで第1開口を横断する方向に回動して第1開口を開け閉めすることができる。
特許文献3、4に開示の第2のタイプの吸気系は、前述したように、2ボア式気化器を含んでいる。特許文献3に開示のエアクリーナは、2ボア式気化器の空気チャンネルに空気を供給するために、第1開口と第2開口とを有し、第1開口及び第2開口は共通の開口に通じている。特許文献4に開示のエアクリーナは、第1開口と第2開口とが独立しており、第1開口と第2開口とは互いに隣接して配置されている。上述したプレート状のチョーク弁は、第1開口及び第2開口を閉じることができる面積を有し、このプレート状チョーク弁によって第1開口と一緒に第2開口が開け閉めされる。これにより、エンジン始動時にチョーク弁によって第1、第2の開口を閉じることにより、混合気通路及び空気通路の双方に供給する空気の量を制限することができる。これにより始動時にエンジンに供給する混合気の燃料含有量を高めることができ、このリッチ混合気によってエンジンの始動性を高めることができる。
上述した先導空気弁に関連して、層状掃気式エンジンの吸気系に含まれる先導空気弁は、上述したように、出力制御弁であるスロットル弁と機械的に連携されている。この機械的連携の構造において、近時のエンジンには、機械的な構造の空気弁制御機構が付加されている(特許文献1、6、7)。空気弁制御機構は、低負荷時には空気弁を閉じた状態を維持し、高負荷時に、スロットル弁に連動して空気弁が開く。したがって、ユーザがスロットル弁を一気に開く操作を行ったとき、これに応答してスロットル弁は閉じ状態から一気に全開状態まで開く。これに対して、先導空気弁は、空気弁制御機構によって、スロットル弁の変化に遅れて変化する。すなわち、スロットル弁が一気に開いたとき、このタイミングから遅れて先導空気弁が開く。
空気弁制御機構に関し、特許文献1は、空気弁を構成するロータリ弁のボア形状に工夫が施されている。ロータリ弁のボアは、ロータリ弁が開弁方向に回転しても一定の回転角度までは閉じ状態を維持する形状を有している。
特許文献6に開示の空気弁はバタフライ弁で構成されている。そして、このバタフライ弁とスロットル弁とはリンク機構によって機械的に連携されている。リンク機構は、スロットル弁に関連した第1リンクと、空気弁(バタフライ弁)に関連した第2リンクと、第1、第2リンクを連結する連結ロッドとを含んでいる。第1リンクはスリットを有し、このスリットに連結ロッドの一端が挿入されている。この構成において、スロットル弁が全閉から半開き状態になるまでの間は、連結ロッドの一端が第1リンクのスリットの中を移動する。これにより、低負荷時は、スロットル弁の開き動作が空気弁(バタフライ弁)に伝わらず、空気弁は閉じ状態が維持される。すなわち、上記のリンク機構は、低負荷時、スロットル弁の開き動作を空気弁に伝達しない不感帯を備えた構造を有している。
特許文献7は層状掃気式エンジンに適用されるロータリ式気化器を開示している。このロータリ式気化器は、前述した2ボア式気化器に属する。したがって、特許文献7は前述した第2タイプの吸気系を開示していると云うことができる。特許文献7に開示のロータリ式気化器は、上下2段のロータリ弁を有し、下段のロータリ弁が混合気チャンネルに位置し、上段のロータリ弁が空気チャンネルに位置している。上下のロータリ弁はカム溝とピンとで連結され、下段のロータリ弁(スロットル弁)が全閉状態から所定の回転角度まで軸回転したとしても、上段のロータリ弁(先導空気弁)は閉じた状態が維持される。
スロットル弁と先導空気弁との間の機械的連携構造に上記の空気弁制御機構を付加することで、低負荷時には先導空気がエンジンに供給されない。これにより、低負荷時では、燃焼室に供給する混合気が過剰に希薄になるのを阻止することができる。他方、高負荷時には、先導空気がエンジンに供給され、この先導空気によって燃焼ガスの掃気が行われる。
US 7,389,754 B2 US 7,503,292 B2 JP特開2003−35308号公報 US 8,875,677 B2 US 2013/0228152 A1 US 6,328,288 B1 JP特開2001−329845号公報
2サイクルエンジンは、エンジンが起動した後、動作が安定化するのに時間を要する場合がある。この問題を図18、図19を参照して説明する。図18は、ロータリ式気化器の模式図であり、図19は、スロットル弁としてバタフライ弁を採用したバタフライ式気化器の模式図である。
図18に図示のロータリ式気化器300は、燃料源の燃料タンク302から燃料が供給されるダイヤフラム・メタリング室304に通じるノズル306を有し、このノズル306から吐出される燃料の量を調整するためにニードル308が設けられている。参照符号310は混合気チャンネルを示し、参照符号312はロータリ弁を示す。ロータリ弁312は、ユーザが操作するトリガTrに連携され、ユーザがトリガTrを操作することによりロータリ弁312が軸回転する。混合気チャンネル310には、エアクリーナ316でろ過した空気が供給され、そしてノズル306から吐出される燃料で混合気が生成される。混合気チャンネル310で生成した混合気はエンジン本体318に供給される。
図19は、スロットル弁としてバタフライ弁320を備えたバタフライ式気化器322を示す。バラフライ弁320は、ユーザが操作するトリガTrに連携され、ユーザがトリガTrを操作することによりバラフライ弁320が開閉動作する。バタフライ式気化器322は、ベンチュリー部324に配置されたメインノズル326と、バタフライ弁320に隣接したスロー系ノズル328とを有し、アイドル時ではスロー系ノズル328から混合気チャンネル330に燃料が吐出され、パーシャルあるいはフルスロットル時ではメインノズル326から混合気チャンネル330に燃料が吐出される。
ロータリ式気化器300のノズル306、バタフライ式気化器322のメインノズル326及びスロー系ノズル328を総称して「燃料吐出部」と呼び、参照符号340を付記する。また、ロータリ式気化器300の混合気チャンネル310、バタフライ式気化器322の混合気チャンネル330を総称して単に「混合気チャンネル」と呼び、参照符号342を付記する。
環境温度が低温のときの問題
環境温度が低温の場合、燃料の粘性によって気化器300、322内の燃料の流れが安定しない。この結果、例えばエンジン起動後、作業を開始するためにスロットル弁を一気に開く、最初のスロットル全開(初加速)操作があったとき、混合気チャンネル342に供給される燃料の量が不安定になり、エンジン回転数が円滑に上昇しないという問題を招き易い。特許文献1、6、7を参照して上述した先導空気弁を備えたエンジンでは、ユーザの操作に伴うスロットル弁の開き動作に連動して先導空気弁が開き、掃気通路に先導空気が供給される。これに対して、クランク室に供給される混合気の燃料含有量が不安定だと、燃焼室に供給される混合気が希薄(リーン混合気)な状態になる。このことが原因で、エンジン回転数が円滑に上昇しない、という問題が発生する。
エンジン停止直後に再起動したときの問題
作業を中断してエンジンの動作を止めると、気化器300、322はエンジンの熱を受けて高温になる。気化器300、322が高温になると、気化器300、322内に滞留している燃料は、燃料によっては沸騰して気泡を含んだ状態になる。作業を再開するためにエンジンを起動すると、燃料吐出部340から気泡を含んだ燃料が吐出されるため、混合気チャンネル342に供給される燃料の量が不足した状態になり、そして、エンジンに供給される混合気の空燃比が希薄(リーン混合気)になる。これが原因でエンジン動作が不安定になる。したがって、エンジン起動後、作業を開始するために一気にスロットル弁を開く初加速のとき、エンジン回転数が円滑に上昇しないという問題を招き易い。
燃料に含まれる水分やダストによる問題
燃料フィルタを通過したゴミや、アルコール燃料を使用した場合に、アルコールに由来して生成される物質や、燃料タンクに侵入した雨水や結露などによる水滴は燃料と混ざることなく気化器通路内に送られ、気化器通路内の狭い箇所に留まる場合がある。その場合、燃料量が不足し、混合気チャンネルで生成される混合気が希薄(リーン混合気)となり、その結果、エンジンの動作が不安定になる。
本発明の目的は、様々な原因で発生する不安定なエンジン動作を短時間で終わらせてエンジン動作を安定化させることができる層状掃気式2サイクルエンジンを提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、層状掃気式2サイクルエンジンの掃気通路に供給する空気の量を制限する空気制限部材を設けることにより達成することができる。この空気制限部材は、スロットル弁の動作とは無関係に、ユーザの操作によって開閉動作する。したがって、ユーザは、トリガ操作とは無関係に、空気制限部材を全閉あるいは半開き状態にすることができる。
本発明に従う層状掃気式2サイクルエンジンによれば、ユーザは、必要に応じて、空気制限部材を使って掃気通路に供給する空気の量を制限することができる。そして、掃気通路に供給する空気量を制限することで、随時、混合気通路の負圧を大きくすることができる。その結果、混合気チャンネルに燃料を取り込む力が大きくなる。これを利用して、気化器内の燃料が例えば気泡を含んでいる場合、この気泡を含んだ燃料を短時間のうちに取り出すことができる。また、空気制限部材によって掃気通路に供給する空気の量を制限することで、燃焼室に供給する混合気をリッチにすることができる。リッチ混合気を燃焼室に供給する運転状態では、後に説明するように、燃料含有量の変動に対してエンジン回転数の変動幅は小さい。したがって、本発明によれば、混合気の燃料含有量の増減に対してエンジン回転数の変動幅が小さい、という特性を利用しながら、エンジン動作を早期に安定化させることができる。
本発明の概念を図1ないし図3に図示の模式図を参照して詳しく説明する。層状掃気式2サイクルエンジンの吸気系は3つのタイプに分類できるのは前述した通りである。この3つのタイプの吸気系を含む2サイクルエンジンの各々に本発明を適用することができる(図1〜図3)。図1は、特許文献1、2に開示の第1のタイプの吸気系を含む層状掃気式2サイクルエンジン100を示す。図2は、特許文献3、4に開示の第2のタイプの吸気系を含む層状掃気式2サイクルエンジン102を示す。図3は、特許文献5に開示の第3のタイプの吸気系を含む層状掃気式2サイクルエンジン104を示す。
図1ないし図3において、参照符号2はエンジン本体を示す。エンジン本体2には吸気系4と排気系6が連結される。エンジン本体2は、シリンダ8の中を往復動するピストン10を有し、このピストン10によって燃焼室12が画成されている。参照符号14は点火プラグである。燃焼室12は掃気通路18を介してクランク室16と連通可能である。参照符号18aは掃気通路18の掃気窓を示す。好ましくは、エンジン本体2はシリンダ8に形成された各種のポートをピストン10によって開閉するピストンバルブ式であるのがよい。そして、掃気窓18aもピストン10によって開閉される。換言すれば、掃気通路18の下端はクランク室16に常時連通している。
吸気系4は、その上流端にエアクリーナ20を有し、エアクリーナ20のエレメント22で浄化された空気は、エアクリーナ20の第1、第2の開口20a、20bを通じてエンジン本体2に供給される。
吸気系4は混合気通路24と空気通路26を有し、混合気通路24は、エアクリーナ20の第1開口20aから受け取った空気で混合気を生成し、そして混合気をクランク室16に供給する。参照符号8aはシリンダ8の混合気ポートを示す。混合気ポート8aはピストン10によって開閉される。混合気ポート8aは混合気通路24から混合気を受け取り、この混合気をクランク室16に供給する。他方、空気通路26は、エアクリーナ20の第2開口20bから受け取った空気を掃気通路18に供給する。参照符号8bは、シリンダ8の空気ポートを示す。空気ポート8bはピストン10によって開閉される。空気ポート8bは空気通路26から空気を受け取り、この空気を掃気通路18に供給する。
シリンダ8の空気ポート8bから掃気通路18に空気を供給する例示的な具体的構造としてピストン溝Pgが知られている。ピストン溝Pgは、US 2016/0097343 A1に開示のように、ピストン10の周面に形成された溝である。このピストン溝Pgと空気ポート8bとの連通/遮断及びピストン溝Pgと掃気通路18との連通/遮断はピストン10によって制御される。空気通路26の空気はピストン溝Pgによって掃気通路18の上部に供給される。
図1に図示の層状掃気式2サイクルエンジン100に含まれる気化器30はロータリ式気化器であってもよいし、バタフライ式気化器であってもよい。気化器内の混合気チャンネルを参照符号30aで示す。図2に図示の層状掃気式2サイクルエンジン102に含まれる気化器32は2ボア式気化器で構成され、混合気チャンネル32aと空気チャンネル32bを有している。この気化器32は、ロータリ式気化器300(図18)であってもよいし、バタフライ式気化器322(図19)であってもよい。図3に図示の層状掃気式2サイクルエンジン104に含まれる気化器34はバタフライ弁からなるスロットル弁36を備えた1ボア式気化器で構成され、スロットル弁36が全開(フルスロットル)状態のときに、スロットル弁36と仕切り壁38とで混合気チャンネル34aと空気チャンネル34bを形成する。
図1ないし図3において、前述したスロットル弁や図18、図19を参照して説明した燃料吐出部340の図示は省略してある。また、図1ないし図3に図示の層状掃気式2サイクルエンジン100、102、104において、必要に応じて、特許文献6などを参照して説明した先導空気弁及びスロットル弁との機械的連携構造、空気弁制御機構を付加するのが好ましい。
図1ないし図3を参照して、吸気系4の空気通路26は空気制限部材40を含み、空気制限部材40によって掃気通路18に供給する空気の量を自在に制限できる。空気制限部材40は手動であり、前述したトリガ操作つまりスロットル操作とは無関係に、ユーザの意思に基づいて、空気通路26を全閉あるいは半開きなど空気制限部材40の開度を調整できる。
空気制限部材40は、空気通路26の任意の箇所に設置することができる。また、エアクリーナ20の第2開口20b又はシリンダ8の空気ポート8bに空気制限部材40を設置することができる。空気制限部材40は例えばバタフライ弁で構成してもよいし、空気通路26、第2開口20b、空気ポート8bを横断する方向に変位可能なプレート部材で構成してもよい。
例示的に低温の環境下での空気制限部材40の使用に伴うエンジン本体2の動作を以下に説明する。例えば低温の環境下でエンジン本体2を起動する際に、ユーザは空気制限部材40を閉じる操作を行っても良いし、エンジン起動直後にユーザが空気制限部材40を閉じる操作を行ってもよい。例えば空気制限部材40を閉じた後にエンジン本体2を起動させ、そして、エンジン本体2が起動した後も、エンジン本体2の動作が安定するまで空気制限部材40を閉じたままにしておくことで、エンジン起動後のトリガ操作つまりスロットル弁を一気に開く操作があった場合に、混合気通路24の負圧を大きくすることができ、これにより図18、図19を参照して説明した燃料吐出部340から燃料を吸い出す力を高めることができる。
これにより、例えば低温の環境下での初加速において、燃料の粘性に打ち勝って燃料吐出部340から燃料を吐出させることができる。また、空気制限部材40を閉じることで空気通路26を通じて掃気通路18に供給される先導空気の量が大幅に制限されるため、燃焼室12に供給する混合気はリッチ混合気になる。
図4は、スロットル全開状態において、混合気の燃料含有量とエンジン回転数との関係を示す図である。図4から分かるように、混合気の燃料含有量が最適値よりも多い(リッチ混合気)とき、燃料含有量の増減に対してエンジン回転数の変動幅は比較的小さい。すなわち、リッチ混合気のとき、燃料含有量の増減に対してエンジンは鈍感であり、エンジン回転数の変動幅は小さい。
他方、混合気の燃料含有量が最適値よりも少ない(リーン混合気)とき、図4から分かるように、燃料含有量の増減に対してエンジン回転数の変動は大きい。すなわち、リーン混合気のとき、燃料含有量の増減に対してエンジンが敏感に反応してエンジン回転数は大きく変化する。
本発明によれば、空気通路26を空気制限部材40によって閉じる又は半開き状態にすることに伴って燃焼室12に供給される混合気はリッチ混合気になる。したがって、空気制限部材40を使うことで、混合気に含まれる燃料含有量の変動に対してエンジン動作を鈍感にすることができる。また、空気制限部材40の作用に伴って、混合気通路24の負圧は大きくなる。これにより、燃料吐出部340(図18、図19)には大きな負圧が作用し、この大きな負圧によって、燃料吐出部340から燃料の吐出を強制することができる。したがって、前述した冷間起動時の問題に対して、エンジン本体2の動作を早期に安定化させることができる。
前述したエンジン停止直後に再起動したときの問題や燃料に含まれる水分やダストによる問題に対しても同様であり、空気制限部材40を使うことで、これらの問題に対処することができる。
本発明は、典型的には、特許文献1、6、7を参照して説明した「先導空気弁」及び「空気弁制御機構」を備えた層状掃気式2サイクルエンジンに適用される。「先導空気弁」及び「空気弁制御機構」は既に多くのエンジンに適用されている。空気制限部材40を付加することにより、「先導空気弁」及び「空気弁制御機構」を備えたエンジンを更に進化させることができる。「先導空気弁」及び「空気弁制御機構」を備えたエンジンに適用する場合、空気制限部材40の構成に戻りバネを加えるのがよい。この戻りバネに関し、後に図15ないし図17を参照して説明する。ユーザが操作している最中、空気制限部材40は、エンジンに供給する導入空気を制限する。ユーザが空気制限部材40を開放すると、戻りバネの付勢力によって空気制限部材40は原位置に自動的に戻る。これにより「先導空気弁」及び「空気弁制御機構」を備えたエンジンは通常の動作状態に復帰する。
本発明の作用効果及び他の目的は、図面を参照した、本発明の好ましい実施の形態の説明から明らかになろう。
本発明の概念を説明するための図であり、第1タイプの吸気系に空気制限部材を設けたエンジンを示す。 本発明の概念を説明するための図であり、第2タイプの吸気系に空気制限部材を設けたエンジンを示す。 本発明の概念を説明するための図であり、第3タイプの吸気系に空気制限部材を設けたエンジンを示す。 スロットル全開の状態において、混合気の燃料含有量とエンジン回転数の関係を説明するための図である。 実施例のエンジンの模式図であり、このエンジンには2ボア且つバタフライ弁を備えた気化器が組み込まれている。 実施例のエンジンの模式図であり、このエンジンには2ボアロータリ式気化器が組み込まれている。 実施例のエンジンに組み込まれたエアクリーナの斜視図であり、エアクリーナのカバー部材を取り除いた状態で図示されている。 図7に図示のエアクリーナの分解斜視図である。 図7に図示のエアクリーナの底面図である。 図7に図示のエアクリーナに組み込まれた空気制限部材の全体構成図である。 実施例のエンジンの冷間始動時において時間の経過に伴うエンジン回転数の変化を示す図である。 比較例として空気制限部材無しのエンジンに関する図11に対応した図である。 実施例のエンジンの熱間再始動時において時間の経過に伴うエンジン回転数の変化を示す図である。 比較例として空気制限部材無しのエンジンに関する図13に対応した図である。 図7ないし図10に図示のエアクリーナの第1変形例を示す図であり、図8に対応した分解斜視図である。 図7ないし図10に図示のエアクリーナの第2変形例を示す図であり、図8に対応した分解斜視図である。 図16に図示のエアクリーナの底面図である。 ロータリ式気化器の模式図である。 バタフライ式気化器の模式図である。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。図5は実施例の層状掃気式2サイクルエンジンの全体構成を示す模式図である。図5に図示の層状掃気式2サイクルエンジン200は、特許文献3、4に開示の第2のタイプの吸気系を含んでいる(図2)。以下の説明において、前述した図2に開示の要素と同じ要素には同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図5において、エンジン本体2は空冷単気筒である。バタフライ式気化器202は2ボア式気化器で構成され、混合気チャンネル202aと空気チャンネル202bとを有し、これらのチャンネル202a、202bは互いに独立している。混合気チャンネル202aには、バタフライ弁からなるスロットル弁204と、好ましくはチョーク弁222とが配設されている。スロットル弁204はトリガTrに連携され、トリガTrをユーザが操作すると、これに応じてスロットル弁204が開閉動作する。
空気チャンネル202bには、好ましくは先導空気弁224が設けられ、この先導空気弁224はスロットル弁204と機械的に連結されている。この連携機構226は空気弁制御機構228を含むのが好ましい。この空気弁制御機構228によって先導空気弁224は、前述したように、スロットル弁204の動作タイミングに遅延して開き動作を開始する。
バタフライ式気化器202は、図6に図示のように、ロータリ式気化器206に置換してもよい。ロータリ式気化器206は2ボア式気化器であり、混合気チャンネル206aと空気チャンネル206bとを有している。ロータリ式気化器206の具体的な構造は、例えば特許文献7に開示の気化器であり、この気化器は、前述したように、上下2段のロータリ弁と、これらの連携機構に付加された空気弁制御機構を備えている。従来と同様に、下段のロータリ弁(スロットル弁)は、トリガTr(図5)に連携されており、ユーザの操作に応じて動作し、また、このスロットル弁の動作タイミングに遅延して先導空気弁(上段のロータリ弁)が動作する。
なお、図5に図示のバタフライ式気化器202及び図6に図示のロータリ式気化器206は、線図の錯綜を回避するために、図18、図19を参照して説明した燃料吐出部340の図示を省いてある。
図5、図6を参照して、吸気系4の上流端に位置するエアクリーナ20は、エレメント22がケース212に収容されている。エアクリーナ・エレメント22は、ケース212の周囲壁216に隣接して配置され、周方向に連続して延びる平面視リング状の形状を有している。混合気チャンネル202a、206aに通じる第1開口20a及び空気チャンネル202b、206bに通じる第2開口20bはケース212の底壁218に設けられ、第1、第2の開口20a、20bは互いに独立している。
図5、図6に示す参照符号220は通路延長部材を示す。通路延長部材220は、混合気通路24の長さを延長するための部材であり、混合気通路24の入口を構成する第1開口20aに連結される。通路延長部材220を第1開口20aに連結することにより、混合気通路24が延長される。すなわち、第1開口20aに通路延長部材220を連結することにより、吸気系4の混合気通路24の通路入口は通路延長部材220の自由端220aによって形成される。第2開口20bは、空気通路26の始端つまり通路入口を構成している。この第2開口20bに空気制限部材40が設けられている。
図7ないし図9は、エアクリーナ20の具体的な構造の一例を説明するための図である。図7は、エアクリーナ20の内部構造を示す斜視図であり、図8は分解斜視図であり、図9は、エアクリーナ20の底面図である。
エアクリーナ20のケース212は2分割構造である。ケース212は、その下部を構成するケース本体230と、このケース本体230に対して脱着可能なカバー(図示せず)とで構成されている。エアクリーナ20は、ケース本体230がバタフライ式気化器202(図5)又はロータリ式気化器206(図6)に連結される。
図7、図8を参照して、ケース本体230は、その底壁218が平面視円形である(図9)。そして、周囲壁216は、底壁218の外周縁から鉛直に延び且つ周方向に連続している。底壁218には第1、第2の開口20a、20bが形成されている。図8の参照符号232、234はボルト挿通孔であり、この2つのボルト挿通孔232、234を貫通する2本のボルト(図示せず)を使ってケース本体230が気化器202、206に固定される。
通路延長部材220は、平面視したときに、周囲壁216に沿って延びるリング状の形状を有し、始端(自由端)220aと、第1開口20aに臨む終端220bとを有している。終端220bには、作図上の理由から図面には表れていないが、第1開口20aに臨む延長通路出口が開口している。通路延長部材220の始端(自由端)220aには延長通路入口236が設けられている。エアクリーナ・エレメント22(図5、図6)でろ過された空気は、延長通路入口236から通路延長部材220の中に入り、そして、延長通路出口及び第1開口20aを通じて、バタフライ式気化器202の混合気チャンネル202a(図5)又はロータリ式気化器206の混合気チャンネル206a(図6)に供給される。
第2開口20bに設けた空気制限部材40について、図8ないし図10を参照して説明する。図9は、エアクリーナ20(ケース本体230)の底面図である。図10は、空気制限部材40の全体構成を説明するための斜視図である。
図10を参照して、空気制限部材40は、プレート状の空気制限部材本体240と、操作レバー242と、空気制限部材本体240と操作レバー242との間に位置する軸部244とを有している。空気制限部材本体240は、図8から最も良く分かるように、ケース本体230の内部に配置されている。空気制限部材本体240は、第2開口20bを閉じる面積を有し、軸部244を中心に一つの平面上を揺動する。他方、操作レバー242は、図9から最も良く分かるように、底壁218の外に且つ底壁218に隣接して配置されている。そして、空気制限部材40の軸部244は、第2開口20bに隣接した位置において、ケース本体230の底壁218を貫通して配置されている。
操作レバー242の自由端部242aは、ケース本体230を下から見たときに、周囲壁216から外方に突出して位置しており(図7〜図9)、ユーザが操作する操作部を構成している。すなわち、操作レバー242の自由端部242aを人為的に操作して、操作レバー242を軸部244を中心に揺動させることにより、軸部244を中心としてプレート状の空気制限部材本体240を揺動させることができる。空気制限部材本体240は、第2開口20bを横断する方向に回動することで第2開口20bの開口面積を変えることができる。
図9を参照して、ケース本体230の底壁218には、操作レバー242を挟んで第1、第2のストッパ250、252が設けられている。第1、第2のストッパ250、252は操作レバー242の操作範囲を規定する。スロットル弁の操作とは無関係に、ユーザは指を使って操作レバー242を第1ストッパ250と衝突するまで動かすと、空気制限部材本体240は、第2開口20bを閉じる位置(作用位置)に位置決めされる。他方、操作レバー242を第2ストッパ252と衝突するまで動かすと、空気制限部材本体240は、第2開口20bから離れた位置(原位置)に位置決めされ、これにより第2開口20bは完全に開放された状態となる。また、第1、第2のストッパ250、252の中間位置に操作レバー242を位置させると、第2開口20bは空気制限部材本体240で半分閉じた状態になる。
図11は、実施例の層状掃気式2サイクルエンジン200の一つの効果を説明するための図であり、ゼロ℃の環境下で始動した時(冷間始動時)のエンジン回転数の変動を示す。なお、このテストは、ロータリ式気化器206を組み込んだエンジン(図6)で行った。この始動操作は、通常の始動操作マニュアルに従って行った。したがって、スロットル弁及び先導空気弁は閉じ状態である。なお、このテストでは空気制限部材40を閉じ状態にして始動したが、始動時には空気制限部材40を開放状態にしておき、エンジン始動操作が終わった段階で空気制限部材40を閉じ状態にしてもよい。
図11を参照して具体的に説明する。ゼロ℃の環境下において、空気制限部材40を全閉状態にし、ロータリ弁208をアイドル位置にセットした状態でエンジン本体2を起動した後、約10秒後にロータリ弁208を一気に全開にした(初加速)。図11から、この初加速のスロットル操作に追従してエンジン回転数が一気に上昇しているのが分かる。また、図11から、初加速でエンジン回転数が一気に上昇した後、高いエンジン回転数で安定しているのが分かる。スロットル全開後、約11秒後に空気制限部材40を操作して、第2開口20bを全開にした。これに伴いエンジン回転数は、所望の高回転レベルに移行した。
図12は、比較例として、第2開口20bから空気制限部材40を取り除いたエンジンでテストした結果を示す。このテストを行った時の環境温度は0.9℃であった。使用したエンジンは、図11を参照して説明した実施例の層状掃気式2サイクルエンジン200から空気制限部材40を省いたエンジンであった。
比較例の図12を参照して、0.9℃の環境下において、ロータリ弁208をアイドル位置にセットした状態でエンジン本体2を起動した後、約10秒後にロータリ弁208を一気に全開にした(初加速)。図12から、この初加速のスロットル操作に対して、エンジン回転数の上昇が追従していないだけでなく、変動幅が極めて大きいことが分かる。ロータリ弁208を全開状態(初加速)にした後、約25秒経過した後に、ようやくエンジン回転数が安定した。
低温の環境下において、比較例では、初加速(エンジン始動後の最初のスロットル弁全開)において、エンジン回転数が安定するまでの所要時間は約25秒であった。この間の不安定なエンジン動作は、混合気通路24を通じて燃焼室12に供給される混合気の量が安定していないことに起因して燃焼室12に供給される混合気がリーン混合気になることを意味している。図4を参照して上述したように、リーン混合気は、燃料含有量の変動に伴うエンジン回転数の変動幅が大きい。
図13は、実施例の層状掃気式2サイクルエンジン200の他の効果を説明するための図であり、作業を中断し、そしてエンジンを再起動したときを想定したテスト結果を示す。具体的には、40℃の環境において、スロットル全開で10分間、エンジンを動作させた後にエンジンを停止して30ないし35分間、エンジン停止状態のまま放置して、エンジンからの熱で気化器の温度が最も高くなった時にエンジンを再起動して直ちに一気にスロットル全開にした。このテストは、図11に関連して説明した実施例の層状掃気式2サイクルエンジン200と同じエンジン(図6)を使った。
図13を参照して、40℃の環境下において、スロットル全開の状態でエンジン本体2を起動したときのエンジン回転数の変化を示す。使用した燃料は、「冬用」と呼ばれる燃料を使用した。一般に燃料には冬用、夏用の2種類の燃料があり、冬用燃料は揮発性が相対的に高い特性(沸点が低い特性)を有している。携帯作業機の一般的な使われ方を観察すると、作業を中断する際に、エンジンの動作を停止し、エンジンが十分に暖かい状態でエンジンを再び起動して作業を再開することが多々ある。
一般的に、フルスロットルで動作していたエンジンの熱は、エンジン動作を停止すると気化器に移行して気化器の温度を上昇させる。この時の気化器の温度は40℃を越える温度まで上昇する。その状態で、エンジンを再起動すると、気化器は混合気を生成する過程の気化熱によって気化器はほぼ環境温度まで下がる。エンジン動作を停止した直後に発生する現象つまりエンジンの熱を受け取ることによる気化器の温度上昇は、気化器内部の燃料通路などにおいて、燃料の沸騰を招く原因となる。この沸騰により気化器内部の燃料は気泡を含んだ状態となる。
実施例の層状掃気式2サイクルエンジン200を40℃の環境下に置くことで、冬用燃料は沸騰し易い状態になる。フルスロットルで運転した直後にエンジン停止すると、エンジンの熱によって気化器206の温度は上昇する。これにより気化器206の内部に存在する冬用燃料が沸騰するため、気化器206の内部の燃料は気泡を含む状態になる。このような状態において、空気制限部材40で第2開口20bを閉じた状態でエンジンを起動し、そして直ちにスロットル全開にした。図13から分かるように、エンジン回転数は一気に上昇して安定状態になっている。起動からエンジン回転数が安定するまでに要した時間は約60秒であった。
図14は、比較例として、図12の比較テストと同様に、第2開口20bから空気制限部材40を取り除いたエンジンでテストした結果を示す。このテストは、図13のテスト結果のときと同じ条件で行った。すなわち、40℃の環境下において、スロットル全開で10分間、エンジンを動作させた後にエンジンを停止して30ないし35分間、エンジン停止状態のまま放置して、気化器の温度が最も高くなった時にエンジンを再起動して直ちに一気にスロットル全開にした。
図14から分かるように、エンジン回転数が上昇する過程においてエンジン回転数の変動が大きい。起動からエンジン回転数が安定するまでに要した時間は約125秒であった。ここに、安定とは、エンジンから排出されるCOの濃度に基づく言葉であると理解されたい。上記の約60秒、約125秒は排出COの濃度が所望のレベルに達するまでに要した時間を意味している。
実施例の層状掃気式2サイクルエンジン200において、空気通路26を通じてエンジン本体2に供給する空気を空気制限部材40で制限することで、混合気通路24の負圧は大きくなる。そして、この大きな負圧によって気化器206の中に存在する気泡を含んだ燃料が早期に気化器206から除去できる。この効果は図13のテスト結果から明白である。また、空気通路26を通じてエンジン本体2に供給する空気を空気制限部材40で大幅に制限することで、燃焼室12に供給される混合気がリッチになるため、スロットル全開操作に応答して直ちにエンジン回転数が安定的に上昇している。
比較例では、気化器206の中に存在する気泡を含んだ燃料を除去するのに、時間を要することを図14のテスト結果が表している。また、気化器206から気泡を含んだ燃料が抜け出ることによって燃焼室12に供給される混合気がリーンになるため、スロットル全開操作に応答できず、エンジン回転数が不安定な状態が暫くの間、発生している。このことは、図4を参照して前述した混合気の燃料含有量の変動とエンジン回転数との関係からも理解できる。
図7ないし図9を参照して説明したエアクリーナ20の第1の変形例を図15を参照して説明する。図15に図示の第1変形例のエアクリーナ260は、空気制限部材40の構成要素に戻りバネ262を付加した点に特徴があり、他の要素は図7などに図示のエアクリーナ20と同じである。図15に図示のエアクリーナ260の説明において、図7などに図示のエアクリーナ20と同じ要素には同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
図15を参照して、戻りバネ262は、空気制限部材40の軸部244に取り付けたコイルバネ264で構成され、コイルバネ264の一端が空気制限部材本体240に係止され、他端がケース本体230に係止されている。ユーザは、コイルバネ264(戻りバネ262)の付勢力に抗して操作レバー242を操作することで空気制限部材40を閉じる方向に回転させることができる。ユーザが操作レバー242から手を離すと、コイルバネ264(戻りバネ262)の付勢力によって空気制限部材40は全開状態に戻る(原位置に復帰)。したがって、ユーザは、必要に応じて、操作レバー242を操作して空気制限部材40を所望の閉じ状態にし、そしてその操作位置を維持することにより空気制限部材40を所望の閉じ位置(作用位置)に位置決めできる。そして、例えばエンジン動作が安定したら操作レバー242から手を離すだけで、空気制限部材40はコイルバネ264の付勢力によって全開状態(原位置)に復帰し、第2開口20bは全開状態になる。
図16、図17は、エアクリーナ20の第2の変形例を示す。図16は、第2変形例のエアクリーナ270の分解斜視図であり、図17はエアクリーナ270の底面図である。
図16を参照して、空気制限部材40は、図10、図15などを参照して前述したプレート状の空気制限部材本体240、軸部244、戻りバネ262(コイルバネ264)とを有し、空気制限部材本体240は、軸部244を中心に揺動し、また、戻りバネ262によって開き方向に付勢されている。
図17を参照して、軸部244には中継レバー272の一端272aが取り付けられ、この中継レバー272はケース本体の底壁218の外側に配置されている。中継レバー272の他端には受け面272bが形成されている。中継レバー272の受け面272bに臨んでプッシュ部材280が取り付けられている。プッシュ部材280は、ケース本体230の外側において、底壁218に隣接して配置され、底壁218のほぼ半径方向に延びている。プッシュ部材280は、中継レバー受け面272bに当接する内端部280aと、外方に突出して位置する外端部280bとを有し、外端部280bはユーザが操作する操作部を構成している。
ユーザは、必要に応じて、プッシュ部材280を押して空気制限部材40を所望の閉じ状態にし、そしてその操作位置を維持することにより空気制限部材40をその閉じ状態(作用位置)に位置決めできる。そして、例えばエンジン動作が安定したらプッシュ部材280から手を離すだけで、空気制限部材40はコイルバネ264の付勢力によって全開状態(原位置)に戻り、第2開口20bは全開状態になる。
図15ないし図17に図示の変形例、つまり戻りバネ262の付勢力で空気制限部材40を原位置に戻す構成は、特許文献1、6、7を参照して説明した「先導空気弁」及び「空気弁制御機構」を備えた層状掃気式2サイクルエンジンに好適に適用することができる。これにより、「先導空気弁」及び「空気弁制御機構」を備えた層状掃気式2サイクルエンジンを更に進化させることができる。ユーザは、必要に応じて、空気制限部材40を操作することで、エンジンの不安定なエンジン動作を短時間で終わらせることができる。
2 エンジン本体
4 吸気系
8 シリンダ
8a 混合気ポート
8b 空気ポート
10 ピストン
12 燃焼室
16 クランク室
18 掃気通路
18a 掃気窓
20 エアクリーナ
20a エアクリーナの第1開口
20b エアクリーナの第2開口
24 吸気系の混合気通路
26 吸気系の空気通路
40 空気制限部材
224 先導空気弁
226 連携機構
228 空気弁制御機構
240 空気制限部材本体(プレート状)
242 空気制限部材の操作レバー
244 空気制限部材の軸部
250 操作レバーの操作範囲を規定する第1ストッパ
252 操作レバーの操作範囲を規定する第2ストッパ
264 コイルバネ(戻りバネ)
272 空気制限部材の中継レバー
280 空気制限部材の操作部を構成するプッシュ部材
Tr 操作トリガ

Claims (9)

  1. シリンダ内を往復動するピストンと、
    該ピストンによって画成される燃焼室と、
    クランク室と、
    該クランク室に常時連通し且つ前記ピストンによって開閉される掃気窓を通じて前記燃焼室と連通可能な掃気通路と、
    前記シリンダに形成され、前記ピストンによって開閉される混合気ポートと、
    前記シリンダに形成され、前記ピストンによって開閉される空気ポートと、
    前記混合気ポートに連結され且つ該混合気ポートを通じて前記クランク室に混合気を供給する混合気通路及び前記空気ポートに連結され且つ該空気ポートを通じて前記掃気通路に先導空気を供給する空気通路を有し、更に少なくとも前記混合気通路の一部を構成する混合気チャンネルとスロットル弁とを備え、該混合気チャンネルで前記混合気を生成する気化器を有する吸気系とを含み、
    該吸気系は、その上流端にエアクリーナを含み、
    該エアクリーナは、前記混合気通路の入口を構成する第1開口及び前記空気通路の入口を構成する第2開口を有し、
    前記クランク室で予め圧縮した混合気を前記掃気通路を通じて前記燃焼室に供給するのに先立って、前記掃気通路に供給した前記先導空気を前記燃焼室に供給して燃焼ガスの掃気を促す層状掃気式2サイクルエンジンであって、
    前記空気通路、前記空気ポート、前記第2開口のいずれかに設けられ、前記空気通路を通じて前記掃気通路に供給する空気の量を制限する空気制限部材を有し、
    該空気制限部材はユーザによって手動操作されることを特徴とする層状掃気式2サイクルエンジン。
  2. 前記空気通路が、前記気化器とは別の独立した通路で構成されている、請求項1に記載の層状掃気式2サイクルエンジン。
  3. 前記気化器が、前記混合気チャンネルの他に、前記空気通路の一部を構成する空気チャンネルを有する、請求項1に記載の層状掃気式2サイクルエンジン。
  4. 前記空気制限部材が、前記エアクリーナの前記第2開口に設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の層状掃気式2サイクルエンジン。
  5. 前記空気制限部材が、前記第2開口に隣接して配置された軸部と、該軸部を中心にして前記第2開口を横断する方向に回動し且つ前記第2開口を閉じることのできる面積を有する空気制限部材本体と、前記軸部に連結された操作レバーとを有し、
    該操作レバーをユーザが操作することにより前記空気制限部材本体によって第2開口を閉じることができる、請求項4に記載の層状掃気式2サイクルエンジン。
  6. 前記エアクリーナは、エレメントを収容したケース本体を有し、該ケース本体が、前記操作レバーの操作範囲を規定する第1、第2のストッパを有し、
    ユーザが前記操作レバーを第1ストッパと衝突するまで動かすと、前記空気制限部材本体によって第2開口を閉じた状態となり、前記操作レバーを第2ストッパと衝突するまで動かすと、前記空気制限部材本体が第2開口から離れて前記第2開口が完全に開放された原位置に戻る、請求項5に記載の層状掃気式2サイクルエンジン。
  7. 前記空気制限部材が、前記空気制限部材本体を開く方向に付勢する戻りバネを更に有し、
    該戻りバネによって前記空気制限部材は、前記第2ストッパと衝突した原位置に復帰する、請求項6に記載の層状掃気式2サイクルエンジン。
  8. 前記空気制限部材が、前記第2開口に隣接して配置された軸部と、該軸部を中心にして前記第2開口を横断する方向に回動し且つ前記第2開口を閉じることのできる面積を有する空気制限部材本体と、該空気制限部材本体を開く方向に付勢する戻りバネと、前記軸部に連結された中継レバーと、該中継レバーに関連したプッシュ部材とを有し、
    ユーザが前記プッシュ部材を押すことにより、前記戻りバネの付勢力に抗して、前記空気制限部材本体で前記第2開口を閉じることができ、
    ユーザが前記プッシュ部材を開放することにより、前記空気制限部材本体は、前記戻りバネの付勢力によって、前記第2開口から離れた原位置に復帰する、請求項4に記載の層状掃気式2サイクルエンジン。
  9. 前記空気通路に設けられた先導空気弁と、
    該先導空気弁を前記スロットル弁に機械的に連結する連携機構とを更に有し、
    該連携機構が、前記先導空気弁の開弁タイミングを前記スロットル弁の開弁タイミングから遅延させる空気弁制御機構を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の層状掃気式2サイクルエンジン。
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